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特表2022-506570超指向性超音波スピーカ装置の音質改善方法、及びそれを備えた超音波スピーカ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(54)【発明の名称】超指向性超音波スピーカ装置の音質改善方法、及びそれを備えた超音波スピーカ装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/00 20060101AFI20220107BHJP
   H04R 1/28 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
H04R3/00 310
H04R1/28 310B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021523993
(86)(22)【出願日】2019-10-10
(85)【翻訳文提出日】2021-05-11
(86)【国際出願番号】 KR2019013258
(87)【国際公開番号】W WO2020091257
(87)【国際公開日】2020-05-07
(31)【優先権主張番号】10-2018-0130305
(32)【優先日】2018-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521186502
【氏名又は名称】キャッチフロー シーオー., エルティーディ.
【氏名又は名称原語表記】CATCHFLOW CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】B1, 322, Yanghyeon-ro, Bundang-gu, Seongnam-si, Gyeonggi-do 13496 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム, タエ ヨング
(72)【発明者】
【氏名】セオ, ジョン グク
(72)【発明者】
【氏名】チョイ, サン フン
【テーマコード(参考)】
5D220
【Fターム(参考)】
5D220AA24
5D220AA47
5D220AB04
(57)【要約】
超音波スピーカ装置の音質改善方法において、高域通過フィルタを利用して入力されるオーディオ信号の低周波成分を除去する第1段階と、低周波成分が除去された信号に対し、イコライザを利用し、周波数帯域別に応答特性を補正する第2段階と、周波数帯域別に応答特性が補正された信号の音圧レベルを調節する第3段階と、第2段階及び第3段階で生じうる信号のクリッピングを防止するために、リミッタを利用し、信号の大きさが特定レベル以上に増大しないように制御する第4段階と、を含む。該超指向性超音波スピーカ装置によれば、超指向性超音波スピーカの特性に適する音質改善方案を適用することで、聴取者に改善された音質のオーディオ信号を伝達することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波スピーカ装置の音質改善方法において、
高域通過フィルタを利用して入力されるオーディオ信号の低周波成分を除去する第1段階と、
低周波成分が除去された信号に対し、イコライザを利用し、周波数帯域別に応答特性を補正する第2段階と、
周波数帯域別に応答特性が補正された信号の音圧レベルを調節する第3段階と、
第2段階及び第3段階で生じうる信号のクリッピングを防止するために、リミッタを利用し、信号の大きさが特定レベル以上に増大しないように制御する第4段階と、を含む超音波スピーカ装置の音質改善方法。
【請求項2】
前記第1段階において、低周波成分は、150Hz以下であることを特徴とする請求項1に記載の超音波スピーカ装置の音質改善方法。
【請求項3】
前記音圧レベルを調節する第3段階は、信号レベルが、第1レベル(dB)以下は、再生しないように除去し、第2レベル(dB)以上は、圧縮し、それ以外の信号レベルは、4dB以上の利得を与えることを特徴とする請求項1に記載の超音波スピーカ装置の音質改善方法。
【請求項4】
音質改善部を含む超音波スピーカ装置において、
該音質改善部は、入力されるオーディオ信号の低周波成分を除去する高域通過フィルタと、
該高域通過フィルタを通過し、低周波成分が除去された信号に対し、周波数帯域別に応答特性を補正するイコライザと、
周波数帯域別に応答特性が補正された信号の音圧レベルを調節する音圧レベル補正部と、
該イコライザ及び該音圧レベル補正部で生じうる信号のクリッピングを防止するために、信号の大きさが特定レベル以上に増大しないように制御するリミッタと、を含むことを特徴とする音質改善部を具備する超音波スピーカ装置。
【請求項5】
前記低周波成分は、150Hz以下であることを特徴とする請求項4に記載の音質改善部を具備する超音波スピーカ装置。
【請求項6】
前記音圧レベル補正部は、信号レベルが、第1レベル(dB)以下は、再生しないように除去し、第2レベル(dB)以上は、圧縮し、それ以外の信号レベルは、4dB以上の利得を与えることを特徴とする請求項4に記載の音質改善部を具備する超音波スピーカ装置。
【請求項7】
請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載の方法を遂行するためのプログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波変調を介し、音波進行方向に超指向性を付与する超音波スピーカ装置に係り、さらに具体的には、超指向性超音波スピーカ装置の音質改善方法、及びそれを備えた超指向性超音波スピーカ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なスピーカは、音波を空気中の全ての方向に伝達する。しかし、特定方向だけで音波を伝達する場合もある。その場合、パラボリックディッシュを利用する方法があるが、該ディッシュの焦点に一般スピーカを設け、音響出力がディッシュに反射され、直進性を有させるのである。しかし、そのような方式は、直径が非常に長いディッシュが必要であり、音の到達距離も短く、反射された信号の相互干渉により、音質も落ちるという短所を有する。そのような短所を補完するために、最近では、超音波の直進性特性と、空気媒質の非線形媒質特性とを利用した超指向性超音波スピーカ技術が具現されている。該超指向性超音波スピーカは、水中レーダ技術であるソナー(sonar)への研究が発展しながら、空気中において、超音波を利用すれば、音をビームのように送り届けることができるということを発見しつつ、本格的に研究され始めた。その後、多くの科学者らが超指向性超音波スピーカに係わる物理的原理と、既存の音声を超音波スピーカに載せて送る方法を研究した。しかし、該超指向性超音波スピーカ商用化は、容易になされなかったところ、しかし、2000年代以後になり、だんだんと超音波変調技術を適用した超指向性超音波スピーカが商品化され始めた。
【0003】
超指向性超音波スピーカシステムは、超音波が空気中で空気と起こす非線形的な干渉現象を利用する。理論的には、空気中で復調される可聴信号は、振幅変調された信号の包絡線(envelope)の二乗を、二次時間微分したものに比例する。それにより、従来の超音波スピーカシステムは、図7を参照すれば、振幅変調前に、二重積分した入力オーディオ信号の自乗根を振幅変調し、超音波スピーカを介して空気中に送り出すことになる。当該方法は、自乗根という非線形的な演算により、帯域幅が制限された本来のオーディオ信号の周波数スペクトルが、ほぼ無限大の帯域幅上に示されることになるために、歪曲を減らすのに限界がある。一方、米国のATC社は、米国特許第6,584,205号明細書において、帯域幅の増大がない反復的な誤差補償方法を提示もしている。
【0004】
しかし、そのような先行文献は、超音波と空気とが起こす非線形的な干渉現象を解消することにだけに関心を示したのみであり、聴取者の立場において、さらに明瞭な音質を提供するための信号処理方案まで提示してはいなかった。特に、超指向性超音波スピーカの特性に適する音質改善方案が適用されないとするならば、超音波と空気とが起こす非線形的な干渉現象によって伝達されるオーディオ信号は、聴取者に不自然な音質で伝達されるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】大韓民国公開特許公報第10-2014-0087926号(2014.07.09.)
【特許文献2】大韓民国登録特許公報第10-0622078号(2006.09.01.)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前述のような問題点に着眼し、聴取者にさらに明瞭な音質を提供するための信号処理方案を提示するためのものであり、特に、超指向性超音波スピーカの特性に適する音質改善方案を適用し、聴取者に改善された音質のオーディオ信号を伝達するための超指向性超音波スピーカ装置の音質改善方法、及びそれを備えた超音波スピーカ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の課題を解決するために、本発明は、超音波スピーカ装置の音質改善方法において、高域通過フィルタを利用して入力されるオーディオ信号の低周波成分を除去する第1段階と、該低周波成分が除去された信号に対し、イコライザを利用し、周波数帯域別に応答特性を補正する第2段階と、周波数帯域別に応答特性が補正された信号の音圧レベルを調節する第3段階と、第2段階及び第3段階で生じうる信号のクリッピングを防止するために、リミッタを利用し、信号の大きさが特定レベル以上に増大しないように制御する第4段階と、を含む。前記第1段階において、低周波成分は、150Hz以下であることを特徴とする。前記音圧レベルを調節する第3段階は、信号レベルが第1レベル(dB)以下は、再生しないように除去し、第2レベル(dB)以上は、圧縮し、それ以外の信号レベルは、4dB以上の利得を与えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、音質改善部を含む超音波スピーカ装置において、該音質改善部は、入力されるオーディオ信号の低周波成分を除去する高域通過フィルタと、該高域通過フィルタを通過し、低周波成分が除去された信号に対し、周波数帯域別に応答特性を補正するイコライザと、周波数帯域別に応答特性が補正された信号の音圧レベルを調節する音圧レベル補正部と、該イコライザ及び該音圧レベル補正部で生じうる信号のクリッピングを防止するために、信号の大きさが特定レベル以上に増大しないように制御するリミッタと、を含むことを特徴とする。前記低周波成分は、150Hz以下であることを特徴とする。前記音圧レベル補正部は、信号レベルが第1レベル(dB)以下は、再生しないように除去し、第2レベル(dB)以上は、圧縮し、それ以外の信号レベルは、4dB以上の利得を与えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の超指向性超音波スピーカ装置によれば、超指向性超音波スピーカの特性に適する音質改善方案を適用することにより、聴取者に改善された音質のオーディオ信号を伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態による、音質改善方法を適用した超指向性超音波スピーカ装置の全体的な構成を示すための図面である。
図2】本発明の一実施形態による音質改善方法について説明するための図面である。
図3】本発明の一実施形態による高域通過フィルタについて説明するための図面である。
図4】本発明の一実施形態によるイコライザの特性について説明するための図面である。
図5】本発明の一実施形態による音圧レベル補正部の特性について説明するための図面である。
図6】本発明の一実施形態によるリミッタの特性について説明するための図面である。
図7】従来の超指向性超音波システムを示すための図面である。
図8】本発明の一実施形態によるイコライザの効果について説明するための図面である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書で開示されている本発明の概念による実施形態について、特定の構造的または機能的な説明は、単に本発明の概念による実施形態について説明するための目的に例示されたものであり、本発明の概念による実施形態は、多様な形態でもって実施され、本明細書に説明された実施形態に限定されるものではない。
【0012】
本発明の概念による実施形態は、多様な変更を加えることができ、さまざまな形態を有することができるが、実施形態を図面に例示し、本明細書において詳細に説明する。しかし、それらは、本発明の概念による実施形態を、特定の開示形態について限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる変更、均等物または代替物を含むのである。
【0013】
第1または第2のような用語は、多様な構成要素についての説明に使用されうるが、前述の構成要素は、前述の用語によって限定されるものではない。前述の用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的だけのものであり、例えば、本発明の概念による権利範囲から離脱せずに、第1構成要素は、第2構成要素とも命名され、類似して、第2構成要素は、第1構成要素とも命名される。
【0014】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いたり、「接続されて」いたりすると言及されたときには、当該他の構成要素に直接に連結されていたり、接続されていたりもするが、中間に、他の構成要素が存在しうると理解されなければならないのである。一方、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いたり、「直接接続されて」いたりすると言及されたときには、中間に、他の構成要素が存在しないと理解されなければならないのである。構成要素との関係について説明する表現、例えば「~間に」及び「すぐ~間に」、または「~に隣接する」及び「~に直接隣接する」というところも、同様に解釈されなければならないのである。
【0015】
本明細書で使用された用語は、単に特定の実施形態についての説明に使用されたものであり、本発明を限定する意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に取り立てて意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」または「有する」というような用語は、説示された特徴、数、段階、動作、構成要素、部分品、またはそれらの組み合わせが存在するということで指定するものであり、1またはそれ以上の他の特徴、数、段階、動作、構成要素、部分品、またはそれらの組み合わせの存在または付加の可能性を事前に排除するものではないと理解されなければならない。
【0016】
取り立てて定義されない限り、技術的であったり科学的であったりする用語を含み、ここで使用される全ての用語は、本発明が属する技術分野において当業者によって一般的に理解されるところと同一意味を有する。一般的に使用される辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上において有する意味と一致する意味を有するように解釈されなければならず、本明細書で明白に定義しない限り、理想的であったり、過度に形式的であったりする意味に解釈されるものではない。
【0017】
以下、添付された図面を参照し、本発明の望ましい実施形態による、超指向性超音波スピーカ装置の音質改善方法、及びそれを備えた超指向性超音波スピーカ装置について説明する。
【0018】
図7に図示されているように、従来の超指向性超音波システムは、振幅変調前、二重積分された入力オーディオ信号の自乗根を振幅変調し、超音波スピーカを介して空気中に送出することになる。該方法は、自乗根という非線形的な演算により、帯域幅が制限された本来のオーディオ信号の周波数スペクトルが、ほぼ無限大の帯域幅上に示されることになるために、歪曲を低減させるのに限界がある。一方、米国のATC社は、米国特許US6,584,205において、帯域幅の増大がない反復的な誤差補償方法を提示しているが、その場合にも、類似した歪曲が示される。
【0019】
しかし、実験結果、非線形歪曲によって生じるハーモニック成分の大きさが、原信号に比べ、20dB程度と小さく、一般的な音声、及びオーディオ信号においては、ほとんど聞こえないという点を発見した。併せて、非線形歪曲を補正するためには、全てのシステムの線形歪曲を完璧に測定しなければならず、測定が正確ではない場合、むしろ歪曲が増大してしまうために、非線形歪曲を補正するよりは、線形歪曲を最大限補正すると共に、明瞭度を向上させるための音質改善方法を適用することが、聴取者の立場においてはるかに有利であるということが分かるようになった。
【0020】
従って、本発明による音質改善方法は、そのような歪曲を減らすと共に、聴取者の立場において、さらに明瞭なオーディオ信号を伝達するためのものである。
【0021】
図1を参照すれば、超指向性超音波スピーカ装置の音質改善のために、本発明による超音波スピーカ装置は、音質改善部を含む。該音質改善部は、入力されるオーディオ信号の低周波成分を除去する高域通過フィルタと、該高域通過フィルタを通過し、低周波成分が除去された信号に対し、周波数帯域別に応答特性を補正するイコライザと、周波数帯域別に応答特性が補正された信号の音圧レベルを調節する音圧レベル補正部と、該イコライザ及び該音圧レベル補正部で生じうる信号のクリッピングを防止するために、信号の大きさが特定レベル以上に増大しないように制御するリミッタと、を含むことを特徴とする。
【0022】
該高域通過フィルタ(high pass filter)は、入力オーディオ信号に含まれた低周波成分を除去するためのものである。超音波スピーカは、超音波トランスデューサの物理的な限界により、低周波数成分を再生し難い。従って、まず第一に、高域通過フィルタ(HPF)を介し、超音波スピーカで再生し難い低周波帯域の除去は、信号増幅に必要なヘッドルーム(head-room)を確保し、低電力でもラウドネス(loudness)を確保するために必須である。
【0023】
本発明で使用された高域通過フィルタは、図3に図示されているように、二次IIRフィルタ(infinite impulse response filter)によって具現されており、カットオフ周波数(cutoff frequency)は、使用された超音波トランスデューサの出力性能を基に設定されうる。該超音波トランスデューサの出力性能は、単一トーン信号を再生した可聴周波数信号を確認することによって把握することができる。本発明において、超音波トランスデューサは、約150Hzから有効な再生が可能であるということが確認され、それを基に、カットオフ低周波成分は、150Hz以下であることを特徴とする。一方、本発明において高域通過フィルタは、具現の容易性のために、二次IIRフィルタ構造を採用しているが、それに限定されるものではなく、当業者であるならば、必要により、多様な構造の高域通過フィルタを採用することができるということは、自明であろう。
【0024】
該高域通過フィルタを介し、低周波成分が除去された信号は、周波数帯域別に周波数特性を補正するためのイコライザ(equalizer)に入力される。該イコライザは、超音波トランスデューサ、超音波増幅器(AMP)、及び空気中(air column)の周波数応答の特性を補正する共に、明瞭度強化のためにも使用される。
【0025】
図4には、デフォルト(default)値に設定されたIIR(infinite impulse response)イコライザ(equalizer)の特性曲線を示す。該イコライザは、空気中(air column)、超音波トランスデューサ及び超音波増幅器(AMP)の周波数応答を平滑化させるだけではなく、音声明瞭度に重要な4kHz帯域以上を増幅するようにも設計されている。明瞭度を高めるために、イコライザ特性曲線は、必要により、適切に調整されうるということは、当業者に自明であろう。
【0026】
図8は、イコライザを適用した周波数応答特性を示す図面である。図8の左側図表は、原音信号の周波数成分を示し、右側図表は、原音信号がイコライザを通過した信号の周波数成分を示す。該イコライザを介し、ハーモニック歪曲を低減させたり除去したりして、低音部分を補償することができる効果がある。
【0027】
該イコライザで周波数応答特性が調整された信号は、音圧レベルを調節する音圧レベル補正部に入力される。超音波スピーカの使用目的上、特定使用者だけに音が聞こえるようにするための高指向性だけではなく、再生される音のレベル(level)を所望目標値(target level)に維持することが必要である。該音圧レベル補正部は、そのために、必要な構成として、過度に高いレベル(第2レベル)の信号は、圧縮(compressing)し、一定区間レベルの信号は、明瞭度を向上させるためのメーキャップ利得(make-up gain)を与え、過度に低いレベル(第1レベル)の信号は、再生しないように除去する機能を遂行する。
【0028】
図5は、音圧レベル補正部の入力/出力レベルに係わる特性グラフを示す。図5によれば、本発明の一実施形態において、音圧レベル補正部の入力/出力特性は、過度に低いレベルの入力は、再生しないように、第1レベルは、およそ-83dB以下に設定し、過度に高いレベルの入力は、圧縮するように、第2レベルを-7dB以上に設定し、それ以外の信号レベルは、メーキャップ利得(make-up gain)として4dBを適用した。
【0029】
従って、前記音圧レベル補正部は、信号レベルが第1レベル(dB)以下は、再生しないように除去し、第2レベル(dB)以上は、圧縮し、それ以外の信号レベルは、4dB以上の利得を与えることを特徴とする。
【0030】
該音圧レベル補正部の出力は、リミッタに入力される。該リミッタは、イコライザ及び音圧レベル補正部で生じうる信号のクリッピングを防止するために、信号の大きさが特定レベル以上に増大しないように制御する。該イコライザまたは該音圧レベル補正部で生じうる時間領域における信号のクリッピング(clipping)は、周波数領域でハーモニックを生成し、音を歪曲させてしまうのである。従って、該リミッタは、信号レベルが特定臨界値(threshold)以上に高くならないようにするところに使用される。
【0031】
図6は、リミッタを適用する以前の波形と、リミッタ適用以後の波形とを示す。図6左側の図表において、0.5レベル以上の信号がリミッタに入力されれば、右側の図表のように、臨界値以上に大きくならないように調整されて出力される。
【0032】
一方、図2は、本発明の一実施形態による音質改善方法のフローチャートを示す。本発明による超指向性超音波スピーカ装置の音質改善方法は、高域通過フィルタを利用して入力されるオーディオ信号の低周波成分を除去する第1段階と、低周波成分が除去された信号に対し、イコライザを利用し、周波数帯域別に応答特性を補正する第2段階と、周波数帯域別に応答特性が補正された信号の音圧レベルを調節する第3段階と、第2段階及び第3段階で生じうる信号のクリッピングを防止するために、リミッタを利用し、信号の大きさが特定レベル以上に増大しないように制御する第4段階と、を含む。前記第1段階において、低周波成分は、150Hz以下であることを特徴とする。前記音圧レベルを調節する第3段階は、信号レベルが、第1レベル(dB)以下は、再生しないように除去し、第2レベル(dB)以上は、圧縮し、それ以外の信号レベルは、4dB以上の利得を与えることを特徴とする。
【0033】
該音質改善方法は、前述の音質改善部を含む超指向性超音波スピーカ装置と、発明のカテゴリーだけを異にしているのみであるので、具体的な説明は、省略する。
【0034】
ただし、該音質改善方法は、DSP(digital signal processor)においてプログラムによっても具現され、PCのようなコンピュータ装置、または携帯電話などにおいて、アプリのようなプログラムによっても具現される。その場合、該プログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて保存され、コンピュータ、携帯電話のような多様な装置においても実行される。
【0035】
以上、本発明による超指向性超音波スピーカ装置の音質改善方法、及びそれを備えた超指向性超音波スピーカ装置に係わる望ましい実施形態について説明した。前述の実施形態は、全ての面において例示的なものであり、限定的なものではないと理解されなければならず、本発明の範囲は、前述の詳細な説明よりは、特許請求の範囲によって示されるのである。そして、当該特許請求の範囲の意味及び範囲はもとより、その等価概念から導き出される全ての変更、及び変形可能な形態は、本発明の範疇に含まれるものであると解釈されなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】