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特表2022-506650核医学製品の分散型台帳管理のためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(54)【発明の名称】核医学製品の分散型台帳管理のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/10 20180101AFI20220107BHJP
【FI】
G16H20/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021524182
(86)(22)【出願日】2019-11-07
(85)【翻訳文提出日】2021-07-06
(86)【国際出願番号】 EP2019080613
(87)【国際公開番号】W WO2020094814
(87)【国際公開日】2020-05-14
(31)【優先権主張番号】16/183,188
(32)【優先日】2018-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】305040710
【氏名又は名称】ジーイー・ヘルスケア・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136744
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 佳正
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ウォルバー,ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ラゴナ,スコット,ダブリュ
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA25
(57)【要約】
放射性医薬品物質のバッチについての情報を含む分散型台帳の追跡および管理のためのシステムおよび方法が開示される。いくつかの例が、放射性医薬品物質を管理するコンピュータ実装方法を提供し、この方法は、少なくとも1つのプロセッサを使って、放射性医薬品物質のバッチの状況を追跡することであって、状況は、放射性医薬品物質のバッチに関連付けられたタイプ、量、およびタイムスタンプを含む、ことと、放射性医薬品物質のバッチに関連付けられたタイプ、量、およびタイムスタンプを使って、分散型台帳の第1のコピーの中にレコードを生成することと、放射性医薬品物質のバッチの使用、放射性医薬品物質のバッチの少なくとも一部分の再販、および放射性医薬品物質のバッチの減衰のうちの少なくとも1つに基づいてレコードを更新することと、分散型台帳の第2のコピーをもつレコードを共有することとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分配監視プロセッサ装置であって、
実行用の命令および分散型台帳の第1のコピーを記憶するためのデータストレージと、
データを受信し、送信するためのデータ通信インタフェースと、
放射性医薬品物質のバッチの状況を追跡するための物質状況モニタであって、前記データ通信インタフェースを介して、前記放射性医薬品物質のバッチに関連付けられたタイプ、量、およびタイムスタンプの指示を受信するための物質状況モニタと、
前記物質状況モニタからの、前記放射性医薬品物質のバッチに関連付けられた前記タイプ、量、およびタイムスタンプ指示を使って、前記分散型台帳の前記第1のコピーの中のレコードを生成し、更新するための台帳レコードプロセッサであって、いつ、前記放射性医薬品物質のバッチのどれだけの量が販売され、再販売されるかを追跡するために、前記レコードにトランザクションを追加するための台帳レコードプロセッサと
を備える装置。
【請求項2】
前記放射性医薬品物質のバッチと、第1の顧客に関連付けられた顧客サブシステムとを伴うように、スマートコントラクトを生成するためのコントラクトジェネレータであって、前記第1の顧客は、前記放射性医薬品物質のバッチを受領し、前記スマートコントラクトは、第2の顧客への、前記放射性医薬品物質のバッチの一部分の再販売を含む前記スマートコントラクトにより前記放射性医薬品物質のバッチを要求し、販売し、再販売するのを容易にする、コントラクトジェネレータをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記スマートコントラクトは、前記放射性医薬品物質のバッチを合成するように前記ジェネレータをトリガするための関数を含むためのものである、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記物質状況モニタは、前記レコードに追加されたトランザクションを介した第1の使用の後の、前記放射性医薬品物質のバッチの残量および残余の耐用期間を反映するように、前記分散型台帳の前記第1のコピーの中の前記レコードを前記台帳レコードプロセッサで更新するための前記第1の使用の後で、前記放射性医薬品物質のバッチの前記第1の使用と、前記放射性医薬品物質のバッチの前記残余の耐用期間とを追跡するためのものである、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記台帳レコードプロセッサは、前記分散型台帳の前記第1のコピーの前記レコードに対する更新を、前記データ通信インタフェースを介してリモートサーバまたは顧客サブシステムのうちの少なくとも1つに通信するためのものである、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記リモートサーバまたは前記顧客サブシステムのうちの前記少なくとも1つは、前記分散型台帳の前記第1のコピーの前記レコードに対する前記更新を検証するためのものである、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記物質状況モニタは、前記ジェネレータによって前記放射性医薬品物質のバッチが合成されると、前記レコードを生成するように前記台帳レコードプロセッサをトリガするように、ジェネレータに接続されるべきである、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記放射性医薬品物質のバッチは、陽電子断層撮影のための放射性医薬品物質を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
コンピュータ可読記憶媒体であって、実行されると、少なくとも1つのプロセッサに、少なくとも、
放射性医薬品物質のバッチの状況を追跡することであって、前記状況は、前記放射性医薬品物質のバッチに関連付けられたタイプ、量、およびタイムスタンプを含む、ことと、
前記放射性医薬品物質のバッチに関連付けられた前記タイプ、量、およびタイムスタンプを使って、分散型台帳の第1のコピーの中にレコードを生成することと、
前記放射性医薬品物質のバッチの使用、前記放射性医薬品物質のバッチの少なくとも一部分の再販、および前記放射性医薬品物質のバッチの減衰のうちの少なくとも1つに基づいて前記レコードを更新することと、
前記分散型台帳の第2のコピーをもつ前記レコードを共有することと
を行わせる命令を含むコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項10】
前記命令は、実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに、少なくとも、前記放射性医薬品物質のバッチと、第1の顧客に関連付けられた顧客サブシステムとを伴うように、スマートコントラクトを生成することであって、前記第1の顧客は、前記放射性医薬品物質のバッチを受領し、前記スマートコントラクトは、第2の顧客への、前記放射性医薬品物質のバッチの一部分の再販売を含む前記スマートコントラクトにより前記放射性医薬品物質のバッチを要求し、販売し、再販売するのを容易にすることをさらに行わせる、請求項9に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項11】
前記スマートコントラクトは、前記放射性医薬品物質のバッチを合成するように前記ジェネレータをトリガするための関数を含むためのものである、請求項9に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項12】
前記命令は、実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに、少なくとも、前記レコードに追加されたトランザクションを介した第1の使用の後の、前記放射性医薬品物質のバッチの残量および残余の耐用期間を反映するように、前記分散型台帳の前記第1のコピーの中の前記レコードを更新するための前記第1の使用の後で、前記放射性医薬品物質のバッチの前記第1の使用と、前記放射性医薬品物質のバッチの前記残余の耐用期間とを追跡させる、請求項9に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項13】
前記命令は、実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに、少なくとも、前記分散型台帳の前記第1のコピーの前記レコードに対する更新を、リモートサーバまたは顧客サブシステムのうちの少なくとも1つへ通信させる、請求項9に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項14】
前記命令は、実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに、少なくとも、前記リモートサーバまたは前記顧客サブシステムの少なくとも1つからのフィードバックに基づいて、前記レコードに対する前記更新を検証させる、請求項13に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
前記命令は、実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに、前記放射性医薬品物質のバッチが、前記少なくとも1つのプロセッサと通信するジェネレータによって合成されると、前記レコードを生成させる、請求項9に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項16】
放射性医薬品物質を管理するコンピュータに実装された方法であって、
少なくとも1つのプロセッサを使って、放射性医薬品物質のバッチの状況を追跡することであって、前記状況は、前記放射性医薬品物質のバッチに関連付けられたタイプ、量、およびタイムスタンプを含む、ことと、
前記少なくとも1つのプロセッサを使って、前記放射性医薬品物質のバッチに関連付けられた前記タイプ、量、およびタイムスタンプを使って分散型台帳の第1のコピーの中にレコードを生成することと、
前記少なくとも1つのプロセッサを使って、前記放射性医薬品物質のバッチの使用、前記放射性医薬品物質のバッチの少なくとも一部分の再販、および前記放射性医薬品物質のバッチの減衰のうちの少なくとも1つに基づいて前記レコードを更新することと、
前記少なくとも1つのプロセッサを使って、前記分散型台帳の第2のコピーをもつ前記レコードを共有することと
を含む方法。
【請求項17】
前記放射性医薬品物質のバッチと、第1の顧客に関連付けられた顧客サブシステムとを伴うように、スマートコントラクトを生成することであって、前記第1の顧客は、前記放射性医薬品物質のバッチを受領し、前記スマートコントラクトは、第2の顧客への、前記放射性医薬品物質のバッチの一部分の再販売を含む前記スマートコントラクトにより前記放射性医薬品物質のバッチを要求し、販売し、再販売するのを容易にすることをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記スマートコントラクトの関数により、前記放射性医薬品物質のバッチを合成するようにジェネレータをトリガすることをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記分散型台帳の前記第1のコピーの前記レコードに対する更新を、リモートサーバまたは顧客サブシステムの少なくとも1つへ通信することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記放射性医薬品物質のバッチの前記状況を追跡することは、前記レコードに追加されたトランザクションを介した第1の使用の後の、前記放射性医薬品物質のバッチの残量および残余の耐用期間を反映するように、前記分散型台帳の前記第1のコピーの中の前記レコードを更新するための前記第1の使用の後で、前記放射性医薬品物質のバッチの前記第1の使用と、前記放射性医薬品物質のバッチの前記残余の耐用期間とを追跡することを含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、改良型核医学に関し、より詳細には、核医学製品の分散型台帳管理のための改良型システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
核医学は、得られた画像中の患者の解剖学的構造の側面を強調するための放射性物質を伴う。そのような放射性物質は、生産するのが高価であり、潜在的に危険であり、急速に減衰する。その結果、放射性物質の組成、生産、保管、および使用は非常に厳しく規制され、制御され、その有効貯蔵寿命には期限がある。厳しい制御および急速な減衰を前提とすると、物質はしばしば、物流の遅れおよび/または通信の欠如のせいで、使われなくなる。さらに、物質が生産され、分配されると、プロバイダは、物質の状態、その使用などを見ることができなくなる。そのせいで、たとえば、無駄、不確実性、および潜在的な安全性の危険が生じる。また、核医学トレーサのどのバッチの価値も、そのアクティビティに直接関連する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、生産者およびユーザは、これらの物質を発注し、分配し、使うプロセスにおけるアクティビティについての適時の情報を有することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
いくつかの例が、放射性医薬品物質のバッチについての情報を含む分散型台帳の追跡および管理のためのシステムおよび方法を提供する。
【0005】
いくつかの例が、実行用の命令および分散型台帳の第1のコピーを記憶するためのデータストレージと、データを受信し、送信するためのデータ通信インタフェースと、放射性医薬品物質のバッチの状況を追跡するための物質状況モニタであって、データ通信インタフェースを介して、放射性医薬品物質のバッチに関連付けられたタイプ、量、およびタイムスタンプの指示を受信するための物質状況モニタと、物質状況モニタからの、放射性医薬品物質のバッチに関連付けられたタイプ、量、およびタイムスタンプの指示を使って、分散型台帳の第1のコピーの中のレコードを生成し、更新するための台帳レコードプロセッサであって、いつ、放射性医薬品物質のバッチのどれだけの量が販売され、再販売されるかを追跡するために、レコードにトランザクションを追加するための台帳レコードプロセッサとを含む分配監視プロセッサ装置を提供する。
【0006】
いくつかの例が、実行されると、少なくとも1つのプロセッサに、少なくとも、放射性医薬品物質のバッチの状況を追跡することであって、状況は、放射性医薬品物質のバッチに関連付けられたタイプ、量、およびタイムスタンプを含む、ことと、放射性医薬品物質のバッチに関連付けられたタイプ、量、およびタイムスタンプを使って、分散型台帳の第1のコピーの中にレコードを生成することと、放射性医薬品物質のバッチの使用、放射性医薬品物質のバッチの少なくとも一部分の再販、および放射性医薬品物質のバッチの減衰のうちの少なくとも1つに基づいてレコードを更新することと、分散型台帳の第2のコピーをもつレコードを共有することとを行わせる命令を含むコンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【0007】
いくつかの例が、放射性医薬品物質を管理するコンピュータ実装方法を提供する。例示的方法は、少なくとも1つのプロセッサを使って、放射性医薬品物質のバッチの状況を追跡することを含み、状況は、放射性医薬品物質のバッチに関連付けられたタイプ、量、およびタイムスタンプを含む。例示的方法は、少なくとも1つのプロセッサを使って、放射性医薬品物質のバッチに関連付けられたタイプ、量、およびタイムスタンプを使って分散型台帳の第1のコピーの中にレコードを生成することを含む。例示的方法は、少なくとも1つのプロセッサを使って、放射性医薬品物質のバッチの使用、放射性医薬品物質のバッチの少なくとも一部分の再販、および放射性医薬品物質のバッチの減衰のうちの少なくとも1つに基づいてレコードを更新することを含む。例示的方法は、少なくとも1つのプロセッサを使って、分散型台帳の第2のコピーをもつレコードを共有することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】例示的分散型台帳を示す図である。
図2】放射性医薬品物質を生産するためのジェネレータと、放射性医薬品物質の生産についてのレコードを生成し、その使用および有効寿命を追跡するための分配監視プロセッサとを含む例示的装置を示す図である。
図3図2のジェネレータによって生産される放射性造影剤のバッチに対応するレコードを含む例示的分散型台帳を示す図である。
図4図2の例の分配監視プロセッサ、リモートサーバ、およびジェネレータと通信する複数の顧客サブシステムを含む、図2のシステムの例示的実装形態を示す図である。
図5】分散型台帳によって追跡される、放射性造影物質の購入のための例示的スマートコントラクトを示す図である。
図6】顧客によって購入され、使われる物質を図2のジェネレータが提供し、それぞれの顧客に物質を販売するために、顧客サブシステムとのトランザクションが実施される例示的ピア更新システムを示す図である。
図7】スマートコントラクトの例示的セットを示す図である。
図8】例示的放射性医薬品ブロックチェーンについての例示的トランザクションフローを示す図である。
図9】放射性医薬品ジェネレータを管理し、ジェネレータによって合成された放射性医薬品物質を監視するための例示的方法の流れ図である。
図10】本明細書において開示し、記載する構成要素を実装するための例示的機械可読命令を実行するように構築されたプロセッサプラットフォームのブロック図である。
図11図2の例の分配監視プロセッサの例示的概略実装形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面は、縮尺どおりではない。可能な限り、同じまたは同様の部分を指すために、図面および添付の記述全体を通して同じ参照番号が使用される。
【0010】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成するとともに、実践され得る具体例が例示のために示される添付の図面に対して参照が行われる。これらの例は、当業者が本主題を実践することを可能にするように、十分に詳しく記載されており、他の例が使用されてよいこと、ならびに論理的、機械的、電気的および他の変更が、本開示の主題の範囲から逸脱することなく行われてよいことを理解されたい。以下の詳細な説明は、したがって、例示的な実装形態を記載するために与えられており、本開示に記載される主題の範囲を限定するものとしてとられるべきでない。以下の説明の異なる態様からのいくつかの特徴は、以下で論じる主題のさらに新たな態様を形成するように組み合わされてよい。
【0011】
本開示の様々な実施形態の要素を紹介するとき、冠詞「a」、「an」、「the」、および「前記」は、要素のうちの1つまたは複数があることを意味することを意図している。「備える」、「含む」、および「有する」という用語は、包括的であり、列挙された要素以外の追加要素があり得ることを意味することを意図している。
【0012】
本明細書で使用する「放射性造影」、「放射性医薬品」、および「放射性同位体」という用語は、互換的に使われる。
【0013】
いくつかの例について、医療または保健システムのコンテキストにおいて以下で説明するが、他の例が、医療環境外で実装されてよい。たとえば、いくつかの例は、非医療放射性物質の取り扱いなどに適用されてよい。
【0014】
I.概要
核撮像
核医学画像検査は、標的の血流に注入され、吸入され、または飲み込まれ、コンピュータに接続された撮像カメラ(たとえば、ガンマカメラなど)によって検出されて標的の画像を形成し得るガンマ線を放射する放射性物質(たとえば、放射性トレーサまたは放射性医薬品)のうちの少量を使う。核医学画像は、他の撮像手順を使って取得することができない場合が多い一意の情報を提供し、病気をその最も初期の段階で識別する可能性をもたらす。
【0015】
陽電子放射断層撮影(PET)撮像は、健康な組織と病変組織との間の違いを示し、標的の体内の機能プロセスの3次元(3D)画像を形成するための、少量の放射性薬剤を使う核医学検査である。単一光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)は、標的の画像データをキャプチャして3D画像を形成するのにガンマ線およびガンマカメラを使う核医学断層撮像技法である。
【0016】
PETおよびSPECT撮像システムは、病気の検出のために益々使われており、そのような病気(たとえば、腫瘍学、心臓学および神経学における病気状態)の早期検出および確定診断を行うのに有用である。たとえば、現在、PETおよびSPECTテストの大部分は、癌検出、心筋灌血流の評価、および早期アルツハイマー検出に関連している。これらの病気は、適時であり効果的な治療を可能にするために早期診断を必要とする。
【0017】
PETおよびSPECT撮像システムは、それぞれ、患者の組織中での、陽電子放出同位体およびガンマ放出同位体の分布に基づいて画像を作成する。同位体は通常、陽電子放出同位体、たとえば、炭素11、窒素13、酸素15、もしくはフッ素18を有するプローブ分子、またはガンマ放射線放出同位体、たとえばテクネチウム99もしくはヨウ素123を含む放射性医薬品の注入によって患者に投与される。放射性医薬品は、容易に代謝され、体内で局在化され、または体内の受容体部位に化学結合する。放射性医薬品が所望の部位において局在化する(たとえば、受容体部位に化学結合する)と、PETまたはSPECT画像が生成される。
【0018】
GEのFASTlab(商標)およびFASTlab(商標)2、Drytec(商標)ジェネレータなどのようなシステムが、PET、SPECT、および/または他の核撮像において使用するための放射性トレーサ物質を作るのに使われ得る。FASTlab(商標)などのシステムは、複数回の実行にわたって放射性トレーサ物質(たとえば、[18F]フルメタモルなど)を生産する反応を受け入れるための放射性医薬品合成に関与する、あらかじめ測定された量の化学物質を含む自動化カセットベースシステムを使う。いくつかの例は、試薬を統合して、(たとえば、フルデオキシグルコース(FDG)クエン酸塩などを使う)同じホットセル中の複数回の実行の実施を可能にする。固相抽出、高速液体クロマトグラフィなどが、合成された放射性トレーサ物質を精製するのに使われ得る。
【0019】
放射性医薬品の他の例には、18F-FLT([18F]フルオロチミジン)、18F-FDDNP(2-(1-{6-[(2-[18F]フルオロエチル)(メチル)アミノ]2-ナフチル}エチリデン)マロニトリル)、18F-FHBG(9-[4-[18F]フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル]グアニンまたは[18F]-ペンシクロビル)、18F-FESP([18F]-フルオロエチルスピペロン)、18F-p-MPPF(4-(2-メトキシフェニル)-1-[2-(N-2-ピリジニル)-p-[18p]フルオロベンズアミド]エチルピペラジン)および18F-FDG([18F]-2-デオキシ-2-フルオロ-D-グルコース)がある。
【0020】
放射性医薬品中の放射性同位体は、放射性減衰を表す、たとえば、陽電子を放出する同位体である。そのような同位体は通常、放射性同位体または放射性核種と呼ばれる。例示的放射性同位体は、18F、124I、11C、13Nおよび15Oを含み、これらは、それぞれ、110分、4.2日、20分、10分、および2分の半減期を有する。
【0021】
PET放射性トレーサはしばしば、中央施設において生産され、次いで、トレーサが使われる他の病院または撮像施設に分配される。患者が撮像検査を受けているときに十分なアクティビティが利用可能であることを保証するように、患者検査およびPETトレーサ生産をスケジュールすることが重要である。しばしば、製造元(たとえば、PETセンター)およびユーザ(たとえば、撮像施設)は異なる法人であり、困難な物流は、たとえば、値が減衰アクティビティに関連した、減衰する物質を販売し、買う際の時間制約型トランザクションも伴う。
【0022】
放射性同位体は非常に短い半減期を有するので、対応する放射性医薬品の合成、精製、保管、輸送、および使用は迅速でなければならない。たとえば、合成、精製、および品質管理評価など、これらのプロセスの多くは、放射性医薬品中の放射性同位体の半減期に十分間に合って完了されるべきである。したがって、放射性同位体を合成し、処理し、取り扱うのに関わる時間は、患者の治療を進めるための患者診断のための核医学画像における放射性同位体の効果的な使用にとってボトルネックであり得る。
【0023】
他の放射性同位体が、ジェネレータを使って供給される。たとえば、Tc-99mの供給が、GEのDrytec(商標)ジェネレータを使って形成されてよい。ジェネレータは、特定の量のアクティビティを含む製造施設から出荷される。ジェネレータは、たとえば週単位で、全国に供給される。高い物質価格のせいで、ジェネレータは一般に、供給されるアクティビティが減衰した後で製造元に返送され、再利用される。
【0024】
エンドユーザは、ジェネレータを事前予約しなければならず、分配および収集スケジュール外で追加ジェネレータを特別に購入することはできない。エンドユーザは、減衰時間を超えて、およびジェネレータがユーザの施設にある時間を超えて、未使用アクティビティを貯めることもできない。したがって、ユーザは物質の量全体に対して請求されるが、どの未使用アクティビティも無駄になる。
【0025】
以前は、互いの近くに拠点があり得る2人のエンドユーザの間での余剰ジェネレータアクティビティの取引を可能にするための体系的機構が存在しなかった。たとえば、一方のユーザが、所与の期間中に、計画されたよりも頻繁にはジェネレータを使用していないが、別のユーザは、より忙しい患者スケジュールなどにより、追加アクティビティを必要とすることを開示する通信機構がなかった。したがって、2人のユーザがジェネレータを交換することができた場合、使用されたかもしれないアクティビティが不必要に失われる。また、いくつかの患者検査は、利用可能Tc-99mアクティビティなどがないせいで、必要とされるときに行われない場合がある。
【0026】
分散型台帳
ブロックチェーンとは、リンクされ、トランザクションの履歴および/または情報の他の展開を追跡するようになるレコードまたはブロックのリストである。ブロックチェーン中のブロックは、トランザクションおよび/または他の情報状態の履歴を提供する。ブロックチェーンは、パブリック(たとえば、誰でも読める)または非公開(たとえば、鍵をもっている人によってのみ読み取られるように暗号化されている)であってよい。ブロックチェーンおよび/または他の分散型台帳技術が、多くのエンティティの間で取引される物理資産を管理するためのデジタルツールとして使われ得る。ブロックチェーンおよび他の分散型台帳は、たとえば、資産を追跡する透明性および追跡可能性ならびにトランザクションの可能化を含む技術的利点を提供する。
【0027】
ブロックチェーン技術は、別のエンティティが不利な立場にある間に、あるエンティティが有利な立場にならないような、ある程度の公平性を提供するように設計された分散型コンピューティング機構である。ブロックチェーンとは、トランザクションがパブリックに、および年代順に記録されるとともに、関係者によって中央権力なしで検証することができる、トランザクション(たとえば、金融トランザクション、データトランザクションなど)の分散型のパブリック台帳である。ブロックチェーンは、共有または分散型データベースに暗号アルゴリズムを適用して、どのユーザでも、データベースを読み、データベースに追加できるようにし、どの1人のユーザも、分散型データベースに何が書かれるかを制御できないことを保証するのを助ける。どのブロックチェーンユーザも、分散型データベースに関してすべてのトランザクションを閲覧することができる。ブロックチェーン技術は、たとえば、データ生産者とデータ消費者との間の通信における中間段階を削減するための直販を提供する。つまり、トランザクションを容易にするための仲介者を起用するのではなく、2つのエンティティ(たとえば、データ消費者およびデータ供給者)が、接続し、トランザクションに直接関与すればよい。他のエンティティはトランザクションを見ることができるので、ブロックチェーンは、エンティティが、トランザクションの存在を検証および/またはそうでなければ同意するための分散型コンセンサスエンジンとして働く。
【0028】
図1は、複数のレコードまたはブロック110、120、130を含む例示的ブロックチェーン100を示す。各レコード110、120、130は、ハッシュ値112、122、132(たとえば、チェーン100中の前のブロックのハッシュ値または他のアドレス)、レコード110、120、130のタイムスタンプ114、124、134、およびブロックチェーン100のルート116、126、136のアドレスを含む。さらに、各レコード110、120、130は、それぞれのレコード110、120、130に関連付けられたトランザクション118~119、128~129、138~139を含む。したがって、ブロックチェーン100は、コンセンサス確認済みデータの、タイムスタンプ付きで、暗号的にセキュアな不変ブロックのチェーンである。チェーンまたは台帳100は、たとえば、複数のユーザを有して、複数の場所に、一連の同期コピーとして存在する。
【0029】
II.例示的核医学製品管理システムおよび関連方法
いくつかの例は、核医学画像における変質しやすい商品、すなわち、放射性トレーサまたは放射性医薬品とも呼ばれる放射性同位体を管理するのを助けるのに、ブロックチェーンおよび/または他の分散型台帳を活用する。放射性同位体は、時間とともに、しばしば急速に減衰するので、ブロックチェーンを介して物の耐用期間を追跡することにより、供給者および1人または複数の潜在的買い手/ユーザは、物質が意図された目的(たとえば、PETまたはSPECT撮像など)に使用可能でなくなるまで、物質の生存能力および耐用期間を評価することができる。
【0030】
いくつかの例において、放射能のユニットは、ブロックチェーン技術によって管理されるデジタルユニットにリンクされる。放射能は、そのユニットが有限存続期間内に費やされる必要がある、変質しやすい暗号通貨として表すことができる。ブロックチェーンを介して流通している、この変質しやすい通貨のユニットの可視性により、通貨のリアルタイム取引および効率的使用が可能である。放射能の生産者(たとえば、トレーサを合成するPETセンター、ジェネレータの製造元など)が、新たな「通貨」を発行し、供給を流通させる。病院、医院、撮像センターなどのようなユーザは、放射性医薬品使用および製品に対して残っている耐用期間のレコードのチェーンを分析し、チェーンに追加をする買い手である。製品半減期、可用性、ならびに使用の時間、日付、および場所が、たとえば、利用可能物質の最大使用、製品の品質管理、および核撮像サプライチェーンの改良型管理を保証するのを助けるために、ブロックチェーン(たとえば、ブロックチェーン100)を介して追跡され、管理され得る。
【0031】
いくつかの例において、放射性医薬品ジェネレータサプライチェーン(たとえば、GE Drytec(商標)など)が、組織中の各ジェネレータの十分な追跡可能性、そこに含まれるアクティビティ、ならびにジェネレータ、製品、およびアクティビティのロケーションを提供するように、ブロックチェーン100を介して管理され得る。十分にトレース可能なシステムの利益に加え、分散型台帳は、さらなる透明性もエンドユーザに提供する。さらに、ブロックチェーン100の分散型台帳は、ユーザが互いの間でアクティビティを取引することを可能にする。たとえば、ある病院が、そのジェネレータを所与の週の間に十分に使わない場合、その病院は、ジェネレータの使用を、より多くの核医学検査が同じ週にスケジュールされているとともに、追加ジェネレータアクティビティを望むが、製造元(たとえば、ゼネラルエレクトリックなど)から追加ジェネレータをそうしなければ取得することができない、近くの別の病院に取引すればよい。ブロックチェーン100に記憶される、2人のエンドユーザの間のこのトランザクションは、製造元に対しても可視的であり、製造元は、ジェネレータが特定の顧客に出荷されてからロケーションを変えたかどうかにかかわらず、ジェネレータの収集および再生利用を容易にする。したがって、製造元は、ジェネレータが病院Aから病院Bに移されたことを知り、たとえば、病院Bからのジェネレータの返却を要求および/または期待し得る。したがって、ブロックチェーン100は、追跡およびトレーシング能力を、ユーザの間でアクティビティを交換するための追加技能と組み合わせる。ブロックチェーン100は、与えられたアクティビティを部分的に使うだけであるユーザAに不利益を与える、ジェネレータごとの価格を変更するのではなく、実際に使用したアクティビティに従ってユーザの課金を容易にすることもできる。
【0032】
別の例では、PETトレーサ製造が、ブロックチェーン100を介して管理され得る。分散型台帳は、たとえば、トレーサロケーション(たとえば、GEのVizamyl(商標)トレーサのバッチが生産されるロケーションなど)、どれだけ多くのアクティビティをトレーサのバッチが有するか、トレーサバッチがいくつかの用量にどのように投与され得るか、およびこれらの用量がどのように使われるかを、十分に目に見えるようにする。ブロックチェーンを活用すると、PETセンターにおけるバッチからの余剰用量を、需要が存在する近くの他の場所に出荷させることによって、エンドユーザの間でのトレーサ製品の改良型使用が容易になり得る。たとえば、ブロックチェーンは、製造元から第1のPETセンターへの出荷を追跡することができ、第1のPETセンターは次いで、トレーサ出荷の残りの部分を第2のPETセンターに販売する。特定のPETトレーサの追加用量を必要とする撮像施設は、たとえば、ブロックチェーン100にアクセスすることによって、PETトレーサ生産についての適時の情報を取得すればよい。PET生産施設は、たとえば、ブロックチェーン100を介して需要を測るための位置にあり得る。
【0033】
いくつかの例において、分散型台帳またはブロックチェーンが、放射性医薬品物質を生産するジェネレータまたは合成器によって構築および/または拡張され得る。たとえば、GEのFASTlab(商標)プラットフォームは、放射性トレーサ物質(たとえば、PETトレーサなど)のバッチが排出されると放射能測定値を処理するための、プロセッサとネットワークの接続を含み得る。物質のバッチが合成器によって生成され、排出されると、物質のユニットまたは使用可能量を表すレコードまたはブロックがチェーン中で作成される。レコードは、物質の量の測度と、物質の作成についてのタイムスタンプとを含み得る。タイムスタンプは、物質が減衰し始めると、その耐用期間の追跡または監視を可能にする。物質の量、時間、および組成を追跡することによって、物質の量についての減衰および残っている耐用期間が、時間が経過するのに従って決定され、動的に更新され得る。ローカルシステムは、たとえば、台帳および新規レコードを伝搬するために、リモートシステム(たとえば、クラウドベースサーバ、セントラルサーバ、顧客システムなど)と共有されるレコードを生成し得る。したがって、顧客システムは、レコードを閲覧し、物質を購入し、レコードおよび時間の経過を追跡し、物質が使われるときに新規レコードを提供することができる(たとえば、物質の一部分を使い、存続可能残余を二次顧客に販売する、など)。
【0034】
図2は、放射性医薬品物質を生産するためのジェネレータ210と、放射性医薬品物質の生産についてのレコードを生成し、その使用および有効寿命を追跡するための分配監視プロセッサ220とを含む例示的装置またはシステム200を示す。分配監視プロセッサ220は、ジェネレータ210のカセットまたは他の反応器214中で合成された放射性同位体物質の量の指示を受信するように、ジェネレータ210中のコントローラ212に接続される。分配監視プロセッサ220は、生産された物質に対応する、分散型台帳(たとえば、ブロックチェーン、ハッシュグラフ、有向非循環グラフなど)中のレコード(たとえば、タイプ、量、開始タイムスタンプ、ロケーションなど)を生成する。分配監視プロセッサ220は、分散型台帳レコードおよび/または台帳に対する更新を、リモートサーバ230(たとえば、ジェネレータ210のプロバイダ、サードパーティサービスプロバイダ、物質のためのクリアリングハウスもしくはブローカによって稼働されるクラウドベースサーバおよび/または他のリモートサーバなど)に中継し得る。リモートサーバ230は、分散型台帳を検証し、メッセージの交換を容易にし、潜在的ユーザ/買い手を現在のロケーションにある物質と結び付ける、などのために、分配監視プロセッサ220と連携することができる。
【0035】
物質および/または物質に関する情報は、物質を使うとともに、関連レコードを更新し、かつ/または物質のある部分の使用を示す新規レコードを分散型台帳に追加する顧客サブシステム240に与えられ得る。分散型台帳中のレコードは、物質の耐用期間を監視し、物質の全部または一部の販売のためのコントラクトおよび/または他の同意を容易にするのに使うことができる。
【0036】
図3は、ジェネレータ210によって生産される放射性造影剤のバッチに対応するレコード310、320、330を含む、例示的ブロックチェーン100と同様の例示的分散型台帳300を示す。たとえば、台帳300は、放射性医薬品物質のレコード310~330用にカスタマイズされたブロックチェーン100の実装形態であってよく、または台帳300は、放射性医薬品物質の量、ロケーション、減衰などを追跡するための、代替形の分散型台帳であってよい。
【0037】
図3の例示的台帳300に示すように、放射性医薬品物質のバッチがジェネレータ210によって合成されると、レコード310がプロセッサ220によって作成される。例示的レコード310は、レコード310に関連付けられた識別子311、ジェネレータ210による物質の合成に対応するタイムスタンプ312、ジェネレータ210のロケーション313、放射性医薬品物質のタイプ314、および物質の量315を含む。タイプ314、量315、およびタイムスタンプ312を使って、タイムスタンプ312の時間に量315で始まる、タイプ314に関連付けられた半減期が与えられると、物質の残っている耐用期間が判断され得る。分配監視プロセッサ220は、時間が経つのに従って、レコード310に関連付けられた物質の劣化を追跡することができ、この情報を、たとえば、リモートサーバ230および/または顧客システム240に提供し得る。分散型台帳300中の追加レコード320、330は、物質の同じおよび/または異なるバッチ用であってよい。したがって、同じまたは異なるジェネレータ210によって生産された追加物質は、後続レコード320、330に関連付けられ、関連識別子321、331、タイムスタンプ322、332、ロケーション323、333、タイプ324、334、量325、335などを有し得る。
【0038】
いくつかの例において、後続レコード320は、物質の一定の量が使われた後の第1のレコード310と同じ、物質のバッチ用であってよい。レコード320は、初期量315とは異なる残量325を示すことができ、残量325の耐用期間は、タイムスタンプ322、タイプ334などを使って追跡され得る。物質の輸送時間、共有/使用などのようなアクティビティが、プロセッサ220および/またはリモートサーバ230によって台帳300中で更新され、たとえば、残りの物質の量325についての残っている耐用期間を判断するために、減衰算出の要素に入れられる。
【0039】
いくつかの例において、物質すべてが使われ、かつ/または物質の耐用期間が消耗されると、関連レコード310、320、330は台帳300から削除され得る。他の例では、物質の量315~335は、ゼロまで削減されるが、レコード310~330は履歴追跡および/または会計検査目的などのために台帳300中に維持される。いくつかの例において、レコード310~330は、関連バッチから、使用可能/存続可能物質が残っているかどうかを示す追加フィールドを含む。したがって、残っている使用可能/存続可能物質をフィールドが示さないレコード310~330は、たとえば、利用可能物質目録を追跡し、取引し/販売し/買い、かつ/またはそうでなければ管理するときに、プロセッサ220、サーバ230、および/または顧客システム240によって無視されてよい。
【0040】
いくつかの例において、放射性医薬品物質の全部または一部分を販売または再販売するためのトランザクションが起こる度に、その物質を追跡するために、新規レコード310~330が台帳300中に作成される。図3に示すような他の例では、放射性医薬品物質のレコード310~330に関して起こるトランザクション316~337が、台帳300中の各ブロックまたはレコード310~330中に、またはそれらに関して記憶される。たとえば、第1のトランザクション316は、生成された物質を、製造元研究室から第1の病院に販売することを含み得る。第2のトランザクション317は、物質の一部分を第1の病院から第2の病院に再販売することを含み得る。同様のトランザクション326~327、336~337が、台帳300中の各レコード310~330用に記録され得る。
【0041】
したがって、核医学において放射性物質が使われて、物質は、放射性同位体についての既知の、短い減衰時間に関連付けられる。さらに、放射性同位体のうちのいくつかが、放射性同位体を優れた造影剤にする分子に加えられ得る。ただし、これらの放射性同位体は、限られた存続期間を有し、減衰していく前に使われることになる。放射性同位体物質の有効寿命の間、そのアクティビティは(たとえば、100時間から50時間、25時間などに)減少し、その結果、強度が減少する。強度が減少した結果、残りの物質が標的の診断品質画像を取得するのに十分でなくなるまで、PET、SPECT、および/または他の核撮像の有効性が減少する。その結果、物質が経年変化すると、放射性同位体物質の価値が低下する。たとえば、初期バッチが、複数の患者に投薬するのに十分な場合がある。ただし、間もなく、物質は、1人の患者に投薬するのに十分に強力なだけになり、次いで、物質は、誰に対しても投薬するのには不十分なほど減衰する。分散型台帳300のレコード310~330により、分配監視プロセッサ220、顧客サブシステム240、および/またはリモートサーバ230は、どれだけの物質が生産されるか、どれだけの物質が投与されるか、どれだけの物質が残されているか、物質がどこに置かれているか、および物質がどれだけ強力なままであるかを含む物質アクティビティを監視することができる。情報は、物質の算出、推定、および販売のためのコントラクト/サブコントラクトなどのために共有され、使われる。
【0042】
いくつかの例において、リモートサーバ230および/または顧客サブシステム240は、分配監視プロセッサ220とともにインタフェースを提供し、そうすることによって、放射性医薬品物質のユーザ/顧客(たとえば、病院、放射薬局、医院、撮像センターなど)は、それらのロケーションに、1つまたは複数の所望の撮像タスクのために耐用期間を残して物質を輸送されるようにする輸送/配送半径内の利用可能物質を見ることができる。いくつかの例において、ユーザ/顧客は、物質をローカルに生産するためにジェネレータ210を借りることができ、次いで、ジェネレータ210を別の顧客に譲り、かつ/または生成された物質を別の顧客現場と共有するなどすればよい。分散型台帳300および監視プロセッサ220と顧客240システムとの間の(たとえば、リモートサーバ230を介した)調整により、予備培養および/または他の放射性医薬品物質が、非集中的に合成され、分配され、再分配されるが、物質および関連トランザクションに関する情報は、すべての関係者が分散型台帳300のレコード310~330を見て、補うために維持される。物質のバッチが枯渇すると、そのレコード310~330は、台帳300から削除され、かつ/または消耗、使用済み、非アクティブなどと印付けされ得る。
【0043】
いくつかの例において、ユーザが、一定の放射能についての要求を提出し、(たとえば、リモートサーバ230および/または分配監視プロセッサ220を介して)分散型台帳300によって容易にされ、表されるコントラクトを通して、ジェネレータ210および/または物質についての同意をする場合がある。いくつかの例において、要求が応じられるまで、要求は台帳300中および/またはインタフェース上に残る。いくつかの例において、供給者Aが、第1の価格での所望の量を第1の距離の所に有する場合があり、供給者Bが、第2の価格での所望の量を、第1の距離よりも要求を受けたユーザから離れている第2の距離の所に有する。したがって、要求を受けたユーザに物質が届くと、供給者Bは離れた所にいるので、供給者Bからの使用可能物質の量は、所望の量よりも少ない。距離、半減期、量、およびコストは、要求側ユーザにとっての最良供給者を判断する要素に入れられてよい。
【0044】
いくつかの例では、分配監視プロセッサ220の分散型台帳300によって容易にされるスマートコントラクトは、物質の減衰が進むと、価格を引き下げ得る。つまり、スマートコントラクトは、減衰する製品向けに減衰する価格を提供する。
【0045】
いくつかの例において、同じ放射性同位体だが異なる有機分子に基づいてエージェントAまたはエージェントBを作るために、カセットおよび/またはキットが提供される。たとえば、カセットは、特定のエージェントが、GE FASTlab(商標)などのようなジェネレータ210に、どのエージェントを作るべきかを伝えるためにバーコードを付けられる。ジェネレータ210は、反応器214中でエージェントを作るために、プログラムされたシーケンスを通る。コントローラ212は、たとえば、ジェネレータ210を通り抜ける放射能を測定するように、センサーを較正すればよい。需要が、ジェネレータ210を有するPETセンターに関連付けられた1つまたは複数の病院および/または他の保健施設などのエンドユーザから通信されてよく、患者のスケジュールおよびそれらの患者の撮像に必要とされる用量と相関され、かつ/またはそれらに基づいてよい。分配監視プロセッサ220は、ジェネレータ210および顧客のサブシステム240と連携して、放射薬局が月曜日にエージェントAの1つのバッチ、火曜日にエージェントBの2つのバッチ、などを生産するための作業リストを形成することができる。放射性同位体の生成および分配のスケジューリングは、たとえば、ジェネレータ210を構成し、駆動するための需要および関連要求ならびに顧客までの配送および追跡を含めて自動化され得る。たとえば、適時の通信、改良型追跡、管理および分配のための追加された能力、ならびに改良型使用が遂行され得る。
【0046】
時間、推移、および減衰に関して手動で推測または推定するのではなく、監視プロセッサ220は、ジェネレータ210に接続され、かつ/またはそうでなければジェネレータ210と通信して、物質のバッチを識別し、物質についてのレコードを作成し、物質を、その使用可能寿命を通して追跡することができる。いくつかの例において、物質が消耗され、かつ/またはそうでなければ使用できなくなると、レコードは消去または非アクティブ化されてよく、そうすることによって、分配監視プロセッサ220と、リモートサーバ230と、他の顧客システム240などとの間で容易に共有されることが可能なサイズを超えての分散型台帳300の拡張が削減される。
【0047】
図4は、分配監視プロセッサ220、リモートサーバ230、およびジェネレータ210と通信する複数の顧客サブシステム240、245を含む、システム200の例示的実装形態を示す。図4の例に示すように、第1の顧客サブシステム240は、ジェネレータ210から物質を購入する第1の顧客に関連付けられ得る。物質のバッチの合成、購入、および/またはジェネレータ210から顧客への出荷は、物質のバッチについてのレコード310~330を作成し、その減衰を追跡し始めるように、分配監視プロセッサ220をトリガし得る。プロセッサ220は、更新されたレコード310~330を含む台帳300のコピーを、リモート/セントラルサーバ230および顧客サブシステム240に提供すればよい。
【0048】
物質の一部分を使った後、第1の顧客は、残りの物質を、(再)販売用に(たとえば、顧客サブシステム240から、プロセッサ220および/またはリモートサーバ230などを介して)広告すればよい。第2の顧客が、台帳300を閲覧し、第1の顧客によって購入されたバッチからの残りの物質の一部または全部を購入すると判断する場合がある。第2の顧客サブシステム245は、物質を購入するために、第1の顧客サブシステム240とのトランザクションに関与することができ、トランザクション/転送を反映するように、台帳中で、新規レコード310~330が生成され、かつ/または既存のレコード310~330が更新されてよい。顧客サブシステム240、245は、台帳300中のトランザクションのレコード310~330を示し、プロセッサ220およびリモートサーバ230は、トランザクションを示す、更新された台帳300も受信する。どの残りの物質の耐用期間の監視も、すべての使用可能物質が消耗され、かつ/またはそうでなければ(たとえば、減衰によって、あまりにも少量である、など)使用不可能にされるまで続き得る。
【0049】
いくつかの例において、台帳300を使って、量が使用可能閾を下回るが物質にまだ耐用期間が残っているとき、物質の複数の少量が、顧客によって、物質のより多い使用可能量へ組み合わされてよい。たとえば、残りの物質はまだ存続可能であり得るが、今となっては、顧客におけるPET、SPECT、および/または他の核撮像要件を満足するには量が少なすぎる。プロセッサ220および/またはリモートサーバ230は、顧客サブシステム240、245と通信して、物質の複数のより小さい残りのバッチを識別して、物質を、たとえば、(再)販売用に単一の使用可能バッチに組み合わせることができる。
【0050】
図5は、ジェネレータ210によって合成され、分散型台帳300によって追跡される放射性造影物質の購入のための例示的スマートコントラクト500を示す。例示的スマートコントラクト500は、分配監視プロセッサ220、リモートサーバ230、顧客サブシステム240、245などによって、台帳にレコード310~330として記憶され得る。図5の例に示すように、コントラクト500は、値510(たとえば、物質の量、コストなど)および状態520(たとえば、利用可能、完了、実行済み、実行中、配送済み、物質が残っている、など)を含む。コントラクト500は、コントラクト500に関して実行可能な1つまたは複数の関数530も含み得る。したがって、コントラクト500は、たとえば、その条項510およびそれらの条項の、1つまたは複数の関数530を使っての実行の状況520を指定することができる。たとえば、関数530は、request、product、purchase、shipped、received、resell、return generator、killなどを含み得る。コントラクトレコード500は、トランザクション情報540およびイベント情報550を受信し、トランザクション情報560およびイベント情報570を、台帳300中の別のレコード310~330および/または分配監視プロセッサ220、リモートサーバ230、顧客サブシステム240、245などのようなシステムに提供することもできる。
【0051】
たとえば、トランザクション540が、値510をコントラクト500に、たとえば、購入されるべき物質の量および/または他の条項/条件を通して、コントラクト500に提供し得る。イベント550が、物質の作成のタイムスタンプ、物質の配送の時間、物質などのタイプの識別、半減期などのような、コントラクト500の状態520に影響し得る。コントラクト500の下で購入された物質が使われ、かつ/または減衰すると、トランザクション情報560およびイベント情報570が別のレコード310~330および/または別のシステム220~240へ伝搬され得る。たとえば、物質の使用および/または時間の経過などが、この、および/または別のコントラクト500またはレコード310~330などに影響するイベント570であってよい。未使用だが使用可能な物質の残りの部分を販売するための同意が、このコントラクト500に影響し、別のコントラクト500および/または関連レコード310~330などを発生させるトランザクション560であってよい。したがって、スマートコントラクト500は、販売、レンタル、および/またはジェネレータ210、放射性同位体物質、関連サービスなどを伴う他のトランザクションを追跡するのに使うことができ、スマートコントラクト500は、物質(および/またはジェネレータ210)が使われ、減衰し、再販売される、などすると、自動的に変化してよい。
【0052】
スマートコントラクト500は、台帳300を使う当事者の間(たとえば、ジェネレータ210と顧客との間、など)でのコントラクト/同意の実施を可能にする/容易にするように実行され得るコンピュータプログラムコードとして実装され得る。コントラクトに対する条件および/または更新は、プロセッサ220および/または別のプロセッサによってコントラクト500の実行を実装および/または追跡するのに実行されるプロセッサ実行可能命令として実装され得る。たとえば、販売される物質のバッチにおける残っている耐用期間の監視(たとえば、物質のタイプに関連付けられた半減期およびその物質の開始/生成時間などに基づく)が、スマートコントラクト500によって算出されてよく、スマートコントラクト500は次いで、台帳300中の物質のバッチに関連付けられた新規レコード310~330を、残りの物質およびその耐用期間に関する更新された情報を反映するように更新および/または作成する。コントラクト500の条項は、コントラクト500の条件および結果ならびに関連物質を支配する論理ステートメントとしてコーディングされてよい。コントラクト500は、たとえば、分散型台帳300に関して自力で実行するように十分に自動化されてよく、かつ/またはプロセッサ220、リモートサーバ230、顧客サブシステム240~245などによって、コントラクト500を満足するように実行可能であってよい。したがって、コントラクト500は、たとえば、全体が実行可能コード中で定式化されてよく、かつ/またはプロセッサによって解釈されるべき追加要素を含んでよい。コントラクト500は、台帳300内で実行され(たとえば、コントラクト500を形成するコードが、ブロックチェーンのブロックおよび/もしくは他の分散型台帳300などの中にコーディングされる)、かつ/または台帳300の外で実行されてよく、情報(たとえば、新規および/または更新されたレコード310~330など)を、たとえば台帳300に返す。いくつかの例において、誰でも、コントラクト500を追加し、かつ/または台帳300中のレコード310~330に対する変更を行うことができる。他の例では、台帳300および関連レコード310~330、コントラクト500などへのアクセスが、たとえば、プロセッサ認可(たとえば、認可されたノード)、ユーザ認可などに基づいて制限される。
【0053】
図6は、顧客によって購入され、使われる物質をジェネレータ210が提供し、それぞれの顧客に物質を販売するために、顧客サブシステム240、245とのトランザクション602、604が実施される例示的ピア更新システム600を示す。そのようなトランザクションは、分配監視プロセッサ220によって、分散型台帳300中のレコード310~330として記され、トランザクション602、604および/またはレコード310~330のコピーは、リモートサーバ230、および顧客サブシステム240、245、ならびにプロセッサ220によって維持される台帳300中に反映される。したがって、追加、サブトラクション、交換、再販、および/またはジェネレータ210からの物質(および/またはジェネレータ210自体の使用など)を伴う他のトランザクションは、台帳300のレコード310~330中に反映され、トランザクションの正確さおよび妥当性、残っている物質の耐用期間および量、関連タイミングなどを確かめるために、ピアシステム220~245によって検証され得る。したがって、各スマートコントラクト500のトランザクション602、604に対して、台帳300のコピーをもつピアシステムは、コントラクト500を検証することができ(たとえば、物質のタイプ、半減期、および残っている耐用期間を検証することができ)、物質および/またはそのジェネレータ210の保護のチェーンを追跡することができ、割振りを動的に判断し、物質および/またはジェネレータ210の割振りを検証することなどができる。したがって、ピアシステムは、レコード内容、レコード更新、およびレコードを伴うトランザクションなどに関するフィードバックを提供することができる。
【0054】
したがって、供給者およびユーザは、どれだけの物質が生成中であるか、ならびに物質(およびジェネレータ)がどのように使われているかを知っている。いくつかの例において、ジェネレータ210は、顧客に貸し付けられ、次いで、さらなる製品を生成するために供給者に返却される、変質しにくく、販売可能でないデバイスである。顧客Aが顧客Bに対して販売する場合、たとえば、供給者は気づかず、分散型台帳300なしでは追跡することができない。分散型台帳300を介して、スマートコントラクトが作成および/または更新されてよく、ロケーションが監視されてよく、ピックアップがスケジュールされてよく、使用が追跡されるなどしてよい。スマートコントラクト500は、スマートコントラクト500中に符号化されているように、遅れを算出し、出荷/配送時間を推定し、ピックアップをスケジュールし、必要とするものを正しい時間に購入者に提供するための最良供給者を判断し算出することなどができる。いくつかの例では、モノのインターネット(IoT)デバイスが、リアルタイム(および/またはほぼリアルタイムの所与の送信およびデータ処理待ち時間)で、生産および取出しの間に、台帳300に提供するために、物質を自動的に測定することができる。
【0055】
いくつかの例において、価格は、分散型台帳300を介して監視され、記録され、制御され得る。たとえば、価格境界および/または他の制約が、物質および/またはジェネレータ210の資源についてのトランザクションに対して、台帳300を介して課され得る。いくつかの例において、オークションおよび/または逆オークションが、分散型台帳300のレコード310~330による、物質の販売、ジェネレータ210などのために容易にされ得る。そのようなトランザクションは、物質が依然として存続可能な間にブロックチェーン300を介して素早く起こることができ、体系的再販売が、たとえば、市場原理によって決定された価格で容易にされ得る。
【0056】
いくつかの例において、スマートコントラクト500は、放射性医薬品生成および交換プロセスフローを容易にする。たとえば、ユーザが、フルメタモル(18F)トレーサ量要求など、放射性医薬品購入スマートコントラクトを呼び出し、コントラクト500を始動するためのパラメータ510を提供する。そのようなパラメータは、コントラクト500のイニシエータを識別するためのイニシエータ公開鍵ならびにトレーサタイプ、量、要求者のアドレス、配送方法などのような他のパラメータ情報510を含み得る。スマートコントラクト500は、プロセス中の各ステップまたはアクションに対して関数コール530を含む。
【0057】
たとえば、イニシエータの公開鍵を使ってスマートコントラクト500についての要求を始動した後、ユーザは次いで、パラメータを用いて、スマートコントラクト500のrequest関数530をコールする。request関数530は、requestトランザクションをブロックチェーンまたは他の分散型台帳300に入れる。このトランザクションは、研究室が要求を評価するための情報を含む。この要求を満足することを望む研究室は、スマートコントラクト500のproduce関数530を呼び出すことになる。スマートコントラクト500のアドレスは、たとえば、requestトランザクション中にある。
【0058】
いくつかの例において、スマートコントラクト500の同じインスタンスが、すべてのトランザクション用に使われる。複数の研究室が、スマートコントラクト500のproduce関数530を呼び出すことによってrequestトランザクションに応答する可能性がある。produce関数530を呼び出す各研究室について、トランザクション316~337が、ブロックチェーン300中のブロック310~330に追加される。コントラクト500のイニシエータは、すべてのproduceトランザクション316~337を評価し、必要とされるトレーサについての製造元を、produceトランザクション316~337のいずれかから選択すればよい。
【0059】
コントラクト500のイニシエータは次いで、スマートコントラクト500のpurchase関数530を呼び出せばよく、この関数は、購入トランザクション316~337をブロックチェーン300上のブロック310~330に入れ、また、選択された研究室に購入情報を送る。この呼出しはまた、スマートコントラクト500のproduce関数530を無効にし、このコントラクト500により研究室が要求に応じたことをシグナリングする。複数のproduceトランザクション316~337が受信された場合、スマートコントラクト500は、他の研究室に、それらのproduceトランザクションが選択されなかったことを通知する。
【0060】
研究室はコントラクトを認め、次いで、トレーサを生産し、スマートコントラクト500の条項の下で、トレーサを研究室に配送する。生産されるとき、研究室はスマートコントラクト500のdeliver関数530を呼び出し、この関数は、deliverトランザクション316~337をブロックチェーン300上のブロック310~330中に置き、情報を研究室へ直接送ることにもなる。
【0061】
イニシエータがトレーサを受け取ると、スマートコントラクト500のreceived関数530が呼び出され、トランザクション316~337が、ブロックチェーン300のブロック310~330に追加され、また、研究室へ直接送られる。スマートコントラクト500のすべての条項が両側によって満たされた場合、スマートコントラクト500が締結され、トランザクション316~337としてブロックチェーン300に追加される。どの条件も満たされない場合、スマートコントラクト500は、スマートコントラクト500中で指定されたペナルティおよび/または他の分岐を呼び出す。スマートコントラクト500の支払いおよび/または他の条項がイニシエータによって満たされなかった場合、イニシエータに対してペナルティが課されてもよい。コントラクト500のすべての条項が満足されたとき、スマートコントラクト500が結ばれ、ブロックチェーン300上のブロック310~330に追加され、スマートコントラクト500のインスタンスはシステムから削除される(たとえば、ブロックチェーン300全体ではなく、スマートコントラクト500の呼び出されたインスタンスが消去される)。
【0062】
どの所与のときにも、トランザクション316~337をブロックチェーン300のブロック310~330中に置くシステムには、呼び出されたスマートコントラクト500の複数のインスタンスが存在し得る。いくつかの例において、各インスタンスは、トレーサについての要求であり、上で指定されたフローに従う。
【0063】
上記ワークフローは、110分などの短い半減期をもつPETトレーサについての例であり、これらは、非常に時間制約型のワークフローである。66時間の親半減期をもつジェネレータにおいて出荷される「99mTcジェネレータ」など、他のトレーサに対して、ワークフローはそれほど時間制約型でない。したがって、異なるスマートコントラクト500が使われ得る。
【0064】
たとえば、ユーザが、コントラクト500を始動するためのパラメータ510で、放射性医薬品販売スマートコントラクト500を呼び出す。例示的パラメータ510は、イニシエータを識別する、販売者の公開鍵ならびにトレーサタイプ、量、アドレス、配送方法などのような他の情報を含む。このスマートコントラクト500は、プロセス中の各ステップまたはアクションに対して関数コール530も含む。たとえば、イニシエータの公開鍵で放射性医薬品販売スマートコントラクト500を始動した後、イニシエータは次いで、関連パラメータ510でスマートコントラクト500のsell関数530をコールする。sell関数530は、トレーサ販売トランザクション316~337の詳細をブロックチェーン300の中に追加することができる。このトランザクション316~337は、見込みある買い手が申し出を評価するための情報を含む。スマートコントラクト500のアドレスは販売トランザクション316~337中にあり、たとえば、スマートコントラクト500の同じインスタンスがすべてのトランザクション用に使われる。
【0065】
研究室、または買い手は、トレーサを買いたいとき、スマートコントラクト500内のpurchase関数530を呼び出す。そのトランザクション316~337は、ブロックチェーン300中のブロック310~330に追加される。コントラクト300のイニシエータ(製造元)は次いで、トレーサを生産するためにスマートコントラクト500のproduce関数530を呼び出すか、またはトレーサがすでに在庫がある場合はshipped関数に直接進んでよい。トレーサが出荷されると、適切な(produceまたはshipped)トランザクション316~337が、ブロックチェーン300上のブロック310~330の中に置かれ、出荷情報が研究室へ送られる。
【0066】
買い手がトレーサを受け取ると、スマートコントラクト500のreceived関数530が呼び出され、トランザクション316~337が、ブロック310~330に追加され、さらに、研究室へ直接送られる。この使用ケース例では、トレーサは、母材を含むジェネレータ中で出荷される。買い手は、ジェネレータ中の母材から、実際の用量を生成する。こうすることにより、複数の用量が可能になり、親のより長い半減期のおかげで、再販売にも寄与する。
【0067】
オリジナル(または後続の買い手)は、ジェネレータを再販売しても、ジェネレータを保有してもよい。母材がそれ以上存続可能でなくなると(またはいずれのときにも)、トレーサの現在の購入者は、スマートコントラクト500のreturn generator関数530を呼び出せばよい。
【0068】
製造元が、返却されたジェネレータを受け取ると、コントラクト500が完了する。スマートコントラクト500のすべての条項がすべての当事者によって満たされた場合、スマートコントラクト自体500が結ばれ、トランザクション316~337としてブロックチェーン300に追加されるべきである。どの条件も満たされない場合、スマートコントラクト500は、スマートコントラクト500中で指定されたペナルティおよび/または他の分岐を呼び出す。支払いまたはスマートコントラクト500の他の条項が満たされない場合、いずれかの当事者にペナルティが課されてもよい。
【0069】
コントラクト500のすべての条項が満足されたとき、スマートコントラクト500が結ばれ、ブロックチェーンまたは他の分散型台帳300上のブロックまたはレコード310~330に、トランザクション316~337として追加され、スマートコントラクト500のインスタンスはシステムから削除される(ブロックチェーン300ではなく、スマートコントラクト500の呼び出されたインスタンスのみが消去される)。いくつかの例において、すべてのスマートコントラクト500のresell、purchased、shipped、およびreceived関数は、再販売が起こった場合、コントラクト500の寿命中に複数回呼び出される可能性がある。
【0070】
図7は、スマートコントラクト710~730の例示的セット700を示す。リスト700中の各コントラクト710~730は、所有者712~732、製造元714~734、およびスマートコントラクト710~730に関して実行可能な1つまたは複数の関数716~736などの情報のモデルを含む。したがって、各スマートコントラクト710~730用のモデル/データ構造は、たとえば、その所有者712~732、その関連製造元714~734、およびコントラクト710~730に関してエンティティによって実行され得る1つまたは複数の関数716~736を定義する。たとえば、図7はトレーサ量要求コントラクト710を示し、これは、コントラクト所有者712、トレーサ量製造元714を定義し、request(たとえば、トレーサ量要求)、produce(たとえば、トレーサ量生産)、purchase(たとえば、トレーサ量購入)、shipped(たとえば、トレーサ量が出荷した)、received(たとえば、トレーサ量が受領された)、resell(たとえば、トレーサ量が再販売可能)、kill(たとえば、発注/使用の終了、コントラクトインスタンスの削除)などを含む、スマートコントラクト710に関して実行可能な複数の関数716を提供する。
【0071】
図7の例は、トレーサ用量販売コントラクト730も示し、これは、コントラクト所有者732、トレーサ量製造元734を定義し、request(たとえば、トレーサ量要求)、produce(たとえば、トレーサ量生産)、purchase(たとえば、トレーサ量購入)、shipped(たとえば、トレーサ量が出荷した)、received(たとえば、トレーサ量が受領された)、resell(たとえば、トレーサ量が再販売可能)、kill(たとえば、発注/使用の終了、コントラクトインスタンスの削除)などを含む、スマートコントラクト730に関して実行可能な複数の関数736を提供する。
【0072】
図8は、例示的放射性医薬品ブロックチェーン802(たとえば、図3の例示的分散型台帳300を実装する)のための例示的トランザクションフロー800を示す。図8の例に示すように、1において、第1の研究室801が、研究室801がスマートコントラクト803の条項に従って生産することが可能な基準に合致する、トレーサB向けのopen requestコントラクトを探してブロックチェーン802をポーリングする。2において、病院804がrequestスマートコントラクト803を呼び出す。スマートコントラクト803の呼出しは、ブロックチェーン802のブロック1に、トランザクションとして記憶される。
【0073】
3において、ブロック1のrequestコントラクト803が、polling関数の要件を満たすと判断され、研究室801は、スマートコントラクト803のproduce関数を呼び出す。produce関数の呼出しは、ブロック3においてブロックチェーン802にトランザクションとして追加される。トランザクションに関する情報は、病院804におけるシステムへ直接送られてもよい。
【0074】
4において、病院804は、produceコントラクト803を受信し、1つまたは複数のトレーサB発注量を選択する。コントラクト803のpurchaseメソッドが、所望される各コントラクト803用に呼び出され、コントラクト803の詳細がブロックチェーン802のブロック4に追加され、これも研究室801に購入を通知する。
【0075】
5において、研究室801は、コントラクト803のpurchaseメソッドの詳細を送られ、トレーサBの量についての発注に応じる。研究室801は、スマートコントラクト803のshippedメソッドを呼び出し、トランザクションがブロックチェーン802のブロック5に追加される。病院804のシステムも、トランザクションを通知される。6において、病院804は、shippedコントラクトを受信し、コントラクト803のreceivedメソッドを呼び出す。スマートコントラクト803は、たとえば、病院804における物質の受領に基づいて満足され得る。
【0076】
7において、病院804は、必要とされない超過物質を有する。病院システム804は、たとえば、超過物質の潜在的買い手を探すために、要求についてポーリングし、かつ/またはスマートコントラクト803のresellメソッドを呼び出せばよい。
【0077】
例示的実装形態が図1~8とともに示されているが、図1~8とともに示される要素、プロセスおよび/またはデバイスは、どの他のやり方で組み合わされ、分割され、並べ替えられ、省かれ、除去および/または実装されてもよい。さらに、本明細書において開示し、記載する構成要素は、ハードウェア、機械可読命令、ソフトウェア、ファームウェアならびに/またはハードウェア、機械可読命令、ソフトウェアおよび/もしくはファームウェアのどの組合せによって実装されてもよい。したがって、たとえば、本明細書において開示し、記載する構成要素は、アナログおよび/もしくはデジタル回路、論理回路、プログラム可能プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラム可能論理デバイス(PLD)ならびに/またはフィールドプログラム可能論理デバイス(FPLD)によって実装され得る。純粋にソフトウェアおよび/またはファームウェア実装形態をカバーするための、本特許の装置またはシステム請求項のいずれを読むときも、構成要素のうちの少なくとも1つは、ソフトウェアおよび/またはファームウェアを記憶する有形コンピュータ可読記憶デバイスまたはメモリ、デジタル多用途ディスク(DVD)、コンパクトディスク(CD)、ブルーレイディスクなどのような記憶ディスクを含むように本明細書によって明確に定義される。
【0078】
少なくとも図1~8とともに示される、本明細書において開示し、記載する構成要素を実装するための例示的機械可読命令を表すフローチャートが、図9の例に示される。これらの例では、機械可読命令は、図10との関連において以下で論じる、例示的プロセッサプラットフォーム1000に示すプロセッサ1012などのプロセッサによる実行のためのプログラムを含む。プログラムは、CD-ROM、フロッピーディスク、ハードドライブ、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイディスク、またはプロセッサ1012に関連付けられたメモリなどの有形コンピュータ可読記憶媒体上に記憶される機械可読命令で具現化され得るが、プログラム全体および/またはそのいくつかの部分は代替として、プロセッサ1012以外のデバイスによって実行され、かつ/またはファームウェアもしくは専用ハードウェアで具現化されてもよい。さらに、例示的プログラムは、少なくとも図1~8とともに示されるフローチャートを参照して記載されるが、本明細書において開示し、記載する構成要素を実装する、多くの他の方法が代替として使われてよい。たとえば、ブロックの実行の順序は変更されてよく、かつ/または記載されるブロックのうちのいくつかは、変更され、除去され、もしくは組み合わされてよい。少なくとも図1~8のフローチャートは、例示的動作を図示される順序で示すが、これらの動作は網羅的でなく、図示される順序に限定されない。さらに、様々な変更および修正が、本開示の趣旨および範囲内で当業者によって行われてよい。たとえば、フローチャートに示されるブロックは、代替順序で実施されてもよく、並行して実施されてもよい。
【0079】
上述したように、少なくとも図9の例示的プロセスは、任意の持続時間だけ(たとえば、拡張時間期間だけ、永久に、短い瞬間だけ、一時的にバッファリングするために、および/または情報のキャッシングのために)情報が記憶されるハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、読取り専用メモリ(ROM)、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、キャッシュ、ランダムアクセスメモリ(RAM)および/または任意の他の記憶デバイスもしくは記憶ディスクなどの有形コンピュータ可読記憶媒体上で記憶されたコード化命令(たとえば、コンピュータおよび/または機械可読命令)を使って実装され得る。本明細書で使用する有形コンピュータ可読記憶媒体という用語は、どのタイプのコンピュータ可読記憶デバイスおよび/または記憶ディスクも含むように、また、伝搬信号を除外し、伝送媒体を除外するように明確に定義される。本明細書で使用する限り、「有形コンピュータ可読記憶媒体」および「有形機械可読記憶媒体」は互換的に使われる。追加または代替として、少なくとも図9の例示的プロセスは、任意の持続時間だけ(たとえば、拡張時間期間だけ、永久に、短い瞬間だけ、一時的にバッファリングするために、および/または情報のキャッシングのために)情報が記憶されるハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、読取り専用メモリ、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、キャッシュ、ランダムアクセスメモリおよび/または任意の他の記憶デバイスもしくは記憶ディスクなどの非一時的コンピュータおよび/または機械可読媒体上で記憶されたコード化命令(たとえば、コンピュータおよび/または機械可読命令)を使って実装され得る。本明細書で使用する非一時的コンピュータ可読媒体という用語は、どのタイプのコンピュータ可読記憶デバイスおよび/または記憶ディスクも含むように、また、伝搬信号を除外し、伝送媒体を除外するように明確に定義される。本明細書で使用する限り、「少なくとも」という句は、請求項のプリアンブル中で移行用語として使われるとき、「備える」という用語が無制限であるのと同じように無制限である。さらに、「含む」という用語は、「備える」という用語が無制限であるのと同じように無制限である。
【0080】
図9は、放射性医薬品ジェネレータを管理し、ジェネレータによって合成された放射性医薬品物質を監視するための例示的方法900の流れ図を示す。ブロック902において、放射性医薬品物質が合成される。たとえば、FASTlab(商標)またはDrytec(商標)ジェネレータ装置などのジェネレータ210が、病院におけるPET撮像において使われるように、放射性同位体のバッチを合成する。ブロック904において、物質が分散型台帳300に記録される。たとえば、物質のタイプ、物質の量、物質作成および/または排出の時間、物質の予定受領側/購入者/顧客などを含むレコード310~330が、台帳300中で作成され得る。ブロック906において、予定受領側への物質の分配が、台帳300を介して(たとえば、物質のロケーション、量、耐用期間などをもつ新規レコード310~330を更新および/または作成することによって、レコード310~330にトランザクション316~337を追加することによって、など)追跡される。たとえば、撮像センターは、センターにおける核撮像のための放射性造影物質を送られる。
【0081】
ブロック908において、台帳300は、分配された物質に基づいて更新される。たとえば、物質のバッチに関連付けられたレコード310~330は、物質が経年変化し、その有用性がその半減期ごとに低下すると調節され得る。レコード310~330は、トランザクション316~337で更新され、かつ/または新規レコード310~330が、たとえば、顧客による使用の後に残された物質の残余に基づいて作成され得る。レコード310~330は、たとえば、物質のロケーションに基づいて更新され得る。ブロック910において、物質が監視される。したがって、耐用期間の低下、ロケーションの変化、量の変化、状況の変化(たとえば、使用中、販売用など)などが、(たとえば、分配監視プロセッサ220、リモートサーバ230、顧客サブシステム240~245などによって)監視され、記される。
【0082】
ブロック912において、監視される物質が評価されて、使用可能物質が残っているかどうかが判断される。十分でない使用可能物質が残っている(たとえば、核撮像手順用の不十分な使用可能物質、など)場合、ブロック914において、台帳300中の、物質に関連付けられたレコード310~330が(たとえば、レコードにトランザクション316~337を追加することによって、など)更新され、プロセス900は戻る。
【0083】
ただし、使用可能物質が残っている場合、ブロック916において、台帳300は、レコード310~330(たとえば、既存のレコードおよび/または新規レコード)が物質の状況(たとえば、量、経過時間、残っている時間、ロケーション、次の宛先、など)を反映するように更新される。ブロック918において、物質およびその関連レコード310~330が評価されて、次の宛先が物質の再分配に利用可能かどうかが判断される。たとえば、顧客Aが残りの物質を顧客Bに販売している場合があり、顧客Aへの供給者が、残余を顧客Bに販売している場合があり、顧客AおよびBが物質を共同で購入している場合があり、顧客Aが今では残余をBに提供することになっている場合などがある。物質が再分配されることになっている場合、ブロック920において、物質の分配は、台帳300を介して(たとえば、物質のロケーション、量、耐用期間などをもつ新規レコード310~330を更新および/または作成することによって)追跡される。ブロック922において、台帳300は、その新しいロケーションにおけるその使用に基づいて(たとえば、レコード310~330にトランザクション316~337を追加することなどによって)更新される。
【0084】
図10は、図1~8に関して本明細書において開示し、記載した例示的構成要素を実装するための、少なくとも図9の命令を実行するように構築された例示的プロセッサプラットフォーム1000のブロック図である。プロセッサプラットフォーム1000は、たとえば、サーバ、パーソナルコンピュータ、モバイルデバイス(たとえば、セルフォン、スマートフォン、iPad(商標)などのタブレット)、携帯情報端末(PDA)、インターネット器具、またはどの他のタイプのコンピューティングデバイスであってもよい。
【0085】
図示する例のプロセッサプラットフォーム1000は、プロセッサ1012を含む。図示する例のプロセッサ1012はハードウェアである。たとえば、プロセッサ1012は、どの所望のファミリーまたは製造元からの集積回路、論理回路、マイクロプロセッサまたはコントローラによって実装されてもよい。
【0086】
図示する例のプロセッサ1012は、ローカルメモリ1013(たとえば、キャッシュ)を含む。図10の例示的プロセッサ1012は、例示的コントローラ212、例示的分配監視プロセッサ220、例示的リモートサーバ230、例示的顧客サブシステム240~245、例示的分散型台帳300、例示的スマートコントラクト500、または、より全般的には、例示的システム200などのような、図1~8のシステムおよびインフラストラクチャを実装するための、少なくとも図9の命令および関連方法を実行する。図示する例のプロセッサ1012は、揮発性メモリ1014および不揮発性メモリ1016を含むメインメモリと、バス1018を介して通信する。揮発性メモリ1014は、同期動的ランダムアクセスメモリ(SDRAM)、動的ランダムアクセスメモリ(DRAM)、RAMBUS動的ランダムアクセスメモリ(RDRAM)および/またはどの他のタイプのランダムアクセスメモリデバイスによっても実装され得る。不揮発性メモリ1016は、フラッシュメモリおよび/またはどの他の所望のタイプのメモリデバイスによっても実装され得る。メインメモリ1014、1016へのアクセスは、クロックコントローラによって制御される。
【0087】
図示する例のプロセッサプラットフォーム1000は、インタフェース回路1020も含む。インタフェース回路1020は、イーサネットインタフェース、ユニバーサルシリアルバス(USB)、および/またはPCI高速インタフェースなど、どのタイプのインタフェース規格によって実装されてもよい。
【0088】
図示する例では、1つまたは複数の入力デバイス1022がインタフェース回路1020に接続される。入力デバイス1022は、ユーザがプロセッサ1012にデータおよびコマンドを入れることを許可する。入力デバイスは、たとえば、センサー、マイクロフォン、カメラ(スチールもしくはビデオ)、キーボード、ボタン、マウス、タッチスクリーン、トラックパッド、トラックボール、アイソポイント(isopoint)および/または音声認識システムによって実装されてよい。
【0089】
1つまたは複数の出力デバイス1024も、図示する例のインタフェース回路1020に接続される。出力デバイス1024は、たとえば、表示デバイス(たとえば、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、液晶ディスプレイ、陰極線管ディスプレイ(CRT)、タッチスクリーン、触覚出力デバイス、および/またはスピーカー)によって実装されてよい。図示する例のインタフェース回路1020はしたがって、通常、グラフィックスドライバカード、グラフィックスドライバチップまたはグラフィックスドライバプロセッサを含む。
【0090】
図示する例のインタフェース回路1020は、ネットワーク1026(たとえば、イーサネット接続、デジタル加入者線(DSL)、電話線、同軸ケーブル、セルラー電話システムなど)を介して外部マシン(たとえば、任意の種類のコンピューティングデバイス)とのデータの交換を容易にするための、送信機、受信機、トランシーバ、モデムおよび/またはネットワークインタフェースカードなどの通信デバイスも含む。
【0091】
図示する例のプロセッサプラットフォーム1000は、ソフトウェアおよび/またはデータを記憶するための1つまたは複数の大容量記憶デバイス1028も含む。そのような大容量記憶デバイス1028の例は、フロッピーディスクドライブ、ハードドライブディスク、コンパクトディスクドライブ、ブルーレイディスクドライブ、RAIDシステム、およびデジタル多用途ディスク(DVD)ドライブを含む。
【0092】
図10のコード化命令1032は、大容量記憶デバイス1028中、揮発性メモリ1014中、不揮発性メモリ1016中、および/またはCDもしくはDVDなどの取り外し可能有形コンピュータ可読記憶媒体上に記憶され得る。
【0093】
図11の例に示すように、分配監視プロセッサ220は、台帳レコードプロセッサ222、コントラクトジェネレータ224、物質状況モニタ226、データ通信インタフェース228、および台帳300のコピーを含むデータ、命令などを記憶するためのデータストレージ229を使って実装され得る。図11の例では、台帳レコードプロセッサ222は、分散型台帳300中でレコード310~330を作成し、修正し、かつ/またはそうでなければ処理するためのものである。台帳300に対する更新が、たとえば、通信インタフェース228を介して、分散型台帳300のコピーを有して、他のデバイス230、240、245に通信され得る。例示的コントラクトジェネレータ224は、ジェネレータ210、合成された物質などを伴うスマートコントラクト500を生成し、修正し、かつ/またはそうでなければ処理することができる。例示的物質状況モニタ226は、データ通信インタフェース228を介して通信して、ジェネレータ210、リモートサーバ230、顧客サブシステム240、245などから、ロケーション、量、経過時間などのような、放射性医薬品物質の状況を追跡するための情報を集めることができる。物質状況モニタ226は、台帳レコードプロセッサ222、コントラクトジェネレータ224などに対する更新を提供し得る。データ通信インタフェース228は、ジェネレータ210、プロセッサ220、リモートサーバ230、顧客サブシステム240~245などの間での、情報、命令、検証、他のフィードバックなどの交換を容易にする。データストレージ229は、分散型台帳300のプロセッサ220のコピーを、他のデータ、動作命令、構成パラメータなどとともに記憶する。
【0094】
上記から、上記開示方法、装置、および製造品は、放射性医薬品物質、ジェネレータ、および/または他の機器を追跡し、物質、ジェネレータなどの使用のための分配、用法、ならびに/またはレンタル同意および補助的/二次的同意を可能にする分散型台帳を実装するように開示されていることが諒解されよう。開示した方法、装置および製造品は、放射性医薬品ジェネレータおよび/または他のコンピューティングデバイスの動作を、それが、合成された放射性医薬品物質を量子化し、追跡し、操作するとともに、減衰する放射性医薬品物質を管理するために、プロセッサを介してリモートサーバおよび/または顧客サブシステムと協調することを可能にすることによって向上する。開示した方法、装置および製造品はしたがって、放射性医薬品ジェネレータ、監視プロセッサなどを含むコンピュータおよび/またはコンピューティングデバイスの機能性の1つまたは複数の向上を対象とする。
【0095】
いくつかの例示的方法、装置および製造品を本明細書に記載したが、本特許の適用範囲はそこに限定されない。反対に、本特許は、本特許の請求項の範囲内に適正に収まるすべての方法、装置および製造品をカバーする。
【符号の説明】
【0096】
200 装置、システム
210 ジェネレータ
212 コントローラ
214 反応器
220 分配監視プロセッサ、プロセッサ、監視プロセッサ
222 台帳レコードプロセッサ
224 コントラクトジェネレータ
226 物質状況モニタ
228 データ通信インタフェース、通信インタフェース
229 データストレージ
230 リモートサーバ、サーバ、セントラルサーバ、デバイス
240 顧客サブシステム、顧客システム、デバイス
245 顧客サブシステム、デバイス
600 ピア更新システム
800 トランザクションフロー
1000 プロセッサプラットフォーム
1012 プロセッサ
1013 ローカルメモリ
1014 揮発性メモリ、メインメモリ
1016 不揮発性メモリ、メインメモリ
1018 バス
1020 インタフェース回路
1022 入力デバイス
1024 出力デバイス
1026 ネットワーク
1028 大容量記憶デバイス
1032 コード化命令
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】