IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ボーダックス バイオ インコーポレーテッドの特許一覧

特表2022-506696IVメロキシカムにより血小板機能異常症の対象を治療する方法
<>
  • 特表-IVメロキシカムにより血小板機能異常症の対象を治療する方法 図1
  • 特表-IVメロキシカムにより血小板機能異常症の対象を治療する方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(54)【発明の名称】IVメロキシカムにより血小板機能異常症の対象を治療する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/5415 20060101AFI20220107BHJP
   A61K 31/167 20060101ALI20220107BHJP
   A61K 31/197 20060101ALI20220107BHJP
   A61K 31/485 20060101ALI20220107BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
A61K31/5415
A61K31/167
A61K31/197
A61K31/485
A61P25/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021524241
(86)(22)【出願日】2019-11-07
(85)【翻訳文提出日】2021-07-06
(86)【国際出願番号】 US2019060278
(87)【国際公開番号】W WO2020097338
(87)【国際公開日】2020-05-14
(31)【優先権主張番号】62/757,003
(32)【優先日】2018-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520345173
【氏名又は名称】ボーダックス バイオ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マック、ランダール ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】マッカラム、ステュアート
【テーマコード(参考)】
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC89
4C086CB23
4C086GA15
4C086HA28
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA06
4C086ZA08
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA45
4C206GA02
4C206GA31
4C206MA02
4C206MA04
4C206NA06
4C206ZA08
(57)【要約】
本開示は、それを必要とする第一の対象において痛みを治療する方法であって、血小板機能異常症の第一の対象にメロキシカムを投与することを含む方法を提供する。ある実施態様においては、メロキシカムの投与前に第一の対象から単離される血小板の閉塞時間は、血小板機能異常症でない以外のその他の条件は同様の対象から単離される血小板の閉塞時間よりも延長されている。ある実施態様においては、メロキシカムの投与後に第一の対象から単離される血小板の閉塞時間は、メロキシカムの投与前に第一の対象から単離される血小板の閉塞時間に匹敵する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする第一の対象において痛みを治療する方法であって、血小板機能異常症の第一の対象にメロキシカムを投与することを含む方法。
【請求項2】
血小板機能異常症が、遺伝性血小板機能異常症である請求項1記載の方法。
【請求項3】
遺伝性血小板機能異常症が、フォン・ヴィレブランド病、血小板無力症(Glanzmann disease)、ウィスコット・アルドリッチ症候群、チェディアック・ヒガシ症候群、またはベルナール・スーリエ症候群である請求項2記載の方法。
【請求項4】
血小板機能異常症が、後天性の血小板機能異常症である請求項1記載の方法。
【請求項5】
後天性の血小板機能異常症が、少なくとも一つの抗凝血薬の第一の対象への投与により引き起こされる請求項4記載の方法。
【請求項6】
少なくとも一つの抗凝血薬が、少なくとも一つの抗血小板薬である請求項5記載の方法。
【請求項7】
少なくとも一つの抗血小板薬が、アスピリン、クロピドグレル、ジピリダモール、またはチクロピジンである請求項6記載の方法。
【請求項8】
少なくとも一つの抗血小板薬が、非ステロイド系抗炎症薬である請求項6記載の方法。
【請求項9】
少なくとも一つの抗凝血薬が、少なくとも一つの抗凝固剤である請求項5記載の方法。
【請求項10】
少なくとも一つの抗凝固剤が、ワルファリン、エノキサパリン、ヘパリン、ダビガトラン、アピキサバン、ベトリキサバン、またはリヴァロキサバンである請求項9記載の方法。
【請求項11】
第一の対象が、血小板機能に影響を及ぼす少なくとも一つの疾患または障害を有する請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
血小板機能に影響を及ぼす少なくとも一つの疾患または障害が、肝硬変、多発性骨髄腫、腎疾患、全身性エリテマトーデス、分泌およびトロンボキサン合成障害、または尿毒症である請求項11記載の方法。
【請求項13】
第一の対象が以前に心肺バイパス手術を受けていた請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
メロキシカムの投与前に第一の対象から単離される血液の凝固時間が、血小板機能異常症でない以外のその他の条件は同様の対象から単離される血液の凝固時間よりも延長されている請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
メロキシカムの投与前に第一の対象から単離される血小板の閉塞時間が、血小板機能異常症でない以外のその他の条件は同様の対象から単離される血小板の閉塞時間よりも延長されている請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
痛みが中程度から重度の痛みである請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
痛みが急性の痛みである請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
メロキシカムがナノ結晶メロキシカムとして存在する請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
ナノ結晶メロキシカムがコロイド分散状態にある請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
メロキシカムが、約5mg~約180mgの範囲の量で第一の対象に投与される請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
メロキシカムが、約30mgの量で第一の対象に投与される請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
メロキシカムが第一の対象に静脈内投与される請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
メロキシカムが、約5秒~約60秒の時間で第一の対象に静脈内投与される請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
メロキシカムが、約15秒の時間で対象に静脈内投与される請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
第一の対象が、外科的処置を受ける予定の対象である請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
メロキシカムが外科的処置の開始前に投与される請求項25記載の方法。
【請求項27】
第一の対象が、メロキシカムと組み合わせて非ステロイド系抗炎症薬を投与されない請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
第一の対象が、メロキシカムと組み合わせてCOX-1阻害剤を投与されない請求項1~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
第一の対象が、アセトアミノフェン、ガバペンチン、オピオイド、またはそれらの組み合わせをメロキシカムと組み合わせて投与される請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
メロキシカムの最初の投与の後、約18時間~約24時間ごとにメロキシカムを投与することをさらに含む請求項1~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
メロキシカムの投与前に第一の対象から単離される血液の凝固時間が、血小板機能異常症でない以外のその他の条件は同様の対象から単離される血液の凝固時間と比較して約1%~約1000%延長されている請求項14記載の方法。
【請求項32】
メロキシカムの投与前に第一の対象から単離される血液の凝固時間が、血小板機能異常症でない以外のその他の条件は同様の対象から単離される血液の凝固時間と比較して約1%、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約200%、約300%、約400%、約500%、約600%、約700%、約800%、約900%、または約1000%延長されている請求項31記載の方法。
【請求項33】
メロキシカムの投与前に第一の対象から単離される血小板の閉塞時間が、血小板機能異常症でない以外のその他の条件は同様の対象から単離される血小板の閉塞時間と比較して約1%~約1000%延長されている請求項15記載の方法。
【請求項34】
メロキシカムの投与前に第一の対象から単離される血液の凝固時間が、血小板機能異常症でない以外のその他の条件は同様の対象から単離される血液の凝固時間と比較して約1%、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約200%、約300%、約400%、約500%、約600%、約700%、約800%、約900%、または約1000%延長されている請求項33記載の方法。
【請求項35】
メロキシカムの投与後に第一の対象から単離される血小板の閉塞時間が、メロキシカムの投与前に第一の対象から単離される血小板の閉塞時間に匹敵する請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
メロキシカムの投与後に第一の対象から単離される血小板の閉塞時間が、血小板機能異常症でありかつメロキシカムを投与されていない第二の対象から単離される血小板の閉塞時間に匹敵する請求項1~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
メロキシカムの投与後に第一の対象から単離される血液の凝固時間が、メロキシカムの投与前に第一の対象から単離される血液の凝固時間に匹敵する請求項1~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
メロキシカムの投与後に第一の対象から単離される血液の凝固時間が、血小板機能異常症でありかつメロキシカムを投与されていない第二の対象から単離される血液の凝固時間に匹敵する請求項1~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
メロキシカムの投与後に第一の対象から単離される血小板の閉塞時間が、血小板機能異常症でありかつ15mg/mLのケトロラクを投与されている第二の対象から単離される血小板の閉塞時間よりも少なくとも約10%~約100%短い請求項1~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
メロキシカムの投与後に第一の対象から単離される血小板の閉塞時間が、血小板機能異常症でありかつ15mg/mLのケトロラクを投与されている第二の対象から単離される血小板の閉塞時間よりも約40%~約50%短い範囲を変動する請求項39記載の方法。
【請求項41】
メロキシカムの投与後に第一の対象から単離される血液の凝固時間が、血小板機能異常症でありかつ15mg/mLのケトロラクを投与されている第二の対象から単離される血液の凝固時間よりも少なくとも約5%~約100%短い請求項1~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
メロキシカムの投与後に第一の対象から単離される血液の凝固時間が、血小板機能異常症でありかつ15mg/mLのケトロラクを投与されている第二の対象から単離される血液の凝固時間よりも少なくとも約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、または約100%短い請求項41記載の方法。
【請求項43】
メロキシカムが約1mLの量で投与される請求項1~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
メロキシカムの投与後に第一の対象から単離される血小板の閉塞時間が、血小板機能異常症でありかつ15mg/mLのケトロラクを投与されている第二の対象から単離される血小板の閉塞時間よりも約44%短い請求項40記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
この出願は、2018年11月7日に出願された米国仮特許出願第62/757,003号の特許法第119条(e)項に基づく優先権の利益を請求する。この出願は、すべての目的のため、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本開示は、血小板機能異常症の対象に、痛みの治療のためにメロキシカムを投与する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
メロキシカム(4-ヒドロキシ-2-メチル-N-(5-メチル-2-チアゾリル)-2H-1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド-1,1-ジオキシド)は、抗炎症活性、鎮痛活性および解熱活性を有する長時間作用型非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)であり、シクロオキシゲナーゼ(COX)の阻害およびそれに続くプロスタグランジン生合成の低下に関連すると考えられている。メロキシカムは、ベーリンガーインゲルハイムファーマシューティカルズインクによって1990年代から経口剤、Mobic(登録商標)として上市されている。Mobicは、変形性関節症およびリウマチ性関節炎の症状の治療に使用されている。
【0004】
しかしながら、経口メロキシカムは、主に水溶性に乏しいことから、ゆっくりとした作用発現を示し、急性の痛みの治療に現在のところ承認されていない。経口剤形は、最大観測血漿濃度(tmax)となる時間が経口投与後約5~6時間である持続的な吸収時間を示し、それはその低い水溶性と一致している。
【0005】
NSAIDであるイブプロフェンの静脈内(IV)投与が痛みの管理に対して2009年に承認されたが、30分の注入時間が必要とされ、痛みの治療のために6時間ごとに投与しなければならない。CALDOLOR(登録商標)の処方情報参照。加えて、イブプロフェン、ケトロラクおよび他のNSAIDのIV投与を受けた患者は、相対的に高い比率で注射部位の痛みと不快感に煩わされており(例えば、14%~29%が報告)、より早い投与時間は禁じられている。非特許文献1、非特許文献2参照。現在、IV NSAIDはゆっくりとした注入時間を必要とし、術前(言い換えれば予防的治療)に投与されていないため、対象は痛みの軽減の発現前にかなりな痛みを経験する。したがって、作用のより速い発現と急性の痛み(軽度から中程度の痛みおよび中程度から重度の痛み)の予防的疼痛治療を提供することができるメロキシカムを投与する方法が必要とされる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Gan TJ, et al., Clinical Therapeutics, 2015, 37, 368-375
【非特許文献2】Zhou TJ, et al. Anesth Analg. 2001; 92: 1569-1575
【発明の概要】
【0007】
本開示は、それを必要とする第一の対象において痛みを治療する方法であって、血小板機能異常症の第一の対象にメロキシカムを投与することを含む方法を提供する。ある実施態様においては、血小板機能異常症は、遺伝性血小板機能異常症である。ある実施態様においては、遺伝性血小板機能異常症は、フォン・ヴィレブランド病、血小板無力症(Glanzmann disease)、ウィスコット・アルドリッチ症候群、チェディアック・ヒガシ症候群、またはベルナール・スーリエ症候群である。
【0008】
ある実施態様においては、血小板機能異常症は、後天性の血小板機能異常症である。ある実施態様においては、後天性の血小板機能異常症は、少なくとも一つの抗凝血薬の第一の対象への投与により引き起こされる。ある実施態様においては、少なくとも一つの抗凝血薬は、少なくとも一つの抗血小板薬である。ある実施態様においては、少なくとも一つの抗血小板薬は、アスピリン、クロピドグレル、ジピリダモール、またはチクロピジンである。ある実施態様においては、少なくとも一つの抗血小板薬は、非ステロイド系抗炎症薬である。ある実施態様においては、少なくとも一つの抗凝血薬は、少なくとも一つの抗凝固剤(anti-coagulant)である。ある実施態様においては、少なくとも一つの抗凝固剤は、ワルファリン、エノキサパリン、ヘパリン、ダビガトラン、アピキサバン、ベトリキサバン、またはリヴァロキサバンである。ある実施態様においては、第一の対象は、血小板機能に影響を及ぼす少なくとも一つの疾患または障害を有する。ある実施態様においては、血小板機能に影響を及ぼす少なくとも一つの疾患または障害は、肝硬変、多発性骨髄腫、腎疾患、全身性エリテマトーデス、分泌およびトロンボキサン合成障害、または尿毒症である。ある実施態様においては、第一の対象は以前に心肺バイパス手術を受けていた。
【0009】
ある実施態様においては、メロキシカムの投与前に第一の対象から単離される血液の凝固時間は、血小板機能異常症でない以外のその他の条件は同様の対象から単離される血液の凝固時間よりも延長されている。ある実施態様においては、メロキシカムの投与前に第一の対象から単離される血小板の閉塞時間(closure time)は、血小板機能異常症でない以外のその他の条件は同様の対象から単離される血小板の閉塞時間よりも延長されている。
【0010】
ある実施態様においては、痛みは中程度から重度の痛みである。ある実施態様においては、痛みは急性の痛みである。ある実施態様においては、メロキシカムはナノ結晶メロキシカムとして存在する。ある実施態様においては、ナノ結晶メロキシカムはコロイド分散状態にある。ある実施態様においては、メロキシカムは、約5mg~約180mgの範囲の量で第一の対象に投与される。ある実施態様においては、メロキシカムは、約30mgの量で第一の対象に投与される。ある実施態様においては、メロキシカムは第一の対象に静脈内投与される。ある実施態様においては、メロキシカムは、約5秒~約60秒の時間で第一の対象に静脈内投与される。ある実施態様においては、メロキシカムは、約15秒の時間で対象に静脈内投与される。
【0011】
ある実施態様においては、第一の対象は、外科的処置を受ける予定の対象である。ある実施態様においては、メロキシカムは外科的処置の開始前に投与される。ある実施態様においては、第一の対象は、メロキシカムと組み合わせて非ステロイド系抗炎症薬を投与されない。ある実施態様においては、第一の対象は、メロキシカムと組み合わせてCOX-1阻害剤を投与されない。ある実施態様においては、第一の対象は、アセトアミノフェン、ガバペンチン、オピオイド、またはそれらの組み合わせをメロキシカムと組み合わせて投与される。ある実施態様においては、方法は、メロキシカムの最初の投与の後、約18時間~約24時間ごとにメロキシカムを投与することをさらに含む。
【0012】
ある実施態様においては、メロキシカムの投与前に第一の対象から単離される血液の凝固時間は、血小板機能異常症でない以外のその他の条件は同様の対象から単離される血液の凝固時間と比較して約1%~約1000%延長されている。ある実施態様においては、メロキシカムの投与前に第一の対象から単離される血液の凝固時間は、血小板機能異常症でない以外のその他の条件は同様の対象から単離される血液の凝固時間と比較して約1%、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約200%、約300%、約400%、約500%、約600%、約700%、約800%、約900%、または約1000%延長されている。
【0013】
ある実施態様においては、メロキシカムの投与前に第一の対象から単離される血小板の閉塞時間は、血小板機能異常症でない以外のその他の条件は同様の対象から単離される血小板の閉塞時間と比較して約1%~約1000%延長されている。ある実施態様においては、メロキシカムの投与前に第一の対象から単離される血液の凝固時間は、血小板機能異常症でない以外のその他の条件は同様の対象から単離される血液の凝固時間と比較して約1%、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約200%、約300%、約400%、約500%、約600%、約700%、約800%、約900%、または約1000%延長されている。
【0014】
ある実施態様においては、メロキシカムの投与後に第一の対象から単離される血小板の閉塞時間は、メロキシカムの投与前に第一の対象から単離される血小板の閉塞時間に匹敵する。ある実施態様においては、メロキシカムの投与後に第一の対象から単離される血小板の閉塞時間は、血小板機能異常症でありかつメロキシカムを投与されていない第二の対象から単離される血小板の閉塞時間に匹敵する。
【0015】
ある実施態様においては、メロキシカムの投与後に第一の対象から単離される血液の凝固時間は、メロキシカムの投与前に第一の対象から単離される血液の凝固時間に匹敵する。ある実施態様においては、メロキシカムの投与後に第一の対象から単離される血液の凝固時間は、血小板機能異常症でありかつメロキシカムを投与されていない第二の対象から単離される血液の凝固時間に匹敵する。
【0016】
ある実施態様においては、メロキシカムの投与後に第一の対象から単離される血小板の閉塞時間は、血小板機能異常症でありかつ15mg/mLのケトロラクを投与されている第二の対象から単離される血小板の閉塞時間よりも少なくとも約10%~約100%短い。ある実施態様においては、メロキシカムの投与後に第一の対象から単離される血小板の閉塞時間は、血小板機能異常症でありかつ15mg/mLのケトロラクを投与されている第二の対象から単離される血小板の閉塞時間よりも約40%~約50%短い範囲を変動する。ある実施態様においては、メロキシカムの投与後に第一の対象から単離される血小板の閉塞時間は、血小板機能異常症でありかつ15mg/mLのケトロラクを投与されている第二の対象から単離される血小板の閉塞時間よりも約44%短い。
【0017】
ある実施態様においては、メロキシカムの投与後に第一の対象から単離される血液の凝固時間は、血小板機能異常症でありかつ15mg/mLのケトロラクを投与されている第二の対象から単離される血液の凝固時間よりも少なくとも約5%~約100%短い。ある実施態様においては、メロキシカムの投与後に第一の対象から単離される血液の凝固時間は、血小板機能異常症でありかつ15mg/mLのケトロラクを投与されている第二の対象から単離される血液の凝固時間よりも少なくとも約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、または約100%短い。ある実施態様においては、メロキシカムが約1mLの量で投与される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】*CADP(図1A)およびCEPI(図1B)のデータに基づく用量反応分析を示す図である(最終分析セット[8対象])。CADP、コラーゲン/アデノシンジホスフェート;CEPI、コラーゲン/エピネフリン。
図2】*ジェンダー効果分析を示し、CADP試薬(図2A)およびCEPI試薬(図2B)を用いる閉塞時間(秒)における差(女性-男性)を描く図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[定義]
本明細書において使用される専門用語は、ただ具体的な実施態様を説明する目的のためのものであり、限定を意味するものではないことが理解されるべきである。
【0020】
別段の定めがない限り、本明細書において使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有するものに共通して理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に説明されるものと同様または等価の任意の方法および材料が本願の実施または試験において使用することができるが、代表的な方法および材料は本明細書において説明される。
【0021】
長年にわたる特許法の慣習に従い、用語、「a」、「an」および「the」は、特許請求の範囲を含め、本願で使用される場合、「1または2以上」を意味する。したがって、例えば「担体(a carrier)」への言及は、1つまたは2つ以上の担体、2つまたは3つ以上の担体などの混合物を含み、そして「方法(the method)」への言及は、当業者に既知の等価な工程および/または方法などへの言及を含む。
【0022】
別段の指摘がない限り、本明細書および特許請求の範囲において使用される成分、反応条件、およびその他の量を表現するすべての数は、すべての場合、用語「約」により修飾されるものであることが理解されるべきものである。そのため、反対の指摘がない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲に示される数値パラメータは、本願により得ようとする所望の性質により変化可能な近似値である。一般に、本明細書において重さ、時間、用量など測定可能な値に関して使用される用語「約」は、当技術分野における許容可能な変動の程度内の値を包含することを意味する。ある実施態様においては、変動の程度は、FDAガイドラインに基づく。
【0023】
本明細書において使用されるように、「メロキシカム」は、4-ヒドロキシ-2-メチル-N-(5-メチル-2-チアゾリル)-2H-1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド-1,1-ジオキシドを意味し、以下に描く構造を有する。分子量は351.4である。その分子式は、C1413342である。
【化1】
【0024】
本明細書において使用されるように、用語「ボーラス用量(bolus dose)」は、医薬または薬物、例えばメロキシカムの、特定の時間内に投与される個別の量を意味する。ボーラス用量が投与される特定の時間(本明細書において注入速度とも言う)は、作用の速やかな発現(すなわち、痛みの軽減)を提供し、かつ著しい灼熱感などのかなりの注射部痛を引き起こすことのない任意の適切な時間とすることができる。ある実施態様においては、注入時間は、約1分以下、例えば約30秒間または約15秒間であってもよい。
【0025】
本明細書において使用される場合、「治療」は、有益なまたは所望の臨床結果を得るためのアプローチである。この発明の目的のために、有益なまたは所望の臨床結果は、次の、重症度の軽減を含む痛みの任意の側面の改善、痛みの任意の側面(安静時痛および/または機械的に誘発される痛み、痛みの持続時間の短縮、および/または痛みの感受性または感覚の減少など)を含む痛みに関連する1つまたは複数の症状の軽減、痛みの発生率の減少、管理、改善、予防、および/または発達または進行の遅延の1つまたは複数を含むが、それらに限定されるものではない。
【0026】
用語「有効量」または「治療有効量」は、結果に到達する、例えば有益または所望の結果をなすのに十分な薬剤の量を意味する。治療有効量は、対象、治療すべき病状、対象の体重および年齢、病状の重症度、投与方法などの1つまたは複数に依存して変動可能である。
【0027】
用語「併用の(concurrent)」または「併用で(concurrently)」は、2つまたはそれより多くの薬物を互いに近い時間に投与することを意味する。ある実施態様においては、2つまたはそれより多くの併用で投与される薬物は、互いに約1時間以内、約30分以内、約15分以内、約10分以内、約5分以内に投与される。ある実施態様においては、2つまたはそれより多くの併用で投与される薬物は、同時に投与される。
【0028】
本明細書において使用される場合、用語「対象」は、ヒトおよび他の動物を含む。通常、対象はヒトである。例えば、対象は、成人、ティーンエージャー、子ども(2歳から14歳まで)、乳児(1ヵ月から24か月)、または新生児(1ヵ月まで)であり得る。ある実施態様においては、成人は約65歳以上、または約60歳以上のシニアである。ある実施態様においては、対象は、妊婦または妊娠しようとする女性である、他の側面においては、対象はヒトではなく;例えば非ヒト霊長類;例えばヒヒ、チンパンジー、ゴリラまたはマカクである。特定の側面においては、対象は、イヌまたはネコといったペットであってもよい。
【0029】
本明細書において使用される場合、「その他の条件は同様(otherwise similar)」の対象は、同じまたは同様の年齢および身体的特徴を有する対象を意味する。
【0030】
本明細書において使用される場合、第一の対象の閉塞時間が第二の対象の閉塞時間との相違が10%以下、例えば約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%(それらの間にあるすべての値およびサブ範囲を含む)以下である場合、第一の対象から単離される血小板の閉塞時間は、第二の対象から単離される血小板の閉塞時間に匹敵するものであるとする。
【0031】
[治療用途]
メロキシカムの経口投与は、炎症(例えば、変形性関節症およびリウマチ性関節炎)を治療するために承認されているが、メロキシカムの現在入手可能な経口製剤は、メロキシカムの乏しい溶解性のため作用のゆっくりとした発現を示すことが知られている。経口メロキシカムの作用のゆっくりとした発現により、メロキシカムは急性の痛み管理(例えば、軽度~中度の痛みおよび/または中度~重度の痛み)に不適切なものとなっている。
【0032】
本発明者らは、メロキシカムの静脈内処方は、術後疼痛などの急性の痛みの治療に重要であるメロキシカムの作用の迅速な発現を提供するために外科的処置の前に、および/または追加的治療薬と組み合わせて投与できることを発見した。メロキシカムナノ結晶は、メロキシカムの溶解性を顕著に改善し、メロキシカムがナノ結晶として製造されない以外のその他の条件は同様な処方と比較してメロキシカムのより高濃度の静脈内投与を可能とする。具体的には、本発明者らは、約5mg~約200mgのメロキシカム用量が、急性の痛み(例えば、軽度から中度の痛みおよび/または中度から重度の痛み)の治療に有効かつ安全でありながら、メロキシカムの作用の迅速な発現を達成するのに重要であることを見出した。イブプロフェンおよびケトロラクなどの他の静脈内NSAIDと対照的に、メロキシカムナノ結晶は注射部痛を引き起こすことなく静脈内に安全に投与することができる。加えて、本発明者らは、約60秒(例えば、約1~約60秒、約1~約30秒、約15~約30秒など)かけて投与されるボーラス用量が、痛みの治療に安全かつ効果的であることを見出した。ある実施態様においては、メロキシカムの静脈内投与は、約15分~約24時間以内、例えば、約15分以内、約30分以内、約1時間以内、約2時間以内、約3時間以内、約4時間以内、約5時間以内、約6時間以内、約12時間以内、約18時間以内、約24時間以内(それらの間のすべての値およびサブ範囲を含む)に患者に痛みの軽減を提供する。
【0033】
ある実施態様においては、本明細書に開示される方法は、メロキシカムが約30mgの用量であるメロキシカムの用量を患者に静脈内投与することを含む。ある実施態様においては、本明細書に開示される方法は、メロキシカムが約30mg/mLの濃度であるメロキシカムの用量を患者に静脈内投与することを含む。一実施態様においては、静脈内用量はボーラス用量である。ある実施態様においては、薬物用量は、患者に行われる外科手術、患者の年齢、および患者の臨床状態に基づき、患者に対して調整され得る。ある実施態様においては、メロキシカムは筋肉内投与される。
【0034】
一実施態様において、メロキシカムはメロキシカムナノ結晶の形態である。別の実施態様において、メロキシカムナノ結晶は、Alkermes NanoCrystal(商標)テクノロジーを用いて形成される。米国特許第8,512,727号明細書参照。これは、すべての目的のためその全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0035】
本明細書に開示される方法の一実施態様において、メロキシカムのIV用量(ボーラス用量など)は約1~約60秒(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)にわたって患者に投与される。すなわち、メロキシカムのIV用量は、患者に、約1秒、約2秒、約3秒、約4秒、約5秒、約6秒、約7秒、約8秒、約9秒、約10秒、約11秒、約12秒、約13秒、約14秒、約15秒、約16秒、約17秒、約18秒、約19秒、約20秒、約21秒、約22秒、約23秒、約24秒、約25秒、約26秒、約27秒、約28秒、約29秒、約30秒、約31秒、約32秒、約33秒、約34秒、約35秒、約36秒、約37秒、約38秒、約39秒、約40秒、約41秒、約42秒、約43秒、約44秒、約45秒、約46秒、約47秒、約48秒、約49秒、約50秒、約51秒、約52秒、約53秒、約54秒、約55秒、約56秒、約57秒、約58秒、約59秒、または約60秒、またはこれらの値の間の任意の範囲で投与してもよい。
【0036】
例えば、ある実施態様においては、メロキシカムのIV用量(ボーラス用量など)は、約5~約45秒にわたって患者に投与される。他の実施態様において、メロキシカムのIV用量は、約10~約40秒にわたって患者に投与される。なお別の実施態様において、メロキシカムのIV用量は、約15~約35秒にわたって患者に投与される。ある実施態様においては、メロキシカムのIV用量は、約10~約30秒にわたって患者に投与される。特定の実施態様において、メロキシカムのIV用量は、約15~約30秒にわたって患者に投与される。一実施態様において、メロキシカムのIV用量は、約15秒かけて患者に投与される。
【0037】
本開示の注入速度は、少なくとも30分は必要とするCALDOLOR(登録商標)(NSAID、イブプロフェンの静脈内処方)のFDAに承認された注入時間よりも顕著により速い。CALDOLOR(登録商標)の処方情報参照。同様に、本開示の注入速度はまた、15分の注入速度を必要とするOFIRMEV(登録商標)(アセトアミノフェンの静脈内処方)に関する注入速度よりも顕著により速い。OFIRMEV(登録商標)の処方情報参照。イブプロフェンおよびアセトアミノフェンの静脈内処方は、それぞれ15分および30分よりも速い速度で投与された場合に注射部位痛を引き起こすが、本処方は、驚くべきことにIV用量(ボーラス用量など)で投与された場合にそのような注射部位痛を引き起こさないことを発見した。
【0038】
さらに、本発明者らは、本明細書において開示された方法により、メロキシカムの秒内での注射が、手術後の痛みなどの急性の痛みの管理に重要である鎮痛の速やかな発現を達成することを発見した。例えば、一実施態様において、患者に静脈内投与されるメロキシカムの用量は、約10分以内に痛みの軽減を提供することができる。本開示の方法により提供されたこの痛みの軽減の速やかな発現は、痛みの軽減の発現に最大30分かかるケトロラクなどの入手可能な静脈内NSAIDからの実質的な改善である。ケトロラクトロメタミン注射処方情報参照。ある実施態様においては、メロキシカムの用量は、外科手術前に患者に静脈内投与し、有利には術後疼痛治療することができる。さらなる、あるいは代替的な実施態様においては、メロキシカムは痛みの軽減を提供するために他の治療剤と組み合わせて投与することができる。
【0039】
さらに、高い注射部位痛副作用を生じる先に報告されたNSAID注射(例えば、16%~24%が報告)とは異なり、本発明者らは、静脈内メロキシカムの用量を投与されている患者の2%のみが注射部位痛を報告したように、本明細書において開示されるメロキシカムの投与のための注射法が安全かつ効果的であることを見出した。
【0040】
本明細書に開示される方法の一実施態様において、メロキシカムの用量は、約1mg~約250mgの範囲(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)にある。すなわち、メロキシカムの用量は、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約145mg、約150mg、約155mg、約160mg、約165mg、約170mg、約175mg、約180mg、約185mg、約190mg、約195mg、約200mg、約205mg、約210mg、約215mg、約220mg、約225mg、約230mg、約235mg、約240mg、約245mg、または約250mg、またはこれらの値の間の任意の範囲にあってもよい。
【0041】
ある実施態様においては、メロキシカムの用量は、約5mg~約200mgの範囲にある。ある実施態様においては、メロキシカムの用量は約15mg~約180mgの範囲にある。ある実施態様においては、メロキシカムの用量は約15mg~約100mgの範囲にある。他の実施態様においては、メロキシカムの用量は、約15mg~約80mgの範囲にある。ある実施態様においては、メロキシカムの用量は約20mg~約70mgの範囲にある。ある実施態様においては、メロキシカムの用量は約30mg~約60mgの範囲にある。ある実施態様においては、メロキシカムの用量は約30mgである。別の実施態様においては、メロキシカムの用量は約60mgである。
【0042】
ある実施態様においては、静脈内メロキシカムは、約10mg/mL~約50mg/mL、例えば、約10mg/mL、約15mg/mL、約20mg/mL、約25mg/mL、約30mg/mL、約35mg/mL、約40mg/mL、約45mg/mL、約50mg/mL、約55mg/mL、および約60mg/mL(それらの間のすべての値およびサブ範囲を含む)の濃度で処方される。特別な実施態様において、静脈内メロキシカムは、約30mg/mLの濃度で処方される。
【0043】
ある実施態様においては、本明細書に開示されるメロキシカムの用量は、1日1回、1日2回、1日3回、1日おき、または医師が適当と認める頻度で投与される。一実施態様においては、メロキシカムの用量は1日1回静脈内に投与される。ある実施態様においては、メロキシカムは、患者がもはやそれを必要としなくなるまで、約18~26時間ごとに投与される。本明細書において使用される場合、痛みが弱くなっているかまたは患者が退院する場合、「患者がもはやそれを必要としなくなる」。ある実施態様においては、メロキシカムは、12時間ごとに1回、18時間ごとに1回、24時間ごとに1回、36時間ごとに1回、48時間ごとに1回、または医師が適当と認める頻度で投与される。特別な実施態様においては、メロキシカムは、24時間ごとに1回投与される。
【0044】
ある実施態様においては、本明細書に開示されるメロキシカムの用量は、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間のあいだ1日1回、または医師が適当と認める期間および頻度で投与することができる。
【0045】
一実施態様において、本明細書において開示されたボーラス用量などの単回用量は、約12時間から約48時間持続する迅速な治療を提供することができる。一実施態様において、本明細書において開示された単回用量は、約24時間持続する迅速な治療を提供することができる。現在開示されたメロキシカム処方の約24時間持続する治療を提供する能力は、6時間ごとの注入を必要とするCALDOLOR(登録商標)などの先に承認されたNSAID IV治療に対して顕著な改善である。CALDOLOR(登録商標)の処方情報参照。
【0046】
本明細書に開示された方法のいずれかにおいて、メロキシカムは、痛みの治療または痛みの管理のために投与することができる。一実施態様において、メロキシカムは、中度から重度の痛みの治療または管理のために投与することができる。一実施態様において、メロキシカムは、軽度から中度の痛みの治療または管理のために投与することができる。一実施態様において、痛みの管理はヒトの患者のためである。一実施態様において、ヒトの患者は成人である。
【0047】
[処方]
一実施態様において、本明細書に開示されたIV注射またはIV注入のための用量は、1つまたは2つ以上の当業者に既知の薬学的に許容され得る賦形剤または担体を含むことができる。
【0048】
一実施態様において、IV注射またはIV注入のための用量のための薬学的に許容され得る賦形剤には、アラビアゴム、アルギン酸ベントナイト、カルボマー、カルボキシメチルセルロースカルシウムもしくはナトリウム、セトステアリルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ゼラチングァーガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリビニルアルコール、ポビドン、プロピレンカーボネート、アルギン酸プロピレングリコール、アルギン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム(デオキシコール酸)、トラガカントデンプン、スクロースまたはキサンタンガムを含むことができる。
【0049】
一実施態様において、注射または注入のための本明細書に開示されたメロキシカムの用量は、例えば水、水中デキストロース、水中グルコース、植物油、アルコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、またはグリセリンなどの液状担体に処方することができる。一実施態様において、注射のための本明細書に開示されたメロキシカムの用量は、滅菌水に処方される。
【0050】
一実施態様において、メロキシカムの用量は水性ディスパージョンの形態である。
【0051】
本明細書に開示された方法の一実施態様において、メロキシカムの用量は、約0.5mL~約4mLの容量(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)に存在する。つまり、メロキシカムのIV用量(ボーラス用量を含む)は、約0.5mL、約0.6mL、約0.7mL、約0.8mL、約0.9mL、約1.0mL、約1.1mL、約1.2mL、約1.3mL、約1.4mL、約1.5mL、約1.6mL、約1.7mL、約1.8mL、約1.9mL、約2.0mL、約2.1mL、約2.2mL、約2.3mL、約2.4mL、約2.5mL、約2.6mL、約2.7mL、約2.8mL、約2.9mL、約3.0mL、約3.1mL、約3.2mL、約3.3mL、約3.4mL、約3.5mL、約3.6mL、約3.7mL、約3.8mL、約3.9mL、または約4.0mL、またはこれらの値の間の任意の範囲の容量に存在する。別の実施態様において、メロキシカムの用量は、約1mLの容量に存在する。
【0052】
本明細書に開示された方法の一実施態様において、メロキシカムの用量は、約30mg/mLの濃度で存在する。すなわち、メロキシカムの用量は、約28.5mg/mLおよび約31.5mg/mLの間、またはこれら2つの値の間の任意の範囲の濃度で存在することができる。一実施態様においてメロキシカムの用量は、約22mg/mL、約23mg/mL、約24mg/mL、約25mg/mL、約26mg/mL、約27mg/mL、約28mg/mL、約29mg/mL、約30mg/mL、約31mg/mL、約32mg/mL、約33mg/mL、約34mg/mL、約35mg/mL、約36mg/mL、約37mg/mL、または約38mg/mL(それらの間のすべての値およびサブ範囲を含む)の濃度で存在することができる。一実施態様においては、本明細書において開示されるメロキシカムの用量は、ボーラス用量であり得る。
【0053】
一実施態様において、メロキシカムの用量は、単回使用バイアルとして約30mg/mLの濃度で存在する。
【0054】
先述のとおり、メロキシカムは水溶性に乏しく、このことが、経口投与が急性の痛みの治療に適切でない主な理由の1つである。さらに、メロキシカムの低い水溶性のために、注射部位痛を引き起こすことなく痛みの軽減の迅速な発現を達成するために、秒単位で患者に投与することのできるように十分に濃縮された注射可能な処方を提供することは困難なことである。しかしながら、本発明者らは、メロキシカムナノ結晶を用いることによりメロキシカムの濃度を30mg/mLに増加させることができた。これは、メロキシカムがナノ結晶として製造されていない以外のその他の条件は同様の処方と比較して濃度で20%の増加であり、メロキシカムが水にほとんど溶けないということを考慮するとかなりなものである。本明細書において開示されるメロキシカムの濃度は、IV用量を提供し、注射部位痛を引き起こすことなく痛みの軽減の迅速な発現を達成するために重要である。本明細書において開示された濃度よりも高いメロキシカムの濃度では、薬物は溶液から晶出する可能性があり、製剤の注射可能性(injectability)および/または注射針通過性(syringeability)を妨げ得る。本明細書において開示された濃度よりも低いメロキシカムの濃度では、担体の容量がより多くなり、本明細書において特定された時間内に投与できず、それにより、痛みの軽減の迅速な発現を達成することができない可能性がある。
【0055】
一実施態様においては、本明細書において開示されたメロキシカムの用量は、希釈剤と一緒に使用される。一実施態様においては、本明細書において開示されたメロキシカムの用量は希釈することなく使用される。一実施態様においては、メロキシカムの30mg/mL用量は希釈することなく使用される。一実施態様においては、メロキシカムの30mg/mL用量はIV溶液またはIV液体バッグには加えられない。すなわち、本明細書において開示されたメロキシカムの30mg/mLの用量は、30mg/mLとして必要とする患者に投与される。
【0056】
[薬物動態]
一実施態様においては、単回30mg/mLボーラス用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約4000ng/mL~約11000ng/mLの範囲の約80%~約125%内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿Cmaxを提供する。すなわち、単回30mg/mLボーラス用量は、患者において約3000ng/mL、約3100ng/mL、約3200ng/mL、約3300ng/mL、約3400ng/mL、約3500ng/mL、約3600ng/mL、約3700ng/mL、約3800ng/mL、約3900ng/mL、約4000ng/mL、約4100ng/mL、約4200ng/mL、約4300ng/mL、約4400ng/mL、約4500ng/mL、約4600ng/mL、約4700ng/mL、約4800ng/mL、約4900ng/mL、約5000ng/mL、約5100ng/mL、約5200ng/mL、約5300ng/mL、約5400ng/mL、約5500ng/mL、約5600ng/mL、約5700ng/mL、約5800ng/mL、約5900ng/mL、約6000ng/mL、約6100ng/mL、約6200ng/mL、約6300ng/mL、約6400ng/mL、約6500ng/mL、約6600ng/mL、約6700ng/mL、約6800ng/mL、約6900ng/mL、約7000ng/mL、約7100ng/mL、約7200ng/mL、約7300ng/mL、約7400ng/mL、約7500ng/mL、約7600ng/mL、約7700ng/mL、約7800ng/mL、約7900ng/mL、約8000ng/mL、約8100ng/mL、約8200ng/mL、約8300ng/mL、約8400ng/mL、約8500ng/mL、約8600ng/mL、約8700ng/mL、約8800ng/mL、約8900ng/mL、約9000ng/mL、約9100ng/mL、約9200ng/mL、約9300ng/mL、約9400ng/mL、約9500ng/mL、約9600ng/mL、約9700ng/mL、約9800ng/mL、約9900ng/mL、約10000ng/mL、約10100ng/mL、約10200ng/mL、約10300ng/mL、約10400ng/mL、約10500ng/mL、約10600ng/mL、約10700ng/mL、約10800ng/mL、約10900ng/mL、約11000ng/mL、約11100ng/mL、約11200ng/mL、約11300ng/mL、約11400ng/mL、約11500ng/mL、約11600ng/mL、約11700ng/mL、約11800ng/mL、約11900ng/mL、約12000ng/mL、約12100ng/mL、約12200ng/mL、約12300ng/mL、約12400ng/mL、約12500ng/mL、約12600ng/mL、約12700ng/mL、約12800ng/mL、約12900ng/mL、約13000ng/mL、約13100ng/mL、約13200ng/mL、約13300ng/mL、約13400ng/mL、および約13500ng/mL、または上記値の間の任意の値または範囲の血漿Cmaxを提供することができる。
【0057】
一実施態様において、30mg/mLの1mLボーラスは、メロキシカムの静脈内投与後の患者において、約5642.9±1009.0ng/mLからの範囲の約80%~約125%以内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿Cmaxを提供する。一実施態様において、単回30mg/mLボーラス用量は、メロキシカムの静脈内投与後の患者において、約3707.1ng/mL~約8314.9ng/mLの範囲内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿Cmaxを提供する。一実施態様において、単回30mg/mLボーラス用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約4000ng/mL~約7000ng/mLの範囲の約80%~約125%内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿Cmaxを提供する。一実施態様において、単回30mg/mLボーラス用量は、メロキシカムの静脈内投与後の患者において、約4600ng/mL~約6700ng/mLの範囲の約80%~約125%内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿Cmaxを提供する。一実施態様において、単回30mg/mLボーラス用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約5000ng/mL~約6000ng/mLの範囲の約80%~約125%内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿Cmaxを提供する。
【0058】
一実施態様において、単回30mg/mLボーラス用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約7972.5±2579.0ng/mLからの範囲の約80%~約125%以内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の血漿Cmaxを提供する。一実施態様において、単回30mg/mLボーラス用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約4312.1ng/mL~約13190.5ng/mLの範囲内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の血漿Cmaxを提供する。一実施態様において、単回30mg/mLボーラス用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約5000ng/mL~約11000ng/mLの範囲の約80%~約125%以内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿Cmaxを提供する。一実施態様において、単回30mg/mLボーラス用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約5500ng/mL~約10500ng/mLの範囲の約80%~約125%内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿Cmaxを提供する。一実施態様において、単回30mg/mLボーラス用量の1mLは、メロキシカムの静脈内投与後の患者において、約7000ng/mL~約9000ng/mLの範囲の約80%~約125%以内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿Cmaxを提供する。
【0059】
一実施態様において、30mg/mLボーラス用量の繰り返し用量(例えば1日1回投与される)は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約10632.5±4729.8ng/mLからの範囲の約80%~約125%以内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の血漿Cmax(例えば、定常状態Cmax)を提供する。一実施態様において、30mg/mLボーラス用量の繰り返し用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約4722.2ng/mL~約19202.9ng/mLの範囲内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の血漿Cmaxを提供する。すなわち、30mg/mLボーラス用量の繰り返し用量は、患者において、約4500ng/mL、約4600ng/mL、約4700ng/mL、約4800ng/mL、約4900ng/mL、約5000ng/mL、約5100ng/mL、約5200ng/mL、約5300ng/mL、約5400ng/mL、約5500ng/mL、約5600ng/mL、約5700ng/mL、約5800ng/mL、約5900ng/mL、約6000ng/mL、約6100ng/mL、約6200ng/mL、約6300ng/mL、約6400ng/mL、約6500ng/mL、約6600ng/mL、約6700ng/mL、約6800ng/mL、約6900ng/mL、約7000ng/mL、約7100ng/mL、約7200ng/mL、約7300ng/mL、約7400ng/mL、約7500ng/mL、約7600ng/mL、約7700ng/mL、約7800ng/mL、約7900ng/mL、約8000ng/mL、約8100ng/mL、約8200ng/mL、約8300ng/mL、約8400ng/mL、約8500ng/mL、約8600ng/mL、約8700ng/mL、約8800ng/mL、約8900ng/mL、約9000ng/mL、約9100ng/mL、約9200ng/mL、約9300ng/mL、約9400ng/mL、約9500ng/mL、約9600ng/mL、約9700ng/mL、約9800ng/mL、約9900ng/mL、約10000ng/mL、約10100ng/mL、約10200ng/mL、約10300ng/mL、約10400ng/mL、約10500ng/mL、約10600ng/mL、約10700ng/mL、約10800ng/mL、約10900ng/mL、約11000ng/mL、約11100ng/mL、約11200ng/mL、約11300ng/mL、約11400ng/mL、約11500ng/mL、約11600ng/mL、約11700ng/mL、約11800ng/mL、約11900ng/mL、約12000ng/mL、約12100ng/mL、約12200ng/mL、約12300ng/mL、約12400ng/mL、約12500ng/mL、約12600ng/mL、約12700ng/mL、約12800ng/mL、約12900ng/mL、約13000ng/mL、約13100ng/mL、約13200ng/mL、約13300ng/mL、約13400ng/mL、約13500ng/mL、約13600ng/mL、約13700ng/mL、約13800ng/mL、約13900ng/mL、約14000ng/mL、約14100ng/mL、約14200ng/mL、約14300ng/mL、約14400ng/mL、約14500ng/mL、約14600ng/mL、約14700ng/mL、約14800ng/mL、約14900ng/mL、約15000ng/mL、約15100ng/mL、約15200ng/mL、約15300ng/mL、約15400ng/mL、約15500ng/mL、約15600ng/mL、約15700ng/mL、約15800ng/mL、約15900ng/mL、約16000ng/mL、約16100ng/mL、約16200ng/mL、約16300ng/mL、約16400ng/mL、約16500ng/mL、約16600ng/mL、約16700ng/mL、約16800ng/mL、約16900ng/mL、約17000ng/mL、約17100ng/mL、約17200ng/mL、約17300ng/mL、約17400ng/mL、約17500ng/mL、約17600ng/mL、約17700ng/mL、約17800ng/mL、約17900ng/mL、約18000ng/mL、約18100ng/mL、約18200ng/mL、約18300ng/mL、約18400ng/mL、約18500ng/mL、約18600ng/mL、約18700ng/mL、約18800ng/mL、約18900ng/mL、約19000ng/mL、約19100ng/mL、約19200ng/mL、約19300ng/mL、約19400ng/mL、約19500ng/mL、約19600ng/mL、約19700ng/mL、約19800ng/mL、約19900ng/mL、または約12000ng/mL、または上記値の間の任意の値または範囲の血漿Cmaxを提供する。
【0060】
一実施態様において、30mg/mLボーラス用量の繰り返し用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約5000ng/mL~約20000ng/mLの範囲の約80%~約125%内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の血漿Cmaxを提供する。一実施態様において、30mg/mLボーラス用量の繰り返し用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約7000ng/mL~約18000ng/mLの範囲の約80%~約125%内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿Cmaxを提供する。一実施態様において、30mg/mLボーラス用量の繰り返し用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約8000ng/mL~約13000ng/mLの範囲の約80%~約125%以内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿Cmaxを提供する。
【0061】
一実施態様において、単回30mg/mLボーラス用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約55000ng*hr/mL~約190000ng*hr/mLの範囲の約80%~約125%内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿AUCinfを提供する。すなわち、単回30mg/mLボーラス用量は、患者において、約40000ng*hr/mL、約45000ng*hr/mL、約50000ng*hr/mL、約55000ng*hr/mL、約60000ng*hr/mL、約65000ng*hr/mL、約70000ng*hr/mL、約75000ng*hr/mL、約80000ng*hr/mL、約85000ng*hr/mL、約90000ng*hr/mL、約95000ng*hr/mL、約100000ng*hr/mL、約105000ng*hr/mL、約110000ng*hr/mL、約115000ng*hr/mL、約120000ng*hr/mL、約125000ng*hr/mL、約130000ng*hr/mL、約135000ng*hr/mL、約140000ng*hr/mL、約145000ng*hr/mL、約150000ng*hr/mL、約155000ng*hr/mL、約160000ng*hr/mL、約165000ng*hr/mL、約170000ng*hr/mL、約175000ng*hr/mL、約180000ng*hr/mL、約185000ng*hr/mL、約190000ng*hr/mL、約195000ng*hr/mL、約200000ng*hr/mL、約205000ng*hr/mL、約210000ng*hr/mL、約215000ng*hr/mL、約220000ng*hr/mL、約225000ng*hr/mL、約230000ng*hr/mL、約235000ng*hr/mL、および約240000ng*hr/mL、または上記値の間の任意の値または範囲の平均血漿AUCinfを提供することができる。
【0062】
一実施態様において、単回30mg/mLボーラス用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約107508.7±34443.0ng*hr/mLからの範囲の約80%~約125%以内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿AUCinfを提供する。一実施態様において、単回30mg/mLボーラス用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約58452.6ng*hr/mL~約177440.0ng*hr/mLの範囲内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿AUCinfを提供する。一実施態様において、単回30mg/mLボーラス用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約121437.6±64505.6ng*hr/mLからの範囲の約80%~約125%以内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿AUCinfを提供する。一実施態様において、単回30mg/mLボーラス用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約45545.6ng*hr/mL~約232429.0ng*hr/mLの範囲内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿AUCinfを提供する。一実施態様において、単回30mg/mLボーラス用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約70000ng*hr/mL~約190000ng*hr/mL(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿AUCinfを提供する。一実施態様において、単回30mg/mLボーラス用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約70000ng*hr/mL~約140000ng*hr/mLの約80%~約125%の範囲内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿AUCinfを提供する。一実施態様において、単回30mg/mLボーラス用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約75000ng*hr/mL~約130000ng*hr/mLの約80%~約125%の範囲内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿AUCinfを提供する。一実施態様において、単回30mg/mLボーラス用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約85000ng*hr/mL~約120000ng*hr/mLの約80%~約125%の範囲内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿AUCinfを提供する。一実施態様において、単回30mg/mLボーラス用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約55000ng*hr/mL~約190000ng*hr/mLの約80%~約125%の範囲内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿AUCinfを提供する。一実施態様において、単回30mg/mLボーラス用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約80000ng*hr/mL~約160000ng*hr/mLの範囲の約80%~約125%内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿AUCinfを提供する。一実施態様において、単回30mg/mLボーラス用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約100000ng*hr/mL~約140000ng*hr/mLの範囲の約80%~約125%の約以内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿AUCinfを提供する。
【0063】
一実施態様において、30mg/mLボーラス用量の繰り返し用量(例えば1用量よりも多い)は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約297771.6±241604.01ng*hr/mLの範囲の約80%~約125%以内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の血漿AUCinfを提供する。一実施態様において、30mg/mLボーラス用量の繰り返し用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約44934.1ng*hr/mL~約674219.5ng*hr/mLの範囲内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の血漿AUCinfを提供する。一実施態様において、30mg/mLボーラス用量の繰り返し用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約55000ng*hr/mL~約540000ng*hr/mLの範囲の約80%~約125%内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿AUCinfを提供する。一実施態様において、30mg/mLボーラス用量の繰り返し用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約80000ng*hr/mL~約500000ng*hr/mLの範囲の約80%~約125%内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿AUCinfを提供する。一実施態様において、30mg/mLボーラス用量の繰り返し用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約100000ng*hr/mL~約450000ng*hr/mLの範囲の約80%~約125%の約以内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿AUCinfを提供する。一実施態様において、30mg/mLボーラス用量の繰り返し用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約150000ng*hr/mL~約400000ng*hr/mLの範囲の約80%~約125%の約以内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿AUCinfを提供する。一実施態様において、30mg/mLボーラス用量の繰り返し用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約200000ng*hr/mL~約350000ng*hr/mLの範囲の約80%~約125%の約以内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿AUCinfを提供する。一実施態様において、30mg/mLボーラス用量の繰り返し用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約250000ng*hr/mL~約325000ng*hr/mLの範囲の約80%~約125%の約以内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿AUCinfを提供する。
【0064】
一実施態様において、定常状態は、7日間の1日1回の静脈投与される30mgボーラス用量の繰り返し用量で達成することができる。
【0065】
一実施態様において、単回30mg/mLボーラスIV用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、の約0.05h~約0.20h(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿Tmaxを提供する。すなわち、単回30mg/mLボーラスIV注射は、患者において、約0.05h、約0.06h、約0.07h、約0.08h、約0.09h、約0.10h、約0.11h、約0.12h、約0.13h、約0.14h、約0.15h、約0.16h、約0.17h、約0.18h、約0.19h、または約0.20h、または上記値の間の任意の値または範囲の平均血漿Tmaxを提供することができる。
【0066】
一実施態様において、単回30mg/mLボーラス用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、の約0.08h~約0.16h(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿Tmaxを提供する。一実施態様において、単回30mg/mLボーラス用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、の約0.10h~約0.14h(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿Tmaxを提供する。
【0067】
経口投与されたメロキシカムは、吸収が遅く、投与後約5~7時間の平均血漿Tmaxを有する。本明細書において開示された方法は、例えば投与後約0.08h~約0.16hの有意に速いTmaxを提供し、迅速な発現と速い吸収を示す。
【0068】
一実施態様において、本明細書において開示された方法は、約30分~約60分以内のメロキシカムのピーク鎮静作用を提供することができる。すなわち、メロキシカムの30mg/mLボーラスIV注射の投与は、約30分、約35分、約40分、約45分、約50分、約55分、または約60分、または上記値の間の任意の値または範囲のピーク鎮静作用を提供することができる。一実施態様において、メロキシカムの30mg/mLボーラスIV注射の投与は、約40分のピーク鎮静作用を提供することができる。
【0069】
本明細書に開示されたメロキシカム投与は痛みの軽減の速い発現を提供するのみならず、他の既知のIV NSAID(ケトロラクは最大効果までに1~2時間かかる)よりも早くピーク鎮静作用に達し、少なくとも約24時間のより長い治療ウィンドウを有する(ケトロラクの鎮静作用の持続時間は4~6時間である)。ケトロラクトロメタミン注射剤処方情報参照。
【0070】
一実施態様において、メロキシカム30mg/mLの1mLボーラスは、静脈内投与後約30分で患者において、4160±1020ng/mLの約80%~約125%(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の範囲にメロキシカムの平均血漿濃度を提供する。一実施態様において、メロキシカムの単回30mg/mLボーラス用量は、静脈内投与後約30分で患者において、約2512ng/mL~約6475ng/mL(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の範囲にメロキシカムの平均血漿濃度を提供する。ある実施態様においては、メロキシカムの単回30mg/mLボーラス用量は、静脈内投与後約30分で患者において、約3000ng/mL~約6000ng/mL(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の範囲にメロキシカムの平均血漿濃度を提供する。他の実施態様においては、メロキシカムの単回30mg/mLボーラス用量は、静脈内投与後約30分で患者において、約3500ng/mL~約5500ng/mL(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の範囲にメロキシカムの平均血漿濃度を提供する。ある実施態様においては、メロキシカムの単回30mg/mLボーラス用量は、静脈内投与後約30分で患者において、約3500ng/mL~約5000ng/mL(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の範囲にメロキシカムの平均血漿濃度を提供する。
【0071】
一実施態様においては、メロキシカム30mg/mLの1mLボーラス用量は、静脈内投与後約60分で患者において、3590±708ng/mLの約80%~約125%(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の範囲にメロキシカムの平均血漿濃度を提供する。一実施態様においては、メロキシカムの単回30mg/mLボーラス用量は、静脈内投与後約60分で患者において、約2305ng/mL~約5373ng/mL(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の範囲にメロキシカムの平均血漿濃度を提供する。ある実施態様においては、メロキシカムの単回30mg/mLボーラス用量は、静脈内投与後約60分で患者において、約2500ng/mL~約5000ng/mL(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の範囲にメロキシカムの平均血漿濃度を提供する。別の実施態様においては、メロキシカムの単回30mg/mLボーラス用量は、静脈内投与後約60分で患者において、約2750ng/mL~約4500ng/mL(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の範囲にメロキシカムの平均血漿濃度を提供する。ある実施態様においては、メロキシカムの単回30mg/mLボーラス用量は、静脈内投与後約60分で患者において、約3000ng/mL~約4000ng/mL(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の範囲にメロキシカムの平均血漿濃度を提供する。
【0072】
一実施態様において、単回メロキシカム30mg/mLボーラス用量は、静脈内投与後約120分で患者において、約2660±394ng/mLの約80%~約125%(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の範囲にメロキシカムの平均血漿濃度を提供する。一実施態様において、単回メロキシカム30mg/mLボーラス用量は、静脈内投与後約120分で患者において、約1812ng/mL~約3818ng/mL(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の範囲にメロキシカムの平均血漿濃度を提供する。ある実施態様においては、単回メロキシカム30mg/mLボーラス用量は、静脈内投与後約120分で患者において、約1900ng/mL~約3800ng/mL(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の範囲にメロキシカムの平均血漿濃度を提供する。別の実施態様においては、単回メロキシカム30mg/mLボーラス用量は、静脈内投与後約120分で患者において、約2100ng/mL~約3600ng/mL(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の範囲にメロキシカムの平均血漿濃度を提供する。ある実施態様においては、単回メロキシカム30mg/mLボーラス用量は、静脈内投与後約120分で患者において、約2200ng/mL~約3400ng/mL(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の範囲にメロキシカムの平均血漿濃度を提供する。
【0073】
一実施態様においては、単回メロキシカム30mg/mLボーラス用量は、静脈内投与後約4時間で患者において、約2190±262ng/mLの約80%~約125%(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の範囲にメロキシカムの平均血漿濃度を提供する。一実施態様においては、単回メロキシカム30mg/mLボーラス用量は、静脈内投与後約4時間で患者において、約1542ng/mL~約3065ng/mL(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の範囲にメロキシカムの平均血漿濃度を提供する。ある実施態様においては、単回メロキシカム30mg/mLボーラス用量は、静脈内投与後約4時間で患者において、約1600ng/mL~約3000ng/mL(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の範囲にメロキシカムの平均血漿濃度を提供する。別の実施態様においては、単回メロキシカム30mg/mLボーラス用量は、静脈内投与後約4時間で患者において、約1800ng/mL~約2800ng/mL(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の範囲にメロキシカムの平均血漿濃度を提供する。ある実施態様においては、単回メロキシカム30mg/mLボーラス用量は、静脈内投与後約4時間で患者において、約1900ng/mL~約2600ng/mL(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の範囲にメロキシカムの平均血漿濃度を提供する。
【0074】
血小板機能異常症
本開示は、それを必要とする対象において痛みを治療する方法であって、対象にメロキシカムを投与することを含む方法を提供する。ある実施態様においては、対象は血小板機能異常症である。本明細書において使用される場合、「血小板機能異常症」または「血小板障害」は、血小板機能が影響を受けているかまたは正常に機能しない、対象における疾患、障害または症状を意味する。血小板は、凝集による血管損傷からの出血に反応することにより機能し、それにより血栓をつくる。理論に縛られることなく、血小板機能異常症は、損傷による過剰な出血および/または突発性出血のリスク増加に関連し、そのリスク増加を促進し、またはそのリスク増加を引き起こすと考えられる。
【0075】
血小板の機能は、本明細書に記載される方法、またはPaniccia et al., Vascular Health and Risk Manegement, 2015: 11 133-148に記載された方法など本技術分野において公知の方法のうちのいずれかを用いて評価することができ、その内容は、すべての目的のためその全体が参照として本明細書に組み込まれる。血小板の機能を評価するために使用することのできる方法の非限定的な例には、全血球計算、プロトロンビン時間[PT]および部分トロンボプラスチン時間[PTT]、出血時間、透過光血小板凝集、輝度凝集測定(lumiaggregometry)、全血のインピーダンス凝集測定、フローサイトメトリーにより調べられる血小板活性、PFA-100、ベリファイナウ システム(VerifyNow System)、およびマルチプレート エレクトロ-ド アグレオメトリー(Multiplate Electrode Aggregometry)[MEA]が含まれる。
【0076】
ある実施態様においては、血小板機能異常症は、健常な対象と比較した場合、対象における血小板の数の変化と関連付けられ、その変化により促進され、またはその変化から生じる。本明細書において使用される場合、用語「健常な対象」は、血小板機能異常症を患っていない以外のその他の条件は同様の対象を意味する。ある実施態様においては、健常な対象における通常の血小板計数値は、血液1μL当たり約150,000から約450,000個まで変動する。ある実施態様においては、血小板機能異常は、健常な対象と比較した場合の対象における血小板数の増加を含む。血小板機能異常が、対象における血小板の増加により特徴づけられる症状の非限定的な例には、血小板増加症または反応性血小板増加症が含まれる。ある実施態様においては、対象は、血液1μL当たり約450,000個より多い、例えば血液1μL当たり約500,000個、血液1μL当たり約550,000個、血液1μL当たり約600,000個、血液1μL当たり約650,000個、血液1μL当たり約700,000個、血液1μL当たり約750,000個、血液1μL当たり約800,000個、血液1μL当たり約850,000個、血液1μL当たり約900,000個、血液1μL当たり約950,000個(それらの間のすべてのサブ範囲および値を含む)より多い血小板計数値を有する。
【0077】
ある実施態様においては、血小板機能異常は、健常な対象と比較した場合の対象における血小板数の減少を含み、血小板減少症とも呼ばれる。ある実施態様においては、対象は、血液1μL当たり約150,000個より少ない、例えば血液1μL当たり約125,000個、血液1μL当たり約100,000個、血液1μL当たり約75,000個、血液1μL当たり約50,000個、血液1μL当たり約25,000個、血液1μL当たり約20,000個、血液1μL当たり約15,000個、血液1μL当たり約10,000個、血液1μL当たり約5,000個(それらの間のすべてのサブ範囲および値を含む)より少ない血小板計数値を有する。ある実施態様においては、対象は血液1μL当たり約50,000個より少ない血小板計数値を有する。ある実施態様においては、血液1μL当たり約10,000より少ない、または血液1μL当たり約25,000より少ない血小板計数値を有する。ある実施態様においては、血小板減少症は、妊娠(妊娠時の血小板減少症)、免疫介在血小板破壊を引き起こす薬物(ヘパリン、トリメトプリム/スルファメトキサゾール、キニーネ、および本明細書に記載された他の薬物)の投与、用量依存骨髄抑制を引き起こす薬物(化学療法薬、エタノール、および本明細書に記載された他の薬物)の投与、および全身性感染または免疫障害(免疫性血小板減少症)と関連付けられる。
【0078】
ある実施態様においては、血小板機能異常は、健常な対象と比較した場合、対象における少なくとも一つの血小板の機能の欠損または変化と関係付けられ、その欠損または変化により促進され、またはその欠損または変化から生じる。
【0079】
ある実施態様においては、血小板機能異常症は、遺伝性血小板機能異常症である。遺伝性血小板機能異常症の非限定的な例には、フォン・ヴィレブランド病、血小板無力症(Glanzmann disease)、ウィスコット・アルドリッチ症候群、チェディアック・ヒガシ症候群、ベルナール・スーリエ症候群、灰色血小板症候群、ハーマンスキー・パドラック症候群、チェディアック・ヒガシ症候群、スコット症候群、ウィスコット・アルドリッチ症候群、X連鎖血小板減少症、CAMT、血小板減少-橈骨欠損症候群、ベロカーディオフェイシャル症候群(Velocardialfacial syndrome)、地中海性巨大血小板性血小板減少症、メイ・へグリン異常症、フェクトナー症候群、セバスチャン症候群、エプスタイン症候群およびD’Andrea et al, Blood Transfus. 2009 Oct; 7(4): 278-292(その内容は全ての目的のためにその全体が参照として本明細書に組み込まれる)に記載された疾患のいずれかを含む。
【0080】
ある実施態様においては、血小板機能異常症は、後天性の血小板機能異常症である。ある実施態様においては、後天性の血小板機能異常症は、少なくとも一つの抗凝血薬の対象への投与と関連付けられ、その投与により促進され、またはその投与により引き起こされる。ある実施態様においては、少なくとも一つの抗凝血薬は、少なくとも一つの抗血小板薬である。抗血小板薬の非限定的な例には、アスピリン、クロピドグレル、プラスグレル、チカグレロル、ジピリダモール、トリフルサル、カングレロル、チクロピジン、シロスタゾール、ボラパクサール、アブシキシマブ、エプチフィバチド、チロフィバン、エポプロステノール、トロンボキサン合成阻害剤、テルトロバンなどのトロンボキサン受容体アンタゴニスト、およびチクロピジンを含む。
【0081】
ある実施態様においては、少なくとも一つの抗血小板薬は、非ステロイド系抗炎症薬である。ある実施態様においては、非ステロイド系抗炎症薬の非限定的な例には、アスピリン(アセチルサリチル酸)、ジフルニサル(ドロビッド)、サリチル酸およびその塩、サルサレート(ジサルシド)などのサリチル酸塩;イブプロフェン、デキシブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、デクスケトプロフェン、フルルビプロフェン、オキサプロジン、ロクソプロフェンなどのプロピオン酸誘導体;インドメタシン、トルメチン、スリンダク、エトドラク、ケトロラク、ジクロフェナク、アセクロフェナク、ナブメトンなどの酢酸誘導体;メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、トルフェナム酸などのアントラニル酸誘導体(フェナメート);セレコキシブ、パレコキシブ、ルミラコキシブ、エトリコキシブ、フィロコキシブなどの選択的COX-2阻害剤(コキシブ);ニメスリドなどのスルホンアニリド;クロニクシン、リコフェロン、H-ハルパギドおよびデビルズクローなどのその他の薬物を含む。
【0082】
ある実施態様においては、少なくとも一つの抗凝血薬は、少なくとも一つの抗凝固剤である。抗凝固剤の非限定的な例には、ワルファリン、アセノクマロール、フェンプロクモン、アトロメンチンおよびフェニンジオンなどのクマリン;低分子量ヘパリンなどのヘパリンおよび誘導体;フォンダパリヌクス、イドラパリヌクス、およびイドラビオタパリヌクスなどのXa因子の合成五糖類阻害剤;ダビガトラン、リヴァロキサバン、アピキサバン、エドキサバンおよびベトリキサバンなどの直接作用経口抗凝固剤;ヒルジン、レピルジン、ビヴァリルジン、アルガトロバンおよびダビガトランなどの直接トロンビン阻害剤;エノキサパリン、バトロクソビン、ヘメンチンおよびビタミンEなどの抗トロンビンタンパク質治療薬を含む。したがって、ある実施態様においては、血小板機能異常症の対象は、抗凝固剤を投与されたことがある、または投与されている。ある実施態様においては、血小板機能異常症の対象は、抗凝固剤の投与を必要とする症状を患っていてもよい。抗凝固剤は、抗凝固剤により治療または軽減されることが本技術分野において公知であるいずれかの症状のために投与されてもよい。一つまたは複数の抗凝固剤が対象に投与される症状の非限定的な例には、整形外科的処置、および胸部手術(thoracic procedure)を含む。
【0083】
ある実施態様においては、血小板機能異常症の対象は、抗凝血薬の抗血小板効果を増加させる少なくとも一つの医薬と組み合わせて抗凝血薬を投与されたことがある、または投与されている。抗凝血薬の抗血小板効果を増加させる医薬の非限定的な例には、細胞毒性薬または骨髄抑制と関連した薬物(例えば、レフルナミド、ヒドロクロロキン、アダリムマブ、インフリキシマブ、エタネルセプト、スルファサラジン、ペニシラミン、金、メトトレキサート、アザチオプリン、ミコフェノレート);他の抗凝固剤または抗血小板薬;および神経系に影響を及ぼす薬物(例えば、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI))を含む。
【0084】
ある実施態様においては、血小板機能異常症は、肝硬変、多発性骨髄腫、腎疾患、全身性エリテマトーデス、分泌およびトロンボキサン合成障害、または尿毒症と関係付けられ、それらにより促進され、またはそれらから生じる。ある実施態様においては、血小板機能異常症は、心肺バイパス手術と関連付けられ、それにより促進され、またはそれから生じる。したがって、ある実施態様においては、対象は、以前に心肺バイパス手術を受けたことがある。
【0085】
ある実施態様においては、血小板機能異常症、および/またはその結果生じる抗凝血は、化学療法薬の投与、脊髄異形成障害、および/または肝臓疾患と関係付けられ、それらにより促進され、またはそれらから生じる。したがって、ある実施態様においては、血小板機能異常症の対象は、化学療法薬を投与されたことがあるか、または投与されている。ある実施態様においては、血小板機能異常症を患う対象は、一つまたは複数の脊髄異形成障害および/または一つまたは複数の肝臓疾患を有する。肝臓疾患の非限定的な例には、A型肝炎、B型肝炎およびC型肝炎などのウイルスにより引き起こされる疾患;脂肪肝および肝硬変などの薬物、毒、またはアルコールの過剰摂取により引き起こされる疾患;肝臓がん;およびヘモクロマトーシスおよびウィルソン病などの先天性疾患を含む。
【0086】
ある実施態様においては、(メロキシカムの投与前に)血小板機能異常症の対象から単離される血液の凝固時間は、血小板機能異常症でない以外のその他の条件は同様の対象から単離される血液の凝固時間よりも延長されている。ある実施態様においては、(メロキシカムの投与前に)血小板機能異常症の対象から単離される血液の凝固時間は、血小板機能異常症でない以外のその他の条件は同様の対象から単離される血液の凝固時間と比較して約1%~約1000%(その間にあるすべての値およびサブ範囲を含む)延長されている。ある実施態様においては、(メロキシカムの投与前に)血小板機能異常症の対象から単離される血液の凝固時間は、血小板機能異常症でない以外のその他の条件は同様の対象から単離される血液の凝固時間と比較して約1%、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約200%、約300%、約400%、約500%、約600%、約700%、約800%、約900%、または約1000%延長されている。
【0087】
ある実施態様においては、(メロキシカムの投与前に)血小板機能異常症の対象から単離される血小板の閉塞時間は、血小板機能異常症でない以外のその他の条件は同様の対象から単離される血小板の閉塞時間よりも延長されている。ある実施態様においては、(メロキシカムの投与前に)血小板機能異常症の対象から単離される血小板の閉塞時間は、血小板機能異常症でない以外のその他の条件は同様の対象から単離される血小板の閉塞時間と比較して約1%~約1000%(その間にあるすべての値およびサブ範囲を含む)延長されている。ある実施態様においては、(メロキシカムの投与前に)血小板機能異常症の対象から単離される血小板の閉塞時間は、血小板機能異常症でない以外のその他の条件は同様の対象から単離される血小板の閉塞時間と比較して約1%、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約200%、約300%、約400%、約500%、約600%、約700%、約800%、約900%、または約1000%延長されている。
【0088】
ある実施態様においては、メロキシカムの投与は、対象の血小板機能異常症を悪化させるものではない。例えば、ある実施態様においては、メロキシカムの投与後に対象から単離される血小板の閉塞時間は、メロキシカムの投与前に対象から単離される血小板の閉塞時間に匹敵する。ある実施態様においては、メロキシカムの投与後に対象から単離される血液の凝固時間は、メロキシカムの投与前に対象から単離される血液の凝固時間に匹敵する。
【0089】
ある実施態様においては、メロキシカムの投与後に第一の対象から単離される血小板の閉塞時間は、血小板機能異常症でありかつメロキシカムを投与されていない第二の対象から単離される血小板の閉塞時間に匹敵する。ある実施態様においては、メロキシカムの投与後に第一の対象から単離される血液の凝固時間は、血小板機能異常症でありかつメロキシカムを投与されていない第二の対象から単離される血液の凝固時間に匹敵する。
【0090】
ある実施態様においては、メロキシカムの投与後に血小板機能異常症の第一の対象から単離される血小板の閉塞時間は、血小板機能異常症でありかつケトロラクを投与されている第二の対象から単離される血小板の閉塞時間よりも短い。ある実施態様においては、メロキシカムの投与後に血小板機能異常症の第一の対象から単離される血小板の閉塞時間は、血小板機能異常症でありかつ15mg/mLのケトロラクを投与されている第二の対象から単離される血小板の閉塞時間よりも少なくとも約10%~約100%短い。ある実施態様においては、メロキシカムの投与後に第一の対象から単離される血小板の閉塞時間は、血小板機能異常症でありかつケトロラクを投与されている第二の対象から単離される血小板の閉塞時間よりも少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、または約100%(それらの間にあるすべての値およびサブ範囲を含む)約40%~約50%短い。血小板機能異常においてメロキシカムとケトロラクを比較する方法は、実施例において説明される。
【0091】
第二の対象に投与されるケトロラクの濃度は、限定されるものではないが、約1mg/mL~約50mg/mLの範囲であってよく、例えば、約1mg/mL、約2.5mg/mL、約5mg/mL、約7.5mg/mL、約10mg/mL、約12.5mg/mL、約15mg/mL、約20mg/mL、約30mg/mL、約40mg/mL、または約50mg/mL(それらの間にあるすべての値およびサブ範囲を含む)であってもよい。
【0092】
ある実施態様においては、メロキシカムの投与後に第一の対象から単離される血小板の閉塞時間は、血小板機能異常症でありかつケトロラクを投与されている第二の対象から単離される血小板の閉塞時間よりも約40%~約50%、例えば、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%(それらの間にあるすべての値およびサブ範囲を含む)短い。ある実施態様においては、30mg/mLのメロキシカムの投与後に第一の対象から単離される血小板の閉塞時間は、血小板機能異常症でありかつ15mg/mLのケトロラクを投与されている第二の対象から単離される血小板の閉塞時間よりも約40%~約45%の範囲、例えば、約41%、約42%、約43、約44%、約45%(それらの間にあるすべての値およびサブ範囲を含む)短い。ある実施態様においては、30mg/mLのメロキシカムの投与後に第一の対象から単離される血小板の閉塞時間は、血小板機能異常症でありかつ15mg/mLのケトロラクを投与されている第二の対象から単離される血小板の閉塞時間よりも約44%短い。
【0093】
ある実施態様においては、メロキシカムの投与後に血小板機能異常症の第一の対象から単離される血液の凝固時間は、血小板機能異常症でありかつケトロラクを投与されている第二の対象から単離される血液の凝固時間よりも短い。ある実施態様においては、メロキシカムの投与後に血小板機能異常症の第一の対象から単離される血液の凝固時間は、血小板機能異常症でありかつケトロラクを投与されている第二の対象から単離される血液の凝固時間よりも少なくとも約5%~約100%(それらの間にあるすべての値およびサブ範囲を含む)短い。ある実施態様においては、メロキシカムの投与後に第一の対象から単離される血液の凝固時間は、血小板機能異常症でありかつケトロラクを投与されている第二の対象から単離される血液の凝固時間よりも少なくとも約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、または約100%(それらの間にあるすべての値およびサブ範囲を含む)短い。
【実施例
【0094】
実施例1:血小板機能に対するメロキシカムIVの効果の評価
序:
非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)は、痛みを予防または治療ための防御の最前線として世界保健機構(WHO)疼痛ラダーの欠くことのできない部分である。いかなる理論に縛られることなく、外科的状況におけるNSAID使用の懸念事項は、シクロオキシゲナーゼ(COX)活性およびプロスタグランジン生合成の阻害により生じ、結果として血小板接着の損失を生じる術前または術後出血の副作用のリスクである。したがって、血小板機能異常症および出血イベントに関する高いリスクは、非選択的NSAIDによりシクロオキシゲナーゼ(COX-1)の阻害から生じるトロンボキサンの減少と関連付けられる。出血イベントの低いリスクがCOX-2選択的NSAIDの使用と共に観察されるが、高COX-2選択的NSAIDは、COX-1選択的薬剤と比較して心臓血管イベント(例えば、血栓症、心筋梗塞)のリスクの増加と関連付けられる。メロキシカム、すなわち長時間作用するNSAIDは、非選択的NSAIDと比較して、排他的ではないが、より優先してCOX-2の阻害、およびより好ましい消化管副作用イベントプロファイルを有する。経口メロキシカムは、慢性の痛み(例えば、リウマチ性関節炎、変形性関節炎)の治療における有効性を証明している。しかしながら、経口メロキシカムは、主に溶解性に乏しくかつゆっくりとした吸収のため、急性の痛みの治療には適応されていない。ピーク濃度は、15mg用量の経口投与後2.5~7時間であり、30mg用量の投与後で9~11時間であり、作用の発現の遅延を生じる。
【0095】
本明細書において説明される静脈内メロキシカム(メロキシカムIV)は、単独で、または他の鎮痛剤と組み合わせて、中程度から重度の痛みの管理のために使用することのできるメロキシカムのナノ結晶処方を利用する。メロキシカムIVは、硬組織または軟組織外科手術の後の中程度から重度の痛みを有する対象における四つのフェーズ2および三つのフェーズ3術後試験において評価された(Christensen et al, J Clin Pharmacol. 2018;58(5):593-605; Gottlieb IJ et al. J Pain Res. 2018;11:383-393; Pollak R, et al., Clin J Pain. 2018;34(10):918-926; Bergese S et al., Postgrad Med. 2017;129(suppl 1):57-58; Rechberger T et al., Anesth Analg. 2018;128(6):1309-1318; and Singla N et al., Plast Reconstr Surg Glob Open. 2018;6(6):e1846参照(各々の内容は全ての目的のためにその全体が参照として本明細書に組み込まれる))。
【0096】
この試験の目的は、メロキシカムIVが、健常な対象由来の全血試料のエクソ ビボ分析により評価される場合、陰性(未処理)および陽性(ケトロラク処理)対照と比較して血小板機能に影響を及ぼすかどうかを決定することである。各全血試料は、コラーゲンとエピネフリン(CEPI)およびコラーゲンとアデノシン二リン酸(CADP)の両試薬カートリッジを用い、陰性対照(未処理)、陽性対照(2治療量のケトロラク濃度)、およびメロキシカムIV(1治療量の濃度、3治療量を超えた濃度)についてPFA-100を用いて分析できるよう分注された。PFA-100装置は、脈管損傷後の血小板接着および凝集を刺激することにより閉塞時間を決定する。最終的な分析セットは、8人の健常な対象由来のデータを含んでいた。
【0097】
方法:
試験設計:これはアメリカ合衆国における単一の施設で行ったエクソ ビボ試験であった。この試験は、臨床試験を管理する米国食品医薬品局の規制、連邦規則第21条第50、54、56および312章;国際調和委員会-医薬品の臨床試験に関する基準のガイドライン;および該当する他の規制にしたがい実施された。この試験は、試験施設の施設内治験審査委員会(ミッドランズの独立した審査委員会、オーバーランドパーク、カンザス州)によって審査および承認され、すべての対象は書面によるインフォームドコンセントを提供された。
【0098】
重要な適格基準:非タバコ使用者である(すなわち、使用したことがないか、またはスクリーニング受診の少なくとも6ヶ月前に使用を中止した)健康な男性または女性(18~40歳)が登録の資格を有した。対象は、スクリーニング時の採血の前14日以内に医薬品(処方薬または市販薬)またはサプリメント(例えばビタミンなど)を服用した場合;ホルモン避妊薬を使用していて妊娠の可能性のある女性である場合;または5年以内に貧血または血小板減少症、アルコール乱用(つまり、1日あたり4単位を超えるアルコールを定期的に飲む)、または処方薬/違法薬物乱用の病歴がある場合は除外された。対象は、スクリーニング前の30日以内に治験薬を投与されたり、以前の臨床試験でメロキシカムIVを投与されることは許されなかった。
【0099】
試験材料の製造、採血、および試料処理:メロキシカムIV 30mg/mL製剤(レクロファーマ社、マルヴァーン、ペンシルバニア州;バッチNo.30004)およびケトロラク注射15mg/mL(レッドロックファーマシー社、ソルトレークシティー、ユタ州;バッチNo.67-031-DK)を5%デキストロース水で試験使用の前2時間以内に希釈した。最終溶液濃度は、メロキシカムIV0.33μg/μLおよびケトロラク0.1667μg/μLであった(表1)。
【0100】
【表1】
【0101】
試験対象(n=13)は、3.2%(0.105M)の緩衝クエン酸ナトリウム(血液9部に対して抗凝固剤1部)を含むチューブに収集された約20mLの全血を有していた。各血液試料は、未処理分析(陰性対照)、およびケトロラクで処理される試料(陽性対照)およびメロキシカムIVで処理される試料の分析のために分注された。メロキシカムIV 0.33μg/μLを全血アリコートに加え、最終濃度を5、10、15、および20μg/mLとした。これは、予想される治療用量である30mg用量(すなわち、5μg/mL)後のおおよその最大血漿濃度(Cmax)を反映した一つの試料、および予想される治療用量の投与を超える濃度の三つの試料を生じるように設計された。同様に、ケトロラク0.1667μg/μLを全血アリコートに加え、最終濃度を2.5μg/mLおよび5μg/mLとし、それぞれ15mgおよび30mgのIVケトロラク用量後のピーク濃度を模倣するように設計された。
【0102】
血小板機能の評価:血小板機能は、PFA-100血小板機能分析器(シーメンス ヘルスケア ダイアグノスティクス社(Siemens Healthcare Diagnostics)、ディアフィールド、イリノイ州)を使用して評価した。PFA-100システムは、米国食品医薬品局によって承認されており、血管を通る流れと同様に、高せん断を生成する流れ条件下での薬物誘発性血小板異常を特定する。血小板接着に対する薬物の効果を測定するためのこの装置の使用は、十分に確認されている。PFA-100装置は、血管損傷後に発生する血小板の接着および凝集をシミュレートすることにより、試料の閉塞時間を決定する。分析は、コラーゲンおよびエピネフリン(CEPI)とコラーゲンおよびアデノシン二リン酸(CADP)との両試薬カートリッジを使用して実行された。各全血試料を、CADPおよびCEPIの両カートリッジを用いて、陰性対照(未処理)、陽性対照(2ケトロラク濃度)、およびメロキシカムIV(4濃度)で分析できるように分注した。全血アリコートを試験条件にしたがって処理し、PFA-100で分析する前に約10分間インキュベートした。すべての血液試料は、採取時から2.5時間以内に分析されました。PFA-100の閉塞時間の結果は、各試験条件および試薬カートリッジについて報告された。試験結果は、元の結果の20%以内の分散の許容基準で、各対象内の単一の繰り返し試料分析に基づいて品質管理のために評価されました。この範囲外の試料は、一次分析から除外された。
【0103】
統計分析:分散分析(ANOVA)を用いて、CTに対する治療効果を分析した。PFA-100を用いた閉塞時間に対する治療効果は、治療の主な効果および性別の共変量を有する共分散モデル分析で分析され、共変量(治療、性別、治療と性別との相互作用)に対する調整あり(すなわち、完全モデル)、またはなし(すなわち、縮小モデル)で治療効果を評価した。治療効果は2回分析され:最初の分析(一次分析)は品質管理基準を満たさない試料を除外し(n=8)、2番目の分析(確認分析)はすべての試料を含めた(n=12;1人の被験者は装置故障により除外した)。一対比較が実行され;正規P値が多重度を調整することなく報告された。性別によるサブグループ分析も実施された。すべての分析は、試薬ごとに個別に実行された。
【0104】
結果:
全血試料は、PFA-100を用いて13人の対象(男性7人、女性6人)から分析された。最終分析セットには、5人の対象試料を除いて、8人の対象試料からのデータを含めた。除外の理由は、装置故障が1人あり、品質管理試料の範囲外という結果が4人であった。
【0105】
CADP試薬分析:コラーゲンおよびアデノシン二リン酸(CADP)試薬カートリッジを用いる試料分析は、CTに対する有意な全体的な治療効果を示さなかった(p=0.5715)。メロキシカムIVまたはケトロラクで処理した試料のいずれかと未処理の対照試料との間で、閉塞時間の値に統計的に有意な差はなかった(表2)。
【0106】
【表2】
【0107】
ケトロラク2.5および5μg/mL試料およびメロキシカムIV 5、10、15、および20μg/mL試料の平均閉塞時間(標準誤差)は、未処理対照の74.54(5.31)秒と比較して、それぞれ79.41(5.31)、87.95(5.66)、75.41(5.31)、74.91(5.31)、76.66(5.31)、および74.91(5.31)秒であった。メロキシカムIV処理試料(すなわち、5、10、15、または20μg/mL)のいずれかとケトロラク処理試料のいずれかとの間、または2つのケトロラク処理試料の間で、閉塞時間に統計的に有意な差はなかった。用量反応分析は、メロキシカムIVの用量の増加に伴う閉塞時間の変化の傾向を示さなかった(図1A)。ケトロラクまたはメロキシカムIV濃度のいずれについても、CADP試薬分析での閉塞時間について男性と女性との間に有意差はなかった(図2A)。結果は、ケトロラク5μg/mL試料の閉塞時間が、未処理対照試料(P=.0162)とおよびメロキシカムIV 10μg/mL試料(P=.0253)と比較して有意に長かったことを除いて、12人の対象すべてからの試料(装置故障による1つの試料を除く)を含めた場合、確認分析において概ね同様であった(表3)。
【0108】
【表3】
【0109】
CEPI試薬カートリッジ分析:コラーゲンおよびエピネフリン(CEPI)試薬分析において、CTの変化に対して有意な治療効果が観察された(p=0.0441)。未処理対照と比較した場合、ケトロラクで処理したCT値は、CEPI試薬を用いる2.5μg/mL(p=0.0003)および5μg/mL(p=0.0257)の両方の濃度で有意に延長された。メロキシカムIV処理試料では、CEPI試薬を使用して評価された濃度のいずれにおいても、未処理対照に対してCTに有意差は観察されなかった(5、10、15、および20μg/mLの濃度でそれぞれp=0.6252、0.8406、0.5580、および0.5400)。メロキシカムIVのCTの結果をケトロラクIVの結果と比較すると、すべてのメロキシカムIV濃度のCTは2.5μg/mLのケトロラク濃度と比較して有意に短く(p<0.005)、数値的に短いCTが5μg/mLケトロラク濃度と比較して観察された(10μg/mLメロキシカムIV濃度でのみ統計的に有意であった)(p=0.0408~0.0974)(表4)。
【0110】
【表4】
【0111】
用量反応分析は、メロキシカムIVの用量の増加に伴う閉塞時間の増加の小さな傾向を観察した(図1B)。しかしながら、メロキシカムIV処理での閉塞時間の値のいずれかの間に統計的な有意差はなかった。また、CEPI試薬分析では、平均閉塞時間がメロキシカム15μg/mL濃度において女性よりも男性の方が有意に長かった(89.9 vs 69.8秒;P=.0180)ことを除いて、ケトロラクまたはメロキシカムの閉塞時間について男性と女性の間に有意差はなかった(図2B)。
【0112】
全体的な結果は、12人の対象すべてからの試料(装置故障による1つの試料を除く)を含めた場合、確認分析において概ね同様であった。両方のケトロラク試料(2.5および5μg/mL濃度)は、未処理対照と比較して統計的に有意に長い閉塞時間を示した。メロキシカムIV試料(5、10、15、および20μg/mL濃度)全体で、未処理対照と比較して統計的に有意な閉塞時間の増加に関連するものはなかった(表5)。
【0113】
【表5】
【0114】
結論:
表6は、COX-2の活性の80%を阻害したNSAID濃度(IC80)のCOX-1のIC80に対する比によって表される一般的なNSAIDのCOX選択性をまとめている。薬剤は、COX-1に対して比較的選択的であるもの(例えば、ケトロラク)から、COX-2に対してより選択的であるもの(例えば、メロキシカム、セレコキシブ)までに及ぶ。理論に縛られることなく、血小板に対するこれらの異なる効果は臨床的に重要であると考えられており、非選択的NSAIDは、トロンボキサンA2を阻害しないCOX-2選択的NSAIDと比較して、血小板機能および出血時間に対するより大きな効果と関連している。
【0115】
【表6】
【0116】
現在の試験において、CADPまたはCEPIアッセイのいずれかによって評価された場合、未処理対照と比較して、治療レベルを反映する濃度または治療を超える投与レベルの濃度のいずれかで、メロキシカムIV処理全血試料において閉塞時間の有意な延長はなかった。対照的に、治療濃度のケトロラクで処理された全血試料は、CEPI分析において、未処理対照と比較して、閉塞時間の有意な延長を示した。いくつかの薬物濃度でのCEPI分析では、メロキシカムとケトロラクとの間に有意差があった。CADPおよびCEPI分析における異なる効果は、2つのアッセイの理論的根拠と一致している。CADPカートリッジは主に、アスピリン効果に対する低い感受性で血小板病症の影響を受けるが、CEPIカートリッジは、アスピリン誘発性血小板異常に対する高い感受性を有する。全体として、これらのデータは、メロキシカムIVの血小板機能障害関連イベントのリスクがケトロラクよりも低いことを示唆している。
【0117】
ケトロラクが血小板機能に有意な効果を与えることを示している結果は、先の試験と一致している。健常ボランティアを対象としたいくつかの試験では、治療用量のケトロラク(0.4mg/kg)により、エピネフリン、アデノシン、およびコラーゲンによって誘発される血小板凝集が有意に抑制され、そしてまた、出血時間も延長された。さらに、外科的処置を受けている対象の血小板機能に対するケトロラクの効果を評価する試験では、すべてではないがいくつかの試験で、静脈内ケトロラクが血小板凝集の阻害および出血時間の延長に関連していることがわかった。
【0118】
この試験では、元の結果の20%以内の分散の許容基準で、品質管理を評価するために、各対象からの単一の反復試料分析が実施された。4人の対象は、各対象についての反復試料分析が元の結果から20%を超える分散を有していたため、CADPおよびCEPI分析から除外された。12人の対象すべてからの試料が含まれている場合、全体的な結果は、CADPカートリッジとCEPIカートリッジの両方の確認分析で概ね同様であった。
【0119】
要約すると、未処理対照と比較して、治療を反映する濃度および治療を超える投与の濃度でメロキシカムIV処理された全血試料において、CTの有意な延長は観察されなかった。対照的に、CTの有意な延長は、対照と比較してケトロラク処理試料で観察された。これらの結果は、血小板機能異常症のリスクの低下に関して、ケトロラクに対するメロキシカムIVの潜在的な臨床的利益を示唆している。これらの試験は、血小板機能異常症の対象へのメロキシカムの投与が、その対象の血小板機能異常症を悪化させないことを示唆している。したがって、本明細書に開示される方法に従って、血小板機能異常症の対象への疼痛を治療するためのメロキシカムの投与は、標準治療の疼痛治療薬の投与よりも優れた予期せぬ利点を提供する。
図1
図2
【国際調査報告】