(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(54)【発明の名称】ダイクロイックビームスプリッタカラーコンバイナを有する光学デバイスおよび光学システム
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20220107BHJP
G02B 5/04 20060101ALI20220107BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B5/04 A
G02B5/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021524258
(86)(22)【出願日】2019-11-07
(85)【翻訳文提出日】2021-05-06
(86)【国際出願番号】 IB2019059579
(87)【国際公開番号】W WO2020095245
(87)【国際公開日】2020-05-14
(32)【優先日】2018-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518105275
【氏名又は名称】ルーマス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Lumus Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】エイタン・ロネン
(72)【発明者】
【氏名】モトケ・ギロ
【テーマコード(参考)】
2H042
2H149
2H199
【Fターム(参考)】
2H042CA10
2H042CA12
2H042CA14
2H042CA17
2H149BA04
2H149BA27
2H199CA23
2H199CA24
2H199CA30
2H199CA48
2H199CA63
2H199CA64
2H199CA65
2H199CA69
(57)【要約】
第1のダイクロイックビームスプリッタが、光波入口表面に対して傾斜した平面上で第1のプリズム中に配備されている。第2のダイクロイックビームスプリッタが、第1のダイクロイックビームスプリッタに対する第1の偏光状態の偏光光が、第2のダイクロイックビームスプリッタに対する第2の偏光状態にあるように、光波入口表面に対して傾斜した平面上で第2のプリズム中に配備されている。第1のダイクロイックビームスプリッタは、第1のダイクロイックビームスプリッタに対する第1の偏光状態の第1の色の偏光光を透過させ、第1のダイクロイックビームスプリッタに対する第1の偏光状態の第2の色の偏光光を反射する。第2のダイクロイックビームスプリッタは、第2のダイクロイックビームスプリッタに対する第2の偏光状態の第1の色および第2の色の偏光光を透過させ、第2のダイクロイックビームスプリッタに対する第1の偏光状態の第3の色の偏光光を反射する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学デバイスであって、
第1のプリズムであって、
第1の光波入口表面、第2の光波入口表面、および光波出口表面、ならびに
前記光波入口表面のうちの少なくとも1つに対して傾斜した平面上で前記第1のプリズム内に配備された第1のダイクロイックビームスプリッタ構成を含む、第1のプリズムと、
第2のプリズムであって、
第1の光波入口表面、および前記第1のプリズムの前記光波出口表面と関連付けられた第2の光波入口表面、ならびに
前記第2のプリズムの前記光波入口表面のうちの少なくとも1つに対して傾斜した平面上で前記第2のプリズム内に配備された第2のダイクロイックビームスプリッタ構成であって、前記第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する第1の偏光状態の光が、前記第2のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する第2の偏光状態にあるような、第2のダイクロイックビームスプリッタ構成を含む、第2のプリズムと、を備え、前記第1のダイクロイックビームスプリッタ構成が、前記第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する前記第1の偏光状態に偏光された第1の色の波長の光を透過させ、かつ前記第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する前記第1の偏光状態に偏光された第2の色の波長の光を反射し、前記第2のダイクロイックビームスプリッタ構成が、前記第2のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する前記第2の偏光状態に偏光された前記第1の色の波長の光と第2の色の波長の光とを透過させ、かつ前記第2のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する前記第1の偏光状態に偏光された第3の色の波長の光を反射する、光学デバイス。
【請求項2】
前記第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する前記第1の偏光状態の前記第1の色の光を生成する、前記第1のプリズムの前記第1の光波入口表面と関連付けられた第1の偏光光源と、
前記第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する前記第1の偏光状態の前記第2の色の光を生成する、前記第1のプリズムの前記第2の光波入口表面と関連付けられた第2の偏光光源と、
前記第2のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する前記第1の偏光状態の前記第3の色の光を生成する、前記第2のプリズムの前記第1の光波入口表面と関連付けられた第3の偏光光源と、をさらに備える、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項3】
前記第1の偏光光源および前記第2の偏光光源によって生成された光が、前記第2のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する前記第2の偏光状態で前記第2のプリズムの光波出口表面に到達し、前記第3の偏光光源によって生成された光が、前記第2のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する前記第1の偏光状態で前記第2のプリズムの前記光波出口表面に到達する、請求項2に記載の光学デバイス。
【請求項4】
前記第1の偏光光源および前記第2の偏光光源によって生成された光と、前記第3の偏光光源によって生成された光と、が非コリメート光として、それぞれ、前記第1のプリズムおよび前記第2のプリズムに入る、請求項2に記載の光学デバイス。
【請求項5】
前記第1の偏光光源が、前記第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関してs偏光した赤色光を生成するように構成されており、前記第2の偏光光源が、前記第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関してs偏光した青色光を生成するように構成されており、前記第3の偏光光源が、前記第2のダイクロイックビームスプリッタ構成に関してs偏光した緑色光を生成するように構成されている、請求項2に記載の光学デバイス。
【請求項6】
前記第1の偏光光源が、前記第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関してs偏光した赤色光を生成するように構成されており、前記第2の偏光光源が、前記第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関してs偏光した緑色光を生成するように構成されており、前記第3の偏光光源が、前記第2のダイクロイックビームスプリッタ構成に関してs偏光した青色光を生成するように構成されている、請求項2に記載の光学デバイス。
【請求項7】
前記第1の偏光光源が、前記第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関してs偏光した緑色光を生成するように構成されており、前記第2の偏光光源が、前記第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関してs偏光した青色光を生成するように構成されており、前記第3の偏光光源が、前記第2のダイクロイックビームスプリッタ構成に関してs偏光した赤色光を生成するように構成されている、請求項2に記載の光学デバイス。
【請求項8】
前記偏光光源が、発光ダイオードを含む、請求項2に記載の光学デバイス。
【請求項9】
前記偏光光源が、レーザを含む、請求項2に記載の光学デバイス。
【請求項10】
前記第2のプリズムの光波出口表面と関連付けられたクロマティックリターダであって、前記クロマティックリターダが、前記第1の偏光光源および前記第2の偏光光源からの光の偏光状態を、前記第2のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する前記第2の偏光状態から前記第1の偏光状態に変化させるように配向されている、クロマティックリターダをさらに備える、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項11】
前記第2のプリズムの光波出口表面からの光出力によって照明されることに応答して偏光光を生成する反射型ディスプレイデバイスをさらに備える、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項12】
互いに平行な少なくとも2つの主表面を有する導光基板をさらに備え、前記反射型ディスプレイデバイスによって生成された光が、前記導光基板に結合される、請求項11に記載の光学デバイス。
【請求項13】
前記反射型ディスプレイデバイスが、液晶オンシリコンディスプレイを含む、請求項11に記載の光学デバイス。
【請求項14】
前記第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する前記第1の偏光状態が、s偏光である、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項15】
前記第1のプリズムの前記光波入口表面が、互いに直交している、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項16】
前記第2のプリズムの前記光波入口表面が、互いに直交している、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項17】
前記第2のプリズムが、前記第1のプリズムの前記光波出口表面に平行な光波出口表面をさらに含む、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項18】
前記第1のプリズムおよび前記第2のプリズムが、前記第1のプリズムの前記光波出口表面および前記第2のプリズムの前記第2の光波入口表面で互いに光学結合されている、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項19】
前記光学結合が、光学セメントを含む、請求項18に記載の光学デバイス。
【請求項20】
前記光学結合が、機械的装置を含む、請求項18に記載の光学デバイス。
【請求項21】
前記第1のプリズムまたは前記第2のプリズムのうちの少なくとも1つが、正方立方体プリズムである、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項22】
光学デバイスであって、
第1のプリズムであって、
第1光波入口表面および第2の光波入口表面、ならびに
前記光波入口表面のうちの少なくとも1つに対して傾斜した平面上で前記第1のプリズム内に配備された第1のダイクロイックビームスプリッタ構成を含む、第1のプリズムと、
第2のプリズムであって、
光波入口表面、および
前記第2のプリズムの前記第1の光波入口表面に対して傾斜した平面上で前記第2のプリズム内に配備された第2のダイクロイックビームスプリッタ構成であって、前記第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する第1の偏光状態の光が、前記第2のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する第2の偏光状態にあるような第2のダイクロイックビームスプリッタ構成を含む、第2のプリズムと、
前記第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する第1の偏光状態の第1の色の光を生成する、前記第1のプリズムの前記第1の光波入口表面と関連付けられた第1の偏光光源と、
前記第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する前記第1の偏光状態の第2の色の光を生成する、前記第1のプリズムの前記第2の光波入口表面と関連付けられた第2の偏光光源と、
前記第2のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する前記第1の偏光状態の第3の色の光を生成する、前記第2のプリズムの前記第1の光波入口表面と関連付けられた第3の偏光光源と、を備え、
前記第1の偏光光源によって生成された光が、前記第1のダイクロイックビームスプリッタ構成によって透過され、かつ前記第2のダイクロイックビームスプリッタ構成によって透過され、前記第2の偏光光源によって生成された光が、前記第1のダイクロイックビームスプリッタ構成によって反射され、かつ前記第2のダイクロイックビームスプリッタ構成によって透過され、および前記第3の偏光光源によって生成された光が、前記第2のダイクロイックビームスプリッタ構成によって反射される、光学デバイス。
【請求項23】
前記第1の偏光光源および前記第2の偏光光源によって生成された光と、前記第3の偏光光源によって生成された光と、が非コリメート光として、それぞれ、前記第1のプリズムおよび前記第2のプリズムに入る、請求項22に記載の光学デバイス。
【請求項24】
光学デバイスであって、
プリズムアセンブリであって、
第1の外表面、第2の外表面、および第3の外表面であって、前記第1の外表面、前記第2の外表面、および前記第3の外表面が相互に直交し、前記第1の外表面の少なくとも一部分上に第1の光波入口表面が形成されており、前記第2の外表面の少なくとも一部分上に第2の光波入口表面が形成されており、および前記第3の外表面の少なくとも一部分上に第3の光波入口表面が形成されている、第1の外表面、第2の外表面、および第3の外表面、ならびに
前記第1の光波入口表面または前記第2の光波入口表面のうちの少なくとも1つに対して傾斜した平面上で前記プリズムアセンブリの第1の部分内に配備された第1のダイクロイックビームスプリッタ構成と、
前記第3の光波入口表面に対して傾斜した平面上で前記プリズムアセンブリの第2の部分内に配備された第2のダイクロイックビームスプリッタ構成であって、前記第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する第1の偏光状態の光が、前記第2のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する第2の偏光状態にあるような第2のダイクロイックビームスプリッタ構成と、を含むプリズムアセンブリと、
前記第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する第1の偏光状態の第1の色の光を生成する、前記第1の光波入口表面と関連付けられた第1の偏光光源と、
前記第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する前記第1の偏光状態にある第2の色の光を生成する、前記第2の光波入口表面と関連付けられた第2の偏光光源と、
前記第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する前記第1の偏光状態の第3の色の光を生成する、前記第3の光波入口表面と関連付けられた第3の偏光光源と、を備え、前記第1のダイクロイックビームスプリッタ構成が、前記第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する前記第1の偏光状態に偏光された前記第1の色の波長の光を透過させ、かつ前記第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する前記第1の偏光状態に偏光された前記第2の色の波長の光を反射するように、構成されており、
前記第2のダイクロイックビームスプリッタ構成が、前記第2のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する前記第2の偏光状態に偏光された前記第1の色または前記第2の色の波長の光を透過させ、かつ前記第2のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する前記第1の偏光状態に偏光された前記第3の色の波長の光を反射するように、構成されている、光学デバイス。
【請求項25】
前記第1の偏光光源、前記第2の偏光光源、および前記第3の偏光光源によって生成された光が、非コリメート光として前記プリズムアセンブリに入る、請求項24に記載の光学デバイス。
【請求項26】
光学デバイスであって、
第1のプリズムであって、
第1の光波入口表面、第2の光波入口表面、および光波出口表面、ならびに
前記光波入口表面のうちの少なくとも1つに対して傾斜した平面上で前記第1のプリズム内に配備された第1のダイクロイックビームスプリッタ構成を含む、第1のプリズムと、
第2のプリズムであって、
第1の光波入口表面、第2の光波入口表面、および光波出口表面、ならびに
第2のダイクロイックビームスプリッタ構成であって、前記第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する第1の偏光状態の光が、前記第2のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する第2の偏光状態にあるように、前記第2のプリズムの前記光波入口表面のうちの少なくとも1つに対して傾斜した平面上で前記第2のプリズム内に配備された第2のダイクロイックビームスプリッタ構成を含む、第2のプリズムと、
前記第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関してs偏光した赤色光を生成する第1の偏光光源と、
前記第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関してs偏光した青色光を生成する第2の偏光光源と、
前記第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関してs偏光した緑色光を生成する第3の偏光光源と、を備え、前記第1のダイクロイックビームスプリッタ構成が、前記偏光した赤色光を透過させ、かつ前記偏光した青色光を反射することにより、前記第1のプリズムの前記光波出口表面を通して、偏光した混合光を出力し、前記偏光した混合光が、前記偏光した赤色光と前記偏光した青色光との混合物であり、
前記第2のダイクロイックビームスプリッタ構成が、前記偏光した混合光を透過させ、かつ前記偏光した緑色光を反射することにより、前記第2のプリズムの前記光波出口表面を通して混合光を出力し、前記混合光が、前記偏光した赤色光と前記偏光した青色光と前記偏光した緑色光との混合物である、光学デバイス。
【請求項27】
前記第2のプリズムの前記光波出口表面と関連付けられたクロマティックリターダであって、前記クロマティックリターダが、前記混合光の前記偏光した赤色光および前記偏光した青色光の偏光状態を変化させるように配向された、クロマティックリターダをさらに備える、請求項26に記載の光学デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年11月8日に出願された米国仮特許出願第62/757,199号の優先権を主張し、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、光学デバイスおよび光学システムに関する。
【背景技術】
【0003】
ヘッドマウントディスプレイ(HMD)の分野ではコンパクトな光学デバイスが特に必要とされ、光学モジュールが、視認者の目への配信のために、画像生成と無限遠への画像のコリメーションとの機能を実行する。画像は、ディスプレイデバイスから、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、液晶オンシリコン(LCoS)、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、OLEDディスプレイ、走査源もしくは同様のデバイスなどの空間光変調器(SLM)から直接的に、またはリレーレンズもしくは光ファイババンドルを使用して間接的に、取得できる。画素の配列で構成された画像は、非シースルーアプリケーションおよびシースルーアプリケーションについて、それぞれ、コリメート配置によって無限遠に合焦され、通常、コンバイナとして機能する反射面または部分反射面によって、視認者の目に伝送される。通常、これらの目的には、従来の自由空間光学モジュールが、使用される。
【0004】
HMDおよびニアアイディスプレイ(NED)向けの特に有利なソリューションファミリーが、Lumus Ltd.(イスラエル)から市販されており、通常、ユーザの目に画像を配信するために、部分反射表面または他の適用可能な光学素子を有する導光基板(導波路)を採用している。
【0005】
ディスプレイデバイスとしてSLMを利用する特定の光学アーキテクチャ、特にLCoSまたはLCDを利用して画像画素を生成するものでは、ディスプレイデバイスのアクティブ領域は、画像画素を生成するために、異なる色の照明源から発生する構成色のビームで構成される複合色のビームからの照明を必要とする。カラーコンバイナの様々な光学アーキテクチャ概念が、提案されてきた。3つの照明源からの光を組み合わせるための1つの概念では、2つのダイクロイックミラーが配備され、ダイクロイックミラーの各々は、それぞれ特定の色の光を透過し、別の色の光を反射する。しかしながら、照明源からの光がコリメートしない場合SLMが良好な画像を投影できるように十分に高品質の複合カラービームを生成することは、達成困難であり、このことは、HMDおよびNEDで使用されるものなどコンパクトな光学デバイスおよび光学システムにおいてはよくあることである。
【0006】
3つの照明源からの光を組み合わせるための別の概念では、3つの照明源は、組み合わされた光を透過させるライトパイプの前に、通常は2×2のマトリックスで、最密充填配列で配備されている。しかしながら、色の均一性を達成するために、より長いライトパイプが必要であり、このことは、コンパクトな光学デバイスおよび光学システムにおいて問題となる。さらに、最密充填から生じる熱制限に起因して、照明源のエネルギーが、制限されなければならず、SLMによって生成される画像の明るさおよび強度に制限を課す。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、カラーコンバイナとして機能するように協調するそれぞれのプリズム中に2つのダイクロイックビームスプリッタが配備された光学デバイスである。
【0008】
本発明の一実施形態の教示によれば、光学デバイスが提供される。光学デバイスは、第1のプリズムであって、第1の光波入口表面、第2の光波入口表面、および光波出口表面、ならびに光波入口表面のうちの少なくとも1つに対して傾斜した平面上で第1のプリズム内に配備された第1のダイクロイックビームスプリッタ構成を含む、第1のプリズムと、第2のプリズムであって、第1の光波入口表面、および第1のプリズムの光波出口表面と関連付けられた第2の光波入口表面、ならびに第2のプリズムの光波入口表面のうちの少なくとも1つに対して傾斜した平面上で第2のプリズム内に配備された第2のダイクロイックビームスプリッタ構成であって、第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する第1の偏光状態の光が、第2のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する第2の偏光状態にあるような、第2のダイクロイックビームスプリッタ構成を含む、第2のプリズムと、を備え、第1のダイクロイックビームスプリッタ構成が、第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する第1の偏光状態に偏光された第1の色の波長の光を透過させ、かつ第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する第1の偏光状態に偏光された第2の色の波長の光を反射し、第2のダイクロイックビームスプリッタ構成が、第2のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する第2の偏光状態に偏光された第1の色の波長の光と第2の色の波長の光とを透過させ、かつ第2のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する第1の偏光状態に偏光された第3の色の波長の光を反射する。
【0009】
任意で、光学デバイスは、第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する第1の偏光状態の第1の色の光を生成する、第1のプリズムの第1の光波入口表面と関連付けられた第1の偏光光源と、第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する第1の偏光状態の第2の色の光を生成する、第1のプリズムの第2の光波入口表面と関連付けられた第2の偏光光源と、第2のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する第1の偏光状態の第3の色の光を生成する、第2のプリズムの第1の光波入口表面と関連付けられた第3の偏光光源と、をさらに備える。
【0010】
任意で、第1の偏光光源および第2の偏光光源によって生成された光が、第2のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する第2の偏光状態で第2のプリズムの光波出口表面に到達し、第3の偏光光源によって生成された光が、第2のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する第1の偏光状態で第2のプリズムの光波出口表面に到達する。
【0011】
任意で、第1の偏光光源および第2の偏光光源によって生成された光と、第3の偏光光源によって生成された光と、が非コリメート光として、それぞれ、第1のプリズムおよび第2のプリズムに入る。
【0012】
任意で、第1の偏光光源が、第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関してs偏光した赤色光を生成するように構成されており、第2の偏光光源が、第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関してs偏光した青色光を生成するように構成されており、第3の偏光光源が、第2のダイクロイックビームスプリッタ構成に関してs偏光した緑色光を生成するように構成されている。
【0013】
任意で、第1の偏光光源が、第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関してs偏光した赤色光を生成するように構成されており、第2の偏光光源が、第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関してs偏光した緑色光を生成するように構成されており、第3の偏光光源が、第2のダイクロイックビームスプリッタ構成に関してs偏光した青色光を生成するように構成されている。
【0014】
任意で、第1の偏光光源が、第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関してs偏光した緑色光を生成するように構成されており、第2の偏光光源が、第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関してs偏光した青色光を生成するように構成されており、第3の偏光光源が、第2のダイクロイックビームスプリッタ構成に関してs偏光した赤色光を生成するように構成されている。
【0015】
任意で、偏光光源が、発光ダイオードを含む。
【0016】
任意で、偏光光源が、レーザを含む。
【0017】
任意で、光学デバイスが、第2のプリズムの光波出口表面と関連付けられたクロマティックリターダであって、クロマティックリターダが、第1の偏光光源および第2の偏光光源からの光の偏光状態を、第2のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する第2の偏光状態から第1の偏光状態に変化させるように配向されている、クロマティックリターダをさらに備える。
【0018】
任意で、光学デバイスが、第2のプリズムの光波出口表面からの光出力によって照明されることに応答して偏光光を生成する反射型ディスプレイデバイスをさらに備える。
【0019】
任意で、光学デバイスが、互いに平行な少なくとも2つの主表面を有する導光基板をさらに備え、反射型ディスプレイデバイスによって生成された光が、導光基板に結合される。
【0020】
任意で、反射型ディスプレイデバイスが、液晶オンシリコンディスプレイを含む。
【0021】
任意で、第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する第1の偏光状態が、s偏光である。
【0022】
任意で、第1のプリズムの光波入口表面が、互いに直交している。
【0023】
任意で、第2のプリズムの光波入口表面が、互いに直交している。
【0024】
任意で、第2のプリズムが、第1のプリズムの光波出口表面に平行な光波出口表面をさらに含む。
【0025】
任意で、第1のプリズムおよび第2のプリズムが、第1のプリズムの光波出口表面および第2のプリズムの第2の光波入口表面で互いに光学結合されている。
【0026】
任意で、光学結合が、光セメントを含む。
【0027】
任意で、光学結合が、機械的装置を含む。
【0028】
任意で、第1のプリズムまたは第2のプリズムのうちの少なくとも1つが、正方立方体プリズムである。
【0029】
本発明の教示の一実施形態による光学デバイスも提供される。光学デバイスは、第1のプリズムであって、第1の光波入口表面および第2の光波入口表面、ならびに光波入口表面のうちの少なくとも1つに対して傾斜した平面上で第1のプリズム内に配備された第1のダイクロイックビームスプリッタ構成を含む、第1のプリズムと、第2のプリズムであって、光波入口表面、および第2のプリズムの第1の光波入口表面に対して傾斜した平面上で第2のプリズム内に配備された第2のダイクロイックビームスプリッタ構成であって、第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する第1の偏光状態の光が、第2のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する第2の偏光状態にあるような第2のダイクロイックビームスプリッタ構成を含む、第2のプリズムと、第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する第1の偏光状態の第1の色の光を生成する、第1のプリズムの第1の光波入口表面と関連付けられた第1の偏光光源と、第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する第1の偏光状態の第2の色の光を生成する、第1のプリズムの第2の光波入口表面と関連付けられた第2の偏光光源と、第2のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する第1の偏光状態の第3の色の光を生成する、第2のプリズムの第1の光波入口表面と関連付けられた第3の偏光光源と、を備え、
【0030】
第1の偏光光源によって生成された光が、第1のダイクロイックビームスプリッタ構成によって透過され、かつ第2のダイクロイックビームスプリッタ構成によって透過され、第2の偏光光源によって生成された光が、第1のダイクロイックビームスプリッタ構成によって反射され、かつ第2のダイクロイックビームスプリッタ構成によって透過され、および第3の偏光光源によって生成された光が、第2のダイクロイックビームスプリッタ構成によって反射される。
【0031】
任意で、第1の偏光光源および第2の偏光光源によって生成された光と、第3の偏光光源によって生成された光と、が非コリメート光として、それぞれ、第1のプリズムおよび第2のプリズムに入る。
【0032】
本発明の教示の一実施形態による光学デバイスも提供される。光学デバイスは、プリズムアセンブリであって、第1の外表面、第2の外表面、および第3の外表面であって、第1の外表面、第2の外表面、および第3の外表面が相互に直交し、第1の外表面の少なくとも一部分上に第1の光波入口表面が形成されており、第2の外表面の少なくとも一部分上に第2の光波入口表面が形成されており、および第3の外表面の少なくとも一部分上に第3の光波入口表面が形成されている、第1の外表面、第2の外表面、および第3の外表面、ならびに第1の光波入口表面または第2の光波入口表面のうちの少なくとも1つに対して傾斜した平面上でプリズムアセンブリの第1の部分内に配備された第1のダイクロイックビームスプリッタ構成と、第3の光波入口表面に対して傾斜した平面上でプリズムアセンブリの第2の部分内に配備された第2のダイクロイックビームスプリッタ構成であって、第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する第1の偏光状態の光が、第2のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する第2の偏光状態にあるような第2のダイクロイックビームスプリッタ構成と、を含むプリズムアセンブリと、第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する第1の偏光状態にある第1の色の光を生成する、第1の光波入口表面と関連付けられた第1の偏光光源と、第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する第1の偏光状態にある第2の色の光を生成する、第2の光波入口表面と関連付けられた第2の偏光光源と、第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する第1の偏光状態にある第3の色の光を生成する、第3の光波入口表面と関連付けられた第3の偏光光源と、を備え、第1のダイクロイックビームスプリッタ構成が、第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する第1の偏光状態に偏光された第1の色の波長の光を透過させ、かつ第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する第1の偏光状態に偏光された第2の色の波長の光を反射するように、構成されており、第2のダイクロイックビームスプリッタ構成が、第2のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する第2の偏光状態に偏光された第1の色または第2の色の波長の光を透過させ、かつ第2のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する第1の偏光状態に偏光された第3の色の波長の光を反射するように、構成されている。
【0033】
任意で、第1の偏光光源、第2の偏光光源、および第3の偏光光源によって生成された光が、非コリメート光としてプリズムアセンブリに入る。
【0034】
本発明の教示の一実施形態による光学デバイスも提供される。光学デバイスは、第1のプリズムであって、第1の光波入口表面、第2の光波入口表面、および光波出口表面、ならびに光波入口表面のうちの少なくとも1つに対して傾斜した平面上で第1のプリズム内に配備された第1のダイクロイックビームスプリッタ構成を含む、第1のプリズムと、第2のプリズムであって、第1の光波入口表面、第2の光波入口表面、および光波出口表面、ならびに第2のダイクロイックビームスプリッタ構成であって、第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する第1の偏光状態の光が、第2のダイクロイックビームスプリッタ構成に関する第2の偏光状態にあるように、第2のプリズムの光波入口表面のうちの少なくとも1つに対して傾斜した平面上で第2のプリズム内に配備された第2のダイクロイックビームスプリッタ構成を含む、第2のプリズムと、第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関してs偏光した赤色光を生成する第1の偏光光源と、第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関してs偏光した青色光を生成する第2の偏光光源と、第1のダイクロイックビームスプリッタ構成に関してs偏光した緑色光を生成する第3の偏光光源と、を備え、第1のダイクロイックビームスプリッタ構成が、偏光した赤色光を透過させ、かつ偏光した青色光を反射することにより、第1のプリズムの光波出口表面を通して、偏光した混合光を出力し、偏光した混合光が、偏光した赤色光と偏光した青色光との混合物であり、第2のダイクロイックビームスプリッタ構成が、偏光した混合光を透過し、かつ偏光した緑色光を反射することにより、第2のプリズムの光波出口表面を通して混合光を出力し、混合光が、偏光した赤色光と偏光した青色光と偏光した緑色光との混合物である。
【0035】
説明において本明細書で使用される「色の組み合わせ」および「組み合わされた色(の)」という用語は、それぞれ「色の混合」および「混合色(の)」、ならびにそれぞれ「色の多重化」および「多重色(の)」という用語と交換可能に使用できる。
【0036】
本明細書で使用される場合、ダイクロイックビームスプリッタ構成によって実行される波長および偏光に依存する透過機能性について記載している文脈内で、例えば、「ダイクロイックビームスプリッタ構成が光を透過させる」というように使用される、「透過している」、「透過される」、「透過する」という用語、およびそれらの変形は、概して、ダイクロイックビームスプリッタ構成が、ダイクロイックビームスプリッタ構成の表面に入射する波長および偏光固有の光の大部分を透過させ、より好ましくは、ダイクロイックビームスプリッタ構成の表面に入射する波長および偏光固有の光の少なくとも70%を透過させ、最も好ましくは、ダイクロイックビームスプリッタ構成の表面に入射する波長および偏光固有の光の少なくとも80%を透過させることを意味すると理解されるものとする。
【0037】
ダイクロイックビームスプリッタ構成によって実行される波長および偏光に依存する反射機能性について記載している文脈内で、例えば、「ダイクロイックビームスプリッタ構成が光を反射する」というように本明細書で使用される場合、「反射している」、「反射される」、「反射する」という用語、およびそれらの変形は、概して、ダイクロイックビームスプリッタ構成が、ダイクロイックビームスプリッタ構成の表面に入射する波長および偏光固有の光の大部分を反射し、より好ましくは、ダイクロイックビームスプリッタ構成の表面に入射する波長および偏光固有の光の少なくとも70%を反射し、最も好ましくは、ダイクロイックビームスプリッタ構成の表面に入射する波長および偏光固有の光の少なくとも80%を反射することを意味すると理解されるものとする。
【0038】
本明細書で使用される場合、「導光」という用語は、任意の光波透過体、好ましくは光波透過中実体を指し、これは「光学基板」とも称され得る。
【0039】
本明細書で別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および/または科学用語は、本発明が関係する当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと同様または同等の方法および材料が、本発明の実施形態の実施または試験に使用され得るが、例示的な方法および/または材料が、以下に記載されている。矛盾する場合は、定義を含む特許明細書が支配する。加えて、材料、方法、および例は、例示にすぎず、必ずしも限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
本発明のいくつかの実施形態は、添付の図面を参照して、例としてのみ本明細書に記載されている。詳細な、図面への具体的な言及について、示された細目は、例として、および本発明の実施形態の例示的な議論の目的のためであることを強調しておく。これに関して、図面と併せてなされた説明により、本発明の実施形態がどのように実施され得るかが当業者に明らかになる。
【0041】
ここで、図面に注意を向けると、図面では、同様の参照番号または文字は、対応するまたは同様の構成要素を示す。図面において、
【0042】
【
図1】本発明の一実施形態に従って構築され、動作するカラーコンバイナを提供するために、それぞれのプリズム中に2つのダイクロイックビームスプリッタが配備された光学デバイスの概略等角図である。
【
図2】光源を示すように修正された、
図1の光学デバイスの分解平面図である。
【
図3】様々な構成要素を単一構造に組み立てた後の
図2の光学デバイスの平面図である。
【
図5】様々な構成要素を単一構造に組み立てた後の
図4の光学デバイスの正面図である。
【
図6】
図2および
図3の光学デバイスの第1のプリズムの詳細を示す概略分解平面図である。
【
図7】
図4および
図5の光学デバイスの第2のプリズムの詳細を示す概略分解正面図である。
【
図8A】
図1の光学デバイスの2つのプリズムが互いに分離され、かつそれぞれ光学的に取り付けられることを示す概略等角図である。
【
図8B】
図1の光学デバイスの2つのプリズムが互いに分離され、かつそれぞれ光学的に取り付けられることを示す概略等角図である。
【
図9】
図1の光学デバイスのクロマティックリターダの配向を表したものである。
【
図10】
図1の光学デバイスの第2のダイクロイックビームスプリッタ用に可能に設計されたダイクロイックコーティングについてのs偏光の波長の関数としての反射率曲線を例示している。
【
図11】第2のダイクロイックビームスプリッタ用に可能に設計されたダイクロイックコーティングについてのp偏光に対する波長の関数としての反射率曲線を例示している。
【
図12】
図11の設計されたダイクロイックコーティングについての、3つの特定の波長の入射角の関数としての反射率曲線を例示している。
【
図13】
図1の光学デバイスの第1のダイクロイックビームスプリッタ用に可能に設計されたダイクロイックコーティングのs偏光の波長の関数としての反射率曲線を例示している。
【
図14】
図13の設計されたダイクロイックコーティングへの入射角の関数としての反射率曲線を例示している。
【
図15】
図1の光学デバイスと同様であるがプリズムに光を注入する光源の順序が異なる光学デバイスの第2のダイクロイックビームスプリッタ用に可能に設計されたダイクロイックコーティングのs偏光の波長の関数としての反射率曲線を例示している。
【
図16】
図15を参照して論じた光学デバイスの第2のダイクロイックビームスプリッタ用に可能に設計されたダイクロイックコーティングのp偏光に対する波長の関数としての反射率曲線を例示している。
【
図17】
図1の光学デバイスおよび
図15を参照して論じた光学デバイスと同様であるがプリズムに光を注入する光源の順序が異なる光学デバイスの第2のダイクロイックビームスプリッタ用に可能に設計されたダイクロイックコーティングのs偏光の波長の関数としての反射率曲線を例示している。
【
図18】
図17を参照して論じた光学デバイスの第2のダイクロイックビームスプリッタ用に可能に設計されたダイクロイックコーティングのp偏光に対する波長の関数としての反射率曲線を例示している。
【
図19】本発明の一実施形態による、画像プロジェクタデバイスおよび光波透過基板に結合された
図1~
図7の光学デバイスを含む光学システムの概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明は、それぞれのプリズム中に2つのダイクロイックビームスプリッタが配備された光学デバイスであり、これらは協調して3つの別々の色の光ビームを組み合わせて単一の組み合わされた色のビームを形成する。
【0044】
本発明による光学デバイスおよび光学システムの原理および動作は、説明に付随する図面を参照することにより、よりよく理解され得る。
【0045】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、以下の説明に述べられた、ならびに/または図面および/もしくは例に示された構成要素および/または方法の構築の詳細および配置への適用に必ずしも限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であるか、または様々な方法で実践または実施できる。最初に、この文書全体を通して、例えば、左および右、前および後ろ(または背後)、上および下、上側のおよび下側のなどの方向への言及がなされる。これらの方向への言及は、本発明および本発明の実施形態を示すためにのみ例示的である。
【0046】
ここで図面を参照すると、
図1~
図7は、本開示の様々な態様に従って構築され、動作する、概して10が付された光学デバイス、および光学デバイスの対応する構成要素の様々な図を例示している。概して、光学デバイス10は、第1のプリズム12および第2のプリズム32を含み、各々は、光波透過材料から形成され、および各々は、各々の中に配備されたそれぞれのダイクロイックビームスプリッタ構成20、40を有し、ダイクロイックビームスプリッタ構成20、40は、協調して色の組み合わせ機能性を提供する。
【0047】
第1のプリズム12は、第1の光波入口表面14、第2の光波入口表面16、および光波出口表面18を含む、いくつかの平面状外表面を有する。ダイクロイックビームスプリッタ構成20(略して「DBS20」と称され得る)は、第1の光波入口表面14に対して傾斜した平面上で第1のプリズム12内に配備されている。好ましい実装形態では、この平面はまた、第2の光波透過表面16に対して傾斜している。光学デバイス10の構成要素の配向をより明確に説明するために、任意に標記されたデカルト座標系(すなわち、XYZ座標系)が、(適切な場合に)図面に含まれている。この任意に標記されたXYZ座標系では、
図1を見ると、y軸は、概して、紙面から外へ出る軸である。
【0048】
このことを念頭に置いて、第1の光波入口表面14は、YZ平面内にあり、DBS20は、YZ平面に対して傾斜した平面上に配備されている。好ましい実施形態では、DBS20は、第1の光波入口表面14に対して45度をなす平面上に配備されており、これにより、DBS20は、光波入口表面14、16の中間(例えば、YZ平面とXZ平面との中間)にある平面内にある。
【0049】
第1のプリズム12はまた、第2の光波入口表面16に対して平行であり、かつ第2の光波入口表面16とは反対側の第1の表面26と、表面14、16、18、26に対して直交する第2の表面28と、第2の表面28に対して平行であり、かつ第2の表面28とは反対側の第3の表面30と、を含む追加の外表面を含み得る。図面に描示された非限定的な任意の方向基準フレームにおいて、第1のプリズム12の様々な表面14、16、18、26、28、30は、代替的に、以下の方向用語、すなわち、左表面14、後(または背)表面16、右表面18、前表面26、上側(または上)表面28、および下側(または下)表面30と称され得る。
【0050】
第2のプリズム32は、第1の光波入口表面34、第2の光波入口表面36、および光波出口表面38を含む、いくつかの平面状外表面を有する。ダイクロイックビームスプリッタ構成40(略して「DBS40」と称され得る)は、第1の光波入口表面34に対して傾斜した平面上で第2のプリズム32内に配備されている。好ましい実装形態では、この平面はまた、第2の光波透過表面36に対して傾斜している。
図1に任意に標記されたXYZ座標系では、第1の光波入口表面34は、XY平面内にあり、DBS40は、XY平面に対して傾斜した平面上に配備されている。好ましい実施形態では、DBS40は、第1の光波入口表面34に対して45度をなす平面上に配備されており、これにより、DBS40は、光波入口表面34、36の中間(例えば、XY平面とYZ平面との中間)にある平面内にある。
【0051】
第2のプリズム32はまた、第1の光波入口表面34に対して平行であり、かつ第1の光波入口表面34とは反対側の第1の表面46と、表面34、36、38、46に対して直交する第2の表面48と、第2の表面48に対して平行であり、かつ第2の表面48とは反対側の第3の表面50と、を含む追加の平面状外表面を含み得る。
【0052】
図面に描示された非限定的な任意の方向基準フレームにおいて、第2のプリズム32の様々な表面34、36、38、46、48、50は、代替的に、以下の方向用語、すなわち、下側(または下)表面34、左表面36、右表面38、上側(または上)表面46、後(または背)表面48、および前表面50と称され得る。
【0053】
光学デバイス10を形成するために単一光学構造として完全に組み立てられる場合、2つのプリズム12、32の表面18、36は、平行であり、かつ互いに整列し、そして好ましいが非限定的な実装形態では、実質的に一致し、これにより、表面18、36が、第1のプリズム12の光波出口表面および第2のプリズム32の第2の光波入口表面として二重に機能する単一の有効表面を形成する。好ましい実装形態では、2つのプリズム12、32は、表面18、36で互いに取り付けられて、単一のプリズムアセンブリ70を形成する。
図8Aおよび
図8Bは、各々、取り付け前に互いに分離され、取り付け後に単一プリズムアセンブリ70を形成するプリズム12、32を示す。直接的な(またはエアギャップを介する間接的な)接合部が表面18、36の間に形成されるように、取り付けは、表面18、36を互いに光学的にセメント接合することと、2つのプリズム12、32を所定の位置に固定的に保持するように構成された機械的保持配置と、を含むがこれらに限定されない、様々な光学的取り付け手段を介して実装され得る。
【0054】
第1のプリズム12は、
図1~
図3および
図6で22および24と標記された2つのプリズムに基づいており(すなわち、これらから形成され)、プリズム22、24のうちの少なくとも1つ(
図6のプリズム24)は、DBS20の少なくとも一部を形成するダイクロイックビームスプリッタを形成するためのダイクロイックコーティングを有する斜辺側上に提供され、これは、特定の波長のs偏光光を透過させ、かつ他の波長のs偏光光を反射する。2つのプリズム22、24の斜辺側は、互いにセメント接合されて、プリズム12を形成するセメント接合プリズムアセンブリを形成する。
【0055】
第2のプリズム32は、同様に、
図1、
図4、
図5、および
図7で42および44と標記された2つのプリズムに基づいており、プリズム42、44のうちの少なくとも1つ(
図7のプリズム44)は、DBS40の少なくとも一部を形成するダイクロイックビームスプリッタを形成するためのダイクロイックコーティングを有する斜辺側上に提供され、これは、特定の波長のp偏光光を透過させ、かつ他の波長のs偏光光を反射する。2つのプリズム42、44の斜辺側は、互いにセメント接合されて、プリズム32を形成するセメント接合プリズムアセンブリを形成する。
【0056】
DBS20およびDBS40を形成するために使用されるダイクロイックコーティングは、波長(すなわち、色)および偏光に感応する特性を呈し、これにより、DBS20およびDBS40が、入射光の波長および偏光状態の両方に応じて、DBSの表面に入射する光を反射または透過させる。DBS20およびDBS40を形成するダイクロイックコーティングの設計については、本開示の後続のセクションで論じる。
【0057】
この文書の文脈内では、ダイクロイックコーティングは、様々な方法で、プリズム22、24、および42、44のうちの少なくとも1つの斜辺側上に提供できる。1つの非限定的な例では、ダイクロイックコーティングは、2つの構成プリズムの一方または両方の斜辺側上に直接塗布できる。別の非限定的な例では、例えば、好ましくは2つの構成プリズムの斜辺側全体に沿って延在し、かつ上にダイクロイックコーティングが堆積された、シート、箔、またはガラス板などの薄い材料片を、セメント接合の前に2つの構成プリズムの斜辺側の間に配備することができる。
【0058】
DBS20およびDBS40は、DBS20の表面と表面14、16、18とに関する(つまり、対して)第1の偏光状態の(s偏光またはp偏光した)光が、DBS40の表面と表面34、36、38とに関する(すなわち、対する)第2の偏光状態(p偏光またはs偏光した)にあるように、互いに対して配向されている。DBS20とDBS40との間の相対的な配向は、DBS20およびDBS40を、任意に標記されたXYZ座標系においてx軸およびz軸である2つの主直交軸の周りに互いから回転オフセットさせることによって、提供される。DBS20がYZ平面に対して45度の角度にある平面上に配備され、かつDBS40がXY平面に対して45度の角度にある平面上に配備された、好ましい実装形態では、DBS20およびDBS40は、x軸の周りに45度、およびz軸の周りに45度だけ互いから回転オフセットしている。
【0059】
以下の段落は、プリズム12、32の幾何学的構成について記載している。好ましい実装形態では、第1のプリズム12の光波入口表面14、16は、互いに対して直交し、第1のプリズム12の第1の光波入口表面14および光波出口表面18は、互いに対して平行である。このような好ましい実装形態では、第2のプリズム32の光波入口表面34、36も、互いに対して直交し、第2のプリズム32の第1の光波入口表面34および光波出口表面38は、互いに対して平行である。特に好ましい実装形態では、プリズム12、32の各々は、正方立方体プリズムとして実装され、構成要素プリズム22、24、42、44の各々は、45度の直角断面形状を有する。
【0060】
好ましい幾何学的構成では、プリズム12、32は、同一の幾何学的構造をなし、最も好ましくは、プリズム12、32は、両方とも、それぞれのプリズム12、32を二分するそれぞれの光波入口表面14、34に対して45度の角度にある平面内に配備されたDBS20およびDBS40を有する正方立方体プリズムである。
【0061】
正方立方体プリズムとして実装される場合、2つのプリズム12、32を表面18、36で合わせて光学的に取り付けることによって形成されたプリズムアセンブリ70は、細長い長方立方体プリズムとして形成される。このような特に好ましい実施形態では、第1のプリズム12の表面14、16、18、26、28、30は、等しいサイズをなし、かつ隣接する表面が直交しており、第2のプリズム32の表面34、36、38、46、48、50は、等しいサイズをなし、かつ隣接する表面が直交している。さらに、このような特定の実装形態では、以下の表面の対、すなわち、第1のプリズム12の第2の光波入口表面16および第2のプリズム32の第2の表面48、第1のプリズム12の第1の表面26および第2のプリズム32の第3の表面50、第1のプリズム12の第2の表面28および第2のプリズム32の第1の表面46、ならびに第1のプリズム12の第3の表面30および第2のプリズム32の第1の光波入口表面34は、同一平面上にある(および、好ましくは、接合されて単一の連続する平面状表面を形成する)。
【0062】
プリズムアセンブリ70は、構成プリズム12、32と同様に、いくつかの平面状外表面を含み、特に好ましいが非限定的な実装形態は、6つの平面状外表面を含む。第1の光波入口表面14は、プリズムアセンブリ70の第1の外表面として機能し、これは、プリズムアセンブリ70の第1の光波入口表面でもある。光波出口表面38は、プリズムアセンブリ70の第4の外表面として機能し、これは、プリズムアセンブリ70の光波出口表面としても機能する。
【0063】
プリズムアセンブリ70の外表面のうちの4つは、プリズム12、32の対の表面の接合から形成されて、連続する表面を形成する。プリズムアセンブリ70の第2の外表面は、第1のプリズム12の第2の光波入口表面16と第2のプリズム32の第2の表面48とを接合することから形成される。プリズムアセンブリ70の第2の外表面の一部分(すなわち、第1のプリズム12の第2の光波入口表面16から形成される部分)は、プリズムアセンブリ70の第2の光波入口表面として機能する。プリズムアセンブリ70の第3の外表面は、第1のプリズム12の第3の表面30と第2のプリズム32の第1の光波入口表面34とを接合することから形成される。プリズムアセンブリ70の第3の外表面の一部分(すなわち、第2のプリズム32の第1の光波入口表面34から形成される部分)は、プリズムアセンブリ70の第3の光波入口表面として機能する。プリズムアセンブリ70の第1の外表面、第2の外表面、および第3の外表面は、相互に直交している。
【0064】
プリズムアセンブリ70の第5の外表面は、第1のプリズム12の第1の表面26と第2のプリズム32の第3の表面50とを接合することから形成される。プリズムアセンブリ70の第6の外表面は、第1のプリズム12の第2の表面28と第2のプリズム32の第1の表面46とを接合することから形成される。
【0065】
特に
図2~
図5を参照すると、光学デバイス10は、3つの偏光光源を有する。第1の直線偏光子55を有する第1の光源54として本明細書に示される第1の偏光光源は、第1のプリズム12の第1の光波入口表面14(特定の実施形態では、プリズムアセンブリ70の第1の外表面でもある)と関連付けられている。第1の偏光光源は、第1の色(例えば、赤)に対応する電磁スペクトルの第1の特定の波長範囲の波長を有する偏光光を生成する(すなわち、放出する)ように構成されている。第2の直線偏光子59を有する第2の光源58として本明細書に示される(
図4および
図5に仮想線で示された)第2の偏光光源は、第1のプリズム12の第2の光波入口表面16(特定の実施形態では、プリズムアセンブリ70の第2の外表面の一部分でもある)と関連付けられている。第2の偏光光源は、第2の色(例えば、青)に対応する電磁スペクトルの第2の特定の波長範囲の波長を有する偏光光を生成するように構成されている。第3の直線偏光子63を有する第3の光源62として本明細書に示される(
図2および
図3に仮想線で示された)第3の偏光光源は、第2のプリズム32の第1の光波入口表面34(特定の実施形態では、プリズムアセンブリ70の第3の外表面もある)と関連付けられている。第3の偏光光源は、第3の色(例えば、緑)に対応する電磁スペクトルの第3の特定の波長範囲の波長を有する偏光光を生成するように構成されている。3つの特定の波長範囲は、重なり合わない波長範囲であり、これにより、3つの偏光光源は、3つの別異のそれぞれの光の色、例えば、赤、青、および緑を生成する。
【0066】
好ましいが非限定的な実装形態では、第1の偏光光源は、偏光した赤色光を生成するために638ナノメートル(nm)またはおよそ638nmの波長を中心とする偏光光を生成するように構成されており、第2の偏光光源は、偏光した青色光を生成するために波長456nmまたはおよそ456nmを中心とする偏光光を生成するように構成されており、第3の偏光光源は、偏光した緑色光を生成するために波長532nmまたはおよそ532nmを中心とする偏光光を生成するように構成されている。
【0067】
図2および
図4に示されるように、入射光ビーム56は、直線偏光子55を通過し、入射光ビーム60は、直線偏光子59を通過し、および入射光ビーム64は、直線偏光子63を通過する。光ビーム56、60、64は、それぞれのLED、レーザ、レーザダイオード、または任意の他のそれぞれの光源54、58、62からのものであり得る。光源54、58、62自体が偏光している場合、直線偏光子55、59、63は必ずしも必要ではないが、高品質の偏光照明を確保することは依然として有利であり得ることに留意されたい。特に好ましい実装形態では、入射光ビーム56、60は、
図2に例示されるように、DBS20の表面に関してs偏光しており、入射光ビーム64は、
図4に例示されるように、DBS40の表面に関してs偏光している。
【0068】
光源54、58、62は、好ましくは、偏光光源によって生成された入射光ビーム56、60、64が、非コリメート光としてプリズムアセンブリ70に結合された発散(または収束)ビームであるような、非コヒーレント源(例えば、LED、レーザなど)として実装される。さらに、偏光光源は、比較的広いビーム角を有する、好ましくは±25度の範囲の、ビームを生成するように構成されている。偏光光源からの入射光は、プリズム12、32に入るときに屈折する。プリズム12、32を通って伝搬するビームは、ビームが遭遇するDBSの表面の法線に対して測定される、対応する入射角を有する。当技術分野で知られているように、(プリズムに入るときの)ビームの屈折角は、プリズムが構築されている材料の屈折率の関数である。例えば、1.7の屈折率を有する材料からプリズム12、32を構築する場合、偏光光源からの入射ビームは、およそ±15度の範囲の角度で屈折し、この角度は、入射ビームが遭遇する第1のDBSの表面の法線に対して測定されるおよそ30~60度の角度範囲に対応する(例えば、第1の偏光光源は、好ましくは、DBS20の表面の法線に対して30~60度の範囲の入射角に対応するビーム角を有する)。プリズムアセンブリ70への入力における広いビーム角は、光学デバイス10の出力における広いビーム角に対応し、このことは、出力ビームが、LCoSなどの反射型ディスプレイデバイスを照明するために使用される場合に有利であり得る。
【0069】
さらに、プリズム12、32の好ましい幾何学的構成は、入射光がDBS20およびDBS40によって反射される入射角の範囲全体にわたって均一性を促進し得ることに留意されたい。それにもかかわらず、プリズム12、32の一方または両方が細長い長方立方体プリズムとして実装される構成などの、他の幾何学的構成が想到される。ただし、このような構成は、光がDBS20およびDBS40の一方または両方によって反射される入射角の範囲の低減をもたらし得る。
【0070】
以下の段落は、プリズムアセンブリ70を通る3つの偏光光源からの光の横断について記載している。示されるように、第1の光源54からのs偏光した入力光波(すなわち、入射ビーム56)は、第1の光波入口表面14を通して、光波透過材料で構成されたプリズム12(DBS20を間に挟むプリズム22、24から構築された「導光」光学デバイスと見なすことができる)内に結合される。s偏光した光波(-638nmの波長を中心とする、すなわちs偏光した赤色光)は、DBS20によって透過され(DBS20を形成するダイクロイックコーティングの特性に起因して)、光波出口表面18を通してプリズム12外に結合される。プリズム12外に結合されると、s偏光した光波は、第2の光波入口表面36を通して、光波透過材料で構成されたプリズム32(DBS40を間に挟むプリズム42、44から構築された「導光」光学デバイスと見なすことができる)内に結合される。プリズム12、32がエアギャップなしで表面18、36で取り付けられた実装形態では、プリズム12外への結合とプリズム32内への結合とは、同じものである。プリズム32内に結合された(入射ビーム56からの)s偏光した光波は、DBS20とDBS40との相対的な配向に起因して、ここで、(
図4に例示されるように)DBS40の表面に関してp偏光される。ここでp偏光された光波は、(DBS40を形成するダイクロイックコーティングの特性に起因して)DBS40によって透過され、光波出口表面38を通してプリズム32外に結合される。結果として、(入射ビーム56からの)s偏光した光波は、反射することなく、プリズムアセンブリ70の両方のプリズム12、32を横断する。
【0071】
第2の光源58からのs偏光した入力光波(すなわち、入射ビーム60)は、第2の光波入口表面16を通してプリズム12内に結合される。s偏光した光波(-456nmの波長を中心とする、すなわちs偏光した青色光)は、DBS20によって反射され(DBS20を形成するダイクロイックコーティングの特性に起因して)、光波出口表面18を通してプリズム12外に結合される。プリズム12外に結合されると、s偏光した光波は、第2の光波入口表面36を通してプリズム32内に結合される。プリズム32内に結合された(入射ビーム60からの)s偏光した光波は、DBS20とDBS40との相対的な配向に起因して、ここで、(
図4に例示されるように)DBS40の表面に関してp偏光される。ここでp偏光された光波は、(DBS40を形成するダイクロイックコーティングの特性に起因して)DBS40によって透過され、光波出口表面38を通してプリズム32外に結合される。結果として、(入射ビーム60からの)s偏光した光波は、単一の反射でプリズムアセンブリ70のプリズム12、32を横断する。
【0072】
第3の光源62からのs偏光した入力光波(すなわち、入射ビーム64)は、第1の光波入口表面34を通してプリズム32内に結合される。s偏光した光波(-532nmの波長を中心とする、すなわちs偏光した緑色光)は、DBS40によって反射され(DBS40を形成するダイクロイックコーティングの特性に起因して)、光波出口表面38を通してプリズム32外に結合される。結果として、(入射ビーム64からの)s偏光した光波は、プリズムアセンブリ70のプリズムのうちの1つ(プリズム32)のみを、単一の反射で、かつ偏光の変化なしに横断する。
【0073】
図1、
図2、および
図4に示されるように、上記の議論に加えて、DBS20を形成するダイクロイックコーティングにより、第1のプリム12は、第1の偏光光源および第2の偏光光源からの光を合わせて混合し、光波出口表面18を通して2色混合光を出力できるようになる。本明細書に記載された好ましいが非限定的な実施形態では、第1のプリズム12の出力での混合光は、それぞれ、第1の偏光光源および第2の偏光光源によって生成された、赤色光と青色光との混合物(両方とも同じ偏光状態に偏光している、例えば、s偏光している)である。DBS40により、第2のプリズム32は、第3の偏光光源からの光と第1のプリズム12によって出力された2色混合光とを合わせて混合し、光波出口表面38を通して3色混合光を出力できるようになる。本明細書に記載された好ましいが非限定的な実施形態では、第2のプリズム32の出力での3色混合光は、第1のプリズム12によって出力された赤色と青色との混合光(ここでDBS40の表面と光波出口表面38とに関してp偏光されている)と、第3の偏光光源によって生成されたs偏光した緑色光と、の混合物である。
【0074】
補足すると、簡単にするために、入射ビーム56、60、64とプリズムアセンブリ70を通るこれらの入射ビームのそれぞれの横断とを表すために、図面では少数(3つ)の光線のみが使用されている。当然理解されるように、図面に示された代表的な光線は、入射ビームを構成し、かつ入射ビームの各々がそれぞれの偏光光源から発生する複数の光線から形成される、光線のほんのわずかなサンプルである。
【0075】
この段階で、本発明が特に有利な光学デバイスを提供することが理解されよう。特に、プリズムアセンブリ70の3つの相互に直交する光波入口表面と関連付けられ、かつプリズムアセンブリ70に結合される前にコリメートされない広いビームを生成する、3つの偏光光源を採用することによって、プリズムアセンブリ70の出力(等価的に、プリズム32の光波出口表面38である)において高エネルギー広角入力ビームと高エネルギー広角色混合出力ビーム(すなわち、±25度の範囲の光源によって出力される角度であり、当該角度は、前述したような30、60度の範囲の入射角に対応する)を備えたコンパクトな光学デバイスを達成することが可能であり、このことは、NEDシステムまたはHMDシステムのマイクロディスプレイを照明するために使用される照明構成要素の一部として光学デバイス10を実装する場合に有利であり得る。
【0076】
様々な特に好ましいマイクロディスプレイは、LCDディスプレイまたはLCoSディスプレイなどのいくつかのSLMマイクロディスプレイソース、特にHMDおよびNEDで使用されるものにおいて、SLMの動作が、マイクロディスプレイデバイスに入射し、次いで異なる偏光状態で反射される偏光光に基づくことを利用する。光学デバイス10のコンパクトな構成の1つの結果は、第2のプリズム32の出力での混合光が、異なる偏光の構成色光波からなることである。具体的には、第2のプリズム32の出力において、第3の偏光光源に対応する構成色光波は、第1の偏光光源および第2の偏光光源に対応する構成色光波に対して直交して偏光される。
図2および
図4に示された例では、第1の偏光光源および第2の偏光光源(すなわち、入射ビーム56、60)に対応する第2のプリズム32の出力での光波は、p偏光されているのに対して、第3の偏光光源(すなわち、入射ビーム64)に対応する第2のプリズム32の出力での光波は、s偏光されている。上述のマイクロディスプレイデバイスは偏光に感応するため、マイクロディスプレイデバイスに入射する光のすべてにわたって偏光均一性を維持することが最も重要である。以下に記載される様々な実施形態は、マイクロディスプレイデバイスに入射する光の偏光均一性を維持するために素子が提供される実装形態を開示する。
【0077】
特に
図1~
図5を参照すると、クロマティックリターダ52が、プリズムアセンブリ70の出力に配備され、かつプリズム32の光波出口表面38と関連付けられており、これにより、第2のプリズム32外に結合された、3つの偏光光源からの(すなわち、入射ビーム56、60、64からの)光波のすべてが、プリズム32外に結合された後、かつマイクロディスプレイデバイスに衝突する前に、クロマティックリターダ52を通過する。クロマティックリターダ52は、入射ビーム56、60に対応する光波などの特定の波長の光に対する半波長板として機能し、それによって、それらの光波の偏光状態をp偏光からs偏光に回転させる一方、入射ビーム64に対応する光波などの特定の波長のs偏光光の偏光状態を維持する。結果として、クロマティックリターダ52の出力での入射ビーム56、60、64からの光波のすべては、同じ偏光状態(s偏光されている)にある。
【0078】
非限定的な例では、クロマティックリターダ52は、数次の1λ3波長板として実装され、ここで、λ3は、第3の偏光光源によって生成される光の波長である。以前に論じたように、特に好ましい実装形態において、第1の偏光光源は、638ナノメートルnmまたはおよそ638nmの波長(λ1)を中心とする偏光した緑色光を生成するように構成されており、第2の偏光光源は、456nmまたはおよそ456nmの波長(λ2)を中心とする偏光した青色光を生成するように構成されており、および第3の偏光光源は、532nmまたはおよそ532nmの波長(λ3)を中心とする偏光した緑色光を生成するように構成されている。
【0079】
クロマティックリターダ52は、正常軸(o軸)と、(以下でさらに論じるNの特定の整数値について)N*λ
3に等しい異常軸(e軸)と、の間の差分を有する。クロマティックリターダ52をo偏光とe偏光との間の45度の所定の角度に配置することにより、3色の光の波長において適切な必要なリターダンスが確保される。図面で使用される任意に標記されたXYZ座標系において、クロマティックリターダ52は、
図9に示されるように、o軸およびe軸がy軸(およびz軸)から45度をなす軸方向オフセットを有して、配備されている。
【0080】
クロマティックリターダ52は、波長に必要なリターダンスを提供する任意の非分散複屈折素子として実装できる。例えば、非負の整数値のnに対してN=6*(n+0.5)の場合にリターダンスA*λ3を有する任意の非分散複屈折素子を使用して、クロマティックリターダ52を形成することができる。
【0081】
以下の表1は、n=0、1、および2の場合、およびλ
1=638.4nm、λ
2=456nm、およびλ
3=532nmの場合についての、波長のリターダンスを示す。
【表1】
【0082】
表1から分かるように、λ1およびλ2に対するリターダンスは、半波長の奇数整数倍であるのに対して、λ3に対するリターダンスは、半波長の偶数整数倍である。したがって、クロマティックリターダ52によって提供されるリターダンスは、λ1およびλ2の半波長板として機能し、それによって、λ3に対する偏光状態を維持しながら、λ1およびλ2に対する偏光をp偏光からs偏光に変更する。
【0083】
上記に示唆したように、所望の色組み合わせ(すなわち、混合色)光波効果を生成するためのプリズムアセンブリ70を通る光の横断は、部分的に、DBS20およびDBS40を形成するダイクロイックコーティングの特性の結果である。次の段落は、これらのダイクロイックコーティングの設計上の考慮事項について論じる。当然明らかなように、DBS20およびDBS40の必要な反射および透過特性は、偏光光源によってプリズムアセンブリ70に注入される色付き光の順序、および注入された光の偏光状態に直接紐付けられている。この目的のために、以下のダイクロイックコーティングの議論は、
図1~
図7に示される光学デバイス10の好ましい実装形態を参照して行われ、ここで、第1の偏光光源は、s偏光した赤色光を生成し、第2の偏光光源は、s偏光した青色光を生成し、第3の偏光光源は、s偏光した緑色光を生成する。ダイクロイックコーティングは、好ましくは、低吸収材料で設計されており、そのため、反射率が高い場合、透過率は低く、逆もまた同様である。
【0084】
上記を念頭に置いて、プリズムアセンブリ70は、DBS20を形成するダイクロイックコーティングが、s偏光した赤色光(すなわち、低Rs、高Ts)に対して低反射率および高透過率を有し、かつ高反射率青色光(すなわち、高Rs、低Ts)を有するように、およびDBS40を形成するダイクロイックコーティングが、p偏光した赤色光および青色光に対して低反射率および高透過率(すなわち、低Rp、高Tp)を有し、かつs偏光した緑色光に対して高反射率および低透過率(すなわち、高Rs、低Ts)を有するように、設計される。結果として、第1の偏光光源によって生成された赤色光は、DBS20およびDBS40によって透過され、第2の偏光光源によって生成された青色光は、DBS20によって反射され、かつDBS40によって透過され、および第3の偏光光源によって生成された緑色光は、DBS20によって反射される。
【0085】
以下の段落は、s偏光およびp偏光の両方に対する様々な反射率曲線を参照して、DBS20およびDBS40のダイクロイックコーティングの様々な設計オプションについて記載し、また、色の組み合わせ機能性を提供するために、DBS20をDBS40から回転オフセットさせる理論的根拠を例示する。反射率曲線は、プリズム12、32が1.7の屈折率を有する材料から構築された非限定的な構造において、プリズム12、32のDBSに入射する光の反射挙動を示す。したがって、以下の段落で検討されている入射角は、30~60度の範囲にある。完全を期すために、0~60度の範囲の広範囲の入射角が、反射率曲線に示されている。以前に論じたように、入射角は、ビームが遭遇するDBSの表面の法線に対して測定される。
【0086】
図10は、DBS40の表面に関して測定された、様々な入射角についてのs偏光に対する、DBS40用に可能に設計されたダイクロイックコーティングのs偏光の波長の関数としての反射率曲線を示す。示されるように、s偏光した緑色光は、0~60度の入射角範囲のすべての角度で高反射率を有するが、s偏光した赤色光および青色光もまた、特定の入射角、特に30度よりも大きい入射角で高反射率を有する。結果として、DBS20をDBS40から適切に回転オフセットさせずにDBS40にこの設計されたダイクロイックコーティングを使用すると、30度よりも大きい入射角でのDBS40による赤色光および青色光の反射がもたらされる。したがって、0~60度の入射角範囲の特に重要なサブ範囲(例えば、30~60度)の場合、赤色光および青色光は、DBS40によって反射され、これにより、DBS40によって透過され、かつ緑色光と組み合わされた残りの赤色光および青色光は、強度の著しい損失に遭うこととなる。
【0087】
図11は、
図10に関して論じた0~60度の入射角範囲についてのp偏光に対する、DBS40用に可能に設計されたダイクロイックコーティングのp偏光の波長の関数としての反射率曲線を示す。見て分かるように、p偏光した赤色光および青色光は、0~60度の入射角範囲のすべての角度で低反射率を有する。結果として、DBS20をDBS40から適切に回転オフセットさせながらDBS40用に設計されたこのダイクロイックコーティングを使用すると、0~60度の入射角範囲のすべての角度でDBS40による赤色光および青色光の透過がもたらされる。したがって、DBS40用に設計されたこのダイクロイックコーティングは、p偏光した赤色光および青色光が0~60度の範囲のすべての入射角でDBS40によって透過されるため、所望の広いビームの色の組み合わせ機能性を提供することにつながる。
【0088】
図12は、偏光波長の3つの特定のセット、すなわち、波長456nm(青色光)のp偏光光、波長532nm(緑色光)のs偏光光、および波長638nm(赤色光)のp偏光光における、
図11に関して論じた設計されたダイクロイックコーティングの、入射角の関数としての反射率曲線を示す。見て分かるように、p偏光光(すなわち、456nmおよび638nm)に対する反射率は、638nmの光が、28度付近でおよそ16%のピーク反射率を有して、およそ24~30度の範囲で15%を凌ぐことを除いて、0~60度の範囲のほぼ全体にわたって比較的低い(およそ15%未満)。加えて、s偏光光(すなわち、532nm)に対する反射率は、50度付近におよそ70%の最小反射率を有して、47~53度でおよそ77%未満に降下することを除いて、0~60度の範囲のほぼ全体にわたって比較的高い(およそ77%超)。
【0089】
図13は、DBS20の表面に関して測定された、0~60度の様々な入射角についてのs偏光に対する、DBS20用に可能に設計されたダイクロイックコーティングのs偏光の波長の関数としての反射率曲線を示す。見て分かるように、s偏光した赤色光は、0~60度の入射角範囲のすべての角度で低反射率を有するのに対して、s偏光した青色光は、0~60度の入射角範囲のすべての角度で高反射率を有する。結果として、DBS20用に設計されたこのダイクロイックコーティングを使用すると、0~60度の入射角範囲のすべての角度で、DBS20による赤色光の透過と、DBS20による青色光の反射と、がもたらされる。
【0090】
図14は、456nm(青色光)および638nm(赤色光)の2つの特定の波長における、
図13を参照して論じた、設計されたダイクロイックコーティングに対する入射角の関数としての(s偏光光に対する)反射率曲線を示す。見て分かるように、638nmの光に対する反射率は、0~60度の範囲にわたって低い(およそ7%未満)ままであり、456nmの光に対する反射率は、0~60度の範囲のほぼ全体にわたって高い(約93%超)ままである。
【0091】
光学デバイス10の前述の説明から当然明らかであるように、DBS20とDBS40との間の配向が、DBS20の表面に対する第1の偏光状態(s偏光またはp偏光されている)の光がDBS40の表面に対する第2の偏光状態(p偏光またはs偏光されている)にあるように維持される限り、依然として色の組み合わせ機能性を維持しながら、DBS20およびDBS40のいずれかまたは両方を、1つ以上の主軸の周りに回転させてもよい。
【0092】
例えば、DBS20を、z軸の周りに90度回転させてもよく、および/またはDBS40を、y軸の周りに90度回転させてもよい。このような回転は、プリズム12、32の光波入口表面を固有に変化させる。例えば、表面26であれば、z軸の周りにDBS20を90度回転させた後に、プリズム12の第2の光波入口表面になり、表面46であれば、y軸の周りにDBS40を90度回転させた後に、プリズム32の第1の光波入口表面になる。
【0093】
光波入口表面への変化に適切に対応することで、1つ以上の主軸の周りのDBS20およびDBS40のいずれかまたは両方(および等価的にプリズム12、32のいずれかまたは両方)の他の回転は、本明細書で想到され、前述の開示を考慮して当業者には明らかになるはずである。
【0094】
第1の偏光光源が偏光した赤色光を生成し、第2の偏光光源が偏光した青色光を生成し、および第3の偏光光源が偏光した緑色光を生成する好ましい実装形態は、光学デバイス10の設計においていくつかの利点を提供することに留意されたい。1つのこのような利点は、クロマティックリターダ52の設計であり、これは、対象の特定の波長が、波長の必要なリターダンスについての良好な解決策を見つけるのに役立たないためである。別の利点は、好ましい実装形態が、プリズムアセンブリ70を通して伝播される緑色光のより高い効率に役立つことである。緑色光を生成する光源は、通常、青色光または赤色光を生成する光源よりも効率が低い。このことは、これらの光源がLEDとして実装される場合に特に当てはまる。したがって、緑色光がプリズムアセンブリ70を可能な限り横断するように緑色光のエネルギー損失を低減することが好ましい。上で例示されるように、好ましい実装形態では、緑色光は、プリズム32のみを横断し、プリズム12には入らない。したがって、緑色光は、(両方のプリズム12、32を横断しなければならない)赤色光および青色光と比較した場合、より少ないエネルギー損失でプリズムアセンブリ70を通して伝播される。
【0095】
これまでに記載したように、光学デバイス10の動作は、偏光光源が
図1の左から右に赤(R)、青(B)、緑(G)の順序をなす、すなわち、第1の偏光光源はs偏光した赤色光を生成し、第2の偏光光源はs偏光した青色光を生成し、第3の偏光光源はs偏光した緑色光を生成する、好ましい実装形態に関係しているが、本明細書では、偏光光源の可能なすべての順序が、想到され、本発明の範囲内にある。
【0096】
以下の段落は、光学デバイス10の追加の実装形態による2つの光源の順序について記載している。第1の追加の実装形態では、第1の偏光光源は、s偏光した赤色光を生成し、第2の偏光光源は、s偏光した緑色光を生成し、および第3の偏光光源は、s偏光した青色光を生成する。
図15は、DBS40の表面に対して測定された、様々な入射角についてのs偏光に対する、DBS40用に可能に設計されたダイクロイックコーティングのs偏光の波長の関数としての反射率曲線を示す。示されるように、s偏光した青色光は、(特に420~450nmの範囲の波長に対して)0~60度の入射角範囲のすべての角度で高反射率を有するが、s偏光した緑色光および赤色光もまた、特定の入射角、特に30度よりも大きい入射角で、高反射率を有する。結果として、DBS20をDBS40から適切に回転オフセットさせずにDBS40にこの設計されたダイクロイックコーティングを使用すると、それぞれ、30度および20度よりも大きい入射角でのDBS40による赤色光および緑色光の反射がもたらされる。したがって、0~60度の入射角範囲の特定のサブ範囲(例えば、20/30~60度)の場合、赤色光および緑色光は、DBS40によって反射され、これにより、DBS40によって透過され、かつ青色光と組み合わされた残りの赤色光および緑色光は、強度の著しい損失に遭うこととなる。
【0097】
図16は、0~60度の入射角範囲についてのp偏光に対する、DBS40用に可能に設計されたダイクロイックコーティングのp偏光の波長の関数としての反射率曲線を示す。見て分かるように、p偏光した赤色光および緑色光は、0~60度の入射角範囲のすべての角度で低反射率を有する。結果として、DBS20をDBS40から適切に回転オフセットさせながらDBS40にこの設計されたダイクロイックコーティングを使用すると、0~60度の入射角範囲のすべての角度でDBS40による赤色光および緑色光の透過がもたらされる。したがって、DBS40用に設計されたこのダイクロイックコーティングは、p偏光した赤色光および緑色光が0~60度の範囲のすべての入射角でDBS40によって透過されるため、所望の広いビームの色の組み合わせ機能性を提供することにつながる。
【0098】
DBS20がs偏光した赤色光を透過させ、かつs偏光した緑色光を反射するようなダイクロイックコーティングの設計については、本明細書では詳細に論じない。s偏光した赤色光および緑色光の反射および透過をそれぞれもたらすこのようなダイクロイックコーティングの設計は、本明細書のダイクロイックコーティングの以前の議論に基づいて当業者には明らかになるはずである。
【0099】
第2の追加の実装形態では、第1の偏光光源は、s偏光した緑色光を生成し、第2の偏光光源は、s偏光した青色光を生成し、および第3の偏光光源は、s偏光した赤色光を生成する。
図17は、DBS40の表面に対して測定された、様々な入射角についてのs偏光に対する、DBS40用に可能に設計されたダイクロイックコーティングのs偏光の波長の関数としての反射率曲線を示す。示されるように、s偏光した赤色光は、(特に625~660nmの範囲の波長に対して)0~60度の入射角範囲のすべての角度で高反射率を有するが、s偏光した青色光および緑色光もまた、特定の入射角、特に30度よりも大きい入射角について高反射率を有する。結果として、DBS20をDBS40から適切に回転オフセットさせずにDBS40にこの設計されたダイクロイックコーティングを使用すると、30度よりも大きい入射角でのDBS40による青色光および緑色光の反射がもたらされる。したがって、0~60度の入射角範囲の特に重要なサブ範囲(例えば、30~60度)の場合、青色光および緑色光は、DBS40によって反射され、これにより、DBS40によって透過され、かつ赤色光と組み合わされた残りの青色光および緑色光は、強度の著しい損失に遭うこととなる。
【0100】
図18は、0~60度の入射角範囲についてのp偏光に対する、DBS40用に可能に設計されたダイクロイックコーティングのp偏光の波長の関数としての反射率曲線を示す。見て分かるように、p偏光した青色光および緑色光は、0~60度の入射角範囲のすべての角度で低反射率を有する。結果として、DBS20をDBS40から適切に回転オフセットさせながらDBS40にこの設計されたダイクロイックコーティングを使用すると、0~60度の入射角範囲のすべての角度でDBS40による青色光および緑色光の透過がもたらされる。したがって、DBS40用に設計されたこのダイクロイックコーティングは、p偏光した青色光および緑色光が0~60度の範囲のすべての入射角でDBS40によって透過されるため、所望の広いビームの色の組み合わせ機能性を提供することにつながる。
【0101】
DBS20がs偏光した緑色光を透過させ、かつs偏光した青色光を反射するようなダイクロイックコーティングの設計については、本明細書では詳細に論じない。s偏光した緑色光および青色光の反射および透過をそれぞれもたらすこのようなダイクロイックコーティングの設計は、本明細書のダイクロイックコーティングの以前の議論に基づいて当業者には明らかになるはずである。
【0102】
これまでに記載した光学デバイス10は、小型のカラーコンバイナが必要とされる幅広い用途で使用できる。好適な用途の例は、ニアアイディスプレイ(NED)、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、および画像をNED、HMD、およびHUDの構成要素に投影する画像プロジェクタを利用するヘッドアップディスプレイ(HUD)、携帯電話、コンパクトディスプレイ、3Dディスプレイ、コンパクトビームエキスパンダなどの様々なイメージング用途、ならびにフラットパネルインジケータおよびスキャナなどの非イメージング用途を含むが、これらに限定されない。本実施形態の光学デバイス10は、画像画素を生成するための偏光光による照明を必要とするSLMマイクロディスプレイを採用するこのような画像プロジェクタの照明構成要素として使用される場合、特に価値があり得る。NED、HMD、およびHUD用途に好適な様々なタイプの画像プロジェクタが、Lumus Ltd.(イスラエル)から市販されている。これらの画像プロジェクタは、反射型ディスプレイデバイス(例えば、LCoS)と共に、照明プリズムおよびコリメートプリズムを含む様々なプリズムアセンブリを採用し得る。
【0103】
用途のうちの1つの特に好ましいが非限定的なサブセットの例示として、
図19は、
図1~
図7に関して記載された構造に対応する光学デバイス100を例示し、コリメートされた画像を生成する画像プロジェクタデバイス110、および画像プロジェクタデバイス110からの注入された画像を受け取る導光基板124と組み合わされて光学システムを形成している。ここで、画像プロジェクタデバイス110および基板124の包括的な構造について記載するが、画像プロジェクタデバイス110および基板124のより詳細な説明は、以下のPCT特許刊行物、すなわち、WO 2018/100582、WO 01/95027、およびWO 2008/023367に見出すことができ、これらの開示は、参照によってそれらの全体が本明細書に組み込まれる。本明細書に記載された画像プロジェクタデバイス110および基板124は、光学デバイス100を有利に使用することができる画像投影デバイスおよび導光光学素子の単なる例であることに留意されたい。
【0104】
画像プロジェクタデバイス110は、画像コリメートプリズムを形成する2つの構成プリズム112、114を含む。偏光選択ビームスプリッタ構成118(PBS118)は、画像コリメートプリズム内に配備されている。光学デバイス100から出力された光波122は、好ましくはs偏光した光波として、プリズム112に入る。s偏光した光波は、PBS118によって画像表面に向けて反射され、そこで反射型ディスプレイデバイス120(好ましくは、LCoSとして実装される)に衝突する。画像の明るい領域に対応する画素は、変調された回転偏光を有して反射されて、光波をs偏光からp偏光に変換し、これにより、明るい画素からの放射は、PBS118を透過し、少なくとも1つのリターデーションプレート(図示せず)、好ましくは4分の1波長板を通過し、リターデーションプレートの少なくとも一部を覆う少なくとも1つの光波コリメート構成要素116に入り、そして4分の1波長板を通して反射されて、光波はs偏光に再変換される。次いで、s偏光した光波は、PBS118によってプリズム114外に反射され、そこで光波は、基板124に入る。
【0105】
基板124は、典型的には、互いに平行である少なくとも2つの主表面126および128、1つ以上の部分反射表面132、および光を基板124に結合するための光学ウェッジ素子130を含む。画像プロジェクタデバイス110からの出力光波122は、光学ウェッジ素子130を通って基板124に入る。(基板124に向かい合って)入ってくる光波は、
図19に例示されるように、全内反射(TIR)によって基板124内にトラップされる。基板124からのトラップされた光波の取り出しは、部分反射表面132によるか、または回折素子もしくは任意の他の好適な取り出し装置によって、適用できる。光学ウェッジ素子130は、1つの非限定的な光学結合構成の単なる例示であり、他の素子および構成を使用して、画像プロジェクタデバイス110からの光を基板124内に結合することができる。
【0106】
この文書全体を通して、好ましくは、特定の波長範囲の波長を中心とする光について言及されてきた。このような光は、一般に、可視スペクトルの特定のスペクトル領域、好ましくはその特定のスペクトル領域の中心にある波長を有する「着色光」と称され得る。本開示の実施形態は、456nmまたはおよそ456nmの波長を中心とする青色光、532nmまたはおよそ532nmの波長を中心とする緑色光、および638nmまたはおよそ638nmの波長を中心とする赤色光の文脈内で記載されてきたが、これらの特定の波長は、単なる例示であり、異なるタイプの着色光の特定の波長は、可視スペクトルの関連するスペクトル領域のどこからでも選択でき、青色光の場合は、およそ、450nm~485nmの範囲(ただし、特定の場合にはこの範囲外に拡張できる)にあり、緑色光の場合は、およそ、500nm~565nmの範囲(ただし、特定の場合にはこの範囲外に拡張できる)にあり、および赤色光の場合、およそ、625nm~740nmの範囲(ただし、特定の場合にはこの範囲外に拡張できる)にある。
【0107】
本開示の様々な実施形態の説明は、例示の目的で提示されてきたが、網羅的であることも、開示される実施形態に限定されることも意図されていない。記載された実施形態の範囲および趣旨から逸脱しない多くの修正および変形が、当業者には明らかであろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、市場で見られる技術に対する実際の適用または技術的改善を最もよく説明するため、または当業者以外の人が本明細書に開示される実施形態を理解できるようにするために選択された。
【0108】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに他のことを指示しない限り、複数の参照を含む。
【0109】
「例示的」という言葉は、本明細書では、「例、実例、または例示として役立つ」ことを意味するために使用される。「例示的」として記載される任意の実施形態は、必ずしも他の実施形態よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではなく、および/または他の実施形態からの特徴の組み込みを除外するものではない。
【0110】
明確にするために、別個の実施形態の文脈で記載される本発明の特定の特徴はまた、単一の実施形態で組み合わせて提供され得ることが理解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で記載される本発明の様々な特徴はまた、別個に、または任意の好適な部分的な組み合わせで、または本発明の他の任意の記載された実施形態で好適であるとして提供され得る。様々な実施形態の文脈で記載される特定の特徴は、実施形態がそれらの要素なしでは動作しない場合を除いて、それらの実施形態の本質的な特徴と見なされるべきではない。
【0111】
添付の請求項が多重の依存関係なしに起草されている点において、これは、このような複数の依存関係を許可しない法域の正式な要件に対応するためにのみ行われている。請求項を多重依存にすることによって暗示されるであろう特徴のすべての可能な組み合わせが明示的に想定されており、本発明の一部と見なされるべきであることに留意されたい。
【0112】
本発明は、その特定の実施形態と併せて記載されてきたが、多くの代替、修正、および変形が当業者には明らかになるであろうことは明白である。したがって、添付の請求項の趣旨および広い範囲に入るすべてのこのような代替、修正、および変形を包含することが意図されている。
【国際調査報告】