(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(54)【発明の名称】胃腸障害の治療のための物質および方法
(51)【国際特許分類】
C07D 453/02 20060101AFI20220107BHJP
A61K 31/4545 20060101ALI20220107BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20220107BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
C07D453/02 CSP
A61K31/4545
A61P1/00
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021524288
(86)(22)【出願日】2019-11-01
(85)【翻訳文提出日】2021-06-02
(86)【国際出願番号】 US2019059513
(87)【国際公開番号】W WO2020096909
(87)【国際公開日】2020-05-14
(32)【優先日】2018-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521189112
【氏名又は名称】リネクシオン,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドルズガラ,パスカル ジーン
(72)【発明者】
【氏名】ミルナー,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ティエン,ジエン ヘー
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA03
4C086CB17
4C086GA13
4C086GA15
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA52
4C086ZA66
4C086ZC41
(57)【要約】
(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の三水和物形態を含むバルク組成物が、本明細書で提供される。三水和物形態を含む医薬組成物および剤形、ならびに三水和物形態を用いて対象において胃腸障害を治療するための方法および使用も提供される。いくつかの実施形態では、胃腸障害は、胃食道逆流症(GERD)、消化不良(機能性消化不良または機能性運動障害など)、胃不全麻痺、麻痺性イレウス、術後イレウス、嘔吐、悪心、胸焼け、偽性腸閉塞症、過敏性腸症候群(IBS)、便秘、経腸栄養不耐性(EFI)、または食道炎である。いくつかの実施形態では、胃腸障害は、術後イレウス、慢性胃スピロヘータ病、便秘、巨大結腸、胃炎、胃腸うっ滞、または皺胃排出欠陥症である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式を有する、(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の三水和物形態と、
【化1】
少なくとも1つの容器と、を含む、バルク組成物。
【請求項2】
少なくとも75重量%の前記(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の三水和物形態を含み、前記重量が、前記少なくとも1つの容器の重量を除く、請求項1に記載のバルク組成物。
【請求項3】
(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の無水物形態をさらに含み、前記三水和物形態と前記無水物形態との比率が、少なくとも約4対1である、請求項1または2に記載のバルク組成物。
【請求項4】
無水物形態または三水和物形態で存在する(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の総重量に対して、少なくとも約6.5重量%の水を含む、請求項1または2に記載のバルク組成物。
【請求項5】
前記三水和物形態と前記無水物形態との比率が、少なくとも約11対1である、請求項3に記載のバルク組成物。
【請求項6】
無水物形態または三水和物形態で存在する(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の総重量に対して、少なくとも約7.5重量%の水を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のバルク組成物。
【請求項7】
前記三水和物形態が、結晶形態であり、前記結晶形態が、7.74±0.5°および20.95±0.5°にXRPDピークを有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のバルク組成物。
【請求項8】
以下の式を有する、(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の三水和物形態と、
【化2】
薬学的に許容される賦形剤と、を含む、医薬組成物。
【請求項9】
(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の無水物形態をさらに含み、前記三水和物形態と前記無水物形態との比率が、少なくとも約4対1である、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
無水物形態または三水和物形態で存在する(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の総重量に対して、約6.5重量%~約10重量%の水を含む、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記三水和物形態と前記無水物形態との比率が、少なくとも約11対1である、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項12】
無水物形態または三水和物形態で存在する(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の総重量に対して、約7.5重量%~約9重量%の水を含む、請求項8~11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
1重量%未満の前記(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の無水物形態を含む、請求項8~12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記三水和物形態が、結晶形態であり、前記結晶形態が、7.74±0.5°および20.95±0.5°にXRPDピークを有する、請求項8~13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
請求項8~14のいずれか一項に記載の医薬組成物を含む、剤形。
【請求項16】
前記剤形が、1つ以上の錠剤または1つ以上のカプセル剤を含む、請求項15に記載の剤形。
【請求項17】
請求項15または16に記載の剤形と、包装と、を含む、キット。
【請求項18】
前記包装が、ブリスターパックである、請求項17に記載のキット。
【請求項19】
胃腸運動の改善を必要とする対象において胃腸運動を改善する方法であって、それを必要とする前記対象に、治療有効量の請求項8~14のいずれか一項に記載の医薬組成物または請求項15もしくは16に記載の剤形を投与することを含む、方法。
【請求項20】
前記胃腸運動の改善を必要とする対象が、胃腸障害を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
胃腸障害の治療を必要とする対象において胃腸障害を治療する方法であって、それを必要とする前記対象に、治療有効量の請求項8~14のいずれか一項に記載の医薬組成物または請求項15もしくは16に記載の剤形を投与することを含む、方法。
【請求項22】
前記胃腸障害が、胃食道逆流症(GERD)、機能性消化不良または機能性運動障害、胃不全麻痺、麻痺性イレウス、術後イレウス、嘔吐、悪心、胸焼け、偽性腸閉塞、過敏性腸症候群(IBS)、便秘、経腸栄養不耐性(EFI)、および食道炎からなる群から選択される、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
前記GERDが、プロトンポンプ阻害剤(PPI)抵抗性GERDである、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
前記便秘が、オピエート誘発性便秘(OIC)、慢性特発性便秘(CIC)、または過敏性腸症候群便秘型(IBSc)に関連する便秘である、請求項22に記載の使用。
【請求項25】
前記食道炎が、びらん性食道炎(EE)または好酸球性食道炎(EoE)である、請求項22に記載の使用。
【請求項26】
前記IBSが、過敏性腸症候群便秘型(IBSc)である、請求項22に記載の使用。
【請求項27】
前記胃不全麻痺が、糖尿病性胃不全麻痺、または特発性もしくは機能性胃不全麻痺である、請求項22に記載の使用。
【請求項28】
前記胃腸障害が、プロトンポンプ阻害剤(PPI)抵抗性GERD、嘔吐、胃不全麻痺、オピエート誘発性便秘(OIC)、慢性特発性便秘(CIC)、びらん性食道炎(EE)、好酸球性食道炎(EoE)、機能性消化不良(FD)または機能性運動障害(FMD)、偽性腸閉塞症、過敏性腸症候群便秘型(IBSc)、経腸栄養不耐性(EFI)、および術後イレウスからなる群から選択される、請求項20または21に記載の使用。
【請求項29】
前記胃腸障害が、術後イレウス、慢性胃スピロヘータ病、便秘、巨大結腸、胃炎、胃腸うっ滞、および皺胃排出欠陥症からなる群から選択される、請求項20または21に記載の使用。
【請求項30】
前記胃炎が、萎縮性胃炎である、請求項29に記載の使用。
【請求項31】
胃腸運動の改善を必要とする対象において胃腸運動を改善するための医薬品の製造における、(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の三水和物形態の使用。
【請求項32】
前記胃腸運動の改善を必要とする対象が、胃腸障害を有する、請求項31に記載の使用。
【請求項33】
胃腸運動の治療を必要とする対象において胃腸障害を治療するための医薬品の製造における、(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の三水和物形態の使用。
【請求項34】
前記胃腸障害が、胃食道逆流症(GERD)、機能性消化不良または機能性運動障害、胃不全麻痺、麻痺性イレウス、術後イレウス、嘔吐、悪心、胸焼け、偽性腸閉塞、過敏性腸症候群(IBS)、便秘、経腸栄養不耐性(EFI)、および食道炎からなる群から選択される、請求項32または33に記載の使用。
【請求項35】
前記GERDが、プロトンポンプ阻害剤(PPI)抵抗性GERDである、請求項34に記載の使用。
【請求項36】
前記便秘が、オピエート誘発性便秘(OIC)、慢性特発性便秘(CIC)、または過敏性腸症候群便秘型(IBSc)に関連する便秘である、請求項34に記載の使用。
【請求項37】
前記食道炎が、びらん性食道炎(EE)または好酸球性食道炎(EoE)である、請求項34に記載の使用。
【請求項38】
前記IBSが、過敏性腸症候群便秘型(IBSc)である、請求項34に記載の使用。
【請求項39】
前記胃不全麻痺が、糖尿病性胃不全麻痺、または特発性もしくは機能性胃不全麻痺である、請求項34に記載の使用。
【請求項40】
前記胃腸障害が、プロトンポンプ阻害剤(PPI)抵抗性GERD、嘔吐、胃不全麻痺、オピエート誘発性便秘(OIC)、慢性特発性便秘(CIC)、びらん性食道炎(EE)、好酸球性食道炎(EoE)、機能性消化不良(FD)または機能性運動障害(FMD)、偽性腸閉塞症、過敏性腸症候群便秘型(IBSc)、経腸栄養不耐性(EFI)、および術後イレウスからなる群から選択される、請求項32または33に記載の使用。
【請求項41】
前記胃腸障害が、術後イレウス、慢性胃スピロヘータ病、便秘、巨大結腸、胃炎、胃腸うっ滞、および皺胃排出欠陥症からなる群から選択される、請求項32または33に記載の使用。
【請求項42】
前記胃炎が、萎縮性胃炎である、請求項41に記載の使用。
【請求項43】
胃腸運動の改善を必要とする対象において胃腸運動の改善に使用するための化合物であって、前記化合物が、(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の三水和物形態である、化合物。
【請求項44】
前記胃腸運動の改善を必要とする対象が、胃腸障害を有する、請求項43に記載の使用のための化合物。
【請求項45】
胃腸障害の治療を必要とする対象において胃腸障害の治療に使用するための化合物であって、前記化合物が、(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の三水和物形態である、化合物。
【請求項46】
前記胃腸障害が、胃食道逆流症(GERD)、機能性消化不良または機能性運動障害、胃不全麻痺、麻痺性イレウス、術後イレウス、嘔吐、悪心、胸焼け、偽性腸閉塞、過敏性腸症候群(IBS)、便秘、経腸栄養不耐性(EFI)、および食道炎からなる群から選択される、請求項44または45に記載の使用のための化合物。
【請求項47】
前記GERDが、プロトンポンプ阻害剤(PPI)抵抗性GERDである、請求項46に記載の使用のための化合物。
【請求項48】
前記便秘が、オピエート誘発性便秘(OIC)、慢性特発性便秘(CIC)、または過敏性腸症候群便秘型(IBSc)に関連する便秘である、請求項46に記載の使用のための化合物。
【請求項49】
前記食道炎が、びらん性食道炎(EE)または好酸球性食道炎(EoE)である、請求項46に記載の使用のための化合物。
【請求項50】
前記IBSが、過敏性腸症候群便秘型(IBSc)である、請求項46に記載の使用のための化合物。
【請求項51】
前記胃不全麻痺が、糖尿病性胃不全麻痺、または特発性もしくは機能性胃不全麻痺である、請求項46に記載の使用のための化合物。
【請求項52】
前記胃腸障害が、プロトンポンプ阻害剤(PPI)抵抗性GERD、嘔吐、胃不全麻痺、オピエート誘発性便秘(OIC)、慢性特発性便秘(CIC)、びらん性食道炎(EE)、好酸球性食道炎(EoE)、機能性消化不良(FD)または機能性運動障害(FMD)、偽性腸閉塞症、過敏性腸症候群便秘型(IBSc)、経腸栄養不耐性(EFI)、および術後イレウスからなる群から選択される、請求項44または45に記載の使用のための化合物。
【請求項53】
前記胃腸障害が、術後イレウス、慢性胃スピロヘータ病、便秘、巨大結腸、胃炎、胃腸うっ滞、および皺胃排出欠陥症からなる群から選択される、請求項44または45に記載の使用のための化合物。
【請求項54】
前記胃炎が、萎縮性胃炎である、請求項53に記載の使用のための化合物。
【請求項55】
胃腸運動の改善を必要とする対象において胃腸運動を改善するのに使用するための医薬組成物であって、前記医薬組成物が、(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の三水和物形態を含む、医薬組成物。
【請求項56】
前記胃腸運動の改善を必要とする対象が、胃腸障害を有する、請求項55に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項57】
胃腸障害の治療を必要とする対象において胃腸障害の治療に使用するための医薬組成物であって、前記医薬組成物が、(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の三水和物形態を含む、医薬組成物。
【請求項58】
前記胃腸障害が、胃食道逆流症(GERD)、機能性消化不良または機能性運動障害、胃不全麻痺、麻痺性イレウス、術後イレウス、嘔吐、悪心、胸焼け、偽性腸閉塞、過敏性腸症候群(IBS)、便秘、経腸栄養不耐性(EFI)、および食道炎からなる群から選択される、請求項56または57に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項59】
前記GERDが、プロトンポンプ阻害剤(PPI)抵抗性GERDである、請求項58に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項60】
前記便秘が、オピエート誘発性便秘(OIC)、慢性特発性便秘(CIC)、または過敏性腸症候群便秘型(IBSc)に関連する便秘である、請求項58に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項61】
前記食道炎が、びらん性食道炎(EE)または好酸球性食道炎(EoE)である、請求項58に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項62】
前記IBSが、過敏性腸症候群便秘型(IBSc)である、請求項58に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項63】
前記胃不全麻痺が、糖尿病性胃不全麻痺または特発性もしくは機能性胃不全麻痺である、請求項58に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項64】
前記胃腸障害が、プロトンポンプ阻害剤(PPI)抵抗性GERD、嘔吐、胃不全麻痺、オピエート誘発性便秘(OIC)、慢性特発性便秘(CIC)、びらん性食道炎(EE)、好酸球性食道炎(EoE)、機能性消化不良(FD)または機能性運動障害(FMD)、偽性腸閉塞症、過敏性腸症候群便秘型(IBSc)、経腸栄養不耐性(EFI)、および術後イレウスからなる群から選択される、請求項56または57に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項65】
前記胃腸障害が、術後イレウス、慢性胃スピロヘータ病、便秘、巨大結腸、胃炎、胃腸うっ滞、および皺胃排出欠陥症からなる群から選択される、請求項56または57に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項66】
前記胃炎が、萎縮性胃炎である、請求項65に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項67】
前記必要とする対象が、ヒトである、請求項19~26のいずれか一項に記載の方法、請求項31~40のいずれか一項に記載の使用、請求項43~52のいずれか一項に記載の使用のための化合物、または請求項55~64のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項68】
前記必要とする対象が、非ヒト動物である、請求項19~21もしくは26~28のいずれか一項に記載の方法、請求項31~33もしくは40~42のいずれか一項に記載の使用、請求項43~45もしくは52~54のいずれか一項に記載の使用のための化合物、または請求項55~57もしくは64~66のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項69】
前記非ヒト動物が、反芻動物、ウマ(equine)、ネコ、イヌ、ウサギ、またはモルモットである、請求項68に記載の方法、使用、使用のための化合物、または使用のための医薬組成物。
【請求項70】
前記反芻動物が、ヒツジ、ウシ、ヤク、バイソン、または水牛である、請求項69に記載の方法、使用、使用のための化合物、または使用のための医薬組成物。
【請求項71】
前記ウマ(equine)が、ウマ(horse)またはロバである、請求項69に記載の方法、使用、使用のための化合物、または使用のための医薬組成物。
【請求項72】
前記必要とする対象が、新生児である、請求項19~28もしくは67~71のいずれか一項に記載の方法、請求項31~42もしくは67~71のいずれか一項に記載の使用、請求項43~54もしくは67~71のいずれか一項に記載の使用のための化合物、または請求項55~71のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項73】
前記医薬組成物が、非経口投与される、請求項19~28もしくは67~72のいずれか一項に記載の方法、請求項31~42もしくは67~72のいずれか一項に記載の使用、請求項43~54もしくは67~72のいずれか一項に記載の使用のための化合物、または請求項55~72のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項74】
前記医薬組成物が、経口投与される、請求項19~28もしくは67~72のいずれか一項に記載の方法、請求項31~42もしくは67~72のいずれか一項に記載の使用、請求項43~54もしくは67~72のいずれか一項に記載の使用のための化合物、または請求項55~72のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項75】
前記医薬組成物が、胃管を介して投与される、請求項19~28もしくは67~72のいずれか一項に記載の方法、請求項31~42もしくは67~72のいずれか一項に記載の使用、請求項43~54もしくは67~72のいずれか一項に記載の使用のための化合物、または請求項55~72のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項76】
前記三水和物形態が、結晶形態であり、前記結晶形態が、7.74±0.5°および20.95±0.5°にXRPD2-シータ(2θ)ピークを有する、請求項19~30もしくは67~75のいずれか一項に記載の方法、請求項31~42もしくは67~75のいずれか一項に記載の使用、請求項43~54もしくは67~75のいずれか一項に記載の使用のための化合物、または請求項55~75のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項77】
前記三水和物形態が、結晶形態であり、前記結晶形態が、7.74°±0.5°に50%超の相対強度XRPD2-シータ(2θ)ピーク、および20.95°±0.5°に100%相対強度XRPD2-シータ(2θ)ピークを有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のバルク組成物、または請求項8~14のいずれか一項に記載の医薬組成物、または請求項15もしくは16に記載の剤形、または請求項17もしくは18に記載のキット、または請求項19~30もしくは67~76のいずれか一項に記載の方法、または請求項31~42もしくは67~76のいずれか一項に記載の使用、または請求項43~54もしくは67~76のいずれか一項に記載の使用のための化合物、または請求項55~76のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項78】
前記三水和物形態が、結晶形態であり、前記結晶形態が、10.3°±0.2°、13.6°±0.2°、14.8°±0.2°、15.0°±0.2°、15.4°±0.2°、17.5°±0.2°、18.3°±0.2°、18.6°±0.2°、19.2°±0.2°、21.3°±0.2°、22.0°±0.2°、23.6°±0.2°、24.3°±0.2°、25.2°±0.2°、26.0°±0.2°、27.2°±0.2°、30.1°±0.2°、32.4°±0.2°、33.4°±0.2°、38.2°±0.2°、および39.4°±0.2°からなる群から選択される2つ以上のXRPD2-シータ(2θ)ピークを有する、請求項1~7もしくは77のいずれか一項に記載のバルク組成物、または請求項8~14もしくは77のいずれか一項に記載の医薬組成物、または請求項15、16、もしくは77のいずれか一項に記載の剤形、または請求項17、18、もしくは77のいずれか一項に記載のキット、または請求項19~30もしくは67~77のいずれか一項に記載の方法、または請求項31~42もしくは67~77のいずれか一項に記載の使用、または請求項43~54もしくは67~77のいずれか一項に記載の使用のための化合物、または請求項55~77のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項79】
前記三水和物形態が、結晶形態であり、前記結晶形態が、7.6°±0.2°および20.7°±0.2にXRPD2シータ(2θ)ピークを有する、請求項1~7、77、もしくは78のいずれか一項に記載のバルク組成物、または請求項8~14、77、もしくは78のいずれか一項に記載の医薬組成物、または請求項15、16、77、もしくは78のいずれか一項に記載の剤形、または請求項17、18、77、もしくは78のいずれか一項に記載のキット、または請求項19~30もしくは67~78のいずれか一項に記載の方法、または請求項31~42もしくは67~78のいずれか一項に記載の使用、または請求項43~54もしくは67~78のいずれか一項に記載の使用のための化合物、または請求項55~78のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項80】
前記7.6°±0.2°のXRPD2シータ(2θ)ピークが、50%超の相対強度を有し、前記20.7°±0.2°のXRPD2-シータ(2θ)ピークが、100%相対強度を有する、請求項79に記載のバルク組成物、医薬組成物、剤形、キット、方法、使用、使用のための化合物、または使用のための医薬組成物。
【請求項81】
前記結晶形態が、10.3°±0.2°、13.6°±0.2°、14.8°±0.2°、15.0°±0.2°、15.4°±0.2°、17.5°±0.2°、18.3°±0.2°、18.6°±0.2°、19.2°±0.2°、21.3°±0.2°、22.0°±0.2°23.6°±0.2°、24.3°±0.2°、25.2°±0.2°、26.0°±0.2°、27.2°±0.2°、30.1°±0.2°、32.4°±0.2°、33.4°±0.2°、38.2°±0.2°、および39.4°±0.2°からなる群から選択される2つ以上のXRPD2シータ(2θ)ピークをさらに有する、請求項79または80に記載のバルク組成物、医薬組成物、剤形、キット、方法、使用、使用のための化合物、または使用のための医薬組成物。
【請求項82】
前記バルク組成物、医薬組成物、剤形、キット、または医薬品が、約6000ppm未満の有機溶媒を含む、請求項1~7もしくは77~81のいずれか一項に記載のバルク組成物、または請求項8~14もしくは77~81のいずれか一項に記載の医薬組成物、または請求項15、16、もしくは77~81のいずれか一項に記載の剤形、または請求項17、18、もしくは77~81のいずれか一項に記載のキット、請求項19~30もしくは67~81のいずれか一項に記載の方法、または請求項31~42もしくは67~81のいずれか一項に記載の使用、または請求項43~54もしくは67~81のいずれか一項に記載の使用のための化合物、または請求項55~81のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項83】
前記バルク組成物、医薬組成物、剤形、キット、または医薬品が、約5000ppm未満、約4000ppm未満、約3000ppm未満、または約2000ppm未満の有機溶媒を含む、請求項82に記載のバルク組成物、または医薬組成物、または剤形、またはキット、または方法、または使用のための化合物、または使用のための医薬組成物。
【請求項84】
前記有機溶媒が、1つ以上のC
1~C
8アルコールを含む、請求項82または83に記載のバルク組成物、または医薬組成物、または剤形、またはキット、または方法、または使用のための化合物、または使用のための医薬組成物。
【請求項85】
前記有機溶媒が、エタノール、n-プロパノール、もしくはイソプロパノール、またはそれらの組み合わせを含む、請求項82~84のいずれか一項に記載のバルク組成物、または医薬組成物、または剤形、またはキット、または方法、または使用のための化合物、または使用のための医薬組成物。
【請求項86】
前記有機溶媒が、イソプロパノールを含む、請求項82~85のいずれか一項に記載のバルク組成物、または医薬組成物、または剤形、またはキット、または方法、または使用のための化合物、または使用のための医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年11月5日に出願された米国仮出願第16/181,177号の利益を主張し、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の三水和物形態を含むバルク組成物および医薬組成物、ならびにこの形態を用いて胃腸障害を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ベンズアミド誘導体およびその薬学的に許容される塩は、胃腸運動の刺激剤として作用し得る。これらの化合物の多くはまた、ドーパミンD2受容体のアンタゴニストであり、これはまた、胃腸系で重要な役割を果たす。胃腸系でのドーパミン作動性効果には、悪心および嘔吐が含まれ得る。したがって、これらのベンズアミドのうちのいくつかは有効な制吐剤であり、特にシスプラチンなどの催吐性の高い化合物が使用される場合、それらを癌の化学療法または放射線療法中の嘔吐を制御するために使用することができる。この制吐作用は、5HT3受容体と呼ばれる特定の作用部位でセロトニン(5HT)の作用を遮断するベンズアミドの能力の結果であると考えられている。
【0004】
いくつかのベンズアミド誘導体の2番目の顕著な作用は、食道から近位小腸を通る胃腸平滑筋活動を増強することであり、したがって食道および小腸の通過を加速し、胃内容物排出を促進し、下部食道括約筋の緊張を高める。いくつかのベンズアミド誘導体の一次平滑筋効果は、消化管壁の筋層間神経叢での介在ニューロンに位置する5HT4受容体と称されるセロトニン受容体のクラスに対するアゴニスト作用の結果であると現在考えられている。
【0005】
強力な5-HT4アゴニストであるベンズアミドシサプリドは、20年以上前に導入され、胃食道逆流症(GERD)の治療に主に使用されてきた。その後、ベンズアミドクラスの他の5-HT4アゴニストが患者に導入された。消化管運動促進薬としての活性により、いくつかの5-HT4アゴニストはまた、消化不良、胃不全麻痺、便秘、術後イレウス、および偽性腸閉塞症を治療するのに有用であると思われる。
【0006】
しかしながら、シサプリドを含むこれらの化合物の多くは、重篤な心不整脈、例えば、心室頻拍、心室細動、トルサード・ド・ポアント、およびQT延長に関連している。5HT4受容体アゴニストの安全性は、肝チトクロームP-450代謝による薬物相互作用の悪影響によっても制限される可能性がある。したがって、胃腸障害を治療するために使用され得る、心不整脈の発生率がより低いベンズアミド5-HT4アゴニストが、当該技術分野で必要とされている。
【0007】
ナロナプリド((3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩)は、動物およびヒトにおける胃腸障害の治療での使用に安全であり、かつ、心臓血管への有害な影響の発生率が低いことが示されている、経口で生物学的に利用可能な選択的セロトニン5-HT4受容体アゴニストである。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、US7,176,218、US7,282,509、US7,326,787、US7,629,466、US8,138,204、およびUS8,524,736を参照のこと。臨床使用のためのナロナプリドの改良形態およびそのバルク組成物を製造する方法が、当該技術分野で必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
いくつかの態様では、以下の式を有する(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の三水和物形態と、
【化1】
少なくとも1つの容器と、を含む、バルク組成物が本明細書で提供される。
【0009】
他の態様では、以下の式を有する(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の三水和物形態と、
【化2】
薬学的に許容される賦形剤と、を含む、医薬組成物が本明細書で提供される。
【0010】
特定の態様では、医薬組成物を含む剤形が本明細書で提供される。
【0011】
胃腸障害の治療を必要とする対象において胃腸障害を治療する方法であって、それを必要とする対象に、(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の三水和物形態を含む、治療有効量の本明細書で提供される医薬組成物または本明細書で提供される剤形を投与することを含む、方法も明細書で提供される。いくつかの実施形態では、胃食道逆流症(GERD)、機能性消化不良または機能性運動障害、胃不全麻痺、麻痺性イレウス、術後イレウス、嘔吐、悪心、胸焼け、偽性腸閉塞、過敏性腸症候群(IBS)、便秘、経腸栄養不耐性(EFI)、および食道炎からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、胃腸障害の治療を必要とする対象は、ヒトである。他の実施形態では、胃腸障害は、術後イレウス、慢性胃スピロヘータ病、便秘、巨大結腸、胃炎、胃腸うっ滞、および皺胃排出欠陥症からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、胃腸障害の治療を必要とする対象は、反芻動物、ウマ、ネコ、イヌ、ウサギ、またはモルモットなどの非ヒト動物である。
【0012】
他の実施形態では、胃腸運動の治療を必要とする対象において胃腸障害を治療するための医薬品の製造における、(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の三水和物形態の使用が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、胃腸障害は、胃食道逆流症(GERD)、機能性消化不良または機能性運動障害、胃不全麻痺、麻痺性イレウス、術後イレウス、嘔吐、悪心、胸焼け、偽性腸閉塞、過敏性腸症候群(IBS)、便秘、経腸栄養不耐性(EFI)、および食道炎からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、胃腸障害の治療を必要とする対象は、ヒトである。他の実施形態では、胃腸障害は、術後イレウス、慢性胃スピロヘータ病、便秘、巨大結腸、胃炎、胃腸うっ滞、および皺胃排出欠陥症からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、胃腸障害の治療を必要とする対象は、反芻動物、ウマ、ネコ、イヌ、ウサギ、またはモルモットなどの非ヒト動物である。
【0013】
さらに他の態様では、化合物が、(3S,4R,3’R)6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステルジ-塩酸塩の三水和物形態である、胃腸障害の治療を必要とする対象において胃腸障害の治療に使用するための化合物または化合物を含む医薬組成物が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、胃腸障害は、胃食道逆流症(GERD)、機能性消化不良または機能性運動障害、胃不全麻痺、麻痺性イレウス、術後イレウス、嘔吐、悪心、胸焼け、偽性腸閉塞、過敏性腸症候群(IBS)、便秘、経腸栄養不耐性(EFI)、および食道炎からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、胃腸障害の治療を必要とする対象は、ヒトである。他の実施形態では、胃腸障害は、術後イレウス、慢性胃スピロヘータ病、便秘、巨大結腸、胃炎、胃腸うっ滞、および皺胃排出欠陥症からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、胃腸障害の治療を必要とする対象は、反芻動物、ウマ、ネコ、イヌ、ウサギ、またはモルモットなどの非ヒト動物である。
【0014】
他の態様では、胃腸運動の改善を必要とする対象において胃腸運動を改善する方法であって、それを必要とする対象に、(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の三水和物形態を含む、治療有効量の本明細書で提供される医薬組成物または本明細書で提供される剤形を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、胃腸運動の改善を必要とする対象は、胃腸障害を有する。いくつかの実施形態では、胃腸障害は、胃食道逆流症(GERD)、機能性消化不良または機能性運動障害、胃不全麻痺、麻痺性イレウス、術後イレウス、嘔吐、悪心、胸焼け、偽性腸閉塞、過敏性腸症候群(IBS)、便秘、経腸栄養不耐性(EFI)、および食道炎からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、胃腸運動の改善を必要とする対象は、ヒトである。他の実施形態では、胃腸障害は、術後イレウス、慢性胃スピロヘータ病、便秘、巨大結腸、胃炎、胃腸うっ滞、および皺胃排出欠陥症からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、胃腸運動の改善を必要とする対象は、反芻動物、ウマ、ネコ、イヌ、ウサギ、またはモルモットなどの非ヒト動物である。
【0015】
他の実施形態では、胃腸運動の改善を必要とする対象において胃腸運動を改善するための医薬品の製造における、(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の三水和物形態の使用が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、胃腸運動の改善を必要とする対象は、胃食道逆流症(GERD)、機能性消化不良または機能性運動障害、胃不全麻痺、麻痺性イレウス、術後イレウス、嘔吐、悪心、胸焼け、偽性腸閉塞、過敏性腸症候群(IBS)、便秘、経腸栄養不耐性(EFI)、および食道炎からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、胃腸運動の改善を必要とする対象は、ヒトである。他の実施形態では、胃腸障害は、術後イレウス、慢性胃スピロヘータ病、便秘、巨大結腸、胃炎、胃腸うっ滞、および皺胃排出欠陥症からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、胃腸運動の改善を必要とする対象は、反芻動物、ウマ、ネコ、イヌ、ウサギ、またはモルモットなどの非ヒト動物である。
【0016】
さらに他の態様では、化合物が、(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステルジ-塩酸塩の三水和物形態である、胃腸運動の改善を必要とする対象において胃腸運動を改善するのに使用するための化合物または化合物を含む医薬組成物が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、胃腸運動の改善を必要とする対象は、胃腸障害を有する。いくつかの実施形態では、胃腸障害は、胃食道逆流症(GERD)、機能性消化不良または機能性運動障害、胃不全麻痺、麻痺性イレウス、術後イレウス、嘔吐、悪心、胸焼け、偽性腸閉塞、過敏性腸症候群(IBS)、便秘、経腸栄養不耐性(EFI)、および食道炎からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、胃腸障害の治療を必要とする対象は、ヒトである。他の実施形態では、胃腸障害は、術後イレウス、慢性胃スピロヘータ病、便秘、巨大結腸、胃炎、胃腸うっ滞、および皺胃排出欠陥症からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、胃腸運動の改善を必要とする対象は、反芻動物、ウマ、ネコ、イヌ、ウサギ、またはモルモットなどの非ヒト動物である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】25℃(2つの左線)および50℃(2つの右線)での二塩酸塩の水蒸気収着等温線である。
【
図2】(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の無水物形態および三水和物形態のフーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルを示している。
【
図3】(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5)-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の無水物形態(下)および三水和物形態(上)の粉末X線回折(XRPD)パターンを示している。
【
図4】25℃での二塩酸塩の水蒸気収着等温線である。
【
図5】無水物形態(上段)および三水和物形態(下段)の熱重量分析走査を提供する。
【
図6】三水和物形態の代表的な
1H-NMRスペクトルである。
【
図7】三水和物形態の代表的な
13C-NMRスペクトルである。
【
図8】実験開始時(時間ゼロ、下)、25℃、相対湿度(RH)60%、開放、1週間(中)および25℃、60%相対湿度(RH)、開放、2週間(上)での三水和物形態のXRPDパターンを示す。
【
図9】実験開始時(時間ゼロ、下)、40℃、相対湿度75%、開放、1週間(中)および40℃、75%相対湿度(RH)、開放、2週間(上)での三水和物形態のXRPDパターンを示す。
【
図10】実験開始時(時間ゼロ、下)、60℃、閉鎖、1週間(中)、および60℃、閉鎖、2週間閉鎖(上)での三水和物形態のXRPDパターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の式を有する、(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩(化合物1)の三水和物形態:
【化3】
が本明細書で提供される。
【0019】
化合物1および容器を含むバルク組成物も本明細書で提供される。他の態様では、化合物1および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物が本明細書で提供される。障害の治療を必要とする対象において障害を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の化合物1または治療有効量の化合物1を含む医薬組成物を投与することを含む、方法;障害の治療を必要とする対象において障害を治療することにおける化合物1または化合物1を含む医薬組成物の使用;および障害の治療を必要とする対象において障害を治療するための医薬品の製造における、化合物1の使用が、本明細書でさらに提供される。
【0020】
I.化合物1
驚くべきことに、(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステルの二塩酸塩が三水和物形態で存在することができることが見出された。三水和物形態(化合物1)は、より広範囲の保存条件の抵抗性ならびに水和賦形剤および/または吸湿性賦形剤とともに製剤化される能力を含む、無水物形態よりも多くの利点を有する。無水物形態(FW=610.01g/mol)と三水和物(FW=664.06g/mol)との間の式量の違いにより、間違った形態が使用された場合には(例えば、無水物が意図されている場合に三水和物が使用され、三水和物が意図されている場合に無水物が使用される)、最終製剤において約8%~9%の不足となる。したがって、いくつかの実施形態では、どの形態が組成物中に存在するかを同定するために使用され得るX線粉末回折ピークも本明細書で提供される。
【0021】
A.X線粉末回折(XRPD)
いくつかの実施形態では、化合物1(本明細書で提供されるバルク組成物、医薬組成物、剤形、キット、またはこれらのいずれかを含む医薬品中の化合物1を含む)は、結晶形態であり、結晶形態は、7.74°±0.5°(>50%相対強度)および20.95°±0.5°(100%相対強度)にXRPD2シータ(2θ)ピークを有する。いくつかの実施形態では、化合物1は、7.6°±0.2°(>50%相対強度)、および20.7°±0.2°(100%相対強度)にXRPD2シータ(2θ)ピークを有する。他の実施形態では、化合物1は、アモルファス形態である。
【0022】
いくつかの実施形態では、化合物1は、結晶形態であり、結晶形態は、(°2シータ(2θ))7.74°±0.5°および20.95°±0.5°でのXRPDピーク、ならびに10.3°±0.2°、13.6°±0.2°、14.8°±0.2°、15.0°±0.2°、15.4°±0.2°、17.5°±0.2°、18.3°±0.2°、18.6°±0.2°、19.2°±0.2°、21.3°±0.2°、22.0°±0.2°、23.6°±0.2°、24.3°±0.2°、25.2°±0.2°、26.0°±0.2°、27.2°±0.2°、30.1°±0.2°、32.4°±0.2°、33.4°±0.2°、38.2°±0.2°、および39.4°±0.2°からなる群から選択されるXRPD2-シータ(2θ)ピークのうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10つ、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、またはそれらの各々を有する。
【0023】
いくつかの実施形態では、化合物1は、結晶形態であり、結晶形態は、7.6°±0.2°、10.3°±0.2°、および20.7°±0.2°にXRPD2シータ(2θ)ピークを有する。特定の実施形態では、化合物1は、結晶形態であり、結晶形態は、7.6°±0.2°、10.3°±0.2°、19.2°±0.2°、および20.7°±0.2°にXRPD2シータ(2θ)ピークを有する。他の実施形態では、化合物1は、結晶形態であり、結晶形態は、7.6°±0.2°、10.3°±0.2°、19.2°±0.2°、20.7°±0.2°、および33.4°±0.2°にXRPD2シータ(2θ)ピークを有する。さらに別の実施形態では、化合物1は、結晶形態であり、結晶形態は、7.6°±0.2°、10.3°±0.2°、19.2°±0.2°、20.7°±0.2°、33.4°±0.2°、および38.2°±0.2°にXRPD2シータ(2θ)ピークを有する。いくつかの実施形態では、化合物1は、結晶形態であり、結晶形態は、7.6°±0.2°、10.3°±0.2°、13.6°±0.2°、19.2°±0.2°、20.7°±0.2°、33.4°±0.2°、および38.2°±0.2°にXRPD2シータ(2θ)ピークを有する。さらなる実施形態では、化合物1は、結晶形態であり、結晶形態は、7.6°±0.2°、10.3°±0.2°、13.6°±0.2°、19.2°±0.2°、20.7°±0.2°、30.1°±0.2°、33.4°±0.2°、および38.2°±0.2°にXRPD2シータ(2θ)ピークを有する。特定の実施形態では、化合物1は、結晶形態であり、結晶形態は、7.6°±0.2°、10.3°±0.2°、13.6°±0.2°、19.2°±0.2°、20.7°±0.2°、26.0°±0.2°、30.1°±0.2°、33.4°±0.2°、および38.2°±0.2°にXRPD2シータ(2θ)ピークを有する。さらに別の実施形態では、化合物1は、結晶形態であり、結晶形態は、7.6°±0.2°、10.3°±0.2°、13.6°±0.2°、14.8°±0.2°、15.0°±0.2°、15.4°±0.2°、17.5°±0.2°、18.3°±0.2°、18.6°±0.2°、19.2°±0.2°、20.7°±0.2°、21.3°±0.2°、22.0°±0.2°、23.6°±0.2°、24.3°±0.2°、25.2°±0.2°、26.0°±0.2°、27.2°±0.2°、30.1°±0.2°、32.4°±0.2°、33.4°±0.2°、38.2°±0.2°、および39.4°±0.2°からなる群から選択されるXRPD2シータ(2θ)ピークのうちの少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、またはそれらの各々を有する。いくつかの実施形態では、化合物1の結晶形態は、これらのピークのうちの少なくとも3つを有する。他の実施形態では、化合物1の結晶形態は、これらのピークのうちの少なくとも4つを有する。他の実施形態では、化合物1の結晶形態は、これらのピークのうちの少なくとも5つを有する。他の実施形態では、化合物1の結晶形態は、これらのピークのうちの少なくとも6つを有する。他の実施形態では、化合物1の結晶形態は、これらのピークのうちの少なくとも7つを有する。他の実施形態では、化合物1の結晶形態は、これらのピークのうちの少なくとも8つを有する。他の実施形態では、化合物1の結晶形態は、これらのピークのうちの少なくとも9つを有する。他の実施形態では、化合物1の結晶形態は、これらのピークのうちの少なくとも10個を有する。特定の実施形態では、7.6°±0.2°および20.7°±0.2°にXRPD2シータ(2θ)ピークを有する化合物1の結晶形態(例えば、本明細書に記載の3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、またはそれ以上のXRPDピークを含む)について、7.6°±0.2°のピークは、50%超の相対強度を有し、20.7°±0.2°のピークは、100%相対強度を有する。
【0024】
B.バルク組成物
いくつかの実施形態では、化合物1を含むバルク組成物が本明細書で提供される。バルク組成物は、例えば、少なくとも1kgの化合物1、少なくとも10kgの化合物1、少なくとも50kgの化合物1、少なくとも100kgの化合物1、少なくとも150kgの化合物1、少なくとも200kgの化合物1、少なくとも250kgの化合物1、少なくとも300kgの化合物1、少なくとも350kgの化合物1、少なくとも400kgの化合物1、少なくとも450kgの化合物1、または少なくとも500kgの化合物1を含む組成物を含み得る。いくつかの実施形態では、バルク組成物は、約50kg~約500kgの化合物1、約100kg~約400kgの化合物1、約100kg~約300kgの化合物1、約150kg~250kgの化合物1、約200kg~約350kgの化合物1、または約200kg~約300kgの化合物1を含む。
【0025】
さらなる実施形態では、化合物1および少なくとも1つの容器を含むバルク組成物が本明細書で提供される。任意の好適な容器を使用し得る。例えば、いくつかの実施形態では、容器は、箱、バケツ、筒体(barrel)、ボトル、ジャー、バッグ、木箱、バケツ、トレイ、またはタープである。いくつかの実施形態では、バルク組成物は、化合物1および2つ以上の容器、例えば、3つの容器、4つの容器、5つの容器、または6つ以上の容器を含む。2つ以上の容器を含むバルク組成物において、いくつかの実施形態では、2つ以上の容器のうちの各々は、同じ種類であり、例えば、それらは、各筒体、各バケツ、各ボックスなどである。2つ以上の容器を含むバルク組成物の他の実施形態では、少なくとも2つの容器は、異なる種類である。特定の実施形態では、バルク組成物は、化合物1および少なくとも1つの容器を含み、各容器は、独立して、箱、バケツ、筒体、ボトル、ジャー、バッグ、木箱、バケツ、トレイ、およびタープからなる群から選択される。特定の実施形態では、容器は、蓋、例えば、ねじ蓋またはスナップ式の蓋を含む。いくつかの実施形態では、蓋は、取り外し可能であり、他の実施形態では、例えば、テザーによって取り付けられている。容器は、任意の好適な材料または材料の組み合わせを含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、容器は、ガラス、金属、プラスチック、段ボール、木材、またはそれらの任意の組み合わせを含む。バルク組成物が2つ以上の容器を含む実施形態では、いくつかの実施形態では、各容器は、同じ材料を含み、他の実施形態では、容器の少なくとも2つは、異なる材料を含む。いくつかの実施形態では、バルク組成物の1つ以上の容器は、汚染物質を含まない。例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上の容器は、ヒトなどの哺乳動物への投与が意図される医薬品活性成分(API)の保存における使用に好適である。
【0026】
いくつかの実施形態では、バルク組成物の化合物1の少なくとも一部は、1つ以上の容器の内部にある。特定の実施形態では、バルク組成物の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%が、1つ以上の容器内に配置される。いくつかの実施形態では、化合物1および2つ以上の容器を含むバルク組成物が本明細書で提供され、各容器は、化合物1の少なくとも一部を含む。特定の実施形態では、合計で、化合物1の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%が、2つ以上の容器内に配置される。バルク組成物の化合物1の少なくとも一部において、いくつかの実施形態では、2つ以上の容器間で均一に分布され得、または他の実施形態では、不均一に分布され得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、バルク組成物は、少なくとも50重量%、少なくとも55重量%、少なくとも60重量%、少なくとも65重量%、少なくとも70重量%、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも96重量%、少なくとも97重量%、少なくとも98重量%、少なくとも99重量%、または少なくとも99.9重量%の化合物1を含み、重量%は、容器の重量を除く。特定の実施形態では、バルク組成物は、容器の重量を除いて、少なくとも75重量%の化合物1を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、バルク組成物は、約6000ppm未満の有機溶媒を含む。いくつかの実施形態では、バルク組成物は、約5500ppm未満、約5000ppm未満、約4500ppm未満、約4000ppm未満、約3500ppm未満、約3000ppm未満、約2500ppm未満、または約2000ppm未満の有機溶媒を含む。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、1つ以上のアルコールを含む。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、1つ以上のC1~C8、またはC1~C6、またはC1~C4アルコールを含む。特定の実施形態では、有機溶媒は、イソプロパノール、n-プロパノール、エタノール、もしくはメタノール、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、イソプロパノールを含む。
【0029】
C.医薬組成物、剤形、およびキット
化合物1および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物も本明細書で提供される。医薬的に許容される賦形剤には、例えば、米国食品医薬品局によってヒトまたは家畜での使用が許容されるものとして承認されている、補助剤、担体、流動促進剤、甘味剤、希釈剤、防腐剤、染料/着色剤、香味増強剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、安定剤、等張剤、溶媒、または乳化剤が含まれ得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、固体である。例えば、いくつかの実施形態では、医薬組成物は、粉末または錠剤である。特定の実施形態では、化合物1の固体形態または化合物1を含む固体医薬組成物は、それを必要とする対象に、(例えば、粉剤、1つ以上の錠剤、または1つ以上のカプセル剤として)経口投与される。特定の実施形態では、医薬組成物は、液体を生成するために好適な媒体と組み合わされ、液体は、それを必要とする対象に投与される。いくつかの実施形態では、液体は、非経口投与(例えば、静脈内投与)される。他の実施形態では、液体は、胃腸管を介するなどして経腸投与(例えば、胃腸管を介して経口または直腸投与)される。いくつかの実施形態では、液体は、注射器、カップ、またはスプーンなどで経口投与される。いくつかの実施形態では、好適な媒体は、水性である。
【0031】
本明細書に記載の医薬組成物を含む剤形が本明細書でさらに提供される。いくつかの実施形態では、剤形は、1つ以上の錠剤または1つ以上のカプセル剤を含む。いくつかの実施形態では、剤形は、投与前に好適な溶媒と組み合わされる密封バイアル中の粉剤である。いくつかの実施形態では、好適な媒体は、水性である。
【0032】
さらに別の実施形態では、本明細書に記載の剤形と、包装と、を含むキットが本明細書で提供される。任意の好適な包装を使用し得る。いくつかの実施形態では、包装は、ボトル、またはブリスターパック、またはバイアルを含む。いくつかの実施形態では、キットは、剤形は、1つ以上の錠剤または1つ以上のカプセルと、包装と、を含み、包装がブリスターパックである。いくつかの実施形態では、ブリスターパックは、プラスチックフィルム、またはフォイルフィルム、またはプラスチックとおよびフォイルを含むフィルムで密封されている。いくつかの実施形態では、キットは、剤形を必要とする対象に投与する前に剤形と混合される好適な媒体を含む。例えば、いくつかの実施形態では、キットは、密封バイアル中の粉末としての剤形、および別個の容器(バイアル、注射器、またはボトルなど)中の水性媒体を含み、剤形は、それを必要とする対象に投与される(例えば、経口)前に水性媒体と組み合わされる。
【0033】
いくつかの実施形態では、医薬組成物、剤形、またはキットは、約6000ppm未満の有機溶媒を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物、剤形、またはキットは、約5500ppm未満、約5000ppm未満、約4500ppm未満、約4000ppm未満、約3500ppm未満、約3000ppm未満、約2500ppm未満、または約2000ppm未満の有機溶媒を含む。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、1つ以上のアルコールを含む。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、1つ以上のC1~C8、またはC1~C6、またはC1~C4アルコールを含む。特定の実施形態では、有機溶媒は、イソプロパノール、n-プロパノール、エタノール、もしくはメタノール、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、イソプロパノールを含む。
【0034】
D.水含有量および比率
特定の実施形態では、バルク組成物、医薬組成物、剤形、キット、または医薬品は、無水物形態または三水和物形態存在する(3S、4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の総重量に対して、少なくとも約5.0重量%、少なくとも約5.5重量%、少なくとも約6.0重量%、少なくとも約6.5重量%、少なくとも約7.0重量%、少なくとも約7.5重量%、少なくとも約8.0重量%、少なくとも約8.5重量%、少なくとも約9.0重量%、少なくとも約9.5重量%、少なくとも約10.0重量%、少なくとも約10.5重量%、少なくとも約11.0重量%、少なくとも約11.5重量%、または少なくとも約12.0重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、バルク組成物、医薬組成物、剤形、キット、または医薬品は、三水和物形態および(存在する場合には)無水物形態で存在する(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の総重量に対して、約6.5重量%~約10重量%、または約7.5重量%~約9.0重量%、または約8.5重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、三水和物形態のみが存在する。特定の実施形態では、無水物形態も存在し、水含有量は、三水和物形態および無水物形態の両方の(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ)-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の総重量に対して評価される。いくつかの実施形態では、バルク組成物、医薬組成物、剤形、キット、または医薬品は、三水和物形態および(存在する場合には)無水物形態で存在する(3S,4R,3’R)-6-[4-(3S,4R,3’R)4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の総重量に対して、少なくとも約7.5重量%の水を含む。バルク組成物、医薬組成物、剤形、キット、または医薬品の水含有量は、化合物の三水和物形態で存在する水を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるバルク組成物、医薬組成物、剤形、キット、または医薬品は、(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の無水物形態をさらに含む。特定の実施形態では、化合物1と無水物形態との比は、少なくとも約2対1、少なくとも約3対1、少なくとも約4対1、少なくとも約5対1、少なくとも約6対1、少なくとも約7対1、少なくとも約8対1、少なくとも約9対1、少なくとも約10対1、少なくとも約11対1、または少なくとも約12対1である。いくつかの実施形態では、バルク組成物、医薬組成物、剤形、キット、または医薬品は、(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ)を含む。-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の無水物形態を含み、化合物1と無水物との比は、少なくとも4対1または少なくとも11対1である。
【0036】
E.安定性
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物1を含むバルク組成物、医薬組成物、剤形、医薬品、またはキットは、(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の無水形態を含むバルク組成物、医薬組成物、剤形、医薬品、またはキットと比較して安定性が増加している。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物1を含むバルク組成物、医薬組成物、剤形、医薬品、またはキットは、無水化合物を含むバルク組成物、医薬組成物、剤形、医薬品、またはキットと比較して、経時的により安定な重量を有する。特定の実施形態では、本明細書で提供される化合物1を含むバルク組成物、医薬組成物、剤形、医薬品、またはキットは、少なくとも3ヶ月間、少なくとも6ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも15ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも24ヶ月、少なくとも30ヶ月、少なくとも36ヶ月、少なくとも42ヶ月、または少なくとも48ヶ月にわたって、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2.5%未満、2%未満、1.5%未満、1%未満、または0.5%未満の質量変化を有する。いくつかの実施形態では、質量の変化は、質量の増加である。いくつかの実施形態では、質量の変化は、質量の減少である。いくつかの実施形態では、化合物1を含むバルク組成物、医薬組成物、剤形、医薬品、またはキットは、特定の条件下で、無水化合物を含むバルク組成物、医薬組成物、剤形、医薬品、またはキットよりも安定である。例えば、いくつかの実施形態では、環境は、10%超、20%超、30%超、40%超、50%超、60%超、70%超、80%超、90%超、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、または約60%以上の相対湿度を有する。いくつかの実施形態では、温度は、15℃~35℃または20℃~30℃である。特定の実施形態では、温度は、約25℃である。他の実施形態では、温度は、35℃未満、30℃未満、10℃超、15℃超、または20℃超である。特定の実施形態では、本明細書で提供される化合物1を含むバルク組成物、医薬組成物、剤形、医薬品、またはキットは、15℃~35℃(20℃~30℃、または約25℃)および30%超(50%超または約60%など)の相対湿度の環境で保存した場合、少なくとも3ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも24ヶ月、または少なくとも36ヶ月間にわたって、8%未満、4%未満、または2%未満の質量変化(質量の増加など)を有する。
【0037】
II.化合物1の使用方法
障害の治療を必要とする対象において障害を治療する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の化合物1を投与することを含む、方法が本明細書でさらに提供される。いくつかの実施形態では、化合物1および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物が対象に投与される。胃腸運動の改善を必要とする対象において胃腸運動を改善する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の化合物1を投与すること、または化合物1および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を投与することを含む、方法が本明細書でさらに提供される。さらに、障害の治療を必要とする対象において障害を治療することまたは胃腸運動の改善を必要とする対象において胃腸運動を改善することにおける、化合物1または化合物1を含む医薬組成物の使用、および障害の治療を必要とする対象において障害を治療するためまたは胃腸運動の改善を必要とする対象において胃腸運動を改善するための医薬品の製造における、化合物1の使用が本明細書で提供される。
【0038】
障害の治療を必要とする対象において障害を治療するいくつかの実施形態(方法、化合物1の使用、化合物1を含む医薬組成物の使用、または医薬品の製造における化合物1の使用など)では、障害は胃腸障害である。胃腸運動の改善を必要とする対象において胃腸運動を改善するいくつかの実施形態(方法、化合物1の使用、化合物1を含む医薬組成物の使用、または医薬品の製造における化合物1の使用など)において、それを必要とする対象は、胃腸障害を有する。特定の実施形態では、胃腸障害は、胃食道逆流症(GERD)、消化不良(機能性消化不良または機能性運動障害など)、胃不全麻痺、麻痺性イレウス、術後イレウス、嘔吐、悪心、胸焼け、偽性腸閉塞症、過敏性腸症候群(IBS)、便秘、経腸栄養不耐性(EFI)、食道炎、慢性胃スピロヘータ病、巨大結腸、胃炎、胃腸うっ滞、または腹部排出欠損である。
【0039】
いくつかの実施形態では、それを必要とする対象は、ヒトである。それを必要とする対象がヒトである特定の実施形態では、胃食道逆流症(GERD)、消化不良(機能性消化不良または機能性運動障害など)、胃不全麻痺、麻痺性イレウス、術後イレウス、嘔吐、悪心、胸焼け、偽性腸閉塞症、過敏性腸症候群(IBS)、便秘、経腸栄養不耐性(EFI)、または食道炎である。他の実施形態では、それを必要とする対象は、非ヒト哺乳動物、例えば、反芻動物(例えば、ヒツジ、ウシ、ヤク、バイソン、または水牛)、ウマ(equine)(例えば、ウマ(horse)(ポニーを含む)またはロバ)、ネコ、イヌ、ウサギ、またはモルモットなどである。それを必要とする対象が非ヒト哺乳動物であるいくつかの実施形態では、胃腸障害は、術後イレウス、慢性胃スピロヘータ病、便秘、巨大結腸、胃炎、胃腸うっ滞、または腹部排出欠損である。
【0040】
いくつかの実施形態では、胃食道逆流症(GERD)の治療を必要とする対象において胃食道逆流症(GERD)を治療する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の化合物1を投与すること、またはそれを必要とする対象に、治療有効量の化合物1および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、GERDを治療する際に使用のための化合物1もしくは化合物1を含む医薬組成物、またはGERDを治療するための医薬品の製造における化合物1の使用が本明細書で提供される。胃腸運動の改善を必要とする対象において胃腸運動を改善するための治療方法、該改善における使用のための化合物1もしくは化合物1を含む医薬組成物、または該改善のための医薬品の製造における化合物の使用のいくつかの実施形態では、それを必要とする対象は、胃腸障害を有し、胃腸障害はGERDである。GERDは、胃の内容物が食道に逆流することを特徴とする疾患である。胃食道逆流症の病因における1つの重要な要因は、下部食道括約筋の機能不全による圧力障壁の低下である。下部食道括約筋の機能不全は、低い基礎圧、括約筋弛緩、または非代償性の胃内圧上昇により起こり得る。疾患の病因における他の要因には、胃内容物排出の遅延、蠕動障害による不十分な食道浄化、または食道粘膜に損傷を与え得る逆流物質の腐食性が含まれ得る。いくつかの実施形態では、GERDは、プロトンポンプ阻害剤(PPI)抵抗性GERDである。PPI抵抗性GERDは、例えば、PPIの投与により改善しないか、または対象の主な症状がPPIの投与により50%未満しか改善しない対象におけるGERDを含み得る。したがって、いくつかの実施形態では、GERDがPPI抵抗性GERDである、GERDの治療方法、GERDの治療における使用のための化合物1、GERDの治療における使用のための化合物1を含む医薬組成物、またはGERDを治療するための医薬品の製造における化合物1の使用が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、GERDの治療を必要とする対象は、ヒトである。
【0041】
いくつかの実施形態では、消化不良の治療を必要とする対象において消化不良を治療する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の化合物1を投与すること、またはそれを必要とする対象に、治療有効量の化合物1と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む医薬組成物を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、消化不良の治療における使用のための化合物1もしくは化合物1を含む医薬組成物、または消化不良を治療するための医薬品の製造における化合物1の使用が本明細書で提供される。胃腸運動の改善を必要とする対象において胃腸運動を改善するための治療方法、該改善における使用のための化合物1、該改善における使用のための化合物1を含む医薬組成物、または該改善のための医薬品の製造における化合物の使用のいくつかの実施形態では、それを必要とする対象は、胃腸障害を有し、胃腸障害は、消化不良である。消化不良は、消化力または消化機能の障害を特徴とする状態であり、原発性胃腸機能障害の症状として、または虫垂炎、胆嚢障害、もしくは栄養失調などの他の障害の合併症として起こり得る。したがって、いくつかの実施形態では、消化不良の治療は、虫垂炎に関連する消化不良の治療、胆嚢障害に関連する消化不良の治療、もしくは栄養失調に関連する消化不良の治療、もしくは機能性消化不良(FD)の治療、またはこれらすべての治療を含む。いくつかの実施形態では、消化不良の治療は、機能性消化不良(FD)の治療である。機能性消化不良は、機能性運動障害(FMD)とも呼ばれる。いくつかの実施形態では、消化不良の治療を必要とする対象は、ヒトである。他の実施形態では、消化不良の治療を必要とする対象は、非ヒト動物、例えば、反芻動物(ヒツジ、ウシ、ヤク、バイソン、または水牛など)、またはウマ(equine)(ウマ(horse)(ポニーを含み得る)またはロバ)、ネコ、イヌ、ウサギ、またはモルモットである。
【0042】
いくつかの実施形態では、胃不全麻痺の治療を必要とする対象において胃不全麻痺を治療する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の化合物1を投与すること、またはそれを必要とする対象に治療有効量の化合物1および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、胃不全麻痺の治療における使用のための化合物1もしくは化合物1を含む医薬組成物、または胃不全麻痺を治療するための医薬品の製造における化合物1の使用が本明細書で提供される。胃腸運動の改善を必要とする対象において胃腸運動を改善するための治療方法、該改善における使用のための化合物1、該改善における使用のための化合物1を含む医薬組成物、または該改善のための医薬品の製造における化合物の使用のいくつかの実施形態では、それを必要とする対象は、胃腸障害を有し、胃腸障害は、胃不全麻痺である。胃不全麻痺は、胃の運動異常によって引き起こされる胃の麻痺であり、糖尿病、進行性全身性硬化症、神経性無食欲症、または筋緊張性ジストロフィーなどの疾患の合併症であり得る。いくつかの実施形態では、胃不全麻痺の治療は、糖尿病性胃不全麻痺の治療、進行性全身性硬化症に関連する胃不全麻痺の治療、神経性無食欲症に関連する胃不全麻痺の治療、もしくは筋緊張性ジストロフィーに関連する胃不全麻痺の治療、またはこれらの任意の組み合わせの治療を含む。いくつかの実施形態では、胃不全麻痺は、特発性胃不全麻痺または機能性胃不全麻痺である。いくつかの実施形態では、胃不全麻痺の治療を必要とする対象は、ヒトである。
【0043】
いくつかの実施形態では、麻痺性イレウスの治療を必要とする対象において麻痺性イレウスを治療する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の化合物1を投与すること、またはそれを必要とする対象に治療有効量の化合物1および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、麻痺性イレウスの治療における使用のための化合物1もしくは化合物1を含む医薬組成物、または麻痺性イレウスを治療するための医薬品の製造における化合物1の使用が本明細書で提供される。胃腸運動の改善を必要とする対象において胃腸運動を改善するための治療方法、該改善における使用のための化合物1、該改善における使用のための化合物1を含む医薬組成物、または該改善のための医薬品の製造における化合物の使用のいくつかの実施形態では、それを必要とする対象は、胃腸障害を有し、胃腸障害は、麻痺性イレウスである。いくつかの実施形態では、胃腸運動の改善を必要とする対象は、ヒトである。
【0044】
いくつかの実施形態では、術後イレウスの治療を必要とする対象において術後イレウスを治療する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の化合物1を投与すること、またはそれを必要とする対象に治療有効量の化合物1および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、術後イレウスの治療における使用のための化合物1もしくは化合物1を含む医薬組成物、または術後イレウスを治療するための医薬品の製造における化合物1の使用が本明細書で提供される。胃腸運動の改善を必要とする対象において胃腸運動を改善するための治療方法、該改善における使用のための化合物1、該改善における使用のための化合物1を含む医薬組成物、または該改善のための医薬品の製造における化合物の使用のいくつかの実施形態では、それを必要とする対象は、胃腸障害を有し、胃腸障害は、術後イレウスである。術後イレウスは、手術後の筋緊張の乱れによる腸閉塞である。術後イレウスを治療するいくつかの実施形態では、それを必要とする対象は、ヒトである。他の実施形態では、術後イレウスの治療を必要とする対象は、非ヒト動物、例えば、ウマ(equine)動物、例えばウマ(horse)(ポニーを含み得る)である。
【0045】
いくつかの実施形態では、悪心または嘔吐の治療を必要とする対象において悪心または嘔吐を治療する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の化合物1を投与すること、またはそれを必要とする対象に治療有効量の化合物1および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、悪心の治療または嘔吐の治療における使用のための化合物1もしくは化合物1を含む医薬組成物、または悪心を処理するためもしくは嘔吐を治療するための医薬品の製造における化合物1の使用が本明細書で提供される。胃腸運動の改善を必要とする対象において胃腸運動を改善するための治療方法、該改善における使用のための化合物1、該改善における使用のための化合物1を含む医薬組成物、または該改善のための医薬品の製造における化合物の使用のいくつかの実施形態では、それを必要とする対象は、胃腸障害を有し、胃腸障害は、悪心である。他の実施形態では、胃腸障害は、嘔吐である。いくつかの実施形態では、胃腸運動の改善を必要とする対象は、ヒトである。
【0046】
いくつかの実施形態では、胸焼けの治療を必要とする対象において胸焼けを治療する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の化合物1を投与すること、またはそれを必要とする対象に治療有効量の化合物1および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、胸焼けの治療における使用のための化合物1もしくは化合物1を含む医薬組成物、または胸焼けを治療するための医薬品の製造における化合物1の使用が本明細書で提供される。胃腸運動の改善を必要とする対象において胃腸運動を改善するための治療方法、該改善における使用のための化合物1、該改善における使用のための化合物1を含む医薬組成物、または該改善のための医薬品の製造における化合物の使用のいくつかの実施形態では、それを必要とする対象は、胃腸障害を有し、胃腸障害は、胸焼けである。いくつかの実施形態では、それを必要とする対象は、ヒトである。
【0047】
いくつかの実施形態では、偽性腸閉塞症の治療を必要とする対象において偽性腸閉塞症を治療する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の化合物1を投与すること、またはそれを必要とする対象に治療有効量の化合物1および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、偽性腸閉塞症の治療における使用のための化合物1もしくは化合物1を含む医薬組成物、または偽性腸閉塞症を治療するための医薬品の製造における化合物1の使用が本明細書で提供される。胃腸運動の改善を必要とする対象において胃腸運動を改善するための治療方法、該改善における使用のための化合物1、該改善における使用のための化合物1を含む医薬組成物、または該改善のための医薬品の製造における化合物の使用のいくつかの実施形態では、それを必要とする対象は、胃腸障害を有し、胃腸障害は、偽性腸閉塞症である。偽性腸閉塞症は、便秘、疝痛、および嘔吐を特徴とする状態であるが、物理的閉塞の証拠はない。いくつかの実施形態では、偽性腸閉塞症の治療は、偽性腸閉塞症に関連する便秘の治療、偽性腸閉塞症に関連する疝痛の治療、もしくは偽性腸閉塞症に関連する嘔吐の治療、またはこれらのすべての治療を含む。いくつかの実施形態では、それを必要とする対象は、ヒトである。
【0048】
いくつかの実施形態では、過敏性腸症候群(IBS)の治療を必要とする対象において過敏性腸症候群(IBS)を治療する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の化合物1を投与すること、またはそれを必要とする対象に治療有効量の化合物1および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、IBSの治療における使用のための化合物1もしくは化合物1を含む医薬組成物、またはIBSを治療するための医薬品の製造における化合物1の使用が本明細書で提供される。胃腸運動の改善を必要とする対象において胃腸運動を改善するための治療方法、該改善における使用のための化合物1、該改善における使用のための化合物1を含む医薬組成物、または該改善のための医薬品の製造における化合物の使用のいくつかの実施形態では、それを必要とする対象は、胃腸障害を有し、胃腸障害は、IBSである。IBSは、異常な結腸収縮による腹痛を特徴とする状態であり、しばしば便秘および下痢に関連する。したがって、いくつかの実施形態では、IBSの治療は、IBSに関連する腹痛の治療、もしくはIBSに関連する便秘の治療、またはIBSによる下痢の治療を含む。いくつかの実施形態では、IBSは、過敏性腸症候群便秘型(IBSc)である。いくつかの実施形態では、それを必要とする対象は、ヒトである。
【0049】
いくつかの実施形態では、便秘の治療を必要とする対象において便秘を治療する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の化合物1を投与すること、またはそれを必要とする対象に治療有効量の化合物1および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、便秘の治療における使用のための化合物1もしくは化合物1を含む医薬組成物、または便秘を治療するための医薬品の製造における化合物1の使用が本明細書で提供される。胃腸運動の改善を必要とする対象において胃腸運動を改善するための治療方法、該改善における使用のための化合物1、該改善における使用のための化合物1を含む医薬組成物、または該改善のための医薬品の製造における化合物の使用のいくつかの実施形態では、それを必要とする対象は、胃腸障害を有し、胃腸障害は、便秘である。便秘は、頻度が少ないまた困難な糞便の排出を特徴とする状態であり、腸筋緊張の欠如または腸の痙縮などの状態に起因し得る。したがって、いくつかの実施形態では、便秘の治療は、低い腸筋緊張に関連する便秘の治療、腸の痙攣に関連する便秘の治療、IBSに関連する便秘の治療、偽性腸閉塞に関連する便秘の治療、オピエート誘発性便秘(OIC)の治療、慢性特発性便秘(CIC)、または過敏性腸便秘型(IBSc)に関連する便秘の治療を含む。いくつかの実施形態では、便秘は、慢性便秘である。いくつかの実施形態では、便秘の治療を必要とする対象は、ヒトである。他の実施形態では、便秘の治療を必要とする対象は、非ヒト哺乳動物、例えば、ネコまたはイヌである。
【0050】
いくつかの実施形態では、経腸栄養不耐性(EFI)の治療を必要とする対象において経腸栄養不耐性(EFI)を治療する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の化合物1を投与すること、またはそれを必要とする対象に治療有効量の化合物1および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、EFIの治療における使用のための化合物1もしくは化合物1を含む医薬組成物、またはEFIを治療するための医薬品の製造における化合物1の使用が本明細書で提供される。胃腸運動の改善を必要とする対象において胃腸運動を改善するための治療方法、該改善における使用のための化合物1、該改善における使用のための化合物1を含む医薬組成物、または該改善のための医薬品の製造における化合物の使用のいくつかの実施形態では、それを必要とする対象は、胃腸障害を有し、胃腸障害は、EFIである。重症患者でのEFIは一般的である。EFIは、嘔吐、腹部膨満、不快感の訴え、高い経鼻胃管出力、間隔を置いて測定される高い胃残留量(GRV)、下痢、腸内ガスおよび便の排出減少、または腹部の異常なX線写真のうちの1つ以上をしばしば特徴とする。EFIを患っている重症患者は、ICUでの滞在が長いことおよび低い生存率と関連する。いくつかの実施形態では、EFIの治療は、EFIに関連する嘔吐の治療、EFIに関連する腹部膨満の治療、EFIに関連する不快感の治療、EFIに関連する高い経鼻胃管出力の治療、EFIに関連する高い胃残留量(GRV)の治療、EFIに関連する下痢の治療、またはEFIに関連する腸内ガスおよび便の排出減少の治療のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、それを必要とする対象は、ヒトである。
【0051】
さらに別の実施形態では、食道炎の治療を必要とする対象の食道炎を治療する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の化合物1を投与すること、またはそれを必要とする対象に治療有効量の化合物1および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、食道炎の治療における使用のための化合物1もしくは化合物1を含む医薬組成物、または食道炎を治療するための医薬品の製造における化合物1の使用が本明細書で提供される。胃腸運動の改善を必要とする対象において胃腸運動を改善するための治療方法、該改善における使用のための化合物1、該改善における使用のための化合物1を含む医薬組成物、または該改善のための医薬品の製造における化合物の使用のいくつかの実施形態では、それを必要とする対象は、胃腸障害を有し、胃腸障害は、食道炎である。食道炎には、食道内層の炎症が含まれ、例えば、胃から食道への酸の逆流(例えば、GERD)、または食道組織のアレルギー性炎症によって引き起こされ得る。いくつかの実施形態では、食道炎は、びらん性食道炎(EE)または好酸球性食道炎(EoE)である。したがって、いくつかの実施形態では、食道炎を治療することは、びらん性食道炎または好酸球性食道炎を治療することを含む。いくつかの実施形態では、食道炎の治療を必要とする対象は、ヒトである。
【0052】
さらなる実施形態では、慢性胃スピロヘータ病を必要とする対象において慢性胃スピロヘータ病を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の化合物1または治療有効量の化合物1および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、慢性胃スピロヘータ病の治療における使用のための化合物1もしくは化合物1を含む医薬組成物、または慢性胃スピロヘータ病の治療を必要とする対象において慢性胃スピロヘータ病を治療するための医薬品の製造における化合物1の使用が本明細書で提供される。胃腸運動の改善を必要とする対象において胃腸運動を改善するための治療方法、該改善における使用のための化合物1、該改善における使用のための化合物1を含む医薬組成物、または該改善のための医薬品の製造における化合物の使用のいくつかの実施形態では、それを必要とする対象は、胃腸障害を有し、胃腸障害は、慢性胃スピロヘータ病である。慢性胃スピロヘータ病の治療を必要とする対象において慢性胃スピロヘータ病を治療する方法、該治療における使用のための化合物1、該治療における使用のための化合物1を含む医薬組成物、または該治療のための医薬品の製造における化合物の使用のいくつかの実施形態では、それを必要とする対象は、非ヒト動物、例えば、ウマまたは反芻動物である。いくつかの実施形態では、ウマ(equine)は、ウマ(horse)(ポニーであり得る)またはロバである。いくつかの実施形態では、反芻動物は、ヒツジである。慢性胃スピロヘータ病は、自律(不随意)神経系の損傷による腸の活動障害を含み、自律神経失調症の一形態である。ウマでの慢性胃スピロヘータ病は、ウマの自律神経失調症としても既知であり得る。
【0053】
他の実施形態では、巨大結腸の治療を必要とする対象において巨大結腸を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の化合物1または治療有効量の化合物1および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、巨大結腸の治療における使用のための化合物1もしくは化合物1を含む医薬組成物、または巨大結腸を治療するための医薬品の製造における化合物1の使用が本明細書で提供される。胃腸運動の改善を必要とする対象において胃腸運動を改善するための治療方法、該改善における使用のための化合物1、該改善における使用のための化合物1を含む医薬組成物、または該改善のための医薬品の製造における化合物の使用のいくつかの実施形態では、それを必要とする対象は、胃腸障害を有し、胃腸障害は、巨大結腸である。巨大結腸の治療を必要とする対象において巨大結腸を治療する方法、該治療における使用のための化合物1、該治療における使用のための化合物1を含む医薬組成物、または該治療のための医薬品の製造における化合物の使用のいくつかの実施形態では、それを必要とする対象は、非ヒト動物、例えば、コンパニオンアニマルである。特定の実施形態では、それを必要とする対象は、ネコまたはイヌである。巨大結腸は、結腸(大腸とも呼ばれる)の異常な膨張を含み、腸の蠕動運動の麻痺をしばしば伴う。
【0054】
さらに別の実施形態では、胃炎の治療を必要とする対象において胃炎を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の化合物1または治療有効量の化合物1および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、胃炎の治療における使用のための化合物1もしくは化合物1を含む医薬組成物、または胃炎を治療するための医薬品の製造における化合物1の使用が本明細書で提供される。胃腸運動の改善を必要とする対象において胃腸運動を改善するための治療方法、該改善における使用のための化合物1、該改善における使用のための化合物1を含む医薬組成物、または該改善のための医薬品の製造における化合物の使用のいくつかの実施形態では、それを必要とする対象は、胃腸障害を有し、胃腸障害は、胃炎である。胃炎の治療を必要とする対象において胃炎を治療する方法、該治療における使用のための化合物1、該治療における使用のための化合物1を含む医薬組成物、または該治療のための医薬品の製造における化合物の使用のいくつかの実施形態では、それを必要とする対象は、非ヒト動物、例えば、コンパニオンアニマルである。特定の実施形態では、それを必要とする対象は、ネコである。特定の実施形態では、胃炎は、萎縮性胃炎である。胃炎は、胃粘膜の炎症であり、症状には、急性嘔吐、食欲減退、脱水症、無気力または鬱、口渇の増加、嘔吐物または糞便中の血液、および腹痛が含まれ得る。
【0055】
特定の実施形態では、胃腸うっ滞の治療を必要とする対象において胃腸うっ滞を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の化合物1または治療有効量の化合物1および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、胃腸うっ滞の治療における使用のための化合物1もしくは化合物1を含む医薬組成物、またはそれを必要とする対象において胃腸うっ滞を治療するための医薬品の製造における化合物1の使用が本明細書で提供される。胃腸うっ滞の治療を必要とする対象において胃腸うっ滞を治療する方法、該治療における使用のための化合物1、該治療における使用のための化合物1を含む医薬組成物、または該治療のための医薬品の製造における化合物の使用のいくつかの実施形態では、それを必要とする対象は、ウサギまたはモルモットである。胃腸うっ滞は、胃腸運動の減速または完全停止である。例えば、ウサギまたはモルモットでは、ストレス、脱水症、別の基礎疾患もしくは病気(ガス、歯の問題、感染症、尿路障害など)による痛み、腸閉塞、または食事での粗繊維が不十分なことを含み得る様々な理由で、腸が静止し得る。治療しないままでは、正常な腸運動の減速または完全停止(蠕動)によって死に至り得る。
【0056】
他の実施形態では、皺胃排出欠陥症の治療を必要とする対象において皺胃排出欠陥症を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の化合物1または治療有効量の化合物1および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、皺胃排出欠陥症の治療における使用のための化合物1または化合物1を含む医薬組成物、または皺胃排出欠陥症を治療するための医薬品の製造における化合物1の使用が本明細書で提供される。胃腸運動の改善を必要とする対象において胃腸運動を改善するための治療方法、該改善における使用のための化合物1、該改善における使用のための化合物1を含む医薬組成物、または該改善のための医薬品の製造における化合物の使用のいくつかの実施形態では、それを必要とする対象は、胃腸障害を有し、胃腸障害は、皺胃排出欠陥症である。皺胃排出欠陥症の治療を必要とする対象において皺胃排出欠陥症を治療する方法、該治療における使用のための化合物1、該治療における使用のための化合物1を含む医薬組成物、または該治療のための医薬品の製造における化合物の使用のいくつかの実施形態では、それを必要とする対象は、反芻動物などの非ヒト動物、例えば、飼いならされた反芻動物である。いくつかの実施形態では、反芻動物は、ヒツジ、ウシ(雄ウシを含み得る)、ヤク、バイソン、または水牛である。皺胃排出欠陥症は、皺胃の膨張と宿便を特徴とする皺胃排出の減速または完全停止である。
【0057】
いくつかの実施形態では、初乳を与えられている子牛への受動免疫の伝達を増加させる方法であって、子牛に、治療有効量の化合物1または治療有効量の化合物1および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、初乳を与えられている子牛への受動免疫の伝達を増加させることにおける使用のための化合物1もしくは化合物1を含む医薬組成物、または初乳を与えられている子牛への受動免疫の伝達を増加させるための医薬品の製造における化合物1の使用が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、初乳を与えられている子牛は、初乳を与えられている乳用子牛である。新生子牛は、小腸上皮細胞を介した母体IgG(母体抗体)の能動的取り込みよる受動免疫を獲得するために、出生後の最初の24時間に初乳を摂取する必要がある。初乳を与えられている子牛の小腸から吸収されるIgGの質量は、皺胃が空になる速度(反芻動物の胃の第4室である皺胃が空になる速度)に部分的に依存し得る。皺胃が空になる速度は、初乳IgGが小腸のIgG吸収部位に送達される速度に影響を与え得る。いくつかの実施形態では、初乳IgGはより早くかつより高い管腔濃度で小腸の吸収部位に到達し得るので、皺胃排出速度の増加は、吸収の見かけの効率の増加をもたらし得る。
【0058】
本明細書に記載されるように、胃腸運動の改善を必要とする対象において胃腸運動を改善するための治療方法、該改善における使用のための化合物1、もしくは該改善における使用のための化合物1を含む医薬組成物、または該改善のための医薬品の製造における使用のための化合物1の使用が提供される。不十分な胃腸運動には、不十分な胃の運動、不十分な小腸の運動、不十分な大腸の運動、もしくは不十分な骨盤底の運動、またはそれらの組み合わせが含まれ得る。いくつかの実施形態では、不十分な胃腸運動は、運動の完全停止を含む。不十分な胃腸運動に関連する症状には、例えば、便秘、嘔吐、膨満感、下痢、または悪心が含まれ得る。いくつかの実施形態では、不十分な胃腸運動は、本明細書に記載の胃腸障害のうちの1つなどの胃腸障害に関連している。特定の実施形態では、本明細書に記載の胃腸運動の改善には、胃の運動の改善、または胃腸運動の改善、またはそれらの組み合わせが含まれる。特定の実施形態では、腸の運動の改善には、小腸の運動性の改善、もしくは大腸の運動の改善、またはそれらの組み合わせが含まれる。いくつかの実施形態では、胃腸運動の改善には、食道から近位小腸を通る胃腸平滑筋活動を増加させることが含まれる。特定の実施形態では、これは、食道および小腸の通過を加速し、また、胃内容物排出を促進し、下部食道括約筋の緊張を高め得る。いくつかの実施形態では、胃腸運動の改善には、機能性運動障害を治療することが含まれる。したがって、いくつかの実施形態では、機能性運動障害(FMD)の治療方法、機能性運動障害(FMD)の治療における使用のための化合物1、もしくは機能性運動障害(FMD)の治療における使用のための化合物1を含む医薬組成物、または機能性運動障害(FMD)の治療のための医薬品の製造における化合物1の使用が本明細書で提供される。機能性運動障害は、機能性消化不良(FD)とも呼ばれる。胃腸運動を改善するいくつかの実施形態では、それを必要とする対象は、ヒトである。他の実施形態では、それを必要とする対象は、非ヒト動物、例えば、反芻動物(ヒツジ、ウシ、ヤク、バイソン、または水牛など)またはウマ(equine)(ウマ(horse)(ポニーを含み得る)またはロバ)、ネコ、イヌ、ウサギ、またはモルモットである。
【0059】
本明細書で提供される方法および使用のいくつかの実施形態では、対象は、新生児である。いくつかの実施形態では、新生児は、ヒト新生児である。他の実施形態では、新生児は、ウシ新生児、例えば、初乳を与えられる子牛である。いくつかの実施形態では、化合物1、または化合物1および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物は、対象に非経口投与(例えば、静脈内投与)される。いくつかの実施形態では、それは皮下投与される。他の実施形態では、それは筋肉内投与される。さらに別の実施形態では、それは腹腔内投与される。いくつかの実施形態では、それは直腸投与される。特定の実施形態では、それは経口投与される。他の実施形態では、それは胃管を介して投与される。例えば、いくつかの実施形態では、化合物1の固体形態(粉末または錠剤など)、または化合物1を含む固体医薬組成物(化合物1を含む粉末または錠剤組成物など)を好適な媒体に溶解して液体を形成し、該液体が、非経口投与(例えば、静脈内投与)、経口投与、または胃管によって投与される。特定の実施形態では、化合物1の固体形態または化合物1を含む固体医薬組成物は、それを必要とする対象に、(例えば、粉剤、1つ以上の錠剤、または1つ以上のカプセル剤として)経口投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の(医薬組成物中などの)それを必要とする対象に投与される化合物1、または本明細書に記載の医薬品の製造に使用される化合物1は、例えば、本明細書に記載の1つ以上の特性、例えば、本明細書に記載の1つ以上のXRPDピークを有する結晶形態を有する。
【0060】
本明細書に記載の障害の治療を必要とする対象において障害を治療するため、または胃腸運動の改善を必要とする対象において本明細書に記載の胃腸運動を改善するための、本明細書で提供される方法および使用のいずれかの特定の実施形態(例えば、治療方法、使用のための化合物1、使用のための化合物1を含む医薬組成物、または医薬品の製造における化合物1の使用を含む)では、それを必要とする対象は、動物である。いくつかの実施形態では、動物は、哺乳動物である。特定の実施形態では、動物は、ヒトである。他の実施形態では、動物は、非ヒト動物である。特定の実施形態では、動物は、反芻動物、例えば、飼いならされた反芻動物である。いくつかの実施形態では、反芻動物は、ヒツジ、ウシ(雄ウシを含み得る)、ヤク、バイソン、または水牛である。他の実施形態では、哺乳動物は、ウマ、例えば、飼いならされたウマである。特定の実施形態では、ウマ(equine)は、ウマ(horse)(ポニーを含む)またはロバである。他の実施形態では、動物は、ネコ、イヌ、ウサギ、またはモルモットである。特定の実施形態では、動物は、コンパニオンアニマル、例えば、ペットのウマ、ペットのロバ、ペットのネコ、ペットのイヌ、ペットのウサギ、またはペットのモルモットである。他の実施形態では、動物は、食料生産に使用される動物、例えば、ヒツジ、ウシ、バイソン、水牛、またはヤクである。したがって、ヒトにおいて本明細書に記載の障害を治療することもしくはヒトにおいて本明細書に記載の胃腸運動を改善することにおける使用のための化合物1、ヒトにおいて本明細書に記載の障害を治療することもしくはヒトにおいて本明細書に記載の胃腸運動を改善することにおける使用のための化合物1を含む医薬組成物、またはヒトにおいて本明細書に記載の障害を治療することもしくはヒトにおいて本明細書に記載の胃腸運動を改善するための医薬品の製造における化合物1の使用の方法が本明細書で提供される。別の態様では、非ヒト哺乳動物において本明細書に記載の障害を治療することもしくは非ヒト哺乳動物において本明細書に記載の胃腸運動を改善することにおける使用のための化合物1、非ヒト哺乳動物において本明細書に記載の障害を治療することもしくは非ヒト哺乳動物において本明細書に記載の胃腸運動を改善することにおける使用のための化合物1を含む医薬組成物、または非ヒト哺乳動物において本明細書に記載の障害を治療することもしくは非ヒト哺乳動物において本明細書に記載の胃腸運動を改善するための医薬品の製造における化合物1の使用の方法が本明細書で提供される。
【0061】
本明細書に記載されるように、特定の安定性を有する化合物1を含むバルク組成物、医薬組成物、キット、および剤形、もしくは有機溶媒含有量、もしくは水含有量、もしくは三水和物と無水物形態との比、もしくはXRPDスペクトル、またはこれらの様々な組み合わせが提供される。いくつかの実施形態では、これらの医薬組成物、剤形、またはキットのいずれかは、本明細書で提供されるように、障害の治療または胃腸運動の促進を必要とする対象において、障害を治療するためまたは胃腸運動を促進するための本明細書に記載の方法および使用において使用され得る。いくつかの実施形態では、これらのバルク組成物のいずれかは、本明細書で提供されるように、障害の治療または胃腸運動の促進を必要とする対象において、障害を治療するためまたは胃腸運動を促進するための本明細書に記載の方法および使用において使用され得るか、あるいは本明細書で提供されるように、障害の治療または胃腸運動の促進を必要とする対象において、障害を治療するためまたは胃腸運動を促進するための本明細書に記載の方法における使用のためおよび該方法の使用のための医薬組成物または剤形またはキットの製造に使用され得る。
【0062】
III.化合物1を製造する方法
いくつかの態様では、化合物1を製造する方法および化合物1を含むバルク組成物が本明細書で提供される。化合物1のバルク組成物を製造する方法の開発において、驚くべきことに、(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-)クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステルの二塩酸塩の湿った混合物を単に乾燥させることにより、(非水)残留溶媒を用いて化合物1を含む組成物を常に確実に生成しないことが見出された。むしろ、いくつかの実施形態では、異なる温度および圧力範囲の段階的手順は、化合物1を含む組成物を大規模に製造するための手順の重要な態様である。さらに、(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステルの無水二塩酸塩の少なくとも3つの結晶形態、および化合物1(三水和物)の少なくとも1つの結晶形態が存在し、特定の溶媒および温度条件下でこれらの形態の特定のものは互換できることが見出された。本明細書に記載の化合物1を製造する方法は、低(非水)残留溶媒を使用して化合物1を再現可能に生成し得、実験室規模および商業規模の製造の両方に好適であり得る。化合物1を製造する方法はまた、良好な取り扱い特性、例えば、低い凝集性および/または良好な流動性を有する結晶形態を生じさせ得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、化合物1を製造する方法(化合物1を含むバルク組成物を製造する方法など)は、
(a)遊離塩基(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステルと有機溶媒とを合わせて混合物を形成することと、
(b)塩酸を添加することによって混合物のpHを3.5~4.5に調整することと、
(c)沈殿物が形成されるまで混合物を攪拌することと、
(d)沈殿物を単離し、単離された沈殿物を形成することと、
(e)単離された沈殿物を減圧下で乾燥させて、(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の三水和物形態(化合物1)を生成することを含む。
【0064】
任意の好適な有機溶媒を遊離塩基と合わせて混合物を形成し得る。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、1つ以上の化合物、例えば、1つ以上の有機化合物、または少なくとも1つの有機化合物および1つ以上の非有機化合物を含む。特定の実施形態では、有機溶媒は、1つ以上のアルコールを含む。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、1つ以上のC1~C8、またはC1~C6、またはC1~C4アルコールを含む。特定の実施形態では、有機溶媒は、メタノール、エタノール、n-プロパノール、またはイソプロパノールのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、イソプロパノールを含む。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、エタノールおよびn-プロパノールを含む。さらに別の実施形態では、有機溶媒は、少なくとも1つの有機化合物および1つ以上の非有機化合物を含む。
【0065】
特定の実施形態では、遊離塩基を有機溶媒および水と合わせて、混合物を形成する。例えば、いくつかの実施形態では、遊離塩基を有機溶媒および水と合わせて、混合物を形成し、有機溶媒は、1つ以上のアルコール、例えば、イソプロパノールを含む。いくつかの実施形態では、混合物は、例えば、様々な量の水を含み得る。特定の実施形態では、混合物は、有機溶媒、および少なくとも1重量%の水、少なくとも5重量%の水、少なくとも10重量%の水、20重量%以下の水、15重量%以下の水、10重量%以下の水、約1重量%~約20重量%の水、約5重量%~約15重量%の水、約8重量%~約12重量%の水、または約10重量%の水を含み、水の重量%は、混合物中の有機溶媒の重量に対するものである。特定の実施形態では、混合物は、有機溶媒の量に対して、有機溶媒、および約5重量%~約15重量%の水を含む。他の実施形態では、有機溶媒は、約8重量%~約12重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、混合物は、有機溶媒および約10重量%の水を含む。特定の実施形態では、混合物は、有機溶媒を含み、有機溶媒は、1つ以上のアルコールおよび水を含み、水は、約5重量%~約15重量%、約8重量%~約12重量%、または約10重量%で存在し、水の重量%は、有機溶媒の量に対するものである。さらに別の実施形態では、混合物は、有機溶媒を含み、有機溶媒は、エタノール、n-プロパノール、またはイソプロパノール、またはそれらの任意の組み合わせを含み、水は、有機溶媒の量に対して、約5重量%~約15重量%、約8重量%~約12重量%、または約10重量%で存在する。さらに別の実施形態では、混合物は、有機溶媒を含み、有機溶媒は、イソプロパノールを含み水は、有機溶媒の量に対して、約5重量%~約15重量%、約8重量%~約12重量%、または約10重量%で存在する。特定の実施形態では、混合物は、3:7未満の体積比で水および有機溶媒を含む。特定の実施形態では、混合物は、1:4未満の体積比で水および有機溶媒を含む。特定の実施形態では、混合物は、体積で、1:3未満、1:4未満、1:5未満、1:6未満、1:7未満、1:8未満、または1:9未満の体積比で水および有機溶媒を含む。特定の実施形態では、比率は、約1:9である。これらの実施形態のいずれかでは、有機溶媒は、1つ以上のC1~C8、またはC1~C6、またはC1~C4アルコールを含み得る。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、エタノールおよびn-プロパノールを含む。特定の実施形態では、有機溶媒は、イソプロパノールを含む。特定の実施形態では、有機溶媒は、イソプロパノールである。いくつかの実施形態では、3:7未満(例えば、1:4未満、例えば約1:9)の体積比で水および有機溶媒を含む混合物は、水と有機溶媒との比率が高い混合物を使用するプロセスよりも化合物1の結晶形態の高い収率をもたらす。
【0066】
特定の実施形態では、混合物のpHは、塩酸水溶液を、遊離塩基および有機溶媒ならびに任意選択で水によって形成される混合物に添加することによって、塩酸で調整される。例えば、いくつかの実施形態では、塩酸は、濃塩酸である。特定の実施形態では、塩酸は、約30重量%~約45重量%の塩酸、または約30重量%~約40重量%の塩酸、または約35重量%~約40重量%の塩酸、または約37重量%の塩酸を含む水溶液として添加される。いくつかの実施形態では、異なる強度の塩酸水溶液、例えば、20重量%、または15重量%、または10重量%、または5重量%の塩酸水溶液が使用される。他の実施形態では、混合物のpHは、混合物を通してガス状塩化水素をバブリングして塩酸を形成することによって、塩酸で調整される。本明細書で提供される方法のいくつかの実施形態では、混合物のpHは、塩酸の添加により、3.5~4.5、または3.6~4.4、または3.7~4.3、または3.8~4.2、または3.9~4.1、または約4.0に調整される。
【0067】
いくつかの実施形態では、混合物は、沈殿物が形成されるまで、50℃未満の温度で攪拌される。いくつかの実施形態では、混合物は、沈殿物が形成されるまで、45℃以下、40℃以下、35℃以下、30℃以下、25℃以下、または20℃以下の温度で攪拌される。特定の実施形態では、混合物は、沈殿物が形成されるまで、20℃~45℃、20℃~40℃、20℃~35℃、25℃~45℃、25℃~40℃、または25℃~35℃の温度で攪拌される。いくつかの実施形態では、混合物は、沈殿物が形成されるまで、30℃以下の温度で攪拌される。特定の実施形態では、沈殿物が形成されるまで50℃未満(例えば、20℃~40℃、または25℃~35℃、または約30℃)の温度で混合物を攪拌することにより、混合物をより高い温度で攪拌するよりも高い収率のプロセスからの化合物1の結晶形態が得られる。
【0068】
特定の実施形態では、沈殿物が形成された後、沈殿物は単離され、単離された沈殿物を生成する。特定の実施形態では、沈殿物は、混合物から直接単離されて、単離された沈殿物を形成する。他の実施形態では、沈殿物を形成した後、沈殿物を単離して単離された沈殿物を形成する前に、1つ以上の再結晶化工程などの1つ以上の工程を行う。沈殿物は、任意の好適な手段、例えば、遠心分離、濾過、または他の手段によって単離されて、単離された沈殿物を形成し得る。単離された沈殿物は、減圧下で乾燥される前に、1つ以上の追加の工程(1つ以上の洗浄工程など)を受けることができる。
【0069】
本明細書に記載の任意の他の実施形態と組み合わせ得る特定の実施形態では、単離された沈殿物を減圧下で乾燥させる前に、水を1つ以上の工程で添加する。例えば、いくつかの実施形態では、遊離塩基を有機溶媒および水と合わせて混合物を形成し、または遊離塩基と有機溶媒とを合わせて形成された混合物に水を添加し、または水を塩酸とともに添加して混合物のpHを調整し、またはpHを調整した後に水を混合物に添加し、または沈殿物が形成された後であるが沈殿物を単離する前に水を混合物に添加し、または再結晶もしくは洗浄などの本明細書に記載の追加の工程のいずれかの間、前、もしくは後に水を添加する。いくつかの実施形態では、水は、方法中に2回以上添加され、例えば、塩酸の添加によって混合物のpHを調整しながら、有機溶媒および遊離塩基と合わされて混合物を形成する。
【0070】
A.水および有機溶剤の含有量
いくつかの実施形態では、単離された沈殿物は、6.5重量%~10重量%の水含有量に達するまで、減圧下で乾燥されて、化合物1を生成する。特定の実施形態では、単離された沈殿物は、6.5重量%、6.6重量%6.7重量%、6.8重量%、6.9重量%、7.0重量%、7.1重量%、7.2重量%、7.3重量%、7.4重量%、7.5重量%、7.6重量%、7.7重量%、7.8重量%、7.9重量%、または8.0重量%~8.4重量%、8.5重量%、8.6重量%、8.7重量%、8.8重量%、8.9重量%、9.0重量%、9.1重量%、9.2重量%、9.3重量%、9.4重量%、9.5重量%、9.6重量、9.7重量%、9.8重量%、9.9重量%、または10.0重量%の水含有量に達するまで、本明細書に記載の減圧などの減圧下で乾燥される。いくつかの実施形態では、単離された沈殿物は、7.5重量%~9.0重量%の水含有量に達するまで、減圧下で乾燥されて、化合物1を生成する。特定の実施形態では、単離された沈殿物は、7.6重量%~8.8重量%の水含有量に達するまで、減圧下で乾燥されて、化合物1を生成する。さらに別の実施形態では、単離された沈殿物は、約8.2重量%の水含有量に達するまで、減圧下で乾燥されて、化合物1を生成する。単離された沈殿物の水含有量は、三水和物形態(化合物1)で存在する水を含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、単離された沈殿物は、有機溶媒含有量が約6000ppm未満になるまで、本明細書に記載の減圧などの減圧下で乾燥される。いくつかの実施形態では、単離された沈殿物は、有機溶媒含有量が約5500ppm未満、約5000ppm未満、約4500ppm未満、約4000ppm未満、約3500ppm未満、約3000ppm未満、約2500ppm未満、または約2000ppm未満になるまで、減圧下で乾燥される。特定の実施形態では、単離された沈殿物は、有機溶媒含有量が約5000ppm未満または約4000ppm未満になるまで、減圧下で乾燥される。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、1つ以上のアルコールを含む。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、1つ以上のC1~C8、またはC1~C6、またはC1~C4アルコールを含む。特定の実施形態では、有機溶媒は、イソプロパノール、n-プロパノール、エタノール、もしくはメタノール、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、エタノールおよびn-プロパノールを含む。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、イソプロパノールを含む。
【0072】
B.乾燥条件
いくつかの実施形態では、単離された沈殿物を乾燥させるために使用される減圧は、約20mmHg~約60mmHg、または約20mmHg~約55mmHg、または約20mmHg~約50mmHg、または約25mmHg~約50mmHg、または約25mmHg~約45mmHg、または約30mmHg~約40mmHg、または約35mmHgである。いくつかの実施形態では、減圧は、約20mmHg~約60mmHgである。他の実施形態では、減圧は、約25mmHg~約50mmHgである。特定の実施形態では、減圧は、約30mmHg~約50mmHgである。さらに別の実施形態では、減圧は、約30mmHg~約40mmHg、または約35mmHgである。
【0073】
本明細書で提供される方法のいくつかの実施形態では、単離された沈殿物は、減圧下で約10℃~約70℃、または約20℃~約60℃、または約25℃~約55℃、または約30℃~約50℃の温度で乾燥される。いくつかの実施形態では、単離された沈殿物は、1つ以上の工程において減圧下で乾燥され、単離された沈殿物の温度は、乾燥プロセス中に経時的に変化する。特定の実施形態では、ある範囲の温度にわたって単離された沈殿物を段階的に乾燥させることにより、単一の温度またはより狭い範囲の温度で単離された沈殿物を乾燥させることを達成よりも低い残留有機溶媒レベルを有する化合物1を含む組成物(バルク組成物など)が得られる。例えば、いくつかの実施形態では、単離された沈殿物を段階的に乾燥させることにより、6000ppm未満の残留有機溶媒含有量を有する化合物1を含む組成物(バルク組成物など)が生成される。他の実施形態では、単離された沈殿物を段階的に乾燥させることにより、約5000ppm未満、または約4000ppm未満、または約3000ppm未満、または約2000ppm未満の残留有機溶媒含有量を有する化合物1を含む組成物(バルク組成物など)が生成される。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、1つ以上のアルコールを含む。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、1つ以上のC1~C8、またはC1~C6、またはC1~C4アルコールを含む。特定の実施形態では、有機溶媒は、イソプロパノール、n-プロパノール、エタノール、もしくはメタノール、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、エタノールおよびn-プロパノールを含む。さらに別の実施形態では、有機溶媒は、イソプロパノールを含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、単離された沈殿物は、減圧下で約10℃~約50℃の温度で乾燥され、次いで約35℃~約70℃の温度で乾燥されて、化合物1を生成する。特定の実施形態では、単離された沈殿物は、減圧下で約20℃~約50℃の温度で乾燥され、次いで約35℃~約60℃または約25℃~約45℃の温度で乾燥され、次いで減圧下で約40℃~約55℃の温度で乾燥される。特定の実施形態では、単離された沈殿物は、減圧下で約20℃~約40℃の温度で乾燥され、次いで約30℃~約50℃の温度で乾燥され、次いで約35℃~約55℃の温度で乾燥され、次いで約40℃~約60℃の温度で乾燥される。特定の実施形態では、単離された沈殿物は、減圧下で約25℃~約35℃の温度で乾燥され、次いで約35℃~約45℃の温度で乾燥され、次いで約40℃~約50℃の温度で乾燥され、次いで約45℃~約55℃の温度で乾燥される。
【0075】
いくつかの実施形態では、単離された沈殿物は、特定の期間にわたり、特定の温度または温度範囲で減圧下で乾燥される。例えば、特定の実施形態では、段階的乾燥を実施することには、特定の期間にわたり、特定の温度または温度範囲で単離された沈殿物を乾燥させることを含む。特定の実施形態では、そのような方法で単離された沈殿物を乾燥させることにより、そうでない場合に達成されるよりも低いレベルの残留有機溶媒を有する化合物1を含む組成物(バルク組成物など)が提供される。いくつかの実施形態では、単離された沈殿物は、減圧下で約10℃~約50℃の温度で約0.5時間~約10時間乾燥され、次いで約35℃~約70℃の温度で約0.5時間~約10時間乾燥されて、化合物1または化合物1を含むバルク組成物を生成する。特定の実施形態では、単離された沈殿物は、減圧下で約20℃~約50℃の温度で約0.5時間~約10時間乾燥され、次いで約35℃~約60℃の温度で約0.5時間~約10時間乾燥されるか、または約25℃~約45℃の温度で約0.5時間~約10時間乾燥され、次いで約40℃~約55℃で約0.5時間~約10時間乾燥される。特定の実施形態では、単離された沈殿物は、減圧下で約20℃~約40℃の温度で約0.5時間~約4時間乾燥され、次いで約30℃~約50℃の温度で約0.5時間~約4時間乾燥され、次いで約35℃~約55℃の温度で約0.5時間~約4時間乾燥され、次いで約40℃~約60℃の温度で乾燥される。特定の実施形態では、単離された沈殿物を約40℃~約60℃の温度で乾燥する工程は、約0.5~10時間、または約2~10時間、または約3~7時間行われる。特定の実施形態では、単離された沈殿物は、減圧下で約25℃~約35℃の温度で約0.5時間~約3時間乾燥され、次いで約35℃~約45℃の温度で約0.5時間~約3時間乾燥され、次いで約40℃~約50℃の温度で約0.5時間~約3時間乾燥され、次いで約45℃~約55℃の温度で乾燥される。さらに他の実施形態では、単離された沈殿物は、減圧下で約25℃~約35℃の温度で約0.5~約2.5時間乾燥され、次いで約35℃~約45℃の温度で約0.5~約2.5時間乾燥され、次いで約40℃~約50℃の温度で約0.5~約2.5時間乾燥され、次いで約45℃~約55℃の温度で乾燥される。特定の実施形態では、単離された沈殿物を約45℃~約55℃の温度で乾燥する工程は、約0.5~15時間、または約2~12時間、または約3~10時間、または約3~7時間、または約4~8時間行われる。さらに他の実施形態では、単離された沈殿物は、減圧下で約30℃の温度で約0.5~約2.5時間乾燥され、次いで約40℃の温度で約0.5~約2.5時間燥され、次いで約45℃の温度で約0.5~約2.5時間乾燥され、約50℃の温度で乾燥される。特定の実施形態では、単離された沈殿物を約50℃の温度で乾燥する工程は、約0.5~15時間、もしくは約2~12時間、もしくは約3~10時間、もしくは約3~7時間、または約4~8時間行われる。
【0076】
本明細書で提供される方法の他の実施形態では、単離された沈殿物は、減圧下で約2時間~約20時間、約2時間~約18時間、約2時間~約16時間、約2時間~約14時間、約2時間~約12時間、約2時間~約10時間、約2時間~約8時間、約2時間~約6時間、約3時間~約20時間、約3時間~約18時間、約3時間~約16時間、約3時間~約14時間、約3時間~約12時間、約3時間~約10時間、約3時間~約8時間、約3時間~約6時間、約5時間~約20時間、約5時間~約18時間、約5時間~約16時間、約5時間~約14時間、約5時間~約12時間、約5時間~約10時間、約5時間~約8時間、約7時間~約20時間、約7時間~約18時間、約7時間~約16時間、約7時間~約14時間、約7時間~約12時間、または約7時間~約10時間乾燥される。本明細書で提供される方法の他の実施形態では、単離された沈殿物は、減圧下で約3時間~約10時間乾燥される。他の実施形態では、単離された沈殿物は、減圧下で約5時間~約10時間乾燥される。さらに別の実施形態では、単離された沈殿物は、減圧下で約7時間~約10時間乾燥される。
【0077】
いくつかの実施形態では、約150kg~約400kgまたは約200kg~約300kgの単離された沈殿物は、減圧下で約3時間~約10時間、または約5時間~約10時間、または約7時間~約10時間乾燥されて、化合物1を生成する。特定の実施形態では、単離された沈殿物(例えば、約150kg~約400kg)は、約6000ppm未満の有機溶媒、または約5000ppm未満の有機溶媒、または4000ppm未満の有機溶媒、または約3000ppm未満の有機溶媒、または約2000ppm未満の有機溶媒になるまで、減圧下で(例えば、約3時間~約12時間、または約5時間~約12時間、または約3時間~約10時間、または約5時間~約10時間、または約7時間~約10時間)乾燥されて、化合物1を生成する。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、1つ以上のアルコールを含む。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、1つ以上のC1~C8、またはC1~C6、またはC1~C4アルコールを含む。特定の実施形態では、有機溶媒は、イソプロパノール、n-プロパノール、エタノール、もしくはメタノール、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、エタノールおよびn-プロパノールを含む。さらに別の実施形態では、有機溶媒は、イソプロパノールを含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、約150kg~約400kgまたは約200kg~約300kgの単離された沈殿物が、約20mmHg~約60mmHg、または約25mmHg~約45mmHg、または約35mmHgの減圧下で、約3時間~約15時間、または約5時間~約12時間、または約7時間~約10時間乾燥され、化合物1を生成する。特定の実施形態では、単離された沈殿物(例えば、約150kg~約400kg)は、約6000ppm未満の有機溶媒、または約5000ppm未満の有機溶媒、または約4000ppm未満の有機溶媒、または約3000ppm未満の有機溶媒、または約2000ppm未満の有機溶媒となるまで、減圧下で(例えば、約20mmHg~約60mmHg、または約25mmHg~約45mmHg、または約35mmHgで、例えば、約3時間~約15時間、または約5時間~約12時間、または約7時間~約10時間)乾燥され、化合物1を生成する。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、1つ以上のアルコールを含む。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、1つ以上のC1~C8、またはC1~C6、またはC1~C4アルコールを含む。特定の実施形態では、有機溶媒は、イソプロパノール、n-プロパノール、エタノール、もしくはメタノール、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、エタノールおよびn-プロパノールを含む。さらに別の実施形態では、有機溶媒は、イソプロパノールを含む。
【0079】
本明細書で提供される単離された沈殿物を乾燥する方法のいずれかについて、いくつかの実施形態では、記載される温度は、乾燥中の単離された沈殿物の温度である。他の実施形態では、それは、単離された沈殿物の少なくとも一部に接触している1つ以上の加熱要素の温度である。例えば、いくつかの実施形態では、単離された沈殿物の温度は、ジャケット付き容器を使用して乾燥中に制御される。いくつかの実施形態では、ジャケット付き容器は、ジャケット付きバッチ反応器である。特定の実施形態では、ジャケット付き容器は、ジャケット付き真空乾燥機、例えば、コーン乾燥機、スパイラル乾燥機、またはパドル乾燥機のである。したがって、いくつかの実施形態では、単離された沈殿物を乾燥させる方法において記載されている温度は、ジャケット付き容器のジャケットの温度である。いくつかの実施形態では、単離された沈殿物は、ジャケット付きのコーン乾燥機を使用して乾燥され、方法において記載されている温度は、ジャケットの温度である。
【0080】
いくつかの実施形態では、特定の温度もしくは圧力もしくは時間、または温度もしくは圧力もしくは時間の範囲、またはそれらの任意の組み合わせのうちの1つの使用により、本明細書に記載される特定の安定性を有する化合物1、または有機溶媒含有量、または水含有量、または三水和物と無水物形態との比率、またはXRPDスペクトル、またはこれらの様々な組み合わせを含むバルク組成物が生ずる。いくつかの実施形態では、単離された沈殿物を乾燥するために本明細書に記載される温度もしくは圧力もしくは時間、またはそれらの範囲、または上記のうちのいずれかの組み合わせは、例えば、記載されたプロセスで使用される沈殿物もしくは単離された沈殿物もしくは遊離塩基もしくは化合物1の量のいずれか、または再結晶もしくは洗浄などの1つ以上の追加工程、または本明細書に記載の他の条件もしくは工程のうちのいずれかと組み合わせることができる。
【0081】
C.量
いくつかの実施形態では、化合物1を生成するために単離された沈殿物を乾燥するのに必要な時間は、生成される化合物1の量、もしくは使用される遊離塩基の量、もしくは単離される沈殿物の量、または乾燥した単離された沈殿物の量に関連する。いくつかの実施形態では、少なくとも約100kgの遊離塩基(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステルを有機溶媒と合わせ、少なくとも約150kg以上の遊離塩基を有機溶媒と合わせ、少なくとも約175kg以上の遊離塩基を有機溶媒と合わせ、少なくとも約200kgの遊離塩基を有機溶媒と合わせ、少なくとも約250kgの遊離塩基を有機溶媒と合わせ、少なくとも約300kgの遊離塩基を有機溶媒と合わせ、少なくとも約350kgの遊離塩基を有機溶媒と合わせ、少なくとも約400kgの遊離塩基を有機溶媒と合わせ、少なくとも約450kgの遊離塩基を有機溶媒と合わせ、または少なくとも約500kgの遊離塩基を有機溶媒と合わせる。いくつかの実施形態では、例えば、大容量反応器を使用して、少なくとも約1メートルトンの遊離塩基を有機溶媒と合わせる。いくつかの実施形態では、約100kg~約2000kgの遊離塩基を有機溶媒と合わせ、約100kg~約1,000kgの遊離塩基を有機溶媒と合わせ、約100kg~約800kgの遊離塩基を有機溶媒と合わせ、約100kg~約600kgの遊離塩基を有機溶媒と合わせ、約100kg~約400kgの遊離塩基を有機溶媒と合わせ、約150kg~約2000kgの遊離塩基を有機溶媒と合わせ、約150kg~約1,000kgの遊離塩基を有機溶媒と合わせ、約150kg~約800kgの遊離塩基を有機溶媒と合わせ、約150kg~約600kgの遊離塩基を有機溶媒と合わせ、約150kg~約400kgの遊離塩基を有機溶媒と合わせ、約150kg~約300kgの遊離塩基を有機溶媒と合わせ、約150kg~約250kgの遊離塩基を有機溶媒と合わせ、約200kg~約350kgの遊離塩基を有機溶媒と合わせ、または約200kg~約300kgの遊離塩基を有機溶媒と合わせる。本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態では、遊離塩基を有機溶媒および水と合わせて、混合物を作成する。したがって、本明細書に記載の有機溶媒と合わされる任意の量の遊離塩基について、いくつかの実施形態では、その量の遊離塩基を有機溶媒および水と合わせて、混合物を形成する。
【0082】
いくつかの実施形態では、少なくとも約100kgの沈殿物が単離され、少なくとも約150kgの沈殿物が単離され、少なくとも約175kgの沈殿物が単離され、少なくとも約200kgの沈殿物が単離され、少なくとも約250kgの沈殿物が単離され、少なくとも約300kgの沈殿物が単離され、少なくとも約350kgの沈殿物が単離され、少なくとも約400kgの沈殿物が単離され、少なくとも約450kgの沈殿物が単離され、または少なくとも約500kg沈殿物が分離される。特定の実施形態では、例えば、大容量反応器を使用して、少なくとも1メートルトンの沈殿物が単離される。いくつかの実施形態では、約100kg~約2000kgの沈殿物が単離され、約100kg~約1,000kgの沈殿物が単離され、約100kg~約800kgの沈殿物が単離され、約100kg~約600kgの沈殿物が単離され、約100kg~約400kgの沈殿物が単離され、約150kg~約2000kgの沈殿物が単離され、約150kg~約1,000kgの沈殿物が単離され、約150kg~約800kgの沈殿物が単離され、約150kg~約600kgの沈殿物が単離され、約150kg~約400kgの沈殿物が単離され、約150kg~約300kgの沈殿物が単離され、約150kg~約250kgの沈殿物が単離され、約200kg~約350kgの沈殿物が単離され、または約200kg~約300kgの沈殿物が単離される。
【0083】
いくつかの実施形態では、少なくとも約100kgの単離された沈殿物が乾燥され、少なくとも約150kgの単離された沈殿物が乾燥され、少なくとも約175kgの単離された沈殿物が乾燥され、少なくとも約200kgの単離された沈殿物が乾燥され、少なくとも約250kgの単離された沈殿物が乾燥され、少なくとも約300kgの単離された沈殿物が乾燥され、少なくとも約350kgの単離された沈殿物が乾燥され、少なくとも約400kgの単離された沈殿物が乾燥され、少なくとも約450kgの単離された沈殿物が乾燥され、または少なくとも約500kgの単離された沈殿物が乾燥される。商業的には、例えば大容量乾燥機を使用して、少なくとも1メートルトンの単離された沈殿物が乾燥される。いくつかの実施形態では、約100kg~約2000kgの単離された沈殿物が乾燥され、約100kg~約1,000kgの単離された沈殿物が乾燥され、約100kg~約800kgの単離された沈殿物が乾燥される、約100kg~約600kgの単離された沈殿物が乾燥され、約100kg~約400kgの単離された沈殿物が乾燥され、約150kg~約2000kgの単離された沈殿物が乾燥され、約150kg~約1,000kgの単離された沈殿物が乾燥され、約150kg~約800kgの単離された沈殿物が乾燥され、約150kg~約600kgの単離された沈殿物が乾燥され、約150kg~約400kgの単離された沈殿物が乾燥され、約150kg~約300kgの単離された沈殿物が乾燥され、約150kg~約250kgの単離された沈殿物が乾燥され、約200kg~約350kgの単離された沈殿物が乾燥され、または約200kg~約300kgの単離された沈殿物が乾燥される。
【0084】
さらに他の実施形態では、少なくとも約100kgの化合物1が生成され、少なくとも約150kgの化合物1が生成され、少なくとも約175kgの化合物1が生成され、少なくとも約200kgの化合物1が生成され、少なくとも約250kgの化合物1が生成され、少なくとも約300kgの化合物1が生成され、少なくとも約350kgの化合物1が生成され、少なくとも約400kgの化合物1が生成され、少なくとも約450kgの化合物1が生成され、または少なくとも約500kgの化合物1が生成される。特定の実施形態では、例えば、商業的生成施設を使用して、少なくとも1メートルトンの化合物1が生成される。いくつかの実施形態では、約100kg~約2000kgの化合物1が生成され、約100kg~約1,000kgの化合物1が生成され、約100kg~約800kgの化合物1が生成され、約100kg~約600kgの化合物1が生成され、約100kg~約400kgの化合物1が生成され、約150kg~約2,000kgの化合物1が生成され、約150kg~約1,000kgの化合物1が生成され、約150kg~約800kgの化合物1が生成され、約150kg~約600kgの化合物1が生成され、約150kg~約400kgの化合物1が生成され、約150kg~約300kgの化合物1が生成され、約150kg~約250kgの化合物1が生成され、約200kg~約350kgの化合物1が生成され、または約200kg~約300kgの化合物1が生成される。
【0085】
D.追加の手順
本明細書で提供される化合物1を含むバルク組成物を製造する方法は、いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の工程を含み得る。
【0086】
例えば、いくつかの実施形態では、混合物の攪拌後または攪拌中、沈殿物が工程(c)で形成されるまで追加の溶媒を混合物に添加し、その後に沈殿物を単離する。いくつかの実施形態では、追加の溶媒は、有機溶媒を含む。特定の実施形態では、有機溶媒は、1つ以上のアルコールを含む。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、1つ以上のC1~C8、またはC1~C6、またはC1~C4アルコールを含む。特定の実施形態では、有機溶媒は、イソプロパノール、n-プロパノール、エタノール、もしくはメタノール、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、エタノールおよびn-プロパノールを含む。さらに別の実施形態では、有機溶媒は、イソプロパノールを含む。いくつかの実施形態では、工程(c)の混合物は、該混合物が水および有機溶媒を含むように調整され、水は、5重量%~15重量%または約8重量%~約12重量%で存在する。いくつかの実施形態では、工程(c)の混合物は、該混合物が3:7未満の体積比で水および有機溶媒を含むように調整される。いくつかの実施形態では、工程(c)の混合物は、該混合物が1:4未満の体積比で水および有機溶媒を含むように調整される。特定の実施形態では、工程(c)の混合物は、該混合物が1:3未満、1:4未満、1:5未満、1:6未満、1:7未満、1:8未満、または1:9未満の体積比で水および有機溶媒を含むように調整される。特定の実施形態では、比率は、約1:9である。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、1つ以上のアルコールを含む。これらの実施形態のいずれかでは、有機溶媒は、1つ以上のC1~C8、またはC1~C6、またはC1~C4アルコールを含み得る。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、エタノールおよびn-プロパノールを含む。特定の実施形態では、有機溶媒は、イソプロパノールを含む。特定の実施形態では、有機溶媒は、イソプロパノールである。
【0087】
a.再結晶
本明細書に記載の他の実施形態のいずれかと組み合わせ得るいくつかの実施形態では、化合物1を生成する方法は、1つ以上の再結晶化工程を含む。したがって、例えば、いくつかの実施形態では、単離された沈殿物が工程(d)で形成された後および単離された沈殿物が工程(e)で乾燥される前に、単離された沈殿物の少なくとも一部が再結晶化溶媒に溶解されて再結晶化混合物が形成され、再結晶化された沈殿物が形成されるまで再結晶化混合物を攪拌し、再結晶化沈殿物を単離して単離された沈殿物を形成する。この単離された沈殿物は、例えば、工程(e)に供され、乾燥されて、化合物1を形成し得るか、またはいくつかの実施形態では、1つ以上の追加の工程、例えば、別の再結晶もしくは洗浄工程、またはそれらの組み合わせに供され得る。
【0088】
任意の好適な再結晶条件が使用され得る。特定の実施形態では、水および有機溶媒を含む再結晶化溶媒が使用される。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、1つ以上のアルコール、例えば、イソプロパノール、n-プロパノール、エタノール、もしくはメタノール、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、再結晶化溶媒は、水および有機溶媒を含み、水は、5重量%~15重量%または約8重量%~約12重量%で存在する。いくつかの実施形態では、再結晶化溶媒は、3:7未満の体積比で水および有機溶媒を含む。特定の実施形態では、再結晶化溶媒は、1:4未満の体積比で水および有機溶媒を含む。特定の実施形態では、再結晶化溶媒は、1:3未満、1:4未満、1:5未満、1:6未満、1:7未満、1:8、または1:9未満の体積比で水および有機溶媒を含む。特定の実施形態では、比率は、約1:9である。これらの実施形態のいずれかでは、有機溶媒は、1つ以上のC1~C8、またはC1~C6、またはC1~C4アルコールを含み得る。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、エタノールおよびn-プロパノールを含む。特定の実施形態では、有機溶媒は、イソプロパノールを含む。特定の実施形態では、有機溶媒は、イソプロパノールである。いくつかの実施形態では、3:7未満(例えば、1:4未満、例えば、約1:9)の体積比で水および有機溶媒を含む再結晶化溶媒を使用して、より高い水と有機溶媒(イソプロパノールなど)との比率を使用したときよりも高い収率で化合物1の結晶形態が生成される。特定の実施形態では、再結晶化された沈殿物が形成されるまで攪拌する前に、再結晶化混合物を濾過する。いくつかの実施形態では、再結晶化された沈殿物は、遠心分離、濾過、または他の手段によって単離されて、単離された沈殿物を形成する。
【0089】
いくつかの実施形態では、単離された沈殿物の少なくとも一部が再結晶化された際に、再結晶化混合物は50℃未満の温度で攪拌される。いくつかの実施形態では、再結晶化混合物は、45℃以下、40℃以下、35℃以下、30℃以下、25℃以下、または20℃以下の温度で攪拌される。特定の実施形態では、再結晶化混合物は、20℃~45℃、20℃~40℃、20℃~35℃、25℃~45℃、25℃~40℃、または25℃~35℃の温度で攪拌される。いくつかの実施形態では、再結晶化混合物は、30℃以下の温度で攪拌される。特定の実施形態では、単離された沈殿物の少なくとも一部を50℃未満の温度(例えば、20℃~40℃、または25℃~35℃、または約30℃)で再結晶化することにより、より高い再結晶化温度を使用したときよりも高い収率で化合物1の結晶形態が生成される。
【0090】
特定の実施形態では、単離された沈殿物の少なくとも一部を50℃未満の温度(例えば、20℃~40℃、または25℃~35℃、または約30℃)で再結晶化し、3:7未満(例えば、1:4未満、例えば、約1:9)の体積比で水および有機溶媒を含む再結晶化溶媒を使用することにより、より高い再結晶化温度またはより高い水と有機溶媒との比率を使用したときよりも高い収率で、化合物1の結晶形態が生成される。いくつかの実施形態では、再結晶化における有機溶媒としてイソプロパノールを使用することはまた、同じプロセスにおいて異なる有機溶媒を使用することと比較して、より高い収率に寄与する。
【0091】
したがって、いくつかの実施形態では、化合物1を製造する方法(化合物1を含むバルク組成物を製造する方法など)は、遊離塩基(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステルを有機溶媒と合わせて混合物を形成すること、塩酸を添加することによって混合物のpHを3.5~4.5に調整することと、沈殿物が形成されるまで混合物を攪拌することと、沈殿物を単離することと、単離された沈殿物の少なくとも一部を再結晶化溶媒に溶解して、再結晶化混合物を形成することと、再結晶化された沈殿物が形成されるまで再結晶化混合物を攪拌することと、再結晶化された沈殿物を単離して、単離された沈殿物を形成することと、単離された沈殿物を減圧下で乾燥させて、(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の三水和物形態(化合物1)を生成することを含む。
【0092】
b.洗浄工程
他の実施形態では、単離された沈殿物の少なくとも一部は、減圧下で乾燥される前に、1回以上洗浄される。いくつかの実施形態では、単離された沈殿物の少なくとも一部は、減圧下で乾燥される前に、水性洗浄物で1回以上洗浄される。いくつかの実施形態では、1回以上洗浄された単離された沈殿物は、再結晶化混合物から単離された。他の実施形態では、1回以上洗浄された単離された沈殿物は、再結晶化されていない。特定の実施形態では、水性洗浄物は、有機溶媒を含む。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、1つ以上のアルコールを含む。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、1つ以上のC1~C8、またはC1~C6、またはC1~C4アルコールを含む。特定の実施形態では、有機溶媒は、イソプロパノール、n-プロパノール、エタノール、もしくはメタノール、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、エタノールおよびn-プロパノールを含む。さらに別の実施形態では、有機溶媒は、イソプロパノールを含む。いくつかの実施形態では、単離された沈殿物の少なくとも一部は、減圧下で乾燥される前に、水性洗浄物で1回以上洗浄され、水性洗浄物は、有機溶媒および水を含む。いくつかの実施形態では、水性洗浄物は、水および1つ以上のアルコール、例えば、水およびイソプロパノール、n-プロパノール、エタノール、もしくはメタノール、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、水性洗浄物は、約5重量%~約15重量%または約8重量%~約12重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、水性洗浄物は、3:7未満、または1:4未満、例えば、約1:9の体積比で水および有機溶媒を含む。いくつかの実施形態では、単離された沈殿物は、減圧下で乾燥されて化合物1を生成する前に、イソプロパノールおよび水を含む洗浄水溶液で1回以上洗浄される。したがって、いくつかの実施形態では、化合物1を製造する方法(化合物1を含むバルク組成物を製造する方法など)は、遊離塩基(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステルを有機溶媒と合わせて混合物を形成すること、塩酸を添加することによって混合物のpHを3.5~4.5に調整することと、沈殿物が形成されるまで混合物を攪拌することと、沈殿物を単離することと、単離された沈殿物を洗浄することと、洗浄後、単離された沈殿物を減圧下で乾燥させて、(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩(化合物1)の三水和物形態を生成することを含む。いくつかの実施形態では、単離された沈殿物は、水性洗浄物で洗浄され、水性洗浄物は、有機溶媒および約5~15重量%の水を含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、温度もしくは溶媒(有機溶媒および水の比率またはパーセンテージを含む)、またはそれらの範囲、または単離された沈殿物を洗浄すること、または再結晶化すること、またはそれらの組み合わせについて本明細書に記載される上記のいずれかの組み合わせ、あるいはそれらの組み合わせは、例えば、記載されたプロセスで使用される沈殿物もしくは単離された沈殿物もしくは遊離塩基もしくは化合物1の量のいずれか、または本明細書に記載の乾燥工程における温度もしくは圧力もしくは時間のいずれか、またはそれらの範囲、またはそれらのいずれかの組み合わせ、あるいは本明細書に記載されている他の条件または工程のいずれかと組み合わせ得る。本明細書に記載のバルク組成物を製造するプロセスにおいて、本明細書に記載の1つ以上の再結晶化工程もしくは洗浄工程、またはそれらの組み合わせを含むいくつかの実施形態では、本明細書に記載される、特定の安定性を有する化合物1、もしくは有機溶媒含有量、もしくは水含有量、もしくは三水和物と無水物形態との比率、もしくはXRPDスペクトル、またはこれらの様々な組み合わせを含むバルク組成物が得られる。
【0094】
提供される記載は、多数の例示的な構成、方法、パラメータなどを示している。しかしながら、そのような記載は、本開示の範囲を限定することを意図するものではなく、例示的な実施形態の記載として提供されることを認識されたい。
【0095】
実施形態リスト
実施形態I-1.(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の三水和物形態と、
【化4】
少なくとも1つの容器と、を含むバルク組成物。
【0096】
実施形態I-2.少なくとも75重量%の(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の三水和物形態を含み、重量が、少なくとも1つの容器の重量を除く、実施形態I-1のバルク組成物。
【0097】
実施形態I-3.(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の無水物形態をさらに含み、三水和物形態と無水物形態との比率が、少なくとも約4対1である、実施形態I-1またはI-2に記載のバルク組成物。
【0098】
実施形態I-4.無水物形態または三水和物形態で存在する(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の総重量に対して、少なくとも約6.5重量%の水を含む、実施形態I-1またはI-2に記載のバルク組成物。
【0099】
実施形態I-5.三水和物形態と無水物形態との比率が、少なくとも約11対1である、実施形態I-3に記載のバルク組成物。
【0100】
実施形態I-6.無水物形態または三水和物形態で存在する(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の総重量に対して、少なくとも約7.5重量%の水を含む、実施形態I-1~I-4のいずれか1つのバルク組成物。
【0101】
実施形態I-7.三水和物形態が、結晶形態であり、結晶形態が、7.74±0.5°および20.95±0.5°にXRPDピークを有する、実施形態I-1~I-6のいずれか1つに記載のバルク組成物。
【0102】
実施形態I-8.(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の三水和物形態と、
【化5】
薬学的に許容される賦形剤と、を含む医薬組成物。
【0103】
実施形態I-9.(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の無水物形態をさらに含み、三水和物形態と無水物形態との比率が、少なくとも約4対1である、実施形態I-8に記載の医薬組成物。
【0104】
実施形態I-10.無水物形態または三水和物形態で存在する(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の総重量に対して、約6.5重量%~約10重量%の水を含む、実施形態I-8に記載の医薬組成物。
【0105】
実施形態I-11.三水和物形態と無水物形態との比率が、少なくとも約11対1である、実施形態I-9に記載の医薬組成物。
【0106】
実施形態I-12.無水物形態または三水和物形態で存在する(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の総重量に対して、約7.5重量%~約9重量%の水を含む、実施形態I-8~I-11のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0107】
実施形態I-13.1重量%未満の(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の無水物形態を含む、実施形態I-8~I-12のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0108】
実施形態I-14.三水和物形態が、結晶形態であり、結晶形態が、7.74±0.5°および20.95±0.5°にXRPDピークを有する、実施形態I-8~I-13のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0109】
実施形態I-15.実施形態I-8~I-14のいずれか1つに記載の医薬組成物を含む剤形。
【0110】
実施形態I-16.剤形が、1つ以上の錠剤または1つ以上のカプセル剤を含む、実施形態I-15に記載の剤形。
【0111】
実施形態I-17.実施形態I-15またはI-16に記載の剤形および包装を含む、キット。
【0112】
実施形態I-18.包装が、ブリスターパックである、実施形態I-17のキット。
【0113】
実施形態I-19.胃腸運動の改善を必要とする対象において胃腸運動を改善する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の実施形態I-8~I-14のいずれか1つに記載の医薬組成物または実施形態I-15もしくはI-16に記載の剤形を投与することを含む、方法。
【0114】
実施形態I-20.胃腸運動の改善を必要とする対象が、胃腸障害を有する、実施形態I-19に記載の方法。
【0115】
実施形態I-21.胃腸障害の治療を必要とする対象において胃腸障害を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の実施形態I-8~I-14のいずれか1つに記載の医薬組成物または実施形態I-15もしくはI-16に記載の剤形を投与することを含む、方法。
【0116】
実施形態I-22.胃腸障害が、胃食道逆流症(GERD)、機能性消化不良または機能性運動障害、胃不全麻痺、麻痺性イレウス、術後イレウス、嘔吐、悪心、胸焼け、偽性腸閉塞、過敏性腸症候群(IBS)、便秘、経腸栄養不耐性(EFI)、および食道炎からなる群から選択される、実施形態I-20またはI-21に記載の方法。
【0117】
実施形態I-23.GERDが、プロトンポンプ阻害剤(PPI)抵抗性GERDである、実施形態I-22に記載の使用。
【0118】
実施形態I-24.便秘が、オピエート誘発性便秘(OIC)、慢性特発性便秘(CIC)、または過敏性腸症候群便秘型(IBSc)に関連する便秘である、実施形態I-22に記載の使用。
【0119】
実施形態I-25.食道炎が、びらん性食道炎(EE)または好酸球性食道炎(EoE)である、実施形態I-22に記載の使用。
【0120】
実施形態I-26.IBSが、過敏性腸症候群便秘型(IBSc)である、実施形態I-22に記載の使用。
【0121】
実施形態I-27.胃不全麻痺が、糖尿病性胃不全麻痺、または特発性もしくは機能性胃不全麻痺である、実施形態I-22に記載の使用。
【0122】
実施形態I-28.前記胃腸障害が、プロトンポンプ阻害剤(PPI)抵抗性GERD、嘔吐、胃不全麻痺、オピエート誘発性便秘(OIC)、慢性特発性便秘(CIC)、びらん性食道炎(EE)、好酸球性食道炎(EoE)、機能性消化不良(FD)または機能性運動障害(FMD)、偽性腸閉塞症、過敏性腸症候群便秘型(IBSc)、経腸栄養不耐性(EFI)、および術後イレウスからなる群から選択される、実施形態I-20またはI-21に記載の使用。
【0123】
実施形態I-29.胃腸障害が、術後イレウス、慢性胃スピロヘータ病、便秘、巨大結腸、胃炎、胃腸うっ滞、および皺胃排出欠陥症からなる群から選択される、実施形態I-20またはI-21に記載の使用。
【0124】
実施形態I-30.胃炎が、萎縮性胃炎である、実施形態I-29に記載の使用。
【0125】
実施形態I-31.胃腸運動の改善を必要とする対象において胃腸運動を改善するための医薬品の製造における、(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の三水和物形態に記載の使用。
【0126】
実施形態I-32.胃腸運動の改善を必要とする対象が、胃腸障害を有する、実施形態I-31に記載の使用。
【0127】
実施形態I-33.胃腸運動の治療を必要とする対象において胃腸障害を治療するための医薬品の製造における、(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の三水和物形態に記載の使用。
【0128】
実施形態I-34.胃腸障害が、胃食道逆流症(GERD)、機能性消化不良または機能性運動障害、胃不全麻痺、麻痺性イレウス、術後イレウス、嘔吐、悪心、胸焼け、偽性腸閉塞、過敏性腸症候群(IBS)、便秘、経腸栄養不耐性(EFI)、および食道炎からなる群から選択される、実施形態I-32またはI-33に記載の使用。
【0129】
実施形態I-35.GERDが、プロトンポンプ阻害剤(PPI)抵抗性GERDである、実施形態I-34に記載の使用。
【0130】
実施形態I-36.便秘が、オピエート誘発性便秘(OIC)、慢性特発性便秘(CIC)、または過敏性腸症候群便秘型(IBSc)に関連する便秘である、実施形態I-34に記載の使用。
【0131】
実施形態I-37.食道炎が、びらん性食道炎(EE)または好酸球性食道炎(EoE)である、実施形態I-34に記載の使用。
【0132】
実施形態I-38.IBSが過敏性腸症候群便秘型(IBSc)である、実施形態I-34に記載の使用。
【0133】
実施形態I-39.胃不全麻痺が、糖尿病性胃不全麻痺、または特発性もしくは機能性胃不全麻痺である、実施形態I-34に記載の使用。
【0134】
実施形態I-40.胃腸障害が、プロトンポンプ阻害剤(PPI)抵抗性GERD、嘔吐、胃不全麻痺、オピエート誘発性便秘(OIC)、慢性特発性便秘(CIC)、びらん性食道炎(EE)、好酸球性食道炎(EoE)、機能性消化不良(FD)または機能性運動障害(FMD)、偽性腸閉塞症、過敏性腸症候群便秘型(IBSc)、経腸栄養不耐性(EFI)、および術後イレウスからなる群から選択される、実施形態I-32またはI-33に記載の使用。
【0135】
実施形態I-41.胃腸障害が、術後イレウス、慢性胃スピロヘータ病、便秘、巨大結腸、胃炎、胃腸うっ滞、および皺胃排出欠陥症からなる群から選択される、実施形態I-32またはI-33に記載の使用。
【0136】
実施形態I-42.胃炎が、萎縮性胃炎である、実施形態I-41に記載の使用。
【0137】
実施形態I-43.胃腸運動の改善を必要とする対象において胃腸運動の改善に使用するための化合物であって、化合物が、(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の三水和物形態である、化合物。
【0138】
実施形態I-44.胃腸運動の改善を必要とする対象が、胃腸障害を有する、実施形態I-43に記載の使用のための化合物。
【0139】
実施形態I-45.胃腸障害の治療を必要とする対象において胃腸障害の治療に使用するための化合物であって、化合物が、(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の三水和物形態である、化合物。
【0140】
実施形態I-46.胃腸障害が、胃食道逆流症(GERD)、機能性消化不良または機能性運動障害、胃不全麻痺、麻痺性イレウス、術後イレウス、嘔吐、悪心、胸焼け、偽性腸閉塞、過敏性腸症候群(IBS)、便秘、経腸栄養不耐性(EFI)、および食道炎からなる群から選択される、実施形態I-44またはI-45に記載の使用のための化合物。
【0141】
実施形態I-47.GERDが、プロトンポンプ阻害剤(PPI)抵抗性GERDである、実施形態I-46に記載の使用のための化合物。
【0142】
実施形態I-48.便秘が、オピエート誘発性便秘(OIC)、慢性特発性便秘(CIC)、または過敏性腸症候群便秘型(IBSc)に関連する便秘である、実施形態I-46に記載の使用のための化合物。
【0143】
実施形態I-49.食道炎が、びらん性食道炎(EE)または好酸球性食道炎(EoE)である、実施形態I-46に記載の使用のための化合物。
【0144】
実施形態I-50.IBSが、過敏性腸症候群便秘型(IBSc)である、実施形態I-46に記載の使用のための化合物。
【0145】
実施形態I-51.胃不全麻痺が、糖尿病性胃不全麻痺、または特発性もしくは機能性胃不全麻痺である、実施形態I-46に記載の使用のための化合物。
【0146】
実施形態I-52.胃腸障害が、プロトンポンプ阻害剤(PPI)抵抗性GERD、嘔吐、胃不全麻痺、オピエート誘発性便秘(OIC)、慢性特発性便秘(CIC)、びらん性食道炎(EE)、好酸球性食道炎(EoE)、機能性消化不良(FD)または機能性運動障害(FMD)、偽性腸閉塞症、過敏性腸症候群便秘型(IBSc)、経腸栄養不耐性(EFI)、および術後イレウスからなる群から選択される、実施形態I-44またはI-45に記載の使用のための化合物。
【0147】
実施形態I-53.胃腸障害が、術後イレウス、慢性胃スピロヘータ病、便秘、巨大結腸、胃炎、胃腸うっ滞、および皺胃排出欠陥症からなる群から選択される、実施形態I-44またはI-45に記載の使用のための化合物。
【0148】
実施形態I-54.胃炎が、萎縮性胃炎である、実施形態I-53に記載の使用のための化合物。
【0149】
実施形態I-55.胃腸運動の改善を必要とする対象において胃腸運動を改善するのに使用するための医薬組成物であって、医薬組成物が、(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2)-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の三水和物形態を含む、医薬組成物。
【0150】
実施形態I-56.胃腸運動の改善を必要とする対象が、胃腸障害を有する、実施形態I-55に記載の使用のための医薬組成物。
【0151】
実施形態I-57.胃腸障害の治療を必要とする対象において胃腸障害の治療に使用するための医薬組成物であって、医薬組成物が、(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の三水和物形態を含む、医薬組成物。
【0152】
実施形態I-58.胃腸障害が、胃食道逆流症(GERD)、機能性消化不良または機能性運動障害、胃不全麻痺、麻痺性イレウス、術後イレウス、嘔吐、悪心、胸焼け、偽性腸閉塞、過敏性腸症候群(IBS)、便秘、経腸栄養不耐性(EFI)、および食道炎からなる群から選択される、実施形態I-56またはI-57に記載の使用のための医薬組成物。
【0153】
実施形態I-59.GERDが、プロトンポンプ阻害剤(PPI)抵抗性GERDである、実施形態I-58に記載の使用のための医薬組成物。
【0154】
実施形態I-60.便秘が、オピエート誘発性便秘(OIC)、慢性特発性便秘(CIC)、または過敏性腸症候群便秘型(IBSc)に関連する便秘である、実施形態I-58に記載の使用のための医薬組成物。
【0155】
実施形態I-61.食道炎が、びらん性食道炎(EE)または好酸球性食道炎(EoE)である、実施形態I-58に記載の使用のための医薬組成物。
【0156】
実施形態I-62.IBSが、過敏性腸症候群便秘型(IBSc)である、実施形態I-58に記載の使用のための医薬組成物。
【0157】
実施形態I-63.胃不全麻痺が、糖尿病性胃不全麻痺、または特発性もしくは機能性胃不全麻痺である、実施形態I-58に記載の使用のための医薬組成物。
【0158】
実施形態I-64.胃腸障害が、プロトンポンプ阻害剤(PPI)抵抗性GERD、嘔吐、胃不全麻痺、オピエート誘発性便秘(OIC)、慢性特発性便秘(CIC)、びらん性食道炎(EE)、好酸球性食道炎(EoE)、機能性消化不良(FD)または機能性運動障害(FMD)、偽性腸閉塞症、過敏性腸症候群便秘型(IBSc)、経腸栄養不耐性(EFI)、および術後イレウスからなる群から選択される、実施形態I-56またはI-57に記載の使用のための医薬組成物。
【0159】
実施形態I-65.胃腸障害が、術後イレウス、慢性胃スピロヘータ病、便秘、巨大結腸、胃炎、胃腸うっ滞、および皺胃排出欠陥症からなる群から選択される、実施形態I-56またはI-57に記載の使用のための医薬組成物。
【0160】
実施形態I-66.胃炎が、萎縮性胃炎である、実施形態I-65に記載の使用のための医薬組成物。
【0161】
実施形態I-67.それを必要とする対象が、ヒトである、実施形態I-19~I-26のいずれか1つに記載の方法、実施形態I-31~I-40のいずれか1つに記載の使用、実施形態I-43~I-52のいずれか1つに記載の使用のための化合物、または実施形態I-55~I-64のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物。
【0162】
実施形態I-68.前記必要とする対象が、非ヒト動物である、実施形態I-19~I-21もしくはI-26~I-28のいずれか1つに記載の方法、実施形態I-31~I-33もしくはI-40~I-42のいずれか1つに記載の使用のための化合物、実施形態I-43~I-45もしくはI-52~I-54のいずれか1つに記載の使用のための化合物、または実施形態I-55~I-57もしくはI-64~I-66のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物。
【0163】
実施形態I-69.非ヒト動物が、反芻動物、ウマ、ネコ、イヌ、ウサギ、またはモルモットである、実施形態I-68に記載の方法、使用、使用のための化合物、または医薬組成物。
【0164】
実施形態I-70.反芻動物が、ヒツジ、ウシ、ヤク、バイソン、または水牛である、実施形態I-69に記載の方法、使用、使用のための化合物、または医薬組成物。
【0165】
実施形態I-71.ウマ(equine)が、ウマ(horse)またはロバである、実施形態I-69に記載の方法、使用、使用のための化合物、または医薬組成物。
【0166】
実施形態I-72.それを必要とする対象が、新生児である、実施形態I-19~I-28もしくはI-67~I-71のいずれか1つに記載の方法、実施形態I-31~I-42もしくはI-67~I-71のいずれか1つに記載の使用、実施形態I-43~I-54もしくはI-67~I-71のいずれか1つに記載の使用のための化合物、または実施形態I-55~I-71のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物。
【0167】
実施形態I-73.医薬組成物が、非経口投与される、実施形態I-19~I-28もしくはI-67~I-72のいずれか1つに記載の方法、実施形態I-31~I-42もしくはI-67~I-72のいずれか1つに記載の使用、実施形態I-43~I-54もしくはI-67~I-72のいずれか1つに記載の使用のための化合物、または実施形態I-55~I-72のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物。
【0168】
実施形態I-74.医薬組成物が、経口投与される、実施形態I-19~I-28もしくはI-67~I-72のいずれか1つに記載の方法、実施形態I-31~I-42もしくはI-67~I-72のいずれか1つに記載の使用、実施形態I-43~I-54もしくはI-67~I-72のいずれか1つに記載の使用のための化合物、または実施形態I-55~I-72のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物。
【0169】
実施形態I-75.医薬組成物が、胃管を介して投与される、実施形態I-19~I-28もしくはI-67~I-72のいずれか1つに記載の方法、実施形態I-31~I-42もしくはI-67~I-72のいずれか1つに記載の使用、実施形態I-43~I-54もしくはI-67~I-72のいずれか1つに記載の使用のための化合物、または実施形態I-55~I-72のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物。
【0170】
実施形態I-76.三水和物形態が、結晶形態であり、結晶形態が、7.74±0.5°および20.95±0.5°にXRPD2-シータ(2θ)ピークを有する、実施形態I-19~I-30もしくはI-67~I-75のいずれか1つに記載の方法、実施形態I-31~I-42もしくはI-67~I-75のいずれか1つに記載の使用、実施形態I-43~I-54もしくはI-67~I-75のいずれか1つに記載の使用のための化合物、または実施形態I-55~I-75のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物。
【0171】
実施形態I-77.三水和物形態が、結晶形態であり、前記結晶形態が、7.74°±0.5°に50%超の相対強度XRPD2-シータ(2θ)ピーク、および20.95°±0.5°に100%相対強度XRPD2-シータ(2θ)ピークを有する、実施形態I-1~I-7のいずれか1つに記載のバルク組成物、または実施形態I-8~I-14のいずれか1つに記載の医薬組成物、または実施形態I-15もしくはI-16に記載の剤形、または実施形態I-17もしくはI-18に記載のキット、または実施形態I-19~I-30もしくはI-67~I-76のいずれか1つに記載の方法、または実施形態I-31~I-42もしくはI-67~I-76のいずれか1つに記載の使用、または実施形態I-43~I-54もしくはI-67~I-76のいずれか1つに記載の使用のための化合物、または実施形態I-55~I-76のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物。
【0172】
実施形態I-78.前記三水和物形態が、結晶形態であり、前記結晶形態が、10.3°±0.2°、13.6°±0.2°、14.8°±0.2°、15.0°±0.2°、15.4°±0.2°、17.5°±0.2°、18.3°±0.2°、18.6°±0.2°、19.2°±0.2°、21.3°±0.2°、22.0°±0.2°、23.6°±0.2°、24.3°±0.2°、25.2°±0.2°、26.0°±0.2°、27.2°±0.2°、30.1°±0.2°、32.4°±0.2°、33.4°±0.2°、38.2°±0.2°、および39.4°±0.2°からなる群から選択される2つ以上のXRPD2-シータ(2θ)ピークを有する、実施形態I-1~I-7またはI-77のいずれか1つに記載のバルク組成物、または実施形態I-8~I-14またはI-77のいずれか1つに記載の医薬組成物、または実施形態I-15、I-16、またはI-77のいずれか1つに記載の剤形、または実施形態I-17、I-18、またはI-77のいずれか1つに記載のキット、または実施形態I-19~I-30またはI-67からI-77のいずれか1つに記載の方法、または実施形態I-31からI-42またはI-67からI-77のいずれか1つに記載の使用。または実施形態I-43からI-54またはI-67からI-77のいずれか1つに記載の使用のための化合物、または実施形態I-55からI-77のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物。
【0173】
実施形態I-79.前記三水和物形態が、結晶形態であり、前記結晶形態が、7.6°±0.2°および20.7°±0.2にXRPD2シータ(2θ)ピークを有する、実施形態I-1~I-7、I-77、もしくはI-78のいずれか1つに記載のバルク組成物、または実施形態I-8~I-14、I-77、もしくはI-78のいずれか1つに記載の医薬組成物、または実施形態I-15、I-16、I-77、もしくはI-78のいずれか1つに記載の剤形、または実施形態I-17、I-18、I-77、もしくはI-78のいずれか1つに記載のキット、または実施形態I-19~I-30もしくはI-67~I-78のいずれか1つに記載の方法、または実施形態I-31~I-42もしくはI-67~I-78のいずれか1つに記載の使用、または実施形態I-43~I-54もしくはI-67~I-78のいずれか1つに記載の使用のための化合物、または実施形態I-55~I-78のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物。
【0174】
実施形態I-80.前記7.6°±0.2°のXRPD2シータ(2θ)ピークが、50%超の相対強度を有し、20.7°±0.2°のXRPD2-シータ(2θ)ピークが、100%相対強度を有する、実施形態I-79に記載のバルク組成物、医薬組成物、剤形、キット、方法、使用、使用のための化合物、または使用のための医薬組成物。
【0175】
実施形態I-81.結晶形態が、10.3°±0.2°、13.6°±0.2°、14.8°±0.2°、15.0°±0.2°、15.4°±0.2°、17.5°±0.2°、18.3°±0.2°、18.6°±0.2°、19.2°±0.2°、21.3°±0.2°、22.0°±0.2°23.6°±0.2°、24.3°±0.2°、25.2°±0.2°、26.0°±0.2°、27.2°±0.2°、30.1°±0.2°、32.4°±0.2°、33.4°±0.2°、38.2°±0.2°、および39.4°±0.2°からなる群から選択される2つ以上のXRPD2シータ(2θ)ピークをさらに有する、実施形態I-79またはI-80に記載のバルク組成物、医薬組成物、剤形、キット、方法、使用、使用のための化合物、または使用のための医薬組成物。
【0176】
実施形態I-82.バルク組成物、医薬組成物、剤形、キット、または医薬品が、約6000ppm未満の有機溶媒を含む、実施形態I-1~I-7もしくはI-77~I-81のいずれか1つに記載のバルク組成物、または実施形態I-8~I-14もしくはI-77~I-81のいずれか1つに記載の医薬組成物、または実施形態I-15、I-16、もしくはI-77~I-81のいずれか1つに記載の剤形、または実施形態I-17、I-18、もしくはI-77~I-81のいずれか1つに記載のキット、実施形態I-19~I-30もしくはI-67~I-81のいずれか1つに記載の方法、または実施形態I-31~I-42もしくはI-67~I-81のいずれか1つに記載の使用、または実施形態I-43~I-54もしくはI-67~I-81のいずれか1つに記載の使用のための化合物、または実施形態I-55~I-81のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物。
【0177】
実施形態I-83.バルク組成物、医薬組成物、剤形、キット、または医薬品が、約5000ppm未満、約4000ppm未満、約3000ppm未満、または約2000ppm未満の有機溶媒を含む、実施形態I-82に記載のバルク組成物、または医薬組成物、または剤形、またはキット、または方法、または使用のための化合物、または使用のための医薬組成物。
【0178】
実施形態I-84.有機溶媒が、1つ以上のC1~C8アルコールを含む、実施形態I-82またはI-83に記載のバルク組成物、または医薬組成物、または剤形、またはキット、または方法、または使用のための化合物、または使用のための医薬組成物。
【0179】
実施形態I-85.有機溶媒が、エタノール、n-プロパノール、もしくはイソプロパノール、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態I-82~I-84のいずれか1つに記載のバルク組成物、または医薬組成物、または剤形、またはキット、または方法、または使用のための化合物、または使用のための医薬組成物。
【0180】
実施形態I-86.溶媒が、イソプロパノールを含む、実施形態I-82~I-85のいずれか1つに記載のバルク組成物、または医薬組成物、または剤形、またはキット、または方法、または使用のための化合物、または使用のための医薬組成物。
【0181】
実施形態II-1.以下の式を有する、(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の三水和物形態を製造する方法であって、
【化6】
(a)遊離塩基(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステルを有機溶媒と合わせて、混合物を形成することと、
(b)塩酸を添加することによって混合物のpHを3.5~4.5に調整することと、
(c)沈殿物が形成されるまで混合物を攪拌することと、
(d)沈殿物を単離して、単離された沈殿物を形成することと、
(e)6.5重量%~10重量%の水含有量に達するまで、単離された沈殿物を減圧下で乾燥させて、(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の三水和物形態を生成することを含む、方法。
【0182】
実施形態II-2.有機溶媒含有量が約6000ppm未満になるまで、単離された沈殿物を減圧下で乾燥させる、実施形態II-1に記載の方法。
【0183】
実施形態II-3.有機溶媒が、1つ以上のアルコールを含む、実施形態II-1またはII-2に記載の方法。
【0184】
実施形態II-4.前記有機溶媒が、エタノール、n-プロパノール、もしくはイソプロパノール、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態II-1~II-3のいずれか1つに記載の方法。
【0185】
実施形態II-5.有機溶媒が、イソプロパノールを含む、実施形態II-1~II-4のいずれか1つに記載の方法。
【0186】
実施形態II-6.遊離塩基を水および有機溶媒と合わせて、混合物を形成する、実施形態II-1~II-5のいずれか1つに記載の方法。
【0187】
実施形態II-7.遊離塩基を水および有機溶媒と合わされて、混合物を形成し、水が、有機溶剤に対して約5重量%~約15重量%で混合物中に存在する、実施形態II-1~II-6のいずれか1つに記載の方法。
【0188】
実施形態II-8.遊離塩基と合わせる有機溶媒が、1つ以上のアルコールを含む、実施形態II-1~II-7のいずれか1つに記載の方法。
【0189】
実施形態II-9.遊離塩基と合わせる有機溶媒が、1つ以上のC1-C8アルコールを含む、実施形態II-1~II-8のいずれか1つに記載の方法。
【0190】
実施形態II-10.遊離塩基と合わせる有機溶媒が、イソプロパノールを含む、実施形態II-1~II-9のいずれか1つに記載の方法。
【0191】
実施形態II-11.単離された沈殿物が、減圧下で約20℃~約60℃の温度で乾燥される、実施形態II-1~II-10のいずれか1つに記載の方法。
【0192】
実施形態II-12.単離された沈殿物が、減圧下で約3時間~約12時間乾燥される、実施形態II-1~II-11のいずれか1つに記載の方法。
【0193】
実施形態II-13.単離された沈殿物が、減圧下で約25℃~約35℃の温度で乾燥され、次いで約30℃~約45℃の温度で乾燥され、次いで約30℃~約50℃の温度で乾燥され、次いで約30℃~約55℃の温度で乾燥される、実施形態II-1~II-12のいずれか1つに記載の方法。
【0194】
実施形態II-14.単離された沈殿物が、減圧下で約25℃~約35℃の温度で乾燥され、次いで約35℃~約45℃の温度で乾燥され、次いで約40℃~約50℃の温度で乾燥され、次いで約45℃~約55℃の温度で乾燥される、実施形態II-1~II-13のいずれか1つに記載の方法。
【0195】
実施形態II-15.単離された沈殿物が、減圧下で約25℃~約35℃の温度で約0.5~約2.5時間乾燥され、次いで約35℃~約45℃の温度で約0.5~約2.5時間乾燥され、次いで約40℃~約50℃の温度で約0.5~約2.5時間で乾燥され、次いで約45℃~約55℃の温度で乾燥される、実施形態II-1~II-14のいずれか1つに記載の方法。
【0196】
実施形態II-16.7.5重量%~9.0重量%の水含有量に達するまで、単離された沈殿物を減圧下で乾燥させて、(3S、4R、3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の三水和物形態を生成する、実施形態II-1~II-15のいずれか1つに記載の方法。
【0197】
実施形態II-17.減圧が、約20mmHg~約60mmHgである、実施形態II-1~II-16のいずれか1つに記載の方法。
【0198】
実施形態II-18.減圧が、約30mmHg~約55mmHgである、実施形態II-1~II-17のいずれか1つに記載の方法。
【0199】
実施形態II-19.三水和物形態が、結晶形態であり、前記結晶形態が、7.74±0.5°および20.95±0.5°にXRPDピークを有する、実施形態II-1~II-18のいずれか1つに記載の方法。
【0200】
実施形態II-20.少なくとも100kgの遊離塩基を有機溶媒と合わせて、混合物を形成する、実施形態II-1~II-19のいずれか1つに記載の方法。
【0201】
実施形態II-21.少なくとも100kgの沈殿物が単離される、実施形態II-1~II-20のいずれか1つに記載の方法。
【0202】
実施形態II-22.少なくとも100kgの単離された沈殿物が乾燥される、実施形態II-1~II-21のいずれか一項に記載の方法。
【0203】
実施形態II-23.少なくとも100kgの三水和物形態が生成される、実施形態II-1~II-22のいずれか1つに記載の方法。
【0204】
実施形態II-24.少なくとも200kgの遊離塩基を有機溶媒と合わせて、混合物を形成する、実施形態II-1~II-23のいずれか1つに記載の方法。
【0205】
実施形態II-25.少なくとも200kgの沈殿物が単離される、実施形態II-1~II-24のいずれか1つに記載の方法。
【0206】
実施形態II-26.少なくとも200kgの単離された沈殿物が乾燥される、実施形態II-1~II-25のいずれか1つに記載の方法。
【0207】
実施形態II-27.少なくとも200kgの三水和物形態が生成される、実施形態II-1~II-26のいずれか1つに記載の方法。
【0208】
実施形態II-28.工程(b)の後および工程(c)の前に、混合物が3:7未満の体積比で水およびイソプロパノールを含むように調整される、実施形態II-1~II-27のいずれか1つに記載の方法。
【0209】
実施形態II-29.工程(b)の後および工程(c)の前に、混合物が、水およびイソプロパノールを1:4未満の体積比で含むように調整される、実施形態II-1~II-28のいずれか1つに記載の方法。
【0210】
実施形態II-30.工程(b)の後および工程(c)の前に、混合物が、水およびイソプロパノールを含むように調整され、水が5重量%~15重量%で存在する、実施形態II-1~II-28のいずれか1つに記載の方法。
【0211】
実施形態II-31.工程(c)の混合物を40℃以下の温度で攪拌して、沈殿物を形成する、実施形態II-1~II-30のいずれか1つに記載の方法。
【0212】
実施形態II-32.工程(c)の混合物を30℃以下の温度で攪拌して、沈殿物を形成する、実施形態II-1~II-31のいずれか1つに記載の方法。
【0213】
実施形態II-33.工程(d)の後および工程(e)の前に、単離された沈殿物の少なくとも一部を再結晶化溶媒に溶解して、再結晶化混合物を形成し、再結晶化沈殿物が形成されるまで再結晶化混合物を攪拌し、再結晶化された沈殿物を単離して、単離された沈殿物を形成する、実施形態II-1~II-32のいずれか1つに記載の方法。
【0214】
実施形態II-34.再結晶化混合物が、水およびイソプロパノールを3:7未満の体積比で含む、実施形態II-33に記載の方法。
【0215】
実施形態II-35.再結晶化混合物が、水およびイソプロパノールを1:4未満の体積比で含む、実施形態II-33に記載の方法。
【0216】
実施形態II-36.再結晶化混合物が、5重量%~10重量%の水を含む、実施形態II-33に記載の方法。
【0217】
実施形態II-37.再結晶化混合物が、イソプロパノールおよび水を含み、水が、5重量%~10重量%で存在する、実施形態II-33に記載の方法。
【0218】
実施形態II-38.再結晶化混合物を40℃以下の温度で攪拌して、再結晶化沈殿物を形成する、実施形態II-33またはII-37のいずれか1つに記載の方法。
【0219】
実施形態II-39.再結晶化混合物を30℃以下の温度で攪拌して、再結晶化沈殿物を形成する、実施形態II-33またはII-37のいずれか1つに記載の方法。
【0220】
実施形態II-40.乾燥前に、単離された沈殿物を洗浄する、実施形態II-1~II-39のいずれか1つに記載の方法。
【0221】
実施形態II-41.単離された沈殿物を、水およびイソプロパノールを3:7未満の体積比で含む洗浄溶媒で洗浄する、実施形態II-40に記載の方法。
【0222】
実施形態II-42.単離された沈殿物を、水およびイソプロパノールを1:4未満の体積比で含む洗浄溶媒で洗浄する、実施形態II-40またはII-41に記載の方法。
【0223】
実施形態II-43.減圧下で乾燥する前に、単離された沈殿物を水性洗浄物で洗浄し、水性洗浄物が、有機溶媒および約5重量%~約15重量%の水を含む、実施形態II-1~II-39のいずれか1つに記載の方法。
【0224】
実施形態II-44.有機溶媒含有量が約5000ppm未満、約4000ppm未満、約3000ppm未満、または約2000ppm未満になるまで、単離された沈殿物を減圧下で乾燥させる、実施形態II-1~II-43のいずれか1つに記載の方法。
【0225】
実施形態II-45.有機溶媒が、1つ以上のアルコールを含む、実施形態II-44に記載の方法。
【0226】
実施形態II-46.有機溶媒が、1つ以上のC1~C8アルコールを含む、実施形態II-2、II-44、またはII-45のいずれか1つに記載に記載の方法。
【0227】
実施形態II-47.有機溶媒が、イソプロパノールを含む、実施形態II-44~II-46のいずれか1つに記載の方法。
【0228】
実施形態II-48.イソプロパノール含有量が約6000ppm未満になるまで、単離された沈殿物を減圧下で乾燥させる、実施形態II-1~II-47のいずれか1つに記載の方法。
【0229】
実施形態II-49.イソプロパノール含有量が約5000ppm未満、約4000ppm未満、約3000ppm未満、または約2000ppm未満になるまで、単離された沈殿物を減圧下で乾燥させる、実施形態II-1~II-48のいずれか1つに記載の方法。
【0230】
実施形態II-50.前記三水和物形態が、結晶形態であり、結晶形態が、7.74°±0.5°に50%超の相対強度XRPD2-シータ(2θ)ピーク、および20.95°±0.5°に100%相対強度XRPD2-シータ(2θ)ピークを有する、実施形態II-1~II-49のいずれか1つに記載の方法。
【0231】
実施形態II-51.三水和物形態が、結晶形態であり、前記結晶形態が、10.3°±0.2°、13.6°±0.2°、14.8°±0.2°、15.0°±0.2°、15.4°±0.2°、17.5°±0.2°、18.3°±0.2°、18.6°±0.2°、19.2°±0.2°、21.3°±0.2°、22.0°±0.2°、23.6°±0.2°、24.3°±0.2°、25.2°±0.2°、26.0°±0.2°、27.2°±0.2°、30.1°±0.2°、32.4°±0.2°、33.4°±0.2°、38.2°±0.2°、および39.4°±0.2°からなる群から選択される2つ以上のXRPD2-シータ(2θ)ピークを有する、実施形態II-1~II-50のいずれか1つに記載の方法。
【0232】
実施形態II-52.三水和物形態が、結晶形態であり、結晶形態が、7.6°±0.2°および20.7°±0.2にXRPD2シータ(2θ)ピークを有する、実施形態II-1~II-51のいずれか1つに記載の方法。
【0233】
実施形態II-53.7.6°±0.2°のXRPD2シータ(2θ)ピークが、50%超の相対強度を有し、20.7°±0.2°のXRPD2-シータ(2θ)ピークが、100%相対強度を有する、実施形態II-52に記載の方法。
【0234】
実施形態II-54.結晶形態が、10.3°±0.2°、13.6°±0.2°、14.8°±0.2°、15.0°±0.2°、15.4°±0.2°、17.5°±0.2°、18.3°±0.2°、18.6°±0.2°、19.2°±0.2°、21.3°±0.2°、22.0°±0.2°23.6°±0.2°、24.3°±0.2°、25.2°±0.2°、26.0°±0.2°、27.2°±0.2°、30.1°±0.2°、32.4°±0.2°、33.4°±0.2°、38.2°±0.2°、および39.4°±0.2°からなる群から選択される2つ以上のXRPD2シータ(2θ)ピークをさらに有する、実施形態II-52またはII-53に記載の方法。
【0235】
実施形態II-55.胃腸障害の治療を必要とする対象の胃腸障害を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の、以下の式を有する(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の三水和物形態を投与することを含む、方法。
【化7】
【0236】
実施形態II-56.胃腸障害が、プロトンポンプ阻害剤(PPI)抵抗性GERD、嘔吐、胃不全麻痺、オピエート誘発性便秘(OIC)、慢性特発性便秘(CIC)、びらん性食道炎(EE)、好酸球性食道炎(EoE)、機能性消化不良(FD)または機能性運動障害(FMD)、偽性腸閉塞症、過敏性腸症候群便秘型(IBSc)、経腸栄養不耐性(EFI)、および術後イレウスからなる群から選択される、実施形態II-55に記載の方法。
【0237】
実施形態II-57.胃腸障害が、術後イレウス、慢性胃スピロヘータ病、便秘、巨大結腸、胃炎、胃腸うっ滞、および皺胃排出欠陥症からなる群から選択される、実施形態II-55に記載の方法。
【0238】
実施形態III-1.(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の三水和物形態と、
【化8】
および少なくとも1つの容器と、を含む、バルク組成物。
【0239】
実施形態III-2.少なくとも75重量%の(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の三水和物形態を含み、重量が、少なくとも1つの容器の重量を除く、実施形態III-1に記載のバルク組成物。
【0240】
実施形態III-3.(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の無水物形態をさらに含み、三水和物形態と無水物形態との比率が、少なくとも約4対1である、実施形態III-1に記載のバルク組成物。
【0241】
実施形態III-4.無水物形態または三水和物形態で存在する(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の総重量に対して、約6.5重量%~約10重量%の水を含む、実施形態III-1に記載のバルク組成物。
【0242】
実施形態III-5.前記三水和物形態が、結晶形態であり、結晶形態が、7.74±0.5°および20.95±0.5°にXRPDピークを有する、実施形態III-2に記載のバルク組成物。
【0243】
実施形態III-6.(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の三水和物形態と、
【化9】
薬学的に許容される賦形剤と、を含む、医薬組成物。
【0244】
実施形態III-7.(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の無水物形態をさらに含み、前記三水和物形態と無水物形態との比率が、少なくとも約4対1である、実施形態III-6に記載の医薬組成物。
【0245】
実施形態III-8.無水物形態または三水和物形態で存在する(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ)-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の総重量に対して、約6.5重量%~約9重量%の水を含む、実施形態III-6に記載の医薬組成物。
【0246】
実施形態III-9.1重量%未満の前記(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の無水物形態を含む、実施形態III-6に記載の医薬組成物。
【0247】
実施形態III-10.三水和物形態が、結晶形態であり、結晶形態が、7.74±0.5°および20.95±0.5°にXRPDピークを有する、実施形態III-6に記載の医薬組成物。
【0248】
実施形態III-11.胃腸障害の治療を必要とする対象において胃腸障害を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の実施形態III-6に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【0249】
実施形態III-12.胃腸障害が、胃食道逆流症(GERD)、機能性消化不良または機能性運動障害、胃不全麻痺、麻痺性イレウス、術後イレウス、嘔吐、悪心、胸焼け、偽性腸閉塞、過敏性腸症候群(IBS)、便秘、経腸栄養不耐性(EFI)、および食道炎からなる群から選択される、実施形態III-11に記載の方法。
【0250】
実施形態III-13.GERDが、プロトンポンプ阻害剤(PPI)抵抗性GERDである、実施形態III-12に記載の方法。
【0251】
実施形態III-14.便秘が、オピエート誘発性便秘(OIC)、慢性特発性便秘(CIC)、または過敏性腸症候群便秘型(IBSc)に関連する便秘である、実施形態III-12に記載の方法。
【0252】
実施形態III-15.食道炎が、びらん性食道炎(EE)または好酸球性食道炎(EoE)である、実施形態III-12に記載の方法。
【0253】
実施形態III-16.IBSが、過敏性腸症候群便秘型(IBSc)である、実施形態III-12に記載の方法。
【0254】
実施形態III-17.胃不全麻痺が、糖尿病性胃不全麻痺、または特発性もしくは機能性胃不全麻痺である、実施形態III-12に記載の方法。
【0255】
実施形態III-18.胃腸障害の治療を必要とする対象が、新生児である、実施形態III-12に記載の方法。
【0256】
実施形態III-19.医薬組成物が、非経口投与される、実施形態III-11に記載の方法。
【0257】
実施形態III-20.医薬組成物が、経口投与される、実施形態III-11に記載の方法。
【0258】
実施形態III-21.医薬組成物が、胃管を介して投与される、実施形態III-11に記載の方法。
【0259】
実施形態III-22.胃腸障害が、術後イレウス、慢性胃スピロヘータ病、便秘、巨大結腸、胃炎、胃腸うっ滞、および皺胃排出欠陥症からなる群から選択される、実施形態III-11に記載の方法。
【0260】
実施形態III-23.胃腸障害の治療を必要とする対象が、非ヒト動物である、実施形態III-22に記載の方法。
【0261】
実施形態III-24.医薬組成物が、1重量%未満の(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の無水物形態を含む、実施形態III-11に記載の方法。
【0262】
実施形態III-25.胃腸運動の改善を必要とする対象において胃腸運動を改善する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の実施形態III-6に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【0263】
実施形態III-26.胃腸運動の改善を必要とする対象が、新生児である、実施形態III-25に記載の方法。
【0264】
実施形態III-27.医薬組成物が、非経口投与される、実施形態III-25に記載の方法。
【0265】
実施形態III-28.医薬組成物が、経口投与される、実施形態III-25に記載の方法。
【0266】
実施形態III-29.医薬組成物が、胃管を介して投与される、実施形態III-25に記載の方法。
【0267】
実施形態III-30.医薬組成物が、1重量%未満の(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル二塩酸塩の無水物形態を含む、実施形態III-25に記載の方法。
【実施例】
【0268】
以下の実施例は、単に例示的なものであり、本開示のいかなる態様を決して限定することを意図するものではない。
【0269】
実施例1:(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル,二塩酸塩,三水和物の合成
4,000Lの反応器に、イソプロピルアルコール(300kg)および水(80L)中の約250kgの粗(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステルを充填した。次いで、窒素雰囲気下で、80rpmで攪拌しながら、80kgの32%HClをゆっくりと入れ、混合物の温度を45℃未満に保ち、pHを約4.0に維持した。添加が完了したら、溶液温度を25℃に冷却し、生成物が沈殿するまで少なくとも2時間攪拌を続けた。次いで、800kgのイソプロピルアルコールを2~4時間にわたって反応器に充填し、混合物をさらに90分間攪拌した。粗沈殿物(283kg)を遠心分離により単離した。粗生成物を以下の方法で結晶化により精製した:水(100L)を粗生成物に添加した。部分真空を適用し、次いで反応器を窒素でパージした。攪拌を80rpmに設定し、水性混合物の温度を55℃にした。固形物が溶解するまで混合物を55℃で攪拌し、次いで溶液を濾過して、任意の異物固形物を除去した。溶液に、330kgのイソプロピルアルコールを添加した(これにより、約100L:420Lの水:イソプロパノールとなった)。溶液の温度を25℃にし、次いで物質が沈殿するまで80rpmで少なくとも2時間攪拌した。沈殿物を遠心分離によって単離した。
【0270】
次いで、湿った二塩酸塩(252kg)をコーン乾燥機に入れ、乾燥機のジャケット温度を30℃に設定し、真空(圧力=35mmHg)を1時間20分間適用した。次いで、ジャケットの温度を、未だ35mmHgの圧力下で1時間10分間にわたり40℃にした。次いで、ジャケットの温度を1時間にわたり45℃にした。最後に、カールフィッシャー分析によって測定した際に生成物中の水分%が8.0~8.4%になり、かつ、イソプロパノール含有量が5,000ppm未満になるまで、ジャケットの温度を50℃にした。50℃で2時間後、水含有量は8.46%であり、イソプロパノール含有量は50,238ppmであった。50℃で5時間後、含有量はそれぞれ8.40%および1,994ppmであり、乾燥を停止した。
【0271】
実施例2:熱重量分析による脱水プロファイル
PerkinElmer TGA-7を使用して、無水物および三水和物についての熱重量分析(TGA)曲線を作成した。3~5ミリグラムの試料をアルミニウム試料パンに量り取り、乾燥窒素下で5℃/分で25℃から250℃まで実施した。プロットを可能にするために、データをExcelにエクスポートした。(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステル,二塩酸塩,三水和物の試料は、63℃で8.2%の%損失を示し、これは、化合物1分子あたり3分子の水の損失に相当する。
【0272】
無水物および三水和物の代表的なTGA走査を
図5に示す。2つのものは、三水和物で観察された脱水質量損失の外観において異なり、無水物から予想されるように存在しなかった。三水和物の脱水は、加熱開始直後に始まり、約50℃で完了した。100℃未満での完全な脱水は、チャネル型水和物としての三水和物の帰属と一致している。
【0273】
実施例3:水蒸気収着等温線
水蒸気等温線は、25℃に平衡化された表面測定システムDVS-1を使用して得られた。約7mgの三水和物化合物をガラス試料ホルダー上に薄層に広げ、実施の開始前に相対湿度(RH)0%で事前乾燥した。次いで、試料を0%RHから90%RHまで走査し、1時間あたり2%RHの速度で0%RHに戻すことにより、等温線を取得した。結果を
図4に示す。
【0274】
図に示すように、脱水および再水和は、化合物の薄層全体にわたって急速に発生する。再平衡の速度に影響を与える要因には、床の深さおよび/または試料の質量、ならびに臨界湿度からの湿度変化の大きさが含まれる。例えば、床の深さを1ミリメートルから7ミリメートルに増やすことにより、脱水または再水和の速度が変化した。再平衡は、1mm層では数分以内に確立されたが、湿度推進として0%RHおよび55%RHを使用した場合、7mm層では数時間必要であった。臨界RH(15~20%RH)に近い相対湿度(RH)が選択された場合、再平衡化時間は全体的に長くなると予想される。
【0275】
温度の上昇とともに、臨界相対湿度は増加した。三水和物を維持するために必要な最小相対湿度は、20%RH(25℃)、25%RH(40℃)、30%RH(50℃)、および50%RH(60℃)であった。40℃以上の温度では100%RHで潮解が観察されたため、水和物を維持するために高温で非常に高い湿度を使用することは推奨されない。
【0276】
実施例4:X線粉末回折
Bruker D5000 X線回折計を使用し、無水物形態および三水和物の試料についてX線粉末回折(XRPD)を行った。D5000は、2.2kW CuアノードX線管、Anton Parr TTK-1低温ステージ、および高速位置検出器(PSD)を備えていた。CuKα放射線(λ=1.5418Å)を使用して、すべての粉末パターンを取得した。Kβ線を除去するために、デュアルフォイルのニッケルフィルターをX線の受信経路に配置した。物質をフロントローデイング方式の試料ホルダーに取り付け、分析した。4°未満から40°2シータ(2θ)の範囲にわたり、0.02°の工程サイズで、1工程あたり0.2秒間および0.5秒間、走査を行った。
【0277】
無水物および三水和物形態の代表的なXRPDパターンを
図3に示す。個々の回折パターンから明らかなように、各形態は特有の結晶相である。無水物形態は、4.55°±0.5°(>50%相対強度)および13.50°±0.5°に主要な特定のピークを示し、後者が最も強いピーク(100%相対強度)である。
【0278】
三水和物形態は、7.74°±0.5°(>50%相対強度)および20.95°±0.5°に主要な特定のピークを示し、後者が最も強いピーク(100%相対強度)である。XRPD分析から得られた三水和物のより詳細なピークリストには、(°2シータ(2θ)で)約7.6°±0.2°、10.3°±0.2°、13.6°±0.2°、14.8°±0.2°、15.0°±0.2°、15.4°±0.2°、17.5°±0.2°、18.3°±0.2°、18.6°±0.2°、19.2°±0.2°、20.7°±0.2°、21.3°±0.2°、22.0°±0.2°、23.6°±0.2°、24.3°±0.2°、25.2°±0.2°、26.0°±0.2°、27.2°±0.2°、30.1°±0.2°、32.4°±0.2°、33.4°±0.2°、38.2°±0.2°、39.4°±0.2°が含まれる。
【0279】
三水和物の脱水および再水和の間、遷移状態は観察されず、物質は、個々の結晶中に保持されている水の量に応じて、一方の形態または他方のいずれかの形態で存在する。インサイチューでの脱水および再水和の間、両方の形態が、同じパターンで、かつ、様々なレベルで観察された。
【0280】
実施例5:三水和物のNMR特性評価
1H-核磁気共鳴分光法(
1H-NMR):約6mgの三水和物を1gの重水素化溶媒(ジメチルスルホキシド(DMSO)-C45 99.9%d、0.05%v/vテトラメチルシラン(TMS)を含む)に溶解した。Varian Gemini 300 MHz FT-NMR分光計を使用して、
1H-NMRスペクトルを取得した。ピークリストを以下の表1に示す。代表的な
1H-NMRスペクトルは
図6に提供される。
【表1】
【0281】
13C-核磁気共鳴分光法(
13C-NMR):約46mgの三水和物を1mLの重水素化溶媒(酸化重水素、Aldrich、99.9%D、TPAS0.75%)に溶解した。Varian Gemini 300 MHzFT-NMR分光計を使用して、
13C-NMRスペクトルを取得した。ピークリストを以下の表2に示す。代表的
13C-NMRスペクトルは、
図7に提供される。
【表2】
【0282】
実施例6:制御された温度および湿度下での二塩酸塩の無水物形態の12ヶ月間の安定性
(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステルの二塩酸塩,無水物形態を、温度および湿度が制御された安定チャンバー中に最長12ヶ月間入れた。温度を25℃とし、相対湿度は60%とした。HPLC法を使用して、時間ゼロ、次いで3、6、9、および12ヶ月で試料を分析した。HPLC条件は以下の通りとした:
カラム:Inertsil C8-3、長さ250mm、直径3mm、粒子サイズ5um
移動相A:2000mLの水+3mLのギ酸
移動相B:1000mLのメタノール+3mLのギ酸
流量:0.6mL/分
検出波長:275nm
注入量:20uL
時間:50分
【0283】
結果を以下の表3に示す。化合物の純度は、活性物質について最初に設定された仕様(純度HPLC面積%)内で維持されたが、医薬品活性成分(API)の強度は、水含有量の増加により(ゼロ時の0.45%から6ヶ月間で8.47%、次いで12ヶ月間まで安定)、経時的に低下した。これは、活性成分の強度の約8%の低下であり、これにより、この物質について最初に設定された適正製造基準(GMP)リリース仕様の許容範囲から生成物が外れる。
【表3】
【0284】
実施例7:厳密に制御された温度および湿度の条件下での二塩酸塩の三水和物形態の36ヶ月間の安定性
(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステルの二塩酸塩の三水和物形態を、温度および湿度を制御した安定チャンバー中に最長36ヶ月間入れた。温度を25℃とし、相対湿度は60%とした。上記の実施例において記載したように、HPLC法を使用して、ゼロ時、次いで3、6、9、12、18、24、および36ヶ月で試料を分析した。結果を以下の表4に示す。
【表4】
【0285】
結果は、三水和物形態が純度および強度の両方に関して少なくとも36ヶ月間安定していることを示している。APIの水含有量は、最長36ヶ月間変化しなかった。この物質のバッチは、API合成後の36ヶ月後に、ヒトで使用するためのGMP認証に合格する。
【0286】
実施例8:GMP保存施設中で大量に保存したときの二塩酸塩の三水和物形態の安定性
温度および相対湿度の制御条件下(温度=室温、および相対湿度>30%)でGMP施設に保存することにより、最長11年間にわたる純度および強度に関する安定性について、三水和物形態を評価した。結果を以下の表5に示す。
【表5】
【0287】
これらの結果は、APIの三水和物形態が、GMP保存施設で通常適用される温度および湿度条件下で保存された場合にGMP保存下で安定していることを示している。
【0288】
実施例9:多形スクリーニング
約90の異なる結晶成長条件下で物質を再結晶化し、X線粉末回折(XRPD)を使用して回収された固体を分析することにより、(3S,4R,3’R)-6-[4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3’-イルエステルの二塩酸塩無水物について多形スクリーニングを行った。非競合的スラリー実験、続いて固体のX線回折を使用して、二次スクリーニングを行った。このスクリーニングから、塩無水物の3つの異なる固体状態の結晶形態(形態I、形態II、および形態III)が同定され、三水和物の固体結晶形態が同定された(形態IV)。アモルファス形態も同定された。さらに、特定の条件下で形態Iを形態IVに変換することができることが発見された。
【0289】
再結晶化パネルの結晶成長または不飽和化条件は、以下の表6に要約されている。各再結晶パネルは22~32個のウェルを含み、各ウェルは異なる溶媒組成を含む。3つの多形スクリーニングパネルに使用される溶媒マトリクスおよびスクリーニングの条件を表7、8、および9に提供し、該表には、X線回折データに基づいて得られた各結晶化実験の結晶形態もリストされている。
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【0290】
多形スクリーニングのための非競合的スラリー実験:補足的な多形スクリーニング法として、非競合的スラリー実験を実施した。多形物質の懸濁液を調製した場合、低い溶解性の多形形態(熱力学的に安定した形態)が核化し得る。核化形態は、溶媒媒介相転移により、すべての残留固体を核化形態に変換することができる。いくつかの異なる溶媒系に過剰の固体を添加することにより、単離された形態Iの懸濁液を調製した。懸濁液を周囲温度で3週間激しく攪拌した。残留固体を真空濾過によって収集し、粉末X線回折によって分析して、固体の結晶形態に何らかの変化が生じたかどうかを決定した。非競合的スラリー研究の結果を以下の表10に示す。
【表10】
【0291】
スラリー実験の結果に基づいて、形態Iが熱力学的に最も安定な無水物形態であることが決定された。
【0292】
表8(パネルII)の再結晶化データは、3:7未満の体積比の水:2-プロパノール溶媒混合物(体積で水30%未満および水70%未満のイソプロパノール)から、40℃以下の温度で再結晶化することにより、三水和物形態IVを得ることができることを示している。DMAおよびDMFなどの実験で使用される特定の溶媒は、その沸点が高いため、組成物(バルク組成物など)から除去するのが難しいものとなり得る。いくつかの状況では、これらの高沸点溶媒を組成物から除去するには、非常に低い圧力と組み合わせて加熱する必要があるなど、所望の化合物を不安定化し得る条件が必要になる。
【0293】
実施例10:二塩酸塩の三水和物形態のバルク安定性
ストレス条件下でのバルク安定性:約20~30mgの二塩酸塩の三水和物形態をHPLCバイアルに量り取り、25℃および60%相対湿度(開放)、40℃および75%相対湿度(開放)、および60℃(閉鎖)で1週間および2週間、ストレスをかけた。表11および
図8~10に示されるように、三水和物形態は、1週間または2週間のいずれかにわたり、すべての温度および湿度で物理的および化学的に安定であった。
【表11】
【0294】
非常に高い湿度でのバルク安定性:二塩酸塩の三水和物形態に、25℃および97%の相対湿度(開放)、40℃および96%の相対湿度(開放)、および60℃および96%の相対湿度(開放)で1週間、ストレスをかけた。表12に示すように、三水和物形態は、25℃および97%の相対湿度(開放)で1週間、物理的および化学的に安定性していたが、温度が40℃または60℃に上昇したときに液化し、これにより化学的安定性が低下した。
【表12】
【国際調査報告】