(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(54)【発明の名称】デジタル三次元歯列模型システム
(51)【国際特許分類】
A61C 13/34 20060101AFI20220107BHJP
【FI】
A61C13/34
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021524301
(86)(22)【出願日】2018-11-01
(85)【翻訳文提出日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 KR2018013214
(87)【国際公開番号】W WO2020091115
(87)【国際公開日】2020-05-07
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521189422
【氏名又は名称】イ,ウ ヒョン
【氏名又は名称原語表記】LEE, Woo Hyoung
【住所又は居所原語表記】404Dong 602Ho (Samsung-dong, YangjuXi4ComplexAPT), 91, Samsung-ro 38beon-gil, Yangju-si, Gyeonggi-do 11486, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】イ,ウ ヒョン
(57)【要約】
本発明は、デジタル三次元歯列模型システムに関し、(1)歯列模型をスキャンする歯列模型スキャナのスキャン領域に装着され、歯列模型が設置される咬合器と、(2)これに連携され、スキャンした歯列模型の位置合わせデータと、解剖学的に理想的な位置を保存したデータとを一致させて画像として出力する出力部と、(3)垂直と水平の解析が可能な形態の線からなる基準部と、(4)デジタル歯科用デザインプログラムでデザインした上顎及び下顎の歯列模型からなり、これら歯列模型が基準部とのそれぞれ一つのモジュール化で構成される歯列模型部と、(5)上顎歯列模型と下顎歯列模型との間に介在される歯列分析部と、を含んでなる。歯科または歯科技工所でデジタル三次元歯列模型を製作する際にスキャナの固有のスキャン領域内に歯列模型を正確に位置合わせして正確度を高めるだけでなく、デジタル三次元歯列模型と解剖学的に理想的な位置合わせができるようにする基準線がモジュール化され、迅速かつ正確に理想的な位置に歯列模型が噛み合うようにし、咀嚼や発音をうまくできるようにする効果がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯列模型をスキャンして、仮想の3D歯列模型データを生成する歯列模型スキャナのスキャン領域に装着され、スキャンしようとする歯列模型が設置される咬合器と、
前記咬合器に連携され、前記歯列模型スキャナでスキャンした歯列模型の位置合わせデータと、解剖学的に理想的な位置を保存したデータとを一致させて画像として出力する出力部と、
垂直と水平の解析が可能な形態の線からなる基準部と、
デジタル歯科用デザインプログラムでデザインした上顎歯列模型及び下顎歯列模型からなり、前記上顎歯列模型及び前記下顎歯列模型が、前記基準部とのそれぞれ一つのモジュール化がなされることで構成される歯列模型部と、
前記上顎歯列模型と、前記下顎歯列模型との間に介在される歯列分析部と、を含んでなることを特徴とするデジタル三次元歯列模型システム。
【請求項2】
前記基準部、前記歯列模型部、及び前記歯列分析部とそれぞれ連携される制御部をさらに含み、前記制御部は、前記基準部、前記歯列模型部、及び前記歯列分析部を同時にモジュール化するか、任意選択的にモジュール化して制御することを特徴とする請求項1に記載のデジタル三次元歯列模型システム。
【請求項3】
前記咬合器は、
前記歯列模型スキャナのスキャン領域に対する結合と分離が可能なように設置されるスキャナ取付用プレートと、
前記スキャナ取付用プレートの上方に形成され、歯列模型が設置される治具本体と、
前記スキャナ取付用プレートの先端部に垂直に形成され、前記治具本体に設置されて歯列模型の前方中央に位置する垂直部、及び、前記垂直部に垂直に結合して長手方向に移動可能なピン状であって、先端は前記歯列模型の下顎前歯先端または上顎前歯先端と当接する位置にある基準部、からなる口腔記録伝達部と、からなることを特徴とする請求項1に記載のデジタル三次元歯列模型システム。
【請求項4】
前記上顎歯列模型と前記下顎歯列模型は、移動の際、前記上顎歯列模型及び前記下顎歯列模型に対するそれぞれ一つのモジュール化で構成された前記基準部により、移動時に解剖学的に理想的な位置に併合されることを特徴とする請求項1に記載のデジタル三次元歯列模型システム。
【請求項5】
前記スキャナの内部に前記咬合器を固定させる固定用ブロックが形成され、前記固定用ブロックは、磁石と凹凸が形成されることを特徴とする請求項1に記載のデジタル三次元歯列模型システム。
【請求項6】
前記咬合器に結合が可能であり、歯の位置及び角度を記録する、歯の位置記録部がさらに含まれることを特徴とする請求項1に記載のデジタル三次元歯列模型システム。
【請求項7】
前記歯の位置記録部は、前記歯の位置及び角度の正確度のために十字状に形成され、前記咬合器からの回転が可能に結合されるように形成されることを特徴とする請求項6に記載のデジタル三次元歯列模型システム。
【請求項8】
前記歯列分析部は、板状に形成されるとともに、一面は平らに形成され、もう一面は湾曲状に形成されており、前記一面が平らに形成された歯列分析部は、前記上顎歯列模型部に接しており、湾曲状に形成された前記もう一面は、前記下顎歯列模型部に接することを特徴とする請求項1に記載のデジタル三次元歯列模型システム。
【請求項9】
前記歯列分析部は、前記上顎歯列模型と前記下顎歯列模型の大きさと位置の分析が可能であることを特徴とする請求項1に記載のデジタル三次元歯列模型システム。
【請求項10】
前記歯列分析部は、複数個の垂直と水平の穴または溝がそれぞれ形成され、前記上顎歯列模型と前記下顎歯列模型の大きさと位置の分析が可能であることを特徴とする請求項1に記載のデジタル三次元歯列模型システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル三次元歯列模型システム(DIGITAL THREE-DIMENSIONAL TOOTH MODEL SYSTEM)に関するものであって、より詳しくは、歯科または歯科技工所でデジタル三次元歯列模型を製作する際に、必要な歯列模型のスキャナを使って、固有のスキャン領域内に歯列模型を正確に位置合わせして正確度を高めるだけでなく、デジタル三次元歯列模型と解剖学的、理想的位置合わせができるようにする基準線がモジュール化されており、迅速かつ正確に理想的位置に歯列模型が噛み合うようにし、咀嚼及び発音を上手にできるようにするデジタル三次元歯列模型システムに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、人間の歯は、口腔内において摂食、発声、表情作りなど、重要な機能に深く関わっており、歯の喪失は、致命的な問題となる。このように、歯を喪失した口腔内の構造を再建してあげることを補綴歯科という。ここで、補綴歯科または人工歯を製作する方法には、3DのCADプログラムの一種であるデジタル歯科用デザインプログラムを使用する方法が近来は多く使われている。
【0003】
前記デジタル歯科用デザインプログラムは、3DのCADプログラムで歯をデザインするために、3Dスキャナの一種である歯列模型スキャナで歯列模型をスキャンする過程を経る。
【0004】
すなわち、患者の歯列模型について歯列模型スキャナで仮想の3D歯列模型を作り、この仮想の3D歯列模型は、前記デジタル歯科用デザインプログラム上から出力され、これに基づいて人工歯をデザインする。
【0005】
したがって、歯列模型のスキャナを使って歯列模型をデジタル化する過程は、非常に重要な過程であって、人工歯を製作する際に、必要な口腔内の組織と歯の位置、形状を正確に記録しなければならない。
【0006】
しかしながら、従来のスキャン方法は、異なる位置からスキャンをするので、スキャン過程を通じてデジタル化した石膏模型は、デジタル歯科用デザインプログラム内でも位置が一様でないので、人工歯をデザインする際、人体と類似しない仮想の3Dモデルを提供することから、人工歯をデザインする際に錯視を起こすなどの多くの問題点が惹起される。
【0007】
このような構造と方法は、満足のいく歯列の製作を不可能にする。
【0008】
人工歯の製作は、解剖学的な基準を根拠にして製作するが、下顎頭と下顎切歯点を結ぶ線(balkwill triangle)と、下顎中切歯と臼後三角を結ぶcamper’s plane、上顎骨の鼻翼下縁と外耳道の下縁を結ぶ線(fh line)を基
準に製作するが、このような基準線または面は正確な咬合平面を記録し、製作するためである。
【0009】
正確な咬合平面とは、解剖学的な正しい位置に、歯及び周囲組織が位置することをいう。
【0010】
このように基準点なしに製作されたデジタル人工歯は、正確な解剖学的位置に位置しないおそれがあるため、デジタル歯科技工が、かえって不正確な歯科補綴物を製作する可能性がある問題がある。
【0011】
関連先行技術としては、韓国特許公報第10-1141750号(発明の名称:歯科用人工歯の製造方法、登録日:2012年04月24日)および登録特許公報第10-1290278号(発明の名称:人工歯用組成物およびこれを用いた人工歯の製造方法、登録日:2013年07月22日)がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、前記のような従来技術の問題点を解決するために創案されたものであって、歯科または歯科技工所でデジタル三次元歯列模型を製作する際に、必要な歯列模型のスキャナを使って固有のスキャン領域内に歯列模型を正確に位置合わせして正確度を向上させるだけでなく、デジタル三次元歯列模型との解剖学的に理想的な位置合わせができるようにする基準線がモジュール化され、迅速かつ正確に理想的な位置に歯列模型が噛み合うようにすることで、咀嚼や発音をうまくできるようにするデジタル三次元歯列模型システムを目的とする。
【0013】
本発明のもう一つの目的は、本発明の特徴を通して理解することができ、本発明の実施形態により、さらに明確に知ることができ、特許請求の範囲に示された手段及び組み合わせによって実現されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記のような本発明が解決しようとする課題を達成するために、本発明は、以下のような技術的特徴を有する。
【0015】
本発明によるデジタル三次元歯列模型システムは、(1)歯列模型をスキャンして、仮想の3D歯列模型データを生成する歯列模型スキャナのスキャン領域に装着され、スキャンしようとする歯列模型が設置される咬合器と、(2)前記咬合器に連携され、前記歯列模型スキャナでスキャンした歯列模型の位置合わせデータと、解剖学的に理想的な位置を保存したデータとを一致させ、画像として出力する出力部と、(3)垂直と水平の解析が可能な形態の線からなる基準部と、(4)デジタル歯科用デザインプログラムでデザインした上顎歯列模型及び下顎歯列模型からなり、前記上顎歯列模型及び前記下顎歯列模型が、前記基準部とのそれぞれ一つのモジュール化がなされることで構成される歯列模型部と、(5)前記上顎歯列模型と前記下顎歯列模型の間に介在される歯列分析部と、を含んでなる。
【0016】
本発明によるデジタル三次元歯列模型システムにおいて、前記基準部、前記歯列模型部、及び前記歯列分析部とそれぞれ連携される制御部をさらに含み、前記制御部は、前記基準部、前記歯列模型部、及び前記歯列分析部を同時にモジュール化するか、任意選択的にモジュール化して制御する。
【0017】
本発明によるデジタル三次元歯列模型システムにおいて、前記咬合器は、(1)前記歯列模型スキャナのスキャン領域に対して結合と分離が可能なように設置されるスキャナ取付用プレートと、(2)前記スキャナ取付用プレートの上方に形成され、歯列模型が設置される治具本体と、(3)(3-1)前記スキャナ取付用プレートの先端部に垂直に形成され、前記治具本体に設置された歯列模型の前方中央に位置する垂直部、及び、(3-2)該垂直部に垂直に結合して長手方向に移動可能なピン状であって、先端は前記歯列模型の下顎前歯先端または上顎前歯先端と接する位置合わせ基準部、からなる口腔記録伝達部と、からなる。
【0018】
本発明によるデジタル三次元歯列模型システムにおいて、前記上顎歯列模型と前記下顎歯列模型は、移動時、前記上顎歯列模型及び前記下顎歯列模型にそれぞれ一つのモジュール化がなされることで構成された前記基準部により、移動の際に解剖学的に理想的な位置に併合される。
【0019】
本発明によるデジタル三次元歯列模型システムにおいて、前記スキャナの内部に、前記咬合器を固定させる固定用ブロックが形成され、前記固定用ブロックは、磁石と凹凸が形成される。
【0020】
本発明によるデジタル三次元歯列模型システムにおいて、前記咬合器に結合することが可能であり、歯の位置と角度を記録する歯の位置記録部がさらに含まれる。
【0021】
本発明によるデジタル三次元歯列模型システムにおいて、前記歯の位置記録部は、前記歯の位置と角度の正確度を図るため、十字状に形成され、前記咬合器から回転可能に結合されるように形成される。
【0022】
本発明によるデジタル三次元歯列模型システムにおいて、前記歯列分析部は、板状に形成されるとともに、一面は平らに形成され、もう一面は湾曲状に形成され、前記一面が平らに形成された歯列分析部は、前記上顎歯列模型部に当接され、湾曲状に形成された前記もう一面は、前記下顎歯列模型部に当接される。
【0023】
本発明によるデジタル三次元歯列模型システムにおいて、前記歯列分析部は、前記上顎歯列模型と前記下顎歯列模型についての大きさと位置の分析が可能である。
【0024】
本発明によるデジタル三次元歯列模型システムにおいて、前記歯列分析部は、複数個の垂直と水平の穴または溝がそれぞれ形成され、前記上顎歯列模型と前記下顎歯列模型についての大きさと位置の分析が可能である。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、前記のような課題の解決手段を通じて、歯科または歯科技工所でデジタル三次元歯列模型を製作する際に、必要な歯列模型スキャナを使って固有のスキャン領域内に歯列模型を正確に位置合わせし、正確度を向上させるだけでなく、デジタル三次元歯列模型との解剖学的に理想的な位置合わせができるようにする基準線がモジュール化され、迅速かつ正確に理想的な位置に歯列模型が噛み合うようにし、咀嚼及び発音をうまくできるようにする。
【0026】
また、本発明は、適切な位置に保存された歯列模型ファイルを利用してデザインする際に、解剖学的に理想的な歯の位置に予め製作しておいた適切な形態の人工歯列模型STLデータを保存することで、人工歯をデザインする際に読み込んできて、デザインを簡便にできることにある。
【0027】
併せて、本発明は、歯科用スキャナを用いて歯列模型をスキャンする際に作業効率を最大化させ、スキャン用咬合器を用いて歯列模型のスキャンデータを、デザインプログラム内の解剖学的に理想的な仮想の垂直水平軸に一致させることで、人工歯デザインプログラム内に保存されている個々の人工歯デジタルモデル模型のデータと、人工歯を製作する時に必要なさまざまな基準デジタルデータの模型とについて、X、Y、Z座標の位置を一致させることで作業効率を最大化させることができる。
【0028】
これと共に、本発明は、歯分析板が備えられ、歯の大きさ及び位置の分析が可能であり、口腔内にセットされた補綴歯科の正確度を向上させることができる。
【0029】
本発明のもう一つの効果は、本発明の特徴を通じて理解されることができ、本発明の実施形態によりより明確に知ることができ、特許請求の範囲に示された手段及び組み合わせによって発揮されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】従来によるスキャナに、基準なしに置かれた歯列模型をスキャンした一実施形態の図。
【
図2】本発明によるデジタル三次元歯列模型システムの一実施形態のブロック図。
【
図3】本発明によるデジタル三次元歯列模型の咬合器を用いた図。
【
図4】
図2によるスキャンした歯列模型のデータと、製作される人工歯の位置とが同じであることを、人体の構造と比較して説明する図。
【
図5】
図2によるスキャン原点記録装置がスキャナに装着された状態を示す図。
【
図6】
図2による口腔用の歯の位置記録装置を示す図。
【
図7】
図2によるデジタル三次元歯列模型の位置の併合が可能なように、基準線がある一実施形態の斜視図。
【
図8】
図2によるデジタル三次元歯列模型が、解剖学的に理想的な位置に併合した状態を示す斜視図。
【
図9】
図2によるデジタル三次元上顎歯列模型が歯列分析部の上方に位置する状態を示す図。
【
図10】
図2によるデジタル三次元の上顎及び下顎の歯列模型が正常に歯茎に位置した状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
後述する本発明の詳細な説明は、本発明が実施されることができる特定の実施形態を例示として示す添付図面を参照にする。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施することができるので、十分に詳細に説明されている。本発明の様々な実施形態は、互いに異なるが、相互排他的である必要はないことが理解されるはずである。例えば、ここに記載されている特定の形状、構造及び特性は一実施形態に関連して、本発明の技術的思想と範囲を逸脱することなく、他の実施形態として具現されることができる。また、それぞれの開示された実施形態内の個々の構成要素の位置または配置は、本発明の技術的思想及び範囲を逸脱しない、且つ変更されることが理解されるはずである。したがって、後述する詳細な説明は、限定的な意味として取り扱われるものではなく、本発明の範囲は、その請求項が主張することと均等なすべての範囲と共に添付された請求項によってのみ限定される。図面で類似する参照符号は、あらゆる側面にわたって同一または類似する機能を指す。
【0032】
図1は、従来によるスキャナの基準なしに置かれた歯列模型をスキャンした一実施形態の図であり、
図2は、本発明によるデジタル三次元歯列模型システムの一実施形態のブロック図であり、
図3は、本発明によるデジタル三次元歯列模型の咬合器を用いた図であり、
図4は、
図2によるスキャンした歯列模型のデータと、製作される人工歯の位置とが同じであることを、人体の構造と比較して説明する図であり、
図5は、
図2によるスキャン原点記録装置がスキャナに装着された状態を示す図であり、
図6は、
図2による口腔用の歯の位置記録装置を示す図であり、
図7は、
図2によるデジタル三次元歯列模型の位置の併合が可能なように基準線がある一実施形態の斜視図であり、
図8は、
図2によるデジタル三次元歯列模型が解剖学的に理想的な位置に併合した状態を示す斜視図であり、
図9は、
図2によるデジタル三次元の上顎歯列模型が歯列分析部の上方に位置する状態を示す図であり、
図10は、
図2によるデジタル三次元の上顎と下顎の歯列模型が正常に歯茎に位置した状態を示す図である。
【0033】
本発明によるデジタル三次元歯列模型システム100は、
図1~10に示すように、咬合器110、出力部120、基準部130、歯列模型部140、歯列分析部150を含んでなる。
【0034】
咬合器110は、歯列模型をスキャンして仮想の3D歯列模型データを生成する歯列模型スキャナのスキャン領域に装着され、スキャンしようとする歯列模型が設置される。
【0035】
歯列模型咬合器110は、(1)歯列模型スキャナのスキャン領域に結合と分離が可能なように設置されるスキャナ取付用プレート111と、(2)スキャナ取付用プレート111の上方に形成され、歯列模型10が設置される治具本体112と、(3)スキャナ取付用プレート111の先端部に垂直に形成され、治具本体112に設置される歯列模型10の前方中央に位置する垂直部113a、及び、垂直部113aに垂直に結合して長手方向に移動可能なピン状であって、先端は、歯列模型10の下顎前歯の先端または上顎前歯の先端と当接する位置合わせ基準部113bからなる口腔記録伝達部113とから構成される。
【0036】
スキャナ取付用プレート111は、平板状であって、歯列模型スキャナの装着支点に装着される。ここで、前記スキャナ取付用プレート111は、歯列模型スキャナの装着支点との結合と分離が可能な構造を有する。
【0037】
また、治具本体112は、スキャナ取付用プレート111の上方に形成され、歯列模型10を設置できるようにする。
【0038】
ここで、治具本体112に設置される歯列模型10は、歯列模型10の下顎前歯先端または上顎前歯先端が、前記口腔記録伝達部113の位置合わせ基準部113bの先端に当接するように設置されることを特徴とする。
【0039】
前記口腔記録伝達部113は、歯列模型スキャナのスキャン領域の基準を、治具本体112に設置される歯列模型10に伝達するための手段であって、口腔記録伝達部113によって、歯列模型のスキャナと歯列模型10の基準が一致するようになる。
【0040】
このような口腔記録伝達部113は、先に説明した位置合わせ基準部113bが結合された垂直部113aを特徴とする構成であって、垂直部113aは、スキャナ取付用プレート111の先端部に垂直に形成されており、治具本体112に設置される歯列模型10の前方のど真ん中(正に中央)に位置するように結合し、位置合わせ基準部113bは、垂直部113aに垂直に結合して長手方向に移動可能なピン状であって、先端は歯列模型10の下顎前歯の先端または上顎前歯の先端と当接する。
【0041】
ここで、前記位置合わせ基準部113bは、歯列模型スキャナ用治具の位置合わせ基準部を説明するための図面に示すように、位置合わせ基準部113bの先端は、歯列模型スキャナのスキャン領域の基準点と一致するように設定する。
【0042】
すなわち、本発明による歯列模型スキャナ用咬合器は、位置合わせ基準部113bに合わせて歯列模型10を治具本体112に設置した後、歯列模型スキャナ3を介して歯列模型10をスキャンすると、基準点が一致した仮想の3D歯列模型を獲得することができる。
【0043】
スキャナの内部に咬合器110を固定させる固定用ブロック160Aが形成され、固定用ブロック160Aは、磁石と凹凸が形成される。
【0044】
咬合器110に結合が可能であり、歯の位置と角度を記録する、歯の位置記録部170がさらに含まれる。
【0045】
歯の位置記録部170は、歯の位置と角度の正確度を図るために、十字状に形成され、咬合器110から回転可能に結合されるように形成される。
【0046】
歯列模型を三次元スキャンすれば、スキャンされた形は、STLファイルの形態でスキャンプログラム内に、スキャン位置に沿った固有の位置を有するようになる。
【0047】
このようなファイルの位置と形態に起因する作業効率の低下及び不正確な補綴物製作を防止しするために、歯列模型をスキャンする際に、解剖学的、咬合学的に理想的な補綴物を製作しやすい位置と形態でスキャンをし、保存することに目的がある。
【0048】
また、適切な位置に保存された歯列模型ファイルを利用してデザインするにあたり、解剖学的に理想的な歯の位置に予め製作しておいた適切な形態の人工歯列模型STLデータを保存することで、人工歯列模型をデザインする際に読み込んできてデザインを簡便にできることに目的がある。
【0049】
本願発明は、歯科用スキャナを用いて歯列模型をスキャンする際に作業効率を極大化し、スキャン用咬合器を用いて歯列模型のスキャンデータを、デザインプログラム内の解剖学的に理想的な仮想の垂直水平軸に一致させることで、人工歯デザインプログラム内に保存されている個々の人工歯デジタルモデルデータと、人工歯を製作する際に必要ないくつかの基準デジタルデータ模型とについて、X、Y、Z(三次元)の座標の位置を一致させ、作業効率生を最大化することができる。
【0050】
本願発明は、歯科用スキャナを用いて歯列模型をスキャンすると、スキャナ内に固定した形態及び位置と同じ形態で、プログラム内の三次元空間にSTLファイルとして保存されるが、こうした三次元空間は、x 、y、zという座標で表すことができる。
【0051】
Xは、原点から横方向への距離、Yは縦方向への距離、Zは高さの距離を表す。
【0052】
たとえば、横方向に10、垂直方向に20、高さ30を有する座標は、(X10、Y20、Z30)と表すことができる。
【0053】
このような表現方式は、三次元空間の基本的な表示方法として、3Dデザイン、3D設計プログラムでの距離と位置を表す。
【0054】
歯科用のスキャナ及びデザインプログラムも同様である。
【0055】
歯科用スキャナ装備に、スキャンしようとする歯列模型を置いてスキャンをすると、スキャナ上での歯列模型の位置は、スキャナの原点位置である(X0、Y0、Z0)からの距離だけデジタル化され、STLファイルの形態で位置が保存される。
【0056】
このような歯列模型のSTLファイルの場所は、歯列模型を固定する位置に沿ってそれぞれ異なる三次元位置を有するようになる。
【0057】
このようなそれぞれ異なる三次元位置に保存された歯列模型STLファイルは、人工歯デザインプログラムで、実際の人体と水平垂直の位置が一致しない。
【0058】
このような場合、デザインする際に錯視がたくさん起き、解剖学的に理想的な人工歯を製作するのに、かなりの問題点がある。
【0059】
このような問題点を解決すべく、歯列模型スキャンデータであるSTLファイルの場所と、解剖学的に理想的な歯の位置とをデザインプログラム内にて一致させることができるスキャン用咬合器と、解剖学的に理想的な人工歯のデータと、デザインする際に参照できるファイルとを含むデザインシステムを提供することに目的がある。
【0060】
前記した目的を達成するために、本発明は、スキャン用咬合器に石膏の歯列模型を位置固定させた後、咬合器をスキャナ内に固定させてスキャンをするが、スキャン用咬合器に石膏の歯列模型を固定した際に、咬合器に表示されている基準線と位置指示ピンに、石膏歯形の下顎の中切歯の切断点を位置合わせし、石膏を用いて石膏の歯列模型を咬合器に固定する。歯列模型スキャン用咬合器を用いた人工歯製作システムと、スキャンデザインシステム咬合器に装着されている位置指示ピンの位置及び形状は、プログラム内の三次元空間の原点である(X0、Y0、Z0)スキャン位置指示ピンと同じ位置及び形状を有しなければならない。
【0061】
スキャンの過程は、以下の通りである。
【0062】
スキャナに咬合器固定用ブロックをスキャナに入れて固定させ、固定用ブロック上にある磁石と凹凸を利用してスキャン用咬合器を位置させる。
【0063】
この際、石膏の歯列模型の位置は、スキャナが有している固有のスキャン領域内に位置しなければならない。
【0064】
このような過程を経たスキャンデジタル歯形データは、人工歯デザインプログラム上と解剖学的位置と類似する三次元基準点を有しており、解剖学的な位置に保存されている人工歯ライブラリを歯形に貼り付けると、デザイン時に考慮すべき審美感と咬合を完璧に再現することができることを特徴とする。
【0065】
位置指示ピンは、解剖学的に人工歯を製作する際に用いる基準点である下顎の中切歯の切断点に位置する。解剖学的に理想的な人工歯を製作する際には、下顎頭と下顎切歯点を結ぶ線(balkwill triangle)、下顎の中切歯と臼後三角を結ぶカンペル面(camper’s plane)、及び、上顎骨の眼窩下縁と外耳道下縁を結ぶ線(fh line)を参照して製作をするが、下顎の中切歯の切断点が基準点となる。このような方法でスキャンした歯列模型STLファイルは、デザインプログラムに保存しておいた人工歯列模型STLファイル、及び、人工歯をデザイする際に必要な基準となる参考STLファイルと、同じ位置を有するようになる。
【0066】
28個のそれぞれの歯についての解剖学的に理想的なライブラリ及び人工歯をデザインする際に参考にできるライブラリの位置を、人工歯デザインプログラムに保存する方法は、次のとおりである。解剖学的に理想的な形を有する個々の歯、または個々の歯を合わせた理想的な歯列の模型についてSTLファイルをCADプログラムで作成し、フォルダやセキュリティUSBに保存をしておく。この際に保存された個々の歯についての人工歯デザインプログラム三次元空間での位置は、解剖学的に理想的な位置とは異なる三次元位置を有するようになる。咬合器の位置指示ピンの端点と同じ位置の端点を有するスキャナ原点記録装置を、歯科用スキャン装備でスキャンする。
【0067】
スキャンしたスキャナ原点記録装置は、歯科用デザインプログラム内にSTLファイル形態で保存がされるが、スキャナ原点記録装置の端点は、解剖学的な基準点である下顎の中切歯の切断点と仮定し、仮想の三次元原点(X0、Y0、Z0)に設定する。こうして保存された咬合器の位置指示ピン(下顎の切断点)を基準に、解剖学的に理想的な三次元空間に個々の歯または個々の歯を合わせた歯列のSTLファイルを、それぞれの位置に合わせて移動した後、保存することを特徴とする。
【0068】
また、歯の位置の分析プレートと歯をデザインする際に参考になる、いくつかのSTLファイルも、同様の方法で解剖学的に理想的な場所に保存しておく。このように保存した歯の形は、人工歯デザインプログラムから再び読み込むことができるが、この際、読み込んだ歯の形は、解剖学的に理想的な位置に置かれることを特徴とする。この際、デザインプログラムで読み込んだ歯の形について、人工歯をデザインする際に、参照するか又は貼り付けると解剖学的に理想的・機能的な歯の補綴を製作することができることを特徴とする。スキャン用咬合器は、スキャナの固有スキャン領域内に入る大きさでなければならないことを特徴とする。また、スキャン用咬合器は、上部と下部が分離されやすくなければならず、咬合器固定ブロックに形成されている保持ピンと、正確に合わなければならない。
【0069】
以上のように、本発明は、歯列模型のスキャンの際、スキャナに人工歯を製作する際に使用するデジタル歯科用デザインプログラムにおいて、仮想現実で見える石膏歯型と、人工歯加工機、スキャナ、口腔解剖学的な水平垂直位置を一致させることで、デザイン過程中に発生し得る錯視現象を防止することができ、歯科咬合学、歯科審美学に基づいた正確な補綴を人工歯加工機で加工できることに効果がある。
【0070】
歯の位置記録装置をスキャン用咬合器に固定した後、石膏歯型に表示されている基準線と一致させた後、スキャン用咬合器に石膏歯型を固定させると、実際の患者の歯の垂直水平の側と、スキャン用咬合器の垂直水平の側とが一致する。これらのXYZ座標は、歯科用咬合器理論に基づいた基準点でなければならず、デザインプログラムに保存されている人工歯のライブラリと同じ基準座標を有しなければならない。
【0071】
また、歯の位置記録伝達装置は、口腔スキャナでスキャンして保存が可能であり、これの利点は、石膏歯型なしに人工歯を製作することができる長所がある。
【0072】
口腔スキャナで上顎と下顎をスキャンし、口腔記録伝達装置を用いて上下関係を採得した後に、口腔記録伝達装置を口腔スキャナでスキャンし、その後、上顎と下顎のスキャンデータについて、口腔記録伝達装置に印記された上下の顎の形に合わせてデータをリポジショニングした後に、ファイルを保存すると、石膏歯型を利用した方法と同様に補綴物を製作することができる。
【0073】
このような原理で製作された人工歯は、スキャン過程、デザイン過程、加工過程、咬合器での作業過程が同じ座標で行われるため、口腔解剖学的に正しい人工歯を作製することができるという利点がある。
【0074】
出力部120は、咬合器110に連携され、歯列模型スキャナでスキャンした歯列模型の位置合わせデータと、解剖学的に理想的な位置を保存したデータとを一致させて画像に出力する。
【0075】
基準部130は、垂直及び水平の分析が可能な形態の線からなる。
【0076】
具体的に検討してみると、基準部130は、垂直と水平、すなわち、十字状に形成されており、以下に説明する、一組にまとめられた上顎歯列模型141及び下顎歯列模型142に対して、一定の間隔をそれぞれ維持したまま備えられる。
【0077】
基準部130は、解剖学的に理想的な位置で噛み合った状態で別の位置へ移動しても、一組にまとめられた上顎歯列模型141及び下顎歯列模型142に対しては、迅速かつ正確な位置に置くことができるように常に基準となる。
【0078】
基準部130は、図面に基づいて3つに分けられるが、1つ110aは、上顎歯列模型141との1つのモジュール化がなされて構成され、そしてもう1つ110bは、下顎歯列模型142との1つのモジュール化がなされて構成され、そして残りの1つ110cは、以下で説明する歯列分析部150との1つのモジュール化がなされて構成される。
【0079】
基準部130のそれぞれは、上顎歯列模型141、下顎歯列模型142及び歯列分析部150の外側に、一定間隔で備えられる。
【0080】
上顎歯列模型の基準部130、下顎歯列模型の基準部130及び歯列分析部の基準部130は、解剖学的に理想的な位置に併合する際に、互いにずれないように併合される。
【0081】
歯列模型部140は、デジタル歯科用デザインプログラムでデザインした、上顎歯列模型141と下顎歯列模型142からなり、上顎歯列模型141と下顎歯列模型142が、基準部130との、それぞれ一つのモジュール化がなされて構成される。
【0082】
従来のデジタル上顎歯列模型は、解剖学的に理想的な位置に個別に一つずつ位置するので、解剖学的に理想的な位置に位置合わせすることに、かなりの時間がかかるという短所がある。
【0083】
そこで、本発明の上顎歯列模型141及び下顎歯列模型142は、一組をなすように構成され、一度の動きにかかる時間が短縮されるだけでなく、作業の利便性を提供し、正確な位置に整列させることができるという効果がある。
【0084】
上顎歯列模型141及び下顎歯列模型142は、移動時、上顎歯列模型141及び下顎歯列模型142に、それぞれ一つのモジュール化がなされて構成された基準部130により、移動の際、解剖学的に理想的な位置に併合される。
【0085】
上顎歯列模型141は、下顎歯列模型142よりも先に解剖学的に理想的な位置に置かれる場合、下顎歯列模型142は、一定間隔を維持した基準部130により、上顎歯列模型の基準部130に、一体型に併合される。
【0086】
歯列分析部150は、上顎歯列模型と下顎歯列模型の間に介在される。
【0087】
具体的に検討してみると、歯列分析部150は、板状に形成され、一面は平らに形成され、もう一面は湾曲状に形成され、一面が平らに形成された歯列分析部150は、上顎歯列模型部140に当接しており、湾曲状に形成されたもう一面は、下顎歯列模型部140に当接する。
【0088】
歯列分析部150は、上顎歯列模型141と下顎歯列模型142とともに、基準部130との一定間隔を維持したまま一つのモジュール化がなされて構成される。
【0089】
基準部130との1つのモジュール化で構成された歯列分析部150は、移動時、上顎歯列模型141と下顎歯列模型142と共に、解剖学的に理想的な位置に併合される。
【0090】
歯列分析部150は、上顎歯列模型141と下顎歯列模型142についての大きさと位置の分析が可能である。
【0091】
具体的に検討してみると、歯列分析部150は、複数個の垂直の穴または溝151と水平の穴または溝152がそれぞれ形成され、上顎歯列模型141と下顎歯列模型142の大きさと位置の分析が可能である。
【0092】
歯列分析部150は、上顎歯列模型141と下顎歯列模型142よりも大きく形成され、その歯列模型の大きさと位置を正確に分析することができる。
【0093】
制御部160は、基準部130、歯列模型部140、歯列分析部150とそれぞれ連携され、基準部130、歯列模型部140、歯列分析部150を同時にモジュール化したり、任意選択的にモジュール化して制御する。
【0094】
具体的に検討してみると、制御部160は、基準部130、歯列模型部140、及び歯列分析部150を、同時に(全てひとまとめに)モジュール化したり、任意選択的にモジュール化したりして制御する。
【0095】
これは、基準部130、歯列模型部140、歯列分析部150を解剖学的に理想的な位置に移動させる過程で、予期せぬことが原因となって移動を調節するために、一時的にモジュール化を制御する。
【0096】
制御部140は、解剖学的な理想的な位置に移動させる過程における予期せぬことを解決すれば、再び基準部130、歯列模型部140、歯列分析部150を同時にモジュール化したり、任意選択的にモジュール化したりする。
【0097】
以上では、本発明の好ましい実施形態に基づいて説明したが、本発明の技術的思想はこれに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内で変形や変更実施が可能であることは、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に明らかであり、そのような変形や変更は、添付された特許請求の範囲に属するといえる。
【国際調査報告】