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特表2022-506759硬化性樹脂、並びにそれによって電気物品を絶縁するための方法及びシステム
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  • 特表-硬化性樹脂、並びにそれによって電気物品を絶縁するための方法及びシステム 図1
  • 特表-硬化性樹脂、並びにそれによって電気物品を絶縁するための方法及びシステム 図2A
  • 特表-硬化性樹脂、並びにそれによって電気物品を絶縁するための方法及びシステム 図2B
  • 特表-硬化性樹脂、並びにそれによって電気物品を絶縁するための方法及びシステム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(54)【発明の名称】硬化性樹脂、並びにそれによって電気物品を絶縁するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/06 20060101AFI20220107BHJP
   B29C 35/02 20060101ALI20220107BHJP
   C08G 59/50 20060101ALI20220107BHJP
   H01F 41/12 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
C08G59/06
B29C35/02
C08G59/50
H01F41/12 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021524342
(86)(22)【出願日】2019-11-04
(85)【翻訳文提出日】2021-06-14
(86)【国際出願番号】 IB2019059444
(87)【国際公開番号】W WO2020095174
(87)【国際公開日】2020-05-14
(31)【優先権主張番号】1818050.5
(32)【優先日】2018-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521190598
【氏名又は名称】エイイーブイ・ホールディングス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100133765
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 尚志
(72)【発明者】
【氏名】チェレーザ,アメデオ
【テーマコード(参考)】
4F203
4J036
5E044
【Fターム(参考)】
4F203AA39
4F203AB03
4F203AC05
4F203AD15
4F203AE03
4F203AH33
4F203AR06
4F203DA01
4F203DB01
4F203DB18
4F203DC15
4F203DD01
4F203DE06
4F203DK02
4F203DL03
4J036AA05
4J036AD08
4J036DC06
4J036DC18
4J036FB14
4J036JA05
5E044AA02
5E044AB05
(57)【要約】
本発明は、i)60~90重量%のエピクロロヒドリン及びビスフェノールF;ii)10~40重量%のエピクロロヒドリン及びビスフェノールA;並びにiii)2~10重量%の、封入脂肪族ポリアミンであり、80℃超で硬化する高反応性触媒、を含む潜在硬化性一成分系エポキシ樹脂を開示する。これは、電気絶縁樹脂(14)を適用する必要のある構成部品(12)を備えた電気機器の物品(10)を処理する(300)ための方法及びシステム(100)で用いられる。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)60~90重量%のエピクロロヒドリン及びビスフェノールF
ii)10~40重量%のエピクロロヒドリン及びビスフェノールA、及び
iii)2~10重量%の、封入脂肪族ポリアミンであり、80℃超で硬化する高反応性触媒、
を含む潜在硬化性一成分系エポキシ樹脂(14)。
【請求項2】
前記脂肪族ポリアミンが、修飾ポリアミンである、請求項1に記載の潜在硬化性一成分系エポキシ樹脂。
【請求項3】
前記脂肪族ポリアミンが、ポリエチレンポリアミンとニトリル、アルキレンオキシド、アルデヒド、ケトン、又はモノ及びジエポキシドとのアダクトのうちの1つによって修飾されている、請求項2記載の潜在硬化性一成分系エポキシ樹脂。
【請求項4】
i)前記エピクロロヒドリン及びビスフェノールFが、70~90%の量で存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の潜在硬化性一成分系エポキシ樹脂。
【請求項5】
ii)前記エピクロロヒドリン及びビスフェノールAが、10~30%の量で存在する、請求項1~4のいずれか一項に記載の潜在硬化性一成分系エポキシ樹脂。
【請求項6】
iii)前記高反応性触媒が、4~8重量%の量で存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載の潜在硬化性一成分系エポキシ樹脂。
【請求項7】
別の構成部品に結合されており、請求項1~6のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂の触媒反応生成物である平均分子量700未満の樹脂(14)でコーティング又は含浸された構成部品(12)を備えた、電気機器の物品(10)。
【請求項8】
前記樹脂が以下の特性:
- 耐熱性クラス UL1446 200℃
- ショアD硬度 DIN53505 90
- たわみ温度 IEC1006 120℃
- 結合強度 IEC1033 23℃ >400N
- ツイストコイル試験 155℃ □□□
- 破断伸び ISO527 <0.5%
- 熱伝導度 ISO8894-1 0.4W/M/K
- 絶縁耐力 IEC60243-1 >200kV/mm
- 誘電率 IEC250 50Hzで3.9
- 体積抵抗率 IEC93 >1013オーム/cm
を有するように硬化された、請求項7に記載の電気機器の物品。
【請求項9】
回転式装置である、請求項7又は8のいずれか一項に記載の電気機器の物品。
【請求項10】
前記回転式装置が、ステーター巻線及びローターを備えたモーター、発電機、又は交流発電機のうちの1つである、請求項9に記載の電気機器の物品。
【請求項11】
静止型装置である、請求項7又は8のいずれか一項に記載の電気機器の物品。
【請求項12】
前記静止型装置が、静止型電気巻線、トランス、リアクトル、チョークコイル、又は誘導子のうちの1つである、請求項11に記載の電気機器の物品。
【請求項13】
導電性巻線(16)を備える、請求項7~12のいずれか一項に記載の電気機器の物品。
【請求項14】
前記樹脂(14)で完全に含浸されている、請求項7~13のいずれか一項に記載の電気機器の物品。
【請求項15】
工業用モーター、走行用モーター、電気輸送手段、自動車、家庭用電気器具、又は電動工具のうちの1つである、請求項7~14のいずれか一項に記載の電気機器の物品を備えた製品。
【請求項16】
請求項7~14のいずれか一項に記載の電気機器の物品(10)を製造するためのシステム(100)であって、
i)前記物品を予備加熱するための第一の加熱チャンバー(110)、
ii)樹脂(14)用のタンク(120)、
iii)含浸チャンバー(130)、
iv)前記含浸チャンバーと操作可能に接続された第一の真空ポンプ(140)、
v)前記樹脂含浸物品をゲル化するための第二の加熱チャンバー(150)、
vi)1又は複数の硬化オーブン(160)、及び
vii)前記物品が冷却される冷却チャンバー(190)、
を備えた、システム。
【請求項17】
複数のオーブン(160a、160b、160c、160d)を備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記複数のオーブンの間で前記物品を運搬するための物品取り扱い手段(162)を備える、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記第一の加熱チャンバー(110)が、磁気誘導によって加熱される、請求項16~18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
樹脂用の前記タンク(120)が、納品された状態の樹脂の容器である、請求項16~18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記含浸チャンバーが、遠心機(132)を備える、請求項16~20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記第二のチャンバー(150)が、磁気誘導によって加熱される、請求項16~21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記物品(10)の、硬化が制御されるようにある時間(t)にわたってある温度(T)で前記物品が保持されるオーブン(160a、160b、160c、160d)への運搬を促進する制御手段(164)を備える、請求項16~23のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記冷却チャンバー(190)が、エアコンプレッサ(170)、エアクーラー(180)、及び真空ポンプ(200)をさらに備える、請求項16~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項25】
電気絶縁樹脂(14)を適用する必要のある構成部品(12)を備えた電気機器の物品(10)を処理する方法(300)であって、
i)前記物品を、ある時間(t1)にわたって第一の温度(T1)まで予備加熱する(310)工程、
ii)電気絶縁樹脂(14)を、前記物品(10)に適用する(330)工程、
iii)前記樹脂をゲル化する(350)工程、
iv)前記物品を、少なくとも約165℃~200℃の温度まで、段階を追って加熱することによって前記樹脂を硬化させる(360)工程、及び
v)前記物品(10)を冷却する(390)工程、
を含む、方法。
【請求項26】
工程ii)とiii)との間で過剰の樹脂(14’)が除去される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記過剰の樹脂が、遠心工程(332)によって除去される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記樹脂(14)が、含浸、ブラシ、スプレー、ディップ、ロール、又はトリクルのうちの1つによって前記物品(10)に適用される、請求項25又は26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記ディップが、真空又は真空加圧ディップである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
含浸(334)を用いる、請求項25~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記含浸が、真空(140)で行われる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
過剰の樹脂(14)が、遠心(332)によって前記物品(10)から除去される、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項33】
i)前記物品(10)を、第一の加熱チャンバー(110)中で、ある時間(t1)にわたって第一の温度(T1)まで予備加熱する(310)工程、
ii)タンク(120)中で前記樹脂(14)を第二の温度(T2)まで加熱して(320)その粘度を低下させる工程、
iii)前記樹脂(14)を含浸チャンバー(130)へポンプで送り(322)、真空下(340)、前記物品(10)を樹脂で含浸する(334)工程、
iv)前記含浸チャンバー(130)から樹脂(14)を排出する(324)工程、
v)遠心機を用いて(332)前記物品(10)から過剰の樹脂(14’)を除去する工程、vi)前記樹脂含浸物品(10)を、第二の加熱チャンバー(150)中で、少なくとも約130℃~約160℃の温度までそれを加熱することによってゲル化する(350)工程、
vii)ある時間(t)にわたって温度(T)を上昇させる1又は複数の硬化オーブン(160)中でのインライン硬化(360)によって重合を最大化させる工程、並びに続いて、
viii)前記物品(10)を、冷却チャンバー(190)中で(Tr)の温度まで冷却する(390)工程、
を含む、請求項25~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
i)において、前記第一の温度が、約50℃、より好ましくは約70℃であり、
ii)において、前記第二の温度が、約40℃であり、
vii)において、前記ゲル化温度が、約130℃であり、及び
vii)において、前記温度が、約165℃まで、最大で約200℃まで上昇される、
請求項33に記載の方法。
【請求項35】
v)において、前記遠心機が、1000~2500rpmの速度で運転される、
請求項33又は34に記載の方法。
【請求項36】
前記真空ポンプが、約5ミリバール(500Nm-2)で運転される、請求項31~35のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜在硬化性一成分系エポキシ樹脂、電気物品を絶縁するための方法及びシステム、並びに得られる樹脂含浸物品に関する。
【背景技術】
【0002】
電気物品の製造には、例えば物品の電気的、機械的、及び熱的性能を高めるために、並びにノイズ放射及び腐食を低減するために、絶縁樹脂及びワニスが用いられる。
ほとんどの場合、物品は、ブラシ、スプレー、ディップ(真空ディップ及び真空加圧ディップ)、トリクル(trickling)、及びロールを含む方法によって、樹脂又はワニスで含浸される。選択される方法は、物品の種類及び求められる特性に応じて異なる。
【0003】
含浸プロセスは、重合として知られる化学的及び物理的反応の後に固体に変換する液体の樹脂又はワニスによって、物品中のボイドを埋めるものである。
最も典型的に用いられる樹脂及びワニスとしては、限定されないが、不飽和ポリエステル(イミド)とビニルトルエン、スチレン、ジアリルフタレート、アクリレート、及びスチレン類、が挙げられる。他の樹脂としては、溶媒中又は溶媒なしでの、及び触媒あり又は触媒なしでの、アルキル樹脂、フェノール樹脂、及びエポキシ樹脂が挙げられる。
【0004】
識別される技術としては、以下が挙げられる:
欧州特許第1,852,479号、研磨剤表面のためのエポキシ樹脂含有コーティングを開示。
【0005】
米国特許第5,213,846号、耐腐食性コーティングを開示。
米国特許第5,631,332号、エポキシ樹脂のための硬化剤を開示。
絶縁樹脂及びワニスは、求められる特性、並びに使いやすさ、重合速度、及び保存安定性を含む他の因子に基づいて選択される。
【0006】
また、有機溶媒と共に典型的には適用されて、エネルギーを多大に消費する処理技術を用いるこれらの樹脂及びワニスの使用が環境に与える影響に対処することも望まれる。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、電気物品に含浸させるためのより環境にやさしい樹脂を開発すること、並びにそのような物品を処理するための改善されたシステム及び方法を開発することである。
【0008】
本発明の第一の態様によると:
i)60~90重量%のエピクロロヒドリン及びビスフェノールF;
ii)10~40重量%のエピクロロヒドリン及びビスフェノールA;並びに
iii)2~10重量%の、封入脂肪族ポリアミンであり、80℃超で硬化する高反応性触媒、
を含む、潜在硬化性一成分系エポキシ樹脂が提供される。
【0009】
好ましくは、脂肪族ポリアミンは、修飾ポリアミンである。
脂肪族ポリアミンは、本技術分野で公知のいかなる手段によって修飾されていてもよく、限定されないが、ポリエチレンポリアミンとニトリル、アルキレンオキシド、アルデヒド、及びケトン、さらにはモノ及びジエポキシドとのアダクトである。
【0010】
そのような修飾ポリアミンの例は、参照により援用されるISSN 19954212, Polymer Science, Series D. Glues and Sealing Materials, 2010, Vol. 3, No. 3, pp. 177-180. Pleiades Publishing, Ltd., 2010、に開示されており、元のロシア語文献は、Z.A. Zubkova, M.F. Stetsyuk, T.A. Georgitsa, 2009, published in Klei. Germetiki. Tekhnologii, 2009, No. 12, pp. 12-16、である。
【0011】
より好ましくは:
i)エピクロロヒドリン及びビスフェノールFは、70~90%の量で存在し;
ii)エピクロロヒドリン及びビスフェノールAは、10~30%の量で存在し;並びに
iii)高反応性触媒は、4~8重量%の量で存在する。
【0012】
本発明の第二の態様によると、別の構成部品に結合されており、本発明の第一の態様のエポキシ樹脂の触媒反応生成物である平均分子量700未満の樹脂でコーティング又は含浸された構成部品を備えた、電気機器の物品が提供される。
【0013】
好ましくは、エポキシ樹脂は、硬化されると、以下の特性を有する:
耐熱性クラス UL1446 200℃
ショアD硬度 DIN53505 90
たわみ温度 IEC1006 120℃
結合強度 IEC1033 23℃ >400N
ツイストコイル試験 155℃ □□□
破断伸び ISO527 <0.5%
熱伝導度 ISO8894-1 0.4W/M/K
絶縁耐力 IEC60243-1 >200kV/mm
誘電率 IEC250 50Hzで3.9
体積抵抗率 IEC93 >1013オーム/cm
電気機器の物品は、回転式装置及び静止型装置の2種類の装置を含み、永久磁石、シャフト、筐体、及び整流器などを例とする追加の構成部品を備えていても、又は備えていなくてもよい。
【0014】
回転式装置としては、限定されないが、ステーター巻線及びローターを備えたモーター、発電機、又は交流発電機が挙げられ、一方静止型装置としては、限定されないが、静止型電気巻線、トランス、リアクトル、チョークコイル、又は誘導子が挙げられる。
【0015】
物品は、典型的には、導電性巻線などの絶縁されるべき構成部品を含む。
最も好ましい実施形態では、物品は、樹脂で完全に含浸されている。
これらの物品は、工業用モーター、走行用モーター、電気輸送手段、自動車、家庭用電気器具、又は電動工具などの製品とされる。
【0016】
本発明の第三の態様によると、本発明の第二の態様に従う電気機器の物品を製造するためのシステムであって:
i)物品を予備加熱するための第一の加熱チャンバー;
ii)樹脂用のタンク;
iii)含浸チャンバー;
iv)含浸チャンバーと操作可能に接続された第一の真空ポンプ;
v)樹脂含浸物品をゲル化するための第二の加熱チャンバー;
vi)1又は複数の硬化オーブン;及び
vii)物品が冷却される冷却チャンバー、
を備えたシステムが提供される。
【0017】
好ましくは、システムは、樹脂を硬化するために物品が順に通過する複数のオーブンを備え、各オーブンの温度は、硬化プロセスを最適化するために、物品が順に通過するに従って高くなっている。
【0018】
したがって、システムはさらに、複数のオーブンの間を含むシステム内で物品を運搬するための物品取り扱い手段も備える。物品取り扱い手段は、例えば、自動マニピュレーター、コンベヤ、及びセンサーを含み得る。
【0019】
必須ではないが好ましくは、第一の加熱チャンバーは、磁気誘導によって加熱される。特に好ましい実施形態では、誘導子に近い方の面から物品の残りの部分への熱移動のヒステリシスを低減するために、複数の磁気誘導が用いられる。磁気誘導は、速くて安価、且つ効率的であり、断熱を不要とする。
【0020】
好ましい単純化されたシステムでは、樹脂用のタンクは、納品された状態の樹脂の容器(例:金属ドラム、缶、又はカートリッジ)であり、容器はシステムと連結され、物品製造ライン又は物品組立ラインのアームを形成し得る。これは、直接用いられてよく、又はより好ましくは、より少ない体積又はある投入量の樹脂を熱的に及び物理的に制御することができる二次タンクに供給される。
【0021】
現在は、多くの物品が製造組立ラインから取り出され、樹脂処理のために他所へ運ばれているが、それは、このプロセスが遅く、「汚い」からである。
本発明の第三の態様のシステム、及び以降で述べる関連する第四の態様の方法は、これらの問題を克服し、現行の処理体制の多大な設備コスト及び付随する高エネルギーの運転コストが掛からない比較的速く「清浄な」プロセスを提供する。
【0022】
最も好ましくは、システムは、物品を樹脂に浸漬し、過剰な樹脂を素早く効率的に除去して、より良好な物品仕上げを提供する。システムは、素早く高速に到達して過剰な樹脂を除去することができる遠心機を浸漬チャンバーに組み込むことによってこれを実現する。
【0023】
本発明の第一の態様の樹脂などの電気絶縁樹脂は、最初の外観からはそれらが適さないと当業者に思わせるような25℃での粘度(典型的には50~100ポイズ)を有する。しかし、加熱すると、40℃で5~10ポイズの粘度を有するように、流動性が増加してくる。減圧下、例えば50ミリバール(5000Nm-2)では、それらは、例えば銅巻線の中及び周りのボイドに素早く含浸することができ、過剰の樹脂は、例えば遠心機を用いて、樹脂がゲル化する前に容易に除去することができる。
【0024】
このプロセスはまた、堆積される樹脂の量の正確な制御も可能とするものであり、なぜなら、自動化によって一貫性を実現することができるからである。
必須ではないが好ましくは、第二の加熱チャンバーは、磁気誘導によって加熱される。このチャンバーは、樹脂をゲル化するように機能する。
【0025】
ゲル化されると、物品は、1つのオーブン又は一連のオーブンに移され、そこで、完全に硬化されるまで、ある温度である時間にわたって保持される。これは、好ましくは、コンピュータ制御の自動プロセスであるが、手動で行われてもよい。
【0026】
システムの他のコンポーネント要素は、エアコンプレッサ、エアクーラー、及び真空ポンプを好ましくは共に備えた、冷却チャンバーを含む。
本発明の第四の態様によると、電気絶縁樹脂を適用することが必要である構成部品を備えた電気機器の物品を処理する方法であって:
i)物品を、ある時間にわたって第一の温度まで予備加熱する工程;
ii)電気絶縁樹脂を適用する工程;
iii)樹脂をゲル化する工程;
iv)物品を、少なくとも165℃の温度まで、好ましくは約200℃まで段階を追って加熱することによって樹脂を硬化させる工程;及び
v)物品を冷却する工程、
を含む方法が提供される。
【0027】
好ましくは、工程ii)とiii)との間で過剰の樹脂が除去される。
最も好ましくは、過剰の樹脂は、遠心工程によって除去される。
方法は、樹脂を、含浸、ブラシ、スプレー、ディップ、ロール、及び/又はトリクルのうちの1つによって適用してよい。
【0028】
方法が樹脂をディップによって適用する場合、これは、真空ディップ又は真空加圧ディップであってよい。
最も好ましくは、方法は、樹脂を、含浸によって、最も好ましくは真空下で適用する。
【0029】
これは、物品を樹脂中に沈め、真空下で樹脂をボイド中に押し入れることを含む。
含浸の後、物品を取り出し(又は含浸チャンバーを空にし)、過剰の樹脂を、最も好ましくは遠心力を用いて、除去する。
【0030】
プロセスが本発明の第三の態様の装置又はシステムを用いる場合、好ましい方法は:
i)物品を、第一の加熱チャンバー中で、ある時間にわたって第一の温度まで予備加熱する工程;
ii)タンク中で樹脂を第二の温度まで加熱してその粘度を低下させる工程;
iii)樹脂を含浸チャンバーへポンプで送るか又は移動させ、真空下、物品を樹脂で含浸する工程;
iv)含浸チャンバーから樹脂を排出する工程;
v)遠心機を用いて物品から過剰の樹脂を除去する工程;
vi)樹脂含浸物品を、第二の加熱チャンバー中で、少なくとも約130℃、より好ましくは約160℃の温度までそれを加熱することによってゲル化する工程;
vii)ある時間にわたって約165℃まで温度を上昇させる1又は複数の硬化オーブン中でのインライン硬化によって重合を最大化させる工程;並びに
viii)物品を、冷却チャンバー中で冷却する工程、
を含む。
【0031】
好ましくは、
i)において、第一の温度は、約50℃、より好ましくは約70℃であり、
ii)において、第二の温度は、約40℃であり、
vi)において、ゲル化温度は、約130℃であり、
vii)において、温度は、約165℃まで、最大で約200℃まで上昇される。
【0032】
好ましくは、v)において、遠心機は、1000~2500rpmの速度で運転される。
好ましくは、真空ポンプは、約5ミリバール(500Nm-2)で運転される。
【0033】
システムは、様々な設計の様々なコンポーネント部分を用いてよいが、以下の特徴を有する遠心機及びオーブンを利用することが有利であることが見出された。
好ましくは、遠心機は、動いている部分が樹脂と接触しないように、二重チャンバーを有する。これによって、プロセスの持続性及び安定性が高まる。コンパクトな設計、及び素早い充填と素早い排出とを確保するために、樹脂の入口管及び出口管は、実質的に半円の断面であることが好ましく、それによって、含浸チャンバー内の、例えば含浸されるべき物品のための空間が最大化される。
【0034】
好ましくは、オーブンは、例えば自動マニピュレーターがオーブンから物品を出し入れするための、出入り口部を備える。動きは、横方向と垂直(上下)方向との両方であってよい。出入り口開口部は、最も好ましくは、オーブンの効果的な温度管理を確保する空気圧ゲートによって開閉される。オーブンの内壁は、ステンレス鋼で覆われ、オーブンは、例えばロックウールで断熱されている。オーブンは、温度管理のための温度センサー、及び遠心式ファンなどの空気循環手段を含む。
【0035】
新規な物品をもたらすシステム及び方法は、(同じサイズの比較で、例えば100×100×150mmのサイズ、8.5kgの重量(銅巻線含む)の電気モーターステーター巻線の処理に基づいて)様々な樹脂で処理した物品を提供するために用いられる既存のシステム及び方法と比較して数多くの有益性を有しており、例えば:
- 95%のエネルギー節約;
- 93%のサイクルタイム短縮 - 270分間から18分間へ;
- 50%の樹脂消費量削減;
- 廃棄物ゼロ;
- 有機物排出量ゼロ;
- より効率的な生産(含浸ライン中に360ではなく24のステーター);
- 機械の占有空間の低減(150立方メートルから5立方メートルへ);
- メンテナンスコスト(90%低減)及び運転コスト(エネルギーを含む)の低減;
- 設備投資の低減;及び
- 制御された供給/過剰樹脂の除去、による物品の品質/性能の向上、
が挙げられる。
【0036】
以降、本発明の実施形態について、添付の図面を参照してさらに記載する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、例示的な物品の図である。
図2A図2Aは、システムコンポーネントの模式図である。
図2B図2Bは、プロセス工程の模式図である。
図3図3は、遠心機を備えた含浸チャンバーの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の典型的な潜在硬化性一成分系エポキシ樹脂(14)が、以下の例1で提供される:
例1
i)60~90重量%のエピクロロヒドリン及びビスフェノールF;
ii)10~40重量%のエピクロロヒドリン及びビスフェノールA;並びに
iii)2~10重量%の、封入脂肪族ポリアミンであり、80℃超で硬化する高反応性触媒。
【0039】
例1に従う樹脂を用いて、例えば図1に示されるように、物品(10)を電気絶縁する。物品は、樹脂(14)での処理によって絶縁されることが必要とされる構成部品(12)、このケースでは銅巻線(16)、を備えたローター又はステーターである。
【0040】
図2Aを参照すると、電気機器の物品(10)を製造するためのシステム/装置(100)は:
i)物品を予備加熱するための第一の加熱チャンバー(110);
ii)樹脂(14)用のタンク(120);
iii)含浸チャンバー(130);
iv)含浸チャンバー(130)と操作可能に接続された第一の真空ポンプ(140);
v)樹脂含浸物品をゲル化するための第二の加熱チャンバー(150);
vi)1又は複数の硬化オーブン(160);及び
vii)物品が冷却される冷却チャンバー(190)、
を備える。
【0041】
冷却チャンバーは、エアコンプレッサ(170)、エアクーラー(180)、及び真空ポンプ(200)をさらに備える。それは、冷却流体が循環する「噴水式(fountain)」接触モールドを備えていてもよい。
【0042】
含浸チャンバー(130)内の遠心機(132)を、より詳細に図3に示すが、それについてより詳細に記載する前に、本発明のプロセスについて、図2Bを参照して記載する。
【0043】
一般に、プロセスは:
i)物品(10)を、ある時間(t1)にわたって第一の温度(T1)まで予備加熱する(310)工程;
ii)本発明の樹脂(14)を、物品(10)に適用する(330)工程;
iii)樹脂をゲル化する(350)工程;
iv)物品を、少なくとも約165℃の温度まで、最大200℃まで段階を追って加熱することによって樹脂を硬化させる(360)工程;及び
v)物品(10)を冷却する(390)工程、
を含む。
【0044】
しかし、図2A及び2Bを通して示されるように、それは、
i)物品(10)を、第一の加熱チャンバー(110)中で、ある時間(t1)にわたって第一の温度(T1)まで予備加熱する(310)工程;
ii)タンク(120)中で樹脂(14)を第二の温度(T2)まで加熱して(320)その粘度を低下させる工程;
iii)樹脂(14)を含浸チャンバー(130)へポンプで送り(322)、真空下(340)、物品(10)を樹脂で含浸する(334)工程;
iv)含浸チャンバー(130)から樹脂(14)を排出する(324)工程;
v)遠心機を用いて(332)物品(10)から過剰の樹脂(14’)を除去する工程;
vi)樹脂含浸物品(10)を、第二の加熱チャンバー(150)中で、少なくとも約160℃の温度までそれを加熱することによってゲル化する(350)工程;
vii)ある時間(t)にわたって温度(T)を上昇させる1又は複数の硬化オーブン(160)中でのインライン硬化(360)によって重合を最大化させる工程;並びに続いて、
viii)物品(10)を、冷却チャンバー(190)中で(Tr)の温度まで冷却する(390)工程、
を含む。
【0045】
遠心機(132)を備えた注入チャンバー(130)を、図3により詳細に示し、図中、それは、樹脂タンク(120)と接続されて示され、物品(10)は、物品がその周りに回転されるローター(136)の軸線(X-X)に沿った直立位置に吊るされて保持される。接続管(138a)は、樹脂タンク(120)からの樹脂の充填(322)及び排出(324)を促進し、別個の管(138b)は、真空ポンプ(140)につながっている。大型のモーター(133)が、遠心機を駆動し、注入チャンバーの下のチャンバー(135)に位置して安定性を提供する。
【0046】
樹脂を用いて処理される物品、システム、及び方法の例を、以下の例2~5にさらに示す。
例2
電気モーター巻線
示される例では、電気モーターステーター巻線の含浸について記載する。ステーター、及び付随する巻線は、内径100mm、外径150mm、高さ100mmの寸法である。重量は、銅巻線を含めて8.5kgである。
【0047】
物品は、図2Aを参照して記載したシステムで処理される。
ステーターは、磁気誘導を用いて予備加熱される。特定の強度及び周波数の局所的な磁場が、ステーターに適用される。誘導は、熱伝導性が良好である材料を用いて製造されている巻線への熱の移動も引き起こす。
【0048】
樹脂は、供給容器(120)中で加熱され、重量は25kgである。加熱された条片によって、樹脂が約40℃に維持されて、より大きい粘度及び最適な含浸が確保され、混合フタを用いることで、温度が均一に保たれる。
【0049】
含浸は、すべてのボイドが完全に充填されるように、真空下で行われる。過剰の樹脂は、遠心力を用いて(332)除去される。含浸チャンバー(130)は、ステンレス鋼で作られており、遠心機は、2200rpmまでの回転が可能である。寸法は、処理されるべき物品に応じてサイズ合わせが成される。5ミリバール(500Nm-2)(残圧(residual))の真空ポンプ(340)が、含浸/遠心機チャンバーに接続される。
【0050】
磁気誘導を用いることで、少なくとも約130℃から最大約160℃までであるゲル化温度まで物品が加熱される。これには、重合の開始を確実とするために、約1分間掛かり得る。物品は、次に、硬化オーブン(160)に移され、そこで、物品は、物品がシステム内を移動するに従って上昇していく一定温度で、ある時間にわたって処理される。
【0051】
ステーターは、好ましくは、様々な圧力及び温度の液体を用いて、プロファイル付きモールドとの面接触によって冷却される。真空(200)プロセスを用いることで、低温度によって生成された凝縮物が除去される。
【0052】
システムの工程は、生産ラインの近くの若しくは生産ラインとリンクしたオペレーター又は介入を必要としない、完全自動化によって行われる。
例示的なサイクル運転時間を以下に示す:
00:15 - 45秒間、5kWでのステーターの予備加熱。1分間の遅延後の到達温度 56℃
02:11 - 含浸のためのケーブルの設置(回転時の損傷を防止するため)
02:40 - 真空形成のためのバルブの確認(開/閉)
02:54 - 真空ポンプのスイッチオン
03:00 - 真空ゲージで真空レベルを確認
03:07 - 真空レベル到達
03:30 - 樹脂入口バルブを開いて遠心タンクを充填(樹脂は、真空であることで吸引されることに留意)
03:36 - 樹脂は、タンクから接続部を通って真空タンクへ流入
03:48 - ガラス壁から樹脂レベルを確認
04:32 - 樹脂が所望されるレベルに到達(巻線ヘッドの少し上)
04:35 - 樹脂入口部を閉じる
04:44 - 真空を開放
04:55 - 樹脂を流出されるために樹脂入口バルブを再度開く
05:28 - 樹脂レベルがマンドレルよりも下にあることを確認
05:44 - 遠心(5秒間で2070rpmに到達;10秒間回転;5秒間で0rpmに到達)
06:08 - 遠心機を開く
06:32 - ドリップの確認(ドリップなし!)
06:39 - 硬化プロセスために配置
06:47 - 第一の硬化サイクル 5kWで45秒間、1分間の遅延後の到達温度91℃
08:36 - 第二の硬化サイクル 5kWで45秒間、1分間の遅延後の到達温度135℃
10:20 - 第三の硬化サイクル 5kWで45秒間、1分間の遅延後の到達温度165℃
13:36 - ドリップ/樹脂状態の目視確認
5:55 - 第四の硬化サイクル 5kWで20秒間、1分間の遅延後の到達温度180℃。
【0053】
この例示的な含浸プロセスには、さらにおよそ6分間を必要とする冷却は含めなかった。
構成部品上に堆積された樹脂は、約80グラムであり、プロセスは、冷却を合わせて、約500Wを用いた。
【0054】
樹脂の適用において含浸及び遠心が好ましいが、以下の例3~5に示されるように、これが可能ではない用途も存在する。
例3
モーターローター
電気装置上のローターは、非常に多くの場合、例えばシャフト、接点マニホルド、及びベアリングシートなどの含浸を必要としない部分を有する。そのような物品の場合、全体を含浸する技術を用いることができず、真空技術も用いることができない。したがって、トリクル又はロール技術を、構成部品を回転させながら用いる必要がある。遠心は必要ない。利点は依然として同じである。
【0055】
例4
ローター及びステーターシート
このシステムは、必要なパック高さでシートを一緒に固定し、及び必要に応じて同時に永久磁石を取り付けるために用いることができる。この手順は、プロファイルが複雑であることから、従来の固定システムを用いることがほとんど不可能であり、設計者によって敬遠もされている自動車用途の場合に理想的である。さらに、この技術は、絶縁が固定及び含浸プロセス時に適用されることから、絶縁シートを不要とする。
【0056】
例5
トランス及び静止型装置
このプロセスを、予備加熱、ヘッドを保護するためにゆっくりした遠心又は遠心なしでの真空加圧含浸に用いることができる。
図1
図2A
図2B
図3
【手続補正書】
【提出日】2020-09-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)60~90重量%のエピクロロヒドリン及びビスフェノールF
ii)10~40重量%のエピクロロヒドリン及びビスフェノールA、及び
iii)2~10重量%の、封入脂肪族ポリアミンであり、80℃超で硬化する高反応性触媒、
を含み、25℃で50~100ポイズの粘度を有する、潜在硬化性一成分系エポキシ樹脂(14)。
【請求項2】
前記脂肪族ポリアミンが、修飾ポリアミンである、請求項1に記載の潜在硬化性一成分系エポキシ樹脂。
【請求項3】
前記脂肪族ポリアミンが、ポリエチレンポリアミンとニトリル、アルキレンオキシド、アルデヒド、ケトン、又はモノ及びジエポキシドとのアダクトのうちの1つによって修飾されている、請求項2記載の潜在硬化性一成分系エポキシ樹脂。
【請求項4】
i)前記エピクロロヒドリン及びビスフェノールFが、70~90%の量で存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の潜在硬化性一成分系エポキシ樹脂。
【請求項5】
ii)前記エピクロロヒドリン及びビスフェノールAが、10~30%の量で存在する、請求項1~4のいずれか一項に記載の潜在硬化性一成分系エポキシ樹脂。
【請求項6】
iii)前記高反応性触媒が、4~8重量%の量で存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載の潜在硬化性一成分系エポキシ樹脂。
【請求項7】
別の構成部品に結合されており、請求項1~6のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂の触媒反応生成物である平均分子量700未満の樹脂(14)でコーティング又は含浸された構成部品(12)を備えた、電気機器の物品(10)。
【請求項8】
前記樹脂が以下の特性:
- 耐熱性クラス UL1446 200℃
- ショアD硬度 DIN53505 90
- たわみ温度 IEC1006 120℃
- 結合強度 IEC1033 23℃ >400N
- ツイストコイル試験 155℃
- 破断伸び ISO527 <0.5%
- 熱伝導度 ISO8894-1 0.4W/M/K
- 絶縁耐力 IEC60243-1 >200kV/mm
- 誘電率 IEC250 50Hzで3.9
- 体積抵抗率 IEC93 >1013オーム/cm
を有するように硬化された、請求項7に記載の電気機器の物品。
【請求項9】
回転式装置である、請求項7又は8のいずれか一項に記載の電気機器の物品。
【請求項10】
前記回転式装置が、ステーター巻線及びローターを備えたモーター、発電機、又は交流発電機のうちの1つである、請求項9に記載の電気機器の物品。
【請求項11】
静止型装置である、請求項7又は8のいずれか一項に記載の電気機器の物品。
【請求項12】
前記静止型装置が、静止型電気巻線、トランス、リアクトル、チョークコイル、又は誘導子のうちの1つである、請求項11に記載の電気機器の物品。
【請求項13】
導電性巻線(16)を備える、請求項7~12のいずれか一項に記載の電気機器の物品。
【請求項14】
前記樹脂(14)で完全に含浸されている、請求項7~13のいずれか一項に記載の電気機器の物品。
【請求項15】
工業用モーター、走行用モーター、電気輸送手段、自動車、家庭用電気器具、又は電動工具のうちの1つである、請求項7~14のいずれか一項に記載の電気機器の物品を備えた製品。
【請求項16】
請求項7~14のいずれか一項に記載の電気機器の物品(10)を製造するためのシステム(100)であって、
i)前記物品を予備加熱するための第一の加熱チャンバー(110)、
ii)樹脂(14)用のタンク(120)、
iii)含浸チャンバー(130)、
iv)前記含浸チャンバーと操作可能に接続された第一の真空ポンプ(140)、
v)前記樹脂含浸物品をゲル化するための第二の加熱チャンバー(150)、
vi)1又は複数の硬化オーブン(160)、及び
vii)前記物品が冷却される冷却チャンバー(190)、
を備えた、システム。
【請求項17】
複数のオーブン(160a、160b、160c、160d)を備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記複数のオーブンの間で前記物品を運搬するための物品取り扱い手段(162)を備える、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記第一の加熱チャンバー(110)が、磁気誘導によって加熱される、請求項16~18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
樹脂用の前記タンク(120)が、納品された状態の樹脂の容器である、請求項16~18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記含浸チャンバーが、遠心機(132)を備える、請求項16~20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記第二のチャンバー(150)が、磁気誘導によって加熱される、請求項16~21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記物品(10)の、硬化が制御されるようにある時間(t)にわたってある温度(T)で前記物品が保持されるオーブン(160a、160b、160c、160d)への運搬を促進する制御手段(164)を備える、請求項16~23のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記冷却チャンバー(190)が、エアコンプレッサ(170)、エアクーラー(180)、及び真空ポンプ(200)をさらに備える、請求項16~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項25】
電気絶縁樹脂(14)を適用する必要のある構成部品(12)を備えた電気機器の物品(10)を処理する方法(300)であって、
i)前記物品を、ある時間(t1)にわたって第一の温度(T1)まで予備加熱する(310)工程、及び
a)60~90重量%のエピクロロヒドリン及びビスフェノールF
b)10~40重量%のエピクロロヒドリン及びビスフェノールA、及び
c)2~10重量%の、封入脂肪族ポリアミンであり、80℃超で硬化する高反応性触媒、
を含み、25℃で50~100ポイズの粘度を有する、電気絶縁潜在硬化性一成分系エポキシ樹脂(14)を、前記物品(10)に適用する(330)工程、
ii)前記樹脂をゲル化する(350)工程、
iii)前記物品を、少なくとも約165℃~200℃の温度まで、段階を追って加熱することによって前記樹脂を硬化させる(360)工程、及び
iv)前記物品(10)を冷却する(390)工程、
を含む、方法。
【請求項26】
工程ii)とiii)との間で過剰の樹脂(14’)が除去される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記過剰の樹脂が、遠心工程(332)によって除去される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記樹脂(14)が、含浸、ブラシ、スプレー、ディップ、ロール、又はトリクルのうちの1つによって前記物品(10)に適用される、請求項25又は26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記ディップが、真空又は真空加圧ディップである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
含浸(334)を用いる、請求項25~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記含浸が、真空(140)で行われる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
過剰の樹脂(14)が、遠心(332)によって前記物品(10)から除去される、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項33】
i)前記物品(10)を、第一の加熱チャンバー(110)中で、ある時間(t1)にわたって第一の温度(T1)まで予備加熱する(310)工程、
ii)タンク(120)中で前記樹脂(14)を第二の温度(T2)まで加熱して(320)その粘度を低下させる工程、
iii)前記樹脂(14)を含浸チャンバー(130)へポンプで送り(322)、真空下(340)、前記物品(10)を樹脂で含浸する(334)工程、
iv)前記含浸チャンバー(130)から樹脂(14)を排出する(324)工程、
v)遠心機を用いて(332)前記物品(10)から過剰の樹脂(14’)を除去する工程、vi)前記樹脂含浸物品(10)を、第二の加熱チャンバー(150)中で、少なくとも約130℃~約160℃の温度までそれを加熱することによってゲル化する(350)工程、
vii)ある時間(t)にわたって温度(T)を上昇させる1又は複数の硬化オーブン(160)中でのインライン硬化(360)によって重合を最大化させる工程、並びに続いて、
viii)前記物品(10)を、冷却チャンバー(190)中で(Tr)の温度まで冷却する(390)工程、
を含む、請求項25~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
i)において、前記第一の温度が、約50℃、より好ましくは約70℃であり、
ii)において、前記第二の温度が、約40℃であり、
vii)において、前記ゲル化温度が、約130℃であり、及び
vii)において、前記温度が、約165℃まで、最大で約200℃まで上昇される、
請求項33に記載の方法。
【請求項35】
v)において、前記遠心機が、1000~2500rpmの速度で運転される、
請求項33又は34に記載の方法。
【請求項36】
前記真空ポンプが、約5ミリバール(500Nm-2)で運転される、請求項31~35のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】