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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(54)【発明の名称】ビュー合成
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/597 20140101AFI20220107BHJP
【FI】
H04N19/597
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021524431
(86)(22)【出願日】2019-10-22
(85)【翻訳文提出日】2021-05-07
(86)【国際出願番号】 FR2019052509
(87)【国際公開番号】W WO2020094942
(87)【国際公開日】2020-05-14
(31)【優先権主張番号】1860351
(32)【優先日】2018-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591034154
【氏名又は名称】オランジュ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・ボワソナード
(72)【発明者】
【氏名】ジョエル・ジュン
【テーマコード(参考)】
5C159
【Fターム(参考)】
5C159KK37
5C159MA00
5C159MA19
5C159PP03
5C159PP13
5C159TA33
5C159TB10
5C159TC28
5C159TC38
5C159TD02
5C159TD03
5C159TD04
5C159TD05
5C159TD11
5C159TD12
5C159UA05
(57)【要約】
本発明は、画像合成デバイスによって実施される、N(N>2)個のビューの画像(T、D;T、D;...;T、D)から、ビューの画像(Isth)を合成する方法であって、以下:合成されるビューの画像に対応する位置に、N個のビューにそれぞれ関連付けられたN個のデプスマップを投影すること(S1)と、投影の完了時に深度値が関連付けられた少なくとも1つの投影デプスマップ(D )の少なくとも1つの特定の画素に関して、前記深度値に関連付けられた1つの信頼性情報(Fi)が特定の値(V2)を有する場合に、前記少なくとも1つの特定の画素の深度値を修正すること(S2)であって、前記修正が、少なくとも1つの他の投影デプスマップにおける前記少なくとも1つの特定の画素の位置に対応する位置を有する画素の深度値を使用し、この修正が、少なくとも1つの修正された投影デプスマップ(D )を生成する、修正することと、を含む、方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像合成デバイスによって実施される、N(N≧2)個のビューの画像(T、D;T、D;...;T、D)に基づいて、ビューの画像(Isth)を合成する方法であって、以下:
合成される前記ビューの前記画像に対応する位置に、前記N個のビューにそれぞれ関連付けられたN個のデプスマップを投影すること(S1)と、
投影の完了時に深度値(di )が関連付けられた少なくとも1つの投影デプスマップ(D )の少なくとも1つの特定の画素(pi)に関して、前記深度値に関連付けられた1つの信頼性情報(Fi)が特定の値を有する場合に、前記少なくとも1つの特定の画素の前記深度値を修正すること(S2)であって、前記修正が、少なくとも1つの他の投影デプスマップにおける前記少なくとも1つの特定の画素の位置に対応する位置を有する画素の深度値を使用し、前記修正が、少なくとも1つの修正された投影デプスマップ
【数1】
を生成する、修正することと、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記修正(S2)が、前記少なくとも1つの他の投影デプスマップにおける前記少なくとも1つの特定の画素に対応する位置を有する前記画素の前記深度値の重み付けを使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ある特定のデプスマップの画素の信頼度が、前記画素の前記深度値の変動として計算され(S12)、前記変動が、許容画素数で表した投影誤差に対応する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
画素の信頼度が、前記画素を含む前記デプスマップが関連付けられた前記ビューの前記画像の符号化パラメータ(parCOMP)によって重み付けられる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記特定の画素の前記深度値の前記修正が、前記深度値を、前記深度値と、前記少なくとも1つの他の投影デプスマップにおける前記少なくとも1つの特定の画素の位置に対応する位置を有する前記画素の前記深度値とに基づいて計算された値に置き換えること(S23)で構成され、これらの前記深度値のそれぞれが、それぞれの信頼度によって重み付けられる、請求項1~4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記1つの信頼性情報が、以下:
前記1組のN個の投影デプスマップにおいて、前記特定の画素の位置と全く同一の位置に関して、どの画素が最大深度値を有し、及びどの画素が最小深度値を有するかを決定すること(S101、S102)と、
前記最大深度値と前記最小深度値の差を計算すること(S103)と、
前記計算された差を閾値(depthTH)と比較すること(S103)と、
1つの信頼性情報を生成すること(S104又はS105)であって、前記信頼性情報の値が、前記比較の結果に依存する、生成することと、
によって生成される、請求項1~5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記1つの信頼性情報が、以下:
前記1組のN個の投影デプスマップにおいて、前記特定の画素の位置と全く同一の位置に関して、どの画素が最大深度値を有し、及びどの画素が最小深度値を有するかを決定することと、
前記特定の画素の前記深度値と、前記決定された最小深度値の差を計算することと、
前記計算された差を閾値(depthTH)と比較することと、
前記決定された最小深度値に対する1つの信頼性情報を生成することであって、前記信頼性情報の値が、前記比較の結果に依存する、生成することと、
前記決定された最大深度値と、前記特定の画素の前記深度値の別の差を計算することと、
前記他方の計算された差を前記閾値(depthTH)と比較することと、
前記決定された最大深度値に対する1つの信頼性情報を生成することであって、前記信頼性情報の値が、前記比較の結果に依存する、生成することと、
によって生成される、請求項1~5の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記比較閾値が、それぞれのデプスマップにおける前記特定の画素の位置に対応する位置を有する各画素の前記深度値の前記N個の変動の平均に等しい、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記比較閾値が、それぞれのデプスマップにおける前記特定の画素の位置に対応する位置を有する各画素の前記深度値の前記N個の分散の平均に等しい、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項10】
N(N≧2)個のビューの画像(T、D;T、D;...;T、D)に基づいて、ビューの画像を合成するデバイス(SYNT)であって、前記合成デバイスが、以下:
合成される前記ビューの前記画像に対応する位置に、前記N個のビューにそれぞれ関連付けられたN個のデプスマップを投影することと、
投影の完了時に深度値が関連付けられた少なくとも1つの投影デプスマップ(D )の少なくとも1つの特定の画素(pi)に関して、前記深度値に関連付けられた1つの信頼性情報(Fi)が特定の値(V2)を有する場合に、前記少なくとも1つの特定の画素の前記深度値を修正することであって、前記修正が、少なくとも1つの他の投影デプスマップにおける前記少なくとも1つの特定の画素の位置に対応する位置を有する画素の深度値を使用し、前記修正が、少なくとも1つの修正された投影デプスマップ
【数2】
を生成する、修正することと、
を実施するように構成されたプロセッサを含むことを特徴とする、デバイス。
【請求項11】
N(N≧2)個の符号化されたビューの1組の画像を表すデータ信号を復号する方法であって、以下:
前記N個の符号化されたビューの前記画像を復号し、それによって、N個の復号されたビューの1組の画像を生成することと、
請求項1~9の何れか一項に記載の合成方法に従って、前記N個の復号されたビューの1組の画像に基づいて、ビューの画像を合成することと、
を含む、方法。
【請求項12】
N(N≧2)個の符号化されたビューの1組の画像を表すデータ信号を復号するデバイスであって、前記復号デバイスが、以下:
前記N個の符号化されたビューの前記画像を復号し、それによって、N個の復号されたビューの1組の画像を生成することと、
請求項1~9の何れか一項に記載の合成方法に従って、前記N個の復号されたビューの1組の画像に基づいて、ビューの画像を合成することと、
を実施するように構成されたプロセッサを含む、デバイス。
【請求項13】
コンピュータ上で実行されると、請求項1~9の何れか一項に記載の合成方法、又は請求項11に記載の復号方法の前記ステップを実行するためのプログラムコード命令を含む命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項14】
コンピュータによって可読であり、請求項13に記載のコンピュータプログラムの命令を含む、情報媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、画像合成の分野に関する。
【0002】
本発明は、より詳細には、特に360度ビデオ、180度ビデオなどの没入型ビデオを生成するために捕捉された、360度、180度などにわたる複数の2D(2次元)ビューの画像に基づいた、捕捉されていない中間ビューポイントの合成に関する。
【0003】
本発明は、特に(但し、限定されない)、現在のAVC(Advanced Video Codingの略語)ビデオデコーダ、及びそれらのMVC(Multiview Video Codingの略語)拡張規格(3D-AVC、MV-HEVC、3D-HEVCなど)で実施されるビデオ復号に適用され得る。
【背景技術】
【0004】
没入型ビデオ(すなわち、その中では、見る者が、3D(3次元)シーンに没入した感覚を持つ)の文脈では、シーンは、従来、1組のカメラによって捕捉される。これらのカメラは、
-ある特定の角度のシーンを捕捉するために2Dタイプのもの、及び/又は
-カメラを中心に、360度、180度、又は他の角度にわたるシーンの全てを捕捉するために、360度、180度、又は他の角度のタイプのものでもよい。
【0005】
このような捕捉されたビューの画像は、従来、符号化され、その後、見る者の端末によって復号される。しかし、十分な品質のエクスペリエンス、したがって、視覚的な品質及び良好な没入度を提供するためには、捕捉されたビューを表示するだけでは十分ではない。中間ビューと呼ばれる多数のビューの画像が、ビューの復号画像に基づいて計算されなければならない。
【0006】
これらの中間ビューの画像は、ビュー「合成」アルゴリズムによって計算される。合成アルゴリズムは、N個のビュー(N≧2)の画像に基づいて、空間内のどこかに位置する中間ビューポイントの画像を合成することができる。N個の中のある特定のビューの画像は、テクスチャ成分と、このビューの画像を捕捉したカメラから、シーンの様々な要素を分離する距離を示すデプスマップとを含む。したがって、合成によって取得された中間ビューの画像は、同様に、N個のビューの画像のN個のテクスチャ成分に基づいて合成されたテクスチャ成分と、N個のビューの画像のN個のデプスマップに基づいて合成されたデプスマップとを含む。
【0007】
N個の中のある特定のビューに関して、デプスマップは、捕捉されるか、或いはN個のテクスチャ成分に基づいて計算される。しかし、どちらのケースでも、このようなデプスマップは、捕捉に関連し、計算に関連し、又はN個のビューの画像の圧縮に関連した多数の誤差を含み得る。
【0008】
したがって、このような誤差は、これらのN個のビューのそれぞれの画像に基づいて合成されたビューの画像に必然的に影響を与え、これは、現在の合成アルゴリズムの性能を著しく低下させる。
【0009】
上述のタイプの周知の合成アルゴリズムの1つは、例えば、VSRS(View Synthesis Reference Software)アルゴリズムである。このアルゴリズムは、単一の合成デプスマップを決定するために、生成されるビデオにおける合成されるビューの画像に対応する位置に対して、N個のデプスマップの投影を実施する。その後、N個のテクスチャ成分の各画素に関連付けられたテクスチャ情報を回復するために、このデプスマップが使用される。
【0010】
この投影の欠陥の1つは、一部の画素が、投影前のN個のデプスマップの画素の何れとも対応しないため、N個の投影されたデプスマップにおいて欠落しているという事実にある。この対応の欠如は、投影に使用されるN個のデプスマップに含まれる画素の精度の欠如に起因するか、或いは欠落している画素が、N個のデプスマップを含むN個のビューの画像において見えない領域に対応する(オクルージョン)ための場合がある。
【0011】
したがって、このような投影誤差は、これらのN個のビューのそれぞれの画像に基づいて合成されたビューの画像に必然的に影響を与える。
【0012】
デプスマップの初期計算で生じる誤差も、この情報の量子化、すなわち、このデプスマップが取り得る値の数、並びに適用される圧縮のレベルに左右され、デプスマップにおいて、2種類の欠陥:
-誤差が小さければ、ぼけ、
-これらの誤差が大きければ、全体的な欠陥、
として現れる。
【0013】
ビューの画像を捕捉したカメラが見ることができるものと、仮想カメラが見ることができるものとの差が大きくなるにつれて、合成欠陥は、ますます大きくなり、ぼけから全体的な欠陥へと遷移し、後者は、見る者の没入感覚に悪影響を与えないように、絶対に避けられなければならない。
【0014】
既知の発明の技術は、中間ビューの画像の合成において投影されることが意図された、利用可能なデプスマップが、誤差を特徴として備えているという事実を考慮していない。その結果、利用可能なデプスマップの投影の完了時に得られるデプスマップも、誤差を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的の1つは、前述の先行技術の欠点を是正することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
そのために、本発明の1つの主題は、画像合成デバイスによって実施される、N(N≧2)個のビューの画像に基づいて、ビューの画像を合成する方法であって、この方法が、以下:
-合成されるビューの画像に対応する位置に、N個のビューにそれぞれ関連付けられたN個のデプスマップを投影すること、
を含むことを特徴とし、
このような方法が、以下:
-投影の完了時に深度値が関連付けられた少なくとも1つの投影デプスマップの少なくとも1つの特定の画素に関して、深度値に関連付けられた1つの信頼性情報が特定の値を有する場合に、前記少なくとも1つの特定の画素の深度値を修正することであって、この修正が、少なくとも1つの他の投影デプスマップにおける前記少なくとも1つの特定の画素の位置に対応する位置を有する画素の深度値を使用し、この修正が、少なくとも1つの修正された投影デプスマップを生成する、修正すること、
を含むことを特徴とする、方法に関する。
【0017】
投影デプスマップの少なくとも1つの1つ又は複数の投影画素に条件付き修正が適用される事実を考慮することにより、本発明は、前記少なくとも1つの投影デプスマップにおける誤差を補正することを有利に可能にする。このような投影デプスマップのある特定の画素に関して、これらの投影誤差は、
-複数のビットにわたる、それに基づいて投影デプスマップが取得された、ビューの画像のデプスマップの各画素の深度値のデジタル量子化中に導入された量子化ノイズ、
-HEVC、3D-HEVCなどのタイプのコーダによるデプスマップの圧縮中に導入された誤差、
-実空間へのビューの画像のデプスマップの投影中に導入された誤差、
をもたらし得る。
【0018】
投影デプスマップの画素の全てが、強制的に修正されるわけではない。それらは、これらの画素のそれぞれに割り当てられた1つの信頼性情報が特定の値を有する場合に修正される。
【0019】
加えて、このような修正は、別の投影デプスマップにおける、ある特定の画素の位置に対応する位置を有する画素の深度値を使用し、このような深度値は、上記ある特定の画素の誤った深度値を補正するのに適していると考えられる。
【0020】
したがって、本発明により、ある特定の投影デプスマップは、先行技術の投影デプスマップよりもはるかに少ない誤差によって損なわれる。これは、複数のビューの複数の画像の少なくとも1つが、投影前及び/又は投影後に、誤差を含むデプスマップに関連付けられる場合に、これらの画像に基づいて合成されたビューの画像の品質に、非常に明白な改善をもたらす。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、修正は、前記少なくとも1つの他の投影デプスマップにおける前記少なくとも1つの特定の画素に対応する位置を有する画素の深度値の重み付けを使用する。
【0022】
このような実施形態は、別の投影デプスマップにおける上記特定の画素の位置に対応する位置を有する画素に対して、より高い又はより低い重要度を割り当てることを可能にし、このことは、結果として、上記特定の画素の深度値の修正に対して、より大きな又はより小さな影響を持つ。
【0023】
本発明のある実施形態によれば、ある特定のデプスマップの画素の信頼度が、前記画素の深度値の変動として計算され、前記変動が、許容画素数で表した投影誤差に対応する。
【0024】
このような信頼度の計算は、それに関してデプスマップの投影が上記特定の投影デプスマップを生成した、ビューの画像を捕捉したカメラと、それに関してデプスマップの投影が上記他の投影デプスマップを生成した、前記少なくとも1つの他のビューの画像を捕捉したカメラとの間のポジショニング距離に加えて、前記少なくとも1つの他のデプスマップの実際の投影品質を考慮することを有利に可能にする。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、画素の信頼度は、この画素を含むデプスマップが関連付けられたビューの画像の符号化パラメータによって重み付けられる。
【0026】
このような実施形態は、ある特定の画素の信頼度の計算を、例えば、前記画素を含むデプスマップが関連付けられたビューの画像の符号化中に使用された量子化ステップの値、又は符号化階層におけるこの画像の位置などの圧縮品質レベルを考慮することによって改良することを可能にする。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、上記特定の画素の深度値の修正が、前記深度値を、前記深度値と、前記少なくとも1つの他の投影デプスマップにおける前記少なくとも1つの特定の画素の位置に対応する位置を有する画素の深度値とに基づいて計算された値に置き換えることで構成され、これらの前記深度値のそれぞれが、それぞれの信頼度によって重み付けられる。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、1つの信頼性情報は、以下:
-1組のN個の投影デプスマップにおいて、上記特定の画素の位置と全く同一の位置に関して、どの画素が最大深度値を有し、及びどの画素が最小深度値を有するかを決定することと、
-最大深度値と最小深度値の差を計算することと、
-計算された差を閾値と比較することと、
-1つの信頼性情報を生成することであって、この信頼性情報の値が、比較の結果に依存する、生成することと、
によって生成される。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、1つの信頼性情報は、ある特定のデプスマップのある特定の画素の値に適用され、この1つの信頼性情報を条件とする修正が、合成されたビューの画像において、ぼけタイプのアーチファクトのみをもたらすように、有利に計算される。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、1つの信頼性情報は、以下:
-1組のN個の投影デプスマップにおいて、上記特定の画素の位置と全く同一の位置に関して、どの画素が最大深度値を有し、及びどの画素が最小深度値を有するかを決定することと、
-前記特定の画素の深度値と、決定された最小深度値の差を計算することと、
-計算された差を閾値と比較することと、
-決定された最小深度値に対する1つの信頼性情報を生成することであって、この信頼性情報の値が、比較の結果に依存する、生成することと、
-決定された最大深度値と、前記特定の画素の深度値の別の差を計算することと、
-他方の計算された差を前記閾値と比較することと、
-決定された最大深度値に対する1つの信頼性情報を生成することであって、この信頼性情報の値が、比較の結果に依存する、生成することと、
によって生成される。
【0031】
一実施形態によれば、ある特定の投影デプスマップのある特定の画素に関する1つの信頼性情報は、2つのレベル:
-上記投影デプスマップにおける上記特定の画素の深度値と、N個の投影デプスマップについて、上記特定の画素の位置に対応する位置を有するN個の画素に関して決定された最小深度値の差を考慮する第1のレベル、
-N個の投影デプスマップについて、上記特定の画素の位置に対応する位置を有するN個の画素に関して決定された最大深度値と、上記投影デプスマップにおける上記特定の画素の深度値の差を考慮する第2のレベル、
にわたり有利に量子化される。
【0032】
このようにして、ある投影デプスマップのある特定の画素に関して、この特定の画素に関連付けられた2つの信頼性情報に従って、N個の投影デプスマップにおける上記特定の画素の位置に対応する位置を有する画素の各深度値が、上記特定の画素の深度値を修正する2つの異なるやり方で選択され得る。したがって、上記特定の画素の深度値の修正は、より正確となる。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、比較閾値は、それぞれのデプスマップにおける前記特定の画素の位置に対応する位置を有する各画素の深度値のN個の変動の平均に等しい。
【0034】
このような比較閾値を計算する実施形態は、合成されたビューの画像において、ぼけタイプのアーチファクトの減少を最適化することを可能にする。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、比較閾値は、それぞれのデプスマップにおける前記特定の画素の位置に対応する位置を有する各画素の深度値のN個の分散の平均に等しい。
【0036】
このような比較閾値を計算する実施形態は、N個の投影デプスマップの固有の品質を考慮しながら、合成されたビューの画像において、ぼけタイプのアーチファクトの減少を最適化することを可能にする。
【0037】
様々な上述の実施形態又は実施の特徴は、個々に、又は互いに組み合わせて、上記で定義された合成方法に追加され得る。
【0038】
本発明は、N(N≧2)個のビューの画像に基づいて、ビューの画像を合成するデバイスにも関し、このような合成デバイスは、以下:
-合成されるビューの画像に対応する位置に、N個のビューにそれぞれ関連付けられたN個のデプスマップを投影することと、
-投影の完了時に深度値が関連付けられた少なくとも1つの投影デプスマップの少なくとも1つの特定の画素に関して、前記深度値に関連付けられた1つの信頼性情報が特定の値を有する場合に、前記少なくとも1つの特定の画素の深度値を修正することであって、前記修正が、少なくとも1つの他の投影デプスマップにおける前記少なくとも1つの特定の画素の位置に対応する位置を有する画素の深度値を使用し、この修正が、少なくとも1つの修正された投影デプスマップを生成する、修正することと、
を実施するように構成されたプロセッサを含むことを特徴とする。
【0039】
このような合成デバイスは、特に、上述の実施形態の何れか1つによる上述の合成方法を実施可能である。
【0040】
本発明は、N(N≧2)個の符号化されたビューの1組の画像を表すデータ信号を復号する方法であって、以下:
-N個の符号化されたビューの画像を復号し、それによって、N個の復号されたビューの1組の画像を生成することと、
-上述の実施形態の何れか1つによる上述の合成方法に従って、N個の復号されたビューの1組の画像に基づいて、ビューの画像を合成することと、
を含む、方法にも関する。
【0041】
本発明は、N(N≧2)個の符号化されたビューの1組の画像を表すデータ信号を復号するデバイスにも関し、このような復号デバイスは、以下:
-N個の符号化されたビューの画像を復号し、それによって、N個の復号されたビューの1組の画像を生成することと、
-上述の実施形態の何れか1つによる上述の合成方法に従って、N個の復号されたビューの前記1組の画像に基づいて、ビューの画像を合成することと、
を実施するように構成されたプロセッサを含む。
【0042】
本発明は、プロセッサによって実行されると、上記の特定の実施形態の何れか1つによる、合成方法又は本発明の合成方法を組み込む復号方法を実施するための命令を含むコンピュータプログラムにも関する。
【0043】
このプログラムは、任意のプログラミング言語を使用することができ、ソースコード、オブジェクトコード、又は部分的にコンパイルされた形、若しくはその他の所望の形などの、ソースコードとオブジェクトコードの中間のコードの形でもよい。
【0044】
本発明は、コンピュータによって可読であり、上述のようなコンピュータプログラムの命令を含む、記録媒体又は情報媒体も対象とする。
【0045】
記録媒体は、プログラムを保存可能な、どのようなエンティティ又はデバイスでもよい。例えば、媒体は、ROM(例えば、CD-ROM又は超小型電子回路ROM)などのストレージ手段、或いは磁気記録手段(例えばUSBキー又はハードディスク)を含み得る。
【0046】
また、記録媒体は、無線によって、又は他の手段によって、電気ケーブル又は光ケーブルを用いて伝送され得る電気信号又は光信号などの伝送可能媒体でもよい。本発明によるプログラムは、具体的には、インターネットタイプのネットワークからダウンロードされ得る。
【0047】
代替的に、記録媒体は、プログラムが組み込まれた集積回路でもよく、この回路は、上述の合成方法又は復号方法を実行するように、又は上述の合成方法又は復号方法の実行で使用されるように構成される。
【0048】
他の特徴及び利点は、単に例示的及び非限定的な例として提供され、添付の図面を参照して以下で説明される、いくつかの好適な実施形態を読めば、よりはっきりと明白になるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】本発明の一実施形態による合成方法によって行われる主なアクションを示す。
図2図1の合成方法で使用される例示的画像を示す。
図3A図1の合成方法で使用される信頼度の例示的計算を示す。
図3B図1の合成方法で使用される信頼度の例示的計算を示す。
図3C図1の合成方法で使用される信頼度の例示的計算を示す。
図4図1の合成方法で使用される1つの信頼性情報の例示的計算を示す。
図5図1の合成方法を実施する合成デバイスを示す。
図6A】画像合成に使用される画像が事前に復号されている場合の図5の合成デバイスの例示的配置を示す。
図6B】画像合成に使用される画像が事前に復号されている場合の図5の合成デバイスの例示的配置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明は、複数のビューそれぞれの複数の画像に基づいて、中間ビューの画像を合成するスキームを主に提案し、各ビューは、現時点では、ある特定の位置又はある特定の視野角による3Dシーンを表す。
【0051】
複数の画像の中のビューの画像ごとに、従来、ビューの画像のデプスマップが、合成されるビューの画像に対応する位置に投影される。
【0052】
本発明は、ある特定の投影デプスマップにおける各特定の画素の深度値の条件付き修正の適用によって特徴付けられる。このような修正は、
-それに基づいて、上記のある特定の投影デプスマップが取得された、ビューの画像のデプスマップの深度値の計算中に導入された誤差、
-ビューの画像のデータの圧縮中に導入された誤差、
-実空間へのビューの画像のデプスマップの投影中に導入された誤差、
に起因し得る、深度値の誤差を補償することを可能にする。
【0053】
6.例示的合成スキームの実施
複数のビューの画像に基づいて、ビューの画像を合成する方法を以下に説明し、このような方法は、とりわけ、現在のビデオデコーダAVC及びHEVC、並びにそれらの拡張規格(MVC、3D-AVC、MV-HEVC、3D-HEVCなど)の何れのタイプにおいても、又はそれと共に使用することができる。
【0054】
図1を参照して、このような合成方法は、それぞれ1≦j≦N及びN≧2である、N個のビューのN個の画像I、I、...、I、...、Iを使用し、複数のビューは、それぞれ複数の視野角又は複数の位置/方位に応じた3Dシーンを表す。従来、
-画像Iは、テクスチャ成分T及びデプスマップDを含み、
-画像Iは、テクスチャ成分T及びデプスマップDを含み、
-...、
-画像Iは、テクスチャ成分T及びデプスマップDを含み、
-...、
-画像Iは、テクスチャ成分T及びデプスマップDを含む。
【0055】
ある特定の画像Iに関して、図2に示すように、
-そのテクスチャ成分Tは、対応するテクスチャ値t1、t2、...、tQがそれぞれ割り当てられた、Q(Q≧1)個の点p1、p2、...、pQを含み、
-そのデプスマップDは、対応する深度値d1、d2、...、dQがそれぞれ割り当てられた、Q個の点p1、p2、...、pQを含む。
【0056】
図1のS1では、デプスマップD、D2、...、D、...、Dが、合成されるビューの画像Isthに対応する位置に投影される。
【0057】
このような投影は、例えばDIBR(Depth Image Based Renderingの略語)タイプの投影アルゴリズムによって実施される。
【0058】
このような投影の完了時に、N個の投影デプスマップD 、D 、...、D 、...、D が取得される。N個の中のある特定のデプスマップDは、対応する深度値d1 、d2 、...、dQ がそれぞれ割り当てられた、Q個の点p1、p2、...、pQを含む。
【0059】
このような深度値は、特に、
-深度値d1、d2、...、dQのそれぞれの複数のビットにわたるデジタル量子化中に導入される量子化ノイズ、及び/又は
-デプスマップDが、HEVC、3D-HEVCなどのタイプのコーダによる圧縮を受けた場合に、この圧縮中に導入された誤差、及び/又は
-実空間へのデプスマップDの投影中に導入された誤差、
を前提として、系統的に正しくない。
【0060】
それ自体が知られているように、N個の投影デプスマップD 、D 、...、D 、...、D は、N個の属性マップA、A、...、A、...、Aにそれぞれ関連付けられる。
【0061】
いかなる投影デプスマップD (1≦j≦N)に関しても、属性マップは、デプスマップDの各点/画素p1~pQについて、その投影が有効か否かを示す。
【0062】
例えば、デプスマップDの点p1の場合、
-属性値A1=V1が、点p1に深度値が割り当てられていないことを示すために、投影デプスマップD の点p1に関連付けられ、
-属性値A1=V2が、点p1に深度値が割り当てられたことを示すために、投影デプスマップD の点p1に関連付けられる。
【0063】
投影デプスマップの点/画素に帰する深度値の欠如は、このデプスマップの投影S1中に生じる場合があり、その完了時に、投影に由来する点に深度値が割り当てられないこともあり得る。関連付けられた深度値を持たないこの点は、「穴」領域を構成する。
【0064】
この例では、属性マップA、A、...、A、...、Aの各属性値は、二進数である。このため、V1=0及びV2=1、又はその逆である。別の例によれば、属性マップA、A、...、A、...、Aの値は、[0,+∞]の範囲内の整数値である。
【0065】
図1のS2では、少なくとも1つの特定の投影デプスマップD に関して、深度値d1 、d2 、...、dQ に対して、条件付き修正が適用される。
【0066】
このような条件付き修正は、以下のように行われる。
【0067】
S21において、投影デプスマップD のある特定の画素pi(1≦i≦Q)に関して、画素piに関連付けられた属性Aiが、第1の値V1であるか、或いは第2の値V2であるかが決定される。
【0068】
属性Aiが、V1の値を有する場合、条件付き修正方法は、実施されず、投影デプスマップD の以下の画素が考慮される。
【0069】
属性Aiが、V2の値を有する場合、S22において、画素piに関連付けられた1つの信頼性情報Fiが、第1の値V3であるか、或いは第2の値V4であるかが決定される。
【0070】
ある包括的でない例示的な実施形態によれば、V3=0及びV4=1、又はその逆である。
【0071】
1つの信頼性情報Fiが、第1の値V3であれば、投影デプスマップD の画素piの深度値di は、修正されない。
【0072】
1つの信頼性情報Fiが、第2の値V4であれば、投影デプスマップD の画素piの深度値di は、S23において修正される。本発明によれば、深度値di は、少なくとも1つの他の投影デプスマップD 、D 、...、D における画素piの位置と同じ位置にある画素の深度値に応じて修正される。したがって、深度値は、
-投影デプスマップD の画素piに関連付けられた深度値di 、及び/又は
-深度値di が存在する場合(Ai=V2)、投影デプスマップD の画素piに関連付けられた深度値di 、及び/又は
-...、
-深度値di が存在する場合(Ai=V2)、投影デプスマップD の画素piに関連付けられた深度値di
に応じて修正される。
【0073】
本発明によれば、修正S23は、深度値d1 、d2 、...、dQ の重み付けを使用する。したがって、
-深度値di は、係数Ciによって重み付けられ、
-深度値di は、係数Ciによって重み付けられ、
-...、
深度値di は、係数Ciによって重み付けられる。
【0074】
本明細書において、以下にさらに説明されるように、
-係数Ciは、投影デプスマップD の画素piの深度値di に帰した信頼度に対応し、
-係数Ciは、投影デプスマップD の画素piの深度値di に帰した信頼度に対応し、
-...、
-係数Ciは、投影デプスマップD の画素piの深度値di に帰した信頼度に対応する。
【0075】
もちろん、信頼度は、ある特定の投影デプスマップの上記特定の画素が、まだ投影されていない、対応するデプスマップにおいて位置が同じ画素の深度値に対応する深度値を有する場合にのみ帰する。
【0076】
修正S23の完了時に、以下の関係に従って、投影デプスマップD の画素piの修正深度値
【数1】
が取得される:
Ai=V2、Ai=V2、...、Ai=V2という条件で、
【数2】
【0077】
上記の条件付き修正S2は、投影デプスマップDjの画素p1、p2、...、pQのそれぞれの深度値に適用され、投影デプスマップD ~D の全てに対して繰り返される。
【0078】
条件付き修正S2の完了時に、以下が取得される:
-少なくとも1つの修正された投影デプスマップ
【数3】

-未修正の投影デプスマップD 又は修正された投影デプスマップ
【数4】

-未修正の投影デプスマップD 又は修正された投影デプスマップ
【数5】

-...、
-未修正の投影デプスマップD 又は修正された投影デプスマップ
【数6】
【0079】
それ自体が知られているように、S3において、デプスマップD 又は
【数7】
、D 又は
【数8】
又は
【数9】
が、例えば、テクスチャ後方ワーピングアルゴリズムを用いて、テクスチャ成分T、T、...、Tでそれぞれ補間されることにより、合成されたビューの画像Isthを提供する。
【0080】
この画像合成方法は、符号化されていない画像、符号化された画像、又は復号された画像I~Iに等しく適用される。画像I~Iが、復号されている場合、合成方法は、復号方法の一部を成してもよく、デコーダによって実施されるか、或いはデコーダの出力に配置された合成デバイスにおいて実施されてもよい。
【0081】
図3A~3Bを参照して、上述の信頼度の計算の一実施形態をこれより説明する。
【0082】
デプスマップD~Dの全てが考慮される。
【0083】
S10では、デプスマップ、例えばデプスマップDが選択される。
【0084】
S11では、デプスマップDの画素piが選択される。
【0085】
S12では、画素piが、デプスマップDの画素piの位置と同一の位置において、投影デプスマップD 上に投影される。投影S12中に、画素piの深度値diの変動が、
Δdi=dijmax-dij<proj
となる(式中、Eprojは、投影デプスマップD 上の画素piの許容投影誤差である)ように、最大深度値dijmaxに達するまで、実施される。
【0086】
ある例示的な実施形態によれば、Eprojは、画素数での画素piの投影偏差(例えば、3つの画素)である。
【0087】
S13では、信頼度Ciが、関係:
Ci=g(Δdi
に従って計算され、式中、gは、例えば、べき関数又は指数関数などの所定の数学関数を表す。
【0088】
したがって、Δdiへの関数の適用によって、合成されるビューに最も近いデプスマップに対して、より高い重要度を与えることが可能となる。
【0089】
動作S11~S13は、選択されたデプスマップDの画素の全て対して、各信頼度C1、C2、...、CQがこれらの画素のそれぞれに帰するように、適用される。
【0090】
これらの動作の完了時に、図3Cを参照して、信頼度のマップCiが、投影デプスマップD に対して帰する。
【0091】
次いで、動作S10~S13の全てが、デプスマップD~Dのそれぞれに適用される。
【0092】
ある実施形態によれば、画像I~Iが、符号化されている場合、信頼度Ciの計算も、画像Iに関連付けられた少なくとも1つの符号化パラメータparCOMPに依存する。このような符号化パラメータは、例えば、画像Iの符号化中に使用された量子化ステップの値、又は符号化階層におけるこの画像の位置である。
【0093】
より一般的に、信頼度Ciの計算は、テクスチャは別として、画像Iのパラメータ(固有パラメータ及び外因性パラメータ)の全て、つまり、
-それぞれがN個の画像I~Iの中からある特定の画像を捕捉する2つのカメラ間のポジショニング距離だけでなく、投影の実際の品質、
-デジタル量子化レベル:8ビットに量子化されたデプスマップ(したがって、ダイナミックレンジの4分の1のみが使用される)は、3つの画素分の変位を与える深度の変動Δdiが小さくなるため、32ビットに量子化された、このデプスマップの信頼度よりも低い信頼度を有する、
-画像Iの1つ又は複数の圧縮パラメータ(量子化ステップ、時間的構造)、
-デプスマップDの固有品質、すなわち、デプスマップDの各点/画素の深度値と、3Dシーンにおける各対応点の実際の深度値との間の小さな偏差、
-合成される画像Isthに対する画像Iの位置に結び付けられたデプスマップDに与えられた重要度、
を考慮し得る。
【0094】
図4を参照して、上述の1つの信頼性情報の計算の一実施形態をこれより説明する。
【0095】
投影デプスマップD ~D の全てが考慮される。
【0096】
S100では、投影デプスマップD 、D 、...、D 、...、D のそれぞれにおいて同じ位置(左から1列目の第1の画素)に位置する画素p1、p1、...、p1が選択される。
【0097】
S101では、画素p1、p1、...、p1の中から、どの画素が最大深度値d1 maxを有するかが決定される。
【0098】
S102では、画素p1、p1、...、p1の中から、どの画素が最小深度値d1 minを有するかが決定される。
【0099】
動作S101及びS102の間に、投影デプスマップにおいて、ある特定の画素に関連する深度値が見つからなければ、この投影デプスマップは、考慮されない。既に上記で説明したように、深度値の欠如は、各デプスマップD~Dの投影S1(図1)中に生じ得る(投影の完了時に、合成された画像Isthの画素の全ては、必ずしも深度値に関連付けられない)。関連付けられた深度値を持たないこれらの画素は、「穴」領域を構成する。
【0100】
S103では、差Δd1=d1 max-d1 minが、所定の閾値depthTHと比較される。
【0101】
Δd1=d1 max-d1 min≧depthTHである場合、S104において、1つの信頼性情報F1が、それぞれ投影デプスマップD 、D 、...、D 、...、D において同じ位置に投影された画素p1、p1、...、p1の深度値が信頼できないことを示すために、第1の値V3に設定される(例えば、V3=0となるように)。
【0102】
別形態として、比較S104は、Δd1=d1 max-d1 min>depthTHである。
【0103】
Δd1=d1 max-d1 min<depthTHである場合、S105において、1つの信頼性情報F1が、それぞれ投影デプスマップD 、D 、...、D 、...、D において同じ位置に投影された画素p1、p1、...、p1の深度値が信頼できることを示すために、第2の値V4に設定される(例えば、V4=1となるように)。
【0104】
別形態として、比較S105は、Δd1=d1 max-d1 min≦depthTHである。
【0105】
閾値depthTHは、3Dシーンの前景と背景を区別するための閾値である。閾値depthTHは、例えば、画素p1の信頼度C1、画素p1の信頼度C1、...、画素p1の信頼度C1、...、画素p1の信頼度C1を生成するためにS12(図3A)で計算された深度値の変動Δd1、Δd1、...、Δd1、...、Δd1に依存する。
【0106】
ある特定の例によれば、
【数10】
である。
【0107】
別の特定の例によれば、
【数11】
であり、
【数12】
で、(x,y)は、各デプスマップの画素/点の座標である。
【0108】
動作S100~S103及びS104又はS105は、投影デプスマップD 、D 、...、D 、...、D のそれぞれにおいて同じ位置(例えば、左から1列目の第2の画素)に位置する画素p2、p2、...、p2などに対して、投影デプスマップD 、D 、...、D 、...、D のそれぞれにおいて同じ位置(例えば、左から最後の列の最後の画素)に位置する画素pQ、pQ、...、pQに至るまで、繰り返される。
【0109】
7.合成方法の具体的な実施形態
上記の合成方法の3つの実施形態をこれより説明する。
【0110】
これらの3つの実施形態によれば、合成されたビューの画像Isthは、4つのビューそれぞれの画像I、I、I、Iに基づいて取得される。
【0111】
図1を参照して、各画像I、I、I、IそれぞれのデプスマップD、D、D、Dが、S1において、合成されるビューの画像Isthに対応する位置に投影される。この場合、4つの投影デプスマップD 、D 、D 、D が取得される。
【0112】
以下は、入力として合成方法に提供される:
-S1で取得された4つの投影デプスマップD 、D 、D 、D
-S1で取得された対応する4つの属性マップA、A、A、A
-所定の閾値depthTH
【0113】
7.1 第1の実施形態
図1の条件付き修正動作S2を実施するために、本方法は、図3Aに示すように、投影デプスマップD 、D 、D 、D それぞれの各画素において、それぞれの信頼度の計算を行う。
【0114】
デプスマップD~Dの全てが考慮される。
【0115】
S10では、デプスマップ、例えばデプスマップDが選択される。
【0116】
S11では、デプスマップDの画素piが選択される。
【0117】
S12では、画素piが、デプスマップDの画素piの位置と同一の位置において、投影デプスマップD 上に投影される。投影S12中に、画素piの深度値diの変動が、
Δdi=di1max-di1≦proj
となる(式中、Eprojは、投影デプスマップD 上の画素piの許容投影誤差である)ように、最大深度値di1maxに達するまで、実施される。
【0118】
ある好適な例示的実施形態によれば、Eprojは、画素数での画素piの投影偏差(例えば、3つの画素)である。最大で3つの画素の誤差により、ぼけタイプのアーチファクトが主にもたらされることが考慮される。
【0119】
Δdiの計算は、反復的である。そのため、深度値diは、最大で深度値di1max(この値に関して、3つの画素の投影偏差Eprojが取得される)まで増加する。
【0120】
S13では、信頼度Ciが、関係Ci=(Δdiに従って計算され、それによって、合成されるビューの画像Isthに最も近いビューの画像に対して、より高い重要度が与えられる。
【0121】
動作S11~S13は、選択されたデプスマップDの画素の全て対して、各信頼度C1、C2、...、CQがこれらの画素のそれぞれに帰するように、適用される。
【0122】
次いで、動作S10~S13の全てが、デプスマップD、D、Dのそれぞれに適用される。
【0123】
このような信頼度の計算は、(テクスチャは別として)ビューの画像のパラメータの全て(すなわち、画像I~Iの中から2つの画像を捕捉した2つのカメラ間のポジショニング距離だけでなく、デプスマップの投影の実際の品質、この画像の量子化レベル)を考慮に入れる。
【0124】
また、このような信頼度の計算は、例えば量子化ステップのような、ビデオコーダからのデータを入力として取り込み得る。
【0125】
図1の条件付き修正動作S2を実施するために、本方法は、図4に示すように、投影デプスマップD 、D 、D 、D それぞれの各画素において、1つの信頼性情報の計算も行う。
【0126】
投影デプスマップD ~D の全てが考慮される。
【0127】
S100では、投影デプスマップD 、D 、D 、D のそれぞれにおいて同じ位置(左から1列目の第1の画素)に位置する画素p1、p1、...、p1が選択される。
【0128】
S101では、4つの画素p1、p1、p1、p1の中から、どの画素が最大深度値d1 maxを有するかが決定される。
【0129】
第1の実施形態によれば、
d1 max=Max((A1,D ),(A1,D ),(A1,D ),(A1,D ))である。
【0130】
S102では、4つの画素p1、p1、p1、p1の中から、どの画素が最小深度値d1 minを有するかが決定される。
【0131】
第1の実施形態によれば、
d1 min=Min((A1,D ),(A1,D ),(A1,D ),(A1,D ))である。
【0132】
動作S101及びS102では、A1は、投影デプスマップD における画素p1の投影に関係した属性であり、A1は、投影デプスマップD における画素p1の投影に関係した属性であり、A1は、投影デプスマップD における画素p1の投影に関係した属性であり、A1は、投影デプスマップD における画素p1の投影に関係した属性であり、
-A1=V1又はA1=V2、及び/又は
-A1=V1又はA1=V2、及び/又は
-A1=V1又はA1=V2、及び/又は
-A1=V1又はA1=V2、
を考慮することによって、A1=V1(又はA1=V1、A1=V1、A1=V1)の場合に、画素p1(又はp1、p1、p1)の深度値が、投影デプスマップD (又はD 、D 、D )上に投影されておらず、したがって、この値が、最大深度値d1 max又は最小深度値d1 minの計算において生じていないことが分かる。
【0133】
S103では、差Δd1=d1 max-d1 minが、
【数13】
である、以下の関係:
Δd1=d1 max-d1 min<depthTH
に従って、所定の閾値depthTHと比較される。
【0134】
Δd1=d1 max-d1 min≧depthTHである場合、S104において、1つの信頼性情報Fが、それぞれ4つの投影デプスマップD 、D 、D 、D において同じ位置に投影された画素p1、p1、p1、p1の深度値が信頼できないことを示すために、第1の値V3に設定される(例えば、V3=0となるように)。
【0135】
Δd1=d1 max-d1 min<depthTHである場合、S105において、1つの信頼性情報Fが、それぞれ4つの投影デプスマップD 、D 、D 、D において同じ位置に投影された画素p1、p1、p1、p1の深度値が信頼できることを示すために、第2の値V4に設定される(例えば、V4=1となるように)。
【0136】
動作S100~S103及びS104又はS105は、投影デプスマップD 、D 、D 、D のそれぞれにおいて同じ位置(例えば、左から1列目の第2の画素)に位置する画素p2、p2、...、p2などに対して、投影デプスマップD 、D 、D 、D のそれぞれにおいて同じ位置(例えば、左から最後の列の最後の画素)に位置する画素pQ、pQ、...、pQに至るまで、繰り返される。
【0137】
図1を参照して、少なくとも1つの特定の投影デプスマップD に関して、条件付き修正S2が、深度値d1 、d2 、...、dQ に適用される。
【0138】
このような条件付き修正S2は、以下のように行われる。
【0139】
S21において、投影デプスマップD のある特定の画素pi(1≦i≦Q)に関して、画素piに関連付けられた属性Aiが、第1の値V1であるか、或いは第2の値V2であるかが決定される。
【0140】
属性AiがV1の値を有する場合、条件付き修正方法は、実施されず、投影デプスマップD の以下の画素が考慮される。
【0141】
属性AiがV2の値を有する場合、S22において、画素piに関連付けられた1つの信頼性情報Fiが、第1の値V3であるか、或いは第2の値V4であるかが決定される。
【0142】
Fi=V3であれば、投影デプスマップD の画素piの深度値di は、修正されない。
【0143】
Fi=V4であれば、投影デプスマップD の画素piの深度値di は、S23において修正される。
【0144】
第1の実施形態によれば、修正S23の完了時に、以下の関係:
【数14】
に従って、投影デプスマップD の画素piの修正深度値
【数15】
が取得される。
【0145】
上記の条件付き修正S2は、投影デプスマップD の画素p1、p2、...、pQのそれぞれの深度値に適用され、他の投影デプスマップD 、D 、D のそれぞれの各画素に対して繰り返される。
【0146】
7.2 第2の実施形態
この第2の実施形態によれば、信頼度の計算は、第1の実施形態と同じやり方で行われる。
【0147】
信頼性情報の計算は、S102まで(S102を含む)は、第1の実施形態と同じやり方で行われる。
【0148】
次いで、以下の計算が行われる。
【0149】
投影デプスマップD 、D 、D 、D のそれぞれにおいて同じ位置(左から1列目の第1の画素)に位置する画素p1、p1、...、p1
【0150】
対応する投影深度値d1 、d1 、d1 、d1 の平均分散Varmoyの計算が行われる。
【0151】
Varmoy>depthTHの場合、S103において、差Δd1=d1 max-d1 minが、以下の関係:
Δd1=d1 max-d1 min<Varmoy
に従って、所定の閾値と比較される。
【0152】
図4の動作S104又はS105は、第1の実施形態と同じやり方で行われる。
【0153】
動作S100~S103及びS104又はS105は、投影デプスマップD 、D 、D 、D のそれぞれにおいて同じ位置(例えば、左から1列目の第2の画素)に位置する画素p2、p2、...、p2などに対して、投影デプスマップD 、D 、D 、D のそれぞれにおいて同じ位置(例えば、左から最後の列の最後の画素)に位置する画素pQ、pQ、...、pQに至るまで、繰り返される。
【0154】
条件付き修正S2は、第1の実施形態と同じやり方で実施される。
【0155】
7.3 第3の実施形態
この第3の実施形態によれば、信頼度の計算は、第1の実施形態と同じやり方で行われる。
【0156】
信頼性情報の計算は、S102まで(S102を含む)は、第1の実施形態と同じやり方で行われる。動作S103~S104又はS105は、以下に置き換えられる。
【0157】
投影デプスマップD の画素p1の場合、差d1 -d1 min及びd1 max-d1 がそれぞれ、
【数16】
であるような所定の閾値depthTHと比較される。
【0158】
d1 -d1 min≧depthTHの場合、1つの信頼性情報F1が、投影デプスマップD の画素p1の深度値が、最小深度値d1 minに対して信頼できないことを示すために、第1の値V3に設定される(例えば、V3=0となるように)。
【0159】
別形態として、比較は、d1 -d1 min>depthTHである。
【0160】
d1 -d1 min<depthTHである場合、1つの信頼性情報F1が、投影デプスマップD の画素p1の深度値が、最小深度値d1 minに対して信頼できることを示すために、第2の値V4に設定される(例えば、V4=1となるように)。
【0161】
別形態として、比較は、d1 -d1 min≦depthTHである。
【0162】
d1 max-d1 ≧depthTHの場合、1つの信頼性情報F11minが、投影デプスマップD の画素p1の深度値が、最大深度値d1 maxに対して信頼できないことを示すために、第1の値V3に設定される(例えば、V3=0となるように)。
【0163】
別形態として、比較は、d1 max-d1 >depthTHである。
【0164】
d1 max-d1 <depthTHである場合、1つの信頼性情報F11maxが、投影デプスマップD の画素p1の深度値が、最大深度値d1 maxに対して信頼できることを示すために、第2の値V4に設定される(例えば、V4=1となるように)。
【0165】
別形態として、比較は、d1 max-d1 ≦depthTHである。
【0166】
上記の計算が、投影デプスマップD の画素p1などに対して、投影デプスマップD の画素p1に至るまで、繰り返される。
【0167】
次いで、この計算は、投影デプスマップD の各後続の画素p2~pQに対して、投影デプスマップD の各後続の画素p2~pQに対して、投影デプスマップD の各後続の画素p2~pQに対して、投影デプスマップD の各後続の画素p2~pQに対して、繰り返される。
【0168】
次いで、条件付き修正S2が以下のやり方で実施される。
【0169】
投影デプスマップD のある特定の画素pi(1≦i≦Q)に関して、
-画素piに関連付けられた信頼性情報Fi1minが0であるか、或いは1であるか、
-画素piに関連付けられた信頼性情報Fi1maxが0であるか、或いは1であるか、
が決定される。
【0170】
Fi1min=0及びFi1max=0であれば、投影デプスマップD の画素piの深度値di は、修正されない。
【0171】
Fi1min=1及びFi1max=0であれば、投影デプスマップD の画素piの深度値di 1minは、以下の関係:
Ai=V1或いはAi=V2であるか、Ai=V1或いはAi=V2であるか、Ai=V1或いはAi=V2であるかに応じて、
【数17】
及び/又は(Ai,Ci,di )及び/又は(Ai,Ci,di )及び/又は(Ai,Ci,di ))
に従ってS23において修正される。
【0172】
ある特定の例によれば、di 1minの修正において、深度値di 及びdi のみが考慮される。次いで、投影デプスマップD の画素piの深度値di 1minが、以下の関係:
【数18】
に従って修正される。
【0173】
Fi1min=0及びFi1max=1であれば、投影デプスマップD の画素piの深度値di 1maxは、以下の関係:
Ai=V1或いはAi=V2であるか、Ai=V1或いはAi=V2であるか、Ai=V1或いはAi=V2であるかに応じて、
【数19】
及び/又は(Ai,Ci,di )及び/又は(Ai,Ci,di )及び/又は(Ai,Ci,di ))
に従って修正される。
【0174】
ある特定の例によれば、di 1maxの修正において、深度値di 、di 、及びdi のみが考慮される。次いで、投影デプスマップD の画素piの深度値di 1maxが、以下の関係:
【数20】
に従って修正される。
【0175】
Fi1min=1及びFi1max=1であれば、
-投影デプスマップD の画素piの深度値di 1minは、以下の関係:
【数21】
に従って修正され、
-投影デプスマップD の画素piの深度値di 1maxは、以下の関係:
【数22】
に従って修正される。
【0176】
上記の条件付き修正S2は、投影デプスマップD の画素p1、p2、...、pQのそれぞれの最大深度値及び/又は最小深度値に適用され、他の投影デプスマップD 、D 、D のそれぞれの各画素に対して繰り返される。
【0177】
条件付き修正S2の完了時に、信頼性情報Fijmin及びFijmaxの値に応じて、以下が取得される:
-未修正の投影デプスマップD 又は修正された投影デプスマップ
【数23】
及び/又は修正された投影デプスマップ
【数24】

-未修正の投影デプスマップD 又は修正された投影デプスマップ
【数25】
及び/又は修正された投影デプスマップ
【数26】

-未修正の投影デプスマップD 又は修正された投影デプスマップ
【数27】
及び/又は修正された投影デプスマップ
【数28】

-未修正の投影デプスマップD 又は修正された投影デプスマップ
【数29】
及び/又は修正された投影デプスマップ
【数30】
【0178】
8.合成デバイスの例示的実施
図5は、本発明の特定の実施形態の何れか1つによる合成方法を実施するように設計された合成デバイスSYNTの単純化構造を示す。
【0179】
本発明のある特定の実施形態によれば、合成方法によって行われるアクションは、コンピュータプログラム命令によって実施される。そのため、合成デバイスSYNTは、コンピュータの従来のアーキテクチャを有し、具体的には、メモリMEMと、例えばプロセッサPROCを備え、メモリMEMに保存されたコンピュータプログラムPGによって駆動される処理装置UTとを含む。コンピュータプログラムPGは、プログラムがプロセッサPROCによって実行されると、上記のような合成方法のアクションを実施するための命令を含む。
【0180】
初期化に際して、コンピュータプログラムPGのコード命令が、プロセッサPROCによって実行される前に、例えばRAMメモリ(図示されない)にロードされる。処理装置UTのプロセッサPROCは、具体的には、コンピュータプログラムPGの命令に従って、上記の合成方法のアクションを実施する。
【0181】
適宜の復号方法に従って、画像I~IがデコーダDECによって事前に復号されている場合、
-合成デバイスSYNTは、図6Aに示されるように、デコーダDECの出力に配置され、又は
-合成デバイスSYNTは、図6Bに示されるように、デコーダDECの一部を成す。
【0182】
上記で説明した実施形態は、単に、完全に非限定的な記載として提供されたものであり、本発明の範囲から逸脱することなく、多数の変更形態が当業者によって簡単に行われ得ることは言うまでもない。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6A
図6B
【国際調査報告】