(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(54)【発明の名称】細胞を単離及び拡大する方法
(51)【国際特許分類】
C12N 5/0783 20100101AFI20220107BHJP
C12N 1/02 20060101ALI20220107BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220107BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20220107BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20220107BHJP
A61P 31/22 20060101ALI20220107BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20220107BHJP
【FI】
C12N5/0783
C12N1/02
A61P35/00
A61P31/12
A61P31/18
A61P31/22
A61K35/17 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021524445
(86)(22)【出願日】2019-11-08
(85)【翻訳文提出日】2021-07-02
(86)【国際出願番号】 GB2019053164
(87)【国際公開番号】W WO2020095058
(87)【国際公開日】2020-05-14
(32)【優先日】2018-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519391608
【氏名又は名称】ガンマデルタ セラピューティクス リミティッド
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】シュリスティ バンダリ
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル フローレンス
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ハットン
(72)【発明者】
【氏名】ルイーザ マシアス
(72)【発明者】
【氏名】オリバー ヌスバウマー
(72)【発明者】
【氏名】カレ ソダーストロム
(72)【発明者】
【氏名】マーク ウーデン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065AC12
4B065BA23
4B065BA25
4B065BA30
4B065BB19
4B065BC42
4B065BD14
4B065CA44
4C087AA04
4C087BB43
4C087DA20
4C087MA66
4C087NA20
4C087ZB26
4C087ZB33
(57)【要約】
本発明は、非造血組織試料からのリンパ球(特に、γδ T細胞)の単離方法であって、該非造血組織試料を、(a)インターロイキン-2(IL-2)又はインターロイキン-9(IL-9);(b)インターロイキン-15(IL-15);及び(c)インターロイキン-21(IL-21)の存在下で培養する工程;並びに該非造血組織試料から培養されたリンパ球の集団を回収する工程:を含む、方法に関する。その後の拡大方法、並びに該方法によって得られる単離された細胞の集団及びその使用が提供される。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非造血組織試料からのリンパ球の単離方法であって、
(i)該非造血組織試料を
(a)インターロイキン-2(IL-2)又はインターロイキン-9(IL-9);
(b)インターロイキン-15(IL-15);及び
(c)インターロイキン-21(IL-21)
:の存在下で培養する工程;並びに
(ii)該非造血組織試料から培養されたリンパ球の集団を回収する工程
:を含む、前記方法。
【請求項2】
非造血組織試料からのγδ T細胞の単離方法であって、
(i)該非造血組織試料を
(a)IL-2又はIL-9;
(b)IL-15;及び
(c)IL-21
:の存在下で培養する工程;並びに
(ii)該非造血組織試料から培養されたγδ T細胞の集団を回収する工程
:を含む、前記方法。
【請求項3】
工程(i)が前記非造血組織試料をインターロイキン-4(IL-4)の存在下で培養することをさらに含む、請求項1又は請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記非造血組織試料の培養物から回収されたリンパ球の集団がαβ T細胞の集団である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記非造血組織試料の培養物から回収されたリンパ球の集団がNK細胞の集団である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記リンパ球又はγδ T細胞が培養から少なくとも7日後に回収される、請求項1~5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
前記リンパ球又はγδ T細胞が培養から少なくとも14日後に回収される、請求項1~6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
前記リンパ球又はγδ T細胞が培養の35日前までに回収される、請求項1~7のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
前記リンパ球又はγδ T細胞が培養の21日前までに回収される、請求項1~8のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
前記非造血組織試料が無血清培地中で培養される、請求項1~9のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
前記非造血組織試料が血清又は血清代替品を含有する培地中で培養される、請求項1~9のいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
前記非造血組織試料が無傷の生検である、請求項1~11のいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
前記非造血組織試料が工程(i)の前に細砕されない、請求項1~12のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
前記非造血組織試料が少なくとも1mmの最小横断面を有する、請求項1~13のいずれか一項記載の方法。
【請求項15】
前記非造血組織試料が少なくとも2mmの最小横断面を有する、請求項1~14のいずれか一項記載の方法。
【請求項16】
前記非造血組織試料が約3mmの最小横断面を有する、請求項1~15のいずれか一項記載の方法。
【請求項17】
前記非造血組織試料が8mm以下の最大横断面を有する、請求項1~16のいずれか一項記載の方法。
【請求項18】
前記非造血組織試料が4mm以下の最大横断面を有する、請求項1~17のいずれか一項記載の方法。
【請求項19】
前記非造血組織試料が少なくとも1mm
2の最小横断面面積を有する、請求項1~18のいずれか一項記載の方法。
【請求項20】
前記非造血組織試料が少なくとも4mm
2の最小横断面面積を有する、請求項1~19のいずれか一項記載の方法。
【請求項21】
前記非造血組織試料が約7mm
2の横断面面積を有する、請求項1~20のいずれか一項記載の方法。
【請求項22】
前記非造血組織試料が64mm
2以下の最大横断面面積を有する、請求項1~21のいずれか一項記載の方法。
【請求項23】
前記非造血組織試料が50mm
2以下の最大横断面面積を有する、請求項1~22のいずれか一項記載の方法。
【請求項24】
前記非造血組織試料が16mm
2以下の最大横断面面積を有する、請求項1~23のいずれか一項記載の方法。
【請求項25】
前記非造血組織試料が直径少なくとも1mmのパンチ生検を含む、請求項1~24のいずれか一項記載の方法。
【請求項26】
前記非造血組織試料が直径少なくとも2mmのパンチ生検を含む、請求項1~25のいずれか一項記載の方法。
【請求項27】
前記非造血組織試料が直径約3mmのパンチ生検を含む、請求項1~26のいずれか一項記載の方法。
【請求項28】
前記非造血組織試料が直径8mm以下のパンチ生検を含む、請求項1~27のいずれか一項記載の方法。
【請求項29】
前記非造血組織試料が直径4mm以下のパンチ生検を含む、請求項1~28のいずれか一項記載の方法。
【請求項30】
前記非造血組織試料が皮膚である、請求項1~29のいずれか一項記載の方法。
【請求項31】
前記非造血組織試料が上皮及び真皮層を含む、請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記非造血組織試料が胃腸又は消化管である、請求項1~31のいずれか一項記載の方法。
【請求項33】
前記方法がガス透過性材料を含む容器中で実施される、請求項1~32のいずれか一項記載の方法。
【請求項34】
前記容器がガス交換を可能にするためのガス透過性材料を含む液体密閉容器を含む、請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記容器の底が該容器の底からのガス交換を可能にするように構成される、請求項33又は請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記非造血組織試料が前記容器の内側の合成スキャフォールド上に配置される、請求項33~35のいずれか一項記載の方法。
【請求項37】
前記合成スキャフォールドがタンタルコーティングされている、請求項36記載の方法。
【請求項38】
前記合成スキャフォールドが前記非造血組織試料から前記容器の底へのリンパ球脱出を促進するように構成されている、請求項36又は請求項37記載の方法。
【請求項39】
前記合成スキャフォールドが前記非造血組織試料から前記容器の底へのγδ T細胞脱出を促進するように構成されている、請求項36又は請求項37記載の方法。
【請求項40】
前記非造血組織試料がヒトから得られたものである、請求項1~39のいずれか一項記載の方法。
【請求項41】
前記IL-2がヒトIL-2又はその機能的等価物である、請求項1~40のいずれか一項記載の方法。
【請求項42】
前記IL-9がヒトIL-9又はその機能的等価物である、請求項1~41のいずれか一項記載の方法。
【請求項43】
前記IL15がヒトIL-15又はその機能的等価物である、請求項1~42のいずれか一項記載の方法。
【請求項44】
前記IL-21がヒトIL-21又はその機能的等価物である、請求項1~43のいずれか一項記載の方法。
【請求項45】
前記IL-4がヒトIL-4又はその機能的等価物である、請求項1~44のいずれか一項記載の方法。
【請求項46】
前記単離された細胞の集団がVδ1 T細胞の集団を含む、請求項1~45のいずれか一項記載の方法。
【請求項47】
前記Vδ1 T細胞の集団がCD27を発現し、かつ/又はTIGITを実質的に発現しない、請求項46記載の方法。
【請求項48】
前記Vδ1 T細胞の集団が80%未満の頻度のTIGIT+細胞を有する、請求項46又は請求項47記載の方法。
【請求項49】
前記Vδ1 T細胞の集団が60%未満の頻度のTIGIT+細胞を有する、請求項46~48のいずれか一項記載の方法。
【請求項50】
前記Vδ1 T細胞の集団が約40%の頻度のTIGIT+細胞を有する、請求項46~49のいずれか一項記載の方法。
【請求項51】
前記Vδ1 T細胞の集団が約30%の頻度のTIGIT+細胞を有する、請求項46~50のいずれか一項記載の方法。
【請求項52】
前記Vδ1 T細胞の集団が約20%の頻度のTIGIT+細胞を有する、請求項46~51のいずれか一項記載の方法。
【請求項53】
前記Vδ1 T細胞の集団が約10%の頻度のTIGIT+細胞を有する、請求項46~52のいずれか一項記載の方法。
【請求項54】
前記Vδ1 T細胞の集団がTIGITを実質的に発現しない、請求項46~53のいずれか一項記載の方法。
【請求項55】
前記Vδ1 T細胞の集団が10%超の頻度のCD27+細胞を有する、請求項46~54のいずれか一項記載の方法。
【請求項56】
前記Vδ1 T細胞の集団が20%超の頻度のCD27+細胞を有する、請求項46~55のいずれか一項記載の方法。
【請求項57】
前記Vδ1 T細胞の集団が約40%の頻度のCD27+細胞を有する、請求項46~56のいずれか一項記載の方法。
【請求項58】
前記Vδ1 T細胞の集団が約80%の頻度のCD27+細胞を有する、請求項46~57のいずれか一項記載の方法。
【請求項59】
前記Vδ1 T細胞の集団が80%超の頻度のCD27+細胞を有する、請求項46~58のいずれか一項記載の方法。
【請求項60】
前記Vδ1 T細胞の集団がCD27を発現する、請求項46~59のいずれか一項記載の方法。
【請求項61】
前記単離されたリンパ球又はγδ T細胞の集団を拡大することをさらに含む、請求項1~60のいずれか一項記載の方法。
【請求項62】
非造血組織試料からのリンパ球の単離及び拡大方法であって、
(i)請求項1~61のいずれか一項記載の方法に従って、該非造血組織試料からリンパ球の集団を単離する工程;及び
(ii)該リンパ球の集団を少なくとも5日間さらに培養して、拡大されたリンパ球の集団を産生する工程
:を含む、前記方法。
【請求項63】
非造血組織試料からのγδ T細胞の単離及び拡大方法であって、
(i)請求項1~62のいずれか一項記載の方法に従って、該非造血組織試料からγδ T細胞の集団を単離する工程;及び
(ii)該γδ T細胞の集団を少なくとも5日間さらに培養して、拡大されたγδ T細胞の集団を産生する工程
:を含む、前記方法。
【請求項64】
前記拡大工程が、前記γδ T細胞を、
(a)IL-2又はIL-9;
(b)IL-15;及び
(c)IL-21
:の存在下、拡大されたγδ T細胞の集団を産生するのに有効な量で、少なくとも5日間培養することを含む、請求項62又は請求項63記載の方法。
【請求項65】
前記γδ T細胞をIL-4の存在下で培養することをさらに含む、請求項64記載の方法。
【請求項66】
前記拡大工程が前記リンパ球又はγδ T細胞を無血清培地中で培養することを含む、請求項61~65のいずれか一項記載の方法。
【請求項67】
前記拡大工程が、前記リンパ球又はγδ T細胞を、血清又は血清代替品を含有する培地中で培養することを含む、請求項61~65のいずれか一項記載の方法。
【請求項68】
前記拡大工程が前記γδ T細胞を実質的な間質細胞接触の非存在下で培養することを含む、請求項63~67のいずれか一項記載の方法。
【請求項69】
前記拡大工程が外因性TCR経路アゴニストの欠如を含む、請求項63~68のいずれか一項記載の方法。
【請求項70】
請求項1~60のいずれか一項記載の方法によって得られる、単離されたリンパ球集団。
【請求項71】
請求項1~60のいずれか一項記載の方法によって得ることができる、単離されたリンパ球集団。
【請求項72】
請求項1~60のいずれか一項記載の方法によって得られる、単離されたγδ T細胞集団。
【請求項73】
請求項1~60のいずれか一項記載の方法によって得ることができる、単離されたγδ T細胞集団。
【請求項74】
請求項61~67のいずれか一項記載の方法によって得られる、単離及び拡大されたリンパ球集団。
【請求項75】
請求項61~67のいずれか一項記載の方法によって得ることができる、単離及び拡大されたリンパ球集団。
【請求項76】
請求項61~69のいずれか一項記載の方法によって得られる、単離及び拡大されたγδ T細胞集団。
【請求項77】
請求項61~69のいずれか一項記載の方法によって得ることができる、単離及び拡大されたγδ T細胞集団。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、非造血組織常駐リンパ球、特に、γδ T細胞の単離及び/又は拡大方法に関する。そのようなγδ T細胞としては、非Vδ2細胞、例えば、Vδ1、Vδ3、及びVδ5細胞が挙げられ、そのような非造血組織としては、皮膚及び胃腸が挙げられる。そのような単離及び/又は拡大された非造血組織常駐リンパ球は、養子T細胞療法、キメラ受容体療法などにおいて非常に有用であることが理解されるであろう。本発明はまた、本明細書に記載される方法によって産生される個々の細胞と細胞の集団の両方に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
癌のT細胞免疫療法への高まる関心は、癌細胞を認識し、かつ特に、PD-1、CTLA-4、及び他の受容体によってもたらされる阻害経路の臨床的に媒介される拮抗作用によって脱抑制された場合、宿主防御的な機能的潜在能力を媒介するCD8+及びCD4+ αβ T細胞のサブセットの明らかな能力に集中している。しかしながら、αβ T細胞は、MHC拘束性であり、これにより、移植片対宿主病がもたらされることがある。
【0003】
ガンマデルタT細胞(γδ T細胞)は、その表面に、特徴のある決定的γδ T細胞受容体(TCR)を発現するT細胞のサブセットに相当する。このTCRは、1つのガンマ(γ)鎖と1つのデルタ(δ)鎖から構成される。ヒトγδ TCR鎖は、Vδ1、Vδ2、及びVδ3という3つの主なδ鎖と6つのγ鎖から選択される。特定のγ及びδタイプが、専らというわけではないが、多くの場合、1以上の組織型で、細胞に見られるので、ヒトγδ T細胞は、そのTCR鎖に基づいて大きく分類することができる。例えば、ほとんどの血液常駐γδ T細胞は、Vδ2 TCR、例えば、Vγ9Vδ2を発現するが、これは、組織常駐γδ T細胞の間であまり一般的ではなく、該組織常駐γδ T細胞は、多くの場合、皮膚ではVδ1を、胃腸ではVγ4を使用する。
【0004】
リンパ球を単離する方法の大半は、これらの細胞型を血液から単離することに依存している。αβ T細胞、γδ T細胞、及びNK細胞などの非造血組織常駐リンパ球は、特定の用途に、例えば、非造血性腫瘍及び他の標的を標的とするのに特に好適な特性を有し得る。しかしながら、そのような組織常駐リンパ球を臨床的に意義のある量で単離することは、特に、108細胞以上の範囲に及ぶ臨床用量が多くの適応に必要とされる場合、依然として課題となっている。重要なことに、産生時の顕著な細胞損失は、さらにより多くの出発細胞を生成させなければならないことを意味する。
【0005】
非造血組織常駐リンパ球、特に、αβ T細胞、γδ T細胞、及びNK細胞は、容易に多数得ることができないので、これらは、治療的応用のために十分に特徴解析されることも、研究されることもなかった。それゆえ、非造血組織常駐リンパ球、特に、γδ T細胞を、研究し、かつ療法として、例えば、養子T細胞療法として潜在的に適応させるのに十分な量まで単離及び拡大する方法がこの分野で必要とされている。
【0006】
Clarkらの文献(2006) J. Invest. Dermatol. 126(5): 1059-70には、正常皮膚及び罹患皮膚から皮膚常駐T細胞を単離する方法が記載されている。しかしながら、その中で記載されている方法は、動物産物の存在が原因ではあるが、特に、単離される細胞の収率が比較的低い、すなわち、組織1cm2当たり細胞が106個未満であるために、臨床使用に適さない。Clarkらの文献に記載されている方法では、細砕された試料が使用されており、これにより、組織試料の構造的完全性の意図的な破壊がもたらされる。WO2017072367号及びWO2018/202808号は、非造血組織から得られたリンパ球を少なくともインターロイキン-2(IL-2)及び/又はインターロイキン-15(IL-15)の存在下で培養することにより、インビトロで非造血組織常駐γδ T細胞を拡大する方法に関する。WO2015189356号には、IL-2、IL-15、及びIL-21から選択される少なくとも2種類のサイトカインを含む、アフェレーシスによって得られた試料から得られたリンパ球を拡大するための組成物が記載されている。それゆえ、組織常駐の非造血性リンパ球を、例えば、皮膚から単離する方法であって、臨床使用に好適であるより多くの量の細胞を産出する方法が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
(発明の概要)
本発明の第一の態様によれば、非造血組織試料からのリンパ球の単離方法であって、
(i)該非造血組織試料を
(a)インターロイキン-2(IL-2)又はインターロイキン-9(IL-9);
(b)インターロイキン-15(IL-15);及び
(c)インターロイキン-21(IL-21)
:の存在下で培養する工程;並びに
(ii)該非造血組織試料から培養されたリンパ球の集団を回収する工程
:を含む、方法が提供される。
【0008】
本発明のさらなる態様によれば、非造血組織試料からのγδ T細胞の単離方法であって、
(i)該非造血組織試料を
(a)IL-2又はIL-9;
(b)IL-15;及び
(c)IL-21
:の存在下で培養する工程;並びに
(ii)該非造血組織試料から培養されたγδ T細胞の集団を回収する工程
:を含む、方法が提供される。
【0009】
本発明のさらなる態様によれば、非造血組織試料からのリンパ球の単離及び拡大方法であって、
(i)本明細書で定義される方法に従って、該非造血組織試料からリンパ球の集団を単離する工程;及び
(ii)該リンパ球の集団を少なくとも5日間さらに培養して、拡大されたリンパ球の集団を産生する工程
:を含む、方法が提供される。
【0010】
本発明のさらなる態様によれば、非造血組織試料からのγδ T細胞の単離及び拡大方法であって、
(i)本明細書で定義される方法に従って、該非造血組織試料からγδ T細胞の集団を単離する工程;及び
(ii)該γδ T細胞の集団を少なくとも5日間さらに培養して、拡大されたγδ T細胞の集団を産生する工程
:を含む、方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
(図面の簡単な説明)
【
図1】
図1: A:全細胞収率及びγδ T細胞とVδ1細胞の割合を、2つのサイトカイン(IL-2及びIL-15)並びに4つのサイトカイン(IL-2、IL-4、IL-15、及びIL-21)を用いる単離方法について決定した。B: 2サイトカイン法と比較したパーセンテージとして示される、4サイトカイン法を用いて得られたγδ T細胞とVδ1細胞の割合。
【
図2】
図2: A:全細胞収率を、G-REX6中のAIM-V培地+5%血清代替品中の2つのサイトカイン「2CK」(IL-2及びIL-15)、3つのサイトカイン「3CK」((IL-2、IL-15、及びIL-21)、並びに4つのサイトカイン「4CK」(IL-2、IL-4、IL-15、及びIL-21)を用いる単離方法について決定した。B:γδ T細胞の割合、及びC:γδ T細胞のVδ1細胞の割合も示されている。
【
図3】
図3: 24ウェルプレート中の5%ヒトAB血清を含むAIM-V中で2CK及び4CK法を用いて単離されたVδ1細胞の表現型を、TIGIT及びCD27発現のパーセンテージを測定することにより解析した。
【
図4】
図4: G-REX6中の(AIM-V培地+5%血清代替品中で2CK、3CK、及び4CK法を用いて単離されたVδ1細胞の表現型を、A: CD27発現のパーセンテージ、及びB: TIGIT発現のパーセンテージを測定することにより解析した。
【
図5】
図5: 3mmパンチ生検及び標準的な皮膚細砕法からの全細胞収率を比較する最初の試験。
【
図6】
図6:スカルペルで標本採取された細砕された対照と比較した、24ウェルプレート中の5%ヒトAB血清を含むAIM-V中の様々なサイズの単離されたパンチ生検からのγδ細胞収率。
【
図7】
図7: 5%ヒトAB血清を含むAIM-Vを含む様々な培養容器を用いた生検当たりの全細胞収率(上のグラフ)及びプレート当たりの全細胞収率(下のグラフ)。
【
図8】
図8: 2サイトカイン、3サイトカイン、及び4サイトカイン単離プロトコルを用いて単離された細胞におけるCD27発現レベル。
【
図9】
図9: 10%ヒトAB血清(グラフの左側の結果)又は5%血清代替品(グラフの右側の結果)を含有する培地中のG-REX6中で2CK法及び4CK法を用いて単離されたVδ1細胞の表現型を、A: CD27発現のパーセンテージ及びB: TIGIT発現のパーセンテージを測定することにより解析した。C: 10%ヒトAB血清を含有する培地中で2CK法及び4CK法を用いて単離されたαβ T細胞(CD3+、汎γδ-細胞)でPD-1発現も測定した。
【
図10】
図10:実施例6に記載されている単離方法において使用された様々な培地の比較を示すグラフ。
【
図11】
図11: G-REX6中の表示された血清サプリメントを含むAIM-V中での2週間(上のグラフ)又は3週間(下のグラフ)の単離の後の全細胞収率の比較。
【
図12】
図12: G-REX6中の5%又は10%の5%血清代替品(SR)対ヒトAB血清(AB)を含有するAIM-V培地を用いて単離されたVδ1細胞の全細胞収率及び割合。
【
図13】
図13: A: 2CK法又はB: 4CK法を用いて単離され、その後、4CK法を用いて拡大された集団における細胞型の分布。
【
図14】
図14: 2CK法又は4CK法を用いて単離され、その後、4CK法を用いて拡大されたVδ1細胞の様々なマーカーの発現の解析。
【
図15】
図15: 2CK法又は4CK法を用いて単離され、その後、4CK法を用いて拡大されたγδ細胞及びVδ1細胞の総数。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(発明の詳細な説明)
本発明の第一の態様によれば、非造血組織試料からのリンパ球の単離方法であって、
(i)該非造血組織試料を
(a)インターロイキン-2(IL-2)又はインターロイキン-9(IL-9);
(b)インターロイキン-15(IL-15);及び
(c)インターロイキン-21(IL-21)
:の存在下で培養する工程;並びに
(ii)該非造血組織試料から培養されたリンパ球の集団を回収する工程
:を含む、方法が提供される。
【0013】
本発明のさらなる態様によれば、非造血組織試料からのγδ T細胞の単離方法であって、
(i)該非造血組織試料を
(a)IL-2又はIL-9;
(b)IL-15;及び
(c)IL-21
:の存在下で培養する工程;並びに
(ii)該非造血組織試料から培養されたγδ T細胞の集団を回収する工程
:を含む、方法が提供される。
【0014】
細胞、特に、リンパ球及び/又はγδ T細胞の「単離(isolation)」又は「単離(isolating)」に対する本明細書中の言及は、細胞が、組織又は細胞のプールから除去されるか、分離されるか、純化されるか、濃縮されるか、又は別の形で取り出される方法又はプロセスを指す。そのような言及は、「分離された」、「除去された」、「純化された」、「濃縮された」という用語及び同様の用語を含むことが理解されるであろう。γδ T細胞の単離は、無傷の非造血組織試料からの又は非造血組織の間質細胞(例えば、線維芽細胞もしくは上皮細胞)からの細胞の単離又は分離を含む。そのような単離は、その代わりに又はそれに加えて、他の造血細胞(例えば、αβ T細胞又は他のリンパ球)からのγδ T細胞の単離又は分離を含み得る。単離は、規定の期間のもの、例えば、組織外植片又は生検が単離培養物に入れられるときから始まって、細胞が、例えば、遠心分離もしくは単離された細胞集団を拡大培養に移すための他の手段によって培養物から回収されるか、又は他の目的で使用されるか、或いはもとの組織外植片又は生検が培養物から除去されるときに終わるものであってもよい。単離工程は、少なくとも約3日~約45日間であってもよい。一実施態様において、単離工程は、少なくとも約10日~少なくとも28日間である。さらなる実施態様において、単離工程は、少なくとも14日~少なくとも21日間である。それゆえ、単離工程は、少なくとも3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、31日、32日、約35日、約40日、又は約45日間であってもよい。この単離工程の間、単離された細胞の増殖は大したものではない可能性があるが、該細胞の増殖が必ずしも存在しないというわけではないということを理解することができる。実際、一部の当業者について、単離された細胞が分裂し始めて、複数のそのような細胞を組織及び/又はスキャフォールドを含有する単離容器内で生成することもできることが認識される。
【0015】
したがって、「単離されたγδ T細胞」、「単離されたγδ T細胞集団」、「単離されたγδ T細胞の集団」、「分離されたγδ T細胞」、「分離されたγδ T細胞集団」、又は「分離されたγδ T細胞の集団」に対する本明細書中の言及は、該細胞が非造血細胞又は無傷の非造血組織内に含まれる細胞と実質的に接触しないように、起源の非造血組織試料から単離されたか、分離されたか、除去されたか、純化されたか、又は濃縮されたγδ細胞を含む造血細胞又は造血細胞の集団を指すことが理解されるであろう。同様に、「単離された又は分離されたVδ1 T細胞の集団」に対する本明細書中の言及は、該細胞が非造血細胞又は無傷の非造血組織内に含まれる細胞と実質的に接触しないように、起源の非造血組織試料から単離されたか、分離されたか、除去されたか、純化されたか、又は濃縮されたVδ1 T細胞を含む造血細胞を指す。それゆえ、単離又は分離は、非造血細胞(例えば、間質細胞、繊維芽細胞、及び/又は上皮細胞)からの造血細胞(例えば、γδ T細胞又は他のリンパ球)の単離、分離、除去、純化、又は濃縮を指す。
【0016】
本明細書で定義されるγδ T細胞の単離方法は、組織の破壊(例えば、細砕)と、その後の他の細胞型からのγδ T細胞の分離を含むことができる。好ましくは、本明細書で定義されるγδ T細胞の単離方法は、無傷の非造血組織試料又は外植片もしくは生検の組織マトリックスからのγδ T細胞及び他の細胞型の「這い出し」を含むことができ、ここで、組織常駐リンパ球は、組織マトリックスの破壊を必要とせずに、組織マトリックスから物理的に離れる。組織マトリックスの完全性を維持することにより、驚くべきことに、組織常駐リンパ球が、後に単離の終了時に容易に除去することができる、外植片又は生検中に保持される、線維芽細胞などの阻害性細胞型の脱出をほとんど又は全く伴わずに、組織マトリックスから優先的に脱出することが分かった。したがって、いくつかの実施態様において、無傷の非造血組織試料又は組織マトリックスの使用により、少数の線維芽細胞が組織から培養物中に放出される。無傷の非造血組織又は組織マトリックスを利用するそのような「這い出し」法は、非造血組織試料又は組織マトリックスの過剰な処理の必要性を低下させるという利点を有し、非造血組織又は組織マトリックスの構造的完全性を維持し、かつより高い単離細胞収率をもたらすという予想外の利点を提供することができる。
【0017】
したがって、本明細書で定義される非造血組織由来リンパ球の単離方法は、非造血組織の無傷の生検又は外植片から非造血組織由来リンパ球を単離する方法を含む。そのような無傷の生検又は外植片は、生検又は外植片の構造的完全性が該生検又は外植片を組織試料から除去する切除の外周内で意図的に破壊されていないものである。そのような無傷の生検又は外植片は、操作によって生じる小さな破壊を除いて、大部分は維持される三次元構造を有する。それゆえ、この無傷の生検又は外植片は、例えば、細砕もしくは細断によって機械的に破壊されていることも、例えば、化学的に酵素的に破壊されていることもない。しかしながら、破壊された組織を本発明の単離方法で使用してもよい。一実施態様において、単離されたリンパ球は、αβ T細胞である。代わりの実施態様において、単離されたリンパ球は、γδ T細胞である。別の実施態様において、単離されたリンパ球は、NK細胞である。複数のタイプのリンパ球を同じ単離工程から単離し得るということを理解することができる。
【0018】
「這い出し」を利用するγδ T細胞の単離方法又は例えば、本明細書で定義される方法は、本明細書で定義されるγδ T細胞及び/又は他のリンパ球の単離又は分離を誘導するのに十分なサイトカイン及び/又はケモカインの存在下での細胞及び/又は非造血組織試料の培養を含むことができる。したがって、本発明の一実施態様において、非造血組織試料からのγδ T細胞の単離は、IL-2、IL-15、及びIL-21の存在下で非造血組織試料を培養することを含む。代わりの実施態様において、非造血組織試料からのγδ T細胞の単離は、IL-9、IL-15、及びIL-21の存在下で非造血組織試料を培養することを含む。
【0019】
一実施態様において、本発明の第一の態様によるγδ T細胞の単離は、インターロイキン-4(IL-4)の存在下で非造血組織試料を培養することをさらに含む。したがって、さらなる実施態様において、非造血組織試料は、IL-2、IL-15、IL-21、及びIL-4の存在下で培養される。代わりのさらなる実施態様において、非造血組織試料は、IL-9、IL-15、IL-21、及びIL-4の存在下で培養される。
【0020】
本明細書で使用される場合、「IL-2」は、1以上のIL-2受容体(IL-2R)サブユニットのアゴニスト(例えば、その突然変異体、ムテイン、類似体、サブユニット、受容体複合体、断片、アイソフォーム、及びペプチドミメティックス)として作用する天然又は組換えIL-2又はその変異体を指す。そのような作用因子は、IL-2依存性細胞株であるCTLL-2(33;アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)(ATCC(登録商標)) TIB 214)の増殖を支持することができる。成熟ヒトIL-2は、Fujitaらの文献、Cell 1986. 46.3:401-407に記載されているように、133個のアミノ酸配列(追加の20個のN-末端アミノ酸からなるシグナルペプチドを差し引く)として生じる。IL-2ムテインは、インターロイキン-2タンパク質に対する特定の置換が行われている一方で、IL-2Rβに結合する能力を保持しているポリペプチド、例えば、US 2014/0046026号に記載されているポリペプチドである。IL-2ムテインは、天然のIL-2ポリペプチド鎖の他の残基における1以上の部位でのアミノ酸挿入、欠失、置換、及び修飾によって特徴付けることができる。本開示によれば、任意のそのような挿入、欠失、置換、及び修飾により、IL-2Rβ結合活性を保持するIL-2ムテインが生じる。例示的なムテインは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、又はそれより多くのアミノ酸の置換を含むことができる。
【0021】
ヒトIL-2をコードする核酸は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの従来の手順によって得ることができる。ヒトIL-2のアミノ酸配列(Gene ID 3558)は、Genbankにおいて、NP_000577.2 GI: 28178861というアクセッションロケータで見出される。マウス(murine)(マウス(Mus musculus)) IL-2アミノ酸配列(Gene ID 16183)は、Genbankにおいて、NP_032392.1 GI: 7110653というアクセッションロケータで見出される。
【0022】
IL-2は、例えば、ヒト、サル、ウシ、ブタ、ウマ、及びマウスを含む、種々の哺乳動物種に由来するIL-2を指すこともできる。変異体は、保存的に置換された配列を含むことができ、所与のアミノ酸残基が類似の物理化学的特徴を有する残基に置き換えられていることを意味する。保存的置換の例としては、ある脂肪族残基の別のものへの置換、例えば、Ile、Val、Leu、もしくはAlaの相互置換、又はある極性残基の別のものへの置換、例えば、LysとArgの間の置換; GluとAspの間の置換;もしくはGlnとAsnの間の置換が挙げられる。他のそのような保存的置換、例えば、類似の疎水性特徴を有する領域全体の置換が周知である。天然のIL-2変異体も本発明によって包含される。そのような変異体の例は、交互のmRNAスプライシング事象によるか又はIL-2タンパク質のタンパク質分解的切断によって生じるタンパク質であり、ここで、IL-2結合特性は保持される。mRNAの交互のスプライシングは、切断されているが、生物学的に活性のあるIL-2タンパク質を生じ得る。タンパク質分解に起因する変異には、例えば、IL-2タンパク質からの1以上の末端アミノ酸(通常、1~10個のアミノ酸)のタンパク質分解的除去による、様々なタイプの宿主細胞における発現時のN-又はC-末端の違いが含まれる。いくつかの実施態様において、タンパク質の末端又は内部を、例えば、ポリエチレングリコールなどの化学基で修飾して、その物理的特性を変化させることができる(Yangらの文献、Cancer 1995. 76: 687-694)。いくつかの実施態様において、タンパク質の末端又は内部を追加のアミノ酸で修飾することができる(Clark-Lewisらの文献、PNAS 1993. 90:3574-3577)。
【0023】
本明細書で使用される場合、「IL-15」は、1以上のIL-15受容体(IL-15R)サブユニットのアゴニスト(例えば、その突然変異体、ムテイン、類似体、サブユニット、受容体複合体、断片、アイソフォーム、及びペプチドミメティックス)として作用する天然又は組換えIL-15又はその変異体を指す。IL-15は、IL-2と同様、IL-2依存性細胞株であるCTLL-2の増殖を支持することができる公知のT細胞成長因子である。IL-15は、114個のアミノ酸の成熟タンパク質として、Grabsteinらの文献(Grabsteinらの文献、Science 1994. 264.5161: 965-969)により最初に報告された。本明細書で使用される「IL-15」という用語は、天然又は組換えIL-15及びそのムテイン、類似体、サブユニット、もしくはこれらの複合体(例えば、受容体複合体、例えば、WO 2007/046006号に記載されているsushiペプチド)を意味し、その各々は、CTLL-2細胞の増殖を刺激することができる。CTLL-2増殖アッセイにおいて、組換え発現された前駆体及び成熟型のIL-15のインフレーム融合体でトランスフェクトされた細胞の上清は、CTLL-2細胞増殖を誘導することができる。
【0024】
ヒトIL-15は、Grabsteinらの文献(Grabsteinらの文献、Science 1994. 264.5161: 965-969)によって記載されている手順に従うか、又はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの従来の手順によって得ることができる。ヒトIL-15 cDNAの寄託は、1993年2月19日にATCC(登録商標)で行われ、アクセッション番号69245で帰属された。
【0025】
ヒトIL-15のアミノ酸配列(Gene ID 3600)は、Genbankにおいて、NP000576.1 GI: 10835153(アイソフォーム1)及びNP_751915.1 GI: 26787986(アイソフォーム2)というアクセッションロケータで見出される。マウス(murine)(マウス(Mus musculus)) IL-15アミノ酸配列(Gene ID 16168)は、Genbankにおいて、NP_001241676.1 GI: 363000984というアクセッションロケータで見出される。
【0026】
IL-15は、例えば、ヒト、サル、ウシ、ブタ、ウマ、及びマウスを含む、種々の哺乳動物種に由来するIL-15を指すこともできる。本明細書で言及されるIL-15「ムテイン」又は「変異体」は、天然の哺乳動物IL-15の配列と実質的に相同であるが、アミノ酸の欠失、挿入、又は置換が理由で、天然の哺乳動物IL-15ポリペプチドとは異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドである。変異体は、保存的に置換された配列を含むことができ、所与のアミノ酸残基が類似の物理化学的特徴を有する残基に置き換えられていることを意味する。保存的置換の例としては、ある脂肪族残基の別のものへの置換、例えば、Ile、Val、Leu、もしくはAlaの相互置換、又はある極性残基の別のものへの置換、例えば、LysとArgの間の置換; GluとAspの間の置換;もしくはGlnとAsnの間の置換が挙げられる。他のそのような保存的置換、例えば、類似の疎水性特徴を有する領域全体の置換が周知である。天然のIL-15変異体も本発明によって包含される。そのような変異体の例は、交互のmRNAスプライシング事象によるか又はIL-15タンパク質のタンパク質分解的切断から生じるタンパク質であり、ここで、IL-15結合特性は保持される。mRNAの交互のスプライシングは、切断されているが、生物学的に活性のあるIL-15タンパク質を生じ得る。タンパク質分解に起因する変異には、例えば、IL-15タンパク質からの1以上の末端アミノ酸(通常、1~10個のアミノ酸)のタンパク質分解的除去による、様々なタイプの宿主細胞における発現時のN-又はC-末端の違いが含まれる。いくつかの実施態様において、タンパク質の末端を、例えば、ポリエチレングリコールなどの化学基で修飾して、その物理的特性を変化させることができる(Yangらの文献、Cancer 1995. 76: 687-694)。いくつかの実施態様において、タンパク質の末端又は内部を追加のアミノ酸で修飾することができる(Clark-Lewisらの文献、PNAS 1993. 90:3574-3577)。
【0027】
本明細書で使用される場合、「IL-4」は、1以上のIL-4受容体(IL-4R)サブユニットのアゴニスト(例えば、その突然変異体、ムテイン、類似体、サブユニット、受容体複合体、断片、アイソフォーム、及びペプチドミメティックス)として作用する天然又は組換えIL-4又はその変異体を指す。そのような作用因子は、ナイーブヘルパーT細胞(Th0細胞)からTh2細胞への分化を支持することができる。成熟ヒトIL-4は、129個のアミノ酸配列(追加の24個のN-末端アミノ酸からなるシグナルペプチドを差し引く)として生じる。IL-4ムテインは、インターロイキン-4タンパク質に対する特定の置換が行われている一方で、IL-4Rαに結合する能力を保持しているポリペプチド、例えば、米国特許第6,313,272号に記載されているポリペプチドである。IL-4ムテインは、天然のIL-4ポリペプチド鎖の他の残基の1以上の部位におけるアミノ酸挿入、欠失、置換、及び修飾によって特徴付けることができる。本開示によれば、任意のそのような挿入、欠失、置換、及び修飾により、IL-2Rα結合活性を保持するIL-4ムテインが生じる。例示的なムテインは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、又はそれより多くのアミノ酸の置換を含むことができる。
【0028】
ヒトIL-4をコードする核酸は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの従来の手順によって得ることができる。ヒトIL-4(Gene ID 3565)のアミノ酸配列は、Genbankにおいて、NG_023252というアクセッションロケータで見出される。マウス(murine)(マウス(Mus musculus)) IL-4アミノ酸配列(Gene ID 16189)は、Genbankにおいて、NC_000077.6というアクセッションロケータで見出される。
【0029】
IL-4は、例えば、ヒト、サル、ウシ、ブタ、ウマ、及びマウスを含む、種々の哺乳動物種に由来するIL-4を指すこともできる。変異体は、保存的に置換された配列を含むことができ、所与のアミノ酸残基が類似の物理化学的特徴を有する残基に置き換えられていることを意味する。保存的置換の例としては、ある脂肪族残基の別のものへの置換、例えば、Ile、Val、Leu、もしくはAlaの相互置換、又はある極性残基の別のものへの置換、例えば、LysとArgの間の置換; GluとAspの間の置換;もしくはGlnとAsnの間の置換が挙げられる。他のそのような保存的置換、例えば、類似の疎水性特徴を有する領域全体の置換が周知である。天然のIL-4変異体も本発明によって包含される。そのような変異体の例は、交互のmRNAスプライシング事象によるか又はIL-4タンパク質のタンパク質分解的切断から生じるタンパク質であり、ここで、IL-4結合特性は保持される。mRNAの交互のスプライシングは、切断されているが、生物学的に活性のあるIL-4タンパク質を生じ得る。タンパク質分解に起因する変異には、例えば、IL-4タンパク質からの1以上の末端アミノ酸(通常、1~10個のアミノ酸)のタンパク質分解的除去による、様々なタイプの宿主細胞における発現時のN-又はC-末端の違いが含まれる。いくつかの実施態様において、タンパク質の末端を、例えば、ポリエチレングリコールなどの化学基で修飾して、その物理的特性を変化させることができる(Yangらの文献、Cancer 1995. 76: 687-694)。いくつかの実施態様において、タンパク質の末端又は内部を追加のアミノ酸で修飾することができる(Clark-Lewisらの文献、PNAS 1993. 90:3574-3577)。
【0030】
本明細書で使用される場合、「IL-21」は、1以上のIL-21受容体(IL-21R)サブユニットのアゴニスト(例えば、その突然変異体、ムテイン、類似体、サブユニット、受容体複合体、断片、アイソフォーム、及びペプチドミメティックス)として作用する天然又は組換えIL-21又はその変異体を指す。そのような作用因子は、ナチュラルキラー(NK)及び細胞傷害性(CD8+) T細胞の増殖を支持することができる。成熟ヒトIL-21は、133個のアミノ酸配列(追加の22個のN-末端アミノ酸からなるシグナルペプチドを差し引く)として生じる。IL-21ムテインは、インターロイキン-21タンパク質に対する特定の置換が行われている一方で、IL-21Rαに結合する能力を保持しているポリペプチド、例えば、米国特許第9,388,241号に記載されているポリペプチドである。IL-21ムテインは、天然のIL-21ポリペプチド鎖の他の残基の1以上の部位におけるアミノ酸挿入、欠失、置換、及び修飾によって特徴付けることができる。本開示によれば、任意のそのような挿入、欠失、置換、及び修飾により、IL-21R結合活性を保持するIL-21ムテインが生じる。例示的なムテインは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、又はそれより多くのアミノ酸の置換を含むことができる。
【0031】
ヒトIL-21をコードする核酸は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの従来の手順によって得ることができる。ヒトIL-21(Gene ID 59067)のアミノ酸配列は、Genbankにおいて、NC_000004.12というアクセッションロケータで見出される。マウス(murine)(マウス(Mus musculus)) IL-21 アミノ酸配列(Gene ID 60505)は、Genbankにおいて、NC_000069.6というアクセッションロケータで見出される。
【0032】
IL-21は、例えば、ヒト、サル、ウシ、ブタ、ウマ、及びマウスを含む、種々の哺乳動物種に由来するIL-21を指すこともできる。変異体は、保存的に置換された配列を含むことができ、所与のアミノ酸残基が類似の物理化学的特徴を有する残基に置き換えられていることを意味する。保存的置換の例としては、ある脂肪族残基の別のものへの置換、例えば、Ile、Val、Leu、もしくはAlaの相互置換、又はある極性残基の別のものへの置換、例えば、LysとArgの間の置換; GluとAspの間の置換;もしくはGlnとAsnの間の置換が挙げられる。他のそのような保存的置換、例えば、類似の疎水性特徴を有する領域全体の置換が周知である。天然のIL-21変異体も本発明によって包含される。そのような変異体の例は、交互のmRNAスプライシング事象によるか又はIL-21タンパク質のタンパク質分解的切断から生じるタンパク質であり、ここで、IL-21結合特性は保持される。mRNAの交互のスプライシングは、切断されているが、生物学的に活性のあるIL-21タンパク質を生じ得る。タンパク質分解に起因する変異には、例えば、IL-21タンパク質からの1以上の末端アミノ酸(通常、1~10個のアミノ酸)のタンパク質分解的除去による、様々なタイプの宿主細胞における発現時のN-又はC-末端の違いが含まれる。いくつかの実施態様において、タンパク質の末端を、例えば、ポリエチレングリコールなどの化学基で修飾して、その物理的特性を変化させることができる(Yangらの文献、Cancer 1995. 76: 687-694)。いくつかの実施態様において、タンパク質の末端又は内部を追加のアミノ酸で修飾することができる(Clark-Lewisらの文献、PNAS 1993. 90:3574-3577)。
【0033】
本明細書で使用される場合、「IL-9」は、1以上のIL-9受容体(IL-9R)サブユニットのアゴニスト(例えば、その突然変異体、ムテイン、類似体、サブユニット、受容体複合体、断片、アイソフォーム、及びペプチドミメティックス)として作用する天然又は組換えIL-9又はその変異体を指す。成熟ヒトIL-9は、144個のアミノ酸配列として生じる。IL-9ムテインは、インターロイキン-9タンパク質に対する特定の置換が行われている一方で、IL-9Rに結合する能力を保持しているポリペプチドである。IL-9ムテインは、天然のIL-9ポリペプチド鎖の他の残基の1以上の部位におけるアミノ酸挿入、欠失、置換、及び修飾によって特徴付けることができる。本開示によれば、任意のそのような挿入、欠失、置換、及び修飾により、IL-9R結合活性を保持するIL-9ムテインが生じる。例示的なムテインは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、又はそれより多くのアミノ酸の置換を含むことができる。
【0034】
ヒトIL-9をコードする核酸は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの従来の手順によって得ることができる。ヒトIL-9のアミノ酸配列は、UniProtKB P15248によって与えられる。
【0035】
IL-9は、例えば、ヒト、サル、ウシ、ブタ、ウマ、及びマウスを含む、種々の哺乳動物種に由来するIL-9を指すこともできる。変異体は、保存的に置換された配列を含むことができ、所与のアミノ酸残基が類似の物理化学的特徴を有する残基に置き換えられていることを意味する。保存的置換の例としては、ある脂肪族残基の別のものへの置換、例えば、Ile、Val、Leu、もしくはAlaの相互置換、又はある極性残基の別のものへの置換、例えば、LysとArgの間の置換; GluとAspの間の置換;もしくはGlnとAsnの間の置換が挙げられる。他のそのような保存的置換、例えば、類似の疎水性特徴を有する領域全体の置換が周知である。天然のIL-9変異体も本発明によって包含される。そのような変異体の例は、交互のmRNAスプライシング事象によるか又はIL-9タンパク質のタンパク質分解的切断から生じるタンパク質であり、ここで、IL-9結合特性は保持される。mRNAの交互のスプライシングは、切断されているが、生物学的に活性のあるIL-9タンパク質を生じ得る。タンパク質分解に起因する変異には、例えば、IL-9タンパク質からの1以上の末端アミノ酸(通常、1~10個のアミノ酸)のタンパク質分解的除去による、様々なタイプの宿主細胞における発現時のN-又はC-末端の違いが含まれる。いくつかの実施態様において、タンパク質の末端を、例えば、ポリエチレングリコールなどの化学基で修飾して、その物理的特性を変化させることができる(Yangらの文献、Cancer 1995. 76: 687-694)。いくつかの実施態様において、タンパク質の末端又は内部を追加のアミノ酸で修飾することができる(Clark-Lewisらの文献、PNAS 1993. 90:3574-3577)。
【0036】
ある実施態様において、本明細書で定義される方法は、典型的には、少なくとも10IU/mL、例えば、少なくとも100IU/mL(例えば、10IU/mL~1,000IU/mL、20IU/mL~800IU/mL、25IU/mL~750IU/mL、30IU/mL~700IU/mL、40IU/mL~600IU/mL、50IU/mL~500IU/mL、75IU/mL~250IU/mL、又は100IU/mL~200IU/mL、例えば、10IU/mL~20IU/mL、20IU/mL~30IU/mL、30IU/mL~40IU/mL、40IU/mL~50IU/mL、50IU/mL~75IU/mL、75IU/mL~100IU/mL、100IU/mL~150IU/mL、150IU/mL~200IU/mL、200IU/mL~500IU/mL、又は500IU/mL~1,000IU/mL)の濃度のIL-2を含む。ある実施態様において、本明細書で定義される方法は、典型的には、1,000IU/mL未満、例えば、500IU/mL未満の濃度のIL-2を含む。いくつかの実施態様において、該方法は、約100IU/mLの濃度のIL-2を含む。
【0037】
さらなる実施態様において、本明細書で定義される方法は、典型的には、少なくとも0.1ng/mL、例えば、少なくとも10ng/mL(例えば、0.1ng/mL~10,000ng/mL、1.0ng/mL~1,000ng/mL、5ng/mL~800ng/mL、10ng/mL~750ng/mL、20ng/mL~500ng/mL、50ng/mL~400ng/mL、又は100ng/mL~250ng/mL、例えば、0.1ng/mL~1.0ng/mL、1.0ng/mL~5.0ng/mL、5.0ng/mL~10ng/mL、10ng/mL~20ng/mL、20ng/mL~100ng/mL、20ng/mL~50ng/mL、40ng/mL~70ng/mL、50ng/mL~100ng/mL、50ng/mL~60ng/mL、100ng/mL~200ng/mL、200ng/mL~500ng/mL、又は500ng/mL~1,000ng/mL)の濃度のIL-15を含む。さらなる実施態様において、本明細書で定義される方法は、典型的には、500ng/mL未満、例えば、100ng/mL未満の濃度のIL-15を含む。いくつかの実施態様において、該方法は、約50ng/mLの濃度のIL-15を含む。
【0038】
いくつかの実施態様において、非造血組織試料からのγδ T細胞の単離は、各々上記の濃度のいずれかのIL-2とIL-15の両方の存在下における培養を含む。場合により、IL-2の濃度は、約100IU/mLであり、IL-15の濃度は、55ng/mLである。
【0039】
さらなる実施態様において、本明細書で定義される方法は、典型的には、少なくとも0.1ng/mL、例えば、少なくとも1.0ng/mL(例えば、0.1ng/mL~1,000ng/mL、1.0ng/mL~100ng/mL、1.0ng/mL~50ng/mL、2ng/mL~50ng/mL、3ng/mL~10ng/mL、4ng/mL~8ng/mL、5ng/mL~10ng/mL、6ng/mL~8ng/mL、例えば、0.1ng/mL~10ng/mL、1.0ng/mL~5ng/mL、1.0ng/mL~10ng/mL、1.0ng/mL~20ng/mL)の濃度のIL-21を含む。さらなる実施態様において、本明細書で定義される方法は、典型的には、100ng/mL未満、例えば、50ng/mL未満の濃度のIL-21を含む。いくつかの実施態様において、該方法は、約6ng/mL、例えば、約6.25ng/mLの濃度のIL-21を含む。
【0040】
さらなる実施態様において、本明細書で定義される方法は、典型的には、少なくとも0.1ng/mL、例えば、少なくとも10ng/mL(例えば、0.1ng/mL~1,000ng/mL、1.0ng/mL~100ng/mL、1.0ng/mL~50ng/mL、2ng/mL~50ng/mL、3ng/mL~40ng/mL、4ng/mL~30ng/mL、5ng/mL~20ng/mL、10ng/mL~20ng/mL、例えば、0.1ng/mL~50ng/mL、1.0ng/mL~25ng/mL、5ng/mL~25ng/mL)の濃度のIL-4を含む。さらなる実施態様において、本明細書で定義される方法は、典型的には、100ng/mL未満、例えば、50ng/mL未満、特に、20ng/mL未満の濃度のIL-4を含む。いくつかの実施態様において、該方法は、約15ng/mLの濃度のIL-4を含む。
【0041】
「非造血組織」又は「非造血組織試料」に対する本明細書中の言及は、皮膚(例えば、ヒト皮膚)及び胃腸(例えば、ヒト胃腸)を含む。非造血組織は、血液、骨髄、又は胸腺組織以外の組織である。一実施態様において、非造血組織試料は、皮膚(例えば、ヒト皮膚)である。さらなる実施態様において、非造血組織試料は、胃腸又は消化管(例えば、ヒト胃腸又はヒト消化管)である。いくつかの実施態様において、リンパ球及び/又はγδ T細胞は、生体液、例えば、血液又は滑液の特定のタイプの試料から得られない。いくつかの実施態様において、本明細書で定義される方法に従って、リンパ球及び/又はγδ T細胞が得られる非造血組織試料は、皮膚(例えば、ヒト皮膚)であり、これは、当技術分野で公知の方法によって得ることができる。或いは、本明細書に提供されるリンパ球及び/又はγδ T細胞の単離方法は、消化管(例えば、結腸もしくは胃腸)、乳腺、肺、前立腺、肝臓、脾臓、膵臓、子宮、膣、及び他の皮膚膜、粘膜、又は漿膜に適用することができる。リンパ球及び/又はγδ T細胞は、ヒト癌組織試料、例えば、乳房又は前立腺の腫瘍に常駐し得る。いくつかの実施態様において、リンパ球及び/又はγδ T細胞は、ヒト癌組織試料(例えば、固形腫瘍組織)由来のものであり得る。他の実施態様において、リンパ球及び/又はγδ T細胞は、ヒト癌組織(例えば、相当な数の腫瘍細胞を含まない組織)以外の非造血組織試料由来のものであり得る。例えば、リンパ球及び/又はγδ T細胞は、近接する又は隣接する癌組織から離れた皮膚(例えば、健康な皮膚)の領域由来のものであり得る。したがって、いくつかの実施態様において、γδ T細胞は、ヒト癌組織から得られない。さらなる実施態様において、リンパ球は、ヒト癌組織から得られない。
【0042】
一実施態様において、本明細書で定義される方法の非造血組織試料は、ヒトから得られたものである。代わりの実施態様において、本明細書で定義される方法の非造血組織試料は、非ヒト動物対象から得られたものである。
【0043】
そのような組織を得るための方法は、当技術分野で公知である。そのような方法の例は、スカルペル外植片又はパンチ生検を含み、該方法によってサイズが異なり得る。いくつかの実施態様において、非造血組織試料は、パンチ生検によって得られる。
【0044】
本発明のいくつかの実施態様において、非造血組織試料は、無傷の生検である。「無傷の」生検又は「外植片」に対する本明細書中の言及は、実質的に破壊されていないか、又は破壊されておらず、それにより、生検又は外植片の構造的完全性が該生検又は外植片を該組織試料から除去する切除の外周内で意図的に破壊されていない組織及び組織試料を含む。そのような無傷の生検又は外植片は、操作によって生じる小さな破壊を除いて大部分は維持される三次元構造を有する。それゆえ、この無傷の生検又は外植片は、例えば、細砕もしくは細断によって機械的に破壊されていることも、例えば、化学的に酵素的に破壊されていることもない。無傷の生検又は無傷の組織試料は、組織全体、完全な組織、組織の一部、又は該組織の全ての要素を含み得る。例えば、一実施態様において、無傷の生検は、皮膚の全ての層を含む。さらなる実施態様において、生検は、皮膚の上皮及び真皮層を含む。生検が無傷であるそのような実施態様においては、そのような層の分離及び区別が維持されることが理解されるであろう。したがって、「無傷の」に対する本明細書中の言及は、非造血組織試料の全層の生検をさらに含む。
【0045】
したがって、本発明の特定の一実施態様において、非造血組織試料は、細砕されていない。さらなる実施態様において、無傷の生検は、パンチ生検である。またさらなる実施態様において、無傷の生検は、パンチ生検によって得られる。非造血組織試料が無傷の生検である本明細書に提示される実施態様は、細砕されていない及び/又は無傷の非造血組織試料から多数の単離又は分離された細胞を得るという驚くべき利点を提供する。さらに、本明細書で示されているように、本明細書で定義される方法に従って、細砕されていない及び/又は無傷の非造血組織試料から得られた細胞は、当技術分野で公知のその後の拡大及び/又は操作方法に有用な表現型を保持し得る。
【0046】
さらなる実施態様において、無傷の生検は皮膚(例えば、ヒト皮膚)であるか、又は無傷の生検は胃腸(例えば、ヒト胃腸)である。一実施態様において、非造血組織試料は、少なくとも1mmの最小横断面を有する。「最小横断面」は、組織試料の重心を通して測定された最小又は最短の長さを指すことが理解されるであろう。「最大横断面」は、組織試料の重心を通して測定された最大又は最長の長さを指すことがさらに理解されるであろう。本明細書で使用される「重心」という用語は、組織試料の全ての点の平均(average)又は平均(mean)の位置である。さらなる実施態様によれば、非造血組織試料は、少なくとも2mm、少なくとも3mm、少なくとも4mm、少なくとも少なくとも5mm、少なくとも6mm、少なくとも7mm、又は少なくとも8mmの最小横断面を有することが理解されるであろう。さらなる実施態様において、非造血組織試料は、8mm以下、7mm以下、6mm以下、5mm以下、4mm以下、3mm以下、又は2mm以下の最小横断面を有する。一実施態様において、非造血組織試料は、1mm~8mm(両端を含む)、例えば、2mm~4mmの最小横断面を有する。特定の一実施態様において、非造血組織試料は、約3mmの最小横断面を有する。特定の一実施態様において、非造血組織試料は、約3mmの横断面を有する。さらなる実施態様によれば、非造血組織試料は、少なくとも2mm、少なくとも3mm、少なくとも4mm、少なくとも少なくとも5mm、少なくとも6mm、少なくとも7mm、又は少なくとも8mmの最大横断面を有することが理解されるであろう。さらなる実施態様において、非造血組織試料は、8mm以下、7mm以下、6mm以下、5mm以下、4mm以下、3mm以下、又は2mm以下の最大横断面を有する。一実施態様において、非造血組織試料は、1mm~8mm(両端を含む)、例えば、2mm~4mmの最大横断面を有する。特定の一実施態様において、非造血組織試料は、約3mmの最大横断面を有する。
【0047】
さらなる実施態様によれば、非造血組織試料は、少なくとも1mm2の最小横断面面積を有する。「最小横断面面積」は、組織試料の重心周囲で測定された最小横断面の面積を指すことが理解されるであろう。「最大横断面面積」は、組織試料の重心周囲で測定された最大横断面の面積を指すことがさらに理解されるであろう。本明細書で使用される「重心」という用語は、組織試料の全ての点の平均(average)又は平均(mean)の位置である。さらなる実施態様において、非造血組織試料は、少なくとも2mm2、少なくとも3mm2、少なくとも4mm2、少なくとも5mm2、少なくとも6mm2、少なくとも7mm2、少なくとも8mm2、少なくとも9mm2、又は少なくとも10mm2の最小横断面面積を有する。さらなる実施態様において、非造血組織試料は、50mm2以下、40mm2以下、30mm2以下、25mm2以下、20mm2以下、15mm2以下、10mm2以下、又は8mm2以下の最小横断面面積を有する。一実施態様において、非造血組織試料は、1mm2~50mm2、例えば、3mm2~12mm2の最小横断面面積を有する。特定の一実施態様において、非造血組織試料は、約7mm2の最小横断面面積を有する。さらなる実施態様において、非造血組織試料は、少なくとも2mm2、少なくとも3mm2、少なくとも4mm2、少なくとも5mm2、少なくとも6mm2、少なくとも7mm2、少なくとも8mm2、少なくとも9mm2、又は少なくとも10mm2の最大横断面面積を有する。さらなる実施態様において、非造血組織試料は、50mm2以下、40mm2以下、30mm2以下、25mm2以下、20mm2以下、15mm2以下、10mm2以下、又は8mm2以下の最大横断面面積を有する。一実施態様において、非造血組織試料は、1mm2~50mm2、例えば、3mm2~12mm2の最大横断面面積を有する。特定の一実施態様において、非造血組織試料は、約7mm2の最大横断面面積を有する。
【0048】
さらなる実施態様によれば、非造血組織試料は、少なくとも5mm3の体積を有する。さらなる実施態様において、非造血組織試料は、少なくとも8mm3、少なくとも10mm3、少なくとも15mm3、少なくとも20mm3、少なくとも25mm3、少なくとも30mm3、少なくとも35mm3、少なくとも40mm3、少なくとも50mm3、又は少なくとも60mm3の体積を有する。さらなる実施態様において、非造血組織試料は、250mm3以下、200mm3以下、例えば、180mm3以下、1600mm3以下、140mm3以下、120mm3以下、100mm3以下、80mm3以下、60mm3以下、50mm3以下、又は40mm3以下の体積を有する。一実施態様において、非造血組織試料は、5mm3~250mm3、例えば、15mm3~65mm3の体積を有する。特定の一実施態様において、非造血組織試料は、約35mm3の体積を有する。
【0049】
一実施態様において、非造血組織試料は、パンチ生検である。パンチ生検は、任意の形状のものであり得るが、好都合には、円形の横断面のものであり、好適には、直径少なくとも1mmである。またさらなる実施態様において、非造血組織試料は、直径少なくとも2mm、例えば、直径少なくとも3mm、直径少なくとも4mm、直径少なくとも5mm、直径少なくとも6mm、直径少なくとも7mm、又は直径少なくとも8mmのパンチ生検を含む。さらなる実施態様において、非造血組織試料は、直径8mm以下、例えば、直径7mm以下、直径6mm以下、直径5mm以下、又は直径3mm以下のパンチ生検を含む。一実施態様において、非造血組織試料は、直径1mm~8mm、例えば、直径2mm~4mmのパンチ生検を含む。特定の実施態様において、非造血組織試料は、直径3mmのパンチ生検を含む。
【0050】
ある実施態様において、非造血組織試料は、上で定義されたサイズ、面積、体積、及び/又は直径による生検(例えば、パンチ生検、特に、円形の横断面のパンチ生検)を含み、最大深さは、生検が得られる部位によって決定される(が、その深さは低下する可能性がある)。一実施態様において、生検は皮膚生検であり、上皮及び真皮層を含む。さらなる実施態様において、生検は、皮下脂肪を実質的に含まない。したがって、一実施態様において、生検は上皮及び真皮層を含み、皮下脂肪の層を実質的に含まない。さらなる実施態様において、生検は皮下脂肪を含まない。或いは、皮下脂肪は除去されず、それゆえ、生検中に存在する(又は少なくとも一部存在する)。したがって、またさらなる実施態様において、生検は、上皮及び真皮層からなる。一実施態様において、生検は、非造血組織試料の全層を含む。
【0051】
本発明の方法は、本明細書で定義される非造血組織試料を培養することを含む。「培養すること」に対する本明細書中の言及は、非造血組織試料から単離されたか、分離されたか、除去されたか、純化されたか、又は濃縮された細胞を含む、細胞及び/又は非造血組織試料によって必要とされ、かつ/又は好まれる成長因子及び/又は必須栄養分を含む培地への該細胞及び/又は非造血組織試料の添加を含む。そのような培養条件は、本発明に従って非造血組織試料から単離されることになる細胞もしくは細胞集団に照らして適合させることができ、又は非造血組織試料から単離及び拡大されることになる細胞もしくは細胞集団に照らして適合させることができることが理解されるであろう。
【0052】
ある実施態様において、非造血組織試料の培養は、非造血組織試料からのγδ T細胞の単離に十分な期間にわたるものである。代わりの実施態様において、非造血組織試料の培養は、非造血組織試料由来のγδ T細胞以外のリンパ球(例えば、αβ T細胞及び/又はNK(ナチュラルキラー)細胞)の単離に十分な期間にわたるものである。ある実施態様において、本明細書で定義される方法による培養期間は、少なくとも14日である。ある実施態様において、本明細書で定義される方法による培養期間は、45日未満、例えば、30日未満、例えば、25日未満である。さらなる実施態様において、本明細書で定義される方法による培養期間は、14日~35日、例えば、14日~21日である。またさらなる実施態様において、本明細書で定義される方法による培養期間は、約21日である。
【0053】
本発明の特定の実施態様において、本明細書で定義される方法に従って単離されるリンパ球及び/又はγδ T細胞は、非造血組織試料の培養後に、非造血組織試料の培養物から回収される。本明細書で定義されるリンパ球及び/又はγδ T細胞の回収は、培養物からのリンパ球及び/もしくはγδ T細胞の物理的回収、他のリンパ球(例えば、αβ T細胞、γδ T細胞、及び/もしくはNK細胞)からのリンパ球及び/もしくはγδ T細胞の単離、又は間質細胞(例えば、線維芽細胞)からのリンパ球及び/もしくはγδ T細胞の単離及び/もしくは分離を含み得る。一実施態様において、リンパ球及び/又はγδ T細胞は、機械的手段(例えば、ピペッティング)によって回収される。さらなる実施態様において、リンパ球及び/又はγδ T細胞は、磁気分離及び/又は標識によって回収される。またさらなる実施態様において、リンパ球及び/又はγδ T細胞は、フローサイトメトリーの技法、例えば、FACSによって回収される。したがって、ある実施態様において、γδ T細胞は、γδ T細胞の特異的標識によって回収される。さらなる実施態様において、リンパ球は、それを培養物内の他の細胞と区別するためのリンパ球の特異的標識によって回収される。そのようなリンパ球及び/又はγδ T細胞の回収は、非造血組織試料の培養物からの物理的除去、別々の培養容器への移転、又は別々のもしくは異なる培養条件への移転を含み得ることが理解されるであろう。
【0054】
そのようなリンパ球及び/又はγδ T細胞の回収は、非造血組織試料から単離されたリンパ球及び/又はγδ T細胞の集団を得るのに十分な期間の後に行われることが理解されるであろう。ある実施態様において、リンパ球及び/又はγδ T細胞は、非造血組織試料の培養から少なくとも1週間、少なくとも10日、少なくとも11日、少なくとも12日、少なくとも13日、又は少なくとも14日後に回収される。好適には、リンパ球及び/又はγδ T細胞は、40日以内、例えば、38日以内、36日以内、34日以内、32日以内、30日以内、28日以内、26日以内、又は24日以内に回収される。一実施態様において、リンパ球及び/又はγδ T細胞は、非造血組織試料の培養から少なくとも14日後に回収される。さらなる実施態様において、リンパ球及び/又はγδ T細胞は、非造血組織試料の培養からの14日~21日後に回収される。
【0055】
本発明のある実施態様において、非造血組織試料は、血清を実質的に含まない培地(例えば、無血清培地又は血清代替品(SR)を含有する培地)中で培養される。したがって、一実施態様において、非造血組織試料は、無血清培地中で培養される。そのような無血清培地は、血清代替品がヒト又は動物由来血清の使用を避けるために化学的に規定された成分を基にしている血清代替品培地も含み得る。代わりの実施態様において、非造血組織試料は、血清(例えば、ヒトAB血清又は胎仔ウシ血清(FBS))を含有する培地中で培養される。一実施態様において、非造血組織試料は、血清代替品を含有する培地中で培養される。一実施態様において、非造血組織試料は、動物由来産物を含有しない培地中で培養される。
【0056】
非造血組織試料が無血清培地中で培養される本発明による実施態様は、血清の濾過、沈殿、夾雑、及び供給に関する問題を回避するという利点を有することが理解されるであろう。さらに、動物由来産物は、ヒト治療薬の臨床等級の製造における使用に好まれない。本明細書で見られるように、本発明者らは、驚くことに、細胞、特に、Vδ1 γδ細胞の単離のための無血清培地の使用は、AB血清を含有する培地の使用と比較して、非造血組織試料から得られる細胞の数を実質的に増大させることも見出した。特に、無血清培地中で培養された非造血組織試料からのγδ T細胞の単離は、Vδ1細胞の収率を増大させる。
【0057】
一実施態様において、本明細書で定義される方法は、単離容器中で実施される。「単離容器」に対する言及は、任意に合成スキャフォールドをさらに含む、リンパ球及び/又はγδ T細胞の分離のための非造血組織試料を含む容器を指す。単離容器は、単離方法にだけ使用することができ、さらなる増幅工程には使用することができないことに留意されたい。
【0058】
一実施態様において、本明細書で定義される方法は、ガス透過性材料を含む容器(例えば、単離容器)中で実施される。そのような材料は、酸素、二酸化炭素、及び/又は窒素などのガスに対して透過性があり、容器の中身と周囲環境の間でのガス交換を可能にする。「容器」に対する本明細書中の言及は、培養ディッシュ、培養プレート、単一ウェルディッシュ、マルチウェルディッシュ、マルチウェルプレート、フラスコ、多層フラスコ、ボトル(例えば、ローラーボトル)、バイオリアクター、バッグ、チューブなどを含むことが理解されるであろう。そのような容器は、非接着細胞及び他のリンパ球の拡大を伴う方法での使用について、当技術分野で公知である。しかしながら、本明細書で示されるように、ガス透過性材料を含む容器は、驚くことに、通常は接着性であると考えられるγδ T細胞の単離においても有用性を見出す。そのような容器の培養への使用は、非造血組織試料からの単離されたγδ T細胞の収率を大きく増大させることが分かった。そのような容器は、線維芽細胞及び接着細胞型を含む他の間質細胞(例えば、上皮細胞)よりもγδ T細胞及び他のリンパ球を優先的に支持することも分かった。したがって、一実施態様において、本明細書で定義されるガス透過性材料を含む容器は、γδ T細胞並びに他のリンパ球(例えば、αβ T細胞及び/又はNK細胞)を優先的に支持する。さらなる実施態様において、線維芽細胞及び/又は他の間質細胞(例えば、上皮細胞)は、ガス透過性材料を含む容器中で実施される培養物中には存在しない。
【0059】
ガス透過性材料を含むそのような容器は、無孔性であるガス透過性材料をさらに含み得る。したがって、一実施態様において、ガス透過性材料は、無孔性である。いくつかの実施態様において、ガス透過性材料は、シリコーン、フルオロエチレンポリプロピレン、ポリオレフィン、又はエチレン酢酸ビニルコポリマーなどの膜フィルムである。さらに、そのような容器は、ガス透過性材料、ガス透過性膜フィルム、又は無孔性ガス透過性材料の一部のみを含み得る。したがって、またさらなる実施態様によれば、容器は、蓋、底、及び少なくとも1つの側壁を含み、ここで、該容器の底の少なくとも一部は、該蓋が該底よりも上側にある場合、実質的に水平な面にあるガス透過性材料を含む。一実施態様において、容器は、蓋、底、及び少なくとも1つの側壁を含み、ここで、該底の少なくとも一部は、該蓋が該底よりも上側にある場合、水平な面にあるガス透過性材料を含む。さらなる実施態様において、容器は、蓋、底、及び少なくとも1つの側壁を含み、ここで、該少なくとも1つの側壁は、該蓋が該底よりも上側にある場合、垂直な面にあり得るか、又は該蓋が該底よりも上側にない場合、水平な面にあり得るガス透過性材料を含む。そのような実施態様において、該底又は該側壁の一部のみがガス透過性材料を含み得ることが理解されるであろう。或いは、該底の全体又は該側壁の全体がガス透過性材料を含み得る。またさらなる実施態様において、ガス透過性材料を含む該容器の該蓋は、例えば、O-リングの利用によって、密閉されていてもよい。そのような実施態様は、容器の中身の漏出を防ぎ、又はその蒸発を低下させることが理解されるであろう。したがって、ある実施態様において、容器は、ガス交換を可能にするためのガス透過性材料を含む液体密閉容器を含む。代わりの実施態様において、ガス透過性材料を含む該容器の該蓋は、水平な面にあり、かつ該底の上側にあり、密閉されていない。したがって、ある実施態様において、該蓋は、容器の蓋からのガス交換を可能にするように構成されている。さらなる実施態様において、該ガス透過性容器の底は、該容器の底からのガス交換を可能にするように構成されている。またさらなる実施態様において、該ガス透過性材料を含む容器は、液体密閉容器であり、かつ注入口及び排出口又は排出管をさらに含み得る。したがって、ある実施態様において、ガス透過性材料を含む容器は、蓋、底、及び任意に少なくとも1つの側壁を含み、ここで、該蓋及び該底の少なくとも一部は、ガス透過性材料を含み、存在する場合、少なくとも1つの側壁の少なくとも一部は、ガス透過性材料を含む。容器の例は、引用により本明細書中に組み込まれるWO2005035728号及びUS9255243号に記載されている。これらの容器は、市販もされており、例えば、Wilson Wolf Manufacturingによって提供されるG-REX(登録商標)細胞培養装置、例えば、G-REX6ウェルプレート、G-REX24ウェルプレート、及びG-REX10容器がある。
【0060】
一実施態様において、非造血組織試料は、合成スキャフォールド上に配置される。本明細書で使用される場合、「合成スキャフォールド」、「スキャフォールド」、及び「グリッド」は互換的に使用されており、細胞増殖を支持するのに好適な非天然の三次元構造を指す。非造血組織試料を、合成スキャフォールド上に配置するか、又は合成スキャフォールドに付着させて、外植片からスキャフォールド上へのリンパ球脱出を促進することができる。合成スキャフォールドは、ポリマー(例えば、天然又は合成ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリメチルメタクリレート、メチルセルロース、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン)、セラミック(例えば、リン酸三カルシウム、アルミン酸カルシウム、カルシウムハイドロキシアパタイト)、又は金属(例えば、タンタル、チタン、白金、及び白金、ニオブ、ハフニウム、タングステンと同じ元素族の金属、並びにこれらの合金の組合せ)などの天然及び/又は合成材料から構築することができる。本発明の一実施態様において、合成スキャフォールドは、タンタルコーティングされている。生体因子(例えば、コラーゲン(例えば、コラーゲンI又はコラーゲンII)、フィブロネクチン、ラミニン、インテグリン、血管新生因子、抗炎症因子、グリコサミノグリカン、ビトロゲン、抗体及びその断片、サイトカイン(例えば、IL-2、IL-15、IL-4、IL-21、IL9、及びこれらの組合せ)を、当技術分野で公知の方法に従って、スキャフォールド表面にコーティングするか、スキャフォールド材料内に封入するか、又は培地に添加して、細胞接着、遊走、生存、又は増殖を増強することができる。この方法及び他の方法を用いて、いくつかの他の非造血組織型、例えば、皮膚、胃腸、前立腺、及び乳房からリンパ球を単離することができる。
【0061】
一実施態様において、非造血組織試料は、非造血組織試料からリンパ球を単離するために使用される容器の内側の合成スキャフォールド上に配置される。さらなる実施態様において、合成スキャフォールドは、非造血組織試料から容器の底へのリンパ球及び/又はγδ T細胞脱出を促進するように構成されている。そのような実施態様は、非造血組織試料並びに/又は間質細胞(例えば、線維芽細胞及び/もしくは上皮細胞)からのリンパ球(例えば、γδ T細胞、αβ T細胞、及び/又はNK細胞)の単離及び/又は分離を可能にするという利点を有する。さらに、そのような実施態様は、非造血組織試料から培養容器の底へのリンパ球(例えば、γδ T細胞、αβ T細胞、及び/又はNK細胞)の回収を可能にする。特定の実施態様において、合成スキャフォールドは、非造血組織試料からのγδ T細胞の脱出を促進するように構成されている。さらなる実施態様において、合成スキャフォールドは、非造血組織試料からのリンパ球、例えば、αβ T細胞及び/又はNK細胞の脱出を促進するように構成されている。
【0062】
したがって、本明細書で定義される方法の一態様において、合成スキャフォールドは、非造血組織試料から培養容器の底へのリンパ球脱出を促進するように構成されている。本明細書で定義される方法のさらなる態様において、合成スキャフォールドは、非造血組織試料から培養容器の底へのγδ T細胞脱出を促進するように構成されている。
【0063】
本発明の方法は、以前に記載されているよりもはるかに大きい全細胞収率を提供する。一実施態様において、総単離細胞数は、組織試料の少なくとも106細胞/cm2、少なくとも2×106細胞/cm2、少なくとも5×106細胞/cm2、少なくとも10×106細胞/cm2、少なくとも20×106細胞/cm2、少なくとも30×106細胞/cm2、少なくとも40×106細胞/cm2、少なくとも50×106細胞/cm2、少なくとも60×106細胞/cm2、少なくとも70×106細胞/cm2、少なくとも80×106細胞/cm2、少なくとも90×106細胞/cm2、少なくとも100×106細胞/cm2、少なくとも150×106細胞/cm2、少なくとも200×106細胞/cm2である。具体的な実施態様において、総単離細胞数は、少なくとも50×106細胞/cm2である。別の実施態様において、総単離細胞数は、少なくとも100×106細胞/cm2である。
【0064】
血液中で優勢であるγδ T細胞は、主に、Vδ2 T細胞であり、一方、非造血組織中で優勢であるγδ T細胞は、主に、Vδ1 T細胞であり、その結果、Vδ1 T細胞は、非造血組織常駐γδ T細胞集団の約70~80%を含む。しかしながら、一部のVδ2 T細胞は、非造血組織、例えば、胃腸にも見られ、そこでは、該Vδ2 T細胞がγδ T細胞の約10~20%を含み得る。非造血組織に常駐する一部のγδ T細胞は、Vδ1 TCRもVδ2 TCRも発現せず、本明細書において、二重陰性(DN)γδ T細胞と呼ばれている。これらのDN γδ T細胞は、大部分はVδ3を発現している可能性が高く、Vδ5発現T細胞は少数である。それゆえ、非造血組織に日常的に常駐するγδ T細胞及び本発明の方法によって単離されるγδ T細胞は、好ましくは、非Vδ2 T細胞、例えば、Vδ1 T細胞であり、より少量のDN γδ T細胞を含む。
【0065】
したがって、1つの好ましい実施態様において、本明細書で定義される方法によって単離されるγδ T細胞は、Vδ1 T細胞の集団を含む。一実施態様において、本明細書で定義される方法によって単離されるγδ T細胞は、DN γδ T細胞の集団を含む。一実施態様において、本明細書で定義される方法によって単離されるγδ T細胞は、Vδ3 T細胞の集団を含む。一実施態様において、本明細書で定義される方法によって単離されるγδ T細胞は、Vδ5 T細胞の集団を含む。
【0066】
γδ T細胞は、それが発現するγ鎖のタイプによって定義することもできる。さらなる実施態様において、本明細書で定義される方法によって単離されるγδ T細胞は、Vγ4 T細胞の集団を含む。ほとんどの場合、Vγ4 T細胞は、胃腸組織試料から得られる。
【0067】
単離方法は、参照集団よりも数が多い(例えば、少なくとも2倍の数、少なくとも3倍の数、少なくとも4倍の数、少なくとも5倍の数、少なくとも6倍の数、少なくとも7倍の数、少なくとも8倍の数、少なくとも9倍の数、少なくとも10倍の数、少なくとも15倍の数、少なくとも20倍の数、少なくとも25倍の数、少なくとも30倍の数、少なくとも35倍の数、少なくとも40倍の数、少なくとも50倍の数、少なくとも60倍の数、少なくとも70倍の数、少なくとも80倍の数、少なくとも90倍の数、少なくとも100倍の数、少なくとも200倍の数、少なくとも300倍の数、少なくとも400倍の数、少なくとも500倍の数、少なくとも600倍の数、少なくとも700倍の数、少なくとも800倍の数、少なくとも900倍の数、少なくとも1,000倍の数、少なくとも5,000倍の数、少なくとも10,000倍の数の)単離されたγδ T細胞の集団を提供する。
【0068】
いくつかの実施態様において、本発明の方法に従って単離されるγδ T細胞の集団は、TIGITを発現する低い割合の細胞を有する。例えば、単離されたγδ T細胞の集団は、90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、又は10%未満の頻度のTIGIT+細胞を有し得る。或いは、単離されたγδ T細胞の集団は、約90%、約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、又は約10%の頻度のTIGIT+細胞を有し得る。ある実施態様において、単離されたγδ T細胞の集団は、80%未満の頻度のTIGIT+細胞を有する。したがって、一実施態様において、単離されたγδ T細胞の集団は、約70%の頻度のTIGIT+細胞を有する。さらなる実施態様において、単離されたγδ T細胞の集団は、60%未満の頻度のTIGIT+細胞を有する。またさらなる実施態様において、単離されたγδ T細胞の集団は、約30%の頻度のTIGIT+細胞を有する。したがって、一実施態様において、単離されたγδ T細胞は、TIGITを実質的に発現しない。
【0069】
いくつかの実施態様において、単離されたVδ1 T細胞の集団は、低頻度のTIGIT+細胞を有する。例えば、単離されたVδ1 T細胞の集団は、90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、又は10%未満の頻度のVδ1 T細胞の集団以外のTIGIT+細胞を有し得る。或いは、単離されたVδ1 T細胞の集団は、約90%、約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、又は約10%の頻度のTIGIT+細胞を有し得る。ある実施態様において、単離されたVδ1 T細胞の集団は、80%未満の頻度のTIGIT+細胞を有する。したがって、一実施態様において、単離されたVδ1 T細胞の集団は、約70%の頻度のTIGIT+細胞を有する。さらなる実施態様において、単離されたVδ1 T細胞の集団は、60%未満の頻度のTIGIT+細胞を有する。またさらなる実施態様において、単離されたVδ1 T細胞の集団は、約30%の頻度のTIGIT+細胞を有する。したがって、一実施態様において、単離されたVδ1 T細胞は、TIGITを実質的に発現しない。
【0070】
いくつかの実施態様において、本発明の方法に従って単離されたγδ T細胞の集団は、CD27を発現する。例えば、単離されたγδ T細胞の集団は、10%超、20%超、30%超、40%超、50%超、60%超、70%超、80%超、又は90%超の頻度のCD27+細胞を有し得る。或いは、単離されたγδ T細胞の集団は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、又は約90%の頻度のCD27+細胞を有し得る。ある実施態様において、単離されたγδ T細胞の集団は、10%超の頻度のCD27+細胞を有する。したがって、一実施態様において、単離されたγδ T細胞の集団は、約20%の頻度のCD27+細胞を有する。さらなる実施態様において、単離されたγδ T細胞の集団は、20%超の頻度のCD27+細胞を有する。一実施態様において、単離されたγδ T細胞の集団は、約20%の頻度のCD27+細胞を有する。
【0071】
いくつかの実施態様において、単離されたVδ1 T細胞の集団は、CD27を発現する。さらなる実施態様において、単離されたγδ T細胞は、CD27を発現する。いくつかの実施態様において、単離されたVδ1 T細胞の集団は、10%超、20%超、30%超、40%超、50%超、60%超、70%超、80%超、又は90%超の頻度のCD27+細胞を有する。或いは、単離されたγδ T細胞の集団は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、又は約90%の頻度のCD27+細胞を有し得る。ある実施態様において、単離されたVδ1 T細胞の集団は、10%超の頻度のCD27+細胞を有する。したがって、一実施態様において、単離されたVδ1 T細胞の集団は、約20%の頻度のCD27+細胞を有する。さらなる実施態様において、単離されたVδ1 T細胞の集団は、20%超の頻度のCD27+細胞を有する。一実施態様において、単離されたVδ1 T細胞の集団は、約20%の頻度のCD27+細胞を有する。
【0072】
前述の態様のいずれかのいくつかの実施態様において、単離されたγδ T細胞の集団は、参照集団と比べて(例えば、代わりの方法を用いて単離されたγδ T細胞の集団と比べて)より大きいCD124、CD215、CD360、CTLA4、CD1b、BTLA、CD39、CD45RA、Fasリガンド、CD25、ICAM-1、CD31、KLRG1、CD30、及びCD2からなる群から選択されるマーカーのうちの1つ又は複数の表面発現を有する。さらに又は代わりに、単離されたγδ T細胞の集団、参照集団と比べてより大きい頻度のCD124、CD215、CD360、CTLA4、CD1b、BTLA、CD39、CD45RA、Fasリガンド、CD25、ICAM-1、CD31、KLRG1、CD30、及びCD2からなる群から選択されるマーカーのうちの1つ又は複数を発現する細胞を有し得る。特に、マーカーは、CD45RA及びCD25から選択される。いくつかの実施態様において、単離されたγδ T細胞の集団は、参照集団と比べてより低いNKp44、NKp46、ICAM-2、CD70、CD28、CD103、NKp30、LAG3、CCR4、CD69、PD-1、及びCD64からなる群から選択されるマーカーのうちの1つ又は複数の表面発現を有する。さらに又は代わりに、単離されたγδ T細胞の集団は、参照集団と比べてより低い頻度のNKp44、NKp46、ICAM-2、CD70、CD28、CD103、NKp30、LAG3、CCR4、CD69、PD-1、及びCD64からなる群から選択されるマーカーのうちの1つ又は複数を発現する細胞を有し得る。
【0073】
いくつかの実施態様において、単離されたVδ1 T細胞の集団は、参照集団と比べてより多いCD124、CD215、CD360、CTLA4、CD1b、BTLA、CD39、CD45RA、Fasリガンド、CD25、ICAM-1、CD31、KLRG1、CD30、及びCD2からなる群から選択されるマーカーのうちの1つ又は複数の表面発現を有する。いくつかの実施態様において、単離されたγδ T細胞の集団は、参照と比べてより大きい頻度のCD124、CD215、CD360、CTLA4、CD1b、BTLA、CD39、CD45RA、Fasリガンド、CD25、ICAM-1、CD31、KLRG1、CD30、及びCD2からなる群から選択されるマーカーのうちの1つ又は複数を発現する細胞を有する。いくつかの実施態様において、単離されたγδ T細胞の集団は、参照集団と比べてより低いNKp44、NKp46、ICAM-2、CD70、CD28、CD103、NKp30、LAG3、CCR4、CD69、PD-1、及びCD64からなる群から選択されるマーカーのうちの1つ又は複数の表面発現を有する。他の実施態様において、単離されたγδ T細胞の集団は、参照集団と比べてより低い頻度のNKp44、NKp46、ICAM-2、CD70、CD28、CD103、NKp30、LAG3、CCR4、CD69、PD-1、及びCD64からなる群から選択されるマーカーのうちの1つ又は複数を発現する細胞を有する。
【0074】
非造血組織(例えば、皮膚)から単離したとき、γδ T細胞は、通常、例えば、αβ T細胞、B細胞、及びナチュラルキラー(NK)細胞を含有するより大きいリンパ球の集団の一部である。いくつかの実施態様において、単離されたリンパ球の集団の1%~10%は、γδ T細胞である(例えば、単離された皮膚由来リンパ球の集団の1~10%は、γδ T細胞である)。ほとんどの場合、γδ T細胞集団(例えば、皮膚由来γδ T細胞集団)は、大きいVδ1 T細胞の集団を含む。いくつかの実施態様において、単離されたリンパ球(例えば、皮膚由来リンパ球)の集団の1~10%は、Vδ1 T細胞である(例えば、Vδ1 T細胞は、単離された集団γδ T細胞の集団の50%超、60%超、70%超、80%超、又は90%超に相当し得る)。場合により、単離されたγδ T細胞の集団の10%未満がVδ2 T細胞である(例えば、単離された皮膚由来γδ T細胞の集団の10%未満がVδ2 T細胞である)。
【0075】
非Vδ1 T細胞又は非DN T細胞、例えば、Vδ2 T細胞、αβ T細胞、B細胞、又はNK細胞は、(例えば、増幅工程の前、その間、又はその後に)単離されたγδ T細胞の集団から除去することができる。
【0076】
単離されたγδ T細胞(例えば、皮膚から単離されたγδ T細胞、例えば、皮膚から単離されたVδ1 T細胞)は、対応する造血組織由来細胞(例えば、血液由来γδ T細胞及び/又は血液由来Vδ2 T細胞)と異なる表現型を有する。例えば、単離されたγδ T細胞の集団は、参照集団、例えば、TCRが活性化された非造血組織常駐γδ T細胞の集団又は対応する造血組織由来細胞(例えば、血液由来γδ T細胞及び/もしくは血液由来Vδ2 T細胞)の集団よりも高いレベルのCCR3、CCR4、CCR7、CCR8、又はCD103を発現し得る。いくつかの実施態様において、単離されたγδ T細胞の集団は、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又はそれより多くのCCR3+細胞;少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又はそれより多くのCCR4+細胞;少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又はそれより多くのCCR7+細胞;少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又はそれより多くのCCR8+細胞;及び/又は少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又はそれより多くのCD103+細胞を含む。単離されたγδ T細胞の集団は、CCR3、CCR4、CCR7、CCR8、又はCD103のうちの1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、又は6つ全てを発現し得る。
【0077】
いくつかの実施態様において、単離されたγδ T細胞の集団(例えば、皮膚由来γδ T細胞及び/又は皮膚由来Vδ1 T細胞)は、参照集団、例えば、TCRが活性化された非造血組織常駐γδ T細胞の集団並びに/又は対応する造血組織由来細胞(例えば、血液由来γδ T細胞及び/もしくは血液由来Vδ2 T細胞)の集団よりも高いレベルのNKGD2、CD56、CD69、及び/又はTIM3を発現する。いくつかの実施態様において、単離されたγδ T細胞の集団は、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又はそれより多くのNKGD2+細胞;少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又はそれより多くのCD56+細胞;少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又はそれより多くのCD69+細胞;及び/又は少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又はそれより多くのTIM3+細胞を含む。単離されたγδ T細胞の集団は、NKGD2、CD56、CD69、及び/又はTIM3のうちの1以上、2以上、3以上、4以上、又は5つ全てを発現し得る。
【0078】
単離された非造血組織由来γδ T細胞(例えば、皮膚由来γδ T細胞及び/又は皮膚由来Vδ1 T細胞)の集団は、機能によって特徴付けることもできる。当技術分野で公知の機能アッセイを実施して、本発明の任意の非造血組織由来細胞(例えば、単離されたγδ T細胞、皮膚由来Vδ1 T細胞の集団、又は拡大されたγδ T細胞及び/もしくは皮膚由来Vδ1 T細胞の集団)と参照細胞(例えば、TCRが活性化された非造血組織常駐γδ T細胞の集団又は対応する造血組織由来細胞、例えば、血液由来γδ T細胞及び/もしくは血液由来Vδ2 T細胞の集団)の間の機能的な違いを決定することができる。そのようなアッセイとしては、増殖アッセイ、細胞傷害性アッセイ、結合アッセイ、持続性及び/又は場所を測定するアッセイなどを挙げることができる。
【0079】
したがって、本発明の一態様において、本明細書で定義されるリンパ球及び/又はγδ T細胞集団を単離するための方法は、消耗されていないリンパ球及び/又はγδ T細胞集団と一致する表面表現型を含む集団を産出する。
【0080】
本発明の一態様によれば、本明細書で定義される方法のいずれかによって得られる単離されたリンパ球(例えば、皮膚由来αβ T細胞及び/又はNK細胞)の集団が提供される。
【0081】
本発明の一態様によれば、本明細書で定義される方法のいずれかによって得ることができる単離されたリンパ球(例えば、皮膚由来αβ T細胞及び/又はNK細胞)の集団が提供される。
【0082】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書で定義される方法のいずれかによって得られる単離されたγδ T細胞の集団が提供される。
【0083】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書で定義される方法のいずれかによって得ることができる単離されたγδ T細胞の集団が提供される。
【0084】
一実施態様において、単離された集団は、5%超のγδ T細胞、例えば、7%~12%のγδ T細胞を含む。一実施態様において、単離された集団はVδ1細胞を含み、ここで、該Vδ1細胞の50%未満、例えば、40%未満がTIGITを発現する。一実施態様において、単離された集団はVδ1細胞を含み、ここで、該Vδ1細胞の50%超、例えば、60%超がCD27を発現する。
【0085】
単離された非造血組織常駐リンパ球は、さらなる拡大を伴わない使用に好適であってもよく、又はさらなる工程で拡大されてもよい。
【0086】
ある実施態様において、本発明は、非造血組織常駐リンパ球及び/又はγδ T細胞(例えば、皮膚由来αβ T細胞、NK細胞、γδ T細胞、並びに/又は非Vδ2 T細胞、例えば、Vδ1 T細胞及び/もしくはDN T細胞)を拡大する方法を特徴とする。これらの方法は、インビトロで実施することができる。いくつかの実施態様において、γδ T細胞は、本明細書で定義される方法に従って非造血組織試料から単離されたγδ T細胞の集団から拡大される。一般に、非造血組織常駐γδ T細胞は、間質細胞(例えば、皮膚線維芽細胞)との物理的接触を取り除いたとき、自発的に拡大することができる。本明細書で定義される方法を用いて、そのような分離を誘導し、γδ T細胞の脱抑制をもたらして、拡大を誘発することができる。ある実施態様において、リンパ球(例えば、皮膚由来αβ T細胞及び/又はNK細胞、胃腸由来αβ T細胞及び/又はNK細胞)は、本明細書で定義される方法に従って非造血組織試料から単離されたリンパ球の集団から拡大される。
【0087】
本明細書で使用される場合、「拡大された」又は「拡大されたリンパ球及び/もしくはγδ T細胞の集団」に対する言及は、拡大されていない集団よりも大きい又は拡大されていない集団よりも多くの数を含有する細胞の集団を含む。そのような集団は、数が多くても、数が少なくても、又は集団内の一部もしくは特定の細胞型の拡大を伴う混合集団であってもよい。「拡大工程」という用語は、拡大又は拡大された集団をもたらすプロセスを指すことが理解されるであろう。したがって、拡大又は拡大された集団は、拡大工程が実施されていないか又は任意の拡大工程の前の集団と比較して、数がより多くても、又はより多くの細胞を含有していてもよい。拡大を示すために本明細書で示される任意の数(例えば、増加倍数又は拡大倍数)は、細胞の集団の数もしくはサイズ又は細胞の数の増加を示すものであり、かつ拡大の量を示すものであることがさらに理解されるであろう。
【0088】
したがって、一実施態様において、本発明の方法に従って単離されたγδ T細胞は拡大される。そのような拡大は、任意にIL-4を含む、IL-2、IL-15、及びIL-21の存在下で、γδ T細胞を培養することを含み得る。或いは、拡大は、任意にIL-4を含む、IL-9、IL-15、及びIL-21の存在下で、γδ T細胞を培養することを含み得る。任意の拡大工程は、拡大されたリンパ球及び/又はγδ T細胞の集団を産生するのに有効な期間実施されることが理解されるであろう。一実施態様において、拡大されたリンパ球及び/又はγδ T細胞の集団を産生するのに有効な期間は、少なくとも5日間である。したがって、一実施態様において、拡大は、IL-2、IL-15、及びIL-21の存在下、拡大されたγδ T細胞の集団を産生するのに有効な量で、少なくとも5日間、γδ T細胞を培養することを含む。さらなる実施態様において、拡大は、IL-2、IL-15、IL-21、及びIL-4の存在下、拡大されたγδ T細胞の集団を産生するのに有効な量で、少なくとも5日間、γδ T細胞を培養することを含む。またさらなる実施態様において、拡大は、IL-9、IL-15、及びIL-21の存在下、拡大されたγδ T細胞の集団を産生するのに有効な量で、少なくとも5日間、γδ T細胞を培養することを含む。一実施態様において、拡大は、IL-9、IL-15、IL-21、及びIL-4の存在下、拡大されたγδ T細胞の集団を産生するのに有効な量で、少なくとも5日間、γδ T細胞を培養することを含む。
【0089】
さらなる実施態様において、拡大は、拡大されたγδ T細胞の集団を産生するのに有効な量で、一定期間(例えば、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、少なくとも10日間、少なくとも11日間、少なくとも12日間、少なくとも13日間、少なくとも14日間、少なくとも21日間、少なくとも28日間、又はそれよりも長い期間、例えば、5日~40日間、7日~35日間、14日~28日間、又は約21日間)、リンパ球及び/又はγδ T細胞を培養することを含む。いくつかの実施態様において、リンパ球及び/又はγδ T細胞は、培養下で数時間(例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、18、又は21時間)~約35日間(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、又は35日間)拡大される。一実施態様において、リンパ球及び/又はγδ T細胞は、14~21日間拡大される。したがって、(例えば、1~40日間、例えば、14~21日間の)単離培養期間を含め、単離及び拡大工程は、いくつかの実施態様において、28~56日間、又は約41日間持続することができる。
【0090】
さらなる実施態様において、拡大は、γδ T細胞を、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、少なくとも10日間、少なくとも11日間、少なくとも12日間、少なくとも13日間、少なくとも14日間、少なくとも21日間、少なくとも28日、又はそれよりも長い期間、例えば、5日~40日間、7日~35日間、14日~28日間、又は約21日間培養することを含む。一実施態様において、拡大工程は、γδ T細胞を少なくとも10日間、15日間、又は20日間培養して、拡大された集団を産生することを含む。一実施態様において、拡大工程は、γδ T細胞を、5~25日間、例えば、14~21日間培養することを含む。さらなる実施態様において、拡大工程は、γδ T細胞を、約20日間培養することを含む。
【0091】
いくつかの実施態様において、拡大されたγδ T細胞の集団を産生するのに有効なIL-2の典型的な量は、1IU/mL~2,000IU/mL(例えば、5IU/mL~1,000IU/mL、10IU/mL~500IU/mL、20IU/mL~400IU/mL、50IU/mL~250IU/mL、又は約100IU/mL、例えば、5IU/mL~10IU/mL、10IU/mL~20IU/mL、20IU/mL~30IU/mL、30IU/mL~40IU/mL、40IU/mL~50IU/mL、50IU/mL~60IU/mL、60IU/mL~70IU/mL、70IU/mL~80IU/mL、80IU/mL~90IU/mL、90IU/mL~100IU/mL、100IU/mL~120IU/mL、120IU/mL~140IU/mL、140IU/mL~150IU/mL、150IU/mL~175IU/mL、175IU/mL~200IU/mL、200IU/mL~300IU/mL、300IU/mL~400IU/mL、400IU/mL~500IU/mL、500IU/mL~1,000IU/mL、1,000IU/mL~1,500IU/mL、1,500IU/mL~2,000IU/mL、又はそれより多く)である。いくつかの実施態様において、拡大されたγδ T細胞の集団を産生するのに有効なIL-2の量は、約100IU/mLである。
【0092】
いくつかの実施態様において、拡大されたγδ T細胞(例えば、皮膚由来γδ T細胞及び/又は非Vδ2 T細胞、例えば、Vδ1 T細胞及び/又はDN T細胞)の集団を産生するのに有効なIL-15の典型的な量は、少なくとも0.1ng/mL(例えば、0.1ng/mL~10,000ng/mL、1.0ng/mL~1,000ng/mL、5ng/mL~800ng/mL、10ng/mL~750ng/mL、20ng/mL~500ng/mL、50ng/mL~400ng/mL、又は100ng/mL~250ng/mL、例えば、0.1ng/mL~1.0ng/mL、1.0ng/mL~5.0ng/mL、5.0ng/mL~10ng/mL、10ng/mL~20ng/mL、20ng/mL~50ng/mL、50ng/mL~100ng/mL、100ng/mL~200ng/mL、200ng/mL~500ng/mL、又は500ng/mL~1,000ng/mL)である。いくつかの実施態様において、拡大されたγδ T細胞の集団を産生するのに有効なIL-15の量は、約10ng/mLである。
【0093】
いくつかの実施態様において、γδ T細胞(例えば、皮膚由来γδ T細胞及び/又は非Vδ2 T細胞、例えば、Vδ1 T細胞及び/又はDN T細胞)の集団を産生するのに有効なIL-21の典型的な量は、少なくとも0.1ng/mL、例えば、少なくとも1.0ng/mL(例えば、0.1ng/mL~1,000ng/mL、1.0ng/mL~100ng/mL、1.0ng/mL~50ng/mL、2ng/mL~50ng/mL、3ng/mL~10ng/mL、4ng/mL~8ng/mL、5ng/mL~10ng/mL、6ng/mL~8ng/mL、例えば、0.1ng/mL~10ng/mL、1.0ng/mL~5ng/mL、1.0ng/mL~10ng/mL、1.0ng/mL~20ng/mL)である。さらなる実施態様において、IL-21の量は、典型的には、100ng/mL未満、例えば、50ng/mL未満の濃度である。いくつかの実施態様において、該方法は、約6ng/mL、例えば、約6.25ng/mLの濃度のIL-21を含む。
【0094】
さらなる実施態様において、本明細書で定義される方法は、典型的には、少なくとも0.1ng/mL、例えば、少なくとも10ng/mL(例えば、0.1ng/mL~1,000ng/mL、1.0ng/mL~100ng/mL、1.0ng/mL~50ng/mL、2ng/mL~50ng/mL、3ng/mL~40ng/mL、4ng/mL~30ng/mL、5ng/mL~20ng/mL、10ng/mL~20ng/mL、例えば、0.1ng/mL~50ng/mL、1.0ng/mL~25ng/mL、5ng/mL~25ng/mL)の濃度のIL-4を含む。さらなる実施態様において、本明細書で定義される方法は、典型的には、100ng/mL未満、例えば、50ng/mL未満、特に、20ng/mL未満の濃度のIL-4を含む。いくつかの実施態様において、該方法は、約15ng/mLの濃度のIL-4を含む。
【0095】
非造血組織常駐リンパ球及び/又はγδ T細胞の拡大培養における他の因子の代用又は追加も本明細書に提供される。例えば、いくつかの実施態様において、IL-4、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-12、IL-18、IL-33、IGF-1、IL-1β、ヒト血小板ライセート(HPL)、及び間質細胞由来因子-1(SDF-1)からなる群から選択されるいずれか1つ又は複数の因子が、IL-2及びIL-15のうちのいずれか1つに加えて、又はその代わりに含まれる。αβ T細胞又はNK細胞などのリンパ球の拡大のためのそのような追加の又は代わりの因子は、当技術分野で公知である。一実施態様において、そのような因子は、γδ T細胞の拡大を選択的に促進する拡大において使用される。さらなる実施態様において、そのような因子は、αβ T細胞及び/又はNK細胞などのリンパ球の拡大を選択的に促進する拡大において使用される。
【0096】
拡大されたγδ T細胞の集団を産生するのに必要とされる上記のサイトカインの各々の量は、1以上の他のサイトカインの濃度によって決まることが理解されるであろう。例えば、IL-2の濃度が増加又は減少する場合、IL-15の濃度は、それに応じて、それぞれ、減少又は増加し得る。上記のように、拡大された集団を産生するのに有効な量は、本明細書において、細胞拡大に対する全ての因子の複合効果を指す。
【0097】
拡大方法は、参照集団よりも数が多い拡大されたγδ T細胞の集団を提供する。いくつかの実施態様において、拡大されたγδ T細胞の集団は、拡大工程前の単離されたγδ T細胞の集団よりも数が多い(例えば、拡大工程前の単離されたγδ T細胞の集団と比べて、少なくとも2倍の数、少なくとも3倍の数、少なくとも4倍の数、少なくとも5倍の数、少なくとも6倍の数、少なくとも7倍の数、少なくとも8倍の数、少なくとも9倍の数、少なくとも10倍の数、少なくとも15倍の数、少なくとも20倍の数、少なくとも25倍の数、少なくとも30倍の数、少なくとも35倍の数、少なくとも40倍の数、少なくとも50倍の数、少なくとも60倍の数、少なくとも70倍の数、少なくとも80倍の数、少なくとも90倍の数、少なくとも100倍の数、少なくとも200倍の数、少なくとも300倍の数、少なくとも400倍の数、少なくとも500倍の数、少なくとも600倍の数、少なくとも700倍の数、少なくとも800倍の数、少なくとも900倍の数、少なくとも1,000倍の数、少なくとも5,000倍の数、少なくとも10,000倍の数、又はそれより多い)。
【0098】
一実施態様において、拡大工程は、単離されたγδ T細胞を実質的な間質細胞接触の非存在下で培養することを含む。さらなる実施態様において、拡大工程は、単離されたγδ T細胞を実質的な線維芽細胞接触の非存在下で培養することを含む。
【0099】
さらなる実施態様において、拡大工程は、単離されたγδ T細胞をIL-4の存在下で培養することをさらに含む。それゆえ、一実施態様において、拡大は、単離されたγδ T細胞を、IL-2、IL-15、IL-4、及びIL-21の存在下で培養することを含む。或いは、拡大は、単離されたγδ T細胞を、IL-9、IL-15、IL-4、及びIL-21の存在下で培養することを含み得る。
【0100】
本明細書に提供される拡大方法は、他のリンパ球(例えば、αβ T細胞及び/又はNK細胞)の拡大にも適用されることが理解されるであろう。そのような実施態様において、拡大工程は、単離されたリンパ球を、関連性のある成長因子及び/又は栄養素(例えば、サイトカイン及び/又はケモカイン)の存在下で培養して、拡大されたリンパ球(例えば、αβ T細胞及び/又はNK細胞)の集団を産生することを含む。
【0101】
一実施態様において、本明細書で定義されるγδ T細胞の集団を拡大する方法は、γδ T細胞又は他のリンパ球を無血清培地中で培養することを含む。さらなる実施態様において、本明細書で定義されるγδ T細胞の集団を拡大する方法は、γδ T細胞を、血清代替品を含有する培地中で培養することを含む。それゆえ、無血清培地又は血清代替品含有培地中でのそのようなγδ T細胞の拡大は、上記のものと同様の利点を獲得することが理解されるであろう。
【0102】
いくつかの実施態様において、実質的なTCR経路活性化は、拡大工程の間に存在しない(例えば、外因性のTCR経路活性化因子は培養物中に含まれない)。一実施態様において、拡大工程は、外因性のTCR経路アゴニストの欠如を含む。さらに、本明細書に提供されるのは、本明細書で定義される方法に従って単離されたγδ T細胞を拡大する方法であり、ここで、該拡大方法は、フィーダー細胞、腫瘍細胞、及び/又は抗原提示細胞との接触を伴わない。したがって、本明細書で定義される方法のさらなる実施態様において、γδ T細胞の拡大は、γδ T細胞を実質的な間質細胞接触の非存在下で培養することを含む。
【0103】
また提供されるのは、大きな非造血組織由来γδ T細胞(例えば、皮膚由来γδ T細胞及び/又は非Vδ2 T細胞、例えば、Vδ1 T細胞及び/又はDN T細胞)の集団を(例えば、間質細胞接触及び/もしくはTCR刺激を取り除くことによるか、又は有効量の因子の存在下で培養することにより)高率で産生する手段である。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される増殖工程は、以下の式により与えられる低集団倍加時間で、γδ T細胞を拡大する:
【数1】
【0104】
本明細書に提供される情報を考慮して、当業者は、本発明が非造血組織由来γδ T細胞(例えば、皮膚由来γδ T細胞及び/又は非Vδ2 T細胞、例えば、Vδ1 T細胞及び/又はDN T細胞)を、5日未満(例えば、4.5日未満、4.0日未満、3.9日未満、3.8日未満、3.7日未満、3.6日未満、3.5日未満、3.4日未満、3.3日未満、3.2日未満、3.1日未満、3.0日未満、2.9日未満、2.8日未満、2.7日未満、2.6日未満、2.5日未満、2.4日未満、2.3日未満、2.2日未満、2.1日未満、2.0日未満、46時間未満、42時間未満、38時間未満、35時間未満、32時間未満)の集団倍加時間で拡大する方法ということを認識するであろう。
【0105】
いくつかの実施態様において、培養から7日以内に、拡大されたγδ T細胞の集団(例えば、拡大されたVδ1 T細胞及び/又はDN T細胞の集団)は、拡大前の単離されたγδ T細胞の集団と比べて、少なくとも10倍の数のγδ T細胞(例えば、拡大前の単離されたγδ T細胞の集団と比べて、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも60倍、少なくとも70倍、少なくとも80倍、少なくとも90倍、少なくとも100倍、少なくとも150倍、少なくとも200倍、少なくとも300倍、少なくとも400倍、少なくとも500倍、少なくとも600倍、少なくとも700倍、少なくとも800倍、少なくとも900倍、少なくとも1,000倍、少なくとも2,000倍、少なくとも3,000倍、少なくとも4,000倍、少なくとも5,000倍、少なくとも6,000倍、少なくとも7,000倍、又は少なくとも8,000倍の数のγδ T細胞)を含む。いくつかの実施態様において、培養から14日以内に、拡大されたγδ T細胞の集団(例えば、拡大されたVδ1 T細胞及び/又はDN T細胞の集団)は、拡大前の単離されたγδ T細胞の集団と比べて、少なくとも20倍の数のγδ T細胞(例えば、拡大前の単離されたγδ T細胞の集団と比べて、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも60倍、少なくとも70倍、少なくとも80倍、少なくとも90倍、少なくとも100倍、少なくとも150倍、少なくとも200倍、少なくとも300倍、少なくとも400倍、少なくとも500倍、少なくとも600倍、少なくとも700倍、少なくとも800倍、少なくとも900倍、少なくとも1,000倍、少なくとも2,000倍、少なくとも3,000倍、少なくとも4,000倍、少なくとも5,000倍、少なくとも6,000倍、少なくとも7,000倍、少なくとも8,000倍、少なくとも9,000倍、又は少なくとも10,000倍の数のγδ T細胞)を含む。いくつかの実施態様において、培養から21日以内に、拡大されたγδ T細胞の集団(例えば、拡大されたVδ1 T細胞及び/又はDN T細胞の集団)は、拡大前の単離されたγδ T細胞の集団と比べて、少なくとも50倍の数のγδ T細胞(例えば、拡大前の単離されたγδ T細胞の集団と比べて、少なくとも60倍、少なくとも70倍、少なくとも80倍、少なくとも90倍、少なくとも100倍、少なくとも150倍、少なくとも200倍、少なくとも300倍、少なくとも400倍、少なくとも500倍、少なくとも600倍、少なくとも700倍、少なくとも800倍、少なくとも900倍、少なくとも1,000倍、少なくとも2,000倍、少なくとも3,000倍、少なくとも4,000倍、少なくとも5,000倍、少なくとも6,000倍、少なくとも7,000倍、少なくとも8,000倍、少なくとも9,000倍、又は少なくとも10,000倍の数のγδ T細胞)を含む。いくつかの実施態様において、培養から28日以内に、拡大されたγδ T細胞の集団(例えば、拡大されたVδ1 T細胞及び/又はDN T細胞の集団)は、拡大前の単離されたγδ T細胞の集団と比べて、少なくとも100倍の数のγδ T細胞(例えば、拡大前の単離されたγδ T細胞の集団と比べて、少なくとも110倍、少なくとも120倍、少なくとも130倍、少なくとも140倍、少なくとも150倍、少なくとも200倍、少なくとも300倍、少なくとも400倍、少なくとも500倍、少なくとも600倍、少なくとも700倍、少なくとも800倍、少なくとも900倍、少なくとも1,000倍、少なくとも2,000倍、少なくとも3,000倍、少なくとも4,000倍、少なくとも5,000倍、少なくとも6,000倍、少なくとも7,000倍、少なくとも8,000倍、少なくとも9,000倍、少なくとも10,000倍、少なくとも12,000倍、又は少なくとも15,000倍の数のγδ T細胞)を含む。
【0106】
本明細書に提供される方法によって拡大された非造血組織由来γδ T細胞(例えば、皮膚由来γδ T細胞及び/又は非Vδ2 T細胞、例えば、Vδ1 T細胞及び/又はDN T細胞)は、抗腫瘍効力によく適した表現型を有することができる。いくつかの実施態様において、拡大されたγδ T細胞の集団(例えば、皮膚由来Vδ1 T細胞)は、参照集団(例えば、拡大工程の前の単離されたγδ T細胞の集団)よりも大きいCD27の平均発現を有する。いくつかの実施態様において、拡大されたγδ T細胞の集団は、単離されたγδ T細胞の集団と比べて、少なくとも2倍である(例えば、単離されたγδ T細胞の集団と比べて、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも60倍、少なくとも70倍、少なくとも80倍、少なくとも90倍、少なくとも100倍、少なくとも150倍、少なくとも200倍、少なくとも300倍、少なくとも400倍、少なくとも500倍、少なくとも600倍、少なくとも700倍、少なくとも800倍、少なくとも900倍、少なくとも1,000倍、少なくとも5,000倍、少なくとも10,000倍、少なくとも20,000倍、又はそれを上回る)CD27の平均発現を有する。
【0107】
拡大されたγδ T細胞の集団(例えば、皮膚由来γδ T細胞及び/又は非Vδ2 T細胞、例えば、Vδ1 T細胞及び/又はDN T細胞)の独特の部分がCD27を上方調節することができる一方、別の部分は、CD27low又はCD27negativeである。この場合、単離されたγδ T細胞の集団と比べた、拡大された集団におけるCD27positive細胞の頻度は、より大きいものであり得る。例えば、拡大されたγδ T細胞の集団は、拡大前の単離されたγδ T細胞の集団の頻度と比べて、少なくとも5%大きい頻度のCD27positive細胞(例えば、拡大前の単離されたγδ T細胞の集団の頻度と比べて、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は最大100%大きい頻度のCD27positive細胞)を有し得る。いくつかの実施態様において、単離されたγδ T細胞の集団と比べた、拡大された集団におけるCD27positive細胞の数は、増加し得る。例えば、拡大されたγδ T細胞の集団は、拡大前の単離されたγδ T細胞の集団と比べて、少なくとも2倍の数のCD27positive細胞を有し得る。拡大されたγδ T細胞の集団は、10%超、20%超、30%超、40%超、50%超、60%超、70%超、80%超、又は90%超のCD27+細胞の頻度を有し得る。或いは、拡大されたγδ T細胞の集団は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、又は約90%の頻度のCD27+細胞を有し得る。ある実施態様において、拡大されたγδ T細胞の集団は、50%超の頻度のCD27+細胞を有する。
【0108】
本明細書に提供される拡大方法は、いくつかの実施態様において、参照集団(例えば、拡大工程の前の単離されたγδ T細胞の集団)と比べて低いTIGITの発現を有する拡大された非造血組織由来γδ T細胞(例えば、皮膚由来γδ T細胞及び/又は非Vδ2 T細胞、例えば、Vδ1 T細胞及び/又はDN T細胞)の集団を産出する。いくつかの実施態様において、拡大されたγδ T細胞の集団は、参照集団(例えば、拡大工程の前の単離されたγδ T細胞の集団)よりも低いTIGITの平均発現を有する。いくつかの実施態様において、拡大されたγδ T細胞の集団は、単離されたγδ T細胞の集団よりも少なくとも10%少ない(例えば、単離されたγδ T細胞の集団よりも少なくとも20%少ない、少なくとも30%少ない、少なくとも40%少ない、少なくとも50%少ない、少なくとも60%少ない、少なくとも70%少ない、少なくとも80%少ない、少なくとも90%少ない、又は最大100%少ない)TIGITの平均発現を有する。拡大されたγδ T細胞の集団は、90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、又は10%未満の頻度のTIGIT+細胞を有し得る。或いは、拡大されたγδ T細胞の集団は、約90%、約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、又は約10%の頻度のTIGIT+細胞を有し得る。ある実施態様において、単離されたγδ T細胞の集団は、80%未満の頻度のTIGIT+細胞を有する。
【0109】
いくつかの実施態様において、拡大されたγδ T細胞(例えば、皮膚由来γδ T細胞又は非Vδ2 T細胞、例えば、Vδ1 T細胞及び/又はDN T細胞)の集団は、多数又は高頻度のCD27+細胞及び低頻度のTIGIT+細胞を有する。いくつかの実施態様において、拡大されたγδ T細胞の集団は、参照集団と比べて(例えば、拡大前の単離されたγδ T細胞の集団と比べて)高い頻度のCD27+TIGIT-細胞を有する。例えば、拡大されたγδ T細胞の集団は、拡大前の単離されたγδ T細胞の集団の頻度と比べて、少なくとも5%大きい頻度のCD27+ TIGIT-細胞(例えば、拡大前の単離されたγδ T細胞の集団の頻度と比べて、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は最大100%大きい頻度のCD27+ TIGIT-細胞)を有し得る。いくつかの実施態様において、単離されたγδ T細胞の集団と比べた、拡大された集団におけるCD27+ TIGIT-細胞の数は、増加し得る。例えば、拡大されたγδ T細胞の集団は、拡大前の単離されたγδ T細胞の集団と比べて、少なくとも2倍の数のCD27+ TIGIT-細胞(例えば、拡大前の単離されたγδ T細胞の集団の頻度と比べて、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は最大100%大きい頻度のCD27+TIGIT-細胞)を有し得る。
【0110】
場合により、拡大されたγδ T細胞(例えば、皮膚由来γδ T細胞及び/又は非Vδ2 T細胞、例えば、Vδ1 T細胞及び/又はDN T細胞)の集団内のCD27+ γδ T細胞の集団におけるTIGITの平均発現は、参照集団と比べて低い。いくつかの実施態様において、拡大されたCD27+ γδ T細胞の集団は、参照集団(例えば、拡大工程前の単離されたCD27+ γδ T細胞の集団)よりも低いTIGITの平均発現を有する。いくつかの実施態様において、拡大されたCD27+ γδ T細胞の集団は、単離されたCD27+ γδ T細胞の集団よりも少なくとも10%少ない(例えば、単離されたCD27+ γδ T細胞の集団よりも少なくとも20%少ない、少なくとも30%少ない、少なくとも40%少ない、少なくとも50%少ない、少なくとも60%少ない、少なくとも70%少ない、少なくとも80%少ない、少なくとも90%少ない、又は最大100%少ない)TIGITの平均発現を有する。
【0111】
さらに又は代わりに、拡大されたγδ T細胞(例えば、皮膚由来γδ T細胞及び/又は非Vδ2 T細胞、例えば、Vδ1 T細胞及び/又はDN T細胞)の集団内のTIGIT- γδ T細胞の集団におけるCD27の中央発現は、参照集団と比べて高い。例えば、拡大されたTIGIT- γδ T細胞の集団は、拡大前の単離されたTIGIT- γδ T細胞の集団の頻度と比べて、少なくとも5%大きい頻度のCD27+細胞(例えば、拡大前の単離されたTIGIT- γδ T細胞の集団の頻度と比べて、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は最大100%大きい頻度のCD27+細胞)を有し得る。いくつかの実施態様において、単離されたTIGIT- γδ T細胞の集団と比べた、拡大された集団におけるCD27+細胞の数は、増加し得る。例えば、拡大されたTIGIT- γδ T細胞の集団は、拡大前の単離されたTIGIT- γδ T細胞の集団と比べて、少なくとも2倍の数のCD27+細胞(例えば、拡大前の単離されたTIGIT- γδ T細胞の集団の頻度と比べて、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は最大100%大きい頻度のCD27+細胞)を有し得る。
【0112】
CD124、CD215、CD360、CTLA4、CD1b、BTLA、CD39、CD45RA、Fasリガンド、CD25、ICAM-1、CD31、KLRG1、CD30、CD2、NKp44、NKp46、ICAM-2、CD70、CD28、CD103、NKp30、LAG3、CCR4、CD69、PD-1、及びCD64を含む、他のマーカーの発現の増加又は減少を、さらに又は代わりに用いて、1以上の拡大された非造血組織由来γδ T細胞(例えば、皮膚由来γδ T細胞及び/又は非Vδ2 T細胞、例えば、Vδ1 T細胞及び/又はDN T細胞)の集団を特徴付けることができる。場合により、拡大されたγδ T細胞(例えば、皮膚由来γδ T細胞及び/又は非Vδ2 T細胞、例えば、Vδ1 T細胞及び/又はDN T細胞)の集団は、例えば、拡大前の単離されたγδ T細胞の集団と比べてより大きいCD124、CD215、CD360、CTLA4、CD1b、BTLA、CD39、CD45RA、Fasリガンド、CD25、ICAM-1、CD31、KLRG1、CD30、及びCD2からなる群から選択されるマーカーのうちの1つ又は複数の平均発現を有する。さらに又は代わりに、拡大されたγδ T細胞の集団は、単離されたγδ T細胞の集団と比べてより大きいCD124、CD215、CD360、CTLA4、CD1b、BTLA、CD39、CD45RA、Fasリガンド、CD25、ICAM-1、CD31、KLRG1、CD30、及びCD2からなる群から選択されるマーカーのうちの1つ又は複数を発現する細胞の頻度を有し得る。いくつかの実施態様において、拡大されたγδ T細胞の集団は、単離されたγδ T細胞の集団と比べてより低いNKp44、NKp46、ICAM-2、CD70、CD28、CD103、NKp30、LAG3、CCR4、CD69、PD-1、及びCD64からなる群から選択されるマーカーのうちの1つ又は複数の平均発現を有する。拡大された集団は、単離されたγδ T細胞の集団と比べてより低いNKp44、NKp46、ICAM-2、CD70、CD28、CD103、NKp30、LAG3、CCR4、CD69、PD-1、及びCD64からなる群から選択されるマーカーのうちの1つ又は複数を発現する細胞の頻度を同様に有し得る。
【0113】
したがって、本発明の方法によって産生された非造血組織常駐γδ T細胞は、以下の特性のうちの1つ又は複数を有し得る:(i)CD69high、TIM3high、及びCD28low/absentの表現型を示す;(ii)CCR3、CD39、CD11b、及びCD9のうちの1つもしくは複数を上方調節する;(iii)TCRアゴニストの非存在下で、NKG2Dリガンドに応答してIFN-γを産生する;(iv)TCRアゴニストの非存在下でIL-13を産生する;(v)TCR活性化に応答して、IFN-γ、TNF-α、及びGM-CSFのうちの1つもしくは複数を産生する;(vi)TCR活性化に応答して、IL-17を全くもしくは実質的に全く産生しない;(vii)追加の成長因子なしでIL-2を含有する培養培地中で成長する;(viii)TCRアゴニストの非存在下で細胞傷害性T細胞応答を示す;かつ/又は(ix)正常細胞よりも腫瘍細胞に対する選択的細胞傷害性を示す。
【0114】
場合により、本発明の方法によって産生される非造血組織常駐γδ T細胞は、TCRアゴニストの非存在下でIL-13を産生し、かつ/又はTCRアゴニストの非存在下、NKG2Dリガンドに応答してIFN-γを産生する。
【0115】
γδ T細胞の増殖における使用に好適な多くの基本培養培地、特に、AIM-V、Iscoves培地、及びRPMI-1640(Life Technologies)などの培地が利用可能である。培地に、本明細書で定義される他の培地因子、例えば、血清、血清タンパク質、及び選択剤、抗生物質を補充してもよい。例えば、いくつかの実施態様において、2mMグルタミン、10%FBS、10mM HEPES、pH 7.2、1%ペニシリン-ストレプトマイシン、ピルビン酸ナトリウム(1mM; Life Technologies)、非必須アミノ酸(例えば、100μM Gly、Ala、Asn、Asp、Glu、Pro、及びSer; 1×MEM非必須アミノ酸(Life Technologies))、並びに10μl/L β-メルカプトエタノールを含有するRPMI-1640培地。代わりの実施態様において、AIM-V培地に、CTS Immune製の血清代替品及びアムホテリシンBを補充してもよい。本明細書で定義されるある実施態様において、培地にさらに、IL-2及びIL-15を補充してもよい。好都合なことに、細胞は、単離及び/又は拡大時に、好適な培養培地中、5%CO2を含有する湿気のある雰囲気下、37℃で培養される。
【0116】
本発明のさらなる態様によれば、非造血組織試料からのリンパ球の単離及び拡大方法であって:
(i)本明細書で定義される方法に従って、該非造血組織試料からリンパ球の集団を単離する工程;及び
(ii)該リンパ球の集団を(例えば、少なくとも5日間)さらに培養して、拡大されたリンパ球の集団を産生する工程
:を含む、方法が提供される。
【0117】
一実施態様において、リンパ球は、αβ T細胞を含む。それゆえ、本発明のさらなる態様によれば、非造血組織試料からのαβ T細胞の単離及び拡大方法であって:
(i)本明細書で定義される方法に従って、該非造血組織試料からαβ T細胞の集団を単離する工程;及び
(ii)該αβ T細胞の集団を(例えば、少なくとも5日間)さらに培養して、拡大されたαβ T細胞の集団を産生する工程
:を含む、方法が提供される。
【0118】
工程(ii)の培養は、例えば、αβ T細胞が工程(i)の単離された集団に存在する他の細胞型よりも優先的に拡大される培養条件を選択することによる、選択的増殖によるものであってもよい。或いは、増殖条件は、選択的ではなく、工程(ii)の培養の後に、非標的細胞(例えば、αβ T細胞以外の細胞)が除去されてもよい。或いは、拡大条件は、選択的ではなく、非標的細胞(例えば、αβ T細胞以外の細胞)の除去は、工程(ii)の培養の前に行われる。これらの実施態様の目的は、αβ T細胞の総数を拡大し、その一方でまた、集団におけるその割合を増加させることであることに留意されたい。
【0119】
一実施態様において、リンパ球は、NK細胞を含む。それゆえ、本発明のさらなる態様によれば、非造血組織試料からのNK細胞の単離及び拡大方法であって:
(i)本明細書で定義される方法に従って、非造血組織試料からNK細胞の集団を単離する工程;及び
(ii)該NK細胞の集団を(例えば、少なくとも5日間)さらに培養して、拡大されたNK細胞の集団を産生する工程
:を含む、方法が提供される。
【0120】
工程(ii)の培養は、例えば、NK細胞が工程(i)の単離された集団に存在する他の細胞型よりも優先的に拡大される培養条件を選択することによる、選択的拡大によるものであってもよい。或いは、拡大条件は、選択的ではなく、工程(ii)の培養の後に、非標的細胞(例えば、NK細胞以外の細胞)が除去されてもよい。或いは、拡大条件は、選択的ではなく、非標的細胞(例えば、NK細胞以外の細胞)の除去は、工程(ii)の培養の前に行われる。これらの実施態様の目的は、NK細胞の総数を拡大し、その一方でまた、集団におけるその割合を増加させることであることに留意されたい。
【0121】
一実施態様において、リンパ球は、γδ T細胞を含む。それゆえ、本発明のさらなる態様によれば、非造血組織試料からのγδ T細胞の単離及び拡大方法であって:
(i)本明細書で定義される方法に従って、非造血組織試料からγδ T細胞の集団を単離する工程;及び
(ii)該γδ T細胞の集団を(例えば、少なくとも5日間)さらに培養して、拡大されたγδ T細胞の集団を産生する工程
:を含む、方法が提供される。
【0122】
工程(ii)の培養は、例えば、γδ T細胞が工程(i)の単離された集団に存在する他の細胞型よりも優先的に拡大される培養条件を選択することによる、選択的拡大によるものであってもよい。或いは、拡大条件は、選択的ではなく、工程(ii)の培養の後に、非標的細胞(例えば、γδ T細胞以外の細胞)が除去されてもよい。或いは、拡大条件は、選択的ではなく、非標的細胞(例えば、γδ T細胞以外の細胞)の除去は、工程(ii)の培養の前に行われる。これらの実施態様の目的は、γδ T細胞の総数を拡大し、その一方でまた、集団におけるその割合を増加させることであることに留意されたい。
【0123】
したがって、本発明のさらなる態様によれば、非造血組織試料からのγδ T細胞の単離及び拡大方法であって、
(i)本明細書で定義される方法に従って、非造血組織試料からγδ T細胞の集団を単離する工程;並びに
(ii)該γδ T細胞の集団を
(a)IL-2又はIL-9;
(b)IL15;及び
(c)IL-21
:の存在下、拡大されたγδ T細胞の集団を産生するのに有効な量で、少なくとも5日間培養する工程
:を含む、方法が提供される。
【0124】
本発明のこの態様のある実施態様において、該γδ T細胞の集団の培養は、IL-4の存在をさらに含む。したがって、本発明のさらなる態様において、非造血組織試料からのγδ T細胞の単離及び拡大方法であって、
(i)本明細書で定義される方法に従って、非造血組織試料からγδ T細胞の集団を単離する工程;並びに
(ii)該γδ T細胞の集団を
(a)IL-2又はIL-9;
(b)IL15;及び
(c)IL-21;並びに
(d)IL-4
:の存在下、拡大されたγδ T細胞の集団を産生するのに有効な量で、少なくとも5日間培養する工程
:を含む、方法が提供される。
【0125】
本発明の一態様によれば、本明細書で定義される方法のいずれかによって得られる拡大された単離されたリンパ球(例えば、皮膚由来αβ T細胞及び/又はNK細胞)の集団が提供される。
【0126】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書で定義される方法のいずれかによって得ることができる拡大された単離されたリンパ球細胞の集団が提供される。
【0127】
本発明のまたさらなる態様によれば、本明細書で定義される方法のいずれかによって得られる拡大された単離されたγδ T細胞の集団が提供される。
【0128】
本発明のまたさらなる態様によれば、本明細書で定義される方法のいずれかによって得ることができる単離された拡大されたγδ T細胞の集団が提供される。
【0129】
一実施態様において、単離された集団は、50%超のγδ T細胞、例えば、75%超のγδ T細胞、特に、85%超のγδ T細胞を含む。一実施態様において、単離された集団は、Vδ1細胞を含み、ここで、Vδ1細胞の50%未満、例えば、25%未満がTIGITを発現する。一実施態様において、単離された集団は、Vδ1細胞を含み、ここで、Vδ1細胞の50%超、例えば、60%超がCD27を発現する。
【0130】
本発明の方法によって得られたリンパ球及び/又はγδ T細胞は、例えば、養子T細胞療法のための医薬として使用することができる。これは、本発明の方法によって得られたリンパ球及び/又はγδ T細胞の患者への移植を伴う。該療法は、自己に対するものあってもよい、すなわち、γδ T細胞を、それが得られた同じ患者に移植して戻してもよく、又は療法は、同種異系に対するものであってもよい、すなわち、ある人由来のγδ T細胞を異なる患者に移植してもよい。同種異系移植を伴う場合、γδ T細胞は、αβ T細胞を実質的に含まないものであってもよい。例えば、αβ T細胞は、例えば、拡大後に、当技術分野で公知の任意の好適な手段を用いて(例えば、磁気ビーズを用いる、例えば、陰性選択によって)、γδ T細胞集団から除去してもよい。治療方法は;ドナー個体から得られた非造血組織の試料を提供すること;上記の試料由来のγδ T細胞を培養して、拡大された集団を産生すること;及び拡大されたγδ T細胞の集団をレシピエント個体に投与することを含み得る。
【0131】
治療されることになる患者又は対象は、好ましくは、ヒト癌患者(例えば、固形腫瘍の治療を受けているヒト癌患者)又はウイルス感染患者(例えば、CMV感染もしくはHIV感染患者)である。場合により、患者は、固形腫瘍を有し、かつ/又は固形腫瘍に対する治療を受けている。
【0132】
組織常駐Vδ1 T及びDN γδ T細胞は、通常、非造血組織に常駐しているので、該細胞も、腫瘍塊にホーミングし、かつ腫瘍塊の中に保持される可能性がその全身性血液常駐対応物よりも高く、これらの細胞の養子移入は、固形腫瘍及び潜在的に、他の非造血組織関連免疫病理を標的とするのにより効果的である可能性がある。
【0133】
γδ T細胞はMHC非拘束性であるので、それが異物として移植される宿主を認識せず、これは、γδ T細胞が移植片対宿主病を引き起こす可能性が低いことを意味する。これは、γδ T細胞を「市販品として(off the shelf)」使用し、例えば、同種異系の養子T細胞療法のための任意のレシピエントに移植することができることを意味する。
【0134】
本発明の方法によって得られる非造血組織常駐γδ T細胞は、NKG2Dを発現し、悪性腫瘍と強く関連するNKG2Dリガンド(例えば、MICA)に応答する。非造血組織常駐γδ T細胞は、任意の活性化の非存在下で細胞傷害性プロファイルも発現し、それゆえ、腫瘍細胞を死滅させるのに効果がある可能性が高い。例えば、本明細書に記載されているように得られる非造血組織常駐γδ T細胞は、任意の活性化の非存在下で、IFN-γ、TNF-α、GM-CSF、CCL4、IL-13、グラニュライシン、グランザイムA及びB、並びにパーフォリンのうちの1つ又は複数、好ましくは、全てを発現し得る。IL-17Aは、発現されなくてもよい。
【0135】
それゆえ、本明細書に報告される発見は、本発明の方法によって得られる非造血組織常駐γδ T細胞の「市販の」免疫療法試薬としての臨床応用の実用性及び好適性についての有力な証拠を提供する。これらの細胞は、自然様死滅化を保有し、MHC拘束性を有さず、かつ他のT細胞よりも改善された腫瘍へのホーミング及び/又は腫瘍内での保持を示す。
【0136】
いくつかの実施態様において、非造血組織内に腫瘍を有する個体の治療方法は;ドナー個体から得られる該非造血組織の試料を提供すること、上記の試料由来のγδ T細胞を培養して、拡大された集団を産生すること、及び;拡大されたγδ T細胞の集団を腫瘍を有する個体に投与することを含み得る。
【0137】
医薬組成物は、1以上の医薬として又は生理的に許容し得る担体、希釈剤、又は賦形剤と組み合わせた、本明細書に記載される拡大された非造血組織常駐γδ T細胞を含み得る。そのような組成物は、緩衝剤、例えば、中性緩衝食塩水、リン酸緩衝生理食塩水など;炭水化物、例えば、グルコース、マンノース、スクロース、又はデキストラン、マンニトール;タンパク質;ポリペプチド又はアミノ酸、例えば、グリシン;抗酸化剤;キレート剤、例えば、EDTA又はグルタチオン;アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム);及び防腐剤を含み得る。本発明の医薬組成物で使用し得る凍結保護溶液としては、例えば、DMSOが挙げられる。組成物は、例えば、静脈内投与用に製剤化することができる。
【0138】
一実施態様において、医薬組成物は、検出可能なレベルの、例えば、エンドトキシン又はマイコプラズマの混入物を実質的に含まず、例えば、該混入物は存在しない。
【0139】
場合により、上記の方法のいずれかによって得られた、拡大されたγδ T細胞の治療有効量を(例えば、癌の治療のために、例えば、固形腫瘍の治療のために)対象に治療有効量で投与することができる。場合により、拡大されたγδ T細胞(例えば、皮膚由来γδ T細胞及び/又は非Vδ2 T細胞、例えば、Vδ1 T細胞及び/又はDN T細胞)の治療有効量は、用量当たり10×1012個未満の細胞(例えば、用量当たり9×1012個未満の細胞、用量当たり8×1012個未満の細胞、7×1012個未満の細胞、用量当たり6×1012個未満の細胞、用量当たり5×1012個未満の細胞、用量当たり4×1012個未満の細胞、用量当たり3×1012個未満の細胞、用量当たり2×1012個未満の細胞、用量当たり1×1012個未満の細胞、用量当たり9×1011個未満の細胞、用量当たり8×1011個未満の細胞、用量当たり7×1011個未満の細胞、用量当たり6×1011個未満の細胞、用量当たり5×1011個未満の細胞、用量当たり4×1011個未満の細胞、用量当たり3×1011個未満の細胞、用量当たり2×1011個未満の細胞、用量当たり1×1011個未満の細胞、用量当たり9×1010個未満の細胞、用量当たり7.5×1010個未満の細胞、用量当たり5×1010個未満の細胞、用量当たり2.5×1010個未満の細胞、用量当たり1×1010個未満の細胞、用量当たり7.5×109個未満の細胞、用量当たり5×109個未満の細胞、用量当たり2.5×109個未満の細胞、用量当たり1×109個未満の細胞、用量当たり7.5×108個未満の細胞、用量当たり5×108個未満の細胞、用量当たり2,5×108個未満の細胞、用量当たり1×108個未満の細胞、用量当たり7.5×107個未満の細胞、用量当たり5×107個未満の細胞、用量当たり2,5×107個未満の細胞、用量当たり1×107個未満の細胞、用量当たり7.5×106個未満の細胞、用量当たり5×106個未満の細胞、用量当たり2,5×106個未満の細胞、用量当たり1×106個未満の細胞、用量当たり7.5×105個未満の細胞、用量当たり5×105個未満の細胞、用量当たり2,5×105個未満の細胞、又は用量当たり1×105細胞個未満の細胞)である。
【0140】
いくつかの実施態様において、拡大されたγδ T細胞(例えば、皮膚由来γδ T細胞及び/又は非Vδ2 T細胞、例えば、Vδ1 T細胞及び/又はDN T細胞)の治療有効量は、治療経過中、10×1012個未満の細胞(例えば、治療経過中、9×1012個未満の細胞、8×1012個未満の細胞、7×1012個未満の細胞、6×1012個未満の細胞、5×1012個未満の細胞、4×1012個未満の細胞、3×1012個未満の細胞、2×1012個未満の細胞、1×1012個未満の細胞、9×1011個未満の細胞、8×1011個未満の細胞、7×1011個未満の細胞、6×1011個未満の細胞、5×1011個未満の細胞、4×1011個未満の細胞、3×1011個未満の細胞、2×1011個未満の細胞、1×1011個未満の細胞、9×1010個未満の細胞、7.5×1010個未満の細胞、5×1010個未満の細胞、2.5×1010個未満の細胞、1×1010個未満の細胞、7.5×109個未満の細胞、5×109個未満の細胞、2.5×109個未満の細胞、1×109個未満の細胞、7.5×108個未満の細胞、5×108個未満の細胞、2,5×108個未満の細胞、1×108個未満の細胞、7.5×107個未満の細胞、5×107個未満の細胞、2,5×107個未満の細胞、1×107個未満の細胞、7.5×106個未満の細胞、5×106個未満の細胞、2,5×106個未満の細胞、1×106個未満の細胞、7.5×105個未満の細胞、5×105個未満の細胞、2,5×105個未満の細胞、又は1×105個未満の細胞)である。
【0141】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される拡大された非造血組織常駐γδ T細胞の用量は、約1×106、1.1×106、2×106、3.6×106、5×106、1×107、1.8×107、2×107、5×107、1×108、2×108、又は5×108細胞/kgを含む。いくつかの実施態様において、拡大された非造血組織常駐γδ T細胞(例えば、皮膚由来γδ T細胞及び/又は非Vδ2 T細胞、例えば、Vδ1 T細胞及び/又はDN T細胞)の用量は、少なくとも約1×106、1.1×106、2×106、3.6×106、5×106、1×107、1.8×107、2×107、5×107、1×108、2×108、又は5×108細胞/kgを含む。いくつかの実施態様において、拡大された非造血組織常駐γδ T細胞(例えば、皮膚由来γδ T細胞及び/又は非Vδ2 T細胞、例えば、Vδ1 T細胞及び/又はDN T細胞)の用量は、最大約1×106、1.1×106、2×106、3.6×106、5×106、1×107、1.8×107、2×107、5×107、1×108、2×108、又は5×108細胞/kgを含む。いくつかの実施態様において、拡大された非造血組織常駐γδ T細胞(例えば、皮膚由来γδ T細胞及び/又は非Vδ2 T細胞、例えば、Vδ1 T細胞及び/又はDN T細胞)の用量は、約1.1×106~1.8×107細胞/kgを含む。いくつかの実施態様において、拡大された非造血組織常駐γδ T細胞(例えば、皮膚由来γδ T細胞及び/又は非Vδ2 T細胞、例えば、Vδ1 T細胞及び/又はDN T細胞)の用量は、約1×107、2×107、5×107、1×108、2×108、5×108、1×109、2×109、又は5×109細胞を含む。いくつかの実施態様において、拡大された非造血組織常駐γδ T細胞(例えば、皮膚由来γδ T細胞及び/又は非Vδ2 T細胞、例えば、Vδ1 T細胞及び/又はDN T細胞)の用量は、少なくとも約1×107、2×107、5×107、1×108、2×108、5×108、1×109、2×109、又は5×109細胞を含む。いくつかの実施態様において、拡大された非造血組織常駐γδ T細胞(例えば、皮膚由来γδ T細胞及び/又は非Vδ2 T細胞、例えば、Vδ1 T細胞及び/又はDN T細胞)の用量は、最大約1×107、2×107、5×107、1×108、2×108、5×108、1×109、2×109、又は5×109細胞を含む。
【0142】
一実施態様において、対象は、対象のkg体重当たり104~106個の拡大された非造血組織常駐γδ T細胞(例えば、皮膚由来γδ T細胞及び/又は非Vδ2 T細胞、例えば、Vδ1 T細胞及び/又はDN T細胞)を投与される。一実施態様において、対象は、非造血組織常駐γδ T細胞の集団の初回投与(例えば、対象のkg体重当たり104~106個のγδ T細胞の初回投与、例えば、対象のkg体重当たり104~105個のγδ T細胞)、及び拡大された非造血組織常駐γδ T細胞の1回以上(例えば、2、3、4、又は5回)の後続投与(例えば、対象のkg体重当たり104~106個の拡大された非造血組織常駐γδ T細胞、例えば、対象のkg体重当たり104~105個の拡大された非造血組織常駐γδ T細胞の1回以上の後続投与)を受容する。一実施態様において、1回以上の後続投与は、前の投与から15日未満、例えば、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、又は2日未満で、例えば、前の投与から4、3、又は2日未満で投与される。一実施態様において、対象は、γδ T細胞の集団の少なくとも3回の投与の経過中、対象のkg体重当たり合計約106個のγδ T細胞を受容し、例えば、対象は、1×105個のγδ T細胞の初期投与、3×105個のγδ T細胞の第二の投与、及び6×105個のγδ T細胞の第三の投与を受容し、例えば、各々の投与は、前の投与から4、3、又は2日未満で投与される。
【0143】
本発明の方法によって得られる非造血組織常駐γδ T細胞は、増強した治療特性、例えば、CAR-T療法のために遺伝子改変することもできる。これは、新たな特異性、例えば、モノクローナル抗体の特異性を有するT細胞を再プログラミングする改変されたT細胞受容体(TCR)の生成を伴う。改変されたTCRは、悪性細胞に特異的な、それゆえ、癌免疫療法に有用なT細胞を作り出すことができる。例えば、T細胞は、対象組織由来の正常体細胞によって発現されない腫瘍抗原、例えば、腫瘍関連抗原を発現する癌細胞を認識することができる。したがって、CAR修飾T細胞は、例えば、癌患者の養子T細胞療法に使用することができる。
【0144】
CARへの血液常駐γδ T細胞の使用が記載されている。しかしながら、本発明の方法によって得られる非造血組織常駐γδ T細胞は、キメラ抗原特異的TCRが形質導入される一方で、形質転換細胞を認識するその自然様能力を保持することができ、かつ血液常駐γδ T細胞又は従来の全身性αβ T細胞のいずれかよりも良好な腫瘍浸透及び保持能力を有する可能性が高いので、これは、CAR-Tアプローチの特に優れたビヒクルである可能性が高い。さらに、そのMHC依存的抗原提示の欠如により、移植片対宿主病の潜在的可能性が低下し、それが低レベルのMHCを発現する腫瘍を標的とすることが可能になる。同様に、例えば、CD28のエンゲージメントによる、従来の共刺激に対するその非依存により、低レベルの共刺激受容体のリガンドを発現する腫瘍のターゲッティングが増強される。
【0145】
いくつかの実施態様において、1以上の追加の治療剤を対象に投与することができる。追加の治療剤は、免疫療法剤、細胞毒性剤、成長阻害剤、放射線療法剤、抗血管新生剤、又はこれらの2以上の薬剤の組合せからなる群から選択され得る。追加の治療剤は、拡大されたγδ T細胞の投与と同時に、その前に、又はその後に投与することができる。追加の治療剤は、対象の身体(例えば、対象自身の免疫系)の標的に及び/又は移植されたγδ T細胞に作用し得る免疫療法剤であってもよい。
【0146】
組成物の投与は、任意の好都合な方法で実施することができる。本明細書に記載される組成物は、経動脈、皮下、皮内、腫瘍内、結節内、髄内、筋肉内、静脈内注射によるか、又は腹腔内、例えば、皮内もしくは皮下注射によって、患者に投与することができる。非造血組織常駐γδ T細胞の組成物は、腫瘍、リンパ節、又は感染部位に直接注射することができる。
【0147】
本明細書に記載される実施態様は全て、本発明の全ての態様に適用され得ることが理解されるであろう。
【0148】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、本明細書で使用されるとき、指定された値よりも10%大きい値を含むそれ以下の値及び指定された値よりも10%小さい値を含むそれ以上の値、好適には、指定された値よりも5%大きい値を含むそれ以下の値及び指定された値よりも5%小さい値を含むそれ以上の値、特に、指定された値を含む。「の間」という用語は、指定された範囲の値を含む。
【0149】
これから、本発明の特定の態様及び実施態様を、例として、及び上記の図面を参照して、説明することにする。
【実施例】
【0150】
(実施例)
(実施例1.解析方法)
別途明記されない限り、以下の方法を用いて、次の実施例の結果を出した。
【0151】
(フローサイトメトリー)
以下の抗体-蛍光団コンジュゲート: Ki-67-BV421、CD3-BV510、Vδ1-PeVio770、TIM-3-PE、CD9-PE、CCR3-BV421、及びCD39-BV421を用いて、フローサイトメトリーを実施した。試料を、eFluor770NIRを用いる生死判定用にも染色した。市販抗体をBiolegend又はMiltenyiから購入した。生死判定用色素(IR付近)は、eBioscience製のものであった。Ki-67染色は、Foxp3染色バッファーセット(eBioscience)を用いて固定及び透過処理された細胞で実施した。各々の実験が終了したら、細胞集団をPBS中で洗浄し、半分に分けた。細胞を生死判定用にeFluor770 NIRで染色し、洗浄し、その後、TrueStain(Biolegend)で染色して、染色抗体の非特異的結合を回避した。試料の半分を表示された表面マーカーについて染色し、もう半分を系譜マーカーのみ(CD3、Vδ1)について、かつ表面マーカーの等価なアイソタイプ対照を用いて染色した。同じ蛍光団にコンジュゲートされたマッチしたマウスアイソタイプ抗体を同じ濃度で使用した。アイソタイプ対照は、既知のヒト抗原と結合せず、そのため、非特異的結合又は偽陽性を示す。ヒストグラムが、その対応するアイソタイプ対照と比較して、又は表示されている場合、示されている。データのまとめは、比較された表示されたマーカーについて陽性に、したがって、アイソタイプよりも高いレベルで染色された細胞のパーセンテージを示している。フローサイトメトリーデータ解析は、FLOWJO(バージョン10.1)で実施した。
【0152】
CD27及びTIGITの発現を含む、各々の細胞集団の初期の及び最終的な表現型も、平均蛍光強度(MFI)を用いて決定した。
【0153】
(集団解析)
本明細書に記載される方法を用いて、皮膚常駐リンパ球を単離した。CD45+細胞内で、それぞれ、抗CD3を用いて、T細胞を染色し、抗CD56抗体を用いて、NK細胞、CD3- CD56+を同定した。CD3+細胞内で、汎γδ T細胞受容体に対する抗体を用いて、皮膚常駐γδ T細胞を同定し、抗CD8αを用いて、CD3+、汎γδ TCR-ゲート内の従来のCD4及びCD8陽性αβ T細胞の割合を同定した。
【0154】
(総細胞数の決定)
NC-250 Nucleocounter(Chemometec, Copenhagen Denmark)及び製造元の指示書を用いて、総細胞数を出した。
【0155】
(実施例2.ヒト皮膚試料からのリンパ球の単離)
三次元皮膚外植片プロトコルを確立した。これは、本明細書に記載されている。20mm×1.5mmの寸法を有するタンタルコーティングされた網状ガラス状炭素スキャフォールド(グリッドとも呼ばれる)(Ultramet, California, USA)又は等価物をオートクレーブし、洗浄し、その後、使用前にPBSに完全に浸漬させた。
【0156】
1LのAIM-V培地(Gibco, Life Technologies)、50mLのCTS Immune製の血清代替品(Life Technologies)、ヒト組換えIL-2(Miltenyi Biotech, Cat no 130-097-746)、及びヒト組換えIL-15(Miltenyi Biotech, Cat no 130-095-766)を含有し、3サイトカイン(3CK)測定用のヒト組換えIL-21(Miltenyi Biotech, Cat no 130-095-784)及び4サイトカイン(4CK)測定用の下記の濃度のヒト組換えIL-4(Miltenyi Biotech, Cat no 130-093-922)も含む、完全単離培地を調製した。培養から最初の7日間、10mLのAmphotericin B(250μg/mL, Life Technologies)を含有する完全単離培地を使用した(「+AMP」)。完全単離培地中のサイトカインの目標最終濃度は、次の通りである:
表1:完全単離培地中のサイトカインの最終濃度
【表1】
【0157】
成人皮膚の試料を取得し、回収から48時間以内に輸送し、処理した。余分な皮下脂肪及び毛をスカルペル及びピンセットで試料から除去した。表皮側を上に向けて皮膚試料を置き、適当なサイズのパンチ生検を用いて、生検の周りの皮膚を滅菌ピンセットで保持して、皮膚を切った。
【0158】
3つの生検を、表皮側を上にして、等間隔に配置し、1つのタンタルコーティングした炭素グリッドの表面に付着させた。滅菌ピンセットを用いて、グリッドを、30mLの完全単離培地(+AMP)を含有するG-REX6ウェルプレート(Wilson Wolf Manufacturing)のウェルなどのガス透過性膜を有する組織培養容器中、又は300mLの完全単離培地(+AMP)を含有するG-REX100バイオリアクター(Wilson Wolf Manufacturing)中に移した。1つのグリッドをG-REX6ウェルプレートの各々のウェルに入れるか、3つのグリッドをG-REX10バイオリアクターに入れるか、又は10のグリッドをG-REX100バイオリアクターに入れる。或いは、生検を従来の24ウェルプレート中で培養した。培養物を、5%CO2インキュベーター中、37℃でインキュベートした。
【0159】
別途注記されない限り、上の培地を穏やかに吸引し、2×完全単離培地(AMPなし)と交換し、プレート又はバイオリアクターの底の細胞を乱さないようにすることにより、培地を7日毎に交換した。
【0160】
リンパ球を単離するために、皮膚を含むグリッドをG-REX6ウェルプレート又はG-REX10もしくはG-REX100バイオリアクターから取り出し、処分のために廃棄した。プレート又はバイオリアクターの底に存在する細胞を再懸濁させ、500mL遠心分離チューブに移し、その後、遠心分離した(例えば、300gで10分間)。
【0161】
細胞カウントが必要とされる場合、リンパ球を、実施例1に記載されている通りに、この段階でカウントした。例示的な試験の結果は、表2に示されている:
表2.ドナー当たりの単離されたリンパ球の収率
【表2】
【0162】
(実施例3.単離工程におけるさらなるサイトカインの使用)
さらなるサイトカインの使用を単離段階で試験した。3サイトカイン単離法(すなわち、IL-2、IL-15、及びIL-21)並びに4サイトカイン単離法(すなわち、IL-2、IL-15、IL-21、及びIL-4)を試験し、2サイトカイン(すなわち、IL-2及びIL-15)単離法と直接比較した。皮膚試料を実施例2に記載されている通りに調製した。
【0163】
全細胞収率及びγδ T細胞とVδ1細胞の割合を実施例1に記載されている通りに決定した。結果は、
図1に示されている。単離における4つのサイトカインの使用は、細胞収率を改善し、単離されるγδ T細胞及びVδ1細胞の数を増加させることが示された。
図2に提示された結果は、3つのサイトカインを用いて、細胞収率並びに単離されるγδ T細胞及びVδ1細胞の数を増加させることができることも示している。
【0164】
実施例1に記載されている方法を用いてTIGIT及びCD27発現を測定することにより、単離されたVδ1細胞の表現型を解析した。低いTIGIT発現及び高いCD27発現を有するVδ1細胞は、望ましい表現型を有すると考えられる。結果は、
図3及び4に示されている。全体的に、2つのサイトカインを用いて単離された細胞と比較して、4つのサイトカイン及び3つのサイトカインを用いて単離された細胞では、TIGIT発現が低く、CD27発現が高かった。
【0165】
(実施例4.パンチ生検サイズの最適化)
初期の試験から、3mmパンチ生検は標準的な皮膚細砕法よりも優れていることが示された(
図5)。
【0166】
1mm、2mm、3mm、4mm、及び8mmのパンチ生検サイズを試験し、スカルペルで細砕された2mmの外植片を対照として使用することにより、最適なパンチ生検サイズをさらに調べた。皮膚試料を実施例2に記載されている通りに調製した。各々のサイズを、1つの生検を、表皮を上に向けて、炭素グリッドの表面に付着させることにより試験し、24ウェルプレート(Corning)のウェルに入れた。各々のウェルは、AIM-V 10%ヒトAB血清+上記の濃度のIL-2及びIL-15と標準濃度のβ-メルカプトエタノール(2ME)及びペニシリン/ストレプトマイシン(P/S)を含有していた。
【0167】
週に3回、培地を交換して(半分の培地交換)、生検を、5%CO2インキュベーター中、37℃で、細胞採取及び細胞収率解析前の21日間インキュベートした。
【0168】
全細胞収率を実施例1に記載されている通りに決定した。結果は、表3に示されている。これらの結果は、2~4mmの直径を有する生検が最大の細胞収率をもたらすことを示している。
表3:生検のタイプによって得られた全細胞収率
【表3】
【0169】
細胞収率における存在するγδ T細胞の割合を実施例1に記載されている通りに決定した。結果は、
図6に提示されている。これらの結果は、3mmの直径を有する生検が最大収率のγδ T細胞をもたらすことを示している。
【0170】
(実施例5.単離容器の最適化)
24ウェルプレートでの単離を、G-REX6ウェルプレート(Wilson Wolf Manufacturing)などのガス透過性材料を含む容器を使用するものと比較した。皮膚試料を実施例2に記載されている通りに調製した。生検を、表皮を上に向けて、炭素グリッドの表面に付着させ、その後、この炭素グリッドを24ウェルプレート又はG-REX6ウェルプレートのウェルに入れた。9mmのグリッドを24ウェルプレートに使用し、20mmのグリッドをG-REX6ウェルプレートに使用した。試料は全て、AIM-V 10%AB血清+P/S+2ME+IL-2及びIL-15中に入れた。24ウェルプレートについては、培地を週に3回交換した。G-REX6ウェルプレートについては、週1回の培地交換しか必要なかった。生検を、5%CO2インキュベーター中、37℃で、細胞収率解析前の21日間インキュベートした。
【0171】
プレート当たり及び生検当たりの全細胞収率を実施例1に記載されている通りに決定した。実験により、24ウェルプレートと比較したとき、G-REX6ウェルプレートが生検当たり及びプレート当たりの細胞収率の増加をもたらすことが示された(
図7及び表4)。G-REX6ウェルプレートは、培養される組織の量の増加を可能にしたが(24ウェルプレートと比較して2.5倍多い組織)、このプレートは、25倍の細胞数という驚異的増加をもたらした。
表4. 24ウェルプレート対G-REX6ウェルプレートによって得られた全細胞収率
【表4】
【0172】
G-REX容器の使用を、2サイトカイン、3サイトカイン、及び4サイトカイン単離プロトコルを用いて試験した。実施例1に記載されている方法を用いてTIGIT及びCD27発現を測定することにより、Vδ1細胞の表現型を解析した。PD-1発現を単離されたαβ T細胞(CD3+、汎γδ-細胞)で測定した。結果は、
図8及び9に示されている。これらの結果から、G-REX容器を用いて4つのサイトカインを用いて単離されたVδ1細胞が、G-REX容器を用いて2つのサイトカインを用いて単離されたVδ1細胞と比較して、より低いTIGIT発現及びより高いCD27発現を有する一方、4つのサイトカインを用いて単離されたαβ T細胞は、2つのサイトカインを用いて単離されたαβ T細胞と比較して、より低いPD-1発現を有することが裏付けられる。
【0173】
(実施例6.単離プロトコルの最適化)
3mmパンチ生検の使用をさらに試験して、単離プロトコルを最適化した。実施例2に記載されている通りに3mmパンチ生検を用いて、皮膚試料を調製及び取得した。
【0174】
異なる培地との比較を試験した。生検をグリッド上に置き:
・5%ヒトAB血清及びIL-2/IL-15(2CK)もしくはIL-2/IL-15/IL-21/IL-4(4CK)を含有するAIM-V;又は
・10%胎仔ウシ血清(FCS)及びIL-2/IL-15(2CK)もしくはIL-2/IL-15/IL-21/IL-4(4CK)を含有するSKIN-T
のいずれかを入れた24ウェルプレート中で培養した。
【0175】
生検を、5%CO
2インキュベーター中、37℃で、細胞収率解析前の14日間(AIM-V)又は21日間(SKIN-T)インキュベートした。グリッド当たりの全細胞収率を実施例1に記載されている通りに決定した。結果は、
図10に示されている。AIM-V中での単離は、より短い期間ですら、より良好な細胞収率及び全体的により多くのVδ1細胞数をもたらした。
【0176】
細胞単離の持続期間も試験した。3mmのパンチ生検をグリッド上に置き、実施例2に記載されている通りに、G-REX6ウェルプレート又はG-REX10バイオリアクター中に入れた。生検をAIM-V(5%血清代替品(SR)、5%ヒトAB血清、又は5%SR/5%AB「ブレンド」を含有する)+2ME+P/S+IL2/15中で培養し、5%CO
2インキュベーター中、37℃で、細胞収率解析前の14又は21日間インキュベートした。グリッド当たりの全細胞収率を実施例1に記載されている通りに決定した。結果は、
図11に示されている。全ての培地のタイプについて、2週間後の単離と比較したとき、3週間後の単離は、細胞収率を改善した。
【0177】
ヒトAB血清(5%又は10%)と比べた血清代替品の使用も試験した。生検を、5%CO
2インキュベーター中、37℃で、細胞解析前の21日間インキュベートした。グリッド当たりの全細胞収率及びVδ1細胞の%を実施例1に記載されている通りに測定した。結果は、
図12に示されている。ヒトAB血清と比較して5%血清代替品が補充された培地を用いて、改善された細胞収率及びより高いVδ1細胞の比率が得られた。
【0178】
(実施例7.細胞拡大)
上記のプロトコルを用いて細胞を単離したら、それを当技術分野で公知の方法を用いて拡大することができる。例えば、γδ T細胞の選択的拡大は、WO2017072367号に記載されている拡大方法を用いて達成することができる。
【0179】
追加のサイトカインを用いたγδ T細胞の拡大も試験した。実施例2に記載されている通りに、2つのサイトカイン(2CK)又は4つのサイトカイン(4CK)を用いて単離された皮膚組織リンパ球を培養から21日後に回収した。回収された細胞を、5%血清代替品並びにヒト組換えIL-2、IL-4、IL-15、及びIL-21を含有するTexMACs(Miltenyi Biotech)培地中で培養した。FACSを用いて、実施例1に記載されている通りに、細胞型を解析した。結果は、
図13に示されている。単離時の4つのサイトカインの使用は、単離時の2つのサイトカインの使用と比較して、拡大後により大きいγδ T細胞の集団を生じさせた。
【0180】
実施例1に記載されている方法を用いて、様々なマーカーの発現を測定することにより、Vδ1細胞の表現型を解析した。結果は、
図14に示されている。単離時の4つのサイトカインの使用及びその後の拡大は、2つのサイトカインを用いて単離された細胞と比較して、より大きいCD27発現を有する細胞を生じさせた。
【0181】
グリッド当たりのγδ細胞及びVδ1細胞の総数を実施例1に記載されている通りに測定した。結果は、
図15に示されている。単離時の4つのサイトカインの使用は、拡大後のVδ1細胞の全体的な収率を増加させることが示された。
【国際調査報告】