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▶ シァメン ホンファ エレクトリック パワー コントロールズ カンパニー リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(54)【発明の名称】短絡電流防止用直流リレー
(51)【国際特許分類】
   H01H 50/54 20060101AFI20220107BHJP
   H01H 1/54 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
H01H50/54 D
H01H1/54
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021524964
(86)(22)【出願日】2019-11-08
(85)【翻訳文提出日】2021-05-07
(86)【国際出願番号】 CN2019116808
(87)【国際公開番号】W WO2020094135
(87)【国際公開日】2020-05-14
(31)【優先権主張番号】201811330771.1
(32)【優先日】2018-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201811624114.8
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201811623949.1
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201811624058.8
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201811624113.3
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201811623963.1
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518215954
【氏名又は名称】シァメン ホンファ エレクトリック パワー コントロールズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Xiamen Hongfa Electric Power Controls Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.93 Yinong Road, Haicang District, Xiamen, Fujian 361021,China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ジョォン,シュミン
(72)【発明者】
【氏名】ダイ,ウェングァン
(72)【発明者】
【氏名】フ,ダポン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,モン
【テーマコード(参考)】
5G051
【Fターム(参考)】
5G051NB15
(57)【要約】
本発明の短絡電流防止用直流リレーは、2つの固定接点引出端(11、12)、1つの可動接触子(2)及び1つのプッシュロッド部材(3)を含み、可動接触子(2)の所定位置の上方には、上部磁性伝導体(61)が取り付けられ、可動接触子(2)の所定位置の下方には、可動接触子(2)とともに移動可能な下部磁性伝導体(62)が取り付けられ、可動接触子(2)の前記所定位置には、少なくとも1つの貫通孔(22)が設けられ、上部磁性伝導体(61)と下部磁性伝導体(62)が貫通孔(22)を介して互いに接近又は接触でき、また、前記上部磁性伝導体(61)と下部磁性伝導体(62)は、可動接触子(2)の幅方向において、少なくとも2つの独立した磁気回路を形成する。可動接触子(2)に大きな故障電流が生じる場合、各磁気回路により対応する貫通孔(22)の位置に形成された磁極面を利用して、接点圧力の方向において吸引力を発生させて、可動接触子(2)と固定接点引出端(11、12)との間の故障電流による電気反力に対抗するので、磁気効率が高くて、磁気回路が飽和しにくいという特徴を持つ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの固定接点引出端と、1つの直板式の可動接触子と、1つのプッシュロッド部材と、を含み、
前記可動接触子は、前記プッシュロッド部材に取り付けられ、前記プッシュロッド部材の作用によって、前記可動接触子の両端に位置する可動接点と2つの固定接点引出端の底部に位置する固定接点との接触を実現し、電流を1つの固定接点引出端に流入させ、前記可動接触子を経過した後、他の1つの固定接点引出端から流出させる短絡電流防止用直流リレーであって、
前記可動接触子の所定位置の上方には、前記可動接触子の幅方向に沿って配置される上部磁性伝導体が取り付けられ、
前記可動接触子の前記所定位置の下方には、前記可動接触子の幅方向に沿って配置され、前記可動接触子とともに移動可能な下部磁性伝導体が取り付けられ、
前記可動接触子の所定位置には、少なくとも1つの貫通孔が設けられ、
上部磁性伝導体及び下部磁性伝導体は、前記貫通孔を介して互いに接近又は接触可能になり、
前記上部磁性伝導体及び下部磁性伝導体は、前記可動接触子の幅方向において、少なくとも2つの独立した磁気回路を形成し、
前記可動接触子に大きな故障電流が生じる場合、各磁気回路により対応する貫通孔の位置に形成された磁極面を利用して、接点圧力の方向において吸引力を発生させ、前記可動接触子と固定接点引出端との間の故障電流による電気反力に対抗する
ことを特徴とする短絡電流防止用直流リレー。
【請求項2】
前記所定位置は、前記可動接触子の長さ方向での2つの可動接点の間に位置する
ことを特徴とする請求項1に記載の短絡電流防止用直流リレー。
【請求項3】
前記上部磁性伝導体は、少なくとも1つの一字型上部磁性伝導体であり、
前記下部磁性伝導体は、少なくとも2つのU字型下部磁性伝導体であり、
1つのU字型下部磁性伝導体及び対応する一字型上部磁性伝導体は、独立した磁気回路を構成し、
隣接する2つの磁気回路の2つのU字型下部磁性伝導体は、互いに接触しない
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の短絡電流防止用直流リレー。
【請求項4】
少なくとも2つの独立した磁気回路において、
1組の隣接する2つの磁気回路の一字型上部磁性伝導体は、少なくとも一つの共通する上部磁性伝導体であり、
隣接する2つの磁気回路の2つのU字型下部磁性伝導体は、それぞれ1つの一字型上部磁性伝導体の下方に配置される
ことを特徴とする請求項3に記載の短絡電流防止用直流リレー。
【請求項5】
少なくとも2つの独立した磁気回路において、
全ての隣接する2つの磁気回路の一字型上部磁性伝導体は、いずれも2つの独立した上部磁性伝導体であり、
隣接する2つの磁気回路の2つのU字型下部磁性伝導体は、それぞれ対応する一字型上部磁性伝導体の下方に配置される
ことを特徴とする請求項3に記載の短絡電流防止用直流リレー。
【請求項6】
前記磁気回路は、2つであり、
前記可動接触子には、1つの貫通孔が設けられ、
2つのU字型下部磁性伝導体のそれぞれの1つの側壁は、それぞれ可動接触子の幅方向での側辺に貼り付けられ、
2つのU字型下部磁性伝導体のそれぞれの他の1つの側壁は、それぞれ可動接触子の同一の貫通孔を通過し、
2つのU字型下部磁性伝導体のそれぞれの他の1つの側壁の間には、ギャップが存在する
ことを特徴とする請求項3に記載の短絡電流防止用直流リレー。
【請求項7】
2つの前記U字型下部磁性伝導体のそれぞれの他の1つの側壁は、それぞれ可動接触子の同一の貫通孔内において、可動接触子の長さ方向に沿って並んで配置されることにより、2つのU字型下部磁性伝導体に対応する2つの磁気回路を可動接触子の長さ方向に沿って並んで分布させる
ことを特徴とする請求項6に記載の短絡電流防止用直流リレー。
【請求項8】
2つの前記U字型下部磁性伝導体のそれぞれの他の1つの側壁は、それぞれ可動接触子の同一の貫通孔内において、可動接触子の長さ方向に沿ってずれて配置されることにより、2つのU字型下部磁性伝導体に対応する2つの磁気回路を可動接触子の長さ方向に沿ってずれて分布させる
ことを特徴とする請求項6に記載の短絡電流防止用直流リレー。
【請求項9】
前記磁気回路は、2つであり、
前記可動接触子には、2つの貫通孔が設けられ、
2つの貫通孔は、可動接触子の長さ方向に並んで配置され、
2つの前記U字型下部磁性伝導体のそれぞれの1つの側壁は、それぞれ可動接触子の幅方向での側辺に貼り付けられ、
2つの前記U字型下部磁性伝導体のそれぞれの他の1つの側壁は、それぞれ可動接触子の2つの貫通孔に配合されることにより、2つのU字型下部磁性伝導体に対応する2つの磁気回路を可動接触子の長さ方向に沿って並んで分布させる
ことを特徴とする請求項3に記載の短絡電流防止用直流リレー。
【請求項10】
前記磁気回路は、2つであり、
前記可動接触子には、2つの貫通孔が設けられ、
2つの貫通孔は、可動接触子の長さ方向にずれて配置され、
2つの前記U字型下部磁性伝導体のそれぞれの1つの側壁は、それぞれ可動接触子の幅方向での側辺に貼り付けられ、
2つの前記U字型下部磁性伝導体のそれぞれの他の1つの側壁は、それぞれ可動接触子の2つの貫通孔に配合されることにより、2つのU字型下部磁性伝導体に対応する2つの磁気回路を可動接触子の長さ方向に沿ってずれて分布させる
ことを特徴とする請求項3に記載の短絡電流防止用直流リレー。
【請求項11】
前記磁気回路は、3つであり、
前記可動接触子には、2つの貫通孔が設けられ、
3つのU字型下部磁性伝導体は、可動接触子の幅方向に沿って順次に配列し、
中央に位置する1つのU字型下部磁性伝導体の両側壁は、それぞれ可動接触子の2つの貫通孔を通過し、
両側に位置する2つのU字型下部磁性伝導体のそれぞれの1つの側壁は、それぞれ可動接触子の幅方向での側辺に貼り付けられ、
両側に位置する2つのU字型下部磁性伝導体のそれぞれの他の1つの側壁は、それぞれ可動接触子の2つの貫通孔を通過し、
可動接触子の同一の貫通孔内において、2つの側壁の間にはギャップが存在する
ことを特徴とする請求項3に記載の短絡電流防止用直流リレー。
【請求項12】
前記U字型下部磁性伝導体の側壁の上面は、前記可動接触子の上面と面一をなす
ことを特徴とする請求項6から請求項11のいずれか1項に記載の短絡電流防止用直流リレー。
【請求項13】
前記上部磁性伝導体は、前記プッシュロッド部材に固定される上部アーマチュアであり、
前記下部磁性伝導体は、前記可動接触子に固定される下部アーマチュアであり、
前記可動接触子は、スプリングを介して前記プッシュロッド部材に取り付けられ、
前記可動接触子の可動接点が固定接点引出端の固定接点と接触する場合、上部アーマチュアと下部アーマチュアとの間に所定の間隔が存在する
ことを特徴とする請求項1又は2又は4ないし11のいずれか1項に記載の短絡電流防止用直流リレー。
【請求項14】
前記上部磁性伝導体は、前記プッシュロッド部材に固定される上部アーマチュアであり、
前記下部磁性伝導体は、前記可動接触子に固定される下部アーマチュアであり、
前記可動接触子は、スプリングを介して前記プッシュロッド部材に取り付けられ、
前記可動接触子の可動接点が固定接点引出端の固定接点と接触する場合、上部アーマチュアと下部アーマチュアとの間に所定の間隔が存在する
ことを特徴とする請求項3に記載の短絡電流防止用直流リレー。
【請求項15】
前記上部磁性伝導体は、前記プッシュロッド部材に固定される上部アーマチュアであり、
前記下部磁性伝導体は、前記可動接触子に固定される下部アーマチュアであり、
前記可動接触子は、スプリングを介して前記プッシュロッド部材に取り付けられ、
前記可動接触子の可動接点が固定接点引出端の固定接点と接触する場合、上部アーマチュアと下部アーマチュアとの間に所定の間隔が存在する
ことを特徴とする請求項12に記載の短絡電流防止用直流リレー。
【請求項16】
前記上部磁性伝導体は、2つの固定接点引出端を取り付けるためのケースに固定される上部ヨークであり、
前記下部磁性伝導体は、前記可動接触子に固定される下部アーマチュアであり、
前記可動接触子は、スプリングを介して前記プッシュロッド部材に取り付けられ、
前記可動接触子の可動接点が固定接点引出端の固定接点と接触する場合、上部ヨークが下部アーマチュアと接触する
ことを特徴とする請求項1又は2又は4ないし11のいずれか1項に記載の短絡電流防止用直流リレー。
【請求項17】
前記上部磁性伝導体は、2つの固定接点引出端を取り付けるためのケースに固定される上部ヨークであり、
前記下部磁性伝導体は、前記可動接触子に固定される下部アーマチュアであり、
前記可動接触子は、スプリングを介して前記プッシュロッド部材に取り付けられ、
前記可動接触子の可動接点が固定接点引出端の固定接点と接触する場合、上部ヨークが下部アーマチュアと接触する
ことを特徴とする請求項3に記載の短絡電流防止用直流リレー。
【請求項18】
前記上部磁性伝導体は、2つの固定接点引出端を取り付けるためのケースに固定される上部ヨークであり、
前記下部磁性伝導体は、前記可動接触子に固定される下部アーマチュアであり、
前記可動接触子は、スプリングを介して前記プッシュロッド部材に取り付けられ、
前記可動接触子の可動接点が固定接点引出端の固定接点と接触する場合、上部ヨークが下部アーマチュアと接触する
ことを特徴とする請求項12に記載の短絡電流防止用直流リレー。
【請求項19】
前記プッシュロッド部材は、U字型ホルダーと、スプリングシートと、プッシュロッドと、を含み、
前記プッシュロッドの先端は、前記スプリングシートに固定され、
前記U字型ホルダーの底部は、前記スプリングシートに固定され、
前記可動接触子と2つのU字型下部磁性伝導体により構成される可動ばねブロックは、スプリングを介して前記U字型ホルダー内に取り付けられ、
前記可動接触子の上面は、上部ヨークに当接し、
前記上部ヨークは、前記U字型ホルダーの頂部の内壁に固定され、
スプリングは、2つの前記U字型下部磁性伝導体の底部と前記スプリングシートの上面との間に弾性的に当接される
ことを特徴とする請求項6から請求項10のいずれか1項に記載の短絡電流防止用直流リレー。
【請求項20】
2つの前記U字型下部磁性伝導体の底部のそれぞれには、前記スプリングを位置決めするための半円溝がさらに設けられ、
2つの半円溝は、前記スプリングの先端が配置されるように全円を形成する
ことを特徴とする請求項19に記載の短絡電流防止用直流リレー。
【請求項21】
2つの前記U字型下部磁性伝導体の底部のそれぞれには、前記スプリングを位置決めするための位置決め柱がさらに設けられ、
位置決め柱を利用して、スプリングの先端の外側でスプリングを位置決めする
ことを特徴とする請求項19に記載の短絡電流防止用直流リレー。
【請求項22】
前記可動接触子は、貫通孔の位置に対応する幅方向での両側辺に拡幅部がさらに設けられる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の短絡電流防止用直流リレー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2018年11月9日に出願された出願番号が201811330771.1である中国特許出願、2018年12月28日に出願された出願番号が201811624114.8である中国特許出願、2018年12月28日に出願された出願番号が201811623949.1である中国特許出願、2018年12月28日に提出された出願番号が201811624058.8である中国特許出願、2018年12月28日に提出された出願番号が201811624113.3である中国特許出願、2018年12月28日に提出された出願番号が201811623963.1である中国特許出願の合計6件の中国特許出願を基礎として優先権を主張し、これらの中国特許出願の内容のすべてを本願に援用する。
【0002】
本発明は、リレーの技術分野に関し、特に、短絡電流防止用直流リレーに関する。
【背景技術】
【0003】
従来技術の直流リレーにおいて、直駆動タイプの磁気回路構造を使用しており、2つの固定接点引出端(即ち、2つの負荷引出端)は、それぞれケースに取り付けられ、2つの固定接点引出端の底部には、固定接点が設けられている。電流は、そのうちの1つの固定接点引出端に流入され、他の1つの固定接点引出端から流出される。ケース内には、可動ばね及びプッシュロッド部材が取り付けられている。可動ばねは、直板式可動接触子(ブリッジ式可動接触子とも呼ばれる)を使用する。可動接触子(可動バネシート)は、スプリングを介してプッシュロッド部材に取り付けられる。プッシュロッド部材は、直駆動タイプの磁気回路に接続され、直駆動タイプの磁気回路の作用によって、可動接触子を上方に移動させて、可動接触子の両端に位置する可動接点を2つの固定接点引出端の底部に位置する固定接点とそれぞれ接触させることにより、負荷への接続を実現する。従来技術におけるこのような直流リレーは、故障による短絡電流が生じる場合、可動接点と固定接点との間に電気反力が発生され、可動接点と固定接点との間の接触の安定性に影響を与える。
【0004】
新エネルギー業界の急速な発展に伴い、各自動車工場及び電池パック工場には、故障短絡による電流に対する要求もますます高まっており、小さい体積を有する特徴を保持した上で短絡防止機能を備え、システムに大きな故障電流が生じる場合に、可動ばねが受ける電気反力に対抗できるように、補助吸引力を提供する直流リレーが求められている。現在、市場で求められている典型的な入力短絡に対する防止は、8000A、5msの場合に燃焼しなくて、爆発しないことが要求されるが、従来技術における直流リレーは、小さい体積を有する特徴を保持した上で十分な吸引力を提供できない。即ち、接点圧力が可動ばねが受ける電気反力に対抗するには不十分であるので、市場の要求を満たすことが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来技術の問題点を解決するためのものであり、製品の体積が小さいという特徴を保持した上で、可動ばねが受ける大きな短絡電流による電気反力に対抗できるように、十分な接点圧力を提供できるとともに、磁気効率が高くて、磁気回路が飽和されにくいという特徴を持つ短絡電流防止用直流リレーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するために、下記のような構成を備える。短絡電流防止用直流リレーは、2つの固定接点引出端、1つの直板式可動接触子及び1つのプッシュロッド部材を含む。前記可動接触子は、前記プッシュロッド部材に取り付けられることにより、プッシュロッド部材の作用によって可動接触子の両端に位置する可動接点と2つの固定接点引出端の底部に位置する固定接点との接触を実現し、電流は、そのうちの1つの固定接点引出端に流入され、可動接触子を経過した後、他の1つの固定接点引出端から流出される。前記可動接触子の一つの所定位置の上方には、可動接触子の幅方向に沿って分布された上部磁性伝導体が取り付けられる。前記可動接触子の前記所定位置の下方には、可動接触子の幅方向に沿って分布され、可動接触子とともに移動可能な下部磁性伝導体が取り付けられる。前記可動接触子の所定位置には、少なくとも1つの貫通孔が設けられ、上部磁性伝導体と下部磁性伝導体が前記貫通孔を介して互いに接近又は接触、分離できる。また、前記上部磁性伝導体及び下部磁性伝導体は、可動接触子の幅方向において、少なくとも2つの独立した磁気回路を形成し、可動接触子に大きな故障電流が生じる場合、各磁気回路により対応する貫通孔の位置に追加された磁極面(magnet pole face)を利用して、接点圧力の方向において吸引力を発生させ、可動接触子と固定接点引出端との間の故障電流による電気反力に対抗する。
【0007】
一実施例において、前記所定位置は、可動接触子の長さ方向上の2つの可動接点の間に位置する。
【0008】
一実施例において、前記上部磁性伝導体は、少なくとも1つの一字型上部磁性伝導体であり、前記下部磁性伝導体は、少なくとも2つのU字型下部磁性伝導体である。ここで、1つのU字型下部磁性伝導体及び対応する一字型上部磁性伝導体は、独立した磁気回路を形成し、且つ、隣接する2つの磁気回路を形成する2つのU字型下部磁性伝導体の間は、互いに接触しない。
【0009】
一実施例において、少なくとも2つの独立した磁気回路において、少なくとも1組の隣接する2つの磁気回路における一字型上部磁性伝導体は、共通される1つであり、隣接する2つの磁気回路における2つのU字型下部磁性伝導体は、それぞれ1つの一字型上部磁性伝導体の下方に配置される。
【0010】
一実施例において、少なくとも2つの独立した磁気回路において、隣接する2つの磁気回路における一字型上部磁性伝導体のすべてが独立した2つであり、隣接する2つの磁気回路における2つのU字型下部磁性伝導体がそれぞれ対応する一字型上部磁性伝導体の下方に配置される。
【0011】
一実施例において、前記磁気回路は、2つであり、前記可動接触子には、1つの貫通孔が設けられ、2つのU字型下部磁性伝導体の1つの側壁は、それぞれ可動接触子の幅方向上の側辺に貼り付けられ、2つのU字型下部磁性伝導体の他の1つの側壁は、それぞれ可動接触子の同一の貫通孔を通過し、且つ、2つのU字型下部磁性伝導体の他の1つの側壁の間にギャップが存在する。
【0012】
一実施例において、2つの前記U字型下部磁性伝導体の他の1つの側壁は、それぞれ可動接触子の同一の貫通孔内において可動接触子の長さ方向に沿って並んで配置することにより、2つのU字型下部磁性伝導体により形成た2つの磁気回路を可動接触子の長さ方向に沿って並んで分布させる。
【0013】
一実施例において、2つの前記U字型下部磁性伝導体の他の1つの側壁は、それぞれ可動接触子の同一の貫通孔内において可動接触子の長さ方向に沿ってずれて配置することにより、2つのU字型下部磁性伝導体により形成された2つの磁気回路を可動接触子の長さ方向に沿ってずれて分布させる。
【0014】
一実施例において、前記磁気回路は、2つであり、前記可動接触子には、2つの貫通孔が設けられ、且つ、2つの貫通孔は、可動接触子の長さ方向に沿って並んで配置し、2つの前記U字型下部磁性伝導体の1つの側壁は、それぞれ可動接触子の幅方向における対応する側辺に貼り付けられ、2つの前記U字型下部磁性伝導体の他の1つの側壁は、それぞれ可動接触子の2つの貫通孔に挿入されることにより、2つのU字型下部磁性伝導体により形成された2つの磁気回路を可動接触子の長さ方向に沿って並んで分布させる。
【0015】
一実施例において、前記磁気回路は、2つであり、前記可動接触子には、2つの貫通孔が設けられ、且つ、2つの貫通孔は、可動接触子の長さ方向に沿ってずれて配置され、2つの前記U字型下部磁性伝導体のそれぞれの1つの側壁は、それぞれ可動接触子の幅方向上の側辺に貼り付けられ、2つの前記U字型下部磁性伝導体のそれぞれの他の1つの側壁は、可動接触子の2つの貫通孔に貫通されることにより、2つのU字型下部磁性伝導体に形成された2つの磁気回路を可動接触子の長さ方向に沿ってずれて分布させる。
【0016】
一実施例において、前記磁気回路は、3つであり、前記可動接触子には、2つの貫通孔が設けられ、3つのU字型下部磁性伝導体は、可動接触子の幅方向に沿って順次に配列される。ここで、中央に位置する1つのU字型下部磁性伝導体の両側壁は、それぞれ可動接触子の2つの貫通孔を通過し、両側に位置する2つのU字型下部磁性伝導体の1つの側壁は、それぞれ可動接触子の幅方向上の側辺に貼り付けられ、両側に位置する2つのU字型下部磁性伝導体の他の1つの側壁は、それぞれ可動接触子の2つの貫通孔を通過し、且つ、同一の貫通孔内において、可動接触子の2つの側壁の間にギャップが存在する。
【0017】
一実施例において、前記U字型下部磁性伝導体の側壁の上面は、前記可動接触子の上面と略面一をなす。
【0018】
一実施例において、前記上部磁性伝導体は、前記プッシュロッド部材に固定される上部アーマチュアであり、前記下部磁性伝導体は、前記可動接触子に固定される下部アーマチュアであり、前記可動接触子は、スプリングを介して前記プッシュロッド部材に取り付けられ、可動接触子の可動接点が固定接点引出端の固定接点に接触される場合、上部アーマチュアと下部アーマチュアとの間に所定のギャップが存在する。
【0019】
一実施例において、前記上部磁性伝導体は、2つの固定接点引出端を取り付けるためのケースに固定される上部ヨークであり、前記下部磁性伝導体は、前記可動接触子に固定される下部アーマチュアであり、前記可動接触子は、スプリングを介して前記プッシュロッド部材に取り付けられ、上部ヨークは、可動接触子の可動接点が固定接点引出端の固定接点に接触される場合、下部アーマチュアと接触する。
【0020】
一実施例において、前記プッシュロッド部材は、U字型ホルダーと、スプリングシートと、プッシュロッドと、を含む。前記プッシュロッドの先端は、前記スプリングシートに固定され、前記U字型ホルダーの底部は、前記スプリングシートに固定され、前記可動接触子及び2つのU字型下部磁性伝導体により構成される可動ばねブロックは、前記スプリングを介して前記U字型ホルダー内に取り付けられる。ここで、前記可動接触子の上面は、前記上部ヨークに当接し、前記上部ヨークは、前記U字型ホルダーの頂部の内壁に固定され、スプリングは、2つの前記U字型下部磁性伝導体の底部と前記スプリングシートの上面との間に弾性的に当接する。
【0021】
一実施例において、2つの前記U字型下部磁性伝導体の底部のそれぞれには、前記スプリングを位置決めするための半円溝がさらに設けられ、且つ、2つの半円溝は、前記スプリングの先端が配置されるように一つの全円を形成する。
【0022】
一実施例において、2つの前記U字型下部磁性伝導体の底部のそれぞれには、前記スプリングを位置決めするための位置決め柱がさらに設けられ、位置決め柱を利用してスプリングの先端の外側において前記スプリングを位置決めする。
【0023】
一実施例において、前記可動接触子は、貫通孔の設置位置に対応する幅方向の両側辺には、拡幅部がさらに設けられている。
【0024】
従来技術に比べて、本発明は、以下のような有益効果を有する。
【0025】
本発明によれば、可動接触子の一つの所定位置の上方には、上部磁性伝導体が取り付けられ、可動接触子の所定位置の下方には、可動接触子とともに移動可能な下部磁性伝導体が取り付けられ、前記可動接触子の所定位置には少なくとも1つの貫通孔が設けられ、上部磁性伝導体及び下部磁性伝導体が前記貫通孔を介して互いに接近又は接触でき、且つ、前記上部磁性伝導体及び下部磁性伝導体が可動接触子の幅方向において少なくとも2つの独立した磁気回路を形成し、可動接触子に大きな故障電流が生じる場合、各磁気回路により対応する貫通孔の位置に追加された磁極面を利用して、接点圧力の方向において吸引力を増加させ、前記吸引力を接点圧力と重畳させることによって可動接触子と固定接点引出端との間の故障電流による電気反力に対抗し、独立した複数の磁気回路が大きな短絡電流をほぼ均等に分配させるので、磁気効率が高くて、磁気回路が飽和しにくいという特徴を持つ。
【0026】
さらに、本発明によれば、独立した各磁気回路は、一字型上部磁性伝導体及びU字型下部磁性伝導体の配合により形成されるので、同じ部材を使用することができ、コストが低くなる。また、各U字型下部磁性伝導体の間にギャップが存在する。一字型上部磁性伝導体は、プッシュロッド部材に固定されることもでき、2つの固定接点引出端を取り付けるためのケースに固定されることもできる。各U字型下部磁性伝導体は、それぞれかしめ方式によって前記可動接触子に固定され、且つ、U字型下部磁性伝導体の側壁の上面は、前記可動接触子の上面に露出する。本発明のこのような構造によれば、上部磁性伝導体及び下部磁性伝導体によって可動接触子の断面において独立した複数の磁気回路を形成することで、可動接触子に故障電流が流れる場合、複数の磁気回路に磁束を発生させ、各磁気回路の磁性伝導体の間に吸引力を発生させる。この吸引力は、接点圧力が増加する方向にあり、接点の間の電気反力に対抗するためのものであり、複数の磁気回路が使用されるので、各回路に許容される故障電流は、Imax/nに過ぎず、磁気回路が飽和しにくくなり、通過電流が大きいほど、接点圧力が増加し、磁気回路により生じる吸引力も大きくなる。
【0027】
本発明の他の態様によれば、消弧及び短絡電流防止機能を備える直流リレーは、2つの固定接点引出端と、1つの直板式可動接触子と、1つのプッシュロッド部材と、4つの永久磁石と、を含む。前記可動接触子は、プッシュロッド部材に取り付けられ、プッシュロッド部材の作用によって可動接触子の両端に位置する可動接点と2つの固定接点引出端の底部に位置する固定接点との配合を実現する。4つの前記永久磁石は、それぞれ可動接点及び固定接点に対向する可動接触子の幅方向上の両側辺の位置に配置され、且つ、同一の一対の可動接点及び固定接点に対向する2つの永久磁石は、可動接点及び固定接点に向く一面の磁極を反対に設置し、可動接触子の幅方向上の同じ側辺に位置する2つの永久磁石は、可動接点及び固定接点に向く一面の磁極も反対に設置し、同一の一対の可動接点及び固定接点に対向する2つの永久磁石の間には、ヨーククリップがさらに接続される。可動接触子の2つの可動接点の間の位置の上方には、可動接触子の幅方向に沿って配置される上部磁性伝導体が取り付けられ、前記位置の下方には、可動接触子の幅方向に沿って配置され、可動接触子とともに移動可能な下部磁性伝導体が取り付けられる。前記可動接触子の前記所定の位置には、少なくとも1つの貫通孔が設けられ、上部磁性伝導体及び下部磁性伝導体が前記貫通孔を介して互いに接近又は接触、分離できる。また、前記上部磁性伝導体及び下部磁性伝導体は、可動接触子の幅方向において、少なくとも2つの独立した磁気回路を形成し、可動接触子に大きな故障電流が生じる場合、各磁気回路により対応する貫通孔の位置に追加された磁極面を利用して、接点圧力の方向において吸引力を発生させて、可動接触子と固定接点引出端との間の故障電流による電気反力に対抗する。
【0028】
一実施例において、同一の一対の前記可動接点及び固定接点に対向する前記2つの永久磁石は、同一の一対の前記可動接点及び固定接点に対して偏った位置に設けられ、且つ、2つの永久磁石は、ずれて配置される。
【0029】
従来技術に比べて、本発明は、以下のような有益効果を有する。本発明によれば、4つの永久磁石のそれぞれを可動接点及び固定接点に対向する可動接触子の幅方向上の両側辺の位置に配置し、且つ、同一の一対の可動接点及び固定接点に対向する2つの永久磁石は、可動接点及び固定接点に向く一面の磁極を反対に設置し、可動接触子の幅方向上の同じ側辺に位置する2つの永久磁石は、可動接点及び固定接点に向く一面の磁極も反対に設置する。同一の一対の可動接点及び固定接点に対向する2つの永久磁石の間には、ヨーククリップがさらに接続される。また、可動接触子の2つの可動接点の間の位置の上方には、上部磁性伝導体が取り付けられ、可動接触子の2つの可動接点の間の位置の下方には、可動接触子とともに移動可能な下部磁性伝導体が取り付けられる。前記可動接触子の前記位置には、少なくとも1つの貫通孔が設けられ、上部磁性伝導体及び下部磁性伝導体が前記貫通孔を介して互いに接近又は接触、分離できる。また、前記上部磁性伝導体及び下部磁性伝導体は、可動接触子の幅方向において、少なくとも2つの独立した磁気回路を形成する。本発明のこのような構造によれば、4つの永久磁石によって消弧を実現した上で、各磁気回路により対応する貫通孔の位置に追加された磁極面を利用して、可動接触子に大きな故障電流が生じる場合、接点圧力の方向において吸引力を増加させ、前記吸引力を接点圧力と重畳させることによって可動接点と固定接点との間の故障電流による電気反力に対抗し、複数の独立した磁気回路が大きな短絡電流をほぼ均等に分配させるので、磁気効率が高くて、磁気回路が飽和しにくいという特徴を持つ。
【0030】
本発明の他の態様によれば、消弧及び短絡電流防止機能を備える直流リレーは、2つの固定接点引出端、1つの直板式可動接触子、1つのプッシュロッド部材、2つの永久磁石を含む。前記可動接触子は、プッシュロッド部材に取り付けられ、プッシュロッド部材の作用によって可動接触子の両端に位置する可動接点と2つの固定接点引出端の底部に位置する固定接点との配合を実現する。2つの前記永久磁石は、それぞれ可動接点及び固定接点に対向する可動接触子の幅方向上の両側辺の位置に配置され、且つ、2つの永久磁石が対応する可動接点と固定接点が異なる。2つの前記永久磁石のそれぞれには、1つのヨーククリップがさらに接続される。2つのヨーククリップは、それぞれL字型形状を有し、L字型のヨーククリップの一辺は、可動接点及び固定接点に対向する永久磁石の一面に反対する一面に接続され、L字型のヨーククリップの他の一辺は、可動接触子の長さ方向上の両端の外側に位置する。可動接触子の2つの可動接点の間の位置の上方には、可動接触子の幅方向に沿って配置される上部磁性伝導体が取り付けられ、前記位置の下方には、可動接触子の幅方向に沿って配置され、可動接触子とともに移動可能な下部磁性伝導体が取り付けられる。前記可動接触子の前記位置には、少なくとも1つの貫通孔が設けられ、上部磁性伝導体と下部磁性伝導体が前記貫通孔を介して互いに接近又は接触、分離できる。また、前記上部磁性伝導体及び下部磁性伝導体は、可動接触子の幅方向において、少なくとも2つの独立した磁気回路を形成する。各磁気回路により対応する貫通孔の位置に追加された磁極面を利用して、可動接触子に大きな故障電流が生じる場合、接点圧力の方向において吸引力を発生させることによって、可動接触子と固定接点引出端との間の故障電流による電気反力に対抗する。
【0031】
一実施例において、2つの前記永久磁石は、それぞれ可動接点及び固定接点に対向する位置に配置される。
【0032】
一実施例において、2つの前記永久磁石は、可動接点及び固定接点に向く一面の磁極を同じに設置する。
【0033】
一実施例において、可動接点及び固定接点に向く2つの前記永久磁石の一面の磁極を反対に設置する。
【0034】
従来技術に比べて、本発明は、以下のような有益効果を有する。本発明によれば、2つの永久磁石のそれぞれを可動接点及び固定接点に対向する可動接触子の幅方向上の両側辺の位置に配置し、且つ、2つの永久磁石が対応する可動接点及び固定接点が異なる。2つの前記永久磁石のそれぞれには、1つのヨーククリップがさらに接続される。2つのヨーククリップは、それぞれL字型形状を有し、L字型のヨーククリップの一辺は、可動接点及び固定接点に対向する永久磁石の面と反対するの一面に接続され、L字型のヨーククリップの他の一辺は、可動接触子の長さ方向上の両端の外側に位置する。可動接触子の2つの可動接点の間の位置の上方には、上部磁性伝導体が取り付けられ、可動接触子の2つの可動接点の間の位置の下方には、可動接触子とともに移動可能な下部磁性伝導体が取り付けられる。前記可動接触子の前記位置には、少なくとも1つの貫通孔が設けられ、上部磁性伝導体及び下部磁性伝導体が前記貫通孔を介して互いに接近又は接触、分離できる。また、前記上部磁性伝導体及び下部磁性伝導体は、可動接触子の幅方向において、少なくとも2つの独立した磁気回路を形成する。本発明のこのような構造によれば、2つの永久磁石によって消弧を実現した上で、可動接触子に大きな故障電流が生じる場合、各磁気回路により対応する貫通孔の位置に追加された磁極面を利用して、接点圧力の方向において吸引力を増加させ、前記吸引力を接点圧力と重畳させることによって可動接点と固定接点との間の故障電流による電気反力に対抗し、複数の独立した磁気回路が大きな短絡電流をほぼ均等に分配させるので、磁気効率が高くて、磁気回路が飽和しにくいという特徴を持つ。
【0035】
本発明の他の態様によれば、消弧及び短絡電流防止機能を備える直流リレーは、2つの固定接点引出端、1つの直板式可動接触子、1つのプッシュロッド部材及び4つの永久磁石を含む。前記可動接触子は、プッシュロッド部材に取り付けられ、プッシュロッド部材の作用によって、可動接触子の両端に位置する可動接点と2つの固定接点引出端の底部に位置する固定接点との接触を実現する。4つの前記永久磁石は、それぞれ可動接点及び固定接点に対向する可動接触子の幅方向上の両側辺の位置に配置され、且つ、同一の一対の可動接点及び固定接点に位置する2つの永久磁石は、可動接点及び固定接点に向く一面の磁極を同じに設置し、同一の一対の可動接点及び固定接点に対向する2つの永久磁石の間には、ヨーククリップがさらに接続される。可動接触子の2つの可動接点の間の位置の上方には、可動接触子の幅方向に沿って配置される上部磁性伝導体が取り付けられ、前記位置の下方には、可動接触子の幅方向に沿って配置され、可動接触子とともに移動可能な下部磁性伝導体が取り付けられる。前記可動接触子の前記位置には、少なくとも1つの貫通孔が設けられ、上部磁性伝導体及び下部磁性伝導体が前記貫通孔を介して互いに接近又は接触、分離できる。また、前記上部磁性伝導体及び下部磁性伝導体は、可動接触子の幅方向において、少なくとも2つの独立した磁気回路を形成する。可動接触子に大きな故障電流が生じる場合、各磁気回路により対応する貫通孔の位置に追加された磁極面を利用して、接点圧力の方向において吸引力を発生させて、可動接触子と固定接点引出端との間の故障電流による電気反力に対抗する。
【0036】
一実施例において、4つの前記永久磁石は、それぞれ可動接点及び固定接点に対向する位置に配置される。
【0037】
一実施例において、4つの前記永久磁石において、可動接触子の幅方向の同じ側辺に位置する2つの永久磁石は、可動接点及び固定接点に向く一面の磁極を同じに設置する。
【0038】
一実施例において、4つの前記永久磁石において、可動接触子の幅方向の同じ側辺に位置する2つの永久磁石は、可動接点及び固定接点に向く一面の磁極を反対に設置する。
【0039】
従来技術に比べて、本発明は、以下のような有益効果を有する。本発明によれば、4つの永久磁石のそれぞれを可動接点及び固定接点に対向する可動接触子の幅方向上の両側辺の位置に配置し、且つ、同一の一対の可動接点及び固定接点に対向する2つの永久磁石は、可動接点及び固定接点に向く一面の磁極を同じに設置し、同一の一対の可動接点及び固定接点に対向する2つの永久磁石の間には、ヨーククリップがさらに接続される。また、可動接触子の2つの可動接点の間の位置の上方には、上部磁性伝導体が取り付けられ、可動接触子の2つの可動接点の間の位置の下方には、可動接触子とともに移動可能な下部磁性伝導体が取り付けられる。前記可動接触子の前記位置には、少なくとも1つの貫通孔が設けられ、上部磁性伝導体及び下部磁性伝導体が前記貫通孔を介して互いに接近又は接触、分離できる。また、前記上部磁性伝導体及び下部磁性伝導体は、可動接触子の幅方向において、少なくとも2つの独立した磁気回路を形成する。本発明のこのような構造によれば、4つの永久磁石によって消弧を実現した上で、各磁気回路により対応する貫通孔の位置に追加された磁極面を利用して、可動接触子に大きな故障電流が生じる場合、接点圧力の方向において吸引力を増加させ、前記吸引力を接点圧力と重畳させることによって可動接点と固定接点との間の故障電流による電気反力に対抗し、複数の独立した磁気回路が大きな短絡電流をほぼ均等に分配させるので、磁気効率が高くて、磁気回路が飽和しにくいという特徴を持つ。
【0040】
本発明の他の態様によれば、消弧及び短絡電流防止機能を備える直流リレーは、2つの固定接点引出端、1つの直板式可動接触子、1つのプッシュロッド部材及び2つの永久磁石、を含む。前記可動接触子は、プッシュロッド部材に取り付けられ、プッシュロッド部材の作用によって可動接触子の両端に位置する可動接点と2つの固定接点引出端の底部に位置する固定接点との接触を実現する。2つの前記永久磁石は、それぞれ可動接点及び固定接点に対向する可動接触子の長さ方向上の両端の外側の位置に配置され、且つ、2つの永久磁石のそれぞれの対向する一面の磁極を反対に設置し、2つの前記永久磁石には、2つのヨーククリップがさらに接続される。2つのヨーククリップは、少なくとも可動接点及び固定接点に対向する可動接触子の幅方向上の両側辺の位置に位置されたヨーク区間をさらに含む。可動接触子の2つの可動接点の間の位置の上方には、可動接触子の幅方向に沿って配置される上部磁性伝導体が取り付けられ、前記位置の下方には、可動接触子の幅方向に沿って配置され、可動接触子とともに移動可能な下部磁性伝導体が取り付けられる。前記可動接触子の前記位置には、少なくとも1つの貫通孔が設けられ、上部磁性伝導体及び下部磁性伝導体が前記貫通孔を介して互いに接近又は接触、分離できる。また、前記上部磁性伝導体及び下部磁性伝導体は、可動接触子の幅方向において、少なくとも2つの独立した磁気回路を形成する。可動接触子に大きな故障電流が生じる場合、各磁気回路により対応する貫通孔の位置に追加された磁極面を利用して、接点圧力の方向において吸引力を発生させて、可動接触子と固定接点引出端との間の故障電流による電気反力に対抗する。
【0041】
一実施例において、2つの前記永久磁石は、それぞれ可動接点及び固定接点に対向する位置に配置される。
【0042】
一実施例において、前記ヨーククリップは、U字型形状を有し、U字型の2つのヨーククリップの底壁は、それぞれ2つの永久磁石の背面の一面に接続され、U字型の2つのヨーククリップの両側壁の端部は、それぞれ対応するヨーク区間を構成する。
【0043】
一実施例において、前記ヨーククリップは、U字型形状を有し、U字型の2つのヨーククリップの底壁は、それぞれ2つの永久磁石の背面の一面に接続され、U字型の2つのヨーククリップの両側壁の先端は、それぞれ可動接点及び固定接点に対向する可動接触子の幅方向上の両側の位置を超える。U字型の2つの前記ヨーククリップの両側壁は、前記ヨーク区間を含む。
【0044】
一実施例において、前記ヨーククリップは、U字型形状を有し、U字型の2つのヨーククリップの底壁は、それぞれ可動接触子の幅方向上の両側辺に配置され、U字型の2つのヨーククリップの両側壁の先端は、それぞれ2つの永久磁石の背面の一面に接続される。
【0045】
従来技術に比べて、本発明は、以下のような有益効果を有する。
【0046】
本発明によれば、2つの永久磁石のそれぞれを可動接点及び固定接点に対向する可動接触子の長さ方向上の両端の外側の位置に配置し、且つ、2つの永久磁石の対向する一面の磁極を反対に設置し、2つの前記永久磁石には、2つのヨーククリップがさらに接続される。2つのヨーククリップは、少なくとも可動接点及び固定接点に対向する可動接触子の幅方向上の両側辺の位置に位置するヨーク区間をさらに含む。また、可動接触子の2つの可動接点の間の位置の上方には、上部磁性伝導体が取り付けられ、可動接触子の2つの可動接点の間の位置の下方には、可動接触子とともに移動可能な下部磁性伝導体が取り付けられる。前記位置の可動接触子には、少なくとも1つの貫通孔が設けられ、上部磁性伝導体及び下部磁性伝導体が前記貫通孔を介して互いに接近又は接触、分離できる。また、前記上部磁性伝導体及び下部磁性伝導体は、可動接触子の幅方向において、少なくとも2つの独立した磁気回路を形成する。本発明のこのような構造によれば、2つの永久磁石によって消弧を実現した上で、可動接触子に大きな故障電流が生じる場合、各磁気回路により対応する貫通孔の位置に追加された磁極面を利用して、接点圧力の方向において吸引力を増加させ、前記吸引力を接点圧力と重畳させることによって可動接点と固定接点との間の故障電流による電気反力に対抗し、複数の独立した磁気回路が大きな短絡電流をほぼ均等に分配させるので、磁気効率が高くて、磁気回路が飽和しにくいという特徴を持つ。
【0047】
本発明の他の態様によれば、永久磁石による消弧及び短絡電流防止機能を備える直流リレーは、2つの固定接点引出端、1つの直板式可動接触子、1つのプッシュロッド部材及び4つの永久磁石を含む。前記可動接触子は、プッシュロッド部材に取り付けられ、プッシュロッド部材の作用によって可動接触子の両端に位置する可動接点と2つの固定接点引出端の底部に位置する固定接点との接触を実現する。4つの前記永久磁石は、それぞれ可動接点及び固定接点に対向する可動接触子の幅方向上の両側辺の位置に配置され、且つ、同一の一対の可動接点及び固定接点に対向する2つの永久磁石は、可動接点及び固定接点に向く一面の磁極を反対に設置し、可動接触子の幅方向上の同じ側に位置する2つの永久磁石は、可動接点及び固定接点に向く一面の磁極を同じに設置し、同一の一対の可動接点及び固定接点に対向する2つの永久磁石の間には、ヨーククリップがさらに接続される。可動接触子の2つの可動接点の間の位置の上方には、可動接触子の幅方向に沿って配置された上部磁性伝導体が取り付けられ、前記位置の下方には、可動接触子の幅方向に沿って配置され、可動接触子とともに移動可能な下部磁性伝導体が取り付けられる。前記可動接触子の前記位置には、少なくとも1つの貫通孔が設けられ、上部磁性伝導体及び下部磁性伝導体が前記貫通孔を介して互いに接近又は接触、分離できる。また、前記上部磁性伝導体及び下部磁性伝導体は、可動接触子の幅方向において、少なくとも2つの独立した磁気回路を形成する。可動接触子に大きな故障電流が生じる場合、各磁気回路により対応する貫通孔の位置に追加された磁極面を利用して、接点圧力の方向において吸引力を発生させて、可動接触子と固定接点引出端との間の故障電流による電気反力に対抗する。
【0048】
一実施例において、4つの前記永久磁石は、それぞれ可動接点及び固定接点に対向する位置に配置される。
【0049】
一実施例において、4つの前記永久磁石において、可動接触子の電流の流れ方向上の左側に位置する2つの永久磁石は、可動接点及び固定接点に向く一面の磁極をN極と設置する。
【発明の効果】
【0050】
従来技術に比べて、本発明は、以下のような有益効果を有する。本発明は、4つの前記永久磁石を可動接点及び固定接点に対向する可動接触子の幅方向上の両側辺の位置にそれぞれ配置し、且つ、同一の一対の可動接点及び固定接点に対向する2つの永久磁石は、可動接点及び固定接点に向く一面の磁極を反対に設置し、可動接触子の幅方向の同じ側辺に位置する2つの永久磁石は、可動接点及び固定接点に向く一面の磁極を同じに設置し、同一の一対の可動接点及び固定接点に対向する2つの永久磁石の間には、ヨーククリップがさらに接続される。また、可動接触子の2つの可動接点の間の位置の上方には、上部磁性伝導体が取り付けられ、可動接触子の2つの可動接点の間の位置の下方には、可動接触子とともに移動可能な下部磁性伝導体が取り付けられる。前記可動接触子の前記位置には、少なくとも1つの貫通孔が設けられ、上部磁性伝導体及び下部磁性伝導体が前記貫通孔を介して互いに接近又は接触できる。また、前記上部磁性伝導体及び下部磁性伝導体は、可動接触子の幅方向において少なくとも2つの独立した磁気回路を形成する。本発明のこのような構造によれば、4つの永久磁石によって消弧を実現した上で、可動接触子に大きな故障電流が生じる場合、各磁気回路により対応する貫通孔の位置に追加された磁極面を利用して、接点圧力の方向において吸引力を増加させ、前記吸引力を接点圧力と重畳させることによって可動接点と固定接点との間の故障電流による電気反力に対抗し、複数の独立した磁気回路が大きな短絡電流をほぼ均等に分配させので、磁気効率が高くて、磁気回路が飽和しにくいという特徴を持つ。
【0051】
以下、図面及び実施例を併せて本発明を更に詳細に説明するが、本発明の短絡電流防止用直流リレーは、実施例に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】本発明の第1実施例に係る一部の構成(可動接触子の長さ方向に沿う断面に対応する。)の断面図である。
図2】本発明の第1実施例に係る一部の構成(可動接触子の幅方向に沿う断面に対応する。)の断面図である。
図3】本発明の第1実施例に係る可動接触子、上部磁性伝導体、下部磁性伝導体及びプッシュロッド部材の結合を示す模式図である。
図4】本発明の第1実施例に係る可動接触子、上部磁性伝導体、下部磁性伝導体及びプッシュロッド部材の結合の分解図である。
図5】本発明の第1実施例に係る可動接触子、上部磁性伝導体及び下部磁性伝導体の結合を示す模式図である。
図6】本発明の第1実施例に係る可動接触子、上部磁性伝導体及び下部磁性伝導体の結合(反転面)を示す模式図である。
図7】本発明の第1実施例に係るプッシュロッド部材のU字型ホルダーと上部磁性伝導体の結合を示す模式図である。
図8】本発明の第1実施例に係る可動接触子と下部磁性伝導体の結合を示す模式図である。
図9】本発明の第1実施例に係る二重磁気回路の模式図である。
図10】本発明の第1実施例に係る固定接点引出端と可動接触子の配合(接点が分離される。)を示す模式図である。
図11】本発明の第1実施例に係る固定接点引出端と可動接触子の配合(接点が接触する。)を示す模式図である。
図12】本発明の第2実施例に係る固定接点引出端と可動接触子の配合(接点が分離される。)を示す模式図である。
図13】本発明の第2実施例に係る固定接点引出端と可動接触子との配合(接点が接触する。)を示す模式図である。
図14】本発明の第3実施例に係る上部磁性伝導体、下部磁性伝導体及び可動接触子の結合の斜視図である。
図15】本発明の第3実施例に係る上部磁性伝導体、下部磁性伝導体及び可動接触子の結合の断面図である。
図16】本発明の第3実施例に係る可動接触子の構造の模式図である。
図17】本発明の第4実施例に係る一部の構成の模式図である。
図18】本発明の第4実施例に係る永久磁石の配置の模式図である。
図19】本発明の第4実施例に係る永久磁石による消弧構造(ヨーククリップは図示せず)の模式図である。
図20】本発明の第4実施例に係る永久磁石による消弧構造を一定の角度に回転させた(ヨーククリップは図示せず)模式図である。
図21】本発明の第5実施例に係る一部の構成の模式図である。
図22】本発明の第5実施例に係る永久磁石の分布の模式図である。
図23】本発明の第5実施例に係る永久磁石による消弧構造(ヨーククリップは図示せず)の模式図である。
図24】本発明の第5実施例に係る永久磁石の他の配置の模式図である。
図25】本発明の第6実施例に係る一部の構成の模式図である。
図26】本発明の第6実施例に係る永久磁石の分布の模式図である。
図27】本発明の第6実施例に係る永久磁石による消弧構造(ヨーククリップは図示せず)の模式図である。
図28】本発明の第6実施例に係る永久磁石の分布の他の模式図である。
図29】本発明の第6実施例に係る他の永久磁石による消弧構造(ヨーククリップは図示せず)の模式図である。
図30】本発明の第7実施例に係る一部の構成の模式図である。
図31】本発明の第7実施例に係る永久磁石の配置の模式図である。
図32】本発明の第7実施例に係る永久磁石による消弧構造(ヨーククリップは図示せず)の模式図である。
図33】本発明の第8実施例に係る一部の構成の模式図である。
図34】本発明の第8実施例に係る永久磁石の配置の模式図である。
図35】本発明の第8実施例に係る永久磁石による消弧構造(ヨーククリップは図示せず)の模式図である。
図36】本発明の第8実施例に係る他の永久磁石による消弧構造(ヨーククリップは図示せず)の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、図面を参照しながら、例示的な実施例をより全面的に説明する。ただし、例示的な実施形態は、多種の形態で実施することができるが、ここに記述する実施形態に限定されるものではない。本明細書において、例えば「上」や「下」などの相対的な用語は、図面に示された一つの構成と他の構成との間の相対的な関係を説明するために使用されるが、これらの用語は、単に便宜上のものであり、例えば、図面に示す例示的な方向によるものである。図面に示す装置を反転させてその上下が逆になる場合、前記「上」に位置する構成が「下」に位置する構成になることを理解できる。例えば「頂」や「底」などの他の相対的な用語も同様の意味を持つ。ある一つの構造が他の構造の「上」に位置する場合、ある一つの構造が他の構造の上に一体的に形成されたり、ある一つの構造が他の構造の上に「直接的」に配置されたり、別の構造により他の構造に「間接的」に配置されたりすることを意味する可能性がある。
【0054】
「1つ」、「一」、「当該」及び「前記」という用語は、1つ又は複数の要素/構成要素などが存在していることを示すために使用されるものである。「含む」及び「備える」という用語は、開放式に含まれることを意味し、且つ、列挙された要素/構成要素など以外の要素/構成要素などをさらに含むことを意味する。用語「第1」、「第2」などは、表記のみに用いられ、その対象の数を限定するものではない。
【0055】
実施例1
図1図11を参照すると、本発明に係る短絡電流防止用直流リレーは、電流の流入のための固定接点引出端11と、電流の流出のための固定接点引出端12と、1つの直板式可動接触子2と、可動接触子2を移動させることにより、可動接触子2の両端に位置する可動接点と固定接点引出端の底部に位置する固定接点との間の接触又は分離を実現するための1つのプッシュロッド部材3と、を含む。2つの固定接点引出端11、12は、それぞれケース4に取り付けられている。可動接触子2及びプッシュロッド部材3の一部は、ケース4内に収容される。プッシュロッド部材3は、磁気回路構造における可動鉄心5にも接続される。プッシュロッド部材3は、磁気回路の作用によって、可動接触子2を上方に移動させることで、可動接触子2の両端に位置する可動接点を2つの固定接点引出端11、12の底部に位置する固定接点とそれぞれ接触させる。このようにして、負荷への接続を実現する。前記可動接触子2は、スプリング31を介して前記プッシュロッド部材3に取り付けられることにより、前記プッシュロッド部材3に対して移動可能であることを実現する(接点のオーバートラベルを実現する。)。可動接触子2の所定位置の上方には、上部磁性伝導体61が取り付けられている。本実施例において、上部磁性伝導体61は、上部アーマチュアである。可動接触子2の所定位置の下方には、可動接触子2とともに移動可能な下部磁性伝導体62が取り付けられている。本実施例において、下部磁性伝導体62は、下部アーマチュアである。本実施例において、前記上部磁性伝導体61は、前記プッシュロッド部材3に固定され、前記下部磁性伝導体62は、前記可動接触子2に固定される。前記可動接触子2の前記所定位置には、少なくとも1つの貫通孔22が設けられ、上部磁性伝導体61及び下部磁性伝導体62が前記貫通孔22を介して互いに接近又は接触及び分離できる。前記上部磁性伝導体61及び下部磁性伝導体62は、可動接触子2の幅方向において、少なくとも2つの独立した磁気回路を形成することができる。各磁気回路が対応する貫通孔22の位置に磁極面を形成するので、可動接触子2に大きな故障電流が生じる場合、接点圧力の方向において吸引力を発生させることによって、可動接触子2と固定接点引出端11、12との間の故障電流による電気反力に対抗することができる。ここで、上部磁性伝導体61と下部磁性伝導体62は、鉄、コバルト、ニッケル及びそれらの合金などの材料により作製されることができる。
【0056】
2つの前記独立した磁気回路とは、2つの磁気回路が互いに干渉しないことを指し、即ち、磁束が互いに相殺されないことを指す。
【0057】
前記所定位置は、可動接触子2の長さ方向上の2つの可動接点の間に位置する。本実施例において、前記所定位置は、可動接触子2の長さ方向上の略中間21である。
【0058】
本実施例において、図10図11に示すように、上部磁性伝導体61が前記プッシュロッド部材3に固定され、前記下部磁性伝導体62が前記可動接触子2に固定され、前記可動接触子2がスプリング31を介して前記プッシュロッド部材3に取り付けられ、可動接触子2の可動接点が固定接点引出端11、12の固定接点と接触する場合、上部磁性伝導体61と下部磁性伝導体62との間に所定のギャップが存在するので、磁気回路に磁気ギャップが存在する。
【0059】
前記上部磁性伝導体61は、少なくとも1つの一字型上部磁性伝導体であり、前記下部磁性伝導体62は、少なくとも2つのU字型下部磁性伝導体である。ここで、1つのU字型下部磁性伝導体及び対応する一字型上部磁性伝導体は、独立した磁気回路を構成し、且つ、隣接する2つの磁気回路の2つのU字型下部磁性伝導体62は、互いに接触しない。
【0060】
本実施例において、磁気回路は、2つである。2つの磁気回路は、いずれも1つの一字型上部磁性伝導体61と1つのU字型下部磁性伝導体62との配合により形成される。2つの一字型上部磁性伝導体61は、それぞれかしめ又は溶接方式により前記プッシュロッド部材3に固定される。2つのU字型下部磁性伝導体62は、それぞれかしめ方式により前記可動接触子2に固定され、且つ、2つのU字型下部磁性伝導体62の側壁の上面は、いずれも前記可動接触子2の上面に露出する。
【0061】
本実施例において、前記可動接触子2の貫通孔22は、2つのU字型下部磁性伝導体62の側壁が通過されるように設置される。
【0062】
本実施例において、磁気回路は、2つであり、即ち、磁気回路Φ1及び磁気回路Φ2(図9に示すように)である。2つの一字型上部磁性伝導体61は、前記プッシュロッド部材3に固定され、2つの一字型上部磁性伝導体61の間に一定のギャップが存在する。2つのU字型下部磁性伝導体62のそれぞれの1つの側壁621は、それぞれ可動接触子2の幅方向の対応する側辺に貼り付けられる。2つのU字型下部磁性伝導体62のそれぞれの他の1つの側壁622は、それぞれ可動接触子2の同じ貫通孔22を通過し、且つ、2つのU字型下部磁性伝導体62のそれぞれの他の1つの側壁622の間にギャップが存在するので、2つの磁気回路の磁束が互いに相殺されることがない。
【0063】
本実施例において、前記U字型下部磁性伝導体62の側壁の上面は、前記可動接触子2の上面と略面一をなす。即ち、U字型下部磁性伝導体62の側壁621及び側壁622の上面は、前記可動接触子2の上面と略面一をなす。
【0064】
本実施例において、前記可動接触子2は、貫通孔22の設置位置に対応する幅方向の両側辺にそれぞれ拡幅部23がさらに設けられている。
【0065】
図9を参照すると、本発明は、2つ以上の磁気回路を有するので、2つのU字型下部磁性伝導体62の合計4つの側壁(即ち、2つの側壁621、2つの側壁622)の上面が上部磁性伝導体61に配合され、即ち、2つのU字型下部磁性伝導体62は、合計4つの磁極面を有し、1つの磁気回路のみを有する(2つの磁極面のみを有する。)状況と比べて、下部磁性伝導体62の構造的特徴をそのまま保持する場合に、2つの磁極面(貫通孔22の設置位置に2つの磁極面が追加されることに相当する。)を追加することにより、磁気効率を向上させ、吸引力を向上させる。可動接触子2に大きな故障電流が生じる場合、2つの独立した磁気回路である磁気回路Φ1及び磁気回路Φ2により吸引力Fを発生させ、可動接触子2と固定接点引出端11、12との間の故障電流による電気反力に対抗することにより、本発明の短絡電流(故障電流)の防止能力を大幅に向上させることができる。
【0066】
構造上の制限によって、磁気回路の断面積が不足し、故障電流により磁気回路が飽和しやすくなるので、吸引力が上昇しなくなる。本発明の実施例の2つの磁気回路は、電流の流れ方向を2つの断面領域に分けることに相当し、各断面領域は、分流した電流に対応し、分流された電流は、基本的に故障電流の半分になるので、磁気回路は、磁気飽和が生じることがなく、磁束を増加させ、形成された吸引力も増加される。これにより、本発明の2つの磁気回路は、従来技術の1つの磁気回路に比べて1倍増加することができる。システムの故障電流のレベル及び磁気回路の断面積に応じて、磁気回路をN個配列することができる。例えば、図14には、3つの磁気回路が示されている。
【0067】
前記プッシュロッド部材3は、U字型ホルダー32、スプリングシート33及びプッシュロッド34を含む。前記プッシュロッド34の先端は、前記スプリングシート33に固定される。プッシュロッド34の底部は、可動鉄心5に接続される。前記U字型ホルダー32の底部は、前記スプリングシート33に固定される。U字型ホルダー32及びスプリングシート33は、枠状を形成する。前記可動接触子2及び2つのU字型下部磁性伝導体62により構成される可動ばねブロック20(図8を参照)は、前記スプリング31を介して前記U字型ホルダー32及びスプリングシート33により構成される枠に取り付けられる。ここで、可動接触子2の上面は、U字型ホルダー32の頂部の内壁に当接する。スプリング31は、2つの前記U字型下部磁性伝導体62の底部と前記スプリングシート33の上端との間に弾性的に当接する。
【0068】
本実施例において、2つの前記U字型下部磁性伝導体62の底部のそれぞれには、前記スプリング31を位置決めするための位置決め柱623がさらに設けられている。位置決め柱623(図8を参照)を利用して、スプリング31の先端の外側で前記スプリング31を位置決めする。スプリングシート33には、スプリング31の底部を位置決めするための環状位置決め凹溝331が設けられる(図4を参照)。
【0069】
勿論、スプリング31の先端に対する位置決め構造は、2つの前記U字型下部磁性伝導体62の底部のそれぞれに、前記スプリング31を位置決めするための半円溝をさらに設け、また、2つの半円溝は、前記スプリング3の先端が配置されるように、全円(full circle)を形成するという構成としてもよい。
【0070】
本実施例において、2つのU字型下部磁性伝導体62は、可動接触子2の長さ方向に並んで配列する。勿論、2つのU字型下部磁性伝導体62が可動接触子2の長さ方向にずれて配列するように設置されることもできる。
【0071】
プッシュロッド部材3が上方に移動されていない場合、可動接触子2の上面は、スプリング31の作用により一字型上部磁性伝導体61の底面に当接される。プッシュロッド部材3が適切な位置に移動した場合、可動接触子2の両端に位置する可動接点は、それぞれ2つの固定接点引出端11、12に接触される。その後、プッシュロッド部材3が上方に移動し続けると、一字型上部磁性伝導体61もプッシュロッド部材3とともに上方に移動し続ける。可動接触子2は、2つの固定接点引出端11、12の底部に接触されているので、上方に移動し続けることができなくなる。これにより、接点のオーバートラベルを実現する。スプリング31は、接点圧力を提供し、一字型上部磁性伝導体61の底部と可動接触子2の上面との間に一定のギャップを形成することにより、一字型上部磁性伝導体61の底面とU字型下部磁性伝導体62の上面との間に磁気ギャップを形成させる。
【0072】
本発明の短絡電流防止用直流リレーにおいて、可動接触子2の所定位置の上方には、上部磁性伝導体61が取り付けられ、可動接触子2の所定位置の下方には、可動接触子2とともに移動可能な下部磁性伝導体62が取り付けられる。また、前記上部磁性伝導体61は、前記プッシュロッド部材3に固定され、前記下部磁性伝導体62は、前記可動接触子2に固定される。可動接触子2の前記所定位置には、少なくとも1つの貫通孔22が設けられ、上部磁性伝導体61及び下部磁性伝導体62が前記貫通孔22を介して互いに接近又は接触、分離できる。また、前記上部磁性伝導体61及び下部磁性伝導体62は、可動接触子2の幅方向において、少なくとも2つの独立した磁気回路を形成する。これにより、可動接触子2に大きな故障電流が生じる場合、各磁気回路により対応する貫通孔22の位置に追加された磁極面を利用して、接点圧力の方向において吸引力を増加させ、前記吸引力と接点圧力を重畳させることによって、可動接点と固定接点との間の故障電流による電気反力に対抗し、複数の独立した磁気回路により大きな短絡電流をほぼ均等に分配するので、磁気効率が高くて、磁気回路が飽和しにくいという特徴を持つ。
【0073】
本発明の短絡電流防止用直流リレーは、独立した各磁気回路が一字型上部磁性伝導体61とU字型下部磁性伝導体62との配合により形成されるので、同じ部材を使用することができ、コストが低減させることができる。また、各U字型下部磁性伝導体62の間にギャップが存在する。一字型上部磁性伝導体61は、プッシュロッド部材3に固定される。具体的に、本実施例の磁気回路は、2つであり、即ち、2つの一字型上部磁性伝導体61及び2つのU字型下部磁性伝導体62を備える。2つの一字型上部磁性伝導体61の間にギャップが存在し、2つのU字型下部磁性伝導体62の間にもギャップが存在する。2つのU字型下部磁性伝導体62の側壁622のそれぞれは、可動接触子2の貫通孔22に挿入されているので、可動接触子2の貫通孔22において、2つのU字型下部磁性伝導体62の側壁622の間にギャップを形成する必要がある。各前記一字型上部磁性伝導体61は、それぞれかしめ又は溶接方式によって前記プッシュロッド部材3に固定され、各前記U字型上部磁性伝導体62は、かしめ方式によって前記可動接触子2に固定される。また、U字型下部磁性伝導体62の側壁の上面は、前記可動接触子2の上面に露出し、磁極面を増加させ、吸引力を向上させる。本発明のこのような構造によれば、可動接触子2を複数の断面領域に分けることにより、可動接触子2に故障電流が流れる場合、複数の磁気回路に磁束を発生させ、各磁気回路の磁性伝導体の間に吸引力を発生させる。この吸引力は、接点圧力が増加する方向にあり、接点間の電気反力に対抗するためのものである。複数の磁気回路が使用されるので、各回路に許容される故障電流がImax/nに過ぎず、これにより、磁気回路が飽和しにくくなり、通過電流が大きいほど、接点圧力が増加し、磁気回路による吸引力も大きくなる。
【0074】
実施例2
図12図13を参照すると、本発明の短絡電流防止用直流リレーは、前記上部磁性伝導体61が、2つの固定接点引出端11、12を取り付けるためのケース4に固定される上部ヨークであるので、可動接触子2の可動接点が固定接点引出端11、12の固定接点と接触されていない場合(即ち、接点が分離される場合)、上部磁性伝導体(上部ヨーク)61と下部磁性伝導体(下部アーマチュア)62との間に所定のギャップが存在する。一方、可動接触子2の可動接点が固定接点引出端11、12の固定接点と接触される場合、上部磁性伝導体61は、下部磁性伝導体62と接触し、即ち、上部磁性伝導体61と下部磁性伝導体62との間にほとんどギャップが存在しないように構成されている点で、実施例1と相違している。
【0075】
実施例3
図14図16を参照すると、本発明の短絡電流防止用直流リレーは、磁気回路が3つである。前記可動接触子2には、2つの貫通孔22が設けられている。3つのU字型下部磁性伝導体62は、可動接触子2の幅方向に沿って順次に配列される。ここで、中央に位置する1つのU字型下部磁性伝導体62の両側壁621、622は、それぞれ可動接触子2の2つの貫通孔22を通過し、両側に位置する2つのU字型下部磁性伝導体62のそれぞれの1つの側壁621は、それぞれ可動接触子2の幅方向において対応する側辺に貼り付けられる。両側に位置する2つのU字型下部磁性伝導体62のそれぞれの他の1つの側壁622は、それぞれ可動接触子2の2つの貫通孔22を通過し、且つ、可動接触子2の同じ貫通孔22内の2つのU字型下部磁性伝導体62の側壁622との間にギャップを備えるように構成されている点で、実施例1と相違している。
【0076】
実施例4
図17図20を参照すると、本発明の消弧及び短絡電流防止機能を備える直流リレーは、電流の流入のための固定接点引出端11と、電流の流出のための固定接点引出端12と、1つの直板式可動接触子2と、可動接触子2を移動させることにより、可動接触子2の両端に位置する可動接点と固定接点引出端11、12の底部に位置する固定接点との間の接触又は分離を実現するための1つのプッシュロッド部材3と、4つの永久磁石71と、を含む。2つの固定接点引出端11、12は、それぞれケース4に取り付けられる。可動接触子2及びプッシュロッド部材3(図4を参照)の一部は、ケース4内に収容される。プッシュロッド部材3は、磁気回路構造における可動鉄心5にも接続される。プッシュロッド部材3は、磁気回路の作用によって、可動接触子2を上方に移動させることで、可動接触子2の両端に位置する可動接点を2つの固定接点引出端11、12の底部に位置する固定接点とそれぞれ接触させる。このようにして、負荷への接続を実現する。前記可動接触子2は、スプリング31を介して前記プッシュロッド部材3に取り付けられることにより、前記プッシュロッド部材3に対して移動可能になることを実現する(接点のオーバートラベルを実現する。)。4つの永久磁石71は、ケース4の外側に位置し、それぞれ可動接触子2の幅方向上の両側辺において、可動接点及び固定接点に対向する位置に配置される。また、同一の一対の可動接点及び固定接点に対して、可動接点及び固定接点に向く2つの永久磁石71の一面の磁極を反対に設置する。可動接触子2の幅方向上の同じ側辺に位置する2つの永久磁石71は、可動接点及び固定接点に向く一面の磁極も反対に設置する。同一の一対の可動接点及び固定接点に対向する2つの永久磁石71の間には、ヨーククリップ72がさらに接続されている。本実施例において、電流は、固定接点引出端11に流入され、固定接点引出端12から流出される。電流は、可動接触子2において、固定接点引出端11に近い一端から固定接点引出端12に近い他端へ流れる。図18に示すように、4つの永久磁石71のうち、可動接触子2の電流の流れ方向上の左側に位置する2つの永久磁石71において、固定接点引出端11に近い側に位置する永久磁石71は、可動接点及び固定接点に向く一面の磁極をN極と設置し;固定接点引出端12に近い側に位置する永久磁石71は、可動接点及び固定接点に向く一面の磁極をS極と設置する。可動接触子2の電流の流れ方向上の右側に位置する2つの永久磁石71において、固定接点引出端11に近い側に位置する永久磁石71は、可動接点及び固定接点に向く一面の磁極をS極と設置し、固定接点引出端12に近い側に位置する永久磁石71における可動接点及び固定接点に向く一面の磁極をN極と設置する。同一の一対の可動接点及び固定接点に対向する2つの永久磁石71は、同一の一対の前記可動接点及び固定接点に対して偏った位置に設けられるとともに、ずれて配置される。ヨーククリップ72は、略U字型をなす。U字型のヨーククリップ72の底壁は、可動接触子2の長さ方向の両端に位置する対応端の外側に対応し、U字型のヨーククリップ72の両側壁は、それぞれ同一の一対の可動接点及び固定接点に対向する2つの永久磁石71において、可動接点及び固定接点に対向する一面に反対する背面に接続される。可動接触子2の2つの可動接点の間の位置(ほぼ可動接触子2の中間位置)の上方には、上部磁性伝導体61が取り付けられている。本実施例において、上部磁性伝導体61は、上部アーマチュアである。可動接触子2の2つの可動接点の間の位置の下方には、可動接触子2とともに移動可能な下部磁性伝導体62が取り付けられている。本実施例において、下部磁性伝導体62は、下部アーマチュアである。本実施例において、前記上部磁性伝導体61は、前記プッシュロッド部材3に固定され、前記下部磁性伝導体62は、前記可動接触子2に固定される。可動接触子2の2つの可動接点の間には、少なくとも1つの貫通孔22が設けられ、上部磁性伝導体61及び下部磁性伝導体62が前記貫通孔22を介して互いに接近又は接触、分離できる。また、前記上部磁性伝導体61及び下部磁性伝導体62は、可動接触子2の幅方向において、少なくとも2つの独立した磁気回路を形成する。これにより、各磁気回路により対応する貫通孔22の位置に追加された磁極面を利用して、可動接触子2に大きな故障電流が生じる場合、接点圧力の方向において吸引力を発生させて(上部磁性伝導体61は、相対的に固定されているが、下部磁性伝導体62は、相対的に移動可能であるので、上向きの吸引力が形成される。)、可動接触子2と固定接点引出端11、12との間の故障電流による電気反力に対抗する。ここで、上部磁性伝導体61と下部磁性伝導体62は、鉄、コバルト、ニッケル及びそれらの合金などの材料により作製されることができる。
【0077】
本実施例において、4つの永久磁石71と2つのヨーククリップ72との配合により形成される磁場は、図18に矢印で示す方向上の磁気吹き力を形成することができる。2つの方向上の磁気吹き力は、それぞれ2対の可動接点及び固定接点に対して消弧処理を行う。磁気吹き力の方向は、いずれも同一方向の斜め上方に向くので、互いに干渉しない。4つの永久磁石71と2つのヨーククリップ72との配合により形成される磁場は、可動接触子2にも作用されることによって、可動接触子2の一端に上向きの作用力が形成されるとともに、可動接触子2の他端に下向きの力が形成される。これにより、可動接点と固定接点との間に摩擦効果が形成されるので、接点が接着することを防止する役割を果たす。
【0078】
本発明のこのような直流リレーは、負荷に対して極性への要求がなく、正方向及び逆方向において消弧能力が同等である。
【0079】
本発明において、いわゆる2つの独立した磁気回路とは、2つの磁気回路の間が互いに干渉しないことを指し、即ち、磁束が互いに相殺されることがないことを指す。
【0080】
本実施例4において、4つの永久磁石71及び2つのヨーククリップ72以外の他の構造は、例えば、プッシュロッド部材3、可動接触子2、上部磁性伝導体61、下部磁性伝導体62などは、前記実施例1、実施例2及び実施例3と同じであってもよいので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0081】
本発明の消弧及び短絡電流防止機能を備える直流リレーは、4つの永久磁石71を可動接触子2の幅方向上の両側辺における可動接点及び固定接点に対向する位置にそれぞれ配置するとともに、同一の一対の可動接点及び固定接点に対向する2つの永久磁石は、可動接点及び固定接点に向く一面の磁極を反対に設置し;可動接触子2の幅方向上の同じ側辺に位置する2つの永久磁石は、可動接点及び固定接点に向く一面の磁極も反対に設置し;同一の一対の可動接点及び固定接点に対向する2つの永久磁石の間には、ヨーククリップ72がさらに接続されている。可動接触子2の2つの可動接点の間の位置の上方には、上部磁性伝導体61が取り付けられ、可動接触子2の2つの可動接点の間の位置の下方には、可動接触子2とともに移動可能な下部磁性伝導体62が取り付けられている。また、前記上部磁性伝導体61は、前記プッシュロッド部材3に固定され、前記下部磁性伝導体62は、前記可動接触子2に固定されている。可動接触子2の2つの可動接点の間には、少なくとも1つの貫通孔22が設けられ、上部磁性伝導体61及び下部磁性伝導体62が前記貫通孔22を介して互いに接近又は接触、分離できる。また、前記上部磁性伝導体61及び下部磁性伝導体62は、可動接触子2の幅方向において、少なくとも2つの独立した磁気回路を形成する。本発明のこのような構造によれば、4つの永久磁石71によって消弧を実現した上で、各磁気回路により対応する貫通孔22の位置に追加された磁極面を利用して、可動接触子2に大きな故障電流が生じる場合、接点圧力の方向において吸引力を増加させ、前記吸引力を接点圧力と重畳させることによって、可動接点と固定接点との間の故障電流による電気反力に対抗し、複数の独立した磁気回路が大きな短絡電流をほぼ均等に分配するので、磁気効率が高くて、磁気回路が飽和しにくいという特徴を持つ。
【0082】
実施例5
図21図23に示すように、本発明の消弧及び短絡電流防止機能を備える直流リレーは、電流の流入のための固定接点引出端11と、電流の流出のための固定接点引出端12と、1つの直板式可動接触子2と、可動接触子2を移動させることによって、可動接触子2の両端に位置する可動接点と固定接点引出端11,12の底部に位置する固定接点との間の接触又は分離を実現するための1つのプッシュロッド部材3と、2つの永久磁石と、を含む。2つの固定接点引出端11、12は、それぞれケース4に取り付けられる。可動接触子2及びプッシュロッド部材3の一部は、ケース4内に収容される。プッシュロッド部材3は、磁気回路構造における可動鉄心5にも接続されている。プッシュロッド部材3は、磁気回路の作用によって、可動接触子2を上方に移動させることで、可動接触子2の両端に位置する可動接点を2つの固定接点引出端11、12の底部に位置する固定接点とそれぞれ接触させる。このようにして、負荷への接続を実現する。前記可動接触子2は、スプリング31を介して前記プッシュロッド部材3に取り付けられることにより、前記プッシュロッド部材3に対して移動可能になることを実現する(接点のオーバートラベルを実現する。)。2つの永久磁石71は、ケース4の外側に位置し、それぞれ可動接触子2の幅方向上の両側辺において、可動接点及び固定接点に対向する位置に配置される。また、2つの永久磁石71が対向する可動接点及び固定接点が異なる。即ち、1つの永久磁石71が固定接点引出端11側に対向し、他の1つの永久磁石71が固定接点引出端12側に対向する。2つの前記永久磁石71の間には、それぞれ1つのヨーククリップ72がさらに接続される。2つのヨーククリップ72は、それぞれL字型形状を有する。L字型のヨーククリップ72の一辺721は、可動接点及び固定接点に対向する一面と反対になる永久磁石71の一面に接続されている。L字型のヨーククリップ72の他の一辺722は、可動接触子2の長さ方向上の両端の外側に位置する。本実施例において、電流は、固定接点引出端11に流入され、固定接点引出端12から流出される。電流は、可動接触子2において、固定接点引出端11に近い一端から固定接点引出端12に近い他端へ流れる。2つの永久磁石71は、それぞれ可動接点及び固定接点に向かう位置に配置される。図22に示すように、2つの永久磁石71のうち、固定接点引出端11側に位置する1つの永久磁石71は、可動接点及び固定接点に向く一面の磁極をN極に設置し;固定接点引出端12側に位置する1つの永久磁石71は、可動接点及び固定接点に向く一面の磁極もN極に設置する。即ち、可動接点及び固定接点に向く2つの永久磁石71の一面の磁極を同じに設置する。可動接触子2の2つの可動接点の間の位置(ほぼ可動接触子2の中間位置)の上方には、上部磁性伝導体61が取り付けられる。本実施例において、上部磁性伝導体61は、上部アーマチュアである。可動接触子2の2つの可動接点の間の位置の下方には、可動接触子2とともに移動可能な下部磁性伝導体62が取り付けられる。本実施例において、下部磁性伝導体62は、下部アーマチュアである。本実施例において、前記上部磁性伝導体61は、前記プッシュロッド部材3に固定され、前記下部磁性伝導体62は、前記可動接触子2に固定される。可動接触子2の2つの可動接点の間には、少なくとも1つの貫通孔22(図5を参照)が設けられ、上部磁性伝導体61及び下部磁性伝導体62が前記貫通孔22を介して互いに接近又は接触、分離できる。また、前記上部磁性伝導体61及び下部磁性伝導体62は、可動接触子2の幅方向において、少なくとも2つの独立した磁気回路を形成する。このようにして、可動接触子2に大きな故障電流が生じる場合、各磁気回路により対応する貫通孔22の位置に追加された磁極面を利用して、接点圧力の方向において吸引力を発生させて(上部磁性伝導体61は、相対的に固定されているが、下部磁性伝導体62は、相対的に移動可能であるので、上向きの吸引力が形成される。)、可動接触子2と固定接点引出端11、12との間の故障電流による電気反力に対抗する。ここで、上部磁性伝導体61と下部磁性伝導体62は、鉄、コバルト、ニッケル及びそれらの合金などの材料により作製されることができる。
【0083】
本実施例において、2つの永久磁石71と2つのヨーククリップ72との配合により形成される磁場は、図22に矢印で示す方向上の磁気吹き力を形成することができる。2つの方向上の磁気吹き力は、それぞれ2対の可動接点及び固定接点に対して消弧処理を行う。磁気吹き力の方向は、いずれも同一方向の斜め上方に向くので、互いに干渉しない。2つの永久磁石71と2つのヨーククリップ72との配合により形成される磁場は、可動接触子2にも作用されることによって、可動接触子2の一端に上向きの作用力が形成されるとともに、可動接触子2の他端に下向きの力が形成される。これにより、可動接点と固定接点との間に摩擦効果が形成されるので、接点が接着することを防止する役割を果たす。
【0084】
本発明のこのような直流リレーは、負荷に対して極性への要求がなく、正方向及び逆方向の消弧能力が同等である。
【0085】
本発明において、いわゆる前記2つの独立した磁気回路とは、2つの磁気回路の間が互いに干渉しないことを指し、即ち、磁束が互いに相殺されることがないことを指す。
【0086】
図24を参照すると、可動接点及び固定接点に向く2つの永久磁石71の一面の磁極を反対に設置する。具体的に、2つの永久磁石71のうち、固定接点引出端11側に位置する1つの永久磁石71は、可動接点及び固定接点に向く一面の磁極をN極に設置し;固定接点引出端12側に位置する1つの永久磁石71は、可動接点及び固定接点に向く一面の磁極もS極に設置する。本実施例において、2つの永久磁石71と2つのヨーククリップ72との配合により形成される磁場は、図24に矢印で示す方向上の磁気吹き力を形成することができる。2つの方向上の磁気吹き力は、それぞれ2対の可動接点及び固定接点に対して消弧処理を行う。1つの磁気吹き力の方向は、斜め上であり、他の1つの磁気吹き力の方向は、斜め下である。2つの磁気吹き力がいずれも外側に向く場合、互いに干渉されない。2つの磁気吹き力がいずれも内側に向く場合、ある程度干渉する。
【0087】
本実施例5において、4つの永久磁石71及2つのヨーククリップ72以外の他の構造は、例えば、プッシュロッド部材3(図4を参照)、可動接触子2、上部磁性伝導体61及び下部磁性伝導体62などは、前記実施例1、実施例2及び実施例3と同じであってもよいので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0088】
本発明の消弧及び短絡電流防止機能を備える直流リレーは、2つの永久磁石71のそれぞれが可動接点及び固定接点に対向する可動接触子2の幅方向上の両側辺の位置に配置される。また、2つの永久磁石71が対向する可動接点及び固定接点が異なる。2つの前記永久磁石71には、それぞれ1つのヨーククリップ72がさらに接続されている。2つのヨーククリップ72は、それぞれL字型形状を有する。L字型のヨーククリップ72の一辺は、可動接点及び固定接点と反対する側の永久磁石71の面に接続される。L字型のヨーククリップ72の他の一辺は、可動接触子2の長さ方向上の両端の外側に位置する。また、可動接触子2の2つの可動接点の間の位置の上方には、上部磁性伝導体61が取り付けられる。可動接触子2の2つの可動接点の間の位置の下方には、可動接触子2とともに移動可能な下部磁性伝導体62が取り付けられる。また、前記上部磁性伝導体61は、前記プッシュロッド部材3に固定される。前記下部磁性伝導体62は、前記可動接触子2に固定される。可動接触子2の2つの可動接点の間には、少なくとも1つの貫通孔22(図5を参照)が設けられ、上部磁性伝導体61及び下部磁性伝導体62が前記貫通孔22を介して互いに接近又は接触、分離できる。また、前記上部磁性伝導体61及び下部磁性伝導体62は、可動接触子2の幅方向において、少なくとも2つの独立した磁気回路を形成する。本発明のこのような構造によれば、2つの永久磁石71によって消弧を実現した上で、可動接触子2に大きな故障電流が生じる場合、各磁気回路により対応する貫通孔22の位置に追加された磁極面を利用して、接点圧力の方向において吸引力を増加させ、前記吸引力を接点圧力と重畳させることによって可動接点と固定接点との間の故障電流による電気反力に対抗し、複数の独立した磁気回路が大きな短絡電流をほぼ均等に分配させるので、磁気効率が高くて、磁気回路が飽和しにくいという特徴を持つ。
【0089】
実施例6
図25図27に示すように、本発明の消弧及び短絡電流防止機能を備える直流リレーは、電流の流入のための固定接点引出端11と、電流の流出のための固定接点引出端12と、1つの直板式可動接触子2と、可動接触子2を移動させることによって、可動接触子2の両端に位置する可動接点と固定接点引出端11、12の底部に位置する固定接点との接触又は分離を実現するための1つのプッシュロッド部材3と、4つの永久磁石71と、を含む。2つの固定接点引出端11、12は、それぞれケース4に取り付けられる。可動接触子2及びプッシュロッド部材3の一部は、ケース4内に収容される。プッシュロッド部材3(図4を参照)は、磁気回路構造における可動鉄心5(図2を参照)にも接続される。プッシュロッド部材3は、磁気回路の作用によって、可動接触子2を上方に移動させることで、可動接触子2の両端に位置する可動接点を2つの固定接点引出端11、12の底部に位置する固定接点とそれぞれ接触させる。これにより、負荷への接続を実現する。前記可動接触子2は、スプリング31を介して前記プッシュロッド部材3に取り付けられることにより、前記プッシュロッド部材3に対して移動可能であることを実現する(接点のオーバートラベルを実現する)。4つの永久磁石71は、ケース4の外側に位置し、それぞれ可動接触子2の幅方向の両側辺において、可動接点及び固定接点(即ち、対応する可動接点及び固定接点)に対向する位置に配置される。また、同一の一対の可動接点及び固定接点に対向する2つの永久磁石71は、可動接点及び固定接点に向く一面の磁極を同じに設置する。同一の一対の可動接点及び固定接点に対向する2つの永久磁石の間には、ヨーククリップ72がさらに接続される。本実施例において、電流は、固定接点引出端11に流入され、固定接点引出端12から流出される。電流は、可動接触子2において、固定接点引出端11に近い一端から固定接点引出端12に近い他端へ流れる。4つの永久磁石71は、それぞれ可動接点及び固定接点に向かう位置に配置される。図26に示すように、4つの永久磁石71のうち、可動接触子2の電流の流れ方向の左側に位置する2つの永久磁石71は、可動接点及び固定接点に向く一面の磁極をN極と設置し;可動接触子2の電流の流れ方向の右側に位置する2つの永久磁石71は、可動接点及び固定接点に向く一面の磁極もN極と設置する。ヨーククリップ72は、略U字型形状をなす。U字型のヨーククリップ72の底壁は、可動接触子2の長さ方向上の両端の外側に位置し;U字型のヨーククリップ72の両側壁は、それぞれ同一の一対の可動接点及び固定接点に対向する2つの永久磁石71において、可動接点及び固定接点と反対する側の一面に接続される。可動接触子2の2つの可動接点の間の位置(ほぼ可動接触子2の中間位置)の上方には、上部磁性伝導体61が取り付けられる。本実施例において、上部磁性伝導体61は、上部アーマチュアである。可動接触子2の2つの可動接点の間の位置の下方には、可動接触子2とともに移動可能な下部磁性伝導体62が取り付けられる。本実施例において、下部磁性伝導体62は、下部アーマチュアである。本実施例において、前記上部磁性伝導体61が前記プッシュロッド部材3に固定され、前記下部磁性伝導体62が前記可動接触子2に固定される。可動接触子2の2つの可動接点の間には、少なくとも1つの貫通孔22(図5を参照)が設けられ、上部磁性伝導体61及び下部磁性伝導体62が前記貫通孔22を介して互いに接近又は接触、分離できる。また、前記上部磁性伝導体61及び下部磁性伝導体62は、可動接触子2の幅方向において、少なくとも2つの独立した磁気回路を形成する。これにより、各磁気回路により対応する貫通孔22の位置に追加された磁極面を利用して、可動接触子2に大きな故障電流が生じる場合、接点圧力の方向において吸引力を発生させて(上部磁性伝導体61は、相対的に固定されているが、下部磁性伝導体62は、相対的に移動可能であるので、上向きの吸引力が形成される)、可動接触子2と固定接点引出端11、12との間の故障電流による電気反力に対抗する。ここで、上部磁性伝導体61と下部磁性伝導体62は、鉄、コバルト、ニッケル及びそれらの合金などの材料により作製されることができる。
【0090】
本実施例において、4つの永久磁石71と2つのヨーククリップ72との配合により形成される磁場は、図26に矢印で示す方向上の磁気吹き力を形成することができる。2つの方向上の磁気吹き力は、それぞれ2対の可動接点及び固定接点に対して消弧処理を行う。磁気吹き力の方向は、いずれも外側(即ち、図26における斜め上側)に向くので、互いに干渉しない。4つの永久磁石71と2つのヨーククリップ72との配合により形成される磁場は、可動接触子2にも作用されるが、作用力が互いに相殺されるので、ほとんど作用しない。
【0091】
図28図29を参照すると、4つの永久磁石71のうち、可動接触子2の幅方向の同じ側辺に位置する2つの永久磁石71は、可動接点及び固定接点に対向する一面の磁極を反対に設置する。具体的に、可動接触子2の電流の流れ方向の左側に位置する2つの永久磁石71において、固定接点引出端11に近い側に位置する永久磁石71は、可動接点及び固定接点に向く一面の磁極をN極と設置し;固定接点引出端12に近い側に位置する永久磁石71は、可動接点及び固定接点に向く一面の磁極をS極と設置する。可動接触子2の電流の流れ方向の右側に位置する2つの永久磁石71において、固定接点引出端11に近い側に位置する永久磁石71は、可動接点及び固定接点に向く一面の磁極をN極と設置し;固定接点引出端12に近い側に位置する永久磁石71は、可動接点及び固定接点に向く一面の磁極をS極と設置する。
【0092】
4つの永久磁石71と2つのヨーククリップ72との配合により形成される磁場は、図28に矢印で示す方向上の磁気吹き力を形成することができる。2つの方向の磁気吹き力は、それぞれ2対の可動接点及び固定接点に対して消弧処理を行う。磁気吹き力の方向は、いずれも外側(即ち、図28における斜め上側及び斜め下側)に向くので、互いに干渉しない。4つの永久磁石71と2つのヨーククリップ72との配合により形成される磁場は、可動接触子2にも作用されるが、作用力が互いに相殺されるので、ほとんど作用しない。
【0093】
本発明のこのような直流リレーは、負荷に対して極性への要求がなく、正方向及び逆方向の消弧能力が同等である。
【0094】
本実施例6において、4つの永久磁石71及2つのヨーククリップ72以外の他の構造は、例えば、プッシュロッド部材3、可動接触子2、上部磁性伝導体61、下部磁性伝導体62などは、前記実施例1、実施例2及び実施例3と同じであってもよいので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0095】
本発明の消弧及び短絡電流防止機能を備える直流リレーは、4つの永久磁石71のそれぞれが可動接点及び固定接点に対向する可動接触子2の幅方向上の両側辺の位置に配置される。また、同一の一対の可動接点及び固定接点に対向する2つの永久磁石71は、可動接点及び固定接点に向く一面の磁極を同じに設置し;可動接触子2の幅方向の同じ側辺に位置する2つの永久磁石は、可動接点及び固定接点に向く一面の磁極も同じに設置する。同一の一対の可動接点及び固定接点に対向する2つの永久磁石の間には、ヨーククリップ72がさらに接続されている。また、可動接触子2の2つの可動接点の間の位置の上方には、上部磁性伝導体61が取り付けられる。可動接触子2の2つの可動接点の間の位置の下方には、可動接触子2とともに移動可能な下部磁性伝導体62が取り付けられる。また、前記上部磁性伝導体61は、前記プッシュロッド部材3に固定され、前記下部磁性伝導体62は、前記可動接触子2に固定される。可動接触子2の2つの可動接点の間には、少なくとも1つの貫通孔22(図5を参照)が設けられ、上部磁性伝導体61及び下部磁性伝導体62が前記貫通孔22を介して互いに接近又は接触、分離できる。また、前記上部磁性伝導体61及び下部磁性伝導体62は、可動接触子2の幅方向において、少なくとも2つの独立した磁気回路を形成する。本発明のこのような構造によれば、4つの永久磁石71によって消弧を実現した上で、各磁気回路により対応する貫通孔22の位置に追加された磁極面を利用して、可動接触子2に大きな故障電流が生じる場合、接点圧力の方向において吸引力を増加させ、前記吸引力を接点圧力と重畳させることによって可動接点と固定接点との間の故障電流による電気反力に対抗し、複数の独立した磁気回路が大きな短絡電流をほぼ均等に分配させるので、磁気効率が高くて、磁気回路が飽和しにくいという特徴を持つ。
【0096】
実施例7
図30図32に示すように、本発明の消弧及び短絡電流防止機能を備える直流リレーは、電流の流入のための固定接点引出端11と、電流の流出のための固定接点引出端12と、1つの直板式可動接触子2と、可動接触子2を移動させることによって、可動接触子2の両端に位置する可動接点と固定接点引出端11、12の底部に位置する固定接点との接触又は分離を実現するための1つのプッシュロッド部材3と、2つの永久磁石71と、を含む。2つの固定接点引出端11、12は、それぞれケース4に取り付けられる。可動接触子2及びプッシュロッド部材3の一部は、ケース4内に収容される。プッシュロッド部材3は、磁気回路構造における可動鉄心5にも接続される。プッシュロッド部材3は、磁気回路の作用によって、可動接触子2を上方に移動させることによって、可動接触子2の両端に位置する可動接点を2つの固定接点引出端11、12の底部に位置する固定接点とそれぞれ接触させる。これにより、負荷への接続を実現する。前記可動接触子2は、スプリング31を介して前記プッシュロッド部材3に取り付けられることにより、前記プッシュロッド部材3に対して移動可能であることを実現する(接点のオーバートラベルを実現する。)。2つの永久磁石71は、ケース4の外側に位置し、それぞれ可動接触子2の長さ方向の両端の外側において、可動接点及び固定接点に対向する位置に配置される。また、2つの永久磁石71の対向する一面の磁極を反対に設置する。2つの前記永久磁石71には、2つのヨーククリップ72がさらに接続される。2つのヨーククリップ72は、少なくとも可動接触子2の幅方向上の両側辺において、可動接点及び固定接点に対向する位置に位置するヨーク区間721をさらに含む。本実施例において、電流は、固定接点引出端11に流入され、固定接点引出端12から流出される。電流は、可動接触子2において、固定接点引出端11に近い一端から固定接点引出端12に近い他端へ流れる。2つの永久磁石71は、それぞれ可動接点及び固定接点に向かう位置に配置される。図31に示すように、2つの永久磁石71のうち、固定接点引出端11側に位置する1つの永久磁石71は、可動接点及び固定接点に向く一面の磁極をN極と設置し;固定接点引出端12側に位置する1つの永久磁石71は、可動接点及び固定接点に向く一面の磁極をS極と設置する。可動接触子2の2つの可動接点の間の位置(ほぼ可動接触子2の中間位置)の上方には、上部磁性伝導体61が取り付けられる。本実施例において、上部磁性伝導体61は、上部アーマチュアである。可動接触子2の2つの可動接点の間の位置の下方には、可動接触子2とともに移動可能な下部磁性伝導体62が取り付けられる。本実施例において、下部磁性伝導体62は、下部アーマチュアである。本実施例において、前記上部磁性伝導体61が前記プッシュロッド部材3に固定され、前記下部磁性伝導体62が前記可動接触子2に固定される。可動接触子2の2つの可動接点の間には、少なくとも1つの貫通孔22(図5を参照)が設けられ、上部磁性伝導体61と下部磁性伝導体62が前記貫通孔22を介して互いに接近又は接触、分離できる。また、前記上部磁性伝導体61及び下部磁性伝導体62は、可動接触子2の幅方向において、少なくとも2つの独立した磁気回路を形成する。これにより、各磁気回路により対応する貫通孔22の位置に追加された磁極面を利用して、可動接触子2に大きな故障電流が生じる場合、接点圧力の方向において吸引力を発生させて(上部磁性伝導体61は、相対的に固定されているが、下部磁性伝導体62は、相対的に移動可能であるので、上側を向く吸引力が形成される。)、可動接触子2と固定接点引出端11、12との間の故障電流による電気反力に対抗する。ここで、上部磁性伝導体61と下部磁性伝導体62は、鉄、コバルト、ニッケル及びそれらの合金などの材料により作製されることができる。
【0097】
本実施例において、2つのヨーククリップ72は、いずれもU字型形状をなす。U字型の2つのヨーククリップ72の底壁722は、それぞれ2つの永久磁石71と反対側の面に接続される。即ち、1つのヨーククリップ72が1つの永久磁石71に接続される。U字型の2つのヨーククリップの両側壁723の先端は、それぞれ可動接点及び固定接点に対向する可動接触子2の幅方向上の両側辺の位置を超える。U字型の2つの前記ヨーククリップ72の両側壁723には、前記ヨーク区間721が含まれる。
【0098】
勿論、U字型のヨーククリップ72の両側壁723の長さを短く設置することもでき、例えば、U字型のヨーククリップ72の両側壁723の端部をヨーク区間721に形成することができる。
【0099】
勿論、各ヨーククリップ72をいずれも2つの永久磁石71に接続させ、即ち、U字型の2つのヨーククリップ72の底壁722は、それぞれ可動接触子2の幅方向の両側辺に配置され、U字型の2つのヨーククリップ72の両側壁723の先端は、それぞれ2つの永久磁石71と反対側の一面に接続される構成としてもよい。
【0100】
本実施例において、2つの永久磁石71と2つのヨーククリップ72との配合により形成される磁場は、図31に矢印で示す方向上の磁気吹き力を形成することができる。2つの方向の磁気吹き力は、それぞれ2対の可動接点及び固定接点に対して消弧処理を行う。磁気吹き力の方向は、いずれも斜め外側に向くので、互いに干渉しない。2つの永久磁石71と2つのヨーククリップ72との配合により形成される磁場は、可動接触子2にも作用されるが、作用力が互いに相殺されるので、ほとんど作用しない。
【0101】
本実施例7において、4つの永久磁石71及2つのヨーククリップ72以外の他の構造は、例えば、プッシュロッド部材3、可動接触子2、上部磁性伝導体61及び下部磁性伝導体62などは、前記実施例1、実施例2及び実施例3と同じであってもよいので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0102】
本発明のこのような直流リレーは、負荷に対して極性への要求がなく、正方向と逆方向の消弧能力が同等である。
【0103】
本発明の消弧及び短絡電流防止機能を備える直流リレーは、2つの永久磁石71のそれぞれが可動接点及び固定接点に対向する可動接触子2の長さ方向上の両端の外側の位置に配置される。また、2つの永久磁石71の対向する一面の磁極を反対に設置する。2つの前記永久磁石71は、2つのヨーククリップ72にさらに接続される。2つのヨーククリップ72は、少なくとも可動接触子2の幅方向上の両側辺において、可動接点及び固定接点に対向する位置に位置するヨーク区間721をさらに含む。また、可動接触子2の2つの可動接点の間の位置の上方には、上部磁性伝導体61が取り付けられる。可動接触子2の2つの可動接点の間の位置の下方には、可動接触子2とともに移動可能な下部磁性伝導体62が取り付けられる。また、前記上部磁性伝導体61は、前記プッシュロッド部材3に固定され、前記下部磁性伝導体62は、前記可動接触子2に固定される。可動接触子2の2つの可動接点の間には、少なくとも1つの貫通孔22(図5を参照)が設けられ、上部磁性伝導体61と下部磁性伝導体62が前記貫通孔22を介して互いに接近又は接触、分離できる。また、前記上部磁性伝導体61及び下部磁性伝導体62は、可動接触子2の幅方向において、少なくとも2つの独立した磁気回路を形成する。本発明のこのような構造によれば、4つの永久磁石71によって消弧を実現した上で、可動接触子2に大きな故障電流が生じる場合、各磁気回路により対応する貫通孔22の位置に追加された磁極面を利用して、接点圧力の方向において吸引力を増加させ、前記吸引力を接点圧力と重畳させることによって可動接点と固定接点との間の故障電流による電気反力に対抗し、複数の独立した磁気回路が大きな短絡電流をほぼ均等に分配させるので、磁気効率が高くて、磁気回路が飽和しにくいという特徴を持つ。
【0104】
実施例8
図33図35を参照すると、本発明の永久磁石による消弧及び短絡電流防止機能を備える直流リレーは、電流の流入のための固定接点引出端11と、電流の流出のための固定接点引出端12と、1つの直板式可動接触子2と、可動接触子2を移動させることによって、可動接触子2の両端に位置する可動接点と固定接点引出端11、12の底部に位置する固定接点との接触又は分離を実現するための1つのプッシュロッド部材3と、4つの永久磁石71と、を含む。2つの固定接点引出端11、12は、それぞれケース4に取り付けられる。可動接触子2及びプッシュロッド部材3の一部は、ケース4内に収容される。プッシュロッド部材3は、磁気回路構造における可動鉄心5にさらに接続される。プッシュロッド部材3は、磁気回路の作用によって、可動接触子2を上方に移動させることによって、可動接触子2の両端に位置する可動接点を2つの固定接点引出端11、12の底部に位置する固定接点とそれぞれ接触させる。これにより、負荷への接続を実現する。前記可動接触子2は、スプリング31を介して前記プッシュロッド部材3に取り付けられることにより、可動接触子2が前記プッシュロッド部材3に対して移動可能であることを実現する(接点のオーバートラベルを実現する)。4つの永久磁石71は、ケース4の外側に位置し、それぞれ可動接点及び固定接点(即ち、対応する可動接点及び固定接点)に対向する可動接触子2の幅方向上の両側辺の位置に配置される。また、同一の一対の可動接点及び固定接点に対向する2つの永久磁石は、可動接点及び固定接点に向く一面の磁極を反対に設置し;可動接触子2の幅方向の同じ側辺に位置する2つの永久磁石は、可動接点及び固定接点に向く一面の磁極を同じに設置する。同一の一対の可動接点及び固定接点に対向する2つの永久磁石71の間には、ヨーククリップ72がさらに接続される。本実施例において、電流は、固定接点引出端11に流入され、固定接点引出端12から流出される。電流は、可動接触子2において、固定接点引出端11に近い一端から固定接点引出端12に近い他端へ流れる。4つの永久磁石71は、それぞれ可動接点及び固定接点に向かう位置に配置される。図34に示すように、4つの永久磁石71のうち、可動接触子2の電流の流れ方向の左側に位置する2つの永久磁石71は、可動接点及び固定接点に向く一面の磁極をN極と設置し;可動接触子2の電流の流れ方向の右側に位置する2つの永久磁石71は、可動接点及び固定接点に向く一面の磁極をS極と設置する。ヨーククリップ72は、略U字型をなす。U字型のヨーククリップ72の底壁は、可動接触子2の長さ方向の両端の外側に位置し;U字型のヨーククリップ72の両側壁は、それぞれ同一の一対の可動接点及び固定接点に対向する2つの永久磁石71における可動接点及び固定接点と反対する側の一面に接続される。可動接触子2の2つの可動接点の間の位置(ほぼ可動接触子2の中間位置)の上方には、上部磁性伝導体61が取り付けられる。本実施例において、上部磁性伝導体61は、上部アーマチュアである。可動接触子2の2つの可動接点の間の位置の下方には、可動接触子2とともに移動可能な下部磁性伝導体62が取り付けられる。本実施例において、下部磁性伝導体62は、下部アーマチュアである。本実施例において、前記上部磁性伝導体61は、前記プッシュロッド部材3に固定され、前記下部磁性伝導体62は、前記可動接触子2に固定される。可動接触子2の2つの可動接点の間には、少なくとも1つの貫通孔22(図5を参照)が設けられ、上部磁性伝導体61と下部磁性伝導体62が前記貫通孔22を介して互いに接近又は接触、分離できる。また、前記上部磁性伝導体61と下部磁性伝導体62は、可動接触子2の幅方向において、少なくとも2つの独立した磁気回路を形成する。これにより、各磁気回路により対応する貫通孔22の位置に追加された磁極面を利用して、可動接触子2に大きな故障電流が生じる場合、接点圧力の方向において吸引力を発生させて(上部磁性伝導体61は、相対的に固定されているが、下部磁性伝導体62は、相対的に移動可能であるので、上向きの吸引力が形成される)、可動接触子2と固定接点引出端11、12との間の故障電流による電気反力に対抗する。ここで、上部磁性伝導体61と下部磁性伝導体62は、鉄、コバルト、ニッケル及びそれらの合金などの材料により作製されることができる。
【0105】
本実施例において、4つの永久磁石71と2つのヨーククリップ72との配合により形成される磁場は、図34に矢印で示す方向上の磁気吹き力を形成することができる。2つの方向の磁気吹き力は、それぞれ2対の可動接点及び固定接点に対して消弧処理を行う。磁気吹き力の方向がいずれも外側に向くので、互いに干渉しない。4つの永久磁石71と2つのヨーククリップ72との配合により形成される磁場は、可動接触子2にも作用されることによって、接点の位置に下向きの力(図35に示すように)を形成するので、接点圧力が不足する場合がある。従って、磁気回路により形成される吸引力は、4つの永久磁石71及び2つのヨーククリップ72の磁場作用により生じた下向きの力に対抗することも必要になる。
【0106】
本実施例のこのような構造は、アークを分断する要求があるユーザに適用される。
【0107】
図36に示す4つの永久磁石71において、可動接触子2の電流の流れ方向の左側に位置する2つの永久磁石71は、可動接点及び固定接点に向く一面の磁極をS極と設置し;可動接触子2の電流の流れ方向の右側に位置する2つの永久磁石71は、可動接点及び固定接点に向く一面の磁極をN極と設置する。このように、磁場の方向が逆になるので、磁気吹き力の方向がいずれも内側に向くようになる。アークは、磁気吹きによりある程度干渉される。本実施例のこのような構造は、アークを分断する要求がないユーザに適用されることができる。4つの永久磁石71と2つのヨーククリップ72との配合により形成される磁場が可動接触子2に作用する場合、接点の位置に上向きの力が形成されて、接点圧力を増加させる。即ち、磁気回路による吸引力は、4つの永久磁石71及び2つのヨーククリップ72の磁場作用による上向きの力とともに可動接触子2と固定接点引出端11、12との間の故障電流による電気反力に対抗することができる。
【0108】
本発明に係る永久磁石による消弧及び短絡電流防止機能を備える直流リレーは、負荷に対して極性への要求があり、正方向と逆方向の消弧能力の差が大きい。
【0109】
本実施例8において、4つの永久磁石71及び2つのヨーククリップ72以外の他の構造は、例えば、プッシュロッド部材3、可動接触子2、上部磁性伝導体61及び下部磁性伝導体62などは、前記実施例1、実施例2及び実施例3と同じであってもよいので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0110】
本発明の永久磁石による消弧及び短絡電流防止機能を備える直流リレーは、4つの永久磁石71のそれぞれが可動接点及び固定接点に対向する可動接触子2の幅方向上の両側辺の位置に配置される。また、同一の一対の可動接点及び固定接点に対向する2つの永久磁石は、可動接点及び固定接点に向く一面の磁極を反対に設置する。可動接触子2の幅方向の同じ側辺に位置する2つの永久磁石は、可動接点及び固定接点に向く一面の磁極を同じに設置する。同一の一対の可動接点及び固定接点に対向する2つの永久磁石の間には、ヨーククリップ72がさらに接続される。また、可動接触子2の2つの可動接点の間の位置の上方には、上部磁性伝導体61が取り付けられる。可動接触子2の2つの可動接点の間の位置の下方には、可動接触子2とともに移動可能な下部磁性伝導体62が取り付けられる。また、前記上部磁性伝導体61は、前記プッシュロッド部材3に固定され、前記下部磁性伝導体62は、前記可動接触子2に固定される。可動接触子2の2つの可動接点の間には、少なくとも1つの貫通孔22(図5を参照)が設けられ、上部磁性伝導体61と下部磁性伝導体62が前記貫通孔22を介して互いに接近又は接触、分離できる。また、前記上部磁性伝導体61と下部磁性伝導体62は、可動接触子2の幅方向において、少なくとも2つの独立した磁気回路を形成する。本発明のこのような構造によれば、4つの永久磁石71によって消弧を実現した上で、可動接触子2に大きな故障電流が生じる場合、各磁気回路により対応する貫通孔22の位置に追加された磁極面を利用して、接点圧力の方向において吸引力を増加させ、前記吸引力を接点圧力と重畳させることによって可動接点と固定接点との間の故障電流による電気反力に対抗し、複数の独立した磁気回路が大きな短絡電流をほぼ均等に分配させるので、磁気効率が高くて、磁気回路が飽和しにくいという特徴を持つ。
【0111】
本発明は、その適用を本明細書に記載された部材の詳細な構造及び配置方式に限定しないことを理解すべきである。本発明は、他の実施形態を有し、且つ、種々の方式で実現及び実行することができる。前記変形形態及び修正形態は、本発明の範囲内に含まれる。本明細書に開示及び限定された本発明は、本明細書及び/又は図面に言及された、又は明らかな2つ以上の個別の特徴の代替的な組み合わせのすべてに及ぶことを理解すべきである。これらの異なる組み合わせのすべては、本発明の複数の代替可能な態様を構成する。本明細書に記載された実施形態は、本発明を実現するための知られている最も好ましい態様を説明するとともに、当業者が本発明を利用できるようにする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
【手続補正書】
【提出日】2021-05-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの固定接点引出端と、1つの直板式の可動接触子と、1つのプッシュロッド部材と、を含み、
前記可動接触子は、前記プッシュロッド部材に取り付けられ、前記プッシュロッド部材の作用によって、前記可動接触子の両端に位置する可動接点と2つの固定接点引出端の底部に位置する固定接点との接触を実現し、電流を1つの固定接点引出端に流入させ、前記可動接触子を経過した後、他の1つの固定接点引出端から流出させる短絡電流防止用直流リレーであって、
前記可動接触子の所定位置の上方には、前記可動接触子の幅方向に沿って配置される上部磁性伝導体が取り付けられ、
前記可動接触子の前記所定位置の下方には、前記可動接触子の幅方向に沿って配置され、前記可動接触子とともに移動可能な下部磁性伝導体が取り付けられ、
前記可動接触子の所定位置には、少なくとも1つの貫通孔が設けられ、
上部磁性伝導体及び下部磁性伝導体は、前記貫通孔を介して互いに接近又は接触可能になり、
前記上部磁性伝導体及び下部磁性伝導体は、前記可動接触子の幅方向において、少なくとも2つの独立した磁気回路を形成し、
前記可動接触子に大きな故障電流が生じる場合、各磁気回路により対応する貫通孔の位置に形成された磁極面を利用して、接点圧力の方向において吸引力を発生させ、前記可動接触子と固定接点引出端との間の故障電流による電気反力に対抗する
ことを特徴とする短絡電流防止用直流リレー。
【請求項2】
前記所定位置は、前記可動接触子の長さ方向での2つの可動接点の間に位置する
ことを特徴とする請求項1に記載の短絡電流防止用直流リレー。
【請求項3】
前記上部磁性伝導体は、少なくとも1つの一字型上部磁性伝導体であり、
前記下部磁性伝導体は、少なくとも2つのU字型下部磁性伝導体であり、
1つのU字型下部磁性伝導体及び対応する一字型上部磁性伝導体は、独立した磁気回路を構成し、
隣接するつのU字型下部磁性伝導体は、互いに接触しない
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の短絡電流防止用直流リレー。
【請求項4】
隣接する少なくとも2つの独立した磁気回路において、
字型上部磁性伝導体は、少なくとも一つの共通する上部磁性伝導体であり、
隣接するつのU字型下部磁性伝導体は、それぞれ1つの一字型上部磁性伝導体の下方に配置される
ことを特徴とする請求項3に記載の短絡電流防止用直流リレー。
【請求項5】
隣接する少なくとも2つの独立した磁気回路において、
字型上部磁性伝導体は、いずれも2つの独立した上部磁性伝導体であり、
隣接するつのU字型下部磁性伝導体は、それぞれ対応する一字型上部磁性伝導体の下方に配置される
ことを特徴とする請求項3に記載の短絡電流防止用直流リレー。
【請求項6】
前記磁気回路は、2つであり、
2つのU字型下部磁性伝導体のそれぞれの1つの側壁は、それぞれ可動接触子の幅方向での側辺に貼り付けられ、
2つのU字型下部磁性伝導体のそれぞれの他の1つの側壁は、それぞれ可動接触子の前記貫通孔を通過し、
前記貫通孔内に設けられた2つのU字型下部磁性伝導体のそれぞれの他の1つの側壁の間には、ギャップが存在する
ことを特徴とする請求項3に記載の短絡電流防止用直流リレー。
【請求項7】
2つの前記U字型下部磁性伝導体のそれぞれの他の1つの側壁は、それぞれ可動接触子の同一の貫通孔内において、可動接触子の方向に沿って並んで配置されることにより、2つのU字型下部磁性伝導体により形成された2つの磁気回路を可動接触子の方向に沿って並んで分布させる
ことを特徴とする請求項6に記載の短絡電流防止用直流リレー。
【請求項8】
2つの前記U字型下部磁性伝導体のそれぞれの他の1つの側壁は、それぞれ可動接触子の同一の貫通孔内において、可動接触子の方向に沿ってずれて配置されることにより、2つのU字型下部磁性伝導体により形成された2つの磁気回路を可動接触子の方向に沿ってずれて分布させる
ことを特徴とする請求項6に記載の短絡電流防止用直流リレー。
【請求項9】
前記磁気回路は、2つであり、
前記可動接触子には、2つの貫通孔が設けられ、
2つの貫通孔は、可動接触子の方向に並んで配置され、
2つの前記U字型下部磁性伝導体のそれぞれの1つの側壁は、それぞれ可動接触子の幅方向での側辺に貼り付けられ、
2つの前記U字型下部磁性伝導体のそれぞれの他の1つの側壁は、それぞれ可動接触子の2つの貫通孔に通過されることにより、2つのU字型下部磁性伝導体により形成された2つの磁気回路を可動接触子の方向に沿って並んで分布させる
ことを特徴とする請求項3に記載の短絡電流防止用直流リレー。
【請求項10】
前記磁気回路は、2つであり、
前記可動接触子には、2つの貫通孔が設けられ、
2つの貫通孔は、可動接触子の方向にずれて配置され、
2つの前記U字型下部磁性伝導体のそれぞれの1つの側壁は、それぞれ可動接触子の幅方向での側辺に貼り付けられ、
2つの前記U字型下部磁性伝導体のそれぞれの他の1つの側壁は、それぞれ可動接触子の2つの貫通孔に通過されることにより、2つのU字型下部磁性伝導体により形成された2つの磁気回路を可動接触子の方向に沿ってずれて分布させる
ことを特徴とする請求項3に記載の短絡電流防止用直流リレー。
【請求項11】
前記磁気回路は、3つであり、
前記可動接触子には、2つの貫通孔が設けられ、
3つのU字型下部磁性伝導体は、可動接触子の幅方向に沿って順次に配列し、
中央に位置する1つのU字型下部磁性伝導体の両側壁は、それぞれ可動接触子の2つの貫通孔を通過し、
両側に位置する2つのU字型下部磁性伝導体のそれぞれの1つの側壁は、それぞれ可動接触子の幅方向での側辺に貼り付けられ、
両側に位置する2つのU字型下部磁性伝導体のそれぞれの他の1つの側壁は、それぞれ可動接触子の2つの貫通孔を通過し、
可動接触子の同一の貫通孔内において、2つの側壁の間にはギャップが存在する
ことを特徴とする請求項3に記載の短絡電流防止用直流リレー。
【請求項12】
前記U字型下部磁性伝導体の側壁の上面は、前記可動接触子の上面と面一をなす
ことを特徴とする請求項6から請求項11のいずれか1項に記載の短絡電流防止用直流リレー。
【請求項13】
前記上部磁性伝導体は、前記プッシュロッド部材に固定される上部アーマチュアであり、
前記下部磁性伝導体は、前記可動接触子に固定される下部アーマチュアであり、
前記可動接触子は、スプリングを介して前記プッシュロッド部材に取り付けられ、
前記可動接触子の可動接点が固定接点引出端の固定接点と接触する場合、上部アーマチュアと下部アーマチュアとの間に所定の間隔が存在する
ことを特徴とする請求項1又は2又は4ないし11のいずれか1項に記載の短絡電流防止用直流リレー。
【請求項14】
前記上部磁性伝導体は、前記プッシュロッド部材に固定される上部アーマチュアであり、
前記下部磁性伝導体は、前記可動接触子に固定される下部アーマチュアであり、
前記可動接触子は、スプリングを介して前記プッシュロッド部材に取り付けられ、
前記可動接触子の可動接点が固定接点引出端の固定接点と接触する場合、上部アーマチュアと下部アーマチュアとの間に所定の間隔が存在する
ことを特徴とする請求項3に記載の短絡電流防止用直流リレー。
【請求項15】
前記上部磁性伝導体は、前記プッシュロッド部材に固定される上部アーマチュアであり、
前記下部磁性伝導体は、前記可動接触子に固定される下部アーマチュアであり、
前記可動接触子は、スプリングを介して前記プッシュロッド部材に取り付けられ、
前記可動接触子の可動接点が固定接点引出端の固定接点と接触する場合、上部アーマチュアと下部アーマチュアとの間に所定の間隔が存在する
ことを特徴とする請求項12に記載の短絡電流防止用直流リレー。
【請求項16】
前記上部磁性伝導体は、2つの固定接点引出端を取り付けるためのケースに固定される上部ヨークであり、
前記下部磁性伝導体は、前記可動接触子に固定される下部アーマチュアであり、
前記可動接触子は、スプリングを介して前記プッシュロッド部材に取り付けられ、
前記可動接触子の可動接点が固定接点引出端の固定接点と接触する場合、上部ヨークが下部アーマチュアと接触する
ことを特徴とする請求項1又は2又は4ないし11のいずれか1項に記載の短絡電流防止用直流リレー。
【請求項17】
前記上部磁性伝導体は、2つの固定接点引出端を取り付けるためのケースに固定される上部ヨークであり、
前記下部磁性伝導体は、前記可動接触子に固定される下部アーマチュアであり、
前記可動接触子は、スプリングを介して前記プッシュロッド部材に取り付けられ、
前記可動接触子の可動接点が固定接点引出端の固定接点と接触する場合、上部ヨークが下部アーマチュアと接触する
ことを特徴とする請求項3に記載の短絡電流防止用直流リレー。
【請求項18】
前記上部磁性伝導体は、2つの固定接点引出端を取り付けるためのケースに固定される上部ヨークであり、
前記下部磁性伝導体は、前記可動接触子に固定される下部アーマチュアであり、
前記可動接触子は、スプリングを介して前記プッシュロッド部材に取り付けられ、
前記可動接触子の可動接点が固定接点引出端の固定接点と接触する場合、上部ヨークが下部アーマチュアと接触する
ことを特徴とする請求項12に記載の短絡電流防止用直流リレー。
【請求項19】
前記プッシュロッド部材は、U字型ホルダーと、スプリングシートと、プッシュロッドと、を含み、
前記プッシュロッドの先端は、前記スプリングシートに固定され、
前記U字型ホルダーの底部は、前記スプリングシートに固定され、
前記可動接触子と2つのU字型下部磁性伝導体により構成される可動ばねブロックは、スプリングを介して前記U字型ホルダー内に取り付けられ、
前記可動接触子の上面は、上部ヨークに当接し、
前記上部ヨークは、前記U字型ホルダーの頂部の内壁に固定され、
スプリングは、2つの前記U字型下部磁性伝導体の底部と前記スプリングシートの上面との間に弾性的に当接される
ことを特徴とする請求項6から請求項10のいずれか1項に記載の短絡電流防止用直流リレー。
【請求項20】
2つの前記U字型下部磁性伝導体の底部のそれぞれには、前記スプリングを位置決めするための半円溝がさらに設けられ、
2つの半円溝は、前記スプリングの先端が配置されるように全円を形成する
ことを特徴とする請求項19に記載の短絡電流防止用直流リレー。
【請求項21】
2つの前記U字型下部磁性伝導体の底部のそれぞれには、前記スプリングを位置決めするための位置決め柱がさらに設けられ、
位置決め柱を利用して、スプリングの先端の外側でスプリングを位置決めする
ことを特徴とする請求項19に記載の短絡電流防止用直流リレー。
【請求項22】
前記可動接触子は、貫通孔の設置位置に対応する幅方向での両側辺に拡幅部がさらに設けられる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の短絡電流防止用直流リレー。
【国際調査報告】