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特表2022-506886自動車の変速機の油圧システム用システム圧力弁
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(54)【発明の名称】自動車の変速機の油圧システム用システム圧力弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 17/06 20060101AFI20220107BHJP
   F16H 61/00 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
F16K17/06 B
F16H61/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021524992
(86)(22)【出願日】2019-10-07
(85)【翻訳文提出日】2021-07-06
(86)【国際出願番号】 EP2019077026
(87)【国際公開番号】W WO2020094310
(87)【国際公開日】2020-05-14
(31)【優先権主張番号】102018219113.1
(32)【優先日】2018-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500045121
【氏名又は名称】ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186716
【弁理士】
【氏名又は名称】真能 清志
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ハーバーシュトック
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ハーマン
【テーマコード(参考)】
3H059
3J552
【Fターム(参考)】
3H059AA12
3H059BB40
3H059CC02
3H059CD05
3H059CD12
3H059CE04
3H059EE01
3H059FF16
3J552NA01
3J552NB01
3J552PA67
3J552QA14B
3J552QA30B
3J552QA42A
3J552SA52
(57)【要約】
【課題】自動車の変速機の油圧システム用システム圧力弁を提供する。
【解決手段】本発明によれば、プライマリシステム圧力回路(16)からの過剰量を、吸入充填(40)に導くのではなく、セカンダリシステム圧力回路(18)に導くことによって、自動車用変速機の油圧システム(4)のセカンダリシステム圧力回路(18)をより早く飽和させることを提案する。これは、この機能のために構成された本発明による、プライマリシステム圧力回路(16)用のシステム圧力弁(9)によって行うことができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の変速機(3)の油圧システム(4)用システム圧力弁(9)であって、前記システム圧力弁(9)は、
弁ハウジング(71)と、
ピストンロッド(11)と、
第1入口(8)と、
第2入口(10)と、
第1出口(72)と、
第2出口(73)と、
第3出口(65)と、を備え、
前記油圧システム(4)のプライマリポンプ(6)は、前記第1入口(8)と接続することができて、
前記油圧システム(4)のセカンダリポンプ(7)は、前記第2入口(10)と接続することができて、
前記油圧システム(4)のプライマリシステム圧力回路(16)は、前記第1出口(72)および前記第2出口(73)と接続することができて、
前記油圧システム(4)のセカンダリシステム圧力回路(18)は前記第3出口(65)と接続することができて、
前記システム圧力弁(9)は、前記弁ハウジング(71)内の前記ピストンロッド(11)を、第1切換位置、第2切換位置、および第3切換位置に調整するように構成され、
前記第1切換位置において、前記第3出口(65)は、前記第1入口(8)とも前記第2入口(10)とも接続されておらず、
前記第2切換位置において、第前記2入口(10)は前記第3出口(65)と接続され、
前記第3切換位置において、前記第3出口(65)は、前記第1入口(8)および前記第2入口(10)の両方と接続されている、システム圧力弁(9)。
【請求項2】
請求項1に記載のシステム圧力弁(9)であって、前記ピストンロッド(11)は、リセット要素(12)を用いて第1切換位置において予張されている、システム圧力弁(9)。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシステム圧力弁(9)であって、前記システム圧力弁(9)は、前記ピストンロッド(11)が第2切換位置または第3切換位置に移動するように、前記ピストンロッド(11)の端面(33)を油圧で付勢するように構成されている、システム圧力弁(9)。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載のシステム圧力弁(9)であって、前記システム圧力弁(9)は、前記ピストンロッド(11)が第2切換位置または第3切換位置に移動するように、前記ピストンロッド(11)のピストン(31)の内部の戻しガイド面(66)を油圧で付勢するように構成されている、システム圧力弁(9)。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載のシステム圧力弁(9)であって、前記システム圧力弁(9)は、前記ピストンロッド(11)に油圧を負荷することによって、油圧が第1限界値を超えるとすぐに、前記弁ハウジング(71)内の前記ピストンロッド(11)を第1切換位置から第2切換位置に調整するように構成されている、システム圧力弁(9)。
【請求項6】
請求項5に記載のシステム圧力弁(9)であって、前記システム圧力弁(9)は、前記ピストンロッド(11)に油圧を負荷することによって、油圧が第2限界値を超えるとすぐに、前記弁ハウジング(71)内の前記ピストンロッド(11)を、第2切換位置から第3切換位置に調整するように構成され、前記第2限界値は前記第1限界値よりも高い、システム圧力弁(9)。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載のシステム圧力弁(9)であって、前記システム圧力弁(9)は、
前記第1入口(8)および前記第1出口(72)と接続された第1弁ポケット(14)と、
前記第2入口(10)および前記第2出口(73)と接続された第2弁ポケット(17)と、
前記第3出口(65)と接続された第3弁ポケット(25)と、をさらに備え、
前記ピストンロッド(11)は、
第1切換位置において、前記第1弁ポケット(14)および前記第2弁ポケット(17)を、前記第3弁ポケット(25)から分離し、
第2切換位置において、前記第2弁ポケット(17)の前記第3弁ポケット(25)との接続を開放し、
第3切換位置において、前記第1弁ポケット(14)と前記第3弁ポケット(25)との間の接続と、前記第2弁ポケット(17)と前記第3弁ポケット(25)との間の接続と、を開放する、システム圧力弁(9)。
【請求項8】
請求項7に記載のシステム圧力弁(9)であって、第1ピストンロッドは、
プライマリ制御エッジ(36)を有するピストン(31)と、
セカンダリ制御エッジ(35)を有する更なるピストン(22)と、を備え、
前記ピストンロッド(11)は、
前記第2弁ポケット(17)と前記第3弁ポケット(25)との間の接続を、前記セカンダリ制御エッジ(35)を介して開放し、
前記第1弁ポケット(14)と前記第3弁ポケット(25)との間の接続を、前記プライマリ制御エッジ(36)を介して開放するように構成されている、システム圧力弁(9)。
【請求項9】
自動車の変速機(3)、特に自動変速機(3)用の油圧システム(4)であって、前記油圧システム(4)は、
プライマリポンプ(6)と、
セカンダリポンプ(7)と、
プライマリシステム圧力回路(16)と、
セカンダリシステム圧力回路(18)と、
請求項1~8の何れか一項に記載のプライマリシステム圧力弁(9)と、を備え、
前記プライマリポンプ(6)は、前記プライマリシステム圧力弁(9)の前記第1入口(8)と接続され、
前記セカンダリポンプ(7)は、前記プライマリシステム圧力弁(9)の前記第2入口(10)と接続され、
前記プライマリシステム圧力回路(16)は、前記プライマリシステム圧力弁(9)の前記第1出口(72)および前記第2出口(73)と接続され、
前記セカンダリシステム圧力回路(18)は、前記プライマリシステム圧力弁(9)の前記第3出口(65)と接続されている、油圧システム(4)。
【請求項10】
請求項9に記載の油圧システム(4)であって、前記油圧システム(4)は、システム圧力調整器(20)を更に備え、前記システム圧力調整器(20)は、前記リセット要素(12)の予張力が補助されるように、前記プライマリシステム圧力弁(9)に供給可能なパイロット圧力を出力するように構成されている、油圧システム。
【請求項11】
請求項9または10に記載の油圧システム(4)であって、前記油圧システム(4)は更なるシステム圧力弁(37)を備え、前記更なるシステム圧力弁(37)は、前記セカンダリシステム圧力回路(18)内のシステム圧力を指定して調整するように構成され、指定されたシステム圧力を超えた場合に、前記セカンダリシステム圧力回路(18)を前記プライマリポンプ(6)および前記セカンダリポンプ(7)の吸入側(40)と接続するように構成されている、油圧システム(4)。
【請求項12】
自動車の変速機(3)、特に自動車の自動変速機(3)であって、請求項9~11の何れか一項に記載の油圧システム(4)を備える、自動車の変速機(3)。
【請求項13】
請求項12に記載の自動車の自動変速機(3)を備える、自動車(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の変速機の油圧システム用システム圧力弁に関する。更なる請求項は、システム圧力弁を備える油圧システム、油圧システムを備える自動車の変速機、および自動車の変速機を備える自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧システムは、特に、自動車の自動変速機用として既知である。油圧システムは、高圧回路(プライマリシステム圧力回路)および低圧回路(セカンダリシステム圧力回路)を備える。このような油圧システムは、典型的に2つのポンプを備える。これらのポンプは、(回転数依存性の)搬送体積が固定されたダブルストロークベーンポンプとして構成することができる。この場合、各ポンプは、2つのシステム圧力回路(高圧または低圧)の一つに割り当てられる。動作原理は、油不足の際に、低圧回路に割り当てられたポンプ(セカンダリポンプ)が、高圧に切り換えられて高圧回路に供給することができるというものである。高圧回路が飽和するとすぐに、セカンダリポンプの圧力は、再びより低い圧力レベルに下げられる。このために、油圧システムを、バルブロジックを介して自己調整するように構成することができる。高圧回路および低圧回路の両方の圧力を調整するために、2つの圧力制限弁が必要である。これらの弁は、過剰に搬送された油をポンプから排出することによって、圧力を調整する。この油は、典型的に、高回転数(=高搬送量)での2つのポンプの充填挙動またはキャビテーション傾向を改善するために、ポンプの吸入領域に直接戻される。
【0003】
しかしながら、このようなシステムは、以下に記載する欠点を有する可能性がある。例えば、セカンダリ回路の飽和は、一回路のポンプシステムと比較して、より高いポンプ回転数にシフトする可能性がある。高圧回路の過剰量がポンプの吸入領域に導かれ、セカンダリ回路に対して利用できないためである。両方の弁がそれらの過剰量をポンプ吸入側に導くことによって、油圧システムの油圧切換装置(「弁スライドボックス」)はさらに、両方の弁がポンプの吸入領域に直接に配置されるよう、通常は構成されなければならない。これによって、構造的自由度が制限される。さらに、高圧回路用圧力制限弁は、機能を実現することができるよう、比較的長く構成されなければならない。これは、より高いコスト、また更なる設計上の制約につながる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の課題は、設置スペースが低減されて費用対効果に優れた圧力制限弁を提供することである。この圧力制限弁によって、油圧システムの低圧回路への供給が改善され、自由度の増大という観点から、より簡単な方法で油圧切換装置内にシステム圧力弁を構造的に配置することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、独立請求項の主題によって達成される。有利な実施形態は、従属請求項、以下の説明および図面の主題である。
【0006】
本発明によれば、プライマリシステム圧力回路からの過剰量を、吸入充填に導くのではなく、セカンダリシステム圧力回路に導くことによって、自動車の変速機の油圧システムのセカンダリシステム圧力回路をより早く飽和させることを提案する。これは、この機能のために構成された本発明による、プライマリシステム圧力回路用のシステム圧力弁によって行うことができる。この改良された設計では、セカンダリシステム圧力回路の供給が向上したことに加えて、プライマリシステム圧力回路のシステム圧力弁(プライマリシステム圧力弁)をもはやポンプの吸入領域に接続する必要がなくなった、という利点もある。セカンダリシステム圧力回路の1つのシステム圧力弁(セカンダリシステム圧力弁)のみが、過剰量をポンプの吸入充填に導く機能を担う。これによって、プライマリシステム圧力弁を油圧切換装置において幾分随意に配置することができるため、構成的な配置における自由度が発生する。特に有利なことに、プライマリシステム圧力弁を、セカンダリシステム圧力弁に近接して配置することができる。なぜなら、その油回路(セカンダリシステム圧力回路)に、プライマリシステム圧力弁が供給できるためである。
【0007】
この意味で、本発明の第1態様により、自動車の変速機の油圧システム用システム圧力弁が提供される。システム圧力弁は、特にプライマリシステム圧力弁とすることができる。すなわち、プライマリシステム圧力弁は、プライマリシステム圧力回路に割り当てられ、意図した目標圧力レベルをプライマリシステム圧力回路において調整し、目標圧力レベルを達成または超過した際にプライマリシステム系圧力回路から作動流体、特に油を排出することができる。
【0008】
システム圧力弁は、弁ハウジングと、ピストンロッドと、第1入口と、第2入口と、第1出口と、第2出口と、第3出口と、を備える。油圧システムのプライマリポンプは、第1入口と接続することができる。油圧システムのセカンダリポンプは、第2入口と接続することができる。油圧システムのプライマリシステム圧力回路は、第1出口および第2出口と接続することができる。油圧システムのセカンダリシステム圧力回路は第3出口と接続することができる。
【0009】
システム圧力弁は、弁ハウジング内のピストンロッドを、第1切換位置、第2切換位置、および第3切換位置に調整するように構成することができる。
【0010】
第1切換位置において、第3出口は、第1入口とも第2入口とも接続されていない。「接続」とは、特に、相互に接続された要素が、それぞれ、油圧を導くように相互接続されている、すなわち、特に油である作動流体が、一方の要素から他方の要素に流れることが可能であり、必要に応じてその逆も可能であることを意味している。第1入口は第1出口と接続することができる。さらに、第2入口は第2出口と接続することができる。特にこれは、ピストンロッドの各切換位置には無関係である。すなわち、上述の接続は、第1切換位置、第2切換位置、第3切換位置、およびこれらの切換位置の間の中間位置に存在してもよい。したがって、第1切換位置において、プライマリシステム圧力回路に、プライマリポンプによって第1油流を供給し、セカンダリポンプによって第2油流を供給して、プライマリシステム圧力回路内に圧力を構築することができる。プライマリシステム圧力回路がまだ飽和していない(プライマリシステム圧力回路内の目標圧力レベルがまだ達成されていない)場合、セカンダリシステム圧力回路には供給されない。なぜなら、プライマリポンプとセカンダリポンプとの間に、第1入口および第2入口(入口側)ならびに第3出口(出口側)を介する接続が存在していないためである。
【0011】
第2切換位置において、第2入口は第3出口と接続されている。プライマリポンプおよびセカンダリポンプの搬送量が、プライマリシステム圧力回路内の目標圧力レベルを達成するのに十分であれば、力の不均衡に起因して、弁ピストンは第2切換位置に移動できる。これによって、プライマリシステム圧力回路を飽和させるのに必要でないセカンダリポンプの油を、第2入口と第3出口との間の接続を介してセカンダリ回路に導くことができて、プライマリシステム回路の圧力レベルを維持することができる。
【0012】
プライマリポンプとセカンダリポンプの(ポンプ回転数を高めることによる)搬送量が、プライマリポンプだけでプライマリシステム圧力回路を飽和可能であるほどに高まった場合、プライマリシステム圧力弁は制御ピストンを第3切換位置に調整することができる。したがって、プライマリシステム圧力回路の過剰に搬送された油を、システム圧力弁内で、セカンダリポンプの搬送量と合流させることができる。第3切換位置において、第3出口は、第1入口および第2入口の両方と接続されている。
【0013】
ポンプの回転数を再び高めると、搬送量は、セカンダリシステム圧力回路を飽和させるために十分になることができる。以下で詳説するセカンダリシステム圧力回路のセカンダリシステム圧力弁は、セカンダリシステム圧力回路内の過剰量の油を、ラインを介してポンプ吸入側に戻すことで制御することができる。これによって、プライマリおよびセカンダリシステム圧力回路が飽和する。
【0014】
プライマリシステム圧力回路のシステム圧力弁のピストンロッドの第1ピストンは、プライマリシステム圧力弁のピストンロッドの第1端面の領域に配置することができる。第2ピストンは、システム圧力弁の軸方向に、第1ピストンに対して離間して、ピストンロッドに配置することができる。さらに、第2ピストンは、プライマリシステム圧力弁の径方向に、システム圧力弁の弁体によって構成されるガイド面の第1部分にまで延在することができる。
【0015】
一実施形態において、ピストンロッドは、リセット要素を用いて第1切換位置において予張されている。リセット要素は予張力を発生させることができる。リセット力によって、ピストンロッドは、その第1切換位置に留まる傾向がある。特に、油圧が第1限界値より低い限り、ピストンロッドは予張力によって第1切換位置に留まることができる。例えば、第1ピストンはカップ形状に構成することができる。カップ形状ピストンは、内部空間と、例えば円形面である内側面を構成することができる。内側面は、ピストンロッドの調整可能な方向に対して垂直に延在できる。リセット要素は、例えば、ばねを備えることができる。ばねは、例えばカップ形状ピストンの内部空間内に配置されてよく、ばね力の形態で内側面に作用するリセット力を発生させることができる。
【0016】
更なる実施形態において、システム圧力弁は、ピストンロッドが第2切換位置または第3切換位置に移動するように、ピストンロッドの端面を油圧で付勢するように構成されている。油圧有効端面は、システム圧力弁のピストンロッドの第2端面の領域に配置することができる。したがって、油圧有効端面およびリセット要素は、ピストンロッドの相互に対向する端面に存在することができる。油圧有効端面は、システム圧力弁の入口を介して、プライマリシステム圧力回路と接続することができる。したがって、プライマリシステム圧力回路内の実勢圧力は、調整力を発生させることができる。この調整力は、ピストンロッドの油圧有効端面に垂直に作用し、ばねの予張力およびパイロット圧力に対応するパイロット制御力に抗するように向けられている。したがって、ピストンロッドを、調整力を用いて第1切換位置から第2切換位置に移動させることができる。また、ピストンロッドがすでに第2切換位置にある場合、ピストンロッドを、調整力を用いてこの第2切換位置から第3切換位置に移動させることもできる。
【0017】
さらに、システム圧力弁は、ピストンロッドが第2切換位置または第3切換位置に移動するように、ピストンロッドのピストンの、内部の戻しガイド面を油圧で
付勢するように構成することができる。特に、ピストンは上述の第2ピストンとすることができる。油圧は、特に、プライマリシステム圧力弁の弁ポケット内の実勢圧力とすることができる。この圧力は、内部の戻しガイド面に作用することができる。したがって、このプライマリシステム圧力弁では、内部の戻しガイド面を介して圧力のフィードバックを実行することができる。これによって、プライマリシステム圧力弁を、特に短く構成することができる。なぜなら、弁カラーまたは弁ポケットを省略できるためである。「内部」という特徴は、特に、戻しガイド面が弁ハウジング内、特に弁ポケット内、すなわち内部に存在する、と理解することができる。
【0018】
この場合、ピストンロッドは第3ピストンを備えることができる。第3ピストンは、第2ピストンに対して離間して、さらにプライマリシステム圧力弁の第2端面の方向に配置することができる。第3ピストンの直径は、第2ピストンの直径より小さくして、適合するガイド面内で往復移動することができる。対応して、第3ピストンは、戻しガイド面よりも小さい油圧有効面を備えることができる。システム圧力弁の弁ポケット内の圧力は、第3ピストンの油圧有効面と第2ピストンの戻しガイド面の両方に作用することができる。第3ピストンの油圧有効面は、第2ピストンの戻しガイド面よりも小さい。そのため、弁ポケット内の圧力は、上述したリセット力、特にばねのばね力およびパイロット制御力に抗する調整力を発生させることができる。
【0019】
例えば、油圧有効端面または内部の戻しガイド面が油圧で付勢される、されないとは無関係に、ピストンロッドは、油圧の高さ応じて、第1切換位置または第2切換位置に移動することができる。
【0020】
この意味で、更なる実施形態の提案によれば、システム圧力弁は、ピストンロッドに油圧を負荷することによって、油圧が第1限界値を超えるとすぐに、弁ハウジング内のピストンロッドを第1切換位置から第2切換位置に調整するように構成されている。第1限界値は、プライマリシステム圧力回路内の目標圧力レベルとすることができる。第1限界値を超えていない限り、力の均衡が支配可能である。力の均衡によって、ピストンロッドは第1切換位置に保持される。換言すると、油圧有効面に作用する油圧は、ばね力およびパイロット制御力に抗してピストンロッドを軸方向に移動させるにはまだ十分でない。しかしながら、油圧が第1限界値を超えるとすぐに、特にプライマリシステム圧力回路内の目標圧力レベルが達成されると、油圧は調整力を発生させる。この調整力は、ピストンロッドの油圧有効端面に垂直に作用し、ばねの予張力およびパイロット圧力に対応するパイロット制御力に抗するように向けられている。一方のばね力およびパイロット制御力と、他方の調整力との間は、もはや均衡しなくなる。そのため、力の均衡を再び確立するために、ピストンロッドは、第1端面に向かって軸方向に第1切換位置に調整される。
【0021】
さらに、システム圧力弁は、ピストンロッドに油圧を負荷することによって、油圧が第2限界値を超えるとすぐに、弁ハウジング内のピストンロッドを、第2切換位置から第3切換位置に調整するように構成することができる。第2限界値は第1限界値よりも高い。
【0022】
更なる実施形態において、システム圧力弁は、第1弁ポケットと、第2弁ポケットと、第3弁ポケットと、を備える。前述の3つの弁ポケットは、特に、システム圧力弁の弁ハウジングによって構成することできる。本願明細書に記載の弁ポケットは、弁ハウジング内のキャビティとすることができる。キャビティは、弁ハウジングの軸方向の弁孔の領域において、ピストンロッドによって充填することができる。特に、本願明細書に記載された弁ポケットは、それぞれ、プライマリシステム圧力弁の径方向において、ピストンロッド用の軸方向に延在する内側のガイド面よりも、または弁ハウジングの軸方向の弁孔よりも、より外側に延在することができる。この場合、弁ポケットは、特にトーラス形状の圧力チャンバを構成することができる。この圧力チャンバは、システム圧力弁の径方向で軸方向の弁孔を超えて突出する。特に、ピストンロッドのピストンが、圧力チャンバを、径方向で更に内側に位置する弁ハウジングの内部空間に対して閉鎖する場合、この圧力チャンバを油で充填することができる。この場合、ガイド面または軸方向の弁孔は、ピストンロッドの関連する直径に対応することができる、またはピストンロッドよりもわずかに大きな直径を備えることができる。そのため、ピストンロッドは、ガイド面内または弁孔内で、プライマリシステム圧力弁の軸方向Lに、可及的に少ない摩擦と摩耗で往復摺動することができる。さらに、弁ポケットは、システム圧力弁の1つまたは複数のポートと接続することができる。1つまたは複数の弁ポケットを、ピストンロッドを用いて相互に分離または接続することができる。
【0023】
第1弁ポケットは、第1入口および第1出口と接続されている。第2弁ポケットは、第2入口および第2出口と接続されている。そして第3弁ポケットは、第3出口と接続されている。ピストンロッドは、第1切換位置において、第1弁ポケットおよび第2弁ポケットを、第3弁ポケットから分離する。ピストンロッドは、第2切換位置において、第2弁ポケットと第3弁ポケットとの間の接続を開放する。ピストンロッドは、第3切換位置において、第1弁ポケットと第3弁ポケットとの間の接続と、第2弁ポケットと第3弁ポケットとの間の接続と、を開放する。
【0024】
本発明の提案によれば、プライマリシステム圧力回路内の過剰量の油は、プライマリシステム圧力回路の「外側」のラインを介してセカンダリシステム圧力回路に導かれない。その代わり、プライマリシステム圧力回路の過剰量を、プライマリシステム圧力回路内の制御エッジの調整を介して、第3弁ポケット内で合流させることができる。これによって、弁の長さを短く構成して設置スペースを節約することができる。これによって、構造的な配置を簡素化できる。この意味で、更なる実施形態の提案によれば、第1ピストンロッドは、プライマリ制御エッジを有するピストンを備える。また第1ピストンロッドは、セカンダリ制御エッジを有する更なるピストンを備える。ピストンロッドは、第2弁ポケットと第3弁ポケットとの間の接続を、セカンダリ制御エッジを介して開放するように構成することができる。さらに、ピストンロッドは、第1弁ポケットと第3弁ポケットとの間の接続を、プライマリ制御エッジを介して開放するように構成することができる。この場合、ピストンロッドが第3切換位置に調整されると、セカンダリ制御エッジの断面に発生する開口に起因して、圧力損失が発生することができる。第2出口の下流に配置された保持弁または逆止弁を、結果として生じる圧力差に起因して閉じることができる。続いて、セカンダリポンプ内の圧力を下げることができる。
【0025】
本発明の第2態様によれば、自動車の変速機用の油圧システムが提供される。油圧システムは、プライマリポンプと、セカンダリポンプと、プライマリシステム圧力回路と、セカンダリシステム圧力回路と、上述した本発明の第1態様によるプライマリシステム圧力弁と、を備える。油圧システムにおいて、プライマリポンプは、プライマリシステム圧力弁の第1入口と接続されている。セカンダリポンプは、プライマリシステム圧力弁の第2入口と接続されている。プライマリシステム圧力回路は、プライマリシステム圧力弁の第1出口およびプライマリシステム圧力弁の第2出口と接続されている。セカンダリシステム圧力回路は、プライマリシステム圧力弁の第3出口と接続されている。
【0026】
一実施形態において、油圧システムはシステム圧力調整器を更に備える。システム圧力調整器は、リセット要素の予張力が補助されるように、プライマリシステム圧力弁に供給可能なパイロット圧力を出力するように構成することができる。この場合、プライマリシステム圧力弁のピストンロッドのカップ形状ピストンの内部空間は、プライマリシステム圧力弁の第4入口と接続することができる。この第4入口は、パイロット圧力を出力するシステム圧力調整器の出口と接続されていてよい。システム圧力調整器は、この目的のために、可変調整可能な電気圧力制御弁を備えることができる。システム圧力調整器の入口は、システム圧力調整器に油流を供給するプライマリシステム圧力回路と接続することができる。システム圧力調整器によって発生されるパイロット圧力は、例えば0バールと8バールとの間の値を想定しており、可変の電磁コイルを用いて可変に調整することができる。パイロット圧力はカップ形状ピストンの内側面に作用することができる。これによって、パイロット圧力は油圧効果を発揮する。プライマリシステム圧力回路内の目標圧力レベルは、ばね力とパイロット圧力と共に、システム圧力弁のバルブ比を介して、例えば3バールと20バールとの間で指定して調整することができる。
【0027】
油圧システムは、更なるシステム圧力弁(「セカンダリシステム圧力弁」)をさらに備えることができる。更なるシステム圧力弁は、セカンダリシステム圧力回路内のシステム圧力を指定して調整するように構成されている。さらに、更なるシステム圧力弁は、指定されたシステム圧力を超えた場合に、セカンダリシステム圧力回路をプライマリポンプおよびセカンダリポンプの吸入側と接続するように構成されている。
【0028】
本発明の第3態様によれば、自動車用の、変速機、特に自動変速機が提供される。変速機は、本発明の第2態様による油圧システムを備える。
【0029】
本発明の第4態様によれば、本発明の第3態様による変速機を備える自動車が提供される。
【0030】
以下では、本発明の実施形態が、概略図を参照して詳説される。図において、同一または類似の要素には同一の参照符号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明による油圧システムの一実施形態を含む自動変速機を備える、車両の図である。
図2図1による自動変速機で使用する油圧システムの一部の、第1作動状態の油圧回路図である。
図3図2による油圧システムのプライマリシステム圧力弁の拡大図である。
図4図2による油圧システムの、第2作動状態の図である
図5図2による油圧システムの、第3作動状態の図である。
図6図2による油圧システムの、第4作動状態の図である。
図7図2による油圧システムのセカンダリシステム圧力弁の拡大図である。
図8】代替的なプライマリシステム圧力弁を備える、図2による油圧システムの一部の図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、自動車1を示す。図示の例において、自動車1は乗用車である。自動車1は内燃機関2を備える。内燃機関2は、油圧システム4を備える自動変速機3を介して、自動車1を駆動する。
【0033】
図2は、図1による油圧システム4の回路図の一部を示す。油圧システム4は、図示の実施形態においてはデュアルポンプシステムであるポンプシステム5を備える。ポンプシステム5は、プライマリポンプ6と、セカンダリポンプ7と、を備える。これらは、例えば、自動車1(図1)の内燃機関2によって駆動することができる。
【0034】
プライマリポンプ6とセカンダリポンプ7は、2つの相互に分離されたポンプであってよい。しかしながら、ポンプシステム5は、プライマリポンプ6とセカンダリポンプ7とを単一のポンプに一体化した、例えば1つのダブルストロークベーンポンプであってもよい。ダブルストロークベーンポンプは、プライマリ排出量とセカンダリ排出量を有することができる。ダブルストロークベーンポンプのロータは、内燃機関2によって駆動することができる。ロータが回転している場合、ベーンポンプは、プライマリ出口を介してプライマリ排出量からプライマリ油流を搬出し、セカンダリ出口を介してセカンダリ排出量からセカンダリ油流を搬出することができる。プライマリポンプ6の出口は、プライマリシステム圧力弁9の第1入口8に接続することができる。セカンダリポンプ7の出口は、プライマリシステム圧力弁9の第2入口10に接続することができる。プライマリシステム圧力弁9は、プライマリシステム圧力回路16(高圧回路HD)内の実勢圧力を制限するように構成された圧力調整弁である。
【0035】
プライマリシステム圧力弁9は、ピストンロッド11を備える。ピストンロッド11は、プライマリシステム圧力弁9の弁体または弁ハウジング71内で軸方向に往復摺動可能に受容されている。さらに、ピストンロッド11は、図示の実施形態ではばね12である、戻り手段によって、図2に示す第1切換位置において軸方向に予張されている。明瞭さに配慮して、プライマリシステム圧力弁9のいくつかの参照符号は、図3の拡大図でのみ示されている。
【0036】
図2によって示されるプライマリシステム圧力弁9のピストンロッド11の第1切換位置において、プライマリポンプ6が例えば内燃機関2によって駆動される場合、プライマリポンプ6は、プライマリシステム圧力回路16にプライマリ油流を供給することができる。特に、プライマリポンプ6は、フィルタFiを介して、オイルサンプ13の形態である作動流体用リザーバから、油の形態の作動流体を吸入することができる。プライマリポンプ6は、吸入された油を、プライマリシステム圧力弁9の第1入口8を介して、第1弁ポケット14に搬送することができる。第1弁ポケット14は、プライマリシステム圧力弁9内に、プライマリシステム圧力弁9の弁ハウジング71によって構成される。プライマリシステム圧力弁9の第1出口72を介して、油を、プライマリポンプ6によって発生された圧力により、ラインおよび第1保持弁15を介して、プライマリシステム圧力回路16に搬送し、プライマリシステム圧力回路16内で意図した圧力に調整することができる。
【0037】
同様に、図2によって示されるプライマリシステム圧力弁9のピストンロッド11の第1切換位置において、セカンダリポンプ7が例えば内燃機関2によって駆動される場合、セカンダリポンプ7は、プライマリシステム圧力回路16にセカンダリ油流を供給することができる。特に、セカンダリポンプ7は、フィルタFiを介して、オイルサンプ13から油を吸入し、システム圧力弁9の第2入口10、弁ハウジング71によって構成されたプライマリシステム圧力弁9内の第2弁ポケット17、その第2出口73、および第2保持弁19を介して、同様にプライマリシステム圧力回路16に搬送することができる。
【0038】
セカンダリシステム圧力回路18(低圧回路ND)は、図2によって示される切換位置において、圧力が供給されない。なぜなら、プライマリポンプ6およびセカンダリポンプ7の圧力側出口が、セカンダリシステム圧力回路18と接続されていないためである。第2保持弁19は、プライマリポンプ6から第1弁ポケット14を介してプライマリシステム圧力回路16の方向に搬送された油が、第2弁ポケット17を介してセカンダリポンプ7の方向に到達可能になることを防止する。さらに、油圧システム4は、セカンダリシステム圧力弁37を備える。その構成および作動モードは、以下で詳説される。
【0039】
図2によって示される切換位置において、プライマリシステム圧力回路16はまだ飽和していない。プライマリシステム圧力回路16内の目標圧力レベルは、まだ達成されていない。目標圧力レベルは、システム圧力調整器20への通電を介して制御することができる。この場合、システム圧力調整器20の出口圧力、いわゆるパイロット圧力は、図示の実施形態では円形面21である、内側の油圧有効面に作用することができる。さらに、システム圧力調整器20の出口は、プライマリシステム圧力弁9の第4入口74と接続されている。第4入口74は、プライマリシステム圧力弁9の弁ハウジング71によって構成された第5弁ポケット75に開口している。第5弁ポケット75は、プライマリシステム圧力弁9の第1カップ形状ピストン22の内部空間76と接続されている。
【0040】
内側の油圧有効円形面21は、第1カップ形状ピストン22によって、その内部空間76において構成されている。ばね12のばね力という形態での予張力も、内側の油圧有効円形面21に作用する。内側の油圧有効面21は、ピストンロッドの可能な調整方向Lに対して垂直である。調整方向Lは、プライマリシステム圧力弁9の軸方向Lと一致することができる。
【0041】
パイロット圧力は、例えば、0バールと8バールとの間とすることができる。プライマリシステム圧力弁9はバルブ比を有する。このバルブ比によって、例えば3バールと20バールとの間に、プライマリシステム圧力回路16内の目標圧力レベルを指定して調整することができる。例えば、8バールのパイロット圧力は、プライマリシステム圧力弁9のバルブ比に起因して、プライマリシステム圧力回路16内の20バールの最大圧力にすることができる。さらに、例えば、0バールのパイロット圧力を、プライマリシステム圧力弁9のバルブ比に起因して、プライマリシステム圧力回路16内の3バールの最低圧力にすることができる。
【0042】
この場合、カップ形状ピストン22は、プライマリシステム圧力弁9のピストンロッド11の第1端面側S1(図2および図3の下部に示す)に配置されている。システム圧力調整器20は、プライマリシステム圧力回路から供給される可変調整可能な電気圧力制御弁23を備える。圧力制御弁23の入口は、プライマリシステム圧力回路16と接続されている。プライマリシステム圧力回路16は、圧力制御弁23に油体積流を供給する。したがって、圧力制御弁23の入口圧力を、プライマリシステム圧力回路16内の実勢圧力に対応させることができる。
【0043】
システム圧力調整器20の出口圧力pは、可変の電磁コイル24を用いて可変に調整することができる。電磁コイル24を、磁力が発生されるように通電することができる。この磁力を用いて、例えば、圧力制御弁23のボールシートまたはスライド弁を作動させ、それによって、特定の出口圧力pまたはパイロット圧力を設定することができる。例えば、可変の電磁コイル24に電流が供給されていない場合、出口圧力pを最大(例えば、8バール)にすることができる。例えば、可変の電磁コイル24に最大の意図した電流が供給される場合、出口圧力pを最小(例えば0バール)にすることができる。このようにして、出口圧力pを可変に調整することができる。したがって、ばね12の予張力の方向に作用する制御圧力も、可変に調整することができる。
【0044】
出口圧力pは、対応して通電することによって、比較的高く設定することができる。これによって、ばね12の予張力の方向に作用する制御圧力が発生する。この制御圧力は、ばね12の予張力を増大させる。したがって、ピストンロッド11は、図2および図3で示される第1切換位置に留まる傾向にある。この第1切換位置において、第1弁ポケット14は、セカンダリシステム圧力回路18と接続された第3弁ポケット25と接続されていない。また、第2弁ポケット17は、第3弁ポケット25と接続されていない。
【0045】
第1弁ポケット14、第2弁ポケット17、および第3弁ポケット25は、それぞれ、プライマリシステム圧力弁9の径方向rにおいて、ピストンロッド11用の内側のガイド面26よりも、より外側に延在することができる。ガイド面26は、ピストンロッド11よりもわずかに大きな直径を備えることができる。そのため、ピストンロッド11は、ガイド面26内で、プライマリシステム圧力弁9の軸方向Lに、可及的に少ない摩擦と摩耗で往復摺動することができる。この場合、ガイド面26の第1部分27は、第1弁ポケット14から第3弁ポケット25にまで延在する。また、ガイド面の第2部分28は、第2弁ポケット17から第3弁ポケット25にまで延在する。
【0046】
図2および図3によって示される、プライマリシステム圧力弁9のピストンロッド11の第1切換位置において、カップ形状ピストン22の径方向外側面29は、ガイド面26の第2部分28に当接する。この場合、カップ形状ピストン22の径方向外側面29は、カップ形状ピストン22のセカンダリ制御エッジ35を介して、第2弁ポケット17と第3弁ポケット25との間の可能な接続を遮断する。さらに、図2および図3によって示されるピストンロッド11の第1切換位置において、ピストンロッド11の第2ピストン31の径方向外側面30は、ガイド面26の第1部分27に当接する。この場合、第2ピストン31の径方向外側面30は、第2ピストン31のプライマリ制御エッジ36を介して、第1弁ポケット14と第3弁ポケット25との間の可能な接続を遮断する。この場合、第2ピストン31は、プライマリシステム圧力弁9の軸方向Lに、ピストンロッド11のカップ形状ピストン22に対して離間して配置され、プライマリシステム圧力弁9の径方向rにガイド面26の第1部分27にまで延在する。
【0047】
図2によって示される実施形態において、システム圧力弁11は、プライマリシステム圧力弁11のピストンロッド9の第2端面S2(図2および図3の上部に示す)の領域に、弁ハウジング71によって構成された第4弁ポケット32を備える。図2によって示されるピストンロッド11の第1切換位置において、ピストンロッド11の油圧有効端面33(例えば円形面)は、第4弁ポケット32内に存在する。第4弁ポケット32は、第1弁ポケット14を介してプライマリポンプ6と接続され、また第2弁ポケット17を介してセカンダリポンプ7と接続され、図示の実施形態においては、第3入口64を介し、また第1スロットル34を介している。したがって、プライマリポンプ6およびセカンダリポンプ7によって発生された油圧は、調整力を発生させることができる。この調整力は、ピストンロッド11の油圧有効端面33に垂直に作用し、ばね12の予張力およびパイロット圧力に対応するパイロット制御力に抗するように向けられている。上述の油圧は、特に第1保持弁15が開いている場合に、プライマリシステム圧力回路16内の実勢圧力に対応させることができる。
【0048】
プライマリシステム圧力回路16内の目標圧力レベルがまだ達成されていない図2によって示される状態において、ピストンロッド11を第1切換位置に保持する力の均衡が支配する。換言すると、油圧有効端面33に作用する調整力は、ピストンロッド11を、ばね力に抗して、またパイロット制御力に抗して軸方向Lに移動させるにはまだ十分ではない。
【0049】
図4によって示される油圧システム4の作動状態において、システム圧力調整器20によって指定された目標圧力レベル、例えプライマリシステム圧力回路16内で10バールが達成されるまで、プライマリポンプ6の回転数およびセカンダリポンプ7の回転数が高められる。上述したように、例えば10バールのこの圧力は、ピストンロッド11の油圧有効端面33に垂直に作用し、ばね12の予張力およびパイロット圧力に対応するパイロット力に抗するように向けられた調整力を発生させる。プライマリシステム圧力回路16内の目標圧力レベルが達成されるとすぐに、一方のばね力およびパイロット制御力と、他方の調整力との間は、もはや均衡しなくなる。そのため、ピストンロッド11は、第1端面S1に向かって軸方向に図4によって示される切換位置に移動される。
【0050】
図4によるこの切換位置において、一方のばね力およびパイロット制御力と、他方の調整力との間では、力の均衡がまだ再度とれていない。図4によって示される切換位置において、カップ形状ピストン22の径方向外側面29は、ガイド面26の第2部分28にさらに当接する。この場合、カップ形状ピストン22の径方向外側面29は、セカンダリ制御エッジ35を介して、第2弁ポケット17と第3弁ポケット25との間の可能な接続をさらに遮断する。さらに、図4によって示されるピストンロッド11の切換位置において、ピストンロッド11の第2ピストン31の径方向外側面30は、ガイド面26の第1部分27に当接する。この場合、第2ピストン31の径方向外側面30は、プライマリ制御エッジ36を介して、第1弁ポケット14と第3弁ポケット25との間の可能な接続を依然として遮断する。
【0051】
図5によって示される油圧システム4の作動状態において、プライマリシステム圧力回路16内で達成された目標圧力は、調整力をさらに発生させる。調整力は、ピストンロッド11の油圧有効端面33に垂直に作用し、ばね12の予張力およびパイロット圧力に対応するパイロット制御力に抗するように向けられている。さらに、調整力が十分に高いため、ピストンロッド11は、第1端面S1に向かって軸方向に図5によって示される第2切換位置に移動される。
【0052】
図5によるピストンロッド11の第2切換位置において、カップ形状ピストン22の径方向外側面29は、ガイド面26の第2部分28にもはや当接しない。したがって、カップ形状ピストン22は、セカンダリ制御エッジ35を介して、第2弁ポケット17と第3弁ポケット25との間の接続を開放する(セカンダリ制御エッジ35の調整)。プライマリシステム圧力回路16内の目標圧力レベルを維持するために必要とされない、セカンダリポンプ7によって発生されたセカンダリ油流の余剰部分は、今度は、第2弁ポケット17、第3弁ポケット25、および第3弁ポケット25と接続されたプライマリシステム圧力弁9の第3出口65を介して、セカンダリシステム圧力回路18に導くことができる。このようにして、セカンダリシステム圧力回路18ないに圧量を構築することができる。
【0053】
しかしながら、セカンダリポンプ7は、第2弁ポケット17を介して、プライマリシステム圧力回路16にさらに供給する。その目標圧力レベルは、プライマリポンプ6とセカンダリポンプ7によって保持されている。図5によって示されるピストンロッド11の第2切換位置において、ピストンロッド11の第2ピストン31の径方向外側面30は、ガイド面26の第1部分27に依然として当接する。この場合、第2ピストン31の径方向外側面30は、プライマリ制御エッジ36を介して、第1弁ポケット14と第3弁ポケット25との間の可能な接続を依然として遮断する。したがって、プライマリポンプ6は、そのプライマリ油流を、プライマリシステム圧力回路16にのみ、さらに供給する。
【0054】
セカンダリシステム圧力弁37は、セカンダリシステム圧力回路18内の実勢圧力を調整して制限するように構成された圧力制御弁である。セカンダリシステム圧力弁37は、セカンダリピストンロッド41を備える。セカンダリピストンロッド41は、図2乃至図5によって示される油圧システム4の作動状態において、第2ばね38によって予張された初期位置に存在する。セカンダリシステム圧力回路18内の油量が、意図した低圧レベルを達成するにはまだ十分ではないためである。明瞭さに配慮して、セカンダリシステム圧力弁37のいくつかの参照符号は、図7の拡大図でのみ示されている。
【0055】
図2による初期位置において、セカンダリピストンロッド41のピストン42は、セカンダリシステム圧力回路18と、ポンプ吸入側40につながるライン39との間の可能な接続を遮断する。詳細には、セカンダリシステム圧力弁37は、セカンダリピストンロッド41をセカンダリシステム圧力弁37の軸方向Lに導くセカンダリガイド面44を構成するセカンダリ弁体43を備える。さらに、セカンダリ弁体43は、第1弁ポケット45および第2弁ポケット46を構成する。
【0056】
第1弁ポケット45および第2弁ポケット46は、それぞれ、セカンダリシステム圧力弁37の径方向rにおいて、セカンダリピストンロッド41用のセカンダリガイド面44よりも、より外側に延在することができる。セカンダリガイド面44は、ピストンを備えるセカンダリピストンロッド41よりもわずかに大きな直径を備えることができる。そのため、セカンダリピストンロッド41は、セカンダリガイド面44内で、セカンダリシステム圧力弁41の軸方向Lに、可及的に少ない摩擦と摩耗で往復摺動することができる。この場合、セカンダリガイド面44の部分47は、第1弁ポケット45から第2弁ポケット46にまで延在する。
【0057】
図2乃至図5によって示されるセカンダリピストンロッド41の初期位置において、セカンダリピストンロッド41のピストン42は、ピストン42によって構成される制御エッジ48を介して、第1弁ポケット45と第2弁ポケット46との間の可能な接続を遮断する。これに対して、図6図7の拡大図も参照)によって示されるセカンダリピストンロッド41の開位置では、セカンダリピストンロッド41のピストン42は、制御エッジ48を介して、第1弁ポケット45と第2弁ポケット46との接続を開放する。
【0058】
セカンダリピストンロッド41は、セカンダリシステム圧力弁37の第1端面49上に、カップ形状ピストン50を構成する。ばね38は、カップ形状ピストン50の内側の油圧有効円形面51に作用するばね力を発生させる。この場合、ばね力は、軸方向Lに作用し、セカンダリシステム圧力弁37の第2端面52の方向に向けられている。セカ
ンダリシステム圧力弁37の第1入口53は、第2スロットル54を介して、プライマリシステム圧力回路16と接続されている。第1入口53は、セカンダリ弁体43によって構成された第3弁ポケット55に開口する。第3弁ポケット55は、カップ状形状ピストン50の内部空間56と接続されている。したがって、プライマリシステム圧力回路16からの油は、第2スロットル53、第1入口53、および第3弁ポケット55を介して、カップ形状ピストン50の内部空間56に到達できる。油は、第3弁ポケット55およびカップ状ピストン50の内部空間56を満たし、内部空間56内に油圧を構築することができる。この油圧は、特に、カップ形状ピストン50の内側の油圧有効円形面51に作用することができる。この油圧に対応するセカンダリパイロット制御力が同方向に作用することによって、ばね38によって発生されるばね力が増大される。
【0059】
セカンダリシステム圧力弁37の第2入口57は、一方の側でセカンダリシステム圧力回路18と接続されている。他方の側では、第2入口57が第1弁ポケット45と接続されている。セカンダリシステム圧力弁37の第3入口58は、一方の側で、第3スロットル59を介してセカンダリシステム圧力回路18と接続されている。他方の側では、第3入口58が第4弁ポケット60と接続されている。
【0060】
セカンダリピストンロッド41は、セカンダリシステム圧力弁37の第2端面52の領域に、油圧有効端面61を構成する。セカンダリシステム圧力回路18からの油は、第3スロットル59および第3入口58を介して、第4弁ポケット60に到達できる。油は、第4弁ポケット60を満たし、第4弁ポケット60内に圧力を構築することができる。この圧力は、セカンダリピストンロッド41の油圧有効端面61に作用することができる。これによって、調整力が発生される。調整力は、ばね38のばね力と、プライマリシステム圧力回路16の絞り込み圧力によって発生されるセカンダリパイロット制御力と、の合力に抗するように作用する。
【0061】
図2乃至図5が示す油圧システム4の作動状態において、一方のばね38のばね力およびセカンダリパイロット制御力と、他方の第4弁ポケット60内の油圧に起因して発生された調整力との間で、力の均衡がとれている。ばね38のばね力およびパイロット制御力が調整力よりも大きい限り、この力の均衡が存在する。これは、セカンダリシステム圧力回路18内の圧力が(ばね力およびパイロット制御力によって指定される)指定の目標圧力レベルを達成するまでの場合である。
【0062】
セカンダリシステム圧力弁37の出口62は、一方の側で第2弁ポケット46と接続されている。他方の側では、出口62が、ポンプ吸入側40につながるライン39と接続されている。すなわち、ライン39は、ポンプシステム5の入口59につながっている。この入口59を介して、プライマリポンプ6およびセカンダリポンプ7の両方に、追加で油を供給することができる。図2乃至図5によって示される油圧システム4の作動状態において、セカンダリシステム圧力弁37のセカンダリピストンロッド41は初期位置にある。セカンダリピストンロッド41の初期位置では、セカンダリピストンロッド41のピストン42が、制御エッジ48を介して、第1弁ポケット45と第2弁ポケット46との間の可能な接続を遮断する。したがって、第2入口57と出口62との間にも、接続が存在しない。その結果、セカンダリシステム圧力回路18からの油が、第2入口57、第1弁ポケット45、第2弁ポケット46、および出口62を介してライン39に流入し、ポンプシステム5の入口59に供給されることはない。
【0063】
図5による油圧システム4の作動状態から、プライマリポンプ6の搬送量またはプライマリ油流が十分となり、それによってプライマリポンプ6だけでプライマリシステム圧力回路16を飽和させることができるまで、すなわちプライマリシステム圧力回路16内の目標圧力レベルのみを維持できるまで(プライマリ飽和状態)、ポンプシステム5の回転数がさらに高められる。このプライマリ飽和状態が達成されると、プライマリシステム圧力回路16を飽和させるために、セカンダリポンプ7の搬送量またはセカンダリ油流は、もはや必要でない。プライマリ飽和状態において、ピストンロッド11は調整力によって、ピストンロッド11が図6による第3切換位置になるまで、プライマリシステム圧力弁9の第1端面S1に向かって調整される。
【0064】
図6によって示される油圧システム4の第4作動状態において、プライマリポンプ6およびセカンダリポンプ7の回転数は(図5による油圧システム4の作動状態に比べて)さらに高められた。これによって、プライマリポンプ6およびセカンダリポンプ7の搬送量が高められている。同様に、プライマリシステム圧力回路16内の実勢圧力と、プライマリシステム圧力弁9のピストンロッド11の油圧有効端面33に作用する調整力とが高められている。したがって、ピストンロッド11は、プライマリシステム圧力弁9の第1端面S1の方向にさらに移動した。これによって、第2弁ポケット17と第3弁ポケット25との間の接続は、セカンダリ制御エッジ35を介して拡大されている。
【0065】
図6によって示されるピストンロッド11の第3切換位置において、ピストン31の径方向外側面30は、ガイド面の第1部分27にもはや当接しない。したがって、ピストン31は、プライマリ制御エッジ36を介して、第1弁ポケット14と第3弁ポケット25との間の接続を開放する(プライマリ制御エッジ36の調整)。ピストンロッド11が第3切換位置に存在するとすぐに、プライマリシステム圧力弁9は、プライマリ制御エッジ36を介して調整し、もはやセカンダリ制御エッジ35を介して調整はしない。第2弁ポケット17と第3弁ポケット25との間の接続は、セカンダリ制御エッジ35を介してさらに存在する。そのために今度は、プライマリポンプ6の過剰な搬出量またはプライマリ油流と、セカンダリポンプ7の搬出量またはセカンダリ油流とが、第3弁ポケット25内で合流し、セカンダリシステム圧力回路18に導かれてその圧力が上昇する。
【0066】
換言すると、プライマリシステム圧力回路16内の目標圧力レベルを維持するために必要でない、プライマリポンプ6によって発生されたプライマリ油流の過剰の部分を、今度は、プライマリシステム圧力弁9の第1弁ポケット14、第3弁ポケット25、および第3出口65を介してセカンダリシステム圧力回路18に導くことができる。
【0067】
さらに、ピストンロッド11の第3切換位置において、セカンダリ制御エッジ35での断面が拡大するため、まず、セカンダリポンプ7によって運ばれるセカンダリ油流における圧力が低下する。この圧力損失により、第2保持弁19に力の不均衡が生じる。プライマリシステム圧力回路16の側では、プライマリシステム圧力回路16の目標圧力レベルが存在する。プライマリシステム圧力弁9の側では、上述の圧力損失に起因して圧力が低くなる。これによって、第2保持弁19が閉じられる。したがって、プライマリシステム圧力回路16とセカンダリシステム圧力回路18とは、相互に分離されている。セカンダリポンプ7は、今度はセカンダリシステム圧力回路18にのみ油を供給する。上述の圧力低下が発生した後にのみ、セカンダリポンプ7内の圧力が下げられる。
【0068】
図6によって示される油圧システム4の第4作動状態において、プライマリポンプ6およびセカンダリポンプ7の回転数は(図5による油圧システムの動作状態と比較して)さらに高められる。これによって、プライマリポンプ6およびセカンダリポンプ7の搬送量が増加する。同様に、セカンダリシステム圧力回路18内の実勢圧力と、セカンダリシステム圧力弁37のセカンダリピストンロッド41の油圧有効端面61に作用する調整力とが高まる。
【0069】
これは、セカンダリシステム圧力回路18が飽和するまで、すなわちセカンダリシステム圧力回路16内の目標圧力レベルが達成されるまで(セカンダリ飽和状態)続く。セカンダリ飽和状態が達成されると、セカンダリピストンロッド41が図6および図7によって示される開位置になるまで、セカンダリピストンロッド41は、現在優勢である力の不均衡に起因して、セカンダリシステム圧力弁9の第1端面49の方向に移動する。開位置において、第1弁ポケット45と第2弁ポケット46との間の接続は、制御エッジ48を介して開放される。セカンダリシステム圧力弁37は、調整に入る。今度は、過剰の油量(すなわち、セカンダリシステム圧力回路18を飽和させるのに必要でない油量)を、セカンダリシステム圧力回路18から、セカンダリシステム圧力弁37の第2入口57、第1弁ポケット45、第2弁ポケット46、および出口62を介してライン39に搬送し、そこからポンプ吸入側40に供給することができる。
【0070】
図8は、図2による油圧システム用のプライマリシステム圧力弁9の代替的な実施形態を示す。このプライマリシステム圧力弁9では、内部の戻しガイド面66を介して圧力のフィードバックが実行される。これによって、図8によるプライマリシステム圧力弁9を、図2によるプライマリシステム圧力弁9よりも短く構成できる。ピストンロッド11は、図2による実施形態および図8による実施形態において、第3ピストン67を備える。第3ピストン67は、第2ピストン31に対して離間して、さらにプライマリシステム圧力弁9の第2端面S2の方向に配置されている。第3ピストン67の直径は、図8による実施形態において、第2ピストン31の直径よりも小さい。
【0071】
図8による第3ピストン67は、ガイド面26における、第3ピストン67の縮径部に適合した第3部分68で、プライマリシステム圧力弁9の軸方向Lに往復移動することができる。第3ピストン67は、戻しガイド面66よりも小さい油圧有効面69を備える(図示の実施形態では、リング形状面)。
【0072】
プライマリポンプ6によって発生されたプライマリ油流は、第1入口8を介して、プライマリシステム圧力弁9の第1弁ポケット14に到達できる。第1弁ポケット14は、プライマリ油流を用いてあふれさせることができる。また、プライマリ油流を用いて、第1弁ポケット14内に圧力を構築することができる。油圧システム4が、図2乃至図6に関連して上述したいずれの作動状態にあるかによって、第1弁ポケット14内のこの圧力は異なる高さとなる。
【0073】
第1弁ポケット14内の圧力は、第3ピストン67の油圧有効面69と、第2ピストン31の戻しガイド面66の両方に作用する。第3ピストン67の油圧有効面69は、第2ピストン31の戻しガイド面66よりも小さい。そのため、第1弁ポケット14内の圧力は、上述したばねのばね力およびパイロット制御力に抗する調整力を発生させる。図8による実施形態では、図2による実施形態に含まれる第6弁ポケット70を省略できる。
【符号の説明】
【0074】
Fi オイルフィルタ
L プライマリシステム圧力弁の軸方向
r プライマリシステム圧力弁の径方向
S1 プライマリシステム圧力弁の第1端面
S2 プライマリシステム圧力弁の第2端面
1 自動車
2 内燃機関
3 自動変速機
4 油圧システム
5 ポンプシステム
6 プライマリポンプ
7 セカンダリポンプ
8 システム圧力弁の第1入口
9 プライマリシステム圧力弁
10 システム圧力弁の第2入口
11 システム圧力弁のピストンロッド
12 ばね
13 オイルサンプ
14 システム圧力弁の第1弁ポケット
15 第1保持弁
16 プライマリシステム圧力回路
17 システム圧力弁の第2弁ポケット
18 セカンダリシステム圧力回路
19 第2保持弁
20 システム圧力調整器
21 カップ形状ピストンの内側の油圧有効円形面
22 プライマリシステム圧力弁のカップ形状ピストン
23 可変調整可能な電気圧力制御弁
24 電磁コイル
25 システム圧力弁の第3弁ポケット
26 ピストンロッド用の内側のガイド面
27 ガイド面の第1部分
28 ガイド面の第2部分
29 カップ形状ピストンの径方向外側面
30 第2ピストンの径方向外側面
31 プライマリシステム圧力弁の第2ピストン
32 システム圧力弁の第4弁ポケット
33 ピストンロッドの油圧有効端面
34 第1スロットル
35 セカンダリ制御エッジ
36 プライマリ制御エッジ
37 セカンダリシステム圧力弁
38 第2ばね
39 ライン
40 ポンプ吸入側
41 セカンダリピストンロッド
42 セカンダリピストン
43 セカンダリ弁体
44 セカンダリピストンロッド用のセカンダリガイド面
45 第1弁ポケット
46 第2弁ポケット
47 セカンダリガイド面の部分
48 セカンダリ弁体の制御エッジ
49 セカンダリシステム圧力弁の第1端面
50 セカンダリシステム圧力弁のカップ形状ピストン
51 カップ形状ピストンの内側の油圧有効円形面
52 セカンダリシステム圧力弁の第2端面
53 セカンダリシステム圧力弁の第1入口
54 第2スロットル
55 第3弁ポケット
56 カップ形状ピストンの内部空間
57 セカンダリシステム圧力弁の第2入口
58 セカンダリシステム圧力弁の第3入口
59 第3スロットル
60 第4弁ポケット
61 セカンダリピストンロッドの油圧有効端面
62 セカンダリシステム圧力弁の出口
63 ポンプシステムの入口
64 プライマリシステム圧力弁の第3入口
65 プライマリシステム圧力弁の第3出口
66 プライマリシステム圧力弁の第2ピストンのリング形状面
67 第3ピストン
68 プライマリシステム圧力弁のガイド面の第3部分
69 第3ピストンの油圧有効面
70 プライマリシステム圧力弁の第6弁ポケット
71 弁ハウジング
72 プライマリシステム圧力弁の第1出口
73 プライマリシステム圧力弁の第2出口
74 プライマリシステム圧力弁の第4入口
75 プライマリシステム圧力弁の第5弁ポケット
76 プライマリシステム圧力弁のカップ形状ピストンの内部空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】