(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(54)【発明の名称】磁場強度を生成および制御するためのデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/63 20060101AFI20220107BHJP
【FI】
G01N21/63 Z
G01N21/63 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021525069
(86)(22)【出願日】2019-11-01
(85)【翻訳文提出日】2021-07-05
(86)【国際出願番号】 EP2019079992
(87)【国際公開番号】W WO2020089465
(87)【国際公開日】2020-05-07
(31)【優先権主張番号】102018127394.0
(32)【優先日】2018-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521194976
【氏名又は名称】クアンタム・テクノロジーズ・ウンターネーマーゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】QUANTUM TECHNOLOGIES UG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー,ヤン・ベレント
(72)【発明者】
【氏名】スタアク,ローベルト
(72)【発明者】
【氏名】ノイハウザー,フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】ヨーン,ロジャー
(72)【発明者】
【氏名】ベーア,マリオ
(72)【発明者】
【氏名】ブルヒャルト,ベルント
【テーマコード(参考)】
2G043
【Fターム(参考)】
2G043AA06
2G043EA06
2G043EA10
2G043JA03
(57)【要約】
本発明は、磁場強度を生成および制御するためのデバイス(50)ならびに磁場強度を生成および制御するための方法に関し、生成は非常に安定しており、正確である。好ましくは、物理変数の基準値は、比較的単純かつ経済的に生成することができる。また、磁束密度を高分解能、特に非常にロバストに測定することができる。本発明はまた、情報を送信するために、特に超広帯域通信のために使用することもできる。必要なデバイス(50)は、非常に小さく、特に小型で移動可能であり得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁場強度を生成および制御するためのデバイス(10;50;100;200;300;400;500;700;800)であって、
物理的励起時に発光および/または光電流を生成する第1の材料(24;611a)であって、場合によって前記発光または光電流は、少なくとも1つの磁束密度において磁場に対して極値を有する、第1の材料と、
前記物理的励起を生成するための手段(28;616,618)と、
磁場を生成するための手段(12,16,18,20,22;52,54;102,104,106,108;304,306;502;604,606,608)であって、前記第1の材料(24;611a)が生成される前記磁場に曝され、前記磁場強度が調整可能である、磁場を生成するための手段と、
場合によって検出される発光信号または光電流信号の強度を表す検出信号(36;82,84,86;636)を用いて、場合によって前記発光または光電流を測定するための手段(34;76,78,80;632)と、
前記磁場を生成するための手段(12,16,18,20,22;52,54;102,104,106,108;304,306;502;602,604,606,608)の制御のための制御信号(40;90;112;642)を出力し、前記検出信号(36;82,84,86;636)が極値を取るように、前記検出信号(36;82,84,86;636)の関数として前記磁場強度を制御するように適合されている制御手段(38;88;640)とを特徴とする、デバイス。
【請求項2】
前記制御信号(112)の関数として物理変数を生成するための手段(110;110,202;302,304;110;202,402)を特徴とし、前記物理変数(110;110,202;302,304;110;202,402)は、好ましくは、電流、電圧、磁場、電場、時間および周波数を含む群からの変数である、請求項1に記載のデバイス(100;200;300;400)。
【請求項3】
前記物理変数を生成するための手段(110;110,202;302,304;110;202,402)が、電流ミラー(110)、抵抗器(202)、コイル(304)、コンデンサ(402)、相互コンダクタンス増幅器、および演算増幅器の群から選択される少なくとも1つの要素を含むことを特徴とする、請求項2に記載のデバイス(100;200;300;400)。
【請求項4】
デバイス(600;800)は、
さらなる物理的励起時に発光および/または光電流を生成する少なくとも1つのさらなる材料(611b)であって、場合によって前記発光または光電流は、少なくとも1つの磁束密度において磁場に対して極値を有する、少なくとも1つのさらなる材料と、
前記さらなる物理的励起を生成するためのさらなる手段(618)と、
磁場を生成するためのさらなる手段(604,606,610)であって、前記さらなる材料(611b)が生成される前記磁場に曝され、前記磁場強度が調整可能であり、前記磁場を生成するためのさらなる手段(604,606,610)は、前記さらなる材料(611b)を前記第1の材料(611a)と同じまたは異なる磁場に曝すように適合されている、さらなる手段(604,606,610)と、
場合によって検出される前記さらなる発光信号または前記さらなる光電流信号の強度を表す、さらなる検出信号(638)によって、場合によって前記さらなる材料(611b)の前記発光または前記光電流を測定するためのさらなる手段(634)と
をさらに備えることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のデバイス(600;800)。
【請求項5】
場合によって前記第1の材料(24;611a)および/または前記さらなる材料(611b)は、少なくとも1つの空孔(26;612,614)を有する結晶構造を有し、場合によって前記第1の材料(24;611a)または前記さらなる材料(611b)は、好ましくはダイヤモンド、炭化ケイ素またはケイ素であり、前記空孔は、色中心、特に窒素空孔中心、または、ユーロピウム空孔中心、バナジウム空孔中心もしくはマンガン空孔中心を伴う窒素空孔中心であることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のデバイス(10;50;100;200;300;400;500;700;800)。
【請求項6】
場合によって前記物理的励起を生成するための手段(28;616,618)または前記さらなる物理的励起を生成するためのさらなる手段(618)が、電気的または電磁的励起、好ましくは光学範囲および/またはマイクロ波範囲の励起、特にレーザ励起またはLED励起、または電離放射線による励起を提供することを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のデバイス(10;50;100;200;300;400;500;700;800)。
【請求項7】
場合によって前記磁場を生成するための手段(12,16,18,20,22;52,54;102,104,106,108;304,306;502;604,606,608)または前記磁場を生成するためのさらなる手段(604,606,610)が、電流によって励起され得る少なくとも1つのコイル(22;94;108;606)を備え、好ましくは、特に空隙(20;52;106;608,610)を有するヨーク(14;54;104;604)の形態の磁気導体が存在し、前記第1の材料(24;611a)および/または前記さらなる材料(611b)は、前記空隙(20;52;106;608,610)内に配置されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のデバイス(10;50;100;200;300;400;500;700;800)。
【請求項8】
前記発光を測定するための手段(34;76,78,80;632)および/または前記発光を測定するためのさらなる手段(634)は、光検出器、および好ましくは物理的励起を減衰させるフィルタ(35;74)を含むことを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のデバイス(10;50;100;200;300;400;500;700;800)。
【請求項9】
前記光電流を測定するための手段および/または前記光電流を測定するためのさらなる手段は、場合によって前記第1の材料および前記さらなる材料上の2つの電気接点の間に電圧が印加され、前記光電流が直列に測定されるように形成されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記制御手段(38;88;640)が、連続線形コントローラとして、好ましくはPIまたはPIDコントローラとして形成されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のデバイス(10;50;100;200;300;400;500;700;800)。
【請求項11】
前記検出信号(36)および/または前記さらなる検出信号(638)をフィルタリングするための少なくとも1つのハイパスフィルタ(704;804)が存在することを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のデバイス(700;800)。
【請求項12】
前記制御信号(40,642)をフィルタリングするための少なくとも1つのローパスフィルタ(702;802)が存在することを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のデバイス(700;800)。
【請求項13】
前記ハイパスフィルタ(704;804)の前記下側カットオフ周波数の大きさが、場合によって前記ローパスフィルタ(702;802)または前記制御手段(38;640)の前記上側カットオフ周波数の大きさよりも大きいことを特徴とする、請求項11または12のいずれか1項に記載のデバイス(700;800)。
【請求項14】
前記磁場を生成するための手段(52,54,56,58,60)が、異なる磁気抵抗を有する少なくとも2つ、好ましくは3つの磁石領域(56,58,60)を有し、結果、場合によって前記第1の材料(24)または前記さらなる材料の少なくとも2つ、好ましくは3つの材料領域(62,64,66)が異なる磁場に曝され、各材料領域(62,64,66)は、場合によって前記検出される発光信号または光電流信号の強度を表すそれぞれの検出信号(82,84,86)を用いて、場合によって前記発光または前記光電流を測定するための独自の手段(76,78,80)を割り当てられ、前記制御手段(88)は、1つの材料領域(62,64,66)の前記検出信号(82,84,86)が極値をとるように、前記磁場を生成するための手段(54,94)の制御のための制御信号(90)を出力し、前記検出信号(82,84,86)の関数として前記磁場強度を制御するように適合されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のデバイス(50)。
【請求項15】
前記磁場を生成するための手段(602,604,606,608)および/または前記磁場を生成するためのさらなる手段が、外部磁場に対する磁気シールド(808)を備えることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のデバイス(800)。
【請求項16】
前記磁場を生成するための手段(108 502,504)が、外部磁場を前記材料(24)に供給するように適合されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のデバイス(500)。
【請求項17】
前記物理的励起を生成するための手段が、前記物理的励起の変調を行うように適合され、前記物理的励起の前記変調を前記検出信号と相関させるための手段が存在することを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のデバイス(700;800)。
【請求項18】
磁場強度を生成および制御するための方法であって、
物理的励起時に発光および/または光電流を生成する第1の材料(24;611a)であって、場合によって前記発光または光電流は、少なくとも1つの磁束密度において磁場に対して極値を有する、第1の材料と、
前記物理的励起を生成するための手段(28;616,618)と、
磁場を生成するための手段(12,16,18,20,22;52,54;102,104,106,108;304,306;502;604,606,608)であって、前記第1の材料(24;611a)が生成される前記磁場に曝され、前記磁場強度が調整可能である、磁場を生成するための手段と、
場合によって検出される発光信号または光電流信号の強度を表す検出信号(36;82,84,86;636)を用いて、場合によって前記発光または光電流を測定するための手段(34;76,78,80;632)と
を使用し、
前記検出信号(36;82,84,86;636)が極値を取るように、前記検出信号(36;82,84,86;636)の関数として前記磁場強度を制御するように、前記磁場を生成するための手段(12,16,18,20,22;52,54;102,104,106,108;304,306;502;602,604,606,608)の制御のための制御信号(40;90;112;642)が出力されることを特徴とする、方法。
【請求項19】
請求項1から17のいずれか1項に記載のデバイス(10;50;100;200;300;400;500;700;800)が使用されることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも1つの色中心(26)を有する有用な信号によって変調された電磁波を受信するための受信機(700;800)であって、前記色中心(26)は発光を有し、前記発光は前記色中心(26)の位置における磁束密度に依存し、前記受信機(700;800)は前記発光を介して前記有用な信号を復調するように適合され、および/または前記色中心(26)は変調された電磁波のアンテナである、受信機。
【請求項21】
変調された電磁信号、特に変調されたメッセージまたは測定信号を受信および/または復調するためのサブデバイス(700;800)としてのアンテナとしての色中心(26)の使用。
【請求項22】
生物学的変調された電磁信号、特に変調された神経信号を受信および/または復調するためのサブデバイス(700;800)としてのアンテナとしての色中心(26)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の緒言に係る磁場強度を生成および制御するためのデバイスならびに請求項18の緒言に係る磁場強度を生成および制御するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁場および関連する特定の磁場強度は、通常、コイル構成によって生成される。問題は、そうする際に、外部磁場を考慮に入れることができないことである。これらは、磁気シールドによってのみ除去することができる。
【0003】
同様に困難な目的は、物理変数の基準値を生成することである。このような基準値は、科学技術において非常に重要である。これは時間に関して直ちに明らかであるが、電流強度、電圧、磁場、電場などの他の物理変数の基本値としても基準値は非常に重要である。
【0004】
時間の基準値は秒であり、これは、セシウム同位体133Csの原子の2つの超微細レベルの基底状態の間の遷移に対応する放射の周期の9,192,631,770倍として定義される。1秒の持続時間を事前設定するための基準値伝達手段は、いわゆる「原子時計」によって知られている。
【0005】
長さについては、1メートルが1/299792458秒の間に光が真空中を移動する距離の長さに等しいという定義から、メートルの基準値を導出することができる。したがって、そのような基準値は、時間の基準値に由来する。
【0006】
電流強度は、1Aが、無視できるほど小さい円形断面の2つの平行で無限に長い直線状の導体間の真空中で導体長さ1メートル当たり2・10-7ニュートンの力を生成する時定数電流の強度であり、そのような導体間の距離は1mであるという事実によって定義される。このことから、経済的かつ実用的な電流強度の基準値を提供するための直接的な解決策を見出すことはできない。これは、例えば、電圧、磁場および電場にも当てはまる。
【0007】
最後に、磁束密度の測定はセンサ技術の基本的な機能であり、それによって目標は、対応するセンサの分解能およびロバスト性をさらに改善することになる。
【0008】
独国特許出願公開第10 2015 208 151号明細書および独国特許出願公開第10 2017 205 099号明細書から、窒素空孔中心に作用する磁場およびそのような磁場を引き起こす導体の電流を推定できるように、窒素空孔中心を有するダイヤモンド材料の蛍光強度を評価する方法が知られている。これにより、2つの異なる励起、具体的には窒素空孔中心の光学励起およびマイクロ波励起が使用され、これにより、対応するデバイスが高価で複雑になる。
【0009】
A.Wickenbrock他「Microwave-free magnetometry with nitrogen-vacancy centers in diamond」(Appl.Phys.Lett.109,053505(2016))から、マイクロ波を使用しない磁場の測定が知られている。しかしながら、磁束密度を精密に調整しなければならないという問題が存在する。
【0010】
本発明の枠組み内で、磁場は、磁場強度(磁力)と磁束密度との間で区別される。厳密に言えば、磁束密度Bは、関係B=μ0μrHに従って磁気励起Hに依存し、式中、μ0は真空透磁率であり、μrは比透磁率である。これにより、磁束密度が測定される一方で、電流が導体、特にコイルを流れるときに特定の磁場強度の磁場が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このように、本発明の目的は、磁場強度を生成および制御することができるデバイスおよび方法を提供することである。好ましくは、この目的は前述の欠点の1つまたは複数を排除することである。好ましくは、この目的は、物理変数の基準値を比較的単純かつ経済的に生成することを可能にすることである。特に、デバイスはまた、非常に小さく、移動可能な形態で使用されるべきである。さらに、デバイスを使用して、磁束密度を高分解能で、特に非常にロバストに測定することができることが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そのような目的は、請求項1に記載のデバイスおよび請求項18に記載の方法によって達成される。有利なさらなる発展が、従属請求項および図面を伴う以下の説明に示されている。
【0013】
本発明者の側では、磁場強度が、場合によって材料または光電流におけるそれに依存する、発光における共振極値に由来するという事実によって、この目的が驚くべき方法で達成され得ることが認識された。この依存性は非常によく知られており、また非常に安定しているため、対応する磁場強度を非常に確実かつ再現性よく制御することができる。より正確には、磁場強度は、場合によって発光または光電流中心の位置で共振極値をトリガする磁束密度Bに本質的に依存し、したがって有利には較正を必要としない自然定数のみに依存する。例えば、共振点は、磁束密度Bの関数として反転発光値の極を表す。磁束密度Bのパラメータに関連するこの点形状の共振点により、磁束Bの最小偏差は非常に高い信号感度をもたらし、結果、他の影響とは無関係に、磁場強度を非常に正確に生成することができる。文献から(例えばJ.Lepper「Der Zusammenhang von Elektronenemission und Lumineszenzerscheinungen angeregter Kristalle」(Z.Naturforschg.10a,47-52(1955)参照)において、発光と光電流との間に密接な関係があることが知られている。
【0014】
磁場強度を生成および制御するための本発明によるデバイスは、
- 物理的励起時に場合によって発光および/または光電流を生成する第1の材料であって、場合によって発光または光電流が、少なくとも1つの磁束密度における磁場に対して極値(共振の形態)を有する、第1の材料と、
- 物理的励起を生成するための手段と、
- 磁場を生成するための手段であって、第1の材料は生成される磁場に曝され、磁場強度は調整可能である、磁場を生成するための手段と、
- 場合によって検出される発光信号または光電流信号の強度を表す検出信号を用いて、場合によって発光または光電流を測定するための手段と、
- 検出信号が極値をとるように、磁場を生成するための手段を制御するための制御信号を出力し、検出信号の関数として磁場強度を制御するように適合された制御手段とを特徴とする。
【0015】
「物理的励起を生成するための手段」とは、物理的励起を生成することができる任意の手段を意味する。その際、物理的励起の大きさが実際に可変であることは問題ではない。場合によって発光または光電流において共振が生じるように物理的励起を生成することができれば十分である。好ましいさらなる発展では、励起の大きさ、例えばその周波数は、物理的励起を生成するための手段によって少なくとも特定の範囲にわたって離散的または連続的に調整することができる。
【0016】
極値を決定するために、磁束密度の関数としての検出信号の一次および/または二次導関数を検出するための手段が優先的に存在し得る。場合によって検出信号の最大値または最小値は、一次導関数の0点を介して決定することができるが、一次導関数の極値は、二次導関数の0点を介して制御することができる。第2の変形形態は、その点において制御を最も高い感度で行うことができるため、非常に有利である。したがって、「検出信号の極値」は、場合によって検出信号の最大値または最小値だけでなく、検出信号の一次導関数の最大値または最小値も意味する。したがって、「検出信号における極値」は、優先的に「検出信号または検出信号の一次導関数の極値」として読み取られる。
【0017】
有利なさらなる発展では、制御信号の関数として物理変数を生成するための手段が提供される。これにより、基準値を非常に正確かつ再現性よく生成することができる。それにより、基準値を指す「物理変数」と、材料中で場合によって発光または光電流を生成するために使用される特定の物理変数を指す「物理的励起」との間で厳密な区別がなされる。
【0018】
有利なさらなる発展では、物理変数が、電流、電圧、磁場(磁束密度Bまたは磁場強度H)、電場、時間および周波数からなる群からの変数であることが規定される。このような基準値は、特に頻繁に、異なる適用分野に必要とされる。
【0019】
有利なさらなる発展では、物理変数を生成するための手段が、電流ミラー、電源インピーダンス、コイル、コンデンサ、相互コンダクタンス増幅器および演算増幅器の群から選択される少なくとも1つの要素を含むことが規定される。次いで、電流、電圧、磁場、電場、時間および周波数の基準値を生成することができる。
【0020】
有利なさらなる発展では、さらに以下が提供される。
- さらなる物理的励起時に場合によって発光および/または光電流を生成するさらなる材料であって、場合によって発光または光電流が、少なくとも1つの磁束密度における磁場に対して極値(共振の形態)を有する、さらなる材料、
- さらなる物理的励起を生成するさらなる手段、
- 磁場を生成するためのさらなる手段であって、さらなる材料が生成される磁場に曝され、磁場強度が調整可能であり、磁場を生成するためのさらなる手段が、さらなる材料を第1の材料と同じまたは異なる磁場に曝すように適合されている、磁場を生成するためのさらなる手段、
- 場合によって検出されるさらなる発光信号またはさらなる光電流信号の強度を表すさらなる検出信号を用いて、場合によってさらなる材料の発光または光電流を測定するためのさらなる手段。その点において、磁場の勾配を非常に容易に決定することができる。このさらなる材料とさらなる手段との組み合わせの代わりに、それらの任意の組み合わせ、またはさらには、さらなる材料もしくはさらなる手段のいずれかのみが使用されてもよい。複数のさらなる材料および/または複数のさらなる手段も使用することができる。
【0021】
「物理的励起」は、「さらなる物理的励起」と同一であり得、結果、「物理的励起を生成するための手段」は「さらなる物理的励起を生成するさらなる手段」と同一であり得る。また、「磁場を生成するための手段」は、「磁場を生成するためのさらなる手段」と同一であり得る。
【0022】
有利なさらなる発展において、第1の材料および/またはさらなる材料は、少なくとも1つの空孔を有する結晶構造を有し、場合によって第1の材料またはさらなる材料は、好ましくはダイヤモンド、炭化ケイ素またはケイ素であり、空孔は、色中心、特に窒素空孔中心、または、ユーロピウム空孔中心、バナジウム空孔中心もしくはマンガン空孔中心を伴う窒素空孔中心であることが規定される。ダイヤモンドを使用する場合、ST1およびL2中心の使用も考えられる。好ましくは、これは蛍光材料である。このような材料は、その発光において非常によく知られた共振点を有する。この点において、A.Zaitsev「Optical Properties of Diamond」(2001,Springer,Berlin)を参照すべきであり、ダイヤモンドの多数の適切な色中心が示されている。ダイヤモンドの色中心に関するそのような刊行物の開示内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0023】
有利なさらなる発展では、場合によって物理的励起を生成するための手段または物理的励起を生成するためのさらなる手段が、電気的または電磁的励起、好ましくは光学範囲および/またはマイクロ波範囲の励起、特にレーザ励起またはLED励起、または電離放射線による励起を提供することが規定される。これにより、場合によって発光または光電流を励起することが非常に容易になり、上記手段を非常にコンパクトに保つことができる。マイクロ波励起を使用することにより、発光または光電流スペクトルの微細構造を分解することができ、生成される基準値の精度をさらに向上させる。
【0024】
電磁励起の代わりに電気励起(例えば、電気接点を用いた)が使用される場合、例えば、光励起のためのLEDを省略することができ、これにより、対応するセンサシステムがはるかにコンパクトになる。さらに、対応するセンサの空間分解能を大幅に高めることが可能である。より具体的には、励起は、電気接点によってはるかに小さい領域に制限することができ、光検出とは異なり、信号は材料全体から得られない。これまでは、ダイヤモンド中のNV中心がイオン化していたため、電気励起が失敗していた。しかしながら、これは、例えばダイヤモンド中のリンドーピングによってフェルミレベルを上昇させることによって防止することができる。
【0025】
有利なさらなる発展では、電気接点が第1の材料および/またはさらなる材料上で透明であることが規定される。例えば、インジウムスズ酸化物(「ITO」)、フッ素スズ酸化物、アルミニウム亜鉛酸化物、アンチモンスズ酸化物などのいわゆる「透明導電性酸化物(TCO)」を用いることができる。そのような接点は、光電流を読み取る枠組み内および電気励起のための両方で使用することができる。
【0026】
ダイヤモンド中の色中心の電気励起の例示的な方法は、例えば独国特許出願公開第43 22 830号明細書およびB.Burchard「Elektronische und optoelektronische Bauelemente und Bauelemente Grundstrukturen auf Diamantbasis」(Dissertation,Hagen,1994)から知られている。特に、発光の励起は、PIPまたはPINダイオードによって行うことができる。この点に関して、B.Tegetmeyer他「Charge state modulation of nitrogen vacancy centers in diamond by applying a forward voltage across a p-i-n junction」(Diamond and Related Materials,Volume 65,May 2016,pages 42-46)およびB.Tegetmeyer他「Electroluminescence from silicon vacancy centers in diamond p-i-n diodes」(Diamond and Related Materials Volume 65,May 2016,pages 42-46)も例示的に参照されたい。PNダイオードを介した励起も考えられる。ダイヤモンドおよびPIPダイオードの例示的な使用では、十分に高い電圧がPIPダイオードに印加されると、第1のドープ領域、例えばp+ドープ領域が、電荷担体(この場合は正孔)を真性領域に注入する。真性領域において、電荷担体は印加電圧の電場によって加速され、衝撃によって色中心を励起し、その結果、それらは輝き始める。例えばPINダイオードにおける電子および正孔の注入による励起がより効率的である。バンド間隙工学または他の材料の使用によって、直接遷移を作成することもできるが、色中心は常に材料に固有の様態で存在するため、他の色中心を使用する必要がある。上述したようなLEDを、AC信号源に対して容量的にのみ結合し、または変圧器によって結合し、またはそうでなければ直流的に絶縁されることが考えられる。これは、CMOS集積化に特に有利である。
【0027】
有利なさらなる発展では、場合によって磁場を生成するための手段または磁場を生成するためのさらなる手段が、電流によって励起され得る少なくとも1つのコイルを備え、好ましくは、特に空隙を有するヨークの形態の磁気導体が存在し、第1の材料および/またはさらなる材料は、空隙内に配置されることが規定される。これにより、場合によって第1の材料またはさらなる材料にわたって非常に容易かつ同時に非常に均一に磁場を生成することが可能になる。ヘルムホルツコイル構成も使用することができ、場合によっては、集中を達成するために1つまたは複数のヨーク要素と組み合わせることができ、ここでも空隙を使用することができる。
【0028】
有利なさらなる発展では、発光を測定するための手段および/または発光を測定するためのさらなる手段は、光検出器、および好ましくは物理的励起を減衰させるフィルタを含む。これにより、発光を測定することが非常に容易になり、小型化が容易に可能になる。
【0029】
有利なさらなる発展では、光電流を測定するための手段および/または光電流を測定するためのさらなる手段が、場合によって第1の材料およびさらなる材料上の2つの電気接点間に電圧が印加され、光電流が直列に測定されるように形成されることが規定され、測定は、例えば、ロックイン増幅器を用いて、または単に既知の抵抗器にわたる電圧降下を介して行われる。光電流測定は、フォトダイオードおよび/またはCCD素子および/またはアバランシェフォトダイオードおよび/またはSPAD(単一光子アバランシェフォトダイオード)を使用して実行することもできる。光電流を測定するための別の単純なデバイスは、独国特許第10 2010 060 527号明細書から知られている。このような技術を使用する場合、コントローラはクロックされなければならない。次いで、それらは、好ましくは、スイッチドキャパシタ技術において全体的または部分的に実装される。その点において、光電流の測定は特に容易に行うことができる。特に、対応するデバイスを、特にコンパクトに設定することができる。
【0030】
有利なさらなる発展では、制御手段が、連続線形コントローラとして、好ましくはPIまたはPIDコントローラとして形成されることが規定される。これにより、共振の極値に対する特に精密な制御が可能になり、基準値の正確度および安定性がさらに向上する。
【0031】
有利なさらなる発展では、検出信号および/またはさらなる検出信号をフィルタリングするための少なくとも1つのハイパスフィルタが存在することが規定される。その点において、磁場に課される高周波有用信号を決定することができ、それによって広帯域情報伝送が可能になる。さらに、背景磁場も非常に精密に分析することができる。
【0032】
有利なさらなる発展では、制御信号をフィルタリングするための少なくとも1つのローパスフィルタが存在することが規定される。このローパスフィルタは、別個に存在することができる。しかしながら、制御手段が、そのようなローパスフィルタ機能を提供することもできる。これにより、高周波成分が制御に流入して検出信号に存在しなくなること、または、変形した形態でのみ存在することが防止される。
【0033】
有利なさらなる発展では、ハイパスフィルタの下側カットオフ周波数の大きさが、場合によってローパスフィルタまたは制御手段の上側カットオフ周波数の大きさよりも大きいことが規定される。その点において、場合によって広帯域情報伝送または背景磁場の分析が非常に正確に可能であり、特に、材料に作用する磁束密度Bの動作点の制御における外乱が防止される。このとき、デバイスは、磁束密度の信号を評価することによって、自然または人工的に変調された電磁放射線による有用な信号の典型的には非常に広帯域の受信に使用することができる。自然に変調された放射線は、例えば、生物における神経信号の輸送中に生成される電磁場であり得る。本明細書で提案される発明は、そのような生物学的に変調された信号を検出するように適切に設計されている場合、医療技術における特定の用途を見出すことができる。したがって、デバイスおよび方法は、脳波記録に特に適している。
【0034】
有利なさらなる発展では、磁場を生成するための手段が、異なる磁気抵抗を有する少なくとも2つ、好ましくは3つの磁性領域を有することが規定され、結果、場合によって第1の材料またはさらなる材料の少なくとも2つ、好ましくは3つの材料領域が異なる磁場に曝され、各材料領域は、場合によって検出される発光信号または光電流信号の強度を表すそれぞれの検出信号を用いて、場合によって発光または光電流を測定するための独自の手段を割り当てられ、制御手段は、材料領域の検出信号が極値をとるように、磁場を生成するための手段の制御のための制御信号を出力し、または、検出信号の関数として磁場強度を制御するように適合される。これは、制御手段が共振点を「使い果たす」ことを効果的に防止する。好ましくは、異なる磁気抵抗は、結果として生じる磁束密度Bの偏差が、共振点においてガウス関数として近似される信号曲線における統計値シグマよりも大きくならないように調整される。特に、磁気抵抗は、結果として生じる磁束密度が0.5~3mT、好ましくは1~2mTの範囲内で異なるように適合されるべきである。この点において、特に安定した制御が達成される。
【0035】
有利なさらなる発展では、磁場を生成するための手段および/または磁場を生成するためのさらなる手段が、外部磁場に対する磁気シールドを有することが規定される。その点において、生成される磁場強度は外部磁場とは無関係である。
【0036】
有利なさらなる発展では、磁場を生成するための手段が、外部磁場を材料に供給するように適合されることが規定される。その点において、そのような外部磁場を特に容易に分析することができる。
【0037】
有利なさらなる発展では、物理的励起を生成するための手段が、物理的励起の変調を行うように適合され、物理的励起の変調を検出信号と相関させるための手段が存在することが規定される。したがって、磁場強度が非常に精密で安定して生成される。
【0038】
磁場強度を生成および制御するための本発明による方法の独立した保護が請求され、方法は、
- 物理的励起時に場合によって発光および/または光電流を生成する第1の材料であって、場合によって発光または光電流が、少なくとも1つの磁束密度における磁場に対して極値(共振の形態)を有する、第1の材料、
- 物理的励起を生成するための手段、
- 磁場を生成するための手段であって、第1の材料は生成される磁場に曝され、磁場強度は調整可能である、磁場を生成するための手段、および
- 場合によって検出される発光信号または光電流信号の強度を表す検出信号を用いて、場合によって発光または光電流を測定するための手段を使用することを特徴とし、
検出信号が極値をとるように、検出信号の関数として磁場強度を制御するために、磁場を生成するための手段を制御するための制御信号が出力される。
【0039】
少なくとも1つの色中心を有する有用な信号によって変調された電磁波を受信するための本発明による受信機の独立した保護が請求され、色中心は発光を有し、発光は色中心の位置における磁束密度に依存し、受信機はそのような発光を介して有用な信号を復調するように適合され、および/または色中心は変調された電磁波のアンテナである。これにより、特に暗号化通信のための広帯域受信機を提供することが可能になる。
【0040】
さらに、変調された電磁信号、特に変調されたメッセージまたは測定信号を受信および/または復調するためのサブデバイスとしてのアンテナとしての色中心の使用の独立した保護が請求される。
【0041】
最後に、生物学的に変調された電磁信号、特に変調された神経信号を受信および/または復調するためのサブデバイスとしてのアンテナとしての色中心の使用の独立した保護が請求される。
【0042】
有利なさらなる発展では、本発明によるデバイスが使用されることが規定される。
本発明の特徴およびさらなる利点が、図面に関連して、好ましい例示的な実施形態の説明から下記において明らかになる。したがって、以下が純粋に概略的に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1a】ダイヤモンド中のNV中心のフォトルミネッセンスの磁束密度の大きさに対する依存性を示す図である。
【
図1b】ダイヤモンド中のNV中心のフォトルミネッセンスの一次導関数の磁束密度の大きさに対する依存性を示す図である。
【
図2】本発明の基礎となる基本原理を示す図である。
【
図3】
図3による基本原理の代替の実施形態を示す図である。
【
図4】第1の好ましい実施形態による本発明によるデバイスを示す図である。
【
図5】第2の好ましい実施形態による本発明によるデバイスを示す図である。
【
図6】第3の好ましい実施形態による本発明によるデバイスを示す図である。
【
図7】第4の好ましい実施形態による本発明によるデバイスを示す図である。
【
図8】第5の好ましい実施形態による本発明によるデバイスを示す図である。
【
図9】第6の好ましい実施形態による本発明によるデバイスを示す図である。
【
図10】
図9による第6の好ましい実施形態の平面実装を示す図である。
【
図11】第7の好ましい実施形態による本発明によるデバイスを示す図である。
【
図12】第8の好ましい実施形態による本発明によるデバイスを示す図である。
【
図13】本発明によるデバイスのうちの1つの中で使用するためのPIコントローラを示す図である。
【
図14】
図3による本発明のデバイス内で使用するためのコントローラを示す図である。
【
図15】
図4、
図5または
図7による本発明のデバイスのうちの1つの中で使用するための電流ミラー構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下では、同一の要素には同一の参照符号を使用する。
色中心は、電磁放射線(例えば、UV、可視光および/またはIR範囲)を吸収する結晶の格子欠陥である。これにより、特定の波長の帯域が生成される。
【0045】
ダイヤモンド格子中の炭素原子が窒素原子に置換されることによって引き起こされる、ダイヤモンド中の100を超える既知の欠陥のうちの1つであり、隣接する原子が欠損している、ダイヤモンドにおけるいわゆる「窒素空孔」(NV中心)は、非常によく研究されている。このようなNV中心がダイヤモンド構造全体に均一に分布するIb型ダイヤモンドが知られている。
【0046】
このようなNV中心のフォトルミネッセンスは、NV中心に作用する磁場の磁束に強く依存する。
【0047】
図1aおよび
図1bは、磁場がNV軸において整列している、磁束密度の大きさの関数としてのダイヤモンドのそのようなNV中心の、場合によってフォトルミネッセンスおよびフォトルミネッセンスの一次導関数を示す。|B|=102.4mTの磁束密度で、フォトルミネッセンスは最小になる。この磁束密度は「GSLAC磁束密度」とも呼ばれる(GSLAC-基底状態レベル反交差)。この理論は、ここでフォトルミネッセンスが明確な最小値を有するべきであると予測している。最小値は非常にシャープであり、4.5%を超えるコントラストを有し、感度を最大にする。さらに、この点は環境パラメータに依存せず、これは大きな利点である。(理論的には、外部E場、圧力および温度に依存する。しかし、そのような依存性は非常に弱いため、無視できる)。
【0048】
さらに、約60mTでは、NV-NV共振が存在し、約51.2mTでは、NV-P1共振が存在する。
【0049】
負に帯電したNV中心の発光は、638nmにゼロフォノン線を有する600~800nmの波長範囲内で生じる。NV中心は、638nm以下の波長で励起され得る。結晶内に加えられる機械的応力(例えば、空洞または高圧による)によって、必要な励起エネルギーをシフトさせ、発光特性を変化させることが可能である。
【0050】
図2は本発明の基本原理の電気制御回路10を示す。制御回路10は、例として、例えば、優先的に強磁性材料の2つのコア16,18(例えば、鉄心)を含むヨーク構成14を含む磁気サブ回路12を有し、コアの間に空隙20が配置されることが分かる。例えば、第1のコア16には、磁気サブ回路12を磁気的に励磁するために用いられる、一定数の巻線を有するコイル22が巻回されている。
【0051】
例えば、空隙20は、発光材料としてNV中心26を有するIb型ダイヤモンド24を含み、これは、ダイヤモンド24のフォトルミネッセンスを励起するのに十分な第1の波長の電磁放射線30をレーザダイオード28によって照射される。次いで、NV中心26は、第1の波長とは異なる第2の波長の電磁放射線32を放射する。例えば、第1の波長は532nmであり、第2の波長は600~800nmの範囲にある。
【0052】
さらに、放出された放射線32を受け取る光検出器34がある。第1の波長の電磁放射線30を第2の波長の電磁放射線32の受信経路から外れた状態に保つために、第1の波長の電磁放射線30を通過させないか、または少なくとも十分に減衰させ、第2の波長の電磁放射線32を透過させるか、または少なくとも十分に減衰させずに透過させる光学フィルタ35が放射経路に挿入される。ビームスプリッタなどの他の光学部品も、必要に応じて光路に設けることができる。
【0053】
光検出器34は、第2の波長の電磁放射線32を検出し、NV中心26からのこのような検出される第2の波長の電磁放射線32の関数として検出信号36を生成する。検出信号36の値は、好ましくは、第2の波長の電磁放射線32のエネルギー強度の振幅の大きさに比例する。しかしながら、最低でも、検出信号36は、第2の波長の電磁放射線32のエネルギー強度に依存する。
【0054】
最後に、導電体42を介してコイル22を制御するために検出信号36から制御信号40を生成するコントローラ38が設けられる。したがって、コイル22によって生成される磁気励起は、制御信号40に依存する。これにより、コントローラ38の制御は、第1のNV中心26による第2の波長の電磁放射線32の放射を最小限に抑えるように選択される。これにより、コントローラは、例えば、既知のタイプのPIまたはPIDコントローラであり、PIDコントローラが好ましく、これにより、光検出器34によって測定される検出信号の導関数のゼロ点に対して制御が行われる。導関数は、検出信号の一次または二次導関数であり得る。
【0055】
ダイヤモンド24の適切な磁気シールド(図示せず)により、制御信号40は、磁気サブ回路12の幾何学的パラメータのみに依存し、結果、制御信号40を物理的基準値の基礎とすることができる。しかしながら、磁気シールドがなくても、特に地球の磁場などの外部磁場の大きさが既知である場合には、制御信号40を物理的基準値の基礎とすることができる。そのような外部磁場は、制御信号40を選択的に低減するために使用することができ、これは特定の用途に有用である。いずれの場合も、制御回路10は、コイル22を励磁することによって磁場強度Hを提供する。
【0056】
明確にするために、共振部位の周りの発光Lは、以下の関数によって近似されると仮定する。
【0057】
【0058】
これにより、磁束密度B0は共振点の位置であり、σはその幅である。制御の開始時に、磁束密度Bの開始値が取得され、これにより、制御が発光極値の方向に進むことが保証される。
【0059】
共振点の直下が感度である。
【0060】
【0061】
したがって、発光は、磁束密度偏差ΔBについての位置Bkにおける共振点B0の直下の磁束密度Bの関数として、以下のように推定することができる。
【0062】
【0063】
したがって、光検出器34の検出信号36のレベルP36として、発光Lの強度に比例する値を与えると仮定すると、以下が得られる。
【0064】
【0065】
これにより、kは比例定数である。次に、コントローラ38は、光検出器34からの検出信号36のレベルP36に比例する電流を供給する。好ましくはPIコントローラであるコントローラ38の積分特性は、ここでは簡略化のために省略され、Pコントローラとの変形例のみが説明される。
【0066】
次に、制御信号R40は、以下のように記述される。
【0067】
【0068】
それにより、fはコントローラの別の定数、典型的には利得である。-fの符号は、安定性が確立されるように、変化ΔBが後で補償されるように選択されることが好ましい。コイル22は、制御信号40を、NV中心26上で再び追加の磁束ΔBLとして作用する追加の磁気励起Hに変換する。したがって、この結果、以下のようになる。
【0069】
【0070】
ΔBLによる分解能は、以下をもたらす。
【0071】
【0072】
これは、以下のように書くことができる。
【0073】
【0074】
ここで、利得は非常に高くなるように、好ましくは約1010以上の範囲内で調整される。その点において、-fの符号が正しく選択された場合、式は以下のように単純化される。
【0075】
【0076】
しかし、これはまた、以下も意味する。
【0077】
【0078】
したがって、制御信号は、NV中心26に重畳された追加の磁束密度ΔBLに微分的に比例する。したがって、制御信号40は、追加の重畳磁束密度ΔBLの測度として使用することができる。
【0079】
1つのNV中心を異なる常磁性中心NV-EuV、NV-NV、NV-MgVと組み合わせることにより、異なる較正点を生成し、読み出すことができる。他の適切な中心の例は、St1およびL2中心である。St1中心は、581nmの発光線を有し、NV中心よりも高いエネルギーの光で励起されなければならない。
【0080】
さらに、ダイヤモンド24およびダイヤモンド24のNV中心の代わりに、SiCおよびSiに適切な色中心の形態の適切なスピン系を作り出すことが可能である。
【0081】
したがって、磁気サブ回路12のパラメータの適切な選択と共に適切な材料およびそれらの欠陥を選択することにより、必要な磁束密度、したがって必要な制御信号40も標的化された方法で選択することができる。
【0082】
したがって、制御アルゴリズムに応じて、磁束密度は制御信号40に線形に依存することが好ましいため、このような制御信号は、磁気サブ回路12の実際のパラメータ、したがって特に巻線直径、巻線数、導体厚さ、およびヨーク構成14に関して一度だけ較正される必要がある。微細技術製造プロセスなどの高精度製造技法の場合、較正は必要ない場合さえある。
【0083】
図3は、本発明による制御ループ50の代替的な実施形態を示す。
ここで、発光材料24がヨーク構成54の空隙52内に配置され、レーザダイオード28によって照射されることが分かる。
【0084】
図2による制御回路10とは対照的に、ここではヨーク構成54は空隙52を除いて閉じられているが、空隙52には互いに平行に配置された3つの異なる磁石領域56,58,60がある。そのような磁性領域56,58,60の各々は、ダイヤモンド22内の異なるNV中心62,64,66に影響を及ぼし、その結果、LASERダイオード28による第1の波長の電磁放射線30を用いた励起後に第2の波長の異なる電磁放射線68,70,72が放出される。次に、第1の波長の電磁放射線30のためのフィルタ74があり、第2の波長の各電磁放射線68,70,72は、それぞれの関連する光検出器76,78,80によって受信され、対応する検出信号82,84,86が、入力信号としてPIDコントローラ88に供給され、PIDコントローラは、コイル94によって電場強度を生成するために導電体92を介して制御信号90を出力する。
【0085】
磁性領域56,58,60は、各々が異なる磁気抵抗を有するように形成されている。より具体的には、例えば、間隙52における磁束Bが、磁性領域58については値B、磁性領域56については値B-1mT、磁性領域60については値B+1mTとなるように、磁性領域56,58,60が形成される。
【0086】
これにより、多次元制御が実現され、コントローラ88がGSLAC共振点の一次導関数の実際のゼロ交差から逸脱することが防止される。異なる磁石領域56,58,60の離間した磁束密度により、コントローラ88は、共振点内のどこに位置するかを常に認識する。生成される磁束密度間の距離は、共振点の幅、すなわち1σ以下であることが好ましい。したがって、±1mTの値は異なるように選択することもできるが、1σを超えるべきではない。好ましくは、そのような距離は、それによって対称点に対して対称に選択される。
【0087】
そのような磁石領域を2つだけ使用することができるが、その点において検出信号の二次導関数、この場合は発光曲線を形成することができるため、3つの磁石領域56,58,60が好ましい。その点において、この二次導関数のゼロ交差、すなわち場合によって最大値または最小値を一次導関数について制御することが可能であり、最高の制御感度が存在する。
【0088】
原則として、
図3によるそのような実施形態は、以下に説明するすべてのデバイス100,200,300,400,500,600,700,800において有利に使用することができる。
【0089】
図4は、本発明によるデバイス100の第1の好ましい実施形態を示す。
このようなデバイスは、2つのコア16,18を有する磁気サブ回路12の代わりに、空隙106を有する連続的な磁気ヨーク104を有する磁気回路102がここで選択されていることを除いて、本質的に
図2の制御回路10を有し、それによってコイル108によって誘導される磁場は空隙106内で特に均一であることが分かる。
【0090】
他の点では、デバイス100は、制御信号112によって提供されるコイル108の電流が出力電流114(I0)に変換される電流ミラー110を備える。デバイス100が外部からの磁場および電磁場の照射に対して十分に遮蔽されている場合、この電流114の大きさ|I0|は環境パラメータとは無関係である。したがって、デバイス100は、高精度の基準電流源として好適である。異なるミラー比を調整することにより、異なる基準電流値を調整することが非常に容易であり、これらはその後、電流ミラー110内のトランジスタ面積の比によってのみ決定される。回路技術に関して、ここでは例として、Tietze,Schenk「Halbleiter-Schaltungstechnik」(Springer)を参照する。
【0091】
図5は、本発明によるデバイス200の第2の好ましい実施形態を示す。
これに関して、電流ミラー110に加えて抵抗器202がソース抵抗器として使用されるという点で、
図4のデバイス100に関して変更があることが分かる。このソース抵抗器202(Rq)を介して、出力電流114は基準電圧204(V
0)に変換される。したがって、デバイス200は、内部抵抗器(Rq)を有する高精度基準電圧源と考えることができる。場合によってソース抵抗器202の適切な選択または調整、および/または電流ミラー110の比の適切な調整により、基準電圧204の値を正確に決定することができる。
【0092】
図6は、本発明によるデバイス300の第3の好ましい実施形態を示す。
図4のデバイス100とは異なり、ここでは電流ミラーは使用されていないが、コア302に巻回された第2のコイル304が第1のコイル108と直列に接続されていることが分かる。
【0093】
第2のコイル304の幾何学的形状およびそのコイル巻線の数ならびにコア302の材料を選択することにより、そのような第2の磁気回路306の磁場を目標通りに調整することができる。必要に応じて、電流分割器(図示せず)を使用して、目標通りに調整し、必要に応じて、第2のコイル304の励磁電流を適合させることができる。
【0094】
したがって、そのようなデバイス300は、磁気サブ回路306によって生成される磁場、特に磁場強度Hのための非常に正確な基準源を提供する。無論、このような磁気サブ回路306の代わりに、磁気回路を使用することもできる。磁気回路の構成および使用に関しては、「Kupfmuller,Theoretische Elektrotechnik Elektromagnetische Felder,Schaltungen und elektronische Bauelemente」(Springer)を参照されたい。
【0095】
図7は、本発明によるデバイス400の第4の好ましい実施形態を示す。
ここで、
図4のデバイス200とは対照的に、ソース抵抗器202に加えてコンデンサ402が並列に接続され、それによってコンデンサ402は、その電圧がソース抵抗器202の両端の電圧V
0と同一になるまで充電することが分かる。
【0096】
コンデンサ402の形状およびその材料を選択することにより、コンデンサプレート404,406間の電場を目標通りに調整することができる。必要に応じて、分圧器(図示せず)を使用して、目標通りに調整し、必要に応じてコンデンサ402の励磁電圧を適合させることができる。
【0097】
したがって、そのようなデバイス400は、コンデンサ402内の電場のための非常に正確な基準源を提供する。
【0098】
一方、ソース抵抗器202を省略して、場合によって基準時間または基準周波数を提供することができるコンデンサ402にわたる電圧ランプを構築することもできる。
【0099】
図8は、本発明によるデバイス500の第5の好ましい実施形態を示す。
制御回路10とは対照的に、
図4に対応する磁気回路502がここでは原理的に使用されるが、外部磁場を導入するための追加の要素504,506が存在することが分かる。
【0100】
外部磁場は、コイル108によって生成される磁場強度に外部磁場強度を重ね合わせ、それによって間隙106内の磁束密度が規定される。したがって、外部磁場強度は、制御信号112から計算することができる。
【0101】
したがって、そのようなデバイス500は、供給される外部磁場強度を正確に決定するために使用することができる。
【0102】
図9および
図10は、本発明によるデバイス600の第6の好ましい実施形態を示す。
ここでも、ヨーク構成604およびコイル606によって形成された磁気回路602があり、ヨーク構成には2つの空隙608,610があることが分かる。空隙の各々は、各々が第1の波長の電磁放射線620,622を有するレーザダイオード616,618によって励起される、それぞれのNV中心612,614を有するダイヤモンド611a,611bを含む。
【0103】
NV中心612,614を有するそれぞれのダイヤモンド611a,611bから放出される第2の波長の電磁放射線624,626は、第1の波長の電磁放射線620,622をフィルタリングするために、フィルタ628,630を通過する。
【0104】
光検出器632,634が、第2の波長のそれぞれの電磁放射線624,626を検出し、NV中心612,614の第2の波長のそのような検出される電磁放射線624,626の関数としてそれぞれの検出信号636,638を生成する。検出信号636,638の値は、好ましくは、第2の波長のそれぞれの電磁放射線624,626のエネルギー強度の振幅量に比例する。しかしながら、少なくとも、検出信号636,638は、第2の波長の電磁放射線32のエネルギー強度にそれぞれ依存する。
【0105】
最後に、第1のNV中心612の側には、検出信号636から制御信号642を生成して導電体644を介してコイル606を制御するコントローラ640が設けられている。したがって、コイル606によって生成される磁気励起は、制御信号642に依存する。これにより、コントローラ640の制御は、第1のNV中心612による第2の波長の電磁放射線624の放射を最小限に抑えるように選択される。これにより、コントローラは、例えば、既知のタイプのPIまたはPIDコントローラであり、PIDコントローラが好ましく、これにより、光検出器632によって測定される検出信号の導関数のゼロ点に対して制御が行われる。導関数は、検出信号の一次または二次導関数であり得る。
【0106】
第2のNV中心614は第1のNV中心612と同一であり、他の磁気成分、特に空隙610内の磁気抵抗も原理的に同一になるように形成されているため、両方の空隙608,610内の磁束密度Bは同一であり、したがって第2のNV中心614の検出信号638にも最小値があることが予想される。
【0107】
しかしながら、地球の磁場などの背景磁場の磁場勾配により、検出信号638の最小値からの偏差が存在する。したがって、そのような偏差の大きさおよび2つのNV中心612,164間の距離から、背景場の磁束密度のそのような勾配を直接推測することができる。これにより、較正は、第2のNV中心614の検出信号638に対する磁場偏差の強度に対して一度だけ行われればよい。勾配によって引き起こされる磁場の偏差は、2つのNV中心612,614間の距離にわたってごくわずかであると予想されるため、磁場勾配を分析するために使用することができる対応する測定信号648を出力する測定増幅器646も提供される。したがって、デバイス600のそのような実施形態は、背景磁場の勾配を非常に正確に決定するために使用することができる。
【0108】
図10は、デバイス600の平面実施形態を示す。すべての要素が平面基板650上に配置されていることが分かる。このような平面構造は、CMOS互換方式で製造することができ、特に光源(好ましくはレーザダイオード)616,618の生成については独国特許出願公開第100 00 707号明細書が参照され、その開示内容はこの点に関してその全体が組み込まれている。
【0109】
第1のNV中心612の磁気シールド(図示せず)がある場合、その点において、空隙608内の磁束密度Bに対する磁気背景の影響はない。結果として、空隙610内の磁束密度Bのみが磁気背景によって決定され、したがって、検出信号638は背景磁場の測度である。したがって、デバイス600のそのような代替的な実施形態は、背景磁場を非常に正確に決定するために使用することができる。
【0110】
図11は、本発明によるデバイス700の第7の好ましい実施形態を示す。
次に、
図4のデバイス100のように、ここでは、ヨーク104を有する磁気回路102があり、その空隙106には、NV中心26を有するダイヤモンド24が配置されていることが分かる。
【0111】
NV中心26は、第1の波長の電磁放射線30を有するレーザダイオード28によって励起され、それによってNV中心26は第2の波長の電磁放射線32を放出する。次に、この放射はフィルタリングされ35、検出信号36を出力する光検出器34に供給される。この検出信号36は、PIDコントローラ38に供給され、PIDコントローラは、電流線41を介してコイル108に制御信号40を出力する。
【0112】
また、送信のための下側カットオフ周波数fguを有するハイパスフィルタ702がある。コントローラ38自体または任意選択的に設けられたローパスフィルタ704は、送信のための上側カットオフ周波数fgoを有する。このような上側カットオフ周波数fgoは、NV中心26に作用する磁束密度Bの動作点の制御における干渉を防止するために、ハイパスフィルタ702の下側カットオフ周波数よりも小さい。
【0113】
ここで、変調磁場などの交流電磁場706が照射され、NV中心26に作用すると、場合によって、含まれる原子または欠陥がこの交流磁場706に追従し、放出された蛍光32も交流磁場706の周波数に対応する周波数で変調を受ける。
【0114】
コントローラ38および場合によってそのローパス特性または追加のローパスフィルタ704に起因して、変調の周波数がハイパスフィルタ702の下側カットオフ周波数fguよりも大きい場合、そのような蛍光の変調は制御されず、その結果、基本蛍光のみがコントローラ38によって最小に制御され、変調は残る。結果として生じる検出信号36の高周波変調は、ハイパスフィルタ702によって読み出され、有用な信号708として出力される。
【0115】
したがって、デバイス700は、交流磁場706のための高感度アンテナを提供する。デバイス700の構造およびその物理的動作に基づいて、それは、特に超広帯域通信に使用することができる極めて広帯域の受信機である。ハイパスフィルタ702は、好ましくは、測定増幅器として形成することができる。
【0116】
交流電磁場706による指向性変調を分析することに加えて、そのようなデバイス700はまた、NV中心26の位置における電磁放射スペクトルまたは電磁放射スペクトルの一部を分析するために使用することもできる。
【0117】
当業者によく知られているように、有用な信号708の分析は、例えば、ミキサおよびフィルタを使用する復調を含むことができる。ここで、例えば、M.Bossert「Nachrichtenubertragung」(Vieweg+Teubner Verlag;Edition:5.,rev.ed.and add.edition 2011(August 4,2011))、A.Mertins「Signaltheorie:Grundlagen der Signalbeschreibung,Filterbanke,Wavelets,Zeit-Frequenz-Analyse,Parameter-und Signalschatzung」(Springer Vieweg;Edition:3.,revised and ext.edition 2013(December 8,2012))、およびLuke「Signal Transmission:Fundamentals of Digital and Analog Message Transmission Systems」(Springer Vieweg;Edition:12(February 19,2015))を参照されたい。
【0118】
図12は、本発明によるデバイス800の第8の好ましい実施形態を示す。
図11によるデバイス700の代替形態であるそのようなデバイスは、原則として、
図9によるデバイス600に基づいており、ここでは、
図11によるデバイス700に対応して、コントローラ640は、ローパス特性を有するか、または任意選択的に、制御信号642をフィルタリングする送信のための上側カットオフ周波数f
goを有する別個のローパスフィルタ802があることが分かる。さらに、光検出器634からの検出信号638は、送信のための下側カットオフ周波数f
guを有するハイパスフィルタ804によってフィルタリングされ、対応する有用な信号806を出力するセンス増幅器646に供給される。さらに、空隙608内には、場合によってNV中心612に対する電磁放射線706または電磁背景の影響を防止するために、例えば軟磁性材料で作られた磁気シールド808が存在する。
【0119】
磁気シールド808により、空隙608内の磁束密度Bは、外部の電磁的影響706から独立している。したがって、第1のNV中心612は、コントローラ640を介してコイル606によって磁場強度Hを制御するための基準中心として機能する。
【0120】
空隙610内の第2のNV中心614のみが電磁場706に応答し、結果、その高周波成分をハイパスフィルタ804によって分析することができる。
【0121】
したがって、そのようなデバイス800は、背景電磁場に対して、場合によってさらにより正確で安定した情報伝送または分析を提供することができる。
【0122】
図13は、本発明によるデバイス10,50,100,200,300,400,500,600,700のいずれかにおけるコントローラ38,88,640,646,702として使用され得るPIコントローラ900の一例を示す。
【0123】
このPIコントローラ900は、そのコアに相互コンダクタンス増幅器(OTA)902を有することが分かる。ここに示すOTA 902は、その2つの出力電流源I1およびI2によって形成される2つの出力904,906を有する。2つの電流源(I1)904および(I2)906はともに結合され、各々が出力電流を生成し、出力電流は、正の入力(+)908から負の入力(-)910を減算した入力電圧の差に比例し、それぞれの比例定数を有する。正入力(+)908は、基準電位912に接続される。OTA 902の第1の出力電流源904(I1)からの出力電流は、オプションの第4の抵抗器(R4)914を介してOTA 902の負入力910(-)のノードに供給される。オプションの抵抗器(R4)914はバイパスすることもでき、ひいてはなくてもよい。光検出器34は、端子36および抵抗器(R2)916を介してその電圧出力信号を供給する。そのような2つの電流は、基準電位(GND)920に接続された動作抵抗器(R3)918を介してOTA 902の負入力(-)910の入力電圧に変換される。制御の適切な開始点のために、基準電圧(Vref)924からのオフセット電流が、この例では第1の抵抗器(R1)922を介して供給される。コンデンサ(C)926は、コントローラのローパス特性を提供し、次いで、コントローラは、低周波数においてPIコントローラのように挙動する。ここで、磁場励磁コイル108の帰線は、基準電位(GND)920に接続されている。
【0124】
なお、PI制御部900には、発光最小値がオーバーフローする電流制限はない。したがって、そのような制限(図示されていないが、当業者によく知られている)が設けられなければならない。
【0125】
図14は、
図3の本発明によるデバイス内で使用するためのコントローラ88を示す。
2つの減算回路1002(抵抗器R5,R4,R1,R11および演算増幅器OP1)および1004(抵抗器R7,R8,R16,R10および演算増幅器OP2)によって、3つの光検出器76,78,80の3つの測定信号82,84,86から2つの勾配信号1006,1008が形成されることが分かる。ここで、後続の加算段1010(R13,R12,R14,演算増幅器OP3)によって、和信号が形成され、これは、コイル94の制御信号90を供給する第2の電流源(I2)1012を制御するために使用される。フィードバックネットワーク1014(R17,R15,C2,C3)は、ここではPID特性を実現するために使用される。
【0126】
最後に、
図15は、例えば
図4、
図5または
図7による本発明のデバイスのうちの1つに使用するための電流ミラー構成110の好ましい実施形態を示す。
【0127】
電流ミラー構成110は、MOSダイオードとして接続される第1のMOSトランジスタ(T1)1102を含むことが分かる。第1のMOSトランジスタ(T1)1102は、コントローラ38から来る電流を検出し、その制御電極において第2のトランジスタ(T2)1104を制御するために使用される基準信号を生成する。これにより、第2のトランジスタ(T2)1104は、第3のトランジスタ(T3)1106を介した横流の電流源として動作する。この横流は、例えば、Tietze,Schenk「Halbleiter-Schaltungstechnik」(Springer)からの電流ミラーについて知られているように、トランジスタ(T1)1102対(T2)1104の比によって決定される。トランジスタ(T1)1102および(T2)1104は、この例では好ましくはNチャネルトランジスタである。第3のトランジスタ(T3)1106は、第2のトランジスタ(T2)1104によって生成される横流を検出し、MOSダイオードとして接続される。好ましくはPチャネルトランジスタである。これは、2つの電流源トランジスタ(T4)1108および(T5)1110によって生成される電流がその値に依存する内部基準電圧を生成する。これにより、この例では、第4のトランジスタ(T4)1108は、磁場生成コイル108を制御するための電流112を提供する。この例では、第5のトランジスタ(T5)1110は基準電流(I0)114を提供し、これはその後、後続の回路100,200,400の他の場所で使用することができる。
【0128】
トランジスタ(T3)1106、(T4)1108、および(T5)1110は、この例では好ましくはPチャネルトランジスタである。コントローラ38からトランジスタ(T1)1102を介してグランド(GND)1112に来る入力電流は、供給電圧(Vbat)1114から第3のトランジスタ(T3)1106および第2のトランジスタ(T2)1104を介してグランド(GND)1112に流れる横流に対する固定比を有し、これはトランジスタ(T1)1102対(T2)1104の比によって決定される。供給電圧(Vbat)1114からコイル108へ、コイル108を通ってグランド(GND)1112への電流は、トランジスタ(T3)1006対(T4)1108の比に対応する横流の大きさに依存し、したがって、トランジスタ(T1)1102を通る入力電流に正比例する。供給電圧(Vbat)1114から後続の回路100,200,400へ、およびそこからグランド(GND)1112への生成される基準電流(I0)114は、トランジスタ(T3)1106対(T5)1108の比に対応する横流の大きさに依存し、したがってトランジスタ(T1)1102を通る入力電流に正比例する。さらに、明らかに、コイル108への電流112と基準電流(I0)114とは互いに正比例する。
【0129】
本発明は、レーザダイオードによる電磁励起および蛍光のための光検出器の使用に関して、常に
図2~
図15の枠組み内で説明されてきたが、これは必須ではない。実際、他の励起、特に、例えば色中心の周囲材料中のホット電荷キャリアによる電気励起、および/または励起を使用して、光電流を読み出す、好ましくは電子的に読み出すことができる。発光は光電流に密接に関連しているため、上記の利点はここでも適用される。さらに、好ましいレーザダイオード28,616,618の代わりに、LEDまたは他の適切な光源を使用することができる。
【0130】
上記は材料中の単一のNV中心を参照するが、NV中心の集合も材料中で使用することができる。1つのNV中心では、非常に良好な空間分解能が達成され、これはNV中心を使用すると幾分低下する。しかしながら、NV集合を使用すると、信号強度が増加する。
【0131】
以上から、本発明は、磁場強度Hを生成および制御するためのデバイス10,50,100,200,300,400,500,600,700,800および方法を提供し、生成は非常に安定しており、正確であることは明らかである。好ましくは、物理変数の基準値は、比較的単純かつ経済的に生成することができる。また、磁束密度を高分解能、特に非常にロバストに測定することができる。本発明はまた、情報、特に超広帯域通信を送信するために使用することもできる。必要なデバイス10,50,100,200,300,400,500,600,700,800は、非常に小さく、特に小型で移動可能であり得る。
【0132】
特に明記しない限り、本発明のすべての特徴は自由に組み合わせることができる。さらに、別途指示しない限り、図の説明に記載されている特徴は、本発明の特徴として他の特徴と自由に組み合わせることができる。例示的な実施形態の個々の特徴を、例示的な実施形態の他の特徴との組み合わせに限定することは、明示的に意図されていない。加えて、デバイスの特徴を再定式化して方法特徴として使用することもでき、方法特徴を再定式化してデバイスの特徴として使用することもできる。したがって、そのような再形成は自動的に開示される。
【0133】
参照記号のリスト
10 本発明の基本原理の電気制御回路
12 磁気サブ回路
14 ヨーク構成
16,18 ヨーク構成14のコア
20 空隙
22 コイル
24 第1の材料、Ib型ダイヤモンド
26 第1の材料、ダイヤモンド24のNV中心
28 レーザダイオード
30 レーザダイオード28の第1の波長の電磁放射線
32 NV中心26の第2の波長の放射電磁放射線
34 光検出器
35 光学フィルタ
36 光検出器34の検出信号
38 コントローラ
40 コイル22を制御するコントローラ38の制御信号
42 導電体
50 本発明による制御回路の代替実施形態
52 空隙
54 ヨーク構成
56,58,60 平行に配置された空隙52における磁石領域
62,64,66 NV中心
68,70,72 第2の波長の電磁放射線
74 フィルタ
76,78,80 光検出器
82,84,86 光検出器76,78,80の検出信号
88 コントローラ
90 コントローラ88の制御信号
92 導電体
94 コイル
100 本発明によるデバイスの第1の好ましい実施形態
102 磁気回路
104 連続磁気ヨーク
106 空隙
108 コイル
110 電流ミラー
112 制御信号
114 出力電流(I0)
200 本発明によるデバイスの第2の好ましい実施形態
202 抵抗器、ソース抵抗器(Rq)
204 基準電圧(V0)
300 本発明によるデバイスの第3の好ましい実施形態
302 コア
304 コイル
306 第2の磁気回路
400 本発明によるデバイスの第4の好ましい実施形態
402 コンデンサ
404,406 コンデンサプレート
500 本発明によるデバイスの第5の好ましい実施形態
502 磁気回路
504,506 外部磁場を導入するための追加の要素
600 本発明によるデバイスの第6の好ましい実施形態
602 磁気回路
604 ヨーク構成
606 コイル
608,610 ヨーク構成の空隙
611a 第1の材料、ダイヤモンド
611b さらなる材料、ダイヤモンド
612,614 NV中心
616,618 レーザダイオード
620,622 第1の波長の電磁放射線
624,626 NV中心612,614の第2の波長の放射電磁放射線
628,630 フィルタ
632,634 光検出器
636,638 光検出器632,634の検出信号
640 コントローラ
642 制御信号
644 導電体
646 測定増幅器
648 測定信号
650 平面基板
700 本発明によるデバイスの第7の好ましい実施形態
702 送信カットオフ周波数fguが低いハイパスフィルタ
704 送信のための上側カットオフ周波数fgoを有するローパスフィルタ
706 交流電磁場
708 有用な信号
800 本発明によるデバイスの第8の好ましい実施形態
802 送信のための上側カットオフ周波数fgoを有するローパスフィルタ
804 送信カットオフ周波数fguが低いハイパスフィルタ
806 有用な信号
808 磁気シールド
900 コントローラ38,88,640,646,702として使用されるPIコントローラ
902 相互コンダクタンス増幅器(OTA)
904,906 出力
904 電流源(I1)
906 電流源(I2)
908 正入力(+)
910 負入力(-)
912 基準電位
914 任意選択の第4の抵抗器(R4)
916 抵抗器(R2)
918 動作抵抗器(R3)
920 基準電位(GND)
922 第1の抵抗器(R1)
924 基準電圧(Vref)
926 コンデンサ(C)
1000 減算回路(抵抗器R5,R4,R1,R11および演算増幅器OP1)
1004 減算回路(抵抗器R7,R8,R16,R10および演算増幅器OP2)
1006,1008 勾配信号
1010 加算段階(R13,R12,R14、演算増幅器OP3)
1012 第2の電流源(I2)
1014 フィードバックネットワーク(R17,R15,C2,C3)
1102 第1のMOSトランジスタ(T1)
1104 第2のトランジスタ(T2)
1106 第3のトランジスタ(T3)
1108 電流源トランジスタ(T4)
1110 電流源トランジスタ(T5)
1112 グランド(GND)
1114 供給電圧(Vbat)
【手続補正書】
【提出日】2021-07-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁場強度を生成および制御するためのデバイス(10;50;100;200;300;400;500;700;800)であって、
物理的励起時に発光および/または光電流を生成する第1の材料(24;611a)であって、場合によって前記発光または光電流は、少なくとも1つの磁束密度において磁場に対して極値を有する、第1の材料と、
前記物理的励起を生成するための手段(28;616,618)と、
磁場を生成するための手段(12,16,18,20,22;52,54;102,104,106,108;304,306;502;604,606,608)であって、前記第1の材料(24;611a)が生成される前記磁場に曝され、前記磁場強度が調整可能である、磁場を生成するための手段と、
場合によって検出される発光信号または光電流信号の強度を表す検出信号(36;82,84,86;636)を用いて、場合によって前記発光または光電流を測定するための手段(34;76,78,80;632)と、
前記磁場を生成するための手段(12,16,18,20,22;52,54;102,104,106,108;304,306;502;602,604,606,608)の制御のための制御信号(40;90;112;642)を出力し、前記検出信号(36;82,84,86;636)が極値を取るように、前記検出信号(36;82,84,86;636)の関数として前記磁場強度を制御するように適合されている制御手段(38;88;640)とを特徴とする、デバイス。
【請求項2】
前記制御信号(112)の関数として物理変数を生成するための手段(110;110,202;302,304;110;202,402)を特徴とし、前記物理変数(110;110,202;302,304;110;202,402)は、好ましくは、電流、電圧、磁場、電場、時間および周波数を含む群からの変数である、請求項1に記載のデバイス(100;200;300;400)。
【請求項3】
前記物理変数を生成するための手段(110;110,202;302,304;110;202,402)が、電流ミラー(110)、抵抗器(202)、コイル(304)、コンデンサ(402)、相互コンダクタンス増幅器、および演算増幅器の群から選択される少なくとも1つの要素を含むことを特徴とする、請求項2に記載のデバイス(100;200;300;400)。
【請求項4】
デバイス(600;800)は、
さらなる物理的励起時に発光および/または光電流を生成する少なくとも1つのさらなる材料(611b)であって、場合によって前記発光または光電流は、少なくとも1つの磁束密度において磁場に対して極値を有する、少なくとも1つのさらなる材料と、
前記さらなる物理的励起を生成するためのさらなる手段(618)と、
磁場を生成するためのさらなる手段(604,606,610)であって、前記さらなる材料(611b)が生成される前記磁場に曝され、前記磁場強度が調整可能であり、前記磁場を生成するためのさらなる手段(604,606,610)は、前記さらなる材料(611b)を前記第1の材料(611a)と同じまたは異なる磁場に曝すように適合されている、さらなる手段(604,606,610)と、
場合によって検出される前記さらなる発光信号または前記さらなる光電流信号の強度を表す、さらなる検出信号(638)によって、場合によって前記さらなる材料(611b)の前記発光または前記光電流を測定するためのさらなる手段(634)と
をさらに備えることを特徴とする
、請求項
1から3のいずれか1項に記載のデバイス(600;800)。
【請求項5】
場合によって前記第1の材料(24;611a)および/または前記さらなる材料(611b)は、少なくとも1つの空孔(26;612,614)を有する結晶構造を有し、場合によって前記第1の材料(24;611a)または前記さらなる材料(611b)は、好ましくはダイヤモンド、炭化ケイ素またはケイ素であり、前記空孔は、色中心、特に窒素空孔中心、または、ユーロピウム空孔中心、バナジウム空孔中心もしくはマンガン空孔中心を伴う窒素空孔中心であることを特徴とする
、請求項
1から4のいずれか1項に記載のデバイス(10;50;100;200;300;400;500;700;800)。
【請求項6】
場合によって前記物理的励起を生成するための手段(28;616,618)または前記さらなる物理的励起を生成するためのさらなる手段(618)が、電気的または電磁的励起、好ましくは光学範囲および/またはマイクロ波範囲の励起、特にレーザ励起またはLED励起、または電離放射線による励起を提供することを特徴とする
、請求項
1から5のいずれか1項に記載のデバイス(10;50;100;200;300;400;500;700;800)。
【請求項7】
場合によって前記磁場を生成するための手段(12,16,18,20,22;52,54;102,104,106,108;304,306;502;604,606,608)または前記磁場を生成するためのさらなる手段(604,606,610)が、電流によって励起され得る少なくとも1つのコイル(22;94;108;606)を備え、好ましくは、特に空隙(20;52;106;608,610)を有するヨーク(14;54;104;604)の形態の磁気導体が存在し、前記第1の材料(24;611a)および/または前記さらなる材料(611b)は、前記空隙(20;52;106;608,610)内に配置されることを特徴とする
、請求項
1から6のいずれか1項に記載のデバイス(10;50;100;200;300;400;500;700;800)。
【請求項8】
前記発光を測定するための手段(34;76,78,80;632)および/または前記発光を測定するためのさらなる手段(634)は、光検出器、および好ましくは物理的励起を減衰させるフィルタ(35;74)を含むことを特徴とする
、請求項
1から7のいずれか1項に記載のデバイス(10;50;100;200;300;400;500;700;800)。
【請求項9】
前記光電流を測定するための手段および/または前記光電流を測定するためのさらなる手段は、場合によって前記第1の材料および前記さらなる材料上の2つの電気接点の間に電圧が印加され、前記光電流が直列に測定されるように形成されることを特徴とする
、請求項
1から8のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記制御手段(38;88;640)が、連続線形コントローラとして、好ましくはPIまたはPIDコントローラとして形成されることを特徴とする
、請求項
1から9のいずれか1項に記載のデバイス(10;50;100;200;300;400;500;700;800)。
【請求項11】
前記検出信号(36)および/または前記さらなる検出信号(638)をフィルタリングするための少なくとも1つのハイパスフィルタ(704;804)が存在することを特徴とする
、請求項
1から10のいずれか1項に記載のデバイス(700;800)。
【請求項12】
前記制御信号(40,642)をフィルタリングするための少なくとも1つのローパスフィルタ(702;802)が存在することを特徴とする
、請求項
1から11のいずれか1項に記載のデバイス(700;800)。
【請求項13】
前記ハイパスフィルタ(704;804)の前記下側カットオフ周波数の大きさが、場合によって前記ローパスフィルタ(702;802)または前記制御手段(38;640)の前記上側カットオフ周波数の大きさよりも大きいことを特徴とする、請求項11または12のいずれか1項に記載のデバイス(700;800)。
【請求項14】
前記磁場を生成するための手段(52,54,56,58,60)が、異なる磁気抵抗を有する少なくとも2つ、好ましくは3つの磁石領域(56,58,60)を有し、結果、場合によって前記第1の材料(24)または前記さらなる材料の少なくとも2つ、好ましくは3つの材料領域(62,64,66)が異なる磁場に曝され、各材料領域(62,64,66)は、場合によって前記検出される発光信号または光電流信号の強度を表すそれぞれの検出信号(82,84,86)を用いて、場合によって前記発光または前記光電流を測定するための独自の手段(76,78,80)を割り当てられ、前記制御手段(88)は、1つの材料領域(62,64,66)の前記検出信号(82,84,86)が極値をとるように、前記磁場を生成するための手段(54,94)の制御のための制御信号(90)を出力し、前記検出信号(82,84,86)の関数として前記磁場強度を制御するように適合されることを特徴とする
、請求項
1から13のいずれか1項に記載のデバイス(50)。
【請求項15】
前記磁場を生成するための手段(602,604,606,608)および/または前記磁場を生成するためのさらなる手段が、外部磁場に対する磁気シールド(808)を備えることを特徴とする
、請求項
1から14のいずれか1項に記載のデバイス(800)。
【請求項16】
前記磁場を生成するための手段(108 502,504)が、外部磁場を前記材料(24)に供給するように適合されることを特徴とする
、請求項
1から15のいずれか1項に記載のデバイス(500)。
【請求項17】
前記物理的励起を生成するための手段が、前記物理的励起の変調を行うように適合され、前記物理的励起の前記変調を前記検出信号と相関させるための手段が存在することを特徴とする
、請求項
1から16のいずれか1項に記載のデバイス(700;800)。
【請求項18】
磁場強度を生成および制御するための方法であって、
物理的励起時に発光および/または光電流を生成する第1の材料(24;611a)であって、場合によって前記発光または光電流は、少なくとも1つの磁束密度において磁場に対して極値を有する、第1の材料と、
前記物理的励起を生成するための手段(28;616,618)と、
磁場を生成するための手段(12,16,18,20,22;52,54;102,104,106,108;304,306;502;604,606,608)であって、前記第1の材料(24;611a)が生成される前記磁場に曝され、前記磁場強度が調整可能である、磁場を生成するための手段と、
場合によって検出される発光信号または光電流信号の強度を表す検出信号(36;82,84,86;636)を用いて、場合によって前記発光または光電流を測定するための手段(34;76,78,80;632)と
を使用し、
前記検出信号(36;82,84,86;636)が極値を取るように、前記検出信号(36;82,84,86;636)の関数として前記磁場強度を制御するように、前記磁場を生成するための手段(12,16,18,20,22;52,54;102,104,106,108;304,306;502;602,604,606,608)の制御のための制御信号(40;90;112;642)が出力されることを特徴とする、方法。
【請求項19】
請求項1から17のいずれか1項に記載のデバイス(10;50;100;200;300;400;500;700;800)が使用されることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも1つの色中心(26)を有する有用な信号によって変調された電磁波を受信するための受信機(700;800)であって、前記色中心(26)は発光を有し、前記発光は前記色中心(26)の位置における磁束密度に依存し、前記受信機(700;800)は前記発光を介して前記有用な信号を復調するように適合され、および/または前記色中心(26)は変調された電磁波のアンテナである、受信機。
【請求項21】
変調された電磁信号、特に変調されたメッセージまたは測定信号を受信および/または復調するためのサブデバイス(700;800)としてのアンテナとしての色中心(26)の使用。
【請求項22】
生物学的変調された電磁信号、特に変調された神経信号を受信および/または復調するためのサブデバイス(700;800)としてのアンテナとしての色中心(26)の使用。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
【
図1a】ダイヤモンド中のNV中心のフォトルミネッセンスの磁束密度の大きさに対する依存性を示す図である。
【
図1b】ダイヤモンド中のNV中心のフォトルミネッセンスの一次導関数の磁束密度の大きさに対する依存性を示す図である。
【
図2】本発明の基礎となる基本原理を示す図である。
【
図3】図
2による基本原理の代替の実施形態を示す図である。
【
図4】第1の好ましい実施形態による本発明によるデバイスを示す図である。
【
図5】第2の好ましい実施形態による本発明によるデバイスを示す図である。
【
図6】第3の好ましい実施形態による本発明によるデバイスを示す図である。
【
図7】第4の好ましい実施形態による本発明によるデバイスを示す図である。
【
図8】第5の好ましい実施形態による本発明によるデバイスを示す図である。
【
図9】第6の好ましい実施形態による本発明によるデバイスを示す図である。
【
図10】
図9による第6の好ましい実施形態の平面実装を示す図である。
【
図11】第7の好ましい実施形態による本発明によるデバイスを示す図である。
【
図12】第8の好ましい実施形態による本発明によるデバイスを示す図である。
【
図13】本発明によるデバイスのうちの1つの中で使用するためのPIコントローラを示す図である。
【
図14】
図3による本発明のデバイス内で使用するためのコントローラを示す図である。
【
図15】
図4、
図5または
図7による本発明のデバイスのうちの1つの中で使用するための電流ミラー構成を示す図である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0107
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0107】
しかしながら、地球の磁場などの背景磁場の磁場勾配により、検出信号638の最小値からの偏差が存在する。したがって、そのような偏差の大きさおよび2つのNV中心612,614間の距離から、背景場の磁束密度のそのような勾配を直接推測することができる。これにより、較正は、第2のNV中心614の検出信号638に対する磁場偏差の強度に対して一度だけ行われればよい。勾配によって引き起こされる磁場の偏差は、2つのNV中心612,614間の距離にわたってごくわずかであると予想されるため、磁場勾配を分析するために使用することができる対応する測定信号648を出力する測定増幅器646も提供される。したがって、デバイス600のそのような実施形態は、背景磁場の勾配を非常に正確に決定するために使用することができる。
【国際調査報告】