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  • 特表-乱流を用いる非接触式清掃装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(54)【発明の名称】乱流を用いる非接触式清掃装置
(51)【国際特許分類】
   B08B 5/00 20060101AFI20220107BHJP
【FI】
B08B5/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021525110
(86)(22)【出願日】2019-11-04
(85)【翻訳文提出日】2021-07-07
(86)【国際出願番号】 EP2019080075
(87)【国際公開番号】W WO2020099163
(87)【国際公開日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】102018219696.6
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520466928
【氏名又は名称】エーヨット ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー
【氏名又は名称原語表記】EJOT GMBH & CO. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ドルンバッハ,マティアス
【テーマコード(参考)】
3B116
【Fターム(参考)】
3B116AA47
3B116AB02
3B116BB21
3B116BB88
3B116BB89
(57)【要約】
被加工物の非接触清掃のための装置(1)及び対応する方法が記載される。装置(1)は:第1の中空体(2)であって、第1の中空体(2)は清掃対象の被加工物を少なくとも部分的に受け入れる、第1の中空体(2);第2の中空体(3)であって、第2の中空体(3)は第1の中空体(2)を少なくとも部分的に取り囲む、第2の中空体(3);及び第1の中空体(2)と第2の中空体(3)との間の媒体の流れのために、第1の中空体(2)と第2の中空体(3)との間に配置された、可動ノズルリング(4)であって、ノズルリング(4)は駆動装置(6)を用いて可動である、可動ノズルリング(4)を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物の非接触清掃のための装置(1)であって、前記装置(1)は:
第1の中空体(2)であって、前記第1の中空体(2)は清掃対象の前記被加工物を少なくとも部分的に受け入れる、第1の中空体(2);
第2の中空体(3)であって、前記第2の中空体(3)は前記第1の中空体(2)を少なくとも部分的に取り囲む、第2の中空体(3);及び
前記第1の中空体(2)と前記第2の中空体(3)との間の媒体の流れのために、前記第1の中空体(2)と前記第2の中空体(3)との間に配置された、可動ノズルリング(4)であって、前記ノズルリング(4)は駆動装置(6)を用いて可動である、可動ノズルリング(4)
を備える、装置(1)。
【請求項2】
前記第1の中空体(2)は少なくとも1つのイオナイザ(5)を備える、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記イオナイザ(5)は、前記第1の中空体(2)の投入開口(2a)の周りに周方向に配置された複数のイオナイザチップ(5a、5b、5c)を備える、請求項2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記イオナイザチップ(5a、5b、5c)は、異なる電荷のイオンを放出するよう構成される、請求項3に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記イオナイザ(5)に接続される高圧電源を更に備える、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記第1の中空体(2)は、負圧源に接続されるよう構成される、請求項1~5のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記第2の中空体(3)は、正圧源又は負圧源に接続されるよう構成される、請求項1~6のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記ノズルリング(4)は、前記第1の中空体(2)と前記第2の中空体(3)との間の前記媒体の流れを制御するための少なくとも1つのノズル(7)を備える、請求項1~7のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記装置(1)は、前記ノズルリング(4)を移動させるための前記駆動装置(6)を更に備える、請求項1~8のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記駆動装置(6)は電気モータ又は空気圧モータである、請求項9に記載の装置(1)。
【請求項11】
前記第1の中空体(2)及び/又は前記第2の中空体(3)は、少なくとも1つのフィルタを備える、請求項1~10のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項12】
清掃対象の前記被加工物を保持するための保持手段を更に備える、請求項1~11のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項13】
被加工物の非接触清掃のための方法であって、前記方法は:
清掃対象の前記被加工物を、第1の中空体(2)の第1の投入開口(2a)を介して、前記第1の中空体(2)の中に少なくとも部分的に挿入するステップ;
可動ノズルリング(4)を介して空気を前記第1の中空体(2)へと送り込むことにより、前記第1の中空体(2)内に空気流を生成するステップであって、前記可動ノズルリング(4)は前記第1の中空体(2)と第2の中空体(3)との間に配置され、前記第2の中空体(3)は前記第1の中空体(2)を少なくとも部分的に取り囲む、ステップ;及び
前記ノズルリング(4)を同時に移動させるステップ
を含む、方法。
【請求項14】
イオンを前記空気流へと放出するステップを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
清掃対象の前記被加工物を、生成された前記空気流中で移動させるステップを更に含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触式清掃装置、特に被加工物に付着した粒子を除去するための清掃装置、及び対応する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被加工物、特にプラスチック製の被加工物の製造中に、製造プロセス、例えば被加工物のミーリング又はラビング中の被加工物の製造条件又は機械加工は、製造されることになる又は機械加工されることになる被加工物の表面における粒子の付着をもたらすことが多い。これらの粒子は最終製品の外観を損なうだけでなく、例えばとりわけ被加工物がニスを塗られることになる場合に、更なる処理ステップに不利になり得る。更に、例えば被加工物が精密工学の部品である場合に、付着した粒子自体が先に被加工物の適切な機能を妨げてしまうほど小さな被加工物を、製造又は機械加工することも考えられる。
【0003】
このような粒子を被加工物の表面から除去するために、被加工物は通常、圧縮空気を吹きかけられ、これにより粒子は表面から吹き飛ばされる。
【0004】
粒子をこのように吹き飛ばすことは、被加工物の表面に粒子が存在しないという利点を有し得るが、周囲における粒子の散乱にもつながり、従って粒子は後で再び被加工物に付着するおそれがある。更なる欠点は、クリーンルーム環境において生じる。粒子が周囲に散乱した場合、クリーンルームは汚染される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、上述の欠点を有さず、複雑でコストがかかる組立体の必要性がなく、周囲の汚染を回避する、被加工物の簡単な非接触の清掃を提供する、装置及び方法を提供することを目的とする。更に、圧縮空気によって動作しない装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、本発明による被加工物の非接触清掃のための装置によって達成され、上記装置は、清掃対象の上記被加工物を少なくとも部分的に受け入れるよう構成された、第1の中空体を備える。上記中空体は所定の空間を取り囲む。上記中空体は、少なくとも1つの投入開口を備えてよく、これは、清掃対象の被加工物を上記中空体へと少なくとも部分的に挿入できるように寸法設定される。更に、上記中空体は第2の投入開口を備えてよく、上記第2の投入開口は排出開口とも呼んでよい。この排出開口は、負圧源に接続されるよう構成してよく、上記投入開口と上記排出開口との間で吸引が発生する。この吸引により、上記第1の中空体に空気流がもたらされる。ここでは「空気」流と呼ばれているものの、本発明による装置がその中で使用される媒体の流れが生成されることになることは、当業者には理解されるだろう。例えば、本発明による装置が不活性ガス雰囲気中で使用される場合には、不活性ガスの流れが生成される。一般に、上記装置がその中で使用される媒体の流れが生成されると言うことができる。
【0007】
本発明による装置は更に、上記第1の中空体を少なくとも部分的に取り囲む第2の中空体を備える。ここで両方の中空体は、共通の投入又は排出開口を備えてよい。例えば、上記第1及び第2の中空体は、同軸チューブ(即ちチューブインチューブ)を形成してよく、ここでインナーチューブは上記第1の中空体によって形成され、アウターチューブは第2の中空体によって形成される。ここでは「チューブ」と呼ばれているものの、上記中空体は任意の幾何学的形状を有することができ、例えば正方形又は楕円形に形成してよいことは、当業者には理解されるだろう。
【0008】
本発明によると、両方の中空体の間の接続は、上記第1の中空体と第2の中空体との間の媒体の流れを可能とする可動ノズルリングの形態で作製される。例えば、上記第1の中空体内に生成された吸引に加えて、空気を、上記第2の中空体及び上記ノズルリングを介して、上記第1の中空体へと送り込むことができる。上記ノズルリングが可動であることにより、例えば駆動装置によって駆動されることにより、上記第1の中空体へと送り込まれた空気がねじれ、上記第1の中空体内に乱流が生成される。上記乱流により、清掃対象の被加工物に対する空気流の印加を増大させることができる。更に、上記乱流は、空気流が清掃対象の被加工物に一貫して異なる角度で衝突し、従って付着した粒子をより良好に吹き飛ばすことができるという利点を提供する。除去された粒子は、上記第1の中空体を通って負圧源の方向に吸引され、従って周囲には届かない。生成された上記乱流により、低い負圧でも、空気流が清掃効果の増大を達成するのに十分である。よって、上記第1の中空体の上記排出開口は、空気ブロワの取り入れ口に接続してよく、上記第2の中空体の上記投入開口は、上記空気ブロワの出口に接続してよい。これにより、空気は上記第1の中空体と上記第2の中空体との間で循環する。上記空気ブロワは上記第1の中空体から空気を吸引し、上記空気を、上記第2の中空体及び上記可動ノズルリングを介して、上記第1の中空体へと送り込むと言うこともできる。
【0009】
従って本発明による装置は、周囲を汚染することなく被加工物の簡単な清掃が可能であるという利点を提供する。本発明による装置の更なる利点は、上記被加工物を清掃するのに圧縮空気が不要となる点であり、これは圧縮空気による清掃に不可欠であるオイルも濃縮分離装置も必要ないことを意味する。
【0010】
本発明の好ましい一実施形態では、上記第1の中空体は、例えば、その投入開口に、上記被加工物の上記表面に静的に付着した粒子を除去するためのイオナイザを備える。上記イオナイザは接続可能な高電圧を用いてイオンを放出でき、上記イオナイザの周りの空気又は媒体は少なくとも部分的にイオン化される。イオン化された空気流が上記被加工物の上記表面に直接向けられた場合、上記被加工物の上記表面に静電気が放電され、静的に付着した粒子を吹き飛ばすことができる。上記イオナイザは複数のイオナイザチップを備えてよい。上記イオナイザチップは、エミッタチップとも呼ばれる場合があり、高圧電源に接続してよい。上記イオナイザチップは、上記第1の中空体の上記投入開口上又は上記投入開口の中に、周方向に配置してよい。上記イオナイザチップのこのような配置は、イオナイザクラウン又はイオナイザリングと呼ぶこともできる。上記イオナイザチップは全て同じ電荷のイオンを放出してよく、又は異なるイオナイザチップが異なる電荷のイオンを放出してよい。これにより、様々な表面荷電プロファイルを考慮できるようになり、即ち両方の極性のイオンを放出できることによって、静電荷を中和して、粒子の静的な付着を除去できる。ここで、例えば陽イオンを放出するイオナイザチップを、陰イオンを放出するイオナイザチップと交互にしてよい。更に、2つのイオナイザクラウンを互いに対してオフセットした状態で配設することもでき、ここでは各イオナイザクラウンが1つの特定の極性のイオンを放出する。
【0011】
本発明の好ましい一実施形態では、上記ノズルリングは少なくとも1つのノズルを備える。上記少なくとも1つのノズルにより、上記第1の中空体と上記第2の中空体との間の媒体の流れが可能となり得る。上記ノズルリングの運動により、上記少なくとも1つのノズルは1つの場所で静止したままとならず、経時的に位置を変える。上記ノズルはまた、上記ノズルの配向が調整可能であり、上記ノズルリングの運動中に変化し得るように、構成できる。この調整は例えば、上記ノズルリングの回転中に変更され得る。更に、上記媒体の流れを、標的を定めて調整できるように、上記少なくとも1つのノズルの形状及びサイズを変更することもできる。また、複数のノズルを、上記第1の中空体と上記第2の中空体との間に構成してよい。上記ノズルは例えば用途に応じて交換可能であってよく、これにより例えば、媒体の流れを清掃対象の上記被加工物の幾何学的形状に対して調整できる。更に、上記被加工物を上記第1の中空体へと挿入する間、例えば上記被加工物の非接触走査を実施でき、上記少なくとも1つのノズルは、上記被加工物の幾何学的形状に合う最適化された媒体の流れを生成できるように、自動的に調整され得る。これもまた上記被加工物の形状及び幾何学的形状に対して調整され得る上記ノズルリングの運動についても同様である。上記被加工物の幾何学的形状が分かっている場合、上記少なくとも1つのノズル及び対応する上記ノズルリングの運動の自動調整が、上記第1の中空体内における上記被加工物の挿入深さに基づいて実施されるように、上記少なくとも1つのノズル及びその調整機構を調整することも可能である。
【0012】
本発明の更なる好ましい実施形態では、駆動装置は上記可動ノズルリングを移動させる。この移動は、直接移動又は間接移動であってよい。例えば、上記駆動装置の運動が上記ノズルリングに直接伝達されて、上記ノズルリングが上記駆動装置の運動に従って移動されるように、上記駆動装置を上記ノズルリングに連結してよい。しかしながら、上記駆動装置を、例えば伝動装置、ギヤアセンブリ、又は駆動ベルトを用いて、上記ノズルリングに間接的に連結することもできる。この場合、上記駆動装置の運動は上記ノズルリングに直接伝達されない。これは、上記駆動装置を上記ノズルリングに対してオフセットした状態で配設できるという利点を有する。上述の例では、上記駆動装置の運動は、例えば上記伝動装置、上記ギヤアセンブリ、又は上記駆動ベルトにまず伝達され、その後上記ノズルリングに伝達される。しかしながら当業者は、この運動の伝達が例示的なものにすぎず、伝達の他の可能性も包含されることを認識する。電気モータ又は空気圧モータを駆動装置として利用してよい。モータは例えば、上記ノズルリングの一部分であってもよい。上記モータを上記第1の中空体又は上記第2の中空体の一部とすることも、これらとは別個のものとすることもできる。しかしながら、上記駆動装置は上記ノズルリング自体の設計によって実現することもでき、従って上記ノズルリングは、上記第1及び/又は第2の中空体に流れ込む空気によって上記ノズルリングを移動させる、フィン、ベーン等を備えることができる。
【0013】
本発明の別の更なる実施形態では、上記第1及び/又は第2の中空体は少なくとも1つのフィルタを備える。上記少なくとも1つのフィルタは例えば、上記第1の中空体の上記排出開口の中に、又は上記第1の中空体の上記排出開口に配置してよい。上記フィルタは、吹き飛ばされた粒子を受け止めることができ、これにより上記吹き飛ばされた粒子は、上記排出開口に接続された上記負圧源に到達すらしない。上記少なくとも1つのフィルタは交換可能であってよい。当業者は、1つのフィルタを配備できるだけでなく、例えば異なるサイズの粒子のフィルタであってよい複数のフィルタを配備してよいことを認識する。更に又はあるいは、少なくとも1つのフィルタを上記第2の中空体の上記投入開口に配置してよい。この少なくとも1つのフィルタは、空気流中の粒子が上記ノズルリングを通って清掃対象の被加工物に到達するのを防止できる。また、上記フィルタは、交換可能であってよく、複数のフィルタからなってよい。
【0014】
本発明による装置の別の好ましい実施形態では、上記装置は更に、上記被加工物を上記第1の中空体内の特定の位置に保持するための保持手段を備える。例えば、上記保持手段は、上記被加工物を上記第1の中空体内の特定の位置に保持できる。上記保持手段が上記被加工物を保持し、上記第1の中空体内で少なくとも部分的に移動させることも可能である。ここで上記保持手段は、上記第1の中空体内で上記被加工物の回転を生成でき、これにより空気流は上記被加工物の表面全体の周りを最適に流れることができ、付着した粒子は除去される。
【0015】
本発明による装置の別の好ましい実施形態では、上記第1の中空体は、上記被加工物が上記中空体に深く挿入されすぎる、又は上記負圧源によって吸引されるのを防ぐ、制限手段を備える。例えば、上記中空体はその内側にグリッドを備えてよく、上記グリッドは、上記被加工物が上記負圧源によって吸引された場合に、上記被加工物を保持するように構成される。
【0016】
本発明による装置の別の好ましい実施形態では、清掃対象の上記被加工物は、上記第1の中空体へと挿入され、上記第1の中空体を通って移動する。ここで、清掃対象の上記被加工物は、ある手段によって強制的にガイドされても、重力によって移動してもよい。後者の場合、清掃対象の上記被加工物は上記装置を通って落下し、落下中に清掃されると言うこともできる。
【0017】
本発明による装置の別の好ましい実施形態では、上記装置は更なる開口を備え、上記開口を通して、別の媒体を上記第1の中空体へと導くことができる。上記更なる媒体は例えば、上記第1の中空体を通って吸引される媒体とは異なっていてよい。上記更なる媒体は例えば、清掃用媒体であってよい。
【0018】
本発明による装置の別の好ましい実施形態では、上記装置は、上記第1の中空体の上記投入開口の領域に、コントローラに連結された少なくとも1つの圧力センサ又は空気量測定デバイスを備える。上記コントローラは、測定値に基づいて上記負圧源を制御でき、また接続された正圧源が存在する場合はこの正圧源、及び上記ノズルリングの運動を制御できる。
【0019】
別の好ましい実施形態では、本発明による複数の装置は、カスケード様式で連続して配置してよい。ここで、上記装置は前後に直接並べて配置してよく、即ち第1の装置の上記第1の中空体の少なくとも1つの排出開口を、第2の装置の上記第1の中空体の投入開口に接続するようにしてよく、あるいは上記装置は、互いからある距離を置いて配置してよい。清掃対象の上記被加工物は、連続して配置された全ての装置を通って、移動されるか又は落下してよく、様々な程度の汚染を除去できる。
【0020】
上述の必要性は、被加工物の上記非接触清掃による方法によって満たされる。本発明による方法は、清掃対象の上記被加工物を、上記第1の中空体の第1の投入開口を介して、第1の中空体の中に少なくとも部分的に挿入するステップ、可動ノズルリングを用いて空気を上記第1の中空体へと送り込むことにより、上記第1の中空体内に空気流を生成するステップを含み、上記可動ノズルリングは、上記第1の中空体と上記第2の中空体との間に配置され、上記第2の中空体は、上記第1の中空体を少なくとも部分的に取り囲み、上記ノズルリングを同時に移動させる。
【0021】
本発明による方法の別の好ましい実施形態では、上記方法は、イオンを上記空気流へと放出するステップを含む。
【0022】
本発明による方法の別の好ましい実施形態では、上記方法は、清掃対象の上記被加工物を生成された上記空気流中で移動させるステップを含む。上記被加工物を移動させる上記ステップは例えば、保持手段によって達成してよく、上記保持手段は、清掃対象の上記被加工物を上記第1の中空体内で回転させ、これにより上記空気流は、上記被加工物の周りで最適に流れることができ、表面に付着した粒子を吹き飛ばすことができる。清掃対象の上記被加工物は例えば、上記装置を通って、即ち上記第1の中空体の上記投入開口から上記第1の中空体の排出開口まで移動してよい。
【0023】
本発明による方法の別の好ましい実施形態では、上記方法は、清掃手順の完了後に、上記被加工物を上記第1の中空体から取り外すステップを含む。これは、上記被加工物を挿入した上記投入開口を介して、上記被加工物が上記第1の中空体から取り外されることを意味する。これは、上記被加工物が吹き飛ばされる粒子の方向に移動するため、上記被加工物が再び汚染されるリスクがないという利点を有する。
【0024】
以下において、添付の図面に示される一例示的実施形態に基づいて、本発明をより詳細に説明する。本発明の主題の更なる詳細、特徴及び利点は、以下で説明される例示的実施形態から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明による装置の例示的実施形態の図
図2図1に示した本発明による装置の例示的実施形態の垂直断面図
図3図1に示した本発明による装置の例示的実施形態を通る、図2に示した垂直断面図の3Dビュー
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明による装置1の例示的実施形態を示す。図示した例示的実施形態では、装置1は同軸チューブで構成される構造を有する。これは、装置1が投入開口2a及び排出開口2bを備えるインナーチューブ2(第1の中空体を表す)からなることを意味する。第1の開口2aと第2の開口2bとの間で、媒体が流れてよい。図示した例示的実施形態では、装置1は更に、第1のチューブ2を少なくとも部分的に取り囲む第2のチューブ3(第2の中空体を表す)を備える。第1のチューブ2はインナーチューブ又は内側中空体であり、第2のチューブはアウターチューブ又は外側中空体であると言うことができる。第2のチューブ3は投入開口3aを備え、図示した例示的実施形態では、内部で第1のチューブ2に接続されており、これにより、第2のチューブ3の投入開口3aと第1のチューブ2との間の媒体の流れが可能となる。例えば、ブロワの出口を開口3aに接続でき、これにより媒体をアウターチューブ3からインナーチューブ2へと送り込むことができ、その結果、第1のチューブ2内において、その投入開口2aからその排出開口2bへの媒体の流れが生じる。続いて、空気流を増大させるために、第1のチューブ2の内側から空気を更に吸引できる負圧源を、第1のチューブ2の排出開口2bに接続してよい。負圧源は例えば、第2のチューブ3の投入開口3aを介して第1のチューブ2へと空気を送り込むブロワの入口であってよい。第1のチューブ2内の媒体の流れは、清掃対象の被加工物が投入開口2aを通ってチューブ2へと移動する際に発生し、生成された媒体の流れは被加工物を取り囲む。これによって、付着した粒子は吹き飛ばされて第1のチューブ2の排出開口2bの方向に移動し、ここでこれらの粒子をフィルタ(図示せず)で受け止めることができる。
【0027】
被加工物の周りで最適な空気流を達成するために、可動ノズルリング(図示せず)を、第1のチューブ2と第2のチューブ3との接続の間に配置する。上記ノズルリングは、第2のチューブ3に送り込まれた空気を、少なくとも1つのノズルを介して、第1のチューブ2へとガイドし、ここでノズルリングの運動によって乱流が生成され、この乱流は、第1のチューブ2内での吸引を増大させるだけでなく、異なる角度で清掃対象の被加工物に衝突する空気流も生成する。ここで図示した例示的実施形態では、ノズルリングは駆動装置6を介して移動される。
【0028】
静的に付着した粒子を被加工物から離すために、イオナイザ(ここでは図示せず)を投入開口2aの中に、又は投入開口2aに配置してよく、このイオナイザは高電圧によって、被加工物の表面荷電の中和をもたらすイオンを放出でき、これにより静的に付着した粒子を吹き飛ばすことができる。
【0029】
図2は、図1に示した本発明による装置1の例示的実施形態の垂直断面図を示す。図示した例示的実施形態では、インナーチューブ2がアウターチューブ3によって少なくとも部分的に取り囲まれている。図示した例示的実施形態では、第1のチューブ2と第2のチューブ3との間にノズルリング4が配置され、これは図示した例示的実施形態では少なくとも1つのノズル7を備える。例えば、ブロワがアウターチューブ3の投入開口3aに接続される場合、空気はノズル7を通って送り込まれる。これによって、ノズル7とインナーチューブ2との間に媒体流が生成される。ベルヌーイ効果によって、媒体はまた、この媒体流から投入開口2aを通って吸引され、これにより投入開口2aと排出開口2bとの間に媒体流が生成される。ここで図示した例示的実施形態では、投入開口2aは、媒体流を促進するために漏斗形状である。更に、排出開口2bも負圧源に接続してよい。(ここで図示した例示的実施形態では、第1のチューブ2の空洞と第2のチューブ3の空洞との間の境界を表し、これらを互いから隔てる)ノズルリング4の運動により、空気は、第2のチューブ3と第1のチューブ2との間で少なくとも1つのノズル7のみを通って流れることができる。駆動装置6によってノズルリング4を移動させると、少なくとも1つのノズル7の位置は経時的に変化する。少なくとも1つのノズル7は、円周経路上で移動すると言うこともできる。ノズルリング4、及び従って少なくとも1つのノズル7の運動によって、第1のチューブ2の中で周期的な乱流が生成される。上記乱流は、ベルヌーイ効果を増大させることによって、より強い吸引を発生させるだけでなく、清掃対象の被加工物を異なる角度の空気流に曝露する。ノズルリング4を摩擦係数が低い材料でコーティングすることにより、ノズルリング4と第1のチューブ2及び第2のチューブ3との間の摩擦を、可能な限り小さくすることができる。ノズルリング4並びに/又は第1のチューブ2及び第2のチューブ3を、ノズルリング4と第1のチューブ2及び第2のチューブ3との間の接触位置においてのみ、摩擦係数が低い材料でコーティングすることも可能である。
【0030】
ここで図示した例示的実施形態では、ノズルリング4は、ギヤアセンブリ8を介してノズルリング4に接続された駆動装置6を用いて移動される。このために、ノズルリング4は、その外側、即ち第2のチューブ3に面する側にリングギヤを備え、これはギヤアセンブリ8のギヤに接触し、ギヤアセンブリ8は駆動装置6のギヤに接続される。ここでギヤアセンブリ8は、駆動装置6とノズルリング4との間のギヤ機構として作用し、これによりノズルリング4の毎分回転数は、駆動装置6の毎分回転数と比較して高くなる。しかしながら当業者は、運動伝達の説明された例は例示的なものにすぎず、他の運動伝達も包含されることを認識する。例えば、駆動ベルトがノズルリング4の周りに延在し、これが駆動装置6によって移動されることも考えられる。しかしながら、駆動装置6自体がノズルリング4の一部となることも考えられる。更に、ノズルリング4はフィン又はベーンを備えてよく、これは、第2のチューブ3の投入開口3aへと送り込まれた空気によって、ノズルリング4の運動を確実に開始させる。
【0031】
図示した例示的実施形態では、装置1は、第1のチューブ2の投入開口2aの周りに延周方向にイオナイザチップ5a、5b、5cを備え、これらはイオナイザ5を形成する。ここでイオナイザ5は、接続9を介して高圧電源に接続できる。高電圧は、イオナイザチップ5a、5b、5cにおいて、被加工物の静電荷を中和できるイオンを生成する。イオナイザチップ5a、5b、5cによって放出されるイオンは、生成された媒体の流れによってインナーチューブ2へと運ばれ、そこに挿入されることになる被加工物に衝突でき、ここで対応する中和が行われる。
【0032】
図3は、図1に示した本発明による装置の例示的実施形態を通る、図2の垂直断面図の3Dビューを示す。図示した例示的実施形態では、インナーチューブ2の排出開口2b及びアウターチューブ3の投入開口3aはそれぞれ、負圧源及び正圧源をそれぞれの開口に接続するために、ねじを備える。
【0033】
ここで説明された例示的実施形態は例示的な性質のものであり、ここで説明された全ての要素、手段、構成部品、及び特徴は異なる構成とすることができるが、それでもなお、ここで説明した基本的な機能を果たすことができることを、当業者は理解するだろう。
【符号の説明】
【0034】
1 装置
2 インナーチューブ、第1のチューブ
2a 第1のチューブ2の投入開口、第1の開口
2b 第1のチューブ2の排出開口、第2の開口
3 アウターチューブ、第2のチューブ
3a 第2のチューブ3の投入開口
4 ノズルリング
5 イオナイザ
5a、5b、5c イオナイザチップ
6 駆動装置
7 ノズル
8 ギヤアセンブリ
9 接続
図1
図2
図3
【国際調査報告】