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特表2022-506961建物情報モデリングによる建設管理および設備の位置決めのためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(54)【発明の名称】建物情報モデリングによる建設管理および設備の位置決めのためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20220107BHJP
   G01S 1/68 20060101ALI20220107BHJP
   E04G 21/14 20060101ALI20220107BHJP
   E04G 21/12 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
G06Q50/08
G01S1/68
E04G21/14 ESW
E04G21/12 105Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021525125
(86)(22)【出願日】2019-11-09
(85)【翻訳文提出日】2021-07-01
(86)【国際出願番号】 US2019060653
(87)【国際公開番号】W WO2020097589
(87)【国際公開日】2020-05-14
(31)【優先権主張番号】62/794,905
(32)【優先日】2019-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/841,217
(32)【優先日】2019-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/186,247
(32)【優先日】2018-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】521195858
【氏名又は名称】アンカー リング ソリューションズ、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フガーロ、ジョセフ、エイ.ザ サード
(72)【発明者】
【氏名】マーラ、ジョン、ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ウォルシュ、ジェイムズ、アール.
(72)【発明者】
【氏名】フガーロ、ジョセフ、ザ フォース
【テーマコード(参考)】
2E174
5L049
【Fターム(参考)】
2E174DA01
2E174DA40
2E174DA41
5L049CC07
(57)【要約】
システム、方法、および装置は、建設現場に建設される建物の建物モデルを生成することと、建物モデルの構造要素内に、1つ以上のアンカー装置を設置するための、建物モデル内の位置的場所を識別することと、建物モデルを建設現場のポータブルコンピューティングデバイスに送信することと、所与の位置的場所へのポータブルコンピューティングデバイスの場所を識別することと、を含む。少なくとも生成ステップ、識別ステップ、送信ステップ、および識別ステップが、プロセッサおよびメモリを含む少なくとも1つの処理デバイスを介して実装される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
建設現場に建設される建物の建物モデルを生成することと、
前記建物モデルの構造要素内に、1つ以上のアンカー装置を設置するための、前記建物モデル内の位置的場所を識別することと、
前記建物モデルを前記建設現場のポータブルコンピューティングデバイスに送信することと、
所与の位置的場所への前記ポータブルコンピューティングデバイスの場所を識別することと、を含み、
少なくとも前記生成ステップ、識別ステップ、送信ステップ、および識別ステップが、プロセッサおよびメモリを含む少なくとも1つの処理デバイスを介して実装される、方法。
【請求項2】
前記所与の位置的場所に1つのアンカー装置を設置することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第2の所与の位置的場所の場所を識別することを含み、
前記所与の位置的場所に1つのアンカー装置を設置することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記構造要素が、梁、柱、桁、床、および天井のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記構造要素が、コンクリートを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
モデルを生成することが、サーバの建物情報モデリングモジュールを利用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記建設現場でポータブルコンピューティングデバイスを利用して、オペレータが前記建物の前記対応する位置的場所を識別することを補助することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記建物モデル内の位置的場所を識別することが、
前記ポータブルコンピューティングデバイス内の位置インジケータモジュールを利用して、前記モデル上の所与の位置的場所に対する前記ポータブルコンピューティングデバイスの場所を示すことを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記位置インジケータを利用することが、前記ポータブルコンピューティングデバイスの少なくとも1つの構成要素またはセンサを利用して、前記所与の位置的場所に対する前記ポータブルコンピューティングデバイスの前記場所を識別することを補助することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項10】
前記ポータブルコンピューティングデバイスの少なくとも1つの構成要素またはセンサを利用することが、前記パーソナルコンピューティングデバイスのWIFI、Bluetooth、カメラ、GPSセンサ、ジャイロスコープ、磁力計、加速度計、近接センサ、またはRFIDセンサのうちの1つ以上からフィードバックを受信することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上のアンカー装置上の視覚しるしデータを走査して、前記1つ以上のアンカー装置の製造属性または前記1つ以上のアンカー装置の設置属性に関する情報を確認することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記視覚しるしデータを前記ポータブルコンピューティングデバイスまたは前記ポータブルコンピューティングデバイスに関連付けられたサーバのうちの1つに送信することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記製造属性が、前記1つ以上のアンカー装置の製造、流通業者、ロット、またはモデルのうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記設置属性が、設置者、設置日、または監督者のうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
視覚しるしデータを走査することが、前記パーソナルコンピューティングデバイスの前記RFIDセンサを利用して、前記1つ以上のアンカー装置の構成要素上のRFIDタグを走査することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
コンピュータのプロセッサで実行されると、前記コンピュータに請求項1に記載のステップを実装させるコンピュータプログラムコードで符号化された非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項17】
システムであって、
1つ以上のメモリに操作可能に結合された1つ以上のプロセッサであって、
建設現場に建設される建物の建物モデルを生成することと、
前記建物モデルの構造要素内に、1つ以上のアンカー装置を設置するための、前記建物モデル内の位置的場所を識別することと、
前記建物モデルを前記建設現場のポータブルコンピューティングデバイスに送信することと、
所与の位置的場所への前記ポータブルコンピューティングデバイスの場所を識別することと、を行うように構成された、1つ以上のプロセッサを含む、システム。
【請求項18】
コンクリート支持体内に設置するためのアンカーシステムであって、
少なくとも1つのアンカー装置であって、
コンクリート支持体を形成するために使用される型枠板に対して固定するように構成されたロックプレートと、
建築ツールと接続するためのコネクタセグメントを一端に含む細長いアンカーと、
前記細長いアンカーに取り付けられたカプラであって、前記カプラが、前記細長いアンカーを前記ロックプレートに少なくとも部分的に固定するために前記ロックプレートに結合されるように操作可能である、カプラと、
前記細長いアンカーの周囲に取り付けられ、前記カプラおよび前記ロックプレートの上に位置決めするために移動可能なカバーと、を含む、少なくとも1つのアンカー装置を含む、アンカーシステム。
【請求項19】
前記カプラが、前記細長いアンカーの前記コネクタセグメントを少なくとも部分的に受容するように構成された中央開口部を画定し、前記カプラおよび前記接続セグメントが、前記カプラおよび前記細長いアンカーを解放可能に固定するための協働構造を含む、請求項18に記載のアンカーシステム。
【請求項20】
前記カプラが、前記開口部を少なくとも部分的に制限する内部ネジ山を画定し、前記アンカーの前記コネクタセグメントが、前記カプラおよび前記細長いアンカーを解放可能に固定するために前記カプラの前記内部ネジ山とネジ係合するように構成された外部ネジ山を含む、請求項19に記載のアンカーシステム。
【請求項21】
前記ロックプレートおよび前記カプラが、前記カプラを前記ロックプレートに固定するように構成された協働構造を含む、請求項20に記載のアンカーシステム。
【請求項22】
前記ロックプレートが、プレート開口と、前記プレート開口に隣接する少なくとも1つの鍵付きスロットと、を画定し、
前記カプラが、前記カプラ開口部を画定する中央セグメントと、前記中央セグメントからぶら下がる少なくとも1つの翼部と、を含み、前記中央セグメントおよび前記少なくとも1つの翼部が、前記カプラおよび前記ロックプレートの第1の回転配向にあるときに、それぞれ、前記ロックプレートの前記プレート開口および前記少なくとも1つの鍵付きスロット内で受容可能であり、それによって、前記カプラおよび前記ロックプレートのその第2の回転配向への相対的な回転運動が、前記カプラを前記ロックプレートに少なくとも部分的に固定する、請求項21に記載のアンカーシステム。
【請求項23】
前記ロックプレートが、2つの対向する鍵付きスロットを画定し、前記カプラが、前記カプラおよび前記ロックプレートの前記第1の回転配向にあるときに、前記2つの対向する鍵付きスロット内で受容されるように、対応して寸法決定された2つの対向する翼部を含む、請求項22に記載のアンカーシステム。
【請求項24】
前記カバーが、前記細長いアンカーを受容するためのカバー通路を画定する、請求項23に記載のアンカーシステム。
【請求項25】
前記カバーが、前記カバー通路を制限する内側ネジ山を画定し、前記内側ネジ山が、前記細長いアンカーの前記外部ネジ山と協働して、前記カバーを前記細長いアンカーに対して前進させるように構成されている、請求項24に記載のアンカーシステム。
【請求項26】
前記ロックプレートが、前記ロックプレートを前記型枠板に固定するための締結具を受容するように構成された少なくとも1つの締結具開口部を含む、請求項25に記載のアンカーシステム。
【請求項27】
複数のアンカー装置を含む、請求項26に記載のアンカーシステム。
【請求項28】
建設方法であって、
少なくとも1つのアンカー装置を、コンクリート支持構造を作成するために利用される型枠に据え付けることであって、
前記少なくとも1つのアンカー装置のロックプレートを前記型枠の板に固定することと、
前記少なくとも1つのアンカー装置の細長いアンカーを前記ロックプレートに結合することであって、前記細長いアンカーが、外部ネジ山を含む、結合することと、
前記板に対して位置決めするために、前記少なくとも1つのアンカー装置のカバーを前記細長いアンカーに沿って前進させることと、
前記型枠内にコンクリートを堆積させて、前記コンクリート支持構造を作成し、それによって、前記カバーが、前記細長いアンカーの前記外部ネジ山の少なくとも一部分を前記コンクリートから隔離することと、
前記板を取り外して、前記カバー、および前記細長いアンカーの前記外部ネジ山の少なくとも前記一部分を少なくとも部分的に露出させることと、を含む、据え付けることと、を含む、建設方法。
【請求項29】
コンクリートを堆積することが、前記カバー内に隔離された内部空洞を確立することを含み、前記アンカーの前記外部ネジ山の少なくとも前記一部分が、前記内部空洞内に延在している、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記細長いアンカーを結合することが、前記細長いアンカーの前記外部ネジ山の周りに前記少なくとも1つのアンカー装置のカプラを取り付け、前記カプラを前記ロックプレートに接続することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記カプラが、内部ネジ山を含み、前記カプラを取り付けることが、前記カプラを前記アンカーの前記外部ネジ山とネジ係合させることを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記ロックプレートが、プレート開口と、前記プレート開口に隣接する少なくとも1つの鍵付きスロットと、を画定し、前記カプラが、前記カプラ開口部を画定する中央セグメントと、前記中央セグメントからぶら下がる少なくとも1つの翼部と、を含み、
前記方法が、前記ロックプレートの前記プレート開口および前記少なくとも1つの鍵付きスロット内に、前記中央セグメントおよび前記少なくとも1つの翼部をそれぞれ位置決めすることと、前記カプラを回転させて前記カプラおよび前記アンカーを前記ロックプレートに対して固定することと、をさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記カバーが、内部ネジ山を有するカバー通路を画定し、前記カバーを前進させることが、前記カバーの前記内部ネジ山を前記細長いアンカーの前記外部ネジ山とネジ結合させることを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記板を取り外した後に、前記アンカーの前記外部ネジ山の前記少なくとも一部分に対してツールを取り付けることをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記ツールが、ネジ山セグメントを含み、前記ツールを取り付けることが、前記ツールを前記アンカーの前記外部ネジ山の前記一部分とネジ結合させることを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記ツールで建設設備を支持することを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
複数のアンカー装置を前記型枠に据え付けることを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項38】
前記ツールが、アンカークランプである、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
コンクリート支持体内に設置するためのアンカーシステムであって、
少なくとも1つのアンカー装置であって、
コンクリート支持体を形成するために使用される型枠板に対して固定するように構成されたロックプレートと、
建築ツールと接続するためのコネクタセグメントを一端に含む細長いアンカーと、
前記細長いアンカーに取り付けられたカプラであって、前記カプラが、前記細長いアンカーを前記ロックプレートに少なくとも部分的に固定するために前記ロックプレートに結合されるように操作可能である、カプラと、
前記細長いアンカーの周囲に取り付けられ、前記カプラおよび前記ロックプレートの上に位置決めするために移動可能なカバーと、
前記細長いアンカーの前記コネクタセグメントと係合可能なアンカークランプと、を含む、少なくとも1つのアンカー装置を含む、アンカーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年11月9日に出願された米国特許出願第16/186,247号、2019年1月21日に出願された米国特許仮出願第62/794,905号、および2019年4月30日に出願された米国特許仮出願第62/794,905号の利益および優先権を主張し、各々の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
1.技術分野
本開示は、建設システムに関し、特に、建物情報モデリング(BIM)を介して建物設備を設置するためのシステムに関する。本開示はさらに、1つ以上の位置決めシステムと併せてBIMソフトウェアを利用する1つ以上のアンカー装置を設置するためのシステムに関する。1つ以上の位置決めシステムにより、BIMソフトウェアに従って、建物構造内の選択された位置にアンカー装置を正確に設置することが可能となる。さらに、本開示は、設置前または設置後の各アンカー装置に関するデータの収集をさらに可能とする。データには、ロット番号、メーカー、設置者、設置日、および現在または過去の目的のために追跡され得る任意の他のデータまたはメタデータが含まれるが、これらに限定されない。
【0003】
本開示はさらに、アンカー装置に関する。アンカー装置は、コンクリート支持構造を作成するために使用される型枠に対して取り付け可能である。コンクリートは、型枠で堆積されて硬化し、これにより、1つ以上のアンカー装置がコンクリート支持構造物に埋め込まれる。埋め込まれたアンカー装置は、容易にアクセス可能であり、建設現場内のダクトワーク、電気ケーブル、配管、スプリンクラー、安全ライン、またはフェンスなどの建設用品または設備と結合されるか、またはそれらを支持する。複数のアンカー装置がコンクリート型枠に対して取り付けられており、建設における全ての段階が容易となり、効率性および構造性を向上させ、コストおよび作業時間を大幅に削減する様式で建設材料を編成するためのシステムを作成することができる。さらに、実装形態のアンカーシステム、装置、および方法は、現在の商業および住宅建設慣行に実質的に影響を与え、これには、梁、フローリング、天井、屋根などの形態のコンクリート支持構造が組み込まれている。
【0004】
2.関連技術の背景
現在、住宅および/または商業用建物構造の建設中に、最終完成ユニットに組み込まれる様々な電気、配管、スプリンクラー、ダクトワーク用品などを収容するような規定が設けられている。コンクリートまたはコンクリート構造要素を伴って建設を行う場合、業者は、通常、硬化コンクリートにドリルを掘削して締結具、フック、ロッドなどを埋め込み、水平梁、垂直梁、または天井に沿って、例えば電線を結合して走らせる必要がある。硬化コンクリート内に締結具またはフックを埋め込むことは、煩雑で時間のかかる工程であり、コンクリートおよび/または構造の構造的完全性に影響を与える可能性がある。加えて、複数の業者、例えば、電気工事士、配管工、HVAC作業員が、追加の締結具、ボルトなどの設置のために梁構造へのアクセスを必要とする場合がある。これは、コンクリートの完全性にさらに潜在的な影響を与える可能性があるだけでなく、現場で仕上げ作業が実施される前に支持構造物へのアクセスを必要とする様々な業者にとって物流上の問題が提示されることとなる。
【発明の概要】
【0005】
したがって、本開示は、住宅および商業建設における業者を補助するための新規のシステム、装置、および方法を対象とする。システムおよび関連する方法は、現在の建設業界に多大な影響を与える。より具体的には、システムおよび方法は、1つ以上のアンカー装置を採用しており、1つ以上のアンカー装置は、例えば、型枠内にコンクリートを堆積させる前に支持構造を作成するために使用される型枠、木材、合板、または任意の材料型枠内に位置決めされる。コンクリート支持構造を硬化させると、型枠が取り外され、現在支持構造に埋め込まれているアンカー装置が容易に露出されて、複数の方法で利用され、これには、電線、配管、スプリンクラー、ダクトワーク、安全ストラップ、セーフティネットなどを支持することを含むが、これらに限定されない。複数のアンカー装置が、業者のニーズに対応して型枠内に位置決めされ得、コンクリートを注入する前に型枠内に戦略的に位置決めされて、特定の設備または供給品のレイアウトを業者が編成することを補助し得る。各アンカー装置は、例えば、追加の結合を通じて、相対的に容易に無制限の数の建設材料に結合することができ、必要に応じて、例えば、電気、配管、または安全設備(例えば、安全ストラップ、フック、周囲ケーブルシステム)を「走らせ」てもよい。各業者、例えば、電気工事士または配管工は、他の業者と干渉するリスクなしに、単一のコンクリート型枠に独自のアンカー装置システムを設置することができる。
【0006】
例示的な一実施形態では、方法は、建設現場に建設される建物の建物モデルを生成することと、建物モデルの構造要素内に、1つ以上のアンカー装置を設置するための、建物モデル内の位置的場所を識別することと、建物モデルを建設現場のポータブルコンピューティングデバイスに送信することと、所与の位置的場所に対するポータブルコンピューティングデバイスの場所を識別することと、を含む。生成ステップ、識別ステップ、送信ステップ、および識別ステップは、プロセッサおよびメモリを含む少なくとも1つの処理デバイスを介して実装される。
【0007】
方法は、所与の位置的場所に1つのアンカー装置を設置することをさらに含み得る。方法は、第2の所与の位置的場所の場所を識別することを含み得、第2の所与の位置的場所に1つのアンカー装置を設置することをさらに含み得る。
【0008】
構造要素は、梁、柱、桁、床、および天井のうちの少なくとも1つを含み得、コンクリートまたはセメントで形成され得る。
【0009】
実施形態では、モデルを生成することは、サーバの建物情報モデリングモジュールを利用することを含む。
【0010】
一部の実施形態では、建物モデルの位置的場所を識別することは、ポータブルコンピューティングデバイス内の位置インジケータモジュールを利用して、モデル上の所与の位置的場所に対するポータブルコンピューティングデバイスの場所を示すことを含む。
【0011】
ある特定の実施形態では、位置インジケータを利用することは、ポータブルコンピューティングデバイスの少なくとも1つの構成要素またはセンサを利用して、所与の位置的場所に対するポータブルコンピューティングデバイスの場所を識別することを補助することを含む。例えば、ポータブルコンピューティングデバイスの少なくとも1つの構成要素またはセンサを利用することは、パーソナルコンピューティングデバイスのWIFI、Bluetooth、カメラ、GPSセンサ、ジャイロスコープ、磁力計、加速度計、近接センサ、またはRFIDセンサのうちの1つ以上からフィードバックを受信することを含む。
【0012】
方法は、1つ以上のアンカー装置上の視覚しるしデータを走査して、1つ以上のアンカー装置の製造属性または1つ以上のアンカー装置の設置属性に関する情報を確認することをさらに含み得る。
【0013】
一部の実施形態では、方法は、視覚しるしデータをポータブルコンピューティングデバイスまたはポータブルコンピューティングデバイスに関連付けられたサーバのうちの1つに送信することをさらに含む。製造属性は、1つ以上のアンカー装置の製造、流通業者、ロット、またはモデルのうちの少なくとも1つを含み得る。製造属性は、設置者、設置日、または監督者のうちの少なくとも1つを含む。
【0014】
視覚しるしデータを走査することは、パーソナルコンピューティングデバイスのRFIDセンサを利用して、1つ以上のアンカー装置の構成要素上のRFIDタグを走査することを含み得る。
【0015】
コンピュータのプロセッサ上で実行されると、コンピュータに様々なステップを実装させるコンピュータプログラムコードで符号化された非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含む、コンピュータプログラム製品も想定される。
【0016】
システムも提供される。システムは、建設現場に建設される建物の建物モデルを生成することと、建物モデルの構造要素内に、1つ以上のアンカー装置を設置するための、建物モデル内の位置的場所を識別することと、建物モデルを建設現場のポータブルコンピューティングデバイスに送信することと、所与の位置的場所へのポータブルコンピューティングデバイスの場所を識別することと、を行うように構成された1つ以上のメモリに操作可能に結合された1つ以上のプロセッサを含む。
【0017】
例示的な一実施形態では、支持構造内に設置するためのアンカーシステムは、コンクリート支持体を形成するために使用される型枠板に対して固定するように構成されたロックプレートと、建築ツールと接続するためのコネクタセグメントを一端に有する細長いアンカーと、細長いアンカーに取り付けられたカプラと、細長いアンカーの周囲に取り付けられ、カプラおよびロックプレートの上に位置決めするために移動可能なカバーと、を有する、少なくとも1つのアンカー装置を含む。カプラは、細長いアンカーをロックプレートに少なくとも部分的に固定するためにロックプレートに結合されるように操作可能である。カプラは、細長いアンカーのコネクタセグメントを少なくとも部分的に受容するように構成された中央開口部を画定し、カプラおよび接続セグメントは、カプラおよび細長いアンカーを解放可能に固定するための協働構造を含む。実施形態では、カプラは、開口部を少なくとも部分的に制限する内部ネジ山を画定し、アンカーのコネクタセグメントは、カプラおよび細長いアンカーを解放可能に固定するためにカプラの内部ネジ山とネジ係合するように構成された外部ネジ山を含む。
【0018】
ロックプレートおよびカプラは、カプラをロックプレートに固定するように構成された協働構造を含む。ロックプレートは、プレート開口と、プレート開口に隣接する少なくとも1つの鍵付きスロットと、を画定し得る。カプラは、カプラ開口部を画定する中央セグメントと、中央セグメントからぶら下がる少なくとも1つの翼部と、を含む。中央セグメントおよび少なくとも1つの翼部は、カプラおよびロックプレートの第1の回転配向にあるときに、それぞれ、ロックプレートのプレート開口および少なくとも1つの鍵付きスロット内で受容可能であり、それによって、カプラおよびロックプレートのその第2の回転配向への相対的な回転運動が、カプラをロックプレートに少なくとも部分的に固定する。ロックプレートは、2つの対向する鍵付きスロットを画定し得、カプラは、カプラおよびロックプレートの第1の回転配向にあるときに、2つの対向する鍵付きスロット内で受容されるように、対応して寸法決定された2つの対向する翼部を含む。
【0019】
カバーは、細長いアンカーのコネクタセグメントを受容するためのカバー通路を画定する。実施形態では、カバーは、カバー通路を制限する内側ネジ山を画定し、内側ネジ山は、細長いアンカーのネジ山セグメントと協働して、カバーを細長いアンカーに対して前進させるように構成されている。
【0020】
ロックプレートは、ロックプレートを型枠板に固定するための締結具を受容するように構成された少なくとも1つの締結具開口部を含み得る。
【0021】
システムは、複数のアンカー装置を含み得る。
【0022】
例示的な一実施形態では、建設方法が開示される。方法は、少なくとも1つのアンカー装置を、コンクリート支持構造を作成するために利用される型枠に据え付けることであって、
少なくとも1つのアンカー装置のロックプレートを型枠の板に固定することと、
少なくとも1つのアンカー装置の細長いアンカーをロックプレートに結合することであって、細長いアンカーが、外部ネジ山を含む、結合することと、
板に対して位置決めするために、少なくとも1つのアンカー装置のカバーを細長いアンカーに沿って前進させることと、
型枠内にコンクリートを堆積させて、コンクリート支持構造を作成し、それによって、カバーが、細長いアンカーの外部ネジ山の少なくとも一部分をコンクリートから隔離することと、
板を取り外して、カバー、および細長いアンカーの外部ネジ山の少なくとも一部分を少なくとも部分的に露出させることと、によって据え付けることを含む。
【0023】
コンクリートを堆積することは、カバー内に隔離された内部空洞を確立することを含み得、アンカーの外部ネジ山の少なくとも一部分は、内部空洞内に延在している。細長いアンカーを結合することは、細長いアンカーの外部ネジ山の周りに少なくとも1つのアンカー装置のカプラを取り付け、カプラをロックプレートに接続することを含み得る。実施形態では、カプラは、内部ネジ山を含み、カプラを取り付けることは、カプラをアンカーの外部ネジ山とネジ係合させることを含む。ある特定の実施形態では、ロックプレートが、プレート開口と、プレート開口に隣接する少なくとも1つの鍵付きスロットと、を画定し、カプラが、カプラ開口部を画定する中央セグメントと、中央セグメントからぶら下がる少なくとも1つの翼部と、を含み、方法は、ロックプレートのプレート開口および少なくとも1つの鍵付きスロット内に中央セグメントおよび少なくとも1つの翼部をそれぞれ位置決めすることと、カプラを回転させてカプラおよびアンカーをロックプレートに対して固定することと、をさらに含む。
【0024】
カバーは、内部ネジ山を有するカバー通路を画定し得、カバーを前進させることは、カバーの内部ネジ山を細長いアンカーの外部ネジ山とネジ結合させることを含む。方法は、板を取り外した後に、アンカーの外部ネジ山の少なくとも一部分に対してツールを取り付けることをさらに含み得る。ツールは、ネジ山セグメントを含み得、ツールを取り付けることは、ツールをアンカーの外部ネジ山の一部分とネジ結合させることを含む。方法は、ツールを用いた建設設備、材料、供給品、安全フック、周囲落下ケーブルを支持することをさらに含み得る。ツールは、アンカークランプであり得る。方法はまた、複数のアンカー装置を型枠に据え付けることを含み得る。
【0025】
別の例示的な実施形態では、コンクリート支持体内に設置するためのアンカーシステムは、少なくとも1つのアンカー装置であって、コンクリート支持体を形成するために使用される型枠板に対して固定するように構成されたロックプレートと、建築ツールと接続するためのコネクタセグメントを一端に含む細長いアンカーと、細長いアンカーに取り付けられたカプラであって、細長いアンカーをロックプレートに少なくとも部分的に固定するためにロックプレートに結合されるように操作可能である、カプラと、細長いアンカーの周りに取り付けられ、カプラおよびロックプレートの上に位置決めするために移動可能なカバーと、細長いアンカーのコネクタセグメントと係合可能なアンカークランプと、を含む、少なくとも1つのアンカー装置を含む。
【0026】
建築アンカーシステムの他の利点は、以下の説明から理解される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本開示の様々な態様および特徴は、図面を参照しながら以下で説明される。
【0028】
図1】本開示の原理による建築アンカーシステムの分解斜視図であり、細長いアンカー、カバー、カプラ、およびロックプレートを含む1つのアンカー装置を示す。
図2】ロックプレートが他の構成要素から分離された、細長いアンカーに対して取り付けられたカバーおよびカプラを示す斜視図である。
図3A】それぞれ、ロックプレートの斜視図、平面図、および底面図である。
図3B】それぞれ、ロックプレートの斜視図、平面図、および底面図である。
図3C】それぞれ、ロックプレートの斜視図、平面図、および底面図である。
図4A】それぞれ、カプラの斜視図および平面図である。
図4B】それぞれ、カプラの斜視図および平面図である。
図5A】それぞれ、カバーの上面斜視図、底面平面図、および底面斜視図である。
図5B】それぞれ、カバーの上面斜視図、底面平面図、および底面斜視図である。
図5C】それぞれ、カバーの上面斜視図、底面平面図、および底面斜視図である。
図6図1図5Cのシステムの1つの例示的な使用方法による、ロックプレートのコンクリート型枠の型枠板への固定を示す斜視図である。
図7】本システムの1つの例示的な使用方法による、取り付けられたカプラがロックプレート内に導入されている細長いアンカーを示す斜視図である。
図8】本システムの1つの例示的な使用方法による、ロックプレート内に取り付けられたカプラを示す斜視図である。
図8A】本システムの1つの例示的な使用方法による、ロックプレートのプレート開口およびプレートセグメントの鍵付きスロット内に受容されるカプラの中央セグメントおよび翼部を示す斜視図である。
図9】本システムの1つの例示的な使用方法による、図8Aの図と同様の図であり、ロックプレートの下に翼部を固定し、それによってカプラをロックプレートに固定するためにロックプレート内で回転するカプラを示す。
図9A】本システムの1つの例示的な使用方法による、図9の線9A-9Aに沿った断面図であり、細長いアンカーに沿って前進しているロックプレートおよびカバーに対して固定されたカプラを示す。
図10】本システムの1つの例示的な使用方法による、細長いアンカーを中心にカバーを回転させてロックプレートに対して固定されたカバーを示す断面図である。
図11】本システムの1つの例示的な使用方法による、コンクリート型枠の型枠板に固定されたシステムのアンカー装置を示す図である。
図12】本システムの1つの例示的な使用方法による、コンクリート型枠の型枠板に固定されたアンカーシステムの複数のアンカー装置を示す斜視図である。
図13】本システムの1つの例示的な使用方法による、図12の図と同様の図であり、アンカー装置がコンクリート内に埋め込まれたコンクリート型枠で堆積されたコンクリートを示す。
図14】本システムの1つの例示的な使用方法による、型枠板の取り外し時に露出した細長いアンカーのカバーおよび外部ネジ山を有するコンクリート構造内に埋め込まれた1つのアンカー装置を示す断面図である。
図15】本システムの1つの例示的な使用方法による、コンクリート構造から型枠板の取り外し時に露出するカバーおよび外部ネジ山をさらに示す斜視図である。
図16】本システムの1つの例示的な使用方法による、1つの細長いアンカーに固定されている継手ツールおよび支持フックを示す斜視図である。
図17】本システムの1つの例示的な使用方法による、コンクリート構造内のシステムの複数のアンカー装置を示し、各細長いアンカーに取り付けられた継手ツールおよび支持フックをさらに示す斜視図である。
図18図17に図示されている分離領域の拡大図であり、システムの1つの例示的な使用方法による、アンカー装置の単一の細長いアンカーに固定された継手ツールおよび支持フックを示す。
図19】システムの1つの例示的な装置および使用方法による、アンカーに固定される1つの例示的なアンカークランプを示して使用するためのアンカークランプの正面図、側面図、および斜視図である。
図20】システムの1つの例示的な装置および使用方法による、アンカーに固定される1つの例示的なアンカークランプを示して使用するためのアンカークランプの正面図、側面図、および斜視図である。
図21】システムの1つの例示的な装置および使用方法による、アンカーに固定される1つの例示的なアンカークランプを示して使用するためのアンカークランプの正面図、側面図、および斜視図である。
図22】本システムの1つの例示的な使用方法による、アンカー装置のアンカーに取り付けられた図19図21のアンカークランプを示す図である。
図23】本開示のアンカー装置とともに使用するための、ロックプレートの別の実施形態の側面図である。
図24図23のロックプレートの斜視図である。
図25図23図24のロックプレートの平面図である。
図26図23図25のロックプレートの底面図である。
図27】それぞれ、本開示のマウントの一実施形態の第1および第2の斜視図ならびに断面図である。
図28】それぞれ、本開示のマウントの一実施形態の第1および第2の斜視図ならびに断面図である。
図29】それぞれ、本開示のマウントの一実施形態の第1および第2の斜視図ならびに断面図である。
図29A】アンカー装置に取り付けられたリングサポートを示す。
図30】アンカー装置を設置するためのコンピュータシステムを示しており、これに従って本発明の1つ以上の実施形態を実装し得るサーバおよびサーバと通信するポータブルコンピューティングデバイスを示す。
図31図30のシステムのポータブルコンピューティングデバイスを示す。
図32】アンカー装置の設置のためのコンピューティングシステムと併用するためのシステムおよび方法を示すフローチャートである。
図33】アンカー装置の設置のための場所を識別するポータブルコンピューティングデバイスの視覚的ディスプレイを示す。
図34】アンカー装置の設置に使用されるアクチュエータの例示的な一実施形態を示す。
図35】本開示の1つ以上の実施形態を実装し得る分散通信/コンピューティングネットワークを示す。
図36A】本開示の原理による別のアンカー装置を示しており、アンカーロッド、ロックプレート、およびカバーを示す。
図36B】本開示の原理による別のアンカー装置を示しており、アンカーロッド、ロックプレート、およびカバーを示す。
図36C】本開示の原理による別のアンカー装置を示しており、アンカーロッド、ロックプレート、およびカバーを示す。
図37A図36A図36Cのアンカー装置のアンカーロッドを示す。
図37B図36A図36Cのアンカー装置のアンカーロッドを示す。
図37C図36A図36Cのアンカー装置のアンカーロッドを示す。
図38A図36A図36Cのアンカー装置のロックプレートを示す。
図38B図36A図36Cのアンカー装置のロックプレートを示す。
図38C図36A図36Cのアンカー装置のロックプレートを示す。
図38D図36A図36Cのアンカー装置のロックプレートを示す。
図39A図36A図36Cのアンカー装置のエスカッションを示す。
図39B図36A図36Cのアンカー装置のエスカッションを示す。
図39C図36A図36Cのアンカー装置のエスカッションを示す。
図39D図36A図36Cのアンカー装置のエスカッションを示す。
図40A】本開示の原理によるアンカー装置の別の実施形態を示す。
図40B】本開示の原理によるアンカー装置の別の実施形態を示す。
図40C】本開示の原理によるアンカー装置の別の実施形態を示す。
図41A図40A図40Cのアンカー装置のアンカーロッドを示す。
図41B図40A図40Cのアンカー装置のアンカーロッドを示す。
図41C図40A図40Cのアンカー装置のアンカーロッドを示す。
図42A図40A図40Cのアンカー装置の柱アンカーを示す。
図42B図40A図40Cのアンカー装置の柱アンカーを示す。
図42C図40A図40Cのアンカー装置の柱アンカーを示す。
図42D図40A図40Cのアンカー装置の柱アンカーを示す。
図43A図40A図40Cのアンカー装置のアンカーツールを示す。
図43B図40A図40Cのアンカー装置のアンカーツールを示す。
図43C図40A図40Cのアンカー装置のアンカーツールを示す。
図43D図40A図40Cのアンカー装置のアンカーツールを示す。
図44】アンカー装置の例示的な使用を図示するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本開示の特定の実施形態を、添付の図面を参照しながら以下に説明する。ただし、開示された実施形態が単なる本開示の例であり、様々な形態で具現化され得ることが理解されよう。本開示を不必要に詳細に曖昧にすることを回避するために、周知の機能または構成は詳細に記載されていない。したがって、本明細書に開示される特定の構造的および機能的詳細は、限定的ではなく、単に特許請求の範囲の根拠として、かつ実質的に任意の適切に詳細な構造で本開示を採用するように当業者に教示するための代表的な根拠として解釈されるべきである。
【0030】
ここで図1を参照すると、本開示の原理による、アンカーシステム10の1つの建築アンカー装置100の分解斜視図が示されている。アンカーシステム10は、建設作業員のニーズに応じて、1つ以上、例えば複数のアンカー装置100を含む。各アンカー装置100は、4つの構成要素、つまり、アンカー102、ロックプレート104、カプラ106、およびカバー108を含む。アンカー102は、種々の形状または構成をとり得る。一実施形態では、アンカー102は、単片的に形成され、L字型ロッドを含んでおり、これは、例えば、ハンドル110と、ハンドル110からぶら下がる細長いアンカーロッド112と、を有する。細長いアンカーロッド112は、例えば、ハンドル110から離れた細長いアンカーロッド112の端部116に延在する外部ネジ山114の型枠でのコネクタセグメントを含む。図2に最もよく図示されているように、組み付けされたとき、細長いアンカーロッド112は、カバー108内に位置決め可能であり、遠隔端116に隣接して外部ネジ山114上に配置されたカプラ106を有する。取り付けられたカプラ106はその後、以下でより詳細に論じられるように、ロックプレート104内に導入され、固定される。
【0031】
ここで、図3A図3Cを参照して、図1図2と併せて、ロックプレート104について説明する。ロックプレート104は、種々の形状または構成をとり得る。「プレート」と称されているが、ロックプレート104は必ずしもプレートのような外観を必要とせず、ボックス、ドーム、ボウルなどを含む任意の三次元ユニットであってもよい。ロックプレート104は、中央プレート開口120および少なくとも1つの鍵付きスロット122、例えば、各々が中央プレート開口120と連通する2つの直径方向に対向する鍵付きスロット122を有するプレートセグメント118を画定する。図3Cに最もよく図示されているように、ロックプレート104は、プレートセグメント118の下の外壁126またはロックプレート104の境界内に少なくとも部分的に限定された内部空間124を画定する。外壁126は、示されているようにテーパー状であり得る。対向する垂直壁または停止部128は、内部空間124を少なくとも部分的に画定する。垂直停止部128は、ロックプレート104内のカプラ106の回転運動を制限する。少なくとも1つの締結具開口部130、例えば2つの締結具開口部130は、コンクリートまたはコンクリート型枠の型枠板に対してロックプレート104を固定するために利用されるネジまたは釘などの締結具を受容するために、ロックプレート104を通って延在する。
【0032】
ここで図1図2と併せて、図4A図4Bを参照すると、カプラ106は、カプラ開口部134を画定する中央カプラセグメント132と、カプラ開口部134を制限する内部カプラネジ山136と、を含む。カプラ106の内部カプラネジ山136は、細長いアンカーロッド112の外部ネジ山114とネジ係合して、カプラ106がアンカー102に取り付けられる。カプラ106は、中央カプラセグメント132からぶら下がる、少なくとも1つ、例えば2つの直径方向に対向する翼部138をさらに含む。中央カプラセグメント132および翼部138は、それぞれ、ロックプレート104の中央プレート開口120および鍵付きスロット122内で受容されるように協働的に寸法決定される。
【0033】
カバー108が、図5A図5Cを参照して論じられる。カバー108は、円錐形であり得るが、他の形状も想定される。カバー108は、アンカー102の細長いアンカーロッド112の受容および通過のための中央カバー通路140を含む。カバー108はさらに、アンカー102の外部ネジ山114をネジ係合するための内部カバーネジ山142を画定する。カバー108は、外側カバー壁144を含み、外側カバー壁144は、ロックプレート104およびカプラ106の上に位置決めするために寸法決定された内部空洞146を画定する。カバー108は、カバー108の安定性を増加させるために、内部リブ148などの型枠の支持体を含み得る。カバー108の外側カバー壁144は、ロックプレート104の外側壁126に対して密な公差を形成して、ロックプレート104の外側壁126と液密嵌合またはシールを確立するように寸法決定される。その意義は以下でより詳細に説明される。実施形態では、ロックプレート104の外壁126およびカバー108の外壁144は、類似のテーパー状配置を有する。カバー108はまた、参照番号109として概略的に図示されるRFIDタグまたはバーコードを含み得る。カバー108は、約3°~約11°の範囲、または約7°のカバーの長手方向軸に対して外側カバー壁144の外側表面テーパーを画定する。このテーパー状配置により、硬化時にコンクリートと効果的な肩嵌合が確立される。カバー108のテーパー状配置はまた、外側カバー壁144と硬化コンクリートとの間にモールステーパー状効果を生じさせ、かかる場合にカバー108が取り外されるまで、硬化コンクリート内のカバー108の保持がさらに強化される。
【0034】
アンカー装置100の構成要素の各々は、好適な剛性高分子材料または金属材料から形成され得る。実施形態では、少なくともアンカー102は、ステンレス鋼などのような好適な金属から形成される。少なくとも一部分、または潜在的に全ての構成要素は、以下に論じられるように、設置された製品または設置パラメータの情報を提供するために、走査デバイス、例えばRFIDスキャナまたはバーコードリーダを介して走査されるRFIDタグまたはバーコードまたは他の機械可読しるしを含む。少なくともカバー108は、特定のアンカー装置100を使用することを意図する職人または建設作業員に対応するように、種々の色、例えば色分けされた色で作製されてもよい。より具体的には、特定の色は、特定の建設作業員に関連付けられてもよく、当該作業員が自身の設備に関連付けられるアンカー装置100を識別することを補助する。
【0035】
前述したように、アンカーシステム10は、住宅または商業用建物の建設に関連してコンクリートまたはコンクリート支持構造物とともに使用することが意図されている。アンカーシステム10は、水平梁または垂直梁、フローリングまたは天井内に埋め込まれ得る。以下の考察は、建設の段階で建設された水平梁を用いたアンカーシステム10のその用途における使用に焦点を当てる。ただし、アンカーシステム10は、上述のものを含む多くの用途、および多くの他の用途を有することが理解されよう。
【0036】
水平梁の形成中、例えば合板、または任意の他の好適な材料を使用して、コンクリート梁のための型枠が建設される。一般に、型枠は、下部水平型枠板と、水平型枠板から上向きにぶら下がる2つの垂直型枠板と、を含む。図6を参照すると、例示の目的のために、水平型枠板「h」のみが示されている。本開示のアンカーシステムの使用の1つの例示的な方法によれば、ロックプレート104は、水平型枠板「h」の内面、すなわち、注入されたコンクリートと接触し、支持される表面に固定される。ロックプレート104は、図6に図示されるように、釘、締結具またはネジ「f」を使用して、水平型枠板「h」に固定される。これらは、ロックプレート104の締結具開口部130内に導入され、水平型枠板「h」に固定される。図7を参照すると、カプラ106は、アンカーロッド112の遠隔端116上にねじ込まれ、カバー108のカバー通路140は、示されているように、アンカー102のハンドル110の上に位置決めされ、アンカーロッド112を下に摺動させる。図7の方向矢印「d」によって示されるように、アンカー102およびカプラ106は、ロックプレート104に向かって前進する。
【0037】
ここで図7図8、および図8Aを参照すると、カプラ106は、中央カプラセグメント132およびカプラ翼部138を、それぞれ、カプラ106およびロックプレート104の第1の相対回転配向に対応するロックプレート104のプレートセグメント118の中央プレート開口120および鍵付きスロット122と位置合わせすることによって、ロックプレート104のプレートセグメント118内に導入される。図8Aは、中央カプラセグメント132、および中央プレート開口120および鍵付きスロット122内に受容され、プレートセグメント118の下のロックプレート104の内部空間124内に配置された翼部138を示している。その後、図9を参照して、カプラ106は、アンカー102のハンドル110の方向矢印「r」の方向への回転を介して、カプラ106およびロックプレート104の第2の相対的な回転配向に所定の回転角セクタを通して回転され、それによって、カプラ106の翼部138は鍵付きスロット122から変位し、ロックプレート104の内部空間124内の垂直停止部128と係合するロックプレート104のプレートセグメント118の下に配置され、それによって、カプラ106およびアンカー102をロックプレート104に結合する。
【0038】
ここで図9A図10を参照すると、カバー108は、図10に図示されるように水平型枠板「h」と係合するまで、外部ネジ山114に沿って(内部カバーネジ山142およびアンカーロッド112の外部ネジ山114のネジ係合を通して)ネジ止めされる。カバー108の前進中、アンカー102およびカプラ106はまた、ロックプレート104に対して(方向矢印「k」の方向に)後退し得、それによって、カプラの翼部138は、中央プレート開口120を画定する下向きにぶら下がる壁に係合して、カプラ106、したがって、アンカー102を、ロックプレート104に対してさらに固定または係止し得る。
【0039】
図10にさらに図示されるように、カバー108の外側カバー壁144は、ロックプレート104の外壁126の上に、すなわち、密な公差で正確に嵌合し、実施形態では、ロックプレート104の外壁126と実質的な液密シールを確立する。これにより、コンクリートが注入される際、およびコンクリートの硬化中に、カバー108の内部空洞146内への任意のコンクリートの入り込みを最小限に抑えるか、またはそれが防止される。図11は、水平型枠板「h」に対して取り付けられたアンカー装置100を示している。
【0040】
ここで図12を参照すると、アンカーシステム10の一部分としての複数のアンカー装置100が、業者が選択した所定の場所で水平型枠板「h」に設置されている。上述したように、これらの場所は、好ましくは、設備、例えば、電線、配管、安全ケーブル、安全フックなどが構造内を「走る」場所、または位置決めされる場所に対応する。図12では、コンクリート型枠「m」を垂直型枠板「v」と水平型枠板「h」とで示し、さらにコンクリート型枠「m」の内部に配置されたアンカー装置100を示している。図13は、コンクリートの硬化時に形成される水平梁「b」を示しており、水平梁「b」内に恒久的に埋め込まれたアンカー装置100が不透明に図示されている。図13では、水平および垂直型枠板「h」、「v」が取り外されている。
【0041】
ロックプレート104およびカプラ106は、アンカーロッド112の外部ネジ山114に対して取り外される。ロックプレート104およびカプラ106は、カプラ106の内部カプラネジ山136がアンカーロッド112の外部ネジ山114から係合解除するまで、カプラ106およびロックプレート104を同時に回転させるだけで取り外され得る。(例えば、図9Aを参照)。代替的に、ロックプレート104を回転させて、ロックプレート104の鍵付きスロット122をカプラ106の翼部138(図8A)と位置合わせし、次いで、アンカーロッド112の外部ネジ山114からカプラ106を緩めることによって、ロックプレート104をカプラ106から係合解除することができる。
【0042】
図14および図15を参照すると、型枠板「h」、「v」、ロックプレート104、およびカプラ106を取り外すと、カバー108は水平梁「b」内に残る。これは、カバー108の肩嵌合または外側カバー壁144と硬化コンクリートとの間に形成されたモールステーパーによるものである。前述のように、カバー108は、コンクリートの硬化中にその内部空洞146内のコンクリートの侵入を防止し、それによって、水平梁「b」内にアクセス可能な空洞が形成され、水平梁「b」を通ってアンカーロッド112の外部ネジ山114の端部が延在する。具体的には、外部ネジ山114は、追加の継手ツール、建築ツール、マウント、安全フック、安全ケーブルなどに結合されるようにアクセス可能である。一部の実施形態では、必要に応じて、カバー108を水平梁「b」から取り外すか、またはこじ開けることができる。他の実施形態では、カバー108は、硬化コンクリート内に残り得る。図16は、アンカー102の外部ネジ山114と係合されている内部ネジ山継手ツール200、および継手ツール200とネジ係合されている支持部または安全フック300を示している。図17図18は、アンカー装置(複数可)100に対して固定された継手ツール200およびフック300を示している。図17に示されるように、複数のアンカー102およびフック300は、参照番号400として各々概略的に識別された材料、供給品、または安全設備(例えば、周囲ケーブル)を支持するために、水平支持梁「b」に沿って固定されてもよく、これは、再び、電線、配管、スプリンクラー、ダクトワーク、安全ケーブル、安全フック、またはネットなどが含まれる。また、アンカー102の別個の列は、異なる建設作業員による利用のために位置決めされてもよく、例えば、アンカー装置100の列「r1」は、電気工事士によって使用され得、アンカー装置100の列「r2」は、配管工によって使用され得ることなどが想定される。また、カバー108は、例えば、「電気系識別用の赤色、配管識別用の青色、HVAC識別用のオレンジ色」などに色分けされ得ることもさらに想定される。これにより、アンカーシステムのユーザビリティおよび組織機能も強化される。
【0043】
ここで図19図21を参照すると、本開示のアンカー装置100とともに使用するための例示的なアンカークランプが示されている。アンカークランプ500は、図12図17の説明に関連して説明されるカプラ200の代わりに使用され得る。アンカークランプ500は、電線、配管、スプリンクラー、ダクトワーク、安全ケーブル、安全フック、またはネットなどを含む材料、供給品、または安全設備(例えば、周囲ケーブル)を支持するように寸法決定され、適合されている。1つの例示的な用途では、アンカークランプ500は、アンカークランプ500のうちの1つ以上がそれぞれの建築装置100のうちの1つ以上に固定されているときに、電気ケーブルまたは電線を支持するために利用される。アンカークランプ500は、一端に一対のレバーまたは把持部504を一端に有し、その他端にアンカーカプラ506を有する本体502を含む。把持部504は、ブリッジ508によって相互接続される。アンカーカプラ506は、対応する把持部504の相対的な移動時に、互いに向かって、かつ互いに離れて半径方向に移動し得る2つの対向カプラセグメント506aを画定するようにセグメント化される。例えば、把持部504の(方向矢印GRiによって指定される)半径方向内方向への移動は、衣服ピンと同様の方法で、カプラセクション506aの対応する(方向矢印CRoによって指定される)半径方向外方向の移動を引き起こす。例示的な一実施形態では、把持部504およびカプラセグメント506aは、概して、例えば、ブリッジ508およびそれぞれの把持部504の接合部で、ブリッジ508を中心に枢動または関節屈曲する。
【0044】
アンカーカプラ506は、リブ、ネジ山、突起、バンプ、ローレットなどの内部構造510を含んでもよく、細長いアンカーロッド112の外部ネジ山114を係合することを補助し、それによってアンカーカプラ506をアンカーロッド112に固定する。例示的な一実施形態では、内部構造510は、図21に示されるように、リブおよび凹部が交互に配置された形態である。別の例示的な実施形態では、内部構造は、ネジ山を含んでもよい。
【0045】
アンカークランプ500は、任意の好適な材料で作製され得る。例示的な一実施形態では、アンカークランプ500は、ネジ、接着剤、スナップフィットなどを含む従来の手段を介して互いに固定される、2つのハーフセクションから形成される。代替として、アンカークランプ500は、高分子材料から単片的に形成されてもよい。アンカークランプ500は、その初期状態または休止状態では、図19図21に図示される状態が想定される。初期状態では、アンカークランプのアンカーカプラ506は、少なくともアンカー装置100の外部ネジ山114の直径以下の内部寸法を画定し、アンカー装置100の外部ネジ山114との固定関係が確立される。固定関係は、アンカー装置100の外部ネジ山114との内部構造510(例えば、リブ、凹部、および/またはネジ山)の係合を介して強化される。把持部504が互いに向かって移動すると(方向矢印GRi)、カプラセグメント506aが変位して(方向矢印CRo)、アンカーロッド112の外部ネジ山114の周りに配置するためにアンカーカプラ506の内部寸法を増加させる。把持部504の解放により、アンカーカプラ506の内部構造510がアンカー102の外部ネジ山114上にロックされた状態で、アンカークランプが初期状態に向かって移動する。
【0046】
加えて、アンカークランプ500の本体502により、ブリッジ508とアンカーカプラ506との間に延在する通路512が画定される。通路512は、通路512を通過する電気ケーブルまたは電線を受容し、それによって、上述のようにアンカー装置100が固定される天井、壁、または柱に沿ってケーブルを固定し得る。
【0047】
図22は、1つのアンカー装置のアンカーロッド102の外部ネジ山114に固定されるアンカークランプ500を示している。アンカークランプ500の通路を通って延在する電気ケーブル/ライン600も概略的に示されている。使用中、アンカークランプ500は、最初にアンカーロッド102の外部ネジ山114に固定されてもよく、ケーブル600は通路512を通過してもよい。代替として、ケーブル600は、通路512を通過し、続いて、アンカークランプ500がアンカーロッド102に取り付けられ得る。多数のアンカークランプ500が、図12図17の考察に関連して開示されたようなアンカーシステムに固定され、柱、天井、壁などに沿って電気ケーブルを走らせ得ることが想定される。アンカークランプ500により、継手ツール200が必要なくなる。具体的には、上述したように、アンカークランプ500は、各アンカー装置100のアンカーロッド102に直接固定されてもよい。
【0048】
代替実施形態では、アンカーカプラ506は、内部構造として内部ネジ山を含み得、これは、アンカー102の外部ネジ山114の周りのアンカークランプ500の相対回転を介して、ネジ係合してアンカークランプ500をアンカー102に固定するように寸法設定されている。
【0049】
ここで図23図26を参照すると、アンカー装置100のロックプレートの別の実施形態が示されている。ロックプレート700は、図3A図3Cのロックプレートと同様であり、内部ネジ開口702を含む。内部ネジ開口702は、ロックプレートを通って少なくとも部分的に延在する。実施形態では、内部ネジ開口702は、ロックプレート700を通って完全に延在する。内部ネジ開口702は、細長いアンカーロッド112の外部ネジ山114と直接協働して、細長いアンカーロッド112をロックプレート700に固定する。したがって、この例示的な実施形態によれば、図3A図3Cのロックプレート104に存在する鍵付きスロット122は必要ではない。加えて、アンカーロッド112が、ロックプレート700のネジ開口702とその外部ネジ山114のネジ協働を介して固定されるという点で、カプラ106も必要ではない。一部の方法では、細長いアンカーロッド112は、ネジ開口702を通ってねじ込まれ、型枠板に当接する。ある特定の実施形態では、細長いアンカーロッド112は、外部ネジ山114が型枠板を少なくとも部分的に貫通するように回転される。ロックプレート700は、4つの締結具開口部704をさらに含み、4つの締結具開口部704は、それぞれの締結具、例えば、コンクリートまたはコンクリート型枠の型枠板に対してロックプレート700を固定するために利用されるネジまたは釘の受容のために、ロックプレート700を通って延在する。ロックプレート700は、アクティブまたはパッシブのいずれかのRFIDタグを含み得、参照番号708として概略的に識別され得る。RFIDタグ708は、設置されたアンカー装置100および以下に説明する他の設置パラメータに関する情報の追跡を補助する。代替として、または追加的に、バーコードを利用してもよい。ロックプレート700は、アンカーロッド112の外部ネジ山114からロックプレート700を回転させることによって、コンクリートの硬化の後に取り外されてもよく、継手ツール200またはアンカークランプ500などのツールを後で取り付けるために、上述の方法で外部ネジ山114へのアクセスを可能にする。
【0050】
ここで図27図29を参照すると、コンクリート柱の注入および硬化後に細長いアンカーロッド112の露出した外部ネジ山114に取り付けるためのデバイス750の別の実施形態が示されている。デバイス750は、上述した継手ツール200またはアンカークランプ500の使用の代わりに、またはその使用の前に、使用される。デバイス750は、ヘッド752(例えば、六角形のヘッド)、カラー754、および内部ネジ付きシリンダ756を含む。デバイスは、ネジ付きシリンダ756の内部ネジ山758のネジ係合を通して、細長いアンカーロッド112の外部ネジ山114に取り付けられる。デバイス750は、上述したように、アンカー装置に結合される設備の種類(例えば、電気、配管、ダクトワークなど)を識別するために色分けされ得る。デバイス750はまた、別の継手ツールまたはアンカークランプ(例えば、上述の継手ツール200またはアンカークランプ500など)を取り付ける前に、アンカーロッド112の外部ネジ山114を保護し得る。デバイス750を使用して、様々な継手ツールがアンカーロッド112の外部ネジ山114に固定され得る。例えば、図29Aを参照すると、デバイス150を使用して、リングサポート760をアンカー装置100に固定することができる。ロック座金762は、アンカー装置100の外部ネジ山114に対するリングサポート760の固定を容易にするために利用され得る。リングサポート760は、様々な構成をとり得、半円形、楕円形リングなどの設計を含むがこれらに限定されない。様々なケーブル、配管設備、HVAC構成要素は、リングサポート760の開口部を通過し得ることが想定される。
【0051】
他の実施形態では、細長いアンカーロッド112は、外部ネジ山とは対照的な内部ネジ山を含み得る。内部ネジ山は、前述の実施形態とほぼ同じ方法で、外部ネジ山継手ツール、アンカーまたはデバイスと結合し得る。代替的に、アンカーロッド112および継手ツールのための他の接続機構が想定される。これには、当業者によって理解されるように、バヨネット継手、スナップフィット接続、摩擦公差などを含むが、これらに限定されない。
【0052】
ここで図30を参照すると、本開示の1つ以上の実施形態による、建設現場に設備を設置するための包括的なシステムおよび方法のフレームワークが示されている。例示的な一実施形態では、システムおよび方法800は、上述の本開示のアンカー装置100のいずれかの設置と併せて論じられる。ただし、システムおよび方法800は、異なるアプリケーションを有し得、任意の種類の建設設備の設置において実装され得ることが理解されよう。一般に、システムおよび方法には、建物情報モデリング(BML)を利用して、アンカー装置100の適切な位置的設置において建設作業員を補助するためのテンプレートとして、建設される建物または部分的な建設段階にある建物のモデル、例えば2Dモデルまたは3Dモデルを開発することが含まれる。特に、モデルは、計画、設計、既存のビルドコード、OSHA要件などに従って示されるように、建設現場内の所定の場所に複数のアンカー装置100を正確に設置することを保証するために利用される。概して、モデルは、ポータブルコンピューティングデバイスによってアクセスされる無線接続および/またはインターネットを介して利用可能であり、ポータブルコンピューティングデバイスには、例えば、建設作業員によって携帯されるか、アクチュエータに取り付けられるか、またはテレロボットに取り付けられる、スマートフォン、タブレット、ポータブルコンピュータ、iPhone(登録商標)など(以下、PCDと称する)が含まれる。これにより、上述の設備設置アプリケーションのいずれかのために、全てのアンカー装置100の設置のための適切な場所を識別することが補助される。アンカー装置の位置インジケータを有するモデルを生成するためのソフトウェアは、ダウンロードアプリケーションとして、サブスクリプションベースで利用可能であり得る。ある特定の用途において、それぞれの設置されるアンカー装置100の位置インジケータは、例えば、オーバーレイとしてモデルの生成後に入力としてモデルに組み込まれるか、または元のモデルを生成するために使用されるデータとして最初に組み込まれる。モデルは、例えば、建設現場でPCDによって取得されたデータに基づいて、フィールドからの入力に応答して連続的に更新され得ることがさらに想定される。
【0053】
システムおよび方法800には、メインサーバ802および前述のPCD900が含まれる。メインサーバ800は、メモリ806を有するコントローラまたはプロセッサ804を含み、メモリ806には、上述した検出および位置処理に関連付けられた様々な機能を実施するようにプログラムされたソフトウェアまたはロジックが含まれる。サーバ802には、視覚的またはグラフィックディスプレイ808、コンピュータキーボードおよび/またはマウスなどのユーザ入力810、ならびに本出願の実施形態によるプログラム命令のインポートを可能にするためのメディアインターフェース812(例えば、USBポートまたはCD-ROMなどの無線または電気/機械接続)が含まれる。これらの構成要素は当業者に周知であり、さらなる考察を必要としない。
【0054】
システムは、BIMデータベース816に結合された建物情報管理(BIM)データ管理モジュール814をさらに含む。BIMデータベース816は、建物の2Dもしくは3Dモデリングを含むモデルまたはマップの開発に利用されるデータを含んでおり、これらは、建設もしくは開発されるか、または部分的な建設段階にあり得る。BIMモジュール814によって生成されるモデルは、典型的に、暖房、HVAC、配管、電気、コンクリート建設柱、鋼製I梁、床材を含む建物アセンブリ、システム、設備、および構成要素の、設計、開発、および建設に関する文書に関して詳しく説明されている。好ましくは、構築されたモデル(複数可)は、全ての建物アセンブリ、システム、設備、および構成要素を含む、可能な限り完全なモデルである。例示的な実施形態では、BIMモジュール814によって生成されるモデル(複数可)には、全ての設備アプリケーションのために建設現場に設置される全てのアンカー装置100の場所が含まれる。アンカー装置の場所の位置インジケータに関するデータは、モデルが最初にBIMモジュール814によって生成されるとき、BIMデータベース816内のデータとして利用可能であり得る。代替的に、または追加的に、このデータは、ユーザ入力および/またはインターフェース810を介して入力され、その後モデルに組み込まれ得る。さらなる代替として、PCD900から受信したフィードバックは、アンカー装置の設置が進むにつれてモデルを更新するためにモデルに組み込まれてもよい。
【0055】
サーバ802は、サーバ802と建設現場のPCD900との間の無線または有線の通信を可能にするネットワークインターフェースI/F818をさらに含む。このように、ネットワークI/F818は、PCD900が受信して表示する可能性のあるデータを指示するとともに、PCD900からデータを受信することになる。データには、建設作業者にとって関心のあるモデルの特定の部分のみが含まれ得、例えば、アンカー装置の設置を必要とする建物の領域を含み得るか、または建設される建物全体のモデルを含み得る。ネットワークI/F(例えば、モデム、ルータ、およびイーサネットカードを含むことができる)により、介在するプライベートまたはパブリックコンピュータネットワーク(有線および/または無線)を介して、システムが他のデータ処理システムまたはデバイス(リモートディスプレイまたは他のコンピューティングおよびストレージデバイスなど)に結合することが可能となる。
【0056】
本明細書で使用する「プロセッサ」という用語は、例えば、中央処理ユニット(CPU)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または他の種類の処理回路、ならびにかかる回路素子の部分または組み合わせを含む1つ以上の個々の処理デバイスを指す。
【0057】
追加的に、「メモリ」という用語は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、リムーバブルメモリデバイス、固定メモリデバイス、および/またはフラッシュメモリなどのプロセッサに関連付けられたメモリを指す。メディアインターフェースI/F812は、リムーバブルメモリの一例であってもよく、一方、言及される他の種類のメモリは、メモリ806の一例であってもよい。さらに、「メモリ」および「メディア」という用語は、より一般的に「コンピュータプログラム製品」と称されるものの例としてみなされ得る。コンピュータプログラム製品は、コンピュータプログラムコード(すなわち、ソフトウェア、マイクロコード、プログラム命令など)を記憶するように構成される。例えば、メモリ806および/またはメディアインターフェースI/F818から読み込まれ、プロセッサ804によって実行されるとき、コンピュータプログラムコードは、デバイスに、システム800の1つ以上の構成要素および技術に関連付けられた機能を実施させる。当業者は、本明細書に提供される教示を考慮すると、かかるコンピュータプログラムコードを容易に実装し得るであろう。同様に、本明細書に記載される構成要素および技術は、「コンピュータ可読記憶媒体」に記憶されたコンピュータプログラムコードを含むコンピュータプログラム製品を介して実装され得る。本発明の実施形態を具現化するコンピュータプログラム製品の他の例には、例えば、光ディスクまたは磁気ディスクが含まれ得る。さらに、コンピュータプログラムコードは、システムによって実行されるネットワークI/F918からダウンロードされ得る。
【0058】
さらに、デバイス1106および1108によって形成されるI/Oインターフェースは、データをプロセッサ804に入力し、プロセッサ804に関連付けられた初期結果、中間結果、および/または最終結果を提供するために使用され得る。
【0059】
ここで図31を参照して、PCD900について説明する。PCD900は、サーバ802と通信または相互作用するために必要なハードウェア構成要素を含む。PCDは、サーバ802のネットワークI/F818または建設現場に設置された任意の無線システムと無線通信を可能にするための無線機能(例えば、4Gまたは5G)を有するネットワークインターフェースI/F902を含む。代替的に、サーバ802への接続は、データを転送するためにイーサネットケーブル、複数のルータ、スイッチなどを利用する有線ネットワークを介してもよい。PCD900は、従来のプロセッサ904と、プロセッサ904によって実行可能なソフトウェア命令を記憶するメモリ906と、を含む。
【0060】
PCD900は、モデルデータを表示するためのLED画面またはLCD画面などのディスプレイ908と、例えば、データを入力するためのマウス、キーボード、またはタッチスクリーンの形態でユーザ入力910と、をさらに含む。PCD900は、建設建物/現場のBIMモデルモジュール814によって生成されたモデルに対するPCD900の場所または位置を決定するように構成された位置インジケータモジュール912をさらに含む。例示的な一実施形態では、位置インジケータモジュールPCD912は、例えば、サブスクリプションベースで、ユーザによってPCD900のメモリ906にダウンロードされた独自アプリケーションの設置を必要とする。ある特定の実施形態では、アプリケーションへのアクセスは階層化され得る。すなわち、ある特定の階層は、他の階層よりも高機能を有し得、より高機能の階層について、より高いサブスクリプション価格をもたらし得る。代替的に、または追加的に、アプリケーションをホストする既存のウェブブラウザが利用可能であり得る。位置インジケータモジュール912には、PCD900と関連付けられた様々なセンサまたは構成要素から入力を受信して、建設モデルまたは建物現場モデルに対するPCD900の場所を判定し得る任意の種類のソフトウェアが含まれ得る。
【0061】
位置インジケータモジュール912の構成要素としての任意の従来の屋外および/または屋内位置決めシステムが企図され、PCD802の正確な場所を決定するために位置インジケータモジュール912に組み込まれ得る。
【0062】
PCD900には、複数のセンサまたは構成要素がさらに含まれ得、これらは、生成された建物モデルに対するPCD900の場所を追跡し、アンカー設置工程に関連するデータをサーバに戻すために、個別に、または位置決めシステムとして組み合わせて利用され得る。これらのセンサには、WIFI914、Bluetooth916、カメラ918、全地球測位システム(GPS)センサ920、ジャイロスコープ922、磁力計924、加速度計926、近接センサ928、および無線周波数識別子デバイスまたはセンサ(RFID)930が含まれるが、これらに限定されない。これらのセンサは、大部分の市販のスマートフォン、タブレット、ポータブルコンピュータに組み込まれている。
【0063】
ある特定の実施形態では、生成された建物のモデルに対してPCD900を追跡するために、GPSセンサ920は、従来の方法で利用される。GPSセンサ920は、PCD900への直視が利用可能な開放的な建築物において有効である。GPSを用いたセルラーベースの三角測量方法も想定されている。他の実施形態では、WPSまたはWipes/WFPSなどのWIFI位置決め方法は、PCD900の近くに既知のWi-Fiホットスポット(複数可)に対する場所を追跡することによって、WIFI914とともに、個別に、またはGPS機能と組み合わせて利用されてもよく、その1つ以上は、商業施設に設置されてもよい。商業施設に配置された基準ビーコンからの信号が屋内場所情報技術の中核となる場合に、Bluetooth Low Energy(BLE)技術が利用される。PCD900は、Bluetooth916を用いてビーコンからの信号を検出し、ビーコンまでのおよその距離を計算し、これによりPCD900の場所を推定することができる。このデータは、場所信号とともにリーダーに送信される。RFIDまたはモジュール930によって検出可能な既知の参照点として位置決めされたアクティブまたはパッシブRFIDタグを利用する、アクティブRFID場所追跡システムも想定される。
【0064】
他の例示的な実施形態では、PCD900の磁力計924は、個別に利用されてもよいか、または「フィンガープリント」技術が建設現場の磁場をマッピングするために使用され、次いで、磁力計924がそのマップを使用して生成されたマップに対するPCD900の場所を見い出し得る他の方法を補強するために利用され得る。他の実施形態では、加速度計926およびPCD900のジャイロスコープ922を組み込んだ慣性ナビゲーション方法を利用して、初期基準または既知の出発点に基づいてPCD900の場所、配向、および速度(移動の方向および速度)を連続的に計算してもよい。PCD900のカメラ918を含む視覚的位置決め方法は、マーカーの位置座標で符号化された視覚基準マーカーから位置座標を復号することによって、PCD900の場所を決定し得る。
【0065】
例示的な位置決定方法は、Sandersの米国特許第9,539,164号、およびHuang et al.の米国特許第9,749,780号に開示されており、各開示の内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0066】
他の実施形態では、赤外線(IR)センサステーションは、例えば、三脚に取り付けられ、較正されてもよい。例えば、PCD900またはPCDが取り付けられている構成要素から反射するIR LEDから光が発せられ、検出フォトダイオードによって取り込まれて、センサと表面との間の距離の関数である信号が生成される。この技術は、過去に記憶された基準アンカー装置または建設現場内の一部の他の既知の基準点に基づいて、1つ以上の後続のアンカー配置位置を適切に位置付けるために、個別に、または上述のGPSおよび位置センサと組み合わせて使用され得る。
【0067】
本開示の別の態様では、PCD900のRFIDセンサ930を利用して、ロックプレート700のカバー108(図5A図5C)またはRFIDタグ708に取り付けられたタグもしくはコード109など、アンカー装置100の構成要素に取り付けられたRFIDタグ、またはそれに関連付けられたRFIDタグが走査され得る。RFIDセンサを用いたRFIDタグの走査により、システム900が、設置されているか、または設置する必要があるアンカー装置に関する情報およびデータを収集することが可能となる。データには、アンカー装置の構成要素の製造業者、ロット番号、製造日、設置者、設置日、ならびにサーバ802またはPCD900に設置および製品の詳細を追跡および転送するのに有用であり得る任意の他のメタデータが含まれ得るが、これらに限定されない。この情報は、記録保持、アンカー設置の進行などのために貴重である。
【0068】
ここで、図32を参照すると、本開示の例示的な一実施形態による、アンカー装置の設置方法を示す基本的なフローチャート1000が示されている。ステップ1002では、建物の建物モデル(例えば3Dモデル)は、従来の建物モデル技術を利用してBIMモジュール814によって開発される。ステップ1004において、データは、建物に設置されるアンカー装置のセットの場所を示すために、建物モデルに入力される。上述のように、各セットのアンカー装置は、加熱、換気、HVAC、電気、配管、安全柵などを含むが、これらに限定されない種々の建設設備に割り当てられ得る。ある特定の実施形態において、アンカー装置の位置インジケータは、マップ上のオーバーレイとして現れ得る。他の実施形態では、アンカー位置インジケータは、ステップ1002でマップに組み込まれ得る。ステップ1004を組み合わせてもよく、アンカー位置インジケータに関するデータが元のモデルに組み込まれ得ることがさらに想定される。アンカー装置100の各セットは、任意の所定の場所に建物現場のモデル、例えば構造コンクリート柱および支持体内に位置付けられ得る。これにより、設備の位置合わせ不良、干渉などのいかなる懸念もなく、最終的に設備を整然と設置するための機構が提供される。さらに、設置される設備のレイアウトは、生成されたモデルを介して、サーバ802末端およびPCD900末端の作業者に容易に視認される。加えて、アンカー装置100のいずれかの場所に関して任意の調整が必要な場合、これは、サーバ802末端の入力を介して、または代替的にPCA900末端での入力を介して実現され得る。
【0069】
ステップ1006において、ユーザは、PCDにアクセスし、PCD900上でモデルを開き(ステップ1008)、オペレータが設置を担当するアンカー装置100の場所を視覚化する。モデルまたはマップに従って、オペレータは、上述の位置決めシステムのいずれかによって誘導されて、アンカー装置のセットに進む。(ステップ1010)。例えば、図12と同様の図33を参照すると、PDAの視覚的ディスプレイ908は、垂直板「v」および水平型枠板「h」、および周辺環境を少なくとも含む3Dモデルをユーザに提示し得る。視覚的ディスプレイは、例えば、アンカー装置が設置される位置的場所に対応するディスプレイクロスヘア「x」を用いてインデックス化されてもよい。実施形態では、PCD900は、視覚インジケータの場所の視覚しるしに加えて、可聴インジケータ(例えば、ビープ音、音声インジケータ)を提供し、PCD900内の光を振動させ、活性化し得る。または、これには、PCD900がアンカー装置を設置する必要がある適切な場所にあるときに、触覚的または視覚的インジケータに限定されない任意の他の手段が含まれる。次に、設置者は、少なくとも図6図16に関連して上述したように、アンカー装置をコンクリート型枠板に設置する。(ステップ1012)。
【0070】
加えて、オペレータは、アンカー装置の様々な構成要素に関連付けられたRFIDタグをPCDのRFIDスキャナ930で走査する。(ステップ1014)。RFIDタグまたはバーコードによって取得されたデータは、PCD900に記憶されてもよく、および/またはオペレータの命令によって、または自動的にサーバ802に転送されてもよい。(ステップ1016)。RFIDスキャナ930によって取得されるデータにより、少なくとも2つの利点、すなわち1)記録保持のために、製造、設置者、設置日、ロット番号などを含む、設置されたアンカー装置に関連付けられたメタデータを提供することと、2)この場所にアンカー装置が設置されたことを示すインジケータを提供することと、が提供される。ステップ1018において、モデルは、RFIDスキャナ930によって取得された情報を含むように更新される。その後、オペレータは、元のモデルまたは更新されたモデルに続いて、モデル上に表示された次のアンカー位置に追加のアンカー装置100の設置を続け、同様に追加のアンカー装置100を設置する。オペレータは、アンカー装置のセットの各々の後続の位置インジケータに進み、各アンカー装置100に対して少なくともステップ1010~1016を繰り返す。
【0071】
図32のフローチャートに記載される手順は、アンカー装置100のセットごとに繰り返され得る。例えば、第1のセットが電気ケーブルを支持するために設置され得る。第2のセットは、配管設備などを支持するために設置され得る。第3のセットは、HVAC設備などを設置するためのセットである。モデルには、それぞれの設置される設備に対応するために、異なる色がアンカー位置インジケータとして組み込まれ得ることが想定される。例えば、電気自動車を識別する赤色、配管用の青色、HVAC用のオレンジ色などである。代替的に、または追加的に、サーバエンドから転送されるモデルデータには、特定の設備の設置に関連するそれらのアンカー位置インジケータのみが含まれ得る。
【0072】
したがって、各アンカー装置またはアンカー装置のセットが設置されると、この情報は、PCD900からサーバ802に伝達される。BIMモデルは、選択されたアンカー装置100の設置を反映するために更新される(ステップ1018)。更新されたモデルには、アンカー装置100が設置されたアンカー場所と、設置されたアンカー装置100を有しない場所と、を区別するしるしが組み込まれ得ることが想定される。例えば、設置されたアンカー装置100は、モデル上のアンカー位置の周囲に緑色の円またはドットとして示されてもよく、設置されたアンカー装置100のないアンカー位置は、モデル上に赤色の円またはドットでラベル付けされてもよく、または代替的に、設置されたアンカー装置100は、実線円として示されてもよく、設置されていないアンカー装置1000は、開放円である。他の視覚的インジケータも想定されている。したがって、オペレータは、アンカー設置工程のステータスを表示し、アンカー装置100の設置を必要とするアンカー位置を識別することができる。
【0073】
図32のフローチャートは、組み合わせられ得るステップ、チャートに概説されているような異なる順序で実施され得るステップ、および/または一部のステップを省略し得るステップを含むことが理解されよう。
【0074】
本開示のさらなる態様として、ロックプレートの締結具を型枠ワークに自動的に設置するためのアクチュエータ1100が提供される。図34は、本開示による1つの例示的なアクチュエータ1100を概略的に示している。このアクチュエータ1100には、方向矢印z1、z2の方向に相互運動するように適合されたプランジャ1104に結合された任意の電源駆動機構1102が含まれ得る。駆動機構1100は、油圧、電気空気圧、磁気、機械的、ばねベースの機構を含み得る。ある特定の実施形態では、PCDは、アクチュエータ1100に直接取り付けられ得る。アクチュエータ1100は、自己供給機構1106を有し得、自己供給機構1106では、取り付けられた締結具を有するロックプレート104、700がアクチュエータ1100のチャンバに装填され、所望のアンカー場所で型枠ワーク上に順次配置されている。アクチュエータ1100は、アクチュエータ1100の駆動部1002に結合されたプランジャ1104が「Z1」方向に前進して、ロックプレート104、700をアンカー場所に堆積させ、締結具受容開口を介して締結具を駆動し、型枠ワークに入るように開始されてもよい。ロックプレートおよび釘または締結具を自己供給するように適合され得る1つの装置は、ラム社の米国特許第6,302,310号に開示されており、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0075】
アクチュエータ1100は、メモリ1110に結合されたプロセッサ1108と、アクチュエータを動作させるためのバッテリ1112と、を含み得る。プランジャ1104の移動を制御することに加えて、プロセッサ1108は、バッテリ1012の保管寿命、アンカー設置の数、およびバッテリの状態をオペレータに知らせる視覚的インジケータなどのインジケータの制御動作を監視し得る。アクチュエータ1000は、収集されたデータをサーバ802またはポータブルコンピュータデバイス900に転送するためのインターフェース1114を含む。ある特定の実施形態では、アクチュエータ1100には、オペレータがアンカー設置位置に対してアクチュエータ装置1100を適切に位置決めすることを補助するように適合されたレーザ深度または距離ファインダーシステム1118が含まれる。レーザ距離システム1118は、基準として使用される設置されたアンカーと、アンカー装置間の所望の距離を認識して設置されるアンカー装置100との間の場所を適切に識別することができる。したがって、レーザ距離システム1016は、アンカー装置100が適切なアンカー場所に設置されることを確実にするために、前述の位置決めシステムを補完し得る。ある特定の実施形態では、レーザ距離ファインダー1016は、1つ以上の過去に設置されたアンカーを基準(複数可)として利用し、追加のアンカー装置の後続の配置のために基準アンカーから作業することによって、次のアンカー場所の位置を決定するために使用される、唯一の方法であり得る。レーザ距離ファインダー1118には、アラーム、例えば、アクチュエータが適切な設置場所にあるときの音声または視覚アラームが含まれ得る。可聴アラームは、アクチュエータが適切なアンカー挿入位置に近づくと、段階的に大きくなり、例えば、ビープ音となり得る。次いで、アクチュエータがアンカー挿入位置に正確に位置決めされると、安定した音を提供し得る。アクチュエータ1100には、白熱灯またはアークランプなどの光源(LS)1120、ガス放電ベースのランプ、および発光ダイオードがさらに含まれ得る。光源1120は、アクチュエータ1100が暗い条件下で使用されているとき、夜間、または建設現場で電力損失が発生しているときなどに利用され得る。光源により、オペレータがアンカー設置のためのエリアを発見して照明することが補助され得ることが想定されている。一実施形態では、光源は、LEDである。また、アクチュエータ1000の構成要素に電力を供給するために、アクチュエータの外部または内部バッテリ(例えば、充電式)のいずれかの電源(PS)1122が提供される。
【0076】
さらなる実施形態では、アクチュエータ1100は、可動式であってもよく、例えば、ロボット、テレロボット、部分的に有人化されたロボット、持ち運び可能な無人ロボットなどであってもよい。移動モジュール(図34においてモバイル1124として概略的に識別される)により、サーバ802またはPCD900によって制御されるように、またはアクチュエータ1100内にロードされるメモリの両方の組み合わせによって、アクチュエータに自己ナビゲーション能力が提供される。移動モジュール1124は、サーバ802またはPCD900によって送信された信号を介して制御される。当業者は、上述の生成された位置信号に基づいてアクチュエータの移動を制御するための方法を容易に想定することができる。
【0077】
図35は、本発明の1つ以上の実施形態を実装し得る分散通信/コンピューティングネットワーク(処理プラットフォーム)を示している。図34は、例示として、ネットワーク1202を介して互いに通信するように構成された複数のコンピューティングデバイス1204-1~1204-P(本明細書では総称してコンピューティングデバイス1204と称される)を含む通信システム1200を示している。
【0078】
ネットワーク1202には、例えば、インターネット、ワイドエリアネットワーク(WAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、サテライトネットワーク、電話またはケーブルネットワーク、またはこれらおよび他の種類のネットワーク(有線および/もしくは無線ネットワークを含む)の様々な部分もしくは組み合わせなどのグローバルコンピュータネットワークが含まれてもよい。
【0079】
本明細書で説明されるように、コンピューティングデバイス1204は、多種多様なデバイスを表し得る。例えば、コンピューティングデバイス1204は、上述のPDA900、携帯電話、スマートフォン、タブレット、コンピュータ、クライアントデバイスなどのポータブルデバイスを含み得る。コンピューティングデバイス1204は、代替的に、デスクトップもしくはラップトップパーソナルコンピュータ(PC)、サーバ、マイコン、ワークステーション、キオスク、メインフレームコンピュータ、または本発明の1つ以上の実施形態に従って詳細な技術のいずれかもしくは全てを実装し得る任意の他の情報処理デバイスを含み得る。他の例示的な実施形態では、サーバ802およびPDA900は、単一のユニットとして組み込まれてもよく、建設現場に位置してもよい。
【0080】
コンピューティングデバイス1204のうちの1つ以上も、「ユーザ」とみなされ得る。「ユーザ」という用語は、この文脈で使用される場合、例として、限定するものではないが、ユーザデバイス、デバイスを利用するかもしくは別様でデバイスと関連付けられた人物、またはその両方の組み合わせを包含すると理解される。したがって、ユーザによって実施されるように本明細書に記載される動作は、例えば、ユーザデバイスによって、デバイスを利用するかもしくは別様でデバイスと関連付けられた人物によって、またはその人物およびデバイスの両方の組み合わせによって実施されてもよく、その文脈は、説明から明らかである。
【0081】
追加的に、本明細書に記載されるように、本発明の実施形態に関連して説明される1つ以上のモジュール、要素または構成要素は、1つ以上の他のモジュール、要素または構成要素から地理的に遠隔に位置し得る。すなわち、例えば、図30図34の文脈で示され、説明されるモジュール、要素または構成要素は、インターネットベースの環境、携帯電話ベースの環境、キオスクベースの環境、および/またはローカルエリアネットワーク環境に分散され得る。システムおよび方法は、これらの実装形態の環境のいずれかの特定の1つに限定されない。
【0082】
例として、インターネットベースおよび/または電話ベースの環境において、システムは、PCD端部(図35のコンピューティングデバイス1204のうちの1つ)にアンカー設置するための適切な設置をユーザが識別することを可能にするように構成される。画像は、本明細書に詳述されるような処理および分析のためにリモートサーバ(図35のコンピューティングデバイス1204のうちの別の1つ)に送信される。処理および分析の少なくとも一部分は、ユーザエンドで実施されてもよい。
【0083】
追加的に、例えば、キオスクベースの環境において、PCD900などのデバイス(図35のコンピューティングデバイス1204の1つ)により、画像をキャプチャするか、ユーザが画像を選択することが可能となる。画像は、本明細書に記載されるように、処理および分析のために、サーバ(図35のコンピューティングデバイス1204の別の1つ)への有線接続または無線接続のいずれかを介して送信される。繰り返しとなるが、処理および分析の少なくとも一部分は、ユーザエンドで実施されてもよい。
【0084】
LANベースの環境では、全ての画像取り込み、処理、および分析は、LANにローカルに結合された1つ以上のコンピューティングデバイス(図35の1204)によって実施され得る。
【0085】
1つ以上の実施形態では、図35に示されるコンピューティングシステム環境は、クラウドコンピューティングプラットフォームを採用しており、ここで「クラウド」は、クラウドコンピューティングパラダイムを実装する集合コンピューティングインフラストラクチャを指す。例えば、National Institute of Standards and Technology Publication No.800-145によれば、クラウドコンピューティングは、構成可能なコンピューティングリソース(例えば、ネットワーク、サーバ、ストレージ、アプリケーション、およびサービス)の共有プールへのユビキタスで便利なオンデマンドネットワークアクセスを可能にするためのモデルであり、これは、最小限の管理努力またはサービスプロバイダインタラクションで迅速にプロビジョニングおよびリリースされ得る。クラウドベースのコンピューティングプラットフォーム(データセンターとも称される場合がある)は、クラウドサービスプロバイダによって展開され、管理され、クラウドサービスプロバイダは、顧客(テナント)がアプリケーションプログラム(例えば、ビジネスアプリケーションなど)を実行するためのコンピューティング環境を提供する。アプリケーションは、典型的には、1つ以上のコンピューティングデバイス(すなわち、ホストデバイスまたはホスト)上で実行され、1つ以上の記憶デバイス(例えば、ハードディスクドライブ、フラッシュドライブなど)にデータを書き込み、それらからデータを読み出す。記憶デバイスは、それらが通信ネットワークを介して接続されるように、ホストデバイスから遠隔に位置し得る。ただし、記憶デバイスの一部分または全ては、ホストを実装する同じコンピューティングデバイスの一部分であってもよい。
【0086】
1つ以上の実施形態では、図35に示されるコンピューティングシステム環境には、ブロックチェーン/分散台帳技術が採用される。「ブロックチェーン」、「台帳」、および「分散台帳」という用語は、同じ意味で使用され得る。知られているように、ブロックチェーンまたは分散台帳プロトコルは、計算ノードの分散型コンピュータネットワークを介して実装される。所与の1つのブロックチェーン計算ノード(台帳ノード)は、クライアント上に常駐する。または別様で、クライアントは、ブロックチェーン計算ノードにアクセスし得る。計算ノードは、ピアツーピア通信プロトコルにおいて操作可能に結合される。コンピュータネットワークにおいて、各計算ノードは、ブロックチェーンを維持するように構成され、ブロックチェーンは、所与の計算環境内のそれぞれのトランザクションを表すデータブロックの暗号学的に保護されたレコードまたは台帳である。ブロックチェーンは、暗号化ハッシュ関数の使用によって保護される。したがって、各ブロックチェーンは、改竄および修正から保護されたデータレコードのリストであり、典型的には、タイムスタンプ、現在のトランザクションデータ、およびそれを過去のブロックにリンクする情報を含む。より具体的には、ブロックチェーン内の各後続ブロックは、所与のトランザクション(複数可)およびチェーン内の過去のブロックのハッシュ値、すなわち、過去のトランザクションを含むデータブロックである。すなわち、各ブロックは典型的に、トランザクションのグループである。したがって、有利には、ブロックチェーン内の各データブロックは、トランザクションデータの所与のセットと、全ての過去のトランザクションデータのセットとを表す。ブロックチェーン分散台帳の「ビットコイン」型実装形態の場合、ブロックチェーンには、ビットコインネットワーク内で発生した全ての過去のトランザクションの記録が含まれる。ビットコインシステムは、2008年のS.Nakamoto,「Bitcoin:A Peer to Peer Electronic Cash System」に初めて説明されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0087】
別の代替の実施形態では、ロックプレートは、硬化されるコンクリート型枠の合板型枠の下に配置され得る金属ロックプレートおよび高強度磁石を使用することで、所望の場所に磁気的に固定され得る。これにより、ロックプレートがそれぞれの磁石によって所望の位置に保持されるという点で、ロックプレートを通して締結具を駆動する必要がなくなる。高強度磁石および/またはロックプレートは、上述の位置決め機構のいずれかによって、コンクリート型枠に対して位置決めされ得る。
【0088】
加えて、コンクリート柱、構造物等の代わりに、またはそれに加えて、高強度マグネットの使用により、鋼梁を利用した建築工法でのシステムの使用が可能となる。より具体的には、金属ロックプレートまたは磁石のいずれかは、前述の位置決めシステムのいずれかを介して、鋼梁または磁気梁に対して位置決めされ得る。それらの適切な場所に到達すると、磁石またはロックプレートのいずれかは、それらの指定された構成要素に隣接して配置され得る。構成要素間の磁力により、締結具を使用することなく、構成要素が所望の計算された場所に維持される。その後、ドリルがアンカープレートを通過して、梁内に開口部が作成される。カバーにより、アンカーロッドが下に摺動し、アンカーロッドは、前述の方法と同様にカバーにねじ込まれる。
【0089】
ここで、図36A図36Cを参照すると、本開示のアンカー装置の別の例示的な実施形態が示されている。アンカー装置2000は、アンカーロッド2002(図37A図37C)、ロックプレート2004(図38A図38D)、エスカッション2006(図39A図39D)を含む。アンカーロッド2002は、前述の実施形態のアンカーロッドと同様のL字型を画定している。本実施形態によれば、アンカーレッグ2008には、その長さの一部分にわたって延在する内部ネジ山2010が含まれる。内部ネジ山2010は、内径が一定であり得るか、または図37A図37Cに示されるように変化し得る。一実施形態では、内部ネジ山2010Dの遠位端により、内部ネジ山2010の近位端2010Pよりも大きい内部寸法が画定される。例えば、遠位内部ネジ山2010Dは3/4インチの内部寸法を有してもよく、近位内部ネジ山2010Pは1/2インチの内部寸法を有してもよい。他の配置も想定されている。アンカーレッグ2008は、その最遠位端に外側ネジ山2012をさらに含む。
【0090】
図36A図36Cおよび38A~図38Dを参照すると、ロックプレート2004には、他の形状が想定されるが、丸いプレートセグメント2014と、型枠板に固定するための締結具を受容するための1つ以上の締結具開口部2016と、が含まれる。ロックプレート2004は、プレートセグメント2014から近位方向に離れてぶら下がる外部ネジ山2018をさらに含む。外部ネジ山2018により、アンカーロッドの遠位内部ネジ山2010Dと協働して、ネジ山継手を介して部品が互いに固定される。また、バヨネット継手などを含む他の方法も想定される。
【0091】
ここで図36A図36Cおよび図39A図39Dを参照すると、エスカッション2006は、図1のカバー108と同様に機能する。エスカッション2006により、アンカーロッド2002の外側ネジ山2012と協働する内部ネジ山2020が画定される。エスカッション2006により、コンクリートがエスカッション2006の内部領域に入ることが防止され、また、アンカーロッド2002にアクセスするために内部空洞2022が保持される。
【0092】
アンカー装置は、前述の実施形態と同様の方法で使用される。例えば、ロックプレート2004は、締結具を使用して型枠板に固定される。エスカッション2006は、エスカッション2006の内部ネジ山2020およびアンカーロッド2002の外側ネジ山2012の協働係合を介して、アンカーロッド2002に固定される。その後、アンカーロッド2002は、ロックプレートの外部ネジ山2018とアンカーロッド2002の内遠位ネジ山2010Dとのネジ係合を通して、ロックプレート2004に固定される。(図36A図36Cを参照)。アセンブリ全体が型枠板に対して固定されている。コンクリートが形成されており、エスカッション2006は、アンカーロッド2002へのアクセスを提供するためにコンクリート内の空洞を画定する。外部ネジ山継手デバイス、ツール、マウント、安全デバイス、機械的、電線用マウントなどは、アンカーロッド2002に固定され得る。実施形態では、ツールには、アンカーロッド2002の近位内部ネジ山2010Pと協働する寸法の外部ネジ山が含まれる。代替的に、継手ツールは、アンカーロッド2002の遠位内部ネジ山2010Dをネジ係合し得る。
【0093】
ここで、図40A図43Dを参照すると、本開示の別の例示的な実施形態が示されている。アンカー装置4000は、アンカーロッド4002、第1および第2のエンドピース4004、およびアンカーツール4006を含む。このシステムは、例えば、ソノチューブ(商標)型枠などの湾曲したコンクリート型枠の作製に使用することができるが、装置は、直線支持構造にも適用される。
【0094】
図40A図41Cを参照すると、アンカーロッド4002は、硬化コンクリート内の移動に抵抗するような、概して弓形または正弦波形の構成である。アンカーロッド4002は、アンカーロッド4002の反対側の端部に対向する外部ネジ山4008を含む。
【0095】
図40A図40Cおよび図42A図42Dを参照すると、エンドピース4004は、カラー4010およびノーズ4012を含む。ノーズ4012は、円筒形セグメント4014および一般にテーパー状または円錐形のセクション4016を画定する。少なくともノーズの内部通路は、2つの構成要素を結合するためにアンカーロッド4002の外部ネジ山4008とネジ協働するための、図42A図42Dの1つの図で概略的に示されるネジ山4015である。エンドピース4004の内部空洞4018は、概して多角形のセグメント4022によって中断される円形表面4020を画定する。
【0096】
図40A図40Cおよび図43A図43Dを参照すると、アンカーツール4006により、エンドピース4004がアンカーロッドの外部ネジ山4008上に固定される。アンカーツールは、内部構造4024を含んでおり、内部構造4024は、エンドピース4004の内部空洞に寸法および構成が対応している。例えば、内部構造4024は、それぞれの円形表面4020および端部4004の多角形セグメント4022内に正確に嵌合する多角形突起4028によって中断される内周円4026を含む。したがって、係合される場合、アンカーツールを回転させて、対応するエンドピース4004の回転が引き起こされ得る。他の寸法および構造配置も想定される。アンカーツール4006はまた、ソケットレンチを受容するために、内部構造から離れた(すなわち、ツールの反対側にある)ハンドル4028および内部ソケット4030を含む。
【0097】
上述のように、アンカー装置4000は、コンクリート円柱を作製するために使用される市販のソノチューブ(商標)型枠のような円形または柱コンクリート型枠で利用され得る。使用中、対向孔は円形コンクリート型枠でドリル加工され、エンドピースの1つのノーズが、例えば、アンカーロッド4002の外部ネジ山4008上に固定される。アンカーロッド4002の自由端は、円形コンクリート型枠の第1の孔を通過し、第2の孔に向かって前進する。第2の孔に隣接すると、第2のエンドピースは、円形コンクリート型枠の対向孔の中に導入され、アンカーロッド4002の他のネジ端4008の上にネジ止めされる。両方のエンドピース4004は、前述の様式で、すなわち、内周円4026および多角形突起4028を含む内部構造4024を、円形表面4020および多角形セグメント4022を含むエンドピース4004の内部空洞4018と係合することによって、アンカーツール4006をバスでつなぐ円形コンクリート型枠に対して固定される。エンドピース4006は、円錐形コンクリート型枠に対して固定されており、それによって、円錐形ノーズは、コンクリート型枠の内部内にあり、円筒形セクションは、コンクリート型枠の厚さ部分にまたがる。カラー4010は、コンクリート型枠の外部である。その後、形成された部分にコンクリートが注入され、硬化される。硬化されると、エンドピース4006は、アンカーツールとエンドピースとの係合を介してアンカーツールで取り外され、アンカーロッド4002の外部ネジ山をネジで外すことができる。ある特定の例示的な実施形態では、エンドピースの取り外しを容易にするために、レンチを利用し、ソケット凹部4030内に導入してもよい。エンドピース4006が取り外されると、アンカーロッド4002の外部ネジ山4008は、建設現場内のダクトワーク、電気ケーブル、配管、スプリンクラー、安全ライン、またはフェンスなどの建設用品または設備と結合されるか、またはそれを支持するように露出する。円錐形ノーズ4012は各々、外部ネジ山へのアクセスを可能にするために、前述の実施形態に関連して上述したものと同様の空洞を提供することに留意されたい。外部ネジ山4010は、コンクリート柱の外側境界内に限定されたエンドピースのノーズの円錐形によって形成された空洞内に配置される。
【0098】
図44は、アンカー装置4000の使用を示すフローチャート5000である。ステップ5002では、対向孔は、例えば、木材またはプラスチックのコンクリート型枠にドリル加工されており、円形、正方形など、または任意の構成である。ステップ5004では、エンドピースは、アンカーロッドの1つのネジ端に取り付けられる。ステップ506では、アンカーロッドの自由端は、第1の孔内に前進し、対向孔に向かって前進する。それによって、マウントエンドピースのノーズが第1の孔に入り、セメント型枠の内部内に配置される。ステップ508において、他のエンドピースのノーズは、コンクリート型枠の対向孔内に前進し、アンカーロッドの自由端のネジ山に結合される。ステップ510において、各エンドピースは、セメント型枠に対して締め付けられる。ステップ512において、セメントが型枠に注入され、硬化される。ステップ514において、エンドピースをアンカーツールで取り外して、ネジ山を露出させる。これらのステップの一部は、本明細書に提示されるように、組み合わせられ得るか、または異なる順序で実施され得ることが理解されよう。加えて、アンカーロッドがセメント型枠内に位置決めされている間、エンドピースがアンカーロッドに固定され得ることも可能である。他の変形例も想定されている。
【0099】
例示的な実施形態では、本開示は、建設現場に建設される建物の建物モデルを生成することと、建物モデルの構造要素内に、1つ以上のアンカー装置を設置するための、建物モデル内の位置的場所を識別することと、建物モデルを建設現場のポータブルコンピューティングデバイスに送信することと、所与の位置的場所に対するポータブルコンピューティングデバイスの場所を識別することと、を含む方法を対象とする。少なくとも生成ステップ、識別ステップ、送信ステップ、および識別ステップが、プロセッサおよびメモリを含む少なくとも1つの処理デバイスを介して実装される。方法は、所与の位置的場所に1つのアンカー装置を設置することを含み得る。方法は、第2の所与の位置的場所の場所を識別することをさらに含み得、所与の位置的場所に1つのアンカー装置を設置することをさらに含み得る。構造要素は、梁、柱、桁、床、および天井のうちの少なくとも1つを含み得る。構造要素は、コンクリートまたはセメント、例えば、最初に注入されたコンクリートを含み得る。モデルを生成することは、サーバの建物情報モデリングモジュールを利用することを含み得る。方法は、建設現場でポータブルコンピューティングデバイスを利用して、オペレータが建物の対応する位置的場所を識別することを補助することをさらに含み得る。建物モデルの位置的場所を識別することは、ポータブルコンピューティングデバイス内の位置インジケータモジュールを利用して、モデル上の所与の位置的場所に対するポータブルコンピューティングデバイスの場所を示すことを含み得る。位置インジケータを利用することは、ポータブルコンピューティングデバイスの少なくとも1つの構成要素またはセンサを利用して、所与の位置的場所に対するポータブルコンピューティングデバイスの場所を識別することを補助することを含み得る。ポータブルコンピューティングデバイスの少なくとも1つの構成要素またはセンサを利用することは、パーソナルコンピューティングデバイスのWIFI、Bluetooth、カメラ、GPSセンサ、ジャイロスコープ、磁力計、加速度計、近接センサ、またはRFIDセンサのうちの1つ以上からフィードバックを受信することを含み得る。方法は、1つ以上のアンカー装置上の視覚しるしデータを走査して、1つ以上のアンカー装置の製造属性または1つ以上のアンカー装置の設置属性に関する情報を確認することをさらに含み得る。方法は、視覚しるしデータをポータブルコンピューティングデバイスまたはポータブルコンピューティングデバイスに関連付けられたサーバのうちの1つに送信することをさらに含み得る。製造属性は、1つ以上のアンカー装置の製造、流通業者、ロット、またはモデルのうちの少なくとも1つを含み得る。設置属性は、設置者、設置日、または監督者のうちの少なくとも1つを含み得る。視覚しるしデータを走査することは、パーソナルコンピューティングデバイスのRFIDセンサを利用して、1つ以上のアンカー装置の構成要素上のRFIDタグを走査することを含み得る。
【0100】
他の例示的な実施形態では、コンピュータのプロセッサ上で実行されると、コンピュータに本開示のステップを実装させるコンピュータプログラムコードで符号化された非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含む、コンピュータプログラム製品。
【0101】
他の例示的な実施形態では、システムは、建設現場に建設される建物の建物モデルを生成することと、建物モデルの構造要素内に、1つ以上のアンカー装置を設置するための、建物モデル内の位置的場所を識別することと、建物モデルを建設現場のポータブルコンピューティングデバイスに送信することと、所与の位置的場所へのポータブルコンピューティングデバイスの場所を識別することと、を行うように構成された1つ以上のメモリに操作可能に結合された1つ以上のプロセッサを含む。
【0102】
他の例示的な実施形態では、コンクリート支持体内に設置するためのアンカーシステムは、少なくとも1つのアンカー装置であって、コンクリート支持体を形成するために使用される型枠板に対して固定するように構成されたロックプレートと、建築ツールと接続するためのコネクタセグメントを一端に含む細長いアンカーと、細長いアンカーに取り付けられたカプラであって、細長いアンカーをロックプレートに少なくとも部分的に固定するためにロックプレートに結合されるように操作可能である、カプラと、細長いアンカーの周囲に取り付けられ、カプラおよびロックプレートの上に位置決めするために移動可能なカバーと、を含む、少なくとも1つのアンカー装置を含む。カプラは、細長いアンカーのコネクタセグメントを少なくとも部分的に受容するように構成された中央開口部を画定し得、カプラおよび接続セグメントは、カプラおよび細長いアンカーを解放可能に固定するための協働構造を含む。カプラは、開口部を少なくとも部分的に制限する内部ネジ山を画定し得、アンカーのコネクタセグメントは、カプラおよび細長いアンカーを解放可能に固定するためにカプラの内部ネジ山とネジ係合するように構成された外部ネジ山を含む。ロックプレートおよびカプラは、カプラをロックプレートに固定するように構成された協働構造を含み得る。ロックプレートは、プレート開口およびプレート開口に隣接する少なくとも1つの鍵付きスロットを画定し得、カプラは、カプラ開口部を画定する中央セグメントと、中央セグメントからぶら下がる少なくとも1つの翼部と、を含み得、それによって、中央セグメントおよび少なくとも1つの翼部が、カプラおよびロックプレートの第1の回転配向にあるときに、それぞれ、ロックプレートのプレート開口および少なくとも1つの鍵付きスロット内で受容可能であり、それによって、カプラおよびロックプレートのその第2の回転配向への相対的な回転運動が、カプラをロックプレートに少なくとも部分的に固定する。ロックプレートは、2つの対向する鍵付きスロットを画定し得、カプラは、カプラおよびロックプレートの第1の回転配向にあるときに、2つの対向する鍵付きスロット内で受容されるように、対応して寸法決定された2つの対向する翼部を含む。カバーは、細長いアンカーを受容するためのカバー通路を画定し得る。カバーは、カバー通路を制限する内側ネジ山をさらに画定し得、内側ネジ山は、細長いアンカーの外部ネジ山と協働して、カバーを細長いアンカーに対して前進させるように構成されている。ロックプレートは、ロックプレートを型枠板に固定するための締結具を受容するように構成された少なくとも1つの締結具開口部を含み得る。アンカーシステムは、複数のアンカー装置を含み得る。
【0103】
他の例示的な実施形態では、建設方法は、少なくとも1つのアンカー装置を、コンクリート支持構造を作成するために利用される型枠に据え付けることであって、少なくとも1つのアンカー装置のロックプレートを型枠の板に固定することと、少なくとも1つのアンカー装置の細長いアンカーをロックプレートに結合することであって、細長いアンカーが、外部ネジ山を含む、結合することと、板に対して位置決めするために、少なくとも1つのアンカー装置のカバーを細長いアンカーに沿って前進させることと、型枠内にコンクリートを堆積させて、コンクリート支持構造を作成し、それによって、カバーが、細長いアンカーの外部ネジ山の少なくとも一部分をコンクリートから隔離することと、板を取り外して、カバー、および細長いアンカーの外部ネジ山の少なくとも一部分を少なくとも部分的に露出させることと、を含む、据え付けることを含む。コンクリートを堆積することは、カバー内に隔離された内部空洞を確立することを含み得、アンカーの外部ネジ山の少なくとも一部分は、内部空洞内に延在している。細長いアンカーを結合することは、細長いアンカーの外部ネジ山の周りに少なくとも1つのアンカー装置のカプラを取り付け、カプラをロックプレートに接続することを含み得る。カプラは、内部ネジ山を含み得、カプラを取り付けることは、カプラをアンカーの外部ネジ山とネジ係合させることを含む。ロックプレートが、プレート開口と、プレート開口に隣接する少なくとも1つの鍵付きスロットと、を画定し得、カプラが、カプラ開口部を画定する中央セグメントと、中央セグメントからぶら下がる少なくとも1つの翼部と、を含み得、方法は、ロックプレートのプレート開口および少なくとも1つの鍵付きスロット内に中央セグメントおよび少なくとも1つの翼部をそれぞれ位置決めすることと、カプラを回転させてカプラおよびアンカーをロックプレートに対して固定することと、をさらに含む。カバーは、内部ネジ山を有するカバー通路を画定し得、カバーを前進させることは、カバーの内部ネジ山を細長いアンカーの外部ネジ山とネジ結合させることを含む。方法は、板を取り外した後に、アンカーの外部ネジ山の少なくとも一部分に対してツールを取り付けることをさらに含み得る。ツールは、ネジ山セグメントを含み得、ツールを取り付けることは、ツールをアンカーの外部ネジ山の一部分とネジ結合させることを含む。方法は、ツールで建設設備を支持することをさらに含み得る。方法はまた、複数のアンカー装置を型枠に据え付けることを含み得る。ツールは、アンカークランプであり得る。
【0104】
他の例示的な実施形態では、コンクリート支持体内に設置するためのアンカーシステムは、少なくとも1つのアンカー装置であって、コンクリート支持体を形成するために使用される型枠板に対して固定するように構成されたロックプレートと、建築ツールと接続するためのコネクタセグメントを一端に含む細長いアンカーと、細長いアンカーに取り付けられたカプラであって、細長いアンカーをロックプレートに少なくとも部分的に固定するためにロックプレートに結合されるように操作可能である、カプラと、細長いアンカーの周囲に取り付けられ、カプラおよびロックプレートの上に位置決めするために移動可能なカバーと、細長いアンカーのコネクタセグメントと係合可能なアンカークランプと、を含む、少なくとも1つのアンカー装置を含む。
【0105】
異なる実装形態の環境の組み合わせが、本発明の実施形態の範囲内であると企図されることが理解されよう。当業者は、本明細書に提供される例示的な教示を考慮して、代替の実装形態を実現するであろう。
【0106】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「an」、「the」は、文脈に別段明示的に示されない限り、複数形も含むことが意図されている。追加的に、本明細書で使用される「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」という用語は、記載された値、特徴、ステップ、動作、モジュール、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、別の値、特徴、ステップ、動作、モジュール、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在もしくは追加を排除するものではない。
【0107】
本発明の様々な実施形態の説明は、例示の目的で提示されているが、網羅的であることを意図するものでもなく、開示される実施形態に限定されることを意図するものでもない。記載される実施形態の範囲および趣旨から逸脱することなく、多くの修正例および変形例が当業者には明らかであろう。
【0108】
建設現場という用語は、商業建物および住宅建物に限定されるものではなく、建物、修繕、保守等の対象となる全ての施設を含む。かかる現場には、商業および住宅建物、トンネル、橋、スタジアム、学校、外観システム、全てのプレキャストコンクリート製品、およびリギングポイントが含まれるが、これらに限定されない。アンカー装置は、建設現場での建設中に遭遇する水平配向、垂直配向および/または任意の他の配向、ならびに全てのウェットキャスト用途に設置され得る。
【0109】
本開示の例示的な実施形態が添付の図面を参照して本明細書に記載されているが、上記の説明、開示、および図面は、限定的と解釈されるべきではなく、特定の実施形態の例示としてのみ解釈されるべきである。したがって、本開示は、これらの正確な実施形態に限定されるものではなく、本開示の範囲または趣旨から逸脱することなく、当業者により様々な他の変更および修正を行うことができることが理解されよう。例えば、構成要素の一部を接続または結合するためのネジ式継手が示されているが、バヨネット継手、スナップフィット、さねはぎ配置など、任意の対応する構造が置換され得ることが想定される。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図8A
図9
図9A
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図29A
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36A
図36B
図36C
図37A
図37B
図37C
図38A
図38B
図38C
図38D
図39A
図39B
図39C
図39D
図40A
図40B
図40C
図41A
図41B
図41C
図42A
図42B
図42C
図42D
図43A
図43B
図43C
図43D
図44
【国際調査報告】