(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(54)【発明の名称】膜及び製造プロセス
(51)【国際特許分類】
H01M 4/66 20060101AFI20220107BHJP
C23C 14/20 20060101ALI20220107BHJP
C23C 16/30 20060101ALI20220107BHJP
B32B 15/20 20060101ALI20220107BHJP
B32B 15/04 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
H01M4/66 A
C23C14/20 A
C23C16/30
B32B15/20
B32B15/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021525136
(86)(22)【出願日】2018-11-09
(85)【翻訳文提出日】2021-05-31
(86)【国際出願番号】 CN2018114906
(87)【国際公開番号】W WO2020093395
(87)【国際公開日】2020-05-14
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521196121
【氏名又は名称】星耀科技(深▲せん▼)有限公司
【氏名又は名称原語表記】XINGYAO TECHNOLOGY (SHENZHEN) CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】Shop No.2-4,Hongde Garden,Qiaotou Village,Fuyong Street,Bao’an District,Shenzhen,Guangdong 518103,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】許 兢睿
【テーマコード(参考)】
4F100
4K029
4K030
5H017
【Fターム(参考)】
4F100AA19B
4F100AA19D
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4F100AA20B
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4F100AR00B
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4K029AA11
4K029BA03
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4K030BA44
4K030CA07
5H017AA03
5H017BB01
5H017BB08
5H017BB16
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5H017EE05
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5H017EE08
5H017HH03
5H017HH07
5H017HH08
5H017HH09
(57)【要約】
膜であって、基層を備え、前記基層の表面及び裏面に接着層、複合構造層、アルミニウム金属材料層及び酸化防止層が順に設置され、前記複合構造層は、それぞれ一層のアルミニウム金属材料層と一層の補強層により構成される少なくとも二層の構造体を備え、多層構造体が積層される。本発明の複合構造層により、抵抗率が低く、剥離力(ここで、剥離力であり、剥離強度が線剥離力として定義され、単位がN/mである)が大きく、4.8~5.2Nであり、接着力が高くなり、緻密性がより良好になり、抵抗率がより低く、4.5*10
-8Ω・mである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜であって、基層を備え、前記基層の表面及び裏面に、接着層、複合構造層、アルミニウム金属材料層及び酸化防止層が順に設置され、前記複合構造層は、それぞれ一層のアルミニウム金属材料層と一層の補強層により構成される少なくとも二層の構造体を備え、多層構造体が積層される、ことを特徴とする膜。
【請求項2】
前記構造体は2~50層に設置される、ことを特徴とする請求項1に記載の膜。
【請求項3】
前記構造体は2~25層に設置される、ことを特徴とする請求項1に記載の膜。
【請求項4】
膜であって、接着層、アルミニウム金属材料層、補強層、アルミニウム金属材料層及び酸化防止層が順に設置される基層を備える、ことを特徴とする膜。
【請求項5】
前記基層の材料は、OPP、PET、PI、PS、PPS、CPP、PEN、PVC、SPS、PEEK、PES、PPSU、PE、不織布のうちの1種又は2種以上である、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の膜。
【請求項6】
前記基層の厚さは1.2~12μmである、ことを特徴とする請求項5に記載の膜。
【請求項7】
前記接着層は非金属材料層であり、前記非金属材料は、SiC、Si
3N
4、SiO
x(1.5≦x≦2)及びAlO
x(1≦x≦1.5)のうちの少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の膜。
【請求項8】
前記接着層の厚さは2~50nmである、ことを特徴とする請求項7に記載の膜。
【請求項9】
非金属材料がAlO
x(1≦x≦1.5)である場合に、非金属材料層の厚さは3~12nmであり、非金属材料がSiO
x(1.5≦x≦2)である場合に、厚さは10~40nmである、ことを特徴とする請求項7に記載の膜。
【請求項10】
前記アルミニウム金属材料層の厚さは20~1500nmである、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の膜。
【請求項11】
前記アルミニウム金属材料層の厚さは20~500nmである、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の膜。
【請求項12】
前記補強層は緻密な非金属材料層であり、成分がAlO
x(1≦x≦1.5)である、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の膜。
【請求項13】
前記補強層の厚さは1~50nmである、ことを特徴とする請求項12に記載の膜。
【請求項14】
前記補強層の厚さは1~8nmである、ことを特徴とする請求項12に記載の膜。
【請求項15】
前記酸化防止層は緻密な非金属材料層であり、成分がAlO
x(1≦x≦1.5)である、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の膜。
【請求項16】
前記酸化防止層の厚さは2~50nmである、ことを特徴とする請求項15に記載の膜。
【請求項17】
前記酸化防止層の厚さは3~12nmである、ことを特徴とする請求項15に記載の膜。
【請求項18】
請求項1に記載の膜の製造方法であって、
基層の外に接着層を形成するステップ1と、
接着層の外にアルミニウム金属材料層であるアルミニウムメッキ層を形成するステップ2と、
アルミニウム金属材料層に補強層を形成するステップ3と、
ステップ2、ステップ3を繰り返して多層構造体を形成するステップ4と、
複合構造層の外に蒸着プロセスでアルミニウム金属材料層を形成するステップ5と、
アルミニウム金属材料層の外に酸化防止層を形成するステップ6とを含む、ことを特徴とする膜の製造方法。
【請求項19】
前記ステップ6では、ステップ5で得られるアルミニウム金属材料層を、プラズマ装置を備えた片面又は両面蒸発コーティング機の真空チャンバー内に入れ、真空チャンバーを密封し、真空度が10
-4~10
-1Paに達するまで段階的に真空引き、蒸発源をオンにせずに、プラズマ機器を利用してアルゴンガス及び酸素ガスを電離し、アルミニウム金属材料層の表面を洗浄して酸化し、より緻密な酸化防止層であるAlO
x(1≦x≦1.5)を生成する、ことを特徴とする請求項18に記載の膜の製造方法。
【請求項20】
前記ステップ6では、ステップ5で得られるアルミニウム金属材料層を高温オゾン反応装置内に入れ、反応温度及びオゾン含有量を調整し、アルミニウム金属材料層の表面に、より緻密な酸化防止層であるAlO
x(1≦x≦1.5)を形成する、ことを特徴とする請求項18に記載の膜の製造方法。
【請求項21】
請求項4に記載の膜の製造方法であって、
基層の外に接着層を形成するステップ1と、
接着層の外にアルミニウム金属材料層であるアルミニウムメッキ層を形成するステップ2と、
アルミニウム金属材料層に補強層を形成するステップ3と、
補強層の外に蒸着プロセスでアルミニウム金属材料層を形成するステップ4と、
アルミニウム金属材料層の外に酸化防止層を形成するステップ5とを含む、ことを特徴とする膜の製造方法。
【請求項22】
前記ステップ1では、前記接着層は、PVDプロセスで非金属化合物を基層に堆積し、又はCVDプロセスを使用して基層に堆積される、ことを特徴とする請求項18~20のいずれか1項に記載の膜の製造方法。
【請求項23】
前記ステップ3では、ステップ2で得られるアルミニウム金属材料層を、温度が25~60℃で、相対湿度が0.5未満の環境に置き、1~15日間放置して熟成し、より緻密な補強層である酸化層を形成する、ことを特徴とする請求項18~20のいずれか1項に記載の膜の製造方法。
【請求項24】
前記ステップ3では、ステップ2で得られたアルミニウムメッキ膜を、フロント又はリアプラズマ装置を備えた片面又は両面往復蒸発コーティング機の真空チャンバー内に入れ、真空チャンバーを密封し、真空度が10
-4~10
-1Paに達するまで段階的に真空引き、蒸発領域に入る前又は入った後に、プラズマ機器によってアルゴンガス及び酸素ガスを電離し、アルミニウムメッキ膜の表面を洗浄して酸化し、より緻密な補強層であるAlO
x(1≦x≦1.5)を生成する、ことを特徴とする請求項18~20のいずれか1項に記載の膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー貯蔵素子材料の技術分野に属し、具体的には、膜及び製造プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
産業の発展及び化石エネルギーの枯渇に伴い、環境汚染とエネルギー欠乏による圧力はますます高くなり、新たなエネルギーを見つけ、新たな省エネルギーツールを開発する必要がある。
【0003】
リチウムエネルギー貯蔵素子の正極材料はアルミ箔であり、従来のアルミ箔は最大8ミクロンの厚さまで作製できなかった。エネルギー貯蔵素子の技術の発展に伴って、エネルギー貯蔵素子の体積及び重量に対する要求が高くなり、超薄型エネルギー貯蔵素子負極集電体構造は徐々に登場しており、プラスチック基層にアルミニウム層をメッキしたが、エネルギー貯蔵素子の充放電の使用中に、アルミニウムメッキ層とプラスチック基層との接合強度が弱く、脱落しやすい。
【0004】
従来技術では、アルミニウムメッキ層とプラスチック基層を接続することにより、接着層を形成したが、脱落しやすい問題は依然として存在している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従来技術に存在している問題を解消し、脱落しにくく、剥離強度が高く、抵抗率が低い膜を提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、コストが低く、プロセスが簡単である膜製造プロセスを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の技術的解決手段は以下のとおりである。
膜であって、基層を備え、前記基層の表面及び裏面に、接着層、複合構造層、アルミニウム金属材料層及び酸化防止層が順に設置され、前記複合構造層は、それぞれ一層のアルミニウム金属材料層と一層の補強層により構成される少なくとも二層の構造体を備え、多層構造体が積層される。
前記構造体は2~50層に設置される。
前記構造体は10~30層に設置される。
【0008】
膜であって、接着層、アルミニウム金属材料層、補強層、アルミニウム金属材料層及び酸化防止層が順に設置される基層を備える。
前記基層の材料は、OPP、PET、PI、PS、PPS、CPP、PEN、PVC、SPS、PEEK、PES、PPSU、PE、不織布のうちの1種又は2種以上である。
前記基層の厚さは1.2~12μmである。
前記接着層は非金属材料層であり、前記非金属は、SiC、Si3N4、SiOx(1.5≦x≦2)及びAlOx(1≦x≦1.5)のうちの少なくとも1種である。
前記接着層の厚さは2~50nmである。
接着層がAlOx(1≦x≦1.5)である場合に、厚さは8~20nmから選択され、接着層がSiOx(1.5≦x≦2)である場合に、厚さは10~40nmから選択される。
前記アルミニウム金属材料層の厚さは20~1500nmである。
前記アルミニウム金属材料層の厚さは20~100nmである。
前記補強層は緻密な非金属材料層であり、成分がAlOx(1≦x≦1.5)である。
前記補強層の厚さは2~50nmである。
前記補強層の厚さは3~6nmである。
前記酸化防止層は緻密な非金属材料層であり、成分がAlOx(1≦x≦1.5)である。
前記酸化防止層の厚さは2~50nmである。
【0009】
本発明の別の目的の技術的解決手段は以下のとおりである。
膜の製造方法であって、
基層の外に接着層を形成するステップ1と、
接着層の外にアルミニウム金属材料層であるアルミニウムメッキ層を形成するステップ2と、
アルミニウム金属材料層に補強層を形成するステップ3と、
ステップ2、ステップ3を繰り返して多層構造体を形成するステップ4と、
複合構造層の外に蒸着プロセスでアルミニウム金属材料層を形成するステップ5と、
アルミニウム金属材料層の外に酸化防止層を形成するステップ6とを含む。
前記ステップ6では、ステップ5で得られるアルミニウム金属材料層を、プラズマ装置を備えた片面又は両面蒸発コーティング機の真空チャンバー内に入れ、真空チャンバーを密封し、真空度が10-4~10-1Paに達するまで段階的に真空引き、蒸発源をオンにせずに、プラズマ機器を利用してアルゴンガス及び酸素ガスを電離し、アルミニウム金属材料層の表面を洗浄して酸化し、より緻密な酸化防止層であるAlOx(1≦x≦1.5)を生成する。
前記ステップ6では、ステップ5で得られるアルミニウム金属材料層を高温オゾン反応装置内に入れ、反応温度及びオゾン含有量を調整し、アルミニウム金属材料層の表面に、より緻密な酸化防止層であるAlOx(1≦x≦1.5)を形成する。
【0010】
膜の製造方法であって、
基層の外に接着層を形成するステップ1と、
接着層の外にアルミニウム金属材料層であるアルミニウムメッキ層を形成するステップ2と、
アルミニウム金属材料層に補強層を形成するステップ3と、
補強層の外に蒸着プロセスでアルミニウム金属材料層を形成するステップ4と、
アルミニウム金属材料層の外に酸化防止層を形成するステップ5とを含む。
前記ステップ1では、前記接着層は、蒸着プロセス、電子ビームメッキプロセス、マグネトロン直接プロセス、又はマグネトロン反応プロセスのうちの1種によって非金属化合物を基層にメッキし、又はCVDプロセスを使用して基層に堆積して生成される。前記ステップ3では、ステップ2で得られるアルミニウム金属材料層を、温度が25~60℃で、湿度が50未満の環境に入れ、1~15日間放置して熟成し、より緻密な補強層である酸化層を形成する。
前記ステップ3では、ステップ2で得られたアルミニウムメッキ膜を、フロント又はリアプラズマ装置を備えた片面又は両面往復蒸発コーティング機の真空チャンバー内に入れ、真空チャンバーを密封し、真空度が10-4~10-1Paに達するまで段階的に真空引き、蒸発領域に入る前又は入った後に、プラズマ機器によってアルゴンガス及び酸素ガスを電離し、アルミニウムメッキ膜の表面を洗浄して酸化し、より緻密な補強層であるAlOx(1≦x≦1.5)を生成する。
【発明の効果】
【0011】
膜であって、基層を備え、前記基層の表面及び裏面に接着層、複合構造層、アルミニウム金属材料層及び酸化防止層が順に設置され、前記複合構造層は、それぞれ一層のアルミニウム金属材料層と一層の補強層により構成される少なくとも二層の構造体を備え、多層構造体が積層される。本発明の複合構造層により、抵抗率が低く、剥離力(ここで、剥離力であり、剥離強度が線剥離力として定義され、単位がN/mである)が大きく、4.8~5.2Nであり、接着力が高くなり、緻密性がより良好になり、抵抗率がより低く、4.5*10-8Ω・mである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】本発明の膜Aの走査型電子顕微鏡写真である。
【
図3】本発明の膜Bの走査型電子顕微鏡写真である。
【
図4】本発明の膜Cの走査型電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の目的、技術的解決手段及び利点をより明瞭で理解しやすくするために、以下では、図面及び実施例を参照しながら、本発明をさらに詳細に説明する。理解すべきなのは、ここで説明された具体的な実施例は、本発明を解釈するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0014】
実施例1
膜であって、基層を備え、前記基層の表面及び裏面に、接着層、複合構造層、アルミニウム金属材料層及び酸化防止層が順に設置され、前記複合構造層は、それぞれ一層のアルミニウム金属材料層と一層の補強層により構成される少なくとも二層の構造体を備え、多層構造体が積層される。
【表1】
【表2】
前記構造体は2~50層に設置される。
前記構造体は10~30層に設置される。
前記基層の材料は、OPP、PET、PI、PS、PPS、CPP、PEN、PVC、SPS、PEEK、PES、PPSU、PE、不織布のうちの1種又は2種以上であり、2種以上の材料が共押出により基層を形成する。
前記基層の厚さは1.2~12μmである。
【0015】
実施例2
本発明の膜の実施形態の1つでは、
図2に示すように、本実施例の主な技術的解決手段は実施例1と基本的に同じであり、本実施例で説明されていない特徴は、実施例1での説明を採用し、ここで繰り返し説明しない。本実施例と実施例1との相違点は、膜であって、接着層、アルミニウム金属材料層、補強層、アルミニウム金属材料層及び酸化防止層が順に設置される基層を備えることである。
【0016】
本発明の複合構造層により、抵抗率が低く、剥離力が大きく、補強層の設計により剥離力が高くなり、アルミニウム金属材料層を利用して導電率を効果的に確保する。
【0017】
実施例3
本発明の膜の実施形態の1つでは、
図3に示すように、本実施例の主な技術的解決手段は実施例1、実施例2と基本的に同じであり、本実施例で説明されていない特徴は、実施例1、実施例2での説明を採用し、ここで繰り返し説明しない。本実施例と実施例1、実施例2との相違点は、前記接着層が非金属材料層であり、前記非金属がSiC、Si
3N
4、SiO
x(1.5≦x≦2)及びAlO
x(1≦x≦1.5)のうちの少なくとも1種であることである。
【表3】
前記接着層の厚さは2~50nmである。
接着層がAlO
x(1≦x≦1.5)である場合に、厚さは8~20nmから選択され、接着層がSiO
x(1.5≦x≦2)である場合に、厚さは10~40nmから選択される。前記アルミニウム金属材料層の厚さは20~1500nmである。好ましくは、前記アルミニウム金属材料層の厚さは20~100nmである。
前記補強層は緻密な非金属材料層であり、成分がAlO
x(1≦x≦1.5)であり、前記補強層の厚さは2~50nmである。
前記補強層の厚さは3~6nmである。
前記酸化防止層は緻密な非金属材料層であり、成分がAlO
x(1≦x≦1.5)である。前記酸化防止層の厚さは2~50nmである。
【0018】
実施例4
本発明の膜の実施形態の1つでは、本実施例の主な技術的解決手段は実施例1、実施例2、実施例3と基本的に同じであり、本実施例で説明されていない特徴は、実施例1、実施例2、実施例3での説明を採用し、ここで繰り返し説明しない。本実施例と、実施例1、実施例2、実施例3との相違点は以下のとおりである。
【0019】
膜の製造方法であって、
基層の外に接着層を形成するステップ1と、
接着層の外にアルミニウム金属材料層であるアルミニウムメッキ層を形成するステップ2と、
アルミニウム金属材料層に補強層を形成するステップ3と、
ステップ2、ステップ3を繰り返して多層複合構造層を形成するステップ4と、
複合構造層の外に蒸着プロセスでアルミニウム金属材料層を形成するステップ5と、
アルミニウム金属材料層の外に酸化防止層を形成するステップ6とを含む。
前記ステップ6では、ステップ5で得られるアルミニウム金属材料層を、プラズマ装置を備えた片面又は両面蒸発コーティング機の真空チャンバー内に入れ、真空チャンバーを密封し、真空度が10-4~10-1Paに達するまで段階的に真空引き、蒸発源をオンにせずに、プラズマ機器を利用してアルゴンガス及び酸素ガスを電離し、アルミニウム金属材料層の表面を洗浄して酸化し、より緻密な酸化防止層であるAlOx(1≦x≦1.5)を生成する。
前記ステップ6では、ステップ5で得られるアルミニウム金属材料層を高温オゾン反応装置内に入れ、反応温度及びオゾン含有量を調整し、アルミニウム金属材料層の表面に、より緻密な酸化防止層であるAlOx(1≦x≦1.5)を形成する。
【0020】
実施例5
本発明の膜の実施形態の1つでは、本実施例の主な技術的解決手段は実施例4と基本的に同じであり、本実施例で説明されていない特徴は、実施例4での説明を採用し、ここで繰り返し説明しない。本実施例と実施例4との相違点は以下のとおりである。
【0021】
膜の製造方法であって、
基層の外に接着層を形成するステップ1と、
接着層の外にアルミニウム金属材料層であるアルミニウムメッキ層を形成するステップ2と、
アルミニウム金属材料層に補強層を形成するステップ3と、
補強層の外に蒸着プロセスでアルミニウム金属材料層を形成するステップ4と、
アルミニウム金属材料層の外に酸化防止層を形成するステップ5とを含む。
前記ステップ1では、前記接着層は、PVDプロセス、具体的に蒸着プロセス、電子ビームメッキプロセス、マグネトロン直接プロセス、又はマグネトロン反応プロセスのうちの1種によって非金属化合物を基層にメッキし、又はCVDプロセスを使用して基層に堆積して生成される。
前記ステップ3では、ステップ2で得られるアルミニウム金属材料層を、温度が20~60℃で、湿度が50%未満の環境に入れ、1~15日間放置して熟成し、より緻密な補強層である酸化層を形成する。
前記ステップ3では、ステップ2で得られたアルミニウムメッキ膜を、フロント又はリアプラズマ装置を備えた片面又は両面往復蒸発コーティング機の真空チャンバー内に入れ、真空チャンバーを密封し、真空度が10-4~10-1Paに達するまで段階的に真空引き、蒸発領域に入る前又は入った後に、プラズマ機器によってアルゴンガス及び酸素ガスを電離し、アルミニウムメッキ膜の表面を洗浄して酸化し、より緻密な補強層であるAlOx(1≦x≦1.5)を生成する。
【0022】
実施例6
本発明の膜の実施形態の1つでは、本実施例の主な技術的解決手段は実施例1~4と基本的に同じであり、本実施例で説明されていない特徴は、実施例1~4での説明を採用し、ここで繰り返し説明しない。本実施例と実施例1~4との相違点は以下のとおりである。
【0023】
導電性機能膜の製造方法であって、
S1.先ず、コーティングする必要があるプラスチック膜の表面に対してコロナ処理を行い、次に、ロール状のプラスチック膜を真空コーティング機の真空チャンバー内に入れ、真空チャンバーを密封し、真空度が5×10-2Paに達するまで段階的に真空引き、蒸発源の近傍の酸素導入構造を利用して、4000sccm及び3500sccmの通気量で圧縮酸素ガスを導入する。蒸発源の蒸着原料は、純度≧99.9%の金属アルミニウムワイヤ又はアルミニウムインゴットであり、巻取り速度を350m/minに設定し、ワイヤ供給量を300mm/minに設定し、蒸発したアルミニウム原子と酸素ガスを反応させて、移動している膜に接着層であるAlOx(1≦x≦1.5)層を形成し、該層の厚さが約10nmである。
S2.S1で得られた表面に接着層を有する膜を、それぞれ、プラズマ装置を備えた片面又は両面の往復及び非往復の蒸発コーティング機の真空チャンバー内に入れ、真空チャンバーを密封し、真空度が2×10-2Paに達するまで段階的に真空引き、蒸発領域に入る前に、先ずプラズマ機器によってアルゴンガスを電離し、接着層の表面を洗浄し、アルゴンガス量が500sccmであり、次に、蒸着領域に入って、蒸発の方式で純度≧99.9%のアルミニウムを加熱し、巻取り速度をそれぞれ300m/minに設定し、ワイヤ供給量を1100mm/minに設定し、アルミニウムを蒸発機構に連続的に熔融して蒸発させ、接着層の表面にアルミニウム金属メッキ層であるアルミニウムメッキ層を形成し、該アルミニウム金属メッキ層の厚さが約40~45nmである。
S3.S2で得られたアルミニウムメッキ膜を、プラズマ装置を備えた片面又は両面の往復蒸発コーティング機の真空チャンバー内に入れ、真空チャンバーを密封し、真空度が2×10-2Paに達するまで段階的に真空引き、チャンバーから出ないでステップS2を連続的に40又は20回繰り返し、膜Aを得る。
S3.S2で得られたアルミニウムメッキ膜を、プラズマ装置を備えた片面又は両面の往復蒸発コーティング機の真空チャンバー内に入れ、真空チャンバーを密封し、真空度が2×10-2Paに達するまで段階的に真空引き、蒸発領域に入る前に、先ずプラズマ機器によってアルゴンガス及び酸素ガスを電離し、アルミニウムメッキ膜の表面を洗浄して酸化し、アルゴンガス量が500sccmであり、酸素ガス量が350sccmであり、アルミニウムメッキ金属層の表面に、より緻密な補強層であるAlOx(1≦x≦1.5)を生成し、該補強層の厚さが約4nmである。次に、蒸着領域に入って、蒸発の方式で純度≧99.9%のアルミニウムを加熱し、巻出し速度、巻取り速度及び蒸発量を調整し、アルミニウムを蒸発機構に連続的に熔融して蒸発させ、接着層の表面にアルミニウムメッキ層を形成し、機器の片面・両面成形の設計に応じて、該ステップを40又は20回繰り返し、膜Bを得る。
S4.S3で得られたアルミニウムメッキ膜を、湿度<50%、温度が20~60℃の室温環境に入れ、1~15日間、好ましくは48h放置して熟成し、アルミニウムメッキ膜の表面に、空気中の酸素ガスや少量の水分の浸透により、より緻密な酸化防止層である酸化層を形成し、該酸化防止層の厚さが約2~4nmである。
【0024】
剥離力のテスト方法:
1.ヒートシール:5点ヒートシール機を使用してA膜及びB膜をEAAとヒートシールし、加熱温度が120℃、圧力が3kg/cm2、ヒートシール時間が1sであり、次に180°で剥離テストを行う。
2.サンプル幅が15mm、初期距離が5cm、速度が250mm/minである。
【0025】
【0026】
膜Aを製造する時に、チャンバーが蒸発物質により汚染され、定期的にチャンバーを開けて洗浄する必要があるため、比較的少ないAlOx(1≦x≦1.5)が存在し、膜Bに比べて、その抵抗率がやや低いが、剥離力が非常に低く、補強層の欠失により接着力の劣化をもたらすだけでなく、巻取りシステムにおいて、補強層の保護がないため、アルミニウム面がロール面の摩擦を受けて大量の損傷を引き起こし、欠陥や穴が発生する。一方、補強層が存在するため、膜Bは一定の抵抗率を確保できる状況で、高い剥離力を有する。
【0027】
実施例7
本発明の膜の実施形態の1つでは、本実施例の主な技術的解決手段は実施例1~4と基本的に同じであり、本実施例で説明されていない特徴は、実施例1~4での説明を採用し、ここで繰り返し説明しない。本実施例と実施例1~4との相違点は以下のとおりである。
【0028】
S1.先ず、コーティングする必要があるプラスチック膜の表面に対してコロナ処理を行い、次に、ロール状のプラスチック膜を真空コーティング機の真空チャンバー内に入れ、真空チャンバーを密封し、真空度が5×10-2Paに達するまで段階的に真空引きし、蒸発源の近傍の酸素導入構造を利用して、4000sccm及び3500sccmの通気量で圧縮酸素ガスを導入する。蒸発源の蒸着原料は、純度≧99.9%の金属アルミニウムワイヤ又はアルミニウムインゴットであり、巻取り速度を350m/minに設定し、ワイヤ供給量を300mm/minに設定し、蒸発したアルミニウム原子と酸素ガスを反応させて、移動している膜に接着層であるAlOx(1≦x≦1.5)層を形成し、該層の厚さが約10nmである。
S2.S1で得られた表面に接着層を有する膜をそれぞれ、プラズマ装置を備えた片面又は両面の往復及び非往復の蒸発コーティング機の真空チャンバー内に入れ、真空チャンバーを密封し、真空度が2×10-2Paに達するまで段階的に真空引き、蒸発領域に入る前に、先ずプラズマ機器によってアルゴンガスを電離し、接着層の表面を洗浄し、アルゴンガス量が500sccmであり、次に、蒸着領域に入って、蒸発の方式で純度≧99.9%のアルミニウムを加熱し、巻取り速度をそれぞれ5m/minに設定し、ワイヤ供給量を400mm/minに設定し、アルミニウムを蒸発機構に連続的に熔融して蒸発させ、接着層の表面にアルミニウム金属メッキ層であるアルミニウムメッキ層を形成し、該アルミニウム金属メッキ層の厚さが約800~850nmである。
S4.S3で得られたアルミニウムメッキ膜を、湿度<50%の室温環境に入れ、48h放置して熟成し、アルミニウムメッキ膜の表面に、空気中の酸素ガスや少量の水分の浸透により、より緻密な酸化防止層である酸化層を形成し、該酸化防止層の厚さが約2~4nmであり、該膜が膜Cである。
【0029】
【0030】
膜Cを製造する時に、低速単回成形を採用し、膜が大きな熱を受けるため、熱変形によるめっき空線が発生しやすく、膜面が黒くなることは、膜の移動が遅く、膜自体に含まれる水分が熱により焼かれて放出され、膜面にアルミニウムと反応させて類似のAl(OH)3又は水和物質を生成するからであり、該反応により膜面が内部から外部まで全体的に黒くなる。また、単回の堆積量が大きすぎると、堆積する際に「ブリッジ効果」が引き起こされ、一部の穴が発生し、その剥離力も一定の影響を受け、膜Bよりも悪くなる。しかしながら、熱により連続的に焼かれるため、一部のAl(OH)3又は水和物質が熱を受けAl2O3に分解し、いくつかの穴を補い、これはある程度で剥離力を増加するため、膜Aよりも良好であり、さらに、膜Cを製造する時に速度が遅すぎるため、チャンバーが深刻に汚染され、単回の完成品の数が少ない。
【0031】
以上より、適切な繰り返し回数を採用した千層ケーキ構造の導電性機能膜は、膜面、抵抗率及び剥離力の総合的な観点から非常に大きな優位性を有する。
【0032】
以上のように、本発明の好ましい具体的な実施形態に過ぎず、本発明の保護範囲は、これに限定されるものではなく、本発明に開示される技術範囲内に、当業者が容易に想到できる変更や置換は、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。従って、本発明の保護範囲は、特許請求の保護範囲を基準とすべきである。
【符号の説明】
【0033】
P-基層、A-接着層、M-アルミニウム金属層、R-補強層、O-酸化防止層
【国際調査報告】