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特表2022-506971分割サイクルエンジンのための移送機構
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(54)【発明の名称】分割サイクルエンジンのための移送機構
(51)【国際特許分類】
   F02B 33/22 20060101AFI20220107BHJP
   F01B 1/10 20060101ALI20220107BHJP
   F02B 41/06 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
F02B33/22
F01B1/10
F02B41/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021525137
(86)(22)【出願日】2019-11-08
(85)【翻訳文提出日】2021-07-05
(86)【国際出願番号】 US2019060627
(87)【国際公開番号】W WO2020097569
(87)【国際公開日】2020-05-14
(31)【優先権主張番号】62/758,380
(32)【優先日】2018-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521196132
【氏名又は名称】ツアー エンジン, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ウオール, マイケル エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ヘルファンド, アミット
(72)【発明者】
【氏名】ツアー, ギラッド
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン, イェホラム
(72)【発明者】
【氏名】ツアー, ヒューゴ ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ツアー, オデッド
(57)【要約】
分割サイクルエンジンは、作業流体を誘導および圧縮する、第1のピストンを収容する圧縮チャンバと、作業流体を膨張させて排出する、第2のピストンを収容する膨張チャンバと、第3のピストンおよび第4のピストンを収容する、移送チャンバであって、第3のピストンおよび第4のピストンは、相対的に移動し、移送チャンバ内の容積を変動させ、かつ移送チャンバ内の容積を圧縮チャンバおよび膨張チャンバに選択的に流体的に結合する、移送チャンバとを含む。エンジンを動作させる方法は、第1のチャンバ内で作業流体を誘導することと、第1のチャンバ内で作業流体を圧縮することと、第2のチャンバの第1の可動境界を移動させることと、第2のチャンバの第2の可動境界を移動させることと、第3のチャンバ内で作業流体を膨張させることと、第3のチャンバから作業流体を排出することとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分割サイクルエンジンであって、
作業流体を誘導および圧縮する、第1のピストンを収容する圧縮チャンバと、
前記作業流体を膨張させて排出する、第2のピストンを収容する膨張チャンバと、
第3のピストンおよび第4のピストンを収容する、移送チャンバであって、前記第3のピストンおよび前記第4のピストンは、相対的に移動し、前記移送チャンバ内の容積を変動させ、かつ前記移送チャンバ内の前記容積を前記圧縮チャンバおよび前記膨張チャンバに選択的に流体的に結合する、移送チャンバと
を備える、エンジン。
【請求項2】
前記移送チャンバ内の前記容積は、前記移送チャンバが前記膨張チャンバから流体的に分断するときに最小値にある、請求項1に記載のエンジン。
【請求項3】
前記移送チャンバ内の前記容積は、前記移送チャンバが前記膨張チャンバから流体的に分断した後に、前記エンジンのサイクルの一部の間に実質的に一定のままである、請求項1に記載のエンジン。
【請求項4】
前記移送チャンバ内の前記容積は、前記第3のピストンと前記第4のピストンとの間の容積を備える、請求項2-3のいずれかに記載のエンジン。
【請求項5】
前記第3のピストンは、前記第4のピストンに対抗する、請求項1-4のいずれかに記載のエンジン。
【請求項6】
前記移送チャンバは、前記第1のピストンが上死点(TDC)にあるときに前記圧縮チャンバから流体的に分断する、請求項1-5のいずれかに記載のエンジン。
【請求項7】
前記移送チャンバは、前記第2のピストンがTDCにあるときに前記膨張チャンバに流体的に結合する、請求項1-6のいずれかに記載のエンジン。
【請求項8】
前記移送チャンバの前記容積は、前記移送チャンバが前記膨張チャンバに流体的に結合されている間に減少する、請求項1-7のいずれかに記載のエンジン。
【請求項9】
前記移送チャンバの前記容積は、前記移送チャンバが前記圧縮チャンバに流体的に結合されている間に増加し、次いで、減少する、請求項1-8のいずれかに記載のエンジン。
【請求項10】
前記移送チャンバが、前記膨張チャンバから分断するとき、前記移送チャンバの前記容積は、最小値にある、請求項1-9のいずれかに記載のエンジン。
【請求項11】
前記移送チャンバが、前記圧縮チャンバに結合するとき、前記移送チャンバの前記容積は、最小値にある、請求項1-10のいずれかに記載のエンジン。
【請求項12】
前記移送チャンバは、前記エンジンのサイクルの間に前記圧縮チャンバおよび前記膨張チャンバに同時に流体的に結合されない、請求項1-11のいずれかに記載のエンジン。
【請求項13】
前記移送チャンバは、前記エンジンのサイクルの一部の間に前記圧縮チャンバおよび前記膨張チャンバに同時に流体的に結合する、請求項1-11のいずれかに記載のエンジン。
【請求項14】
前記エンジンの前記サイクルの一部は、前記第1のピストンがTDCに到達する前および前記第2のピストンがTDCに到達した後の時間を含む、請求項13に記載のエンジン。
【請求項15】
前記第3のピストンは、前記圧縮および膨張チャンバに最も近い前記第3のピストンの前縁上に対角切り欠きを含み、
前記第4のピストンは、前記圧縮および膨張チャンバに最も近い前記第4のピストンの前縁上に対角切り欠きを含む、請求項13-14に記載のエンジン。
【請求項16】
前記圧縮チャンバは、出口ポートを含み、
前記膨張チャンバは、入口ポートを含み、
前記第3のピストンおよび前記第4のピストンの前記相対移動は、前記圧縮チャンバの出口ポートおよび前記膨張チャンバの入口ポートを選択的にシールおよび露出する、請求項1-15のいずれかに記載のエンジン。
【請求項17】
前記圧縮チャンバは、空気/燃料混合物を受容するように構成される吸入機構を含む、請求項1-16のいずれかに記載のエンジン。
【請求項18】
前記吸入機構は、吸入弁または吸入ポートのうちのいずれか1つである、請求項17に記載のエンジン。
【請求項19】
前記膨張チャンバは、燃焼生成物を排出するように構成される排出機構を含む、請求項1-18のいずれかに記載のエンジン。
【請求項20】
前記排出機構は、排出弁または排出ポートのうちのいずれか1つである、請求項19に記載のエンジン。
【請求項21】
点火源をさらに備える、請求項1-20のいずれかに記載のエンジン。
【請求項22】
前記点火源は、前記移送チャンバ、前記膨張チャンバ、または前記膨張チャンバの入口ポートのうちの1つに位置付けられるスパークプラグを備える、請求項21に記載のエンジン。
【請求項23】
前記圧縮チャンバおよび前記膨張チャンバは、異なる容積を有する、請求項1-22のいずれかに記載のエンジン。
【請求項24】
前記膨張チャンバは、前記圧縮チャンバよりも大きい容積を有する、請求項23に記載のエンジン。
【請求項25】
前記圧縮チャンバおよび前記膨張チャンバは、平行に配列され、
前記移送チャンバは、前記圧縮チャンバおよび前記膨張チャンバの上方に、かつそれらと垂直に位置付けられる、請求項1-24のいずれかに記載のエンジン。
【請求項26】
前記第3および第4のピストンは、前記第1および第2のピストンと垂直に移動する、請求項1-25のいずれかに記載のエンジン。
【請求項27】
前記第3のピストンの位相は、前記第4のピストンの位相からオフセットされる、請求項1-26のいずれかに記載のエンジン。
【請求項28】
前記第3のピストンの位相および前記第4のピストンの位相は、第1の時間周期の間に第1のオフセットだけオフセットされ、第2の時間周期の間に前記第1のオフセットと異なる第2のオフセットだけオフセットされ、それによって、前記分割サイクルエンジンの圧縮比を変化させる、請求項27に記載のエンジン。
【請求項29】
エンジンを動作させる方法であって、
第1のチャンバ内で作業流体を誘導することと、
前記第1のチャンバ内で前記作業流体を圧縮することと、
第2のチャンバの第1の可動境界を移動させることと、
前記第2のチャンバの第2の可動境界を移動させることと、
第3のチャンバ内で前記作業流体を膨張させることと、
前記第3のチャンバから前記作業流体を排出することと
を含む、方法。
【請求項30】
前記第2のチャンバの前記第1の可動境界を移動させることは、前記第1のチャンバを前記第2のチャンバと流体的に結合し、前記作業流体を前記第1のチャンバから前記第2のチャンバに移送し、
前記第2のチャンバの前記第2の可動境界を移動させることは、前記第2のチャンバを前記第3のチャンバと流体的に結合し、前記作業流体を前記第2のチャンバから前記第3のチャンバに移送する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第2のチャンバの前記第1の可動境界を移動させている間に、
前記第1のチャンバは、第1の時間周期の間に前記第2のチャンバから流体的に分断され、
前記第1のチャンバは、第2の時間周期の間に前記第2のチャンバに流体的に結合される、請求項29-30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記第1のチャンバが前記第2のチャンバに流体的に結合されている間に、前記第1の可動境界と前記第2の可動境界との間の距離を増加させ、次いで、前記距離を減少させる、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記第2のチャンバの前記第1の可動境界を移動させている間に、前記第2のチャンバは、前記第3のチャンバから流体的に分断し、同時に、前記第1の可動境界と第2の可動境界との間の距離は、最小値にある、請求項29-32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記第2のチャンバの前記第1の可動境界を移動させている間に、前記第1のチャンバは、前記第2のチャンバに流体的に結合し、同時に、前記第1の可動境界と第2の可動境界との間の距離は、最小値にある、請求項29-33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
前記第2のチャンバの前記第2の可動境界を移動させている間に、
前記第2のチャンバは、第3の時間周期の間に前記第3のチャンバから流体的に分断され、
前記第2のチャンバは、第4の時間周期の間に前記第3のチャンバに流体的に結合される、請求項29-34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
前記第1の可動境界および前記第2の可動境界は、エンジンサイクルの一部の間に並行して移動される、請求項29-35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
前記第1のチャンバを前記第2のチャンバと流体的に結合することは、前記第1のチャンバ上の出口ポートを露出することを含む、請求項29-36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
前記第2のチャンバを前記第3のチャンバと流体的に結合することは、前記第3のチャンバ上の入口ポートを露出することを含む、請求項29-37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
前記第2のチャンバは、前記第1のチャンバおよび前記第3のチャンバに同時に流体的に結合されない、請求項29-38のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
前記第2のチャンバは、エンジンサイクルの一部の間に前記第1のチャンバおよび前記第3のチャンバに同時に流体的に結合される、請求項29-39のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
点火源を用いて前記作業流体を点火することをさらに含む、請求項29-40のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
前記第1の可動境界は、第1のピストンであり、
前記第2の可動境界は、第2のピストンである、請求項29-41のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
前記第1のチャンバおよび前記第3のチャンバは、異なる容積を有する、請求項29-42のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関係者各位:
我々、Michael H.Wahl、Amit Helfand、Gilad Tour、Yehoram Hofman、Hugo Benjamin Tour、およびOded Tourは、以下が仕様である、分割サイクルエンジンのための新しい有用な移送機構を発明したことを証する。
【0002】
(開示の分野)
本開示は、概して、分割サイクルエンジンに関し、特に、分割サイクルエンジンの圧縮チャンバと膨張チャンバとの間の流体流を調整するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(開示の背景)
従来の内燃エンジンは、1つ以上のシリンダを含む。各シリンダは、一般的に吸入、圧縮、燃焼/動力/膨張、および排出行程と称される、4つの行程を実施する、単一のピストンを含む。ともに、これらの4つの行程は、クランク軸の2つの完全な回転の間に実行される、エンジンの完全なサイクルを形成する。サイクルの各部分は、作業流体からピストンおよびシリンダ壁の中に放出される熱によって異なるように影響を受け、誘導および圧縮の間に、高い排熱率が、効率を改良する一方、燃焼/膨張の間に、殆どまたは全くない排熱が、最良の効率につながる。この矛盾する要件は、ピストンおよびシリンダ壁温度が、各サイクル内に低温から高温に、かつ低温に戻るように容易に変化することができないため、単一のシリンダによって満たされることができない。従来の内燃エンジンの単一のシリンダは、同一の時間および空間において圧縮器(最適な効率性能のために低温環境を要求する)および燃焼器/膨張器(最適な効率性能のために高温環境および作業流体の最適な膨張を要求する)の両方として最適化されることができない。
【0004】
従来の内燃エンジンは、低い燃料効率を有し、燃料エネルギーの半分を上回るものが、いずれの有用な機械的作用も追加することなく、エンジン構造および排気口を通して熱として失われる。従来の内燃エンジンにおける熱の無駄の主要な原因は、有用な作用に実際に変換される総熱量と同一または類似率および数量において単独で放散する、不可欠な冷却システム(例えば、ラジエータ)である。さらに、従来の内燃エンジンは、シリンダ、ピストン、および燃焼チャンバで低排熱方法を採用することによって、かつ実質的な複雑性およびコストを追加する廃熱回収方法論によって、わずかにのみ効率を増加させることができる。
【0005】
さらに非効率性は、吸入および圧縮行程の間にシリンダ内の高温に起因する。本高温は、エンジン体積効率を低減させ、ピストンをより激しく働かせ、故に、これらの行程の間に効率を低減させる。
【0006】
圧縮比よりも大きい膨張比は、内燃エンジンにおけるエンジン効率を大いに増加させるであろう。従来の内燃エンジンでは、最大膨張比は、典型的には、最大圧縮比と同一である。さらに、従来の手段は、弁タイミング(例えば、ミラーおよびアトキンソンサイクル)を介して、圧縮比の減少のみを可能にし得、4つ全ての行程が単一のシリンダにおいて実行されない、分割サイクルエンジンでは可能である、効率の増加ほど効率的ではない場合がある。
【0007】
従来の内燃エンジンの別の欠点は、効率を低減させ、有害排気物質を引き起こす、不完全な化学燃焼プロセスである。
【0008】
これらの問題に対処するために、他者が、分割サイクルエンジン構成を以前に開示している。例えば、Casadayに対する米国特許第1,372,216号は、シリンダおよびピストンが個別のペアで配列される、分割サイクル燃焼エンジンを開示している。発火シリンダのピストンは、圧縮シリンダのピストンに先立って移動する。Thurston et al.に対する米国特許第3,880,126号は、2行程分割サイクル内燃エンジンを開示している。誘導シリンダのピストンは、動力シリンダのピストンに先立って若干2分の1未満の行程を移動する。誘導シリンダは、電荷を圧縮し、電荷を動力シリンダに移送し、そこで、前のサイクルからの焼成生成物の残留電荷と混合され、点火前にさらに圧縮される。Scuderiに対する米国特許出願第2003/0015171 A1号は、4行程サイクル内燃エンジンを開示している。第1のシリンダ(動力シリンダ)内の動力ピストンが、クランク軸に接続され、4行程サイクルの動力および排出行程を実施する。第2のシリンダ(圧縮シリンダ)内の圧縮ピストンもまた、クランク軸に接続され、クランク軸の同一の回転の間に4行程サイクルの吸入および圧縮行程を実施する。第1のシリンダの動力ピストンは、第2のシリンダの圧縮ピストンに先立って移動する。Suh et al.に対する米国特許第6,880,501号は、各シリンダがクランク軸に接続されるピストンを含有する、一対のシリンダを有する、内燃エンジンを開示している。1つのシリンダは、吸入および圧縮行程のために適合される。他方のシリンダは、動力および排出行程のために適合される。Brackettに対する米国特許第5,546,897号は、2、4、またはディーゼルエンジン動力サイクルを実施し得る、マルチシリンダ往復ピストン内燃エンジンを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第1,372,216号公報
【特許文献2】米国特許第3,880,126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
(開示の要約)
しかしながら、上記に説明される参考文献は、作業流体移送機構を使用する、圧縮シリンダから動力シリンダへの有意な圧力損失を伴わない適時な作業流体の移送を効果的に統制する方法を開示することができない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従来技術に現在存在している公知のタイプの内燃エンジンに固有である前述の不利点に照らして、本明細書に説明される実施形態は、差別化されたシリンダを伴う分割サイクル内燃エンジンを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に説明される差別化されたシリンダを伴う分割サイクル内燃エンジンは、より効率的に燃料エネルギーを機械的作用に変換し、排ガス帰還(EGR)の量をより良好に制御し、分割サイクルエンジンにおけるEGRを減少させることができる。いくつかの実施形態では、移送シリンダは、圧縮チャンバから膨張チャンバへの作業流体のより効率的かつより確実な移送を促進する。いくつかの実施形態では、移送チャンバは、比較的に(例えば、移送チャンバ内で側方に)移動し、移送チャンバを圧縮チャンバおよび膨張チャンバと選択的に流体的に結合し得る、2つのピストンを含む(例えば、2つのピストンの移動は、移送チャンバを圧縮チャンバおよび膨張チャンバのいずれとも流体的に結合させない、その一方もしくは両方と流体的に結合させることができる)。いくつかの実施形態では、作業流体は、圧縮チャンバから移送チャンバの中へ移送される。いくつかの実施形態では、作業流体は、移送チャンバから膨張チャンバに移送される。いくつかの実施形態では、移送チャンバは、膨張チャンバから移送チャンバおよび移送チャンバから圧縮チャンバへのEGRを低減させる、または最小限にする。EGRを低減させる、または最小限にすることは、次のエンジンサイクルの作業流体の希釈を低減させる、もしくは最小限にする。したがって、EGRを低減させる、または最小限にすることは、燃焼を改良し、エンジンの体積効率を増加させ、エンジンの全体的効率を増加させることができる。2つのピストンを含む、移送シリンダは、2つのピストン移送機構(以降では2PTM)と称される。2PTMは、分割サイクルエンジンが、移送チャンバが圧縮チャンバに流体的に結合されるとき、および移送チャンバが膨張チャンバに流体的に結合されるときに対する改良された制御を有することを可能にし得る。したがって、分割サイクルエンジンは、分割サイクルエンジンの圧縮および膨張比をより精密に制御することができ、圧縮および膨張行程の非対称性を実装して効率を改良することができ、圧縮チャンバから膨張チャンバへの作業流体の移送をより精密に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本開示の実施形態による、45°の膨張クランク軸角において例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジンの断面図を図示する。
【0013】
図2図2は、本開示の実施形態による、分割サイクルエンジンの例示的サイクルのチャートを図示する。
【0014】
図3図3は、本開示の実施形態による、0°の膨張クランク軸角において例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジンの断面図を図示する。
【0015】
図4図4は、本開示の実施形態による、30°の膨張クランク軸角において例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジンの断面図を図示する。
【0016】
図5図5は、本開示の実施形態による、60°の膨張クランク軸角において例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジンの断面図を図示する。
【0017】
図6図6は、本開示の実施形態による、90°の膨張クランク軸角において例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジンの断面図を図示する。
【0018】
図7図7は、本開示の実施形態による、120°の膨張クランク軸角において例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジンの断面図を図示する。
【0019】
図8図8は、本開示の実施形態による、150°の膨張クランク軸角において例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジンの断面図を図示する。
【0020】
図9図9は、本開示の実施形態による、180°の膨張クランク軸角において例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジンの断面図を図示する。
【0021】
図10図10は、本開示の実施形態による、210°の膨張クランク軸角において例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジンの断面図を図示する。
【0022】
図11図11は、本開示の実施形態による、240°の膨張クランク軸角において例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジンの断面図を図示する。
【0023】
図12図12は、本開示の実施形態による、270°の膨張クランク軸角において例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジンの断面図を図示する。
【0024】
図13図13は、本開示の実施形態による、300°の膨張クランク軸角において例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジンの断面図を図示する。
【0025】
図14図14は、本開示の実施形態による、330°の膨張クランク軸角において例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジンの断面図を図示する。
【0026】
図15図15は、本開示の実施形態による、ポート重複を伴って45°の膨張クランク軸角において例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジンの断面図を図示する。
【0027】
図16図16は、本開示の実施形態による、0°の膨張クランク軸角においてポート重複を伴う例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジンの断面図を図示する。
【0028】
図17図17は、本開示の実施形態による、10°の膨張クランク軸角においてポート重複を伴う例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジンの断面図を図示する。
【0029】
図18図18は、本開示の実施形態による、19°の膨張クランク軸角においてポート重複を伴う例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジンの断面図を図示する。
【0030】
図19図19は、本開示の実施形態による、1つ以上の切り欠き付きピストンを使用する、ポート重複を伴う例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジンの断面図を図示する。
【0031】
図20図20は、本開示の実施形態による、0°の膨張クランク軸角において1つ以上の切り欠き付きピストンを使用する、ポート重複を伴う例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジンの断面図を図示する。
【0032】
図21図21は、本開示の実施形態による、12°の膨張クランク軸角において1つ以上の切り欠き付きピストンを使用する、ポート重複を伴う例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジンの断面図を図示する。
【0033】
図22図22は、本開示の実施形態による、23°の膨張クランク軸角において1つ以上の切り欠き付きピストンを使用する、ポート重複を伴う例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジンの断面図を図示する。
【0034】
図23A図23A-Bは、本開示の実施形態による、例示的歯車駆動機構を伴う例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジンの正面および背面断面図を図示する。
図23B図23A-Bは、本開示の実施形態による、例示的歯車駆動機構を伴う例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジンの正面および背面断面図を図示する。
【0035】
図24図24は、本開示の実施形態による、例示的歯車駆動機構を伴うシャトル弁移送機構を実装する分割サイクルエンジンの断面図を図示する。
【0036】
図25図25は、本開示の実施形態による、分割サイクルエンジンを動作させる例示的方法を図示する。
【0037】
図26A図26Aは、本開示の実施形態による、面取りした移送ポートを伴う2PTMを実装する分割サイクルエンジンの断面図を図示する。
【0038】
図26B図26Bは、本開示の実施形態による、面取りした移送ポートを伴う2PTMを実装する分割サイクルエンジンの断面図を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0039】
(詳細な説明)
従来技術に現在存在している公知のタイプの内燃エンジンに固有である前述の不利点に照らして、本明細書に説明される実施形態は、差別化されたシリンダを伴う分割サイクル内燃エンジンを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に説明される差別化されたシリンダを伴う分割サイクル内燃エンジンは、より効率的に燃料エネルギーを機械的作用に変換し、EGRの量をより良好に制御し、分割サイクルエンジンにおけるEGRを減少させることができる。いくつかの実施形態では、移送シリンダは、圧縮チャンバから膨張チャンバへの作業流体のより効率的かつより確実な移送を促進する。いくつかの実施形態では、移送チャンバは、比較的に(例えば、移送チャンバ内で側方に)移動し、移送チャンバを圧縮チャンバおよび膨張チャンバと選択的に流体的に結合し得る、2つのピストンを含む(例えば、2つのピストンの移動は、移送チャンバを圧縮チャンバおよび膨張チャンバのいずれとも流体的に結合させない、その一方もしくは両方と流体的に結合させることができる)。いくつかの実施形態では、作業流体は、圧縮チャンバから移送チャンバの中へ移送される。いくつかの実施形態では、作業流体は、移送チャンバから膨張チャンバに移送される。いくつかの実施形態では、移送チャンバは、膨張チャンバから移送チャンバおよび移送チャンバから圧縮チャンバへのEGRを低減させる、または最小限にする。EGRを低減させる、または最小限にすることは、次のエンジンサイクルの作業流体の希釈を低減させる、または最小限にする。したがって、EGRを低減させる、または最小限にすることは、燃焼を改良し、エンジンの体積効率を増加させ、エンジンの全体的効率を増加させることができる。2PTMは、分割サイクルエンジンが、移送チャンバが圧縮チャンバに流体的に結合されるとき、および移送チャンバが膨張チャンバに流体的に結合されるときに対する改良された制御を有することを可能にし得る。したがって、分割サイクルエンジンは、分割サイクルエンジンの圧縮および膨張比をより精密に制御することができ、圧縮および膨張行程の非対称性を実装して効率を改良することができ、圧縮チャンバから膨張チャンバへの作業流体の移送をより精密に制御することができる。本開示の実施形態は、2PTMに焦点を当てるが、本開示は、2PTMの使用に限定されず、同一または類似利益を達成する他の移送機構も検討されることを理解されたい。
【0040】
図1は、本開示の実施形態による、例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジン100の断面図を図示する。説明および例証を容易にするために、図1は、45°の角度(例えば、45°の高温側/膨張クランク角)において分割サイクルエンジン100を図示し、本開示の実施形態による、2PTMを伴う例示的分割サイクルエンジンの構造の概観を提供する。特定の着目角度(例えば、エンジンサイクルの間の特定の事象に対応する)に関するさらなる詳細が、図2-13に関して下記に提供される。図1に関する説明の省略および/または簡略化は、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるものではない。
【0041】
いくつかの実施形態では、分割サイクルエンジン100は、圧縮シリンダ110と、膨張シリンダ120と、移送シリンダ130とを含む。いくつかの実施形態では、圧縮シリンダ110、膨張シリンダ120、および移送シリンダ130は、異なるサイズを有する(例えば、より長いまたはより短い、より広いまたはより狭い、もしくは別様に異なる容積を有する)。いくつかの実施形態では、圧縮シリンダ110は、吸入行程および圧縮行程を実施するが、排出行程を実施しない。いくつかの実施形態では、膨張シリンダ120は、膨張および排出行程を実施するが、吸入行程を実施しない。いくつかの実施形態では、圧縮シリンダ110は、低温シリンダまたは低温側シリンダと称され、膨張シリンダ120は、高温シリンダまたは高温側シリンダと称される。いくつかの実施形態では、圧縮シリンダ110および膨張シリンダ120は、直列形成で相互に隣接して形成される。いくつかの実施形態では、圧縮シリンダ110および膨張シリンダ120は、平行に形成され、圧縮シリンダ110および膨張シリンダ120の上側境界(例えば、ヘッド)は、(例えば、圧縮ピストン112および膨張ピストン122が並行して移動し、圧縮ピストン112および膨張ピストン122が両方ともTDCにあるとき、圧縮ピストン112および膨張ピストン122が隣接するように)整合される。いくつかの実施形態では、移送シリンダ130は、圧縮シリンダ110および膨張シリンダ110に対して頭上に形成される。例えば、移送シリンダ130は、圧縮シリンダ110および膨張シリンダ120に対して垂直に、かつその上に(例えば、移送シリンダ130内の2つのピストンが圧縮ピストン112および膨張ピストン122まで垂直に移動するように)形成される。いくつかの実施形態では、移送シリンダ130は、圧縮シリンダ110および膨張シリンダ120の上側境界(例えば、ヘッド)に機械的に結合される。いくつかの実施形態では、移送シリンダ130の側壁は、圧縮シリンダ110および膨張シリンダ120の上側境界(例えば、ヘッド)である。いくつかの実施形態では、移送シリンダ130の長さは、圧縮シリンダ110および膨張シリンダ120の幅と同一である、または類似する(例えば、膨張シリンダ120の直径を加えた圧縮シリンダ110の直径は、移送シリンダ130の長さと同一である、または類似する)。
【0042】
いくつかの実施形態では、圧縮シリンダ110および膨張シリンダ120は、直列構成と異なる構成を有する。例えば、圧縮シリンダ110および膨張シリンダ120は、対向構成を有し(例えば、圧縮ピストン112および膨張ピストン122は、反対方向に移動し)、移送シリンダ130は、圧縮シリンダ110と膨張シリンダ120との間に形成される。別の例示的実施形態では、圧縮シリンダ110および膨張シリンダ120は、上下逆のV字形構成を有し(例えば、圧縮シリンダ110および膨張シリンダ120は、圧縮シリンダ110および膨張シリンダ120の上側境界が結合され、圧縮シリンダ110および膨張シリンダ120の下側境界がある距離によって分離されるように、対角線上に配置され)、移送シリンダ130は、圧縮シリンダ110および膨張シリンダ120のヘッドの間の面積に形成される。
【0043】
いくつかの実施形態では、圧縮シリンダ110は、圧縮ピストン112を含む(例えば、収容する)。いくつかの実施形態では、圧縮ピストン112は、圧縮シリンダ110内で往復して移動し、作業流体を圧縮および移送する。いくつかの実施形態では、圧縮ピストン112は、圧縮シリンダ110内に圧縮チャンバ118(例えば、作業流体を収容するように構成される圧縮シリンダ110内の容積)を画定する。いくつかの実施形態では、ピストン112は、圧縮チャンバ118をシールするように構成される、1つ以上のリング117を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のリング117は、圧縮リング、Oリング、または任意の他の好適な油制御リングを備えることができる。いくつかの実施形態では、ピストン112は、圧縮接続ロッド114に結合される。いくつかの実施形態では、接続ロッド114は、圧縮クランク軸116に結合される。いくつかの実施形態では、クランク軸116は、ピストン112の往復運動を制御する。いくつかの実施形態では、クランク軸116は、回転運動を往復運動に変換する。図示されるクランク軸116は、より大型のクランク軸機構(例えば、歯車を含む)の一部であることを理解されたい。
【0044】
相互接続されたクランク軸は、本明細書のエンジンのピストンの間の移動を協調させるための例示的機構であることが、当業者によって理解されるであろう。他の実施形態では、異なる機構が、ピストンの位置、速度、およびタイミングを管理するために使用される。
【0045】
いくつかの実施形態では、膨張シリンダ120は、膨張ピストン122を含む(例えば、収容する)。いくつかの実施形態では、膨張ピストン122は、(例えば、燃焼および/または点火に起因する)作業流体の膨張および焼成作業流体の排出に応答して、膨張シリンダ120内で往復して移動する。いくつかの実施形態では、圧縮ピストン122は、膨張シリンダ120内に膨張チャンバ128(例えば、作業流体を収容するように構成される膨張シリンダ120内の容積)を画定する。いくつかの実施形態では、ピストン122は、膨張チャンバ128をシールするように構成される、1つ以上のリング127を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のリング127は、圧縮リング、Oリング、または任意の他の好適な油制御リングを備えることができる。いくつかの実施形態では、ピストン122は、膨張接続ロッド124に結合される。いくつかの実施形態では、接続ロッド124は、膨張クランク軸126に結合される。いくつかの実施形態では、クランク軸126は、ピストン122の往復運動を制御する。いくつかの実施形態では、クランク軸126は、回転運動を往復運動に変換する。図示される膨張クランク軸126は、より大型のクランク軸機構(例えば、歯車を含む)の一部であることを理解されたい。
【0046】
いくつかの実施形態では、クランク軸116および126は、同一のクランク軸機構に結合される。いくつかの実施形態では、クランク軸116および126は、独立したクランク軸機構によって駆動される。いくつかの実施形態では、クランク軸116および126は、クランク軸の回転速度および位相関係が維持される(例えば、同期化される)ように、外部機械的および/または電気的機構によって制御される。下記により詳細に説明されるであろうように、いくつかの実施形態では、圧縮ピストン112および膨張ピストン122の移動は、同期化される。いくつかの実施形態では、圧縮ピストン112および膨張ピストン122の移動は、同相である。例えば、両方のピストンが、同時にTDCに到達する、および/または両方のピストンが、同時にBDCに到達する。いくつかの実施形態では、圧縮ピストンおよび膨張ピストンの移動は、位相がずれている(例えば、位相遅れを含む)。例えば、一方のピストンは、他方のピストンがわずかにTDCの背後にあるときにTDCに規則的に到達する。
【0047】
本明細書で使用され、図1に示されるように、時計回り方向へのクランク軸116の回転角は、
【数1】
と称され、反時計回り方向へのクランク軸126の回転角は、
【数2】
と称される。簡単にするために、本明細書で使用されるように、エンジンサイクルの間の分割サイクルエンジン100の位置は、クランク軸126の回転角
【数3】
によって参照される。いくつかの実施形態では、分割サイクルエンジン100の完全サイクルは、360°(例えば、クランク軸126の完全回転に対応する)を有する。本明細書で使用されるように、0°の回転角は、クランク軸が個別のピストンと並行して回転され、個別のピストンがTDCにあるときを指す。図1に図示されるように、分割サイクルエンジン100は、クランク軸126の回転角が45°反時計回り位置にあるため、45°位置にあると称される。
【0048】
そのような実施形態では、ピストン112およびピストン122は、相互と平行に移動する。いくつかの実施形態では、吸入弁119が、圧縮チャンバ118の中への作業流体の誘導を制御するように、圧縮シリンダ110に形成される。いくつかの実施形態では、ポート134が、圧縮シリンダ110と移送シリンダ130との間の界面上に(例えば、圧縮シリンダ110のヘッド上および/または移送シリンダ130の壁上に)形成される。いくつかの実施形態では、ポート134は、圧縮シリンダ110の右上縁の近傍に(例えば、膨張シリンダ120の近くに)形成される。いくつかの実施形態では、ポート134は、移送チャンバ132(例えば、下記にさらに詳細に説明されるであろうように、移送シリンダ130内の容積)を圧縮チャンバ118と流体的に結合する。いくつかの実施形態では、圧縮シリンダ110が、圧縮を実施しているとき(例えば、圧縮行程の間に)、作業流体は、ポート134を通して移送チャンバ132の中に移送される。いくつかの実施形態では、ポート136が、膨張シリンダ120と移送シリンダ130との間の界面上に(例えば、膨張シリンダ120のヘッド上および/または移送シリンダ130の壁上に)形成される。いくつかの実施形態では、ポート136は、圧縮シリンダの左上縁の近傍に(例えば、圧縮シリンダの近くに)形成される。いくつかの実施形態では、ポート136は、ポート134と異なる幅を有する。いくつかの実施形態では、ポート136は、ポート134よりも広い(または逆も同様である)。いくつかの実施形態では、ポート136は、移送チャンバ132を膨張チャンバ128と流体的に結合する。いくつかの実施形態では、移送チャンバ132が、膨張チャンバ128に結合されるとき、移送チャンバ132内の圧縮された作業流体は、ポート136を通して膨張チャンバ128に移送される。いくつかの実施形態では、燃焼は、移送チャンバ132が膨張チャンバ128に結合するときに生じる。いくつかの実施形態では、燃焼は、移送チャンバ132が(例えば、-10°、-5°、0°、5°、または10°の膨張クランク軸角において)膨張チャンバ128と流体的に結合する前および後の任意の時間に生じる。いくつかの実施形態では、排出弁(図示せず)が、膨張チャンバ128から外への作業流体の排出を制御するように膨張シリンダ120に形成される。
【0049】
本明細書で使用されるように、配向「右」は、膨張シリンダの方向にあると理解され、「左」は、圧縮シリンダの方向にあることを意味すると理解される。例えば、左から右に移動する移送ピストンは、圧縮シリンダから膨張シリンダへの方向に移動する。別の実施例では、移送シリンダの「右縁」は、移送シリンダの膨張シリンダ側の最も遠い点を意味する。具体的位置は、文脈に依存し、シリンダの右縁は、膨張シリンダ側の移送シリンダ内の最も遠い点を意味し得、ピストン移動の右縁は、膨張シリンダの方向に進行するときにピストンが到達するさらに遠い位置を意味し得、ポートの右縁は、膨張シリンダの中心に最も近いポートの縁を意味し得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、2PTMは、移送シリンダ130によって実装される。いくつかの実施形態では、移送シリンダ130は、ピストン140と、ピストン150と(例えば、2PTM)を含む。いくつかの実施形態では、ピストン140は、接続ロッド142に結合される。いくつかの実施形態では、接続ロッド142は、クランク軸144に結合される。いくつかの実施形態では、クランク軸144は、ピストン140の往復運動を制御する。いくつかの実施形態では、クランク軸144は、回転運動を往復運動に変換する。図示されるクランク軸144は、より大型のクランク軸機構(例えば、歯車を含む)の一部であることを理解されたい。いくつかの実施形態では、ピストン150は、接続ロッド152に結合される。いくつかの実施形態では、接続ロッド152は、クランク軸154に結合される。いくつかの実施形態では、クランク軸154は、ピストン150の往復運動を制御する。いくつかの実施形態では、クランク軸154は、回転運動を往復運動に変換する。図示されるクランク軸154は、より大型のクランク軸機構(例えば、歯車を含む)の一部であることを理解されたい。いくつかの実施形態では、クランク軸144および154は、同一のクランク軸機構に結合される。いくつかの実施形態では、クランク軸144および154は、独立したクランク軸機構によって駆動される。本明細書で使用され、図1に示されるように、時計回り方向へのクランク軸144の回転角は、
【数4】
と称され、反時計回り方向へのクランク軸154の回転角は、
【数5】
と称される。
【0051】
いくつかの実施形態では、ピストン140およびピストン150は、相互に対抗する(例えば、反対方向に移動する)。例えば、ピストン140および接続ロッド142は、移送チャンバ130の左側に(例えば、圧縮チャンバの上方に)配置され、ピストン150および接続ロッド152は、移送チャンバの右側に(例えば、膨張チャンバの上方に)配置される。本明細書で使用されように、説明を容易にするために、移送チャンバ130の左側は、圧縮チャンバの上方の移送チャンバの一部(例えば、ポート134を伴う一部)を指し、移送チャンバ130の右側は、膨張チャンバの上方の移送チャンバの一部(例えば、ポート136を伴う一部)を指す。いくつかの実施例では、ピストン140は、下死点(BDC)から上死点(TDC)までのその運動の間に左から右に進行する。いくつかの実施例では、ピストン150は、下死点(BDC)から上死点(TDC)までのその運動の間に右から左に進行する。いくつかの実施形態では、ピストン140およびピストン150は、移送チャンバ(例えば、作業流体を収容するように構成され、圧縮シリンダ110と燃焼シリンダ120との間で移動する、ピストン140とピストン150との間の移送シリンダ内の容積)を画定する。いくつかの実施形態では、ピストン140は、低温移送ピストンと称され、ピストン150は、高温移送ピストンと称される。
【0052】
いくつかの実施形態では、ピストン140およびピストン150は、ピストン112およびピストン122と垂直に移動する。いくつかの実施形態では、移送シリンダ130の2つのピストンの移動は、同期化およびオフセットされる(例えば、個別のクランク軸の回転角の差異に反映されるような位相遅れを有する)。換言すると、移送チャンバの2つのピストンは、異なる時間にTDCまたはBDCに到達するが、各サイクルの間に同一量だけ(例えば、同一量の回転度だけ)オフセットする。例えば、ピストン150(例えば、膨張チャンバに対して頭上に位置するピストン)は、ピストン140(例えば、圧縮チャンバに対して頭上に位置するピストン)がTDCに到達する前にBDCに到達する。いくつかの実施形態では、ピストン150は、ピストン140がBDCに到達する前にTDCに到達する。
【0053】
いくつかの実施形態では、2つのピストンの間のオフセット(例えば、位相遅れ)は、変化する(例えば、個別のクランク軸の回転速度は、サイクルの間に変化し得る)。いくつかの実施形態では、オフセット(例えば、位相遅れ)を動的に変化させることは、エンジンの圧縮比を変化させ得る。いくつかの実施形態では、2つのピストンの間の距離は、より近い、またはより遠く離れ得る。例えば、第1の時間周期の間に、ピストン140の位相(例えば、ピストン140のクランク軸角)は、第1のオフセット量だけピストン150の位相(例えば、ピストン150のクランク軸角)からオフセットされることができ、第2の時間周期の間に(例えば、第1の時間周期と同一のエンジンサイクルの間に、および/または第1の時間周期と異なるエンジンサイクルにおいて)、ピストン140の位相は、第2の異なるオフセット量だけピストン150のクランク軸角からオフセットされることができる。いくつかの実施形態では、本距離は、事前判定されることができる、または動的に調節されることができる。いくつかの実施形態では、2つのピストンの間の距離を調節することは、エンジンの圧縮比の変化をもたらす(例えば、より小さい距離は、より高い圧縮比を意味し、より大きい距離は、より低い圧縮比を意味する)。
【0054】
いくつかの実施形態では、ピストン140および150は、ポート134および/またはポート136を選択的に被覆(例えば、シール)もしくは被覆解除(例えば、露出)する。したがって、ピストンの移動は、移送チャンバ132を圧縮チャンバ118および/または膨張チャンバ128に選択的に流体的に結合(もしくは分断)する。いくつかの実施形態では、移送チャンバ132は、圧縮チャンバ118および膨張チャンバ128の両方に並行して結合する(例えば、ピストンは、ポート134またはポート136のいずれかを被覆していない)。
【0055】
例示的分割サイクルエンジンの2PTMを動作させ、作業流体を圧縮チャンバから膨張チャンバに移送する例示的方法が、ここで説明されるであろう。図2は、本開示の実施形態による、分割サイクルエンジンの例示的サイクルのチャート200を図示する。チャート200のx軸は、クランク軸126の位相(例えば、角度)を表す。チャート200のy軸は、移送シリンダ130に沿った水平位置を表す。例えば、y軸上の0位置は、移送シリンダ130の中心位置を表し、正のy値は、(例えば、膨張シリンダ120に対して頭上の)移送シリンダ130の右側を表し、負のy値は、(例えば、圧縮シリンダ110に対して頭上の)移送シリンダ130の右縁を表す。チャート200のy軸は、特定の距離およびスケールを説明するが、これは、代表的にすぎないことが意図される。他の距離も、本発明の範囲から逸脱することなく使用され得ることを理解されたい。示されるように、チャート200は、グラフ210、220、および230と、境界240、250、260、および270とを含む。グラフ210は、本開示の実施形態による、ピストン150の前縁(例えば、縁150A)の例示的運動を表す。グラフ220は、本開示の実施形態による、ピストン140の前縁(例えば、縁140A)の例示的運動を表す。グラフ230は、本開示の実施形態による、ピストンクリアランスとも称される、ピストン150の前縁(例えば、縁150A)とピストン140の前縁(例えば、縁140A)との間の距離を表す。いくつかの実施形態では、ピストン150の前縁とピストン140の前縁との間の距離は、(例えば、移送シリンダ130の半径に基づいて)移送チャンバ132の容積を決定付けることができる。境界240は、ポート136の右縁(例えば、縁136B)を表す。境界250は、ポート136の左縁(例えば、縁136A)を表す。境界260は、ポート134の右縁(例えば、縁134B)を表す。境界270は、ポート134の左縁(例えば、縁134A)を表す。
【0056】
上記に説明されるように、ピストン140およびピストン150は、移送シリンダ130内で往復して移動し、移送チャンバ132を圧縮チャンバ118および膨張チャンバ128に選択的に流体的に結合する。説明を容易にするために、分割サイクルエンジン100のサイクルの説明は、0°から開始するであろう(例えば、クランク軸126の回転角は、0°にある)。図2に示されるように、いくつかの実施形態では、分割サイクルエンジン100が、0°にあるとき、ピストン140の前縁(例えば、縁140A)は、境界260(例えば、ポート134の右縁:縁134B)にある。したがって、ピストン140は、ポート134を被覆し、したがって、圧縮チャンバ118から移送チャンバ132を流体的に分断している。いくつかの実施形態では、分割サイクルエンジン100が、0°にあるとき、グラフ210は、境界250にある(例えば、ピストン150の前縁(例えば、縁150A)は、ポート136の左縁:縁136Aにある)。したがって、ピストン150は、ポート136を完全に被覆し、したがって、膨張チャンバ118から移送チャンバ132を流体的に分断している。示されるように、いくつかの実施形態では、移送チャンバ132の容積は、ピストン140と150との間の容積である。
【0057】
チャート200による、ピストン112、122、140、および150の移動が、ここで説明されるであろう。図2に示されるように、分割サイクルエンジン100がエンジンサイクルを通して遷移するにつれて、グラフ210および220は、x軸(例えば、ピストンの位相)およびy軸(例えば、移送シリンダ130内の位置)の両方でオフセットされる準正弦曲線グラフである。
【0058】
いくつかの実施形態では、0°から開始して、グラフ210は、特定の傾斜において増加し(例えば、ピストン150は、特定の速度において移送シリンダ130内で右方向に移動し)、グラフ220は、特定の傾斜において増加する(例えば、ピストン140は、特定の速度において移送シリンダ130内で右方向に移動する)。いくつかの実施形態では、サイクルの一部の間に(例えば、0°~60°において、またはその周囲で)、グラフ210およびグラフ220の傾斜(例えば、速度)は、同一または実質的に同一である(例えば、80%、90%、95%、99%以内)。いくつかの実施形態では、グラフ210の傾斜は、特定の変曲点までグラフ220の傾斜よりも大きく、次いで、グラフ210の傾斜は、グラフ220の傾斜よりも小さい。グラフ230に反映されるように、ピストンクリアランスは、エンジンサイクルの一部に関して(例えば、グラフ210の傾斜がグラフ220の傾斜よりも大きいときに0°において、またはその周囲で)増加し、エンジンサイクルの後続の部分の間に(例えば、グラフ210の傾斜がグラフ220の傾斜よりも小さいときに30°~180°において、またはその周囲で)減少し得る。例えば、グラフ210の傾斜がグラフ220の傾斜よりも大きい(例えば、右へのピストン150の速度が右へのピストン140の速度を上回る)ときのサイクルの一部の間に、縁140Aと縁150Aとの間の距離は、増加し得、これは、ひいては、ピストンクリアランスを増加させ得る。いくつかの実施形態では、グラフ230(例えば、ピストンクリアランス)は、グラフ210の傾斜がグラフ220の傾斜未満である(例えば、右へのピストン150の速度が右へのピストン140の速度よりも小さく、移送チャンバ132の容積の減少を引き起こす)ときのサイクルの一部の間に、減少し始める。いくつかの実施形態では、ピストン140およびピストン150が右に移動するにつれて、ポート136は、被覆解除され、境界250の上方のy位置にあるグラフ210によって示されるように、移送チャンバ132を膨張チャンバ128に流体的に結合された状態にさせる(例えば、ピストン150は、ポート136を完全には被覆していない)。いくつかの実施形態では、示されるように、グラフ220は、境界250の上方で増加し得る(例えば、ピストン140は、ポート136を部分的に被覆し始める)。したがって、示されるようないくつかの実施形態では、ポート136は、サイクルの1つの部分の間に、被覆されていない状態になり始め、最大の被覆されていない幅に到達し、次いで、サイクルの第2の部分の間に、被覆された状態になり始め、完全に被覆された状態に到達する。いくつかの実施形態では、ポート136は、(例えば、作業流体の大部分が、ポートがピストン140によって部分的に被覆された状態になり始める時間にすでに移送されているため)作業流体を移送チャンバ132から膨張チャンバ128に移送する能力に影響を及ぼすことなく、ピストン140によって部分的に被覆されることができる。したがって、いくつかの実施形態では、移送チャンバ132の容積が減少し始めるにつれて(例えば、グラフ230が減少するにつれて)、作業流体は、移送チャンバ132から膨張チャンバ128に移送され始める。いくつかの実施形態では、作業流体は、点火源(例えば、スパークプラグ)によって点火される。いくつかの実施形態では、点火は、作業流体の圧縮によって達成されることができる(例えば、圧縮点火)。いくつかの実施形態では、点火は、上記により詳細に説明されたように、移送チャンバ132が膨張チャンバ128に流体的に結合する前または後の任意の時間に生じることができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、グラフ210は、ピーク値に(例えば、90°において、またはその周囲で)到達し、特定の傾斜において減少し始め(例えば、ピストン150は、特定の速度において移送シリンダ130内で左方向に移動し、BDCに到達し、右方向に移動し始め)、グラフ220は、特定の傾斜において増加し続ける(例えば、ピストン140は、特定の速度において移送シリンダ130内で右方向に移動し続ける)。いくつかの実施形態では、グラフ210が、そのピークにあるとき、グラフ210は、境界250の上方にある(例えば、ピストン150は、ポート136を完全に封鎖解除している)。いくつかの実施形態では、グラフ210が、そのピークにあるとき、グラフ220は、境界250の上方にある(例えば、ピストン140は、ポート136を部分的に封鎖している)。いくつかの実施形態では、グラフ220は、ピークに到達し、特定の傾斜において減少し始める(例えば、ピストン140は、特定の速度において移送シリンダ130内で左方向に移動する)。いくつかの実施形態では、グラフ210の負の傾斜は、下向きサイクルの第1の部分の間にグラフ220の負の傾斜を上回り、グラフ210の負の傾斜は、下向きサイクルの第2の部分の間にグラフ220の負の傾斜未満である。したがって、そのような実施形態では、グラフ230(例えば、移送チャンバ132の容積)は、最小レベルに到達し、サイクルの一部の間に(例えば、グラフ210の傾斜がグラフ220の傾斜に等しい、または実質的に等しいときに)一定または実質的に一定のままである。いくつかの実施形態では、グラフ230は、0レベルに到達しない(例えば、移送チャンバ132の容積は、ピストン140およびピストン150が接触しないため、0にならない)。いくつかの実施形態では、ピストン140およびピストン150は、接触することができ、グラフ230は、0レベルに到達することができる。いくつかの実施形態では、作業流体の全てまたは実質的に全て(例えば、80%、90%、95%、99%)が、移送チャンバ132から膨張チャンバ128に移送される。ある程度の作業流体(焼成または未焼成)が、本開示の範囲から逸脱することなく、(例えば、移送チャンバ内、ポート136の容積および/または他の隙間内に残留する作業流体に起因して)移送チャンバ内に残留し得ることを理解されたい。いくつかの実施形態では、グラフ210およびグラフ220は、境界250の下方で減少する(例えば、ピストン140は、左方向に移動してポート136を通過し、ピストン150は、左方向に移動してポート136を完全に被覆する)。したがって、いくつかの実施形態では、ポート136が、被覆されるとき、移送チャンバ132は、膨張チャンバ128から流体的に分断される。
【0060】
いくつかの実施形態では、グラフ210およびグラフ220は、(例えば、ピストン140Aおよび150Aのヘッドの縁が、左向きの方向に移送シリンダ130の中心点を越えて移動するときに)(例えば、180~210°において、またはその周囲で)y軸0値を下回って減少する。いくつかの実施形態では、グラフ210およびグラフ220が、変曲点に到達するとき、グラフの傾斜は、増加し始める。いくつかの実施形態では、グラフ210およびグラフ220が、オフセットされるため、グラフ210の傾斜は、準正弦波形のトラフの間にグラフ220の傾斜を上回る。いくつかの実施形態では、グラフ210の傾斜が、グラフ220の傾斜を上回るとき、グラフ230は、増加する(例えば、ピストン140は、ピストン150よりも速い率で左方向に移動し、移送チャンバ132の容積は、増加する)。
【0061】
いくつかの実施形態では、グラフ220は、境界260の下方を横断する(例えば、ピストン140は、左方向に移動し、ポート134を被覆解除し始める)。いくつかの実施形態では、グラフ210は、グラフ220が境界260を横断した後に、境界260の下方を横断する(例えば、ピストン150は、左方向に移動し、ポート134を部分的に被覆し始める)。いくつかの実施形態では、ポート134は、(例えば、作業流体の大部分が、ポートがピストン150によって部分的に被覆された状態になり始める時間にすでに移送されているため)作業流体を圧縮チャンバ118から移送チャンバ132に移送する能力に影響を及ぼすことなく、ピストン150によって部分的に被覆されることができる。いくつかの実施形態では、グラフ210は、グラフ220の前に最小値に到達する(例えば、ピストン150は、左方向に移動し、TDCに到達する)。いくつかの実施形態では、グラフ210およびグラフ220がそれらの個別の最小値に到達するときの間のオフセットは、グラフ210およびグラフ220がそれらの個別の最大値に到達するときの間のオフセットと同一である(例えば、オフセットは、サイクルの全体を通して維持される)。いくつかの実施形態では、グラフ220が、その最小値にあるとき、グラフ220は、境界270の下方にある(例えば、ピストン140は、ポート134を完全に封鎖解除している)。いくつかの実施形態では、グラフ220が、その最小値にあるとき、グラフ210は、境界260の下方にある(例えば、ピストン150は、ポート134を部分的に封鎖している)。したがって、いくつかの実施形態では、移送チャンバ132の容積は、増加し、作業流体は、圧縮チャンバ118から移送チャンバ132に移送され始める。
【0062】
いくつかの実施形態では、グラフ210およびグラフ220が最小値(例えば、約270~300°)に到達した後、グラフ210およびグラフ220は、正弦曲線状に増加し始める(例えば、正弦曲線様形状)。いくつかの実施形態では、グラフ210は、グラフ220が最小値に到達する前に増加し始める(例えば、ピストン150が、右方向に移動し始める一方、ピストン140は、左方向に移動し続ける)。いくつかの実施形態では、グラフ210は、境界260の上方に増加する(例えば、ピストン150は、右方向に移動し、ポート134を通過する)。いくつかの実施形態では、グラフ220は、境界260の上方に増加する(例えば、ピストン140は、右方向に移動し、ポート134を完全に被覆する)。したがって、示されるようないくつかの実施形態では、ポート134は、サイクルの1つの部分の間に、被覆されていない状態になり始め、最大の被覆されていない幅に到達し、次いで、サイクルの第2の部分の間に、被覆された状態になり始め、完全に被覆された状態に到達する。いくつかの実施形態では、作業流体の全てまたは実質的に全て(例えば、80%、90%、95%、99%)が、圧縮チャンバ118から移送チャンバ132に移送される。ある程度の作業流体が、本開示の範囲から逸脱することなく、(例えば、圧縮チャンバ内、ポート134の容積および/または他の隙間内に残留する作業流体に起因して)圧縮チャンバ118内に残留し得ることを理解されたい。いくつかの実施形態では、グラフ210は、増加し、境界250に到達する(例えば、ピストン150の上縁(例えば、150A)が、ポート136の左縁(例えば、136A)にある)。したがって、分割サイクルエンジン100の1つの完全サイクルが、完了し、次のサイクルが、開始する。
【0063】
いくつかの実施形態では、分割サイクルエンジン100の1つの例示的サイクルの間に、それぞれ、クランク軸126、116、154、および144に対応する、角度
【化1】
は、表1において下記に示されるパターンに従う。
【表1】
【0064】
当業者によって理解されるであろうように、表1に挙げられる角度は、例示的である。他の実施形態は、異なる相対クランク軸角を伴うサイクルを含む。さらに、表1内のクランク軸角は、近似である。当業者によって理解されるであろうように、本開示に挙げられる全ての角度は、文脈が具体的角度を要求しない限り、例示的であって、近似である。
【0065】
上記に議論されるように、グラフ230の最小値は、グラフ210および220が低温ポート左縁270と低温ポート右縁260との間(図2の例証的実施例では、約220度~260度の高温シリンダクランク軸角)にあるときに終了する。容積の第2の時間導関数がゼロであるときに、変化する容積が最小レベルに到達する(または同等に「最小値にある」)ことが、当業者によって理解されるであろう。いくつかの実施形態では、容積は、容積がゼロに到達するときに最小レベルにある。他の実施形態では、容積は、容積がゼロではないときに最小値にある。例えば、2つの金属ピストンは、安全公差としてゼロではないクリアランス(例えば、1mm)を要求し得る。いくつかの実施形態では、最小値は、大域的最小値である(すなわち、容積は、完全サイクルにわたってその最低にある)。他の実施形態では、最小値は、極小値である(すなわち、容積は、サイクルの一部にわたってその最低にある)。図1に図示されるように、移送チャンバの容積は、いくつかの実施形態では、移送チャンバの2つの壁の移動によって説明されることができる(例えば、容積は、境界の表面積によって乗算される移送チャンバの2つの境界の間の距離によって、同等に説明されることができる)。
【0066】
本配列は、有利なこととして、圧縮ピストン122が最初に作業流体を移送チャンバ132に移送しているときに、移送チャンバ132の最小容積を提供する。このように、移送チャンバ132の容積は、その最小値(ゼロ容積またはゼロ容積の実用的近似)から増加し、圧縮ピストン122が、いずれの作業損失も伴わずに、または最小限の作業損失を伴って、作業流体を移送チャンバ132に移送することを可能にし得る。換言すると、エンジンが圧縮チャンバ118内の作業流体を圧縮したときに費やされたエネルギーは、圧縮された作業流体が移送チャンバ132に移送されるときに失われない(または最小限にされる)。
【0067】
いくつかの実施形態では、移送チャンバ容積が増加するにつれて、圧縮チャンバ118内の容積は、より速く減少する。これは、有利なこととして、(移送および圧縮チャンバの)共有容積が決して増加(すでに圧縮されている作業流体の圧力を低下させることによってエネルギーを無駄にするであろう)しないことを可能にする。いくつかの実施形態では、移送チャンバ132の容積は、移送チャンバ132および圧縮チャンバ118が結合される時間の一部または全てにわたって増加する。いくつかの実施形態では、移送チャンバ132の容積は、移送チャンバ132が圧縮チャンバ118から分断された後に減少する。いくつかの実施形態では、移送チャンバ132の容積は、移送チャンバ132が膨張チャンバ128に結合する前に減少する。
【0068】
いくつかの実施形態では、移送チャンバ132および膨張チャンバ128は、移送ピストン140および150がそれらの最大速度にあるときに流体的に結合する。このように、移送チャンバ132は、迅速かつ完全に膨張チャンバ128に結合し、それによって、圧縮された作業流体が迅速に膨張チャンバ128に移送されることを可能にすることができる。流量制限(例えば、移送チャンバが圧縮チャンバから分断することと膨張チャンバに結合することとの間の時間)を低減させる、または最小限にすることによって、本明細書の実施形態は、有利なこととして、動力損失を低減させ、それによって、エンジン効率を増加させ得る。
【0069】
上記に議論されるように、グラフ230の最小値は、グラフ210および220が高温ポート左縁250と低温ポート右縁260との間(図2の例証的実施例では、約480度~540度の高温シリンダクランク軸角)にあるときである。本配列は、有利なこととして、移送チャンバ132から膨張チャンバ128への作業流体の(移送チャンバ132の最小容積によって実用的に定義されるような)完全な移送を提供し、移送チャンバ132におけるEGRを最小限にする。容積は、移送チャンバが高温ポートから完全に分断した後(540度の高温シリンダクランク軸角の後)まで最小値に留まる。このように、移送チャンバ132が、最初に、圧縮チャンバ118に結合するとき、最小限のEGRが、存在する。
【0070】
いくつかの実施形態では、本明細書に説明されるエンジンは、各タイプの空気/燃料混合物が、自己点火が生じる圧力限界を有するため、その動作モード(スパーク点火対圧縮点火)による具体的ピーク圧縮圧力が安定した燃焼を確実にするために設計される。いくつかの実施形態では、ピーク圧縮圧力は、マニホールド圧力および圧縮比の関数であり、広範囲のピーク圧縮圧力がガス燃料(例えば、天然ガス、メタン、プロパン等)および液体燃料(例えば、ガソリン、ガソリン/エタノール混成物、ディーゼル、バイオディーゼル等)の両方に適応するために設計されることができる。いくつかの実施形態では、液体燃料は、ガソリン(例えば、化学量論的ガソリン燃焼エンジン)であり、ピーク圧縮圧力は、14~30バール(いくつかの実施形態では、16~28バール)にあり、ピーク燃焼圧力は、70バール未満(いくつかの実施形態では、40バール未満)である。いくつかの実施形態では、液体燃料は、ディーゼルであり、ピーク圧縮圧力は、29~60バール(いくつかの実施形態では、35~50バール)にあり、ピーク燃焼圧力は、150バール未満(いくつかの実施形態では、100バール未満)である。いくつかの実施形態では、ガス燃料は、天然ガス(例えば、化学量論的天然ガス燃焼エンジン)であり、ピーク圧縮圧力は、17~46バール(いくつかの実施形態では、18~34バール)にあり、ピーク燃焼圧力は、80バール未満(いくつかの実施形態では、50バール未満)である。いくつかの実施形態では、燃焼は、過剰な空気(例えば、天然ガスに関する希薄燃焼、ガソリンに関する予混合圧縮着火および関連方法等)に依拠し、圧縮比のさらなる増加を可能にし、および/または圧力を上昇させることができ、ひいては、ピーク圧縮圧力およびピーク燃焼圧力の両方を増加させるであろう。燃料が、例えば、ガソリンまたは天然ガスであるとき、ピーク圧縮圧力およびピーク燃焼圧力は、さらに10~25%増加し得る。
【0071】
図3-14は、本開示の実施形態による、上記の表1内の12のエントリに対応する、分割サイクルエンジンの例示的サイクルの12のスナップショットを図示する。図3は、本開示の実施形態による、0°の膨張クランク軸角において例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジン300の断面図を図示する。いくつかの実施形態では、分割サイクルエンジン100が、0°にあるとき(例えば、クランク軸126の回転角が、0°にあるとき)、ピストン112およびピストン122は、両方ともTDCにある。いくつかの実施形態では、吸入および排出ポートは、両方とも閉鎖され、ピストン112は、ちょうどその圧縮行程を完了し、ピストン122は、ちょうどその排出行程を完了している。いくつかの実施形態では、分割サイクルエンジン100が、0°にあるとき、移送チャンバが、(例えば、それぞれ、ポート134および136を被覆するピストン140および150によって)圧縮シリンダ110または膨張シリンダ120のいずれかから分断される。いくつかの実施形態では、ピストン112およびピストン122が両方とも、TDCにあり、圧縮シリンダ110または膨張シリンダ122のいずれかの中に流体が殆どまたは全くないとき、移送チャンバ132(例えば、ピストン140とピストン150との間の容積)は、分割サイクルエンジン100内の作業流体の全てまたは実質的に全てを収容する。いくつかの実施形態では、ある程度の作業流体が、ポート134またはポート136の容積内に残留し、移送チャンバ132に移送されない。いくつかの実施形態では、移送チャンバ132内の作業流体は、特定の圧力における圧縮された作業流体である(例えば、圧縮行程の間にピストン112によって圧縮される)。いくつかの実施形態では、容積132は、圧縮シリンダ110内でピストン112によって圧縮されるものと同一である、類似する、または実質的に類似する(例えば、80%、90%、95%、99%)圧力において作業流体を維持する。いくつかの実施形態では、圧縮行程の間に圧縮シリンダ110によって生成される圧力と同一の圧力を移送チャンバ132内で維持することは、分割サイクルエンジン100が所望の圧縮比を維持し、ポンプ損失を低減させることを可能にし、したがって、効率を増加させる。上記に説明されるように、ピストン140およびピストン150の往復運動は、移送チャンバ132の容積が、移送チャンバ132が圧縮チャンバ118から分断した後および移送チャンバ132が膨張チャンバ128に結合する前の時間の間に(例えば、移送チャンバ132が圧縮または膨張チャンバのいずれにも結合されていない遷移周期の間に)、一定または実質的に一定(例えば、90%、95%、98%、99%)のままであるようなパターンに従う。
【0072】
いくつかの実施形態では、分割サイクルエンジン300が、0°位置にあるとき、クランク軸154は、90°の角度にあり得る。いくつかの実施形態では、クランク軸154が、90°の角度にあるとき、ピストン150の直線速度(例えば、往復運動)は、最大値にある。いくつかの実施形態では、ポート136が被覆されていない瞬間に最大速度におけるピストン150の線形速度を有することは、ポート136が迅速に(例えば、クランク軸154が90°の角度にない場合よりも迅速に)被覆解除されることを可能にし、移送チャンバ132内の作業流体を迅速に(例えば、クランク軸154が90°の角度にない場合よりも迅速に)膨張チャンバ128の中に移送させる。クランク軸154は、本開示の範囲から逸脱することなく、ポート136がピストン150によって被覆解除される瞬間に90°以外の角度にあり得ることを理解されたい。
【0073】
いくつかの実施形態では、分割サイクルエンジン300が、0°位置にあるとき、スパーク点火システム(例えば、スパークプラグ、図示せず)が、圧縮された作業流体を点火することができる。いくつかの実施形態では、点火は、0°の前または0°の後(例えば、-10°、-5°、5°、10°)に生じることができる。いくつかの実施形態では、点火は、移送チャンバ132が膨張チャンバ128に流体的に結合される任意の時間、移送チャンバ132が作業流体を膨張チャンバ128の中に移送する前の任意の時間、または移送チャンバ132が作業流体を膨張チャンバ128の中に移送した後の任意の時間に生じる。いくつかの実施形態では、点火は、移送チャンバ132が膨張チャンバ128に流体的に結合される直前に生じ、移送チャンバ132を膨張チャンバ128に流体的に結合する前に燃焼開発のための時間を提供する。いくつかの実施形態では、点火された作業流体の結果として生じる膨張は、膨張チャンバ128の中に膨張する。いくつかの実施形態では、作業流体の膨張は、ピストン122をTDCからBDCに進行させ、動力(膨張)行程を実施させる。
【0074】
図3は、ピストン150が0°においてポート136を完全に被覆しているように(例えば、ポート136が0°の直後に被覆解除された状態になり始めるであろうように)位置付けられているものとしてポート136およびピストン150を図示するが、ポート136は、移送チャンバ132が膨張チャンバに結合される時間を調節する、および/または遅延させるように(例えば、エンジンタイミングを制御、修正、もしくは調節するように)移送シリンダ130と膨張シリンダ120との間の界面に沿ったいずれかの場所に位置付けられることを理解されたい。そのような実施形態では、ポート136は、0°を上回るまたは下回る任意の角度(例えば、-10°、-5°、5°、10°等)において被覆解除された状態になり始める。
【0075】
図4は、本開示の実施形態による、30°の膨張クランク軸角において例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジン400の断面図を図示する。いくつかの実施形態では、分割サイクルエンジン200が、30°にあるとき、ピストン140および/またはピストン150は、右方向に進行し、移送チャンバ132もまた、右方向に移動することができる(例えば、作業流体も右方向に移動させる)。図2に関して上記に議論されるように、ピストン150は、ピストン140と異なる速度において移動している。いくつかの実施形態では、移送チャンバ132の容積は、低減される。いくつかの実施形態では、ピストン150は、ポート136を部分的に封鎖解除し、したがって、移送チャンバ132を膨張チャンバ128に流体的に結合する。いくつかの実施形態では、ピストン150は、ポート136を部分的に封鎖する。いくつかの実施形態では、ピストン150は、ポート136を完全に封鎖解除する。いくつかの実施形態では、ピストン122は、もはやTDCになく、下向きにBDCに向かって戻るように進行する。いくつかの実施形態では、ピストン122の移動は、膨張チャンバ128の容積を増加させる。いくつかの実施形態では、(部分的にまたは別様に)ポート136を封鎖解除することは、移送チャンバ132を膨張チャンバ128に流体的に結合させる。いくつかの実施形態では、移送チャンバ132からの圧縮された作業流体が、膨張チャンバ128に移送されることができる。いくつかの実施形態では、移送チャンバ132の容積を低減させることは、移送チャンバ132から膨張チャンバ128への作業流体の移送を促進し、ピストン122に機械的作用を実施する。したがって、移送チャンバ132の容積は、作業流体が膨張チャンバ128に移送される(例えば、作業流体が点火に起因して膨張チャンバ128の中に移送および/または膨張される)につれて低減し続ける。
【0076】
いくつかの実施形態では、分割サイクルエンジン400が、30°にあるとき、移送チャンバ132は、圧縮チャンバ118から分断されたままである(例えば、ピストン140は、ポート134を被覆したままである)。いくつかの実施形態では、膨張シリンダ110のピストン112は、TDCからBDCに進行し始める。いくつかの実施例では、ピストン112の運動は、膨張チャンバ118の容積を増加させる。いくつかの実施形態では、膨張チャンバ118は、空である。いくつかの実施形態では、新鮮作業流体(例えば、空気/燃料混合物)が、(例えば、直接注入、真空注入を介して、または別様に)次の圧縮行程に備えて圧縮チャンバ118の中に誘導される(例えば、進入する)。いくつかの実施形態では、吸入弁119が、圧縮チャンバ118の中への作業流体の進入を促進するように開放され始める。換言すると、圧縮シリンダ110が、次のエンジンサイクルの吸入位相を実施し始める。いくつかの実施形態では、吸入位相は、30°の前または後の任意の時間に(例えば、ピストン112がTDCを越えて移動するとすぐに)生じる。
【0077】
図5は、本開示の実施形態による、60°の膨張クランク軸角において例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジン500の断面図を図示する。いくつかの実施形態では、分割サイクルエンジン500が、60°にあるとき、ピストン140および/またはピストン150は、さらに右方向に進行することができる。図2に関して上記に議論されるように、ピストン150は、ピストン140と異なる速度において移動している。いくつかの実施形態では、ピストン140は、ポート136を部分的に被覆する。いくつかの実施形態では、ピストン150は、ポート136を被覆しない。いくつかの実施形態では、ポート136は、少なくとも部分的に被覆解除され、移送チャンバ132は、膨張チャンバ128に流体的に結合される。いくつかの実施形態では、移送チャンバ132の容積は、(例えば、ピストン150よりも速い速度において進行するピストン140に起因して)低減される。いくつかの実施形態では、移送チャンバ132の容積を低減させることは、移送チャンバ132から膨張チャンバ128への作業流体の移送を促進する。したがって、移送チャンバ132の容積は、作業流体が膨張チャンバ128に移送される(例えば、作業流体が点火に起因して膨張チャンバ128の中に移送および/または膨張される)につれて低減し続けることができる。いくつかの実施形態では、ピストン122は、BDCに向かって進行し続け、膨張シリンダ120は、膨張行程(例えば、動力行程)を継続する。いくつかの実施形態では、圧縮シリンダ110は、吸入行程を継続し、圧縮チャンバ118は、増加し、新鮮作業流体は、圧縮チャンバ118の中に誘導され続ける。いくつかの実施形態では、吸入弁119は、圧縮チャンバ118の中に作業流体を誘導するように開放される(例えば、さらに開放される)。
【0078】
図6は、本開示の実施形態による、90°の膨張クランク軸角において例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジン600の断面図を図示する。いくつかの実施形態では、分割サイクルエンジン600が、90°にあるとき、ピストン140および/またはピストン150は、さらに右方向に進行する。いくつかの実施形態では、ピストン140は、ポート136を部分的に被覆している。いくつかの実施形態では、ポート136は、ピストン140によって半分被覆される。いくつかの実施形態では、ピストン150は、ポート136を被覆していない、または覆い隠していない。いくつかの実施形態では、ピストン150は、BDCまたはその近傍にある。いくつかの実施形態では、移送チャンバ132は、膨張チャンバ128に流体的に結合され続ける。いくつかの実施形態では、移送チャンバ132の容積は、さらに低減される。いくつかの実施形態では、移送チャンバ132の容積を低減させることは、移送チャンバ132から膨張チャンバ128への作業流体の移送を促進する。したがって、移送チャンバ132の容積は、作業流体が膨張チャンバ128に移送される(例えば、作業流体が点火に起因して膨張チャンバ128の中に移送および/または膨張される)につれて低減し続けることができる。いくつかの実施形態では、ピストン122は、BDCに向かって進行し続け、膨張シリンダ120は、膨張行程(例えば、動力行程)を継続する。いくつかの実施形態では、圧縮シリンダ110は、吸入行程を継続し、したがって、圧縮チャンバ118の容積は、増加しており、新鮮作業流体は、(例えば、直接注入によって、または別様に)圧縮チャンバ118の中に進入する。いくつかの実施形態では、吸入弁119は、圧縮チャンバ118の中に作業流体を誘導するように開放される(例えば、さらに開放される)。
【0079】
図7は、本開示の実施形態による、120°の膨張クランク軸角において例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジン700の断面図を図示する。いくつかの実施形態では、分割サイクルエンジン700が、120°にあるとき、ピストン140は、TDCまたはその近傍にある。いくつかの実施形態では、ピストン140は、ポート136を部分的に被覆する。いくつかの実施形態では、ピストン150は、ポート136を被覆していない、または覆い隠していない。いくつかの実施形態では、ピストン150は、BDCを越え、TDCに向かって戻るように進行している。いくつかの実施形態では、移送チャンバ132は、膨張チャンバ128に流体的に結合され続ける。いくつかの実施形態では、移送チャンバ132の容積は、(例えば、ピストン150が左方向に進行している間に右方向に進行するピストン140に起因して)さらに低減される。いくつかの実施形態では、移送チャンバ132の容積を低減させることは、移送チャンバ132から膨張チャンバ128への作業流体の移送を促進する。したがって、移送チャンバ132の容積は、作業流体が膨張チャンバ128に移送される(例えば、作業流体が点火に起因して膨張チャンバ128の中に移送および/または膨張される)につれて低減し続けることができる。いくつかの実施形態では、ピストン122は、BDCに向かって進行し続け、膨張シリンダ120は、膨張行程(例えば、動力行程)を継続することができる。いくつかの実施形態では、圧縮シリンダ110は、吸入行程を継続し、圧縮チャンバ118は、増加しており、新鮮作業流体は、圧縮チャンバ118の中に誘導され続ける。いくつかの実施形態では、吸入弁119は、圧縮チャンバ118の中に作業流体を誘導するように開放される(例えば、閉鎖し始めるが、依然として開放されている)。
【0080】
図8は、本開示の実施形態による、150°の膨張クランク軸角において例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジン800の断面図を図示する。いくつかの実施形態では、分割サイクルエンジン800が、150°にあるとき、ピストン140は、TDCを越え、BDCに向かって進行している。いくつかの実施形態では、ピストン140は、ポート136を部分的に被覆し続ける。いくつかの実施形態では、ピストン150は、TDCに向かって進行しており、ポート136を部分的に被覆している、または覆い隠している。いくつかの実施形態では、ポート136は、ピストン140およびピストン150によって殆ど被覆される。いくつかの実施形態では、移送チャンバ132は、膨張チャンバ128に流体的に結合され続ける。いくつかの実施形態では、移送チャンバ132の容積は、(例えば、ピストン150の左方向の進行よりも遅く左方向に進行するピストン140に起因して)さらに低減される。いくつかの実施形態では、移送チャンバ132の容積を低減させることは、移送チャンバ132から膨張チャンバ128への作業流体の移送を促進する。したがって、移送チャンバ132の容積は、作業流体が膨張チャンバ128に移送される(例えば、作業流体が点火に起因して膨張チャンバ128の中に移送および/または膨張される)につれて低減し続ける。いくつかの実施形態では、分割サイクルエンジン800が、150°にあるとき、作業流体は、完全に燃焼または実質的に燃焼される(例えば、空気/燃料混合物の90%、95%、98%、99%が反応している)。いくつかの実施形態では、移送チャンバ132および膨張チャンバ128内の流体は、主に燃焼生成物である。いくつかの実施形態では、移送チャンバ132の容積が比較的に小さい容積まで減少しているため、移送チャンバ132内に残留する燃焼生成物の量は、比較的に小さい(例えば、燃焼していない、燃焼している、および燃焼した作業流体の大部分が、膨張チャンバ128に移送されている)。いくつかの実施形態では、ピストン122は、BDCに向かって進行し続けることができ、膨張シリンダ120は、膨張行程(例えば、動力行程)を継続することができる。いくつかの実施形態では、圧縮シリンダ110は、吸入行程を継続し、圧縮チャンバ118は、増加しており、新鮮作業流体は、圧縮チャンバ118の中に誘導され続ける。いくつかの実施形態では、吸入弁119は、圧縮チャンバ118の中に作業流体を誘導するように開放される(例えば、閉鎖しつつあるが、依然として開放されている)。
【0081】
図9は、本開示の実施形態による、180°の膨張クランク軸角において例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジン900の断面図を図示する。いくつかの実施形態では、分割サイクルエンジン900が、180°にあるとき、ピストン112および/またはピストン122は、BDCまたはその近傍にある。いくつかの実施形態では、ピストン140および/またはピストン150は、左方向に進行している。いくつかの実施形態では、ピストン140は、もはやポート136を被覆していない。いくつかの実施形態では、ピストン150は、ポート136を完全に被覆している、または覆い隠している。換言すると、移送チャンバ132は、膨張チャンバ128から分断される。いくつかの実施形態では、移送チャンバ132が容積128から分断された状態になる時間に(例えば、ピストン150がポート136を完全に被覆するときに)、移送チャンバ132は、最小容積にある。いくつかの実施形態では、移送チャンバ132が、最小容積にあるとき、ピストン140およびピストン150は、接触していない(例えば、移送チャンバ132は、常に、ある量の容積を有することができる)。いくつかの実施形態では、移送チャンバ132が膨張チャンバ128から分断するときに、移送チャンバ132が最小容積にあるため、作業流体の全てまたは実質的に全て(例えば、80%、90%、95%、99%)が、移送チャンバ132から膨張チャンバ128に移送される。いくつかの実施形態では、ある程度の残留作業流体(例えば、EGRの形態の燃焼生成物)が、移送チャンバ132内に残留する(例えば、20%、10%、5%、または1%未満)。いくつかの実施形態では、分割サイクルエンジン900が、180°にあるとき、作業流体は、完全に燃焼または実質的に燃焼される(例えば、空気/燃料混合物の90%、95%、98%、99%が反応している)。いくつかの実施形態では、移送チャンバ132内の残留流体は、高温EGR(例えば、残留燃焼生成物)である。いくつかの実施形態では、移送チャンバ132の容積が比較的に小さい容積まで減少しているため、移送チャンバ132内に残留し、EGRとして帰還する燃焼生成物の量は、比較的に小さい(例えば、燃焼していない、燃焼している、および燃焼した作業流体の大部分が、膨張チャンバ128に移送されている)。いくつかの実施形態では、移送チャンバ132の比較的に小さい容積は、分割サイクルエンジン900が、圧縮チャンバ118に戻らないように排ガスの量を低減させる、または最小限にすることを可能にする。いくつかの実施形態では、EGRを低減させる、または最小限にすることは、新鮮作業流体の中へのすでに焼成されている作業流体および/または任意の燃焼生成物の導入を低減させる、もしくは防止することによって、次のエンジンサイクルで使用される新鮮作業流体の希釈を低減させる、または最小限にする。新鮮作業流体の希釈を低減させる、または防止することは、エンジンの燃焼品質を改良することができる。したがって、分割サイクルエンジンの体積効率が、改良され、したがって、改良された全体的効率をもたらす。
【0082】
いくつかの実施形態では、ピストン122は、BDCまたはその近傍にあり、膨張シリンダ120は、膨張行程(例えば、動力行程)を完了している。いくつかの実施形態では、ピストン112は、BDCまたはその近傍にあり、圧縮シリンダ110は、その吸入行程の終了またはその近傍にある。いくつかの実施形態では、吸入弁は、作業流体の誘導を終了するように閉鎖される(例えば、したがって、吸入行程を終了する)。いくつかの実施形態では、吸入弁は、開放され、ピストン112のBDCを越えて圧縮シリンダ110の中に作業流体を誘導し続けることができる(例えば、したがって、BDCを越えて吸入行程を継続する)。
【0083】
図10は、本開示の実施形態による、210°の膨張クランク軸角において例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジン1000の断面図を図示する。いくつかの実施形態では、ピストン112は、BDCを越え、圧縮シリンダ110は、圧縮行程を開始する(例えば、圧縮チャンバ118内の作業流体を圧縮し始める)。いくつかの実施形態では、ピストン140および/またはピストン150は、左方向に進行し続ける。いくつかの実施形態では、ピストン140は、もはやポート136を被覆していない。いくつかの実施形態では、ピストン140は、ポート136とポート134との間の位置にあり、ポート134を完全に被覆している、または覆い隠している。いくつかの実施形態では、ピストン150は、TDCに向かって進行しており、ポート136を完全に覆い隠している。換言すると、移送チャンバ132は、膨張チャンバ128から分断される。いくつかの実施形態では、移送チャンバ132は、最小容積またはその近傍にあり、(図2に関して上記に説明されるように)分割サイクルエンジンが180°にあったときと同一または類似容積である。いくつかの実施形態では、ピストン140およびピストン150は、接触し続けない。いくつかの実施形態では、移送チャンバ132は、(図2に示されるように)移送チャンバ132が圧縮チャンバ118と流体的に結合すると、またはその直前に、最小容積もしくはその近傍にある。いくつかの実施形態では、最小またはほぼ最小容積を有する移送チャンバ132は、圧縮チャンバ118に戻る排ガスの量を低減させる、もしくは最小限にする。
【0084】
いくつかの実施形態では、ピストン122は、BDCを越え、排出行程にある。いくつかの実施形態では、膨張シリンダ120は、排出ポート129を開放し、分割サイクルエンジン800から焼成作業流体(例えば、燃焼生成物)を排出している。
【0085】
図11は、本開示の実施形態による、240°の膨張クランク軸角において例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジン1100の断面図を図示する。いくつかの実施形態では、ピストン112は、圧縮行程の間にTDCに向かって移動している(例えば、圧縮チャンバ118内の作業流体を圧縮している)。いくつかの実施形態では、ピストン140は、左方向に(例えば、BDCに向かって)移動しており、ポート134を部分的に被覆している。いくつかの実施形態では、ピストン150は、左方向に(例えば、TDCに向かって)移動しており、ポート134を部分的に被覆している。いくつかの実施例では、ポート134は、部分的に被覆され、かつ部分的に被覆解除され、したがって、移送チャンバ132は、圧縮チャンバ118に流体的に結合される。したがって、いくつかの実施形態では、圧縮チャンバ118からの作業流体は、移送チャンバ132に移送されている。移送チャンバ132が圧縮チャンバ118と流体的に結合されるとき、本開示の範囲から逸脱することなく、ある量の高温EGRが圧縮チャンバ118からの新鮮作業流体と混合されることを理解されたい。いくつかの実施形態では、移送チャンバ132は、膨張している、または別様に(例えば、図10のように)分割サイクルエンジンが210°にあるときよりも大きい。いくつかの実施形態では、移送チャンバ132の容積は、圧縮チャンバ118から移送チャンバ132に移送している間に、作業流体がさらに圧縮されるように、同一のままである。いくつかの実施形態では、移送チャンバ132の容積は、圧縮チャンバ118から移送チャンバ132への作業流体の移送の間に増加している。いくつかの実施形態では、移送チャンバ132の容積の増加率は、(例えば、作業流体の圧力が維持されるように)圧縮チャンバ118の容積の減少率と同一である、または移送チャンバ132の容積の増加率は、(例えば、作業流体の圧力が増加し続けるように)圧縮チャンバ118の容積の減少率未満である。したがって、分割サイクルエンジン1100の所望の圧縮比(例えば、圧縮および移送の終了時の作業流体の圧力)が、達成される。したがって、いくつかの実施形態では、チャンバ118および132の全容積が、減少し続け、ピストン112は、圧縮チャンバ118内および移送チャンバ132の中への作業流体をさらに圧縮する。いくつかの実施形態では、作業流体を移送しながら作業流体をさらに圧縮することは、移送ピストンによって実施される不必要な作用を低減させる、もしくは最小限にする、および/または圧縮チャンバ118の中へのEGRの流動を低減させる、もしくは防止することができる。いくつかの実施形態では、ピストン122は、BDCを越え、排出行程を継続することができる(例えば、焼成作業流体を排出する)。いくつかの実施形態では、排出ポート129は、開放し、膨張チャンバ128から焼成作業流体(例えば、燃焼生成物)を排出している。
【0086】
図12は、本開示の実施形態による、270°の膨張クランク軸角において例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジン1200の断面図を図示する。いくつかの実施形態では、ピストン112は、圧縮行程の間にTDCに向かって移動している(例えば、圧縮チャンバ118および/または移送チャンバ132内の作業流体を圧縮している)。いくつかの実施形態では、ピストン140は、左方向に(例えば、BDCに向かって)移動しており、もはやポート134を被覆していない。いくつかの実施形態では、ピストン150は、TDCまたはその近傍にあり、ポート134を部分的に被覆し続けることができる。いくつかの実施例では、ポート134は、部分的に被覆され、かつ部分的に被覆解除され、したがって、移送チャンバ132は、圧縮チャンバ118に流体的に結合される。したがって、いくつかの実施形態では、圧縮チャンバ118からの作業流体は、移送チャンバ132に移送され続ける。いくつかの実施形態では、移送チャンバ132は、膨張している、または別様に(例えば、図11のように)分割サイクルエンジンが240°にあるときよりも大きい。いくつかの実施形態では、チャンバ118および132の全容積は、減少し続け、ピストン112は、圧縮チャンバ118内および移送チャンバ132の中への作業流体をさらに圧縮する。いくつかの実施形態では、ピストン122は、BDCを越え、排出行程を継続する(例えば、焼成作業流体を排出する)。いくつかの実施形態では、排出ポート129は、開放し、膨張チャンバ128から焼成作業流体(例えば、燃焼生成物)を排出している。
【0087】
図13は、本開示の実施形態による、300°の膨張クランク軸角において例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジン1300の断面図を図示する。いくつかの実施形態では、ピストン112は、圧縮行程の間にTDCに向かって移動している(例えば、圧縮チャンバ118および/または移送チャンバ132内の作業流体を圧縮している)。いくつかの実施形態では、ピストン140は、BDCを越え、右方向に(例えば、TDCに向かって)移動しており、ポート134を被覆していない。いくつかの実施形態では、ピストン150は、TDCを越え、右方向に移動しており、ポート134を部分的に被覆し続けることができる。いくつかの実施例では、ポート134は、部分的に被覆され、かつ部分的に被覆解除され、したがって、移送チャンバ132は、圧縮チャンバ118に流体的に結合される。したがって、いくつかの実施形態では、圧縮チャンバ118からの作業流体は、移送チャンバ132に移送され続けることができる。いくつかの実施形態では、移送チャンバ132は、膨張している、または別様に(例えば、図12のように)分割サイクルエンジンが270°にあるときよりも大きい。いくつかの実施形態では、全容積は、減少し続け、ピストン112は、圧縮チャンバ118内および移送チャンバ132の中への作業流体をさらに圧縮する。いくつかの実施形態では、ピストン122は、BDCを越え、排出行程を継続する(例えば、焼成作業流体を排出する)。いくつかの実施形態では、排出ポート129は、膨張チャンバ128から焼成作業流体(例えば、燃焼生成物)を排出するように開放している(例えば、閉鎖し始めているが、依然として開放している)。
【0088】
図14は、本開示の実施形態による、330°の膨張クランク軸角において例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジン1400の断面図を図示する。いくつかの実施形態では、ピストン112は、圧縮行程の間にTDCに向かって移動しており(例えば、圧縮チャンバ118および132内の作業流体を圧縮しており)、TDCに近づいている。いくつかの実施形態では、ピストン140は、右方向に(例えば、TDCに向かって)移動しており、ポート134を部分的に被覆している。いくつかの実施形態では、ピストン150は、右方向に(例えば、BDCに向かって)移動しており、もはやポート134を被覆していない。いくつかの実施例では、ポート134は、部分的に被覆され、かつ部分的に被覆解除され、したがって、移送チャンバ132は、圧縮チャンバ118に流体的に結合される。したがって、いくつかの実施形態では、圧縮チャンバ118からの作業流体は、移送チャンバ132に移送され続ける。いくつかの実施形態では、移送チャンバ132は、膨張している、または別様に(例えば、図13のように)分割サイクルエンジンが300°にあるときよりも大きい。いくつかの実施形態では、分割サイクルエンジンが、300°にあるとき、移送チャンバ132の容積内の増加率は、圧縮チャンバ118の容積内の圧縮(例えば、減少)率と同一である、または類似する。したがって、分割サイクルエンジン1100の圧縮比(例えば、作業流体の圧力)が、圧縮チャンバ118から移送チャンバ132に作業流体を移送している間に維持される、または実質的に維持される。いくつかの実施形態では、全容積は、減少し続け、ピストン112は、圧縮チャンバ118内および移送チャンバ132の中への作業流体をさらに圧縮する。いくつかの実施形態では、ピストン122は、BDCを越え、排出行程を継続することができる(例えば、焼成作業流体を排出する)。いくつかの実施形態では、排出ポート129は、膨張チャンバ128から焼成作業流体(例えば、燃焼生成物)を排出するように開放している(例えば、閉鎖し始めているが、依然として開放している)。
【0089】
いくつかの実施形態では、図14に示されるスナップショットの後に、分割サイクルエンジンは、360°位置(例えば、クランク軸116の回転角が360°にある)に到達するであろう。換言すると、分割サイクルエンジンは、0°位置に戻るであろう。したがって、いくつかの実施形態では、分割サイクルエンジンは、図3に説明されるサイクルの位置に戻るであろう。
【0090】
いくつかの実施形態では、2PTMを実装する分割サイクルエンジンが、並行して移送チャンバを圧縮チャンバおよび膨張チャンバに流体的に結合する。そのような実施形態では、圧縮シリンダは、移送チャンバを介して、圧縮チャンバから直接、膨張チャンバの中に作業流体を移送する。本実施形態は、圧縮界面上のポートが流体的に結合されるときのタイミングおよび膨張界面上のポートが流体的に結合されるときのタイミングが重複するため、「ポート重複」と称される。いくつかの実施形態では、ポート重複は、移送チャンバの2つのピストンが両方のポートを完全には被覆しない時間周期が存在するように、個別のシリンダと移送シリンダとの間の界面に沿ってポートの場所を変化させることによって達成される。いくつかの実施形態では、ポート重複は、一方または両方のピストンが両方の部分を完全には被覆しないように、ピストンのタイミングを変化させることによって(例えば、ピストンのタイミングをオフセットすることによって)達成される。いくつかの実施形態では、ポート重複は、移送チャンバ内のピストンの一方または両方のヘッド上に切り欠き(例えば、対角カットアウト)を実装することによって達成される。
【0091】
図15は、本開示の実施形態による、ポート重複を伴う例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジン1500の断面図を図示する。説明および例証を容易にするために、図15は、45°の角度(例えば、45°の高温側/膨張クランク角)において分割サイクルエンジン1500を図示し、本開示の実施形態による、ポート重複を伴う2PTMを伴う例示的分割サイクルエンジンの構造の概観を提供する。特定の着目角度(例えば、エンジンサイクルの間の特定の事象に対応する)に関するさらなる詳細が、図16-18に関して下記に提供されることを理解されたい。図15に関する説明の省略および/または簡略化は、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるものではない。
【0092】
いくつかの実施形態では、分割サイクルエンジン1500は、分割サイクルエンジン100に類似し、圧縮シリンダ1510と、膨張シリンダ1520と、移送シリンダ1530と(例えば、それぞれ、圧縮シリンダ110、膨張シリンダ120、および移送シリンダ130と同一である、または類似する)を含むことができる。いくつかの実施形態では、移送シリンダ1530は、ピストン1540と、ピストン1550と(例えば、それぞれ、ピストン140およびピストン150と同一である、または類似する)を含むことができる。
【0093】
いくつかの実施形態では、シリンダ(例えば、圧縮シリンダ1510、膨張シリンダ1520、および移送シリンダ1530)の直径は、ポート重複を実装しない実施形態と比較して、より小さい。いくつかの実施形態では、シリンダの直径(例えば、したがって、個別のチャンバの容積)を減少させることは、エンジンに関して所望の圧縮比を維持することに役立ち得る。いくつかの実施形態では、チャンバの容積を減少させることは、(例えば、3つ全てのチャンバが、サイクルの一部の間に流体的に結合され、したがって、下記により詳細に解説されるであろうように、作業流体が常駐するためのチャンバの数を増加させるため)ポート重複を伴わない実施形態と同一の容積を作業流体のためにもたらす。
【0094】
いくつかの実施形態では、ピストン1512およびピストン1540の回転のタイミングは、ポート重複を伴わない分割サイクルエンジン実施形態と比較して遅延される。換言すると、低温側ピストン(例えば、ピストン1512および1540)は、高温側ピストン(例えば、ピストン1522およびピストン1550)へのより大きい位相遅れを有する。いくつかの実施形態では、位相遅れは、(分割サイクルエンジン100上のピストン112およびピストン140と比較して)ピストン1512に関して19°であり、ピストン1540に関して9°である。いくつかの実施例では、低温側ピストンと高温側ピストンとの間により大きい位相遅れを有することは、ポート1534がピストン1540によって被覆されるタイミングを変化させる。いくつかの実施形態では、より大きい位相遅れは、ポート1534がピストン1540によって被覆される時間窓を遅延させる。したがって、いくつかの実施形態では、ポート1534は、ポート1536が少なくとも部分的に被覆解除され、移送チャンバ1532を膨張チャンバ1528と流体的に結合し、それによって、圧縮チャンバ1518を膨張チャンバ1528と流体的に結合しているときに、少なくとも部分的に被覆解除され、圧縮チャンバ1518を移送チャンバ1532と流体的に結合している。
【0095】
いくつかの実施形態では、分割サイクルエンジン1500の1つの例示的サイクルの間に、それぞれ、クランク軸1526、1516、1554、および1544に対応する、角度
【化2】
は、表2において下記に示されるパターンに従う。
【表2-1】
【表2-2】
【0096】
図16-18は、本開示の実施形態による、ポート重複を実装する分割サイクルエンジンの例示的サイクルの3つのスナップショットを図示する。図16は、本開示の実施形態による、0°の膨張クランク軸角においてポート重複を伴う例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジン1600の断面図を図示する。いくつかの実施形態では、分割サイクルエンジン1600が、0°にあるとき(例えば、クランク軸1526の回転角が、0°にあるとき)、ピストン1522は、TDCにある。いくつかの実施形態では、ピストン1510は、上向きに(例えば、TDCに向かって)移動している。いくつかの実施形態では、ピストン1540は、ポート1534を部分的に被覆している。いくつかの実施形態では、ポート1534が、少なくとも部分的に被覆解除されるとき、移送チャンバ1532は、圧縮チャンバ1518に流体的に結合される。いくつかの実施形態では、作業流体は、(例えば、圧縮シリンダ1510によって)移送チャンバ1532の中に流動している、移送されている、および/または圧縮している。いくつかの実施形態では、ピストン1550は、ポート1536を被覆している。いくつかの実施形態では、移送チャンバ1532は、膨張チャンバ1528から流体的に分断される。
【0097】
図17は、本開示の実施形態による、10°の膨張クランク軸角においてポート重複を伴う例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジン1700の断面図を図示する。いくつかの実施形態では、分割サイクルエンジン1700が、10°にあるとき(例えば、クランク軸1526の回転角が、10°にあるとき)、ピストン1522は、TDCを越え、下向きに(例えば、BDCに向かって)移動している。いくつかの実施形態では、ピストン1510は、上向きに(例えば、TDCに向かって)移動している。いくつかの実施形態では、ピストン1550は、右方向に移動しており、ポート1536を部分的に封鎖解除し、したがって、移送チャンバ1532を膨張チャンバ1528に流体的に結合する。いくつかの実施形態では、ピストン1540は、右方向に移動しており、ポート1534を部分的に封鎖解除し、したがって、移送チャンバ1532を圧縮チャンバ1518に流体的に結合する。したがって、いくつかの実施形態では、ポート1534およびポート1536は、少なくとも部分的に封鎖解除され、移送チャンバ1532は、圧縮チャンバ1518および膨張チャンバ1528の両方に流体的に結合される。いくつかの実施形態では、作業流体は、(例えば、圧縮シリンダ1510によって)移送チャンバ1532の中に、および/または膨張チャンバ1528の中に、流動している、移送されている、ならびに/もしくは圧縮している。
【0098】
図18は、本開示の実施形態による、19°の膨張クランク軸角においてポート重複を伴う例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジン1800の断面図を図示する。いくつかの実施形態では、分割サイクルエンジン1700が、19°にあるとき(例えば、クランク軸1526の回転角が、19°にあるとき)、ピストン1522は、TDCを越え、下向きに(例えば、BDCに向かって)移動している。いくつかの実施形態では、ピストン1510は、TDCにある。いくつかの実施形態では、ピストン1540は、右方向に移動しており、ポート1534を完全に封鎖しており、したがって、圧縮チャンバ1518から移送チャンバ1532を流体的に分断する。いくつかの実施形態では、ピストン1550は、右方向に移動しており、ポート1536を部分的に封鎖解除し、したがって、移送チャンバ1532を膨張チャンバ1528に流体的に結合することができる。いくつかの実施形態では、作業流体は、(例えば、作業流体の点火によって)膨張チャンバ1528の中に、流動している、移送されている、および/または膨張している。いくつかの実施形態では、作業流体は、移送チャンバ1532が膨張チャンバ1528に流体的に結合されている間の任意の時間に点火源(例えば、スパークプラグ)によって点火される。いくつかの実施形態では、作業流体は、移送チャンバ1532が圧縮チャンバ1518から流体的に分断する(例えば、-10°、-5°、0°、5°、10°)前または後に点火される。
【0099】
故に、本開示のいくつかの実施形態は、圧縮チャンバ、移送チャンバ、および膨張チャンバが、エンジンサイクルの一部の間に同時に流体的に結合されるように、ポート重複を実装することができる。いくつかの実施形態では、ポート重複を実装することが、燃焼の時間に移送チャンバと膨張チャンバとの間の改良された結合を可能にし、隙間容積の量を低減させる(例えば、したがって、EGRとして圧縮チャンバに戻るように流動する燃焼生成物の量を低減させる)ことができる。いくつかの実施形態では、ポート重複を実装し、同時に3つ全てのチャンバを流体的に結合することは、移送チャンバが膨張チャンバに流体的に結合される瞬間に急激な圧力降下を最小限にする、または低減させる。いくつかの実施形態では、所望の圧縮比を達成するために、シリンダの半径は、ポート重複を伴わない実施形態と比較して縮小される。
【0100】
ポート重複を実装する分割サイクルエンジンの例示的サイクルの3つだけのスナップショットが、図示および説明されるが、分割サイクルエンジンの残りのサイクルが、上記の説明および/または表2で提供される角度を使用して推定されることを理解されたい。
【0101】
図19は、本開示の実施形態による、切り欠き付きピストンを使用する、ポート重複を伴う例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジン1900の断面図を図示する。いくつかの実施形態では、切り欠きを使用することは、2PTMシリンダ(例えば、移送シリンダ1930)のサイズ(例えば、ボア)に有意な変化を伴わずに、分割サイクルエンジンがポート重複を実装することを可能にする。例えば、上記に解説されるように、3つ全てのチャンバが、サイクルの一部の間に流体的に結合される(例えば、圧縮チャンバ1918、膨張チャンバ1928、および移送チャンバ1932)。そのような実施例では、(例えば、ポート重複を実装していない分割サイクルエンジンと比較して)同一または類似圧縮比を維持するために、移送チャンバ1932の容積は、圧縮チャンバ1918および膨張チャンバ1928によって寄与される容積の増加を補償するように低減されることができる。したがって、特定の圧縮比が、移送シリンダ1930のサイズ(例えば、ボア)を縮小すること、または説明されるような切り欠き付きピストンを追加すること、もしくはそれらの組み合わせによって、ポート重複を実装するエンジンで達成されることができる。例えば、小型エンジンは、シリンダのサイズをさらに縮小することが不可能であり得る。したがって、切り欠き付きピストンヘッドは、所望の圧縮比のためのポート重複を達成する代替方法としての役割を果たす。説明および例証を容易にするために、図19は、45°の角度(例えば、45°の高温側/膨張クランク角)において分割サイクルエンジン1900を図示し、本開示の実施形態による、1つ以上の切り欠き付きピストンを使用する、ポート重複を伴う2PTMを伴う例示的分割サイクルエンジンの構造の概観を提供する。特定の着目角度(例えば、エンジンサイクルの間の特定の事象に対応する)に関するさらなる詳細が、図20-22に関して下記に提供されることを理解されたい。図19に関する説明の省略および/または簡略化は、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるものではない。
【0102】
いくつかの実施形態では、分割サイクルエンジン1900は、分割サイクルエンジン100および分割サイクルエンジン1500に類似し、圧縮シリンダ1910と、膨張シリンダ1920と、移送シリンダ1930と(例えば、それぞれ、圧縮シリンダ110、膨張シリンダ120、および移送シリンダ130と同一である、または類似する)を含むことができる。いくつかの実施形態では、移送シリンダ1930は、ピストン1940と、ピストン1950と(例えば、それぞれ、ピストン140およびピストン150と同一である、または類似する)を含むことができる。
【0103】
いくつかの実施形態では、ピストン1912およびピストン1940の回転のタイミングは、ポート重複を伴わないおよび/または切り欠き付きピストンを伴わない分割サイクルエンジン実施形態と比較して遅延される。換言すると、低温側ピストン(例えば、ピストン1912および1940)は、高温側ピストン(例えば、ピストン1922およびピストン1950)へのより大きい位相遅れを有し得る。いくつかの実施形態では、(分割サイクルエンジン100上のピストン112およびピストン140と比較して)ピストン1912は、23°位相遅れを有し得、ピストン1540は、位相遅れを有していない。いくつかの実施形態では、ピストン1940およびピストン1950の一方または両方は、ピストンのヘッドに切り欠きを有する。本明細書で使用されるように、かつ図19に示されるように、切り欠きは、ピストンの上内側に沿ってピストンのヘッド上(例えば、ポートと界面接触する側面上)の対角カットアウトである。いくつかの実施形態では、切り欠きは、ポート1934がピストン1940によって被覆されるタイミングおよびポート1936がピストン1950によって被覆されるタイミングを修正する、および/または偏移させる。いくつかの実施形態では、切り欠きは、ポート1934がピストン1934によって被覆される時間窓およびポート1936がピストン1950によって被覆される時間窓を遅延させ(例えば、切り欠きを伴わないよりもさらなる位相遅れを機械的に引き起こし)、別様に切り欠きがないと結合されないであろう、クランク軸角の組み合わせにおける圧縮チャンバ1918、移送チャンバ1932、および/または膨張チャンバ1928の流体結合を可能にする、すなわち、ポート重複を可能にする。したがって、いくつかの実施形態では、ポート1934は、ポート1936が少なくとも部分的に被覆解除され、移送チャンバ1932を膨張チャンバ1928と流体的に結合し、それによって、圧縮チャンバ1918を膨張チャンバ1928と流体的に結合しているときに、少なくとも部分的に被覆解除され、圧縮チャンバ1918を移送チャンバ1932と流体的に結合している。
【0104】
いくつかの実施形態では、分割サイクルエンジン1900の1つの例示的サイクルの間に、それぞれ、クランク軸1926、1916、1954、および1944に対応する、角度
【化3】
は、表3において下記に示されるパターンに従う。
【表3-1】
【表3-2】
【0105】
図20-22は、本開示の実施形態による、1つ以上の切り欠き付きピストンを使用する、ポート重複を実装する分割サイクルエンジンの例示的サイクルの3つのスナップショットを図示する。図20は、本開示の実施形態による、0°の膨張クランク軸角において1つ以上の切り欠き付きピストンを使用する、ポート重複を伴う例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジン2000の断面図を図示する。いくつかの実施形態では、分割サイクルエンジン2000が、0°にあるとき(例えば、クランク軸1926の回転角が、0°にあるとき)、ピストン1922は、TDCにある。いくつかの実施形態では、ピストン1912は、上向きに(例えば、TDCに向かって)に移動している。いくつかの実施形態では、ピストン1940は、ポート1934を部分的に被覆している。いくつかの実施形態では、ピストン1940上の切り欠きは、ピストン1940がポート1934を部分的に被覆解除しているように角度を付けられる。換言すると、切り欠きは、ピストン1940が、ピストン1940が切り欠きを有していなかった場合を上回る位相遅れが存在する場合のように機能するように、ピストン1940の界面を左方向に偏移させる。換言すると、ピストン1940とピストン1950との間の距離は、切り欠きを伴わない移送ピストンを伴うエンジンと比較して、より小さい。ピストン1940とピストン1950との間の距離が、より小さいため、より大きい直径の移送シリンダ1930が、所与の所望の圧縮比のために使用される。いくつかの実施形態では、ポート1934が、少なくとも部分的に被覆解除されるとき、移送チャンバ1932は、圧縮チャンバ1918に流体的に結合される。いくつかの実施形態では、作業流体は、(例えば、圧縮シリンダ1910によって)移送チャンバ1932の中に流動している、移送されている、および/または圧縮している。いくつかの実施形態では、ピストン1950は、ポート1936を被覆している(例えば、ピストン1950上の切り欠きは、ポート1936を被覆解除させず、ピストン1950は、依然として、ポート1936を被覆し、膨張チャンバ1928から移送チャンバ1932を分断している)。いくつかの実施形態では、移送チャンバ1932は、膨張チャンバ1928から流体的に分断される。
【0106】
図21は、本開示の実施形態による、12°の膨張クランク軸角において1つ以上の切り欠き付きピストンを使用する、ポート重複を伴う例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジン2100の断面図を図示する。いくつかの実施形態では、分割サイクルエンジン2100が、12°にあるとき(例えば、クランク軸1926の回転角が、12°にあるとき)、ピストン1922は、TDCを越え、下向きに(例えば、BDCに向かって)移動している。いくつかの実施形態では、ピストン1912は、上向きに(例えば、TDCに向かって)移動している。いくつかの実施形態では、ピストン1950は、右方向に移動しており、ポート1936を部分的に封鎖解除し(例えば、ピストン1950の前縁がポート1936よりもさらに左にあっても、切り欠きがピストン1950にポート1936を部分的に封鎖解除させ)、したがって、移送チャンバ1932を膨張チャンバ1928に流体的に結合する。いくつかの実施形態では、ピストン1940は、右方向に移動しており、ポート1934を部分的に封鎖解除し(例えば、ピストン1940の前縁がポート1934よりもさらに右にあっても、切り欠きがピストン1940にポート1934を部分的に封鎖解除させ)、したがって、移送チャンバ1932を圧縮チャンバ1918に流体的に結合することができる。したがって、いくつかの実施形態では、ポート1934およびポート1936は、少なくとも部分的に封鎖解除され、移送チャンバ1932は、圧縮チャンバ1918および膨張チャンバ1928の両方に流体的に結合される。いくつかの実施形態では、作業流体は、(例えば、圧縮シリンダ1910によって)移送チャンバ1932の中に、および/または膨張チャンバ1928の中に、流動している、移送されている、ならびに/もしくは圧縮している。
【0107】
図22は、本開示の実施形態による、23°の膨張クランク軸角において1つ以上の切り欠き付きピストンを使用する、ポート重複を伴う例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジン2200の断面図を図示する。いくつかの実施形態では、分割サイクルエンジン2200が、23°にあるとき(例えば、クランク軸1926の回転角が、23°にあるとき)、ピストン1922は、TDCを越え、下向きに(例えば、BDCに向かって)移動している。いくつかの実施形態では、ピストン1912は、TDCにある。いくつかの実施形態では、ピストン1940は、右方向に移動しており、ポート1934を完全に封鎖しており(例えば、ピストン1940上の切り欠きが、ポート1934を被覆解除させず、ピストン1940が、依然として、ポート1934を被覆している)、したがって、圧縮チャンバ1918から移送チャンバ1932を流体的に分断する。いくつかの実施形態では、ピストン1950は、右方向に移動しており、ポート1936を部分的に封鎖解除し、したがって、移送チャンバ1932を膨張チャンバ1928に流体的に結合することができる。いくつかの実施形態では、作業流体は、(例えば、作業流体の点火によって)膨張チャンバ1928の中に、流動している、移送されている、および/または膨張している。いくつかの実施形態では、作業流体は、移送チャンバ1932が膨張チャンバ1928に流体的に結合されている間または前の任意の時間に点火源(例えば、スパークプラグ)によって点火される(例えば、-10°、-5°、0°、5°、10°)。いくつかの実施形態では、点火は、作業流体の圧縮によって達成されることができる(例えば、圧縮点火)。いくつかの実施形態では、作業流体は、移送チャンバ1932が圧縮チャンバ1918から流体的に分断する前または後に点火される。
【0108】
1つ以上の切り欠き付きピストンを使用する、ポート重複を実装する分割サイクルエンジンの例示的サイクルの3つだけのスナップショットが、図示および説明されるが、分割サイクルエンジンの残りのサイクルが、上記の説明および/または表3で提供される角度を使用して推定されることを理解されたい。
【0109】
図23A-Bは、本開示の実施形態による、例示的歯車駆動機構を伴う例示的2PTMを実装する分割サイクルエンジン2300の正面および背面断面図を図示する。いくつかの実施形態では、分割サイクルエンジン2300は、分割サイクルエンジン100に類似し、圧縮シリンダと、膨張シリンダと、移送シリンダと(例えば、それぞれ、圧縮シリンダ110、膨張シリンダ120、および移送シリンダ130と同一である、または類似する)を含む。いくつかの実施形態では、圧縮シリンダは、圧縮ピストン2312を収容し、膨張シリンダは、膨張ピストン2322を収容し、移送シリンダは、移送ピストン2340および2350を収容する。いくつかの実施形態では、圧縮ピストン2312は、クランク軸2326によって駆動される、接続ロッドに結合される。いくつかの実施形態では、膨張ピストン2322は、接続ロッドに結合され、クランク軸2316によって駆動される。いくつかの実施形態では、ピストン2340は、接続ロッドに結合され、クランク軸2344によって駆動される。いくつかの実施形態では、ピストン2350は、接続ロッドに結合され、クランク軸2354によって駆動される。いくつかの実施形態では、移送シリンダは、移送チャンバ内の圧縮された作業流体を点火するように構成される、スパークプラグ2384を含むことができる。
【0110】
いくつかの実施形態では、分割サイクルエンジン2300は、歯車2360、2362、2364、2366、2368、2370、2372、2374、および2376を含む。いくつかの実施形態では、歯車2360は、クランク軸2316に結合される。いくつかの実施形態では、ピストン2322(例えば、動力ピストン)の直線および往復運動は、歯車2360の回転運動を駆動および制御することができる。いくつかの実施形態では、歯車2362は、クランク軸2326に結合され、ピストン2312を駆動する。いくつかの実施形態では、歯車2362の回転は、ピストン2312の往復運動を制御する。いくつかの実施形態では、歯車2364は、クランク軸2344に結合され、ピストン2340を駆動する。いくつかの実施形態では、歯車2364の回転は、ピストン2340の往復運動を制御する。いくつかの実施形態では、歯車2366は、クランク軸2354に結合され、ピストン2350を駆動する。いくつかの実施形態では、歯車2366の回転は、ピストン2350の往復運動を制御する。したがって、いくつかの実施形態では、ピストン2322は、歯車2360、2362、2364、および2366の回転運動(したがって、ピストン2312、2340、および2350の往復運動)を駆動することを介して、分割サイクルエンジン2300のピストンタイミングを制御する。
【0111】
いくつかの実施形態では、歯車2360は、歯車2362に結合される(例えば、歯車2360の歯は、歯車2360の歯および歯車2362の歯が噛み合うように、歯車2362の歯に結合される)。いくつかの実施形態では、1つの方向に歯車2360を回転させることは、歯車2362において対応する反対の回転を引き起こす(例えば、歯車2360が、反時計回りに回転するとき、次いで、歯車2362は、時計回りに回転することができる)。そのような実施形態では、ピストン2312およびピストン2322の移動(例えば、往復運動)は、同期化される。いくつかの実施形態では、歯車2362は、歯車2368に結合される。いくつかの実施形態では、歯車2362は、歯車2368の歯と噛み合う、(図23Bに示されるように)歯車2362の裏側に結合される歯または同軸歯車2386のより小さい軌道を有する。いくつかの実施形態では、歯車2362は、歯車2368を駆動する(例えば、歯車2362の回転は、歯車2368において対応する反対の回転を引き起こす)。したがって、いくつかの実施形態では、歯車2360は、歯車2362および歯車2368の回転を制御し、それによって、ピストン2312の往復運動を制御する。いくつかの実施形態では、歯車2368は、遊び歯車と称される。歯車2368は、(例えば、歯車2360が歯車2362を通して歯車2368を駆動するように)それ自体が歯車2360に結合される、歯車2362に結合するものとして図示されるが、歯車2368は、代替として、歯車2360に直接結合され得、これは、次いで、(例えば、歯車2360が歯車2368を通して歯車2362を駆動するように)歯車2362に結合されることを理解されたい。
【0112】
いくつかの実施形態では、歯車2364は、歯車2370に結合される(例えば、歯車2364の歯は、歯車2370の歯と噛み合う)。いくつかの実施形態では、歯車2370は、歯車2368に結合される(例えば、歯車2370の歯は、歯車2368の歯と噛み合う)。いくつかの実施形態では、1つの方向に歯車2368を回転させることは、歯車2370において対応する反対の回転を引き起こし得、これは、次いで、歯車2364において対応する反対の回転を引き起こし得る。いくつかの実施形態では、歯車2366は、歯車2372に結合される(例えば、歯車2366の歯は、歯車2372の歯と噛み合う)。いくつかの実施形態では、歯車2372は、歯車2368に結合される(例えば、歯車2372の歯は、歯車2368の歯と噛み合う)。いくつかの実施形態では、1つの方向に歯車2368を回転させることは、歯車2372において対応する反対の回転を引き起こし、これは、次いで、歯車2366において対応する反対の回転を引き起こす。したがって、いくつかの実施形態では、歯車2368は、歯車2364および歯車2366の回転を制御し、それによって、ピストン2340およびピストン2350の往復運動を制御する。そのような実施形態では、ピストン2322、ピストン2312、ピストン2340、およびピストン2350の運動は、(例えば、ピストン2322によって駆動される、4つ全てが歯車2360に最終的に連結されることに起因して)同期化される。
【0113】
いくつかの実施形態では、歯車2368は、歯車2374および歯車2376に結合される。いくつかの実施形態では、歯車2374は、ポペット弁2380を制御する。いくつかの実施形態では、ポペット弁2380は、(例えば、吸入行程の間に)圧縮チャンバの中への作業流体の流動を制御する。いくつかの実施形態では、歯車2376は、ポペット弁2382を制御する。いくつかの実施形態では、ポペット弁2382は、(例えば、排出行程の間に)膨張チャンバから外への焼成作業流体(例えば、燃焼生成物)の流動を制御する。したがって、いくつかの実施形態では、歯車2368は、圧縮および膨張シリンダの吸入および排出タイミングを制御する。いくつかの実施形態では、ポペット弁2380およびポペット弁2382の運動は、(例えば、歯車2368によって最終的に制御されることに起因して)ピストン2322、ピストン2312、ピストン2340、およびピストン2350に同期化される。
【0114】
歯車のサイズ(例えば、半径)は、1つの歯車の回転速度が、そのそれぞれ結合された歯車に変換される、割合に対応することを理解されたい。例えば、それが結合される第2の歯車よりも2倍大きい半径を伴う第1の歯車が、1回の完全回転(例えば、360度)を実施することができる一方、第2の歯車は、2回の完全回転(例えば、720度)を実施する。いくつかの実施形態では、変換の量は、所与の歯車の円周に沿った歯の数に関連する。したがって、図23A-Bに示されるように、個別の歯車の半径は、個別の歯車の回転の速度、したがって、個別のピストンの往復運動の速度を制御する。例えば、ピストン2340およびピストン2350の往復運動は、(例えば、歯車2364および歯車2366の半径が同一である、または類似するため)同一または類似速度を有し、(例えば、歯車2364および歯車2366の半径が歯車2386の半径と同一であるため)ピストン2310およびピストン2320の往復運動と同一または類似速度を有する。
【0115】
いくつかの実施形態では、ピストン2312、2322、2340、および2350のうちのいずれかは、2軸リストピン軸受を使用して、その個別の制御アームに結合される。いくつかの実施形態では、2軸リストピン軸受は、ピン軸受の一区分がピン軸受の別の区分からオフセットされる、リストピン軸受を備える。例えば、リストピン軸受は、3つの区分、すなわち、左、右、および中心区分(「ジャーナル」としても公知である)を有する。左および右区分(例えば、ジャーナル)が、同一軸を有する(例えば、整合される)一方、中心区分(ジャーナル)は、オフセット軸を有することができる(例えば、左および右区分から不整合である)。したがって、2軸リストピン軸受を使用することは、中心区分が負荷を受けていない間に、左および右区分がサイクルの一部の間にピストンの負荷を支持することを可能にする。サイクルの異なる部分の間に、中心区分は、左および右区分が負荷を受けていない間に、ピストンの負荷を支持する。したがって、2軸リストピン軸受は、使用の間に揺動機構を有し、これは、リストピン軸受の全長が油(例えば、モータ油、変速機油、または任意の他の潤滑油)で適切にコーティングされることを可能にし、構成要素の耐久性を増加させる。
【0116】
図24は、本開示の実施形態による、例示的歯車駆動機構を伴うシャトル弁移送機構を実装する分割サイクルエンジン2400の断面図を図示する。シャトル弁移送機構は、出願第14/435,138号および出願第15/256,343号(あらゆる目的のために参照することによって組み込まれる)に説明される。いくつかの実施形態では、シャトル弁移送機構は、作業流体を圧縮チャンバから膨張チャンバに移送する、代替機構である。いくつかの実施形態では、シャトル弁移送機構は、移送シリンダ内で直線的に往復して移動し、移送チャンバ(例えば、シャトル弁内の容積)を圧縮チャンバおよび/または膨張チャンバに選択的に結合する、可動シャトル弁を備える。
【0117】
いくつかの実施形態では、分割サイクルエンジン2400は、分割サイクルエンジン100に類似し、圧縮シリンダと、膨張シリンダと、移送シリンダと(例えば、それぞれ、圧縮シリンダ110、膨張シリンダ120、および移送シリンダ130と同一である、または類似する)を含む。いくつかの実施形態では、圧縮シリンダは、圧縮ピストン2412を収容し、膨張シリンダは、膨張ピストン2422を収容し、移送シリンダは、スプールシャトル2440を収容する。いくつかの実施形態では、圧縮ピストン2412は、クランク軸2426によって駆動される、接続ロッドに結合される。いくつかの実施形態では、膨張ピストン2422は、接続ロッドに結合され、クランク軸2416によって駆動される。いくつかの実施形態では、スプールシャトル2440は、接続ロッドに結合され、クランク軸2444によって駆動される。いくつかの実施形態では、移送シリンダは、移送チャンバ内の圧縮された作業流体を点火するように構成される、スパークプラグを含む。
【0118】
いくつかの実施形態では、分割サイクルエンジン2400は、歯車2460、2462、2464、2468、2470、2474、および2476を含む。いくつかの実施形態では、歯車2460は、クランク軸2426に結合される。いくつかの実施形態では、ピストン2322(例えば、動力ピストン)は、歯車2460の回転運動を制御および駆動する。いくつかの実施形態では、歯車2462は、クランク軸2426に結合され、ピストン2412(例えば、圧縮ピストン)を駆動する。いくつかの実施形態では、歯車2462の回転は、ピストン2412の往復運動を制御する。いくつかの実施形態では、歯車2464は、クランク軸2444に結合され、ピストン2440を駆動することができる。いくつかの実施形態では、歯車2464の回転は、スプールシャトル2440の往復運動を制御する。したがって、いくつかの実施形態では、ピストン2422は、歯車2460、2462、および2464の回転運動(したがって、ピストン2412およびスプールシャトル2440の往復運動)を介して、分割サイクルエンジン2400のピストンおよびスプールシャトルタイミングを制御する。
【0119】
いくつかの実施形態では、歯車2460は、歯車2462に結合される(例えば、歯車2460の歯は、歯車2460の歯および歯車2462の歯が噛み合うように、歯車2462の歯に結合される)。いくつかの実施形態では、1つの方向に歯車2460を回転させることは、歯車2462において対応する反対の回転を引き起こす(例えば、歯車2460が、反時計回りに回転するとき、次いで、歯車2462は、時計回りに回転することができる)。そのような実施形態では、ピストン2412およびピストン2422の移動(例えば、往復運動)は、同期化される。いくつかの実施形態では、歯車2462は、歯車2468に結合される。いくつかの実施形態では、歯車2462は、歯車2468の歯と噛み合う、歯車2462の裏側(図示せず)に結合される歯または同軸歯車のより小さい軌道を有する。いくつかの実施形態では、歯車2468は、歯車2462を駆動することができる(例えば、歯車2468の回転は、歯車2462において対応する反対の回転を引き起こす)。したがって、いくつかの実施形態では、歯車2468は、歯車2460および歯車2462の回転を制御し、それによって、ピストン2422およびピストン2412の往復運動を制御する。いくつかの実施形態では、歯車2468は、遊び歯車と称される。歯車2468は、(例えば、歯車2460が歯車2462を通して歯車2368を駆動するように)それ自体が歯車2460に結合される、歯車2462に結合するものとして図示されるが、歯車2468は、代替として、歯車2460に直接結合され得、これは、次いで、(例えば、歯車2460が歯車2468を通して歯車2462を駆動するように)歯車2462に結合されることを理解されたい。
【0120】
いくつかの実施形態では、歯車2464は、歯車2470に結合される(例えば、歯車2464の歯は、歯車2470の歯と噛み合う)。いくつかの実施形態では、歯車2470は、歯車2468に結合される(例えば、歯車2470の歯は、歯車2468の歯と噛み合う)。いくつかの実施形態では、1つの方向に歯車2468を回転させることは、歯車2470において対応する反対の回転を引き起こし、これは、次いで、歯車2464において対応する反対の回転を引き起こす。したがって、いくつかの実施形態では、歯車2468は、歯車2464の回転を制御し、それによって、スプールシャトル2440の往復運動を制御することができる。そのような実施形態では、ピストン2422、ピストン2412、およびスプールシャトル2440の運動は、(例えば、3つ全てが歯車2468によって最終的に駆動されることに起因して)同期化される。
【0121】
いくつかの実施形態では、歯車2468は、歯車2474および歯車2476に結合される。いくつかの実施形態では、歯車2474は、ポペット弁2480を制御する。いくつかの実施形態では、ポペット弁2480は、(例えば、吸入行程の間に)圧縮チャンバの中への作業流体の流動を制御する。いくつかの実施形態では、歯車2476は、ポペット弁2482を制御する。いくつかの実施形態では、ポペット弁2482は、(例えば、排出行程の間に)膨張チャンバから外への焼成作業流体(例えば、燃焼生成物)の流動を制御する。したがって、いくつかの実施形態では、歯車2468は、圧縮および膨張シリンダの吸入および排出タイミングを制御する。いくつかの実施形態では、ポペット弁2480およびポペット弁2482の運動は、(例えば、ピストン2422によって駆動される、歯車2460に最終的に連結されることに起因して)ピストン242、ピストン2412、およびスプールシャトル2440に同期化される。
【0122】
歯車のサイズ(例えば、半径)は、1つの歯車の回転速度が、そのそれぞれ結合された歯車に変換される、割合に対応することを理解されたい。例えば、それが結合される第2の歯車よりも2倍大きい半径を伴う第1の歯車が、1回の完全回転(例えば、360度)を実施することができる一方、第2の歯車は、2回の完全回転(例えば、720度)を実施する。いくつかの実施形態では、変換の量は、所与の歯車の円周に沿った歯の数に関連する。したがって、図24に示されるように、個別の歯車の半径は、個別の歯車の回転の速度(例えば、回転速度)、したがって、個別のピストンの往復運動の速度(例えば、直線速度)を制御する。
【0123】
いくつかの実施形態では、ピストン2412および2422のうちのいずれかは、2軸リストピン軸受を使用して、その個別の制御アームに結合される。いくつかの実施形態では、2軸リストピン軸受は、ピン軸受の一区分がピン軸受の別の区分からオフセットされる、リストピン軸受を備える。例えば、リストピン軸受は、3つの区分、すなわち、左、右、および中心区分(「ジャーナル」としても公知である)を有することができる。左および右区分(例えば、ジャーナル)が、同一軸を有することができる(例えば、整合される)一方、中心区分(ジャーナル)は、オフセット軸を有することができる(例えば、左および右区分から不整合である)。したがって、2軸リストピン軸受を使用することは、中心区分が負荷を受けていない間に、左および右区分がサイクルの一部の間にピストンの負荷を支持することを可能にすることができる。サイクルの異なる部分の間に、中心区分は、左および右区分が負荷を受けていない間に、ピストンの負荷を支持することができる。したがって、2軸リストピン軸受は、使用の間に揺動機構を有することができ、これは、リストピン軸受の全長が油(例えば、モータ油、変速機油、または任意の他の潤滑油)で適切にコーティングされることを可能にし、構成要素の耐久性を増加させることができる。
【0124】
図25は、本開示の実施形態による、分割サイクルエンジンを動作させる例示的方法2500を図示する。2502では、作業流体が、第1のチャンバ(例えば、圧縮チャンバ118、1518、および/または1918等)内で誘導される。いくつかの実施形態では、作業流体を誘導することは、分割サイクルエンジンの吸入行程の間に生じることができる。いくつかの実施形態では、作業流体を誘導することは、作業流体を第1のチャンバの中に注入することを含むことができる。いくつかの実施形態では、作業流体は、吸入弁(例えば、ポペット弁)を使用して誘導される。
【0125】
2504では、作業流体が、第1のチャンバ内で圧縮される。いくつかの実施形態では、第1のチャンバは、第1のシリンダ(例えば、圧縮シリンダ110、1510、および/または1910等)内の容積である。いくつかの実施形態では、第1のチャンバ内で作業流体を圧縮することは、第1のシリンダ内のピストン(例えば、ピストン112、1512、および/または1912等)を使用して実装される。
【0126】
2506では、第2のチャンバの第1の可動境界が、移動される。いくつかの実施形態では、第1の可動境界を移動させることは、第1のチャンバを第2のチャンバと流体的に結合し、作業流体を第1のチャンバから第2のチャンバに移送する。いくつかの実施形態では、第1のシリンダは、出口ポート(例えば、ポート134、1534、および/または1934等)を含む。いくつかの実施形態では、第1のシリンダの出口ポートは、第2のシリンダ(例えば、移送シリンダ130、1530、および/または1930等)上の入口ポートに結合される。いくつかの実施形態では、第1のシリンダの出口ポートは、(例えば、第1のシリンダおよび第2のシリンダが境界を共有するときに)第2のシリンダの入口ポートと同一である。いくつかの実施形態では、第1の可動境界は、第1のシリンダの出口ポートを選択的に結合(例えば、被覆解除および/または露出)ならびに分断(例えば、被覆および/またはシール)し、それぞれ、第1のチャンバを第2のチャンバと流体的に結合および分断することができる。いくつかの実施形態では、第1のチャンバが、第2のチャンバと流体的に結合されるとき、作業流体は、第1のチャンバから第2のチャンバに移送される(例えば、移動する、流動する、拡散する)ことができる。いくつかの実施形態では、第1のチャンバが、第2のチャンバから流体的に分断されるとき、作業流体は、第1のチャンバから第2のチャンバに移送されないように防止される。したがって、第1の可動境界が移動している間の第1の時間周期の間に、第1のチャンバおよび第2のチャンバは、(例えば、第1のチャンバの出口ポートがシールされるときに)流体的に分断され、第1の可動境界が移動している間の第2の時間周期の間に、第1のチャンバおよび第2のチャンバは、(例えば、第1のチャンバの出口ポートが露出されるときに)流体的に結合される。いくつかの実施形態では、第1の可動境界は、移送チャンバ内のピストン(例えば、ピストン140、1540、および/または1940等)を使用して実装される。
【0127】
いくつかの実施形態では、ステップ2506は、ステップ2504と少なくとも部分的に同時に生じる(例えば、ステップ2506は、ステップ2504の一部の間に生じる、またはステップ2506は、ステップ2504の間に生じる)。いくつかの実施形態では、作業流体が第1のチャンバ内で圧縮されている間に、第1のチャンバは、第2のチャンバに流体的に結合され、第1のチャンバ内で作業流体を圧縮することはまた、流体を第1のチャンバから第2のチャンバに移送し、流体を第2のチャンバの中に圧縮する機能を実施する。
【0128】
2508では、第2のチャンバの第2の可動境界が、移動される。いくつかの実施形態では、第2の可動境界を移動させることは、第2のチャンバを第3のチャンバ(例えば、膨張チャンバ128、1528、および/または1928等)と流体的に結合し、作業流体を第2のチャンバから第3のチャンバに移送する。いくつかの実施形態では、第3のシリンダ(例えば、膨張シリンダ120、1520、1920等)は、入口ポート(例えば、ポート136、1536、および/または1936等)を含む。いくつかの実施形態では、第3のシリンダの入口ポートは、第2のシリンダ上の出口ポートに結合される。いくつかの実施形態では、第3のシリンダの入口ポートは、(例えば、第2のシリンダおよび第3のシリンダが境界を共有するときに)第2のシリンダの入口ポートと同一である。いくつかの実施形態では、第2の可動境界は、第2のシリンダの出口ポートを選択的に結合(例えば、被覆解除および/または露出)ならびに分断(例えば、被覆および/またはシール)し、それぞれ、第2のチャンバを第3のチャンバと流体的に結合および分断することができる。いくつかの実施形態では、第2のチャンバが、第3のチャンバと流体的に結合されるとき、作業流体は、第2のチャンバから第3のチャンバに移送される(例えば、移動する、流動する、拡散する)ことができる。いくつかの実施形態では、第2のチャンバが、第3のチャンバから流体的に分断されるとき、作業流体は、第2のチャンバから第3のチャンバに移送されないように防止される。したがって、第2の可動境界が移動している間の第3の時間周期の間に、第2のチャンバおよび第3のチャンバは、(例えば、第3のチャンバの入口ポートがシールされるときに)流体的に分断され、第2の可動境界が移動している間の第4の時間周期の間に、第2のチャンバおよび第3のチャンバは、(例えば、第3のチャンバの入口ポートが露出されるときに)流体的に結合される。いくつかの実施形態では、第2の可動境界は、移送チャンバ内のピストン(例えば、ピストン150、1550、および/または1950等)を使用して実装される。いくつかの実施形態では、第1および第2の可動境界は、並行して移動される(例えば、ステップ2508は、ステップ2506の一部の間に生じることができる、またはステップ2508は、ステップ2506の間に生じることができる)。いくつかの実施形態では、第1、第2、および第3のチャンバは、並行して流体的に結合される。いくつかの実施形態では、第1、第2、第3、および第4の時間周期のうちのいずれかは、部分的に重複または完全に重複している。
【0129】
2510では、作業流体が、第3のチャンバ内で膨張される。いくつかの実施形態では、点火源が、作業流体を点火し、作業流体を第3のチャンバ内および/または第2のチャンバ内で膨張させる。いくつかの実施形態では、点火源は、1つ以上のスパークプラグである。いくつかの実施形態では、スパークプラグは、第2のチャンバ、第3のチャンバ、第2のチャンバと第3のチャンバとの間の移送ポート、またはそれらの任意の組み合わせ内に配置される。複数のスパークプラグ用いた実施形態では、スパークプラグは、同時に点火してもよい。他の実施形態では、スパークプラグのうちのいくつかは、連続的に点火してもよい。いくつかの実施形態では、点火は、作業流体の圧縮によって達成されることができる(例えば、圧縮点火)。いくつかの実施形態では、第2および第3のチャンバ内で作業流体を膨張させることは、(例えば、動力行程を介して)有用な作用に変換される。いくつかの実施形態では、ステップ2510は、ステップ2508と少なくとも部分的に同時に生じる。いくつかの実施形態では、作業流体が第3のチャンバ内で膨張している間に、第3のチャンバは、第2のチャンバに流体的に結合され、第3のチャンバ内で作業流体を膨張させることは、作業流体が第2のチャンバから第3のチャンバに移送されている間と同時に生じる。
【0130】
2512では、焼成作業流体(例えば、燃焼生成物)が、第3のチャンバから排出される。いくつかの実施形態では、作業流体を排出することは、分割サイクルエンジンの排出行程の間に生じることができる。いくつかの実施形態では、作業流体を排出することは、排出弁(例えば、ポペット弁)を開放し、膨張ピストンの移動を介して作業流体を放出することを含むことができる。いくつかの実施形態では、第2のチャンバは、作業流体が第3のチャンバから排出されている間に、依然として、第3のチャンバに流体的に結合される。そのような実施形態では、作業流体はまた、第2のチャンバから排出される。
【0131】
図26Aは、本開示の実施形態による、面取りした移送ポート2634および2636を伴う2PTMを実装する分割サイクルエンジンの断面図2600を図示する。いくつかの実施形態では、移送ポート2634は、上記に説明されるエンジン内の134、1534、および1934に取って代わる。それらの移送ポート(および関連付けられるエンジン構造、機能、ならびにタイミング)の説明は、移送ポート2634に準用され、簡単にするために繰り返されない。いくつかの実施形態では、移送ポート2636は、エンジン内の136、1536、および1936に取って代わる。それらの移送ポート(および関連付けられるエンジン構造、機能、ならびにタイミング)の説明は、移送ポート2636に準用され、簡単にするために繰り返されない。
【0132】
図26Aの断面図は、圧縮シリンダ2602のヘッドおよび膨張シリンダ2604のヘッドを通して得られる。いくつかの実施形態では、圧縮シリンダ2602は、上記に説明されるエンジン内の118、1518、および1918である。それらの圧縮シリンダ(および関連付けられるエンジン構造、機能、ならびにタイミング)の説明は、圧縮シリンダ2602に準用され、簡単にするために繰り返されない。いくつかの実施形態では、膨張シリンダ2604は、上記に説明されるエンジン内の128、1528、および1928である。それらの膨張シリンダ(および関連付けられるエンジン構造、機能、ならびにタイミング)の説明は、膨張シリンダ2604に準用され、簡単にするために繰り返されない。
【0133】
圧縮シリンダ2602は、吸入弁2619Aおよび2619Bを含む。いくつかの実施形態では、吸入弁2619Aおよび2619Bは、上記に説明されるエンジン内の吸入弁119である。それらの弁(および関連付けられるエンジン構造、機能、ならびにタイミング)の説明は、吸入弁2619Aおよび2619Bに準用され、簡単にするために繰り返されない。膨張シリンダ2604は、排出弁2629Aおよび2629Bを含む。いくつかの実施形態では、排出弁2629Aおよび2629Bは、上記に説明されるエンジン内の排出弁129である。それらの弁(および関連付けられるエンジン構造、機能、ならびにタイミング)の説明は、排出弁2629Aおよび2629Bに準用され、簡単にするために繰り返されない。
【0134】
移送ポート2634および2636はそれぞれ、面取りした左縁(それぞれ、2634Aおよび2636A)と、面取りした右縁(それぞれ、2634Bおよび2636B)とを含む。有利なこととして、面取りした縁は、2つの2PTMピストン(図示せず)のシールリングが、ポート2634および2636の中および外にあることと、2PTMの移送シリンダボア(図1の移送シリンダ130、図26Bに関して下記に説明される)と完全に接触すること、および接触しなくなることを容易にし得る。(以下の説明が、移送ポート2634の右縁(2634B)と、移送ポート2636の右および左縁、すなわち、それぞれ、2636A、および2636Bとに等しく適用されると理解した上で)実施例として移送ポート2634(2634A)の左縁を使用して、左縁は、下側部分2634Cの左側に位置する上側部分2634Aを有する(同様に、上側部分2634B、3636A、および2636Bは、それぞれ、下側部分2634D、3636C、および2636Dを有する)。下側部分2634Cは、圧縮チャンバの上の圧縮シリンダヘッドの左縁に対応し得る。圧縮チャンバから開始し、移送チャンバに向かって移動する方向に、ポートは、上側部分2634Aへ広がる。いくつかの実施形態では、ポートは、圧縮チャンバの近傍に一定の幅を有し、次いで、広がり始める。図26Aに示されるように、ポート縁もまた、ポートの中央に最も広い部分を伴って、その長さに沿って(図26Aに示されるように、上から下に)広がり、次いで、狭くなってもよい。左部分2634Aは、卵形および円形を含む、種々の形状をとってもよい。いくつかの実施形態では、ポート縁の広がりは、その長さに沿って変動せず、そのような実施形態では、上側部分2634Aは、2634Aから2634Cまでの線形傾斜等の直線であってもよい。
【0135】
有利なこととして、移送ポート2634の卵形の面取りした左縁は、縁にわたって移動するシールリングによって被られる衝撃を低減させる。例えば、移送ピストン140上の圧縮リングは、移送ポート134の階段状の縁134Aにわたって右から左に進行するにつれて磨耗し得る。圧縮リングが、最初に縁に接触するとき、圧縮チャンバに向かった圧縮リングの任意の垂下(例えば、リングの張力、重力、または温度に起因する材料膨張によって引き起こされる)が、リングがポートの中に降下することと、リングおよびポート縁の両方への構造的損傷を引き起こし得る、圧縮リングおよびポート縁の絡まりとにつながるであろう。対照的に、卵形の面取りしたポート縁(図26Aおよび26Bに関して説明されるもの等)、例えば、圧縮チャンバから移送チャンバへの方向に徐々に広がる2634Aポート縁は、圧縮リングの任意の垂下がポートの中に徐々に降下することを可能にする。より重要なこととして、卵形の面取りしたポート縁、例えば、圧縮チャンバから移送チャンバへの方向に徐々に狭くなる2634Bポート縁は、任意の垂下した圧縮リングが徐々にポートから抜け出すことを可能にする。最初に、垂下の中央(ピストンヘッドから最も遠い点に対応する可能性が高い)が、2PTMピストンのリング溝に向かって戻るように押動される。2PTMピストンが右から左に移動し続けるにつれて、最終的に圧縮リング全体が移送シリンダボアに接触し、それと同心になるまで、垂下した圧縮リングのさらなる部分が、2PTMピストンリング溝に向かって押動される。これは、ポートの縁にわたって通過するときに、ピストンが最大に近い速度で進行する、本明細書に説明される2PTMエンジンでは、特に有利であり得る。
【0136】
卵形の面取りした(図26Aに描写されるような)は、圧縮リングのさらなる部分が縁と接触するにつれて、衝撃をさらに低減させ得る。いくつかの実施形態では、バーが、図26Aおよび図26Bの面取りした縁に加えて、またはその代わりに、移送ポート開口部を被覆し、圧縮リングが移送ポート縁に接触するときの衝撃を低減させ得る。上側部分の端部における付加的面取り(例えば、湾曲部2634Eおよび2636E)は、圧縮リング上の摩耗をさらに低減させ得る。
【0137】
ポート幅は圧縮/膨張チャンバから移送チャンバへの方向に広がる必要がないことが、当業者によって理解されるであろう(例えば、下記の図26B)。それらの実施形態では、ポートを(右から左へ)横断する幅の変化は、シールリング上の衝撃を低減させるために十分であり得る(下記参照)。さらなる実施形態では、ポートの縁は、移送ボアに接触するにつれて圧縮リングの衝撃を緩和するように、丸みを帯び得る(または別様に修正される)。
【0138】
例示的実施形態では、圧縮シリンダ2602の直径は、77mmであり、膨張シリンダ2604の直径は、88mmであり、移送ポート2634および2636の長さ(図26Aに示されるように、上から下)は、26mmであり、上側部分2634A、2634B、2636A、および2636Bの半径は、24.76mmであり、2634Eおよび2636Eの半径は、1.6mmであり、移送ポート2634および2636のそれぞれの最も広い点は、15mmであり、移送ポートは、それらの最も近い点において15mmだけ分離され、移送ポート2634の最大幅(図26Aに示されるように、左から右)は、12.5mmであり、移送ポート2636の最大幅は、15mmである。
【0139】
図26Bは、分割サイクルエンジンの異なる断面図2650を図示する。図26Bでは、断面図は、移送チャンバのシリンダのボア2652を通して得られる。ボア2652は、面取りした縁を伴う低温移送ポート2654および高温移送ポート2656を含む。図26Bは、ボアの内側から、膨張および圧縮チャンバに向かって見た、ボア2650の表面の画像を図示する。換言すると、移送ポート2654および2656の縁(図26Bに示されるような)は、移送シリンダ内で進行する2PTMピストン上の圧縮リングによって接触される縁である。図26Bに示されるように、ポートの断面幅は、圧縮/膨張チャンバから移送チャンバへの方向に変化しない(幅は、圧縮/膨張チャンバから移送チャンバまで一定であるが、ポートを横断して変動する)。他の実施形態では、ボアの下縁、すなわち、圧縮および膨張チャンバにより近い縁は、図26Aの実施形態に描写されるものである。
【0140】
用語「面取りした縁」は、移送ポート縁が面取りを通して製造されることを要求しないことが、当業者によって理解されるであろう。いくつかの実施形態では、シリンダヘッドは、面取りした縁が金型で予備鋳造される、金型から製造される。
【0141】
上記の開示は、2つのピストンを伴う移送機構を説明するが、他の構造も、流体を圧縮チャンバから膨張チャンバに移送する上記に開示される方法を実装するために使用されることを理解されたい。例えば、移送シリンダは、1つのピストンと、可動界面(例えば、可動境界)とを有することができる。いくつかの実施形態では、移送シリンダは、2つの可動界面(例えば、2つの可動境界)を有することができる。いくつかの実施形態では、可動界面は、平面または非平面である。いくつかの実施形態では、回転機構が、使用される。
【0142】
いくつかの実施形態では、分割サイクルエンジンは、作業流体を誘導および圧縮する、第1のピストンを収納する圧縮チャンバと、作業流体を膨張させて排出する、第2のピストンを収納する膨張チャンバと、圧縮チャンバおよび膨張チャンバに選択的に流体的に結合する可変容積を有する、移送チャンバとを含む。
【0143】
分割サイクルエンジンのいくつかの実施形態では、移送チャンバの容積は、移送チャンバが膨張チャンバに流体的に結合されている間に減少する。
【0144】
分割サイクルエンジンのいくつかの実施形態では、移送チャンバの容積は、移送チャンバが圧縮チャンバに流体的に結合されている間に増加し、次いで、減少する。
【0145】
分割サイクルエンジンのいくつかの実施形態では、移送チャンバが、膨張チャンバから分断するとき、容積は、最小値にある。
【0146】
分割サイクルエンジンのいくつかの実施形態では、移送チャンバが、圧縮チャンバに結合するとき、容積は、最小値にある。
【0147】
いくつかの実施形態では、移送チャンバは、第3のピストンおよび第4のピストンを収容し、第3のピストンおよび第4のピストンは、相対的に移動し、移送チャンバ内の容積を変動させる。いくつかの実施形態では、移送チャンバ内の容積は、第3のピストンと第4のピストンとの間の容積を備える。いくつかの実施形態では、第3のピストンは、第4のピストンに対抗する。いくつかの実施形態では、移送チャンバ内の容積は、移送チャンバが膨張チャンバから流体的に分断した後に、エンジンのサイクルの一部の間に実質的に一定のままである。いくつかの実施形態では、圧縮チャンバは、出口ポートを含み、膨張チャンバは、入口ポートを含み、第3のピストンおよび第4のピストンの相対移動は、圧縮チャンバの出口ポートおよび膨張チャンバの入口ポートを選択的にシールおよび露出する。いくつかの実施形態では、第3および第4のピストンは、第1および第2のピストンと垂直に移動する。いくつかの実施形態では、第3のピストンの位相は、第4のピストンの位相からオフセットされる。いくつかの実施形態では、第3のピストンの位相および第4のピストンの位相は、第1の時間周期の間に第1のオフセットだけオフセットされ、第2の時間周期の間に第1のオフセットと異なる第2のオフセットだけオフセットされ、それによって、分割サイクルエンジンの圧縮比を変化させる。いくつかの実施形態では、第3のピストンは、圧縮および膨張チャンバに最も近い第3のピストンの前縁上に対角切り欠きを含み、第4のピストンは、圧縮および膨張チャンバに最も近い第4のピストンの前縁上に対角切り欠きを含む。
【0148】
いくつかの実施形態では、容積は、第1のピストンがTDCにあるときに、圧縮チャンバから流体的に分断する。いくつかの実施形態では、容積は、第2のピストンがTDCにあるときに、膨張チャンバに流体的に結合する。
【0149】
いくつかの実施形態では、容積は、エンジンのサイクルの間に圧縮チャンバおよび膨張チャンバに同時に流体的に結合されない。いくつかの実施形態では、容積は、エンジンのサイクルの一部の間に圧縮チャンバおよび膨張チャンバに同時に流体的に結合する。いくつかの実施形態では、エンジンのサイクルの一部は、第1のピストンがTDCに到達する前および第2のピストンがTDCに到達した後の時間を含む。
【0150】
いくつかの実施形態では、圧縮チャンバは、空気/燃料混合物を受容するように構成される吸入機構を含む。いくつかの実施形態では、吸入機構は、吸入弁または吸入ポートのうちのいずれか1つである。
【0151】
いくつかの実施形態では、膨張チャンバは、燃焼生成物を排出するように構成される排出機構を含む。いくつかの実施形態では、排出機構は、排出弁または排出ポートのうちのいずれか1つである。
【0152】
いくつかの実施形態では、エンジンは、点火源を含む。いくつかの実施形態では、点火源は、移送チャンバ、膨張チャンバ、または膨張チャンバの入口ポートのうちの1つに位置付けられるスパークプラグを備える。
【0153】
いくつかの実施形態では、圧縮チャンバおよび膨張チャンバは、異なる容積を有する。いくつかの実施形態では、膨張チャンバは、圧縮チャンバよりも大きい容積を有する。
【0154】
いくつかの実施形態では、圧縮チャンバおよび膨張チャンバは、平行に配列され、移送チャンバは、圧縮チャンバおよび膨張チャンバの上方に、かつそれと垂直に位置付けられる。
【0155】
いくつかの実施形態では、エンジンを動作させる方法は、第1のチャンバ内で作業流体を誘導することと、第1のチャンバ内で作業流体を圧縮することと、第2のチャンバの容積を変化させることと、第3のチャンバ内で作業流体を膨張させることと、第3のチャンバから作業流体を排出することとを含む。
【0156】
いくつかの実施形態では、第1のチャンバが第2のチャンバに流体的に結合されている間に、容積を増加させ、次いで、容積を減少させる。
【0157】
いくつかの実施形態では、第2のチャンバが、第3のチャンバから流体的に分断するとき、容積は、最小値にある。
【0158】
いくつかの実施形態では、第1のチャンバが、第2のチャンバに流体的に結合するとき、容積は、最小値にある。
【0159】
いくつかの実施形態では、第2のチャンバは、第3の時間周期の間に第3のチャンバから流体的に分断され、第2のチャンバは、第4の時間周期の間に第3のチャンバに流体的に結合される。
【0160】
いくつかの実施形態では、第2のチャンバの容積を変化させることは、第2のチャンバの第1の可動境界を移動させることと、第2のチャンバの第2の可動境界を移動させることとを含む。いくつかの実施形態では、第2のチャンバの第1の可動境界を移動させることは、第1のチャンバを第2のチャンバと流体的に結合し、作業流体を第1のチャンバから第2のチャンバに移送し、第2のチャンバの第2の可動境界を移動させることは、第2のチャンバを第3のチャンバと流体的に結合し、作業流体を第2のチャンバから第3のチャンバに移送する。いくつかの実施形態では、第2のチャンバの第1の可動境界を移動させている間に、第1のチャンバは、第1の時間周期の間に第2のチャンバから流体的に分断され、第1のチャンバは、第2の時間周期の間に第2のチャンバに流体的に結合される。いくつかの実施形態では、第1の可動境界および第2の可動境界は、エンジンサイクルの一部の間に並行して移動される。
【0161】
いくつかの実施形態では、第1のチャンバを第2のチャンバと流体的に結合することは、第1のチャンバ上の出口ポートを露出することを含む。いくつかの実施形態では、第2のチャンバを第3のチャンバと流体的に結合することは、第3のチャンバ上の入口ポートを露出することを含む。
【0162】
いくつかの実施形態では、第2のチャンバは、第1のチャンバおよび第3のチャンバに同時に流体的に結合されない。いくつかの実施形態では、第2のチャンバは、エンジンサイクルの一部の間に第1のチャンバおよび第3のチャンバに同時に流体的に結合される。
【0163】
いくつかの実施形態では、本方法は、点火源を用いて作業流体を点火することを含む。
【0164】
いくつかの実施形態では、第1の可動境界は、第1のピストンであり、第2の可動境界は、第2のピストンである。
【0165】
いくつかの実施形態では、第1のチャンバおよび第3のチャンバは、異なる容積を有する。
【0166】
本明細書で使用されるように、用語「流体」は、液体およびガス状態の両方を含むと理解される。
【0167】
ある実施形態が、独占的に内燃エンジンまたは外燃エンジンに関して説明されるが、システムおよび方法は、外燃エンジン、内燃エンジン、および任意の他のエンジンに等しく適用されることを理解されたい。いくつかの実施形態では、内燃エンジンの内側の点火源は、膨張を開始し得る(例えば、スパーク点火;SI)。いくつかの実施形態では、点火源は、内部膨張チャンバ内で膨張を開始するために使用されず、燃焼は、圧縮によって開始され得る(圧縮点火;CI)。
【0168】
位相遅れ、燃焼タイミング、逆位相遅れ、圧縮ピストン先導、スプールにおいて、および膨張シリンダならびにマルチ膨張シリンダを単一の圧縮シリンダに結合した後の燃焼を含む、内燃エンジンの説明は、PCT出願第PCT/US2014/047076号(その内容は、あらゆる目的のために、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)で見出される。
【0169】
したがって、上記によると、本開示のいくつかの実施例は、分割サイクルエンジンを対象とする。いくつかの実施形態では、分割サイクルエンジンは、作業流体を誘導および圧縮する、第1のピストンを収納する圧縮チャンバと、作業流体を膨張させて排出する、第2のピストンを収納する膨張チャンバと、第3のピストンおよび第4のピストンを収納する、移送チャンバであって、第3のピストンおよび第4のピストンは、相対的に移動し、移送チャンバ内の容積を変動させ、かつ移送チャンバ内の容積を圧縮チャンバおよび膨張チャンバに選択的に流体的に結合する、移送チャンバとを備える。
【0170】
加えて、または代替として、いくつかの実施形態では、移送チャンバ内の容積は、移送チャンバが膨張チャンバから流体的に分断するときに最小値にある。加えて、または代替として、いくつかの実施形態では、移送チャンバ内の容積は、移送チャンバが膨張チャンバから流体的に分断した後に、エンジンのサイクルの一部の間に実質的に一定のままである。加えて、または代替として、いくつかの実施形態では、移送チャンバ内の容積は、第3のピストンと第4のピストンとの間の容積を備える。加えて、または代替として、いくつかの実施形態では、第3のピストンは、第4のピストンに対抗する。加えて、または代替として、いくつかの実施形態では、移送チャンバは、第1のピストンが上死点(TDC)にあるときに圧縮チャンバから流体的に分断する。加えて、または代替として、いくつかの実施形態では、移送チャンバは、第2のピストンが上死点(TDC)にあるときに膨張チャンバに流体的に結合する。加えて、または代替として、いくつかの実施形態では、移送チャンバの容積は、移送チャンバが膨張チャンバに流体的に結合されている間に減少する。加えて、または代替として、いくつかの実施形態では、移送チャンバは、エンジンのサイクルの間に圧縮チャンバおよび膨張チャンバに同時に流体的に結合されない。
【0171】
加えて、または代替として、いくつかの実施形態では、移送チャンバは、エンジンのサイクルの一部の間に圧縮チャンバおよび膨張チャンバに同時に流体的に結合する。加えて、または代替として、いくつかの実施形態では、エンジンのサイクルの一部は、第1のピストンがTDCに到達する前および第2のピストンがTDCに到達した後の時間を含む。加えて、または代替として、いくつかの実施形態では、第3のピストンは、圧縮および膨張チャンバに最も近い第3のピストンの前縁上に対角切り欠きを含み、第4のピストンは、圧縮および膨張チャンバに最も近い第4のピストンの前縁上に対角切り欠きを含む。加えて、または代替として、いくつかの実施形態では、圧縮チャンバは、出口ポートを含み、膨張チャンバは、入口ポートを含み、第3のピストンおよび第4のピストンの相対移動は、圧縮チャンバの出口ポートおよび膨張チャンバの入口ポートを選択的にシールおよび露出する。加えて、または代替として、いくつかの実施形態では、圧縮チャンバは、空気/燃料混合物を受容するように構成される吸入機構を含む。加えて、または代替として、いくつかの実施形態では、吸入機構は、吸入弁または吸入ポートのうちのいずれか1つである。
【0172】
加えて、または代替として、いくつかの実施形態では、膨張チャンバは、燃焼生成物を排出するように構成される排出機構を含む。加えて、または代替として、いくつかの実施形態では、排出機構は、排出弁または排出ポートのうちのいずれか1つである。加えて、または代替として、いくつかの実施形態では、エンジンはさらに、点火源を備える。加えて、または代替として、いくつかの実施形態では、点火源は、移送チャンバ、膨張チャンバ、または膨張チャンバの入口ポートのうちの1つに位置付けられるスパークプラグを備える。加えて、または代替として、いくつかの実施形態では、圧縮チャンバおよび膨張チャンバは、異なる容積を有する。加えて、または代替として、いくつかの実施形態では、膨張チャンバは、圧縮チャンバよりも大きい容積を有する。加えて、または代替として、いくつかの実施形態では、圧縮チャンバおよび膨張チャンバは、平行に配列され、移送チャンバは、圧縮チャンバおよび膨張チャンバの上方に、かつそれと垂直に位置付けられる。加えて、または代替として、いくつかの実施形態では、第3および第4のピストンは、第1および第2のピストンと垂直に移動する。加えて、または代替として、いくつかの実施形態では、第3のピストンの位相は、第4のピストンの位相からオフセットされる。加えて、または代替として、いくつかの実施形態では、第3のピストンの位相および第4のピストンの位相は、第1の時間周期の間に第1のオフセットだけオフセットされ、第2の時間周期の間に第1のオフセットと異なる第2のオフセットだけオフセットされ、それによって、分割サイクルエンジンの圧縮比を変化させる。
【0173】
本開示のいくつかの実施例は、エンジンの動作の方法を対象とする。いくつかの実施形態では、本方法は、第1のチャンバ内で作業流体を誘導することと、第1のチャンバ内で作業流体を圧縮することと、第2のチャンバの第1の可動境界を移動させることと、第2のチャンバの第2の可動境界を移動させることと、第3のチャンバ内で作業流体を膨張させることと、第3のチャンバから作業流体を排出することとを含む。
【0174】
加えて、または代替として、いくつかの実施形態では、第2のチャンバの第1の可動境界を移動させることは、第1のチャンバを第2のチャンバと流体的に結合し、作業流体を第1のチャンバから第2のチャンバに移送し、第2のチャンバの第2の可動境界を移動させることは、第2のチャンバを第3のチャンバと流体的に結合し、作業流体を第2のチャンバから第3のチャンバに移送する。加えて、または代替として、いくつかの実施形態では、第2のチャンバの第1の可動境界を移動させている間に、第1のチャンバは、第1の時間周期の間に第2のチャンバから流体的に分断され、第1のチャンバは、第2の時間周期の間に第2のチャンバに流体的に結合される。加えて、または代替として、いくつかの実施形態では、第2のチャンバの第2の可動境界を移動させている間に、第2のチャンバは、第3の時間周期の間に第3のチャンバから流体的に分断され、第2のチャンバは、第4の時間周期の間に第3のチャンバに流体的に結合される。加えて、または代替として、いくつかの実施形態では、第1の可動境界および第2の可動境界は、エンジンサイクルの一部の間に並行して移動される。加えて、または代替として、いくつかの実施形態では、第1のチャンバを第2のチャンバと流体的に結合することは、第1のチャンバ上の出口ポートを露出することを含む。
【0175】
加えて、または代替として、いくつかの実施形態では、第2のチャンバを第3のチャンバと流体的に結合することは、第3のチャンバ上の入口ポートを露出することを含む。加えて、または代替として、いくつかの実施形態では、第2のチャンバは、第1のチャンバおよび第3のチャンバに同時に流体的に結合されない。加えて、または代替として、いくつかの実施形態では、第2のチャンバは、エンジンサイクルの一部の間に第1のチャンバおよび第3のチャンバに同時に流体的に結合される。加えて、または代替として、いくつかの実施形態では、本方法はさらに、点火源を用いて作業流体を点火することを含む。加えて、または代替として、いくつかの実施形態では、第1の可動境界は、第1のピストンであり、第2の可動境界は、第2のピストンである。加えて、または代替として、いくつかの実施形態では、第1のチャンバおよび第3のチャンバは、異なる容積を有する。
【0176】
本明細書の実施形態は、例示的目的のために、平行に配列される圧縮シリンダおよび膨張シリンダと、圧縮チャンバおよび膨張チャンバの上方に、かつそれと垂直に位置付けられる移送シリンダとを説明することが、当業者によって理解されるであろう。説明は、本配列に限定されない。いくつかの実施形態では、圧縮および膨張シリンダは、平行ではない。いくつかの実施形態では、移送シリンダは、圧縮チャンバおよび膨張チャンバの上方に位置付けられない、および/またはそれと平行に移動しない。
【0177】
実施例の上記の説明では、本明細書の一部を形成し、例証として、実践される具体的実施例が示される、付随する図面が参照される。類似要素は、全体を通して類似番号を用いて参照されることを理解されたい。図は、必ずしも一定の縮尺ではないことを理解されたい。それらは、図示される種々の例示的実施形態の全ての詳細を必ずしも示すわけでもない。むしろ、それらは、例示的実施形態の可能にする説明を提供するために、ある特徴および要素を示すにすぎない。略図または図内のフォントのいずれの変形例も、明示的に説明されるものを除いて、区別または強調を示すことを意図していない。
【0178】
本発明は、付随する図面を参照して、その実施形態に関連して完全に説明されているが、種々の変更および修正が当業者に明白となるであろうことに留意されたい。そのような変更および修正は、添付の請求項によって定義されるような本発明の範囲内に含まれるものとして理解されることになる。本発明の種々の実施形態は、限定としてではなく、一例のみとして提示されていると理解されるべきである。同様に、種々の略図は、本発明のための例示的アーキテクチャまたは他の構成を描写し得、これは、本発明に含まれる特徴および機能性の理解を支援するために行われる。本発明は、図示される実施例アーキテクチャまたは構成に制限されないが、種々の代替アーキテクチャおよび構成を使用して実装される。加えて、本発明は、種々の例示的実施形態および実装の観点から上記に説明されるが、個々の実施形態のうちの1つ以上に説明される種々の特徴および機能性は、それらの可用性において、それらが説明される特定の実施形態に限定されないことを理解されたい。それらは、代わりに、単独で、またはある組み合わせで、本発明の他の実施形態のうちの1つ以上が説明されるかどうかにかかわらず、およびそのような特徴が説明される実施形態の一部であるものとして提示されるかどうかにかかわらず、そのような実施形態に適用されることができる。したがって、本発明の範疇および範囲は、上記に説明される例示的実施形態のうちのいずれかによって限定されるべきではない。
【0179】
従属請求項に提示される特定の特徴は、本発明が、従属請求項の特徴の任意の他の可能性として考えられる組み合わせを有する、他の実施形態も具体的に対象とするものとして認識されるべきであるように、本発明の範囲内で他の様式で相互と組み合わせられる。例えば、請求項の公開の目的のために、続く任意の従属請求項は、代替として、そのような複数の従属形式が管轄内の容認される形式である場合、そのような従属請求項で参照される全ての先行事項を保有する、全ての以前の請求項からの複数の従属形態で書かれると見なされるべきである(例えば、請求項1に直接従属する各請求項は、代替として、全ての前の請求項に従属すると見なされるべきである)。複数の従属請求項形式が制限される管轄では、以下の従属請求項はまた、それぞれ、代替として、下記のそのような従属請求項に列挙される具体的請求項以外の以前の先行事項を保有する請求項への従属状態を生成する、各単独従属請求項形式で書かれると見なされるべきである。
【0180】
本書で使用される用語および語句、ならびにそれらの変形例は、別様に明示的に記述されない限り、限定的とは対象的に非制約的として解釈されるべきである。前述の実施例として、用語「~を含む」は、「限定ではないが、~を含む」または同等物を意味するものとして読み取られるべきであり、用語「実施例」は、その包括的または限定的リストではなく、項目の例示的事例を議論において提供するために使用され、「従来の」、「従来的」、「通常」、「標準的」、「公知の」、および類似する意味の用語等の形容詞は、説明される項目を所与の時間周期または所与の時点で利用可能な項目に限定するものとして解釈されるべきではない。しかし、代わりに、これらの用語は、現在または将来の任意の時間に、利用可能であって公知であり得る、従来、従来的、通常、または標準的技術を包含すると読み取られるべきである。同様に、接続詞「および」で連結される項目の群は、それらの項目のうちの1つずつが群に存在することを要求するものとして読み取られるべきではなく、むしろ、別様に明示的に記述されない限り、「および/または」として読み取られるべきである。同様に、接続詞「または」で連結される項目の群は、その群の中で相互排他性を要求するものとして読み取られるべきではなく、むしろ、別様に明示的に記述されない限り、同様に「および/または」として読み取られるべきである。さらに、本発明の項目、要素、または構成要素は、単数形で説明もしくは請求され得るが、単数形への限定が明示的に記述されない限り、複数がその範囲内であることが検討される。いくつかの事例における「1つ以上の」、「少なくとも」、「限定ではないが」、または他の同様の語句等の拡大する言葉および語句の存在は、そのような拡大する語句が不在であり得る事例で、より狭い場合が意図または要求されることを意味すると読み取られるものではない。
図1
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図26B
【国際調査報告】