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特表2022-506972静脈内カテーテルを患者に導入するカテーテルシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(54)【発明の名称】静脈内カテーテルを患者に導入するカテーテルシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20220107BHJP
【FI】
A61M25/06 500
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021525139
(86)(22)【出願日】2019-11-06
(85)【翻訳文提出日】2021-06-22
(86)【国際出願番号】 US2019059999
(87)【国際公開番号】W WO2020097161
(87)【国際公開日】2020-05-14
(31)【優先権主張番号】62/757,806
(32)【優先日】2018-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521196246
【氏名又は名称】ノースウォード・ベンチャーズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(72)【発明者】
【氏名】ホルト・ザッカリー
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA23
4C267AA28
4C267BB02
4C267BB03
4C267BB04
4C267BB33
4C267BB40
4C267CC08
4C267HH08
4C267HH20
(57)【要約】
静脈内カテーテルを患者に導入するカテーテルシステムおよび方法は、シリンジと、アクセス針と、柔軟なカテーテルと、ガイドワイヤと、を含む。シリンジは、第1のチャンバと、遠位シリンジ開口部まで遠位に延びる導管を画定する遠位シリンジ端部分と、を有し、導管は、第1のチャンバを遠位シリンジ開口部に流体接続する。アクセス針は、内部を通って長手方向に延びる針内腔を画定し、遠位シリンジ端部分に対して固定される。柔軟なカテーテルは、アクセス針に対して解放可能に固定される。ガイドワイヤは、導管を通って遠位シリンジ開口部に向かって遠位に延び、導管、遠位シリンジ開口部を通って、針内腔に沿って選択的に移動し、それによって、柔軟なカテーテルを患者に導入するための、アクセス針に対する柔軟なカテーテルの移動をガイドするように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の解剖学的構造にアクセスするためのカテーテルシステムであって、
第1のチャンバおよび遠位シリンジ端部分を含むシリンジであって、前記遠位シリンジ端部分は、遠位シリンジ開口部まで遠位に延びる導管を画定し、前記導管は、前記第1のチャンバを前記遠位シリンジ開口部に流体接続する、シリンジと、
内部を通って長手方向に延びる針内腔を画定するアクセス針であって、前記アクセス針が前記遠位シリンジ端部分から遠位に突出するように前記遠位シリンジ端部分に対して固定されている、アクセス針と、
柔軟なカテーテルであって、前記アクセス針が前記柔軟なカテーテル内に受容されるように、前記アクセス針に対して解放可能に固定されている、柔軟なカテーテルと、
前記シリンジに動作可能に接続され、前記導管を通って前記遠位シリンジ開口部に向かって遠位に延びるガイドワイヤであって、前記ガイドワイヤは、前記導管、前記遠位シリンジ開口部を通って、前記針内腔に沿って選択的に移動し、それによって、前記柔軟なカテーテルを前記患者に導入するための、前記アクセス針に対する前記柔軟なカテーテルの移動をガイドするように構成されている、ガイドワイヤと、を含む、カテーテルシステム。
【請求項2】
前記シリンジは、前記導管と連通する第2のチャンバをさらに含み、前記ガイドワイヤは、前記第2のチャンバから前記導管内に延びる、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項3】
前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバのそれぞれは、前記アクセス針に対して近位に位置付けられ、互いに横断方向にオフセットしている、請求項2に記載のカテーテルシステム。
【請求項4】
前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバのそれぞれは、互いに平行に長手方向に延びる、請求項3に記載のカテーテルシステム。
【請求項5】
前記ガイドワイヤは、前記第2のチャンバを通って選択的かつ長手方向に並進運動し、それによって、前記アクセス針に対して前記ガイドワイヤを選択的に移動させるように構成されている、請求項4に記載のカテーテルシステム。
【請求項6】
前記シリンジは、前記第1のチャンバ内に移動可能に受容されたプランジャをさらに含み、前記第1のチャンバからの前記プランジャの選択的な引き出しは、前記遠位シリンジ開口部において真空を生成するように構成されている、請求項5に記載のカテーテルシステム。
【請求項7】
前記プランジャは、前記プランジャを前記第1のチャンバから引き出すために、前記第1のチャンバを通って選択的かつ長手方向に並進運動するように構成されている、請求項6に記載のカテーテルシステム。
【請求項8】
前記針内腔は、長手方向軸に沿って延びており、前記針内腔の前記長手方向軸は、前記第1のチャンバと整列している、請求項3に記載のカテーテルシステム。
【請求項9】
前記第1のチャンバは、前記針内腔の前記長手方向軸と同軸である、請求項8に記載のカテーテルシステム。
【請求項10】
前記針内腔は、長手方向軸に沿って延びており、前記針内腔の前記長手方向軸は、前記第2のチャンバと整列している、請求項3に記載のカテーテルシステム。
【請求項11】
前記第2のチャンバ内の前記ガイドワイヤは、前記針内腔の前記長手方向軸と同軸である、請求項10に記載のカテーテルシステム。
【請求項12】
前記遠位シリンジ端部分の前記導管は、前記遠位シリンジ開口部に流体接続された、第1の近位内腔、第2の近位内腔、および遠位内腔を含み、前記第1の近位内腔および前記第2の近位内腔は、前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバとそれぞれ連通し、前記遠位シリンジ開口部を通して流体および前記ガイドワイヤを伝達するために、前記遠位内腔において交差する、請求項2に記載のカテーテルシステム。
【請求項13】
前記シリンジは、前記第2の近位内腔に位置付けられた流体シールをさらに含み、前記流体シールは、そこを通って前記ガイドワイヤを移動可能に受容すると共に、体液が前記第2のチャンバに導入されるのを抑制するように構成されている、請求項12に記載のカテーテルシステム。
【請求項14】
前記ガイドワイヤは、遠位ワイヤ先端部を有し、前記ガイドワイヤは、近位ガイドワイヤ位置から遠位ガイドワイヤ位置へ選択的に移動するように構成され、前記近位ガイドワイヤ位置にある前記遠位ワイヤ先端部は、前記針内腔内に位置付けられ、前記遠位ガイドワイヤ位置にある前記遠位ワイヤ先端部は、前記針内腔の外側に位置付けられる、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項15】
前記柔軟なカテーテルは、前記遠位シリンジ端部分に対して解放され、それによって、前記柔軟なカテーテルを前記アクセス針に対して選択的かつ遠位に移動させるように構成され、前記遠位ガイドワイヤ位置にある前記ガイドワイヤは、前記柔軟なカテーテルを前記患者に導入するための、前記アクセス針に対する前記柔軟なカテーテルの選択的かつ遠位の移動をガイドするように構成されている、請求項14に記載のカテーテルシステム。
【請求項16】
患者の解剖学的構造にアクセスするためのキットカテーテルシステムであって、
第1のチャンバおよび遠位シリンジ端部分を含むシリンジであって、前記遠位シリンジ端部分は、遠位シリンジ開口部まで遠位に延びる導管を画定し、前記導管は、前記第1のチャンバを前記遠位シリンジ開口部に流体接続する、シリンジと、
針内腔を画定するアクセス針であって、前記アクセス針が前記遠位シリンジ端部分から遠位に突出するように、前記遠位シリンジ端部分に対して解放可能に固定されるように構成されている、アクセス針と、
柔軟なカテーテルであって、前記アクセス針が前記柔軟なカテーテル内に受容されるように、前記アクセス針に対して解放可能に固定されるように構成されている、柔軟なカテーテルと、
前記シリンジに動作可能に接続され、前記導管を通って前記遠位シリンジ開口部に向かって遠位に延びるガイドワイヤであって、前記ガイドワイヤは、前記導管および前記遠位シリンジ開口部を通って、前記針内腔に沿って選択的に移動し、それによって、前記柔軟なカテーテルを前記患者に導入するための、前記アクセス針に対する前記柔軟なカテーテルの移動をガイドするように構成されている、ガイドワイヤと、を含む、キットカテーテルシステム。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、2018年11月9日出願の、「Central Venous Access Catheter System and Related Methods」と題された米国仮特許出願第62/757,806号に対する優先権を主張し、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
〔背景〕
困難な血管アクセスは、ヘルスケアにおいて一般的な問題である。これは救急医療における日常的な問題であり、患者集団の約10%に影響を及ぼしている。患者の年齢の上昇、透析アクセス、癌の存在、過去の頻繁な試み、および静脈内(IV)薬物乱用は全て、静脈アクセスの入手の容易さに影響を及ぼす。しばしば、看護スタッフは末梢IVカテーテルを入手できない。さらに、医療施設内に存在する「PICCチーム」または「血管アクセスチーム」は非常に忙しく、救急診療部での治療を待つ個々の患者へのアクセスの試みを開始するのに1時間を大幅に超える時間がかかることが多い。これらのサービスは通常、通常の営業時間内にのみ利用可能であり、小規模病院および独立した急性疾患治療施設で提供されることはまれである。これにより、検査および治療が遅れ、入院期間が長くなる。救急医および高度実践提供者は、超音波ガイド下での末梢静脈または中心静脈アクセスを試みる能力を有するが、救急シフト中に患者をケアするこのような医療提供者には時間的な制約があるため、1日に数回行うことは不可能であろう。この目的のために、超音波ガイド下末梢IVカテーテル配置および中心静脈アクセスはそれぞれ、時間がかかる、労働集約的なプロセスである。さらに、利用可能な超音波ガイド下末梢IVカテーテルは、配置が成功した後でさえ、移動を引き起こし得る、カテーテルの相対的な不撓性および長さのために、内頸静脈または大腿静脈などの中心静脈へのアクセスにはあまり適していない。標準的な末梢IVカテーテルはまた、最初のアクセスを確認するために血液の「フラッシュ(flash)」に依存するが、そのような血液の「フラッシュ」は、カテーテルの長さおよび/または止血帯の位置付けができないことにより、中心静脈アクセスで達成することがしばしば困難である。一部の中心ラインキットは、より長いシングルルーメンカテーテルを含むが、これらは同様の制限を有する。例えば、中心ラインキットは、配置中の微妙な動きが静脈カテーテル留置の失敗を生じ得るように、しばしば不撓性カテーテルおよび大口径針を含む。
【0003】
したがって、所望の位置に機能的に配置されたままで患者へのアクセスを迅速に提供する、例えば中心静脈アクセスのための、静脈内カテーテルを患者に導入するカテーテルシステムおよび方法が必要である。
【0004】
〔概要〕
患者の解剖学的構造にアクセスするためのカテーテルシステムの一実施形態は、シリンジと、内部を通って長手方向に延びる針内腔を画定するアクセス針と、柔軟なカテーテルと、ガイドワイヤと、を含む。シリンジは、第1のチャンバと、遠位シリンジ開口部まで遠位に延びる導管を画定する遠位シリンジ端部分と、を含み、導管は、第1のチャンバを遠位シリンジ開口部に流体接続する。アクセス針は、アクセス針が遠位シリンジ端部分から遠位に突出するように、遠位シリンジ端部分に対して解放可能に固定される。柔軟なカテーテルは、アクセス針が柔軟なカテーテル内に受容されるように、アクセス針に対して解放可能に固定される。さらに、ガイドワイヤは、導管、遠位シリンジ開口部を通って、針内腔に沿って選択的に移動し、それによって、柔軟なカテーテルを患者に導入するための、アクセス針に対する柔軟なカテーテルの移動をガイドするように構成される。
【0005】
患者の解剖学的構造にアクセスするためのキットカテーテルシステムの一実施形態は、内部を通って長手方向に延びる針内腔を画定するアクセス針と、柔軟なカテーテルと、ガイドワイヤと、を含む。シリンジは、第1のチャンバと、遠位シリンジ開口部まで遠位に延びる導管を画定する遠位シリンジ端部分と、を含み、導管は、第1のチャンバを遠位シリンジ開口部に流体接続する。アクセス針は、アクセス針が遠位シリンジ端部分から遠位に突出するように、遠位シリンジ端部分に対して解放可能に固定されるように構成される。柔軟なカテーテルは、アクセス針が柔軟なカテーテル内に受容されるように、アクセス針に対して解放可能に固定されるように構成される。さらに、ガイドワイヤは、導管、遠位シリンジ開口部を通って、針内腔に沿って選択的に移動し、それによって、柔軟なカテーテルを患者に導入するための、アクセス針に対する柔軟なカテーテルの移動をガイドするように構成される。
【0006】
使用時には、カテーテルシステムを用いて柔軟なカテーテルを患者に導入する方法の一実施形態は、柔軟なカテーテルをガイドワイヤに沿って遠位にガイドし、それによって柔軟なカテーテルを患者の解剖学的構造に導入することを含む。
【0007】
本発明は、特定の実施例の以下の説明を、添付図面と共に併せ読むことによって、よりよく理解されると考えられ、図面中、同様の参照符号は同じ要素を特定する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】柔軟なカテーテルを患者に導入するための、柔軟なカテーテルの第1の実施例、アクセス針の第1の実施例、およびシリンジの第1の実施例を含む、カテーテルシステムの第1の例示的な実施形態の斜視図を描く。
図2図1のカテーテルシステムの分解組立斜視図を描く。
図3図1の断面線3-3に沿った図1のカテーテルシステムの断面図を描く。
図4図1の断面線3-3に沿った図1のカテーテルシステムの分解組立断面図を描く。
図5図1の断面線5-5に沿った図1のカテーテルシステムの断面図を描く。
図6図1の断面線6-6に沿った図1のカテーテルシステムの断面図を描く。
図7】患者に柔軟なカテーテルを導入するための、柔軟なカテーテルの第2の実施例、アクセス針の第2の実施例、および図1のシリンジを含む、カテーテルシステムの第2の例示的な実施形態の、中心線に沿った断面図を描く。
図8図7のカテーテルシステムの、中心線に沿った分解組立断面図を描く。
図9】柔軟なカテーテルを患者に導入するための、図1の柔軟なカテーテルおよびアクセス針、ならびにシリンジの第2の実施例を含む、カテーテルシステムの第3の例示的な実施形態の、中心線に沿った断面図を描く。
図10】柔軟なカテーテルを患者に導入するための、図7の柔軟なカテーテルおよびアクセス針、ならびにシリンジの第3の実施例を含む、カテーテルシステムの第4の例示的な実施形態の、中心線に沿った断面図を描く。
図11】アクセス針が中心静脈内に挿入され、ガイドワイヤがアクセス針に沿ってさらに中心静脈内に付勢されている、図1のカテーテルシステムの断面図を描く。
図12図11と同様のカテーテルシステムの断面図を描くが、中心静脈が使用のためにアクセスされるよう位置付けられるように、柔軟なカテーテルが、アクセス針に沿って、さらに中心静脈内に付勢されているところを示す。
【0009】
図面は、いかなる方法でも限定することを意図しておらず、本発明の様々な実施形態は、図面に必ずしも描かれていないものを含めて、様々な他の方法で実施され得ると考えられる。明細書に組み込まれ、明細書の一部を形成する添付図面は、本発明のいくつかの態様を示し、説明と共に、本発明の原理を説明するのに役立つ。しかしながら、本発明は示された厳密な配置に限定されないことが理解される。
【0010】
〔詳細説明〕
本発明の特定の実施例の以下の説明は、本発明の範囲を限定するために使用されるべきではない。本発明の他の実施例、特徴、態様、実施形態、および利点は、実例として、本発明を実施するために企図される最良の様式のうちの1つである、以下の説明から、当業者に明らかになるであろう。理解されるように、本発明は、本発明から逸脱することなく、他の異なる明白な態様が可能である。したがって、図面および説明は、本質的に例示的なものであり、限定的なものではないと考えるべきである。
【0011】
さらに、本明細書に記載される教示、表現、実施形態、実施例等のうちの任意の1つ以上は、本明細書に記載されるその他の教示、表現、実施形態、実施例等のうちの任意の1つ以上と組み合わせられ得ることが理解される。したがって、以下に説明する教示、表現、実施形態、実施例等は、互いに分離して見られるべきではない。本明細書の教示を組み合わせることができる種々の適切な方法は、本明細書の教示に照らして当業者に容易に明らかであろう。そのような変更および変形は、特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
【0012】
開示を明確にするために、用語「近位」および「遠位」は、本明細書では、カテーテルシステムのオペレータに対して定義される。用語「近位」は、カテーテルシステムのオペレータにより近く、カテーテルの端部からさらに離れた要素の位置を指す。用語「遠位」は、カテーテルの端部に近く、カテーテルシステムのオペレータからさらに離れた要素の位置を指す。便宜上、および明確化のため、「下」、「上」、「長手方向」、および「横断方向」などの空間用語も、相対的な位置および方向を参照するために本明細書で使用されることが、さらに理解されよう。このような用語は、以下では、明確にするために図示された図を参照して使用され、本明細書に記載された本発明を限定することを意図していない。
【0013】
I.患者の解剖学的構造にアクセスするための例示的なカテーテルシステム
図1図2は、カテーテルシステム(10)の第1の例示的な実施形態を示しており、これは、シリンジ組立体(12)の第1の実施例を含み、そこから遠位に突出するアクセス針(14)の第1の実施例は、患者の解剖学的構造内に挿入されるように構成され、かつ医療専門家などのオペレータが所望するような解剖学的構造への流体アクセスのために配置された、柔軟なカテーテル(16)の第1の実施例を支持している。この目的のために、シリンジ組立体(12)は、シリンジ(18)と、アクセス針(14)の針内腔(22)を通して選択的に移動されて遠位に出て、アクセス針(14)から突出して解剖学的構造内に位置付けられるように構成された、動作可能に接続されたガイドワイヤ(20)と、を有する。ガイドワイヤ(20)が解剖学的構造内に所望のとおりに位置付けられると、柔軟なカテーテル(16)は、シリンジ組立体(12)から解放されるように構成され、ガイドワイヤ(20)は、解剖学的構造にアクセスするため、柔軟なカテーテル(16)の、所望の位置への導入をガイドする。より詳細に後述するような一実施例では、そのような解剖学的構造は患者の中心静脈であり、そのため、中心静脈と流体連通する柔軟なカテーテル(16)は、本明細書では「中心静脈カテーテル(central venous catheter)」、「中心静脈カテーテル(central vein catheter)」または「CVC」とも呼ばれ得る。患者に導入されると、オペレータは、より詳細に後述するように、柔軟なカテーテル(16)を患者に対して取り外し可能に固定し、シリンジ(18)を介してガイドワイヤ(20)およびアクセス針(14)を引き抜く。カテーテルシステム(10)の1つ以上の部分を形成し得る材料は、ポリウレタンおよび/またはシリコーンを含むが、中心ラインとして使用されることが知られている任意の類似の材料を、追加的にまたは代替的に使用し得ることが理解されよう。患者のそのような解剖学的構造は、本実施例では中心静脈として説明されているが、本明細書に記載される任意のそのようなカテーテルシステム、例えばカテーテルシステム(10)が、流体接続のために任意の患者の任意の解剖学的構造にアクセスするために同様に使用され得ることが理解されるであろう。したがって、本発明は、中心静脈での使用に不必要に限定されることを意図するものではない。本明細書で使用される「柔軟な」という用語は、解剖学的構造の外形に沿った十分な曲げと、患者の全体的な快適性および使用とを依然として許容しながら、患者に挿入するのに十分に剛性となるように概ね可撓性であることを指す。よって、実際、用語「柔軟な」は、患者における位置付けのための任意のそのような可撓性を広く含み、本明細書に記載される発明を不必要に制限することを意図しない。
【0014】
図2図3に関して、シリンジ(18)は、アクセス針(14)および柔軟なカテーテル(16)に対して固定されるように構成された遠位シリンジ端部分(24)と、柔軟なカテーテル(16)を患者に導入するために、オペレータによって把持および操作されるように構成された、長手方向に対向する近位シリンジ端部分(26)と、を有する。本実施例では、アクセス針(14)は、シリンジ連結器(28)を介して遠位シリンジ端部分(24)に直接解放可能に固定される。より具体的には、アクセス針(14)は、針アダプタ(32)から遠位針先端部(34)まで遠位に延びる概ね剛性の針本体(30)を有し、遠位針先端部は、本実施例では、テーパ状であり、より具体的には斜めに切られており、患者組織を穿刺するように構成されている。代替的に、薄い拡張器(不図示)が、柔軟なカテーテル(16)の下で横断方向にアクセス針(14)の上に重なって直径を減少させ、それにより遠位針先端部(34)に向かってテーパ状にして、柔軟なカテーテル(16)と共にアクセス針(14)を患者に挿入するのを容易にすることができる。針本体(30)は、概ね円筒形であり、長手方向内腔軸に沿ってその中を延びる針内腔(22)を画定する。針アダプタ(32)が、針本体(30)に強固に固定され、針アダプタは、針アダプタ(32)の近位端部に位置付けられた近位針接続部(38)を含み、針アダプタ(32)の遠位端部における遠位針接続部(40)まで遠位に延びる。近位針接続部(38)は、遠位シリンジ端部分(24)上の遠位シリンジ接続部(42)に解放可能に固定され、それによって、以下でさらに詳細に説明するように、針内腔を遠位シリンジ端部分(24)に流体接続する。したがって、近位針接続部(38)および遠位シリンジ接続部(42)は、シリンジ連結器(28)を画定する。
【0015】
より具体的には、本実施例では、遠位シリンジ接続部(42)は、近位針接続部(38)の雄ルアーロック(46)を回転可能に受容するように構成された雌ルアーロック(44)を含んで、それらの間でねじ係合させる。もちろん、ルアーロック(44、46)への代替的な接続部も同様に使用することができ、本発明は、そのようなルアーロック(44、46)に不必要に限定されることを意図していない。さらに、アクセス針(14)の本実施例は、斜めに切られた遠位針先端部(34)と、中央静脈にアクセスするための所定の長手方向長さおよび所定のゲージの針本体(30)と、を描くが、任意の所望の長さおよびゲージを、患者の解剖学的構造の1つ以上の部分にアクセスするための代替的なアクセス針において同様に使用することができる。したがって、本発明は、本明細書に示されかつ記載されるアクセス針(14)の長さおよびゲージに不必要に限定されることを意図しない。
【0016】
さらに、本実施例の柔軟なカテーテル(16)は、柔軟なカテーテル(16)がアクセス針(14)を受容するように、アクセス針(14)に直接解放可能に固定する。次に、アクセス針(14)は、より詳細に後述するように、患者に挿入するための柔軟なカテーテル(16)を硬化させる。アクセス針(14)と比較して、柔軟なカテーテル(16)は、一般に、より剛性が低く、より可撓性であり、カテーテル本体(48)が、カテーテルアダプタ(50)から遠位カテーテル先端部(52)まで遠位に延びており、遠位カテーテル先端部が、遠位針先端部(34)による穿刺後の患者への挿入を容易にするために本実施例では円錐台状にテーパ状である。カテーテル本体(48)は、概ね円筒形であり、長手方向内腔軸に沿ってその中を通って延びるカテーテル内腔(54)を画定する。代わりに、別の実施例では、カテーテル内腔(54)は、患者の解剖学的構造内への追加のアクセスのための2つまたは3つの内腔(不図示)などの追加の内腔(不図示)を画定してもよい。さらに別の実施例では、静脈内ライン(不図示)および/または別のシリンジ(不図示)に接続するように構成されたカテーテルアダプタ(50)の近くの流体接続部などによって、一体化された延長ライン(不図示)をカテーテルシステム(10)に組み込むことができる。カテーテルアダプタ(50)は、カテーテル本体(48)に固定されており、カテーテルアダプタ(50)の近位端部に位置付けられた近位カテーテル接続部(56)を含み、カテーテルアダプタ(50)の遠位端部分におけるカテーテルハブ(58)まで遠位に延びる。近位カテーテル接続部(56)は、アクセス針(14)上の遠位針接続部(40)に解放可能に固定され、それによって、柔軟なカテーテル(16)を、遠位シリンジ端部分(24)に対してアクセス針(14)に固定する。したがって、近位カテーテル接続部(56)および遠位針接続部(40)は、遠位カテーテル連結器(60)を画定する。
【0017】
より具体的には、本実施例では、遠位針接続部(40)は、近位カテーテル接続部(56)の雄ルアーロック(64)を回転可能に受容するように構成された雌ルアーロック(62)を含んで、それらの間でねじ係合させる。柔軟なカテーテル(16)と関連する雄ルアーロック(64)および雌ルアーロック(62)のねじ切りは、アクセス針(14)からの柔軟なカテーテル(16)の取り外しを回転可能に切り離すために、アクセス針(14)と関連する雄ルアーロック(46)および雌ルアーロック(44)のねじ切りに対して逆にすることができる。例えば、オペレータは、雄ルアーロック(64)および雌ルアーロック(62)上の逆のねじ切りを介してシリンジ(18)に対してアクセス針(14)を不注意に取り外すことなく、使用中にシリンジ(18)に対して逆のねじ切りを用いて柔軟なカテーテル(16)をより容易に回転可能に取り外すことができる。いったん取り外され、患者の中に配置されると、雄ルアーロック(64)は、薬剤、IV流体、もしくは放射線造影剤の投与のため、または患者のアクセスされた部分からの、血液、空気、および/もしくは腹水などの物質の除去のために、IVチューブ、シリンジ、および任意の他の互換性のあるルアー接続部との接続および流体封止に利用可能である。もちろん、ルアーロック(62、64)への代替的な接続部も同様に使用することができ、本発明は、そのようなルアーロック(62、64)に不必要に限定されることを意図していない。さらに、柔軟なカテーテル(16)の本実施例は、テーパ状の遠位カテーテル先端部(52)と、中心静脈にアクセスするための約5cm~約12cmの所定の長手方向長さおよび所定のゲージを有するカテーテル本体(48)と、を描いているが、任意の所望の長さおよびゲージを、患者の解剖学的構造の1つ以上の部分にアクセスするための代替的なアクセス針において同様に使用することができる。したがって、本発明は、本明細書に示されかつ記載される柔軟なカテーテル(16)の長さおよびゲージに不必要に制限されることを意図していない。さらに、柔軟なカテーテル(16)およびアクセス針(14)の長さおよびゲージは様々であってよいが、アクセス針(14)は、柔軟なカテーテル(16)の中に固定される間、一般に柔軟なカテーテル(16)よりも長く、遠位針先端部(34)は、遠位カテーテル先端部(52)から遠位に突出して、柔軟なカテーテル(16)を患者に挿入する前に組織を穿刺する。
【0018】
本実施例では、カテーテルアダプタ(50)は、カテーテルハブ(58)から半径方向に延び、カテーテルハブ(58)の周りに角度的に位置付けられた複数の突起(66)をさらに含む。突起(66)は、患者との接触を阻止しながらオペレータによって把持されるように集合的に構成される。より具体的には、この複数の突起(66)は、使用中にアクセス針(14)に対して柔軟なカテーテル(16)を遠位に前進させるためにオペレータによって把持および操作されるように構成された3つのそのような突起(66)を含むが、代替的な数の突起(66)を同様に使用してもよいことが理解されよう。一実施例では、突起(66)を使用し、特殊な係止手当用品(locking dressing)(不図示)に係合させて、それによって、係止手当用品(不図示)を患者に対して所定の位置に固定してもよい。この点に関して、係止手当用品(不図示)は、カテーテルハブ(58)などの柔軟なカテーテル(16)の一部に解放可能に固定されるように構成される。したがって、係止手当用品(不図示)は、柔軟なカテーテル(16)または任意の代替的な柔軟なカテーテル(不図示)に適応するように、必要に応じてサイズ、形状、および固定が様々であってよい。特殊な係止手当用品(不図示)により、場合によっては縫合の可能性が低下したり、縫合が不要になったりすることさえある。さらに、カテーテルハブ(58)上のギャップ部分(68)は、本実施例では、より快適にするために、患者に接して配置される、そのような突起(66)を有していない。したがって、ギャップ部分(68)は、突起(66)のない連続表面(70)を含み、一実施例では、実質的に平坦である。
【0019】
柔軟なカテーテル(16)の配置を補助するために、本実施例のカテーテルシステム(10)は、柔軟なカテーテル(16)上に位置付けられたカテーテル指標(catheter indicia)(71)をさらに含む。本実施例のカテーテル指標(71)は、遠位カテーテル先端部(52)に関連する患者内への挿入の深さを示す、一連の長手方向に離間した円を含む。そのようなカテーテル指標(71)は、超音波を介した患者内での識別を強化するための超高密度超音波材料ストリップを含んでもよい。もちろん、任意のこのような指標を、同様に使用することができ、本発明は、本実施例に示される特定のカテーテル指標(71)に不必要に限定されることを意図しない。
【0020】
引き続き図2図3を参照すると、シリンジ組立体(12)は、簡単に上述したように、遠位シリンジ端部分(24)およびガイドワイヤ(20)を有するシリンジ(18)を含む。この目的のために、シリンジ(18)は、真空チャンバ(72)およびガイドワイヤチャンバ(74)を含み、これらはそれぞれ、使用中に真空を発生させ、ガイドワイヤを操作するためのものである。本実施例の真空チャンバ(72)およびガイドワイヤチャンバ(74)は、遠位シリンジ端部分(24)から近位に延びており、互いに対して横断方向にオフセットしている。より具体的には、真空チャンバ(72)およびガイドワイヤチャンバ(74)は、それぞれ、互いに平行な長手方向チャンバ軸を画定する。アクセス針(14)がシリンジ(18)に固定されている間、本実施例の真空チャンバ(72)は、針内腔(22)の長手方向内腔軸と同軸であるとして示されているが、ガイドワイヤチャンバ(74)は、針内腔(22)の長手方向内腔軸から横断方向にオフセットしている。あるいは、真空チャンバ(72)およびガイドワイヤチャンバ(74)を代替的にアクセス針(14)に対して位置付けてもよく、本発明は、本実施例に示される真空チャンバ(72)およびガイドワイヤチャンバ(74)の特定の配置に不必要に限定されることを意図しない。
【0021】
遠位シリンジ端部分(24)は、遠位シリンジ開口部(78)まで遠位に延びる導管(76)をさらに含み、遠位シリンジ開口部(78)は、本実施例では、雌ルアーロック(44)によって囲まれている。導管(76)は、使用中に針内腔(22)内にさらに連通するように、真空チャンバ(72)およびガイドワイヤチャンバ(74)のそれぞれを遠位シリンジ開口部(78)に接続する。より具体的には、導管(76)は、遠位シリンジ開口部(78)に直接接続された遠位内腔(80)と、ガイドワイヤチャンバ(74)に直接接続された近位ガイドワイヤ内腔(82)と、真空チャンバ(72)に直接接続された近位真空内腔(84)と、を含む。近位ガイドワイヤ内腔(82)および近位真空内腔(84)は、それぞれのガイドワイヤチャンバ(74)および真空チャンバ(72)から遠位に延び、遠位シリンジ開口部(78)と連通するために、Y字型の構成で遠位内腔(80)において交差するが、遠位シリンジ開口部(78)を通して流体および/またはガイドワイヤ(20)を伝達するための任意の構成を同様に使用してもよいことが理解されよう。一実施例において、導管(76)は、導管(76)および真空チャンバ(72)内の空気を減少させるか、または排除さえするために、使用前に、滅菌水または生理食塩水などの液体で満たされ得る。
【0022】
真空チャンバ(72)が、使用中に導管(76)を通して針内腔(22)内に真空を維持して伝達するように構成されていると仮定すると、本実施例のシリンジ(18)は、真空プランジャ(86)のような真空発生器をさらに含む。真空プランジャ(86)は、近位開口部(87)を通って真空チャンバ(72)内に並進運動可能に受容されるように構成され、ストッパ(88)と、ストッパ(88)から近位に延びるロッド(90)と、ロッド(90)から近位かつ半径方向に延びる近位フランジ(92)と、を含む。ストッパ(88)は、真空チャンバ(72)の側壁(94)に接して流体封止し、その結果、真空チャンバ(72)を通してストッパ(88)を近位に引き抜くと、導管(76)において真空が生成される。近位フランジ(92)は、オペレータによって把持および操作されるように構成され、真空チャンバ(72)に対して近位フランジ(92)を近位に引っ張ると、同様にロッド(90)が引っ張られて、ストッパ(88)を近位に並進運動させる。さらに、本実施例のシリンジ(18)は、別のフランジ(96)も含み、これは、シリンジの近位端部において側壁(94)から延びて、フランジ(96)に対して近位フランジ(92)を操作するための追加のグリップをオペレータに提供する。本実施例のストッパ(88)は、一般に、弾性ゴム、シリコーン、または流体シールを提供し、それを通した漏れを抑制するように構成された任意の他の材料である。ストッパ(88)は、より具体的には、側壁(94)に係合してこれに接して流体封止するように構成された一連の環状シール(98)を有するが、任意の数のこのようなシール(98)を同様に使用し得ることが理解されよう。真空プランジャ(86)は、代わりに、真空チャンバ(72)を通して遠位に付勢されて、所望により導管(76)および遠位シリンジ開口部(78)を通して流体を排出するための圧力を真空チャンバ(72)内に発生させることができる。したがって、真空チャンバ(72)は、オペレータが所望するように負圧または正圧を含むことができる。さらに、任意の真空または圧力発生装置を同様に使用して、真空チャンバ(72)内に負圧または正圧を発生させることができ、その結果、本発明は、真空プランジャ(86)と共に使用することに不必要に限定されることを意図していない。
【0023】
以下でさらに詳細に説明するように、ガイドワイヤ(20)は、図2図3に示す近位ガイドワイヤ位置から、遠位ガイドワイヤ位置まで移動可能である。ガイドワイヤチャンバ(74)は、一般に、ガイドワイヤチャンバ(74)の長手方向チャンバ軸に沿って同軸に延びるガイドワイヤ(20)の少なくとも一部を収容し、その結果、ガイドワイヤ(20)は、使用されていないときは閉じ込められたままであるが、オペレータが所望するように移動および位置付けされるように利用可能である。本実施例のガイドワイヤチャンバ(74)は、より具体的には、真空チャンバ(72)の側壁(94)に沿って延びる側壁(100)を含み、オペレータは、真空チャンバ(72)およびガイドワイヤチャンバ(74)を容易にかつ同時に把持することができる。ガイドワイヤ(20)にアクセスし、その移動を導くために、側壁(100)を通る細長いスロット(102)が長手方向に延び、その結果、ガイドワイヤ(20)は、近位ガイドワイヤ位置と遠位ガイドワイヤ位置との間で、ガイドワイヤチャンバ(74)を通って同様に遠位および近位に移動することができる。本実施例に示されるように、シリンジ組立体(12)は、ガイドワイヤ(20)の近位端部分に固定されたハンドル(104)をさらに含み、ハンドルは、ガイドワイヤ(20)から、細長いスロット(102)を通って横断方向に延びて、オペレータによって把持および操作される。したがって、ハンドル(104)は、ガイドワイヤ(20)が近位ガイドワイヤ位置にある間、細長いスロット(102)の近位部分に位置付けられる。対照的に、ハンドル(104)を細長いスロット(102)の遠位部分へと遠位に付勢すると、ガイドワイヤ(20)が同様に遠位ガイドワイヤ位置に位置付けられる。
【0024】
ガイドワイヤ(20)および/または真空プランジャ(86)の配置を補助するために、本実施例のカテーテルシステム(10)は、シリンジ(18)上に位置付けられたシリンジ指標(105)をさらに含む。より具体的には、シリンジ指標(105)は、ストッパ(88)に接して収容された真空チャンバ(72)内の流体の容積を示す、一連の長手方向に間隔を置いたマーキングを含む。代替的に、または加えて、シリンジ指標(105)は、ハンドル(104)とシリンジ指標(105)との整列に基づいて、遠位針先端部(34)に対する遠位ガイドワイヤ先端部(116)の位置を示す、一連の長手方向に間隔を置いたマーキングを含んでもよい。もちろん、任意のこのような指標が同様に使用され得、本発明は、本実施例に示される特定のシリンジ指標(105)に不必要に限定されることを意図しない。さらに、本実施例の真空チャンバ(72)は、ガスまたは液体を含む体液などの流体がその中に受容されたことをオペレータに伝達するために十分な光を通過させる材料から形成される。例えば、真空チャンバ(72)を画定する側壁(94)のこのような材料は、半透明または透明であってもよい。遠位シリンジ端部分(24)などのシリンジ(18)の残りの部分は、一実施例において同様に半透明または透明であってもよい。
【0025】
ガイドワイヤ(20)の移動中、ハンドル(104)は、ガイドワイヤチャンバ(74)内の側壁(100)によって画定されるトラックチャネル(108)内にスライド可能に受容される下方フランジ(106)を含む。図4図6に関して、トラックチャネル(108)は、一般に、横断方向に下方フランジ(106)を捕捉すると共に、下方フランジ(106)がトラックチャネルを通って長手方向に移動するのを可能にする。次に、トラックチャネル(108)は、下方フランジ(106)の移動をガイドすると共に、ガイドワイヤ(20)をガイドワイヤチャンバ(74)のチャンバ軸に沿って保持する。もちろん、ガイドワイヤチャンバ(74)を通るハンドル(104)の移動をガイドするように構成された代替構造を同様に使用することができる。本実施例では、シリンジ組立体(12)はまた、ガイドワイヤチャンバ(74)と導管(76)の近位ガイドワイヤ内腔(82)との間に位置付けられた環状流体シール(110)と、細長いスロット(102)内の細長い流体シール(112)と、を含む。ハンドル(104)と同様に、環状流体シール(110)は、ガイドワイヤチャンバ(74)のチャンバ軸に沿ってガイドワイヤ(20)を支持すると共に、血液などの患者の体液が導管(76)からガイドワイヤチャンバ(74)内へ漏れるのを阻止するために、導管(76)の近位ガイドワイヤ内腔(82)からガイドワイヤチャンバ(74)を流体封止する。そのような体液が、環状流体シール(110)を通ってガイドワイヤチャンバ(74)内に近位に漏れた場合、細長い流体シール(112)は、ガイドワイヤチャンバ(74)からの漏れを阻止すると共に、細長い流体シール(112)を通って延びるハンドル(104)の移動を依然として可能にするように構成される。このようなシール(110、112)を形成することができる材料は、弾性ゴム、シリコーン、または流体シールを提供し、それを通る漏れを抑制するように構成された任意の他の材料を含む。
【0026】
引き続き図4図6を参照すると、ガイドワイヤ(20)は、ハンドル(104)から遠位ガイドワイヤ先端部(116)まで遠位に延びる細長いガイドワイヤ本体(114)を含む。本実施例の遠位ガイドワイヤ先端部(116)は、使用中に、血管構造などの組織、またはペースメーカーリードもしくは透析カテーテルを含むがこれらに限定されない装置を不注意に損傷するか、またはそれらと絡み合うことを防止するように構成された、涙滴形状を有する非外傷性先端部である。本実施例のガイドワイヤ本体(114)は、可変剛性のテーパ状金属ワイヤ、例えばニチノール材料で形成され得るが、ガイドワイヤ本体(114)の代替の材料および構造、例えば、スチール、中実コア、中空コア、またはコイルワイヤが同様に使用されてもよいことが理解されるであろう。あるいは、他の実施例では、遠位ガイドワイヤ先端部(116)は、使用のためにオペレータによって所望されるとおりにボール形状またはJ字形状を有してもよい。したがって、本発明は、本明細書に示され説明されるガイドワイヤ本体(114)に不必要に限定されることを意図していない。
【0027】
近位ガイドワイヤ位置では、遠位ガイドワイヤ先端部(116)は、針内腔(22)内でアクセス針(14)によって横断方向において囲まれたままであるが、遠位ガイドワイヤ先端部(116)は、遠位ガイドワイヤ位置でアクセス針(14)から突出する。種々の特徴は、ガイドワイヤ(20)の並進運動をガイドするすると共に、ガイドワイヤ(20)を遠位ガイドワイヤ位置と近位ガイドワイヤ位置との間で移動させるように構成される。上述のように、ハンドル(104)は、オペレータにより導かれるとおりにガイドワイヤ(20)を押したり引いたりするが、ハンドル(104)および環状流体シール(110)は、ガイドワイヤチャンバ(74)内でチャンバ軸に沿ってガイドワイヤ本体(114)の一部を保持する。一実施例では、導管(76)の近位ガイドワイヤ内腔(82)は、ガイドワイヤ本体(114)の別の部分を、ガイドワイヤチャンバ(74)内のチャンバ軸から遠位シリンジ開口部(78)に向かって針内腔(22)の長手方向内腔軸までガイドするように構成された狭い側壁(118)を有するが、ガイドワイヤ本体(114)をガイドするための代替的な構造的配置も同様に使用することができる。針アダプタ(32)内の針本体(30)は、針本体口(120)も含み、これは、近位方向外側にテーパ状になり、針内腔(22)のこの部分を拡大して、アクセス針(14)を通してガイドワイヤ本体(114)のさらに別の部分をガイドし、移動中にガイドワイヤ(20)がとらえられたり、引っかかったり、ねじれたり、屈曲したり、よじれたりするのを抑制する。
【0028】
上記の説明は、使用のために組み立てられたカテーテルシステム(10)の1つの配置を対象としているが、シリンジ組立体(12)、アクセス針(14)、および柔軟なカテーテル(16)は、カテーテルシステムキット(122)の構成要素として、全体的にまたは部分的に、分解することもできる。上述のカテーテルシステム(10)の構成要素に加えて、一実施例におけるカテーテルシステムキット(122)は、ルアーロックキャップ、グルコン酸クロルヘキシジンおよびイソプロピルアルコールのアプリケータ、例えばCHLORAPREP(商標)というブランドで販売されているもの、長方形の接着性開口部を有する小さな無菌のドレープ、上記で参照した固定用係止手当用品、短い無菌の超音波プローブカバー、無菌の超音波ゲル、および/またはフェイスマスクおよび弾性耳ループを有するマスクをさらに含む。密封されたリドカインバイアルまたは予め充填されたリドカインシリンジも一実施例では含まれ得る。
【0029】
図7図8は、アクセス針(214)の第2の実施例および柔軟なカテーテル(216)の第2の実施例と共に使用される、より詳細に上述したシリンジ組立体(12)を有するカテーテルシステム(210)の第2の例示的な実施形態を示す。協働するルアーロック(62、64)(図4参照)を有する遠位カテーテル連結器(60)(図4参照)ではなく、カテーテルシステム(210)は、柔軟なカテーテル(216)をアクセス針(214)に解放可能に固定するための、雄摩擦ロック(264)を受容するように構成された雌摩擦ロック(262)を有する代替的な遠位カテーテル連結器(260)を有する。さらに別の実施例として、雌摩擦ロック(262)および雄摩擦ロック(264)は、代わりに、上述したルアーロック(62、64)よりも小さいが、ルアーロック(62、64)と同様に回転可能に連結および分離される雌回転ロックおよび雄回転ロックであってもよい。この点において、遠位カテーテル連結器(260)は、雌摩擦ロック(262)および雄摩擦ロック(264)に不必要に限定されることを意図していない。本明細書に別段の記載がない限り、カテーテルシステム(210)は、カテーテルシステム(10)(図4参照)として機能するための同様の構造を有し、以下に用いられる同様の符号は、より詳細に上述した同様の特徴を示す。
【0030】
図7図8に関して、本実施例のアクセス針(214)は、遠位針接続部(240)を有し、柔軟なカテーテル(216)は、近位カテーテル接続部(256)を有し、遠位針接続部(240)および近位カテーテル接続部(256)は、遠位カテーテル連結器(260)を集合的に画定する。さらに具体的には、遠位針接続部(240)は、雄摩擦ロック(264)を含むが、近位カテーテル接続部(256)は、雌摩擦ロック(262)を含む。互いに回転可能に接続するのではなく、雄摩擦ロック(264)は、オペレータによって望まれるとおりに雌摩擦ロック(262)と係合または係合解除するようにスライドする。雄摩擦ロック(264)は、柔軟なカテーテル(216)をアクセス針(214)に固定するために、雌摩擦ロック(262)と長手方向に係合して重なるように構成された雄ねじ(outer threading)を有する。アクセス針(214)を柔軟なカテーテル(216)から引き抜くために、オペレータは、雌摩擦ロック(262)が雄摩擦ロック(264)を完全に解放するまで、雄ねじおよび/または雌ねじに打ち勝って偏向させるように、十分な力で、アクセス針(214)に対して柔軟なカテーテル(216)を遠位に付勢する。アクセス針(214)に対する柔軟なカテーテル(216)のこのような並進運動は、アクセス針(214)からの柔軟なカテーテル(216)の取り外しを切り離すことができる。例えば、オペレータは、シリンジ(18)に対してアクセス針(214)を不注意に取り外すことなく、使用中にシリンジ(18)に対して柔軟なカテーテル(216)をより容易に並進運動可能に取り外すことができる。もちろん、摩擦ロック(262、264)への代替的な接続部を同様に使用することができ、ボタンによる解放(button release)を含むがこれに限定されない、このようなロックを解放するための様々な機構を、カテーテルシステム(210)に組み込むことができ、本発明は、本実施例の摩擦ロック(262、264)に不必要に限定されることを意図しない。いったん取り外され、患者の中に配置されると、柔軟なカテーテル(216)は、上述した柔軟なカテーテル(16)のように、上述したような任意の適合性のあるルアー接続部との接続および流体封止のための雄ルアーロック(64)も含む。
【0031】
図9は、シリンジ組立体(312)の第2の実施例と共に使用される、より詳細に上述したアクセス針(14)および柔軟なカテーテル(16)を有するカテーテルシステム(310)の第3の例示的な実施形態を示す。針内腔(22)と長手方向に整列した真空チャンバ(72)(図4参照)を有するのではなく、カテーテルシステム(310)は、針内腔(22)と長手方向に整列した代替的なガイドワイヤチャンバ(374)と、ガイドワイヤチャンバ(374)および針内腔(22)から横断方向にオフセットした代替的な真空チャンバ(372)と、を備える、代替的なシリンジ(318)を有する。本明細書に別段の記載がない限り、カテーテルシステム(310)は、カテーテルシステム(10)(図4参照)として機能するための同様の構造を有し、以下に用いられる同様の符号は、より詳細に上述した同様の特徴を示す。
【0032】
この目的のために、シリンジ組立体(312)のシリンジ(318)は、遠位シリンジ端部分(324)から近位シリンジ端部分(326)まで近位に延びる。本実施例の真空チャンバ(372)およびガイドワイヤチャンバ(374)は、遠位シリンジ端部分(324)から近位に延びており、互いに対して横断向にオフセットしている。より具体的には、真空チャンバ(372)およびガイドワイヤチャンバ(374)は、それぞれ、互いに平行な長手方向チャンバ軸を画定する。アクセス針(14)がシリンジ(18)に固定されている間、本実施例のガイドワイヤチャンバ(374)は、針内腔(22)の長手方向内腔軸と同軸であるものとして示されているが、真空チャンバ(372)は、針内腔(22)の長手方向内腔軸から横断方向にオフセットされる。
【0033】
遠位シリンジ端部分(324)は、遠位シリンジ開口部(378)まで遠位に延びる導管(376)をさらに含み、遠位シリンジ開口部(378)は、本実施例では、雌ルアーロック(44)によって囲まれている。導管(376)は、使用中に針内腔(22)にさらに連通するために、真空チャンバ(372)およびガイドワイヤチャンバ(374)のそれぞれを遠位シリンジ開口部(378)に接続する。より具体的には、導管(376)は、遠位シリンジ開口部(378)に直接接続された遠位内腔(380)と、ガイドワイヤチャンバ(374)に直接接続された近位ガイドワイヤ内腔(382)と、真空チャンバ(372)に直接接続された近位真空内腔(384)と、を含む。近位ガイドワイヤ内腔(382)および近位真空内腔(384)は、それぞれのガイドワイヤチャンバ(374)および真空チャンバ(372)から遠位に延び、遠位シリンジ開口部(378)と連通するために、Y字型の構成で遠位内腔(380)において交差するが、遠位シリンジ開口部(378)を通して流体および/またはガイドワイヤ(20)を伝達するための任意の構成を同様に使用してもよいことが理解されよう。
【0034】
近位ガイドワイヤ位置では、遠位ガイドワイヤ先端部(116)は、針内腔(22)内でアクセス針(14)によって横断方向において囲まれたままであるが、遠位ガイドワイヤ先端部(116)は、遠位ガイドワイヤ位置でアクセス針(14)から突出する。上述のように、ハンドル(104)は、オペレータにより導かれるとおりにガイドワイヤ(20)を押したり引いたりするが、ハンドル(104)および環状流体シール(110)は、ガイドワイヤチャンバ(74)内のチャンバ軸および針内腔(22)の長手方向内腔軸に沿ってガイドワイヤ本体(114)の一部を保持する。したがって、ガイドワイヤ本体(114)は、移動中にガイドワイヤ(20)がとらえられたり、引っかかったり、ねじれたり、屈曲したり、よじれたりするのをさらに抑制するために、遠位ガイドワイヤ位置にあるか近位ガイドワイヤ位置にあるかにかかわらず、遠位針先端部(34)からハンドル(104)まで共通の長手方向に延びる軸に沿って保持される。
【0035】
図10は、シリンジ組立体(412)の第3の実施例と共に使用される、より詳細に上述したアクセス針(214)および柔軟なカテーテル(216)を有するカテーテルシステム(410)の第4の例示的な実施形態を示す。ガイドワイヤチャンバ(72)(図4参照)と共に真空チャンバ(72)(図4参照)を有するのではなく、シリンジ組立体(412)は、ガイドワイヤチャンバ(72)(図4参照)などの、任意のそのようなガイドワイヤチャンバを含まない。さらに、シリンジ組立体(412)は、ガイドワイヤ(20)(図4参照)のようなガイドワイヤ、ハンドル(104)のようなハンドル、または上述した他のガイドワイヤ関連の特徴も含まない。ある場合には、ガイドワイヤ(20)(図4参照)のないこのようなシリンジ組立体(412)は、使用中のシリンジおよび/もしくは処置をより簡単にするため、かつ/またはシステムコストを削減するために、有益であり得る。本明細書に別段の記載がない限り、カテーテルシステム(410)は、カテーテルシステム(10)(図4参照)および/またはカテーテルシステム(210)(図7参照)として機能するための同様の構造を有し、以下に使用される同様の符号は、より詳細に上述した同様の特徴を示す。
【0036】
この目的のために、シリンジ組立体(412)のシリンジ(418)は、遠位シリンジ端部分(424)から近位シリンジ端部分(426)まで近位に延びる。本実施例の真空チャンバ(472)は、遠位シリンジ端部分(424)から近位に延び、針内腔(22)の長手方向内腔軸と同軸に整列した長手方向チャンバ軸を画定する。遠位シリンジ端部分(424)は、遠位シリンジ開口部(478)まで遠位に延びる導管(476)をさらに含み、遠位シリンジ開口部(478)は、本実施例では、雌ルアーロック(44)によって囲まれている。導管(476)は、使用中に針内腔(22)にさらに連通するために、真空チャンバ(472)を遠位シリンジ開口部(478)に接続する。より具体的には、導管(476)は、真空チャンバ(472)に直接接続された真空内腔(484)を含む。真空内腔(484)は、真空チャンバ(472)から遠位に延び、遠位シリンジ開口部(478)において、これと連通するために線形構成で交差するが、流体を伝達するための任意の構成を同様に使用できることが理解されよう。
【0037】
II.患者にIVカテーテルを導入する方法
図1図10に示すカテーテルシステム(10、210、310、410)のそれぞれは、柔軟なカテーテル(16、216)を患者(152)の皮膚(150)を通して、内頸静脈、大腿静脈、または鎖骨下静脈を含むがこれらに限定されない中心静脈(154)などの解剖学的構造内に配置するように構成される。例えば、カテーテルシステム(10、210、310、410)を使用して、内頸(すなわち、頸)静脈または大腿(すなわち、鼠径)静脈にアクセスすることができる。しかしながら、大腿静脈はしばしば深部にあるため、カテーテルシステム(10、210、310、410)が、内頸静脈へのアクセスに使用されるものと比較して、より長いアクセス針(不図示)およびより長い柔軟なカテーテル(不図示)と適合することは有益である可能性がある。体型も、カテーテルシステム(10、210、310、410)の様々な構成要素の望ましい長さに影響を及ぼすことがある。以下では、このようなカテーテルシステム(10、210、310、410)の使用を、図1図6の第1の例示的なカテーテルシステム(10)に関して説明するが、このような説明は、カテーテルシステム(210、310、410)(図7図10参照)にも同様に適用されることが理解されよう。
【0038】
使用時には、図11に関して、オペレータは、シリンジ(18)の周りでカテーテルシステム(10)を把持し、遠位針先端部(34)が、オペレータによって所望されるとおりに中心静脈(154)と一直線になった皮膚(150)に接触するように、シリンジ(18)を、アクセス針(14)の上に予め装填された柔軟なカテーテル(16)と共に操作する。ガイドワイヤ(20)が依然として近位ガイドワイヤ位置にある状態で、オペレータは次に、カテーテルシステム(10)の全体を患者(152)に向けて遠位に付勢し、遠位針先端部(34)は、皮膚(150)および中心静脈(154)を貫通し、さらに遠位針先端部(34)を中心静脈(154)に挿入する。挿入中、柔軟なカテーテル(16)は、アクセス針(14)上に固定されて比較的剛性を維持し、皮膚(150)および中心静脈(154)を通して同様に挿入され、遠位カテーテル先端部(52)も中心静脈(154)内に位置付けられる。
【0039】
オペレータが、皮膚(15)およびその下の軟部組織に入れ、遠位針先端部(34)および遠位カテーテル先端部(52)がこれらの組織内に位置付けられ、中心静脈(154)に向けられると、オペレータは、真空チャンバ(72)内に真空を生成し、中心静脈(154)から血液(158)を吸引するために、矢印(156)で示すように、真空チャンバ(72)を通して真空プランジャ(86)を選択的に近位に引き抜く。このように吸引された血液(158)は、針内腔(22)に沿って近位に流れ、遠位シリンジ開口部(78)および導管(76)を通り、真空チャンバ(72)内に集まる。真空チャンバ(72)内の収集された、吸引血液(158)は、遠位針先端部(34)および遠位カテーテル先端部(52)が、中央静脈(154)に流体接続されていることをオペレータに指示し、シリンジシステム(10)の所望の配置が確認される。所望の体液以外の別の体液が真空チャンバ(72)内に吸引される場合、この収集された流体は、遠位針先端部(34)および遠位カテーテル先端部(52)が所望の配置にないことをオペレータに代替的に示す。したがって、オペレータは、カテーテルシステム(10)を患者(152)から取り出し、必要に応じてシリンジシステム(10)の所望の配置を1回以上繰り返し試みるために、患者(152)上の別の場所で、皮膚(150)を通して遠位針先端部(34)および遠位カテーテル先端部(52)の挿入を繰り返すことができる。代替的に、または加えて、オペレータは、血管アクセスのための所望の配置にある遠位針先端部(34)および遠位カテーテル先端部(52)の確認のために超音波を使用してもよい。
【0040】
遠位針先端部(34)および遠位カテーテル先端部(52)が中心静脈(154)に位置付けられた状態で、オペレータはハンドル(104)を把持し、ハンドル(104)を近位ガイドワイヤ位置から遠位ガイドワイヤ位置に向かって、矢印(160)で示すようにスライドさせる。次に、遠位ガイドワイヤ先端部(116)を備えるガイドワイヤ本体(114)は、遠位ガイドワイヤ先端部(116)が図11に示すように針内腔(22)内から中央静脈(154)内に出るように、シリンジ(18)および針内腔(22)を通って遠位にスライドする。したがって、遠位ガイドワイヤ先端部(116)を含むガイドワイヤ本体(114)の遠位部分は、アクセス針(14)および柔軟なカテーテル(16)から遠位に突出する。
【0041】
図12に関して、オペレータは、次に、柔軟なカテーテル(16)が遠位シリンジ端部分(24)から長手方向に解放されるように、柔軟なカテーテル(16)をアクセス針(14)からロック解除するために、柔軟なカテーテル(16)をアクセス針(14)に対して所定の回転(例えば、1/4回転、1/2回転、1/8回転など)だけ回転させる。オペレータは、突起(66)を把持し、矢印(162)によって示されるように、柔軟なカテーテル(16)を遠位シリンジ端部分(24)から離して患者(152)に向かって遠位に付勢し、それによって、柔軟なカテーテル(16)を中心静脈(154)内にさらに導入する。柔軟なカテーテル(16)のこの導入の間、アクセス針(14)、および遠位ガイドワイヤ先端部(116)を含むガイドワイヤ本体(114)の遠位部分は、柔軟なカテーテル(16)を中心静脈(154)内の所望の位置にガイドする。柔軟なカテーテル(16)は、アクセス針(14)から外れ屈曲し続け、中心静脈(154)の形状に屈曲する。一実施例では、次いで、オペレータは、ガイドワイヤ(20)を近位ガイドワイヤ位置に戻し、アクセス針(14)の任意の残りの遠位部分を、柔軟なカテーテル(16)内から近位に引き出し、アクセス針(14)およびシリンジ組立体(12)を廃棄する。別の実施例では、ガイドワイヤ(20)は、オペレータがアクセス針(14)の任意の残りの遠位部分を柔軟なカテーテル(16)内から近位に引き出し、アクセス針(14)およびシリンジ組立体(12)を廃棄する間、単に遠位ガイドワイヤ位置に留まる。したがって、柔軟なカテーテル(16)は、中心静脈カテーテルとして中心静脈(154)にアクセスするために、中心静脈(154)と流体接続された所望の位置に配置されたままである。
【0042】
血管アクセスのための柔軟なカテーテル(16)の配置をさらに容易にするために、少量の潤滑剤を塗布して、柔軟なカテーテル(16)および/またはアクセス針(14)をコーティングすることができる。さらに、オペレータは、患者(152)に対するシリンジ組立体(12)の位置付けのさらなる理解のために、柔軟なカテーテル(16)またはシリンジ(18)上の指標(105、71)のいずれかを見ることができる。
【0043】
上記の実施例によれば、カテーテルシステム(10)は、古典的な中心ラインと比較して少ないステップおよび時間で中心静脈アクセスを成功させることができる。例えば、カテーテルシステム(10)は、予め装填された柔軟なカテーテル(16)と、シリンジ(18)によって都合よく一緒に接続されたガイドワイヤ(20)のスムーズな単動式前進と、を備えた、比較的コンパクトなデザインを有し、使用中に無菌性を維持する可能性が高まる。一実施例では、カテーテルシステム(10)の相対的なサイズ、ならびに別様にさらに長いカテーテル(例えば、典型的には長さが約20cmである従来の中心ラインと比較して)および別個のガイドワイヤの欠如によって、柔軟なカテーテル(16)を、完全な無菌ガウンを必要とすることなく無菌状態に置くことができるが、このようなガウンは、状況によってはオプションとして着用され得る。さらに、係止手当用品(不図示)を、上で簡単に論じたように、カテーテルシステム(10)を介して穿刺部位に適用することができ、それによって、適所における柔軟なカテーテル(16)の縫合を減少させるか、または排除することさえできる。局所麻酔がいくつかの実施例で使用され得るが、大きな拡張器を使用せずにアクセス針(14)による単一の穿刺創のみがあるので、局所麻酔は、他の実施例では覚醒した患者に使用されない場合がある。さらに、カテーテルシステム(10)のコンパクトなデザインは、病院の外、例えば、医師および高度実践提供者が同乗した重症患者のコミュニティグラウンドおよびヘリコプターによる輸送中、ならびに戦術的戦闘による負傷者のケアの間に有益であり得る。もちろん、本発明が本明細書に記載する条件に限定されることが意図されないように、解剖学的構造にアクセスするための任意の所望の条件下でカテーテルシステム(10)を使用してもよいことが理解されよう。
【0044】
さらなる実施例として、カテーテルシステム(10)の変形例は、いくつかの他の使用の用途を有することができる。例えば、オペレータは、セルディンガー技術が後に臨床的に必要とされる場合に、セルディンガー技術を実行することによって、古典的な三重内腔中心ラインのための導入器としてカテーテルシステム(10)を使用することができる。カテーテルシステム(10)はまた、一般に任意の管状医療装置を配置するため、任意の流体または空気で満たされた体腔にアクセスするために使用されてもよい。様々な実施例には、代替的な静脈アクセス、動脈アクセス、または、胸水、心膜液、もしくは腹腔液のドレナージが含まれる。代替的なカテーテルを、異なる目的のためにシリンジ組立体(12)と共に使用してもよい。一実施例では、オペレータは、所望に応じて、気胸、胸水、心嚢液貯留、または腹水のドレナージおよび治療のために、予め装填されたピグテールカテーテル(不図示)にシリンジ組立体(12)を接続することができる。したがって、本発明が、より詳細に上述した静脈アクセスに不必要に限定されることを意図されないように、シリンジ組立体(12)は、様々な処置を実行するために使用され得ることが理解されるであろう。
【0045】
III.実施例
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか、または適用することができる様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願または本出願のその後の出願においていつでも提示することができる任意の請求項の範囲を制限することを意図していないことを理解されたい。免責事項は意図していない。以下の実施例は、単なる例示目的で提供されるに過ぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法でアレンジされ適用され得ることが企図される。また、いくつかの変形例は、以下の実施例で言及されている特定の特徴を省略してもよいことが企図される。したがって、発明者または発明者の利益の承継人によって後日明示的に指示されない限り、以下に言及された態様または特徴のいずれも重要であるとみなすべきではない。本出願または本出願に関連するその後の出願において、下記で言及されるもの以外の追加の特徴を含む任意の請求項が提示された場合は、それらの追加の特徴は、特許性に関連する任意の理由で追加されたものと推定してはならない。
【0046】
実施例1
患者の解剖学的構造にアクセスするためのカテーテルシステムであって、第1のチャンバおよび遠位シリンジ端部分を含むシリンジであって、遠位シリンジ端部分は、遠位シリンジ開口部まで遠位に延びる導管を画定し、導管は、第1のチャンバを遠位シリンジ開口部に流体接続する、シリンジと;内部を通って長手方向に延びる針内腔を画定するアクセス針であって、アクセス針が遠位シリンジ端部分から遠位に突出するように遠位シリンジ端部分に対して固定されている、アクセス針と;柔軟なカテーテルであって、アクセス針が柔軟なカテーテル内に受容されるように、アクセス針に対して解放可能に固定されている、柔軟なカテーテルと;シリンジに動作可能に接続され、導管を通って遠位シリンジ開口部に向かって遠位に延びるガイドワイヤであって、ガイドワイヤは、導管、遠位シリンジ開口部を通って、針内腔に沿って選択的に移動し、それによって、柔軟なカテーテルを患者に導入するための、アクセス針に対する柔軟なカテーテルの移動をガイドするように構成されている、ガイドワイヤと、を含む、カテーテルシステム。
【0047】
実施例2
シリンジは、導管と連通する第2のチャンバをさらに含み、ガイドワイヤは、第2のチャンバから導管内に延びる、実施例1に記載のカテーテルシステム。
【0048】
実施例3
第1のチャンバおよび第2のチャンバのそれぞれは、アクセス針に対して近位に位置付けられ、互いに横断方向にオフセットしている、実施例2に記載のカテーテルシステム。
【0049】
実施例4
第1のチャンバおよび第2のチャンバのそれぞれは、互いに平行に長手方向に延びる、実施例2~3のいずれか1つ以上に記載のカテーテルシステム。
【0050】
実施例5
ガイドワイヤは、第2のチャンバを通って選択的かつ長手方向に並進運動し、それによって、アクセス針に対してガイドワイヤを選択的に移動させるように構成されている、実施例2~4のいずれか1つ以上に記載のカテーテルシステム。
【0051】
実施例6
シリンジは、第1のチャンバ内に移動可能に受容されたプランジャをさらに含み、第1のチャンバからのプランジャの選択的な引き出しは、遠位シリンジ開口部において真空を生成するように構成されている、実施例2~5のいずれか1つ以上に記載のカテーテルシステム。
【0052】
実施例7
プランジャは、プランジャを第1のチャンバから引き出すために、第1のチャンバを通って選択的かつ長手方向に並進運動するように構成されている、実施例6に記載のカテーテルシステム。
【0053】
実施例8
針内腔は、長手方向軸に沿って延びており、長手方向軸は、第1のチャンバと整列している、実施例1~7のいずれか1つ以上に記載のカテーテルシステム。
【0054】
実施例9
第1のチャンバは、長手方向軸と同軸である、実施例8に記載のカテーテルシステム。
【0055】
実施例10
針内腔は、長手方向軸に沿って延びており、長手方向軸は、第2のチャンバと整列している、実施例1~7のいずれか1つ以上に記載のカテーテルシステム。
【0056】
実施例11
第2のチャンバ内のガイドワイヤは、長手方向軸と同軸である、実施例10に記載のカテーテルシステム。
【0057】
実施例12
遠位シリンジ端部分の導管は、遠位シリンジ開口部に流体接続された、第1の近位内腔、第2の近位内腔、および遠位内腔を含み、第1の近位内腔および第2の近位内腔は、第1のチャンバおよび第2のチャンバとそれぞれ連通し、遠位シリンジ開口部を通して流体およびガイドワイヤを伝達するために、遠位内腔において交差する、実施例2~11のいずれか1つ以上に記載のカテーテルシステム。
【0058】
実施例13
シリンジは、第2の近位内腔に位置付けられた流体シールをさらに含み、流体シールは、そこを通ってガイドワイヤを移動可能に受容すると共に、体液が第2のチャンバに導入されるのを抑制するように構成されている、実施例12に記載のカテーテルシステム。
【0059】
実施例14
ガイドワイヤは、遠位ワイヤ先端部を有し、ガイドワイヤは、近位ガイドワイヤ位置から遠位ガイドワイヤ位置へ選択的に移動するように構成され、近位ガイドワイヤ位置にある遠位ワイヤ先端部は、針内腔内に位置付けられ、遠位ガイドワイヤ位置にある遠位ワイヤ先端部は、針内腔の外側に位置付けられる、実施例1~13のいずれか1つ以上に記載のカテーテルシステム。
【0060】
実施例15
柔軟なカテーテルは、遠位シリンジ端部分に対して解放され、それによって、柔軟なカテーテルをアクセス針に対して選択的かつ遠位に移動させるように構成され、遠位ガイドワイヤ位置にあるガイドワイヤは、柔軟なカテーテルを患者に導入するための、アクセス針に対する柔軟なカテーテルの選択的かつ遠位の移動をガイドするように構成されている、実施例14に記載のカテーテルシステム。
【0061】
実施例16
患者の解剖学的構造にアクセスするためのキットカテーテルシステムであって、第1のチャンバおよび遠位シリンジ端部分を含むシリンジであって、遠位シリンジ端部分は、遠位シリンジ開口部まで遠位に延びる導管を画定し、導管は、第1のチャンバを遠位シリンジ開口部に流体接続する、シリンジと;針内腔を画定するアクセス針であって、アクセス針が遠位シリンジ端部分から遠位に突出するように、遠位シリンジ端部分に対して解放可能に固定されるように構成されている、アクセス針と;柔軟なカテーテルであって、アクセス針が柔軟なカテーテル内に受容されるように、アクセス針に対して解放可能に固定されるように構成されている、柔軟なカテーテルと;シリンジに動作可能に接続され、導管を通って遠位シリンジ開口部に向かって遠位に延びるガイドワイヤであって、ガイドワイヤは、導管および遠位シリンジ開口部を通って、針内腔に沿って選択的に移動し、それによって、柔軟なカテーテルを患者に導入するための、アクセス針に対する柔軟なカテーテルの移動をガイドするように構成されている、ガイドワイヤと、を含む、キットカテーテルシステム。
【0062】
実施例17
カテーテルシステムを用いて柔軟なカテーテルを患者に導入する方法であって、カテーテルシステムは、第1のチャンバおよび遠位シリンジ端部分を有するシリンジであって、遠位シリンジ端部分は、遠位シリンジ開口部まで遠位に延びる導管を画定し、導管は、第1のチャンバを遠位シリンジ開口部に流体接続する、シリンジと;内部を通って長手方向に延びる針内腔を画定するアクセス針であって、アクセス針が遠位シリンジ端部分から遠位に突出するように、遠位シリンジ端部分に対して固定されている、アクセス針と;柔軟なカテーテルであって、アクセス針が柔軟なカテーテル内に受容されるように、アクセス針に対して解放可能に固定されている、柔軟なカテーテルと;シリンジに動作可能に接続され、導管を通って遠位シリンジ開口部に向かって遠位に延びるガイドワイヤであって、ガイドワイヤは、導管、遠位シリンジ開口部を通って、針内腔に沿って選択的に移動するように構成されている、ガイドワイヤと、を含み、
方法は、柔軟なカテーテルをガイドワイヤに沿って遠位にガイドし、それによって柔軟なカテーテルを患者の解剖学的構造に導入することを含む、方法。
【0063】
実施例18
ガイドワイヤの遠位ワイヤ先端部を、針内腔内の近位ガイドワイヤ位置から針内腔の外側の遠位ガイドワイヤ位置まで遠位に移動させ、解剖学的構造内に入れることをさらに含む、実施例17に記載の方法。
【0064】
実施例19
導管内に真空を発生させ、それにより、解剖学的構造から針内腔を通してシリンジ内に体液を吸引することと;シリンジ内に吸引された体液に基づいて解剖学的構造へのアクセスを確認することと、をさらに含む、実施例18のいずれか1つ以上に記載の方法。
【0065】
実施例20
解剖学的構造は、中心静脈であり、体液は、中心静脈からの血液である、実施例19に記載の方法。
【0066】
実施例21
患者の解剖学的構造にアクセスするためのカテーテルシステムであって、第1のチャンバおよび遠位シリンジ端部分を含むシリンジであって、遠位シリンジ端部分は、遠位シリンジ開口部まで遠位に延びる導管を画定し、導管は、第1のチャンバを遠位シリンジ開口部に流体接続する、シリンジと;内部を通って長手方向に延びる針内腔を画定するアクセス針であって、アクセス針が遠位シリンジ端部分から遠位に突出するように遠位シリンジ端部分に対して固定されている、アクセス針と;柔軟なカテーテルであって、アクセス針が柔軟なカテーテル内に受容されるように、アクセス針に対して解放可能に固定され、柔軟なカテーテルは、アクセス針が、柔軟なカテーテルを患者に導入するための柔軟なカテーテルの移動をガイドするように、アクセス針に対して解放されるように構成されている、柔軟なカテーテルと、を含む、カテーテルシステム。
【0067】
実施例22
患者の解剖学的構造にアクセスするためのキットカテーテルシステムであって、第1のチャンバおよび遠位シリンジ端部分を含むシリンジであって、遠位シリンジ端部分は、遠位シリンジ開口部まで遠位に延びる導管を画定し、導管は、第1のチャンバを遠位シリンジ開口部に流体接続する、シリンジと;針内腔を画定するアクセス針であって、アクセス針が遠位シリンジ端部分から遠位に突出するように、遠位シリンジ端部分に対して解放可能に固定されるように構成されている、アクセス針と;柔軟なカテーテルであって、アクセス針が柔軟なカテーテル内に受容されるように、アクセス針に対して解放可能に固定されるように構成され、柔軟なカテーテルは、アクセス針が、柔軟なカテーテルを患者に導入するための柔軟なカテーテルの移動をガイドするように、アクセス針に対して解放されるように構成されている、柔軟なカテーテルと、を含む、キットカテーテルシステム。
【0068】
実施例23
カテーテルシステムを用いて柔軟なカテーテルを患者に導入する方法であって、カテーテルシステムは、第1のチャンバおよび遠位シリンジ端部分を有するシリンジであって、遠位シリンジ端部分は、遠位シリンジ開口部まで遠位に延びる導管を画定し、導管は、第1のチャンバを遠位シリンジ開口部に流体接続する、シリンジと;内部を通って長手方向に延びる針内腔を画定するアクセス針であって、アクセス針が遠位シリンジ端部分から遠位に突出するように、遠位シリンジ端部分に対して固定されている、アクセス針と;柔軟なカテーテルであって、アクセス針が柔軟なカテーテル内に受容されるように、アクセス針に対して解放可能に固定され、柔軟なカテーテルは、アクセス針が、柔軟なカテーテルを患者に導入するための柔軟なカテーテルの移動をガイドするように、アクセス針に対して解放されるように構成されている、柔軟なカテーテルと、を含み、
方法は、柔軟なカテーテルをアクセス針に沿って遠位にガイドし、それによって柔軟なカテーテルを患者の解剖学的構造に導入することを含む、方法。
【0069】
IV.その他
本発明の様々な実施形態を示し説明したが、本明細書に記載された方法およびシステムのさらなる改造は、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者による適切な修正によって達成され得る。そのような可能性のある修正のいくつかについては言及されており、他のものは当業者には明らかであろう。例えば、上述した実施例、実施形態、幾何学的形状、材料、寸法、比率、ステップなどは例示的なものであり、必須ではない。したがって、本発明の範囲は、提示され得る任意の請求項の観点から検討されるべきであり、明細書および図面に示され、説明された構造および動作の詳細に限定されないことが理解される。
【0070】
〔実施の態様〕
(1) 患者の解剖学的構造にアクセスするためのカテーテルシステムであって、
第1のチャンバおよび遠位シリンジ端部分を含むシリンジであって、前記遠位シリンジ端部分は、遠位シリンジ開口部まで遠位に延びる導管を画定し、前記導管は、前記第1のチャンバを前記遠位シリンジ開口部に流体接続する、シリンジと、
内部を通って長手方向に延びる針内腔を画定するアクセス針であって、前記アクセス針が前記遠位シリンジ端部分から遠位に突出するように前記遠位シリンジ端部分に対して固定されている、アクセス針と、
柔軟なカテーテルであって、前記アクセス針が前記柔軟なカテーテル内に受容されるように、前記アクセス針に対して解放可能に固定されている、柔軟なカテーテルと、
前記シリンジに動作可能に接続され、前記導管を通って前記遠位シリンジ開口部に向かって遠位に延びるガイドワイヤであって、前記ガイドワイヤは、前記導管、前記遠位シリンジ開口部を通って、前記針内腔に沿って選択的に移動し、それによって、前記柔軟なカテーテルを前記患者に導入するための、前記アクセス針に対する前記柔軟なカテーテルの移動をガイドするように構成されている、ガイドワイヤと、を含む、カテーテルシステム。
(2) 前記シリンジは、前記導管と連通する第2のチャンバをさらに含み、前記ガイドワイヤは、前記第2のチャンバから前記導管内に延びる、実施態様1に記載のカテーテルシステム。
(3) 前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバのそれぞれは、前記アクセス針に対して近位に位置付けられ、互いに横断方向にオフセットしている、実施態様2に記載のカテーテルシステム。
(4) 前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバのそれぞれは、互いに平行に長手方向に延びる、実施態様3に記載のカテーテルシステム。
(5) 前記ガイドワイヤは、前記第2のチャンバを通って選択的かつ長手方向に並進運動し、それによって、前記アクセス針に対して前記ガイドワイヤを選択的に移動させるように構成されている、実施態様4に記載のカテーテルシステム。
【0071】
(6) 前記シリンジは、前記第1のチャンバ内に移動可能に受容されたプランジャをさらに含み、前記第1のチャンバからの前記プランジャの選択的な引き出しは、前記遠位シリンジ開口部において真空を生成するように構成されている、実施態様5に記載のカテーテルシステム。
(7) 前記プランジャは、前記プランジャを前記第1のチャンバから引き出すために、前記第1のチャンバを通って選択的かつ長手方向に並進運動するように構成されている、実施態様6に記載のカテーテルシステム。
(8) 前記針内腔は、長手方向軸に沿って延びており、前記針内腔の前記長手方向軸は、前記第1のチャンバと整列している、実施態様3に記載のカテーテルシステム。
(9) 前記第1のチャンバは、前記針内腔の前記長手方向軸と同軸である、実施態様8に記載のカテーテルシステム。
(10) 前記針内腔は、長手方向軸に沿って延びており、前記針内腔の前記長手方向軸は、前記第2のチャンバと整列している、実施態様3に記載のカテーテルシステム。
【0072】
(11) 前記第2のチャンバ内の前記ガイドワイヤは、前記針内腔の前記長手方向軸と同軸である、実施態様10に記載のカテーテルシステム。
(12) 前記遠位シリンジ端部分の前記導管は、前記遠位シリンジ開口部に流体接続された、第1の近位内腔、第2の近位内腔、および遠位内腔を含み、前記第1の近位内腔および前記第2の近位内腔は、前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバとそれぞれ連通し、前記遠位シリンジ開口部を通して流体および前記ガイドワイヤを伝達するために、前記遠位内腔において交差する、実施態様2に記載のカテーテルシステム。
(13) 前記シリンジは、前記第2の近位内腔に位置付けられた流体シールをさらに含み、前記流体シールは、そこを通って前記ガイドワイヤを移動可能に受容すると共に、体液が前記第2のチャンバに導入されるのを抑制するように構成されている、実施態様12に記載のカテーテルシステム。
(14) 前記ガイドワイヤは、遠位ワイヤ先端部を有し、前記ガイドワイヤは、近位ガイドワイヤ位置から遠位ガイドワイヤ位置へ選択的に移動するように構成され、前記近位ガイドワイヤ位置にある前記遠位ワイヤ先端部は、前記針内腔内に位置付けられ、前記遠位ガイドワイヤ位置にある前記遠位ワイヤ先端部は、前記針内腔の外側に位置付けられる、実施態様1に記載のカテーテルシステム。
(15) 前記柔軟なカテーテルは、前記遠位シリンジ端部分に対して解放され、それによって、前記柔軟なカテーテルを前記アクセス針に対して選択的かつ遠位に移動させるように構成され、前記遠位ガイドワイヤ位置にある前記ガイドワイヤは、前記柔軟なカテーテルを前記患者に導入するための、前記アクセス針に対する前記柔軟なカテーテルの選択的かつ遠位の移動をガイドするように構成されている、実施態様14に記載のカテーテルシステム。
【0073】
(16) 患者の解剖学的構造にアクセスするためのキットカテーテルシステムであって、
第1のチャンバおよび遠位シリンジ端部分を含むシリンジであって、前記遠位シリンジ端部分は、遠位シリンジ開口部まで遠位に延びる導管を画定し、前記導管は、前記第1のチャンバを前記遠位シリンジ開口部に流体接続する、シリンジと、
針内腔を画定するアクセス針であって、前記アクセス針が前記遠位シリンジ端部分から遠位に突出するように、前記遠位シリンジ端部分に対して解放可能に固定されるように構成されている、アクセス針と、
柔軟なカテーテルであって、前記アクセス針が前記柔軟なカテーテル内に受容されるように、前記アクセス針に対して解放可能に固定されるように構成されている、柔軟なカテーテルと、
前記シリンジに動作可能に接続され、前記導管を通って前記遠位シリンジ開口部に向かって遠位に延びるガイドワイヤであって、前記ガイドワイヤは、前記導管および前記遠位シリンジ開口部を通って、前記針内腔に沿って選択的に移動し、それによって、前記柔軟なカテーテルを前記患者に導入するための、前記アクセス針に対する前記柔軟なカテーテルの移動をガイドするように構成されている、ガイドワイヤと、を含む、キットカテーテルシステム。
(17) カテーテルシステムを用いて柔軟なカテーテルを患者に導入する方法であって、前記カテーテルシステムは、第1のチャンバおよび遠位シリンジ端部分を有するシリンジであって、前記遠位シリンジ端部分は、遠位シリンジ開口部まで遠位に延びる導管を画定し、前記導管は、前記第1のチャンバを前記遠位シリンジ開口部に流体接続する、シリンジと;内部を通って長手方向に延びる針内腔を画定するアクセス針であって、前記アクセス針が前記遠位シリンジ端部分から遠位に突出するように、前記遠位シリンジ端部分に対して固定されている、アクセス針と;柔軟なカテーテルであって、前記アクセス針が前記柔軟なカテーテル内に受容されるように、前記アクセス針に対して解放可能に固定されている、柔軟なカテーテルと;前記シリンジに動作可能に接続され、前記導管を通って前記遠位シリンジ開口部に向かって遠位に延びるガイドワイヤであって、前記ガイドワイヤは、前記導管、前記遠位シリンジ開口部を通って、前記針内腔に沿って選択的に移動するように構成されている、ガイドワイヤと、を含み、
前記方法は、
前記柔軟なカテーテルを前記ガイドワイヤに沿って遠位にガイドし、それによって前記柔軟なカテーテルを前記患者の解剖学的構造に導入することを含む、方法。
(18) 前記ガイドワイヤの遠位ワイヤ先端部を、前記針内腔内の近位ガイドワイヤ位置から前記針内腔の外側の遠位ガイドワイヤ位置まで遠位に移動させ、前記解剖学的構造内に入れることをさらに含む、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記導管内に真空を発生させ、それにより、前記解剖学的構造から前記針内腔を通して前記シリンジ内に体液を吸引することと、
前記シリンジ内に吸引された前記体液に基づいて前記解剖学的構造へのアクセスを確認することと、をさらに含む、実施態様18に記載の方法。
(20) 前記解剖学的構造は、中心静脈であり、前記体液は、前記中心静脈からの血液である、実施態様19に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2021-06-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の解剖学的構造にアクセスするためのカテーテルシステムであって、
第1のチャンバおよび遠位シリンジ端部分を含むシリンジであって、前記遠位シリンジ端部分は、遠位シリンジ開口部まで遠位に延びる導管を画定し、前記導管は、前記第1のチャンバを前記遠位シリンジ開口部に流体接続する、シリンジと、
内部を通って長手方向に延びる針内腔を画定するアクセス針であって、前記アクセス針が前記遠位シリンジ端部分から遠位に突出するように前記遠位シリンジ端部分に対して固定されている、アクセス針と、
柔軟なカテーテルであって、前記アクセス針が前記柔軟なカテーテル内に受容されるように、前記アクセス針に対して解放可能に固定されている、柔軟なカテーテルと、
前記シリンジに動作可能に接続され、前記導管を通って前記遠位シリンジ開口部に向かって遠位に延びるガイドワイヤであって、前記ガイドワイヤは、前記導管、前記遠位シリンジ開口部を通って、前記針内腔に沿って選択的に移動し、それによって、前記柔軟なカテーテルを前記患者に導入するための、前記アクセス針に対する前記柔軟なカテーテルの移動をガイドするように構成されている、ガイドワイヤと、
前記導管内に位置付けられた流体シールであって、前記ガイドワイヤは前記流体シールを通って移動可能に延び、前記流体シールは、前記ガイドワイヤが前記流体シールを通って延びる間、前記流体シールの周りで前記導管を流体封止し、それにより、体液が前記導管から前記流体シールを越えて近位に移動することを抑制する、流体シールと、を含み、
前記ガイドワイヤは、使用時に前記ガイドワイヤが前記シリンジに近接したままであるように、前記シリンジに対して移動可能に固定されている、カテーテルシステム。
【請求項2】
前記シリンジは、前記導管と連通する第2のチャンバをさらに含み、前記ガイドワイヤは、前記第2のチャンバから前記導管内に延びる、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項3】
前記遠位シリンジ端部分の前記導管は、前記遠位シリンジ開口部に流体接続された、第1の近位内腔、第2の近位内腔、および遠位内腔を含み、前記第1の近位内腔および前記第2の近位内腔は、前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバとそれぞれ連通し、前記遠位シリンジ開口部を通して流体および前記ガイドワイヤを伝達するために、前記遠位内腔において交差する、請求項2に記載のカテーテルシステム。
【請求項4】
前記流体シールは、前記第2の近位内腔に位置付けられており、前記流体シールは、そこを通って前記ガイドワイヤを移動可能に受容すると共に、前記体液が前記第2のチャンバに導入されるのを抑制するように構成されている、請求項に記載のカテーテルシステム。
【請求項5】
前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバのそれぞれは、前記アクセス針に対して近位に位置付けられ、互いに横断方向にオフセットしている、請求項2に記載のカテーテルシステム。
【請求項6】
前記針内腔は、長手方向軸に沿って延びており、前記針内腔の前記長手方向軸は、前記第1のチャンバと整列している、請求項に記載のカテーテルシステム。
【請求項7】
前記第1のチャンバは、前記針内腔の前記長手方向軸と同軸である、請求項に記載のカテーテルシステム。
【請求項8】
前記針内腔は、長手方向軸に沿って延びており、前記針内腔の前記長手方向軸は、前記第2のチャンバと整列している、請求項に記載のカテーテルシステム。
【請求項9】
前記第2のチャンバ内の前記ガイドワイヤは、前記針内腔の前記長手方向軸と同軸である、請求項に記載のカテーテルシステム。
【請求項10】
前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバのそれぞれは、互いに平行に長手方向に延びる、請求項に記載のカテーテルシステム。
【請求項11】
前記ガイドワイヤは、前記第2のチャンバを通って選択的かつ長手方向に並進運動し、それによって、前記アクセス針に対して前記ガイドワイヤを選択的に移動させるように構成されている、請求項10に記載のカテーテルシステム。
【請求項12】
前記シリンジは、前記第1のチャンバ内に移動可能に受容されたプランジャをさらに含み、前記第1のチャンバからの前記プランジャの選択的な引き出しは、前記遠位シリンジ開口部において真空を生成するように構成されている、請求項11に記載のカテーテルシステム。
【請求項13】
前記プランジャは、前記プランジャを前記第1のチャンバから引き出すために、前記第1のチャンバを通って選択的かつ長手方向に並進運動するように構成されている、請求項12に記載のカテーテルシステム。
【請求項14】
前記ガイドワイヤは、遠位ワイヤ先端部を有し、前記ガイドワイヤは、近位ガイドワイヤ位置から遠位ガイドワイヤ位置へ選択的に移動するように構成され、前記近位ガイドワイヤ位置にある前記遠位ワイヤ先端部は、前記針内腔内に位置付けられ、前記遠位ガイドワイヤ位置にある前記遠位ワイヤ先端部は、前記針内腔の外側に位置付けられる、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項15】
前記柔軟なカテーテルは、前記遠位シリンジ端部分に対して解放され、それによって、前記柔軟なカテーテルを前記アクセス針に対して選択的かつ遠位に移動させるように構成され、前記遠位ガイドワイヤ位置にある前記ガイドワイヤは、前記柔軟なカテーテルを前記患者に導入するための、前記アクセス針に対する前記柔軟なカテーテルの選択的かつ遠位の移動をガイドするように構成されている、請求項14に記載のカテーテルシステム。
【請求項16】
固定表面をさらに含み、前記シリンジは、前記固定表面が内部に移動可能に位置付けられて捕捉された、第2のチャンバをさらに含み、前記第2のチャンバは、前記ガイドワイヤが前記第2のチャンバから延びて前記導管内に入るように、前記導管と連通し、前記ガイドワイヤの少なくとも一部は、前記ガイドワイヤの前記少なくとも一部が前記第2のチャンバ内に捕捉されるように、前記第2のチャンバ内で前記固定表面に固定されている、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項17】
前記固定表面を有するハンドルをさらに含み、前記ハンドルの少なくとも一部は、前記第2のチャンバ内に捕捉され、前記ハンドルは、前記第2のチャンバから突出しており、操作されることによって、これに固定された前記ガイドワイヤの前記少なくとも一部の移動を選択的に導くように構成されている、請求項16に記載のカテーテルシステム。
【請求項18】
前記ガイドワイヤの前記少なくとも一部は、使用中に前記ガイドワイヤの前記少なくとも一部の無菌性を維持するために、前記第2のチャンバ内で流体封止されている、請求項16に記載のカテーテルシステム。
【請求項19】
前記ガイドワイヤに固定され、前記シリンジに対して移動可能に固定されたハンドルをさらに含む、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項20】
患者の解剖学的構造にアクセスするためのキットカテーテルシステムであって、
第1のチャンバおよび遠位シリンジ端部分を含むシリンジであって、前記遠位シリンジ端部分は、遠位シリンジ開口部まで遠位に延びる導管を画定し、前記導管は、前記第1のチャンバを前記遠位シリンジ開口部に流体接続する、シリンジと、
針内腔を画定するアクセス針であって、前記アクセス針が前記遠位シリンジ端部分から遠位に突出するように、前記遠位シリンジ端部分に対して解放可能に固定されるように構成されている、アクセス針と、
柔軟なカテーテルであって、前記アクセス針が前記柔軟なカテーテル内に受容されるように、前記アクセス針に対して解放可能に固定されるように構成されている、柔軟なカテーテルと、
前記シリンジに動作可能に接続され、前記導管を通って前記遠位シリンジ開口部に向かって遠位に延びるガイドワイヤであって、前記ガイドワイヤは、前記導管および前記遠位シリンジ開口部を通って、前記針内腔に沿って選択的に移動し、それによって、前記柔軟なカテーテルを前記患者に導入するための、前記アクセス針に対する前記柔軟なカテーテルの移動をガイドするように構成されている、ガイドワイヤと、
前記導管内に位置付けられた流体シールであって、前記ガイドワイヤは前記流体シールを通って移動可能に延び、前記流体シールは、前記ガイドワイヤが前記流体シールを通って延びる間、前記流体シールの周りで前記導管を流体封止し、それにより、体液が前記導管から前記流体シールを越えて近位に移動することを抑制する、流体シールと、を含
前記ガイドワイヤは、使用時に前記ガイドワイヤが前記シリンジに近接したままであるように、前記シリンジに対して移動可能に固定されている、キットカテーテルシステム。
【国際調査報告】