(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(54)【発明の名称】方法および組成物
(51)【国際特許分類】
A47L 13/17 20060101AFI20220107BHJP
B08B 5/00 20060101ALI20220107BHJP
B01J 20/12 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
A47L13/17
B08B5/00 Z
B01J20/12 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021525149
(86)(22)【出願日】2019-11-08
(85)【翻訳文提出日】2021-07-05
(86)【国際出願番号】 GB2019053159
(87)【国際公開番号】W WO2020095055
(87)【国際公開日】2020-05-14
(32)【優先日】2018-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521196497
【氏名又は名称】フォー・スピルズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】FOR SPILLS LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リリー,デイビッド
【テーマコード(参考)】
3B074
3B116
4G066
【Fターム(参考)】
3B074AC03
3B074CC01
3B116AA31
3B116AB52
3B116BA02
3B116BA08
4G066AA67B
4G066CA05
4G066DA07
4G066DA15
(57)【要約】
床から油脂、油または脂肪を除去するための方法は、乾燥形態の膨張パーライトの粒子を床に施すステップと、水を塗布することなく、油脂、油または脂肪を剥がすかまたはこすり取るために、影響を受けたエリアにわたって前記パーライトをブラシがけするステップとを含む。パーライトの粒径は小さくてもよく、たとえば、パーライトの少なくとも90重量%が、700ミクロン未満または200ミクロン未満の粒径を有する場合があってもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床から油脂、油または脂肪を除去するための方法であって、
乾燥形態の膨張パーライトの粒子を床に施すステップと、
水を塗布することなく、前記油脂、油または脂肪を剥がすかまたはこすり取るために、影響を受けたエリアにわたって前記パーライトをブラシがけするステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記パーライトは、前記影響を受けたエリアのすべてには施されず、前記影響を受けたエリアの全体にわたってブラシがけされる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
影響を受けたエリア1m
2当たり、1g~50gの膨張パーライトが施される、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記パーライトの少なくとも90重量%が、700ミクロン未満の粒径を有する、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記パーライトの少なくとも90重量%が、200ミクロン未満の粒径を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記パーライトは、他の材料でコーティングされない、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、表面、特に床から油脂または油を除去するための方法および組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ケータリング環境、工業環境または家庭環境における床および他の硬い表面からの油脂、油または脂肪の除去のために、さまざまな製品および方法が存在する。
【0003】
レストランのキッチンは、特にたっぷりの油で揚げるフライヤーの使用により、油脂が床からの定期的除去を必要とし得る環境にある。この状況でよく使用される方法は、洗剤を含む水性組成物を床に塗布することを含む。一般に、湯が脱脂薬品と混合され、しばしば、油脂が除去されるまで繰り返し、濡れたモップで塗布される。そのような方法は、以下のいくつかの理由で理想的ではない。まず、床が完全に脱脂されることはほとんどなく、したがって、プロセスは不十分である。また、水と、脱脂薬品または洗剤、たとえば界面活性剤とが使用されるが、それは、床の滑りやすさを一時的に増加させ、滑る危険性を著しく高める。また、モップヘッドに油脂および油状物質がしみ込み、したがって、使用後にモップヘッド自体を洗う必要がある。また、水が浪費され、脱脂薬品および界面活性剤が排水管に流されて廃水システムに入り、ゆくゆくは内陸水路および海洋生育環境に入る(界面活性剤は環境に有害な毒素であることが知られている)。最後に、このプロセスが営業時間中に実行される場合、清掃プロセス中に、たっぷりの油で揚げるフライヤーからの油の液滴が床へ落下し続け、それは、床に持続的な乾燥または清掃効果をもたらさず、そのため、滑る危険性が継続する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
油脂が徹底的にかつ効率的に除去されて、所要時間を最小限にすることが重要である。現在の方法は、バケツを取ってきて、それを湯で満たし、その中に界面活性剤または他の脱脂剤を混合し、次に、溶液をモップで繰り返し塗布することを必要とする。次に、床が乾くようにしばらくの間放置することが必要であるが、それはしばしば、単にさらなる油を床に追加する進行中の調理作業によって中断される。このプロセスについて典型的なキッチンで観察された平均時間は、約20分である。
【0005】
さらに、油脂を除去する方法の環境への影響を最小限にすること、および、この状況におけるある薬品および他の資源の使用も最小限にすることが、ますます重要になってきている。
【0006】
水の浪費は、世界中で、しかし特に、工業および商業運転がそれらの水の使用を減少させる方法を見つけなければならないより乾燥した地域で、ますます問題になっている。床を脱脂して清掃し、最後に水路に至る薬品などの薬品の使用は、真水および海洋生物に悪影響を及ぼすことが分かっており、可能であれば劇的に減少させる必要がある。ゆくゆくは油脂がしみ込み、きれいにすることが不可能なため、ごみ埋立地に行くポリマーモップおよびプラスチックバケツの使用も、非分解性で有害な材料で世界を汚染している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
第1の局面から、本発明は、床から油脂、油または脂肪を除去するための方法であって、乾燥形態の膨張パーライトの粒子を床に施すステップと、水を塗布することなく、油脂、油または脂肪を剥がすかまたはこすり取るために、影響を受けたエリアにわたって前記パーライトをブラシがけするステップとを含む、方法を提供する。
【0008】
驚いたことに、我々は、水性組成物ではなく乾燥したパーライトを使用することが、非常に効果的であり、床から油脂を剥がして表面を非常に効果的にきれいにし、乾燥させることができることを見出した。
【0009】
本発明で使用されるパーライトは、膨張パーライトである。したがって、本発明の文脈における「パーライト」という用語は、「膨張パーライト」として理解されるべきである。
【0010】
理論によって拘束されることを望むものではないが、本発明は、パーライト粒子の研磨性を一因として、特に効果的であると考えられる。発明者は、パーライト粒子の高研磨性の縁が、油でべとべとした床を行き来してブラシがけされると、油脂に対する高い親和性を有し、それを床から持ち上げて、比較的乾燥した、かつ確実により安全な表面を後に残すということを認識した。
【0011】
油脂を剥がすためにパーライトの研磨性を要するこのメカニズムは、以前には認識されていなかったと考えられ、したがって、本発明は、表面、たとえば床から油脂、油または脂肪を除去するための新しい効果的なやり方を可能にする。なお、この研磨メカニズムは、吸収などの他のプロセスを使用し得るメカニズムとは異なっている。
【0012】
本発明のさらなる利点は、その単純性にある。パーライトは、床から油脂を持ち上げるのに必要とされる唯一の成分であり、したがって、組成物は、調製するのにコスト効率がよく、また、環境に有害であるかまたは高価であるかもしれない洗剤または脱脂剤を含む他の物質の使用を回避する。こすり取りまたは脱脂を目的としたさまざまな先行技術の方法および組成物は、パーライトを、水性組成物において、または他の成分と組合せて、または処理された形態で利用するが、本発明者は、床から油または油脂を剥がすために、未処理のパーライトが単独で、かつ乾燥形態で使用可能であることを最初に発見し、証明した。
【0013】
これは、本発明によって提供される効率および利点が著しいコスト節約および効率向上になり得るレストランのキッチンにおいて、著しい前進であり、特に有用である。
【0014】
パーライトは、床エリアの一部に施され、影響を受けたエリアにわたってブラシがけされてもよい。言い換えれば、初めの施しは、影響を受けたエリアのすべてをカバーする必要はない。なぜなら、当該エリア上で製品をブラシがけすることが効果的であるためである。
【0015】
油脂、油および脂肪を効果的に除去するために必要とされるパーライトは、ほんの少量または薄い層であってもよい。たとえば、影響を受けた床1m2あたり、約1g~約50g、またはオプションで約1g~約30g、またはオプションで約1g~約20g、またはオプションで約2g~約18g、またはオプションで約5g~約15g、またはオプションで約8g~約12g、またはオプションで約10gという量の膨張パーライトが、オプションで使用されてもよい。これらの重量の膨張パーライトは、膨張パーライトの密度が1立方メートル当たり146kgである場合に、オプションで当てはまってもよい。密度は異なっていてもよく、たとえば、30~300kg/m3、または30~200kg/m3、または30~150kg/m3、または50~150kg/m3、または100~150kg/m3という範囲内にあってもよい。
【0016】
ブラシがけは、たとえば柔らかいブラシヘッドを用いて行なわれてもよい。とは言え、本発明によれば、他のブラシが使用されてもよい。ここでの「ブラシがけ」とは、ブラシの使用を必然的に伴い得るが、それに代えて、任意の手段によって床上で製品を動かすかまたはこすることを必然的に伴ってもよい。この発明は、付着したばかりの材料だけでなく、足で踏まれた油または油脂も除去するのに効果的である。
【0017】
オプションで、特定の粒径のパーライトが使用されてもよい。粒径は、1ミクロン~700ミクロン、または最大700ミクロンの範囲内にあってもよい。平均粒径は、1ミクロン~700ミクロン、または最大700ミクロンの範囲内にあってもよい。パーライト組成物の少なくとも50重量%、または少なくとも75重量%、または少なくとも90重量%、または少なくとも95重量%、または少なくとも99重量%が、1ミクロン~700ミクロン、または最大700ミクロンの範囲に入るパーライト粒子で構成されてもよい。
【0018】
オプションで、1ミクロン~700ミクロン、または最大700ミクロンの代わりに、範囲は、たとえば1ミクロン~500ミクロン、10ミクロン~500ミクロン、10ミクロン~300ミクロン、10ミクロン~200ミクロン、10ミクロン~100ミクロン、または最大でそれらの範囲の上限であってもよい。
【0019】
粒径は、たとえばある特定のメッシュ径のふるいを使用することによって測定または判定され得る。たとえば、200ミクロンのふるいは、0~200ミクロンの粒子が通過することを可能にするであろう。これは、本発明に従って床から油脂を剥がすための粒径の有効範囲のうちの1つである。
【0020】
オプションで、組成物は、膨張パーライトのみを含む。他の成分が存在する必要はない。オプションで、油脂を剥がす他の成分が存在しなくてもよい。とは言え、組成物が油脂を剥がすのを妨げない限り、他の材料がオプションで存在してもよい。存在する他の材料はオプションで、他の鉱物または他の岩型であってもよい。オプションで、材料の純度は高くてもよく、たとえば、少なくとも90重量%、または少なくとも95重量%、または少なくとも99重量%、または少なくとも99.5重量%、または少なくとも99.9重量%のパーライトであってもよい。製品における他の鉱物または岩型は不活性であってもよく、何の目的も達しないかもしれないが、製品を施す全体的性能を減少させるかもしれない。
【0021】
この発明は、パーライトが他の材料でコーティングされることを必要とすることなく、うまく機能し、たとえば、パーライトが界面活性剤、脱脂剤、洗浄剤または他の薬剤でコーティングされないようになっている。パーライトは単独で効果的にかつ有利に機能でき、他の追加材料はパーライトの挙動に悪影響を及ぼすかもしれず、製品のコストを増加させて有効性を減少させるかもしれない。
【0022】
ここに識別された特定の粒径を有する製品の使用は、さらに独創的な相違点を提供する。組成物は、パーライト粒径がはるかに小さい点で、以前から公知の組成物とは異なっている。従来、1mm未満のパーライト粒子は、粒子が細かすぎて使い物にならない単なる廃棄物と見なされてきた。さまざまな組成物は、さまざまな用途の状況において、700mmよりも大きく6mmまでの粒径のパーライトを使用してきた。これらは、園芸業において健全な植物成長をサポートするための土の濾過媒体としての用途、大型動物の飼料のための増量剤としての用途、練り歯磨きの研磨剤としての用途、圧縮され、低温産業用の断熱板に変えられる用途、さまざまな分野における液体吸収剤としての用途、および、建設業のための壁パネルの強化化合物としての用途を含む。
【0023】
さらに、発明者は、より大きい粒子を試験し、それらが、より小さい粒径範囲ほど効果的に床から油脂を剥がさず、代わりに、効果なく床上を転がりがちであることを見出した。
【0024】
このため、本発明は、以前は廃棄物と見なされてきた小さいパーライト粒子を有利に使用することができる。これは、さらに環境に有利な次元を追加する。以前は、他の人々はこれらの材料を使用することを考えたことがなかった。本発明者は、異なる粒径を試験してそれらの最良の適用を判定し、最も小さい粒子が、油脂を剥がす際に特に効果的な使用を実証した。これは、油でべとべとしたキッチン床という長期にわたる未解決の問題に対処する。
【0025】
以前に、いくつかの企業が、いくつかのタイプのパーライト粒子を吸収性のために利用しており、結局、それらは、より大きい粒径を使用するようになった。これは、研磨によって油脂を剥がすために膨張パーライトを使用し、好ましくは小さい粒径(たとえば、オプションで最大700ミクロン、またはオプションで最大500ミクロン、またはオプションで最大300ミクロン、またはオプションで最大200ミクロン、またはオプションで最大100ミクロン)を使用する本発明とは程遠いものを教示している。理論によって拘束されることを望むものではないが、より小さい粒径は、表面を研磨して表面から油脂を持ち上げることによって効果的に機能すると考えられる。
【0026】
従来、製造業者および供給業者は、細かい粉末状のパーライトを使用する危険性および認識された望ましくない特性について懸念してきた。そのような材料は、廃棄物と見なされるだけでなく、その粉末状の性質および結果として生じる製品の不都合の分散のために、吸い込んだ後に刺激剤になる可能性があり、または不利であるとも見なされる。しかしながら、本発明によれば、微粒子が使用されてもよく、効果的である。対照的に、典型的にはより大きい粒子を使用する吸収ベースの解決策は、足で踏まれた油脂または油をそれほど除去せず、その状況ではそれほど効果的ではない。
【0027】
第2の局面から、本発明は、上述されたような膨張パーライトを含む組成物を提供する。
【0028】
本発明に従った製品は、小袋、袋または他の入れ物に組成物を含んでいてもよく、それらは各々、よく遭遇するシナリオに対応するために適切な中身を有するように設計されている。入れ物は、製品を使用するための指示を担持し、または備えていてもよい。製品は、使い捨てであってもよい。たとえば、組成物は、使い捨ての小袋で包装されてもよい。入れ物は、気密および/または防湿性のものであってもよい。入れ物は、環境に有利なやり方によって分解可能、生分解可能、堆肥化可能、または他の態様で処分可能であってもよい。
【0029】
図面および実施形態
この発明をここで、以下の実施形態および図面を参照して、非限定的にさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】(比較的なおよび本発明に従った)作業および清掃手順中の油でべとべとした/油で汚れたキッチン床からの例示的な測定値を有する滑り試験グラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
実施形態1
油でべとべとしたキッチン床を清掃するための現在の方法の主な欠点のうちの1つは、繁忙時に滑る危険性から解放されないことである。幅広いメニューの揚げ物を作るためにたっぷりの油で揚げるフライヤーを頻繁に使用することに依存するキッチンを見ると、集中的なサービス時間中に、特に、多くの場合8ユニット以上の長さである、たっぷりの油で揚げるフライヤーステーションの周りで、安全な床を取り戻すことは、実質的に不可能である。揚げ物用バスケットから落下する熱い油の小さい液滴が足で踏まれて、床に、ゆくゆくはキッチン全体にわたって、さらにはレストランエリアに広がり、それにより、キッチンスタッフおよび顧客の双方に滑る危険性を提示する。
【0032】
床の滑りやすさを数量化するために、さまざまな試験が利用可能である。英国衛生安全研究所(Health and Safety Laboratory:HSL)は、振り子滑り抵抗試験として公知の試験を一般に使用する。これは、通常の歩行者の歩行中の歩行者のヒールと床との間の相互作用をモデル化する。
【0033】
他の試験は、ローラーコースタータイプの試験を含む。これらは、スライダーを床と接触させるために傾斜路を使用する。これらのうちの1つは、スリップアラート社(SlipAlert LLP(英国、ハートフォードシャー(Hertfordshire)、www.slipalert.com)によって提供されるスリップアラート(滑り警告)試験である。
【0034】
スリップアラート試験はスリップアラート器具を使用し、それは、傾斜路を転がり落ちてから検査中の床面と接触する、重力を動力源とするトロリーである。スリップアラート試験は、その使用しやすさおよび速度と、装置のコンパクト性および携帯性とのために、ここで選択される。トロリーが走行した距離は床の滑りやすさを示し、摩擦係数値または振り子試験値に相関され得る。
【0035】
図1を参照して、スリップアラート試験に従った性能が示される。この試験は、英国衛生安全委員会事務局(Health & Safety Executive:HSE)によって、商業用の床の滑る危険性を示す手段として認識されている。英国HSEに対応する振り子試験値および摩擦係数が図示される。左上の暗い四角(点で描かれたもの)は、グリーンゾーン(滑りの危険性が低い)を示す。中央の暗い四角(斜線が薄く入ったもの)は、琥珀またはオレンジゾーン(危険性が中くらい)を示す。右下の暗い四角(斜線が濃く入ったもの)は、レッドゾーン(危険性が高い)を示す。3つの異なるシナリオに対応する結果が図示される。
【0036】
我々は、作業中のキッチンでの一連の滑り試験データ研究において、たっぷりの油で揚げるフライヤーステーションの周りの床は、しばしばHSEレッドゾーン(滑りの危険性が高い)にあり、また、モップ、バケツ、水および脱脂剤という伝統的な方法での清掃中では、油のさらなる液滴がエリアに影響を与えることなく10分間乾かされれたとしても、(状況を改善するために行動を起こす必要がある勧告レベルであるとHSEが考えている)オレンジゾーンの後ろの方のレベル内になるに過ぎないこと、10分より前では、滑る危険性は、モップをかけた直後に、レッドゾーンのより高くほぼ最大の端まで増加することを観察した。しかしながら、オレンジゾーンの測定値が達成されるやいなや、油で揚げるフライヤーのバスケットからの油のより多くの液滴が床へ落下して、滑る危険性を再びレッドゾーンまで高める。どの点でも、これらの床は安全なグリーンゾーンに決して入らない。対照的に、本発明は、グリーンゾーンにおける非常に効果的な結果を可能にする。
【0037】
たっぷりの油で揚げるフライヤーステーションエリアに近接するおよそ8平方メートルの床エリアから、足で踏まれた食用油を剥がすために、500mlの膨張パーライトを使用する際、影響を受けた床エリアの一端で粉末を注ぎ、それを当該床エリアで1分間に一往復するようにブラシがけすることにより、図示された結果(値が130未満であり、それによりグリーンゾーン内にあり、すなわち滑りの危険性が低いことを示す結果)が得られた。試験は、2つの異なるキッチンで実行された。キッチン1では、124、132、および131というスリップアラート測定値が得られ、129という平均値が与えられた。キッチン2では、129、118、および140というスリップアラート測定値が得られ、ここでも129という平均値が与えられた。双方の平均測定値は、床を前述の安全なグリーンゾーンにした。
【0038】
実施形態2
費やされる工数、有効性およびコストの点で、本発明は、伝統的な方法に比べて有益である。
【0039】
油でべとべとしたキッチン床を清掃する伝統的な方法は、この発明よりも平均で20倍長くかかり得る。それらは、床の滑りやすさを瞬間的に増加させる場合があり、また、営業時間中に床が乾燥して安全な状態で終わることがめったになく、このため、効果がないことが分かっている。
【0040】
この発明は、清掃時間を、通常の方法が必要とする時間の1/10~1/20まで著しく減少させることができ、比較的乾燥して安全な床をもたらし、公知の方法に関連付けられた環境コストおよび処理コスト(廃水システムに、最終的には水路に脱脂薬品または界面活性剤を投入すること、ポリマーやナイロンのモップヘッドおよびプラスチックをごみ埋立地に捨てることなど)なく、即時改善を提供する。
【0041】
伝統的な方法に対する、この発明を使用するコストおよび材料上の利点は、発明者によって実行された試験を通して証明されている。主なコスト節約は、床を清掃し脱脂する際に使用される工数である。7.64ポンドという最低賃金(雇用者の国民保険を含む)で設定された英国の平均工数コストを使用すると、上述のような8平方メートルの床エリアでの油でべたべたした床の清掃の現在の実践の平均は20分かかり、2.54ポンドというコストを表わし、大抵の場合、依然として、前述のような試験で安全とは見なされないであろう滑りやすい床を後に残す。一方、同じ床が、この発明に従って詳述されたような膨張パーライトを使用して清掃された場合、床は1~2分で適度に乾燥して安全な状態になり、12.7ペンス~25.4ペンスの工数コストを表わす。材料コスト差は、正確さのために、各清掃についての水および洗剤の使用コストの評価と、ポリマーモップヘッド、使用される任意の乾燥モップヘッド、およびプラスチックバケツの使用に関する最大寿命の除算としての、各清掃についての断片的コストの計算と、これらの材料の環境への影響のコストとを必要とするであろう、複雑な問題である。発明者が行なったこれらの材料コストの評価により、発明者は、膨張パーライトの使用の全体的なコストは従来の清掃方法で使用される材料のコストよりも安いと見積もった。
【国際調査報告】