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特表2022-507008手術室制御システム、方法、およびプログラム
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  • 特表-手術室制御システム、方法、およびプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】手術室制御システム、方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/20 20160101AFI20220111BHJP
【FI】
A61B34/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021519672
(86)(22)【出願日】2019-09-25
(85)【翻訳文提出日】2021-04-08
(86)【国際出願番号】 JP2019037639
(87)【国際公開番号】W WO2020075502
(87)【国際公開日】2020-04-16
(31)【優先権主張番号】18200257.6
(32)【優先日】2018-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ライト クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】鴨田 明憲
(57)【要約】
手術室の少なくとも一部内に配置される複数の領域を決定し、領域の少なくとも1つは、その領域内に配置される外科用デバイスの特性を定義する定義済みの外科用デバイス属性を有し、ディスプレイを制御して、手術室の少なくとも一部にオーバーレイされた少なくとも1つの領域をユーザに表示する、ように構成された回路を含む、手術室制御システムが記載されている。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術室の少なくとも一部内に配置される複数の領域を決定し、前記領域の少なくとも1つは、その領域内に配置される外科用デバイスの特性を定義する定義済みの外科用デバイス属性を有し、
ディスプレイを制御して、前記手術室の前記少なくとも一部にオーバーレイされた前記少なくとも1つの領域をユーザに表示する、
ように構成された回路を含む、手術室制御システム。
【請求項2】
前記回路は、前記外科用デバイスがその領域内に配置されると、前記外科用デバイスと通信して前記外科用デバイス属性を転送する、ように構成された、請求項1に記載の手術室制御システム。
【請求項3】
前記回路は、
前記手術室内で実施される外科的処置に基づいて、前記複数の領域および前記定義済みの外科用デバイス属性を決定する、
ように構成された、請求項1に記載の手術室制御システム。
【請求項4】
前記回路は、前記手術室内で実施される前記外科的処置を実施する外科医の選好に基づいて、前記少なくとも1つの領域および前記定義済みの外科用デバイス属性を決定する、ようにさらに構成された、請求項3に記載の手術室制御システム。
【請求項5】
前記回路は、前記手術室内で実施される外科的処置に基づいて、前記定義済みの外科用デバイス属性を決定する、ようにさらに構成された、請求項1に記載の手術室制御システム。
【請求項6】
前記回路は、ジェスチャを検出し、前記検出されたジェスチャに基づいて前記外科用デバイス属性を変更するようにさらに構成された、請求項1に記載の手術室制御システム。
【請求項7】
前記回路は、別の外科用デバイスの前記外科用デバイス属性に基づいて、1つの外科用デバイスの前記外科用デバイス属性を定義する、ように構成された、請求項1に記載の手術室制御システム。
【請求項8】
前記1つの外科用デバイスの前記定義済みの外科用デバイス属性は、前記1つの外科用デバイスの通信機能を無効にすることである、請求項7に記載の手術室制御システム。
【請求項9】
前記回路は、前記外科用デバイス属性として前記外科用デバイスの通信機能を無効にする、ように構成された、請求項1に記載の手術室制御システム。
【請求項10】
前記回路は、前記外科用デバイス属性に従って前記手術室内の光の輝度を設定するようにさらに構成された、請求項1に記載の手術室制御システム。
【請求項11】
前記回路は、前記外科用デバイスを使用する外科医の経験に依存して、前記外科用デバイスの前記特性を設定するようにさらに構成された、請求項1に記載の手術室制御システム。
【請求項12】
前記回路は、前記外科用デバイス属性に基づいて前記外科用デバイスのためのモニタ構成を決定するようにさらに構成された、請求項1に記載の手術室制御システム。
【請求項13】
前記回路は、イメージングされている患者の組織に従って、前記外科用デバイスのイメージング特性を設定するようにさらに構成された、請求項1に記載の手術室制御システム。
【請求項14】
手術室の少なくとも一部内に配置される複数の領域を決定し、少なくとも1つの領域は、その領域内に配置される外科用デバイスの特性を定義する定義済みの外科用デバイス属性を有し、
前記手術室内の前記外科用デバイスの配置に対応する前記定義済みの外科用デバイス属性に基づいて、前記外科用デバイスの前記特性を変更する、
ように構成された回路を含む、手術室制御システム。
【請求項15】
手術室の少なくとも一部内に配置される複数の領域を決定することであって、前記領域の少なくとも1つは、その領域内に配置される外科用デバイスの特性を定義する定義済みの外科用デバイス属性を有する、決定することと、
ディスプレイを制御して、前記手術室の前記少なくとも一部にオーバーレイされた前記少なくとも1つの領域をユーザに表示することと、
を含む、手術室制御方法。
【請求項16】
手術室の少なくとも一部内に配置される複数の領域を決定することであって、少なくとも1つの領域は、その領域内に配置される外科用デバイスの特性を定義する定義済みの外科用デバイス属性を有する、決定することと、
前記手術室内の前記外科用デバイスの配置に対応する前記定義済みの外科用デバイス属性に基づいて、前記外科用デバイスの前記特性を変更することと、
を含む、手術室制御方法。
【請求項17】
コンピュータにロードされると、請求項15に記載の方法を実行するように前記コンピュータを構成する、コンピュータ可読命令を含む、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、手術室制御システム、方法およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書で提供される「背景技術」の記載は、本開示の文脈を一般的に提示するためのものである。本背景技術のセクションに記載されている範囲での現在記名されている発明者の研究、ならびに出願時に先行技術として認められない可能性のある記載の態様は、本開示に対する先行技術として明示的にも暗示的にも認められていない。
【0003】
ツールおよび機器の範囲ならびに利用可能性が絶えず拡大しているため、現代の術前外科セットアップはますます複雑かつ時間のかかるプロセスとなっている。新しい技術の導入は、患者および医療専門家に同様に歓迎すべき利点である一方で、さらなる統合問題を引き起こす。後続の手術間の入れ換え時間は、(手術のタイプによって)平均で約30分から50分以上に及ぶ可能性があり、多くの場合、利用できない機器または補給品(手術の10%において)およびテクノロジーの問題(手術の7%において)が原因で、大幅な遅延が生じる可能性がある。
【0004】
外科手術の遅延(部屋および機器のセットアップの問題を含む様々な問題の結果)もまた、不安および苛立ちが増大することによって外科医およびサポートスタッフのパフォーマンスに影響を及ぼす可能性があり、1回の外科手術の遅延は、就業日にわたって後続の全ての手術に影響を及ぼすドミノ効果を引き起こす。
【0005】
シックスシグマ分析などの技術を使用して、手術間の入れ換え時間を減少させることを試みるシステムが、これまでに開発されてきた。しかしながら、これらのプロセスは、技術者の利用可能性および器具のスケジューリングの衝突に焦点を当てており、手術室のデバイスをセットアップすることの技術的困難の増大に対する理由を説明しない。言い換えれば、これらのこれまでに開発されたシステムは、プロセスエンジニアリングを使用して手術間の入れ換え時間を短縮する。
【0006】
他の従来のシステムは、医療における外科ワークフローおよび戦略的計画をシミュレートするSiemens(登録商標)のワークフローシミュレータを含む。このシステムにより、手術間の入れ換えを含む実際の外科プロセスの正確なレプリカが提供され、新しいプロセスおよび技術統合が、実際の手術室で実施される前にテストすることができる。
【0007】
しかしながら、これらの従来のシステムのいずれも、デバイスのセットアップおよびインストールの問題の発生を低減することによる手術室のセットアップ時間を、短縮しない。その上、これらの従来のシステムのいずれも、個々のユーザの選好(外科医の選好など)および個々の手術現場の寸法を考慮していない。
【0008】
さらに、これらの従来のシステムのいずれも、手術室におけるデバイスの使用を単純化しない。これは、手術中の手術室の遅延を減少し、手術現場における通信干渉を減少し得る。
【0009】
本開示の目的は、これらの問題の少なくとも1つに対処することである。
【発明の概要】
【0010】
本開示によれば、手術室の少なくとも一部内に配置される複数の領域を決定し、領域の少なくとも1つは、その領域内に配置される外科用デバイスの特性を定義する定義済みの外科用デバイス属性を有し、ディスプレイを制御して、手術室の少なくとも一部にオーバーレイされた少なくとも1つの領域をユーザに表示する、ように構成された回路を含む、手術室制御システムが提供されている。
【0011】
前述の段落は、概要の導入として提供されており、以下の特許請求の範囲を制限することを意図するものではない。記載された実施形態は、さらなる利点と共に、添付図面を伴う以下の詳細な説明を参照することによって、最もよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
添付の図面に関連して考慮した場合、以下の詳細な説明を参照することにより、同様のことがよりよく理解されるようになるので、本開示のより完全な理解および付随する利点の多くが、容易に得られるであろう。
図1】本開示の実施形態による手術室100の平面図を示す。
図2】本開示の実施形態による部屋制御デバイス200のブロック図を示す。
図3】本開示の実施形態による外科デバイス装置300を示す。
図4】本開示の実施形態による表示デバイス400を示す。
図5】定義された領域を有する手術室100の一例を示す。
図6】本開示の実施形態によるフローチャートを示す。
図7A】定義された領域を有する手術室の少なくとも一部の一例を示す。
図7B】定義された領域を有する手術室の少なくとも一部の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで図面を参照すると、同じ参照番号は、いくつか図を通して同一または対応する部分を示す。
【0014】
図1は、本開示の実施形態による手術室100の平面図を示す。手術室100は、外科チームのメンバーが入るスタッフ用ドア105を有する。手術室100はまた、患者が入る患者用ドア110を有する。典型的には、患者は、所定の位置に運ぶ外科手術台上で、手術室100に入る。外科手術台115は、典型的には、無影灯(図示せず)の下に配置される。さらに、手術室100には、外科用デバイスが設けられている。図1の例示的な実施形態では、外科用顕微鏡135が示されている。外科用顕微鏡135は、ベース、および顕微鏡ヘッドが設けられた延長アームを有する。外科用顕微鏡135は、典型的には、患者および外科医の近くに配置される外科用機器の大きな部品である。外科用顕微鏡135のアームは、高レベルの可動性を有するのが典型的である一方で、外科用顕微鏡135は、典型的には移動が困難である。
【0015】
外科用トロリー130も示されている。外科用トロリー130は、その上に設置された多数の外科用器具を有する。例えば、外科用トロリー130は、メス、および、はさみなどの切断および解剖器具、ならびに鉗子、タオルクランプなどの把持または保持器具を有する。外科用ドリルなどの他の器具を外科用トロリー130上に設置してもよい。
【0016】
麻酔医ステーション120も示されている。麻酔医ステーション120は、麻酔医、および、麻酔器、気管切開チューブ、Tuohy針、酸素マスクなどの関連機器を含む。
【0017】
モニタバンク125が示されている。モニタバンク125は、典型的には、手術室100内の多くの外科用デバイスからの視覚出力を表示する。したがって、モニタバンク125は、複数の独立したスクリーンを含んでもよく、各スクリーンは異なる外科用デバイスに接続されてもよく、または各出力専用のスクリーンの独立した区域を有する大きなスクリーンであってもよい。外科用デバイス出力のレイアウトは、外科的処置に使用される外科用デバイスおよび外科医の個人的な選好に依存する。これは、モニタバンク125の設定が、既知の技術を使用すると非常に複雑になる可能性があり、外科的処置中に変更することが非常に困難であることを意味する。
【0018】
理解されるように、図1に示すような手術室100をセットアップすることは複雑である。これは特に、各外科的デバイスが異なる外科的処置において使用されることがあり、各処置に関連する配置および設定が異なることを考慮した場合に当てはまる。例えば、外科用顕微鏡135は、開頭術などの脳神経外科処置のために患者の頭部の近くに配置されてもよく、半月板切除術などの脚部外科的処置のために患者の脚部の近くに配置されてもよい。外科用顕微鏡のサイズを考えると、これはセットアップ中に、手術室100内の他の外科用デバイスの位置に著しく影響を与え得る。
【0019】
さらに、脳神経外科的処置および脚部外科的処置に必要とされる設定は、非常に異なる場合がある。これは、異なる外科医が異なる好ましい設定を有するため、さらに複雑である。これにより、外科用デバイスが正しくセットアップされることを確実にすることが非常に困難となり、かつ時間がかかる。
【0020】
図2は、本開示の実施形態による部屋制御デバイス200のブロック図を示す。部屋制御デバイス200は、上述で認識された問題に対処することを目的とする。部屋制御デバイス200は、制御デバイスプロセッサ205を含む。制御デバイスプロセッサ205は、典型的には、コンピュータ可読コードを使用して動作するように構成されたマイクロプロセッサなどのプロセッサ回路として具体化される。制御デバイスプロセッサ205は、コンピュータ可読コードを使用して部屋制御デバイス200の動作を制御する。もちろん、制御デバイスプロセッサ205は、ハードウェア(特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイなど)として具体化されてもよい。
【0021】
さらに、制御デバイスプロセッサ205には、制御デバイスストレージ210が接続されている。制御デバイスストレージ210は、コンピュータ可読記憶媒体(光学的に可読な、磁気的に可読な、またはソリッドステートなど)である。制御デバイスストレージ210は、制御デバイスプロセッサ205が動作するのに使用するコンピュータ可読コードを記憶するように構成されている。また、制御装置記憶部210には、ユーザプロファイルおよび様々なデータ構造が記憶されている。実施形態において、データ構造は、後で説明するように、異なる外科的処置、異なる外科用デバイス、または異なる外科医のための1つ以上のデータベースを含んでもよい。
【0022】
さらに、制御デバイスプロセッサ205には、制御デバイス通信回路215が接続されている。制御デバイス通信回路215は、手術室100内に配置され得る他のデバイスと通信するように構成されている。この通信は、有線ネットワーク(イーサネットネットワークなど)を介してもよく、または無線ネットワーク(WiFiネットワークなど)を介してもよい。制御デバイス通信回路215の目的は、明らかになるように、手術室100内の他のデバイスにデータを供給し、そこからデータを受信することである。さらに、制御デバイス通信回路215は、外科的処置の予定表、外科医のプロフィールおよび選好、手術室の寸法およびレイアウトまたは外科用デバイスパラメータに関する情報が記憶され得る医療施設の集中型データシステムと通信してもよい。
【0023】
最後に、制御デバイス表示回路220は、制御デバイスプロセッサ205に接続される。制御デバイス表示回路220は、部屋内の様々な物理的配置を定義するために使用される情報をユーザに表示するように構成される。明らかになるように、部屋内の様々な物理的配置の準備は、上記の問題に対処する際の助けとなる。制御デバイス表示回路220は、1本以上の線を部屋に投影することによって、ユーザに情報を表示することができる。代替的または追加的に、制御装置表示回路220は、手術室100をセットアップする際に手術室技術者によって、または外科手術を行う際に外科医などの外科チームのメンバーによって装着される拡張現実(Augmented Reality:AR)システムまたは仮想現実(Virtual Reality:VR)システムと相互作用し、ARまたはVRシステムを通して見た手術室100に1本以上の線を投影してもよい。
【0024】
図3を参照すると、実施形態による外科用デバイス装置300が示されている。外科用デバイス装置300は、外科手術で使用される外科用デバイスに結合されるか、または一体化される。例えば、外科用デバイス装置300は、外科用顕微鏡135、外科用トロリー130、麻酔医ステーション120、モニタバンク125、外科用ドリル、内視鏡、もしくは任意の医療装置などに結合または一体化されてもよい。もちろん、この開示はそれほど限定されず、外科用デバイス装置300は独立型デバイスであってもよい。
【0025】
外科用デバイス装置300は、外科用デバイスプロセッサ305を含む。制御デバイスプロセッサ205と同様に、外科用デバイスプロセッサ305は、典型的には、コンピュータ可読コードを使用して動作するように構成されたマイクロプロセッサなどのプロセッサ回路として具体化される。外科用デバイスプロセッサ305は、コンピュータ可読コードを使用して外科用デバイス装置300の動作を制御する。もちろん、外科用デバイスプロセッサ305は、ハードウェア(特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイなど)として具体化されてもよい。
【0026】
さらに、外科用デバイスプロセッサ305には、外科用デバイスストレージ310が接続されている。外科用デバイスストレージ310は、コンピュータ可読記憶媒体(光学的に可読な、磁気的に可読な、またはソリッドステートなど)である。外科用デバイスストレージ310は、外科用デバイスプロセッサ305が動作するのに使用するコンピュータ可読コードを記憶するように構成されている。外科用デバイスストレージ310はまた、外科用デバイス装置300を(一意的または非一意的に)識別する識別子、ならびに、必要に応じて、ディスプレイが外科用デバイスに設けられている場合の輝度およびコントラスト設定などの外科用デバイス設定、または外科用デバイスがドリルである場合のドリル速度設定などの他の設定を含む。
【0027】
さらに、外科用デバイスプロセッサ305には、外科用デバイス通信回路315が接続されている。外科用デバイス通信回路315は、部屋制御デバイス200、および、実施形態においては、手術室100内の他の外科用デバイスに対して構成されている。この通信は、有線ネットワーク(イーサネットネットワークなど)を介してもよく、または無線ネットワーク(WiFiネットワークなど)を介してもよい。外科用デバイス通信回路315の目的は、明らかになるように、部屋制御デバイス200および場合によっては手術室100内の他のデバイスにデータを供給し、そこからデータを受信することである。
【0028】
また、任意選択的に、外科用デバイスプロセッサ305に接続された外科用デバイス配置回路320が設けられる。この場合、外科用デバイス配置回路320は、手術室内に配置された1つ以上のカメラによってキャプチャされた手術室の画像を使用する画像認識技術、外科用デバイスの配置を識別するためのWiFiデバイス位置技術を使用してもよい。もちろん、この開示はそれほど限定されず、外科用デバイスの配置を識別するための他の技術、例えば、One Touch Smart Matなどを含み得る近距離無線通信(Near Field Communication:NFC)などが想定される。
【0029】
外科用デバイス配置回路320の動作の精度および/またはスケールは、後で明らかになるように、部屋に配置される領域のサイズに依存する。さらに、外科デバイス配置回路320は、2次元または3次元のいずれかで動作されてもよい。
【0030】
図4を参照すると、実施形態による表示デバイス400が示されている。表示デバイス400は、表示デバイスプロセッサ405を含む。制御デバイスプロセッサ205と同様に、表示デバイスプロセッサ405は、典型的には、コンピュータ可読コードを使用して動作するように構成されたマイクロプロセッサなどのプロセッサ回路として具体化される。表示装置プロセッサ405は、コンピュータ可読コードを使用して表示デバイス400の動作を制御する。もちろん、外科用デバイスプロセッサ305は、ハードウェア(特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイなど)として具体化されてもよい。
【0031】
さらに、表示デバイスプロセッサ405には、表示デバイスストレージ410が接続されている。表示バイスストレージ410は、コンピュータ可読記憶媒体(光学的に可読な、磁気的に可読な、またはソリッドステートなど)である。表示デバイスストレージ410は、表示デバイスプロセッサ405が動作するのに使用するコンピュータ可読コードを記憶するように構成されている。
【0032】
さらに、表示デバイスプロセッサ405には、表示デバイス通信回路415が接続されている。表示デバイス通信回路415は、部屋制御デバイス200と通信するように構成されている。この通信は、有線ネットワーク(イーサネットネットワークなど)を介してもよく、または無線ネットワーク(WiFiネットワークなど)を介してもよい。表示デバイス通信回路415の目的は、部屋制御デバイス200にデータを供給し、そこからデータを受信することである。
【0033】
表示デバイス400は、投影デバイス(レーザープロジェクタなど)に取り付けられるか、もしくはその一部を形成して手術室100内に線を投影してもよく、または手術室技術者もしくは外科チームのメンバーによって装着されるARもしくはVRヘッドセットに取り付けられるか、もしくはその一部を形成してもよいことが想定される。
【0034】
図5は、本開示の実施形態による図1の手術室100を示す。具体的には、図5Aは、表示デバイス400を使用して見たときに、手術室現場内に定義された様々な物理的領域を有する図1の手術室100を示す。
【0035】
図5において、手術室100内の様々な領域が定義されている。後で説明するように、各領域は、その領域内に配置される1つ以上の外科用デバイスの特性を定義する定義済みの外科用デバイス属性を有する。換言すれば、手術室100は複数の領域に分割され、少なくとも1つの領域内では、異なる外科用デバイス属性がその領域に割り当てられる。実施形態において、外科用デバイス属性は、特定の外科用デバイスまたは外科用デバイスのタイプがその領域に設置されることになっていてもよい。これは、ユーザが手術室技術者である場合、技術者が、特定の外科用デバイスまたは外科用デバイスのタイプを設置する領域を知ることを意味する。
【0036】
技術者が外科用デバイスを設置する領域を知ることを可能にするために、制御デバイス表示回路220は、複数の領域が手術室上にオーバーレイされている画像をユーザに(表示デバイス400を介して)提供する。換言すれば、複数の領域は、プロジェクタとして具体化される表示デバイス400を使用して実際の手術室にオーバーレイされてもよく、または、ARもしくはVRデバイスとして具体化される表示デバイスを使用するときに眼鏡類上でオーバーレイされてもよい。この構成により、手術室技術者は、手術室内の正しい配置に外科用デバイスをより迅速に設置することができる。
【0037】
外科用デバイスを正しい配置に設置した後、室内制御デバイス200は、外科用デバイスが正しい配置に設置されていることを確認してもよい。これにより、手術が開始された後に厄介な問題につながる可能性がある外科用デバイスの配置における誤りの可能性が低減する。
【0038】
外科用デバイスが正しく配置されたことを確認するために、室内制御デバイス200は、各外科用デバイスの配置を識別する必要がある。もちろん、以下では、各外科用デバイスの配置を識別することについて記載するが、開示はそれほど限定されない。具体的には、1つ以上の外科用デバイスの配置のみが確認されてもよい。例えば、可動性が制限されている外科用デバイス(外科用顕微鏡など)の配置のみを確認してもよい。
【0039】
室内制御デバイス200は、任意の適切な技術を使用して外科用デバイスの配置を識別してもよい。例えば、部屋制御デバイス200は、外科用デバイス自体から位置情報(部屋内の位置の座標など)を受信してもよく、または画像認識技術を使用して配置を確立してもよい。
【0040】
部屋制御デバイス200が位置情報を受信する実施形態では、外科用デバイスは、外科用デバイス装置300を任意に含んでもよい。この場合、手術デバイス装置300の配置および識別は、部屋制御デバイス200に通信される。部屋制御デバイス200は、次いで、外科用デバイスの実際の配置および識別を、外科用デバイスの所望の配置および識別と比較する。外科用デバイスが正しい領域内に設置されているか、または正しい領域の閾値距離内にある場合、室内制御デバイス200は、外科用デバイスが正しい配置に設置されていることを確定する。外科用デバイスが正しい領域内に設置されていないか、または閾値距離の外にある場合、室内制御デバイス200は、外科用デバイスが誤った配置に設置されていることを確定する。これは、外科用デバイスが手術室100内の正しい配置に設置されることを確実にする。
【0041】
もちろん、開示はそれほど限定されない。制御デバイス200が手術現場100の画像をキャプチャし、手術現場100内の各外科用デバイスの位置を識別することが可能である。これは、画像認識を使用して達成されてもよく、または外科用デバイスを一意に識別する外科用デバイス上に配置される識別子(QRコードなど)もしくは発光識別子をキャプチャして達成されてもよい。
【0042】
上記のいずれの場合においても、外科用デバイス属性は、特定の外科用デバイスに適用される特定の外科用デバイス設定を含み得る。換言すれば、実施形態において、その領域内に配置される外科用デバイスは、それに適用される定義済みのデバイス設定を有する。あるいは、外科用デバイス属性は、外科用デバイスの位置情報であってもよい。これは、部屋制御デバイス200に送信されて、領域における外科用デバイスの正しい配置を確認することができる。
【0043】
さらに、外科用デバイスがその領域内に配置されるとき、定義済みのデバイス設定が手術室100内の他のデバイスに適用されてもよいことが想定される。これらの他のデバイスは、手術室100内の他の手術デバイスであってもよく、または手術室100内のインフラストラクチャもしくは他の非外科用デバイスであってもよい。例えば、電磁干渉に敏感な外科用デバイス(人工呼吸器など)を特定の配置内に配置する場合、他の外科用デバイスは、どの送信機能も無効にされる。送信機能は、手術全体を通して、または高感度外科用デバイスが稼働中である場合にのみ、無効にされてもよい。携帯電話などの非外科的デバイスについては、制御デバイス200と通信し、制御デバイス200が携帯電話内の送信機能を無効にすることを可能にするアプリケーションを、携帯電話にインストールしてもよい。
【0044】
この実施形態のわずかな変形例では、外科用デバイスがその区域内に設置されると、送信機能が無効になるという手術室内の区域を定義することができる。換言すれば、定義済みのデバイス特性は、無線通信機能を無効にすることであってもよい。これは「送信オフゾーン」と称される。以下の図5Aの例では、領域Eは送信オフゾーンである。
【0045】
室内制御デバイス200は、外科用デバイスの無線通信機能を直接に、またはルータを使用するなど異なるデバイスを使用して、外科用デバイスの無線通信機能を無効にし得ることに留意されたい。
【0046】
外科用デバイスの通信機能を無効にすることは、無線通信機能に限定されず、すなわち、室内制御デバイス200は、外科用デバイスの有線通信機能を直接に、または、ルータを使用するなど異なるデバイスを使用して、外科用デバイスの有線通信機能を無効にし得ることに留意されたい。
【0047】
<<定義済みのデバイス設定の適用の例示的実施形態>>
<実施例1>
蛍光イメージングは、患者の腫瘍を検出するための外科的処置中に使用されている。室内制御デバイス200は、蛍光イメージングを使用する場合、改善された信号対雑音比を達成するために、手術室内の光を暗くする必要があるという関連付けを記憶している。
【0048】
セットアップ中、制御デバイス200は、蛍光イメージングデバイスが記憶される外科用トロリーのセクション内の配置を定義する。蛍光イメージングデバイスが外科用トロリーのセクション内に配置されると、制御デバイス200は、定義済みのパラメータを外科用デバイスに適用する。この場合、制御デバイス200は、手術室100内のインフラストラクチャにも設定を適用する。具体的には、制御デバイス200は、定義された配置内にデバイスが配置されているかどうかに応じて、室内の光の輝度を制御する。
【0049】
手術が開始され、最終的には外科医が蛍光イメージングデバイスを使用して、トロリーからそれを取り出す必要がある。この時点で、制御デバイス200は、蛍光イメージングデバイスの位置情報を使用して、トロリーから蛍光イメージングデバイスが取り出されたことを識別する。
【0050】
制御デバイス200は、蛍光イメージングデバイスがその定義された配置から取り外されたことを検出し、次いで、手術室内の光を適切なレベルまで暗くする。
【0051】
外科医は、蛍光イメージングデバイスの使用を終了した場合、外科医はそれをトロリーに戻す。制御デバイス200は、蛍光イメージングデバイスが定義された配置に戻ったことを検出し、光を通常の輝度レベルに戻す。
【0052】
<実施例2>
外科的処置中、上級外科医が研修医と共に働いている。
上級外科医は、下級外科医に外科用ドリルの使用方法を教授している。
【0053】
外科用ドリルは、定義された領域のそれぞれに配置されたときに外科用ドリルに適用される、複数の定義された領域およびパラメータを有する。具体的には、外科用ドリルが定義された領域の1つに設置される場合、外科用ドリルに適用される設定は、研修医に適切であり、外科用ドリルが定義された領域の2つ目の領域に設置される場合、設定は上級外科医に適切である。典型的には、外科用ドリルの最大速度は、研修医の方が遅い。例えば、ピン用に大腿骨を穿孔する場合、上級外科医によって使用される場合のドリルの最大速度は1500rpmであり、研修医によって使用される場合は800rpmである。研修医による使用のための低速設定は、研修医の過失による損傷を軽減し、上級外科医が研修医の作業をより容易に監視できるようにする。
【0054】
外科用デバイスの配置領域に基づいて設定を変更することによって、デバイス設定を容易に変更することができ、誤った設定が外科用デバイスに適用される可能性を低減する。
【0055】
上記では、外科用デバイスが設置される領域に応じて外科用デバイスの設定を変更することを記載したが、開示はそれほど限定されない。例えば、顔認識などのマシンビジョン技術を使用して、外科医を個別に識別し、ユーザに応じてデバイス設定を適用してもよい。外科スタッフのプロフィールは、経験豊富な外科医および経験の浅い外科医を識別するために使用されてもよい。
【0056】
<実施例3>
この実施例では、手術室100は、2人の外科医および超音波検査技師を含む外科的処置のためにセットアップされる3つの異なるモニタスクリーンを有する。
【0057】
技術者は、接続された診断用超音波制御ボックスを備えたトロリーを部屋に持ち込む。
【0058】
3つの隣接する領域は、部屋の予測された超音波検査技師の位置に基づいて作成される。制御装置200は、領域にラベルを付け、そのラベルを技術者に表示する。具体的には、ラベルは以下である。
oモニタ1
oモニタ2
oモニタ1+2
【0059】
技術者は、トロリーを(「モニタ1」とラベル付けされた)第1の領域に設置する。第1の領域に関連するデバイスパラメータ(モニタ構成)は、外科用デバイスをモニタ1に接続することである。このモニタは、超音波検査技師のステーションに最も近い位置に配置されてもよい。
【0060】
処置中、超音波検査技師は位置を変更する。この際、超音波検査技師は、超音波検査トロリーを(「モニタ2」とラベル付けされた)第2の領域にわずかに移動させる。第2の領域に関連するデバイスパラメータは、外科用デバイスをモニタ2に接続することである。超音波画像が、第1のモニタから第2のモニタに切り替えられる。
【0061】
超音波検査技師がトロリーを(「モニタ1+2」とラベル付けされた)第3の領域内に移動させる場合、第3の領域に関連するデバイスパラメータは、外科用デバイスを第1のモニタおよび第2のモニタの両方に接続することである。
【0062】
これにより、外科チームのメンバーは、外科用デバイスの操作パラメータを容易に変更することができる。
【0063】
<実施例4>
外科医は、事前計画の時間がそれほどなかった緊急処置中に、超音波デバイスを手に取る。
【0064】
3つの領域が作成され、ここで、各領域に関連するパラメータは、異なる組織タイプに対する異なる最適なイメージング設定に対応する。領域の境界は、それぞれ患者の心臓、肺、および腹部の近くに定義される。
【0065】
これらの領域は、患者を覆うドレープ上に投影される(ドレープ上に直接投影されるか、または外科医が装着するARディスプレイ上に投影されるかのいずれか)。外科医は、患者の心臓の近くに配置された領域に超音波ツールを設置することによって、心臓イメージングパラメータを選択する。外科医は次に、患者の心臓を最適な設定で画像化する。
【0066】
より一般的には、外科用デバイスの画像設定は、患者の組織に依存して設定される。これは、イメージングされている異なる組織または器官の異なるスペクトルを取得するためのスペクトルイメージングによって、さらに例示される。例えば、心臓組織によって提供されるスペクトルは、脳組織または骨とは異なる。
【0067】
<領域>
上述の実施形態において、様々な領域が、外科用デバイスの迅速な配置を可能にするために提供されている。任意選択的に、デバイス設定は、外科用デバイスが配置される領域に応じて、外科用デバイスに適用される。
【0068】
図5では、領域が定義された手術室100の一例が示されている。第1の領域(領域A)は、患者用ドア110の前に配置される。具体的には、第1の領域のサイズおよび位置は、患者用ドアを開くときに、領域Aに障害物がない場合、患者用ドア110が妨げられずに開くようなものである。同様に、第2の領域(領域B)がスタッフ用ドア105の前に設けられる。領域Aおよび領域Bのサイズおよび位置は適切に定義されるべきである。したがって、技術者は、領域AまたはBのいずれにも、外科用デバイスまたは妨害物を配置しない。
【0069】
第3の領域(領域C)は、外科用顕微鏡135の周囲に定義される。ここで、第3の領域は手術室100内に定義され、外科用顕微鏡135はこの領域内に設置されることに留意されたい。この領域のサイズおよび/または形状は、少なくとも部分的に、外科用顕微鏡135のサイズおよび/または形状によって定義される。具体的には、第3の領域のサイズは、外科用顕微鏡135の占有面積と同じサイズまたはそれより大きい。第3の領域のサイズおよび形状はまた、顕微鏡が取り付けられるスイングアームを収容するために必要とされる空間の量に依存してもよい。換言すれば、第3の領域のサイズおよび形状内にスイングアームの動作を収容する必要がある。これは、別の外科用デバイスが、スイングアームの動作を妨害する可能性を低減する。
【0070】
第3の(または、任意の)領域の配置は、1つ以上の基準を使用して定義されてもよい。例えば、第3の領域の配置は、その配置に設置される外科用デバイスの移動性に従って定義されてもよい。具体的には、外科用デバイスが可動性ではない場合、外科用デバイスが危険となることを回避するために、外科用デバイスは手術室100内の通路から離して配置されるべきである。
【0071】
場合によっては、外科用デバイスは換気などのために上方空間を必要とすることがある。これにより、第3領域の配置を定義してもよい。
【0072】
別の例は、実施される外科的処置に従って、第3の領域の位置が定義され得ることである。一例では、開頭術が実施されている場合、外科用顕微鏡135を患者の頭部の近くに設置すべきである。
【0073】
さらなる例として、第3の領域の位置は、外科医の選好に従って定義されてもよい。一例では、外科医は左利きであってもよい。したがって、外科医は、外科用デバイスを自分の左側に設置することを好むであろう。
【0074】
さらに、第3の領域の配置は、手術室100の異なる領域に配置された異なる外科用デバイスへのその近接性に従って定義されてもよい。例えば、外科用顕微鏡135は、外科医が外科用顕微鏡135および外科用トロリー130の両方に容易にアクセスできるように、外科用トロリー130の1メートル以内に配置される必要があり得る。別の例として、電磁放射線に敏感な外科用デバイスは、電磁放射線を放射する別の外科用デバイスから一定の距離に配置される必要があり得る。この情報は、供給者によって提供されてもよく、または手術室100が位置する管轄区域におけるベストプラクティスとみなされてもよい。
【0075】
第3の領域の配置は、手術室100内の利用可能な空間のこれまでの利用に従って定義されてもよい。これには、以前のユーザの経験および外科的処置を行う際の外科スタッフの典型的な動作が含まれ得る。これらのユーザの経験は、外科的処置を行うか、または同じ手術室100を使用する外科スタッフのこれまでの経験、外科的処置を行うか、または同じ手術室100を使用する他の外科スタッフのこれまでの経験などから抽出され得る。
【0076】
実施形態において、領域は、2つ以上のサブ領域に分割され得る。例えば、内視鏡などの単一の外科用デバイスのための2Dセンチメートルスケールの区画(例えば、テーブル、トロリー、患者を覆うドレープの上など)は、このようなサブ領域に配置された場合、それに適用される特定のデバイス設定を有する。さらに、3D領域は、複数のデバイス設定が複数の外科デバイスに適用され得る、1つ以上の外科デバイスをカバーする。例えば、領域は、各棚がサブ領域であるマルチシェルフトロリーの全体積に適用され得る。したがって、外科用デバイスをそれぞれ異なる棚に設置して、異なるデバイス設定を適用してもよい。
【0077】
実施形態では、1つの領域に設置されたトロリーまたはトレイなどの移動可能な物体は、複数のサブ領域を含むことができ、各サブ領域は、1つ以上の外科用デバイスを有し、移動可能な物体が異なる領域に移動される場合、1つ以上の外科用デバイスに適用されるデバイス設定は、それに応じて変化し得る。例えば、マルチシェルフトロリーが静かなゾーンに移動される場合、トロリー上に配置された全ての外科用デバイスは、それらのデバイス設定を送信オフに変更し得る。
【0078】
もちろん、理解されるように、1つ以上のサブ領域は、それに関連するデバイス設定を有さなくてもよい。例えば、マルチシェルフトロリーは、その棚に配置された外科用デバイスにデバイス設定が適用されない1つの棚を有してもよい。
【0079】
他の領域は、手術室100内に定義される。これらについては、以下で言及する。
【0080】
【表1】
【0081】
明らかになるように、領域は、手術室のサイズおよびレイアウト、実施される外科的処置、ならびに外科チームの1人以上のメンバーの識別に基づいて定義される。
【0082】
さらに、領域は、滅菌または非滅菌区域であってもよい。例えば、滅菌区域において、外科用デバイスは、患者の入室前または切開前に配置されてもよい。滅菌区域に配置されている間は、外科用デバイスは依然として作動し得る。
【0083】
しかしながら、使用後、外科医は外科用デバイスを非滅菌区域に配置することがある。外科用デバイスが非滅菌区域に置かれた後、外科用デバイスは汚染されている可能性があるので、外科用デバイスを患者に使用するべきではない。換言すれば、外科用器具の特性は、非無菌となる。したがって、汚染されている可能性のある外科用デバイスを外科医が再び誤って使用するリスクを回避するために、外科用デバイスは非稼働にされるべきである。
【0084】
滅菌領域と非滅菌領域との間の境界は、外科手術台から所定の距離にあることによって定義され得る。また、境界は、患者の上に設置されたドレープによって定義されてもよい。これらは、手術室のキャプチャされた画像から識別され得る。
【0085】
実施形態において、領域は、手術室100の一部のために(ならびに、手術室100自体のために)設けられてもよい。例えば、図7Aに示されるように、手術室テーブルは、その上に定義された様々な領域と共に示される。これには、内視鏡のための区域、静かなゾーン(送信オフ領域)、および他の様々な定義済みの機能(SF区域1~4)のための区域が含まれる。これはまた、2つの領域のみが示されている図7Bにも示されている。
【0086】
<セットアップ>
ここで、室内制御デバイス200によって実施される手術室のセットアップについて、図6を参照して記載する。
【0087】
図6のプロセス600は、ステップ605で開始される。次いで、プロセスはステップ610に進み、ここで、外科的処置、外科的処置の開始時間、および外科チームのメンバーが定義される。これは、技術者によって提供されてもよく、または中央医療施設によって室内制御デバイス200によって提供されてもよい。手術室の収容能力、手術室の利用可能性、および外科的処置のために必要なインフラストラクチャに基づいて、手術室が選択される。これは、ステップ615である。
【0088】
次いで、プロセスはステップ620に進み、ここで、外科的処置のために必要な外科用デバイスが、部屋制御デバイス200によって決定される。この情報は、このタイプの処置に対する外科医の外科的ベストプラクティスまたは選好に基づく。
【0089】
プロセスはステップ625に進み、ここで、任意選択的に、1つ以上の外科用デバイスに対する最も適切なデバイス設定が決定される。この情報もまた、このタイプの処置に対する外科医の外科的ベストプラクティスまたは選好に基づいている。
【0090】
プロセスはステップ630に進み、ここで、手術室のレイアウトが決定される。換言すれば、外科用デバイスが設置される領域のレイアウトおよびサイズが決定される。手術室のレイアウトは、部屋制御デバイス200内に記憶されたこれまでの構成に基づいて決定されてもよい。これは、患者の入口の位置、そのような外科的処置のための患者の位置、および外科医の選好を考慮する。
【0091】
もちろん、開示はそれほど限定されず、手術室のレイアウトは自動的に構成されてもよい。これは、任意の既知のレイアウト最適化技術を使用して達成し得る。具体的には、各領域の位置は、患者の入口/出口の位置、外科チームの入口/出口、および患者の位置を使用して定義される。さらに、患者に対する外科用デバイスのサイズおよび向きなどの他の要因を使用してもよい。もちろん、外科的処置のための手術室のレイアウト用の既存のテンプレートを調整してもよい。
【0092】
次いで、プロセスはステップ635に進み、ここで、手術室100内の領域のオーバーレイが技術者に提供される。領域は、一連の座標または他の位置情報などの位置情報によって定義される。ラベルは、外科用デバイスを正しい領域に正しく配置することを可能にするために、各領域に提供される。手術室100内にオーバーレイされた領域の解像度は、手術室内に配置された物体によって変化し得る。例えば、トロリー上に配置されている外科用デバイスの解像度は、より一般的には、手術室内に配置されている外科用デバイスよりも高い。
【0093】
領域は、ユーザインタフェースを介して、処置中または処置前に、人物(技術者または外科チームのメンバーなど)によって修正されてもよい。この情報は、外科医または選択された外科的処置のための手術室の今後のレイアウトを更新し得る。
【0094】
次いで、プロセスはステップ640に進む。ステップ640において、各外科用デバイスの識別および位置は、部屋制御デバイス200によって決定される。これは、画像認識を使用して、または各外科用デバイスから受信した位置情報を使用して達成されてもよい。各外科用デバイスの位置は、領域レイアウトと比較され、正しい外科用デバイスが正しい領域内に配置されることを確実にする。この検証ステップにより、ヒューマンエラーの可能性が低減する。
【0095】
次いで、プロセスはステップ645に進む。ステップ645において、デバイスパラメータは、外科用デバイスが配置される領域に応じて外科用デバイスに適用される。これらのデバイスパラメータは、実施される外科的処置、外科医もしくは外科チームのメンバーの識別に基づいてもよく、または外科的デバイスのデフォルト設定であってもよい。これらのデバイスパラメータは、部屋制御デバイス200によって外科用デバイス通信回路315を介して自動的に適用されてもよく、または技術者によって適用されてもよい。
【0096】
デバイスパラメータは、様々な外科用デバイス間の、および外科用デバイスと外科チームのメンバーとの間の相互作用に応じて変化し得ることを理解されたい。例えば、外科医が手術室内の照明のために内視鏡の輝度設定を変更する場合、デバイスパラメータは更新されてもよい。
【0097】
さらに、外科的処置内の任意の時点での特定のデバイスに関連する優先順位レベルは、実施形態において変化する。特に、外科的処置中、デバイスへの迅速なアクセスが重要になる。そのため、デバイスへのアクセスしやすさの重要性は、そのデバイスと今後の行為との関連性に従って変化し得る。例えば、生命を脅かす間違いが起こる可能性が高い、動脈の近くを切開処置する前に、出血を止めるための焼灼デバイスに高い優先順位を与えてもよい。これは、デバイスに迅速にアクセスすることが重要であるため、デバイスの優先順位が高くなることを意味する。
【0098】
デバイス優先順位はまた、現在の外科的な状況に対するデバイス機能の異なる関連性の上記評価に基づいて、通信優先順位または他の差分優先順位付けを参照してもよい。
【0099】
次いで、プロセスはステップ650で終了する。
【0100】
前述は、外科用デバイスが配置される領域に基づいてデバイスパラメータを適用することを記載したが、開示はそれほど限定されない。例えば、外科医によって行われるジェスチャ認識技術などを使用して、外科医が異なるデバイスパラメータを適用してもよい。
【0101】
室内制御デバイス200が図6の処理を手動で開始する場合について前述を記載したが、本開示はこれに限定されるものではない。実際に、室内制御デバイス200は、今後の手術を識別するために、例えば手術室スケジュールへのアクセスを介して、医療施設内の集中データベースを監視してもよい。集中型に記憶された他のデバイスパラメータおよび関連情報は、部屋のレイアウトを決定する際に使用され得る。
【0102】
この監視は、プロセス600の動作を自動的にトリガし得る。
【0103】
上記の教示に照らしてみれば、明らかに、本開示の多くの修正および変形が可能である。したがって、添付の特許請求の範囲内で、本明細書に具体的に記載されている以外の方法で開示を実施し得ることを理解されたい。
【0104】
本開示の実施形態が、少なくとも部分的に、ソフトウェア制御データ処理装置によって実施されるものとして記載されてきた限りにおいて、そのようなソフトウェアを保持する非一時的機械可読媒体、例えば、光ディスク、磁気ディスク、半導体メモリなども、本開示の実施形態を表すものと考えられることが理解されるであろう。
【0105】
明確にするための上記の記載は、異なる機能ユニット、回路および/またはプロセッサに関する実施形態を記載したことを理解されたい。しかしながら、実施形態を損なうことなく、異なる機能ユニット、回路、および/またはプロセッサ間の任意の好適な機能の分散を使用し得ることは、明らかとなるであろう。
【0106】
記載された実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの任意の組み合わせを含む任意の好適な形態で実施され得る。記載された実施形態は、1つ以上のデータプロセッサおよび/またはデジタル信号プロセッサ上で実行されるコンピュータソフトウェアとして、少なくとも部分的に任意選択的に実施されてもよい。任意の実施形態の要素および構成要素は、任意の好適な方法で物理的、機能的および論理的に実装され得る。実際に、機能性は、単一のユニット、複数のユニット、または他の機能ユニットの一部として実装されてもよい。したがって、開示された実施形態は、単一のユニットで実施されてもよく、または異なるユニット、回路、および/もしくはプロセッサ間で物理的および機能的に分散されてもよい。
【0107】
本開示は、いくつかの実施形態に関連して記載されてきたが、本明細書で説明される特定の形態に限定されることは意図されない。さらに、特定の実施形態に関連して特徴が記載されているように見えることがあるが、当業者であれば、記載された実施形態の様々な特徴が、この技術を実施するのに好適な任意の方法で組み合わせられ得ることを認識するであろう。
【0108】
本開示の実施形態は、以下の段落に従って表し得る。
(1)
手術室の少なくとも一部内に配置される複数の領域を決定し、領域の少なくとも1つは、その領域内に配置される外科用デバイスの特性を定義する定義済みの外科用デバイス属性を有し、
ディスプレイを制御して、手術室の少なくとも一部にオーバーレイされた少なくとも1つの領域をユーザに表示する、
ように構成された回路を含む、手術室制御システム。
(2)
回路は、外科用デバイスがその領域内に配置されると、外科用デバイスと通信して外科用デバイス属性を転送する、ように構成された、段落(1)に記載の手術室制御システム。
(3)
回路は、手術室内で実施される外科的処置に基づいて、複数の領域および定義済みの外科用デバイス属性を決定する、ように構成された、段落(1)または(2)に記載の手術室制御システム。
(4)
回路は、手術室内で実施される外科的処置を実施する外科医の選好に基づいて、少なくとも1つの領域および定義済みの外科用デバイス属性を決定する、ようにさらに構成された、段落(3)に記載の手術室制御システム。
(5)
回路は、手術室内で実施される外科的処置に基づいて、定義済みの外科用デバイス属性を決定する、ようにさらに構成された、段落(1)から(4)のいずれか1つに記載の手術室制御システム。
(6)
回路は、ジェスチャを検出し、検出されたジェスチャに基づいて外科用デバイス属性を変更する、ようにさらに構成された、段落(1)から(5)のいずれか1つに記載の手術室制御システム。
(7)
回路は、別の外科用デバイスの外科用デバイス属性に基づいて、1つの外科用デバイスの外科用デバイス属性を定義する、ように構成された、段落(1)から(6)のいずれか1つに記載の手術室制御システム。
(8)
1つの外科用デバイスの定義済みの外科用デバイス属性は、1つの外科用デバイスの無線通信機能を無効にすることである、段落(7)に記載の手術室制御システム。
(9)
回路は、外科用デバイス属性として外科用デバイスの無線通信機能を無効にする、ように構成された、段落(1)から(8)のいずれか1つに記載の手術室制御システム。
(10)
回路は、外科用デバイス属性に従って手術室内の光の輝度を設定するようにさらに構成された、段落(1)から(9)のいずれか1つに記載の手術室制御システム。
(11)
回路は、外科用デバイスを使用する外科医の経験に依存して、外科用デバイスの特性を設定するようにさらに構成された、段落(1)から(9)のいずれか1つに記載の手術室制御システム。
(12)
回路は、外科用デバイス属性に基づいて外科用デバイスのためのモニタ構成を決定するようにさらに構成された、段落(1)から(9)のいずれか1つに記載の手術室制御システム。
(13)
回路は、イメージングされている患者の組織に従って、外科用デバイスのイメージング特性を設定するようにさらに構成された、段落(1)から(9)のいずれか1つに記載の手術室制御システム。
(14)
手術室の少なくとも一部内に配置される複数の領域を決定し、少なくとも1つの領域は、その領域内に配置される外科用デバイスの特性を定義する定義済みの外科用デバイス属性を有し、
手術室内の外科用デバイスの配置に対応する外科用デバイス属性に基づいて、外科用デバイスの特性を変更する、
ように構成された回路を含む、手術室制御システム。
(15)
手術室の少なくとも一部内に配置される複数の領域を決定することであって、領域の少なくとも1つは、その領域内に配置される外科用デバイスの特性を定義する定義済みの外科用デバイス属性を有する、決定することと、
ディスプレイを制御して、手術室の少なくとも一部にオーバーレイされた少なくとも1つの領域をユーザに表示することと、
を含む、手術室制御方法。
(16)
外科用デバイスがその領域内に配置されると、外科用デバイスと通信して外科用デバイス属性を転送すること、を含む、段落(15)に記載の手術室制御方法。
(17)
手術室内で実施される外科的処置に基づいて、複数の領域および定義済みの外科用デバイス属性を決定すること、を含む、段落(15)または(16)に記載の手術室制御方法。
(18)
手術室内で実施される外科的処置を実施する外科医の選好に基づいて、少なくとも1つの領域および定義済みの外科用デバイス属性を決定すること、を含む、段落(17)に記載の手術室制御方法。
(19)
手術室内で実施される外科的処置に基づいて、定義済みの外科用属性を決定すること、を含む、の段落(15)から(18)のいずれか1つに記載の手術室制御方法。
(20)
ジェスチャを検出し、検出されたジェスチャに基づいて外科用デバイス属性を変更すること、を含む、段落(15)から(19)のいずれか1つに記載の手術室制御方法。
(21)
別の外科用デバイスの外科用デバイス属性に基づいて、1つの外科用デバイスの外科用デバイス属性を定義すること、を含む、段落(15)から(20)のいずれか1つに記載の手術室制御方法。
(22)
1つの外科用デバイスの定義済みの外科用デバイス属性は、1つの外科用デバイスの無線通信機能を無効にすることである、段落(21)に記載の手術室制御方法。
(23)
外科用デバイス属性として外科用デバイスの無線通信機能を無効にすること、を含む、段落(15)から(22)のいずれか1つに記載の手術室制御方法。
(24)
外科用デバイス属性に従って手術室内の光の輝度を設定すること、を含む、段落(15)から(23)のいずれか1つに記載の手術室制御方法。
(25)
外科用デバイスを使用する外科医の経験に依存して外科用デバイスの特性を設定すること、を含む、段落(15)から(23)のいずれか1つに記載の手術室制御方法。
(26)
外科用デバイス属性に基づいて外科用デバイスのためのモニタ構成を決定すること、を含む、段落(15)から(23)のいずれか1つに記載の手術室制御方法。
(27)
イメージングされている患者の組織に従って、外科用デバイスのイメージング特性を設定すること、を含む、段落(15)から(23)のいずれか1つに記載の手術室制御方法。
(28)
手術室の少なくとも一部内に配置される複数の領域を決定することであって、少なくとも1つの領域は、その領域内に配置される外科用デバイスの特性を定義する定義済みの外科用デバイス属性を有する、決定することと、
手術室内の外科用デバイスの配置に対応する外科用デバイス属性に基づいて、外科用デバイスの特性を変更することと、
を含む、手術室制御方法。
(29)
コンピュータにロードされると、段落(15)から(28)のいずれか1つに記載の方法を実行するようにコンピュータを構成する、コンピュータ可読命令を含む、コンピュータプログラム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
【国際調査報告】