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特表2022-507039外科的血管吻合術を行うのに使用されるシース及びその適用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】外科的血管吻合術を行うのに使用されるシース及びその適用
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/11 20060101AFI20220111BHJP
【FI】
A61B17/11
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021525176
(86)(22)【出願日】2019-11-07
(85)【翻訳文提出日】2021-06-28
(86)【国際出願番号】 IL2019051220
(87)【国際公開番号】W WO2020095306
(87)【国際公開日】2020-05-14
(31)【優先権主張番号】62/756,871
(32)【優先日】2018-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519383072
【氏名又は名称】ヴァスキュラー グラフト ソリューションズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】VASCULAR GRAFT SOLUTIONS LTD
【住所又は居所原語表記】24 Raoul Wallenberg Street, Ziv Towers, Building A, Tel-Aviv, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オリオン エヤル
(72)【発明者】
【氏名】ハラリ ボアズ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160CC32
(57)【要約】
外科的血管吻合術を行うのに使用されるシース及びその適用。シースは、シース主要部分遠位端と(円柱状又は円錐状)シース主要部分近位開口端とを有するシース主要部分(管状部材)を備え、シース主要部分遠位端と連続し、各々が、シース遠位端部分の異なる位置にある2個の部分を介して、シース遠位端部分の内側を通って延在し、完通する、少なくとも1個のシース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)を有する、シース遠位端部分も備える。シース遠位端部分は、更に、シース内制御線係留及び固定ポケット(空洞)、並びにシース制御線通路も含む。各シース内流体流路は、シース全体を通る血管腔流体(血液、水、空気)の連続流を容易にする。冠動脈バイパス移植(CABG)を行うための、「クランプレス」タイプの(端側)外科的血管吻合術における使用に特に適用可能である。
【選択図】 図42
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科的血管吻合術を行うのに使用されるシースであって、
管状部材として構成され、シース主要部分遠位端及びシース主要部分近位端を備え、前記シース主要部分近位端が開口した、シース主要部分と、
前記シース主要部分遠位端と連続しており少なくとも1つのシース内流体流路を備えるシース遠位端部分であって、前記少なくとも1つのシース内流体流路の各々が、前記シース遠位端部分の異なる位置にある2個の部分を介して、前記シース遠位端部分の内側を通って延在し、完通する、前記シース遠位端部分と
を備え、
各前記シース内流体流路が、前記シースを通る血管腔流体の連続流を容易にする、
シース。
【請求項2】
前記シース主要部分と前記シース遠位端部分が単一のモノリス構造体として構成され、前記シース主要部分と前記シース遠位端部分が単一の連続構造体として一体的に形成される、請求項1に記載のシース。
【請求項3】
前記シース主要部分と前記シース遠位端部分が、2個の個別の操作可能に接続可能な構造体として構成される、請求項1に記載のシース。
【請求項4】
前記シース遠位端部分が、前記シース主要部分の管状遠位端部分に密接に嵌合する近位端部分で構成される、請求項3に記載のシース。
【請求項5】
前記シース主要部分が、前記シース主要部分開口近位端を含む円錐状近位端部分を有する、請求項1に記載のシース。
【請求項6】
前記少なくとも1つのシース内流体流路のうちの1つが、前記シース遠位端部分の対向した、直径方向に対向した、中央に位置する2個の部分を介して、前記シース遠位端部分の内側の中間又は中央の、近位-遠位の、長軸を通って延在し、完通する、請求項1に記載のシース。
【請求項7】
前記シース遠位端部分が、シース内制御線係留及び固定ポケットも備える、請求項6に記載のシース。
【請求項8】
前記シース内制御線係留及び固定ポケットが管状であり、第1の部分と第2の部分の2個の部分を備え、前記第1の部分の内径が前記第2の部分の内径よりも小さい、請求項7に記載のシース。
【請求項9】
前記シース遠位端部分が、シース制御線通路でも構成される、請求項8に記載のシース。
【請求項10】
前記シース制御線通路の内径が、前記シース内制御線係留及び固定ポケットの前記第1及び第2の部分の各々の内径よりも大きい、請求項9に記載のシース。
【請求項11】
前記シースが、更に、前記シースの内側に沿って、内側を通って、延在し、前記シース内制御線係留及び固定ポケットを介して、前記シース遠位端部分の内側に係留及び固定接続された、シース制御線も備える、請求項7に記載のシース。
【請求項12】
少なくとも1つの前記シース内流体流路が、前記シース遠位端部分の対向した、直径方向に対向した、中央以外に位置する2個の部分を介して、前記シース遠位端部分の内側の中間以外又は中央以外の、近位-遠位の、長軸を通って延在し、完通する、請求項1に記載のシース。
【請求項13】
少なくとも1つの前記シース内流体流路が、前記シース遠位端部分の外周面の対向して位置する、直径方向に対向した2個の部分の一対を介して、前記シース遠位端部分の内側を通って、半径方向に、近位-遠位方向に対して直交して、延在し、完通する、請求項1に記載のシース。
【請求項14】
前記シース遠位端部分が、シース内制御線係留及び固定ポケットも備える、請求項13に記載のシース。
【請求項15】
前記シース内制御線係留及び固定ポケットが管状であり、第1の部分と第2の部分の2個の部分を備え、前記第1の部分の内径が前記第2の部分の内径よりも小さい、請求項14に記載のシース。
【請求項16】
前記シース遠位端部分が、シース制御線通路でも構成される、請求項15に記載のシース。
【請求項17】
前記シース制御線通路の内径が、前記シース内制御線係留及び固定ポケットの前記第1及び第2の部分の各々の内径よりも大きい、請求項16に記載のシース。
【請求項18】
前記シースが、更に、前記シースの内側に沿って、内側を通って、延在し、前記シース内制御線係留及び固定ポケットを介して、前記シース遠位端部分の内側に係留及び固定接続された、シース制御線も備える、請求項14に記載のシース。
【請求項19】
少なくとも1つの前記シース内流体流路が、前記シース遠位端部分の外周面の対向して位置する、直径方向に対向した2個の部分の一対を介して、前記シース遠位端部分の内側を通って、半径方向に、近位-遠位方向に対して非直交して、延在し、完通する、請求項1に記載のシース。
【請求項20】
前記シース遠位端部分が、円柱状基部セクション及び円錐状頂部セクションをその上に有する部材として構成され、少なくとも1つの前記シース内流体流路が、前記シース遠位端部分の前記円柱状基部セクションの内側を通って延在し、完通する、請求項1に記載のシース。
【請求項21】
前記シース内流体流路が、前記シース遠位端部分の前記円柱状基部セクションの内側を通って、半径方向に、近位-遠位方向に対して直交して、延在し、完通する、請求項20に記載のシース。
【請求項22】
前記シース遠位端部分が、円柱状基部セクション及び円錐状頂部セクションをその上に有する部材として構成され、少なくとも1つの前記シース内流体流路が、前記シース遠位端部分の前記円錐状頂部セクションの内側を通って延在し、完通する、請求項1に記載のシース。
【請求項23】
前記シース内流体流路が、前記シース遠位端部分の前記円錐状頂部セクションの内側を通って、半径方向に、近位-遠位方向に対して直交して、延在し、完通する、請求項22に記載のシース。
【請求項24】
前記シース主要部分が、非金属材料、金属材料、ポリマー材料、複合材料及びそれらの組合せからなる群から選択される材料でできた、請求項1に記載のシース。
【請求項25】
前記シース主要部分が非金属ポリマー材料でできた、請求項1に記載のシース。
【請求項26】
前記非金属ポリマー材料がポリエチレンプラスチックである、請求項25に記載のシース。
【請求項27】
前記シース主要部分が多孔質及び/又は非多孔質構造体を含む、請求項1に記載のシース。
【請求項28】
前記多孔質構造体が、支柱及びその間の孔又は空間を有するブレードの形態である、請求項27に記載のシース。
【請求項29】
前記多孔質構造体が、非金属材料、金属材料、ポリマー材料、複合材料及びそれらの組合せからなる群から選択される材料でできた、請求項28に記載のシース。
【請求項30】
前記シース主要部分がブレードとして構成される、請求項1に記載のシース。
【請求項31】
前記ブレードが非金属ポリマー材料でできた、請求項30に記載のシース。
【請求項32】
前記ポリマー材料がポリエチレン(PET)プラスチックである、請求項31に記載のシース。
【請求項33】
前記シース主要部分外面又は外表面がコーティング材料で被覆された、請求項1に記載のシース。
【請求項34】
前記コーティング材料がポリエーテルブロックアミドからなる群から選択される、請求項33に記載のシース。
【請求項35】
前記ポリエーテルブロックアミドがPebax(登録商標)ポリマー樹脂である、請求項34に記載のシース。
【請求項36】
前記シース主要部分内面又は内表面がコーティング材料で被覆された、請求項1に記載のシース。
【請求項37】
前記コーティング材料がポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる群から選択される、請求項36に記載のシース。
【請求項38】
前記シース遠位端部分が、非金属材料、金属材料、ポリマー材料、複合材料及びそれらの組合せからなる群から選択される材料でできた、請求項1に記載のシース。
【請求項39】
前記シース遠位端部分が、円柱状基部セクション及び円錐状頂部セクションをその上に有する部材として構成され、前記円柱状基部セクションと前記円錐状頂部セクションが同じ材料又は異なる材料でできた、請求項1に記載のシース。
【請求項40】
前記シース遠位端部分が、金属材料である単一材料でできた、請求項1に記載のシース。
【請求項41】
前記金属材料がステンレス鋼である、請求項40に記載のシース。
【請求項42】
前記シース遠位端部分が、非金属ポリマー材料である単一材料でできた、請求項1に記載のシース。
【請求項43】
前記ポリマー材料がポリエーテルエーテルケトンである、請求項42に記載のシース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、「Sheath For Use In Performing Surgical Vascular Anastomotic Procedures, and Methods Thereof」と題する2018年11月7日に出願された米国仮特許出願第62/756,871号の米国特許法第119(e)条に基づく優先権の利益を主張するものであり、その内容を参照によりその全体を本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、その一部の実施形態においては、外科的血管吻合術を行うのに使用される技術(装置、方法)に関し、より詳細には、外科的血管吻合術を行うのに使用されるシース及びその適用に関するが、それらに限らない。本発明の一部の実施形態は、冠動脈バイパス移植(CABG)を行うための、「クランプレス」タイプの(端側)外科的血管吻合術における使用に特に適用可能である。
【背景技術】
【0003】
例えば冠動脈バイパス移植(CABG)に採用される外科的血管吻合術を行う際に、シースは、(自己拡張型)吻合孔封止組立品又は要素を非活性な折り畳まれた形状で外側被覆、封入及び保持するのに使用される。こうした術では、血管壁の小さい(針又はシリンジサイズの)孔又は切り口を通してシースを誘導することによって、(折り畳まれた孔封止組立品又は要素をその中に有する)シースを(例えば、大動脈の)血管腔内に導き、配置する。血管腔内部にある間、孔封止組立品又は要素を折り畳まれた形状から活性な自己拡張形状に変換及び活性化するのを容易にするように、シースが孔封止組立品又は要素から除去される。その後、吻合術(例えば、吻合)が宿主血管に対して血管移植片を用いて行われ、続いて(折り畳まれた孔封止組立品又は要素をその中に有する)シースを血管から、最終的には対象から除去する前に、孔封止組立品又は要素を非活性な折り畳まれた形状に戻すように、シースを引いて孔封止組立品又は要素の上に戻し、続いて吻合術を完了する。
【0004】
シースのこうした使用を含む例示的技術(装置、方法)は、特許文献1(Chin,et al.)及び同一出願人/譲受人の特許文献2(2018年11月11日)に開示されている。
【0005】
本発明の分野及び技術分野におけるこれら及び他の教示にもかかわらず、外科的血管吻合術を行うのに使用される新しい及び/又は改良されたシースの開発及び実施が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0079915号A1
【特許文献2】国際公開第2018/203237号A1
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、その一部の実施形態においては、外科的血管吻合術を行うのに使用されるシース及びその適用に関する。本発明の一部の実施形態は、冠動脈バイパス移植(CABG)を行うための、「クランプレス」タイプの(端側)外科的血管吻合術における使用に特に適用可能である。
【0008】
例示的実施形態においては、シースは、管状部材として構成されてシース主要部分遠位端及びシース主要部分近位端を有するシース主要部分を備え、シース主要部分近位端が開口している。シースは、更に、シース主要部分遠位端と連続しており少なくとも1つのシース内流体流路を備えるシース遠位端部分も備え、少なくとも1つのシース内流体流路の各々は、シース遠位端部分の異なる位置にある2個の部分を介して、シース遠位端部分の内側を通って延在し、完通する。シース遠位端部分内の各シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)は、シース全体を通る血管腔流体(血液、水、空気)の連続流、特に、シース(開口)近位端を通って入り、シース(開口)遠位端部分を通って出る血管腔流体の流れを容易にするように構成される(形状及びサイズである)。
【0009】
例示的実施形態においては、シースは、単一のシース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)をシース遠位端部分に備え、又は複数の例示的なシース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)をシース遠位端部分に備える。こうした例示的実施形態においては、シースは、円柱状(円柱形状)の近位端部分、又は円錐状(円錐形状)の近位端部分を有する。例示的実施形態においては、円錐状近位端部分は、(折り畳まれた孔封止組立品又は要素をその中に有する)シースを血管から、最終的には吻合術を受ける対象から除去する前に、孔封止組立品又は要素を非活性な折り畳まれた形状に戻すように、活性な自己拡張型孔封止組立品又は要素の上にシースを引き戻すのをより容易にすることができる。
【0010】
例示的実施形態においては、シース遠位端部分は、シース内制御線係留及び固定ポケット(空洞)、並びにシース制御線通路(トンネル)も備える。例示的実施形態においては、シース内流体流路(トンネル)の1つは、(i)シース内制御線係留及び固定ポケット(空洞)と(ii)シース遠位端部分内のシース制御線通路(トンネル)の組合せとしても構造化され、機能する。例示的実施形態においては、シースは、シースの内側に沿って、内側を通って、延在し、シース内制御線係留及び固定ポケット(空洞)を介して、シース遠位端部分の内側に係留及び固定接続された、シース可撓性制御線も備える。
【0011】
本発明の一部の実施形態の態様によれば、外科的血管吻合術を行うのに使用されるシースが提供される。該シースは、管状部材として構成され、シース主要部分遠位端及びシース主要部分近位端を備え、シース主要部分近位端が開口した、シース主要部分と、シース主要部分遠位端と連続しており少なくとも1つのシース内流体流路を備えるシース遠位端部分であって、少なくとも1つのシース内流体流路の各々は、シース遠位端部分の異なる位置にある2個の部分を介して、シース遠位端部分の内側を通って延在し、完通する、シース遠位端部分とを備え、各シース内流体流路は、シースを通る血管腔流体の連続流を容易にする。
【0012】
本発明の一部の実施形態によれば、シース主要部分とシース遠位端部分は、単一のモノリス構造体として構成され、シース主要部分とシース遠位端部分は、単一の連続構造体として一体的に形成される。本発明の一部の実施形態によれば、シース主要部分とシース遠位端部分は、2個の個別の操作可能に接続可能な構造体として構成される。本発明の一部の実施形態によれば、シース遠位端部分は、シース主要部分の管状遠位端部分に密接に嵌合する近位端部分で構成される。本発明の一部の実施形態によれば、シース主要部分は、シース主要部分開口近位端を含む円錐状近位端部分を有する。
【0013】
本発明の一部の実施形態によれば、少なくとも1つのシース内流体流路のうちの1つは、シース遠位端部分の対向した、直径方向に対向した、中央に位置する2個の部分を介して、シース遠位端部分の内側の中間又は中央の、近位-遠位の、長軸を通って延在し、完通する。
【0014】
本発明の一部の実施形態によれば、シース遠位端部分は、シース内制御線係留及び固定ポケットも備える。
【0015】
本発明の一部の実施形態によれば、シース内制御線係留及び固定ポケットは管状であり、第1の部分と第2の部分の2個の部分を備え、第1の部分の内径が第2の部分の内径よりも小さい。本発明の一部の実施形態によれば、シース遠位端部分は、シース制御線通路でも構成される。本発明の一部の実施形態によれば、シース制御線通路の内径は、シース内制御線係留及び固定ポケットの第1及び第2の部分の各々の内径よりも大きい。本発明の一部の実施形態によれば、シースは、更に、シースの内側に沿って、内側を通って、延在し、シース内制御線係留及び固定ポケットを介して、シース遠位端部分の内側に係留及び固定接続された、シース制御線も備える。
【0016】
本発明の一部の実施形態によれば、少なくとも1つのシース内流体流路は、シース遠位端部分の対向した、直径方向に対向した、中央以外に位置する2個の部分を介して、シース遠位端部分の内側の中間以外又は中央以外の、近位-遠位の、長軸を通って延在し、完通する。
【0017】
本発明の一部の実施形態によれば、少なくとも1つのシース内流体流路は、シース遠位端部分の外周面の対向して位置する、直径方向に対向した2個の部分の一対を介して、シース遠位端部分の内側を通って、半径方向に、近位-遠位方向に対して直交して、延在し、完通する。
【0018】
本発明の一部の実施形態によれば、シース遠位端部分は、シース内制御線係留及び固定ポケットも備える。本発明の一部の実施形態によれば、シース内制御線係留及び固定ポケットは管状であり、第1の部分と第2の部分の2個の部分を備え、第1の部分の内径が第2の部分の内径よりも小さい。本発明の一部の実施形態によれば、シース遠位端部分は、シース制御線通路でも構成される。本発明の一部の実施形態によれば、シース制御線通路の内径は、シース内制御線係留及び固定ポケットの第1及び第2の部分の各々の内径よりも大きい。本発明の一部の実施形態によれば、シースは、更に、シースの内側に沿って、内側を通って、延在し、シース内制御線係留及び固定ポケットを介して、シース遠位端部分の内側に係留及び固定接続された、シース制御線も備える。
【0019】
本発明の一部の実施形態によれば、少なくとも1つのシース内流体流路は、シース遠位端部分の外周面の対向して位置する、直径方向に対向した2個の部分の一対を介して、近位-遠位方向に対して半径方向に、非直交して、シース遠位端部分の内側を通って延在し、完通する。
【0020】
本発明の一部の実施形態によれば、シース遠位端部分は、円柱状基部セクション及び円錐状頂部セクションをその上に有する部材として構成され、少なくとも1つのシース内流体流路は、シース遠位端部分の円柱状基部セクションの内側を通って延在し、完通する。
【0021】
本発明の一部の実施形態によれば、シース内流体流路は、シース遠位端部分の円柱状基部セクションの内側を通って、半径方向に、近位-遠位方向に対して直交して、延在し、完通する。
【0022】
本発明の一部の実施形態によれば、シース遠位端部分は、円柱状基部セクション及び円錐状頂部セクションをその上に有する部材として構成され、少なくとも1つのシース内流体流路は、シース遠位端部分の円錐状頂部セクションの内側を通って延在し、完通する。
【0023】
本発明の一部の実施形態によれば、シース内流体流路は、半径方向に、近位-遠位方向に対して直交して、シース遠位端部分の円錐状頂部セクションの内側を通って延在し、完通する。
【0024】
本発明の一部の実施形態によれば、シース主要部分は、非金属材料、金属材料、ポリマー材料、複合材料及びそれらの組合せからなる群から選択される材料でできている。本発明の一部の実施形態によれば、シース主要部分は非金属ポリマー材料でできている。本発明の一部の実施形態によれば、非金属ポリマー材料はポリエチレンプラスチックである。
【0025】
本発明の一部の実施形態によれば、シース主要部分は、多孔質及び/又は非多孔質構造体を含む。本発明の一部の実施形態によれば、多孔質構造体は、支柱及びその間の孔又は空間を有するブレード(braid)の形態である。本発明の一部の実施形態によれば、多孔質構造体は、非金属材料、金属材料、ポリマー材料、複合材料及びそれらの組合せからなる群から選択される材料でできている。
【0026】
本発明の一部の実施形態によれば、シース主要部分は、ブレードとして構成される。本発明の一部の実施形態によれば、ブレードは、非金属ポリマー材料でできている。本発明の一部の実施形態によれば、ポリマー材料はポリエチレン(PET)プラスチックである。
【0027】
本発明の一部の実施形態によれば、シース主要部分外面又は外表面は、コーティング材料で被覆される。本発明の一部の実施形態によれば、コーティング材料は、ポリエーテルブロックアミドからなる群から選択される。本発明の一部の実施形態によれば、ポリエーテルブロックアミドは、Pebax(登録商標)ポリマー樹脂である。本発明の一部の実施形態によれば、シース主要部分内面又は内表面は、コーティング材料で被覆される。本発明の一部の実施形態によれば、コーティング材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる群から選択される。
【0028】
本発明の一部の実施形態によれば、シース遠位端部分は、非金属材料、金属材料、ポリマー材料、複合材料及びそれらの組合せからなる群から選択される材料でできている。本発明の一部の実施形態によれば、シース遠位端部分は、円柱状基部セクション及び円錐状頂部セクションをその上に有する部材として構成され、円柱状基部セクションと円錐状頂部セクションは同じ材料又は異なる材料でできている。本発明の一部の実施形態によれば、シース遠位端部分は、金属材料である単一材料でできている。本発明の一部の実施形態によれば、金属材料はステンレス鋼である。
【0029】
本発明の一部の実施形態によれば、シース遠位端部分は、非金属ポリマー材料である単一材料でできている。本発明の一部の実施形態によれば、ポリマー材料はポリエーテルエーテルケトンである。
【0030】
本明細書において使用するすべての技術的または/および科学的単語、用語、または/および表現は、本明細書における別段の具体的な定義または記述のない限り、本発明が関連する技術分野の当業者が通常理解するのと同一または同様の意味を有する。本明細書において例示的に記載する方法(ステップ、手順)、装置(デバイス、システム、これらの構成要素)、機器、および材料は、例示および説明を目的としているに過ぎず、必ずしも限定的なものではない。本発明の実施形態の実現または/および試験においては、本明細書に記載したものと同等または類似の方法、装置、機器、および材料を使用可能であるが、以下では、説明を目的として、例示的な方法、装置、機器、および材料を記載する。矛盾する場合は、定義を含めて、本特許明細書が優先する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本明細書においては、添付の図面を参照しつつ、本発明のいくつかの実施形態を一例として説明する。以下、図面を具体的に詳しく参照するが、図示の詳細は、一例であって、本発明のいくつかの実施形態の例示的な説明を目的としたものであることを強調する。この点において、添付の図面と併せた説明により、本発明のいくつかの実施形態の実現方法が当業者には明らかとなり得る。
図1】本発明の一部の実施形態に係る、(円柱状近位端部分を有する)シースの例示的実施形態の模式的斜視図であり、シース遠位端部分における単一の例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)の外観を強調したものである。
図2】本発明の一部の実施形態に係る、(円柱状近位端部分を有する)シースの例示的実施形態の側面図であり、シース遠位端部分における単一の例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)の外観を強調したものである。
図3】本発明の幾つかの別の実施形態に係る、(円錐状近位端部分を有する)シースの例示的実施形態の模式的斜視図であり、シース遠位端部分における単一の例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)の外観を強調したものである。
図4】本発明の幾つかの別の実施形態に係る、(円錐状近位端部分を有する)シースの例示的実施形態の側面図であり、シース遠位端部分における単一の例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)の外観を強調したものである。
図5】本発明の一部の実施形態に係る、円柱状近位端部分を有する、シースの例示的実施形態の模式的分解側面図であり、2個の個別の操作可能に接続可能な構造体(部品)として構成されるシース主要部分(管状部材)及びシース遠位端部分を強調したものである。
図6】本発明の一部の実施形態に係る、円錐状近位端部分を有する、シースの例示的実施形態の模式的分解側面図であり、2個の個別の操作可能に接続可能な構造体(部品)として構成されるシース主要部分(管状部材)及びシース遠位端部分を強調したものである。
図7】本発明の一部の実施形態に係る、円柱状近位端部分を有する、シース主要部分(シャフト)の例示的実施形態の模式的側面図であり、シース主要部分(管状部材)の外面のコーティングを強調したものである。
図8】本発明の一部の実施形態に係る、円錐状近位端部分を有する、シース主要部分(シャフト)の例示的実施形態の模式的側面図であり、シース主要部分(管状部材)の外面のコーティングを強調したものである。
図9】本発明の一部の実施形態に係る、円柱状近位端部分を有するシースの例示的実施形態の模式的断面であり、シース遠位端部分内側の、[例示的シース内制御線係留及び固定ポケット(空洞)と例示的シース制御線通路(トンネル)との組合せとしても構造化され、機能する]単一の例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)の内部の様子及び構成を強調したものである。
図10】本発明の一部の実施形態に係る、円柱状近位端部分を有するシースの例示的実施形態の分解断面側面図であり、シース遠位端部分内側の、[例示的シース内制御線係留及び固定ポケット(空洞)と例示的シース制御線通路(トンネル)との組合せとしても構造化され、機能する]単一の例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)の内部の様子及び構成を強調したものである。
図11】本発明の一部の実施形態に係る、円錐状近位端部分を有するシースの例示的実施形態の模式的断面であり、シース遠位端部分内側の、[例示的シース内制御線係留及び固定ポケット(空洞)と例示的シース制御線通路(トンネル)との組合せとして構造化され、機能もする]単一の例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)の内部の様子及び構成を強調したものである。
図12】本発明の一部の実施形態に係る、円錐状近位端部分を有するシースの例示的実施形態の分解断面側面図であり、シース遠位端部分内側の、[例示的シース内制御線係留及び固定ポケット(空洞)と例示的シース制御線通路(トンネル)との組合せとして構造化され、機能もする]単一の例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)の内部の様子及び構成を強調したものである。
図13】本発明の一部の実施形態に係る、シース遠位端部分の例示的実施形態の模式的近接斜視図である。
図14】本発明の一部の実施形態に係る、シース遠位端部分の例示的実施形態の模式的近接断面側面図である。
図15】本発明の一部の実施形態に係る、円柱状近位端部分を有する、シースの例示的実施形態の模式的斜視図であり、シースの内側に沿って、内側を通って、延在する例示的シース可撓性制御線を含むことを強調したものである。
図16】本発明の一部の実施形態に係る、円錐状近位端部分を有する、シースの例示的実施形態の模式的斜視図であり、シースの内側に沿って、内側を通って、延在する例示的シース可撓性制御線を含むことを強調したものである。
図17】本発明の一部の実施形態に係る、円柱状近位端部分を有する、シースの例示的実施形態の模式的断面側面図であり、シース遠位端部分の内側に係留及び固定接続されたシース可撓性制御線を強調したものである。
図18】本発明の一部の実施形態に係る、円錐状近位端部分を有する、シースの例示的実施形態の模式的断面側面図であり、シース遠位端部分の内側に係留及び固定接続されたシース可撓性制御線を強調したものである。
図19】本発明の一部の実施形態に係る、シース遠位端部分の例示的実施形態の模式的近接断面側面図であり、シース可撓性制御線のその中の係留及び固定接続を強調したものである。
図20】本発明の一部の実施形態に係る、(円柱状近位端部分を有する)シースの例示的実施形態の模式的斜視図であり、シース遠位端部分における複数の例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)の外観を強調したものである。
図21】本発明の一部の実施形態に係る、(円柱状近位端部分を有する)シースの例示的実施形態の側面図であり、シース遠位端部分における複数の例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)の外観を強調したものである。
図22】本発明の一部の実施形態に係る、(円錐状近位端部分を有する)シースの別の例示的実施形態の模式的斜視図であり、シース遠位端部分における複数の例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)の外観を強調したものである。
図23】本発明の一部の実施形態に係る、(円錐状近位端部分を有する)シースの別の例示的実施形態の側面図であり、シース遠位端部分における複数の例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)の外観を強調したものである。
図24】本発明の一部の実施形態に係る、円柱状近位端部分を有する、シースの例示的実施形態の模式的分解側面図であり、2個の個別の操作可能に接続可能な構造体(部品)として構成されるシース主要部分(管状部材)及び(円柱状基部及び円錐状頂部をその上に備える)シース遠位端部分を強調したものである。
図25】本発明の一部の実施形態に係る、円錐状近位端部分を有する、シースの例示的実施形態の模式的分解側面図であり、2個の個別の操作可能に接続可能な構造体(部品)として構成されるシース主要部分(管状部材)及び(円柱状基部及び円錐状頂部をその上に備える)シース遠位端部分を強調したものである。
図26】本発明の一部の実施形態に係る、円柱状近位端部分を有する、シース主要部分(シャフト)の例示的実施形態の模式的側面図であり、シース主要部分(管状部材)の外面のコーティングを強調したものである。
図27】本発明の一部の実施形態に係る、円錐状近位端部分を有する、シース主要部分(シャフト)の例示的実施形態の模式的側面図であり、シース主要部分(管状部材)の外面のコーティングを強調したものである。
図28】本発明の一部の実施形態に係る、円柱状近位端部分を有するシースの例示的実施形態の模式的断面であり、(i)2つの例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)、(ii)例示的シース内制御線係留及び固定ポケット(空洞)、並びに(iii)例示的シース制御線通路(トンネル)の内部の様子及び構成を強調したものであり、(ii)と(iii)の組合せは、シース遠位端部分内側の、別の例示的シース内流体流路(トンネル)としても構造化され、機能する。
図29】本発明の一部の実施形態に係る、円柱状近位端部分を有するシースの例示的実施形態の分解断面側面図であり、(i)2つの例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)、(ii)例示的シース内制御線係留及び固定ポケット(空洞)、並びに(iii)例示的シース制御線通路(トンネル)の内部の様子及び構成を強調したものであり、(ii)と(iii)の組合せは、シース遠位端部分内側の、別の例示的シース内流体流路(トンネル)としても構造化され、機能する。
図30】本発明の一部の実施形態に係る、円錐状近位端部分を有するシースの例示的実施形態の模式的断面であり、(i)2つの例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)、(ii)例示的シース内制御線係留及び固定ポケット(空洞)、並びに(iii)例示的シース制御線通路(トンネル)の内部の様子及び構成を強調したものである。(ii)と(iii)の組合せは、シース遠位端部分内側の、別の例示的シース内流体流路(トンネル)としても構造化され、機能する。
図31】本発明の一部の実施形態に係る、円錐状近位端部分を有するシースの例示的実施形態の分解断面側面図であり、(i)2つの例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)、(ii)例示的シース内制御線係留及び固定ポケット(空洞)、並びに(iii)例示的シース制御線通路(トンネル)の内部の様子及び構成を強調したものである。(ii)と(iii)の組合せは、シース遠位端部分内側の、別の例示的シース内流体流路(トンネル)としても構造化され、機能する。
図32】本発明の一部の実施形態に係る、(円柱状基部及び円錐状頂部をその上に備える)シース遠位端部分の例示的実施形態の模式的近接斜視図である。
図33】本発明の一部の実施形態に係る、(円柱状基部及び円錐状頂部をその上に備える)シース遠位端部分の例示的実施形態の模式的近接断面側面図である。
図34】本発明の一部の実施形態に係る、(円柱状近位端部分を有する)シースの例示的実施形態の模式的斜視図であり、シースの内側に沿って、内側を通って、延在する例示的シース可撓性制御線を含むことを強調したものである。
図35】本発明の一部の実施形態に係る、(円柱状近位端部分を有する)シースの例示的実施形態の模式的斜視図であり、シースの内側に沿って、内側を通って、延在する例示的シース可撓性制御線を含むことを強調したものである。
図36】本発明の一部の実施形態に係る、(円錐状近位端部分を有する)シースの例示的実施形態の模式的斜視図であり、シースの内側に沿って、内側を通って、延在する例示的シース可撓性制御線を含むことを強調したものである。
図37】本発明の一部の実施形態に係る、(円錐状近位端部分を有する)シースの例示的実施形態の模式的斜視図であり、シースの内側に沿って、内側を通って、延在する例示的シース可撓性制御線を含むことを強調したものである。
図38】本発明の一部の実施形態に係る、シース遠位端部分の一部の例示的実施形態の模式的近接斜視図であり、その中のシース可撓性制御線の構成を強調したものである。
図39】本発明の一部の実施形態に係る、シース遠位端部分の一部の例示的実施形態の模式的近接側面図であり、その中のシース可撓性制御線の構成を強調したものである。
図40】本発明の一部の実施形態に係る、円柱状近位端部分を有する、シースの例示的実施形態の模式的断面側面図であり、シース遠位端部分の内側に係留及び固定接続されたシース可撓性制御線を強調したものである。
図41】本発明の一部の実施形態に係る、円錐状近位端部分を有する、シースの例示的実施形態の模式的断面側面図であり、シース遠位端部分の内側に係留及び固定接続されたシース可撓性制御線を強調したものである。
図42】本発明の一部の実施形態に係る、シース遠位端部分の例示的実施形態の模式的近接断面側面図であり、シース可撓性制御線のその中の係留及び固定接続を強調したものである。
図43A】本発明の一部の実施形態に係る、例示的孔封止組立品及び例示的吻合孔生成装置と一緒に、[シース遠位端部分における単一の例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)、及び円柱状近位端部分を含む]シース400の実施の例示的実施形態の略図である。
図43B】本発明の一部の実施形態に係る、例示的孔封止組立品及び例示的吻合孔生成装置と一緒に、[シース遠位端部分における単一の例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)、及び円柱状近位端部分を含む]シース400の実施の例示的実施形態の略図である。
図44A】本発明の一部の実施形態に係る、例示的孔封止組立品及び例示的吻合孔生成装置と一緒に、[シース遠位端部分における単一の例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)、及び円錐状近位端部分を含む]シース401の実施の例示的実施形態の略図である。
図44B】本発明の一部の実施形態に係る、例示的孔封止組立品及び例示的吻合孔生成装置と一緒に、[シース遠位端部分における単一の例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)、及び円錐状近位端部分を含む]シース401の実施の例示的実施形態の略図である。
図45A】本発明の一部の実施形態に係る、例示的孔封止組立品及び例示的吻合孔生成装置と一緒に、[シース遠位端部分における複数の例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)、及び円柱状近位端部分を含む]シース500の実施の例示的実施形態の略図である。
図45B】本発明の一部の実施形態に係る、例示的孔封止組立品及び例示的吻合孔生成装置と一緒に、[シース遠位端部分における複数の例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)、及び円柱状近位端部分を含む]シース500の実施の例示的実施形態の略図である。
図46A】本発明の一部の実施形態に係る、例示的孔封止組立品及び例示的吻合孔生成装置と一緒に、[シース遠位端部分における複数の例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)、及び円錐状近位端部分を含む]シース501の実施の例示的実施形態の略図である。
図46B】本発明の一部の実施形態に係る、例示的孔封止組立品及び例示的吻合孔生成装置と一緒に、[シース遠位端部分における複数の例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)、及び円錐状近位端部分を含む]シース501の実施の例示的実施形態の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、その一部の実施形態においては、外科的血管吻合術を行うのに使用されるシース及びその適用に関する。本発明の一部の実施形態は、冠動脈バイパス移植(CABG)を行うための、「クランプレス」タイプの(端側)外科的血管吻合術における使用に特に適用可能である。
【0033】
例示的実施形態においては、シースは、管状部材として構成されてシース主要部分遠位端及びシース主要部分近位端を有するシース主要部分を備え、シース主要部分近位端が開口している。シースは、更に、シース主要部分遠位端と連続しており少なくとも1つのシース内流体流路を備えるシース遠位端部分も備え、少なくとも1つのシース内流体流路の各々は、シース遠位端部分の異なる位置にある2個の部分を介して、シース遠位端部分の内側を通って延在し、完通する。シース遠位端部分内の各シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)は、シース全体を通る血管腔流体(血液、水、空気)の連続流、特に、シース(開口)近位端を通って入り、シース(開口)遠位端部分を通って出る血管腔流体の流れを容易にするように構成される(形状及びサイズである)。
【0034】
例示的実施形態においては、シースは、単一のシース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)をシース遠位端部分に備え、又は複数の例示的なシース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)をシース遠位端部分に備える。こうした例示的実施形態においては、シースは、円柱状(円柱形状)の近位端部分、又は円錐状(円錐形状)の近位端部分を有する。例示的実施形態においては、円錐状近位端部分は、(折り畳まれた孔封止組立品又は要素をその中に有する)シースを血管から、最終的には吻合術を受ける対象から除去する前に、孔封止組立品又は要素を非活性な折り畳まれた形状に戻すように、活性な自己拡張型孔封止組立品又は要素の上にシースを引き戻すのをより容易にすることができる。
【0035】
例示的実施形態においては、シース遠位端部分は、シース内制御線係留及び固定ポケット(空洞)、並びにシース制御線通路(トンネル)も備える。例示的実施形態においては、シース内流体流路(トンネル)の1つは、(i)シース内制御線係留及び固定ポケット(空洞)と(ii)シース遠位端部分内のシース制御線通路(トンネル)の組合せとしても構造化され、機能する。例示的実施形態においては、シースは、シースの内側に沿って、内側を通って、延在し、シース内制御線係留及び固定ポケット(空洞)を介して、シース遠位端部分の内側に係留及び固定接続された、シース可撓性制御線も備える。
【0036】
本発明の実施では、外科的血管吻合術、特に、冠動脈バイパス術(CABG)において採用される吻合術と関連する様々な問題の少なくとも一部に対処して克服しようとする。例えば、本発明は、血管内壁において末梢が封止された吻合孔を非侵襲的に生成するための吻合術において、クランプを使用せずに実施することができ、それによって、宿主血管における血流を維持しながら、吻合孔の周囲の末梢血漏出を防止又は最小限にすることができる。こうした実施は、より安全な外科的条件を提供し、心臓外科チームが、吻合術に加えて、またその実施中に、血管の吻合孔を末梢で封止するための複雑な手術行為を行う必要性をなくし、又はかなり軽減させる。
【0037】
同一出願人/譲受人の特許文献2(2018年11月11日)には、外科的血管吻合術に使用するための装置及び方法が開示されている。そこでは、例示的装置は、血管内壁(BVIW)封止及び孔形成装置、並びに孔形成作動装置を備える。BVIW封止及び孔形成装置は、孔封止装置及び吻合孔生成装置を備える。孔封止装置は、シース、孔封止組立品、手動孔封止制御装置組立品、及び可撓性チューブに封入されたシース可撓性制御線を備える。
【0038】
その中で開示されているように、例示的実施形態においては、シースは、(i)孔封止組立品を非活性な折り畳まれた形状で外側被覆し、密接に嵌合し、完全に封入し、保持するように構成され、(ii)血管壁を通り、その血管内壁セグメントに沿って、例えば、開業医によって針又はシリンジを用いて、前もって作られた(例示的直径約0.8~1.0mmの)比較的極めて小さな孔を通過することによって、(例えば、大動脈の)血管腔に非侵襲的に完全に(折り畳まれた孔封止組立品をその中に保持して)入るように構成される。その中で更に開示されているように、例示的実施形態においては、シースは、その近位端が開口した主要部分(すなわち、シャフト)及びその遠位端(すなわち、先細の先端又は頂端)が閉じた円錐状(すなわち、円錐又は円錐形状の)遠位端部分を有する管状部材として構成される。こうした例示的実施形態においては、シース円錐状遠位端は、最大外径がシース主要部分の外径よりも小さく、血管壁を通して(前もって)形成された極めて小さな孔の直径よりも小さい。
【0039】
(その遠位端(先細の先端又は頂端)が閉じた円錐状遠位端部分を有する)シースのこうした例示的実施形態の実際の(インビボ)実施の間に、本発明者らは、シースが(孔封止組立品をその非活性な折り畳まれた形状に戻すように)孔封止組立品の上及び上方に引き戻されるときに、孔封止組立品が戻ってシースに入ると、血管腔に以前に捕捉されていた流体(特に、血液、更には水及び/又は空気)が置換され、次いでシース近位端の内側から流出し、それに伴い、孔封止組立品をシースに完全に戻すことがやや困難になることを認めた。本発明者らは、こうしたシナリオにおいては、(折り畳まれた孔封止組立品をその中に有する)シースを血管腔に挿入後、かつ折り畳まれた孔封止組立品からシースを除去後、血管腔流体(血液、水、空気)がシース内に捕捉されると結論した。シース内の血管腔流体のこうした捕捉は、シース内の圧力を増加させ、孔封止組立品をシース内のその非活性な折り畳まれた形状に戻すために、その後にシースを拡張された孔封止組立品の上及び上方に引き戻すのをより困難にする。
【0040】
本発明者らは、ある場合には、(例えば、約10分を必要とする)吻合中に、血液が、シース内の空間を占める血栓を形成する程度まで、シース内に蓄積し、ひいては(シースが血栓で満たされ、それによって、孔封止組立品を完全に収容するためのシース内の空間が不十分又は残っていないので)孔封止組立品を完全に閉じてシース内に戻すのを、不可能ではなくても、極めて困難にすることも認めた。
【0041】
(その遠位端(先細の先端又は頂端)が閉じた円錐状遠位端部分を有する)シースのこうした例示的実施形態に関連する上記の制限に対処し、それを克服するために、本発明者らは、管状部材として構成されてシース主要部分遠位端及びシース主要部分近位端を有するシース主要部分を備え、シース主要部分近位端が開口した、シースの新しい例示的実施形態を開発した。こうした例示的実施形態においては、シースは、シース主要部分遠位端と連続しており少なくとも1つのシース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)を有するシース遠位端部分も備え、少なくとも1つのシース内流体流路(トンネル)の各々は、シース遠位端部分の異なる位置にある2個の部分を介して、シース遠位端部分の内側を通って延在し、完通する。
【0042】
シースのこうした新しい例示的実施形態によれば、シース遠位端部分内の各シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)は、シース全体を通る血管腔流体(血液、水、空気)の連続流、特に、シース(開口)近位端を通って入り、シース(開口)遠位端部分を通って出る血管腔流体の流れを容易にするように構成される(形状及びサイズである)。シースのこうした新しい例示的実施形態においては、各シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)は、シース全体を通る血管腔流体の連続流を容易に促進するのに十分な直径を有し、それによって、シース内の血液貯留及び起こり得る血栓形成を防止する。本発明者らは、シースのこうした新しい例示的実施形態では、シース内の(一時的な)血液貯留及び血栓形成を含むシナリオでも、シースが(孔封止組立品をその非活性な折り畳まれた形状に戻すように)孔封止組立品の上及び上方に引き戻されるときに、孔封止組立品が戻ってシースに入ると、1つ以上のシース内流体流路(トンネル)を通って、最終的にはシース遠位端部分を通って、シース遠位端部分の外に、貯留血液及び血栓をシース内部から容易に押し出して、置換することを認めた。
【0043】
同一出願人/譲受人の特許文献2に更に開示されたように、例示的実施形態においては、シース遠位端部分の内側は、例えばその遠位端において、シースの動き及び位置決め、並びに孔封止組立品のその非活性な折り畳まれた形状からその活性な自己拡張形状への、また、その逆の変換(活性化)を制御するシース可撓性制御線の遠位端に固定接続される。シース遠位端部分の内側への可撓性制御線の遠位端部分の係留及び固定を改善するために、本発明者らは、シース遠位端部分の内側がシース内制御線係留及び固定ポケット(又は空洞)で構成されたシースの新しい例示的実施形態も開発した。シース内制御線係留及び固定ポケット(空洞)は、その変位、又はシース遠位端部分内側からのシース制御線の退出さえももたらし得る、シース制御線遠位端部分の可能な横方向及び/又は(近位-遠位)縦方向の動きを防止する、又は少なくとも最小限にするように構成される(形状及びサイズである)。
【0044】
本発明の例示的実施形態を更に理解するために、以下のその説明のための記述においては、図面を参照されたい。以下の記述及び添付図面を通して、同じ参照番号は、本明細書に開示される発明の同じ構造体、成分/部品、要素又は特徴を指す。更に、本明細書を通して、「近位」及び「遠位」という標準的な用語は、本明細書に開示される発明の構造体、成分/部品、要素又は特徴の相対的な場所、位置及び方向を示すために使用される。明瞭さ及び一貫性のために、これらの同じ用語が図面でも示される。本明細書に開示される発明の成分/部品、要素及び構造的特徴の例示的構成材料及びサイズ寸法は、本明細書の末尾付近で個々に示される。
【0045】
本発明は必ずしも、以下の例示的な説明に示す例示的な装置または/およびデバイスの構成要素の構成または/および配置の特定の詳細にも、例示的な方法のステップまたは手順の如何なる特定の順序にも用途が限定されないことが了解されるものとする。また、本発明は必ずしも、外科的血管吻合術での使用に用途が限定されない。本発明は、他の例示的な実施形態が可能であるとともに、様々な医療用途において、様々な実施または実行が可能である。
【0046】
本発明の態様は、外科的血管吻合術を行うのに使用されるシースの態様である。例示的実施形態においては、シースは、管状部材として構成されてシース主要部分遠位端及びシース主要部分近位端を有するシース主要部分を備え、シース主要部分近位端が開口している。こうした例示的実施形態においては、シースは、シース主要部分遠位端と連続しており少なくとも1つのシース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)を有するシース遠位端部分も備え、少なくとも1つのシース内流体流路(トンネル)の各々は、シース遠位端部分の異なる位置にある2個の部分を介して、シース遠位端部分の内側を通って延在し、完通する。例示的実施形態においては、シースは、例えば、2つ以上のシース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)を備える。
【0047】
シース遠位端部分における単一の例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)を有するシースの例示的実施形態
図1及び2は、それぞれ、円柱状(円柱形状)近位端部分を有する、[参照番号400として示され、表される]シースの例示的実施形態の模式的斜視図及び側面図であり、シース遠位端部分における単一の例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)の外観を強調したものである。図3及び4は、それぞれ、円錐状(円錐形状)近位端部分を有する、[参照番号401として示され、表される]シースの別の例示的実施形態の模式的斜視図及び側面図であり、シース遠位端部分における単一の例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)の外観を強調したものである。
【0048】
図5~19は、シース400及び401の例示的実施形態、並びにその種々の構造的及び機能的(操作的)特徴及び特性の追加の説明を提供する。図43A~43B及び44A~44Bは、シース400及び401の例示的適用を示す。
【0049】
図1~19は、単一の例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)410をシース遠位端部分406内に備える例示的シース400及び401を非限定的様式で示すが、例示的シース400又は401は、複数(2つ以上)の例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)をシース遠位端部分406に有することもでき、各シース内流体流路(トンネル)は、シース遠位端部分406の異なる位置にある2個の部分を介して、シース遠位端部分406の内側を通って延在し、完通する。例えば、以下に説明のために更に記述するように、図20~42は、複数の例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)をシース遠位端部分506に備える例示的シース500及び501を示す。
【0050】
図3及び4に示す例示的シース401は、シース近位端部分の特定の幾何学的形状(及びそのサイズ寸法)を除いて、図1及び2に示した例示的シース400と同じ構造的特徴及び特性を有する。すなわち、図1及び2においては、例示的シース400及びそのシース主要部分402は円柱状近位端部分402pepを有し、一方、図3及び4においては、例示的シース401及びシース主要部分403は円錐状近位端部分403pepを有し、それぞれの近位端部分に対応して異なるサイズ寸法を有する。
【0051】
図1及び2に示すように、例示的実施形態においては、シース400は、管状部材(例えば、中空シャフト)として構成されてシース主要部分遠位端402de及びシース主要部分近位端402peを有するシース主要部分402を備え、シース主要部分近位端402peは開口している。シース400は、シース主要部分遠位端402deと連続し、シース遠位端部分406の異なる位置にある2個の部分、例えば、(例えば、図面では点線で参照される)部分406a及び406bを介して、シース遠位端部分406の内側を通って延在し、完通する[例えば、図1及び2では破線410で示される]少なくとも1つの(例えば、単一の)例示的シース内流体(血液、水、空気)流路410を有する、シース遠位端部分406も備える。
【0052】
図3及び4に示すように、例示的実施形態においては、シース401は、管状部材(例えば、中空シャフト)として構成されてシース主要部分遠位端403de及びシース主要部分近位端403peを有するシース主要部分403を備え、シース主要部分近位端403peは開口している。シース401は、シース主要部分遠位端403deと連続し、シース遠位端部分406の異なる位置にある2個の部分、例えば、部分406a及び406bを介して、シース遠位端部分406の内側を通って延在し、完通する[例えば、図3及び4では破線410で示される]単一の例示的シース内流体(血液、水、空気)流路410を有する、シース遠位端部分406も備える。
【0053】
例示的シース400及び401においては、シース主要部分(管状部材)402及び403は、それぞれ、シース主要部分402及び403の全体に沿って(近位-遠位に)延在する、それぞれ、壁402w及び403wを有する。例示的シース400においては、近位端部分402pepは、例えばシース主要部分(管状部材)402のそれと同じ円柱状形状及びサイズ寸法を有する、円柱状である。例示的シース401においては、近位端部分403pepは、円錐状であり、それによって、円柱状シース主要部分(管状部材)403の残部とは異なる幾何学的形状を有する。例示的シース401においては、近位端部分403pepは、頂端403a及び基部403bを有し、基部403bの直径は頂端403aの直径よりも大きい。(例えば、図44A~44Bに示すように)本発明の一部の適用においては、基部403bの直径が頂端403aの直径よりも大きい、円錐状近位端部分403pepを有する例示的シース401を使用すると、(折り畳まれた孔封止組立品又は要素をその中に有する)シース401を血管から、最終的には吻合術を受ける対象から除去する前に、孔封止組立品又は要素を非活性な折り畳まれた形状に戻すように、活性な自己拡張型孔封止組立品又は要素上にシース401を引き戻すのをより容易にすることができる。
【0054】
例示的実施形態においては、シース遠位端部分406は、(例えば、図5、6、10及び12~14に示すように)遠位端406de及び近位端406peを有する円柱状部材として構成される。遠位端406de及び近位端406peの各々は、シース遠位端部分406のそれぞれ異なる(例えば、対向した、又は直径方向に対向した)位置にある2個の部分406a及び406bを介して、シース遠位端部分406の内側を通って延在し、完通する、単一の例示的シース内流体(血液、水、空気)流路410の(遠位及び近位)開口に対応する開口(例えば、孔)を含む。
【0055】
例示的実施形態においては、シース主要部分(シャフト)402又は403とシース遠位端部分406は、単一の一体型のモノリス構造体として構成され、シース主要部分(シャフト)402又は403とシース遠位端部分506は、単一の連続構造体として一体的に形成される。別の例示的実施形態においては、シース主要部分(シャフト)402又は403とシース遠位端部分406は、例えば、図5、6、10及び12において最も顕著である、2個の個別の操作可能に接続可能な(取り付け可能な)構造体(部品)として構成される。
【0056】
図5及び6は、それぞれ、円柱状近位端部分402pep[図5、シース400]及び円錐状近位端部分403pep[図6]を有する、シースの例示的実施形態の模式的分解側面図であり、2個の個別の操作可能に接続可能な構造体(部品)として構成されるシース主要部分(管状部材)402又は403及びシース遠位端部分406を強調したものである。こうした例示的実施形態においては、例えば、円柱状シース遠位端部分406は、シース主要部分402又は403の管状遠位端部分402dep内に密接に(ぴったりと)嵌合する近位端部分406pepで構成される。例えば、近位端部分406pepは、外径が、シース主要部分402又は403の遠位端部分402depの内径よりもわずかに小さい。
【0057】
例示的実施形態においては、シース主要部分(シャフト)402又は403の外面又は外表面は、コーティング材料で被覆される。図7及び8は、それぞれ、円柱状近位端部分402pep[図7]又は円錐状近位端部分403pep[図8]を有するシース主要部分(シャフト)402又は403の例示的実施形態の模式的側面図であり、それぞれのシース主要部分(管状部材)402又は403の外面上のコーティング、例えばコーティング420を強調したものである。
【0058】
例示的実施形態においては、図9~12、17及び18に示すように、シース主要部分(シャフト)402又は403の内面又は内表面は、コーティング(ライニング)材料、例えば、コーティング(ライニング)材料425で被覆(ライニング)される。例示的実施形態においては、コーティング材料425は、摩擦低減タイプのコーティング材料である。こうした例示的実施形態においては、摩擦低減タイプの内面又は内表面コーティング材料を使用すると、(折り畳まれた孔封止組立品又は要素をその中に有する)シースを血管から、最終的には吻合術を受ける対象から除去する前に、孔封止組立品又は要素を非活性な折り畳まれた形状に戻すように、活性な自己拡張型孔封止組立品又は要素の上にシース400又は401を引き戻すのを容易にする助けになる。
【0059】
シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)
図面(例えば、図1~6及び9~12)に示すように、例示的シース400又は401においては、シース遠位端部分406は、シース主要部分遠位端402de又は403deと連続し、シース遠位端部分406の異なる位置にある2個の部分、例えば、部分406a及び406bを介して、シース遠位端部分406の内側を通って延在し、完通する、単一の例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)410を備える。こうした例示的実施形態においては、例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)410は、シース遠位端部分406の対向した(直径方向に対向した)中央に位置する2個の部分406a及び406bを介して、シース遠位端部分406の内側の中間又は中央(近位-遠位)長軸を通って延在し、完通する。
【0060】
例示的シース内流体流路(トンネル)410の延在及び通過は、シース遠位端部分406の対向した(直径方向に対向した)中央に位置する2個の部分406a及び406bを介して、シース遠位端部分406の内側の中間又は中央(近位-遠位)長軸に全体的に沿い、それを通ることに限定されない。別の例示的実施形態においては、例示的シース内流体(血液、水、空気)流路410は、シース遠位端部分406の対向した(直径方向に対向した)中央以外に位置する2個の部分406a及び406bを介して、シース遠位端部分406の内側の中間以外又は中央以外の(近位-遠位)長軸を通って延在し、完通する。
【0061】
シース遠位端部分406の異なる位置にある2個の部分の対応する数の対を介して、シース遠位端部分406の内側を全体的に通る少なくとも1つのシース内流体流路(トンネル)の1つ以上の延在及び通過について幾つかの追加の別の例示的実施形態が可能である。例えば、例示的シース400又は401は、シース遠位端部分406が、複数の2つ以上のシース内流体流路(トンネル)、例えば、複数の2つ以上の単一のシース内流体流路(トンネル)410を備え、複数の2つ以上のシース内流体流路(トンネル)410の各々が、シース遠位端部分406の異なる位置にある2個の部分の対応する数の対を介して、シース遠位端部分406の内側を通って延在し、完通するように設計及び構築することができる。追加の別の例示的実施形態においては、少なくとも1つのシース内流体流路(トンネル)は、シース遠位端部分406の異なる位置にある2個の部分を介して、シース遠位端部分406の内側を通って半径方向に(近位-遠位方向に対して直交又は非直交して)延在し、貫通してもよい。
【0062】
シース400又は401のこうした例示的実施形態によれば、シース遠位端部分406内のシース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)410は、シース400又は401全体を通る血管腔流体(血液、水、空気)の連続流、特に、それぞれシース(開口)近位端402pe又は403peを通って入り、シース(開口)遠位端部分406を通って出る血管腔流体の流れを容易にするように構成される(形状及びサイズである)。こうした例示的実施形態においては、シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)410は、シース400又は401全体を通る血管腔流体の連続流を容易に促進するのに十分な直径を有し、それによってシース内の血液貯留及び起こり得る血栓形成を防止する。シース400又は401内の(一時的な)血液貯留及び血栓形成を含むシナリオでも、シースが(孔封止組立品をその非活性な折り畳まれた形状に戻すように)孔封止組立品の上及び上方に引き戻されるときに、孔封止組立品が戻ってシースに入ると、シース内流体流路(トンネル)410を通って、最終的にはシース遠位端部分406を通って、シース遠位端部分406の外に、貯留血液及び血栓をシース内部から容易に押し出して、置換する。
【0063】
シース内制御線係留及び固定ポケット(空洞)、並びにシース制御線通路(トンネル)
上で説明したように、シース遠位端部分の内側へのシース可撓性制御線の遠位端部分の係留及び固定を改善するために、本発明者らは、シース遠位端部分の内側もシース内制御線係留及び固定ポケット(又は空洞)で構成されたシースの新しい例示的実施形態も開発した。シース内制御線係留及び固定ポケット(空洞)は、その変位、又はシース遠位端部分内側からのシース制御線の退出さえももたらし得る、シース制御線遠位端部分の可能な横方向及び/又は(近位-遠位)縦方向の動きを防止する、又は少なくとも最小限にするように構成される(形状及びサイズである)。
【0064】
図9及び10は、それぞれ、円柱状近位端部分402pepを有するシース400の例示的実施形態の模式的断面及び分解断面側面図であり、シース遠位端部分406内側の、例示的シース内制御線係留及び固定ポケット(空洞)440(442+444)と例示的シース制御線通路(トンネル)450との組合せとしても構造化され、機能する、単一の例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)410の内部の様子及び構成を強調したものである。
【0065】
図11及び12は、それぞれ、円錐状近位端部分403pepを有するシース401の例示的実施形態の模式的断面及び分解断面側面図であり、シース遠位端部分406内側の、例示的シース内制御線係留及び固定ポケット(空洞)440(442+444)と例示的シース制御線通路(トンネル)450との組合せとしても構造化され、機能する、単一の例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)410の内部の様子及び構成を強調したものである。
【0066】
図13及び14は、それぞれ、例示的シース400及び401のシース遠位端部分406の例示的実施形態の模式的近接斜視図及び模式的近接断面側面図である。
【0067】
図15及び16は、それぞれ、円柱状近位端部分[図15]及び円錐状近位端部分[図16]を有する、シース400及び401の例示的実施形態の模式的斜視図であり、シースの内側に沿って、内側を通って、延在する例示的シース制御線460を含むことを強調したものである。
【0068】
図17及び18は、それぞれ、円柱状近位端部分[図17]及び円錐状近位端部分[図18]を有する、シース400及び401の例示的実施形態の模式的断面側面図であり、シース遠位端部分406の内側に係留及び固定接続されたシース制御線460を強調したものである。図19は、シース遠位端部分406の例示的実施形態の模式的近接断面側面図であり、シース制御線460のその中の係留及び固定接続を強調したものである。
【0069】
例示的実施形態においては、シース内制御線係留及び固定ポケット(空洞)440(442+444)は、管状であり、2個の部分、すなわち、第1の部分442及び第2の部分444を含む。例示的実施形態においては、シース制御線460は、シース内制御線係留及び固定ポケット(空洞)440の第2の部分444に位置する(例えば、図19に示すように)遠位端部分460depを有する。例示的実施形態においては、シース内制御線係留及び固定ポケット(空洞)440とシース制御線460は、その変位、又はシース遠位端部分406内側からのシース制御線460の退出さえももたらし得る、シース制御線遠位端部分460depの可能な横方向及び/又は(近位-遠位)縦方向の動きを防止する、又は少なくとも最小限にするように互いに構成される(形状及びサイズである)。
【0070】
例示的実施形態においては、第1の部分442の内径は、第2の部分444の内径よりも小さい。例示的実施形態においては、シース制御線遠位端部分460depは、シース内制御線係留及び固定ポケット(空洞)440の(より大きな部分である)第2の部分444の内側に(例えば、接着剤若しくは膠、又は類似タイプの固定材料を用いて)位置決めされ、係留され、固定接続される(取り付けられる)。シース遠位端部分406の内側にシース制御線遠位端部分460depを係留及び固定後、シース内制御線係留及び固定ポケット(空洞)440のこうした多部分(多段)構成は、その中のシース制御線460の横方向及び(近位-遠位)縦方向の動きを制限する。こうしたことは、シース制御線460の外径が第1の部分442の内径よりもかなり小さい(したがって、第2の部分444の内径よりも更に小さい)例示的実施形態において特に関連があり、シース制御線460が、シース遠位端部分406の内側で横方向及び/又は(近位-遠位)縦方向に移動するタイプの動きを起こす可能性がある。
【0071】
例示的実施形態においては、シース遠位端部分406の近位部分の内側もシース制御線通路(トンネル)、例えば、(例えば、図9~12、14及び17~19に示すように)シース制御線通路(トンネル)450で構成される。例示的シース制御線通路(トンネル)450は、シース制御線(例えば、シース制御線460)が、例えば孔封止装置(例えば、同一出願人/譲受人の特許文献2に開示された孔封止装置106)の手動操作によって、その中で、それに沿って、保持、制御及び誘導される、通路(トンネル)を提供するように構成される(形状及びサイズである)。例示的実施形態においては、シース制御線通路(トンネル)450は、内径が、シース内制御線係留及び固定ポケット(空洞)440のそれぞれ第1及び第2の部分442及び444の各々の内径よりも大きい。
【0072】
シース400及び401の例示的実施形態においては、単一の例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)410は、例示的シース内制御線係留及び固定ポケット(空洞)440(442+444)と例示的シース制御線通路(トンネル)450の組合せとしても構造化され、機能する。
【0073】
シース遠位端部分における複数の例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)を有するシースの例示的実施形態
図20及び21は、それぞれ、円柱状近位端部分を有する、[参照番号500として示され、表される]シースの例示的実施形態の模式的斜視図及び側面図であり、シース遠位端部分における複数の例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)の外観を強調したものである。図22及び23は、それぞれ、円錐状近位端部分を有する、[参照番号501として示され、表される]シースの別の例示的実施形態の模式的斜視図及び側面図であり、シース遠位端部分における複数の例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)の外観を強調したものである。
【0074】
図24~42は、シース500及び501の例示的実施形態、並びにその種々の構造的及び機能的(操作的)特徴及び特性の追加の説明を提供する。図45A~45B及び46A~46Bは、シース500及び501の例示的適用を示す。
【0075】
図21に示す例示的シース500(及びその特徴)は、図20に示したものの(近位-遠位方向に直交する縦軸に対して)45度反時計回りの回転に対応する。同様に、図23に示す例示的シース501(及びその特徴)は、図22に示したものの(近位-遠位方向に直交する縦軸に対して)45度反時計回りの回転に対応する。
【0076】
図22及び23に示す例示的シース501は、シース近位端部分の特定の幾何学的形状(及びそのサイズ寸法)を除いて、図20及び21に示した例示的シース500と同じ構造的特徴及び特性を有する。すなわち、図20及び21においては、例示的シース500及びそのシース主要部分502は円柱状(円柱形状)近位端部分502pepを有し、一方、図22及び23においては、例示的シース501及びシース主要部分503は円錐状(円錐形状)近位端部分503pepを有し、それぞれの近位端部分に対応して異なるサイズ寸法を有する。
【0077】
図21及び22に示すように、例示的実施形態においては、シース500は、管状部材(例えば、中空シャフト)として構成されてシース主要部分遠位端502de及びシース主要部分近位端502peを有するシース主要部分502を備え、シース主要部分近位端502peは開口している。シース500は、シース主要部分遠位端502deと連続し、シース遠位端部分506の異なる位置にある2個の部分を介して、シース遠位端部分506の内側を通って延在し、完通する、少なくとも1つの例示的シース内流体(血液、水、空気)流路を有する、シース遠位端部分506も備える。
【0078】
例えば、図20及び21は、(シース遠位端部分506の円柱状基部セクション508に通じる又は入る破線矢印で示される)2つのシース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)512及び513を含むシース遠位端部分506を示し、シース内流体流路(トンネル)512及び513の各々は、シース遠位端部分506の異なる位置にある2個の部分を介して、シース遠位端部分506の内側を通って延在し、完通する。
【0079】
例示的実施形態においては、シース内流体流路(トンネル)512及び513の各々は、(本明細書では、図面において506cpsとして表され、示される)シース遠位端部分506の外周面の対向して位置する(直径方向に対向した)2個の部分の一対を介して、シース遠位端部分506の内側を通って半径方向に(近位-遠位方向に対して直交して)延在し、貫通する。より具体的には、例示的シース500においては、シース内流体流路(トンネル)512は、シース遠位端部分506の外周面506cpsのそれぞれ[例えば、図面では点線で参照される]対向して位置する(直径方向に対向した)2個の第1及び第2の部分514a及び514bの一対を介して、シース遠位端部分506の内側を通って半径方向に(近位-遠位方向に対して直交して)延在し、完通する。同様に、シース内流体流路(トンネル)513は、シース遠位端部分506の外周面506cpsのそれぞれ対向して位置する(直径方向に対向した)2個の第1及び第2の部分516a及び516bの一対を介して、シース遠位端部分506の内側を通って半径方向に(近位-遠位方向に対して直交して)延在し、完通する。図20及び21においては、第2の部分516bは、図21に参照番号516bの破線矢印で示すように、存在するが、見えない(すなわち、表示されたページの面の裏側、反対側にある)。
【0080】
図22及び23に示すように、例示的実施形態においては、シース501は、管状部材(例えば、中空シャフト)として構成されてシース主要部分遠位端503de及びシース主要部分近位端503peを有するシース主要部分503を備え、シース主要部分近位端503peは開口している。シース501は、シース主要部分遠位端503deと連続し、シース遠位端部分506の異なる位置にある2個の部分を介して、シース遠位端部分506の内側を通って延在し、完通する、少なくとも1つの例示的シース内流体(血液、水、空気)流路を有する、シース遠位端部分506も備える。
【0081】
例えば、図22及び23は、(シース遠位端部分506の円柱状基部セクション508に通じる又は入る破線矢印で示される)複数の2つのシース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)512及び513を含むシース遠位端部分506を示し、シース内流体流路(トンネル)512及び513の各々は、シース遠位端部分506の異なる位置にある2個の部分を介して、シース遠位端部分506の内側を通って延在し、完通する。
【0082】
例示的実施形態においては、シース内流体流路(トンネル)512及び513の各々は、シース遠位端部分506の外周面506cpsの対向して位置する(直径方向に対向した)2個の部分の一対を介して、シース遠位端部分506の内側を通って半径方向に(近位-遠位方向に対して直交して)延在し、貫通する。より具体的には、例示的シース501においては、シース内流体流路(トンネル)512は、シース遠位端部分506の外周面506cpsのそれぞれ対向して位置する(直径方向に対向した)2個の第1及び第2の部分514a及び514bの一対を介して、シース遠位端部分506の内側を通って半径方向に(近位-遠位方向に対して直交して)延在し、完通する。同様に、シース内流体流路(トンネル)513は、シース遠位端部分506の外周面506cpsのそれぞれ対向して位置する(直径方向に対向した)2個の第1及び第2の部分516a及び516bの一対を介して、シース遠位端部分506の内側を通って半径方向に(近位-遠位方向に対して直交して)延在し、完通する。図22及び23においては、第2の部分516bは、図23に参照番号516bの破線矢印で示すように、存在するが、見えない(すなわち、表示されたページの面の裏側、反対側にある)。
【0083】
例示的シース500及び501においては、シース主要部分(管状部材)502及び503は、それぞれ、シース主要部分502及び503の全体に沿って(近位-遠位に)延在する、それぞれ、壁502w及び503wを有する。例示的シース500においては、近位端部分502pepは、例えばシース主要部分(管状部材)502のそれと同じ円柱状形状及びサイズ寸法を有する、円柱状である。例示的シース501においては、近位端部分503pepは、円錐状であり、それによって、円柱状シース主要部分(管状部材)503の残部とは異なる幾何学的形状を有する。例示的シース501においては、近位端部分503pepは、頂端503a及び基部503bを有し、基部503bの直径は、頂端503aの直径よりも大きい。(例えば、図46A~46Bに示すように)本発明の一部の適用においては、基部503bの直径が頂端503aの直径よりも大きい、円錐状近位端部分503pepを有する例示的シース501を使用すると、(折り畳まれた孔封止組立品又は要素をその中に有する)シース501を血管から、最終的には吻合術を受ける対象から除去する前に、孔封止組立品又は要素を非活性な折り畳まれた形状に戻すように、活性な自己拡張型孔封止組立品又は要素上にシース501を引き戻すのをより容易にすることができる。
【0084】
例示的実施形態においては、シース遠位端部分506は、円柱状基部セクション508及び円錐状頂部セクション510をその上に有する部材として構成される。円錐状頂部セクション510は、頂端510a及び基部510bを有し、それによって、基部510bの直径は、頂端510aの直径よりも大きい。例示的実施形態においては、シース遠位端部分506においては、円柱状基部セクション508は、シース遠位端部分506の外周面506cpsのそれぞれ対向して位置する(直径方向に対向した)2個の(シース内流体流路512では)第1及び第2の部分514a及び514b並びに(シース内流体流路513では)第1及び第2の部分516a及び516bの対応する二対を介して、シース遠位端部分506の内側を通って半径方向に延在し、貫通する、2つのシース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)512及び513の4個の開口に対応する開口(例えば、孔)を含む。
【0085】
例示的実施形態においては、シース主要部分(シャフト)502又は503とシース遠位端部分506は、単一の一体型のモノリス構造体として構成され、シース主要部分(シャフト)502又は503とシース遠位端部分506は、単一の連続構造体として一体的に形成される。別の例示的実施形態においては、シース主要部分(シャフト)502又は503とシース遠位端部分506は、例えば、図24、25、29及び31において最も顕著である、2個の個別の操作可能に接続可能な(取り付け可能な)構造体(部品)として構成される。
【0086】
図24及び25は、それぞれ、円柱状近位端部分[図24、シース500]及び円錐状近位端部分[図25、シース501]を有する、シースの例示的実施形態の模式的分解側面図であり、2個の個別の操作可能に接続可能な構造体(部品)として構成されるシース主要部分(管状部材)502又は503及び(円柱状基部508及び円錐状頂部510をその上に含む)シース遠位端部分を強調したものである。こうした例示的実施形態においては、例えば、シース遠位端部分506は、シース主要部分502又は503の管状遠位端部分518内に密接に(ぴったりと)嵌合する近位端部分517で構成される。例えば、近位端部分517は、シース主要部分502又は503の遠位端部分518の内径よりもわずかに小さい外径を有する。
【0087】
例示的実施形態においては、シース主要部分(シャフト)502又は503の外面又は外表面は、コーティング材料で被覆される。図26及び27は、それぞれ、円柱状近位端部分502pep[図26]又は円錐状近位端部分503pep[図27]を有するシース主要部分(シャフト)502又は503の例示的実施形態の模式的側面図であり、それぞれのシース主要部分(管状部材)502又は503の外面上のコーティング、例えばコーティング520を強調したものである。
【0088】
例示的実施形態においては、図29~31、40及び41に示すように、シース主要部分(シャフト)502又は503の内面又は内表面は、コーティング(ライニング)材料、例えば、コーティング(ライニング)材料525で被覆(ライニング)される。例示的実施形態においては、コーティング材料525は、摩擦低減タイプのコーティング材料である。こうした例示的実施形態においては、摩擦低減タイプの内面又は内表面コーティング材料を使用すると、(折り畳まれた孔封止組立品又は要素をその中に有する)シースを血管から、最終的には吻合術を受ける対象から除去する前に、孔封止組立品又は要素を非活性な折り畳まれた形状に戻すように、活性な自己拡張型孔封止組立品又は要素の上にシース500又は501を引き戻すのを容易にする助けになる。
【0089】
シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)
図面(例えば、図20~25及び28~31)に示すように、例示的シース500又は501においては、シース遠位端部分506は、シース主要部分遠位端502de又は503deと連続し、シース遠位端部分506の外周面506cpsのそれぞれ対向して位置する(直径方向に対向した)2個の(シース内流体流路512では)第1及び第2の部分514a及び514b並びに(シース内流体流路513では)第1及び第2の部分516a及び516bの対応する二対を介して、シース遠位端部分506の内側を通って半径方向に(近位-遠位方向に対して直交して)延在し、貫通する、複数の2つのシース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)512及び513を備える。
【0090】
こうした例示的実施形態においては、2つのシース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)512及び513の各々は、シース遠位端部分506の外周面506cpsのそれぞれ対向して位置する(直径方向に対向した)2個の第1及び第2の部分514a及び514b並びに第1及び第2の部分516a及び516bの対応する対を介して、シース遠位端部分506の円柱状基部セクション508の内側を通って半径方向に(近位-遠位方向に対して直交して)延在し、完通する。
【0091】
例示的シース内流体流路(トンネル)512及び513の一方(又は両方)の延在及び通過は、シース遠位端部分506の外周面506cpsのそれぞれの対向して位置する(直径方向に対向した)2個の第1及び第2の部分514a及び514b並びに第1及び第2の部分516a及び516bの対応する対を介して、シース遠位端部分506の円柱状基部セクション508の内側を半径方向に(近位-遠位方向に対して直交して)全体的に通ることに限定されない。
【0092】
別の例示的実施形態においては、例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)512及び513の一方(又は両方)は、シース遠位端部分506の異なる位置にある2個の部分を介して、シース遠位端部分506の内側を通って半径方向に、ただし近位-遠位方向に対して非直交して、延在し、完通する。更に、こうした別の例示的実施形態においては、シース遠位端部分506の異なる位置にある2個の部分は、シース遠位端部分506の外周面506cpsの対向して位置する(直径方向に対向した)2個の第1及び第2の部分514a及び514b又は第1及び第2の部分516a及び516bと同じでも、異なってもよい。
【0093】
例えば、追加の例示的実施形態においては、少なくとも1つのシース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)は、シース遠位端部分506の円錐状頂部510の外周面の異なる位置にある2個の部分を介して、シース遠位端部分506の円錐状頂部セクション510の内側を通って半径方向に(近位-遠位方向に対して直交又は非直交して)延在し、貫通する。
【0094】
シース遠位端部分506の異なる位置にある2個の部分の対応する数の対を介して、シース遠位端部分506の内側を全体的に通る少なくとも1つのシース内流体流路(トンネル)の1つ以上の延在及び通過について幾つかの追加の別の例示的実施形態が可能である。例えば、例示的シース500又は501は、シース遠位端部分506が単一のシース内流体流路(トンネル)、例えば、2つのシース内流体流路(トンネル)512又は513の一方のみを備え、それによって、単一のシース内流体流路(トンネル)512又は513が、シース遠位端部分506の異なる位置にある2個の部分の単一の対を介して、シース遠位端部分506の内側を通って延在し、完通するように設計及び構築することができる。
【0095】
シース500又は501のこうした例示的実施形態によれば、シース遠位端部分506内のシース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)512及び513の各々は、シース500又は501全体を通る血管腔流体(血液、水、空気)の連続流、特に、それぞれシース(開口)近位端502pe又は503peを通って入り、シース(開口)遠位端部分506を通って出る血管腔流体の流れを容易にするように構成される(形状及びサイズである)。こうした例示的実施形態においては、各シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)512及び513は、シース500又は501全体を通る血管腔流体の連続流を容易に促進するのに十分な直径を有し、それによってシース内の血液貯留及び起こり得る血栓形成を防止する。シース500又は501内の(一時的な)血液貯留及び血栓形成を含むシナリオでも、シースが(孔封止組立品をその非活性な折り畳まれた形状に戻すように)孔封止組立品の上及び上方に引き戻されるときに、孔封止組立品が戻ってシースに入ると、各シース内流体流路(トンネル)512及び513を通って、最終的にはシース遠位端部分506を通って、シース遠位端部分506の外に、貯留血液及び血栓をシース内部から容易に押し出して、置換する。
【0096】
シース内制御線係留及び固定ポケット(空洞)、並びにシース制御線通路(トンネル)
上で説明のために記述したように、シース遠位端部分の内側へのシース可撓性制御線の遠位端部分の係留及び固定を改善するために、シースの例示的実施形態においては、シース遠位端部分の内側もシース内制御線係留及び固定ポケット(又は空洞)で構成される。シース内制御線係留及び固定ポケット(空洞)は、その変位、又はシース遠位端部分内側からのシース制御線の退出さえももたらし得る、シース制御線遠位端部分の可能な横方向及び/又は(近位-遠位)縦方向の動きを防止する、又は少なくとも最小限にするように構成される(形状及びサイズである)。
【0097】
図28及び29は、それぞれ、円柱状近位端部分502pepを有するシース500の例示的実施形態の模式的断面及び分解断面側面図であり、(i)2つの例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)512及び513、(ii)例示的シース内制御線係留及び固定ポケット(空洞)540(542+544)、並びに(iii)例示的シース制御線通路(トンネル)550の内部の様子及び構成を強調したものである。例示的実施形態においては、(ii)と(iii)の組合せは、シース遠位端部分506内側の、別の例示的シース内流体流路(トンネル)としても構造化され、機能する。
【0098】
図30及び31は、それぞれ、円錐状近位端部分を有するシース501の例示的実施形態の模式的断面及び分解断面側面図であり、(i)2つの例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)512及び513、(ii)例示的シース内制御線係留及び固定ポケット(空洞)540(542+544)、並びに(iii)例示的シース制御線通路(トンネル)550の内部の様子及び構成を強調したものである。例示的実施形態においては、(ii)と(iii)の組合せは、シース遠位端部分506内側の、別の例示的シース内流体流路(トンネル)としても構造化され、機能する。
【0099】
図32及び33は、それぞれ、(円柱状基部508及び円錐状頂部510をその上に備えるシース遠位端部分506の例示的実施形態の模式的近接斜視図及び模式的近接断面側面図である。
【0100】
図34及び35は、円柱状近位端部分502pepを有するシース500の例示的実施形態の模式的斜視図であり、シースの内側に沿って、内側を通って、延在する例示的シース制御線560を含むことを強調したものである。図36及び37は、円錐状近位端部分503pepを有するシース501の例示的実施形態の模式的斜視図であり、シースの内側に沿って、内側を通って、延在する例示的シース制御線560を含むことを強調したものである。図38及び39は、それぞれ、シース遠位端部分406の一部の例示的実施形態の模式的近接斜視図及び模式的近接側面図であり、その中のシース制御線560の構成を強調したものである。
【0101】
図40及び41は、それぞれ、円柱状近位端部分[図40]及び円錐状近位端部分[図41]を有する、シース500及び501の例示的実施形態の模式的断面側面図であり、シース遠位端部分506の内側に係留及び固定接続されたシース制御線560を強調したものである。図42は、シース遠位端部分506の例示的実施形態の模式的近接断面側面図であり、シース制御線560のその中の係留及び固定接続を強調したものである。
【0102】
例示的実施形態においては、シース内制御線係留及び固定ポケット(空洞)540(542+544)は、管状であり、2個の部分、すなわち、第1の部分542及び第2の部分544を備える。例示的実施形態においては、シース制御線560は、シース内制御線係留及び固定ポケット(空洞)540の第2の部分544に位置する(例えば、図42に示すように)遠位端部分560depを有する。例示的実施形態においては、シース内制御線係留及び固定ポケット(空洞)540とシース制御線560は、その変位、又はシース遠位端部分506内側からのシース制御線560の退出さえももたらし得る、シース制御線遠位端部分560depの可能な横方向及び/又は(近位-遠位)縦方向の動きを防止する、又は少なくとも最小限にするように互いに構成される(形状及びサイズである)。
【0103】
例示的実施形態においては、第1の部分542の内径は、第2の部分544の内径よりも小さい。例示的実施形態においては、シース制御線遠位端部分560depは、シース内制御線係留及び固定ポケット(空洞)540の(より大きな部分である)第2の部分544の内側に(例えば、接着剤若しくは膠、又は類似タイプの固定材料を用いて)位置決めされ、係留され、固定接続される(取り付けられる)。シース遠位端部分506の内側にシース制御線遠位端部分560depを係留及び固定後、シース内制御線係留及び固定ポケット(空洞)540のこうした多部分(多段)構成は、その中のシース制御線560の横方向及び(近位-遠位)縦方向の動きを制限する。こうしたことは、シース制御線560の外径が第1の部分542の内径よりもかなり小さい(したがって、第2の部分544の内径よりも更に小さい)例示的実施形態において特に関連があり、シース制御線560が、シース遠位端部分506の内側で横方向及び/又は(近位-遠位)縦方向に移動するタイプの動きを起こす可能性がある。
【0104】
例示的実施形態においては、シース遠位端部分506の近位部分の内側もシース制御線通路(トンネル)、例えば、(例えば、図28~31、33及び40~42に示すように)シース制御線通路(トンネル)550で構成される。例示的シース制御線通路(トンネル)550は、シース制御線(例えば、シース制御線560)が、例えば孔封止装置(例えば、同一出願人/譲受人の特許文献2に開示された孔封止装置106)の手動操作によって、その中で、それに沿って、保持、制御及び誘導される、通路(トンネル)を提供するように構成される(形状及びサイズである)。例示的実施形態においては、シース制御線通路(トンネル)550は、内径が、シース内制御線係留及び固定ポケット(空洞)540のそれぞれ第1及び第2の部分542及び544の各々の内径よりも大きい。
【0105】
シース500及び501の例示的実施形態においては、例示的シース内制御線係留及び固定ポケット(空洞)540(542+544)と例示的シース制御線通路(トンネル)550の組合せは、シース遠位端部分506内の別の(すなわち、第3の)例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)としても構造化され、機能する。より具体的には、例示的シース内制御線係留及び固定ポケット(空洞)540(542+544)と例示的シース制御線通路(トンネル)550の組合せは、シース500又は501全体を通る血管腔流体(血液、水、空気)の連続流、特に、それぞれシース(開口)近位端502pe又は503peを通って入り、シース(開口)遠位端部分506を通って出る血管腔流体の流れを容易にする、シース遠位端部分506内の別の例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)としても構造化され、機能する。
【0106】
シース制御線560が(例えば、シース内制御線係留及び固定ポケット(空洞)540の第2の部分544において)シース遠位端部分506の内側に係留及び固定接続された例示的実施形態においては、シース制御線560の存在は、こうした追加の例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)の内側の空間(体積)を占有する。したがって、こうした追加の例示的シース内流体流路(トンネル)は、シース500又は501全体を通る血管腔流体の連続流をより容易に促進する2つの例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)512及び513の有効性と比較して、シース500又は501全体を通る血管腔流体の連続流を(更に)容易にするその有効性が制限され得る。
【0107】
シースの例示的適用及び実施
本明細書に開示されたシースの例示的実施形態は、例えば、同一出願人/譲受人の特許文献2に開示されたように、冠動脈バイパス移植(CABG)を行うための「クランプレス」タイプの(端側)外科的血管吻合術における使用に特に適用可能である。
【0108】
図43A及び43Bは、例示的孔封止組立品及び例示的吻合孔生成装置と一緒に、[シース遠位端部分406における単一の例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)410、及び円柱状近位端部分402pepを備える]シース400の実施の例示的実施形態の略図である。図44A及び44Bは、例示的孔封止組立品及び例示的吻合孔生成装置と一緒に、[シース遠位端部分406における単一の例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)410、及び円錐状近位端部分403pepを備える]シース401の実施の例示的実施形態の略図である。
【0109】
図45A及び45Bは、例示的孔封止組立品及び例示的吻合孔生成装置と一緒に、[シース遠位端部分506における複数の例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)512及び513、及び円柱状近位端部分502pepを備える]シース500の実施の例示的実施形態の略図である。図46A及び46Bは、例示的孔封止組立品及び例示的吻合孔生成装置と一緒に、[シース遠位端部分506における2つの例示的シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)512及び513、及び円錐状近位端部分503pepを備える]シース501の実施の例示的実施形態の略図である。
【0110】
例示的実施形態においては、孔封止組立品及び吻合孔生成装置は、それぞれ、同一出願人/譲受人の特許文献2に開示されたように、孔封止組立品112及び吻合孔生成装置108である。例示的実施形態においては、各シース400、401、500及び501は、シース制御線460又は560を備え、その遠位端部分460pep又は560depは、それぞれ、(例えば、上述のように、それぞれのシース内制御線係留及び固定ポケット(空洞)450又は540のそれぞれの第2の部分444又は544において)それぞれのシース遠位端部分406又は506の内側に係留及び固定接続される。各シースの外側では、シース制御線460又は560は、可撓性チューブ130の空洞内に封入され、保持され、空洞の長さに沿って延在し、可撓性チューブ130の近位端は、手動操作可能な孔封止装置(例えば、同一出願人/譲受人の特許文献2に開示された孔封止装置106)に固定接続される。
【0111】
非活性な折り畳まれた形状の例示的孔封止組立品112は、参照番号112の破線矢印で示すように、各シース400、401、500及び501内に存在するが、図43A、44A、45A及び46Aでは見えない。図43B、44B、45B及び46Bの各々は、例えば、それぞれのシース制御線460又は560を用いた孔封止装置の手動操作によって、孔封止組立品112からシースを除去した後の、活性な自己拡張形状の孔封止組立品112の例示的実施形態を示す。
【0112】
こうした外科的血管吻合術を行う際には、例示的シース400、401、500及び501を使用して、(自己拡張型)吻合孔封止組立品112を非活性な折り畳まれた形状で、外側被覆し、封入し、保持することができる。例えば、血管壁の小さい(針又はシリンジサイズの)孔又は切り口を通してシースを誘導することによって、(折り畳まれた孔封止組立品112をその中に有する)例示的シースのいずれかを(例えば、大動脈の)血管腔内に導き、配置することができる。血管腔内部にある間、孔封止組立品112を折り畳まれた形状から活性な自己拡張形状に変換及び活性化するのを容易にするように、シースが孔封止組立品112から遠位に除去される。その後、吻合術(例えば、吻合)が宿主血管に対して血管移植片を用いて行われ、続いて(折り畳まれた孔封止組立品112をその中に有する)シースを血管から、最終的には対象から除去する前に、孔封止組立品112を非活性な折り畳まれた形状に戻すように、シースを近位側に引いて孔封止組立品112の遠位端112deの上及び上方に戻し、続いて吻合術を完了することができる。
【0113】
本明細書に開示されたシースのこうした例示的適用によれば、それぞれのシース遠位端部分406又は506内の各シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)410、512、513は、シース全体を通る血管腔流体(血液、水、空気)の連続流、特に、それぞれのシース(開口)近位端402pe、403pe、502pe又は503peを通って入り、それぞれのシース(開口)遠位端部分406又は506を通って出る血管腔流体の流れを容易にする。それぞれのシース400、401、500、501内の(一時的な)血液貯留及び血栓形成を含み得るシナリオでも、シースが(孔封止組立品112をその非活性な折り畳まれた形状に戻すように)孔封止組立品112の遠位端112eの上及び上方を近位側に引き戻されるときに、孔封止組立品112が戻ってシースに入ると、各シース内流体流路(トンネル)410、512、513を通って、最終的にはそれぞれのシース遠位端部分406又は506を通って、その外に、貯留血液及び血栓をシース内部から容易に押し出して、置換する。
【0114】
外科的血管吻合術に使用されるシースの部品、要素及び構造的特徴の例示的構成材料及びサイズ寸法
[それぞれの(円柱状又は円錐状)近位端部分402pep、403pep、502pep、503pepを含む]シース主要部分(管状部材、シャフト)402、403、502、503
構成材料
例示的実施形態においては、シース主要部分(402、403、502、503)は、非金属材料、金属材料、ポリマー材料、複合材料及びそれらの組合せからなる群から選択される材料でできている。例示的実施形態においては、シース主要部分(402、403、502、503)は、非金属ポリマー材料、例えば、ポリエチレン(PET)プラスチックでできている。例示的実施形態においては、シース主要部分(402、403、502、503)は、多孔質及び/又は非多孔質構造体を含む。例示的実施形態においては、シース主要部分(402、403、502、503)は、例えば、非金属材料、金属材料、ポリマー材料、複合材料及びそれらの組合せからなる群から選択される材料でできた、例えば、(支柱及びその間の孔又は空間を有する)ブレードの形で、(孔又は穴を有する)多孔質構造体を含む。例示的実施形態においては、シース主要部分(402、403、502、503)は、例えば、ポリエチレン(PET)プラスチックなどの非金属ポリマー材料でできたブレードとして構成される。
-シース主要部分(402、403、502、503)外面(外表面)コーティング材料(420、520):ポリエーテルブロックアミド、例えば、Pebax(登録商標)ポリマー樹脂。
-シース主要部分(402、403、502、503)内面(内表面)コーティング材料(425、525):ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、例えば、テフロン(登録商標)。
【0115】
サイズ寸法
-シース主要部分(402、403、502、503)外径:2mm~5mmの範囲、例えば、3.2mm。
-シース主要部分(402、403、502、503)内径:1.7mm~4.7mmの範囲、例えば、2.9mm。
-シース主要部分壁(402w、403w、502w、503w)厚さ:0.1mm~0.4mmの範囲。
-シース主要部分(402、403、502、503)[近位-遠位]縦方向長さ:15mm~25mmの範囲、例えば、19mm。
-円錐状近位端部分(403pep、503pep):[近位-遠位]縦方向長さ:0.5mm~4mmの範囲、例えば、1.5mm;頂端(頂部)(403a、503a)外径:2mm~5mmの範囲、例えば、3.2mm;基部(底部)(403b、503b)外径:2mm~5mmの範囲、例えば、3.5mm。
-シース主要部分(402、403、502、503)外面(外表面)コーティング材料(420、520)厚さ:30ミクロン~300ミクロンの範囲、例えば、100ミクロン。
-シース主要部分(402、403、502、503)内面(内表面)コーティング材料(425、525)厚さ:10ミクロン~100ミクロンの範囲、例えば、30ミクロン。
【0116】
[円柱状基部セクション508及び円錐状頂部セクション510を含む]シース遠位端部分406又は506
構成材料
例示的実施形態においては、(円柱状基部セクション508及び円錐状頂部セクション510を含む)シース遠位端部分406又は506は、非金属材料、金属材料、ポリマー材料、複合材料及びそれらの組合せからなる群から選択される材料でできている。例示的実施形態においては、シース遠位端部分506、円柱状基部セクション508及び円錐状頂部セクション510は、同じ材料でできている、又は異なる材料でできている。例示的実施形態においては、(円柱状基部セクション508及び円錐状頂部セクション510を含む)シース遠位端部分406又は506は、単一の材料、例えば、ステンレス鋼などの金属材料でできている。例示的実施形態においては、(円柱状基部セクション508及び円錐状頂部セクション510を含む)シース遠位端部分406又は506は、単一の材料、例えば、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)などの非金属ポリマー材料でできている。
【0117】
サイズ寸法
-シース遠位端部分(406)全体の[近位-遠位]縦方向長さ又は(506)全体の[近位-遠位]縦方向長さ=円柱状基部セクション(508)長さ+円錐状頂部セクション(510)長さ:2mm~6mmの範囲、例えば、4mm。
-円柱状基部セクション(508)直径:2mm~5mmの範囲、例えば、3.2mm。
-円錐状頂部セクション(510)、頂端(頂部)510a直径:0.5mm~2mmの範囲。
-円錐状頂部セクション(510)、基部510b直径:2mm~5mmの範囲、例えば、3.2mm。
-円錐状頂部セクション(510)[近位-遠位]縦方向長さ:1mm~3mmの範囲、例えば、2mm。
【0118】
シース内流体(血液、水、空気)流路(トンネル)(410、512、513)
-直径:0.8mm~1.0mmの範囲、例えば、1.0mm。
-長さ(406a~406b、514a~514b、516a~516b):2mm~5mmの範囲、例えば、3.2mm。
【0119】
シース内制御線係留及び固定ポケット(空洞)440[第1の部分442+第2の部分444]又は540[第1の部分542+第2の部分544]
-第1の部分442、542直径:0.2mm~1mmの範囲。
-第1の部分442、542[近位-遠位]縦方向長さ:0.5mm~6mm。
-第2の部分444、544直径:1mm~3mmの範囲。
-第2の部分444、544[近位-遠位]縦方向長さ:1mm~5mm。
【0120】
シース制御線通路(トンネル)450、550
-直径:1mm~3mmの範囲。
-[近位遠位]縦方向長さ:1mm~6mm。
【0121】
例示的実施形態においては、シース可撓性制御線460又は560は、ニチノール、コバルト及びクロムからなる群から選択される材料でできており、直径が0.1mm~0.5mmの範囲、例えば、0.3mmである。
【0122】
本明細書において、文法上の単数形「a」、「an」、および「the」で記載する以下の用語は、「少なくとも1つ(at least one)」または「1つまたは複数(one or more)」を意味する。本明細書において、表現「1つまたは複数(one or more)」の使用は、この「a」、「an」、または「the」の意図する意味を変更するものではない。したがって、本明細書において使用する用語「a」、「an」、および「the」は、別段の具体的な定義もしくは記載または文脈上の別段の明確な指示のない限り、複数の対象エンティティまたは対象物を表すとともに包含し得る。たとえば、本明細書において使用する表現「a unit」、「a device」、「an assembly」、「a mechanism」、「a component」、「an element」、および「a step or procedure」はそれぞれ、複数のユニット、複数のデバイス、複数のアセンブリ、複数の機構、複数の構成要素、複数の要素、および複数のステップまたは手順を表すとともに包含し得る。
【0123】
本明細書において使用する用語「含む(includes、including)」、「有する(has、having)」、および「備える(comprises、comprising)」、ならびにこれらの言語学上/文法上の変形語、派生語、もしくは/および同根語はそれぞれ、「including, but not limited to(~を含むが、これに限定されない)」を意味し、対象の構成要素、特徴、特性、パラメータ、整数、またはステップを指定するものと見なされ、1つまたは複数の付加的な構成要素、特徴、特性、パラメータ、整数、ステップ、またはこれらの群の追加を除外しない。
【0124】
本明細書では「からなる(consisting of、consists of)」という句の各々は、「を含めて、それに限定される」を意味する。
【0125】
本明細書では「から本質的になる」という句は、開示された発明の例示的実施形態の全体又は一部である、及び/又は開示された発明の例示的実施形態の実施に使用される、記述された実体又は項目(システム、システムユニット、システムサブユニット、装置/デバイス、組立品、サブ組立品、機序/機構、構造体、成分/部品、要素、又は周辺装置、ユーティリティ、アクセサリ、又は材料、方法又はプロセス、ステップ又はプロシージャ、サブステップ又はサブプロシージャ)が、(システムユニット、システムサブユニット、装置/デバイス、組立品、サブ組立品、機序/機構、構造体、成分/部品、又は要素、又は周辺装置、ユーティリティ、アクセサリ、又は材料、ステップ又はプロシージャ、サブステップ又はサブプロシージャ)である少なくとも1つの追加の「特徴又は特性」を含み得ることを意味するが、ただし、各々のこうした追加の「特徴又は特性」は、請求項に係る実体又は項目の基本的な新規な発明の特性又は特別な技術的特徴を実質的に変えない場合に限る。
【0126】
本明細書において使用する用語「方法(method)」は、所与のタスクまたは行為を達成または実現する単一のステップ、手順、様態、手段、もしくは/および技術または一連、一組、もしくは一群の2つ以上のステップ、手順、様態、手段、もしくは/および技術を表す。本明細書において非限定的に開示するこのような如何なる方法も、本明細書に開示の発明の関連分野および技術において従事者が過去に教示している1つまたは複数のステップ、手順、様態、手段、または/および技術から把握または容易に発展される1つまたは複数のステップ、手順、様態、手段、または/および技術を含み得る。本明細書において非限定的に開示するこのような任意の方法において、1つまたは複数のステップ、手順、様態、手段、または/および技術の記載または提示の順序は、別段の具体的な定義もしくは記載または文脈上の別段の明確な指示のない限り、所与のタスクまたは行為の達成または実現に対して、具体的に記載または提示の順序に限定されない。以上から、本明細書において非限定的に開示するこのような任意の方法においては、同じ所与のタスクまたは行為の達成または実現に対して、本明細書に開示の発明の同一または同様の意味および範囲を維持しつつ、同じステップ、手順、様態、手段、または/および技術の1つまたは複数の別の順序が存在していてもよい。
【0127】
本開示の全体を通して、パラメータ、特徴、特性、目標、または寸法の数値は、数値範囲フォーマットに関して記載または記述する場合がある。本明細書において使用するこのような数値範囲フォーマットは、本発明のいくつかの例示的な実施形態の実装を示しており、本発明の例示的な実施形態の範囲を強固に限定するものではない。したがって、記載または記述の数値範囲は、記載または記述の数値範囲内のすべての考え得る部分的範囲および個々の数値を表すとともに包含する。たとえば、記載または記述の数値範囲「1~6」は、記載または記述の数値範囲「1~6」内の「1~3」、「1~4」、「1~5」、「2~4」、「2~6」、「3~6」等のすべての考え得る部分的範囲および「1」、「1.3」、「2」、「2.8」、「3」、「3.5」、「4」、「4.6」、「5」、「5.2」および「6」等の個々の数値を表すとともに包含する。このことは、記載または記述の数値範囲の数値の広がり、範囲、またはサイズに関わらず当てはまる。
【0128】
さらに、数値範囲を記載または記述する場合、表現「およそ第1の数値~およそ第2の数値の範囲(in a range of between about a first numerical value and about a second numerical value)」は、表現「およそ第1の数値からおよそ第2の数値までの範囲(in a range of from about a first numerical value to about a second numerical value)」と同等かつ同じ意味であると考えられるため、これら2つの同意表現を区別なく使用する場合がある。たとえば、室温の数値範囲を記載または記述する場合、表現「室温がおよそ20℃~およそ25℃の範囲の温度を表す(room temperature refers to a temperature in a range of between about 20 °C and about 25 °C)」は、表現「室温がおよそ20℃からおよそ25℃までの範囲の温度を表す(room temperature refers to a temperature in a range of from about 20 °C to about 25 °C」と同等かつ同じ意味であると考えられる。
【0129】
本明細書において使用する用語「およそ(about)」は、対象の数値の±10%を表す。
【0130】
本明細書において使用する表現「動作可能に接続(operatively connected)は、対応する同義表現「動作可能に結合(operatively joined)」および「動作可能に取り付け(operatively attached)」を同等に表す。本明細書において使用するこれらの表現は、記述または/および図示のエンティティが「動作可能(operative)」(動作/使用準備状態)に互いに「接続」されるように構成されたことを意味する。このようなエンティティ間の動作可能な接続、動作可能な結合、または動作可能な取り付けは、1つまたは複数の対応する種類の機械的(物理的、構造的)、電気的、電子的、または/および電気機械的機器および構成要素を伴って、1つまたは複数の種類の機械的(物理的、構造的)、電気的、または/および電子的、電気機械的接続に従う。任意選択として、このようなエンティティ間の動作可能な接続、動作可能な結合、または動作可能な取り付けは、1つまたは複数の種類のコンピュータ制御のハードウェアまたは/およびソフトウェア機器および構成要素を含んでいてもよいし、伴っていてもよい。
【0131】
本明細書において使用する表現「動作可能に接続可能(operatively connectable)は、対応する同義表現「動作可能に結合可能(operatively joinable)」および「動作可能に取り付け可能(operatively attachable to)」を同等に表す。本明細書において使用するこれらの表現は、記述または/および図示のエンティティが互いに「接続可能(connectable)」(すなわち、相互接続が可能、相互接続の能力を有する、または相互接続の潜在力を有する)となって、後でエンティティ間に「動作可能な接続」、「動作可能な結合」、または「動作可能な取り付け」を形成するように構成されたことを意味する。このようなエンティティ間の動作可能な接続可能性、動作可能な結合可能性、または動作可能な取り付け可能性は、1つまたは複数の対応する種類の機械的(物理的、構造的)、電気的、電子的、または/および電気機械的機器および構成要素を伴って、1つまたは複数の種類の機械的(物理的、構造的)、電気的、または/および電子的、電気機械的接続に従う。任意選択として、このようなエンティティ間の動作可能な接続可能性、動作可能な結合可能性、または動作可能な取り付け可能性は、1つまたは複数の種類のコンピュータ制御のハードウェアまたは/およびソフトウェア機器および構成要素を含んでいてもよいし、伴っていてもよい。
【0132】
本発明の特定の態様、特性、および特徴は、明瞭化のため複数の別個の実施形態の文脈またはフォーマットにて例示的に説明および提示したが、単一の実施形態の文脈またはフォーマットにおける任意適当な組み合わせまたは副組み合わせにて例示的に説明および提示することも可能であることが十分に了解される。逆に、単一の実施形態の文脈またはフォーマットにおける組み合わせまたは副組み合わせにて例示的に説明および提示した本発明の種々態様、特性、および特徴は、複数の別個の実施形態の文脈またはフォーマットにて例示的に説明および提示することも可能である。
【0133】
本発明は、その具体的かつ例示的な実施形態および例によって例示的に説明および提示したが、当業者にとっては、本発明の多くの代替、改良、または/および変形が明らかとなるのは確かである。したがって、このようなすべての代替、改良、または/および変形は、添付の特許請求の範囲の広い範囲に包含されることが意図される。
【0134】
本開示に引用または参照のすべての刊行物、特許、または/および特許出願は、各個別の刊行物、特許、または/および特許出願の具体的かつ個別の援用指示と同じ程度まで、そのすべての内容が参照により本明細書に組み込まれている。また、本明細書における如何なる参考文献の引用または識別も、このような参考文献が本発明の先行技術を表すことまたは本発明の先行技術に対応することを認めるものとして解釈されないものとする。項目見出しは、その使用の限りにおいて、必ずしも限定的に解釈されるべきではない。
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【国際調査報告】