IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ネルディア リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】細長い喫煙物品
(51)【国際特許分類】
   A24D 3/04 20060101AFI20220111BHJP
   A24D 3/17 20200101ALI20220111BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20220111BHJP
【FI】
A24D3/04
A24D3/17
A24F40/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021525179
(86)(22)【出願日】2019-10-28
(85)【翻訳文提出日】2021-06-10
(86)【国際出願番号】 EP2019079366
(87)【国際公開番号】W WO2020089155
(87)【国際公開日】2020-05-07
(31)【優先権主張番号】1817558.8
(32)【優先日】2018-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】19187689.5
(32)【優先日】2019-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517211274
【氏名又は名称】ネルディア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マルコ・ファルク
(72)【発明者】
【氏名】ケイト・フェリー
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ロード
(72)【発明者】
【氏名】エドワード・ロス・シェントン
(72)【発明者】
【氏名】イアン・スチュアート
【テーマコード(参考)】
4B045
4B162
【Fターム(参考)】
4B045BA02
4B045BA03
4B045BA08
4B045BC16
4B045BC23
4B045BC25
4B045BD38
4B045BD51
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AB13
4B162AB22
4B162AB23
4B162AC01
4B162AC12
4B162AC22
(57)【要約】
本発明は、燃焼可能材料を伴う円筒形の喫煙本体(10)と、円筒形の喫煙本体(10)の下流の中空孔フィルタ要素(20)とを備える細長い喫煙物品(100)に関する。中空孔フィルタ要素(20)は、喫煙本体(10)を向く第1の基礎領域(21)と、第1の基礎領域(21)と反対の第2の基礎領域(22)と、第1の基礎領域(21)から第2の基礎領域(22)へと延びる中空孔(25)とを備える。細長い喫煙物品(100)は、喫煙本体(10)と中空孔フィルタ(20)との間に配置されるフィルタ膜(50)であって、中空孔(25)と一列にされ、加熱された喫煙本体(10)によって放出される粒子を濾過するように構成され、加熱された喫煙本体(10)によって放出される蒸気に対して透過であり、0.5μmから1.5mmの間の有効な大きさを有する少なくとも1つのフィルタ開口(55)を備えるフィルタ膜(50)をさらに備える。本発明は、このような細長い喫煙物品(100)のための中空孔フィルタを製造するための方法にさらに関する。本発明は、細長い喫煙物品(100)と、細長い喫煙物品(100)を加熱するための加熱装置(200)とを備える喫煙システム(300)にさらに言及し、このような喫煙システム(300)のための加熱装置(200)にも言及する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い喫煙物品(100)であって、
燃焼可能材料を伴う円筒形の喫煙本体(10)と、
前記喫煙本体(10)を向く第1の基礎領域(21、31)、前記第1の基礎領域(21、31)と反対の第2の基礎領域(22、32)、および、前記第1の基礎領域(21、31)から前記第2の基礎領域(22、32)へと延びる中空孔(25、35)を備える、前記円筒形の喫煙本体(10)の下流の中空要素(20、30)と、
前記喫煙本体(10)と前記中空要素(20、30)との間に配置されるフィルタ膜であって、前記中空孔(25、35)と一列にされ、加熱された前記喫煙本体(10)によって放出される蒸気に対して透過であり、0.5μmから1.5mmの間の有効な大きさを有する少なくとも1つのフィルタ開口(55)を備えるフィルタ膜(50)と
を備える細長い喫煙物品(100)。
【請求項2】
前記フィルタ膜(50)は、加熱された前記喫煙本体(10)によって放出される熱、および/または、前記喫煙本体(10)を加熱するための装置(200)によって発生させられる熱を分布させるようにさらに構成される、請求項1に記載の細長い喫煙物品(100)。
【請求項3】
前記フィルタ膜(50)は、加熱された前記喫煙本体(10)によって放出される蒸気成分を混合するように構成される、請求項1または2に記載の細長い喫煙物品(100)。
【請求項4】
前記フィルタ膜(50)は、加熱された前記喫煙本体(10)によって放出される粒子を濾過するように構成される、請求項1から3の何れか一項に記載の細長い喫煙物品(100)。
【請求項5】
前記中空要素(20、30)は、加熱された前記喫煙本体(10)によって放出される蒸気からの物質を濾過するように構成される中空孔フィルタ要素(20)、および、加熱された前記喫煙本体(10)によって放出される前記蒸気を混合するように構成される中空管部分(30)の一方である、請求項1から4の何れか一項に記載の細長い喫煙物品(100)。
【請求項6】
前記フィルタ膜(50)は、円板形とされ、および/または、前記喫煙本体(10)と前記中空要素(20、30)との間で、楔留めされる、請求項1から5の何れか一項に記載の細長い喫煙物品(100)。
【請求項7】
前記フィルタ膜(50)は、アルミニウム箔、紙、網材料、および/または布材料から形成される、請求項1から6の何れか一項に記載の細長い喫煙物品(100)。
【請求項8】
前記フィルタ膜(50)は、前記中空要素(20、30)の側面に沿って延びる少なくとも1つの第1の部分(51)であって、前記第1の基礎領域(21、31)にわたって延び、前記少なくとも1つのフィルタ開口(55)を備える第2の部分(52)から曲げられる少なくとも1つの第1の部分(51)を備える、請求項1から7の何れか一項に記載の細長い喫煙物品(100)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの第1の部分(51)は、前記中空要素(20、30)の前記側面に接着される、および/もしくは、紙から形成される、ならびに/または、前記第2の部分(52)は金属網から形成される、請求項8に記載の細長い喫煙物品(100)。
【請求項10】
前記フィルタ膜(50)は、金属網から形成され、前記少なくとも1つの第1の部分(51)と前記喫煙本体(10)または前記中空要素(20、30)との間で形態閉鎖および/または強制閉鎖によって前記喫煙本体(10)または前記中空要素(20、30)に取り付けられる、請求項8に記載の細長い喫煙物品(100)。
【請求項11】
請求項1から10の何れか一項に記載の細長い喫煙物品(100)のための中空要素を製作するための方法であって、
第1の基礎領域(21、31)、前記第1の基礎領域(21、31)と反対の第2の基礎領域(22、32)、および、前記第1の基礎領域(21、31)から前記第2の基礎領域(22、32)へと延びる中空孔(25、35)を伴う中空要素(20、30)を提供するステップと、
前記第1の基礎領域(21、31)と前記第2の基礎領域(22、32)との間の距離を越える幅を伴う膜シートを提供するステップと、
接着剤を前記膜シートの第1の部分(51)に適用するステップであって、前記第1の部分は、前記第1の基礎領域(21、31)と前記第2の基礎領域(22、32)との間の前記距離に対応する幅を有する、ステップと、
区分を前記膜シートから分離するステップであって、前記区分は、前記膜シートの前記幅に対応する長さを有する、ステップと、
前記区分の前記第1の部分(51)を、前記接着剤を介して前記中空要素(20、30)の側面に取り付けるステップと、
前記区分の第2の部分(52)を前記中空要素(20、30)の前記第1の基礎領域(21、31)にわたって曲げるステップと
を含む方法。
【請求項12】
請求項1から10の何れか一項に記載の細長い喫煙物品(100)と、主本体(60)、および、前記細長い喫煙物品(100)の前記喫煙本体(10)を受け入れるように構成される空洞(61)を備える加熱装置(200)とを備え、前記空洞(61)に挿入される前記細長い喫煙物品(100)の前記喫煙本体(10)および前記フィルタ膜(50)を加熱するように構成される喫煙システム(300)。
【請求項13】
前記加熱装置(200)は、前記空洞(61)へと突出する細長い加熱要素(62)であって、前記喫煙本体(10)を突き抜け、前記空洞(61)へと挿入される前記細長い喫煙物品(100)の前記フィルタ膜(50)と接触するように構成される細長い加熱要素(62)を備える、請求項12に記載の喫煙システム(300)。
【請求項14】
前記加熱装置(200)は、前記フィルタ膜(50)の非接触加熱のための熱源(63)、または、導電性の前記フィルタ膜(50)に加熱電流を提供するための電気接点を備える、請求項12に記載の喫煙システム(300)。
【請求項15】
請求項12から14の何れか一項に記載の喫煙システム(300)のための加熱装置(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼可能材料が充填される喫煙本体と、喫煙本体を向く第1の基礎領域を備える、円筒形の喫煙本体の下流の中空要素とを備える細長い喫煙物品に関する。フィルタ膜が、喫煙本体と中空要素との間に配置され、また、中空要素の中空孔と一列にされ、加熱された喫煙本体によって放出される蒸気に対して透過であり、0.5μmから1.5mmの間の有効な大きさを有する少なくとも1つのフィルタ開口を備える。本発明は、本発明の細長い喫煙物品と、細長い喫煙物品を加熱するための加熱装置とを備える喫煙システムにさらに言及し、このような喫煙システムのための加熱装置にも言及する。
【背景技術】
【0002】
刻みタバコの喫煙は、喫煙者を潜在的に有害な物質に曝すと概して見なされる。潜在的に有害な物質の相当の量が、刻みタバコの燃えることおよび/または燃焼によって引き起こされる熱と、刻みタバコの煙自体における燃えた刻みタバコの構成物質とを通じて発生させられることが、概して考えられる。
【0003】
例えば(フィルタ)紙巻きタバコまたはシガリロなどの細長い喫煙物品は、通常は円筒形のものであり、燃焼可能材料で充填される喫煙本体を備える。ここで、燃焼可能材料は、刻みタバコ、または、例えば細かく切られた刻みタバコ、もしくは再構成された刻みタバコなどの刻みタバコ関連製品を備える。喫煙本体を形成するために、燃焼可能材料は巻き付け紙によって包囲される。通常、紙巻きタバコは、喫煙本体と一列にされる円筒形のフィルタ要素を有する。フィルタ要素は、燃える燃焼可能材料によって放出される燃焼ガスからの例えばタールといった物質を濾過するように構成され、酢酸セルロース、紙、および/または炭を含み得る。通常、フィルタ要素は、例えば紙プラグ巻き付けといったいわゆるプラグ巻き付けを用いて包装される。フィルタ要素は、チップペーパーとして知られる周囲を囲む巻き付け材料を使用して、刻みタバコの棒の一端に通常は取り付けられる。ここで、チップペーパーは、フィルタ要素と喫煙本体との両方と重ねられて取り付けられ得る。この種類の従来の紙巻きタバコは、フィルタ要素の反対の端に火をつけ、喫煙本体を燃やすことで使用される。喫煙者は、紙巻きタバコのフィルタ要素において吸い込むことで、煙を自身の口へと入れる。
【0004】
刻みタバコなどの有機材料の燃焼は、タールおよび他の潜在的に有害な副産物を生成することが知られている。刻みタバコの喫煙を回避するために、様々な喫煙代替システム(または「代替喫煙システム」)が提案されている。このような喫煙代替システムは、喫煙を止めたく、ニコチンへの依存を克服したい人々に向けられたニコチン代替治療の一部を成すことができる。概して、喫煙代替システムは、喫煙の慣例の代わりを提供する一方で、燃焼可能な刻みタバコ製品による従来の喫煙で経験されることと同様の経験および満足を使用者に提供するように意図されている。一部の喫煙代替システムは、従来の紙巻きタバコを模すように設計され、一端にマウスピースを伴う形態の円筒形である喫煙代替物品を使用する。喫煙代替システムの人気および使用はここ数年で高まっている。各々が異なる喫煙代替の取り組みを利用する多くの異なる種類の喫煙代替システムがある。
【0005】
喫煙代替システムのための1つの取り組みは、刻みタバコ(「リキッド」ではない)が蒸気を放つために加熱または加温されるいわゆる「加熱式」(「HNB: Heat Not Burn」)の取り組みである。刻みタバコは葉タバコまたは再構成されたタバコであり得る。蒸気はニコチンおよび/または風味を含み得る。HNBの取り組みでは、意図は、刻みタバコが加熱されるが燃やされないことであり、つまり、刻みタバコは燃焼を受けない。以下において、このようなHNBの取り組みにおいて使用される製品は、これらの刻みタバコ製品がまだ加熱されていない状態に言及するときであっても、加熱刻みタバコ製品と称される。別の言い方をすれば、加熱刻みタバコ製品という用語は、HNB式装置で使用され得る製品、つまり、加熱され得る製品を言う。
【0006】
典型的なHNB喫煙代替システムは、装置と、消耗品としての加熱刻みタバコ製品とを含み得る。装置と消耗品とは物理的に一体に結合されるように構成され得る。さらに、加熱刻みタバコ製品は、細長い喫煙物品として形成されてもよく、喫煙本体の燃焼可能材料を燃やすことなく使用できる。使用中、喫煙本体の燃焼可能材料が燃焼可能材料の燃焼温度未満の温度まで加熱されるように、熱が装置の加熱要素によって喫煙本体に加えられ得る。通常は刻みタバコまたは刻みタバコ関連製品である加熱された燃焼可能材料は、使用者によって吸い込まれて吸入され得る蒸気を発する。ここで、燃焼可能材料における水分が蒸気として放出され、蒸気は、例えばプロピレングリコールおよび/または植物グリセリンを含め、燃焼可能材料における担体/保湿剤から、ならびに、燃焼可能材料から放出される追加的に揮発性化合物から形成されてもよい。
【0007】
加熱刻みタバコ製品では、蒸気の量は、燃える燃焼可能材料によって放出される蒸気および/または煙の量より小さくなり得る。したがって、使用者の経験が古典的な刻みタバコ製品と異なる可能性がある。さらに、燃焼可能材料を加熱する間、粒子が加熱された燃焼可能材料によって放出される可能性があり、したがって、放出された蒸気は、使用者の口に到達し得る前に通常は濾過される。しかしながら、濾過は、使用者の口に到達することができる蒸気の量を低減させ、そのため喫煙の経験を古典的な刻みタバコ製品からさらに異なるものにさせる可能性がある。さらに、知られている加熱刻みタバコ製品は、蒸気成分の不十分な混合、つまり、ニコチンと担体との不完全な混合をしばしば提供し、これは、それらが異なる温度で刻みタバコから蒸発させられるためである。混合していないニコチンガスも、使用者に不快な感覚をもたらす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、先行技術の欠点を克服または軽減することと、燃焼のない加熱刻みタバコ製品として使用されるように構成され、向上した使用者の経験を提供する細長い喫煙物品を提供することとが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
先行技術の欠点のうちの1つまたは複数が、本発明を用いて、具体的には、長手方向に延びる細長い喫煙物品によって、回避され得るか、または少なくとも低減され得る。細長い喫煙物品は、喫煙物品の喫煙の間に加熱されるように構成される円筒形の喫煙本体を備える。そのため、喫煙本体は、プラグ巻き付けによって好ましくは包囲される燃焼可能材料を備える。
【0010】
細長い喫煙物品は、円筒形の喫煙本体の下流に配置され(位置付けられ)、喫煙本体を向く第1の基礎領域を備える中空要素をさらに備える。中空孔フィルタ要素は、第1の基礎領域の反対にある第2の基礎領域と、第1の基礎領域から第2の基礎領域へと中空要素全体を通じて延びる中空孔とをさらに備える。本開示の状況において、下流および上流という用語は、使用者が細長い喫煙本体において吸い込むときの蒸気成分の流れ方向を参照している。好ましくは、中空要素は喫煙本体に隣接して配置される(位置付けられる)。
【0011】
本発明による細長い喫煙物品は、喫煙本体と中空要素との間に配置され、具体的には、円筒形の喫煙本体の基礎領域と中空要素の第1の基礎領域との間に配置されるフィルタ膜をさらに備える。フィルタ膜は、中空孔と一列にされ、つまり、中空孔に重なるフィルタ膜の区域に配置される少なくとも1つのフィルタ開口を備える。別の言い方をすれば、フィルタ開口は、中空要素の第1の基礎領域において中空孔と重ねられる。フィルタ開口は、中空要素の第1の基礎領域において、中空孔の直径より小さい(有効な)大きさを有する。少なくとも1つのフィルタ開口は、加熱された喫煙本体によって放出される蒸気に対して透過であり、0.5μmから1.5mmの間の有効な大きさを有する。
【0012】
好ましい実施形態では、フィルタ膜の少なくとも1つのフィルタ開口は、加熱された喫煙本体によって放出される粒子を濾過するように構成される。加熱刻みタバコ製品について、後で明示されているような中空要素が、具体的には、吸い込みへの抵抗を伴う従来の刻みタバコ製品に匹敵し、また、従来の刻みタバコ製品にも匹敵する多量の蒸気を使用者に吸い込ませることができることで、心地よい使用者の経験を提供するために示されている。しかしながら、フィルタ要素全体を通じて延びる中空孔のため、濾過能力が制限される。本発明は、有利には、使用者によって経験される吸い込みへの抵抗を相当に増加させることなく、加熱された喫煙本体の粒子および/または熱が使用者の口に到達する危険性を低減することを可能にする。別の言い方をすれば、フィルタ膜は、有利には、中空孔フィルタ要素との組み合わせで、または、さらに中空孔フィルタ要素の代わりに、後で記載されているような中空管部分との組み合わせで使用できる。
【0013】
加熱された喫煙本体によって放出される粒子を濾過するために、少なくとも1つのフィルタ開口は、0.5μmから0.5mmの間の有効な大きさを好ましくは有し、さらに好ましくは1μmから0.1mmの間で、特に好ましくは10μmから50μmの間の有効な大きさを有する。この大きさのフィルタ開口は、加熱された喫煙本体によって放出される粒子を濾過するのに特に適する。
【0014】
さらに好ましくは、フィルタ膜の少なくとも1つのフィルタ開口は、少なくとも1つのフィルタ開口を通過する間に蒸気の様々な成分を混合するように構成されている。別の言い方をすれば、エアロゾル形成基質の下流の少なくとも1つのフィルタ開口をフィルタ要素に提供することで、蒸気の様々な成分は、少なくとも1つのフィルタ開口を通過するときに同時に存在して混合するようにさせられる。したがって、使用者は混合していないニコチンガスに曝されず、使用者の経験はさらに向上させられる。
【0015】
蒸気成分を混合することに主に向けられた実施形態では、フィルタ膜は、フィルタ膜の軸方向中心に位置付けられ得る単一のフィルタ開口を有するだけであり得る。このような実施形態では、少なくとも1つのフィルタ開口は、例えば約1mmといった0.5μmから1.5mmの間の有効な大きさを有する。この大きさのフィルタ開口は、喫煙本体によって放出される蒸気を混合するのに特に適する。さらに、フィルタ膜は、異なる有効な大きさのフィルタ開口を好ましくは備え得る。
【0016】
濾過および混合の前述の有利な効果によって、本発明は、加熱された喫煙物品において、例えば中空孔フィルタ要素および中空管部分などの中空要素の利点を利用することを有利に可能にする。例示として、フィルタ膜の使用は、加熱刻みタバコ製品に従来の刻みタバコ製品と同様である吸い込みへの抵抗を提供する一方で、同時に、粒子または混合していない蒸気成分が使用者の口に到達する危険性を最小限にすることを可能にする。したがって、加熱刻みタバコ製品を喫煙する間の使用者の経験は相当に向上させられる。
【0017】
しかしながら、加熱された喫煙本体によって放出される蒸気の流路に追加のフィルタ膜を位置付けることで、蒸気はフィルタ膜によって冷却され得る。このような冷却は、フィルタ膜における蒸気成分の望ましくない凝結をもたらす可能性がある。したがって、フィルタ膜は、加熱された喫煙本体によって放出される熱を分布させるように好ましくは構成される。さらに好ましくは、フィルタ膜は、喫煙本体を加熱するための装置によって発生させられる熱を分布させるように構成される。加熱された喫煙本体によって放出される熱、および/または、喫煙本体を加熱するための装置によって発生させられる熱を分布させるように構成されるフィルタ膜は、さらに有利な効果を提供する。第1に、(加熱された)フィルタ膜は、蒸気がフィルタ膜を通過する間に蒸気の冷却の速さを遅くすることによって、粒子の大きさを有利に向上させる。研究は、このようなより遅い冷却、延いては、より大きな粒子の大きさの発生が、より良好な蒸気を吸う経験をもたらすことを示している。
【0018】
本質的に、加熱された喫煙本体によって放出される熱、および/または、喫煙本体を加熱するための装置によって発生させられる熱を分布させることで、フィルタ膜は、喫煙本体を加熱するための主熱源より若干冷えている第2の加熱要素を提供する。この第2の加熱要素は、蒸気が膜を通過するときに蒸気に等しく接するため、蒸気が喫煙本体からマウスピースを介して使用者の口へと移動し、それによってより遅い蒸気の冷却の速さを作り出すため、蒸気によって経験させられる温度差が低減させられる。
【0019】
第2の加熱要素として作用する(加熱された)フィルタ膜のさらなる便益は、蒸気粒子が、より後の段階でより大きな粒子へと凝縮できるように、フィルタ膜により容易に通されることである。別の言い方をすれば、通過する蒸気はフィルタ膜において凝縮させられず、蒸気はフィルタ膜によって減らされないことを意味する。フィルタ膜が喫煙本体に直に隣接している実施形態では、別の便益は、喫煙本体の燃焼可能材料の二次的な加熱によるものである。ここで、燃焼可能材料の加熱は、フィルタ膜による熱のより良好な分布によって、および/または、喫煙本体を加熱するための装置によって発生させられる追加的な熱を喫煙本体へと持って行くことで、向上させられ得る。このような向上した加熱は、燃焼可能材料の直径にわたる熱伝達の増加と予加熱時間の短縮とによって、蒸気生成に有利に利益となる。
【0020】
さらなる好ましい実施形態では、中空要素は、端から端への関係において喫煙本体の基礎領域のうちの1つに取り付けられ、喫煙本体を長くする。具体的には、中空要素の第1の基礎領域は、端から端への関係において喫煙本体の基礎領域を向く。中空要素の第2の基礎領域が第1の基礎領域の反対にある。そのため、中空要素も、好ましくは、喫煙本体と同じ断面を伴う円筒形のものである。中空要素は、蒸気を加熱された喫煙本体から吸い込むようにさらに構成される。別の実施形態では、例えば中空管部分といった中空要素が、例えばフィルタといった別の要素が喫煙本体と中空要素との間に位置させられる状態で、喫煙本体の下流に位置させられる。
【0021】
細長い喫煙物品は、喫煙本体および中空要素の周囲を囲むチップペーパーを好ましくは備える。別の言い方をすれば、チップペーパーは、喫煙本体および中空要素の断面を周方向に包み込み、喫煙本体および中空要素にわたって長手方向に延びる。チップペーパーは、さらに好ましくは、喫煙本体と中空要素との両方の外面に取り付けられ、したがって喫煙本体と中空要素とを連結する。好ましくは、チップペーパーは喫煙本体の外面と中空要素との外面とに付着させられる。別の好ましい実施形態では、喫煙本体と中空要素とは、例えばさらなる要素が中空要素と喫煙本体との間にある場合、例えば細長い喫煙物品の巻き付け紙によってなど、他の手段によって互いに固定される。
【0022】
好ましくは、本発明による細長い喫煙物品の中空要素は、中空孔フィルタ要素および中空管部分の一方である。ここで、中空孔フィルタ要素は、加熱された喫煙本体から放出され、具体的には加熱された燃焼可能材料から放出される燃焼ガスから特定の物質を低減するように構成される。フィルタ要素は、フィルタの長さ全体に沿って延びる中心の中空孔を備える、例えば酢酸セルロースからのフィルタプラグを備えてもよい。同時に、完全に中空の管部分と比較して、このような中空孔フィルタは、喫煙本体に隣接して配置されるとき、支持基礎表面を喫煙本体の燃焼可能材料にさらに提供し、十分な機械的支持を、細長い喫煙物品を包囲するチップペーパーおよび/または巻き付け紙をさらに提供する。
【0023】
しかしながら、他の好ましい実施形態では、中空要素は、例えば中空の厚紙の管などの中空管部分である。このような実施形態では、中空孔は、実質的に第1の基礎領域全体と第2の基礎領域全体とにわたって延びる。このような中空管は、加熱された喫煙本体によって放出される蒸気の冷却および/または混合を可能にするように構成される。具体的には、このような実施形態では、中空管部分の上流の(および隣接の)フィルタ膜の位置付けは、中空管部分への制限された蒸気の流れの膨張を可能とし、したがって蒸気成分の混合を向上させる。したがって、中空要素における蒸気の混合と、延いては、使用者によって吸い込まれる蒸気の一様性とが、フィルタ膜の少なくとも1つのフィルタ開口によって向上させられる。中空要素としての中空管部分が、別のフィルタ要素が中空管部分と喫煙本体との間に配置されている状態で、喫煙本体の下流に位置付けられてもよい。
【0024】
中空管部分は、蒸気の味覚品質を向上させるために埋め込まれた風味材料をさらに備え得る。好ましい実施形態では、中空管部分は、喫煙本体に隣接して位置付けられ、喫煙本体の燃焼可能材料のための支持基礎表面が、第1の基礎領域を覆っている濾過膜によって好ましくは形成される。代替で、喫煙本体の燃焼可能材料のための支持基礎表面は、喫煙本体と、下流の中空管部分(中空要素)またはフィルタ膜との間に配置される別のフィルタ要素によって形成される。
【0025】
別の好ましい実施形態では、中空要素は前述したような中空孔フィルタ要素であり、前述したような中空管部分は、中空孔フィルタ要素に隣接し、中空孔フィルタ要素の下流に配置される。代替で、別の中空孔フィルタ要素が喫煙本体に隣接して配置され、中空要素は、別の中空孔フィルタ要素の下流に配置される中空管部分である。
【0026】
さらに好ましくは、本発明の細長い喫煙物品は、中空要素に隣接し、中空要素の下流にあり、使用者のためのマウスピースとして構成されている第2のフィルタ要素も備える。中空要素および第2のフィルタ要素は、好ましくは、円筒形のものであり、喫煙本体および/または中空孔フィルタ要素と少なくともほとんど同じ直径のものである。第2のフィルタ要素は、好ましくは、使用者によって経験される吸い込みへの抵抗を相当に増加させない第2の中空孔フィルタ要素である。喫煙本体、中空要素、つまり中空孔フィルタ要素および/もしくは中空管部分、ならびに/または第2のフィルタ要素は、巻き付け紙によって好ましくは周囲が巻き付けられ、巻き付け紙と連結される。
【0027】
さらなる好ましい実施形態では、フィルタ膜は円板形とされ、具体的には、好ましくは、円筒形の喫煙本体および中空要素と同じ直径とされる。別の言い方をすれば、フィルタ膜の基礎領域は本質的に円の形のものである。しかしながら、例えば楕円の形などの他の形も、これらの基礎領域について可能である。フィルタ膜の厚さに依存して、フィルタ膜は、平坦な形または円筒の形のいずれかと見なされてもよい。このようなフィルタ膜は、喫煙本体と、例えば中空要素といった隣接の要素との一方または両方に好ましくは取り付けられる。
【0028】
例示として、適切な接着剤が、例えば中空要素の第1の基礎領域においてといった、喫煙本体を向く隣接の要素の基礎領域に適用され得る。好ましくは、フィルタ膜は、例えば喫煙本体と中空要素との間といった喫煙本体と隣接の要素との間で、楔留めされる。このような実施形態では、フィルタ膜は、例えば、強制閉鎖によって、および/または、細長い喫煙物品の要素を周方向で包囲する巻き付け紙によって、喫煙本体および/または隣接の要素に付着/取り付けされることなく、所定位置で固定され得る。
【0029】
特に好ましくは、フィルタ膜は複数のフィルタ開口を備える。ここで、フィルタ開口は、膜における複数の貫通孔として、網の形態の材料における複数の開放部として、および/または、布の形態の材料における複数の開放部もしくは小孔として、好ましくは構成される。別の言い方をすれば、フィルタ開口は、例えば穿孔によって、フィルタ膜の材料に好ましくは取り入れられる、または、例えば網材料のクモの巣状の柵の間の空所として、フィルタ膜自体の材料によって形成される。
【0030】
本開示の状況では、先に導入されたようなフィルタ開口の有効な大きさは、蒸気が開口開放部を通過するのに利用可能な開放部の断面積に特徴がある直線的な延在を好ましくは参照する。円形の開口について、有効な大きさはフィルタ開口の直径を参照し、正方形の開口については、有効な大きさはフィルタ開口の辺の長さを参照する。
【0031】
開口開放部は、加熱された喫煙本体によって放出される蒸気に対して透過である一方で、加熱された喫煙本体によって放出される粒子を濾過するのに好ましくは適する。さらに、開口開放部は、中空要素の中空孔より相当に小さく、例えば3.5mmといった数ミリメートルの大きさを通常は有する。さらに、開口開放部は、具体的には中空要素である中空孔フィルタ要素に対して、完全な酢酸セルロースのフィルタの小孔または通路より相当に大きい。
【0032】
したがって、開口開放部は、吸い込みへの抵抗を相当に増加させることなく、加熱された喫煙本体によって放出される蒸気から粒子を濾過することを有利に可能にする。さらに、開口開放部は、放出された蒸気の混合に有利に寄与する。フィルタ開口の大きさは、灰または刻みタバコ粒子が通過できないことを有利に確保する。したがって、強い刻みタバコの味および煙の経験を生み出すすべてのフィルタ区分および管区分を貫く中空孔を有する一方で、しっかりとした棒状のものの設計を構築することが可能である。
【0033】
本発明の細長い喫煙物品の好ましい実施形態では、フィルタ膜は、加熱された喫煙本体によって放出される熱、および/または、喫煙本体を加熱するための装置によって発生させられる熱を分布させるように構成される。さらに好ましくは、フィルタ膜は、加熱された喫煙本体によって放出される熱、および/もしくは、喫煙本体を加熱するための装置によって発生させられる熱を逸らすように、ならびに/または吸収するように構成される。
【0034】
別の言い方をすれば、フィルタ膜は、喫煙本体を加熱するための装置によって発生させられる熱を阻止、消散、および/または分布させるように好ましくは構成される。これらの効果のすべてが、細長い喫煙物品における熱の向上した分布を最終的にもたらす。フィルタ膜によって、使用者の口は過剰な熱から有利に保護される。さらに、熱を分布させることによって、喫煙本体の加熱の一様性が向上させられ得る。同時に、例えば中空要素など、フィルタ膜の下流の細長い喫煙物品の任意の他の要素が、過剰な熱から保護される。フィルタ膜の下流の酢酸セルロースフィルタ要素の場合、熱を阻止および/または吸収することは、これらの下流の要素を溶けることから有利に保護する。
【0035】
フィルタ膜は、小さな熱伝導性を伴う材料の少なくとも1つの層を備えることで、熱放射を反射するように、および/または、熱伝導による熱輸送を阻止するように、好ましくは構成される。代替または追加で、フィルタ膜は、大きな熱伝導性を伴う少なくとも1つの追加の層を備えることで熱を吸収するように構成され、このような層は、小さい熱伝導性の下流の層と好ましくは組み合わされる。別の言い方をすれば、喫煙本体を向くフィルタ膜の層は、熱を吸収および/または分布するために、熱反射性および大きな熱伝導性を伴って好ましくは構成され、フィルタ膜の下流の層は、熱輸送を阻止するために、小さい熱伝導性を伴って好ましくは構成される。したがって、喫煙本体を向くフィルタ膜の第1の層が、第1の層の下流で隣接する第2の層より大きな熱伝導性を有する。
【0036】
別の好ましい実施形態では、喫煙本体を向くフィルタ膜の少なくとも一部分は、熱を逸らす材料、つまり、熱放射を反射するように構成される材料を備える。好ましくは、熱を逸らす材料は、刻みタバコ業界において一般的に使用されるアルミニウムである。有利には、アルミニウムは、反射されない熱を分布させる。さらに好ましくは、フィルタ膜の少なくとも1つの層は、例えば紙材料などの、小さい熱伝導性のものであり得る。特に好ましくは、フィルタ膜は、アルミニウム層および紙層を備える積層シートから形成され、アルミニウム層は紙層に付着または被覆のいずれかがされ得る。このような紙-アルミニウムの積層は、刻みタバコ関連製品の包装において一般的に使用されている。この実施形態では、アルミニウム層は、喫煙本体から放出される熱を反射するために喫煙本体を向く。さらに好ましくは、フィルタ膜は金属網を備え、このような金属網は、金属-紙の積層シートを形成するための紙層と組み合わされてもよい。ここで、金属網は、好ましくは、固定のために使用される紙シートによって好ましくは周方向に包囲される。
【0037】
本発明の細長い喫煙物品の好ましい実施形態では、少なくとも1つの開口開放部であって、好ましくは複数の開口開放部は、レーザー穿孔によってフィルタ膜に形成される。しかしながら、例えば針の穿刺などの穿孔の他の形態も、少なくとも1つの開口開放部を生成するために好ましいとされる。しかしながら、すでに先に言及されているように、開口開放部は、網材料などのフィルタ膜自体の材料によって形成されてもよく、穿孔はすでに使われていない。ここで、細長い喫煙物品の製造の間、穿孔/通路の大きさは、所望のニコチンの「当たり(hit)」の引き渡しに応じて選択され得る。特に好ましくは、フィルタ膜は、アルミニウム箔、紙、網材料、活性炭素、押出成形された刻みタバコ、および/または布材料から全部または一部形成される。特に好ましくは、網材料は、例えば銅またはアルミニウムなどからの金属網である。
【0038】
特に好ましい実施形態では、本発明のフィルタ膜は少なくとも1つの第1の部分と第2の部分とをさらに備える。少なくとも1つの第1の部分は、例えば中空孔フィルタ要素の全長または一部に沿ってといった、中空孔フィルタ要素の側面に沿って延び、フィルタ膜の第2の部分から曲げられる。フィルタ膜の第2の部分は、具体的には、中空要素の第1の基礎領域にわたって少なくとも一部で延びるように中空要素の第1の基礎領域にわたって、少なくとも1つの第1の部分から曲げられる。別の言い方をすれば、第2の部分は、中空要素の第1の基礎領域の少なくとも一部を覆い、少なくとも1つの第1の部分は、中空要素の側面の一部を覆うように曲げられる。さらに、フィルタ膜の第2の部分は、先に記載されているようなフィルタ開口、つまり、第1の基礎領域において中空孔と一列にされるフィルタ開口を少なくとも1つ備える。この実施形態は、具体的には中空孔フィルタ要素の側面に固定される少なくとも第1の部分を介しての、中空要素へのフィルタ膜の向上した固定を有利に提供する。好ましくは、フィルタ膜は、アルミニウム箔、紙、網材料、および/もしくは布材料、または、例えばアルミニウム-紙の積層といった、それら材料の混合物から形成される。
【0039】
具体的に好ましい実施形態では、フィルタ膜の少なくとも1つの第1の部分および第2の部分は金属網から形成される。さらに好ましくは、このようなフィルタ膜は、第1の部分とフィルタ要素の側面との間に形態および/または形態閉鎖を提供するために、第1の基礎領域を覆う第2の部分から側面へと曲げられる、例えば2つ以上といった複数の第1の部分を備える。さらに好ましくは、第2の部分は、金属網から形成され、例えば円板形を備えることで、第1の基礎領域に配置されるように構成される。次に、少なくとも1つの第1の部分は、中空孔フィルタ要素の側面へと曲げられる前に、第2の領域の平面において第2の領域から外向きに延びる。さらに好ましくは、この実施形態では、少なくとも1つの第1の部分は紙材料または布材料から形成することもでき、中空孔フィルタ要素の側面に接着されるように構成される。同じく好ましくは、形態閉鎖には喫煙本体の側面が提供される。
【0040】
さらに好ましくは、第2の部分は、中空要素の第1の基礎領域において中空孔を覆うのに適する長方形または円形を有する。好ましい実施形態によれば、少なくとも2つの第1の部分が、第2の部分の周辺のそれぞれの部分から側方へ延びる。別の言い方をすれば、第1の部分は第2の部分からの翼のように突出し、翼同士は互いと別であり、中空要素の側面にわたって延びるように別に曲げられてもよい。このような実施形態では、翼の各々は中空要素の側面に接着され得るか、または、複数の翼は形態閉鎖に中空要素を一般的に提供する。代替の好ましい実施形態では、1つの第1の部分が第2の部分全体を周方向で包囲する。例示として、円形の第2の部分の場合、第1の部分は、径方向外向きの方向において第2の部分に連結される円形の輪によって形成される。このような1つの第1の部分は、中空要素の側面に接着させることができるか、または、形態閉鎖を中空要素の側面に提供することもできる。
【0041】
フィルタ膜の第1の部分は、好ましくは、中空要素の側面に好ましくは接着される。したがって、フィルタ膜は中空要素に適切に固定される。しかしながら、第1の部分は、例えば縫合など、他の手段によって中空要素に取り付けられてもよい。同じく好ましくは、第1の部分は、中空要素および第1の部分の周りに巻き付けられる巻き付け紙によって、ならびに/または、喫煙本体と中空要素との間で楔留めされる第2の部分によって、中空要素だけに取り付けられる。
【0042】
さらに好ましくは、フィルタ膜は、第1の部分から曲げられ、第2の基礎領域にわたって延びる第3の部分を備える。別の言い方をすれば、第3の部分は、第2の基礎領域にわたって、具体的には第2の基礎領域において中空孔の上方で好ましくは曲げられる。この実施形態によれば、第3の部分も、第2の基礎領域において中空孔と一列にされる少なくとも1つのフィルタ開口を有する。第3の部分におけるフィルタ開口は、好ましくは、先に記載されているように構成される。このような第3の部分を提供することで、第2のフィルタ膜が、喫煙本体によって放出される蒸気の流路に提供され、したがって、加熱された喫煙本体によって放出される粒子に対して濾過効率を増加させる、および/または、膜の熱を逸らす効率を増加させる。
【0043】
喫煙本体の(燃焼可能材料)は、好ましくは、エアロゾルを形成することができる少なくとも1つの揮発性化合物を放つように加熱させることができる。エアロゾル形成基質は、好ましくは、細長い喫煙物品の上流端に位置させられる。エアロゾルを発生させるために、燃焼可能材料は、蒸発/エアロゾル化させられるように意図され、吸入されるときに娯楽性および/または薬効性の効果を提供することができる少なくとも1つの揮発性化合物を備える。適切な化学的および/または生理学的に活性の揮発性化合物は、ニコチン、コカイン、カフェイン、アヘン剤およびオピオイド、カチンおよびカチノン、カバラクトン、ミスチシン、ベータカルボリンアルカロイド、サルビノリンAから成る群を、任意の組み合わせ、上記の機能的な等価品、または、上記の合成代替物と共に含む。
【0044】
喫煙本体の燃焼可能材料は植物材料を含み得る。植物材料は、アマランサスデュビウス、クマコケモモ(ベアベリー)、アザミゲシ、アミカ、オウシュウヨモギ、Yellow Tees、Galea zacatechichi、Canavalia maritima(ハマナタマメ)、Cecropia mexicana(Guamura)、ヤコウボク、Cynoglossum virginianum(wild comfrey)、エニシダ、ダミアナ、Entada rheedii、ハナビシソウ(カリフォルニアポピー)、フィットニアアルビウェニス、ホシアザミ、カナムグラ(Japanese Hop)、セイヨウカラハナソウ(ホップ)、ワイルドレタス(Lettuce Opium)、Laggera alata、カエンキセワタ、モミジバキセワタ(Motherwort)、メハジキ(ホソバメハジキ)、ベニバナサワギキョウ、ロベリアソウ(インドタバコ)、サワギキョウ、イヌハッカ(Catnip)、Nicotiana属(タバコ)、セイヨウスイレン(ホワイトリリー)、ニムファエアカエルレア(ブルーリリー)、ケシ、トケイソウ(パッションフラワー)、Pedicularis densiflora(Indian Warrior)、Pedicularis groenlandica(エレファントヘッド)、サルビアディビノラム、Salvia dorrii(タバコセージ)、サルビア属(セージ)、Scutellaria galericulata、Scutellaria lateriflora、スクテラリアナナ、タツナミソウ属(タツナミソウ)、ホソバキンゴジカ(Wireweed)、キンゴジカ、Silene capensis、Syzygium aromaticum(クローブ)、ミントマリーゴールド(メキシカンタラゴン)、Tarchonanthus camphoratus、Tumera diffusa(ダミアナ)、Verbascum(モウズイカ)、Zamia latifolia(マコーニャブラバ)を含む一覧から選択される少なくとも1つの植物材料を、任意の組み合わせ、上記の機能的な等価品、および/または、上記の合成代替物と共に含み得る。
【0045】
好ましくは、植物材料は刻みタバコである。任意の種類の刻みタバコが使用できる。これには、限定されることはないが、flue-curedタバコ、burleyタバコ、Marylandタバコ、dark-air curedタバコ、orientalタバコ、dark-firedタバコ、periqueタバコ、およびrusticaタバコがある。これは、上記の刻みタバコの混合も含む。タバコ植物の任意の適切な部分が使用され得る。これには、葉、茎、根、皮、種、および花がある。刻みタバコは、葉タバコ、茎タバコ、タバコ粉末、タバコの灰、タバコ派生物、膨張させられたタバコ、均質化されたタバコ、細かく切られたタバコ、押出成形されたタバコ、切れ端のタバコ、および/または再構成されたタバコ(例えば、スラリーリコンまたは紙リコン)のうちの1つまたは複数を含み得る。喫煙本体の燃焼可能材料は、均質化された(例えば、紙/スラリーリコンの)刻みタバコの寄せ集められたシート、または、このようなシートから形成される寄せ集められた小片/一片を含み得る。一部の実施形態では、喫煙本体の燃焼可能材料を形成するために使用されるシートは、例えば、120g/m2以上など、110g/m2以上といった、100g/m2以上の坪量を有する。シートは、例えば250g/m2以下または200g/m2以下といった、300g/m2以下の坪量を有し得る。シートは120g/m2から190g/m2の間の秤量を有し得る。喫煙本体の燃焼可能材料は、例えば約65wt%の植物材料といった、少なくとも60wt%の植物材料といった、少なくとも50wt%の植物材料を含み得る。喫煙本体の燃焼可能材料は、例えば75wt%以下または70wt%以下の植物材料といった、80wt%以下の植物材料を含み得る。
【0046】
喫煙本体の燃焼可能材料は、保湿剤、風味、充填剤、水性/非水性の溶剤、および結合剤から選択される1つまたは複数の添加剤を含み得る。保湿剤は蒸気発生剤として提供され、結果生じる蒸気は、揮発性活性化合物を担持するのを助け、視認可能な蒸気を増加させる。適切な保湿剤には、多価アルコール(例えば、プロピレングリコール(PG)、トリエチレングリコール、1,2-ブタンジオール、および植物性グリセリン(VG))、およびそれらのエステル(例えば、グリセロール、モノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテート)がある。それらは、1wt%から50wt%の間の量で喫煙本体の燃焼可能材料に存在し得る。喫煙本体の燃焼可能材料の保湿剤内容量は、少なくとも2wt%など、少なくとも5wt%など、少なくとも10wt%など、少なくとも20wt%など、少なくとも30wt%など、または少なくとも40wt%など、植物材料の重量で少なくとも1%の下限を有し得る。喫煙本体の燃焼可能材料の保湿剤内容量は、最大で40wt%など、最大で30wt%など、または最大で20wt%など、植物材料の重量で最大で50%の上限を有し得る。好ましくは、保湿剤内容量は、1~20wt%など、喫煙本体の燃焼可能材料の1~40wt%である。適切な結合剤は技術的に知られており、喫煙本体の燃焼可能材料を形成する成分を一体に結合するように作用できる。結合剤は、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、およびメチルセルロースなどのデンプンおよび/またはセルロース系結合剤、キサンタン、グアー、アラビア、および/またはローカストビーンガムなどの増粘剤、アルギン酸/アルギン酸ナトリウムなどの有機酸およびそれらの塩、寒天、ならびにペクチンを含み得る。好ましくは、結合剤内容量は、例えば約6~8wt%など、喫煙本体の燃焼可能材料の5~10wt%である。適切な充填剤は技術的に知られており、喫煙本体の燃焼可能材料を強化するように作用できる。充填剤は、セルロース繊維、リグノセルロース繊維(例えば、木質繊維)、ジュート繊維、およびそれらの組み合わせなど、繊維質(刻みタバコではない)の充填剤を含み得る。好ましくは、充填剤内容量は、例えば約6~9wt%など、喫煙本体の燃焼可能材料の5~10wt%である。喫煙本体の燃焼可能
材料は、水性および/または非水性の溶剤を含み得る。一部の実施形態では、喫煙本体の燃焼可能材料は、例えば、7wt%から9wt%の間など、6wt%から9wt%の間といった、5wt%から10wt%の間の含水量を有し得る。風味は固体または液体の形態で提供されてもよい。風味は、メントール、リコリス、チョコレート、フルーツフレーバー(例えば、柑橘類、チェリーなどを含む)、バニラ、スパイス(例えば、生姜、シナモン)、および刻みタバコの風味を含み得る。風味は、喫煙本体の燃焼可能材料を通じて均一に分散され得るか、または、燃焼可能材料を通じて、分離した場所および/または異なる濃度で提供され得る。
【0047】
喫煙本体の燃焼可能材料は、物品/消耗品が従来の紙巻きタバコを模すように、実質的に円筒の形で形成され得る。喫煙本体は、例えば、約7mmといった、例えば6mmから9mmの間、または6mmから8mmの間など、5mmから10mmまでの間の直径を有し得る。喫煙本体は、例えば、約12mmまたは約13mmといった11mmから14mmの間など、10mmから15mmの間の軸方向の長さを有し得る。喫煙本体の燃焼可能材料は、例えば紙を巻き付ける層といった、巻き付け層によって周囲が囲まれ得る。巻き付け層は、内側の箔層に重なり得るか、または、紙/箔の積層(箔が最も内側にある)を備え得る。
【0048】
本明細書で言及されているフィルタ要素、具体的には中空孔フィルタ要素は、(関連する巻き付け層があってもなくても)喫煙本体の直径と実質的に合致する直径を伴う実質的に円筒の形を各々有し得る。1つまたは各々のフィルタ要素の軸方向の長さは、例えば、10mmから12mmの間といった、例えば9mmから13mmの間など、例えば8mmから15mmの間といった、20mm未満であり得る。少なくとも1つの中空孔フィルタ要素は、例えば2mmから4mmの間または2mmから3mmの間といった、1mmから5mmの間の孔直径を有し得る。孔直径は、好ましくは流れ開口の直径より大きい。
【0049】
細長い喫煙物品は、別の(硬い)フィルタ要素をさらに備えてもよい。その別の(硬い)フィルタ要素は、例えば、先に列記した風味のいずれかなどの液体風味を含む、破砕可能なカプセル(破砕ボール)といったカプセルを含み得る。カプセルは、風味を放つために、細長い喫煙物品の喫煙の間、使用者によって破砕され得る。カプセルは、(硬い)フィルタ要素の軸方向中心に位置させられ得る。
【0050】
中空管要素が、喫煙本体の燃焼可能材料と細長い喫煙物品の下流端との間に空間、または空洞、または室を定める。中空管要素は、エアロゾルの冷却と混合との両方を可能にするように作用する。中空管要素は、(紙)巻き付け層によって少なくとも一部で(例えば、全体で)周囲が囲まれ得る。中空管要素は、例えば、約7mmといった、例えば6mmから9mmの間、または6mmから8mmの間など、5mmから10mmまでの間の外径を有し得る。中空管要素は、例えば、約14mmといった、例えば12mmから14mmの間、または13mmから14mmの間など、10mmから15mmの間の軸方向の長さを有し得る。
【0051】
一部の実施形態では、細長い喫煙物品は、使用者によって吸入される前に、喫煙本体の燃焼可能材料によって発生させられるエアロゾルを(熱交換によって)冷却するように適合されるエアロゾル冷却要素をさらに備え得る。エアロゾル冷却要素は喫煙本体の燃焼可能材料から下流にあることになる。エアロゾル冷却要素は、(紙)巻き付け層によって少なくとも一部で(例えば、完全に)周囲が囲まれ得る。エアロゾル冷却要素は、ポリ乳酸(PLA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、およびポリエチレンテレフタレート(PET)から成る群から選択されるプラスチック材料から形成され得る。エアロゾル冷却要素は、熱交換およびエアロゾル冷却を最大限にするために、複数の長手方向通路を伴う大きな表面積を有する構造を形成するように、皺にされた/寄せ集められた材料のシートから形成され得る。
【0052】
本発明の別の態様は、好ましくは本発明による細長い喫煙物品のための中空孔フィルタ要素または中空管部分である中空要素を製作または製造するための方法に関する。したがって、そのように製作された中空要素は、本発明による細長い喫煙物品を製造するために使用できる。中空要素を製造するための方法は、少なくとも以下のステップを含む。
【0053】
方法の第1のステップにおいて、第1の基礎領域と、第1の基礎領域と反対の第2の基礎領域と、第1の基礎領域から第2の基礎領域へと延びる中空孔とを有する中空要素が提供される。このような中空要素は先行技術から知られており、提供される中空要素はそれらの要素と違わない。本発明の方法の別のステップにおいて、第1の基礎領域と第2の基礎領域との間の距離を越える幅を有する膜シートが提供される。別の言い方をすれば、膜シートの幅は中空要素の長さを越える。
【0054】
本発明の方法では、次に、接着剤が膜シートの第1の部分に適用され、第1の部分は、第1の基礎領域と第2の基礎領域との間の距離に対応する幅を有する。別の言い方をすれば、膜シートの第1の部分は膜シートの一部だけであり、したがって、膜シートの一部分は接着剤によって覆われない。第1の部分の位置に応じて、第1の部分の一方の側における膜シートの1つの第2の部分が接着剤のないままか、第1の部分の両方の側における第2の部分および第3の部分が接着剤のないままのいずれかである。
【0055】
本発明の方法の次にステップにおいて、区分が膜シートから分離され、区分は、膜シートの幅に対応する長さを有する。別の言い方をすれば、区分は、膜シートの幅方向において膜シートから、例えば切断されるなど、分離される。したがって、膜シートの幅方向に対して垂直の膜シートの長さ方向において互いに連結される複数の区分が膜シートを形成する。区分の分離は、好ましくは、刃物切断などによって実施される。したがって、区分は、接着剤によって覆われる第1の部分と、第1の部分の一方の側における接着剤のない第2の部分と、最終的に第3の部分とを有する。
【0056】
本発明の方法では、次に、区分の第1の部分は接着剤を介して中空要素の側面に取り付けられる。別の言い方をすれば、区分は中空要素に付着させられる。これは、区分を中空要素に配置することで、または、中空要素を区分などにわたって丸めることで、行うことができる。区分が中空要素に取り付けられた後で、最終的には、接着剤が乾燥させられた後、区分の第2の部分は中空要素の第1の基礎領域にわたって曲げられる。好ましい実施形態では、第1の部分は、先に記載されているような幅方向において膜シートの中心部分であり、さらに、区分の第3の部分は、中空要素の第2の基礎領域にわたって曲げられる。
【0057】
好ましくは、本発明の方法で使用される膜シートは、第2の部分に位置させられ、最終的には膜シートの第3の部分に位置させられる先に記載されているような少なくとも1つの開口開放部を備える。次に、第1の部分は、第1の部分における開口開放部が第1の基礎領域における中空孔と一列にされるように第1の基礎領域にわたって曲げられ、最終的に、第2の部分は、第2の部分における開口開放部が第2の基礎領域における中空孔と一列にされるように第2の基礎領域にわたって曲げられる。代替で、方法は、つまり、区分の区分けの前に、膜シートの第2の部分および/または第3の部分を穿孔し、好ましくはレーザー穿孔するステップ、または、つまり、区分の区分けの後に、区分の第2の部分および/または第3の部分を穿孔し、好ましくはレーザー穿孔するステップをさらに含む。
【0058】
本発明の別の態様は、本発明による細長い喫煙物品と、細長い喫煙物品を加熱するための加熱装置とを備える喫煙システムに関する。そのため、加熱装置は、主本体と、細長い喫煙物品の喫煙本体を受け入れるように構成される空洞とを備える。別の言い方をすれば、喫煙物品の喫煙本体は装置の空洞へと挿入され得る。本発明によれば、加熱装置は、空洞に挿入される細長い喫煙物品の喫煙本体およびフィルタ膜を加熱するように構成される。別の言い方をすれば、本発明の喫煙システムであれば、喫煙本体を加熱するために装置によって発生させられる熱を分布させるように構成されるフィルタ膜の利点が達成される。具体的には、蒸気の冷却の速さが低下させられ、フィルタ膜における蒸気の構成物質の蒸発が回避され、より大きな粒子の形成が向上させられる。
【0059】
加熱装置は、好ましくは、HNB装置であり、つまり、喫煙本体の燃焼可能材料を加熱するが燃焼させないように適合された装置である。装置の主本体は、好ましくは、例えば加熱装置の空洞内に、加熱要素を収容するように構成される。主本体は、さらに好ましくは、加熱要素のための動力源と、加熱要素のための制御電子機器とを収容するように構成される。主本体は、加熱装置の使用者とのやり取りのために、表示手段と制御手段とをさらに備えてもよい。
【0060】
本発明の好ましい実施形態では、加熱要素は、例えば棒、管、または翼の形の加熱要素といった、細長い加熱要素を備える。加熱要素は、先に記載されているように、細長い喫煙物品を受け入れるための主本体の中の空洞、具体的には、喫煙本体の中の空洞へと、好ましくは突出する。細長い加熱要素は、喫煙本体の燃焼可能材料を加熱するために、挿入された細長い喫煙物品の喫煙本体を突き抜けるように好ましくは構成される。細長い加熱要素は、喫煙本体を伴う喫煙装置の空洞へと挿入される細長い喫煙物品のフィルタ膜と接触するようにさらに構成される。したがって、細長い加熱要素を加熱することで、フィルタ膜も熱伝導によって加熱され、したがって、フィルタ膜は、装置の細長い加熱要素によって発生させられる熱を分布させる。
【0061】
この実施形態によれば、フィルタ膜は、細長い加熱要素が喫煙本体から不必要に延び出す必要がないように、喫煙本体に直に隣接して好ましくは位置付けられる。フィルタ膜が加熱源に接触するため、フィルタ膜への最適な熱伝達が確保される。フィルタ膜の温度は、加熱要素の温度、加熱要素の形およびスタイル、加熱要素がフィルタ膜にどれくらい良好に接触するか、フィルタ膜の材料、加熱要素の伝導性、および、フィルタ膜を通る空気流に依存する。これらの条件に依存して、フィルタ膜は100℃から250℃の間の最高温度に到達する。別の言い方をすれば、第2の加熱要素が、加熱要素によって発生させられる熱を分布させることで、フィルタ膜によって提供される。
【0062】
この実施形態では、フィルタ膜は、蒸気を流すことができるだけの多孔質であり、粒子状物質がフィルタ膜を通過するのを防止するだけの細かさである熱伝導性材料から好ましくは構築される。具体的には、好ましくは、フィルタ膜は、ステンレス鋼(304または316の等級)、銅、アルミニウム、真鍮、またはカンタル(FeCrAl)の網など、織られた金属網から作られる。前述の金属は、透過性の基準に適合する一方で、適切な熱伝達を可能にする。特に好ましくは、金属網は、0.1mm未満の有効な大きさを伴う少なくとも1つのフィルタ開口を有し、さらに好ましくは、10μmから50μmの間の有効な大きさを伴うフィルタ開口を有する。さらに好ましくは、フィルタ膜は、透過のセラミック製円板、布、または、100μmより小さい大量の孔で穿孔されている金属箔によって形成される。このような実施形態では、孔のうちの大部分は好ましくは50μm未満である。
【0063】
さらに好ましい実施形態では、フィルタ膜は、フォトエッチング、化学的エッチング、または化学的研磨される、例えばアルミニウムといった薄い金属構成要素として提供される。このような金属構成要素は、ミクロンの範囲での正確な孔または開放部を伴う薄い構成要素として提供されてもよく、最適な熱伝達および濾過のために特別に製作されてもよい。さらに好ましくは、フィルタ膜は、例えばPP、ナイロン、ポリエステル、PET、PEEK、PTFE、またはPLAなどのポリマ材料から作られる。PLAは、生分解性ポリマとして特に好ましいとされる。特に好ましくは、ポリマは、例えば熱安定性または導電性など、フィルタ膜の特定の機械的な性質または特性を増加または低下させるために、ガラス繊維などの他の添加物と混合される。
【0064】
さらに好ましくは、この実施形態によれば、フィルタ膜は、柔軟な構成要素となるように、つまり、フィルタ膜に押される細長い加熱要素に応答して曲がるように構成される。別の言い方をすれば、柔軟な膜は好ましくは硬くない。さらに好ましくは、フィルタ膜は、2GPa未満で、好ましくは1GPa未満で、特に好ましくは0.5GPa未満のヤング率を有する。フィルタ膜の柔軟性は、加熱要素との良好な熱接触を確保する一方で、特に、細長い喫煙物品が異なる長さの加熱要素を伴う異なる製造者からの装置で使用され得るとき、フィルタ膜への損傷の危険性を最小限にする。同じくこの実施形態では、フィルタ膜は、先の述べられているような複数の層による積層として形成されてもよい。
【0065】
喫煙システムの別の好ましい実施形態によれば、加熱装置は、フィルタ膜の非接触加熱のための熱源、または、導電性のフィルタ膜に加熱電流を提供するための電気接点を備える。別の言い方をすれば、この実施形態では、フィルタ膜はフィルタ膜へのエネルギー伝送によって加熱され、伝送されたエネルギーは加熱エネルギーとは別の形態を有する。別の言い方をすれば、非接触加熱構成が装置によってフィルタ膜のために提供される。
【0066】
フィルタ膜の非接触加熱のための熱源は、誘導加熱装置、つまり、フィルタ膜によって受け入れられるときにフィルタ膜を加熱する電磁波を放出するように構成される装置として好ましくは実現される。このような実施形態では、誘導熱源は、好ましくは、蒸気を喫煙本体から作り出すために使用されるものと同じ熱源である。しかしながら、フィルタ膜を加熱するための誘導熱源は、喫煙本体を加熱するために使用される熱源と異なってもよく、喫煙本体を加熱するために使用される熱源は誘導であってもなくてもよい。このような場合、フィルタ膜を加熱するための熱源は、好ましくは、フィルタ膜の1つまたは2つの側から作用するか、または、喫煙本体を環状に包囲する。
【0067】
同じ誘導熱源が加熱する喫煙本体およびフィルタ膜に使用される場合、空洞へ挿入される喫煙本体のフィルタ膜は、好ましくは、喫煙本体に配置される電磁サセプタを加熱するために使用される誘導コイルの磁場範囲にある。誘導熱源の場合、フィルタ膜は、好ましくは、鉄、コバルト、もしくはニッケル、またはこれらの材料の合金などの磁気要素を含む強磁性体または強磁性材料からこのマイクは構築される。前述の材料の各々は、誘導加熱適用における使用に許容可能なサセプタ材料である。
【0068】
しかしながら、フィルタ膜を加熱するための方法は、喫煙本体を加熱するための方法と異なってもよい。例示として、IRランプ、レーザー、または放射加熱方法の別の形態が、フィルタ膜を加熱するために使用されてもよい。このような放射加熱源を使用するとき、フィルタ膜に使用される材料は、放射を吸収するが反射しないために、少なくとも90%以上の放射率の値を好ましくは有する。金属がフィルタ膜に使用される場合、被覆が放射率を大きくするために材料に好ましくは適用される。このような被覆は、例えば加熱された喫煙本体によって放出される蒸気の酸性など、外部の影響に対するフィルタ膜の耐性を向上させることもできる。
【0069】
さらに好ましくは、加熱装置は、加熱電流を金属フィルタ膜に提供するための少なくとも1つの電気接点を備える。このような加熱は接触加熱と見なすこともでき、加熱エネルギーは電気エネルギーとしてフィルタ膜に伝送され、フィルタ膜自体によって熱へと変換される。このような実施形態では、フィルタ膜は、例示として、巻かれたグローフィラメントによって、または、グローフィラメントから形成された網によって形成され得る。1つだけの電気接点が設けられる場合、電気接地は、フィルタ膜に直接的または間接的に接触する加熱装置の筐体によって提供されてもよい。電気接点は、喫煙本体の周りに巻かれ、フィルタ膜に接触するかもしくはフィルタ膜を構成するワイヤに接触するように、空洞において半環状に形成されてもよい。
【0070】
この実施形態では、フィルタ膜は、主に細長い喫煙物品の中のどこかに位置付けられ得る。しかしながら、例えば蒸気の低下した冷却の速さに関して、先に記載されているような有利な効果を可能とするために、構成要素が喫煙本体から10mmの範囲内にあることが好ましいとされる。同じく好ましくは、フィルタ膜は、使用者の口に到達する蒸気が過度に高い温度のものとなることを回避するために、蒸気出口、つまりマウスピースから15mmを越えて離して位置付けられる。同じくこの実施形態では、フィルタ膜は50℃から250℃の温度まで好ましくは加熱され、この温度は最終的には喫煙本体の加熱温度より若干低い。
【0071】
本発明の別の態様は、先に記載されているような喫煙システムのための加熱装置に関する。そのため、加熱装置は、主本体と、細長い喫煙物品の喫煙本体を受け入れるように構成される空洞とを備える。本発明によれば、加熱装置は、空洞に挿入される細長い喫煙物品の喫煙本体およびフィルタ膜を加熱するように構成される。加熱装置は、好ましくは、HNB装置であり、つまり、喫煙本体の燃焼可能材料を加熱するが燃焼させないように適合された装置である。装置の主本体は、好ましくは、例えば加熱装置の空洞内に、加熱要素を収容するように構成される。主本体は、さらに好ましくは、加熱要素のための動力源と、加熱要素のための制御電子機器とを収容するように構成される。主本体は、加熱装置の使用者とのやり取りのために、表示手段と制御手段とをさらに備えてもよい。加熱装置は、空洞へと突出する細長い加熱要素であって、空洞へと挿入される細長い喫煙物品の喫煙本体を突き抜け、このような細長い喫煙物品のフィルタ膜と接触するように構成される細長い加熱要素を好ましくは備える。同じく好ましくは、加熱装置は、フィルタ膜の非接触加熱のための熱源、または、金属のフィルタ膜に加熱電流を提供するための電気接点を備える。加熱装置の実施形態は、喫煙システムについて記載されたものと同一である。
【0072】
本発明のさらなる態様および好ましい実施形態は、従属請求項、図面、および図面の以下の記載から生じる。異なる開示の実施形態が、他に述べられていない場合、互いと有利に組み合わせられる。
【0073】
本発明のさらなる特徴は、添付の図面を参照する例示の実施形態を詳細に説明することで、当業者に明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
図1】先行技術による細長い喫煙物品の概略的な斜視図である。
図2】第1の実施形態による細長い喫煙物品の概略的な斜視図である。
図3】第2の実施形態による細長い喫煙物品の概略的な斜視図である。
図4】実施形態による中空孔フィルタ要素の概略的な斜視図、および、このような中空孔フィルタ要素の基礎領域の概略的な正面図である。
図5】第2の実施形態による細長い喫煙物品の概略的な斜視部分図である。
図6】第3の実施形態による細長い喫煙物品の概略的な斜視図である。
図7】実施形態によるフィルタ膜の概略的な正面図である。
図8】さらなる実施形態によるフィルタ膜の概略的な正面図である。
図9】第4の実施形態による細長い喫煙物品の側面図である。
図10】第5の実施形態による細長い喫煙物品の側面図である。
図11】第4の実施形態による細長い喫煙物品と、細長い喫煙物品を加熱するための加熱要素を備える先行技術の加熱装置とを備える喫煙システムの図である。
図12】細長い喫煙物品と加熱装置とを備える、実施形態による喫煙システムの図である。
図13】細長い喫煙物品と加熱装置とを備える、別の実施形態による喫煙システムの図である。
【発明を実施するための形態】
【0075】
図1を参照すると、先行技術による細長い喫煙物品の概略的な斜視図が示されている。細長い喫煙物品は、燃焼可能材料11で充填された円筒形の喫煙本体10を備える。喫煙本体10の円筒形の表面は巻き付け紙によって包囲されている。巻き付け紙12は、例えばリグノセルロース材料といったセルロース材料などの繊維材料を典型的には組み込んでいる。例示のセルロース材料には、亜麻繊維、広葉樹パルプ、針葉樹パルプ、麻繊維、エスパルト繊維、およびサイザル麻繊維があり、セルロース材料の混合物が用いられてもよい。
【0076】
喫煙本体10の一方の基礎領域は、燃焼可能材料11を露出させるために開放している。喫煙本体10のこの開放した基礎領域において、燃焼可能材料11を加熱するための加熱要素が喫煙本体へと挿入され得る。他方の基礎領域において、中空孔フィルタ要素20が位置付けられている。フィルタ要素20は、所望の拡散性を提供する織り、網、紙、膜、および/または他の適切な構造から少なくとも部分的に形成され得る。その厚さおよび密度は、製造の間に決定され得るか、または、所望の拡散性を提供するために製造後に変更され得る。中空孔フィルタ要素は中空孔25を備える。好ましくは、喫煙本体10および中空孔フィルタ要素20は7.2mmの直径を有し、中空孔25は3.5mmの直径を有する。
【0077】
中空孔フィルタ要素20に隣接して、喫煙本体10および中空孔フィルタ要素20と同じ直径を有する厚紙の管によって形成される中空管部分30が位置付けられる。中空管部分30に隣接して、2mmの直径を有する中空孔45を伴う第2の中空孔フィルタ要素40が位置付けられる。中空管部分30および第2の中空孔フィルタ要素40も7.2mmの直径を有する。
【0078】
喫煙本体10、中空孔フィルタ要素20、中空管部分30、および第2の中空孔フィルタ要素40は、細長い喫煙物品の長手方向の関係に沿って、端から端への関係において軸方向に一列にされる。中空孔フィルタ要素20の基礎領域21、22は、空気および煙の通過を許容するように開放している。これらの基礎領域のうちの一方、つまり、第1の基礎領域21は、喫煙本体10と接触し、第1の基礎領域と反対の他方の基礎領域、つまり、第2の基礎領域22は、中空管部分30と接触する。中空孔フィルタ要素20は、例えば可塑化された酢酸セルロースまたは生分解性材料などのフィルタ材料を含み、フィルタ材料は、喫煙者によって加熱された喫煙本体10から中空孔フィルタ要素20の第2の基礎領域22を通じて吸い込まれる燃焼ガスにおける物質を低減するように構成される。
【0079】
好ましくは、喫煙本体10、中空孔フィルタ要素20、中空管部分30、および第2の中空孔フィルタ要素40は、前述の構成要素のすべての周囲を囲む巻き付け紙(図示されていない)を介して互いに固定される。巻き付け紙は、長手方向に沿ってこれらの構成要素の周りに巻き付けられ、これらの構成要素の外面および/または構成要素自体に接着剤によって取り付けられる。したがって、巻き付け紙は、例えば、フィルタ付き紙巻きタバコの製造の間に巻き付け紙の適用のために紙巻きタバコ製造者によって従来から用いられる種類の水に基づく接着剤など、適切な接着を用いる間接的な接着剤の接合を介して、前述の構成要素同士の間に強制閉鎖を提供する。したがって、巻き付け紙は、細長い喫煙物品の実質的に全長の長手方向に延びる周辺の周りで延びる。
【0080】
図2は、本発明の第1の実施形態による細長い喫煙物品100の概略的な斜視図を示している。図2の細長い喫煙物品100は、円板形のフィルタ膜50が喫煙本体10と中空孔フィルタ要素との間に位置付けられている点において、図1の細長い喫煙物品と異なる。フィルタ膜は、中空孔フィルタ要素20の第1の基礎領域21に付着させられる、および/または、巻き付け紙(図示されていない)により間接的な強制閉鎖によって喫煙本体10と中空孔フィルタ要素20との間に楔留めされる。フィルタ膜50は、図2に概略的に示されているように、中空孔フィルタ要素20の中空孔25と一列にされる複数の開口開放部55を備える。フィルタ膜50の機能は図5に関連して記載されており、したがって、冗長な記載は図2に関して省略されている。
【0081】
図3は、本発明の第2の実施形態による細長い喫煙物品100の概略的な斜視図を示している。図3の細長い喫煙物品100は、フィルタ膜50の第1の部分51が中空孔フィルタ要素20の側面に取り付けられている点において、図1および図2の細長い喫煙物品と異なる。フィルタ膜50の第2の部分52が、第1の部分51から中空孔フィルタ要素20の第1の基礎領域21にわたって曲げられている。複数の開口開放部(図示されていない)が第2の部分52に配置され、中空孔25と一列にされており、つまり、中空孔25と重ねられている。フィルタ膜50は、中空孔フィルタ要素20に有利に良好に取り付け可能である。
【0082】
図4は、実施形態による中空孔フィルタ要素20の概略的な斜視図、および、このような中空孔フィルタ要素20の基礎領域21、22の概略的な正面図を示している。中空孔フィルタ要素20は、図3に関してすでに記載されているように、フィルタ膜50の第1の部分51が取り付けられている。フィルタ膜50の第2の部分52が、中空孔フィルタ要素20の第1の基礎領域21にわたって曲げられており、第1の基礎領域21についての平面図で示されているように、第1の基礎領域21における中空孔25と重ねられている複数の開口開放部55を備える。さらに、第3の部分53が、中空孔フィルタ要素20の第2の基礎領域22にわたって曲げられており、第2の基礎領域22についての平面図において示されているように、第2の基礎領域22における中空孔25と重ねられている、複数の開放部を伴った網56を備える。
【0083】
図5は、第2の実施形態による細長い喫煙物品100およびその作動原理の概略的な斜視部分図を示している。図5において見られるように、例えば灰などの粒子70と蒸気80とが、その燃焼温度未満の温度に加熱されている喫煙本体10から放出される。これらの粒子70および蒸気80は、使用者から細長い喫煙物品100の下流方向で中空孔フィルタ要素20に向けて吸い込まれる。喫煙本体10と中空孔フィルタ要素20との間の距離は例示の目的のために示されているだけであり、喫煙本体10と中空孔フィルタ要素20とは実際には直に隣接して位置させられる。
【0084】
中空孔フィルタ要素20は、図3および図4に関してすでに記載されているように構成されており、複数の開口開放部55が中空孔25と一列にされた状態で、中空孔25にわたって曲げられた帯状に成形された区分50の第2の部分52を備える。帯状に成形された区分50は紙-アルミニウムの積層から形成され、アルミニウム層は第1の部分51において上方を向き、第2の部分52において喫煙本体10の方向を向く。第2の部分52のため、喫煙本体10、および/または、喫煙本体10に挿入される加熱要素(図示されていない)によって放出される熱は、喫煙本体10に向けて戻すように逸らされ、したがって使用者の口から離れて保たれる。さらに、10μmの大きさを伴う開口開放部55は、粒子70を流れから濾過し、蒸気80だけを使用者の口へと通過させる。そのため、主に蒸気80が、符号80で印された矢印の中心のセットによって図5に示されているように、中空孔フィルタ要素20の中空孔25を通過する。したがって、使用者の経験は、より低い/小さい熱、粒子、および吸い込みへの抵抗によって特徴付けられる。
【0085】
図6は、第3の実施形態による細長い喫煙物品100の概略的な斜視図を示している。細長い喫煙物品100は、2つの点において第1および第2の実施形態による細長い喫煙物品100と異なっている。第1に、第3の実施形態では、中空要素は、喫煙本体10に隣接して位置付けられる中空管部分30である。別の言い方をすれば、第1の中空孔フィルタ要素20は省略されており、中空管部分30の下流の第2の中空孔フィルタ要素40は使用者のためのマウスピースとして保持されている。第2に、フィルタ膜50は、そのため、特には以下に記載されているような図7Aに示されているように、第1および第2の実施形態とは異なるように形成されている。
【0086】
図7は、実施形態によるフィルタ膜50の概略的な正面図を概略的に示している。図7のフィルタ膜50は、例えば銅またはアルミニウムの網といった金属網から完全に形成されており、網開放部は、先に記載されているような開口開放部を形成している。図7に示されているフィルタ膜の各々は、中空要素20、30の中空孔25、35と重ねられるように、つまり、中空孔25、35を覆うように構成される中心の円形の第2の部分52を備える。さらに、図7のフィルタ膜50の各々は少なくとも1つの第1の部分51を備える。具体的には、図7Aのフィルタ膜50は、第2の部分52から側方へ延びる4つの第1の部分51を備える。第1の部分51の各々は、長方形を有し、中空要素20、30の側面を覆うために曲げられるように構成される。金属網の可塑性のため、第1の部分51は曲げ位置において固定されて留まり、中空要素20、30の側面との形態閉鎖および/または強制閉鎖を提供する。図7Bのフィルタ膜50は、図7Aの第1の部分51と同一に構成される2つの第1の部分51を備える。図7Cのフィルタ膜50は、中心の第2の部分52を周方向に包囲する円形の輪として形成されている単一の第1の部分51を備える。単一の第1の部分51も、塑性変形させるために、ならびに、側面との形態閉鎖および/または強制閉鎖を提供するために、中空要素20、30の側面にわたって曲げられるように構成される。
【0087】
図8は、さらなる実施形態によるフィルタ膜50の概略的な正面図を概略的に示している。図8のフィルタ膜50では、中心の第2の部分52だけが、紙担体54によって周囲が埋め込まれている金属網材料から形成されている。紙担体54は二重の層とされてもよく、金属網の第2の部分52の縁領域が紙担体54の層同士の間で接着され得る。第1の部分51は、フィルタ膜の紙担体から延び、中空要素20、30の側面にわたって曲げられるように、および、側面に接着されるように構成されている。具体的には、図8Aのフィルタ膜50は、第2の部分52から側方へ延びる4つの第1の部分51を備える。第1の部分51の各々は、長方形を有し、中空要素20、30の側面に接着されるために曲げられるように構成される。図8Bのフィルタ膜50は、図7Aの第1の部分51と同一に構成される2つの第1の部分51を備える。図8Cのフィルタ膜50は、中心の第2の部分52を周方向に包囲する円形の輪として形成されている単一の第1の部分51を備える。単一の第1の部分51も、側面に接着させるために、中空要素20、30の側面にわたって曲げられるように構成される。
【0088】
図9は、第4の実施形態による細長い喫煙物品100の側面図を示している。ここでも、細長い喫煙物品100は、細長い喫煙物品100の上流端に喫煙本体10を備える。喫煙本体10は、ニコチンを揮発性化合物として含む、燃焼可能材料11として再構成された刻みタバコを備える。燃焼可能材料11は、スラリー/紙リコンの刻みタバコのシートから製作される寄せ集められた小片の形態で提供される65wt%の刻みタバコを備える。刻みタバコは、プロピレングリコール(PG)または植物性グリセリン(VG)などの保湿剤が20wt%投与され、7wt%から9wt%の間の含水量を有する。燃焼可能材料11はセルロースパルプ充填剤とグアーガム結合剤とをさらに含む。喫煙本体10は、細長い喫煙物品100が従来の紙巻きタバコを模すように、実質的に円筒の形で形成される。喫煙本体10は約7mmの直径と約12mmの軸方向長さとを有する。
【0089】
喫煙本体10は紙巻き付け層によって周囲が囲まれ、細長い喫煙物品100は上流の中空孔フィルタ要素20と下流の(末端の)第2の中空孔フィルタ要素40とを備える。2つの中空孔フィルタ要素20、40は中空管部分30によって離間される。両方の中空孔フィルタ要素20、40は、酢酸セルローストウから形成され、それぞれの紙プラグ層(図示されていない)で巻き付けられる。両方の中空孔フィルタ要素20、40は実質的に円筒の形を有する。上流の中空孔フィルタ20の直径は喫煙本体10の直径と合致する。第2の中空孔フィルタ要素40の直径は若干大きく、喫煙本体10および巻き付け層の組み合わされた直径と合致する。上流の中空孔フィルタ要素20は第2の中空孔フィルタ要素40より軸方向の長さにおいて若干短く、第2の中空孔フィルタ要素40についての軸方向の長さ12mmと比較して、10mmの軸方向の長さになっている。
【0090】
厚紙の中空管部分30は、約14mmの軸方向の長さを有する2つの中空孔フィルタ要素20、40の各々より長い。各々の中空孔フィルタ要素20、40は中空で長手方向に延びる孔を備える。上流のフィルタ20における孔の直径は末端のフィルタ40における孔の直径より若干大きく、末端のフィルタ要素40についての2mmと比較して、3mmの直径を有する。厚紙の中空管部分30および上流の中空孔フィルタ要素20は巻き付け層によって周囲が囲まれている。末端の中空孔フィルタ要素40は上流の要素に結合され、周囲を囲む紙のチップ層によって細長い喫煙物品100を形成する。チップ層は末端のフィルタ40を取り囲み、厚紙の中空管部分30の一部分に重なるように約20mmの軸方向の長さを有する。
【0091】
1mmの直径を有する単一のフィルタ開口55を伴う箔の円板の形態でのフィルタ膜50が、上流の中空孔フィルタ要素20の下流に設けられ、つまり、フィルタ膜50は、喫煙本体10と厚紙の中空管部分30との間、および、中空孔フィルタ要素20と厚紙の中空管部分30との間に介在させられる。
【0092】
図10は、末端のフィルタ要素が硬い第3のフィルタ要素46であり、液体のメントール、チェリー、またはバニラの風味を含む外殻壁を有する破砕可能なカプセル47(破砕ボール)を備えることを除いて、図9の細長い喫煙物品100と同一である第5の実施形態による細長い喫煙物品100の側面図を示している。カプセル47は球形であり、3.5mmの直径を有する。カプセル47は第3のフィルタ要素46の軸方向での中心の内部に位置付けられている。
【0093】
図11は、第4の実施形態による細長い喫煙物品100と、細長い喫煙物品100を加熱するための加熱要素を備える先行技術による加熱装置200とを備える喫煙システム300を示している。細長い喫煙物品100は、棒の形とされた加熱要素(図示されていない)を備える加熱装置200に挿入される。加熱要素は、加熱装置200の主本体60の中の空洞61へと突出する。細長い喫煙物品100は、加熱する棒が喫煙本体10を突き抜けるように、加熱装置200の主本体60の空洞61へと挿入される。喫煙本体10における再構成された刻みタバコ11の加熱は、例えば再充電可能な電池(図示されていない)で、加熱要素に動力供給することでもたらされる。
【0094】
刻みタバコが加熱されるとき、刻みタバコおよび保湿剤の内部からの水分およびニコチンが蒸気として放出され、末端の中空孔フィルタ要素40における使用者による吸入によって発生させられる空気流の中に取り込まれる。蒸気が上流の中空孔フィルタ要素20を通過した後、ニコチン、水分、および保湿剤は、フィルタ膜50におけるフィルタ開口55を通過するときに同時に存在し、それによって良好な混合をもたらす。そのため、蒸気流路は厚紙の中空管部分30の中で断面積が増加し、これは蒸気成分の効率的な混合をさらにもたらす。蒸気は、中空管30の中で冷却するため、揮発性化合物を含むエアロゾルを形成するように凝縮する。
【0095】
図12は、実施形態による細長い喫煙物品100および加熱装置200を備える喫煙システム300を示している。ここで、加熱装置200は、細長い喫煙物品100を受け入れ、具体的にはその喫煙本体10を受け入れるように構成される空洞61を有する主本体60を備える。細長い加熱要素62が空洞60へと延びる。図12に示されている細長い喫煙物品100は、隣接する中空孔フィルタ要素20からフィルタ膜50によって分離されている喫煙本体10を備える。中空管部分30は、中空孔フィルタ要素20の下流で中空孔フィルタ要素20に隣接している。細長い喫煙物品100の喫煙本体10が空洞61へと挿入されるとき、細長い加熱要素62は、喫煙本体10の燃焼可能材料11を加熱するために喫煙本体10へと突出する。
【0096】
図12に示されているように、細長い加熱要素62の長さは、細長い喫煙物品100の長さ方向において喫煙本体10の長さに適合されている。細長い加熱要素62の長さが喫煙本体10の長さと同じかまたは若干長くされるため、細長い加熱要素62はフィルタ膜50と接触する。したがって、細長い加熱要素62は、喫煙本体10を加熱するように作動されるとき、フィルタ膜50も加熱する。そのため、フィルタ膜50は、蒸気の低下した冷却の速さなどの有利な効果を達成し、延いては、蒸気におけるより大きな粒子の形成、および、フィルタ膜50における蒸気粒子の凝結の低減を達成するために、加熱装置200によって発生させられる熱を分布させる。
【0097】
図13は、別の実施形態による細長い喫煙物品100および加熱装置200を備える喫煙システム300を示している。ここで、ここでも加熱装置200は、細長い喫煙物品100を受け入れ、具体的にはその喫煙本体10を受け入れるように構成される空洞61を有する主本体60を備える。細長い加熱要素62が空洞60へと延びる。図13に示されている細長い喫煙物品100は、隣接する中空孔フィルタ要素20を伴う喫煙本体10を備える。中空孔フィルタ要素20は、隣接する下流の中空管部分30からフィルタ膜50によって分離されている。細長い喫煙物品100の喫煙本体10が空洞61へと挿入されるとき、細長い加熱要素62は、喫煙本体10の燃焼可能材料11を加熱するために喫煙本体10へと突出する。しかしながら、この実施形態では、加熱要素62はフィルタ膜50と直接的に接触しない。
【0098】
図13に示されているように、この実施形態の加熱装置200は誘導熱源63をさらに備える。これらの誘導熱源63は、電力を電源から引き込み、引き込まれた電力から電磁場を発生させるための加熱装置200の、例えば電池といった電源に連結される。熱源63によって放出される電磁場は、フィルタ膜50において電流を誘導するようになっており、この電流はフィルタ膜50を加熱させるのに十分である。
【符号の説明】
【0099】
10 円筒形の喫煙本体
11 燃焼可能材料
20 中空孔フィルタ要素
21 第1の基礎領域
22 第2の基礎領域
25 第1の中空孔
30 中空管部分
40 第2の中空孔フィルタ要素
45 第2の中空孔
46 第3のフィルタ要素
47 破砕可能なカプセル
50 フィルタ膜
55 フィルタ開口
51 第1の部分
52 第2の部分
53 第3の部分
60 加熱装置の主本体
61 加熱装置の空洞
62 細長い加熱要素
63 熱源
100 細長い喫煙物品
200 加熱装置
300 喫煙システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7(A)】
図7(B)】
図7(C)】
図8(A)】
図8(B)】
図8(C)】
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】