(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】スポーツ用防護ネット、これを利用したゴルフ用防護ネット、サッカー用防護ネット、野球用防護ネット、テニス用防護ネット、およびバレーボール用防護ネット
(51)【国際特許分類】
A63B 71/02 20060101AFI20220111BHJP
A63B 69/36 20060101ALI20220111BHJP
D04C 1/06 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
A63B71/02 E
A63B69/36 522Z
A63B69/36 522H
D04C1/06 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021525237
(86)(22)【出願日】2019-12-18
(85)【翻訳文提出日】2021-05-10
(86)【国際出願番号】 KR2019018036
(87)【国際公開番号】W WO2020130647
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】10-2018-0164710
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0169125
(32)【優先日】2019-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】キム,サン ファン
【テーマコード(参考)】
4L046
【Fターム(参考)】
4L046AA01
4L046AA07
4L046AA24
4L046AD01
4L046BA00
4L046BA01
4L046BA06
4L046BB00
(57)【要約】
本発明は、多数個の合成繊維フィラメントが合糸および撚糸された形態を有する合成繊維コード(CORD)が、結び目がない形態(Knotless type)で互いに交差することで交差点間に網目(Mesh)を形成しており、合成繊維コード(CORD)の直径(d)が式(I)を満たし、互いに隣接した交差点間の最大間隔(D1)が式(II)を満たし、隣り合う交差点間の最小間隔(D2)が式(III)を満たす。従来のスポーツ用防護ネットに比べて面密度が低いため、言い換えると軽量化され、防護ネットを構成する合成繊維コードの直径が小さくて空隙率が増加するため、防護ネット構造物の製作の際に風に対する抵抗性が向上し、機械的物性に優れてボールが飛んできてぶつかりながら加えられる衝撃に対する抵抗性に優れている。そのため、破損が最小化され、交換周期が延長される。また、空隙率が高くて視認性が向上しながらも、ボールが網目の中を貫通することを効果的に防止することができるため、安定性も向上する。また、防護ネット構造物に簡単に装着することができ、難燃性および耐候性にも優れている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数個の合成繊維フィラメントが合糸および撚糸された形態を有する合成繊維コード(CORD)が、結び目がない無結節形態(Knotless type)にて互いに交差することで合成繊維コード(CORD)の交差点同士の間に網目(Mesh)を形成しており、合成繊維コード(CORD)の直径(d)が下記式(I)を満たし、互いに隣接した前記交差点同士の間の最大間隔(D1)が下記式(II)を満たし、互いに隣接した前記交差点同士の間の最小間隔(D2)が下記式(III)を満たすことを特徴とするスポーツ用防護ネット:
前記式(I)乃至式(III)で求められる、合成繊維コード(CORD)の直径(d)、並びに、互いに隣接した交差点間の最大間隔(D1)および最小間隔(D2)のそれぞれの単位はmmであり、mはボールの質量であり、Nは定数14.14214であり、εは合成繊維フィラメント素材の延伸率であり、θはボールの打撃角度であり、σは合成繊維フィラメント素材の応力であり、Voは打撃されたボールの最大速度であり、Lは打撃されたボールにより衝撃を受けるネットの全長であって下記式(IV)で求められるのであり、hは打撃されたボールにより衝撃を受けるネットの高さであって下記式(V)で求められるのであり、Rは打撃が加えられるボールの半径であり、nは合成繊維コード(CORD)の製造のために合成繊維フィラメントに加えられる撚り数であり、
前記式(IV)中、N2は打撃されたボールにより衝撃を受けるネットの交差点間の間隔(D)の個数であって、12、17または24の整数であり、N1はボールにより衝撃が加えられる合成繊維コードの交差点の個数であって、1、2または4の整数であり、
前記式(V)中、Voは打撃されたボールの初期速度であり、θはボールの打撃角度である。
【請求項2】
前記合成繊維フィラメントは、アラミドフィラメントであることを特徴とする、請求項1に記載のスポーツ用防護ネット。
【請求項3】
前記合成繊維コードは、アラミドフィラメントを含むことを特徴とする、請求項1に記載のスポーツ用防護ネット。
【請求項4】
前記アラミドフィラメントの延伸率が2%以上4%以下であることを特徴とする、請求項2に記載のスポーツ用防護ネット。
【請求項5】
前記スポーツ用防護ネットの面密度が1g/m
2以上100g/m
2以下であることを特徴とする、請求項1に記載のスポーツ用防護ネット。
【請求項6】
前記合成繊維コード(CORD)上に紫外線安定剤を含む樹脂がコーティングされていることを特徴とする、請求項1に記載のスポーツ用防護ネット。
【請求項7】
前記スポーツ用防護ネットの端部に、細幅の織物が縫い付けられていることを特徴とする、請求項1に記載のスポーツ用防護ネット。
【請求項8】
前記スポーツ用防護ネットの切断強度が114daN(1140N)以上であることを特徴とする、請求項1に記載のスポーツ用防護ネット。
【請求項9】
下記式(VI)による前記スポーツ用防護ネットの空隙率が90%以上であることを特徴とする、請求項1に記載のスポーツ用防護ネット:
前記式(VI)中、Aは網目(Mesh)の面積であり、Bは網目(Mesh)の横方向長さ(L2)にアラミドコード(CORD)の直径(d)を加えた値(L1)と、網目(Mesh)の縦方向長さ(h2)にアラミドコードの直径(d)を加えた値(h1)とをかけ合わせて求めた面積である。
【請求項10】
前記スポーツ用防護ネットを回転摩擦力試験器に装着した後、防護ネットの同一部分に、3,000rpmで回転するゴルフボールを接触させて、防護ネットが損傷するのにかかる時間である、耐摩耗性が20分以上であることを特徴とする、請求項1に記載のスポーツ用防護ネット。
【請求項11】
前記合成繊維コード(CORD)の直径(d)が0.85mm以上1.5mm以下であり、互いに隣接した交差点の最大間隔(D1)が35mm以下であり、互いに隣接した交差点の最小間隔(D2)が20mm以上であることを特徴とする、請求項1に記載のスポーツ用防護ネット。
【請求項12】
前記合成繊維コード(CORD)の直径(d)が0.59mm以上0.84mm以下であり、互いに隣接した交差点の最大間隔(D1)が140mm以下であり、互いに隣接した交差点の最小間隔(D2)が135mm以上であることを特徴とする、請求項1に記載のスポーツ用防護ネット。
【請求項13】
前記合成繊維コード(CORD)の直径(d)が0.75mm以上1.07mm以下であり、互いに隣接した交差点の最大間隔(D1)が50mm以下であり、互いに隣接した交差点の最小間隔(D2)が40mm以上であることを特徴とする、請求項1に記載のスポーツ用防護ネット。
【請求項14】
前記合成繊維コード(CORD)の直径(d)が0.73mm以上1.03mm以下であり、互いに隣接した交差点の最大間隔(D1)が42mm以下であり、互いに隣接した交差点の最小間隔(D2)が38mm以上であることを特徴とする、請求項1に記載のスポーツ用防護ネット。
【請求項15】
前記合成繊維コード(CORD)の直径(d)が0.33mm以上0.47mm以下であり、互いに隣接した交差点の最大間隔(D1)が126mm以下であり、互いに隣接した交差点の最小間隔(D2)が122mm以上であることを特徴とする、請求項1に記載のスポーツ用防護ネット。
【請求項16】
請求項11に記載のスポーツ用防護ネットを使用することを特徴とするゴルフ用防護ネット。
【請求項17】
請求項12に記載のスポーツ用防護ネットを使用することを特徴とするサッカー用防護ネット。
【請求項18】
請求項13に記載のスポーツ用防護ネットを使用することを特徴とする野球用防護ネット。
【請求項19】
請求項14に記載のスポーツ用防護ネットを使用することを特徴とするテニス用防護ネット。
【請求項20】
請求項15に記載のスポーツ用防護ネットを使用することを特徴とするバレーボール用防護ネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフ場や野球場などに設置して打撃されたゴルフボールまたは野球ボールなどが防護ネット外部に抜け出ることを防止するスポーツ用防護ネット、これを利用したゴルフ用防護ネット、サッカー用防護ネット、野球用防護ネット、テニス用防護ネット、およびバレーボール用防護ネットに関し、具体的には、軽量化されて風に対する抵抗性に優れると共に、衝撃抵抗性に優れて交換周期が長く、高い空隙率により視認性に優れると共に、ゴルフボールまたは野球ボールなどが防護ネット外側へと貫通することを効果的に防止して安定性が向上しており、難燃性および耐候性にも優れたスポーツ用防護ネット、これを利用したゴルフ用防護ネット、サッカー用防護ネット、野球用防護ネット、テニス用防護ネット、およびバレーボール用防護ネットに関する。
【背景技術】
【0002】
スポーツ用防護ネットは、ゴルフ場または野球場などに設置して、打撃されたゴルフボールまたは野球ボールなどが防護ネットの外側へと抜け出ることを予防する用途で使用されている。
【0003】
従来のスポーツ用防護ネットは、多数個の高密度ポリエチレン(High density polyethylene:以下、「HDPE」という)フィラメントが合糸および撚糸された形態のHDPEコード(CORD)が結び目がある結節形態(Knot type)または結び目がない無結節形態(Knotless type)で互いに交差しながら前記HDPEコード(CORD)の交差点間に網目(Mesh)を形成しているスポーツ用防護ネットが主に使用されてきている。
【0004】
しかし、従来のスポーツ用防護ネットは、希望する水準の衝撃抵抗性および耐摩耗性を具現するためには、HDPEコード(CORD)の直径を少なくとも1.8mmより太く設定しなければならず、そのため、スポーツ用防護ネットの面密度が高くなって風に対する抵抗性が弱いため、設置後に風により簡単に破損するという問題と防護ネットの撤去に多くの時間と人手がかかるという問題があった。
【0005】
また、従来のスポーツ用防護ネットは、打撃されたゴルフボールが飛んできてぶつかりながら加えられる衝撃に対する抵抗性が低いため、破損されやすく、
図3のAの面積を
図3のBの面積で割った後、100をかけて計算した空隙率(%)が低いため、視認性も悪くなるという問題があった。
【0006】
また、従来のスポーツ用防護ネットは、難燃性および耐候性が低いという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、軽量化されて風に対する抵抗性に優れると共に、衝撃抵抗性に優れて交換周期が長く、高い空隙率により視認性に優れると共に、ゴルフボールまたは野球ボールなどが防護ネットの外側へと貫通することを効果的に防止して安定性が向上し、難燃性および耐候性にも優れたスポーツ用防護ネット、これを利用したゴルフ用防護ネット、サッカー用防護ネット、野球用防護ネット、テニス用防護ネット、およびバレーボール用防護ネットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決するために、多数個の合成繊維フィラメントが合糸および撚糸された形態を有する合成繊維コード(CORD)が、結び目がない無結節形態(Knotless type)にて、互いに交差しながら合成繊維コード(CORD)の交差点の間に網目(Mesh)を形成しており、合成繊維コード(CORD)の直径(d)が下記式(I)を満たし、互いに隣接した前記交差点の間の最大間隔(D1)が下記式(II)を満たし、互いに隣接した前記交差点の間の最小間隔(D2)が下記式(III)を満たすスポーツ用防護ネットを製造する。
【0009】
【0010】
前記式(I)乃至式(III)で求められる、合成繊維コード(CORD)の直径(d)と、互いに隣接した交差点の間の最大間隔(D1)および最小間隔(D2)のそれぞれの単位はmmであり、mはボールの質量であり、Nは定数14.14214であり、εは合成繊維フィラメント素材の延伸率であり、θはボールの打撃角度であり、σは合成繊維フィラメント素材の応力であり、Voは打撃されたボールの最大速度であり、Lは打撃されたボールにより衝撃を受けるネットの全長であって、下記式(IV)で求められ、hは打撃されたボールにより衝撃を受けるネットの高さであって、下記式(V)で求められ、Rは打撃が加えられるボールの半径であり、nは合成繊維コード(CORD)製造のために合成繊維フィラメントに加えられる撚り数であり、
【0011】
【0012】
前記式(IV)中、N2は、打撃されたボールにより衝撃を受けるネットの交差点間の間隔(D)の個数であって、12、17または24の整数であり、N1は、ボールにより衝撃が加えられる合成繊維コードの交差点の個数であって、1、2または4の整数であり、
【0013】
【0014】
前記式(V)中、Voは打撃されたボールの初期速度であり、θはボールの打撃角度である。
【0015】
前記式(IV)中、N2は、打撃されたボールにより衝撃を受けるネットの交差点間の間隔(D)の個数の値により、前記式(I)による合成繊維コードの直径(d)の最大値と最小値が得られる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、従来のスポーツ用防護ネットに比べて面密度が低いため、言い換えると軽量化され、防護ネットを構成する合成繊維コードの直径が従来のスポーツ用防護ネットのHDPEコードの直径より非常に小さくて空隙率が増加するため、防護ネット構造物の製作時に風に対する抵抗性が向上し、機械的物性に優れてゴルフボールまたは野球ボールなどが飛んできてぶつかりながら加えられる衝撃に対する抵抗性に優れている。そのため、本発明は、破損が最小化され、交換周期が延長される。
【0017】
また、本発明は、空隙率が高くて視認性が向上しながらも、ゴルフボールまたは野球ボールなどが網目の間を貫通することを効果的に防止することができるため、安定性も向上する。
【0018】
また、本発明は、防護ネット構造物に簡単に装着することができ、難燃性および耐候性にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】スポーツ用防護ネットの一部分の平面図である。
【
図2】
図1中の合成繊維コード(CORD:C)の交差点(X)を拡大した写真である。
【
図3】空隙率計算に使用される面積Aと面積Bを示す模式図である。
【
図4】ボールが防護ネットに衝突する位置に応じてボールにより衝撃を受けるネットの交差点間の間隔(D)の個数(N2)を示す模式図である。
【
図5】ボールが防護ネットに衝突する位置に応じてボールにより衝撃を受けるネットの交差点間の間隔(D)の個数(N2)を示す模式図である。
【
図6】ボールが防護ネットに衝突する位置に応じてボールにより衝撃を受けるネットの交差点間の間隔(D)の個数(N2)を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付した図面などを通じて本発明を詳細に説明する。
【0021】
本発明は、
図1および
図2に示したように、多数個の合成繊維フィラメントが合糸および撚糸された形態を有する合成繊維コード(CORD)が、結び目がない無結節形態(Knotless type)にて、互いに交差しながら合成繊維コード(CORD)の交差点の間に網目(Mesh)を形成しており、合成繊維コード(CORD)の直径(d)が下記式(I)を満たし、互いに隣接した前記交差点の間の最大間隔(D1)が下記式(II)を満たし、互いに隣接した前記交差点の間の最小間隔(D2)が下記式(III)を満たすことを特徴とする。
【0022】
【0023】
前記式(I)乃至式(III)で求められる、合成繊維コード(CORD)の直径(d)、並びに、互いに隣接した交差点間の最大間隔(D1)および最小間隔(D2)の、それぞれの単位はmmであり、mはボールの質量であり、Nは定数14.14214であり、εは合成繊維フィラメント素材の延伸率であり、θはボールの打撃角度であり、σは合成繊維フィラメント素材の応力であり、Voは打撃されたボールの最大速度であり、Lは打撃されたボールにより衝撃を受けるネットの全長であって、下記式(IV)で求められ、hは打撃されたボールにより衝撃を受けるネットの高さであって、下記式(V)で求められ、Rは打撃が加えられるボールの半径であり、nは合成繊維コード(CORD)の製造のために合成繊維フィラメントに加えられる撚りの数であり、
【0024】
【0025】
前記式(IV)中、N2は、打撃されたボールにより衝撃を受ける、ネットの交差点間の間隔(D)の個数であって、12、17または24の整数であり、N1は、ボールにより衝撃が加えられる、合成繊維コードの交差点の個数であって、1、2または4の整数であり、
【0026】
【0027】
前記式(V)中、Voは打撃されたボールの初期速度であり、θはボールの打撃角度である。
【0028】
打撃されたボールにより衝撃を受ける、前記交差点間の間隔(D)の個数(N2)は、
図4乃至
図6に示されているように、ボールが防護ネットに衝突する位置により決められる。
【0029】
具体的に、
図4に示された防護ネットの位置にボールが衝突するようになると、打撃されたボールにより衝撃を受ける交差点間の間隔(D)の個数(N2)は12個になり、打撃されたボールにより衝撃を受ける交差点の個数(N1)は1個になる。
【0030】
一方、
図5に示された防護ネットの位置にボールが衝突するようになると、打撃されたボールにより衝撃を受ける交差点間の間隔(D)の個数(N2)は17個になり、打撃されたボールにより衝撃を受ける交差点の個数(N1)は2個になる。
【0031】
一方、
図6に示された防護ネットの位置にボールが衝突するようになると、交差点間の間隔(D)の個数(N2)は24個になり、打撃されたボールにより衝撃を受ける交差点の個数(N1)は4個になる。
【0032】
本発明のスポーツ用防護ネットは、ゴルフ用防護ネット、サッカー用防護ネット、野球用防護ネット、テニス用防護ネットまたはバレーボール用防護ネットなどで使用され得る。
【0033】
前記合成繊維コードを構成する合成繊維フィラメントとしては、アラミドフィラメントを単独で使用したり、アラミドフィラメントと、アラミドフィラメントを除いたその他の合成繊維フィラメントとを混合して使用したりすることもできる。
【0034】
前記合成繊維コードがアラミドフィラメントからなるアラミドコードである本発明がゴルフ用防護ネットとして使用される場合、前記アラミドコードの直径(d)が0.85mm以上1.5mm以下であり、互いに隣接した交差点の最大間隔(D1)が35mm以下であり、互いに隣接した交差点の最小間隔(D2)が20mm以上であることが好ましい。
【0035】
前記合成繊維コードがアラミドフィラメントからなるアラミドコードである本発明がサッカー用防護ネットとして使用される場合、前記アラミドコードの直径(d)が0.59mm以上0.84mm以下であり、互いに隣接した交差点の最大間隔(D1)が140mm以下であり、互いに隣接した交差点の最小間隔(D2)が135mm以上であることが好ましい。
【0036】
前記合成繊維コードがアラミドフィラメントからなるアラミドコードである本発明が野球用防護ネットとして使用される場合、前記アラミドコードの直径(d)が0.75mm以上1.07mm以下であり、互いに隣接した交差点の最大間隔(D1)が50mm以下であり、互いに隣接した交差点の最小間隔(D2)が40mm以上であることが好ましい。
【0037】
前記合成繊維コードが本発明のテニス用防護ネットとして使用される場合、前記合成繊維コードの直径(d)が0.73mm以上1.03mm以下であり、互いに隣接した交差点の最大間隔(D1)が42mm以下であり、互いに隣接した交差点の最小間隔(D2)が38mm以上であることが好ましい。
【0038】
前記合成繊維コードが本発明のバレーボール用防護ネットとして使用される場合、前記合成繊維コードの直径(d)が0.33mm以上0.47mm以下であり、互いに隣接した交差点の最大間隔(D1)が126mm以下であり、互いに隣接した交差点の最小間隔(D2)が122mm以上であることが好ましい。
【0039】
もし、合成繊維コード直径(d)が前記範囲より低い場合には、合成繊維コードの引張強度や耐摩耗性などといった機械的物性が低下するようになり、打撃されたゴルフボールまたは野球ボールなどが飛んできてぶつかりながら加えられる衝撃によりスポーツ用防護ネットが簡単に破損する可能性が高くなるのであり、合成繊維コードの直径が(d)が前記範囲を超える場合には、スポーツ用防護ネットの面密度が180g/m2より重くなり、ネット直径が増加して風および台風など外部環境に対する抵抗性が低下して、設置された防護ネットが簡単に破損する可能性が高くなり、スポーツ用防護ネットの空隙率が88%未満に低くなって競技観覧性が不良となる。
【0040】
合成繊維コードの交差点(X)間の間隔が前記範囲を超える場合には、ゴルフボールや野球ボールなどがスポーツ用防護ネットの網目(Mesh)の間を貫通してスポーツ用防護ネットの防護機能が低下するという問題が発生し、前記範囲未満である場合には、網目(Mesh)が過度に小さく形成されて競技観覧性が不良となる。
【0041】
つまり、合成繊維コード(CORD)の直径(d)が0.85mm以上1.5mm以下であり、互いに隣接した交差点の最大間隔(D1)が35mm以下であり、互いに隣接した交差点の最小間隔(D2)が20mm以上であることを特徴とするスポーツ用防護ネットをゴルフ用防護ネットとして使用することができる。
【0042】
また、合成繊維コード(CORD)の直径(d)が0.59mm以上0.84mm以下であり、互いに隣接した交差点の最大間隔(D1)が140mm以下であり、互いに隣接した交差点の最小間隔(D2)が135mm以上であることを特徴とするスポーツ用防護ネットをサッカー用防護ネットとして使用することができる。
【0043】
また、合成繊維コード(CORD)の直径(d)が0.75mm以上1.07mm以下であり、互いに隣接した交差点の最大間隔(D1)が50mm以下であり、互いに隣接した交差点の最小間隔(D2)が40mm以上であることを特徴とするスポーツ用防護ネットを野球用防護ネットとして使用することができる。
【0044】
また、合成繊維コード(CORD)の直径(d)が0.73mm以上1.03mm以下であり、互いに隣接した交差点の最大間隔(D1)が42mm以下であり、互いに隣接した交差点の最小間隔(D2)が38mm以上であることを特徴とするスポーツ用防護ネットをテニス用防護ネットとして使用することができる。
【0045】
また、合成繊維コード(CORD)の直径(d)が0.33mm以上0.47mm以下であり、互いに隣接した交差点の最大間隔(D1)が126mm以下であり、互いに隣接した交差点の最小間隔(D2)が122mm以上であることを特徴とするスポーツ用防護ネットをバレーボール用防護ネットとして使用することができる。
【0046】
前記アラミドコード(CORD:C)は、纎度が1,200デニール以上5,000デニール以下、より好ましくは2,000以上5,000デニール以下であるアラミドフィラメント2本以上3本以下で構成され、前記アラミドフィラメントの延伸率は2%以上4%以下であることが好ましい。
【0047】
前記合成繊維コード上に紫外線安定剤を含む樹脂がコーティングされていることが、耐候性改善においてより好ましい。
【0048】
本発明のスポーツ用防護ネットは、切断強度が114daN(デカニュートン)以上、または114daN(1140N)以上120daN(1200N)以下であり、設置時の装着性改善のために、スポーツ用防護ネットの終端には、細幅の織物が縫い付けられていてもよい。
【0049】
一つの具現例として、無結節形態(Knotless type)である防護ネットを裁断または装着する際に防護ネットの糸のほつれが発生することを防止するために、防護ネットの端部に細幅織物を縫い付ける。
【0050】
また他の一つの具現例として、防護ネット設置用の柱に防護ネットを容易にかけたり装着したりするために、防護ネットの端部に細幅織物を縫い付ける際、金属リング(Ring)の形態のジグを装着することもできる。
【0051】
また他の一つの具現例として、防護ネット設置用の柱に面ファスナー( hook-and-loop fastener)が取り付けられた場合には、防護ネットの装着性および脱着性を改善するために、防護ネットの端部に細幅織物を縫い付ける際、面ファスナーを一緒に縫い付けることもできる。
【0052】
本発明は、従来のスポーツ用防護ネットに比べて面密度が低いため、言い換えると軽量化され、防護ネットを構成する合成繊維コードの直径が従来のHDPEコードの直径より非常に小さくて空隙率が増加するため、防護ネット構造物を製作する際に風に対する抵抗性が向上し、機械的物性に優れてゴルフボールや野球ボールなどが飛んできてぶつかる際に加えられる衝撃に対する抵抗性に優れている。そのため、本発明は、破損が最小化され、交換周期が延長される。
【0053】
具体的に、下記式(VI)による前記スポーツ用防護ネットの空隙率が、90%以上、または90%以上100%以下、または90%以上99.5%以下でありうる。
【0054】
【0055】
前記式(VI)中、Aは網目(Mesh)の面積であり、Bは、網目(Mesh)の横方向長さ(L2)にアラミドコード(CORD)の直径(d)を加えた値(L1)と、網目(Mesh)の縦方向長さ(h2)にアラミドコードの直径(d)を加えた値(h1)とを、かけ合わせて求めた面積である。
【0056】
また、前記スポーツ用防護ネットを回転摩擦力試験器に装着した後、防護ネットの同一部分に3,000rpmで回転するゴルフボールを接触させて防護ネットが損傷するのにかかる時間である耐摩耗性が、20分以上、または20分以上35分以下でありうる。
【0057】
また、前記スポーツ用防護ネットの面密度が、1g/m2以上100g/m2以下、または5g/m2以上80g/m2以下でありうる。
【0058】
また、本発明は、空隙率が高くて視認性が向上しながらも、ゴルフボールや野球ボールなどが網目の隙間を貫通することを効果的に防止することができるため、安定性も向上する。
【0059】
また、本発明は、防護ネット構造物に簡単に装着することができ、難燃性および耐候性にも優れている。
【0060】
以下、実施例および比較例を通じて本発明をより具体的に説明する。
【0061】
しかし、下記の実施例だけに本発明の保護範囲が限定されるように解釈されてはならない。
【0062】
実施例1
延伸率が3%であり、纎度が4,500デニールであるアラミドフィラメント2本を、合糸および撚糸して、直径(d)が0.95mmであるアラミドコード(CORD)を製造した。
【0063】
次に、前記アラミドコードを、
図1および
図2のように、結び目がない無結節状態(Knotless type)にて互いに交差させることで網目(Mesh)を形成して、ゴルフ用防護ネットを製造した。
【0064】
この際、アラミドコードの交差点(X)同士の間の間隔を25mmに調節した。
【0065】
製造されたゴルフ用防護ネットについての切断強度、面密度、空隙率および耐摩耗性を評価した結果は、表1のとおりである。
【0066】
比較例1
3,000デニールのアラミドフィラメント2本を、合糸および撚糸して、直径(d)が0.8mmであるアラミドコード(CORD)を製造した。
【0067】
次に、前記アラミドコードを、
図1および
図2のように、結び目がない無結節状態(Knotless type)にて互いに交差させることで網目(Mesh)を形成して、ゴルフ用防護ネットを製造した。
【0068】
この際、アラミドコードの交差点(X)同士の間の間隔を23mmに調節した。
【0069】
比較例2
3,000デニールの高密度ポリエチレン(HDPE)フィラメント5本を、合糸および撚糸して、直径(d)が1.40mmであるHDPEコード(CORD)を製造した。
【0070】
次に、前記HDPEコードを
図1および
図2のように、結び目がない無結節状態(Knotless type)にて互いに交差させることで網目(Mesh)を形成して、ゴルフ用防護ネットを製造した。
【0071】
この際、HDPEコードの交差点(X)同士の間の間隔を23mmに調節した。
【0072】
製造されたゴルフ用防護ネットについての切断強度、面密度、空隙率および耐摩耗性を評価した結果は、表1のとおりである。
【0073】
【0074】
前記表1で、式(I)、式(II)、および式(III)の値は、次のとおりである。
【0075】
【0076】
前記式(I)乃至式(III)で求められる、合成繊維コード(CORD)の直径(d),
並びに、互いに隣接した交差点間の最大間隔(D1)および最小間隔(D2)のそれぞれの単位はmmであり、mはボールの質量であり、Nは定数14.14214であり、εは合成繊維フィラメント素材の延伸率であり、θはボールの打撃角度であり、σは合成繊維フィラメント素材の応力であり、Voは打撃されたボールの最大速度であり、Lは打撃されたボールにより衝撃を受けるネットの全長であって、下記式(IV)で求められるのであり、hは打撃されたボールにより衝撃を受けるネットの高さであって、下記式(V)で求められるのであり、Rは打撃が加えられるボールの半径であり、nは合成繊維コード(CORD)の製造のために合成繊維フィラメントに加えられる撚り数であり、
【0077】
【0078】
前記式(IV)中、N2は打撃されたボールにより衝撃を受けるネットの交差点間の間隔(D)の個数であって、12、17または24の整数であり、N1はボールにより衝撃が加えられる合成繊維コードの交差点の個数であって、1、2または4の整数であり、
【0079】
【0080】
前記式(V)中、Voは打撃されたボールの初期速度であり、θはボールの打撃角度である。
【0081】
前記表1に示されているように、実施例1で製造されたゴルフ用防護ネットとは異なり、交差点(X)間の間隔が式(II)と式(III)の範囲内に属しない比較例1で製造されたゴルフ用防護ネットは、耐摩耗性が顕著に不良になることを確認することができた。
【0082】
また、実施例1で製造されたゴルフ用防護ネットとは異なり、コード直径が式(I)を満たさないだけでなく、コード素材がHDPEに変更された比較例2で製造されたゴルフ用防護ネットは、耐摩耗性および切断強度が顕著に不良になることを確認することができた。
【0083】
実施例2
3,000デニールのアラミドフィラメント2本を合糸および撚糸して直径が0.7mmであるアラミドコード(CORD)を製造した。
【0084】
次に、前記アラミドコードを
図1および
図2のように結び目がない無結節状態(Knotless type)で互いに交差させながら網目(Mesh)を形成してサッカー用防護ネットを製造した。
【0085】
この際、アラミドコードの交差点(X)同士の間の間隔を137mmに調節した。
【0086】
製造されたサッカー用防護ネットについての切断強度、面密度、空隙率および耐摩耗性を評価した結果は、表2のとおりである。
【0087】
実施例3
3,000デニールのアラミドフィラメント2本を、合糸および撚糸して、直径が0.9mmであるアラミドコード(CORD)を製造した。
【0088】
次に、前記アラミドコードを、
図1および
図2のように、結び目がない無結節状態(Knotless type)にて互いに交差させることで網目(Mesh)を形成して、野球用防護ネットを製造した。
【0089】
この際、アラミドコードの交差点(X)間の間隔を45mmに調節した。
【0090】
製造された野球用防護ネットについての切断強度、面密度、空隙率および耐摩耗性を評価した結果は、表2のとおりである。
【0091】
実施例4
3,000デニールのアラミドフィラメント2本を、合糸および撚糸して、直径が0.85mmであるアラミドコード(CORD)を製造した。
【0092】
次に、前記アラミドコードを、
図1および
図2のように、結び目がない無結節状態(Knotless type)にて互いに交差させることで網目(Mesh)を形成して、テニス用防護ネットを製造した。
【0093】
この際、アラミドコードの交差点(X)同士の間の間隔を40mmに調節した。
【0094】
製造されたテニス用防護ネットについての切断強度、面密度、空隙率および耐摩耗性を評価した結果は、表2のとおりである。
【0095】
実施例5
3,000デニールのアラミドフィラメント2本を、合糸および撚糸して、直径が0.4mmであるアラミドコード(CORD)を製造した。
【0096】
次に、前記アラミドコードを、
図1および
図2のように、結び目がない無結節状態(Knotless type)にて互いに交差させることで網目(Mesh)を形成して、バレーボール用防護ネットを製造した。
【0097】
この際、アラミドコードの交差点(X)同士の間の間隔を124mmに調節した。
【0098】
製造されたバレーボール用防護ネットについての切断強度、面密度、空隙率および耐摩耗性を評価した結果は、表2のとおりである。
【0099】
【0100】
<表1>および<表2>の物性は以下の方法で評価した。
【0101】
切断強度(daN)
KS K ISO 1806、漁網類-網のメッシュ(Mesh)切断荷重測定方法により測定したのであり、メッシュ(Mesh)を採取して両端を固定させた後、切断強度を測定した。
【0102】
空隙率(%)
図3に示されているように、(i)網目(Mesh)の面積(A)、及び、(ii)網目(Mesh)の横方向長さ(L2)にアラミドコード(CORD)の直径(d)を加えた値(L1)と、網目(Mesh)の縦方向長さ(h2)にアラミドコードの直径(d)を加えた値(h1)とをかけ合わせて求めた面積(B)を求め、この後、これらを下記式(VI)に代入して空隙率を計算した。
【0103】
【0104】
面密度(g/m
2
)
横1m×縦1mの規格である防護ネットの重量を測定して求めた。
【0105】
耐摩耗性(時間)
耐摩耗性は、防護ネットを回転摩擦力試験器に装着した後、防護ネットの同一部分に3,000rpmで回転するゴルフボールを接触させて、防護ネットが損傷するのにかかる時間(分)で示した。
【符号の説明】
【0106】
C:合成繊維コード(CORD)
d:合成繊維コード(C)の直径
X:合成繊維コード(C)の交差点
A:網目(Mesh)の面積
h2:網目(Mesh)の縦方向長さ
L2:網目(Mesh)の横方向長さ
h1:網目(Mesh)の縦方向長さ(h2)にアラミドコードの直径(d)を加えた値
L1:網目(Mesh)の横方向長さ(L2)にアラミドコードの直径を加えた値
B:h1とL1をかけ合わせた面積
1:スポーツ用防護ネット
2:ボール
D:合成繊維コードの交差点(X)間の間隔
【国際調査報告】