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特表2022-507074タブ原料にマークを刻印するタブプレス機および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】タブ原料にマークを刻印するタブプレス機および方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 51/44 20060101AFI20220111BHJP
   B65D 17/34 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
B21D51/44 G
B65D17/34
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021525243
(86)(22)【出願日】2019-10-30
(85)【翻訳文提出日】2021-07-05
(86)【国際出願番号】 GB2019053077
(87)【国際公開番号】W WO2020099827
(87)【国際公開日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】1818387.1
(32)【優先日】2018-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598168106
【氏名又は名称】クラウン パッケージング テクノロジー、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラムジー,クリス
【テーマコード(参考)】
3E093
【Fターム(参考)】
3E093AA02
3E093BB01
3E093DD06
(57)【要約】
缶端部での使用のためのタブを用意するのに使用されるタブ原料にマークを刻印する方法。この方法は、パンチとダイとを包含するタブプレス機にタブ原料を提供することを包含する。パンチは隆起特徴セットを包含してダイは相応の陥凹特徴セットを包含し、特徴は、タブがタブ端部に装着された時に外向きになるタブ形成エリア内のタブ原料の領域にマークをデボス加工するように協働する。特徴は、プレス機が完全に閉じられた時に、隆起特徴の各々の少なくとも一部分と相応の陥凹特徴の各々の少なくとも一部分との間の間隔がタブ形成エリア内の領域でのタブ原料の厚さより小さくなるようなものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶端部での使用のためのタブを用意するのに使用される、タブ原料にマークを刻印する方法であって、
パンチとダイとを包含するタブプレス機に前記タブ原料を提供することであって、前記パンチが隆起特徴のセットを包含して前記ダイが相応の陥凹特徴のセットを包含し、前記タブがタブ端部に装着された時に外向きになるタブ形成エリア内の前記タブ原料の領域に前記マークをデボス加工するように前記特徴が協働し、前記特徴が、前記プレス機が完全に閉じられた時に前記隆起特徴の各々の少なくとも一部分と前記相応の陥凹特徴の各々の少なくとも一部分との間の間隔が前記タブ形成エリア内の前記領域での前記タブ原料の厚さより小さくなるようなものであること、
を包含する方法。
【請求項2】
前記特徴の各々が、前記パンチと前記ダイとの平面に対して傾斜した表面を包含し、前記タブ形成エリア内の前記領域での前記タブ原料の厚さより小さい間隔を有する前記隆起および陥凹特徴の前記部分が前記傾斜表面により設けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記パンチの前記隆起特徴の各々が、前記平面に対して実質的に平行な平坦外表面を包含し、各平坦外表面が前記傾斜表面の一つとの角接合部を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ダイの前記陥凹特徴の傾斜表面が前記ダイの外面との角接合部を有する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記間隔が、前記隆起および陥凹特徴の角接合部の間の間隔である、請求項3に従属する時の請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記間隔が前記タブ形成エリア内の前記領域での前記タブ原料の厚さの80%より小さいか60%より小さい、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記間隔が前記タブ形成エリア内の前記領域での前記タブ原料の厚さの20%より大きいか40%より大きい、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記パンチの前記隆起表面を、前記タブ形成エリア内の前記領域での前記タブ原料の厚さの70%より小さく、または50%より小さく、前記タブ原料の前記領域へ押入するように前記プレス機が構成される、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記タブ形成エリアの縁部の引き抜きおよび曲げ込みの工程に先立って方法を実施することを包含する、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記タブ形成エリアの周辺に穿孔して縁部を形成する工程に先立って方法を実施することを包含する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記タブ形成エリアに形成される馬蹄形切除部の周りに延在する縁部を引き抜く工程と同時に方法を実施することを包含する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記タブ形成エリアにリベット切除部を形成する工程と同時に方法を実施することを包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
0.25mmより小さい、好ましくは0.15mmより小さい前記タブの平面での前記デボス加工の特徴寸法を備える英数字など一以上の個別特徴を前記マークが包含する、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記パンチの前記隆起特徴のうち二以上が最大高さにおいて異なっている、請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
0.24mmと0.26mmとの間の厚さを有するタブ原料を受容するように構成されるとともにマークが刻印されたタブを製造するようにさらに構成されるタブプレス機であって、
隆起特徴のセットを包含するパンチと相応の陥凹特徴のセットを包含するダイとを包含して、前記タブがタブ端部に装着された時に外向きになるタブ形成エリア内の前記タブ原料の領域に前記マークをデボス加工するように前記特徴が協働し、前記特徴が、前記プレス機が完全に閉じられた時に、前記隆起特徴の各々の少なくとも一部分と前記相応の陥凹特徴の各々の少なくとも一部分との間の間隔が、前記タブプレス機が受容するように構成される前記タブ原料の厚さより小さくなるようなものである、
タブプレス機。
【請求項16】
前記間隔が0.20mmより小さいか0.15mmより小さい、請求項15に記載のタブプレス機。
【請求項17】
前記タブ原料の前記タブ形成エリアの縁部に引き抜きおよび曲げ込みを行うための機械工具を包含して、前記縁部の引き抜きおよび曲げ込みに先立って前記タブ原料に前記マークをデボス加工するようにタブプレス機が構成される、請求項15または請求項16に記載のタブプレス機。
【請求項18】
前記タブ原料の前記タブ形成エリアの周辺に穿孔して縁部を形成するための機械工具を包含し、前記縁部の形成に先立って前記タブ原料に前記マークをデボス加工するように構成されるタブプレス機である、請求項17に記載のタブプレス機。
【請求項19】
前記タブ原料の前記タブ形成エリアに形成される馬蹄形切除部の周りに延在する縁部を引き抜くための機械工具を包含し、前記馬蹄形切除部の周りに延在する前記縁部の形成と同時に前記タブ原料に前記マークをデボス加工するように構成されるタブプレス機である、請求項17に記載のタブプレス機。
【請求項20】
前記タブ形成エリアにリベット切除部を形成するための機械工具を包含し、前記リベット切除部の形成と同時に前記タブ原料に前記マークをデボス加工するように構成されるタブプレス機である、請求項18に記載のタブプレス機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶端部での使用のためのタブを用意するのに使用されるタブ原料にマークを刻印する方法と、マークが刻印されたタブを製造するためのタブプレス機とに関する。排他的ではなく具体的には、飲料缶での使用のためのデボス加工マークを特徴とするタブに関する。
【背景技術】
【0002】
飲料缶などの缶の端部閉止材は一般的に、パネルの一区分を缶へ押入することでパネルに開口部を形成するようにタブを持ち上げることにより損壊されうる脆弱な刻み目を備えるパネルを有する。図1は、先端部102と、先端部102と反対の引き上げ端部104と、先端部104に近接した「リベットアイランド」106とを有する周知のタブ100の一例を示す。リベットアイランド106は、馬蹄形切除部108により部分的に包囲され、タブを缶端部に装着するためにリベット(不図示)を収容するための孔109を有する。大部分のタブ設計は、馬蹄部108と引き上げ端部104との間に曲げ込み縁部を備える切除領域(または「指穴」)を有し、これは、缶が開けられる時に屈曲しないようにタブを補強するのに役立つ。しかしながら、他の設計では、切除部が省略される。これは、切除部を省略した結果として馬蹄部108と引き上げ端部104との間に平坦パネル110が設けられる図1のタブ100のケースである。ブランディングおよびプロモーションを目的として、あるいは缶の中身に関する詳細をユーザに伝えるために、平坦パネルを備えるタブに刻印することが知られている。
【0003】
エンボス加工、穿孔、刻み目形成、エッチング、カラー印刷を含めて、タブに刻印する多様なアプローチが検討されている。例えば、特許文献1は、エンボス加工により数字が刻印されたタブを記載している。エンボス加工の語は、本書で使用される際に、特徴が表面から浮き出るように表面に「隆起」特徴を形成することを指す。
【0004】
エンボス加工により製造されうる最小の特徴サイズはタブで利用可能なエリアと比較して比較的大きいため、エンボス加工では一般的に、缶端部のためのタブに複雑なデザインを適用することができない。一つの難題は、タブ材料の厚さ(概ね約0.25mm)により、周囲の表面からのエンボス加工特徴の高さが過度に大きくなるのを妨げてエンボス加工特徴の明瞭な視認が困難になることである。特徴の間の小さな間隙も明瞭に再現されずに特徴が互いに重なり、これは文字刻印について特に問題である。タブの表面への(例えば)レーザエッチングにより、さらに詳細なデザインが作成されうるが、このような技術の実現は(デザインが非常に詳細であり、それゆえ最新の高速製造方法には不適当である時には特に)複雑で時間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0193519号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それゆえ、より詳細なデザインの使用を可能にするとともに既存の製造プロセスへの統合が容易である、タブに刻印する手法を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様によれば、缶端部での使用のためのタブを用意するのに使用されるタブ原料にマークを刻印する方法が提供される。この方法は、パンチとダイとを包含するタブプレス機へ前記タブ原料を提供することを包含する。前記パンチは隆起特徴のセットを包含して前記ダイは相応の陥凹特徴のセットを包含し、前記特徴は、前記タブがタブ端部に装着された時に外向きになるタブ形成エリア内の前記タブ原料の領域に前記マークをデボス加工するように協働する。前記特徴は、前記プレス機が完全に閉じられた時に、前記隆起特徴の各々の少なくとも一部分と前記相応の陥凹特徴の各々の少なくとも一部分との間の間隔が前記タブ形成エリア内の前記領域での前記タブ原料の厚さより小さくなるようなものである。
【0008】
デボス加工の語は、消費者により視認される側からのくぼみとしてデザインが表面に転写されるように、表面にデザインを圧入するプロセスを指すのに本書で使用される。マークは、例えば、以下のうち一以上を含みうる。文字、形状、数字、ロゴ、パターン、および/または、グラフィックイメージ。
【0009】
前記特徴の各々は前記パンチおよび前記ダイの平面に対して傾斜した表面を包含し、前記タブ形成エリア内の前記領域での前記タブ原料の厚さより小さい間隔を有する前記隆起および陥凹特徴の部分が前記傾斜表面により設けられうる。
【0010】
前記パンチの前記隆起特徴の各々は前記平面に対して実質的に平行な平坦外表面を包含し、各平坦外表面は前記傾斜表面の一つとの角接合部を有する。
【0011】
前記ダイの前記陥凹特徴の傾斜表面は、前記ダイの外面との角接合部を有しうる。タブ形成エリア内の領域でのタブ原料の厚さより小さい間隔は、隆起および陥凹特徴の角接合部の間の間隔でありうる。
【0012】
前記間隔は、前記タブ形成エリア内の前記領域での前記タブ原料の厚さの80%より小さいか60%より小さい。
【0013】
前記間隔は、前記タブ形成エリア内の前記領域での前記タブ原料の厚さの20%より大きいか40%より大きい。
【0014】
前記パンチの前記隆起表面を、前記タブ形成エリア内の前記領域での前記タブ原料の厚さの70%より小さく、または50%より小さく、前記タブ原料の前記領域へ押入するように前記プレス機が構成されうる。
【0015】
前記タブ形成エリアの縁部に引き抜きおよび曲げ込みを行う工程に先立って方法が実施されうる。
【0016】
前記タブ形成エリアの周辺を穿孔して縁部を形成する工程に先立って方法が実施されうる。
【0017】
前記タブ形成エリアに形成される馬蹄形切除部の周りに延在する縁部の引き抜きを行う工程と同時に方法が実施されうる。
【0018】
前記タブ形成エリアにリベット切除部を形成する工程と同時に方法が実施されうる。
【0019】
前記マークは、0.25mmより小さい、好ましくは0.15mmより小さい前記タブの平面での前記デボス加工の特徴寸法を持つ、英数字などの一つまたは個別の特徴を包含しうる。
【0020】
前記パンチの前記隆起特徴のうち二以上は最大高さにおいて異なりうる。
【0021】
発明の第二の態様によれば、0.24mmと0.26mmの間の厚さを有するタブ原料を受容するように構成されるタブプレス機が提供される。タブプレス機はさらに、マークが刻印されたタブを製造するように構成され、隆起特徴のセットを包含するパンチと、相応の陥凹特徴のセットを包含するダイとを包含して、前記特徴は、前記タブがタブ端部に装着された時に外向きになるタブ形成エリア内の前記タブ原料の領域に前記マークをデボス加工するように協働する。前記特徴は、前記プレス機が完全に閉じられた時に、前記隆起特徴の各々の少なくとも一部分と前記相応の陥凹特徴の各々の少なくとも一部分との間の間隔が、前記タブプレス機が受容するように構成される前記タブ原料の厚さより小さくなるようなものである。
【0022】
前記間隔は0.20mmより小さいか0.15mmより小さい。
【0023】
タブプレス機は、前記タブ原料の前記タブ形成エリアの縁部に引き抜きおよび曲げ込みを行うための機械工具を包含し、タブプレス機は、前記縁部の引き抜きおよび曲げ込みに先立って前記タブ原料に前記マークをデボス加工するように構成されうる。
【0024】
タブプレス機は前記タブ原料の前記タブ形成エリアの周辺に穿孔して縁部を形成するための機械工具を包含し、タブプレス機は、前記縁部の形成に先立って前記タブ原料に前記マークをデボス加工するように構成されうる。
【0025】
タブプレス機は、前記タブ原料の前記タブ形成エリアに形成される馬蹄形切除部の周りに延在する縁部の引き抜きを行うための機械工具を包含し、タブプレス機は、前記馬蹄形切除部の周りに延在する前記縁部の形成と同時に前記タブ原料に前記マークをデボス加工するように構成されうる。
【0026】
タブプレス機は前記タブ形成エリアにリベット切除部を形成するための機械工具を包含し、タブプレス機は、前記リベット切除部の形成と同時に前記タブ原料に前記マークをデボス加工するように構成されうる。
【0027】
発明の第三の態様によれば、開封に先立って消費者に視認可能であるように缶端部から外向きになる一以上のデボス加工マークを包含するタブが付着される缶端部が設けられる。
【0028】
最小のデボス加工特徴奥行は、少なくとも0.05mmまたは少なくとも0.10mmでありうる。0.24から0.26mmの厚さを有する材料からタブが形成されうる。
【0029】
タブの平面における最小のデボス加工特徴寸法は、0.25mmより小さいか0.15mmより小さい。
【0030】
マークは、異なる奥行にデボス加工された特徴を包含しうる。
【0031】
この第三の態様は、発明の他の態様から完全に独立しうる。例えば、タブは、本明細書に記載のタブ原料にマークを刻印する方法を使用して形成されなくてもよく、代わりに別の方法を使用して形成されてもよい。同様に、タブは、本明細書に記載のタブプレス機を使用せずに製造されてもよく、代わりに別の装置を使用して形成されてもよい。
【0032】
発明の第四の態様によれば、缶端部のためのタブが用意される。タブが缶端部に装着された時に外向きになるタブの側に設けられる一以上のデボス加工マークをタブが包含する。
【0033】
最小のデボス加工特徴奥行は、少なくとも0.05mmまたは少なくとも0.10mmでありうる。0.24から0.26mmの厚さを有する材料からタブが形成されうる。
【0034】
タブの平面における最小のデボス加工特徴寸法は、0.25mmより小さいか0.15mmより小さい。
【0035】
マークは、異なる奥行にデボス加工された特徴を包含しうる。
【0036】
第四の態様は、発明の他の態様から完全に独立しうる。例えば、タブが本明細書に記載のタブ原料にマークを刻印する方法を使用して形成されなくてもよく、代わりに別の方法を使用して形成されてもよい。同様に、タブが本明細書に記載のタブプレス機を使用せずに製造されてもよく、代わりに別の装置を使用して形成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】先行技術で周知の飲料缶のためのタブの概略上面図である。
図2A】発明の一実施形態によるデボス加工イメージを持つタブの概略上面図である。
図2B図2Aのタブを包含する缶端部の概略上面図である。
図3】発明の一実施形態により金属薄板にイメージをデボス加工するためのパンチおよびダイの概略斜視図である。
図4図3に示されたパンチおよびダイの一部の拡大図である。
図5】ダイの凹部の概略上面図である。
図6】先行技術で周知のタブプレス機におけるタブ原料の進行を示す概略上面図である。
図7】発明の一実施形態によるタブプレス機におけるタブ原料の進行を示す概略上面図である。
図8】発明の代替的実施形態によるタブプレス機におけるタブ原料の進行を示す概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
これから記載される実施形態は、小さい最小特徴サイズを包含するマークをタブに転写することが可能であるデボス加工プロセスの使用により上述の問題に対処することを目標とする。デボス加工はこれにより、詳細な文字刻印、パターン、またはイメージを特徴とするタブが製造されることを可能にする。例えば、このデボス加工プロセスを使用すると、約1mmの最小高さを有するとともに約0.1mmの独特の線幅を持つ文字を包含する文字刻印を0.25mm厚さのタブに刻印することが可能である。驚くべきことに、タブが製作される材料を損傷することなくこの詳細度レベルが達成されうる。具体的には、この方法は、小さい形成奥行のみを持つ「鮮明な」輪郭の作成を可能にすることにより、デボス加工中にタブ材料が過度の歪みを受けることを回避する。
【0039】
図2Aは、本発明により提供されうるタイプのデザインの一例を示す。このケースで、(全体構造においてタブ100に類似している)タブ200は、王冠のデボス加工イメージ202を備える。図2Bは、缶本体への缶端部の接合に先立って缶端部に付着されたタブ200を図示している。
【0040】
タブ原料に作用してタブの様々な特徴を形成するタブプレス機を使用してタブが製作される。タブプレス機から出力されたタブ原料はコンバージョンプレス機に直接給送され、ここでタブはタブ原料からプレスされて缶端部にリベット結合され、続いて缶本体に接合される。
【0041】
図3は、タブプレス機に組み込まれてタブ製造中にタブ原料に刻印するパンチ304とダイ306との間に配設される、タブ原料を形成する長い金属シートの小領域302における断面を図示している。具体的には、この図はパンチおよびダイのある種の隆起および陥凹特徴を断面で図示している。タブ原料は概して、0.24から0.27mmのゲージ(厚さ)を持つ5000シリーズのアルミニウムである。
【0042】
金属シート302に面するパンチ304の表面は概ね平坦であるが、これから突出する上部平坦頂部308を有し、この頂部は、文字や記号などマークまたは刻印の形状を画定して金属シート302へ圧入される。マークは等脚台形である断面を有し、図4に示されている近接図で容易に見られるように、台形の底辺は平坦頂部308を画定する。台形の脚は、平坦頂部308から外方に傾斜する平坦頂部308のいずれかの側に側壁を画定する。この傾斜はプレス中に金属シート302の損傷を回避するのに役立ち、パンチの後退も促進する。
【0043】
ダイ306は、平坦頂部308と整合されてこれと相補的な形状および輪郭を有する溝部または凹部312を備える概ね平坦な表面を有して、パンチ304とダイ306とは雄型‐雌型関係で互いに協働する。この例で、底部よりも上部が幅広になるように凹部も断面が台形である。パンチ304とダイ306とは硬化およびコーティング済みの鋼または炭化物の工具から製作されるが、他の適当な硬度の摩耗材料も使用されうる。隆起および陥凹特徴のすべての側面はダイおよびパンチの平面に対して類似の傾斜を有しうることが認識されるだろう。
【0044】
動作時に、パンチ304とダイ306とは全閉位置(「全」閉はプレス機の最大閉止度を指す)に押圧されて金属シート302を変形させ、頂部308により画定される刻印またはマークが金属シートの上表面にデボス加工される。膨張部または突出部402は、凹部312に収容される金属シートの下表面に作成される。突出部402のための空隙を設けるように、凹部312の開口部(つまり上部)での幅は、対応する平坦頂部308の幅より大きい。
【0045】
図5は、パンチの隆起特徴の平坦な外領域の周囲502の破線アウトラインとともに、例示的な「+」形状のダイの凹部の外周囲500つまり陥凹特徴の開口部の周囲を実線で示す。二つの周囲500,502の間の間隔は、全周囲にわたってほぼ一定である「オフセット」距離または間隔504を画定する。
【0046】
図4に戻ると、オフセット距離404はここで、パンチ304の平坦エッジ308と凹部312の外エッジとの間の水平距離(ダイの平面で測定)として記されている。プレス機の動作中に発生するせん断力によりタブ原料がどのように変形するかにオフセット距離404が影響を与えることが認識されるだろう。概して、比較的小さい寸法の特徴についての従来のエンボス加工およびデボス加工技術では、材料に過度の歪みを発生させずに金属シートを所望の形状に屈曲させるのに充分な空隙を設けるため、金属シートの厚さより大きいオフセット距離を有するようにダイ凹部が機械加工される。しかしながら、図3および4のダイ306ではオフセット距離404は0.10mmであるように選択されるのに対して、金属シート302の厚さは0.25mmである、つまりオフセット距離404は金属シート302の厚さより小さい。厚さより小さい隆起表面308とダイ306との間の間隙を通って金属シート302が凹部312に圧迫されるので、この小さいオフセット距離の使用により明確なデボス加工特徴が作成されることが驚くべきことに判明した。この例において、この「最小機械工具間隙」は0.2mmである。
【0047】
このプロセスは、刻み目工具が材料の片側に押入される一方で他の側でフラットアンビルにより支持される陰刻の初期段階と類似している。しかしながら、本明細書に記載のデボス加工プロセスでは、ダイが材料の下側を充分に支持せずに凹部へ変形させ、特徴奥行(つまり金属シートへのパンチ304の貫通奥行)がわずか0.1mmであるので材料は完全にせん断されない。パンチとダイとの間の水平間隙の材料にプラスチック流が誘導されるので、本明細書で採用されるデボス加工プロセスは部分的な「印圧加工」を伴うと考えられうる。完全な印圧加工プロセスを使用してタブにマークを刻印するプロセスであると金属表面のコーティングを損傷させる可能性があるので、このプロセスは適当ではないことに注意すべきである。
【0048】
デボス加工プロセスは弛んだ材料をパネルから吸収することでタブの平坦性を向上させることも判明している。(缶端部を缶本体に接合するための)接合器への給送に先立って積み重ねられた缶端部にタブが固定されて、「波打った」タブは、生産ライン、例えば接合器への端部の給送を妨げるというハンドリング問題につながるので、これは重要である。タブ上表面のくぼみとして特徴を形成すると、缶端部が流通用のスリーブに積み重ねられた時に「スカッフィング」のリスクを低減させるので、デボス加工特徴を備えるタブも(例えばエンボス加工特徴よりも)好適でありうる。付加的に、デボス加工プロセスはタブ材料の色の変更を必要としないので、彩色と無彩色の両方のタブ材料に良く適しており、雑な扱いに対しても頑丈である。スカッフィングがあると、エンボス加工特徴のエッジからコーティングを除去してしまう。
【0049】
多様な奥行の特徴が作成されうるように、パンチ304の隆起表面308はパンチ304の表面上で多様な高さまで延出する。特に、デボス加工プロセスは小さい特徴でも正確に再現することが可能であるので、より詳細な「三次元」イメージが、タブで利用可能な小さいエリア内にも作成されうる。
【0050】
概して、タブプレス機は、タブの特徴を徐々に構築するためにタブ原料が段階方式で前進する機械工具の「生産ライン」を包含する。タブ原料の隣接領域に機械工具が同時に適用されるので、異なる製造段階が互いに並行して行われる。多数の平行なタブ列が同時に製造されるように機械工具は一般的に複製的であり、これはさらに生産速度の上昇を可能にする。例えば、タブプレス機は一般的に3から4本のレーンを有して、毎分約750個のタブの生産を可能にする。機械工具段階の間のドエル時間は一般的に約50ミリ秒である。
【0051】
図6は、従来のタブプレス機でのタブ原料の「スナップショット」を示す。タブの形成は、以下の段階により図の左から右へ進む。
a)凹部の切除
b)リベットの切除
c)第1支持部の切除
d)第2支持部の切除
e)縁部の穿孔と凹部の引き抜き
f)馬蹄部の引き抜き
g)リベット領域の押圧
h)縁部の引き抜き
i)凹部と縁部の予備曲げ込み
j)凹部と縁部の曲げ込み
最初の段階(a)で凹部がタブ原料から切除されるため、このプロセスでは平坦パネルを備えるタブが製造されない。しかしながら、平坦パネルを有するタブの形成時には、凹部を切除するための機械工具が省略され、ダイとパンチを収容するのに使用されうる空間がタブプレス機械工具内に設けられる。これは、指穴を有するタブを製造するのに使用されるタブプレス機が、エンボス加工またはデボス加工特徴を備える「平坦パネル」タイプのタブを製造するように容易に改変されうることを意味する。
【0052】
タブ製造中にマークを刻印する方法を図示するため、図7および8は、上に記載したパンチとダイとを包含するタブプレス機に提供されたタブ原料を示す。
【0053】
図7は、平坦パネルを備えるタブが製造されて(最終的な予備曲げ込みおよび曲げ込み段階のための機械工具の変更を結果的に伴い)、「デボス加工」段階のための機械工具が馬蹄部引き抜き段階に組み込まれるように段階(a)の機械工具がタブプレス機から省略されていることを除いて、図6に類似している。この例では、馬蹄部が引き抜かれるのと同時に無限大記号の形状のロゴと文字刻印がタブ原料の「平坦パネル」領域にデボス加工される。縁部の曲げ込みに先立ってデボス加工を実施するとマークが印字されるエリアを最大化する、つまりデボス加工ダイがマークの周囲よりも平坦なタブ原料の下に約0.3mm延出する必要があり、縁部が曲げ込みされた後でタブ原料のこの空間が利用されるので、好適である。
【0054】
図8は、デボス加工段階が馬蹄部引き抜き段階ではなく「リベット切除」段階に組み込まれることを除いて、図6に類似している。後続の機械工具に関するタブ原料の整合を助けるのに使用されうるのでリベット切除部がデボス加工段階と同時かその前のいずれかに形成されることが概して好ましい。タブ原料が穿孔されると、デボス加工プロセスにより材料が内方に引き抜かれて撓んだ上表面を形成するか、部分的に形成されたタブをタブ原料内に保持する支持部を破損することもあるので、縁部が穿孔される前にデボス加工段階を行うことが、好ましい。
【0055】
デボス加工特徴は、レーザエッチングなどのレーザプロセスを使用して強化されうる。例えば、デザイン(例えば顔のイメージ)の大まかな特徴がタブの表面にデボス加工されて、細かい詳細(例えば口と目に関する詳細)がレーザアブレーションによる材料のエッチング除去によって追加されうる。レーザエッチングは細かい詳細を設けるためにのみ使用されるので、タブ生産ラインが稼働する速度をさもなければ制限する長いプロセス時間を用意する必要はない。レーザエッチングは好ましくは、タブ原料がタブプレス機を出る際に、そしてコンバージョンプレス機に入る前に、タブ原料のドエル時間内に実施される。
【0056】
本発明の範囲を逸脱することなく上に記載の実施形態に様々な変形が加えられうることが当業者には理解されるだろう。例えば、デボス加工技術は、缶端部または缶本体の他の部分にマークを転写するのにも適用されうる。付加的に、ダイおよびプレスがタブプレス機のいずれかの段階へ、またはその間に組み込まれるか、タブプレス機への進入に先立ってタブ原料にマークが刻印されてもよい。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2021-07-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶端部での使用のためのタブを用意するのに使用される、タブ原料にマークを刻印する方法であって、
パンチとダイとを包含するタブプレス機に前記タブ原料を提供することであって、前記パンチが隆起特徴のセットを包含して前記ダイが相応の陥凹特徴のセットを包含し、前記タブがタブ端部に装着された時に外向きになるタブ形成エリア内の前記タブ原料の領域に前記マークをデボス加工するように前記特徴が協働し、前記特徴が、前記プレス機が完全に閉じられた時に前記隆起特徴の各々の少なくとも一部分と前記相応の陥凹特徴の各々の少なくとも一部分との間の間隔が前記タブ形成エリア内の前記領域での前記タブ原料の厚さより小さくなるようなものであること、
を包含する方法。
【請求項2】
前記特徴の各々が、前記パンチと前記ダイとの平面に対して傾斜した表面を包含し、前記タブ形成エリア内の前記領域での前記タブ原料の厚さより小さい間隔を有する前記隆起および陥凹特徴の前記部分が前記傾斜表面により設けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記パンチの前記隆起特徴の各々が、前記平面に対して実質的に平行な平坦外表面を包含し、各平坦外表面が前記傾斜表面の一つとの角接合部を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ダイの前記陥凹特徴の傾斜表面が前記ダイの外面との角接合部を有する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記間隔が、前記隆起および陥凹特徴の角接合部の間の間隔である、請求項3に従属する時の請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記間隔が前記タブ形成エリア内の前記領域での前記タブ原料の厚さの80%より小さ、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記間隔が前記タブ形成エリア内の前記領域での前記タブ原料の厚さの20%より大き、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記パンチの前記隆起表面を、前記プレス機が完全に閉じられた時に前記タブ形成エリア内の前記領域での前記タブ原料の厚さの70%より小さ、前記タブ原料の前記領域へ押入するように前記プレス機が構成される、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記タブ形成エリアの縁部の引き抜きおよび曲げ込みの工程に先立って方法を実施することを包含する、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記タブ形成エリアの周辺に穿孔して縁部を形成する工程に先立って方法を実施することを包含する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記タブ形成エリアに形成される馬蹄形切除部の周りに延在する縁部を引き抜く工程と同時に方法を実施することを包含する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記タブ形成エリアにリベット切除部を形成する工程と同時に方法を実施することを包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
0.25mmより小さ前記タブの平面での前記デボス加工の特徴寸法を備える英数字など一以上の個別特徴を前記マークが包含する、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記パンチの前記隆起特徴のうち二以上が最大高さにおいて異なっている、請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
0.24mmと0.26mmとの間の厚さを有するタブ原料を受容するように構成されるとともにマークが刻印されたタブを製造するようにさらに構成されるタブプレス機であって、
隆起特徴のセットを包含するパンチと相応の陥凹特徴のセットを包含するダイとを包含して、前記タブがタブ端部に装着された時に外向きになるタブ形成エリア内の前記タブ原料の領域に前記マークをデボス加工するように前記特徴が協働し、前記特徴が、前記プレス機が完全に閉じられた時に、前記隆起特徴の各々の少なくとも一部分と前記相応の陥凹特徴の各々の少なくとも一部分との間の間隔が、前記タブプレス機が受容するように構成される前記タブ原料の厚さより小さくなるようなものである、
タブプレス機。
【請求項16】
前記間隔が0.20mmより小さ、請求項15に記載のタブプレス機。
【請求項17】
前記タブ原料の前記タブ形成エリアの縁部に引き抜きおよび曲げ込みを行うための機械工具を包含して、前記縁部の引き抜きおよび曲げ込みに先立って前記タブ原料に前記マークをデボス加工するようにタブプレス機が構成される、請求項15または請求項16に記載のタブプレス機。
【請求項18】
前記タブ原料の前記タブ形成エリアの周辺に穿孔して縁部を形成するための機械工具を包含し、前記縁部の形成に先立って前記タブ原料に前記マークをデボス加工するように構成されるタブプレス機である、請求項17に記載のタブプレス機。
【請求項19】
前記タブ原料の前記タブ形成エリアに形成される馬蹄形切除部の周りに延在する縁部を引き抜くための機械工具を包含し、前記馬蹄形切除部の周りに延在する前記縁部の形成と同時に前記タブ原料に前記マークをデボス加工するように構成されるタブプレス機である、請求項17に記載のタブプレス機。
【請求項20】
前記タブ形成エリアにリベット切除部を形成するための機械工具を包含し、前記リベット切除部の形成と同時に前記タブ原料に前記マークをデボス加工するように構成されるタブプレス機である、請求項18に記載のタブプレス機。
【国際調査報告】