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特表2022-507082電解システムの動作モードを変更する方法、及び電解システム
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  • 特表-電解システムの動作モードを変更する方法、及び電解システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】電解システムの動作モードを変更する方法、及び電解システム
(51)【国際特許分類】
   C25B 1/23 20210101AFI20220111BHJP
   B01D 53/22 20060101ALI20220111BHJP
   C25B 15/00 20060101ALI20220111BHJP
   C25B 15/02 20210101ALI20220111BHJP
   C25B 9/05 20210101ALI20220111BHJP
   C25B 15/08 20060101ALI20220111BHJP
   C25B 1/04 20210101ALI20220111BHJP
【FI】
C25B1/23
B01D53/22
C25B15/00 303
C25B15/02
C25B9/05
C25B15/08 302
C25B1/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021525254
(86)(22)【出願日】2019-11-05
(85)【翻訳文提出日】2021-05-10
(86)【国際出願番号】 EP2019025378
(87)【国際公開番号】W WO2020104053
(87)【国際公開日】2020-05-28
(31)【優先権主張番号】102018009198.9
(32)【優先日】2018-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519288685
【氏名又は名称】リンデ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Linde GmbH
【住所又は居所原語表記】Dr.-Carl-von-Linde-Str. 6-14, 82049 Pullach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シシー、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】パスチェル、アンドレス
(72)【発明者】
【氏名】ヘンツシェル、ベンジャミン
【テーマコード(参考)】
4D006
4K021
【Fターム(参考)】
4D006GA41
4D006JA05Z
4D006JA52Z
4D006JA55Z
4D006JA58Z
4D006JA63Z
4D006KA01
4D006KB01
4D006KE06Q
4D006KE07Q
4D006KE08Q
4D006MB04
4D006PA02
4D006PB64
4D006PB67
4K021AA09
4K021AB25
4K021BC06
4K021CA09
4K021CA13
4K021CA15
4K021DB31
4K021DB36
4K021DB40
4K021DB43
4K021DB53
4K021DC15
4K021EA06
(57)【要約】
本発明は、電解槽(E)、圧縮機(V)、及び膜分離装置(T)を備える装置(B)、並びに当該装置(B)の通常動作とスタンバイ動作との間で動作モードを変更する方法であって、当該装置(B)の通常動作において、前記電解槽(E)において二酸化炭素を含む電解原料(3)を、二酸化炭素及び一酸化炭素を含有する電解生成物(4)に変換し、当該電解生成物の少なくとも一部(5)は、電解生成物(4)と比較して、一酸化炭素が富化され二酸化炭素が枯渇した保持物(8)を得るために、圧縮機(V)を介して送られ、膜分離装置(T)に圧力を増加させて供給される、方法に関する。本発明によれば、通常動作からスタンバイ動作に変更するために、電解槽(E)は、流れの面で膜分離装置(T)から完全に遮断され、その後停止し、膜分離装置(T)における圧力比は大部分が維持される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解槽(E)、圧縮機(V)、及び膜分離装置(T)を備える装置(B)の動作モードを通常動作とスタンバイ動作との間で変更するための方法であって、前記装置(B)の通常動作では、二酸化炭素を含む電解原料(3)は、前記電解槽(E)において、二酸化炭素及び一酸化炭素を含有する電解生成物(4)に変換され、前記生成物の少なくとも一部(5)は、前記圧縮機(V)を介して送られ、前記膜分離装置(T)に圧力を増加させて供給されて、前記電解生成物(4)と比較して、一酸化炭素が富化され二酸化炭素が枯渇した保持物(8)を得るようにし、通常動作からスタンバイ動作に変更するために、前記電解槽(E)は、流れの面で前記膜分離装置(T)から完全に遮断され、その後停止し、前記膜分離装置(T)における圧力比は、大部分維持される方法。
【請求項2】
前記膜分離装置(T)における圧力比を維持するために、前記圧縮機(V)が、前記膜分離装置(T)に接続されて、流れの面で密閉システムを形成し、前記システムにおいて、前記圧縮機(V)の吸引側は、第1のライン(10)を介して前記膜分離装置(T)の透過物側に接続され、第2のライン(11)を介して前記圧縮機(V)の圧力側又は前記膜分離装置(T)の保持物側に接続されており、保持物側と透過物側との間の差圧は、前記第2のラインに配置された制御バルブ(e)を介して制御される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
スタンバイ動作から通常動作に変更するために、前記電解槽(E)を起動し、流れの面で前記膜分離装置(T)からの遮断を完全に解除し、それと同時に、前記膜分離装置(T)における圧力比を大部分維持する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
スタンバイ動作から通常動作に変更するために、流れの面で密閉され、かつ前記圧縮機(V)及び前記膜分離装置(T)を備える前記システムが、既に始動している前記電解槽(E)に接続され、同時に、前記保持物の経路(9)は、前記膜分離装置(T)の下流に開放され、前記圧縮機(V)の吸引側の、前記膜分離装置(T)の透過物側との直接接続、及び前記圧縮機(V)の圧力側又は前記膜分離装置(T)の保持物側との直接接続が中断される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
圧縮機(V)、膜分離装置(T)、及び電解槽(E)を有する装置(B)であって、前記装置により、前記装置(B)の通常動作時に、二酸化炭素を含む電解原料(3)は、二酸化炭素及び一酸化炭素を含有する電解生成物(4)に変換することができ、前記生成物の少なくとも一部(5)は、前記圧縮機(V)を介して送られ、圧力を増加させて前記膜分離装置(T)に供給されて、前記電解生成物と比較して、一酸化炭素が富化され二酸化炭素が枯渇している保持物を得るようにすることができ、前記装置(B)は、少なくとも1つのバルブ(a)を有する遮断装置を有し、前記遮断装置により、通常動作からスタンバイ動作に変更する際の流れの面で、前記電解槽(E)を前記膜分離装置(T)から完全に遮断することができ、それと同時に、前記膜分離装置内の圧力比を大部分維持する、装置。
【請求項6】
前記遮断装置が、いくつかのバルブ(a、b、c)、並びに前記膜分離装置(T)を前記圧縮機(V)に接続して密閉システムを形成するための第1のライン(10)及び第2のライン(11、12)を備え、前記密閉システムにおいて、前記圧縮機(V)の吸引側は、前記第1のライン(10)を介して前記膜分離装置(T)の透過物側に接続され、前記第2のライン(11、12)を介して前記圧縮機(V)の圧力側又は前記膜分離装置(T)の保持物側に接続されており、前記第2のライン(11、12)では、制御装置(e、f)が配置され、前記制御装置を介して、動作モードを変更する際に、前記膜分離装置(T)の保持物側と透過物側との間の差圧を制御することができる、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記電解槽(E)の上流に配置され、流れの面で前記膜分離装置(T)の透過物側に接続された混合装置(A)を有し、前記混合装置において、二酸化炭素を含有する原料(1)を、膜分離装置(T)で得られた透過物の少なくとも一部と混合して、前記電解原料(3)を形成することができ、前記膜分離装置(T)の前記透過物側と前記混合装置(A)との間に存在する流体接続部は、前記遮断装置に属するバルブ(c)を備え、前記バルブは、前記装置の通常動作中に開放され、スタンバイ動作において閉鎖される、請求項5又は6に記載の装置。
【請求項8】
前記電解槽(E)が、二酸化炭素を、単独で又は水と一緒に、電気化学的に水素及び/又は一酸化炭素に変換するように設計された高温又は低温電解槽である、請求項5~8のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解槽、圧縮機、及び膜分離装置を備える装置の動作モードを通常動作とスタンバイ動作との間で変更するための方法であって、装置の通常動作中、二酸化炭素を含む電解原料は、電解槽内で二酸化炭素及び一酸化炭素を含有する電解生成物に変換され、当該生成物の少なくとも一部が、圧縮機を介して送られ、圧力を増加させて膜分離装置に供給されて、電解生成物と比較して、一酸化炭素が富化され二酸化炭素が枯渇した保持物を得るようにする、方法に関するものである。
【0002】
本発明は更に、本発明による方法に従って操作することができる装置に関する。
【0003】
保持物は、ガス混合物のこれらの構成成分を意味し、ガス混合物を分離するために使用される膜によって保持されることが、当業者には理解される。本発明の文脈で使用される膜分離装置は、好ましくは二酸化炭素を通過させ、一酸化炭素を保持することができる少なくとも1つの膜で設計されている。これにより、ガス又はガス混合物が、保持物として得られ、このガス又はガス混合物は、使用される電解生成物と比較して、二酸化炭素が枯渇している。
【0004】
したがって、透過物は、分離されるガス混合物の構成成分からなり、分離に使用される膜によって保持されない。本発明の文脈において考慮される透過物は、電解生成物と比較して、二酸化炭素が富化され一酸化炭素が枯渇している。
【0005】
そこから回収することができるガス又はガス混合物に応じて、ガス混合物を分離するために使用することができる膜又は膜分離装置の片側は、保持物側又は透過物側と呼ばれる。
【0006】
一般的な種類の装置は、一酸化炭素又は合成ガスを生成するために使用される。電解槽において、二酸化炭素は、一酸化炭素又は合成ガスを得るために、電気化学的に、単独で又は水と一緒に、電解生成物に変換され、一酸化炭素又は一酸化炭素及び水素だけでなく、下流の膜分離装置で分離しなければならない未変換の二酸化炭素も含有する。膜分離装置は、二酸化炭素を選択的に透過することができる少なくとも1つの膜を有し、これを介してCO分圧差が発生する。使用される膜の選択性は、分離されるガス混合物の構成成分の異なる拡散速度に起因する。対応するポリマー膜は、現在商用で使用されている。
【0007】
電解槽内で起こる反応の原理は、水及び二酸化炭素の共電解の例を用いて以下に記載される。しかしながら、水及び二酸化炭素の共電解の代わりに、特に、純粋な二酸化炭素電解を本発明の文脈で使用することもできる。ここでは、水電解に関連する反応式が適用されない、又は対応する反応が起こらないことは言うまでもない。しかしながら、明確にするために、別個の説明は省略している。
【0008】
使用される電解質及び触媒に応じて、共電解の異なる実施形態が存在し、これは、特に、動作温度及び電解槽の電極で発生する電気化学反応の点で異なる。
【0009】
プロトン交換膜を有する電解槽を使用して、いわゆる低温の共電解を行う。この場合、以下のカソード反応が起こる。
CO+2e+2H→CO+HO (1)
2e+2H→H (2)
【0010】
式に従って、
【化1】
水はアノードで分解される。
【0011】
対応する方法の変形例では、プロトンの代わりに、電解質塩のイオンなどの他の正電荷キャリアをアノードに形成し、適切に設計された膜を介して輸送し、カソードで反応させることができる。電解質塩の例は水酸化カリウムである。この場合、正電荷キャリアはカリウムイオンである。更なる変形例としては、例えば、陰イオン交換膜の使用が挙げられる。しかしながら、全ての変形例では、以下に説明する固体酸化物電解セルのように、電荷キャリアの輸送は、酸素イオンの形態ではなく、むしろ説明される電荷キャリアの形態で起こる。詳細については、例えば、Delacourtら(2008)、J.Electrochem.Soc.155(1)、B42-B49、DOI:10.1149/1.2801871を参照されたい。
【0012】
プロトン又は他の対応する電荷キャリアは、膜を介してアノード側からカソード側に選択的に移動する。選択された触媒に応じて、それぞれの形成反応が、次いでカソードにおいて競合し、異なる水素対一酸化炭素比を有する合成ガスが得られる。使用される触媒の実施形態に応じて、低温共電解中に他の有用な生成物を形成してもよい。
【0013】
固体酸化物電解セルを用いて行われる高温共電解の間、以下のカソード反応が確認又は仮定される。
CO+2e→CO+O2- (4)
O+2e→H+O2- (5)
【0014】
更に、以下の反応がアノードで起こる:
2O2-→O+4e (6)
【0015】
ここで、酸素イオンは、本質的に、セラミック膜を介してカソードからアノードへと選択的に導かれる。
【0016】
反応式4による反応が、記載された方法で起こるかどうかは完全に明らかではない。場合によっては、水素のみが電気化学的に形成される一方で、一酸化炭素は、二酸化炭素の存在下で逆水性ガスシフト反応によって形成される。
【化2】
【0017】
通常、高温共電解中に得られたガス混合物は、水性ガスシフト平衡にある(又はほぼ平衡にある)。しかしながら、一酸化炭素が形成される特定の方法は、本発明に影響を及ぼさない。
【0018】
通常、高温又は低温の共電解のいずれも、二酸化炭素及び水の完全な変換をもたらさない。この理由としては、カソードで回収された電解生成物が二酸化炭素を含有するからである。
【0019】
投資コストが比較的低いため、下流の膜ベースの二酸化炭素分離で説明される電解法は、特に、消費者向けに少量又は中量の一酸化炭素又は合成ガスを現場で生成する場合に有利に使用することができる。しかしながら、このような用途で正確には、システムの汎用性に高い要求が課せられることが多い。理由は、バッチプロセスで消費するものを操作する場合や、変動する電力市場で価格の優位性を最適に活用する場合など、分配可能な生成物の量が時間の点で大きく異なるためである。低温電解は、通常動作とスタンバイ動作との間で動作モードを非常に迅速に変更することができるため、汎用性のある使用に特に好適である。しかしながら、損傷を避けるために膜全体の差圧をはるかに低く設定する必要があるため、電解一酸化炭素又は合成ガス抽出に関する既知の概念は、二酸化炭素分離に使用される膜分離装置の長いアップタイムとダウンタイムによって特徴付けられ、これは、全体的なプロセスの汎用性を大幅に制限する。したがって、短時間で、一酸化炭素又は合成ガスを消費者に届けることができない場合、その結果、従来技術によれば、通常動作が維持され、分配できない量の生成物は、経済的な損失で廃棄される。
【0020】
したがって、本発明の目的は、従来技術よりも経済的に、二酸化炭素を枯渇させた保持物の量を生成するのに好適であり、高い汎用性を有する、導入に記載される種類の方法及び装置を提供することである。
【0021】
本発明の目的は、通常動作からスタンバイ動作に変更するために、電解槽が、流れの面で膜分離装置から完全に遮断され、その後停止し、膜分離装置内の圧力比は大部分維持される方法によって達成される。
【0022】
実際に膜分離装置において圧力比が大部分維持されていることとは、標示は一定のままであるが、膜分離装置の全ての膜毎に差圧がゆっくりと変化するだけであり、通常動作中に差圧が有する平均値から、好ましくは30%以下、特に好ましくは15%以下だけ逸脱することを意味すると理解する必要がある。差圧の変化は、通常動作中に差圧が有する平均値に対して、毎分30%未満、好ましくは毎分15%未満の速度で発生する場合、遅いと見なされる。便宜上、膜分離装置における圧力比は、通常動作からスタンバイ動作に変更するときだけでなく、スタンバイ動作自体の間にも大部分が維持される。
【0023】
電解槽は、電解槽を直接又は装置の1つ以上の更なる部分を介して膜分離装置に接続する全てのラインを塞ぐことによって、流れの面で膜分離装置から完全に遮断される。その後、膜分離装置に新たな電解生成物が供給されなくなる可能性があるため、流れの面で遮断すれば、膜分離装置における圧力比の変化がもたらされる。したがって、膜装置は、好ましくは、流れの面で電解槽から完全に遮断され、同時に圧縮機に接続されて、密閉システムを形成し、密閉システムにおいて、圧縮機の吸引側が、第1のラインを介して膜分離装置の透過物側に接続される。膜分離装置の圧力比を大部分維持するために、圧縮機の圧力側又は膜分離装置の保持物側は、第2のラインを介して圧縮機の吸引側に接続されてもよく、第2のラインにおいて、圧力調整器に連結された制御バルブが配置される。
【0024】
本発明によるスタンバイ動作から通常動作に変更するために、最初に電解槽を始動し、次いで、膜分離装置内の圧力比を大部分維持しながら、流れの面で膜分離装置からの遮断を完全に解除することが提供される。
【0025】
膜分離装置が、スタンバイ動作で圧縮機に接続されて密閉システムを形成する場合、当該システムは、便宜上、既に始動している電解槽に接続され、スタンバイ動作から通常動作に変更するようにし、同時に、膜分離装置の下流における保持物の経路が開放され、圧縮機の吸引側と膜分離装置の透過物側との接続が中断される。圧縮機の吸引側とその圧力側又は膜分離装置の保持物側の間に存在する接続は、膜分離装置における圧力条件を制御するために、通常動作中に元の状態であってもよい。
【0026】
本発明の装置が、電解槽の上流に配置された混合装置を有する場合、混合装置によって、電解原料は、二酸化炭素含有原料、及び膜分離装置で得られた透過物の少なくとも一部から形成され、混合装置を介して存在する電解槽と膜分離装置との間の流体接続は、便宜上、装置の通常動作からスタンバイ動作に変更するときに中断され、スタンバイ動作から通常動作に変更するときに開放される。
【0027】
本発明は、更に、圧縮機、膜分離装置、及び電解槽を有する装置であって、当該装置により、装置の通常動作中に、二酸化炭素を含む電解原料を、二酸化炭素及び一酸化炭素を含有する電解生成物に変換し、当該生成物の少なくとも一部を圧縮機を介して送ることができ、圧力を増加させて膜分離装置に供給し、電解生成物と比較して、一酸化炭素が富化され二酸化炭素が枯渇した保持物を得るようにすることができる、装置に関する。
【0028】
本発明の目的は、膜分離装置内の圧力比を大部分維持しながら、通常動作からスタンバイ動作に変更するときに、流れの面で電解槽を膜分離装置から完全に遮断することができる少なくとも1つのバルブを備えた遮断装置を有する装置によって達成される。
【0029】
本発明による装置の好ましい実施形態は、いくつかのバルブを含む遮断装置、並びに膜分離装置を圧縮機に接続して密閉システムを形成するための第1及び第2のラインを提供し、当該装置において、圧縮機の吸引側は、第1のラインを介して膜分離装置の透過物側に接続され、第2のラインを介して圧縮機の圧力側又は膜分離装置の保持物側に接続されており、第2のラインにおいて、制御装置が配置されており、当該制御装置を介して、通常動作とスタンバイ動作との間を変更する際に、膜分離装置の保持物側と透過物側との間の差圧を制御することができる。
【0030】
本発明による装置の更なる好ましい実施形態は、流れの面で電解槽の上流に配置され、膜分離装置の透過物側に接続された混合装置を提供し、当該混合装置において、二酸化炭素を含有する原料を膜分離装置で得られた透過物の少なくとも一部と混合して、電解原料を形成することができる。遮断装置に属するバルブは、装置の通常動作中に開放され、スタンバイ動作で閉鎖されるが、便宜上、膜分離装置の透過物側と混合装置との間に存在する流体接続部に配置されている。
【0031】
本発明によれば、装置の電解槽は、二酸化炭素を、単独で又は水と一緒に、電気化学的に水素及び/又は一酸化炭素に変換するように設計された高温又は低温電解槽である。
【0032】
本発明は、図1に概略的に示されている例示的な実施形態を使用して、以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は、本発明による装置の2つの好ましい実施形態を示しており、膜分離装置及び圧縮機は、通常動作とスタンバイ動作との間で変更するとき、第1又は第2の方法で互いに接続することができる。
【0034】
装置Bにおいて、二酸化炭素含有原料1は、通常動作で混合装置Aに導入され、そこで主に二酸化炭素から構成されるリサイクル流2と混合されて、次に電解槽Eに供給される電解原料3を形成する。電解原料3に含まれる二酸化炭素を、高温又は低温電解により単独で又は水と一緒に反応させることにより、電解生成物4を、二酸化炭素及び場合により水素並びに未反応の二酸化炭素からなる電解槽Eのカソードから回収することができる。電解生成物は、バルブa及びライン5を介して圧縮機Vに供給され、そこでライン6を介して膜分離装置Tに圧力を増加させて供給される。膜分離装置Tは、単一の膜Mで示されているが、二酸化炭素を選択的に透過する、直列又は並列に配置されたいくつかの膜を有してもよい。各膜の保持物側と透過物側との間には、圧力差が存在し、その結果、二酸化炭素が電解生成物から分離されることにより、主に二酸化炭素からなる透過物7と、電解生成物と比較して、二酸化炭素含有量の点で枯渇した保持物8とが得られるようにする。透過物7は、バルブbを介してリサイクル流2として混合装置Aに供給され、一方、透過物7は、生成物9としてバルブcを介して消費者(図示せず)に送達される。バルブdは通常動作中に閉鎖され、ライン10を通って何も流れないようにする。膜分離装置T内の圧力比を制御するために、ライン11(第1の好ましい実施形態)又はライン12(第1の好ましい実施形態)は、圧力調整器に連結された制御バルブe又はfを含む。
【0035】
装置を通常動作からスタンバイ動作に変更するために、バルブa、b、及びcは、圧縮機Vが作動しているときに差圧を大部分維持しながら、膜M又は膜分離装置Tの膜Mを介して閉鎖される。同時に、バルブdを開放し、膜分離装置Tの透過物側がライン10を介して圧縮機Vの吸引側に接続されるようにする。膜分離装置Tは、ここで、圧縮機Vに接続されて、密閉システムを形成し、流れの面で電解槽Eから完全に遮断されているため、スイッチを切ることができる。膜分離装置T内の圧力比は、切替中、及びスタンバイ動作の間、制御バルブe又はfを介して制御される。
【0036】
再びスタンバイ動作から通常動作に変更したい場合は、バルブa、b、及びcを開放し、バルブdを閉鎖し、それと同時に、膜分離装置Tの圧力比は、制御バルブe又はfを介してほぼ維持される。同時に、電解槽Eが再開される。必要に応じて、保持物流8は、必要な生成物純度が達成されるまで、廃棄されるか、又は電解槽Eに戻される。
図1
【国際調査報告】