(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】紡糸繊維の製造に使用するための一体化された紡糸口金本体及びノズルを有する紡糸口金ブロック
(51)【国際特許分類】
D01D 4/08 20060101AFI20220111BHJP
D01D 4/00 20060101ALI20220111BHJP
D01D 5/08 20060101ALI20220111BHJP
D04H 3/16 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
D01D4/08 A
D01D4/00 Z
D01D5/08 C
D04H3/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021525586
(86)(22)【出願日】2019-11-05
(85)【翻訳文提出日】2021-07-06
(86)【国際出願番号】 EP2019080293
(87)【国際公開番号】W WO2020099193
(87)【国際公開日】2020-05-22
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2019-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2019-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518379049
【氏名又は名称】テクノウェブ マテリアルズ エッセ.エッレ.エッレ.
(74)【代理人】
【識別番号】100163991
【氏名又は名称】加藤 慎司
(72)【発明者】
【氏名】ザムポッロ、ファビオ
【テーマコード(参考)】
4L045
4L047
【Fターム(参考)】
4L045AA06
4L045BA34
4L045CA25
4L045CA28
4L045CA29
4L045CB01
4L045CB09
4L045CB10
4L045CB16
4L045DA08
4L047AB03
4L047AB08
4L047EA05
(57)【要約】
本発明は、例えば多層複合ウェブの層として形成された紡糸ウェブ又は不織布を更に形成することができる繊維又はフィラメントを形成するための紡糸プロセスのためのダイブロックのための特定の実施に関する。ダイブロックは、一体化された紡糸口金本体及びノズルを備えた紡糸口金ブロックを含んでいる。
【選択図】
図2C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メルトブローフィラメントを形成するためのダイブロックであって、
少なくとも1つの溶融ポリマー供給部と;
空気供給部と;
紡糸口金ブロックであって、
ポリマー供給サイドを含んだ紡糸口金本体と、
ノズルの配列を形成する複数のノズルと、
を含んだ紡糸口金ブロックと;
開口部を含んだ空気分配プレートと;
開口部を含んだ外部空気プレートと;
カバーストリップと;
固定手段と;
を具備し、
前記紡糸口金ブロック、前記空気分配プレート、前記外部空気プレート、及び前記カバーストリップは、この順に積載され、前記固定手段によって固定されており、それにより、前記ノズルは、前記空気分配プレート中の対応する開口部を通じて、前記外部空気プレートの対応する開口部を更に通じて、突出するようにされ、
前記紡糸口金本体の前記ポリマー供給サイドから前記ノズルを通じて通過する溶融ポリマーのためにポリマー通路が形成されるようにされ、
前記空気供給部から前記空気分配プレート及び前記外部空気プレートの開口部を通じて通過する空気のために空気通路が形成されるようにされ、
それにより、前記外部プレートの前記開口部及び前記ノズルは、前記ノズルを出る溶融ポリマーと、前記外部空気プレートの開口部を通じて流れる空気とが実質的に平行なるように適合され、
前記紡糸口金本体と前記ノズルとは一体であることを特徴とする、
ダイブロック。
【請求項2】
以下からなる群より選択される1つ又は複数の条件を満たしている、請求項1に記載のダイブロック。
-ノズルの内径が約1.25mm未満、好ましくは約0.8mm未満である;
-ノズルの外径が約2mm未満である;
-ノズルは約50mm未満の長さを示す;
-ノズルは約10mmを超える長さを示す;
-ノズルは約50未満のL/d比を示す;
-ダイブロックは、250を超える、好ましくは1500を超える、更により好ましくは約2000mmを超える、又は5000mmをさえ超えるCD幅を示す。
【請求項3】
前記ブロック中にプレホールを更に具備し、前記プレホールは、
溶融ポリマーの供給部に向かって配置された上面からキャピラリに向かって延びており、
前記ノズルのキャピラリへの皿穴の形で、
好ましくは、30°から60°の間の面取り角度で、
好ましくは、前記キャピラリの内径の1.5から4倍の間の直径を示し、
好ましくは、約2mmを超える、好ましくは約4mmを超える長さを示し、
好ましくは、約20mm未満、好ましくは約14mm未満、より好ましくは約8mm未満、最も好ましくは約6mmの長さを示す、
請求項1又は2に記載のダイブロック。
【請求項4】
前記ノズルの前記ブロックの基部への移行が、約0.1mmを超える、好ましくは約0.3mmを超える半径を示す、請求項1乃至3の何れか1項に記載のダイブロック。
【請求項5】
前記ノズルの配列は、以下からなる群より選択される寸法のうちの少なくとも1つにおいて異なるサブアレイのノズルとは異なったノズルを含んだ少なくとも2つのサブアレイを含んでいる、請求項1乃至4の何れか1項に記載のダイブロック。
-ノズルの内径;
-ノズルの外径;
-ノズルの長さ。
【請求項6】
更に、前記ノズルの配列は、少なくとも2つのサブアレイを具備し、前記サブアレイの各々は、前記サブアレイに、以下からなる群より選択される少なくとも1つの特徴において異なった溶融ポリマーを供給するように適合された別個のポリマー供給システムに接続されている、請求項1乃至5の何れか1項に記載のダイブロック。
-ポリマーの種類;
-ポリマーの流量;
-ポリマーの圧力;
-ポリマーの温度。
【請求項7】
紡糸口金本体とダイブロックで使用するための複数のノズルとを含んだ紡糸口金ブロックの製造方法であって、
-単一ピースの紡糸口金ブロック前駆体、好ましくは鋼を提供することと;
-前記単一ピースの紡糸口金ブロック材料から、
・ノズルと;
・空気流路と;
を機械加工することと;
を含み、
前記機械加工は、高精度CNC処理である、紡糸口金ブロックの製造方法。
【請求項8】
紡糸口金本体と複数のノズルとを備えた紡糸口金ブロックと、空気分配プレートと、外部空気プレートと、を含んだダイブロックの製造方法であって、
-単一ピースのダイブロック前駆体、好ましくは鋼を提供することと;
-前記単一ピースのダイブロック前駆体から、
紡糸口金ブロックであって、
ノズルと、
空気口及び分配チャンバと、
を含んだ紡糸口金ブロックと;
空気分配プレートと;
外部空気プレートと;
を機械加工することと;
を含み、
前記機械加工は、高精度CNC処理である、ダイブロックの製造方法。
【請求項9】
メルトブロー装置を洗浄するための方法であって、
請求項1又は2に記載の設備を提供することと;
ポリマー残留物を燃焼させることと;
燃焼した残留物を超音波によって除去することと;
前記ノズルを通じて加圧水又は蒸気を吹き付けることと;
を含んだ方法。
【請求項10】
メルトブロー繊維を含む不織布ウェブを形成するための方法であって、
-請求項1乃至6の何れか1項に記載の設備を提供することと;
-MB繊維を形成するための30から2000のMFIを示す熱可塑性ポリマーを提供することと;
-ポリマー供給時に70バール未満、好ましくは50バール未満、より好ましくは45バール未満の圧力を加えることによってフィラメントを形成することと;
を含んだ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた品質の不織布材料を形成するためのスパンブロー型のフィラメントを作成するように構成された装置、並びにそのような装置を製造及び操作する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紡糸溶融は、不織ウェブなどのウェブに形成されるために、又はその構成要素として、1つ又は複数の押出機に接続されたダイヘッドとも呼ばれるダイブロック内の複数のノズルを介して溶融ポリマーから繊維を紡糸するプロセスである。スパンメルトプロセスは、当技術分野で周知であり、メルトブローイング(例えばUS8017534(K-C)を参照)及びスパンボンディング(例えばUS5935512(K-C)を参照)を含んでいる。
【0003】
このような技術から、「スパンブローイング」としばしば呼ばれる「ハイブリッド」技術が開発され、例えばUS9303334(Biax)に記載されている。この技術は、繊維及びウェブの特性に関して多くの利点を提供するが、製造のための装置及びプロセスに関しても同様である。しかしながら、このような技術を実装する際には、幾つかの障害に直面してきた。以下でより詳細に説明するように、まず、個々のノズルを、他のノズルに対して正確に整列させることは困難であり、これは、組み立て段階において困難をもたらすが、空気吹き出し孔に関しても同様であり、その結果、環状のシュラウド空気流が偏心して、フィラメントを劣化させ、また、隣接するフィラメントの望ましくない束化などによって、更なるウェブ特性を劣化させる。
【0004】
それゆえ、本発明は、上記のスパンブローイング技術の課題を解決することを目的としている。
【発明の概要】
【0005】
第1の側面において、本発明は、メルトブロー繊維を形成するためのダイブロックであり、このダイブロックは、
-少なくとも1つの溶融ポリマー供給部と;
-空気供給部と;
-紡糸口金ブロックであって、
ポリマー供給サイドを含んだ紡糸口金本体と、
ノズルの配列を形成する複数のノズルと、
を含んだ紡糸口金ブロックと;
-開口部を含んだ空気分配プレートと;
-開口部を含んだ外部空気プレートと;
-カバーストリップと;
-固定手段と;
を具備し、
紡糸口金ブロック、空気分配プレート、外部空気プレート、及びカバーストリップは、この順に積載され、固定手段によって固定されており、それにより、
ノズルは、空気分配プレート中の対応する開口部を通じて、外部空気プレートの対応する開口部を更に通じて、突出するようにされ、
紡糸口金本体のポリマー供給サイドからノズルを通じて通過する溶融ポリマーのためにポリマー通路が形成されるようにされ、
空気供給部から空気分配プレート及び外部空気プレートの開口部を通じて通過する空気のために空気通路が形成されるようにされ、
それにより、外部プレートの開口部及びノズルは、ノズルを出る溶融ポリマーと、外部空気プレートの開口部を通じて流れる空気とが実質的に平行なるように適合され、紡糸口金本体とノズルとは一体である。
【0006】
ダイブロックは、以下からなる群より選択される1つ又は複数の条件を満たしていてもよい。
-ノズルの内径が約1.25mm未満、好ましくは約0.8mm未満である;
-ノズルの外径が約2mm未満である;
-ノズルは約50mm未満の長さを示す;
-ノズルは約10mmを超える長さを示す;
-ノズルは約50未満のL/d比を示す;
-ダイブロックは、250を超える、好ましくは1500を超える、更により好ましくは約2000mmを超える、又は5000mmをさえ超えるCD幅を示す。
【0007】
本発明は、一体化された紡糸口金本体及びノズルを含み、紡糸口金本体中のプレホールを更に備えたダイブロックにも関する。ここで、このプレホールは、
溶融ポリマーの供給部に向かって配置された上面からキャピラリに向かって延びており、
ノズルのキャピラリへの皿穴の形で、
好ましくは、30°から60°の間の面取り角度で、
好ましくは、キャピラリの内径の1.5から4倍の間の直径を示し、
好ましくは、約2mmを超える、好ましくは約4mmを超える長さを示し、
好ましくは、約20mm未満、好ましくは約14mm未満、より好ましくは約8mm未満、最も好ましくは約6mmの長さを示す。
【0008】
好ましい実施形態では、ノズルの紡糸口金ブロックの基部への移行が、約0.1mmを超える、好ましくは約0.3mmを超える半径を示す。
【0009】
ノズルの配列は、以下からなる群より選択される寸法のうちの少なくとも1つにおいて異なるサブアレイのノズルとは異なったノズルを含んだ少なくとも2つのサブアレイを含んでいてもよい。
-ノズルの内径;
-ノズルの外径;
-ノズルの長さ。
【0010】
ノズルの配列は、少なくとも2つのサブアレイを更に備え、サブアレイの各々は、サブアレイに以下からなる群より選択される少なくとも1つの特徴において異なった溶融ポリマーを供給するように適合された別個のポリマー供給システムに接続されていてもよい。
-ポリマーの種類;
-ポリマーの流量;
-ポリマーの圧力;
-ポリマーの温度。
【0011】
別の側面において、本発明は、紡糸口金本体と複数のノズルとを備えた紡糸口金ブロックと、空気分配プレートと、外部空気プレートと、を含んだダイブロックの製造方法であって、
-単一ピースのダイブロック前駆体、好ましくは鋼を提供することと;
-単一ピースのダイブロック前駆体から、
紡糸口金ブロックであって、
ノズルと、
空気口及び分配チャンバと、
を含んだ紡糸口金ブロックと;
空気分配プレートと;
外部空気プレートと;
を機械加工することと;
を含み、
この機械加工は、高精度CNC処理である。
【0012】
別の側面において、本発明は、紡糸口金本体とダイブロックで使用するための複数のノズルとを含んだ紡糸口金ブロックの製造方法であって、
-単一ピースの紡糸口金ブロック前駆体、好ましくは鋼を提供することと;
-単一ピースの紡糸口金ブロック材料から、
ノズルと、
空気流路と;
を機械加工することと;
を含み、
この機械加工は、高精度CNC処理である。
【0013】
更なる側面において、本発明は、メルトブロー装置を洗浄する方法であって、この方法は、記載された紡糸口金又はダイブロックを提供することと;ポリマー残留物を燃焼させることと;燃焼した残留物を超音波によって除去することと;ノズルを通じて加圧水又は蒸気を吹き付けることと;
を含んでいる。
【0014】
更に別の側面において、本発明は、メルトブロー繊維を含む不織布ウェブを形成するための方法に関し、この方法は、
-上記のような機器を提供することと;
-メルトブロー繊維を形成するための30から2000のMFIを示す熱可塑性ポリマーを提供することと;
-ポリマー供給時に70バール未満、好ましくは50バール未満、より好ましくは45バール未満の圧力を加えることによってフィラメントを形成することと;
を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、従来技術によるスピンブロー装置を示している。
【
図2】
図2A乃至Hは、本発明の特定の特徴を示している。
【
図4】
図4A乃至Dは、本発明の更なる特徴を示している。
【0016】
図中の同じ数字は、同じ又は同等の機能を表している。図は概略図であり、必ずしも縮尺通りではない。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、例えば多層複合ウェブの層として形成された繊維ウェブ又は不織布を更に形成することができる繊維又はフィラメントを形成するための紡糸プロセスのためのダイブロックのための特定の実施に関する。
【0018】
紡糸溶融は、1つ又は複数の押出機に接続されたダイヘッド内の複数のノズルを介して溶融ポリマーから繊維を紡糸するプロセスである。紡糸溶融プロセスには、メルトブロー、スパンボンディング、及び以下でより詳細に説明するハイブリッドプロセスが含まれ、スパンブローとも呼ばれる。
【0019】
メルトブローは、典型的には約10ミクロン未満の直径を有する非常に微細な繊維を製造するためのプロセスであり、複数の溶融ポリマー流は、フィラメントがノズルから出た後、高温高速ガス流を用いて減衰される。減衰した繊維は、フラットベルト又はドラムコレクタに集められる。典型的なメルトブローダイは、1インチあたり約35個のノズルを有し、1列のノズルを有している。典型的なメルトブローダイは、フィラメントを減衰させるために、ノズルの列の両側に傾斜したエアジェットを使用する。
【0020】
スパンボンドは、紡糸口金面付近の繊維を急冷しながら、低温の高速空気を用いて紡糸フィラメントを減衰させることにより、熱可塑性ポリマーから直接、強力な繊維不織ウェブを製造する方法である。次いで、個々の繊維は、収集ベルト上にランダムに配置され、ウェブに付加された強度及び完全性を与えるためにボンダーに搬送される。ファイバサイズは通常250μm未満であり、平均ファイバサイズは約10ミクロンから約50ミクロンの範囲である。繊維は、結晶化(固化)フィラメントの減衰中に達成される分子鎖の配列のために、メルトブローン繊維と比較して非常に強い。典型的なスパンボンドダイは、複数列のポリマーホールを有し、ポリプロピレンタイプの従来のポリマーについては、ポリマーメルトフローインデックス(MFI)は、通常、2.16kgの荷重で約500グラム/10分未満である。
【0021】
本発明は、従来のメルトブロープロセスと従来のスパンボンドプロセスとのハイブリッドプロセスであって、ノズルが、紡糸されたフィラメントを減衰及び固化させるために、紡糸されたフィラメントを取り囲む平行なガスジェットを可能にするように配置されていることを除いては、スパンボンディングで使用される紡糸口金に類似した複数列の紡糸口金を使用している。押し出されたフィラメントの各々は、加圧ガスで覆われ、その温度は溶融樹脂よりも低温又は高温であり得る。任意選択的に、全てのフィラメントの周囲を、加圧ガスのカーテンで囲むことができる。
【0022】
不織ウェブ又はそのようなウェブの構成要素などのフィラメント及び更なるウェブを形成するためのスパンブロー装置及びプロセスの一般原理を説明するために、そのような技術をより詳細に記載するUS9303334を明示的に参照する。
図1は、そのような「ハイブリッド」スパンブロープロセスのためのダイブロックを示している。
【0023】
全体として、ダイブロック26は、紡糸口金本体52と、空気分配プレート70と、外部プレート78と、カバーストリップ88とを構成要素として備えている。更に、ノズル58は、溶融材料がノズル58のキャピラリ60を通過してノズル96の先端にフィラメント86を形成することができるように、それぞれ、分配プレート70及び外部プレート78の開口部を通って紡糸口金本体52から延びている。
【0024】
典型的には、構成要素の順序は、紡糸口金本体52、空気分配プレート70、外部プレート78、及びカバーストリップ88が重力に沿って配置されるようなものであり、本説明の目的のために、紡糸口金本体52は、空気分配プレートの上方に配置されて固定され、この空気分配プレート70は、外部プレートの上方に配置されて固定され、外装プレート78は、カバーストリップ88の上方に配置され、図示しない固定手段によって固定される。
【0025】
本説明は、ノズルが垂直配向を示すようなダイブロックの配置を参照することによって説明されてきたが、当業者は、これが必須ではないことを容易に理解するであろう。ノズルは、典型的には90°(即ち水平)未満であるが、5°を超えるか、15°を超えるか、30°を超えるか、若しくは45°を超えるか、又はそれ以上で垂直に対して配向され得るように、ダイブロックをCD配向軸の周りに傾斜させることができる。
【0026】
図1は、ダイブロック26の断面図を示している。不織布を形成するための製造装置内に配置されたとき、この図は、x-z方向の図に対応し、x方向12は製造方向、即ち、得られるウェブの移動方向を示し、z方向15は高さ(重力に沿った)に対応する。図示のような実施形態において、3つのノズル58は、「複数行」(ここでは3行)のダイブロック26の1つの「列」を表す。ノズルの列及び行がダイブロックのノズルの配列(アレイ)を形成するように、ダイブロックは、隣接して方向18(即ち、図面に垂直で、円で示されている)に配置された複数の列を含んでいる。紡糸口金本体52は、10個程度のノズル58から、数千個のノズル58までを含むことができる。商用サイズのラインの場合、紡糸口金本体52内のノズル58の数は、約500から約10000の範囲であり得る。
【0027】
行数は、列数と同様に変化する可能性がある。典型的には、行数は1より多く、しばしば5を超え、約30未満、更には15未満であってもよい。典型的には、列数は50を超え、約200を超えることもあり、3500未満であってもよい。
【0028】
米国特許’334に記載されているように、ノズル58は、溶融ポリマーのための通路を形成するために紡糸口金本体52の開口部を通して挿入されるキャピラリから形成されている。
【0029】
ノズル58の各々は、内径と外径とを有する。内径は、約0.125mmから約1.25mmの範囲であり得る。各ノズル58の外径は、少なくとも約0.5mmであるべきである。各ノズル58の外径は、約0.5mmから約2.5mmの間の範囲であり得る。
【0030】
典型的には、ノズル58の長さは、約0.5から約6インチの範囲である。
【0031】
溶融ポリマーはノズルのキャピラリのみを通過する必要があるので、米国特許’334には、以下により詳細に説明するように、本発明と比較した場合に重要な相違を示す、紡糸口金本体に緊密に取り付けられ、典型的には溶接されるチューブが記載されている。
【0032】
溶融材料22は、ホモポリマータイプの熱可塑性ポリマー又は異なるポリマーの混合物であってもよいが、プロピレン系ポリマーの場合には、その融点より十分に高い温度まで加熱され、通常は押出機(図示せず)において、ダイブロック26の上流で、典型的には少なくとも約170°C、しばしば約210°Cまで加熱される。任意選択的に、異なるポリマーを、それぞれ、異なるノズルのグループに向けることができる。
【0033】
各ノズル58を通るポリマースループットは、「1分あたりの穴あたりのグラム数」(「ghm」)で示される。各ノズル58を通るポリマースループットは、約0.01ghmから約4ghmの範囲であり得る。
【0034】
ダイブロック26は、更に、キャビティ30と、キャビティ30に接続され、ポリマー供給部に向かって、典型的には紡糸口金本体の上部に(即ち重力に逆らって)配置された入口28とを含んでいる。溶融材料22は、ポリマー通路に沿って入口28から紡糸口金本体52の上部に向かって、更にノズルを介して下方に搬送される。紡糸口金本体52には、加圧ガス(空気)を空気チャンバ54に送るための1つ又は複数のガス通路32が形成されており、この空気チャンバは、紡糸口金本体52と空気分配プレート70との間に実質的に形成されている。複数のノズル58は、紡糸口金本体から下方に延びており、溶融材料が毛管60を通って流れてノズル及びダイブロックを出てノズル先端部96の外部プレートの下方にフィラメント86の形で流出することができる。
【0035】
更に、複数の固定ピン62がノズルの配列を取り囲み、紡糸口金本体に固定され、空気分配プレートの開口部を通って外部空気プレートの開口部に延在する。
【0036】
固定ピン62の各々は、長手方向の中心軸と外径とを有する細長い固体部材である。各固定ピン62は、紡糸口金本体52に固定され、通常、ポリマーノズル58と同様の外径を有する。固定ピン62の各々の外径は、その長さにわたって一定であるべきである。外径の寸法は変化し得る。固定ピン62の各々の外径は、少なくとも約0.25mm、又は少なくとも約0.5mm、又は少なくとも約0.6mm、又は更に少なくとも約0.75mm、及び/又は、約5mm未満、又は約2mm未満であってもよい。
【0037】
空気分配プレート70は、複数の開口を有する紡糸口金本体52に固定される。第1の開口部72の各々は、ノズル58の1つを収容している。固定ピン62が使用される場合、それらは第2の開口部74に収容され、第3の開口部76の各々は、第1及び第2の開口部72及び74にそれぞれ隣接して配置される。プロセスを動作させるとき、加圧ガス、典型的には空気は、空気チャンバ54から、開口部72を通って空気通路に沿って流れている。開口部72は、ノズルの周りの薄い環状部であり、開口部74もまた、固定ピンの周りの小さな環状部であり、存在する場合には、第3の開口部76は、空気の主要通路である。
【0038】
外部空気プレート78は、紡糸口金本体52から離れて、空気分配プレート70に固定されている。外部部材78は、ノズル58を取り囲む複数の第1の開口部80を有している。第2の拡大開口部82は、存在する場合には、固定ピン62の各々を囲んでいる。
【0039】
動作時には、溶融材料22(ポリマー)は、ノズル58の各々を通って押し出されて、多数のフィラメント86を形成し、これらのフィラメントは、外部部材78に形成された第1拡大開口部80を通って放出された加圧ガス(空気)によって、キャピラリ60の軸に実質的に平行な所定の速度で、即ちノズル先端部96におけるフィラメント86の流れ方向で、周囲空気からシュラウドされることが意図されている。
【0040】
固定ピンの周囲の外部部材78に形成された第2拡大開口部82から流出する加圧ガス(空気)流は、存在する場合、更にシュラウド空気流を形成し、これもノズルの軸に実質的に平行に配向され、従ってノズルから流出するフィラメントに実質的に平行に配向され、
図1に矢印94で示すように、フィラメント86を取り囲む周囲空気から隔離することを目的とする。
【0041】
米国特許’334の技術は、非常に有用な不織材料を提供するために十分に使用することができるが、主にノズルチューブの紡糸口金本体への挿入及びそれぞれの固定によって誘発される不正確さのために、一定の制限を伴うことが観察されている。複数のノズルチューブを調整する場合、例えば最高の精度で数千個のノズルチューブを調整する場合、少なくとも、挿入及び溶接時の熱膨張、並びに溶接自体が適用された場合には、紡糸口金ブロックの幅に亘って蓄積することができる微細な変動を生じさせ、次いで、結果として生じる製品の取り扱い及び/又は品質の劣化を引き起こす傾向がある。
【0042】
キャピラリが開口部82の中心に正確に配置されていない場合、ノズルの周りの環状の空気通路は偏心しており、したがって、空気のシュラウド効果は不均一であり、これは、滑らかな空気流を乱し、束になることがあり、即ち、隣接するフィラメントが互いに向かって吹き付けられ、次いで互いに付着して、より大きな繊維サイズ分布を生じることがある。
【0043】
更に、洗練された溶接及び機械加工ツールであっても、キャピラリへの及びキャピラリを通る流れの円滑さを妨げるバリ(burrs)が生じる可能性が高い。
【0044】
その結果、ポリマー材料の堆積物がキャピラリの入口の周囲に形成され、これは時間と共に劣化し、より頻繁な洗浄を必要とする。
【0045】
複数のキャピラリが突出していること、及び、空気分配プレートが密着していることを考慮すると、これらのばらつきに伴って適正な実装が困難になるだけでなく、1回の実装工程でのノズル数も増加する。従って、現在、単一の紡糸口金本体のy方向延長、ひいては、完全なダイブロックのy方向延長には、約500mm(約20インチ)という実際上の制限がある。
【0046】
このように、そのようなダイブロックを大規模なオペレーションで採用する場合、全体的なy方向の延長は2mを優に超えるか、しばしば2.6mを優に超えるか、又は更に5mを超える場合があり、複数のダイブロックを採用する必要があり、これは取扱いの複雑さを増大させるだけでなく、少なくとも各ブロックのy方向のエッジ効果のために、結果として得られる製品の品質に影響を与え得る。
【0047】
更に、キャピラリ入口周辺の堆積物の増加により関連性が増大する洗浄プロセスを考慮すると、それは1方向、即ち通常のプロセス流れ方向にのみ実行することができる。典型的には、洗浄プロセスは、熱分解処理とそれに続く加圧蒸気又は水による処理を含んでいる。また、このような残留物を除去するための一般的に望ましいプロセスである超音波洗浄は、キャピラリと紡糸口金本体との接続部、即ち溶接部又は密着部と非常にネガティブな相互作用する可能性があるため、適切に使用することができない。
【0048】
このように、米国特許’334から知られるようなスパンブロープロセスの原理を説明したところで、
図2A乃至Fは、本発明の原理を、
図1の文脈で説明したのと同じ方法で配置された紡糸口金ブロック152、空気分配プレート170、外部空気プレート178、及びカバーストリップ188を含むダイブロック126を示すことによって描いている。更に示されているのは、上述したようにノズルの配列を形成する列及び行に配置された複数の5つのノズル158の1列である。本明細書に記載されているように、ノズルは、重力に沿って垂直に配向されている。しかしながら、システムの向きは、ノズルの向きが重力に対して傾斜するようなものであってもよく、当業者は、それに応じて、「上」又は「下」などの相対的な位置を決める用語を容易に適応させるであろう。
【0049】
任意選択的に、ノズルの配列は、サブアレイを含んでいてもよい。このようなサブアレイは、ダイブロックの全幅にわたって延在する必要はないが、好ましくは、少なくとも1列のノズルを含み得る。
【0050】
図2Gに示されるような1つ又は複数のサブアレイを含むダイブロックの第1の実施形態において、サブアレイのうちの少なくとも1つのノズルは、ノズルの内径、ノズルの外径、及びノズルの長さからなる群から選択される寸法のうちの少なくとも1つにおいて、別のサブアレイのノズルと実質的に異なっている。本文脈において、「実質的に異なる」という用語は、それぞれの寸法の少なくとも5%、しばしばその10%を超える差異を指している。
【0051】
図2Hに示される更なる実施形態において、他の実施形態に限定されないが、一方のサブアレイのノズルは、ポリマーの種類、ポリマーの流量、ポリマーの圧力、及びポリマーの温度からなる群から選択される少なくとも1つの特徴において、異なるサブアレイに供給される溶融ポリマーとは異なる溶融ポリマーを前記サブアレイに供給するように構成された第1の別個のポリマー供給システムに接続されていてもよい。任意選択的に、ノズルは、2成分繊維又は多成分繊維を生成するように同軸に配置されたサブキャピラリと共に実行されてもよく、そのようなサブキャピラリには、それぞれ異なったタイプの非混和性ポリマーが供給される。
【0052】
図2Aは、組み立てられた状態(固定手段が省略されている)の要素を示しているが、
図2Bでは、紡糸口金ブロック152、空気分配プレート170、及び外部空気プレート178が分解図で示され、
図2C乃至2Fでは、これらの個々の構成要素が示されている。
【0053】
本発明の重要な特徴は、米国特許’334に記載されているように、ノズル158がキャピラリとして別個に形成されて紡糸口金本体の穴に挿入されていないことである。むしろ、紡糸口金本体153及びノズル158は、単一の材料片から作製された紡糸口金ブロック152を形成する「単一体(unitary)」である。これは、レーザ切断、火炎及びプラズマ切断、穴あけ、ドリリング、フライス加工、旋盤加工、ピッキング及び配置、鋸引き、並びにCNC処理のための当技術分野で公知の他の技術を使用するような、現代のCNC加工技術によってうまく達成することができる。
【0054】
図2Cを参照すると、紡糸口金本体及びそれから一体的に形成されるノズルを囲む点線で示される紡糸口金ブロック前駆体210として、好ましくは均質な組成、好ましくは金属、より好ましくは鋼を示す材料片が選択される。それは、後の紡糸口金ブロックの全体寸法に概ね対応するサイズで調製されてもよく、又は、その外側寸法は、その場で成形されてもよい。
【0055】
次いで、必ずしも列挙された順序ではないが、紡糸口金ブロックの種々の特徴が並列的又は連続的に形成されるが、特に限定されない。
-溶融ポリマー122用の入口キャビティ130;
-空気入口及び分配チャンバ132(空気供給手段は示されていない);
-各々が溶融流体フローのためのキャピラリの直径に対応する内径157及び外径159を示すノズル158の配列;
-任意選択に、更に、固定穴(199)。
【0056】
これらの要素は、特にノズル158のサイズ、位置、及び配向に関して、極めて精密に機械加工され得る。更に、一度プログラムされると、それはよく知られた製造プロセスであり、単に紡糸口金ブロック前駆体をCNC加工ツールに取り付け、加工プログラムを開始するだけである。
【0057】
ノズル158の各々は、内径157と、外径159とを有している。内径は、約0.125mmより大きく及び/又は約1.25mm未満であり得る。各ノズル158の外径は、好ましくは、約0.5mmを超え、又は1mmを超え、及び/又は約2.5mm未満である。典型的には、ノズル158の長さは、約20mmより大きく、及び/又は、約150mm未満である。
【0058】
このように、スピンブロックは、入口キャビティ130からノズル158のキャピラリを通ってノズル先端196に向かうポリマー通路を含み、そこでフィラメントが形成される。
【0059】
また、この高精度のために、ノズル158は、空気分配プレート170の各ノズル開口部172に正確に嵌合し、空気分配プレートの172のノズル開口は、ノズルの外径より僅かに大きく、0.1mm未満の環状間隙までしか形成することができない。
【0060】
したがって、空気チャンバ132からの空気流は、紡糸口金ブロック152及び空気分配プレート170によって区切られており、
図2Eの点線を参照して、異なる列(即ち、
図2に示す特定の断面平面では見えない)にあってもよいように、複数の空気流開口部176を通っていてもよく、場合によっては、千鳥状の列(
図2Aの点線を参照)であってもよい。
【0061】
更に、ノズルは、外部空気プレートのノズル開口180に非常に正確に嵌合し、ノズル158の周りに非常に正確で同心円状に形成された環状部を提供する。動作中には、これにより、フィラメント186を取り囲む非常に均一な環状の空気シュラウドが得られ、これらはノズル先端196を出てフィラメントと実質的に平行になり、それにより、フィラメントの束形成を防止しないまでも、著しく減少させることができる。
【0062】
図2Aは、米国特許’334に記載されているように(代替的に又は共同で)外周カーテンを作成するための2つのオプションを更に示している。第1のオプションでは、外部空気プレートの空気通路開口部183は、ノズルの配列の周囲に配置される。第2のオプションでは、米国特許’334のアプローチと類似して、同じ紡糸口金ブロック前駆体から機械加工された固定ピン及び固体ピン162も、紡糸口金本体から開口部174を通って空気分配プレートを通って外部空気プレート178の開口部182に延び、これらのピンの周りの環状空気流を可能にする。
【0063】
更に、本アプローチは、米国特許’334の教示に従って製造される典型的なダイブロックの500mmを優に超えて、1000mmを超え、2600mm(このようなダイブロックが含まれ得る不織布製造ユニットの典型的なサイズとして)を超え、更には5000mmを超えることができるダイブロックのy方向のサイズに対する実際的な制限を排除することによって、ダイブロックを組み立てる際に、はるかに容易な製造を可能にする。
【0064】
本発明では、はるかに広い幅にわたって単一の(single piece)一体化された(unitary)ダイブロックを使用することが可能であり、ファイバ形成及びファイバレイダウンは、共に組み立てられた幾つかのより幅の小さいダイブロックを有する場合と比較して、交差方向により均質である。
【0065】
図3に示されているように、本アプローチは、キャピラリから紡糸口金本体への移行が半径310、好ましくは0.1mmを超える、より好ましくは0.3mmを超える半径で実行され得るという更なる利点を提供する。これにより、米国特許’334による実行と比較して、安定性が向上し、ノズルの配置も向上する。
【0066】
図4A及びCは、ノズルのキャピラリの開口部の周囲の鋭利な縁部によるこれらの悪影響を回避するまでではなくとも低減するための例示的な実行を示している。
【0067】
本発明によるノズルの第1の実施形態としての
図4Aでは、ノズル158は、溶融流体の流れのためのキャピラリ160の内径157を示す、先に引用した米国特許’647に一般的に記載されているようなノズルであり得る。このキャピラリの内径は、約0.125mmから約1.25mmの範囲であり得る。キャピラリ160の上端部は、面取り部333で面取りされており、好ましくは30°~60°の面取り角度で面取りされており、キャピラリから面取り開口直径337に移行している。この面取り開口直径は、約2mm又は4mmを超えるものから約20mm又は14mm又は8mm未満のものまでの範囲とすることができる。ノズル158の下部335の外径159は、少なくとも約0.5mmであるべきであり、約0.5mm~約2.5mmの範囲内であってもよい。
【0068】
典型的には、ノズル158の全長330は、約20mmから約150mmの範囲である。下部335の長さ334は、約10mmから約140mmであり得る。第1の直径から第2の直径までの面取り部の長さは、約2mmから約4mm以上の範囲とすることができる。
【0069】
任意選択的に、
図4B及びCに示されるように、キャピラリ直径から面取り開口直径への移行は、半径として、又は楕円形若しくは放物線形などの別の徐々に移行する曲線として実行されてもよい。本明細書において、「面取り」という用語は、必要に応じてそのような実行を含むことを意図しており、面取り角度は、半径又は滑らかな曲線の端点に対応することを意図している。
【0070】
本発明による別の実施形態は、
図4Dに示されており、ノズル先端に内径157を示すキャピラリ160を有するノズル158も示されている。更に、ノズルは、ポリマー供給部に向かって面取り開口直径337を有し、この面取り開口直径は、プレホール長さ344にわたってキャピラリのプレホールを表すプレホール直径341に向かって面取りされ、更にキャピラリ内径157に向かって面取りされる。この実施形態において、ノズルの長さは、キャピラリの長さ、存在する場合にはプレホールの長さ、及び面取り部の長さによって定義される。
【0071】
面取りの一方又は両方について、それは、
図4Aに記載されるように実行されてもよく、又は
図4B及びCに記載されるように半径として実行されてもよい。
【0072】
任意選択的に、そして多くの場合好ましくは、紡糸口金ブロック152は、1つのノズルのみを示す
図4Dを参照して、プレホール340を備えていてもよい。これらのプレホールは、上方に配置され、ノズル158のキャピラリ160の軸線と正確に位置合わせされる。プレホールは、キャピラリの直径の1.5から4倍の直径及び約2mmから約20mmの長さを示し得る。好ましくは、プレホール310からキャピラリ160への移行は、入口で且つキャピラリへの移行において、30°~60°の面取り角度で、緩やかに行われる。
【0073】
プレホールは、溶融材料を伴うキャビティからキャピラリ160へのより滑らかな流れを提供し、これは、プロセスのためのより広いプロセスウィンドウの機会をもたらす。
【0074】
したがって、第2の態様では、本発明は、広いプロセスウィンドウを有するプロセスにおいて上記で説明したように装置を動作させることに関し、主に、以下によって記述される。
-キャビティ内の溶融ポリマーの圧力;
-溶融ポリマーの温度;
-キャピラリの直径;
-キャピラリの長さ;
-ASTM D 1238及びISO 1133によって決定されるメルトフローインデックス(MFI)で表される溶融ポリマーの材料特性、並びに現在の装置及びプロセスで適切に処理することができるポリマーとしてのポリプロピレンについては、それは、210°C、2.16kg負荷における10分あたりのグラム数で適切に表される。
【0075】
比較例として、米国特許’334に記載されている装置及びプロセスは、以下を示してもよい。
-キャピラリの内径0.46mm、
-キャピラリの長さ24mm、
-したがって、L/d比は約52、
-MFIが約500[g/10分@2.16kg荷重]未満の溶融ポリマーについては、50から70バールの背圧で約210°Cの温度で操作することが好ましい。
【0076】
比較可能なファイバ寸法及び特性を達成するために、本発明の装置は、以下に例示的に示されている。
-キャピラリ直径0.46mm;
-キャピラリの長さ約18mm;
-約1.2mmのプレホール直径:
-約6mmのプレホール長(入口とキャピラリへの移行部での60°面取りを含む);
-それにより、キャピラリのL/d比は約39であり、これにより、50バールよりもかなり低い背圧の約500[g/10分@2.16kg荷重]のMFIを示すポリプロピレンポリマーを更に使用することが可能になる。
【0077】
ポリマーをより低い背圧にさらすことの1つの利点は、機械的応力の減少が、より強い不織布の生成を可能にする結果となることである。
【0078】
換言すれば、本発明は、所与のMFIについて流動抵抗を示すより低いL/d比を示すことができ、したがって、MFI及び背圧についてより広いプロセスウィンドウで動作することを可能にする装置を提供する。
【0079】
更に、溶融ポリマー130のためのキャビティからプレホール340へのより滑らかな流れ、好ましくは、面取りにおけるポリマーのより一層滑らかな流れは、入口の周りのポリマーの乱流を著しく減少させ、したがって、ポリマー残留物の堆積をも減少させ、洗浄のための中断なくより長い動作時間を可能にする。
【0080】
図5に示されるように、本発明の更なる、そして多くの場合非常に好ましい実施形態において、3つの要素、紡糸口金ブロック126、空気分配プレート170、及び外部空気プレート178の全ては、点線510で示される単一の材料ブロックから製造され、それによって、第1段階で、スラブが分離され、各々の要素は、上述のようにCNC加工によって形成される。
【0081】
更なる側面では、本発明は、機器のより簡単な保守を可能にする。
【0082】
第1に、紡糸口金ブロック(152)は、単一体であり且つ同じ材料であるので、ノズル(158)と紡糸口金本体(153)との接続を損傷する危険を冒すことなく、容易に超音波処理に耐えることができる。
【0083】
第2に、ノズル及び紡糸口金本体は、例えば、米国特許’334に記載されているような設計よりもはるかに頑丈であるため、装置は、より高い圧力で、また、製造方向に沿ってだけでなく、逆方向にも、水及び/又は蒸気で洗浄することができる(逆フラッシング)。
【0084】
したがって、本発明による紡糸口金ブロックの洗浄は、以下の工程を含み得る。
-残留物をそれぞれ熱分解して燃焼させること;
-熱分解された残留物を超音波で緩めること;
-超音波で緩めた熱分解残留物を溶融ポリマーの流れ方向に沿って、及び/又は、任意選択的に反対の流れ方向に加圧水又は蒸気で洗い流すこと。
【国際調査報告】