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特表2022-507154紡糸繊維の製造に使用するための容易に交換可能なノズルを有する紡糸口金ブロック
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】紡糸繊維の製造に使用するための容易に交換可能なノズルを有する紡糸口金ブロック
(51)【国際特許分類】
   D01D 4/00 20060101AFI20220111BHJP
   D01D 4/02 20060101ALI20220111BHJP
   D01D 5/08 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
D01D4/00 Z
D01D4/02
D01D5/08 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021525587
(86)(22)【出願日】2019-11-05
(85)【翻訳文提出日】2021-07-06
(86)【国際出願番号】 EP2019080291
(87)【国際公開番号】W WO2020104190
(87)【国際公開日】2020-05-28
(31)【優先権主張番号】1819098.3
(32)【優先日】2018-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1905253.9
(32)【優先日】2019-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1911165.7
(32)【優先日】2019-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518379049
【氏名又は名称】テクノウェブ マテリアルズ エッセ.エッレ.エッレ.
(74)【代理人】
【識別番号】100163991
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 慎司
(72)【発明者】
【氏名】ザムポッロ、ファビオ
【テーマコード(参考)】
4L045
【Fターム(参考)】
4L045AA06
4L045BA34
4L045CB09
4L045CB16
4L045CB18
4L045DA08
(57)【要約】
本発明は、例えば多層複合ウェブの層として形成された紡糸ウェブ又はそのような紡糸ウェブを構成する不織布を更に形成することができる繊維又はフィラメントを形成するための紡糸プロセスのためのダイブロックのための特定の実施に関する。ダイブロックは、容易に取り外し可能であり、好ましくは面取りされたノズルを含んでいる。
【選択図】図3B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパンブローフィラメントを形成するためのダイブロックであって、
溶融ポリマー供給部と;
空気供給部と;
紡糸口金ブロックであって、
ポリマー供給サイドを含んだ上部プレートと、
下部プレートと、
複数のノズルと、
を備えた紡糸口金ブロックと;
開口部を含んだ空気分配プレートと;
開口部を含んだ外部空気プレートと;
カバーストリップと;
固定手段と;
を具備し、
前記紡糸口金ブロック、前記空気分配プレート、前記外部空気プレート、及び前記カバーストリップは、この順に積載され、前記固定手段によって固定されており、それにより、
前記ノズルは、前記空気分配プレート中の対応する開口部を通じて、前記外部空気プレートの対応する開口部を更に通じて、突出するようにされ、
前記上部プレートの前記ポリマー供給サイドから前記ノズルを通じて通過する溶融ポリマーのためにポリマー通路が形成されるようにされ、
前記空気供給部から前記空気分配プレート及び前記外部空気プレートの開口部を通じて通過する空気のために空気通路が形成されるようにされ、
それにより、前記外部プレートの前記開口部及び前記ノズルは、前記ノズルを出る溶融ポリマーと、前記外部空気プレートの開口部を通じて流れる空気とが、30°未満の角度で、好ましくは10°未満の角度で、より好ましくは実質的に平行になるように適合され、前記紡糸口金ブロックは、
前記溶融ポリマー供給部に向かって配置された上部プレートであって、
ポリマー供給キャビティと、
少なくともその下端に上部プレート開口部直径を示す上部プレート開口部と、
を備えた、上部プレートと;
前記溶融ポリマー供給部から離れて配置された下部プレートであって、前記上部プレートの貫通孔と同心の下部プレート貫通孔を含んだ下部プレートと;
を備え、
上部プレートに向かって配置され、上部分の直径、任意選択的に上部分の面取り及び上部分の長さを有する上部分と、
前記上部分の反対側に配置され、下部分の直径及び下部分の長さを有し、それにより、前記上部分の直径は、前記下部分の直径よりも大きい下部分と、
を示し、
前記ノズルは、
上部セクションの外径を示す上部セクションと;
下部セクションの外径を示す下部セクションと;
前記ノズルを通る内部貫通孔としてのキャピラリと;
を備え、
前記ノズルの前記上部セクションは、好ましくはそこから突出することなく、前記下部プレートの上部分に取り外し可能に適合され、
更に、前記上部プレート開口部直径と前記下部プレート開口部直径又は前記面取りとは、50μm未満、好ましくは20μm未満の差を示す、
ダイブロック。
【請求項2】
以下からなる群より選択される1つ又は複数の条件を満たしている、請求項1に記載のダイブロック。
-ノズルの内径が約1.25mm未満、好ましくは約0.8mm未満である;
-ノズルの外径が約2mm未満である;
-ノズルは約50mm未満の長さを示す;
-ノズルは約10mmを超える長さを示す;
-ノズルは約50未満のL/d比を示す;
-ノズルは、約0.5mmを超える直径を示すプレホールによって実行される;
-ノズルは、約4mm未満のプレホール直径を示すプレホールによって実行される;
-ノズルは、2mmを超えて、好ましくは約4mmを超えて延びる異なる直径のセクション間に移行ゾーンを示す;
-ノズルは、約2mmを超えて、好ましくは約4mmを超えて延びる異なる直径のセクション間に移行ゾーンを示す;
-ノズルは、2mmを超える、好ましくは4mmを超える長さを示すプレホールで実行され、それにより、この長さは、より大きな直径に向かう移行ゾーンの長さを含む;
-ノズルは、2mmを超える、好ましくは約20mm未満、好ましくは約14mm未満、より好ましくは約8mm未満の長さを示すプレホールで実行され、それにより、この長さは、より大きな直径に向かう移行ゾーンの長さを含む;
-ダイブロックは、250を超える、好ましくは1500を超える、更により好ましくは約2000mmを超える、又は5000mmをさえ超えるCD幅を示す。
【請求項3】
前記上部プレートの前記開口部が、以下からなる群より選択される1つ又は複数の条件を満たしている、請求項1又は2に記載のダイブロック。
-30°乃至60°の間の面取り角度での面取り、又は丸みを帯びたプロファイルを備えた面取りを含む、
-前記キャピラリの内径の1.5から4倍の間の面取り直径を示す、
-約2mmを超える、好ましくは約4mmを超える長さを示す、
-約20mm未満、好ましくは約14mm未満、より好ましくは約8mm未満、最も好ましくは約6mmの長さを示す、
-前記ポリマー供給サイドから反対側に向かって先細りしている。
【請求項4】
前記ノズルは配列を形成し、好ましくはノズルと同じ外径及び長さを示す固定ピンを更に具備し、前記固定ピンは前記配列の周辺に配置されている、請求項1乃至3の何れか1項に記載のダイブロック。
【請求項5】
前記上部プレートは、更に、
-少なくとも1つの列溝であって、
前記第1のプレートに向かう側に配置され、
ノズルの前記列に平行に配向されている、
列溝と、
-任意選択的に、それぞれが、前記ノズルの列又は前記ノズルの配列に外接する円周方向の溝と、
を具備し、
少なくとも1列のノズル穴、好ましくは2列のノズル穴が、列溝に配置され、それにより、前記ノズルの前記面取りセクションを形成し、
前記溝は、シーラントを受け入れるように適合されている、
請求項1乃至4の何れか1項に記載のダイブロック。
【請求項6】
前記シーラント化合物は、前記ダイブロックの組み立て状態において、
-前記列の溝に配置されたノズル穴の中への、
-前記ダイ本体の前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間のギャップに沿って、隣接する列溝、又はノズル穴、又は外側に向かっての、
溶融ポリマーの流れを防止するように適合されている、請求項5に記載のダイブロック。
【請求項7】
前記溝は、丸みを帯びた断面形状又は丸みを帯びた基部を示し、好ましくは、半円形の基部及び直線状の上サイドを有する部分的な楕円形の断面形状を示す、請求項5又は6に記載のダイブロック。
【請求項8】
前記溝は、以下からなる群より選択される1つ又は複数の寸法を示す、請求項5乃至7の何れか1項に記載のダイブロック。
-約1mmを超える、好ましくは約2mmを超える幅、
-約10mm未満、好ましくは約5mm未満の幅、
-約1mmを超える、好ましくは約2mmを超える深さ、
-約10mm未満、好ましくは約5mm未満の深さ。
【請求項9】
前記列溝の少なくとも1つは、好ましくは、アクリル樹脂、接着性シーラント、ブチルゴム、弾性シーラント、エポキシサーモセット、ラテックスシーラント、プラスチックシーラント、ポリサルファイドシーラント、ポリウレタンシーラント、ゴムシーラント、シリコーンシーラントからなる群より選択され、好ましくは、ポリシロキサン、ウレタンシーラント、又はフルオロカーボンポリマーであり、より好ましくはシリコン又はPTFE型であるシーラントを備えている、請求項5乃至8の何れか1項に記載のダイブロック。
【請求項10】
前記ノズルの配列は、以下からなる群より選択される寸法のうちの少なくとも1つにおいて異なるサブアレイのノズルとは異なったノズルを含んだ少なくとも2つのサブアレイを含んでいる、請求項1乃至9の何れか1項に記載のダイブロック。
-ノズルの内径;
‐ノズルの外径;
‐ノズルの長さ。
【請求項11】
更に、
前記ノズルの配列は、少なくとも2つのサブアレイを具備し、前記サブアレイの各々は、前記サブアレイに、以下からなる群より選択される少なくとも1つの特徴において異なった溶融ポリマーを供給するように適合された別個のポリマー供給システムに接続されている、請求項1乃至10の何れか1項に記載のダイブロック。
-ポリマーの種類;
-ポリマーの流量;
-ポリマーの圧力;
-ポリマーの温度。
【請求項12】
メルトブロー繊維を含む不織布ウェブを形成するための方法であって、
-請求項1乃至11の何れか1項に係る設備を提供することと;
-メルトブロー繊維を形成するための熱可塑性ポリマーであって、適切な材料クラスの温度、好ましくはポリプロピレンの場合は210°C、及び、ポリエチレンの場合は190°Cにおいて、2.16kgで10分間に亘って30~2000のMFIを示す熱可塑性ポリマーを提供することと;
-ポリマー供給時に70バール未満、好ましくは50バール未満、より好ましくは45バール未満の圧力を加えることによってフィラメントを形成することと;
を含んでいる、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた品質の不織布材料を形成するためのスパンブロー型のフィラメントを作成するように構成された装置、並びにそのような装置を操作するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
紡糸溶融は、不織ウェブなどのウェブに形成されるために、又はその構成要素として、1つ又は複数の押出機に接続されたダイヘッド内の複数のノズルを介して溶融ポリマーから繊維を紡糸するプロセスである。スパンメルトプロセスは、当技術分野で周知であり、メルトブローイング(例えばUS8017534(K-C、Harvey)を参照)及びスパンボンディング(例えばUS5935512(K-C、Haynes)を参照)を含んでいてもよい。
【0003】
このような技術から、「スパンブローイング」としばしば呼ばれる「ハイブリッド」技術が開発され、例えばUS9303334(Biax、2014)に記載されている。この技術は、繊維及びウェブの特性に関して多くの利点を提供するが、製造のための装置及びプロセスに関しても同様である。しかしながら、時間の経過につれてのノズルの不均一な摩耗の場合や、フィラメント径を変化させる場合のように、個々のノズルの交換に関しては、装置は極めて柔軟性に欠ける。
【0004】
したがって、US6364647からは、ノズルが取り外し可能である同様のスパンブロー装置を構成することが知られている。これは、操作に関してだけでなく、製品の柔軟性に関しても一定の改善を提供するが、このような設計は、ポリマー供給システムからノズルキャピラリーの急激な移行の欠点を有し、これは、ポリマー流の乱流を生じ、キャピラリを通る流れの滑らかさを減少させるだけでなく、より頻繁な洗浄を必要とする可能性のあるノズル開口部の周囲のポリマー沈着の傾向を増加させる。
【0005】
それゆえ、本発明は、上記のスパンブローイング技術の課題を解決することを目的としている。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、スパンブローフィラメントを形成するためのダイブロックであって、
溶融ポリマー供給部と;
空気供給部と;
紡糸口金ブロックであって、
ポリマー供給サイドを含んだ上部プレートと、
下部プレートと、
複数のノズルと、
を備えた紡糸口金ブロックと;
開口部を含んだ空気分配プレートと;
開口部を含んだ外部空気プレートと;
カバーストリップと;
固定手段と;
を具備している。
【0007】
紡糸口金ブロック、空気分配プレート、外部空気プレート、及びカバーストリップは、この順に積載され、固定手段によって固定されており、それにより、
ノズルは、空気分配プレート中の対応する開口部を通じて、外部空気プレートの対応する開口部を更に通じて、突出するようにされ、
前記上部プレートの前記ポリマー供給サイドから前記ノズルを通じて通過する溶融ポリマーのためにポリマー通路が形成されるようにされ、
空気供給部から空気分配プレート及び外部空気プレートの開口部を通じて通過する空気のために空気通路が形成されるようにされている。
【0008】
それにより、前記外部プレートの前記開口部及び前記ノズルは、前記ノズルを出る溶融ポリマーと、前記外部空気プレートの開口部を通じて流れる空気とが、30°未満の角度で、好ましくは10°未満の角度で、より好ましくは実質的に平行になるように適合されている。
【0009】
更に、紡糸口金本体は、
前記溶融ポリマー供給部に向かって配置された上部プレートであって、
ポリマー供給キャビティと、
少なくともその下端に上部プレート開口部直径を示す上部プレート開口部と、
を備えた、上部プレートと;
前記溶融ポリマー供給部から離れて配置された下部プレートであって、前記上部プレートの貫通孔と同心の下部プレート貫通孔を含んだ下部プレートと;
を備え、
上部プレートに向かって配置され、上部分の直径、任意選択的に上部分の面取り及び上部分の長さを有する上部分と、
前記上部分の反対側に配置され、下部分の直径及び下部分の長さを有し、それにより、前記上部分の直径は、前記下部分の直径よりも大きい下部分と、
を示す。
【0010】
ノズルは、
上部セクションの外径を示す上部セクションと;
下部セクションの外径を示す下部セクションと;
前記ノズルを通る内部貫通孔としてのキャピラリと;
を備えている。
【0011】
更に、前記ノズルの前記上部セクションは、好ましくはそこから突出することなく、前記下部プレートの上部分に取り外し可能に適合され、更に、前記上部プレート開口部直径と前記下部プレート開口部直径又は前記面取りとは、50μm未満、好ましくは20μm未満の差を示す。
【0012】
ダイブロックは、以下からなる群より選択される1つ又は複数の条件を更に満たしていてもよい。
-ノズルの内径が約1.25mm未満、好ましくは約0.8mm未満である;
-ノズルの外径が約2mm未満である;
-ノズルは約50mm未満の長さを示す;
-ノズルは約10mmを超える長さを示す;
-ノズルは約50未満のL/d比を示す;
-ノズルは、約0.5mmを超える直径を示すプレホールによって実行される;
-ノズルは、約4mm未満のプレホール直径を示すプレホールによって実行される;
-ノズルは、2mmを超えて、好ましくは約4mmを超えて延びる異なる直径のセクション間に移行ゾーンを示す;
-ノズルは、約2mmを超えて、好ましくは約4mmを超えて延びる異なる直径のセクション間に移行ゾーンを示す;
-ノズルは、2mmを超える、好ましくは4mmを超える長さを示すプレホールで実行され、それにより、この長さは、より大きな直径に向かう移行ゾーンの長さを含む;
-ノズルは、2mmを超える、好ましくは約20mm未満、好ましくは約14mm未満、より好ましくは約8mm未満の長さを示すプレホールで実行され、それにより、この長さは、より大きな直径に向かう移行ゾーンの長さを含む;
-ダイブロックは、250を超える、好ましくは1500を超える、更により好ましくは約2000mmを超える、又は5000mmをさえ超えるCD幅を示す。
【0013】
任意選択的に、ダイブロックの上部プレートの前記開口部は、以下からなる群より選択される1つ又は複数の条件を満たしている。
-30°乃至60°の間の面取り角度での面取り、又は丸みを帯びたプロファイルを備えた面取りを含む、
-前記キャピラリの内径の1.5から4倍の間の面取り直径を示す、
-約2mmを超える、好ましくは約4mmを超える長さを示す、
-約20mm未満、好ましくは約14mm未満、より好ましくは約8mm未満、最も好ましくは約6mmの長さを示す、
-前記ポリマー供給サイドから反対側に向かって先細りしている。
【0014】
ダイブロックの前記ノズルは、配列を形成していてもよく、好ましくはノズルと同じ外径及び長さを示す固定ピンを更に具備し、前記固定ピンは前記配列の周辺に配置されていてもよい。
【0015】
ダイブロックの上部プレートは、更に、
-少なくとも1つの列溝であって、
第1のプレートに向かう側に配置され、
ノズルの前記列に平行に配向されている、
列溝と、
-任意選択的に、それぞれが、前記ノズルの列又は前記ノズルの配列に外接する円周方向の溝と、
を具備し、
ここで、
―少なくとも1列のノズル穴、好ましくは2列のノズル穴が、列溝に配置され、それにより、前記ノズルの前記面取りセクションを形成し、
前記溝は、シーラントを受け入れるように適合されていてもよい。
【0016】
前記シーラント化合物は、前記ダイブロックの組み立て状態において、
-前記列の溝に配置されたノズル穴の中への、
-前記ダイ本体の前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間のギャップに沿って、隣接する列溝、又はノズル穴、又は外側に向かっての、
溶融ポリマーの流れを防止するように適合されていてもよい。
【0017】
前記溝は、丸みを帯びた断面形状又は少なくとも丸みを帯びた基部を示し、好ましくは、半円形の基部及び直線状の上サイドを有する部分的な楕円形の断面形状を示してもよい。
【0018】
溝は、以下からなる群より選択される1つ又は複数の寸法を満たしていてもよい。
-約1mmを超える、好ましくは約2mmを超える幅、
-約10mm未満、好ましくは約5mm未満の幅、
-約1mmを超える、好ましくは約2mmを超える深さ、
-約10mm未満、好ましくは約5mm未満の深さ。
【0019】
溝は、アクリル樹脂、接着性シーラント、ブチルゴム、弾性シーラント、エポキシサーモセット、ラテックスシーラント、プラスチックシーラント、ポリサルファイドシーラント、ポリウレタンシーラント、ゴムシーラント、シリコーンシーラントからなる群より選択され、好ましくは、ポリシロキサン、又は、PTFEなどのフルオロカーボンポリマー、又は、ウレタンシーラントであり、より好ましくはシリコン又はPTFE型であってもよいシーラントを備えていてもよい。
【0020】
ダイブロックのノズルの配列は、以下からなる群より選択される寸法のうちの少なくとも1つにおいて異なるサブアレイのノズルとは異なったノズルを含んだ少なくとも2つのサブアレイを含んでいてもよい。
-ノズルの内径;
-ノズルの外径;
-ノズルの長さ。
【0021】
任意選択的に、ダイブロックの前記ノズルの配列は、少なくとも2つのサブアレイを具備し、前記サブアレイの各々は、前記サブアレイに、以下からなる群より選択される少なくとも1つの特徴において異なった溶融ポリマーを供給するように適合された別個のポリマー供給システムに接続されていてもよい。
-ポリマーの種類;
-ポリマーの流量;
-ポリマーの圧力;
-ポリマーの温度。
【0022】
更に別の側面において、本発明は、スパンブロー繊維を含む不織布ウェブを形成するための方法であり、この方法は、
-上記の何れかに係る設備を提供することと;
-メルトブロー繊維を形成するための熱可塑性ポリマーであって、適切な材料クラスの温度、好ましくはポリプロピレンの場合は210°C、及び、ポリエチレンの場合は190°Cにおいて、2.16kgで10分間に亘って30~2000のMFIを示す熱可塑性ポリマーを提供することと;
-ポリマー供給時に70バール未満、好ましくは50バール未満、より好ましくは45バール未満の圧力を加えることによってフィラメントを形成することと;
を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、従来技術によるスピンブロー装置を示している。
図2図2は、取り外し可能なノズルを有する従来技術によるメルトブロー装置を示している。
図3図3A乃至Fは、本発明の特定の特徴を概略的に示している。
図4図4は、本発明による特定の実施形態を示している。
図5図5は、本発明による特定の実施形態を示している。
図6図6は、本発明による特定の実施形態を示している。
図7図7は、本発明による特定の実施形態を示している。
【0024】
図中の同じ数字は、同じ又は同等の機能を表している。図は概略図であり、必ずしも縮尺通りではない。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、例えば多層複合ウェブの層として形成された繊維状の紡糸ウェブ又は不織布を更に形成することができる繊維又はフィラメントを形成するための紡糸プロセスのためのダイブロックのための特定の実施に関する。
【0026】
紡糸溶融は、1つ又は複数の押出機に接続されたダイヘッドの複数のノズルを介して溶融ポリマーから繊維を紡糸するプロセスである。紡糸溶融プロセスには、メルトブロー、スパンボンディング、及び以下でより詳細に説明するハイブリッドプロセスが含まれ、スパンブローとも呼ばれる。
【0027】
メルトブローは、典型的には約10ミクロン未満の直径を有する非常に微細な繊維を製造するためのプロセスであり、複数の溶融ポリマー流は、フィラメントがノズルから出た後、高温高速ガス流を用いて減衰される。減衰した繊維は、例えばフラットベルト又はドラムコレクタなどのコレクタに集められる。典型的なメルトブローダイは、1インチあたり約35個のノズルを有し、1列のノズルを有している。典型的なメルトブローダイは、フィラメントを減衰させるために、ノズルの列の両側に傾斜したエアジェットを使用する。
【0028】
スパンボンディングは、紡糸口金面付近の繊維を急冷しながら、低温の高速空気を用いて紡糸フィラメントを減衰させることにより、熱可塑性ポリマーから直接、強力な繊維不織ウェブを製造する方法である。次いで、個々の繊維は、収集ベルト上にランダムに配置され、ウェブに付加された強度及び完全性を与えるためにボンダーに搬送される。ファイバサイズは通常250μm未満であり、平均ファイバサイズは約10ミクロンより大きく約50ミクロン未満である。繊維は、結晶化(固化)フィラメントの減衰中に達成される分子鎖の配列のために、メルトブローン繊維と比較して非常に強い。典型的なスパンボンドダイは、複数列のポリマーホールを有し、ポリプロピレンタイプの従来のポリマーについては、ポリマーメルトフローインデックス(MFI)は、通常、2.16kgの荷重で約500グラム/10分未満である。
【0029】
本発明は、従来のメルトブロープロセスと従来のスパンボンドプロセスとのハイブリッドプロセスであって、ノズルが、紡糸されたフィラメントを減衰及び固化させるために、紡糸されたフィラメントを取り囲む平行なガスジェットを可能にするように配置されていることを除いては、スパンボンディングで使用される紡糸口金に類似した複数列の紡糸口金を使用している。押し出されたフィラメントの各々は、加圧ガスで覆われ、その温度は溶融樹脂よりも低温又は高温であり得る。任意選択的に、フィラメントの配列の周囲を、加圧ガスのカーテンで囲むことができる。
【0030】
不織ウェブ又はそのようなウェブの構成要素などのフィラメント及び更なるウェブを形成するためのスパンブロー装置及びプロセスの一般原理を説明するために、そのような技術をより詳細に記載するUS9303334を明示的に参照する。図1は、そのような従来の「ハイブリッド」スパンブロープロセスのためのダイブロックを示している。
【0031】
全体として、ダイブロック26は、紡糸口金本体52と、空気分配プレート70と、外部プレート78と、カバーストリップ88とを構成要素として備えている。更に、ノズル58は、溶融材料がノズル58のキャピラリ60を通過してノズル96の先端にフィラメント86を形成することができるように、それぞれ、分配プレート70及び外部プレート78の開口部を通って紡糸口金本体52から延びている。
【0032】
説明の簡易化のため、以下で言及される構成要素の順序は、紡糸口金本体52、空気分配プレート70、外部プレート78、及びカバーストリップ88が重力に沿って配置され、紡糸口金本体52は、空気分配プレートの上方に配置されて固定され、この空気分配プレート70は、外部プレートの上方に配置されて固定され、外装プレート78は、カバーストリップ88の上方に配置され、図示しない固定手段によって固定されるようにされている。
【0033】
図1は、ダイブロック26の断面図を示している。不織布を形成するための製造装置内に配置されたとき、この図は、x-z方向の図に対応し、x方向12は製造方向、即ち、得られるウェブの移動方向を示し、z方向15は高さ(重力に沿った)に対応する。図示のような実施形態において、3つのノズル58は、「複数行」(ここでは3行)のダイブロック26の1つの「列」を表す。ノズルの列及び行がダイブロックのノズルの配列(アレイ)を形成するように、ダイブロックは、隣接して方向18(即ち、図面に垂直で、円で示されている)に配置された複数の列を含んでいる。紡糸口金本体52は、10個程度のノズル58から、数千個のノズル58までを含むことができる。商用サイズのラインの場合、紡糸口金本体52内のノズル58の数は、約500から約10000の範囲であり得る。
【0034】
行数は、列数と同様に変化する可能性がある。典型的には、行数は1より多く、しばしば5を超え、約30未満、更には15未満であってもよい。典型的には、列数は50を超え、約200を超えることもあり、3500未満であってもよい。
米国特許’334に記載されているように、ノズル58は、溶融ポリマーのための通路を形成するために紡糸口金本体52の開口部を通して挿入されるキャピラリから形成されている。
【0035】
ノズル58の各々は、内径と外径とを有する。内径は、約0.125mmから約1.25mmの範囲であり得る。各ノズル58の外径は、少なくとも約0.5mmであるべきである。各ノズル58の外径は、約0.5mmから約2.5mmの間の範囲であり得る。
【0036】
典型的には、ノズル58の長さは、約0.5から約6インチの範囲である。
【0037】
溶融ポリマーはノズルのキャピラリのみを通過する必要があるので、米国特許’334には、以下により詳細に説明するように、本発明と比較した場合に重要な相違を示す、紡糸口金本体に緊密に取り付けられ、典型的には溶接されるチューブが記載されている。
【0038】
溶融材料22は、ホモポリマータイプの熱可塑性ポリマー又は異なるポリマーの混合物であってもよいが、プロピレン系ポリマーの場合には、その融点より十分に高い温度まで加熱され、通常は押出機(図示せず)において、ダイブロック26の上流で、典型的には少なくとも約170°C、しばしば約210°Cまで加熱される。任意選択的に、異なるポリマーを、それぞれ、異なるノズルのグループに向けることができる。
【0039】
各ノズル58を通るポリマースループットは、「1分あたりの穴あたりのグラム数」(「ghm」)で示される。各ノズル58を通るポリマースループットは、約0.01ghmから約4ghmの範囲であり得る。
【0040】
その上部、即ち、ポリマー供給部に向けられた上部紡糸口金本体側において、ダイブロック26は、空洞30及び空洞30に接続された入口28を有している。溶融材料22は、ポリマー通路に沿って入口28から紡糸口金本体52の上部に向かって、更にノズルを介して下方に搬送される。紡糸口金本体52には、加圧ガス(空気)を空気チャンバ54に送るための1つ又は複数のガス通路32が形成されており、この空気チャンバは、紡糸口金本体52と空気分配プレート70との間に実質的に形成されている。複数のノズル58は、紡糸口金本体から下方に延びており、溶融材料が毛管60を通って流れてノズル及びダイブロックを出てノズル先端部96の外部プレートの下方にフィラメント86の形で流出することができる。
【0041】
更に、複数の固定ピン62がノズルの配列を取り囲み、紡糸口金本体に固定され、空気分配プレートの開口部を通って外部空気プレートの開口部に延在する。
【0042】
固定ピン62の各々は、長手方向の中心軸と外径とを有する細長い固体部材である。各固定ピン62は、紡糸口金本体52に固定され、通常、ポリマーノズル58と同様の外径を有する。固定ピン62の各々の外径は、その長さにわたって一定であるべきである。外径の寸法は変化し得る。固定ピン62の外径は、約0.25mmを超える、又は、約0.5mmを超える、又は、約0.6mmを超える、又は、更に約0.75mmを超えることができる。
【0043】
空気分配プレート70は、複数の開口を有する紡糸口金本体52に固定される。第1の開口部72の各々は、ノズル58の1つを収容している。固定ピン62が使用される場合、それらは第2の開口部74に収容され、第3の開口部76の各々は、第1及び第2の開口部72及び74にそれぞれ隣接して配置される。プロセスを動作させるとき、加圧ガス、典型的には空気は、空気チャンバ54から、開口部72を通って空気通路に沿って流れている。開口部72は、ノズルの周りの薄い環状部であり、開口部74もまた、固定ピンの周りの小さな環状部であり、存在する場合には、第3の開口部76は、空気の主要通路である。
【0044】
外部空気プレート78は、紡糸口金本体52から離れて、空気分配プレート70に固定されている。外部部材78は、ノズル58を取り囲む複数の第1の開口部80を有している。第2の拡大開口部82は、存在する場合には、固定ピン62の各々を囲んでいる。
【0045】
動作時には、溶融ポリマー材料22は、ノズル58の各々を通って押し出されて、多数のフィラメント86を形成し、これらのフィラメントは、外部部材78に形成された第1拡大開口部80を通って放出された加圧ガス、必ずではないが典型的には空気によって、キャピラリ60の軸に実質的に平行な所定の速度で、即ちノズル先端部96におけるフィラメント86の流れ方向で、周囲空気からシュラウドされることが意図されている。
【0046】
固定ピンの周囲の外部部材78に形成された第2拡大開口部82から流出する加圧ガス(空気)流は、存在する場合、更にシュラウド空気流を形成し、これもノズルの軸に実質的に平行に配向され、従ってノズルから流出するフィラメントに実質的に平行に配向され、図1に矢印94で示すように、フィラメント86を取り囲む周囲空気から隔離することを目的とする。
【0047】
US6364647(以下、US’647と呼ぶ)には、ノズル配列の個々のノズル58が紡糸口金本体52から取り外し可能であるシステムが記載されている(図2を参照)。このため、ノズル58の上端部(ポリマー供給部22に向かって、更に上部カバー53によって覆われる)には、ショルダ51が設けられており、紡糸口金本体52を貫通する孔の広い部分に確実に係止されるようになっている。これにより、摩耗したときに個々のノズルを交換できる柔軟性など、多くの利点が得られる。また、キャピラリ径の異なるノズルを実装し、迅速に導入することもできる。
【0048】
動作中、ノズルは、溶融ポリマーの圧力によってそれぞれの開口部に押し込まれる。
【0049】
しかしながら、このシステムは、ポリマー供給チャンバ22から複数のノズル開口部への急激な移行という欠点を依然として抱えている。
【0050】
その結果、ポリマー材料の堆積物がキャピラリの入口の周囲に形成され、これは時間と共に劣化し、より頻繁な洗浄を必要とする。
【0051】
図3Aは、本発明の原理を、図1の文脈で説明したのと同じ方法で配置された紡糸口金ブロック152、空気分配プレート170、外部空気プレート178、カバーストリップ188、及び固定手段199を含むダイブロック126を概略的な断面図で示すことによって描いている。また、溶融ポリマー122用の入口キャビティ130、空気入口及び分配チャンバ132も示されている(空気供給手段は示されていない)。紡糸口金ブロック152は、上部プレート151及び下部プレート155を含んでおり、本明細書全体に適用されるように、「上部」は、ポリマー供給に向かって配置されていることを示し、「下部」は、そこから離れていることを示す。ノズル158は、紡糸口金本体の下部プレート155中へと挿入され、入口キャビティ130からノズル158のキャピラリ160を通ってノズル先端196に向かうポリマー通路を含み、そこでフィラメントが形成される。しかしながら、当業者は、垂直配向が必須ではないことを容易に理解するであろうが、ノズルが垂直に対して5°より大きく、15°より大きく、30°より大きく、45°より大きく、しかし典型的には約90°より小さく配向され得るように、ダイブロックはCD配向軸の周りに傾斜され得る。
【0052】
図3Bは、図3Aからの拡大部分を概略的に示し、下部プレート155を通る開口部におけるノズル158の位置決め、及び、上部プレート151を通る開口部の相対的位置決めに焦点を合わせており、図3C及びDは、単一ノズル158の特定の実施形態を拡大した断面図を概略的に示している。
【0053】
図3Aでは8個が例示的に示されている複数のノズル158は、列及び行に配列されて、上述のUS’334について記載されたようなノズル配列を形成していてもよく、各ノズルは、溶融流体の流れのためのキャピラリ160の直径に対応する内径157を示している。内径は、約0.125mmより大きく及び/又は約1.25mm未満であり得る。ノズル158は、上部セクション331と下部セクション335との2つのセクションに形成され、キャピラリ160の内径は実質的に一定のままであるが、それらの外径は異なっている。その上端部において、キャピラリ160は、好ましくは、図3Cに示されるように、少なくとも30°及び/又は60°未満の面取り角度を有する面取り333、又は、図3Dに示されるように、丸みを帯びたプロファイルを有していてもよい。ノズル158の下部セクション335の外径159は、約0.5mmより大きく及び/又は約2.5mmより小さくすることができる。上部セクション331の外径161は、約0.5mmより大きく及び/又は約5mmより小さくてもよい。
【0054】
典型的には、ノズル158の全長330は、約20mmより大きく、及び/又は、約150mm未満である。上部セクション331の長さ332は、約1mmより大きく、及び/又は、約50mm未満であってもよく、下部セクション335の長さ334は、約10mmより大きく、及び/又は、約140mm未満であってもよい。
【0055】
各ノズル158は、上部361及び下部365を有する下部プレート155の開口部360に取り付けられている。
【0056】
上部分361は、ノズル158の上部分331を受け入れるように適合されており、ノズル158の上部分の外径161より2mm以上は大きくない直径362を示す。良好な嵌合のために、直径362は、ノズルの上部分の外径161よりも50μm未満、又は更に10μmよりも小さく、例えば、ノズルが力で嵌合されるとき又はより低い温度で嵌合されるときなどの場合には、例えば10μm未満だけ、わずかに小さくてもよい。
【0057】
下部分365は、ノズル158の上部分335を受け入れるように適合されており、ノズル158の下部分の外径159より2mm以上は大きくない直径366を示す。良好な嵌合のために、直径366は、ノズルの下部分の外径159よりも50μm未満、又は更に10μmよりも小さく、例えば、ノズルが力で嵌合されるとき又はより低い温度で嵌合されるときなどの場合には、例えば10μm未満だけ、わずかに小さくてもよい。
【0058】
開口部360の上部分361から下部分365への移行は、小さい半径又は面取りが許容されるが、鋭利なものであることが好ましい。しかしながら、この移行は、ノズルの上部セクション331から下部セクション335への移行と一致しているべきである。
【0059】
最も好ましくは、ノズル158の上部セクション331の長さ332は、開口部360の上部分361の長さ364と同じであってもよく、この場合、差分369は、0であるが、この差分は、10μm未満、又は、約2μm未満であってもよい。負の差分(即ち、ノズルが穴から突き出ている状態)は、好ましくはない。
開口部360の下部分365の長さ3680は、約2mmより大きく、及び/又は、約100mm未満である。
【0060】
紡糸口金本体153の上部プレート151は、ノズル158のキャピラリ160の軸339と整列し、したがって下部プレート155の開口部と整列する開口部370を含んでいる。開口部370は、その下端において、キャピラリ160の直径、又は存在する場合には面取り部333の直径と可能な限り一致する直径372を示す。好ましくは、これらの直径間の差は、約20μm未満、より好ましくは約10μm未満である。また、開口部370の軸線とキャピラリの軸線とのオフセットは、実質的に0であることが最も好ましく、5μm未満又は50μm未満であることが好ましい。任意選択的に、しばしば好ましくは、開口部370は、その上端に、好ましくは少なくとも1°、10°、30°、60°及び/又は90°未満又はこれらの値の間の任意の角度で、面取り部375を有している。したがって、極端な場合には、図3B及び図3Eに点線376で示されるように、開口部の断面図が空中ブランコに対応するように、面取りは上部プレートの全長にわたって延び得る。
【0061】
動作中、開口部370は、キャピラリのための予備孔として機能し、好ましくは、キャピラリの直径の約1.5倍超及び/又は約4倍未満の直径、及び約2mm超及び/又は約20mm未満の上部プレートの厚さに対応する長さを示す。
【0062】
このようなプレホールは、溶融材料を伴うキャビティからキャピラリ160へのより滑らかな流れを提供し、これは、プロセスのためのより広いプロセスウィンドウの機会をもたらす。
【0063】
また、上記のUS’334の文脈で説明されているように、ダイブロックが上記のノズルに加えて固定ピンを含み得ることもまた、本発明の範囲である。図3Fは、その外形寸法を有するピンがノズル158に対応し得るようなピンを概略的に示すが、キャピラリを有さず中実である点が異なっている。
【0064】
装置の動作範囲を広げることができる本発明の更に他の変形例では、面取り加工を溝として実行することができる。この目的のために、紡糸口金本体は、2つの部分、即ち、ポリマー供給サイドを含むテーパプレートとも呼ばれる第1のプレートと、ポリマー供給サイドの反対側に位置する第2のプレートとで、非一体的に(non-unitary)実行される。第2のプレートは、ノズルの列に平行に配向された第1のプレートに向かう表面上の溝を含んでいる。
【0065】
図4は、図3Aと同様に、図4Aにおいて、溶融ポリマー受容キャビティ130をポリマー供給部に向けて配置した第1の又は「上部」プレート151を有する紡糸口金本体を示し、図4Bにおいて、第1の又は上部プレート151のポリマー受容キャビティ130の反対側に配置した第2の又は「下部」プレート155を示している。第2のプレートは、各々が2つのノズルのための4つの列溝140と、円周溝145とを更に備えている。
【0066】
図4Bは、ノズル列の列に沿った断面図を有する紡糸口金本体の第2のプレート155の一部を示し、ここでは、取り外し可能なノズル(図示せず)を受け入れるように適合された孔156を表すことができるような8つの孔を示している。更に、ノズル列に平行に延在する列溝140が示されており、好ましくは、丸みを帯びた断面形状又は少なくとも丸みを帯びた基部施工を示しており、ここでは、半円形の基部を有し、上に直線側面を有する部分楕円の断面形状を例示的に示している。好ましくは、溝は、以下を示す。
-約1mmを超える、好ましくは約2mmを超える幅、
-約10mm未満、好ましくは約5mm未満の幅、
-約1mmを超える、好ましくは約2mmを超える深さ、
-約10mm未満、好ましくは約5mm未満の深さ。
1mmから12mmの間、好ましくは2から5mmの間である。好ましくは、深さは、1mmから10mmの間、好ましくは2から5mmの間である。好ましくは、溝の幅及び間隔は、ノズル列が等間隔に離間するように選択される。
【0067】
一般に、図に示すように、各列溝は少なくとも1列のノズルに属することができ、好ましくは2列のノズルが1つの列溝に属している。必ずしもそうではないが、全ての列溝は、ノズル孔156を含むことが好ましく、より好ましくは、各々の列溝はノズル孔156の2つの列を含んでいる。したがって、図4Bの例示的な実施形態では、8列のノズル穴が4列の溝に配置されている。
【0068】
好ましくは、紡糸口金ブロックの第2のプレート155は、ノズル配列を取り囲むように、列溝に平行で且つそれに垂直な、閉じた円周溝145を更に含んでいる好ましくは、円周溝145のxy方向の角は丸みを帯びている。好ましくは、必ずしもそうではないが、円周方向の溝は、列の溝と同じ断面形状を示す。
【0069】
第2プレートの孔は、取り外し可能なノズルの変形形態におけるノズルを受け入れるように適合され、列溝のより広い開口は、溶融ポリマーの円滑な流れを可能にする上述のような面取り効果を提供する。
【0070】
更に、溝140及び145は、シーラントを受容するように適合され、選択された溝だけでなく、紡糸口金ブロックの第1及び第2のプレートの間に形成され得る任意のギャップも充填することができる。列溝については、これにより、ポリマーがノズル孔に流入し、更にこの列溝に接続されたノズルのキャピラリに流入するのを阻止することができる。更に、第1のプレートと第2のプレートとの間のギャップを介して他の方法で生じる可能性があるように、1つの溝から隣接する溝への流れを防止することができる。このように、シーラントの適用により、ノズルの列を「スイッチオフ」することができ、図4Cに示される例では、ノズルの列は、シール材で充填されている溝140’及び145と、溶融ポリマーを通過させる未充填の溝140’’とを有している。同様に、円周溝のシーラントは、ポリマー材料の外向きの漏れを抑止する。
【0071】
シーラント材料についての重要な要件は、それが動作温度に耐えること、即ち、それが高温でキャピラリ又は間隙に流入しないことであり、したがって、約100°C、好ましくは180°C、より好ましくは230°Cを超える温度まで、又は500°C以上の温度まで流体化するべきではない。したがって、シーラントは、アクリル樹脂、接着性シーラント、ブチルゴム、弾性シーラント、エポキシサーモセット、ラテックスシーラント、プラスチックシーラント、ポリサルファイドシーラント、ポリウレタンシーラント、ゴムシーラント、シリコーンシーラントからなる群より選択され、例えば、ポリシロキサン、又は、PTFEなどのフルオロカーボンポリマー、又は、ウレタンシーラントであり、シリコン又はPTFEが好まれ、PTFEが最も好まれる。例示的なシーラントは、イタリアのATAG Spaから市販されている「PTFEワイヤ3.2mm」であり得る。
【0072】
好ましくは、必ずしもそうではないが、流体又はペースト状のシーラントが塗布された後に硬化され、紡糸ブロックが組み立てられるが、適切なサイズのOリングのような予め硬化された材料も使用することができる。
【0073】
好ましくは、特に流体又はペースト状のシーラントについては、少量のシーラントを第1のプレートと第2のプレートとの間のギャップに押し込むことができるように、溝をわずかに過充填するようにシーラントの量が選択される。この特徴は、約20mm未満、より好ましくは約10mm未満、又は更に好ましくは約8mm未満であり得るような比較的薄い第2のプレートに特に有益である。組み立て又は操作中に、このような比較的薄いプレートは、僅かに変形して、シーラントなしでは、溶融ポリマーが外方に滲み出したり、隣接する溝に浸入したりすることがある。
【0074】
また、シーラントは、紡糸口金ブロックを分解する際に、溝、孔、又はキャピラリに貫入していた場合には、それらから除去されるように適合されている。この除去は、純粋に機械的に行うこともできるし、孔又はキャピラリを通して空気又は液体を吹き込むことによって、又は、構造を損傷しない他の手段によって行うこともできる。
【0075】
溝が充填された溝の利点は、本質的に、ダイブロックの動作範囲を広げることを可能にすることである。
【0076】
動作の観点からだけでなく、良好な製品品質のためにも、キャピラリを通るポリマーの流れを比較的狭い範囲内に維持することが好ましいことが知られている。しかしながら、異なる製品又は製品タイプに対しては、異なるウェブ基準重量が望まれる。しかし、例えば、より低い坪量、例えば、35g/mからより高い坪量、例えば、60g/mに切り替える場合、キャピラリを通る流量が増加する可能性があり、これは、より高い動作圧力、したがってコストを必要とするが、また、例えば、ポリマー分子に加えられる応力の増加によって、得られる繊維の品質を低下させる可能性もある。ここで、従来のアプローチは、完全な紡糸口金ブロックを、ノズル列の数が異なる別のもので置き換えることである。これは、この変更のための作業に関しても、交換部品の在庫を維持することに関しても、高い労力を意味する。後者に関しては、ノズルがコストのかなりの部分を占めている。以後、本発明のこの態様によって可能となるように、交換部品を最小限に抑えることが有益である。この目的のために、ダイブロックは、典型的にはスループットの高い範囲のために設計され、説明のためにノズルの12列のみを用いて設計され、それによって高坪量製品を満足に製造することができる。より低い坪量の製品を製造する場合、各々が2つのノズルに接続された最も外側の列溝にシーラントを充填して、8つのノズルのみが動作可能とすることにより、製品品質を劣化させることなくより低い坪量を製造することができる。更に低い坪量については、更に2つの列溝を充填することができ、この場合、4つのノズル列のみが動作可能となる。
【0077】
ポリマーの劣化につながる恐れのあるデッドスペースを回避するために、図4Cに示される実施形態に対応して、図4Dに示されるように、紡糸口金本体の第1のプレート151の孔を充填されていない溝の数に適合させ、図4Dの充填された溝140’につながる第1のプレート151を貫通する孔が省略されるようにすることが好ましい。しかしながら、このようなプレートの幾つかを交換することは、完全な紡糸口金ブロックごと交換する場合と比較して、著しく容易であり、より安価である。
【0078】
任意選択的に、ノズルの配列は、サブアレイを含んでいてもよい。このようなサブアレイは、ダイブロックの全幅にわたって延在する必要はないが、好ましくは、少なくとも1列のノズルを含み得る。
【0079】
図4を参照すると、1つ又は複数のサブアレイを含むダイブロックの第1の実施形態であって、サブアレイの少なくとも1つのノズルは、第2のアレイを形成するより小さいノズル158’’と比較して第1のアレイを形成するより大きいノズル158’のために内部ノズル直径を変化させることによって示されており、図4において、ノズルの内径、ノズルの外径、及びノズルの長さからなる群より選択される寸法の少なくとも1つにおいて、別のサブアレイのノズルと実質的に異なっている。
【0080】
本文脈において、「実質的に異なる」という用語は、それぞれの寸法の少なくとも5%、しばしばその10%を超える差異を指している。
【0081】
他の実施例に限定されるものではないが、図5に示される更なる実施形態において、一方のサブアレイのノズルは、第2の溶融ポリマー供給キャビティ130’’を介して異なるサブアレイに供給される溶融ポリマーとは異なる第1のタイプの溶融ポリマーを第1のサブアレイに供給するように構成された第1の溶融ポリマー供給キャビティ130’を介して、第1の別個の第1のポリマー供給システムに接続されていてもよく、それによって、ポリマーは、ポリマータイプなどの定性的特徴、又は、ポリマー流量、ポリマー圧力などの定量的パラメータの少なくとも1つにおいて、少なくとも5%、しばしば10%以上異なっており、又は、ポリマー温度において、少なくとも5°Cだけ異なるようにされていてもよい。任意選択的に、ノズルは、2成分繊維又は多成分繊維を生成するように同軸に配置されたサブキャピラリと共に実行されてもよく、そのようなサブキャピラリには、それぞれ異なったタイプの非混和性ポリマーが供給される。
【0082】
このプロセスウィンドウは、主に以下によって決定される。
-キャビティ内の溶融ポリマーの圧力;
-溶融ポリマーの温度;
-キャピラリの直径;
-外径又はノズル、空気の流れと空気流れ比率に影響を与える;
-キャピラリの長さ;
-ASTM D 1238及びISO 1133によって決定されるメルトフローインデックス(MFI)で表される溶融ポリマーの材料特性、並びに現在の装置及びプロセスで適切に処理することができるポリマーとしてのポリプロピレンについては、それは、210°C、2.16kg負荷における10分あたりのグラム数で適切に表される。但し、他の材料クラスについては、温度は適切な温度に設定される(例えば、ポリエチレンについては190°C)。
【0083】
比較例として、米国特許’334に記載されている装置及びプロセスは、以下を示してもよい。
-キャピラリの内径0.46mm、
-キャピラリの長さ24mm、
-したがって、L/d比は約52、
MFIが約500[g/10分@2.16kg荷重]未満の溶融ポリマーについては、50から70バールの背圧で約210°Cの温度で操作され得る。
【0084】
比較可能なファイバ寸法及び特性を達成するために、本発明の装置は、以下に例示的に示されている。
-キャピラリ直径0.46mm;
-キャピラリの長さ約18mm;
-約1.2mmのプレホール直径:
-約6mmのプレホール長(入口とキャピラリへの移行部での60°面取りを含む);
-それにより、キャピラリのL/d比は約39であり、これにより、50バールよりもかなり低い背圧の約500[g/10分@2.16kg荷重]のMFIを示すポリプロピレンポリマーを更に使用することが可能になる。
【0085】
ポリマーをより低い背圧にさらすことの1つの利点は、機械的応力の減少が、より強い不織布の生成を可能にする結果となることである。
【0086】
換言すれば、本発明は、所与のMFIについて流動抵抗を示すより低いL/d比を示すことができ、したがって、MFI及び背圧についてより広いプロセスウィンドウで動作することを可能にする装置を提供する。
【0087】
更に、溶融ポリマー130のためのキャビティからプレホール370へのより滑らかな流れ、好ましくは、面取りにおけるポリマーのより一層滑らかな流れは、入口の周りのポリマーの乱流を著しく減少させ、したがって、ポリマー残留物の堆積をも減少させ、洗浄のための中断なくより長い動作時間を可能にする。

図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
【国際調査報告】