(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】バルブ封止のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
F16K 3/312 20060101AFI20220111BHJP
【FI】
F16K3/312
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021525609
(86)(22)【出願日】2019-11-08
(85)【翻訳文提出日】2021-06-18
(86)【国際出願番号】 US2019060569
(87)【国際公開番号】W WO2020102031
(87)【国際公開日】2020-05-22
(32)【優先日】2018-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518448194
【氏名又は名称】デルタバルブ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】ヴォーヒーズ,ポール ブレント
【テーマコード(参考)】
3H053
【Fターム(参考)】
3H053AA02
3H053AA24
3H053BB12
3H053DA03
(57)【要約】
本発明のいくつかの態様は、石油精製プロセスにおいて開放バルブまたは隔離バルブを封止するためのシステムに関する。いくつかの態様は、バルブ内の、石油生成物が漏れること、および蒸気が漏れることを防止するための蛇腹封止部に関する。いくつかの態様は、台座部基部構造体に対して相対的な動的台座部の動きを制限するためのリストリクタに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
石油精製プロセスにおける開放バルブまたは隔離バルブで使用するためのバルブ封止システムであって、
前記バルブの本体に固定可能に取り付けられた台座部基部構造体と、
バルブブラインド部の輪郭と共に動くことができるように、前記台座部基部構造体に移動可能に取り付けられた動的台座部と、
前記台座部基部構造体と前記動的台座部との間の封止部を維持しながら前記動的台座部の動きと共に撓むことができるように、前記台座部基部構造体および前記動的台座部に取り付けられた蛇腹封止部とを備えるバルブ封止システム。
【請求項2】
前記動的台座部を前記台座部基部構造体から離れるように付勢するように配置された複数のばねをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記台座部基部構造体に対して相対的な前記動的台座部の動きを制限するための少なくとも1つのリストリクタをさらに備え、前記リストリクタが、前記台座部基部構造体から離れる方向への前記動的台座部の動きを制限する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記リストリクタが、前記台座部基部構造体に向かう方向の前記動的台座部の動きをさらに制限する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記リストリクタが、前記台座部基部構造体に対して相対的に、前記動的台座部の中心軸の周りの前記動的台座部の回転をさらに制限する、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記蛇腹封止部が、前記台座部基部構造体および前記動的台座部に溶接される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記蛇腹部が、前記動的台座部内のバター通過層に溶接される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記蛇腹部が、インコネルおよびモネルからなる組から選択される材料から作られる、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記動的台座部内に少なくとも1つのパッキン押え部をさらに備え、前記パッキン押え部が、パッキン材料を受け入れるように成形され、前記パッキン材料を内側入れ子部と接触させて保持するように位置決めされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記リストリクタが、第1の端部および第2の端部に突起を有する少なくとも1つのフランジを有し、前記突起が、前記台座部基部構造体および前記動的台座部の凹部に係合する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
蛇腹部凹部をさらに備え、前記蛇腹部が、前記台座部基部構造体と前記動的台座部と内側入れ子部との間の前記蛇腹部凹部内にある、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記台座部基部構造体、前記動的台座部、および前記蛇腹封止部が、円形であり、バルブ開口部の周りすべてに延びている、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
石油精製プロセスにおける開放バルブまたは隔離バルブで使用するためのバルブ封止システムであって、
前記開放バルブまたは前記隔離バルブの本体に固定可能に取り付けられた台座部基部構造体と、
バルブブラインド部の輪郭と共に動くことができるように、前記台座部基部構造体に移動可能に取り付けられた動的台座部と、
前記台座部基部構造体に対して相対的な前記動的台座部の動きを制限するためのリストリクタであって、前記リストリクタ上のフランジが、前記台座部基部構造体内の基部突起、および前記動的台座部内の台座部突起と係合して、前記動きを制限する、リストリクタとを備えるバルブ封止システム。
【請求項14】
前記リストリクタの全長が、前記台座部基部構造体に向かう前記動的台座部の動きを最大値に制限する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記リストリクタのフランジ間長さが、リストリクタフランジを位置決めして、前記台座部基部構造体に対して相対的な前記動的台座部の動きを最大値に制限する、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記リストリクタのフランジ間長さが、前記台座部基部構造体に対して相対的な前記動的台座部の動きを最大値に制限するようにリストリクタフランジを位置決めし、前記リストリクタの全長が、前記台座部基部構造体に向かう前記動的台座部の動きを最大値に制限する、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記台座部基部構造体の凹部の幅に対して相対的な前記リストリクタの幅が、前記台座部基部構造体に対して相対的な軸を中心とした前記動的台座部の回転を最大値に制限する、請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
蛇腹封止部をさらに備え、前記リストリクタのフランジ間長さが、リストリクタフランジを位置決めして、前記台座部基部構造体に対して相対的な前記動的台座部の動きを蛇腹封止部の最大弾性変形値に制限する、請求項13に記載のシステム。
【請求項19】
蛇腹封止部をさらに備え、前記リストリクタのフランジ間長さが、リストリクタフランジを位置決めして、前記台座部基部構造体に対して相対的な前記動的台座部の位置を、前記蛇腹封止部を溶接できる位置に制限する、請求項13に記載のシステム。
【請求項20】
前記動的台座部内に少なくとも1つのパッキン押え部をさらに備え、前記パッキン押え部が、パッキン材料を受け入れるように成形され、前記パッキン材料を内側入れ子部と接触させて保持するように位置決めされる、請求項13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、バルブ封止のための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
原油を加工する石油精製作業では、価値がほとんどない残油が頻繁に生成される。残油の価値は、ディレードコーキングとして知られるプロセスを使用して増加させることができる。残油は、ディレードコーカで加工される場合、炉内で、分解蒸留を引き起こすのに十分な温度に加熱され、残油のかなりの部分が使用可能な炭化水素生成物に変換、すなわち「分解」され、残りが残留石油副生成物を生成し、この残留石油副生成物はコークドラムとして知られる大型容器に圧送される。
【0003】
コークスの生成はバッチプロセスである。各ディレードコーカユニットは、通常、2つ以上のコークドラムを含む。ディレードコーキングでは、供給材料は真空蒸留塔からの典型的な残渣であり、他の重油を含むことが多い。供給材料は、コークドラムの1つに送られるときに加熱される。供給材料は、華氏870度~910度の範囲の温度で、コークドラムに到達する。典型的なドラムの間接的圧力は、15~35PSIGの範囲である。コークス原料は、コークドラム内の高温液体スラリーとして堆積される。これらの条件下では、分解が進行し、生成された軽質留分がコークドラムの上部から流出し、分留塔に送られ、分留塔で蒸気生成物と液体生成物とに分離される。コークスと呼ばれる固体残渣も生成され、ドラム内に残る。コークドラムが充填されると、炉からの残油は別のコークドラムに迂回される。コークドラムが所望の容量まで充填され、供給原料が別のドラムに迂回された後、蒸気は典型的には、固体材料から炭化水素蒸気を除去するためにドラムに導かれる。コークドラムが冷却され、急冷されると、材料が残る。ドラムが冷却されると固体コークスが形成され、ドラムを再利用できるようにドラムから取り除かれなければならない。コークスが1つのドラム内で冷却されている間、および冷却された固体コークスがそのドラムから抽出されている間、第2のドラムを使用して、ディレードコーカプロセスの一部としてコークス原料の連続生成を受け入れる。複数のコークドラムを使用することによって、製油所が炉および分留塔を連続的に運転することが可能になる。ドラムの切り替えは、10~24時間に及ぶことが多い。
【0004】
典型的なコーキング作業では、コーキング作業の要素が急激な熱変動を経験する。例えば、コークドラムは、華氏約900度で入ってくる副生成物で充填され、その後、ほぼ周囲温度まで急冷された後に冷却される。当然のことながら、この反復的な熱サイクルは、バルブシステムの様々な構成要素全体にわたる著しい熱分布の変動を含む、重大な問題を形成し、または引き起こす可能性がある。コーキング作業で利用される加熱された残留副生成物は、コークドラムだけでなく、バルブ構成要素および台座部構成要素と接触するようになる。この加熱およびその後の冷却は、バルブシステム内の様々な要素の膨張をもたらす可能性がある。前述のように、ディレードコーキングプロセスは、典型的には、一方が充填されている間に他方が材料を抜き取られ、別のバッチの副生成物を受け入れるように準備されるように、少なくとも2つの容器を含む。したがって、オフサイクル中、容器がその内容物を抜き取られているとき、容器は冷却されて平衡状態に戻る。高温の残留副生成物をより冷たいコークドラムに分配し、その後副生成物を冷却するこの周期的パターンが、コークドラム、バルブ、バルブ部品および配管内の、熱差および負荷をもたらす。これは、熱サイクルと呼ばれる、コークドラム、バルブ、または配管の、周期的な、充填および取り出しと、周期的な、負荷および負荷解除とである。熱サイクルによって、典型的には、コークドラム、バルブおよびそれらの構成要素が脆弱化することまたは疲労することがもたらされ、部品の実用寿命の低下につながる可能性がある。台座部システムの様々な構成要素同士の間に存在する、不均一な熱分布または熱の相違によって、バルブ構成要素およびバルブボディの寿命の低下がもたらされる可能性がある。
【0005】
また、コークスは圧力を使用して形成されるので、開放バルブは、圧力がコークドラム内に蓄積できるように封止部を形成しなければならない。この封止部は、概して、台座部とブラインド部との間など、開放バルブの構成要素同士の間の緊密な公差を使用して形成される。しかしながら、これらの緊密な公差によって、バルブを開閉するために台座部同士の間でブラインド部をスライドさせるのに必要な力が増加する。また、この圧力に起因して、内部区画に蒸気を提供することなどによって、開放バルブの内部区画を加圧することが一般的である。開放バルブが良好な封止部を提供しない場合、大量の蒸気が逃げ、生成に必要な蒸気の総量が増加する。多くの場合、バルブを加圧するために蒸気を供給するコストは大きくなる可能性がある。したがって、過度の蒸気漏れを防止するバルブは、システムにさらなる経済性を提供する。
【0006】
デコーキング開放の応用形態に加えて、他の石油精製の応用形態も同様のバルブ技術を利用してもよい。例えば、炭化水素生成物の流れを制御するために、隔離バルブが一般的に使用される。これらの応用形態は、デコーキングバルブ、バイパスバルブ、移送配管バルブ、および他の応用形態を含む。これらの応用形態はまた、配管圧力を相殺し、バルブへの炭化水素生成物の流れを防止するために、バルブボディ内の蒸気圧を必要とする場合がある。これらのバルブはまた、蒸気損失および不必要なバルブメンテナンスを防止するための優れた封止部から利益を得ることができる。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、石油生成物配管の応用形態、およびデコーキング開放バルブの応用形態のためのバルブシステムに関する。本発明は、特に、生成物の漏れを防止するために適切な封止部を維持しながら、蒸気損失を防止するための封止システムおよび保持システムに関する。
【0008】
本発明のこれらの特徴および他の特徴と利点とは、以下の説明および添付の特許請求の範囲に示され、またはより完全に明らかになるであろう。特徴および利点は、添付の特許請求の範囲において特に指摘されている機器および組み合わせによって実現して得ることができる。さらに、本発明の特徴および利点は、本発明の実施によって知ることができ、または以下に示される説明から明らかになるであろう。
【0009】
本発明の目的および特徴は、添付の図面と併せて、以下の説明および添付の特許請求の範囲からより完全に明らかになるであろう。これらの図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示しているので、その範囲を限定するものと見なされるべきではないという認識のもとで、本発明を、添付の図面を使用することによって追加の具体性および追加の詳細を用いて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態の要素を備えてもよい、例示的なバルブの構成要素を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態の要素を備えてもよい、開放バルブの内側構成要素の拡大図である。
【
図3】
図3は、例示的なバルブの台座部組立体の3次元断面図である。
【
図4】
図4は、リストリクタおよび蛇腹封止部を備える、本発明の一実施形態の断面図である。
【
図5】
図5は、リストリクタおよび蛇腹封止部を備える、本発明の一実施形態の斜視断面図である。
【
図6】
図6は、リストリクタを備える、本発明の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明は、他の多くの形態および形状をとってもよいと予想されるので、以下の開示は例示的であり、限定的ではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物を参照することによって決定されるべきである。
【0012】
本発明の実施形態は、石油精製産業で使用されるいくつかの種類のバルブで利用してもよい。1つの例示的な種類のバルブが
図1に図示されている。これは、デコーキングプロセスにおいて典型的に使用される例示的な開放バルブ100である。この例示的なバルブ100は、典型的には上部ボンネット部102に取り外し可能に取り付けられた本体101を備える。上部ボンネット部102は、作業中にブラインド部104の少なくとも一部を受け入れるための気密区画または加圧区画を提供する。下部ボンネット部103はまた、本体101に着脱可能に取り付けられてもよく、ブラインド部104の少なくとも一部を受け入れるための気密で加圧可能な区画を提供してもよい。本体101は、バルブ100によって流れを制御してもよい主配管を取り付けるための主配管フランジ105を備えてもよい。例示的なバルブ100はまた、ブラインド部104を作動させるための追加の構成要素106を備えてもよい。バルブ100の作動プロセス中、ブラインド部104は、主配管フランジ105に取り付けられた主配管(不図示)の流れを可能にするように、または妨げるように、本体101内をスライドする。この作動中、ブラインド部104またはその一部は、上部ボンネット部および下部ボンネット部102、103に出入りしてもよい。
【0013】
図2は、例示的なバルブ200のいくつかの内側構成要素の分解図である。これらの構成要素はブラインド部205を備え、これは典型的には、内部に穴またはブラインド部空隙206を有する板状装置である。この例示的なバルブ200はまた、台座部フレームワーク207と、台座部キャリア208Aおよび208Bとを備える。開放作動中、ブラインド部205は、ブラインド部空隙206を、フレームワーク207、キャリア208Aおよび208Bの、対応する穴または空間、および任意の、取り付けられた配管、ドラムまたは他の付属品の、対応する穴または空間と位置合わせするように、(
図2の図において)垂直にスライドする。このように空隙を位置合わせすることによって、取り付けられた、配管、ドラム、または他の付属品内を液体および気体が流れることが可能になる。この位置合わせは、
図2の構成に示されている。
【0014】
閉作業中、ブラインド部205は、(
図2の図において)垂直方向にスライドして、固体板領域210を、フレームワーク207、キャリア208Aおよび208Bと、任意の取り付けられた配管、ドラムまたは他の付属品の穴または空間とに位置合わせする。固体板領域210と空隙とのこの位置合わせによって、取り付けられた、配管、ドラム、または他の付属品内を液体および気体が流れることを防止する。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態は、
図3を参照して説明してもよい。
図3は、例示的な開放バルブ300を切断面の斜視図である。この例示的なバルブは、主配管(不図示)を取り付けるための上部主配管フランジ302および下部主配管フランジ303を備える本体301を備える。上部主配管フランジ302の内側は、バルブ300をバルブ300のブラインド部(明確にするために不図示)に対して封止するための上部台座部組立体304である。バルブ300はまた、バルブ300をバルブ300のブラインド部(不図示)に対して封止するための下部台座部組立体305を備える。作動中、バルブ300のブラインド部は、上部台座部組立体304と下部台座部組立体305との間をスライドし、台座部は、蒸気および配管の生成物の漏れに対する封止部を提供する。
【0016】
図4は、デコーキング開放バルブ、隔離バルブ、または同様の装置で使用されてもよい例示的な台座部組立体400の断面図を図示する。この例示的な台座部組立体400は、バルブ本体301などのバルブ本体に係合するように構成され成形された台座部基部構造体401を含む。例示的な実施形態では、台座部基部構造体401は、台座部基部構造体401が本体301に対して相対的に静止して動かない方向のままであるように、静的接続でバルブ本体301に取り付けられる。台座部組立体400は、主配管、デコーキングドラム、または他の取り付けられた構成要素の輪郭に沿ってもよい内側入れ子部403をさらに備える。内側入れ子部403は、バルブ作動中にバルブ本体に対して相対的に動かないように、台座部基部構造体401に静的に取り付けられている。内側入れ子部403は、押圧された摩擦嵌合を用いて台座部基部構造体401に取り付けられてもよく、またはフランジまたは他のハードウェアによって単にその静止位置に維持されてもよく、フランジまたは他のハードウェアは、内側入れ子部403に隣接してボルト止めされ、そうでなければ取り付けられて台座部基部構造体401内の棚状部418に押し付けられている。
【0017】
台座部組立体400は、台座部基部構造体401および内側入れ子部403に対して相対的に動くことが可能な動的台座部402をさらに備える。動的台座部402は、ばねおよびリストリクタを含んでもよい一連の構造体および接続部を介して、台座部基部構造体401に移動可能に取り付けられてもよい。例示的な実施形態では、動的台座部402は、動的台座部402と台座部基部構造体401との間で圧縮されたばねのアレイ(
図4には不図示)を用いて、台座部基部構造体401から離れるように付勢される。これらのばねは、台座部基部構造体401および動的台座部402の両方において対応する凹部に圧縮されてもよく、それにより、動的台座部402を台座部基部構造体401から離れるように付勢する。この付勢または力は、例示的な実施形態では、接続された、パイプまたはドラムの中心軸線420に平行な方向、またはバルブブラインド部の面に垂直な方向(
図4の垂直方向)に向けられてもよい。
【0018】
台座部基部構造体401に対して相対的な動的台座部402の動きは、台座部基部構造体401の基部凹部406および動的台座部402の台座部凹部407と係合するリストリクタ405によって限定または制限されてもよい。リストリクタ405は、基部突起410および台座部突起411と係合するように成形された、1つ以上のリストリクタ基部フランジ409および1つ以上のリストリクタ台座部フランジ408を含んでもよい。リストリクタ基部フランジ409と基部突起410との間、およびリストリクタ台座部フランジ408と台座部突起411との間のこの係合は、台座部基部構造体401に対して相対的な動的台座部402の動きを制限する。したがって、これらの実施形態では、動的台座部402は、リストリクタ405によって定位置に保持されながら、圧縮ばねによって台座部基部構造体401から離れるように付勢される。リストリクタ405は、動的台座部402がブラインド部(不図示)と接触していないとき、動的台座部402を台座部基部構造体401に対して相対的に定位置に保持する。しかしながら、動的台座部402がブラインド部と接触し、リストリクタ405の限界を超えて台座部基部構造体401に対して圧縮されると、動的台座部402は、接触するブラインド部の輪郭で撓むことができ、この撓みによってより緊密でより効率的な封止部を形成する。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態は、台座部蛇腹部凹部414および基部蛇腹部凹部413を備えてもよい。これらの凹部413、414は、台座部基部構造体401、動的台座部402、および内側入れ子部403によって囲まれた蛇腹チャンバを形成する。このチャンバは、台座部基部構造体401および動的台座部402に接続してこれらの構造体の間に可撓性封止部を形成する蛇腹部415を含む。いくつかの実施形態では、蛇腹部415は、台座部基部構造体401および動的台座部402に溶接されてもよい。いくつかの実施形態では、蛇腹部415は、特別な手順なしに台座部基部構造体401および/または動的台座部402に直接溶接することができない金属から構成されてもよい。この場合、これらの実施形態は、台座部バター通過層416および/または基部バター通過層417を備えてもよく、適合する金属を溶接または他の方法で堆積させて、蛇腹部415を台座部基部構造体401および/または動的台座部402により効率的に溶接することを可能にする。蛇腹部415が台座部基部構造体401および動的台座部402に取り付けられると、動的台座部402は、蛇腹部415の撓みを通じて台座部基部構造体401に対して相対的に動いてもよい。しかしながら、蛇腹部415は、台座部基部構造体401と動的台座部402との間の境界面を通る、蒸気および他の気体もしくは液体が通過することまたは漏出することを防止する。
【0020】
好ましい実施形態では、蛇腹部415はインコネル合金で構成されてもよい。別の実施形態では、蛇腹部415は、モネル合金で構成されてもよい。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態は、
図4をさらに参照して説明することができる。これらの実施形態は、動的台座部402の中に凹んだ1つ以上のパッキン押え部412を含む。これらのパッキン押え部412は、パッキン材料404と嵌合して、バルブによって補助される配管、ドラムまたは他の容器内からの、気体および液体の漏れに対するスライド封止部を提供してもよい。パッキン押え部412およびパッキン材料404の使用によって、内側入れ子部403が静的のままであることが可能になり、一方、動的封止部402は、それらの間の接合部を通る流体が漏出することを防止しながら、ブラインド板が変動することに適応するようにスライドする。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態は、
図5を参照して説明することができる。
図5は、リストリクタ405の位置での台座部組立体400の断面図である。この図から、リストリクタ405の1つの機能は、台座部基部構造体401から離れる動的台座部402の動きを防止することであることが分かる。ばね510は、台座部基部構造体401と動的台座部402との間で圧縮されて、動的台座部402を台座部基部構造体401から反発させてもよい。しかしながら、ばね力によって引き起こされるこの動きは、台座部組立体400が分解されること、および動的台座部402の望ましくない動きを回避するために制限されなければならない。この動きの制限は、リストリクタ405によって影響されてもよく、リストリクタ405は、基部突起410および台座部突起411と係合して、軸線420に平行な方向、または台座部面419に垂直な方向における、台座部基部構造体401から離れる動的台座部402の動きを限定または制限するリストリクタフランジ408および409を備える。この係合によって、台座部基部構造体401が方向501Aに動くことが防止され、動的台座部402が方向501Bに動くことが防止される。
【0023】
同様に、リストリクタ405は、
図6を参照して説明してもよい反対方向への動きを防止してもよい。これらの実施形態では、リストリクタ405は、フランジの内側同士の間の距離であるフランジ間長さ603と、フランジの外側縁部同士の間の距離である全長601とを有する。これらの距離は、具体的には、台座部基部構造体401に対して相対的な動的台座部402の動きを制限するように設定することができる。例えば、フランジ間長さ603は、台座部突起411の外縁部と基部突起410との間の距離(距離604)よりも大きくなるように設定することができる。この距離または長さにおける差によって、動的台座部402が台座部基部構造体401から離れて外側限界まで動くことが可能になる。同様に、リストリクタ405の全長601は、台座部凹部407および基部凹部406のサイズに対して相対的に特定の値に設定されてもよい。この長さの関係によって、台座部基部構造体401と動的台座部402との間の最小距離を制限することができる。この制限により、ばね510、蛇腹部415、および他の台座部組立体部品がつぶれることを防止することができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、リストリクタ405はまた、さらに別の方向への動きを制限してもよい。
図3および
図5に示すように、台座部組立体400は、中心軸線420の周りに円形リング形状を有してもよい。この構成では、台座部基部構造体401は、動的台座部402の位置に対して相対的に軸線420を中心に回転してもよい。この回転は、
図5の方向503Aおよび503Bとして図示されている。この相対回転は、ばねおよび他のバルブ部分を拘束する可能性があり、しばしば望ましくない。したがって、この相対運動503A、503Bを、凹部幅606および608に対するリストリクタ幅605および607の相対サイズに注意することによって、制限または防止してもよい。これらの幅が互いに非常に接近して設定されると、基部構造体401と動的台座部402との間の回転運動を防止しながら、軸線420に平行な動きが可能にすることができる。したがって、適切な寸法のリストリクタによって、台座部基部構造体401に対して相対的な動的台座部402の複数の方向への動きを制限することができ、この動きの制限によって適切な位置合わせを維持し、損傷および摩耗から部品を保護する。
【0025】
本発明は、その精神または本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で実施されてもよい。説明した実施形態は、すべての点で例示的なものにすぎず、限定的なものではないと考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は、前述の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の均等物の、意味および範囲内にあるすべての変更は、それらの範囲内に包含されるべきである。
【国際調査報告】