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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】糞便検体
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/04 20060101AFI20220111BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
G01N1/04 J
G01N1/04 G
G01N33/48 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021525713
(86)(22)【出願日】2019-10-31
(85)【翻訳文提出日】2021-07-12
(86)【国際出願番号】 IB2019059378
(87)【国際公開番号】W WO2020099974
(87)【国際公開日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】62/760,800
(32)【優先日】2018-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521201757
【氏名又は名称】プロサイセデクス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ブッカー
(72)【発明者】
【氏名】ロバート アイスル
【テーマコード(参考)】
2G045
2G052
【Fターム(参考)】
2G045CB04
2G045HA07
2G045HA13
2G045HA14
2G052AA28
2G052AD12
2G052AD32
2G052BA19
2G052DA08
2G052DA13
2G052DA15
2G052DA22
2G052DA27
2G052GA29
2G052JA04
(57)【要約】
本明細書では、糞便試料などの生物学的試料の一部を保持するための容器が提供される。容器は、サンプリングピン及び把持部材に取り付けられた上側キャップで封止することができる本体を含む。サンプリングピンは1つ以上のサンプリング溝部内に所定量の試料を収集するように構成され、過剰な試料の量は容器本体の内部フランジによってサンプリングピンから任意に除去される。把持部材は改良された回転力及びグリップを容器のユーザに提供し、収集される試料からユーザの指を離間させるように構成される。更に、開示された容器を含むキット及び方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的試料を保持するための容器であって、
上端と下端を含む本体と、
内面と外面とを含む上側キャップであって、前記本体の前記上端を取り外し可能に封止するように構成される、上側キャップと、
基端及び先端を備えるサンプリングピンであって、前記先端に近接する少なくとも1つのサンプリング溝部を備え、前記基端は前記上側キャップの内面に接続され、そこから延びる、サンプリングピンと、
前記上側キャップの外面に接続され、前記サンプリングピンとは実質的に反対に延在する把持部材であって、シャフトと二つの突出部とを含むY字形状である、把持部材と、
前記本体の下端を取り外し可能に封止するように構成された下側キャップと、
を備える、容器。
【請求項2】
前記本体は、該本体を上側部分と下側部分とに分割する内部フランジをさらに備える、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記内部フランジは、前記本体の上側部分から前記本体の下側部分への方向に狭くなる断面積を有する漏斗形状を含む、請求項2に記載の容器。
【請求項4】
前記内部フランジは、前記本体の上側部分から前記本体の下側部分へと、前記サンプリングピンの先端を挿入することを可能にするように構成される、請求項2又は3に記載の容器。
【請求項5】
前記上側キャップは、前記本体の上端の十分な部分を前記上側キャップに挿入すると、前記本体とロックする、請求項4に記載の容器。
【請求項6】
前記本体の前記上端はロック溝を有し、前記上側キャップの前記内面は前記ロック溝と実質的に相補的なロック隆起部を有する、請求項5に記載の容器。
【請求項7】
前記ロック溝は前記本体の円周の大部分に広がり、前記ロック隆起部は前記上側キャップ内面の円周の大部分に広がる、請求項6に記載の容器。
【請求項8】
前記上側キャップの軸方向長さに対する前記把持部材の軸方向長さの比率は0.2~5との間である、請求項1~7の何れか一項に記載の容器。
【請求項9】
前記シャフト及び前記二つの突出部のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの実質的に平坦な側面を備える、請求項1~8の何れか一項に記載の容器。
【請求項10】
前記少なくとも1つの実質的に平坦な側面は、前記把持部材の取り扱い時の摩擦を改善するように構成された表面改質を含む、請求項9に記載の容器。
【請求項11】
前記表面改質は1つ以上のグリップ隆起部を含む、請求項10に記載の容器。
【請求項12】
前記シャフトの軸方向長さに対する各突出部の軸方向長さの比率は、それぞれ0.2~5である、請求項1~11の何れか1項に記載の容器。
【請求項13】
各突出部が前記シャフトと角度を形成し、各角度がそれぞれに120°~180°である、請求項1~12の何れか一項に記載の容器。
【請求項14】
生物学的試料の一部を保存するための方法であって、
前記方法は、
容器を提供するステップであって、前記容器は、
上端と下端を含む本体と、
内面と外面とを含む上側キャップであって、前記上側キャップは、前記本体の前記上端を取り外し可能に封止するように構成される、上側キャップと、
基端及び先端を備えるサンプリングピンであって、前記先端に近接する少なくとも1つのサンプリング溝部を有し、前記サンプリングピンの前記基端は上側キャップの内面に接続され、そこから延びる、サンプリングピンと、
前記上側キャップの前記外面に連結され、前記サンプリングピンのほぼ反対側に延びる把持部材であって、該把持部材はシャフトと二つの突出部とを含むY字形状を備える、把持部材と、
前記本体の前記下端を取り外し可能に封止するように構成された下側キャップと、
本体内の液体と、
を備える、容器を提供するステップと、
少なくとも1つのサンプリング溝部が生物学的試料内にあるように、前記サンプリングピンの前記先端を前記生物学的試料内に挿入するステップと、
前記生物学的試料から前記サンプリングピンを除去し、それによって、前記少なくとも1つのサンプリング溝部内に前記生物学的試料の一部を収集するステップと、
前記上側キャップで前記本体の前記上端を封止するステップであって、それによって前記サンプリングピンの前記先端を液体中に沈め、それによって前記生物学的試料の一部を保存する、封止するステップと、
を含む方法。
【請求項15】
前記本体は、上側部分と下側部分とに前記本体を分割する内部フランジをさらに含み、前記液体が前記下側部分内にあり、前記封止が前記サンプリングピンの先端を前記内部フランジに通すことを含み、それによって、前記上側部分内の前記生物学的試料の部分の過剰量を分配する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記内部フランジが、前記本体の上側部分から前記本体の下側部分への方向に狭くなる断面積を有する漏斗形状を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記上側キャップは、前記本体の上端の十分な部分を前記上側キャップに挿入する際に前記本体とロックする、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記本体の前記上端はロック溝を備え、前記上側キャップの前記内面は前記ロック溝と実質的に相補的なロック隆起部を備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ロック溝は前記本体の円周の大部分に広がり、前記ロック隆起部は前記上側キャップ内面の円周の大部分に広がる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記挿入するステップ、前記除去するステップ、及び前記封止するステップは、前記把持部材を保持することを含む、請求項14~19の何れか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記把持部材の軸方向長さと前記上側キャップの軸方向長さとの比率は0.2~5との間である、請求項14~20の何れか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記シャフト及び前記二つの突出部のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの実質的に平坦な側面を備える、請求項14~21の何れか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記少なくとも1つの実質的に平坦な側面は前記把持部材を保持する際の摩擦を改善するように構成された表面改質を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記表面改質が1つ以上のグリップ隆起部を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記シャフトの軸方向長さに対する各突出部の軸方向長さの比率は、それぞれに0.2~5である、請求項14~24の何れか一項に記載の方法。
【請求項26】
各突出部は前記シャフトと角度を形成し、各角度はそれぞれに120°~180°の間である、請求項14~25の何れか一項に記載の方法。
【請求項27】
生物学的試料が糞便試料を含む、請求項14~26の何れか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記液体が緩衝液を含む、請求項14~27の何れか一項に記載の方法。
【請求項29】
内部容器である、請求項1~13の何れか一項に記載の容器と、
外部容器内の内部容器の挿入及び取り外しを可能にするように構成された開口部を有する外部容器と、
前記開口部を取り外し可能に封止するように構成された外部容器キャップと、を備えるキット。
【請求項30】
前記内部容器と前記外部容器との間に配置された吸収性スリーブさらに含む、請求項29に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は2018年11月13日に出願された米国特許仮出願第62/760,800号明細書の優先権を主張し、その開示は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
便検査は、医療従事者に種々の胃腸障害の同定及び特徴づけのための重要な診断ツールを提供する。これらの検査は患者からの便検体の採取と分析を含み、便検体の組成と化学的性質を調べ、以前に決定された観察結果やベンチマークの結果と相関させる。例えば、便潜血検査は、大腸がん、胃がん、又は胃腸系に出血を引き起こすその他の病態の診断に用いることができる。回虫症、鉤虫症、糞線虫症、鞭虫症などの寄生虫症;クロストリジウム・ディフィシルなどの細菌による感染症;ロタウイルスなどのウイルスの存在は、それぞれ各種顕微鏡検査やその他の微生物検査で確認できる。糞便PH試験及び糞便脂肪試験は、それぞれ、乳糖不耐症及び脂肪吸収不良などの条件を決定するために使用することもできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そのような試験のための材料を提供するために、装置は異なる診断検定に必要な量の糞試料を収集し、保存するためにしばしば使用される。これらの収集装置は典型的には患者のヘルスケア提供者によって患者に供給され、患者は試料を得るために家庭で装置を使用しなければならないことが多い。したがって、試料採取は、医療専門家ではない個々によって一般に行われるので、一般公衆の人々によって操作される場合にコンプライアンス及び使いやすさを向上させることができる収集デバイスに対する改善の必要性が存在する。本開示は、これら及び他の必要性を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様において、本開示は、生物学的試料を保持するための容器に関する。容器は、上端及び下端を有する本体を備える。容器は、上側キャップ及び下側キャップをさらに備える。上側キャップは内面及び外面を含み、容器の上端を取り外し可能に封止するように構成される。下側キャップは、容器の下端を取り外し可能に封止するように構成される。容器は、基端と、先端と、先端に近接する少なくとも1つの溝とを有するサンプリングピンをさらに備える。サンプリングピンの基端は、上側キャップの内面に接続され、そこから延びている。容器は、上側キャップの外面に接続され、サンプリングピンの実質的に反対側に延在する把持部材をさらに備える。把持部材は、シャフトと二つの突出部とを含むY字形状を備える。
【0005】
いくつかの実施形態では、本体が本体を上側部分と下側部分とに分割する内部フランジをさらに備える。内部フランジは、本体の上側部分から本体の下側部分までの方向に狭くなる断面積を有する漏斗形状を備えることができる。内部フランジは、本体の上側部分から本体の下側部分へのサンプリングピンの先端の挿入を可能にするように構成することができる。上側キャップは、本体の上端の十分な部分を上側キャップに挿入すると、本体とロックすることができる。本体の上端はロック溝を備えることができ、上側キャップの内面は、ロック溝と実質的に相補的なロック隆起部を備えることができる。ロック溝は本体の円周の大部分に広がることができ、ロック隆起部は、上側キャップ内面の円周の大部分に広がることができる。
【0006】
いくつかの実施形態では、上側キャップの軸方向長さに対する把持部材の軸方向長さの比率が0.2~5.0であり、いくつかの実施形態ではシャフト及び二つの突出部のうちの少なくとも1つは少なくとも1つの実質的に平坦な側面を備える。少なくとも1つの実質的に平坦な側面は、把持部材の取扱い時の摩擦を改善するように構成された表面改質部を含むことができる。表面改質は1つ以上のグリップ隆起部を含むことができる。いくつかの実施形態では、シャフトの軸方向長さに対する各突出部の軸方向長さの比率がそれぞれに0.2~5である。いくつかの実施形態では各突出部がシャフトと角度を形成し、各角度はそれぞれに120°と180°との間である。
【0007】
別の態様において、本開示は、生物学的試料の一部を保存するための方法に関する。本方法は、本体と、上側キャップと、サンプリングピンと、把持部材と、下側キャップと、本体内の液体とを含む容器を提供するステップを含む。いくつかの実施形態では、液体は緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、生物学的試料は糞便試料を含む。本体は、上端及び下端を備える。上側キャップは内面及び外面を含み、本体の上端を取り外し可能に封止するように構成される。サンプリングピンは、基端と、先端と、先端に近接する少なくとも1つのサンプリング溝部とを備える。サンプリングピンの基端は、上側キャップの内面に接続され、そこから延びている。把持部材は上側キャップの外面に接続されており、サンプリングピンと実質的に反対側に延びている。把持部材はまた、シャフト及び二つの突出部を含むY字形状を有する。下側キャップは、本体の下端を取り外し可能に封止するように構成される。この方法は、少なくとも1つのサンプリング溝部が生物学的試料内にあるように、サンプリングピンの先端を生物学的試料内に挿入するステップをさらに含む。この方法は、生物学的試料からサンプリングピンを除去し、それによって、少なくとも1つのサンプリング溝部内に生物学的試料の一部を収集するステップをさらに含む。この方法は、本体の上端を上側キャップで封止し、それによって、サンプリングピンの先端を液体中に沈め、それによって、生物学的試料の一部を貯蔵するステップをさらに含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、本体が本体を上側部分と下側部分とに分割する内部フランジをさらに含み、液体は下側部分内にあり、封止はサンプリングピンの先端を内部フランジに通すことを含み、それによって、上側部分内の生物学的試料の部分の任意の過剰量を分割する。いくつかの実施形態では、内部フランジが本体の上側部分から本体の下側部分への方向に狭くなる断面積を有する漏斗形状を含む。いくつかの実施形態では、上側キャップが本体の上端の十分な部分を上側キャップに挿入すると、本体とロックする。本体の上端はロック溝を備えることができ、上側キャップの内面は、ロック溝と実質的に相補的なロック隆起部を備えることができる。ロック溝は本体の円周の大部分に広がることができ、ロック隆起部は、上側キャップ内面の円周の大部分に広がることができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、挿入、除去、及び封止は把持部材を保持することを含む。いくつかの実施形態では、上側キャップの軸方向長さに対する把持部材の軸方向長さの比率が0.2と5との間である。いくつかの実施形態では、シャフト及び二つの突出部のうちの少なくとも1つは少なくとも1つの実質的に平坦な側面を備える。少なくとも1つの実質的に平坦な側面は、把持部材を保持する際の摩擦を改善するように構成された表面改質部を含むことができる。いくつかの実施形態では、シャフトの軸方向長さに対する各突出部の軸方向長さの比率がそれぞれ独立して0.2~5である。いくつかの実施形態では各突出部がシャフトと角度を形成し、各角度は独立して120°と180°との間である。
【0010】
別の態様では、本開示が本明細書に開示される容器のいずれかを含むキットであって、容器が内部容器であるキットに関する。キットは、外部容器内への内部容器の挿入及び除去を可能にするように構成された開口部を備える外部容器をさらに備える。キットは、開口部を取り外し可能に封止するように構成された外部容器キャップをさらに備える。いくつかの実施形態では、キットが内部容器と外部容器との間に配置された吸収性スリーブをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A図1Aは一実施形態による容器の図である。
図1B図1Bは、図1の容器の透明図である。
図2図2は、図1A及び1Bの容器の本体の図である。
図3図1A及び図1Bの容器の上側キャップ、サンプリングピン、及び把持部材の説明図である。
図4図4は、一実施形態によるキットの図である。
図5図5は、一実施形態によるプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は一般に、糞便試料などの生物学的試料の一部を保持するための容器に関する。これらの容器は、医療検査のために便検体を収集するプロセスにおいて、個人がより容易かつ確実に使用することを可能にする有利な性質を提供する。例えば、糞便試料容器は、グリップ力や正確性が低下し得る高齢被験者など、異なる能力を有する個々人によって容易に操作されることが有益であり得る。また、個人が試料採取中に糞便試料と接触する可能性を減らすことも有益である。しかしながら、既存の糞便収集装置を用いてこのような結果を達成することは困難であった。
【0013】
ほとんどの従来の糞便収集装置は、容器への添加のために便検体から材料を拾い上げるために使用されなければならないロッド、スティック、又はすくいさじを含む。このロッド、スティック、又はすくいさじは典型的には容器蓋の要素であり、その結果、試料を容器に移すことは、容器を閉鎖する追加の効果を有する。容器蓋は通常、ねじ込み式又はプラグ式であり、使用者はかさばった蓋をしっかりと把持して、それを取り出して容器内に挿入し、収集される糞便材料を擦り取るか、又はすくい取らなければならない。さらに、これらの従来の装置では、利用者の指とサンプリングされる糞便との間の距離間隔が小さいことが多い。これは、使用者が不注意に自分の指が便に接触する可能性を増大させ、試料採取手順の遵守を減少させる可能性がある。
【0014】
本発明者らは、ここで、特定の容器設計が糞便試料のような生物学的試料の一部の収集及び保存する間のグリップ及び回転力の増大を可能にすることを発見した。特に、提供される容器は、蓋に取り付けられ、蓋から延びる把持部材を含む。重要なことに、把持部材の特定の寸法及び幾何学的形状は、容器キャップ及びそれに付随するサンプリングピンのより容易な操作及び取り扱いを提供することが判明している。把持部材はまた、収集された糞便試料と、試料を汚染しないように改良されたデザインの把持部材を保持する操作者の指との間の距離を増加させるという追加の利点を提供する。
【0015】
(I.容器)
図1A及び1Bは、一実施形態による、生物学的試料を保持するための容器を示す。図1Aの側面図は閉鎖構成の容器(100)の側面図であり、図1Bの代替側面図は、同じ容器(100)の透明図である。容器(100)は本体(101)を含み、本体は、上端部(102)で上側キャップ(103)によって、下端部(104)で下側キャップ(105)によって封止される。把持部材(106)は、上側キャップ(103)の外面(107)に接続され、本体(101)から実質的に離れる、又は本体(101)の反対の方向に上側キャップ(103)から延びる。把持部材は、シャフト(108)及び二つの突出部(109)を含むY字形状を有する。
【0016】
図1Bの透明図に見られるように、容器はまた、基端(111)及び先端(112)を有するサンプリングピン(110)を含む。基端(111)は上側キャップ(103)の内面(113)に接続され、把持部材(106)から実質的に離れる、又は把持部材(106)の反対の方向に上側キャップ(103)から延在する。サンプリングピン(110)は、また、先端(112)に近接した少なくとも1つのサンプリング溝部(114)を含む。これらは、試料の量を計測又は測定するための複数(1、2、3、4、5、6、又はそれ以上)のサンプリング溝部(114)のうちの1つであってもよい。
【0017】
(A.容器本体及び下側キャップ)
図2は、図1A及び1Bの容器(100)の本体(101)の側断面図を提供する。いくつかの実施形態では図2に示すように、本体(101)は主として円柱状の形状を有する。本体(101)は上端部(102)で上側キャップによって、下端部(104)で下側キャップによって封止されたときに、本体(101)が中空の内部チャンバを囲む限り、例えば長方形のような代替形状を有することができることが理解されるべきである。いくつかの実施態様において、上端部(102)及び下端部(104)はそれぞれ、上側キャップ及び下側キャップの特徴に対して実質的に相補的なねじ切り又は溝を有することができ、これにより、これらの上側キャップ及び下側キャップ特徴が取り外し可能な封止部を作成するために使用される場合に、本体(101)のねじ又は溝と嵌合する。いくつかの実施形態では、下側キャップが下端部(104)にねじ込むことによって本体(101)に取り付けられるように構成される。いくつかの実施形態では、下側キャップが下端部(104)を押圧又はスナップ留めすることによって本体(101)に取り付けられるように構成される。
【0018】
いくつかの態様では、本体(101)の上端部(102)が上側キャップのロック隆起部と実質的に相補的な1つ又は複数のロック溝(115)を含む。本体(101)は、1つのロック溝(115)、又は2つ以上のロック溝(115)を含むことができる。1つ又は複数のロック溝(115)は本体の外側のわずかな部分に広がることができ、又は本体の外側の大部分(例えば、円周の大部分)に広がることができる。いくつかの実施態様において、かつ図2に示されるように、ロック溝(115)は、本体の外周全体に広がる。本体(101)の上端部(102)における1つ以上のロック溝(115)の位置決めは、ロック溝(115)の上方の上端部(102)の一部が上側キャップに挿入されたときに、上側キャップが本体(101)の上端部(102)を取り外し可能な様式で封止することができる。代わりに、上端部(102)の十分な部分、例えば、ロック溝(115)を含む部分が上側キャップに挿入される場合、上側キャップは、上側キャップが容易に着脱できないロック方式で上端部(102)を封止する。
【0019】
容器本体は、例えば、15mm~60mm、例えば、15mm~42mm、19.5mm~46.5mm、24mm~51mm、28.5mm~55.5mm、又は33mm~60mmの平均外径を有することができる。上限に関して、本体外径は、60mm未満、例えば、55.5mm未満、51mm未満、46.5mm未満、42mm未満、37.5mm未満、33mm未満、28.5mm未満、24mm未満、又は19.5mm未満とすることができる。下限に関して、本体外径は、15mmより長く、例えば、19.5mmより長く、24mmより長く、28.5mmより長く、33mmより長く、37.5mmより長く、42mmより長く、46.5mmより長く、51mmより長く、又は55.5mmより長くすることができる。より長い直径、例えば60mmより長い直径、及びより短い直径、例えば15mmより短い直径も考えられる。
【0020】
容器本体は、例えば、30mm~200mm、例えば、30mm~132mm、47mm~149mm、64mm~166mm、81mm~183mm、又は98mm~200mmの長さを有することができる。上限に関して、本体長さは、200mm未満、例えば、183mm未満、166mm未満、149mm未満、132mm未満、115mm未満、98mm未満、81mm未満、64mm未満、又は47mm未満とすることができる。下限に関して、本体長さは、30mmよりも長く、例えば、47mmよりも長く、64mmよりも長く、81mmよりも長く、98mmよりも長く、115mmよりも長く、132mmよりも長く、149mmよりも長く、166mmよりも長く、又は183mmよりも長くすることができる。より長い長さ、例えば200mmより長い長さ、及びより短い長さ、例えば30mmより短い長さも考えられる。
【0021】
本体長さ対本体直径の比率は、例えば、2~10、例えば、2~6.8、2.8~7.6、3.6~8.4、4.4~9.2、又は5.2~10であり得る。上限に関して、本体長さ対本体直径の比率は、10未満、例えば、9.2未満、8.4未満、7.6未満、6.8未満、6未満、5.2未満、4.4未満、3.6未満、又は2.8未満であり得る。下限に関して、本体直径に対する本体長さの比率は、2よりも大きく、例えば、2.8よりも大きく、3.6よりも大きく、4.4よりも大きく、5.2よりも大きく、6よりも大きく、6.8よりも大きく、7.6よりも大きく、8.4よりも大きく、又は9.2よりも大きくすることができる。より高い比率、例えば10より大きい比率、及びより低い比率、例えば2より小さい比率も考えられる。
【0022】
いくつかの実施形態では、本体は本体を上側部分(117)と下側部分とに分割する内部フランジ(116)を含む。ある態様では、図2に示されるように、本体は上側部分(117)から下側部分(118)に向かう方向に狭い断面積を有する漏斗形状を有する内部フランジ(116)を含む。上側部分の内部フランジ(116)の開口は、サンプリングピンの先端が上側部分(117)から下側部分(118)へそれを通して挿入されることを可能にするのに十分な大きさとなるように構成された内径を有することができる。また、内部フランジ(116)開口部の内径は、サンプリングピンに取り付けられ、サンプリング溝部内には入らない材料が本体(101)の下側部分(118)に入るのを防止するのに十分に小さくなるように構成することができる。このようにして、内部フランジ(116)のデザインは、サンプリングピン及びそのサンプリング溝部(複数可)のデザインと組み合わせて、本体の下側部分(118)に加えられる固体試料材料の量を効果的に制御することができる。言い換えれば、正確な量の試料が本体の下部に移される。場合によっては、試料の量が溝の数に比例する。
【0023】
内部フランジの内径は、例えば、1mm~10mm、例えば、1mm~6.4mm、1.9mm~7.3mm、2.8mm~8.2mm、3.7mm~9.1mm、又は4.6mm~10mmであり得る。上限に関して、内部フランジ内径は、10mm未満、例えば、9.1mm未満、8.2mm未満、7.3mm未満、6.4mm未満、5.5mm未満、4.6mm未満、3.7mm未満、2.8mm未満、又は1.9mm未満であり得る。下限に関して、内部フランジ直径は、1mmよりも長く、例えば、1.9mmよりも長く、2.8mmよりも長く、3.7mmよりも長く、4.6mmよりも長く、5.5mmよりも長く、6.4mmよりも長く、7.3mmよりも長く、8.2mmよりも長く、又は9.1mmよりも長くすることができる。より長い直径、例えば10mmより長い直径、及びより短い直径、例えば1mmより短い直径も考えられる。
【0024】
いくつかの実施形態では、容器が本体内に液体を含む。液体は、内部フランジを含む実施形態では本体(リザーバ)の下部に存在することができる。いくつかの実施形態では、液体は水溶液である。いくつかの実施形態では、液体が1つ以上の塩(salts)、1つ以上の緩衝液、1つ以上の検体試薬、又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、液体はその中に挿入されると、生物学的試料の一部を安定化し、保存するのに適した緩衝水溶液である。例えば、液体は、試料部分を安定化及び貯蔵するのに適したpH及び/又は浸透圧を有することができる。
【0025】
(B.上側キャップ、サンプリングピン、把持部材)
図3は、図1A及び図1Bの容器(100)の上側キャップ(103)、サンプリングピン(110)、及び把持部材(106)の断面側面図を提供する。上側キャップ(103)は、一般に、容器本体の上端部の形状と実質的に相補的な内部形状を有し、その結果、上側キャップ(103)と本体の上端部とが嵌合して、取り外し可能な封止部を形成することができる。いくつかの実施形態では、上側キャップ(103)が上端に螺合することによって本体に取り付けられるように構成される。いくつかの実施形態では、上側キャップ(103)が上端部を押圧又はスナップ留めすることによって本体に取り付けられるように構成される。
【0026】
ある態様では、上側キャップ(103)の内面(113)が容器本体の上端のロック溝と実質的に相補的な1つ又は複数のロック隆起部(119)を含む。上側キャップ(103)は1つのロック隆起部(119)、又は2つ以上のロック隆起部(119)を含むことができる。1つ以上のロック隆起部(119)は上側キャップ(103)の内面(113)のわずかな部分に広がることができ、又は上側キャップ(103)の内面の大部分(例えば、円周の大部分)に広がることができる。いくつかの実施形態では、図3に示すように、ロック隆起部(119)は上側キャップ(103)の内周全体に広がる。上側キャップ(103)の内面(113)上の1つ以上のロック隆起部(119)の位置決めは、ロック溝の上方の本体の一部が上側キャップ(103)に挿入されたときに、上側キャップ(103)が本体の上端を取り外し可能な様式で封止するようにすることができる。代わりに、本体の十分な部分、例えば、ロック溝を含む部分が上側キャップに挿入される場合、ロック溝はロック隆起部(119)と嵌合し、上側キャップ(103)は、上側キャップ(103)が容易に着脱できないロック方式で本体の上端を封止する。このようにして、試料の保管管理が維持される。
【0027】
サンプリングピン(110)の基端(111)は、上側キャップ(103)の内面(113)に取り付けられ、そこから延びている。一般に、サンプリングピンは、上側キャップ(103)内の中央に位置し、本体の上端が上側キャップに挿入されると、サンプリングピンが存在する場合には、本体の内部フランジの穴を通過するように、実質的に直線である。サンプリングピン(110)の先端(112)は、1つ以上のサンプリング溝部(114)を含む。サンプリングピンは、1つのサンプリング溝部(114)、又は2つ以上のサンプリング溝部(114)を含むことができる。1つ又は複数のサンプリング溝部(114)はサンプリングピンの先端(112)の外側のわずかな先端に広がることができ、又は先端(112)の外側の大先端に広がることができる。1つ又は複数のサンプリング溝はサンプリングピンに沿ったほぼ軸方向に配向することができ、又は、図3に示すように、ほぼ接線方向に配向することができる。いくつかの実施態様において、サンプリング溝部は、サンプリングピンの外周全体に広がる。サンプリング溝部は、サンプリングピンの先端の一方の側にあってもよい。サンプリング溝部は、サンプリングピンの先端の二つの反対側で実質的に鏡像対象にすることができる。
【0028】
1つ以上のサンプリング溝の寸法は、溝の組み合わされた内部容積が収集されるべき生物学的試料の目標量に対応するように構成され得る。このように、サンプリング溝及びサンプリングピンの設計は、容器本体の内部フランジの設計と組み合わせて、本体の下部に加えられる固体試料の量を効果的に制御することができる。サンプリング溝部によって規定される総容量は例えば、10μL~1000μL、例えば、10μL~160μL、16μL~250μL、25μL~400μL、40μL~630μL、又は63μL~1000μLであり得る。上限に関して、合計サンプリング溝容積は1000μL未満、例えば、630μL未満、400μL未満、250μL未満、160μL未満、100μL未満、63μL未満、40μL未満、25μL未満、又は16μL未満とすることができる。下限に関して、合計サンプリング溝容積は10μLより長く、例えば、16μLより長く、25μLより長く、40μLより長く、63μLより長く、100μLより長く、250μLより長く、400μLより長く、又は630μLより長くてもよい。より大きい体積、例えば1000μLより大きい体積、及びより小さい体積、例えば10μLより小さい体積も考えられる。液体の体積が既知であり、試料の量が既知であるので、溶液の濃度を決定することができる。
【0029】
いくつかの実施態様において、サンプリングピンは、主に円筒形状を有する。サンプリングピンは例えば、矩形のような代替の形状を有することができることが理解されるべきである。サンプリングピンの長さはサンプリングピンが容器本体内部フランジを通して十分に延びるのに十分な長さであり、存在する場合には上側キャップが本体を閉鎖し、封止するのに十分なほど短くなるように構成することができる。サンプリングピンは、例えば10mm~200mm、例えば、10mm~124mm、29mm~143mm、48mm~162mm、67mm~181mm、又は86mm~200mmの長さを有することができる。上限に関して、サンプリングピン長さは、200mm未満、例えば、181mm未満、162mm未満、143mm未満、124mm未満、105mm未満、86mm未満、67mm未満、48mm未満、又は29mm未満とすることができる。下限に関して、サンプリングピンの長さは、10mmよりも長く、例えば、29mmよりも長く、48mmよりも長く、67mmよりも長く、86mmよりも長く、105mmよりも長く、124mmよりも長く、143mmよりも長く、162mmよりも長く、又は181mmよりも長くすることができる。より長い長さ、例えば200mmより長い長さ、及びより短い長さ、例えば10mmより短い長さも考えられる。
【0030】
サンプリングピンの外径はサンプリングピンが存在するときに、サンプリングピンの先端が容器本体内部フランジの開口部を通して挿入されることができるように、サンプリングピンが十分に狭くなるように構成することができる。サンプリングピンの外径は、サンプリングピンがサンプリングピンに取り付けられ、1つ以上のサンプリング溝部ではない材料がサンプリングピンの先端が内部フランジ開口部を通過する際に、本体の下部に入ることを防止するのに十分な幅であるように構成され得る。サンプリングピンの外径は例えば、1mm~10mm、例えば、1mm~6.4mm、1.9mm~7.3mm、2.8mm~8.2mm、3.7mm~9.1mm、又は4.6mm~10mmとすることができる。上限に関して、サンプリングピンの外径は10mm未満、例えば、9.1mm未満、8.2mm未満、7.3mm未満、6.4mm未満、5.5mm未満、4.6mm未満、3.7mm未満、2.8mm未満、又は1.9mm未満とすることができる。下限に関して、サンプリングピン直径は1mmより長く、例えば、1.9mmより長く、2.8mmより長く、3.7mmより長く、4.6mmより長く、5.5mmより長く、6.4mmより長く、7.3mmより長く、8.2mmより長く、又は9.1mmより長くすることができる。より長い直径、例えば10mmより長い直径、及びより短い直径、例えば1mmより短い直径も考えられる。
【0031】
サンプリングピンの直径に対するサンプリングピンの長さの比率は、例えば、5と50との間、例えば、5と32との間、9.5と36.5との間、14と41との間、18.5と45.5との間、又は23と50との間とすることができる。上限に関して、サンプリングピン直径に対するサンプリングピン長さの比率は、50未満、例えば、45.5未満、41未満、36.5未満、32未満、27.5未満、23未満、18.5未満、14未満、又は9.5未満であり得る。下限に関して、サンプリングピンの直径に対するサンプリングピンの長さの比率は、5よりも大きく、例えば、9.5よりも大きく、14よりも大きく、18.5よりも大きく、23よりも大きく、27.5よりも大きく、32よりも大きく、36.5よりも大きく、41よりも大きく、又は45.5よりも大きくすることができる。より高い比率、例えば50より大きい比率、及びより低い比率、例えば5より小さい比率も考えられる。
【0032】
把持部材(106)は、上側キャップ(103)の外面(107)に取り付けられ、そこから延びている。一般に、把持部材(106)は上側キャップ(103)の中央に位置し、サンプリングピン(110)の真向かいに延びている。Y字形状の把持部材(106)のシャフト(108)は、上側キャップ(103)から把持部材の突出部(109)に延びる軸方向の長さを有することができ、これは、例えば、5mmから50mmの間、例えば、5mmから32mmの間、9.5mmから36.5mmの間、14mmから41mmの間、18.5mmから45.5mmの間、又は23mmから50mmの間である。上限に関して、把持部材のシャフト(108)の軸方向長さは、50mm未満、例えば、45.5mm未満、41mm未満、36.5mm未満、32mm未満、27.5mm未満、23mm未満、18.5mm未満、14mm未満、又は9.5mm未満とすることができる。下限に関して、把持部材のシャフト(108)の軸方向長さは、5mmよりも長く、例えば、9.5mmよりも長く、14mmよりも長く、18.5mmよりも長く、23mmよりも長く、27.5mmよりも長く、32mmよりも長く、36.5mmよりも長く、41mmよりも長く、又は45.5mmよりも長くすることができる。より長い長さ、例えば50mmを超える長さ、及びより短い長さ、例えば5mm未満も考えられる。
【0033】
Y字形状の把持部材(106)の各突出部(109)は、把持部材のシャフト(108)から延びる軸方向長さを独立して有することができ、例えば、5mmから50mm、例えば、5mmから32mm、9.5mmから36.5mm、14mmから41mm、18.5mmから45.5mm、又は23mmから50mmである。上限に関して、各把持部材の突出部(109)の軸方向長さは、独立して、50mm未満、例えば、45.5mm未満、41mm未満、36.5mm未満、32mm未満、27.5mm未満、23mm未満、18.5mm未満、14mm未満、又は9.5mm未満であり得る。下限に関して、各把持部材の突出部(109)の軸方向長さは、独立して、5mmよりも長く、例えば、9.5mmよりも長く、14mmよりも長く、18.5mmよりも長く、23mmよりも長く、27.5mmよりも長く、32mmよりも長く、36.5mmよりも長く、41mmよりも長く、又は45.5mmよりも長くすることができる。より長い長さ、例えば50mmを超える長さ、及びより短い長さ、例えば5mm未満も考えられる。
【0034】
突出部の平均軸方向長さに対するシャフトの軸方向長さの比率は、例えば、0.2と5との間、例えば、0.2と3.08との間、0.68と3.56との間、1.16と4.04との間、1.64と4.52との間、又は2.12と5との間とすることができる。上限に関して、平均突出部軸方向長さに対するシャフト軸方向長さの比率は、5未満、例えば、4.52未満、4.04未満、3.56未満、3.08未満、2.6未満、2.12未満、1.64未満、1.16未満、又は0.68未満であり得る。下限に関して、平均突出部軸方向長さに対するシャフト軸方向長さの比率は、0.2よりも大きく、例えば、0.68よりも大きく、1.16よりも大きく、1.64よりも大きく、2.12よりも大きく、2.6よりも大きく、3.08よりも大きく、3.56よりも大きく、4.04よりも大きく、又は4.52よりも大きくすることができる。より高い比率、例えば、5より大きい比率、及びより低い比率、例えば、0.2未満もまた意図される。
【0035】
把持部材(106)の全軸方向長さ(120)は、例えば、10mm~100mm、例えば、10mm~64mm、19mm~73mm、28mm~82mm、37mm~91mm、又は46mm~100mmであり得る。上限に関して、把持部材の軸方向長さは、100mm未満、例えば、91mm未満、82mm未満、73mm未満、64mm未満、55mm未満、46mm未満、37mm未満、28mm未満、又は19mm未満とすることができる。下限に関して、把持部材の軸方向長さは、10mmよりも長く、例えば、19mmよりも長く、28mmよりも長く、37mmよりも長く、46mmよりも長く、64mmよりも長く、73mmよりも長く、82mmよりも長く、又は91mmよりも長くすることができる。より長い長さ、例えば、100mmを超える長さ、及びより短い長さ、例えば、10mm未満もまた意図される。
【0036】
上側キャップ(103)の軸方向長さ(121)に対する把持部材(106)の軸方向長さ(120)の比率は、例えば、0.2~5、例えば、0.2~3.08、0.68~3.56、1.16~4.04、1.64~4.52、又は2.12~5であり得る。上限に関しては、上側キャップの軸方向長さに対する把持部材の軸方向長さの比率は、5未満、例えば、4.52未満、4.04未満、3.56未満、3.08未満、2.6未満、2.12未満、1.64未満、1.16未満、又は0.68未満とすることができる。下限に関して、上側キャップの軸方向長さに対する把持部材の軸方向長さの比率は、0.2よりも大きく、例えば、0.68よりも大きく、1.16よりも大きく、1.64よりも大きく、2.12よりも大きく、2.6よりも大きく、3.08よりも大きく、3.56よりも大きく、4.04よりも大きく、又は4.52よりも大きくすることができる。より高い比率、例えば、5より大きい比率、及びより低い比率、例えば、0.2未満もまた意図される。
【0037】
Y字形状の把持部材(106)の各突出部(109)は、把持部材のシャフト(108)と所定角度(122)をなす。いくつかの実施形態では、二つのそのような角度(122)が互いに同一である。いくつかの実施形態では、二つのそのような角度(122)が互いに異なる。角度(122)はそれぞれ独立して、例えば、120°と180°との間、例えば、120°と156°との間、126°と162°との間、132°と168°との間、138°と174°との間、又は144°と180°との間であり得る。上限では、各角度が180°未満、例えば、174°未満、168°未満、162°未満、156°未満、150°未満、144°未満、138°未満、132°未満、又は126°未満とすることができる。下限に関して、各角度は120°よりも大きく、例えば、126°よりも大きく、132°よりも大きく、138°よりも大きく、144°よりも大きく、150°よりも大きく、156°よりも大きく、162°よりも大きく、168°よりも大きく、又は174°よりも大きくすることができる。より小さい角度、例えば120°未満も考えられる。
【0038】
特定の局面では、把持部材のシャフト及び二つの突出部のうちの少なくとも1つは少なくとも1つの実質的に平坦な側面を含む。いくつかの実施態様において、及び図1A、1B、3及び4に示されるように、シャフト及び二つの突出部の各々は、二つの実質的に平坦な対向する側面を含む。これらの平面側の少なくとも幾つかは、把持部材を操作する利用者の指で握ることができるように、外側を向くことができる。このハンドリングを改善するために、把持部材の少なくとも1つの実質的に平坦な側面は、把持部材と利用者の指との間の摩擦を増加させるように構成された表面改質を含むことができる。例示的な表面改質には、溝などの窪み、隆起などの突起部、及びそれらの組み合わせが含まれる。いくつかの実施形態では、把持部材の表面改質が1つ以上のグリップ溝を含む。いくつかの実施形態では、把持部材の表面改質が1つ以上のグリップ隆起部を含む。いくつかの実施形態では、把持部材の表面改質が1つ以上のグリップ溝と、1つ以上のグリップ隆起部とを含む。ある態様では、かつ図3に示すように、シャフトは二つの表面改質平面を含み、各突出部は1つの表面改質平面表面を含み、ここで、表面改質は一連の平行なグリップ隆起部(123)である。
【0039】
(II.キット)
また、本明細書に開示されるような容器を保管又は輸送するためのキットも、本開示によって提供される。図4は、一実施形態による例示的なキットを示す。キット(400)は、生物学的試料を保持するための内部容器(401)を含む。内部容器(401)は、図1A及び1Bの容器(100)であり得る。キットはまた、内部容器の挿入及び除去を可能にするように構成された開口部を有する外部容器(402)を含む。キットはまた、内部容器(401)を外部容器(402)内に封入するために開口部を取り外し可能に封止するように構成された外側キャップ(403)を含む。いくつかの実施形態では、キットはまた、内部容器(401)と外部容器(402)との間に配置された吸収性スリーブ(404)を含む。キットは容易に包装し、郵送することができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、キットが内部容器の本体内に液体をさらに含む。液体は、内部フランジを含む実施形態の場合、本体の下側部分の中に存することができる。いくつかの実施形態では、液体は水溶液である。いくつかの実施形態では、液体が1つ以上の塩(salts)、1つ以上の緩衝液、1つ以上の検体試薬、又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、液体は、挿入されると、生物学的試料の一部を安定化し、保存するのに適した緩衝水溶液である。例えば、液体は、試料部分を安定化及び貯蔵するのに適したpH及び/又は浸透圧を有することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、キットが生物学的試料の一部をさらに含む。いくつかの実施形態では、キットは試料を含まず、代わりに、試料はキットのユーザによって提供される。本明細書中で使用される場合、「試料」は任意の生物学的標本又は被験体から得られる試料をいうことができる。試料が便(すなわち、糞便)、腫瘍の生検(例えば、針生検)又はリンパ節(例えば、センチネルリンパ節生検)のような組織試料(例えば、腫瘍組織)、腫瘍の外科的切除のような組織試料(例えば、腫瘍組織)、及びその細胞抽出物、ならびに内部腸粘膜を含むが、これらに制限されない。いくつかの実施形態において、試料は糞便試料である。本明細書中で使用される場合、「被験体」は霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスなどを含むがこれらに制限されない哺乳類のような動物をいう。特定の実施形態では、被験体はヒトである。
【0042】
(III.方法)
図5は、生物学的試料の一部を保存するための実施形態による方法(500)のフローチャートを提示する。工程501において、容器が提供される。容器は、上端と下端とを有する本体と、内面と外面とを有する上側キャップであって、本体の上端を取り外し可能に封止するように構成された上側キャップと、基端と先端とを有するサンプリングピンであって、前記サンプリングピンは前記先端に近接する少なくとも1つのサンプリング溝部を有し、前記サンプリングピンの基端は前記上側キャップの前記内面に接続され、前記上側キャップの前記内面から延在する、サンプリングピンと、前記上側キャップの前記外面に接続され、前記サンプリングピンとは反対に実質的に延在する把持部材であって、シャフトと二つの突出部とを含むY字形状である把持部材と、前記本体の前記下端を取り外し可能に封止するように構成された下側キャップと、前記本体内の液体と、を備える、ことを特徴とする。本方法で提供される容器は、本明細書に開示される容器のいずれであってもよい。いくつかの実施形態では、液体は緩衝液を含む。
【0043】
工程502では、少なくとも1つのサンプリング溝部が生物学的試料内にあるように、サンプリングピンの先端が生物学的試料内に挿入される。いくつかの実施形態では、生物学的試料は糞便試料である。
【0044】
工程503において、サンプリングピンを生物学的試料から除去し、それによって、少なくとも1つのサンプリング溝部内に生物学的試料の一部を収集する。少なくとも1つのサンプリング溝部は、格納される所定量の試料を保持するのに適したサイズを有するように構成された内部容積を有することができる。
【0045】
工程504では、本体の上端を上側キャップで密封し、それによって、サンプリングピンの先端が液体に沈められ、それによって、生物学的試料の一部が保管される。いくつかの実施形態では、本体が上述のような内部フランジを含む。ある態様では、上側キャップによる本体のシーリングがサンプリングピンの先端部を内部フランジに通すことを含む。このようにして、内部フランジは試料採取ピンから生物学的試料の部分の過剰量を除去するように作用することができ、過剰量は、試料採取ピンに取り付けられ、少なくとも1つの試料採取溝部の場合には内部にない生物学的試料の部分である。したがって、内部フランジによって除去された余分な試料部分は、容器本体の上部内で仕切ることができる。内部フランジによって除去されない試料部分は、容器本体の下部の液体に貯蔵される所定量の試料に対応する。
【0046】
前述の開示は理解を明確にする目的で、例示及び例としていくらか詳細に記載されているが、当業者は特定の変更及び修正が添付の特許請求の範囲内で実施され得ることを理解するのであろう。さらに、本明細書中に提供される各文献は各文献が個々に参考として援用された場合と同じ程度に、その全体が参考として援用される。本出願と本明細書に提供される文献との間に矛盾が存在する場合は、本出願が優先するものとする。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】