(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】関節接合端部を備えた内視鏡器具のシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 1/018 20060101AFI20220111BHJP
【FI】
A61B1/018 515
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021525724
(86)(22)【出願日】2019-11-13
(85)【翻訳文提出日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 US2019061295
(87)【国際公開番号】W WO2020102436
(87)【国際公開日】2020-05-22
(32)【優先日】2018-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514136646
【氏名又は名称】インタースコープ, インク.
【氏名又は名称原語表記】INTERSCOPE, INC.
【住所又は居所原語表記】200 Commerce Dr, 2nd Floor Northbridge, MA 01534 (US).
(74)【代理人】
【識別番号】100136630
【氏名又は名称】水野 祐啓
(74)【代理人】
【識別番号】100201514
【氏名又は名称】玉井 悦
(72)【発明者】
【氏名】ライアン, ジュニア, ジェフリー ビー.
(72)【発明者】
【氏名】リビー, コーリー
(72)【発明者】
【氏名】エバンズ, スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ケイシー, ネイサン
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA04
4C161FF43
4C161GG15
(57)【要約】
内視鏡器具は、近位チュービング端から遠位チュービング端まで延伸する外側チュービングと、外側チュービングを介して延伸する柔軟性トルク要素と、関節接合アセンブリと、エンドエフェクターとを含む。関節接合アセンブリは、遠位チュービング端に結合され、また、複数のセグメントと、近位制御端から複数のセグメントに結合された遠位制御端まで延伸する少なくとも1つの制御部材とを含む。制御部材は、近位制御端における制御入力の受け取りに応答して、複数のセグメントのうち少なくとも1つのセグメントの配向を操作する。エンドエフェクターは、柔軟性トルク要素の遠位端に結合されており、少なくとも1つのセグメントの配向の操作が、外側チュービングに対するエンドエフェクターの配向を制御すると共に、柔軟性トルク要素の回転が、外側チュービングに対するエンドエフェクターの回転の角度を制御する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡システムであって、
内視鏡であって、器具チャンネルまたは当該内視鏡に結合された外部シースの少なくとも一方を含むと共に、前記器具チャンネルまたは前記外部シースの前記少なくとも一方に沿って長手方向軸を画定する内視鏡と;
前記器具チャンネルまたは前記外部シースの前記少なくとも一方を介して挿入されるよう構成された内視鏡器具とを含み、当該内視鏡器具が:
近位チュービング端から遠位チュービング端まで延伸する外側チュービングと;
前記外側チュービングを介して延伸すると共に、柔軟性トルクワイヤまたは柔軟性トルクコイルの少なくとも一方を含む柔軟性トルク要素と;
前記外側チュービングの前記遠位チュービング端に結合されると共に、複数のセグメントと、近位制御端から前記複数のセグメントに結合された遠位制御端まで延伸する少なくとも1つの制御部材とを含んだ関節接合アセンブリであって、当該少なくとも1つの制御部材は、前記近位制御端における制御入力の受け取りに応答して、前記複数のセグメントのうち少なくとも1つのセグメントの配向を操作するよう構成された、関節接合アセンブリと;
前記柔軟性トルク要素の遠位端に結合されたエンドエフェクターであって、前記少なくとも1つのセグメントの前記配向の操作が、前記内視鏡の前記長手方向軸に対する前記エンドエフェクターの配向を制御すると共に、前記柔軟性トルク要素の回転が、前記エンドエフェクターのエフェクター軸に対する前記エンドエフェクターの回転の角度を制御する、エンドエフェクターとを含む、内視鏡システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの制御部材は、前記内視鏡の前記長手方向軸に対する前記複数のセグメントのうち少なくとも2つの自由度を操作することによって、前記少なくとも1つのセグメントの前記配向を操作するよう構成されている、請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項3】
前記エンドエフェクターは、前記外部シースの前記器具チャンネルの前記少なくとも一方の出口を超えて延伸するスネアまたは切断部材の少なくとも一方を含む、請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項4】
前記関節接合アセンブリの遠位端に結合された外側切断器をさらに含み、当該外側切断器が切断窓を画成し、前記エンドエフェクターは、前記柔軟性トルク要素の近位端に結合された駆動アセンブリによる前記柔軟性トルク要素の作動に応答して、前記外側切断器内で回転するよう構成された内側切断器を含む、請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの制御部材は、前記内視鏡の前記長手方向軸に対する前記切断窓の配向を制御するよう構成されている、請求項4に記載の内視鏡システム。
【請求項6】
前記近位吸引端から前記エンドエフェクターに近位の遠位吸引端まで前記外側チュービングを介して延伸する吸引チャンネルをさらに含み、前記エンドエフェクターによって受け取られた物質は、前記近位吸引端に印加された真空力に応答して、前記遠位吸引端から前記近位吸引端まで前記外側チュービングを介して移動する、請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項7】
前記外部シースが、前記内視鏡の外壁の周りに延伸している、請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項8】
前記エンドエフェクターの前記配向の目標値を示す第1制御入力を受け取り、前記エンドエフェクターを回転させるための命令を示す第2制御入力を受け取り、前記第1制御入力および前記第2制御入力に応答して、前記柔軟性トルク要素に前記エンドエフェクターを回転させつつ、前記少なくとも1つの制御部材に、前記少なくとも1つのセグメントを操作させるよう構成された1つまたは複数のプロセッサをさらに含む、請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項9】
前記関節接合アセンブリを所定の配向に固定するため、前記少なくとも1つの制御部材の運動を制限するよう構成されたロッキングアセンブリをさらに含む、請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの制御部材は、複数の制御ワイヤを含む、請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項11】
前記複数のセグメントは、それぞれ、電気活性ポリマー、形状記憶合金、電磁コイル、または永久磁石の少なくとも1つを含み、前記少なくとも1つの制御部材は、前記少なくとも1つのセグメントの形状を制御するため電界または磁界の少なくとも一方を出力するよう構成されている、請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項12】
内視鏡の器具チャンネルまたは当該内視鏡の外部シースの少なくとも一方を介して挿入されるよう構成された内視鏡器具であって:
近位チュービング端から遠位チュービング端まで延伸する外側チュービングと;
前記外側チュービングを介して延伸すると共に、柔軟性トルクワイヤまたは柔軟性トルクコイルの少なくとも一方を含む柔軟性トルク要素と;
前記外側チュービングの前記遠位チュービング端に結合されると共に、複数のセグメントと、近位制御端から前記複数のセグメントに結合された遠位制御端まで延伸する少なくとも1つの制御部材とを含んだ関節接合アセンブリであって、当該少なくとも1つの制御部材は、前記近位制御端における制御入力に応答して、前記複数のセグメントのうち少なくとも1つのセグメントの配向を操作するよう構成された、関節接合アセンブリと;
前記柔軟性トルク要素の遠位端に結合されたエンドエフェクターであって、前記少なくとも1つのセグメントの前記配向の操作が、前記外側チュービングに対する前記エンドエフェクターの配向を制御すると共に、前記柔軟性トルク要素の回転が、前記外側チュービングに対する前記エンドエフェクターの回転の角度を制御する、エンドエフェクターとを含む、内視鏡器具。
【請求項13】
前記複数のセグメントが、閾値剛性を上回る剛性を備えた複数の第1セグメントと、前記閾値剛性を下回る剛性を備えた複数の第2セグメントと、前記複数の第2セグメントは、前記複数の第1セグメントと交互に設けられている、請求項12に記載の内視鏡器具。
【請求項14】
前記複数のセグメントのそれぞれが、当該複数のセグメントの隣接するセグメントに面する角度付き表面を含み、前記少なくとも1つの制御部材が、前記複数のセグメントの1つまたは複数のセグメントに結合された複数のワイヤを含み、前記複数のワイヤの1つまたは複数のワイヤに張力を前記制御入力として選択的にかけることが、前記複数のセグメントの前記少なくとも1つセグメントの前記配向を少なくとも2軸で制御する、請求項12に記載の内視鏡器具。
【請求項15】
前記複数のセグメントのそれぞれが、当該複数のセグメントの隣接するセグメントに面する丸み付き表面を含み、前記少なくとも1つの制御部材が、前記複数のセグメントの1つまたは複数のセグメントに結合された複数のワイヤを含み、前記複数のワイヤの1つまたは複数のワイヤに張力を前記制御入力として選択的にかけることが、前記複数のセグメントの前記少なくとも1つセグメントの前記配向を少なくとも2軸で制御する、請求項12に記載の内視鏡器具。
【請求項16】
前記複数のセグメントは、それぞれ、電気活性ポリマー、形状記憶合金、電磁コイル、または永久磁石の少なくとも1つを含み、前記少なくとも1つの制御部材は、前記少なくとも1つのセグメントの形状を制御するため電界または磁界の少なくとも一方を出力するよう構成されている、請求項12に記載の内視鏡器具。
【請求項17】
前記エンドエフェクターは、前記外部シースの前記器具チャンネルの前記少なくとも一方の出口を超えて延伸するスネアまたは切断部材の少なくと一方を含む、請求項12に記載の内視鏡器具。
【請求項18】
前記関節接合アセンブリの遠位端に結合された外側切断器をさらに含み、当該外側切断器が切断窓を画成し、前記エンドエフェクターは、前記柔軟性トルク要素の近位端に結合された駆動アセンブリによる前記柔軟性トルク要素の作動に応答して、前記外側切断器内で回転するよう構成された内側切断器を含む、請求項12に記載の内視鏡器具。
【請求項19】
内視鏡器具のエンドエフェクターを制御するための方法であって:
内視鏡の器具チャンネルまたは当該内視鏡に結合された外部シースの少なくとも一方を介して前記内視鏡器具を用意する段階であって、前記内視鏡の遠位端は被験者体内の部位の近傍に配置される、用意する段階と;
前記エンドエフェクターに関節運動させて前記被験者体内の前記部位で物質に接触させる配向を決定する段階と;
前記内視鏡器具の関節接合アセンブリに前記エンドエフェクターを前記配向まで移動させるため、第1制御入力を前記内視鏡器具の少なくとも1つの制御部材に前記配向に基づいて与える段階と;
前記エンドエフェクターに結合された柔軟性トルク要素に第2制御入力を与える段階であって、当該第2制御入力に応答して前記エンドエフェクターに前記物質と相互作用させる、与える段階とを含む、方法。
【請求項20】
前記関節接合アセンブリを前記配向に固定するために、ロッキングアセンブリを作動して前記少なくとも1つの制御部材の運動を制限する段階をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本開示は、2018年11月13日付けで提出された「関節接合端部を備えた内視鏡器具のシステムおよび方法(SYSTEMS AND METHODS OF ENDOSCOPIC INSTRUMENTS WITH ARTICULATING END)と題した米国仮特許出願第62/760,344号の利益および優先権を主張し、その開示はその全体をここに引用して援用する。
【背景技術】
【0002】
結腸癌は米国において三番目の癌の原因であるが、癌関連の二番目の死亡原因である。結腸癌は、米国人口のうち35%もの割合で発生する既存の結腸ポリープ(脂肪腫)から発生する。結腸ポリープは、良性、前癌性、および癌性のいずれかでありうる。結腸鏡検査は、世界中で発病率が増加している結腸癌の優れた判別検査ツールであると広く考えられている。文献によれば、結腸鏡検査の判別検査における1%の増加は、結腸癌発病率の3% の減少に繋がる。結腸鏡検査に対する現在の需要は、医療制度が適切な判別検査を行う能力を超えている。過去数十年における結腸癌の判別検査の増加にもかかわらず、該当する人口の55%しか判別検査を受けておらず、推奨されている80%には遠く及ばないため、数百万人の患者が危険にさらされている。
【0003】
適切な資源の欠如によって、結腸鏡検査を行う操作者は、典型的には最も大きいポリープだけしか標本として採取せず、将来的に結腸鏡検査を行う前に結腸癌に転化しうる小型で検出可能性がより低いポリープを残してしまうことで患者に関して標本偏差を引き起こす。この標本偏差のおかげで、標本採取されたポリープから陰性の結果が得られたとしても、患者が本当に癌を患っていないことを保証するものではない。既存のポリープ切除技法は精度を欠き、厄介で長時間を要する。
【0004】
現時点では、結腸ポリープの切除には、内視鏡内に形成された作業チャンネルを介して患者の体内に導入されるスネアを使用する。スネアの先端部がポリープの茎の周りに掛けられ、ポリープを結腸壁から切断する。切断が終了すると、切断されたポリープは、操作者により標本として取り出されるまで患者の腸壁に置かれる。この標本を取り出すには、まずスネアを内視鏡から取り除き、生検鉗子または吸引力を内視鏡の同じチャンネルを介して送り込んでこの標本を取り出す。
【発明の概要】
【0005】
この発明の概要は、詳細な説明で後にさらに説明するいくつかの概念を単純化した形式で導入することを意図している。この発明の概要は、請求項に記載した主題の重要または必須の特徴を示すことを意図したものではなく、請求項に記載した主題の範囲を限定することを意図したものでもない。また、請求項に記載した主題は、いかなる、または、あらゆる利点を提供する実装例や、従来技術の問題のいかなる、または、すべてを解決する実装例に限定されない。
【0006】
患者から無茎性ポリープを患者から正確に除去でき、複数ポリープの標本を効率的に採取できる改良型内視鏡器具が提供される。特に、前記改良型内視鏡器具は、別の切断工具および別の標本回収工具を交互に使用することなく、1つまたは複数のポリープのデブリードマンを行いかつ前記デブリードマンを行ったポリープを回収できる。この標本採取は結腸鏡検査と統合できる。いくつかの実装例では、前記内視鏡器具は患者体内から組織を切断しかつ除去できる。こうしたいくつかの実装例では、前記内視鏡器具は、軟性内視鏡を介してアクセスした患者体内から実質的に同時に組織を切断しかつ除去できる。いくつかの実装例では、前記内視鏡用具の遠位端は関節運動でき、前記改良型内視鏡器具が、蛇行状経路における到達困難な幾何学的構造から標本をより効果的に除去することが可能になる。
【0007】
少なくとも一側面は内視鏡システムに関する。内視鏡システムは、内視鏡と内視鏡器具とを含むことができる。内視鏡は、器具チャンネル、内視鏡に結合される外部シース、またはそれら両方を含むことができる。内視鏡器具は、器具チャンネルまたは外部シースから内部に挿入できる。内視鏡器具は、近位チュービング端から遠位チュービング端まで延伸する外側チュービングを含むことができる。内視鏡器具は、外側チュービングを介して延伸する柔軟性トルク要素を含むことができる。柔軟性トルク要素は、柔軟性トルクワイヤまたは柔軟性トルクコイルの少なくとも一方を含むことができる。関節接合アセンブリは、外側チュービングの遠位チュービング端に結合でき、また、複数のセグメントと、近位制御端から複数のセグメントに結合された遠位制御端まで延伸する少なくとも1つの制御部材とを含むことができる。少なくとも1つの制御部材は、近位制御端における制御入力の受け取りに応答して、複数のセグメントのうち少なくとも1つのセグメントの配向を操作できる。内視鏡器具は、柔軟性トルク要素の遠位端に結合されたエンドエフェクターを含み、少なくとも1つのセグメントの配向を操作することによって、内視鏡の長手方向軸に対するエンドエフェクターの配向を制御できると共に、柔軟性トルク要素の回転が、エンドエフェクターのエフェクター軸に対するエンドエフェクターの回転の角度を制御できる。この配向の操作は、エフェクターの姿勢(例えば、位置および配向)の操作を含むことができる。よって、この内視鏡器具を用いて、蛇行状経路を通過した後であっても、エンドエフェクターを広い範囲の配向および位置へ関節運動させることができる。
【0008】
少なくとも一側面は内視鏡器具に関する。内視鏡器具は、近位チュービング端から遠位チュービング端まで延伸する外側チュービングを含むことができる。内視鏡器具は、外側チュービングを介して延伸する柔軟性トルク要素を含むことができる。柔軟性トルク要素は、柔軟性トルクワイヤまたは柔軟性トルクコイルの少なくとも一方を含むことができる。関節接合アセンブリは、外側チュービングの遠位チュービング端に結合でき、また、複数のセグメントと、近位制御端から複数のセグメントに結合された遠位制御端まで延伸する少なくとも1つの制御部材とを含むことができる。少なくとも1つの制御部材は、近位制御端における制御入力の受け取りに応答して、複数のセグメントのうち少なくとも1つのセグメントの配向を操作できる。内視鏡器具は、柔軟性トルク要素の遠位端に結合されたエンドエフェクターを含むことができ、少なくとも1つのセグメントの配向の操作が、外側チュービングに対するエンドエフェクターの配向を制御すると共に、柔軟性トルク要素の回転が、外側チュービングに対するエンドエフェクターの回転の角度を制御する。
【0009】
少なくとも一側面は、内視鏡器具のエンドエフェクターを制御するための方法に関する。この方法は、内視鏡の器具チャンネルまたは当該内視鏡に結合された外部シースの少なくとも一方を介して内視鏡器具を用意する段階であって、内視鏡の遠位端は被験者体内の部位の近傍に配置される、用意する段階と;エンドエフェクターに関節運動させて被験者体内の部位で物質に接触させる配向を決定する段階と;内視鏡器具の関節接合アセンブリにエンドエフェクターを上記の配向まで移動させるため、第1制御入力を内視鏡器具の少なくとも1つの制御部材にこの配向に基づいて与える段階と;エンドエフェクターに結合された柔軟性トルク要素に第2制御入力を与える段階であって、当該第2制御入力に応答してエンドエフェクターに物質と相互作用させる、与える段階とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示は例示的に示したものであり、添付図面を参照して説明する。
【
図1】
図1は、体内で形成しうる様々な種類のポリープを示す。
【
図2】
図2は、本開示の実施形態による改良型内視鏡器具の分解組立図である。
【
図4】
図4Aは、本開示の実施形態による内視鏡器具の関節接合アセンブリの透視図を示す。
図4Bは、
図4Aの関節接合アセンブリの断面図である。
図4Cは、関節運動した形状の
図4Aの関節接合アセンブリの側面図である。
図4Dは、切断アッセンブリに結合された
図4Aの関節接合部分の側面図である。
【
図5】
図5Aは、本開示の実施形態による内視鏡器具の関節接合アセンブリの透視図を示す。
図5Bは、
図5Aの関節接合アセンブリの側面図である。
図5Cは、関節運動した形状の
図5Aの関節接合アセンブリの側面図である。
図5Dは、切断アッセンブリに結合された
図5Aの関節接合アセンブリの側面図である。
【
図6】
図6Aは、本開示の実施形態による内視鏡器具の関節接合アセンブリの透視図を示す。
図6Bは、
図6Aの関節接合アセンブリの断面図である。
図6Cは、関節運動した形状の
図6Aの関節接合アセンブリの断面図である。
図6Dは、切断アッセンブリに結合された
図6Aの関節接合アセンブリの側面図である。
【
図7】
図7Aは、本開示の実施形態による内視鏡器具の関節接合アセンブリの透視図を示す。
図7Bは、
図7Aの関節接合アセンブリの導体とセグメントの結合の概略図である。
図7Cは、
図7Aの関節接合アセンブリのセグメントの詳細図である。
図7Dは、
図7Aの関節接合アセンブリの1つのセグメントの詳細図である。
図7Eは、関節運動した形状の
図7Aの関節接合アセンブリの側面図である。
図7Fは、切断アッセンブリに結合された
図7Aの関節接合アセンブリの側面図である。
【
図8】
図8は、関節接合アセンブリを含む内視鏡システムの概略図である。
【
図9】
図9は、内視鏡器具を制御するための方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書で記載する技術は、患者から単一および複数のポリープならびに新生物の標本を正確かつ効率的に採取できる改良型の軟性内視鏡器具に関する。特に、この改良型内視鏡器具は、蛇行状経路を介して到達する治療部位を含む、患者の体内の治療部位からこの内視鏡器具を除去することなく、1つまたは複数のポリープから標本のデブリードマンを行いかつデブリードマンを行った標本を取り出すことができる。
【0012】
図1は、体内で形成しうる様々な種類のポリープを示す。ほとんどのポリープはスネアポリープ切除術によって除去できるが、特に大型のポリープおよび/または無茎性もしくは平坦ポリープは生検鉗子で断片的に、または内視鏡的粘膜切除術(EMR)を用いて一括して除去しなければならない。ある最近の研究は、陥凹型無茎性ポリープ(depressed sessile polyps)が、悪性病変を保持する割合が33%と最も高いと結論づけている。同じ研究では、非ポリープ状の腫瘍性病変(無茎性ポリープ)が、ポリープを持つ患者の22%または大腸鏡検査を受けた全患者の10%を占めていたことも発見された。結腸ポリープの切除には多くの障害が存在し、具体的には、無茎性ポリープを除去する際の困難性、多数のポリープの除去に要する時間、2つ以上のポリープの切除に対する償還差額(reimbursement differential)の欠如である。到達が困難な無茎性ポリープを切除するのは難題であり、複数のポリープは患者一人にかかる時間が増えるので、ほとんどのポリープはその大きさが増えるにつれ組織が残された状態で断片的に除去されることになり、残った組織の病理が解明されないという標本偏差の一因となり、偽陰性率の増加につながってしまう。
【0013】
結腸鏡検査は完璧な判別検査ツールではない。現在の結腸鏡検査の実施では、内視鏡操作者は、最大のポリープ(有柄性ポリープ(stalked polyps))を除去して、検出および到達が困難な無茎性/平坦ポリープを残すことで患者を標本偏差に曝すことになってしまう。無茎性ポリープは、現在の技法では内視鏡的に除去することは極めて困難か不可能であり、しばしば取り残されてしまう。現在の医療では推定で有柄性ポリープの28%および無茎性(平坦)ポリープの60%が検出、生検、または除去されず、これが標本偏差と結腸鏡判別検査の6%の偽陰性率につながっている。ポリープ切除用の現在の結腸鏡検査器具は、無茎性ポリープを適切に除去できないことおよび多数のポリープを完全に除去する際の非能率によって制限を受けている。臨床文献によれば、10mmより大きい無茎性ポリープは悪性の危険度がより高い。不完全な切除後に残された無茎性ポリープの断片は新たなポリープに成長し、悪性の危険が継続する。
【0014】
最近では、内視鏡的粘膜切除術(EMR)が、無茎性ポリープを除去するために採用されてきた。EMRには、注射液を使用して周囲の粘膜を持ち上げた後、スネアを広げてポリープを切り、最後に生検鉗子または取り出し器具を用いてポリープを除去することが含まれる。概ね5.2フィートの結腸鏡の全長を介した注射針およびスネアの導入および除去は、鉗子について繰り返し行う必要がある。
【0015】
本開示は、現世代の結腸鏡と連動し、任意のポリープを切断し除去できる柔軟な電動器具を導入することで、スネア、ホットバイオプシー、およびEMRを含む既存のポリープ除去用具の革新的な代替物を送出できる内視鏡用具に関する。本明細書で記載した内視鏡用具は、医師による無茎性または大型ポリープへの処置が向上し、多数のポリープをかなり短い時間で除去可能とするように設計できる。本明細書で記載した内視鏡用具を採用することで、医師は、結腸直腸癌をより効率的に早期診断できるようになる。
【0016】
本開示は、図面と組み合わせて読まれるべき次の記載を介すれば完全に理解されるはずである。この記載では、類似の番号は、本開示の様々な実施形態においても類似の要素を示す。この記載において、請求項は実施形態に関連して説明する。当業者であれば、本明細書に記載された方法、装置、およびシステムは例示的なものにすぎず、本開示の趣旨と範囲を逸脱することなく変更可能であることは容易に理解するはずである。
【0017】
A. 内視鏡器具
図面を再び参照すると、
図2には、本開示の実施形態による内視鏡用具100(例えば、内視鏡器具)が図示されている。内視鏡用具100は、引用して本明細書にその全体を援用する米国特許出願第15/459,870号に記載された様々な内視鏡用具に類似のものでよい。
【0018】
内視鏡器具100は、患者からポリープおよび新生物の標本を採取するよう構成できる。内視鏡用具100は、トルク源(例えば、内視鏡用具100の駆動アセンブリまたは駆動シャフトに結合されたモーター)によって回転されるように構成できる。内視鏡用具100は、被験者内の部位(例えば、被験者の結腸、食道、肺内の部位)内に洗浄流体を流入させるように構成できる。内視鏡用具100は、被験者体内の部位で物質を切除するよう構成できる。内視鏡用具100は、被験者体内の部位で切除された物質の標本を採取するための吸入チャンネルを介して吸引力を与えるよう構成できる。いくつかの他の実装例では、内視鏡用具100は、内視鏡の器具チャンネルなどの器具チャンネルに挿入されるよう構成できる(例えば、結腸鏡等の胃鏡、喉頭鏡、または他の任意の軟性内視鏡)。
【0019】
内視鏡用具100は、近位コネクタ110および柔軟性トルク送出アセンブリ200を含む。近位コネクタ110は、内視鏡用具150の駆動アセンブリ100(例えば、回転エネルギー源により回転されるよう構成された駆動シャフトを含む駆動アセンブリ)を内視鏡用具100の柔軟性トルク送出アセンブリに結合するように構成されている。いくつかの実装例では、近位コネクタ110は、駆動アセンブリ150が結合される第1コネクタ端部114と、柔軟性トルク送出アセンブリ200が結合される第2コネクタ端部118とを含む。第1コネクタ端部114は、内部で駆動アセンブリ150を収容できる開口部を形成する内壁116を含むことができる。例えば、いくつかの実装例では、近位コネクタ110を用いて駆動アセンブリ150を外科コンソールの駆動シャフトに接続できる。近位コネクタ110は駆動伝達アセンブリ122を含む。駆動伝達アセンブリ122は、駆動アセンブリ150に作動的に結合され、駆動アセンブリ150の回転時に駆動アセンブリ150からトルクを受け取り、柔軟性トルク送出アセンブリ200を回転させるために柔軟性トルク送出アセンブリ200にそのトルクを伝達するよう構成されている。いくつかの実装例では、駆動アセンブリ150、駆動伝達アセンブリ122、および柔軟性トルク送出アセンブリ200の少なくとも一部は同軸となっている。例えば、駆動伝達アセンブリ122は駆動軸102に沿って駆動アセンブリ150に係合でき、駆動伝達アセンブリ122は、柔軟性トルク送出アセンブリ200の近位端202において駆動軸102に沿って柔軟性トルク送出アセンブリ200に係合できる。柔軟性トルク送出アセンブリを回転させると、当該柔軟性トルク送出アセンブリが当該柔軟性トルク送出アセンブリの一つにおいて構成要素(内側カニューレなど)を回転させることにもなることは理解すべきである。
【0020】
いくつかの実装例では、駆動伝達アセンブリ122は、駆動アセンブリ150から柔軟性トルク送出アセンブリ200に伝達される方向および/またはトルクを制御するためのギヤ、ベルト、または他の駆動構成要素を含む。例えば、そうした駆動構成要素は、柔軟性トルク送出アセンブリ200の回転軸を変更するため互いに対して角度を付けて位置決めでき、或いは、駆動軸102に対する柔軟性トルク送出アセンブリ200の回転軸を移すため互いからオフセットさせてもよい。
【0021】
いくつかの実装例では、駆動アセンブリ150は駆動係合部材152を含む。駆動係合部材152は、駆動アセンブリ150を回転エネルギー源に係合させるよう構成されている(例えば、外科コンソールのコンソール駆動アセンブリなどのモーターにより回転される駆動装置)。駆動係合部材152は、コンソール駆動アセンブリに固定的かつ/または強固に接続されるよう構成できるので、駆動係合部材152はコンソール駆動アセンブリと同調して回転する。例えば、
図2に示したように、駆動係合部材152は、コンソール駆動アセンブリに係合する(例えば、ロックする、噛み合う、固定係合する、摩擦係合するなど)よう構成された結合部材(例えば、六角結合部材、ピン結合部材など)を含む近位駆動端154を含む。従って、コンソール駆動アセンブリの回転が、駆動係合部材152を回転させる。
【0022】
いくつかの実装例では、駆動アセンブリ150は、駆動係合部材152の回転を駆動伝達アセンブリ122に伝達するよう構成された1つまたは複数のシャフト部材156を含む。いくつかの実装例では、駆動伝達アセンブリ122は、1つまたは複数のシャフト部材156を含む。シャフト部材156は、駆動アセンブリまたはその構成要素の回転により発生する熱から駆動アセンブリ150の構成要素を断熱するよう構成された断熱部材156a(例えば、熱シース、熱収縮など)含むことができる。シャフト部材156は切断器156bを含むことができる。シャフト部材156は、本明細書で記載した他のトルクコイルに類似したシャフトトルクコイル156cを含むことができる。いくつかの実装例では、シャフト部材156はシャフトトルクロープを含むことができる。シャフト部材156はシャフトチューブ156dを含むことができる。シャフトチューブ152dは、駆動係合部材152の比較的大きい半径(例えば、駆動係合部材152をコンソール駆動アセンブリに係合させることによって、駆動シャフトまたは他の回転エネルギー源からの回転エネルギーを受け取りやすくする比較的大きい半径)より小さい半径を有することができる。例えば、シャフトチューブ156dは、駆動伝達アセンブリ122および/または柔軟性トルク送出アセンブリ200の半径により一致するよう比較的小さくできる。いくつかの実装例では、駆動伝達アセンブリ122および/または柔軟性トルク送出アセンブリ200で受け取られるトルクは、駆動係合部材152の半径とシャフトチューブ156dの半径との間の半径の変化に対応するように修正(例えば、増大)させることができる。
【0023】
いくつかの実装例では、切断アセンブリ201は、外側カニューレと、当該外側カニューレ内に配置された内側カニューレとを含むことができる。この外側カニューレは、切除すべき物質が切断アセンブリ201に入る際に通過する開口部208を形成できる。いくつかの実装例では、開口部208は、外側カニューレの半径方向壁の一部を貫通して形成されている。いくつかの実装例では、この開口部208は、外側カニューレの半径の一部のみ、例えば半径方向壁の円周の最大3分の1を延伸するようにしてよい。吸入チャンネルは真空ポート(例えば、真空ポート126)と開口部208との間を延伸しているので、真空ポートで吸引力を掛けると開口部208で吸引力が掛けられることになる。この吸引力によって物質が外側カニューレの開口部または切断ウィンドウ内に導入され、次に切断アセンブリ201の内側カニューレにより切断可能となる。
【0024】
この内側カニューレは、開口部208に隣接して配置されるように構成された切断部を含むことができ、開口部208を介して切断アセンブリ201に入る切除対象の物質は内側カニューレの切断部によって切除できる。内側カニューレは中空でよく、内側カニューレの内壁は、内視鏡用具の全長にわたり延伸可能な吸入チャンネルの一部を形成できる。内側カニューレの遠位端は、切断部を含むことができる一方、内側カニューレの近位端は開口させることができ、切断部を介して内側カニューレの遠位端に入る物質は、内側カニューレの近位端を通過できる。いくつかの実装例では、内側カニューレの遠位端は、外側カニューレの遠位端の内側表面と接触できる。これによって、いくつかの実装例では、内側カニューレが、概ね長手方向軸に沿って外側カニューレに対して回転でき、内側カニューレの回転時に内側カニューレをより安定させる。いくつかの実装例では、開口部の大きさが、内側カニューレにより切断または切除される物質の大きさを決定できる。よって、開口部の大きさは、柔軟性トルクコイルの内周により形成される吸入チャンネルのサイズに部分的に基づいて決定されうる。
【0025】
内視鏡用具100は、柔軟性トルクコイル212を含むことができ、当該柔軟性トルクコイル212は、その遠位端において内側カニューレの近位端に結合するよう構成されている。この柔軟性トルクコイルは、多数のスレッドおよび多数の層を備えた微細なコイルを含み、これが柔軟性トルクコイルの一端の回転を柔軟性トルクコイルの反対端に伝えることができる。この柔軟性トルクコイルのスレッドの層それぞれは、そのスレッドの層に隣接するスレッドの層それぞれが巻かれている方向とは反対方向に巻くことができる。いくつかの実装例では、この柔軟性トルクコイルは、時計回り方向に巻かれた第1のスレッドの層と、反時計回りに巻かれた第2のスレッドの層と、時計回り方向に巻かれた第3のスレッドの層とを含むことができる。いくつかの実装例では、第1のスレッドの層は、第2のスレッドの層によって第3のスレッドの層から分離されている。いくつかの実装例では、各スレッドの層は、1つまたは複数のスレッドを含むことができる。いくつかの実装例では、これらスレッドの層は、異なる材料製としたり、厚さ、長さなどの異なる特徴を備えたりすることができる。
【0026】
トルクコイル212の柔軟性により、コイルは、トルクコイル212の曲がった部分でも性能を維持できる。柔軟性トルクコイル212の例としては、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンタアナ所在のアサヒ・インテック・ユーエスエー社(ASAHI INTECC USA, INC)製のトルクコイルが含まれる。いくつかの実装例では、柔軟性トルクコイル212はシースまたはライニング(例えば、シース214)で囲んで、柔軟性トルクコイル212の外側表面と他の表面との摩擦接触を避けることができる。いくつかの実装例では、柔軟性トルクコイル212は、ポリテトラフルオロエチレン(PFTE)で被覆して、柔軟性トルクコイル212の外側表面と他の表面との摩擦接触を減少させることができる。柔軟性トルクコイル212は、内視鏡用具が挿入される内視鏡の器具チャンネルの直径より小さい外径となるよう寸法決め、成形、または構成できる。例えば、いくつかの実装例では、この柔軟性トルクコイルの外径は、1~4ミリメートルの範囲内とすることができる。この柔軟性トルクコイルの長さは、内視鏡の長さを超えるように寸法決めできる。いくつかの実装例では、柔軟性トルクコイル212の内壁は、切断アセンブリ201の内側カニューレの内壁により形成された吸入チャンネルの部分に流体結合される吸入チャンネルの別の部分を形成するよう構成できる。柔軟性トルクコイル212の近位端は、近位コネクタ110に結合できる(例えば、近位コネクタ110の駆動伝達アセンブリ122など)。
【0027】
内視鏡用具100は、外側カニューレの近位端に結合可能な柔軟性外側チュービング206を含むことができる。いくつかの実装例では、柔軟性外側チュービング206の遠位端は、結合構成要素を用いて、外側カニューレの近位端に結合できる。いくつかの実装例では、外側カニューレは、柔軟性外側チュービングの回転に応答して回転するように構成できる。いくつかの実装例では、柔軟性外側チュービング206は、内視鏡用具100が挿入される内視鏡の器具チャンネルよりも小さい外径を備えた中空の編組チュービングとすることができる。いくつかの実装例では、柔軟性外側チュービング206の長さは、内視鏡の長さを超えるように寸法決めできる。柔軟性外側チュービング206は、柔軟性外側チュービング206の一部分が延伸する穴を形成できる。柔軟性外側チュービング206は、当該柔軟性外側チュービング206内に部分的に配置される柔軟性トルクコイルに対する柔軟性外側チュービング206の回転を促進する編組、スレッド、または他の特徴を含むことができる。この柔軟性外側チュービングは、被験者内の部位に流体を出力するための洗浄チャンネルの一部を形成できる。
【0028】
内視鏡用具100は、柔軟性外側チュービング206の近位端に結合するよう構成された回転結合器216を含むことができる。回転結合器216は、内視鏡用具の操作者が、回転結合器216に結合されたまたはその一体部分である回転タブ218を介して柔軟性外側チュービング206を回転できるよう構成してよい。回転タブ218を回転させることで、操作者は、柔軟性外側チュービングおよび外側カニューレを内視鏡の長手方向軸に沿ってかつ内視鏡および切断アセンブリ201の内側カニューレに対して回転できる。いくつかの実装例では、内視鏡が患者体内に留置された状態で、内視鏡器具が内視鏡に挿入されているときに、操作者は、外側カニューレを回転させたいと望むことがある。操作者が、外側カニューレの開口部を介して切除のために内視鏡器具に入る物質を見ることができるように、操作者は、外側カニューレを回転させて、開口部を、開口部が形成された外側カニューレの半径方向壁の部分が内視鏡のカメラに位置合わせできる位置に配置したいと望むことがある。これが可能になるのは、開口部が、外側カニューレの軸方向壁に形成された開口部でなく、外側カニューレの側部に延伸する半径方向壁に沿って形成されていることが部分的な理由である。
【0029】
いくつかの実装例では、回転結合器220の近位端216は、近位コネクタ110に流体結合でき、内視鏡用具100の洗浄チャンネルが、洗浄ポート134から柔軟性外側チュービング206を介して回転結合器216内まで通っている。洗浄ポート134において近位コネクタ110に入る洗浄流体は、被験者内の部位で出力されるように回転結合器216を通過できる。いくつかの実装例では、回転結合器216は、回転結合器216の遠位端222を回転結合器216の近位端220に対して回転可能とする回転ルアー構成要素でよい。こうすることで、柔軟性外側チュービング206が回転する際に、回転結合器216の近位端が結合された構成要素は回転されない。回転結合器216は、柔軟性トルクコイル212の一部がその内部を延伸する回転結合器216の中央部に沿った穴を形成できる。いくつかの実装例では、回転結合器216は、オス・オス回転ルアー結合器とすることができる。いくつかの実装例では、この回転結合器は、1200 psiまでの圧力を扱うよう構成できる。
【0030】
いくつかの実装例では、柔軟性トルク送出アセンブリ200は、吸引力を吸入チャンネルに掛けるために吸引源に流体結合するよう構成されている。吸入チャンネルにより、流体および物質(例えば、採取される標本)は、柔軟性トルク送出アセンブリ200の近位端202まで流動させるため、柔軟性トルク送出アセンブリ200の遠位端204内に吸い込むことができる。例えば、切断アセンブリ201が被験者内の部位から物質を切除するために使用された後、流体および物質を柔軟性トルク送出アセンブリ200内に吸い込む(例えば、吸引力によって移動させる)ため、真空圧を吸入チャンネルを介して印加できる。
【0031】
いくつかの実装例では、近位コネクタ110は、吸入用の吸引力を与えるための真空源に結合するよう構成されている。例えば、
図2に示したように、近位コネクタ110は真空ポート126(例えば、吸入ポート)を含む。真空ポート/吸入ポート126は、本明細書に記載された他の吸入ポートに類似していてもよい。真空ポート126は、内視鏡用具100の吸入チャンネルを真空源(例えば、真空源と内視鏡用具との間に検体受け器が配置された真空源)に流体結合するよう構成されている。真空ポート126は、内視鏡用具100の遠位端204に入る流体および物質を吸入チャンネルを介して真空源に向けて吸引するため、真空ポート126に印加された吸引力を吸入チャンネルに伝達するように構成されている。いくつかの実装例では、
図2で示したように、真空ポート126は、駆動軸102を(従って吸入チャンネルをも)横切るように配向された真空ポートチャンネルを130含む。これにより、近位コネクタ126および内視鏡用具110の操作に干渉することなく、検体受け器または真空源まで延伸する真空ポート100にチュービングを結合しやすくなる。さまざまな実装例では、真空ポートチャンネル130は、駆動軸102に対して様々な角度で配向できる。いくつかの実装例では、真空チュービング132を真空ポート126に結合できる。
【0032】
いくつかの実装例では、近位コネクタ110は、内視鏡用具100によって被験者内の部位まで出力される流体を提供するための流体源に結合するよう構成されている。例えば、
図2に示したように、近位コネクタ110は、流体源から流体を受け取るよう構成されると共に洗浄ポートチャンネル136を含んだ洗浄ポート134を含む。洗浄ポート134は、柔軟性トルク送出アセンブリ200の洗浄チャンネル(例えば、柔軟性外側チュービング206と柔軟性トルクコイル212との間に形成されると共に、柔軟性トルク送出アセンブリ200の遠位端204における開口部まで延伸する洗浄チャンネル)に流体結合されるよう構成されており、流体は近位コネクタ110から柔軟性トルク送出アセンブリ200を介して流動して被験者内の部位で出力される。いくつかの実装例では、この流体(例えば、洗浄流体)を用いて柔軟性トルク送出アセンブリ200を冷却できるが、これは回転または他の運動による摩擦によって発熱することがある。いくつかの実装例では、この流体を用いて被験者内の部位を洗浄できる。いくつかの実装例では、この流体は、内視鏡用具100の構成要素の互いに対する回転または他の運動を容易にするための潤滑効果をもたらす。いくつかの実装例では、洗浄ポート134は、流体移動装置または洗浄ポンプに結合するよう構成されている。洗浄ポート134は、洗浄流体を洗浄ポンプから受け取って、洗浄チャンネル内にその流体を移動させる。いくつかの実装例では、洗浄チャンネルは、洗浄ポート134および/または洗浄ポート134を流体源に接続するためのチュービングを含むよう形成されている。いくつかの実装例では、洗浄ポート134は、流体チュービング140によって流体源に結合できる。流体チュービング140は、流体チュービング140を流体源に接続するよう構成された結合部材144(例えば、排気型スパイク結合部材、非排気型スパイク結合部材など)に結合できる。
【0033】
B. 関節接合端部を備えた内視鏡器具のシステムおよび方法
既存の内視鏡用具システムには、被験者体内の部位からポリープおよび他の物質を切除するために回転可能な切断アセンブリを設けることができる。しかし、一定の使用事例または手順では、この切断アセンブリは、下層組織からのポリープの突出箇所に隣接したそのポリープの比較的大型部分などの、所望の物質を効果的に切除できないことがある。例えば、結腸、膵臓、または十二指腸の蛇行状経路(
図3を参照)では、カテーテルが標本部位に到達するにはいくつかの急角度の方向転換を必要とする。また、カテーテルから伸張する内視鏡器具の角度をさらに変更しようとすると、例えば柔軟性トルクコイルの損傷または破損によって、内視鏡器具の切断アセンブリの部分が回転する能力が制限されることがある。
【0034】
概して
図4A-9を参照すると、内視鏡システムは、内視鏡と内視鏡器具とを含むことができる。内視鏡は、器具チャンネル、内視鏡に結合される外部シース、またはそれら両方を含むことができる。内視鏡器具は、器具チャンネルまたは外部シースから内部に挿入できる。内視鏡器具は、近位チュービング端から遠位チュービング端まで延伸する外側チュービングを含むことができる。内視鏡器具は、外側チュービングを介して延伸する柔軟性トルク要素を含むことができる。柔軟性トルク要素は、柔軟性トルクワイヤまたは柔軟性トルクコイルの少なくとも一方を含むことができる。関節接合アセンブリは、外側チュービングの遠位チュービング端に結合でき、また、複数のセグメントと、近位制御端から複数のセグメントに結合された遠位制御端まで延伸する少なくとも1つの制御部材とを含むことができる。この少なくとも1つの制御部材は、近位制御端における制御入力の受け取りに応答して、複数のセグメントのうち少なくとも1つのセグメントの配向を操作できる。内視鏡器具は、柔軟性トルク要素の遠位端に結合されたエンドエフェクターを含み、少なくとも1つのセグメントの配向を操作することによって、内視鏡の長手方向軸に対するエンドエフェクターの配向を制御できると共に、柔軟性トルク要素の回転が、エンドエフェクターのエフェクター軸に対するエンドエフェクターの回転の角度を制御できる。この配向の操作は、エフェクターの姿勢(例えば、位置および配向)の操作を含むことができる。よって、この内視鏡器具を用いれば、蛇行状経路を通過した後であっても、エンドエフェクターを広い範囲の配向および位置へ関節運動させることができる。
【0035】
図4A-4Cをここで参照すると、本開示の一実施形態による内視鏡器具(例えば、内視鏡器具312)の関節接合アセンブリ400(例えば、関節接合アセンブリ)が図示されている。関節接合アセンブリ400は、内視鏡器具の切断アセンブリの近位でかつ/または切断アセンブリの少なくとも一部の周りに配置させることができる。関節接合アセンブリ400は、外側チュービング(例えば、外側チュービング206)の遠位端に結合させて、外側チュービングの回転が、関節接合アセンブリ400を回転させるようにできる。
【0036】
関節接合アセンブリ400は、複数の第2セグメント408と交互に設けられた複数の第1セグメントを含んでいる。第1セグメント404は柔軟性(compliant)としてもよいが、第2セグメント408は非柔軟性である。例えば、第2セグメント408は、閾値剛性を上回る剛性を備えることができる。関節接合アセンブリ400は、セグメント404および408のそれぞれを介して延伸する複数の制御ワイヤ412を含んでいる。いくつかの実施形態では、関節接合アセンブリ400は、4本の制御ワイヤ412を含み、これらはそれぞれ、関節接合アセンブリ400の円周に沿って概ね等距離で離間されている。制御ワイヤ412は、関節接合アセンブリ400を含む内視鏡器具の近位端から直接または間接的に制御してよい。いくつかの実施形態では、閾値剛性は、制御ワイヤ412にかけることができる公称張力または最大張力に対応しており、第1セグメント404は、制御ワイヤ412によってかけられた張力により変形する(例えば、圧縮されるなどして形状が変化しうる)一方で、第2セグメント408は、印加された張力により変形しない。
図4Cに示したように、制御ワイヤ412の1つまたは複数に張力をかけると、関節接合アセンブリ400を、1つまたは複数の制御ワイヤ412がどのように制御されるかに対応した方向に選択的に関節運動させることができる。そのため、2軸関節運動が可能である。
図4Dに示すように、関節接合アセンブリ400の関節運動によって、外側切断器454および内側切断器458を含む切断アセンブリ450(例えば、切断アセンブリ201に似た切断アセンブリ)を関節運動させることができ、これにより、切断アセンブリ450は、内視鏡器具の構成要素の損傷または機能低下のリスクを低減しながら、遠隔の標本部位により効果的に到達することができる。例えば、外側切断器454は、最遠位セグメント404(または、セグメント404、408の数および順序によっては最遠位セグメント408)に結合することができ、関節接合アセンブリ400の関節運動が、外側切断器454によって画成される切断窓456の操作を含む、外側切断器454の関節運動を可能にする。関節接合アセンブリ400がどのように制御されるかによっては、切断アセンブリ450の操作は、関節接合アセンブリ400が関節運動する間に(例えば、1つまたは複数の軸で配向が変化する間に)行ってもよいし、異なる時間に行ってもよい。
【0037】
図5A-5Cを参照すると、内視鏡器具の関節接合アセンブリ500を示す。関節接合アセンブリ500は、関節接合アセンブリ400の特徴を組み込むことができる。関節接合アセンブリ500は、複数の交互角度付きセグメント504を含んでおり、各対の隣接セグメント504間にギャップ508が設けられている。各ギャップ508の方向は、セグメント504を介して延伸する複数の制御ワイヤ412のそれぞれの相対位置に対応できる。よって、特定の制御ワイヤ412が引っ張られた状態にあるときは、対応する一対のセグメント504が、それらセグメント504間のギャップ508のため互いに向かって移動する。例えば、制御ワイヤ512aに張力が印加されると、セグメント504aおよび504bがギャップ508aの空間で互いに向かって動かされ、関節接合アセンブリ500が、対応する方向516に関節運動することになる。
図5A-5Cに示したように、複数のセグメント504は、4つのセグメント504を含むことができ、それぞれが、4本の制御ワイヤ512のそれぞれの制御ワイヤ512に対応する。このように、関節接合アセンブリ500は、2軸関節運動を可能とする。
図5Dに示すように、関節接合アセンブリ500の関節運動によって、外側切断器554および内側切断器558を含む切断アセンブリ550を関節運動させることができ、これにより、切断アセンブリ550は、内視鏡器具の構成要素の損傷または機能低下のリスクを低減しながら、遠隔の標本部位により効果的に到達することができる。
【0038】
図6A-6Cを参照すると、内視鏡器具の関節接合アセンブリ600を示す。関節接合アセンブリ600は、関節接合アセンブリ400および500の特徴を組み込むことができる。関節接合アセンブリ600は、複数の交互丸み付きセグメント604を含んでおり、各対の隣接セグメント604間にギャップ608が設けられる。複数の制御ワイヤ612のそれぞれを選択的に制御することで、関節接合アセンブリ500と似た様態で、関節接合アセンブリ600の関節運動616の2軸方向制御が可能となる。
図6A-6Cに示すように、各セグメント604は、隣接するセグメント604の間に複数のギャップ608を設けるように成形することができ、
図6Cに示すように、制御ワイヤ612aに張力をかけることで、セグメント604aおよび604bを互いに対して移動させ、また、セグメント604bおよび604cも互いに対して移動させて、関節運動616および関節運動620を可能にすることができる。すなわち、張力をかける制御ワイヤ612の選択により、2軸関節運動を可能にすることができる。
図6Dに示すように、関節接合アセンブリ600の関節運動によって、外側切断器654および内側切断器658を含む切断アセンブリ650を関節運動させることができ、これにより、切断アセンブリ650は、内視鏡器具の構成要素の損傷または機能低下のリスクを低減しながら、遠隔の標本部位により効果的に到達することができる。
【0039】
ここで
図7A-7Eを参照すると、関節接合アセンブリ700を示す。関節接合アセンブリ700は、関節接合アセンブリ400、500、および600の特徴を組み込むことができる。関節接合アセンブリ700は、複数のセグメント704を含み、それぞれが第1端および第2端を備えている。セグメント704は、柔軟性材料の周囲に設けられた電気活性ポリマーおよび/または電磁コイルなどの電気的に関節運動する材料で構成できる。
図7Aに示すように、セグメント704は、隣接するセグメント704が互いに約90度で相対的に配向されるように、互い違いの配向で配置することができる。関節接合アセンブリ700は、複数のセグメント704を介して延伸する複数の導体712(例えば、導線)を含んでいる。例えば、関節接合アセンブリ700は、4つの導体712(セグメント704の4つの可能な配向に対応する)を含むことが図示されている。
図7Bに示したように、導体712は、特定のセグメント704に所定の順序で結合させることができる。例えば、導体1は、遠位セグメント704から始まる交互のセグメント704に結合することができ、導体3は、近位セグメント704から始まる交互のセグメント704に結合することができ、導体2および4は、隣接するセグメント704の対に結合することができる。よって、電位導体712の各可能な対(例えば、1と2、1と4、2と3、3と4)は、所定のセグメント704に(例えば、4つの隣接するセグメント704にわたって交互に)結合することができ、特定の対の導体712を選択的に作動させることによって、特定のセグメント704を
図7Eに示したように形状変化させることができ、関節接合アセンブリ700を2軸で関節運動させることができる。
図7Fに示すように、関節接合アセンブリ700の関節運動によって、外側切断器754および内側切断器758を含む切断アセンブリ750を関節運動させることができ、これにより、切断アセンブリ750は、内視鏡器具の構成要素の損傷または機能低下のリスクを低減しながら、遠隔の標本部位により効果的に到達することができる。
【0040】
ここで
図8を参照すると、内視鏡システム800が図示されている。内視鏡システム800は、内視鏡用具100、関節接合アセンブリ400、関節接合アセンブリ500、関節接合アセンブリ600、関節接合アセンブリ700、またはそれらの様々な組み合わせの特徴を組み込むことができる。
【0041】
内視鏡システム800は、内視鏡804を含む。内視鏡804は、被験者内の部位に(例えば、
図3に図示された被験者の結腸を介して)配置して、被験者内の部位から物質を除去するためなど、被験者内の部位に内視鏡器具820を配置することができる。
【0042】
内視鏡804は、内視鏡804内に画成された器具チャネル808であって、近位チャネル端(被験者の体外に残したままでもよい)から遠位チャネル端(被験者体内の部位に配置してよい)まで延びる器具チャネル(例えば、作業チャネル)を含むことができる。内視鏡器具820が器具チャネル808を介して用意され、内視鏡器具820の遠位端が、器具チャネル808の外に延伸させることができる。
【0043】
内視鏡804は、様々な他のチャンネルおよび構成要素を含むことができる。例えば、内視鏡804は、画像取り込み装置(例えば、カメラ)、光源、洗浄チャンネル、またはそれらの組合せを含むことができる。
【0044】
シース840を内視鏡804に結合できる。例えば、シース840が内視鏡804の外側に位置するように、シース840は、内視鏡804の外表面812の周りに少なくとも部分的に延伸するよう内視鏡804に結合できる。シース840はシースチャンネル844を画成でき、これは器具チャンネル808に似たサイズとすることができる。内視鏡システム800は、器具チャンネル808またはシース840の一方または両方を含むことができる。
【0045】
様々な関節接合アセンブリに関して上述したように、内視鏡器具820は、内視鏡器具820の遠位端にあるエンドエフェクター824(例えば、スネア、ハサミ、クランプ、切断アセンブリ)が器具チャネル808の外に延伸可能となるように構成でき、関節接合アセンブリ828の動作に応答して、エンドエフェクター824の配向を複数の軸で操作することができる。例えば、この配向は、長手方向軸830に垂直な第1軸832で操作することができ(例えば、
図4C、4D、5C、5D、6C、6D、7E、および7Fの様々な関節接合アセンブリに関して図示されているように、長手方向軸830に関して画定された基準系に対してエンドエフェクター824を上下に動かすため)、または第2軸で操作することができる(図示しないが、ページを貫通する方向に延伸しており、長手方向軸830に関して画定された基準系に対してエンドエフェクター824を左右に動かすため)。この配向を操作して、エンドエフェクター824の切断窓または吸引窓(例えば、切断窓456、内側カッター458の遠位端に画成された吸引窓)の配向を変更することができる。
図8に示すように、シースチャネル844を介してエンドエフェクター824をもたらすことにより、エンドエフェクター824は、より広い範囲の位置にアクセスして被験者体内の部位の物質に到達することができる。
【0046】
内視鏡器具824は、内視鏡器具824の近位端から内視鏡器具の遠位端まで延伸する吸引チャネル826を形成することができる。例えば、吸引チャネル826は、エンドエフェクター824に入口を有することができるので、内視鏡器具の近位端にある吸引チャネル826の出口に印加される真空力を利用して、吸引チャネル826を介して被験者体内の部位から物質を除去することができる。吸引チャンネル826は、内視鏡器具824の外側チュービング内を延伸できる。
【0047】
いくつかの実施形態では、関節接合アセンブリ828(例えば、関節接合アセンブリ828の制御部材)は手動で操作できる。例えば、関節接合アセンブリ828の近位端には張力をかけて(例えば、引っ張って)、関節接合アセンブリ828を操作することができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、内視鏡システム800は、コントローラ850を含むことができる。コントローラ850は、1つまたは複数のプロセッサおよびメモリを含むことができる。1つまたは複数のプロセッサは、特定用途向けプロセッサ、特定用途向けIC(ASIC)、1つまたは利用者書き込み可能ゲートアレイ(FPGA)、システムオンチップ(SoC)、一群の処理要素(例えば、マルチコアプロセッサ)、または他の適切な電子処理要素として実装できる。このメモリは、本開示に記載された様々なユーザまたはクライアントプロセス、レイヤー、およびモジュールを完成し且つ促進するためのデータおよびコンピュータコードを格納する1つまたは複数のデバイス(例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、ハードディスク記憶装置)である。メモリは、揮発性若しくは不揮発性メモリとするかまたは含むことができ、本開示に記載された発明概念の様々な動作および情報構造をサポートするためのデータベース構成要素、オブジェクトコード構成要素、スクリプト構成要素または他の任意種類の情報構造を含むことができる。メモリは、プロセッサに通信可能に接続され、本明細書に記載された1つまたは複数のプロセスを実行するためにコンピュータコードまたは命令モジュールを含む。メモリは、本明細書に記載されているシステムおよび方法をプロセッサに実行させる様々な回路、ソフトウェアエンジン、および/またはモジュールを含む。コントローラ850は、外科コンソールを用いて実装できる。
【0049】
コントローラ850は、関節接合アセンブリ828に加えてエンドエフェクター824を制御するための制御入力を(例えば、手術コンソールのユーザインタフェースを介して)受け取ることができる。例えば、コントローラ850は、エンドエフェクター824の配向の目標値を示す第1制御入力と、エンドエフェクター824を駆動する(例えば、エンドエフェクター824を回転させる、エンドエフェクター824を長手方向軸830に沿って移動させる)命令を示す第2制御入力とを受け取ることができる。コントローラ850は、関節接合アセンブリ828の制御部材に結合された1つまたは複数のアクチュエータ(例えば、リニアアクチュエータ、モータ)を駆動して、エンドエフェクター824の配向を制御することができる。コントローラ850は、1つまたは複数のアクチュエータ(例えば制御駆動アセンブリ150)を駆動して、エンドエフェクター824に結合された柔軟性トルク要素を回転駆動させ、エンドエフェクター824を駆動することができる。これにより、エンドエフェクター824を操作(例えば、回転)しながらエンドエフェクター824を一定範囲の位置にわたってスイープし、またはエンドエフェクター824を回転させる前にエンドエフェクター824を定位置に移動させるなど、関節接合アセンブリ828およびエンドエフェクター824を同時にかつ独立して操作することができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、内視鏡システム800は、関節接合アセンブリ828に結合されたロッキング機構860を含む。ロッキング機構860は、エンドエフェクター824を目標の配向に固定するため、関節接合アセンブリ828(例えば、関節接合アセンブリ828の制御部材)の運動を制限できる。例えば、選択された1つまたは複数の制御部材が動くのを防止するために、ロッキング機構860は、関節接合アセンブリ828の制御部材の1つまたは複数に選択的に接触可能な1つまたは複数のクランプ、ギア、ブレーキ、またはそれらの任意の組合せとすることができる。いくつかの実施形態では、ロッキング機構860は、関節接合アセンブリ828の運動を単一の自由度に選択的に制限する(例えば、第2軸での運動を許容しながら、関節接合アセンブリ828の第1軸832での運動をロックする)ように動作することができる。ロッキング機構860は、関節接合アセンブリ828の制御ワイヤを巻き戻したり、制御ワイヤを繰り出したりするモータに結合できる。いくつかの実施形態では、コントローラ850は、関節接合アセンブリ828をロックまたはロック解除するための命令を示す入力に応答するなどして、ロッキング機構860の動作を制御する。いくつかの実施形態では、コントローラ850は、ロッキング機構860およびエンドエフェクター824に対してインターロック機能(選択的に作動または作動停止することができる)を実行する。例えば、コントローラ850は、エンドエフェクター824を駆動する命令を受信したことに応答して、ロッキング機構860をロック状態に設定し関節アセンブリ828を固定することができ、これにより、被験者体内の部位から材料を除去する際に、エンドエフェクター824の目標配向での自動的な安定化を促進できる。
【0051】
内視鏡システム800の様々な構成要素の動作によって、エンドエフェクター824の次の各操作は、独立してかつ同時にまたは異なる時間に実行できる:すなわち、被験者体内の部位で物質を除去するためにエンドエフェクター824の内側カッターを回転させるなど、エンドエフェクター824を駆動するために、エンドエフェクター824に結合された柔軟性トルク要素を回転させること;1つまたは複数の軸で関節接合アセンブリ828を関節運動させて、エンドエフェクター824の位置の360度操作を可能とすること;関節接合アセンブリ828を1つまたは複数の自由度でロックすること;エンドエフェクター824の切断窓を回転させること(例えば、回転結合器216を用いて外側チュービング206の回転などを介してエンドエフェクター824の外側切断器を回転させること)である。
【0052】
ここで
図9を参照すると、内視鏡器具の動作を制御するための方法900を示す。方法900は、内視鏡用具100と、関節接合アセンブリ400、500、600、700と、内視鏡システム800と含む本明細書に記載された様々な装置およびシステムを用いて実行できる。方法900は、内視鏡機器の構成要素と結合された手術コンソールまたは他の制御装置を操作することを含めて、内視鏡機器を制御するオペレータ(例えば、医療従事者)によって実行することができる。方法900は、内視鏡器具が被験者体内の部位、例えば被験者から除去されるべき物質が位置する部位に配置されている間に、被験者の体外に配置された内視鏡器具に結合された構成要素を制御することによって実行することができる。
【0053】
905では、内視鏡器具が、被験者体内の部位に配置される。この部位は、内視鏡の画像取り込み装置を用いてまたは他の撮像方式(例えば、超音波、CT、エックス線、MRI)に基づいて特定できる。内視鏡器具は、内視鏡の器具チャンネルを介して移動させるか、または内視鏡に結合された外部シースを介して移動させることにより、部位に配置させることができる。内視鏡機器は、内視鏡機器のエンドエフェクターと結合された関節接合アセンブリが、内視鏡から出て(例えば、機器チャネルまたは外部シースから)、被験者の体内の部位に向かって延伸する位置まで移動させることができる。
【0054】
910では、被験者の体内の部位でエンドエフェクターを物質に接触させるためにエンドエフェクターを関節運動させる位置または配向(例えば、姿勢)の少なくとも1つが決定される。位置や配向の上記少なくとも一方は、画像取り込み装置やその他の撮像方式によって検出された画像に基づいて決定することができる。本明細書で後述するように、内視鏡器具をより広い範囲の位置および配向で動かすことができるように、位置または配向の上記少なくとも一方は、内視鏡の外面によって画定される公称範囲の外側にあってもよい(例えば、内視鏡の縁から延びる円筒形のシェルを超える)。
【0055】
915において、少なくとも1つの制御部材にエンドエフェクターを決定された位置または配向の少なくとも何れかに移動させる第1制御入力が、関節接合アセンブリのこの制御部材に与えられる。例えば、第1制御入力は、関節接合アセンブリの複数のセグメントに結合された関節接合アセンブリの制御ワイヤの手動操作を含むことができる。第1制御入力は、モータなどのアクチュエータを用いて1つまたは複数の選択された制御ワイヤにかかる張力を増加または減少させたり、1つまたは複数の選択された制御ワイヤに電流を供給したりするためなどの、制御ワイヤを操作するための命令を含むことができる。いくつかの実施形態では、第1制御入力を反復的に与えて、目標位置または配向が達成されるまで、位置または配向の少なくとも一方を調整することができる。いくつかの実施形態では、エンドエフェクターの切断窓は、関節接合アセンブリ(切断窓を画成するエンドエフェクターの外側切断器に結合できる)に結合された外側チュービングに結合された回転結合器を回転するなどして操作できる。第1制御入力を使用して、関節接合アセンブリを1つまたは複数の選択された回転軸のいずれかで制御でき、エンドエフェクターの360度にわたる範囲での運動を可能にする。
【0056】
920では、エンドエフェクターに物質と相互作用させるための第2制御入力が与えられる。例えば、エンドエフェクターを操作する(例えば、エンドエフェクターの長手方向軸を中心にエンドエフェクターを回転させる;リニアアクチュエータに、長手方向軸に沿ってエンドエフェクターを移動させるなど)ため、内視鏡器具を貫通しかつエンドエフェクターと結合している柔軟性トルク要素を駆動アセンブリに回転させるための第2制御入力を与えることができる。第2制御入力は、エンドエフェクターを、関節接合アセンブリの動作と同時に、または関節接合アセンブリの動作とは別に動作させるために用いることができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、ロッキング機構を作動させて、エンドエフェクターを使用して被験者体内の部位から物質を除去する際に関節接合アセンブリを所定の位置にロックするなど、関節接合アセンブリを目標の姿勢にロックすることができる。いくつかの実施形態では、ロッキング機構は、第2制御入力に応答して作動され、エンドエフェクターの駆動と関節接合アセンブリの運動との間のインターロック機能を使用可能にする。いくつかの実施形態では、ロッキング機構は、内視鏡器具の吸引チャネルに真空を印加するために真空源を駆動する入力に応答して作動する。
【0058】
様々な例示的な実施形態で示したシステムおよび方法の構成ならびに配置は、例示のみを目的としている。例示的な実施形態のみを本開示では詳述してきたが、様々な変更が可能である(例えば、様々な要素の大きさ、寸法、構造、形状、および割合、パラメータの値、取り付け配置、材料の使用、色、配向の変動など)。例えば、要素の配置は反対にしたり、その他の態様で変更したりすることができ、さらに、個別の要素もしくは位置の性質または数は、変更または変化させることができるしたがって、こうした修正は本開示の範囲に含まれることが意図されている。任意の手順もしくは方法の段階の順序または順番は、代替的な実施形態では変更または再順序づけしてもよい。例示的な実施形態の設計、動作条件、および構成にも、本開示の範囲から逸脱することなく、他の置換、修正、変更、および省略が可能である。
【0059】
「または」という語句は包括的なものと解釈でき、「または」を用いて記載された任意項目は、その記載された項目の1つ、2つ以上、あるいはすべてを示すことができる。用語の連結リストの少なくとも1つへの言及は、記述された用語の単一、複数、およびすべてのいずれかを示す包括的なORとして解釈できる。例えば、「『A』または『B』の少なくとも一方」という記載は、『A』のみ、または『B』のみを含むこともあり、『A』および『B』の両方を含むこともある。「含む」または他の開放用語と組み合わせた記載は、付加的な項目を含むことができる。
【0060】
本開示は、様々な動作を達成するための任意の機械読み取り可能な媒体上の方法、システム、およびプログラム製品を意図したものである。本開示の実施形態は、既存のコンピュータプロセッサを使用して、または、この目的または別の目的のために組み込まれた適切なシステムのための専用計算機プロセッサによって、または、ハードワイヤードシステムによって実装できる。本開示の範囲内の実施形態には、機械実行可能命令もしくはデータ構造を保持または格納するための機械可読媒体を含むプログラム製品が含まれる。このような機械可読媒体は、汎用または特殊用途のコンピュータや、プロセッサを備えた他の機械によってアクセスできる、利用可能なあらゆる媒体でよい。例として、このような機械可読媒体は、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、CD-ROMもしくは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置もしくは他の磁気記憶装置、または、機械実行可能な命令やデータ構造の形式で所望のプログラムコードを保持または格納するために使用でき、汎用または特殊目的のコンピュータまたはプロセッサを備えた他の機械によってアクセス可能な他の任意媒体を含むことができる。上述のものの組合せも機械可読媒体の範囲内に含まれる。機械実行可能命令には、例えば、汎用コンピュータ、特別目的のコンピュータ、または特別目的の処理マシンに、特定の機能または機能群を実行させる命令やデータが含まれる。
【0061】
図面には特定の順序の方法段階が示されているが、これら段階の順序は、図示したものとは異なっていてもよい。また、2つ以上の段階を同時にまたは部分的に同時に実行してもよい。こうした変更は、選択したソフトウェアおよびハードウェアシステムならびに設計者の選択に依存するはずである。そうしたすべての変更は、本開示の範囲に入る。同様に、ソフトウェアの実装は、様々な接続段階、処理段階、比較段階、および決定段階を達成するために、ルールベースの論理やその他の論理を用いた標準的なプログラミング技術で達成することができる。
【国際調査報告】