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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】置換イソインドリノン
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/04 20060101AFI20220111BHJP
   A61K 31/454 20060101ALI20220111BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220111BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20220111BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20220111BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220111BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20220111BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20220111BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20220111BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20220111BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20220111BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20220111BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20220111BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20220111BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
C07D401/04 CSP
A61K31/454
A61P35/00
A61P35/02
A61P27/02
A61P29/00
A61P37/06
A61P25/00
A61P25/28
A61P25/16
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P11/06
A61P1/04
A61P37/08
A61K45/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021525755
(86)(22)【出願日】2019-11-12
(85)【翻訳文提出日】2021-07-09
(86)【国際出願番号】 US2019060920
(87)【国際公開番号】W WO2020102195
(87)【国際公開日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】62/760,813
(32)【優先日】2018-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514095239
【氏名又は名称】バイオセリックス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】チャン, カイル ダブリュー.エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】チョウラシア, アパラジタ ホスコテ
(72)【発明者】
【氏名】エルドマン, ポール イー.
(72)【発明者】
【氏名】ファン, リア
(72)【発明者】
【氏名】ラム, イメルダ
(72)【発明者】
【氏名】メルキューリオ, フランク
(72)【発明者】
【氏名】サリバン, ロバート
(72)【発明者】
【氏名】トーレス, エドゥアルド
【テーマコード(参考)】
4C063
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB02
4C063CC10
4C063DD07
4C063EE01
4C084AA19
4C084NA14
4C084ZA151
4C084ZA152
4C084ZA161
4C084ZA162
4C084ZA331
4C084ZA332
4C084ZA591
4C084ZA592
4C084ZA661
4C084ZA662
4C084ZA961
4C084ZA962
4C084ZB111
4C084ZB112
4C084ZB131
4C084ZB132
4C084ZB151
4C084ZB152
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZB272
4C084ZC751
4C084ZC752
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC21
4C086GA07
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA15
4C086ZA16
4C086ZA33
4C086ZA66
4C086ZA96
4C086ZB08
4C086ZB11
4C086ZB13
4C086ZB15
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC75
(57)【要約】
式(I)
の置換イソインドリノン、そのような化合物を作製する方法、そのような化合物を含む医薬組成物および医薬、およびそのような化合物を使用して、がんなどのタンパク質機能不全に関連した疾患、障害、または状態を処置しまたは寛解させる方法が提供される。本明細書に記述される置換イソインドリンドンは、驚くべき意外な生物学的効果を発揮することが発見された。例えば、本出願に開示される化合物は、健常細胞への毒性を最小限に抑えながらタンパク質ホメオスタシスを回復するため、タンパク質活性および/またはタンパク質レベルを選択的にモジュレートする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化77】
の化合物、またはその薬学的に許容される塩であって、式中、
Xは、CHまたはC=Oであり、
は、1個もしくはそれより多くのRでそれぞれ必要に応じて置換された、C~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルケニル、もしくは3から10員ヘテロシクリル、または1個もしくはそれより多くのRで置換されたC~Cアルキルであり、
、R、およびRのそれぞれは、独立して、水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、必要に応じて置換されたC~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ、必要に応じて置換されたアミノ、必要に応じて置換されたC-アミド、必要に応じて置換されたN-アミド、必要に応じて置換されたN-スルホンアミド、必要に応じて置換されたS-スルホアミド、C~Cアルキルアミノ、(アミノ)C~Cアルキル、(C~Cアルコキシ)C~Cアルキル、-O-(C~Cアルコキシ)C~Cアルキル、必要に応じて置換されたC~Cシクロアルキル、または必要に応じて置換されたC~Cシクロアルケニルであり、
は、水素、重水素、ハロゲン、またはC~Cアルキルであり、
およびRは各々独立して、水素またはC~Cアルキルであり、
は、H、重水素、C~Cアルキル、
【化78】
であり;
各Rは、独立して、重水素、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、必要に応じて置換されたC~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ、必要に応じて置換されたアミノ、C~Cアルキルアミノ、(アミノ)C~Cアルキル、-(C=O)NR12a12b、-NR12a(C=O)(C~Cアルキル)、(C~Cアルコキシ)C~Cアルキル、-O-(C~Cアルコキシ)C~Cアルキル、必要に応じて置換されたC~Cシクロアルキル、必要に応じて置換されたC~Cシクロアルケニル、または必要に応じて置換された3から7員ヘテロシクリルであり、または2個のジェミナルRがオキソを形成し;
9aおよびR9bのそれぞれは独立して、H、必要に応じて置換されたC~Cアルキル、必要に応じて置換されたC~Cアルケニル、必要に応じて置換されたC~Cアルキニル、必要に応じて置換されたC~C10アリール、必要に応じて置換された5から10員ヘテロアリール、必要に応じて置換されたC~C14アラルキル、必要に応じて置換された3から10員ヘテロシクリル、または必要に応じて置換されたC~Cカルボシクリルであり;
10aおよびR10bのそれぞれは、独立して、H、ハロゲン、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ、またはC~Cカルボシクリルであり、
11aおよびR11bのそれぞれは、独立して、H、必要に応じて置換されたC~Cアルキル、必要に応じて置換されたC~C10アリール、必要に応じて置換されたC~C14アラルキル、または必要に応じて置換されたC~Cカルボシクリルであり、
12aおよびR12bのそれぞれは、独立して、H、もしくはC~Cアルキルであり、またはR12aおよびR12bは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、1個またはそれより多くのR13で必要に応じて置換された、必要に応じて置換された5または6員ヘテロシクリルを形成し;
各R13は独立して、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ、(C~Cアルコキシ)C~Cアルキル、-O-(C~Cアルコキシ)C~Cアルキル、必要に応じて置換されたアミノ、ハロゲン、またはシアノ;または2個のジェミナルR13がオキソを形成し、
但し、Rが必要に応じて置換された3から10員ヘテロシクリルであり、かつR、R、R、およびRのそれぞれが水素である場合は、R、R、およびRの少なくとも1つは水素ではなく、さらに
がトリフルオロメチルであり、かつR、R、R、およびRのそれぞれが水素である場合は、Rはハロゲンである、
化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
が、1個またはそれより多くのRでそれぞれ必要に応じて置換されたC~CシクロアルキルまたはC~Cシクロアルケニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、1個またはそれより多くのRでそれぞれ必要に応じて置換されたシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、またはビシクロ[2.2.1]ヘプチルである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
が、1個またはそれより多くのRでそれぞれ必要に応じて置換されたシクロペンテニル、シクロヘキセニル、またはシクロヘプテニルである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項5】
が、置換されたC~Cアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
が置換されていない、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
が、1個または2個のRで置換されており、各Rは独立して、ハロゲン、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、およびC~Cシクロアルキル(1個またはそれより多くのハロゲン、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、またはC~Cハロアルコキシ、またはこれらの組合せで必要に応じて置換されている)からなる群から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
が、
【化79】
【化80】
である、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
が、-CHF、-CHF、-CHCHF、-CHCHF、-CH(CH)CF、または-CH(CHCH)CFである、請求項7に記載の化合物。
【請求項10】
が、水素、重水素、ハロゲン、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、またはC~Cハロアルキルである、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
が、水素、フルオロ、クロロ、メチル、トリフルオロメチル、またはメトキシである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
が、水素、重水素、フルオロ、またはメチルである、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
が、水素、メチル、またはエチルである、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
が、水素またはメチルである、請求項1から13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
が、水素、重水素、ハロゲン、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、またはC~Cハロアルキルである、請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
が、水素、重水素、ハロゲン、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、またはC~Cハロアルキルである、請求項1から15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
が、水素、フルオロ、クロロ、メチル、トリフルオロメチル、またはメトキシである、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
が水素である、請求項1から17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
が、水素、メチル、
【化81】
である、請求項1から18のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
9aおよびR9bのそれぞれが、独立して、HまたはC~Cアルキルである、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
10a、R10b、R11a、およびR11bのそれぞれが、独立して、水素またはC~Cアルキルである、請求項19に記載の化合物。
【請求項22】
【化82】
【化83】
【化84】
ならびにその薬学的に許容される塩からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項23】
請求項1から22のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、および少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤または担体を含む、医薬組成物。
【請求項24】
生体試料の1個またはそれより多くの細胞におけるタンパク質の活性を阻害する方法であって、前記方法は、請求項1から22のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を、前記生体試料中の前記細胞と接触させることを含み、前記タンパク質は、PDE6、CK1α、もしくはイカロス、またはこれらの組合せである、方法。
【請求項25】
前記タンパク質が、変異体または野生型である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記細胞が、異常なタンパク質活性を保有し、または前記タンパク質が、前記細胞において過剰発現する、請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
生体試料の1個またはそれより多くの細胞におけるサイトカインの活性をモジュレートする方法であって、請求項1から22のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を、前記生体試料中の前記細胞と接触させることを含む、方法。
【請求項28】
前記サイトカインが、TNFα、IL-1β、IL-2、もしくはIL-6、またはこれらの組合せである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記細胞が、ホジキンリンパ腫細胞、マントル細胞リンパ腫細胞、B細胞リンパ腫細胞、急性リンパ芽球性白血病(ALL)細胞、急性骨髄性白血病(AML)細胞、慢性骨髄性白血病(CML)細胞、慢性リンパ球性白血病(CLL)細胞、多発性骨髄腫細胞、網膜細胞癌細胞、前立腺がん細胞、卵巣がん細胞、扁平上皮がん細胞、黒色腫細胞、肝臓がん細胞、神経芽細胞腫細胞、腺癌細胞、非小細胞肺がん細胞、小細胞肺がん細胞、乳がん細胞、結直腸がん細胞、脳がん細胞、腎臓がん細胞、膀胱がん細胞、膵臓がん細胞、脂肪肉腫細胞、膠芽腫細胞、および星細胞芽腫細胞からなる群から選択されるがん細胞である、請求項24から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
請求項1から22のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、または請求項23に記載の医薬組成物であって、それを必要とする対象におけるがんを処置しまたは寛解させるときの使用のための、化合物、またはその薬学的に許容される塩、または医薬組成物。
【請求項31】
前記がんが、リンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、再発/難治性多発性骨髄腫、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、乳がん、前立腺がん、頭頚部がん、膵臓がん、結腸がん、直腸がん、奇形腫、胃がん、卵巣がん、子宮内膜がん、脳がん、網膜芽細胞腫、網膜細胞癌、膀胱がん、皮膚がん、扁平上皮がん、脂肪肉腫、精巣がん、肝臓がん、食道がん、腎細胞癌、腺癌、アストログリオシス、および神経芽細胞腫からなる群から選択される、請求項30に記載の使用のための化合物。
【請求項32】
前記がんが、リンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、または再発/難治性多発性骨髄腫である、請求項31に記載の使用のための化合物。
【請求項33】
請求項1から22のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、または請求項23に記載の医薬組成物であって、それを必要とする対象における網膜疾患を処置しまたは寛解させるときの使用のための、化合物、またはその薬学的に許容される塩、または医薬組成物。
【請求項34】
前記網膜疾患が、網膜色素変性症(RP)、常染色体優性先天性停止性夜盲症(adCSNB)、色覚異常(ACHM)、および繊毛病からなる群から選択される、請求項33に記載の使用のための化合物。
【請求項35】
請求項1から22のいずれか一項に記載の化合物、その薬学的に許容される塩、または請求項23に記載の医薬組成物であって、それを必要とする対象における炎症性疾患、自己免疫疾患、アレルギー性疾患、または神経変性疾患を処置しまたは寛解させるときの使用のための、化合物、その薬学的に許容される塩、または医薬組成物。
【請求項36】
前記炎症性疾患、自己免疫疾患、アレルギー性疾患、または神経変性疾患が、線維症、多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ループス、線維筋痛症、リウマチ様関節炎、骨関節炎、強直性脊椎炎、乾癬、乾癬性関節炎、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、慢性閉塞性肺疾患、食物アレルギー、喘息、またはアナフィラキシーである、請求項35に記載の使用のための化合物。
【請求項37】
前記化合物、その薬学的に許容される塩、または医薬組成物が、第2の治療剤と共に前記対象に共投与される、請求項30から36のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
先願への参照による組込み
本出願は、2018年11月13日に出願された米国仮出願第62/760,813号の優先権の利益を主張するものであり、この米国仮出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
背景
分野
置換イソインドリノン、そのような化合物の作製方法、そのような化合物を含む医薬組成物および医薬、ならびにタンパク質機能不全に関連した疾患、障害、または状態を処置しまたは寛解させるためのそれらの使用が提供される。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
異常なタンパク質機能および/またはタンパク質の不均衡は、多くの疾患状態の特質である。例えばタンパク質合成、細胞成長、および細胞増殖はそれぞれ、空間的かつ時間的に、厳密に調節されたプロセスである。これらのプロセスの誤調節は、がんをもたらす制御されていない細胞成長、増殖、および遊走に寄与し得る。
【0004】
ある場合には、タンパク質機能不全は、タンパク質の過剰発現もしくは過少発現の、またはタンパク質の配列および構造の変化の直接的な結果ではない。むしろ機能不全は、単に、正常な機能および発現レベルを持つ野生型タンパク質が(例えば)成長腫瘍を撲滅できないことと考えられる。例えば、ホスホジエステラーゼ6δ(PDE6D;PDE6デルタ)は、Kras推進型のがんにおける重要な因子である。PDE6は、原形質膜中で高レベルのKrasを維持するのに極めて重要であり、発がん性シグナル伝達に対して効果を発揮する。PDE6は、網膜光受容体における光伝達にも関わる。例えば、Norton, et al., J. Biol. Chem., Vol. 280, No. 2, pp. 1248-1256 (2005)を参照されたい。光受容体は、光の光子を吸収し、オプシンを活性化し、GDP/GTP交換をトランスデューシンにもたらす。これはPDE6を活性化し、次いで細胞質cGMPを分解し、細胞過分極および視覚シグナル伝達をもたらす。PDE6の欠陥は、網膜色素変性症、糖尿病性網膜症、および加齢黄斑変性を含む様々な網膜障害にも関連付けられる。PDE6δは、ジュベール症候群などの繊毛病にも関わる。
【0005】
ある場合には、免疫系の機能は、炎症誘発性および抗炎症性メディエーターまたはサイトカインの活性によって微細にバランスがとられる。一部のサイトカインは炎症を促進させ(炎症誘発性サイトカイン)、それに対して他のサイトカインは、炎症誘発性サイトカインの活性を抑制する(抗炎症性サイトカイン)。例えばIL-4、IL-10、およびIL-13は、Bリンパ球の強力なアクチベーターであり、抗炎症剤としても作用する。それらは、IL-1、TNF、およびケモカインなどの炎症誘発性サイトカインに関して遺伝子を抑制するそれらの能力に鑑み、抗炎症性サイトカインである。
【0006】
これらのメディエーターの調節されていない活性は、深刻な炎症状態の発症をもたらす可能性がある。例えば自己免疫疾患は、免疫系細胞(リンパ球、マクロファージ)が「自己(self)」に対して感作されるようになったときに生ずる。リンパ球ならびにマクロファージは、通常、この系内で制御下にある。しかしながら身体そのものの組織に向かう、系の誤った指示は、まだ説明されていないトリガーに応答して生じ得る。1つの仮説は、リンパ球が、「自己」を模倣する抗原を認識し、免疫系の種々の成分の活性化のカスケードが生じ、最終的には組織破壊に至ることである。遺伝的素因も自己免疫障害の原因であると仮定されてきた。
【0007】
腫瘍壊死因子-アルファ(TNF-アルファまたはTNF-α)およびインターロイキン-1(IL-1)は、感染性因子およびその他の細胞ストレスに関連した炎症応答を媒介する炎症誘発性サイトカインである。これらのサイトカインの過剰生産は、とりわけリウマチ様関節炎(RA)、クローン病、炎症性腸疾患、エンドトキシンショック、骨粗しょう症、神経変性疾患(例えば、多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病)、うっ血性心不全、および乾癬を含む多くの炎症性疾患の進行の、基礎になると考えられる。
【0008】
臨床試験からの最近のデータは、リウマチ様関節炎、クローン病、若年性慢性関節炎、および乾癬性関節炎を処置するための、サイトカインのタンパク質アンタゴニスト、例えば可溶性TNF-α受容体融合タンパク質(エタネルセプト)またはモノクローナルTNF-α抗体(インフリキシマブ)の使用を支持する。したがって、TNF-αおよびインターロイキン-1(IL-1)などの炎症誘発性サイトカインの低減は、これらの状態における潜在的な薬物介入に関して、受け入れられる治療手法になってきた。
【0009】
IL-2は、抗原刺激後にCD4+T細胞によって主に生成されるが、CD8+細胞、NK T細胞、活性化樹状細胞(DC)、および肥満細胞によってもやや少ない程度まで生成される、サイトカインである。IL-2、発見された第1のインターロイキンペプチドホルモンは、T細胞増殖を刺激するその能力によって特徴付けられる。成熟IL-2、133アミノ酸(15.5kDa)の分泌された糖タンパク質は、T細胞受容体(TCR)ならびに主要組織適合複合体(MHC)IおよびIIにより媒介された免疫刺激に応答して、T細胞により生成された単鎖ポリペプチドである。健常個体の休止免疫系では、循環IL-2レベルが極めて低くまたは検出できず、一方、感染およびそれに伴う正常な免疫応答後にはレベルが上昇する。
【0010】
IL-2受容体ファミリーは、3種の1回膜貫通タンパク質、IL-2Rα(p55、CD25)、IL-2Rβ(p75、CD122)、およびIL-2Rγ(p64、CD132)を含む。IL-2Rαは、T細胞上に低濃度で存在し、TCR活性化後にIL-2と一緒に発現する。IL-2Raアンタゴニストは、免疫応答を制限するための薬剤と見なされてきたが、それはIL-2Raが、免疫応答中に強力に上方調節されかつIL-2選択的高親和性受容体複合体を確立するからである(Malek et al., Immunity, 2010; 32(2):153-165)。治療抗体および小分子発見プログラムは共に、IL-2Ra選択的阻害剤を開発することを求めてきた。抗IL-2α処置は、FDAに認可された同種移植ホームが、移植片生着を促進させることを見出し、慢性炎症ならびに自己免疫疾患においても詳細に調査されている(Wilson et al., Curr Top Microbiol Immunol. 2011;348:25-59)。これはIL-2阻害剤を発見する必要性を強調する。IL-2依存的CD4+レジデントメモリーTh2細胞は、アレルギー性疾患のプロモーターとして作用し、アレルギー疾患で標的とされるIL-2の治療上の潜在性を強調している(Hondowicz et al., Immunity, 2016; 44(1)155-166)。
【0011】
サイトカインの局所送達は、様々な理由で全身送達との比較を求めている。この送達は、傍分泌または自己分泌状態で局所的に作用するように進化させた、サイトカインの自然生物学的性質を利用する。局所発現は、サイトカインの全身送達の副作用の多くも劇的に最小限に抑える。したがって、IL-2の局所発現を増大させる化合物および方法は、高用量IL-2処置よりも良好に耐えると考えられ、IL-2を増大させる戦略の治療上の有用性が拡がると考えられる。
【0012】
追加の目的は、カゼインキナーゼ1α(CK1α)、ならびにジンクフィンガー転写因子アイオロス、ヘリオス、およびイカロスを含む、アポトーシスおよび細胞生存に関わるいくつかの候補遺伝子を含む。アイオロス、ヘリオス、およびイカロスは、その発現がリンパ系に制限される転写因子である。肺および乳がんにおけるアイオロスの発現は、著しく低減した患者生存率を予測する。アイオロスは、大集合の接着関連遺伝子の発現を減少させ、細胞同士ならびに細胞とマトリックスとの相互作用を破壊し、転移を容易にする。アイオロスは、ある特定の転移性上皮がんにおけるリンパ球擬態のエピジェネティックドライバーとしても機能する。同様に、異常なイカロスおよびヘリオスの発現はBcl-XL発現を促進させる可能性があり、造血器悪性腫瘍の発症を推進させる。したがって、アイオロス、イカロス、および/またはヘリオスの下方調節は、転移を低減させまたは無くす可能性がある。
【0013】
カゼインキナーゼ1α(CK1α)は、細胞周期、転写、および翻訳、細胞骨格、細胞間接着、およびシグナル伝達に関わる重要な調節分子をリン酸化する。したがってCK1αは、広く様々な腫瘍の進行における有意な因子である。例えば、Schittek and Sinnberg, Mol. Cancer, Vol. 13, pp. 13-26 (2014)およびKrippschild, et al., Front. Oncol., Vol. 4, Article 96, pp. 1-32 (2014)を参照されたい。例えば、CK1αは、β-カテニン分解複合体の極めて重要な成分でありかつWntシグナル伝達経路の極めて重要なレギュレーターであり、そのアブレーションは、Wntおよびp53活性化の両方を誘発させる。Schittek and Sinnberg, Mol. Cancer., Vol. 13, p. 231 (2014); Cheong and Virshup, J. Biochem. Cell Biol. 2011, 43, 465-469; Elyada et al., Nature, Vol. 470, pp. 409-413 (2011)。CK1αは、β-カテキンをリン酸化し、その後さらに、GSK-3βによってリン酸化される。これはβ-カテキンを不安定化し、タンパク質をユビキチン化およびプロテオソーム分解させる。したがってCK1αは、Wnt経路の分子スイッチとして機能する。Amit et al., Genes Dev. 2002, 16, 1066-1076。CK1αは、胚形成に極めて重要であり、組織発達に重要な役割を演じ、DNA損傷に応答し、少なくとも部分的にp53と協調する。Elyada et al., Nature 2011, 470, 409-413; Schneider et al., Cancer Cell 2014, 26, 509-520。Levine and Oren, Nat. Rev. Cancer 2009, 9, 749-758。CK1αは、p53もリン酸化し、MDM2(p53阻害剤)の結合を阻害し、転写装置とのp53の結合相互作用を安定化する。Huart, et al., J. Biol. Chem. 2009, 284, 32384-32394。したがって、CK1α活性の阻害は、p53の細胞レベルを増大させる。
制御されない細胞成長を撲滅する主な戦略は、疾患細胞を優先的に死滅させるが正常な健常細胞にとって極めて有毒でもある、細胞毒性化合物の投与による。事実、毒性は、医薬研究開発の全ての段階における薬物候補の消滅の主な原因である。例えば、Thompson, et al., Chem. Res. Tox., Vol. 25, No. 8, pp. 1616-1632 (2012)を参照されたい。ここ10年、大分子抗体治療も、がんなどの増殖性障害を処置するのに使用されてきた。しかしながら、これらの薬剤は、送達、投薬、毒性、および分解の課題を被る。したがって、影響を受けない細胞に過度な毒性を与えることなく、標的細胞においてタンパク質機能をモジュレートする化合物が、疾患の処置および予防に必要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Norton, et al., J. Biol. Chem., Vol. 280, No. 2, pp. 1248-1256 (2005)
【非特許文献2】Malek et al., Immunity, 2010; 32(2):153-165
【非特許文献3】Wilson et al., Curr Top Microbiol Immunol. 2011;348:25-59
【非特許文献4】Hondowicz et al., Immunity, 2016; 44(1)155-166
【非特許文献5】Schittek and Sinnberg, Mol. Cancer, Vol. 13, pp. 13-26 (2014)
【非特許文献6】Krippschild, et al., Front. Oncol., Vol. 4, Article 96, pp. 1-32 (2014)
【非特許文献7】Schittek and Sinnberg, Mol. Cancer., Vol. 13, p. 231 (2014)
【非特許文献8】Cheong and Virshup, J. Biochem. Cell Biol. 2011, 43, 465-469
【非特許文献9】Elyada et al., Nature, Vol. 470, pp. 409-413 (2011)
【非特許文献10】Amit et al., Genes Dev. 2002, 16, 1066-1076
【非特許文献11】Schneider et al., Cancer Cell 2014, 26, 509-520
【非特許文献12】Levine and Oren, Nat. Rev. Cancer 2009, 9, 749-758
【非特許文献13】Huart, et al., J. Biol. Chem. 2009, 284, 32384-32394
【非特許文献14】Thompson, et al., Chem. Res. Tox., Vol. 25, No. 8, pp. 1616-1632 (2012)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
概要
本明細書に記述される置換イソインドリンドンは、驚くべき意外な生物学的効果を発揮することが発見された。例えば、本出願に開示される化合物は、健常細胞への毒性を最小限に抑えながらタンパク質ホメオスタシスを回復するため、タンパク質活性および/またはタンパク質レベルを選択的にモジュレートする。
【0016】
一部の実施形態は、式(I):
【化1】
の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供し、式中、
Xは、CHまたはC=Oであり;
は、1個もしくはそれより多くのRでそれぞれ必要に応じて置換された、C~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルケニル、もしくは3から10員ヘテロシクリル、または1個もしくはそれより多くのRで置換されたC~Cアルキル;
、R、およびRのそれぞれは独立して、水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、必要に応じて置換されたC~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ、必要に応じて置換されたアミノ、必要に応じて置換されたC-アミド、必要に応じて置換されたN-アミド、必要に応じて置換されたN-スルホンアミド、必要に応じて置換されたS-スルホアミド、C~Cアルキルアミノ、(アミノ)C~Cアルキル、(C~Cアルコキシ)C~Cアルキル、-O-(C~Cアルコキシ)C~Cアルキル、必要に応じて置換されたC~Cシクロアルキル、または必要に応じて置換されたC~Cシクロアルケニルであり;
は、水素、重水素、ハロゲン、またはC~Cアルキルであり;
およびRは各々独立して、水素またはC~Cアルキルであり;
は、H、重水素、C~Cアルキル、
【化2】
であり;
各Rは独立して、重水素、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、必要に応じて置換されたC~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ、必要に応じて置換されたアミノ、C~Cアルキルアミノ、(アミノ)C~Cアルキル、-(C=O)NR12a12b、-NR12a(C=O)(C~Cアルキル)、(C~Cアルコキシ)C~Cアルキル、-O-(C~Cアルコキシ)C~Cアルキル、必要に応じて置換されたC~Cシクロアルキル、必要に応じて置換されたC~Cシクロアルケニル、または必要に応じて置換された3から7員ヘテロシクリルであり;または2個のジェミナルRがオキソを形成し;
9aおよびR9bのそれぞれは独立して、H、必要に応じて置換されたC~Cアルキル、必要に応じて置換されたC~Cアルケニル、必要に応じて置換されたC~Cアルキニル、必要に応じて置換されたC~C10アリール、必要に応じて置換された5から10員ヘテロアリール、必要に応じて置換されたC~C14アラルキル、必要に応じて置換された3から10員ヘテロシクリル、または必要に応じて置換されたC~Cカルボシクリルであり;
10aおよびR10bのそれぞれは独立して、H、ハロゲン、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ、またはC~Cカルボシクリルであり;
11aおよびR11bのそれぞれは独立して、H、必要に応じて置換されたC~Cアルキル、必要に応じて置換されたC~C10アリール、必要に応じて置換されたC~C14アラルキル、または必要に応じて置換されたC~Cカルボシクリルであり;
12aおよびR12bのそれぞれは独立して、H、もしくはC~Cアルキルであり、またはR12aおよびR12bは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、1個またはそれより多くのR13で必要に応じて置換された、必要に応じて置換された5または6員ヘテロシクリルを形成し;
各R13は独立して、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ、(C~Cアルコキシ)C~Cアルキル、-O-(C~Cアルコキシ)C~Cアルキル、必要に応じて置換されたアミノ、ハロゲン、またはシアノであり;または2個のジェミナルR13がオキソを形成する。一部の実施形態では、Rが必要に応じて置換された3から10員ヘテロシクリルであり、かつR、R、R、およびRのそれぞれが水素である場合は、R、R、およびRの少なくとも1つは水素ではない。一部の実施形態では、Rがトリフルオロメチルであり、かつR、R、R、およびRのそれぞれが水素である場合は、Rはハロゲンである。
【0017】
一部の実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ia):
【化3】
またはその薬学的に許容される塩としても表される。一部の他の実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ib)
【化4】
または式(Ic)
【化5】
またはその薬学的に許容される塩としても表される。
【0018】
本開示の一部の実施形態は、式(I)、(Ia)、(Ib)、もしくは(Ic)の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤または担体とを含む、医薬組成物を提供する。
【0019】
一部の実施形態は、それを必要とする対象におけるがんを処置しまたは寛解させる方法であって、治療有効量の式(I)、(Ia)、(Ib)、もしくは(Ic)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。他の実施形態は、それを必要とする対象における網膜疾患を処置しまたは寛解させる方法であって、治療有効量の式(I)、(Ia)、(Ib)、もしくは(Ic)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。他の実施形態は、それを必要とする対象における炎症性疾患、自己免疫疾患、アレルギー性疾患、または神経変性疾患を処置しまたは寛解させる方法であって、治療有効量の式(I)、(Ia)、(Ib)、もしくは(Ic)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。
【0020】
追加の実施形態は、生体試料の1個またはそれより多くの細胞におけるタンパク質活性を阻害する方法であって、式(I)、(Ia)、(Ib)もしくは(Ic)の化合物またはその薬学的に許容される塩を、生体試料中の細胞と接触させることを含む方法を提供する。タンパク質は、CK1α、PDE6、もしくはイカロス、またはそれらの組合せであってもよい。さらなる実施形態は、CK1α、イカロス、またはPDE6により媒介される疾患、障害、または状態を処置しまたは寛解させる方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の式(I)、(Ia)、(Ib)、もしくは(Ic)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0021】
さらなる実施形態は、生体試料の1つまたはそれより多くの細胞におけるサイトカイン活性をモジュレートする方法であって、式(I)、(Ia)、(Ib)、もしくは(Ic)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を、生体試料中の細胞と接触させることを含む方法を提供する。一部の実施形態では、サイトカインがTNFα、IL-1β、IL-2、もしくはIL-6、またはこれらの組合せである。さらなる実施形態は、本明細書に記述される1種またはそれより多種のサイトカインによって媒介される疾患、障害、または状態を処置しまたは寛解させる方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の式(I)、(Ia)、(Ib)、もしくは(Ic)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
詳細な説明
本明細書には、様々なタイプのがんを含む、タンパク質機能不全に関連した様々な疾患、障害、または状態を処置しまたは寛解させるのに有用な化合物が開示される。一部の態様では、これらの化合物は、1種またはそれより多種のサイトカイン、PDE6、イカロス、またはCK1αの阻害剤である。
【0023】
本明細書で使用されるセクションの見出しは、単なる構成上の目的であり、記述される主題を限定すると解釈するものではない。
定義
【0024】
他に指示しない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、当業者に一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で参照される全ての特許、出願、公開出願、およびその他の刊行物は、他に記述されない限り、その全体が参照により組み込まれる。本明細書の1つの用語に関して複数の定義がある事象では、他に指示しない限り、このセクションにおけるものが優先する。本明細書および添付される特許請求の範囲で使用される、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が他に指示しない限り複数の指示対象を含む。他に指示しない限り、質量分光法、NMR、HPLC、タンパク質の化学、生化学、および薬理学の従来の方法が用いられる。「または」または「および」の使用は、他に指示しない限り「および/または」を意味する。さらに、「含んでいる(including)」という用語ならびにその他の形態、例えば「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含んだ(included)」の使用は、限定的ではない。本明細書で使用されるように、移行句であっても請求項の主体であっても、「含む(comprise(s))」および「含んでいる(comprising)」という用語は、制約のない意味を有すると解釈するものとする。即ち、これらの用語は、「少なくとも有する」または「少なくとも含む」という文言と同義であるとして解釈される。プロセスの文脈で使用される場合、「含んでいる(comprising)」という用語は、プロセスが少なくとも列挙されたステップを含むが、追加のステップを含み得ることを意味する。化合物、組成物、またはデバイスの文脈で使用される場合、「含んでいる(comprising)」という用語は、化合物、組成物、またはデバイスが、少なくとも列挙された特徴または組成物を含むが追加の特徴または成分も含み得ることを意味する。
【0025】
本開示を、前述の説明において例示し詳細に記述してきたが、そのような記述は、例示または具体例と見なされ、制限的なものではない。本開示は、開示される実施形態に限定されない。開示された実施形態に対する変形例は、本開示および添付される特許請求の範囲の研究から、請求項に記載された開示を実施する際に当業者に理解され行うことができる。
【0026】
本明細書の実質的に任意の複数および/または単数の用語の使用に関し、当業者は、文脈および/または適用例に適切であるように複数から単数へおよび/または単数から複数へ翻訳することができる。様々な単数形/複数形の順列は、明瞭化のために本明細書に明示され得る。不定冠詞「a」または「an」は、複数を排除しない。ある特定の尺度が、相互に異なる従属クレームで列挙されるという単なる事実は、これらの尺度の組合せをうまく利用できないことを示すものではない。
【0027】
本明細書に引用される全ての参考文献は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる刊行物および特許または特許出願が、本明細書に含有される開示と矛盾する程度まで、本明細書は、任意のそのような矛盾材料に取って代わり、そして/または優先することが意図される。
【0028】
他に定義しない限り、全ての用語(技術的および科学的用語を含む)は、それらの通常のおよび習慣的な意味で当業者に与えられ、本明細書でそのように明らかに定義されない限り、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるものではない。本開示のある特定の特徴または態様について記述するときの特定の用語の使用は、その用語が関連する本開示の特徴または態様の任意の特別な特性を含むよう制限されるように、用語が本明細書で再定義されることを示唆すると解釈されるべきではないことに、留意すべきである。
【0029】
ある範囲の値が提供される場合、上限および下限ならびにその範囲の上限および下限の間に介在する値は、実施形態に包含されることを理解されたい。
【0030】
本明細書で使用される場合、一般的な有機物の略称は、下記の通り定義される:
【表5】
【0031】
本明細書で使用される場合、任意の「R」基(複数可)は、指示される原子に結合できる置換基を表す。R基は、置換されても置換されなくてもよい。基が、「必要に応じて置換された」と記述されるときはいつでも、その基は、指示される置換基の1つまたは複数で置換されても置換されなくてもよい。同様に、基が「置換されずまたは置換される」と記述されるとき、置換される場合は、置換基は1つまたはそれより多くの指示される置換基から選択されてもよい。置換基が指示されない場合、指示される「必要に応じて置換された」または「置換される」基は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アラルキル、ヘテロアラルキル、ヘテロシクリル(アルキル)、ヒドロキシ、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリールオキシ、アシル、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、ハロゲン、C-アミド、N-アミド、C-カルボキシ、O-カルボキシ、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、ニトロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アミノ(一置換アミノおよび二置換アミノを含む)、およびアルキルアミノから個々にかつ独立して選択される、1つまたはそれより多くの基(複数可)で個々にかつ独立して置換され得ることを意味する。基が、「必要に応じて置換された」、「置換されない」、または「置換される」と記述されない場合、そのような基は、そのような基の定義が他の事項を記述しない限り、置換されない。
【0032】
本明細書で使用される場合、「CからC」(式中、「a」および「b」は整数である)は、アルキル、アルケニル、またはアルキニル基の炭素原子の数を指し、またはシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクリル基の環内の炭素原子の数を指す。即ち、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルの環、アリールの環、ヘテロアリールの環、またはヘテロシクリルの環は、「a」から「b」個(両端を含む)の炭素原子を含有することができる。したがって例えば、「CからCアルキル」基または「C~Cアルキル」基は、1から4個の炭素を有する全てのアルキル基、即ちCH-、CHCH-、CHCHCH-、(CHCH-、CHCHCHCH-、CHCHCH(CH)-、および(CHC-を指す。同様に、例えばシクロアルキル基は、「a」から「b」個(両端を含む)の全原子、例えばC~Cシクロアルキル基、3から8個の炭素原子を環(複数可)内に含有していてもよい。「a」および「b」が、アルキル、シクロアルキル、またはシクロアルケニルに関して指定されない場合、これらの定義に記述される最も広い範囲が想定される。同様に、「4から7員ヘテロシクリル」基は、4から7個の全環原子を持つ全てのヘテロシクリル基、例えばアゼチジン、オキセタン、オキサゾリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、および同様のものを指す。本明細書で使用される場合、「C~C」という用語は、C、C、C、C、C、およびCと、2つの先行する数値のいずれかにより定義される範囲を含む。例えば、C~Cアルキルは、C、C、C、C、C、およびCアルキル、C~Cアルキル、C~Cアルキルなどを含む。同様に、C~Cカルボシクリルまたはシクロアルキルはそれぞれ、3、4、5、6、7、および8個の炭素原子または2つの数値のいずれかにより定義される範囲を含有する炭化水素環、例えばC~CシクロアルキルまたはC~Cシクロアルキルを含む。別の例として、3から10員ヘテロシクリルは、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10個の環原子、または2つの先行する数値のいずれかにより定義された範囲、例えば4から6員または5から7員ヘテロシクリルを含む。
【0033】
本明細書で使用される場合、「アルキル」は、完全飽和(二重結合も三重結合もない)炭化水素基を含む直鎖または分枝鎖状炭化水素鎖を指す。アルキル基は、1から20個の炭素原子を有していてもよい(本明細書に出現する場合はいつでも、「1から20」などの数値範囲は、所与の範囲の各整数を指し;例えば、「1から20個の炭素原子」は、アルキル基が、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子など、最大で20個(この値を含む)の炭素原子からなるものであってもよいことを意味するが、本発明の定義は、数値範囲が指定されない場合の「アルキル」という用語の出現も包含する)。アルキル基は、1から10個の炭素原子を有する中間サイズのアルキルであってもよい。アルキル基は、1から6個の炭素原子を有する低級アルキルとすることもできる。化合物のアルキル基は、「C~Cアルキル」と指定されてもよく、または類似の指定であってもよい。単なる例として、「C~Cアルキル」は、1から4個の炭素原子がアルキル鎖中にあることを示し、即ちアルキル鎖は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、およびt-ブチルから選択される。典型的なアルキル基には、如何様にも限定するものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第三級ブチル、ペンチル、およびヘキシルが含まれる。
【0034】
本明細書で使用される場合、「アルケニル」という用語は、限定するものではないが1-プロペニル、2-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、および同様のものを含む炭素二重結合(複数可)を含有する2から20個の炭素原子からの1価の直鎖または分枝鎖ラジカルを指す。アルケニル基は、置換されなくても置換されてもよい。
【0035】
本明細書で使用される場合、「アルキニル」という用語は、限定するものではないが1-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、および同様のものを含む炭素三重結合(複数可)を含有する2から20個の炭素原子からの1価の直鎖または分枝鎖ラジカルを指す。アルキニル基は、置換されなくても置換されてもよい。
【0036】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」は、完全飽和(二重結合も三重結合もない)単または多環式炭化水素環系を指す。2個またはそれよりも多くの環から構成される場合、環は、架橋、縮合、またはスピロ様式で一つに結合されてもよい。シクロアルキル基は、3から10個の原子を環(複数可)内に、または3から8個の原子を環(複数可)内に含有することができる。典型的なシクロアルキル基には、如何様にも限定するものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ノルボルニル、デカリニル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、およびスピロ[3.5]ノニルが含まれる。
【0037】
本明細書で使用される場合、「シクロアルケン」または「シクロアルケニル」は、部分飽和単環式または多環式炭化水素環系を指し、即ち、そのように位置が定められた1つまたはそれより多くの二重結合を有するものであるが、完全非局在化パイ電子系が全ての環(複数可)全体にわたり生じないものを指す。2個またはそれよりも多くの環で構成された場合、環は、架橋、縮合、またはスピロ様式で一つに結合され得る。シクロアルケニル基は、4から10個の原子を環(複数可)内に、または5から10個の原子を環(複数可)内に含有することができる。典型的なシクロアルケニル基には、如何様にも限定するものではないがシクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、およびシクロオクテニルが含まれる。
【0038】
本明細書で使用される場合、「アルコキシ」は、式-OR(式中、Rは、上記にて定義されたアルキルである)を指す。アルコキシの非限定的なリストは、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、およびtert-ブトキシである。
【0039】
本明細書で使用される場合、「ハロアルキル」は、水素原子の1個または複数がハロゲンによって置き換えられたアルキル基(例えば、モノハロアルキル、ジハロアルキル、およびトリハロアルキル)を指す。そのような基には、限定するものではないがクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、および1-クロロ-2-フルオロメチル、2-フルオロイソブチルが含まれる。
【0040】
本明細書で使用される場合、「ハロアルコキシ」は、水素原子の1個または複数がハロゲンによって置き換えられた(例えば、モノハロアルコキシ、ジハロアルコキシ、およびトリハロアルコキシ)、本明細書で定義されたアルコキシ基を指す。そのような基には、限定するものではないがクロロメトキシ、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、1-クロロ-2-フルオロメトキシ、および2-フルオロイソブトキシが含まれる。
【0041】
本明細書で使用される場合、「ハロゲン原子」または「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素など、元素の周期表の第7族の放射線安定原子のいずれか1つを意味する。
【0042】
本明細書で使用される場合、「アリール」は、全ての環全体にわたり完全非局在化パイ電子系を有する炭素環式(全て炭素)単環式または多環式芳香環系(2個の炭素環式環が化学結合を共有する縮合環系を含む)を指す。アリール基内の炭素原子の数は、相違し得る。例えばアリール基は、Cアリール基またはC10アリール基であり得る。アリール基の例には、限定するものではないがベンゼンおよびナフタレンが含まれる。
【0043】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」は、1個またはそれより多くのヘテロ原子(例えば、1、2、または3個のヘテロ原子)を含有する、即ち限定するものではないが窒素、酸素、および硫黄を含めた炭素以外の元素を含有する、単環式または多環式芳香環系(完全非局在化パイ電子系を持つ環系)を指す。ヘテロアリール基の環(複数可)内の原子の数は、相違し得る。例えば、ヘテロアリール基は、5から10個の原子を環(複数可)内に、6から10個の原子を環(複数可)内に、または5から6個の原子を環(複数可)内に含有することができ、例えば9個の炭素原子および1個のヘテロ原子;8個の炭素原子および2個のヘテロ原子;7個の炭素原子および3個のヘテロ原子;8個の炭素原子および1個のヘテロ原子;7個の炭素原子および2個のヘテロ原子;6個の炭素原子および3個のヘテロ原子;5個の炭素原子および4個のヘテロ原子;5個の炭素原子および1個のヘテロ原子;4個の炭素原子および2個のヘテロ原子;3個の炭素原子および3個のヘテロ原子;4個の炭素原子および1個のヘテロ原子;3個の炭素原子および2個のヘテロ原子;または2個の炭素原子および3個のヘテロ原子を含有することができる。さらに、「ヘテロアリール」という用語は、2個の環、例えば少なくとも1個のアリール環および少なくとも1個のヘテロアリール環または少なくとも2個のヘテロアリール環が少なくとも1つの化学結合を共有する縮合環系を含む。ヘテリアリール環の例には、限定するものではないがフラン、フラザン、チオフェン、ベンゾチオフェン、フタラジン、ピロール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、チアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、ベンゾチアゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、インドール、インダゾール、ピラゾール、ベンゾピラゾール、イソキサゾール、ベンゾイソキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、プリン、プテリジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリン、シンノリン、およびトリアジンが含まれる。
【0044】
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクリル」は、3、4、5、6、7、8、9、および10員単環式、二環式、および三環式環系であって、炭素原子が1から5個のヘテロ原子と一緒になって前記環系を構成する、3、4、5、6、7、8、9、および10員単環式、二環式、および三環式環系を指す。複素環は、必要に応じて、そのように位置が定められた1つまたはそれより多くの不飽和結合を含有していてもよいが、完全非局在化パイ電子系は、全ての環の全体を通して出現しない(即ち、ヘテロシクリル環は芳香族ではない)。ヘテロ原子(複数可)は、限定するものではないが酸素、硫黄、および窒素を含む、炭素以外の元素である。複素環は、ラクタム、ラクトン、および環状カルバメートなどのオキソ系を定義が含むように、1個またはそれより多くのカルボニル官能基をさらに含有していてもよい。2個またはそれよりも多くの環で構成される場合、環は、縮合、架橋、またはスピロ様式で一つに結合されてもよい。本明細書で使用される場合、「縮合」という用語は、2個の原子および1つの結合を共通して有する2個の環を指す。本明細書で使用される場合、「架橋ヘテロシクリル」という用語は、ヘテロシクリルが、非隣接原子を接続している1個またはそれより多くの原子の連結を含有する化合物を指す。本明細書で使用される場合、「スピロ」という用語は、1個の原子を共通して有する2個の環を指し、2個の環は架橋によって結合されていない。ヘテロシクリル基は、3から10個の原子を環(複数可)内に、3から8個の原子を環(複数可)内に、3から6個の原子を環(複数可)内に、または5から6個の原子を環(複数可)内に含有することができる。例えば、5個の炭素原子および1個のヘテロ原子;4個の炭素原子および2個のヘテロ原子;3個の炭素原子および3個のヘテロ原子;4個の炭素原子および1個のヘテロ原子;3個の炭素原子および2個のヘテロ原子;2個の炭素原子および3個のヘテロ原子;1個の炭素原子および4個のヘテロ原子;3個の炭素原子および1個のヘテロ原子;または2個の炭素原子および1個のヘテロ原子である。さらに、ヘテロシクリル基内の任意の窒素は、四級化されてもよい。ヘテロシクリル基は、ヘテロシクリル基の炭素原子を介して(C結合)または窒素原子などのヘテロシクリル基内のヘテロ原子によって(N結合)、分子の残りに結合することができる。ヘテロシクリル基は、置換されなくても置換されてもよい。そのような「ヘテロシクリル」基の例には、限定するものではないがアジリジン、オキシラン、チイラン、アゼチジン、オキセタン、1,3-ジオキシン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、1,2-ジオキソラン、1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキソラン、1,3-オキサチアン、1,4-オキサチイン、1,3-オキサチオラン、1,3-ジチオール、1,3-ジチオラン、1,4-オキサチアン、テトラヒドロ-1,4-チアジン、2H-1,2-オキサジン、マレイミド、スクシンイミド、バルビツール酸、チオバルビツール酸、ジオキソピペラジン、ヒダントイン、ジヒドロウラシル、トリオキサン、ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、イソキサゾリン、イソキサゾリジン、オキサゾリン、オキサゾリジン、オキサゾリジノン、チアゾリン、チアゾリジン、モルホリン、オキシラン、ピペリジンN-オキシド、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、アゼパン、ピロリドン、ピロリジオン、4-ピペリドン、ピラゾリン、ピラゾリジン、2-オキソピロリジン、テトラヒドロピラン、4H-ピラン、テトラヒドロチオピラン、チアモルホリン、チアモルホリンスルホキシド、チアモルホリンスルホン、およびこれらのベンゾ縮合類似体(例えば、ベンゾイミダゾリジノン、テトラヒドロキノリン、および/または3,4-メチレンジオキシフェニル)が含まれる。スピロヘテロシクリル基の例には、2-アザスピロ[3.3]ヘプタン、2-オキサスピロ[3.3]ヘプタン、2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタン、2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタン、2-オキサスピロ[3.4]オクタン、および2-アザスピロ[3.4]オクタンが含まれる。
【0045】
本明細書で使用される場合、「低級アルキレン基」は、それらの末端炭素原子を介して分子フラグメントに接続する結合を形成する、直鎖-CH-テザリング基である。低級アルキレン基は、1から6個の炭素原子を含有する。例には、限定するものではないがメチレン(-CH-)、エチレン(-CHCH-)、プロピレン(-CHCHCH-)、およびブチレン(-CHCHCHCH-)が含まれる。
【0046】
本明細書で使用される場合、「アラルキル」および「アリール(アルキル)」は、上述のように低級アルキル基を介して、置換基として接続される、上記にて定義されたアリール基を指す。アラルキルの低級アルキレンおよびアリール基は、置換されても置換されなくてもよい。
【0047】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアラルキル」および「ヘテロアリール(アルキル)」は、上述の低級アルキレン基を介して、置換基として接続される、上記にて定義されたヘテロアリール基を指す。ヘテロアラルキルの低級アルキレンおよびヘテロアリール基は、置換されても置換されなくてもよい。
【0048】
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクリルアルキル」および「ヘテロシクリル(アルキル)」は、低級アルキレン基を介して置換基として接続されるヘテロシクリル基(本明細書で定義される)を指す。ヘテロシクリルアルキルの低級アルキレンおよびヘテロシクリル基は、置換されても置換されなくてもよい。
【0049】
「アミノ」という用語は、-NH基を指す。「必要に応じて置換されたアミノ」という用語は、本明細書で使用される場合、-NRラジカルを指し、式中、RおよびRは独立して、本明細書で定義された通りの、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アラルキル、ヘテロアリール(アルキル)、またはヘテロシクリル(アルキル)であり、RおよびRの少なくとも1つは、水素ではない。
【0050】
本明細書で使用される場合、「アルキルアミノ」または「(アルキル)アミノ」は、-NR基を指し、式中、RおよびRは、上記にて定義された水素またはアルキルであり、RおよびRの少なくとも1つはアルキルである。(アルキル)アミンのアルキル部分は、例えばC~Cアルキル基を含む。アルキルアミノ基の例には、限定するものではないがメチルアミノ(-NHMe)、エチルアミノ(-NHEt)、ジメチルアミノ(-N(Me)、メチルエチルアミノ(-N(Me)(Et))、およびイソプロピルアミノ(-NHiPr)が含まれる。
【0051】
本明細書で使用される場合、「アミノアルキル」または「アミノ(アルキル)」は、水素原子の1個または複数が、本明細書で定義されるアミノ基または「-NR」基によって置き換えられたアルキル基を指す。アミノ(アルキル)のアルキル部分は、例えばC~Cアルキルを含む。アミノアルキル基の例には、限定するものではないが-(CH1~4NH、-(CH1~4-NHCH、-(CH1~4-NHC、-(CH1~4-N(CH、-(CH1~4-N(C、-(CH1~4-NH-CH(CH、-(CH1~4N(CH)C、および-CH(NH)CHが含まれる。
【0052】
本明細書で使用される場合、「アルコキシアルキル」または「(アルコキシ)アルキル」は、C~Cアルコキシアルキルまたは(C~Cアルコキシ)C~Cアルキル、例えば-(CH1~3-OCHなどの低級アルキレン基を介して接続されるアルコキシ基を指す。
【0053】
本明細書で使用される場合、「-O-アルコキシアルキル」または「-O-(アルコキシ)アルキル」は、-O-(C~Cアルコキシ)C~Cアルキル、例えば-O-(CH1~3-OCHなど、-O-(低級アルキレン)基を介して接続されるアルコキシ基を指す。
【0054】
「ヒドロキシ」基は、-OH基を指す。
【0055】
「シアノ」基は、「-CN」基を指す。
【0056】
「S-スルホンアミド」基は、「-SON(R)」基を指し、式中、RおよびRは独立して、上記で定義された通りの、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アラルキル、ヘテロアリール(アルキル)、またはヘテロシクリル(アルキル)であり得る。S-スルホンアミドは、置換されても置換されなくてもよい。
【0057】
「N-スルホンアミド」基は、「RSON(R)-」基を指し、式中、RおよびRは独立して、上記で定義された通りの、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アラルキル、ヘテロアリール(アルキル)、またはヘテロシクリル(アルキル)であり得る。N-スルホンアミドは、置換されても置換されなくてもよい。
【0058】
「C-アミド」基は、「-C(=O)N(R)」基を指し、式中、RおよびRは独立して、上記で定義された通りの、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アラルキル、ヘテロアリール(アルキル)、またはヘテロシクリル(アルキル)であり得る。C-アミドは、置換されても置換されなくてもよい。
【0059】
「N-アミド」基は、「RC(=O)N(R)-」基を指し、式中、RおよびRは独立して、上記で定義された通りの、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アラルキル、ヘテロアリール(アルキル)、またはヘテロシクリル(アルキル)であり得る。N-アミドは、置換されても置換されなくてもよい。
【0060】
「O-カルボキシ」基は、「RC(=O)O-」基を指し、式中、Rは、本明細書で定義された通りの、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アラルキル、ヘテロアリール(アルキル)、またはヘテロシクリル(アルキル)であり得る。O-カルボキシは、置換されても置換されなくてもよい。
【0061】
本明細書で使用される場合、「エステル」および「C-カルボキシ」という用語は、「-C(=O)OR」基を指し、式中、Rは、O-カルボキシに関して定義されたものと同じであり得る。エステルおよびC-カルボキシは、置換されても置換されなくてもよい。
【0062】
置換基の数が指定されない場合(例えば、ハロアルキル)、1個またはそれより多くの置換基が存在していてもよい。例えば「ハロアルキル」は、同じまたは異なるハロゲンの1つまたは複数を含んでいてもよい。別の例として、「C~Cアルコキシフェニル」は、1、2、または3個の原子を含有する同じまたは異なるアルコキシ基の1個または複数を含んでいてもよい。
【0063】
本明細書で使用される場合、任意の保護基、アミノ酸、およびその他の化合物の略称は、他に指示されない限り、それらの一般的な使用、認識される略称、またはIUPAC-IUB生化学命名委員会に従う(Biochem. 11:942-944 (1972)参照)。
【0064】
本明細書で使用される場合、「保護基(protecting group)」および「保護基(複数可)(protecting groups)」という用語は、分子中の既存の基が望ましくない化学反応を受けるのを防止するために、分子に付加される任意の原子または原子の基を指す。保護基部分の例は、適切な保護基を開示する限られた目的で共にこれにより参照により本明細書に組み込まれる、T. W. Greene and P. G. M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd. Ed. John Wiley & Sons, 1999、ならびにJ.F.W. McOmie, Protective Groups in Organic Chemistry Plenum Press, 1973に記載されている。保護基部分は、ある特定の反応条件に対して安定でありかつ都合の良い段階で当技術分野で公知の方法を使用して容易に除去されるような手法で選択されてもよい。保護基の非限定的なリストには、ベンジル;置換ベンジル;アルキルカルボニル(例えば、t-ブトキシカルボニル(BOC)、アセチル、またはイソブチリル);アリールアルキルカルボニル(例えば、ベンジルオキシカルボニルまたはベンゾイル);置換メチルエーテル(例えば、メトキシメチルエーテル);置換エチルエーテル;置換ベンジルエーテル;テトラヒドロピラニルエーテル;シリルエーテル(例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、t-ブチルジメチルシリル、またはt-ブチルジフェニルシリル);エステル(例えば、安息香酸エステル);カーボネート(例えば、メトキシメチルカーボネート);スルホネート(例えば、トシレートまたはメシレート);非環式ケタール(例えば、ジメチルアセタール);環式ケタール(例えば、1,3-ジオキサンまたは1,3-ジオキソラン);非環式アセタール;環式アセタール;非環式ヘミアセタール;環式ヘミアセタール;環式ジチオケタール(例えば、1,3-ジチアンまたは1,3-ジチオラン);およびトリアリールメチル基(例えば、トリチル;モノメトキシトリチル(MMTr);4,4’-ジメトキシトリチル(DMTr);または4,4’,4”-トリメトキシトリチル(TMTr))が含まれる。
【0065】
本明細書で使用される場合、「脱離基」は、化学反応において別の原子または部分に置き換えることが可能な任意の原子または部分を指す。より具体的には、一部の実施形態において、「脱離基」は、求核置換反応で置き換えられる原子または部分を指す。一部の実施形態では、「脱離基」は、強酸の共役塩基である任意の原子または部分である。適切な脱離基の例には、限定するものではないがトシレートおよびハロゲンが含まれる。脱離基の非限定的な特徴および例は、例えば、脱離基の特徴および例を開示する限られた目的でその全てが参照により本明細書に組み込まれる、Organic Chemistry, 2d ed., Francis Carey (1992), pages 328-331; Introduction to Organic Chemistry, 2d ed., Andrew Streitwieser and Clayton Heathcock (1981), pages 169-171;およびOrganic Chemistry, 5th ed., John McMurry (2000), pages 398 and 408に見出すことができる。
【0066】
1つまたはそれより多くのキラル中心を有する、本明細書に記述される任意の化合物では、絶対立体化学が明示されない場合、各中心は独立してR-配置またはS-配置またはこれらの混合物であってもよいことが理解される。したがって本明細書で提供される化合物は、鏡像異性的に純粋であってもよく、鏡像異性的に豊富であってもよく、または立体異性混合物であってもよく、全てのジアステレオマーおよびエナンチオマー形態を含む。さらに、EまたはZと定義することができる幾何学異性体を発生させる1つまたはそれより多くの二重結合(複数可)を有する、本明細書に記述される任意の化合物では、各二重結合が独立してEまたはZ、これらの混合物であってもよいことが理解される。立体異性体は、望む場合には、立体選択合成および/またはキラルクロマトグラフィーカラムによる立体異性体の分離などの方法によって得られる。同様に、記述される任意の化合物では、全ての互変異性体および配座異性体も含まれることが意図されると理解される。配座異性体は、立体配座異性体である構造である。立体配座異性は、同じ構造フォーマットを持つが回転結合の周りに原子の異なる立体配座(配座異性体)を持つ分子の現象である。
【0067】
本明細書に開示される化合物が非充填原子価を有する場合、その原子価は水素および/または重水素で満たされるようになることを理解されたい。
【0068】
本明細書に記述される化合物は、同位体で、または限定するものではないが発色団もしくは蛍光部分、バイオルミネッセンス標識、または化学ルミネッセンス標識の使用を含む別のその他の手段によって、標識できることが理解される。重水素などの同位体での置換は、例えば延びたin vivo半減期または低減された投薬要件など、より大きな代謝安定性からもたらされるある特定の治療上の利点を提供し得る。化合物構造で表される各化学元素は、前記元素の任意の同位体を含んでいてもよい。例えば、化合物構造では、水素原子が化合物中に存在することを明らかに開示してもよくまたは理解されてもよい。水素原子が存在し得る化合物の任意の位置で、水素原子は、限定するものではないが水素-1(プロチウム)、水素-2(重水素)、および水素-3(トリチウム)を含む水素の任意の同位体であり得る。したがって、本明細書で化合物という場合、文脈が他に明示しない限り全ての可能性ある同位体形態を包含する。
【0069】
好ましい実施形態の化合物など、本明細書に記述される化合物は、本明細書に記述される形のいずれか(例えば、薬学的に許容される塩、エナンチオマー/ジアステレオマー形態、互変異性体、および同様のもの)で化合物を含むことも理解されたい。
【0070】
本明細書で使用される「薬学的に許容される塩」という用語は、広範な用語であり、当業者にとってその通常のおよび習慣的な意味で与えられることになり(かつ特殊なまたはカスタマイズされた意味に限定するものではない)、限定するものではないがそれが投与される生体に著しい刺激を引き起こさずかつ化合物の生物活性および性質を無くさない、化合物の塩を指す。一部の実施形態では、塩は、化合物の酸付加塩である。医薬品の塩は、化合物と、ハロゲン化水素酸(例えば、塩酸または臭化水素酸)、硫酸、硝酸、およびリン酸などの無機酸とを反応させることによって得ることができる。医薬品の塩は、化合物と、有機酸、例えば脂肪族または芳香族カルボン酸またはスルホン酸、例えばギ酸、酢酸(AcOH)、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、トリフルオロ酢酸(TFA)、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸、酪酸、フェニル酢酸、フェニル酪酸、バルプロ酸、1,2-エタンジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、またはナフタレンスルホン酸とを反応させることによって得ることもできる。医薬品の塩は、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、例えばリチウム塩、ナトリウム塩、またはカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えばカルシウム塩、マグネシウム塩、またはアルミニウム塩、有機塩基の塩、例えばジシクロヘキシルアミン、N-メチル-D-グルカミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、(C~Cアルキル)アミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミンの塩、およびアルギニンおよびリシンなどのアミノ酸を持つ塩、;または水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、または同様のものなどの無機塩基の塩などの塩を形成するように、化合物と塩基とを反応させることによって得ることもできる。一部の実施形態では、本明細書に記述される化合物は、トリフルオロ酢酸塩の形をとってもよい。
【0071】
「有効量」および「治療有効量」という用語は、広範な用語であり、当業者にとってそれらの通常の習慣的な意味で与えられ(特殊なまたはカスタマイズされた意味に限定するものではない)、限定するものではないが、処置される疾患または状態の症状の1つまたは複数をある程度まで緩和することになる、投与される薬剤または化合物の十分な量を指す。結果は、疾患の徴候、症状、または原因の低減および/または軽減、あるいは生体系の任意のその他の所望の変化であり得る。例えば、治療用途のための「有効量」は、疾患症状の臨床上有意な減少を提供するのに必要とされる、本明細書に開示される化合物を含む組成物の量である。任意の個々のケースにおける適切な「有効」量は、用量漸増研究などの技法を使用して決定されてもよい。薬物が米国食品医薬品局(FDA)または同等の外国の医薬品庁により認可されている場合、「治療有効量」は必要に応じて、特定された疾患または状態の処置のためにFDAまたはその同等の外国の医薬品庁により認可された投薬量を指す。
【0072】
本明細書で使用される場合、「処置する(treat)」、「処置(treatment)」、または「処置している(treating)」は、化合物または医薬組成物を、予防および/または治療目的で対象に投与することを指す。「予防的処置」という用語は、疾患または症状をまだ示さないが特定の疾患または症状に罹り易くまたはその他のリスクがある対象を処置することを指し、それによって処置は、患者が疾患または状態を発症する可能性を低減させる。「治療的処置」という用語は、既に疾患または状態に罹っている対象に処置を投与することを指す。
式(I)の化合物
【0073】
一部の実施形態は、式(I):
【化6】
の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供し、式中、
Xは、CHまたはC=Oであり;
は、1個もしくはそれより多くのRでそれぞれ必要に応じて置換された、C~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルケニル、もしくは3から10員ヘテロシクリル、または1個もしくはそれより多くのRで置換されたC~Cアルキルであり;
、R、およびRのそれぞれは独立して、水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、必要に応じて置換されたC~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ、必要に応じて置換されたアミノ、必要に応じて置換されたC-アミド、必要に応じて置換されたN-アミド、必要に応じて置換されたN-スルホンアミド、必要に応じて置換されたS-スルホンアミド、C~Cアルキルアミノ、(アミノ)C~Cアルキル、(C~Cアルコキシ)C~Cアルキル、-O-(C~Cアルコキシ)C~Cアルキル、必要に応じて置換されたC~Cシクロアルキル、または必要に応じて置換されたC~Cシクロアルケニルであり;
は、水素、重水素、ハロゲン、またはC~Cアルキルであり;
およびRは各々独立して、水素またはC~Cアルキルであり;
は、H、重水素、C~Cアルキル、
【化7】
であり;
各Rは独立して、重水素、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、必要に応じて置換されたC~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ、必要に応じて置換されたアミノ、C~Cアルキルアミノ、(アミノ)C~Cアルキル、-(C=O)NR12a12b、-NR12a(C=O)(C~Cアルキル)、(C~Cアルコキシ)C~Cアルキル、-O-(C~Cアルコキシ)C~Cアルキル、必要に応じて置換されたC~Cシクロアルキル、必要に応じて置換されたC~Cシクロアルケニル、または必要に応じて置換された3から7員ヘテロシクリルであり;または2個のジェミナルRがオキソを形成し;
9aおよびR9bのそれぞれは独立して、H、必要に応じて置換されたC~Cアルキル、必要に応じて置換されたC~Cアルケニル、必要に応じて置換されたC~Cアルキニル、必要に応じて置換されたC~C10アリール、必要に応じて置換された5から10員ヘテロアリール、必要に応じて置換されたC~C14アラルキル、必要に応じて置換された3から10員ヘテロシクリル、または必要に応じて置換されたC~Cカルボシクリルであり;
10aおよびR10bのそれぞれは独立して、H、ハロゲン、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ、またはC~Cカルボシクリルであり;
11aおよびR11bのそれぞれは独立して、H、必要に応じて置換されたC~Cアルキル、必要に応じて置換されたC~C10アリール、必要に応じて置換されたC~C14アラルキル、または必要に応じて置換されたC~Cカルボシクリルであり;
12aおよびR12bのそれぞれは独立して、H、もしくはC~Cアルキルであり、またはR12aおよびR12bは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、1個またはそれより多くのR13で必要に応じて置換された、必要に応じて置換された5または6員ヘテロシクリルを形成し;
各R13は独立して、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ、(C~Cアルコキシ)C~Cアルキル、-O-(C~Cアルコキシ)C~Cアルキル、必要に応じて置換されたアミノ、ハロゲン、またはシアノであり;または2個のジェミナルR13がオキソを形成する。一部の実施形態では、Rが必要に応じて置換された3から10員ヘテロシクリルである場合は、R、R、およびRの少なくとも1個は水素ではない。一部のさらなる実施形態では、Rが3から10員ヘテロシクリルであり、R、R、R、およびRのそれぞれが水素である場合は、R、R、およびRの少なくとも1個は水素ではない(例えば、Rが水素ではない)。一部の実施形態では、Rがトリフルオロメチルであり、R、R、R、およびRのそれぞれが水素である場合は、Rは、重水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、C~Cアルコキシ、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ、必要に応じて置換されたアミノ、必要に応じて置換されたC-アミド、必要に応じて置換されたN-アミド、必要に応じて置換されたN-スルホンアミド、必要に応じて置換されたS-スルホアミド、C~Cアルキルアミノ、(アミノ)C~Cアルキル、(C~Cアルコキシ)C~Cアルキル、-O-(C~Cアルコキシ)C~Cアルキル、必要に応じて置換されたC~Cシクロアルキル、または必要に応じて置換されたC~Cシクロアルケニルである。一部のさらなる実施形態では、Rがトリフルオロメチルであり、R、R、R、およびRのそれぞれが水素である場合は、Rは、ハロゲン(例えば、Rはフルオロである)である。一部のさらなる実施形態では、Rがトリフルオロメチルであり、R、R、R、およびRのそれぞれが水素である場合は、Rは水素である。
【0074】
一部の実施形態では、化合物は、式(Ia):
【化8】
またはその薬学的に許容される塩によっても表される。
【0075】
一部の実施形態では、化合物は、式(Ib)もしくは(Ic):
【化9】
またはその薬学的に許容される塩によっても表される。
【0076】
式(I)、(Ia)、(Ib)、または(Ic)の化合物の一部の実施形態では、XがCHである。他の実施形態では、XがC=Oである。
【0077】
式(I)、(Ia)、(Ib)、または(Ic)の化合物の一部の実施形態では、Rは、必要に応じて置換されたC~Cシクロアルキル、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ビシクロヘプチル、またはシクロオクチルである。他の実施形態では、Rは、必要に応じて置換されたC~Cシクロアルケニル、例えばシクロペンタ-1-エン、シクロペンタ-2-エン、シクロヘキサ-1-エン、シクロヘキサ-2-エン、シクロヘキサ-3-エン、シクロヘプタ-1-エン、シクロヘプタ-2-エン、シクロヘプタ-3-エン、シクロヘプタ-4-エン、シクロオクタ-1-エン、シクロオクタ-2-エン、シクロオクタ-3-エン、またはシクロオクタ-4-エンである。一部のさらなる実施形態では、Rは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロヘプチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、
【化10】
である。一部のそのような実施形態では、Rは置換されていない。他の実施形態では、Rは、1個またはそれより多くのRで置換される。一部のそのような実施形態では、Rは、1個のRで置換されている。一部の他の実施形態では、Rは、2個のRで置換されている。一部のそのような実施形態では、各Rは独立して、ハロゲン(例えば、クロロまたはフルオロ)、C~Cアルキル(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、またはt-ブチル)、C~Cハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)、およびC~Cシクロアルキル(例えば、シクロプロピル)(1個またはそれより多くのハロゲン、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、またはC~Cハロアルコキシ、またはこれらの組合せで必要に応じて置換されている)からなる群から選択される。一部のさらなる実施形態では、Rは、
【化11】
である。
【0078】
式(I)、(Ia)、(Ib)、または(Ic)の化合物の追加の実施形態では、Rは、1個またはそれより多くのRで置換されたC~Cアルキルである。一部のそのような実施形態では、Rは、ハロゲン(例えば、クロロまたはフルオロ)、C~Cアルキル(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、またはt-ブチル)、C~Cハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)、およびC~Cシクロアルキル(例えば、シクロプロピル)(1個またはそれより多くのハロゲン、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、またはC~Cハロアルコキシ、またはこれらの組合せで必要に応じて置換されている)からなる群から独立して選択される1個または2個のRで置換された、C~CアルキルまたはC~Cアルキル(例えば、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、またはt-ブチル)である。一部のさらなる実施形態では、Rは、-CHF、-CHF、-CHCHF、-CHCHF、-CH(CH)CF、または-CH(CHCH)CFである。一部の実施形態では、Rは-CFではない。他の実施形態では、Rが-CFである場合、Rは、ハロゲン(例えば、フルオロ)、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、C~Cアルコキシ(例えば、メトキシ)、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)、またはC~Cハロアルコキシ(例えば、トリフルオロメトキシ)である。
【0079】
式(I)、(Ia)、(Ib)、または(Ic)の化合物の追加の実施形態では、Rは、必要に応じて置換された3から7員ヘテロシクリルである。一部のそのような実施形態では、ヘテロシクリル基は、窒素、酸素、硫黄、およびこれらの組合せからなる群から選択される1個またはそれより多くのヘテロ原子を含有する。他の実施形態では、ヘテロシクリル基は、1つの不飽和結合(例えば、1つの炭素-炭素二重結合)を、環または環系内に含有する。Rが必要に応じて置換されたヘテロシクリル基である化合物の一部の実施形態では、Rが水素ではない。一部のそのような実施形態では、Rがハロゲン(例えば、フルオロまたはクロロ)、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、C~Cアルキル(例えば、メチル)、C~Cアルコキシ(例えば、メトキシ)、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)、C~Cハロアルコキシ(例えば、トリフルオロメトキシ)であって、必要に応じて置換されている(例えば、Rが、必要に応じて置換されたC~Cシクロアルキルまたは必要に応じて置換されたC~Cシクロアルケニルである場合)。
【0080】
式(I)または(Ia)の化合物の一部の実施形態では、Rが水素である。他の実施形態では、Rが重水素である。さらに他の実施形態では、Rがハロゲン、例えばフルオロまたはクロロである。一部の実施形態では、RがC~Cアルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、ペンチル(直鎖または分枝鎖状)、またはヘキシル(直鎖または分枝鎖状)である。他の実施形態では、RがC~Cアルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、sec-ブトキシ、t-ブトキシ、ペントキシ(直鎖または分枝鎖状)、またはヘキソキシ(直鎖または分枝鎖状)である。さらに他の実施形態では、RがC~Cハロアルキル、例えばC~CフルオロアルキルまたはC~Cクロロアルキルである。例えば、Rは、-CHF、-CHF、-CF、-CHCF、-CFCF、-(CH)CHCF、または-CHClであり得る。一部の実施形態では、Rが水素、フルオロ、クロロ、メチル、トリフルオロメチル、またはメトキシである。一部の実施形態では、Rが水素ではない。一部の実施形態では、Rが必要に応じて置換されるとき(例えば、Rが必要に応じて置換されたC~Cシクロアルキルまたは必要に応じて置換されたC~Cシクロアルケニルであるとき)、Rは、1個またはそれより多くのRで必要に応じて置換される。
【0081】
式(I)、(Ia)、または(Ib)の化合物の一部の実施形態では、Rが水素である。他の実施形態では、Rが重水素である。さらに他の実施形態では、Rがフルオロである。さらに他の実施形態では、Rがメチルまたはエチルである。一部の実施形態では、Rが水素ではない。
【0082】
式(I)、(Ia)、または(Ib)の化合物の一部の実施形態では、Rは水素である。他の実施形態では、RはC~Cアルキル、例えばメチルである。一部の実施形態では、Rは水素ではない。
【0083】
式(I)または(Ib)の化合物の一部の実施形態では、Rは水素、重水素、ハロゲン、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、またはC~Cハロアルキルである。一部のさらなる実施形態では、Rが水素、フルオロ、クロロ、メチル、トリフルオロメチル、またはメトキシである。一実施形態では、Rが水素である。別の実施形態では、Rがフルオロである。一部の実施形態では、Rが必要に応じて置換された場合(例えば、Rが必要に応じて置換されたC~Cシクロアルキルまたは必要に応じて置換されたC~Cシクロアルケニルである場合)、Rは、1個またはそれより多くのRで必要に応じて置換される。
【0084】
一部の実施形態、式(I)または(Ib)の化合物で、Rは水素である。他の実施形態では、Rが重水素である。さらに他の実施形態では、Rがハロゲン、例えばフルオロまたはクロロである。一部の実施形態では、RがC~Cアルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、ペンチル(直鎖または分枝鎖状)、またはヘキシル(直鎖または分枝鎖状)である。他の実施形態では、RがC~Cアルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、sec-ブトキシ、t-ブトキシ、ペントキシ(直鎖または分枝鎖状)またはヘキソキシ(直鎖または分枝鎖状)である。さらに他の実施形態では、RがC~Cハロアルキル、例えばC~CフルオロアルキルまたはC~Cクロロアルキルである。例えば、Rは、-CHF、-CHF、-CF、-CHCF、-CFCF、-(CH)CHCF、または-CHClであり得る。一部の実施形態では、Rが水素、フルオロ、メチル、トリフルオロメチル、またはメトキシである。一部の実施形態では、Rが必要に応じて置換される場合(例えば、Rが必要に応じて置換されたC~Cシクロアルキルまたは必要に応じて置換されたC~Cシクロアルケニルである場合)、Rは、1個またはそれより多くのRで必要に応じて置換される。
【0085】
式(I)の化合物の一部の実施形態では、Rは水素である。他の実施形態では、RがC~Cアルキル(例えば、メチル)である。
【0086】
式(I)の化合物の一部の実施形態では、Rは水素である。他の実施形態では、RがC~Cアルキル(例えば、メチル)である。一部の実施形態では、R
【化12】
であり、R9aおよびR9bのそれぞれは独立して、HまたはC~Cアルキルである。1つのそのような実施形態では、R9aおよびR9bが共にt-ブチルである。一部の実施形態では、R
【化13】
であり、式中、R10a、R10b、R11a、およびR11bのそれぞれが独立して水素またはC~Cアルキルである。一部のそのような実施形態では、R10a、R11a、およびR11bのそれぞれが水素であり、R10bがC~Cアルキル(例えば、メチル、エチル、またはイソプロピル)である。
【0087】
式(Ia)の化合物の追加の実施形態では、XがCHまたはC=Oであり;Rが、非置換C~Cシクロアルキルまたは非置換C~Cシクロアルケニルであり;Rが水素、重水素、ハロゲン、非置換C~Cアルキル、非置換C~Cアルコキシ、または非置換C~Cハロアルキルであり;Rが水素、重水素、フルオロ、またはメチルであり;Rが水素またはメチルであり;R、R、R、およびRのそれぞれが水素である。
【0088】
本明細書に記述される化合物の任意の実施形態において、Rは独立してハロゲン(例えば、クロロまたはフルオロ)、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、C~Cアルキル(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、またはt-ブチル)、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)、C~Cハロアルコキシ(例えば、トリフルオロメトキシ)、アミノ、C~Cアルキルアミノ、(アミノ)C~Cアルキル、またはC~Cシクロアルキル(例えば、シクロプロピル)であって、1個またはそれより多くのハロゲン、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、またはC~Cハロアルコキシ、またはこれらの組合せで必要に応じて置換されている。一部のさらなる実施形態では、Rが必要に応じて置換されたC~Cシクロアルキル、必要に応じて置換されたC~Cシクロアルケニル、または必要に応じて置換された3から7員ヘテロシクリルである場合、C~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルケニル、および3から7員ヘテロシクリルのそれぞれは、置換されていないか、またはハロゲン(例えば、クロロまたはフルオロ)、C~Cアルキル(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、またはt-ブチル)、C~Cハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)、C~Cアルコキシ(例えば、メトキシ)、またはC~Cハロアルコキシ(例えば、トリフルオロメトキシ)から独立して選択される1個またはそれより多くの置換基で置換される。
【0089】
式(I)の非限定的な例示的な化合物は、下記:
【化14】
【化15】
ならびにそれらの薬学的に許容される塩を含む。
【0090】
本明細書に開示される追加の化合物は、
【化16】
【化17】
またはその薬学的に許容される塩を含む。
医薬組成物
【0091】
一部の実施形態は、式(I)、(Ia)、(Ib)、もしくは(Ic)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む本明細書に記述される化合物と、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤または担体とを含む、医薬組成物を提供する。
【0092】
「医薬組成物」という用語は、本明細書に開示される1つもしくはそれより多くの化合物および/または塩と、その他の化学成分、例えば1種またはそれより多種の賦形剤との、混合物を指す。医薬組成物は、生体への化合物の投与を容易にする。医薬組成物は、化合物と、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、およびサリチル酸などの無機または有機酸とを反応させることによって、得ることもできる。医薬組成物は、一般に、特定の意図される投与経路に対して調整される。
【0093】
本明細書で使用される場合、「賦形剤」は、限定するものではないが嵩、コンシステンシー、安定性、結合能力、潤滑性、崩壊能力などを組成物に提供するように医薬組成物に添加される、本質的に不活性な物質を指す。例えば、抗酸化剤および金属キレート剤などの安定化剤は、賦形剤である。賦形剤は、目に見える薬理学的活性に欠けるが薬学的に必要なまたは望ましいと考えられる、医薬組成物中の成分も含む。例えば、その質量が製造および/または投与には小さ過ぎる、強力な薬物の嵩を増大させるためである。注射、摂取、または吸入によって投与される薬物を溶解させるための液体であってもよい。例えば、緩衝水性溶液、例えば限定するものではないが、ヒト血液のpHおよび等張性を模倣するリン酸緩衝食塩水である。
【0094】
本明細書に記述される医薬組成物は、ヒト患者自体に、またはそれらが他の活性成分と混合される医薬組成物として併用療法で、または賦形剤、またはこれらの組合せで、投与することができる。適正な製剤は、選択される投与経路に依存する。本明細書に記述される化合物の製剤および投与に関する技法は、当業者に公知である。
【0095】
本明細書に開示される医薬組成物は、それ自体が公知の手法、例えば従来の混合、溶解、造粒、糖衣作製、研和、乳化、カプセル化、封入、または錠剤化プロセスを用いて、製造されてもよい。さらに活性成分は、その意図される目的を達成するのに有効な量で含有される。本明細書で開示される医薬組成物に使用される化合物の多くは、薬学的に適合する対イオンとの塩として提供され得る。
【0096】
限定するものではないが経口、直腸、肺、局所、エアロゾル、注射、輸液、および非経口送達であって筋肉内、皮下、静脈内、髄内注射、くも膜下内、直接脳室内、腹腔内、鼻内、および眼内注射を含めたものを含む、化合物、塩、および/または組成物を投与する多数の技法が、当技術分野に存在する。一部の実施形態では、式(I)、(Ia)、(Ib)、もしくは(Ic)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む、本明細書に記述される化合物を、経口投与することができる。
【0097】
化合物、塩、および/または組成物を、全身にではなく局所に、例えば化合物の、罹患領域への直接的な注射または埋込みを介して、しばしばデポーまたは持続放出製剤として投与してもよい。さらに、化合物を、標的薬物送達系に、例えば組織特異的抗体でコーティングされたリポソームに投与してもよい。リポソームは、標的とされかつ臓器によって選択的に摂取される。例えば呼吸器疾患または状態を標的とする鼻内または肺送達が、望ましいと考えられる。
【0098】
組成物は、望む場合には、活性成分を含有する1つまたはそれより多くの単位剤形を含有し得る、パックまたはディスペンサーデバイスとして提示されてもよい。パックは例えば、金属またはプラスチック箔、例えばブリスターパックを含んでいてもよい。パックまたはディスペンサーデバイスは、投与のための使用説明書を伴っていてもよい。パックまたはディスペンサーは、医薬品の製造、使用、または販売を規制する政府機関により処方された形の容器に関連した注意書きを伴ってもよく、この注意書きは、ヒトまたは動物に投与するための薬物の形の、該機関による認可を反映したものである。そのような注意書きは例えば、処方薬に関して米国食品医薬品局により認可された標識、または認可された製品文書であってもよい。適合する医薬品賦形剤にて製剤化された、本明細書に記述される化合物および/または塩を含むことができる組成物は、調製されてもよく、適切な容器に入れられてもよく、指示される状態の処置のために標識されてもよい。
【0099】
化合物、塩、および/または医薬組成物は、投与する医師またはその他の医療従事者に、キットの形で提供することができる。キットは、適切な医薬組成物中に化合物(複数可)を含有する容器と、対象に医薬組成物を投与するための使用説明書とを収容する、パッケージである。キットは、1種またはそれより多種の追加の治療剤を必要に応じて含有することもできる。キットは、連続または逐次投与のため、別々の用量の化合物(複数可)または医薬組成物を含有することもできる。キットは、必要に応じて1つまたはそれより多くの診断ツールと使用のための使用説明書とを含有することができる。キットは、適切な送達デバイス、例えば注射器および同様のものを、化合物(複数可)および任意のその他の治療剤を投与するための使用説明書と一緒に含有することができる。キットは必要に応じて、含まれる任意のまたは全ての治療剤の、貯蔵、再構成(適用可能な場合)、および投与のための使用説明書を含有することができる。キットは、対象に与えられる投与回数を反映する複数の容器を含むことができる。
処置の使用/方法
【0100】
一部の実施形態は、それを必要とする対象におけるがんを処置しまたは寛解させる方法であって、式(I)、(Ia)、(Ib)、もしくは(Ic)の化合物を含む、本明細書に記述される化合物、またはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物の有効量を対象に投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、がんは、リンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、皮膚がん、脳がん、肺がん、網膜細胞癌、前立腺がん、卵巣がん、肝臓がん、腺癌、乳がん、結直腸がん、腎臓がん、膀胱がん、膵臓がん、または脂肪肉腫である。一部の実施形態では、がんは、1つまたはそれより多くのタンパク質の機能不全によって媒介され、タンパク質は、サイトカイン、PDE6、CK1α、またはイカロス、またはこれらの組合せである。一部のそのような実施形態では、サイトカインがTNFα、IL-1β、IL-2、またはIL-6、またはこれらの組合せである。一実施形態では、疾患がIL-2により媒介される。
【0101】
一部の実施形態では、リンパ腫は、ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、またはB細胞リンパ腫である。一部の実施形態では、白血病は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、または慢性リンパ球性白血病(CLL)である。一部の実施形態では、皮膚がんは、黒色腫または扁平上皮癌である。
【0102】
一部の実施形態では、脳がんが、神経芽細胞腫、膠芽腫、または星細胞芽腫である。他の実施形態では、肺がんが、非小細胞肺がんまたは小細胞肺がんである。さらに他の実施形態では、がんが、乳がんまたは卵巣がんである。さらに他の実施形態では、がんが、網膜細胞癌、腺癌、または脂肪肉腫である。
【0103】
一部の実施形態では、がんが、前立腺がん、肝臓がん、結直腸がん、腎臓がん、膀胱がん、または膵臓がんである。
【0104】
一部の実施形態は、それを必要とする対象の網膜疾患を寛解または処置するための方法であって、式(I)、(Ia)、(Ib)、もしくは(Ic)の化合物を含む本明細書に記述される化合物、またはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物の有効量を対象に投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、網膜疾患が網膜色素変性症(RP)、常染色体優性先天性停止性夜盲症(adCSNB)、色覚異常(ACHM)、および繊毛病である。一部の実施形態では、繊毛病は、網膜繊毛病、Meckel-Gruber症候群、Joubert症候群(JBTS)、Bardet-Biedl症候群、またはUsher症候群から選択される。一部の実施形態では、がんは、PDE6、例えばPDE6δまたはPDE6Dの調節不全または機能不全により媒介される。
【0105】
一部の追加の実施形態は、それを必要とする対象における炎症性疾患、自己免疫疾患、アレルギー性疾患、または神経変性疾患を寛解させまたは処置する方法であって、式(I)、(Ia)、(Ib)、もしくは(Ic)の化合物を含む、本明細書に記述される化合物、またはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物の有効量を対象に投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、炎症性疾患、自己免疫疾患、アレルギー性疾患、または神経変性疾患は、線維症、多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ループス、線維筋痛症、リウマチ様関節炎、骨関節炎、強直性脊椎炎、乾癬、乾癬性関節炎、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、慢性閉塞性肺疾患、食物アレルギー、喘息、またはアナフィラキシーである。一部の実施形態では、炎症性疾患、自己免疫疾患、アレルギー性疾患、または神経変性疾患は、TNFα、IL-1β、またはIL-6、またはこれらの組合せなど、1種またはそれより多種の炎症性サイトカインの機能不全、調節不全、または不適切な活性化により媒介される。他の実施形態では、炎症性疾患、自己免疫疾患、アレルギー疾患、または神経変性疾患は、IL-2の調節不全の過剰発現により引き起こされる。
【0106】
処置方法の任意の実施形態では、本明細書に記述される化合物またはその塩は、第2の治療剤と共に共投与されてもよい。
【0107】
一部の実施形態は、細胞におけるCK1αの活性化を阻害する方法であって、細胞を、式(I)、(Ia)、(Ib)、もしくは(Ic)の化合物を含む本明細書に記述される化合物またはその薬学的に許容される塩と接触させることを含む方法を提供する。一部の実施形態では、細胞は、異常なCK1α活性を保有する。他の実施形態は、細胞におけるPDE6活性を阻害する方法であって、細胞を、式(I)、(Ia)、(Ib)、もしくは(Ic)の化合物を含む本明細書に記述される化合物またはその薬学的に許容される塩と接触させることを含む方法を提供する。一部の実施形態では、細胞は、異常なPDE6活性を保有する。一実施形態では、PDE6はPDE6δまたはPDE6Dである。他の実施形態は、細胞におけるイカロスの活性を阻害する方法であって、細胞を、式(I)、(Ia)、(Ib)、もしくは(Ic)の化合物を含む本明細書に記述される化合物またはその薬学的に許容される塩と接触させることを含む方法を提供する。一部の実施形態では、細胞は、異常なイカロス活性を保有する。一部の実施形態では、CK1αは、CK1α変異体である。他の実施形態では、CK1αは野生型である。一部の実施形態では、PDE6はPDE6変異体である。一部の実施形態では、PDE6変異体は、c.140-1G>A PDE6Dである。他の実施形態では、PDE6は野生型である。一部の実施形態では、イカロスは変異体である。他の実施形態では、イカロスは野生型である。一部の実施形態では、CK1α、PDE6、および/またはイカロスは過剰発現する。
【0108】
追加の実施形態は、細胞におけるサイトカインをモジュレートする方法であって、細胞を、式(I)、(Ia)、(Ib)、もしくは(Ic)の化合物を含む本明細書に記述される化合物またはその薬学的に許容される塩と接触させることを含む方法を提供する。一部の実施形態では、サイトカインは、TNFα、IL-1β、IL-2、またはIL-6、またはこれらの組合せである。一部の実施形態では、方法は、本明細書に記述される1種またはそれより多種のサイトカインを阻害する。一実施形態では、方法は、IL-2を下方調節する。
【0109】
一部の実施形態では、細胞は、がん細胞である。一部の実施形態では、がん細胞は、ホジキンリンパ腫細胞、マントル細胞リンパ腫細胞、B細胞リンパ腫細胞、急性リンパ芽球性白血病(ALL)細胞、急性骨髄性白血病(AML)細胞、慢性骨髄性白血病(CML)細胞、慢性リンパ球性白血病(CLL)細胞、多発性骨髄腫細胞、網膜細胞癌細胞、前立腺がん細胞、卵巣がん細胞、扁平上皮がん細胞、黒色腫細胞、肝臓がん細胞、神経芽細胞腫細胞、腺癌細胞、非小細胞肺がん細胞、小細胞肺がん細胞、乳がん細胞、結直腸がん細胞、脳がん細胞、腎臓がん細胞、膀胱がん細胞、膵臓がん細胞、脂肪肉腫細胞、膠芽腫細胞、星細胞芽腫細胞、頭頚部がん細胞、甲状腺がん細胞、および骨肉腫細胞から選択される。
【0110】
一部の実施形態では、細胞は、がん処置を必要とする対象の細胞である。
【0111】
一部の実施形態では、細胞は、網膜疾患の処置を必要とする対象の網膜細胞である。実施形態において、細胞は:網膜色素変性症(RP)、常染色体優性先天性停止性夜盲症(adCSNB)、色覚異常(ACHM)、網膜繊毛病、Meckel-Gruber症候群、Joubert症候群(JBTS)、Bardet-Biedl症候群、およびUsher症候群から選択される網膜疾患の、処置を必要とする対象の細胞である。
【0112】
がんを処置するための方法の有効性を決定するための様々な指標は、当技術分野で公知である。適切な指標の例には、限定するものではないが細胞成長/増殖の低減、腫瘍サイズの低減、臨床転帰における罹患率もしくは死亡率の低減、および/または疾患応答のその他の指標が含まれる。
【0113】
一部の実施形態において、式(I)、(Ia)、(Ib)、もしくは(Ic)の化合物を含む本明細書に記述される化合物、またはその薬学的に許容される塩は、化合物の初期投薬量を受けた数時間後に決定される場合(例えば、化合物の初期投薬量を受けた60時間後)、対象の前処置レベルに対して、細胞の複製および/または腫瘍サイズの少なくとも1、2、3、4、5、10、15、20、25、50、75、100分の1またはそれよりも低い低減をもたらすことができる。一部の実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、化合物の初期投薬量を受けた数時間後に決定される場合(例えば、化合物の初期投薬量を受けた60時間後)、標準ケア(例えば、ダウノルビシンまたはイダルビシンと組み合わせたシタラビン)により実現された細胞の複製および/または腫瘍サイズの低減と比較して、細胞の複製および/または腫瘍サイズの少なくとも1、2、3、4、5、10、15、20、25、50、75、100分の1またはそれよりも低い低減をもたらすことができ、あるいは、標準ケアによる処置の5日後に実現される低減と比較して、さらに短い期間で、例えば1日、2日、3日、4日、または5日間で、標準ケアの場合と同じ低減が実現され得る。
【0114】
ある期間の後、がんは、1種またはそれより多種の治療剤に対して耐性を発生させる可能性がある。本明細書で使用される場合、「耐性」という用語は、治療剤(複数可)に対して、遅延し、少なくなり、および/またはゼロ応答を示す、がん細胞を指す。例えば、抗がん剤による処置の後、耐性がんの対象におけるがんの成長および/または拡がりは、非耐性がんの対象におけるがんの成長および/または拡がりと比較して、より少ない程度まで低減させることができる。一部の実施形態では、式(I)、(Ia)、(Ib)、もしくは(Ic)の化合物を含む本明細書に記述される化合物、またはその薬学的に許容される塩は、1種またはそれより多種の異なる薬剤(例えば抗がん剤であって、例えばアルキル化剤、植物アルカロイド、抗腫瘍抗生剤、抗代謝産物、トポイソメラーゼ阻害剤、抗微小管剤、およびチェックポイント阻害剤)に耐性のあるがんを有する対象に投与することができる。一部の実施形態では、耐性の発生は、対象が式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩で処置される場合、その他の薬物に耐性のある進行がんと比較して遅延させることができる。
【0115】
一部の実施形態では、式(I)、(Ia)、(Ib)、もしくは(Ic)の化合物を含む本明細書に記述される化合物、またはその薬学的に許容される塩は、標準ケア(例えば、ダウノルビシンまたはイダルビシンと組み合わせたシタラビン)で処置される合併症を経験する対象のパーセンテージと比較して、がんからの合併症を経験する対象のパーセンテージを減少させることができる。例えば、合併症を経験する、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩で処置される対象のパーセンテージは、ダウノルビシンまたはイダルビシンと組み合わせたシタラビンで処置される対象と比較して、10%、25%、40%、50%、60%、70%、80%、および90%少なくすることができる。
【0116】
本明細書に記述される、式(I)、(Ia)、(Ib)、もしくは(Ic)の化合物またはその薬学的に許容される塩を利用する潜在的な利点は、その他の化合物(複数可)が投与されたときの障壁と比較して、耐性の発生に対してより高い障壁を創出し得ることである。本明細書に記述される、式(I)、(Ia)、(Ib)、もしくは(Ic)の化合物またはその薬学的に許容される塩を利用する追加の利点は、標準ケア(例えば、ダウノルビシンまたはイダルビシンと組み合わせたシタラビン)などのその他の化合物に対し、より低い毒性;副作用の低減;シトクロムP450に対する著しい影響がほとんどないか全くないこと;および/またはp-糖タンパク質に対する著しい影響がほとんどないか全くないことを、含んでいてもよい。
【0117】
当業者に容易に明らかにされるように、投与される有用なin vivo投薬量および特定の投与形態は、年齢、体重、苦痛の重症度、および処置される哺乳動物種、用いられる特定の化合物、およびこれらの化合物が用いられる特定の使用に応じて変わる。所望の結果を達成するのに必要な投薬レベルである、有効投薬レベルの決定は、通常の方法、例えばヒト臨床試験およびin vitro研究を使用して、当業者により実現することができる。
【0118】
投薬量は、所望の効果および治療指標に応じて、広範囲に及んでもよい。あるいは、投薬量は、当業者により理解されるように、患者の表面積に基づき、計算されてもよい。正確な投薬量は薬物ごとに決定されるが、ほとんどの場合、投薬量に関するいくらかの一般化を行うことができる。成人ヒト患者に関する1日投薬量レジメンは例えば、各活性成分が0.01mgから3000mgの間、好ましくは1mgから700mgの間、例えば5から200mgの間の経口投与であってもよい。投薬量は、対象により必要とされるように、1日または複数日の過程で単一のものであっても2回またはそれよりも多くの一連のものであってもよい。一部の実施形態では、化合物は、継続治療のある期間にわたり、例えば1週間もしくはそれよりも長く、または何か月間もしくは何年にもわたり投与される。
【0119】
化合物に関するヒト投薬量が、少なくともいくつかの状態に関して確立された場合、それらの同じ投薬量が使用されてもよく、または確立されたヒト投薬量の約0.1%から500%の間、より好ましくは約25%から250%の間の投薬量が使用されてもよい。新たに発見された医薬組成物の場合にそうであるように、ヒト投薬量が確立されていない場合、適切なヒト投薬量は、ED50もしくはID50値からまたはin vitroもしくはin vivo研究から誘導されたその他の適切な値から、動物における毒性研究および効力研究により認定されるように、推論することができる。
【0120】
薬学的に許容される塩を投与する場合、投薬量は、遊離塩基として計算されてもよい。当業者に理解されるように、ある特定の状況では、特定の侵襲性疾患または感染を効果的にかつ積極的に処置するために、上述の好ましい投薬範囲を超える量でまたはさらに遥かに超える量で、本明細書に開示される化合物を投与することが必要になり得る。
【0121】
投薬量および間隔は、モジュレートする効果または最小有効濃度(MEC)を維持するのに十分な活性部分の血漿中レベルを提供するよう、個々に調整されてもよい。MECは、各化合物ごとに変化するが、in vitroデータから推定することができる。MECを実現するのに必要な投薬量は、個々の特徴および投与経路に依存する。しかしながら、HPLCアッセイまたはバイオアッセイは、血漿中濃度を決定するのに使用することができる。投薬間隔は、MEC値を使用して決定することもできる。組成物は、その時間の10~90%にわたり、好ましくは30~90%の間、最も好ましくは50~90%の間、MECよりも高い血漿中レベルを維持するレジメンを使用して投与されるべきである。局所投与または選択的摂取の場合、薬物の有効局所濃度は、血漿中濃度に関連しなくてもよい。
【0122】
主治医は、毒性または臓器の機能不全に起因して、投与をいつどのように終了させ、中断し、または調整すべきかを知ることができることに、留意すべきである。逆に主治医は、臨床応答が(毒性を排除して)十分でない場合、より高いレベルまで処置を調整することも知ることができる。目的の障害の管理における投与用量の大きさは、処置される状態の重症度および投与経路と共に変わる。状態の重症度は例えば、部分的には標準の予後評価方法によって評価されてもよい。さらに、用量およびおそらくは用量頻度も、年齢、体重、および個々の患者の応答に従い変わる。上記にて論じたものと同等のプログラムを、獣医学用の薬で使用してもよい。
【0123】
本明細書で開示される化合物は、公知の方法を使用して、効力および毒性に関して評価することができる。例えば、ある特定の化学的部分を共有する特定の化合物のまたは化合物の部分集合の毒物学は、哺乳動物、好ましくはヒトの細胞系などの細胞系に向かうin vitro毒性を決定することによって確立されてもよい。そのような研究の結果はしばしば、哺乳動物などの動物またはより特別にはヒトにおける毒性を予測する。あるいは、マウス、ラット、ウサギ、またはサルなどの動物モデルにおける特定の化合物の毒性は、公知の方法を使用して決定されてもよい。特定の化合物の効力は、in vitro方法、動物モデル、またはヒト臨床試験など、いくつかの認識された方法を使用して確立されてもよい。効力を決定するモデルを選択する場合、当業者は、適切なモデル、用量、投与経路、および/またはレジームを選択するように、現況技術により案内されることができる。
追加の治療剤
【0124】
一部の実施形態は、式(I)、(Ia)、(Ib)、もしくは(Ic)の化合物を含む本明細書に記述される化合物、または前述のいずれかの薬学的に許容される塩、および第2の治療剤を含む、医薬組成物を提供する。一部の実施形態では、第2の治療剤は抗炎症剤である。一部の実施形態では、第2の治療剤は非ステロイド系抗炎症剤である。一部の実施形態では、第2の治療剤は抗がん剤である。一部の実施形態では、第2の治療剤は免疫賦活剤である。一部の実施形態では、第2の治療剤は免疫抑制剤である。一部の実施形態では、第2の治療剤は抗体である。
【0125】
一部の実施形態では、第2の治療剤は、アスピリン;ジフルニサル;サルサレート;アセトアミノフェン;イブプロフェン;デキシブプロフェン;ナプロキセン;フェノプロフェン;ケトプロフェン;デキスケトプロフェン;フルルビプロフェン;オキサプロジン;ロキソプロフェン;インドメタシン;トルメチン;スリンダク;エトドラク;ケトロラク;ジクロフェナク;アセクロフェナク;ナブメトン;エノール酸;ピロキシカム;メロキシカム;テノキシカム;ドロキシカム;ロルノキシカム;イソキシカム;メフェナム酸;メクロフェナム酸;フルフェナム酸;トルフェナム酸;スルホンアニリド;クロニキシン;リコフェロン;デキサメタゾン;およびプレドニソンから選択される。一部の実施形態では、第2の治療剤は、メクロレタミン;シクロホスファミド;メルファラン;クロラムブシル;イフォスファミド;ブスルファン;N-ニトロソ-N-メチル尿素(MNU);カルムスチン(BCNU);ロムスチン(CCNU);セムスチン(MeCCNU);フォテムスチン;ストレプトゾトシン;ダカルバジン;ミトゾロミド;テモゾロミド;チオテパ;マイトマイシン;ジアジクオン(AZQ);シスプラチン;カルボプラチン;またはオキサリプラチンである。一部の実施形態では、第2の治療剤が、ビンクリスチン;ビンブラスチン;ビノレルビン;ビンデシン;ビンフルニン;パクリタキセル;ドセタキセル;エトポシド;テニポシド;トファシチニブ;イクサベピロン;イリノテカン;トポテカン;カムプトテシン;ドキソルビシン;ミトキサントロン;またはテニポシドである。一部の実施形態では、第2の治療剤は、アクチノマイシン;ブレオマイシン;プリカマイシン;ミトマイシン;ダウノルビシン;エピルビシン;イダルビシン;ピラルビシン;アクラルビシン;ミトキサントロン;シクロホスファミド;メトトレキサート;5-フルオロウラシル;プレドニゾロン;フォリン酸;メトトレキサート;メルファラン;カペシタビン;メクロレタミン;ウラムスチン;メルファラン;クロラムブシル;イフォスファミド;ベンダムスチン;6-メルカプトプリン;またはプロカルバジンである。一部の実施形態では、第2の治療剤は、クラドリビン;ペメトレキセド;フルダラビン;ゲムシタビン;ヒドロキシ尿素;ネララビン;クラドリビン;クロファラビン;イタラビン;デシタビン;シタラビン;シタラビンリポソーマル;プララトレキサート;フロキスウリジン;フルダラビン;コルヒチン;チオグアニン;カバジタキセル;ラロタキセル;オルタタキセル;テセタキセル;アミノプテリン;ペメトレキセド;プララトレキセート;ラルチトレキセド;ペメトレキセド;カルモフル;またはフロキスウリジンである。一部の実施形態では、第2の治療剤は、アザシチジン;デシタビン;ヒドロキシカルバミド;トポテカン;イリノテカン;ベロテカン;テニポシド;アクラルビシン;エピルビシン;イダルビシン;アムルビシン;ピラルビシン;バルルビシン;ゾルビシン;ミトキサントロン;ピキサントロン;メクロレタミン;クロラムブシル;プレドニムスチン;ウラムスチン;エストラムスチン;カルムスチン;ロムスチン;フォテムスチン;ニムスチン;ラニムスチン;カルボクオン;チオTEPA;トリアジクオン;またはトリエチレンメラミンである。一部の実施形態では、第2の治療剤は、ネダプラチン;サトラプラチン;プロカルバジン;ダカルバジン;テモゾロミド;アルトレタミン;ミトブロニトール;ピポブロマン;アクチノマイシン;ブレオマイシン;プリカマイシン;アミノレブリン酸;アミノレブリン酸メチル;エファプロキシラル;タラポルフィン;テモプロフィン;ベルテポルフィン;アルボシジブ;セリシクリブ;パルボシクリブ;ボルテゾミブ;カルフィルゾミブ;アナグレリド;マソプロコル;オラパリブ;ベリノスタット;パノビノスタット;ロミデプシン;ボリノスタ;イデラリシブ;アトラセンタン;ベキサロテン;テストラクトン;アムサクリン;トラベクテジン;アリトレチノイン;トレチノイン;デメコルシン;エルサミトルシン;エトグルシド;ロニダミン;ルカントン;ミトグアゾン;ミトタン;オブリメルセン;メペコハク酸オマセタキシン;またはエリブリンである。一部の実施形態では、第2の治療剤は、アザチオプリン;ミコフェノール酸;レフルノミド;テリフルノミド;タクロリムス;シクロスポリン;ピメクロリムス;アベチムス;グスペリムス;レナリドミド;ポマリドミド;タリドミド;アナキンラ;シロリムス;エベロリムス;リダフォロリムス;テムシロリムス;ウミロリムス;ゾタロリムス;エクリズマブ;アダリムマブ;アフェリモマブ;セルトリズマブペゴール;ゴリムマブ;インフリキシマブ;ネレリモマブ;メポリズマブ;オマリズマブ;ファラリモマブ;エルシリモマブ;レブリキズマブ;ウステキヌマブ;エタネルセプト;オテリキシズマブ;テプリズマブ;ビシリズマブ;クレノリキシマブ;ケリキシマブ;ザノリムマブ;エファリズマブ;エルリズマブ;オビニツズマブ;リツキシマブ;またはオクレリズマブである。一部の実施形態では、第2の治療剤は、パスコリズマブ;ゴミリキシマブ;ルミリキシマブ;テネリキシマブ;トラリズマブ;アセリズマブ;ガリキシマブ;ガビリモマブ;ルプリズマブ;ベリムマブ;ブリシビモド;イピリムマブ;トレメリムマブ;ベルチリムマブ;レルデリムマブ;メテリムマブ:ナタリズマブ;トシリズマブ;オズリモマブ;バシリキシマブ;ダクリズマブ;イノリモマブ;ゾリモマ;アトロリムマブ;セデリズマブ;フォントリズマブ;マスリモマブ;モロリムマブ;ペムブロリズマブ;ペキセリズマブ;レスリズマブ;ロベリズマブ;シプリズマブ;タリズマブ;テリモマブ;バパリキシマブ;ベパリモマブ;アバタセプト;ベラタセプト;ペグスネルセプト;アフリベルセプト;アレファセプト;またはリロナセプトである。
【実施例
【0126】
前述の内容は、明瞭化および理解の目的で説明および例としていくらか詳細に記述してきたが、本開示の趣旨から逸脱することなく数多くの様々な修正を行うことができることが、当業者には理解されよう。したがって、本明細書に開示される形態は単なる例示であり、本開示の範囲を限定することを意図するものではなく、むしろ本発明の範囲および精神により得られる全ての修正例および変形例も包含することが、明らかに理解されるべきである。
【0127】
本明細書に開示される化合物の特徴付けは、Bruker AV-500およびDRX-500 NMR分光計およびPerkin Elmer PE-SCIEX API-150質量分光計で行った。
(実施例1)
化合物1: 3-(4-シクロペンチル-6-フルオロ-2-イソインドリノイル)-2,6-ピペリジンジオン
【化18】
【0128】
メチル3-ブロモ-5-フルオロ-2-メチルベンゾエート(1.92g、7.79mmol)のCCl(45ml)溶液に、NBS(1.43g、8.03mmol)を添加した。ジベンゾイルペルオキシド(250mg、0.76mmol)を添加し、混合物を80℃で4時間加熱した。混合物をRTに冷却し、DCMで希釈し、飽和aq.NaHCOで洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、メチル3-ブロモ-2-(ブロモメチル)-5-フルオロベンゾエート(2.54g、定量的収量)を油状物として得た。
【0129】
メチル3-ブロモ-2-(ブロモメチル)-5-フルオロベンゾエート(2.54g、7.79mmol)をACN(15ml)に溶解させ、tert-ブチル4,5-ジアミノ-5-オキソペンタノエート塩酸塩(1.85g、7.79mmol)およびKCO(2.70g、19.5mmol)のACN(45mL)混合物に添加した。混合物を60℃で2時間加熱し、濃縮し、EAに溶解させ、HOで洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、tert-ブチル5-アミノ-4-(4-ブロモ-6-フルオロ-1-オキソイソインドリン-2-イル)-5-オキソペンタノエート(2.87g、89%収率)を固体として得た。
【0130】
tert-ブチル5-アミノ-4-(4-ブロモ-6-フルオロ-1-オキソイソインドリン-2-イル)-5-オキソペンタノエート(1.50g、3.61mmol)のトルエン/HO(23mL:3mL)溶液に、2-(シクロペンタ-1-エン-1-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(840mg、4.33mmol)を添加し、その後、KCO(1.28g、9.26mmol)およびPd(dppf)Cl(600mg、0.735mmol)を添加した。Nでパージした後、混合物を85℃で16時間加熱した。混合物をRTに冷却し、Celite(登録商標)に通して濾過し、EAで希釈し、HOで洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物を、EAで溶出するシリカゲル(Biotage)を使用して精製して、tert-ブチル5-アミノ-4-(4-(シクロペンタ-1-エン-1-イル)-6-フルオロ-1-オキソイソインドリン-2-イル)-5-オキソペンタノエート(938mg、65%収率)を得た。
【0131】
tert-ブチル5-アミノ-4-(4-(シクロペンタ-1-エン-1-イル)-6-フルオロ-1-オキソイソインドリン-2-イル)-5-オキソペンタノエート(1.04g、2.59mmol)のMeOH(40mL)溶液に、Pd/C(触媒)を添加した。混合物を、H下で16時間撹拌し、次いでCelite(登録商標)に通して濾過し、濃縮して、tert-ブチル5-アミノ-4-(4-シクロペンチル-6-フルオロ-1-オキソイソイドリン-2-イル)-5-オキソペンタノエート(805mg、77%収率)を得た。
【0132】
tert-ブチル5-アミノ-4-(4-シクロペンチル-6-フルオロ-1-オキソイソインドリン-2-イル)-5-オキソペンタノエート(805mg、1.99mmol)のDCM(30mL)溶液に、TFA(10mL)を添加した。混合物を3時間撹拌し、次いで濃縮した。ACN(40mL)を添加し、その後、CDI(1.30g、8.07mmol)およびTEA(0.5mL)を添加した。混合物を80℃で2時間加熱し、次いで濃縮し、EAに溶解させ、飽和NaHCOで洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物を、EAで溶出するシリカゲル(Biotage)を使用して精製して、3-(4-シクロペンチル-6-フルオロ-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン(320mg、50%収率)を固体として得た。MS (ESI) m/z 331.3 [M+H]
【化19】
(実施例2)
化合物2: 3-(4-シクロペンチル-2-イソインドリノイル)-2,6-ピペリジンジオン
【化20】
【0133】
化合物2を、化合物1と同様に調製したが、tert-ブチル5-アミノ-4-(4-ブロモ-6-フルオロ-1-オキソイソインドリン-2-イル)-5-オキソペンタノエートの代わりにtert-ブチル5-アミノ-4-(4-ブロモ-1-オキソイソインドリン-2-イル)-5-オキソペンタノエートを使用した。MS (ESI) m/z 313.1 [M+H]
(実施例3)
化合物3: 3-(4-シクロヘキシル-6-フルオロ-2-イソイドリノイル)-2,6-ピペリジンジオン
【化21】
【0134】
化合物3を、化合物1と同様に調製したが、2-(シクロペンタ-1-エン-1-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロランの代わりに2-(シクロヘキサ-1-エン-1-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロランを使用した。MS (ESI) m/z 345.1 [M+H]
(実施例4)
化合物4: 3-(4-シクロペンチル-6-フルオロ-1-オキソイソインドリン-2-イル)-3-メチルピペリジン-2,6-ジオン
【化22】
【0135】
0℃の3-アミノ-3-メチルピペリジン-2,6-ジオン(520mg、2.91mmol、HCl塩)のDMF(12mL)溶液に、TEA(736.6mg、7.279mmol)およびメチル3-ブロモ-2-(ブロモメチル)-5-フルオロベンゾエート(788.5mg、2.426mmol)を添加した。混合物を、50℃で一晩加熱した。混合物を濃縮し、残留物を、0%から5%のMeOHを含むDCMで溶出するシリカゲルを使用して精製して、3-(4-ブロモ-6-フルオロ-1-オキソイソインドリン-2-イル)-3-メチルピペリジン-2,6-ジオン(552mg、64%収率)を固体として得た。
【0136】
3-(4-ブロモ-6-フルオロ-1-オキソイソインドリン-2-イル)-3-メチルピペリジン-2,6-ジオン(250mg、0.7062mmol)のDMF(15mL)溶液に、2-(シクロペンタ-1-エン-1-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(205.5mg、1.059mmol)およびKCO(194.9mg、1.412mmol)を添加した。混合物をNでパージし、Pd(dppf)Cl(206.7mg、0.2825mmol)を添加した。混合物を、100℃で一晩加熱し、次いで濃縮した。得られた残留物をHOで希釈し、DCMで抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物を、10%から80%のEAを含むPEで溶出するシリカゲルを使用して精製して、3-(4-(シクロペンタ-1-エン-1-イル)-6-フルオロ-1-オキソイソインドリン-2-イル)-3-メチルピペリジン-2,6-ジオン(150mg、62%収率)を固体として得た。
【0137】
3-(4-(シクロペンタ-1-エン-1-イル)-6-フルオロ-1-オキソイソインドリン-2-イル)-3-メチルピペリジン-2,6-ジオン(150mg、0.439mmol)のMeOH(4mL)およびDCM(3mL)溶液に、Pd/C(200mg)を添加した。混合物をHでパージし、次いでH下で12時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を濃縮した。残留物を、1%から90%のEAを含む石油で溶出するシリカゲルを使用して精製して、化合物4(84.6mg、56%収率)を固体として得た。
【化23】
MS (ESI) m/z 345 [M+H]
(実施例5)
化合物5: 3-(4-シクロプロピル-6-フルオロ-2-イソインドリノイル)-2,6-ピペリジンジオン
【化24】
【0138】
化合物5を、化合物1と同様に調製したが、2-(シクロペンタ-1-エン-1-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロランの代わりに2-シクロプロピル-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロランを使用した。MS (ESI) m/z 303.0 [M+H]
【化25】
(実施例6)
化合物6: 3-(4-シクロペンチル-6-フルオロ-1-オキソイソインドリン-2-イル)-4-メチルピペリジン-2,6-ジオン
【化26】
【0139】
0℃の3-アミノ-4-メチルピペリジン-2-オン(76mg、0.59mmol)のDMF(4mL)溶液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(159mg、1.24mmol)および3-ブロモ-2-(ブロモメチル)-5-フルオロベンゾエート(160mg、0.494mmol)を添加した。混合物を、50℃で一晩加熱した。混合物を濃縮し、残留物を、0%から5%のMeOHを含むDCMで溶出するシリカゲルを使用して精製して、4-ブロモ-6-フルオロ-2-(4-メチル-2-オキソピペリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン(152mg、91%収率)を固体として得た。
【0140】
4-ブロモ-6-フルオロ-2-(4-メチル-2-オキソピペリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン(152mg、0.4470mmol)のトルエン/水(10mL/1mL)溶液に、2-(シクロペンタ-1-エン-1-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(130mg、0.671mmol)およびKCO(123.4mg、0.894mmol)を添加した。混合物をNでパージし、Pd(dppf)Cl(131mg、0.179mmol)を添加した。混合物を、100℃で一晩加熱し、次いで濃縮した。残留物をHOで希釈し、DCMで抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物を、10%から100%のEAを含むPEで溶出するシリカゲルを使用して精製して、4-(シクロペンタ-1-エン-1-イル)-6-フルオロ-2-(4-メチル-2-オキソピペリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン(75mg、52%収率)を固体として得た。
【0141】
4-(シクロペンタ-1-エン-1-イル)-6-フルオロ-2-(4-メチル-2-オキソピペリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン(75mg、0.2286mmol)のMeOH(3mL)およびDCM(1.5mL)溶液に、Pd/C(100mg)を添加した。混合物をHでパージし、次いでH下で12時間撹拌した。混合物を濾過し、濃縮した。残留物を、1%から90%のEAを含む石油で溶出するシリカゲルを使用して精製して、4-シクロペンチル-6-フルオロ-2-(4-メチル-2-オキソピペリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン(75.4mg、99.5%収率)を固体として得た。
【0142】
4-シクロペンチル-6-フルオロ-2-(4-メチル-2-オキソピペリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン(65.4mg、0.198mmol)のACN(12mL)溶液に、Dess-Martin(185mg、0.436mmol)および含水DMSO(18滴)を添加した。混合物を、マイクロ波の下で、120℃で45分間加熱した。混合物をRTに冷却し、飽和Na(5mL)でクエンチ処理した。混合物をDCMで抽出した。合わせた有機層をNaHCO(飽和)/Na(10%)(1:1)で洗浄しNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物を、10%から60%のEAを含む石油で溶出するシリカゲルを使用して精製して、化合物6(27.9mg、36%収率)を固体として得た。
【化27】
MS (ESI) m/z 345 [M+H]
(実施例7)
化合物7: 3-[4-(4,4-ジメチルシクロヘキシル)-6-フルオロ-2-イソインドリノイル]-2,6-ピペリジンジオン
【化28】
【0143】
化合物7を、化合物1と同様に調製したが、tert- ブチル5-アミノ-4-(4-(シクロペンタ-1-エン-1-イル)-6-フルオロ-1-オキソイソインドリン-2-イル)-5-オキソペンタノエートの代わりにtert-ブチル5-アミノ-4-(4-(4,4-ジメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)-6-フルオロ-1-オキソイソインドリン-2-イル)-5-オキソペンタノエートを使用した。MS (ESI) m/z 372.43 [M+H]
【化29】
(実施例8)
化合物8: 3-[4-(4,4-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-6-フルオロ-2-イソインドリノイル]-2,6-ピペリジンジオン
【化30】
【0144】
化合物8を、化合物1と同様に調製したが、2-(シクロペンタ-1-エン-1-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロランの代わりに2-(4,4-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロランを使用した。MS (ESI) m/z 371.1 [M+H]
(実施例9)
化合物9: 3-[4-(4,4-ジフルオロ-1-シクロヘキセン-1-イル)-6-フルオロ-2-イソイドリノイル]-2,6-ピペリジンジオン
【化31】
【0145】
化合物9を、化合物1と同様に調製したが、2-(シクロペンタ-1-エン-1-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロランの代わりに2-(4,4-ジフルオロ-1-シクロヘキセン-1-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロランを使用した。MS (ESI) m/z 379.1 [M+H]
(実施例10)
化合物10: 4-シクロペンチル-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン-1,3-ジオン
【化32】
【0146】
3-ブロモフタル酸(3.20g、12.3mmol)のDMF(16mL)溶液に、NaHCO(1.2g、14.7mmol)を添加し、その後、ヨードメタン(0.92mL、14.7mmol)を添加した。混合物を、75℃で3時間加熱した。混合物をRTに冷却し、次いでHOで希釈し、tert-ブチルメチルエーテルで抽出した。合わせた有機層を、ブライン(60mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物を、50:1から10:1のPE/EAで溶出するシリカゲルを使用して精製して、ジメチル3-ブロモフタレート(3.7g、84%収率)を固体として得た。
【0147】
ジメチル3-ブロモフタレート(1.00g、3.67mmol)のジオキサン/HO(20mL/2mL)混合物に、2-(シクロペンタ-1-エン-1-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(852mg、4.40mmol)およびKCO(1.26g、9.15mmol)を添加した。混合物をNでパージし、次いでPd(dppf)Cl(536mg、0.73mmol)を添加した。混合物を、100℃で一晩加熱し、次いで濃縮した。残留物をHOで希釈し、EAで抽出した。合わせた有機層を、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物を、EAで溶出する分取TLCにより精製して、ジメチル3-(シクロペンタ-1-エン-1-イル)フタレート(876mg、92%収率)を油状物として得た。
【0148】
ジメチル3-(シクロペンタ-1-エン-1-イル)フタレート(876mg、3.37mmol)のMeOH(15mL)溶液に、10%Pd/C(180mg)を添加した。混合物をHでパージし、次いでH下で一晩撹拌した。混合物を濾過し、濃縮して、ジメチル3-シクロペンチルフタレート(951mg、粗製)を得た。
【0149】
ジメチル3-シクロペンチルフタレート(951mg、3.63mmol)のジオキサン(6mL)溶液に、2N NaOH(3.63mL、7.26mmol)を添加した。混合物を、85℃で48時間加熱し、次いで濃縮した。残留物を、2N HClを使用してpH3に調整し、次いでEAで抽出した。有機相をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗製3-シクロペンチルフタル酸(800mg)を固体として得た。
【0150】
3-シクロペンチルフタル酸(100mg、0.43mmol)の無水酢酸(5mL)溶液を、140℃で3時間加熱し、次いで濃縮して、4-シクロペンチルイソベンゾフラン-1,3-ジオン(100mg、粗製)を固体として得た。
【0151】
4-シクロペンチルイソベンゾフラン-1,3-ジオン(100mg、0.46mmol)の酢酸(5mL)溶液に、3-アミノピペリジン-2,6-ジオン(76mg、0.46mmol)および酢酸ナトリウム(75mg、0.92mmol)を添加した。混合物を、130℃で一晩加熱し、次いで濃縮した。残留物を、EAで溶出する分取TLCにより精製して、化合物10(54mg、36%収率)を固体として得た。MS (ESI) m/z 327.1 [M+H]
【化33】
(実施例11)
化合物11: 3-[4-(4,4-ジフルオロシクロヘキシル)-6-フルオロ-2-イソインドリノイル]-2,6-ピペリジンジオン
【化34】
【0152】
化合物11を、化合物1と同様に調製したが、tert-ブチル5-アミノ-4-(4-(シクロペンタ-1-エン-1-イル)-6-フルオロ-1-オキソイソインドリン-2-イル)-5-オキソペンタノエートの代わりにtert-ブチル5-アミノ-4-(4-(4,4-ジフルオロシクロヘキサ-1-エン-1-イル)-6-フルオロ-1-オキソイソインドリン-2-イル)-5-オキソペンタノエートを使用した。MS (ESI) m/z 380.36 [M+H]
【化35】
(実施例12)
化合物12: 3-(4-シクロペンチル-6-フルオロ-3-オキソ-2-イソインドリノイル)-2,6-ピペリジンジオン
【化36】
【0153】
化合物12を、化合物10と同様に調製したが、3-ブロモフタル酸の代わりに3-ブロモ-5-フルオロフタル酸を使用した。MS (ESI) m/z 345.1 [M+H]
【化37】
(実施例13)
化合物13: 3-(4-シクロプロピル-2-イソインドリノイル)-2,6-ピペリジンジオン
【化38】
【0154】
化合物13を、化合物5と同様に調製したが、tert-ブチル5-アミノ-4-(4-ブロモ-6-フルオロ-1-オキソイソインドリン-2-イル)-5-オキソペンタノエートの代わりにtert-ブチル5-アミノ-4-(4-ブロモ-1-オキソイソインドリン-2-イル)-5-オキソペンタノエートを使用した。MS (ESI) m/z 285.1 [M+H]
【化39】
(実施例14)
化合物14: 3-(4-シクロペンチル-6-メトキシ-2-イソインドリノイル)-2,6-ピペリジンジオン
【化40】
【0155】
化合物14を、化合物1と同様に調製したが、3-ブロモ-5-フルオロ-2-メチルベンゾエートの代わりに6-ブロモ-4-メトキシ-2-トルエートを使用した。MS (ESI) m/z 343.1 [M+H]
【化41】
(実施例15)
化合物15: 3-(4-シクロヘプチル-6-フルオロ-2-イソインドリノイル)-2,6-ピペリジンジオン
【化42】
【0156】
化合物15を、化合物1と同様に調製したが、2-(シクロペンタ-1-エン-1-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロランの代わりに2-(1-シクロヘプテン-1-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロランを使用した。MS (ESI) m/z 358.41 [M+H]
【化43】
(実施例16)
化合物16: 3-(4-シクロペンチル-5,6-ジフルオロ-2-イソインドリノイル)-2,6-ピペリジンジオン
【化44】
【0157】
化合物16を、化合物1と同様に調製したが、tert-ブチル5-アミノ-4-(4-ブロモ-6-フルオロ-1-オキソイソインドリン-2-イル)-5-オキソペンタノエートの代わりにtert-ブチル5-アミノ-4-(4-ブロモ-5,6-ジフルオロ-1-オキソイソインドリン-2-イル)-5-オキソペンタノエートを使用した。MS (ESI) m/z 348.8 [M+H]
【化45】
(実施例17)
化合物17: 3-(4-(ジフルオロメチル)-6-フルオロ-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン
【化46】
【0158】
メチル3-ブロモ-5-フルオロ-2-メチルベンゾエート(3.00g、12.2mmol)、Zn(CN)(1.12g、9.7mmol)、およびPd(PPh(1.4g、0.09mmol)のDMF(20mL)混合物を、N下で6時間、100℃で撹拌した。混合物を濃縮し、HO中に注ぎ、次いでtert-ブチルメチルエーテルで抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物を、50:1から20:1のPE/EAで溶出するシリカゲルを使用して精製して、メチル3-シアノ-5-フルオロ-2-メチルベンゾエート(2.73g、87%収率)を固体として得た。
【0159】
0℃のメチル3-シアノ-5-フルオロ-2-メチルベンゾエート(600mg、3.10mmol)のピリジン/HO/酢酸(5mL/5mL/5mL)溶液に、NaHPO(2.14g、24.8mmol)およびRaney Ni(1.0g)を添加した。0℃で5時間後、混合物を、1N HClを使用して酸性化し、DCMで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物を、0%から5%のEAを含むPEで溶出するシリカゲルを使用して精製して、メチル5-フルオロ-3-ホルミル-2-メチルベンゾエート(200mg、33%収率)を油状物として得た。
【0160】
メチル5-フルオロ-3-ホルミル-2-メチルベンゾエート(300mg、1.5mmol)のDCM(20mL)溶液に、DAST(1.11g、7.6mmol)を添加した。混合物を一晩撹拌し、次いで0℃に冷却し、飽和NaHCO(aq.)を使用して中和し、DCMで抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物を、0%から10%のEAを含むPEで溶出するシリカゲルを使用して精製して、メチル3-(ジフルオロメチル)-5-フルオロ-2-メチルベンゾエート(208mg、46%収率)を固体として得た。
【0161】
メチル3-(ジフルオロメチル)-5-フルオロ-2-メチルベンゾエート(200mg、0.70mmol)の四塩化炭素(6mL)溶液に、NBS(138mg、0.77mmol)および過酸化ベンゾイル(17mg、0.07mmol)を添加した。混合物を一晩、80℃で加熱し、次いで濾過し、濃縮した。残留物を、0%から10%のEAを含むPEで溶出するシリカゲルを使用して精製して、メチル2-(ブロモメチル)-3-(ジフルオロメチル)-5-フルオロベンゾエート(240mg、53%収率)を油状物として得た。
【0162】
メチル2-(ブロモメチル)-3-(ジフルオロメチル)-5-フルオロベンゾエート(140mg、60%純度、0.284mmol)のDMF(5mL)溶液に、3-アミノピペリジン-2,6-ジオン(46.7mg、0.284mmol)およびTEA(86.0mg、0.85mmol)を添加した。混合物を50℃で2時間加熱し、次いでHOで希釈し、EAで抽出した。合わせた有機層を濃縮し、次いで残留物をDCMと共に摩砕して、化合物17(41.8mg、28%収率)を固体として得た。MS (ESI) m/z 313.0 [M+H]
【化47】
(実施例18)
化合物18: 3-(4-シクロペンチル-6-フルオロ-1-オキソインドリン-2-イル)-3-エチルピペリジン-2,6-ジオン
【化48】
【0163】
0℃の5-フルオロ-2-メチル安息香酸(3.00g、19.5mmol)のHSO(30mL)溶液に、NBS(3.40g、19.5mmol)を添加した。0℃で3時間後、混合物をRTに温め、一晩撹拌した。混合物を、氷水中にゆっくり注ぎ、EAで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、3-ブロモ-5-フルオロ-2-メチル安息香酸(4.2g、粗製)を固体として得た。
【0164】
3-ブロモ-5-フルオロ-2-メチル安息香酸(4.2g、粗製)のMeOH(16mL)溶液に、塩化チオニル(2.5mL)を滴下添加した。混合物を90℃で3時間加熱し、次いで濃縮した。残留物を、0%から3%のEAを含むPEで溶出するシリカゲルを使用して精製して、メチル3-ブロモ-5-フルオロ-2-メチルベンゾエート(2.3g、51%収率)を油状物として得た。
【0165】
メチル3-ブロモ-5-フルオロ-2-メチルベンゾエート(2.00g、8.13mmol)の四塩化炭素(20mL)溶液に、NBS(2.20g、12.2mmol)およびAIBN(533mg、3.25mmol)を添加した。混合物を90℃で一晩加熱し、次いで濃縮した。残留物を、0%から3%のEAを含むPEで溶出するシリカゲルを使用して精製して、メチル3-ブロモ-2-(ブロモメチル)-5-フルオロベンゾエート(2.5g、96%収率)を油状物として得た。
【0166】
メチル3-ブロモ-2-(ブロモメチル)-5-フルオロベンゾエート(1.19g、3.67mmol)およびTEA(927mg、9.18mmol)のDMF(20mL)溶液に、3-アミノ-3-エチルピペリジン-2,6-ジオン(837mg、4.4mmol)のDMF(2mL)溶液を添加した。混合物を50℃で3時間加熱し、次いで濃縮した。残留物をEAと共に摩砕して、3-(4-ブロモ-6-フルオロ-1-オキソイソインドリン-2-イル)-3-エチルピペリジン-2,6-ジオン(870mg、64%収率)を固体として得た。
【0167】
3-(4-ブロモ-6-フルオロ-1-オキソイソインドリン-2-イル)-3-エチルピペリジン-2,6-ジオン(770mg、2.09mmol)のジオキサン/HO(15mL/15mL)溶液に、2-(シクロペンタ-1-エン-1-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(487mg、2.51mmol)およびKCO(722mg、5.23mmol)を添加した。混合物をNでパージし、次いでPd(dppf)Cl(307g、0.42mmol)を添加した。混合物を、100℃で3時間加熱し、次いでRTに冷却し、濾過した。濾液を濃縮し、残留物を、0%から9%のEAを含むPEで溶出するシリカゲルを使用して精製して、3-(4-(シクロペンタ-1-エン-1-イル)-6-フルオロ-1-オキソイソインドリン-2-イル)-3-エチルピペリジン-2,6-ジオン(509mg、68%収率)を固体として得た。
【0168】
3-(4-(シクロペンタ-1-エン-1-イル)-6-フルオロ-1-オキソイソインドリン-2-イル)-3-エチルピペリジン-2,6-ジオン(208mg、0.58mmol)のTHF(10mL)溶液に、Pd/C(10%含量、200mg)を添加した。混合物をHでパージし、次いでH下で12時間撹拌した。混合物を、Celite(登録商標)のパッドに通して濾過し、濾液を濃縮した。残留物を、100:1から50:1のDCM/MeOHで溶出するシリカゲルを使用して精製して、化合物18(86.2mg、42%収率)を固体として得た。MS (ESI) m/z 359.1 [M+H]
【化49】
(実施例19)
化合物19: 3-(4-シクロペンチル-6-フルオロ-1-オキソインドリン-2-イル)ピロリジン-2,5-ジオン
【化50】
【0169】
メチル3-ブロモ-2-(ブロモメチル)-5-フルオロベンゾエート(440mg、1.35mmol)のDMF(5mL)溶液に、メチル2,4-ジアミノ-4-オキソブタノエート(237mg、1.63mmol)およびTEA(411mg、4.07mmol)を添加した。混合物を50℃で3時間加熱し、次いで濃縮した。残留物を、0%から70%のEAを含むPEで溶出するシリカゲルを使用して精製して、メチル4-アミノ-2-(4-ブロモ-6-フルオロ-1-オキソイソインドリン-2-イル)-4-オキソブタノエート(336mg、69%収率)を固体として得た。
【0170】
メチル4-アミノ-2-(4-ブロモ-6-フルオロ-1-オキソイソインドリン-2-イル)-4-オキソブタノエート(116mg、0.323mmol)の1,4-ジオキサン/HO(4mL/0.4mL)溶液に、2-(シクロペンタ-1-エン-1-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(75.2mg、0.387mmol)およびKCO(89.2mg、0.646mmol)を添加した。混合物をNでパージし、Pd(dppf)Cl(47.3mg、0.065mmol)を添加した。混合物を83℃で一晩加熱し、次いでRTに冷却し、濾過した。濾液を濃縮し、残留物を、10%から80%のEAを含む石油で溶出するシリカゲルを使用して精製して、4-アミノ-2-(4-(シクロペンタ-1-エン-1-イル)-6-フルオロ-1-オキソイソインドリン-2-イル)-4-オキソブタン酸(91mg、85%収率)を固体として得た。
【0171】
4-アミノ-2-(4-(シクロペンタ-1-エン-1-イル)-6-フルオロ-1-オキソイソインドリン-2-イル)-4-オキソブタン酸(91mg、0.27mmol)のDMF(4mL)溶液に、CDI(133mg、0.822mmol)を添加した。混合物を83℃で一晩加熱し、次いで濃縮し、残留物を、0%から50%のEAを含む石油で溶出するシリカゲルを使用して精製して、3-(4-(シクロペンタ-1-エン-1-イル)-6-フルオロ-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピロリジン-2,5-ジオン(25mg、25%収率)を固体として得た。
【0172】
3-(4-(シクロペンタ-1-エン-1-イル)-6-フルオロ-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピロリジン-2,5-ジオン(44mg、0.14mmol)のMeOH(1mL)およびDCM(2mL)溶液に、Pd/C(40mg)を添加した。混合物をHでパージし、次いでH下で12時間撹拌した。混合物を濾過し、濃縮した。残留物を、EAで溶出する分取TLCにより精製して、化合物19(19.1mg、43%収率)を固体として得た。MS (ESI) m/z 317.0 [M+H]
【化51】
(実施例20)
化合物20: 3-(4-シクロブチル-6-フルオロ-2-イソインドリノイル)-2,6-ピペリジンジオン
【化52】
【0173】
化合物20を、化合物1と同様に調製したが、2-(シクロペンタ-1-エン-1-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロランの代わりにシクロブチルボロン酸ピナコールエステルを使用した。MS (ESI) m/z 317.0 [M+H]
【化53】
(実施例21)
化合物21: 3-(4-シクロペンチル-6-フルオロ-5-メチル-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン
【化54】
【0174】
メチル2,4-ジメチル-5-フルオロベンゾエート(0.512g、2.81mmol)のHO/MeOH(2.2mL)溶液に、LiOH(0.202g、8.43mmol)を添加した。2時間後、混合物を濃縮し、溶液が酸性になりかつ固体が沈殿するまで1N HClを添加した。濾過により2,4-ジメチル-5-フルオロ安息香酸(0.472g、定量的収量)を固体として得た。
【0175】
0℃の2,4-ジメチル-5-フルオロ安息香酸(0.472g、2.81mmol)のHSO(4mL)溶液に、NBS(0.505g、2.83mmol)を添加した。混合物を一晩、RTで撹拌し、次いで氷に注ぎ、EAで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮して、3-ブロモ-2,4-ジメチル-5-フルオロ安息香酸(0.513g、75%収率)を固体として得た。
【0176】
3-ブロモ-2,4-ジメチル-5-フルオロ安息香酸(0.513g、2.08mmol)のMeOH(12mL)溶液に、HSO(2mL)を滴下添加した。混合物を、60℃で16時間加熱した。混合物を濃縮し、EAで抽出した。有機相を水およびブラインで洗浄し、次いで濃縮した。残留物を、0%から10%のEAを含むヘキサンで溶出するシリカゲルを使用して精製して、メチル3-ブロモ-2,4-ジメチル-5-フルオロベンゾエート(0.400g、74%収率)を固体として得た。
【0177】
メチル3-ブロモ-2,4-ジメチル-5-フルオロベンゾエート(0.400g、1.54mmol)の四塩化炭素(10mL)溶液に、NBS(0.301g、1.69mmol)および過酸化ベンゾイル(0.074g、0.307mmol)を添加した。混合物を、80℃で4時間加熱した。混合物を濾過して、未反応の固形分を除去し、濃縮して、メチル3-ブロモ-2-(ブロモメチル)-5-フルオロ-4-メチルベンゾエートを得た。
【0178】
メチル3-ブロモ-2-(ブロモメチル)-5-フルオロ-4-メチルベンゾエート(0.520g、1.54mmol)のACN(12mL)溶液に、tert-ブチル4,5-ジアミノ-5-オキソペンタノエート(0.366g、1.54mmol)およびKCO(0.532g、3.85mmol)を添加した。混合物を、60℃で6時間加熱した。混合物を濃縮し、次いでEAで抽出した。有機相を、水およびブラインで洗浄し、次いで濃縮した。生成物をジエチルエーテルで沈殿させて、tert-ブチル5-アミノ-4-(4-ブロモ-6-フルオロ-5-メチル-1-オキソイソインドリン-2-イル)-5-オキソペンタノエート(0.359g、54%収率)を固体として得た。
【0179】
tert-ブチル5-アミノ-4-(4-ブロモ-6-フルオロ-5-メチル-1-オキソイソインドリン-2-イル)-5-オキソペンタノエート(0.209g、0.488mmol)のトルエン/水(4mL/0.4mL)溶液に、シクロペンテン-1-ボロン酸、ピナコールエステル(0.195g、0.976mmol)、KCO(0.202g、1.465mmol)、およびPd(dppf)Cl(0.793g、0.976mmol)を添加した。混合物を90℃で16時間加熱し、次いで濃縮した。残留物を、EAで溶出するシリカゲルを使用して精製して、tert-ブチル5-アミノ-4-(4-(シクロペンタ-1-エン-1-イル)-6-フルオロ-5-メチル-1-オキソイソインドリン-2-イル)-5-オキソペンタノエートを得た。(0.200g、98%収率)。
【0180】
tert-ブチル5-アミノ-4-(4-(シクロペンタ-1-エン-1-イル)-6-フルオロ-5-メチル-1-オキソイソインドリン-2-イル)-5-オキソペンタノエート(0.203g、0.488mmol)のMeOH(18mL)溶液に、水酸化パラジウムおよびPd/Cを、それぞれおよそ0.200gで添加した。混合物をHでパージし、H下で一晩撹拌した。混合物を濾過し、濃縮して、tert-ブチル5-アミノ-4-(4-シクロペンチル-6-フルオロ-5-メチル-1-オキソイソインドリン-2-イル)-5-オキソペンタノエート(0.145g、71%収率)を得た。
【0181】
tert-ブチル5-アミノ-4-(4-シクロペンチル-6-フルオロ-5-メチル-1-オキソイソインドリン-2-イル)-5-オキソペンタノエート(0.145g、0.346mmol)のDCM(2mL)溶液に、TFA(2mL)を添加した。1時間後、溶液を濃縮して、5-アミノ-4-(4-シクロペンチル-6-フルオロ-5-メチル-1-オキソイソインドリン-2-イル)-5-オキソペンタン酸(0.125g、99%収率)を得た。
【0182】
5-アミノ-4-(4-シクロペンチル-6-フルオロ-5-メチル-1-オキソイソインドリン-2-イル)-5-オキソペンタン酸(0.125g、0.346mmol)のACN(5mL)溶液に、CDI(0.281g、1.73mmol)およびTEA(241μm、1.73mmol)を添加した。16時間後、混合物を濃縮し、EAで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、エーテルと共に摩砕して、化合物21(0.08g、8%収率)を得た。MS (ESI) m/z 344.4 [M+H]
【化55】
(実施例22)
化合物22: 3-{4-[(S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]-6-フルオロ-2-イソインドリノイル}-2,6-ピペリジンジオン
【化56】
【0183】
化合物22は、本明細書に記述される化合物で使用された類似の反応条件下で調製したが、3-フルオロ-5-メトキシカルボニルフェニルボロン酸ピナコールエステルおよび2-ブロモ-3,3,3-トリフルオロプロペンを、パラジウムカップリング条件下で使用し、その後:HおよびPd/Cを使用して還元し;NBSおよびAIBNを使用して臭素化し;TEAを使用して3-アミノピペリジン-2,6-ジオンを添加した。粗製最終生成物のキラル分離は、化合物22を提供した。MS (ESI) m/z 359.0 [M+H]
(実施例23)
化合物23: 3-{4-[(R)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]-6-フルオロ-2-イソインドリノイル}-2,6-ピペリジンジオン
【化57】
【0184】
化合物23は、本明細書に記述される化合物で使用した類似の反応条件下で調製したが、3-フルオロ-5-メトキシカルボニルフェニルボロン酸ピナコールエステルおよび2-ブロモ-3,3,3-トリフルオロプロペンを、パラジウムカップリング条件下で使用し、その後:HおよびPd/Cを使用して還元し;NBSおよびAIBNを使用して臭素化し;TEAを使用して3-アミノピペリジン-2,6-ジオンを添加した。粗製最終生成物のキラル分離により、化合物23を得た。MS (ESI) m/z 359.0 [M+H]
(実施例24)
化合物24: 3-(4-シクロペンチル-5-フルオロ-2-イソインドリノイル)-2,6-ピペリジンジオン
【化58】
【0185】
化合物24を化合物1と同様に調製したが、tert-ブチル5-アミノ-4-(4-ブロモ-6-フルオロ-1-オキソイソインドリン-2-イル)-5-オキソペンタノエートの代わりにtert-ブチル5-アミノ-4-(4-ブロモ-5-フルオロ-1-オキソイソインドリン-2-イル)-5-オキソペンタノエートを使用した。MS (ESI) m/z 331.1 [M+H]
【化59】
(実施例25)
化合物25: 3-[6-フルオロ-4-(2-ノルボルナニル)-2-イソインドリノイル]-2,6-ピペリジンジオン
【化60】
【0186】
化合物25を、化合物1と同様に調製したが、2-(シクロペンタ-1-エン-1-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロランの代わりに2-(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロランを使用した。MS (ESI) m/z 356.4 [M+H]
【化61】
(実施例26)
化合物26: 3-[4-(2,2-ジメチルシクロペンチル)-6-フルオロ-2-イソインドリノイル]-2,6-ピペリジンジオン
【化62】
【0187】
化合物26を、化合物1と同様に調製したが、2-(シクロペンタ-1-エン-1-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロランの代わりに2-(5,5-ジメチルシクロペンタ-1-エニル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロランを使用した。MS (ESI) m/z 358.4 [M+H]
【化63】
(実施例27)
化合物27: 3-(4-シクロペンチル-7-フルオロ-2-イソインドリノイル)-2,6-ピペリジンジオン
【化64】
【0188】
化合物27を、化合物1と同様に調製したが、5-アミノ-4-(4-ブロモ-6-フルオロ-1-オキソイソインドリン-2-イル)-5-オキソペンタノエートの代わりに5-アミノ-4-(4-ブロモ-7-フルオロ-1-オキソイソインドリン-2-イル)-5-オキソペンタノエートを使用した。MS (ESI) m/z 330.3 [M+H]
【化65】
(実施例28)
化合物28: 3-(6-クロロ-4-シクロペンチル-2-イソインドリノイル)-2,6-ピペリジンジオン
【化66】
【0189】
化合物28を、化合物1と同様に調製したが、5-アミノ-4-(4-ブロモ-6-フルオロ-1-オキソイソインドリン-2-イル)-5-オキソペンタノエートの代わりに5-アミノ-4-(4-ブロモ-6-クロロ-1-オキソイソインドリン-2-イル)-5-オキソペンタノエートを使用した。MS (ESI) m/z 347.1[M+H]
【化67】
(実施例29)
化合物29: 3-[4-シクロペンチル-6-(トリフルオロメチル)-2-イソインドリノイル]-2,6-ピペリジンジオン
【化68】
【0190】
化合物29を、化合物1と同様に調製したが、5-アミノ-4-(4-ブロモ-6-フルオロ-1-オキソイソインドリン-2-イル)-5-オキソペンタノエートの代わりに5-アミノ-4-(4-ブロモ-6-トリフルオロメチル-1-オキソイソインドリン-2-イル)-5-オキソペンタノエートを使用した。MS (ESI) m/z 381 [M+H]
【化69】
(実施例30)
化合物30: 3-{4-[(S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]-2-イソインドリノイル}-2,6-ピペリジンジオン
【化70】
【0191】
化合物30は、本明細書に記述される化合物に関して使用される類似の反応条件下で調製したが、パラジウムカップリング条件下、メチル2-メチル-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンゾエートおよび2-ブロモ-3,3,3-トリフルオロプロペンを使用し、その後:HおよびPd/Cを使用して還元し;NBSおよびAIBNを使用して臭素化し;かつTEAを使用して3-アミノピペリジン-2,6-ジオンを添加した。粗製最終生成物のキラル分離は、化合物30を提供した。MS (ESI) m/z 341.1 [M+H]
(実施例31)
化合物31: 3-{4-[(R)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]-2-イソインドリノイル}-2,6-ピペリジンジオン
【化71】
【0192】
化合物31を、本明細書に記述される化合物に関して使用された類似の反応条件下で調製したが、メチル2-メチル-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンゾエートおよび2-ブロモ-3,3,3-トリフルオロプロペンを、パラジウムカップリング条件下で使用し、その後:HおよびPd/Cを使用して還元し;NBSおよびAIBNを使用して臭素化し;かつTEAを使用して3-アミノピペリジン-2,6-ジオンを添加した。粗製最終生成物のキラル分離は、化合物31を提供した。MS (ESI) m/z 341.1 [M+H]
(実施例32)
化合物32: 3-[6-フルオロ-4-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-2-イソインドリノイル]-2,6-ピペリジンジオン
【化72】
【0193】
化合物32を、化合物1と同様に調製したが、2-(シクロペンタ-1-エン-1-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロランの代わりに2-(3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロランを使用した。MS (ESI) m/z 347.1 [M+H]
(実施例33)
化合物33: 3-(4-(sec-ブチル)-6-フルオロ-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン
【化73】
【0194】
化合物33を、化合物1と同様に調製したが、2-(シクロペンタ-1-エン-1-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロランの代わりに4,4,5,5-テトラメチル-2-(1-メチルエテニル)-1,3,2-ジオキサボロランを使用した。MS (ESI) m/z 319.1 [M+H]
(実施例34)
化合物34: 3-(6-フルオロ-4-イソプロピル-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン
【化74】
【0195】
化合物34を、化合物1と同様に調製したが、2-(シクロペンタ-1-エン-1-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロランの代わりに2-ブテン-2-イルボロン酸ピナコールエステルを使用した。MS (ESI) m/z 305.1 [M+H]
(実施例35)
バイオアッセイ
ウェスタンブロット分析
【0196】
MV-4-11細胞を、10%ウシ胎児血清、ストレプトマイシン、およびペニシリンが補われたRPMI 1640培地中で成長させた。
【0197】
細胞を、1mL当たりおよそ10細胞で培養し、DMSOまたは指示される化合物中で6~8時間、インキュベートした。全細胞抽出物を、製造業者のプロトコール(Pierce)に従い、RIPA溶解緩衝剤を使用して調製した。簡単に言うと、4×10細胞をPBS中で1回洗浄し、細胞ペレットをRIPA溶解緩衝剤中に再懸濁し、氷上で15分間インキュベートさせた。細胞破片を遠心分離によって除去し、清浄化された全細胞溶解産物を、さらなる分析用に新しい試験管に移した。
【0198】
ウェスタンブロット分析では、全細胞タンパク質抽出物を、4~12%SDS-ポリアクリルアミドゲル上で分離し、ニトロセルロースに移し、指示される一次抗体でプローブした。膜を、引き続き洗浄し、適切なIRDye二次抗体(LI-COR)でプローブした。シグナルを、Odyssey撮像システム(LI-COR)を使用して検出した。
【0199】
下記の抗体を、これらの研究で使用した:抗-PDE6D抗体:Santa Cruz Biotechnology、sc-166854(Dallas、TX);抗-イカロス:Abcam、ab191394(Cambridge、MA);抗-CK1α抗体:Abcam、ab108296(Cambridge、MA);β-アクチン(8H10D10)マウスモノクローナル抗体:細胞シグナル伝達技術、#3700(Danvers、MA);IRDye 680RDヤギ抗-ウサギ抗体:LI-COR、926-68071(Lincoln、NE);およびIRDye 800CWヤギ抗-マウス抗体:LI-COR、926-32210(Lincoln、NE)。
【0200】
細胞CK1α、PDE6D、およびイカロスの分解に関するデータを、以下の表1に示す。分解%値は、「A」、「B」、「C」、または「D」と報告される。「A」は、25%未満の分解%値(値<25%)を表し;「B」は、25%に等しくまたはそれよりも高くかつ50%未満の分解%値(25%≦値<50%)を表し;「C」は、50%に等しくまたはそれよりも高くかつ75%未満の分解%値(50%≦値<75%)を表し;「D」は、75%に等しくまたはそれよりも高い分解%値(値≧75%)を表す。DMSOは、対照として使用した。
表1: 1μMで試験した様々な分解アッセイでの化合物の活性
【表1】
【0201】
さらに、化合物1および22は、1μMでのPDE6D分解アッセイにおいて、比較化合物Aに対して試験した。化合物Aは、いかなる測定可能なPDE6D分解活性も実証せず、その結果を以下の表にまとめる。「A」は、25%未満の分解%値(値<25%)を表し、「D」は、75%に等しくまたはそれよりも高い分解%値(値≧75%)を表す。
【表6】
【化75】
細胞ベースアッセイ
【0202】
凍結一次血液単核細胞(PBMC)または凍結CD14+誘導末梢血単核細胞のいずれかを、AllCells(PB003F、正常末梢血MNC(Alameda、CA))から購入した。細胞を素早く解凍し、RPMI-1640(10%FBS/1%Pen-Strep)で1回洗浄し、96ウェルプレートに、ウェル当たり200,000細胞で播いた。細胞を、DMSOのみでまたは指示される化合物で1時間前処理し、次いで100ng/mLのリポ多糖(LPS)で18~24時間誘導した。上澄みを、製造業者のプロトコールに従い、Meso Scaleアッセイを使用して、IL-1β、IL-6、およびTNFαに関して分析した。ネガティブコントロールのウェルは、DMSOで処理した。
【0203】
IL-2分析では、96ウェルプレートを、1μg/mLの抗ヒトCD3抗体(OKT3、eBioscience Inc.、San Diego、CA)で予備コーティングした。PBSで洗浄後、指示される化合物を添加し(50μL/ウェル)、その後、3~400万細胞/mL(150μL/ウェル)で希釈したPBMCを添加した。プレートを、24時間インキュベートし、上澄みをMesoscale IL-2分析のために収集した。IL-2活性は、DMSO対照からの倍率差として測定する。
【0204】
IL-1β、IL-6、およびTNFα活性を、2つの異なる濃度(1μMおよび10μM)で試験し、結果をそれぞれ表2および3に示す。IL-2活性も、2つの異なる濃度(1μMおよび10μM)で試験し、結果を表4に示す。
【0205】
表2および3において、阻害%値は、「A」、「B」、「C」、または「D」と報告する。「A」は、10%未満の阻害%値(値<10%)を表し;「B」は、10%に等しくまたはそれよりも高くかつ25%未満の阻害%値(10≦値<25%)を表し;「C」は、25%に等しくまたはそれよりも高くかつ50%未満の阻害%値(25%≦値<50%)を表し;「D」は、50%に等しくまたはそれよりも高い阻害%値(値≧50%)を表す。
【0206】
表4において、倍率変化値は、「A」、「B」、「C」、または「D」と報告される。「A」は、0.5に等しくまたはそれ未満の倍率変化値(値≦0.5)を表し;「B」は、0.5よりも高くかつ1に等しくまたはそれ未満の倍率変化値(0.5<値≦1)を表し;「C」は、1よりも高くかつ1.5未満の倍率変化値(1<値<1.5)を表し;「D」は、1.5に等しくまたはそれよりも高い倍率変化値(値≧1.5)を表す。
表2. IL-1β、IL-6、およびTNFα阻害アッセイにおける化合物の活性(化合物は、1μMで試験した)
【表2】
表3. IL-1β、IL-6、およびTNFα阻害アッセイにおける化合物の活性(化合物は、10μMで試験した)
【表3】
表4. IL-2阻害アッセイにおける化合物の活性(化合物は、1および10μMで試験した)
【表4】
【0207】
さらに、化合物1および22は、10μMでIL-2阻害アッセイにおける比較化合物Bに対して試験した。化合物Bは、IL-2を誘発させ(上方調節)、化合物1および22の両方は、IL-2の強力な阻害(下方調節)を実証した。結果を、以下の表にまとめる。「A」は、0.5に等しくまたはそれ未満である倍率変化値(値≦0.5)を表し、「D」は、1.5に等しくまたはそれよりも高い倍率変化値(値≧1.5)を表す。
【表7】

【化76】
【国際調査報告】