(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】CDCP1-標的化療法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20220111BHJP
C07K 16/30 20060101ALI20220111BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20220111BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20220111BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20220111BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20220111BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20220111BHJP
C12N 5/071 20100101ALI20220111BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20220111BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220111BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20220111BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220111BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220111BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220111BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/30 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N5/071
C12P21/08
A61P35/00
A61K47/68
A61K39/395 L
A61K39/395 T
A61K45/00
A61K45/00 101
A61P43/00 111
A61P37/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021525787
(86)(22)【出願日】2019-11-07
(85)【翻訳文提出日】2021-06-14
(86)【国際出願番号】 US2019060276
(87)【国際公開番号】W WO2020097336
(87)【国際公開日】2020-05-14
(32)【優先日】2018-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507316413
【氏名又は名称】ベス イスラエル デアコネス メディカル センター
(71)【出願人】
【識別番号】510069249
【氏名又は名称】ファイザー・インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】508057896
【氏名又は名称】コーネル・ユニバーシティー
【氏名又は名称原語表記】CORNELL UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カントレー、ルイス、シー.
(72)【発明者】
【氏名】ソルトフ、スティーヴン、ピー.
(72)【発明者】
【氏名】エマーリュン、ブルック、エム.
(72)【発明者】
【氏名】プロギアニス、ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ホダコスキ、シンディー、エム.
(72)【発明者】
【氏名】リウ、ホイ
(72)【発明者】
【氏名】アポストロウ、イリナ
(72)【発明者】
【氏名】ベイツ、ブライアン、ゲイザー
(72)【発明者】
【氏名】マーケット、キンバリー、アン
(72)【発明者】
【氏名】ベネット、エリック、エム.
(72)【発明者】
【氏名】モスヤック、リディア
(72)【発明者】
【氏名】チスチャコヴァ、リュドミラ、ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ロスフィヨルド、エドワード、クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ロンドン、アイザック、ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ホアン、チャオ、パイ
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA19
4B064CC24
4B064CE12
4B064DA01
4B065AA91X
4B065AA93X
4B065AA93Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC15
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4C076AA95
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF67
4C076FF68
4C084AA19
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB021
4C084ZB051
4C084ZB091
4C084ZB26
4C084ZC202
4C084ZC751
4C084ZC752
4C085AA14
4C085AA26
4C085BB01
4C085CC21
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG01
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA42
4H045DA76
4H045EA28
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本開示は、CUBドメイン含有タンパク質1(CDCP1)標的化療法のための材料及び方法を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CUBドメイン含有タンパク質-1(CDCP1)に特異的に結合する、単離された抗体またはその抗原結合断片であって、
(i)
(a)配列番号2のアミノ酸配列を含むVH相補性決定領域1(CDRH1)、
(b)配列番号3のアミノ酸配列を含むVH相補性決定領域2(CDRH2)、及び
(c)配列番号27、配列番号4、配列番号40、及び配列番号45からなる群から選択されるアミノ酸破裂を含むVH相補性決定領域3(CDRH3)を含む、重鎖可変領域(VH)と、
(ii)
(a)配列番号12のアミノ酸配列を含むVL相補性決定領域1(CDRL1)、
(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むVL相補性決定領域2(CDRL2)、及び
(c)配列番号31及び配列番号14からなる群から選択されるアミノ酸破裂を含むVL相補性決定領域3(CDRL3)を含む、軽鎖可変領域(VL)と、を含む、前記単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項2】
CDCP1に特異的に結合する、単離された抗体またはその抗原結合断片であって、
(i)
(a)配列番号2のアミノ酸配列を含むCDRH1、
(b)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDRH2、及び
(c)配列番号27のアミノ酸配列を含むCDRH3を含む、VHと、
(ii)
(a)配列番号12のアミノ酸配列を含むCDRL1、
(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDRL2、及び
(c)配列番号31のアミノ酸配列を含むCDRL3を含む、VLと、を含む、前記単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項3】
配列番号26のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号30または36のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含むVLを含む、請求項1または2に記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項4】
配列番号26のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号36のアミノ酸配列を含むVLを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項5】
配列番号29のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号32または37のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項6】
配列番号29のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号37のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項7】
配列番号33のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号34または38のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項8】
CDCP14に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片であって、配列番号33のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号38のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、前記単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片をコードする、単離された核酸。
【請求項10】
CDCP1に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片のVH、VL、または両方をコードする単離された核酸であって、前記核酸が、配列番号79の核酸配列、配列番号83の核酸配列、または両方を含む、前記単離された核酸。
【請求項11】
CDCP1に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の重鎖、軽鎖、または両方をコードする単離された核酸であって、前記核酸が、配列番号85の核酸配列、配列番号86の核酸配列、または両方を含む、前記単離された核酸。
【請求項12】
請求項9~11のいずれか1項に記載の核酸を含む、ベクター。
【請求項13】
請求項12に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項14】
前記宿主細胞が、CHO細胞、COS細胞、HEK-293細胞、NS0細胞、PER.C6(登録商標)細胞、またはSp2.0細胞からなる群から選択される哺乳動物細胞である、請求項13に記載の宿主細胞。
【請求項15】
抗体、またはその抗原結合断片が宿主細胞によって発現される条件下で請求項13または14に記載の宿主細胞を培養することを含む、前記抗体またはその抗原結合断片を作成する、方法。
【請求項16】
前記抗体またはその抗原結合断片を単離することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記抗体が、薬物部分にコンジュゲートされる、請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片を含む、抗体薬物コンジュゲート。
【請求項18】
前記抗体が、リンカーを介して前記薬物部分にコンジュゲートされる、請求項17に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項19】
リンカーが、バリン-シトルリン(val-cit)、6-マレイミドカプロイル(mc)、メトキシ-ポリエチレングリコールマレイミド6(MalPeg6)、p-アミノベンジルカルバメート(PABC)、ジメチルアミノエタノール(DMAE)、マレイミドプロパノイル(MP)、加水分解ペグ-マレイミド、アラニン-フェニルアラニン(ala-phe)、p-アミノベンジルオキシカルボニル(PAB)、N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルチオ)ペンタノエート(SPP)、N-スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1カルボキシレート(SMCC)、N-スクシンイミジル(4-ヨード-アセチル)アミノベンゾエート(SIAB)、6-マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-p-アミノベンジルオキシカルボニル(mc-val-cit-PAB)、及び6-マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-p-アミノベンジルカルバメート(mc-val-cit-PABC)からなる群から選択される、請求項12または13に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項20】
前記薬物部分が、細胞傷害性剤、免疫調節剤、イメージング剤、化学療法剤、または治療用タンパク質である、請求項17~19のいずれか1項に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項21】
CDCP1に特異的に結合する抗体を含む抗体薬物コンジュゲートであって、前記抗体が、少なくとも1つの操作されたシステイン、配列番号33のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号38のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、前記抗体が、少なくとも1つの操作されたシステインを介してリンカー-薬物部分mc-val-cit-PABC-0101にコンジュゲートされる、前記抗体薬物コンジュゲート。
【請求項22】
前記抗体が、KabatのEuインデックスの番号付けに従って抗体重鎖定常ドメインの290位に、かつKabatの番号付けに従って軽鎖定常ドメインの183位に位置する2つの操作されたシステインを含む、請求項21に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項23】
請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体、または請求項17~22のいずれか1項に記載の抗体薬物コンジュゲートと、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物。
【請求項24】
がん、自己免疫疾患、炎症性疾患、または感染性疾患を治療する方法であって、それを必要とする対象に、請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体、請求項17~22のいずれか1項に記載の抗体薬物コンジュゲート、または請求項23の組成物の治療有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項25】
疾患または障害の治療を必要とする対象における細胞上のCDCP1の発現によって媒介されるか、または関連する前記疾患もしくは前記障害を治療する方法であって、請求項17~22のいずれか1項に記載の抗体薬物コンジュゲート、または請求項23に記載の組成物の治療有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項26】
がんの治療を必要とする患者において前記がんを治療するための方法であって、
(a)変異体LKB1及び/またはKRASの量について腫瘍試料を評価することと、
(b)変異体肝キナーゼB1(LKB1)及び/またはKirstenラット肉腫ウイルス(KRAS)の量が参照試料よりも高い場合、CDCP1に結合する薬剤をがん患者に投与することと、を含む、前記方法。
【請求項27】
前記腫瘍試料が、凍結された腫瘍組織生検、培養された細胞、循環腫瘍細胞、及びホルマリン固定されパラフィン包埋された腫瘍組織生検から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
変異体KRASが、G12C、G12A、G12D、G12R、G12S、G12V、G13C、及びG13D変異体から選択される、請求項26または27に記載の方法。
【請求項29】
評価することが、変異を含む疑いのある腫瘍試料またはその断片からのLKB1及び/またはKRAS核酸を増幅すること、ならびに前記増幅された核酸を配列決定することによって行われる、請求項26~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
評価することが、LKB1及び/またはKRASを指向する抗体またはその形式を前記腫瘍試料に接触させること、ならびに結合する抗体またはその形式を定量化することによって行われる、請求項26~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
肺癌の治療を必要とする患者において前記肺癌を治療する方法であって、CDCP1に結合する薬剤を前記患者に投与することを含み、前記肺癌がAKT活性化によって特徴付けられ、CDCP1に結合する前記薬剤がCDCP1活性化薬剤である、前記方法。
【請求項32】
前記肺癌が、非小細胞肺癌(NSCLC)である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
AKT活性化について前記肺癌の試料を評価することをさらに含む、請求項31または32に記載の方法。
【請求項34】
前立腺癌の治療を必要とする患者における前記前立腺癌を治療する方法であって、CDCP1に結合する薬剤を前記患者に投与することを含み、前記前立腺癌がAKT活性化によって特徴付けられ、CDCP1に結合する前記薬剤がCDCP1活性化剤である、前記方法。
【請求項35】
AKT活性化について前記前立腺癌の試料を評価することをさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記方法が、AKT阻害剤を投与することをさらに含む、請求項31~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記患者が、AKT阻害剤での治療を受けている、請求項31~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記AKT阻害剤が、アフレセルチブ、ARQ 751、ARQ 092、AZD5363、BAY1125976、GSK2141795、GSK690693、イパタセルチブ、LY2780301、MK2206、及びペリフォシンから選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記患者が、任意選択で、KX2-391、ボスチニブ、サラカチニブ、及びダサチニブから選択されるSrc阻害剤での治療を受けていない、請求項26~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記患者が、任意選択で、KX2-391、ボスチニブ、サラカチニブ、及びダサチニブから選択されるSrc阻害剤での治療を以前に受けていない、請求項26~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
がんの治療を必要とする患者における前記がんを治療するための方法であって、
(a)標的細胞上のCDCP1に結合し、かつ前記標的細胞上のCDCP1に接触する際に内部移行する薬剤を選択することと、
(b)がん患者に前記薬剤を投与することであって、CDCP1に結合する前記薬剤が、CDCP1を活性化し、セリン/トレオニン-タンパク質ホスファターゼ4制御性サブユニット2(PPP4R2)調節剤にコンジュゲートされる、前記投与することと、を含む、前記方法。
【請求項42】
がんの治療を必要とする患者における前記がんを治療するための方法であって、
(a)CDCP1に結合する薬剤を投与することであって、CDCP1に結合する前記薬剤が、CDCP1を活性化しない抗体である、前記投与することと、
(b)ポリ(ADP-リボース)グリコヒドロラーゼ(PARG)を調節する薬剤を投与することと、を含む、前記方法。
【請求項43】
PARGを調節する前記薬剤が、PARG阻害剤である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記PARG阻害剤が、オラパリブ、タラゾパリブ、ベリパリブ、ルカパリブ、イニパリブ、E7016、CEP9722、BGB-290及び3-アミノベンズアミドから選択される、請求項42に記載の方法。いくつかの実施形態では、PARGを調節する前記薬剤は、PARG阻害剤である。いくつかの実施形態では、前記PARG阻害剤は、オラパリブ、タラゾパリブ、ベリパリブ、ルカパリブ、イニパリブ、E7016、CEP-9722、BGB-290及び3-アミノベンズアミドから選択される。
【請求項45】
CDCP1に結合する前記薬剤が、CDCP1に特異的である抗体またはその抗原結合部分である、請求項26~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
CDCP1に特異的である前記抗体またはその抗原結合部分が、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体断片、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、一本鎖Fv、ダイアボディ、線状抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、及び前記抗体の抗原結合部分を含む融合タンパク質のうちの1つ以上から選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
CDCP1に特異的である前記抗体またはその抗原結合部分が、抗腫瘍剤とコンジュゲートされる、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記方法が、抗腫瘍剤を投与することをさらに含む、請求項21~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記投与が、連続的または同時的である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記抗腫瘍剤が、化学療法剤である、請求項47~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記化学療法剤が、チオテパ及びCYTOXANシクロホスファミドなどのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファンなどのスルホン酸アルキル;ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、及びウレドーパ(uredopa)などのアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、及びトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミン及びメチラメラミン(methylamelamine);アセトゲニン(例えば、ブラタシン及びブラタシノン);カンプトテシン(合成類似体トポテカンを含む);ブリオスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン、及びビゼレシン合成類似体を含む);クリプトフィシン(例えば、クリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体、KW-2189及びCB 1-TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチイン;スポンギスタチン;クロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシドヒドロクロリド、メルファラン、ノベムビチン(novembichin)、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;カムルスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムスチンなどのニトロソウレア(nitrosurea);エンジイン抗生物質(例えば、特に、カリケアマイシンガンマ11及びカリケアマイシンオメガ11(例えば、Agnew,Chem.Intl.Ed.Engl.,33:183-186(1994)を参照されたい);ダイネミシンAを含むダイネミシン;クロドロネートなどのビスホスホネート;エスペラミシン;同様にネオカルチノスタチンクロモフォア及び関連する色素タンパク質エンジイン抗生物質クロモフォア)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン(carabicin)、カミノマイシン(caminomycin)、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ADRIAMYCINドキソルビシン(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシンなどの抗生物質;メトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU)などの代謝拮抗剤;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン(pteropterin)、トリメトレキサートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジンなどのピリミジン類似体;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗副腎剤(anti-adrenal);フロリニン酸(frolinic acid)などの葉酸補給剤;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジクオン;エルフォルミチン(elformithine);酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダイニン(lonidainine);マイタンシン及びアンサミトシンなどのメイタンシノイド(maytansinoid);ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール(mopidanmol);ニトラエリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸(podophyllinic acid);2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK多糖複合体(JHS Natural Products,Eugene,Oreg.);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフラン(sizofuran);スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン(triaziquone);2,2’,2”-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(例えば、T-2毒素、ベラクリン(verracurin)A、ロリジンA及びアングイジン(anguidine));ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、TAXOLパクリタキセル、パクリタキセルのABRAXANEクレモフォールフリーのアルブミン操作ナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners,Schaumberg,111.)、及びTAXOTEREドセタキセル(Rhone-Poulenc Rorer,Antony,France);クロランブシル(chloranbucil);GEMZARゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチン、オキサリプラチン、及びカルボプラチンなどの白金類似体;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;NAVELBINEビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;イリノテカン(Camptosar、CPT-11)(5-FU及びロイコボリンを用いるイリノテカンの治療レジメンを含む);トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド;カペシタビン;コンブレタスタチン;ロイコボリン(LV);オキサリプラチン治療レジメン(FOLFOX)を含むオキサリプラチン;ラパチニブ(Tykerb);細胞増殖を低減するPKC-α、Raf、H-Ras、EGFR(例えば、エルロチニブ(Tarceva))、及びVEGFの阻害剤、ならびに上記のうちのいずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体から選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記抗腫瘍剤が、細胞傷害性剤である、請求項48または49に記載の方法。
【請求項53】
前記細胞傷害性剤が、メトトレキサート、アミノプテリン、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシルデカルバジン;メクロレタミン、チオエパ(thioepa)クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)、マイトマイシンC、ロムスチン(CCNU)、1-メチルニトロソウレア、シクロホスファミド、メクロレタミン、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、シス-ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン及びカルボプラチン(パラプラチン)などのアルキル化剤;ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、デトルビシン、カルミノマイシン、イダルビシン、エピルビシン、ミトキサントロン、及びビサントレンを含むアントラサイクリン;ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ブレオマイシン、カリケアマイシン、ミトラマイシン、及びアントラマイシン(AMC)を含む抗生物質;ビンカアルカロイド、ビンクリスチン、ビンブラスチンなどの抗有糸分裂剤、ならびにそれらの混合物から選択される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記細胞傷害性剤が、パクリタキセル(タキソール)、リシン、シュードモナス外毒素、ゲムシタビン、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、エトポシド、テノポシド(tenoposide)、コルヒチン、ジヒドロキシアントラシンジオン(dihydroxy anthracin dione)、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ピューロマイシン、プロカルバジン、ヒドロキシ尿素、及びそれらの混合物から選択される、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記抗腫瘍剤が、チェックポイント阻害剤である、請求項48または49に記載の方法。
【請求項56】
前記チェックポイント阻害剤が、TIM-3、BTLA、PD-1、CTLA-4、B7-H4、GITR、ガレクチン-9、HVEM、PD-L1、PD-L2、B7-H3、CD244、CD160、TIGIT、SIRPα、ICOS、CD172a、及びTMIGD2のうちの1つを標的とする薬剤である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
PD-1を標的とする前記薬剤が、任意選択で、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、及びピジリズマブから選択される、PD-1に特異的である抗体またはその抗原結合部分である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
PD-L1を標的とする前記薬剤が、任意選択で、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、及びBMS-936559から選択される、PD-L1に特異的である抗体またはその抗原結合部分である、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
CTLA-4を標的とする前記薬剤が、CTLA-4に特異的であり、任意選択で、イピリムマブ及びトレメリムマブから選択される抗体またはその抗原結合部分である、請求項56に記載の方法。
【請求項60】
前記抗腫瘍剤が、低酸素誘導因子-2(HIF-2)阻害剤である、請求項48または49に記載の方法。
【請求項61】
前記HIF-2阻害剤が、PT2385及びPT2977から選択される、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記がんが、低酸素によって特徴付けられた腫瘍である、上記の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記がんが、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳及び中枢神経系癌、乳癌、腹膜癌、子宮頸癌、絨毛癌、大腸癌、結合組織癌、消化器系癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌(gastric cancer)(胃腸癌を含む)、神経膠芽腫、肝癌、肝細胞癌、上皮内新生物、腎臓または腎癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌(唇、舌、口、及び咽頭)、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系癌、唾液腺癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮細胞癌、胃癌(stomach cancer)、精巣癌、甲状腺癌、子宮または子宮内膜癌、泌尿器系癌、外陰癌、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、同様にB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞NHL、巨大腫瘤病変NHL、マントル細胞リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、及びワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症を含む、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄芽球性白血病、同様に他の癌腫及び肉腫、ならびに移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、同様に母斑症、浮腫に関連する異常な血管増殖(例えば、脳腫瘍に関連するもの)、ならびにメグズ症候群のうちの1つ以上から選択される、請求項26~30または40~62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
腫瘍の試料において変異体LKB1及び/またはKRASタンパク質または遺伝子の存在、不在、または量を決定することを含む、前記腫瘍がCDCP1に結合する薬剤での治療に応答するかどうかを決定する方法であって、それによって前記変異体LKB1及び/または前記KRASの存在、あるいは参照試料に対する変異体LKB1及び/またはKRASタンパク質または遺伝子の増加した量が、CDCP1に結合する薬剤での治療に応答する可能性を示している、前記方法。
【請求項65】
CDCP1に結合する前記薬剤が、CDCP1に特異的である抗体またはその抗原結合部分である、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
CDCP1に特異的である前記抗体またはその抗原結合部分が、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体断片、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、一本鎖Fv、ダイアボディ、線状抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、及び前記抗体の抗原結合部分を含む融合タンパク質のうちの1つ以上から選択される、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
CDCP1に特異的である前記抗体またはその抗原結合部分が、抗腫瘍剤とコンジュゲートされる、請求項66に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、CUBドメイン含有タンパク質1(CDCP1)標的化療法のための材料及び方法に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年11月9日に出願された米国仮出願第62/758,442号に対する優先権を主張し、その内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
共同研究声明の当事者
現在請求されている発明は、部分的には、以下に列挙された当事者によって、またはその代理として、共同研究合意に対してなされた。共同研究合意は、部分的には、共同研究合意の範囲内で行われた活動の結果として、請求された発明が行われ、請求された発明が行われた日またはそれ以前に有効であった。共同研究合意に対する当事者は、BETH ISRAEL DEACONESS MEDICAL CENTER及びPFIZER INC.である。
【0004】
電子的に提出されたテキストファイルの記載
本出願は、EFS-Webを介してASCII形式で提出されている配列表を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2019年10月30日頃に作成された該ASCIIコピーは、「BID-009PC_ST25.txt」と命名され、約126KBのサイズである。
【背景技術】
【0005】
多くの化学療法剤が開発されてきたが、それらはしばしば容認できない毒性及び/または非がん組織を超えるがん細胞に対する特異性の欠如を実証する。化学療法剤の非特異的な細胞傷害性効果を回避するために、標的化抗体療法は、臨床的可能性を実証するいくつかのモノクローナル抗体でのがん治療に革命をもたらした。腫瘍特異的抗原に対する抗体がしばしば治療活性を欠くため、それらは、化学療法の有効性を抗体の標的化と組み合わせるために細胞傷害性剤にコンジュゲートされている。原則として、抗体結合による特定の腫瘍組織への細胞傷害性剤の選択的送達は、伝統的な小分子化学療法剤の全身傷害性を低減するはずである。成功した抗体薬物コンジュゲート(ADC)アプローチが非標的細胞に顕著に結合することなく標的細胞に傷害性ペイロードを送達するために標的抗原にうまく結合しなくてはならないため、ADCが、標的細胞に傷害性ペイロードを送達することを可能にし、それによって内在化され、次いで細胞内の適切なコンパートメントの内側に一度ペイロードを放出することができることは、重大である。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、とりわけ、前述の必要性を満たす。CDCP1は、多様ながん、特にCDCP1発現に依存しているものを有する患者における治療的介入のための標的である。興味深いことに、本発明者らは、とりわけ、CDCP1が制御された方式において細胞によって内在化され、したがって、この特性が抗がん療法の開発のために活用され得ることを発見している。さらに、本発明者らは、CDCP1が、LKB1、KRAS、及びAKTを限定なく含む、がんに関連する様々なマーカーによって影響を受けるか、またはそれらに影響を与え、細胞上で発現したCDCP1に特異的に結合する抗体を含むがこれらに限定されないCDCP1薬剤を使用する新しい治療モダリティを提供することを発見している。さらに、本発明者らは、Src、PPP4R2及びPARG1を含むがんマーカーとのCDCP1の相互作用を発見しており、かかる相互作用は、活性化状態依存的であり、特異的がん治療を可能にする。
【0007】
一態様では、本開示は、(a)変異体LKB1及び/またはKRASの量について腫瘍試料を評価することと、(b)変異体LKB1及び/またはKRASの量が参照試料よりも多い場合、がん患者にCUBドメイン含有タンパク質1(CDCP1)に結合する薬剤を投与することと、を含む、がんの治療を必要とする患者においてがんを治療するための方法を提供する。
【0008】
いくつかの実施形態では、腫瘍試料は、凍結された腫瘍組織生検、培養された細胞、循環腫瘍細胞、及びホルマリン固定されパラフィン包埋された腫瘍組織生検から選択される生検である。
【0009】
いくつかの実施形態では、変異体KRASは、G12C、G12A、G12D、G12R、G12S、G12V、G13C、及びG13D変異体から選択される。いくつかの実施形態では、評価することは、腫瘍試料、もしくは変異を含むことが疑われるその断片からのLKB1及び/またはKRAS核酸を増幅すること、ならびに該増幅された核酸を配列決定することによって行われる。いくつかの実施形態では、評価することは、LKB1及び/またはKRASを指向する抗体またはその形式を腫瘍試料に接触させること、ならびに結合する抗体またはその形式を定量化することによって行われる。
【0010】
一態様では、本開示は、患者にCDCP1に結合する薬剤を投与することを含む、肺癌の治療を必要とする患者において肺癌を治療する方法を提供し、肺癌はAKT活性化によって特徴付けられ、CDCP1に結合する薬剤はCDCP1活性化剤である。
【0011】
いくつかの実施形態では、肺癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)である。いくつかの実施形態では、方法は、AKT活性化について肺癌の試料を評価することをさらに含む。
【0012】
一態様では、本開示は、患者にCDCP1に結合する薬剤を投与することを含む、前立腺癌の治療を必要とする患者において前立腺癌を治療する方法を提供し、前立腺癌はAKT活性化によって特徴付けられ、CDCP1に結合する薬剤はCDCP1活性化剤である。いくつかの実施形態では、方法は、AKT活性化について前立腺癌の試料を評価することをさらに含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、方法は、AKT阻害剤を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、患者は、AKT阻害剤での治療を受けている。いくつかの実施形態では、AKT阻害剤は、アフレセルチブ、ARQ 751、ARQ 092、AZD5363、BAY1125976、GSK2141795、GSK690693、イパタセルチブ、LY2780301、MK2206、及びペリフォシンから選択される。
【0014】
一態様では、本開示は、(a)標的細胞上のCDCP1に結合し、それが標的細胞上のCDCP1に接触する際に内在化される薬剤を選択することと(b)がん患者に薬剤を投与することと、を含む、がんの治療を必要とする患者においてがんを治療するための方法を提供する。
【0015】
一態様では、本開示は、(a)標的細胞上のCDCP1に結合し、それが標的細胞上のCDCP1に接触する際に内在化される薬剤を選択することと、(b)がん患者に薬剤を投与することと、を含む、がんの治療を必要とする患者においてがんを治療するための方法を提供し、CDCP1に結合する薬剤は、CDCP1を活性化する抗体であり、セリン/トレオニン-タンパク質ホスファターゼ4制御性サブユニット2(PPP4R2)調節剤にコンジュゲートされる。
【0016】
一態様では、本開示は、(a)CDCP1に結合する薬剤がCDCP1を活性化しない抗体である、CDCP1に結合する薬剤を投与することと、(b)ポリ(ADP-リボース)グリコヒドロラーゼ(PARG)を調節する薬剤を投与することと、を含む、がんの治療を必要とする患者においてがんを治療するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、PARGを調節する薬剤は、PARG阻害剤である。いくつかの実施形態では、PARG阻害剤は、オラパリブ、タラゾパリブ、ベリパリブ、ルカパリブ、イニパリブ、E7016、CEP9722、BGB-290及び3-アミノベンズアミドから選択される。
【0017】
いくつかの実施形態では、CDCP1に結合する薬剤は、CDCP1に特異的である抗体またはその抗原結合部分である。
【0018】
いくつかの実施形態では、CDCP1に特異的である抗体またはその抗原結合部分は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体断片、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、一本鎖Fv、ダイアボディ、線状抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、及び抗体の抗原結合部分を含む融合タンパク質のうちの1つ以上から選択される。
【0019】
いくつかの実施形態では、CDCP1に特異的である抗体またはその抗原結合部分は、細胞傷害性剤または細胞増殖抑制剤とコンジュゲートする。いくつかの実施形態では、方法は、細胞傷害性剤または細胞増殖抑制剤を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、投与は、連続的または同時的である。
【0020】
いくつかの実施形態では、細胞傷害性剤は、パクリタキセル(タキソール)、リシン、シュードモナス外毒素、ゲムシタビン、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、エトポシド、テノポシド(tenoposide)、コルヒチン、ジヒドロキシアントラシンジオン(dihydroxy anthracin dione)、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ピューロマイシン、プロカルバジン、ヒドロキシ尿素、及びそれらの混合物から選択される。
【0021】
いくつかの実施形態では、細胞傷害性剤は、メトトレキサート、アミノプテリン、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシルデカルバジン;メクロレタミン、チオエパ(thioepa)クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)、マイトマイシンC、ロムスチン(CCNU)、1-メチルニトロソウレア、シクロホスファミド、メクロレタミン、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、シス-ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン及びカルボプラチン(パラプラチン)などのアルキル化剤;ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、デトルビシン、カルミノマイシン、イダルビシン、エピルビシン、ミトキサントロン、及びビサントレンを含むアントラサイクリン;ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ブレオマイシン、カリケアマイシン、ミトラマイシン、及びアントラマイシン(AMC)を含む抗生物質;ビンカアルカロイド、ビンクリスチン、ビンブラスチンなどの抗有糸分裂剤、ならびにそれらの混合物から選択される抗腫瘍剤である。いくつかの実施形態では、方法は、抗腫瘍剤を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、投与は、連続的または同時的である。いくつかの実施形態では、抗腫瘍剤は、化学療法剤である。
【0022】
いくつかの実施形態では、抗腫瘍剤は、チェックポイント阻害剤である。いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害剤は、TIM-3、BTLA、PD-1、CTLA-4、B7-H4、GITR、ガレクチン-9、HVEM、PD-L1、PD-L2、B7-H3、CD244、CD160、TIGIT、SIRPα、ICOS、CD172a、及びTMIGD2のうちの1つを標的とする薬剤である。いくつかの実施形態では、PD-1を標的とする薬剤は、任意選択で、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、及びピジリズマブから選択される、PD-1に特異的である抗体またはその抗原結合部分である。いくつかの実施形態では、標的とし、薬剤がPD-L1を標的とする薬剤は、任意選択で、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、及びBMS-936559から選択される、PD-L1に特異的である抗体またはその抗原結合部分である。いくつかの実施形態では、CTLA-4を標的とする薬剤は、任意選択で、イピリムマブ及びトレメリムマブから選択される、CTLA-4に特異的である抗体またはその抗原結合部分である。
【0023】
いくつかの実施形態では、抗腫瘍剤は、低酸素誘導因子-2(HIF-2)阻害剤である。いくつかの実施形態では、HIF-2阻害剤は、PT2385及びPT2977から選択される。いくつかの実施形態では、抗腫瘍剤は、任意選択で、KX2-391、ボスチニブ、サラカチニブ、及びダサチニブから選択されるSrc阻害剤でない。
いくつかの実施形態では、がんは、低酸素によって特徴付けられる腫瘍である。
いくつかの実施形態では、がんは、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳及び中枢神経系癌、乳癌、腹膜癌、子宮頸癌、絨毛癌、大腸癌、結合組織癌、消化器系癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌(gastric cancer)(胃腸癌を含む)、神経膠芽腫、肝癌、肝細胞癌、上皮内新生物、腎臓または腎癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌(唇、舌、口、及び咽頭)、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系癌、唾液腺癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮細胞癌、胃癌(stomach cancer)、精巣癌、甲状腺癌、子宮もしくは子宮内膜癌、泌尿器系癌、外陰癌、ホジキンリンパ腫(NHL)を含むリンパ腫、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞NHL、巨大腫瘤病変NHL、マントル細胞リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、及びワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄芽球性白血病、同様に他の癌腫及び肉腫、ならびに移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、同様に母斑症、浮腫に関連する異常な血管増殖(例えば、脳腫瘍に関連するもの)、ならびにメグズ症候群のうちの1つ以上から選択される。
【0024】
いくつかの実施形態では、がんは、頭頸部癌である。
【0025】
一態様では、本開示は、腫瘍の試料において変異体LKB1及び/またはKRASタンパク質または遺伝子の存在、不在、または量を決定することを含む、該腫瘍がCDCP1に結合する薬剤での治療に応答するかどうかを決定する方法を提供し、それによって変異体LKB1及び/またはKRASの存在、あるいは参照試料に対する変異体LKB1及び/またはKRASタンパク質または遺伝子の増加した量は、CDCP1に結合する薬剤での治療に応答する可能性を示している。
【0026】
いくつかの態様では、本発明は、CDCP1に特異的に結合する抗体及びその抗原結合断片、かかる抗体を含む抗体薬物コンジュゲート、同様にそのための使用及び関連する方法を提供する。当業者は、ほんの日常的な実験を使用して、本明細書に記載される本発明の具体的な実施形態に対する多くの等価物を認識するか、または確認することができるであろう。かかる等価物は、以下の実施形態(E)を包含するように意図される。
【0027】
E1.CDCP1に特異的に結合する、単離された抗体またはその抗原結合断片であって、
(i)
(a)配列番号2のアミノ酸配列を含むVH相補性決定領域1(CDRH1)、
(b)配列番号3のアミノ酸配列を含むVH相補性決定領域2(CDRH2)、及び
(c)配列番号4、配列番号27、配列番号40、及び配列番号45からなる群から選択されるアミノ酸破裂を含むVH相補性決定領域3(CDRH3)を含む、重鎖可変領域(VH)と、
(ii)
(a)配列番号12のアミノ酸配列を含むVL相補性決定領域1(CDRL1)、
(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むVL相補性決定領域2(CDRL2)、及び
(c)配列番号14及び配列番号31からなる群から選択されるアミノ酸破裂を含むVL相補性決定領域3(CDRL3)を含む、軽鎖可変領域(VL)と、を含む、単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0028】
E2.CDCP1に特異的に結合する、単離された抗体またはその抗原結合断片であって、
(i)
(a)配列番号2のアミノ酸配列を含むCDRH1、
(b)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDRH2、及び
(c)配列番号27のアミノ酸配列を含むCDRH3を含む、VHと、
(ii)
(a)配列番号12のアミノ酸配列を含むCDRL1、
(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDRL2、及び
(c)配列番号31のアミノ酸配列を含むCDRL3を含む、VLと、を含む、単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0029】
E3.配列番号1、配列番号26、配列番号39または配列番号44のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含むVHを含む、E1またはE2に記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0030】
E4.配列番号11、配列番号30、配列番号36または配列番号11のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含むVLを含む、E1~E3のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0031】
E5.配列番号26のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号30または36のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含むVLを含む、E1~E4のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0032】
E6.配列番号33のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号38のアミノ酸配列を含むVLを含む、E1~E5のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0033】
E7.配列番号26のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号36のアミノ酸配列を含むVLを含む、E1~E5のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0034】
E8.配列番号26のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号30のアミノ酸配列を含むVLを含む、E1~E5のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0035】
E9.配列番号39のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号36のアミノ酸配列を含むVLを含む、E1~E4のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0036】
E10.配列番号44のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号11のアミノ酸配列を含むVLを含む、E1~E4のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0037】
E11.配列番号1のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号11のアミノ酸配列を含むVLを含む、E1~E4のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0038】
E12.Fcドメインを含む、E1~E11のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合断片。
【0039】
E13.Fcドメインが、IgA、IgD、IgE、IgM、またはIgGのFcドメインである、E12に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【0040】
E14.Fcドメインが、IgG Fcドメインである、E13に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【0041】
E15.IgGが、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4からなる群から選択される、E14に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【0042】
E16.IgGが、IgG1である、E15に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【0043】
E17.配列番号10、29、41または46のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含む重鎖を含む、E1~E16のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0044】
E18.配列番号17、32、または37のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、E1~E17のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0045】
E19.配列番号29のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号32または37のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、E1~E18のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0046】
E20.配列番号29のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号37のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、E1~E19のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0047】
E21.配列番号29のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号32のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、E1~E19のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0048】
E22.配列番号41のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号37のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、E1~E18のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0049】
E23.配列番号46のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号17のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、E1~E18のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0050】
E24.配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号17のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、E1~E18のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0051】
E25.CDCP1上のエピトープに結合する単離された抗体またはその抗原結合断片であって、エピトープが、配列番号90の番号付けに従って、Thr124、Thr160、Ser162、Ala195、Leu196、及びHis197からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸残基を含む、単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0052】
E26.エピトープが、配列番号90の番号付けに従って、Lys45、Leu46、Gly47、Thr48、Pro49、Thr50、Ala53、Pro55、Glu92、Arg173、及びGlu242からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸残基をさらに含む、E25に記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0053】
E27.エピトープが、配列番号90の番号付けに従って、Thr56、Tyr57、Thr66、Met67、Ile126、Val171、Arg173からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸残基をさらに含む、E24またはE25に記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0054】
E28.エピトープが、配列番号90の番号付けに従って、Asn122に結合したグリカンをさらに含む、E25~E27のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0055】
E29.抗体またはその抗原結合断片が、
(i)
(a)配列番号2のアミノ酸配列を含むCDRH1、
(b)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDRH2、及び
(c)配列番号4、配列番号27、配列番号40、及び配列番号45からなる群から選択されるアミノ酸破裂を含むCDRH3を含む、VHと、
(ii)
(a)配列番号12のアミノ酸配列を含むCDRL1、
(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDRL2、及び
(c)配列番号14及び配列番号31からなる群から選択されるアミノ酸破裂を含むCDRL3を含む、VLと、を含む、E25~E28のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0056】
E30.抗体またはその抗原結合断片が、配列番号26のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号30または36のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含むVLを含む、E25~E29のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0057】
E31.抗体またはその抗原結合断片が、配列番号26のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号36のアミノ酸配列を含むVLを含む、E25~E30のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0058】
E32.抗体またはその抗原結合断片が、配列番号29のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号32または37のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸を含む軽鎖を含む、E25~E31のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0059】
E33.抗体またはその抗原結合断片が、配列番号29のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号37のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、E25~E32のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0060】
E34.E1~E33のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合断片とCDCP1への結合について競合する、単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0061】
E35.CP13E10、CP13E10-183/290、CP13E10-H7C-K222R-N297A、CP13E10-54HC-89LC、CP13E10-54HC-89LC-183/290、CP13E10-54HC-89LC-H7C-K222R-N297A、CP13E10-54HC-89LCv1、CP13E10-54HC-89LCv1-183/290、CP13E10-54HC-89LCv1-H7C-K222R-N297A、CP13E10-54HCv13-89LCv1、CP13E10-54HCv13-89LCv1-183/290、CP13E10-54HCv13-89LCv1-H7C-K222R-N297A、CP13E10-291、抗体23、抗体24及び抗体76からなる群から選択される抗体またはその抗原結合断片とCDCP1への結合について競合する、単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0062】
E36.抗体またはその抗原結合断片が、E1~E35のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合断片と実質的に同じエピトープに結合する、CDCP1に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0063】
E37.抗体またはその抗原結合断片が、CP13E10、CP13E10-183/290、CP13E10-H7C-K222R-N297A、CP13E10-54HC-89LC、CP13E10-54HC-89LC-183/290、CP13E10-54HC-89LC-H7C-K222R-N297A、CP13E10-54HC-89LCv1、CP13E10-54HC-89LCv1-183/290、CP13E10-54HC-89LCv1-H7C-K222R-N297A、CP13E10-54HCv13-89LCv1、CP13E10-54HCv13-89LCv1-183/290、CP13E10-54HCv13-89LCv1-H7C-K222R-N297A、CP13E10-291、抗体23、抗体24及び抗体76からなる群から選択される抗体またはその抗原結合断片と実質的に同じエピトープに結合する、CDCP1に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0064】
E38.抗体またはその抗原結合断片が、約350nM、約325nM、約323.10nM、約300nM、約286.44nM、約275nM、約250nM、約232.13nM、約225nM、約219.13nM、約200nM、約195.54nM、約175nM、約158nM、約150nM、約125nM、または約100nM以下の結合親和性(KD)値でCDCP1に結合する、先行実施形態のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0065】
E39.抗体またはその抗原結合断片が、約95nM、約90nM、約80nM、約79.89nM、約75nM、約70nM、約69.50nM、約65nM、約63.44nM、約60nM、約55nM、約52.88nM、約50nM、約45nM、約44.50nM、約41.99nM、約40nM、約35nM、約30nM、約25nM、約20nM、約10nM、約5nM、または約1nM以下のKD値でCDCP1に結合する、先行実施形態のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0066】
E40.抗体またはその抗原結合断片が、約5nM、約4.5nM、約4nM、約3.5nM、約3.12nM、約3nM、約2.90nM、約2.5nM、約2nM、約1.5nM、約1nM、約900pM、約800pM、約700pM、約600pM、約500pM、約400pM、約300pM、約250pM、約200pM、約150pM、約100pM、約50pM、約40pM、約30pM、約25pM、約20pM、約15pM、約10pM、約5pM、または約1pM以下のKD値でCDCP1に結合する、先行実施形態のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0067】
E41.該KD値が、任意選択でBiacore T200機器を使用する、表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定される、E38~E40のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0068】
E42.該KD値が、任意選択でForteBio Octet機器を使用する、バイオレイヤー干渉法(BLI)によって測定される、E38~E40のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合断片。
【0069】
E43.該CDCP1が、ヒトCDCP1、カニクイザルCDCP1またはマウスCDCP1である、E38~E42のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合断片。
【0070】
E44.該CDCP1がヒトCDCP1であり、KD値が、約40nM、約45nMまたは約50nMである、E38~E42のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合断片。
【0071】
E45.該CDCP1がカニクイザルCDCP1であり、KD値が、約62nM、約64nM、約66nM、約68nM、または約70nMである、E38~E42のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合断片。
【0072】
E46.抗体またはその抗原結合断片が、哺乳動物細胞上のCDCP1に結合すると内在化する、先行実施形態のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合断片。
【0073】
E47.抗体またはその抗原結合断片が、KabatのEuインデックスの番号付けに従って290位で操作されたシステイン残基を含む抗体重鎖定常ドメインを含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合断片。
【0074】
E48.定常ドメインが、IgG、IgA、IgD、IgE、またはIgM重鎖ドメインを含む、E47に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【0075】
E49.定常ドメインが、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4重鎖ドメインを含む、E48に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【0076】
E50.定常ドメインが、IgA1またはIgA2重鎖ドメインを含む、E48に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【0077】
E51.定常ドメインが、ヒト抗体定常ドメインである、E47~E50のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合断片。
【0078】
E52.定常ドメインが、IgG1重鎖CH2ドメイン及びIgG1重鎖CH3ドメインを含む、E47~E51のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合断片。
【0079】
E53.抗体またはその抗原結合断片が、Kabatの番号付けに従って183位で操作されたシステイン残基を含む抗体軽鎖定常ドメインをさらに含む、E47~E52のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合断片。
【0080】
E54.軽鎖定常ドメインが、カッパ軽鎖定常ドメイン(CLκ)を含む、E53に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【0081】
E55.軽鎖定常ドメインが、ラムダ軽鎖定常ドメイン(CLλ)を含む、E53に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【0082】
E56.配列番号19、33、または42のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含む重鎖を含む、E46~E54のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0083】
E57.配列番号21、34、または38のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、E47~E56のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0084】
E58.配列番号33のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号34または38のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、E47~E57のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0085】
E59.配列番号33のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号38のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、E47~E58のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0086】
E60.配列番号33のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号34のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、E47~E58のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0087】
E61.配列番号42のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号38のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、E47~E57のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0088】
E62.配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、E47~E57のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0089】
E63.抗体またはその抗原結合断片が、該抗体のFc領域における特定の部位で操作されたアシルドナーグルタミン含有タグ配列を含む、E1~E46のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合断片。
【0090】
E64.グルタミン含有タグ配列が、LLQG(配列番号91)を含む、E63に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【0091】
E65.グルタミン含有タグが、KabatのEuインデックスの番号付けに従ってアミノ酸残基番号135の後かつアミノ酸残基番号136の前に操作される、E63またはE64に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【0092】
E66.抗体のFcドメインまたはその抗原結合断片が、KabatのEuインデックスの番号付けに従ってN297A及びK222Rからなる群から選択される1つ以上のアミノ酸置換を含む、E63~E65のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合断片。
【0093】
E67.配列番号25、35、または43のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含む重鎖を含む、E63~E66のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0094】
E68.配列番号17、32、または37のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、E63~E67のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0095】
E69.配列番号35のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号32または37のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、E63~E68のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0096】
E70.配列番号35のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号37のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、E63~E69のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0097】
E71.配列番号35のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号32のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、E63~E69のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0098】
E72.配列番号43のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号37のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、E63~E68のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0099】
E73.配列番号25のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号17のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、E63~E68のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【0100】
E74.E1~E73のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合断片をコードする1つ以上の核酸配列を含む、単離された核酸分子。
【0101】
E75.配列番号75のヌクレオチド配列を含む、単離された核酸。
【0102】
E76.配列番号76のヌクレオチド配列を含む、単離された核酸。
【0103】
E77.配列番号77のヌクレオチド配列を含む、単離された核酸。
【0104】
E78.配列番号78のヌクレオチド配列を含む、単離された核酸。
【0105】
E79.配列番号79のヌクレオチド配列を含む、単離された核酸。
【0106】
E80.配列番号80のヌクレオチド配列を含む、単離された核酸。
【0107】
E81.配列番号81のヌクレオチド配列を含む、単離された核酸。
【0108】
E82.配列番号82のヌクレオチド配列を含む、単離された核酸。
【0109】
E83.配列番号83のヌクレオチド配列を含む、単離された核酸。
【0110】
E84.配列番号84のヌクレオチド配列を含む、単離された核酸。
【0111】
E85.E74~E84のいずれか1つに記載の核酸を含む、ベクター。
【0112】
E86.E74~84のいずれか1つに記載の少なくとも1つの核酸を含む、宿主細胞。
【0113】
E87.配列番号85の核酸及び配列番号86のヌクレオチド配列を含む核酸を含む、宿主細胞。
【0114】
E88.該細胞が、哺乳動物細胞である、E86またはE87に記載の宿主細胞。
【0115】
E89.該宿主細胞が、CHO細胞、HEK-293細胞、またはSp2.0細胞である、E88に記載の宿主細胞。
【0116】
E90.該抗体またはその抗原結合断片が該宿主細胞によって発現される条件下で、E86~89に記載の宿主細胞を培養することを含む、抗体またはその抗原結合断片を作製する方法。
【0117】
E91.抗体が薬物部分にコンジュゲートされる、E1~E46のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合断片を含む、抗体薬物コンジュゲート。
【0118】
E92.抗体が、リンカーを介して薬物部分にコンジュゲートされる、E80に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【0119】
E93.抗体が、抗体上の1つ以上の操作されたシステイン残基を介してリンカー-薬物部分にコンジュゲートされる、E91またはE92に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【0120】
E94.抗体またはその抗原結合断片が、E47~62のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合断片を含む、E93に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【0121】
E95.リンカーが、バリン-シトルリン(val-cit)、6-マレイミドカプロイル(mc)、メトキシ-ポリエチレングリコールマレイミド6(MalPeg6)、p-アミノベンジルカルバメート(PABC)、ジメチルアミノエタノール(DMAE)、マレイミドプロパノイル(MP)、加水分解ペグ-マレイミド、アラニン-フェニルアラニン(ala-phe)、p-アミノベンジルオキシカルボニル(PAB)、N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルチオ)ペンタノエート(SPP)、N-スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1カルボキシレート(SMCC)、N-スクシンイミジル(4-ヨード-アセチル)アミノベンゾエート(SIAB)、6-マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-p-アミノベンジルオキシカルボニル(mc-val-cit-PAB)、及び6-マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-p-アミノベンジルカルバメート(mc-val-cit-PABC)からなる群から選択される、E91~E94のいずれか1つに記載の抗体薬物コンジュゲート。
【0122】
E96.抗体が、抗体上に操作されたアシルドナーグルタミン含有タグ配列を使用してリンカーにコンジュゲートされる、E91またはE92に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【0123】
E97.タグ配列が、LLQG(配列番号91)である、E96に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【0124】
E98.抗体またはその抗原結合断片が、E63~73のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合断片を含む、E96またはE97に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【0125】
E99.リンカーが、Ac-Lys-Gly(アセチル-リジン-グリシン)、アミノカプロン酸、Ac-Lys-p-Ala(アセチル-リジン-p-アラニン)、アミノ-PEG2(ポリエチレングリコール)-C2、アミノ-PEG3-C2、アミノ-PEG6-C2(またはアミノPEG6-プロピオニル)、Ac-Lys-Val-Cit-PABC(アセチル-リジン-バリン-シトルリン-p-アミノベンジルオキシカルボニル)、アミノ-PEG6-C2-Val-Cit-PABC、アミノカプロイル-Val-Cit-PABC、[(3R,5R)-1-{3-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]プロパノイル}ピペリジン-3,5-ジイル]ビス-Val-Cit-PABC、[(3S,5S)-1-{3-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]プロパノイル}ピペリジン-3,5-ジイル]ビス-Val-Cit-PABC、プトレシン、及びAc-Lys-プトレシンからなる群から選択される、E96~E98のいずれか1つに記載の抗体薬物コンジュゲート。
【0126】
E100.薬物部分が、細胞傷害性剤、免疫調節剤、イメージング剤、化学療法剤、または治療用タンパク質である、E91~E99のいずれか1つに記載の抗体薬物コンジュゲート。
【0127】
E101.アントラサイクリン、アウリスタチン、CC-1065、ドラスタチン、デュオカルマイシン、エンジイン、ゲルダナマイシン、メイタンシン、ピューロマイシン、タキサン、ビンカアルカロイド、SN-38、ツブリシン、ヘミアステリン、及びそれらの立体異性体、アイソスター、類似体または誘導体からなる群から選択される、E100に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【0128】
E102.細胞傷害性剤が、以下からなる群から選択されるアウリスタチンである、E101に記載の抗体薬物コンジュゲート:
MMAD(モノメチルアウリスタチンD)、
【0129】
【0130】
E103.リンカーが、バリン-シトルリン(val-cit)、6-マレイミドカプロイル(mc)、メトキシ-ポリエチレングリコールマレイミド6(MalPeg6)、p-アミノベンジルカルバメート(PABC)、ジメチルアミノエタノール(DMAE)、マレイミドプロパノイル(MP)、加水分解ペグ-マレイミド、アラニン-フェニルアラニン(ala-phe)、p-アミノベンジルオキシカルボニル(PAB)、N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルチオ)ペンタノエート(SPP)、N-スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1カルボキシレート(SMCC)、N-スクシンイミジル(4-ヨード-アセチル)アミノベンゾエート(SIAB)、6-マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-p-アミノベンジルオキシカルボニル(mc-val-cit-PAB)、及び6-マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-p-アミノベンジルカルバメート(mc-val-cit-PABC)からなる群から選択され、薬物部分がアウリスタチンである、E91~E102のいずれか1つに記載の抗体薬物コンジュゲート。
【0131】
E104.リンカーがmc-val-cit-PABCであり、薬物部分が0101または0131である、E103に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【0132】
E105.抗体またはその抗原結合断片が、配列番号33のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号38のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、リンカー-薬物部分がmc-val-cit-PABC-0101である、抗体上の1つ以上の操作されたシステイン残基を介してリンカー-薬物部分にコンジュゲートされた抗体またはその抗原結合断片を含む、抗体薬物コンジュゲート。
【0133】
E106.抗体またはその抗原結合断片が、配列番号33のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号34のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、リンカー-薬物部分がmc-val-cit-PABC-0101である、抗体上の1つ以上の操作されたシステイン残基を介してリンカー-薬物部分にコンジュゲートされた抗体またはその抗原結合断片を含む、抗体薬物コンジュゲート。
【0134】
E107.リンカーが、Ac-Lys-Gly(アセチル-リジン-グリシン)、アミノカプロン酸、Ac-Lys-p-Ala(アセチル-リジン-p-アラニン)、アミノ-PEG2(ポリエチレングリコール)-C2、アミノ-PEG3-C2、アミノ-PEG6-C2(またはアミノPEG6-プロピオニル)、Ac-Lys-Val-Cit-PABC(アセチル-リジン-バリン-シトルリン-p-アミノベンジルオキシカルボニル)、アミノ-PEG6-C2-Val-Cit-PABC、アミノカプロイル-Val-Cit-PABC、[(3R,5R)-1-{3-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]プロパノイル}ピペリジン-3,5-ジイル]ビス-Val-Cit-PABC、[(3S,5S)-1-{3-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]プロパノイル}ピペリジン-3,5-ジイル]ビス-Val-Cit-PABC、プトレシン、及びAc-Lys-プトレシンからなる群から選択され、薬物部分がアウリスタチンである、E91~E102のいずれか1つに記載の抗体薬物コンジュゲート。
【0135】
E108.リンカーがアミノPEG6-プロピオニル(すなわち、アミノ-PEG6-C2またはAMPeg6C2)であり、薬物部分が0101または0131である、E107に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【0136】
E109.抗体またはその抗原結合断片が、配列番号35のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号37のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、リンカー-薬物部分がアミノPEG6-プロピオニル-0131(AmPeg6C2-0131)である、抗体上の特定の部位で操作されたアシルドナーグルタミン含有タグを使用してリンカー-薬物部分にコンジュゲートされた抗体またはその抗原結合断片を含む、抗体薬物コンジュゲート。
【0137】
E110.抗体またはその抗原結合断片が、配列番号35のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号32のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、リンカー-薬物部分がアミノPEG6-プロピオニル-0131(すなわち、AmPeg6C2-0131)である、抗体上の特定の部位で操作されたアシルドナーグルタミン含有タグを使用してリンカー-薬物部分にコンジュゲートされた抗体またはその抗原結合断片を含む、抗体薬物コンジュゲート。
【0138】
E111.該抗体薬物コンジュゲートが、少なくとも60℃、少なくとも65℃、少なくとも70℃、少なくとも75℃、少なくとも80℃、少なくとも85℃または少なくとも90℃超の融解転移温度を有する、E91~E110のいずれか1つに記載の抗体薬物コンジュゲート。
【0139】
E112.該抗体薬物コンジュゲートが、約65℃超の第1の融解転移温度を有する、E111に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【0140】
E113.該抗体薬物コンジュゲートが、約50nM、約48nM、約46nM、約45nM、約44nM、約42nM、または約40nM以下のKD値でpH7.4でCDCP1に結合する、E91~E112のいずれか1つに記載の抗体薬物コンジュゲート。
【0141】
E114.該抗体薬物コンジュゲートが、約70nM、約68nM、約66nM、約65nM、約64nM、約62nM、または約60nM以下のKD値でpH6.8でCDCP1に結合する、E91~E113のいずれか1つに記載の抗体薬物コンジュゲート。
【0142】
E115.抗体薬物コンジュゲートが、約20000pM、約15000pM、約10000pM、約9500pM、8000pM、7000pM、6000pM、5000pM、4000pM、3000pM、2000pM、1000pM、900pM、800pM、700pM、650pM、600pM、500pM、400pM、300pM、250pM、200pM、または100pM以下の最大半量阻害濃度(IC50)値を有する、E91~E114のいずれか1つに記載の抗体薬物コンジュゲート。
E116.該抗体薬物コンジュゲートが、約100pM、約90pM、約80pM、約70pM、約60pM、約50pM、約40pm、約30pM、約20pM、約10pM、約9pM、約8pM、約7pM、約6pM、約5pM、約4pM、約3pM、約2pM、または約1pM以下のIC50値を有する、E91~E114のいずれか1つに記載の抗体薬物コンジュゲート。
【0143】
E117.IC50値がCDCP1発現細胞を使用して決定される、E115またはE116に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【0144】
E118.該抗体薬物コンジュゲートが、平均腫瘍体積を、非小細胞肺癌(NSCLC)患者由来の異種移植モデルを使用する他の点では同一の未治療の腫瘍における平均腫瘍体積と比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%低減する、E91~E117のいずれか1つに記載の抗体薬物コンジュゲート。
【0145】
E119.該抗体薬物コンジュゲートが、平均腫瘍体積を、頭頸部癌患者由来の異種移植モデルにおける他の点では同一の未治療腫瘍における平均腫瘍体積と比較して、治療された腫瘍において少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%低減する、E91~E118のいずれか1つに記載の抗体薬物コンジュゲート。
【0146】
E120.E91~E119のいずれか1つに記載の抗体薬物コンジュゲートと、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物。
【0147】
E121.細胞上のCDCP1の発現によって媒介されるか、もしくは関連する、がん、自己免疫疾患、炎症性疾患、または感染性疾患を治療する方法であって、E91~E119のいずれか1つに記載の抗体薬物コンジュゲートまたはE120に記載の組成物の治療有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【0148】
E122.細胞上のCDCP1の発現によって媒介されるか、もしくは関連する、がん、自己免疫疾患、炎症性疾患、または感染性疾患を治療することにおける使用のための、E91~E119のいずれか1つに記載の抗体薬物コンジュゲートまたはE120に記載の組成物。
【0149】
E123.細胞上のCDCP1の発現によって媒介されるか、もしくは関連する、がん、自己免疫疾患、炎症性疾患、または感染性疾患を治療するための、E89~E112のいずれか1つに記載の抗体薬物コンジュゲートまたはE113に記載の組成物。
【0150】
E124.細胞上のCDCP1の発現によって媒介されるか、もしくは関連する、がん、自己免疫疾患、炎症性疾患、または感染性疾患を治療するための医薬の製造における、E89~E112のいずれか1つに記載の抗体薬物コンジュゲートまたはE113に記載の組成物。
【0151】
E125.がんが、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳及び中枢神経系癌、乳癌、腹膜癌、子宮頸癌、絨毛癌、大腸癌、結合組織癌、消化器系癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌(gastric cancer)(胃腸癌を含む)、神経膠芽腫、肝癌、肝細胞腫、上皮内新生物、腎臓または腎癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌(唇、舌、口、及び咽頭)、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系癌、唾液腺癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮癌、胃癌(stomach cancer)、精巣癌、甲状腺癌、子宮または子宮内膜癌、泌尿器系癌、外陰癌、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、同様にB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞NHL、巨大腫瘤病変NHL、マントル細胞リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、及びワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症を含む、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄芽球性白血病、同様に他の癌腫及び肉腫、ならびに移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、同様に母斑症、浮腫に関連する異常な血管増殖(例えば、脳腫瘍に関連するもの)、ならびにメグズ症候群からなる群から選択される、E121~E124のいずれか1つに記載のがん。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【
図1】CDCP1発現が、野生型と比較して発がん性KRAS及び/またはLKB1を発現する細胞中で増加することを示している、サンガー細胞株プロジェクトにおける790のがん細胞株からの発現マイクロアレイデータの生物情報学分析の箱ひげ図である。
【
図2】CDCP1をサイレンシングすることが確立したH2009 NSCLC腫瘍を縮小することを示す。
【
図3】分析的疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)法によって検出された溶出時間に基づく抗CDCP1抗体の相対的疎水性を示しているグラフである。3つの点変異(Y(H100)H、W(H100C)H、Y(H100H)H)のCP13E10 CDRH3(CP13E10-34バリアント)への組み込みは、溶出時間の低減によって実証されるように、疎水性を顕著に低減した。
【
図4】分析的疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)法によって検出された抗CDCP1バリアントについての溶出時間を示す。3つの点変異(Y(H100)H、W(H100C)H、Y(H100H)H)のCP13E10 CDRH3(CP13E10-34バリアント)への組み込みは、溶出時間の低減によって実証されるように、疎水性を顕著に低減した。
【
図5】V(H97)Eの重鎖CDR3への組み込みが、親野生型CP13E10抗体のものへのバリアントCP13E10-54のCDCP1結合特性を回復したことを実証する線グラフである。
【
図6】組換えヒト、カニクイザル及びマウスのCDCP1-ECDタンパク質について決定された抗CDCP1抗体の結合動態を示す。
【
図7】CP13E10-54HC-89LCv1に組み込まれたIGKV146生殖系列置換が、CDCP1結合特性を改変しないことを実証している線グラフを示す。
【
図8】PC3前立腺癌細胞の表面上に発現されたCDCP1に結合する生殖系列CP13E10-54HC-89LCv1が、CP13E10-54HC-89LCと同一であったことを実証している線グラフを示す。
【
図9】CDRH3における推定異性化部位を除去するためのG(H96)A変異を含むCP13E10-54HCv13-89LCv1が、CP13E10-54HC-89LCv1に対してCDCP1結合特性を保持することを実証している線グラフを示す。
【
図10】CDCP1細胞外ドメイン(ECD)及び抗体CP13E10-54HC-89LCのFab断片によって形成された複合体の概要を提供する。図の上部にあるC-アルファトレースは、標識された終端を有するCDCP1の位置を示す。球及び棒の表示は、抗体のアミノ酸残基の重原子の4Å以内に少なくとも1つの重原子(非水素)を有する抗原アミノ酸残基を示す。リボン表示は抗体を示し、左側の黒はFab重鎖を示し、右側の薄い灰色はFab軽鎖を示す。標識は、CDRH1及びCDRH3の位置を示す。
【
図11】CDCP1 ECDと抗体CP13E10-54HC-89LCのFab断片との間の界面の抗原中心の拡大図である。配向は
図10におけるものと同じである。薄い灰色の棒は、CDCP1のAsn122に結合したグリカンを示す。他のレンダリングは、
図10の記載に示されたものと同じである。
【
図12】CDCP1 ECDと抗体CP13E10-54HC-89LCのFab断片との間の界面の抗体中心の拡大図である。配向は
図10におけるものと同じである。薄い灰色の空間充填モデルは、CDCP1のAsn122に結合したグリカンを示す。球及び棒モデルは、CDCP1のアミノ酸残基の重原子から4Å以内に少なくとも1つの重原子を有する抗体残基を示す。いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、標識された残基Phe(H100A)は、6つの抗原残基とファンデルワールス接触することにおいて重要な役割を果たしているように見える(表5を参照されたい)。
【
図13】CDCP1 ECDと抗体CP13E10-54HC-89LCのFab断片との間の界面の逆拡大図である。
図12に対して、この展望図は、垂直ページ軸に平行な軸の周りの180°の回転を反映する。レンダリングは、
図12におけるものと同じである。CDRL1、CDRL3、及びCDRH2の位置は、抗原と接触する重鎖のフレームワーク3(FW3)の順番と同様に標識される。CDRL2は、この図においてCDRL3に隠れるため、示されない(CDRL2を示している異なる展望図について
図14を参照されたい)。
【
図14】CDCP1 ECDと抗体CP13E10-54HC-89LCのVLとの間の界面の逆拡大図である。
図13に対して、この展望図は、垂直ページ軸に平行な軸の周りの180°の回転を反映する。レンダリングは、
図12におけるものと同じである。CDRL1、CDRL2、及びCDRL3の位置は、標識される。CDCP1のアミノ酸残基46~54(配列番号90を参照して番号付けされた)は、CDRL1のTyr(L32)の周りを包む。
【
図15】Aは、CDCP1 ECDと抗体CP13E10-54HC-89LCのFabとの間の相互作用のサブセットを示す。棒及びC-アルファのトレースはCDCP1を示し、リボンならびにボール及びスティックの表示は抗体を示す。重要なアミノ酸残基は標識され、抗体標識のみが括弧を組み込んでいる。点線は、ある特定の水素結合または塩架橋を示し、距離はオングストロームで標識する。Bは、CDCP1 ECDと抗体CP13E10-54HC-89LCのFabとの間の相互作用のサブセットを示す。これは、
図15Aに示される同じモデルの代替図であり、異なる距離が示される。CDCP1のアミノ酸残基46~54(配列番号90を参照して番号付けされた)は、CDRL1のTyr(L32)の周りを包む。
【
図16】「膜」及び「内部」細胞区画において検出されたシグナルの蛍光強度中央値の比率における時間依存的増加の代表的な分析を示す。回帰直線の傾きは、内在化速度(Ke)を表す。
【
図17】CDCP1-ADC(CP13E10-SS3-LP15)がNSCLC PDXモデルにおいて腫瘍増殖を遮断したことを示している棒グラフを示す。
【
図18A】H1299細胞(
図18A)、MDA-MB-231細胞(
図18B)及びMCF10A細胞(
図18C)における抗体CP13E10-291及びCPE10-54HC-89LCでの細胞の短期(5分)治療によるCDCP1活性化を示しているウエスタンブロット画像を示す。
【
図18B】H1299細胞(
図18A)、MDA-MB-231細胞(
図18B)及びMCF10A細胞(
図18C)における抗体CP13E10-291及びCPE10-54HC-89LCでの細胞の短期(5分)治療によるCDCP1活性化を示しているウエスタンブロット画像を示す。
【
図18C】H1299細胞(
図18A)、MDA-MB-231細胞(
図18B)及びMCF10A細胞(
図18C)における抗体CP13E10-291及びCPE10-54HC-89LCでの細胞の短期(5分)治療によるCDCP1活性化を示しているウエスタンブロット画像を示す。
【
図19】抗体CP13E10-291及びCPE10-54HC-89LCでの乳癌細胞、MDA-MB-231(
図19A)及びMDA-MB-468(
図19B)の長期治療によるCDCP1分解を示しているウエスタンブロット画像を示す。
【
図20】抗体CP13E10-291及びCPE10-54HC-89LCでのH1299細胞の長期治療によるCDCP1分解、CDCP1発現及びチロシンリン酸化の時間依存的減少、ならびにSrc活性化の喪失を示しているウエスタンブロット画像を示す。
【
図21】CDCP1抗体CP13E10-291及びCPE10-54HC-89LCがMDA-MB-231細胞(
図21A)及びH1299細胞(
図21B)の遊走を低減することを示している免疫組織化学的画像及び棒グラフを示す。
【
図22】3Dマトリゲルアッセイにおいて、CDCP1抗体CP13E10-291及びCPE10-54HC-89LCがMDA-MB-231細胞(
図22A)及びH1299細胞(
図22B)の浸潤を減少させることを示している画像及び棒グラフを示す。
【
図23】CDCP1活性化抗体(CP13E10-291、CUB1及び抗体23)がいくつかの細胞中のみで基礎AKT活性を減少させることを示しているウエスタンブロット画像を示す。
図23AはH1373及びH1299細胞の減少を示し、一方で、
図23Bは、MCF10A、H1975及びHCT116細胞中で効果を示さない。
【
図24】CDCP1を活性化する抗体が、PC3細胞中で基礎AKT活性及びAKT基質リン酸化もまた低減することを示す。
図24Aは、291、76、23、CUB1を含む活性化抗体及びP-AKTに影響を及ぼさない非活性化抗体24を示す。
図24B及び24Cは、阻害が20分以内の80%低減後に一過性であり、さらに、長期の抗体曝露中に、AKTリン酸化がCDCP1タンパク質発現の発現の低減と一致する初期レベルに戻ったことを示す。
【
図25】無傷のPC3細胞に結合した活性化(「76」)及び(「24」)抗CDCP1抗体を使用することによって新しいCDCP1結合パートナーを特定する実験を示す。
【
図26A】フローサイトメトリーによって決定された、CDCP1発現細胞への抗CDCP1抗体の用量依存的結合を示す。
【
図26B】フローサイトメトリーによって決定された、CDCP1発現細胞への抗CDCP1抗体の用量依存的結合を示す。
【
図27】抗CDCP1 CP13E10-54HC-89LCv1-183/290抗体及び組換えヒトCDCP1-ECDタンパク質について決定されたCP13E10-54HC-89LCv1-183/290-vc0101 ADCの結合動態を示す。
【
図28A】抗体CP13E10-54HC-89LCv1-183/290またはADC CP13E10-54HC-89LCv1-183/290-vc0101とのPC3細胞のインキュベーションが、共インキュベートされたNK細胞による用量依存的な様式で細胞殺滅(死んだ細胞%)を媒介することを実証する。PC3細胞に結合できないアイソタイプ対照抗体は、NK細胞による殺滅を誘導しないことに注意されたい。
【
図28B】抗体CP13E10-54HC-89LCv1-183/290またはADC CP13E10-54HC-89LCv1-183/290-vc0101のPC3細胞とのインキュベーションが、レポーターJurkatバイオアッセイエフェクター細胞中で、用量依存的様式でルシフェラーゼ(相対ルミノメーター単位(RLU)として測定される)の誘導を媒介することを実証する。ルシフェラーゼ誘導は、PC3細胞に結合した抗体によるレポーター細胞上のFcγRIII受容体の会合を示している。PC3細胞に結合できないアイソタイプ対照抗体は、ルシフェラーゼ活性を誘導しないことに注意されたい。
【
図29A】CDCP1抗体薬物コンジュゲート(ADC)で治療された膵癌患者由来の異種移植(PDX)モデルにおける腫瘍増殖を示す。膵癌PDXモデルPDX-PAX-24513は、大量のCDCP1を発現する(Hスコアは示されるとおりである)。平均腫瘍サイズがおよそ200mm
3に達した際、マウスコホートに、腫瘍細胞を移植し、治療に対して無作為化した(治療群あたりn=10)。各群は、示された濃度で示された化合物の静脈内(i.v.)注射を受けた。合計4回のi.v.注射を、4日間隔で行った。腫瘍増殖を、示された時間経過にわたって記載されるように追跡した。
【
図29B】CDCP1抗体薬物コンジュゲート(ADC)で治療された膵癌患者由来の異種移植(PDX)モデルにおける腫瘍増殖を示す。膵癌PDXモデルPDX-PAX-24513は、大量のCDCP1を発現する(Hスコアは示されるとおりである)。平均腫瘍サイズがおよそ200mm
3に達した際、マウスコホートに、腫瘍細胞を移植し、治療に対して無作為化した(治療群あたりn=10)。各群は、示された濃度で示された化合物の静脈内(i.v.)注射を受けた。合計4回のi.v.注射を、4日間隔で行った。腫瘍増殖を、示された時間経過にわたって記載されるように追跡した。
【
図30】CDCP1抗体薬物コンジュゲート(ADC)で治療された膵癌PDXモデルにおける腫瘍増殖を示す。膵癌PDXモデルPDX-PAX-24509は、大量のCDCP1を発現する(Hスコアは示されるとおりである)。平均腫瘍サイズがおよそ200mm
3に達した際、コホートに、腫瘍細胞を移植し、治療に対して無作為化した(治療群あたりn=10)。各群は、示された濃度で示された化合物の静脈内(i.v.)注射を受けた。合計4回のi.v.注射を、4日間隔で行った。腫瘍増殖を、示された時間経過にわたって記載されるように評価した。
【
図31】3mg/kg(ミリグラム/キログラム)でADCを投与された
図30からの膵癌モデルPDX-PAX-24509コホート、またはADCを有しないリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が投与された未治療の陰性対照の生存を示す。統計的に有意な生存ベネフィットは、PBSを受けた未治療の対照(平均±SE、16.9±0.99日;ログランク、p<0.0001)または3mg/kgのCP13E10-54HC-89LC-H7C-AmPEG6-0131(平均±SE、20.8±0.68日;ログランク、p<0.0001)と比較して、CP13E10-54HC-89LC-183/290-vc0101(平均±SE、47.1±0.72日)に関連していた。
【
図32】
図32Aは、非小細胞肺癌(NSCLC)モデルPDX-NSX-26101における腫瘍増殖を示す。CP13E10-54HC-89LC-H7C-AmPEG6-0131の全ての用量は、進行性疾患(PD)をもたらす。
図32Bは、NSCLCモデルPDX-NSX-26101における腫瘍増殖を示す。CP13E10-54HC-89LC-183/290-vc0101もまた、0.3及び1mg/kgで投与される際に進行性疾患(PD)をもたらす。しかしながら、3mg/kgでのCP13E10-54HC-89LC-183/290-vc0101の投薬は、一過性の腫瘍退縮を引き起こし、最終用量を少なくとも2週間超えて部分奏効(PR)をもたらした(
図32B)。
【
図33】Aは、NSCLCモデルPDX-NSX-26113における腫瘍増殖を示す。0.3及び1mg/kgのCP13E10-54HC-89LC-H7C-AmPEG6-0131の用量はPDをもたらし、一方で、3mg/kgで、一過性の退縮及びPRは25日目(最後の用量から13日後)まで見られる。Bは、NSCLCモデルPDX-NSX-26113における腫瘍増殖を示す。CP13E10-54HC-89LC-183/290-vc0101の0.3及び1mg/kgの両方の用量は、PDをもたらす。3mg/kgでのCP13E10-54HC-89LC-183/290-vc0101の投薬は、一過性の腫瘍退縮を引き起こし、少なくとも42日目(最後の用量から29日後)まで見られたPRをもたらした。
【
図34】
図34Aは、NSCLCモデルPDX-NSX-15137における腫瘍増殖を示す。CP13E10-54HC-89LCv1-183/290-vc0101の1.5mg/kg及び4.5mg/kgの用量は、PRをもたらす。35日目までに、PRは、パクリタキセル治療されたコホートにおける腫瘍が開始体積超のサイズで増加した時点で、4.5mg/kg用量で未だに見られた。
図34Bは、頭頸部癌モデルPDX-HNX-24715における腫瘍増殖を示す。4.5mg/kgでのCP13E10-54HC-89LCv1-183/290-vc0101及び3mg/kgでのCP13E10-54HC-89LC-183/290-vc0101の両方は、シスプラチンでの治療よりも優れていた。
【
図35】Aは、PDX腫瘍モデルPDX-NSX-26113(Hスコア227)における腫瘍増殖を示す。腫瘍モデルを、確立し、CP13E10-54HC-89LC-183/290-vc0101を、0.3、1、及び3mg/kgで4日間隔(q4dx4)で、各々4回投与した。部分奏効は、42日目に3mg/kg用量で見られた。この後、腫瘍は、持続的な増殖を開始し、NOD/SCIDマウスのナイーブコホートへの再移植のために56日目に採取された。Bは、Aにおける3mg/kgコホートから回収された腫瘍細胞を移植されたナイーブコホートを示す。平均腫瘍サイズが200mm
3に達した際、マウスを、治療に対して無作為化した。部分奏効は、3及び6mg/kgコホートで見られ、腫瘍がADCに対して感受性を維持していること、及び
図35Aに見られる再増殖がCP13E10-54HC-89LC-183/290-vc0101に対する抵抗性の発達の結果でなかったことを示している。
【
図36】膵臓(PAX)、頭頸部(HNX)または非小細胞肺癌(NSX)患者由来の異種移植(PDX)腫瘍モデルにおいて観察された腫瘍サイズの最大平均変化を示す。これらのモデルを、マウスのコホートにおいて確立した(*n=10;他のものについてはn=4~5)。平均腫瘍サイズが200mm
3に達した際、q4dx4の3mg/kgでのCP13E10-54HC-89LC-183/290-vc0101での治療が、開始した。開始体積からの変化パーセントを、本文において記載されるように決定した。CDCP1発現レベルを示しているHスコアは各バー内に与えられる。Recist基準:完全奏効1/14、部分奏効10/14、進行性疾患3/14、奏効率79%(11/14)。
【
図37】PAX、HNX、NSX、卵巣(OVX)、乳房(BRX)、膀胱(BLA)、及び小細胞肺癌(SCX)PDX腫瘍モデルにおいて観察された腫瘍サイズの最大平均変化を示す。これらのモデルを、マウスのコホートにおいて確立した(n=4~5)。平均腫瘍サイズが200mm
3に達した際、q4dx4の3mg/kgでのCP13E10-54HC-89LCv1-183/290-vc0101での治療が、開始した。CDCP1発現に対するHスコアは、決定された場合、個々のバー内またはバーの上に与えられる。Recist基準:完全奏効8/40、部分奏効17/40、安定疾患7/40、進行性疾患8/40、奏効率63%(25/40)。
【発明を実施するための形態】
【0153】
本発明は、部分的に、CDCP1が様々ながんの状況において興味深い生物学的活性を示し、特定の治療方法及び患者の選択を可能にするという驚くべき発見に基づいている。加えて、本発明は、CDCP1に特異的に結合し、それらが、細胞上のCDCP1の発現によって媒介されるか、または関連する疾患及び状態に対する潜在的な新規のヒト治療薬であることを実証する特徴を呈する、新規の抗体及びそれに基づいてコンジュゲートした抗体薬物を提供する。
【0154】
CDCP1はある特定の薬剤を細胞に内在化する能力を有し、かかる内在化はがんの治療における有用性を提供する。この内在化は、理論に束縛されることを望まないが、例えば、Srcによって、例えば、CDCP1のチロシン734でのCDCP1のリン酸化によって媒介される。CDCP1のこのリン酸化は、そのがん促進効果と関連していることが、以前に示唆されている。驚くべきことに、本発明者らは、抗腫瘍有効性が、そのCDCP1がリン酸化され、したがって内在化に適格であるはずであることを発見している。さらに、内在化のためのCDCP1の標的化は、CDCP1の広範な発現にもかかわらず、標的化された抗腫瘍効果を提供した。したがって、とりわけ、本発明は、ある特定の細胞、例えば、Tyr734リン酸化CDCP1を発現する細胞中のCDCP1の内在化の発見を活用して、オフターゲット効果を軽減する方式における薬物送達を可能にする。さらに、本発明者らは、ある特定のCDCP1標的化剤が、おそらく理論に拘束されることを望まないが、内在化されていることによって、CDCP1を減少させるために長期曝露を必要とすることを示している。したがって、生物学的効果のかかるペーシングは、本明細書に記載されるようなレジメン及び併用療法を支持する。また、本発明者らは、CDCP1の内在化が、腫瘍のもののような低酸素環境において好都合であり(例えば、HIF-2の発現によって特徴付けられるように)、目的の腫瘍学指標の選択を提供することを示している。
【0155】
様々な態様では、本発明は、(a)腫瘍細胞の表面上のCDCP1、例えば、Tyr-734リン酸化CDCP1の発現について腫瘍試料を評価することと、(b)CDCP1に結合する薬剤をがん患者に投与することと、を含む、がんの治療を必要とする患者においてがんを治療するための方法に関する。
【0156】
したがって、様々な態様では、本開示は、(a)変異体LKB1及び/またはKRASの量について腫瘍試料を評価することと、(b)変異体LKB1及び/またはKRASの量が参照試料よりも多い場合、がん患者にCDCP1に結合する薬剤を投与することと、を含む、がんの治療を必要とする患者においてがんを治療するための方法に関する。いくつかの実施形態では、腫瘍試料は、凍結腫瘍組織生検、培養された細胞、循環腫瘍細胞、及びホルマリン固定されパラフィン包埋された腫瘍組織生検から選択される生検である。いくつかの実施形態では、変異体KRASは、G12C、G12A、G12D、G12R、G12S、G12V、G13C、及びG13D変異体から選択される。いくつかの実施形態では、評価することは、腫瘍試料、もしくは変異を含むことが疑われるその断片からのLKB1及び/またはKRAS核酸を増幅すること、ならびに該増幅された核酸を配列決定することによって行われる。いくつかの実施形態では、評価することは、LKB1及び/またはKRASを指向する抗体またはその形式を腫瘍試料に接触させること、ならびに結合する抗体またはその形式を定量化することによって行われる。
【0157】
一態様では、本開示は、患者にCDCP1に結合する薬剤を投与することを含む、肺癌の治療を必要とする患者において肺癌を治療する方法を提供し、肺癌はAKT活性化によって特徴付けられ、CDCP1に結合する薬剤はCDCP1活性化剤である。いくつかの実施形態では、肺癌は、NSCLCである。いくつかの実施形態では、方法は、AKT活性化について肺癌の試料を評価することをさらに含む。
【0158】
一態様では、本開示は、患者にCDCP1に結合する薬剤を投与することを含む、前立腺癌の治療を必要とする患者において前立腺癌を治療する方法を提供し、前立腺癌はAKT活性化によって特徴付けられ、CDCP1に結合する薬剤はCDCP1活性化剤である。いくつかの実施形態では、方法は、AKT活性化について前立腺癌の試料を評価することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、AKT阻害剤を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、患者は、AKT阻害剤での治療を受けている。いくつかの実施形態では、AKT阻害剤は、アフレセルチブ、ARQ 751、ARQ 092、AZD5363、BAY1125976、GSK2141795、GSK690693、イパタセルチブ、LY2780301、MK2206、及びペリフォシンから選択される。
【0159】
いくつかの実施形態では、患者は、任意選択で、KX2-391、ボスチニブ、サラカチニブ、及びダサチニブから選択されるSrc阻害剤での治療を受けていない。いくつかの実施形態では、患者は、任意選択で、KX2-391、ボスチニブ、サラカチニブ、及びダサチニブから選択されるSrc阻害剤での治療を以前に受けていない。
【0160】
一態様では、本開示は、(a)標的細胞上のCDCP1に結合し、それが標的細胞上のCDCP1に接触する際に内在化される薬剤を選択することと、(b)がん患者に薬剤を投与することと、を含む、がんの治療を必要とする患者においてがんを治療するための方法を提供し、CDCP1に結合する薬剤は、CDCP1を活性化する抗体であり、PPP4R2調節剤にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、CDCP1活性化抗体は、CP13E10ならびにCP13E10-54HC-89LCv1-183/290及びCP13E10-291を含むそのバリアント、CUB1、抗体23及び抗体76を含むが、これらに限定されない。
【0161】
一態様では、本開示は、(a)CDCP1に結合する薬剤がCDCP1を活性化しない抗体である、CDCP1に結合する薬剤を投与することと、(b)PARGを調節する薬剤を投与することと、を含む、がんの治療を必要とする患者においてがんを治療するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、非活性化CDCP1抗体は、抗体24を含むが、これに限定されない。
【0162】
一態様では、本開示は、腫瘍の試料において変異体LKB1及び/またはKRASタンパク質または遺伝子の存在、不在、または量を決定することを含む、該腫瘍がCDCP1に結合する薬剤での治療に応答するかどうかを決定する方法を提供し、それによって変異体LKB1及び/またはKRASの存在、あるいは参照試料に対する変異体LKB1及び/またはKRASタンパク質または遺伝子の増加した量は、CDCP1に結合する薬剤での治療に応答する可能性を示している。
【0163】
いくつかの実施形態では、CDCP1に結合する薬剤は、CDCP1に特異的である抗体またはその抗原結合部分である。
【0164】
いくつかの実施形態では、本開示は、薬剤が、標的細胞上のCDCP1に結合する能力、及びそれが標的細胞上のCDCP1に接触する際に内在化される能力について選択される、患者のがんを治療し、かつがん患者に薬剤を投与するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、内在化は、例えば、Srcによって、例えば、CDCP1のチロシン734でのCDCP1のリン酸化によって媒介される。
【0165】
様々な実施形態では、本発明は、標的細胞上のCDCP1、例えば、Tyr-734リン酸化CDCP1に結合し、かつそれが標的細胞上のCDCP1に接触する際に内在化される能力について選択される、チェックポイント阻害剤及び薬剤の併用療法で患者におけるがんを治療するための方法に関する。様々な実施形態では、標的細胞上のCDCP1、例えば、Tyr-734リン酸化CDCP1に結合し、かつそれが標的細胞上のCDCP1に接触する際に内在化される能力について選択された薬剤は、チェックポイント阻害剤に対する応答について免疫系を増強する。様々な実施形態では、標的細胞上のCDCP1、例えば、Tyr-734リン酸化CDCP1に結合し、かつそれが標的細胞上のCDCP1に接触する際に内在化される能力について選択された薬剤は、チェックポイント阻害剤に対する患者奏効を改善する(例えば、限定なく、チェックポイント阻害剤の治療効果を高め、チェックポイント阻害剤の副作用を低減し、及び/または非奏効者もしくは奏効不良者をチェックポイント阻害剤に対する応答者に変換することによる)。
【0166】
CUBドメイン含有タンパク質1(CDCP1)
CDCP1は、タンパク質間相互作用を媒介し、かつ細胞接着及び細胞外マトリックスとの相互作用に関与することが認識されている、細胞外部分における3つのCUBドメインを含む大きな細胞外ドメイン(665アミノ酸のサイズ)を有する。CDCP1遺伝子は、がん、例えば、肺癌及び頭頸部癌において強く発現する遺伝子として見いだされている。
【0167】
膜貫通タンパク質CDCP1はSrc及びPKCδに関連し、CDCP1が活性化する際、全ての3つのタンパク質はチロシンリン酸化の増加を示す。Srcは、リン酸化し、CDCP1に結合し、その後にPKCδの制御性ドメインの一部であるC2ドメインへのCDCP1の結合が続く。Tyr-734はSrc及びSrcファミリーキナーゼによってリン酸化される部位として特定され、したがって、P-Tyr-734はCDCP1活性化のバイオマーカーである。完全長CDCP1タンパク質は135kDaであるが、いくつかの細胞では、細胞外ドメインは約75kDa膜貫通タンパク質にタンパク質分解的に切断される。CDCP1抗体または抗体薬物コンジュゲートを、CDCP1をノックダウンするか、またはその他の点でCDCP1を発現する腫瘍細胞を標的とするために開発した。いくつかの実施形態では、抗体またはADCは、効果的な薬物であるように内在化されなければならない。CDCP1をがんに対する治療標的として検証し、その細胞外ドメインに結合する標的抗体によるCDCP1の活性化によって影響を受ける新しいシグナル伝達経路も発見した。
【0168】
いくつかの態様では、CDCP1は、ヒトCDCP1である。いくつかの態様では、CDCP1はカニクイザル(cynomologus monkey)(カニクイザル(cyno))CDCP1である。いくつかの態様では、CDCP1は、マウスCDCP1である。いくつかの態様では、CDCP1は、霊長類CDCP1である。例示的なCDCP1配列が、表10に提供される。
【0169】
CDCP1抗体
本明細書における「抗体」という用語は、最も広義に使用され、特に、それらが所望の生物学的活性を呈する限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、二量体、多量体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体断片を包含する。抗体は、マウス、ヒト、ヒト化、キメラであり得るか、または他の種に由来し得る。抗体は、特定の抗原を認識し、それに結合することができる、免疫系によって生成されたタンパク質である。(Janeway,C.,Travers,P.,Walport,M.,Shlomchik(2001)Immuno Biology,5th Ed.,Garland Publishing,New York)。標的抗原は、一般に、複数の抗体上のCDRによって認識される、エピトープとも呼ばれる多数の結合部位を有する。異なるエピトープに特異的に結合する各抗体は、異なる構造を有する。したがって、1つの抗原は、2つ以上の対応する抗体を有し得る。抗体は、完全長免疫グロブリン分子、または完全長免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち、目的の標的の抗原またはその一部に免疫特異的に結合する抗原結合部位を含有する分子を含み、かかる標的は、自己免疫疾患に関連する自己免疫抗体を産生するがん細胞(複数可)を含むが、これらに限定されない。本明細書に開示される免疫グロブリンは、免疫グロブリン分子の任意の型(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、及びIgA)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)、またはサブクラスのものであり得る。免疫グロブリンは、任意の種に由来し得る。しかしながら、一態様では、免疫グロブリンは、ヒト、マウス、またはウサギ起源のものである。
【0170】
抗体の「抗原結合断片」は、抗原に特異的に結合する(好ましくは、実質的に同じ結合親和性で)能力を保持する完全長抗体の断片を指す。抗原結合断片の例は、(i)Fab断片、VL、VH、CL、及びCH1ドメインからなる一価の断片、(ii)F(ab’)2断片、ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む二価の断片、(iii)VH及びCH1ドメインからなるFd断片、(iv)抗体の単一アームのVL及びVHドメインからなるFv断片、(v)VHドメインからなるdAb断片(Ward et al.,1989 Nature 341:544-546)、ならびに(vi)単離された相補性決定領域(CDR)、ジスルフィド連結したFv(dsFv)、ならびに抗イディオタイプ(抗Id)抗体及びイントラボディを含む。さらに、Fv断片の2つのドメイン、VL及びVHは、別個の遺伝子によってコードされるが、それらは、VL及びVH領域が対合して一価の分子(一本鎖Fv(scFv)として知られる)を形成する単一のタンパク質鎖としてそれらが作製されることを可能にする合成リンカーによる組換え法を使用して接合でき、例えば、Bird et al.,Science 242:423-426(1988)及びHuston et al.,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879-5883を参照されたい。ダイアボディなどの一本鎖抗体の他の形態もまた、包含される。ダイアボディは、VH及びVLドメインが単一のポリペプチド鎖上で発現される二価の二重特異性抗体であるが、同じ鎖上の2つのドメイン間の対合を可能にするには短すぎるリンカーを使用しており、それにより、ドメインを別の鎖の相補的ドメインと対合させ、2つの抗原結合部位を作成している(例えば、Holliger et al.,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448、Poljak et al.,1994,Structure 2:1121-1123を参照されたい)。
【0171】
抗体「可変領域」は、抗体軽鎖(VL)の可変領域または抗体重鎖(VH)の可変領域を、単独または組み合わせるいずれかで指す。当該技術分野で既知のように、重鎖及び軽鎖の可変領域は、各々、3つの相補性決定領域(CDR)によってつながれた4つのフレームワーク領域(FR)からなり、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。
【0172】
「相補性決定領域」(CDR)は、Kabat、Chothiaの定義、Kabat及びChothiaの両方の蓄積、AbM、接触、North、及び/または立体配座の定義、または当該技術分野で周知のCDR決定の任意の方法に従って特定され得る。例えば、Kabat et al.,1991,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th ed.(hypervariable regions)、Chothia et al.,1989,Nature 342:877-883(structural loop structures)を参照されたい。CDRを構成する特定の抗体におけるアミノ酸残基の同一性は、当該技術分野で周知の方法を使用して決定され得る。CDRのAbM定義は、KabatとChothiaとの間の妥協案であり、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェア(Accelrys(登録商標))を使用する。CDRの「接触」定義は、MacCallum et al.,1996,J.Mol.Biol.,262:732-745に定められた、観察された抗原接触に基づいている。CDRの「立体構造」定義は、抗原結合にエンタルピー的に寄与する残基に基づいている(例えば、Makabe et al.,2008,J.Biol.Chem.,283:1156-1166を参照されたい)。Northは、CDR定義の異なる好ましいセットを使用してカノニカルなCDR立体構造を特定した(North et al.,2011,J.Mol.Biol.406:228-256)。本明細書でCDRの「立体構造定義」と称される別のアプローチでは、CDRの位置は、抗原結合にエンタルピー的に寄与する残基として特定され得る(Makabe et al.,2008,J Biol.Chem.283:1156-1166)。さらなる他のCDR境界定義は、上記のアプローチのうちの1つに厳密に従わない場合があるが、Kabat CDRの少なくとも一部と重複するであろうが、それらは、特定の残基もしくは残基の群またはCDR全体でさえ抗原結合に顕著に影響を与えないという予測または実験結果に照らして、短縮あるいは延長され得る。本明細書で使用される場合、CDRは、アプローチの組み合わせを含む、当該技術分野で既知の任意のアプローチによって定義されるCDRを指す場合がある。本明細書で使用される方法は、これらのアプローチのうちのいずれかに従って定義されたCDRを利用し得る。2つ以上のCDRを含む任意の所与の実施形態について、CDR(または抗体の他の残基)は、Kabat、Chothia、North、延長、AbM、接触、及び/または立体構造の定義のうちのいずれかに従って定義され得る。
【0173】
可変ドメインの残基は、抗体の編集物の重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインのために使用される番号付けシステムであるKabatに従って番号付けされる。Kabat et al.,1991,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MDを参照されたい。この番号付けシステムを使用して、実際の線状アミノ酸配列は、可変ドメインのFRもしくはCDRの短縮またはそれへの挿入に対応する、より少ないあるいは追加のアミノ酸を含有し得る。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52後に単一のアミノ酸挿入(Kabatに従って残基52a)、及び重鎖FR残基82後に挿入された残基(例えば、Kabatに従って残基82a、82b、及び82c)を含み得る。残基のKabat番号付けは、抗体の配列の「標準の」Kabat番号付けされた配列との相同性の領域でのアラインメントによって所与の抗体に対して決定され得る。Kabat番号付けを割り当てるための様々なアルゴリズムが、利用可能である。Abysisのバージョン2.3.3リリース(www.abysis.org)において実装されたアルゴリズムは、可変領域CDRL1、CDRL2、CDRL3、CDRH1、CDRH2、及びCDRH3に対するKabat番号付けを割り当てるために本明細書で使用される。
【0174】
抗体における特定のアミノ酸残基位置もまた、Kabatに従って番号付けされ得る。
【0175】
「フレームワーク」(FR)残基は、CDR残基以外の抗体可変ドメイン残基である。VHまたはVLドメインフレームワークは、4つのフレームワークサブ領域、FR1、FR2、FR3、及びFR4を含み、以下の構造、FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4においてCDRと共に点在する。
【0176】
「エピトープ」は、抗体が特異的に結合する抗原の面積または領域、例えば、抗体と相互作用する残基を含む面積または領域を指す。エピトープは、線状または立体構造であり得る。
【0177】
「パラトープ」という用語は、視点を逆にすることによって「エピトープ」の上記の定義に由来し、抗原の結合に関与する抗体分子の面積または領域、例えば、抗原と相互作用する残基を含む面積または領域を指す。パラトープは、線状または立体構造(CDRにおける不連続残基など)であり得る。
【0178】
所与の抗体/抗原結合対に対するエピトープ/パラトープは、多様な実験的及び計算的エピトープマッピング法を使用して、詳細の異なるレベルで定義及び特徴付けられ得る。実験方法は、変異誘発、X線結晶学、核磁気共鳴(NMR)分光法、水素/重水素交換質量分析法(HX-MS)及び様々な競合結合法を含む。
【0179】
最も詳細なレベルでは、抗体(Ab)及び抗原(Ag)の間の相互作用のためのエピトープ/パラトープは、Ag-Ab相互作用に存在する原子接触を定義する空間座標、同様に結合熱力学へのそれらの相対的な寄与に関する情報によって定義され得る。一レベルでは、エピトープ/パラトープ残基は、AgとAbとの間の原子接触を定義する空間座標によって特徴付けられ得る。一態様では、エピトープ/パラトープ残基は、特定の基準、例えば、Ab及びAgにおける原子間の距離(例えば、同族抗体の重原子及び抗原の重原子から約4Å以下の距離)によって定義され得る。別の態様では、エピトープ/パラトープ残基は、同族の抗体/抗原との、または同族の抗体/抗原にも水素結合している(水媒介性水素結合)水分子との水素結合相互作用に関与していると特徴付けられ得る。別の態様では、エピトープ/パラトープ残基は、同族の抗体/抗原の残基と塩架橋を形成することとして特徴付けられ得る。さらに別の態様では、エピトープ/パラトープ残基は、同族抗体/抗原との相互作用により、埋没表面積(BSA)の非ゼロ変化を有する残基として特徴付けられ得る。より詳細でないレベルでは、エピトープ/パラトープは、機能を通じて、例えば、他の抗体との競合結合によって特徴付けられ得る。エピトープ/パラトープはまた、別のアミノ酸による置換がAbとAgとの間の相互作用(例えば、アラニンスキャニング)の特徴を改変するであろうアミノ酸残基を含むこととしてより一般に定義され得る。
【0180】
エピトープに「優先的に結合する」または「特異的に結合する」(本明細書で交換可能に使用される)抗体は当該技術分野で十分に理解される用語であり、かかる特異的または優先的結合を決定するための方法もまた当該技術分野で周知である。分子は、それが代替の細胞または物質と行うよりも、それが、より頻繁に、より迅速に、より長い持続時間で、及び/または特定の細胞もしくは物質とのより大きな親和性で反応あるいは会合する場合、「特異的結合」あるいは「優先的結合」を呈すると言われる。抗体は、それが他の物質に結合するよりも、それが、より大きな親和性、アビディティで、より容易に、及び/またはより長い持続時間で結合する場合、標的に「特異的に結合する」または「優先的に結合する」。例えば、CDCP1エピトープに特異的または優先的に結合する抗体は、それが他のCDCP1エピトープまたは非CDCP1エピトープに結合するよりも大きな親和性、アビディティで、より容易に、及び/またはより長い持続時間でこのエピトープに結合する抗体である。この定義を読むことによって、例えば、第1の標的に特異的もしくは優先的に結合する抗体(または部分もしくはエピトープ)は、第2の標的に特異的もしくは優先的に結合してもしなくてもよいことも、理解される。したがって、「特異的結合」または「優先的結合」は、必ずしも排他的結合を必要としない(それは含み得るが)。一般に、必ずしもそうでないが、結合への参照は、優先的結合を意味する。「特異的結合」または「優先的結合」は、特定の分子を認識し、それに結合するが、試料中の他の分子を実質的に認識するか、またはそれに結合しない化合物、例えば、タンパク質、核酸、抗体などを含む。例えば、試料中のその同族抗原を認識して結合するが、試料中の他の分子を実質的に認識または結合しない抗体は、その同族抗原に特異的に結合する。したがって、指定されたアッセイ条件下で、指定された結合部分(例えば、抗体またはその抗原結合部分)は、特定の標的分子に優先的に結合し、試験試料に存在する他の成分に顕著な量で結合しない。
【0181】
多様なアッセイが、目的の分子に特異的に結合する抗体またはペプチドを選択するために使用され得る。例えば、固相ELISA免疫アッセイ、免疫沈降、BIAcore(商標)(GE Healthcare,Piscataway,NJ)、蛍光活性化セルソーティング(FACS)、Octet(商標)(ForteBio,Inc.,Menlo Park,CA)、ウエスタンブロット分析は、同族のリガンドもしくは結合パートナーに特異的に結合する、抗原もしくは受容体、またはそのリガンド結合部分と特異的に反応する抗体を特定するために使用され得る多くのアッセイの中にある。典型的には、特異的または選択的反応は、バックグラウンドシグナルまたはノイズの少なくとも2倍、より典型的にはバックグラウンドの10倍超であり、さらにより具体的には、平衡解離定数(KD)値が、100nM以下、10nM以下、100pM以下、10pM以下、または1pM以下などの1μM以下の際、抗体は抗原に「特異的に結合」すると言われる。
【0182】
抗体に関して本明細書で使用される場合、「競合する」という用語は、第1の抗体またはその抗原結合部分の抗原への結合が、第2の抗体またはその抗原結合部分による同じ抗原のその後の結合を低減することを意味する。一般に、第1の抗体に結合することは、立体障害、立体構造変化、または共通のエピトープ(またはその部分)への結合を生じさせ、そのため、同じ抗原への第2の抗体の結合は、低減する。標準的競合アッセイは、2つの抗体が互いに競合するかどうかを決定するために使用され得る。抗体競合に対する1つの好適なアッセイは、表面プラズモン共鳴(SPR)技術を使用して、典型的には、バイオセンサーシステム(BIACORE(登録商標)システムなど)を使用して相互作用の程度を測定できるBiacore技術の使用を伴う。例えば、SPRは、第2の抗体の結合を阻害する1つの抗体の能力を決定するために、インビトロ競合性結合阻害アッセイにおいて使用され得る。抗体競合を測定するための別のアッセイは、ELISAベースのアプローチを使用する。
【0183】
さらに、それらの競合に基づいて抗体を「ビニング」するための高スループットプロセスは、国際特許出願第WO2003/48731号に記載される。1つの抗体(または断片)が別の抗体(または断片)のCDCP1への結合を低減する場合、競合が存在する。例えば、連続的結合競合アッセイが使用され得、異なる抗体が連続的に添加される。第1の抗体は、飽和に近い結合に達するために添加され得る。次いで、第2の抗体が、添加される。ROBO2への第2の抗体の結合が、検出されないか、または第1の抗体の不在下における並行アッセイ(その値は100%として設定される)と比較して顕著に低減する場合(例えば、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%の低減)、2つの抗体は、互いに競合していると見なされる。
【0184】
「抗原結合断片」は、完全長抗体の部分、一般に、その抗原結合または可変領域を含む。抗原結合部分の例は、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片;ダイアボディ;線状抗体;Fab発現ライブラリによって産生された断片、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、CDR(相補性決定領域)、及びがん細胞抗原、ウイルス抗原、または微生物抗原に免疫特異的に結合する上記のうちのいずれかのエピトープ結合断片、一本鎖抗体分子;ならびに抗体断片から形成された多重特異性抗体を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体断片、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、一本鎖Fv、ダイアボディ、線状抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、及び抗体の抗原結合部分を含む融合タンパク質のうちの1つ以上から選択され得る。
【0185】
本明細書で使用される場合、モノクローナル抗体という用語は、実質的に均一な抗体の集団から取得された抗体を指し、すなわち、集団を含む個々の抗体は、少量で存在し得る、可能な天然に生じる変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は、非常に特異的であり、単一の抗原部位に対して指向している。さらに、異なる決定基(エピトープ)に対して指向する異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して指向する。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、それらが他の抗体が混入することなく合成され得るという点で有利である。「モノクローナル」という修飾語は、実質的に均一な抗体集団から取得されるという抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするものと解釈されるべきでない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohler et al.(1975)Nature 256:495によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製され得るか、または組換えDNA法によって作製され得る。
【0186】
「Fv」は、完全な抗原認識及び抗原結合部位を含む最小の抗体断片である。この領域は、緊密な非共有結合性会合にある1つの重鎖及び1つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。各可変ドメインの3つの超可変領域が相互作用してVH-VL二量体の表面上の抗原結合部位を定義するのは、この構成においてである。集合的に、6つの超可変領域は、抗体に抗原結合特異性を付与する。しかしながら、単一可変ドメイン(または抗原に特異的な超可変領域を3つのみ含むFvの半分)でさえも、抗原を認識してそれに結合する能力を有するが、全結合部位よりも親和性が低い。
【0187】
Fab断片もまた、軽鎖の定常ドメイン及び重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)を含む。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域からの1つ以上のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端での数個の残基の付加によって、Fab断片とは異なる。Fab’-SHは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が少なくとも1つの遊離チオール基を有するFab’に対する、本明細書における表記である。F(ab’)2抗体断片は、元来、それらの間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として産生された。抗体断片の他の化学的共役もまた、既知である。
【0188】
任意の脊椎動物種からの抗体の軽鎖は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる、2つの明確に異なる型のうちの1つに割り当てられ得る。
【0189】
「一本鎖Fv」または「scFv」抗体断片は、抗体のVH及びVLドメインを含む一本鎖可変領域抗体断片を意味し、これらのドメインは、単一のポリペプチド鎖に存在する。Fvポリペプチドは、scFvが抗原結合のための所望の構造を形成することを可能にするVH及びVLドメインの間にポリペプチドリンカーをさらに含む。
【0190】
ダイアボディという用語は、2つの抗原結合部位を有する小さな抗体断片を指し、この断片は、同じポリペプチド鎖(VH-VL)において、可変軽ドメイン(VL)に接続した可変重ドメイン(VH)を含む。同じ鎖上の2つのドメインの間の対合を可能にするには短すぎるリンカーを使用することによって、ドメインは、別の鎖の相補的ドメインと対合し、かつ2つの抗原結合部位を作成するようにさせられる。
【0191】
非ヒト(例えば、齧歯類)抗体のヒト化形態は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小の配列を含むキメラ抗体である。ほとんどの部分について、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域からの残基が、所望の特異性、親和性、及び能力を有するマウス、ラット、ウサギ、または非ヒト霊長類などの非ヒト種(ドナー抗体)の超可変領域からの残基によって置き換えられる、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。いくつかの事例では、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基に置き換えられる。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にもドナー抗体にも見いだされない残基を含み得る。これらの修飾は、抗体性能をさらに改良するために行われる。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、超可変ループの全てまたは実質的に全ては、非ヒト免疫グロブリンの超可変ループに対応し、FRの全てまたは実質的に全ては、ヒト免疫グロブリン配列のものである。
【0192】
単離された抗体は、その自然環境の成分から識別及び分離及び/または回収されているものである。その自然環境の混入成分は、抗体の診断的または治療的使用を妨げる材料であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質性または非タンパク質性溶質を含み得る。抗体は、(1)Lowry法によって決定された場合に95重量%超の、または99重量%まで、(2)回転カップタンパク質配列決定装置の使用によってN末端または内部アミノ酸配列の少なくとも15の残基を取得するのに十分な程度まで、あるいは(3)クーマシーブルーもしくは銀染色を使用する還元または非還元条件下でSDS-PAGEによる均一性まで、精製され得る。単離された抗体は、抗体の自然環境の少なくとも1つの成分が存在しないため、組換え細胞内でインサイツの抗体を含む。しかしながら、通常、単離された抗体は、少なくとも1つの精製ステップによって調製されるであろう。
【0193】
いくつかの態様では、本発明は、CDCP1に特異的に結合する抗体及びその抗原結合断片を提供する。例示的な抗体の配列が、表10に示される。実施例(例えば、実施例11及び19を参照されたい)に示されるように、いくつかの実施形態では、本発明の抗体は、哺乳動物細胞上のCDCP1に結合すると内在化する。
【0194】
いくつかの実施形態では、CDCP1に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片は、(i)(a)配列番号2のアミノ酸配列を含むCDRH1、(b)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDRH2、ならびに(c)配列番号4、配列番号27、配列番号40及び配列番号45からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDRH3を含む、VHと、(ii)(a)配列番号12のアミノ酸配列を含むCDRL1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDRL2、ならびに(c)配列番号14 及び配列番号31からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDRL3を含む、VLと、を含む。
【0195】
いくつかの実施形態では、CDCP1に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片は、(i)(a)配列番号2のアミノ酸配列を含むCDRH1、(b)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDRH2、及び(c)配列番号27のアミノ酸配列を含むCDRH3を含む、VHと、(ii)(a)配列番号12のアミノ酸配列を含むCDRL1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDRL2、及び(c)配列番号31のアミノ酸配列を含むCDRL3を含む、VLと、を含む。
【0196】
いくつかの実施形態では、CDCP1に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片は、(i)(a)配列番号2のアミノ酸配列を含むCDRH1、(b)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDRH2、及び(c)配列番号40のアミノ酸配列を含むCDRH3を含む、VHと、(ii)(a)配列番号12のアミノ酸配列を含むCDRL1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDRL2、及び(c)配列番号31のアミノ酸配列を含むCDRL3を含む、VLと、を含む。
【0197】
いくつかの実施形態では、CDCP1に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片は、(i)(a)配列番号2のアミノ酸配列を含むCDRH1、(b)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDRH2、及び(c)配列番号45のアミノ酸配列を含むCDRH3を含む、VHと、(ii)(a)配列番号12のアミノ酸配列を含むCDRL1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDRL2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDRL3を含む、VLと、を含む。
【0198】
抗体またはその抗原結合断片は、ヒト生殖系列VHフレームワーク配列を含むVHフレームワークを含み得る。VHフレームワーク配列は、ヒトのVH1生殖系列、VH3生殖系列、VH5生殖系列、またはVH4生殖系列に由来し得る。例えば、以下の生殖系列からのVHフレームワークが、使用され得る:IGHV1-46、IGHV3-23、IGHV3-7、またはIGHV1-69(生殖系列名はIMGT生殖系列の定義に基づく)。いくつかの実施形態では、VHフレームワークは、完全に、CDRH3の排除を伴うIGHV1-46*01(DP-7)である。
【0199】
好ましいヒト生殖系列軽鎖フレームワークは、VκまたはVλ生殖系列に由来するフレームワークである。例えば、以下の生殖系列からのVLフレームワークが、使用され得る:IGKV3D-7、IGKV1-39、またはIGKV3-20(生殖系列名はIMGT生殖系列の定義に基づく)。いくつかの実施形態では、VLフレームワークは、IGKV3D-7*01(DPK23)である。代替的にまたは加えて、フレームワーク配列は、Vλ1コンセンサス配列、VΚ1コンセンサス配列、VΚ2コンセンサス配列、VΚ3コンセンサス配列、VH3生殖系列コンセンサス配列、VH1生殖系列コンセンサス配列、VH5生殖系列コンセンサス配列、またはVH4生殖系列コンセンサス配列などの、ヒト生殖系列コンセンサスフレームワーク配列であり得る。ヒト生殖系列フレームワークの配列は、V-base、IMGT、NCBI、またはAbysisなどの様々な公開データベースから入手可能である。
【0200】
いくつかの実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1、配列番号26、配列番号39または配列番号44のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含むVHを含む。
【0201】
いくつかの実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合断片は、配列番号11、配列番号30、配列番号36または配列番号11のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0202】
いくつかの実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合断片は、配列番号26のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号30または36のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0203】
いくつかの実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合断片は、配列番号26のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号36のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
【0204】
いくつかの実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合断片は、配列番号26のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号30のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
【0205】
いくつかの実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合断片は、配列番号39のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号36のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
【0206】
いくつかの実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合断片は、配列番号44のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号11のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
【0207】
いくつかの実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号11のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
【0208】
これらのVH及びVL配列の任意の組み合わせもまた、本発明に包含される。
【0209】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片は、Fcドメインを含む。Fcドメインは、IgA(例えば、IgA1またはIgA2)、IgG、IgE、またはIgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4)に由来し得る。いくつかの実施形態では、Fcドメインは、Fcドメインの野生型配列を含む。いくつかの実施形態では、Fcドメインは、改変された生物学的活性をもたらす1つ以上の変異を含む。例えば、変異は、組換えタンパク質の産生中の均一性を増加させるためにFcドメインに導入され得る。いくつかの実施形態では、Fcドメインは、ヒトIgG1のFcドメインである。いくつかの実施形態では、FcドメインのC末端位置に位置するリジンは、組換えタンパク質の産生中の均一性を高めるために欠失される。いくつかの実施形態では、FcドメインのC末端位置に位置するリジンは、存在する。
【0210】
いくつかの実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合断片は、配列番号10、29、41または46のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0211】
いくつかの実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合断片は、配列番号17、32、または37のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0212】
いくつかの実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合断片は、配列番号29のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号32または37のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0213】
いくつかの実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合断片は、配列番号29のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号37のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む(本明細書で抗体「CP13E10-54HC-89LCv1」と称される)。
【0214】
いくつかの実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合断片は、配列番号29のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号32のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む(本明細書で抗体「CP13E10-54HC-89LC」と称される)。
【0215】
いくつかの実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合断片は、配列番号41のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号37のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む(本明細書で抗体「CP13E10-54HCv13-89LCv1」と称される)。
【0216】
いくつかの実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合断片は、配列番号46のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号17のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む(本明細書で抗体「CP13E10-291」と称される)。
【0217】
いくつかの実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合断片は、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号17のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む(本明細書で抗体「CP13E10」と称される)。
【0218】
結晶構造の研究は、CDCP1が三日月形状を採用し、CDCP1抗体CP13E10-54HC-89LC抗体が三日月の内側に配置されていることを示している。6つのCDCP1残基は、界面の中心近くで抗体と相互作用する。いくつかの実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合断片は、CDCP1上のエピトープに結合し、エピトープは、配列番号90の番号付けに従って、Thr124、Thr160、Ser162、Ala195、Leu196、及びHis197からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸残基を含む。
【0219】
いくつかの実施形態では、エピトープは、配列番号90の番号付けに従って、Lys45、Leu46、Gly47、Thr48、Pro49、Thr50、Ala53、Pro55、Glu92、Arg173、及びGlu242からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸残基をさらに含む。いくつかの実施形態では、エピトープは、配列番号90の番号付けに従って、Thr56、Tyr57、Thr66、Met67、Ile126、Val171、Arg173からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸残基をさらに含む。
【0220】
いくつかの実施形態では、エピトープは、配列番号90の番号付けに従って、Asn122に結合したグリカンをさらに含む。
【0221】
本明細書で提供される抗体(またはその抗原結合断片)のうちのいずれか1つなどの、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片のいずれかとCDCP1への結合について競合する抗体またはその抗原結合断片もまた、本発明によって提供される。例えば、抗体またはその抗原結合部分のCDCP1への結合が、CP13E10-54HC-89LCv1によるCDCP1へのその後の結合を妨げる場合、抗体またはその抗原結合部分は、CDCP1結合についてCP13E10-54HC-89LCv1と競合する。
【0222】
本明細書で提供される抗体またはその抗原結合断片のうちのいずれか1つなどの、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片のいずれかと同じCDCP1に結合する抗体またはその抗原結合断片もまた、本発明によって提供される。例えば、抗体競合アッセイ(及び重複エピトープ分析)は、本明細書に詳細に記載されるように、表面プラズモン共鳴(SPR)またはバイオレイヤー干渉法(BLI)によって評価され得る。
【0223】
本発明によって提供される抗体及び抗原結合断片は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、Fcなど)、キメラ抗体、二重特異性抗体、ヘテロコンジュゲート抗体、一本鎖(ScFv)、その変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、ドメイン抗体(dAbs)、ヒト化抗体、ならびに抗体のグリコシル化バリアント、抗体のアミノ酸配列バリアント、及び共有結合的に修飾された抗体を含む、必要とされる特異性の抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の修飾された構成を含む。抗体及び抗原結合断片は、マウス、ラット、ヒト、または他の任意の起源(キメラまたはヒト化抗体を含む)であり得る。いくつかの実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、キメラ、ヒト化またはヒト抗体である。ある特定の実施形態では、抗体は、ヒト抗体である。ある特定の実施形態では、抗体は、ヒト化抗体である。
【0224】
抗体の結合親和性は、平衡解離定数(KD)値として表され得、特定の抗原抗体相互作用の解離速度を指す。KDは、「オフレート(kオフ)」とも呼ばれる解離速度の、会合速度または「オンレート(kオン)」に対する比率である。したがって、KDは、Kオフ/kオン(解離/会合)に等しく、モル濃度(M)で表され、KDが小さいほど結合の親和性が強くなる。抗体に対するKD値は、当該技術分野で十分に確立された方法を使用して決定され得る。別段明記されない限り、「結合親和性」は、一価の相互作用(固有の活性;例えば、一価の相互作用を通じた抗体の抗原への結合)を指す。
【0225】
ある特定の実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合断片は、約350nM、約325nM、約323.10nM、約300nM、約286.44nM、約275nM、約250nM、約232.13nM、約225nM、約219.13nM、約200nM、約195.54nM、約175nM、約158nM、約150nM、約125nM、または約100nM以下の親和性(KD)値を有する。
【0226】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、約95nM、約90nM、約80nM、約79.89nM、約75nM、約70nM、約69.50nM、約65nM、約63.44nM、約60nM、約55nM、約52.88nM、約50nM、約45nM、約44.50nM、約41.99nM、約40nM、約35nM、約30nM、約25nM、約20nM、約10nM、約5nM、または約1nM以下のKD値でCDCP1に結合する。
【0227】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、約5nM、約4.5nM、約4nM、約3.5nM、約3.12nM、約3nM、約2.90nM、約2.5nM、約2nM、約1.5nM、約1nM、約900pM、約800pM、約700pM、約600pM、約500pM、約400pM、約300pM、約250pM、約200pM、約150pM、約100pM、約50pM、約40pM、約30pM、約25pM、約20pM、約15pM、約10pM、約5pM、または約1pM以下のKD値でCDCP1に結合する。
【0228】
KDの値は、周知の方法で直接決定され得、複雑な混合物についてさえも、例えば、Caceci et al.,(1984,Byte 9:340-362)に定められるものなどの方法によって計算され得る。例えば、KDは、Wong & Lohman(1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5428-5432)によって開示されたものなどのダブルフィルタニトロセルロースフィルタ結合アッセイを使用して確立され得る。標的抗原に対する抗体などのリガンドの結合能力を評価するための他の標準的アッセイは、当該技術分野で既知であり、例えば、ELISA、ウエスタンブロット、RIA、及びフローサイトメトリー分析、及び本明細書の他の場所で例示される他のアッセイを含む。
【0229】
結合親和性(KD)値を測定するための1つの例示的な方法は、典型的には、BIACORE(登録商標)システムなどのバイオセンサーシステムを使用する表面プラズモン共鳴(SPR)である。SPRは、例えば、BIACORE(登録商標)システムを使用する、バイオセンサーマトリックス内のタンパク質濃度の改変の検出によって、リアルタイムの生体特異的相互作用の分析を可能にする光学現象を指す。BIAcore動態分析は、それらの表面上に固定化された分子(例えば、抗原結合ドメインを含む分子)を有するチップからの抗原の結合及び解離、または、固定化された抗原を有するチップからの抗体またはその抗原結合断片の解離を分析することを含む。
【0230】
ある特定の実施形態では、SPR測定は、BIACORE(登録商標)T100またはT200機器を使用して行われる。例えば、表面プラズモン共鳴に対する標準的アッセイ条件は、SPRチップ上のIgGのおよそ100~500応答単位(RU)の抗体固定化に基づくことができる。精製された標的タンパク質は、最終濃度の範囲まで緩衝液中で希釈され、必要な流量(例えば、10~100μl/分)で注入されてKaの計算を可能にする。解離は、オフレートを確立するように進行することができ、その後にチップ表面の再生のための3MのMgCl2(または20mMのNaOH)が続く。次いで、センサーグラムが、動態評価ソフトウェアパッケージを使用して分析される。例示的な実施形態では、SPRアッセイは、実施例に定められた条件に従う。
【0231】
ある特定の実施形態では、結合親和性(KD)値は、溶液ベースの動態排除アッセイ(KinExA(商標))を使用して測定される。特定の実施形態では、KinExA測定は、KinExA(商標)3200機器(Sapidyne)を使用して行われる。動態排除アッセイ(KinExA(商標))は、抗原/抗体相互作用に対する平衡解離定数ならびに会合及び解離速度定数を測定することができる汎用イムノアッセイプラットフォーム(基本的にはフロー分光蛍光光度計)である。KinExA(商標)は平衡が取得された後に実行されるため、相互作用のオフレートが非常に遅くなり得る高親和性相互作用のKDを測定するために使用することは、有利な技法である。KinExA(商標)方法論は、一般に、Drake et al.,(2004)Analytical Biochem.328,35-43に記載されているように行われ得る。
【0232】
抗体のKDを決定するための別の方法は、典型的には、ForteBioからのOCTET(登録商標)技術(例えば、Octet QKeシステム)を使用する、バイオレイヤー干渉法(BLI)を使用することによる。ある特定の実施形態では、BLI測定は、以下に従って行われる:専売の抗ヒト抗体(ForteBio)でコーティングされたセンサーチップは、泳動用緩衝液(0.05%のツイーン20を含有する10mMのHepes緩衝生理食塩水(HBS)など)に120秒間浸すことによるBLIシグナル安定化を受ける。次いで、抗体は、センサーを泳動用緩衝液に300秒間浸すことによって捕捉される(緩衝液は1~10ug/mLの抗体を含有し得る)。次いで、シグナルは、センサー先端を泳動用緩衝液に120秒間浸し直すことによって、安定する。次いで、チップは、同族の抗原を含有する溶液に移される。抗体-抗原の結合は、180秒間にわたって受容体解離を監視するために、センサーチップが泳動用緩衝液に移される前の180秒間にわたって測定される。CDCP1の場合、典型的には、抗原の7点の用量応答(2倍希釈において1~2nMの範囲であり得る)が測定される。追加的に、捕捉された抗体を有しないセンサーチップは、センサーチップへの受容体の非特異的結合を監視するために抗原に曝露される。第2の参照型もまた、その上に捕捉された抗体を有するが、その後、抗原を有しない泳動用緩衝液のみへのその後の曝露を伴うチップを含む。このことは、二重参照により、非特異的結合、同様にシステムノイズ及び抗ヒトFcセンサーチップから解離する抗体に起因する基礎となるベースラインドリフトの両方を排除するための二重参照を可能にする。生のアンダー(raw under)は、二重参照減算を行い、次いで、1:1親和性及び動態パラメータを決定するためのラングミュア型結合モデルにフィットする。
【0233】
いくつかの実施形態では、CDCP1は、ヒトCDCP1、カニクイザルCDCP1、またはマウスCDCP1である。一般に、抗CDCP1抗体は、CDCP1に高親和性で結合するはずである。抗CDCP1抗体は約40nM以下などの低ナノモル範囲でヒトCDCP1に結合親和性(KD)を有することが、望ましい。いくつかの実施形態では、CDCP1はヒトCDCP1であり、KD値は、約40nM、約45nM、または約50nMである。いくつかの実施形態では、CDCP1は、カニクイザルCDCP1であり、KD値は、約62nM、約64nM、約66nm、約68nM、または約70nMである。
【0234】
抗体-薬物コンジュゲート
抗体薬物コンジュゲートまたはADCは、がんを有する患者の治療のための標的化療法として設計された非常に強力なバイオ医薬薬物の重要なクラスである。化学療法とは異なり、ADCは、がん細胞のみを標的とし殺滅し、健康な細胞を温存するように意図される。ADCは、生物学的に活性な細胞傷害性(抗がん)ペイロードまたは薬物に連結した抗体で構成される複雑な分子である。本明細書で使用される場合、「抗体薬物コンジュゲート」は、細胞傷害性または細胞増殖抑制薬物/薬剤に共有結合的に連結した抗体または抗体の一部を指し、薬物/薬剤は、本明細書で「ペイロード」とも称される。
【0235】
プロドラッグという用語は、親薬物と比較して腫瘍細胞に対してより低い細胞傷害性であり、かつ酵素的により活性であるか、またはより活性のある親形態へと活性化または変換されることができる、薬学的に活性な物質の前駆体または誘導体形態を指す。本開示のプロドラッグは、限定されないが、ホスフェート含有プロドラッグ、チオホスフェート含有プロドラッグ、スルフェート含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、D-アミノ酸修飾プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、β-ラクタム含有プロドラッグ、任意選択で置換されたフェノキシアセトアミド含有プロドラッグまたは任意選択で置換されたフェニルアセトアミド含有プロドラッグ、5-フルオロシトシン及び他の5-フルオロウリジンプロドラッグを含み、より活性な細胞傷害性遊離薬物へと変換され得る。本開示における使用のためのプロドラッグ形態に誘導体化され得る細胞傷害性薬物の例は、それらの化学療法剤を含むが、これらに限定されない。
【0236】
抗体及び薬物は、直接連結し得るか、またはリンカーと称される部分を介して結合し得る。リンカーまたは連結は、共有結合、または抗体を薬物部分に共有結合的に結合する原子の鎖を含む、化学部分を指す。様々な実施形態では、リンカーは、Lと指定される。リンカーは、二価ラジカル、例えば、アルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、-(CR2)nO(CR2)n-などの部分、アルキルオキシ(例えば、ポリエチレンオキシ、PEG、ポリメチレンオキシ)及びアルキルアミノ(例えば、ポリエチレンアミノ、Jeffamine(商標))の反復単位、ならびにスクシネート、スクシンアミド、ジグリコレート、マロネート、及びカプロアミドを含む、二価酸のエステル及びアミドを含む。
【0237】
抗CDCP1抗体及びコンジュゲーション部位
いくつかの態様では、本発明は、本明細書に記載されるようなCDCP1抗体またはその抗原結合断片のコンジュゲート(または免疫コンジュゲート)を提供し、抗体または抗原結合断片は、直接的またはリンカーを介して間接的のいずれかで、標的化免疫療法(例えば、ADCとも称される抗体薬物コンジュゲート)のための薬物(本明細書ではペイロードとも称される)にコンジュゲートされる。例えば、薬物(例えば、とりわけ、抗腫瘍剤を包含する細胞傷害性剤)は、細胞表面上でCDCP1を発現する細胞(例えば、CDCP1発現腫瘍)への薬物部分の標的化された局所送達のために、本明細書に記載されるように、CDCP1抗体もしくはその抗原結合断片に連結または結合できる。
【0238】
細胞傷害性剤または他の治療剤を抗体にコンジュゲートさせるための方法は、様々な刊行物に記載されている。例えば、化学修飾は、リジン側鎖アミンを通じるか、またはコンジュゲーション反応が生じるために鎖間ジスルフィド結合を還元することによって活性化されたシステインスルフヒドリル基を通じるかのいずれかで、抗体において行われ得る。例えば、Tanaka et al.,FEBS Letters 579:2092-2096,2005、及びGentle et al.,Bioconjugate Chem.15:658-663,2004を参照されたい。定義された化学量論での特異的薬物コンジュゲーションのための抗体の特定の部位で操作された反応性システイン残基もまた、記載されている。例えば、Junutula et al.,Nature Biotechnology,26:925-932,2008を参照されたい。トランスグルタミナーゼ及びアミン(例えば、反応性アミンを含むか、またはそれに結合した細胞傷害性剤)の存在下でのポリペプチド操作によって反応性(すなわち、アシルドナーとして共有結合を形成する能力)となったアシルドナーグルタミン含有タグまたは内因性グルタミンを使用するコンジュゲーションもまた、その各々がその全体の参照により本明細書に組み込まれる国際出願第WO2012/059882号及び同第WO2015/015448号においても記載される。
【0239】
いくつかの態様では、CDCP1 ADCは、抗CDCP1抗体定常ドメインに操作された1つ以上の反応性システイン残基を通じて、リンカー-ペイロード部分の部位特異的コンジュゲーションを使用して生成され得る(例えば、その各々がその全体の参照により本明細書に組み込まれる、WO2013/093809、US2014/0127211、US2017/0216452及びWO2017/093844を参照されたい)。抗CDCP1抗体重鎖の1つ以上のアミノ酸残基は、薬物またはペイロードへのコンジュゲーションの目的のために、システイン残基などの別のアミノ酸に置換され得る。一態様では、本発明は、抗CDCP1抗体またはその抗原結合断片を提供し、KabatのEuインデックスの番号付けに従って、位置:118(Kabatに従って114)、246、249、265、267、270、276、278、283、290、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、327、332、333、334、336、345、347、354、355、358、360、362、370、373、375、376、378、380、382、386、388、390、392、393、401、404、411、413、414、416、418、419、421、428、431、432、437、438、439、443もしくは444、またはそれらの任意の組み合わせ)で操作されたシステイン残基を含む抗体重鎖定常領域を含む。特に、位置118(Kabatに従って114)、290、334、347、373、375、380、388、392、421、443、またはそれらの任意の組み合わせが、使用され得る。追加のシステイン置換が、導入され得る。
【0240】
別の態様では、本発明は、KabatのEuインデックスの番号付けに従って、290位で操作されたシステイン残基(K290C)を含む重鎖定常ドメインを含む、抗CDCP1抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0241】
抗CDCP1抗体軽鎖定常ドメインの1つ以上のアミノ酸残基は、薬物またはペイロードへのコンジュゲーションの目的で、システイン残基などの別のアミノ酸に置換され得る(例えば、その各々がその全体の参照により本明細書に組み込まれる、WO2013/093809、US2014/0127211、US2017/0216452及びWO2017/093844を参照されたい)。一態様では、本発明は、Kabatの番号付けに従って、位置110、111、125、149、155、158、161、183、185、188、189、191、197、205、207、208もしくは210またはそれらの任意の組み合わせで操作されたシステイン残基を含む抗体軽鎖定常領域を含む、抗CDCP1抗体またはその抗原結合断片を提供する。追加のシステイン置換が、導入され得る。
【0242】
別の態様では、本発明は、Kabatの番号付けに従って、183位で操作されたシステイン残基(κK183C)を含む軽鎖定常ドメインを含む抗CDCP1抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0243】
いくつかの態様では、本発明は、部位特異的コンジュゲーションのための操作されたシステイン残基を含む重鎖及び/または軽鎖定常領域を有する抗体あるいは抗原結合断片を含む抗体薬物コンジュゲートを提供する。いくつかの態様では、抗体薬物コンジュゲートは、KabatのEuインデックスの番号付けに従って、290位で操作されたシステイン残基(K290C)を含む重鎖定常領域を有する。いくつかの態様では、抗体薬物コンジュゲートは、Kabatの番号付けに従って、183位で操作されたシステイン残基(κK183C)を含む軽鎖定常領域を有する。いくつかの態様では、抗体薬物コンジュゲートは、KabatのEUインデックスの番号付けに従って、290位で操作されたシステイン残基(K290C)を含む重鎖定常領域を有し、軽鎖定常領域は、Kabatの番号付けに従って、183位で操作されたシステイン残基(κK183C)を含む。
【0244】
いくつかの実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合断片は、配列番号19、33、または42のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0245】
いくつかの実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合断片は、配列番号21、34、または38のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0246】
いくつかの実施形態では、E46~E56のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片は、配列番号33のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号34または38のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0247】
いくつかの実施形態では、E46~E57のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片は、配列番号33のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号38のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0248】
いくつかの実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合断片は、配列番号33のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号34のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0249】
いくつかの実施形態では、E46~E56のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片は、配列番号42のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号38のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0250】
いくつかの実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合断片は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0251】
別の態様では、CDCP1 ADCは、抗CDCP1抗体定常領域において反応性となった1つ以上の操作されたアシルドナーグルタミン含有タグまたは内因性グルタミン残基を通じて、部位特異的コンジュゲーション技術を使用して生成され得る。アシルドナーグルタミン含有タグまたはグルタミン残基を介した部位特異的コンジュゲーションのための抗体を調製する方法は、その各々がその全体の参照により本明細書に組み込まれる、PCT国際公開第WO2012/059882号及び同第WO2015/015448号に記載される。
【0252】
いくつかの態様では、アシルドナーグルタミン含有タグは、少なくとも1つのグルタミン(Q)を含み、重鎖及び/または軽鎖(すなわち、N末端、C末端、または内部)の特定の位置に結合し得る。別の態様では、アシルドナーグルタミン含有タグは、LLQG(配列番号91)から選択されるアミノ酸配列を含み得る。いくつかの態様では、アシルドナーグルタミン含有タグは、重鎖及び/または軽鎖(すなわち、N末端、C末端、または内部)の特定の位置に挿入される。いくつかの態様では、抗CDCP1抗体は、重鎖のKabatのEuインデックスの番号付けに従って、135位の後かつ136位の前に挿入されるアミノ酸配列LLQG(配列番号91)を有するアシルグルタミン含有タグを含み得る。
【0253】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、KabatのEuインデックスの番号付けに従って、N297A及びK222Rからなる群から選択される1つ以上の置換を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、KabatのEuインデックスの番号付けに従って、N297A及びK222Rの両方の置換を含む。
【0254】
いくつかの実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合断片は、配列番号25、35、または43のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0255】
いくつかの実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合断片は、配列番号17、32、または37のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0256】
いくつかの実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合断片は、配列番号35のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号32または37のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0257】
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号35のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号37のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0258】
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号35のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号32のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0259】
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号43のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号37のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0260】
いくつかの実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合断片は、配列番号25のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号17のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0261】
核酸、ベクター及び宿主細胞
本発明はまた、本明細書に記載される抗体断片及び修飾された抗体を含む、抗体のうちのいずれかをコードするポリヌクレオチドを提供する。本発明はまた、本明細書に記載されるポリヌクレオチドのうちのいずれかを作製する方法を提供する。ポリヌクレオチドは、当該技術分野で既知の手順によって作製及び発現され得る。
【0262】
所望の抗体、定義された抗体断片、またはその抗原結合断片、及びかかる抗体またはその断片をコードする核酸の配列は、標準的配列決定技法を使用して決定され得る。所望の抗体、定義された抗体断片、またはそれらの抗原結合断片をコードする核酸配列は、組換え産生及び特徴付けのために様々なベクター(クローニング及び発現ベクターなど)に挿入され得る。重鎖、定義された抗体断片、または重鎖の抗原結合断片をコードする核酸、及び軽鎖、定義された抗体断片、または軽鎖の抗原結合断片をコードする核酸は、同じベクター、または異なるベクターにクローニングされ得る。
【0263】
一態様では、本発明は、以下のCDCP1抗体及びそれらの抗原結合断片のうちのいずれかのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを提供する:CP13E10、CP13E10-183/290、CP13E10-H7C-K222R-N297A、CP13E10-54HC-89LC、CP13E10-54HC-89LC-183/290、CP13E10-54HC-89LC-H7C-K222R-N297A、CP13E10-54HC-89LCv1、CP13E10-54HC-89LCv1-183/290、CP13E10-54HC-89LCv1-H7C-K222R-N297A、CP13E10-54HCv13-89LCv1、CP13E10-54HCv13-89LCv1-183/290、CP13E10-54HCv13-89LCv1-H7C-K222R-N297A、CP13E10-291、抗体23、抗体24及び抗体76。上記のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドは、本明細書に開示されるような本発明の抗体またはその抗原結合断片のアミノ酸配列に対して、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%及び好ましくはそれ以上同一なアミノ酸配列をコードする。
【0264】
一態様では、本発明は、CP13E10、CP13E10-183/290、CP13E10-H7C-K222R-N297A、CP13E10-54HC-89LC、CP13E10-54HC-89LC-183/290、CP13E10-54HC-89LC-H7C-K222R-N297A、CP13E10-54HC-89LCv1 CP13E10-54HC-89LCv1-183/290、CP13E10-54HC-89LCv1-H7C-K222R-N297A、CP13E10-54HCv13-89LCv1 CP13E10-54HCv13-89LCv1-183/290、CP13E10-54HCv13-89LCv1-H7C-K222R-N297A、CP13E10-291、抗体23、抗体24及び抗体76からなる群から選択される抗体と実質的に同じエピトープに結合する、抗体またはその抗原結合断片のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0265】
一態様では、本発明は、CP13E10、CP13E10-183/290、CP13E10-H7C-K222R-N297A、CP13E10-54HC-89LC、CP13E10-54HC-89LC-183/290、CP13E10-54HC-89LC-H7C-K222R-N297A、CP13E10-54HC-89LCv1、CP13E10-54HC-89LCv1-183/290、CP13E10-54HC-89LCv1-H7C-K222R-N297A、CP13E10-54HCv13-89LCv1、CP13E10-54HCv13-89LCv1-183/290、CP13E10-54HCv13-89LCv1-H7C-K222R-N297A、CP13E10-291、抗体23、抗体24及び抗体76からなる群から選択される抗体とCXCR5への結合について競合する、抗体またはその抗原結合断片のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0266】
本発明は、配列番号1~74からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む1つ以上のタンパク質をコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0267】
いくつかの実施形態では、単離された核酸分子は、配列番号75のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、単離された核酸分子は、配列番号76のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、単離された核酸分子は、配列番号77のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、単離された核酸分子は、配列番号78のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、単離された核酸分子は、配列番号79のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、単離された核酸分子は、配列番号80のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、単離された核酸分子は、配列番号81のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、単離された核酸分子は、配列番号82のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、単離された核酸分子は、配列番号83のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、単離された核酸分子は、配列番号84のヌクレオチド配列を含む。
【0268】
本発明は、配列番号75~84のうちの1つ以上に定められるような1つ以上の核酸分子を含む細胞を提供する。本発明は、配列番号85及び86に定められるような1つ以上の核酸分子を含む細胞を提供する。
【0269】
別の態様では、本発明は、抗CDCP1抗体をコードするポリヌクレオチド及びそのバリアントを提供し、かかるバリアントポリヌクレオチドは、本明細書に開示される特定の核酸配列のうちのいずれかに対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも87%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を共有する。これらの量は限定することを意味するものではなく、記載されたパーセンテージ間の増分は、本開示の一部として具体的に想定されている。
【0270】
本発明は、本明細書に記載される核酸分子によってコードされるポリペプチドを提供する。
【0271】
一実施形態では、VH及びVLドメイン、またはそれらの抗原結合断片、または完全長HCもしくはLCは、別個のポリヌクレオチドによってコードされる。代替的には、VH及びVLの両方、またはそれらの抗原結合断片、またはHC及びLCは、単一のポリヌクレオチドによってコードされる。
【0272】
かかる配列に相補的なポリヌクレオチドもまた、本開示に包含される。ポリヌクレオチドは、一本鎖(コーディングまたはアンチセンス)または二本鎖であり得、DNA(ゲノム、cDNAまたは合成)またはRNA分子であり得る。RNA分子は、イントロンを含みDNA分子に1対1方式で対応するHnRNA分子と、イントロンを含まないmRNA分子と、を含む。追加のコードまたは非コード配列は、本開示のポリヌクレオチド内に存在し得るが、そうである必要はなく、ポリヌクレオチドは、他の分子に連結され及び/または材料を支持し得るが、そうである必要はない。
【0273】
ポリヌクレオチドは、天然の配列(すなわち、抗体またはその一部をコードする内因性配列)を含み得るか、またはかかる配列のバリアントを含み得る。ポリヌクレオチドバリアントは、コードされたポリペプチドの免疫反応性が天然の免疫反応性分子に対して減少しないように、1つ以上の置換、付加、欠失及び/または挿入を含む。コードされたポリペプチドの免疫反応性に対する効果は、一般に、本明細書に記載されるように評価され得る。いくつかの実施形態では、バリアントは、天然抗体またはその一部をコードするポリヌクレオチド配列に対して、少なくとも約70%の同一性、いくつかの実施形態では、少なくとも約80%の同一性、いくつかの実施形態では、少なくとも約90%の同一性、かついくつかの実施形態では、少なくとも約95%の同一性を呈する。これらの量は限定することを意味するものではなく、記載されたパーセンテージ間の増分は、本開示の一部として具体的に想定されている。
【0274】
2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列は、2つの配列におけるヌクレオチドまたはアミノ酸の配列が、以下に記載されるように最大の対応関係のために整列する際に同じである場合、「同一」であると言われる。2つの配列間の比較は、典型的には、比較ウィンドウ上で配列を比較して、配列類似性の局所領域を特定及び比較することによって実行される。本明細書で使用される場合、「比較ウィンドウ」は、少なくとも約20の近接位置、通常30~約75、または40~約50のセグメントを指し、配列は、2つの配列が最適に整列する後で同じ数の近接位置の参照配列と比較され得る。
【0275】
比較のための配列の最適なアラインメントは、デフォルトのパラメータを使用する、生物情報学ソフトウェアのLasergene(登録商標)スイート(DNASTAR(登録商標),Inc.,Madison,WI)におけるMegAlign(登録商標)プログラムを使用して行われ得る。このプログラムは、以下の参照文献に記載されるいくつかのアラインメントスキームを具体化する:Dayhoff,M.O.,1978,A model of evolutionary change in proteins - Matrices for detecting distant relationships.In Dayhoff,M.O.(ed.)Atlas of Protein Sequence and Structure,National Biomedical Research Foundation,Washington DC Vol.5,Suppl.3,pp.345-358、Hein J.,1990,Unified Approach to Alignment and Phylogenes pp.626-645 Methods in Enzymology vol.183,Academic Press,Inc.,San Diego,CA、Higgins,D.G.and Sharp,P.M.,1989,CABIOS 5:151-153、Myers,E.W.and Muller W.,1988,CABIOS 4:11-17、Robinson,E.D.,1971,Comb.Theor.11:105、Santou,N.,Nes,M.,1987,Mol.Biol.Evol.4:406-425、Sneath,P.H.A.and Sokal,R.R.,1973,Numerical Taxonomy the Principles and Practice of Numerical Taxonomy,Freeman Press,San Francisco,CA、Wilbur,W.J.and Lipman,D.J.,1983,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:726-730。
【0276】
いくつかの実施形態では、「配列同一性のパーセンテージ」は、少なくとも20の位置の比較のウィンドウにわたって2つの最適に整列した配列を比較することによって決定され、比較ウィンドウにおけるポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の部分は、2つの配列の最適なアラインメントのための参照配列(付加または削除を含まない)と比較して、20パーセント以下、通常、5~15パーセント、または10~12パーセントの付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。パーセンテージは、同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が両方の配列において生じる位置の数を決定して一致した位置の数を得ることと、一致した位置の数を参照配列における位置の総数(すなわち、ウインドウサイズ)で除することと、結果に100を乗じて配列同一性のパーセンテージを得ることと、によって計算される。
【0277】
バリアントもまた、または代替的に、天然遺伝子、またはその一部もしくは補体に対して実質的に相同であり得る。かかるポリヌクレオチドバリアントは、適度にストリンジェントな条件下で、天然抗体(または相補的配列)をコードする天然に生じるDNA配列にハイブリダイズすることができる。
【0278】
好適な「適度にストリンジェントな条件」は、5倍SSC、0.5%SDS、1.0mM EDTA(pH8.0)の溶液中で予備洗浄すること、50℃~65℃、5倍SSCで一晩ハイブリダイズすること、その後に続く0.1%SDSを含有する2倍、0.5倍、及び0.2倍SSCの各々で65℃で20分間2回洗浄することを含む。
【0279】
本明細書で使用される場合、「非常にストリンジェントな条件」または「高ストリンジェンシー条件」は、(1)洗浄のための低イオン強度及び高温、例えば、50℃で0.015M塩化ナトリウム/0.0015Mクエン酸ナトリウム/0.1%ドデシル硫酸ナトリウムを用いるか、(2)ハイブリダイゼーション中に、ホルムアミド、例えば、42℃で0.1%ウシ血清アルブミン/0.1%フィコール/0.1%ポリビニルピロリドン/750mM塩化ナトリウム、75mMクエン酸ナトリウムを有するpH6.5での50mMリン酸ナトリウム緩衝液を有する50%(v/v)ホルムアミドなどの変性剤を用いるか、または(3)0.2倍SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)中42℃での洗浄、55℃での50%ホルムアミド、その後に55℃でのEDTAを含有する0.1倍SSCからなる高ストリンジェンシー洗浄を伴う、42℃での50%ホルムアミド、5倍SSC(0.75M NaCl、0.075Mクエン酸ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%ピロリン酸ナトリウム、5倍デンハート液、超音波処理されたサケ精子DNA(50μg/mL)、0.1%SDS、及び10%デキストラン硫酸を用いるものである。当業者であれば、プローブ長さなどの因子を調整するために必要に応じて温度、イオン強度などを調整する方法を認識するであろう。
【0280】
遺伝暗号の縮重の結果として、本明細書に記載されるようなポリペプチドをコードする多くのヌクレオチド配列が存在することは、当業者によって理解されるであろう。これらのポリヌクレオチドのいくつかは、任意の天然遺伝子のヌクレオチド配列に対する最小の相同性を有する。それにもかかわらず、コドン使用の違いにより異なるポリヌクレオチドが、本開示によって具体的に企図される。さらに、本明細書で提供されるポリヌクレオチド配列を含む遺伝子の対立遺伝子は、本開示の範囲内にある。対立遺伝子は、欠失、付加及び/またはヌクレオチドの置換などの1つ以上の変異の結果として改変されている内因性遺伝子である。得られたmRNA及びタンパク質は、改変された構造または機能を有し得るが、そうである必要はない。対立遺伝子は、標準的技法(ハイブリダイゼーション、増幅及び/またはデータベース配列比較など)を使用して特定され得る。
【0281】
本開示のポリヌクレオチドは、化学合成、組換え法、またはPCRを使用して取得され得る。化学的ポリヌクレオチド合成の方法は、当該技術分野で周知であり、本明細書で詳細に記載される必要はない。当業者は、本明細書で提供される配列及び商業的DNA合成機を使用して、所望のDNA配列を生産することができる。
【0282】
組換え法を使用してポリヌクレオチドを調製するために、所望の配列を含むポリヌクレオチドは好適なベクターに挿入され得、次に、ベクターは、本明細書でさらに考察されるように、複製及び増幅のために好適な宿主細胞に導入され得る。ポリヌクレオチドは、当該技術分野で既知の任意の手段によって宿主細胞に挿入され得る。細胞は、直接取り込み、エンドサイトーシス、トランスフェクション、F接合またはエレクトロポレーションによって外因性ポリヌクレオチドを導入することによって形質転換される。一度導入されると、外因性ポリヌクレオチドは、非組み込みベクター(プラスミドなど)として細胞内に維持されるか、または宿主細胞ゲノムに組み込まれ得る。そのように増幅されたポリヌクレオチドは、当該技術分野で周知の方法によって宿主細胞から単離され得る。例えば、Sambrook et al.,1989を参照されたい。
【0283】
代替的には、PCRは、DNA配列の複製を可能にする。PCR技術は当該技術分野で周知であり、米国特許第4,683,195号、同第4,800,159号、同第4,754,065号及び同第4,683,202号、同様にPCR:The Polymerase Chain Reaction,Mullis et al.,eds.,Birkauswer Press,Boston,1994に記載される。
【0284】
RNAは、単離されたDNAを適切なベクターにおいて使用し、好適な宿主細胞にそれを挿入することによって取得され得る。細胞が複製し、DNAがRNAに転写される際、次いで、RNAは、例えば、Sambrook et al.,1989に定められるような当業者に周知の方法を使用して、単離され得る。
【0285】
いくつかの実施形態では、第1のベクターは、重鎖をコードするポリヌクレオチドを含み、第2のベクターは、軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、第1のベクター及び第2のベクターは、同様の量(同様のモル量または同様の質量量など)で宿主細胞にトランスフェクトされる。いくつかの実施形態では、第1のベクター及び第2のベクターの5:1~1:5の間のモルまたは質量比が、宿主細胞にトランスフェクトされる。いくつかの実施形態では、重鎖をコードするベクター及び軽鎖をコードするベクターに対する1:1~1:5の質量比が、使用される。いくつかの実施形態では、重鎖をコードするベクター及び軽鎖をコードするベクターに対する1:2の質量比が、使用される。
【0286】
ベクター
いくつかの実施形態では、CHOもしくはCHO由来細胞中、またはNSO細胞中のポリペプチドの発現のために最適化されているベクターが、選択される。例示的なベクターは、例えば、Running Deer et al.,Biotechnol.Prog.20:880-889(2004)に記載される。
【0287】
好適なクローニング及び発現ベクターは、プロモーター、エンハンサー、及び他の転写制御性配列などの多様な成分を含むことができる。ベクターはまた、抗体可変ドメインの異なるベクターへのその後のクローニングを可能にするように構築され得る。好適なクローニングベクターは、標準的技法に従って構築され得るか、または当該技術分野で利用可能な多数のクローニングベクターから選択され得る。選択されるクローニングベクターは使用するように意図された宿主細胞によって異なり得る一方で、有用なクローニングベクターは、一般に、自己複製する能力を有し、特定の制限エンドヌクレアーゼに対する単一の標的を有し得、及び/またはベクターを含むクローンを選択する際に使用され得るマーカーに対する遺伝子を担持し得る。好適な例は、プラスミド及び細菌ウイルス、例えば、pUC18、pUC19、Bluescript(例えば、pBS SK+)及びその誘導体、mp18、mp19、pBR322、pMB9、ColE1、pCR1、RP4、ファージDNA、ならびにpSA3及びpAT28などのシャトルベクターを含む。これら及び多くの他のクローニングベクターは、BioRad、Stratagene、Invitrogenなどの商業的販売者から入手可能である。発現ベクターが、さらに提供される。発現ベクターは、一般に、本開示に従うポリヌクレオチドを含有する複製可能なポリヌクレオチド構築物である。発現ベクターは、エピソームとして、または染色体DNAの不可欠な部分としてのいずれかで、宿主細胞中で複製可能でなければならないことが示唆されている。好適な発現ベクターは、プラスミド、アデノウイルスを含むウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス、コスミド、及びPCT公開番号第WO87/04462号に開示される発現ベクター(複数可)を含むが、これらに限定されない。ベクター成分は、一般に、シグナル配列、複製起点、1つ以上のマーカー遺伝子、好適な転写制御要素(プロモーター、エンハンサー及びターミネーター)のうちの1つ以上を含むが、これらに限定されない。発現(すなわち、翻訳)のために、リボソーム結合部位、翻訳開始部位、及び終止コドンなどの1つ以上の翻訳制御要素もまた、通常必要とされる。
【0288】
目的のポリヌクレオチドを含むベクター及び/またはポリヌクレオチド自体は、エレクトロポレーション、塩化カルシウム、塩化ルビジウム、リン酸カルシウム、DEAE-デキストラン、または他の物質を用いるトランスフェクション、微小発射体発射、リポフェクション、及び感染(例えば、ベクターがワクシニアウイルスなどの感染性媒介物である場合)を含む、いくつもの適切な手段のうちのいずれかによって宿主細胞に導入され得る。ベクターまたはポリヌクレオチドを導入する選択は、しばしば宿主細胞の特徴に依存するであろう。
【0289】
宿主細胞
抗体またはその抗原結合断片は、好適な宿主細胞を使用して組換え的に作製され得る。抗体またはその抗原結合断片をコードする核酸は、発現ベクターにクローン化され得、次いで、E.coli細胞、酵母細胞、昆虫細胞、サルCOS細胞、またはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞などの宿主細胞に導入され得、細胞は、組換え宿主細胞中で抗体の合成を取得するために、他の点で免疫グロブリンタンパク質を産生しない。好ましい宿主細胞は、当該技術分野で周知の多くの細胞の中で、CHO細胞、ヒト胎児腎臓HEK-293細胞、またはSp2.0細胞を含む。抗体断片は、完全長抗体のタンパク質分解もしくは他の分解によって、組換え法によって、または化学合成によって産生され得る。抗体のポリペプチド断片、特に約50アミノ酸までのより短いポリペプチドは、化学合成によって簡便に作成され得る。タンパク質及びペプチドに対する化学合成の方法は、当該技術分野で既知であり、市販されている。
【0290】
様々な実施形態では、抗CDCP1重鎖及び/または抗CDCP1軽鎖は、細菌細胞などの原核細胞中で、または真菌細胞(酵母など)、植物細胞、昆虫細胞、及び哺乳動物細胞などの真核細胞中で発現され得る。かかる発現は、例えば、当該技術分野で既知の手順に従って行われ得る。ポリペプチドを発現させるために使用され得る例示的な真核細胞は、COS7細胞を含むCOS細胞、293-6E細胞を含む293細胞、CHO-S、DG44、Lecl3 CHO細胞、及びFUT8 CHO細胞を含むCHO細胞、PER.C6(登録商標)細胞(Crucell)、ならびにNSO細胞を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、抗CDCP1重鎖及び/または抗CDCP1軽鎖は、酵母において発現され得る。例えば、米国公開第US2006/0270045A1号を参照されたい。いくつかの実施形態では、特定の真核生物宿主細胞は、抗CDCP1重鎖及び/または抗CDCP1軽鎖に対して所望の翻訳後修飾を行うその能力に基づいて選択される。例えば、いくつかの実施形態では、CHO細胞は、293細胞中で産生された同じポリペプチドよりも高いシアリル化のレベルを有するポリペプチドを産生する。
【0291】
所望の宿主細胞への1つ以上の核酸の導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストラン媒介性トランスフェクション、カチオン性脂質媒介性トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、感染などを含むがこれらに限定されない任意の方法によって達成され得る。非限定的な例示的方法は、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,3rd ed.Cold Spring Harbor Laboratory Press(2001)に記載される。核酸は、任意の好適な方法に従って、所望の宿主細胞に一時的または安定的にトランスフェクトされ得る。
【0292】
抗CXCR5抗体は、任意の好適な方法によって精製され得る。かかる方法は、親和性マトリックスまたは疎水性相互作用クロマトグラフィーの使用を含むが、これらに限定されない。好適な親和性リガンドは、CDCP1 ECD及び抗体定常領域に結合するリガンドを含む。例えば、プロテインA、プロテインG、プロテインA/G、または、抗体親和性カラムは、定常領域に結合し、かつ抗CXCR5抗体を精製するために使用され得る。疎水性相互作用クロマトグラフィー、例えば、ブチルまたはフェニルカラムもまた、いくつかのポリペプチドを精製するのに好適であり得る。ポリペプチドを精製する多くの方法は、当該技術分野で既知である。
【0293】
いくつかの実施形態では、抗CDCP1抗体は、無細胞系において産生される。非限定的な例示的な細胞不含系は、例えば、Sitaraman et al.,Methods Mol.Biol.498:229-44(2009)、Spirin,Trends Biotechnol.22:538-45(2004)、Endo et al.,Biotechnol.Adv.21:695-713(2003)に記載される。
【0294】
薬物
開示されたCDCP1 ADCの調製に有用な薬物は、生物学的または検出可能な活性を有する任意の物質、例えば、治療剤、検出可能な標識、結合剤など、及びインビボで活性剤に代謝されるプロドラッグを含む。薬物はまた、薬物が本発明の抗体とのコンジュゲーションを可能にするように官能化されている薬物誘導体であり得る。
【0295】
治療剤は、細胞傷害性、細胞増殖抑制性、及び/またはがん細胞または活性化した免疫細胞に対する免疫調節効果を発揮する薬剤である。治療剤の例は、細胞傷害性剤、化学療法剤、細胞増殖抑制剤、及び免疫調節剤を含む。細胞傷害性効果は、標的細胞(複数可)の枯渇、排除及び/または殺滅を指す。細胞傷害性剤は、細胞に対する細胞傷害性及び/または細胞増殖抑制効果を有する薬剤を指す。細胞増殖抑制効果は、細胞増殖の阻害を指す。細胞増殖抑制剤は、細胞に細胞増殖抑制効果をもたらし、それによって細胞の特定のサブセットの増殖及び/または拡張を阻害する薬剤を指す。「化学療法剤」は、がんの治療において有用な化学化合物である薬剤を指す。免疫調節剤は、サイトカイン及び/または抗体の産生を通じた免疫応答を刺激し、及び/またはT細胞機能を調節し、それによって別の薬剤をより効果的にすることによって、細胞のサブセット(すなわち、腫瘍細胞)の増殖を直接的もしくは間接的に阻害または低減する薬剤を指す。
【0296】
開示された方法に従って、(a)CDCP1に結合する抗体もしくはその抗原結合断片、(b)リンカー、及び(c)薬物を有するCDCP1 ADCが、産生または生成され得る。薬物対抗体比率(DAR)または薬物負荷は、抗体あたりにコンジュゲートしている薬物(D)分子の数を示す。抗体に結合したリンカー-薬物部分の数は、ADCの開発に好ましい任意の数であり得る。いくつかの態様では、抗体あたりのリンカー-薬物部分の数は、4である。他の態様では、抗体あたりのリンカー-薬物部分の数は、3である。別の態様では、抗体あたりのリンカー-薬物部分の数は、2である。別の態様では、抗体あたりのリンカー-薬物部分の数は、1である。他の態様では、抗体あたりのリンカー-薬物部分の数は、抗体あたり5、6、7、8、9、10、11、12または12超などの、4超のリンカー-薬物部分である。DARは、UV分光法、質量分析法、ELISAアッセイ、放射分析法、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、電気泳動及びHPLCなどの様々な従来の手段によって測定され得る。
【0297】
細胞傷害性剤の例は、アントラサイクリン、アウリスタチン、CC-1065、ドラスタチン、デュオカルマイシン、エンジイン、ゲルダナマイシン、メイタンシン、ピューロマイシン、タキサン、ビンカアルカロイド、SN-38、ツブリシン、ヘミアステリン、及びそれらの立体異性体、アイソスター、類似体または誘導体を含むが、これらに限定されない。植物毒素、他の生物活性タンパク質、酵素(すなわち、ADEPT)、放射性同位元素、光増感剤(すなわち、光線力学療法用)もまた、使用され得る。
【0298】
アントラサイクリンは、細菌Strepomycesに由来し、白血病、リンパ腫、乳癌、子宮癌、卵巣癌、及び肺癌などの幅広いがんの治療するために使用されてきた。例示的なアントラサイクリンは、ダウノルビシン、ドキソルビシン(すなわち、アドリアマイシン)、エピルビシン、イダルビシン、バルルビシン、及びミトキサントロンを含むが、これらに限定されない。
【0299】
ドラスタチン及びそれらのペプチド類似体及び誘導体、アウリスタチンは、抗がん及び抗真菌活性を有することが示されている非常に強力な有糸分裂阻害剤である。例えば、米国特許第5,663,149号及びPettit et al.,Antimicrob.Agents Chemother.42:2961-2965,(1998)を参照されたい。例示的なドラスタチン及びアウリスタチンは、ドラスタチン10、アウリスタチンE、アウリスタチンEB(AEB)、アウリスタチンEFP(AEFP)、MMAD(モノメチルアウリスタチンDまたはモノメチルドラスタチン10)、MMAF(モノメチルアウリスタチンFまたはN-メチルバリン-バリン-ドライソロイイン-ドラプロイン-フェニルアラニン)、MMAE(モノメチルアウリスタチンEまたはN-メチルバリン-バリン-ドライソロイイン-ドラプロイン-ノルエフェドリン)、5-ベンゾイル吉草酸-AEエステル(AEVB)を含むが、これらに限定されない。
【0300】
いくつかの態様では、薬物/ペイロードは、アウリスタチンである。アウリスタチンは、チューブリン重合の阻害を通じて有糸分裂中の微小管の形成を阻害することによって細胞増殖を阻害する。PCT国際公開第WO2013/072813号は、その全体の参照により本明細書に組み込まれ、本発明のCDCP1 ADCにおいて有用であるアウリスタチンを開示し、アウリスタチンを産生する方法を提供する。アウリスタチンの非限定的な例は、構造
【0301】
【0302】
(2-メチルアラニル-/V-[(3 4S,5S)-3-メトキシ-1-{(2S)-2-[(1 2)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1 S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-/V-メチル-L-バリンアミド)、3377(N,2-ジメチルアラニル-N-{(1 S,2R)-4-{(2S)-2-[(1 R,2R)-3-{[(1 S)-1-カルボキシル-2-フェニルエチル]アミノ}-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-2-メトキシ-1-[(1 S)-1 -メチルプロピル]-4-オキソブチル}-N-メチル-L-バリンアミド)を有するペイロード0101(WO2013/072813において#54として命名される)、及び
構造
【0303】
【0304】
(2-メチル-L-proly-N-[(3R,4S,5S)-1-{(2S)-2-[(1 R,2R)-3-{[(1 S)-1-カルボキシ-2-フェニルエチル]アミノ}-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド)を有するペイロード0131(WO2013/072813において#118として命名される)を含む。
デュオカルマイシン及びCC-1065は、細胞傷害能力を有するDNAアルキル化剤として作用するCPIベースの単量体である。Boger and Johnson,PNAS 92:3642-3649,1995を参照されたい。例示的なドラスタチンは、(+)-ドカルマイシンA及び(+)-デュオカルマイシンSA及び(+)-CC-1065を含むが、これらに限定されない。
【0305】
いくつかの態様では、薬物/ペイロードは、CPIまたはCBI二量体である。CPI二量体は、鎖間DNA架橋及び強力な細胞傷害性を誘導する。PCT国際公開第WO2015/110935号は、その全体の参照により本明細書に組み込まれ、本発明のCDCP1 ADCを生成するのに有用であるCPI及びCBI二量体を開示し、CPI及びCBI二量体を産生する方法を提供する。CPI二量体の非限定的な例は、以下の構造を有するペイロードCPI-8314を含む。
【0306】
【0307】
エンジインは、9員環及び10員環のうちのいずれか、または共役三重-二重-三重結合の環系の存在によって特徴付けられる抗腫瘍細菌産物のクラスである。例示的なエンジインは、カリケアマイシン、エスペラミシン、及びダイネミシンを含むが、これらに限定されない。LL-E33288複合体、例えば、β-カリケアマイシン、γ-カリケアマイシンまたはN-アセチル-γ-カリケアマイシン(ガンマ-カリケアマイシン(γ1))とも呼ばれるカリケアマイシンは、土壌生物Micromonospora echinospora ssp.calichensisからの天然産物として最初に単離されたエンジイン抗生物質であり(Zein et al.,Science 27;240(4856):1198-1201,1988)、それは、二本鎖DNA切断を生成し、その後、標的細胞中でアポトーシスを誘導する(Zein et al.,Science 27;240(4856):1198-1201,1988、Nicolaou et al.,Chem.Biol.Sep;1(1):57-66,1994、Prokop et al.,Oncogene 22:9107-9120,2003)。ジスルフィド類似体は、N-アセチル-γ-カリケアマイシンジメチルヒドラジドである。
【0308】
ゲルダナマイシンは、Hsp90(熱ショックタンパク質90)に結合するベンゾキノンアンサマイシン抗生物質であり、抗腫瘍薬として使用されてきた。例示的なゲルダナマイシンは、17-AAG(17-N-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン)及び17-DMAG(17-ジメチルアミノエチルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン)を含むが、これらに限定されない。
【0309】
メイタンシンまたはその誘導体メイタンシノイドは、チューブリンの重合の阻害を通じて有糸分裂中の微小管形成を阻害することによって細胞増殖を阻害する。Remillard et al.,Science 189:1002-1005,1975を参照されたい。例示的なメイタンシン及びメイタンシノイドは、メルタンシン(DM1)及びその誘導体、同様にアンサミトシンを含むが、これらに限定されない。
【0310】
タキサンは、抗チューブリン剤または有糸分裂阻害剤として作用するジテルペンである。例示的なタキサンとは、パクリタキセル(例えば、タキソール(登録商標))及びドセタキセル(タキソテール(登録商標))に限定されるものでない。
【0311】
ビンカアルキロイドはまた、抗チューブリン剤である。例示的なビンカアルキロイドは、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、及びビノレルビンを含むが、これらに限定されない。
【0312】
本発明のいくつかの態様では、薬剤は、免疫調節剤である。免疫調節剤の例は、ガンシクロビル(gancyclovier)、エタネルセプト、タクロリムス、シロリムス、ボクロスポリン、シクロスポリン、ラパマイシン、シクロホスファミド、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル(mycophenolgate mofetil)、メトトレキサート(methotrextrate)、グルココルチコイド及びその類似体、サイトカイン、キサンチン、幹細胞増殖因子、リンホトキシン、腫瘍壊死因子(TNF)、造血因子、インターロイキン(例えば、インターロイキン-1(IL-1)、IL-2、IL-3、IL-6、IL-10、IL-12、IL-18、及びIL-21)、コロニー刺激因子(例えば、顆粒球-コロニー刺激因子(G-CSF)及び顆粒球マクロファージ-コロニー刺激因子(GM-CSF))、インターフェロン(例えば、インターフェロン-α、-β及び-γ)、「S1因子」と命名される幹細胞増殖因子、エリスロポイエチン及びトロンボポエチン、またはそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0313】
本発明において有用な免疫調節剤はまた、腫瘍に対するホルモン作用を遮断する抗ホルモン、及びサイトカイン産生を抑制するか、自己抗原発現を下方制御するか、またはMHC抗原をマスクする免疫抑制剤を含む。代表的な抗ホルモンは、例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、4(5)-イミダゾールを阻害するアロマターゼ、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY 117018、オナプリストン(onapnstone)、及びトレミフェンを含む抗エストロゲン、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、リュープロリド、ゴセレリンなどの抗アンドロゲン、ならびに抗副腎剤を含む。代表的な免疫抑制剤は、2-アミノ-6-アリール-5-置換ピリミジン、アザチオプリン、シクロホスファミド、ブロモクリプチン(bromocryptine)、ダナゾール、ダプソン、グルタルアルデヒド、MHC抗原及びMHC断片に対する抗イディオタイプ抗体、シクロスポリンA、グルココルチコステロイドなどのステロイド、サイトカインまたはサイトカイン受容体アンタゴニスト(例えば、抗インターフェロン抗体、抗IL10抗体、抗TNFα抗体、抗IL2抗体)、ストレプトキナーゼ、TGFβ、ラパマイシン、T細胞受容体、T細胞受容体断片、ならびにT細胞受容体抗体を含む。
【0314】
本発明のいくつかの態様では、薬物は、毒素、ホルモン、酵素、及び増殖因子を含むがこれらに限定されない治療用タンパク質である。
【0315】
毒素タンパク質(またはポリペプチド)の例は、ジフテリア(dipththeria)(例えば、ジフテリアA鎖)、Pseudomonas外毒素及び内毒素、リシン(例えば、リシンA鎖)、アブリン(例えば、アブリンA鎖)、モデッシン(modeccin)(例えば、モデッシンA鎖)、アルファ-サルシン(alpha-sarcin)、Aleurites fordiiタンパク質、ジアンチンタンパク質、リボヌクレアーゼ(RNase)、DNase I、ブドウ球菌エンテロトキシン-A、ヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン(gelonin)、ジフテリア(diphtherin)毒素、Phytolaca americanaタンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP-S)、ツルレイシ阻害剤、クルシン(curcin)、クロチン(crotin)、サボンソウ(sapaonaria officinalis)阻害剤、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン、エノマイシン、トリコテセン(tricothecene)、阻害剤シスチンノット(ICK)ペプチド(例えば、セラトトキシン(ceratotoxin))、ならびにコノトキシン(例えば、KIIIAまたはSmIIIa)を含むが、これらに限定されない。
【0316】
ホルモンの例は、エストロゲン、アンドロゲン、プロゲスチン及びコルチコステロイドを含むが、これらに限定されない。
【0317】
本発明のいくつかの態様では、薬物は、アンチセンスオリゴヌクレオチドなどのオリゴヌクレオチドである。
【0318】
本発明において有用な追加の薬物は、血管形成を阻害する抗血管新生剤、例えば、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、COX-2阻害剤、VEGF阻害剤、bFGF阻害剤、ステロイドスルファターゼ阻害剤(例えば、2-メトキシエストラジオールビススルファメート(2-MeOE2bisMATE))、インターロイキン-24、トロンボスポンジン、メタロスポンジン(metallospondin)タンパク質、クラスIインターフェロン、インターロイキン12、プロタミン、アンギオスタチン、ラミニン、エンドスタチン、及びプロラクチン断片を含む。
【0319】
抗増殖剤及びアポトーシス促進剤は、PPAR-ガンマの活性化因子(例えば、シクロペンテノンプロスタグランジン(cyPG))、レチノイド、トリテルペノイド(triterpinoid)(例えば、シクロアルタン、ルパン、ウルサン、オレアナン、フリエデラン(friedelane)、ダンマラン、ククルビタシン、及びリモノイドトリテルペノイド)、EGF受容体の阻害剤(例えば、HER4)、ラパマイシン(rampamycin)、CALCITRIOL(登録商標)(1,25-ジヒドロキシコレカルシフェロール(ビタミンD))、アロマターゼ阻害剤(FEMARA(登録商標)(レトロゾン(letrozone)))、テロメラーゼ阻害剤、鉄キレート剤(例えば、3-アミノピリジン-2-)カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾン(トリテルペン))、アポプチン(apoptin)(ウイルスタンパク質ニワトリ貧血(aneamia)ウイルスからの3-VP3-)、Bcl-2及びBcl-X(L)の阻害剤、TNF-アルファ、FASリガンド、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL/Apo2L)、TNF-アルファ/FASリガンド/TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL/Apo2L)、シグナル伝達の活性剤、及びPI3K-Akt生存経路シグナル伝達の阻害剤(例えば、UCN-01及びゲルダナマイシン)を含む。
【0320】
抗がん薬の例示的な例は、チオテパ及びシクロホスファミドなどのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファンなどのスルホン酸アルキル;ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、及びウレドーパ(uredopa)などのアジリジン(aziidine);アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、及びトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミン及びメチラメラミン(methylamelamine);クロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン(mechiorethamine)、メクロレタミン(mechiorethamine)オキシドヒドロクロリド、メルファラン、ノベムビチン(novembichin)、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;カムルスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチンなどのニトロソウレア(nitrosurea);アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアマイシン、カラビシン(carabicin)、カミノマイシン(caminomycin)、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシンなどの抗生物質、メトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU)などの代謝拮抗剤;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン(pteropterin)、トリメトレキサートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、5-EUなどのピリミジン類似体;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗副腎剤(anti-adrenal);フロリニン酸(frolinic acid)などの葉酸補給剤;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジクオン;エルフォルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダイニン(lonidainine);ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸(podophyllinic acid);2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン(triaziquone);2,2’,2’-トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol-Myers Squibb Oncology of Princeton,N.J.)及びドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Rhone-Poulenc Rorer of Antony,France);クロラムブシル(chiorambucil);ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチン及びカルボプラチンなどの白金類似体;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン(aininopterin);ゼローダ;イバンドロネート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸;エスペラミシン;ならびにカペシタビンを含む。
【0321】
本発明に従って使用され得る追加の治療剤は、光線力学療法のために、その全体の参照により本明細書に組み込まれる米国公開第20020197262号及び米国特許第5,952,329号などの光増感剤、その全体の参照により本明細書に組み込まれる米国公開第20030032995号などの温熱療法用の磁性粒子、ペプチド、リガンド、細胞接着リガンドなどの結合剤、ならびにホスフェート含有プロドラッグ、チオホスフェート含有プロドラッグ、スルフェート含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、β-ラクタム含有プロドラッグ、置換フェノキシアセトアミド含有プロドラッグまたは置換フェニルアセトアミド含有プロドラッグ、より活性な細胞傷害性遊離薬物に変換され得る、5-フルオロシトシン及び他の5-フルオロウリジンプロドラッグなどのプロドラッグを含む。
【0322】
抗CDCP1抗体を使用する診断方法のために、薬物は、インビトロまたはインビボでCDCP1発現腫瘍細胞の存在を検出するために使用される検出可能な標識を含み得る。シンチグラフィー、磁気共鳴画像法、または超音波を使用して検出可能であるものなどの、インビボで検出可能である放射性同位元素は、臨床診断用途において使用され得る。有用なシンチグラフィー標識は、陽電子エミッタ及びγエミッタを含む。磁気源画像法のための代表的な造影剤は、常磁性または超常磁性イオン(例えば、鉄、銅、マンガン、クロム、エルビウム、ユーロピウム、ジスプロシウム、ホルミウム、及びガドリニウム)、酸化鉄粒子、及び水溶性造影剤である。超音波検出のために、ガスまたは液体は、マイクロバブル造影剤として放出される多孔質無機粒子に閉じ込められ得る。インビトロ検出のために、有用な検出可能な標識は、フルオロフォア、検出可能なエピトープまたは結合剤、及び放射性標識を含む。
【0323】
したがって、本発明のいくつかの態様では、薬物は、造影剤(例えば、フルオロフォアまたはPET(陽電子放射断層撮影)標識、SPECT(単一光子放射断層撮影)標識)、またはMRI(磁気共鳴画像)標識である。
【0324】
本明細書で使用される際、「標識」という用語は、「標識された」抗体を生成するように抗体へ直接的もしくは間接的にコンジュゲートされる検出可能な化合物または組成物を指す。標識は、それ自体検出可能(例えば、放射性同位元素標識または蛍光標識)であり得るか、または酵素標識の場合、検出可能である基質化合物もしくは組成物の化学改変を触媒し得る。検出可能な標識として機能し得る放射性核種は、例えば、I-131、I-123、I-125、Y-90、Re-188、Re-186、At-211、Cu-67、Bi-212、及びPd-109を含む。標識はまた、毒素などの検出不可能な実態であり得る。
【0325】
フルオロフォアの例は、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)(例えば、5-FITC)、フルオレセインアミダイト(FAM)(例えば、5-FAM)、エオシン、カルボキシフルオレセイン、エリスロシン、Alexa Fluor(登録商標)(例えば、Alexa 350、405、430、488、500、514、532、546、555、568、594、610、633、647、660、680、700、または750)、カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)(例えば、5-TAMRA)、テトラメチルローダミン(TMR)、及びスルホローダミン(SR)(例えば、SR101)を含むが、これらに限定されない。
【0326】
治療用または診断用の放射性同位元素または他の標識(例えば、PETまたはSPECT標識)は、本明細書に記載されるような抗CDCP1抗体へのコンジュゲーションのために薬剤に組み込まれ得る。同位体は、例えば、抗体に存在するシステイン残基で抗体に直接結合することができ、またはキレート剤を使用して、抗体と放射性同位体の結合を媒介することができる。放射線療法に好適な放射性同位元素は、αエミッタ、βエミッタ、及びオージェ電子を含むが、これらに限定されない。診断用途のために、有用な放射性同位元素は、陽電子エミッタ及びγエミッタを含む。本発明の抗CDCP1抗体は、抗体の検出または治療効果を促進するために、例えば、抗体のチロシン残基上でさらにヨウ素化され得る。
【0327】
放射性同位元素または他の標識の例は、3H、11C、13N、14C、15N、15O、35S、18F、32P、33P、47Sc、51Cr、57Co、58Co、59Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、75Se、76Br、77Br、86Y、89Zr、90Y、94Tc、95Ru、97Ru、99Tc、103Ru、105Rh、105Ru、107Hg、109Pd、111Ag、111In、113In、121Te、122Te、123I、124I、125I、125Te、126I、131I、131In、133I、142Pr、143Pr、153Pb、153Sm、161Tb、165Tm、166Dy、166H、167Tm、168Tm、169Yb、177Lu、186Re、188Re、189Re、197Pt、198Au、199Au、201Tl、203Hg、211At、212Bi、212Pb、213Bi、223Ra、224Ac、及び225Acを含むが、これらに限定されない。
【0328】
リンカー
本発明のCDCP1 ADCは、薬物を抗体に直接的もしくは間接的に連結またはコンジュゲートするためのリンカーを使用して調製され得る。リンカーは、薬物及び抗体を連結してADCを形成する二機能性化合物である。かかるADCは、特定の抗原またはタンパク質に結合する抗体を介した薬物の選択的送達を可能にする。好適なリンカーは、例えば、切断可能かつ切断不可能なリンカーを含む。切断可能なリンカーは、典型的には、特定の細胞内及び細胞外条件による薬物の切断及び放出の影響を受けやすい。コンジュゲートされた薬物が細胞内で抗体から切断され得る主な機構は、リソソーム(ヒドラゾン、アセタール、及びシス-アコニテート(aconitate)様アミド)の酸性pHにおける加水分解、リソソーム酵素(カテプシン及び他のリソソーム酵素)によるペプチド切断、及びジスルフィドの還元を含む。コンジュゲートされた薬物は、カテプシンなどの腫瘍微小環境(TME)におけるプロテアーゼによって細胞外で抗体から切断され得る。切断のためのこれらの様々な機構の結果として、薬物を抗体に連結する機構もまた大きく異なり、任意の好適なリンカーが使用され得る。
【0329】
好適なリンカーは、任意の切断可能なリンカーを含み得る。いくつかの態様では、好適なリンカーは、バリン-シトルリン(val-cit)リンカー、フェニルアラニン-リジン(phe-lys)リンカー、マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-p-アミノベンジルオキシカルボニルリンカー、もしくは6-マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-p-アミノベンジルカルバメート(mc-val-cit-PABCまたはvc)リンカーを含むか、またはトランスグルタミナーゼベースのコンジュゲーション技術に好適な、N~2~-アセチル-L-リジル-L-バリル-L-シトルリン-p-アミノベンジルオキシカルボニル-N,N’-ジメチルアミノエチル-CO-リンカーなどの追加の犠牲要素に結合したジペプチドを含む。別の態様では、好適なリンカーは、スルファニルピリジン(ジS)リンカー及び2-(ピリジン-2-イルジスルファニル)エチルカルバモイル(ジS-C2OCO)リンカーなどのジスルフィドリンカーを含む。別の態様では、リンカーは、マレイミドカプロイル(mc)、マレイミド-ヘプタノイル(me)及びマレイミド-Peg6C2(MalPeg6C2)などの切断不可能なリンカーであり得る。他の態様では、好適なリンカーは、ヒドラゾンリンカーなどの、特定のpHまたはpH範囲で加水分解可能なリンカーを含む。
【0330】
リンカーは、例えば、リンカー上に存在するマレイミドまたはハロアセトアミドの、抗体上に存在する天然または操作されたシステイン残基との反応によって、チオエステル結合を通じて抗体に共有結合し得る。別の態様では、リンカーは、例えば、リンカー上に存在するN-ヒドロキシ-スクシンイミド活性化カルボン酸のリジン残基の遊離アミンとの反応によって、抗体上に存在するリジン残基へのアミド結合を通じて抗体に共有結合し得る。別の態様では、リンカーは、例えば、グルタミン残基の側鎖アミドを有するリンカー上に存在する第一級アミンから新しいアミド結合を作成するトランスグルタミナーゼ酵素によって触媒される酵素反応によって、存在するグルタミン残基の側鎖へのアミド結合を通じて抗体に共有結合し得るか、または抗体へと操作され得る。
【0331】
いくつかの態様では、リンカーは、バリン-シトルリン(val-cit)、6-マレイミドカプロイル(mc)、メトキシ-ポリエチレングリコールマレイミド6(MalPeg6)、p-アミノベンジルカルバメート(PABC)、ジメチルアミノエタノール(DMAE)、マレイミドプロパノイル(MP)、加水分解ペグ-マレイミド、アラニン-フェニルアラニン(ala-phe)、p-アミノベンジルオキシカルボニル(PAB)、N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルチオ)ペンタノエート(SPP)、N-スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1カルボキシレート(SMCC)、N-スクシンイミジル(4-ヨード-アセチル)アミノベンゾエート(SIAB)、6-マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-p-アミノベンジルオキシカルボニル(mc-val-cit-PAB)、及び6-マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-p-アミノベンジルカルバメート(mc-val-cit-PABCまたはvc)からなる群から選択される。
【0332】
いくつかの実施形態では、リンカーは、Ac-Lys-Gly(アセチル-リジン-グリシン)、アミノカプロン酸、Ac-Lys-p-Ala(アセチル-リジン-p-アラニン)、アミノ-PEG2(ポリエチレングリコール)-C2、アミノ-PEG3-C2、アミノ-PEG6-C2(またはアミノPEG6-プロピオニル)、Ac-Lys-Val-Cit-PABC(アセチル-リジン-バリン-シトルリン-p-アミノベンジルオキシカルボニル)、アミノ-PEG6-C2-Val-Cit-PABC、アミノカプロイル-Val-Cit-PABC、[(3R,5R)-1-{3-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]プロパノイル}ピペリジン-3,5-ジイル]ビス-Val-Cit-PABC、[(3S,5S)-1-{3-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]プロパノイル}ピペリジン-3,5-ジイル]ビス-Val-Cit-PABC、プトレシン、及びAc-Lys-プトレシンからなる群から選択される。
【0333】
いくつかの実施形態では、リンカーは、
「mc-val-cit-PABC」または以下の構造を有する「vc」リンカーである:
【0334】
【0335】
いくつかの実施形態では、リンカーは、アミノ-PEG6-C2(またはアミノPEG6-プロピオニル)である。
【0336】
いくつかの実施形態では、抗体薬物コンジュゲートは、本明細書に記載される抗CDCP1抗体を含み、抗体は、抗体上の1つ以上の操作されたシステイン残基を介してリンカー-薬物部分にコンジュゲートされる。リンカーは、本明細書に記載されるリンカーのうちのいずれかから選択され得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、バリン-シトルリン(val-cit)、6-マレイミドカプロイル(mc)、メトキシ-ポリエチレングリコールマレイミド6(MalPeg6)、p-アミノベンジルカルバメート(PABC)、ジメチルアミノエタノール(DMAE)、マレイミドプロパノイル(MP)、加水分解ペグ-マレイミド、アラニン-フェニルアラニン(ala-phe)、p-アミノベンジルオキシカルボニル(PAB)、N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルチオ)ペンタノエート(SPP)、N-スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1カルボキシレート(SMCC)、N-スクシンイミジル(4-ヨード-アセチル)アミノベンゾエート(SIAB)、6-マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-p-アミノベンジルオキシカルボニル(mc-val-cit-PAB)、及び6-マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-p-アミノベンジルカルバメート(mc-val-cit-PABCまたはvc)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、リンカーは、mc-val-cit-PABCである。いくつかの実施形態では、薬物部分は、アウリスタチンである。いくつかの実施形態では、薬物部分は、0101または0131である。
【0337】
いくつかの態様では、本発明は、抗体上の1つ以上の操作されたシステイン残基を介してリンカー-薬物部分にコンジュゲートされた抗体またはその抗原結合断片を含む、抗体薬物コンジュゲートを提供し、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号33のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号38のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、リンカー-薬物部分は、mc-val-cit-PABC-0101である。
【0338】
いくつかの態様では、本発明は、抗体上の1つ以上の操作されたシステイン残基を介してリンカー-薬物部分にコンジュゲートされた抗体またはその抗原結合断片を含む、抗体薬物コンジュゲートを提供し、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号33のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号34のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、リンカー-薬物部分は、mc-val-cit-PABC-0101である。
【0339】
いくつかの実施形態では、抗体薬物コンジュゲートは、本明細書に記載される抗CDCP1抗体を含み、抗体は、抗体上の特定の部位で操作されるアシルドナーグルタミン含有タグを使用してリンカー薬物にコンジュゲートされる。リンカーは、本明細書に記載されるリンカーのうちのいずれかから選択され得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、Ac-Lys-Gly(アセチル-リジン-グリシン)、アミノカプロン酸、Ac-Lys-p-Ala(アセチル-リジン-p-アラニン)、アミノ-PEG2(ポリエチレングリコール)-C2、アミノ-PEG3-C2、アミノ-PEG6-C2(またはアミノPEG6-プロピオニル)、Ac-Lys-Val-Cit-PABC(アセチル-リジン-バリン-シトルリン-p-アミノベンジルオキシカルボニル)、アミノ-PEG6-C2-Val-Cit-PABC、アミノカプロイル-Val-Cit-PABC、[(3R,5R)-1-{3-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]プロパノイル}ピペリジン-3,5-ジイル]ビス-Val-Cit-PABC、[(3S,5S)-1-{3-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]プロパノイル}ピペリジン-3,5-ジイル]ビス-Val-Cit-PABC、プトレシン、及びAc-Lys-プトレシンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、リンカーは、アミノ-PEG6-プロピオニル(すなわち、アミノ-PEG6-C2またはAMPeg6C2)である。いくつかの実施形態では、薬物部分は、アウリスタチンである。いくつかの実施形態では、薬物部分は、0101または0131である。
【0340】
いくつかの態様では、本発明は、抗体上の特定の部位で操作されたアシルドナーグルタミン含有タグを使用してリンカー-薬物部分にコンジュゲートされた抗体またはその抗原結合断片を含む、抗体薬物コンジュゲートを提供し、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号35のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号37のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、リンカー-薬物部分は、アミノPEG6-プロピオニル-0131(すなわち、AmPeg6C2-0131)である。
【0341】
いくつかの態様では、本発明は、抗体上の1つ以上の操作されたシステイン残基を介してリンカー-薬物部分にコンジュゲートされた抗体またはその抗原結合断片を含む、抗体薬物コンジュゲートを提供し、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号35のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号32のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、リンカー-薬物部分は、アミノPEG6-プロピオニル-0131(すなわち、AmPeg6C2-0131)である。
【0342】
ADCの生成のための最適な反応条件は、温度、pH、リンカー-ペイロード部分の入力、添加剤濃度などの反応変数の変動によって経験的に決定され得る。他の薬物のコンジュゲーションに好適な条件は、過度の実験なく当業者によって決定され得る。CDCP1 ADCをコンジュゲート及び特徴付けするための代表的な方法は、実施例17及び18に記載される。
【0343】
コンジュゲーションに続いて、コンジュゲートは、分離され、コンジュゲートしていない反応物及び/またはコンジュゲートの凝集形態から精製され、従来の方法によって特徴付けられる。これは、限定されないが、質量分析、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)限外濾過/透析濾過、イオン交換クロマトグラフィー(IEC)、クロマトフォーカシング(CF)、部位指向性変異誘発、蛍光標識、X線結晶構造解析、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)、高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)、セファクリルS-200クロマトグラフィーまたは疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)などのプロセスを含む。好適なHIC媒体は、フェニルセファロース6Fast Flowクロマトグラフィー培地、ブチルセファロース4Fast Flowクロマトグラフィー培地、オクチルセファロース4Fast Flowクロマトグラフィー培地、Toyopearlエーテル-650Mクロマトグラフィー培地、Macro-PrepメチルHIC培地またはMacro-Prep t-ブチルHIC培地を含むが、これらに限定されない。
【0344】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるような抗体薬物コンジュゲートは、少なくとも60℃、少なくとも65℃、少なくとも70℃、少なくとも75℃、少なくとも80℃、少なくとも85℃または少なくとも90℃超の融解転移温度を有する。いくつかの実施形態では、抗体薬物コンジュゲートは、約65℃超の融解転移温度を有する。
【0345】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるような抗体薬物コンジュゲートは、約50nM、約48nM、約46nM、約45nM、約44nM、約42nM、または約40nM以下のKD値でpH7.4でCDCP1に結合する。いくつかの実施形態では、抗体薬物コンジュゲートは、約70nM、約68nM、約66nM、約65nM、約64nM、約62nM、または約60nM以下のKD値でpH6.8でCDCP1に結合する。
【0346】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるような抗体薬物コンジュゲートは、約20000pM、約15000pM、約10000pM、約9500pM、8000pM、7000pM、6000pM、5000pM、4000pM、3000pM、2000pM、1000pM、900pM、800pM、700pM、650pM、600pM、500pM、400pM、300pM、250pM、200pM、または100pM以下の最大半量阻害濃度(IC50)値を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるような抗体薬物コンジュゲートは、約100pM、約90pM、約80pM、約70pM、約60pM、約50pM、約40pm、約30pM、約20pM、約10pM、約9pM、約8pM、約7pM、約6pM、約5pM、約4pM、約3pM、約2pM、または約1pM以下のIC50値を有する。いくつかの実施形態では、IC50値は、CDCP1発現細胞において決定される。
【0347】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるような抗体薬物コンジュゲートは、NSCLC PDXモデルにおける未治療対照における平均腫瘍体積と比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%平均腫瘍体積を低減する。いくつかの実施形態では、抗体薬物コンジュゲートは、頭頸部癌患者由来異種移植モデルにおける未治療対照における平均腫瘍体積と比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%平均腫瘍体積を低減する。
【0348】
CDCP1特異的抗体及びADCの使用
本発明の抗CDCP1抗体及びCDCP1 ADCは、治療的治療方法及び診断的治療方法を含むがこれらに限定されない様々な用途において有用である。
【0349】
いくつかの態様では、本発明は、対象におけるCDCP1発現に関連する状態を治療するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、対象におけるCDCP1発現に関連する状態を治療する方法は、本明細書に記載されるようなCDCP1抗体またはCDCP1抗体コンジュゲートを含む組成物(例えば、薬学的組成物)の有効量をそれを必要とする対象に投与することを含む。CDCP1発現に関連する状態は、異常な(abnormal)CDCP1発現、改変されたもしくは異常な(aberrant)CDCP1発現、CDCP1を発現する悪性細胞、及び増殖性障害(例えば、がん)、自己免疫障害、炎症性疾患、または感染性疾患を含むが、これらに限定されない。
【0350】
したがって、いくつかの態様では、本発明は、本明細書に記載されるような抗CDCP1抗体またはCDCP1抗体コンジュゲートを含む組成物(または抗CDCP1抗体もしくはCDCP1抗体薬物コンジュゲートを含む薬学的組成物)の有効量を、がん、自己免疫疾患、炎症性疾患、または感染性疾患の治療を必要とする対象に投与することを含む、それを必要とする対象においてそれを行う方法を提供する。
【0351】
本発明は、腫瘍細胞が表面上にCDCP1を発現し、周囲の非腫瘍組織が検出可能な細胞表面CDCP1をほとんどまたは全く発現しない腫瘍を治療する方法を提供する。方法は、CDCP1に特異的に結合し、細胞によって内在化される抗体またはその抗原結合断片を投与することを含む。好ましくは、抗体またはその抗原結合断片は、細胞傷害性ペイロードを含む抗体薬物コンジュゲートである。いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、CDCP1は、それがチロシン734(P-734-tyr)でリン酸化され、配列番号が配列番号90を参照しているという点で活性化されている。さらにより好ましくは、かついかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、方法は、低酸素環境内にない腫瘍にないCDCP1よりも高いレベルでCDCP1がTyr734でリン酸化されるように、低酸素環境内の腫瘍を治療することを含む。かかる腫瘍は、とりわけ、肺癌腫瘍及び頭頸部癌腫瘍を含む。当業者は、本明細書の教示が提供されると、低酸素環境及び/または他の点では同一の腫瘍もしくは組織よりも大きなレベルのP-tyr-734に関連する任意の腫瘍が、本発明の抗体及び/またはADCを使用して治療され得ることを理解するであろう。
【0352】
がん
がんまたは腫瘍は、細胞の制御されない増殖及び/または異常な増加した細胞生存及び/または身体の器官及び系の正常な機能を妨げるアポトーシスの阻害を指す。良性及び悪性癌、ポリープ、過形成、同様に休止状態の腫瘍または微小転移が、含まれる。また、免疫系によって妨害されない異常な増殖を有する細胞(例えば、ウイルス感染した細胞)も、含まれる。がんは、原発性癌または転移性癌であり得る。原発性癌は、臨床的に検出可能となる発生部位でのがん細胞の面積であり得、原発性腫瘍であり得る。対照的に、転移性癌は、1つの器官または部分から別の隣接していない器官または部分への疾患の拡散であり得る。転移性癌は、局所領域における周囲の正常組織に浸透及び浸潤する能力を獲得し、局所転移であり得る新しい腫瘍を形成するがん細胞によって引き起こされ得る。がんはまた、リンパ管及び/または血管の壁に浸透する能力を獲得するがん細胞によって引き起こされ得、その後、がん細胞は、体内の他の部位及び組織に血流を通じて循環する(それによって循環腫瘍細胞となる)ことが可能である。がんは、リンパ系または血行性拡散などのプロセスが原因となり得る。がんはまた、別の部位で休止し、管または壁を通じて再浸透し、増殖し続け、別の臨床的に検出可能な腫瘍を最終的に形成する腫瘍細胞によって引き起こされ得る。がんは、この新しい腫瘍であり得、転移性(または続発性)腫瘍であり得る。
【0353】
がんは、転移した腫瘍細胞によって引き起こされ得、続発性または転移性腫瘍であり得る。腫瘍の細胞は、元の腫瘍のもののようであり得る。例として、乳癌または結癌が肝臓に転移した場合、続発性腫瘍は、肝臓に存在する一方で、異常な肝臓細胞でなく、異常な乳癌または結腸細胞で構成される。したがって、肝臓における腫瘍は、肝臓癌ではなく、転移性乳癌または転移性結腸癌であり得る。がんは、任意の組織からの起源を有し得る。がんは、黒色腫、結腸、乳房、または前立腺起源であり得、したがって、元々それぞれ皮膚、結腸、乳房、または前立腺組織であった細胞から構成され得る。がんはまた、血液学的悪性腫瘍であり得、白血病またはリンパ腫であり得る。がんは、肝臓、肺、膀胱、または腸などの組織に浸潤し得る。
【0354】
いくつかの実施形態では、CDCP1のノックダウンは、P38、細胞外シグナル制御性キナーゼ1(ERK1及び2)、Junがん原遺伝子(JUNアイソフォーム1、2及び3)、AKTセリン/トレオニンキナーゼ1(AKTアイソフォーム1、2、及び3)、AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)、シグナル伝達兼転写活性化因子(STAT2)、STAT5 A/B、コリン/エタノールアミンキナーゼ(CHK-2)、及びMETがん原遺伝子、受容体チロシンキナーゼ(MET)の上方制御をもたらす。
【0355】
一態様では、本開示は、(a)変異体LKB1及び/またはKRASの量について腫瘍試料を評価することと、(b)変異体LKB1及び/またはKRASの量が参照試料よりも多い場合、がん患者にCDCP1に結合する薬剤を投与することと、を含む、がんの治療を必要とする患者においてがんを治療するための方法を提供する。
【0356】
一態様では、本開示は、腫瘍の試料において変異体LKB1及び/またはKRASタンパク質または遺伝子の存在、不在、または量を決定することを含む、該腫瘍がCDCP1に結合する薬剤での治療に応答するかどうかを決定する方法を提供し、それによって変異体LKB1及び/またはKRASの存在、あるいは参照試料に対する変異体LKB1及び/またはKRASタンパク質または遺伝子の増加した量は、CDCP1に結合する薬剤での治療に応答する可能性を示している。
【0357】
一態様では、本開示は、(a)標的細胞上のCDCP1に結合し、それが標的細胞上のCDCP1に接触する際に内在化される薬剤を選択することと、(b)がん患者に薬剤を投与することと、を含む、がんの治療を必要とする患者においてがんを治療するための方法を提供し、CDCP1に結合する薬剤は、CDCP1を活性化する抗体であり、PPP4R2調節剤にコンジュゲートされる。
【0358】
一態様では、本開示は、(a)CDCP1に結合する薬剤がCDCP1を活性化しない抗体である、CDCP1に結合する薬剤を投与することと、(b)PARGを調節する薬剤を投与することと、を含む、がんの治療を必要とする患者においてがんを治療するための方法を提供する。
【0359】
本発明の代表的ながん及び/または腫瘍は、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳及び中枢神経系癌、乳癌、腹膜癌、子宮頸癌、絨毛癌、大腸癌、結合組織癌、消化器系癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌(gastric cancer)(胃腸癌を含む)、神経膠芽腫、肝癌、肝細胞腫、上皮内新生物、腎臓または腎癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌(唇、舌、口、及び咽頭)、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系癌、唾液腺癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮癌、胃癌(stomach cancer)、精巣癌、甲状腺癌、子宮または子宮内膜癌、泌尿器系癌、外陰癌、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、同様にB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞NHL、巨大腫瘤病変NHL、マントル細胞リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、及びワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症を含む、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄芽球性白血病、同様に他の癌腫及び肉腫、ならびに移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、同様に母斑症、浮腫に関連する異常な血管増殖(脳腫瘍に関連するものなど)、ならびにメグズ症候群を含むが、これらに限定されない。
【0360】
いくつかの実施形態では、がんは、肺癌である。いくつかの実施形態では、がんサブタイプは、SCLC、NSCLC、または中皮腫である。一態様では、本開示は、患者にCDCP1に結合する薬剤を投与することを含む、肺癌の治療を必要とする患者において肺癌を治療する方法を提供し、肺癌はAKT活性化によって特徴付けられ、CDCP1に結合する薬剤はCDCP1活性化剤である。
【0361】
いくつかの実施形態では、がんは、前立腺癌である。一態様では、本開示は、患者にCDCP1に結合する薬剤を投与することを含む、前立腺癌の治療を必要とする患者において前立腺癌を治療する方法を提供し、前立腺癌はAKT活性化によって特徴付けられ、CDCP1に結合する薬剤はCDCP1活性化剤である。
【0362】
いくつかの実施形態では、がんは、頭頸部癌である。
【0363】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、増殖性障害、例えば、がん(例えば、NSCLC、前立腺癌または頭頸部癌)を有する対象の予後を決定することを提供する。予後は、例えば、それぞれ、短縮した生存または延長した生存によって測定される、予後不良または予後良好であり得る。さらに、生存は、全生存期間(OS)、無病生存期間(DFS)、または無再発生存期間(RFS)として測定され得る。がんは、原発性または再発性であり得、任意の型(上記のような)、ステージ(例えば、ステージI、II、III、もしくはIVまたは他の病期分類システムの同等物)及び/または組織学のものであり得る。患者は、任意の年齢、性別、全身状態、及び/または寛解の程度及び持続時間のものであり得る。
【0364】
いくつかの実施形態では、CDCP1のノックダウンは、HCKがん原遺伝子、接着斑キナーゼ(FAK)、p70S6K、及びホスホリパーゼCガンマ1(PLCγ1)の下方制御をもたらす。
【0365】
いくつかの実施形態では、がんは、膀胱癌でない。
【0366】
併用療法/コンジュゲーション薬剤
本明細書に記載されるように、本発明は、様々な実施形態では、本発明のコンジュゲートの一部であり得るか、または本発明に包含される様々な併用療法の文脈において使用され得る抗腫瘍剤に関する。
【0367】
併用療法は、抗体-薬物コンジュゲート、及び特定の治療レジメンの一部としての別の治療剤の投与を含み、任意選択で、これらの治療剤の共動から有益な効果を提供するように意図された維持相を含む。併用の有益な効果は、治療剤の併用により生じる薬物動態学的または薬力学的な共動を含むが、これらに限定されない。併用した治療剤の投与は、典型的には、定義された時間(通常、選択される併用に応じて、分、時間、日、または週)行われる。併用療法は、一般に、本発明の組み合わせを偶発的かつ恣意的にもたらす別個の単剤療法レジメンの一部として、これらの治療剤のうちの2つ以上の投与を包含するように意図されない。
【0368】
併用療法は、これらの治療剤の連続的方式での投与を包含し、つまり、各治療剤は、これらの治療剤、または治療剤のうちの少なくとも2つの投与と同様に、実質的に同時的方式で、異なる時点で投与される。各治療剤の連続的または実質的に同時的投与は、経口経路、静脈内経路、筋肉内経路、皮下経路、及び粘膜組織を通じた直接吸収を含むがこれらに限定されない、任意の適切な経路によって行われ得る。治療剤は、同じ経路によって、または異なる経路によって投与され得る。例えば、第1の治療剤(例えば、化学療法剤)は経口投与され得、第2の薬剤(例えば、ADC)は静脈内投与され得る。例えば、選択された併用の第1の治療剤は静脈内注射によって投与され得、一方で、併用の他の治療剤は経口投与され得る。代替的には、例えば、治療剤の両方は、静脈内または皮下注射によって投与され得る。
【0369】
本開示では、連続的という用語は、別段明記されない限り、規則的な配列または順序によって特徴付けられ、例えば、投薬レジメンがADC及び化学療法剤の投与を含む場合、連続的投薬レジメンは、化学療法剤の投与の前、同時、実質的に同時、または後のADCの投与を含み得るが、両方の薬剤は、規則的な配列または順序で投与されるであろう。分離するという用語は、別段明記されない限り、一方を他方から離しておくことを意味する。同時にという用語は、別段明記されない限り、同時に起こるか、または行われることを意味し、すなわち、本発明の化合物は同時に投与される。実質的に同時にという用語は、化合物が互いに数分以内に(例えば、互いに10分以内に)投与されることを意味し、継続的投与同様に継続投与を包含するように意図されるが、投与が継続的である場合、それは短期の時間(例えば、開業医が2つの化合物を別々に投与するのにかかであろう時間)にのみ分離される。本明細書で使用される場合、同時投与及び実質的に同時的投与は、交換可能に使用される。連続投与は、ADC及び化学療法剤の時間的に分離した投与を指す。
【0370】
いくつかの実施形態では、化学療法剤は、チオテパ及びCYTOXANシクロホスファミドなどのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファンなどのスルホン酸アルキル;ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、及びウレドーパなどのアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、及びトリメチローロメラミンを含むエチレンイミン及びメチラメラミン;アセトゲニン(例えば、ブラタシン及びブラタシノン);カンプトテシン(合成類似体トポテカンを含む);ブリオスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン、及びビゼレシン合成類似体を含む);クリプトフィシン(例えば、クリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体、KW-2189及びCB 1-TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチイン;スポンギスタチン;クロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシドヒドロクロリド、メルファラン、ノベムビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;カムルスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムスチンなどのニトロソウレア;エンジイン抗生物質(例えば、特に、カリケアマイシンガンマ11及びカリケアマイシンオメガ11(例えば、Agnew,Chem.Intl.Ed.Engl.,33:183-186(1994)を参照されたい);ダイネミシンAを含むダイネミシン;クロドロネートなどのビスホスホネート;エスペラミシン;同様にネオカルチノスタチンクロモフォア及び関連する色素タンパク質エンジイン抗生物質クロモフォア)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン(carabicin)、カミノマイシン(caminomycin)、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ADRIAMYCINドキソルビシン(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシンなどの抗生物質;メトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU)などの代謝拮抗剤;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン(pteropterin)、トリメトレキサートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジンなどのピリミジン類似体;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗副腎剤(anti-adrenal);フロリニン酸(frolinic acid)などの葉酸補給剤;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジクオン;エルフォルミチン(elformithine);酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダイニン(lonidainine);マイタンシン及びアンサミトシンなどのメイタンシノイド(maytansinoid);ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール(mopidanmol);ニトラエリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸(podophyllinic acid);2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK多糖複合体(JHS Natural Products,Eugene,Oreg.);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフラン(sizofuran);スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン(triaziquone);2,2’,2”-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(例えば、T-2毒素、ベラクリン(verracurin)A、ロリジンA及びアングイジン(anguidine));ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、TAXOLパクリタキセル、パクリタキセルのABRAXANEクレモフォールフリーのアルブミン操作ナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners,Schaumberg,111.)、及びTAXOTEREドセタキセル(Rhone-Poulenc Rorer,Antony,France);クロランブシル(chloranbucil);GEMZARゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチン、オキサリプラチン、及びカルボプラチンなどの白金類似体;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;NAVELBINEビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;イリノテカン(Camptosar、CPT-11)(5-FU及びロイコボリンを用いるイリノテカンの治療レジメンを含む);トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド;カペシタビン;コンブレタスタチン;ロイコボリン(LV);オキサリプラチン治療レジメン(FOLFOX)を含むオキサリプラチン;ラパチニブ(Tykerb);細胞増殖を低減するPKC-α、Raf、H-Ras、EGFR(例えば、エルロチニブ(Tarceva)、及びVEGFの阻害剤、ならびに上記のうちのいずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体から選択される。
【0371】
いくつかの実施形態では、抗腫瘍剤は、細胞傷害性薬剤である。いくつかの実施形態では、細胞傷害性剤は、メトトレキサート、アミノプテリン、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシルデカルバジン;メクロレタミン、チオエパクロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)、マイトマイシンC、ロムスチン(CCNU)、1-メチルニトロソウレア、シクロホスファミド、メクロレタミン、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、シス-ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン及びカルボプラチン(パラプラチン)などのアルキル化剤;ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、デトルビシン、カルミノマイシン、イダルビシン、エピルビシン、ミトキサントロン、及びビサントレンを含むアントラサイクリン;ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ブレオマイシン、カリケアマイシン、ミトラマイシン、及びアントラマイシン(AMC)を含む抗生物質;ビンカアルカロイド、ビンクリスチン、ビンブラスチンなどの抗有糸分裂剤、ならびにそれらの混合物から選択される。
【0372】
いくつかの実施形態では、細胞傷害性剤は、パクリタキセル(タキソール)、リシン、シュードモナス外毒素、ゲムシタビン、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、エトポシド、テノポシド、コルヒチン、ジヒドロキシアントラシンジオン、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ピューロマイシン、プロカルバジン、ヒドロキシ尿素、及びそれらの混合物から選択される。
【0373】
いくつかの実施形態では、本組成物及び方法は、例えば、様々ながんの治療において、チェックポイント阻害剤と併用した使用を見いだす。例えば、本組成物及び方法は、例えば、同じものに対する患者の応答を改善することによって、(例えば、非応答者を応答者に変換すること、及び/または治療応答の大きさを増加させること、及び/または治療応答に必要な用量もしくはレジメンを低減すること、及び/またはチェックポイント阻害剤ベースのがん治療の1つ以上の副作用を低減することによって)チェックポイント阻害剤ベースのがん療法を補足し得る。
【0374】
いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害剤は、TIM-3、BTLA、PD-1、CTLA-4、B7-H4、GITR、ガレクチン-9、HVEM、PD-L1、PD-L2、B7-H3、CD244、CD160、TIGIT、SIRPα、ICOS、CD172a、及びTMIGD2のうちの1つを標的とする薬剤である。
【0375】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント免疫療法剤は、PD-1を調節する。いくつかの実施形態では、PD-1を標的とする薬剤は、任意選択で、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、及びピジリズマブから選択される、PD-1に特異的である抗体またはその抗原結合部分である。いくつかの実施形態では、PD-1に特異的な抗体またはその抗原結合部分は、ニボルマブであり、2週間ごとに240mgで投与され得る。いくつかの実施形態では、PD-1に特異的である抗体またはその抗原結合部分は、ペムブロリズマブであり、3週間ごとに200mgで投与され得る。いくつかの実施形態では、PD-1に特異的である抗体またはその抗原結合部分は、ピジリズマブであり、3週間ごとに200mgで投与され得る。
【0376】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント免疫療法剤は、PD-L1を調節する。いくつかの実施形態では、PD-L1を調節する薬剤は、PD-L1に特異的である抗体またはその抗原結合部分である。いくつかの実施形態では、PD-L1に特異的である抗体またはその抗原結合部分は、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、及びBMS-936559から選択される。いくつかの実施形態では、PD-L1に特異的である抗体またはその抗原結合部分は、BMS-936559であり、2週間ごとに0.1mg/kgで投与され得る。いくつかの実施形態では、PD-L1に特異的である抗体またはその抗原結合部分は、アテゾリズマブであり、3週間ごとに1200mgで投与され得る。いくつかの実施形態では、PD-L1に特異的である抗体またはその抗原結合部分は、アベルマブであり、2週間ごとに10mg/kgで投与され得る。いくつかの実施形態では、PD-L1に特異的である抗体またはその抗原結合部分は、デュルバルマブであり、2週間ごとに10mg/kgで投与され得る。
【0377】
いくつかの実施形態では、CTLA-4を標的とする薬剤は、任意選択で、イピリムマブ及びトレメリムマブから選択される、CTLA-4に特異的である抗体またはその抗原結合部分である。いくつかの実施形態では、CTLA-4に特異的である抗体またはその抗原結合部分は、トレメリムマブであり、3mg/kg、6mg/kgまたは10mg/kgで投与され得る。いくつかの実施形態では、CTLA-4に特異的である抗体またはその抗原結合部分は、イピリムマブであり、12週間5mg/mLで投与され得る。
【0378】
CDCP1及び低酸素誘導因子2α(HIF-2α)
CDCP1は、転移の過程及び転移の離れた部位での細胞の生存において重要な役割を果たし、酸素欠乏(低酸素)の条件下で独自の役割を実証する。したがって、CDCP1がSrcファミリーメンバーの活性化と、プロテインキナーゼCデルタ(PKC-δ)のリン酸化及び制御へのSFK活性化の共役に関与する生化学的経路がある。低酸素は、フォンヒッペルリンドウ(VHL)依存的HIF-α分解を遮断することによって低酸素誘導因子HIF-1α及びHIF-2αの上昇を引き起こす。HIFは2つの塩基性らせん-ループ-らせん/PASタンパク質、HIF-α及びアリール炭化水素核トランスロケーター(ARNTまたはHIF-β)のヘテロ二量体である。HIF-α及びARNTサブユニットは、遍在的に発現しているが、αサブユニットは、正常な酸素(5~21%O2)の条件下では不安定である。低酸素条件下(0.5~5%O2)では、HIF-αサブユニットは安定化され、ARNTと二量体化し、核に移行し、その後、標的遺伝子内の低酸素応答要素(HRE)に結合する。HIF転写の中で、標的は、グルコース代謝、血管新生、及び転移に関与する遺伝子であり、それによってHIF媒介性転写を腫瘍形成に密接に結び付けている。HIF-1α及びHIF-2αは、いくつもの原発性及び転移性のヒトがんにおいて過剰発現している。
【0379】
いくつかの実施形態では、抗腫瘍剤は、低酸素誘導因子-2(HIF-2)阻害剤である。いくつかの実施形態では、HIF-2阻害剤は、PT2385及びPT2977から選択される。
【0380】
いくつかの実施形態では、抗腫瘍剤は、任意選択で、KX2-391、ボスチニブ、サラカチニブ、及びダサチニブから選択されるSrc阻害剤でない。いくつかの実施形態では、がんは、低酸素によって特徴付けられる腫瘍である。
【0381】
薬学的組成物
本発明は、抗CDCP1抗体、その抗原結合断片、または本明細書に開示されるCDCP1 ADCのうちのいずれか、及び薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物をさらに提供する。さらに、組成物は、本明細書に開示される2つ以上の抗CDCP1抗体及び2つ以上のCDCP1 ADCを含み得る。
【0382】
本発明の組成物は、凍結乾燥製剤または水溶液の形態にある、薬学的に許容される担体、賦形剤、または安定剤(Remington:The Science and practice of Pharmacy 21st Ed.,2005,Lippincott Williams and Wilkins,Ed.K.E.Hoover)をさらに含み得る。許容される担体、賦形剤、または安定剤は、投薬量及び濃度でレシピエントに対して非毒性であり、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース、もしくはデキストランを含む他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;ショ糖、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);及び/またはTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)、もしくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含む。本明細書に使用される場合、「薬学的に許容される塩」という用語は、分子または高分子の薬学的に許容される有機塩または無機塩を指す。
【0383】
本開示の別の実施形態は、変異体LKB1及び/またはKRASの量が参照試料よりも高い場合、がん患者におけるCDCP1に結合する薬剤を含む、薬学的組成物または薬学的組成物の使用である。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、CDCP1に結合しAKT活性化によって特徴付けられる薬剤、またはCDCP1活性化剤である薬剤を含む。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、CDCP1を活性化し、PPP4R2にコンジュゲートする薬剤を含む。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、標的細胞上のCDCP1に結合し、それが標的細胞上のCDCP1に接触する際に内在化される薬剤を含む。臨床的用途が企図される場合、薬学的組成物は、意図された用途に適切な形態で調製され得る。一般に、このことは、パイロジェン、同様にヒトまたは動物に有害であり得る他の不純物を本質的に含まない組成物を調製することを伴うであろう。
【0384】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、本開示の薬剤、及び薬学的に許容される担体を含む。有効な用量は、有益なまたは所望の臨床結果に影響を与えるのに十分な量である。
【0385】
有益なまたは所望の臨床結果は、とりわけ、腫瘍サイズ及び/または腫瘍増殖の低減及び/または小分子もしくはペプチド剤の投与なしで観察されるものと比較したがんの存在に関連しているがんマーカーの低減を含み得る。有益なまたは所望の臨床結果はまた、とりわけ、小分子またはペプチド剤の投与なしで観察されるものと比較した、がんの低減に関連しているマーカーの増加した存在を含み得る。また、有益なまたは所望の臨床結果に含まれるのは、とりわけ、阻害剤の投与なしで観察されるものと比較した、がん病因に関連するマーカーを含む遺伝子の増加した量である。がん病因に関連するマーカーを含む遺伝子は、TIM-3、BTLA、PD-1、CTLA-4、B7-H4、GITR、ガレクチン-9、HVEM、PD-L1、PD-L2、B7-H3、CD244、CD160、TIGIT、SIRPα、ICOS、CD172a、及びTMIGD2などの免疫チェックポイント遺伝子を含み得る。
【0386】
がん病因に関連するマーカーを含む遺伝子は、例えば、HIF-2阻害剤を含み得る。
【0387】
投薬及び投与
一般に、適切な塩及び緩衝液を用いて、送達ビヒクルを安定させ、標的細胞による取り込みを可能にすることが、望まれるであろう。本発明の水性組成物は、薬学的に許容される担体または水性媒体に溶解または分散した本発明の薬剤(例えば、リポソームまたは他の複合体または発現ベクター)を含む送達ビヒクルの有効量を含む。薬学的にまたは薬理的に許容されるという語句は、動物またはヒトに投与される際に、有害、アレルギー、または他の不都合な反応を生じない分子実体及び組成物を指す。本明細書で使用される場合、薬学的に許容される担体は、ヒトへの投与に好適な医薬品などの医薬品を調製することにおける使用のために許容される、溶媒、緩衝液、溶液、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などを含む。薬剤的活性物質のためのかかる媒体及び薬剤の使用は、当該技術分野で周知である。任意の従来の媒体または薬剤が本発明の活性成分と不適合性である限りを除いて、治療用組成物におけるその使用が、企図される。補足的な活性成分もまた、それらが組成物のベクターまたはポリヌクレオチドを不活化しないという条件で、組成物に組み込まれ得る。
【0388】
本開示の活性組成物は、古典的な薬学的調製物を含み得る。本発明に従うこれらの組成物の投与は、標的組織がその経路を介して利用可能であるような任意の一般的な経路を介したものであり得る。これは、口腔、経鼻、または頬側を含む。代替的には、投与は、腫瘍内、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内もしくは静脈内注射によるか、またはがん組織への直接注射によるものであり得る。本明細書に開示される薬剤はまた、カテーテル系によって投与され得る。かかる組成物は、通常、本明細書に記載されるような薬学的に許容される組成物として投与されるであろう。
【0389】
製剤化時に、溶液は、投薬製剤に適合した方式で、かつ治療上有効であるような量で、投与され得る。製剤は、注射液、薬物放出カプセルなどの多様な剤形で容易に投与され得る。水溶液における非経口投与のために、例えば、溶液は、一般に、好適に緩衝化され、液体希釈剤は、最初に、例えば、十分な生理食塩水またはグルコースで等張にされる。かかる水溶液は、例えば、腫瘍内、静脈内、筋肉内、皮下及び腹腔内投与のために使用され得る。好ましくは、滅菌水性媒体は、特に本開示に照らして、当業者に既知であるように用いられる。例示によって、単回用量は、1mlの等張NaCl溶液に溶解され得、1000mlの皮下輸液に添加されるか、または注入の提案された部位に注射されるかのいずれかであり得る(例えば、内容が参照により本明細書に組み込まれるRemington’s Pharmaceutical Sciences,15th Edition,pages 1035-1038及び1570-1580を参照されたい)。投薬量におけるいくらかの変動は、治療されている対象の状態に応じて必然的に生じるであろう。投与を担当する者が、いずれにせよ、個々の対象に適切な用量を決定するであろう。さらに、ヒト投与のために、調製物は、FDA Office of Biologics基準によって必要とされるような、無菌性、発熱性、一般的安全性及び純度の基準を満たすべきである。
【0390】
いくつかの実施形態では、第1及び第2の薬剤は、いずれかの順序(例えば、第1の次に第2または第2の次に第1)または同時に投与され得る。
【0391】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載される薬剤と、少なくとも1つの他のがん生物学的、治療的、化学療法的もしくは薬物であるか、またはそれらを含む第2の薬剤と、を含む。
【0392】
いくつかの実施形態では、本開示の薬剤は、約1日~約12か月の期間などの、任意の好適な期間にわたって投与され得る。いくつかの実施形態では、例えば、投与の期間は、約1日~90日、約1日~60日、約1日~30日、約1日~20日、約1日~10日、約1日~7日であり得る。いくつかの実施形態では、投与の期間は、約1週間~50週間、約1週間~40週間、約1週間~30週間、約1週間~24週間、約1週間~20週間、約1週間~16週間、約1週間~12週間、約1週間~8週間、約1週間~4週間、約1週間~3週間、約1週間~2週間、約2週間~3週間、約2週間~4週間、約2週間~6週間、約2週間~8週間、約3週間~8週間、約3週間~12週間、または約4週間~20週間であり得る。
【0393】
いくつかの実施形態では、本開示の薬剤は、毎日、隔日、毎週、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間、17週間、18週間、19週間ごと、もしくは20週間ごと、または毎月投与される。
【0394】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物または薬剤の治療有効量は、日あたり約0.01mg/kg~日あたり約10mg/kgであり得る。いくつかの実施形態では、投薬量は、約0.1mg/kg、0.5mg/kg、1mg/kg、1.5mg/kg、3mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7.5mg/kg、または約10mg/kgの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、用量は、約0.1mg/日~約5mg/kg、約0.1mg/日~約10mg/kg、約0.1mg/日~約20mg/kg、約0.1mg~約30mg/kg、または約0.1mg~約40mg/kgの範囲にあるであろう。
【0395】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物または薬剤の治療有効量は、約0.1mg~約50mg/kgであり得るか、または、単回用量、分割用量、または連続用量にあり得る(患者のkgでの体重、m2での体表面積、及び年での年齢年に対して調整され得る)。
【0396】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物または薬剤の治療有効量は、約1mg/kg~約1000mg/kg、約5mg/kg~約950mg/kg、約10mg/kg~約900mg/kg、約15mg/kg~約850mg/kg、約20mg/kg~約800mg/kg、約25mg/kg~約750mg/kg、約30mg/kg~約700mg/kg、約35mg/kg~約650mg/kg、約40mg/kg~約600mg/kg、約45mg/kg~約550mg/kg、約50mg/kg~約500mg/kg、約55mg/kg~約450mg/kg、約60mg/kg~約400mg/kg、約65mg/kg~約350mg/kg、約70mg/kg~約300mg/kg、約75mg/kg~約250mg/kg、約80mg/kg~約200mg/kg、約85mg/kg~約150mg/kg、及び約90mg/kg~約100mg/kgであり得る。
【0397】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物または薬剤の治療有効量は、0.01mg/kg~約500mg/kg、例えば、約0.1mg/kg~約200mg/kg(約100mg/kgなどの)、または約0.1mg/kg~約10mg/kg(約0.1mg/kg、0.5mg/kg、1mg/kg、1.5mg/kg、3mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7.5mg/kg、または約10mg/kgなどの)。
【0398】
本開示のキット
本発明はまた、変異体LKB1及び/またはKRASの量が参照試料よりも高い場合がん患者におけるCDCP1に結合する薬剤などの、本明細書に記載される任意の薬剤の投与を簡略化できるキットを提供する。いくつかの実施形態では、薬剤は、CDCP1に結合し、AKT活性化によって特徴付けられるか、または薬剤は、CDCP1活性化薬剤である。いくつかの実施形態では、薬剤は、CDCP1を活性化し、PPP4R2調節剤にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、CDCP1に結合する薬剤は、PARG調節剤にコンジュゲートされる。
【0399】
本発明の例示的なキットは、単位剤形で本明細書に記載される任意の組成物を含む。いくつかの実施形態では、単位剤形は、本明細書に記載される任意の薬剤、及び薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、またはビヒクルを含む、無菌であり得る予め充填されたシリンジなどの容器である。キットは、本明細書に記載される任意の薬剤の使用を指示するラベルまたは印刷された説明書をさらに含むことができる。キットは、開瞼器、局所麻酔剤、及び投与位置に対する洗浄剤をさらに含み得る。キットは、本明細書に記載される生物学的、治療的、化学療法的または薬物などの1つ以上の追加の薬剤をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、キットは、本発明の組成物の有効量、及び本明細書に記載されるものなどの別の組成物の有効量を含む容器を含む。
【実施例】
【0400】
本発明は、以下の実験例を参照して詳細にさらに記載される。これらの例は、例示のみを目的として提供され、別段明記されない限り、限定するように意図されない。したがって、本発明は、決して以下の例に限定されるように解釈されるべきではなく、むしろ、本明細書で提供される教示の結果として明らかになる任意かつ全ての変形例を包含するように解釈されるべきである。
【0401】
実施例1:ヒト患者腫瘍におけるCDCP1発現
CDCP1発現を、ヒト腫瘍マイクロアレイにおける免疫組織化学によって評価した。腫瘍組織を、施設内審査委員会が承認した手順の下でドナーによって署名されたインフォームドコンセント文書に従って回収及び分析した。腫瘍コア(1.5mm~2.0mm直径)をホルマリン固定パラフィン包埋患者腫瘍試料から取得し、マイクロアレイを標準的方法を使用してパラフィンブロックに構築した。切片を、5μmの厚さで切断し、スライドガラスにマウントし、免疫組織化学のために加工した。スライドを、Epitope Retrieval Solution 2(AR9640;Leica Biosystems,Buffalo Grove,IL)で前治療して抗原部位を露出させ、その後に過酸化物ブロック、非特異的抗体結合を最小限に抑えるタンパク質ブロック、一次後のポリマー試薬、DAB色原体検出システム、及びヘマトキシリン対比染色を含む、修正されたBond Polymer Refine(DS9800;Leica Biosystems,Buffalo Grove,IL)検出プロトコルを使用してCDCP1を標識することが続いた。CDCP1タンパク質を、Leica Bond Primary Antibody Diluent(AR9352;Leica Biosystems,Buffalo Grove,IL)に1:100で希釈したウサギ抗CDCP1抗体(Cell Signaling Technologies、カタログ#4115)を使用して細胞膜上で検出した。
【0402】
スライドを、光学顕微鏡を使用して病理医によって染色について評価して、半定量的Hスコアを決定した。Hスコアを、各主観的染色強度について膜染色を有する腫瘍細胞の推定パーセンテージにその強度値(0=負、1=低い、2=中間、3=高い)を乗じ、次いで、合計スコアについて全ての積を足し合わせることによって計算した。例えば、細胞の50%が陽性に染色され全て中間の強度であり、一方で他方の50%が染色されていない腫瘍は、100のHスコアを有するであろう([50×0]+[0x1]+[50×2]+[0×3]=100)。Hスコア値が高いほど、膜染色強度及び/またはその試料中の標的タンパク質の分布が大きくなる。解釈を容易にするために、標的タンパク質発現について、201~300の範囲のスコアは高く、101~200の範囲では中程度、1~100の範囲では低いと恣意的に見なされる。
【0403】
表1は、評価された多数の腫瘍の結果を示す。CDCP1発現は、アッセイされた全ての腫瘍型において認められた。Hスコアは、多数の独立した原発性ヒト腫瘍に与えられる。異なる患者試料は、与えられた識別子(NSCLCと省略される非小細胞肺癌)によって示される。患者に直接由来する腫瘍の平均スコアは、易感染性マウスにおいて増殖したヒト腫瘍(PDX腫瘍、以下を参照されたい)からのものよりも低い傾向にあった。マウスとヒトとの間で異なる腫瘍増殖速度、腫瘍微小環境の種の違い、試料の取り扱い及び加工の違いを含む、この発見に対する複数の可能な説明がある。これらの違いにもかかわらず、アッセイされたがんの型について、マウスがんモデル及びヒト腫瘍の両方において見られるHスコア間の顕著な重複がある。
【0404】
【0405】
【0406】
【0407】
実施例2:患者由来異種移植(PDX)腫瘍におけるCDCP1発現
CDCP1発現を、マウスから抽出された患者由来異種移植(PDX)腫瘍における免疫組織化学によって調査した。腫瘍を、ホルマリン固定パラフィン包埋組織に対する標準的方法を使用して加工した。切片を、5μmの厚さで切断し、スライドガラスにマウントし、免疫組織化学のために加工した。スライドを、Epitope Retrieval Solution 2(AR9640;Leica Biosystems,Buffalo Grove,IL)で前治療して抗原部位を露出させ、その後に過酸化物ブロック、非特異的抗体結合を最小限に抑えるタンパク質ブロック、一次後のポリマー試薬、DAB色原体検出システム、及びヘマトキシリン対比染色を含む、修正されたBond Polymer Refine(DS9800;Leica Biosystems,Buffalo Grove,IL)検出プロトコルを使用してCDCP1を標識することが続いた。CDCP1タンパク質を、Leica Bond Primary Antibody Diluent(AR9352;Leica Biosystems,Buffalo Grove,IL)に1:100希釈したウサギ抗CDCP1抗体(Cell Signaling Technologies、カタログ#4115)を使用して細胞膜上で検出した。
【0408】
スライドは、光学顕微鏡を使用して病理医によって染色について評価されて、実施例1に記載されるようにマイクロアレイにおける各コアに対するHスコアを決定した。表2は、上記の方法によってアッセイされた多数のPDX腫瘍の結果を示す。Hスコアは、多数の独立したPDX腫瘍からの腫瘍に与えられる。異なる系統は、PDX識別子によって示される(非小細胞肺癌はNSCLCと省略され、一方で、小細胞肺癌はSCLCと省略される)。CDCP1発現は、アッセイされた全ての腫瘍型において認められた。最高の平均スコアは卵巣癌モデルに関連し、一方で、最高の絶対スコアは卵巣癌及び非小細胞肺癌(NSCLC)に関連していた。全体として考えると、モデルの31.6%が高発現カテゴリーに、61.4%が中程度に、7%が低いものに分類される。これらのデータは、CDCP1を特異的に標的とする薬剤に応答する可能性し得る広範囲の腫瘍を示唆する。
【0409】
【0410】
【0411】
実施例3:ヒトがん細胞株及び初代細胞上でのCDCP1の発現
CDCP1タンパク質発現を、定量的蛍光フローサイトメトリーによってPC3(前立腺癌)、H1299(非小細胞肺癌)、SCC-25(頭頸部癌)、H2009(肺腺癌)、PE/CA-PJ-49(口腔扁平上皮細胞癌)、及び原発性ヒト大動脈平滑筋細胞(HuAoSMC)を含む広範囲のヒトがん及び正常細胞株の表面上で特徴付けた。これを達成するために、抗CDCP1抗体CP13E10-54HC-89LCv1を、製造業者の推奨プロトコルに従ってAlexa Fluor 647抗体標識キット(ThermoFisher Scientific #A20186)を使用して蛍光色素、Alexa 647と直接コンジュゲートさせることによる検出試薬として使用した。付着細胞を、非酵素的細胞解離緩衝液(Life Technologies#13150-016)を使用して解離させ、FACS緩衝液(ハンクス平衡塩類溶液、2%FBS、25mM HEPES、2mM EDTA)中で洗浄し、最終的に5μg/mLのAlexa 647コンジュゲートしたCP13E10-54HC-89LCv1と7-AAD生存色素とを含んだ染色液に再懸濁させた。バックグラウンド対照として調製された細胞について、染色緩衝液は、Alexa 647コンジュゲートしたCP13E10-54HC-89LCv1を省略し、7-AAD生存色素のみを含有した。染色された細胞を、洗浄し、FACS緩衝液に再懸濁させ、直ちにBD FACSDiva(商標)ソフトウェアを使用してBD FACSAria機器で取得した。7-AAD染色に対して陽性の死細胞をゲートアウトし、APCチャネルにおけるAlexa 647陽性細胞の背景差分された幾何学的平均蛍光強度(gMFI)をFlowJoソフトウェアを使用して決定した。
【0412】
CDCP1レベルを、Bangs Laboratories Quantum A647 MESFキット(カタログ#647)の使用を通じ、続いて製造業者の推奨プロトコルに従って、背景差分されたgMFIから計算した。簡潔には、ブランクビーズ及びMESF(同等の可溶性蛍光色素の分子)ビーズを、それぞれPBSに希釈し、染色された細胞と同じ日に同じ蛍光設定で実行して、キットと共に提供された定量的分析テンプレート(QuickCal)を使用して検量線を確立した。背景差分されたgMFI値を、検量線上で特定して、各細胞株に対するMESF単位を決定した。MESF単位を、Alexa 647コンジュゲートしたCP13E10-54HC-89LCv1抗体のF/P(フルオロフォア対タンパク質)比率でさらに除して、細胞あたりのCDCP1分子の数を計算した(表面露出した分子のみ)。この方法によってアッセイされた細胞株は、12814分子/細胞の最低値(HuAoSMC)から233567分子/細胞の最高値(PC3)の発現の範囲を示した(表3)。
【表3】
【0413】
実施例4:多発性癌におけるCDCP1の発現とリン酸化の関与
膜貫通タンパク質CDCP1はSrc及びPKCδに関連し、CDCP1が活性化する際、全ての3つのタンパク質はチロシンリン酸化の増加を示す。Tyr-734は、Src及びSrcファミリーキナーゼによってリン酸化される部位として特定されている。CDCP1発現の生物情報学分析は、以下、多発性腫瘍型(乳房、結腸、膵臓、膀胱、腎臓、卵巣、肺)におけるCDCP1発現レベルが対応する正常組織におけるものよりも高く、高レベルのCDCP1発現が肺腺癌におけるより短い患者生存を予測し、高レベルのCDCP1が大腸癌の5年再発率の増加と関連し、CDCP1チロシンリン酸化が転移性の状況において不良なアウトカムを有することが知られているトリプルネガティブ乳癌においてより高くなることを含む、がん転移及び減少した患者生存におけるCDCP1の関与を示す。加えて、異なるレベルのCDCP1発現は、明細胞腎細胞癌を有する患者において測定され、高レベルのCDCP1発現を有する患者の生存率(Kaplan-Meierプロット)が低レベルのCDCP1を有するものよりも短いことを決定した。肺癌細胞におけるCDCP1のチロシンリン酸化は、正常組織において見いだされるものよりも大きいことが示されており、以前の研究に記載された。ヒト肺癌腫瘍試料におけるタンパク質のチロシンリン酸化の相関分析は以前に示され、CDCP1のチロシンリン酸化と複数のSFKとの間に強い正の相関があることが見いだされた。同様に、ヒト非小細胞肺癌(NSCLC)細胞株ならびに活性化したKRAS及び/または不活化されたLKB1腫瘍変異を有するマウスは、高レベルのリン酸化CDCP1及びSFKを示した。
【0414】
HIF-2α及びCDCP1発現は、CDCP1が低酸素誘導因子2α(HIF-2α)の標的遺伝子であるため、低酸素レベルに曝露された細胞における腫瘍転移を促進することにおいて重要な役割を果たし得る。低酸素はHIF-2αの発現ならびにCDCP1及びSrcの活性化を引き起こし、HIF-2αの安定的ノックダウンは低酸素によるCDCP1及びSrcのチロシンリン酸化を遮断する。HIF-2αを過剰発現A375がん細胞のマウスへの注射は対照のA375細胞よりも大きな腫瘍の形成を生み出すことが示されており、高レベルのHIF-2αを有する腫瘍もまた増強したCDCP1タンパク質発現を含む。特に、HIF-2α及びCDCP1発現は、低酸素によって調節されることが知られておりHIF-2α標的遺伝子である、上皮増殖因子受容体(EGFR)及びMet肝細胞増殖因子受容体と強い相関を示す。
【0415】
CDCP1の発現を、サンガープロジェクトにおける790のがん細胞株のプロファイルにおける45の最も一般的な腫瘍抑制遺伝子及びがん原遺伝子にわたって野生型及び変異体細胞において比較した。野生型細胞と比較して変異体において顕著に高いCDCP1発現を示した2つの遺伝子は、KRAS及びLKB1であった(
図1)。KRASにおける強い相関は、CDCP1の過剰発現が発がん性KRASによって引き起こされ得ることを示唆した。ヒト臨床データは、KRAS+LKB1変異体腫瘍が変異体KRAS単独を有する腫瘍よりもはるかに高い転移率を有し、KRAS+LKB1変異体腫瘍が最も悪い臨床的アウトカムを有するサブグループであることを示す。
【0416】
実施例5:がんにおける治療標的としてのCDCP1の検証
肺癌におけるCDCP1についての役割を文書化することに特に焦点を当てることで、抗CDCP1治療剤の開発における最初のステップに情報を提供した。したがって、転移性腫瘍における治療標的としてCDCP1を検証し、将来の精密医療戦略に関連する情報を導き出すための最初のステップとして、マウスにおけるNSCLC細胞の異種移植腫瘍におけるCDCP1をサイレンシングする効果を決定するための実験を、行った。
【0417】
より良い臨床的関連性を取得するために、転移性肺癌の同所性異種移植モデルを、確立した。腫瘍を、A549細胞(ルシフェラーゼ及びshRNAを有する)の皮下接種によってマウスにおいて最初に開始した。腫瘍の小片を、採取し、他のマウスの肺に入れ、ドキシサイクリンで治療した。肺腫瘍は対照shRNAを有するA549細胞を有するマウスにおいて発生したが、CDCP1がCDCP1特異的shRNAを含むA549細胞においてサイレンシングされると、腫瘍増殖は遮断された。
【0418】
別の実験では、H2009 NSCLC細胞を、ルシフェラーゼ及びshRNAと共にマウスの皮下に接種した(
図2)。腫瘍が確立するまで(約100cm
3)治療を開始せず、その後、マウスにドキシサイクリン固形飼料を給餌した。3~4週間後、腫瘍のサイズ及び重量の大幅な低減は、CDCP1特異的shRNAを有する細胞を接種されたドキシサイクリン治療マウスにおいてあったが、対照shRNAを含む細胞を接種されたマウスにおいてはなかった。これらの研究は、CDCP1発現のサイレンシングが確立された腫瘍のサイズを低減できることを実証した。これらのインビボ実験は、CDCP1が転移した腫瘍の増殖及び生存を促進することを確立し、腫瘍増殖及び確立した腫瘍のサイズを低減するための治療標的としてCDCP1を検証した。
【0419】
実施例6:抗CDCP1抗体の選択
抗CDCP1 scFvを、M13バクテリオファージ上に表示されたファージミドベースのヒトscFvナイーブ抗体ライブラリから選択した。選択は、ストレプトアビジンコーティングされた磁気ビーズ上に固定化された、ビオチン化したヒト及びマウスのCDCP1細胞外ドメイン(ECD;ヒト、RefSeq NP_073753.3、アミノ酸1-663;マウス、RefSeq NP_598735.2、アミノ酸1-667)へのファージ結合に基づいていた。ヒト、マウス、及びカニクイザルCDCP1 ECD(カニクイザル;RefSeq XP_005546930.1、アミノ酸30-663)を、6-ヒスチジン精製タグでそれらのN末端上に融合させ、HEK293哺乳動物細胞培養物において一過性に発現させ、Ni-NTA親和性クロマトグラフィーによって精製し、EZ-連結NHS-PEG4-ビオチン(Thermo Pierce)で化学的にビオチン化した。
【0420】
選択されたファージプールの増幅が後に続く3ラウンドのファージディスプレイ選択を、3ラウンド全てでヒトCDCP1 ECDを使用するか、またはヒト-マウス-ヒト(HmH)CDCP1 ECDを交互に使用して行った。3回目のラウンドの後、2400の個々のコロニー由来培養物を増殖させ、培養上清またはペリプラズム細菌抽出物を、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって、ヒト、マウス、及びカニクイザルCDCP1 ECD結合についてスクリーニングした。285の陽性ELISAクローンがあり、261がヒトCDCP1 ECDに結合し、184がマウスCDCP1 ECDに結合し、228がカニクイザルCDCP1 ECDに結合した。ELISA陽性クローンを、細胞表面にCDCP1を発現するヒト腫瘍細胞株H1299への結合を評価するフローサイトメトリーアッセイによってさらに特徴付けた。このアッセイにおいて特定された全てのバインダーについて、ファージミドDNAのscFv領域を配列決定して、独自のクローンを決定した。配列決定は、82の独自のscFv配列を特定し、そのうち48がカニクイザル、マウス、及びヒトのCDCP1 ECDに結合した。これらのクローンを、ヒトIgG1に再編成し、ヒト腫瘍細胞インビトロ毒性(二次試薬として抗ヒト抗体毒素コンジュゲートを使用する)及び細胞ベースの生化学的結合アッセイに基づいて優先順位付けした。このプロセスは、本明細書に記載される合理的な操作によってさらなる最適化のために選択されたCP13E10として知られる候補を特定した。
【0421】
CP13E10抗体の重鎖及び軽鎖可変ドメインは、それぞれ配列番号1及び11に定められ、重鎖及び軽鎖は、それぞれ配列番号10及び17に定められる。この評価プロセスによって特定された追加の候補は、抗体23、抗体24、及び抗体76である。抗体23の重鎖及び軽鎖可変ドメインは、それぞれ配列番号47及び52に定められ、重鎖及び軽鎖は、それぞれ配列番号51及び58に定められる。抗体24の重鎖及び軽鎖可変ドメインは、それぞれ配列番号59及び65に定められ、重鎖及び軽鎖は、それぞれ配列番号64及び70に定められる。抗体76の重鎖及び軽鎖可変ドメインは、それぞれ配列番号47及び71に定められ、重鎖及び軽鎖は、それぞれ配列番号51及び74に定められる。
【0422】
実施例7:抗CDCP1抗体の最適化
抗CDCP1抗体CP13E10のマルチパラメトリック最適化を、合理的設計操作を使用して促進した。CDCP1-ECDと複合体形成したCP13E10 Fabの構造を、1.9Åの分解能で解析し、CDCP1結合特性を維持しながら改善した生物物理学的特性を有するCP13E10バリアントの特定を可能にする合理的なファージディスプレイライブラリを設計するために使用した。CP13E10抗体の疎水性を低減させて、3つの点変異(Y(H100)H、W(H100C)H、Y(H100H)H)をCP13E10 CDRH3(CP13E10-34バリアント)に組み込むことによって、抗体薬物コンジュゲート(ADC)を産生するための効率的なコンジュゲーションプロセスを促進した。特徴付けのためのタンパク質を、抗CP13E10-34抗体バリアント及び親CP13E10抗体をコードするDNAをHEK-293細胞に一過性にトランスフェクトすることによって生成し、得られたタンパク質を、プロテインA親和性精製し、G-25カラムを使用してPBS-CMF pH7.2に緩衝液交換した。Y(H100)H、W(H100C)H、Y(H100H)Hを保有する得られたCP13E10-34抗体バリアントは、溶出時間に基づく相対的な疎水性ランキングを可能にする1.5Mから0Mへの硫酸アンモニウム勾配溶出を用いるTSKgelブチル-NPRクロマトグラフィーカラムを利用する分析的疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)法によって検出されるように、顕著に低減した疎水性を呈した。CP13E10抗体は、高い疎水性と相関する48.63分の溶出時間でヒトIgGプール溶出エンベロープ対照の外側に溶出し、一方で、3つのCDRH3点変異(Y(H100)H、W(H100C)H、Y(H100H)H)を保有するCP13E10は、ヒトIgGプール溶出エンベロープ対照プロファイル内であった28.42分の溶出時間を有した(
図3~4)。
【0423】
CP13E10-34バリアントは、親CP13E10抗体よりも顕著に低い疎水性であるが、これらのCDRH3変異の組み込みは、レポーター抗体としてビオチン化したCP13E10抗体を用いた競合蛍光活性化セルソーティング(FACS)アッセイを使用することによって評価された、前立腺癌(PC3)細胞の表面上に発現したCDCP1への7倍超低い結合をもたらした(
図5)。具体的には、CDCP1結合特性を、レポーター抗体としてビオチン化したCP13E10抗体を用いた競合FACSアッセイを使用して、CP13E10抗体バリアントについて評価して、CP13E10変異体が、PC3細胞上で発現したCDCP1抗原への結合についてこの野生型CP13E10抗体と効果的に競合できるかどうかを決定した。この競合FACSアッセイのために、親抗CDCP1 CP13E10レポーター抗体を、製造業者のプロトコルに従って20:1のモル共役比率でEZ連結スルホ-NHS-ビオチンスルホスクシンイミドビオチン(Thermo/Pierce、カタログ番号21217)を使用してビオチン化した。このアッセイのためのタンパク質を、抗CDCP1 CP13E10バリアント及び親CP13E10抗体をコードするDNAをHEK-293細胞に一過性にトランスフェクトすることによって生成し、得られたタンパク質を、プロテインA親和性精製し、G-25カラムを使用してPBS-CMF pH7.2に緩衝液交換した。この競合FACSアッセイ手順のために、PC3細胞を、細胞解離緩衝液(Gibco、カタログ番号13151-014)を使用してフラスコから脱離し、氷冷FACS緩衝液(PBS-CMF pH7.2+3%FBS+0.1%アジ化ナトリウム)で1回洗浄し、50μl緩衝液中の2.5×10
5個の細胞を、96ウェルV底プレート(Corning カタログ番号3894)中の各ウェルに添加したFACS緩衝液中で1.5μg/mLに希釈したビオチン化したCP13E10抗体を、異なる濃度の抗CDCP1 CP13E10バリアントまたは陽性対照としての親(WT)CP13E10抗体と混合し、試料を、細胞を含むプレートに添加し、氷上で1時間インキュベートした。次に、細胞を、FACS緩衝液で2回洗浄した。1:200希釈されたストレプトアビジン-PE(Invitrogen/eBioscience カタログ番号12-4317-87)を、添加し、室温で30分間インキュベートした。細胞を、FACS緩衝液で2回洗浄し、100μlのBD Cytofix(BD Biosciences カタログ番号554655)を各ウェルに添加することによって、氷上で15分間固定した。細胞を、FACS緩衝液で2回洗浄した。蛍光強度を、BD FACS CANTO IIを使用して決定し、結果が
図5に示される。Y(H100)H、W(H100C)H、Y(H100H)Hを保有するCP13E10-34バリアントへのCDRH3点変異V(H97)Eの組み込みは、親CP13E10抗体のものに対するこのバリアントCP13E10-54のCDCP1結合特性を回復した(
図5)。これらのデータは、V(H97)Eの重鎖CDR3への組み込みが、親野生型CP13E10抗体のものへのこのバリアントCP13E10-54のCDCP1結合特性を回復したことを実証する。つまり、CP13E10-54バリアントは、CDCP1への結合についてビオチン化したレポーター抗CDCP1 CP13E10抗体と同等に競合した。
【0424】
次いで、CDRL3変異N(L93)Q及びV(L94)Eを、CP13E10-54バリアントに導入して、CP13E10-54HC-89LCを生成し、組換えCDCP1細胞外ドメイン(ECD)タンパク質に対する結合速度を、表面プラズモン共鳴によって決定した。具体的には、組換えヒト、カニクイザル、及びマウスCDCP1-ECDに対する抗CDCP1抗体の結合動態を、表面プラズモン共鳴(SPR)及びBiacore T200機器(GE Healthcare)を使用して決定した。抗ヒトIgG抗体を、製造業者の推奨を使用して、CM5カルボキシメチル化デキストランセンサーチップ表面(GE Healthcare)上におよそ10,000~13,000応答単位(RU)の密度までアミン共役した。各抗CDCP1抗体を、10mMのHEPES pH7.4、0.15MのNaCl、3mMのEDTA、0.05%のP-20(HBS-EP+)中で0.5μg/mLに希釈し、10μL/分の流量で約20~23秒間捕捉した。1,800nM~66.7nMの範囲のCDCP1-ECDの4つの3倍希釈液を、50μL/分の流量で注入し、54秒間会合させ、90秒間解離させた。センサーチップ表面を、50μL/分の流量で3MのMgCl
2の3つの30秒パルスで再生した。全ての注入は、泳動用緩衝液及び試料緩衝液の両方としてHBS-EP+を使用し、1Hzのデータ回収速度で25℃で実行された。センサーグラムを、対照表面及び緩衝液注入の両方を使用することによって二重に参照した。速度定数を、Biacore T200評価ソフトウェアv3.0及び方程式K
D=k
d/k
aを用いる1:1モデルにデータを適合させることによって決定した。CP13E10-54HC-89LC抗体は、親CP13E10抗体に対してヒト及びカニクイザルCDCP1-ECDに対するそれぞれ4倍及び3倍高い親和性、CP13E10-34バリアントに対してヒトCDCP1に対する11倍超高い親和性を呈した(
図6)。さらに、マウスCDCP1-ECDに対するCP13E10-54HC-89LCの親和性は、親CP13E10抗体に対してわずかに増加し(約1.6倍)、CP13E10-34バリアントに対して顕著に増加した(20倍)
図6。つまり、CDCP1への結合を増強するV(H97)Eアミノ酸変化に加えて、CP13E10-54HC-89LCを生成するためのCP13E10-54 CDRL3へのN(L93)Q及びV(L94)Eの組み込みは、ヒト、カニクイザル及びマウスのCDCP1に対する親和性をさらに増加させた。さらに、CP13E10-WT抗体への変異へのY(H100)H、W(H100C)H、Y(H100H)Hの組み込みを介して観察された好都合な疎水性低減は、CP13E10-54HC-89LCについて維持された(
図3~4)。
【0425】
CP13E10-54HC-89LC抗体の重鎖及び軽鎖可変ドメインは、それぞれ配列番号26及び30に定められ、重鎖及び軽鎖は、それぞれ配列番号29及び32に定められる。別の例では、V(H97)E、H(H100C)Q、L(H100D)V、L(H100E)Y、D(H100F)N変異をCP13E10-34抗体に組み込んで、CP13E10-291を生成し、SPRによって決定されるように、CP13E10-34に対してヒトCDCP1に対する親和性の顕著な200倍超の増加及びマウスCDCP1に対する14倍の増加を呈するこのバリアントをもたらした(
図6)。追加的に、CP13E10-291バリアントは、
図6に示されるように、CP13E10-WT抗体に対してカニクイザルCDCP1への結合の70倍超の増加を示す。CP13E10-291抗体の重鎖及び軽鎖可変ドメインは、それぞれ配列番号44及び11に定められ、重鎖及び軽鎖は、それぞれ配列番号46及び17に定められる。
【0426】
CP13E10-54HC-89LC抗体重鎖可変領域(VH)は、完全に、CDRH3の排除を伴うIGHV1-46*01(DP-7)生殖系列であるが、軽鎖可変領域(VL)は、3つの非生殖系列フレームワーク残基を含む。免疫原性のリスクを低減するために、IGKV146(DPK23)を、VLフレームワークを生殖系列化するために選択した。さらに、IGKV146(IGKV3D-7*01、DPK23)生殖系列置換を使用することは、E(L79)Q生殖系列変化を組み込むことによってVLフレームワーク3におけるインシリコ予測されたT細胞エピトープを除去する。IGKV146生殖系列に基づく3つの置換(L(L4)M、R(L39)K、E(L79)Q)を、CP13E10-54HC-89LCに組み込んで、CP13E10-54HC-89LCv1抗体を生成した。CP13E10-54HC-89LCv1は、競合ELISAアッセイを使用して得られた結果によって実証されるように、CP13E10-54HC-89LCに対して同等のCDCP1結合特性を保持する。
【0427】
具体的には、CDCP1結合特性を、レポーター抗体としてビオチン化したCP13E10-54HC-89LC抗体を用いた競合ELISAを使用して、生殖系列化した抗体バリアントCP13E10-54HC-89LCv1について評価して、生殖系列化したバリアントが、CDCP1抗原への結合についてCP13E10-54HC-89LC抗体と効果的に競合できるかどうかを決定した。この競合ELISAアッセイのために、CP13E10-54HC-89LCレポーター抗体を、製造業者のプロトコルに従って20:1のモル共役比率でEZ連結スルホ-NHS-ビオチンスルホスクシンイミドビオチン(Thermo/Pierce、カタログ番号21217)を使用してビオチン化した。このアッセイのためのタンパク質を、抗CP13E10バリアントをコードするDNAをHEK-293細胞に一過性にトランスフェクトすることによって生成し、得られたタンパク質を、プロテインA親和性精製し、G-25カラムを使用してPBS-CMF pH7.2に緩衝液交換した。この競合ELISA手順のために、96ウェルプレート(Costar カタログ#3590)を、ヒト細胞外ドメイン組換えヒトCDCP1タンパク質(CDCP1-ECD)でコーティングした。CDCP1-ECDタンパク質をPBS-CMF pH7.2中で1μg/mlに希釈し、100μlをプレートの各ウェルに添加し、プレートを4℃で一晩インキュベートした。プレートの内容物を廃棄し、次いで、プレートをPBS-CMF pH7.2+0.02%カゼインで室温で3時間遮断した。PBS+0.5%BSA+0.02%トゥイーン-20中で20ng/mLでのビオチン化したCP13E10-54HC-89LC抗体を、異なる濃度の抗CDCP1 CP13E10バリアントまたは陽性対照としての親(WT)CP13E10抗体と混合し、試料を、CDCP1コーティングされ遮断されたプレートに添加し、室温で2時間インキュベートした。ウェルを、PBS-CMF pH7.2+0.03%トゥイーン-20で4回洗浄した。1:10,000希釈されたストレプトアビジン-HRP(カタログ#7100-05、Southern Biotech,Birmingham,Alabama)を、添加し、室温で30分間インキュベートした。ウェルをPBS-CMF pH7.2+0.03%トゥイーン-20で4回洗浄し、次いで、TMB(BioFx)を添加した。反応を、5~10分間進行させ、次いで、0.18 NのH
2SO
4でクエンチした。450nmでの吸光度を決定し、結果が
図7に示される。
【0428】
IGKV146生殖系列(L(L4)M、R(L39)K、E(L79)Q)に基づく3つのアミノ酸置換をCP13E10-54HC-89LC可変軽鎖フレームワーク領域に組み込むことは、CP13E10-54HC-89LCv1をもたらし、このバリアントは、完了ELISA分析において検出されたように、ヒトCDCP1結合特性を完全に保持する(
図7)。追加的に、組換えヒト、カニクイザル、及びマウスCDCP1-ECDに対する生殖系列化したCP13E10-54HC-89LCv1の結合動態を、前述の表面プラズモン共鳴(SPR)法を使用して決定し、それらはCP13E10-54HC-89LCバリアントと同一であり、V
L生殖系列置換がCDCP1結合特性を改変しなかったことをさらに実証した(
図6)。
【0429】
PC3前立腺癌細胞の表面上に発現したCDCP1へのCP13E10-54HC-89LCv1の結合を、蛍光活性化セルソーティング(FACS)を使用して評価した。この方法のために、PC3細胞を、細胞解離緩衝液(Gibco、カタログ番号13151-014)を使用してフラスコから脱離し、氷冷FACS緩衝液(3%FBS及び0.1% w/v NaN
3を補充したPBS-CMF、氷冷)で1回洗浄し、50μlのFACS緩衝液中の2.5×10
5個の細胞を、96ウェルV底プレート(Corning カタログ番号3894)中の各ウェルに添加した。抗CDCP1抗体をFACS緩衝液中で段階希釈し、50μLを、PC3細胞を含む各ウェルに添加し、氷上で1時間インキュベートした。次に、96ウェルプレートを1300rpmで4分間遠心分離し、上清を廃棄し、細胞を150μL/ウェルのFACS緩衝液で2回洗浄した。二次検出抗体R-PEコンジュゲートしたヤギ抗ヒトIgG Fc(Jackson Immuno Research Labs、カタログ#109-115-098)を、FACS緩衝液に1:200希釈し、100μLを、各ウェルに添加し、氷上で30分間インキュベートした。細胞を上記のように2回洗浄し、100μLのBD Cytofix(BD Biosciences #554655)を各ウェルに添加し、細胞を氷上で15分間インキュベートした。細胞を、上で認められるように2回洗浄し、次いで、100μLのFACS緩衝液に再懸濁させ、蛍光強度をBD FACS CANTO IIを使用して決定した。これらの結果は、蛍光活性化セルソーティング(FACS)を使用するPC3前立腺癌細胞の表面上に発現したCDCP1に結合する生殖系列CP13E10-54HC-89LCv1が、CP13E10-54HC-89LCと区別できないことを実証する(
図8)。CP13E10-54HC-89LCv1抗体の重鎖及び軽鎖可変ドメインは、それぞれ配列番号26及び36に定められ、重鎖及び軽鎖は、それぞれ配列番号29及び37に定められる。
【0430】
CP13E10-54HC-89LCv1抗体は、CDRH3、具体的にはD(H95)-G(H96)において推定異性化配列傾向を含む。G(H96)A変異のCP13E10-54HC-89LCv1への組み込みは、潜在的な異性化配列傾向を取り除くがCP13E10-54HC-89LCv1に対して競合ELISAにおけるCDCP1結合特性を保持する、バリアントCP13E10-54HCv13-89LCv1を生成した(
図9)。
【0431】
実施例8:システインを介したリンカー-ペイロードコンジュゲーションの部位特異的コンジュゲーションを可能にするために抗体を操作する
反応性システイン残基を通じた様々なリンカー-ペイロードへの部位特異的結合のための抗CDCP1抗体を調製するための方法を、一般に、PCT国際公開第WO2013/093809号に記載されるように実行した。KabatのEU番号付けに従う290位などの重鎖またはKabatの番号付けによる183位などの軽鎖のいずれかの上の1つ以上の残基を、部位指向性変異誘発によってシステイン(C)残基へ改変した。いくつかの態様では、抗CDCP1抗体バリアントのヒトIgG1重鎖定常領域における位置K290位(KabatのEU番号付けまたはKabatの番号付けを使用する307)を、反応性システイン(C)で置換して、部位特異的コンジュゲーションを可能にした:CP13E10-183/290 HC(配列番号19)、CP13E10-54HC-89LC-183/290 HC(配列番号33)及びCP13E10-54HCv13-89LCv1-183/290 HC(配列番号42)。他の態様では、ヒトカッパ軽鎖定常領域の残基K183を、反応性システイン(C)に置換して、部位特異的コンジュゲーションを可能にした:CP13E10-183/290 LC(配列番号21)、CP13E10-54HC-89LC-183/290 LC(配列番号34)及びCP13E10-54HC-89LCv1-183/290 LC(配列番号38)。コンジュゲーションのためのタンパク質を、反応性システインで操作された抗体をコードするベクターでCHO-K1 SV 10E9宿主細胞の安定的トランスフェクションによって産生した。得られた安定的CHOプールを培養し、11%のDTNB(エルマン試薬、5,5’-ジチオ-ビス-[2-ニトロ安息香酸])を10日目に添加し、馴化培地を12日目に採取した。得られた馴化培地を、2カラムプロセスを使用して精製した:プロテインA MabSelect SuRe LXプラットフォーム、その後にTMAE(50mM HEPES 65mM NaCl pH7.0)が続いて、HMMSプロセス関連の不純物を除去した。
【0432】
トランスグルタミナーゼ(TG)を介したコンジュゲーション
様々なリンカー-ペイロードへのコンジュゲーションのためのKabatのEu番号付けに従って、トレオニン(T)135位の後かつセリン(S)136位の前に挿入されたアシルドナーグルタミン含有トランスグルタミナーゼ(「Q」)タグで操作されたヒトIgG1定常領域を有する抗CDCP1抗体を、産生した。グルタミン残基を通じた部位特異的コンジュゲーションのためのCDCP1抗体を調製するための方法を、一般に、PCT国際公開第WO2012/059882号に記載されるように実行した。いくつかの態様では、H7C-グルタミンタグLLQG(配列番号91)を、295位(KabatのEU番号付け)での内因性グルタミン(Q)の効率的なトランスグルタミナーゼ媒介性部位特異的コンジュゲーションを可能にして、DAR 4部位特異的にコンジュゲートしたADCを可能にする、N297A(KabatのEU番号付け)の置換に加えて、ヒトIgG1-CH1領域内のT135位の後かつS136位の前で抗CDCP1抗体へと操作した。抗体を、重鎖上の222位(KabatのEU番号付け)でのリジン(K)アミノ酸をアルギニン(R)で置換することによって、操作されたH7C-グルタミンタグ及び295位での内因性グルタミン(Q)へのトランスグルタミナーゼ媒介性コンジュゲーションの特異性を増加させるようにさらに改変した。これらのH7C-LLQGグルタミンタグ、N297A及びK222R操作された抗CDCP1重鎖CP13E10-H7C-K222R-N297A HC、CP13E10-54HC-89LC-H7C-K222R-N297A HC及びCP13E10-54HCv13-89LCv1-H7C-K222R-N297A HCは、それぞれ、配列番号25、35、43に定められる。コンジュゲーションのためのタンパク質を、グルタミン含有トランスグルタミナーゼ(「Q」)タグで操作され、N297A及びK222R変異を保有する抗体をコードするベクターでのCHO-K1 SV 10E9宿主細胞の安定的トランスフェクションによって産生した。得られた安定的CHOプールを培養し、馴化培地を12日目に回収した。得られた馴化培地を、2カラムプロセスを使用して精製した:プロテインA MabSelect SuRe LXプラットフォーム、その後にTMAE(50mM HEPES 65mM NaCl pH7.0)が続いて、HMMSプロセス関連の不純物を除去した。
【0433】
実施例9:抗CDCP1抗体CP13E10-54HC-89LCのFab断片のCDCP1エピトープの結晶学的特定
ヒトCDCP1細胞外ドメイン(ECD)及び抗体CP13E10-54HC-89LC Fabの複合体を、1:1.1のモル比率を使用して形成し、15.2mg/mLに濃縮し、1:1のウェル対タンパク質溶液比率でハンギングドロップ技法を使用して18℃で結晶化させた。結晶を、20%のPEG 6K、200mMの塩化マグネシウム、200mMの塩化ナトリウム、100mMの酢酸ナトリウムpH5.0を沈殿剤として使用して得た。データ回収のために、結晶を、20%のエチレングリコールを有するリザーバー溶液中で凍結保護した。2.5Å分解能までの結晶学的データを、イリノイ州アルゴンヌにおけるAPSでシンクロトロン光源を使用して回収した。結晶は、単位胞パラメータa=3Neg Å b=130.3 Å c=169.9 Åを有するP 21 21 21 空間群に属した。データを、autoPROCを使用して加工及びスケーリングした。構造を、構造が本明細書に開示されない商標の抗体の構造を使用して、分子置換によって解析した。複合体全体のモデルを、COOT及びautoBusterプログラムを使用して再構築及び改良した。最終的に改良されたモデルは、それぞれ、20.4%及び21.6%のRwork及びRfree値を有した。
【0434】
エピトープ及びパラトープ分析
非対称ユニットは、Fab/抗原複合体の単一のコピーを含んだ。
図10~11は、4.0Å以下の接触を行う抗原及び抗体残基のレンダリングを示す。表4~5は、抗体相補性決定領域(CDR)に関与する対応するエピトープ/パラトープ接触を列挙する。まとめると、
図10~14は、抗原に対する各CDRの位置を例示し、6つのCDR全ては、抗原接触を行う。加えて、フレームワーク残基H71、H73、H74、L49、及びL67もまた、CDCP1と接触し、最初の2つはCDCP1 Glu242の側鎖とH結合する側鎖を有する。
【0435】
【0436】
【0437】
構造は、抗原のAsn122に結合したN結合型グリカンを明らかにした(
図12~13の空間充填表現を参照されたい)。両方の抗体鎖は、グリカンと接触する。
図15A及び15Bは、パラトープ/エピトープ相互作用の詳細な特徴を例示する。
図10において明らかなように、抗原は三日月形状を採用し、抗体は三日月の内側に配置されている。
図12は、Phe(H100A)が界面の中心近くにあり、いずれの他のCDR残基よりも多く、6つのCDCP1残基(表5)と接触していることを示す。Phe側鎖は、中心が、CDCP1 Leu196の骨格によってほぼ特定され、かつ境界が、CDCP1残基Thr124、Thr160、Ser162、Ala195、及びHis197の側鎖によってほぼ定義されるポケットを満たす。Pheのいずれかの側には、His(H100)/Glu92、Glu(H97)/Lys45、Asp(H100B)/Arg173、及びArg(H71)/Glu242の間などの電荷相互作用(
図15A及び15Bを参照されたい)がある。複数の密接な接触を行う追加の残基は、Tyr(L32)であり、そのフェノール部分の周囲に巻き付いたCDCP1のLeu46-Pro55領域を有する。Arg(L91)は、同じ領域の骨格と相互作用する。抗体の結合は、抗原表面(Asn122に結合したグリカンを含む)のおよそ1800 Å
2を包含する。
【0438】
実施例10:CP13E10-54HC-89LCの内在化
抗体の内在化は、ADC細胞傷害性ペイロードの腫瘍細胞の内部への送達のための重要な特徴である。したがって、抗体CP13E10-54HC-89LCによって誘導されたCDCP1内在化の評価を、CDCP1発現ヒト前立腺癌細胞株、PC3を使用して行った。
【0439】
これを達成するために、抗体CP13E10-54HC-89LCを、Invitrogen(商標) SAIVI(商標) Alexa Fluor(商標) 647抗体/タンパク質1mg標識キット(ThermoFisher Scientific)を使用してAlexa Fluor 647(商標)色素にコンジュゲートし、製造元の指示に従って精製した。約0.2~0.5×105細胞/cm2の密度での組織培養プレート中のPC3細胞を、増殖培地(RPMI-1640[Gibco]、10%熱不活性化胎仔ウシ血清(Gibco))中で2μg/mLの精製されたAlexaFluor 647(商標)コンジュゲート抗体CP13E10-54HC-89LCに曝露し、5~120分の時間の間隔で37℃でインキュベートした。インキュベーションの最後に、プレートを氷上で冷却し、培地を吸引し、細胞を過剰の氷冷リン酸緩衝生理食塩水、Ca2+ Mg2+不含(PBS[Gibco])で洗浄した。次いで、細胞を0.25%のトリプシン-EDTA(Gibco)で剥離し、その後、氷冷増殖培地を用いたトリプシンの中和が続いた。脱離した細胞を、遠心分離によりペレット化し、氷冷PBS中で1回濯ぎ、最終ペレットを、回収し、4%のパラホルムアルデヒド(PFA)中で4℃で20分間固定した。このインキュベーション後、PFAを、PBSで洗浄することによって除去した。
【0440】
固定した試料を、低速/高感度設定で40倍対物レンズを使用するAmnis ImageStream(登録商標)X Mark II(EMD Millipore)イメージングサイトメーターで分析した。Alexa Fluor 647(商標)の蛍光シグナルを、642nmレーザーの励起/発光設定を用いてCh11において検出した。生画像データを、IDEAS(登録商標)ソフトウェアを使用して加工した。単一の細胞を、面積M01(明視野)対アスペクト比率M01(明視野)ドットプロットに基づいてゲートした。次いで、焦点中の細胞を、勾配RMS_Brightfieldヒストグラムに基づいてゲートした。全体、膜、及び内部区画の画像セグメンテーションに対するデジタルマスキングを、あらゆる分析された細胞に対するそれらの区画の各々におけるAlexa Fluor 647(商標)の相対信号強度を決定するために用い、所与の試料中の細胞集団に対する中央値として表した。次いで、各実験のための定量的データをMicrosoft(登録商標)Excelにエクスポートし、内部及び膜区画に対する値の間の比率を、計算し、時間に対してプロットした。エンドサイトーシスの内在化速度定数、Keを、GraphPad Prismソフトウェアを使用する公開された手順(Wiley et al.,1982,J.Biol.Chem.257:4222-4229)に基づいて決定して、内在化の初期線形相に対して最も適合した線形回帰直線の傾きを取得した。
【0441】
図16に示されるように、CP13E10-54HC-89LC誘導性標的内在化速度(Ke)は、PC3細胞株において0.013±0.001分
-1であった。陽性のKeは、抗体が細胞膜から細胞へと効果的に内在化されたことを示す。これらの条件下では、抗体濃度または相対細胞密度のいずれも、内在化速度に影響を与えなかったことが見いだされた。
【0442】
実施例11:CDCP1活性及び細胞プロセスに対するCDCP1抗体の評価
NSCLC細胞株及び肺組織において高レベルのCDCP1タンパク質発現及びチロシンリン酸化があることが観察されたため、このことは、CDCP1 ADCの有効性を試験するために肺腫瘍の患者由来異種移植(PDX)を使用するアプローチに情報を提供した。NSCLC細胞の肺腫瘍(<200mm
3)を21日間の前治療期間にわたってマウスにおいて確立し、これらの腫瘍はCDCP1タンパク質の高発現を有した。21日後、4つの治療を、4日間隔で送達した。ビヒクル治療マウスの腫瘍塊は、着実に進行し、12日以内に最大サイズに達した(
図17)。対照的に、腫瘍増殖はCDCP1-ADC(CP13E10-SS3-LP15)治療によって急速に制御され、治療の32日目までに検出可能な疾患の兆候はなかった。陰性ADC(陰性対照抗体に連結した)に伴ういくらかの有効性はあったが、予想外ではなかった。主要な発見は、CDCP1-ADCが肺腫瘍の増殖をうまく遮断したことであり、他のデータと共に、この抗体が先導する候補抗体としてさらに改良され得ることを示している。したがって、複数のPDX腫瘍モデルに対する多様なCDCP1-ADCを、試験した。
【0443】
多様な実験的アプローチでは、CDCP1抗体もまた、CDCP1及びその下流の標的を活性化するそれらの能力について試験した。抗体での細胞の短期治療は、いくつかの肺(H1299)及び乳癌(MDA-MB-231)細胞株ならびに正常な乳房上皮(MCF10A)細胞株において、CDCP1チロシンリン酸化同様にSFK及びPKCδの下流リン酸化を刺激した(
図18A~18C)。対照的に、CDCP1抗体での長期治療は、おそらく抗体媒介性内在化によるCDCP1発現及びリン酸化の減少、ならびにSrc活性化の減少を含む下流シグナル伝達の低減を引き起こした(
図19A~19B及び
図20)。
【0444】
細胞の遊走及び浸潤に対するCDCP1抗体治療の効果もまた、これらの細胞プロセスの調節におけるCDCP1の既知の正の役割のために試験した。驚くべきことに、いくつかの異なるCDCP1抗体でのH1299及びMDA-MB-231細胞の治療は、Transwellアッセイにおける細胞遊走の減少(
図21A~21B)、3次元腫瘍細胞浸潤アッセイにおける細胞浸潤の減少(
図22A~22B)を生み出した。これらの発見は、CDCP1活性及びその下流の細胞プロセスを実証する。
【0445】
細胞の遊走及び浸潤に対するCDCP1抗体治療の効果もまた、これらの細胞プロセスの調節におけるCDCP1の既知の正の役割のために試験した。驚くべきことに、いくつかの異なるCDCP1抗体でのH1299及びMDA-MB-231細胞の治療は、Transwellアッセイにおける細胞遊走の減少、3次元腫瘍細胞浸潤アッセイにおける細胞浸潤の減少を生み出した。MDA-MB-231細胞のCDCP1抗体での治療はまた、スフェロイドのサイズ及び浸潤を低減した。対照的に、MCF10A及びDLD-1細胞のCDCP1抗体での治療は、細胞遊走の増加を生み出した。腫瘍の形成及び増殖に関連するプロセスに対するCDCP1抗体の反対の効果は、AKTがほとんどの細胞の遊走における正の役割を果たすため、異なる細胞におけるAKT活性に対するCDCP1活性化抗体の対照的な効果に起因し得る。CDCP1活性化抗体は、H1299及びH1373細胞における基礎AKTリン酸化(活性)を低減したが、MCF10A、H1975、及びHCT116細胞のAKTに対する効果を有しなかった(
図23A~23B)。H1299及びMCF10A細胞におけるAKT活性に対する抗体の対照的な効果は、細胞浸潤に対するそれらのそれぞれの効果と一致している。
【0446】
CDCP1抗体はまた、前立腺癌(PC3)細胞における基礎AKT活性及びAKT基質リン酸化を低減した(
図24A~24Cを参照されたい)。この阻害は20分以内の80%低減後に一過性であり、長期の抗体曝露中に、AKTリン酸化はCDCP1タンパク質発現の発現の低減と一致する初期レベルに戻った。AKTリン酸化の低減は、SrcによるCDCP1リン酸化の下流にあるAKT阻害と一致して、Srcの阻害によって遮断された。Gタンパク質共役型受容体(IGF1、P2Y2、LPA、ムスカリン)活性化の下流のAKT活性化もまた、CDCP1活性化によって遮断された。
【0447】
実施例12:CDCP1シグナル伝達及び他のタンパク質とのクロストーク
CDCP1の生物学的役割及びCDCP1抗体治療の効果のより大きな理解を得るために、研究を実行して、他の下流タンパク質及びシグナル伝達経路に対するCDCP1の関与を評価した。
図25は、活性化(「76」)及び非活性化(「24」)抗体がPC3細胞の文脈において使用された免疫沈降研究の様々なウエスタンブロット実験を示す。抗体を、無傷の細胞に添加した(80分、4℃)。陰性対照抗体及び24(5μg/ml);76(20ng/ml)。優先的なCDCP1パートナーの結合を、76 mAb(活性化):SRC、PPP4R2及び24 mAb(非活性化):PARG1について観察した。76及び24への非優先的結合を、β-カテニン、トランスフェリン受容体、インポーチン7について観察した。
【0448】
実施例13:抗体CP13E10-54VH-89VL及びCP13E10-54HC-89LCv1のヒトがん細胞株への結合
CP13E10-54HC-89LC及びCP13E10-54HC-89LCv1は、フローサイトメトリーによって決定されるようなCDCP1発現細胞への用量依存的結合を呈した。結合を、PC3(前立腺癌)、H1299(非小細胞肺癌)、及びH2009(肺腺癌)の3つのヒトがん細胞株に対して評価した。このことを達成するために、付着細胞を、第1に細胞解離緩衝液(Life Technologies #13150-016)で解離し、遠心分離によりペレット化し、FACS緩衝液(PBS-CMF、3%FBS、0.1%重量/体積(w/v)アジ化ナトリウム)によって再懸濁させた。次いで、細胞を、同じ緩衝液中で希釈されたCP13E10-54HC-89LCまたはCP13E10-54HC-89LCv1と混合して、100nM~0.565pMの最終抗体濃度の範囲の3倍12点希釈系列を生成した。細胞を、氷上で1時間抗体と共に維持し、氷冷FACS緩衝液で2回洗浄し、次いで、R-PE(Jackson ImmunoRsearch Labs #109-115-098)とコンジュゲートした抗ヒトIgG Fcで染色した。暗所で氷上での30分間のインキュベーション後、細胞を、2回洗浄し、eFluor 660 Fixable Viability Dye(eBioscience #65-0864-18)と組み合わせ、固定した(BD Cytofix、BD Biosciences #554655)。染色された細胞を、BD FACSDivaソフトウェアを使用するLSR Fortessa機器上で取得した。生細胞の背景差分されたgMFIを、FlowJoソフトウェアを使用して決定し、Graphpad Prismソフトウェアを使用してプロットして、EC
50を生成した(
図26A及び26B)。CP13E10-54HC-89LCについて計算された値は、0.73~1.69nMの範囲であった。PC3細胞のみについて決定されたCP13E10-54HC-89LCv1のEC
50は、4.06nMであった(表6)。
【0449】
【0450】
実施例14:リンカー-細胞傷害性薬物ペイロードの部位特異的コンジュゲーションのための抗CDCP1抗体、CP13E10-54HC-89LC及びCP13E10-54HC-89LCv1の調製
システイン残基を通じた部位特異的コンジュゲーションのためのCP13E10-54HC-89LC及びCP13E10-54HC-89LCv1誘導体を調製する方法を、一般に、PCT公開第WO2013/093809号(その全体が本明細書に組み込まれる)に記載され、上で詳細に概説されるように実行した。グルタミン残基を通じた部位特異的コンジュゲーションのためのCP13E10-54HC-89LC誘導体を調製する方法は、一般に、PCT公開第WO2012/059882及び/または同第WO2016/166629号(その全体が本明細書に組み込まれる)に記載され、上で詳細に概説されるように実行した。
【0451】
システイン修飾された抗体CP13E10-54HC-89LC-183/290もしくはCP13E10-54HC-89LCv1-183/290、またはグルタミン修飾された抗体CP13E10-54HC-89LC-H7C-K222R-N297Aを産生するために、CHO細胞をそれぞれの抗体をコードするDNA構築物でトランスフェクトし、安定的高産生プールを当該技術分野で周知の標準的手順を使用して単離した。2カラムプロセスを使用して、トランスフェクトされた細胞馴化培地から抗体を精製した。簡潔には、抗体を、プロテインA(MabSelect SuRe LXプラットフォーム)を使用して親和性精製し、その後にTMAEカラムを使用した精製が続いた。いくつかの場合では、フェニルセファロース疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)を使用する最終精製ステップを用いた。
【0452】
最終的に精製された産物を、SoloVPEスロープ分光法、SDS-PAGE、及び分析的SEC(YMC-Pack Diol-200)によって分析した。外毒素を、Charles River LaboratoriesからのEndosafe PTS RMPTS964及びEndosafe片PTS-20を使用して試験した。CHO宿主細胞タンパク質及びプロテインA不純物の量を、Cygnus ELISAアッセイ(それぞれ、カタログ番号F550及びF610)によって評価した。調製物は、一般に、総タンパク質の99%を含む目的のピークと共に、1EU/mg未満の内毒素レベル、100ng/mg未満の宿主細胞タンパク質混入、10ng/mg未満のプロテインA混入、及び1%の高分子量種を実証した。
【0453】
実施例15:細胞傷害性ペイロード薬物化合物の生成
アウリスタチン薬物化合物0101及び0131を、PCT公開第WO2013/072813号(その全体が本明細書に組み込まれる)に記載される方法に従って作製した。公開された出願では、アウリスタチン化合物は、表7に示される番号付けシステムによって示される。
【0454】
【0455】
PCT公開第WO2013/072813号に従って、薬物化合物0101を、以下の手順に従って作製した。
【0456】
【0457】
参照により本明細書に組み込まれる、WO2013/072813に記載されるような一般的手順:
一般的手順A:ジエチルアミンまたはピペリジンを使用した9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)除去。ジクロロメタンまたはN,N-ジメチルホルムアミド(DMFとも称される)中のFmoc含有化合物の溶液に、等量のジエチルアミンまたはピペリジンを添加した。反応進行を、LC-MS(またはHPLCもしくはTLC)によって監視した。溶媒を真空中で除去し、いくつかの場合では、残留物をヘプタンで1~4回共沸させた。残留物を、通常、シリカに還元される前にジクロロメタン及び少量のメタノールで希釈し、シリカゲル上のクロマトグラフィーによって精製し、ジクロロメタン(または他の適切な溶媒の混合物)中のメタノールで溶出して、所望の材料を得た(または粗製材料をそのまま使用した)。
【0458】
一般的手順D:0-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)との共役。ジクロロメタン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMFとも称される)、または両方の混合物中のアミン(1.0当量)及び酸(1.0~2.0当量)の撹拌溶液に、HATU(1.0~2.0当量)を添加し、その後、トリエチルアミン(2.0~4.0当量)またはジイソプロピルエチルアミン(2.0~4.0当量、Hunigの塩基とも称される)が続いた。反応進行を、LC-MS(またはHPLCもしくはTLC)によって監視し、反応は、通常、3時間以内に完了した。溶媒を、真空中で除去した。残留物を、シリカゲルもしくは逆相クロマトグラフィーによって精製するか、またはいくつかの場合では、ヘプタンと共に3回共沸させ、シリカまたはCI 8結合シリカに還元する前に少量の酢酸エチルで希釈し、シリカゲルまたは逆相クロマトグラフィーによって精製した。
【0459】
ステップ1.N-[(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル]-2-メチルアラニル-N-[(3R,4S,5S)-3-メトキシ-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミドの合成(#53)。一般的手順Dに従って、ジクロロメタン(20mL、0.1M)及びN,N-ジメチルホルムアミド(3mL)、アミン#19(2.5g、3.4mmol、1.2当量)、HATU(1.29g、3.38mmol、1.2当量)及びトリエチルアミン(1.57mL、11.3mmol、4当量)中の#32(2.05g、2.83mmol、1当量)から、粗製の所望の材料を、合成し、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中0%~55%アセトン)によって精製し、#53(2.42g、74%)を固体として得た。LC-MS:m/z 965.7[M+H+],987.6[M+Na+],保持時間=1.04分;HPLC(プロトコルA):m/z 965.4[M+H+],保持時間=11.344分(純度>97%);1H NMR(400 MHz,DMSO-d6),回転異性体の混合物であると推定される,特徴的シグナル:δ 7.86-7.91(m,2H),[7.77(d,J=3.3 Hz)及び7.79(d,J=3.2 Hz),合計1H],7.67-7.74(m,2H),[7.63(d,J=3.2 Hz)及び7.65(d,J=3.2 Hz),合計1H],7.38-7.44(m,2H),7.30-7.36(m,2H),7.11-7.30(m,5H),[5.39(ddd,J=11.4,8.4,4.1 Hz)及び5.52(ddd,J=11.7,8.8,4.2 Hz),合計1H],[4.49(dd,J=8.6,7.6 Hz)及び4.59(dd,J=8.6,6.8 Hz),合計1H],3.13,3.17,3.18及び3.24(4 s,合計6H),2.90及び3.00(2 br s,合計3H),1.31及び1.36(2 br s,合計6H),[1.05(d,J=6.7 Hz)及び1.09(d,J=6.7 Hz),合計3H]。
ステップ2.2-メチルアラニル-N-[(3R,4S,5S)-3-メトキシ-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミドの合成(本明細書で#54または0101と称される)。一般的手順Aに従って、ジクロロメタン(10mL、0.07M)中の#53(701mg、0.726mmol)から、粗製の所望の材料を、合成し、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ジクロロメタン中0%~10%メタノール)によって精製した。残留物を、ジエチルエーテル及びヘプタンで希釈し、真空中で濃縮して、#54(本明細書で0101とも称される)(406mg、75%)を白色固体として得た。LC-MS:m/z 743.6[M+H+],保持時間=0.70分;HPLC(プロトコルA):m/z 743.4[M+H+],保持時間=6.903分,(純度>97%);1H NMR(400 MHz,DMSO-d6),回転異性体の混合物であると推定される,特徴的シグナル:δ[8.64(br d,J=8.5 Hz)及び8.86(br d,J=8.7 Hz),合計1H],[8.04(br d,J=9.3 Hz)及び8.08(br d,J=9.3 Hz),合計1H],[7.77(d,J=3.3 Hz)及び7.80(d,J=3.2 Hz),合計1H],[7.63(d,J=3.3 Hz)及び7.66(d,J=3.2 Hz),合計1H],7.13-7.31(m,5H),[5.39(ddd,J=11,8.5,4 Hz)及び5.53(ddd,J=12,9,4 Hz),合計1H],[4.49(dd,J=9,8 Hz)及び4.60(dd,J=9,7 Hz),合計1H],3.16,3.20,3.21及び3.25(4 s,合計6H),2.93及び3.02(2 br s,合計3H),1.21(s,3H),1.13及び1.13(2 s,合計3H),[1.05(d,J=6.7 Hz)及び1.10(d,J=6.7 Hz),合計3H],0.73-0.80(m,3H)。
【0460】
いくつかの実施形態では、薬物0101は、リンカー6-マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-p-アミノベンジルカルバメート(本明細書で「mc-val-cit-PABC」、「mcValCitPABC」または「vc」とも称される)に結合している。リンカー-細胞傷害性薬物ペイロード(LP)、mc-val-cit-PABC-0101(本明細書で「vc0101」とも称される)を、PCT公開第WO2013/072813号(その全体が本明細書に組み込まれる)に記載される方法に従って作製した。
【0461】
PCT公開第WO2013/072813号に従って、薬物化合物0131を、以下の手順に従って作製した。
【0462】
【0463】
ステップI.l-(tert-ブトキシカルボニル)-2-メチル-L-プロリル-N-{(1S,2R)-4-{(2S)-2-[(1R,2R)-3-{[(1S)-1-ベンジル-2-メトキシ-2-オキソエチル]アミノ}-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]4-オキソブチル}-N-メチル-Lバリンアミドの合成(#116)。12mLのジクロロメタンの#114(1.02g、1.61mmol、1.0当量)及びl-(tertブトキシカルボニル)-2-メチル-L-プロリン(443mg、1.93mmol、1.2当量)の撹拌溶液に、HATU(735mg、1.93mmol、1.2当量)を添加し、その後にHunigの塩基(1.12mL、6.45mmol、4.0当量)が続いた。反応物を、室温で2時間撹拌させた。反応物を、還元し、0.5NのHCl及びブラインで洗浄する前に酢酸エチルで希釈した。次いで、有機物を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、少量に還元し、次いで、シリカ上で還元した。次いで、シリカクロマトグラフィーを実行し(勾配:ヘプタン中0%~45%アセトン)、#116(1.02g、74%)を白色固体として得た。LC-MS(プロトコルQ):m/z 844.3[M+H+],867.2[M+Na+],保持時間=2.15分。
【0464】
ステップ2A.2-メチル-L-プロリル-N-{(1S,2R)-4-{(2S)-2-[(1R,2R)-3-{[(1S)-1-ベンジル-2-メトキシ-2-オキソエチル]アミノ}-l-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-2-メトキシ-l-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソブチル}-N-メチル-L-バリンアミド、トリフルオロ酢酸塩の合成(#117)。0℃で7mLのジクロロメタン中の#l16(450mg、0.533mmol、1.0当量)の撹拌溶液に、TFA(3mL、40mmol、70当量)を、添加した。反応物を、0℃で5分間撹拌させ、次いで、20分間撹拌しながら室温まで温めさせた。反応物を還元し、シリカに還元する前にジクロロメタン及び少量のメタノールで希釈した。次いで、シリカクロマトグラフィーを実行し(勾配:酢酸エチル中0%~20%メタノール)、#117(396mg、89%)を白色固体として得た。LC-MS(プロトコルQ):m/z 744.5[M+H+],767.2[M+Na+],保持時間=1.40分;HPLC(45℃でのプロトコルA):m/z 744.5[M+H+],保持時間=7.149分(純度>91%)。1HNMR(400 MHz,DMSOd6),8 8.73-9.14(m),8.66(br d),8.50(d),8.22(d),7.12-7.25(m),4.67-4.74(m),4.41-4.63(m),3.93-4.00(m),3.73(dd),3.63(d),3.46-3.57(m),3.38-3.45(m),3.26-3.23(m),3.22-3.25(m),3.06-3.22(m),2.99-3.05(m),2.93-2.97(m),2.80-2.89(m),2.75-2.78(m),2.64-2.67(m),2.46-2.50(m),2.27-2.43(m),2.00-2.26(m),1.85-1.99(m),1.70-1.83(m),1.52-1.69(m),1.33-1.51(m),1.18-1.31(m),0.98-1.07(m),0.93-0.97(m),0.82-0.92(m),0.71-0.78(m)。
【0465】
ステップ2B.2-メチル-L-プロリル-N-[(3R,4S,5S)-l-{(2S)-2-[(1R,2R)-3-{[(1S)-1-カルボキシ-2-フェニルエチル]アミノ}-l-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-l-イル}-3-メトキシ-5-メチル-l-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド、トリフルオロ酢酸塩の合成(#118)。窒素下の4mLのTHF中の#116(435mg、0.515mmol)の撹拌溶液に、2mLの水に溶解したLiOH(24.7mg、1.03mmol、2.0当量)を、添加した。反応物を、LC-MSがメチルエステルの鹸化を示すまで、室温で撹拌させた。反応物を、真空中で濃縮し、次いで、真空下に置いた。反応物を、ジクロロメタンで希釈し、窒素下に置いた。この撹拌混合物に、TFA(3mL、40.5mmol、80当量)を、添加した。反応物を、室温で30分間撹拌した。次いで、反応物を、還元させた。残留物を、中圧逆相C18クロマトグラフィー(勾配:各相中に0.02%TFAを有する水中の5%~60%アセトニトリル)#118(396mg、89%)によって白色固体として精製した。LC-MS(プロトコルQ):m/z 730.2[M+H+],保持時間=1.18分;HPLC(45℃でのプロトコルA):m/z 730.5[M+H+],保持時間=7.088分(純度>98%)。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6),8 9.04-9.13(m),8.75-8.87(m),8.70(d),8.38(d),8.ll(d),7.10-7.24(m),4.66-4.74(m),4.48-4.64(m),4.37-4.47(m),3.91-3.99(m),3.77(m),3.47-3.56(m),3.33-3.47(m),3.08-3.30(m),2.93-3.07(m),2.75-2.86(m),2.63-2.69(m),2.45-2.50(m),2.28-2.44(m),2.03-2.27(m),1.88-2.02(m),1.68-1.86(m),1.55-1.67(m),1.30-1.47(m),1.17-1.29(m),0.98-1.05(m),0.93-0.97(m),0.83-0.92(m),0.71-0.79(m)。
【0466】
PCT公開第WO2016/166629号(その全体が本明細書に組み込まれる)に従って、アシルドナー抗体へのコンジュゲーションを可能にするアミンドナーリンカーに共役したアウリスタチン化合物0131(2-メチル-L-プロリー-N-[(3R,4S,5S)-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-3-{[(1S)-1-カルボキシ-2-フェニルエチル]アミノ}-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミドの化学名を有する)は、本明細書でアミノ-PEG6-C2-0131と称され、以下の構造を有する。
【0467】
【0468】
実施例16:CP13E10-54HC-89LC-183/290、CP13E10-54HC-89LCv1-183/290、及びCP13E10-54HC-89LC-H7C-K222R-N297A抗体のバイオコンジュゲーション
本発明の抗体を、リンカーを介して細胞傷害性薬物ペイロードにコンジュゲートして、抗体薬物コンジュゲート(ADC)を生成した。使用されたコンジュゲーション方法は、部位特異的であった(すなわち、特定のシステイン残基または特定のグルタミン残基を介した)。
【0469】
ADC、CP13E10-54HC-89LC-183/290-vc0101及びCP13E10-54HC-89LCv1-183/290-vc0101を、システイン部位特異的方法を使用した化学的コンジュゲーションを通じて産生した。リンカー-細胞傷害性薬物ペイロード(LP)、mc-Val-Cit-PABC-0101(本明細書でvc0101とも称される)を、それらの操作されたシステイン残基を介して実施例14に記載されるように調製された、抗CDCP1抗体CP13E10-54HC-89LC-183/290またはCP13E10-54HC-89LCv1-183/290にコンジュゲートさせた。第1のステップとして、5-チオ-2-ニトロ安息香酸(TNB)キャップした抗体を、20倍モル過剰のトリス(3-スルホナトフェニル)ホスフィン(TSPP)によって37℃で3時間還元し、その後、過剰なTSPPを除去した。還元された抗体を、2倍モル過剰のデヒドロアスコルビン酸(DHA)中で25℃で0.5時間インキュベートして、鎖間ジスルフィド結合を再形成した。LPを、10のLP/抗体モル比率で反応混合物に添加し、15%(体積/体積)のジメチルアセトアミド(DMA)の存在下で25℃でさらに1.5時間反応させた。インキュベーション後、20倍モル過剰のL-システインを添加して、任意の未反応のLPをクエンチした。
【0470】
次いで、反応混合物を、脱塩して遊離LPを除去し、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)を介して精製した。精製したADCを、20mMのヒスチジン、85mg/mLのショ糖、pH5.8の製剤緩衝液中に透析し、-80℃で保存した。タンパク質濃度を、UV分光光度計を介して決定した。ADCを、純度についてSEC、薬物負荷プロファイル及び薬物抗体比率(DAR)を計算するための逆相(RP)UPLC及び液体クロマトグラフィーエレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析(LC-ESI MS)を介してさらに特徴付けた。最終的なADC調製物は、一般に、5%の高分子量種及びおよそ4のDARを有する95%超のモノマー純度を有した。
【0471】
ADC、CP13E10-54HC-89LC-H7C-K222R-N297A-アミノ-PEG6-C2-0131(すなわち、CP13E10-54HC-89LC-H7C-K222R-N297A-AmPEG6C2-0131)を、グルタミン部位特異的アミド交換法を使用する化学的コンジュゲーションを通じて産生した。アミド転移反応では、抗体上のグルタミンは、アシルドナー、及びリンカー-細胞傷害性ペイロード上のアミン含有化合物、アシル受容体(アミンドナー)として作用した、PCT公開第WO2016/166629号(その全体が本明細書に組み込まれる)に記載される構造を有するアミノ-PEG6-C2-0131(本明細書でアミノPEG6-プロピオニルまたはAmPeg6C2-0131とも称される)として作用した。精製された抗体CP13E10-54HC-89LC-H7C(アシルドナー)を、pH範囲7.5~8.5での200mMの塩化ナトリウム及びTris HCl緩衝液中の0.75単位/mgの抗体(最終濃度)Streptoverticillium mobaraenseトランスグルタミナーゼの存在下で、1~2mMのAmPeg6C2-0131(最終濃度)の範囲の10~25モル過剰のアシルアクセプターと共にインキュベートした。25℃で14~20時間のインキュベーション後、抗体薬物コンジュゲートを、当業者に既知の標準的クロマトグラフィー法を使用して、ブチルセファロースHIC-FPLC(GE Healthcare,Piscataway,NJ)によって精製した。
【0472】
精製したADCを、20mMのヒスチジン、85mg/mLのショ糖、pH5.8の製剤緩衝液中に透析し、-80℃で保存した。タンパク質濃度を、UV分光光度計を介して決定した。ADCを、純度についてSEC、薬物負荷プロファイル及び薬物抗体比率(DAR)を計算するための逆相(RP)UPLC及び液体クロマトグラフィーエレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析(LC-ESI MS)を介してさらに特徴付けた。最終的なADC調製物は、一般に、5%の高分子量種及びおよそ4のDARを有する95%超のモノマー純度を有した。
【0473】
実施例17:CP13E10-54HC-89LCv1-183/290-vc0101 ADCの特徴付け
コンジュゲーション後(実施例16及び17を参照されたい)、CP13E10-54HC-89LCv1-183/290-vc0101 ADCを、20mMのヒスチジン、85mg/mLのショ糖、pH5.8中に製剤化し、3.27mg/mLでは、溶解性、粘度または凝集体形成に伴う明らかな問題はなかった。CP13E10-54HC-89LCv1-183/290-vc0101を、純度についてサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、薬物負荷プロファイル及び薬物抗体比率(DAR)を計算するための逆相(RP)UPLC及び液体クロマトグラフィーエレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析(LC-ESI MS)を介して特徴付けた。これらの結果は、DAR 4.0 ADCの全体的な収率が51%であり、遊離薬物がLOQ未満であったことを示す。CP13E10-54HC-89LCv1-183/290-vc0101 ADCの完全性を決定するために、純度パーセントを、非還元及び還元キャピラリーゲル電気泳動(cGE、Caliper LabChip GXII:Perkin Elmer Waltham,MA)を使用して計算した。CP13E10-54HC-89LCv1-183/290-vc0101 ADCは優れた完全性を示し、調製物は、非還元cGEを使用する99.47%無傷のADCならびに還元条件下で重鎖及び軽鎖の99.91%の存在で、HMMSまたはLMMSを実質的に欠くことが示された。示差走査熱量測定(DCS)を使用して、CP13E10-54HC-89LCv1-183/290-vc0101 ADCの熱的安定性を決定した。この分析のために、20mMのヒスチジン、8.5%のスクロース、0.005%のEDTA、pH5.8中に製剤化されたADCを、オートサンプラーを有するMicroCal VP-キャピラリーDSC(GE Healthcare Bio-Sciences,Piscataway,NJ)の試料トレイに分注し、10℃で5分間平衡化させ、次いで、毎時100℃の速度で110℃までスキャンした。16秒のフィルタリング期間を、選択した。生データをベースライン補正し、タンパク質濃度を正規化した。Origin Software 7.0(OriginLab Corporation,Northampton,MA)を使用して、適切な数の遷移を有するMN2状態モデルにデータを適合させた。CP13E10-54HC-89LCv1-183/290-vc0101 ADCは、以下の融解転移点、Tm1= 65.15℃、Tm2=78.97℃、Tm3=85.45℃、及び見かけのFab Tm=79.2℃によって実証されるように良好な熱的安定性を呈した。まとめると、これらの結果は、ヒトIgG1重鎖定常領域における操作された位置C290(KabatのEU番号付けまたはKabatの番号付けを使用して307)及び抗CDCP1 CP13E10-54HC-89LCv1抗体のカッパ定常領域におけるKabatの番号付けに従うC183に対するmc-val-cit-PABC(本明細書で「vc」とも称される)リンカーを介したアウリスタチン0101(#54とも称される)のその部位特異的コンジュゲーションが、優れた完全性及び熱的安定性を有するコンジュゲートをもたらしたことを実証する。
【0474】
抗CDCP1 CP13E10-54HC-89LCv1-183/290及びそのそれぞれの部位特異的にコンジュゲートしたADC、組換えヒトに対するCP13E10-54HC-89LCv1-183/290-vc0101、CDCP1-ECDの結合動態を、表面プラズモン共鳴(SPR)及び実施例7に記載される方法を使用するBiacore T200機器(GE Healthcare)を使用してpH7.4及びpH6.8で決定した。pH6.8対生理学的pH7.4でCDCP1-ECDへのADC結合の比較を行って、ADCが酸性腫瘍微小環境内で結合することができるかどうかを解明した。pH7.4では、CP13E10-54HC-89LCv1-183/290抗体及びCP13E10-54HC-89LCv1-183/290-vc0101 ADC両方は、同様のK
D値を有する(
図27)。さらに、pH6.8でのK
D値CP13E10-54HC-89LCv1-183/290抗体及びヒトCDCP1 ECDに対するそのそれぞれの部位特異的にコンジュゲートしたADCは、pH7.4で計算されたものと同様である(
図27)。これらの組み合わせた結果は、CP13E10-54HC-89LCv1-183/290-vc0101 ADCが酸性腫瘍微小環境内でCDCP1に結合するであろうことを示唆する。さらに、CP13E10-54HC-89LCv1-183/290-vc0101 ADCについて得られた結合動態値は、ヒトIgG1重鎖定常領域における操作された位置C290(KabatのEU番号付けまたはKabatの番号付けを使用して307)及び抗CDCP1 CP13E10-54HC-89LCv1抗体のカッパ定常領域におけるKabatの番号付けに従うC183に対するmc-val-cit-PABC(本明細書で「vc」とも称される)リンカーを介したアウリスタチン0101(#54とも称される)のその部位特異的コンジュゲーションが、CDCP1結合特性を改変しないことを実証する。
【0475】
実施例18:抗体依存的細胞媒介性細胞傷害性
抗体依存的細胞傷害性(ADCC)は、ナチュラルキラー(NK)細胞上のFCγRIIIa受容体との、標的細胞の表面に結合した抗体のFc部分の会合を通じて生じる。FCγRIIIaとの標的細胞結合抗体相互作用は、標的細胞を殺滅するグランザイムなどの細胞溶解分子の放出をもたらすエフェクターNK細胞におけるシグナル伝達を誘導する。抗体の抗腫瘍活性は、ADCCに部分的に起因し得るか、またはADCCによって増強され得る。CDCP1抗体CP13E10-54HC-89LCv1-183/290及びADC CP13E10-54HC-89LCv1-183/290-vc0101を、インビトロで標的細胞上にADCCを誘導するそれらの能力について評価した。この例では、2つの方法が使用され、1つはフローサイトメトリーベースの、1つはルシフェラーゼレポーターベースのアッセイである。
【0476】
フローサイトメトリーベースの方法では、標的PC3細胞を、37℃、5%のCO
2で一晩プレーティングした。細胞を、アッセイ培地(RPMI-1640(Gibco)、10%超低IgG FBS(Gibco))中で96ウェル組織培養プレート中で10,000細胞/ウェルで播種した。エフェクターNK細胞を、CD56+/CD16+ NK細胞単離キットを使用する負の選択によって健康なヒトドナーから単離した。標的細胞をCell Trace Far Red(ThermoFisherで蛍光標識し、その後、抗体CP13E10-54HC-89LCv1-183/290またはADC CP13E10-54HC-89LCv1-183/290-vc0101の希釈系列を標的細胞に添加した。次いで、NKエフェクター細胞を、7:1のエフェクター対標的比率のためにウェルあたり70,000細胞で添加した。この共培養物を、37℃、5%のCO
2で4時間インキュベートした。次いで、非付着細胞を含む培地を、回収し、その後の使用のために取っておいた。付着細胞を、解離させ(細胞解離緩衝液、Gibco)、遠心分離によって回収した。ペレット化した細胞を、非付着細胞を含むそれらの対応する培地と組み合わせ、生/死バイオレット死細胞染色(ThermoFisher)で染色した。染色された細胞をLSRFortessaフローサイトメーター(BD Biosciences)上に流し、標的PC3細胞をCellTrace Far Red染色上でゲートした。死PC3細胞のパーセンテージを、PC3ゲートにおける生/死固定可能バイオレット死細胞染色陽性細胞によって決定した。
図28Aに示されるように、CP13E10-54HC-89LCv1-183/290及びADC CP13E10-54HC-89LCv1-183/290-vc0101の両方は、ADCCを誘導し、NK細胞上の受容体FCγRIIIaに会合する。
【0477】
ADCCもまた、ルシフェラーゼADCCレポーターバイオアッセイ(Promega)を使用して評価した。このキットでは、操作されたADCCレポーターJurkat細胞(バイオアッセイエフェクター細胞)はFcγRIII高親和性V158バリアント、及び抗体Fc結合によるFcγRIIIの活性化後にホタルルシフェラーゼの発現を駆動するNFAT応答エレメントを安定的に発現する。PC3標的細胞を、96ウェル組織培養プレート中にウェル当たり6250個の細胞で、37℃、5%のCO
2で一晩プレーティングした。翌日、プレーティング培地(RPMI-1640(Gibco)、10%超低IgG FBS(Gibco)を除去し、抗体CP13E10-54HC-89LCv1-183/290またはADC CP13E10-54HC-89LCv1-183/290-vc0101の段階希釈を、添加し、室温で15分間インキュベートした。次いで、バイオアッセイエフェクター細胞を、12:1のエフェクター対標的比率で標的細胞に添加し、37℃、5%のCO
2で一晩インキュベートした。翌日、75μLのBio-Gloルシフェラーゼアッセイ試薬を各ウェルに添加し、相対光単位(RLU)における発光をEnvisionプレートリーダー(Perkin Elmer)を使用して測定した。
図28Bに示されるように、CP13E10-54HC-89LCv1-183/290及びADC CP13E10-54HC-89LCv1-183/290-vc0101の両方は、ルシフェラーゼレポーター発現を誘導し、したがって、ADCC活性を示している受容体FCγRIIIaに会合する。
【0478】
実施例19:CP13E10-54HC-89LC-183/290-vc0101、CP13E10-54HC-89LCv1-183/290-vc0101、及びCP13E10-54HC-89LC-H7C-K222R-N297-AmPEG6C2-0131のインビトロ細胞傷害性
CDCP1 ADCs、CP13E10-54HC-89LC-183/290-vc0101、CP13E10-54HC-89LCv1-183/290-vc0101、及びCP13E10-54HC-89LC-H7C-K222R-N297A-AmPEG6C2-0131細胞傷害性を、幅広い細胞型、例えば、ヒト前立腺癌PC3、非小細胞肺癌(NSCLC)H1299、頭頸部癌SCC-25、肺腺癌H2009、口腔扁平上皮癌PE/CA-PJ-49、及び初代ヒト大動脈平滑筋細胞(HuAoSMC)に対して評価した。細胞を、600nM~0.357225pMの濃度の範囲のそれぞれのADCの6倍の9点希釈系列においてインキュベートした。細胞を、標準組織培養インキュベーター中で4日間維持し、その後、ATPlite試薬を使用し、かつ製造業者が提案したプロトコル(PerkinElmer #6016731)に従う生存分析が続いた。3反復の試料の発光計数の平均を、培地のみ対照(ADCなしの増殖培地)に正規化して、生存パーセントを計算した。ADC IC50(細胞生存が50%阻害される濃度)を、ロジスティック非線形回帰分析を使用して計算した。
【0479】
表8は、細胞株にわたる試験ADCのIC50を示す。3つのADCは全て、全てのがん細胞株に対する細胞傷害性であった。しかしながら、CDCP1の最も少ない量を発現した非腫瘍原性の初代大動脈平滑筋細胞は、ADCの細胞傷害性効果に対して非常に抵抗性であった(陰性対照と異ならなかった)。CDCP1発現及び細胞傷害性の間に絶対的な相関はなかったが、最も感受性の高い細胞型であるPC3は、最高レベルのCDCP1を発現し、一方で、減少した細胞傷害性はより低い発現物(expresser)と関連していた。
【0480】
【0481】
実施例20:患者由来異種移植(PDX)担腫瘍マウスにおけるCP13E10-54HC-89LC-183/290-vc0101、CP13E10-54HC-89LCv1-183/290-vc0101、及びCP13E10-54HC-89LC-H7C-K222R-N297A-AmPEG6C2-0131のインビボ有効性
ADCの効果を、免疫不全NOD/SCIDマウスに移植されたヒト腫瘍患者由来異種移植(PDX)のインビボ増殖に対して評価した。初期のPDX細胞株を確立するために、初代ヒト腫瘍切除試料を、ヒト対象のための施設内審査委員会の承認に従い、HIPAA規制に従って、臨床現場から調達した。腫瘍断片をマウスの皮下に移植し、動物を、健康状態について毎日、かつ目視に検査よる腫瘍増殖について週当たり2回監視した。腫瘍が触知可能になると、腫瘍増殖を追跡し細胞の倍加時間を推定するために、腫瘍体積の測定を開始した。腫瘍体積を、方程式V=(A*B2)/2を使用して推定し、式中、Aは長軸であり、Bは短軸である。腫瘍が500mm3~1,500mm3の体積に達した際に、それらを、研究のため、かつPDX系列としてナイーブマウスへの再移植のために採取した。腫瘍を、マウスにおける凍結保存または追加の継代のために、機械的に断片へと分離した。
【0482】
有効性研究のために、PDX腫瘍を、継代マウスから無菌的に採取し、およそ2mmの直径の断片に細かく刻んだ。PDX腫瘍断片を、ナイーブな7~10週齢のNOD-SCIDマウスの右側腹部に移植した。
【0483】
腫瘍体積が約30mm3に達すると、腫瘍増殖の後に、開始する測定と共に蝕知可能性が最初に続いた。担腫瘍マウスのコホートが200mm3の平均に達すると、研究を腫瘍サイズに基づいて無作為化した。次いで、動物を、4日ごと(1、5、9、及び13日目)に1回、合計4回の用量(q4dx4)で試験ADCの静脈内注射によって投与した。規則的間隔で行われた各腫瘍測定のために、腫瘍体積を計算し、平均腫瘍サイズ+/-平均の標準誤差(SEM)を生き残った動物のコホートごとに導出して、腫瘍増殖速度を決定した。いくつかの研究では、「ウォーターフォールプロット」を、ADCの最終用量後の開始体積からの腫瘍体積の観察された最大値パーセント差異を計算することによって導出した。ほとんどのPDXモデルを、免疫組織化学的アッセイを使用して細胞膜CDCP1発現について事前スクリーニングして、上記の実施例1に記載されるようにHスコアを割り当てた。
【0484】
大量のCDCP1を発現する2つの膵癌PDXモデル(PDX-PAX-24509、Hスコア245及びPDX-PAX-24513、Hスコア190)を、0.3、1、もしくは3mg/kgで4日間隔で4回投与された(q4dx4、コホートサイズn=10)CP13E10-54HC-89LC-H7C-AmPEG6-0131またはCP13E10-54HC-89LC-183/290-vc0101への応答について評価した。膵腫瘍モデルPDX-PAX-24513では、腫瘍はADCまたは用量に関係なく急速に進行し、全ての動物が15日目までに死亡した(
図29A~29B)。以下のRECIST基準を使用して、このモデルにおける応答を、進行性疾患(PD)として分類した。
【0485】
RECIST基準:
完全奏効(CR):開始体積と比較して腫瘍体積の100%減少
部分奏効(PR):開始体積と比較して30%超100%未満の腫瘍体積の退縮
安定疾患(SD)開始体積から最大20%増加した腫瘍体積の30%退縮
進行性疾患(PD)開始時の体積と比較して20%超の腫瘍増殖
CR及びPRの合計パーセンテージとして定義される客観的奏効率(ORR)
RECIST決定のための測定を、試験化合物の最後の用量から少なくとも1日後での最大応答の日に記録した
【0486】
膵癌モデルPDX-PAX-24509は、両方のADCで同様の応答を示し、PDとしても分類された(
図30A~30B)。CP13E10-54HC-89LC-183/290-vc0101治療は全ての用量でPDをもたらしたが(
図30B)、CP13E10-54HC-89LC-H7C-AmPEG6-0131と比較してこのADCに関連する顕著な生存利益があった。特に、3mg/kgを投与されたCP13E10-54HC-89LC-183/290-vc0101は、
図31に例示されるように全ての治療のうち最長の生存時間を生み出した(平均+SE、47.1+0.72日)。この生存は、PBS(平均+SE、16.9+0.99日;ログランク、p<0.0001)または3mg/kgのCP13E10-54HC-89LC-H7C-AmPEG6-0131(平均+SE、20.8+0.68日;ログランク、p<0.0001)を投与された動物よりも統計的に有意に長かった。
【0487】
CP13E10-54HC-89LC-H7C-AmPEG6-0131またはCP13E10-54HC-89LC-183/290-vc0101への応答もまた、非小細胞肺癌(NSCLC)モデルにおいて比較した。モデルPDX-NSX-26101に0.3、1、または3mg/kg(コホートサイズn=10)のCP13E10-54HC-89LC-H7C-AmPEG6-0131を投与した際に、NSCLC腫瘍は急速に拡大し、応答をPDとして分類した(
図32A)。PDX-NSX-26101はまた、0.3及び1mg/kgでCP13E10-54HC-89LC-183/290-vc0101を投与された際に、PDを実証した。しかしながら、3mg/kgでのCP13E10-54HC-89LC-183/290-vc0101は、一過性の腫瘍退縮を示し、最終用量を少なくとも2週間超えるまで延長した部分奏効(PR)をもたらした(
図32B)。一過性の腫瘍退縮及びPRはまた、3mg/kgでCP13E10-54HC-89LC-H7C-AmPEG6-0131またはCP13E10-54HC-89LC-183/290-vc0101のいずれかを投与されたNSCLCモデルPDX-NSX-26113(Hスコア227;コホートサイズn=10)において見られたが、退縮の持続期間はCP13E10-54HC-89LC-183/290-vc0101でより大きかった(
図33A及び33B)。
【0488】
PDXコホートが上記のようにADC及び対照化合物を投与される追加の研究を行って、NSCLC及び頭頸部癌に対する現在の標準治療(SOC)と比較したCP13E10-54HC-89LC-183/290-vc0101及びCP13E10-54HC-89LCv1-183/290-vc0101の性能を決定した。NSCLCモデルPDX-NSX-15137(コホートサイズn=10)では、4.5及び1.5mg/kgでのCP13E10-54HC-89LCv1-183/290-vc0101は、35日間(最後の治療後2週間超)にわたって持続的な腫瘍退縮をもたらし、その時点でSOCコホートにおける平均腫瘍サイズ(パクリタキセル、22.5mg/kg)は2倍になった(
図34A)。4.5mg/kg用量では、退縮は42日目以降も維持され、その時点でパクリタキセルコホートにおける全てのマウスは過剰な腫瘍増殖のために犠死されていた。頭頸部癌モデルPDX-HNX-24715(Hスコア161;コホートサイズn=10)、1.5mg/kgで投与されたCP13E10-54HC-89LCv1-183/290-vc0101は、25日目(最終投与後1週間超)に腫瘍退縮を引き起こし、その時点でSOCコホート(シスプラチン、5mg/kg)における腫瘍は、2倍超のサイズを有した(
図34B)。同じモデルでは、4.5mg/kgでのCP13E10-54HC-89LCv1-183/290-vc0101ならびに3mg/kgでのCP13E10-54HC-89LC-183/290-vc0101及びCP13E10-54HCv13-89LCv1-183/290-vc0101(重鎖アミノ酸96位でのグリシン残基がアラニンに置き換えられたことを除いてCP13E10-54HC-89LCv1-183/290-vc0101と同じ抗体配列を有するADC)は、80日の持続期間を超える腫瘍退縮(最後の投与から9週間後)を誘導した。PDX-NSX-15137及びPDX-HNX-24715の両方は、3mg/kgでの陰性対照Neg-ADCを投与された際に、一過性の腫瘍退縮を実証した。しかしながら、CP13E10-54HC-89LCv1-183/290-vc0101(4.5mg/kg)及びCP13E10-54HC-89LC-183/290-vc0101(3mg/kg)両方への応答は、Neg-ADCよりも優れていた。陰性対照のこの非特異的効果は、腫瘍微小環境におけるプロテアーゼ感受性リンカーの切断に起因するように推定される。
【0489】
上記のPDXモデルでは、ADC治療が腫瘍退縮をもたらした場合でも、腫瘍は完全に根絶されず、最終的には全てが増殖を再開した。新たな腫瘍増殖がADC治療に対する抵抗性の発達と関連するかどうかを調査するために、第1に、PDX NSCLCモデルPDX-NSX-26113に0.3、1、及び3mg/kgで4回、各々4日間隔でCP13E10-54HC-89LC-183/290-vc0101を静脈内投与した(コホートサイズn=10)。42日目での陰性対照Neg-ADC応答よりも優れた3mg/kgコホートにおける持続的な腫瘍退縮を認め(最終用量後3週間超)、その後腫瘍が拡大した。56日目に、平均腫瘍サイズは、CP13E10-54HC-89LC-183/290-vc0101 3mg/kgコホートにおける初期体積のおよそ4倍に増加した(
図35A)。その時、腫瘍を、3mg/kgコホートから切除し、組み合わせ、解離させ、及びナイーブNOD/SCIDマウスのコホートへ再移植した。以前のコホートにおけるように、腫瘍をおよそ200mm
3の平均体積に達するまで拡大させ、その時点で、動物を無作為に治療群に割り当てた(CP13E10-54HC-89LC-183/290-vc0101、1、3、6mg/kg;陰性対照Neg-ADC 3、6mg/kg、PBS;q4dx4;n=10動物/コホート)。3mg/kgでのCP13E10-54HC-89LC-183/290-vc0101での治療がおよそ40日目まで腫瘍退縮を誘導することを認めた。40日目までにNeg-ADC 3mg/kg対照群における全てのマウスは、過剰な腫瘍増殖のために犠死されていた(
図35B)。6mg/kgのCP13E10-54HC-89LC-183/290-vc0101コホートでは、退縮は50日目を過ぎて見られ、その時点でNeg-ADCの6mg/kg対照群における全てのマウスは、過剰な腫瘍増殖のために犠死されていた(
図35B)。これらの結果は、腫瘍が元の群においてCP13E10-54HC-89LC-183/290-vc0101治療後に再増殖したが、この再増殖はこのADCに対する抵抗性の発達とは関連していないことを示す。実際、ナイーブコホートにおける腫瘍は、元のコホートと同じように治療に対して感受性であるように見えた。
【0490】
マウスのより小さなコホート(n=4~5)を使用した追加のPDX研究を、3mg/kgでq4dx4でCP13E10-54HC-89LC-183/290-vc0101を投与された頭頸部癌及びNSCLCモデルを用いて行った。腫瘍増殖を以前と同様に監視し、腫瘍サイズの最大平均変化(安定疾患までの退縮について最終用量の少なくとも1日後または進行性疾患について21日目[最終用量後7日]に測定された)を決定した。最大変化の体積を、平均前治療開始体積で除し、次いで、100を減算して変化パーセントを導出した(例えば、200mm
3の開始値からの20mm
3への腫瘍退縮は、(20/200)-100=-90%を与え、負の値は腫瘍退縮を示す)。このようにして、多数の独立したPDXモデルにわたる最大変化を、「ウォーターフォールプロット」において視覚化した。かかるウォーターフォールプロットは、
図36において14の異なるPDXモデルについて示される。この図におけるデータはまた、10のコホートサイズを有した上記のより大きな複数用量研究(PDX-PAX-24513、PDX-PAX-24509、PDX-NSX-26113、PDX-NSX-26101、PDX-HNX-26755、PDX-NSX-15137)のうちのいくつかの3mg/kgからの発見を含むことに注意されたい。この分析は、多数のNSCLC及び頭頸部癌PDXにわたる幅広い有効性プロファイルを明らかにした。合計で、1つの完全奏効及び10の部分奏効が見られ、この実験系列において79%の客観的応答率(ORR)が得られた。
【0491】
CP13E10-54HC-89LC-183/290-vc0101の有効性の幅のより包括的に理解を得るために、多数の適応症にわたるPDXモデルの大きなパネルを、組み立てた。このパネルにおける腫瘍型は、卵巣、乳房、膀胱、頭頸部、NSCLC、及び小細胞肺癌を含んだ。これらのモデルのうちのほとんどにおけるCDCP1の発現をIHCによって検証し、Hスコアを各々に割り当てた。続いて、小さな担癌コホート(n=4~5マウス)を、確立し、3mg/kgでCP13E10-54HC-89LCv1-183/290-vc0101を投与して、ウォーターフォールプロットを導出した(
図37)。繰り返しになるが、幅広い有効性プロファイルが、適応症にわたって見られた。特に、0/3膀胱癌PDXモデルは、膀胱癌がこのADCについての生存可能な適応症でない場合があることを示唆する部分または完全奏効を与えた。この系列において分析された40の合計のモデルのうち、20%が完全奏効を与え、さらに43%が部分奏効を与え、全ての適応症のうち63%の客観的奏効率であった。
【0492】
【0493】
【0494】
【0495】
【0496】
【0497】
【0498】
【0499】
【0500】
【0501】
【0502】
【0503】
【0504】
【0505】
【0506】
【0507】
【0508】
【0509】
【0510】
【0511】
【0512】
【0513】
【0514】
他の実施形態
本開示は、その詳細な記載と併せて記載されてきた一方で、前述の記載は添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の範囲を例示し、それを限定しないように意図されることを理解されたい。他の態様、利点、及び変更は、以下の特許請求の範囲内にある。
【0515】
参照による組み込み
本明細書で参照される全ての特許及び刊行物は、それらの全体の参照により本明細書に組み込まれる。
【0516】
本明細書で考察される刊行物は、本出願の出願日前のそれらの開示に対してのみ提供される。本明細書におけるいずれの内容も、本発明が先行発明によりかかる刊行物に先行する資格がないことを認めるものと解釈されるべきでない。
本明細書で使用される場合、全ての表題は、単純に組織化するのためのものであり、いかなる方法においても本開示を限定するように意図されない。
【配列表】
【国際調査報告】