(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】治療用SIRPα抗体
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20220111BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20220111BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20220111BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20220111BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20220111BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20220111BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20220111BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220111BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220111BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20220111BHJP
G01N 33/574 20060101ALI20220111BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20220111BHJP
G01N 33/531 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C12N15/62 Z
C07K16/28
C07K16/46
C07K19/00
C12P21/08
C12Q1/02
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61P35/00
A61P35/02
G01N33/574 D
G01N33/53 V
G01N33/531 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021525789
(86)(22)【出願日】2019-11-13
(85)【翻訳文提出日】2021-07-06
(86)【国際出願番号】 US2019061278
(87)【国際公開番号】W WO2020102422
(87)【国際公開日】2020-05-22
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521202743
【氏名又は名称】アーチ オンコロジー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】プーロ,ロビン
(72)【発明者】
【氏名】マンニング,パメラ,ティー.
(72)【発明者】
【氏名】カール,ロバート,ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ヒービッシュ,ロナルド,アール.
(72)【発明者】
【氏名】カポッシア,ベンジャミン,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】アンドレジェバ,ガブリエラ
【テーマコード(参考)】
4B063
4B064
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA18
4B063QA19
4B063QQ02
4B063QQ08
4B063QQ79
4B063QR02
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4C085AA14
4C085AA16
4C085BB11
4C085EE01
4C085EE03
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA22
4H045EA28
4H045EA51
4H045FA74
(57)【要約】
【課題】治療用SIRPα抗体に関する。
【解決手段】多重特異性SIRPα抗体を含む、異なる機能プロフィールを有する抗SIRPαモノクローナル抗体(抗SIRPαmAb)が、関連組成物、並びに固形癌及び血液癌の予防及び治療のための治療薬として抗SIRPαmAbを使用する方法と同様に提供される。例示的な抗SIRPαモノクローナル抗体のアミノ酸配列も提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2、LCDR3)及び3つの重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2、HCDR3)を含む、ヒトSIRPαに特異的に結合するモノクローナル抗体又はその抗原結合断片であって、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、
【表1】
から選択され、且つHCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、
【表2】
から選択される、モノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項2】
前記モノクローナル抗体又はその抗原結合断片がキメラであるか、又はヒト化されている、請求項1に記載のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項3】
重鎖可変ドメイン(V
H)及び軽鎖可変ドメイン(V
L)の組合せを含み、前記組合せが、
i. 配列番号81のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及びアミノ酸配列配列番号64を含む軽鎖可変ドメイン;
ii. 配列番号82のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及びアミノ酸配列配列番号65を含む軽鎖可変ドメイン;
iii. 配列番号83のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及びアミノ酸配列配列番号66を含む軽鎖可変ドメイン;
iv. 配列番号84のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及びアミノ酸配列配列番号67を含む軽鎖可変ドメイン;
v. 配列番号85のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及びアミノ酸配列配列番号68を含む軽鎖可変ドメイン;
vi. 配列番号86のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及びアミノ酸配列配列番号69を含む軽鎖可変ドメイン;
vii. 配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及びアミノ酸配列配列番号70を含む軽鎖可変ドメイン;
viii. 配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及びアミノ酸配列配列番号71を含む軽鎖可変ドメイン;
ix. 配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及びアミノ酸配列配列番号72を含む軽鎖可変ドメイン;
x. 配列番号90のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及びアミノ酸配列配列番号73を含む軽鎖可変ドメイン;
xi. 配列番号91のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及びアミノ酸配列配列番号74を含む軽鎖可変ドメイン;
xii. 配列番号91のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及びアミノ酸配列配列番号75を含む軽鎖可変ドメイン;
xiii. 配列番号91のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及びアミノ酸配列配列番号76を含む軽鎖可変ドメイン;
xiv. 配列番号92のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及びアミノ酸配列配列番号74を含む軽鎖可変ドメイン;
xv. 配列番号92のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及びアミノ酸配列配列番号75を含む軽鎖可変ドメイン;
xvi. 配列番号92のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及びアミノ酸配列配列番号76を含む軽鎖可変ドメイン;
xvii. 配列番号93のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及びアミノ酸配列配列番号74を含む軽鎖可変ドメイン;
xviii. 配列番号93のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及びアミノ酸配列配列番号75を含む軽鎖可変ドメイン;
xix. 配列番号93のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及びアミノ酸配列配列番号76を含む軽鎖可変ドメイン;
xx. 配列番号94のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及びアミノ酸配列配列番号74を含む軽鎖可変ドメイン;
xxi. 配列番号94のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及びアミノ酸配列配列番号75を含む軽鎖可変ドメイン;
xxii. 配列番号94のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及びアミノ酸配列配列番号76を含む軽鎖可変ドメイン;
xxiii. 配列番号84のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及びアミノ酸配列配列番号77を含む軽鎖可変ドメイン;
xxiv. 配列番号95のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及びアミノ酸配列配列番号78を含む軽鎖可変ドメイン;
xxv. 配列番号95のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及びアミノ酸配列配列番号79を含む軽鎖可変ドメイン;
xxvi. 配列番号95のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及びアミノ酸配列配列番号80を含む軽鎖可変ドメイン;
xxvii. 配列番号96のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及びアミノ酸配列配列番号78を含む軽鎖可変ドメイン;
xxviii. 配列番号96のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及びアミノ酸配列配列番号79を含む軽鎖可変ドメイン;
xxix. 配列番号96のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及びアミノ酸配列配列番号80を含む軽鎖可変ドメイン;
xxx. 配列番号97のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及びアミノ酸配列配列番号78を含む軽鎖可変ドメイン;
xxxi. 配列番号97のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及びアミノ酸配列配列番号79を含む軽鎖可変ドメイン;
xxxii. 配列番号97のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及びアミノ酸配列配列番号80を含む軽鎖可変ドメイン;並びに
xxxiii. 配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及びアミノ酸配列配列番号72を含む軽鎖可変ドメイン
からなる群から選択される、請求項1又は2に記載のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項4】
i. 配列番号109のアミノ酸配列を含む重鎖及びアミノ酸配列配列番号98を含む軽鎖;
ii. 配列番号110のアミノ酸配列を含む重鎖及びアミノ酸配列配列番号99を含む軽鎖;
iii. 配列番号111のアミノ酸配列を含む重鎖及びアミノ酸配列配列番号100を含む軽鎖;
iv. 配列番号112のアミノ酸配列を含む重鎖及びアミノ酸配列配列番号101を含む軽鎖;
v. 配列番号112のアミノ酸配列を含む重鎖及びアミノ酸配列配列番号102を含む軽鎖;
vi. 配列番号112のアミノ酸配列を含む重鎖及びアミノ酸配列配列番号103を含む軽鎖;
vii. 配列番号113のアミノ酸配列を含む重鎖及びアミノ酸配列配列番号101を含む軽鎖;
viii. 配列番号113のアミノ酸配列を含む重鎖及びアミノ酸配列配列番号102を含む軽鎖;
ix. 配列番号113のアミノ酸配列を含む重鎖及びアミノ酸配列配列番号103を含む軽鎖;
x. 配列番号114のアミノ酸配列を含む重鎖及びアミノ酸配列配列番号101を含む軽鎖;
xi. 配列番号114のアミノ酸配列を含む重鎖及びアミノ酸配列配列番号102を含む軽鎖;
xii. 配列番号114のアミノ酸配列を含む重鎖及びアミノ酸配列配列番号103を含む軽鎖;
xiii. 配列番号115のアミノ酸配列を含む重鎖及びアミノ酸配列配列番号101を含む軽鎖;
xiv. 配列番号115のアミノ酸配列を含む重鎖及びアミノ酸配列配列番号102を含む軽鎖;
xv. 配列番号115のアミノ酸配列を含む重鎖及びアミノ酸配列配列番号103を含む軽鎖;
xvi. 配列番号116のアミノ酸配列を含む重鎖及びアミノ酸配列配列番号104を含む軽鎖;
xvii. 配列番号117のアミノ酸配列を含む重鎖及びアミノ酸配列配列番号105を含む軽鎖;
xviii. 配列番号117のアミノ酸配列を含む重鎖及びアミノ酸配列配列番号106を含む軽鎖;
xix. 配列番号117のアミノ酸配列を含む重鎖及びアミノ酸配列配列番号107を含む軽鎖;
xx. 配列番号118のアミノ酸配列を含む重鎖及びアミノ酸配列配列番号105を含む軽鎖;
xxi. 配列番号118のアミノ酸配列を含む重鎖及びアミノ酸配列配列番号106を含む軽鎖;
xxii. 配列番号118のアミノ酸配列を含む重鎖及びアミノ酸配列配列番号107を含む軽鎖;
xxiii. 配列番号119のアミノ酸配列を含む重鎖及びアミノ酸配列配列番号105を含む軽鎖;
xxiv. 配列番号119のアミノ酸配列を含む重鎖及びアミノ酸配列配列番号106を含む軽鎖;
xxv. 配列番号119のアミノ酸配列を含む重鎖及びアミノ酸配列配列番号107を含む軽鎖;並びに
xxvi. 配列番号120のアミノ酸配列を含む重鎖及びアミノ酸配列配列番号108を含む軽鎖
からなる群から選択される少なくとも1つの重鎖及び少なくとも1つの軽鎖を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項5】
前記モノクローナル抗体又はその抗原結合断片が、IgG1、IgG1-N297Q、IgG2、IgG4、IgG4 S228P、IgG4 PE及びこれらの変異体から選択されるIgGアイソタイプを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項6】
ヒトSIRPαに加えてヒトSIRPγに結合する、請求項1~5のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項7】
ヒトSIRPαに選択的に結合する、請求項1~5のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項8】
抗腫瘍活性を示す、請求項1~7のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項9】
ヒト腫瘍細胞の食作用を増大させる、請求項1~8のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項10】
前記モノクローナル抗体又はその抗原結合断片が二重特異性抗体である、請求項1~9のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項11】
前記二重特異性抗体が第1の抗原及び第2の抗原を認識し、前記第1の抗原がSIRPαであり、前記第2の抗原がCD47発現細胞のマーカーである、請求項10に記載の二重特異性抗体。
【請求項12】
前記二重特異性抗体が第1の抗原及び第2の抗原を認識し、前記第1の抗原がSIRPαであり、前記第2の抗原が、CD19、CD20、CD22、CD24、CD25、CD30、CD33、CD40、CD44、HER2、CD52、CD56、CD70、CD96、CD97、CD99、CD123、CD279(PD-1)、CD117、C-Met、PTHR2、EGFR、RANKL、SLAMF7、PD-L1、CD38、CD19/CD3、HAVCR2(TIM3)、及びGD2から選択される、請求項10に記載の二重特異性抗体。
【請求項13】
CD47(分化抗原群47)、CD70(分化抗原群70)、CD200(OX-2膜糖タンパク質、分化抗原群200)、CD154(分化抗原群154、CD40L、CD40リガンド、分化抗原群40リガンド)、CD223(リンパ球活性化遺伝子3、LAG3、分化抗原群223)、KIR(キラー細胞免疫グロブリン様受容体)、GITR(TNFRSF18、グルココルチコイド誘導性TNFR関連タンパク質、活性化誘導性TNFRファミリー受容体、AITR、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー18)、CD20(分化抗原群)、CD28(分化抗原群28)、CD40(分化抗原群40、Bp50、CDW40、TNFRSF5、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー5、p50)、CD86(B7-2、分化抗原群86)、CD160(分化抗原群160、BY55、NK1、NK28)、CD258(LIGHT、分化抗原群258、腫瘍壊死因子リガンドスーパーファミリーメンバー14、TNFSF14、ヘルペスウイルス侵入メディエータリガンド(HVEM-L)、CD270(HVEM、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー14、ヘルペスウイルス侵入メディエータ、分化抗原群270、LIGHTR、HVEA)、CD275(ICOSL、ICOSリガンド、誘導性T細胞共刺激因子リガンド、分化抗原群275)、CD276(B7-H3、B7ホモログ3、分化抗原群276)、OX40L(OX40リガンド)、B7-H4(B7ホモログ4、VTCN1、Vセットドメイン含有T細胞活性化インヒビター1)、GITRL(グルココルチコイド誘導性腫瘍壊死因子受容体リガンド、グルココルチコイド誘導性TNFRリガンド)、4-1BBL(4-1BBリガンド)、CD3(分化抗原群3、T3D)、CD25(IL2Rα、分化抗原群25、インターロイキン-2受容体α鎖、IL-2受容体α鎖)、CD48(分化抗原群48、Bリンパ球活性化マーカー、BLAST-1、シグナル伝達リンパ球活性化分子2、SLAMF2)、CD66a(Ceacam-1、癌胎児性抗原関連細胞接着分子1、胆汁糖タンパク質、BGP、BGP1、BGPI、分化抗原群66a)、CD80(B7-1、分化抗原群80)、CD94(分化抗原群94)、NKG2A(ナチュラルキラー群2A、キラー細胞レクチン様受容体サブファミリーDメンバー1、KLRD1)、CD96(分化抗原群96、TActILE、T細胞活性化増大後期発現)、CD112(PVRL2、ネクチン、ポリオウイルス受容体関連2、ヘルペスウイルス侵入メディエータB、HVEB、ネクチン-2、分化抗原群112)、CD115(CSF1R、コロニー刺激因子1受容体、マクロファージコロニー刺激因子受容体、M-CSFR、分化抗原群115)、CD205(DEC-205、LY75、リンパ球抗原75、分化抗原群205)、CD226(DNAM1、分化抗原群226、DNAXアクセサリー分子-1、PTA1、血小板及びT細胞活性化抗原1)、CD244(分化抗原群244、ナチュラルキラー細胞受容体2B4)、CD262(DR5、TrailR2、TRAIL-R2、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー10b、TNFRSF10B、分化抗原群262、KILLER、TRICK2、TRICKB、ZTNFR9、TRICK2A、TRICK2B)、CD284(Toll様受容体-4、TLR4、分化抗原群284)、CD288(Toll様受容体-8、TLR8、分化抗原群288)、白血病阻害因子(LIF)、TNFSF15(腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー15、血管内皮増殖インヒビター、VEGI、TL1A)、TDO2(トリプトファン2,3-ジオキシゲナーゼ、TPH2、TRPO)、IGF-1R(1型インスリン様増殖因子)、GD2(ジシアロガングリオシド2)、TMIGD2(膜貫通及び免疫グロブリンドメイン含有タンパク質2)、RGMB(RGMドメインファミリー、メンバーB)、VISTA(T細胞活性化のV-ドメイン免疫グロブリン含有抑制因子、B7-H5、B7ホモログ5)、BTNL2(ブチロフィリン様タンパク質2)、Btn(ブチロフィリンファミリー)、TIGIT(Ig及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体、Vstm3、WUCAM)、シグレック(シアル酸結合Ig様レクチン)、すなわち、SIGLEC-15、ニューロフィリン、VEGFR(血管内皮増殖因子受容体)、ILTファミリー(LIRs、免疫グロブリン様転写物ファミリー、白血球免疫グロブリン様受容体)、NKGファミリー(ナチュラルキラー群ファミリー、C型レクチン膜貫通受容体)、MICA(MHCクラスIポリペプチド関連配列A)、TGFβ(トランスフォーミング増殖因子β)、STING経路(インターフェロン遺伝子経路の刺激因子)、アルギナーゼ(アルギニンアミジナーゼ、カナバナーゼ、L-アルギナーゼ、アルギニントランスアミジナーゼ)、EGFRvIII(上皮増殖因子受容体変異体III)、及びHHLA2(B7-H7、B7y、HERV-H LTR関連タンパク質2、B7ホモログ7)から選択される細胞標的に対する第2の抗体、PD-1(プログラム細胞死タンパク質1、PD-1、CD279、分化抗原群279)、PD-L1(B7-H1、B7ホモログ1、プログラム死リガンド1、CD274、分化抗原群274)、PD-L2(B7-DC、プログラム細胞死1リガンド2、PDCD1LG2、CD273、分化抗原群273)、CTLA-4(細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4、CD152、分化抗原群152)、BTLA(B及びTリンパ球アテニュエータ、CD272、分化抗原群272)、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO、IDO1)、TIM3(HAVCR2、A型肝炎ウイルス細胞受容体2、T細胞免疫グロブリンムチン-3、KIM-3、腎臓傷害分子3、TIMD-3、T細胞免疫グロブリンムチン-ドメイン3)、A2Aアデノシン受容体(ADO受容体)、CD39(エクトヌクレオシド三リン酸ジホスホヒドロラーゼ-1、分化抗原群39、ENTPD1)、及びCD73(エクト-5’-ヌクレオチダーゼ、5’-ヌクレオチダーゼ、5’-NT、分化抗原群73)、CD27(分化抗原群27)、ICOS(CD278、分化抗原群278、誘導性T細胞共刺激因子)、CD137(4-1BB、分化抗原群137、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー9、TNFRSF9)、OX40(CD134、分化抗原群134)、TNFSF25(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー25)、IL-10(インターロイキン-10、ヒトサイトカイン合成阻害因子、CSIF)、及びガレクチンの阻害剤と組み合わされて、ヒト腫瘍細胞の食作用を増大させる、請求項1~9のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項14】
腫瘍細胞上の抗原を標的とするオプソニン化モノクローナル抗体と組み合わされて、ヒト腫瘍細胞の食作用を増大させる、請求項1~9のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項15】
前記オプソニン化モノクローナル抗体が、リツキシマブ(抗CD20)、トラスツズマブ(抗HER2)、アレムツズマブ(抗CD52)、セツキシマブ(抗EGFR)、パニツムマブ(抗EGFR)、オファツムマブ(抗CD20)、デノスマブ(抗RANKL)、ペルツズマブ(抗HER2)、パニツムマブ(EGFR)、ペルツズマブ(HER2)、エロツズマブ(SLAMF7)、アテゾリズマブ(抗PD-L1)、アベルマブ(抗PD-L1)、デュルバルマブ(抗PD-L1)、ネシツムマブ(抗EGFR)、ダラツムマブ(抗CD38)、オビヌツズマブ(抗CD20)、ブリナツモマブ(抗CD19/CD3)、ジヌツキシマブ(抗GD2)から選択される、請求項14に記載のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項16】
前記オプソニン化モノクローナル抗体が、CD20、EGFR、及びPD-L1から選択される腫瘍細胞上の抗原を標的とする、請求項14に記載のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項17】
感受性癌を予防又は治療するための薬剤の製造において使用するための、請求項1~9のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項18】
ヒトの感受性癌を予防又は治療するための方法であって、有効量の請求項1~9のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片を投与することを含む方法。
【請求項19】
前記癌が、白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、卵巣癌、乳癌、子宮内膜癌、結腸癌(大腸癌)、直腸癌、膀胱癌、尿路上皮癌、肺癌(非小細胞肺癌、肺の腺癌、肺の扁平上皮癌)、気管支癌、骨癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、肝細胞癌、膀胱癌、胆管癌、食道癌、腎細胞癌、甲状腺癌、頭部及び頚部の扁平上皮癌(頭部及び頚部癌)、精巣癌、内分泌腺癌、副腎腺癌、脳下垂体癌、皮膚癌、軟組織の癌、血管の癌、脳腫瘍、神経癌、眼の癌、髄膜癌、中咽頭癌、下咽頭癌、子宮頸癌、及び子宮癌、膠芽腫、髄芽腫、星細胞腫、神経膠腫、髄膜腫、ガストリノーマ、神経芽細胞腫、黒色腫、骨髄異形成症候群、並びに肉腫からなる群から選択されることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記白血病が、全身性肥満細胞症、急性リンパ性(リンパ芽球性)白血病(ALL)、T細胞ALL、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、骨髄増殖性疾患/腫瘍、骨髄異形成症候群、単球性白血病、及びプラズマ細胞白血病病から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記リンパ腫が、ホジキンリンパ腫、並びに例えば、低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、細胞リンパ腫(FCC)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、びまん性大細胞リンパ腫(DLCL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ球性NHL、高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL、巨大病変(bulky diseas)NHL、及びワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症(Waldenstrom’s Macroglobulinemia)などの非ホジキンリンパ腫をはじめとする、組織球性リンパ腫及びT細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫から選択されることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記肉腫が、骨肉腫、ユーイング肉腫、平滑筋肉腫、滑膜肉腫、胞巣状軟部肉腫、血管肉腫、脂肪肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、及び軟骨肉腫から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
ヒトの感受性癌を予防又は治療するための方法であって、SIRPαに結合してSIRPαとCD47との結合を防止する請求項1~9のいずれか一項に記載の第1のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片と、CD47に選択的に結合する第2の抗体とを投与することを含む方法。
【請求項24】
ヒトの感受性癌を予防又は治療するための方法であって、SIRPαに結合してSIRPαとCD47との結合を防止する請求項1~9のいずれか一項に記載の第1のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片と、EGFRに選択的に結合する第2の抗体とを投与することを含む方法。
【請求項25】
ヒトの感受性癌を予防又は治療するための方法であって、SIRPαに結合してSIRPαとCD47との結合を防止する請求項1~9のいずれか一項に記載の第1のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片と、PD-1に選択的に結合する第2の抗体とを投与することを含む方法。
【請求項26】
ヒトの感受性癌を予防又は治療するための方法であって、SIRPαに結合してSIRPαとCD47との結合を防止する請求項1~9のいずれか一項に記載の第1のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片と、PD-L1に選択的に結合する第2の抗体とを投与することを含む方法。
【請求項27】
ヒトの感受性癌を予防又は治療するための方法であって、SIRPαに結合してSIRPαとCD47との結合を防止する請求項1~9のいずれか一項に記載の第1のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片と、CTLA-4に選択的に結合する第2の抗体とを投与することを含む方法。
【請求項28】
請求項1乃至5の何れか1項に記載のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片を使用して、腫瘍及び/又は免疫細胞中のSIRPα発現を検定する方法において、配列番号121及び/又は配列番号122の配列内のエピトープと特異的に結合することを特徴とする、方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法において、患者のサンプルを取得するステップ、配列番号121及び/又は配列番号122の配列内のエピトープと特異的に結合するモノクローナル抗体、又はその抗原結合断片と前記患者のサンプルを接触させるステップ、及び前記抗体と前記患者のサンプルとの結合を検定するステップを含み、ここで、前記抗体と前記患者のサンプルとの結合が、患者のサンプル中のSIRPα発現を示すことを特徴とする、方法。
【請求項30】
請求項28に記載の方法において、前記腫瘍が、癌腫瘍又は転移性癌腫瘍であることを特徴とする、方法。
【請求項31】
請求項28に記載の方法において、前記抗体、又はその抗原結合断片と前記患者のサンプルとの結合を検定する前記ステップが、組織サンプルの免疫組織化学染色標識を使用することを特徴とする、方法。
【請求項32】
請求項28に記載の方法において、前記抗体又はその抗原結合断片と前記患者のサンプルとの結合を検定する前記ステップが、酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)を使用することを特徴とする、方法。
【請求項33】
請求項28に記載の方法において、前記抗体又はその抗原結合断片と前記患者のサンプルとの結合の前記アッセイが、フローサイトメトリーを使用することを特徴とする、方法。
【請求項34】
請求項28に記載の方法において、前記患者のサンプルが、腫瘍細胞を含み、前記アッセイが、前記抗体又はその抗原結合断片と前記患者のサンプル中の腫瘍細胞との結合を検定するステップを含むことを特徴とする、方法。
【請求項35】
請求項1~9のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片と、薬学的又は生理学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤とを含む医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の分野
本出願は、2018年11月14日に出願された米国仮特許出願第62/767,509号、2019年3月19日に出願された同第62/820,718号、2019年8月14日に出願された同第62/886,872号、及び2019年11月6日に出願された同第62/931,746号の優先権の利益を主張するものであり、これらの開示は、あたかもその全体が本明細書中に記載されているかのように参照によって本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、免疫療法の分野に関する。本開示は、SIRPαとCD47との間の相互作用を妨害し、腫瘍細胞の食作用を増強し、免疫応答の免疫調節を引き起こす抗SIRPα抗体(抗SIRPα)と、抗SIRPα抗体を作製する方法と、血液癌及び固形癌の予防及び治療のための治療薬として抗SIRPα抗体を使用する方法とを提供する。
【背景技術】
【0003】
背景
T細胞免疫応答の細胞傷害活性を増強するために、T細胞チェックポイント、PD-1、PD-L1及びCTLA-4を含む適応免疫を標的とする治療抗体は、転移性疾患を有する患者の長期寛解、又はさらに治癒の可能性をもたらした(Hodi 2010、McDermott 2015)。良好な結果にもかかわらず、これらのチェックポイント阻害剤に応答できない(一次耐性)か、或いは応答するが最終的には疾患の進行を起こす(獲得耐性)大きな患者集団が残されている(Pitt 2016、Restifo 2016、Sharma 2017)。最近の研究では、耐性機序は、独特の腫瘍抗原タンパク質の欠如、又は腫瘍抗原提示の阻害を含む腫瘍細胞に内因的なものと、浸潤性T細胞の不在、冗長な阻害性チェックポイント、及び/又は腫瘍微小環境内の免疫抑制細胞の存在を含む腫瘍細胞に外因的なものとの両方であり得ることが示唆される(Sharma 2017)。チェックポイント阻害剤に感受性があると考えられる腫瘍でさえ、或いは抗CTLA-4及び抗PD-1/PDL-1剤と組み合わせた場合でも、患者の約50%は腫瘍の縮小を経験せず、治療患者全てについて、治療期間又は無進行生存の中央値は、比較的短い約2~5ヶ月に留まる(Kazandjian, 2016)。さらに、最も多くみられる固形腫瘍のいくつか及び血液悪性腫瘍の大部分は、これらのチェックポイント阻害剤により期待外れの結果を示した。特に、ホルモン受容体陽性の乳癌、大腸癌(非マイクロサテライト不安定性)及び前立腺癌はこのタイプの免疫操作に感受性がないと思われ、異なる免疫療法アプローチの恩恵を受け得る(Le 2015、Dirix 2015、Topalian 2012、Graff 2016)。これらの知見は、適応免疫応答に加えて自然免疫応答を活性化して、臨床結果をさらに改善するために、付加的なチェックポイントを標的とする代替的又は相乗的なアプローチの必要性を強調する。腫瘍細胞及び骨髄細胞(マクロファージ、樹状細胞、単球由来のサプレッサー細胞、顆粒球)上には自然免疫応答のいくつかのチェックポイントが存在し、これらは、腫瘍の進行、転移及び全体の結果に影響を与える腫瘍微小環境の重要な細胞成分である(Barclay and van den Berg 2014、Yanagita 2017)。
【0004】
CD172a、BIT又はSHPS-1としても知られているシグナル調節タンパク質(SIRP)-α又はSIRPαは、密接に関連するSIRPタンパク質のSIRP対合受容体ファミリーのメンバーである。SIRPαは、主に、マクロファージ、樹状細胞及び顆粒球を含む造血細胞によって発現され、特に脳内のニューロン、グリア、平滑筋細胞、並びに内皮及び一部の腫瘍細胞においても発現される(Barclay and van den Berg 2014)。SIPRαは、3つのIg様ドメインを含有する細胞外ドメインと、免疫受容体チロシンベースの阻害モチーフ(ITIM)を含有する細胞質領域とを有する膜貫通タンパク質である。ヒトSIRPαをコードする遺伝子は、表面アミノ酸の変化を伴うがそのリガンド分化抗原群47(CD47)への結合には影響を与えないと思われる、SIRPαV1及びSIRPαV2で識別される2つの共通変異体を有する多形である(Barclay and van den Berg 2014)。骨髄細胞により発現されるSIRPαと、多数の腫瘍細胞及び正常細胞上で発現又は過剰発現されるCD47との相互作用は、接着、遊走、活性化及び阻害活性を含む骨髄機能を制御する自然応答の重要な免疫チェックポイントである。CD47/SIRPα相互作用は、阻害性「don’t eat meシグナル」を食細胞へ送る標的細胞のマクロファージ及び樹状細胞食作用を制御する。CD47のSIRPαへの結合は阻害性シグナル伝達カスケードを開始させ、その細胞質ITIMのリン酸化の後に食作用の阻害をもたらし(Oldenborg 2000、Oldenborg 2001、Okazawa 2005)、Src相同性ドメイン含有タンパク質チロシンホスファターゼであるSHP-1及びSHP-2の補充及び結合をもたらし(Veillette 1998、Oldenborg 2001)、非筋肉性ミオシンIIA及び最終的には食細胞機能の阻害をもたらす(Tsai and Discher 2008、Barclay and van den Berg 2014、Murata 2014、Veillette and Chen 2018、Matazaki 2009)。「don’t eat me」シグナルとしてのCD47の作用の重要な結果は、「自身のマーカー」としてのその役割である。これは自身の食作用の有意な妨害を提供し、それに続く自己免疫応答を遮断する(Oldenborg, 2002、Oldenborg 2004)。癌細胞はCD47を使用して、「自己(selfness)」の中に自分自身を遮蔽し、結果的に、自然及び適応免疫系の両方を逃れる。マクロファージ及び樹状細胞などの自然免疫細胞上のSIRPαと、腫瘍細胞上のCD47との相互作用を遮断することは、癌治療における実行可能な標的として浮上している。前臨床データにより、抗CD47抗体と同様に、SIRPα/CD47相互作用を遮断する抗SIRPα抗体は、単独療法として又は他の薬剤と組み合せて、マウス腫瘍モデルにおいて抗腫瘍効果を示すことが示された(Gauttier, 2017;Ring, 2017;Yanigita, 2017;Poirier, 2018;及びGuattier, 2018)。重要なことには、SIRPα/CD47相互作用の中断後の自然免疫応答に加えて、適応免疫応答の発生が、強い抗腫瘍応答を得るために極めて重要であると思われる(Tseng 2013、Li 2015、Xu 2017)。
【0005】
DC細胞上のSIRPαの発現、及びT細胞上のCD47とのその相互作用は、適応免疫応答の誘発において重要であると思われる。SIRPα/CD47相互作用の遮断は、DCが抗原特異的CD8+ T細胞応答を刺激する能力に影響を与えることが報告され、これは、腫瘍DNAに対するDC媒介性の応答の増強と相関した(Liu 2015、Xu 2017)。
【0006】
対合受容体のSIRPファミリーの別のメンバーであるSIRP-γはヒトT細胞の表面で選択的に発現され(しかし、齧歯類では発現されない)、4つのアミノ酸からなる短い細胞質領域を有する。SIRP-γもCD47に結合し、T細胞とAPCとの間の接着を媒介するため、並びに増殖及び活性化を含むT細胞機能のために重要であると思われる(Barclay and van den Berg 2014;及びPiccio, 2005)。したがって、SIRP-γとCD47との間ではなく、SIRPαとCD47との間の相互作用の遮断は、T細胞機能の保護に対する利点を提供し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、異なる機能プロフィールを有する抗SIRPαmAbを記載する。本開示の抗体は、固形癌及び血液癌の予防及び治療のための治療薬としての抗SIRPαmAbの使用を含む、ヒトのSIRPαに関連する疾患及び状態を治療するための種々の治療法において有用である。また本開示の抗体は、組織サンプル中の抗SIRPαの発現レベルを決定するための診断薬としても有用である。本開示の実施形態は、単離抗体及びその免疫学的に活性な結合断片;抗SIRPαモノクローナル抗体、好ましくは、前記抗体のキメラ型又はヒト化型の1つ又は複数を含む医薬組成物;並びにこのような抗SIRPαモノクローナル抗体の治療的使用方法を含む。
【0008】
本開示の実施形態はmAb又はその抗原結合断片を含み、これらは、特定の構造的特徴、すなわちCDR、又は重鎖及び軽鎖可変ドメイン全体、又は重鎖及び軽鎖全体のいずれかの規定のアミノ酸配列を参照することによって定義される。本明細書に開示されるこれらの抗体の全ては、SIRPα、SIRPγ、又はSIRPα及びSIRPγのいずれかに結合する。
【0009】
モノクローナル抗体、又はその抗原結合断片は、本明細書に記載するように、少なくとも1つ、通常3つのCDR配列を、通常、ヒト可変領域又は単離されたCDRペプチド由来のフレームワーク配列と組み合わせて含んでもよい。1部の実施形態では、抗体は、可変領域フレームワーク(限定はしないが、マウス又はヒト可変領域フレームワークであってもよい)に位置する本明細書に記載の3つの軽鎖CDR配列を含む少なくとも1つの軽鎖と、可変領域フレームワーク(限定はしないが、ヒト又はマウス可変領域フレームワークであってもよい)に位置する本明細書に記載の3つの重鎖CDR配列を含む少なくとも1つの重鎖とを含む。
【0010】
ある実施形態では、6つのCDRの組合せは、限定されないが、以下:
配列番号33を含むHCDR1、配列番号34を含むHCDR2、配列番号35を含むHCDR3、配列番号1を含むLCDR1、配列番号2を含むLCDR2、配列番号3を含むLCDR3;
配列番号36を含むHCDR1、配列番号37を含むHCDR2、配列番号38を含むHCDR3、配列番号4を含むLCDR1、配列番号5を含むLCDR2、配列番号6を含むLCDR3;
配列番号39を含むHCDR1、配列番号40を含むHCDR2、配列番号41を含むHCDR3、配列番号7を含むLCDR1、配列番号8を含むLCDR2、配列番号9を含むLCDR3;
配列番号42を含むHCDR1、配列番号43を含むHCDR2、配列番号44を含むHCDR3、配列番号10を含むLCDR1、配列番号11を含むLCDR2、配列番号12を含むLCDR3;
配列番号45を含むHCDR1、配列番号46を含むHCDR2、配列番号47を含むHCDR3、配列番号13を含むLCDR1、配列番号14を含むLCDR2、配列番号15を含むLCDR3;
配列番号48を含むHCDR1、配列番号49を含むHCDR2、配列番号50を含むHCDR3、配列番号16を含むLCDR1、配列番号17を含むLCDR2、配列番号18を含むLCDR3;
配列番号51を含むHCDR1、配列番号52を含むHCDR2、配列番号53を含むHCDR3、配列番号19を含むLCDR1、配列番号20を含むLCDR2、配列番号21を含むLCDR3。
配列番号54を含むHCDR1、配列番号55を含むHCDR2、配列番号56を含むHCDR3、配列番号22を含むLCDR1、配列番号23を含むLCDR2、配列番号24を含むLCDR3。
【0011】
配列番号57を含むHCDR1、配列番号58を含むHCDR2、配列番号59を含むHCDR3、配列番号25を含むLCDR1、配列番号26を含むLCDR2、配列番号27を含むLCDR3。
【0012】
配列番号60を含むHCDR1、配列番号61を含むHCDR2、配列番号62を含むHCDR3、配列番号28を含むLCDR1、配列番号29を含むLCDR2、配列番号30を含むLCDR3。
【0013】
配列番号42を含むHCDR1、配列番号43を含むHCDR2、配列番号44を含むHCDR3、配列番号10を含むLCDR1、配列番号31を含むLCDR2、配列番号12を含むLCDR3。
【0014】
配列番号42を含むHCDR1、配列番号43を含むHCDR2、配列番号44を含むHCDR3、配列番号10を含むLCDR1、配列番号31を含むLCDR2、配列番号32を含むLCDR3。
【0015】
配列番号57を含むHCDR1、配列番号58を含むHCDR2、配列番号63を含むHCDR3、配列番号25を含むLCDR1、配列番号26を含むLCDR2、配列番号27を含むLCDR3。
から選択される可変重鎖CDR1(HCDR1)、可変重鎖CDR2(HCDR2)、可変重鎖CDR3(HCDR3)、可変軽鎖CDR1(LCDR1)、可変軽鎖CDR2(LCDR2)、及び可変軽鎖CDR3(LCDR3)の組合せが挙げられる。
【0016】
一部の実施形態では、抗SIRPα抗体は、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号86、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号96、及び配列番号97のアミノ酸配列、並びに列挙した配列の1つに対して少なくとも85%、90%、95%、97%、98%、又は99%の配列同一性を示すアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン(VH)を含む抗体又はその抗原結合断片を含む。代替的又は付加的に、抗体又はその抗原結合断片を含む抗SIRPα抗体は、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号78、配列番号79、及び配列番号80のアミノ酸配列、並びに列挙した配列の1つに対して少なくとも85%、90%、95%、97%、98%、又は99%の配列同一性を示すアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含み得る。
【0017】
上に挙げたVHドメイン及びVLドメイン配列群から選択されるVHドメイン及びVLドメインの考えられる全ての対合は許容され、VH及びVLドメインの特定の組合せが開示される。従って、抗SIRPα抗体、又はその抗原結合断片は、重鎖可変ドメイン(VH)と軽鎖可変ドメイン(VL)の組合せを含むものであり、この組合せは、以下のものからなる群から選択される:
i. 配列番号81のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、アミノ酸配列配列番号64を含む軽鎖可変ドメイン;
ii. 配列番号82のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、アミノ酸配列配列番号65を含む軽鎖可変ドメイン;
iii. 配列番号83のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、アミノ酸配列配列番号66を含む軽鎖可変ドメイン;
iv. 配列番号84のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、アミノ酸配列配列番号67を含む軽鎖可変ドメイン;
v. 配列番号85のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、アミノ酸配列配列番号68を含む軽鎖可変ドメイン;
vi. 配列番号86のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、アミノ酸配列配列番号69を含む軽鎖可変ドメイン;
vii. 配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、アミノ酸配列配列番号70を含む軽鎖可変ドメイン;
viii. 配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、アミノ酸配列配列番号71を含む軽鎖可変ドメイン;
ix. 配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、アミノ酸配列配列番号72を含む軽鎖可変ドメイン;
x. 配列番号90のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、アミノ酸配列配列番号73を含む軽鎖可変ドメイン;
xi. 配列番号91のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、アミノ酸配列配列番号74を含む軽鎖可変ドメイン;
xii. 配列番号91のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、アミノ酸配列配列番号75を含む軽鎖可変ドメイン;
xiii. 配列番号91のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、アミノ酸配列配列番号76を含む軽鎖可変ドメイン;
xiv. 配列番号92のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、アミノ酸配列配列番号74を含む軽鎖可変ドメイン;
xv. 配列番号92のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、アミノ酸配列配列番号75を含む軽鎖可変ドメイン;
xvi. 配列番号92のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、アミノ酸配列配列番号76を含む軽鎖可変ドメイン;
xvii. 配列番号93のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、アミノ酸配列配列番号74を含む軽鎖可変ドメイン;
xviii. 配列番号93のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、アミノ酸配列配列番号75を含む軽鎖可変ドメイン;
xix. 配列番号93のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、アミノ酸配列配列番号76を含む軽鎖可変ドメイン;
xx. 配列番号94のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、アミノ酸配列配列番号74を含む軽鎖可変ドメイン;
xxi. 配列番号94のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、アミノ酸配列配列番号75を含む軽鎖可変ドメイン;
xxii. 配列番号94のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、アミノ酸配列配列番号76を含む軽鎖可変ドメイン;
xxiii. 配列番号84のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、アミノ酸配列配列番号77を含む軽鎖可変ドメイン;
xxiv. 配列番号95のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、アミノ酸配列配列番号78を含む軽鎖可変ドメイン;
xxv. 配列番号95のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、アミノ酸配列配列番号79を含む軽鎖可変ドメイン;
xxvi. 配列番号95のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、アミノ酸配列配列番号80を含む軽鎖可変ドメイン;
xxvii. 配列番号96のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、アミノ酸配列配列番号78を含む軽鎖可変ドメイン;
xxviii. 配列番号96のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、アミノ酸配列配列番号79を含む軽鎖可変ドメイン;
xxix. 配列番号96のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、アミノ酸配列配列番号80を含む軽鎖可変ドメイン;
xxx. 配列番号97のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、アミノ酸配列配列番号78を含む軽鎖可変ドメイン;
xxxi. 配列番号97のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、アミノ酸配列配列番号79を含む軽鎖可変ドメイン;
xxxii. 配列番号97のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、アミノ酸配列配列番号80を含む軽鎖可変ドメイン;
xxxiii. 配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、アミノ酸配列配列番号72を含む軽鎖可変ドメイン。
【0018】
ある実施形態では、抗SIRPα抗体又はその抗原結合断片は、重鎖可変ドメインが、上の(i)~(xxxiii)に示される重鎖アミノ酸配列と、少なくとも85%の配列同一性、又は少なくとも90%の配列同一性、又は少なくとも95%の配列同一性、又は少なくとも97%、98%若しくは99%の配列同一性を有するVH配列を含み、並びに/又は軽鎖可変ドメインが、上の(i)~(xxxiii)に示される軽鎖アミノ酸配列と、少なくとも85%の配列同一性、又は少なくとも90%の配列同一性、又は少なくとも95%の配列同一性、又は少なくとも97%、98%若しくは99%の配列同一性を有するVL配列を含む、重鎖可変ドメインと軽鎖可変ドメインの組合せを含んでもよい。(i)~(xxxiii)の特定のVH及びVL対合又は部分的組合せを、これらの基準配列に対して特定のパーセンテージの配列同一性を有するVH及びVLドメイン配列を有する抗SIRPα抗体のために維持してもよい。
【0019】
抗体又はその抗原結合断片の重鎖及び/又は軽鎖可変ドメインが、基準配列に対する具体的な配列同一性パーセンテージによって定義される全ての実施形態について、VH及び/又はVLドメインは、相違がフレームワーク領域内にのみ存在するように、基準配列内に存在するCDR配列と同一のCDR配列を保持してもよい。
【0020】
別の実施形態では、抗SIRPα抗体、又はその抗原結合断片は、重鎖(HC)と軽鎖(LC)の組合せを含むものであり、この組合せは、以下:
i. 配列番号109のアミノ酸配列を含む重鎖と、アミノ酸配列配列番号98を含む軽鎖;
ii. 配列番号110のアミノ酸配列を含む重鎖と、アミノ酸配列配列番号99を含む軽鎖;
iii. 配列番号111のアミノ酸配列を含む重鎖と、アミノ酸配列配列番号100を含む軽鎖;
iv. 配列番号112のアミノ酸配列を含む重鎖と、アミノ酸配列配列番号101を含む軽鎖;
v. 配列番号112のアミノ酸配列を含む重鎖と、アミノ酸配列配列番号102を含む軽鎖;
vi. 配列番号112のアミノ酸配列を含む重鎖と、アミノ酸配列配列番号103を含む軽鎖;
vii. 配列番号113のアミノ酸配列を含む重鎖と、アミノ酸配列配列番号101を含む軽鎖;
viii. 配列番号113のアミノ酸配列を含む重鎖と、アミノ酸配列配列番号102を含む軽鎖;
ix. 配列番号113のアミノ酸配列を含む重鎖と、アミノ酸配列配列番号103を含む軽鎖;
x. 配列番号114のアミノ酸配列を含む重鎖と、アミノ酸配列配列番号101を含む軽鎖;
xi. 配列番号114のアミノ酸配列を含む重鎖と、アミノ酸配列配列番号102を含む軽鎖;
xii 配列番号114のアミノ酸配列を含む重鎖と、アミノ酸配列配列番号103を含む軽鎖;
xiii. 配列番号115のアミノ酸配列を含む重鎖と、アミノ酸配列配列番号101を含む軽鎖;
xiv. 配列番号115のアミノ酸配列を含む重鎖と、アミノ酸配列配列番号102を含む軽鎖;
xv. 配列番号115のアミノ酸配列を含む重鎖と、アミノ酸配列配列番号103を含む軽鎖;
xvi. 配列番号116のアミノ酸配列を含む重鎖と、アミノ酸配列配列番号104を含む軽鎖;
xvii. 配列番号117のアミノ酸配列を含む重鎖と、アミノ酸配列配列番号105を含む軽鎖;
xviii. 配列番号117のアミノ酸配列を含む重鎖と、アミノ酸配列配列番号106を含む軽鎖;
xix. 配列番号117のアミノ酸配列を含む重鎖と、アミノ酸配列配列番号107を含む軽鎖;
xx. 配列番号118のアミノ酸配列を含む重鎖と、アミノ酸配列配列番号105を含む軽鎖;
xxi. 配列番号118のアミノ酸配列を含む重鎖と、アミノ酸配列配列番号106を含む軽鎖;
xxii. 配列番号118のアミノ酸配列を含む重鎖と、アミノ酸配列配列番号107を含む軽鎖;
xxiii. 配列番号119のアミノ酸配列を含む重鎖と、アミノ酸配列配列番号105を含む軽鎖;
xxiv. 配列番号119のアミノ酸配列を含む重鎖と、アミノ酸配列配列番号106を含む軽鎖;
xxv. 配列番号119のアミノ酸配列を含む重鎖と、アミノ酸配列配列番号107を含む軽鎖;
xxvi. 配列番号120のアミノ酸配列を含む重鎖と、アミノ酸配列配列番号108を含む軽鎖;
から選択される。
【0021】
抗SIRPαmAbの様々な形態が開示される。例えば、抗CD47mAbは、本明細書に開示されるように、ヒトフレームワークと、アイソタイプ、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgM、より具体的には、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4の定常領域を有し、場合によっては、Fc受容体機能を改変する、若しくはFabアーム交換を防止する様々な突然変異を有する完全長ヒト化抗体、又は抗体断片、例えば、F(ab’)2断片、F(ab)断片、一本鎖Fv断片(scFv)などであってよい。
【0022】
一部の実施形態では、抗SIRPαmAb又はその抗原結合断片は、IgG1、IgG1-N297Q、IgG2、IgG4、IgG4 S228P、IgG4 PE及びこれらの変異体から選択されるIgGアイソタイプを含む。
【0023】
一部の実施形態では、抗SIRPαmAb又はその抗原結合断片は、ヒトSIRPαに加えて、ヒトSIRPγに結合する。
【0024】
一部の実施形態では、抗SIRPαmAb又はその抗原結合断片は、ヒトSIRPαに選択的に結合する。
【0025】
一部の実施形態では、抗SIRPαmAb又はその抗原結合断片は、ヒト腫瘍細胞の食作用を増大させる。
【0026】
一部の実施形態では、本明細書に開示される抗SIRPαmAbはSIRPα及び少なくとも第2の抗原に特異的に結合する多重特異性抗体であり、第2の抗原は、CD47発現細胞のマーカーである。
【0027】
一部の実施形態では、多重特異性抗体の第2の抗原は、CD19、CD20、CD22、CD24、CD25、CD30、CD33、CD40、CD44、HER2、CD52、CD56、CD70、CD96、CD97、CD99、CD123、CD279(PD-1)、CD117、C-Met、PTHR2、EGFR、RANKL、SLAMF7、PD-L1、CD38、CD19/CD3、HAVCR2(TIM3)、及びGD2から選択される。
【0028】
一部の実施形態では、抗SIRPαmAb又はその抗原結合断片はヒト腫瘍細胞の食作用を増大させ、腫瘍細胞上の抗原を標的とするオプソニン化モノクローナル抗体と組み合わせて投与される。
【0029】
一部の実施形態では、抗SIRPαmAb又はその抗原結合断片はヒト腫瘍細胞の食作用を増大させ、腫瘍細胞上の抗原を標的とするオプソニン化モノクローナル抗体と組み合わせて投与され、ここで、オプソニン化モノクローナル抗体は、リツキシマブ(抗CD20)、トラスツズマブ(抗HER2)、アレムツズマブ(抗CD52)、セツキシマブ(抗EGFR)、パニツムマブ(抗EGFR)、オファツムマブ(抗CD20)、デノスマブ(抗RANKL)、ペルツズマブ(抗HER2)、パニツムマブ(EGFR)、ペルツズマブ(HER2)、エロツズマブ(SLAMF7)、アテゾリズマブ(抗PD-L1)、アベルマブ(抗PD-L1)、デュルバルマブ(抗PD-L1)、ネシツムマブ(抗EGFR)、ダラツムマブ(抗CD38)、オビヌツズマブ(抗CD20)、ブリナツモマブ(抗CD19/CD3)、ジヌツキシマブ(抗GD2)から選択される。
【0030】
一部の実施形態では、オプソニン化モノクローナル抗体は、CD20、EGFR、及びPD-L1を標的とする。
【0031】
一部の実施形態では、抗SIRPαmAb又はその抗原結合断片は、抗腫瘍活性を示す。
【0032】
一部の実施形態では、抗SIRPαmAb又はその抗原結合断片は抗CD47抗体と組み合わせて投与され、ここで、抗CD47抗体は、米国特許第10,239,945号において記載されており、これは参照によってその全体が本明細書に援用される。
【0033】
一部の実施形態では、抗SIRPαmAb又はその抗原結合断片は、抗EGFR抗体と組み合わせて投与される。
【0034】
一部の実施形態では、抗SIRPαmAb又はその抗原結合断片は、抗PD-1抗体と組み合わせて投与される。
【0035】
一部の実施形態では、抗SIRPαmAb又はその抗原結合断片は、抗CTLA-4抗体と組み合わせて投与される。
【0036】
一部の実施形態では、本開示は、任意選択的にキメラ型又はヒト化型である、本明細書に開示される抗SIRPαmAb又は抗原結合断片の1つ又は複数と、薬学的又は生理学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0037】
一部の実施形態では、抗SIRPαmAb又はその抗原結合断片は、ヒトの治療において使用するためのものである。
【0038】
一部の実施形態では、抗SIRPαmAb又はその抗原結合断片は、ヒト患者における癌の予防又は治療において使用するためのものである。
【0039】
本開示に先立って、本明細書に記載される機能プロフィールを有する抗SIRPαmAbを同定することが必要とされていた。本開示の抗SIRPαmAbは、ヒトの治療、特に固形癌及び血液癌の予防及び/又は治療において使用するために、mAbを特に有利にする特性の組合せを示す。
【0040】
一部の実施形態では、癌は、白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、卵巣癌、乳癌、子宮内膜癌、結腸癌(大腸癌)、直腸癌、膀胱癌、尿路上皮癌、肺癌(非小細胞肺癌、肺の腺癌、肺の扁平上皮癌)、気管支癌、骨癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、肝細胞癌、胆嚢癌、胆管癌、食道癌、腎細胞癌、甲状腺癌、頭部及び頚部の扁平上皮癌(頭部及び頚部癌)、精巣癌、内分泌腺癌、副腎腺癌、脳下垂体癌、皮膚癌、軟組織の癌、血管の癌、脳腫瘍、神経癌、眼の癌、髄膜癌、中咽頭癌、下咽頭癌、子宮頸癌、及び子宮癌、膠芽腫、髄芽腫、星細胞腫、神経膠腫、髄膜腫、ガストリノーマ、神経芽細胞腫、黒色腫、骨髄異形成症候群、並びに肉腫から選択される。
【0041】
一部の実施形態では、白血病は、全身性肥満細胞症、急性リンパ性(リンパ芽球性)白血病(ALL)、T細胞-ALL、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、骨髄増殖性疾患/腫瘍、骨髄異形成症候群、単球性白血病、及びプラズマ細胞白血病からなる群から選択され;前記リンパ腫は、ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫、例えば、低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、細胞リンパ腫(FCC)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、びまん性大細胞リンパ腫(DLCL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL、巨大病変NHL、及びワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症を含む、組織球性リンパ腫及びT細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫からなる群から選択され;並びに前記肉腫は、骨肉腫、ユーイング肉腫、平滑筋肉腫、滑膜肉腫、胞巣状軟部肉腫、血管肉腫、脂肪肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、及び軟骨肉腫からなる群から選択される。
【0042】
一部の実施形態では、配列番号121の配列内のエピトープに特異的に結合する抗SIRPαモノクローナル抗体又はその抗原結合断片を用いて、腫瘍及び/又は免疫細胞におけるSIRPα発現をアッセイするための方法が開示される。
【0043】
一部の実施形態では、方法は、患者サンプルを得ることと、配列番号121の配列内のエピトープに特異的に結合する抗SIRPαモノクローナル抗体又はその抗原結合断片と患者サンプルを接触させることと、抗体の患者サンプルへの結合についてアッセイすることとを含み、抗体の患者サンプルへの結合は、患者サンプル中のSIRPα発現の診断である。
【0044】
一部の実施形態では、配列番号122の配列内のエピトープに特異的に結合する抗SIRPαモノクローナル抗体又はその抗原結合断片を用いて、腫瘍及び又は免疫細胞におけるSIRPγ発現をアッセイするための方法が開示される。
【0045】
一部の実施形態では、方法は、患者サンプルを得ることと、配列番号122の配列内のエピトープに特異的に結合する抗SIRPγモノクローナル抗体又はその抗原結合断片と患者サンプルを接触させることと、抗体の患者サンプルへの結合についてアッセイすることとを含み、抗体の患者サンプルへの結合は、患者サンプル中のSIRPγ発現の診断である。
【0046】
一部の実施形態では、腫瘍は、原発性癌腫瘍又は転移性癌腫瘍である。
【0047】
一部の実施形態では、抗SIRPαモノクローナル抗体又はその抗原結合断片の患者サンプルへの結合についてのアッセイは、組織サンプルの免疫組織化学標識、酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)、又はフローサイトメトリーを利用する。
【0048】
一部の実施形態では、方法は腫瘍細胞を含み、アッセイは、患者サンプルにおける抗SIRPαモノクローナル抗体又はその抗原結合断片の腫瘍細胞への結合についてアッセイすることを含む。
【0049】
本開示の適用可能性のさらなる範囲は、以下に記載する詳細な説明から明らかになるであろう。しかし、詳細な説明及び具体的な例は、本開示の実施形態を示してはいるが、本開示の精神及び範囲内の様々な変更及び修正は、詳細な説明から当業者に対して明らかになることから、あくまで例示として賦与されるに過ぎないことは理解すべきである。
【0050】
図面の簡単な説明
本開示の上記及びその他の態様、特徴、及び利点は、添付の図面と共に考慮される以下の詳細な説明からよりよく理解されよう。尚、これらの図面は全て、例示として賦与されるに過ぎず、本開示を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1A】抗SIRP抗体のヒトSIRPαへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPαへの結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPαでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図1B】抗SIRP抗体のヒトSIRPαへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPαへの結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPαでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図1C】抗SIRP抗体のヒトSIRPαへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPαへの結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPαでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図1D】抗SIRP抗体のヒトSIRPαへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPαへの結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPαでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図1E】抗SIRP抗体のヒトSIRPαへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPαへの結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPαでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図1F】抗SIRP抗体のヒトSIRPαへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPαへの結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPαでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図1G】抗SIRP抗体のヒトSIRPαへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPαへの結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPαでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図1H】抗SIRP抗体のヒトSIRPαへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPαへの結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPαでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図1I】抗SIRP抗体のヒトSIRPαへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPαへの結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPαでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図1J】抗SIRP抗体のヒトSIRPαへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPαへの結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPαでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図1K】抗SIRP抗体のヒトSIRPαへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPαへの結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPαでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図1L】抗SIRP抗体のヒトSIRPαへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPαへの結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPαでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図1M】抗SIRP抗体のヒトSIRPαへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPαへの結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPαでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図1N】抗SIRP抗体のヒトSIRPαへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPαへの結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPαでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図1O】抗SIRP抗体のヒトSIRPαへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPαへの結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPαでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図1P】抗SIRP抗体のヒトSIRPαへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPαへの結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPαでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図1Q】抗SIRP抗体のヒトSIRPαへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPαへの結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPαでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図1R】抗SIRP抗体のヒトSIRPαへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPαへの結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPαでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図1S】抗SIRP抗体のヒトSIRPαへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPαへの結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPαでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図1T】抗SIRP抗体のヒトSIRPαへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPαへの結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPαでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図1U】抗SIRP抗体のヒトSIRPαへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPαへの結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPαでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図1V】抗SIRP抗体のヒトSIRPαへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPαへの結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPαでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図2】ハイブリドーマ由来mAb(SIRP1、SIRP2、及びSIRP3)のSIRPα発現THP1細胞への結合。SIRP1、SIRP2、及びSIRP3のTHP-1単球細胞株への結合を決定した。増加する濃度の抗体と共に細胞を1時間インキュベートした。細胞を洗浄してから、Alexaflour 647標識二次抗体と共に1時間インキュベートした。細胞を洗浄し、フローサイトメトリーを用いて抗体結合を測定した。
【
図3A】抗SIRP抗体のヒトSIRPガンマへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPガンマ(SIRPγ)への結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPガンマでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図3B】抗SIRP抗体のヒトSIRPガンマへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPガンマ(SIRPγ)への結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPガンマでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図3C】抗SIRP抗体のヒトSIRPガンマへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPガンマ(SIRPγ)への結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPガンマでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図3D】抗SIRP抗体のヒトSIRPガンマへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPガンマ(SIRPγ)への結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPガンマでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図3E】抗SIRP抗体のヒトSIRPガンマへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPガンマ(SIRPγ)への結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPガンマでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図3F】抗SIRP抗体のヒトSIRPガンマへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPガンマ(SIRPγ)への結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPガンマでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図3G】抗SIRP抗体のヒトSIRPガンマへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPガンマ(SIRPγ)への結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPガンマでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図3H】抗SIRP抗体のヒトSIRPガンマへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPガンマ(SIRPγ)への結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPガンマでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図3I】抗SIRP抗体のヒトSIRPガンマへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPガンマ(SIRPγ)への結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPガンマでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図3J】抗SIRP抗体のヒトSIRPガンマへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPガンマ(SIRPγ)への結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPガンマでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図3K】抗SIRP抗体のヒトSIRPガンマへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPガンマ(SIRPγ)への結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPガンマでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図3L】抗SIRP抗体のヒトSIRPガンマへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPガンマ(SIRPγ)への結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPガンマでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図3M】抗SIRP抗体のヒトSIRPガンマへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPガンマ(SIRPγ)への結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPガンマでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図3N】抗SIRP抗体のヒトSIRPガンマへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPガンマ(SIRPγ)への結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPガンマでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図3O】抗SIRP抗体のヒトSIRPガンマへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPガンマ(SIRPγ)への結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPガンマでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図3P】抗SIRP抗体のヒトSIRPガンマへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPガンマ(SIRPγ)への結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPガンマでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図3Q】抗SIRP抗体のヒトSIRPガンマへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPガンマ(SIRPγ)への結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPガンマでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図3R】抗SIRP抗体のヒトSIRPガンマへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPガンマ(SIRPγ)への結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPガンマでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図3S】抗SIRP抗体のヒトSIRPガンマへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPガンマ(SIRPγ)への結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPガンマでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図3T】抗SIRP抗体のヒトSIRPガンマへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPガンマ(SIRPγ)への結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPガンマでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図3U】抗SIRP抗体のヒトSIRPガンマへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPガンマ(SIRPγ)への結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPガンマでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図3V】抗SIRP抗体のヒトSIRPガンマへの結合。固相ELISAによって抗SIRP抗体の組換えヒトSIRPガンマ(SIRPγ)への結合を決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPガンマでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図4A】SIRPmAbのSIRPγ発現ジャーカットT細胞への結合。SIRP1、SIRP2、SIRP3、SIRP4及びSIRP9のジャーカットT-ALL細胞への結合を決定した。増加する濃度の抗体(
図4A)、又は10μg/mlの抗SIRP抗体と共に、細胞を1時間インキュベートした(
図4B)。細胞を洗浄してから、Alexaflour 647標的二次抗体と共に1時間インキュベートした。細胞を洗浄し、フローサイトメトリーを用いて抗体結合を測定した。
【
図4B】SIRPmAbのSIRPγ発現ジャーカットT細胞への結合。SIRP1、SIRP2、SIRP3、SIRP4及びSIRP9のジャーカットT-ALL細胞への結合を決定した。増加する濃度の抗体(
図4A)、又は10μg/mlの抗SIRP抗体と共に、細胞を1時間インキュベートした(
図4B)。細胞を洗浄してから、Alexaflour 647標的二次抗体と共に1時間インキュベートした。細胞を洗浄し、フローサイトメトリーを用いて抗体結合を測定した。
【
図5A】抗SIRP抗体によるヒトCD47/SIRPα結合の遮断。CD47と組換えヒトSIRαとの間の相互作用を抗SIRP抗体が遮断する能力を、固相ELISAによって決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPαでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、Fcタグ付きヒトCD47と共に1時間インキュベートした。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図5B】抗SIRP抗体によるヒトCD47/SIRPα結合の遮断。CD47と組換えヒトSIRαとの間の相互作用を抗SIRP抗体が遮断する能力を、固相ELISAによって決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPαでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、Fcタグ付きヒトCD47と共に1時間インキュベートした。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図5C】抗SIRP抗体によるヒトCD47/SIRPα結合の遮断。CD47と組換えヒトSIRαとの間の相互作用を抗SIRP抗体が遮断する能力を、固相ELISAによって決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPαでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、Fcタグ付きヒトCD47と共に1時間インキュベートした。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図5D】抗SIRP抗体によるヒトCD47/SIRPα結合の遮断。CD47と組換えヒトSIRαとの間の相互作用を抗SIRP抗体が遮断する能力を、固相ELISAによって決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPαでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、Fcタグ付きヒトCD47と共に1時間インキュベートした。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図5E】抗SIRP抗体によるヒトCD47/SIRPα結合の遮断。CD47と組換えヒトSIRαとの間の相互作用を抗SIRP抗体が遮断する能力を、固相ELISAによって決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPαでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、Fcタグ付きヒトCD47と共に1時間インキュベートした。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図5F】抗SIRP抗体によるヒトCD47/SIRPα結合の遮断。CD47と組換えヒトSIRαとの間の相互作用を抗SIRP抗体が遮断する能力を、固相ELISAによって決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPαでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、Fcタグ付きヒトCD47と共に1時間インキュベートした。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図5G】抗SIRP抗体によるヒトCD47/SIRPα結合の遮断。CD47と組換えヒトSIRαとの間の相互作用を抗SIRP抗体が遮断する能力を、固相ELISAによって決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPαでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、Fcタグ付きヒトCD47と共に1時間インキュベートした。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図6A】抗SIRP抗体によるヒトCD47/SIRPγ結合の遮断。CD47と組換えヒトSIRPγとの間の相互作用を抗SIRP抗体が遮断する能力を、固相ELISAによって決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPγでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、Fcタグ付きヒトCD47と共に1時間インキュベートした。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図6B】抗SIRP抗体によるヒトCD47/SIRPγ結合の遮断。CD47と組換えヒトSIRPγとの間の相互作用を抗SIRP抗体が遮断する能力を、固相ELISAによって決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPγでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、Fcタグ付きヒトCD47と共に1時間インキュベートした。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図6C】抗SIRP抗体によるヒトCD47/SIRPγ結合の遮断。CD47と組換えヒトSIRPγとの間の相互作用を抗SIRP抗体が遮断する能力を、固相ELISAによって決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPγでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、Fcタグ付きヒトCD47と共に1時間インキュベートした。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図6D】抗SIRP抗体によるヒトCD47/SIRPγ結合の遮断。CD47と組換えヒトSIRPγとの間の相互作用を抗SIRP抗体が遮断する能力を、固相ELISAによって決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPγでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、Fcタグ付きヒトCD47と共に1時間インキュベートした。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図6E】抗SIRP抗体によるヒトCD47/SIRPγ結合の遮断。CD47と組換えヒトSIRPγとの間の相互作用を抗SIRP抗体が遮断する能力を、固相ELISAによって決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPγでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、Fcタグ付きヒトCD47と共に1時間インキュベートした。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図6F】抗SIRP抗体によるヒトCD47/SIRPγ結合の遮断。CD47と組換えヒトSIRPγとの間の相互作用を抗SIRP抗体が遮断する能力を、固相ELISAによって決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPγでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、Fcタグ付きヒトCD47と共に1時間インキュベートした。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図6G】抗SIRP抗体によるヒトCD47/SIRPγ結合の遮断。CD47と組換えヒトSIRPγとの間の相互作用を抗SIRP抗体が遮断する能力を、固相ELISAによって決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPγでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、Fcタグ付きヒトCD47と共に1時間インキュベートした。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図6H】抗SIRP抗体によるヒトCD47/SIRPγ結合の遮断。CD47と組換えヒトSIRPγとの間の相互作用を抗SIRP抗体が遮断する能力を、固相ELISAによって決定した。高結合ELISAプレートを組換えヒトSIRPγでコーティングし、増加する濃度の抗SIRP抗体を1時間添加した。ウェルを洗浄してから、Fcタグ付きヒトCD47と共に1時間インキュベートした。ウェルを洗浄してから、HRP標識二次抗体と共に1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。
【
図7A】抗SIRP抗体は食作用を増強する。ヒトマクロファージを96ウェルプレートにおいてウェル当たり3×10
4細胞の濃度でプレーティングし、24時間接着させた。8×10
4のCFSE(1μM)標識ヒトジャーカットT細胞と、増加する濃度の抗SIRP抗体(
図7A)又は10μg/mlの抗SIRP抗体(
図7B)をマクロファージ培養物に添加し、37℃で3時間インキュベートした。貪食されていないジャーカット細胞を除去し、マクロファージ培養物を洗浄した。マクロファージをトリプシン処理し、CD14について染色した。フローサイトメトリーを使用して、全CD14
+集団中のCD14
+/CFSE
+細胞の割合を決定した。
【
図7B】抗SIRP抗体は食作用を増強する。ヒトマクロファージを96ウェルプレートにおいてウェル当たり3×10
4細胞の濃度でプレーティングし、24時間接着させた。8×10
4のCFSE(1μM)標識ヒトジャーカットT細胞と、増加する濃度の抗SIRP抗体(
図7A)又は10μg/mlの抗SIRP抗体(
図7B)をマクロファージ培養物に添加し、37℃で3時間インキュベートした。貪食されていないジャーカット細胞を除去し、マクロファージ培養物を洗浄した。マクロファージをトリプシン処理し、CD14について染色した。フローサイトメトリーを使用して、全CD14
+集団中のCD14
+/CFSE
+細胞の割合を決定した。
【
図8A】抗SIRP抗体は抗CD47抗体と組み合わされて食作用を増強する。ヒトマクロファージを96ウェルプレートにおいてウェル当たり3×10
4細胞の濃度でプレーティングし、24時間接着させた。8×10
4のCFSE(1μM)標識ヒトジャーカットT細胞と、増加する濃度の抗SIRP抗体単独、抗CD47抗体単独、又は抗SIRP抗体及び抗CD47抗体の組合せとをマクロファージ培養物に添加し、37℃で3時間インキュベートした。貪食されていないジャーカット細胞を除去し、マクロファージ培養物を洗浄した。マクロファージをトリプシン処理し、CD14について染色した。フローサイトメトリーを使用して、全CD14
+集団中のCD14
+/CFSE
+細胞の割合を決定した。
【
図8B】抗SIRP抗体は抗CD47抗体と組み合わされて食作用を増強する。ヒトマクロファージを96ウェルプレートにおいてウェル当たり3×10
4細胞の濃度でプレーティングし、24時間接着させた。8×10
4のCFSE(1μM)標識ヒトジャーカットT細胞と、増加する濃度の抗SIRP抗体単独、抗CD47抗体単独、又は抗SIRP抗体及び抗CD47抗体の組合せとをマクロファージ培養物に添加し、37℃で3時間インキュベートした。貪食されていないジャーカット細胞を除去し、マクロファージ培養物を洗浄した。マクロファージをトリプシン処理し、CD14について染色した。フローサイトメトリーを使用して、全CD14
+集団中のCD14
+/CFSE
+細胞の割合を決定した。
【
図8C】抗SIRP抗体は抗CD47抗体と組み合わされて食作用を増強する。ヒトマクロファージを96ウェルプレートにおいてウェル当たり3×10
4細胞の濃度でプレーティングし、24時間接着させた。8×10
4のCFSE(1μM)標識ヒトジャーカットT細胞と、増加する濃度の抗SIRP抗体単独、抗CD47抗体単独、又は抗SIRP抗体及び抗CD47抗体の組合せとをマクロファージ培養物に添加し、37℃で3時間インキュベートした。貪食されていないジャーカット細胞を除去し、マクロファージ培養物を洗浄した。マクロファージをトリプシン処理し、CD14について染色した。フローサイトメトリーを使用して、全CD14
+集団中のCD14
+/CFSE
+細胞の割合を決定した。
【
図8D】抗SIRP抗体は抗CD47抗体と組み合わされて食作用を増強する。ヒトマクロファージを96ウェルプレートにおいてウェル当たり3×10
4細胞の濃度でプレーティングし、24時間接着させた。8×10
4のCFSE(1μM)標識ヒトジャーカットT細胞と、増加する濃度の抗SIRP抗体単独、抗CD47抗体単独、又は抗SIRP抗体及び抗CD47抗体の組合せとをマクロファージ培養物に添加し、37℃で3時間インキュベートした。貪食されていないジャーカット細胞を除去し、マクロファージ培養物を洗浄した。マクロファージをトリプシン処理し、CD14について染色した。フローサイトメトリーを使用して、全CD14
+集団中のCD14
+/CFSE
+細胞の割合を決定した。
【
図8E】抗SIRP抗体は抗CD47抗体と組み合わされて食作用を増強する。ヒトマクロファージを96ウェルプレートにおいてウェル当たり3×10
4細胞の濃度でプレーティングし、24時間接着させた。8×10
4のCFSE(1μM)標識ヒトジャーカットT細胞と、増加する濃度の抗SIRP抗体単独、抗CD47抗体単独、又は抗SIRP抗体及び抗CD47抗体の組合せとをマクロファージ培養物に添加し、37℃で3時間インキュベートした。貪食されていないジャーカット細胞を除去し、マクロファージ培養物を洗浄した。マクロファージをトリプシン処理し、CD14について染色した。フローサイトメトリーを使用して、全CD14
+集団中のCD14
+/CFSE
+細胞の割合を決定した。
【
図8F】抗SIRP抗体は抗CD47抗体と組み合わされて食作用を増強する。ヒトマクロファージを96ウェルプレートにおいてウェル当たり3×10
4細胞の濃度でプレーティングし、24時間接着させた。8×10
4のCFSE(1μM)標識ヒトジャーカットT細胞と、増加する濃度の抗SIRP抗体単独、抗CD47抗体単独、又は抗SIRP抗体及び抗CD47抗体の組合せとをマクロファージ培養物に添加し、37℃で3時間インキュベートした。貪食されていないジャーカット細胞を除去し、マクロファージ培養物を洗浄した。マクロファージをトリプシン処理し、CD14について染色した。フローサイトメトリーを使用して、全CD14
+集団中のCD14
+/CFSE
+細胞の割合を決定した。
【
図8G】抗SIRP抗体は抗CD47抗体と組み合わされて食作用を増強する。ヒトマクロファージを96ウェルプレートにおいてウェル当たり3×10
4細胞の濃度でプレーティングし、24時間接着させた。8×10
4のCFSE(1μM)標識ヒトジャーカットT細胞と、増加する濃度の抗SIRP抗体単独、抗CD47抗体単独、又は抗SIRP抗体及び抗CD47抗体の組合せとをマクロファージ培養物に添加し、37℃で3時間インキュベートした。貪食されていないジャーカット細胞を除去し、マクロファージ培養物を洗浄した。マクロファージをトリプシン処理し、CD14について染色した。フローサイトメトリーを使用して、全CD14
+集団中のCD14
+/CFSE
+細胞の割合を決定した。
【
図8H】抗SIRP抗体は抗CD47抗体と組み合わされて食作用を増強する。ヒトマクロファージを96ウェルプレートにおいてウェル当たり3×10
4細胞の濃度でプレーティングし、24時間接着させた。8×10
4のCFSE(1μM)標識ヒトジャーカットT細胞と、増加する濃度の抗SIRP抗体単独、抗CD47抗体単独、又は抗SIRP抗体及び抗CD47抗体の組合せとをマクロファージ培養物に添加し、37℃で3時間インキュベートした。貪食されていないジャーカット細胞を除去し、マクロファージ培養物を洗浄した。マクロファージをトリプシン処理し、CD14について染色した。フローサイトメトリーを使用して、全CD14
+集団中のCD14
+/CFSE
+細胞の割合を決定した。
【
図8I】抗SIRP抗体は抗CD47抗体と組み合わされて食作用を増強する。ヒトマクロファージを96ウェルプレートにおいてウェル当たり3×10
4細胞の濃度でプレーティングし、24時間接着させた。8×10
4のCFSE(1μM)標識ヒトジャーカットT細胞と、増加する濃度の抗SIRP抗体単独、抗CD47抗体単独、又は抗SIRP抗体及び抗CD47抗体の組合せとをマクロファージ培養物に添加し、37℃で3時間インキュベートした。貪食されていないジャーカット細胞を除去し、マクロファージ培養物を洗浄した。マクロファージをトリプシン処理し、CD14について染色した。フローサイトメトリーを使用して、全CD14
+集団中のCD14
+/CFSE
+細胞の割合を決定した。
【
図8J】抗SIRP抗体は抗CD47抗体と組み合わされて食作用を増強する。ヒトマクロファージを96ウェルプレートにおいてウェル当たり3×10
4細胞の濃度でプレーティングし、24時間接着させた。8×10
4のCFSE(1μM)標識ヒトジャーカットT細胞と、増加する濃度の抗SIRP抗体単独、抗CD47抗体単独、又は抗SIRP抗体及び抗CD47抗体の組合せとをマクロファージ培養物に添加し、37℃で3時間インキュベートした。貪食されていないジャーカット細胞を除去し、マクロファージ培養物を洗浄した。マクロファージをトリプシン処理し、CD14について染色した。フローサイトメトリーを使用して、全CD14
+集団中のCD14
+/CFSE
+細胞の割合を決定した。
【
図9A】抗SIRP抗体は抗CD20抗体と組み合わされて食作用を増強する。ヒトマクロファージを96ウェルプレートにおいてウェル当たり3×10
4細胞の濃度でプレーティングし、24時間接着させた。8×10
4のCFSE(1μM)標識ヒトRAJIリンパ腫細胞と、増加する濃度の抗SIRP抗体単独、抗CD20抗体Rituxan単独、又は抗SIRP抗体及びRituxanの組合せとをマクロファージ培養物に添加し、37℃で3時間インキュベートした。貪食されていないRAJI細胞を除去し、マクロファージ培養物を洗浄した。マクロファージをトリプシン処理し、CD14について染色した。フローサイトメトリーを使用して、全CD14
+集団中のCD14
+/CFSE
+細胞の割合を決定した。
【
図9B】抗SIRP抗体は抗CD20抗体と組み合わされて食作用を増強する。ヒトマクロファージを96ウェルプレートにおいてウェル当たり3×10
4細胞の濃度でプレーティングし、24時間接着させた。8×10
4のCFSE(1μM)標識ヒトRAJIリンパ腫細胞と、増加する濃度の抗SIRP抗体単独、抗CD20抗体Rituxan単独、又は抗SIRP抗体及びRituxanの組合せとをマクロファージ培養物に添加し、37℃で3時間インキュベートした。貪食されていないRAJI細胞を除去し、マクロファージ培養物を洗浄した。マクロファージをトリプシン処理し、CD14について染色した。フローサイトメトリーを使用して、全CD14
+集団中のCD14
+/CFSE
+細胞の割合を決定した。
【
図9C】抗SIRP抗体は抗CD20抗体と組み合わされて食作用を増強する。ヒトマクロファージを96ウェルプレートにおいてウェル当たり3×10
4細胞の濃度でプレーティングし、24時間接着させた。8×10
4のCFSE(1μM)標識ヒトRAJIリンパ腫細胞と、増加する濃度の抗SIRP抗体単独、抗CD20抗体Rituxan単独、又は抗SIRP抗体及びRituxanの組合せとをマクロファージ培養物に添加し、37℃で3時間インキュベートした。貪食されていないRAJI細胞を除去し、マクロファージ培養物を洗浄した。マクロファージをトリプシン処理し、CD14について染色した。フローサイトメトリーを使用して、全CD14
+集団中のCD14
+/CFSE
+細胞の割合を決定した。
【
図9D】抗SIRP抗体は抗CD20抗体と組み合わされて食作用を増強する。ヒトマクロファージを96ウェルプレートにおいてウェル当たり3×10
4細胞の濃度でプレーティングし、24時間接着させた。8×10
4のCFSE(1μM)標識ヒトRAJIリンパ腫細胞と、増加する濃度の抗SIRP抗体単独、抗CD20抗体Rituxan単独、又は抗SIRP抗体及びRituxanの組合せとをマクロファージ培養物に添加し、37℃で3時間インキュベートした。貪食されていないRAJI細胞を除去し、マクロファージ培養物を洗浄した。マクロファージをトリプシン処理し、CD14について染色した。フローサイトメトリーを使用して、全CD14
+集団中のCD14
+/CFSE
+細胞の割合を決定した。
【
図10A】抗SIRP抗体は抗EGFR及び抗PD-L1抗体と組み合わされて食作用を増強する。ヒトマクロファージを96ウェルプレートにおいてウェル当たり3×10
4細胞の濃度でプレーティングし、24時間接着させた。8×10
4のCFSE(1μM)標識ヒトFaDu HNSCCと、増加する濃度の抗SIRP抗体単独、抗EGFR抗体Erbitux単独、又はErbituxと組み合わせた若しくはアベルマブと組み合わせた抗SIRP抗体とをマクロファージ培養物に添加し、37℃で3時間インキュベートした。貪食されていないFaDu細胞を除去し、マクロファージ培養物を洗浄した。マクロファージをトリプシン処理し、CD14について染色した。フローサイトメトリーを使用して、全CD14
+集団中のCD14
+/CFSE
+細胞の割合を決定した。
【
図10B】抗SIRP抗体は抗EGFR及び抗PD-L1抗体と組み合わされて食作用を増強する。ヒトマクロファージを96ウェルプレートにおいてウェル当たり3×10
4細胞の濃度でプレーティングし、24時間接着させた。8×10
4のCFSE(1μM)標識ヒトFaDu HNSCCと、増加する濃度の抗SIRP抗体単独、抗EGFR抗体Erbitux単独、又はErbituxと組み合わせた若しくはアベルマブと組み合わせた抗SIRP抗体とをマクロファージ培養物に添加し、37℃で3時間インキュベートした。貪食されていないFaDu細胞を除去し、マクロファージ培養物を洗浄した。マクロファージをトリプシン処理し、CD14について染色した。フローサイトメトリーを使用して、全CD14
+集団中のCD14
+/CFSE
+細胞の割合を決定した。
【
図11】抗SIRP抗体はマクロファージ及び樹状細胞上のSIRPαに結合する。抗SIRP抗体のヒトマクロファージ又は樹状細胞への結合を決定した。ヒト単球由来マクロファージを増加する濃度の抗SIRP抗体と共に1時間インキュベートした。細胞を洗浄してから、AF647標識二次抗体と共に45分間インキュベートし、洗浄し、フローサイトメトリーを用いて抗体結合を測定した。
【
図12A】抗SIRP抗体はナイーブ及び活性化T細胞上のSIRPγに結合する。ナイーブT細胞(
図12A及び
図12B)又は抗CD3でコーティングされたプレート上で3日間活性化した後の活性化T細胞(
図12C)への抗SIRP抗体の結合をフローサイトメトリーにより決定した。T細胞を増加する濃度の抗SIRP抗体と共に1時間インキュベートし、細胞を洗浄し、FITC標識抗マウス二次抗体を1時間添加した。細胞を洗浄し、フローサイトメトリーを用いて抗体結合を測定した。
【
図12B】抗SIRP抗体はナイーブ及び活性化T細胞上のSIRPγに結合する。ナイーブT細胞(
図12A及び
図12B)又は抗CD3でコーティングされたプレート上で3日間活性化した後の活性化T細胞(
図12C)への抗SIRP抗体の結合をフローサイトメトリーにより決定した。T細胞を増加する濃度の抗SIRP抗体と共に1時間インキュベートし、細胞を洗浄し、FITC標識抗マウス二次抗体を1時間添加した。細胞を洗浄し、フローサイトメトリーを用いて抗体結合を測定した。
【
図12C】抗SIRP抗体はナイーブ及び活性化T細胞上のSIRPγに結合する。ナイーブT細胞(
図12A及び
図12B)又は抗CD3でコーティングされたプレート上で3日間活性化した後の活性化T細胞(
図12C)への抗SIRP抗体の結合をフローサイトメトリーにより決定した。T細胞を増加する濃度の抗SIRP抗体と共に1時間インキュベートし、細胞を洗浄し、FITC標識抗マウス二次抗体を1時間添加した。細胞を洗浄し、フローサイトメトリーを用いて抗体結合を測定した。
【
図13】マクロファージ上の抗SIRP抗体によるヒトCD47/SIRPα結合の遮断。組換えヒトCD47と、マクロファージ発現SIRPαとの間の相互作用を抗SIRP抗体が遮断する能力をフローサイトメトリーにより決定した。マクロファージ上のFc受容体を遮断した後、10μg/mlの抗SIRP抗体と共にインキュベーションした。AF647タグ付き抗ヒト二次抗体を用いて、可溶性Fcタグ付きヒトCD47(20μg/ml)の結合を測定した。
【
図14A】抗SIRP抗体は同種異系樹状細胞刺激においてT細胞増殖を阻害しない。10μg/mlの抗SIRP抗体の存在下でCellTrace Violet標識ヒトCD3 T細胞を同種異系ヒト単球由来樹状細胞と共に1:5のT細胞:DC比で活性化することによって、T細胞の増殖に対する抗SIRP抗体の効果を決定した。フローサイトメトリーを使用して、6~7日の共培養の後に増殖したCD3 T細胞の割合を決定した。点線は、hIgG4P対照の増殖を表す。
【
図14B】抗SIRP抗体は同種異系樹状細胞刺激においてT細胞増殖を阻害しない。10μg/mlの抗SIRP抗体の存在下でCellTrace Violet標識ヒトCD3 T細胞を同種異系ヒト単球由来樹状細胞と共に1:5のT細胞:DC比で活性化することによって、T細胞の増殖に対する抗SIRP抗体の効果を決定した。フローサイトメトリーを使用して、6~7日の共培養の後に増殖したCD3 T細胞の割合を決定した。点線は、hIgG4P対照の増殖を表す。
【
図15】抗SIRP抗体は抗原リコール応答を阻害しない。ヒトサイトメガロウイルス血清陽性ドナーからのPBMCを用いて、T細胞抗原リコール応答に対する抗SIRP抗体の効果を評価した。増加する濃度のCMV抗原の存在下でCellTrace Violet色素標識PBMCを10μg/mlの抗SIRP抗体と共に5日間インキュベートした。フローサイトメトリーを用いてCD4+ T細胞集団内のCellTrace Violet色素の希釈によりT細胞増殖を決定した。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本開示の詳細な説明
定義
別に定義されない限り、本開示に関連して使用される科学及び技術用語は、当業者により一般に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈から別のことが要求されない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。概して、細胞及び組織培養、分子生物学、並びにタンパク質及びオリゴ又はポリヌクレオチド化学に関して使用される命名法、並びにそれらの技術は、当技術分野で公知であり、一般に使用されている。
【0053】
本明細書で使用されるとき、用語「SIRPα」及び「Src相同性2(SH2)ドメイン含有タンパク質チロシンホスファターゼ基質1(SHPS-1)」は同義であり、互換的に使用され得る。
【0054】
用語「抗SIRPα抗体」は、治療薬又は診断薬としての使用が意図された、SIRPα、特にヒトSIRPαに対して特異的に結合する本開示の抗体を指す。
【0055】
用語「抗SIRP」は、治療薬又は診断薬としての使用が意図された、SIRPα、特にヒトSIRPα、SIRPαV1及びSIRPαV2で識別される2つの共通変異体の一方又は両方、及び/又はSIRPγ、並びにこれらの抗体変異体に対して特異的に結合する本開示の抗体を指す。
【0056】
本明細書で使用されるとき、用語「抗体」は、免疫グロブリン分子及び免疫グロブリン(Ig)分子、すなわち抗原と特異的に結合する(免疫反応する)抗原結合部位を含む分子を指す。~と、若しくは~に対して「特異的に結合する」又は「免疫反応する」とは、抗体が、所望の抗原の1つ又は複数の抗原決定基と反応するが、他のポリペプチドとは反応しないか、又ははるかに低い親和性(Kd>10-6M)で結合することを意味する。抗体としては、限定されないが、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、一本鎖Fv断片、及び単一アーム(one-armed)抗体が挙げられる。
【0057】
本明細書で使用されるとき、用語「モノクローナル抗体(mAb)」は、本開示の抗SIRPα化合物に適用される場合、例えば、任意の真核、原核、若しくはファージクローンをはじめとする単一コピー若しくはクローンから得られる抗体を指すものであり、それらを生成する方法ではない。本開示のモノクローナル抗体は、均一又はほぼ均一の集団に存在するのが好ましい。完全なmAbは、2つの重鎖と2つの軽鎖を含む。
【0058】
「抗体断片」は、インタクトな抗体が結合する抗原に結合するインタクトな抗体の1部分を含むインタクトな抗体以外の分子を指す。抗体断片の例としては、限定されないが、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2;ダイアボディ;線状抗体;一本鎖抗体分子(例えば、scFv);及び抗体断片から形成された多重特異性抗体が挙げられる。
【0059】
本明細書に開示されるように、「抗体化合物」は、mAb及びその抗原結合断片を指す。本開示に従う類似の機能的特性を呈示する別の抗体化合物は、従来の方法により作製することができる。例えば、マウスをヒトSIRPα又はその断片で免疫し、得られた抗体を回収し、精製することができ、それらが本明細書に開示される抗体化合物と類似の、若しくは同じ結合及び機能的特性を有するか否かの決定は、実施例に開示される方法によって評価することができる。また、抗原結合断片も、従来の方法により調製することができる。抗体及び抗原結合断片を生成及び精製する方法は、当技術分野で公知であり、例えば、以下:Harlow and Lane (1988)Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York,第5~8章及び第15章に見出すことができる。
【0060】
本明細書に開示されるように、「多重特異性抗体」は、例えば、二重特異性、三重特異性又は四重特異性抗体である。一部の実施形態では、多重特異性抗体は、1つの分子内で、SIRPα及び/又はSIRPγ、並びに少なくとも1つの他の抗原結合特異性を標的とする。一部の実施形態では、多重特異性抗体は、SIRPα及び/又はSIRPγ、並びに少なくとも第2の抗原(二重特異性)、又は少なくとも第2及び第3の抗原(三重特異性)、又は少なくとも第2、第3、及び第4の抗原(四重特異性)を同時に標的とすることができ、ここで、第2の抗原、第3の抗原、及び第4の抗原は、本明細書に開示されるような腫瘍細胞上にある。
【0061】
二重特異性抗体は、1つの分子内に2つの異なる抗原結合特異性を有する抗体である。三重特異性抗体は、したがって、1つの分子内に3つの異なる抗原結合特異性を有する抗体である。四重特異性抗体は、1つの分子内に4つの異なる抗原結合特異性を有する抗体である。一実施形態では、本明細書に開示される抗SIRPα抗体は、SIRPα及び/又はSIRPγ、並びに本明細書に開示されるような腫瘍細胞上の第2の抗原を標的とする二重特異性抗体である。
【0062】
モノクローナル抗体は、重鎖及び/又は軽鎖の1部分が、マウス抗体の対応する配列、特にマウスCDRと同一、又は相同的であるが、鎖の残りは、ヒト抗体の対応する配列と同一、又は相同的である抗体を包含する。本開示の他の実施形態は、モノクローナル抗体と類似若しくは同一の結合及び生物学的特性を呈示するこれらのモノクローナル抗体の抗原結合断片を含む。本開示の抗体は、κ又はλ軽鎖定常領域、及び重鎖IgA、IgD、IgE、IgG、若しくはIgM定常領域を含んでよく、そうしたものとして、IgGサブクラスIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4のものがあり、これらは、場合によっては、Fc受容体機能を改変するための様々な突然変異を含む。
【0063】
本明細書に開示されるマウスCDRを含有するモノクローナル抗体は、組換えDNA方法をはじめとする、当業者には周知の様々な方法の何れかによって調製することができる。
【0064】
抗体改変及び改善のための最新の方法についての論評は、例えば、以下:P.Chames,Ed.,(2012)Antibody Engineering:Methods and Protocols,Second Edition(Methods in Molecular Biology,Book 907),Humana Press,ISBN-10:1617799734;C.R.Wood,Ed.,(2011)Antibody Drug Discovery(Molecular Medicine and Medicinal Chemistry,Book 4),Imperial College Press;R.Kontermann and S.Dubel,Eds.,(2010)Antibody Engineering Volumes 1 and 2(Springer Protocols),Second Edition;並びにW.Strohl and L.Strohl(2012)Therapeutic antibody engineering:Current and future advances driving the strongest growth area in the pharmaceutical industry,Woodhead Publishingに見出すことができる。
【0065】
抗体及び抗原結合断片を生成及び精製する方法は、当技術分野で公知であり、例えば、以下:Harlow and Lane (1988)Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York,第5~8章及び第15章に見出すことができる。
【0066】
天然に存在する完全長抗体は、4つのポリペプチド鎖:ジスルフィド結合により互いに連結された2つの同じ重(H)鎖と2つの同じ軽(L)鎖を含む、「Y」型の免疫グロブリン(Ig)分子である。フラグメント抗原結合領域(FAB)と呼ばれる各鎖のアミノ酸末端部分は、主として、そこに含まれる相補性決定領域(CDR)を介した抗原認識を担う約100~110以上のアミノ酸の可変領域を含む。各鎖のカルボキシ末端部分は、主にエフェクター機能を担う定常領域(「Fc」領域)を画定する。
【0067】
CDRには、フレームワーク(「FR」)と呼ばれる、より保存された領域が散在する。多くのFRのアミノ酸配列が当技術分野で公知である。各軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)は、3つのCDRと4つのFRから構成され、次の順にアミノ末端からカルボキシ末端まで配列されている:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。軽鎖の3つのCDRは、「LCDR1、LCDR2、及びLCDR3」と呼ばれ、重鎖の3つのCDRは、「HCDR1、HCDR2、及びHCDR3」と呼ばれる。CDRは、抗原との特異的相互作用を形成する残基のほとんどを含有する。LCVR及びHCVR領域内のCDRアミノ酸残基の番号付け及び配置は、公知のKabatナンバーリング則(Kabat numbering convention)Kabat et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition.NIH Publication No.91-3242に従う。
【0068】
本明細書に記載するように、「抗原結合部位」は、「超可変領域」、「HVR」、又は「HV」として定義することができ、Chothia及びLesk(Chothia and Lesk,Mol.Biol.196:901-917,1987)により定義される通りの抗体可変ドメインの構造的に超可変領域を指す。6つのHVRがあり、そのうち、3つがVH(H1、H2、H3)に、3つがVL(L1、L2、L3)に存在する。本明細書では、延長されてH1を含むH-CDR1を除き、Kabatにより定義されるCDRを使用した。
【0069】
ギリシャ文字α(アルファ)、δ(デルタ)、ε(イプシロン)、γ(ガンマ)、及びμ(ミュー)と称される5つのタイプの哺乳類免疫グロブリン(Ig)重鎖があり、これらは、それぞれ、IgA、IgD、IgE、IgG、若しくはIgMとして抗体のクラス又はアイソタイプを定義する。IgG抗体は、サブクラス、例えば、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4にさらに区分され得る。
【0070】
各重鎖タイプは、当技術分野で公知である配列を含み特定の定常領域を特徴とする。定常領域は、同じアイソタイプのあらゆる抗体で同一であるが、別のアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、及びδは、3つのタンデム免疫グロブリン(Ig)ドメインから構成される定常領域と、柔軟性追加のためのヒンジ領域とを含む。重鎖μ及びεは、4つのIgドメインから構成される定常領域を有する。
【0071】
ヒンジ領域は、抗体のFc及びFab部分を連結させる柔軟なアミノ酸区間がある。この領域は、2つの重鎖を連結するジスルフィド結合を形成することができるシステイン残基を含有する。
【0072】
重鎖の可変領域は、別のB細胞により産生される抗体では異なるが、単一B細胞又はB細胞クローンにより産生されるあらゆる抗体については同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長さであり、単一Igドメインから構成される。
【0073】
哺乳類の場合、軽鎖は、カッパ(κ)又はラムダ(λ)として分類され、当技術分野において公知の特定の定常領域を特徴とする。軽鎖は、2つの連続的ドメイン:アミノ酸末端に1つの可変ドメインと、カルボキシ末端に1つの定常ドメインを有する。各抗体は、常に同一である2つの軽鎖を含み;哺乳類において、1抗体につき軽鎖κ又はλの1タイプしか存在しない。
【0074】
抗体のクラスに応じて3つ又は4つの定常ドメインを提供する2つの重鎖から構成されるFc領域は、免疫細胞の活性をモジュレートする上で役割を果たす。特定のタンパク質に結合することにより、Fc領域は、各抗体が所与の抗原に対して適切な免疫応答を生み出すことを確実にする。Fc領域はまた、Fc受容体などの様々な細胞受容体、並びに補体タンパク質などの他の免疫分子にも結合する。これによって、Fc領域は、オプソニン化、細胞溶解、並びに肥満細胞、好塩基球及び好酸球の脱顆粒を媒介する。
【0075】
本明細書で使用されるとき、用語「エピトープ」は、抗体又は抗体断片が結合するペプチド若しくはタンパク質に位置するアミノ酸の具体的な配列を指す。エピトープは、多くの場合、アミノ酸又は糖側鎖などの分子の化学的に活性な表面集団からなり、特定の三次元構造特徴、並びに特定の電荷特徴を備える。エピトープは、線状、すなわち、アミノ酸の単一配列への結合を含むか、又は立体配座、すなわち、抗原(線状配列では必ずしも連続的ではなくてもよい)の様々な領域内のアミノ酸の2つ以上の配列への結合を含むかのいずれであってもよい。
【0076】
本明細書で使用されるとき、用語「特異的に結合する」、「特異的に結合する」、「特異的結合」、及び本発明の抗体化合物に適用される同等の用語は、特定の結合物質(抗体など)が、特定の結合物質及び標的分子種が混合されている他の分子種との結合に優先して、標的分子種に結合する能力を指す。特定の結合物質は、標的と特異的に結合することができるとき、標的分子種を特異的に認識すると言える。
【0077】
本明細書で使用されるとき、用語「結合親和性」は、当該分子上の1部位における1つの分子と別の分子の結合の強度を指す。特定の分子が別の特定の分子と特異的に結合するか、又は会合する場合、これらの2つの分子は、互いに結合親和性を呈示すると言える。結合親和性は、1対の分子の会合定数及び解離定数に関するが、これらの定数を測定又は決定することは、本明細書に記載の方法には重要ではない。それよりも、記載される方法の分子同士の相互作用を説明するために本明細書で用いられる親和性は、一般に、実験的試験で観測される見かけ上の親和性(別に明示されない限り)であり、これを用いて、1つの分子(例えば、抗体又は他の特異的結合相手)が、2つの他の分子(例えば、ペプチドの2つのバージョン又は変異体)に結合する相対強度を比較することができる。結合親和性、会合定数、及び解離定数の概念は、公知である。
【0078】
本明細書で使用されるとき、用語「配列同一性」は、配列マッチングを最大にするように、すなわち、ギャップと挿入を計算に入れて、配列をアラインメントしたときの2つ以上の配列の対応する位置における同一のヌクレオチド又はアミノ酸残基のパーセンテージを意味する。同一性は、公知の方法によって容易に計算することができ、そうした方法として、限定されないが、以下のものが挙げられる:Computational Molecular Biology,Lesk,A.M.,ed.,Oxford University Press,New York, 1988; Biocomputing: Informatics and Genome Projects,Smith,D.W.,ed.,Academic Press,New York,1993;Computer Analysis of Sequence Data,Part I,Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.,Humana Press,New Jersey,1994;Sequence Analysis in Molecular Biology,von Heinje,G.,Academic Press,1987;及びSequence Analysis Primer,Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.,M Stockton Press,New York,1991;並びにCarillo,H.,and Lipman,D.,SIAM J.Applied Math.,48:1073(1988)。同一性を決定する方法は、試験される配列同士の最大マッチを与えるように設計されている。さらに、同一性を決定する方法は、一般に入手可能なコンピュータプログラムにコード化されている。
【0079】
比較のための配列の最適なアラインメントは、例えば、Smith & Watermanの局所相同性アルゴリズムにより、相同性アラインメントアルゴリズムにより、類似性の検索方法により、又はこれらアルゴリズムのコンピュータ用実装(GCG Wisconsin PackageのGAP,BESTFIT,PASTA及びTFASTA,Accelrys,Inc.,San Diego,California,United States of Americaから入手可能)、又は肉眼検査により実施することができる。概要は、Altschul,S.F.et al.,J.Mol.Biol.215:403-410(1990)及びAltschul et al.Nucl.Acids Res.25:3389-3402(1997)を参照されたい。
【0080】
配列同一性及び配列類似性の割合(%)を決定するのに好適なアルゴリズムの一例は、BLASTアルゴリズムであり、これは、(Altschul,S.,et al.,NCBI NLM NIH Bethesda,Md.20894;及びAltschul,S.,et al.,J.Mol.Biol.215:403-410(1990)に記載されている。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Informationから一般に入手可能である。このアルゴリズムは、データベース配列中の同じ長さのワードと整列させた場合にいくつかの正の数の閾値スコアTに一致するか、又はそれを満たすクエリー配列中の長さWの短いワードの同定によって高スコアリング配列対(HSP)を最初に同定するステップを含む。Tは、隣接ワードスコア閾値(neighborhood word score threshold)と呼ばれる。
【0081】
これらの最初の隣接ワードヒットは、これらを含む、より長いHSPを見出すための検索開始のシード(seed)として作用する。次に、累積アラインメントスコアを増加させることができる限り、ワードヒットを各配列に沿って両方向に伸長する。累積スコアは、ヌクレオチド配列の場合、パラメータM(1対のマッチする残基についての報酬スコア;常に;0)及びN(ミスマッチ残基のペナルティスコア;常に;0)を用いて計算する。アミノ酸配列の場合には、スコアリング行列を用いて累積スコアを計算する。各方向へのワードヒットの伸長は、以下の場合に停止する:累積アラインメントスコアが、その達成された最大値から量Xだけ低下した場合、1つ又は複数の負のスコアの残基アラインメントの累積によって累積スコアが0以下になる場合、又は何れかの配列の末端に到達する場合。BLASTアルゴリズムパラメータW、T、及びXは、アラインメントの感度及び速度を決定付ける。BLASTNプログラムは(ヌクレオチド配列の場合)、デフォルトとして、ワード長(W):11、期待値(E):10、カットオフ:100、M=5、N=-4、及び両鎖の比較を使用する。アミノ酸配列の場合、BLASTPプログラムは、デフォルトとして、ワード長(W):3、期待値(E):10、及びBLOSUM62スコアリング行列を使用する。
【0082】
同一性の割合(%)の計算に加えて、BLASTアルゴリズムは、2つの配列同士の類似性の統計解析を行う。BLASTアルゴリズムによって得られる類似性の1つの尺度は、最小和確率(smallest sum probability)(P(N))であり、これによって、2つのヌクレオチド同士又はアミノ酸配列同士のマッチが偶然に起こる確率の指標が得られる。例えば、試験核酸配列と基準核酸配列を比較した最小和確率が、一実施形態で約0.1未満、別の実施形態で約0.01未満、また別の実施形態で約0.001未満である場合、試験核酸配列は基準配列に類似するとみなされる。
【0083】
本明細書で使用されるとき、用語「ヒト化(された)」、「ヒト化」などは、ヒトFR及び定常領域に、本明細書に開示されるマウスモノクローナル抗体CDRを移植することを指す。これらの用語には、以下に説明するように、様々な抗体特性を改善する目的で、例えば、Kashmiri et al.(2005)Methods 36(1):25-34及びHou et al.(2008)J.Biochem.144(1):115-120に開示される方法によりそれぞれマウスCDR、及びヒトFRに対して可能なさらなる修飾も含まれる。
【0084】
本明細書で使用されるとき、用語「ヒト化抗体」は、本明細書に開示される抗体化合物をはじめとする、本明細書に開示されるものと類似する開示に従う結合及び機能的特性を有し、且つFRと、非ヒト抗体由来の実質的にヒト又は完全にヒトの周囲CDRである定常領域とを有するmAb及び抗原結合断片を指す。
【0085】
本明細書で使用されるとき、用語「FR」又は「フレームワーク配列」は、FR1~4の何れか1つを指す。本開示により包含されるヒト化抗体及び抗原結合断片は、FR1~4の何れか1つ又は複数が、実質的又は完全にヒト由来である、すなわち、実質的又は完全にヒトのFR1~4の考えられる組合せの何れかが存在する、分子を含む。例えば、これは、FR1とFR2、FR1とFR3、FR1、FR2、及びFR3などが実質的又は完全にヒト由来である分子を含む。実質的にヒトのフレームワークは、既知のヒト生殖細胞系フレームワーク配列と少なくとも80%の配列同一性を有するものである。好ましくは、実質的にヒトのフレームワークは、本明細書に開示されるフレームワーク配列、又は既知のヒト生殖細胞系フレームワーク配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有する。
【0086】
完全にヒトのフレームワークは、既知のヒト生殖細胞系フレームワーク配列と同じものである。ヒトFR生殖細胞系配列は、国際ImMunoGeneTics(IMGT)データベース及びMarie-Paule Lefranc and Gerard Lefranc,Academic Press,2001によるThe Immunoglobulin FactsBookから取得することができ、その内容は、全体として参照により本明細書に開示組み込む。
【0087】
The Immunoglobulin Facts Bookは、ヒト抗体レパトアを作製するために使用されるヒト生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子の概要であり、203の遺伝子と459の対立遺伝子のエントリーを含み、総計837の配列が展示されている。個々のエントリーは、全て、少なくとも1つの機能性又はオープンリーディングフレーム対立遺伝子を有し、且つ3つの主要遺伝子座に位置する、ヒト免疫グロブリン定常遺伝子、並びに生殖細胞系可変、多様性、及びジョイニング遺伝子を含む。例えば、生殖細胞系軽鎖FRは、以下:IGKV3D-20、IGKV2-30、IGKV2-29、IGKV2-28、IGKV1-27、IGKV3-20、IGKV1-17、IGKV1-16、1-6、IGKV1-5、IGKV1-12、IGKV1D-16、IGKV2D-28、IGKV2D-29、IGKV3-11、IGKV1-9、IGKV1-39、IGKV1D-39及びIGKV1D-33並びにIGKJ1-5からなる群から選択することができ、また、生殖細胞系重鎖FRは、以下:IGHV1-2、IGHV1-18、IGHV1-46、IGHV1-69、IGHV2-5、IGHV2-26、IGHV2-70、IGHV1-3、IGHV1-8、IGHV3-9、IGHV3-11、IGHV3-15、IGHV3-20、IGHV3-66、IGHV3-72、IGHV3-74、IGHV4-31、IGHV3-21、IGHV3-23、IGHV3-30、IGHV3-48、IGHV4-39、IGHV4-59及びIGHV5-51並びにIGHJ1-6からなる群から選択することができる。
【0088】
実質的にヒトのFRは、既知のヒト生殖細胞系FR配列と少なくとも80%の配列同一性を有するものである。好ましくは、実質的にヒトのフレームワークは、本明細書に開示されるフレームワーク配列、又は既知のヒト生殖細胞系フレームワーク配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有する。
【0089】
本開示に含まれるCDRは、本明細書に具体的に開示されるものだけではなく、本明細書に開示されるCDR配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有するCDR配列も含む。或いは、本開示に含まれるCDRは、本明細書に具体的に開示されるものだけではなく、本明細書に開示されるCDR配列と比較して、対応する位置に1、2、3、4、又は5個のアミノ酸変更を有するCDR配列も含む。このような配列が同一、又はアミノ酸が修飾されたCDRは、好ましくは、インタクトな抗体によって認識される抗原に結合する。
【0090】
本明細書に開示されるもの以外に、本開示に従う類似の機能的特性を呈示するヒト化抗体は、いくつかの異なる方法:Almagro et al.Frontiers in Biosciences.Humanization of antibodies.(2008)Jan 1;13:1619-33を用いて作製することができる。一アプローチでは、親抗体化合物CDRは、親抗体化合物フレームワークと高い配列同一性を有するヒトフレームワークに移植される。新規フレームワークの配列同一性は、一般に、親抗体化合物中の対応するフレームワークの配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有する。100アミノ酸残基未満を有するフレームワークの場合、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸残基を変更することができる。この移植によって、親抗体のそれと比較して結合親和性の低下が起こり得る。その場合には、Queen et al.(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:2869により開示される具体的な基準に基づいて、いくつかの位置でフレームワークを親フレームワークに復帰突然変異させることができる。相同性及び復帰突然変異に基づいてヒト化変異体を作製する上で有用な方法を記載する別の参照文献としては、以下に記載されるものなどが挙げられる:Olimpieri et al.Bioinformatics.2015 Feb 1;31(3):434-435及び米国特許第4,816,397号明細書、同第5,225,539号明細書、及び同第5,693,761号明細書;及びWinter and co-workersの方法(Jones et al.(1986)Nature 321:522-525;Riechmann et al.(1988)Nature 332:323-327;並びにVerhoeyen et al.(1988)Science 239:1534-1536。
【0091】
ヒト化は、1980年代前半に開発された方法であるキメラ化(Morrison,S.L.,M.J.Johnson,L.A.Herzenberg & V.T Oi:Chimeric human antibody molecules:mouse antigen-binding domains with human constant region domains.Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,81,6851-5(1984))から開始するが、これは、マウス抗体の可変(V)ドメインをヒト定常(C)ドメインと組み合わせることによって、ヒト内容物の約70%を含む分子を作製することから成る。
【0092】
いくつかの異なる方法を用いて、ヒト化抗体を作製することができ、これは本明細書に記載されている。一アプローチでは、親抗体化合物CDRは、親抗体化合物フレームワークと高い配列同一性を有するヒトFRに移植される。新たなFRの配列同一性は、一般に、親抗体化合物中の対応するFRの配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性を有する。100アミノ酸残基未満を有するFRの場合、1、2、3、4、5個以上のアミノ酸残基を変更することができる。この移植によって、親抗体のそれと比較して結合親和性の低下が起こり得る。その場合には、Queen et al.(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:2869により開示される具体的な基準に基づき、いくつかの位置で、FRを親フレームワークに復帰突然変異させることができる。相同性及び復帰突然変異に基づいてヒト化変異体を作製する上で有用な方法を記載する別の参照文献としては、以下に記載されるものなどが挙げられる:Olimpieri et al.Bioinformatics.2015 Feb 1;31(3):434-435及び米国特許第4,816,397号明細書、同第5,225,539号明細書、及び同第5,693,761号明細書;並びにWinter and co-workersの方法(Jones et al.(1986)Nature 321:522-525;Riechmann et al.(1988)Nature 332:323-327;並びにVerhoeyen et al.(1988)Science 239:1534-1536。
【0093】
復帰突然変異のために考慮すべき残基の同定は、以下に記載するように実施することができる。アミノ酸が下記のカテゴリーに入るとき、使用されているヒト生殖細胞系配列のフレームワークアミノ酸(「アクセプターFR」)は、親抗体化合物のフレームワーク由来のフレームワークアミノ酸(「ドナーFR」)により置換される:
(a)アクセプターフレームワークのヒトFR内のアミノ酸が、その位置のヒトフレームワークでは稀であるが、ドナー免疫グロブリン内の対応するアミノ酸は、その位置のヒトフレームワークでは典型的である;
(b)アミノ酸の位置が、CDRの1つに隣接している;又は
(c)フレームワークアミノ酸の何れかの側鎖原子が、三次元免疫グロブリンモデル中のCDRアミノ酸の何れかの原子から約5~6オングストローム(中心間)以内にある。
【0094】
アクセプターフレームワークのヒトFR内のアミノ酸の各々及びドナーフレームワーク内の対応するアミノ酸が、概して、その位置のヒトフレームワークでは稀であるとき、そのようなアミノ酸は、その位置のヒトフレームワークに典型的なアミノ酸により置換することができる。この復帰突然変異の基準によって親抗体化合物の活動を復帰させることが可能になる。
【0095】
本明細書に開示される抗体化合物と類似の機能的特性を提示するヒト化抗体を作製する別のアプローチは、フレームワークを変更することなく、移植CDR内でアミノ酸をランダムに突然変異させるステップ、次に、親抗体化合物のそれと同等又はより優れた結合親和性及びその他の機能的特性について、得られた分子をスクリーニングするステップを含む。さらに、単一の突然変異を各CDR内の各アミノ酸位置に導入した後、結合親和性及びその他の機能的特性に対するそうした突然変異の作用を評価することもできる。改善された特性をもたらす単一突然変異を組み合わせて、相互の組合せの作用を評価することができる。
【0096】
さらに、以上のアプローチの両方の組合せも可能である。CDR移植後、CDRにアミノ酸変更を導入する以外に、特定のFRを復帰突然変異させることができる。この方法は、Wu et al.(1999)J.Mol.Biol.294:151-162に記載されている。
【0097】
本開示の教示を適用して、当業者は、例えば、部位指定突然変異誘発などの一般的技術を使用して、本明細書に開示されるCDR及びFR配列内のアミノ酸を置換することにより、この配列に由来する別の可変領域アミノ酸配列を作製することができる。最大全部の天然に存在するアミノ酸を特定の置換部位に導入することができる。本明細書に開示される方法を用いて、これらの追加可変領域アミノ酸配列をスクリーニングすることにより、表示されるインビボ機能を有する配列を同定することができる。このようにして、本開示に従ってヒト化抗体及びその抗原結合部分を作製するのに好適なさらなる配列を同定することができる。フレームワーク内のアミノ酸置換は、本明細書に開示される4つの軽鎖及び/又は重鎖FRの何れか1つ又は複数において1つ、2つ、3つ、4つ、若しくは5つの位置に制限するのが好ましい。CDR内のアミノ酸置換は、3つの軽鎖及び/又は重鎖CDRの何れか1つ又は複数において1つ、2つ、3つ、4つ、若しくは5つの位置に制限するのが好ましい。前述したこれらのFR及びCDR内の様々な変更の組合せも可能である。
【0098】
上述のアミノ酸修飾を導入することにより作製した抗体化合物の機能的特性が、本明細書に開示される特定の分子により呈示されるものと一致することは、以下に開示する実施例の方法により確認することができる。
【0099】
上に記載したように、患者にヒト抗マウス抗体(HAMA)応答を誘発する問題を回避するために、マウス抗体を遺伝子操作し、ヒト免疫グロブリン分子の可変軽鎖(VL)及び可変重鎖(VH)フレームワーク上に、相補性決定領域(CDR)を移植することによって、抗原結合部位の完全性に必須とみなされるこれらのマウスフレームワーク残基は維持しながら、そのマウス内容物をそのヒト対応部分に存在するアミノ酸残基で段階的に置換した。しかし、ヒト化抗体の異種CDRは、患者に抗イディオタイプ(抗Id)応答を引き起こし得る。
【0100】
抗Id応答を最小限にするために、ヒトフレームワークに、抗体-リガンド相互作用に最も重要なCDR残基だけを移植する(「SDR移植」と呼ばれる)ことによって、異種抗体をヒト化する方法が開発されており、この方法では、CDRの必須特異性決定残基(SDR)だけがヒトフレームワークに移植される。この方法は、Kashmiri et al.(2005)Methods 36(1):25-34に記載されており、既知構造の抗原-抗体複合体の三次元構造のデータベースを用いた、又は抗体結合部位の突然変異分析によるSDRの同定を含む。より多くのCDR残基の保持を含むヒト化のための別のアプローチは、「短縮」CDR、すなわち、全てのSDRを含むCDR残基の区間の移植に基づくものである。Kashmiriらは、マウス抗体を投与された患者からの血清に対するヒト化抗体の反応性を評価する方法も開示している。
【0101】
改善された免疫原性を有するヒト抗体変異体を構築する別の戦略は、Hou et al.(2008) J.Biochem.144(1):115-120に開示されている。これらの著者らは、コンピュータ支援相同性モデル化により構築された4C8の分子モデルを用いるCDR移植により、4C8からのヒト化抗体、すなわち、マウス抗ヒトCD34モノクローナル抗体を開発した。この分子モデルを用いて、上記の著者らは、抗原結合に潜在的に重要なFR残基を同定した。4C8のヒト化バージョンは、マウス抗体FRに対する相同性に基づいて選択されたヒト抗体フレームワークにこれらの重要なマウスFR残基を、マウスCDR残基と一緒に移植することによって作製された。得られたヒト化抗体は、本来のマウス抗体のそれと類似した抗原結合親和性及び特異性を有することが判明したが、これは、臨床的に常用されているマウス抗CD34抗体の代替物となり得ることを示唆している。
【0102】
本開示の実施形態は、考慮されるmAbが、本明細書に開示される単一マウスmAb由来のCDRのセット、又は開示されるマウスmAbの2つ若しくは3つに由来する個別のCDRを含むCDRのセットを含有する軽鎖及び重鎖を含むことができるように、任意の組合せ形態で本明細書に開示されるCDRを含むヒト免疫系による認識を回避するように作製された抗体を包含する。こうしたmAbは、分子生物学の標準的技術により作製し、本明細書に記載されるアッセイを用いて、所望の活性についてスクリーニングすることができる。このようにして、本開示は、新たな、又は改善された治療活性を達成するために、開示されるマウスmAb由来のCDRの混合物を含む新規のmAbを作製する「ミックス及びマッチ(mix and match)」アプローチを提供する。
【0103】
本明細書に開示される分子と「競合する」本開示により包含されるモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、本開示の分子が結合する部位と同一であるか、又はそれとオーバーラップする部位でヒトSIRPαに結合するものである。競合するモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、例えば、抗体競合アッセイによって同定することができる。例えば、精製した、又は部分的に精製したヒトSIRPα細胞外ドメインのサンプルを固体支持体に結合することができる。次に、本開示の抗体化合物、又はその抗原結合断片並びにそのような開示抗体化合物と競合することができると思われるモノクローナル抗体又はその抗原結合断片を添加する。2つの分子のうちの一方を標識する。標識化合物及び非標識化合物が結合して、SIRPα上の個別且つ独立の部位に結合すれば、標識化合物は、推定競合化合物が存在するか否かにかかわらず、同じレベルで結合するであろう。しかし、相互作用の部位が同一又はオーバーラップする場合には、非標識化合物は競合し、抗原に結合する標識化合物の量は低下するであろう。非標識化合物が過剰に存在する場合には、もしあるとしても、ごくわずかの標識化合物が結合するであろう。本開示の目的のために、競合モノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、SIRPαに対する本発明の抗体化合物の結合を約50%、約60%、約70%、約80%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%低減するものである。こうした競合アッセイを実施する方法の詳細は当技術分野で公知であり、例えば、Harlow and Lane(1988)Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor, N.Yに見出すことができる。こうしたアッセイは、精製抗体を用いることによって、定量的にすることができる。標準曲線は、1つの抗体をそれ自体に対して力価測定することによって作成し、言い換えれば、同じ抗体を標識及び競合者の両方に使用する。非標識競合モノクローナル抗体又はその抗原結合断片が、プレートに対する標識分子の結合を阻害する能力を滴定する。結果をプロットして、所望の程度の結合阻害を達成するのに必要な濃度を比較する。
【0104】
こうした競合アッセイで本開示の抗体化合物と競合するmAb又はその抗原結合断片が、本開示の抗体化合物と同じ若しくは類似の機能的特性を有するか否かは、これらの方法を、以下の実施例2~7に記載する方法と組み合わせて、決定することができる。様々な実施形態では、本明細書に包含される治療方法に使用するための競合抗体は、本明細書に開示される抗体化合物のそれと比較して、約50%~約100%又は約125%、若しくはそれ以上の範囲の本明細書に記載するような生物学的活性を有する。一部の実施形態では、競合抗体は、以下に記載する実施例に開示の方法により決定される通り、本明細書に開示される抗体化合物のそれと比較して、約50%、約60%、約70%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は同一の生物学的活性を有する。
【0105】
本組成物及び方法において有用なmAb若しくはその抗原結合断片、又は競合抗体は、本明細書に記載されるアイソタイプのいずれであってもよい。さらに、これらのアイソタイプのいずれも、後述する通り、さらなるアミノ酸修飾を含んでもよい。
【0106】
本明細書に記載されるモノクローナル抗体若しくはその抗原結合断片、又は競合抗体は、ヒトIgG1アイソタイプであってよい。
【0107】
本明細書に記載されるモノクローナル抗体、その抗原結合断片、又は競合抗体のヒトIgG1定常領域を修飾して、抗体半減期を改変することができる。抗体半減期は、大部分が、新生児Fc受容体とのFc依存性相互作用により調節される(Roopenian and Alikesh,2007)。モノクローナル抗体、その抗原結合断片、又は競合抗体のヒトIgG1定常領域を修飾して、半減期を延長することができ、そのようなものとして、限定されないが、アミノ酸修飾:N434A、T307A/E380A/N434A(Petkova et al.,2006,Yeung et al.,2009);M252Y/S254T/T256E(Dall’Acqua et al.,2006);T250Q/M428L(Hinton et al.,2006);及びM428L/N434S(Zalevsky et al.,2010)が挙げられる。
【0108】
半減期の延長とは反対に、例えば、高い抗体依存性細胞傷害(ADCC)及び補体依存性細胞傷害(CDC)抗体に関連する有害事象の可能性を低減するために、短い半減期が所望されるいくつかの状況がある(Presta 2008)。本明細書に記載されるモノクローナル抗体、その抗原結合断片、又は競合抗体のヒトIgG1定常領域を修飾して、半減期を短縮する、及び/又は内在性IgGを低減することもでき、そのようなものとして、限定されないが、アミノ酸修飾:I253A(Petkova et al.,2006);P257I/N434H、D376V/N434H(Datta-Mannan et al.,2007);及びM252Y/S254T/T256E/H433K/N434F(Vaccaro et al.,2005)が挙げられる。
【0109】
本明細書に記載されるモノクローナル抗体、その抗原結合断片、又は競合抗体のヒトIgG1定常領域を修飾して、抗体エフェクター機能を増大又は低減することができる。こうした抗体エフェクター機能として、限定されないが、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、補体依存性細胞傷害(CDC)、抗体依存性細胞貪食(ADCP)、C1q結合、及びFc受容体に対する結合の改変が挙げられる。
【0110】
本明細書に記載されるモノクローナル抗体、その抗原結合断片、又は競合抗体のヒトIgG1定常領域を修飾して、抗体エフェクター機能を増大することができ、そのようなものとして、限定されないが、アミノ酸修飾:S298A/E333A/K334(Shields et al.,2001);S239D/I332E及びS239D/A330L/I332E(Lazar et al.,2006);F234L/R292P/Y300L、F234L/R292P/Y300L/P393L、及びF243L/R292P/Y300L/V305I/P396L(Stevenhagen et al.,2007);G236A,G236A/S239D/I332E、及びG236A/S239D/A330L/I332E(Richards et al.,2008);K326A/E333A、K326A/E333S及びK326W/E333S(Idusogie et al.,2001);S267E及びS267E/L328F(Smith et al.,2012);H268F/S324T、S267E/H268F、S267E/S234T、及びS267E/H268F/S324T(Moore et al.,2010);S298G/T299A(Sazinsky et al.,2008);E382V/M428I(Jung et al.,2010)が挙げられる。
【0111】
本明細書に記載されるモノクローナル抗体、その抗原結合断片、又は競合抗体のヒトIgG1定常領域を修飾して、抗体エフェクター機能を低減することができ、そのようなものとして、限定されないが、アミノ酸修飾N297A及びN297Q(Bolt et al.,1993,Walker et al.,1989);L234A/L235A(Xu et al.,2000);K214T/E233P/L234V/L235A/G236欠失/A327G/P331A/D356E/L358M(Ghevaert et al.,2008);C226S/C229S/E233P/L234V/L235A(McEarchern et al.,2007);S267E/L328F (Chu et al.,2008)が挙げられる。
【0112】
本明細書に記載されるモノクローナル抗体、その抗原結合断片、又は競合抗体のヒトIgG1定常領域を修飾して、抗体エフェクター機能を低減することができ、そのようなものとして、限定されないが、アミノ酸修飾:V234A/G237A(Cole et al.,1999);E233D、G237D、P238D、H268Q、H268D、P271G、V309L、A330S、A330R、P331S、H268Q/A330S/V309L/P331S、H268D/A330S/V309L/P331S、H268Q/A330R/V309L/P331S、H268D/A330R/V309L/P331S、E233D/A330R、E233D/A330S、E233D/P271G/A330R、E233D/P271G/A330S、G237D/H268D/P271G、G237D/H268Q/P271G、G237D/P271G/A330R、G237D/P271G/A330S、E233D/H268D/P271G/A330R、E233D/H268Q/P271G/A330R、E233D/H268D/P271G/A330S、E233D/H268Q/P271G/A330S、G237D/H268D/P271G/A330R、G237D/H268Q/P271G/A330R、G237D/H268D/P271G/A330S、G237D/H268Q/P271G/A330S、E233D/G237D/H268D/P271G/A330R、E233D/G237D/H268Q/P271G/A330R、E233D/G237D/H268D/P271G/A330S、E233D/G237D/H268Q/P271G/A330S、P238D/E233D/A330R、P238D/E233D/A330S、P238D/E233D/P271G/A330R、P238D/E233D/P271G/A330S、P238D/G237D/H268D/P271G、P238D/G237D/H268Q/P271G、P238D/G237D/P271G/A330R、P238D/G237D/P271G/A330S、P238D/E233D/H268D/P271G/A330R、P238D/E233D/H268Q/P271G/A330R、P238D/E233D/H268D/P271G/A330S、P238D/E233D/H268Q/P271G/A330S、P238D/G237D/H268D/P271G/A330R、P238D/G237D/H268Q/P271G/A330R、P238D/G237D/H268D/P271G/A330S、P238D/G237D/H268Q/P271G/A330S、P238D/E233D/G237D/H268D/P271G/A330R、P238D/E233D/G237D/H268Q/P271G/A330R、P238D/E233D/G237D/H268D/P271G/A330S、P238D/E233D/G237D/H268Q/P271G/A330S(An et al.,2009,Mimoto,2013)が挙げられる。
【0113】
本明細書に記載されるモノクローナル抗体若しくはその抗原結合断片、又は競合抗体は、ヒトIgG2アイソタイプであってもよい。
【0114】
本明細書に記載されるモノクローナル抗体、その抗原結合断片、又は競合抗体のヒトIgG2定常領域を修飾して、抗体エフェクター機能を増大又は低減することができる。こうした抗体エフェクター機能として、限定されないが、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、補体依存性細胞傷害(CDC)、抗体依存性細胞貪食(ADCP)、及びC1q結合、並びにFc受容体に対する結合の改変が挙げられる。
【0115】
本明細書に記載されるモノクローナル抗体、その抗原結合断片、又は競合抗体のヒトIgG2定常領域を修飾して、抗体エフェクター機能を増大することができ、そのようなものとして、限定されないが、アミノ酸修飾:K326A/E333S(Idusogie et al.,2001)が挙げられる。
【0116】
本明細書に記載されるモノクローナル抗体、その抗原結合断片、又は競合抗体のヒトIgG2定常領域を修飾して、抗体エフェクター機能を低減することができ、そのようなものとして、限定されないが、アミノ酸修飾:V234A/G237A(Cole et al.,1999);E233D、G237D、P238D、H268Q、H268D、P271G、V309L、A330S、A330R、P331S、H268Q/A330S/V309L/P331S、H268D/A330S/V309L/P331S、H268Q/A330R/V309L/P331S、H268D/A330R/V309L/P331S、E233D/A330R、E233D/A330S、E233D/P271G/A330R、E233D/P271G/A330S、G237D/H268D/P271G、G237D/H268Q/P271G、G237D/P271G/A330R、G237D/P271G/A330S、E233D/H268D/P271G/A330R、E233D/H268Q/P271G/A330R、E233D/H268D/P271G/A330S、E233D/H268Q/P271G/A330S、G237D/H268D/P271G/A330R、G237D/H268Q/P271G/A330R、G237D/H268D/P271G/A330S、G237D/H268Q/P271G/A330S、E233D/G237D/H268D/P271G/A330R、E233D/G237D/H268Q/P271G/A330R、E233D/G237D/H268D/P271G/A330S、E233D/G237D/H268Q/P271G/A330S、P238D/E233D/A330R、P238D/E233D/A330S、P238D/E233D/P271G/A330R、P238D/E233D/P271G/A330S、P238D/G237D/H268D/P271G、P238D/G237D/H268Q/P271G、P238D/G237D/P271G/A330R、P238D/G237D/P271G/A330S、P238D/E233D/H268D/P271G/A330R、P238D/E233D/H268Q/P271G/A330R、P238D/E233D/H268D/P271G/A330S、P238D/E233D/H268Q/P271G/A330S、P238D/G237D/H268D/P271G/A330R、P238D/G237D/H268Q/P271G/A330R、P238D/G237D/H268D/P271G/A330S、P238D/G237D/H268Q/P271G/A330S、P238D/E233D/G237D/H268D/P271G/A330R、P238D/E233D/G237D/H268Q/P271G/A330R、P238D/E233D/G237D/H268D/P271G/A330S、P238D/E233D/G237D/H268Q/P271G/A330S(An et al.,2009,Mimoto,2013)が挙げられる。
【0117】
本明細書に記載されるモノクローナル抗体、その抗原結合断片、又は競合抗体のヒトIgG2のFc領域を修飾して、アイソフォーム及び/又はアゴニスト活性を改変することができ、そのようなものとして、限定されないが、アミノ酸修飾C127S(CH1ドメイン)、C232S、C233S、C232S/C233S、C236S、及びC239S(White et al., 2015、Lightle et al., 2010)が挙げられる。
【0118】
本明細書に記載されるモノクローナル抗体、その抗原結合断片、又は競合抗体のヒトIgG2のFc領域を修飾して、FcγR結合能力の低下を示すが、保存されたFcRn結合を有することができる。これらのIgG Fc突然変異体は、免疫エフェクター機能のFc関連結合及び補体媒介性の細胞傷害性を最小限にしながら、可溶性又は細胞表面抗原の治療標的化を可能にする。一実施形態では、IgG2 Fc突然変異体は、EUナンバリングシステムに従って、V234A、G237A、P238Sを含む。別の実施形態では、IgG2 Fc突然変異体は、EUナンバリングシステムに従って、V234A、G237A、H268Q、又はH268A、V309L、A330S、P331Sを含む。特定の態様では、IgG2 Fc突然変異体は、EUナンバリングシステムに従って、V234A、G237A、P238S、H268A、V309L、A330S、P331S、及び任意選択的にP233Sを含む。
【0119】
本明細書に記載されるモノクローナル抗体、若しくはその抗原結合断片、又は競合抗体は、ヒトIgG3アイソタイプであってもよい。
【0120】
モノクローナル抗体、若しくはその抗原結合断片、又は競合抗体のヒトIgG3定常領域であって、モノクローナル抗体、又はその抗原結合断片の前記ヒトIgG3定常領域を1つ又は複数のアミノ酸にて修飾して、抗体半減期、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、補体依存性細胞傷害(CDC)、又はアポトーシス活性を増大することができる。
【0121】
モノクローナル抗体、若しくはその抗原結合断片のヒトIgG3定常領域であって、モノクローナル抗体、又はその抗原結合断片の前記ヒトIgG3定常領域をアミノ酸R435Hにて修飾して、抗体半減期を延長することができる。
【0122】
本明細書に記載されるモノクローナル抗体若しくはその抗原結合断片、又は競合抗体は、ヒトIgG4アイソタイプであってもよい。
【0123】
本明細書に記載されるモノクローナル抗体、その抗原結合断片、又は競合抗体のヒトIgG4定常領域を修飾して、抗体エフェクター機能を低減することができる。こうした抗体エフェクター機能として、限定されないが、抗体依存性細胞傷害(ADCC)及び抗体依存性細胞貪食(ADCP)が挙げられる。
【0124】
本明細書に記載されるモノクローナル抗体、その抗原結合断片、又は競合抗体のヒトIgG4定常領域を修飾して、Fabアーム交換を防止する、及び/又は抗体エフェクター機能を低減することができ、そのようなものとして、限定されないが、アミノ酸修飾:F234A/L235A(Alegre et al.,1994);S228P,L235E及びS228P/L235E(Reddy et al.,2000)が挙げられる。
【0125】
本明細書で使用されるとき、用語「腫瘍」は、悪性又は良性にかかわらず、あらゆる腫瘍細胞成長及び増殖、並びにあらゆる前癌及び癌性細胞と前癌及び癌性組織を指す。
【0126】
用語「癌」、「癌性」、及び「腫瘍」は、本明細書で使用される場合、互いに限定的ではない。用語「癌」及び「癌性」は、典型的には異常細胞成長/増殖を特徴とする、哺乳類における生理学的状態を指すか、又は記述する。癌の例として、限定されないが、癌腫、リンパ腫(すなわち、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫)、多発性骨髄腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病が挙げられる。こうした癌の具体的な例としては、扁平上皮癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、肺の扁平上皮癌、腹膜の癌、肝細胞癌、胃腸の癌、膵臓癌、神経膠腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝癌(liver cancer)、乳癌、結腸癌、大腸癌、子宮内膜若しくは子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝癌(hepatic carcinoma)、白血病及びその他のリンパ増殖性障害、並びに多様なタイプの頭部及び頚部癌が挙げられる。
【0127】
用語「感受性癌」は、本明細書で使用されるとき、その細胞がCD47、IRPα、又はCD47及びSIRPαを発現すると共に、CD47とSIRPαとの間の相互作用を防止する本開示からの抗体若しくはその抗原結合断片、又は競合抗体若しくはその抗原結合断片による治療に対して応答性である癌を指す。
【0128】
用語「自己免疫疾患」は、本明細書で使用されるとき、身体の免疫系が自身に向かい、誤って健全な細胞を攻撃する場合を指す。
【0129】
用語「炎症性疾患」は、本明細書で使用されるとき、局所反応及びその結果生じる形態学的変化をはじめとする、物理的、化学的若しくは生物学的因子に起因する傷害又は異常刺激に応答して患部血管及び隣接組織に起こる組織学的に明らかな細胞学的変化、細胞浸潤、及びメディエータ放出の動的複合体を含む基本的病理過程である炎症;傷害性物質の破壊又は除去;並びに修復及び治癒をもたらす応答を特徴とする疾患を指す。
【0130】
用語「自己炎症性疾患」は、本明細書で使用されるとき、自然免疫系が、原因不明の炎症を引き起こす場合に起こる疾患を指す。
【0131】
本明細書で使用されるとき、用語「治療すること」又は「治療する」又は「治療」とは、徴候、症状、障害、病状、若しくは疾患の進行又は重症度を遅延、阻止、停止、制御、停止、低減、若しくは逆転させることを意味するが、必ずしも全ての疾患関連の徴候、症状、病状、若しくは障害の排除を意味するわけではない。用語「治療する(こと)」などは、発症開始後の疾患又は病状の徴候若しくは症状を改善する治療介入を指す。
【0132】
本明細書で使用されるとき、用語「有効量」は、患者又は臓器に対する1若しくは複数用量の投与時に、所望される治療若しくは予防をもたらす本開示の抗体化合物の量又は用量を指す。
【0133】
任意の特定の被験者に対する正確な有効量は、その大きさ及び健康状態、その病状の性質及び程度、並びに投与するために選択された治療薬又は治療薬の組合せに応じて変動する。所与の患者の有効量は、常用の実験により決定され、これは、臨床医の判断で行われる。本開示の抗体化合物の治療有効量はまた、摘出された臓器又は患者に投与される1用量当たり約0.1mg/kg~約150mg/kg、約0.1mg/kg~約100mg/kg、約0.1mg/kg~約50mg/kg、又は約0.05mg/kg~約10mg/kgの範囲の量を含み得る。公知の抗体系薬剤は、これに関してガイダンスを提供する。例えば、Herceptin(商標)は、21mg/ml溶液の静脈内注入により投与され、その場合、初期負荷投与が4mg/kg体重、毎週の維持投与が2mg/kg体重であり;Rituxan(商標)は、例えば、毎週375mg/m2で投与される。
【0134】
任意の個別患者に対する治療有効量は、腫瘍退縮、循環腫瘍細胞、腫瘍幹細胞又は抗腫瘍応答に対する抗体化合物の作用をモニターすることによって、医療提供者が決定することができる。これらの方法で得られたデータの解析によって、療法中の治療レジメンの変更が可能になり、その結果、単独で若しくは互いに組み合わせて、又は別の治療薬と組み合わせて、或いはその両方で使用されるかにかかわらず、本開示の抗体化合物の最適量が投与され、しかも、同様に治療期間も決定することができる。このようにして、投薬/治療レジメンを療法の過程で変更することでき、その結果、満足な効果を示す、単独で若しくは組み合わせて使用される最も低い量の抗体化合物が投与され、しかも、そうした化合物の投与は、患者の治療に成功するのに必要な期間だけ継続される。公知の抗体系薬剤は、例えば、薬剤が、毎日、毎週、毎月などで投与されるべきかにかかわらず、投与頻度に関するガイダンスを提供している。頻度及び投与量は、症状の重症度に応じても変動し得る。
【0135】
一部の実施形態では、本開示の抗体化合物は、ヒト及び動物医療における薬剤として使用することができ、限定されないが、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、髄内、腹腔内、髄腔内、心室内、経皮(transdermal)、経皮(transcutaneous)、局所、皮下、腫瘍内、鼻内、腸内、舌下、膣内、小胞内又は直腸経路を含む様々な経路により投与される。組成物はまた、腫瘍などの病変に直接投与することもできる。投薬治療は、単回投与スケジュール又は複数回投与スケジュールのいずれであってもよい。さらに、医薬組成物を投与するために、Hypoスプレーを使用してもよい。典型的には、治療組成物は、溶液又は懸濁液の何れかの形態で、注射液として調製することができる。また、注射前の液体ビヒクル中の溶液又は懸濁液に好適な固体形態を調製することもできる。獣医学適用には、ネコ及びイヌなどのコンパニオン/ペット動物;盲導犬若しくは介助犬、及びウマなどの使役動物;ウマ及びイヌなどの競技動物;霊長類、ライオン及びトラなどのネコ科動物、クマなどを含む動物園動物;並びに飼育されている他の有用な動物の治療が含まれる。
【0136】
こうした医薬組成物は、当技術分野において公知の方法により調製することができる。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21stEdition(2005),Lippincott Williams & Wilkins,Philadelphia,PAを参照されたい。また、医薬組成物は、本明細書に開示される1つ又は複数の抗体化合物、及び薬学的に許容される、例えば、生理学的に許容される、担体、希釈剤、又は賦形剤を含む。
【0137】
癌適用
限定されないが、下記を含む感受性血液癌及び固形腫瘍を有する患者に好ましくは非経口的に投与することができる癌治療薬として有効な抗SIRPαmAb及びその抗原結合断片が本明細書に開示される:全身性肥満細胞症、急性リンパ性(リンパ芽球性)白血病(ALL)、T細胞ALL、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、骨髄増殖性疾患/腫瘍、単球性白血病、及びプラズマ細胞白血病をはじめとする白血病;多発性骨髄腫(MM);ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症(Waldenstrom’s Macroglobulinemia);ホジキンリンパ腫、並びに例えば、低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、細胞リンパ腫(FCC)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、びまん性大細胞リンパ腫(DLCL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ球性NHL、高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL、巨大病変(bulky diseases)NHLなどの非ホジキンリンパ腫をはじめとする、組織球性リンパ腫及びT細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫を含むリンパ腫;卵巣癌、乳癌、子宮内膜癌、結腸癌(大腸癌)、直腸癌、膀胱癌、尿路上皮癌、肺癌(非小細胞肺癌、肺の腺癌、肺の扁平上皮癌)、気管支癌、骨癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、肝細胞癌(肝臓癌、肝癌)、胆嚢癌、胆管癌、食道癌、腎細胞癌、甲状腺癌、頭部及び頚部の扁平上皮癌(頭部及び頚部癌)、精巣癌、内分泌腺癌、副腎腺癌、脳下垂体癌、皮膚癌、軟組織の癌、血管の癌、脳腫瘍、神経癌、眼の癌、髄膜癌、中咽頭癌、下咽頭癌、子宮頸癌、及び子宮癌、膠芽腫、髄芽腫、星細胞腫、神経膠腫、髄膜腫、ガストリノーマ、神経芽細胞腫、骨髄異形成症候群などの固形腫瘍、並びに限定されないが、骨肉腫、ユーイング肉腫、平滑筋肉腫、滑膜肉腫、胞巣状軟部肉腫、血管肉腫、脂肪肉腫、繊維肉腫、横紋筋肉腫、及び軟骨肉腫などの肉腫;並びに黒色腫。
【0138】
癌の治療
当業者には公知のように、単剤療法又は処置が、疾患若しくは病状を治療する、又は治癒させる上で十分でない場合もあることから、癌治療には往々にして併用療法が使用される。従来の癌治療は、多くの場合、相加若しくは相乗効果を達成するための手術、放射線治療、細胞傷害性薬物の組合せ、又はこれらのアプローチの何れか若しくは全部の組合せを含む。特に有用な化学療法及び生物学的療法の併用では、様々な作用機構を介して機能する薬物を使用して、癌細胞の制御若しくは殺傷を増大し、癌細胞の成長を制御する免疫系の能力を増大し、療法中の薬物耐性の可能性を低減すると共に、個々の薬物の低用量の使用を可能にすることによって、考えられる毒性の重複を最小限にする。
【0139】
本発明の方法に包含される併用療法において有用な従来の抗腫瘍及び抗悪性腫瘍薬のクラスは、Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics, Twelfth Edition (2010) L.L. Brunton, B.A. Chabner, and B. C. Knollmann Eds., Section VIII,“Chemotherapy of Neoplastic Diseases”, Chapters 60-63, pp. 1665-1770, McGraw-Hill, NYに開示されており、アントラサイクリン、白金、タキソール、トポイソメラーゼ(topisomerase)阻害剤、抗代謝薬、抗腫瘍抗生物質、有糸分裂阻害剤、及びアルキル化剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0140】
上記に加えて、本開示の方法は、癌適用の治療に関し、手術、放射線により、及び/又は限定されないが、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、核酸治療薬をはじめとする、腫瘍状態を治療するために通常使用されているか、若しくは現在開発中の化学小分子又は生物学的製剤を有効量で、そうした治療が必要な患者に投与することによって、患者を治療することをさらに含む。これは、本明細書に開示されるもの以外に、抗体及び抗原結合断片、サイトカイン、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA及びmiRNAが挙げられる。
【0141】
本明細書に開示され、請求される治療法は、本明細書に開示される抗体を単独で、及び/又は互いに組み合わせて、及び/又はSIRPαに結合する本開示のその抗原結合断片と一緒に、及び/又は適切な生物/治療活性を呈示する競合抗体と一緒に使用すること、並びに例えば最大の治療効果を達成するためのこれらの抗体化合物のあらゆる組合せの使用を含む。
【0142】
さらに、本開示の治療方法は、これらの抗体、その抗原結合断片、競合抗体及びそれらの組合せと、具体的な適用について所望の治療効果を達成するために適切に組み合わせた(1)手術、放射線、抗腫瘍薬、抗悪性腫瘍薬、又はこれらの何れかの組合せから選択される1種若しくは複数種の抗腫瘍薬治療、又は(2)1種若しくは複数種の抗腫瘍生物剤、又は(3)当業者には明らかな(1)若しくは(2)の何れかの同等物との併用も包含する。
【0143】
腫瘍抗原に対するT細胞応答に影響を与える共刺激若しくは阻害相互作用をモジュレートすることによって癌への免疫応答を増大する抗体及び小分子薬物(免疫チェックポイントの阻害剤及び共刺激分子のモジュレータなど)もまた、本開示に包含される併用療法に関して特に有利であり、このようなものとして、限定されないが、他の抗SIRPα抗体がある。SIRPαタンパク質に結合する治療薬、例えば、SIRPαに結合して、CD47及びSIRPα同士の相互作用を防止する抗体又は小分子の投与を患者に投与すると、食作用による癌細胞のクリアランスが起こる。SIRPαタンパク質に結合する治療薬は、CD47(分化抗原群47)、CD70(分化抗原群70)、CD200(OX-2膜糖タンパク質、分化抗原群200)、CD154(分化抗原群154、CD40L、CD40リガンド、分化抗原群40リガンド)、CD223(リンパ球活性化遺伝子3、LAG3、分化抗原群223)、KIR(キラー細胞免疫グロブリン様受容体)、GITR(TNFRSF18、グルココルチコイド誘導性TNFR関連タンパク質、活性化誘導性TNFRファミリー受容体、AITR、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー18)、CD20(分化抗原群20)、CD28(分化抗原群28)、CD40(分化抗原群40、Bp50、CDW40、TNFRSF5、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー5、p50)、CD86(B7-2、分化抗原群86)、CD160(分化抗原群160、BY55、NK1、NK28)、CD258(LIGHT、分化抗原群258、腫瘍壊死因子リガンドスーパーファミリーメンバー14、TNFSF14、ヘルペスウイルス侵入メディエータリガンド(HVEM-L)、CD270(HVEM、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー14、ヘルペスウイルス侵入メディエータ、分化抗原群270、LIGHTR、HVEA)、CD275(ICOSL、ICOSリガンド、誘導性T細胞共刺激因子リガンド、分化抗原群275)、CD276(B7-H3、B7ホモログ3、分化抗原群276)、OX40L(OX40リガンド)、B7-H4(B7ホモログ4、VTCN1、Vセットドメイン含有T細胞活性化インヒビター1)、GITRL(グルココルチコイド誘導性腫瘍壊死因子受容体リガンド、グルココルチコイド誘導性TNFRリガンド)、4-1BBL(4-1BBリガンド)、CD3(分化抗原群3、T3D)、CD25(IL2Rα、分化抗原群25、インターロイキン-2受容体α鎖、IL-2受容体α鎖)、CD48(分化抗原群48、Bリンパ球活性化マーカー、BLAST-1、シグナル伝達リンパ球活性化分子2、SLAMF2)、CD66a(Ceacam-1、癌胎児性抗原関連細胞接着分子1、胆汁糖タンパク質、BGP、BGP1、BGPI、分化抗原群66a)、CD80(B7-1、分化抗原群80)、CD94(分化抗原群94)、NKG2A(ナチュラルキラー群2A、キラー細胞レクチン様受容体サブファミリーDメンバー1、KLRD1)、CD96(分化抗原群96、TActILE、T細胞活性化増大後期発現)、CD112(PVRL2、ネクチン、ポリオウイルス受容体関連2、ヘルペスウイルス侵入メディエータB、HVEB、ネクチン-2、分化抗原群112)、CD115(CSF1R、コロニー刺激因子1受容体、マクロファージコロニー刺激因子受容体、M-CSFR、分化抗原群115)、CD205(DEC-205、LY75、リンパ球抗原75、分化抗原群205)、CD226(DNAM1、分化抗原群226、DNAXアクセサリー分子-1、PTA1、血小板及びT細胞活性化抗原1)、CD244(分化抗原群244、ナチュラルキラー細胞受容体2B4)、CD262(DR5、TrailR2、TRAIL-R2、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー10b、TNFRSF10B、分化抗原群262、KILLER、TRICK2、TRICKB、ZTNFR9、TRICK2A、TRICK2B)、CD284(Toll様受容体-4、TLR4、分化抗原群284)、CD288(Toll様受容体-8、TLR8、分化抗原群288)、白血病阻害因子(LIF)、TNFSF15(腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー15、血管内皮増殖インヒビター、VEGI、TL1A)、TDO2(トリプトファン2,3-ジオキシゲナーゼ、TPH2、TRPO)、IGF-1R(1型インスリン様増殖因子)、GD2(ジシアロガングリオシド2)、TMIGD2(膜貫通及び免疫グロブリンドメイン含有タンパク質2)、RGMB(RGMドメインファミリー、メンバーB)、VISTA(T細胞活性化のV-ドメイン免疫グロブリン含有抑制因子、B7-H5、B7ホモログ5)、BTNL2(ブチロフィリン様タンパク質2)、Btn(ブチロフィリンファミリー)、TIGIT(Ig及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体、Vstm3、WUCAM)、シグレック(シアル酸結合Ig様レクチン)、すなわち、SIGLEC-15、ニューロフィリン、VEGFR(血管内皮増殖因子受容体)、ILTファミリー(LIRs、免疫グロブリン様転写物ファミリー、白血球免疫グロブリン様受容体)、NKGファミリー(ナチュラルキラー群ファミリー、C型レクチン膜貫通受容体)、MICA(MHCクラスIポリペプチド関連配列A)、TGFβ(トランスフォーミング増殖因子β)、STING経路(インターフェロン遺伝子経路の刺激因子)、アルギナーゼ(アルギニンアミジナーゼ、カナバナーゼ、L-アルギナーゼ、アルギニントランスアミジナーゼ)、EGFRvIII(上皮増殖因子受容体変異体III)、及びHHLA2(B7-H7、B7y、HERV-H LTR関連タンパク質2、B7ホモログ7)から選択される1つ又は複数の追加の細胞標的に対する抗体、化学小分子又は生物学的製剤、PD-1(プログラム細胞死タンパク質1、PD-1、CD279、分化抗原群279)、PD-L1(B7-H1、B7ホモログ1、プログラム死リガンド1、CD274、分化抗原群274)、PD-L2(B7-DC、プログラム細胞死1リガンド2、PDCD1LG2、CD273、分化抗原群273)、CTLA-4(細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4、CD152、分化抗原群152)、BTLA(B及びTリンパ球アテニュエータ、CD272、分化抗原群272)、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO、IDO1)、TIM3(HAVCR2、A型肝炎ウイルス細胞受容体2、T細胞免疫グロブリンムチン-3、KIM-3、腎臓傷害分子3、TIMD-3、T細胞免疫グロブリンムチン-ドメイン3)、A2Aアデノシン受容体(ADO受容体)、CD39(エクトヌクレオシド三リン酸ジホスホヒドロラーゼ-1、分化抗原群39、ENTPD1)、及びCD73(エクト-5’-ヌクレオチダーゼ、5’-ヌクレオチダーゼ、5’-NT、分化抗原群73)、CD27(分化抗原群27)、ICOS(CD278、分化抗原群278、誘導性T細胞共刺激因子)、CD137(4-1BB、分化抗原群137、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー9、TNFRSF9)、OX40(CD134、分化抗原群134)、TNFSF25(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー25)、IL-10(インターロイキン-10、ヒトサイトカイン合成阻害因子、CSIF)、及びガレクチンの阻害剤などの治療薬と組み合わされる。
【0144】
ERBITUX(登録商標)(セツキシマブ、Bristol-Meyers Squibb)は、ヒト上皮増殖因子受容体(EGFR)の細胞外ドメインに特異的に結合する、認可された組換えヒト/マウスキメラモノクローナル抗体の一例である。
【0145】
RITUXAN(登録商標)(リツキシマブ、Biogen IDEC/Genentech)は、認可された抗CD20抗体の一例である。
【0146】
YERVOY(登録商標)(イピリムマブ;Bristol-Meyers Squibb)は、認可された抗CTLA-4抗体の一例である。
【0147】
KEYTRUDA(登録商標)(ペムブロリズマブ;Merck)及びOPDIVO(登録商標)(ニボルマブ;Bristol-Meyers Squibb Company)は、認可された抗PD-1抗体の例である。
【0148】
TECENTRIQ(商標)(アテゾリズマブ;Roche)は、認可された抗PD-L1抗体の一例である。
【0149】
BAVENCIO(商標)(アベルマブ;Merck KGaA及びPfizer及びEli Lilly and Company)は、認可された抗PD-L1抗体の一例である。
【0150】
IMFINZI(商標)(デュルバルマブ;Medimmune/AstraZeneca)は、認可された抗PD-L1抗体の一例である。
【実施例】
【0151】
実施例は本開示の種々の実施形態を説明するが、これらの具体的に開示された実施形態のみに本開示を限定すると考えられてはならない。
【0152】
【0153】
【0154】
【0155】
【0156】
【0157】
【0158】
【0159】
【0160】
【0161】
【0162】
【0163】
【0164】
【0165】
【0166】
【0167】
【0168】
【0169】
【0170】
【0171】
【0172】
実施例2
SIRPモノクローナル抗体のSIRPαへの結合
本開示の抗SIRPモノクローナル抗体(mAb)のSIRPアルファ(SIRPα)への結合を、Fcタグ付きヒトSIRPアルファを用いて固相ELISAにより決定した。可溶性抗SIRP抗体による結合をインビトロで測定した。
【0173】
リン酸緩衝食塩水(PBS)中に1μg/mlの濃度で希釈したFcタグ付きヒトSIRPα(ACRO #SIG-H5251、遺伝子型変異体1)を4℃で一晩、高結合マイクロタイタープレートに吸着させる。コーティング溶液を除去し、ウェルを洗浄してから、0.5%のTween 20を含有するPBS(PBST)中75%のカゼインにより、振とうさせながら室温で60分間遮断する。遮断溶液を除去し、ウェルを洗浄し、30μg/mlの開始濃度で3倍連続希釈において濃度を低下させてPBST中に希釈したマウス又はヒト抗SIRPmAbのいずれかと共に、振とうさせながら室温で60分間インキュベートする。ウェルをPBSTで3回洗浄し、PBST中に1:10,000で希釈したHRP標識ロバ抗マウス又は抗ヒト二次抗体(Jackson ImmunoResearch Laboratories)と共に、振とうさせながら室温で60分間インキュベートする。ウェルを洗浄してから、ペルオキシダーゼ基質と共にインキュベートし、450nmにおける吸光度を測定する。非線形適合モデル(GraphPad Prism)を用いて見かけの親和性を計算した。
【0174】
表1に示されるように、全ての可溶性抗SIRPmAbが、ピコモル~ナノモル範囲の見かけの親和性でヒトSIRPαに結合した。
図1A~
図1Vは、本開示の抗体の代表的な結合曲線を実証する。
【0175】
【0176】
実施例3
マウス抗SIRPmAbのSIRPα発現THP-1細胞への結合
SIRPαを発現するがSIRPγを発現しないTHP-1細胞に対するハイブリドーマ由来マウスSIRP抗体SIRP1、SIRP2、及びSIRP3の結合活性をフローサイトメトリーにより決定した。
【0177】
PBS、pH7.2中に希釈した増加する濃度のmAbと共に、THP-1細胞を37℃で60分間インキュベートした。次に、細胞をPBSで洗浄し、PBS中のAlexa Fluor-647標識ロバ抗マウス抗体(Jackson ImmunoResearch Laboratories)と共にさらに1時間インキュベートした。細胞を洗浄し、C6 Accuriフローサイトメーター(Becton Dickinson)を用いて結合を分析した。
【0178】
図2に示されるように、抗体は全て濃度依存的に、SIRPα発現THP-1細胞に結合した。
【0179】
実施例4
SIRPmAbのSIRPγへの結合
Fcタグ付きヒトSIRPγを用いて、本開示の抗SIRP抗体のSIRPガンマ(SIRPγ)への結合をELISAにより決定した。可溶性抗SIRP抗体による結合をインビトロで測定した。
【0180】
リン酸緩衝食塩水(PBS)中1μg/mlの濃度のFcタグ付きヒトSIRPγ(ACRO #SIG-H5253)を4℃で一晩、高結合マイクロタイタープレートに吸着させる。コーティング溶液を除去し、ウェルを洗浄してから、0.5%のTween 20を含有するPBS(PBST)中75%のカゼインにより、振とうさせながら室温で60分間遮断する。遮断溶液を除去し、ウェルを洗浄し、30μg/mlの開始濃度で3倍連続希釈において濃度を低下させてPBST中に希釈した抗SIRPmAbと共に、振とうさせながら室温で60分間インキュベートする。ウェルをPBSTで3回洗浄し、PBST中に1:10,000で希釈したHRP標識ロバ抗マウス又は抗ヒト二次抗体(Jackson ImmonResearch Laboratorie)と共に、振とうさせながら室温で60分間インキュベートする。ウェルを洗浄してから、ペルオキシダーゼ基質と共にインキュベートし、450nmにおける吸光度を決定する。非線形適合モデル(GraphPad Prism)を用いて見かけの親和性を計算した。
【0181】
表2に示されるように、可溶性抗SIRPmAb SIRP2、SIRP3、SIRP4、SIRP5、SIRP6、SIRP7、SIRP9、SIRP10、SIRP11、SIRP12、SIRP16、SIRP17、SIRP18、SIRP20、SIRP21及びSIRP23は、ピコモル又はナノモル範囲の見かけの親和性でヒトSIRPガンマに結合した。さらに、抗SIRPmAb SIRP1、SIRP8、SIRP13、SIRP14、SIRP15、SIRP19、及びSIRP22は、30μg/mlまでのmAb濃度において、ヒトSIRPガンマにはっきりとは結合しなかった。
図3A~
図3Vは、本開示の抗体から得られる代表的な結合曲線を実証する。
【0182】
【0183】
実施例5
マウスmAbのSIRPγ発現ジャーカットT細胞への結合
SIRPγを発現するがSIRPαを発現しないジャーカット細胞に対するマウスハイブリドーマ由来SIRPmAbの結合活性をフローサイトメトリーにより決定した。
【0184】
リン酸緩衝食塩水(PBS)、pH7.2中に希釈した増加する濃度の抗SIRPmAbと共に、ジャーカット細胞を37℃、5%CO2で60分間インキュベートした。次に、細胞をPBSで洗浄し、PBS中のAlexa Fluor-647標識ロバ抗マウス抗体(Jackson ImmunoResearch Laboratories)と共にさらに1時間インキュベートした。細胞を洗浄し、C6 Accuriフローサイトメーター(Becton Dickinson)を用いて結合を分析した。或いは、PBS(Corning)中に1mMのEDTA(Sigma Aldrich)、1%のFBS(Biowest)を含有する結合緩衝液中10μg/mlの飽和濃度のSIRPmAbと共に、細胞を37℃で1時間インキュベートした。次に、細胞を洗浄し、ロバ抗マウスIgGフルオレセインイソチオシアネート(FITC)結合二次抗体(Jackson ImmunoResearch Laboratories)により同じ条件下で45分間染色した。次に、細胞を洗浄し、フローサイトメトリー(Attune、Life Technologies)により分析した。
【0185】
図4Aに示されるように、SIRP3は、SIRPγ発現ジャーカット細胞に結合したが、SIRP2又はSIRP1は結合を示さなかった。さらに、
図4Bに示されるように、SIRP9は、SIRPγに結合することが既に示されているKWAR-23に匹敵して、10μg/mlの濃度でジャーカット細胞に結合したが、SIRP4は、ジャーカット細胞上のSIRPγへの結合を示さなかった。
【0186】
実施例6
抗SIRPmAbはCD47/SIRPα結合を遮断する
CD47のSIRPαへの結合を本開示の抗SIRP抗体が遮断する能力をインビトロで評価するために、ヒスチジン(HIS)タグ付きヒトSIRPαでコーティングされたELISAプレートを用いて以下の方法を使用した。
【0187】
PBS中に1μg/mlの濃度で希釈したHISタグ付きヒトSIRPα(ACRO #SIG-H5225)を4℃で一晩、高結合マイクロタイタープレートに吸着させる。コーティング溶液を除去し、ウェルを洗浄してから、0.5%のTween 20を含有するPBS(PBST)中75%のカゼインにより、振とうさせながら室温で60分間遮断する。遮断溶液を除去し、ウェルを洗浄し、30μg/mlの開始濃度で3倍連続希釈により濃度を低下させてPBST中に希釈した抗SIRPmAbと共に、振とうさせながら室温で60分間インキュベートする。ウェルをPBSTで3回洗浄し、PBST中250ng/mlの濃度のFCタグ付きヒトCD47(ACRO #CD7-H5256)と共に、振とうさせながら室温で60分間インキュベートする。ウェルをPBSTで3回洗浄し、PBST中に1:20,000で希釈したHRP標識ロバ抗マウス又は抗ヒト二次抗体(Jackson ImmunoResearch Laboratories)と共に、振とうさせながら室温で60分間インキュベートする。ウェルを洗浄してから、ペルオキシダーゼ基質と共にインキュベートし、450nmにおける吸光度を決定する。非線形適合モデル(GraphPad Prism)を用いてIC50を計算した。
【0188】
表3に示されるように、可溶性抗SIRPmAb SIRP2、SIRP3、SIRP4、及びSIRP7は、ナノモル範囲のIC
50値で、ヒトSIRPαのヒトCD47への結合を遮断する。さらに、可溶性抗SIRPmAb SIRP1、SIRP5、SIRP6、SIRP8、及びSIRP10は、30μg/mlまでのmAb濃度において、ヒトSIRPαのヒトCD47への結合を遮断することができなかった。
図5A~
図5Gは、本開示の抗体から得られる代表的な阻害曲線を実証する。
【0189】
【0190】
実施例7
抗SIRPモノクローナル抗体はCD47/SIRPγ結合を遮断する
CD47のSIRPγへの結合に対する本開示の抗SIRPmAbの効果をインビトロで評価するために、HISタグ付きヒトCD47でコーティングされたELISAプレートを用いて以下の方法を使用した。
【0191】
PBS中に2μg/mlの濃度で希釈したHISタグ付きヒトCD47(ACRO #CD7-H5227)を4℃で一晩、高結合マイクロタイタープレートに吸着させる。コーティング溶液を除去し、ウェルを洗浄してから、0.5%のTween 20を含有するPBS(PBST)中75%のカゼインにより、振とうさせながら室温で60分間遮断する。遮断溶液を除去し、ウェルを洗浄し、30μg/mlの開始濃度で3倍連続希釈において濃度を低下させてPBST中に希釈した抗SIRPmAb、及び0.5μg/mlのヒトSIRPγ(ACRO# SIG-H5253)と共に、振とうさせながら室温で60分間インキュベートする。ウェルをPBSTで3回洗浄し、PBST中に1:20,000で希釈したHRP標識ロバ抗マウス又は抗ヒト二次抗体(Jackson ImmunoResearch Laboratories)と共に、振とうさせながら室温で60分間インキュベートする。ウェルを洗浄してから、ペルオキシダーゼ基質と共にインキュベートし、450nmにおける吸光度を決定する。非線形適合モデル(GraphPad Prism)を用いてIC50を計算した。
【0192】
表4に示されるように、可溶性抗SIRPmAb SIRP2、SIRP3、SIRP4、SIRP5、SIRP6、及びSIRP7は、ナノモル範囲のIC
50値でヒトSIRPγのヒトCD47への結合を遮断する。さらに、可溶性抗SIRPmAb SIRP1、SIRP8、SIRP9、及びSIRP10は、30μg/mlまでのmAb濃度において、ヒトSIRPγのヒトCD47への結合を遮断することができなかった。
図6A~
図6Hは、本開示の抗体から得られる代表的な阻害曲線を実証する。
【0193】
【0194】
実施例8
抗SIRPmAbは食作用を誘発する
マクロファージによる腫瘍細胞の食作用に対する抗SIRPmAbの効果をインビトロで評価するために、フローサイトメトリーを用いて以下の方法を使用した。
【0195】
ヒト単球由来マクロファージを健常ヒト末梢血の白血球除去から得て、50ng/mlのM-CSF(Biolegend)を補充したAIM-V培地(Life Technologies)中で7日間インキュベートした。インビトロ食作用アッセイのために、96ウェルプレート内の50ng/mlのM-CSFを補充した100μlのAIM-V培地中、ウェル当たり3×10
4細胞の濃度でマクロファージを再プレーティングし、24時間接着させた。エフェクターマクロファージが培養皿に接着したらすぐに、標的ヒト癌細胞(ジャーカット)を1μMの5(6)-カルボキシフルオレセインジアセタートN-スクシンイミジルエステル(CFSE;Sigma Aldrich)で標識し、補充なしの100μlのAIM-V培地中に8×10
4細胞の濃度でマクロファージ培養物に添加した。標的細胞及びエフェクター細胞を混合したらすぐに、種々の濃度の抗SIRPmAb(
図7A)、又は10μg/mlの抗体(
図7B)を添加し、37℃で3時間インキュベートさせた。3時間後に、貪食されていない細胞を全て除去し、残りの細胞をPBSで3回洗浄した。次に、細胞をAccutase(Stemcell Technologies)中でインキュベートしてマクロファージを切り離し、微量遠心管内に集め、100ngのアロフィコシアニン(APC)標識CD14抗体(BD biosciences)中で30分間インキュベートし、1回洗浄し、完全な食作用を示すCFSE
+でもあるCD14
+細胞の割合について、フローサイトメトリー(Attune、Life Technologies)により分析した。
【0196】
図7A及び
図7Bに示されるように、可溶性抗SIRPmAb SIRP4、SIRP9、SIRP11、SIRP12、SIRP13、SIRP14、SIRP15、SIRP16、SIRP17、SIRP18、SIRP19、SIRP20、SIRP21、SIRP22及びSIRP23は、マウスIgG1対照抗体(Biolegend)と比べて、ヒトマクロファージによるジャーカット細胞の食作用を誘発した。それに対して、可溶性抗SIRPmAb SIRP1、SIRP2、SIRP3、SIRP7、SIRP8及びSIRP10は、ヒトマクロファージによるジャーカット細胞の食作用を誘発しなかった。
【0197】
実施例9
抗SIRPmAbは、抗CD47抗体と組み合わされたときに食作用を誘発する
マクロファージによる腫瘍細胞の食作用の誘発に対する抗SIRPmAb及び抗CD47mAbの組合せの効果をインビトロで評価するために、フローサイトメトリーを用いて以下の方法を使用した。
【0198】
ヒト単球由来マクロファージを健常ヒト末梢血の白血球除去から得て、50ng/mlのM-CSF(Biolegend)を補充したAIM-V培地(Life Technologies)中で7日間インキュベートした。インビトロ食作用アッセイのために、96ウェルプレート内の50ng/mlのM-CSFを補充した100μlのAIM-V培地中、ウェル当たり3×104細胞の濃度でマクロファージを再プレーティングし、24時間接着させた。エフェクターマクロファージが培養皿に接着したらすぐに、標的ヒト癌細胞(ジャーカット)を1μMの5(6)-カルボキシフルオレセインジアセタートN-スクシンイミジルエステル(CFSE;Sigma Aldrich)で標識し、補充なしの100μlのAIM-V培地中に8×104細胞の濃度でマクロファージ培養物に添加した。標的細胞及びエフェクター細胞を混合したらすぐに、抗SIRPmAb単独、抗CD47mAb(食作用を誘発することが知られている)単独、又は抗SIRP及び抗CD47mAbの合わせたものを種々の濃度で添加し、37℃で3時間インキュベートさせた。3時間後に、貪食されていない細胞を全て除去し、残りの細胞をPBSで3回洗浄した。次に、細胞をAccutase(Stemcell Technologies)中でインキュベートしてマクロファージを切り離し、微量遠心管内に集め、100ngのアロフィコシアニン(APC)標識CD14抗体(BD biosciences)中で30分間インキュベートし、1回洗浄し、完全な食作用を示すCFSE+でもあるCD14+細胞の割合について、フローサイトメトリー(Attune、Life Technologies)により分析した。
【0199】
図8A~
図8Jに示されるように、全ての可溶性抗SIRPmAb SIRP1、SIRP2、SIRP3、SIRP4、SIRP5、SIRP7、SIRP12、SIRP20、SIRP21及びSIRP22は抗CD47mAbと組み合わされたときに、いずれかの薬剤単独の場合と比べて、ヒトマクロファージによるジャーカット細胞の食作用をより大きく増大させる。
【0200】
実施例10
抗SIRPmAbはRituxanと組み合わされて食作用を誘発する
マクロファージによる腫瘍細胞の食作用の誘発に対する抗SIRPmAb及び抗CD20mAbの組合せの効果をインビトロで評価するために、フローサイトメトリーを用いて以下の方法を使用した。
【0201】
ヒト単球由来マクロファージを健常ヒト末梢血の白血球除去から得て、50ng/mlのM-CSF(Biolegend)を補充したAIM-V培地(Life Technologies)中で7日間インキュベートした。インビトロ食作用アッセイのために、96ウェルプレート内の50ng/mlのM-CSFを補充した100μlのAIM-V培地中、ウェル当たり3×104細胞の濃度でマクロファージを再プレーティングし、24時間接着させた。エフェクターマクロファージが培養皿に接着したらすぐに、標的ヒト癌細胞(RAJI)を1μMの5(6)-カルボキシフルオレセインジアセタートN-スクシンイミジルエステル(CFSE;Sigma Aldrich)で標識し、補充なしの100μlのAIM-V培地中に8×104細胞の濃度でマクロファージ培養物に添加した。標的細胞及びエフェクター細胞を混合したらすぐに、抗SIRPmAb単独、抗CD20mAb(Rituxan、Roche)単独、又は抗SIRP及び抗CD20mAbの合わせたものを種々の濃度で添加し、37℃で3時間インキュベートさせた。3時間後に、貪食されていない細胞を全て除去し、残りの細胞をPBSで3回洗浄した。次に、細胞をAccutase(Stemcell Technologies)中でインキュベートしてマクロファージを切り離し、微量遠心管内に集め、100ngのアロフィコシアニン(APC)標識CD14抗体(BD biosciences)中で30分間インキュベートし、1回洗浄し、完全な食作用を示すCFSE+でもあるCD14+細胞の割合について、フローサイトメトリー(Attune、Life Technologies)により分析した。
【0202】
図9A~
図9Dに示されるように、全ての可溶性抗SIRPmAb SIRP1、SIRP2、SIRP3、及びSIRP7は抗CD20mAbと組み合わされたときに、いずれかの薬剤単独の場合と比べて、ヒトマクロファージによるRAJI細胞の食作用をより大きく増大させた。
【0203】
実施例11
抗SIRPmAbはErbitux及びアベルマブと組み合わされて食作用を誘発する
マクロファージによる腫瘍細胞の食作用の誘発に対する抗SIRPmAb及び抗EGFRmAb又は抗PD-L1mAbの組合せの効果をインビトロで評価するために、フローサイトメトリーを用いて以下の方法を使用した。
【0204】
ヒト単球由来マクロファージを健常ヒト末梢血の白血球除去から得て、50ng/mlのM-CSF(Biolegend)を補充したAIM-V培地(Life Technologies)中で7日間インキュベートした。インビトロ食作用アッセイのために、96ウェルプレート内の50ng/mlのM-CSFを補充した100μlのAIM-V培地中、ウェル当たり3×104細胞の濃度でマクロファージを再プレーティングし、24時間接着させた。エフェクターマクロファージが培養皿に接着したらすぐに、標的ヒト癌細胞(FaDu又はES-2)を1μMの5(6)-カルボキシフルオレセインジアセタートN-スクシンイミジルエステル(CFSE;Sigma Aldrich)で標識し、補充なしの100μlのAIM-V培地中に8×104細胞の濃度でマクロファージ培養物に添加した。標的細胞及びエフェクター細胞を混合したらすぐに、抗SIRPmAb単独、抗EGFRmAb(Erbitux、Bristol-Myers Squibb)単独、抗PD-L1mAb(アベルマブ、Pfizer)、又は抗SIRP及び抗EGFRmAbの合わせたものを種々の濃度で添加し、37℃で3時間インキュベートさせた。3時間後に、貪食されていない細胞を全て除去し、残りの細胞をPBSで3回洗浄した。次に、細胞をAccutase(Stemcell Technologies)中でインキュベートしてマクロファージを切り離し、微量遠心管内に集め、100ngのアロフィコシアニン(APC)標識CD14抗体(BD biosciences)中で30分間インキュベートし、1回洗浄し、完全な食作用を示すCFSE+でもあるCD14+細胞の割合について、フローサイトメトリー(Attune、Life Technologies)により分析した。
【0205】
図10Aに示されるように、可溶性抗SIRPmAb SIRP4は抗EGFRmAbと組み合わされたときに、いずれかの薬剤単独の場合と比べて、ヒトマクロファージによるFaDu細胞の食作用をより大きく増大させた。
図10Bに示されるように、可溶性抗SIRPmAb SIRP4は抗PD-L1mAbと組み合わされたときに、いずれかの薬剤単独の場合と比べて、ヒトマクロファージによるES-2細胞の食作用をより大きく増大させた。
【0206】
実施例12
ヒトマクロファージ及び樹状細胞への抗SIRPmAbの結合
ヒトマクロファージ及び樹状細胞などのSIRPα発現細胞への抗SIRPmAbの結合を評価するために、フローサイトメトリーを用いて以下の方法を使用した。
【0207】
末梢血単核細胞(Astarte Biologics)から単離したヒトCD14+単球をインビトロで7日間、マクロファージ又は樹状細胞に分化させた。マクロファージ分化の場合、50ng/mlのM-CSF(Biolegend)を補充したAIM-V培地(Life Technologies)中で7日間、単球をインキュベートした。樹状細胞分化の場合、10%のヒトAB血清(Valley Biomedical)、200ng/mlのGM-CSF(Biolegend)及び50ng/mlのIL-4(Biolegend)の存在下、単球をAIM-V培地(Life Technologies)中でインキュベートした。PBS(Corning)中に1mMのEDTA(Sigma Aldrich)及び1%のFBS(Biowest)を含有する結合緩衝液中のSIRPmAbの連続希釈物と共に、細胞を37℃、5%CO2で1時間インキュベートした。次に、細胞を洗浄し、ロバ抗マウスIgGフルオレセインイソチオシアネート(FITC)結合二次抗体(Jackson ImmunoResearch Laboratories)により同じ条件下で45分間染色した。続いて、Alexa Fluor 647フルオロフォアにコンジュゲートした抗CD14又は抗CD11c(それぞれ、Life Technologies及びBiolegend)により、細胞を氷上で30分間染色し、洗浄し、フローサイトメトリー(Attune、Life Technologies)により分析した。二次抗体のみで染色した細胞から差し引いたCD14+又はCD11c+細胞のFITC蛍光強度の中央値として、結合を評価した。
【0208】
表5に示されるように、可溶性抗SIRPmAb SIRP3、SIRP4、SIRP5及びSIRP9、並びにOSE-18D5及びKWAR-23は、ピコモル範囲の見かけの親和性で、樹状細胞及び/又はマクロファージ上の細胞発現SIRPαに結合した。
図11は、本開示の抗体から得られる代表的な結合曲線を実証する。
【0209】
【0210】
実施例13
抗SIRPmAbはヒトCD3+ T細胞への可変的な結合を示す
ヒトCD3 T細胞に対する抗SIRPmAbの結合を評価するために、フローサイトメトリーを用いて以下の方法を使用した。
【0211】
末梢血単核細胞(Astarte Biologics)から単離したヒトCD3 T細胞を2.5×105細胞/ウェルにおいて96ウェルV底プレート内で、PBS(Corning)中に1mMのEDTA(Sigma Aldrich)、1%のFBS(Biowest)を含有する結合緩衝液中のSIRPmAbの連続希釈物と共に、37℃、5%CO2で1時間インキュベートした。次に、細胞を洗浄し、ロバ抗マウスIgGフルオレセインイソチオシアネート(FITC)結合二次抗体(Jackson ImmunoResearch Laboratories)により同じ条件下で45分間染色した。続いて、3-カルボキシ-6,8-ジフルオロ-7-ヒドロキシクマリン(Pacific Blue)フルオロフォアにコンジュゲートした抗CD3(BioLegend)により、細胞を氷上で30分間染色し、洗浄し、フローサイトメトリー(Attune、Life Technologies)により分析した。二次抗体のみで染色したCD3+細胞から差し引いたCD3+細胞のFITC蛍光強度の中央値として、結合を評価した。LSB2.20(BioLegend)を除いて、全てのSIRP抗体を社内で作製した。活性化T細胞については、結合アッセイの前に、10μg/mlの抗CD3(クローンUCHT1;BioLegend)をコーティングした96ウェル平底プレート内で、0.5μg/mlの抗CD28(クローンCD28.2;BioLegend)の存在下、1×105細胞/ウェルでCD3 T細胞を72時間活性化した。
【0212】
表6に示されるように、可溶性SIRP3、SIRP7、SIRP9、KWAR-23、及びSIRPγ特異的抗体LSB2.20は、ピコモル範囲の親和性で、T細胞に結合する。抗SIRPmAb SIRP4、SIRP5及びOSE-18D5の親和性ははるかに低く、ナノモル範囲である。
図12A、
図12B、及び
図12Cは、本開示の抗体から得られる代表的な結合曲線を実証する。
【0213】
【0214】
実施例14
抗SIRPmAbは可溶性CD47/細胞SIRPγ結合を遮断しない
可溶性CD47のSIRPγ発現細胞への結合の遮断に対する本開示の抗SIRP抗体の効果を評価するために、可溶性ヒトIgG1 Fcタグ付きヒトCD47を用いて以下の方法を使用した。
【0215】
ヒトT-ALL細胞(ジャーカット)を、2.5×105細胞/ウェルにおいて、PBS(Corning)中に1mMのEDTA(Sigma Aldrich)、1%のFBS(Biowest)を含有する結合緩衝液中10μg/mlの抗SIRPmAbと共に37℃、5%CO2で1時間インキュベートした。この後、50μg/mlの最終濃度に対して可溶性ヒトIgG1 Fcタグ付きヒトCD47(ACRO #CD7-H5256)を添加し、上記のように細胞をさらに1時間インキュベートした。次に、細胞を十分に洗浄し、Alexa Fluor 647にコンジュゲートしたロバ抗ヒト抗体(Jackson ImmunoResearch)により同じ条件下で45分間染色した。サンプルをフローサイトメトリー(Attune、Life Technologies)により分析した。分析のために、可溶性Fcタグ付きCD47の非存在下でのバックグラウンドヒトIgG1 Fc染色を、Alexa Fluor 647蛍光強度の中央値から差し引いた。マウスIgG1(Biolegend、MOPC-21)対照と比較して、SIRPmAbの存在下のバックグラウンド補正したAlexa Fluor 647の蛍光強度中央値の低下として、遮断を評価した。
【0216】
表7に示されるように、可溶性抗SIRPmAb SIRP4、SIRP9、及びOSE 18D5は、細胞発現SIRPγの可溶性ヒトCD47への結合を遮断しない。KWAR-23は、ジャーカット細胞発現SIRPγの可溶性ヒトCD47への結合を遮断する。
【0217】
【0218】
実施例15
抗SIRPmAbは可溶性CD47/細胞SIRPα結合を遮断する
可溶性CD47のSIRPα発現細胞への結合に対する本開示の抗SIRP抗体の効果を評価するために、ヒトマクロファージ及び可溶性ヒトIgG1 Fcタグ付きヒトCD47を用いて以下の方法を使用した。
【0219】
末梢血単核細胞(Astarte Biologics)から単離したヒトCD14+単球をインビトロで7日間、50ng/mlのM-CSF(Biolegend)を補充したAIM-V培地(Life Technologies)中で分化させた。次に、マクロファージFc受容体をヒトFc受容体遮断溶液(Biolegend)により室温で20分間遮断した。次に、細胞を洗浄し、PBS(Corning)中に1mMのEDTA(Sigma Aldrich)、1%のFBS(Biowest)を含有する結合緩衝液中10μg/mlの抗SIRPmAbと共に、37℃、5%CO2で1時間インキュベートした。この後、20μg/mlの最終濃度に対して可溶性ヒトIgG1 Fcタグ付きヒトCD47(ACRO #CD7-H5256)を添加し、上記のように細胞をさらに1時間インキュベートした。次に、細胞を十分に洗浄し、Alexa Fluor 647にコンジュゲートしたロバ抗ヒト抗体(Jackson ImmunoResearch)により同じ条件下で45分間染色した。サンプルをフローサイトメトリー(Attune、Life Technologies)により分析した。分析のために、可溶性Fcタグ付きCD47の非存在下でのバックグラウンドヒトIgG1 Fc染色を、Alexa Fluor 647蛍光強度の中央値から差し引いた。マウスIgG1(Biolegend、MOPC-21)対照と比較して、SIRPmAbの存在下のバックグラウンド補正したAlexa Fluor 647の蛍光強度中央値の低下として、遮断を評価した。これらのアッセイにおいて4つの異なる単球ドナーを使用し、試験した抗体につき最低3つのドナーを用いた。
【0220】
図13に示されるように、可溶性抗SIRPmAb SIRP4及びSIRP9は、マクロファージ上の細胞発現SIRPαの可溶性ヒトCD47への結合を遮断する。OSE 18D5mAbは、細胞発現SIRPαの可溶性ヒトCD47への結合を遮断しない。
【0221】
実施例16
抗SIRPmAbはT細胞増殖を阻害しない
同種異系樹状細胞に誘発されるT細胞増殖に対する抗SIRPmAbの効果をインビトロで評価するために、フローサイトメトリーを用いて以下の方法を使用した。
【0222】
10%のヒトAB血清(Valley Biomedical)、200ng/mlのGM-CSF(Biolegend)及び50ng/mlのIL-4(Biolegend)を補充したAIM-V培地(Life Technologies)中で、2日目に新鮮なサイトカイン豊富な培地を添加して、CD14+単球(Astarte Biologics)を6日間インキュベートすることにより、ヒト単球由来樹状細胞を作製した。同種異系樹状細胞及びT細胞の共培養アッセイのために、未成熟樹状細胞をウェル当たり1×105細胞の濃度で96ウェルプレート上に再プレーティングした。4つの異なるドナーからのCellTrace(商標)Violet(Life Technologies)蛍光細胞増殖色素標識された同種異系健常ドナー由来CD3+ T細胞(Astarte Biologics)を1:5のDC:T細胞比で培養物に添加した。すぐに抗SIRPmAbを10μg/mlの飽和濃度で添加し、200μlの全体積において細胞を37℃、5%CO2で6~7日間インキュベートした。次に、ピペットの先端でウェルをこすることによって細胞を取り外し、蛍光活性化細胞選別緩衝液(PBS中1%のFBS、Biowest)中で洗浄した。次に、細胞をPerCP-Cy5.5蛍光染料標識CD3抗体(Biolegend)と共に氷上で30分間インキュベートし、1回洗浄し、フローサイトメトリー(Attune、Life Technologies)により分析した。CD3+細胞集団内のCellTrace(商標)Violet色素の希釈によってT細胞増殖を測定した。
【0223】
図14A及び
図14Bに示されるように、抗SIRPmAb SIRP3、SIRP4、SIRP5、SIRP9、SIRP11、SIRP12、SIRP13、SIRP14、SIRP15、SIRP17、SIRP18、SIRP20、SIRP21、SIRP23及びOSE-18D5は、対照抗体(Biolegend)と比較して、T細胞増殖に対する有意な効果がなかった。それに対して、CD47へのSIRPα及びSIRPγ結合の両方を遮断するKWAR-23は、T細胞増殖を阻害した。
【0224】
実施例17
抗SIRPmAbは抗原特異的T細胞リコール応答を阻害しない
T細胞における抗原リコール応答に対する抗SIRPmAbの効果をインビトロで評価するために、フローサイトメトリーを用いて以下の方法を使用した。
【0225】
サイトメガロウイルス血清陽性ドナーからのヒト末梢血単核細胞(Astarte Biologics)をCellTrace(商標)Violet(Life Technologies)蛍光細胞増殖色素で標識し、96ウェルプレートに200,000細胞/ウェルで播種した。次に、10%のヒトAB血清(Valley Biomedical)を補充したAIM-V培地(Life Technologies)中で、様々な濃度のサイトメガロウイルス抗原(Astarte Biologics)と共に細胞をインキュベートした。これはT細胞増殖の抗原依存性刺激を誘発する。すぐに抗SIRPmAb、並びに抗CD47mAb、クローンB6H12(Biolegend)を10μg/mlの飽和濃度で添加し、細胞を37℃、5%CO2で5日間インキュベートした。CD4+細胞集団内のCellTrace(商標)Violet色素の希釈によってT細胞増殖を測定した。
【0226】
図15に示されるように、可溶性抗SIRPmAb SIRP4、SIRP5及びSIRP9は、T細胞がCMV抗原リコール応答を誘発する能力を阻害しなかった。それに対して、T細胞応答を阻害することが知られている抗CD47抗体クローンB6H12は、マウスIgG1対照抗体(Biolegend)と比較して、T細胞増殖を低減した。
【0227】
【0228】
【0229】
【配列表】
【国際調査報告】