(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】機械的特性が改善されたEVA含有組成物及び物品並びにその方法
(51)【国際特許分類】
C08L 23/08 20060101AFI20220111BHJP
C08L 23/12 20060101ALI20220111BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20220111BHJP
C08L 83/04 20060101ALI20220111BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20220111BHJP
C08J 3/20 20060101ALI20220111BHJP
B62D 37/02 20060101ALI20220111BHJP
B60R 13/02 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
C08L23/08
C08L23/12
C08L101/00
C08L83/04
C08K3/013
C08J3/20 Z CES
B62D37/02 A
B60R13/02 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021525811
(86)(22)【出願日】2019-11-13
(85)【翻訳文提出日】2021-06-21
(86)【国際出願番号】 IB2019026292
(87)【国際公開番号】W WO2020099939
(87)【国際公開日】2020-05-22
(32)【優先日】2018-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514091253
【氏名又は名称】ブラスケム・エス・エー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジャンカルロス・デレヴァチ
【テーマコード(参考)】
3D023
4F070
4J002
【Fターム(参考)】
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3D023BE02
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4J002GF00
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4J002GN00
(57)【要約】
ブレンドされたポリマー組成物及びその製造方法。ポリマー組成物は、ポリマー組成物の約46~70質量%の範囲の量のエラストマー性EVA組成物;及びポリマー組成物の約20~40質量%の範囲の量のポリプロピレンを含む。製造方法は、エラストマー性EVA組成物をポリプロピレンと混合する工程、及びエラストマー性EVA組成物とポリプロピレンとの混合物を押出しする工程を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー組成物の約46~70質量%の範囲の量のエラストマー性EVA組成物、及び
ポリマー組成物の約20~40質量%の範囲の量のポリプロピレン
を含む、ポリマー組成物。
【請求項2】
エラストマー性EVA組成物が、エチレン酢酸ビニル、エチレンα-オレフィンコポリマー、ゴム、可塑剤、及びポリオルガノシロキサンを含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項3】
エチレン酢酸ビニルが、約50質量%未満であるASTM D5594による酢酸ビニル含有量を有する、請求項2に記載のポリマー組成物。
【請求項4】
ポリプロピレンが、プロピレンホモポリマー、プロピレンランダムコポリマー、又はヘテロ相プロピレンコポリマーから選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項5】
ポリプロピレンが、3~45g/10分の範囲にある230℃/2.16kgでのASTM D1238によるメルトフローインデックスを有する、請求項4に記載のポリマー組成物。
【請求項6】
ポリマー組成物の約5~12質量%の範囲の量の少なくとも1種のフィラーを更に含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項7】
ポリマー組成物の約0.1~0.3質量%の範囲の量の少なくとも1種の酸化防止剤を更に含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項8】
ポリマー組成物の約0.05~1質量%の範囲の量の少なくとも1種のスリップ剤を更に含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項9】
ポリマー組成物の約5~12質量%の範囲の量のカーボンブラックを更に含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項10】
ポリマー組成物の約0.5~10質量%の範囲の量の少なくとも1種の抗UV添加剤を更に含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項11】
ポリマー組成物の約0.1~10質量%の範囲の量の少なくとも1種の可塑剤を更に含む、請求項1から10のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項12】
70~100ショアAの範囲のASTM D2240によるショアA硬度を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項13】
25~54ショアDの範囲にあるASTM D2240によるショアD硬度を有する、請求項1から12のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項14】
0.95~1.25g/cm
3の範囲にあるASTM D792による密度を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項15】
2~12g/10分の範囲にある190℃/2.16kgでのASTM D1238によるメルトフローインデックスを有する、請求項1から14のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項16】
20~60g/10分の範囲にある190℃/5kgでのASTM D1238によるメルトフローインデックスを有する、請求項1から15のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項17】
5~20MPaの範囲にあるASTM D638による100%伸びにおける引張弾性率を有する、請求項1から16のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項18】
3~12MPaの範囲にあるASTM D638による300%伸びにおける引張弾性率を有する、請求項1から17のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項19】
5~21MPaの範囲にあるASTM D638による引張破断強度を有する、請求項1から18のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項20】
300~1400%の範囲にあるASTM D638による引張破断伸び(1%セカント)を有する、請求項1から19のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項21】
エラストマー性EVA組成物、及び
ポリプロピレン、
を含むポリマー組成物であって、
25~54ショアDの範囲にあるASTM D2240によるショアD硬度、及び
5~20MPaの範囲にあるASTM D638による100%伸びにおける引張弾性率
を有する、ポリマー組成物。
【請求項22】
請求項1から21のいずれか一項に記載のポリマー組成物を含む熱可塑性物品。
【請求項23】
自動車部品である、請求項22に記載の熱可塑性物品。
【請求項24】
自動車部品が、空力ディフレクター、エアダム、ドアパネル、計器パネル、トリム部品、バンパー、ステアリングシステム、ホース、ガスケット、及び発泡体からなる群から選択される、請求項23に記載の熱可塑性物品。
【請求項25】
エラストマー性EVA組成物をポリプロピレンと混合する工程、及び
エラストマー性EVA組成物とポリプロピレンとの混合物を押出しする工程
を含む方法。
【請求項26】
エラストマー性EVA組成物が、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンα-オレフィンコポリマー、ゴム、可塑剤、及びポリオルガノシロキサンを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
混合する工程の前に、エラストマー性EVA組成物を調製する工程
を更に含む、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンα-オレフィンコポリマー、ゴム、可塑剤、及びポリオルガノシロキサンが、ポリプロピレンコポリマーの混合と同時に混合される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
請求項1から21のいずれか一項に記載のポリマー組成物を成形して、物品を形成する工程
を含む方法。
【請求項30】
成形する工程が、射出成形、圧縮成形、及び回転成形を含む、請求項29に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械的特性が改善されたEVA含有組成物及び物品並びにその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
市販のポリマー組成物は、多くの異なる用途のための広範囲の物品を製造するために使用される。そのような組成物は、種々のゴム及び他の添加剤と配合して、その使用目的によく適している物性を有する物品を提供することができる。例えば、自動車市場用であることが意図されている物品は、とりわけ、産業で使用される従来の熱可塑性エラストマー材料のものに類似した向上した物理的及び化学的特性を有し得る。プラスチック及びエラストマー性ゴムのブレンド物又はアロイは、高性能熱可塑性エラストマーの製造において、特に種々の用途において熱硬化性ゴムの代替として歴史的に重要であった。
【0003】
ポリオレフィンコポリマー、例えば、エチレン酢酸ビニル (EVA) は、フィルム、成型品、発泡体等を含む広範囲の物品を製造するために使用することができる。一般に、ポリオレフィンは、広範な用途でのその汎用性のため、世界中で広く使用されるプラスチックである。EVAは、高い加工性、低い製造コスト、柔軟性、低密度、及びリサイクル可能性等の特性を有し得るが、物理的及び化学的特性、例えば、べたつき(タック)及び変形可能な性質は、加工時に問題が発生する可能性があり、また、分子量、分子量の分布、コモノマーの含有量及び分布、加工方法等のいくつかの要因に応じて様々な応答(レスポンス)を示す可能性がある。
【0004】
興味ある代替材料には、エチレン酢酸ビニル(EVA)コポリマーから誘導される熱可塑性ポリマー組成物が含まれる。これまで、EVA組成物、特に低~中程度の酢酸ビニル含有量のものは、自動車産業用の物品の製造であまり利用されていない。これは概して、このような組成物が、このような用途での使用に必要な硬度と比較して硬度が低い傾向があるからである。EVA含有ポリマー組成物は、実際は熱可塑性であることができ、そのため容易に物品へと成形できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許公開第2013/0095542号
【特許文献2】ブラジル特許第102012025160-4号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本概要は、発明を実施するための形態で以下に更に記載する概念の選択を導入するために提供される。本概要は、特許請求された主題の重要な又は本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、クレームされた主題の範囲を制限する手助けとして使用されることを意図しない。
【0007】
一態様では、本明細書において開示される実施形態は、ポリマー組成物の約46~70質量%の範囲の量のエラストマー性EVA組成物;及びポリマー組成物の約20~40質量%の範囲の量のポリプロピレンを含むポリマー組成物に関する。
【0008】
別の態様では、本明細書で開示される実施形態は、エラストマー性EVA組成物;及びポリプロピレンを含むポリマー組成物に関し、ポリマー組成物は、25~54ショアDの範囲にあるASTM D2240によるショアD硬度;及び5~20MPaの範囲にあるASTM D638による100%伸びにおける引張弾性率を有する。
【0009】
別の態様では、本明細書において開示される実施形態は、ポリマー組成物の約46~70質量%の範囲の量のエラストマー性EVA組成物;及びポリマー組成物の約20~40質量%の範囲の量のポリプロピレンを含むポリマー組成物を含む熱可塑性物品に関する。
【0010】
別の態様では、本明細書において開示される実施形態は、エラストマー性EVA組成物;及びポリプロピレンを含むポリマー組成物を含む熱可塑性物品に関し、ポリマー組成物は、25~54ショアDの範囲にあるASTM D2240によるショアD硬度;及び5~20MPaの範囲にあるASTM D638による100%伸びにおける引張弾性率を有する。
【0011】
更に別の態様では、本明細書において開示される実施形態は、エラストマー性EVA組成物をポリプロピレンと混合する工程、及びエラストマー性EVA組成物とポリプロピレンとの混合物を押出しする工程を含む方法に関する。
【0012】
更に別の態様では、本明細書において開示される実施形態は、ポリマー組成物の約46~70質量%の範囲の量のエラストマー性EVA組成物;及びポリマー組成物の約20~40質量%の範囲の量のポリプロピレンを含むポリマー組成物を成形して、物品を形成することに関する。
【0013】
更に別の態様では、本明細書において開示される実施形態は、エラストマー性EVA組成物;及びポリプロピレンを含むポリマー組成物を成形して、物品を形成することに関し、ポリマー組成物は、25~54ショアDの範囲にあるASTM D2240によるショアD硬度;及び5~20MPaの範囲にあるASTM D638による100%伸びにおける引張弾性率を有する。
【0014】
クレームされた主題の他の態様及び利点は、以下の記述及び添付の特許請求の範囲から明らかであろう。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の実施形態は、これに限定されるものではないが、増加した硬度、改善した剛性及び引張弾性率、並びに向上した熱的及び化学的安定性を含む所望の機械的及び化学的特性を示す熱可塑性混合組成物の製造を対象とする。別の態様では、本開示の実施形態は、エラストマー性エチレン酢酸ビニル(EVA)樹脂及びポリプロピレンを含むブレンド物、及び向上した機械的特性を有するその物品を含む、ブレンドされたポリマーの組成物の製造方法を対象とする。
【0016】
本明細書において開示される実施形態は、一般にエチレン酢酸ビニル (EVA) コポリマーを含有する配合(コンパウンド)された熱可塑性ポリマー組成物に関する。1つ又は複数の本明細書で開示される実施形態は、EVA、及びポリプロピレンを含むポリマー組成物に関する。特に、本開示のポリマー組成物は、EVAコポリマー及びポリプロピレンを含む物品を形成するために用いることができる。一般に、EVA由来の材料は、自動車市場で見られるような用途での使用を実現する硬度や化学的安定性等の必要とされる物性を示さない。しかし、本開示の1つ又は複数の実施形態の熱可塑性EVA配合組成物、及びその物品は、従来の材料に比べ優れた特性を有する。このような物品は、適切な引張弾性率を有する硬度の増加及びその物品の性能向上のための向上した化学的特性を含む、熱可塑性及びエラストマー性の特性を有し得る。いくつかの実施形態は、自動車産業での高性能空力ディフレクター (aerodynamic deflectors) 及びエアダムの使用に特に適している。
【0017】
本開示による熱可塑性EVA配合組成物は、反応器後のプロセスで生成することができる。ポリマー組成物は、押出機及び強力なミキサーを含む反応器後の溶融混合プロセスで、ポリプロピレンとエラストマー性EVA組成物から調製することができる。反応器内での合成に続いて成分を混合することにより、単離された各成分を制御された化学量論で組み合わせて、反応原料及び分解生成物の存在を最小限に抑えながらポリマー組成物を生成することができる。多成分系組成物では、成分のサブセットは、溶融混合工程とその後の混合工程によって混合することができ、又はすべての成分は、同時に溶融混合することができる。
【0018】
記載しているように、本開示の実施形態は、ポリプロピレン及びエラストマー性EVA組成物を含むポリマー組成物を対象とする。
【0019】
<ポリプロピレン>
ここでの開示によるポリマー組成物は、ポリプロピレンを含み得る。いくつかの実施形態では、ポリプロピレンは、プロピレンホモポリマー、ヘテロ相プロピレンポリマー、プロピレンと、エチレン及びC4~C20α-オレフィンから選択される1つ又は複数のコモノマーとのコポリマー、プロピレンターポリマー、及びより高次のポリマー、並びに1つ又は複数のこれらのポリマー及び/又はコポリマーの混合物から得られるブレンド物を含み得る。いくつかの実施形態では、ポリプロピレンは、適切な触媒、例えば、チーグラー・ナッタ及びメタロセン触媒を用いて生成することができる。
【0020】
1つ又は複数の実施形態では、ポリマー組成物は、様々な分子量及び密度のポリプロピレン、及びそのブレンド物、並びにそれらの混合物を含めた、プロピレンモノマーから製造されたバイオベースの再生ポリプロピレンを含み得る。1つ又は複数の実施形態では、ポリマー組成物は、ポリプロピレンホモポリマー及び/又はポリプロピレンコポリマー又はそれらの混合物を含み得る。
【0021】
本開示による熱可塑性EVA配合組成物は、質量%で組成物の約20質量%の下限から約40質量%の上限までの範囲にあるポリプロピレンを含み得る。1つ又は複数の実施形態では、下限は、20、22、24、26、28、又は30質量%の範囲であってよく、上限は、30、32、34、36、38、40質量%の範囲であってよく、任意の下限を任意の上限と組み合わせて使用することができる。
【0022】
ポリマー組成物は、特に、その使用目的に必要な物性を有するポリプロピレンから製造された物品を提供するために、ポリプロピレンと配合することができる。例えば、自動車市場用であることが意図される物品は、とりわけ、以下の特性:適切な硬度、耐衝撃強度、柔軟性、引張弾性率、及び更に特定の用途のために向上した化学的特性を示し得る。
【0023】
1つ又は複数の実施形態では熱可塑性EVA配合組成物は、ポリプロピレンと配合することができ、この場合、ポリプロピレンは、少なくとも3g/10分の下限から、最大で45g/10分の上限を有する範囲の、ASTM D1238により決定して230℃及び2.16kgでのメルトフローインデックス (MFI) を有し得る。別の実施形態ではポリプロピレンは、少なくとも4g/10分の下限から、最大で40g/10分の上限を有する範囲の、ASTM D1238により決定して230℃及び2.16kgでのメルトフローインデックス(MFI)を有し得る。
【0024】
本開示によるバイオベースのポリプロピレンは、生物学的に誘導されたモノマーをある質量百分率で含むポリオレフィンを含み得る。プロピレンモノマーは、例えば、米国特許出願公開第2013/0095542号に記載されているような類似の生物学的プロセスから誘導することができる。1つ又は複数の実施形態では、生物学的に誘導されたn-プロパノールを脱水してプロピレンを生成することができ、その後、これを重合して様々な種類のポリプロピレンを生成する。本開示によるバイオベースのポリプロピレンは、ホモポリマー、ランダムコポリマー、ヘテロ相コポリマー又はターポリマー等を含み得る。
【0025】
ここでの開示によるバイオベースのポリプロピレンは、質量%(wt%)で0.05質量%、0.1質量%、1質量%、及び5質量%のいずれかから選択される下限から、50%、90%、及び100%のいずれかから選択される上限を有する範囲のバイオベースの含有量を有するポリプロピレンを含んでもよく、任意の下限を任意の上限と組み合わせることができる。
【0026】
1つ又は複数の実施形態では、天然材料から得られるバイオベースの生成物は、技術規格ASTM D 6866-06, 「Standard Test Methods for Determining the Biobased Content of Natural Range Materials Using Radiocarbon and Isotope Ratio Mass Spectrometry Analysis」に記載されている方法により、その再生可能炭素含有量に関して保証することができる。
【0027】
本開示による熱可塑性EVA配合組成物は、ポスト産業樹脂、ポスト消費者樹脂、リグラインドポリマー(regrind polymer)樹脂、及びそれらの組み合わせを含む様々な供給源から得られる再生ポリプロピレンを含み得る。1つ又は複数の実施形態では、再生ポリプロピレンは、ポリプロピレン廃棄物残渣からポリプロピレンを選別し、そのポリプロピレンを洗浄し、そのポリプロピレンを加工してポリプロピレンフレークを生成する一般的なプロセスにより得ることができる。いくつかの実施形態では、ポリプロピレンフレークを生成するための加工は、洗浄工程の前に行うことができる。いくつかの実施形態では、リサイクルプロセスは、ポリプロピレンフレークを押出してポリプロピレンペレットを生成する工程を更に含む。
【0028】
<エラストマー性エチレン酢酸ビニル組成物>
ここでの開示による熱可塑性EVA配合組成物は、(A) EVAコポリマー、(B) エチレンα-オレフィンコポリマー、(C) ポリオルガノシロキサン、(D) 可塑剤、及び (E) ゴムから調製されるエラストマー性エチレン酢酸ビニル (EVA) 組成物を含み得る。エラストマー性EVA組成物は、ブラジル特許第102012025160-4号に開示されているように調製され、参照により本明細書にその全体を援用する。本開示のエラストマー性EVA組成物の主成分並びにそれらのそれぞれの特性を以下で詳述する。いくつかの実施形態では、エラストマー性EVA組成物は、VA4018R、SVT2145R、VA1518A、VA2510A、VA5018ALS、又はEVANCE(商標)の下の任意の他の樹脂、及びそれらの組み合わせであってもよく、ブラスケム社から市販されている。
【0029】
本開示による熱可塑性EVA配合組成物は、質量%で組成物の約40質量%の下限から選択される下限から熱可塑性EVA配合組成物の約70質量%の上限までの範囲にあるエラストマー性EVAを含み得る。1つ又は複数の実施形態では、下限は、40、42、44、46、48、50、又は55質量%の範囲をとってもよく、上限は、60、62、64、66、68、70質量%の範囲をとってもよく、任意の下限を任意の上限と組み合わせて使用することができる。
【0030】
(A) EVAコポリマー
本発明のエラストマー性EVA組成物は、エチレンと酢酸ビニルとの共重合によって調製された1つ又は複数のエチレン-酢酸ビニル(EVA)コポリマーを含むことができる。いくつかの実施形態では、EVAコポリマーは、石油又は再生可能資源(例えば、バイオベースのEVA)から誘導することができる。バイオベースのEVAは、少なくとも1つのエチレン及び/又は酢酸ビニルモノマーが、再生可能資源、例えば、バイオベースのエタノールから誘導されるエチレンから誘導されるようなEVAである。
【0031】
1つ又は複数の実施形態では、ここでの開示によるEVAコポリマーは、質量%(wt%)でEVAコポリマーの約2質量%の下限から約50質量%の上限までの範囲にあるASTM D5594による酢酸ビニルを含み得る。いくつかの実施形態では、酢酸ビニルの量は、EVAコポリマーの5~40質量%の範囲であってもよい。1つ又は複数の実施形態では、下限は、EVAコポリマーの2、5、8、10、12、15、又は20質量%の範囲をとってもよく、上限は、20、25、30、35、40、45、又は50質量%の範囲をとってもよく、任意の下限を任意の上限と組み合わせて使用することができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、ここでの開示によるEVAコポリマーは、質量%でEVAコポリマーの約50質量%の下限から約98質量%の上限までの範囲にあるエチレンを含み得る。
【0033】
本開示によるエラストマー性EVA組成物は、質量%(wt%)でエラストマー性EVA組成物の20質量%、30質量%、40質量%、又は50質量%の下限から60質量%、70質量%、80質量%、又は90質量%の上限までの範囲にあるEVAコポリマーを含んでもよく、任意の下限を任意の上限と組み合わせることができる。
【0034】
(B) エチレンα-オレフィンコポリマー
ここでの開示によるエラストマー性EVA組成物は、エチレンと1つ又は複数のC3~C20α-オレフィンとの重合によって調製される1つ又は複数のエチレンα-オレフィンコポリマーを組み込むことができる。
【0035】
本開示によるエチレンα-オレフィンコポリマーは、10ショアA、15ショアA、及び20ショアAのいずれかから選択される下限から、70ショアA、75ショアA、及び80ショアAのいずれかから選択される上限を有する範囲のASTM D2240に準拠して決定される硬度を有してもよく、任意の下限を任意の上限と組み合わせることができる。
【0036】
ここでの開示によるエチレンα-オレフィンコポリマーは、0.80g/cm3、0.85g/cm3、及び0.88g/cm3のいずれかから選択される下限から、0.89g/cm3、0.90g/cm3、及び0.95g/cm3のいずれかから選択される上限を有する範囲のASTM D792に準拠して決定される密度を有してもよく、任意の下限を任意の上限と組み合わせることができる。
【0037】
ここでの開示によるエチレンα-オレフィンコポリマーは、0.01g/10分、0.05g/10分、及び0.1g/10分のいずれかから選択される下限から、70g/10分、75g/10分、及び100g/10分のいずれかから選択される上限を有する範囲のASTM D1238に準拠して決定される190℃及び2.16kgでのメルトフローインデックス(MFI)を有してもよく、任意の下限を任意の上限と組み合わせることができる。
【0038】
本開示によるエラストマー性EVA組成物は、質量%(wt%)で組成物の5質量%又は10質量%の下限から30質量%又は60質量%の上限までの範囲にあるエチレンα-オレフィンコポリマーを含んでもよく、任意の下限を任意の上限と組み合わせることができる。
【0039】
(C) ポリオルガノシロキサン
ここでの開示によるエラストマー性EVA組成物は、ポリオルガノシロキサンを組み込むことができる。1つ又は複数の実施形態では、適切なポリオルガノシロキサンは、線状、分岐状、又は3次元の構造を含み、この場合、側鎖(side group)は、メチル、エチル、プロピル基、ビニル、フェニル、水素、アミノ、エポキシ、又はハロゲン置換基のうち1種又は複数を含み得る。ポリオルガノシロキサンの末端基は、ヒドロキシル基、アルコキシ基、トリメチルシリル、ジメチルジフェニルシリル等を含み得る。本開示によるポリオルガノシロキサンは、ジメチルポリシロキサン、メチルポリシロキサン等のうち1種又は複数を含み得る。
【0040】
ここでの開示によるエラストマー性EVA組成物は、20 cP又は40 cPの下限から700,000 cP又は900,000 cPの上限までの範囲にあるASTM D4287に準拠して25℃で測定された粘度を有するポリオルガノシロキサンを含んでもよく、任意の下限を任意の上限と組み合わせることができる。
【0041】
ここでの開示によるエラストマー性EVA組成物は、質量%(wt%)でエラストマー性EVA組成物の0.1質量%又は0.5質量%の下限から5質量%又は10質量%の上限までの範囲にあるポリオルガノシロキサンを含んでもよく、任意の下限を任意の上限と組み合わせることができる。
【0042】
(D) 可塑剤
ここでの開示によるエラストマー性EVA組成物は、加工性を向上させ、エラストマー性EVA組成物の硬度を調整するために、可塑剤を組み込むことができる。ここでの開示による可塑剤は、1つ又は複数のフタル酸ビス(2-エチルヘキシル) (DEHP)、フタル酸ジイソノニル (DINP)、フタル酸ビス(n-ブチル) (DNBP)、フタル酸ブチルベンジル (BZP)、フタル酸ジイソデシル (DIDP)、フタル酸ジ-n-オクチル (DOP又はDNOP)、フタル酸ジ-o-オクチル (DIOP)、フタル酸ジエチル (DEP)、フタル酸ジイソブチル (DIBP)、フタル酸ジ-n-ヘキシル、トリメリット酸トリメチル (TMTM)、トリメリット酸トリ-(2-エチルヘキシル) (TEHTM-MG)、トリメリット酸トリ-(n-オクチル、n-デシル)、トリメリット酸トリ-(ヘプチル、ノニル)、トリメリット酸n-オクチル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル) (DEHA)、アジピン酸ジメチル (DMD)、アジピン酸モノメチル (MMAD)、アジピン酸ジオクチル (DOA)、セバシン酸ジブチル (DBS)、VIERNOL等のアジピン酸のポリエステル、マレイン酸ジブチル (DBM)、マレイン酸ジイソブチル (DIBM)、ベンゾエート、エポキシ化大豆油、n-エチルトルエンスルホンアミド、n-(2-ヒドロキシプロピル)ベンゼンスルホンアミド、n-(n-ブチル)ベンゼンスルホンアミド、リン酸トリクレシル (TCP)、リン酸トリブチル (TBP)、グリコール/ポリエステル、トリエチレングリコールジヘキサノエート、3gh)、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、ポリブテン、アセチル化モノグリセリド;クエン酸アルキル、クエン酸トリエチル (TEC)、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリオクチル、クエン酸アセチルトリオクチル、クエン酸トリヘキシル、クエン酸アセチルトリヘキシル、クエン酸トリヘキシルブチリル、クエン酸トリヘキシルo-ブチリル、クエン酸トリメチル、アルキルスルホン酸フェニルエステル、2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル、ニトログリセリン、ブタントリオールトリニトレート、ジニトロトルエン、トリメチロールエタントリニトレート、ジエチレングリコールジニトレート、トリエチレングリコールジニトレート、ビス(2,2-ジニトロプロピル)ホルマール、ビス(2,2-ジニトロプロピル)アセタール、2,2,2-トリニトロエチル2-ニトロキシエチルエーテル、鉱油、その他の可塑剤及び高分子可塑剤を含み得る。
【0043】
本開示によるエラストマー性EVA組成物は、質量%(wt%)で組成物の0.5質量%又は2質量%の下限から10質量%又は20質量%の上限までの範囲にある可塑剤を含んでもよく、任意の下限を任意の上限と組み合わせることができる。
【0044】
(E) ゴム
ここでの開示によるエラストマー性EVA組成物は、最終用途に応じて、ゴムのような触感を高め、摩擦係数を増大させるためにゴム成分を組み込むことができる。本開示によるゴムは、1つ又は複数の、天然ゴム、ポリイソプレン (IR)、スチレン及びブタジエンゴム (SBR)、ポリブタジエン、ニトリルゴム (NBR);エチレンプロピレンゴム (EPDM、EPM) 等のポリオレフィンゴム、アクリルゴム、臭素化ブチルゴム及び塩素化ブチルゴムを含むハロゲン化ブチルゴム、臭素化イソブチレン、ポリクロロプレン等のハロゲンゴム;メチルビニルシリコーンゴム、ジメチルシリコーンゴム等のシリコーンゴム、ポリスルフィドゴム等の硫黄含有ゴム;フッ素化ゴム;スチレン、ブタジエン、イソプレン、エチレン及びプロピレン、スチレン-イソプレン-スチレン (SIS)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン (SEBS)、スチレン-ブチレン-スチレン (SBS) 等に基づくエラストマー等の熱可塑性ゴム、エステル系エラストマー、エラストマーポリウレタン、エラストマーポリアミド等を含み得る。
【0045】
ここでの開示によるゴムは、10ショアA、15ショアA、及び20ショアAのいずれかから選択される下限から、45ショアA、50ショアA、及び55ショアAのいずれかから選択される上限を有する範囲のASTM D2240により決定された硬度を有してもよく、任意の下限を任意の上限と組み合わせることができる。
【0046】
ここでの開示によるエラストマー性EVA組成物は、質量%(wt%)で組成物の0.5質量%又は1質量%の下限から20質量%又は40質量%の上限までの範囲にあるゴムを含んでもよく、任意の下限を任意の上限と組み合わせることができる。
【0047】
<熱可塑性EVA配合組成物>
1つ又は複数の実施形態では、ここでの開示による熱可塑性EVA配合組成物は、上記のように調製されたエラストマー性EVA組成物、及びポリプロピレン、並びに添加剤、例えばフィラー、酸化防止剤、スリップ剤、カーボンブラック、抗UV添加剤、及び可塑剤を含み得る。
【0048】
<添加剤>
1つ又は複数の実施形態では、ここで開示した熱可塑性EVA配合組成物は、混合中にポリマー組成物に添加されると組成物の様々な特性を変えるいくつかの他の機能性添加剤を含んでもよく、これには、1つ又は複数のポリマー添加剤、例えば、酸化防止剤、抗UV添加剤、顔料、フィラー、強化材、接着促進剤、殺生物剤、ホワイトニング剤、造核剤、スリップ剤、例えば、ステアリン酸亜鉛、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、加工助剤、難燃剤、可塑剤、光安定剤等が含まれる。1つ又は複数の実施形態では、熱可塑性EVA配合組成物は、質量%(wt%)で全組成物の0.1質量%の下限から15質量%の上限までの範囲の上記で列挙した1種又は複数の添加剤を含み得る。
【0049】
本開示による熱可塑性EVA配合組成物は、抗UV添加剤、例えば、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、ヒンダードアミン、又はカーボンブラックを含み得る。ここでの開示による熱可塑性EVA配合組成物は、質量%(wt%)で全組成物の0.5、1、1.5質量%の下限から2.5、3、3.5質量%又は10質量%の上限までの範囲の抗UV添加剤を含んでもよく、任意の下限を任意の上限と組み合わせることができる。
【0050】
本開示による熱可塑性EVA配合組成物は、1つ又は複数の酸化防止剤、例えば、フェノール性及び亜リン酸の酸化防止剤を含み得る。本開示の1つ又は複数の実施形態による熱可塑性EVA配合組成物は、質量%(wt%)で組成物の0.1質量%又は0.15質量%の下限から0.25質量%又は0.3質量%の上限までの範囲にある酸化防止剤を含んでもよく、任意の下限を任意の上限と組み合わせることができる。
【0051】
本開示による熱可塑性EVA配合組成物は、より高い温度での性能の改善、信頼性の向上、及び摩擦係数の低減を実現するために、長鎖脂肪酸アミド又はステアリン酸金属塩(例えば、ステアリン酸亜鉛及びステアリン酸カルシウムを含む)等の脂肪酸の金属塩を含む1つ又は複数のスリップ剤を含み得る。本開示の1つ又は複数の実施形態による熱可塑性EVA配合組成物は、質量%(wt%)で組成物の0.05質量%、0.1質量%、又は0.15質量%の下限から0.75質量%、0.8質量%、0.85質量%及び1質量%の上限までの範囲にあるスリップ剤を含んでもよく、任意の下限を任意の上限と組み合わせることができる。
【0052】
ここでの開示による熱可塑性EVA配合組成物は、1つ又は複数の無機フィラー、例えば、タルク、ガラス繊維、大理石ダスト、セメントダスト、クレイ、カーボンブラック、長石、シリカ又はガラス、フュームドシリカ、ケイ酸塩、ケイ酸カルシウム、ケイ酸粉末、ガラスミクロスフェア、マイカ、金属酸化物の粒子及びナノ粒子、例えば、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、無機塩の粒子及びナノ粒子、例えば、硫酸バリウム、ウォラストナイト、アルミナ、ケイ酸アルミニウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、多面体オリゴマーシルセスキオキサン(POSS)を含み得る。1つ又は複数の実施形態では、熱可塑性EVA配合組成物は、5、6、又は8質量%のいずれかの下限から8、10、又は12質量%のいずれかの上限までの範囲の量のフィラーを含んでもよく、任意の下限を任意の上限と組み合わせて使用することができる。更に、場合によっては、成分、例えば、カーボンブラックを、フィラーと抗UV剤の両方としての使用のために選択することができることが想定される。カーボンブラックと同じ抗UV作用を持たない異なるフィラーを使用する場合、上述の1つ又は複数の抗UV添加剤を組み込むことが望ましい場合があることも理解される。
【0053】
本開示の1つ又は複数の実施形態による熱可塑性EVA配合組成物は、加工性を改善し、組成物の硬度を調整するために、可塑剤を組み込むことができる。本開示による可塑剤は、1つ又は複数のフタル酸ビス(2-エチルヘキシル) (DEHP)、フタル酸ジイソノニル (DINP)、フタル酸ビス(n-ブチル) (DNBP)、フタル酸ブチルベンジル (BZP)、フタル酸ジイソデシル (DIDP)、フタル酸ジ-n-オクチル (DOP又はDNOP)、フタル酸ジ-o-オクチル (DIOP)、フタル酸ジエチル (DEP)、フタル酸ジイソブチル (DIBP)、フタル酸ジ-n-ヘキシル、トリメリット酸トリメチル (TMTM)、トリメリット酸トリ-(2-エチルヘキシル) (TEHTM-MG)、トリメリット酸トリ-(n-オクチル、n-デシル)、トリメリット酸トリ-(ヘプチル、ノニル)、トリメリット酸n-オクチル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル) (DEHA)、アジピン酸ジメチル (DMD)、アジピン酸モノメチル (MMAD)、アジピン酸ジオクチル (DOA)、セバシン酸ジブチル (DBS)、VIERNOL等のアジピン酸のポリエステル、マレイン酸ジブチル (DBM)、マレイン酸ジイソブチル(DIBM)、ベンゾエート、エポキシ化大豆油、n-エチルトルエンスルホンアミド、n-(2-ヒドロキシプロピル)ベンゼンスルホンアミド、n-(n-ブチル)ベンゼンスルホンアミド、リン酸トリクレシル (TCP)、リン酸トリブチル (TBP)、グリコール/ポリエステル、トリエチレングリコールジヘキサノエート、3gh)、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、ポリブテン、アセチル化モノグリセリド;クエン酸アルキル、クエン酸トリエチル (TEC)、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリオクチル、クエン酸アセチルトリオクチル、クエン酸トリヘキシル、クエン酸アセチルトリヘキシル、クエン酸トリヘキシルブチリル、クエン酸トリヘキシルo-ブチリル、クエン酸トリメチル、アルキルスルホン酸フェニルエステル、2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル、ニトログリセリン、ブタントリオールトリニトレート、ジニトロトルエン、トリメチロールエタントリニトレート、ジエチレングリコールジニトレート、トリエチレングリコールジニトレート、ビス(2,2-ジニトロプロピル)ホルマール、ビス(2,2-ジニトロプロピル)アセタール、2,2,2-トリニトロエチル2-ニトロキシエチルエーテル、鉱油、その他の可塑剤及び高分子可塑剤を含み得る。
【0054】
本開示の1つ又は複数の実施形態による熱可塑性EVA配合組成物は、質量%(wt%)で組成物の0.1質量%、0.5質量%、又は2質量%の下限から5質量%、7質量%、又は10質量%の上限までの範囲にある可塑剤を含んでもよく、任意の下限を任意の上限と組み合わせることができる。
【0055】
<ポリマー組成物の調製方法>
本開示による熱可塑性EVA配合組成物は、以下の節で議論されることになる、いくつかの考えられるポリマー混合及び配合の技術により調製することができる。
【0056】
1つ又は複数の実施形態では、本開示によるポリマー組成物は、ニーダー、バンバリーミキサー、混合ローラー、単軸、二軸、又は多軸スクリュー押出機を用いた押出プロセスを含む、任意の反応器後の溶融混合プロセスを使用して組み合わせることができる。合成後に成分を混合することにより、各成分を特定の基準まで精製し、次いで組み合わせて、反応物質(反応原料)及び分解生成物の存在を最小限に抑えながら最終組成物を生成することができる。多成分から調製される実施形態では、成分のサブセットは、溶融混合工程とその後の混合工程によって組み合わせることができ、又はすべての成分は、同時に溶融混合することができる。例えば、エラストマー性EVA組成物を調製するための成分は、単一の混合工程でポリプロピレン及び添加剤と混合することができる。他の実施形態では、エラストマー性EVA組成物は、前の工程で調製することができ、次いで、ポリプロピレン及び添加剤と混合されて、本開示の熱可塑性EVA配合組成物を形成することができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、原料は、1つ又は複数の成分の溶液、エマルション及び懸濁液として、液体中の粉末、顆粒物、フレーク、又は分散体の形態で、ニーダー、バンバリー、又は押出機等の溶融混合装置に添加することができる。
【0058】
1つ又は複数の実施形態では、ポリマー組成物は、溶融ブレンドプロセスで二次ポリマー組成物と組み合わされる。1つ又は複数の他の実施形態では、ポリマー組成物は、ドライブレンドプロセスで二次ポリマー組成物と組み合わされる。
【0059】
<熱可塑性EVA配合組成物の物性>
本開示に従って形成された物品の特性は、一般に、物品の使用目的に適することになる。当業者は、本開示の恩恵を受けて、ポリマー組成物の成分の相対量及び/又は同一性を変更すると、それから形成される物品の特性に影響を与えることを理解するであろう。
【0060】
本開示による熱可塑性EVA配合組成物は、70ショアA、80ショアA、及び85ショアAのいずれかから選択される下限から、90ショアA、95ショアA、及び100ショアAのいずれかから選択される上限を有する範囲のASTM D2240に準拠して決定される硬度を有してもよく、任意の下限を任意の上限と組み合わせることができる。
【0061】
本開示による熱可塑性EVA配合組成物は、25ショアD、29ショアD、及び35ショアDのいずれかから選択される下限から、40ショアD、46ショアD、及び54ショアDのいずれかから選択される上限を有する範囲のASTM D2240に準拠して決定される硬度を有してもよく、任意の下限を任意の上限と組み合わせることができる。
【0062】
本開示による熱可塑性EVA配合組成物は、2、3、4、及び5g/10分のいずれか1つから選択される下限から、9、10、11、及び12g/10分のいずれか1つから選択される上限を有する範囲のASTM D1238に準拠して決定される190℃及び2.16kgにおけるメルトフローインデックス(MFI)を有してもよく、任意の下限を任意の上限と組み合わせることができる。
【0063】
本開示による熱可塑性EVA配合組成物は、20、22、及び30g/10分のいずれか1つから選択される下限から、28、35、40、48g/10分、及び60g/10分のいずれか1つから選択される上限を有する範囲のASTM D1238に準拠して決定される190℃及び5kgにおけるメルトフローインデックス(MFI)を有してもよく、任意の下限を任意の上限と組み合わせることができる。
【0064】
本開示による熱可塑性EVA配合組成物は、0.95、0.98、又は0.99g/cm3のいずれか1つから選択される下限から、1.1、1.2、及び1.25g/cm3のいずれか1つから選択される上限を有する範囲のASTM D792に準拠して決定される密度を有してもよく、任意の下限を任意の上限と組み合わせることができる。
【0065】
本開示による熱可塑性EVA配合組成物は、5、8、又は10 MPaのいずれか1つから選択される下限から、15、18、又は20 MPaのいずれか1つから選択される上限を有する範囲のASTM D638に準拠して決定される100%伸びにおける引張弾性率を有してもよく、任意の下限を任意の上限と組み合わせることができる。
【0066】
本開示による熱可塑性EVA配合組成物は、3、5.5、又は7 MPaのいずれか1つから選択される下限から、9、10、又は12 MPaのいずれか1つから選択される上限を有する範囲のASTM D638に準拠して決定される300%伸びにおける引張弾性率を有してもよく、任意の下限を任意の上限と組み合わせることができる。
【0067】
本開示による熱可塑性EVA配合組成物は、5、7、又は9 MPaのいずれか1つから選択される下限から、10、15、又は21 MPaのいずれか1つから選択される上限を有する範囲のASTM D638に準拠して決定される引張破断強度を有してもよく、任意の下限を任意の上限と組み合わせることができる。
【0068】
本開示による熱可塑性EVA配合組成物は、300%、500%、又は600%のいずれか1つから選択される下限から、800%、1000%、又は1400%のいずれか1つから選択される上限を有する範囲のASTM D638に準拠して決定される引張破断伸び (1%セカント(Secant)) を有してもよく、任意の下限を任意の上限と組み合わせることができる。
【0069】
<物品を形成する方法>
1つ又は複数の実施形態では、本開示による物品は、例えば、射出成形、圧縮成形、回転成形、熱成形、押出成形等の任意の従来のプラスチック成形プロセスにおいて、本明細書で開示されている熱可塑性EVA配合組成物の加工により形成される。
【0070】
1つ又は複数の実施形態では、物品は、射出成形品、熱成形品、発泡体、圧縮品、共押出品、積層品、回転成形品、押出品、単層品、多層品等である。多層品の実施形態では、少なくとも1つの層は、本開示のポリマー組成物を含むことが想定される。
【0071】
<用途>
1つ又は複数の実施形態では、熱可塑性EVA配合組成物は、特に自動車部品、例えば、空力ディフレクター、エアダム、ドアパネル、計器パネル、トリム部品、バンパー、ステアリングシステム、ホース、ガスケット、及び発泡体を含む物品の製造で使用することができる。更に、本開示によるポリマー組成物を使用して製造することができる物品の例は、射出成形品及び部品、発泡体、発泡成形品、熱成形品、家庭用ユーティリティ、技術部品、エアダクト、クッションガーニッシュ及びバックフレーム、マスターバッチ等を含む。
【実施例】
【0072】
以下の例は、単に例示的であり、本開示の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0073】
(実施例1)
この実施例では、ポリマー配合物は、どちらもブラスケム社から市販されている樹脂である、エラストマー性EVA組成物VA4018RとポリプロピレンホモポリマーPP H301との混合物からここでの開示にしたがって調製する。配合を以下の表1に示し、評価した物性を以下の表2に示す。
【0074】
【0075】
実施例の物品のいくつかの物性を規格による方法により試験した。結果を表2にまとめる。
【0076】
【0077】
以上、わずかな実施形態例のみを詳細に説明したが、当業者は、本発明から実質的に逸脱することなく、実施形態例において多くの変更が可能であることを容易に理解するであろう。したがって、そのような変更はすべて、以下の特許請求の範囲に定義されている本開示の範囲内に含まれるものである。特許請求の範囲において、ミーンズ・プラス・ファンクション節は、列挙された機能を実施するものとして本明細書に記載された構造、及び構造上の同等物だけでなく同等の構造を含むものである。したがって、釘は木製の部品を一緒に固定するために円筒形の表面を使用し、一方、ねじは木製の部品を固定する環境でらせん状の表面を使用するので、釘とねじは構造上の同等物ではないかもしれないが、釘とねじは同等の構造であり得る。特許請求の範囲が関連する機能とともに「の手段」という言葉を明確に使用する場合を除き、本書の特許請求の範囲のいずれかの任意の制限について、本出願人は米国特許法112条、第6段落を発動しないことを明確に意図している。
【国際調査報告】