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特表2022-507322高溶接線強度のポリプロピレン/ポリカーボネートアロイ及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】高溶接線強度のポリプロピレン/ポリカーボネートアロイ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 69/00 20060101AFI20220111BHJP
   C08L 23/10 20060101ALI20220111BHJP
   C08L 23/08 20060101ALI20220111BHJP
   C08J 3/20 20060101ALI20220111BHJP
   B29B 7/46 20060101ALI20220111BHJP
   B29B 9/02 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
C08L69/00
C08L23/10
C08L23/08
C08J3/20 CES
C08J3/20 CET
C08J3/20 CFD
B29B7/46
B29B9/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021525822
(86)(22)【出願日】2019-10-30
(85)【翻訳文提出日】2021-06-07
(86)【国際出願番号】 CN2019114379
(87)【国際公開番号】W WO2020098498
(87)【国際公開日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】201811348964.X
(32)【優先日】2018-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520070792
【氏名又は名称】金発科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】KINGFA SCI. & TECH. CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.33 Kefeng Road, Science City, Hi-Tech Industrial Development Zone, Guangzhou, Guangdong 510663, China
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】楊 燕
(72)【発明者】
【氏名】李 明昆
(72)【発明者】
【氏名】黄 険波
(72)【発明者】
【氏名】葉 南▲ビャオ▼
(72)【発明者】
【氏名】▲トン▼ 偉
(72)【発明者】
【氏名】董 相茂
(72)【発明者】
【氏名】艾 軍偉
【テーマコード(参考)】
4F070
4F201
4J002
【Fターム(参考)】
4F070AA08
4F070AA13
4F070AA15
4F070AA18
4F070AA50
4F070AB01
4F070AB03
4F070AB09
4F070AB11
4F070AC75
4F070AC76
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4F070AE03
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4J002FD046
4J002FD056
4J002FD076
(57)【要約】
本発明は、ポリプロピレン5~40重量部と、ポリカーボネート40~85重量部と、エチレン共重合体相溶化剤1~15重量部とを成分として含む、高溶接線強度のポリプロピレン/ポリカーボネートアロイを開示する。高溶接線強度のポリプロピレン/ポリカーボネートアロイは、高い溶接線強度、優れたメルトインデックス、優れた耐化学薬品性能を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレン5~40重量部と、芳香族ポリカーボネート40~85重量部と、エチレン共重合体相溶化剤1~15重量部とを成分として含む、ことを特徴とする高溶接線強度のポリプロピレン/ポリカーボネートアロイ。
【請求項2】
前記ポリプロピレンは、共重合ポリプロピレン、ホモポリプロピレンから選択される少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項1に記載の高溶接線強度のポリプロピレン/ポリカーボネートアロイ。
【請求項3】
前記エチレン共重合体相溶化剤は、アクリル酸のエチレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレン共重合体から選択される少なくとも1種であり、前記アクリル酸のエチレン共重合体は、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸ブチル共重合体から選択される少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項1に記載の高溶接線強度のポリカーボネートアロイ。
【請求項4】
前記エチレン共重合体相溶化剤は、アクリル酸のエチレン共重合体から選択される、ことを特徴とする請求項3に記載の高溶接線強度のポリカーボネートアロイ。
【請求項5】
前記エチレン共重合体相溶化剤は、反応活性基を含有するエチレン共重合体相溶化剤から選択され、エチレン共重合体は、アクリル酸のエチレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレン共重合体から選択される少なくとも1種であり、反応活性基は無水マレイン酸基、エポキシ基のうちの少なくとも1種であり、反応活性基のグラフト率が0.1~15%であり、前記アクリル酸のエチレン共重合体は、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸ブチル共重合体から選択される少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項1に記載の高溶接線強度のポリカーボネートアロイ。
【請求項6】
前記エチレン共重合体は、アクリル酸のエチレン共重合体から選択される、ことを特徴とする請求項5に記載の高溶接線強度のポリカーボネートアロイ。
【請求項7】
前記ポリカーボネートは、芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、芳香族・脂肪族ポリカーボネートから選択され、前記ポリカーボネートの重量平均分子量が1.8万~2.8万であり、加工助剤及び/または添加剤0~10重量部をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の高溶接線強度のポリカーボネートアロイ。
【請求項8】
前記高溶接線強度のポリカーボネートアロイの溶接線強度が60%以上であり、溶接線強度テストはASTM D638基準に応じて行われ、好ましくは、前記高溶接線強度のポリカーボネートアロイの溶接線強度が65%以上であり、溶接線強度テストはASTM D6388基準に応じて行われる、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の高溶接線強度のポリカーボネートアロイ。
【請求項9】
ポリカーボネート、ポリオレフィン、エチレン共重合体相溶化剤、加工助剤及び/または添加剤を、所定の割合で高速ミキサーにて均一に混合するステップと、次に、二軸押出機に投入して、220℃~240℃の温度で溶融混合し、その後、造粒、冷却、乾燥をして、高溶接線強度のポリカーボネートアロイを得るステップとを含む、ことを特徴とする請求項7に記載の高溶接線強度のポリカーボネートアロイの製造方法。
【請求項10】
前記ポリオレフィンのメルトインデックスが40g/10分超~150g/10分であり、テスト条件が230℃、2.16kgであり、好ましくは、前記ポリオレフィンのメルトインデックスが60g/10分超~150g/10分であり、テスト条件が230℃、2.16kgであり、前記エチレン共重合体相溶化剤のメルトインデックスが0.2g/10分~50g/10分であり、テスト条件が190℃、2.16kgであり、好ましくは、前記エチレン共重合体相溶化剤のメルトインデックスが0.4g/10分~35g/10分以上であり、テスト条件が190℃、2.16kgである、ことを特徴とする請求項9に記載の高溶接線強度のポリカーボネートアロイの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子材料の技術分野に関し、特に高溶接線強度のポリプロピレン/ポリカーボネートアロイ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネート(PC)は性能に優れたエンジニアリングプラスチックであり、優れた力学的性質及び優れた寸法安定性を有し、熱安定性、耐候性、耐クリープ性及び耐熱性が高い。しかし、PC分子鎖は、剛直な基を有するため、その溶融粘度が高く、また、その製品の耐化学性が低い。
【0003】
ポリプロピレンとポリカーボネートを混合することで、ポリカーボネートの流動性を向上させることができ、それにより、加工性を向上させ、加工性が高く、耐化学性に優れる材料を得ることができる。しかし、該アロイは、相溶性が低く、溶接線強度が低く、耐化学薬品性が不足であり、薄い点になるため、部材の切断や故障を招きやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、以上の技術的欠陥を克服し、優れた耐化学薬品性を有する高溶接線強度のポリプロピレン/ポリカーボネートアロイを提供することを目的とする。
【0005】
本発明は、上記ポリプロピレン/ポリカーボネートアロイの製造方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下の技術的解決手段によって実現される。
ポリプロピレン5~40重量部と、ポリカーボネート40~85重量部と、エチレン共重合体相溶化剤1~15重量部とを成分として含む、高溶接線強度のポリプロピレン/ポリカーボネートアロイ。
【0007】
前記ポリプロピレンは、共重合ポリプロピレン、ホモポリプロピレンから選択される少なくとも1種である。
【0008】
前記エチレン共重合体相溶化剤はアクリル酸のエチレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレン共重合体から選択される少なくとも1種であり、前記アクリル酸のエチレン共重合体は、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸ブチル共重合体から選択される少なくとも1種である。好ましくは、前記エチレン共重合体相溶化剤はアクリル酸のエチレン共重合体から選択される。
【0009】
好ましくは、前記エチレン共重合体相溶化剤は、反応活性基を含有するエチレン共重合体相溶化剤から選択され、エチレン共重合体はアクリル酸のエチレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレン共重合体から選択される少なくとも1種であり、反応活性基は無水マレイン酸基、エポキシ基のうちの少なくとも1種であり、反応活性基のグラフト率が0.1~15%であり、前記アクリル酸のエチレン共重合体は、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸ブチル共重合体から選択される少なくとも1種である。好ましくは、前記エチレン共重合体はアクリル酸のエチレン共重合体から選択される。
【0010】
前記ポリカーボネートは、芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、芳香族・脂肪族ポリカーボネートから選択され、好ましくは、前記ポリカーボネートの重量平均分子量が1.8万~2.8万である。
【0011】
加工助剤および/または添加剤0~10重量部をさらに含む。
【0012】
さらに、本発明は、ポリプロピレン、エチレン共重合体相溶化剤を選択することにより、本発明の溶接線強度をさらに向上させる。
【0013】
ポリカーボネート及びポリプロピレンをアロイに溶融混合した後、ポリプロピレンが分散相であり、ポリカーボネートが連続相である相構造を形成する。溶接線強度は、溶接線での分散相の粒径、配向及びポリカーボネートとポリプロピレンとの間の表面張力の3つにより決められる。分散相の粒径が小さく、配向が小さく、表面張力が小さいほど、溶接線強度が高くなる。粒径については、式から分かるように、分散相のメルトインデックスが高いと、EDKが小さく、分散相の粒径を容易に減少させることができ、しかし、高分子の拡散理論から、分散相のメルトインデックスが高いと、配向が増大してしまうため、分散相のメルトインデックスの選択には、粒径と配向のバランスを取る必要があり、高溶接線強度を得るには、粒径を最大程度に減少させるとともに、小さい配向を保持する必要がある。
【0014】
【0015】
また、一般なエチレン共重合体相溶化剤はB-D型グラフト共重合体であり、B鎖セグメントのエチレン分子鎖セグメントは、ポリプロピレン構造と類似し、類似すれば相溶するため、ポリプロピレンとの相溶性が非常に高く、さらに、D鎖セグメントは、ポリカーボネートの末端基と化学反応し、化学結合を介してポリカーボネートに結合され、ポリカーボネートの相溶性を対応して向上させ、つまり、相溶化剤をブリッジ接続物質としてポリプロピレンとポリカーボネートを接続し、それにより、両者の相溶性を向上させ、表面張力を減少させる。従って、ポリプロピレン樹脂及びポリカーボネート樹脂のアロイにエチレン共重合体相溶化剤を加えた後、分散相の粒径を間接的減少させる。しかし、相溶性が向上するため、分子鎖間の相互作用力が増加し、それにより、アロイ系のメルトインデックスを減少させる。
【0016】
エチレン共重合体相溶化剤のメルトインデックスが拡散程度及び速度に影響を与える。メルトインデックスが低すぎると、溶融状態で、エチレン共重合体相溶化剤の拡散が遅いため、相溶性を向上させるという作用を果たすことができない。メルトインデックスが所定の程度に達した後、エチレン共重合体相溶化剤が分散相と連続相の界面に拡散しやすく、アロイの分散相と連続相を接続し、それにより、界面結合力を向上させ、応力を伝達することで、分散相の粒径を減少させ、アロイの溶接線強度を向上させる。しかし、エチレン共重合体相溶化剤のメルトインデックスが高すぎると、却って、エチレン共重合体相溶化剤の分散相と連続相の二相の間での相互通過程度を減少させ、溶接線強度を減少させる。
【0017】
エチレン共重合体相溶化剤の活性基の数量及び種類がポリカーボネートとの反応活性に影響を与え、反応活性基により、ポリカーボネートとの反応程度が向上し、立体障害及び分子間作用力が向上するため、溶接線強度が向上し、アロイのメルトインデックスを減少させる。
【0018】
よって、本発明は、40g/10分~150g/10分、かつテスト条件が230℃、2.16kgのメルトインデックス範囲内において、ポリプロピレンのメルトインデックスを向上させることで、粒径を最大程度に減少させるとともに、小さい配向を保持し、エチレン共重合体相溶化剤を選択することで、分散相の粒径を間接的減少させ、このように、本発明のポリプロピレン/ポリカーボネートアロイにおいて、分散相の粒径が小さく、配向も小さく、最終結果として、ポリカーボネートアロイの溶接線強度を向上させる。
【0019】
アクリル酸のエチレン共重合体は、耐溶媒性能が高く、ほとんどの化学品に耐えることができ、また、高い溶融強度を有し、その極性基がポリカーボネートトと類似するため相溶し、従って、ポリカーボネートアロイの溶接線強度を顕著に改善することができる。
【0020】
本発明の高溶接線強度のポリプロピレン/ポリカーボネートアロイの溶接線強度が60%以上であり、メルトインデックスが10g/10分以上であり、溶接線強度のテストはASTM D638基準に応じて行われ、メルトインデックスのテスト条件は260℃、2.16kgであり、より好ましくは、前記高溶接線強度のポリプロピレン/ポリカーボネートアロイの溶接線強度が65%以上であり、メルトインデックスが10g/10分以上であり、溶接線強度のテストはASTM D638基準に応じて行われ、メルトインデックスのテスト条件は260℃、2.16kgである。
【0021】
高溶接線強度のポリプロピレン/ポリカーボネートアロイの製造方法であって、ポリカーボネート、ポリプロピレン、エチレン共重合体相溶化剤、加工助剤及び/または添加剤を、所定の割合で高速ミキサーにて均一に混合するステップと、次に、二軸押出機に投入して、220℃~240℃の温度で溶融混合し、その後、造粒、冷却、乾燥をして、高溶接線強度のポリカーボネートアロイを得るステップとを含む。
【0022】
溶接線強度が60%以上であり、メルトインデックスが10g/10分以上の高溶接線強度のポリプロピレン/ポリカーボネートアロイを得るために、前記ポリプロピレンのメルトインデックスが40g/10分超~150g/10分であり、テスト条件が230℃、2.16kgである。好ましくは、前記ポリプロピレンのメルトインデックスが60g/10分超~150g/10分であり、テスト条件が230℃、2.16kgである。
【0023】
前記エチレン共重合体相溶化剤のメルトインデックスが0.2g/10分~50g/10分であり、テスト条件が190℃、2.16kgであり、好ましくは、前記エチレン共重合体相溶化剤のメルトインデックスが0.4g/10分~35g/10分以上であり、テスト条件が190℃、2.16kgである。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、以下の有益な効果を有する。
本発明は、ポリプロピレン/ポリカーボネートアロイにエチレン共重合体相溶化剤を加えることで、アロイの溶接線強度及び耐化学薬品性を向上させ、さらに、本発明は、アクリル酸のエチレン共重合体により、アロイの溶接線強度及び耐化学品強度を大幅に向上させることを発見し、さらに、本発明は、ポリプロピレン、エチレン共重合体相溶化剤のメルトインデックスを最適化させ、得られたアロイ溶接線強度をさらに向上させ、本発明は、さらに、ポリカーボネートの重量平均分子量もアロイの溶接線強度及び耐化学薬品性に影響を与え、すなわち、ポリカーボネートの重量平均分子量が1.8万~2.8万であるとき、アロイの溶接線強度及び耐化学薬品性が高いことをさらに発見する。よって、本発明の高溶接線強度のポリプロピレン/ポリカーボネートアロイは、高い溶接線強度、優れた耐化学薬品性などの利点を有する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、特定の実施形態にて、本発明についてさらに説明する。以下の実施例は本発明の好適な実施形態であるが、本発明の実施形態は以下の実施例で制限されない。
【0026】
実施例、比較例の原材料は市販されるものであり、具体的には以下のとおりである。
ポリプロピレン:共重合ポリプロピレン;
EMA:エチレン・メタクリル酸共重合体;
EEA:エチレン・アクリル酸エチル共重合体;
EMA-g-GMA:エチレン・メタクリル酸・グラフト・エポキシ基(GMAはエポキシ基);
EVA:エチレン・酢酸ビニル共重合体;
SEBS:スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体;
相溶化剤B:PP-G-MAH(ポリプロピレン・グラフト・無水マレイン酸);
ポリカーボネートA:重量平均分子量が2.8万の芳香族ポリカーボネート;
ポリカーボネートB:重量平均分子量が1.8万の脂肪族ポリカーボネート;
ポリカーボネートC:重量平均分子量が8千の芳香族ポリカーボネート;
ポリカーボネートD:重量平均分子量が3万の芳香族ポリカーボネート;
抗エージング剤:酸化防止剤:紫外線エージング防止剤=1:1。
【0027】
実施例及び比較例でのポリカーボネートアロイの製造方法:
実施例及び比較例でのポリプロピレン/ポリカーボネートアロイの製造方法は、ポリカーボネート、ポリプロピレン、相溶化剤、加工助剤及び/または添加剤を、所定の割合で高速ミキサーにて均一に混合し、次に、二軸押出機に投入して、220℃~240℃の温度で溶融混合し、その後、造粒、冷却、乾燥をして、高溶接線強度のポリカーボネートアロイを得ることである。
【0028】
各テスト方法:
(1)アロイメルトインデックス(MFR):ASTM D1238測定基準に応じて、ポリカーボネート合アロイのテスト条件は260℃、2.16kgであり、
(2)耐化学薬品性は、該試料を様々な化学薬品(メタノール、10%の硫酸、希釈剤、アセトン、大豆油、インク)に7日浸し、試料を裸眼で観察することで耐化学性を評価する。4つの等級に分けられている。外観が全然に変わらないと、優とし、少し膨潤すると、良とし、少し割れると、中とし、大量割れるかまたは切断すると、悪とする。
【0029】
(3)溶接線強度:溶接線係数FKLで表される。
KL=TS/TS×100%
TSは溶接線の引張強さであり、TSは溶接線なしの引張強さであり、ASTM D638基準でテストされる。
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
実施例1~7及び比較例4から分かるように、エチレン共重合体相溶化剤のメルトインデックスの向上とともに、製品のメルトインデックスが向上し、溶接線強度が逆U字型を呈し、エチレン共重合体相溶化剤のメルトインデックスが0.4~35g/10分である(テスト条件が190℃、2.16kgである)とき、製品の溶接線強度が高く、エチレン共重合体相溶化剤のメルトインデックスが60g/10分である(テスト条件が190℃、2.16kgである)とき、製品の溶接線強度、耐化学薬品性がいずれも大幅に低下する。
【0034】
実施例3/8~11から分かるように、ポリオレフィンメルトインデックスの向上とともに、製品の溶接線強度、メルトインデックスが向上する。
【0035】
実施例10及び実施例15~17から分かるように、反応活性基を含有するエチレン共重合体相溶化剤は、反応活性基を含有しないエチレン共重合体相溶化剤に比べて、溶接線強度を向上させることができる。
【0036】
実施例1/12/13/14から分かるように、アクリル酸のエチレン共重合体を相溶化剤として、製品の各性能が高い。
【0037】
実施例3及び比較例3から分かるように、ポリオレフィンのメルトインデックスが30g/10分である(テスト条件230℃、2.16kgである)とき、製品の溶接線強度が大幅に低下し、メルトインデックスが低い。
【0038】
実施例10/18~20から分かるように、重量平均分子量が1.8~2.8万のポリカーボネートを製造して得られた製品の溶接線強度が高い。
【手続補正書】
【提出日】2021-06-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレン5~40重量部と、芳香族ポリカーボネート40~85重量部と、エチレン共重合体相溶化剤1~15重量部とを成分として含む、ことを特徴とする高溶接線強度のポリプロピレン/ポリカーボネートアロイ。
【請求項2】
前記ポリプロピレンは、共重合ポリプロピレン、ホモポリプロピレンから選択される少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項1に記載の高溶接線強度のポリプロピレン/ポリカーボネートアロイ。
【請求項3】
前記エチレン共重合体相溶化剤は、アクリル酸のエチレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレン共重合体から選択される少なくとも1種であり、前記アクリル酸のエチレン共重合体は、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸ブチル共重合体から選択される少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項1に記載の高溶接線強度のポリプロピレン/ポリカーボネートアロイ。
【請求項4】
前記エチレン共重合体相溶化剤は、アクリル酸のエチレン共重合体から選択される、ことを特徴とする請求項3に記載の高溶接線強度のポリプロピレン/ポリカーボネートアロイ。
【請求項5】
前記エチレン共重合体相溶化剤は、反応活性基を含有するエチレン共重合体相溶化剤から選択され、エチレン共重合体は、アクリル酸のエチレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレン共重合体から選択される少なくとも1種であり、反応活性基は無水マレイン酸基、エポキシ基のうちの少なくとも1種であり、反応活性基のグラフト率が0.1~15%であり、前記アクリル酸のエチレン共重合体は、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸ブチル共重合体から選択される少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項1に記載の高溶接線強度のポリプロピレン/ポリカーボネートアロイ。
【請求項6】
前記エチレン共重合体は、アクリル酸のエチレン共重合体から選択される、ことを特徴とする請求項5に記載の高溶接線強度のポリプロピレン/ポリカーボネートアロイ。
【請求項7】
前記ポリカーボネートは、芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、芳香族・脂肪族ポリカーボネートから選択され、前記ポリカーボネートの重量平均分子量が1.8万~2.8万であり、加工助剤及び/または添加剤0~10重量部をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の高溶接線強度のポリプロピレン/ポリカーボネートアロイ。
【請求項8】
前記高溶接線強度のポリカーボネートアロイの溶接線強度が60%以上であり、溶接線強度テストはASTM D638基準に応じて行われ、好ましくは、前記高溶接線強度のポリカーボネートアロイの溶接線強度が65%以上であり、溶接線強度テストはASTM D6388基準に応じて行われる、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の高溶接線強度のポリプロピレン/ポリカーボネートアロイ。
【請求項9】
ポリカーボネート、ポリオレフィン、エチレン共重合体相溶化剤、加工助剤及び/または添加剤を、所定の割合で高速ミキサーにて均一に混合するステップと、次に、二軸押出機に投入して、220℃~240℃の温度で溶融混合し、その後、造粒、冷却、乾燥をして、高溶接線強度のポリカーボネートアロイを得るステップとを含む、ことを特徴とする請求項7に記載の高溶接線強度のポリプロピレン/ポリカーボネートアロイの製造方法。
【請求項10】
前記ポリオレフィンのメルトインデックスが40g/10分~150g/10分であり、テスト条件が230℃、2.16kgであり、好ましくは、前記ポリオレフィンのメルトインデックスが60g/10分~150g/10分であり、テスト条件が230℃、2.16kgであり、前記エチレン共重合体相溶化剤のメルトインデックスが0.2g/10分~50g/10分であり、テスト条件が190℃、2.16kgであり、好ましくは、前記エチレン共重合体相溶化剤のメルトインデックスが0.4g/10分~35g/10分であり、テスト条件が190℃、2.16kgである、ことを特徴とする請求項9に記載の高溶接線強度のポリプロピレン/ポリカーボネートアロイの製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
溶接線強度が60%以上であり、メルトインデックスが10g/10分以上の高溶接線強度のポリプロピレン/ポリカーボネートアロイを得るために、前記ポリプロピレンのメルトインデックスが40g/10分~150g/10分であり、テスト条件が230℃、2.16kgである。好ましくは、前記ポリプロピレンのメルトインデックスが60g/10分~150g/10分であり、テスト条件が230℃、2.16kgである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
前記エチレン共重合体相溶化剤のメルトインデックスが0.2g/10分~50g/10分であり、テスト条件が190℃、2.16kgであり、好ましくは、前記エチレン共重合体相溶化剤のメルトインデックスが0.4g/10分~35g/10分であり、テスト条件が190℃、2.16kgである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0038】
実施例10/18~20から分かるように、重量平均分子量が1.8~2.8万のポリカーボネートを製造して得られた製品の溶接線強度が高い。
本発明の好ましい態様は以下を包含する。
〔1〕ポリプロピレン5~40重量部と、芳香族ポリカーボネート40~85重量部と、エチレン共重合体相溶化剤1~15重量部とを成分として含む、ことを特徴とする高溶接線強度のポリプロピレン/ポリカーボネートアロイ。
〔2〕前記ポリプロピレンは、共重合ポリプロピレン、ホモポリプロピレンから選択される少なくとも1種である、ことを特徴とする〔1〕に記載の高溶接線強度のポリプロピレン/ポリカーボネートアロイ。
〔3〕前記エチレン共重合体相溶化剤は、アクリル酸のエチレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレン共重合体から選択される少なくとも1種であり、前記アクリル酸のエチレン共重合体は、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸ブチル共重合体から選択される少なくとも1種である、ことを特徴とする〔1〕に記載の高溶接線強度のポリプロピレン/ポリカーボネートアロイ。
〔4〕前記エチレン共重合体相溶化剤は、アクリル酸のエチレン共重合体から選択される、ことを特徴とする〔3〕に記載の高溶接線強度のポリプロピレン/ポリカーボネートアロイ。
〔5〕前記エチレン共重合体相溶化剤は、反応活性基を含有するエチレン共重合体相溶化剤から選択され、エチレン共重合体は、アクリル酸のエチレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレン共重合体から選択される少なくとも1種であり、反応活性基は無水マレイン酸基、エポキシ基のうちの少なくとも1種であり、反応活性基のグラフト率が0.1~15%であり、前記アクリル酸のエチレン共重合体は、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸ブチル共重合体から選択される少なくとも1種である、ことを特徴とする〔1〕に記載の高溶接線強度のポリプロピレン/ポリカーボネートアロイ。
〔6〕前記エチレン共重合体は、アクリル酸のエチレン共重合体から選択される、ことを特徴とする〔5〕に記載の高溶接線強度のポリプロピレン/ポリカーボネートアロイ。
〔7〕前記ポリカーボネートは、芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、芳香族・脂肪族ポリカーボネートから選択され、前記ポリカーボネートの重量平均分子量が1.8万~2.8万であり、加工助剤及び/または添加剤0~10重量部をさらに含む、ことを特徴とする〔1〕に記載の高溶接線強度のポリプロピレン/ポリカーボネートアロイ。
〔8〕前記高溶接線強度のポリカーボネートアロイの溶接線強度が60%以上であり、溶接線強度テストはASTM D638基準に応じて行われ、好ましくは、前記高溶接線強度のポリカーボネートアロイの溶接線強度が65%以上であり、溶接線強度テストはASTM D6388基準に応じて行われる、ことを特徴とする〔1〕~〔7〕のいずれか1項に記載の高溶接線強度のポリプロピレン/ポリカーボネートアロイ。
〔9〕ポリカーボネート、ポリオレフィン、エチレン共重合体相溶化剤、加工助剤及び/または添加剤を、所定の割合で高速ミキサーにて均一に混合するステップと、次に、二軸押出機に投入して、220℃~240℃の温度で溶融混合し、その後、造粒、冷却、乾燥をして、高溶接線強度のポリカーボネートアロイを得るステップとを含む、ことを特徴とする〔7〕に記載の高溶接線強度のポリプロピレン/ポリカーボネートアロイの製造方法。
〔10〕前記ポリオレフィンのメルトインデックスが40g/10分超~150g/10分であり、テスト条件が230℃、2.16kgであり、好ましくは、前記ポリオレフィンのメルトインデックスが60g/10分超~150g/10分であり、テスト条件が230℃、2.16kgであり、前記エチレン共重合体相溶化剤のメルトインデックスが0.2g/10分~50g/10分であり、テスト条件が190℃、2.16kgであり、好ましくは、前記エチレン共重合体相溶化剤のメルトインデックスが0.4g/10分~35g/10分以上であり、テスト条件が190℃、2.16kgである、ことを特徴とする〔9〕に記載の高溶接線強度のポリプロピレン/ポリカーボネートアロイの製造方法。

【国際調査報告】