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特表2022-507380敗血症を治療するための化合物、組成物及び方法
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  • 特表-敗血症を治療するための化合物、組成物及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】敗血症を治療するための化合物、組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/095 20190101AFI20220111BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20220111BHJP
   A61P 9/02 20060101ALI20220111BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
A61K38/095
A61P31/04
A61P9/02
A61K45/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021526255
(86)(22)【出願日】2019-11-14
(85)【翻訳文提出日】2021-07-06
(86)【国際出願番号】 IB2019059788
(87)【国際公開番号】W WO2020100080
(87)【国際公開日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】62/767,889
(32)【優先日】2018-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500297535
【氏名又は名称】フェリング ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100154988
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 真知
(72)【発明者】
【氏名】キウルビュー アン ルイーズ ソベルグ
(72)【発明者】
【氏名】ウィンデロフ ニス アガーリン
(72)【発明者】
【氏名】アンガス デレク シー
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル ジェイムス エー
【テーマコード(参考)】
4C084
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA19
4C084BA08
4C084BA17
4C084BA26
4C084DB29
4C084MA17
4C084MA66
4C084NA05
4C084ZA372
4C084ZA431
4C084ZA432
4C084ZB351
4C084ZC022
4C084ZC751
(57)【要約】
患者における敗血症の治療に使用される、セレプレッシンを含む組成物が本明細書において開示される。セレプレッシンを含む組成物は、患者が昇圧剤療法を必要とした時から6時間以内に投与され得る。患者は、治療前に約2mmol/L未満の血清乳酸濃度及び/又は治療前に約200を超える動脈血酸素分圧対吸入酸素濃度の比(PaO2/FiO2)を有し得る。関連する方法もまた開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇圧剤療法を必要とする患者における敗血症の治療に使用されるセレプレッシンを含む組成物であって、前記患者が前記昇圧剤療法を必要とする時から6時間以内に前記患者に投与される、セレプレッシンを含む組成物。
【請求項2】
前記患者が、治療前に約200を超える動脈血酸素分圧対吸入酸素濃度の比(PaO2/FiO2)を有する、又は有すると同定される、請求項1に記載の使用されるセレプレッシンを含む組成物。
【請求項3】
前記患者が、治療前に約2mmol/L未満の血清乳酸濃度を有する、又は有すると同定される、請求項1又は2に記載の使用されるセレプレッシンを含む組成物。
【請求項4】
患者における敗血症の治療に使用されるセレプレッシンを含む組成物であって、前記患者が、治療前に2mmol/L未満の血清乳酸濃度を有する、組成物。
【請求項5】
前記患者が、治療前に約2mmol/L未満の血清乳酸濃度を有すると同定される、請求項4に記載の使用される組成物。
【請求項6】
患者における敗血症の治療に使用されるセレプレッシンを含む組成物であって、前記患者が、治療前に約260を超える動脈血酸素分圧対吸入酸素濃度の比(PaO2/FiO2)を有する、組成物。
【請求項7】
前記患者が、治療前に約260を超える動脈血酸素分圧対吸入酸素濃度の比(PaO2/FiO2)を有すると同定される、請求項6に記載の使用される組成物。
【請求項8】
前記動脈血酸素分圧対吸入酸素濃度の比(PaO2/FiO2)が治療前に約300を超える、請求項6又は7に記載の使用されるセレプレッシンを含む組成物。
【請求項9】
前記敗血症が昇圧剤依存性敗血症である、請求項1から8のいずれか一項に記載の使用されるセレプレッシンを含む組成物。
【請求項10】
前記敗血症が敗血症性ショックである、請求項1、2、6、7又は8のいずれか一項に記載の使用されるセレプレッシンを含む組成物。
【請求項11】
昇圧剤療法を必要とする患者において敗血症を治療する方法であって、前記患者が前記昇圧剤療法を必要とする時から6時間以内に、前記患者にセレプレッシンを含む組成物を投与することを含む、方法。
【請求項12】
前記患者が、治療前に約2mmol/L未満の血清乳酸濃度を有する、又は有すると同定される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記患者が、治療前に約200を超える動脈血酸素分圧対吸入酸素濃度の比(PaO2/FiO2)を有する、又は有すると同定される、請求項11又は12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
セレプレッシンを含む組成物を、その必要がある患者に投与することを含む敗血症を治療する方法であって、前記患者が治療前に2mmol/L未満の血清乳酸濃度を有する、方法。
【請求項15】
前記患者が治療前に約2mmol/L未満の血清乳酸濃度を有すると同定される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
セレプレッシンを含む組成物を、その必要がある患者に投与することを含む、敗血症を治療する方法であって、前記患者が、治療前に約260を超える動脈血酸素分圧対吸入酸素濃度の比(PaO2/FiO2)を有する、方法。
【請求項17】
前記患者が、治療前に約260を超える動脈血酸素分圧対吸入酸素濃度の比(PaO2/FiO2)を有すると同定される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記動脈血酸素分圧対吸入酸素濃度の比(PaO2/FiO2)が治療前に約300を超える、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記敗血症が昇圧剤依存性敗血症である、請求項11から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記敗血症が敗血症性ショックである、請求項11、13、16、17又は18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記セレプレッシンが、静脈内又は皮下投与される、請求項11から20のいずれか一項に記載の使用又は方法のためのセレプレッシンを含む組成物。
【請求項22】
前記セレプレッシンが、投与速度約1.7ng/kg/分~約7.5ng/kg/分にて静脈内持続注入によって投与される、請求項11から20のいずれか一項に記載の使用又は方法のためのセレプレッシンを含む組成物。
【請求項23】
前記セレプレッシンが、静脈内輸液投与開始速度約1.7ng/kg/分~約5.0ng/kg/分;且つ静脈内輸液投与最大速度約2.5ng/kg/分~約7.5ng/kg/分にて静脈内持続注入によって投与される、請求項22に記載の使用又は方法のためのセレプレッシンを含む組成物。
【請求項24】
前記セレプレッシンが、更なる抗低血圧薬と共に投与される、請求項11から20のいずれか一項に記載の使用又は方法のためのセレプレッシンを含む組成物。
【請求項25】
前記セレプレッシンが、強心薬と共に投与される、請求項11から20のいずれか一項に記載の使用又は方法のためのセレプレッシンを含む組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる2018年11月15日出願の米国仮特許出願第62/767,889号明細書に対する優先権を主張する。
【0002】
敗血症を治療するための化合物、組成物及び方法が本明細書において説明される。
【背景技術】
【0003】
敗血症は、感染に対する調節不全宿主応答により誘発される生理学的、病理的、及び生化学的異常の症候群であり、臓器機能不全を引き起こす。通常、敗血症は真菌、ウイルス又は寄生虫感染症によって引き起こされ得るが、この感染は細菌性である。
【0004】
敗血症は、血管拡張及び毛細管透過性の増加を引き起こし得て、低血圧及び組織の低酸素を生じる。一部の重篤なケースでは、敗血症の患者は、適切な輸液蘇生にも関わらず、昇圧のサポートの必要性を生じ得、その場合、多臓器不全、長引く集中治療、及び脂肪のリスクが高い。
【0005】
昇圧薬は、血圧を上昇させる薬剤である。昇圧薬は、抗低血圧薬、血管収縮剤又は昇圧剤(pressor)としても知られる。
【0006】
敗血症性ショックは、昇圧剤治療を必要とし、且つ血清乳酸濃度≧2mmol/Lを有する敗血症の患者の分集団を意味する。敗血症及び敗血症性ショックの治療は依然として、実質的なアンメット・メディカル・ニーズ(unmet medical need)のままである。ノルエピネフリンは従来から、敗血症の治療において選択される昇圧薬であり、Surviving Sepsis Guidelines1における第一選択昇圧薬として推奨されてきた。しかしながら、適切な全身動脈圧を維持するために、バソプレシン輸液がノルエピネフリンに代わって(例えば、ノルエピネフリンに対して抵抗性の患者において)使用されている。大きな、多施設の、無作為化された、二重盲検の、ノルエピネフリンコントロール試験(バソプレシン及び敗血症性ショック試験[VASST])において、全死亡率は異なったが2、バソプレシンは、登録されたノルエピネフリン5~14ug/分を必要とする患者におけるノルエピネフリンと比較して死亡率の低下を伴った。バソプレシンは、バソプレシン受容体(V1a、V1b、及びV2)の3つのサブタイプの内因性リガンドであり、またオキシトシン受容体を活性化する。
【0007】
敗血症及び敗血症性ショックの有病率及び重篤さのために、敗血症及び敗血症性ショックを治療するための化合物の新規な使用並びに新規な方法が今も必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
昇圧剤療法を必要とする患者において敗血症の治療に使用されるセレプレッシンを含む組成物が本明細書で提供され、患者が昇圧剤療法を必要とした時から6時間以内に、セレプレッシンを含む組成物が患者に投与される。一部の態様において、患者は、治療前に約200を超える動脈血酸素分圧と吸入酸素濃度の比(PaO2/FiO2)を有する、又は有すると同定される。さらに、又は代替方法として、一部の態様では、患者は、治療前に約2mmol/L未満の血清乳酸濃度を有する、又は有すると同定されるか、或いは治療前に2mmol/L未満の血清乳酸濃度を有する、又は治療前に約2mmol/L未満の血清乳酸濃度を有すると同定される。
【0009】
患者における敗血症の治療に使用されるセレプレッシンを含む組成物であって、患者が、治療前に約260を超える動脈血酸素分圧対吸入酸素濃度の比(PaO2/FiO2)を有する、組成物も提供される。一部の態様において、その患者は、治療前に約260を超える、又は治療前に約300を超える動脈血酸素分圧対吸入酸素濃度の比(PaO2/FiO2)を有すると同定される。
【0010】
昇圧剤療法を必要とする患者において敗血症を治療する方法であって、患者が昇圧剤療法を必要とする時から6時間以内に、セレプレッシンを含む組成物を患者に投与することを含む方法も提供される。一部の態様において、その患者は、治療前に約2mmol/L未満の血清乳酸濃度を有する、又は有すると同定されるか、或いは治療前に2mmol/L未満の血清乳酸濃度を有するか、又は治療前に約2mmol/L未満の血清乳酸濃度を有すると同定される。さらに、又はその代わりとして、一部の態様において、患者は、治療前に約200を超える、治療前に約260を超える、又は治療前に約300を超える動脈血酸素分圧対吸入酸素濃度の比(PaO2/FiO2)を有する、或いは有すると同定される。
【0011】
その必要がある患者に、セレプレッシンを含む組成物を投与することを含む、敗血症を治療する方法であって、その患者が治療前に2mmol/L未満の血清乳酸濃度を有する、又は治療前に約2mmol/L未満の血清乳酸濃度を有すると同定される、方法も提供される。
【0012】
その必要がある患者に、セレプレッシンを含む組成物を投与することを含む、敗血症を治療する方法であって、その患者が、治療前に約200を超える、約260を超える、又は約300を超える動脈血酸素分圧対吸入酸素濃度の比(PaO2/FiO2)を有する、或いは治療前に約200を超える、約260を超える、又は約300を超える動脈血酸素分圧対吸入酸素濃度の比(PaO2/FiO2)を有すると同定される、方法も提供される。
【0013】
本明細書に記載の組成物及び方法のいずれかの態様において、敗血症は、昇圧剤依存性敗血症であり得る。本明細書に記載の組成物及び方法のいずれかの態様において、敗血症は敗血症性ショックであり得る。
【0014】
本明細書に記載の組成物及び方法の一部の態様において、セレプレッシンは、静脈内輸液投与開始速度約1.7ng/kg/分~約5.0ng/kg/分;及び静脈内輸液投与最大速度約2.5ng/kg/分~約7.5ng/kg/分にて静脈内持続注入によって投与される。
【0015】
本明細書に記載の組成物及び方法のいずれかの態様において、セレプレッシンは静脈内又は皮下投与され得る。本明細書に記載の組成物及び方法のいずれかの態様において、セレプレッシンは、投与速度約1.7~約7.5ng/kg/分にて静脈内持続注入によって投与され得る。本明細書に記載の組成物及び方法のいずれかの態様において、セレプレッシンは、更なる抗低血圧薬と共に投与され得る。本明細書に記載の組成物及び方法のいずれかの態様において、セレプレッシンは強心薬と共に投与され得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例に記載のように処置された対象の、30日目まで昇圧薬を投与されない日数間のベースラインPaO2/FiO2サブグループによるフォレストプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
敗血症の治療に使用される、セレプレッシン、又はセレプレッシンを含む組成物、及びセレプレッシンを投与することを含む敗血症の治療方法が本明細書に記述される。
【0018】
セレプレッシンは、V1b、V2、及びオキシトシン受容体と比べてヒトバソプレシンV1a受容体に対して高い親和性及び選択性を有し、且つ他の受容体、イオンチャネル、又はトランスポーター3に対する既知の親和性を持たない、環状ノナペプチドバソプレシン類似体である。セレプレッシンは、式1a(ペプチド式)及び1b(骨格式)で示される以下の式;
【化1】
を有する。
【0019】
本発明の一態様に従って、昇圧剤療法を必要とする患者における敗血症の治療に使用されるセレプレッシン又はセレプレッシンを含む組成物が提供され、セレプレッシン又はセレプレッシンを含む組成物は、患者が昇圧剤療法を必要とした時から6時間以内に患者に投与される。昇圧剤療法を必要とする患者における敗血症を治療する方法であって、セレプレッシン又はセレプレッシンを含む組成物が、患者が昇圧剤療法を必要とした時から6時間以内に患者に投与されることを含む、方法も提供される。昇圧剤療法を必要とする患者における敗血症の治療のための薬物の製造において使用されるセレプレッシン又はセレプレッシンを含む組成物も提供され、その治療は、患者が昇圧剤療法を必要とした時から6時間以内に患者にセレプレッシン又はセレプレッシンを含む組成物を投与することを含む。本出願人は、患者が昇圧剤療法を必要とした時から6時間以内にセレプレッシンを投与することによって、例えば、昇圧薬未使用及び人工呼吸器非装着日数(P&VFD)により測定される、死亡率が改善し、患者の結果が改善されることを見出した。
【0020】
昇圧剤治療は、昇圧剤の投与を含む。敗血症を有する患者は、患者が輸液蘇生に反応しない場合、例えば患者が、静脈内輸液約30ml/kg(又は潜在的な血管内血液量減少を正す必要があると見なされる他の量)の投与に反応せず、患者が約65mmHg未満の平均動脈圧を有する場合に、昇圧剤療法を必要とし得る。
【0021】
セレプレッシン又はセレプレッシンを含む組成物は、患者が輸液蘇生に反応しない時から6時間以内に投与され得る。例えば、セレプレッシン又はセレプレッシンを含む組成物は、患者が静脈内輸液約30mL/kg(又は、潜在的な血管内血液量減少を正す必要があると見なされる他の量)の投与に対して反応しない時から、且つ患者が約65mmHg未満の平均動脈圧を有する時から、6時間以内に投与され得る。
【0022】
敗血症は敗血症性ショック又は昇圧剤依存性敗血症であり得る。
【0023】
患者は、治療前に2mmol/L未満の血清乳酸濃度を有し得る。
【0024】
本明細書において、「治療前」という用語は、セレプレッシン又はセレプレッシンを含む組成物の投与前を意味する。
【0025】
患者は、治療前に約2mmol/L未満の血清乳酸濃度を有すると同定され得る(例えば、治療前に)。患者は例えば、治療前に約2mmol/L未満の血清乳酸濃度を有することに基づく治療に対して選択され得る。
【0026】
本出願人は、治療前に約2mmol/L未満の血清乳酸濃度を有する患者に関して、例えば、昇圧薬未使用及び人工呼吸器非装着日数(P&VFD)により測定された、死亡率が改善し、且つ患者の結果が改善されることを見出した。
【0027】
その患者は、治療前に約200を超える、例えば治療前に約200~約700、例えば治療前に約260を超える、例えば治療前に約260~約700、例えば治療前に約270を超える、例えば治療前に約270~約700、例えば治療前に約280を超える、例えば治療前に約280~約700、例えば治療前に約290を超える、例えば治療前に約290~約700、例えば治療前に約300を超える、例えば治療前に約300~約700、例えば治療前に約300~約600、例えば治療前に約300~約500、例えば治療前に約300~約400の動脈血酸素分圧対吸入酸素濃度の比(PaO2/FiO2)を有し得る。患者は、治療前に約200を超える、例えば治療前に約200~約700、例えば治療前に約260を超える、例えば治療前に約260~約700、例えば治療前に約270を超える、例えば治療前に約270~約700、例えば治療前に約280を超える、例えば治療前に約280~約700、例えば治療前に約290を超える、例えば治療前に約290~約700、例えば治療前に約300を超える、例えば治療前に約300~約700、例えば治療前に約300~約600、例えば治療前に約300~約500、例えば治療前に約300~約400の動脈血酸素分圧対吸入酸素濃度の比(PaO2/FiO2)を有すると同定され得る(例えば治療前に)。患者は例えば、治療前に約200を超える、例えば治療前に約200~約700、例えば治療前に約260を超える、例えば治療前に約260~約700、例えば治療前に約270を超える、例えば治療前に約270~約700、例えば治療前に約280を超える、例えば治療前に約280~約700、例えば治療前に約290を超える、例えば治療前に約290~約700、例えば治療前に約300を超える、例えば治療前に約300~約700、例えば治療前に約300~約600、例えば治療前に約300~約500、例えば治療前に約300~約400の動脈血酸素分圧対吸入酸素濃度の比(PaO2/FiO2)を有することに基づいて治療に対して選択され得る。
【0028】
本出願人は、治療前に約200を超える動脈血酸素分圧対吸入酸素濃度の比(PaO2/FiO2)を有する患者が、例えば昇圧薬未使用及び人工呼吸器非装着日数により測定された、改善した死亡率及び改善した患者の結果を示すことを見出した。
【0029】
セレプレッシン又はセレプレッシンを含む組成物は、患者に静脈内、腹腔内、筋肉内、経鼻又は皮下投与され得る。一般に、セレプレッシン又はセレプレッシンを含む組成物は静脈内又は皮下投与される。セレプレッシン又はセレプレッシンを含む組成物は、注入によって、例えば持続注入、例えば静脈内若しくは皮下注入、例えば静脈内若しくは皮下持続注入によって投与され得る。一般に、投与は静脈内持続注入による。
【0030】
セレプレッシンを含む組成物は、粉末、微粒子、顆粒、懸濁液又は溶液状態であり得て、目的の投与経路のために製剤化される。
【0031】
組成物は、例えば崩壊剤、結合剤、滑沢剤、着香剤、保存剤、着色剤及びそのいずれかの混合物から選択される少なくとも1種類の更なる添加剤を含み得る。かかる及び他の添加剤の例は、“Handbook of Pharmaceutical Excipients”;Ed.A.H.Kibbe,3rd Ed.,American Pharmaceutical Association,USA and Pharmaceutical Press UK,2000に見られる。
【0032】
組成物は、静脈内投与、例えば静脈内持続注入用に製剤化され得る。したがって、組成物は、レシピエントの血液と好ましくは等張性の、セレプレッシンの滅菌水性製剤(preparation)を含み得る。この水性製剤は、適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤を使用して、既知の方法に従って製剤化され得る。この製剤は、希釈剤若しくは溶媒中の注射可能な滅菌溶液又は懸濁液、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液であり得る。他の許容可能な希釈剤としては、水、リンガー液、及び等張性塩化ナトリウム溶液が挙げられる。滅菌固定油が、溶媒又は懸濁媒体として用いられ得る。合成モノグリセリド又はジグリセリド、及びオレイン酸などの脂肪酸を含む無菌性固定油もまた使用され得る。
【0033】
セレプレッシンは、約7.5ナノグラム/キログラム/分(ng/kg/分)までの量、例えば約1.25ng/kg/分~約7.5ng/kg/分、例えば約1.25ng/kg/分~約1.7ng/kg/分又は約1.7ng/kg/分~約2.5ng/kg/分、又は約2.5ng/kg/分~約3.75ng/kg/分、又は約3.5ng/kg/分~約5.25ng/kg/分、又は約5.0ng/kg/分~約7.5ng/kg/分の量で投与され得る。
【0034】
セレプレッシンは、輸液投与初期速度にて投与され得て、時間が経つにつれて輸液投与最大速度まで増加する。輸液投与初期速度は、輸液投与最大速度の3分の2であり得る。輸液投与初期速度は、約1.7ng/kg/分~約5.0ng/kg/分、例えば約1.7ng/kg/分、約2.5ng/kg/分、約3.5ng/kg/分又は約5ng/kg/分であり得る。輸液投与最大速度は、約2.5ng/kg/分~約7.5ng/kg/分、例えば約2.5ng/kg/分、約3.75ng/kg/分、約5.25ng/kg/分又は約7.5ng/kg/分であり得る。
【0035】
輸液投与速度は、輸液投与初期速度約1.7ng/kg/分にて開始し、輸液投与最大速度約2.5ng/kg/分に増加し得て;又は輸液投与速度は、輸液投与初期速度約2.5ng/kg/分にて開始し、輸液投与最大速度約3.75ng/kg/分に増加し;又は輸液投与速度は、輸液投与初期速度約3.5ng/kg/分にて開始し、輸液投与最大速度約5.25ng/kg/分に増加し;又は輸液投与速度は、輸液投与初期速度約5.0ng/kg/分にて開始し、輸液投与最大速度約7.5ng/kg/分に増加し得る。上記の投与速度は、静脈内若しくは皮下注入、例えば静脈内若しくは皮下持続注入に対する速度であり得る。
【0036】
治療期間は、昇圧剤治療が必要な状態から回復するまでであり得る。昇圧剤治療をする必要性が低くなり、再発した場合には、治療を再開することができる。
【0037】
セレプレッシン又はセレプレッシンを含む組成物は、更なる抗低血圧薬(昇圧剤)、例えばカテコールアミン、例えばノルエピネフリンと併せて投与され得る。
【0038】
セレプレッシン又はセレプレッシンを含む組成物は、強心薬、例えばミルリノン、ドブタミン、及び/又はレボシメンダンと併せて投与され得る。
【0039】
本発明の他の態様に従って、患者における敗血症の治療に使用されるセレプレッシン又はセレプレッシンを含む組成物が提供され、患者は治療前に約2mmol/L未満の血清乳酸濃度を有する。患者における敗血症を治療する方法であって、セレプレッシン又はセレプレッシンを含む組成物を患者に投与することを含み、患者が治療前に約2mmol/L未満の血清乳酸濃度を有する、方法も提供される。患者における敗血症の治療のための薬物の製造におけるセレプレッシン又はセレプレッシンを含む組成物の使用であって、患者が治療前に約2mmol/L未満の血清乳酸濃度を有する、使用も提供される。
【0040】
本明細書において、「治療前」という用語は、セレプレッシン又はセレプレッシンを含む組成物の投与前を意味する。
【0041】
例えば、その患者は、治療前に約2mmol/L未満の血清乳酸濃度を有すると同定され得る(例えば治療前に)。例えば、患者は、治療前に約2mmol/L未満の血清乳酸濃度を有することに基づく治療に対して選択され得る。
【0042】
本出願人は、治療前に約2mmol/L未満の血清乳酸濃度を有する患者が、例えば昇圧薬未使用及び人工呼吸器非装着日数により測定された、改善した死亡率及び改善した患者の結果を示すことを見出した。
【0043】
敗血症は昇圧剤依存性敗血症であり得る。
【0044】
セレプレッシン又はセレプレッシンを含む組成物は、患者が昇圧剤療法を必要とした時から6時間以内に投与され得る。
【0045】
敗血症を有する患者は、輸液蘇生に対して反応しない場合には、昇圧剤療法、例えば昇圧剤の投与を必要とし得る。例えば、患者が静脈内輸液約30ml/kg(又は、潜在的な血管内血液量減少を正す必要があると見なされる他の量)の投与に対して反応しない、且つ患者が約65mmHg未満の平均動脈圧を有する場合。
【0046】
セレプレッシン又はセレプレッシンを含む組成物は、患者が輸液蘇生に対して反応しない時から6時間以内に投与され得る。例えば、セレプレッシン又はセレプレッシンを含む組成物は、静脈内輸液約30mL/kg(又は、潜在的な血管内血液量減少を正す必要があると見なされる他の量)の投与に対して反応しない時から、且つ患者が約65mmHg未満の平均動脈圧を有する時から6時間以内に投与され得る。
【0047】
セレプレッシン又はセレプレッシンを含む組成物は、敗血症の発症から6時間以内に投与され得る。
【0048】
患者は、治療前に約200を超える、例えば治療前に約200~約700、例えば治療前に約260を超える、例えば治療前に約260~約700、例えば治療前に約270を超える、例えば治療前に約270~約700、例えば治療前に約280を超える、例えば治療前に約280~約700、例えば治療前に約290を超える、例えば治療前に約290~約700、例えば治療前に約300を超える、例えば治療前に約300~約700、例えば治療前に約300~約600、例えば治療前に約300~約500、例えば治療前に約300~約400の動脈血酸素分圧対吸入酸素濃度の比(PaO2/FiO2)を有し得る。患者は、治療前に約200を超える、例えば治療前に約200~約700、例えば治療前に約260を超える、例えば治療前に約260~約700、例えば治療前に約270を超える、例えば治療前に約270~約700、例えば治療前に約280を超える、例えば治療前に約280~約700、例えば治療前に約290を超える、例えば治療前に約290~約700、例えば治療前に約300を超える、例えば治療前に約300~約700、例えば治療前に約300~約600、例えば治療前に約300~約500、例えば治療前に約300~約400の動脈血酸素分圧対吸入酸素濃度の比(PaO2/FiO2)を有すると同定され得る(例えば治療前に)。患者は例えば、治療前に約200を超える、例えば治療前に約200~約700、例えば治療前に約260を超える、例えば治療前に約260~約700、例えば治療前に約270を超える、例えば治療前に約270~約700、例えば治療前に約280を超える、例えば治療前に約280~約700、例えば治療前に約290を超える、例えば治療前に約290~約700、例えば治療前に約300を超える、例えば治療前に約300~約700、例えば治療前に約300~約600、例えば治療前に約300~約500、例えば治療前に約300~約400の動脈血酸素分圧対吸入酸素濃度の比(PaO2/FiO2)を有することに基づき治療に対して選択され得る。
【0049】
セレプレッシン又はセレプレッシンを含む組成物は、患者に静脈内、腹腔内、筋肉内、経鼻又は皮下投与され得る。一般に、セレプレッシン又はセレプレッシンを含む組成物は静脈内又は皮下投与される。セレプレッシン又はセレプレッシンを含む組成物は、輸液、例えば持続注入、例えば静脈内若しくは皮下注入、例えば静脈内若しくは皮下持続注入によって投与され得る。一般に、投与は静脈内持続注入による。
【0050】
そのセレプレッシンを含む組成物は、粉末、微粒子、顆粒、懸濁液又は溶液状態であり得て、目的の投与経路用に製剤化される。
【0051】
その組成物は、例えば崩壊剤、結合剤、滑沢剤、着香剤、保存剤、着色剤及びそのいずれかの混合物から選択される少なくとも1種類の更なる添加剤を含み得る。かかる及び他の添加剤の例は、“Handbook of Pharmaceutical Excipients”;Ed.A.H.Kibbe,3rd Ed.,American Pharmaceutical Association,USA and Pharmaceutical Press UK,2000に見られる。
【0052】
その組成物は、静脈内投与、例えば静脈内持続注入用に製剤化され得る。したがって、この組成物は、レシピエントの血液と好ましくは等張性の、セレプレッシンの滅菌水性製剤を含み得る。この水性製剤は、適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤を使用して、既知の方法に従って製剤化され得る。この製剤は、希釈剤若しくは溶媒中の注射可能な滅菌溶液又は懸濁液、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液であってもよい。他の許容可能な希釈剤としては、水、リンガー液、及び等張性塩化ナトリウム溶液が挙げられる。滅菌固定油が、溶媒又は懸濁媒体として用いられ得る。合成モノグリセリド又はジグリセリド、及びオレイン酸などの脂肪酸を含む無菌性固定油もまた使用され得る。
【0053】
セレプレッシンは、約7.5ng/kg/分までの量、例えば約1.25ng/kg/分~約7.5ng/kg/分、例えば約1.25ng/kg/分~約1.7ng/kg/分又は約1.7ng/kg/分~約2.5ng/kg/分、又は約2.5~約3.75ng/kg/分、又は約3.5~約5.25ng/kg/分、又は約5.0~約7.5ng/kg/分の量で投与され得る。
【0054】
セレプレッシンは、輸液投与初期速度にて投与され得て、時間が経つにつれて輸液投与最大速度まで増加する。輸液投与初期速度は、輸液投与最大速度の3分の2であり得る。輸液投与初期速度は、約1.7ng/kg/分~約5.0ng/kg/分、例えば約1.7ng/kg/分、約2.5ng/kg/分、約3.5ng/kg/分又は約5ng/kg/分であり得る。最大注入速度(例えば、静脈内注入速度)は、約2.5ng/kg/分~約7.5ng/kg/分、例えば約2.5ng/kg/分、約3.75ng/kg/分、約5.25ng/kg/分又は約7.5ng/kg/分であり得る。
【0055】
輸液投与速度は、輸液投与初期速度約1.7ng/kg/分にて開始し、輸液投与最大速度約2.5ng/kg/分に増加し得て;又は輸液投与速度は、輸液投与初期速度約2.5ng/kg/分にて開始し、輸液投与最大速度約3.75ng/kg/分に増加し;又は輸液投与速度は、輸液投与初期速度約3.5ng/kg/分にて開始し、輸液投与最大速度約5.25ng/kg/分に増加し;又は輸液投与速度は、輸液投与初期速度約5.0ng/kg/分にて開始し、輸液投与最大速度約7.5ng/kg/分に増加し得る。
【0056】
上記の投与速度は、静脈内若しくは皮下注入、例えば静脈内若しくは皮下持続注入に対する速度であり得る。
【0057】
治療期間は、昇圧剤治療が必要な状態から回復するまでであり得る。昇圧剤治療をする必要性が低くなり、再発した場合には、治療を再開することができる。
【0058】
セレプレッシン又はセレプレッシンを含む組成物は、更なる抗低血圧薬(昇圧剤)、例えばカテコールアミン、例えばノルエピネフリンと併せて投与され得る。
【0059】
セレプレッシン又はセレプレッシンを含む組成物は、強心薬、例えばミルリノン、ドブタミン、及び/又はレボシメンダンと併せて投与され得る。
【0060】
本発明の更なる態様に従って、患者における敗血症の治療に使用されるセレプレッシン又はセレプレッシンを含む組成物であって、患者が、治療前に約260を超える、例えば治療前に約260~700の動脈血酸素分圧対吸入酸素濃度の比(PaO2/FiO2)を有する、セレプレッシン又はセレプレッシンを含む組成物が提供される。セレプレッシン又はセレプレッシンを含む組成物を患者に投与することを含む、患者における敗血症を治療する方法であって、患者が、治療前に約260を超える、例えば治療前に約260~700の動脈血酸素分圧対吸入酸素濃度の比(PaO2/FiO2)を有する、方法も提供される。患者における敗血症の治療用の薬物の製造におけるセレプレッシン又はセレプレッシンを含む組成物の使用であって、患者が、治療前に約260を超える、例えば治療前に約260~700の動脈血酸素分圧対吸入酸素濃度の比(PaO2/FiO2)を有する、使用も提供される。
【0061】
本明細書において、「治療前」という用語は、セレプレッシン又はセレプレッシンを含む組成物の投与前を意味する。
【0062】
例えば、患者は、治療前に約260を超える動脈血酸素分圧対吸入酸素濃度の比(PaO2/FiO2)を有すると同定され得る(例えば治療前に)。例えば、患者は、治療前に約260を超える動脈血酸素分圧対吸入酸素濃度の比(PaO2/FiO2)を有することに基づく治療に対して選択され得る。
【0063】
本出願人は、治療前に約260を超える動脈血酸素分圧対吸入酸素濃度の比(PaO2/FiO2)を有する患者が、例えば昇圧薬未使用及び人工呼吸器非装着日数により測定された、改善した死亡率及び改善した患者の結果を示すことを見出した。
【0064】
その患者は、治療前に約270を超える、例えば治療前に約270~約700、例えば治療前に約280を超える、例えば治療前に約280~約700、例えば治療前に約290を超える、例えば治療前に約290~約700、例えば治療前に約300を超える、例えば治療前に約300~約700、例えば治療前に約300~約600、例えば治療前に約300~約500、例えば治療前に約300~約400の動脈血酸素分圧対吸入酸素濃度の比(PaO2/FiO2)を有し得る。その患者は、治療前に約270を超える、例えば治療前に約270~約700、例えば治療前に約280を超える、例えば治療前に約280~約700、例えば治療前に約290を超える、例えば治療前に約290~約700、例えば治療前に約300を超える、例えば治療前に約300~約700、例えば治療前に約300~約600、例えば治療前に約300~約500、例えば治療前に約300~約400の動脈血酸素分圧対吸入酸素濃度の比(PaO2/FiO2)を有すると同定され得る(例えば治療前に)。その患者は例えば、治療前に約270を超える、例えば治療前に約270~約700、例えば治療前に約280を超える、例えば治療前に約280~約700、例えば治療前に約290を超える、例えば治療前に約290~約700、例えば治療前に約300を超える、例えば治療前に約300~約700、例えば治療前に約300~約600、例えば治療前に約300~約500、例えば治療前に約300~約400の動脈血酸素分圧対吸入酸素濃度の比(PaO2/FiO2)を有することに基づいた治療に対して選択され得る。
【0065】
敗血症は昇圧剤依存性敗血症又は敗血症性ショックであり得る。
【0066】
セレプレッシン又はセレプレッシンを含む組成物は、患者が昇圧剤療法を必要とした時から6時間以内に投与され得る。
【0067】
敗血症を有する患者は、輸液蘇生に対して反応しない場合には、昇圧剤療法、例えば昇圧剤の投与を必要とし得る。例えば、患者が静脈内輸液約30mL/kg(又は、潜在的な血管内血液量減少を正す必要があると見なされる他の量)の投与に対して反応しない、且つ患者が約65mmHg未満の平均動脈圧を有する場合。
【0068】
セレプレッシン又はセレプレッシンを含む組成物は、患者が輸液蘇生に対して反応しない時から6時間以内に投与され得る。例えば、セレプレッシン又はセレプレッシンを含む組成物は、静脈内輸液約30mL/kg(又は、潜在的な血管内血液量減少を正す必要があると見なされる他の量)の投与に対して反応しない時から、且つ患者が約65mmHg未満の平均動脈圧を有する時から6時間以内に投与され得る。
【0069】
セレプレッシン又はセレプレッシンを含む組成物は、敗血症の発症から6時間以内に投与され得る。
【0070】
その患者は、治療前に約2mmol/L未満の血清乳酸濃度を有し得る。患者は、治療前に約2mmol/L未満の血清乳酸濃度を有すると同定され得る(例えば治療前に)。患者は例えば、治療前に約2mmol/L未満の血清乳酸濃度を有することに基づく治療に対して選択され得る。
【0071】
セレプレッシン又はセレプレッシンを含む組成物は、患者に静脈内、腹腔内、筋肉内、経鼻又は皮下投与され得る。一般に、セレプレッシン又はセレプレッシンを含む組成物は静脈内又は皮下投与される。セレプレッシン又はセレプレッシンを含む組成物は、輸液、例えば持続注入、例えば静脈内若しくは皮下注入、例えば静脈内若しくは皮下持続注入によって投与され得る。一般に、投与は静脈内持続注入による。
【0072】
そのセレプレッシンを含む組成物は、粉末、微粒子、顆粒、懸濁液又は溶液状態であり得て、目的の投与経路用に製剤化される。
【0073】
その組成物は、例えば崩壊剤、結合剤、滑沢剤、着香剤、保存剤、着色剤及びそのいずれかの混合物から選択される少なくとも1種類の更なる添加剤を含み得る。かかる及び他の添加剤の例は、“Handbook of Pharmaceutical Excipients”;Ed.A.H.Kibbe,3rd Ed.,American Pharmaceutical Association,USA and Pharmaceutical Press UK,2000に記載されている。
【0074】
その組成物は好ましくは、静脈内投与、例えば静脈内持続注入用に製剤化される。したがって組成物は、レシピエントの血液と好ましくは等張性の、セレプレッシンの滅菌水性製剤を含み得る。この水性製剤は、適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤を使用して、既知の方法に従って製剤化され得る。この製剤は、希釈剤若しくは溶媒中の注射可能な滅菌溶液又は懸濁液、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液であってもよい。他の許容可能な希釈剤としては、水、リンガー液、及び等張性塩化ナトリウム溶液が挙げられる。滅菌固定油が、溶媒又は懸濁媒体として用いられ得る。合成モノグリセリド又はジグリセリド、及びオレイン酸などの脂肪酸を含む無菌性固定油もまた使用され得る。
【0075】
セレプレッシンは、約7.5ng/kg/分までの量、例えば約1.25~約7.5ng/kg/分、例えば約1.25~約1.7ng/kg/分又は約1.7~約2.5ng/kg/分、又は約2.5~約3.75ng/kg/分、又は約3.5~約5.25ng/kg/分、又は約5.0~約7.5ng/kg/分の量で投与され得る。
【0076】
セレプレッシンは、輸液投与初期速度にて投与され得て、時間が経つにつれて輸液投与最大速度まで増加する。輸液投与初期速度は、輸液投与最大速度の3分の2であり得る。輸液投与初期速度は、約1.7~約5.0ng/kg/分、例えば、約1.7ng/kg/分、約2.5ng/kg/分、約3.5ng/kg/分又は約5ng/kg/分であり得る。輸液投与最大速度は、約2.5~約7.5ng/kg/分、例えば約2.5ng/kg/分、約3.75ng/kg/分、約5.25ng/kg/分又は約7.5ng/kg/分であり得る。
【0077】
輸液投与速度は、輸液投与初期速度約1.7ng/kg/分にて開始し、輸液投与最大速度約2.5ng/kg/分に増加し得て;又は輸液投与速度は、輸液投与初期速度約2.5ng/kg/分にて開始し、輸液投与最大速度約3.75ng/kg/分に増加し;又は輸液投与速度は、輸液投与初期速度約3.5ng/kg/分にて開始し、輸液投与最大速度約5.25ng/kg/分に増加し;又は輸液投与速度は、輸液投与初期速度約5.0ng/kg/分にて開始し、輸液投与最大速度約7.5ng/kg/分に増加し得る。
【0078】
上記の投与速度は、静脈内若しくは皮下注入、例えば静脈内若しくは皮下持続注入に対する速度であり得る。
【0079】
治療期間は、昇圧剤治療が必要な状態から回復するまでであり得る。昇圧剤治療をする必要性が低くなり、再発した場合には、治療を再開することができる。
【0080】
セレプレッシン又はセレプレッシンを含む組成物は、更なる抗低血圧薬(昇圧剤)、例えばカテコールアミン、例えばノルエピネフリンと併せて投与され得る。
【0081】
セレプレッシン又はセレプレッシンを含む組成物は、強心薬、例えばミルリノン、ドブタミン、及び/又はレボシメンダンと併せて投与され得る。
【0082】
その内容が参照により本明細書に組み込まれる、例えば、国際公開第2006020491号パンフレットの9~14ページに記載の当技術分野で公知の方法によって、セレプレッシンを合成することができる。
【0083】
本発明の特定の実施形態は、以下の実施例及び図1を参照して、単なる一例として記述されている。
【実施例
【0084】
実施例1
生体外(in vivo)研究の概要
以下の実施例に記載の研究は、無作為化、プラセボ対照、2パートシームレス、順応臨床試験であった。研究の主な目的は、昇圧剤依存性敗血症及び敗血症性ショックの患者における昇圧薬未使用及び人工呼吸器非装着日数の数(死亡率のペナルティ付き)におけるプラシーボ+標準ケアに対してセレプレッシン+標準ケアの優位性を実証することであった。「昇圧剤依存性敗血症」という用語は、昇圧剤療法を要する敗血症のすべての患者を含む。敗血症性ショックは、昇圧剤療法を要し、且つ血清乳酸濃度≧2mmol/Lを有する敗血症の患者を含む。
【0085】
試験に関する包含及び除外基準は以下に示す。
【0086】
選択基準
・18才以上
・感染が証明されている、又は疑われる
・適切な輸液蘇生(低血圧に対して少なくとも1リットル)にもかかわらず、低血圧(昇圧剤治療(つまり、5mg/分を超えるノルエピネフリン/ノルアドレナリンベースのいずれかの投与)を要する収縮期血圧90mmHg未満又は平均動脈圧65mmHg未満)として定義される敗血症性ショック
・地域の規制に従って得られたインフォームド・コンセント
【0087】
除外基準
・敗血症性ショックに対する昇圧剤治療の開始12時間以内にセレプレッシン又はプラシーボでの治療を開始することができない
・敗血症が原因ではない低血圧の根本原因
・この病院滞在で集中治療入院を伴う既往の重篤な敗血症
・既知の/疑いのある急性腸間膜虚血
・敗血症性ショックのこのエピソード中の臨床症状及び/又は心電図所見に基づく随伴性急性冠症候群の疑い
・何らかの理由での慢性的な機械的人工呼吸、或いは先立つ30日間の連続的な毎日の酸素使用、又は先立つ30日間の機械的人工呼吸(COPDの急性増悪のため)のいずれかを必要とする重篤な慢性閉塞性肺疾患(COPD)
・リンパ腫若しくは白血病のために先立つ6か月間に受けた骨髄移植、又は先立つ30日間に受けた化学療法
・妊娠中であることが既知である
・インフォームド・コンセントを得る前に十分に払うべき注意を制限することの決断
・セレプレッシン又はプラシーボの開始前の過去12時間内でのバソプレシンの使用、或いはセレプレッシン又はプラシーボを開始して7日以内のテルリプレシンの使用
・研究における先立つ登録
・前月内の治験薬製品の先立つ使用、又はいずれかの治験薬若しくは研究デバイスのための臨床試験に参加する計画若しくは同時に参加
【0088】
セレプレッシン又はプラシーボの注入開始時点で満たさなければならない更なる基準
・低血圧の発症から合計で最低30ml/kgの輸液が投与される(適切な輸液の過多又は過負荷の証拠があれば必要ない)
・少なくとも1時間、5mg/分を超えるノルエピネフリン/ノルアドレナリンベースの持続注入を受け、少なくとも5mg/分のノルエピネフリン/ノルアドレナリンベースをまだ投与される
・敗血症性ショックに対する昇圧剤治療の開始から12時間未満
【0089】
標的とする研究集団は、静脈内輸液の交換に対して反応せず、且つ少なくとも1時間昇圧薬を要することによって定義される、昇圧剤依存性敗血症を呈する患者の一般的な試料であり、その患者においてセレプレッシン又はプラシーボでの治療を昇圧薬の開始から12時間以内に開始することができる。
【0090】
治験薬は、実験薬又はマッチングプラシーボのいずれかの静脈内持続注入であった。すべての場合において、対象は、治験輸液が投与され、標準ケアを受けた。可能性のある治療アームは:プラシーボ;注入速度1.7ng/kg/分で開始し最大2.5ng/kg/分までのセレプレッシン;2.5ng/kg/分で開始し最大3.75ng/kg/分までのセレプレッシン;3.5ng/kg/分で開始し最大5.25ng/kg/分までのセレプレッシン;及び5.0ng/kg/分で開始し最大7.5ng/kg/分までのセレプレッシンであった。すべてのアームは、最大注入速度の3分の2である初期注入速度を有し、治療薬の滴定は、特定の血圧目標への滴定を確実にする詳細な投与ガイドに従った。この後者のアプローチでは、出来るだけ可能な限り、且つ指定の順序で、ノルエピネフリン以外の非盲検昇圧剤で始まり、続いてノルエピネフリン、最後に盲検試験輸液の順序で、他のすべての血管作用薬を離脱するように求められた。すべての患者は、いずれにせよ、昇圧剤治療の必要性から回復するまで、又は30日間、試験輸液を投与された。昇圧剤治療の必要性が30日間の治療期間内に低くなり、且つ再発した場合には、最初に割り当てられた治療が再開された。
【0091】
試験の主要評価項目は、30日目までの昇圧薬未使用及び機械的人工換気器非装着日数(P&VFD)の数であった。この複合エンドポイントは、セレプレッシン又はプラシーボでの治療開始からその後30日までの日数(10番目で記録された)として定義され、その間、患者は生きており、治験薬を含む静脈内昇圧薬での治療は受けず、且つ観血的機械的人工換気を受けなかった。たとえ昇圧剤治療と機械的人工換気のどちらも患者が受けない期間があったとしても、この30日間内に死亡したどの患者もP&VFDゼロと割り当てられた。昇圧薬を再開する必要がある、又は機械的人工換気を開始若しくは再開する必要があり、いずれかの使用が24時間の期間内の60分間を超えた場合、次に時計をゼロにリセットし、それらの治療が再び中断されるまで、患者は昇圧薬及び機械的人工換気を未使用であるとみなされなかった。手術又は処置(ベッドサイドの処置を含む)の間、及びその後3時間までの昇圧薬の使用又は機械的人工換気は、このルールを免除され、P&VFDの計算をリセットしなかった。
【0092】
P&VFDを定義する目的で、昇圧薬の使用は、ノルエピネフリン、フェニレフリン、ドーパミン、アドレナリン、バソプレシン、及び治験薬(つまり、セレプレッシン又はプラシーボ)のいずれかの静脈内投与として定義された。機械的人工換気は、気管内又は気管カニューレ補助人工呼吸の使用として定義された(気管切開を受けた患者におけるH2O持続的気道陽圧5cmを超え、且つ人工呼吸器からのH2O圧維持5cmを超える)。
【0093】
実施例1の研究で得られたデータのその後の分析から、実施例2~5に記載の以下の所見が導かれた。
【0094】
実施例2.患者が昇圧薬の投与を必要とした時から6時間以内でのセレプレッシンでの治療の効果
6時間又はそれ以降でのセレプレッシン治療の開始と比較した、ゼロから6時間までのセレプレッシン治療の開始の効果を評価した。いずれかの用量にてセレプレッシンで治療されたすべての患者の結果をプールし、同じ処置コホートにおけるプラシーボ処置患者と比較した。プラシーボと比較すると、患者が昇圧薬の投与を必要とした時からゼロ~6時間までにセレプレッシンで処置した結果、P&VFD推定値(2.08を超える)及び死亡率(6.57%未満)が改善し;6時間以降にセレプレッシンで処置した結果、以下の表1に示すように、プラシーボ処置と同様な結果となった。
【0095】
【表1】
【0096】
実施例3.ベースラインで血清乳酸により層化された患者におけるセレプレッシンでの治療の効果
ベースラインで血清乳酸<2mmol/L(つまり、セレプレッシンの投与前)を有するセレプレッシンで処置された患者における結果を、それぞれの乳酸層化コホートにおけるプラシーボ処置患者に対して、ベースラインで血清乳酸≧2mmol/Lを有する患者の結果と比較した。いずれかの用量にてセレプレッシンで治療されたすべての患者の結果をプールし、同じ乳酸コホートにおけるプラシーボ処置患者と比較した。プラシーボと比較すると、ベースラインで血清乳酸<2mmol/Lを有する患者においてセレプレッシンで処置した結果、プラシーボと比べてP&VFD推定値(2.34を超える)及び死亡率(6.32%未満)が改善し;血清乳酸≧2mmol/Lを有する患者におけるセレプレッシン処置によって、表2に示すようにプラシーボ処置と同様な結果が生じた。
【0097】
【表2】
【0098】
実施例4.ベースラインでPaO2/FiO2により層化された患者におけるセレプレッシンでの治療の効果
ベースラインでPaO2/FiO2≧200mmHgを有するセレプレッシンで処置された患者における結果を、それぞれのPaO2/FiO2層化コホートにおけるプラシーボ処置患者に対して、ベースラインでPaO2/FiO2<200mmHgを有する患者の結果と比較した。いずれかの用量にてセレプレッシンで処置されたすべての患者の結果をプールし、同じPaO2/FiO2コホートにおけるプラシーボ処置患者と比較した。図1で説明されるように、プラシーボと比較すると、ベースラインでPaO2/FiO2≧200mmHgを有する患者においてセレプレッシンで処置した結果、プラシーボと比べてVFD推定値(PaO2/FiO2 200~300mmHgに対して2.1を超え;≧300mmHgに対して4.8を超える)が改善し;ベースラインでPaO2/FiO2<200mmHgを有する患者におけるセレプレッシン処置によって、プラシーボ処置(100~200mmHg)と同様な結果又はわずかに悪い結果(<100mmHg)となった。
【0099】
参考文献
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図1
【国際調査報告】