IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ フランシス クリック インスティチュート リミティッドの特許一覧

特表2022-5073863D画像化のための組織試料を調製するための方法、溶液及びキット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】3D画像化のための組織試料を調製するための方法、溶液及びキット
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/53 20060101AFI20220111BHJP
   G01N 33/483 20060101ALI20220111BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20220111BHJP
   G01N 1/30 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
G01N33/53 Y
G01N33/483 C
G01N33/48 R
G01N1/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021526262
(86)(22)【出願日】2019-11-13
(85)【翻訳文提出日】2021-07-02
(86)【国際出願番号】 GB2019053219
(87)【国際公開番号】W WO2020099870
(87)【国際公開日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】1818567.8
(32)【優先日】2018-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518151434
【氏名又は名称】ザ フランシス クリック インスティチュート リミティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベーレンス,アクセル
(72)【発明者】
【氏名】メッサル,ヘンドリック
【テーマコード(参考)】
2G045
2G052
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045CB01
2G045FA16
2G045FA19
2G052FA09
2G052FD02
(57)【要約】
本発明は、三次元(3D)画像化のための組織試料の調製のための溶液に関する。本発明は、溶液が関与する方法及び使用にも関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3D画像化のための組織試料を調製する方法であって、前記組織試料をpH9未満の緩衝液及び界面活性剤を含む溶液で処理することを含む方法。
【請求項2】
3D画像化のための組織試料を調製する方法であって、
a)組織試料を準備するステップ;
b)必要に応じて、前記組織試料を固定するステップ;
c)必要に応じて、前記組織試料をアーカイブ保存するステップ;
d)前記組織試料をpH9未満の緩衝液及び界面活性剤を含む溶液で処理するステップ;並びに
e)前記組織試料を免疫標識するステップ
を含む方法。
【請求項3】
前記組織試料がヒドロゲルに包埋されておらず、及び/又はグルタルアルデヒドで固定されていない、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記3D画像化が免疫染色に基づく、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
a)前記界面活性剤がSDS又は双性イオン性、好ましくはZwittergent(登録商標)界面活性剤であり、前記Zwittergent(登録商標)界面活性剤がn-オクチル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホン酸、n-デシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホン酸、n-ドデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホン酸、n-テトラデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホン酸、及びn-ヘキサデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホン酸のいずれか1つから選択され;並びに/又は
b)前記緩衝液のpHが8.5未満、8未満、7.5未満若しくは7であり;並びに/又は
c)前記緩衝液がホウ酸若しくはクエン酸緩衝液、好ましくはホウ酸である、
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記溶液が約40℃~約60℃の間、好ましくは約50℃~約60℃の間の温度、より好ましくは約55℃又は約54℃の温度で使用される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記組織試料が
a)マウス、ラット、ウサギ、ウシ、ブタ若しくは非ヒト霊長類;又は
b)ヒト
に由来するものであり、好ましくは前記組織試料が外科的切除された試料、3D細胞培養材料(オルガノイド)の試料又は生物工学によって作られた組織の試料である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記組織試料が中性緩衝ホルマリン、好ましくは10%中性緩衝ホルマリンを使用して固定されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記組織試料中の疾患状態の有無を決定することをさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記組織試料がパラフィン包埋されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記組織試料が無傷の組織試料である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
pH9未満の緩衝液及び界面活性剤を含む、三次元(3D)画像化のための組織試料を調製するための溶液。
【請求項13】
前記3D画像化が免疫染色に基づく、請求項12に記載の溶液。
【請求項14】
a)前記界面活性剤がSDS又は双性イオン性、好ましくはZwittergent(登録商標)界面活性剤であり、前記Zwittergent(登録商標)界面活性剤がn-オクチル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホン酸、n-デシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホン酸、n-ドデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホン酸、n-テトラデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホン酸、及びn-ヘキサデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホン酸のいずれか1つから選択され;並びに/又は
b)前記緩衝液のpHが8.5未満、8未満、7.5未満若しくは7であり;並びに/又は
c)前記緩衝液がホウ酸若しくはクエン酸緩衝液、好ましくはホウ酸である、
請求項12又は請求項13に記載の溶液。
【請求項15】
前記溶液が約40℃~約60℃の間、好ましくは約50℃~約60℃の間の温度、より好ましくは約55℃又は約54℃の温度で使用される、請求項12~14のいずれか一項に記載の溶液。
【請求項16】
前記組織試料が
a)マウス、ラット、ウサギ、ウシ、ブタ若しくは非ヒト霊長類;又は
b)ヒト
に由来するものであり、好ましくは前記組織試料が外科的切除された検体、3D細胞培養材料(オルガノイド)の試料又は生物工学によって作られた組織の試料である、請求項12~15のいずれか一項に記載の溶液。
【請求項17】
pH8未満の前記緩衝液を前記界面活性剤と組み合わせることを含む、請求項12~16のいずれか一項に記載の溶液を調製する方法。
【請求項18】
3D画像化のための組織試料を調製するための、請求項12~16のいずれか一項に記載の溶液の使用。
【請求項19】
疾患状態の有無を決定するための、請求項18に記載の溶液の使用。
【請求項20】
請求項12~16のいずれか一項に記載の溶液を含む、3D画像化のための組織試料の調製のためのキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元(3D)画像化を目的とする組織試料の調製のための溶液に関する。本発明は、溶液が関与する方法及び使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
組織学は、顕微鏡法を使用する植物及び動物の細胞及び組織の解剖学の研究分野である。それは、光学顕微鏡又は電子顕微鏡、切片にし、染色し、顕微鏡スライドにマウントした検体を使用して一般的に研究される。微視的構造を可視化又は特異的に特定する能力は、染色の使用を通して頻繁に強められる。組織学は、生物学及び医学の必須のツールである。
【0003】
組織病理学は疾患組織の研究分野であり、解剖病理学において重要なツールであるが、その理由は、がん及び他の疾患の正確な診断は試料の組織病理検査を通常必要とするからである。病理学者は組織病理検査を実行して、それらの観察に基づいて診断情報を提供することができる。病理学者は、染色された組織標本を明視野顕微鏡検査で検査して、各種の組織学的及び病理学的所見、例えば組織組成、組織の構造及び形態、細胞形態、細胞悪性腫瘍、炎症及び線維症の程度、腫瘍浸潤の深度、切断縁辺における腫瘍構成要素の存在、並びにリンパ節転移状態を推定する。
【0004】
組織学及び組織病理学の従来の方法は、顕微鏡検査を使用した染色及び画像化を含む。しかし、従来の方法は細胞及び組織の形態学的変化に関する情報を提供するが、それらは基本的な限界も有する。例えば、従来の方法は、平面二次元(2D)画像だけを提供することができ、多様な解剖学的構造の様々な細胞からなる三次元(3D)構造を観察するそれらの能力を制限する。さらに、特に大きな病理学検体、例えば外科的切除された検体の組織病理診断では、巨視的観察によって特定される代表的病巣だけが一般的に評価される。したがって、追加の重大な病巣が評価していない領域に存在し得る懸念になお対処しなければならない。組織の伝統的な2D組織学的調査は、3D組織構造への適切な洞察を制限する。例えば、局所の細胞ネットワークの接続性を探索するためには3D画像化が必須である。
【0005】
しかし、3D画像化のための組織試料の調製は難題であることがわかっている。3D画像化のために組織試料を調製するための従前の技術は、共に光顕微鏡検査にとって重要である多細胞層の光散乱特性を低下させ、光透過度を増加させるために、組織透明度を増加させることに重点を置いている。従前の技術は、神経組織で開発された。それらの適用は他の組織でも透明度を増加させるが、それらを用いて染色すること、特に免疫標識により染色することは不可能である。
【0006】
さらに、3D画像化のための組織試料の調製のために当技術分野で使用される従前の技術は、試料の様々な増強した固定、例えばヒドロゲル包埋を利用しているが、その理由は、そのような増強した固定が3D画像化のために好適な組織試料を達成するために必要であると当技術分野で考えられたからである。
【0007】
しかし、そのような増強した固定の使用は、それが組織試料の品質を低下させ、例えば試料の免疫標識で用いることができる異なる抗体の数及び種類を低減するので不利である。1つの組織試料で異なる特異性の多数の抗体を画像化することができることは有利であり、それは、利用可能な(例えば臨床又は診断の場面で、例えば生検からの)試料の量がしばしば限られているからである。
【0008】
得られる組織試料で使用することができる抗体の数及び種類の限界のために、3D画像化のために組織試料を調製するための当技術分野の現行の方法でこれは不可能である。この点で、生じる組織試料は、広範囲の抗体タイプ及び特異性による標識に適合しない。理論によって縛られることは望まないが、これは増強した固定ステップの間の抗原のマスキングのためであり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、例えば試料の免疫標識のためのより広い範囲の抗体の使用を容易にする、3D画像化のための組織試料を調製する別の方法の必要性が当技術分野にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、特に広い範囲の抗体を使用した免疫標識による3D画像化のための組織試料を調製するために、本明細書に記載される方法を使用することができることを驚くべきことに見出した。本発明者らは、組織試料を調製するために、当技術分野で従前に使用されたものより複雑でない方法を使用することができることを驚くべきことに見出した。本実施例は、免疫標識による3D画像化のために好適な組織試料を達成するために、例えばヒドロゲル又はグルタルアルデヒド(GA)による追加の固定が必要でないことを実証する。
【0011】
このように、本発明は、組織試料を調製するための非常に有利な方法及び前記方法で使用され得る溶液を提供する。
【0012】
さらに、組織試料調製のための従前の技術はpH9以上の溶液を用いているが、その理由は、3D画像化のために組織試料を透明にするためにそのようなpHが必要であると考えられたからである。しかし、本発明者らは、3D画像化のための組織試料の調製において、界面活性剤及びpH9未満の緩衝液を含む溶液を首尾よく使用することができることを驚くべきことに見出した。発明者らは、本発明による溶液を従前の技術より高い温度で使用することができることも見出した。
【0013】
本発明は3D画像化のための組織試料を調製するための、pH9未満の緩衝液及び界面活性剤を含む溶液を提供する。
【0014】
本実施例で実証されるように、本発明による溶液は各種の抗体を使用して各種の組織試料を調製するために使用され得る。したがって有利なことに、本発明は、3D画像化のための組織試料の調製において一般的適用性を有する。本実施例は、本発明が2D組織化学と同等の分解能で画像化を容易にすることができること、並びに組織完全性及び臓器構造が維持されることも実証する。
【0015】
本発明は、時間及び費用対効果もよく、特別な装置も試料調達(例えばヒドロゲル包埋、GA固定など)も必要としない。これは、当技術分野で従前に使用された技術に対するさらなる利点を表す。上記の通り、理論によって縛られることは望まないが、先行技術の技術は、組織完全性を達成し、臓器構造を保存し、免疫標識したときに信頼できるシグナルを生成することによって、画像化のために好適である組織試料を調製するために克服されるべき、過度の固定、複雑なエピトープ回収及び架橋結合と関連した欠点を有する可能性がある。
【0016】
したがって、本発明は、より単純な固定ステップの使用、例えば組織試料を固定剤に曝露させる時間を低減すること、又は従来の固定剤、例えば中性緩衝ホルマリン(NBF)を使用することを可能にすることができる。
【0017】
本発明は、有利なことに、広範囲の抗体を使用した3D画像化のための広範囲の組織試料の供給を容易にする。2D画像化の伝統的な組織学的技術は広範囲の組織にわたって有効でない可能性があり、伝統的な組織学的技術は広い及び狭い特異性の抗体を含む広範囲の抗体で機能しない可能性がある。
【0018】
別の利点では、本発明は、試料の連続切片の必要なしに完全で無傷の(インタクトな)組織試料の画像化も可能にする。本発明は、有利なことに、伝統的な組織学的技術に対して一致するか又は改善された程度に部分的に切片にされるか又は連続的に切片にされた組織試料の3D画像化も可能にする。
【0019】
3D画像化のための免疫標識された完全な及び無傷(インタクトな)の組織試料を提供する能力は、病理学又は診断の目的のために特に有利であり得る。例えば、本発明は3D腫瘍画像化、及び組織試料の中の腫瘍縁辺を決定することを可能にし得る。これは、時間及び費用がかかる組織試料の連続切片作製を必要とする従来の組織学的分析と比べて有利である。
【0020】
病理学又は診断の目的のための従来の組織学では、全組織の一部を試料採取することが一般的であり、不十分な試料採取は必須のマーカー又は全腫瘍を失う可能性があることが公知であり、それは疾患状態の有無に関して不正確な結論を導き得る。したがって、本発明は、疾患状態が検出されない可能性を有利に低減することができ、組織試料で、すなわち診断場面で疾患状態の有無を決定するための改善された方法を有利に提供する。
【0021】
1つの利点では、本発明の方法又は使用は、3D画像化のための改善された組織試料を提供し、それは、3D画像化のための組織試料からより広い範囲の免疫標識を可能にする。
【0022】
さらなる利点として、本発明はアーカイブ用組織試料に、例えばパラフィンブロック中のものとしても使用され得る。
【0023】
パラフィンブロックにアーカイブ(保存)される組織試料は、標準の方法を使用して保存(パラフィン包埋)のためにパラフィンと接触させられ、その中に包埋されることが公知である。保存から組織試料を回収するために、保存された組織試料は次に脱パラフィンされ、その後画像化のために処理されることも周知である。パラフィン包埋された試料で使用するのに、従来の免疫標識方法は好適でないが、本明細書に記載される発明は、驚くべきことにそのような試料に使用するのに好適である。
【0024】
本明細書に記載される本発明の溶液は、組織試料の調製で使用することができる。本明細書で使用されるように、本明細書で使用される「調製(プレパレーション、標本)」という用語は、3D画像化に供される前に組織試料を生成する任意の態様を包含するものである。
【0025】
一態様では、組織試料は、マウス、ラット、ウサギ、ウシ、ブタ又は非ヒト霊長類に由来するものであってよい。好ましい態様では、組織試料は、ヒトに由来する。
【0026】
本発明の方法は、例えば医療及び研究で多くの用途がある。本発明の方法は、疾患状態を診断するか、有無を決定するか、監視するために使用することができる。
【0027】
本発明の方法は、健康であるか病的な組織を研究するために、又は疾患改変における候補薬剤の有効性を調査するために使用することができる。本発明の方法の実施において有用である溶液、キット及びその使用も提供される。
【0028】
溶液は、染色のための三次元細胞培養モデルの調製のために使用することもできる。
【0029】
一実施形態では、本発明は3D画像化のための組織試料を調製する方法であって、前記組織試料をpH9未満の緩衝液及び界面活性剤を含む溶液で処理することを含む方法を提供する。
【0030】
別の実施形態では、本発明は3D画像化のための組織試料を調製する方法であって、
a)組織試料を準備するステップ;
b)組織試料を固定するステップ;
c)必要に応じて、組織試料をアーカイブ保存するステップ;
d)組織試料をpH9未満の緩衝液及び界面活性剤を含む溶液で処理するステップ;
e)必要に応じて、組織試料を免疫標識するステップ;
を含む方法を提供する。
【0031】
好適には、本発明の方法により、前記組織試料はヒドロゲルに包埋されていなくてもよく、及び/又はグルタルアルデヒドで固定されていなくてもよい。
【0032】
好適には、本発明の方法により、3D画像化は免疫染色に基づいてもよい。
【0033】
本発明の方法により、a)界面活性剤はSDS又は双性イオン性であり、好ましくはZwittergent(登録商標)(ツヴァイタージェント)界面活性剤であってよく、zwittergent界面活性剤は、n-オクチル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホン酸、n-デシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホン酸、n-ドデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホン酸、n-テトラデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホン酸及びn-ヘキサデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホン酸のいずれか1つから選択され;並びに/又はb)前記緩衝液のpHは8.5未満、8未満、7.5未満若しくは7であってよく;並びに/又はc)緩衝液はホウ酸若しくはクエン酸緩衝液、好ましくはホウ酸であってよい。
【0034】
好適には、本発明の方法では、溶液は約40℃~約60℃の間、好ましくは約50℃~約60℃の間の温度、より好ましくは約55℃又は約54℃の温度で使用され得る。
【0035】
好適には、本発明の方法により、前記組織試料は:a)マウス、ラット、ウサギ、ウシ、ブタ若しくは非ヒト霊長類;又はb)ヒトに由来するものであってよく、好ましくは、前記組織試料は外科的に切除された検体である。
【0036】
好適には、本発明の方法により、前記組織試料は中性緩衝ホルマリン、好ましくは10%中性緩衝ホルマリンを使用して固定されてもよい。
【0037】
好適には、本発明の方法は、組織試料中の疾患状態の有無を決定するステップをさらに含む。
【0038】
好適には、本発明の方法により、前記組織試料はパラフィン包埋されていてもよい。
【0039】
好適には、本発明の方法により、前記組織試料は無傷の(インタクトな)組織試料であってよい。
【0040】
一実施形態では、本発明は三次元(3D)画像化のための組織試料を調製するための、pH9未満の緩衝液及び界面活性剤を含む溶液を提供する。
【0041】
好適には、前記3D画像化は免疫染色に基づくことができる。
【0042】
好適には、a)界面活性剤はSDS又は双性イオン性であってもよく、好ましくはZwittergent (登録商標)界面活性剤であってよく、zwittergent界面活性剤は、n-オクチル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホン酸、n-デシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホン酸、n-ドデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホン酸、n-テトラデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホン酸及びn-ヘキサデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホン酸のいずれか1つから選択され;並びに/又はb)前記緩衝液のpHは8.5未満、8未満、7.5未満若しくは7であってよく;並びに/又はc)緩衝液はホウ酸若しくはクエン酸緩衝液、好ましくはホウ酸であってよい。
【0043】
好適には、溶液は、約40℃~約60℃の間、好ましくは約50℃~約60℃の間の温度、より好ましくは約55℃又は約54℃の温度で使用することができる。
【0044】
好適には、溶液により、前記組織試料は:a)マウス、ラット、ウサギ、ウシ、ブタ若しくは非ヒト霊長類;又はb)ヒトに由来するものであってよく、好ましくは前記組織試料は外科的切除された検体である。
【0045】
一実施形態では、本発明は、pH8未満の前記緩衝液を前記界面活性剤と組み合わせることを含む、本発明による溶液を調製する方法を提供する。
【0046】
一実施形態では、本発明は3D画像化のための組織試料を調製するための、本発明による溶液の使用を提供する。
【0047】
好適には、使用は、疾患状態の有無を決定するためのものである。
【0048】
一実施形態では、本発明は三次元(3D)画像化のための組織試料を調製するための、pH9未満の緩衝液及び界面活性剤を含む溶液を提供し、界面活性剤はZwittergent(登録商標)である。
【0049】
好適には、緩衝液のpHは9未満である。好適には、緩衝液のpHは8.5未満である。好適には、緩衝液のpHは8未満である。
【0050】
好適には、緩衝液はPBSでない。好適には、緩衝液はホウ酸又はクエン酸である。
【0051】
一実施形態では、本発明は三次元(3D)画像化のための組織試料を調製するための、pH8.5未満、好ましくはpH8未満の緩衝液及び界面活性剤を含む溶液を提供し、緩衝液はホウ酸である。
【0052】
好適には、界面活性剤は双性イオン(双性イオン性)である。
【0053】
一実施形態では、本発明は三次元(3D)画像化のための組織試料を調製するための、pH7の緩衝液及び界面活性剤を含む溶液を提供する。
【0054】
好適には、界面活性剤はSDSである。
【0055】
好適には、界面活性剤は双性イオン性であるか、又はzwittergent(登録商標)である。
【0056】
一実施形態では、本発明は三次元(3D)画像化のための組織試料を調製するための、pH8.5未満の緩衝液及び界面活性剤を含む溶液を提供し、界面活性剤はSDSであり、緩衝液はホウ酸溶液である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】エピトープ回収は全組織免疫標識を可能にすることを示す図である。a)無傷の膵臓葉を、4% SDSを含有する指示された緩衝液により指示された温度で16時間処理した。Krt19(膵臓管)の染色を示す。青色線は、それより上では染色が観察された最低温度を示す;赤色線は、それより上では試料の損傷が記された最高温度を示す。×印は、試料喪失を示す。
図2】組織の透明化は免疫標識にとって十分でないことを示す図である。a)熱媒介抗原賦活化の後の、パラフィン包埋され、切片にされた膵臓(4μm)でのアミラーゼ(腺房細胞)、PCSK1(ランゲルハンス島)及びSMA(間質及び血管系)のための免疫蛍光染色。スケールバー100μm。b)未処理対照(PBS)膵臓及びiDISCO、Clarity、及びCUBIC緩衝液で透明化した膵臓での(a)と同じ抗体による染色。代表的領域の3D像を示す。スケールバー100μm。c)FLASH処理の16時間後に指示された抗体で染色した膵臓の3D再構築。
図3】FLASHは肺の免疫染色を可能にすることを示す図である。a~d)CC10(Clara細胞)及びSMA(筋上皮細胞及び血管系)のための染色。a)細気管支樹を示す無傷の肺葉の3D像。スケールバー1mm。b)細気管支管周囲にわたる筋上皮細胞の複雑な配置を表す(a)で指示した領域(白いボックス)の拡大。スケールバー500μm。c)(b)で指示した領域(白いボックス)の拡大像。スケールバー150μm。c')上皮及び筋上皮組織層の無傷の区画化を実証する光学切片。スケールバー50μm。d)パラフィン包埋した肺組織切片(4μm)の比較染色。スケールバー50μm。e)CC10、SMA及びSp-C(肺胞II型細胞)のための染色。スケールバー100μm。
図4】FLASHは肝臓の免疫染色を可能にすることを示す図である。a)GS(中心周囲の肝細胞)のために染色した肝臓セグメントの3D像。スケールバー300μm。b)Krt19(管細胞)及びAqp1(微小循環系)のために染色した胆管の3D再構築及び光学切片(b')。スケールバー200μm。c)Krt19及びProx1(リンパ内皮、核)のための染色。スケールバー100μm。d)DBA(管細胞)及びCD44(胆管細胞)で染色した胆管。スケールバー50μm。d')側方の細胞膜へのCD44の維持された局在を実証する(d)に示す管の光学切片。スケールバー20μm。
図5】FLASHは涙腺の免疫染色を可能にすることを示す図である。a)Krt19(管細胞)、SMA(間質)及びAqp1(微小循環系)のために染色した涙腺の3D再構築。スケールバー200μm。b)Krt19及びS100(神経)のための染色。スケールバー200μm。c)S100及びKrt14(筋線維芽細胞)のための染色。スケールバー100μm。d)Krt19及びビメンチン(線維芽細胞)のための染色。スケールバー200μm。d')間葉及び上皮組織層の区画化を実証する(d)の像を通しての光学切片。スケールバー100μm。
図6】FLASHは腎臓の免疫染色を可能にすることを示す図である。a)DBA(尿細管の集合管及び群)及びPNA(遠位尿細管)のために染色した腎臓の3D再構築。スケールバー1mm。b)DBA、PNA及びWT1(糸球体、核)のための染色。スケールバー100μm。b')(b)で指示した領域(白いボックス)を通した光学切片。スケールバー50μm。c)パラフィン包埋腎臓切片(4μm)でのDBA、PNA及びWT1のための染色。スケールバー50μm。
図7】FLASHの後の保存された細胞内タンパク質局在を示す図である。a)CollIV陽性細胞外マトリックスのシートの間の群(腺房)における腺房細胞(Amy、アミラーゼ)の配置を示すFLASH処理膵臓の3D像。スケールバー50μm。a')1つの腺房におけるMist1(腺房細胞、核)、Amy及びCollIV局在を示す(a)の領域を通しての光学切片。スケールバー20μm。b)エピトープの異なる細胞内局在を示す(a)の指示された線に沿った蛍光強度。c)(a')の1チャンネル像。d)パラフィン包埋膵臓組織切片(4μm)でのAmy、CollIV及びMist1のための染色。スケールバー20μm。e)(d)における蛍光体の強度プロファイル。
図8】FLASHの後の無傷の組織形態を示す図である。a)パラフィン包埋PBS対照膵臓、肝臓及び肺(4μm組織切片)でのヘマトキシリン&エオシン(H&E)染色。b)保存された組織形態及び以降の2D染色及び組織学的分析のためのFLASH処理試料の使用の適合性を実証するFLASH処理膵臓、肝臓及び肺(4μm組織切片)でのH&E染色。全スケールバー100μm。
図9-1】無傷の膵臓のFLASH画像化及び管樹の可視化を示す図である。(a~c)タモキシフェン処理R26-CAG-tdTomato;Hnf1βCreERT2マウスからのtdTomato染色した無傷の膵臓の3Dレンダリング。(a)十二指腸及び脾臓に付着した全膵臓の3D像。スケールバー5mm。(b)(a)の領域の3D拡大。スケールバー500μm。(c)管セグメントの3D像。(1)主管;(2)小葉間管;(3)小葉内管;(4)介在管。スケールバー100μm。(d)管直径のセグメント不均一性。各点は1つの管を表す、180の管、3匹のマウス。(e)異なる管細胞形状を強調するためにCdh1及びDNAのために染色した膵臓組織切片。スケールバー10μm。(f)管細胞幅(黒色)、高さ(赤色)及び長さ(青色)のセグメント不均一性;管あたり5細胞の平均、115の管、6匹のマウス。あてはめた線は、非線形回帰を使用して得られた。(g)管樹のセグメント不均一性の図示。L-細胞の長さ、W-細胞の幅、H-細胞の高さ。
図9-2】図9-1の続きである。
図9-3】図9-2の続きである。
図10-1】FLASHの後の保存された臓器の完全性を示す図である。(a)アミラーゼ(Amy)、Krt19及びIns-GFPのためのインスリン(Ins)-GFPレポーターマウス膵臓のFLASH染色。左、島及び膵臓管の複雑な組織を実証する3D再構築。スケールバー100μm。右、Amy、Krt19及びIns-GFPのための相互排他的染色によって見られる、外分泌及び内分泌腺への保存された区画化を示す指示した領域(左)を通した光学切片。スケールバー50μm。(b)保存された上皮完全性を実証するKrt19及びDNAのために染色した高径管(32μm直径)の3D像。スケールバー50μm。(b')左、連続的管細胞単層及び保存された管内腔を実証する(b)の指示された領域を通した光学切片。スケールバー30μm。右、パラフィン包埋膵臓の4μm組織切片でのKrt19及びDNAのための染色。スケールバー30μm。(c)1グラム体重につき100μgタモキシフェンの腹腔内注射のない(左)及びある(右)R26-CAG-tdTomato;Hnf1βCreERT2マウスの膵臓でのtdTomato(tdTOM)及びKrt19のためのFLASH染色。スケールバー500μm。(d)管樹の樹状分枝。各点は1つの管を表し、線は分枝を示す。3つのKrt19染色膵臓のために、少なくとも30のランダムな高倍率像のz-スタックをとった。樹状分枝のモードを分類するために、像につき最大の管を特定し、4つの以降の分枝管について直径を測定した。複数の分岐を有する管について、それから分岐している最大の管でシーケンスを継続した。管樹の終了を示すために、末端の管細胞に0μmの管直径を割り当てた。(e)タモキシフェン処理R26-LSL-Confetti;Hnf1β-CreERt2マウスからの2細胞クローンで、核及び管の方向を連結する線に対して決定される角度として細胞分裂の方向を測定した。(263クローン、5匹のマウス)。(f)様々な直径の管における細胞分裂方向及びアスペクト比。実線は、指数関数的あてはめを表す。
図10-2】図10-1の続きである。
図11】膵臓管における新生物誘導の不均一性を示す図である。(a)外方増殖性及び内部増殖性膵臓管の変形。(b~g) 2D組織学によるFLASH比較。(b、e)組換えの10日後のKrasG12D;Fbw7 F/F;R26-EYFP;Ck19-CreERt(KFCk19)の外方増殖性(b)及び内部増殖性(e)変形の3D像(左)及び光学切片(右)。スケールバー50μm。(c~d、f~g)組換えの10日後(c、f)及び21日後(d、g)における外方増殖性(c~d)及び内部増殖性(f~g)病巣のヘマトキシリン-エオシン(H&E)染色。スケールバー100μm。
図12-1】KrasG12D;Fbw7 F/Fモデルにおける外方増殖性及び内部増殖性新生物を示す図である。(a)Fbw7エクソン欠失及びKrasG12D活性化によって誘発された管上皮における腫瘍誘導のKFCk19マウスモデル。(b)低用量タモキシフェン注射の組換え効率及び組み換えられた細胞あたりの形質転換クローンの数を、KFCk19マウスにおいてタモキシフェン注射の1週間後に定量化した。管あたりのEYFP追跡Krt19+細胞を定量化し、この管のために測定した平均の細胞長で管の長さを割り、これにこの管の外接する細胞の平均数を掛け算することによって管細胞の総数を推定した。形質転換クローンは、界面を共有する3つより多いEYFP追跡細胞の群として認識された。1つの点は1つの管を表す(112の管、3匹のマウス)。(c~d)膵管の代わりの標的化のためのKFHマウスモデル。(d)左、KFHマウスの外方増殖性新生物(上)及び内部増殖性新生物(下)の3Dレンダリング。Krt19及びtdTomatoのための染色。スケールバー100μm。右、KFHの外方増殖性(上)及び内部増殖性(下)病巣のためのH&E染色。スケールバー100μm。(e)管由来の新生物で一般的な非粘液性を実証するKFCk19マウスにおける外方増殖性及び内部増殖性病巣のためのH&E及びAB/PAS染色。スケールバー100μm。(f)外方増殖性新生物の管樹との関係を可視化するための実験戦略。肝外胆管に膨大部でカニューレを挿入し、膵管樹に50μlのFITC標識デキストランを潅流させた。(g)病巣の管系との関係を実証する外方増殖性KFCk19病巣によるDexFITC取り込み。左、3D像、及び右、光学切片。スケールバー50μm。
図12-2】図12-1の続きである。
図12-3】図12-2の続きである。
図13-1】腺房由来の新生物の形態経過を示す図である。(a)Ela1-CreERt又はPtf1a-ERt2ドライバーを使用した同時のp53 F/F又はFbw7 F/F欠失によるKrasG12D活性化による腺房細胞形質転換のための遺伝子戦略を例示する概略図。(b~c)KrasG12D;Fbw7 F/F;Ela1-CreERtマウス(KFEla1)。(b)腺房細胞におけるKrt19発現の局所の上方制御によって特定される腺房から管への異形成の3D像。末端の管に連結されるtd-Tomato追跡腺房を示す。矢印先端は中央の腺房によるKrt19発現を画定し、腺房由来のtd-Tomato追跡Krt19+細胞の小さい環を形成する。スケールバー50μm。(c)小径管(点線)と接触する球状KFEla1病巣の3D投影。スケールバー20μm。(c')td-Tomato追跡(上)及び球状形態(下)を実証する、(c)に示す病巣の光学切片。スケールバー20μm。(d~g)KrasG12D;p53 F/F;Ela1-CreERtマウス(KPEla1)。(d)末端の管(矢印先端)に連結される球状td-Tomato追跡KPEla1病巣の3D像。スケールバー50μm。(e)背中合わせの球状構造の中央のブドウ様形態及び病巣の縁のいくつかの小径管(矢先端)への維持された連結を示す大きなKPEla1病巣の3D投影。スケールバー200μm。(e')腺房由来のKrt19+細胞及び野生型管上皮(点線)の継ぎ目のない連結を実証する、(e)の指示された領域のより高い拡大率。スケールバー30μm。(f)腺房由来の病巣の管系への直接連結を実証する、拡張データ図2fにおけるようなデキストラン-FITCによる管樹の逆行的潅流。KPEla1病巣の3D像。スケールバー50μm。(g)球状形態を実証するKPEla1病巣のH&E染色。スケールバー100μm。(h)KrasG12D;p53 F/F;Ptf1a-CreERt2(KPPtf1a)マウス。病巣の球状形態を実証するH&E染色。スケールバー100μm。
図13-2】図13-1の続きである。
図14-1】KrasG12D;p53 F/Fモデル及びヒト膵臓における外方増殖性及び内部増殖性新生物を示す図である。(a~c)Pdx1-Cre誘導全膵臓組換え(KPC)の後のKrasG12D活性化によるp53欠失によって誘導された内部増殖性及び外方増殖性病巣。(b)内部増殖性(1)及び外方増殖性(2)変形による膵臓領域の3D像。スケールバー150μm。(1~2)(b)で指示した領域のより高い拡大率。スケールバー50μm。(1)矢先端は、内部増殖性増殖で一般的な陥入を画定する。(2)点線は、球状の外方増殖性病巣と接触している形態学的に正常な小径管をマークする。(c)KPCモデルにおける外方増殖性(左)及び内部増殖性(右)病巣のためのヘマトキシリン-エオジン(H&E)染色。スケールバー100μm。(d~e)膵管(Ck19-CreERt;KPCk19)におけるKrasG12D活性化でp53欠失によって誘導された外方増殖性及び内部増殖性病巣。(e)KPCk19マウスにおける外方増殖性(左)及び内部増殖性(右)病巣形状の3D投影。スケールバー100μm。(f)膵管腺癌を呈している患者のバックグラウンド膵臓からの組織切片のH&E染色。(左)外方増殖性病巣。(右)内部増殖性病巣。スケールバー100μm。
図14-2】図14-1の続きである。
図15】ヒト生検のFLASH 3D画像化を示す図である。(a~b)ヒト膵臓の外方増殖性病巣。(a)ヒト膵臓からの組織切片のH&E染色。スケールバー100μm。(b)Krt19免疫標識によって特定された外方増殖性管病巣を示す、FLASHで画像化したヒト膵臓の生検。左、3D像。右、光学切片。(c~d)内部増殖性病巣。(c)ヒト膵臓のH&E染色。スケールバー100μm。(d)Cdh1免疫標識(緑色)によって特定された内部増殖性管病巣を示す、FLASHで画像化したヒト膵臓の生検。Muc5AC免疫染色(赤色)で粘液性細胞を特定し、SMA染色(白色)で周囲の間質を特定する。左、3D像。右、光学切片。
【発明を実施するための形態】
【0058】
3D画像化(3Dイメージング)
本発明は、三次元での大きな無傷の(インタクトな)組織の中の分子標識構造の可視化を可能にする。
【0059】
3D画像化は、当業者に公知である方法によって実行され得る。例えば、3D画像化は、光学顕微鏡検査、蛍光顕微鏡法、例えば共焦顕微鏡検査、光シート顕微鏡検査、超分解能顕微鏡検査、スペクトル精密距離顕微鏡検査、活性化発光消去、拡大顕微鏡検査又は光学式投影断層撮影及びそれらの任意の変形形態によって実行され得る。
【0060】
本発明の好ましい態様では、本明細書に記載される通り、3D画像化は免疫染色に基づく。
【0061】
本発明は、3D画像化のための組織試料の免疫染色を容易にするか、可能にする。本発明は、組織試料の抗体染色を容易にする。本発明は、組織構造を破壊することのない抗原賦活化による膜可溶化に基づく。従前の技術と異なり、本明細書で実証される通り、本発明は各種の組織タイプの頑強な染色を高いSN比で可能にする。
【0062】
本明細書で使用される「免疫染色」は、試料中の特異的タンパク質を検出する抗体ベースの方法、例えば、組織切片の免疫標識又は免疫組織化学的染色の任意の使用を指す。
【0063】
一態様では、本発明は、3D画像化の前の組織試料の免疫染色を容易にする。免疫組織化学、又はIHC、又は組織切片の免疫標識(又は免疫細胞化学若しくは、細胞の染色である免疫蛍光標識)は、おそらく最も一般的に適用される免疫染色技術である。免疫標識及び免疫蛍光標識は蛍光性色素を使用するが、免疫組織化学及び免疫細胞化学は、酵素、例えばペルオキシダーゼ及びアルカリホスファターゼを使用する。これらの酵素は、光学顕微鏡検査によって容易に検出可能である着色された生成物を与える反応を触媒することが可能である。或いは、放射性元素を標識として使用することができ、免疫反応をオートラジオグラフィーによって可視化することができる。
【0064】
特異抗原を免疫染色する場合、いくつかの方法を用いることができる。例えば、方法では、蛍光性標識及び一次抗体を直接的に結合することによって標識(コンジュゲート)を調製することができ、次に抗原を染色する(一次抗体方法)。或いは、蛍光性標識及び二次抗体を直接的に結合することによって標識を調製することができ、一次抗体に結合した抗原が次に染色される(二次抗体方法)。さらなる別の方法では、蛍光性標識及びビオチンを直接的に結合することによって標識を調製することができ、一次抗体及びアビジン又はストレプトアビジンで改変された二次抗体と結合した抗原が次に染色される(ビオチン-アビジン法又はサンドイッチ法)。
【0065】
任意の好適な一次抗体を免疫染色で使用することができ、一次抗体は免疫染色される対象によって異なる。例えば、抗原としてHER2を使用して免疫染色が実行される場合、抗HER2抗体が使用される。当業者は、染色のための好適な抗体を知っているであろう。
【0066】
一態様では、抗原は、SST、KCNE3、PP、C-ペプチド、Ins、CD44、SMA、RFP及びその誘導体、GFP及びその誘導体、Krt19、Krt5、Krt14、Krt7、Krt76、汎サイトケラチン、WT-1、Epcam、Muc1、Muc5Ac、Muc2、Prox1、Cdh1、Mist1、Lyz、GFAP、TH、PGC、GIF、エンドムチン(Endomucin)、PGP9.5、PCSK1/3、GS、S100、Aqp1、Aqp2、Gluc、H/K-ATPアーゼ、Amy、CC10、SFTPC、CollIV、Vim、Ki67、PCNA、ミオシン、ホスホヒストンH3並びに切断されたカスパーゼ-3から選択され得る。
【0067】
さらに、任意の二次抗体を使用することができ、二次抗体は一次抗体によって異なる。その例には、抗マウス、ウサギ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、イヌ及びニワトリ抗体が挙げられる。
【0068】
蛍光性標識の抗体又はビオチンとの結合のために、任意の既存の方法を用いることができる。例えば、アミンとカルボン酸の間の反応によるアミド化、マレイミドとチオールの間の反応によるスルフィド化、アルデヒドとアミンの間の反応によるイミン化、又はエポキシとアミンの間の反応によるアミノ化を用いることができる。
【0069】
免疫染色は組織染色に制限されず、細胞染色に適用することもできる。
【0070】
本発明の一態様では、染色は抗体に制限されず、試料と相互作用する任意の物質を使用することができる。例えば、生化学的構造と相互作用する色素、例えばDapi、Syto11、ヨウ化プロピジウム、Draq5のようなDNA挿入色素を使用することができ、又は、組織構成成分の生化学的特性若しくは反応基と相互作用する薬剤、例えば、タンパク質でのある特定の翻訳後修飾を検出するドリコス・ビフロルス(dolichos biflorus)凝集素、小麦胚細胞凝集素、ラッカセイ凝集素若しくはハリエニシダ(ulex europaeus)凝集素のようなレクチンを使用することができる。検出は抗体とコンジュゲートした蛍光性標識に制限されず、本来的に蛍光性の色素又はclick-it化学による二次標識と組み合わされ得る。
【0071】
一態様では、3D画像化は染色に制限されず、試料固有のシグナル、例えば第2高調波発生の検出及び蛍光性タンパク質の画像化を含み得る。
【0072】
緩衝液
緩衝液(より正確には、pH緩衝液又は水素イオン緩衝液)は、弱酸及びそのコンジュゲート塩基、又はその逆の混合物からなる水性溶液である。少量の強い酸又は塩基がそれに加えられる場合、緩衝液のpHはわずかしか変化しない。緩衝溶液は、各種の適用においてpHをほとんど一定の値に保つ手段として使用される。
【0073】
本発明による緩衝液は、3D画像化のための組織試料を調製するためにpH9未満の任意の好適な緩衝液であってよい。
【0074】
一態様では、緩衝剤は、クエン酸、酢酸、ホウ酸塩、CHES、KH2PO4、Na2HPO4、TAPS([トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]プロパンスルホン酸)、ビシン(2-(ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ)酢酸)、トリス(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)、又は(2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオール)、トリシン(3-[N-トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)、TAPSO(3-[N-トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)、HEPES(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)、TES(2-[[1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イル]アミノ]エタンスルホン酸)、MOPS(3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸)、PIPES(ピペラジン-N,N'-ビス(2-エタンスルホン酸))、カコジラート(ジメチルヒ酸)、MES(2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸)及びその組合せから選択され得る。一態様では、緩衝液はリン酸緩衝食塩水(PBS)であってよい。
【0075】
好ましい態様では、緩衝液はホウ酸又はクエン酸緩衝溶液である。
【0076】
一態様では、ホウ酸溶液は、約50~500mM、例えば約50、100、200、250、300、350、400、450又は500mMの濃度である。一態様では、濃度は約200mMである。
【0077】
一態様では、緩衝液のpHは約pH3からpH9未満の範囲内である。一態様では、緩衝液のpHは約pH4からpH9未満の範囲内である。一態様では、緩衝液のpHは約pH5からpH9未満の範囲内である。一態様では、緩衝液のpHは約pH6からpH9未満の範囲内である。一態様では、緩衝液のpHは約pH7からpH9未満の範囲内である。一態様では、緩衝液のpHは約pH8からpH9未満の範囲内である。
【0078】
一態様では、緩衝液のpHは、約8.9、8.8、8.7、8.6、8.5、8.4、8.3、8.2、8.1、8.0、7.9、7.8、7.7、7.6、7.5、7.4、7.3、7.2、7.1、7.0、6.9、6.8、6.7、6.6、6.5、6.4、6.3、6.2、6.1、6.0、5.9、5.8、5.7、5.6、5.5、5.4、5.3、5.2、5.1、5.0、4.9、4.8、4.7、4.6、4.5、4.4、4.3、4.2、4.1、4.0、3.9、3.8、3.7、3.6、3.5、3.4、3.3、3.2、3.1又は3.0である。
【0079】
好ましい態様では、緩衝液のpHは約7.0である。
【0080】
温度
一態様では、本発明による溶液は、約30℃~約100℃の間の温度で使用するためのものであるか、使用されるべきである。例えば、溶液は約40℃~95℃、約50℃~約90℃、約55℃~85℃、約60℃~約80℃、又は約65℃~75℃の間の温度で使用され得る。本発明の好ましい態様では、溶液は、約50℃~60℃の間の温度、好ましくは約55℃で使用される。本発明による溶液は、約30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90及び95℃から選択される温度で使用され得る。
【0081】
界面活性剤
本発明で使用するのに好適な界面活性剤は、組織試料調製の標準の方法で使用される界面活性剤である。
【0082】
一態様では、界面活性剤は非イオン性、イオン性又は双性イオン性界面活性剤から選択される。一態様では、界面活性剤はイオン性の界面活性剤である。一態様では、界面活性剤は双性イオン性界面活性剤である。
【0083】
非イオン性界面活性剤は、BigCHAP(N,N-ビス[3-(D-グルコンアミド)プロピル]コラミド)、Brij(登録商標)35(ポリエチレングリコールドデシルエーテル)、C12E8(オクタエチレングリコールモノドデシルエーテル)、C12E9(ポリオキシエチレン(9)ドデシルエーテル)、デシル-β-グルコシド、デシル-β-マルトシド、デオキシ-BigCHAP(N,N-ビス[3-(D-グルコンアミド)プロピル]デオキシコラミド)、ジギトニン、ドデシル-β-グルコシド、ドデシルマルトシド、ルブロールPX、Nonidet(商標)P-40(オクチルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、分枝状)、オクチル-β-グルコシド、オクチル-β-マルトシド、オクチル-β-チオガラクトシド、オクチル-β-チオグルコシド、PLURONIC(登録商標)F-127(ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンブロックコポリマー)、Triton(商標)X-100(4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル-ポリエチレングリコール)、Tween(登録商標)20(ポリエチレングリコールソルビタンモノラウレート)及びTween(登録商標)80(ポリエチレングリコールソルビタンモノオレエート)から選択され得る。
【0084】
本発明の一態様では、界面活性剤はイオン性の界面活性剤である。イオン性の界面活性剤は、コール酸ナトリウム、CTAB(臭化セチルトリメチルアンモニウム)、デオキシコール酸ナトリウム、硫酸リチウム、タウロコール酸ナトリウム及びタウロデオキシコール酸ナトリウムから選択され得る。好ましくは、アニオン性界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)である。
【0085】
代替の一態様では、界面活性剤は双性イオン性界面活性剤である。双性イオン性界面活性剤の極性の頭基は負及び正に荷電した原子団の両方を含有し、したがって全体の電荷は中性である。これらの化合物の作用の強度は、イオン性と非イオン性の界面活性剤の中間であると考えられ、両タイプの特徴を共有する。
【0086】
双性イオン性界面活性剤は、CHAPS(3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホン酸水和物)及びCHAPSO(3-([3-コラミドプロピル]ジメチルアンモニオ)-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸)から選択され得、これらは、例えばMerckから市販されている。
【0087】
一態様では、双性イオン性界面活性剤は、Zwittergent(登録商標)3-08(n-オクチル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホン酸)、Zwittergent(登録商標)3-10(n-デシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホン酸)、Zwittergent(登録商標)3-12(n-ドデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホン酸)、Zwittergent(登録商標)3-14(n-テトラデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホン酸)及びZwittergent(登録商標)3-16(n-ヘキサデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホン酸)から選択され得るZwittergent(登録商標)界面活性剤である。
【0088】
本発明の好ましい態様では、界面活性剤はZwittergent(登録商標)3-10(n-デシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホン酸)である。
【0089】
Zwittergent(登録商標)界面活性剤は、例えばCalbiochem (Merck KGaA、Damstadt、Germany)から市販されている。
【0090】
本発明による溶液に含まれる界面活性剤の量を、当業者は決定することができる。
【0091】
好ましい態様では、4% SDS又は8% Zwittergent(登録商標)3-10が使用され得る。
【0092】
添加剤
染色をさらに強めるために、抗原賦活化を助けるか又は試料浸透を増加させる化合物を溶液に加えることができる。抗原賦活化を支える化合物は、例えばホルムアルデヒドスカベンジャー、例えばアスコルビン酸、尿素、トリス、2-イミダゾリジノン、又は触媒、例えばアントラニル酸及びホスファニレート、又はプロテアーゼ、例えばトリプシン若しくはペプシン若しくはコラゲナーゼであってよい。試料浸透を支える化合物は、カオトロピック剤、例えばチオシアン酸アンモニウム、n-ブタノール、ジメチルスルホキシド、エタノール、塩化グアニジウム、過塩素酸リチウム、酢酸リチウム、尿素、塩化マグネシウム、フェノール、2-プロパノール、チオシアン酸ナトリウム及びチオ尿素、又は還元剤、例えば1,4-ジチオトレイトール、b-メルカプトエタノール及びトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩であってよい。
【0093】
組織試料
本明細書に記載される発明は、任意の組織試料に適用され得る。
【0094】
組織試料は、上皮、結合組織、筋組織及び神経組織から選択され得る。
【0095】
好ましい態様では、組織試料は、膵臓組織、脳組織、骨組織、骨髄組織、肺組織、肝臓組織、胃組織、乳腺組織、頭頸部組織、腸管組織、唾液腺組織、神経組織、卵巣組織、精巣組織、筋組織及び皮膚組織から選択される。
【0096】
本発明の一態様では、組織試料は胚性組織試料であってよい。
【0097】
一態様では、組織試料は疾患組織試料であってよい。
【0098】
一態様では、組織試料は腫瘍試料であってよい。腫瘍は、扁平上皮細胞がん又は癌腫、肺がん、腹膜のがん、肝細胞がん、胃若しくは腹部がん、例えば胃腸がん、膵がん、神経膠腫、神経膠芽腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝がん、膀胱がん、ヘパトーマ、黒色腫、乳がん、結腸がん、直腸がん、結腸直腸がん、子宮体がん又は子宮癌、唾液腺癌、腎若しくは腎臓がん、前立腺がん、外陰がん、甲状腺がん、肝癌、肛門癌、陰茎癌又は頭頚部がんに由来するものであってよい。
【0099】
一態様では、組織試料は脳組織試料でない。
【0100】
一態様では、組織試料は無傷の(インタクトな)組織試料である。
【0101】
一態様では、組織は全組織又は組織の一部である。
【0102】
一態様では、組織試料は連続切片にされていない。
【0103】
一態様では、組織試料は新鮮であっても、固定されていても、凍結されていてもよい。
【0104】
固定された組織試料とは、組織を腐敗から保存するために任意の好適な固定剤で処理された組織試料である。固定剤の例には、10%中性緩衝ホルマリン(NBS)溶液、4%パラホルムアルデヒド又はグルタルアルデヒド溶液が含まれる。
【0105】
凍結組織試料とは、低温保存された組織試料である。組織凍結の例には、イソペンタン/液体窒素の中での組織液浸又はドライアイス若しくは液体窒素での急速凍結が挙げられる。
【0106】
一態様では、組織試料はセンチネルリンパ節生検である。
【0107】
センチネルリンパ節生検は、がんが一次腫瘍を越えてリンパ系に広がったかどうか判定するために使用される外科的処置である。
【0108】
方法
本明細書に記載される本発明による溶液は、3D画像化のための組織試料を調製するための方法で使用され得る。
【0109】
本発明による方法は、組織試料中の疾患状態の有無を決定することをさらに含み得る。
【0110】
「疾患状態」は、対象が1つ以上の公知の疾患に罹っているかどうか判定するために本方法を使用することができることを一般的に意味する。疾患には、限定されずに、がん、自己免疫性疾患、炎症性疾患、代謝疾患、神経変性疾患、内分泌/生殖系の疾患、心血管/肺疾患、筋骨格疾患又は胃腸疾患が含まれる。
【0111】
したがって特定の実施形態では、本発明の方法は、1つ以上の公知の疾患の存在を診断するために使用され得る。これは、1人以上の患者から組織試料を得ること;好ましくは抗体染色を使用して1つ以上の疾患の存在を検出すること;及び/又は対象で1つ以上の疾患の進行を監視することを含み得る。本方法は、疾患を他の疾患から区別するために使用され得る。
【0112】
本発明の実施形態では、組織試料は抗体で染色され、3D画像化される。試料は、組織試料中の疾患状態の有無を決定するために、異常であるか又は通常でない免疫染色について評価される。
【0113】
本発明による方法は、本発明による溶液を使用して3D画像化のための組織試料を調製することによって、患者が治療処置に応答しているか又は応答したかどうかの判定におけるステップとして使用され得ると想定される。
【0114】
このように、本発明は3D画像化のための組織試料を調製する方法であって、組織試料を本明細書に記載される溶液で処理するステップを含む方法を提供する。
【0115】
本発明は、3D画像化のための組織試料を調製するための本発明に記載される溶液の使用も提供する。
【0116】
本発明の溶液は組織試料をクリアにするために、すなわち組織試料を透明にするために使用され得る。
【0117】
本発明による方法は、場合により追加のステップを含むことができる。
【0118】
本方法は、組織試料を固定するステップを含むことができる。本方法は、組織試料を洗浄するステップを含むことができる。本方法は、組織試料を本発明による溶液の中でインキュベートするステップを含むことができる。本方法は、免疫標識するステップを含むことができる。
【0119】
本方法は、以下のステップのいずれか1つ以上を含むことができる:
1.組織を取出し、必要に応じてPBSにより脈管潅流を行う。
2.組織固定。
3.必要に応じた長期の組織保存。
4.洗浄ステップ。
5.該当する場合、試料から細片及び隣接組織を消去するステップ。必要に応じて、試料はより小さい断片に分断してもよい。
6.免疫標識を可能にする溶液の中での組織インキュベーション。
7.一次又は二次抗体とのインキュベーション。
【0120】
一態様では、本方法は、組織試料を約30℃~約100℃の間の温度で本発明による溶液とインキュベートすることを含む。例えば、インキュベーションは約40℃~95℃、約50℃~約90℃、約55℃~85℃、約60℃~約80℃、又は約65℃~75℃の間の温度であってよい。本発明の好ましい態様では、インキュベーションは約50℃~60℃の間の温度、好ましくは約55℃であってよい。インキュベーションは、約30、35、40、45、50、54、55、60、65、70、75、80、85、90及び95℃から選択される温度であってよい。本明細書に記載される発明の一態様では、インキュベーションは約54又は55℃の温度であってよい。
【0121】
インキュベーションの期間は、約2~約48時間の間、例えば約6~44、10~40、14~36、18~32又は22~28時間であってよい。一態様では、インキュベーション期間は約16時間である。インキュベーション期間は、数日、例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10日であってよい。一態様では、インキュベーション期間は約24時間である。一態様では、インキュベーション期間は数週、例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10週であってよい。
【0122】
本発明の一態様では、溶液は、試料を2D染色のために処理する前に3D画像化のために組織試料を調製するために使用され得る。例えば、組織試料は、2D画像化のために処理する前に3D画像化を経ることができる。一態様では、組織試料は、2D染色及び/又は画像化のために試料をパラフィンに包埋する前に、本発明による溶液を使用して調製され得る。
【0123】
本発明の一態様では、溶液は、クリニック(診療所)でのヒト患者材料の分析のための3D画像化のために組織試料を調製する方法で使用され得る。
【0124】
本発明の別の態様では、溶液は、獣医医療のための3D画像化のために組織試料を調製するために使用され得る。
【0125】
本発明の別の態様では、溶液は、操作又は印刷された生物組織の分析のための3D画像化のために組織試料を調製するために使用され得る。
【0126】
キット
本発明は、3D画像化のための組織試料の調製のための、本発明による溶液を含むキットも包含する。
【0127】
前記キットは、前記組織試料の免疫標識を容易にするための構成要素、例えば1つ以上の抗体を含むこともできる。
【0128】
本発明は、実施例として今からさらに記載されるが、それらは、当業者が本発明を実行するのを支援する役目をするものであり、本発明の範囲を限定するものでは決してない。
【0129】
[実施例1]
材料及び方法
FLASH。FLASHは、軽い非破壊的エピトープ回収(FLASH-抗体で染色した完全な臓器の急速な光学顕微鏡分析)による無傷の成体臓器における多数の抗原の迅速検出のために開発された。
【0130】
マウスは、頸椎脱臼によって安楽死させた。心臓潅流を20mlのPBSで実行した。臓器を回収して、4℃で一晩、10% NBFの中で固定した。検体を、PBT(PBS中の0.4% Triton X-100 (Sigma-Aldrich))で1時間に2回洗浄した。図1の緩衝液比較のために、4% SDSを含む指示された組成の溶液に試料を16時間インキュベートした。図2~5に示す様々な臓器のFLASH染色のために、200mMホウ酸(Sigma-Aldrich)及び4% SDS(Sigma-Aldrich) pH7.0の中で検体を54℃で16時間インキュベートした。図6及び7に示す結果については、200mMホウ酸(Sigma-Aldrich)及び8% Zwittergent(登録商標)3-10(Merck)pH7.0の中で試料を54℃で24時間インキュベートした。図8については、PBS(対照)又は200mMホウ酸(Sigma-Aldrich)及び8% Zwittergent(登録商標)3-10(Merck)pH7.0の中で試料を54℃で24時間インキュベートした。
【0131】
試料を3時間以上PBTで洗浄し、容量を少なくとも3回交換した。免疫標識のために、FLASHブロッキング緩衝液(PBS中に1%ウシ血清アルブミン(Sigma-Aldrich)、5% DMSO(Sigma-Aldrich)、10%ウシ胎仔血清(Gibco)、0.02%アジ化ナトリウム(Sigma-Aldrich)、0.2% Triton X-100)の中で試料を1時間インキュベートし、nutatorの上で抗血清(全て1:100)と一緒に室温で少なくとも16時間インキュベートした。試料を3回容量交換のPBSによって洗浄し、二次抗体(全て1:100)と一緒に室温で少なくとも2日間インキュベートした。
【0132】
試料を3回容量交換によってPBSで洗浄し、30%、50%、75%、2×100% MetOH(Sigma-Aldrich)の中で各々1時間徐々に脱水し、ガラス皿の中でMetOHで希釈したサリチル酸メチル:25%、50%、75%、2×100%サリチル酸メチル(Sigma-Aldrich)に遮光条件で各々30分間浸漬した。
【0133】
蛍光性タンパク質を、免疫蛍光法によって染色した。以下の抗体を使用した: Aqp1(ウサギ、Atlas)、アミラーゼ(ヤギ、SCBT)、CC10(ヤギ、SCBT)、CD44(ラット、Chemicon)、CollIV(ウサギ、USBiological)、GFP(ヤギ、Abcam)、GFP(マウス、Roche)、GS(ウサギ、Abcam)、Krt14(マウス、Abcam)、Krt19 TROMA III(ラット、DSHB)、Pcsk1(ウサギ、Millipore)、Mist1(マウス、SCBT)、Prox1(ウサギ、Abcam)、S100(ウサギ、Dako)、Sftpc(ウサギ、Millipore)、SMA(マウス、Sigma-Aldrich)、Tomato(ウサギ、Rockland)、Vim(ウサギ、NEB)、WT-1(ウサギ、SCBT)。全ての二次抗体は、Alexa-色素コンジュゲート(ThermoFisher)であった。核を、DRAQ5(Biostatus)で染色した。以下のレクチンを使用した:DBA-FITC(VectorLabs)、DBA-ローダミン(VectorLabs)、PNA-FITC(VectorLabs)。
【0134】
結果
無傷の組織の免疫標識を可能にするために、組織完全性を損なうことなく抗原性を回復するために、組織透過処理及びタンパク質架橋の部分的反転の組合せを開発した。ある範囲の異なる緩衝系を膜可溶化及び低熱と組み合わせて検査し、続いて溶媒に富むブロッキング試薬中で抗体インキュベートを行った。膵臓の脆弱な高度に区分された構造は組織学のために処理するのが本来的に困難であるが、その理由は、それが消化酵素に富む膵液による傷害を起こしやすいからである。単一の一晩の抗原賦活化ステップでの緩衝液中でのインキュベーションの後、全膵臓小葉を処理し、膵管を標識した。注目すべきことに、試験した全ての緩衝液は、膵臓小葉にわたる分岐管の頑強な染色を与えた。染色を達成するのに温和な熱が必要であったが、より高い温度は組織完全性を不安定化し、試料喪失を引き起こした(図1)。完全な膵臓を次にFLASHで処理し、続いて、従来の透明化した膵臓で過去に失敗したアミラーゼ、Pcsk1及びSma抗体で染色した。全ての染色は、伝統的な2D染色での抗体の性能と一致して、標準の共焦点顕微鏡検査を使用して三次元で検出可能な頑強なシグナルを生成した(図2)。
【0135】
FLASHは、さらなる技術的適応なしで肺、肝臓及び涙腺に首尾よく適用され、2D組織染色での提示と高度に首尾一貫していた三次元の標識分布をもたらした(図3~5)。サポートが得られた抗体の範囲は、管、血管系、間質、神経分布及びリンパ系、並びに肝細胞、膵臓腺房及び肺胞細胞などの組織特異的細胞型を含めて、全ての組織構成要素の構造の可視化をときには同時に可能にした(図3~5)。
【0136】
適合する染色試薬の範囲をFLASH処理試料中の残留SDSに感受性である可能性のある抗体にさらに拡張するために、代わりの膜透過性界面活性剤を試験した。双性イオン性界面活性剤Zwittergent-3-10(FLASH試薬2)は、分析した全ての組織で頑強な免疫染色を生成し、転写因子WT1及びMist1に対するものなどの困難な抗体の性能を改善した。重要なことに、組織及び細胞の完全性は保存され、細胞内の染色分布は前の通り伝統的な2D免疫蛍光法と相関した(図6~7)。したがって、FLASHは一定の範囲の試薬オプションにとって頑強であり、目的の特定の抗原のための技術のさらなる最適化を可能にする。
【0137】
組織形態に及ぼすFLASH処理の影響をさらに試験するために、FLASH処理臓器をパラフィンに包埋し、以前に三次元で画像化した検体を従来の2D組織学によって分析した。以前の処理及び分析にもかかわらず、組織はヘマトキシリン及びエオシン染色を受け入れることができた。組織構造は無傷のままで、血管及び管などの異なるコンパートメントは未処理対照におけるように容易に特定することができた(図8)。したがって、FLASHは上皮の完全性及び組織構造を維持しつつ、無傷の内臓の深部組織免疫標識を可能にする。
【0138】
[実施例2-成体の膵管系の画像化]
材料及び方法
FLASH。FLASHは、軽い非破壊的エピトープ回収による無傷の成体臓器における多数の抗原の迅速検出のために開発された(FLASH-抗体で染色した完全な臓器の急速な光学顕微鏡分析)。
【0139】
マウスは、頸椎脱臼によって安楽死させた。心臓潅流を20mlのPBSで実行した。腺を乱すことなく、脾臓及び十二指腸の付着した膵臓を取り出した。試料を4℃で一晩、4% PFAの中で固定した。検体を、PBT(PBS中の0.4% Triton X-100 (Sigma-Aldrich))で1時間に2回洗浄し、200mMホウ酸(Sigma-Aldrich)と4% SDS(Sigma-Aldrich)pH7.0の中で54℃で一晩インキュベートした。
【0140】
試料を、3回の容量交換でPBTで3時間洗浄した。免疫標識のために、FLASHブロッキング緩衝液(PBS中に1%ウシ血清アルブミン(Sigma-Aldrich)、5% DMSO(Sigma-Aldrich)、10%ウシ胎仔血清(Gibco)、0.02%アジ化ナトリウム(Sigma-Aldrich)、0.2% Triton X-100)の中で試料を1時間インキュベートし、nutatorの上で抗血清(全て1:100)と一緒に室温で少なくとも16時間インキュベートした。試料を3回の容量交換PBSによって洗浄し、二次抗体(全て1:100)と一緒に室温で少なくとも2日間インキュベートした。
【0141】
試料を3回容量交換によってPBSで洗浄し、30%、50%、75%、2×100% MetOH(Sigma-Aldrich)の中で各々1時間徐々に脱水し、ガラス皿の中のMetOHで希釈したサリチル酸メチル:25%、50%、75%、2×100%サリチル酸メチル(Sigma-Aldrich)に遮光条件で各々30分間浸漬した。
【0142】
蛍光性タンパク質を、免疫組織化学によって染色した。以下の抗体を使用した:アミラーゼ(ヤギ、SCBT)、GFP(ヤギ、Abcam)、GFP(マウス、Roche)、Krt19 TROMA III(ラット、DSHB)、Tomato(ウサギ、Rockland)。全ての二次抗体はAlexa-色素コンジュゲート(ThermoFisher)であった。核を、DRAQ5(Biostatus)で染色した。
【0143】
結果
成体膵臓の幾何学的な複雑性を保存するために、単一細胞及び組織レベルでの臓器構造の頑強な定量的調査を可能にする、急速全臓器三次元免疫染色及び画像化(FLASH、方法を参照)のための新しい手法を開発した。FLASHは、膵臓の区画化及び組織完全性を維持した(図10a、b)。全ての管細胞でtdTomatoの発現を誘導することによって成体膵管系を可視化した(R26-CAG-tdTomato; Hnf1b-CreERt2)。完全な膵臓のFLASH画像化は、外分泌小葉にわたる細管の複雑な階層を明らかにした(図9a、b、図10c、d)。管セグメントは直径がかなり変動し(図9c、d)、より小さい管は細長い細胞及び立方体様細胞の大きな管で構成された(図9、e、f)。Confetti標識は、主に細胞長軸に沿ったクローン増殖を示した(図10e、f)。これらの所見は、膵管系の複雑性及び不均一性を明らかにする(図9g)。
【0144】
上皮変形を誘発するために、p53又はFbw7腫瘍抑制遺伝子のいずれかの同時欠失によりKrasG12Dがん遺伝子の条件つきモザイク活性化を誘導した。KrasG12D; Fbw7 F/F; Ck19-CreERt(KFCk19)及びKrasG12D; Fbw7 F/F; Hnf1β-CreERt(KFH)マウスのFLASH分析は、2つの形態学的に異なる病巣タイプが分析した全ての膵臓で同時発生していることを明らかにした。形質転換した管は管内腔から離れて基底に(「外方増殖性」と呼ばれる)膨出したか、管内腔に向かって先端的に(「内部増殖性」と呼ばれる)陥入した(図11a及び図12a~d)。外方増殖性病巣は管内腔を伸長させ、球状構造を形成し(図11b、c、図12e~g)、それは、背中合わせの腺様管新生物に進行した(図11d)。内部増殖性の病巣は、対照的に乳頭状に管内腔に増殖し(図11e、f、図12e)、管内腔の局所閉塞を伴う小管内新生物に進行した(図11g)。小径管の先端に位置する腺房細胞におけるKrasG12Dの活性化及びFbw7又はp53の欠失は、腺房から管の異形成(ADM)を誘導し、管樹と連続したKrt19陽性球状病巣につながった(図13a~f)。管特異的(KPCk19)又は膵臓全体(KPC)のKrasG12D活性化及びp53欠失を有するマウスで、外方増殖性及び内部増殖性の病巣も特定され、これらの観察が特定のがん遺伝子組合せに依存しないことを示す(図14a~e)。
【0145】
[実施例3-ヒト組織生検の3D画像化]
材料及び方法
FLASH。ヒト組織生検は、同意した膵管腺癌患者から得られた。生検を10% NBFで一晩固定し、直ちにFLASHで処理するか又はアーカイブのためにパラフィンに包埋した。アーカイブ材料でFLASHを実行するために、パラフィン包埋試料を先ずHistoClear又はキシレン中での30分間のインキュベーションによって脱パラフィンし、その後EtOHでの洗浄、及び90%、75%、30% EtOH、続く2×ddH2O中での30分間の洗浄による段階的再水和が続いた。検体を、200mMホウ酸(Sigma-Aldrich)と8% Zwittergent(登録商標)3-10(Merck)pH7.0の中で54℃で一晩インキュベートした。
【0146】
試料を、3回の容量交換で、PBTで3時間洗浄した。免疫標識のために、FLASHブロッキング緩衝液(PBS中に1%ウシ血清アルブミン(Sigma-Aldrich)、5% DMSO(Sigma-Aldrich)、10%ウシ胎仔血清(Gibco)、0.02%アジ化ナトリウム(Sigma-Aldrich)、0.2% Triton X-100)の中で試料を1時間インキュベートし、nutatorの上で抗血清(全て1:100)と一緒に室温で少なくとも16時間インキュベートした。試料を3回の容量交換PBSによって洗浄し、二次抗体(全て1:100)と一緒に室温で少なくとも2日間インキュベートした。
【0147】
試料を3回容量交換によってPBSで洗浄し、30%、50%、75%、2×100% MetOH(Sigma-Aldrich)の中で各々1時間徐々に脱水し、ガラス皿の中のMetOHで希釈したサリチル酸メチル:25%、50%、75%、2×100%サリチル酸メチル(Sigma-Aldrich)に遮光条件で各々30分間浸漬した。
【0148】
蛍光タンパク質を、免疫組織化学によって染色した。以下の抗体を使用した:Cdh1(ラット、Novex)、Krt19 TROMA III(ラット、DSHB)、Muc5AC(ウサギ、Atlas)、SMA(マウス、Sigma-Aldrich)。全ての二次抗体はAlexa-色素コンジュゲート(ThermoFisher)であった。
【0149】
結果
ヒト組織試料の分析のために、例えば臨床組織病理学でFLASHを利用することができるかどうか試験するために、組織切片での標準の組織学による従来の生検分析を無傷の生検のFLASH-3D画像化と比較した。具体的には、FLASH画像化試料の光学2D切片を標準処理試料の2D組織切片と比較した。新鮮な、固定された、パラフィン包埋された生検の免疫標識及び光学的透明化をFLASHが可能にすることを見出した。FLASHで透明化した試料で、外方増殖性及び内部増殖性の病巣を検出した(図15 a~d)。FLASH免疫標識は、周囲の正常及びがん性の膵臓組織領域の空間場面で、生検試料中の管及び粘液特性、並びに間葉細胞を特定した。3D画像化データセットの2D光学切片は、組織切片の標準の組織病理学的分析において組織及び病巣形態の提示を再現した(図15a、c)。したがって、FLASHはヒト材料の急速組織病理特徴付けを可能にする。本明細書で言及される全ての文書はここに参照により完全に組み込まれ、それらが言及される対象発明が特に注目される。本発明の記載される方法及びシステムの様々な改変及び変更は、本発明の範囲及び精神を逸脱せずに当業者に明らかになる。
【0150】
本発明は特定の好ましい実施形態に関連して記載されたが、特許請求される発明はそのような特定の実施形態に不当に限定されるべきでないことを理解すべきである。実際、分子生物学、細胞免疫学又は関連分野の当業者に自明である本発明の実行のための記載様式の様々な改変は、以下の請求項の範囲内であるものである。
【0151】
本発明は、以下の番号付き段落で今からさらに詳しく記載される:
1.pH9未満の緩衝液及び界面活性剤を含む、三次元(3D)画像化のための組織試料を調製するための溶液。
2.前記3D画像化が免疫染色に基づく、段落1に記載の溶液。
3.界面活性剤がSDSである、段落1又は段落2に記載の溶液。
4.界面活性剤が双性イオン性界面活性剤である、段落1又は段落2に記載の溶液。
5.前記双性イオン性界面活性剤がZwittergent(登録商標)界面活性剤である、段落4に記載の溶液。
6.前記緩衝液のpHが約7である、段落1~5のいずれか1つに記載の溶液。
7.前記緩衝液がホウ酸又はクエン酸緩衝液である、段落1~6のいずれか1つに記載の溶液。
8.前記溶液が約40℃~約60℃の間の温度で使用される、段落1~7のいずれか1つに記載の溶液。
9.前記溶液が約55℃の温度で使用される、段落8に記載の溶液。
10.前記組織試料がマウス、ラット、ウサギ、ウシ、ブタ又は非ヒト霊長類に由来するものである、段落1~9のいずれか1つに記載の溶液。
11.前記組織試料がヒトに由来するものである、段落10に記載の溶液。
12.pH8未満の前記緩衝液を前記界面活性剤と組み合わせることを含む、段落1~11のいずれか1つに記載の溶液を調製する方法。
13.3D画像化のための組織試料を調製する方法であって、前記組織試料を段落1~11のいずれか1つに記載の溶液で処理することを含む方法。
14.3D画像化のための組織試料を調製するための、段落1~11のいずれか1つに記載の溶液の使用。
15.段落1~11のいずれか1つに記載の溶液を含む、3D画像化のための組織試料の調製のためのキット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9-1】
図9-2】
図9-3】
図10-1】
図10-2】
図11
図12-1】
図12-2】
図12-3】
図13-1】
図13-2】
図14-1】
図14-2】
図15
【国際調査報告】