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特表2022-507432整形外科用マットレスの形成方法及び整形外科用マットレス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】整形外科用マットレスの形成方法及び整形外科用マットレス
(51)【国際特許分類】
   A47C 31/12 20060101AFI20220111BHJP
   A47C 27/04 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
A47C31/12
A47C27/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021526356
(86)(22)【出願日】2019-11-15
(85)【翻訳文提出日】2021-05-26
(86)【国際出願番号】 FI2019050818
(87)【国際公開番号】W WO2020099725
(87)【国際公開日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】20180129
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520182408
【氏名又は名称】オサケユフティオ・エスディエイ・フィンランド・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Oy Sda Finland Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】トゥオミネン,ヴェサ
【テーマコード(参考)】
3B096
【Fターム(参考)】
3B096AB07
3B096AD02
(57)【要約】
本発明は、整形外科用マットレスの製造方法及び整形外科用マットレスに関するものである。この方法では、マットレスの将来のユーザの戦略的な測定点が決定される。スプリングは、マットレスユーザの体格寸法が戦略点で決定される方法に基づいて、マットレスユーザの体格に応じて決定される。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マットレスの将来のユーザの戦略的測定点が測定により決定され、マットレスの将来のユーザの外形寸法が測定される、整形外科用マットレスの形成方法であって、決定された戦略的測定点に基づいて、マットレス内のスプリングシステムの各スプリングの窪み深さを決定し、測定された外形寸法に基づいて、スプリングシステムのための剛性を決定する、整形外科用マットレスの形成方法。
【請求項2】
前記測定された外形寸法に基づいて、前記マットレスのユーザがマットレスに付与する表面圧力を決定し、前記表面圧力に基づいて前記スプリングシステムの剛性を決定する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記将来のマットレスのユーザの肩関節の位置と、大腿骨端部及び股関節の位置とを決定する請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
異なる測定点で、前記方法で、前記ユーザの身体の周囲を決定し、計算に基づいて、前記測定点でユーザがマットレスに及ぼす表面圧力を決定する、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
正面又は背面からユーザの少なくとも1枚の画像を撮影し、前記少なくとも1枚の画像を測定してユーザの戦略的測定点を決定し、側面からユーザの少なくとも1枚の画像を撮影し、正面又は背面から撮影した少なくとも1つの画像及び側面から撮影した少なくとも1枚の画像からユーザの外形寸法を測定する、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
寸法基準を有するユーザの画像を撮影することにより、寸法基準の正確な寸法が分かっている場合、肩の正確な位置を含むユーザの身体の測定図を決定する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
寸法基準(12)として1枚の用紙を使用する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1枚の画像ではユーザが胸の高さで寸法基準を保持し、少なくとも1枚の画像ではユーザが大腿の高さで寸法基準を保持するように、ユーザの少なくとも2枚の前面又は背面の画像を撮影して画像を比較することにより、前記画像から肩関節の位置を決定する、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
ユーザの少なくとも1枚の側面画像を撮影する際、ユーザが寸法基準を大腿部の側面に保持する、請求項5から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記マットレスの将来のユーザを撮影した画像を、無線方式/有線方式、又はメモリースティック/メモリーカード/メモリーディスクで、画像の撮影者から、前記ユーザを撮影した測定詳細画像に基づいてマットレスを製造するマットレス工場又はその代理店に転送する、請求項5から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記マットレスの将来のユーザの画像を携帯電話のカメラで撮影し、携帯電話にダウンロードされたアプリケーションの指示に従って画像を撮影し、マットレスの将来のユーザ又はその販売員により、マットレスメーカー又はその代理店にマットレスの注文を送信する、請求項5から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記整形外科用マットレスのスプリングシステムのスプリングを相互に同じ高さに決定し、より柔らかいスプリングコイル領域がスプリングに形成されるように、前記スプリングコイルのピッチを小さくすることによってスプリングの少なくとも一部に弾性を持たせ、前記スプリングの柔らかい領域をスプリングの長手方向の任意の位置に配置し、スプリングのピッチを大きくして、スプリングに硬い領域を形成する、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
異なる窪みの深さ及び/又は剛性を有するスプリングを含むスプリングの在庫からマットレス用のスプリングシステムを選択し、又は必要に応じてスプリングシステムのスプリングを形成する、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の方法により形成されている、整形外科用マットレス。
【請求項15】
前記マットレスは同じ高さのスプリングで形成され、スプリング(14)が、前記スプリングで柔らかいマットレスを形成するために、スプリング(14)のピッチを小さくすることにより、柔らかくなったスプリングの長手方向の一部となり、前記スプリングは、少なくとも1つのより硬いコイルを含み、前記コイルのピッチは、より柔らかいスプリング領域のスプリングコイルのピッチよりも大きい、請求項14に記載の整形外科用マットレス(100)。
【請求項16】
前記スプリング(14)によって、マットレスの腰の部分に硬い領域が形成され、就寝者の姿勢を真っ直ぐにすることを可能にする、請求項14又は15に記載の整形外科用マットレス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整形外科用マットレスを形成する方法及びその方法によって形成された整形外科用マットレスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
先行技術からは、測定用マットレスに人が横たわり、就寝時、面圧に基づいて、就寝者の背骨が真っ直ぐになるように弾性力を個別に決定する方法が公知である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本願は、マットレスのユーザの体格寸法を、手を広げた状態での肩の上下の要所、大腿骨の端、及び腹部で決定する撮影法と、正面からの人の該当する寸法数値とに基づいて、マットレスのユーザの体格に応じて弾性力を決定する新しい方法を提案するものである。
【0004】
さらに、人を側面から定義し、様々な高さの点から測定値を決定するものである。
【0005】
本発明に係る方法では、戦略的な身体点の定義は、本発明の一実施形態では、機械的に測定することによって行われる。戦略的な測定点から身体図が形成される。測定点及び定義点には、寝ている人の肩関節の位置、及び股関節の位置が含まれる。
【0006】
第2の実施形態では、身体図は撮影法によって形成される。A4用紙などの公知の寸法を有する基準を被測定者の胸部に置き、被測定者が手で保持するようにする。基準と被測定者を画像化し、その画像に基づいて、被測定者の戦略点の位置を決定する。基準の寸法が公知である場合、画像化された基準の背後にいる人の肩の位置などの戦略点の位置は、マットレス上で決定することができ、弾性力も決定することができる。
【0007】
撮影では、カメラを使用するのが都合がよい。
【0008】
撮影された画像に基づいて、該当者のために弾性力が決定される。
【0009】
人の前面又は背面の画像に関連して、肩関節や股関節など、将来マットレスを使用する人の身体の戦略点の正確な位置を示すラスター格子が自動的に作成される。
【0010】
さらに、肩領域など、人の戦略点の位置が、プレートや長方形又は正方形の紙などの寸法基準からの距離を測定することにより画像から決定されるという実施形態も実行可能である。
【0011】
前方又は後方、さらには側方からの人の戦略点の位置が得られれば、画像化された人のマットレスのために弾性力を決定することができる。
【0012】
前後からの戦略的な測定点に基づいて、マットレス上の各スプリングの窪み深さが決定され、人体の外形寸法と前述の戦略的な測定点とに基づいて、マットレスが受けた表面圧力が人の異なる測定点で決定され、スプリングシステムの剛性が決定される。
【0013】
人Hの断面形状はほぼ楕円形である。この楕円の表面積に基づいて体の密度が約800kg/mであることを知ることにより、例えば長さ3cmの距離で、体がマットレスに与える面圧を計算することができる。スプリングの幅(3cm)を有する荷重領域の荷重は、3kp以上8kp以下である。楕円は、就寝者の各高さ点で楕円の縦軸と横軸を測定することによって決定することができる。
【0014】
人の寸法/画像に基づいて、弾性力の強さを決定してもよい。例えば、肩にはより大きな窪みが必要であるのに対し、腰や胸のマットレスの中央部分にはより小さな窪みと背骨を真っ直ぐにする硬い弾性力が必要である。このようにして、姿勢を真っ直ぐにする整形外科用マットレスが実現する。また、スプリングの硬さの要求には、人の体重と体重分布が関係する。体重の重い人には、より硬いスプリングが必要である。
【0015】
肩でのマットレスのための弾性力は、例えば、スプリングコイルのピッチ角を変えることにより、柔らかくしたり、硬くしたりしたスプリングで形成される。
【0016】
マットレスは、スプリングコイルのピッチ角を小さくすることで、柔らかく、つまり弾性係数が小さくなり、同時に窪みの深さが大きくなる。同様に、特定の場所では、スプリングコイルのピッチ角を大きくすることにより硬くしてもよい。
【0017】
同一のスプリングに前記対策を施すことにより、例えば、肩の部分のマットレスが柔らかくなり、窪みの深さが大きくなるにも拘わらず、弾性しきったところでは、同一のスプリングで適切な剛性と支持が得られる。
【0018】
スプリングコイルのピッチが異なる領域は、スプリングの両端にあってもよい。スプリングのさらに弾性のある領域は、例えば、スプリングの中央部にあってもよい。
【0019】
撮影での基準の使用は、フォンアプリケーションを使用して実現してもよい。このアプリでは、マットレスを購入した人が、A4などの紙を基準にして自身を測定する。購入者は、アプリが提供する撮影指示に従って行動し、例えば正面から2枚、側面から1枚の計3枚の画像を撮影する。
【0020】
撮影された画像と測定結果は、モバイルアプリを通じてマットレスメーカー又はその代理店に送信される。同じアプリを使用して、詳細なマットレスの注文契約が行われる。
【0021】
アプリは、測定結果が成功したことを確認すると、注文者に確認を送信する。したがって、本発明に係る一実施形態では、マットレスを使用する人の測定情報が有線又は無線でマットレスメーカー又はその代理店に送信されるアプリが使用されている。
【0022】
A4用紙のような基準となるものを、人の胸の高さ、人の大腿の高さ、及び人の大腿の横からの高さで撮影した3枚の画像を送信するのが有効である。A4用紙の寸法は予め正確に分かっており、画像中の人の肩、肩の下、腹部の重要な戦略的寸法と、大腿骨、大腿骨上端及び股関節の位置とは、基準と戦略点の間の距離を測定/比較することにより得られる。
【0023】
人の側面の画像と、正面又は背面から撮影した画像とに基づいて、整形外科用マットレスの長さに沿った異なる点で、弾性力に必要な硬さと窪みの深さを決定することができる。
【0024】
本発明に係る整形外科用マットレスの製造方法及び整形外科用マットレスは、特許請求の範囲に開示されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0025】
以下では、本発明を図面の好ましい実施形態を参照して説明するが、本発明が排他的に制限されることを意図するものではない。
図1A】本発明に係る方法と、マットレスの将来のユーザの体格に応じてマットレスの弾性力を決定するための画像化方法とを示す図である。
図1B】マットレスの顧客からマットレス工場への画像転送を説明する図である。
図1C】将来のマットレスユーザを想定して撮影したラスター画像である。
図2A】マットレスユーザの測定点、すなわち戦略点を、両手を下げた状態で正面から見た人を示す図である。
図2B】マットレスユーザの測定点、すなわち戦略点を、両手を上げた状態で正面から見た人を示す図である。
図3A】胸の高さにある正面からの撮影点と、寸法基準となるA4用紙とを示す人の正面画像である。
図3B】大腿部の側面図と寸法基準図である。
図4】本発明に係る方法で寸法形成された整形外科用マットレスのスプリングシステムに於けるスプリングの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1Aは、本発明に係る方法を図示する。装置10を用いて、弾性力のあるマットレスの製造対象となる人の画像11が撮影される。装置10は、単なるカメラ、携帯電話、タブレット、又は、直ちに又は遅れて保存又は送信される画像を撮影可能な他の装置であってもよい。画像は、寸法基準12が胸部にある状態での正面、寸法基準12が大腿部にある状態での正面、及び人の側面から撮影される。2又は3の画像を撮影するのが有効であり、1又は2の画像が正面から撮影され、少なくとも1枚の画像が側面から撮影される。画像は、肩G1、G2、大腿骨、股関節G3、G4、腰G5など、ユーザの身体上の戦略点の位置を決定するために使用される。
【0027】
形成された画像500には、人の寸法を決めるためのグリッドがあってもよい。
【0028】
携帯電話のアプリを使用し、カメラモードに切り替えて、アプリが提供する指示に従うことで、自撮りしてもよい。
【0029】
さらに、本発明では、人の画像に関連して別の寸法基準12を採用する方法を使用することができる。寸法基準12にはA4用紙が有効である。用紙の正確な寸法は既知であり、それに基づいて、画像の背景にある肩、腰などの人の身体上の点を、画像11(図1)から測定することができる。これに基づいて、スプリングの窪みの深さや弾性力を決定してもよい。
【0030】
図1Bは、携帯電話などの記憶装置300や、そのカメラの記憶回路/メモリー回路、メモリースティック、ハードディスク、ロムディスクなどから、有線又は無線でマットレス工場400への画像の転送を図示する。
【0031】
図1Cは、マットレス100の将来のユーザを後方から見たラスター画像500である。ラスターグリッドFに基づいて、画像は、肩関節G1、G2、股関節G3、G4、及び腰部G5などの戦略点の正確な位置を直接明らかにすることができる。撮影のために、画像が撮影された人Hの様々な戦略点間の距離とその位置を直接提供することを可能にする携帯電話アプリを使用することもできる。
【0032】
図2Aは、マットレスユーザの正面画像を示す。その人の戦略的に重要な測定位置を示す。肩関節の位置を参照符号G1とG2で示す。
【0033】
大腿骨の端の位置を参照符号G3とG4で示し、腹部の臍部の位置を参照符号G5で示す。これらの点の座標を、説明した撮影方法によって求め、被測定者をベッド200の中央に位置させると、マットレス100の弾性力Mを求めることができる。また、戦略的な寸法として、肩関節G1とG2の間の距離a、及び肩関節G2と股関節の間の距離bがある。
【0034】
図2Bは、手を横に伸ばした状態の人を示す。図2Bの円D1、D2、D3は、身体の高さ位置を示し、そこから身体の厚さを調べたり、身体のその部分の楕円形の断面を測定したりする。それをもとに、該当する身体の位置でのマットレスへの荷重圧力を算出する。
【0035】
また、次のように人を測定して寸法図を作成することもできる。
【0036】
人の肩関節G1、G2の位置とその間の距離a、及び肩関節と股関節の間の距離bを測定器やメジャーで測定する。
【0037】
また、人の胴体の楕円周長として、胸部、腰部、底部を測定する。人体の密度が約800kg/cmであることが公知であるので、例えば5cmの距離での人の異なる高さ点、及びマットレスの異なる幅点で、マットレスにかかる荷重を計算することが可能である。
【0038】
スプリング14は、スプリングの在庫から選択してもよいし、必要に応じて製造してもよい。
【0039】
図3Aは、胸部正面から1枚目の画像を撮影している様子を示す。これは、A4用紙を寸法基準12として使用し、撮影している。その正確な寸法は既知である。人Hは、両手で寸法基準12を胸元に置く。カメラ10で撮影した写真に基づいて、ベッド200上でマットレス100を使用している人Hの戦略点G1、G2、G3、G4の正確な位置を決定することができる。したがって、将来の整形外科用マットレス100では、上記のように、マットレスユーザの撮影に基づいて、形成する弾性力Mを決定できる。
【0040】
この後、寸法基準12を大腿部に置いた状態で、将来のマットレスユーザの正面画像を撮影してもよい。この画像に基づいて、スプリングの窪み深さをマットレスの異なる位置で決定してもよい。ユーザが寸法基準を大腿位置に置いた画像では、ユーザの肩幅を簡単に測定することができる。また、胸部に寸法基準を置いた画像では、脇の下の体幅を簡単に測定することができる。このようにして、肩が体のラインからどれだけはみ出しているかを簡単に判断することができる。これにより、スプリングの窪みの深さが、胴体よりも肩の方がどれだけ大きいかを知ることができる。例えば、頭の部分では、胴体の部分よりもスプリングの窪みの深さをさらに小さくすることができる。
【0041】
図3Bは、大腿部に寸法基準12を置いた将来のマットレスユーザの側面画像である。側面画像に基づいて、人の側面の輪郭を決定してもよいし、正面又は背面の画像とともに、人の身長に沿った体重分布を決定してもよいし、それに基づいて、必要な弾性力を決定してもよいし、必要な弾性、すなわちマットレスの各位置でのスプリングの剛性を決定してもよい。
【0042】
図4は、ベッド200用のマットレス100に於けるスプリングシステムMのスプリング14を示す。マットレスのスプリングシステムMは、上述した方法を用いて決定される。一連のスプリング14が示されている。スプリング14は、相互に同じ高さになるように形成してもよい。スプリング14は、よりまばらにコイル状に巻かれたスプリング部分すなわちピッチが小さい、つまりより柔らかい弾性部d1と、スプリングコイルのピッチが大きい、つまりより硬いスプリング部分である弾性部d2とを備える。また、弾性部d1のスプリング係数k1は、弾性部d2のスプリング係数k2よりも小さくなっている。スプリング14は、前図に示すように、カメラ10で撮影するなどの撮影方法によって得られたユーザの測定図に基づいて、肩に当たるマットレス100の一部に使用される。
【0043】
肩領域は、より大きな窪み深さを必要とするが、この方法では、所望の窪み深さを確立するために、スプリングのコイルピッチを小さくして、スプリング定数kを小さくすることにより実施している。大きな窪みの深さを目的とする場合、より小さいスプリング係数k1の弾性部d1がスプリングでは重要である。スプリングによる良好な支持を維持するために、別の場所のスプリングでスプリングコイルのピッチを大きく、すなわち、スプリング係数k2を大きくする。各スプリングのより弾性の大きい領域は、スプリングの一端であっても、両端であっても、スプリングの中央領域であってもよい。
【0044】
開示された解決策は、スプリングを備えた任意のマットレスに弾性力が形成されることを可能にする。上記は、この解決策が、取り外し可能なマットレスベッド、フレームマットレスベッド、ヤンキーベッド、電動ベッド等のあらゆる種類のマットレスに適用してもよいことを意味する。
【0045】
マットレス100の各点での弾性力Mに於ける窪み深さは、マットレスユーザHを撮影した正面画像又は背面画像に基づいて決定される。
【0046】
整形外科用マットレスは、正面及び背面の画像とともにユーザHを撮影した側面の厚さ画像に基づいてスプリング14の各配置点で決定されるばね剛性を有する。
【0047】
弾性のためのスプリングシステムのスプリング14は、異なる窪みの深さ及び/又は剛性を有する、例えば20の異なるスプリングからなるスプリング在庫から選択される。また、スプリング14は、必要に応じて1つずつ製造してもよい。それにより、スプリング14の保管が回避されるか、少なくとも低減される。
【0048】
当業者であれば、技術の進歩に伴い、本発明の基本的な考え方を多くの異なる方法で実施できることが明らかであると分かる。したがって、本発明及びその実施形態は、上述した例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で変更してもよい。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
【手続補正書】
【提出日】2021-05-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マットレスの将来のユーザの戦略的測定点が測定により決定され、マットレスの将来のユーザの外形寸法が測定される、整形外科用マットレスの形成方法であって、決定された戦略的測定点に基づいて、マットレス内のスプリングシステムの各スプリングの窪み深さを決定し、測定された外形寸法に基づいて、スプリングシステムの前記各スプリングのための剛性を決定する、整形外科用マットレスの形成方法。
【請求項2】
前記測定された外形寸法に基づいて、前記マットレスのユーザがマットレスに付与する表面圧力を決定し、前記表面圧力に基づいて前記スプリングシステムの剛性を決定する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記将来のマットレスのユーザの肩関節の位置と、大腿骨端部及び股関節の位置とを決定する請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
異なる測定点で、前記方法で、前記ユーザの身体の周囲を決定し、計算に基づいて、前記測定点でユーザがマットレスに及ぼす表面圧力を決定する、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
正面又は背面からユーザの少なくとも1枚の画像を撮影し、前記少なくとも1枚の画像を測定してユーザの戦略的測定点を決定し、側面からユーザの少なくとも1枚の画像を撮影し、正面又は背面から撮影した少なくとも1つの画像及び側面から撮影した少なくとも1枚の画像からユーザの外形寸法を測定する、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
寸法基準を有するユーザの画像を撮影することにより、寸法基準の正確な寸法が分かっている場合、肩の正確な位置を含むユーザの身体の測定図を決定する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
寸法基準(12)として1枚の用紙を使用する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1枚の画像ではユーザが胸の高さで寸法基準を保持し、少なくとも1枚の画像ではユーザが大腿の高さで寸法基準を保持するように、ユーザの少なくとも2枚の前面又は背面の画像を撮影して画像を比較することにより、前記画像から肩関節の位置を決定する、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
ユーザの少なくとも1枚の側面画像を撮影する際、ユーザが寸法基準を大腿部の側面に保持する、請求項5から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記マットレスの将来のユーザを撮影した画像を、無線方式/有線方式、又はメモリースティック/メモリーカード/メモリーディスクで、画像の撮影者から、前記ユーザを撮影した測定詳細画像に基づいてマットレスを製造するマットレス工場又はその代理店に転送する、請求項5から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記マットレスの将来のユーザの画像を携帯電話のカメラで撮影し、携帯電話にダウンロードされたアプリケーションの指示に従って画像を撮影し、マットレスの将来のユーザ又はその販売員により、マットレスメーカー又はその代理店にマットレスの注文を送信する、請求項5から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記整形外科用マットレスのスプリングシステムのスプリングを相互に同じ高さに決定し、より柔らかいスプリングコイル領域がスプリングに形成されるように、前記スプリングコイルのピッチを小さくすることによってスプリングの少なくとも一部に弾性を持たせ、前記スプリングの柔らかい領域をスプリングの長手方向の任意の位置に配置し、スプリングのピッチを大きくして、スプリングに硬い領域を形成する、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
異なる窪みの深さ及び/又は剛性を有するスプリングを含むスプリングの在庫からマットレス用のスプリングシステムを選択し、又は必要に応じてスプリングシステムのスプリングを形成する、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
各スプリング(14)がより柔らかい部分(d1)とより硬い部分(d2)とを備えた整形外科用マットレスであって、
前記各スプリング(14)は、
前記マットレス(100)の将来のユーザの決定された戦略測定点に基づいて所定の窪み深さと、
前記マットレス(100)の将来のユーザの測定された外形寸法に基づいて決定された所定の剛性と、を備える、整形外科用マットレス。
【請求項15】
前記マットレスは同じ高さのスプリングで形成され、スプリング(14)が、前記スプリングで柔らかいマットレスを形成するために、スプリング(14)のピッチを小さくすることにより、柔らかくなったスプリングの長手方向の一部となり、前記スプリングは、少なくとも1つのより硬いコイルを含み、前記コイルのピッチは、より柔らかいスプリング領域のスプリングコイルのピッチよりも大きい、請求項14に記載の整形外科用マットレス(100)。
【請求項16】
前記スプリング(14)によって、マットレスの腰の部分に硬い領域が形成され、就寝者の姿勢を真っ直ぐにすることを可能にする、請求項14又は15に記載の整形外科用マットレス。
【国際調査報告】