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特表2022-507435プラスチック加工用途において性能および寿命を向上させるためのコーティング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】プラスチック加工用途において性能および寿命を向上させるためのコーティング
(51)【国際特許分類】
   B32B 7/02 20190101AFI20220111BHJP
   C23C 14/06 20060101ALI20220111BHJP
   B32B 9/00 20060101ALI20220111BHJP
   C23C 28/04 20060101ALI20220111BHJP
   B29C 33/38 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
B32B7/02
C23C14/06 P
B32B9/00 A
C23C28/04
B29C33/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021526363
(86)(22)【出願日】2019-11-14
(85)【翻訳文提出日】2021-07-12
(86)【国際出願番号】 EP2019081412
(87)【国際公開番号】W WO2020099605
(87)【国際公開日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】62/760,983
(32)【優先日】2018-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598051691
【氏名又は名称】エリコン・サーフェス・ソリューションズ・アクチェンゲゼルシャフト,プフェフィコーン
【氏名又は名称原語表記】OERLIKON SURFACE SOLUTIONS AG, PFAEFFIKON
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボルバルディ,ハミド
(72)【発明者】
【氏名】カティビ,アリ
(72)【発明者】
【氏名】ラム,ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】アルント,ミリヤム
(72)【発明者】
【氏名】ネフ,フロリアン
【テーマコード(参考)】
4F100
4F202
4K029
4K044
【Fターム(参考)】
4F100AA12
4F100AA12D
4F100AA19
4F100AA19B
4F100AA22
4F100AA22B
4F100AA22C
4F100AA22D
4F100AA22E
4F100AB03
4F100AB03A
4F100AB10
4F100AB10B
4F100AB13
4F100AB13A
4F100AB13B
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4F100AR00E
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4F100JK09D
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4F202CD22
4K029AA02
4K029BA03
4K029BA07
4K029BA41
4K029BA43
4K029BB02
4K029BC01
4K029BC02
4K029BD05
4K029CA03
4K029CA04
4K029CA13
4K029DD06
4K029EA04
4K044AA02
4K044BB04
4K044BC02
4K044BC05
4K044BC06
4K044CA13
(57)【要約】
プラスチック加工用途に使用される改善されたコーティングは、少なくとも1つの耐食材料層を含む第1層システムと、少なくとも1つの耐摩耗材料層を含む第2層システムと、第1層と第2層との間に設けられた遷移層とを備える。このコーティングは、摩耗および腐食の双方に対する耐性を有する一方で、延性および衝撃耐性を維持している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面に堆積されたコーティングであって、前記コーティングは、
少なくとも1つの耐食材料層を含む第1層と、
少なくとも1つの耐摩耗材料層を含む第2層と、
前記第1層と前記第2層との間に設けられた遷移層とを備えることを特徴とし、
前記第1層は前記第2層よりも前記基板の近くに堆積されている、コーティング。
【請求項2】
前記第1層は、前記第2層よりも前記基板の近くに堆積されている第1層システムの一部であり、前記第1層システムは1つ以上の耐食層を含み、少なくとも1つの耐食層はAlCrO層である、請求項1に記載のコーティング。
【請求項3】
前記第2層は、前記第1層システムよりも前記基板から遠くに堆積されている第2層システムの一部であり、前記第2層システムは1つ以上の耐摩耗層を含み、少なくとも1つの耐摩耗層はCrON層である、請求項1または2に記載のコーティング。
【請求項4】
前記遷移層は遷移層システムの一部であり、前記遷移層システムは1つ以上の遷移層を含み、少なくとも1つの遷移層はCrON層である、請求項1~3のいずれか1項に記載のコーティング。
【請求項5】
前記遷移層システムはCr層を含む、請求項4に記載のコーティング。
【請求項6】
前記第2層システムは少なくとも1つのCrN層を含む、請求項3~5のいずれか1項に記載のコーティング。
【請求項7】
前記第2層システムは少なくとも1つのCrO層を含む、請求項3~6のいずれか1項に記載のコーティング。
【請求項8】
前記第2層システムは、最外層として堆積されている少なくとも1つのCr層を含む、請求項3~7のいずれか1項に記載のコーティング。
【請求項9】
前記第1層システムは、前記基板と前記AlCrO層との間に堆積されている少なくとも1つのAlCrN層を含む、請求項2~8のいずれか1項に記載のコーティング。
【請求項10】
前記基板と前記第1層との間または前記基板と前記第1層システムとの間に、少なくとも1つの接着層が堆積されている、請求項1~9のいずれか1項に記載のコーティング。
【請求項11】
前記少なくとも1つの接着層はCrN層である、請求項10に記載のコーティング。
【請求項12】
前記第1層または前記第1層システムは、以下の材料、すなわち、酸化アルミニウムクロム(AlCrO)、酸窒化アルミニウムクロム(AlCrON)、酸化クロム(CrO)、および酸化クロム(III)(Cr)の、1つ以上の層を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載のコーティング。
【請求項13】
前記第2層または前記第2層システムは、以下の材料、すなわち、クロム(Cr)、窒化クロム(CrN)、酸窒化クロム(CrON)、酸化クロム(CrO)、および酸化クロム(III)(Cr)の、1つ以上の層を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載のコーティング。
【請求項14】
前記第2層または前記第2層システムの硬度は29GPaと33GPaとの間である、請求項1~13のいずれか1項に記載のコーティング。
【請求項15】
前記第1層または前記第1層システムは、AlCrO、AlCrON、CrO、およびCrのうちの少なくとも1つを含む多層部分である、請求項1~14のいずれか1項に記載のコーティング。
【請求項16】
前記第2層または前記第2層システムは、Cr、CrN、CrON、CrO、およびCrのうちの少なくとも1つを含む多層部分である、請求項1~15のいずれか1項に記載のコーティング。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1項に記載のコーティングを有する基板であって、前記コーティングが堆積されている前記表面は、鉄金属を含む材料からなる、基板。
【請求項18】
請求項1~16のいずれか1項に記載のコーティングを有する基板であって、前記コーティングが堆積されている前記表面は、鋼鉄を含む材料からなる、または前記鋼鉄のタイプの材料からなる、基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、コーティングに関し、より具体的にはプラスチック加工用途に使用されるコーティングに関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術
射出成形または押出のようなプラスチック加工用途は、金属工具がプラスチックに物理的に接触する可能性があるさまざまな段階を含む。この接触に起因して、工具、たとえば射出成形金型は、腐食と摩耗が組み合わさった攻撃を受ける可能性がある。プラスチックからもたらされる腐食性媒体は、軟化剤、着色剤、および遊離塩酸等のプラスチックの各種成分から発生する可能性がある。同時に、他のプラスチック加工用途における、たとえば自動車産業用の射出成形で製造される部品における、ガラス繊維強化プラスチックの使用に対する関心が高まっており、これが工具のアブレシブ摩耗(abrasive wear)を増加させている。ガラス繊維含有量が30%を超えるガラス繊維強化プラスチックは、研磨作用が非常に大きく、工具寿命を短縮させる。これらの種類のポリマーは、流体によって運ばれるマルチインデンターであると想像すればよく、ミクロカットおよびミクロプラウイング(micro ploughing)を通じて、ならびに塑性変形および材料除去に伴う固体粒子の衝突を通じて摩耗を生じさせる。図1は、このようなガラス繊維強化プラスチックの走査電子顕微鏡(SEM)断面画像を示す。ガラス繊維が工具表面上で移動すると傷が生じ、金型の品質およびその後製造されるプラスチック部品の品質を劣化させる。そのため、メンテナンス、たとえば工具面の研磨が必要となり、そうしなければ工具は完全に破損する。
【0003】
プラスチック加工に適用中の工具を腐食および摩耗が組み合わさった攻撃から保護するために、高速フレーム(HVOF:high velocity oxy-fuel)、硬質クロムまたはニッケルリン金属コーティング、物理蒸着(PVD)または化学蒸着(CVD)チタン、アルミニウムおよびその他の炭化物または窒化物層等の、いくつかのコーティングおよび堆積技術が今までにテストされた。PVDで堆積されたセラミックコーティングは、理論上は高い硬度と化学的不活性とを同時に示すことができるので、強い関心を引いている。そのため、セラミックコーティングは、理論上は、基板を攻撃的な環境から分離することによって基板を保護するはずである。それにもかかわらず、大抵の場合、多くの鋼鉄タイプでは、セラミックコーティングを使用しても、腐食性環境において鋼鉄基板の耐食性を高める可能性は、あったとしてもごくわずかであることが、文書で十分に立証されている。図2に示されるように、基板30に施されたPVDコーティング20は、ピンホール40のような複数の欠陥を含む。これらの欠陥は、腐食性媒体や塩化イオンが基板に到達するまでの高速拡散経路を提供し、コーティングと基板との界面にガルバニ電池を生じさせる。なぜなら、セラミックコーティングはほとんどの基板材料(たとえば鋼鉄)よりも電気化学的に安定性が高いからである。カソードとしてのコーティングは、アノードとしての露出基板上の非常に小さな面積の上で大きな面積を有するので、界面における腐食率は非常に高くなり得る。そのため、コーティングはもはや基板を保護することはできない。腐食はコーティングと基板との間の界面に沿って横方向に伝搬し、結果としてコーティングには部分的な劣化または層間剥離50が生じ、基板には腐食摩耗が出現し、最終的にはコーティング全体が破損し、コーティングのほぼ全体の劣化または層間剥離60と基板の腐食が観察される。
【0004】
さらに、使用中に加えられる大きな負荷または衝撃に起因する、脆いセラミックコーティングに対する摩耗の攻撃およびそのひび割れが、コーティングの腐食による破損をさらに加速させる可能性がある。そのため、ガラス繊維強化プラスチックを加工する際には、極めて高い耐摩耗性、高い耐食性、ならびにある程度の延性および耐衝撃性が同時に必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明の目的
本発明の目的は、先行技術に関連する1つ以上の問題を軽減または克服することである。特に、本発明の目的は、工具、特にプラスチック加工に使用される工具を、腐食と摩耗が組み合わさった攻撃から効果的にかつ安全に保護するためのコーティングを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の説明
以下は、本明細書に記載の実施形態の基本的理解を得るための簡潔な概要である。この説明は、広範囲にわたる総括ではなく、重要なまたは不可欠の要素を特定することを意図している訳でもない。その唯一の目的は、後に示すより詳細な説明の前置きとしていくつかの概念を簡潔な形で提示することである。
【0007】
本発明の第1の局面に従い、基板のコーティングが提供される。このコーティングは、少なくとも1つの耐食材料層を含む第1層と、少なくとも1つの耐摩耗材料層を含む第2層と、第1層と第2層との間に設けられた遷移層とを含み、第1層は第2層よりも基板の近くに堆積されている。第1層は、少なくとも1つの耐食材料層を含むように設計されているので(以下耐食材料層とも呼ぶ)、第1層は、1つ以上の層で形成された層システムであると理解されねばならない。同様に、第2層は、少なくとも1つの耐摩耗材料層を含むように設計されているので(以下耐摩耗材料層とも呼ぶ)、第2層は、1つ以上の層で形成された層システムであると理解されねばならない。遷移層も、1つ以上の層で形成された、たとえば、1つ以上の勾配層で形成することができる、層システムであると理解されねばならない。
【0008】
したがって、上記発明のコーティングは、
1つ以上の層で形成され少なくとも1つの耐食層を含む、第1のコーティング層システムと、
1つ以上の層で形成され少なくとも1つの耐摩耗層を含む、第2のコーティング層システム(耐摩耗層とも呼ばれる)と、
1つ以上の層で形成され第1層システムと第2層システムとの間に設けられた遷移層システムであって、この遷移層システムの上記1つ以上の層はたとえば勾配層であってもよいが非勾配層であってもよく勾配層と非勾配層との組み合わせであってもよい、遷移層システムと
を含むものとしても理解されるはずである。
【0009】
第1の局面の別の例において、第1層は、第2層よりも基板の近くに堆積されている第1層システムの一部であり、第1層システムは1つ以上の耐食層を含み、少なくとも1つの耐食層はAlCrO層である。
【0010】
第1の局面の別の例において、第2層は、第1層システムよりも基板から遠くに堆積されている第2層システムの一部であり、第2層システムは1つ以上の耐摩耗層を含み、少なくとも1つの耐摩耗層はCrON層である。
【0011】
第1の局面の別の例において、遷移層は遷移層システムの一部であり、遷移層システムは1つ以上の遷移層を含み、少なくとも1つの遷移層はCrON層である。
【0012】
第1の局面の別の例において、遷移層システムはCr層を含む。
第1の局面の別の例において、第2層システムは少なくとも1つのCrN層を含む。
【0013】
第1の局面の別の例において、第2層システムは少なくとも1つのCrO層を含む。
第1の局面の別の例において、第2層システムは、最外層として堆積されている少なくとも1つのCr層を含む。
【0014】
第1の局面の別の例において、第1層システムは、基板とAlCrO層との間に堆積されている少なくとも1つのAlCrN層を含む。
【0015】
第1の局面の別の例において、基板と第1層との間または基板と第1層システムとの間に、少なくとも1つの接着層が堆積されている。
【0016】
第1の局面の別の例において、少なくとも1つの接着層はCrN層である。
第1の局面の別の例において、第1層または第1層システムは、以下の材料、すなわち、酸化アルミニウムクロム(AlCrO)、酸窒化アルミニウムクロム(AlCrON)、酸化クロム(CrO)、および酸化クロム(III)(Cr)の、1つ以上の層を含む。
【0017】
第1の局面の別の例において、第2層または第2層システムは、以下の材料、すなわち、クロム(Cr)、窒化クロム(CrN)、酸窒化クロム(CrON)、酸化クロム(CrO)、および酸化クロム(III)(Cr)の、1つ以上の層を含む。
【0018】
第1の局面の別の例において、第2層システムの硬度は29GPaと33GPaとの間である。
【0019】
第1の局面の別の例において、第1層または第1層システムは、AlCrO、AlCrON、CrO、およびCrのうちの少なくとも1つを含む多層部分である。
【0020】
第1の局面の別の例において、第2層または第2層システムは、Cr、CrN、CrON、CrO、およびCrのうちの少なくとも1つを含む多層部分である。
【0021】
本発明の第2の局面において、上記コーティングを有する基板が開示され、コーティングが堆積されている表面は、鉄金属を含む材料からなる。
【0022】
第2の局面の別の例において、コーティングが堆積されている表面は、鋼鉄を含む材料からなる、または上記鋼鉄のタイプの材料からなる。
【0023】
本発明の第3の局面において、基板をコーティングする方法が提供される。この方法は、基板を準備するステップと、基板を耐食材料の複数の層でコーティングするステップと、耐食材料の複数の層を少なくとも1つの遷移層でコーティングするステップと、少なくとも1つの遷移層を耐摩耗材料の複数の層でコーティングするステップとを含む。
【0024】
その他の特徴および局面は、以下の詳細な説明、図面、および請求項から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】先行技術のガラス繊維強化プラスチックの断面画像を示す図である。
図2】腐食が出現し腐食による破損が生じた先行技術の被覆基板を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る、基板110の表面に堆積されている本発明のコーティング105の一例を概略的に示す図であり、第2層システム140は、たとえば、Cr、CrN、CrON、CrOまたはCrOというタイプの層を含む多層膜であり、第1層システム120は、たとえば、AlCrO、AlCrON、Crというタイプの層を含む多層膜であり、1つまたは複数の遷移層130は、第1層システム120と第2層システム140との間に堆積されている。
図4】耐摩耗テスト結果を示す図であり、AlTiNおよびAlCrNというタイプの先行技術の比較対象のコーティングで被覆された基板を用い、また、本発明の一実施形態に係る新規の多層コーティングを用いて、同一条件下で発生した摩耗深さの進展を比較したものを示し、このグラフではいずれのコーティングもコーティング破損を示していない。
図5】耐食テスト結果を示す図であり、AlTiNおよびAlCrNというタイプの先行技術の比較対象のコーティングで被覆された基板を用い、また、本発明の一実施形態に係る新規の多層コーティングを用いて、同一条件下で発生した腐食の出現、および、場合によってはコーティング破損を比較したものを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図面および詳細な説明を通して、特に明記しない限り、同一の図面参照番号は、同一の要素、特徴、および構造を示すものであると理解される。これらの要素の相対的な大きさおよび描写は、明確化、説明、および便宜のために強調される場合がある。
【0027】
本発明の1つ以上の実施形態を含む例について説明し、必要に応じて図面に示す。説明および/または示されるこれらの例は、限定を意図したものではない。たとえば、本発明のある実施形態の1つ以上の局面を、その他の実施形態で、およびその他の種類の基板(たとえば工具、構成部品または装置)でさえ、使用することができる。
【0028】
本明細書では、多層のコーティングアーキテクチャの一例、ならびに、高耐摩耗性および高耐食性とともに延性および耐衝撃性を示す材料の選択について説明する。典型的に、腐食はコーティングと基板との間の界面で生じる。したがって、多層コーティングの耐食層または耐食部分はこの界面に設ければよい。次に図3を参照して、一例としての耐食部分100(たとえば本発明に係る耐食部分を含むコーティングで被覆された構成要素、工具または装置の一部)が示されている。この例において、耐食・耐摩耗コーティング105が基板110に与えられる。基板110は、鋼鉄または鋳鉄のような鉄金属の面を有する射出成形金型のような工具であってもよい。しかしながら、コーティング105は非鉄金属面に適用することもできる。コーティング105は、このように耐食特性を示す少なくとも1つの耐食層を含む第1層システム120を含む。たとえば、第1層システム120は、酸化アルミニウムクロム(AlCrO)、酸窒化アルミニウムクロム(AlCrON)、酸化クロム(CrO)、および/または酸化クロム(III)(Cr)の1つ以上の層を含み得る。このような耐食性の酸化物および酸窒化物の層は、電子の外方への拡散を減じる絶縁体として作用し、かつ、環境からの腐食性イオンの内方への拡散に対するバリアとしても作用する。これらの層は腐食性イオンの拡散を防止するまたは減速させる。
【0029】
第2層システム140を、第1層システム120の上に設けることができる。第2層システム140は、このように耐摩耗特性を示すために1つ以上の耐摩耗層を含む単層または多層として堆積させることができる。第2層システム140は、基板110をアブレシブ摩耗から保護し、第1層システム120を形成する上記少なくとも1つの耐摩耗層は、基板を腐食摩耗(corrosive wear)から保護し、このようにして、本発明のコーティング105は、基板110に、優れた耐食特性に加えて、使用中のアブレシブ摩耗および機械的負荷に対する耐性も与える。より具体的には、第2層システム120は、多層を形成するための、クロム(Cr)、窒化クロム(CrN)、酸窒化クロム(CrON)、酸化クロム(CrO)、および/または酸化クロム(III)(Cr)の層のうちの1つ以上の層を含み得る。
【0030】
結果として得られるコーティングは、31±2GPaという高い硬度を有することができ、個々の層のそれぞれの層厚さがマイクロメートルの範囲および/またはナノメートルの範囲である多層構造を示すコーティングを堆積させることができる。この構造は、より高い延性および亀裂偏向を示すとともに、耐摩耗性および機械的負荷への耐性が高い。図3に示されるように、第1層120と第2層130との間に少なくとも1つの遷移層130を設けることにより、耐食および耐摩耗性部分の層間剥離を減じることができる。これらの層は、結晶構造および格子パラメータだけでなく化学組成も異なるので、たとえば、第1層システム120と第2層システム140との間の接着性を高めることによってコーティング105内の凝集を改善するための正確な遷移部(1つ以上の遷移層を含む)は、重要となり得る。
【0031】
本発明のコーティングの例(本発明の新規多層コーティング)の、ガラス繊維強化プラスチックに対する耐摩耗特性を、先行技術の比較例としてのコーティングとの比較において評価するために、テストを実施した。次に図4を参照して、100Nの垂直負荷を120kmの距離にわたって加える乾式スライドテストにおいて、50%のガラス繊維を含むポリアミドに対し、被覆された鋼鉄基板をテストした。図4は、図3に開示される実施形態に係るコーティングの摩耗深さを、従来の(先行技術の)窒化アルミニウムクロム(AlCrN)タイプおよび窒化チタンアルミニウム(TiAlN)タイプの耐摩耗性PVDコーティングの摩耗深さと比較したものを示す。本発明のコーティングが耐摩耗性について優れた性能を有することが明らかにわかる。
【0032】
図3に開示される実施形態に係る本発明のコーティングの耐食性を、どちらも上記と同じタイプの従来(先行技術)の耐摩耗性PVDコーティングとの比較において評価するために、中性塩水噴霧試験(NSST:neutral salt spray test)を実施した。これらのコーティングは、Crの原子百分率が0.4である1.2842冷間加工鋼からなる基板に施された。この低いCr含有率は、基板(鋼鉄)とCrを含むコーティングとの間のより大きなガルバニ電位差を許容し、したがって、NSST中のより大きな腐食の程度および腐食率を許容する。図5からわかるように、従来のAlCrNおよびAlTiNのコーティングは、多数のスポットで著しい孔食(pitting corrosion)を示した。この孔食は、次の数日にわたって急速に伝搬した。6日目までに、基板からの酸化鉄は、コーティングのほぼ全表面を覆っている。一方、図3に記載の実施形態の例に係る本発明のコーティングが1日目に示した孔食スポットはごくわずかで軽微なものであった。加えて、これは6日間を通して安定した状態を保ち、6日目にその他の腐食スポットまたは伝搬は観察されていない。
【0033】
本発明のコーティングおよび本発明のコーティング内の層として使用できる材料のいくつかの例について説明した。それでもなお、各種改良を行い得ることが理解されるであろう。たとえば、上記要素を異なる態様で組み合わせるおよび/またはその他の要素もしくはその均等物で置換するまたは補足することにより、好適な結果を得ることができる。したがって、その他の実装形態が以下の請求項の範囲に含まれる。
【0034】
本発明のある好ましい実施形態は、以下のコーティングを意味し、このコーティングは、第1層システムと、第2層システムと、少なくとも1つの遷移層とを備え、
第1層システムは、耐食層として、少なくとも1つのAlCrN層と、好ましくはまた、少なくとも1つのAlCrO層とを含み、
第2層システムは、少なくとも1つのCrON層と、好ましくはまた、少なくとも1つのCrN層および/または1つのCrO層とを含み、
第1層システムと第2層システムとの間に堆積された1つ以上の遷移層で形成された遷移層システムは、少なくとも1つのCr遷移層および/または少なくとも1つのCrON遷移層を含み、これらの遷移層は、勾配層として、または非勾配層として、または勾配層と非勾配層との組み合わせとして、堆積されてもよい。
【0035】
上記本発明の実施形態および好ましい実施形態の各々はまた、基板に対する第1層システムの接着性を改善するために、基板と第1層システムとの間に堆積された1つ以上の接着層を含み得るものであり、好ましくは、CrN層を接着層として使用できる。この接着層を、または2つ以上の接着層を堆積させたときに、接着層の合計厚さは、好ましくは1マイクロメートル以下である。しかしながら、接着層のまたは複数の接着層の合計の層厚さは、1マイクロメートルよりも大きくてもよいが、好ましくは、1.5マイクロメートル以下である。
【0036】
本発明の上記実施形態および好ましい実施形態の各々は、コーティングの最上層としてCr層を含み得るものであり、これは、第2層システムの、特に耐アブレシブ摩耗に関する性能を改善するための、最外層を意味する。この最外層として、好ましくは1マイクロメートル以上の層厚さを有する最外層が堆積される。しかしながら、この最外層の層厚さは、1マイクロメートル未満でもよいが、好ましくは0.5マイクロメートル以上である。
【0037】
第1層システムの厚さは、好ましくは1マイクロメートルよりも大きく、より好ましくは2マイクロメートルよりも大きい。しかしながら、第1層システムの層厚さは、1マイクロメートル未満でもよいが、好ましくは0.5マイクロメートル以上である。
【0038】
第2層システムの厚さは、好ましくは2マイクロメートルよりも大きく、より好ましくは2.5マイクロメートルよりも大きい。しかしながら、第1層システムの層厚さは、2マイクロメートル未満でもよいが、好ましくは1.5マイクロメートル以上である。
【0039】
第2層システムの厚さは、好ましくは第1層厚さの層厚さよりも大きい。
好ましくは、堆積される本発明に係るコーティングの、合計コーティング厚さは、1マイクロメートルと30マイクロメートルとの間であり、より好ましくは2.5マイクロメートルと20マイクロメートルとの間である。しかしながら、この好ましいコーティング厚さの範囲は、本発明を限定するものとして理解されてはならない。一般的に、合計コーティング厚さおよび個々の層または層システムの厚さは、工具の用途または基板の用途に応じて選択すればよい。
【0040】
好ましくは、本発明に係るコーティングは、プラスチック材料、たとえばポリエステル材料からなる部品の製造に使用される射出成形金型の性能を改善し寿命を延ばすのに特に適している。
【0041】
本発明のコーティングで得られる改善をより詳細に示すために、以下において、さらに他の例をショーケースコーティングとして説明する。
【0042】
このショーケースコーティングは、被加工物材料と接触することになる、射出成形工具(たとえば射出成形金型または射出成形金型の部品)の表面に、反応性カソードアーク蒸着タイプの物理蒸着(PVD)技術を用いて堆積された。コーティングの堆積中、Crターゲットおよび/またはAlCrターゲットは、反応ガスとして窒素ガスおよび/または酸素ガスを含むコーティングチャンバ内でアーク蒸発された。この特定のショーケースにおいて、原子百分率でAlが70at%、Crが30at%である元素組成を有するAlCrターゲットが選択された。堆積されるこのショーケースコーティングでは、被覆すべき射出成形工具の表面に、CrNの接着層が直接堆積され、続いて、接着層の上に、AlCrNの1つの層とAlCrOの1つの層とを含む第1層システム(本発明の文脈では腐食層システムとも呼ばれる)が堆積され、続いて、第1層システムの上に、Crの1つの遷移層とCrONの1つの遷移層とを含む遷移層システム(遷移層システム=2つ以上の遷移層)が堆積され、続いて、遷移層システムの上に、層の連続として複数の層が交互に堆積されたものを含む第2層システム(本発明の文脈では摩耗層システムとも呼ばれる)が堆積され、各層の連続体は、CrNの層、CrONの層、およびCrOの層とを含み、かつ、最外層としてCrを含んでいた。たとえば図6に示される、いくつかの実際の適用テストにおいて、堆積されたショーケースコーティングは、6マイクロメートルと8マイクロメートルとの間の合計コーティング厚さを有していた。
【0043】
本発明のコーティングは、射出成形工具の、予め窒化された基板の上に、たとえば予め窒化された表面の上に、施すことができる。
【0044】
本発明のコーティングは、好ましくはPVD法により堆積され、たとえば、好ましくは基板温度を250℃と450℃との間に維持し、アークPVDまたはスパッタリングPVDにより、堆積される。しかしながら、コーティング中のこの好ましい基板温度は、本発明を限定するものとして理解されてはならない。
【0045】
窒化物層(たとえばCrNおよびAlCrN)の堆積は、好ましくはDC基板バイアスを基板に印加することによって実行され、酸素を含む層(たとえばCrO、Cr、およびCrONの層のような酸化物または酸窒化物の層)の堆積は、好ましくはバイポーラバイアスを印加することよって実行される。
【0046】
好ましくは、続いて積み重ねて堆積される窒素および/または酸素を含む層の堆積において、一連の層を生成するまたは単純に積み重ねて堆積された層を生成するために、たとえば、最初にCrN層を、その後CrON層を、その後CrO層を堆積させるために、コーティングチャンバに入る窒素の流量および酸素の流量を、相応に徐々に増大および/または減少させる。その場合、最初に、CrN層を堆積させるために、コーティングチャンバに入る決められた窒素の流量を維持してCrターゲットを蒸発させればよく、続いて、CrON層を堆積させるために、コーティングチャンバ内に酸素を導入しその流量を徐々に増大させる一方で、窒素の流量を維持するかまたは徐々に減少させればよく、最後に、CrO層を堆積させるために、窒素の流量を0sccmまで徐々に減少させる一方で、酸素の流量を、維持するかまたは決められた酸素流量になるまで徐々に増大もしくは減少させればよい。逆の順序の層を堆積させるには、同様のプロセスを逆に、たとえば、CrO→CrON→CrNの順に実行すればよい。
【0047】
本発明のコーティングは、どの種類の基板材料のコーティングにも適している。塑性成形プロセス(たとえば射出成形および押出)の分野の用途において、基板材料は顕著に異なる種類の鋼鉄である。
【0048】
発明者らは、酸素を含む層の堆積中、特に酸化物層の堆積中には、使用中のコーティング装置およびコーティング条件、たとえばターゲット材料の種類および蒸発させているターゲットの量に合わせて調整した酸素流量を使用することを推奨する。コーティング構造の機械的特性および密度が意図する用途に適するように酸素流量の範囲を見出すことが推奨される。コーティングチャンバ内の酸素含有量が多すぎると、堆積中の酸素を含む層の不十分な機械的特性および低密度構造につながる可能性がある。
【0049】
たとえばCrN→CrNO→CrOタイプの一連の層を含む本発明のいくつかのコーティングの堆積中、酸素流量は増大させ窒素流量は減少させた。たとえば、CrNO層およびCrO層の堆積については酸素流量を200sccmから600sccmに増大させ、CrN層およびCrNO層の堆積については窒素流量を1100sccmから100sccmに減少させた。逆の順序、たとえばCrO→CrNO→CrNの堆積の場合、酸素および窒素の流量を同様であるが逆の順序で増大および減少させた。
【0050】
図6は、上記ショーケースコーティングと同様に堆積させた本発明のコーティングで被覆された4つの射出成形金型(図6の金型1、金型2、金型3、および金型4で識別される)と、AlTiNタイプの先行技術のコーティングで被覆された1つの射出成形金型の、射出成形(実際の条件での適用テスト)で得られた結果を示す。これらの結果から、AlTiNで被覆された金型および本発明に従って被覆された金型で実施された射出成形のショット(製造された部品、この場合は製造された電気スイッチ)の数の比較により、本発明で得られた改善を定量化することができる。
【0051】
図6に示されるグラフに示されているように、先行技術のAlTiNコーティングで被覆された金型の場合、被覆された金型が使用できなくなるまでに行うことができたショットの数はわずか40,000~50,000ショットであった(平均寿命はおよそ50,000ショットであった)。本発明に係るコーティングで被覆された金型の場合、改善は極めて大きく、あるケースでは400%を超えるものさえあり、本発明のコーティングで被覆されたこれらの金型はなおも使用可能であった。これらのテストで使用された被加工物の材料は30%のガラス繊維を有する不飽和ポリエステルであり、製造された部品は電気スイッチであった。
【0052】
本発明において開示される、基板の上に堆積されるコーティングは、少なくとも1つの耐食材料層を含む第1層または第1層システムと、少なくとも1つの耐摩耗材料層を含む第2層または第2層システムと、第1層と第2層との間に設けられた遷移層とを備え、第1層または第1層システムは、第2層または第2層システムよりも基板の近くに堆積されている。
【0053】
このコーティングは、耐摩耗部分のみを有するコーティング、たとえば、CrN/CrON/CrN/CrONタイプの多層構造を有するコーティングにおいて上記耐摩耗部分が良好な耐摩耗性を提供するものの耐食性が不十分であることと比較して、利点を有する。
【0054】
耐食部分、たとえば少なくとも1つのAlCrO層を、基板のより近くで含むことにより、耐食性が改善される。なぜなら、AlCrO層は、腐食に対するバリアとして作用するからである。AlCrO層と基板との間にさらにAlCrN層を含めることにより、腐食バリア効果を備えつつもコーティングから基板への接着性を改善することが可能である。同様に、CrNタイプの接着層を含めることにより、耐食部分から基板への接着性をさらに高めることが可能である。
【0055】
遷移層は、コーティングの耐食部分と耐摩耗部分との接着性を改善することによってコーティングの凝集を改善する。
【0056】
Cr最外層の使用は、特に、プラスチック材料の加工、たとえば射出成形を含む用途において、コーティングの性能を高める。なぜなら、AlCrOは、被加工物の加工中にプラスチック材料に固着する傾向を減じるからである(プラスチック材料に対する化学的親和力が小さいという効果に起因する)。
【0057】
第1層または第1層システムは、好ましくは、以下の材料、すなわち、酸化アルミニウムクロム(AlCrO)、酸窒化アルミニウムクロム(AlCrON)、酸化クロム(CrO)、および酸化クロム(III)(Cr)の、1つ以上の層を含む。
【0058】
第2層または第2層システムは、好ましくは、以下の材料、すなわち、クロム(Cr)、窒化クロム(CrN)、酸窒化クロム(CrON)、酸化クロム(CrO)、および酸化クロム(III)(Cr)の、1つ以上の層を含む。
【0059】
好ましくは、第2層または第2層システムの、周知のナノインデンテーション技術を用いて測定した硬度は、29GPaと33GPaとの間である。
【0060】
第1層または第1層システムは、一実施形態において、AlCrO、AlCrON、CrO、およびCrのうちの少なくとも1つを含む多層部分であってもよい。
【0061】
第2層または第2層システムは、一実施形態において、Cr、CrN、CrON、CrO、およびCrのうちの少なくとも1つを含む多層部分であってもよい。
【0062】
第1層または第1層システムは、電子の外方への拡散および環境からの腐食性イオンの内方への拡散から基板を絶縁することを意図している。
【0063】
遷移層または遷移層システムは、第1層と第2層との間の層間剥離を減じることを意図している。
【0064】
第1層または第1層システムの化学組成は、第2層または第2層システムの化学組成と異なる。
【0065】
一実施形態において、第1層または第1層システムの結晶構造および格子パラメータは、第2層または第2層システムの結晶構造および格子パラメータと異なる。
【0066】
本発明はまた、基板をコーティングする方法に関し、この方法は、
基板を準備するステップと、
多層耐食部分を基板に与えるステップと、
少なくとも1つの遷移層を多層耐食部分に与えるステップと、
多層耐摩耗部分を上記少なくとも1つの遷移層に与えるステップとを含む。
【0067】
本発明に係るコーティングで被覆された基板は鉄金属面を含み、この鉄金属面の上に上記コーティングが堆積される。
【0068】
さらに他の一実施形態において、多層耐食部分は、以下の材料、すなわち、AlCrO、AlCrON、CrO、およびCrのうちの少なくとも1つを含み、および/または多層耐摩耗部分は、以下の材料、すなわち、Cr、CrN、CrON、CrO、およびCrのうちの少なくとも1つを含む。
【0069】
特に、本発明に係るコーティングは、プラスチック加工用途に使用することができる。このコーティングは、摩耗および腐食の両方に対する耐性を有しつつ、延性および耐衝撃性を維持する。
【0070】
本発明に係るコーティングの好ましい実施形態に従うと、本発明のコーティングは、基板の表面に堆積され、
少なくとも1つの耐食材料層を含む第1層と、
少なくとも1つの耐摩耗材料層を含む第2層と、
第1層と第2層との間に設けられた遷移層とを備えることを特徴とし、
第1層は第2層よりも基板の近くに堆積されており
第1層は、第2層よりも基板の近くに堆積されている第1層システムの一部であり、第1層システムは1つ以上の耐食層を含み、1つの耐食層は好ましくはAlCrO層である。
【0071】
好ましくは、第2層は、第1層システムよりも基板から遠くに堆積されている第2層システムの一部であり、第2層システムは1つ以上の耐摩耗層を含み、1つの耐摩耗層はCrON層である。
【0072】
好ましくは、遷移層は遷移層システムの一部であり、遷移層システムは1つ以上の遷移層を含み、1つの遷移層はCrON層である。
【0073】
好ましくは、遷移層システムはCr層を含む。好ましくは、第2層システムは、少なくとも1つのCrN層および/または少なくとも1つのCrO層を含む。
【0074】
好ましくは、第2層システムは、最外層として堆積されている少なくとも1つのCr層を含む。
【0075】
好ましくは、第1層システムが少なくとも1つのAlCrO層を含む場合、少なくとも1つのAlCrN層は基板とAlCrO層との間に堆積されている。
【0076】
好ましくは、基板と第1層との間または基板と第1層システムとの間に、少なくとも1つの接着層が堆積されている。
【0077】
好ましくは、上記少なくとも1つの接着層はCrN層である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】