IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ リピゴン ファーマスーティカルス アー・ベーの特許一覧

特表2022-507464脂肪酸代謝の調節に影響を与えるANGPTL4オリゴヌクレオチド
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】脂肪酸代謝の調節に影響を与えるANGPTL4オリゴヌクレオチド
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20220111BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220111BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20220111BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20220111BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20220111BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20220111BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20220111BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20220111BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20220111BHJP
   A61P 31/16 20060101ALI20220111BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220111BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20220111BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
A61P43/00 111
A61P9/00
A61P3/04
A61P3/10
A61P3/06
A61P1/18
A61P3/00
A61P7/00
A61P31/16
A61P35/00
A61P35/02
A61K31/7088
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021526428
(86)(22)【出願日】2019-11-13
(85)【翻訳文提出日】2021-06-11
(86)【国際出願番号】 EP2019081161
(87)【国際公開番号】W WO2020099478
(87)【国際公開日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】18206087.1
(32)【優先日】2018-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521204884
【氏名又は名称】リピゴン ファーマスーティカルス アー・ベー
【氏名又は名称原語表記】Lipigon Pharmaceuticals AB
【住所又は居所原語表記】Tvistevaegen 48 C, 907 36 Umea, Sweden
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フランク ジャシンスキ
(72)【発明者】
【氏名】アンネ ザーデヴァッサー
(72)【発明者】
【氏名】スヴェン ミヒェル
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA36
4C086ZA51
4C086ZA66
4C086ZA70
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZB33
4C086ZC02
4C086ZC21
4C086ZC33
4C086ZC35
(57)【要約】
本発明は、12~22個のヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドからなるANGPTL4阻害剤であって、ヌクレオチドの少なくとも1つが修飾され、オリゴヌクレオチドが配列番号1のANGPTL4(ヒト)、配列番号2のANGPTL4(ヒト)、配列番号58のANGPTL4(マウス)および/または配列番号59のANGPTL4(マウス)の核酸配列とハイブリダイズし、オリゴヌクレオチドがANGPTL4の発現を阻害する、ANGPTL4阻害剤、ならびにかかる阻害剤と薬学的に許容可能な担体、賦形剤、希釈剤またはそれらの組合せとを含む医薬組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
12~22個のヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドからなるANGPTL4阻害剤であって、前記ヌクレオチドの少なくとも1つが修飾され、前記オリゴヌクレオチドが配列番号1のANGPTL4(ヒト)、配列番号2のANGPTL4(ヒト)、配列番号58のANGPTL4(マウス)および/または配列番号59のANGPTL4(マウス)の核酸配列とハイブリダイズし、前記オリゴヌクレオチドがANGPTL4の発現を阻害する、ANGPTL4阻害剤。
【請求項2】
ハイブリダイズ活性部位が、配列番号1の1732位~1759位、234位~261位、1264位~1293位および/もしくは配列番号2の2800位~2872位、3415位~3442位、4968位~4994位、またはそれらの組合せから選択される、請求項1記載の阻害剤。
【請求項3】
修飾された前記ヌクレオチドがLNA、cET、ENA、2’フルオロ修飾ヌクレオチド、2’O-メチル修飾ヌクレオチド、2’O-メトキシエチル修飾ヌクレオチドおよびそれらの組合せ等の架橋型核酸からなる群から選択される、請求項1または2記載の阻害剤。
【請求項4】
配列番号47、配列番号159、配列番号161、配列番号163、配列番号165、配列番号173、配列番号179、配列番号186、配列番号187、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56およびそれらの組合せからなる群から選択される配列を含む配列番号1のANGPTL4、配列番号2のANGPTL4、配列番号58のANGPTL4および/または配列番号59のANGPTL4とハイブリダイズする、請求項1から3までのいずれか1項記載の阻害剤。
【請求項5】
前記オリゴヌクレオチドが、+C+A+A+T+C+C+G(配列番号47)、+C+A+A+C+C+G(配列番号47)、+C+A+A+T+C+C+G(配列番号47)、+T+C+G+A+G+A(配列番号159)、+A+A+C+C+G+A(配列番号161)、+T+T+A+A+G+T(配列番号163)、+T+C+G+C+A+C(配列番号165)、+C+T+T+A+C+C(配列番号173)、+T+A+G+G+C+G(配列番号179)、+A+G+T+A+G+G(配列番号186)、+G+A+A+T+G+A(配列番号187)、+A+C+C(配列番号3)、+G+C+G+T+T(配列番号4)、+C+T+G+A+T+C(配列番号5)、+C+C+C+G+G+A(配列番号6)、+G+T+A+G(配列番号7)、+G+A+C+C(配列番号8)、+G+G+C(配列番号9)、+C+A+T+A+G+A(配列番号10)、+C+G+T+T+C(配列番号11)、+C+G+T+A+T+T(配列番号12)、+T+C+T(配列番号13)、+G+A+G(配列番号14)、+T+G+C+G(配列番号15)、+T+G+T+C(配列番号16)、+G+T+T(配列番号17)、+G+T+C+G+C+A(配列番号18)、+G+C+A+T+C+A(配列番号19)、+T+T+G+A+G+G(配列番号20)、+G+G+A+C+A+A(配列番号21)、+G+T+T+C(配列番号23)、+G+A+T+C+A+A(配列番号24)、+G+T+G+T+G+T(配列番号25)、
+C+C+G+C+T+T(配列番号26)、+C+C+T+C+T+G+C(配列番号27)、+C+C+G+T(配列番号28)、+G+A+C+T(配列番号29)、+C+G+T+A+T+T(配列番号30)、+T+A+T(配列番号31)、+C+C+G+C(配列番号32)、+A+C+T+C(配列番号33)、+G+C+C(配列番号34)、+G+A+G+T(配列番号35)、+G+C+G+C+T(配列番号36)、+C+G+A+T(配列番号37)、+C+T+C+C+T+T(配列番号38)、+G+C+T+T+C+T(配列番号39)、+G+G+C+T+C(配列番号40)、+G+G+A+G+C(配列番号41)、+G+G+A+G+G+C(配列番号42)、+A+T+G+A+C+T+G(配列番号43)、+G+G+A+T+A+C(配列番号44)、+G+G+G+G+T(配列番号45)、+A+T+G+G+C+C(配列番号46)、+G+A+A+G(配列番号48)、+C+T+G+C+A+C(配列番号49)、+T+G+G+A+G+A(配列番号50)、+C+A+C+A+G+G(配列番号51)、+G+C+C+G+T+T(配列番号4)、+A+G+G+A+G+C(配列番号52)、+G+A+T+G+C+C(配列番号8)、+G+A+T+A+A+T(配列番号53)、+G+A+A+T(配列番号53)、+C+G+T+T+T+G(配列番号54)、+G+A+T+G+C+A(配列番号55)、+G+A+T+C+A(配列番号55)、+G+G+A+C+G+C(配列番号56)、+C+T+G+A+T+C(配列番号5)およびそれらの組合せからなる群から選択され、ここで、+はLNAヌクレオチドを示し、はヌクレオチド間のホスホロチオエート(PTO)結合を示す、請求項1から4までのいずれか1項記載の阻害剤。
【請求項6】
前記阻害剤が、ANGPTL4の発現をナノモル濃度またはマイクロモル濃度で阻害する、請求項1から5までのいずれか1項記載の阻害剤。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項記載の阻害剤と薬学的に許容可能な担体、賦形剤、希釈剤またはそれらの組合せとを含む医薬組成物。
【請求項8】
ANGPTL4不均衡が関与する障害を予防および/または治療する方法への使用のための、請求項1から6までのいずれか1項記載の阻害剤または請求項7記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記障害が心血管代謝疾患、肥満、2型糖尿病等の糖尿病、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症(HTG)、脂質異常症、膵炎、メタボリックシンドローム、家族性高カイロミクロン血症症候群(FCS)、インフルエンザ感染および/または癌である、請求項8記載の使用のための阻害剤または医薬組成物。
【請求項10】
前記高コレステロール血症が、ホモ接合体家族性高コレステロール血症(HoFH)またはヘテロ接合体家族性高コレステロール血症(HeFH)である、請求項8または9記載の使用のための阻害剤または医薬組成物。
【請求項11】
前記癌が乳癌、肺癌、悪性黒色腫、リンパ腫、皮膚癌、骨癌、前立腺癌、肝癌、脳癌、喉頭、胆嚢、膵臓、精巣、直腸、副甲状腺、甲状腺、副腎、神経組織、頭頸部、結腸、胃、気管支、腎臓の癌、基底細胞癌、扁平上皮癌、転移性皮膚癌、骨肉腫、ユーイング肉腫、細網肉腫、脂肪肉腫、骨髄腫、巨細胞腫、小細胞肺腫瘍、島細胞腫、原発性脳腫瘍、髄膜腫、急性および慢性のリンパ球性および顆粒球性腫瘍、急性および慢性の骨髄性白血病、有毛細胞腫、腺腫、過形成、髄様癌、腸管神経節腫、ウィルムス腫瘍、精上皮腫、卵巣腫瘍、平滑筋腫、子宮頸部異形成、網膜芽細胞腫、軟部組織肉腫、悪性カルチノイド、局所皮膚病変、横紋筋肉腫、カポジ肉腫、骨原性肉腫、悪性高カルシウム血症、腎細胞腫、真性多血症、腺癌、退形成性星細胞腫、多形膠芽腫、白血病または類表皮癌である、請求項8から10までのいずれか1項記載の使用のための阻害剤または医薬組成物。
【請求項12】
前記阻害剤または前記組成物が、局所的または全身的に投与するのに適している、請求項8から11までのいずれか1項記載の使用のための阻害剤または医薬組成物。
【請求項13】
組成物が1回または繰り返して投与するのに適している、請求項8から12までのいずれか1項記載の使用のための阻害剤または医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンチセンスオリゴヌクレオチド等のANGPTL4の阻害剤およびかかる阻害剤を含む医薬組成物、ならびに心血管疾患、肥満、II型糖尿病、ホモ接合体家族性高コレステロール血症(HoFH)、ヘテロ接合体家族性高コレステロール血症(HeFH)または脂質異常症(dislipidemia)の治療へのその使用に関する。
【0002】
発明の背景
血漿脂質の乱れは、心血管代謝疾患においてよく知られたリスク因子である。LDL-コレステロールの上昇の治療の成功は80年代半ばからもたらされており、その後の数十年間で、HDL-コレステロールおよびトリグリセリド等の他の脂質クラスへと焦点が広げられた。疫学的研究から、血漿トリアシルグリセロール(TG)および付随するレムナントコレステロールの増加が冠状動脈性心疾患の独立したリスク因子であることが明らかにされている(Cullen, 2000)。さらに、高トリグリセリド血症(HTG)は、メタボリックシンドローム(MS)の特徴であり、肥満およびインスリン耐性を伴うことが多い(Reaven, 1995)。メタボリックシンドロームおよびHTGと関連する2型糖尿病および心血管疾患(CVD)のリスクの増加により、血漿TG恒常性の維持が非常に望ましいことが示唆される。
【0003】
重度の高トリグリセリド血症を有する患者は、特にTGレベルが1000~1500mg/dlを超える場合(Tsuang, 2009)、膵炎を発症する可能性もある(Athyros, 2002)。40個もの異なる遺伝子が血漿TGを調節することが現在知られているが(Johansen, 2011)、TGを顕著に増加させることが知られている単一遺伝子(monogenetic)障害も、少なからず存在する(Nordestgaard and Varbo, 2014)。これらには、以下でより詳細に説明するFCSが含まれる。
【0004】
脂肪分解は、心臓、骨格筋および脂肪組織の毛細血管の管腔表面で起こるTGリッチリポタンパク質のクリアランスの重要な段階である。筋肉および脂肪細胞で合成されたLPLは、毛細血管内皮細胞へと移行する。リポタンパク質上のTGの加水分解に関与する主要な酵素であるリポタンパク質リパーゼ(LPL)における稀な遺伝的欠陥(Benlian, 1996)は、10mmolをはるかに上回る血漿TGレベルを特徴とする家族性高カイロミクロン血症症候群(FCS)を引き起こす恐れがある。LPLの主要なタンパク質活性化因子であるアポリポタンパク質C-II(apoC-II)におけるホモ接合性欠陥も同様の高トリグリセリド血症表現型を引き起こし得る(Breckenridge, 1978)。近年では、LPLを内皮細胞の表面に結合するタンパク質であるGPIHBP1における欠陥(Beigneux, 2007)およびアポリポタンパク質A-V(ApoA-V)における突然変異(Ishihara, 2005)が、ヒトにおいて高トリグリセリド血症を引き起こすことも記載されている。リパーゼ特異的シャペロンLMF1における遺伝的欠陥もFCSを促進することが見出されている。まとめると、1000000人の患者のうち約2、3人がFCSを有する。
【0005】
LPL活性化因子がLPL系に影響を及ぼすだけでなく、apoC3およびANGPTL4、ANGPTL3またはANGPTL8等のLPLの負の調節因子における機能喪失突然変異が、望ましい血漿脂質プロファイルおよび代謝性疾患のリスクの低下を促進することが示されている。ANGPTL4は種々のリパーゼ、特にLPLの調節因子である。このタンパク質は、LPLの二量体触媒活性形態を不活性な単量体へと分解するアンフォールディングシャペロンであり、これは不可逆的事象である。例えばLPLを脂質基質から離すapoC3と比べ、ANGPTLは、LPLをこのように調節する唯一の既知の因子である。加えて、ANGPTL4は、肝性リパーゼおよび内皮リパーゼに影響を及ぼすことで、血漿脂質のTG部分だけでなく、LDL-cおよびHDL-cにも影響を及ぼす。ANGPTL4は、空腹時に誘導される因子であり、肝臓だけでなく、適切な程度まで脂肪組織および骨格筋によっても発現され、すなわちANGPTL4は普遍的に発現される。ANGPTL4の発現は、種々の刺激によって調節され、例えば肝臓においてペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(Peroxisome Proliferator-Activator Receptor)(PPAR)α、PPARδおよびグルココルチコイド受容体(GR)のそれぞれによって誘導される。これらのANGPTLが欠損した動物モデルは、LPL活性の上昇および血漿脂質の減少を示し、ヒト変異体のトランスジェニック過剰発現を有するマウスは、逆の結果を示す。この動物研究からの所見は、ヒトの欠損および機能喪失突然変異によって支持され、ANGPTL4と血漿TGレベルおよびHDL-cとが関連付けられる。ANGPTL4遺伝子は、心血管代謝疾患との関連を示す。
【0006】
このため、これまでの情報から、血漿TG恒常性におけるLPL、GPIHBP1、ANGPTLおよびapoA-Vの協調的な活性への新たな知見が得られる。これらの因子の中でも、ANGPTL4は興味深いことに、ホモ接合体家族性高コレステロール血症(HoFH)およびヘテロ接合体家族性高コレステロール血症(HeFH)において非機能的であることが多いLDL受容体に完全に依存することなく、血漿コレステロールレベル、すなわちLDL-c、HDL-cおよびレムナント-cも調節する。これにより、ANGPTL4を標的とした上で「汎用」の血漿脂質薬の機会が与えられる。
【0007】
ANGPTL4は、肝臓への遊離脂肪酸の取り込みにおいて重要な役割を果たすリポタンパク質リパーゼの活性を調節する。リポタンパク質リパーゼの調節異常は、細胞において脂質過剰を引き起こし、これが例えば肥満、II型糖尿病または心血管疾患につながる可能性がある。
【0008】
ANGPTL4ノックアウトマウスは、超低密度リポタンパク質(VLDL)の分解の増加およびVLDL産生の減少に基づくトリグリセリド(TG)レベルの低下を示す。コレステロールレベルは、やや影響を受ける。脂質レベルの高い食餌は、モノクローナル抗体で処理されたANGPTL4ノックアウトマウスにおいて、腸組織、排出(effluent)リンパ系および/または腸間膜リンパ節の脂肪肉芽腫の病変のために生存能力の低下をもたらす(Desai et al., 2007 PNAS)。ANGPTL4変異体E40Kがヘテロ接合のヒトは、空腹時に顕著に低い血漿TGレベルを示す。また、高密度リポタンパク質(HDL)コレステロールレベルは、E40Kヘテロ接合のヒトにおいて顕著に高かった。高いTGレベルと低いHDLコレステロールレベルとの組合せが心血管疾患を患うリスクを増大することから、ANGPTL4の低減または阻害は、リスクを低下させる可能性がある。ANGPTL4ヌル対立遺伝子はヒトで認められるが、ANGPTL4ノックアウトマウスと同等の病理は、これまでに特定されていない。
【0009】
ANGPTL4の発現を阻害する本発明のオリゴヌクレオチドは、例えば血漿脂質レベルをLDL受容体の機能性とは独立して低下させ、このことは、例えばLDL受容体が欠損したホモ接合体家族性高コレステロール血症(HoFH)またはヘテロ接合体家族性高コレステロール血症(HeFH)の治療へのオリゴヌクレオチドの使用に適している。
【0010】
ANGPTL4は、脂肪酸代謝の調節に関与するだけでなく、インフルエンザ感染にも関与する。ANGPTL4は例えば、インフルエンザ肺炎においてSTAT3媒介機構によって上方調節され、呼吸器感染および肺炎の潜在的バイオマーカーである(Li et al., Cell Reports 10, Feb. 2015)。
【0011】
これまで、ANGPTL4発現の低減および阻害のそれぞれに非常に効率的であり、ANGPTL4 mRNAおよび/またはpre-mRNAとハイブリダイズするアンチセンスオリゴヌクレオチドは存在しなかった。ANGPTL4発現を阻害するsiRNAを用いた研究から、siRNAが好適なパッケージング材料にパッケージングされた場合にのみin vivo阻害が可能であることが示された。siRNAがパッケージングされている場合であっても、mRNA発現の阻害の効率は多くの場合、改善することができない。
【0012】
本発明のオリゴヌクレオチドは、ANGPTL4の発現の阻害において大きな成功を収めている。オリゴヌクレオチドの作用様式は、抗体または小分子の作用様式とは異なり、オリゴヌクレオチドは、例えば
(i)組織への浸透、
(ii)標的の複数の機能および活性のそれぞれの遮断、
(iii)オリゴヌクレオチド間の、または抗体もしくは小分子との組合せ、ならびに
(iv)抗体がアクセス可能でないもしくは特異的にアクセス可能でない、または小分子によって阻害可能でない細胞内効果の阻害
に関して高度に有利である。
【0013】
発明の概要
本発明は、例えば12~22個のヌクレオチド、15~20個のヌクレオチドまたは15、16、17、18、19もしくは20個のヌクレオチドを含むか、またはそれからなるオリゴヌクレオチドからなり、ヌクレオチドの少なくとも1つが修飾されているANGPTL4阻害剤に関する。ANGPTL4オリゴヌクレオチドは、例えば配列番号1のANGPTL4(ヒト;NM_139314)、配列番号2のANGPTL4(ヒト;GRCh38_19_8364151_8374373)、配列番号58のANGPTL4(マウス;NM_020581.2)および/または配列番号59のANGPTL4(マウス;GRCm38:17:33773750:33781575)の核酸配列とハイブリダイズし、オリゴヌクレオチドは、ANGPTL4の発現を阻害する。修飾されたヌクレオチドは、例えばLNA、cET、ENA、2’フルオロ修飾ヌクレオチド、2’O-メチル修飾ヌクレオチド、2’O-メトキシエチル修飾ヌクレオチドおよびそれらの組合せ等の架橋型核酸からなる群から選択される。
【0014】
本発明のANGPTL4オリゴヌクレオチドは、例えば配列番号1の1732位~1759位(例えばA24044He、配列番号47;A24076He、配列番号47)および/もしくは234位~261位(例えばA24102He、配列番号177;A24103He、配列番号178)および/もしくは1264位~1293位(例えばA24110He、配列番号185;A24111He、配列番号186)、ならびに/もしくは配列番号2の2800位~2872位(例えばA24083Hi、配列番号158;A24085Hi、配列番号160;A24086Hi、配列番号161;A24087Hi、配列番号162)および/もしくは3415位~3442位(例えばA24089Hi、配列番号164)および/もしくは4968位~4994位(例えばA24097Hi、配列番号172)、またはそれらの組合せから選択された活性部位とハイブリダイズする。上記阻害剤は、ANGPTL4の発現を例えばナノモル濃度またはマイクロモル濃度で阻害する。
【0015】
本発明は、本発明のANGPTL4阻害剤と薬学的に許容可能な担体、賦形剤、希釈剤またはそれらの組合せとを含む医薬組成物にさらに関する。阻害剤および医薬組成物はそれぞれ、ANGPTL4不均衡が関与する障害を予防および/または治療する方法に使用される。かかる障害は、例えば心血管代謝疾患、肥満、2型糖尿病等の糖尿病、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症(HTG)、脂質異常症、膵炎、メタボリックシンドローム、家族性高カイロミクロン血症症候群(FCS)、インフルエンザ感染および/または癌である。高コレステロール血症は、例えばホモ接合体家族性高コレステロール血症(HoFH)およびヘテロ接合体家族性高コレステロール血症(HeFH)であり、癌は、例えば乳癌、肺癌、悪性黒色腫、リンパ腫、皮膚癌、骨癌、前立腺癌、肝癌、脳癌、喉頭、胆嚢、膵臓、精巣、直腸、副甲状腺、甲状腺、副腎、神経組織、頭頸部、結腸、胃、気管支、腎臓の癌、基底細胞癌、扁平上皮癌、転移性皮膚癌、骨肉腫、ユーイング肉腫、細網肉腫、脂肪肉腫、骨髄腫、巨細胞腫、小細胞肺腫瘍、島細胞腫、原発性脳腫瘍、髄膜腫、急性および慢性のリンパ球性および顆粒球性腫瘍、急性および慢性の骨髄性白血病、有毛細胞腫、腺腫、過形成、髄様癌、腸管神経節腫、ウィルムス腫瘍、精上皮腫、卵巣腫瘍、平滑筋腫(leiomyomater tumor)、子宮頸部異形成、網膜芽細胞腫、軟部組織肉腫、悪性カルチノイド、局所皮膚病変、横紋筋肉腫、カポジ肉腫、骨原性肉腫、悪性高カルシウム血症、腎細胞腫、真性多血症、腺癌、退形成性星細胞腫、多形膠芽腫、白血病または類表皮癌である。
【0016】
本発明のANGPTL4阻害剤またはANGPTL4阻害剤を含む医薬組成物は、局所的または全身的に投与される。
【0017】
本明細書に引用または参照される全ての文献(「本明細書の引用文献」)、および本明細書の引用文献に引用または参照される全ての文献は、本明細書でまたは参照することにより本明細書に組み込まれる任意の文献で言及される任意の製品の任意の製造業者の取扱説明書、説明書き、製品規格および製品仕様書と共に、参照することにより本明細書に組み込まれ、本発明の実施に用いることができる。より具体的には、参照される全ての文献は、それぞれの文献が参照することにより組み込まれることが具体的かつ個別に示される場合と同じ程度まで、参照することにより組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】42個のヒトANGPTL4特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドの初期スクリーニングを示す図である。いかなるヒトまたはマウスmRNAに対しても配列相補性を有しない対照オリゴヌクレオチド(Neg1;配列番号57)を対照として含めた。ヒト類上皮子宮頸癌細胞(HeLa)を、それぞれのオリゴヌクレオチドで10μMの単一濃度にて3日間処理した。処理開始から3日後に細胞を溶解させ、ANGPTL4およびHPRT1のmRNAレベルを、QuantiGene Singleplex RNAアッセイを用いて決定した。HPRT1をANGPTL4発現の正規化のためのハウスキーピング遺伝子として使用した。モック処理(mock-treated)細胞(1とした「no oligo」)に対する残存ANGPTL4-mRNA発現。三連ウェル、平均±SD(図1)。
図2】残存ANGPTL4 mRNA発現を調査するためのSK-OV3細胞におけるヒトANGPTL4特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドの別のスクリーニングを示す図である。
図3】HeLa細胞において10μMの濃度で試験した更なるヒトANGPTL4特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドを示す図である。試験したアンチセンスオリゴヌクレオチドのうち4つがANGPTL4 mRNAの50%超のノックダウンを示す(0.5未満の残存mRNAレベルに相当する)。
図4】残存ANGPTL4 mRNA発現を調査するためのSK-OV3細胞における更なるANGPTL4特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドの別のスクリーニングを示す図である。
図5】in vitroでの活性化B細胞の核因子「κ軽鎖エンハンサー」(NF-kB)に依存した分泌型胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)産生の活性化をモニタリングすることによってヒトTLR9の刺激を研究するために使用されるHEK-Blue(商標)hTLR9細胞を示す図である。ANGPTL4オリゴヌクレオチドA24022Hi(配列番号25)、A24023Hi(配列番号26)、A24071Hi(配列番号54)およびA24076He(配列番号47)、ならびに対照のNeg1(配列番号57)およびODN2006(5’-TCGTCGTTTTGTCGTTTTGTCGTT-3’PTO修飾 - Invivogenのカタログ番号tlrl-2006;配列番号153)を分析した。
図6】半数阻害濃度(IC50)値の決定のために選択された、HeLaおよびSK-OV3細胞において最も強力なノックダウン有効性を有するヒトANGPTL4特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドA24022Hi(配列番号25)、A24023Hi(配列番号26)、A24071Hi(配列番号54)およびA24076He(配列番号47)を示す図である。初代肝細胞を、異なる濃度(5000nM、1000nM、200nM、40nM、8nM、1.6nM)のそれぞれのANGPTL4アンチセンスオリゴヌクレオチドで3日間処理し、同時にPPARγ(1μM)で処理した。処理開始から3日後に、図6に示されるようにQuantiGene Singleplex RNAアッセイを用いてmRNA発現を分析した。グラフ表示のためにモック処理細胞を0.32nMとした。
図7】初代肝細胞における付加的なANGPTL4特異的アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)の1回目の単回投与有効性スクリーニングを示す図である。25000個の細胞/ウェルを96ウェルコラーゲンIコーティング平底プレートに播種し、それぞれのASOで5μMの最終濃度にて処理した。ANGPTL4 mRNA発現を誘導するために、細胞を同時に1μM PPARγで処理した。ビヒクル対照として、細胞を同量のDMSOで処理した(「DMSO」)。24時間毎に、70μlの上清をPPARγおよび5μMのそれぞれのASOまたはDMSOを含有する新鮮培地に置き換えた。3日後に細胞を溶解させ、ヒトHPRT1およびヒトANGPTL4のmRNA発現を、QuantiGene RNA Singleplexアッセイを用いて測定した。ANGPTL4-mRNA発現値をハウスキーピング遺伝子HPRT1の発現に対して正規化した。モック処理細胞(1とした「no oligo」(n=42)、SD=0.24)に対する残存ANGPTL4-mRNA発現を示す。実線および点線は、それぞれ70%および0%のノックダウン有効性(上のグラフ)またはモック処理細胞の100%のHPRT1発現(100とした「no oligo」(n=42)、SD=35.8、下のグラフ)を示す。データは三連ウェルの平均±SDとして表す。陽性対照ASOをアスタリスクによって示す。
図8】初代肝細胞における付加的なANGPTL4特異的ASOの2回目の単回投与有効性スクリーニングを示す図である。25000個の細胞/ウェルを96ウェルコラーゲンIコーティング平底プレートに播種し、それぞれのASOで5μMの最終濃度にて処理した。ANGPTL4 mRNA発現を誘導するために、細胞を同時に1μM PPARγで処理した。ビヒクル対照として、細胞を同量のDMSOで処理するか(「DMSO」)または未処理のままとした(「-DMSO」)。24時間毎に、70μlの上清をPPARγおよび5μMのそれぞれのASOまたはDMSOもしくは培地のみを含有する新鮮培地に置き換えた。3日後に細胞を溶解させ、ヒトHPRT1およびヒトANGPTL4 mRNA発現を、QuantiGene RNA Singleplexアッセイを用いて測定した。ANGPTL4-mRNA発現値をハウスキーピング遺伝子HPRT1の発現に対して正規化した。モック処理細胞(1とした「no oligo」(n=36)、SD=0.24)に対する残存ANGPTL4-mRNA発現を示す。実線および点線は、それぞれ70%および0%のノックダウン有効性(上のグラフ)またはモック処理細胞の100%のHPRT1発現(100とした「no oligo」(n=36)、SD=19.3、下のグラフ)を示す。データは六連(A24076Heおよび陰性対照オリゴヌクレオチド)、九連(-DMSO)または三連(他の全てのASO)ウェルの平均±SDとして表す。陽性対照ASOをアスタリスクによって示す。
図9】HEK-Blue hTLR9 SEAPレポーター細胞におけるNF-kB活性化を示す図である。HEK-Blue-hTLR9細胞を平底96ウェルプレートに播種し、指定のオリゴヌクレオチドで24時間処理した。インキュベーション後に細胞上清を採取し、QUANTI-Blue溶液と共に4時間(図9A、9Cおよび9D)または3.5時間(図9B)インキュベートした。620nmでの光学密度(OD)の測定によってSEAP活性を決定した。ANGPTL4特異的ASOおよびneg1で処理した細胞についてのデータを、5000nM ODN2006で刺激した細胞のOD単位(100%とした)に対するOD単位の三連の平均±SDとして示す。ODN2006で処理した細胞についてのデータを六連の平均±SD(A)、三連の平均±SD(D)または各プレート上での三連の平均の平均±SD(B、C)として示す。
図10】選択されたANGPTL4 ASOのIC50決定を示す図である。25000個の初代ヒト肝細胞/ウェルを96ウェルプレートに播種し、異なる濃度(5000nM、1000nM、200nM、40nM、8nM、1.6nM)のそれぞれのASOで処理した。24時間毎に、70μlの上清を指定の濃度のそれぞれのASOを含有する新鮮培地に置き換えた。3日後に細胞を溶解させ、HPRT1およびANGPTL4のmRNA発現を、QuantiGene RNA Singleplexアッセイを用いて測定した。ANGPTL4-mRNA発現値をハウスキーピング遺伝子HPRT1の発現に対して正規化した。モック処理細胞(1とした(n=36)、SD=0.26)に対する残存ANGPTL4-mRNA発現。データは三連ウェルの平均±SDとして表す。
図11】カニクイザル肝細胞のトランスフェクション後の標的遺伝子発現に対する選択されたANGPTL4 ASOの有効性を示す図である。25000個の初代カニクイザル肝細胞/ウェルを96ウェルプレートに播種し、異なる濃度(2nM、0.2nM)のそれぞれのASOをトランスフェクトした。37℃で24時間のインキュベーション後に細胞を溶解させ、HPRT1およびANGPTL4のmRNA発現を、QuantiGene RNA Singleplexアッセイを用いて測定した。ANGPTL4-mRNA発現値をハウスキーピング遺伝子HPRT1の発現に対して正規化した。モック処理細胞(1とした(n=12)、SD=0.25)に対する残存ANGPTL4-mRNA発現を示す。データは三連ウェルの平均±SDとして表す。
図12図12に示されるマウスANGPTL4特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドで10μMの単一濃度にて別個に処理したマウス胎児線維芽細胞(3T3細胞)を示す図である。処理開始から3日後にmRNAレベルをQuantiGene RNA Singleplexアッセイによって決定した。Hprt1をANGPTL4発現の正規化のためのハウスキーピング遺伝子として使用した。8つのANGPTL4アンチセンスオリゴヌクレオチド、すなわちA24047M(配列番号106)、A24020M(配列番号79)、A24017M(配列番号76)、A24021M(配列番号80)、A24049M(配列番号108)、A24018M(配列番号77)、A24041M(配列番号100)およびA24010M(配列番号69)が正規化ANGPTL4発現を50%超低下させた。
図13図13に示されるANGPTL4特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドで10μMの単一濃度にて別個に処理したマウス腎癌Renca細胞を示す図である。3日後にmRNAレベルをQuantiGene RNA Singleplexアッセイによって決定した。Hprt1をANGPTL4発現の正規化のためのハウスキーピング遺伝子として使用した。A24020M(配列番号79)およびA24019M(配列番号78)が50%超のANGPTL4ノックダウンをもたらした(0.5未満の残存mRNAレベルに相当する)。
図14】マウス乳癌細胞4T1において試験した、9個の試験済みのマウスANGPTL4特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび24個の更なるマウスANGPTL4特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドを示す図である。トランスフェクション試薬を使用せずに、細胞を図14に示される5μMのそれぞれのANGPTL4アンチセンスオリゴヌクレオチドで処理した。3日後に細胞上清を5μMのそれぞれのANGPTL4アンチセンスオリゴヌクレオチドを含有する新鮮培地に交換し、さらに3日間インキュベートした。その後、mRNAレベルをQuantiGene RNA Singleplexアッセイによって決定した。GapdhをANGPTL4発現の正規化のためのハウスキーピング遺伝子として使用した。試験したアンチセンスオリゴヌクレオチドのうち12個、すなわちA24017M(配列番号76)、A24070M(配列番号127)、A24020M(配列番号79)、A24019M(配列番号78)、A24069M(配列番号126)、A24021M(配列番号80)、A24011M(配列番号70)、A24073M(配列番号130)、A24018M(配列番号77)、A24055M(配列番号114)、A24010M(配列番号69)およびA24065M(配列番号79)がANGPTL4 mRNAの80%超のノックダウンを示す(0.2未満の残存mRNAレベルに相当する)。
図15図15に示される5μMのそれぞれのANGPTL4アンチセンスオリゴヌクレオチドで処理することによって4T1細胞において試験した、21個のマウスANGPTL4特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドを示す図である。3日後に細胞上清を5μMのそれぞれのANGPTL4アンチセンスオリゴヌクレオチドを含有する新鮮培地に交換し、さらに3日間インキュベートした。その後、mRNAレベルをQuantiGene RNA Singleplexアッセイによって決定した。Hprt1をANGPTL4発現の正規化のためのハウスキーピング遺伝子として使用した。A24047M(配列番号106)、A24095Mi(配列番号151)、A24093Mi(配列番号149)、A24020M(配列番号79)、A24090Mi(配列番号146)およびA24082Mi(配列番号139)がANGPTL4 mRNAの50%超のノックダウンを示す(0.5未満の残存mRNAレベルに相当する)。
図16】半数阻害濃度(IC50)値の決定のために選択された、3T3、Rencaおよび4T1細胞において最も強力なノックダウン有効性を有するA24018M(配列番号77)、A24019M(配列番号78)、A24020M(配列番号79)、A24021M(配列番号80)、A24047M(配列番号106)、A24054M(配列番号113)、A24065M(配列番号79)、A24070M(配列番号127)、A24072M(配列番号129)、A24082M(配列番号139)およびA24095Mi(配列番号151)を示す図である。4T1細胞を異なる濃度(5000nM、1000nM、200nM、40nM、8nM、1.6nM)のこれらのANGPTL4アンチセンスオリゴヌクレオチドで3日間処理した。3日後に細胞上清を5μMのそれぞれのANGPTL4アンチセンスオリゴヌクレオチドを含有する新鮮培地に交換し、さらに3日間インキュベートした。次いで、QuantiGene Singleplex RNAアッセイを用いてmRNA発現を分析した。
図17】4T1細胞における付加的なマウスAngptl4特異的ASOの1回目の単回投与有効性スクリーニングを示す図である。2500個の4T1細胞/ウェルを96ウェル平底プレートに播種し、それぞれのASOで5μMの最終濃度にて処理した。処理の3日後に、細胞上清を、ASOを含む新鮮培地に交換し、細胞を37℃でさらに3日間インキュベートした。その後、細胞を溶解させ、マウスHprt1およびマウスAngptl4のmRNA発現を、QuantiGene RNA Singleplexアッセイを用いて測定した。Angptl4-mRNA発現値をハウスキーピング遺伝子Hprt1の発現に対して正規化した。モック処理細胞(1とした「no oligo」(n=37)、SD=0.21)に対する残存Angptl4-mRNA発現を示す。実線および点線は、それぞれ75%および0%のノックダウン有効性(上のグラフ)または100%のHprt1レベル(下のグラフ)(1とした「no oligo」(n=37)、SD=0.17)を示す。データは三連ウェルの平均±SDとして表す。
図18】Renca細胞におけるマウスAngptl4特異的ASOの2回目の単回投与スクリーニングを示す図である。2500個のRenca細胞/ウェルを96ウェル平底プレートに播種し、それぞれのASOで5μMの最終濃度にて処理した。処理の3日後に、細胞上清を、ASOを含む新鮮培地に交換し、細胞を37℃でさらに3日間インキュベートした。その後、細胞を溶解させ、マウスHprt1およびマウスAngptl4のmRNA発現を、QuantiGene RNA Singleplexアッセイを用いて測定した。Angptl4-mRNA発現値をハウスキーピング遺伝子Hprt1の発現に対して正規化した。モック処理細胞(1とした「no oligo」(n=37)、SD=0.37)に対する残存Angptl4-mRNA発現を示す。実線および点線は、それぞれ75%および0%のノックダウン有効性(上のグラフ)または100%のHprt1レベル(下のグラフ)(1とした「no oligo」(n=37)、SD=0.36)を示す。データは三連ウェルの平均±SDとして表す。
図19】選択されたAngptl4 ASOのIC50決定を示す図である。15000個の初代マウス肝細胞/ウェルを96ウェル平底プレートに播種し、異なる濃度(5000nM、1000nM、200nM、40nM、8nM、1.6nM)のそれぞれのASOで処理した。3日後に細胞を溶解させ、Hprt1およびAngptl4のmRNA発現を、QuantiGene RNA Singleplexアッセイを用いて測定した。Angptl4-mRNA発現値をハウスキーピング遺伝子Hprt1の発現に対して正規化した。モック処理細胞(1とした(n=36)、SD=0.17)に対する残存Angptl4-mRNA発現。Neg1を黒色で示す。下のグラフにno oligo(100とした(n=36)、SD=13.0)に対するHprt1の生の値を示す。データは三連ウェルの平均±SDとして表す。
【0019】
発明の詳細な説明
本発明は、ANGPTL4のmRNAおよび/またはpre-mRNA配列とハイブリダイズするヒトまたはマウスオリゴヌクレオチドであり、ANGPTL4の発現および活性のそれぞれを阻害する、ANGPTL4発現の上首尾の阻害剤を提供する。mRNAは、ANGPTL4をコードする核酸配列のエクソンのみを含み、pre-mRNAは、ANGPTL4をコードする核酸配列のエクソンおよびイントロンを含む。このため、本発明のオリゴヌクレオチドは、ANGPTL4発現および活性のそれぞれが増大している障害を予防および/または治療する方法に使用される、興味深く、非常に効率的なツールである。
【0020】
以下で本発明の要素をより詳細に説明する。これらの要素は、具体的な実施形態と共に列挙されるが、これらを任意の様式および任意の数で組み合わせて、付加的な実施形態を作り出すことができることを理解されたい。様々に記載される実施例および実施形態は、明示的に記載される実施形態にのみ本発明を限定するものと解釈すべきではない。本明細書は、明示的に記載される実施形態と様々な開示の要素とを組み合わせた実施形態を支持および包含するものと理解すべきである。さらに、文脈上他に指定のない限り、本願に記載される全ての要素の任意の並び替えおよび組合せが本願の明細書によって開示されるとみなされるものとする。
【0021】
本明細書および特許請求の範囲全体を通して、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、「含む(comprise)」という語、ならびに「comprises」および「comprising」等の変化形は、述べられた成員、整数もしくは工程、または成員、整数もしくは工程の群を含むことを含意するが、任意の他の成員、整数もしくは工程、または成員、整数もしくは工程の群を除外することを含意しないことが理解される。本発明の記載との関連で(特に特許請求の範囲との関連で)使用される「a」および「an」および「the」という用語、ならびに同様の指示語は、本明細書で他に指定のない限りまたは明らかに文脈と矛盾しない限り、単数および複数の両方を包含すると解釈されるものとする。本明細書における値の範囲の列挙は、その範囲に含まれるそれぞれの値に個別に言及する簡単な方法としての役割を意図するものにすぎない。本明細書で他に指定のない限り、それぞれの値は、本明細書に個別に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書で他に指定のない限りまたは明らかに文脈と矛盾しない限り、任意の好適な順序で行うことができる。本明細書に提示される、あらゆる例または例示的表現(例えば「等(such as)」、「例えば(for example)」)の使用は、本発明をより良く説明することを意図するにすぎず、別途特許請求される本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中のいずれの表現も、特許請求されていない任意の要素が本発明の実施に不可欠であることを示すものと解釈すべきではない。
【0022】
本発明のオリゴヌクレオチドである阻害剤は、例えば10~25個のヌクレオチド、12~22個のヌクレオチド、15~20個のヌクレオチドまたは16~18個のヌクレオチドからなるか、またはそれを含むアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)である。オリゴヌクレオチドは、例えば10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25個のヌクレオチドからなるか、またはそれを含む。
【0023】
例えば、本発明のオリゴヌクレオチドは、例えば自然にかつ/または人工的に修飾された、デオキシヌクレオチドおよび/またはリボヌクレオチド等のヌクレオチドが隣接した、少なくとも5個のヌクレオチド、すなわちデオキシヌクレオチドおよび/またはリボヌクレオチドの中央ブロックからなるか、またはそれを含むギャップマーを形成する。
【0024】
本発明のオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾されたヌクレオチドを含む。修飾されたヌクレオチドは、例えばロック核酸(LNA、例えば2’,4’-LNA)、cET、ENA、2’フルオロ修飾ヌクレオチド、2’O-メチル修飾ヌクレオチド、2’O-メトキシエチル修飾ヌクレオチドまたはそれらの組合せ等の架橋型ヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、同じまたは異なる修飾を有する1つ以上のヌクレオチドを含む。加えて、本発明のオリゴヌクレオチドは任意に、ホスフェートが例えばホスホロチオエートである、修飾されたリン酸骨格を含む。
【0025】
本発明のオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの3’および/または5’末端、および/またはオリゴヌクレオチド内の任意の位置に1つ以上の修飾ヌクレオチドを含み、ここで修飾ヌクレオチドが、例えば1、2、3、4、5または6つの修飾ヌクレオチドの列に連なるか、または修飾ヌクレオチドが1つ以上の非修飾ヌクレオチドと組み合わされる。以下の表1~4に修飾ヌクレオチド、例えば(+)で示されるLNAおよび()で示されるホスホロチオエート(PTO)を含むANGPTL4オリゴヌクレオチドの例を挙げる。表1もしくは2(ヒト)、または表3もしくは4(マウス)の配列からなるか、またはそれを含むANGPTL4オリゴヌクレオチドは、任意の他の修飾ヌクレオチドおよび/または修飾ヌクレオチドと非修飾ヌクレオチドとの任意の他の組合せを含んでいてもよい。表1のANGPTL4オリゴヌクレオチドは、ヒトANGPTL4のmRNAおよび/またはpre-mRNAとハイブリダイズする:
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0026】
表2のANGPTL4オリゴヌクレオチドもヒトANGPTL4のmRNAおよび/またはpre-mRNAとハイブリダイズする:
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【0027】
表3のオリゴヌクレオチドは、特にマウスANGPTL4のmRNAおよび/またはpre-mRNAとハイブリダイズする:
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【0028】
表4のオリゴヌクレオチドも、特にマウスANGPTL4のmRNAおよび/またはpre-mRNAとハイブリダイズする:
【表4-1】
【表4-2】
【0029】
オリゴヌクレオチドは、例えば高活性のASOが富化された部位であるハイブリダイズ活性部位(hybridizing active area)においてハイブリダイズする。ハイブリダイズ活性部位は例えば、オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションが、ANGPTL4発現の強力なノックダウンをもたらす可能性が高い、例えば配列番号1のANGPTL4 mRNA、および/または例えば配列番号2のANGPTL4 pre-mRNA上の1つ以上の領域である。本発明では、例えば、驚くべきことに、例えば配列番号1の1732位~1759位(例えばA24044He、配列番号47;A24076He、配列番号47)および/または配列番号2の6603位~6631位(例えばA24022Hi、配列番号25;A24023Hi、配列番号26;A24071Hi、配列番号54)から選択されるハイブリダイズ活性部位から選択される幾つかのハイブリダイズ活性部位が特定された。更なるハイブリダイズ活性部位は、ヒト配列番号1の234位~261位(例えばA24102He、配列番号178;A24103He、配列番号179)および/もしくは1264位~1293位(例えばA24110He、配列番号186;A24111He、配列番号187)、ならびに/またはヒト配列番号2の2800位~2872位(例えばA24083Hi、配列番号159;A24085Hi、配列番号161;A24086Hi、配列番号162;A24087Hi、配列番号163)および/もしくは3415位~3442位(例えばA24089Hi、配列番号165)および/もしくは4968位~4994位(例えばA24097Hi、配列番号173)である。マウス配列番号58または配列番号59上のハイブリダイズ活性部位は、例えば配列番号58の137位~163位(例えばA24054M、配列番号113)および/もしくは215位~299位(例えばA24018M、配列番号77;A24019M、配列番号78;A24020M、配列番号79;A24021M、配列番号80;A24065M、配列番号79)および/もしくは1343位~1371位(例えばA24042M、配列番号101;A24109M、配列番号212)および/もしくは1738位~1771位(例えばA24047M、配列番号106;A24070M、配列番号127;A24072M、配列番号129)、ならびに/または配列番号59の1286位~1314位(例えばA24082Mi、配列番号139;A24125Mi、配列番号226)および/もしくは5485位~5511位(例えばA24095Mi、配列番号151;A24148Mi、配列番号151)である。
【0030】
例えば、本発明のオリゴヌクレオチドはANGPTL4、例えばヒトまたはマウスのANGPTL4発現を少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%阻害する。本発明のオリゴヌクレオチドは、ANGPTL4の発現をナノモル濃度またはマイクロモル濃度、例えば0.1nM~100μM、0.5nM~15nM、0.6nM~10nM、1nM~10μM、5nM~5μM、10nM~1μM、15nM~950nM、20nM~900nM、25nM~850nM、30nM~800nM、35nM~750nM、40nM~700nM、45nM~650nM、50nM~500nMもしくは40nM~150nMの濃度範囲、または0.1、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900もしくは950nM、もしくは1、10もしくは100μMの濃度で阻害する。
【0031】
本発明のANGPTL4オリゴヌクレオチドは、例えば1nM~10μM、5nM~6.6μM、10nM~5μM、15nM~3μM、20nM~2.2μM、25nM~1μM、30nM~800nM、50nM~500nM、60nM~300nM、70nM~250nM、80nM~200nM、90nM~120nMの濃度範囲、または1、1.6、3、5、8、9、10、15、20、25、27、30、40、50、75、82、100、200、250、300、500もしくは740nM、もしくは1、2.2、3、5、6.6もしくは10μMの濃度で使用される。
【0032】
本発明のANGPTL4オリゴヌクレオチドは、例えば1回もしくは繰り返して、例えば数週間、数ヶ月もしくは数年にわたって12時間に1回、24時間に1回、48時間に1回投与されるか、または毎週、2週間に1回、3週間に1回、もしくは毎月、もしくは3ヶ月に1回もしくは6ヶ月に1回投与される。
【0033】
幾つかの実施形態では、本発明は、本発明のANGPTL4オリゴヌクレオチドと薬学的に許容可能な担体、賦形剤および/または希釈剤とを含む医薬組成物に関する。任意に、医薬組成物は化学療法薬、別の疾患特異的活性薬剤、例えばインスリン、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシン受容体遮断薬、本発明のものではない別のオリゴヌクレオチド、抗体、HERA融合タンパク質、リガンドトラップ(ligand trap)、Fabフラグメント、ナノボディ、BiTe、ならびに/または例えば腫瘍治療、糖尿病およびその副作用の治療、心血管疾患、肥満、II型糖尿病、ホモ接合体家族性高コレステロール血症(HoFH)、ヘテロ接合体家族性高コレステロール血症(HeFH)等の高コレステロール血症、もしくは脂質異常症の治療に効果的な小分子をさらに含む。
【0034】
本発明のANGPTL4オリゴヌクレオチドまたは医薬組成物は、障害、例えばANGPTL4不均衡が関与する障害を予防および/または治療する方法に使用される。任意に、障害を予防および/または治療する方法への本発明のオリゴヌクレオチドまたは医薬組成物の使用を放射線療法と組み合わせる。放射線療法は、化学療法(例えば白金、ゲムシタビン)とさらに組み合わせることができる。障害は、例えばANGPTL4不均衡を特徴とし、すなわち、ANGPTL4レベルが正常、健常な細胞、組織、器官または被験体におけるレベルと比較して上昇している。ANGPTL4レベルは、例えばANGPTL4発現および活性のそれぞれの増大によって上昇する。ANGPTL4レベルは、当業者に既知の免疫組織化学、ウエスタンブロット、定量的リアルタイムPCRまたはQuantiGeneアッセイ等の任意の標準方法によって測定される。
【0035】
本発明のANGPTL4オリゴヌクレオチドまたは医薬組成物は、局所的または全身的に、例えば経口、舌下、経鼻、皮下、静脈内、腹腔内、筋肉内、腫瘍内、髄腔内、経皮および/または直腸投与される。代替的にまたは組み合わせて、ex vivoで処理した免疫細胞を投与する。ANGPTL4オリゴヌクレオチドは、単独でまたは本発明の別のANGPTL4アンチセンスオリゴヌクレオチドと組み合わせて、任意に、本発明のものではない別のオリゴヌクレオチド、抗体、HERA融合タンパク質、リガンドトラップ、Fabフラグメント、ナノボディ、BiTe、小分子および/もしくは化学療法薬(例えば白金、ゲムシタビン)等の別の化合物、ならびに/またはインスリン、アンジオテンシン変換酵素阻害剤および/もしくはアンジオテンシン受容体遮断薬等の別の疾患特異的薬剤と組み合わせて投与される。
【0036】
本発明のものではないオリゴヌクレオチド、抗体、HERA融合タンパク質、リガンドトラップ、Fabフラグメント、ナノボディ、BiTeおよび/または小分子は、腫瘍、インフルエンザ感染、II型糖尿病等の糖尿病およびその副作用、心血管疾患、肥満、ホモ接合体家族性高コレステロール血症(HoFH)、ヘテロ接合体家族性高コレステロール血症(HeFH)等の高コレステロール血症、または脂質異常症の予防および/または治療に効果的である。本発明のANGPTL4オリゴヌクレオチドまたは医薬組成物は、例えば固形腫瘍または血液系腫瘍を予防および/または治療する方法に使用される。本発明のオリゴヌクレオチドまたは医薬組成物を用いて予防可能かつ/または治療可能な癌の例は、乳癌、肺癌、悪性黒色腫、リンパ腫、皮膚癌、骨癌、前立腺癌、肝癌、脳癌、喉頭、胆嚢、膵臓、精巣、直腸、副甲状腺、甲状腺、副腎、神経組織、頭頸部、結腸、胃、気管支、腎臓の癌、基底細胞癌、扁平上皮癌、転移性皮膚癌、骨肉腫、ユーイング肉腫、細網肉腫、脂肪肉腫、骨髄腫、巨細胞腫、小細胞肺腫瘍、島細胞腫、原発性脳腫瘍、髄膜腫、急性および慢性のリンパ球性および顆粒球性腫瘍、急性および慢性の骨髄性白血病、有毛細胞腫、腺腫、過形成、髄様癌、腸管神経節腫、ウィルムス腫瘍、精上皮腫、卵巣腫瘍、平滑筋腫、子宮頸部異形成、網膜芽細胞腫、軟部組織肉腫、悪性カルチノイド、局所皮膚病変、横紋筋肉腫、カポジ肉腫、骨原性肉腫、悪性高カルシウム血症、腎細胞腫、真性多血症、腺癌、退形成性星細胞腫、多形膠芽腫、白血病または類表皮癌である。
【0037】
本発明のANGPTL4オリゴヌクレオチドまたは医薬組成物を用いて予防可能かつ/または治療可能な、癌以外の疾患の更なる例は、例えばII型糖尿病等の糖尿病およびその副作用、心血管疾患、肥満、ホモ接合体家族性高コレステロール血症(HoFH)、ヘテロ接合体家族性高コレステロール血症(HeFH)等の高コレステロール血症、または脂質異常症である。
【0038】
幾つかの例では、2つ以上の本発明のANGPTL4オリゴヌクレオチドを共に、同じ時点で、例えば医薬組成物中でもしくは別々に、または間隔をずらして投与する。幾つかの例では、2つ以上の本発明のANGPTL4オリゴヌクレオチドを共に、同じ時点で、例えば医薬組成物中でもしくは別々に、または間隔をずらして投与する。他の例では、本発明の1つ以上のオリゴヌクレオチドを本発明のものではない別のオリゴヌクレオチド、抗体、HERA融合タンパク質、リガンドトラップ、Fabフラグメント、ナノボディ、BiTe、小分子および/または化学療法薬等の別の化合物と共に、同じ時点で、例えば医薬組成物中でもしくは別々に、または間隔をずらして投与する。
【0039】
本発明の被験体は、例えば哺乳類、鳥類または魚類である。
【0040】
実施例
以下の実施例では、本発明の種々の実施形態を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。以下の実験は、ANGPTL4を内因性発現する細胞に対して行われ、すなわち、細胞はトランスフェクトされたレポーター構築物を含む人工系ではない。かかる人工系は概して、治療に関連したin vivo系により近い内因性系よりも高度の阻害および低いIC50値を示す。さらに、トランスフェクション剤は以下の実験に使用されず、すなわちジムノティック送達(gymnotic delivery)が行われる。トランスフェクション剤がオリゴヌクレオチドの活性を上昇させ、これがIC50値に影響を与えることが知られている(例えば、Zhang et al., Gene Therapy, 2011, 18, 326-333;Stanton et al., Nucleic Acid Therapeutics, Vol. 22, NO. 5, 2012を参照されたい)。トランスフェクション剤を用いた人工系を治療アプローチに転換することが困難または不可能であり、トランスフェクション製剤は、これまでオリゴヌクレオチドについて承認されていないため、以下の実験は、トランスフェクション試薬を使用した実施例11の実験を除いて、トランスフェクション剤を用いずに行われる。
【0041】
実施例1:HeLa細胞におけるヒトANGPTL4特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドの1回目のスクリーニング
5000個のHeLa細胞/ウェルを96ウェルプレートに播種し、図1に示すそれぞれのアンチセンスオリゴヌクレオチドで10μMの最終濃度にて処理した。ANGPTL4 mRNA発現を誘導するために、細胞を同時に1μM PPARδ(Sigma Aldrich、カタログ番号SML1491)で処理した。本実施例に使用したPPARδは、例えば5mgのPPARδ(分子量:453.50)を1.1mlのDMSOに溶解することによって調製したPPARδストック溶液(10mM)をベースとしている。最終濃度1μMのPPARδについては、96ウェルプレートに播種した細胞を、0.01μlのPPARδストック溶液を添加した100μlの培地と共にインキュベートした。陰性対照として、細胞を同容量のDMSOで処理した。処理開始から3日後に細胞を溶解させ、ヒトHPRT1およびヒトANGPTL4のmRNA発現を、QuantiGene RNA Singleplexアッセイを用いて測定した(図1)。本実施例に使用したQuantiGeneアッセイは例えば、標的mRNAと特異的プローブセット(QuantiGene Reagent Systemの一部)との協調的ハイブリダイゼーションに依存する分岐DNA技術(bDNA)に基づく。アッセイは、製造業者のプロトコル(Thermo Fisher Scientific)に従って行われ、RNAレベルの決定に用いられる。細胞溶解に用いられるQuantiGene Sample Processing Kitと対象のRNAのハイブリダイゼーション、増幅および検出に用いられるQuantiGene Reagent Systemとを組み合わせる。QuantiGene Reagent Systemは、対象の特定のRNAを検出するように設計されたRNA特異的プローブセットをベースとしている。
【0042】
ANGPTL4-mRNA発現値をハウスキーピング遺伝子HPRT1の発現に対して正規化した。モック処理細胞(1とした「no oligo」)に対する残存ANGPTL4-mRNA発現を示す。実線および点線は、それぞれ70%および50%または0%のノックダウン有効性を示す。データは三連ウェルの平均±SDとして表す。
【0043】
図1に示されるように、2つのアンチセンスオリゴヌクレオチド(A24022Hi(配列番号25)およびA24023Hi(配列番号26))は、正規化ANGPTL4発現を70%超低下させた(0.3未満の残存mRNAレベルに相当する)。さらに、3つのアンチセンスオリゴヌクレオチド(A24003He(配列番号5)、A24042He(配列番号45)、A24005Hi(配列番号7))が70%~50%のノックダウン有効性を示し、対照オリゴヌクレオチド(Neg1)は、ANGPTL4 mRNA発現を低下させなかった。
【0044】
実施例2:SK-OV3細胞におけるヒトANGPTL4特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドの2回目のスクリーニング
5000個のSK-OV3細胞/ウェルを96ウェルプレートに播種し、それぞれのANGPTL4アンチセンスオリゴヌクレオチドで10μMの最終濃度にて処理した。ANGPTL4 mRNA発現を誘導するために、細胞を同時に1μM PPARδ(Sigma Aldrich、カタログ番号SML1491;10mMストック溶液の調製については実施例1を参照されたい)で処理した。最終濃度1μMのPPARδについては、96ウェルプレートに播種した細胞を、0.01μlのPPARδストック溶液を添加した100μlの培地と共にインキュベートした。陰性対照として、細胞を同容量のDMSOで処理した。
【0045】
処理開始から3日後に細胞を溶解させ、ヒトHPRT1およびヒトANGPTL4のmRNA発現を、QuantiGene RNA Singleplexアッセイを用いて測定した。ANGPTL4-mRNA発現値をハウスキーピング遺伝子HPRT1の発現に対して正規化した。モック処理細胞(1とした「no oligo」)に対する残存ANGPTL4-mRNA発現を図2に示す。実線および点線は、それぞれ60%および0%のノックダウン有効性を示す。データは三連ウェルの平均±SDとして表す。
【0046】
SK-OV3細胞におけるANGPTL4アンチセンスオリゴヌクレオチドスクリーニングの繰り返しにより、60%超のノックダウン効率を有する3つのANGPTL4アンチセンスオリゴヌクレオチド(A24022Hi(配列番号25)、A24044He(配列番号47)、A24023Hi(配列番号26))が得られた。
【0047】
実施例3:HeLa細胞における更なるヒトANGPTL4特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドの1回目の単回投与有効性スクリーニング
5000個のHeLa細胞/ウェルを96ウェルプレートに播種し、HeLa(図1)およびSK-OV3(図2)における1回目のスクリーニングからの最も効率的なANGPTL4アンチセンスオリゴヌクレオチド(A24022Hi(配列番号25)、A24023Hi(配列番号26)、A24044He(配列番号47))および更なるANGPTL4特異的アンチセンスオリゴヌクレオチド(A24071Hi(配列番号54)、A24076He(配列番号47)、A24075He(配列番号5)、A24073Hi(配列番号55)、A24065Hi(配列番号51)、A24067Hi(配列番号52)、A24077He(配列番号47)、A24074Hi(配列番号56))で10μMの最終濃度にて処理した。ANGPTL4 mRNA発現を誘導するために、細胞を同時に1μM PPARδ(Sigma Aldrich、カタログ番号SML1491;10mMストック溶液の調製については実施例1を参照されたい)で処理した。最終濃度1μMのPPARδについては、96ウェルプレートに播種した細胞を、0.01μlのPPARδストック溶液を添加した100μlの培地と共にインキュベートした。陰性対照として、細胞を同容量のDMSOで処理した。
【0048】
処理開始から3日後に細胞を溶解させ、ヒトHPRT1およびヒトANGPTL4のmRNA発現を、QuantiGene RNA Singleplexアッセイを用いて測定した。ANGPTL4-mRNA発現値をハウスキーピング遺伝子HPRT1の発現に対して正規化した。モック処理細胞(1とした「no oligo」)に対する残存ANGPTL4-mRNA発現を図3に示す。実線および点線は、それぞれ50%および0%のノックダウン有効性を示す。データは三連ウェルの平均±SDとして表す。
【0049】
図3に示されるように、試験したANGPTL4アンチセンスオリゴヌクレオチドのうち4つ(A24022Hi(配列番号25)、A24023Hi(配列番号26)、A24044He(配列番号47)、A24071Hi(配列番号54))がANGPTL4 mRNAの50%超のノックダウンを示し(0.5未満の残存mRNAレベルに相当する)、Neg1陰性対照オリゴヌクレオチドでの処理は、ANGPTL4 mRNAレベルの低下をもたらさなかった。
【0050】
実施例4:SK-OV3細胞における更なるヒトANGPTL4特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドの2回目の単回投与有効性スクリーニング
5000個のSK-OV3細胞/ウェルを96ウェルプレートに播種し、それぞれのANGPTL4アンチセンスオリゴヌクレオチド(A24071Hi(配列番号54)、A24022Hi(配列番号25)、A24076He(配列番号47)、A24044He(配列番号47)、A24023Hi(配列番号26)、A24077He(配列番号47)、A24075He(配列番号5)、A24073Hi(配列番号55))で10μMの最終濃度にて処理した。ANGPTL4 mRNA発現を誘導するために、細胞を同時に1μM PPARδ(Sigma Aldrich、カタログ番号SML1491;10mMストック溶液の調製については実施例1を参照されたい)で処理した。最終濃度1μMのPPARδについては、96ウェルプレートに播種した細胞を、0.01μlのPPARδストック溶液を添加した100μlの培地と共にインキュベートした。陰性対照として、細胞を同容量のDMSOで処理した。
【0051】
処理開始から3日後に細胞を溶解させ、ヒトHPRT1およびヒトANGPTL4のmRNA発現を、QuantiGene RNA Singleplexアッセイを用いて測定した。ANGPTL4-mRNA発現値をハウスキーピング遺伝子HPRT1の発現に対して正規化した。モック処理細胞(1とした「no oligo」)に対する残存ANGPTL4-mRNA発現を図4に示す。実線および点線は、それぞれ50%および0%のノックダウン有効性を示す。データは三連ウェルの平均±SDとして表す。
【0052】
SK-OV3細胞における最適化されたANGPTL4特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドスクリーニングの繰り返しにより、50%超のノックダウン効率を有する5つのANGPTL4アンチセンスオリゴヌクレオチド(A24071Hi(配列番号54)、A24022Hi(配列番号25)、A24076He(配列番号47)、A24044He(配列番号47)、A24023Hi(配列番号26))が得られた(図4)。
【0053】
実施例5:選択されたヒトANGPTL4特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドのin vitro TLR9アッセイ
免疫刺激リガンド、例えば細菌DNA、または非メチル化CpGジヌクレオチドを含むもしくは含まない免疫刺激オリゴヌクレオチドの結合は、TLR活性化をもたらす。免疫活性化が過剰なサイトカイン放出の重度の、場合によっては致死的な病態を引き起こす恐れがあることから、ヒトにおいてサイトカイン放出を予測する前臨床試験系が緊急に必要とされている。
【0054】
HEK-Blue-hTLR9(Invivogenのカタログ番号hkb-htlr9)細胞を平底96ウェルプレートに播種し、ANGPTL4オリゴヌクレオチドA24022Hi(配列番号25)、A24023Hi(配列番号26)、A24071Hi(配列番号54)およびA24076He(配列番号47)で24時間処理した。次いで、細胞上清を採取し、QUANTI-Blue溶液(Invivogenのカタログ番号rep-qbs)と共に4時間インキュベートした。SEAP活性を光学密度の測定によって決定した。5000nM ODN2006で刺激した細胞のOD単位(100とした)に対するOD単位の平均および標準偏差を図5に示す。データは三連ウェルの平均±SDとして表す。
【0055】
図5に示されるように、試験したANGPTL4特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドは、いずれもTLR9活性化を誘導しなかった。対照的に、陽性対照のCpGオリゴヌクレオチドODN2006(5’-TCGTCGTTTTGTCGTTTTGTCGTT-3’PTO修飾 - Invivogenのカタログ番号tlrl-2006;配列番号153)は、NFκB活性化を明らかに刺激した(図5)。
【0056】
実施例6:選択されたヒトANGPTL4特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドのIC50決定
30000個の初代ヒト肝細胞/ウェルを96ウェルプレートに播種し、5000nM、1000nM、200nM、40nM、8nMおよび1.6nMの種々の濃度の種々のANGPTL4アンチセンスオリゴヌクレオチド:A24022Hi(配列番号25)、A24023Hi(配列番号26)、A24071Hi(配列番号54)およびA24076He(配列番号47)で処理した。ANGPTL4 mRNA発現を誘導するために、細胞を同時に1μM PPARγ(Sigma Aldrich、カタログ番号R2408)で処理した。PPARγストック溶液(10mM)は、10mgのPPARγ(分子量:357.43)を2.8mlのDMSOに溶解することによって調製した。最終濃度1μMのPPARγについては、96ウェルプレートに播種した細胞を、0.01μl PPARγストック溶液を添加した100μlの培地と共にインキュベートした。陰性対照として、細胞を同容量のDMSOで処理した。24時間毎に、70μlの上清を1μM PPARγおよび指定の濃度のそれぞれのANGPTL4アンチセンスオリゴヌクレオチドを含有する新鮮培地に置き換えた。処理開始から3日後に細胞を溶解させ、HPRT1およびANGPTL4のmRNA発現を、QuantiGene RNA Singleplexアッセイを用いて測定した。ANGPTL4-mRNA発現値をハウスキーピング遺伝子HPRT1の発現に対して正規化した。モック処理細胞(1とした)に対する残存ANGPTL4-mRNA発現。グラフ表示のためにモック処理細胞を0.32nMとした。データは三連ウェルの平均±SDとして表す。
【0057】
図6および表5から、選択されたANGPTL4特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドがANGPTL4 mRNA発現をナノモル範囲のIC50値で用量依存的に阻害することが実証される。
【0058】
【表5】
【0059】
実施例7:初代肝細胞における付加的なヒトANGPTL4特異的アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)の1回目の単回投与スクリーニング
合計でさらに49個のANGPTL4特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドを設計した。ヒト細胞株における2回の初期スクリーニング(データは示さない)に基づいて、17個の有望なASOを初代ヒト肝細胞における1回目のスクリーニングに選択した(図7)。いかなるヒトまたはマウスmRNAに対しても配列相補性を有しない、異なる長さ(それぞれ16、17および18ヌクレオチド)の3つの対照オリゴヌクレオチド(R01002、R01014、Neg1)を陰性対照として含め、ノックダウン効率が確認された3つのANGPTL4特異的オリゴヌクレオチドを陽性対照(A24022Hi(配列番号25)、A24071Hi(配列番号54)、A24076He(配列番号47))として使用した。ヒト初代肝細胞(Lonza)を、トランスフェクション試薬を使用せずに、それぞれのオリゴヌクレオチドで5μMの単一濃度にて3日間処理した。ANGPTL4 mRNA発現を誘導するために、細胞を同時に1μM PPARγ(Sigma Aldrich、カタログ番号R2408;10mMストック溶液の調製については実施例6を参照されたい)で処理した。最終濃度1μMのPPARγについては、96ウェルプレートに播種した細胞を、0.01μlのPPARγストック溶液を添加した100μlの培地と共にインキュベートした。陰性対照として、細胞を同容量のDMSOで処理した。
【0060】
処理開始から3日後に細胞を溶解させ、mRNAレベルをQuantiGene RNA Singleplexアッセイによって決定した。ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ1(HPRT1)をANGPTL4発現の正規化のためのハウスキーピング遺伝子として使用した。図7に示されるように、PPARγ刺激は、DMSO処理細胞と比較してANGPTL4レベルの約50%の上昇をもたらした(no oligo)。
【0061】
8つのANGPTL4特異的ASO(A24096Hi(配列番号172)、A24103He(配列番号179)、A24091Hi(配列番号167)、A24123He(配列番号197)、A24083Hi(配列番号159)、A24087Hi(配列番号163)、A24102He(配列番号178)、A24116He(配列番号192))および陽性対照ASO(A24022Hi(配列番号25)、A24071Hi(配列番号54)、A24076He(配列番号47))での処理は、ANGPTL4発現を70%超低下させた(0.3未満の残存ANGPTL4-mRNA発現に相当する)。対照オリゴヌクレオチド(Neg1、R01002、R01014)は、ANGPTL4 mRNA発現を低下させなかった。
【0062】
実施例8:初代肝細胞における付加的なヒトANGPTL4特異的アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)の2回目の単回投与スクリーニング
残りの新たに設計したANGPTL4特異的ASOを初代肝細胞において実施例7の実験条件下で試験した(図8)。これらのASOは、その後のin vitro試験において良好な耐容性を示した(データは示さない)。ノックダウン効率が確認された1つのANGPTL4特異的オリゴヌクレオチドを陽性対照として使用し(A24076He(配列番号47))、いかなるヒトまたはマウスmRNAに対しても配列相補性を有しない、異なる長さ(それぞれ16、17および18ヌクレオチド)の3つの対照オリゴヌクレオチド(R01009、R01019、Neg1)を陰性対照として含めた。
【0063】
10個のANGPTL4特異的ASO(A24083Hi(配列番号159)、A24089Hi(配列番号165)、A24117He(配列番号193)、A24124He(配列番号46)、A24103He(配列番号179)、A24097Hi(配列番号173)、A24110He(配列番号186)、A24121He(配列番号195)、A24086Hi(配列番号162)、A24085Hi(配列番号161))での処理は、ANGPTL4発現を70%超低下させ(0.3未満の残存ANGPTL4-mRNA発現に相当する)、一方で、陽性対照ASO A24076Hとのインキュベーションは、ANGPTL4 mRNA発現を約63%低下させた(図8)。対照オリゴヌクレオチド(Neg1、R01009、R01019)は、ANGPTL4 mRNA発現を僅かに(6~20%)しか低下させなかった。
【0064】
実施例9:ヒトアンジオポエチン様タンパク質4(ANGPTL4)特異的LNA修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドに応答したヒトToll様受容体9(hTLR9)の活性化
TLR9を活性化するヒトANGPTL4特異的LNA修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドA24076H(配列番号47)、A24083Hi(配列番号159)、A24085Hi(配列番号161)、A24086Hi(配列番号162)、A24087Hi(配列番号163)、A24089Hi(配列番号165)、A24096Hi(配列番号172)、A24102He(配列番号178)、A24103He(配列番号179)、A24110He(配列番号186)、A24111He(配列番号187)、A24113He(配列番号189)、A24116He(配列番号192)およびA24123He(配列番号197)の可能性を試験した。実験を1回(A24076H、A24096H、A24102He、A24113He、A24116HeおよびA24123He)または2回(他の全てのASO)、TLR9レポーター細胞株であるHEK-Blue-hTLR9細胞(Invivogenのカタログ番号hkb-htlr9)において実施例5の実験条件下で行った。図9A、9B、9Cおよび9Dに示されるように、異なる濃度のそれぞれのヒトANGPTL4 ASOでの細胞の処理後にNF-κBの用量依存的な活性化は観察されなかった。対照的に、NF-κBは、陽性対照ODN2006(5’-TCGTCGTTTTGTCGTTTTGTCGTT-3’PTO修飾 - Invivogenのカタログ番号tlrl-2006;配列番号153)での処理後に用量依存的に活性化された。
【0065】
実施例10:選択されたヒトANGPTL4特異的アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)のIC50決定
初代肝細胞(図7および8)におけるノックダウン効率に基づいて、最も強力なノックダウン有効性を有し、トランスフェクション後にカスパーゼ3/7の誘導を示さない(データは示さない)ASOをIC50値の決定のために選択した。陽性対照として、ノックダウン効率が確認されたANGPTL4特異的ASO A24076He(配列番号47)を使用した。
【0066】
初代ヒト肝細胞(Primacyt)を、異なる濃度のANGPTL4特異的ASOまたは陰性対照オリゴヌクレオチドNeg1、R01009およびR01019で3日間処理した。同時に、細胞をPPARγ(1μM)(Sigma Aldrich、カタログ番号R2408;10mMストック溶液の調製については実施例6を参照されたい)で処理し、ANGPTL4発現を誘導した。最終濃度1μMのPPARγについては、96ウェルプレートに播種した細胞を、0.01μlのPPARγストック溶液を添加した100μlの培地と共にインキュベートした。陰性対照として、細胞を同容量のDMSOで処理した。3日後に、QuantiGene Singleplex RNAアッセイを用いてmRNA発現を分析した。
【0067】
表6および図10から、8つのANGPTL4特異的ASO(A24083Hi(配列番号159)、A24085Hi(配列番号161)、A24087Hi(配列番号163)、A24089Hi(配列番号165)、A24097Hi(配列番号173)、A24103He(配列番号179)、A24110He(配列番号186)およびA24111He(配列番号187))および陽性対照A24076He(配列番号47)がANGPTL4 mRNA発現をナノモル範囲のIC50値で用量依存的に阻害することが実証される。ASO A24086Hi(配列番号162)での処理は、ANGPTL4 mRNA発現の用量依存的な低下をもたらさなかった(R=0.5)。したがって、データは含めなかった。
【0068】
以下の表6には、初代ヒト肝細胞において決定された選択ヒトANGPTL4特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドのIC50値およびRを示す。は、Rが0.85未満でる。
【0069】
【表6】
【0070】
実施例11:カニクイザル肝細胞におけるヒトANGPTL4特異的オリゴヌクレオチドのin vitro有効性
in vivoで耐容性を示すヒトANGPTL4特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドA24076H(配列番号47)、およびカニクイザルANGPTL4配列に対して1つのミスマッチのみを有する3つの更なるヒトANGPTL4特異的ASO(表7)を初代カニクイザル肝細胞において試験した(図11)。試験した全てのASOでヒト細胞株および初代肝細胞においてノックダウン効率が確認されることが示された。いかなるヒトまたはマウスRNAに対しても配列相補性を有しない、異なる長さ(それぞれ16および17ヌクレオチド)の2つの対照オリゴヌクレオチド(R01009、R01019)を陰性対照として含めた。
【0071】
表7に、in vitroでカスパーゼ3/7誘導を引き起こさない、ヒト細胞におけるノックダウン効率が証明されたヒトANGPTL4特異的ASOを示す。カニクイザル(Mfa、マカク・ファシクラリス(macaca fascicularis))ANGPTL4配列との交差反応性(CrossReact)およびミスマッチの数、ならびにin vitroでの初代カニクイザル肝細胞における活性(図11)を示す:
【表7】
【0072】
初代カニクイザル肝細胞(Primacyt)に、異なる濃度のANGPTL4特異的ASOまたは陰性対照オリゴヌクレオチドR01009およびR01019を3日間トランスフェクトした。同時に、細胞をPPARδ(1μM)(Sigma Aldrich、カタログ番号R2408;10mMストック溶液の調製については実施例6を参照されたい)で処理し、ANGPTL4発現を誘導した。最終濃度1μMのPPARγについては、96ウェルプレートに播種した細胞を、0.01μlのPPARγストック溶液を添加した100μlの培地と共にインキュベートした。陰性対照として、細胞を同容量のDMSOで処理した。3日後に、QuantiGene Singleplex RNAアッセイを用いてmRNA発現を分析した。
【0073】
図11に示されるように、PPARδでの処理は、約8倍のANGPTL4発現を誘導した(図11、DMSO対照)。カニクイザルANGPTL4配列と完全に交差反応性であるANGPTL4特異的ASO A24076He(配列番号47)での処理は、ANGPTL4の70%超のノックダウンをもたらした(0.3の残存mRNA発現に相当する)。また、カニクイザル配列と1つのミスマッチを有するヒトANGPTL4特異的オリゴヌクレオチド(A24089Hi(配列番号165)、A24110He(配列番号186)、A24111He(配列番号187))は、カニクイザルANGPTL4 mRNAを最大で51%低下させた(0.49の残存ANGPTL4-mRNA発現に相当する)。陰性対照オリゴヌクレオチドR01009は、初代カニクイザル肝細胞においてAngptl4発現を低下させず、一方で、対照オリゴヌクレオチドR01019は、2nMの濃度を用いた場合に、ANGPTL4 mRNA発現を約25%と僅かにしか低下させなかった(0.75の残存ANGPTL4-mRNA発現に相当する)。
【0074】
実施例11に基づく結論:
まとめると、in vitro実験により、カニクイザルにおけるASOベースのANGPTL4標的治療薬の試験に適した極めて強力なヒトANGPTL4特異的ASOが特定された。かかる薬物は、例えば脂質異常症患者の全身治療に、リポタンパク質リパーゼLのANGPTL4媒介性阻害を低減し、細胞脂質過負荷、肥満、II型糖尿病および心血管疾患を予防するために使用される。
【0075】
実施例12:3T3細胞におけるマウスANGPTL4特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドの1回目の単回投与スクリーニング
4500個の3T3細胞/ウェルを96ウェルプレートに播種し、図12に示されるANGPTL4アンチセンスオリゴヌクレオチドで10μMの最終濃度にて処理した。細胞を溶解させ、マウスHprt1およびマウスANGPTL4のmRNA発現を、QuantiGene RNA Singleplexアッセイを用いて測定した。ANGPTL4-mRNA発現値をハウスキーピング遺伝子Hprt1の発現に対して正規化した。モック処理細胞(100とした「no oligo」)に対する残存ANGPLT4-mRNA発現を図12に示す。実線および点線は、それぞれ50%および0%のノックダウン有効性を示す。データは三連ウェルの平均±SDとして表す。
【0076】
図12に示されるように、8つのANGPTL4アンチセンスオリゴヌクレオチド、すなわちA24047M(配列番号106)、A24020M(配列番号79)、A24017M(配列番号76)、A24021M(配列番号80)、A24049M(配列番号108)、A24018M(配列番号77)、A24041M(配列番号100)およびA24010M(配列番号69)が正規化ANGPTL4発現を50%超低下させ、対照オリゴヌクレオチド(Neg1)は、ANGPTL4 mRNA発現を低下させなかった(図12)。
【0077】
実施例13:Renca細胞におけるマウスANGPTL4特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドの2回目の単回投与有効性スクリーニング
5000個のRenca細胞/ウェルを96ウェルプレートに播種し、図13に示されるANGPTL4アンチセンスオリゴヌクレオチドで10μMの最終濃度にて処理した。処理開始から3日後に細胞を溶解させ、マウスHprt1およびマウスANGPTL4のmRNA発現を、QuantiGene RNA Singleplexアッセイを用いて測定した。ANGPTL4-mRNA発現値をハウスキーピング遺伝子Hprt1の発現に対して正規化した。モック処理細胞(1とした「no oligo」)に対する残存ANGPTL4-mRNA発現を示す。実線および点線は、それぞれ50%および0%のノックダウン有効性を示す。データは三連ウェルの平均±SDとして表す。
【0078】
図13に示されるように、2つのANGPTL4特異的アンチセンスオリゴヌクレオチド、すなわちA24020M(配列番号79)およびA24019M(配列番号78)での処理は、50%超のANGPTL4ノックダウンをもたらした(0.5未満の残存mRNAレベルに相当する)(図13)。
【0079】
実施例14:4T1細胞における更なるマウスANGPTL4特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドの試験
2500個の4T1細胞/ウェルを96ウェルプレートに播種し、図14に示されるANGPTL4アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)で5μMの最終濃度にて処理した。3日後に、細胞上清を、ASOを含む新鮮培地に交換した。処理開始から6日後に細胞を溶解させ、マウスGapdhおよびマウスANGPTL4のmRNA発現を、QuantiGene RNA Singleplexアッセイを用いて測定した。ANGPTL4-mRNA発現値をハウスキーピング遺伝子Gapdhの発現に対して正規化した。Neg1処理細胞(1とした)に対する残存ANGPTL4-mRNA発現を示す。実線および点線は、それぞれ80%および0%のノックダウン有効性を示す。データは三連ウェルの平均±SDとして表す。
【0080】
図14に示されるように、試験したアンチセンスオリゴヌクレオチドのうち12個、すなわちA24017M(配列番号76)、A24070M(配列番号127)、A24020M(配列番号79)、A24019M(配列番号78)、A24069M(配列番号126)、A24021M(配列番号80)、A24011M(配列番号70)、A24073M(配列番号130)、A24018M(配列番号77)、A24055M(配列番号114)、A24010M(配列番号69)およびA24065M(配列番号79)がANGPTL4 mRNAの80%超のノックダウンを示す(0.2未満の残存mRNAレベルに相当する)。
【0081】
実施例15:4T1細胞におけるイントロン標的化マウスANGPTL4特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドの単回投与有効性スクリーニング
2500個の4T1細胞/ウェルを96ウェルプレートに播種し、図15に示されるANGPTL4アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)で5μMの最終濃度にて処理した。処理開始から3日後に、細胞上清を、ASOを含む新鮮培地に交換し、細胞をさらに3日間インキュベートした。次いで、細胞を溶解させ、マウスHprt1およびマウスANGPTL4のmRNA発現を、QuantiGene RNA Singleplexアッセイを用いて測定した。ANGPTL4-mRNA発現値をハウスキーピング遺伝子Hprt1の発現に対して正規化した。モック処理細胞(1とした「no oligo」対照)に対する残存ANGPTL4-mRNA発現を示す。実線および点線は、それぞれ50%および0%のノックダウン有効性を示す。データは三連ウェルの平均±SDとして表す。
【0082】
図15に示されるように、試験したANGPTL4アンチセンスオリゴヌクレオチドのうち6つ、すなわちA24047M(配列番号106)、A24095Mi(配列番号151)、A24093Mi(配列番号149)、A24020M(配列番号79)、A24090Mi(配列番号146)およびA24082Mi(配列番号139)がANGPTL4 mRNAの50%超のノックダウンを示す(0.5未満の残存mRNAレベルに相当する)。
【0083】
実施例16:選択したマウスANGPTL4特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドのIC50決定
2500個の4T1細胞/ウェルを96ウェルプレートに播種し、それぞれのANGPTL4アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)A24018M(配列番号77)、A24019M(配列番号78)、A24020M(配列番号79)、A24021M(配列番号80)、A24047M(配列番号106)、A24054M(配列番号113)、A24065M(配列番号79)、A24070M(配列番号127)、A24072M(配列番号129)、A24082M(配列番号139)およびA24095Mi(配列番号151)で5000nM、1000nM、200nM、40nM、8nMおよび1.6nMの種々の濃度にて処理した。処理開始から3日後に、細胞上清を、ASOを含む新鮮培地に交換し、細胞をさらに3日間インキュベートした。次いで、細胞を溶解させ、マウスHprt1およびマウスANGPTL4のmRNA発現を、QuantiGene RNA Singleplexアッセイを用いて測定した。ANGPTL4-mRNA発現値をハウスキーピング遺伝子Hprt1の発現に対して正規化した。モック処理細胞(1とした「no oligo」対照)に対する残存ANGPTL4-mRNA発現を示す。データは三連ウェルの平均±SDとして表す。
【0084】
図16および表8から、選択されたANGPTL4特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドがANGPTL4 mRNA発現をナノモル範囲のIC50値で用量依存的に阻害することが実証される。
【0085】
【表8】
【0086】
実施例17:4T1細胞における付加的なマウスAngptl4特異的ASOの1回目の単回投与スクリーニング
マウスAngptl4特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドを設計した。初期スクリーニングでは、Angptl4 mRNAを標的とする53個のASOを試験した。いかなるヒトまたはマウスmRNAに対しても配列相補性を有しない、異なる長さ(それぞれ16、17および18ヌクレオチド)の3つの対照オリゴヌクレオチド(R01002、R01014、Neg1)を陰性対照として含め、ノックダウン効率が確認された3つのANGPTL4特異的オリゴヌクレオチド(A24047M(配列番号106)、A24072M(配列番号129)、A24095Mi(配列番号151))を陽性対照として使用した。マウス乳癌細胞(4T1細胞)を、それぞれのオリゴヌクレオチドで5μMの単一濃度にて処理した。3日後に、細胞上清を5μMのそれぞれのASOを含有する新鮮培地に交換し、さらに3日間インキュベートした。その後、細胞を溶解させ、mRNAレベルをQuantiGene RNA Singleplexアッセイによって決定した。Hprt1をAngptl4発現の正規化のためにハウスキーピング遺伝子として使用した。
【0087】
図17に示されるように、15個のASO(A24146Mi(配列番号247)、A24047M(配列番号106)、A24126Mi(配列番号227)、A24120Mi(配列番号221)、A24104M(配列番号207)、A24108M(配列番号211)、A24110M(配列番号213)、A24139Mi(配列番号240)、A24103M(配列番号206)、A24112M(配列番号107)、A24122HMe(配列番号196)、A24113M(配列番号108)、A24125Mi(配列番号226)、A24099M(配列番号202)、A24095Mi(配列番号151))がAngptl4発現を75%超低下させ(0.25未満の残存Angptl4-mRNA発現に相当する)、対照オリゴヌクレオチド(Neg1、R01002、R01014)は、Angptl4 mRNA発現を50%未満しか低下させなかった(0.5超の残存Angptl4-mRNA発現に相当する)(図17)。
【0088】
実施例18:Renca細胞におけるマウスAngptl4特異的ASOの2回目の単回投与スクリーニング
異なる細胞株における更なる確認のために、実施例17と同じ処理をマウスRenca細胞に適用した。これにより、19個のAngptl4特異的ASO(A24143Mi(配列番号244)、A24047M(配列番号106)、A24095Mi(配列番号151)、A24125Mi(配列番号226)、A24110M(配列番号213)、A24148Mi(配列番号151)、A24120Mi(配列番号221)、A24104M(配列番号207)、A24109M(配列番号212)、A24139Mi(配列番号240)、A24103M(配列番号206)、A24122HMe(配列番号196)、A24131Mi(配列番号232)、A24138Mi(配列番号239)、A24123Mi(配列番号224)、A24146Mi(配列番号247)、A24117Mi(配列番号218)、A24130Mi(配列番号231)、A24144Mi(配列番号245))での処理が75%超のAngptl4ノックダウンをもたらした(0.25未満の残存Angptl4-mRNA発現に相当する)(図18)。
【0089】
実施例19:選択されたマウスANGPTL4特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドのIC50決定
4T1およびRenca細胞におけるノックダウン効率の結果(図17、18)に基づいて、Rencaおよび4T1細胞において最も強力なノックダウン有効性を有する9つのASO(A24103M(配列番号206)、A24110M(配列番号213)、A24122HMe(配列番号196)、A24120Mi(配列番号221)、A24125Mi(配列番号226)、A24139Mi(配列番号240)、A24143Mi(配列番号244)、A24146Mi(配列番号247)、A24148Mi(配列番号151))を半数阻害濃度(IC50)値の決定のために選択した。
【0090】
初代マウス肝細胞を異なる濃度のそれぞれのASOで3日間処理した。3日後に、QuantiGene Singleplex RNAアッセイを用いてmRNA発現を分析した。図19および表9から、選択されたAngptl4特異的ASOがAngptl4 mRNA発現をナノモル範囲のIC50値で用量依存的に阻害することが実証される。
【0091】
表9に、初代ヒト肝細胞において決定された選択Angptl4特異的ASOのIC50値を示す。は、R0.85未満である;Hprt1レベルの用量依存的な低下をもたらすカスパーゼ3/7を誘導する可能性が増大したASO:
【表9】
【0092】
実施例7~11および17~19に基づく結論:
ヒトANGPTL4に対して特異性を有する47個の一連の更なるASOを試験して、初代肝細胞におけるヒトANGPTL4の発現をmRNAレベルで強く低下させる幾つかのASOを選択した。試験したASOのうち16個での処理が、初代ヒト肝細胞におけるANGPTL4 mRNAの70%超のノックダウンを示した。これにより、最も強力な候補のIC50値は低ナノモル範囲であった。
【0093】
マウスモデルにおいてin vivo実験を行うために、マウスAngptl4に対して特異性を有するASOを設計し、上首尾の候補ASOをin vitroでマウスAngptl4発現を強くノックダウンするin vivo研究に選択した。
【0094】
まとめると、包括的な一連のin vitro実験を行うことで、ASOベースのANGPTL4標的治療薬の開発に適した極めて強力なヒトANGPTL4特異的ASOが特定された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6-1】
図6-2】
図7-1】
図7-2】
図8
図9
図10-1】
図10-2】
図10-3】
図11
図12
図13
図14
図15
図16-1】
図16-2】
図17-1】
図17-2】
図18-1】
図18-2】
図19-1】
図19-2】
図19-3】
【配列表】
2022507464000001.app
【国際調査報告】