(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】抗ヒトN末端脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体の組換え抗体
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20220111BHJP
C07K 16/26 20060101ALI20220111BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20220111BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20220111BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20220111BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20220111BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20220111BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20220111BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20220111BHJP
G01N 33/531 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/26 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
G01N33/53 D
G01N33/531 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021526431
(86)(22)【出願日】2019-10-01
(85)【翻訳文提出日】2021-05-12
(86)【国際出願番号】 CN2019109792
(87)【国際公開番号】W WO2020125136
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】201811557468.5
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521204910
【氏名又は名称】ファポン バイオテック インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】FAPON BIOTECH INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メン,ユアン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ドンメイ
(72)【発明者】
【氏名】イエ,チンニー
(72)【発明者】
【氏名】リアン,ビー
(72)【発明者】
【氏名】ヨウ,フイ
(72)【発明者】
【氏名】マー,チウヤン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ウェイジー
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA13
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA87X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA46
4H045AA11
4H045AA30
4H045DA76
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
NT-proBNPの抗原結合ドメインを含む分離される結合タンパク質及びその製造方法を提供する。前記抗原結合ドメインは、限定されるアミノ酸配列から選ばれる少なくとも1つの相補性決定領域を含むか、又は、以下のアミノ酸配列の相補性決定領域と少なくとも80%の配列同一性を有し、かつNT-proBNPとはK
D≦2.26×10
-8の親和性を有し、NT-proBNPタンパク質の検出分野に適用することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗原結合ドメインを含む分離される結合タンパク質であって、
前記抗原結合ドメインは、以下のアミノ酸配列から選ばれる少なくとも1つの相補性決定領域を含むか、又は、以下のアミノ酸配列の相補性決定領域と少なくとも80%の配列同一性を有し、かつNT-proBNPとはK
D≦2.26×10
-8の親和性を有し、
相補性決定領域CDR-VH1はG-X1-S-X2-T-T-Y-Y-X3-Dであり、ここで、
X1がP又はFであり、X2がI、V又はLであり、X3がI、V又はLであり、
相補性決定領域CDR-VH2はM-T-K-D-X1-N-A-V-H-X2-P-T-X3-R-Sであり、ここで、
X1がG又はAであり、X2がQ又はNであり、X3がI、V又はLであり、
相補性決定領域CDR-VH3はV-X1-G-X2-I-D-X3-Gであり、ここで、
X1がK又はRであり、X2がI、V又はLであり、X3がF又はWであり、
相補性決定領域CDR-VL1はG-S-S-D-X1-V-G-X2-G-D-Y-X3-Nであり、ここで、
X1がQ又はNであり、X2がF又はPであり、X3がI、V又はLであり、
相補性決定領域CDR-VL2はI-F-X1-A-X2-S-R-X3-R-Gであり、ここで、
X1がA又はGであり、X2がT、Y又はSであり、X3がI、V又はLであり、
相補性決定領域CDR-VL3はG-S-X1-N-S-R-X2-Y-V-X3-Gであり、ここで、
X1がP、A又はGであり、X2がGG又はNであり、X3がW又はFであり、
好ましくは、
前記相補性決定領域CDR-VH1では、X1がFであり、
前記相補性決定領域CDR-VH2では、X1がGであり、
前記相補性決定領域CDR-VH3では、X1がRであり、
前記相補性決定領域CDR-VL1では、X2がFであり、
前記相補性決定領域CDR-VL2では、X1がGであり、
前記相補性決定領域CDR-VL3では、X3がFであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VH1では、X2がIであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VH1では、X2がVであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VH1では、X2がLであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VH1では、X3がIであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VH1では、X3がVであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VH1では、X3がLであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VH2では、X2がQであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VH2では、X2がNであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VH2では、X3がIであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VH2では、X3がVであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VH2では、X3がLであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VH3では、X2がIであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VH3では、X2がVであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VH3では、X2がLであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VH3では、X3がFであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VH3では、X3がWであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VL1では、X1がQであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VL1では、X1がNであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VL1では、X3がIであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VL1では、X3がVであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VL1では、X3がLであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VL2では、X2がTであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VL2では、X2がYであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VL2では、X2がSであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VL2では、X3がIであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VL2では、X3がVであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VL2では、X3がLであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VL3では、X1がPであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VL3では、X1がAであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VL3では、X1がGであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VL3では、X2がGGであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VL3では、X2がNであり、
好ましくは、各相補性決定領域の突然変異部位は、以下の突然変異組合せから選ばれるいずれかである、ことを特徴とする分離される結合タンパク質。
【請求項2】
少なくとも3つのCDRsを含むか、又は、少なくとも6つのCDRsを含み、
好ましくは、ナノ抗体、F(ab’)
2、Fab’、Fab、Fv、scFv、二重特異性抗体及び抗体最小識別単位のうちの1つであり、
好ましくは、配列が順にSEQ ID NO:l乃至SEQ ID NO:4で示される軽鎖フレームワーク領域FR-L1、FR-L2、FR-L3及びFR-L4、及び/又は、配列が順にSEQ ID NO:5乃至SEQ ID NO:8で示される重鎖フレームワーク領域FR-H1、FR-H2、FR-H3及びFR-H4を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の抗原結合ドメインを含む分離される結合タンパク質。
【請求項3】
抗体の定常領域の配列をさらに含み、
好ましくは、前記定常領域の配列は、IgGl、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgM、IgE、IgDから選ばれるいずれかの定常領域の配列であり、
好ましくは、前記定常領域は、牛、馬、乳牛、豚、綿羊、山羊、ラット、マウス、犬、猫、ウサギ、ラクダ、ロバ、鹿、ミンク、鶏、アヒル、ガチョウ、七面鳥、闘鶏又はヒトの物種に由来し、
好ましくは、前記定常領域はマウスに由来し、
軽鎖定常領域配列はSEQ ID NO:9で示され、
重鎖定常領域配列はSEQ ID NO:10で示される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の抗原結合ドメインを含む分離される結合タンパク質。
【請求項4】
DNA又はRNAであり、請求項1~3のいずれかに記載の結合タンパク質をコードする、ことを特徴とする分離される核酸分子。
【請求項5】
請求項4に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項6】
請求項5に記載のベクターで形質転換される、宿主細胞。
【請求項7】
培地で適切な培養条件において請求項6に記載の宿主細胞を培養し、培地又は培養された宿主細胞から、このように生じた結合タンパク質を回収するステップを含む、ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の結合タンパク質の生産方法。
【請求項8】
請求項1~3のいずれかに記載の結合タンパク質の、心不全を診断する及び心臓機能を評価するための診断剤の製造における使用。
【請求項9】
テストサンプル中のNT-proBNPの検出方法であって、
a)十分に抗体/抗原結合反応が発生できる条件において、前記テストサンプル中のNT-proBNP抗原を請求項3に記載の結合タンパク質と接触させて免疫複合体を形成するステップと、
b)前記テストサンプル中の前記NT-proBNPの存在を指示する前記免疫複合体の存在を検出するステップと、を含み、
好ましくは、ステップa)では、前記免疫複合体は、前記結合タンパク質に結合される第2の抗体をさらに含み、
好ましくは、ステップa)では、前記免疫複合体は、前記NT-proBNPに結合される第2の抗体をさらに含む、検出方法。
【請求項10】
請求項1~3のいずれかに記載の結合タンパク質を含むキット。
【請求項11】
請求項1~3のいずれかに記載の結合タンパク質の、NT-proBNPに関連する疾患の診断における使用。
【請求項12】
NT-proBNPに関連する疾患を診断する又は心臓機能を評価する診断方法であって、
A)十分に結合反応が発生できる条件において、被験者からのサンプルを請求項1~3のいずれかに記載の結合タンパク質と接触させて結合反応させるステップと、
B)結合反応の生じた免疫複合体を検出するステップと、を含み、
前記免疫複合体の存在は、NT-proBNPに関連する疾患の存在を指示するか、又は、心臓機能レベルを指示する、診断方法。
【請求項13】
蛍光免疫技術、化学発光技術、金コロイド免疫技術、放射免疫分析及び/又は酵素結合免疫技術に基づくものである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記サンプルは、全血、末梢血、血清、血漿又は心筋組織から選ばれる少なくとも1種である、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記被験者は、哺乳動物であり、好ましくは霊長類動物であり、さらに好ましくはヒトである、請求項12~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
NT-proBNPに関連する前記疾患が心臓疾患である、請求項11に記載の使用又は請求項12~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
NT-proBNPに関連する前記疾患は、心不全、心機能不全、心原性呼吸困難、肺性呼吸困難、急性冠症候群又はこれらの組合せで構成される群から選ばれる、請求項11に記載の使用又は請求項12~15のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記心不全は、心原性の心不全又は非心原性の心不全である、請求項11に記載の使用又は請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2018年12月19日に中国特許局に提出した、中国特許出願第201811557468.5号で、名称が「抗ヒトN末端脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体の組換え抗体」である中国特許出願の優先権を主張する。この中国特許出願の全文を本願に引用している。
【0002】
本開示は、免疫技術分野に関し、具体的には、抗ヒトN末端脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体の組換え抗体に関する。
【背景技術】
【0003】
1988年に日本学者Sudohは初めて豚の脳から分離して、高い利尿、血管拡張及び血圧低減作用を有するポリペプチドを取得し、脳性ナトリウム利尿ペプチド(Brain Natriuretic Peptide、BNP)と命名する。BNPは心臓に最も多く分布しているが、心筋細胞はまず108個のアミノ酸を含有するpro BNP(BNP前駆体)を合成し、心筋細胞が刺激を受けると、pro BNPはエンドヌクレアーゼの作用で、76個のアミノ酸を含有する、生物活性がないN末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド(NT-pro BNP)、及び32個のアミノ酸を含有する、活性を有するB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)に開裂され、両者の由来が同じでありかつ等モルで分泌して放出されて血液循環に入る。
【0004】
心臓容量負荷が増加したり心臓機能が損なわれたりすると、N末端脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体(NT-proBNP)とBNPの指標濃度が異常に高くなる。NT-proBNPはBNPに比べて生体安定性が高く、半減期が長く(120min)、濃度が比較的安定し、有効検出時間が長く、血液中の含有量がBNPより約16~20倍高いため、検出が容易であり、血漿サンプルの体外での安定性が長く(>48h)、心不全を診断し、心臓機能を評価する最適な心筋マーカーである。
【0005】
正常なヒトの血液中のNT-proBNPの含有量は一般的に0.3ng/mLより低い。心臓機能が損なわれ、心筋が拡張されると、NT-proBNPは迅速に合成され、大量分泌放出されて人体の血液中に入る。いくつかの関連した初期病症を発見するとき、正確で、敏感で、効率的かつ安定して血液中のNT-proBNPの量を検出することで、初期の心機能不全、心衰弱、呼吸困難の心原性と非心原性の心衰弱の治療と予後モニタリング、急性冠動脈症候群の層別化などに迅速かつ正確な早期診断の根拠を提供することができる。現在、NT-proBNP含有量を検出するための方法は、主に金コロイド定性試験、蛍光免疫法、酵素結合免疫吸着試験(ELISA)及び化学発光微粒子免疫測定法(CMIA)があるが、これらの測定方法はNT-proBNPに対する特異性モノクローナル抗体を必要とし、現在、中国内ではNT-proBNPを検出するためのモノクローナル抗体の感度、特異性がいずれも理想的ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、新規なN末端脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体(NT-proBNP)の抗原結合ドメインを含む分離される結合タンパク質に関し、該結合タンパク質の製造、使用などについて研究する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記抗原結合ドメインは、以下のアミノ酸配列から選ばれる少なくとも1つの相補性決定領域を含むか、又は、以下のアミノ酸配列の相補性決定領域と少なくとも80%の配列同一性を有し、かつNT-proBNPとはKD≦2.26×10-8の親和性を有し、
相補性決定領域CDR-VH1はG-X1-S-X2-T-T-Y-Y-X3-Dであり、ここで、
X1がP又はFであり、X2がI、V又はLであり、X3がI、V又はLであり、
相補性決定領域CDR-VH2はM-T-K-D-X1-N-A-V-H-X2-P-T-X3-R-Sであり、ここで、
X1がG又はAであり、X2がQ又はNであり、X3がI、V又はLであり、
相補性決定領域CDR-VH3はV-X1-G-X2-I-D-X3-Gであり、ここで、
X1がK又はRであり、X2がI、V又はLであり、X3がF又はWであり、
相補性決定領域CDR-VL1はG-S-S-D-X1-V-G-X2-G-D-Y-X3-Nであり、ここで、
X1がQ又はNであり、X2がF又はPであり、X3がI、V又はLであり、
相補性決定領域CDR-VL2はI-F-X1-A-X2-S-R-X3-R-Gであり、ここで、
X1がA又はGであり、X2がT、Y又はSであり、X3がI、V又はLであり、
相補性決定領域CDR-VL3はG-S-X1-N-S-R-X2-Y-V-X3-Gであり、ここで、
X1がP、A又はGであり、X2がGG又はNであり、X3がW又はFである。
【0008】
1つの重要な利点は、前記結合タンパク質の活性が高く、ヒトのNT-proBNPと非常に高い親和性を有することである。
【0009】
1つ又は複数の実施形態においては、
前記相補性決定領域CDR-VH1では、X1がFであり、
前記相補性決定領域CDR-VH2では、X1がGであり、
前記相補性決定領域CDR-VH3では、X1がRであり、
前記相補性決定領域CDR-VL1では、X2がFであり、
前記相補性決定領域CDR-VL2では、X1がGであり、
前記相補性決定領域CDR-VL3では、X3がFである。
【0010】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VH1では、X2がIである。
【0011】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VH1では、X2がVである。
【0012】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VH1では、X2がLである。
【0013】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VH1では、X3がIである。
【0014】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VH1では、X3がVである。
【0015】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VH1では、X3がLである。
【0016】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VH2では、X2がQである。
【0017】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VH2では、X2がNである。
【0018】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VH2では、X3がIである。
【0019】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VH2では、X3がVである。
【0020】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VH2では、X3がLである。
【0021】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VH3では、X2がIである。
【0022】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VH3では、X2がVである。
【0023】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VH3では、X2がLである。
【0024】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VH3では、X3がFである。
【0025】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VH3では、X3がWである。
【0026】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VL1では、X1がQである。
【0027】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VL1では、X1がNである。
【0028】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VL1では、X3がIである。
【0029】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VL1では、X3がVである。
【0030】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VL1では、X3がLである。
【0031】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VL2では、X2がTである。
【0032】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VL2では、X2がYである。
【0033】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VL2では、X2がSである。
【0034】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VL2では、X3がIである。
【0035】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VL2では、X3がVである。
【0036】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VL2では、X3がLである。
【0037】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VL3では、X1がPである。
【0038】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VL3では、X1がAである。
【0039】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VL3では、X1がGである。
【0040】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VL3では、X2がGGである。
【0041】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VL3では、X2がNである。
【0042】
1つ又は複数の実施形態においては、各相補性決定領域の突然変異部位は、以下の突然変異組合せから選ばれるいずれか一種である。
【0043】
【0044】
1つ又は複数の実施形態においては、前記結合タンパク質は、少なくとも3つのCDRs(例えば3つの軽鎖CDR又は3つの重鎖CDR)を含むか、又は、前記結合タンパク質は、少なくとも6つのCDRsを含む。
【0045】
1つ又は複数の実施形態においては、前記結合タンパク質は、可変領域及び定常領域を含む完全な抗体である。
【0046】
1つ又は複数の実施形態においては、前記結合タンパク質は、配列が順にSEQ ID NO:1乃至SEQ ID NO:4で示される軽鎖フレームワーク領域FR-L1、FR-L2、FR-L3及びFR-L4、及び/又は、配列が順にSEQ ID NO:5乃至SEQ ID NO:8で示される重鎖フレームワーク領域FR-H1、FR-H2、FR-H3及びFR-H4を含む。
【0047】
1つ又は複数の実施形態においては、前記結合タンパク質は、抗体の定常領域の配列をさらに含む。
【0048】
1つ又は複数の実施形態においては、前記定常領域配列は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgM、IgE、IgDから選ばれるいずれかの定常領域の配列である。
【0049】
1つ又は複数の実施形態においては、前記定常領域は、牛、馬、乳牛、豚、綿羊、山羊、ラット、マウス、犬、猫、ウサギ、ラクダ、ロバ、鹿、ミンク、鶏、アヒル、ガチョウ、七面鳥、闘鶏又はヒトの物種に由来する。
【0050】
1つ又は複数の実施形態においては、前記定常領域は羊に由来し、
軽鎖定常領域配列はSEQ ID NO:9で示され、
重鎖定常領域配列はSEQ ID NO:10で示される。
【0051】
本開示は、上記記載の結合タンパク質をコードする、分離される核酸分子にさらに関する。
【0052】
本開示は、上記記載の核酸分子を含むベクターにさらに関する。
【0053】
本開示は、上記記載のベクターで形質転換される宿主細胞にさらに関するにさらに関する。
【0054】
本開示は、上記記載の結合タンパク質の生産方法であって、
上記記載の宿主細胞を培地で適切な培養条件において培養し、培地又は培養された宿主細胞から、このように生じた結合タンパク質を回収するステップを含む、生産方法にさらに関する。
【0055】
本開示の一態様によれば、本開示は、上記記載の結合タンパク質の、心不全を診断する及び心臓機能を評価するための診断剤の製造における使用にさらに関する。
【0056】
本開示の一態様によれば、本開示は、テストサンプル中のNT-proBNPの検出方法であって、
a)十分に抗体/抗原結合反応が発生できる条件において、前記テストサンプル中のNT-proBNP抗原を上記記載の結合タンパク質と接触させて免疫複合体を形成するステップと、
b)前記テストサンプル中の前記NT-proBNPの存在を指示する前記免疫複合体の存在を検出するステップと、を含む、検出方法にさらに関する。
【0057】
1つ又は複数の実施形態においては、ステップa)では、前記免疫複合体は、前記結合タンパク質に結合される第2の抗体をさらに含む。
【0058】
1つ又は複数の実施形態においては、ステップa)では、前記免疫複合体は、前記NT-proBNP抗原に結合される第2の抗体をさらに含む。
【0059】
本開示の一態様によれば、本開示は、上記記載の結合タンパク質を含むキットにさらに関する。
【0060】
本開示は、本明細書に記載の結合タンパク質の、NT-proBNPに関連する疾患の診断における使用にさらに関する。
【0061】
本開示は、NT-proBNPに関連する疾患を診断する又は心臓機能を評価する方法であって、
A)十分に結合反応が発生できる条件において、被験者からのサンプルを本開示に記載の結合タンパク質と接触させて結合反応させるステップと、
B)結合反応の生じた免疫複合体を検出するステップと、を含み、
前記免疫複合体の存在は、NT-proBNPに関連する疾患の存在を指示するか、又は、心臓機能レベルを指示する、方法にさらに関する。
【0062】
1つ又は複数の実施形態においては、前記方法は、蛍光免疫技術、化学発光技術、金コロイド免疫技術、放射免疫分析及び/又は酵素結合免疫技術に基づくものである。
【0063】
1つ又は複数の実施形態においては、前記サンプルは、全血、末梢血、血清、血漿又は心筋組織から選ばれる少なくとも1種である。
【0064】
1つ又は複数の実施形態においては、前記被験者は哺乳動物、好ましくは霊長類動物であり、さらに好ましくはヒトである。
【0065】
1つ又は複数の実施形態においては、NT-proBNPに関連する疾患前記は心臓疾患である。
【0066】
1つ又は複数の実施形態においては、NT-proBNPに関連する前記疾患は、心不全、心機能不全、心原性呼吸困難、肺性呼吸困難、急性冠症候群又はこれらの組合せで構成される群から選ばれる。
【0067】
1つ又は複数の実施形態においては、前記心全症心原性の心不全又は非心原性の心不全である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
本開示の具体的な実施形態又は従来の技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、具体的な実施形態又は従来の技術の説明に必要な図面を簡単に説明し、明らかに、以下に説明される図面は本開示のいくつかの実施形態であり、当業者にとって、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて他の図面を取得することができる。
【
図1】本開示の一実施例での抗ヒトNT-proBNPのモノクローナル抗体の電気泳動図である。
【発明を実施するための形態】
【0069】
本開示は、本開示の一部の実施案についての以下の説明及び含まれる実施例の詳細な内容を通して、容易に了解することができる。
【0070】
さらに本開示を記述する前に、本開示は、前記特定の実施案に限定されるものではなく、これらの実施案が必然的にさまざまであるためであることが理解されたい。また、本明細書に使用される用語は、特定の実施案を説明するためのものに過ぎず、制限するためのものではなく、本開示の範囲が添付の特許請求の範囲のみに限定されるためであることが理解されたい。
【0071】
名詞定義
「抗原結合ドメインを含む分離される結合タンパク質」は、広く、CDR領域を含む全てのタンパク質/タンパク質断片を指す。「抗体」という用語は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体及びこれらの抗体の抗原化合物の結合断片を含み、Fab、F(ab’)2、Fd、Fv、scFv、二重特異性抗体、抗体の最小識別単位、及びこれらの抗体と断片の一本鎖誘導体を含む。抗体のタイプは、IgGl、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgM、IgE、IgDから選択することができる。また、「抗体」という用語は、天然に生じる抗体及び非天然に生じる抗体を含み、例えばキメラ(chimeric)、二元機能型(bifunctional)及びヒト由来型(humanized)の抗体、及び関連する合成アイソフォーム(isoforms)を含む。「抗体」という用語は、「免疫グロブリン」と互換的に使用できる。
【0072】
抗体の「可変領域」又は「可変ドメイン」とは、抗体の重鎖又は軽鎖のN末端のドメインである。重鎖の可変ドメインは、「VH」と呼ばれてもよい。軽鎖の可変ドメインは、「VL」と呼ばれてもよい。これらのドメインは、通常、抗体の可変性が最も高い部分であり、抗原結合部位を含む。軽鎖又は重鎖可変領域(VL又はVH)は、3つの「相補性決定領域」又は「CDR」と呼ばれる領域及び3つの相補性決定領域に隔てられたフレームワーク領域で構成される。フレームワーク領域及びCDRの範囲は、例えば、Kabat(<<免疫学的に関心のあるタンパク質配列>>(Sequences of Proteins of Immunological Interest)、E.Kabatら、アメリカ合衆国保健福祉省(U.S.Department of Health and Human Services)、(1983))及びChothiaで、正確に定義されている。抗体のフレームワーク領域は、CDRを位置付けて揃える作用を果たし、前記CDRは、抗原の結合に主に用いられる。
【0073】
本明細書で使用されるとき、「フレームワーク領域」、「枠組み領域」又は「FR」は、CDRとして定義された領域を排除する抗体可変ドメインの領域を意味する。各抗体の可変ドメイン枠組み領域は、さらに、CDRに隔てられた隣接領域(FR1、FR2、FR3及びFR4)に細分化されてもよい。
【0074】
通常の場合、重鎖及び軽鎖の可変領域VL/VHは、以下の番号のCDRとFRを以下の組合せ配列で連結して得ることができる。
FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4
【0075】
本明細書で使用されるとき、ポリペプチド又は核酸に関連する用語「精製される」又は「分離される」とは、ポリペプチド又は核酸がその天然媒体に存在しない又は天然形態ではないことを意味する。従って、用語「分離される」は、原始的な環境、例えば天然に存在する場合に、天然環境から抽出されるポリペプチド又は核酸である。例えば、分離されるポリペプチドは、通常、それに結合されるもの、又は、通常、それに混合されるもの、又は、溶液における少なくともあるタンパク質又はその他の細胞成分を一般的に含まない。分離されるポリペプチドは、細胞溶解物に含まれた天然に存在する前記ポリペプチド、精製される又は部分的に精製される前記ポリペプチド、組換えポリペプチド、細胞で発現又は分泌される前記ポリペプチド、及び異種宿主細胞又は培養物における前記ポリペプチドを含む。核酸に関連して、用語「分離される」又は「精製される」は、例えば前記核酸が天然のゲノム背景に位置しない(例えば、ベクターでは、発現カセットとして、プロモータに連結され、又は異種宿主細胞に手動で導入される)ことを意味する。
【0076】
本明細書で使用されるとおり、用語「二重特異性抗体」又は「二重機能性抗体」は、異なる2ペアの重/軽鎖及び2つの異なる結合部位の人工ハイブリッド結合タンパク質を意味する。二重特異性結合タンパク質は、ハイブリドーマの融和又はFab’断片の連結を含む複数種の方法で生成することができる。
【0077】
本明細書で使用されるとおり、用語「配列同一性」は、少なくとも2種の異なる配列間の類似性を意味する。このパーセント同一性は、ベーシック・ローカルアライメント検索ツール(Basic Local Alignment Search Tool、BLAST)、Needlemanなど、又はMeyersなどの基準アルゴリズムで決定することができる。
【0078】
1つ又は複数の実施形態では、1組のパラメータは、Blosum62スコアリングマトリックス並びにギャップペナルティ12、ギャップ伸長ペナルティ4、及びフレームシフトギャップペナルティ5であってもよい。1つ又は複数の実施形態では、2種のアミノ酸又はヌクレオチド配列間のパーセント同一性は、さらに、Meyers及びMiller((1989)CABIOS 4:11-17)のアルゴリズムで決定されてもよく、該アルゴリズムがALIGNプログラム(2.0バージョン)に組み込まれており、PAM120重み付け残基表、ギャップ長さペナルティ12、及びギャップペナルティ4を用いる。パーセント同一性は、通常、類似した長さの配列を比較することで計算される。
【0079】
本明細書で使用されるとおり、用語「親和性」とは、結合タンパク質又は抗体の抗原結合ドメインと抗原又は抗原エピトープとの結合強度である。親和性は、KD値で評価することができ、KD値が小さければ、親和性が大きいことが示される。
【0080】
本開示の例示的な実施案
本開示は、抗原結合ドメインを含む分離される結合タンパク質に関し、前記抗原結合ドメインは、以下のアミノ酸配列から選ばれる少なくとも1つの相補性決定領域を含むか、又は、以下のアミノ酸配列の相補性決定領域と少なくとも80%の配列同一性を有し、かつNT-proBNPとはKD≦2.26×10-8の親和性を有し、
相補性決定領域CDR-VH1はG-X1-S-X2-T-T-Y-Y-X3-Dであり、ここで、
X1がP又はFであり、X2がI、V又はLであり、X3がI、V又はLであり、
相補性決定領域CDR-VH2はM-T-K-D-X1-N-A-V-H-X2-P-T-X3-R-Sであり、ここで、
X1がG又はAであり、X2がQ又はNであり、X3がI、V又はLであり、
相補性決定領域CDR-VH3はV-X1-G-X2-I-D-X3-Gであり、ここで、
X1がK又はRであり、X2がI、V又はLであり、X3がF又はWであり、
相補性決定領域CDR-VL1はG-S-S-D-X1-V-G-X2-G-D-Y-X3-Nであり、ここで、
X1がQ又はNであり、X2がF又はPであり、X3がI、V又はLであり、
相補性決定領域CDR-VL2はI-F-X1-A-X2-S-R-X3-R-Gであり、ここで、
X1がA又はGであり、X2がT、Y又はSであり、X3がI、V又はLであり、
相補性決定領域CDR-VL3はG-S-X1-N-S-R-X2-Y-V-X3-Gであり、ここで、
X1がP、A又はGであり、X2がGG又はNであり、X3がW又はFである。
【0081】
本明細書に使用される用語「N末端脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体(NT-proBNP)」は、「N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド」と互換的に使用でき、脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体又はB型ナトリウム利尿ペプチドを酵素切断した後、例えば、エンドヌクレアーゼで酵素切断した後に生じた生物活性がないN末端断片を意味する。
【0082】
1つ又は複数の実施形態においては、前記抗原結合ドメインは、以下のアミノ酸配列の相補性決定領域と少なくとも50%、又は少なくとも55%、又は少なくとも60%、又は少なくとも65%、又は少なくとも70%、又は少なくとも75%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも91%、又は少なくとも92%、又は少なくとも93%、又は少なくとも94%、又は少なくとも95%、又は少なくとも96%、又は少なくとも97%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有し、かつNT-proBNPとKD≦2.26×10-8mol/Lの親和性を有し、KD値は、1×10-9mol/L、2×10-9mol/L、3×10-9mol/L、4×10-9mol/L、4.5×10-9mol/L、5×10-9mol/L、6×10-9mol/L、7×10-9mol/L、8×10-9mol/L、9×10-9mol/L、1×10-10mol/L、3×10-10mol/L、5×10-10mol/L、7×10-10mol/L、9×10-10mol/L又は1×10-8mol/Lから選ばれてもよく、
又は8.10×10-10mol/L≦KD≦2.26×10-8mol/Lであり、
又はKDは、1×10-9mol/L、2×10-9mol/L、3×10-9mol/L、4×10-9mol/L、4.5×10-9mol/L、5×10-9mol/L、6×10-9mol/L、7×10-9mol/L、8×10-9mol/L、9×10-9mol/L、1×10-10mol/L、3×10-10mol/L、5×10-10mol/L、7×10-10mol/L、9×10-10mol/L又は1×10-8mol/L以下である。
【0083】
親和性を本開示の明細書の方法で測定する。
【0084】
1つ又は複数の実施形態においては、
前記相補性決定領域CDR-VH1では、X1がFであり、
前記相補性決定領域CDR-VH2では、X1がGであり、
前記相補性決定領域CDR-VH3では、X1がRであり、
前記相補性決定領域CDR-VL1では、X2がFであり、
前記相補性決定領域CDR-VL2では、X1がGであり、
前記相補性決定領域CDR-VL3では、X3がFである。
【0085】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VH1では、X2がIである。
【0086】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VH1では、X2がVである。
【0087】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VH1では、X2がLである。
【0088】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VH1では、X3がIである。
【0089】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VH1では、X3がVである。
【0090】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VH1では、X3がLである。
【0091】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VH2では、X2がQである。
【0092】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VH2では、X2がNである。
【0093】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VH2では、X3がIである。
【0094】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VH2では、X3がVである。
【0095】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VH2では、X3がLである。
【0096】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VH3では、X2がIである。
【0097】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VH3では、X2がVである。
【0098】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VH3では、X2がLである。
【0099】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VH3では、X3がFである。
【0100】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VH3では、X3がWである。
【0101】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VL1では、X1がQである。
【0102】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VL1では、X1がNである。
【0103】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VL1では、X3がIである。
【0104】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VL1では、X3がVである。
【0105】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VL1では、X3がLである。
【0106】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VL2では、X2がTである。
【0107】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VL2では、X2がYである。
【0108】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VL2では、X2がSである。
【0109】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VL2では、X3がIである。
【0110】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VL2では、X3がVである。
【0111】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VL2では、X3がLである。
【0112】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VL3では、X1がPである。
【0113】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VL3では、X1がAである。
【0114】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VL3では、X1がGである。
【0115】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VL3では、X2がGGである。
【0116】
1つ又は複数の実施形態においては、前記相補性決定領域CDR-VL3では、X2がNである。
【0117】
1つ又は複数の実施形態においては、各相補性決定領域の突然変異部位は、以下の突然変異組合せから選ばれるいずれかである。
【0118】
【0119】
1つ又は複数の実施形態では、本開示に記載の結合タンパク質の6つのCDR領域に出現するX1は、それぞれ独立して、本開示で限定されるアミノ酸を表し、本開示に記載の結合タンパク質の6つのCDR領域に出現するX2は、それぞれ独立して、本開示で限定されるアミノ酸を表し、本開示に記載の結合タンパク質の6つのCDR領域に出現するX3は、それぞれ独立して、本開示で限定されるアミノ酸を表す。
【0120】
1つ又は複数の実施形態においては、前記結合タンパク質は、少なくとも3つのCDRs(例えば3つの軽鎖CDR又は3つの重鎖CDR)を含むか、又は、前記結合タンパク質は、少なくとも6つのCDRsを含む。
【0121】
1つ又は複数の実施形態においては、前記結合タンパク質は可変領域及び定常領域を含む完全な抗体である。
【0122】
1つ又は複数の実施形態においては、前記結合タンパク質は抗体の「機能断片」、例えば、ナノ抗体は、F(ab’)2、Fab’、Fab、Fv、scFv、二重特異性抗体及び抗体最小識別単位のうちの1種である。
scFv(sc=一本鎖)、二重特異性抗体(diabodies)。
【0123】
本開示に記載の「機能断片」は、特に、NT-proBNPに対して母親由来抗体と同一特異性を有する抗体断片である。上記機能断片のほか、半減期に増加された任意の断片をさらに含む。
【0124】
これらの機能断片は、通常、その由来抗体と同一の結合特異性を有する。当業者は、本開示の明細書に記載の内容に基づいて、本開示の抗体断片が、例えば、酵素消化の方法(ペプシン又はパパインを含む)及び/又はジスルフィド結合を化学還元して分割する方法により上記の機能断片を取得できることを推定することができる。
【0125】
抗体断片は、さらに、当業者にとって既知の組換え遺伝学技術、又は、Applied BioSystemsなどにより販売される自動ペプチドシンセサイザーなどの自動ペプチドシンセサイザーによって、ペプチドを合成することで取得されてもよい。
【0126】
1つ又は複数の実施形態においては、前記結合タンパク質は、配列が順にSEQ ID NO:1乃至SEQ ID NO:4で示される軽鎖フレームワーク領域FR-L1、FR-L2、FR-L3及びFR-L4、及び/又は、配列が順にSEQ ID NO:5乃至SEQ ID NO:8で示される重鎖フレームワーク領域FR-H1、FR-H2、FR-H3及びFR-H4を含む。
【0127】
なお、本願の上記に開示されているアミノ酸配列のほか、フレームワーク領域は、ヒト化抗体を構成するように、ヒトの物種に由来してもよい。
【0128】
1つ又は複数の実施形態においては、前記結合タンパク質は、抗体の定常領域の配列をさらに含む。
【0129】
1つ又は複数の実施形態においては、前記定常領域配列は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgM、IgE、IgDから選ばれるいずれかの定常領域の配列である。
【0130】
1つ又は複数の実施形態においては、前記定常領域は、牛、馬、乳牛、豚、綿羊、山羊、ラット、マウス、犬、猫、ウサギ、ラクダ、ロバ、鹿、ミンク、鶏、アヒル、ガチョウ、七面鳥、闘鶏又はヒトの物種に由来し、
1つ又は複数の実施形態においては、前記定常領域は羊に由来し、
軽鎖定常領域配列はSEQ ID NO:9で示され、
重鎖定常領域配列はSEQ ID NO:10で示される。
【0131】
本開示の一態様によれば、本開示は、上記記載の結合タンパク質をコードし、DNA又はRNAである、分離される核酸分子にさらに関する。
【0132】
本開示の一態様によれば、本開示は、上記記載の核酸分子を含むベクターにさらに関する。
【0133】
本開示は、上記記載の核酸分子をコードする少なくとも1種の核酸構築体をさらに含み、例えばプラスミド、さらに発現プラスミドであり、本願の一実施例では、該ベクターの構築方法について説明する。
【0134】
本開示の一態様によれば、本開示は、前記ベクターで形質転換される宿主細胞にさらに関する。
【0135】
前記宿主細胞は、哺乳動物細胞などの真核細胞であってもよい。
【0136】
1つ又は複数の実施形態においては、前記宿主細胞はCHO細胞である。
【0137】
本開示の一態様によれば、本開示は、上記記載の結合タンパク質の生産方法であって、
培地で適切な培養条件において上記記載の宿主細胞を培養し、培地又は培養された宿主細胞から、このように生じた結合タンパク質を回収するステップを含む、生産方法にさらに関する。
【0138】
本開示の一態様によれば、本開示は、上記記載の結合タンパク質の、心不全を診断する及び心臓機能を評価するための診断剤の製造における使用にさらに関する。
【0139】
1つ又は複数の実施形態においては、前記癌は、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、胆道癌、乳癌、子宮頸癌、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、胃癌、頭頸部癌、ホジキンリンパ腫、肺癌、甲状腺髄様癌、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、腎臓癌、卵巣癌、膵臓癌、神経膠腫、黒色腫、肝癌、前立腺癌及び尿路癌膀胱癌を含む。
【0140】
本開示の一態様によれば、本開示は、テストサンプル中のNT-proBNPの検出方法であって、
a)十分に抗体/抗原結合反応が発生できる条件において、前記テストサンプル中のNT-proBNP抗原を上記記載の結合タンパク質と接触させて免疫複合体を形成するステップと、
b)前記テストサンプル中の前記NT-proBNPの存在を指示する前記免疫複合体の存在を検出するステップと、を含む、検出方法にさらに関する。
【0141】
この実施形態では、信号強度を示す指示薬で前記結合タンパク質を標識することができ、前記複合体を容易に検出するようにする。
【0142】
1つ又は複数の実施形態においては、ステップa)では、前記免疫複合体は、前記結合タンパク質に結合される第2の抗体をさらに含む。
【0143】
1つ又は複数の実施形態においては、ステップa)では、前記免疫複合体は、前記NT-proBNPに結合される第2の抗体をさらに含む。
【0144】
この実施形態では、前記結合タンパク質は、第1の抗体の形態で前記第2の抗体とペア抗体を形成し、NT-proBNPの異なる抗原エピトープに結合するために用いられる。
【0145】
信号強度を示す指示薬で前記の第2の抗体を標識することができ、前記複合体を容易に検出するようにする。
【0146】
1つ又は複数の実施形態においては、ステップa)では、前記免疫複合体は、前記NT-proBNP抗原に結合される第2の抗体をさらに含む。
【0147】
この実施形態では、前記結合タンパク質が前記第2の抗体の抗原とされており、信号強度を示す指示薬で前記の第2の抗体を標識することができ、前記複合体を容易に検出するようにする。
【0148】
1つ又は複数の実施形態では、前記信号強度を示す指示薬は、蛍光物質、量子ドット、ジゴキシゲニン標識プローブ、ビオチン、放射性同位体、放射性造影剤、常磁性イオン蛍光マイクロスフェア、高電子密度物質、化学発光マーカー、超音波造影剤、光増感剤、金コロイド又は酵素のうちのいずれかを含む。
【0149】
1つ又は複数の実施形態では、前記蛍光物質は、Alexa350、Alexa405、Alexa430、Alexa488、Alexa555、Alexa647、AMCA、アミノアクリジン、BODIPY630/650、BODIPY650/665、BODIPY-FL、BODIPY-R6G、BODIPY-TMR、BODIPY-TRX、5-カルボキシ-4’,5’-ジクロロ-2’,7’-ジメトキシフルオレセイン、5-カルボキシル基-2’,4’,5’,7’-テトラクロロフルオレセイン、5-カルボキシフルオレセイン、5-カルボキシローダミン、6-カルボキシローダミン、6-カルボキシテトラメチルローダミン、CascadeBlue、Cy2、Cy3、Cy5、Cy7、6-FAM、ダンシルクロリド、フルオレセイン、HEX、6-JOE、NBD(7-ニトロベンゾ-2-オキサ-1,3-ジアゾール)、Oregon Green 488、Oregon Green 500、Oregon Green 514、Pacific Blue、オルソフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、クレジルファストバイオレット、クレシルブルーバイオレット、ブリリアントクレシルブルー、パラアミノ安息香酸、エリスロシン、フタロシアニン、アゾメチン、アントシアン、キサンチン、サクシニルフルオレセイン、希土類金属クリプタート、ユーロピウムトリスビピリジルジアミン、ユーロピウムクリプタート又はユーロピウムキレート、ジアミン、ジシアニン、LaJolla青色色素、アロフィコシアニン、allococyanin B、フィコシアニンC、フィコシアニンR、チアミン、フィコエリトロシアニン、フィコエリトリンR、REG、Rhodamine Green、ローダミンイソチオシアネート、Rhodamine Red、ROX、TAMRA、TET、TRIT(テトラメチルローダミンイソチオール)、テトラメチルローダミン及びテキサスレッドのうちのいずれかを含む。
【0150】
1つ又は複数の実施形態では、前記放射性同位体は、110In、111In、177Lu、18F、52Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、86Y、90Y、89Zr、94mTc、94Tc、99mTc、120I、123I、124I、125I、131I、154-158Gd、32P、11C、13N、15O、186Re、188Re、51Mn、52mMn、55Co、72As、75Br、76Br、82mRb及び83Srのうちのいずれかを含む。
【0151】
1つ又は複数の実施形態では、前記酵素は、ワサビペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ及びグルコースオキシダーゼのうちのいずれかを含む。
【0152】
1つ又は複数の実施形態では、前記蛍光マイクロスフェアは、内部に希土類蛍光イオンユーロピウムが包まれるポリスチレン蛍光マイクロスフェアである。
【0153】
本開示の一態様によれば、本開示は、上記記載の結合タンパク質を含むキットにさらに関する。
【0154】
本開示は、本明細書に記載の結合タンパク質の、NT-proBNPに関連する疾患の診断における使用にさらに関する。
【0155】
本明細書で使用されるとおり、用語「NT-proBNPに関連する疾患」とは、NT-proBNPをマーカー(そのタンパク質又はコード核酸を含む)とする疾病である。特に、本開示の1つ又は複数の実施形態では、NT-proBNPに関連する疾患とは、血液(例えば全血、血漿又は血清)中のNT-proBNPレベルが高くなることを特徴とする疾患であってもよい。
【0156】
本開示は、NT-proBNPに関連する疾患を診断する又は心臓機能を評価する方法であって、
A)十分に結合反応が発生できる条件において、被験者からのサンプルを本開示に記載の結合タンパク質と接触させて結合反応させるステップと、
B)結合反応の生じた免疫複合体を検出するステップと、を含み、
前記免疫複合体の存在は、NT-proBNPに関連する疾患の存在を指示するか、又は、心臓機能レベルを指示する、方法にさらに関する。
【0157】
1つ又は複数の実施形態においては、前記方法は、蛍光免疫技術、化学発光技術、金コロイド免疫技術、放射免疫分析及び/又は酵素結合免疫技術に基づくものである。
【0158】
1つ又は複数の実施形態においては、前記サンプルは、全血、末梢血、血清、血漿又は心筋組織から選ばれる少なくとも1種である。
【0159】
1つ又は複数の実施形態においては、前記被験者は、哺乳動物、好ましくは霊長類動物、さらに好ましくはヒトである。
【0160】
1つ又は複数の実施形態においては、NT-proBNPに関連する前記疾患は心臓疾患である。
【0161】
1つ又は複数の実施形態においては、NT-proBNPに関連する前記疾患は、心不全、心機能不全、心原性呼吸困難、肺性呼吸困難、急性冠症候群又はこれらの組合せで構成される群から選ばれる。
【0162】
1つ又は複数の実施形態においては、前記心不全は、心原性心の不全又は非心原性の心不全である。
【0163】
以下、実施例を組み合わせて、本開示の実施案について詳細に説明するが、以下の実施例は、本開示を説明するためのものに過ぎず、本開示の範囲を制限するものと見なすべきではないことを当業者が理解できる。実施例において具体的な条件が明記されていない限り、通常の条件又は製造商が推薦する条件に従って行う。使用される試薬又は器械について、生産メーカーが明記されていない限り、いずれも市販される一般的な製品である。
【0164】
実施例1
本実施例は、抗ヒトNT-proBNPの組換え抗体の例示的な製造方法を提供する。
【0165】
S1.発現プラスミドの構築:
本実施例では、制限エンドヌクレアーゼ、Prime Star DNAポリメラーゼは、Takara社から購入された。
MagExtractor-RNA抽出キットは、TOYOBO社から購入された。
BD SMARTTMRACE cDNA Amplification Kitキットは、Takara社から購入された。
pMD-18Tベクターは、Takara社から購入された。
プラスミド抽出キットは、天根公司から購入された。
プライマー合成及び遺伝子の配列測定は、Invitrogen社で完了された。
【0166】
Anti-NT-proBNP 8B9モノクローナル抗体を分泌する従来のハイブリドーマ細胞株を復活しておいた。
【0167】
S11、プライマーの設計及び合成:
重鎖及び軽鎖の5’RACE上流プライマーの増幅:
SMARTER II Aオリゴヌクレオチド:
5’> AAGCAGTGGTATCAACGCAGAGTACXXXXX<3’、
5’-RACE CDSプライマー(5’-CDS):5’>(T)25VN<3’(N=A、C、G、又はT、V=A、G、又はC)、
ユニバーサルプライマーA混合物(UPM):
5’> CTAATACGACTCACTATAGGGCAAGCAGTGGTATCAACGCAGAGT<3’、
ネステッドユニバーサルプライマーA(NUP):
5’> AAGCAGTGGTATCAACGCAGAGT<3’、
mkR:5’>CCCGAATTCCTAAGAACACTCTGAGGGCTTCACTG<3’、
mHR:5’>CCCGAATTCTCATTTACCCGGAGGCTTAGAGAT<3’。
【0168】
S12、抗体の可変領域遺伝子クローン及び序列測定:
Anti-NT-proBNP 8B9モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマ細胞株からRNAを抽出し、SMARTERTM RACE cDNA Amplification Kitキット及びキットにおけるSMARTER II Aオリゴヌクレオチド及び5’-CDSプライマーで第一鎖cDNAの合成を行い、取得された第一鎖cDNA産物をPCR増幅テンプレートとした。軽鎖遺伝子をユニバーサルプライマーA混合物(UPM)、ネステッドユニバーサルプライマーA(NUP)及びmkRで増幅させ、重鎖遺伝子をユニバーサルプライマーA混合物(UPM)、ネステッドユニバーサルプライマーA(NUP)及びmHRで増幅させた。軽鎖のプライマーペアにより0.7KBほどの目的バンドを増幅し出し、重鎖のプライマーペアにより1.4KBほどの目的バンドを増幅し出した。アガロースゲル電気泳動で精製回収し、産物をrTaq DNAポリメラーゼでA付加反応(Aを付加する反応)を行ってpMD-18Tベクターに挿入し、DH5αコンピテント細胞に形質転換し、コロニが成長した後、それぞれ重鎖及び軽鎖遺伝子クローンの4つのクローンをInvitrogen社に送って序列測定を行った。
【0169】
S13、Anti-NT-proBNP 8B9抗体の可変領域遺伝子の配列分析:
上記序列測定して得られた遺伝子配列をIMGT抗体データベースに入れて分析し、VNTI11.5ソフトウェアを利用して分析して、重鎖及び軽鎖プライマーペアの増幅した遺伝子が全て正確であると決定し、ここで、軽鎖の増幅した遺伝子断片では、VL遺伝子配列は402bpであり、VkII遺伝子ファミリに属し、その前に60bpのリーダーペプチド配列があり、重鎖プライマーペアの増幅した遺伝子断片では、VH遺伝子配列は402bpであり、VH1遺伝子ファミリに属し、その前に57bpのリーダーペプチド配列があった。
【0170】
S14、組換え抗体発現プラスミドの構築:
pcDNATM 3.4 TOPO(登録商標)ベクターは、構築された組換え抗体の真核発現ベクターであり、該発現ベクターは、HindIII、BamHI、EcoRIなどのポリクローナル酵素切断部位が導入されており、pcDNA 3.4A発現ベクターとして命名され、以下、3.4A発現ベクターと略称される。上記pMD-18Tにおける抗体の可変領域遺伝子の配列決定結果に基づき、Anti-NT-pro BNP 8B9抗体のVL及びVHの遺伝子特異性プライマーを設計し、プライマーの両端にそれぞれHindIII、EcoRI酵素切断部位及び保護塩基を持ち、プライマーは、以下のとおりであった。
【0171】
NT-proBNP 8B9-HF:
5’>CCCAAGCTTGCCACCATGAACCCACTGTGGACCCTCCTCTTT<3’、
NT-proBNP 8B9-HR:
5’>CCCGAATTCTCATTTACCCGGAGGCTTAGAGAT<3’、
NT-proBNP 8B9-LF:
5’>CCCAAGCTTGCCACCATGGCCTGGTCCCCTCTGCTCCTCAC<3’、
NT-proBNP 8B9-LR:
5’>CCCGAATTCCTAAGAACACTCTGAGGGCTTCACTG<3’、
PCR増幅方法により0.7KBの軽鎖遺伝子断片及び1.4kBの重鎖遺伝子断片を増幅させた。重鎖及び軽鎖遺伝子断片をそれぞれHindIII/EcoRIで二重酵素切断し、3.4AベクターをHindIII/EcoRIで二重酵素切断し、また、断片及びベクターを精製回収した後に、重鎖遺伝子及び軽鎖遺伝子をそれぞれ3.4A発現ベクターに連結し、それぞれ重鎖及び軽鎖の組換え発現プラスミドを得た。
【0172】
S2.安定細胞株のスクリーニング
S21 組換え抗体発現プラスミドでCHO細胞を一過性形質転換し、発現プラスミドの活性を確定すること
プラスミドを超純水で400ng/mlに希釈し、遠心チューブにおいてCHO細胞を1.43×107cells/mlに調整し、100μlのプラスミドを700μlの細胞と混合し、電気的形質転換用カップに移し、電気的形質転換を行い、3日目、5日目、7日目にサンプリングして計数し、7日目にサンプリングして検出した。
【0173】
組換えNT抗原(自社製、161213)を、コーティング液で指定された濃度に希釈し、100μL/ウェルで4℃において一晩コーティングし、次の日に、洗浄液で2回洗浄し、たたいて乾かし、ブロッキング液(20%のBSA+80%のPBS)を120μL/ウェルで加え、37℃において1hたたいて乾かし、希釈された細胞上清を100μL/ウェルで加え、37℃において30min放置し(一部の上清が1hである)、洗浄液で5回洗浄し、たたいて乾かし、ウサギ抗ヒツジ-HRPを100μL/ウェルで加え、37℃において30min放置し、洗浄液で5回洗浄し、たたいて乾かし、発色液A液(50μL/ウェル)を加え、発色液B液(50μL/ウェル)を加え、10min発色し、ストップバッファーを50μL/ウェルで加え、マイクロプレートリーダーの450nm(参照として630nm)でOD値を読み取った。結果によれば、細胞上清を1000倍希釈した後に反応しても、ODが依然として1.0より大きく、細胞上清を加えずに反応すると、ODが0.1より小さく、プラスミドを一過性形質転換した後に生じた抗体が組換えNTタンパク質に対して活性を有することが示された。
【0174】
S22 組換え抗体発現プラスミドの線形化
Buffer 50μl、DNA 100μg/チューブ、Puv I酵素 10μlという試薬を用意し、無菌水で500μlに補充し、37℃で一晩水浴しながら酵素切断し、まず等体積のフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール(下層)25:24:1で抽出し、次にクロロホルム(水相)で抽出し、0.1倍の体積(水相)の3M酢酸ナトリウム及び2倍の体積のエタノールで氷において沈殿させ、70%のエタノールで沈殿を洗浄し、有機溶剤を除去し、エタノールが完全に揮発した後に、適量の滅菌水で再び溶かし、最後に濃度を測定した。
【0175】
S23 組換え抗体発現プラスミドを安定して導入させること、及び安定した細胞株を加圧してスクリーニングすること
プラスミドを超純水で400ng/mlに希釈し、遠心チューブにおいてCHO細胞を1.43×107cells/mlに調整し、100μlのプラスミドを700μlの細胞と混合し、電気的形質転換用カップに移し、電気的形質転換を行い、次の日に計数し、25μmol/Lのメチオニンスルホキシミンを96ウェルに入れて約25日加圧培養した。
【0176】
細胞が成長したクローンウェルを顕微鏡で観察して標識し、合流度を記録し、培養された上清をサンプリングして検出し、抗体の濃度、相対濃度が高い細胞株を選択して24ウェルに移し、3日ほど後に、6ウェルに移し、3日後に保存してバッチ培養し、細胞密度を0.5×106cells/mlに調整し、2.2mlバッチ培養を行い、細胞密度0.3×106cells/mlで2ml保存し、また、7日間、6ウェルのバッチ培養された上清をサンプリングして検出し、抗体濃度及び細胞直径が小さい細胞株を選択してTPPに移して保存して継代培養を行った。
【0177】
S3.組換え抗体の生産
S31 細胞の拡大培養
細胞を復活させた後に、まず125ml仕様の振とうフラスコにおいて培養し、接種体積が30mlであり、培地が100%のDynamis培地であり、回転数が120r/minで、温度が37℃で、二酸化炭素が8%である揺とう器に置いた。72h培養し、50万cells/mlの接種密度で接種して拡大培養を行い、拡大培養体積を生産需要に応じて計算し、培地が100%のDynamis培地であった。次に72hおきに1回拡大培養した。細胞量が生産ニーズを満たすとき、接種密度を50万cells/mlほどに厳密に制御して生産した。
【0178】
S32 振とうフラスコ生産及び精製
振とうフラスコパラメータは、回転数120r/min、温度37℃、二酸化炭素8%であった。材料の流加供給:振とうフラスコにおいて72h培養してから、毎日に供給し、HyCloneTM Cell BoostTM Feed 7aは、毎日に初期培養体積の3%を流加し、Feed 7bの毎日の流加量は、初期培養体積の千分の一であり、12日目まで補充した(12日目に供給した)。グルコース3g/Lを6日目に供給した。13日目にサンプリングした。proteinA親和クロマトグラフィーカラムで親和精製を行った。4μgの精製された抗体に対して還元性SDS-PAGEを行い、4μgの外部の対照抗体を対照とし、電気泳動図は
図1に示された。還元性SDS-PAGE後に2本のバンドが示され、一方のMrが50KD(重鎖)であり、他方のMrが28KD(軽鎖)であった。
【0179】
実施例2
抗体の親和性分析及び活性同定
実施例1で得られた抗体は、分析によれば、配列がSEQ ID NO:11で示される軽鎖及び12で示される重鎖を有する。
【0180】
分析によれば、重鎖の相補性決定領域(WT):
CDR-VH1はG-P(X1)-S-I(X2)-T-T-Y-Y-I(X3)-Dであり、
CDR-VH2はM-T-K-D-A(X1)-N-A-V-H-Q(X2)-P-T-I(X3)-R-Sであり、
CDR-VH3はV-K(X1)-G-I(X2)-I-D-W(X3)-Gであり、
軽鎖の相補性決定領域:
CDR-VL1はG-S-S-D-Q(X1)-V-G-P(X2)-G-D-Y-V(X3)-Nであり、
CDR-VL2はI-F-A(X1)-A-T(X2)-S-R-I(X3)-R-Gであり、
CDR-VL3はG-S-P(X1)-N-S-R-GG(X2)-Y-V-W(X3)-Gであり、
ここで、X1、X2、X3は、いずれも突然変異対象の部位である。
【0181】
【0182】
発明者は、WT中のCDR部位に対して上記突然変異を行い、活性がより高い抗体を取得する。
【0183】
コーティング液で組換えNT抗原を1μg/mlに希釈してマイクロプレートコーディングを行い、100μL/ウェルで4℃において一晩コーティングし、次の日に、洗浄液で2回洗浄し、たたいて乾かし、ブロッキング液(20%のBSA+80%のPBS)を120μL/ウェルで加え、37℃において1h後にたたいて乾かし、希釈されたNTモノクローナル抗体を100μL/ウェルで加え、37℃において30min放置し(一部の上清が1hである)、洗浄液で5回洗浄し、たたいて乾かし、ウサギ抗ヒツジ-HRPを100μL/ウェルで加え、37℃において30min放置し、洗浄液で5回洗浄し、たたいて乾かし、発色液A液(50μL/ウェル)を加え、発色液B液(50μL/ウェル)を加え、10min発色し、ストップバッファーを50μL/ウェルで加え、マイクロプレートリーダーから450nm(参照として630nm)でOD値を読み取った。
【0184】
【0185】
以上の表から分かるように、突然変異1の活性効果が最適であるため、突然変異1をフレームワーク配列として力価が高い突然変異部位をスクリーニングし(スクリーニングして得られた抗体活性が突然変異1に類似し、抗体活性が±10%であることを確保する)、一部の結果は以下のとおりであった。
【0186】
【0187】
親和性分析
活性同定と同じ方法の酵素免疫測定法でデータを作成し、3μg/ml、1.5μg/ml、0.75μg/ml、0.375μg/mlの4つの勾配でコーディングし、抗体を1000ng/mlから開始し、0.977ng/mlまでに2倍勾配希釈してロードした。異なるコーディング濃度で異なる抗体濃度に対応するOD値を得た。同じコーディング濃度で、抗体濃度を横座標とし、OD値を縦座標とし、データを用いて図を構築し、フィッティング方程に基づき、最大OD値の50%での抗体濃度を計算し、式K=(n-1)/(2×(n×Ab`-Ab))に代入して親和性定数の逆数を計算し、但し、Ab及びAb`は、それぞれ、対応するコーディング濃度(Ag、Ag`)において最大OD値の50%での抗体濃度を表し、n=Ag/Ag`、2つずつのコーディング濃度を組合せて1つのK値を計算することができ、最後に6つのK値を得ることができ、これらの平均数値を求め、その逆数を親和性定数KDとして計算した。
【0188】
【0189】
表4から分かるように、表3にリストされた突然変異部位が、抗体の親和性への影響が大きくなかったことが分かった。
【0190】
上記結果を検証するために、WTをフレームワーク配列として上記実験を繰り返し、突然変異部位の親和性検証を行い、一部の結果は以下のとおりであった。
【0191】
【0192】
【0193】
表5及び表6から分析すれば、抗体活性を有することを確保する前提で、上記突然変異部位と、他の部位との関連性は高くなかった。
【0194】
実施例3 安定性分析
抗体を4℃(冷蔵庫)、-80℃(冷蔵庫)、37℃(恒温器)において21日放置し、7日目、14日目、21日目にサンプリングして状態観察を行い、21日目のサンプルに対して活性テストを行い、結果により、3つの観察条件において抗体を21日放置しても、いずれも、タンパク質の顕著な状態変化が見られず、活性が観察温度の上昇とともに低下傾向を呈せしないことが示され、自社製の抗体が安定することが示された。以下の表は突然変異1を21日目に観察した酵素免疫の活性テストのOD結果である。
【0195】
【0196】
さらに、ランダムに抽出される8つの突然変異抗体に対して安定性検出を行い、上記抗体を37℃において72時間保存し、取り出した後、4℃において72時間保存された同じロットの抗体と同じ検出条件において同じ陽性コントロール及び陰性コントロールサンプルにて検出を行い、検出方法は、以上の実施例で用いられた抗体活性分析方法と同様であり、各群の抗体の線形がいずれも99.50%以上に達することができ、かつCV値が10%より低く、上記抗体がいずれも優れた安定性を有することが示された。
【0197】
実施例4 ペア性能評価
出願者は、表4における上記抗体及び自社の他の抗体(元のWT配列の抗体とペアされる抗体)に対してペア抗体の実験検証を行い、二重抗体サンドイッチ法のペア実験により検証した結果、特異性がいずれも原の高いレベルを維持したが、突然変異抗体の活性及び親和性が高くなるため、より高い感度が示された。
【0198】
突然変異1抗体及びWT抗体をコーディング抗体として、それぞれマーカーとされた他のNT-oroBNP抗体と組み合わせて使用し、化学発光プラットホームにおいて性能差異を比較し、具体的な性能が以下に示される。
【0199】
【0200】
なお、以上の各実施例は、本開示の技術的解決手段を説明するためのものに過ぎず、制限するものではなく、前述した各実施例を参照しながら本開示について詳細に説明するが、当業者であれば、前述した各実施例に記載の技術的解決手段を修正することができ、又は、その一部の又は全部の技術特徴に対して等価置換を行うことができ、これらの修正や置換により、対応する技術的解決手段の実質が本開示の各実施例の技術的解決手段の範囲から逸脱することないことを理解すべきである。
【産業上の利用可能性】
【0201】
本開示に記載の結合タンパク質は、活性が高く、ヒトNT-proBNPとは非常に高い親和性を有する。本開示に記載の結合タンパク質は、心不全など、NT-proBNPに関連する疾患を診断するために用いられ、かつ心臓機能を評価するために用いられ、高い感度及び特異性を有する。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2021-05-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗原結合ドメインを含む分離される結合タンパク質であって、
前記抗原結合ドメインは、以下のアミノ酸配列から選ばれる少なくとも1つの相補性決定領域を含むか、又は、以下のアミノ酸配列の相補性決定領域と少なくとも80%の配列同一性を有し、且つNT-proBNPとはK
D≦2.26×10
-8の親和性を有し、
相補性決定領域CDR-VH1はG-X1-S-X2-T-T-Y-Y-X3-Dであり、ここで、
X1が
F又は
Pであり、X2がI、V又はLであり、X3がI、V又はLであり、
相補性決定領域CDR-VH2はM-T-K-D-X1-N-A-V-H-X2-P-T-X3-R-Sであり、ここで、
X1がG又はAであり、X2がQ又はNであり、X3がI、V又はLであり、
相補性決定領域CDR-VH3はV-X1-G-X2-I-D-X3-Gであり、ここで、
X1が
R又は
Kであり、X2がI、V又はLであり、X3がF又はWであり、
相補性決定領域CDR-VL1はG-S-S-D-X1-V-G-X2-G-D-Y-X3-Nであり、ここで、
X1がQ又はNであり、X2がF又はPであり、X3がI、V又はLであり、
相補性決定領域CDR-VL2はI-F-X1-A-X2-S-R-X3-R-Gであり、ここで、
X1が
G又は
Aであり、X2がT、Y又はSであり、X3がI、V又はLであり、
相補性決定領域CDR-VL3はG-S-X1-N-S-R-X2-Y-V-X3-Gであり、ここで、
X1がP、A又はGであり、X2がGG又はNであり、X3がF又はWであり、
好ましくは、
前記相補性決定領域CDR-VH1では、X1がFであり、
前記相補性決定領域CDR-VH2では、X1がGであり、
前記相補性決定領域CDR-VH3では、X1がRであり、
前記相補性決定領域CDR-VL1では、X2がFであり、
前記相補性決定領域CDR-VL2では、X1がGであり、
前記相補性決定領域CDR-VL3では、X3がFであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VH1では、X2がIであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VH1では、X2がVであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VH1では、X2がLであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VH1では、X3がIであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VH1では、X3がVであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VH1では、X3がLであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VH2では、X2がQであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VH2では、X2がNであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VH2では、X3がIであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VH2では、X3がVであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VH2では、X3がLであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VH3では、X2がIであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VH3では、X2がVであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VH3では、X2がLであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VH3では、X3がFであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VH3では、X3がWであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VL1では、X1がQであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VL1では、X1がNであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VL1では、X3がIであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VL1では、X3がVであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VL1では、X3がLであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VL2では、X2がTであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VL2では、X2がYであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VL2では、X2がSであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VL2では、X3がIであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VL2では、X3がVであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VL2では、X3がLであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VL3では、X1がPであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VL3では、X1がAであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VL3では、X1がGであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VL3では、X2がGGであり、
好ましくは、前記相補性決定領域CDR-VL3では、X2がNであり、
好ましくは、各相補性決定領域の突然変異部位は、以下の突然変異組合せから選ばれるいずれかである、ことを特徴とする分離される結合タンパク質。
【請求項2】
少なくとも3つのCDRsを含むか、又は、少なくとも6つのCDRsを含み、
好ましくは、ナノ抗体、F(ab’)
2、Fab’、Fab、Fv、scFv、二重特異性抗体及び抗体最小識別単位のうちの1つであり、
好ましくは、配列が順にSEQ ID NO:l乃至SEQ ID NO:4で示される軽鎖フレームワーク領域FR-L1、FR-L2、FR-L3及びFR-L4、及び/又は、配列が順にSEQ ID NO:5乃至SEQ ID NO:8で示される重鎖フレームワーク領域FR-H1、FR-H2、FR-H3及びFR-H4を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の抗原結合ドメインを含む分離される結合タンパク質。
【請求項3】
抗体の定常領域の配列をさらに含み、
好ましくは、前記定常領域の配列は、IgGl、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgM、IgE、IgDから選ばれるいずれかの定常領域の配列であり、
好ましくは、前記定常領域は、牛、馬、乳牛、豚、綿羊、山羊、ラット、マウス、犬、猫、ウサギ、ラクダ、ロバ、鹿、ミンク、鶏、アヒル、ガチョウ、七面鳥、闘鶏又はヒトの物種に由来し、
好ましくは、前記定常領域は
羊に由来し、
軽鎖定常領域配列はSEQ ID NO:9で示され、
重鎖定常領域配列はSEQ ID NO:10で示され
、
好ましくは、信号強度を示す指示薬で標識された、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の抗原結合ドメインを含む分離される結合タンパク質。
【請求項4】
DNA又はRNAであり、請求項1~3のいずれかに記載の結合タンパク質をコードする、ことを特徴とする分離される核酸分子。
【請求項5】
請求項4に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項6】
請求項5に記載のベクターで形質転換される、宿主細胞。
【請求項7】
培地で適切な培養条件において請求項6に記載の宿主細胞を培養し、培地又は培養された宿主細胞から、このように生じた結合タンパク質を回収するステップを含む、ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の結合タンパク質の生産方法。
【請求項8】
請求項1~3のいずれかに記載の結合タンパク質の、心不全を診断する及び心臓機能を評価するための診断剤の製造における使用。
【請求項9】
テストサンプル中のNT-proBNPの検出方法であって、
a)十分に抗体/抗原結合反応が発生できる条件において、前記テストサンプル中のNT-proBNP抗原を請求項1~3に記載の結合タンパク質と接触させて免疫複合体を形成するステップと
b)前記テストサンプル中の前記NT-proBNPの存在を指示する前記免疫複合体の存在を検出するステップと、を含み、
好ましくは、ステップa)では、前記免疫複合体は、前記結合タンパク質に結合される第2の抗体をさらに含み、
好ましくは、ステップa)では、前記免疫複合体は、前記NT-proBNPに結合される第2の抗体をさらに含
み、
好ましくは、蛍光免疫技術、化学発光技術、金コロイド免疫技術、放射免疫分析及び/又は酵素結合免疫技術に基づくものであり、
好ましくは、前記サンプルは、全血、末梢血、血清、血漿又は心筋組織から選ばれる少なくとも1種である、検出方法。
【請求項10】
請求項1~3のいずれかに記載の結合タンパク質を含むキット。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0138
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0139
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】変更
【補正の内容】
【配列表】
【国際調査報告】