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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】モノバクタム化合物及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 417/14 20060101AFI20220111BHJP
   A61K 31/427 20060101ALI20220111BHJP
   C07D 487/04 20060101ALI20220111BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
C07D417/14 CSP
A61K31/427
C07D487/04 136
A61P31/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021526436
(86)(22)【出願日】2019-11-12
(85)【翻訳文提出日】2021-05-12
(86)【国際出願番号】 CN2019117472
(87)【国際公開番号】W WO2020098635
(87)【国際公開日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】201811348908.6
(32)【優先日】2018-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521205180
【氏名又は名称】南京聖和薬業股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】王勇
(72)【発明者】
【氏名】趙立文
(72)【発明者】
【氏名】王亜洲
(72)【発明者】
【氏名】全旭
(72)【発明者】
【氏名】王小偉
(72)【発明者】
【氏名】張暁平
(72)【発明者】
【氏名】呂坤志
(72)【発明者】
【氏名】林澤▲キ▼
(72)【発明者】
【氏名】張健
(72)【発明者】
【氏名】許涛
(72)【発明者】
【氏名】常玉傑
【テーマコード(参考)】
4C050
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050BB05
4C050CC05
4C050EE02
4C050FF05
4C050GG03
4C050HH04
4C063AA03
4C063AA05
4C063BB09
4C063CC62
4C063DD02
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC82
4C086GA07
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB35
(57)【要約】
本発明は、モノバクタム化合物及びその使用に関するものであり、具体的に、式(1)で示される化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグ、それらの製造方法及びこれらの化合物を含む医薬組成物、並びに、細菌感染を治療するためのこれらの化合物又は組成物の使用に関するものである。これらの化合物は、優れた抗菌活性を有し、細菌感染の治療薬として非常に有望である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)で示される化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグ。
【化1】

ここで、
は、アリール基、アリール複素環、ヘテロアリール複素環、
【化2】

及び5員ヘテロアリール基から選ばれ、1つ又は複数のRで任意に置換されていてもよく、
は、存在しないか、又は、4~6員複素環、アリール複素環、ヘテロアリールシクロアルキル基、アリールヘテロアリール基、ヘテロアリール複素環、5員ヘテロアリール基及び
【化3】

から選ばれ、1つ又は複数のRで任意に置換されていてもよく、Rは、存在しないか、又は、Rであり、Rは、アミノアルキルアシルアミノ基及びヒドロキシアミノアルキルアシルアミノ基から選ばれ、
は、ハロゲン、ヒドロキシ基、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ヒドロキシアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、アルキルアシルアミノ基、アルキルアシル基、アミノアシル基、アルキルアミノアシル基、ビスアルキルアミノ基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、複素環、アリール基、ヘテロアリール基及びオキソ基から選ばれ、
は、ハロゲン、ヒドロキシ基、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ヒドロキシアルコキシ基、アミノアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、アルキルアシルアミノ基、アミノアルキルアシルアミノ基、ヒドロキシアミノアルキルアシルアミノ基、アルキルアシル基、アミノアシル基、アルキルアミノアシル基、ビスアルキルアミノ基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、複素環、複素環アルキル基、アミノ複素環、アミノアルキル複素環、ヒドロキシアルキル複素環、アリール基、ヘテロアリール基及びオキソ基から選ばれ、アミノ基、アミノアルキル基、アルキルアミノ基、ハロゲン、ヒドロキシ基、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ヒドロキシアルコキシ基、アミノアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基で任意に置換されていてもよく、
Lは、存在しないか、又は、-C(O)NH-、-NHC(O)-、-SONH-、-NHSO、-(CH-及び-C(O)-から選ばれ、
mは、1、2、3又は4であり、
nは、1、2、3又は4であり、且つ、
がアリール基である場合、Qは、アリール複素環、ヘテロアリールシクロアルキル基、アリールヘテロアリール基及びヘテロアリール複素環から選ばれるか、又は、
がアリール基である場合、Qは、
【化4】

であり、ここで、Rは、存在しないか、又は、Rであり、Rは、アミノアルキルアシルアミノ基及びヒドロキシアミノアルキルアシルアミノ基から選ばれるか、又は、
がアリール基である場合、Qは、5員ヘテロアリール基であり、且つ、Lは、-C(O)NH-、-NHC(O)-、-SONH-、-NHSO-、-(CH-及び-C(O)-から選ばれるか、又は、
がアリール基である場合、Qは、5員ヘテロアリール基であり、Lは、存在せず、mは、2、3又は4であるか、又は、
がアリール複素環及びヘテロアリール複素環から選ばれる場合、Qは、5員ヘテロアリール基であり、且つ、Lは、存在せず、又は、

【化5】

である場合、Lは、存在せず、且つ、Qは、Rで置換されている4~6員複素環であるか、又は、
が5員ヘテロアリール基である場合、Qは、存在せず、且つ、Lは、存在しない。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグ。
ここで、
は、6~18員アリール基、9~20員アリール複素環、9~20員ヘテロアリール複素環、
【化6】

及び5員ヘテロアリール基から選ばれ、1つ又は複数のRで任意に置換されていてもよく、
は、存在しないか、又は、4~6員複素環、9~20員アリール複素環、9~20員ヘテロアリールシクロアルキル基、9~20員アリールヘテロアリール基、9~20員ヘテロアリール複素環、5員ヘテロアリール基及び
【化7】

から選ばれ、1つ又は複数のRで任意に置換されていてもよく、Rは、存在しないか、又は、Rであり、Rは、アミノC1~12アルキルアシルアミノ基及びヒドロキシアミノC1~12アルキルアシルアミノ基から選ばれ、
は、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1~6アルキル基、ハロゲン化C1~6アルキル基、ヒドロキシC1~6アルキル基、C1~6アルコキシ基、ハロゲン化C1~6アルコキシ基、ヒドロキシC1~6アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基、アミノ基、モノC1~6アルキルアミノ基、C1~6アルキルアシルアミノ基、C1~6アルキルアシル基、アミノアシル基、C1~6アルキルアミノアシル基、ビスC1~6アルキルアミノ基、C2~10アルケニル基、C2~10アルキニル基、C3~12シクロアルキル基、3~12員複素環、6~12員アリール基、5~12員ヘテロアリール基及びオキソ基から選ばれ、且つ、
は、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1~6アルキル基、ハロゲン化C1~6アルキル基、ヒドロキシC1~6アルキル基、アミノC1~6アルキル基、C1~6アルコキシ基、ハロゲン化C1~6アルコキシ基、ヒドロキシC1~6アルコキシ基、アミノC1~6アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基、アミノ基、モノC1~6アルキルアミノ基、C1~6アルキルアシルアミノ基、アミノC1~12アルキルアシルアミノ基、ヒドロキシアミノC1~12アルキルアシルアミノ基、C1~6アルキルアシル基、アミノアシル基、C1~6アルキルアミノアシル基、ビスC1~6アルキルアミノ基、C2~10アルケニル基、C2~10アルキニル基、C3~12シクロアルキル基、3~12員複素環、3~12員複素環C1~6アルキル基、アミノ3~12員複素環、アミノC1~6アルキル3~12員複素環、ヒドロキシC1~6アルキル3~12員複素環、6~12員アリール基、5~12員ヘテロアリール基及びオキソ基から選ばれ、アミノ基、アミノC1~6アルキル基、C1~6アルキルアミノ基、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1~6アルキル基、ハロゲン化C1~6アルキル基、ヒドロキシC1~6アルキル基、C1~6アルコキシ基、ハロゲン化C1~6アルコキシ基、ヒドロキシC1~6アルコキシ基、アミノC1~6アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基で任意に置換されていてもよい。
【請求項3】
一般式(I)は、下記一般式(Ib)の構造を有する、請求項1又は2に記載の化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグ。
【化8】

Lは、-C(O)NH-、-NHC(O)-、-SONH-、-NHSO、-(CH-及び-C(O)-から選ばれ、且つ、
及びRは、それぞれ独立に、ハロゲン、ヒドロキシ基、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ヒドロキシアルコキシ基、アミノアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、アルキルアシルアミノ基、アミノアルキルアシルアミノ基、ヒドロキシアミノアルキルアシルアミノ基、アルキルアシル基、アミノアシル基、アルキルアミノアシル基、ビスアルキルアミノ基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、複素環、複素環アルキル基、アミノ複素環、アミノアルキル複素環、ヒドロキシアルキル複素環、アリール基、ヘテロアリール基及びオキソ基から選ばれ、アミノ基、アミノアルキル基、アルキルアミノ基、ハロゲン、ヒドロキシ基、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ヒドロキシアルコキシ基、アミノアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基で任意に置換されていてもよい。
【請求項4】
請求項3に記載の化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグ。
Lは、-C(O)NH-及び-NHC(O)-から選ばれ、且つ、
及びRは、それぞれ独立に、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1~6アルキル基、ハロゲン化C1~6アルキル基、ヒドロキシC1~6アルキル基、アミノC1~6アルキル基、C1~6アルコキシ基、ハロゲン化C1~6アルコキシ基、ヒドロキシC1~6アルコキシ基、アミノC1~6アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基、アミノ基、モノC1~6アルキルアミノ基、C1~6アルキルアシルアミノ基、アミノC1~6アルキルアシルアミノ基、ヒドロキシアミノC1~6アルキルアシルアミノ基、C1~6アルキルアシル基、アミノアシル基、C1~6アルキルアミノアシル基、ビスC1~6アルキルアミノ基、C2~6アルケニル基、C2~6アルキニル基、C3~8シクロアルキル基、3~8員複素環、3~8員複素環C1~6アルキル基、アミノ3~8員複素環、アミノC1~6アルキル3~8員複素環、ヒドロキシC1~6アルキル3~8員複素環、アリール基、3~8員ヘテロアリール基及びオキソ基から選ばれ、アミノ基、アミノC1~6アルキル基、C1~6アルキルアミノ基、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1~6アルキル基、ハロゲン化C1~6アルキル基、ヒドロキシC1~6アルキル基、C1~6アルコキシ基、ハロゲン化C1~6アルコキシ基、ヒドロキシC1~6アルコキシ基、アミノC1~6アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基で任意に置換されていてもよい。
【請求項5】
は、
【化9】

から選ばれる、請求項3又は4に記載の化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグ。
【請求項6】
は、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロプロピル基、
【化10】

から選ばれる、請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグ。
【請求項7】
一般式(I)は、下記一般式(Ia)の構造を有する、請求項1又は2に記載の化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグ。
【化11】

ここで、
は、存在しないか、又は、Rであり、且つ、
は、アミノアルキルアシルアミノ基及びヒドロキシアミノアルキルアシルアミノ基から選ばれ、さらに、アミノC1~6アルキルアシルアミノ基及びヒドロキシアミノC1~6アルキルアシルアミノ基から選ばれ、よりさらに、
【化12】

から選ばれる。
【請求項8】
前記化合物は、
【化13】




から選ばれる、請求項1に記載の化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグ。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグ及び薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項10】
細菌感染を治療するための薬物の製造における、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグ又は請求項9に記載の医薬組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬化学の分野に属し、具体的には、一類のモノバクタム化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグ、それらの製造方法及びこれらの化合物を含む医薬組成物、並びに、細菌感染を治療するためのこれらの化合物又は組成物の使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
抗生物質の発見及び使用は、20世紀の最も偉大な医学的成果の一つであり、無数の人々の命を救ってきた。しかし、過去数十年の間に、薬剤耐性菌の出現は、これらの人々の生命の安全を深刻に脅かしている。
【0003】
β-ラクタム系抗生物質は、最も一般的に使用されている抗生物質の一つであり、その薬剤耐性も徐々に現れる。多くのグラム陰性菌について、β-ラクタム系抗生物質の薬剤耐性は、主にβ-ラクタマーゼによって駆動され、後者は、β-ラクタムを加水分解して抗生物質を失活させることができる。4種のβ-ラクタマーゼ(MBLs)があり、それぞれA型、B型、C型、D型であり、これらのβ-ラクタマーゼの発現は、細菌の薬剤耐性との戦いにおいて深刻な脅威となっている。
【0004】
現在、市販されている単環系抗生物質として、主にアズトレオナム、カルモナムがある。それらは、MBLsにより容易に加水分解されないが、シュードモナスやアシネトバクターに対する活性が弱いので、臨床での使用も制限されている。このため、活性のより強い単環系抗生物質の探索は、差し迫った臨床ニーズとなっている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一つの目的は、一般式(I)で示される化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグを提供することである。
【0006】
【化1】
【0007】
本発明の他の一つの目的は、本発明の一般式(I)で示される化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグの製造方法を提供することである。
【0008】
本発明の更なる一つの目的は、本発明の一般式(I)で示される化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグ及び薬学的に許容される担体を含む組成物、並びに、本発明の一般式(I)で示される化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグ及び他の1種又は複数種の薬物を含む組成物を提供することである。
【0009】
本発明の別の一つの目的は、本発明の一般式(I)で示される化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグの細菌感染治療方法、及び細菌感染を治療するための薬物の製造における、本発明の一般式(I)で示される化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグの使用を提供することである。
【0010】
上記の発明の目的に対して、本発明は、以下のものを提供する。
【0011】
第1形態によれば、本発明は、一般式(I)で示される化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグを提供する。
【0012】
【化2】
【0013】
ここで、
は、アリール基、アリール複素環、ヘテロアリール複素環、
【0014】
【化3】
【0015】
及び5員ヘテロアリール基から選ばれ、1つ又は複数のRで任意に置換されていてもよく、
は、存在しないか、又は、4~6員複素環、アリール複素環、ヘテロアリールシクロアルキル基、アリールヘテロアリール基、ヘテロアリール複素環、5員ヘテロアリール基及び
【0016】
【化4】
【0017】
から選ばれ、1つ又は複数のRで任意に置換されていてもよく、Rは、存在しないか、又は、Rであり、Rは、アミノアルキルアシルアミノ基及びヒドロキシアミノアルキルアシルアミノ基から選ばれ、
は、ハロゲン、ヒドロキシ基、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ヒドロキシアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、アルキルアシルアミノ基、アルキルアシル基、アミノアシル基、アルキルアミノアシル基、ビスアルキルアミノ基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、複素環、アリール基、ヘテロアリール基及びオキソ基から選ばれ、
は、ハロゲン、ヒドロキシ基、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ヒドロキシアルコキシ基、アミノアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、アルキルアシルアミノ基、アミノアルキルアシルアミノ基、ヒドロキシアミノアルキルアシルアミノ基、アルキルアシル基、アミノアシル基、アルキルアミノアシル基、ビスアルキルアミノ基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、複素環、複素環アルキル基、アミノ複素環、アミノアルキル複素環、ヒドロキシアルキル複素環、アリール基、ヘテロアリール基及びオキソ基から選ばれ、アミノ基、アミノアルキル基、アルキルアミノ基、ハロゲン、ヒドロキシ基、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ヒドロキシアルコキシ基、アミノアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基で任意に置換されていてもよく、
Lは、存在しないか、又は、-C(O)NH-、-NHC(O)-、-SONH-、-NHSO、-(CH-及び-C(O)-から選ばれ、
mは、1、2、3又は4であり、
nは、1、2、3又は4であり、且つ、
がアリール基である場合、Qは、アリール複素環、ヘテロアリールシクロアルキル基、アリールヘテロアリール基及びヘテロアリール複素環から選ばれるか、又は、
がアリール基である場合、Qは、
【0018】
【化5】
【0019】
であり、ここで、Rは、存在しないか、又は、Rであり、Rは、アミノアルキルアシルアミノ基及びヒドロキシアミノアルキルアシルアミノ基から選ばれるか、又は、
がアリール基である場合、Qは、5員ヘテロアリール基であり、且つ、Lは、-C(O)NH-、-NHC(O)-、-SONH-、-NHSO-、-(CH-及び-C(O)-から選ばれるか、又は、
がアリール基である場合、Qは、5員ヘテロアリール基であり、Lは、存在せず、且つ、mは、2、3又は4であるか、又は、
がアリール複素環及びヘテロアリール複素環から選ばれる場合、Qは、5員ヘテロアリール基であり、且つ、Lは、存在せず、又は、
【0020】
【化6】
【0021】
である場合、Lは、存在せず、且つ、Qは、Rで置換されている4~6員複素環であるか、又は、
が5員ヘテロアリール基である場合、Qは、存在せず、且つ、Lは、存在しない。
【0022】
いくつかの実施形態において、
本発明に係る一般式(I)で示される化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグであって、ここで、
は、6~18員アリール基、9~20員アリール複素環、9~20員ヘテロアリール複素環、
【0023】
【化7】
【0024】
及び5員ヘテロアリール基から選ばれ、1つ又は複数のRで任意に置換されていてもよく、
さらに好ましくは、Qは、6~12員アリール基、9~12員アリール複素環、9~12員ヘテロアリール複素環、
【0025】
【化8】
【0026】
及び5員ヘテロアリール基から選ばれ、1つ又は複数のRで任意に置換されていてもよく、
よりさらに好ましくは、Qは、フェニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、ベンゾジヒドロフラニル基、ベンゾジヒドロピラニル基、ベンゾジヒドロチエニル基、ベンゾオキサゾリノン基、ベンゾジヒドロピラゾリル基、ベンゾジヒドロイミダゾリル基、ベンゾジヒドロピラゾリル基、ベンゾジヒドロオキサゾリル基、ベンゾジヒドロチアゾリル基、ベンゾジヒドロイソオキサゾリル基、ベンゾジヒドロイソチアゾリル基、テトラヒドロキノリニル基、テトラヒドロイソキノリニル基、ジヒドロキノリニル基、ジヒドロイソキノリニル基、テトラヒドロキナゾリニル基、ジヒドロキナゾリニル基、ジヒドロシンノリニル基、テトラヒドロシンノリニル基、ジヒドロキノキサリル基、テトラヒドロキノキサリル基、ベンゾジヒドロオキサジニル基、ベンゾジヒドロチアジニル基、ベンゾジオキセニル基、ベンゾモルホリニル基、ベンゾオキサチオシクロヘキシル基、
【0027】
【化9】
【0028】
、イミダゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チエニル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、オキサジアゾリル基及びトリアゾイル基から選ばれ、1つ又は複数のRで任意に置換されていてもよい。
【0029】
いくつかの好ましい実施形態において、本発明に係る一般式(I)で示される化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグであって、ここで、
は、存在しないか、又は、4~6員複素環、9~20員アリールシクロアルキル基、9~20員アリール複素環、9~20員ヘテロアリール複素環、5員ヘテロアリール基及び
【0030】
【化10】
【0031】
から選ばれ、1つ又は複数のRで任意に置換されていてもよく、Rは、存在しないか、又は、Rであり、Rは、アミノC1~12アルキルアシルアミノ基及びヒドロキシアミノC1~12アルキルアシルアミノ基から選ばれ、
さらに好ましくは、Qは、存在しないか、又は、4~6員複素環、9~12員アリールシクロアルキル基、9~12員アリール複素環、9~12員ヘテロアリール複素環、5員ヘテロアリール基及び
【0032】
【化11】
【0033】
から選ばれ、1つ又は複数のRで任意に置換されていてもよく、Rは、存在しないか、又は、Rであり、Rは、アミノC1~6アルキルアシルアミノ基及びヒドロキシアミノC1~6アルキルアシルアミノ基から選ばれ、
よりさらに好ましくは、Qは、存在しないか、又は、アゼチジニル基、テトラヒドロピロリル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、ジヒドロベンゾフラニル基、ジヒドロベンゾピラニル基、ジヒドロベンゾチエニル基、ベンゾオキサゾリノン基、ジヒドロベンゾピラゾリル基、ジヒドロベンゾイミダゾリル基、ジヒドロベンゾピラゾリル基、ジヒドロベンゾオキサゾリル基、ジヒドロベンゾチアゾリル基、ジヒドロベンゾイソオキサゾリル基、ジヒドロベンゾイソチアゾリル基、テトラヒドロキノリニル基、テトラヒドロイソキノリニル基、ジヒドロキノリニル基、ジヒドロイソキノリニル基、テトラヒドロキナゾリニル基、ジヒドロキナゾリニル基、ジヒドロシンノリニル基、テトラヒドロシンノリニル基、ジヒドロキノキサリル基、テトラヒドロキノキサリル基、ジヒドロベンゾオキサジニル基、ジヒドロベンゾチアジニル基、ベンゾジオキセニル基、ベンゾモルホリニル基、ベンゾオキサチオシクロヘキシル基、テトラヒドロピロロピラゾリル基、テトラヒドロピペリジノピラゾリル基、ジヒドロピペリジノピラゾリル基、ピラゾロジヒドロピラゾリル基、イミダゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チエニル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾイル基、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾピラゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾピラニル基、ベンゾチエニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、キノリニル基、イソキノリニル基、キナゾリニル基、ジヒドロキナゾリニル基、シンノリニル基、キノキサリル基、ベンゾオキサジニル基、ベンゾチアジニル基及び
【0034】
【化12】
【0035】
から選ばれ、1つ又は複数のRで任意に置換されていてもよく、Rは、存在しないか、又は、Rであり、Rは、
【0036】
【化13】
【0037】
から選ばれる。
【0038】
いくつかの好ましい実施形態において、本発明に係る一般式(I)で示される化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグであって、ここで、
は、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1~6アルキル基、ハロゲン化C1~6アルキル基、ヒドロキシC1~6アルキル基、C1~6アルコキシ基、ハロゲン化C1~6アルコキシ基、ヒドロキシC1~6アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基、アミノ基、モノC1~6アルキルアミノ基、C1~6アルキルアシルアミノ基、C1~6アルキルアシル基、アミノアシル基、C1~6アルキルアミノアシル基、ビスC1~6アルキルアミノ基、C2~10アルケニル基、C2~10アルキニル基、C3~12シクロアルキル基、3~12員複素環、6~12員アリール基、5~12員ヘテロアリール基及びオキソ基から選ばれ、
さらに好ましくは、Rは、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1~3アルキル基、ハロゲン化C1~3アルキル基、ヒドロキシC1~3アルキル基、C1~3アルコキシ基、ハロゲン化C1~3アルコキシ基、ヒドロキシC1~3アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基、アミノ基、モノC1~3アルキルアミノ基、C1~3アルキルアシルアミノ基、C1~3アルキルアシル基、アミノアシル基、C1~3アルキルアミノアシル基、ビスC1~3アルキルアミノ基、C2~6アルケニル基、C2~6アルキニル基、C3~8シクロアルキル基、3~8員複素環、6~10員アリール基、5~10員ヘテロアリール基及びオキソ基から選ばれ、
よりさらに好ましくは、Rは、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ヒドロキシ基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、2-ヒドロキシプロピル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、トリフルオロメトキシ基、ヒドロキシメトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、メチルアシルアミノ基、エチルアシルアミノ基、ビニルアシルアミノ基、メチルアシル基、エチルアシル基、ビニルアシル基、アミノアシル基、メチルアミノアシル基、エチルアミノアシル基、ビニル基、エチニル基、C3~6シクロアルキル基、3~6員複素環、6~8員アリール基、5~8員ヘテロアリール基及びオキソ基から選ばれる。
【0039】
いくつかの好ましい実施形態において、本発明に係る一般式(I)で示される化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグであって、ここで、
は、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1~6アルキル基、ハロゲン化C1~6アルキル基、ヒドロキシC1~6アルキル基、アミノC1~6アルキル基、C1~6アルコキシ基、ハロゲン化C1~6アルコキシ基、ヒドロキシC1~6アルコキシ基、アミノC1~6アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基、アミノ基、モノC1~6アルキルアミノ基、C1~6アルキルアシルアミノ基、アミノC1~12アルキルアシルアミノ基、ヒドロキシアミノC1~12アルキルアシルアミノ基、アミノ3~6員複素環、C1~6アルキルアシル基、アミノアシル基、C1~6アルキルアミノアシル基、ビスC1~6アルキルアミノ基、C2~10アルケニル基、C2~10アルキニル基、C3~12シクロアルキル基、3~12員複素環、3~12員複素環C1~6アルキル基、アミノC1~6アルキル3~12員複素環、ヒドロキシC1~6アルキル3~12員複素環、6~12員アリール基、5~12員ヘテロアリール基及びオキソ基から選ばれ、アミノ基、アミノC1~6アルキル基、C1~6アルキルアミノ基、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1~6アルキル基、ハロゲン化C1~6アルキル基、ヒドロキシC1~6アルキル基、C1~6アルコキシ基、ハロゲン化C1~6アルコキシ基、ヒドロキシC1~6アルコキシ基、アミノC1~6アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基で任意に置換されていてもよく、
さらに好ましくは、Rは、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1~3アルキル基、ハロゲン化C1~3アルキル基、ヒドロキシC1~3アルキル基、アミノC1~6アルキル基、C1~3アルコキシ基、ハロゲン化C1~3アルコキシ基、ヒドロキシC1~3アルコキシ基、アミノC1~3アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基、アミノ基、モノC1~3アルキルアミノ基、C1~3アルキルアシルアミノ基、アミノC1~6アルキルアシルアミノ基、ヒドロキシアミノC1~6アルキルアシルアミノ基、C1~3アルキルアシル基、アミノアシル基、C1~3アルキルアミノアシル基、ビスC1~3アルキルアミノ基、C2~6アルケニル基、C2~6アルキニル基、C3~8シクロアルキル基、3~8員複素環、3~8員複素環C1~3アルキル基、アミノ3~6員複素環、アミノC1~3アルキル3~8員複素環、ヒドロキシC1~3アルキル3~8員複素環、6~10員アリール基、5~10員ヘテロアリール基及びオキソ基から選ばれ、アミノ基、アミノC1~6アルキル基、C1~6アルキルアミノ基、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1~6アルキル基、ハロゲン化C1~6アルキル基、ヒドロキシC1~6アルキル基、C1~6アルコキシ基、ハロゲン化C1~6アルコキシ基、ヒドロキシC1~6アルコキシ基、アミノC1~6アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基で任意に置換されていてもよく、
よりさらに好ましくは、Rは、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ヒドロキシ基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、2-ヒドロキシプロピル基、アミノメチル基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アミノブチル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、トリフルオロメトキシ基、ヒドロキシメトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、アミノメトキシ基、アミノエトキシ基、アミノプロポキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、メチルアシルアミノ基、エチルアシルアミノ基、ビニルアシルアミノ基、アミノC1~6アルキルアシルアミノ基、ヒドロキシアミノC1~6アルキルアシルアミノ基、メチルアシル基、エチルアシル基、ビニルアシル基、アミノアシル基、メチルアミノアシル基、エチルアミノアシル基、ビニル基、エチニル基、C3~6シクロアルキル基、3~6員複素環、3~6員複素環C1~3アルキル基、アミノ3~6員複素環、アミノC1~3アルキル3~6員複素環、ヒドロキシC1~3アルキル3~6員複素環、6~8員アリール基、5~8員ヘテロアリール基及びオキソ基から選ばれ、アミノ基、アミノC1~6アルキル基、C1~6アルキルアミノ基、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1~6アルキル基、ハロゲン化C1~6アルキル基、ヒドロキシC1~6アルキル基、C1~6アルコキシ基、ハロゲン化C1~6アルコキシ基、ヒドロキシC1~6アルコキシ基、アミノC1~6アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基で任意に置換されていてもよく、
いくかの具体的な実施形態において、Rは、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ヒドロキシ基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、2-ヒドロキシプロピル基、アミノメチル基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アミノブチル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、トリフルオロメトキシ基、ヒドロキシメトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、アミノメトキシ基、アミノエトキシ基、アミノプロポキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、メチルアシルアミノ基、エチルアシルアミノ基、ビニルアシルアミノ基、アミノC1~6アルキルアシルアミノ基、ヒドロキシアミノC1~6アルキルアシルアミノ基、メチルアシル基、エチルアシル基、ビニルアシル基、アミノアシル基、メチルアミノアシル基、エチルアミノアシル基、ビニル基、エチニル基、C3~6シクロアルキル基、3~6員アザシクロアルキル基、3~6員アザシクロアルキルC1~3アルキル基、アミノ3~6員アザシクロアルキル基、アミノC1~3アルキル3~6員アザシクロアルキル基、ヒドロキシC1~3アルキル3~6員アザシクロアルキル基、6~8員アリール基、5~8員ヘテロアリール基及びオキソ基から選ばれ、アミノ基、アミノC1~3アルキル基、C1~3アルキルアミノ基、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1~3アルキル基、ハロゲン化C1~3アルキル基、ヒドロキシC1~3アルキル基、C1~3アルコキシ基、ハロゲン化C1~3アルコキシ基、ヒドロキシC1~3アルコキシ基、アミノC1~3アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基で任意に置換されていてもよい。
【0040】
いくつかの実施形態において、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アゼチジニル基、アゼチジニルメチル基、アゼチジニルエチル基、アゼチジニルプロピル基、アミノメチル基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アミノメチルオキシ基、アミノエチルオキシ基、アミノプロピルオキシ基、アミノメチルアミド基、アミノエチルアミド基、アミノプロピルアミド基、アミノブチルアミド基、アミノペンチルアミド基、ヒドロキシメチルアミド基、ヒドロキシエチルアミド基、ヒドロキシプロピルアミド基、アミノアジリジニル基、アミノアゼチジニル基、アミノアザシクロペンチル基から選ばれ、アミノ基、アミノC1~3アルキル基、C1~3アルキルアミノ基、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1~3アルキル基、ハロゲン化C1~3アルキル基、ヒドロキシC1~3アルキル基、C1~3アルコキシ基、ハロゲン化C1~3アルコキシ基、ヒドロキシC1~3アルコキシ基、アミノC1~3アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基で任意に置換されていてもよい。
【0041】
いくつかの好ましい実施形態において、本発明に係る一般式(I)で示される化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグであって、ここで、
は、6~18員アリール基であり、1つ又は複数のRで任意に置換されていてもよく、Qは、9~20員アリール複素環、9~20員ヘテロアリールシクロアルキル基、9~20員アリールヘテロアリール基、9~20員ヘテロアリール複素環から選ばれ、1つ又は複数のRで任意に置換されていてもよく、
さらに好ましくは、Qは、6~12員アリール基であり、1つ又は複数のRで任意に置換されていてもよく、Qは、9~12員アリール複素環、9~12員ヘテロアリールシクロアルキル基、9~12員アリールヘテロアリール基、9~12員ヘテロアリール複素環から選ばれ、1つ又は複数のRで任意に置換されていてもよく、
よりさらに好ましくは、Qは、フェニル基であり、1つ又は複数のRで任意に置換されていてもよく、Qは、ジヒドロベンゾフラニル基、ジヒドロベンゾピラニル基、ジヒドロベンゾチエニル基、ベンゾオキサゾリノン基、ジヒドロベンゾピラゾリル基、ジヒドロベンゾイミダゾリル基、ジヒドロベンゾピラゾリル基、ジヒドロベンゾオキサゾリル基、ジヒドロベンゾチアゾリル基、ジヒドロベンゾイソオキサゾリル基、ジヒドロベンゾイソチアゾリル基、テトラヒドロキノリニル基、テトラヒドロイソキノリニル基、ジヒドロキノリニル基、ジヒドロイソキノリニル基、テトラヒドロキナゾリニル基、ジヒドロキナゾリニル基、ジヒドロシンノリニル基、テトラヒドロシンノリニル基、ジヒドロキノキサリル基、テトラヒドロキノキサリル基、ジヒドロベンゾオキサジニル基、ジヒドロベンゾチアジニル基、ベンゾジオキセニル基、ベンゾモルホリニル基、ベンゾオキサチオシクロヘキシル基、テトラヒドロピロロピラゾリル基、テトラヒドロピペリジノピラゾリル基、ジヒドロピペリジノピラゾリル基、ピラゾロジヒドロピラゾリル基、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾピラゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾピラニル基、ベンゾチエニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、キノリニル基、イソキノリニル基、キナゾリニル基、ジヒドロキナゾリニル基、シンノリニル基、キノキサリル基、ベンゾオキサジニル基、ベンゾチアジニル基から選ばれ、1つ又は複数のRで任意に置換されていてもよい。
【0042】
いくつかの好ましい実施形態において、本発明の化合物は、一般式(Ia)の化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグであり、
【0043】
【化14】
【0044】
ここで、Rは、存在しないか、又は、Rであり、Rは、上記の一般式(I)に記載された定義を有し、且つ
は、アミノアルキルアシルアミノ基及びヒドロキシアミノアルキルアシルアミノ基から選ばれる。
【0045】
いくつかの好ましい実施形態において、本発明に係る一般式(I)又は(Ia)で示される化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグであって、ここで、
は、アミノC1~12アルキルアシルアミノ基及びヒドロキシアミノC1~12アルキルアシルアミノ基から選ばれ、
さらに好ましくは、Rは、アミノC1~6アルキルアシルアミノ基及びヒドロキシアミノC1~6アルキルアシルアミノ基から選ばれ、
よりさらに好ましくは、Rは、
【0046】
【化15】
【0047】
から選ばれる。
【0048】
いくつかの好ましい実施形態において、本発明に係る一般式(I)で示される化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグであって、ここで、
は、6~18員アリール基であり、1つ又は複数のRで任意に置換されていてもよく、Qは、5員ヘテロアリール基であり、1つ又は複数のRで任意に置換されていてもよく、Lは、-C(O)NH-、-NHC(O)-、-SONH-、-NHSO-、-(CH-及び-C(O)-から選ばれ、
さらに好ましくは、Qは、6~12員アリール基であり、1つ又は複数のRで任意に置換されていてもよく、Qは、5員ヘテロアリール基であり、1つ又は複数のRで任意に置換されていてもよく、Lは、-C(O)NH-、-NHC(O)-、-SONH-、-NHSO-、-(CH-及び-C(O)-から選ばれ、
よりさらに好ましくは、Qは、フェニル基であり、1つ又は複数のRで任意に置換されていてもよく、Qは、イミダゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チエニル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、オキサジアゾリル基及びトリアゾイル基から選ばれ、1つ又は複数のRで任意に置換されていてもよく、Lは、-C(O)NH-、-NHC(O)-、-SONH-、-NHSO-、-(CH-及び-C(O)-から選ばれる。
【0049】
いくつかの好ましい実施形態において、本発明の化合物は、一般式(Ib)の化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグであり、
【0050】
【化16】
【0051】
ここで、Lは、-C(O)NH-、-NHC(O)-、-SONH-、-NHSO、-(CH-及び-C(O)-から選ばれ、R、Rは、それぞれ独立に、上記の一般式(I)におけるRに記載された定義を有する。
【0052】
いくつかの好ましい実施形態において、本発明に係る一般式(Ib)で示される化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグであって、ここで、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロプロピル基、
【0053】
【化17】
【0054】
から選ばれる。
【0055】
いくつかの好ましい実施形態において、本発明に係る一般式(Ib)で示される化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグであって、ここで、Rは、
【0056】
【化18】
【0057】
から選ばれる。
【0058】
いくつかの好ましい実施形態において、本発明に係る一般式(I)で示される化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグであって、ここで、
は、6~18員アリール基であり、1つ又は複数のRで任意に置換されていてもよく、Qは、5員ヘテロアリール基であり、1つ又は複数のRで任意に置換されていてもよく、Lは、存在せず、mは、2、3又は4であり、
さらに好ましくは、Qは、6~12員アリール基であり、1つ又は複数のRで任意に置換されていてもよく、Qは、5員ヘテロアリール基であり、1つ又は複数のRで任意に置換されていてもよく、Lは、存在せず、mは、2、3又は4であり、
よりさらに好ましくは、Qは、フェニル基であり、1つ又は複数のRで任意に置換されていてもよく、Qは、イミダゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チエニル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、オキサジアゾリル基及びトリアゾイル基から選ばれ、1つ又は複数のRで任意に置換されていてもよく、Lは、存在せず、mは、2、3又は4である。
【0059】
いくつかの好ましい実施形態において、本発明に係る一般式(I)で示される化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒化物、結晶又はプロドラッグであって、ここで、
は、9~20員アリール複素環基、9~20員ヘテロアリール複素環であり、1つ又は複数のRで任意に置換されていてもよく、Qは、5員ヘテロアリール基であり、1つ又は複数のRで任意に置換されていてもよく、Lは、存在しなく、
さらに好ましくは、Qは、9~12員アリール複素環及び9~12員ヘテロアリール複素環から選ばれ、1つ又は複数のRで任意に置換されていてもよく、Qは、5員ヘテロアリール基であり、1つ又は複数のRで任意に置換されていてもよく、Lは、存在しなく、
よりさらに好ましくは、Qは、インドリニル基、イソインドリニル基、ベンゾジヒドロフラニル基、ベンゾジヒドロピラニル基、ベンゾジヒドロチエニル基、ベンゾオキサゾリノン基、ベンゾジヒドロピラゾリル基、ベンゾジヒドロイミダゾリル基、ベンゾジヒドロピラゾリル基、ベンゾジヒドロオキサゾリル基、ベンゾジヒドロチアゾリル基、ベンゾジヒドロイソオキサゾリル基、ベンゾジヒドロイソチアゾリル基、テトラヒドロキノリニル基、テトラヒドロイソキノリニル基、ジヒドロキノリニル基、ジヒドロイソキノリニル基、テトラヒドロキナゾリニル基、ジヒドロキナゾリニル基、ジヒドロシンノリニル基、テトラヒドロシンノリニル基、ジヒドロキノキサリル基、テトラヒドロキノキサリル基、ベンゾジヒドロオキサジニル基、ベンゾジヒドロチアジニル基、ベンゾジオキセニル基、ベンゾモルホリニル基及びベンゾオキサチオシクロヘキシル基から選ばれ、Qは、イミダゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チエニル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、オキサジアゾリル基及びトリアゾイル基から選ばれ、1つ又は複数のRで任意に置換されていてもよく、Lは、存在しない。
【0060】
いくつかの好ましい実施形態において、本発明に係る一般式(I)で示される化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグであって、ここで、
は、
【0061】
【化19】
【0062】
であり、1つ又は複数のRで任意に置換されていてもよく、Lは、存在せず、Qは、アゼチジニル基、テトラヒドロピロリル基、ピペリジニル基及びピペラジニル基から選ばれ、ここで、前記基は、1つ又は複数のRで任意に置換されており、Lは、存在しない。
【0063】
いくつかの好ましい実施形態において、本発明に係る一般式(I)で示される化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグであって、ここで、
は、イミダゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チエニル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、オキサジアゾリル基及びトリアゾイル基から選ばれ、1つ又は複数のRで任意に置換されていてもよく、
は、存在しなく、
Lは、存在しない。
【0064】
いくつかの実施形態において、本発明に提供される本発明の一般式(I)で示される化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグは、一般式(I)で示される化合物の無機塩又は有機塩であり、好ましくは、前記薬学的に許容される塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、アミノスルホン酸塩、硝酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-アミノベンゼンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、硫酸塩、酢酸塩、エタン二酸塩、フェニル酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、コハク酸塩、グリコール酸塩、ステアリン酸塩、アスコルビン酸塩、パモ酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、グルタミン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、2-アセトキシ安息香酸塩、フマル酸塩、エタンジスルホン酸塩、シュウ酸塩、ヒドロキシエタンスルホン酸塩、クエン酸塩、D-グルコン酸塩、乳酸塩、L-リンゴ酸塩、コハク酸塩、L-酒石酸塩、フマル酸塩、α-ケトグルタル酸塩、馬尿酸塩、マレイン酸塩、D-酒石酸塩、好ましくは、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、アミノスルホン酸塩、硝酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-アミノベンゼンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、硫酸塩、酢酸塩、エタン二酸塩、フェニル酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、D-酒石酸塩又はトリフルオロ酢酸塩などであり、さらに好ましくは、前記薬学的に許容される塩は、トリフルオロ酢酸塩である。いくかの具体的な実施形態において、本発明は、本発明の化合物のトリフルオロ酢酸塩を提供する。
【0065】
本発明は、下記の具体的な化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグを提供する。
【0066】
【化20】
【0067】
【0068】
【0069】
一方、本発明は、本発明の一般式の化合物の製造方法を提供し、例えば、本発明の式(I)の化合物の製造方法は、以下のステップを含むが、これらに限定されない。
【0070】
【化21】
【0071】
1)式1の化合物と式2の化合物とを反応させて式3の化合物を生成する。
【0072】
2)式3の化合物を反応させて式4の化合物を得る。
【0073】
3)式4の化合物と式5の化合物とを反応させて式6の化合物を得る。
【0074】
4)式6の化合物と式7の化合物とを反応させて式8の化合物を得る。
【0075】
5)式8の化合物からアミノ基の保護基を脱離して式(I)の化合物を得る。
【0076】
ここで、Q、Q、L、mは、一般式(I)に記載された定義を有し、式1、式2、式5及び式7の化合物は、市販の化合物であるか、又は、当業者に慣用されている他の技術的手段により合成されてもよい。
【0077】
第3形態によれば、本発明は、本発明の化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグを含む医薬組成物を提供する。
【0078】
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明の化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグを含む医薬組成物を提供し、前記医薬組成物は、モノバクタム系抗生物質をさらに含むが、これに限定されなく、例えば、β-ラクタム抗生物質から選ばれるモノバクタム系抗生物質と、追加の抗生物質及び/又は追加のβ-ラクタマーゼ阻害剤と、セリンβ-ラクタマーゼに対して敏感な任意の他の化合物と組み合わせて併用する。いくつかの実施形態において、本発明に提供される医薬組成物は、本発明の化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグを含み、ペニシリン、メチシリン、オキサシリン、ナフシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、テモシリン、アモキシシリン、アンピシリン、アモキシシリン・クラブラン酸カリウム、アズロシリン、カルベニシリン、チカルシリン、メズロシリン、ピペラシリン、セファレキシン、セファロチン、CXA-101、セファゾリン、セファクロル、セフロキシム、セファマンドール、セフォテタン、セフォキシチン、セフトリアキソン、セフォタキシム、セフポドキシム、セフィキシム、セフタジジム、セフトビプロールメドカリル、セフェピム、セフピロム、セフタロリン(ceftaroline)、イミペネム、メロペネム、エルタペネム、ファロペネム、スロペネム、ドリペネム、PZ-601(ProtezPharmaceuticals)、ME1036(Forest Labs)、BAL30072、MC-1、トモペネム(tomopenem)、テビペネム、アズトレオナム、ティゲモナム、ノカルジシンA、タブトキシニン(tabtoxinine)、スルバクタム、タゾバクタム、アビバクタム(avibactam)、アモキシシリン・クラブラン酸カリウム、LK-157、LK-176、SA-1-204、SA-2-13、BLI-489(Pfizer/Wyeth)、BAL0029880又はMK7655、アミノグリコシド系、スペクチノマイシン系、マクロライド系、ケトラクトン系、ストレプトグラミン系、オキサゾリジノン系(oxazolidinones)、テトラサイクリン系、フルオロキノロン系、クマリン抗生物質系、糖ペプチド系、リポ糖ペプチド系、ニトロイミダゾール系、アンサマイシン系、フェニルプロパノール系、ムピロシン(mupirocyn)、ホスホマイシン、トブラマイシン、リネゾリド、ダプトマイシン、バンコマイシン系又は抗菌剤(ANTIMICROBIAL AGENTS)のうちの1種又は複数種と組み合わせる。いくつかの実施形態において、本発明に提供される医薬組成物は、本発明の化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグを含み、メロペネム、アズトレオナム又はセフタジジムと組み合わせる。いくつかの実施形態において、本発明に提供される医薬組成物は、本発明の化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグを含み、アビバクタム、タゾバクタム、スルバクタム及びクラブラン酸と組み合わせる。
【0079】
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明の化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグ及び本発明の化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグを含む医薬組成物を提供し、前記化合物又は医薬組成物は、細菌感染を治療することに用いられる。
【0080】
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明の化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグ及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0081】
本発明の化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグと、薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤とを混合して経口投与又は非経口投与に適している医薬品製剤を製造することができる。投与方法には、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内及び経口経路を含むが、これらに限定されない。前記製剤は、任意の経路、例えば、注入又はボーラス注射により、上皮又は皮膚粘膜(例えば、口腔粘膜又は直腸など)の吸収経路により投与されてもよい。全身的又は局所的に投与されてもよい。経口投与製剤の例として、固体剤型又は液体剤型を含み、具体的に、錠剤、丸剤、顆粒剤、粉剤、カプセル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤などを含む。前記製剤は、当該技術分野における既知の方法により製造されてもよく、且つ、医薬品製剤の分野で通常使用されている担体、希釈剤又は賦形剤を含む。
【0082】
第4形態によれば、本発明は、本発明の一般式(I)で示される化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグ、又はそれらを含む医薬組成物の細菌感染を治療するための方法及び細菌感染を治療するための薬物の製造における使用を提供する。
【0083】
いくつかの好ましい実施形態において、本発明の細菌感染(細菌感染症)は、グラム陰性菌による感染であり、「グラム陰性感染」とも呼ばれ、ここで、前記グラム陰性菌は、シトロバクター属、エンテロバクター属、エシェリヒア属(Escherichia)、クレブシエラ属(Kle bsiella)、モルガネラ属(Morganella)、プロテウス属(Proteus)、サルモネラ属(Salmonella)、セラチア属、シュードモナス属、アシネトバクター属、バクテロイデス属(Bacteroides)、バークホルデリア属(Burkholderia)、カンピロバクター属(Campylobacter)、ナイセリア属(Neisseria)及びステノトロホモナス属から選ばれてもよい。特に、シトロバクター属、エンテロバクター属、エシェリヒア属、クレブシエラ属、モルガネラ属、プロテウス属、サルモネラ属、セラチア属、シュードモナス属又はアシネトバクター属による細菌感染を治療することができる。前記治療について、特定の細菌種は、シトロバクター・フレウンデー、シトロバクター・コセリ(Citrobacter koseri)、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)、エンテロバクター・ファエカリス(Enterobacter faecalis)、エンテロバクター・フェシウム(Enterobacter faecium)、大腸菌、肺炎桿菌、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)、モーガネラ・モーガニイ(Morganella morganii)、プロテウス・ミラビリス(Proteusmirabilis)、サルモネラ属、セラチア・マルセッセンス(Serrati amarcescens)、緑膿菌、アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumanii)、バクテロイデス‐ビビウス(Bacteroides bivius)、バクテロイデス・フラギリス(Bacteroides fragilis)、バークホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、ナイセリア・ゴノレア(Neisseria gonorrhoeae)及びステノトロホモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)を含む。他の好ましい実施形態において、本発明の細菌感染は、薬剤耐性微生物(多剤耐性微生物を含む)による感染である。他の好ましい実施形態において、本発明の細菌感染は、多剤耐性微生物による感染である。他の好ましい実施形態において、本発明のグラム陰性感染は、1種又は複数種の抗生物質に耐性のある感染である。他の好ましい実施形態において、本発明のグラム陰性感染は、多種の薬物に耐性のある感染である。
【0084】
いくつかの好ましい実施形態において、本発明の化合物は、サルモネラ属(Salmonella)、大腸菌、肺炎桿菌、プロテウス属(Proteus)、エンテロバクター属(Enterobacter)、セラチア属(Serratia)、シトロバクター属(Citrobacter)を含む腸内細菌科(Enterobacteriaceae)、従来のモノバクタム系抗生物質、例えばアズトレオナムに対してあまり敏感でないKPC産生肺炎桿菌などのような病原体、及び緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、アシネトバクター属(Acinetobacter)、バークホルデリア属(Burkholderia)、モラクセラ属(Moraxella)及びステノトロホモナスを含む非発酵菌などの細菌による感染を治療するために用いられる。
【0085】
いくつかの好ましい実施形態において、本発明は、本発明の一般式(I)で示される化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグ、又はそれらを含む医薬組成物の細菌感染を治療するための方法及び細菌感染を治療する薬物における使用を提供する。ここで、前記細菌感染は、婦人科感染、呼吸器感染症(RTI)、尿路感染(UTI)、複雑性尿路感染(腎盂腎炎を含む)、性感染症、慢性気管支炎の急性発作(ACEB)、急性中耳炎、急性副鼻腔炎、薬剤耐性細菌による感染、カテーテル関連敗血症、軟性下疳、クラミジア、肺炎、前立腺炎、市中肺炎(CAP)、複雑性皮膚・皮膚構造感染、非複雑性皮膚・皮膚構造感染、皮膚・軟部組織感染、心内膜炎、発熱性好中球減少症、淋菌性髄膜炎、淋菌性尿道炎、院内肺炎(HAP)、人工呼吸器関連肺炎(VAP)、骨髄炎、原発性又は続発性血液感染(敗血症)、梅毒、腹腔内感染、複雑性腹腔内感染、術後関連感染などを含むが、これらに限定されない。いくつかの好ましい実施形態において、本発明は、本発明の一般式(I)で示される化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグ、又はそれらを含む医薬組成物の細菌感染を治療するための方法及び細菌感染を治療する薬物における使用を提供する。ここで、前記細菌感染は、市中肺炎(CAP)、院内肺炎(HAP)、人工呼吸器関連肺炎(VAP)、原発性又は続発性血液感染(敗血症)、複雑性尿路感染(腎盂腎炎を含む)、複雑性腹腔内感染、術後関連感染などを含むが、これらに限定されない。
【0086】
一実施形態において、本発明は、細菌感染の対象に追加の抗生物質と組み合わせた有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与するステップを含む上記に挙げた1種又は複数種の感染を治療するための方法を提供する。この実施形態の一形態によれば、この追加の抗生物質は、β-ラクタム抗生物質である。この実施形態の一形態によれば、この追加の抗生物質は、ペニシリン結合タンパク質阻害剤である。
[用語の定義]
反対の記述がない限り、明細書及び特許請求の範囲で使用される用語は、以下の意味を持つ。
【0087】
本発明の化合物における「水素」、「炭素」、「酸素」は、そのすべての同位体を含む。同位体は、原子数が同じであるが、質量数が異なる原子を含むと理解すべきである。例えば、水素の同位体は、プロチウム、三重水素及び二重水素を含み、炭素の同位体は、12C、13C及び14Cを含み、酸素の同位体は、16O及び18Oなどを含む。
【0088】
本発明の「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を指す。本発明の「ハロゲン化」とは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素で置換されていることを指す。
【0089】
本発明における「アルキル基」とは、直鎖又は分岐鎖の飽和脂肪族炭化水素基を指し、好ましくは、1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖基であり、更に好ましくは、1~3個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖基であり、非限定的な例として、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、n-ヘキシル基などを含む。アルキル基は、置換されていても置換されていなくてもよく、置換されている場合、置換基は、使用可能な任意の結合点に位置してもよい。
【0090】
本発明の「カルボニル基」、「アシル基」は、いずれも-C(O)-を指す。
【0091】
本発明の「ハロゲン化アルキル基」とは、少なくとも1つのハロゲンで置換されているアルキル基を指す。
【0092】
本発明の「ヒドロキシアルキル基」とは、少なくとも1つのヒドロキシ基で置換されているアルキル基を指す。
【0093】
本発明の「アルコキシ基」とは、-O-アルキル基を指す。アルコキシ基の非限定的な例として、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基などを含む。アルコキシ基は、任意に置換されていても置換されていなくてもよく、置換されている場合、置換基は、使用可能な任意の結合点に位置してもよい。
【0094】
本発明の「シクロアルキル基」とは、環状の飽和炭化水素基を指す。適当なシクロアルキル基は、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの置換又は無置換の3~12個の炭素原子を有する単環、二環又は三環飽和炭化水素基であってもよい。
【0095】
本発明の「複素環」とは、1~4個の複素環原子(ここで、それぞれ独立に窒素、酸素、硫黄、ホウ素、リン及びケイ素から選ばれる)を有する3~20員非芳香族環系の基(「3~20員複素環」)を指す。1つ又は複数の窒素原子を含む複素環において、原子価が許される限り、結合点は、炭素又は窒素原子であってもよい。複素環は、飽和又は部分的に不飽和であってもよい。複素環の各例は、任意に置換されていても置換されていなくてもよく、置換されている場合、置換基は、使用可能な任意の結合点に位置してもよい。
【0096】
本発明の「アリール基」とは、単環又は縮合多環を含んでいてもよい芳香族系、好ましくは、単環又は縮合二環を含んでいてもよい芳香族系を指し、6~18個の炭素原子、好ましくは、約6~12個の炭素原子を有する。適切なアリール基は、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、テトラヒドロナフチル基、フルオレニル基、インダニル基を含むが、これらに限定されない。アリール基は、任意に置換されていても置換されていなくてもよく、置換されている場合、置換基は、使用可能な任意の結合点に位置してもよい。
【0097】
本発明の「ヘテロアリール基」とは、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子で置換されているアリール基を指し、5~20個の原子から構成され(5~20員ヘテロアリール基)、さらに好ましくは、5~12個の原子から構成され(5~12員ヘテロアリール基)、前記ヘテロ原子は、O、S、Nである。本発明の「5員ヘテロアリール基」とは、5個の原子から構成される単環の芳香族系を指し、イミダゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チエニル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、オキサジアゾリル基及びトリアゾイル基を含むが、これらに限定されない。本発明の「アリールヘテロアリール基」、「ヘテロアリールヘテロアリール基」は、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾピラゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾピラニル基、ベンゾチエニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、キノリニル基、イソキノリニル基、キナゾリニル基、ジヒドロキナゾリニル基、シンノリニル基、キノキサリル基、ベンゾオキサジニル基、ベンゾチアジニル基、イミダゾピリジル基、ピリミドピラゾリル基、ピリミドイミダゾリル基などを含むが、これらに限定されない。ヘテロアリール基は、任意に置換されていても置換されていなくてもよく、置換されている場合、置換基は、使用可能な任意の結合点に位置してもよい。
【0098】
本発明の「異性体」は、同じ分子式を有するが、性質上又はその原子の結合配列上又はその原子の空間配列上で異なる化合物である。立体異性体は、その原子の空間配列上で異なる異性体である。互いに鏡像の関係にない立体異性体は、ジアステレオマーであり、互いに鏡像を重ね合わせられない立体異性体は、エナンチオマーである。化合物が不斉中心を有する場合、例えば、4つの異なる基に結合される場合、一対のエナンチオマーの存在が可能である。エナンチオマーは、その不斉中心の絶対配置を特徴とし、且つ、カーン・インゴルド・プレローグのR-とS-順位則又は分子が偏光面を回転させる方法により記述されて、右旋性又は左旋性(それぞれ(+)又は(-)異性体)のものとして指定される。キラル化合物は、単一のエナンチオマー又はその混合物として存在してもよい。等量のエナンチオマーを含む混合物は、「ラセミ混合物」と呼ばれる。
【0099】
本発明の「薬学的に許容される塩」とは、哺乳動物の体内に使用される場合に安全性及び有効性を有し、且つ、本来の生物活性を有する本発明の化合物の塩を指す。
【0100】
本発明の「溶媒和物」とは、通常の意味上で溶質(例えば、活性化合物、活性化合物の塩)と溶媒(例えば、水)との組み合わせにより形成される複合体を指す。溶媒とは、当業者に知られている、又は決定しやすい溶媒を指す。水の場合、溶媒和物は、一般的に水和物、例えば半水和物、一水和物、二水和物、三水和物又はその代替物などと呼ばれる。
【0101】
化学式(I)を有する化合物の体内作用は、化学式(I)を有する化合物を投与した後にヒトや動物の体内で形成される1種又は複数種の代謝物により部分的に発揮されてもよい。上記のように、化学式(I)を有する化合物の体内作用は、前駆体化合物(「プロドラッグ」)の代謝により発揮されてもよい。本発明の「プロドラッグ」とは、生体中の生理的条件下において、酵素や胃酸などとの反応により式(I)の化合物に変換される化合物、即ち、酵素の酸化、還元、加水分解などにより式(I)の化合物に変換される化合物及び/又は胃酸などの加水分解反応などにより式(I)の化合物に変換される化合物などを指す。
【0102】
本発明の「結晶」とは、その内部構造が三次元的に構成原子(又はその集団)の規則正しい繰り返しで形成される固体を指し、このような規則的な内部構造を有しないアモルファス固体とは異なる。
【0103】
本発明の「医薬組成物」とは、本発明に記載される化合物のいずれかを含み、対応する異性体、プロドラッグ、溶媒和物、薬学的に許容される塩又はその化学的保護形態、及び1種又は複数種の薬学的に許容される担体及び/又は他の1種又は複数種の薬物を含む混合物を指す。医薬組成物の目的は、化合物の生体への投与を促進することである。前記組成物は、一般的に、1種又は複数種のキナーゼ介在性疾患を治療及び/又は予防するための薬物の製造に用いられる。
【0104】
本発明の「薬学的に許容される担体」とは、有機体に対して著しい刺激性を起こさず、投与される化合物の生物活性と性質を妨害しない担体を指し、任意の通常の担体が本発明の化合物と相溶する限り、すべての溶媒、希釈剤又はその他の賦形剤、分散剤、界面活性剤、等張化剤、増粘剤又は乳化剤、防腐剤、固体バインダー、潤滑剤などを含む。薬学的に許容される担体の例として、乳糖やグルコースやショ糖などの糖類、コーンスターチや馬鈴薯澱粉などの澱粉、カルボキシメチルセルロースナトリウム、セルロース及び酢酸セルロースなどのセルロース及びその誘導体、麦芽、ゼラチンを含むが、これらに限定されない。
【0105】
本発明の「賦形剤」とは、医薬組成物に添加されて化合物の投与をさらに促進する不活性物質を指す。賦形剤は、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、多種の糖類、多種の澱粉、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油、ポリエチレングリコールを含んでいてもよい。
【0106】
本発明の「感染」は、保護される薬物とペニシリン結合タンパク質の阻害剤との結合又はそれ自体により治療されてもよい多種の細菌により引き起こされてもよい。
【0107】
本明細書で使用される用語「細菌感染の対象」とは、動物を指す。いくつかの形態において、前記動物は、哺乳動物である。個体とは、例えば、霊長類動物(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス、魚、鳥なども指す。ある実施形態において、前記個体は、ヒトである。
【0108】
一実施形態において、本明細書で使用される用語「治療」とは、前記疾患又は障害を改善すること(即ち、前記疾患又はその少なくとも1つの臨床症状の進行を減速又は阻止又は減少させること)を指す。他の一実施形態において、「治療」とは、患者に認識されない可能性のある生体パラメータを含む少なくとも1つの生体パラメータを軽減又は改善することを指す。別の一実施形態において、「治療」とは、身体的に(例えば、認識可能な症状を安定化)、生理学的に(例えば、身体パラメータを安定化)、又は、その両方において、前記疾患又は障害を調節することを指す。更なる一実施形態では、「治療」とは、前記疾患又は障害の発作又は発生又は進行を予防又は遅延させることを指す。
【発明を実施するための形態】
【0109】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。以下の実施例で使用される材料は、特に説明されていない限り、いずれも市販されているものである。
【0110】
[実施例1:(S)-3-((Z)-2-(((S)-2-(4-((1-(3-アミノプロピル)-2-(アゼチジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾール-2-イウム-4-イル)カルバモイル)フェノキシ)-1-カルボキシエトキシ)イミノ)-2-(2-アミノチアゾール-4-イル)アセトアミド)-2,2-ジメチル-4-オキソアゼチジン-1-イル硫酸塩]
【0111】
【化22】
【0112】
〔ステップ1:(R)-(1,3-ジヒドロキシ-3-メチルブタン-2-イル)カルバミン酸tert-ブチルの製造〕
【0113】
【化23】
【0114】
窒素ガス雰囲気で、(tert-ブトキシカルボニル)-D-セリンメチルエステル(70g、0.32mol)をテトラヒドロフラン(2L)に溶解し、-78℃で、臭化メチルマグネシウム(500mL、0.166mol、3.0M)を加えた後、室温まで昇温し、室温で2時間反応させ、薄層クロマトグラフィーで反応終了をモニタリングした後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止させた。酢酸エチルを加えて抽出し、有機相を合わせて飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濾過し、濾液を濃縮して目的生成物を得た。ESI-MS m/z:220.2[M+H]
【0115】
〔ステップ2:(S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸の製造〕
【0116】
【化24】
【0117】
(R)-(1,3-ジヒドロキシ-3-メチルブタン-2-イル)カルバミン酸tert-ブチル(45g、0.20mol)をアセトニトリル(800mL)及びリン酸緩衝液(800mL、0.67M、pH6.8)に溶解し、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン酸化物(3.1g、0.02mol)を加え、35℃まで昇温し、亜塩素酸ナトリウム(46.6gを水200mLに溶解したもの)を加え、その後、希釈された次亜塩素酸ナトリウム溶液(購入した次亜塩素酸ナトリウム溶液3mLを水100mLに溶解したもの)を加えた。35℃で一晩反応させ、薄層クロマトグラフィーで反応終了をモニタリングした後、クエン酸でpHを3に調整し、飽和塩化ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、有機相を合わせて濃縮し、炭酸ナトリウム水溶液及び酢酸エチルを加えて抽出し、水相を0℃まで降温し、2.0Mの硝酸でpHを3に調整し、酢酸エチルで抽出し、有機相を合わせて乾燥・濃縮して目的生成物を得た。ESI-MS m/z:232.2[M-H]
【0118】
〔ステップ3:(S)-(1-((ベンジルオキシ)アミノ)-3-ヒドロキシ-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)カルバミン酸tert-ブチルの製造〕
【0119】
【化25】
【0120】
(S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸(22g、94mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(250mL)に溶解し、1-(3-ジエチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(19.89g、103mmol)及び1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(14g、103mmol)を加え、室温で30分間撹拌しながら、O-フェニルヒドロキシルアミン塩酸塩(16.5g、103mmol))及び炭酸ナトリウム(30g、283mmol))を加え、室温で24時間反応させた。反応終了後、水及び酢酸エチルを加えて抽出し、有機相を合わせて乾燥・濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーでで精製して目的生成物を得た。ESI-MS m/z:339.2[M+H]
【0121】
〔ステップ4:(S)-(N-ベンジルオキシ-4,4-ジメチルアゼチジン-2-オン-3-イル)カルバミン酸tert-ブチルの製造〕
【0122】
【化26】
【0123】
(S)-(1-((ベンジルオキシ)アミノ)-3-ヒドロキシ-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)カルバミン酸tert-ブチル(22g、65mmol)をピリジン(200mL)に溶解し、0℃でピリジン三酸化硫黄(13.4g、84mmol)をバッチ添加し、添加後、55℃まで昇温して2時間反応させた。減圧下で蒸留して溶媒を除去し、炭酸カリウム溶液(54gの炭酸カリウムを300mLの水に溶解したもの)及び酢酸エチル(100mL)を加え、2時間還流させた。反応終了後、室温まで降温し、酢酸エチル及び水を加えて抽出し、有機相を合わせて乾燥・濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーでで精製して白色の固体生成物を得た。ESI-MS m/z:321.2[M+H]
【0124】
〔ステップ5:(S)-(1-ヒドロキシ-2,2-ジメチル-4-オキソアゼチジン-3-イル)カルバミン酸tert-ブチルの製造〕
【0125】
【化27】
【0126】
(S)-(N-ベンジルオキシ-4,4-ジメチルアゼチジン-2-オン-3-イル)カルバミン酸tert-ブチル(8.5g、26mmol)をメタノール(90mL)に溶解し、5%のパラジウム炭素(0.85g、50%の水を含有するもの)を加え、水素ガスで置換し、室温で1時間反応させた。反応終了後、パラジウム炭素を濾過し、減圧下で蒸留して溶媒を除去し、目的生成物を得た。ESI-MS m/z:231.1[M+H]
【0127】
〔ステップ6:(S)-3-アミノ-2,2-ジメチル-4-オキソアゼチジン-1-イル硫酸水素塩の製造〕
【0128】
【化28】
【0129】
(S)-(1-ヒドロキシ-2,2-ジメチル-4-オキソアゼチジン-3-イル)カルバミン酸tert-ブチル(5g、21mmol)をピリジン(50mL)に溶解し、0℃でピリジン三酸化硫黄(3.9g、24mmol)をバッチ添加し、添加後、55℃まで昇温して2時間反応させた。減圧下で蒸留して溶媒を除去した。この固体を飽和リン酸二水素カリウム水溶液(400mL)に溶解し、ジクロロメタンを加えて抽出し、水相を0℃まで降温し、硫酸水素テトラ-n-ブチルアンモニウム(8.5g、214mmol)を加え、0~5℃で1時間反応させ、ジクロロメタンを加えて抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥・濃縮した。得られた固体にギ酸(50mL)を加え、室温で4時間反応させて、固体を析出させた。ジクロロメタンを加え、0~4℃まで降温し、固体を濾過し、真空乾燥して白色の固体生成物を得た。ESI-MS m/z:211.2[M+H]
【0130】
〔ステップ7:2-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)チアゾール-4-イル)-2-オキソ酢酸エチルの製造〕
【0131】
【化29】
【0132】
2-(2-アミノチアゾール-4-イル)-2-オキソ酢酸エチル(10g、50mmol)をアセトニトリル(250mL)に溶解し、二炭酸ジ-tert-ブチル(23.2mL、100mmol)、テトラメチルエチレンジアミン(9.8mL、65mmol)を加え、室温で3時間反応させ、減圧下で蒸留して溶媒を除去し、1N塩酸及び酢酸エチルを加えて抽出し、有機相を飽和炭酸水素ナトリウム、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥・濃縮した後、カラムクロマトグラフィーでで精製して白色の目的生成物を得た。ESI-MS m/z:301.2[M+H]
【0133】
〔ステップ8:2-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)チアゾール-4-イル)-2-オキソ酢酸の製造〕
【0134】
【化30】
【0135】
2-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)チアゾール-4-イル)-2-オキソ酢酸エチル(10g、50mmol)をテトラヒドロフラン(150mL)/メタノール(50mL)に溶解し、水酸化ナトリウム水溶液(68mL、1M、68mmol)を加え、室温で4時間反応させた。反応終了後、水及び酢酸エチルを加えて抽出し、水相を合わせて、1N塩酸でpHを3に調整し、水及び酢酸エチルを加えて抽出し、有機相を合わせて乾燥・濃縮し、白色の目的生成物を得た。ESI-MS m/z:271.2[M-H]
【0136】
〔ステップ9:tert-ブトキシカルボニル-3-(4-ニトロ-1H-ピラゾール-1-イル)-1-プロピルアミンの製造〕
【0137】
【化31】
【0138】
500mLの片口フラスコに、4-ニトロピラゾール(10g、88.5mmol)及びtert-ブトキシカルボニル-3-ブロモプロピルアミン(20.6g、86.6mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(150mL)に溶解し、炭酸カリウム(30.5g、0.221mol)を加え、90℃で一晩加熱撹拌した。反応終了後、水及び酢酸エチルを加えて抽出し、有機相を合わせて飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、回転乾燥させて白色の結晶生成物を得た。ESI-MS m/z:271.2[M+H]
【0139】
〔ステップ10:tert-ブトキシカルボニル-3-(4-アミノ-1H-ピラゾール-1-イル)-1-プロピルアミンの製造〕
【0140】
【化32】
【0141】
100mLの片口フラスコに、tert-ブトキシカルボニル-3-(4-ニトロ-1H-ピラゾール-1-イル)-1-プロピルアミン(1.5g、5.6mmol)をメタノール(20mL)に溶解し、湿った10%パラジウム炭素(100mg)を加え、水素バルーンと接続して3回置換し、室温で撹拌して一晩反応させた。反応終了後、吸引濾過し、濾液を回転乾燥させてシリカに付着された砂を作り、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで赤色の粘稠物である生成物を得た。ESI-MS m/z:241.2[M+H]
【0142】
〔ステップ11:tert-ブトキシカルボニル-3-トリフルオロメタンスルホニルオキシメチルアゼチジンの製造〕
【0143】
【化33】
【0144】
100mLの三口フラスコに、3-ヒドロキシアゼチジン(1.5g、8mmol)を無水ジクロロメタン(25mL)に溶解し、アルゴンガスで3回置換し、-78℃まで冷却し、2,6-ジメチルピリジン(1.4mL、12mmol)及びトリフルオロメタンスルホン酸無水物(1.62mL、9.6mmol)を順次注入した。-65℃以下の温度に維持しながら1h反応させ、TLCで反応をモニタリングした。反応終了後、飽和クエン酸水溶液を加えて反応を停止し、さらに飽和食塩水を加えて分液し、さらに水相をジクロロメタンで1回抽出し、有機相を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、回転乾燥させて直ちに次の反応に用いた。
【0145】
〔ステップ12:(S)-3-(4-ブロモフェノキシ)-1,2-プロピレングリコールの製造〕
【0146】
【化34】
【0147】
1000mLの片口フラスコに、p-ブロモフェノール(133.6g、0.772mol)及び(S)-グリシドール(60g、0.811mol)を無水エタノール(250mL)に溶解し、トリエチルアミン(5.4mL、39mmol)を加えて触媒し、85℃で7h還流反応させ、反応終了後、濃縮し、300mLのジクロロメタンを加えて分散し、吸引濾過し、濾過ケーキを乾燥して白色粉末の目的生成物を得た。ESI-MS m/z:247.2[M+H]
【0148】
〔ステップ13:(R)-3-(4-ブロモフェノキシ)-2-ヒドロキシプロパン酸の製造〕
【0149】
【化35】
【0150】
2000mLの片口フラスコに、(S)-3-(4-ブロモフェノキシ)-1,2-プロピレングリコール(20g、81mmol)、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン酸化物(947mg、6.07mmol)、アセトニトリル(300mL)、リン酸緩衝液(pH6.8、0.67M、210mL)及び亜塩素酸ナトリウム水溶液(2.5M、97mL)を加え、35℃で撹拌しながら、次亜塩素酸ナトリウム溶液(市販の35%有効塩素溶液0.5mLを15mLの水で希釈した)を徐々に滴下した。35℃に維持しながら10h反応させ、TLCで反応をモニタリングし、反応終了後、クエン酸及び酢酸エチルを加えて反応を停止し、水相をpH3に調整した。分液し、水相を酢酸エチルで2回抽出し、有機相を合わせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、回転乾燥させた後、飽和炭酸ナトリウム溶液に溶解し、適量の酢酸エチルで抽出し、リン酸で水相をpH3に調整し、酢酸エチルで3回抽出し、乾燥し、回転乾燥させて薄い褐色固体の目的生成物を得た。ESI-MS m/z:259.0[M-H]
【0151】
〔ステップ14:(R)-3-(4-ブロモフェノキシ)-2-ヒドロキシプロパン酸tert-ブチルの製造〕
【0152】
【化36】
【0153】
1000mLの片口フラスコに、(R)-3-(4-ブロモフェノキシ)-2-ヒドロキシプロパン酸(20g、77mmol)及びトリクロロアセトイミド酸tert-ブチル(67g、307mmol)をテトラヒドロフラン(300mL)に溶解し、45℃で2日間撹拌しながら反応させた。反応終了後、反応液を回転乾燥させてシリカに付着された砂を作り、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで白色の固体生成物を得た。ESI-MS m/z:315.0[M-H]H NMR(400MHz,CDCl)δ7.43-7.35(m,2H),6.86-6.77(m,2H),4.39(dt,J=6.2,3.1Hz,1H),4.22(qd,J=9.7,3.1Hz,2H),3.24(d,J=6.2Hz,1H),1.50(s,9H).
〔ステップ15:(S)-3-(4-ブロモフェノキシ)-2-((1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)オキシ)プロパン酸tert-ブチルの製造〕
【0154】
【化37】
【0155】
100mLの片口フラスコに、(R)-3-(4-ブロモフェノキシ)-2-ヒドロキシプロパン酸tert-ブチル(1g、3.8mmol)、N-ヒドロキシフタルイミド(1.25g、7.67mmol)、トリフェニルホスフィン(2g、7.63mmol)を無水テトラヒドロフラン(25mL)に溶解し、アルゴンガスで3回置換し、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(1.5mL、7.65mmol)を滴下して室温で撹拌して一晩反応させた。反応終了後、濾液を濃縮し精製して淡い黄色の粘稠物である生成物を得た。ESI-MS m/z:462.3[M+H]
【0156】
〔ステップ16:(S)-4-(3-(tert-ブトキシ)-2-((1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)オキシ)-3-オキソプロポキシ)安息香酸の製造〕
【0157】
【化38】
【0158】
100mLの片口フラスコに、(S)-3-(4-ブロモフェノキシ)-2-((1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)オキシ)プロパン酸tert-ブチル(2.2g、4.76mmol)、酢酸パラジウム(50mg、0.22mmol)、4,5-ビスジフェニルホスフィノ-9、9-ジメチルキサンテン(0.27g、0.47mmol)、ギ酸(0.36mL、9.5mmol)、トリエチルアミン(1.3mL、9.5mmol)、酢酸無水物(0.88mL、9.5mmol)及びt-ブタノール(0.88mL、9.5mmol)をトルエン(30mL)に溶解し、アルゴンガスで3回置換し、90℃に加熱し、撹拌しながら一晩反応させた。反応終了後、回転乾燥してトルエンを除去し、酢酸エチル及び水を加え、不溶化物を濾別し、酢酸エチルで抽出し、有機相を合わせて、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥・濃縮し、カラムクロマトグラフィーで黄色の固体生成物を得た。ESI-MS m/z:426.2[M-H]
【0159】
〔ステップ17:(S)-3-(4-((1-(3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)プロピル)-1H-ピラゾール-4-イル)カルバモイル)フェノキシ)-2-((1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)オキシ)プロパン酸tert-ブチルの製造〕
【0160】
【化39】
【0161】
100mLの片口フラスコに、前のステップで得られた(S)-4-(3-(tert-ブトキシ)-2-((1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)オキシ)-3-オキソプロポキシ)安息香酸(1.8g、4.2mmol)、tert-ブトキシカルボニル-3-(4-アミノ-1H-ピラゾール-1-イル)-1-プロピルアミン(1g、4.2mmol)、2-(7-アゾベンゾトリアゾリル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウレイドヘキサフルオロホスフェート(1.93g、5.08mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.35mL、8.4mmol)を無水ジクロロメタン(30mL)に溶解し、室温で5h反応させた。反応終了後、有機相を回転乾燥させて、酢酸エチルで抽出し、有機相を合わせて、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥・濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで黄色の粘調な生成物を得た。ESI-MS m/z:650.3[M+H]
【0162】
〔ステップ18:(S)-4-(4-(3-(tert-ブトキシ)-2-((1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)オキシ)-3-オキソプロポキシ)ベンズアミド)-1-(3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)プロピル)-2-((1-(tert-ブトキシカルボニル)アゼチジン-3-イル)メチル)-1H-ピラゾール-2-イウムトリフルオロメタンスルホン酸塩の製造〕
【0163】
【化40】
【0164】
100mLの片口フラスコに、(S)-3-(4-((1-(3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)プロピル)-1H-ピラゾール-4-イル)カルバモイル)フェノキシ)-2-((1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)オキシ)プロパン酸tert-ブチル(1.05g、1.54mmol、粗生成物)と炭酸水素ナトリウム(1.36g、15.4mmol)とアセトニトリル(50mL)とを混合し、60℃に加熱し、1h内に新たに製造したtert-ブトキシカルボニル-3-トリフルオロメタンスルホニルオキシメチルアゼチジン(2.7g、8.46mmol)をバッチ添加し、3h反応させた。反応終了後、吸引濾過し、濾液を回転乾燥させてシリカに付着された砂を作り、カラムクロマトグラフィーで淡い黄色の粘調な生成物を得た。ESI-MS m/z:819.9[M+H]
【0165】
〔ステップ19:(S)-4-(4-(2-(アミノオキシ)-3-(tert-ブトキシ)-3-オキソプロポキシ)ベンズアミド)-1-(3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)プロピル)-2-((1-(tert-ブトキシカルボニル)アゼチジン-3-イル)メチル)-1H-ピラゾール-2-イウムトリフルオロメタンスルホン酸塩の製造〕
【0166】
【化41】
【0167】
50mLの片口フラスコに、(S)-4-(4-(3-tert-ブトキシ-2-((1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)オキシ)-3-オキソプロポキシ)ベンズアミド)-1-(3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)プロピル)-2-((1-(tert-ブトキシカルボニル)アゼチジン-3-イル)メチル)-1H-ピラゾール-2-イウムトリフルオロメタンスルホン酸塩(1.04g、1.07mmol)をメタノール(10mL)に溶解し、7Nのアンモニア・メタノール溶液(1.2mL、9.6mmol)を加え、室温で2日間反応させた。反応終了後、回転乾燥させてシリカに付着された砂を作り、カラムクロマトグラフィーで淡い黄色の粘稠な固体生成物を得た。ESI-MS m/z:689.8[M+H]
【0168】
〔ステップ20:(S,Z)-4-(4-(3-(tert-ブトキシ)-2-((((2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)チアゾール-4-イル)(カルボキシ)メチレン)アミノ)オキシ)-3-オキソプロポキシ)ベンズアミド)-1-(3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)プロピル)-2-((1-(tert-ブトキシカルボニル)アゼチジン-3-イル)メチル)-1H-ピラゾール-2-イウムトリフルオロメタンスルホン酸塩の製造〕
【0169】
【化42】
【0170】
50mLの片口フラスコに、(S)-4-(4-(2-(アミノオキシ)-3-(tert-ブトキシ)-3-オキソプロポキシ)ベンズアミド)-1-(3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)プロピル)-2-((1-(tert-ブトキシカルボニル)アゼチジン-3-イル)メチル)-1H-ピラゾール-2-イウムトリフルオロメタンスルホン酸塩(375mg、0.45mmol)及び先に製造した2-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)チアゾール-4-イル)-2-オキソ酢酸(128mg、0.47mmol)をジクロロメタン(6mL)及びメタノール(14mL)に溶解し、室温で撹拌しながら2h反応させた。反応終了後、そのまま回転乾燥させて淡い黄色の固体生成物を得た。ESI-MS m/z:943.5[M+H]
【0171】
〔ステップ21:(S)-3-((Z)-2-((((S)-1-(tert-ブトキシ)-3-(4-((1-(3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)プロピル)-2-((1-(tert-ブトキシカルボニル)アゼチジン-3-イル)メチル)-1H-ピラゾール-2-イウム-4-イル)カルバモイル)フェノキシ)-1-オキソプロパン-2-イル)オキシ)イミノ)-2-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)チアゾール-4-イル)アセトアミド)-2,2-ジメチル-4-オキソアゼチジン-1-イル硫酸塩の製造〕
【0172】
【化43】
【0173】
100mLの片口フラスコに、(S,Z)-4-(4-(3-(tert-ブトキシ)-2-((((2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)チアゾール-4-イル)(カルボキシ)メチレン)アミノ)オキシ)-3-オキソプロポキシ)ベンズアミド)-1-(3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)プロピル)-2-((1-(tert-ブトキシカルボニル)アゼチジン-3-イル)メチル)-1H-ピラゾール-2-イウムトリフルオロメタンスルホン酸塩(456mg、0.42mmol)、ブロモトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩(252mg、0.54mmol)及び(S)-3-アミノ-2,2-ジメチル-4-オキソアゼチジン-1-イル硫酸水素塩(92mg、0.44mmol)をアセトニトリル(15mL)に溶解し、N,N-ジイソプロピルエチルアミンの酢酸エチル(140μL、0.8mmol)を滴下し、室温で撹拌して一晩反応させた。反応終了後、濃縮し、カラムクロマトグラフィーで目的生成物を得た。ESI-MS m/z:1135.6[M+H]
【0174】
〔ステップ22:(S)-3-((Z)-2-(((S)-2-(4-((1-(3-アミノプロピル)-2-(アゼチジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾール-2-イウム-4-イル)カルバモイル)フェノキシ)-1-カルボキシエトキシ)イミノ)-2-(2-アミノチアゾール-4-イル)アセトアミド)-2,2-ジメチル-4-オキソアゼチジン-1-イル硫酸塩の製造〕
【0175】
【化44】
【0176】
25mLの片口フラスコに、(S)-3-((Z)-2-((((S)-1-(tert-ブトキシ)-3-(4-((1-(3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)プロピル)-2-((1-(tert-ブトキシカルボニル)アゼチジン-3-イル)メチル)-1H-ピラゾール-2-イウム-4-イル)カルバモイル)フェノキシ)-1-オキソプロパン-2-イル)オキシ)イミノ)-2-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)チアゾール-4-イル)アセトアミド)-2,2-ジメチル-4-オキソアゼチジン-1-イル硫酸塩(90mg、79μmol)をジクロロメタン(3mL)に溶解し、氷浴でトリフルオロ酢酸(3mL)を滴下し、氷浴で2h反応させた。反応終了後、室温で濃縮して製造し、凍結乾燥して目的化合物を得た。H NMR(400MHz,DO)δ8.54-8.49(m,1H),8.43(t,J=3.2Hz,1H),7.78-7.69(m,2H),6.97(dd,J=15.6,8.5Hz,3H),5.04(dd,J=5.3,2.2Hz,1H),4.73(d,J=7.6Hz,2H),4.55-4.41(m,5H),4.21-4.12(m,2H),4.01(dd,J=11.7,7.5Hz,2H),3.52(s,1H),3.05-2.97(m,2H),2.27-2.17(m,2H),1.30(s,3H),0.91(s,3H)。ESI-MS m/z:779.9[M+H]
【0177】
[実施例2:(S)-3-((Z)-2-(((S)-2-(4-(1-(3-アミノプロピル)-2-(アゼチジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾール-2-イウム-4-カルボキサミド)フェノキシ)-1-カルボキシエトキシ)イミノ)-2-(2-アミノチアゾール-4-イル)アセトアミド)-2,2-ジメチル-4-オキソアゼチジン-1-イル硫酸塩]
【0178】
【化45】
【0179】
〔ステップ1:(R)-3-(4-ニトロフェノキシ)-2-ヒドロキシプロパン酸tert-ブチルの製造〕
【0180】
【化46】
【0181】
p-ブロモフェノールをp-ニトロフェノールに代えたこと以外は、実施例1のステップ12~14の製造方法と同様に、目的化合物を得た。
【0182】
〔ステップ2:(R)-3-(4-アミノフェノキシ)-2-ヒドロキシプロパン酸tert-ブチルの製造〕
【0183】
【化47】
【0184】
100mLの片口フラスコに、(R)-3-(4-ブロモフェノキシ)-2-ヒドロキシプロパン酸tert-ブチル(3.1g、11mmol)をメタノール(85mL)に溶解し、湿った10%パラジウム炭素(320mg)を加え、水素ガスで3回置換し、室温で撹拌しながら6h反応させた。反応終了後、吸引濾過し、濾液を回転乾燥させてシリカに付着された砂を作り、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで灰白色の目的生成物を得た。ESI-MS m/z:254.2[M+H]
【0185】
〔ステップ3:(R)-3-(4-(1-(3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)プロピル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)フェノキシ)-2-ヒドロキシプロパン酸tert-ブチルの製造〕
【0186】
【化48】
【0187】
100mLの片口フラスコに、前のステップで得られた(R)-3-(4-アミノフェノキシ)-2-ヒドロキシプロパン酸tert-ブチル(207mg、0.82mmol)、1-(3-tert-ブトキシカルボニル-アミノプロピル)-1H-ピラゾール-4-カルボン酸(220mg、0.82mmol)、2-(7-アゾベンゾトリアゾリル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウレイドヘキサフルオロホスフェート(373mg、0.98mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.27mL、1.6mmol)を無水N,N-ジメチルホルムアミド(6mL)に溶解し、室温で2.5h反応させた。反応終了後、酢酸エチル及び水を加えて抽出し、有機相を合わせて、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥・濃縮して黄色の粘稠な目的生成物を得た。ESI-MS m/z:505.3[M+H]
【0188】
〔ステップ4:(S)-3-(4-(1-(3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)プロピル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)フェノキシ)-2-((1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)オキシ)プロパン酸tert-ブチルの製造〕
【0189】
【化49】
【0190】
100mLの片口フラスコに、前のステップで得られた(R)-3-(4-(1-(3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)プロピル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)フェノキシ)-2-ヒドロキシプロパン酸tert-ブチル、N-ヒドロキシフタルイミド(1.25g、7.67mmol)、トリフェニルホスフィン(2g、7.63mmol)を無水テトラヒドロフラン(25mL)に溶解し、アルゴンガスで3回置換し、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(1.5mL、7.65mmol)を滴下し、室温で撹拌して一晩反応させた。反応終了後、濾液を濃縮して淡い黄色の粘稠物である目的生成物を得た。ESI-MS m/z:650.3[M+H]
【0191】
〔ステップ5:(S)-3-((Z)-2-(((S)-2-(4-(1-(3-アミノプロピル)-2-(アゼチジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾール-2-イウム-4-カルボキサミド)フェノキシ)-1-カルボキシエトキシ)イミノ)-2-(2-アミノチアゾール-4-イル)アセトアミド)-2,2-ジメチル-4-オキソアゼチジン-1-イル硫酸塩〕
【0192】
【化50】
【0193】
原料である(S)-3-(4-((1-(3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)プロピル)-1H-ピラゾール-4-イル)カルバモイル)フェノキシ)-2-((1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)オキシ)プロパン酸tert-ブチルを(S)-3-(4-(1-(3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)プロピル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)フェノキシ)-2-((1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)オキシ)プロパン酸tert-ブチルに代えたこと以外は、実施例1のステップ18~22の製造方法と同様に、目的化合物を得た。H NMR(400MHz,DO)δ8.40-8.50(m,2H),8.43(t,J=3.2Hz,1H),7.18(m,2H),6.88(m,3H),5.04(dd,J=5.3,2.2Hz,1H),4.68(d,J=7.6Hz,2H),4.59-4.46(m,5H),4.23-4.16(m,2H),4.08(dd,J=11.8,7.5Hz,2H),3.56(s,1H),3.04-2.80(m,2H),2.33-1.55(m,2H),1.61-1.20(s,2H),0.91(s,3H)。ESI-MS m/z:779.9[M+H]
【0194】
[実施例3:(3S)-3-((Z)-2-(((1S)-2-(4-(2-(3-アミノプロポキシ)-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-4-イウム-6-イル)フェノキシ)-1-カルボキシエトキシ)イミノ)-2-(2-アミノチアゾール-4-イル)アセトアミド)-2,2-ジメチル-4-オキソアゼチジン-1-イル硫酸塩]
【0195】
【化51】
【0196】
〔ステップ1:6-ブロモ-2-ヒドロキシ-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-4-ブロモニウムの製造〕
【0197】
【化52】
【0198】
100mLの片口フラスコに、4-ブロモピラゾール(2.94g、20mmol)及びエポキシブロモプロパン(2.74g、20mmol)をDMF(30mL)に溶解し、100℃で一晩加熱撹拌した。反応終了後、回転乾燥によりN,N-ジメチルホルムアミドの大部分を除去し、メチル-tert-ブチルエーテルを加え、黄白色の固体を析出させ、吸引濾過し、乾燥して目的生成物を得た。ESI-MS m/z:204.1[M]
【0199】
〔ステップ2:6-ブロモ-2-(3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)プロポキシ)-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-4-イウムの製造〕
【0200】
【化53】
【0201】
100mLの三口フラスコに、6-ブロモ-2-ヒドロキシ-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-4-ブロモニウム(100mg、0.4mmol)を無水N,N-ジメチルホルムアミド(5mL)に溶解し、氷水浴で0~5℃まで冷却し、水素化ナトリウム(17mg、0.41mmol)を加え、30分間を撹拌しながら、N-tert-ブトキシカルボニル-3-アミノプロピルブロミド(88mg、0.37mmol)を加えた。氷水浴で3h反応を継続し、TLCで反応をモニタリングした。反応終了後、溶媒を回転乾燥させてシリカゲルでシリカに付着された砂を作り、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで目的生成物を得た。ESI-MS m/z:361.08[M-H]
【0202】
〔ステップ3:6-(4-((R)-3-(tert-ブトキシ)-2-ヒドロキシ-3-オキソプロポキシ)フェニル)-2-(3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)プロポキシ)-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-4-イウムの製造〕
【0203】
【化54】
【0204】
250mLの片口フラスコに、6-ブロモ-2-(3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)プロポキシ)-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-4-イウム(3.4g、9.48mmol)、(R)-2-ヒドロキシ-3-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェノキシ)プロパン酸tert-ブチル(4.09g、7.9mmol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]二塩化パラジウム(0.58g、0.79mmol)、リン酸カリウム(5g、23.7mmol)をジオキサン(60mL)と水(15mL)との混合溶媒に溶解した。アルゴンガス雰囲気で、100℃で一晩加熱撹拌した。TLCで反応をモニタリングし、反応終了後、酢酸エチルで抽出し、回転乾燥させてシリカに付着された砂を作り、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで灰黒色の固体生成物を得た。ESI-MS m/z:518.6[M+H]
【0205】
〔ステップ4:6-(4-((S)-3-(tert-ブトキシ)-2-((1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)オキシ)-3-オキソプロポキシ)フェニル)-2-(3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)プロポキシ)-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-4-イウムの製造〕
【0206】
【化55】
【0207】
100mLの三口フラスコに、6-(4-((R)-3-(tert-ブトキシ)-2-ヒドロキシ-3-オキソプロポキシ)フェニル)-2-(3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)プロポキシ)-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-4-イウム(1.87g、3.61mmol)、N-ヒドロキシフタルイミド(1.17g、7.21mmol)、トリフェニルホスフィン(1.89g、7.21mmol)を無水テトラヒドロフラン(30mL)に溶解し、アルゴンガス雰囲気で、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(1.45g、7.21mmol)を加え、室温で一晩反応させた。TLCで反応をモニタリングし、反応終了後、酢酸エチルで抽出し、回転乾燥させてシリカに付着された砂を作り、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで類白色の固体生成物を得た。ESI-MS m/z:663.8[M+H]
【0208】
〔ステップ5:(3S)-3-((Z)-2-(((1S)-2-(4-(2-(3-アミノプロポキシ)-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-4-イウム-6-イル)フェノキシ)-1-カルボキシエトキシ)イミノ)-2-(2-アミノチアゾール-4-イル)アセトアミド)-2,2-ジメチル-4-オキソアゼチジン-1-イル硫酸塩の製造〕
【0209】
【化56】
【0210】
原料である(S)-4-(4-(3-tert-ブトキシ-2-((1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)オキシ)-3-オキソプロポキシ)ベンズアミド)-1-(3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)プロピル)-2-((1-(tert-ブトキシカルボニル)アゼチジン-3-イル)メチル)-1H-ピラゾール-2-イウムトリフルオロメタンスルホン酸塩を6-(4-((S)-3-(tert-ブトキシ)-2-((1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)オキシ)-3-オキソプロポキシ)フェニル)-2-(3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)プロポキシ)-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-4-イウムに代えたこと以外は、実施例1のステップ19~22の製造方法と同様に、目的化合物を得た。H NMR(400MHz,DO)δ8.73(s,2H),7.63(d,J=8.2Hz,2H),7.01-7.03(d,J=8.3Hz,2H),6.83(s,1H),4.99(d,J=4.5Hz,2H),4.74-4.60(m,6H),4.42-4.35(m,2H),3.61(t,J=6.2Hz,1H),2.83(t,J=8.2、2H),1.82-1.77(m,2H),1.32(s,3H),1.04(s,3H)。ESI-MS m/z:722.6[M+H]
【0211】
[実施例4:(S)-3-((Z)-2-(2-アミノチアゾール-4-イル)-2-(((S)-1-カルボキシ-2-(4-(6-((S)-2,6-ジアミノヘキサミド)-1-メチルピリジン-1-イウム-3-イル)フェノキシ)エトキシ)イミノ)アセトアミド)-2,2-ジメチル-4-オキソアゼチジン-1-イル硫酸塩]
【0212】
【化57】
【0213】
〔ステップ1:ジ(tert-ブチル)(6-((5-ブロモピリジン-2-イル)アミノ)-6-オキソヘキサン-1,5-ジイル)(S)-ジカルバメートの製造〕
【0214】
【化58】
【0215】
(S)-2,6-ジ-tert-ブトキシカルボニルアミノヘキサン酸(4g、11.56mmol)、ジクロロメタン(60mL)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(3g、23.12mmol)、2-(7-オキソベンゾトリアゾリル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウレイドヘキサフルオロリン酸塩(5.27g、13.87mmol)、2-アミノ-5-ブロモピリジン(2g、11.56mmol)を順次に加え、一晩還流反応させ、反応終了後、濃縮乾燥させた後、酢酸エチルで溶解し、順次に10%クエン酸溶液、飽和炭酸水素ナトリウム溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥・濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで無色の油状物4.20gを得た。ESI-MS m/z:501.1[M+H]
【0216】
〔ステップ2:ジ-tert-ブチル(6-オキソ-6-((5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)ヘキサン-1,5-ジイル)(S)-ジカルバメートの製造〕
【0217】
【化59】
【0218】
100mLの片口フラスコに、ジ(tert-ブチル)(6-((5-ブロモピリジン-2-イル)アミノ)-6-オキソヘキサン-1,5-ジイル)(S)-ジカルバメート(2g、3.99mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(1.52g、5.98mmol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]二塩化パラジウム(290mg、0.40mmol)、酢酸カリウム(1.17g、11.97mmol)、1,4-ジオキサン(30mL)を順次に加え、窒素ガスで3回置換した後、窒素ガス雰囲気で、90℃で一晩反応させた。反応終了後、30mLの酢酸エチルを加えて5分間分散し、珪藻土により濾過、濃縮して、カラムクロマトグラフィーで目的化合物1.80gを得た。ESI-MS m/z:549.3[M+H]
【0219】
〔ステップ3:(R)-3-(4-(6-((S)-2,6-ビス((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ヘキサミド)ピリジン-3-イル)フェノキシ)-2-ヒドロキシプロパン酸tert-ブチルの製造〕
【0220】
【化60】
【0221】
100mLの片口フラスコに、(R)-3-(4-ブロモフェノキシ)-2-ヒドロキシプロパン酸tert-ブチル(1g、3.15mmol)、ジ-tert-ブチル(6-オキソ-6-((5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)ヘキサン-1,5-ジイル)(S)-ジカルバメート(2.25g、4.10mmol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]二塩化パラジウム(230mg、0.32mmol)、炭酸セシウム(2.05g、6.31mmol)、1,4-ジオキサン(20mL)、水(4mL)を順次に加え、窒素ガスで3回置換した後、窒素ガス雰囲気で、90℃で一晩反応させ。反応終了後、酢酸エチル及び水を加え、珪藻土により濾過し、酢酸エチルで3回抽出し、有機相を合わせて、飽和食塩水で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥・濃縮し、カラムクロマトグラフィーで褐色の油状物1.70gを得た。ESI-MS m/z:659.3[M+H]
【0222】
〔ステップ4:(S)-3-(4-(6-((S)-2,6-ビス((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ヘキサミド)ピリジン-3-イル)フェノキシ)-2-((1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)オキシ)プロパン酸tert-ブチルの製造〕
【0223】
【化61】
【0224】
100mLの三口フラスコに、(R)-3-(4-(6-((S)-2,6-ビス((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ヘキサミド)ピリジン-3-イル)フェノキシ)-2-ヒドロキシプロパン酸tert-ブチル(1.7g、2.58mmol)、N-ヒドロキシフタルイミド(547mg、3.35mmol)、トリフェニルホスフィン(1.02mg、3.87mmol)、無水テトラヒドロフラン(30mL)を加え、0℃まで降温し、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(0.783mg、3.87mmol)を滴下し、滴下終了後、自然に室温まで上昇し、一晩反応させた。原料の消失をモニタリングし、反応終了後、そのまま濃縮してシリカに付着された砂を作り、カラムクロマトグラフィーで目的化合物1.67gを得た。ESI-MS m/z:804.3[M+H]
【0225】
〔ステップ5:2-((S)-2,6-ビス((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ヘキサミド)-5-(4-((S)-3-(tert-ブトキシ)-2-((1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)オキシ)-3-オキソプロポキシ)フェニル)-1-メチルピリジン-1-イウムヨージドの製造〕
【0226】
【化62】
【0227】
50mLの片口フラスコに、(S)-3-(4-(6-((S)-2,6-ビス((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ヘキサミド)ピリジン-3-イル)フェノキシ)-2-((1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)オキシ)プロパン酸tert-ブチル(1.17g、1.46mmol)、アセトニトリル(12mL)、ヨウ化メチル(2.07g、14.55mmol)を加え、1日間還流反応させた。反応終了後、濃縮してシリカに付着された砂を作り、カラムクロマトグラフィーで目的化合物860mgを得た。ESI-MS m/z:818.3[M-I
【0228】
〔ステップ6:5-(4-((S)-2-(アミノオキシ)-3-(tert-ブトキシ)-3-オキソプロポキシ)フェニル)-2-((S)-2,6-ビス((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ヘキサミド)-1-メチルピリジン-1-イウムヨージドの製造〕
【0229】
【化63】
【0230】
2-((S)-2,6-ビス((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ヘキサミド)-5-(4-((S)-3-(tert-ブトキシ)-2-((1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)オキシ)-3-オキソプロポキシ)フェニル)-1-メチルピリジン-1-イウムヨージド(860mg)をエタノール(10mL)に溶解し、ヒドラジン水和物(1mL)を加え、室温で2h反応させた。反応終了後、濃縮してエタノール及びヒドラジン水和物を除去し、褐色の油状物が得られ、ジクロロメタンを加えて10分間分散し、白色の固体を析出させ、濾過し、濾液濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:酢酸エチル=3:1、1%メタノールを含む)により淡い黄色の油状物620mgを得た。ESI-MS m/z:688.3[M-I
【0231】
〔ステップ7:2-((S)-2,6-ビス((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ヘキサミド)-5-(4-((S)-3-(tert-ブトキシ)-2-((((Z)-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)チアゾール-4-イル)(カルボキシ)メチレン)アミノ)オキシ)-3-オキソプロポキシ)フェニル)-1-メチルピリジン-1-イウムヨージドの製造〕
【0232】
【化64】
【0233】
5-(4-((S)-2-(アミノオキシ)-3-(tert-ブトキシ)-3-オキソプロポキシ)フェニル)-2-((S)-2,6-ビス((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ヘキサミド)-1-メチルピリジン-1-イウムヨージド(240mg、0.35mmol)をエタノール(4mL)と1,2-ジクロロエタンとの混合溶液に溶解し、2-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)チアゾール-4-イル)-2-オキソ酢酸(114mg、0.42mmol)を加え、室温で2h反応させた。原料を消失させ、反応終了後、濃縮してシリカに付着された砂を作り、カラムクロマトグラフィーで目的化合物166mgを得た。ESI-MS m/z:942.4[M-I
【0234】
〔ステップ8:2-((S)-2,6-ビス((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ヘキサミド)-5-(4-((S)-3-(tert-ブトキシ)-2-((((Z)-1-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)チアゾール-4-イル)-2-(((S)-2,2-ジメチル-4-オキソ-1-(スルホニルオキシ)アゼチジン-3-イル)アミノ)-2-オキソエチレン)アミノ)オキシ)-3-オキソプロポキシ)フェニル)-1-メチルピリジン-1-イウムヨージドの製造〕
【0235】
【化65】
【0236】
2-((S)-2,6-ビス((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ヘキサミド)-5-(4-((S)-3-(tert-ブトキシ)-2-((((Z)-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)チアゾール-4-イル)(カルボキシ)メチレン)アミノ)オキシ)-3-オキソプロポキシ)フェニル)-1-メチルピリジン-1-イウムヨージド(166mg、0.18mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(3mL)に溶解し、(S)-3-アミノ-2,2-ジメチル-4-オキソアゼチジン-1-イル硫酸水素塩(48mg、0.23mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(46mg、0.35mmol)、2-(7-オキソベンゾトリアゾリル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウレイドヘキサフルオロリン酸塩(100mg、0.26mmol)を加え、室温で2h反応させ、原料を消失させ、反応終了後、そのまま反応液を逆相カラムクロマトグラフィーにかけ、凍結乾燥して目的化合物150mgを得た。ESI-MS m/z:1134.4[M-I
【0237】
〔ステップ9:(S)-3-((Z)-2-(2-アミノチアゾール-4-イル)-2-(((S)-1-カルボキシ-2-(4-(6-((S)-2,6-ジアミノヘキサミド)-1-メチルピリジン-1-イウム-3-イル)フェノキシ)エトキシ)イミノ)アセトアミド)-2,2-ジメチル-4-オキソアゼチジン-1-イル硫酸塩の製造〕
【0238】
【化66】
【0239】
2-((S)-2,6-ビス((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ヘキサミド)-5-(4-((S)-3-(tert-ブトキシ)-2-((((Z)-1-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)チアゾール-4-イル)-2-(((S)-2,2-ジメチル-4-オキソ-1-(スルホニルオキシ)アゼチジン-3-イル)アミノ)-2-オキソエチレン)アミノ)オキシ)-3-オキソプロポキシ)フェニル)-1-メチルピリジン-1-イウムヨージド(150mg、0.13mmol)をジクロロメタン(5mL)に溶解し、触媒量のトリエチルシラン及びトリフルオロ酢酸(2mL)を順次に加え、室温で2h反応させた。反応終了後、濃縮し、アセトニトリルと水との混合溶媒(体積比1:1)で溶解してサンプルをロードし、逆相カラムクロマトグラフィーにかけ、凍結乾燥させた後、目的化合物25mgを得た。ESI-MS m/z:778.2[M+H]H NMR(400MHz,DMSO-d+DO)δ8.44(s,1H),8.28-8.19(m,1H),8.13-8.03(m,1H),7.61-7.43(m,2H),7.11-6.93(m,2H),6.84(s,1H),4.81-4.73(m,1H),4.71(s,1H),4.44-4.21(m,2H),3.81(s,3H),3.71-3.65(m,1H),2.92-2.70(m,2H),1.96-1.72(m,2H),1.65-1.54(m,2H),1.53-1.44(m,2H),1.43(s,3H),1.25(s,3H)。
【0240】
[実施例5:(S)-2-((((Z)-1-(2-アミノチアゾール-4-イル)-2-(((S)-2,2-ジメチル-4-オキソ-1-(スルホニルオキシ)アゼチジン-3-イル)アミノ)-2-オキソエチレン)アミノ)オキシ)-3-(4-(6-((S)-2,6-ジアミノヘキサミド)ピリジン-3-イル)フェノキシ)プロパン酸の製造]
【0241】
【化67】
【0242】
実施例5の合成は、ステップ5を省略して目的化合物を得ること以外、実施例4と類似する。ESI-MS m/z:764.2[M+H]H NMR(400MHz,DMSO-d+DO)δ8.59-8.50(m,1H),8.18-8.01(m,2H),7.64-7.53(m,2H),7.06-6.91(m,2H),6.87(s,1H),4.89-4.79(m,1H),4.73(s,1H),4.47-4.34(m,1H),4.32-4.23(m,1H),4.11-4.03(m,1H),2.91-2.72(m,2H),1.92-1.74(m,2H),1.69-1.53(m,2H),1.46(s,3H),1.44-1.38(m,2H),1.29-1.25(m,3H)。
【0243】
[実施例6、7、8、9の合成方法は、実施例4を参照されたい。]
【0244】
【表1】
【0245】
[実施例10:(S)-3-((Z)-2-(((S)-4-(4-(1-(3-アミノプロピル)-2-(アゼチジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾール-2-イウム-4-イル)フェノキシ)-1-カルボキシブトキシ)イミノ)-2-(2-アミノチアゾール-4-イル)アセトアミド)-2,2-ジメチル-4-オキソアゼチジン-1-イル硫酸塩]
【0246】
【化68】
【0247】
〔ステップ1:(S)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-カルボアルデヒドの製造〕
【0248】
【化69】
【0249】
反応瓶に乾燥した4A分子ふるい(76g)、クロロクロム酸ピリジニウム(49g、0.23mol)、無水ジクロロメタン(400mL)を順次に加え、氷浴で温度を制御し、(R)-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メタノール(20g、0.15mol)を加えた。滴下終了後、自然に室温まで上昇し、一晩反応させた。原料を消失させ、反応を終了させた。後処理:珪藻土を敷いて濾過し、20℃で濾液を減圧下で濃縮し、褐色の半固体が得られ、秤量せず、すべて次のステップに投入した。
【0250】
〔ステップ2:(R)-3-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)アクリル酸エチルの製造〕
【0251】
【化70】
【0252】
前のステップにおける生成物である粗生成物(理論的に19.7g、0.15mol、100%変換で計算したもの)、2-(ジエトキシホスホリル)酢酸エチル(34g、0.15mol)、炭酸カリウム(20.9g、0.15mol)、水(300mL)、テトラヒドロフラン(100mL)を順次に加え、室温で一晩反応させた。反応を終了させた。後処理:ジクロロメタンで2回抽出し、ジクロロメタン層を合わせて、飽和塩化ナトリウムで1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥・濃縮してシリカに付着された砂を作り、カラムクロマトグラフィーで無色の油状物7.2gを得た。
【0253】
〔ステップ3:(R)-3-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)プロピオン酸エチルの製造〕
【0254】
【化71】
【0255】
(R)-3-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)アクリル酸エチル(7.2g)、パラジウム炭素(720mg)、メタノール(50mL)を順次に加え、水素ガスで3回置換した後、室温で一晩反応させた。反応を終了させた。後処理:濾過し、メタノールでパラジウム炭素を洗浄し、濾液を濃縮し、無色の油状物5.15gを得た。すべて次のステップに投入した。H NMR(400MHz,Chloroform-d)δ4.17-4.09(m,3H),4.05(dd,1H),3.55(dd,1H),2.52-2.33(m,2H),1.96-1.79(m,2H),1.41(s,3H),1.34(s,3H),1.26(t,3H)。
【0256】
〔ステップ4:(R)-3-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)プロパン-1-オールの製造〕
【0257】
【化72】
【0258】
-10℃のテトラヒドロリチウムアルミニウム(1.26g、33.1mmol)の懸濁液に(R)-3-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)プロピオン酸エチル(5.15g、25.5mmol)の無水テトラヒドロフラン(25mL)溶液を徐々に滴下し、温度を-5℃未満に制御した。滴下終了後、自然に室温まで上昇し、4h反応させ、原料を消失させ、反応を終了させた。後処理:-10℃まで降温し、水(2.4mL)を滴下して反応を停止し、その後、室温まで昇温し、ジクロロメタン(150mL)を加え、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濾過、濃縮して、目的化合物4.4gを得た。H NMR(400MHz,Chloroform-d)δ4.18-4.09(m,1H),4.08-4.04(m,1H),3.66-3.10(m,2H),3.55-3.52(m,1H),1.74-1.60(m,4H),1.43(d,J=4.7Hz,3H),1.37(s,3H)。
【0259】
〔ステップ5:(R)-3-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)プロピル-4-メチルベンゼンスルホナートの製造〕
【0260】
【化73】
【0261】
(R)-3-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)プロパン-1-オール(4.4g、27.5mmol)をp-トルエンスルホニルクロリド(5.76g、30.3mmol)とトリエチルアミン(4.17g、41.3mmol)のジクロロメタン(80mL)溶液に溶解し、室温で一晩反応させた。原料を消失させ、反応を終了させた。後処理:飽和塩化アンモニウムを加えて反応を停止し、ジクロロメタンで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥・濃縮し、カラムクロマトグラフィーで目的化合物7.87gを得た。
【0262】
〔ステップ6:(R)-4-(3-(4-ブロモフェノキシ)プロピル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソランの製造〕
【0263】
【化74】
【0264】
(R)-3-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)プロピル-4-メチルベンゼンスルホナート(7.87g、25.1mmol)、p-ブロモフェノール(4.34g、25.1mmol)、炭酸カリウム(5.21g、37.6mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(80mL)を順次に加えた。100℃で2h反応させた。原料を消失させ、反応を終了させた。後処理:水を加えて停止し、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濾過、濃縮して、カラムクロマトグラフィーで目的化合物7.60gを得た。ESI-MS m/z:315.0[M+H]
【0265】
〔ステップ7:(R)-5-(4-ブロモフェノキシ)ペンタン-1,2-ジオールの製造〕
【0266】
【化75】
【0267】
(R)-4-(3-(4-ブロモフェノキシ)プロピル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン(7.60g、24.20mmol)を1mol/Lの塩酸溶液(1mol/L、40mL)とテトラヒドロフラン(40mL)との混合溶液に溶解し、室温で1.5時間撹拌しながら、反応を終了させた。後処理:氷浴で降温し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液でpH7に調整し、酢酸エチルで2回抽出した後、酢酸エチル層を合わせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濾過、濃縮して、カラムクロマトグラフィーで無色の油状物5.66gを得た。ESI-MS m/z:275.0[M+H]
【0268】
〔ステップ8:(R)-5-(4-ブロモフェノキシ)-2-ヒドロキシペンタン酸tert-ブチルの製造〕
【0269】
【化76】
【0270】
製造方法は、原料である(S)-3-(4-ブロモフェノキシ)-1,2-プロピレングリコールを(R)-5-(4-ブロモフェノキシ)ペンタン-1,2-ジオールに代えたこと以外は、実施例1のステップ13、14の製造方法と類似に、目的化合物を得た。
【0271】
〔ステップ9:(3-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)プロピル)カルバミン酸tert-ブチルの製造〕
【0272】
【化77】
【0273】
(3-ブロモプロピル)カルバミン酸tert-ブチル(4.42g、18.55mmol)を4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(3g、15.46mmol)と炭酸セシウム(7.58g、23.19mmol)との混合液に加え、室温で一晩反応させ、原料を消失させた後、水を加えて反応を停止し、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄し、飽和硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濾過、濃縮してて、カラムクロマトグラフィーで目的化合物を得た。
【0274】
〔ステップ10:(S)-3-((Z)-2-(((S)-4-(4-(1-(3-アミノプロピル)-2-(アゼチジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾール-2-イウム-4-イル)フェノキシ)-1-カルボキシブトキシ)イミノ)-2-(2-アミノチアゾール-4-イル)アセトアミド)-2,2-ジメチル-4-オキソアゼチジン-1-イル硫酸塩の製造〕
【0275】
【化78】
【0276】
製造方法は、(R)-3-(4-ブロモフェノキシ)-2-ヒドロキシプロパン酸tert-ブチルを(R)-5-(4-ブロモフェノキシ)-2-ヒドロキシペンタン酸tert-ブチルに、ジ-tert-ブチル(6-オキソ-6-((5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)ヘキサン-1,5-ジイル)(S)-ジカルバメートを(3-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)プロピル)カルバミン酸tert-ブチルに、且つ、ヨウ化メチルを3-((((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)メチル)アゼチジン-1-カルボン酸tert-ブチルに代えたこと以外は、実施例4のステップ3~9の製造方法と類似に、目的化合物を得た。ESI-MS m/z:764.3[M+H]H NMR(400MHz,DO)δ8.61(s,1H),8.50(s,1H),7.50(d,J=8.5Hz,2H),6.96(d,J=8.5Hz,2H),6.73(s,1H),4.78-4.75(m,2H),4.54-4.48(m,2H),4.48-4.44(m,1H),4.31-4.19(m,2H),4.10-3.99(m,5H),3.68-3.50(m,1H),3.11-3.03(m,2H),2.37-2.21(m,2H),1.88-1.78(m,2H),1.78-1.63(m,2H),1.23(s,3H),1.05(s,3H)。
【0277】
[実施例11:(S)-3-(4-(2-(アミノメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)フェノキシ)-2-((((Z)-1-(2-アミノチアゾール-4-イル)-2-(((S)-2,2-ジメチル-4-オキソ-1-(スルホニルオキシ)アゼチジン-3-イル)アミノ)-2-オキソエチレン)アミノ)オキシ)プロパン酸]
【0278】
【化79】
【0279】
〔ステップ1:(2-((2-アミノ-4-ブロモフェニル)アミノ)-2-オキソエチル)カルバミン酸tert-ブチルの製造〕
【0280】
【化80】
【0281】
4-ブロモ-1,2-ベンゼンジアミン(5.61g、30mmol)、tert-ブトキシカルボニルグリシン(5.25g、30mmol)をジクロロメタン(50mL)に溶解し、それぞれ2-(7-オキソベンゾトリアゾリル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウレイドヘキサフルオロリン酸塩(13.6g、36mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(90mmol)を加え、室温で一晩反応させ、原料を完全に消失させた。後処理:水を加えて抽出し、ジクロロメタンで水相を2回抽出し、有機相を合わせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ジクロロメタンを減圧除去し、カラムクロマトグラフィーで分離精製し、白色の固体8gを得た。ESI-MS m/z:344.0[M+H]
【0282】
〔ステップ2:((5-ブロモ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)メチル)カルバミン酸tert-ブチルの製造〕
【0283】
【化81】
【0284】
(2-((2-アミノ-4-ブロモフェニル)アミノ)-2-オキソエチル)カルバミン酸tert-ブチル(8g、23.3mmol)を酢酸(50mL)に溶解し、65℃まで昇温し、5h反応させ、原料を完全に消失させた。後処理:酢酸を回転乾燥させ、そのままカラムクロマトグラフィーで分離精製して黄色の固体3.2gを得た。ESI-MS m/z:326.0[M+H]
【0285】
〔ステップ3:(R)-2-ヒドロキシ-3-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェノキシ)プロパン酸tert-ブチルの製造〕
【0286】
【化82】
【0287】
製造方法は、実施例4のステップ2と類似したが、ジ(tert-ブチル)(6-((5-ブロモピリジン-2-イル)アミノ)-6-オキソヘキサン-1,5-ジイル)(S)-ジカルバメートを(R)-3-(4-ブロモフェノキシ)-2-ヒドロキシプロパン酸tert-ブチルに代えたこと以外は、目的化合物を得た。
【0288】
〔ステップ4:(R)-3-(4-(2-(((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)フェノキシ)-2-ヒドロキシプロパン酸tert-ブチルの製造〕
【0289】
【化83】
【0290】
((5-ブロモ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)メチル)カルバミン酸tert-ブチル(1g、3.08mmol)、(R)-2-ヒドロキシ-3-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェノキシ)プロパン酸tert-ブチル(1.12g、3.08mmol)をジオキサン(10mL)と水(3mL)との混合溶媒に溶解し、触媒(200mg、0.30mmol)及び炭酸ナトリウム(980mg、9.23mmol)を加え、アルゴンガスで置換して保護を行い、100℃まで昇温して2h反応させ、原料を消失させ、完全に反応させ、室温まで冷却し、水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機相を合わせて、カラムクロマトグラフィーで分離精製して520mgの製品を得た。ESI-MS m/z:484.2[M+H]
【0291】
〔ステップ5:(S)-3-(4-(2-(アミノメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)フェノキシ)-2-((((Z)-1-(2-アミノチアゾール-4-イル)-2-(((S)-2,2-ジメチル-4-オキソ-1-(スルホニルオキシ)アゼチジン-3-イル)アミノ)-2-オキソエチレン)アミノ)オキシ)プロパン酸の製造〕
【0292】
【化84】
【0293】
製造方法は、原料である(R)-3-(4-(6-((S)-2,6-ビス((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ヘキサミド)ピリジン-3-イル)フェノキシ)-2-ヒドロキシプロパン酸tert-ブチルを(R)-3-(4-(2-(((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)フェノキシ)-2-ヒドロキシプロパン酸tert-ブチルに代えたこと以外は、実施例4のステップ4、6~9の製造方法と類似に、目的化合物を得た。ESI-MS m/z:689.3[M+H]H NMR(400MHz,DMSO-d+DO)δ8.62(d,1H),8.19-8.08(m,2H),7.64(t,2H),7.18-7.02(m,2H),6.82(d,1H),4.78(d,1H),4.69(d,1H),4.36(d、2H),3.80(s,2H),1.43(s,3H),1.25(s,3H)。
[実施例12:3-(2-(((S)-2-((1-(3-アミノプロピル)-2-メチル-1H-ピラゾール-2-イウム-4-イル)オキシ)-1-カルボキシエトキシ)イミノ)-2-(2-アミノチアゾール-4-イル)アセトアミド)-2,2-ジメチル-4-オキソアゼチジン-1-イル硫酸塩]
【0294】
【化85】
【0295】
〔ステップ1:(3-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)プロピル)カルバミン酸tert-ブチルの製造〕
【0296】
【化86】
【0297】
4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(4g、20.6mmol)、(3-ブロモプロピル)カルバミン酸tert-ブチル(4.9g、20.6mmol)、炭酸セシウム(10.08g、30.9mmol)をジメチルホルムアミド(100mL)に溶解し、室温で一晩反応させ、原料を消失させ、反応を終了させた。後処理:水を加えて抽出し、酢酸エチルで水相を2回抽出し、有機相を合わせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、酢酸エチルを減圧除去し、カラムクロマトグラフィーで生成物を分離精製し、白色の固体7gを得た。ESI-MS m/z:352.2[M+H]
【0298】
〔ステップ2:(3-(4-ヒドロキシ-1H-ピラゾール-1-イル)プロピル)カルバミン酸tert-ブチルの製造〕
【0299】
【化87】
【0300】
(3-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)プロピル)カルバミン酸tert-ブチル(7g、19.9mmol)、水酸化ナトリウム(2mol/L、20mL)、過酸化水素水(30%、20mL)をテトラヒドロフラン(50mL)に溶解し、室温で1h反応させ、原料を消失させ、反応を終了させた。後処理:水を加えて抽出し、酢酸エチルで水相を2回抽出し、有機相を合わせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、酢酸エチルを減圧除去し、カラムクロマトグラフィーで生成物分離精製し、淡い黄色の固体3.922gを得た。ESI-MS m/z:242.2[M+H]
【0301】
〔ステップ3:3-(2-(((S)-2-((1-(3-アミノプロピル)-2-メチル-1H-ピラゾール-2-イウム-4-イル)オキシ)-1-カルボキシエトキシ)イミノ)-2-(2-アミノチアゾール-4-イル)アセトアミド)-2,2-ジメチル-4-オキソアゼチジン-1-イル硫酸塩の製造〕
【0302】
【化88】
【0303】
製造方法は、原料である(R)-3-(4-(6-((S)-2,6-ビス((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ヘキサミド)ピリジン-3-イル)フェノキシ)-2-ヒドロキシプロパン酸tert-ブチルを(3-(4-ヒドロキシ-1H-ピラゾール-1-イル)プロピル)カルバミン酸tert-ブチルに代えたこと以外は、実施例4のステップ4、6~9の製造方法と類似に、目的化合物を得た。ESI-MS m/z:605.3[M+H]H NMR(400MHz,DMSO-d+DO)δ8.39(d,J=5.5Hz,2H),6.82(s,1H),4.52-4.43(m,2H),4.41-4.29(m,2H),4.05(s,3H),2.92-2.79(m,2H),2.18-2.05(m,2H),1.42(s,3H),1.25-1.21(m,5H)。
【0304】
本発明の実施例1の合成方法に従って、異なる市販の原料により実施例13~20の化合物を合成し、これらの化合物のキャラクタリゼーションパラメータを表1に示す。
【0305】
【表2】
【0306】
【0307】
【0308】
【0309】
[比較例1]
WO2017/106064(PCT/US2016/066064)における実施例76に開示された方法により下記式で示される化合物(化合物A)を製造し、且つ、水素スペクトル及びマススペクトルにより同定した。
【0310】
【化89】
【0311】
以下の実験例1の方法により化合物Aのインビトロでの抗菌活性を測定し、実験結果から、WO2017/106064におけるアシネトバクター・バウマニへの阻害に最も優れた化合物Aのインビトロでの抗菌活性が本発明の一部の化合物よりも著しく弱いことが示されている。
【0312】
[比較例2]
WO2015/148379(PCT/US2015/022011)における実施例22に開示された方法により下記式で示される化合物(化合物B)を製造し、且つ、水素スペクトル及びマススペクトルにより同定した。
【0313】
【化90】
【0314】
以下の実験例1の方法により化合物Bのインビトロでの抗菌活性を測定し、実験結果から、化合物Bのインビトロでの抗菌活性が本発明の一部の化合物よりも著しく弱いことが示されている。
【0315】
[比較例3]
WO2017/106064(PCT/US2016/066064)における実施例97に開示された方法により下記式で示される化合物(化合物C)を製造、且つ、水素スペクトル及びマススペクトルにより同定した。
【0316】
【化91】
【0317】
以下の実験例1及び2の方法により化合物Cのインビトロでの抗菌活性及び薬物動態学的特徴を測定し、実験結果から、化合物Cのインビトロでの抗菌活性及びバイオアベイラビリティ(F)が本発明の一部の化合物よりも弱いことが示されている。
【0318】
[実験例1 化合物のインビトロでの抗菌活性の評価]
〔1.実験材料〕
化合物:以上の実施例及び比較例で製造された化合物。すべての試験化合物は、DMSOで溶解及び希釈し、実験時の最終濃度は、64、32、16、8、4、2、1、0.5、0.25、0.125、0.0625μg/mLとした。
【0319】
細菌株:6株のアシネトバクター・バウマニ(コード名:HDBAB-YK4、HDBAB-YK7、HDBAB-YK12、HDBAB-YK16、HDBAB_OXA_7、ATCC 19606)、2株の緑膿菌(コード名:HDBPA-YK9、HDBPA-YK15)、1株の大腸菌(コード名:CLB30048)は、いずれもHD Biosciences(Shanghai)社により提供された。
【0320】
培地:トリプチケースソイ寒天培地(Trypticase soy agar、TSA)(BD BBL211043)、イオン調整ミューラーヒントンブロス(Cation-adjusted Mueller Hinton broth、CAMHB)(BD BBL212322)。
【0321】
〔2.実験方法〕
2.1.細菌の蘇生
最小発育阻止濃度(MIC)測定用細菌を-80℃に凍結保存し、使用には2日前に蘇生させる必要がある。無菌接種用ループで凍結保存した細菌を少し掻き取ってTSA固体培地平皿に画線接種し、通常のインキュベーターに入れて35±2℃で20~24時間培養した。無菌接種用ループで上記の培養皿から形態的に似たコロニーを5~10個ピックアップし、さらにTSA固体培地平皿に画線接種した。その後、通常のインキュベーターに入れて35±2℃で20~24時間培養した。
【0322】
2.2.細菌接種の準備
1.02X CAMHB液体培地を4℃冷蔵庫から取り出して室温で予備加熱した。上記の2.1項の固体培養皿から5~10個の細菌の単一コロニーをピックアップして500μLの0.9%NaClに再度懸濁し、さらに分光光度計によりOD600を0.1~0.15に調整した。その後、1.02X CAMHBで細菌を400倍希釈した(二段階希釈法:先ず10倍希釈し、さらに40倍希釈した)。
【0323】
平皿上のコロニー数をカウントすることにより接種した細菌の数を得ることができる(2.4項を参照)。
【0324】
2.3.試験プレートの準備
2.3.1試験プレートの配置
96ウェル試験プレートの各行に1つの化合物を配置し、各化合物の最も高い測定濃度を64μg/mLとし、2倍希釈を行った。
【0325】
成長対照(Growth control、GC):細菌接種物を含有する1.02X CAMHB及びジメチルスルホキシド(DMSO)、化合物なし。
【0326】
無菌対照(Sterile control、SC):1.02X CAMHB及びDMSOを含み、化合物なし。
【0327】
2.3.2化合物の希釈
すべての試験化合物は、DMSOで溶解及び希釈した。3.2mg/mLの各試験化合物50μLを希釈プレートの初期ウェル(A1-H1)に移し、さらに25μLのDMSOを他のウェルに移した。順次に1列目から11列目まで試験化合物を2倍希釈した(即ち、1列目から25μLの試験化合物を2列目に吸い取って均一に混合し、さらに2列目から25μLの試験化合物を3列目に吸い取って均一に混合し、さらに3列目から25μLの試験化合物を4列目に吸い取って均一に混合し、このように続けて11列目まで希釈した)。
【0328】
化合物プレートから2μLの化合物を試験プレートの対応するウェルに移し、同時に2μLの100%DMSOを化合物のないウェル(GC及びSCウェル)に移した。
【0329】
対応する細菌接種物98μLを試験プレートに加えた(SCウェルを除く)。
【0330】
98μLの1.02X CAMHB培地を試験プレートのSCウェルに加え。
【0331】
体系へ添加した後、無菌カバーで試験プレートを覆い、遠心機に入れて800rpmで30秒間遠心し、さらに平皿用シェイカーにより400rpmで1分間よく振り混ぜた後、インキュベーターに入れて35±2℃で20時間培養した。
【0332】
2.4.コロニーのカウント
細菌接種用液体培地を10倍段階希釈し、10-1から10-3に希釈した。上記の細菌希釈液100μLをTSA平皿に均一に塗布し、各希釈度ごとに2回繰り返した。培地がTSAにより10分間吸収された後、平皿を反転させてインキュベーターで35±2℃で24時間培養した。
【0333】
2.5.最小発育阻止濃度(MIC)の記録及びコロニー数の統計
化合物管理システムを開いて、各試験プレートのバーコードと化合物の配置が正しいか否かを検出した。
【0334】
試験プレートをリーダ装置に置いて、反射鏡を調整して各ウェル内の細菌の成長状況を観察及び記録した。同時に、QCountシステムにより各試験プレートを撮影した。
【0335】
臨床及び実験室標準研究所のガイドラインを参照して、各化合物の最小発育阻止濃度(MIC)を記録した。
【0336】
異なる希釈度の細菌接種物のTSA平皿でのコロニー数を統計し、細菌の接種量を算出した。
【0337】
〔3.実験結果〕
一部の化合物の最小発育阻止濃度(MIC)の結果を表2に示す。
【0338】
【表3】
【0339】
NA:未検出
以上の実験結果から分かるように、本発明の一部の化合物は、アシネトバクター・バウマニ、緑膿菌、大腸菌に対する最小発育阻止濃度(MIC)が2μg/mL又は以下と低く、例えば、実施例1、実施例2、実施例3、実施例9の化合物は、優れた抗菌活性を示した。
【0340】
[実験例2 化合物のマウス薬物動態学の評価]
〔1.実験材料〕
動物:雄BALB/cマウス、SPF級、CAVENS LAB ANIMAL社から購入した。16~24g、ライセンス番号:SCXK(SU)2016-0010;実験前に2~3日間の適応期間を与えた。
【0341】
装置:API 4500型トリプル四重極質量分析計、Analyst QS A01.01クロマトグラフィーワークステーションは、いずれもアメリカAB SCIEX社から購入し、Milli-Q超純水装置は、Millipore社から購入し、CF16R XIIデスクトップ高速冷凍遠心機は、Hitachi社から購入し、Qilinbeier Vortex-5シェイカーは、ドイツIKA社から購入し、電気熱恒温水浴ポットは、Changzhou Guohua Electric Appliance社から購入し、電動ピペッターは、アメリカThermo社から購入し、微量分析天秤は、METTLER TOLEDO INSTRUMENTS(SHANGHAI)社から購入した。
【0342】
〔2.実験方法〕
2.1 試験薬物の製造
試験化合物2mgを秤量し、生理食塩水に加え、2minボルテックスにかけ、3min超音波をかけて、濃度が0.2mg/mLの試験品溶液を調制し、静脈内投与に用いた。
【0343】
2.2 サンプルの収集
BALB/cマウスの尾静脈に試験化合物2mg/kgを単回投与し、投与体積を0.1mL/10gとし、投与から5min、15min、30min、1h、2h、4h後に眼窩静脈層からヘパリン化EP管(0.6mL)に採血し、砕いた氷の上に一時的に置いた。
【0344】
2.3 サンプルの処理及び分析
8000rpmで5min遠心し、上層の血漿15μLを96ウェルプレートに移した。15μLの血漿にメタノール:アセトニトリル(v/v=1:1)(20ng/mLのトルブタミドを含む)を150μL加え、3min振とうし、4500rpmで5min遠心し、100μLの上清を2mLのディープウェルプレートに取った。希釈剤(純水)100μLを加え、3min振とうし、4500rpmで5min遠心した。上清180μLをサンプルプレートに移した。LC-MS/MSにより上清サンプル中の化合物の含有量を分析した。また、WinNonlinソフトウェアにより各薬物動態パラメータを計算した。
【0345】
〔3.実験結果〕
一部の化合物の薬物動態学パラメータを表3に示す。
【0346】
【表4】
【0347】
以上の実験から分かるように、本発明の実施例1の化合物は、2mg/kgの静脈内投与用量の場合、化合物の血中濃度は、11.548μg/mL(C0)に達することができ、当該化合物のMICよりもはるかに高いので、2mg/kgの投与用量は、優れた抗菌効果を達成するのに十分であることが示された。
【0348】
[実験例3:臨床由来の細菌株のMIC実験]
化合物:実施例1の化合物及び比較例3の化合物C。すべての試験化合物は、DMSOで溶解及び希釈され、実験時の最終濃度を64、32、16、8、4、2、1、0.5、0.25、0.125、0.0625μg/mLとした。
【0349】
細菌株:臨床的に分離したアシネトバクター・バウマニ、緑膿菌、肺炎桿菌及び大腸菌は、いずれもHD Biosciences(Shanghai)社により提供された。
【0350】
培地:トリプチケースソイ寒天培地(Trypticase soy agar、TSA)(BD BBL211043)、イオン調整ミューラーヒントンブロス(Cation-adjusted Mueller Hinton broth、CAMHB)(BD BBL212322)。
【0351】
実験方法は、上記の実験例1と同じである。実験結果を表4に示す。
【0352】
【表5】
【0353】
以上の実験から分かるように、実施例1の化合物は、臨床的に分離したアシネトバクター・バウマニ、緑膿菌、肺炎桿菌、大腸菌に対して、優れた抗菌活性を示し、且つ、複数の菌株に対する効果が化合物Cよりも著しく優れており、例えば、実施例1の化合物のA0244122、A0255830、A0273826、A0285299、A0285909、Kp309に対するMIC値は、化合物Cの1/4に過ぎなかった。また、実施例1の化合物は、11株の菌に対するMIC≦0.063μg/mL(最低検出濃度)であったが、化合物Cは、2株の菌のみに対するMIC≦0.063μg/mLであり、化合物Cよりも著しく優れていた。なお、実験から分かるように、本発明の実施例1の化合物は、臨床的に分離したアシネトバクター・バウマニに対するMIC90が4μg/mLであり、化合物Cは、臨床的に分離したアシネトバクター・バウマニに対するMIC90が16μg/mLであり、実施例1の化合物のMIC90は、化合物Cの1/4に過ぎず、化合物Cよりも著しく優れていた。
【0354】
また、本発明の発明者らは、実施例1の化合物及び化合物Cをレレバクタム(Relebactam)とそれぞれ併用した場合における薬剤耐性アシネトバクター・バウマニへの阻害活性をさらに測定した(実験方法は、実験例1と同じである)。実験の結果から、薬剤耐性アシネトバクター・バウマニHDBAB-YK12、HDBAB-YK16、HDBAB_OXA_7を4μg/mLのレレバクタムと併用した場合、実施例1の化合物のMIC値は、それぞれ2μg/mL、4μg/mL、2μg/mLであったが、化合物CのMIC値は、それぞれ8μg/mL、16μg/mL、16μg/mLであり、実施例1の化合物の抗菌活性は、化合物Cよりも著しく優れていることが示されている。
【0355】
以上、本発明を詳細に説明したが、当業者は、本発明の主旨及び範囲を逸脱することなく、本発明に対して様々な修正及び変更を行うことができることと理解できる。本発明の範囲は、上記で説明した詳細な説明に限定されるものではなく、特許請求の範囲に属するべきである。
【手続補正書】
【提出日】2021-05-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
般式(Ib)で示される化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグ。
【化1】

Lは、-C(O)NH-、-NHC(O)-、-SONH-、-NHSO、-(CH-及び-C(O)-から選ばれ、且つ、nは、1、2、3又は4であり、
及びRは、それぞれ独立に、ハロゲン、ヒドロキシ基、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ヒドロキシアルコキシ基、アミノアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、アルキルアシルアミノ基、アミノアルキルアシルアミノ基、ヒドロキシアミノアルキルアシルアミノ基、アルキルアシル基、アミノアシル基、アルキルアミノアシル基、ビスアルキルアミノ基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、複素環、複素環アルキル基、アミノ複素環、アミノアルキル複素環、ヒドロキシアルキル複素環、アリール基、ヘテロアリール基及びオキソ基から選ばれ、アミノ基、アミノアルキル基、アルキルアミノ基、ハロゲン、ヒドロキシ基、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ヒドロキシアルコキシ基、アミノアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基で任意に置換されていてもよい。
【請求項2】
請求項に記載の化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグ。
Lは、-C(O)NH-及び-NHC(O)-から選ばれ、且つ、
及びRは、それぞれ独立に、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1~6アルキル基、ハロゲン化C1~6アルキル基、ヒドロキシC1~6アルキル基、アミノC1~6アルキル基、C1~6アルコキシ基、ハロゲン化C1~6アルコキシ基、ヒドロキシC1~6アルコキシ基、アミノC1~6アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基、アミノ基、モノC1~6アルキルアミノ基、C1~6アルキルアシルアミノ基、アミノC1~6アルキルアシルアミノ基、ヒドロキシアミノC1~6アルキルアシルアミノ基、C1~6アルキルアシル基、アミノアシル基、C1~6アルキルアミノアシル基、ビスC1~6アルキルアミノ基、C2~6アルケニル基、C2~6アルキニル基、C3~8シクロアルキル基、3~8員複素環、3~8員複素環C1~6アルキル基、アミノ3~8員複素環、アミノC1~6アルキル3~8員複素環、ヒドロキシC1~6アルキル3~8員複素環、アリール基、3~8員ヘテロアリール基及びオキソ基から選ばれ、アミノ基、アミノC1~6アルキル基、C1~6アルキルアミノ基、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1~6アルキル基、ハロゲン化C1~6アルキル基、ヒドロキシC1~6アルキル基、C1~6アルコキシ基、ハロゲン化C1~6アルコキシ基、ヒドロキシC1~6アルコキシ基、アミノC1~6アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基で任意に置換されていてもよい。
【請求項3】
は、
【化2】

から選ばれる、請求項又はに記載の化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグ。
【請求項4】
は、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロプロピル基、
【化3】

から選ばれる、請求項乃至請求項のいずれか1項に記載の化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグ。
【請求項5】
前記化合物は、
【化4】

から選ばれる、請求項1に記載の化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグ。
【請求項6】
請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグ及び薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項7】
細菌感染を治療するための薬物の製造における、請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の化合物又はその異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、結晶又はプロドラッグ又は請求項に記載の医薬組成物の使用。

【国際調査報告】