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特表2022-507476強化された染料固定力を有する化粧品配合物及びそれらの調製及び使用のための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】強化された染料固定力を有する化粧品配合物及びそれらの調製及び使用のための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20220111BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20220111BHJP
   A61K 8/42 20060101ALI20220111BHJP
   A61K 8/64 20060101ALI20220111BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20220111BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/73
A61K8/42
A61K8/64
A61Q1/00
A61K8/25
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021526445
(86)(22)【出願日】2019-11-14
(85)【翻訳文提出日】2021-07-12
(86)【国際出願番号】 US2019061486
(87)【国際公開番号】W WO2020102540
(87)【国際公開日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】62/760,996
(32)【優先日】2018-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/851,401
(32)【優先日】2019-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521206040
【氏名又は名称】グレイスミンク・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Gracemink, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122297
【弁理士】
【氏名又は名称】西下 正石
(72)【発明者】
【氏名】ミンギョン・グレイス・チェ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB031
4C083AB151
4C083AB171
4C083AB211
4C083AB241
4C083AB441
4C083AC121
4C083AC151
4C083AC241
4C083AC391
4C083AC641
4C083AC691
4C083AC911
4C083AD091
4C083AD281
4C083AD351
4C083AD411
(57)【要約】
本明細書に記載される改良された未染色の基材配合物は、ベース材料と染料との間の正反対の静電荷のため、染料固定力及び色堅牢度を強化している。基材又はベース材料は、1つ以上の極性又はさもなければ荷電成分の添加を通して静電荷を有するように配合される。プリンター装置を使用して、選択されたイメージ、パターン、又は色で基材配合物に染料を適用し、強化された染料保持性を有するカスタマイズされた化粧品を製造することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のカチオン性アンモニウム成分、1つ以上の修飾されたカチオン化粘土化合物、1つ以上の+2、+3又は+4の電荷を有するカチオンを含むイオン化塩、又はそれらの組み合わせを含む1つ以上の極性成分;及び雲母を含むベース材料を含む、カスタマイズされた化粧品を調製するのに使用するための修飾された未染色の基材材料であって、静電荷を含む、未染色の基材材料。
【請求項2】
前記1つ以上の極性成分が、ポリクアテルニウム-6である、請求項1に記載の修飾された未染色の基材材料。
【請求項3】
前記修飾された未染色の基材材料が、約0.06重量%から約1.26重量%のポリクアテルニウム-6を含む、請求項2に記載の修飾された未染色の基材材料。
【請求項4】
前記1つ以上のカチオン性アンモニウム成分が、ポリクアテルニウム-6、ポリクアテルニウム-7、ポリクアテルニウム-10、クアテルニウム-31、セトリモニウムクロライド、ポリクアテルニウム-51、グアルヒドロキシプロピルトリモニウムクロライド、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ライスプロテイン又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の修飾された未染色の基材材料。
【請求項5】
前記1つ以上の修飾されたカチオン化粘土化合物が、クアテルニウム-18ヘクトライト、ジステアルジモニウムヘクトライト、ステアラルコニウムベントナイト、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の修飾された未染色の基材材料。
【請求項6】
前記1つ以上の+2、+3、又は+4の電荷を有するカチオンを含むイオン化塩が、マグネシウム、バリウム、又はカルシウムのカチオンを含む、イオン化塩を含む、請求項1に記載の修飾された未染色の基材材料。
【請求項7】
前記ベース材料が、マグネシウム含有成分をさらに含む、請求項1に記載の修飾された未染色の基材材料。
【請求項8】
前記ベース材料が、トリエトキシシリルプロピルアセチルヒドロキシプロリネート、二酸化チタン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、ミリスチン酸、酸化亜鉛、シリカ、窒化ホウ素、トリヒドロキシステアリン、ベントナイト、又はそれらの組み合わせをさらに含む、請求項1に記載の修飾された未染色の基材材料。
【請求項9】
前記ベース材料が、前記ベース材料の約1重量%から約2重量%の量のトリエトキシシリルプロピルアセチルヒドロキシプロリネートをさらに含む、請求項1に記載の修飾された未染色の基材材料。
【請求項10】
前記ベース材料が、保存剤をさらに含み、前記保存剤がフェネチルアルコール、カプリルヒドロキサム酸、及びグリセリンを含む、請求項1に記載の修飾された未染色の基材材料。
【請求項11】
前記静電荷が、正電荷である、請求項1に記載の修飾された未染色の基材材料。
【請求項12】
前記修飾された未染色の基材材料上に堆積されるキャリアをさらに含む、請求項1に記載の修飾された未染色の基材材料。
【請求項13】
前記修飾された未染色の基材材料が、約0.001mmから約1mmの厚さの層で前記キャリア上に堆積される、請求項12に記載の修飾された未染色の基材材料。
【請求項14】
ベース材料を準備する工程であって、前記ベース材料は、雲母を含む工程;
1つ以上のカチオン性アンモニウム成分を含む溶液と、ベース材料と、を混合してスラリーを生成する工程であって、前記カチオン性アンモニウム成分は約1%から約3%の範囲の濃度で溶液中に存在する工程;
キャリア上にスラリーを堆積する工程;及び
スラリーを乾燥させて、修飾された未染色の基材材料を生成する工程であって、前記修飾された未染色の基材材料は正の静電荷を含む工程;
を包含する、修飾された未染色の基材材料を調製するための方法。
【請求項15】
前記1つ以上のカチオン性アンモニウム成分が、ポリクアテルニウム-6を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ベース材料が、トリエトキシシリルプロピルアセチルヒドロキシプロリネート及び保存剤をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記スラリーが、約0.001mmから約1mmの厚さの層でキャリア上に堆積される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
1つ以上の極性成分を含み、前記1つ以上の極性成分が、1つ以上のカチオン性アンモニウム成分、1つ以上の修飾されたカチオン化粘土化合物、1つ以上の+2、+3、又は+4の電荷を有するカチオンを含むイオン化塩、又はそれらの組合せ、及び雲母を含むベース材料、を含む、約0.001mmから約1mmの厚さの層でキャリア上に堆積された、修飾された未染色の基材材料であって、静電荷を含む、未染色の基材材料;及び
第2の静電荷を含み、第1の静電荷が前記第2の静電荷と正反対である、染料材料であって、カスタマイズされた化粧品を生成するために、前記修飾された未染色の基材材料に適用される染料材料;
を含む、カスタマイズされた化粧品を調製するためのキット。
【請求項19】
前記第1の静電荷が正であり、前記第2の静電荷が負である、請求項18に記載のキット。
【請求項20】
前記1つ以上の極性成分が、ポリクアテルニウム-6である、請求項18に記載のキット。
【請求項21】
前記修飾された未染色の基材材料が、約0.06重量%から約1.26重量%のポリクアテルニウム-6を含む、請求項20に記載のキット。
【請求項22】
前記1つ以上のカチオン性アンモニウム成分が、ポリクアテルニウム-6、ポリクアテルニウム-7、ポリクアテルニウム-10、クアテルニウム-31、セトリモニウムクロライド、ポリクアテルニウム-51、グアルヒドロキシプロピルトリモニウムクロライド、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ライスプロテイン、又はそれらの組み合わせを含む、請求項18に記載のキット。
【請求項23】
前記1つ以上の修飾されたカチオン化粘土化合物が、クアテルニウム-18ヘクトライト、ジステアルジモニウムヘクトライト、ステアラルコニウムベントナイト又はそれらの組み合わせを含む、請求項18に記載のキット。
【請求項24】
前記1つ以上の+2、+3、又は+4の電荷を有するカチオンを含むイオン化塩が、マグネシウム、バリウム、又はカルシウムのカチオンを含む、イオン化塩を含む、請求項18に記載のキット。
【請求項25】
前記ベース材料が、マグネシウム含有成分をさらに含む、請求項18に記載のキット。
【請求項26】
前記ベース材料が、トリエトキシシリルプロピルアセチルヒドロキシプロリネート、二酸化チタン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、ミリスチン酸、酸化亜鉛、シリカ、窒化ホウ素、トリヒドロキシステアリン、ベントナイト、又はそれらの組み合わせをさらに含む、請求項18に記載のキット。
【請求項27】
前記ベース材料が、前記ベース材料の約1重量%から約2重量%の量のトリエトキシシリルプロピルアセチルヒドロキシプロリネートをさらに含む、請求項18に記載のキット。
【請求項28】
前記ベース材料が、保存剤をさらに含み、前記保存剤が、フェネチルアルコール、カプリルヒドロキサム酸、及びグリセリンを含む、請求項18に記載のキット。
【請求項29】
転写シートをさらに含み、前記染料材料が、前記転写シート上に堆積される、請求項18に記載のキット。
【請求項30】
プリンターカートリッジをさらに含み、前記染料材料が、前記プリンターカートリッジ内に含有される、請求項18に記載のキット。
【請求項31】
プリンター装置をさらに含み、前記プリンター装置が、前記プリンターカートリッジを受け取り、前記染料材料を前記修飾された未染色の基材材料に適用するように設計される、請求項30に記載のキット。
【請求項32】
キャリアであって、プラスチック、ポリエステル又はポリマーフィルムを含むキャリア;
約0.06重量%から約1.26重量%の量のポリクアテルニウム-6、ベース材料を含み、前記ベース材料が、約98重量%から約99重量%の雲母と、約1重量%から約2重量%のトリエトキシシリルプロピルアセチルヒドロキシプロリネートと、保存剤とを含み、前記保存剤が、フェネチルアルコール、カプリルヒドロキサム酸、及びグリセリンを含む、約0.001mmから約1mmの厚さの層でキャリア上に堆積された、修飾された未染色の基材材料であって、正の静電荷を含む、未染色の基材材料;及び
前記修飾された未染色の基材材料上に配置される保護カバーであって、UV放射を遮断する材料から構成される、保護カバー;
を含む、カスタマイズされた化粧品を調製するための基材。
【請求項33】
カスタマイズされた化粧品を調製するために、基材に印刷するためのイメージ、パターン、又は色を選択する工程;
選択されたイメージ、パターン、又は色を基材上に印刷するために、プリンターに対し命令を送信する工程;
キャリアと、キャリア上に約0.001mmから約1mmの厚さの層で堆積された、修飾された未染色の基材材料と、を含み、前記修飾された未染色の基材材料が、1つ以上の極性成分を含み、前記1つ以上の極性成分が、カチオン性アンモニウム成分、1つ以上の修飾されたカチオン化粘土化合物、1つ以上の+2、+3、又は+4の電荷を有するカチオンを含むイオン化塩、又はそれらの組合せ、及び雲母を含むベース材料、を含む、基材上にインクを適用し、選択されたイメージ、パターン、又は色を形成し、カスタマイズされた化粧品を生成するためにプリンターを使用する工程であって、前記修飾された未染色の基材材料と前記インクとが、正反対の静電荷を含む、プリンターを使用する工程;
を包含する、カスタマイズされた化粧品を調製するための方法。
【請求項34】
前記修飾された未染色の基材材料が、
約0.06重量%から約1.26重量%の量のポリクアテルニウム-6;
ベース材料であって、約98重量%から約99重量%の雲母と、約1重量%から約2重量%のトリエトキシシリルプロピルアセチルヒドロキシプロリネートと、を含むベース材料;
保存剤であって、フェネチルアルコールと、カプリルヒドロキサム酸と、グリセリンと、を含む保存剤;
を含む、請求項33に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年11月14日に出願された、「強化された染料固定力を有する化粧品配合物(Cosmetic Formulation with Enhanced Dye fixation)」という名称の米国仮特許出願第62/760,996号、及び2019年5月22日に出願された、「強化された染料固定力を有する化粧品配合物(Cosmetic Formulation with Enhanced Dye fixation)」という名称の米国仮特許出願第62/851,401号に対する優先権を主張するものであり、両方の内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、強化された染料固定力を有する化粧品、特に印刷可能な化粧品のための配合物、並びに、該配合物を用いて印刷可能な化粧品を調製するための方法及びシステムに関する。
【0003】
印刷された話題の化粧品配合物は、典型的には、主にベース材料と色素とを含む。色素は、色の好みに応じて調節され、皮膚への所望の色の適用を可能にするためにベース材料と混合されてもよい。化粧品を印刷する際には、染料とベースとの間の適切な固定又は結合を用いることが、色の滲み、退色、皮膚の汚れ、及び適用後の色の変化を防止するために重要である。
【0004】
現在の技術水準では、着色した化粧品製品を作る際に、非常に微細な固体顔料粒子(酸化鉄、レーキ顔料、酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンなど)が予備混合され、次いでおよそ10重量%から30重量%にてベース材料に添加される。そのうえ、混合物を、撹拌/オスタライズ(osterized)/粉砕の下、最終組成物が均一な色及びコンシステンシーを有し、色のストリークが観測されなくなるまで、混合する。レーキ顔料を使用する場合、これらの顔料は製造開始前に標準的な「レーキング」方法を通して調製される。
【0005】
話題の化粧品に使用される色素の大部分は、水に完全に溶解可能な染料ほどには滲まないため、典型的には、非常に微細な固体粒子(酸化鉄、レーキ顔料等)である、顔料である。化粧品において、レーキ顔料は、典型的には、合成、アゾ染料、コールタール染料から製造され、鮮やかで一貫した色を達成するために色化粧品に使用される。ほとんどの天然顔料及び酸化鉄はそれほど鮮やかではなく、色のコンシステンシーを制御するのは難しい。レーキ顔料は、不活性なバインダー、又は「媒染剤」、通常は金属塩、とともに染料を沈澱させることにより作られる顔料である。レーキは不溶性の、無機基材上に水溶性の染料を吸着させることにより作られる顔料である。染料と基材との間に化学結合はない。染料は単に基材の不溶性の性質を利用する。典型的な基材は水酸化アルミニウム及び安息香酸アルミニウムである。さらにまた、レーキ顔料は、化粧品のベース/フィラー材料に混合され、最終生成物を作る。色顔料は、通常、最終生成物の15から20重量%を構成する。しかしながら、レーキ顔料製造方法は、多くの工程と長い待ち時間とを必要とするため、色化粧品のオンデマンドカスタム印刷には適していない。そのうえ、この方法では一度に1種の顔料しか作れない。未加工の染料は、染料が滲み(すなわち、それらは色堅牢度が悪い)、皮膚を汚し、その後除去するのが難しいため、色化粧品には使用されないことが多い。しかしながら、染料は、多くのインクジェット装置が染料ベースのインクと適合するため、化粧品の印刷に使用するのが望ましい。染料とベースとの間の適切な固定又は結合は、色の滲み、退色、皮膚の汚れ、及び適用後の色の変化を防止するために重要である。
【0006】
「印刷」を用いた色化粧品の製造において、染料は、混合工程をほとんど又は全く必要とせず、混ぜられていない顔料から色のストリークのリスクを排除するように、ベース材料を一様に着色するために使用される。印刷可能な化粧品配合物は、ベース材料を含有する基材上に適用されるか、又はそうでなければ印刷される、所望の色素及び染料の個々の選択を可能にする。これは、最終的な着色組成物を製造するのに必要な時間、労力及びコストの大幅な低減を可能にし、より具体的には、様々な着色組成物又はデザインを製造するために必要な時間、労力、及びコストを低減する。したがって、色素及び染料は、カスタマイズ可能で、噴霧可能又は印刷可能で、取り扱いが容易で、安全で、刺激性が弱く、最小の処理工程でベースに結合することができなければならない。色素とベースとの間の強い結合を確実にすることは特に重要である。ベース材料の、色の滲み又は皮膚/ネイルの染料の汚れのような、不堅牢特性を排除又は低減するための解決策は現在存在しない。これは解決すべき重要な問題であり、現実的で競争力のある化粧品と見なされるためには、通常の摩耗により、印刷された化粧品が分離したり、滲んだり、分解してはならない。さらに、すべての成分は、アメリカ食品医薬品局のような関連規制機関の下で使用が許可されなければならない。
【0007】
印刷可能な化粧品の分野においても、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,498,974号が注目に値する。この特許は、化粧品成分を受け取り、処理するように改造されたプリンターの形態の化粧品組成物を生産するための装置を記載している。色素は交換可能なカートリッジに貯蔵され、プリンターによって、ベース材料を含有する基材に適用される。よって、装置は、色素がカートリッジ内に貯蔵され、ベース又は基材材料(すなわち紙)が外部にあるインクジェットプリンターと同様に動作する。他の印刷可能な化粧品装置は、すべてのベース材料がカラーカートリッジのなかに予備混合され、外部基材が空でない、ドージング(dosing)又はポーショニング(portioning)方法を使用する。
【0008】
国際出願国際公開第2015/186583号は、ベースシートと、ベースシート上の無機固体層とを含有する、複数の異なる層を含有する印刷されたメイクアップ製品を記載し、ここで、無機固体層は、繊維シート、無機固体層上のインクジェット印刷イメージ、及びインクジェット印刷イメージ上のメイクアップ材料を接着及びその後除去することによって形成された、粗い表面を有しなければならない。この公報は、皮膚に適用するための印刷可能なメイクアップ配合物に関するものではなく、顔のイメージ上にメイクアップを示したもの含有する、写実的な印刷イメージを形成することに関するものであり、成分、層及びそのような配合物を調製するための工程の複雑さは、本出願には適していない。
【0009】
色堅牢性顔料を産み出すための他の方法も調査されている。1つの方法は、レーキ顔料を産み出すことである。レーキ顔料は、不活性なバインダー又は金属塩であってもよい、媒染剤とともに、染料を沈殿させることによって作られる顔料である。レーキ顔料は化粧品産業で頻繁に使用されており、色堅牢性顔料を産み出すのに有効である。しかしながら、それらは、顔料の沈殿とその後の乾燥とを必要とするので、扱いにくく、時間がかかる。これらの工程は、オンデマンドで、使用しやすい印刷可能な化粧品配合物とは適合しない。さらに、レーキ顔料でさえも、不堅牢特性を示し続けている。
【0010】
国際公開第2014/135915号は、メイクアップ配合物のための、特にマニキュア液のような過酷な環境のための、色堅牢性、滲み耐性のある解決策を産み出した。水溶性有機染料に樹脂と水溶性金属塩とを混合し、樹脂を架橋させ、その後粉砕により粉末にする。架橋されている樹脂と粉砕とは、オンデマンドで、使用しやすい印刷可能な化粧品配合物と適合しない。プリンター装置に粉砕するための機能を追加することは、機械を高価にし、扱いにくくし、掃除を困難にする。この方法の時間がかかる性質は、使用者にとってあまり魅力的ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第2015/186583号
【特許文献2】国際公開第2014/135915号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、必要とされるのは、色素及び基材の両方を、オンデマンドで、カスタマイズ可能で、使用しやすい印刷可能な化粧品配合物において、効果的に使用することを可能にする、染料又は色素とベース基材材料との間の結合又は固定を強化するために改良された配合物又は手段である。粉砕/混合/ベース材料への色素の混ぜ合わせは、ほとんど又は全く必要とされない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、染料がより高い有効性及び色堅牢度で基材又はベース材料と結合する、化粧品のための改良された方法及び配合物に関する。特に、本発明は、基材及び染料が、基材における染料固定及び保持を促進し、改善するために、少なくとも最小の正反対の電荷を有するような、基材又はベース材料及び/又は染料材料への荷電成分の導入に関する。従来の製造では、色素は別々に位置し、色の現像のためにさえ、混合/粉砕/混ぜ合わせられる必要があり、そうでなければストリークが生じていた。現在の「染料印刷」方法では、ベースは染料と色とを均等に吸収するため、均一な結果を発現させるために、そのような機械的な混合を必要とせずに、ストリークを回避する。
【0014】
未処理、未加工の化粧品ベース成分のほとんどは、不十分な染料固定力を示し、着色組成物上に水をたらす場合、滲みが観測される。同様に、特定の未加工のベース材料が一般に、染料材料と同じ電荷を有する場合、それらはいかなるインクも全く吸収し得ない。電荷を、染料の極性に対し正反対である基材に導入することは、静電気力によりインク成分を結合することを助ける。これは、染料固定力を改善し、染料の滲み及び分離を減少させる。
【0015】
多くの場合、化粧品配合物に使用するのに適する染料、すなわち、適用される規制の下でヒトの皮膚上に使用することが承認されている染料は、既に事実上極性である。したがって、本明細書に記載される特定の実施形態において、基材材料のみが処理され、染料上の電荷に対し正反対の電荷を提供する。しかしながら、他の実施形態において、改良された染料固定を促進するために、染料と基材との両方を処理し、正反対の静電荷を導入してもよい。重要なことに、染料及び基材に使用される全ての材料は、使用のために安全で、関連する規制の下で承認されなければならず、特定の好ましい実施形態において、オンデマンド印刷可能な化粧品のための印刷装置での使用に適していなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明の特定の態様をさらに示すために含有される。本発明は、本明細書に提示される特定の実施形態の詳細な説明と組み合わせて、これらの図面の1つ以上を参照することにより、より理解され得る。
【0017】
図1図1は、本明細書に記載された好ましい実施形態による、基材又はベース材料のためのキャリアを示す。
【0018】
図2図2は、本明細書に記載された好ましい実施形態による、基材又はベース材料のためのキャリアを示す。
【0019】
図3図3は、本明細書に記載された好ましい実施形態による、基材又はベース材料が堆積されるシートを示す。
【0020】
図4A図4Aは、本明細書に記載された好ましい実施形態による、疎水性材料の層及び基材又はベース材料が堆積されるシートを示す。
【0021】
図4B図4Bは、本明細書に記載された好ましい実施形態による、疎水性材料の一部及び基材又はベース材料が堆積されるシートを示す。
【0022】
図5図5は、本明細書に記載された好ましい実施形態による、基材又はベース材料が堆積されるキャリアを示す。
【0023】
図6図6は、本明細書に記載された好ましい実施形態による、基材又はベース材料が堆積されるキャリア及び保護スリーブ又はエンベロープを示す。
【0024】
図7図7は、本明細書に記載された好ましい実施形態による、プリンターカートリッジ及び基材キャリアとともに使用するためのプリンター装置を示す。
【0025】
図8図8は、本明細書に記載された好ましい実施形態による、染料材料が堆積される転写シートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示の1つの態様は、染料材料の基材又はベース材料に対する結合が強化され、色堅牢度が改善し、染料の滲みが減少する、改良された化粧品配合物に属する。
【0027】
本明細書に記載された特定の好ましい実施形態は、化粧品に使用するための改良された基材又はベース材料に関する。基材又はベース材料は、添加または1つ以上の極性又は他の帯電成分を通し、静電荷を有するように配合される。基材又はベース材料は、刺激性が弱く、安全かつ皮膚上で使用するための承認された成分のみを含有する。したがって、本明細書に記載される好ましい実施形態は、それ自体が安全であり、化粧品での使用が承認されているカチオン成分の含有を通じて、ベース材料にカチオン電荷を導入する工程を含む、化粧品配合物における染料固定力を改善する方法を含有する。コンシステンシー、混合能、及びテクスチャーも化粧品配合物にとって重要であるため、本明細書に記載される実施形態は、実行不可能な化粧品配合物をもたらさない成分を含有しなければならない。
【0028】
さらなる好ましい実施形態では、基材材料は、1つ以上のカチオン成分の添加を通して、正又はカチオン電荷が与えられる。カチオン性成分は、1つ以上のカチオン性アンモニウム成分であってもよい。カチオン性アンモニウム成分は、四級アンモニウム化合物又はポリカチオン性ポリマーであり得る。四級アンモニウム化合物(ポリカチオン性ポリマーであるポリクアテルニウム-6を含有する)はカチオン性分子であり、pHに関係なく、正に荷電している。カチオン性成分の好ましい例は、ポリクアテルニウム-6、ポリクアテルニウム-7、ポリクアテルニウム-10、クアテルニウム-31(ジセチルジモニウムクロライド、イソプロピルアルコール)、セトリモニウムクロライド、ポリクアテルニウム-51、グアルヒドロキシプロピルトリモニウムクロライド、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ライスプロテイン、及びそれらの組み合わせを含有するが、限定されない。これらの成分は、一般的に正又はカチオン性電荷を有し、化粧品配合物での使用が承認されている。
【0029】
さらに好ましい実施形態では、基材材料は、1つ以上の修飾されたカチオン化粘土化合物の添加を通して、正又はカチオン電荷とともに与えられる。修飾されたカチオン化粘土化合物の好ましい例は、ジステアルジモニウムヘクトライト、クアテルニウム-18ヘクトライト、ステアラルコニウムベントナイト、クアテルニウム-90ベントナイト、及びそれらの混合物を含有する。これらの成分は、一般に正又はカチオン電荷を有し、化粧品配合物での使用が承認されている。
【0030】
修飾されたカチオン化粘土化合物は、一般にアンモニウム塩とスメクタイト粘土との反応の生成物である。これらは一般にヘクトライトのような粘土にカチオン性界面活性剤をグラフトすること(すなわち、層間ナトリウムカチオンをカチオン性界面活性剤と交換すること)によって合成される。これらのカチオン性界面活性剤は、テンプレート式[(CH3)3NR]+、[(CH3)2NRR’]+、及び[CH3NRR’R”]+、式中、R、R’及びR”がアルキル又はアリールアルキル炭化水素である、を持つ四級アンモニウム化合物である。例えば、ステアラルコニウムベントナイトにおいて、ベントナイトの無機カチオンのいくつかは、それぞれ[(CH3)2NRR’]+、式中、R及びR’は、オクタデシルアルキル鎖(すなわちステアリル基)及びベンジル基である、により置換されている。交換は、典型的には、アルコール/粘土の水スラリーに対する適当なアルコニウムクロライド(例えば、ステアラルコニウムクロライド)の添加によって行われる。ジステアルジモニウムヘクトライトの場合には、ヘクトライトのナトリウムカチオンの少なくとも一部は、[(CH3)2NRR’]+カチオン、式中、R及びR’は両方ともオクタデシルアルキル鎖(すなわちステアリル基)である、と交換されている。この交換は、典型的には、ジステアルジモニウムクロライドの、アルコール/ヘクトライトの水スラリーに対する添加より行われる。主な副生成物は無機塩化物(例えば、塩化ナトリウム)であり、処理の際に除去される。このカチオン交換は、これらの無機物の性質を親水性から親油性へと変える。
【0031】
さらなる好ましい実施形態は、1つ以上のカチオン性アンモニウム成分と1つ以上の修飾されたカチオン化粘土化合物との組み合わせを利用して、ベース又は基材材料に正又はカチオン電荷を加える。
【0032】
好ましい実施形態において、ポリクアテルニウム-6は、基材又はベース材料に添加される少なくとも1つカチオン性アンモニウム成分として使用される。ポリクアテルニウム-6は、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドの高荷電カチオン性ホモポリマーである。さらなる好ましい実施形態では、ポリクアテルニウム-6と修飾されたカチオン化粘土化合物との組み合わせが、基材又はベース材料に添加するためのカチオン成分として使用される。修飾されたカチオン化粘土化合物は、さらなる好ましい実施形態において、クアテルニウム-18ヘクトライト、ジステアルジモニウムヘクトライト、ステアラルコニウムベントナイト、又はそれらの組み合わせであり得る。
【0033】
さらなる好ましい実施形態において、基材材料は、周期表の2、3又は4族からのカチオン及び+2、+3又は+4の電荷を有する1つ以上のイオン化塩、及び適切なアニオンの添加を通して、正又はカチオン電荷を与えられる。イオン化塩のカチオンの好ましい例を以下の表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
好ましい実施形態において、イオン化塩は、炭酸マグネシウム又は硫酸バリウム、又はカルシウム塩である。これらの塩は染料固定及び保持の試験において非常に良好に働いた。マグネシウム、バリウム、及びカルシウムは、上記で特定された他の2族のカチオンに加えて、イオン化される場合+2のカチオン電荷を有する。硫酸バリウムの化学式は、BaSOであり、そのモル質量は233.43g/molである。それは、バリウムカチオン(Ba2+)と硫酸アニオン(SO 2-)からなる塩であり、硫黄は4つの酸素原子にくっついている。バリウム金属は+2の酸化状態にある。炭酸マグネシウムは、MgCOの式を有するマグネシウム塩であり、そのモル質量は84.3139g/molである。炭酸マグネシウムはMg2+が6つの酸素原子により囲まれたカルサイト構造で結晶化する。それはマグネシウムカチオン(Mg2+)と炭酸アニオン(CO 3-)で構成される。構造的には、マグネシウムとバリウム(及びすべての2族元素)とは共通して、外殻の満たされたs軌道を有している;すなわち、この軌道は、それらの満たされた2つの電子の組を含有し、これらの電子は容易に脱離して、+2の電荷をもつカチオンと+2の酸化状態とを形成する。適するアニオンは、硫酸アニオン、炭酸アニオン、及び化粧品配合物での使用に安全な好ましいアニオンをもつイオン化塩を形成するいずれかのアニオンであり得る。
【0036】
基材材料の好ましい実施形態はまた、雲母、二酸化チタン(アナターゼ型又はルチル型)、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、ミリスチン酸、酸化亜鉛、シリカ、窒化ホウ素、トリヒドロキシステアリン、ベントナイト、及びそれらの組み合わせを含有するがこれらに限定されない、荷電又はカチオン性成分の添加とともに良好に機能する1つ以上の従来の基材又はベース成分を含有する。さらに好ましい実施形態において、基材又はベース材料は、ルチル型二酸化チタン、アナターゼ型二酸化チタン、油分散性(又は油溶性)二酸化チタン、又はミリスチン酸マグネシウムで被覆された二酸化チタンを含有し、ここで、ミリスチン酸マグネシウムの被覆は、二酸化チタン/ミリスチン酸マグネシウム粒子の約2.5重量%から約3.5重量%を構成し、残りの97.5%から96.5%は二酸化チタンである。さらなる好ましい実施形態において、ミリスチン酸マグネシウムは、雲母のような他のベース材料のための被覆として、同様の重量パーセントの量にて使用され得る。特定の実施形態において、ミリスチン酸マグネシウムの処理は、ミリスチン酸及び水酸化マグネシウムの添加により適用され得る。さらに好ましい実施形態において、基材又はベース材料は、少なくとも1つのマグネシウム含有成分又は二酸化チタン又は雲母、又はそれらの2つの組合せを含有する。さらなる好ましい実施形態において、ベース材料は、二酸化チタン、雲母、及びマグネシウム含有成分の組み合わせを含有する。
【0037】
さらなる好ましい実施形態において、カチオン性アンモニウム成分は、溶液の約0.5重量%から約4重量%の範囲の濃度において、より好ましくは溶液の約0.75重量%から約3重量%の範囲の濃度において、ベース材料を、カチオン性アンモニウム成分を含有する溶液と、蒸留水中において混合することによって、ベース材料中に含有される。
【0038】
さらなる好ましい実施形態において、ジステアルジモニウムヘクトライト、クアテルニウム-18ヘクトライト、ステアラルコニウムベントナイト、クアテルニウム-90ベントナイト、及びそれらの混合物のような、修飾されたカチオン化粘土化合物の使用に関して、これらの成分は、ベース材料のバルクを、又はベース材料の約80重量%から約100重量%の範囲の濃度を構成してもよい。さらなるカチオン性処理は必要ない。しかしながら、修飾された粘土化合物は、典型的には、適用された染料に生じる色の変化、並びに結果として生じる化粧品の鮮やかさの欠如のために、化粧品配合物の唯一の成分としては好まれない。修飾された粘土材料は透き通るようで、不透明ではないので、色は鮮やかではない。よって、主に修飾された粘土化合物を含むベース材料はまた、色の変化を減少させ、色の鮮やかさを増加させるために、1つ以上の追加の成分を好ましくは含有すべきである。修飾されたカチオン化粘土化合物とともに使用するための、この補足のベース材料は、雲母、二酸化チタン(アナターゼ型又はルチル型)、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸、酸化亜鉛、シリカ、窒化ホウ素、トリヒドロキシステアリン、アロールートでんぷん(arrowroot)パウダーのような増白剤、コーンスターチ又は炭酸カルシウム、及びそれらの組み合わせを含有することができる。補足のベース材料を、全ベース材料の約5重量%から約30重量%の量において、修飾されたカチオン化粘土化合物に添加してもよい。特定の好ましい実施形態において、ジステアルジモニウムヘクトライトは、シクロペンタシロキサン及びSDアルコール40-Bのような特別に変性されたアルコールと組み合わせて、修飾されたカチオン化粘土化合物として含有される。これらの追加成分は、化粧品配合物に組み込まれ、化粧品配合物の一部として機能するジステアルジモニウムヘクトライトの性能を改善する。
【0039】
さらなる好ましい実施形態では、ジステアルジモニウムヘクトライト、クアテルニウム-18ヘクトライト、ステアラルコニウムベントナイト、クアテルニウム-90ベントナイト、及びそれらの混合物などの1つ以上の修飾されたカチオン化粘土化合物を、約40重量%から約80重量%の量でベース材料に添加してもよく、次いで、ベース材料を、溶液の約0.5重量%から約4重量%の濃度で、より好ましくは溶液の約0.75重量%から約3重量%の範囲の濃度で、1つ以上のさらなるカチオン性アンモニウム成分を含有する溶液と混合する。
【0040】
好ましい実施形態において、蒸留水のような、相溶性の蒸発する/揮発性の溶媒中に1つ以上のカチオン性アンモニウム成分を含有する溶液は、スラリーから十分な量でベース材料に添加されるか、又は基材上への堆積を容易にするために、ベース材料が、液体のコンシステンシーを有するように添加される。好ましい実施形態において、溶液は、全混合物の約30重量%から約70重量%の量でベース材料に添加される。ベース材料は使用前に乾燥させる。
【0041】
さらなる好ましい実施形態は、1つ以上の乳化剤をベース材料に組み込んでもよい。乳化剤は典型的には水に溶けるが、油には溶けない。乳化剤の特定の好ましい例は、ポリソルベート20、モノエステルがエチレンオキシドと縮合したソルビトールのラウレートエステルを含有する乳化剤(ポリオキシエチレン-20ソルビタンモノステアレート)、及びポリソルベート80、ソルビトール、エチレンオキシド、及びオレイン酸を含有する乳化剤(ポリオキシエチレン-20ソルビタンモノオレエート)を含有する。乳化剤は任意であり、カチオン性成分の非存在下において、染料固定力を強化することは示されていない。
【0042】
本明細書に記載される化粧品配合物の好ましい実施形態は、いずれかの適する染料材料を使用することができる。適切な染料は、天然染料、合成色素、コールタール、FDAに承認された化粧用着色添加剤(例:連邦規制集21巻パート73、サブパートC、連邦規制集21巻パート74、サブパートC化粧品、連邦規制集21巻パート82、サブパートB、C及びD(21 C.F.R.Part 73, Subpart C, 21 C.F.R.Part 74 Subpart C-Cosmetics, 21 C.F.R.Part 82 Subparts B, C, and D))、又はベース材料の色の変化を引き起こすことができ、化粧品での使用に適しているいずれかの他の物質を含有する。特定の好ましい実施形態は、承認された食用インクを含む、化粧品での使用に安全であるアニオン性又は負電荷を有する染料材料を利用する。これらの染料は、水、プロピレングリコール、グリセリン、カルモイシン、ポリソルベート80、水酸化ナトリウム、モノ及びジグリセリド、クエン酸カリウム、メチルパラベン、赤色3番、赤色40番、青色1番、黄色5番、及び黄色6番のようなFD&C染料、及びそれらの組み合わせの1つ以上を含有してもよい。さらなる好ましい実施形態では、これらの染料は、印刷可能な化粧品と併せて使用するのに適しており、適切な印刷装置から投与され得る。さらなる好ましい実施形態において、染料材料は、適切な成分の含有を通して、アニオン性又はカチオン性のいずれかの所望の静電荷を有するように配合される。
【0043】
本発明の化粧品配合物は、粉末、固体、クリーム、液体などの形態であってもよい。好ましい実施形態において、ベース材料は、使用者が化粧品の所望の色合いを選択するまで、染料材料から分離されている。次に、(選択された色合いを生成するための)適切な染料材料が、ベース材料に加えられるか、混合されるか、又はさもなければ印刷されるか、スタンプされる。これは、ブラシ、マーカー、又はペンの使用を通して、又は家庭又は小売店又はキオスク環境において実行することができるものを含有する適切な印刷又はスタンプ装置の使用を通して、手作業で達成されてもよい。
【0044】
本明細書に記載される好ましい実施形態において、化粧品配合物は、アイシャドー、チーク、フェイスパウダー、又は他の類似の化粧品としての使用に適している。さらに好ましい実施形態は、カスタマイズ可能なマニキュア液、リップスティック、リップグロス、ファンデーション、マスカラ、アイライナー及び他の類似の化粧品を形成するのに適する基材の使用を含有する。カスタマイズ可能なマニキュア液、リップスティック、リップグロスの製造に適するベース材料は、透明マニキュア液、無着色リップジェルなどを含有する。また、最終製品(マニキュア液、リップグロスなど)を産み出すために、適合する無着色ベース材料を、色/染料固定をベースに印刷する工程の後に、添加/混合してもよい。一般に、本明細書に記載される化粧品配合物は、コンシステンシー、配合、又は意図された用途の領域にかかわらず、いずれかの化粧品製品において使用することができる。これらの化粧品のためのベース材料は、本明細書に記載されているものとは異なってもよいが、概念は同じである。染料固定力を強化するために、カチオン性又は正の電荷をベース材料に導入してもよい。
【0045】
本明細書に記載される好ましい実施形態は、着色マニキュア液を調製するためのベース配合物を含有する。適切なネイルベース材料を用いて、本明細書に記載されるものと同じ概念を用いて着色マニキュア液を調製することができる。言い換えれば、染料固定力を強化するために、カチオン性又は正の電荷をベース材料に導入してもよい。典型的には、従来のマニキュア液は、通常、酢酸エチル又は酢酸ブチルである溶媒に溶解された、ポリマー、最も一般的にはニトロセルロースからなる。適用すると溶媒が蒸発し、ポリマーを残して、ネイル上に膜を形成する。配合物中にも含有される接着性ポリマー樹脂は、ポリマーフィルムがネイルに付着するのを促す。また、これらのいわゆるフィルム改質剤は、ポリマー仕上げに光沢感を加える。ゲル状マニキュア液は、メタクリレート化合物及び過酸化ベンゾイルのような光開始化合物からなる代替配合物である。従来のマニキュア液とは異なり、これらの混合物は単純に適用されず、乾燥するためにそのままにされる。その代わりに、それらは、紫外線に曝露される層に適用される。これは、光沢(polish)を固化させる重合方法を開始する。シェラックは、UVライトで硬化及び硬質化する、ゲルとマニキュア液とのハイブリッドである。それはゲルよりも硬くなく、アセトンで洗い流せる。
【0046】
好ましい実施形態にしたがって本明細書に記載されるマニキュア液配合物は、いずれかのタイプのマニキュア液ベースを使用することができる。これらは、従来のもの(溶媒ベース)、ゲル、シェラック(光で開始される)、アクリル、ディップパウダー、水(アクア)ベース、無溶媒、及び着色剤を含有する。好ましい配合物は、無溶媒、水(アクア)ベースのネイル配合物などである。従来のマニキュア液成分は、撹拌なしでインクを均一に混合することがしばしば困難であり、場合によっては、特定の染料の色を変化させる。混合をほとんど又は全く必要としない均一な着色を確実にするために、化粧品インク(特にその溶媒であるプロピレングリコール、水など)と容易に混和するベース材料を選択することが重要である。
【0047】
本明細書の好ましい実施形態によるマニキュア液配合物のための好ましいベース成分は、化粧品グレードのフィルム形成剤、ポリマー、樹脂などを含有する。フィルム形成剤は、PVP、アクリレート、アクリルアミド、メタクリレート、ポリウレタン及び種々のコポリマーを含有する。好ましいフィルム形成成分は、カチオン性アクリルポリマー、スチレン/アクリレート/アンモニウムメタクリレートコポリマー(光沢フィルム)、アンモニウムスチレン/アクリレートコポリマー、ポリクアテルニウム-91及びポリアクリレート-15、スチレンアクリレートコポリマー、アクリレートコポリマー、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、アクリルコポリマー、アクリレートコポリマー/スチレン-アクリレートコポリマー、ポリウレタン-2、及びトリメチルシロキシシリケートを含有するが、これらに限定されない。非フィルム形成成分は、水、変性アルコール、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジベンゾエート、ニーム油、ポリエチレン、レオロジー改質剤、滑剤、シリコーン、湿潤剤、フィラー、消泡剤、キレート剤、分散剤、保存剤、増粘剤、UVスクリーン、界面活性剤、治療及び予防剤(活性剤)、保湿剤、香料、中和剤、酸化防止剤、さらなるフィルム形成ポリマー及び非フィルム形成ポリマーを含有することができる。
【0048】
本明細書に記載される他の好ましい実施形態のように、染料固定力を強化し、ネイル及び皮膚上の染料の汚れを防止するために、カチオン性又は正の電荷をマニキュア液ベース材料に導入してもよい。いずれかの適切なカチオン性成分を使用することができる。いくつかの好ましいカチオン性添加剤は、ポリクアテルニウム-6、ステアラルコニウムベントナイト、ジステアルジモニウムヘクトライト、及びステアラルコニウムヘクトライトを含有する。
【0049】
マニキュア液ベース配合物の1つの好ましい実施形態は、水、ポリアクリレート-42、セバシン酸ジブチル、PPG-2メチルエーテル、酸化ポリエチレン、フェニルプロパノール、カプリリルグリコール、デシレングリコール、及び本明細書に記載されたような1つ以上のカチオン性成分を含有する。マニキュア液ベース配合物のさらに好ましい実施形態は、水、ポリアクリレート-42、ジプロピレングリコールジベンゾエート、PPG-2メチルエーテル、酸化ポリエチレン、フェニルプロパノール、カプリリルグリコール、デシレングリコール、及び本明細書に記載されたような1つ以上のカチオン性成分を含有する。マニキュア液ベース配合物のさらに好ましい実施形態は、水、ポリアクリレート-42、アセチルトリブチルクエン酸塩、セバシン酸ジブチル、フェニルプロパノール、カプリリルグリコール、デシレングリコール、及び本明細書に記載されたような1つ以上のカチオン性成分を含有する。マニキュア液ベース配合物のさらに好ましい実施形態は、水、ポリアクリレート-42、セバシン酸ジブチル、PPG-2メチルエーテル、酸化ポリエチレン、フェニルプロパノール、カプリリルグリコール、デシレングリコール、及び本明細書に記載されたような1つ以上のカチオン性成分を含有する。
【0050】
マニキュア液ベース配合物のさらなる好ましい実施形態は、透明ベース又は白色不透明ベースのいずれかを構成する成分を含み得る。透明ベースの好ましい実施形態は、約93重量%の、水、ポリアクリレート-42、セバシン酸ジブチル、PPG-2メチルエーテル、酸化ポリエチレン、フェニルプロパノール、カプリリルグリコール、及びデシレングリコールの混合物、約5重量%の追加の水、及び約2重量%の、本明細書に記載された1つ以上のカチオン性成分を含有することができる。白色不透明ベースの好ましい実施形態は、約94.5重量%の、水、ポリアクリレート-42、セバシン酸ジブチル、PPG-2メチルエーテル、酸化ポリエチレン、フェニルプロパノール、カプリリルグリコール、及びデシレングリコールの混合物、約3.5重量%の、水、アンモニウムアクリレートコポリマー、CI 77891、メチルプロパンジオール、シメチコン、カプリリルグリコール、及びフェニルプロパノールの混合物、及び約2重量%の本明細書に記載された1つ以上カチオン性成分を含有することができる。
【0051】
本明細書に記載される好ましい実施形態はまた、着色マスカラ、アイライナー、アイシャドー、及びアイブロー製品を産み出すためのベース配合物を含有する。これらの製品の好ましいベース配合物は、マニキュア液配合物と同様の成分を利用する。言い換えれば、マスカラ、アイライナー、アイシャドー、及びアイブロー製品のための好ましい配合物は、化粧品グレードのフィルム形成剤、ポリマー、樹脂などに加えて、染料固定力を強化するためにベース材料に正の電荷を加えるための本明細書に記載されたような1つ以上のカチオン性成分を含有する。
【0052】
本明細書に記載された好ましい実施形態は、着色リップ及びクリームのアイシャドー、クリームのチークなどのような、クリームベースの化粧品を調製するためのベース配合物も含有する。従来のリップスティックは、一般的にワックスを含有し、製品に構造/レオロジー並びに耐水性を付与する。しかしながら、ワックスは、撹拌なしでインクを均一に混合することを困難にする。均一な着色及びほとんど又は全く混合する必要のないことを確実にするために、化粧品インク(並びにその溶媒であるプロピレングリコール、水など)と容易に混和する基材を配合することが重要である。化粧品インクとともに使用する溶媒が変わる場合は、それに応じてベース材料を調節すべきである。
【0053】
リップベース材料のためのワックス/非混和性成分の1つの代替物は、これらがレオロジー調節剤としてだけではなく、色の保持に必要なカチオン性成分としても作用するため、ステアラルコニウムベントナイト、ジステアルジモニウムヘクトライト、及びステアラルコニウムヘクトライトゲルを含有する。それらは防水加工特性を示す。さらに、上に記載されるもののような化粧品フィルム形成剤及びポリマーの添加により、防水加工を強化することができる。一般的に、特に水及びプロピレングリコールを含有するインク溶媒の場合には、リップパウダーのような、水を含有するリップベースも良好に作用する。これらの水を含有する処方のいくつかは、シリケートシリカ及びシリカも含有する。
【0054】
赤い染料を含有するリップ及びクリームベースのメイクアップのための配合物の好ましい実施形態は、ジメチコン、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー、水、シクロペンタシロキサン、ポリグリセリル-2トリイソステアレート、グリセリン、赤色7(CI 15850:1)、ペンチレングリコール、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン、ブチルアクリレート/ヒドロキシプロピルジメチコンアクリレートコポリマー、メチルトリメチコン、フェノキシエタノール、シリカ、カプリリルグリコール、グリセリルアクリレート/アクリル酸コポリマー、1,2-ヘキサンジオール、エチルヘキシルグリセリン、プロパンジオール、PEG/PPG-18/18ジメチコン、シリカジメチルシリレート、及びメチコンを含有する。汚れが回避されるべきである場合には、汚れを防ぐために、本明細書に記載される1つ以上のカチオン性成分を配合物に含有させてもよい。リップステインなどの化粧品配合物のいくつかは、皮膚を着色することを意図していて、カチオン性成分の添加を必要としない場合がある。
【0055】
着色リップ及びクリームベースのメイクアップのためのベース配合物のさらに好ましい実施形態は、水、エチルヘキシルパルミテート、ブチレングリコール、グリセリン、ペンチレングリコール、ヒドロキシエチルアクリレート/ナトリウムアクリロイルジメチルタウレートコポリマー、スクアラン、フェノキシエタノール、エチルヘキシルメトキシシンナメート、水素化ポリデセン、ポリソルベート60、エチルヘキシルグリセリン、ソルビタンイソステアレート、EDTA-2Na、EDTA-4Na、ポリメチルシルセスキオキサン、メチルパラベン、及びシリカを含有する。リップ及びクリームベースのメイクアップのための配合物のさらに好ましい実施形態は、水、ジメチコン、オクチルドデカノール、イソドデカン、ブチレングリコール、アルコール、アクリレート/ポリトリメチルシロキシメタクリレートコポリマー、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、ジステアルジモニウムヘクトライト、ポリグリセリル-4イソステアレート、硫酸マグネシウム、フェノキシエタノール、プロピレンカーボネート、合成フルオロフロゴパイト、PEG/PPG-18/18ジメチコン、アルミナ、ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム、水酸化アルミニウム、リナロール、及びぺンタエリスリチルテトラ-ジ-t-ブチルヒドロキシヒドロシンナメートを含有する。リップ及びクリームベースのメイクアップのための配合物のさらに好ましい実施形態は、水、ポリウレタン-35、キシリトール、ポリグリセリル-2カプレート、グリセリン、ブチレングリコール、トリ-C12-13アルキルシトレート、メチルプロパンジオール、ポリソルベート80、PEG-60水添ヒマシ油、パンテノール、フェノキシエタノール、フレグランス、カプリリルグリコール、トコフェロール、パルミチン酸、エチルヘキシルグリセリン、EDTA-3Na、トロメタミン、フェニルプロパノール、及びミリスチン酸を含有する。汚れを避けるべきであれば、これらの好ましい配合物がカチオン性成分をすでに含有してない限り、汚れを防止するために1つ以上のカチオン性成分を添加することができる。
【0056】
着色リップパウダーのためのベース配合物の好ましい実施形態は、水、グリセリン、プロパンジオール、シリカシリレート、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、ナイアシンアミド、ナットウガム、サウスレアインボルクラタエキス、ダイサンチク葉/茎エキス、ローブッシュブルーベリー果実エキス、酢酸トコフェロール、ヤシ油、及び加水分解ヒアルロン酸を含有する。汚れを避けるべきであれば、この好ましい配合物がカチオン性成分をすでに含有してない限り、汚れを防ぐために1つ以上のカチオン性成分を添加することができる。
【0057】
さらに好ましい実施形態では、ベース材料は、極性又はカチオン性成分内に全体又は一部が封入されていてもよい。
【0058】
ベース配合物のすべての好ましい実施形態では、化粧品インクと容易に混和するベース材料を選択することが重要である。本明細書で言及される化粧品インクの好ましい例は、プロピレングリコール、水などのような溶媒を含有する。これは、インクがキャリア内のベース上に堆積される場合に、ほとんど又は全く混合する必要のない、均一な着色を確実にする。そのうえ、インク中の溶媒が変化する場合には、同様の材料(すなわち、似たものに似たもの)を使用するのに応じて、ベース材料を調節すべきである。本明細書に記載されるようなカチオン性成分の添加は、全ての化粧品配合物に有用であり、そのような配合物のためのいずれかのベース材料に含有され得る。インクとベース成分との混和性のために、いくつかは他のものよりも多くの撹拌又は混合を必要とする。例えば、マニキュア液中のニトロセルロース及びリップスティック中のワックスは、ベースを混合するのを困難にする場合がある。このような場合は、インクがキャリア内のベース上に滴下される場合にベースが容易に着色するように、インクを容易に受け入れる代替の配合物を見つけることが最もよい。
【0059】
本明細書に記載される着色化粧品配合物の好ましい実施形態は、インク中に染料を含有してもよい。いくつかの染料は、光/UV曝露の影響を受けやすく、完成した化粧品組成物の色安定性を損なう可能性(すなわち(i.ie.)色の変化/退色)がある。色の不安定性を遅らせる又は防止するために、いくつかの好ましい選択肢が使用できる。まず、化粧品安定剤を添加してもよい。これらは、1つ以上の、ぺンタエリスリチルテトラ-ジ-t-ブチルヒドロキシヒドロシンナメート、ベンゾトリアゾリルブチルフェノールスルホン酸Na、ブテス-3及びクエン酸トリブチル、マロン酸ジエチルヘキシルシリンギリデン、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、水及びアルコールを持つクエン酸トリス(テトラメチルヒドロキシピペリジノール)、EDTA-4Na(エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩)、グルコン酸ナトリウム、及びブチル化ヒドロキシトルエンを含有してもよい。
【0060】
第2の選択肢では、染料の色の不安定性を防ぐために、日焼け止め剤をベース配合物に添加してもよい。これらの日焼け止め剤は、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン-3、オキシベンゾン-4、3,3,5トリメチルシクロヘキシルサリチレート、オクトクリレン、及びメトキシケイヒ酸エチルヘキシルの1つ以上を含有してもよい。
【0061】
さらなる選択肢では、処理された又は特殊な粒子をベース配合物中で使用して、色褪せを遅らせてもよい。これらの特殊粒子は、トリエトキシシリルプロピルアセチルヒドロキシプロリネートを有する雲母のようなアミノ酸シラン/カチオン性シラン/アミノシラン処理粒子を含有してもよい。他の特殊粒子は、メチルメタクリレートクロスポリマーを有するHDI/トリメチロールヘキシルラクトンクロスポリマー、又はシリカを有するHDI/トリメチロールヘキシルラクトンクロスポリマーのような、ウレタン系粉末を含有することができる。1つの好ましい実施形態において、処理された粒子(アミノ酸シラン処理)を含有する試料配合物は、乾燥成分及び湿潤成分の両方を含有する。乾燥成分は、約90重量%のトリエトキシシリルプロピルアセチルヒドロキシプロリネートを有する雲母、約10重量%のトリエトキシシリルプロピルアセチルヒドロキシプロリネートを有する二酸化チタン、及び乾燥成分の約1重量%以下の量で任意の色安定剤を含有することができる。湿潤成分は、約96.5重量%の水、約2重量%のP6、約1重量%のグリセリン、及び約0.5重量%の、グリセリン及びカプリルヒドロキサム酸とフェネチルアルコールとの組合せ、保存剤を含有することができる。好ましい実施形態では、0.6gの代表的な乾燥成分を2.4gの代表的な湿潤成分と混合する。
【0062】
さらなる選択肢では、二酸化チタンの割合を制限することによって、染料の色褪せが減少する。二酸化チタンは特定の染料の退色を増加させることが知られている。したがって、配合物中におけるその存在は、約10重量%未満に制限すべきである。
【0063】
好ましい実施形態において、色褪せに抵抗するベース配合物は、乾燥成分及び湿潤成分を含有することができる。乾燥成分は、(乾燥成分の重量で)約90から100%のフィラー、それは好ましくは雲母又は色安定性を高めるために処理された雲母であり、約1%以下の色安定剤、それは好ましくはグルコン酸ナトリウム又はぺンタエリスリチルテトラ
-ジ-t-ブチルヒドロキシヒドロシンナメートであり得て、要すれば約10%以下の乳白剤、それは好ましくは処理された二酸化チタンであり得て、及び要すれば約10%以下のウレタン粉末、それはヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)及びトリメチロールヘキシルラクトンのクロスポリマー及びメチルメタクリレートのクロスポリマーを含み得る、を好ましくは含有する。湿潤成分は、好ましくは(重量で)約96.5%の水、2%のP6(カチオン性成分)、1%のグリセリン、及び0.5%の、好ましくはグリセリン及びカプリルヒドロキサム酸とフェネチルアルコールとの混合物であり得る、保存剤を含有する。ベース配合物は、0.6gの乾燥成分と2.4gの湿潤成分とを約1:4の比率で混合することによって好ましくは調製される。次いで、結果として生じるスラリーを好ましくはフィルム又はキャリアシート上に薄く分布させ、乾燥させる。一旦乾燥されたベース材料がインクで印刷されると、それは露光後にその色が保持される可能性が高くなる。
【0064】
さらなる好ましい実施形態において、化粧品に使用するための修飾された未染色基材は、カチオン性アンモニウム成分である極性成分を含有する。カチオン性アンモニウム成分はポリクアテルニウム-6であることが好ましい。基材材料はさらに、雲母と保存剤とを含むベース材料を含有する。好ましくは、ベース材料中の雲母は、色褪せを遅らせる材料、好ましくはトリエトキシシリルプロピルアセチルヒドロキシプロリネートと組み合わせられるか、又はそれで処理される。保存剤は、好ましくはフェネチルアルコール、カプリルヒドロキサム酸、及びグリセリンの組み合わせである。未染色の基材材料は、乾燥成分と水とを混合することによって調製することができる。乾燥後、すべての水は蒸発する。好ましい実施形態において、基材材料を調製するために、混合物は、約70から90重量%の、及び好ましくは約80重量%の、雲母とトリエトキシシリルプロピルアセチルヒドロキシプロリネートとの組合せを含有するように調製され、ここで、この組合せは、約98から99重量%の雲母と、約1から2重量%のトリエトキシシリルプロピルアセチルヒドロキシプロリネートとを含有する。基材材料を調製するために作られた混合物は、好ましくは、約10重量%から約30重量%の、好ましくは約20%重量の、水を含有する溶液と、約1重量%から約3重量%の、好ましくは約2重量%のポリクアテルニウム-6と、約1重量%の保存剤とをさらに含有する。水は、脱イオン水、蒸留水又は通常の水道水でもよい。保存剤は、好ましくは、約42から60重量%のフェネチルアルコール、約12から18重量%のカプリルヒドロキサム酸、及び約28から40重量%のグリセリンから構成される。混合後、スラリーは、約0.05重量%から約0.90重量%のポリクアテルニウム-6及び約0.10重量%から約0.30重量%の保存剤を含有し、残りは、雲母及びトリエトキシシリルプロピルアセチルヒドロキシプロリネートの組み合わせと混合された水である。乾燥後、基材材料は、約0.06重量%から約1.26重量%のポリクアテルニウム-6、及び約0.11重量%から約0.42重量%の保存剤を含有し、残りは雲母及びトリエトキシシリルプロピルアセチルヒドロキシプロリネートの組合せである。
【0065】
特定の好ましい実施形態は、カチオン化基材又はベース材料が堆積されるキャリア、トレイ、シート、フィルム、又はそれらの組み合わせを利用する。図1は、キャリア12を保持し輸送するための第1の平面部分20と、ベース材料14を含有するウェル23とを有する、プラスチックホルダーの形態のキャリア12の好ましい実施形態を示す。ウェル23は、隆起した周囲の壁22によって定義される。キャリア又はシート及びウェルは、プラスチック、ポリエステル、非晶性ポリエステル、コポリエステル、紙、綿、木材パルプ、ワックスコート紙、ボード、プラスチックコート紙、パーチメント紙、アセテート、被覆フェイスストック、半透明フィルム、PVC、PET、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、ラテックス、ポリスチレン、フォーム、スポンジ、レーヨン、ナイロン、処理されたポリエステル樹脂フィルム(例えばマイラー)、ポリマーフィルム、アセテート又は誘導体又はそれらの組み合わせのような様々な適切な材料から作られてもよく、合成繊維、動物の毛、毛皮、又は誘導体又はそれらの組み合わせの全体又は一部をさらに含む、又はそれらで構成されてもよい。好ましい実施形態では、キャリア、シート、及び/又はウェルは、プラスチック、ポリエステル、又はポリマーフィルムのような非多孔性材料から作られる。
【0066】
さらなる好ましい実施形態は、基材又は、乾燥したベース材料をホルダー内に押し込み得るように、化粧品パンのような壁/ウェルを有するベース材料のためのホルダーを利用する。所望であれば、湿潤ベース材料をこのタイプのホルダー内に乾燥させることもできる。図2は、ベース材料28を保持するための壁26を有するキャリア25の好ましい実施形態を示す。キャリア25は、内部に堆積されたベース材料をもつ金属の(通常はスズ又はアルミニウム)アイシャドーパンの形態であってもよいが、いずれかの適切な材料からてきている。図2に示す実施形態では、保護フィルム29は、ベース材料28を乾燥又は保護し続けるために、要すれば含有される。特定の好ましい実施形態では、保護フィルム29は、色褪せを減少させるために、UV遮断又は日光保護性能を有する材料からてきている。保護フィルム29の代わりに、又はこれに加えて、キャリア25は、ベース材料を乾燥又は保護し続けるために、使用されていない場合にキャリア25が配置されるエンベロープ又はスリーブ(図示せず)を伴うことができる。エンベロープ又はスリーブは、UV遮断又は日光保護性能を有していてもよく、又は不透明であってもよい。
【0067】
さらなる好ましい実施形態では、カチオン化されたベース材料は、スラリー又は他の適切な形態に転換され、凸版印刷、オフセット、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、エアブラッシング、スプレー塗装、レーザー印刷、ドロップ・オン・デマンド、連続インクジェットなどのようないずれかの適切な手段を通してシート又はキャリア上に印刷又は堆積され得る。スラリーは、ベース材料の内容物の化学的性質に適合する、相溶性の蒸発する/揮発性の溶媒を用いてベース材料を濡らすことにより形成し得る。この溶媒は、適合すれば、カチオン性成分の希釈剤としても使用され得る。溶媒の例は、水のような揮発性の液体、揮発性のシリコーン、又はエチルアルコールまたはイソプロピルアルコールのような蒸発する溶媒であってもよい。
【0068】
図3は、ベース材料34の層が堆積された支持シート32を含有する基材シート30の好ましい実施形態の例を示す。ベース材料の結果として生じる層は、シート上に堆積される場合、全体的平坦な表面を有する、約0.001mmから約1mmの厚さであってもよい。全体的に平坦な表面は、インクの吸収及び均一性を高め、混合することなくベース材料を均等に染色することを可能にする。遊離材料は、インクがその上に滴下される場合に、丸まったり、凝集したりする場合があり、均質でなく、均一でない色をもたらし得る。遊離パウダーは好ましくないが、プレスパウダーが適している場合がある。ベース材料のスラリーは、典型的には、本配合物に適する乾燥時に、平坦な表面を形成する。印刷されたシートは、プリンターの用紙トレイ又はさもなければプリンターのノズルの下に置くことができるように、並びに、保管及び輸送が容易になるように、十分に薄くすべきである。好ましい実施形態では、基板シート30上に堆積された乾燥したベース材料は、約0.10から約0.25gであり、約2.5インチ×2.5インチの表面積を有してもよい。特定の実施形態において、堆積したベース材料を有する印刷されたシートは、保護フィルムまたはベース材料の上のカバーをさらに含み、ベース材料の汚染および崩壊を防止する。図3に示されるような保護フィルム38は、ベース材料を覆うために使用することができる。保護フィルム38を、印刷前に除去し、後ほど使用する印刷された化粧品を保存又は貯蔵するために、シート上に印刷された化粧品層に印刷後、再付着させてもよい。さらなる好ましい実施形態では、再使用可能/再封止可能な接着剤の境界線(図3には示されていない)は、ベース材料の周囲の保護されたフィルム上に印刷されてもよい。接着剤は、圧感受性、嫌気性、自己架橋、UV硬化性、熱硬化性であってもよく、又は接着剤材料を蒸発により乾燥させてもよい。保護フィルムのベースシートへの結合は、上述のような接着剤の添加の有無にかかわらず達成され得る。熱又は融着による気密封止又は音波封止、磁石、フックアンドループファスナーなどのような接着剤がない、他の方法を使用してもよい。保護フィルム38は、色褪せを減少させるために、UV遮断又は日光保護性能を有する材料でできている。保護フィルム38の代わりに、又はこれに加えて、基材シート30は、ベース材料を乾燥又は保護し続けるために、使用されない場合に基材シート30が配置されるエンベロープ又はスリーブ(図示せず)を伴うことができる。保護フィルム、シート、スリーブ、エンベロープのようないずれかの保護カバーを使用することができる。保護カバーはUV遮断又は日光保護性能を有していてもよく、又は不透明であってもよい。
【0069】
割れる又は粉になることなくシート上に留まるベース材料の性能も重要である。好ましい実施形態では、二酸化チタン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、粘土、グリセリン、シリコーン、皮膚軟化剤、及びベース材料をより柔軟にし、ベース材料の基材シート又はキャリアへの付着又は保持する性能を高める他の化粧品添加剤のような、しかしこれらに限定されない、成分は、ベース材料配合物に添加されるか、又はベース材料の適用の前に基材に適用され得る。乾燥したベース粉末を湿潤スラリーにし、それをキャリア上で乾燥させることは、ベース材料がキャリア上に付着するのを促す方法の重要な部分である。
【0070】
好ましい実施形態において、染料材料は、サンプリングを可能にするための、単一シート上の複数の異なる色合い、並びに、皮膚に直接適用することができるイメージ又はパターンの印刷を含有する、いずれかの組み合わせ又はパターンで印刷することができる。染料とベース材料との間の改良された結合は、印刷されたシート上、並びに皮膚上及び他の適用された化粧品での色堅牢度を改善する。
【0071】
さらなる好ましい実施形態では、疎水性材料の層が最初にシート又はキャリアに適用され、次いでカチオン化ベース材料が疎水性材料の上の層に堆積される。図4Aは、疎水性材料33の上部又は上に堆積されたベース材料34の層と、疎水性材料33の連続する層が堆積された支持シート32とを含有する、基材シート30の実施形態の例を示す。図4Bは、疎水性材料33の非連続部分が、支持シート32上に堆積又は散布された、支持シート32を含有する基材シート30の代替例を示し、ベース材料34は、疎水性材料33の上部に同様に堆積された。図4Bは、疎水性材料33が、ベース材料34によって囲まれた、上面まで拡張してもよいことを示す。疎水性材料33及びベース材料34は、いずれかのパターンにおいて堆積することができる。これらの実施形態では、疎水性材料は、染料をベース材料内に保持するための障壁又はガードとして役に立つ。着色基材がシートから除去され、適用されようとしている場合、使用者はブラシ又は指を着色領域に浸し、最終的には、堆積された着色染料を有する上層を底部の疎水性材料と混合し、それによって最終製品の防水性及び色堅牢度を高める。さらに、疎水性材料33及びベース材料34は、同じ成分/物質であってもよい。
【0072】
図5は、ベース材料64の層が堆積されたスポンジ又はフォームウェッジから作られた支持体62を含有する基材60のさらなる好ましい実施形態を示す。図6は、ベース材料74の層が堆積した円形のコットンパッド又はワイプであってもよい支持体72を含有する、基材70のさらなる好ましい実施形態を示す。これらの図は、ベース材料が、いずれかの適切な材料で作られた支持体上に、様々な位置、量、及び形状でいかにして堆積され得るかを示す。図6はまた、未使用の場合に、ベース材料74を乾燥又はUV露光から保護するために、基材70を保持することができるエンベロープ又はスリーブ75を示す。基材のサイズ及び形状に適合するいずれかの適切な形状又は材料の、いずれかの適切なエンベロープ又はスリーブを使用することができる。エンベロープ又はスリーブは、折り畳み又は接着剤などによって適切に閉じるように設計することができる。
【0073】
液体、クリーム、及び他の非固体/遊離ベース配合物のために使用されるキャリア又は基材は、好ましくは、図1又は図2に示されるもののような壁又はウェルをもつ容器であり得る。それがシート上にあった場合、ベース材料が流出する場合があった。いくつかの実施形態において、容器は、再配置及び再封止が可能な、図2に示される保護フィルム29のような気密性の取り外し可能フィルム又は蓋を有することができる。ベース材料のいくつかは空気曝露により硬化するため、早期の硬化を防ぎ、化粧品を適用する場合に曝露量を調節できることが重要である。クリームの粘度が固体側の方が高い場合には、図3に示されるようなキャリアシート上の堆積もまた、可能である。ボールベアリングなどを、混合を補助するために含有することができる。再封止可能なフィルムに加えて、キャリアはまた、取り付けられたアプリケーター又は注ぎ口を有することができる。使用者は、印刷のために再封止可能なフィルムを開き、印刷が完了した後にフィルムを再封止することができる。次いで、使用者は、完成した化粧品組成物をアプリケーター/注ぎ口から手作業で排出(押しつぶす、ねじる、など)することができる。
【0074】
さらなる好ましい実施形態は、基材又はベース材料を収容するためのケースを含有する。基材は、ケースの内部に取り外し可能に固定される、キャリア内に含有されてもよい。キャリアは、取り外し可能な接続を提供するために、摺動溝(sliding groove)又はスロット又はスリットとともに、クリップとともに、ウェッジとともに、又はいずれかの他の適切な手段を通して、磁気的に固定されてもよい。
【0075】
特定のさらなる好ましい実施形態では、本明細書に記載される化粧品配合物は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,498,974号に記載されるようなカスタマイズされた化粧品組成物を生産するための装置と併せて使用される。図7に示すように、この装置は、化粧品成分を受け取って、処理するために改造されたプリンター40の形態であってもよい。プリンター40は、レール56に沿って移動するプリンターカートリッジ48に取り付けられ得る、少なくとも1つのプリンターカートリッジ45を含有してもよい。プリンター40はまた、本明細書に記載される堆積されたベース材料を含有する、図1又は図2に示される基材シート又はキャリアのような、基材を受け入れるための開口54を有してもよく、プリンターキャリッジ48に対する関係における基材の位置決めを可能にし得る。この実施形態では、ガイド52が基材の位置決めを補助するために含有される。本明細書に記載されるような染料材料を含有する、少なくとも1つのプリンターカートリッジ45が、提供される。プリンターカートリッジ45は、印刷ヘッドを通して染料材料を基材に適用できるように、印刷ヘッド(図示せず)を用いるなどして、プリンターに動作可能に結合される。結果として生じる化粧品組成物は、ベース材料に適用されるときに染料材料を含有し、基材から除去され、人体の一部に適用することができる、転写できる材料である。プリンター40は、コンピュータ又はいずれかの適切なモバイル装置に接続されるか、又はさもなければ制御されてもよい。米国特許第9,498,974号に記載されているように、コンピュータ又はモバイル装置に、ソフトウェアをプログラムして、プリンターを制御することができる。このソフトウェアは、ベース材料の種類、その総量又は厚さ、及びその表面積に基づいて、基材上の正しい位置及び正しい量において、正しく選択された色を生成するために、染料材料の投与を制御する。
【0076】
カスタマイズされた化粧品配合物に関する好ましい実施形態では、プリンターが、化粧品製品での使用に適する本明細書に記載される染料材料を堆積する限り、いずれかの適切なプリンターを使用することができる。ある実施形態では、プリンターは、液体インク/顔料(着色剤)の様々なサイズの液滴を推進することによって動作するという点において、従来のインクジェットプリンターとして機能するインクジェットプリンターである。いわゆる「連続インクジェット」及び「ドロップ・オン・デマンド」技術を含有する、インクジェット印刷を使用することができる。これらの好ましい実施形態では、染料材料は、図7に示されるものような1つ以上のカートリッジに含有されてもよい。これらのカートリッジは、従来のプリンターカートリッジと同様に動作し、化粧品適用に適するインクを含有する。例えば、カートリッジは、以下のインク:シアン(C)、黒(K)、マゼンタ(M)、及び黄色(Y)を含有することができる。各カートリッジは、1つの色のみを保持するか、またはあるいは、1つのカートリッジは、各々が他から分離された2つ以上の色を含有することができる。プリント技術のいくつかは、4つより多いカートリッジを使用し、ライトマゼンタ及びライシアンなどの他の色のカートリッジを含有することができる。プリンターが固定型又は使い捨て型ヘッド設計であるかに応じて、カートリッジは、インクを吐出するためのプリントヘッド及びノズルを含有してもよく、又はカートリッジの内容物(インク)を受け取り、吐出するためのカートリッジに固定型プリントヘッドが近接していてもよい。
【0077】
カスタマイズされた化粧品配合物に関するさらなる好ましい実施形態では、プリンター装置を使用して、いずれの基材又はベース材料も含有しない非吸収性シート上に、染料材料を用いてイメージを印刷することができる。印刷されたイメージは、インクが濡れたままになるように、保護された又はカバーされた状態で維持される。次に、使用者は、インクが印刷イメージのパターンでベース材料に転写されるように、印刷イメージを基材又はベース材料に手作業でスタンプするか、又はさもなければ押し付けることができる。図8は、様々な染料材料部分85が印刷されており、染料材料部分85が様々な異なる色合いの色を表している、転写シート80の実施形態を示す。使用において、この転写シート80は、図3に示される基材シート30と併せて利用することができる。使用者は、染料材料部分85がベース材料34に接触し、ベース材料に転写されて、化粧品として使用するための染色されたベース材料を生成するように、基材シート30から保護フィルム38を除去し、転写シート80を基材シート30に対して押し付けることができる。特定の実施形態において、次に、保護フィルム38を基材シート30に適用して、染色された化粧品材料を保護することができる。
【0078】
本明細書に記載される好ましい実施形態は、少なくとも1つの選択された色及び選択されたパターン又は形状のインクを、未染色の基材材料上に適用するためにプリンターを使用することを含む、カスタマイズされた化粧品を調製する方法を含有し、ここで、未染色の基材材料は、雲母、ポリクアテルニウム-6、水、及び保存剤を含む成分をスラリー中に混合し、スラリーをキャリア上に噴霧し、スラリーを乾燥して未染色の基材材料を生成することによって調製される。未染色の基材材料中の成分は、さらに、トリエトキシシリルプロピルアセチルヒドロキシプロリネートを含んでもよい。保存剤は、好ましくはフェネチルアルコール、カプリルヒドロキサム酸、グリセリンの組み合わせである。好ましい実施形態において、未染色の基材材料を調製するために混合される成分は、約70重量%から約90重量%の、好ましくは約80重量%の雲母とトリエトキシシリルプロピルアセチルヒドロキシプロリネートとの組み合わせを含み、ここで、この組み合わせは、約98から99重量%の雲母と、約1から2重量%のトリエトキシシリルプロピルアセチルヒドロキシプロリネートとを含有する。未染色の基材材料を調製するために作製された混合物は、好ましくは、約10重量%から約30%重量、好ましくは約20%重量の、水を含有する溶液、約1重量%から約3重量%のポリクアテルニウム-6、好ましくは約2重量%のポリクアテルニウム-6、及び約1%の保存剤をさらに含有する。水は、脱イオン水、蒸留水又は通常の水道水とすることができる。保存剤は、好ましくは、約42から60重量%のフェネチルアルコール、約12から18重量%のカプリルヒドロキサム酸、及び約28から40重量%のグリセリンで構成される。混合後、スラリーは、約0.05重量%から約0.90重量%のポリクアテルニウム-6及び約0.10重量%から約0.30重量%の保存剤を、含有し、残りは、雲母及びトリエトキシシリルプロピルアセチルヒドロキシプロリネートの組み合わせと混合された水である。乾燥後、基材材料は、約0.06重量%から約1.26重量%のポリクアテルニウム-6、及び約0.11重量%から約0.42重量%の保存剤を含有し、残りは雲母及びトリエトキシシリルプロピルアセチルヒドロキシプロリネートの組合せである。未染色の基材材料は、好ましくは、キャリア上の厚さが約0.001mmから1mmの間である。キャリアは好ましくはいずれかの適切な非多孔性材料であり、プラスチック、ポリエステル、又はポリマーフィルムであり得る。インクは、以下の表2のものを含有する、化粧品において使用するためのが承認されたいずれかの適切な染料配合物である。プリンターは、好ましくは、使用者がイメージ、パターン、及び/又は色を選択し、未染色の基材材料に上に印刷することを可能にするアプリケーション又はソフトウェアによって制御される。好ましい実施形態において、カスタマイズされた化粧品を調製する方法は、インクが適用された後に、カスタマイズされた化粧品を保護カバーで覆う工程をさらに含む。保護カバーは、フィルム、シート、エンベロープ、又はスリーブであってもよく、好ましくは、UV放射を遮断する材料で作られ、日光保護性能を有し、又は不透明である。
【0079】
本明細書に記載されるさらなる好ましい実施形態は、インクであって、下の表2のものを含有する、化粧品での使用が承認されたいずれかの適切な染料配合物であるインクを含む、カスタマイズされた化粧品を調製するためのシステム、プリンターであって、修飾された未染色の基材材料にインクを適用するプリンター、プリンターを制御するためのアプリケーション又はソフトウェアであって、カスタマイズされた化粧品を製造するために、選択されたイメージ、パターン、又は色を修飾された未染色の基材材料に適用するためにインクを使用するようにプリンターに指示するアプリケーション又はソフトウェア及び、修飾された未染色の基材材料が堆積された1つ以上のキャリアを含有する。
【実施例
【0080】
<実施例1>
代表的な配合物と性能
本明細書に記載される好ましい実施形態において、及び以下に記載される実施例において、以下の代表的な染料配合物が使用された。これらはSensiJet(登録商標)FSE(センシエントイメージングテクノロジー(Sensient Imaging Technologies)社、スイス)の食用インクであった。
【0081】
【表2】
【0082】
これらの実施例では、染料配合物は、カチオン性又はアニオン性成分を含有するように修飾されなかった。これらの染料は、その配合により、すでに一般的なアニオン性(負)電荷を有する。
【0083】
いくつかのベース配合物又は未染色化粧品材料はまた、ポリクアテルニウム-6(「P6」)のカチオン性アンモニウム処理、及び/又は修飾されたカチオン化粘土化合物による、及びそれによらない、染料保持性について試験された。代表的な試験された配合物を、以下の表3に示す。下の表3に示されるベース配合物を、2つ以上の成分が含有される範囲で、成分が一様に化合するまで手作業で混ぜ合わせた。P6を添加する場合は、蒸留水の溶液中で添加した。試験した各配合物では、およそ0.2gから2gの未染色ベース配合物を、フリーザーペーパー、パーチメント紙、又はポリエステルのような非吸収性材料上に分配した。各ベース配合物を、異なる濃度のP6(なし、0.75%、1%、2%)を含有する溶液で試験した。20%のP6のような高い割合は、それらがベース材料を使用不能(粘着性)にするため、早期に排除された。ベース材料をP6で処理する場合は、MLAピペットデジタル(ビスタラボテクノロジー社(VistaLab Technologies)ニューヨーク州ブリュースター)を、およそ0.2から1mlの溶液をベース材料上に堆積させるために、使用した。混合物が、液体/塗料様のコンシステンシーになるように、通常、十分な溶液を添加した。次いで、溶液及びベース材料を、混合物が均一になるまで徹底的に混合し、それを一晩放置し乾燥させた。
【0084】
下記の表3のベース配合物を、蒸留水と混合してスラリーを形成し、ポリエステルのシート又はプラスチックコーティング紙の上に堆積させ、乾燥させた。シートは、具体的には、プラスチック被覆されたフリーザーペーパー(ポリエチレンコーティングを有する)(「フリーザーペーパー」)及び光/光学拡散フィルム(「ポリエステル」)を含有した。堆積されたベース配合物は、1mm未満の層を形成した。次いで、上記表2のシアン及び黄色染料の組み合わせをベース材料に適用した。染料をMLAピペットデジタル(ビスタラボテクノロジー社、ニューヨーク州ブリュースター)で堆積させた。インクジェットプリントヘッドの堆積挙動を模倣するために、2から20μLのインクをベース材料上に堆積させ、小さなプラスチックスティック又はフェルトで塗り付け/スタンプした。試験用に用意した皮膚に適用する前に、インクを少なくとも1から5分間乾燥させた。
【0085】
次いで、染色されたベース材料からできている、調製された化粧品試料を、フェイスファンデーション化粧品で前処理された皮膚の一部に適用した。それから、200μLの水の2回分を適用された化粧品試料に注ぎ、化粧品試料の目視評価を行った。色の滲み、色の汚れ、色の変化、及びエッジング(edging)を視覚的に評価した。エッジングは、水のエッジが通過した配合物においてライン/エッジが産み出される場合に発生する。化粧品試料は、その性能に関して(1)大変良い(Excellent)、(2)良い(Best)、(3)普通(Good)、及び(4)悪い(Poor)の尺度で等級分けされた。大変良い試料は、滲み、汚れ、色の変化又はエッジングを示さなかった。良い試料は、軽い滲み、汚れ、色の変化、及び/又はエッジングの例がないかまたはほとんどないことを示した。普通の試料は、軽い滲み、汚れ、色の変化及び/又はエッジングのより多くの例を示した。一貫して軽度又は重度の滲み、汚れ、色の変化、及び/又はエッジングを示した試料は悪いと見なされた。各化粧品試料を構成するベース材料の評価結果は、以下の表3の右端の欄に示されている。
【0086】
【表3】



【0087】
以上の結果から、大変良い性能のベース材料は、修飾されたカチオン化粘土化合物と組み合わせて、約1重量%で、カチオン性アンモニウム成分、すなわちポリクアテルニウム-6(例:3E、3F、2D)を、又は、カチオン性アンモニウム成分なしの修飾されたカチオン化粘土化合物(例:2D)を含有していたことがわかる。よい性能のベース材料のいくつかは、カチオン性アンモニウム成分なしの、修飾されたカチオン化粘土化合物(例えば、12A、13A、14A、及び15A)を含有した。さらなる良い性能の材料は、修飾されたカチオン化粘土化合物を含有し、同様に添加したカチオン性アンモニウム成分(P6)を有する場合(例えば、16B、17B、18B、及び19B)又は有しない場合(例えば、16A、17A、18A、及び19A)と同様の性能を有した。修飾されたカチオン化粘土材料を含有しない、良い性能を示したベース配合物(例:7A、3C、3B、4C、2C)のうち、これらの配合物は、二酸化チタン又はマグネシウム含有成分又は雲母、又はそれらの組み合わせを含有した。
【0088】
上記の表3には示されていないが、特定の粉末デンプンも試験された。アロールートでんぷん、トウモロコシ、タピオカ、米及びキノアのような粉末デンプンは全体的に悪い性能を示したにもかかわらず、この区分の中で良い性能のベース材料は、他のデンプンよりもはるかに高いレベルのマグネシウム、鉄及び蛋白質を含有するキノアであった。
【0089】
特に、カチオン性アンモニウム成分(P6)又は修飾されたカチオン化粘土化合物のいずれも含有しない、上記の表2において調製及び試験された全てのベース配合物は、悪い性能を示した。
【0090】
<実施例2>
性能の変数
化粧品配合物に関して追加の評価を行った。
【0091】
<ベース配合物を堆積するためのシートとして使用される材料>
上記の表3におけるベース配合物の評価と併せて、特定のベース配合物をスラリー中に形成し、ポリエステルシート又はフリーザーペーパーシートのいずれかの上に堆積させた。大変良い性能のベース配合物の中で、3Dはポリエステルとフリーザーペーパー上で同じく良好に性能を発揮した。3E、3F及び2Dはすべてポリエステルシートで試験され、大変良い性能を示した。7B(二酸化チタン)及び2C(ミリスチン酸マグネシウム雲母)については、良い性能はポリエステルで生じ、これらの試料はフリーザーペーパー上では低下した性能を示した。試料3C、3B、4Cはすべてフリーザーペーパー上で良い性能を、ポリエステル上で低下した性能を示した。
【0092】
このデータは、特定の傾向を示すものではなく、スラリー化されず、シート上に堆積されないベース配合物に影響を与えない。
【0093】
<非カチオン化粘土>
同様の性能試験を、ベントナイト、ヘクトライト、及びヒドロキシエチルセルロースをもつヘクトライトを含有する、非カチオン化粘土材料を用いて行った。これらの粘土材料はいずれかのカチオン性成分で修飾されなかった。すべての非カチオン化粘土は悪く働き、凝集、色の変化及び膨潤を含有する望ましくない結果を示した。
【0094】
<二酸化チタンの性能>
二酸化チタンは水分散性及び油分散性として利用できる。水分散性二酸化チタンは水に容易に混ざり、油分散性二酸化チタンは油に容易に混ざる。その違いは製品中の塩と無機物の量にある。より多い塩は、二酸化チタンを水中でより分散しやすくし、より少ない塩は、それを油でより分散しやすくする。二酸化チタンはアナターゼ型及びルチル型としても利用できる。アナターゼ型は硬度(6から6.5モースに対して5.5から6モース)及び密度(比重4.2に対して約3.9)が低い。また、ルチル型は陽性である一方、アナターゼ型は光学的に陰性であるが、その光沢はルチル型のものよりもさらにより強い金剛又は金属-金剛である。顔料に関連する粒度分布と表面電荷の両方を制御することができ、変化性と不安定性とを排除する。顔料は、サイズがより小さく、より均一な粒径分布をもつ。上記表2の、7A及び7Bのアナターゼ型(油溶性)二酸化チタン試料を、ポリエステル及びフリーザーペーパーの両方の上で試験し、ポリエステル上で良好な性能を示した。P6の2%濃度も両材料上で良好に機能した。アナターゼ型油溶性二酸化チタン(TKB)もまた、ポリエステル及びフリーザーペーパーの両方の上で、1重量%及び2重量%のP6を用いて試験した。性能は、ポリエステル上ではより良く、2%のP6よりも1%の方がより良かった。ルチル型二酸化チタンもまた、ポリエステル及びフリーザーペーパーの両方の上で1重量%及び2重量%のP6を用いて試験した。Iの性能はTKB二酸化チタンアナターゼ油溶性に匹敵し、フリーザーペーパー上では1%で良好な性能を示したが、二酸化チタンの有効性は最も低かった。
【0095】
<乳化剤>
P6の非存在下で悪い性能を示した、上記表3のベース配合物4A及び5Aを、1%の乳化剤-ポリソルベート20又はポリソルベート80のいずれかで修飾した。上に記載されたのと同様の性能試験を行った。配合物のすべては、常習的な色の滲み、着色、変化及びエッジングをともなう悪い性能を示した。よって、カチオン処理なしで乳化剤を使用することは、性能を改善しない。
【0096】
<カチオン性アンモニウム成分>
ポリクアテルニウム-6を除いた他のカチオン性アンモニウム成分を試験した。表3のベース配合物4Aを、1%の、カチオン性成分クアテルニウム-31(ジセチルジモニウムクロライド、イソプロピルアルコール)又はセトリモニウムクロライド(水を有する)で交互に修飾した。性能は悪いと見なされた。ベース配合物4A及び5Aはまた、ポリクアテルニウム-51、四級化ハチミツSA、四級化ハチミツPF、又はポリスガクォート(Poly Suga Quat)L-1010P(ポリクアテルニウム-78)を用いて、「必要に応じて」という基準で、それぞれの場合において、個別に修飾された。性能は依然として悪いと見なされた。
【0097】
<アニオン性、両性、及び非イオン性成分>
表3のベース配合物4Aを、5%の乳化剤コカミドプロピルベタイン(刺激性が弱い両性界面活性剤であるココベタイン)、ラウリル硫酸ナトリウム(陰イオン界面活性剤)、又はデシルグルコシドとラウロイル乳酸ナトリウムとの混ぜ合わせ(非イオン性の刺激性が弱い界面活性剤の混ぜ合わせ)で交互に修飾した。いずれの場合にも、性能は悪いと見なされた。
【0098】
<5%P6溶液>
3A、4A、及び7Aとして表3に示されたベース配合物を試験して、さらに1%、2%、3%、及び5%のP6溶液による処理の効果を比較した。0.20gのベース材料を1.0gから2.0gの指定されたP6溶液で処理した。同様の性能試験を行った。3Aについては、良い性能は1%と2%であり、最低の性能は5%であった。4Aについては、良い性能は2%であり、最低の性能は5%であった。7Aについては、良い性能は3%であり、最低の性能は5%であった。これは、ベース配合物を処理するための5%P6溶液の使用が、有効な結果を産み出さないことを示す。
【0099】
<実施例3>
<色安定性試験>
異なるベース配合物を調製し、それらの色褪せに抵抗する性能を試験した。試験した各配合物は、(重量で)96.5%の水、2%のP6、1%のグリセリン、及び0.5%のフェネチルアルコールから構成される湿潤成分を、グリセリン及びカプリルヒドロキサム酸(保存剤)とともに含有した。それぞれ試験された配合物の乾燥成分は以下に示される。試験した各配合物について、0.6gの乾燥成分を2.4gの湿潤成分と混合した。結果として生じるスラリーをポリエステル/マイラー/アセテートフィルム上に薄く分布させ、乾燥させた。次いで、イメージを、上記の表2で定義された染料を含有する、プリンターを用いて各乾燥基材上に印刷した。次に、基材上に印刷されたイメージを、窓の近くで3日間日光に曝露した。
【0100】
【表4】
【0101】
<実施例3>
伝導率/抵抗率
異なるベース配合物を調製し、それらの伝導率及び抵抗率を試験した。抵抗(Ω)はスペリー(Sperry)DM-4400A 3-1/2 Digitハンドヘルドデジタルマルチメータを用いて測定した。伝導率(μS/cm)はオーハウス(OHAUS) ST-20M-B pH、伝導率、温度、TDS水分析、ペン型計量器(伝導率範囲:0-1999μS/cm)を用いて測定した。試験された各配合物は、選択された濃度のP6(0%、1%、2%、3%、4%、5%)を含有する溶液と混合されたベース材料配合物を含有した。全ての溶液は、P6及び脱イオン水(タイプII、最終的に0.2μS/cmの伝導率で濾過される)を含有する、25gの重量であった。P6の各溶液の抵抗測定値を以下の表5に示す。
【0102】
【表5】
【0103】
2つの異なるベース材料を用いた。ベースAは、上記の表3において5Aとして標識されたベース配合物であった。それは雲母(20から50%)、二酸化チタン(5から30%)、酸化亜鉛(10から40%)、シリカ(5から30%)を含んだ。ベースBは雲母(98から99%)及びトリエトキシシリルプロピルアセチルヒドロキシプロリネート(1から2%)を含んだ。各試験されたベースについて、1.5gの乾燥ベース配合物を6グラムの各P6溶液(0%、1%、2%、3%、4%、5%)に添加し、材料を、成分が一様に化合し、均一になるまで手作業で混ぜ合わせた。伝導率/抵抗測定は、混合物がまだ湿潤スラリー形態である間に行われた。その結果を以下の表6及び表7に示す。
【0104】
【表6】
【0105】
【表7】
【0106】
次いで、スラリーを約0.2から2gの量で被覆された、非吸収性紙のシート上に堆積させ、一晩乾燥させた。乾燥、堆積されたベース材料は1mm未満の層を形成した。伝導率/抵抗測定が行われた。次に、上記表2のシアン及び黄色染料の組み合わせをベース材料に適用した。染料をMLAピペットデジタル(ビスタラボテクノロジー社、ニューヨーク州ブリュースター)で堆積させた。インクジェットプリントヘッドの堆積挙動を模倣するために、2から20μLのインク(センシジェット)をベース材料上に堆積させ、小さなプラスチックスティック又はフェルトで塗り付け/スタンプした。試験用に用意した皮膚に適用する前に、インクを少なくとも1から5分間乾燥させた。表3の評価に関して上に記載されたのように試験を実施した。染料の抵抗測定値を以下の表8に示す。ベース配合物の伝導率/抵抗測定及び染料保持試験の結果を以下の表9及び表10に示す。
【0107】
【表8】
【0108】
【表9】
【0109】
【表10】
【0110】
結果は、本質的に、ベース配合物と混合された溶液中で最も好ましいP6の量が約1%から約3%の範囲の量であることを確認する。特にベースBは0%のP6において悪い性能を示したが、1から2%のP6溶液を用いる場合、大変良い性能を示した。5%のP6溶液と混合したベース配合物はインク保持に関して有効な結果をもたらさなかった。さらにまた、保持試験における伝導率及び/又は抵抗率とベースの性能との間には特に対応はない。
【0111】
<参考文献>
以下の内容は、参照により本明細書に組み込まれる:
米国特許第9,498,974号
WO2015/186583
WO2014/135915
米国特許出願公開第2018/0027950号
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】