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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】チオアミド含有構成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/54 20170101AFI20220111BHJP
【FI】
A61K47/54
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021526446
(86)(22)【出願日】2019-11-13
(85)【翻訳文提出日】2021-07-12
(86)【国際出願番号】 US2019061173
(87)【国際公開番号】W WO2020102348
(87)【国際公開日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】62/767,151
(32)【優先日】2018-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521206051
【氏名又は名称】ノリア・セラピューティクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NORIA THERAPEUTICS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ディマーニョ,スティーブン
【テーマコード(参考)】
4C076
【Fターム(参考)】
4C076AA94
4C076CC41
4C076DD55
4C076EE59
4C076FF31
(57)【要約】
本明細書には、チオアミド結合を特徴とするアルブミン標的部分を調製するための構成物および方法が提供されている。アルブミン標的分子を用いて、インビボでの薬理学と生体内分布が改善された薬物を生成する方法が記載されている。これらのチオアミド結合アルブミン標的部分を組み込んだ治療用化合物が開示されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
[式中、R1は、H、C1-C6アルキルまたは保護基であり;
R2は、H、C1-C6アルキルまたは保護基であり;
R3は、H、C1-C6アルキルまたは保護基であり;
Xは、治療薬であり;そして
nは、0、1、2、3、4または5である]
で示される化合物またはその薬学的に許容できる塩。
【請求項2】
nが、2または3である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式(I)で示される化合物が、式(II):
【化2】
[式中、R1は、H、C1-C6アルキルまたは保護基であり;
R2は、H、C1-C6アルキルまたは保護基であり;
R3は、H、C1-C6アルキルまたは保護基であり;
L1は、天然アミノ酸、非天然アミノ酸または(X)q-(Y)r-(Z)sであり、ここで、Xは、C1-C30アルキルであり、Yは、C10-C30ヘテロ芳香族であり、そして、Zは、C1-C12アルキルであり、ここで、L1のアルキル基におけるメチレン基のいずれかは、-O-、NHまたはカルボニルと置き換わっていてもよく;
R4は、H、C1-C6アルキルまたは保護基であり;
R5は、H、C1-C6アルキルまたは保護基であり;
R6は、治療薬またはキレート剤であり;
R7は、H、C1-C6アルキルまたは保護基であり;
R8は、H、C1-C6アルキルまたは保護基であり;
L2は、結合、-N(R9)-C1-C12アルキル-C(O)-、-N(R9)-C4-C30アルキルシクロアルキル-C(O)-C7-C30アルキルアリール-C(O)-、または-N(R9)-C7-C30アルキルアリール-C(O)NH-C7-C30アルキルアリール-C(O)NH-CH(CO2H)-C1-C12アルキル-NHC(O)-C1-C12アルキル-C(O)-であり、ここで、C7-C30アルキルアリールは、場合によりハロまたはヒドロキシルによって置換されていてよく;
nは、0、1、2、3、4または5であり;
mは、0、1、2、3、4または5であり;
pは、0、1、2、3、4または5であり;
qは、0または1であり;
rは、0または1であり;そして
sは、0または1である]
で示される化合物である、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容できる塩。
【請求項4】
nが、3である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
L1が、X-Y-Zであり、ここで、Xは、
【化3】
であり;
Yは、
【化4】
であり;
Zは、C1-C12アルキルであり、ここで、そのアルキル基におけるメチレン基のいずれかは、NHまたはカルボニルと置き換わっていてもよい、請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
L1が、Zであり、ここで、
Zは、C1-C12アルキルであり、ここで、そのアルキル基おけるメチレン基のいずれかは、NHまたはカルボニルと置き換わっていてもよい、請求項3に記載の化合物。
【請求項7】
Zが、
【化5】
である、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
キレート剤が、
【化6】
である、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
L2が、-N(R9)-C1-C12アルキル-C(O)-である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
L2が、
【化7】
である、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
L2が、-N(R9)-C4-C30アルキルシクロアルキル-C(O)-C7-C30アルキルアリール-C(O)-である、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
L2が、
【化8】
である、請求項12に記載の化合物。
【請求項13】
L2が、-N(R9)-C7-C30アルキルアリール-C(O)NH-C7-C30アルキルアリール-C(O)NH-CH(CO2H)-C1-C12アルキル-NHC(O)-C1-C12アルキル-C(O)-であり、ここで、C7-C30アルキルアリールは、場合によりハロまたはヒドロキシルによって置換されていてよい、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
L2が、
【化9】
である、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
L2が、
【化10】
である、請求項13に記載の化合物。
【請求項16】
式(I)で示される化合物が、式(III):
【化11】
[式中、R1は、H、C1-C6アルキルまたは保護基であり;
R2は、H、C1-C6アルキルまたは保護基であり;
R3は、H、C1-C6アルキルまたは保護基であり;
L1は、天然アミノ酸、非天然アミノ酸または(X)q-(Y)r-(Z)sであり、ここで、Xは、C1-C20アルキルであり、Yは、C10-C30アリールであり、そして、Zは、C1-C12アルキルであり、ここで、L1のアルキル基におけるメチレン基のいずれかは、-O-、NH、カルボニルまたはチオカルボニルと置き換わっていてもよく;
R4は、H、C1-C6アルキルまたは保護基であり;
R5は、H、C1-C6アルキルまたは保護基であり;
R6は、治療薬またはキレート剤であり;
R7は、H、C1-C6アルキルまたは保護基であり;
R8は、H、C1-C6アルキルまたは保護基であり;
R9は、H、C1-C6アルキルまたは保護基であり;
R10は、H、C1-C6アルキルまたは保護基であり;
L2は、C1-C30アルキル-C3-C18ヘテロアリール-C6-C18アリールであり、ここで、そのアルキル基におけるメチレン基のいずれかは、-O-と置き換わっていてもよく;
nは、0、1、2、3、4または5であり;
mは、0、1、2、3、4または5であり;
pは、0、1、2、3、4または5であり;
qは、0または1であり;
rは、0または1であり;そして
sは、0または1である]
で示される化合物である、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容できる塩。
【請求項17】
nが、3である、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
L1が、X-Y-Zであり、ここで、
Xは、
【化12】
であり、
Yは、C10-C30アリールであり;そして
Zは、C1-C12アルキルであり、ここで、そのアルキル基におけるメチレン基のいずれかは、NHまたはカルボニルと置き換わっていてもよい、請求項16に記載の化合物。
【請求項19】
キレート剤が、
【化13】
である、請求項16に記載の化合物。
【請求項20】
L2が、
【化14】
である、請求項16に記載の化合物。
【請求項21】
式(IV):
【化15】
[式中、R1は、H、C1-C6アルキルまたは保護基であり;
R2は、H、C1-C6アルキルまたは保護基であり;そして
nは、0、1、2、3、4または5である]
で示される化合物またはその薬学的に許容できる塩。
【請求項22】
nが、2または3である、請求項1に記載の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年11月14日出願の米国仮特許出願62/767,151の優先権の利益を主張する。この関連出願の全内容は、引用により本明細書に包含される。
【0002】
本発明は一般に、修飾薬に関し、より詳細にはチオアミド修飾薬に関する。
【背景技術】
【0003】
現在、治療薬の血清中の寿命を延ばすためにいくつかの戦略が用いられており、それには、ペプチドまたはポリペプチド薬のペプチド配列や二次構造を変更し、プロテアーゼ活性を最小限にすることなどが挙げられる。生体分子の半減期を延ばすための別のアプローチとして、PEG化がある。さらに別のアプローチとして、薬物にアルブミン標的部分を導入することがある。
【発明の概要】
【0004】
本明細書は、アルブミン標的部分として有用なチオアミド修飾アミノ酸を提供する。本明細書のこれらの化合物は、対応するアミド修飾化合物と比較して、調整可能な(そして異なる)アルブミン結合性および向上したインビボ安定性を提供する。
【0005】
第一の態様において、本明細書には、以下に開示されるチオアミドを含有する構成物が開示される。実施態様において、とりわけ、アルブミン標的物質として有用である。
【0006】
第一の態様において、本明細書は、式(I):
【化1】
[式中、R1は、H、C1-C6アルキルまたは保護基であり;
R2は、H、C1-C6アルキルまたは保護基であり;
R3は、H、C1-C6アルキルまたは保護基であり;
Xは、治療薬であり;そして
nは、0、1、2、3、4または5である]
で示される化合物またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
【0007】
実施態様において、nは、2または3である。
【0008】
実施態様において、式(I)で示される化合物は、(II):
【化2】
[式中、R1は、H、C1-C6アルキルまたは保護基であり;
R2は、H、C1-C6アルキルまたは保護基であり;
R3は、H、C1-C6アルキルまたは保護基であり;
L1は、天然アミノ酸、非天然アミノ酸または(X)q-(Y)r-(Z)sであり、ここで、Xは、C1-C30アルキルであり、Yは、C10-C30ヘテロ芳香族であり、そして、Zは、C1-C12アルキルであり、ここで、L1のアルキル基におけるメチレン基のいずれかは、-O-、NHまたはカルボニルと置き換わっていてもよく;
R4は、H、C1-C6アルキルまたは保護基であり;
R5は、H、C1-C6アルキルまたは保護基であり;
R6は、治療薬またはキレート剤であり;
R7は、H、C1-C6アルキルまたは保護基であり;
R8は、H、C1-C6アルキルまたは保護基であり;
L2は、結合、-N(R9)-C1-C12アルキル-C(O)-、-N(R9)-C4-C30アルキルシクロアルキル-C(O)-C7-C30アルキルアリール-C(O)-、または-N(R9)-C7-C30アルキルアリール-C(O)NH-C7-C30アルキルアリール-C(O)NH-CH(CO2H)-C1-C12アルキル-NHC(O)-C1-C12アルキル-C(O)-であり、ここで、C7-C30アルキルアリールは、場合によりハロまたはヒドロキシルによって置換されていてよく;
nは、0、1、2、3、4または5であり;
mは、0、1、2、3、4または5であり;
pは、0、1、2、3、4または5であり;
qは、0または1であり;
rは、0または1であり;そして
sは、0または1である]
で示される化合物またはその薬学的に許容できる塩である。
【0009】
実施態様において、nは、3である。
【0010】
実施態様において、L1は、X-Y-Zであり、ここで、Xは、
【化3】
であり;
Yは、
【化4】
であり;
Zは、C1-C12アルキルであり、ここで、そのアルキル基におけるメチレン基のいずれかは、NHまたはカルボニルと置き換わっていてもよい。
【0011】
実施態様において、L1はZであり、ここで:
Zは、C1-C12アルキルであり、ここで、そのアルキル基におけるメチレン基のいずれかは、NHまたはカルボニルと置き換わっていてもよい。
【0012】
実施態様において、Zは、
【化5】
である。
【0013】
実施態様において、キレート剤は、
【化6】
である。
【0014】
実施態様において、L2は、-N(R9)-C1-C12アルキル-C(O)-である。
実施態様において、L2は、である。
【0015】
実施態様において、L2は、-N(R9)-C4-C30アルキルシクロアルキル-C(O)-C7-C30アルキルアリール-C(O)-である。
【0016】
実施態様において、L2は、
【化7】
である。
【0017】
実施態様において、L2は、-N(R9)-C7-C30アルキルアリール-C(O)NH-C7-C30アルキルアリール-C(O)NH-CH(CO2H)-C1-C12アルキル-NHC(O)-C1-C12アルキル-C(O)-であり、ここで、C7-C30アルキルアリールは、場合によりハロまたはヒドロキシルによって置換されていてよい。
【0018】
実施態様において、L2は、
【化8】
である。
【0019】
実施態様において、L2は、
【化9】
である。
【0020】
実施態様において、式(I)で示される化合物は、式(III):
【化10】
[式中、R1は、H、C1-C6アルキルまたは保護基であり;
R2は、H、C1-C6アルキルまたは保護基であり;
R3は、H、C1-C6アルキルまたは保護基であり;
L1は、天然アミノ酸、非天然アミノ酸または(X)q-(Y)r-(Z)sであり、ここで、Xは、C1-C20アルキルであり、Yは、C10-C30アリールであり、そして、Zは、C1-C12アルキルであり、ここで、L1のアルキル基におけるメチレン基のいずれかは、-O-、NH、カルボニルまたはチオカルボニルと置き換わっていてもよく;
R4は、H、C1-C6アルキルまたは保護基であり;
R5は、H、C1-C6アルキルまたは保護基であり;
R6は、治療薬またはキレート剤であり;
R7は、H、C1-C6アルキルまたは保護基であり;
R8は、H、C1-C6アルキルまたは保護基であり;
R9は、H、C1-C6アルキルまたは保護基であり;
R10は、H、C1-C6アルキルまたは保護基であり;
L2は、C1-C30アルキル-C3-C18ヘテロアリール-C6-C18アリール、ここで、そのアルキル基におけるメチレン基のいずれかは、-O-と置き換わっていてもよく;
nは、0、1、2、3、4または5であり;
mは、0、1、2、3、4または5であり;
pは、0、1、2、3、4または5であり;
qは、0または1であり;
rは、0または1であり;そして、
sは、0または1である]
で示される化合物またはその薬学的に許容できる塩である。
【0021】
実施態様において、nは3である。
【0022】
実施態様において、L1は、X-Y-Zであり、ここで、Xは、
【化11】
であり;
Yは、C10-C30アリールであり;そして、
Zは、C1-C12アルキルであり、ここで、そのアルキル基におけるメチレン基のいずれかは、NHまたはカルボニルと置き換わっていてもよい。
【0023】
実施態様において、キレート剤は、
【化12】
である。
【0024】
実施態様において、L2は、
【化13】
である。
【0025】
実施態様において、式(II)および(III)で示される化合物は、治療薬として提供される。実施態様において、本発明化合物は、アルブミン標的部分、PMSA標的部分、および薬物部分またはキレート剤部分を含む。実施態様において、4-ヨードフェニル部分は、アルブミン標的部分であり、尿素(または尿素誘導体)は、PMSA標的部分であり、そして、R6は、薬物部分またはキレート剤部分である。PMSA標的部分、および薬物部分またはキレート剤部分は、非治療的結合部分によってアルブミン標的基に結合し得る。実施態様において、結合部分は、PEG鎖からなり得る。他の実施態様において、この結合部分は、PEGおよびアルキル基の混成基である。いくつかの実施態様において、この結合部分は、PMSA-結合基を含有しない治療薬に結合する。実施態様において、治療薬は、アルブミン結合基のリジン部分のN-末端でアルブミン結合基に結合する。実施態様において、この結合基は、アルブミン標的基のリジン部分のN-末端の求核付加を介して、結合部分上の脱離基に隣接する原子に結合する。いくつかの実施態様において、この脱離基は、結合基のカルボニルに共有結合で結合しているN-ヒドロキシスクシンイミドである。
【0026】
別の態様において、本明細書は、式(IV):
【化14】
[式中、R1は、H、C1-C6アルキルまたは保護基であり;
R2は、H、C1-C6アルキルまたは保護基であり;そして
nは、0、1、2、3、4または5である]
で示される化合物またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
ある実施態様において、nは、2または3である。
【0027】
詳細な説明
本明細書には、とりわけ、イメージングおよび治療モダリティのためのアルブミン結合剤として有用なチオアミド含有構成物が開示される。
【0028】
実施態様において、本発明のチオアミド含有構成物は、前立腺特異的膜抗原(PSMA)に高親和性で結合し、WO2018/098390およびWO2013/028664に開示されているPSMA結合化合物に類似しており、これらの内容は、引用によりそのすべてが本明細書に包含される。
【0029】
実施態様において、本明細書による構成物は、US2018/0066298に開示されているチオアミド含有化合物について教示されている方法に類似する方法に使用することができ、その内容は、引用によりそのすべてが本明細書に包含される。
【0030】
実施態様において、本明細書では、リジンまたはオルニチンおよびアルブミン標的基を含む修飾薬であって、リジンまたはオルニチンが、チオアミド部分(すなわち、チオアミド結合)によってアルブミン標的基に結合している修飾薬を提供する。特定の実施態様において、チオアミド結合は、アミド結合と比較して、インビボでの加水分解に対してより安定である。特定の実施態様において、アミド結合と比較して、ペプチダーゼ活性に対してより安定である。特定の実施態様において、本発明の化合物は、リジンまたはオルニチンがアミド結合によってアルブミン標的基に結合している対応する化合物よりも、高いインビボでの安定性を有している。当業者は、当技術分野で知られている技術を用いて、リジンまたはオルニチン部分に薬物を結合することができる。
【0031】
定義
化合物または医薬構成物の「治療有効量」とは、特定の障害または疾患の症状を予防、抑制、軽減または処置するのに有効な量を意味すする。
【0032】
「薬学的に許容できる」とは、連邦または州政府の規制当局による承認、または動物、より具体的にはヒトでの使用について、米国薬局方またはその他の一般に認められている薬局方にリストされていることを示す。
【0033】
「担体」とは、例えば、希釈剤、アジュバント、防腐剤(例えばチメロサール、ベンジルアルコール)、抗酸化剤(例えばアスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム)、可溶化剤(例えばツイン80、ポリソルベート80)、乳化剤、緩衝液(例えばトリスHCL、アセテート、ホスフェート)、増量物質(bulking substance)(例えばラクトース、マンニトール)、賦形剤、助剤またはビヒクルを意味し、本発明の活性物質はこれらと一緒に投与される。薬学的に許容できる担体は、水や油などの無菌液体であることがあり、石油油、動物油、植物油、合成由来の油、例えばピーナツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油などなどが挙げられる。水または水性食塩水溶液および水性デキストロースおよびグリセロール溶液は、好ましくは、担体、特に注射可能な溶液として使用される。本発明の構成物は、ポリ乳酸、ポリグリコール酸などの高分子化合物の粒子製剤、またはリポソームもしくはミセルなどに組み込むことができる。このような構成物は、本発明の医薬組成物の成分の物理的状態、安定性、インビボ放出速度およびインビボクリアランス速度に影響を与えることができる。本発明の医薬組成物は、例えば、液体形態で調製されてもよく、乾燥粉末形態(例えば凍結乾燥粉末形態)で調製されてもよい。適当な医薬担体は、"Remington's Pharmaceutical Sciences" by E. W. Martin (Mack Publishing Co., Easton, Pa.); Gennaro, A. R., Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition, (Lippincott, Williams and Wilkins), 2000; Liberman, et al., Eds., Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York, N.Y., 1980; and Kibbe, et al., Eds., Handbook of Pharmaceutical Excipients (3.sup.rd Ed.), American Pharmaceutical Association, Washington, 1999.に記載されている。
【0034】
[強化された結合」とは、少なくとも2つの分子間の結合であって、少なくとも1つの分子がそのネイティブな状態から変化することで、2つの分子間の結合親和性がより高くなる結合を意味する。例えば、分子Aは、分子Bと結合してないか、または弱く結合しているが、分子Aに、親和性タグを付加した非天然アミノ酸を導入するなどして分子Aを修飾すると(A')、分子A'は分子Bとより高い親和性で結合する。本発明の方法および構成物において、分子A’は、アルブミン結合タグを有する非天然アミノ酸で修飾されたポリペプチド、例えばNε-(4-(4-ヨードフェニル)ブタノイル)リジンであり、そして、分子Bは、アルブミン、例えばヒト血清アルブミンである。強化された結合は、表面プラズモン共鳴による親和性の測定や直接結合アッセイなど、さまざまな手法で測定することができる。
【0035】
用語「単離された」、「精製された」、「生物学的に純粋な」とは、本来の状態では通常含まれている成分を実質的または本質的に含まない物質を意味する。
【0036】
用語「対象」とは、哺乳動物を意味する。したがって、対象とは、例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、モルモットなどを意味する。好ましくは、対象はヒトである。対象がヒトの場合、本明細書では、対象を患者と称することがある。
【0037】
本発明の様々な方法論は、値、レベル、特徴、特性、性質などを、本明細書で互換的に「適切な対照」と称される「適当な対照」と比較することを含む工程を含む。「適当な対照」または「適切な対照」とは、比較の目的に有用な、当業者によく知られている対照または基準のことである。一実施態様において、「適当な対照」または「適切な対照」は、本明細書に記載されるように、方法論を実行する前に決定される値、レベル、特徴、特性、性質などのことである。
【0038】
本明細書に使用される「非天然」アミノ酸とは、自然界に存在しないアミノ酸(新規合成アミノ酸)、または自然界に存在するが、タンパク質内には天然に存在しないアミノ酸(天然であるが、非タンパク質性のアミノ酸)を意味する。
【0039】
用語「チオイル」とは、硫黄原子との二重結合を有する炭素原子として従来から示されている2価の化学官能基を意味する。
【0040】
本明細書で使用される「薬物」とは、少なくとも1つの薬学的活性化合物を含有する医薬製剤を意味する。一実施態様において、薬学的活性化合物は、1500Daまでの分子量を有し、および/あるいは、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはその断片、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、またはこれらの薬学的活性化合物の混合物である。
【0041】
チオアミド結合を含有する化合物
ある態様において、本明細書には、アルブミン標的基を含む化合物が開示される。「アルブミン標的基」、「アルブミン標的分子」または「アルブミン標的タグ」は、ポリペプチドなどの第2分子に組み込まれている低分子であり、その低分子が第2分子に指向させ、インビトロ、好ましくはインビボでアルブミンと会合させる。このような会合は、アルブミンとアルブミン標的タグとの間の結合相互作用を含む。
【0042】
本明細書で使用される用語「薬物」とは、少なくとも1つの薬学的活性化合物を含有する医薬製剤を意味する。一実施態様において、薬学的活性化合物は、1500Daまでの分子量を有し、および/あるいは、それは、ペプチド、タンパク質、多糖、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはその断片、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、またはこれら薬学的活性化合物の混合物である。
【0043】
薬物は、例えば、実施態様に開示される抗炎症性薬を含むことができ、該薬は、抗炎症性物質、例えば、USSN12/351,417に開示されている抗炎症性物質である。本明細書で使用される「抗炎症性治療剤」とは、炎症性疾患またはそれに関連する症状を処置するための化合物を意味する。抗炎症性治療剤には、非ステロイド性抗炎症性薬(NSAIDs;例えば、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、サリチル酸メチル、ジフルニサル、インドメタシン、スリンダク、ジクロフェナク、ケトプロフェン、ケトロラク、カルプロフェン、フェノプロフェン、メフェナム酸、ピロキシカム、メロキシカム、メトトレキサート、セレコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、エトリコキシブおよびニメスリド)、コルチコステロイド(例えば、プレドニゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、コルチゾン、デキサメサゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、トラムシノロン(tramcinolone)およびフルチカゾン)、ラパマイシン、rho-キナーゼ阻害物質、ウイルスCC-ケモカイン阻害物質(vCCIs)、グルココルチコイド、ステロイド、ベータ-アゴニスト、抗コリン作動剤、メチルキサンチン、スルファサラジン、ダプソン、ソラレン、タンパク質、ペプチド、DMARDs、グルココルチコイド、メトトレキサート、スルファサラジン、クロリキーン(chloriquine)、金、金塩、銅、銅塩、ペニシラミン、D-ペニシラミン、シクロスポリン、リポキシン、分解物質および保護物質があるが、これらに限定されない。
【0044】
特定の実施態様において、抗炎症性治療剤は、タンパク質、ペプチド、NSAIDs、DMARDs、グルココルチコイド、メトトレキサート、スルファサラジン、クロリキーン(chloriquine)、金、金塩、銅、銅塩、ペニシラミン、D-ペニシラミン、シクロスポリンおよびデキサメサゾンからなる群から選択される。抗炎症性治療剤はまた、The Pharmacological Basis of Therapeutics, 10th ed., Gilman et al., eds., McGraw-Hill Press (2001) and Remington's Pharmaceutical Science's, 18th ed. Easton: Mack Publishing Co. (1990)に提供されている。
【0045】
他の薬物には、例えば、鎮痛薬、抗脱毛薬、抗狭心症薬、抗菌物質、抗うつ薬、抗真菌薬、抗高血圧薬、抗がん薬、解熱薬、抗精神病薬、抗不安薬、気管支拡張薬、グルココルチコイド、免疫抑制薬、アセチルサリチル酸、アルファ-心房性ナトリウム利尿ペプチド、アルギニンバソプレシン、アトロピン、オーグメロセン、アトルバスタチン、アバスチン、カルシトニン、クロルヘキシジン、絨毛性ゴナドトロピン、副腎皮質刺激ホルモン、デスモプレシン、エピバチジン、アービタックス、エキセナチド、ハーセプチン、ヒュミラ、ヒューマリン、ケトコナゾール、ランレオチド、ルトロピンα、メトプロロール、ミノキシジル、ネシリチド、オクトレオチド、パクリタキセル、パラセタモール、ペガプタニブ、組換え卵胞刺激ホルモン、組換え増殖因子、レミケード、リツキサン、セルモレリン、ソマトトロピン、タキサン誘導体、タキソール、テリパラチドアセテート、チロトロピン、トリクロサン、ウロフォリトロピン、ゾレア、アクチノマイシンD、アルベンダゾール、アルドステロン、アルプラゾラム、アミオダロン、アミトリプチリン、アンプレナビル、アシマドリン、アトルバスタチン、ブニトロロール、ブスピロン、カンプトテシン、カルバマゼピン、カルベジロール、セリプロロール、シクロスポリンA、シメチジン、クロトリマゾール、コルヒチン、コルチゾン、ダウノルビシン、デブリソキン、ジアゼパム、ジギトキシン、ジゴキシン、ジルチアゼム、ドセタキセル、ドンペリドン、ドキソルビシン、エファビレンツ、エピルビシン、エリスロマイシン、エルゴタミン、エストラジオール、エストラジオールグルクロニド、エルロチニブ、エトポシド、フェニトイン、フェンタニル、フェロジピン、フェノチアジン、フェキソフェナジン、フルオロキノロン、フルオロウラシル、FK-506、ゲンタマイシン、グリセオフルビン、イマチニブ、インジナビル、イトラコナゾール、イベルメクチン、ケトコナゾール、ケンペロール、レボフロキサシン、リドカイン、ロペラミド、ロサルタン、ロバスタチン、メベンダゾル、メチルプレドニゾロン、メトトレキサート、ミベフラジル、ミダゾラム、ニソルジピン、モルヒネ、ネルフィナビル、ニカルジピン、ニトレンジピン、ニフェジピン、オンダンセトロン、パクリタキセル、ペンタゾシン、プラジカンテル、プレドニゾロン、プレドニゾン、ケルセチン、キニジン、ラニチジン、ラパマイシン、リファブチン、リファンピシン、リトナビル、サキナビル、シロリムス、スルファメチゾール、タクロリムス、タモキシフェン、タリノロール、テニポシド、テルフェナジン、テトラサイクリン、トポテカン、トリアムシノロン、バルスポダール、ベラパミル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ゾピクロン、ヘルビシド、インセクチシド、殺菌剤、アンチエイジング製品、抗アクネ製品、フェイシャルケア製品、顔料化粧品、化粧品(cosmetical)、パーソナルケア製品、日焼け止め/サンケア用製品、歯牙クリーナー、歯磨き粉またはすすぎ用製品、シャンプー用製品、香料、ヘア製品、食品添加物、精油、メンタピペリタ油(Mentha piperita oil)、タイム油(Thyme oil)、桂皮油、オイゲノール、レモン油、クルクミン、葉酸、4-アミノ安息香酸、ナイアシンまたはビタミンB3、パントテン酸またはビタミンB5、チアミンモノホスフェート、チアミンピロホスフェート、チアミントリホスフェート、アスコルビン酸、プテロイルポリグルタミン酸、フォリン酸、ニコチン酸、ヒアルロン酸、チオクト酸、p-クマル酸、コーヒー酸、ビタミンA、D、E、K族およびそれらの誘導体、リン脂質、カロテノイド、脂肪酸、オメガ-3脂肪酸、タラ肝油(cod liver oil)、リノレン酸、アミノ酸、フィトスタノール、フィトステロール、ポリフェノール、クロルヘキシジン、ウシ血清アルブミンおよびこれらの混合物があるが、これらに限定されない。
【0046】
実施態様において、キレート剤は、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラ酢酸(DOTA)、1,4,7-トリアザ-シクロ-ノナン-1,4,7-三酢酸(NOTA)、1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4-二酢酸(NODA)またはジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)である。
【0047】
アルブミンを標的とする薬物の選択は、当業者により決定することができる。ポリペプチド治療薬の場合、その機能は血清アルブミンに結合することで、例えば、治療用ポリペプチドの血清中での半減期を長くすることができるだろう。これらの実施態様は、ポリペプチドのアルブミン標的化に関する。治療用ポリペプチドの一般的な例として、抗体、キメラ抗体、モノクローナル抗体、一本鎖抗体、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv、およびscF、Fc融合、抗凝血剤、血液因子、骨形成タンパク質、改変タンパク質足場(engineered protein scaffold)、酵素、増殖因子、ホルモン、インターフェロン、インターロイキン、および血栓溶解剤が挙げられるが、これらに限定されない。治療用ペプチドの他の例として、サケカルシトニン;β-インターフェロン;インターフェロン;ベラグルセラーゼ(veraglucerase)-;タリグルセラーゼ(taliglucerase)-;グルカルピダーゼ(例えば、メトトレキサート毒性処置用);エロスルファーゼ(elosulfase)-(例えば、モルキオ症候群処置用);アルデスロイキン;アナキンラ;インスリンリスプロ;ウリカーゼ(例えば、痛風結節処置用);パリフェルミンが挙げられる。
【0048】
薬物含有チオアミド構成物は、いずれかの所望の適切な手段で投与することができる。インビボでの送達(すなわち、関節炎または他の炎症性疾患を有する対象への送達)のためには、生体適合性があり、好ましくは生分解性および非免疫原性がある送達システムが望ましい。さらに、治療有効量の化合物を生理学的に許容できる担体で提供することが望まれる。個体への注射は、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、関節内で行うか、または、例えば、局所領域に直接行うことができる。また、シロップ、エリキシル剤、液体、錠剤、ピル、持続放出カプセル、エアロゾル、経皮パッチ、注射、点滴、軟膏などを用いてインビボでの送達を行うこともできる。
【実施例
【0049】
以下の例は、説明のために提供されるものであり、本開示をいかなる方法でも限定することを意図するものではない。当業者であれば、基本的に同じ結果が得られるように変更できる様々な非重要パラメータを容易に認識できるだろう。
【0050】
実施例1:チオアミド含有構成物の合成
チオアミド含有構成物は、以下の合成スキームを用いて調製する:
【化15】
【0051】
3-(4-ヨードフェニル)プロパン酸の合成:
【化16】
【0052】
3-フェニルプロパン酸(20.0g, 133.18mmol)、H5IO6(6.18g, 26.68mmol)、ヨウ素(14.54g, 57.3mmol)、10M H2SO4(5.0mL)の混合物に、水(36mL)および酢酸(166mL)を添加し、混合物を70℃で19時間加熱した。反応混合物を冷却し、蒸発乾固した。残留物をEtOAc(300mL)に溶解し、Na2S2O3(2×200mL)、塩水(2×200mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、黄色の固形物を残した。粗生成物を、0℃でEtOAc/ヘキサンから沈殿させ、表題化合物を淡黄色の固形物(15.0g, 42%)として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 10.7 (s(br), 1 H), 7.63 (d, J = 8.2 Hz, 2 H), 6.99 (d, J = 8.2 Hz, 2 H), 2.92 (t, J = 7.6 Hz, 2 H), 2.68 (t, J = 7.6 Hz, 2 H).
【0053】
2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3-(4-ヨードフェニル)プロパノエイトの合成:
【化17】
【0054】
窒素雰囲気下、3-(4-ヨードフェニル)プロパン酸(9.40g, 34mmol)をジクロロメタン(100mL)に溶解し、N-ヒドロキシスクシンイミド(6.0g, 51.1mmol, 1.5eq)を添加した。混合物を0℃に冷却した後、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC, 10.55g, 51.1mmol, 1.5eq)のジクロロメタン溶液を滴下した。反応混合物を、室温で6時間攪拌し、濾過し、濾液を蒸発乾固した。残留物を、ストレート(CH2Cl2/メタノール)を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。適切な画分を蒸発させ、表題の化合物(10.98g, 86.5%)を白色の固形物として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.65 (d, J = 8.2 Hz, 2 H), 7.14 (d, J = 8.2 Hz, 2 H), 3.01 (t, J = 6.84 Hz, 2 H), 2.91 (d, J = 6.96 Hz, 2 H), 2.81 (s, 4 H).
【0055】
N2-(tert-ブトキシカルボニル)-N6-(4-(4’-ヨードフェニル)プロパノイル)-L-リジンの合成:
【化18】
【0056】
精製された窒素雰囲気下、2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3-(4-ヨードフェニル)プロパノエイト(2g, 5.36mmol, 1.06eq)を20mLに溶解し、N2-(tert-ブトキシカルボニル)-L-リジン(1.35g, 5.04mmol)で処理した。混合物を0℃に冷却し、DIPEA(0.88ml, 5.04mmol)を滴下した。5時間後、室温で溶媒を除去し、表題化合物を、塩基性、続いてpH3.5の水とCH2Cl2で抽出して単離した。最終の有機抽出物を一緒にし、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、無色の固形物(80.0%)を残した。
1H NMR (400 MHz, CD3CN) δ 7.65 (d, J = 8.3 Hz, 2 H), 7.04 (d, J = 8.3 Hz, 2 H), 6.36 (t, 1 H, NH), 5.62 (d, J = 7.1 Hz, 1 H, NH), 4.02 (dd, 1 H), 3.11 (m, 2 H), 2.85 (t, J = 7.44 Hz, 2 H), 2.39 (t, J = 7.80 Hz, 2 H), 1.43(s,9H).
【0057】
メチルN2-(tert-ブトキシカルボニル)-N6-(3-(4-ヨードフェニル)プロパノイル)-L-リシナートの合成:
【化19】
【0058】
N2-(tert-ブトキシカルボニル)-N6-(3-(4-ヨードフェニル)プロパノイル)-L-リジン(0.76g, 1.506mmol)のジクロロメタン(10mL)中の溶液に、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)(0.28g, 1.506mmol)を添加した。混合物を0℃に冷却し、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(0.02g, 0.1506mmol, 0.1eq)を添加した後、乾燥MeOH(0.13mL, 3.012mmol, 2eq)を添加した。反応混合物を室温で一晩かき混ぜた後、溶媒を蒸発させ、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤=ジクロロメタン中の10%メタノール)で精製した。適切な画分を蒸発させ、表題化合物を無色の固形物(0.52g, 66.6%)として単離した。
1H NMR (400 MHz, CD3CN) δ 7.65 (d, J = 8.28 Hz, 2 H), 7.04 (d, J = 8.28 Hz, 2 H), 6.34 (t, 1 H, NH), 5.65 (d, J = 7.04 Hz, 1 H, NH), 4.06 (dd, 1 H), 3.68 (s, 3H), 3.10 (m, 2 H), 2.85 (t, J = 7.48 Hz, 2 H) , 2.85 (t, J = 7.72 Hz, 2 H) , 1.72 (m, 1 H), 1.62 (m, 1 H), 1.42 (s, 9 H) 1.30 (m, 2 H).
【0059】
メチルN2-(tert-ブトキシカルボニル)-N6-(3-(4-ヨードフェニル)プロパンチオイル)-L-リシナートの合成:
【化20】
【0060】
アルゴン雰囲気下、メチルN2-(tert-ブトキシカルボニル)-N6-(3-(4-ヨードフェニル)プロパンチオイル)-L-リシナート(0.49g, 0.94mmol)およびローソン試薬(Lawesson's reagent)(0.095g, 0.24mmol)を乾燥トルエン20mLに溶解し、続いて70℃で一晩かき混ぜた。溶媒を蒸発させ、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2中のMeOH勾配 0~10%)で精製した。画分を選択し、蒸発させ、生成物をダイナミックバキューム下乾燥させた。収率:40%
1H NMR (400 MHz, CD3CN) δ 8.29 (S, 1 H), 7.65 (d, J = 8.12 Hz, 2 H), 7.05 (d, J = 8.16 Hz, 2 H), 5.57 (d, 1 H, NH), 4.09 (m, 1H), 3.69 (s, 3 H), 3.51 (q, J = 6.08, 2H), 3.01 (t, J = 7.60, Hz, 2 H), 2.84 (t, J = 7.64, Hz, 2 H), 1.74 (m, 1 H), 1.62 (m, 1 H), 1.52 (m, 2 H), 1.42 (s, 9 H), 1.31 (m, 2 H).
【0061】
N2-(tert-ブトキシカルボニル)-N6-(3-(4-ヨードフェニル)プロパンチオイル)-L-リジンの構成:
【化21】
【0062】
メチルN2-(tert-ブトキシカルボニル)-N6-(3-(4-ヨードフェニル)プロパンチオイル)-L-リシナート(0.40g, 0.74mmol)をi-PrOH(13mL)に溶解し、それをNaOH(0.051g, 0.89mmol)およびCaCl2(1.47g, 13.3mmol)のH2O(5mL)中の混合物に添加した。混合物を室温で4時間攪拌し、1M AcOHで中和させ、過剰のi-PrOHを蒸発させた。飽和水性NaClを残留物に加え、混合物をジクロロメタンで3回抽出した。有機相を一緒にし、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl2, メタノール0~10%勾配)で精製した。画分を選択して蒸発させ、表題化合物(0.38g, 100%)を黄色の固形物として単離した。
1H NMR (400 MHz, MeOD) δ 7.61 (d, J = 8.28 Hz, 2 H), 7.03 (d, J = 8.28 Hz, 2 H), 4.00 (m, 1 H), 3.53 (t, J = 7.16 Hz, 2 H), 3.01 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 2.85 (t, J = 8.00 Hz, 2 H), 1.82 (m, 1 H), 1.66 (m, 1 H), 1.57 (m, 2 H), 1.46 (s, 9 H), 1.37 (q, J = 7.68 Hz, 2 H).
【0063】
N6-(3-(4-ヨードフェニル)プロパンチオイル)-L-リジン、トリフルオロアセテート塩の合成:
【化22】
【0064】
N2-(tert-ブトキシカルボニル)-N6-(3-(4-ヨードフェニル)プロパンチオイル)-L-リジンを、トリフルオロ酢酸(2mL)のCH2Cl2中の溶液に溶解した。溶液を室温で5時間かき混ぜ、溶媒を蒸発させた。この残渣をさらに精製して使用した。
1H NMR (400 MHz, MeOD) δ 7.61 (d, J = 8.28 Hz, 2 H), 7.03 (d, J = 8.28 Hz, 2 H), 3.96 (t, J = 6.4 Hz, 1 H), 3.57 (td, J = 7.2 Hz, J = 2.2 Hz, 2 H), 3.04 (t, J = 8.60 Hz, 2 H), 2.86 (t, J = 7.92 Hz, 2 H), 1.95 (m, 2 H), 1.61 (m, 2 H), 1.40 (m, 2 H).
【0065】
実施例2:チオアミド含有構成物の代替合成
チオアミド含有構成物を合成するための代替スキームを以下に示す:
【化23】
【0066】
4-(4-ヨードフェニル)ブタン酸の合成:
【化24】
【0067】
4-フェニルブタン酸(20.0g, 121.8mmol)、H5IO6(5.56g, 24.4mmol)、ヨウ素(13.30g, 52.4mmol)、10M H2SO4(5.0mL)、水(36mL)および酢酸(166 mL)の混合物を70℃で19時間加熱した。反応混合物を冷却し、溶媒を減圧下に濃縮した。残留物をEtOAc(300mL)に溶解し、Na2S2O3(2×200mL)および塩水(2×200mL)で洗浄した。有機相を分離し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、黄色の固形物を残した。粗生成物を0℃でEtOAc/ヘキサンから沈殿させ、生成物を淡黄色の固形物(15.0g, 42%)として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 11.0 (s (broad), 1 H), 7.61 (d, J = 8.4 Hz, 2 H), 6.95 (d, J = 8.0 Hz, 2 H), 2.63 (t, J = 7.6 Hz, 2 H), 2.38 (t, J = 7.6 Hz, 2 H), 1.95 (A2B2, t, 2 H).
【0068】
N-(2-アミノ-5-ニトロフェニル)-4-(4-ヨードフェニル)ブタンアミドの合成:
【化25】
【0069】
窒素雰囲気下、4-(4-ヨードフェニル)ブタン酸(11.60g, 40mmol)のTHF(200mL)中の溶液を-20℃に冷却し、N-メチルモルホリン(NMM)(8.8mL, 80mmol, 2.0eq)およびイソブチルクロロホルマート(5.2mL, 40mmol, 1.0eq)で順次に処理した。反応混合物を30分間かき混ぜ、4-ニトロ-1,2-フェニレンジアミン(6.12g, 40mmol, 1.0equiv)のTHF(100 mL)中の溶液を添加し、混合物を-20℃でさらに1.5時間保持し、続いて23℃で15時間保持した。混合物を濾過し、濾液を、減圧下に蒸発乾固した。残留物をEtOAc(300mL)に溶解し、1M NaH2PO4(2×100 mL)、飽和塩水(2×100mL)、飽和NaHCO3(2×100 mL)および飽和NaCl(2×100mL)の水溶液で洗浄した。有機相を分離し、Na2SO4で乾燥させ、蒸発乾固した。粗生成物をEtOAc中で超音波処理して固形物を形成した。EtOAcをデカントし、残った固形物を濾過し、減圧下乾燥させ、表題化合物(10.77g, 63%)を黄褐色の固形物として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.13 (s, 1 H), 8.25 (d, J = 2.4 Hz, 1 H), 7.83 (dd, J = 8.8, 2.4 Hz, 1 H), 7.64 (d, J = 8.0 Hz, 2 H), 7.06 (d, J = 8.0 Hz, 2 H), 6.75 (d, J = 8.8 Hz, 1 H), 6.44 (s (broad), 2 H), 2.60 (t, J = 7.2 Hz, 2 H), 2.35 (t, J = 7.2 Hz, 2 H), 1.89 (A2B2, t, 2 H).
【0070】
N-(2-アミノ-5-ニトロフェニル)-4-(4-ヨードフェニル)ブタンチオアミドの合成:
【化26】
【0071】
窒素流の下、23℃で、P2S5(4.44g, 20mmol, 1.0eq)を、Na2CO3(1.08g, 10mmol, 0.5eq)のTHF(200mL)中の懸濁液に添加した。1時間後、混合物を0℃に冷却した後、N-(2-アミノ-5-ニトロフェニル)-4-(4-ヨードフェニル)ブタンアミド(8.50g, 20mmol)のTHF(100mL)中の溶液に導入した。混合物を攪拌し、0℃で2時間保持し、23℃でさらに1時間保持した。溶媒を減圧下に蒸発させた。残留物をEtOAc(200mL)に溶解し、5%水性NaHCO3(2×100mL)で洗浄し、水相をEtOAc(100mL)で1回抽出した。有機相を一緒にし、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固した。残留物をEtOAc中で超音波処理し、残した固形物を濾過し、減圧下乾燥させ、表題化合物(6.89g, 76%)を黄色の固形物として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.0 (s (broad), 1 H), 7.95 (d, J = 2.4 Hz, 1 H), 7.92 (dd, J = 8.8, 2.4 Hz, 1 H), 7.65 (d, J = 8.0 Hz, 2 H), 7.07 (d, J = 8.0 Hz, 2 H), 6.78 (d, J = 8.8 Hz, 1 H), 6.50 (s (broad), 2 H), 2.76 (t, J = 7.6 Hz, 2 H), 2.64 (t, J = 7.6 Hz, 2 H), 2.08 (A2B2, t, 2 H).
【0072】
4-(4-ヨードフェニル)-1-(6-ニトロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-1-イル)ブタン-1-チオンの合成:
【化27】
【0073】
N-(2-アミノ-5-ニトロフェニル)-4-(4-ヨードフェニル)ブタンチオアミド(5.68g, 12.8mmol)の95%氷酢酸(300mL)中の溶液を0℃に冷却した。NaNO2(1.32g, 19.2mmol, 1.5eq)を20分間かけて、攪拌した混合物に添加した。30分間後、生成物を沈殿させ、濾過し、水で洗浄し、濾液をEtOAc(2×150mL)で抽出した。有機相を一緒にし、H2O(3×100mL)、飽和NaHCO3(2×100mL)および塩水(2×100mL)で連続的に洗浄した。有機相を分離し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下に蒸発乾固した。残した固形物を、少量のEtOAc(5mL)で超音波処理した。EtOAcをデカントし、残した固形物を濾過した。残した生成物(黄色の固形物, 3.23g, 56%)を減圧下乾燥させた。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.71 (d, J = 1.6 Hz, 1 H), 8.45 (dd, J = 8.8, 2.0 Hz, 1 H), 8.31 (d, J = 8.8 Hz, 1 H), 7.59 (d, J = 8.0 Hz, 2 H), 6.98 (d, J = 8.0 Hz, 2 H), 3.80 (t, J = 7.6 Hz, 2 H), 2.79 (t, J = 7.6 Hz, 2 H), 2.33 (A2B2, t, 2 H).
【0074】
N2-(tert-ブトキシカルボニル)-N6-(4-(4-ヨードフェニル)ブタンチオイル)-L-リジンの合成:
【化28】
【0075】
チオアシル化試薬(thioacylating reagent)(5mmol, 2.26g)のTHF 75mL中の冷却溶液(0℃)に、Boc-Lys-OH(5mmol, 1.23g)およびトリエチルアミンのTHF 15mLおよびH2O 3.0mL中の溶液を1時間かけて滴下した。添加を完了した後、続いて、混合物を室温で一晩かき混ぜた。混合物をEtOAcで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、1/1、続いて100%MeOHで)で精製し、表題化合物(1.18g)を44%の収率で得た。
【0076】
N6-(4-(4-ヨードフェニル)ブタンチオイル)-L-リジントリフルオロ酢酸塩の合成:
【化29】
【0077】
N2-(tert-ブトキシカルボニル)-N6-(4-(4-ヨードフェニル)ブタンチオイル)-L-リジン(1.05g, 2mmol)の乾燥CH2Cl2(2mL)中の溶液に、TFA(2.0mL)を添加し、反応混合物を室温で4時間かき混ぜた。溶媒を減圧下蒸発させ、残した固形物をダイナミックバキューム下一晩乾燥させた。残留物を酢酸エチル(10.0mL)に溶解し、12時間かけて沈殿させた。沈殿を濾過し、真空中で乾燥させ、表題のアミノ酸(0.97g, 91%)を灰色の固形物として得た。
1H NMR (400 MHz, MeOH-d4) δ 7.61 (d, J = 8.0 Hz, 2 H), 7.00 (d, J = 8.0 Hz, 2 H), 3.97 (t, J = 6.4 Hz, 1 H), 3.63 (t, J = 7.6 Hz, 2 H), 2.67-2.52 (m, 3 H), 2.11-1.85 (m, 4 H), 1.70 (A2B2, t, 2 H), 1.63-1.40 (m, 3 H).
【0078】
実施例3:ブチルN 6 -(3-(4-ヨードフェニル)プロパンチオイル)-L-リシナートの合成
【化30】
【0079】
tert-ブチル(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-L-リシナートの合成:
【化31】
【0080】
(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-L-リジン(3g, 8.14mmol)をtert-ブチルアセテート(42ml)に溶解し、-10℃に冷却した。過塩素酸(1.05ml, 12.21mmol, 1.5eq)を滴下した。4時間後、EtOAc 200mLおよび脱イオン水 100mLを添加し、混合物を分液漏斗で分画した。有機相をまとめ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下蒸発させた。生成物を、100%EtOAcを溶離剤として用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。生成物の画分を蒸発させ、淡黄色の流動性粉末を得た。
1H NMR (400 MHz, CD3Cl) δ 7.71 (d, J = 7.5 Hz, 2 H), 7.58 (d, J = 7.9 Hz, 2 H), 7.35 (t, 2 H, J = 7.4 Hz,), 7.28 (d, J = 5.8 Hz, 2 H), 5.52 (d, J = 7.96 Hz, 1 H), 4.32 (t, 1H), 4.37 (t, 1H), 3.12 (t, 2H), 1.41 (s, 9 H).
【0081】
tert-ブチルN2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-N6-(3-(4-ヨードフェニル)プロパンチオイル)-L-リシナートの合成:
【化32】
【0082】
乾燥窒素雰囲気下、3-(4-ヨードフェニル)-1-(6-ニトロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-1-イル)プロパン-1-チオン(4.7mmol, 2.05g)のTHF 50mL中の溶液を、tert-ブチル(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-L-リシナート(2.06g, 4.7mmol)で処理した。混合物を0℃に冷却し、DIPEA(4.2mmol, 0.7mL)を滴下した。添加を完了した後、混合物を室温で一晩かき混ぜた。混合物を1M HClで中和させ、EtOAcおよび脱イオン水を含有する分液漏斗に移した。有機画分を単離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2中10%MeOH)で精製し、表題の化合物を70%の収率に得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.78 (d, J = 7.56 Hz, 2 H), 7.57 (d, J = 7.4 Hz, 2H), 7.50 (d, J = 7.96 Hz, 2 H), 7.44 (t, J = 8.16 Hz, 2 H), 7.33 (t, J = 7.52 Hz, 2 H), 6.89 (d, J = 7.96 Hz, 2 H), 5.48 (d, J = 7.92 Hz, 1 H), 4.41 (m, 1 H), 4.33 (t, J = 7.32 Hz,1 H), 4.23 (m, 2 H), 3.56 (m, 2 H), 3.04 (m, 2 H), 2.81 (t, J = 7.52 Hz, 2 H), 1.82 (m, 1 H), 1.66 (m, 2 H), 1.50 (s, 9H), 1.38 (m, 2 H).
【0083】
tert-ブチルN6-(3-(4-ヨードフェニル)プロパンチオイル)-L-リシナートの合成:
【化33】
【0084】
N2雰囲気下、tert-ブチルN2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-N6-(3-(4-ヨードフェニル)プロパンチオイル)-L-リシナート(1.43mmol, 1.0g)のCH2Cl2 15mL中の溶液に、ピペリジンのCH2Cl2(約40eq)中の10%溶液を添加した。(プロセス中のTLCでは、最初の4時間で反応が完了したことが示されたが)、混合物を室温で一晩かき混ぜた。溶媒を減圧下に蒸発させ、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中50%EtOAc)で精製した。生成物の画分を蒸発させ、灰白色の粉末を86%の収率(0.51g)で得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.66 (s (broad), 1 H), 7.61 (d, J = 8.24 Hz, 2H), 6.98 (d, J = 8.24 Hz, 2 H), 3.58 (m, 2 H), 3.28 (dd, J = 7.94, 5.08 Hz,1 H), 3.09 (t, J = 7.32 Hz, 2 H), 2.87 (t, J = 7.32 Hz, 2 H), 1.72 (m, 1 H), 1.58 (t, J = 7.20 Hz, 2 H), 1.48 (s, 9 H), 1.38 (m, 2 H).
【0085】
実施例4:チオアミド含有構成物のさらなる合成
【化34】
【0086】
N-(2-アミノ-5-ニトロフェニル)--(4-ヨードフェニル)プロパンアミドの合成:
【化35】
【0087】
N2雰囲気下、20℃で、3-(4-ヨードフェニル)プロパン酸(16.44g, 40mmol)のTHF溶液(200mL)に、カルボニルジイミダゾール(CDI, 8.8mL, 80mmol, 2.0eq)を添加した。イソブチルクロロホルマート(5.2mL, 40mmol, 1.0eq)を滴下し、反応混合物を30分間攪拌した。4-ニトロ-1,2-フェニレンジアミン(6.12g, 40mmol, 1.0eq)のTHF(100mL)の溶液を添加し、混合物をさらに-20℃で1.5時間、23℃で15時間攪拌した。混合物を濾過し、蒸発乾固した。残留物をEtOAc(300mL)に溶解し、1M NaH2PO4(2×100mL)、飽和塩水(2×100mL)、飽和NaHCO3(2×100mL)および飽和NaCl(2×100mL)の水溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、蒸発乾固した。粗生成物をEtOAc中で固形化するまで超音波処理した。EtOAcをデカントし、残した固形物を濾過し、減圧下に蒸発させ、表題化合物(10.77g, 63%)を黄褐色の固形物として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.19 (s, 1 H), 8.20 (d, J = 2.6 Hz, 1 H), 7.84 (dd, J = 7.8, 2.6 Hz, 1 H), 7.64 (d, J = 8.2 Hz, 2 H), 7.10 (d, J = 8.2 Hz, 2 H), 6.75 (d, J = 9.04 Hz, 1 H), 6.43 (s (br), 2 H), 2.88 (t, J = 7.3 Hz, 2 H), 2.66 (t, J = 8.04 Hz, 2 H).
【0088】
N-(2-アミノ-5-ニトロフェニル)-3-(4-ヨードフェニル)プロパンチオアミドの合成:
【化36】
【0089】
N2流の下、23℃で、Na2CO3(1.08g, 10mmol, 0.5eq)のTHF(200mL)中の懸濁液に、P2S5(4.44g, 20mmol, 1.0eq)を添加した。1時間後、混合物を0℃に冷却し、THF(100mL)中のN-(2-アミノ-5-ニトロフェニル)-3-(4-ヨードフェニル)プロパンアミド(8.22g, 20mmol)を滴下し、混合物を0℃で2時間かき混ぜた後、23℃で1時間かき混ぜた。溶媒を蒸発させ、残留物をEtOAc(200mL)に溶解し、5%水性NaHCO3(2×100mL)で洗浄した。水相を追加のEtOAc(100mL)で抽出し、有機相を一緒にし、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させた。粗生成物をEtOAc中で固形化するまで超音波処理した。EtOAcをデカントし、残した固形物を濾過し、減圧下乾燥させ、表題の化合物(6.89g, 76%)を黄色の固形物として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.0 (s (broad), 1 H), 7.84 (dd, J = 9.08 , J = 2.4 Hz, 1 H), 7.84 (d, J = 2.64 Hz, 1 H), 7.67 (d, J = 8.24 Hz, 2 H), 7.12 (d, J = 8.28, 2 H), 6.77 (d, J = 9.12 Hz, 1 H), 6.43 (s (broad), 2 H), 3.04 (m, 2 H), 3.06 (m, 2 H).
【0090】
3-(4-ヨードフェニル)-1-(6-ニトロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-1-イル)プロパン-1-チオンの合成:
【化37】
【0091】
N-(2-アミノ-5-ニトロフェニル)-3-(4-ヨードフェニル)プロパンチオアミド(5.46g, 12.8mmol)を95%氷酢酸中で40℃に温め、5%水(300mL)で希釈し、続いて0℃に冷却した。NaNO2(1.32g, 19.2mmol, 1.5eq)を攪拌溶液に20分間かけて小分けで添加した。30分後、沈殿された生成物を濾過し、水で洗浄し、濾液をEtOAc(2×150mL)で抽出した。有機相を一緒にし、H2O(3×100mL)、飽和NaHCO3(2×100mL)および塩水(2×100mL)で連続的に洗浄した。有機相を分離し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させた。こうして得られた固形物を少量のEtOAc(5mL)中で超音波処理し、混合物を濾過し、ダイナミックバキュームで乾燥させ、生成物を黄色の固形物(3.23g, 56%)として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.73 (d, J = 1.96 Hz, 1 H), 8.47 (dd, J = 8.9, 2.08 Hz, 1 H), 8.33 (d, J = 8.9 Hz, 1 H), 7.64 (d, J = 8.32 Hz, 2 H), 7.06 (d, J = 8.28 Hz, 2 H), 4.08 (t, J = 7.64 Hz, 2 H), 3.28 (t, J = 7.92 Hz, 2 H).
【0092】
N2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-N6-(3-(4-ヨードフェニル)プロパンチオイル)-D-リジンの合成:
【化38】
【0093】
3-(4-ヨードフェニル)-1-(6-ニトロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-1-イル)プロパン-1-チオン(0.46mmol, 200.0mg)のTHF 4mL中の溶液に、Fmoc-L-Lys(0.46mmol, 169.5mg)を添加した。混合物を0℃に冷却した後、DIPEA(0.46mmol, 81μl)を滴下した。混合物を室温で12時間かき混ぜた後、1M HClで中和させ、脱イオン水で希釈した。混合物をEtOAcで抽出し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残留物をクロマトグラフィー(CH2Cl2中10%MeOH)で精製し、表題の化合物を20%の収率で得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.03 (s, 1 H), 7.88 (d, J = 7.48 Hz, 2H), 7.69 (d, J = 7.4 Hz, 2 H), 7.60 (d, J = 8.16 Hz, 2 H), 7.40 (t, J = 7.36 Hz, 2 H), 7.32 (t, J = 7.44 Hz, 2 H), 7.02 (d, J = 8.12 Hz, 2 H), 6.90 (s, 1 H), 4.29 (m, 1 H), 4.21 (m, 2 H), 3.77 (m, 1 H), 2.92 (t, J = 8.12 Hz, 2 H), 2.77 (t, J = 8.16 Hz, 2 H), 2.92 (t, J = 8.12 Hz, 2 H), 1.70 (m, 1 H) , 1.58 (m, 1 H) , 1.48 (m, 2 H) , 1.27 (m, 2 H).
【0094】
実施例5:適当なリジン誘導体
【化39】
【0095】
実施例6:チオアミドの加水分解に対する安定性
【化40】
【0096】
実施例7:チオアミドアルブミン結合基を特徴とするバイオコンジュゲート(bioconjugate)形成の一般的な手順
【化41】
【0097】
乾燥窒素雰囲気下、炎乾燥フラスコ中で、tert-ブチルN6-(3-(4-ヨードフェニル)プロパンチオイル)-L-リシナート(0.200g, 0.420mmol, 1eq)を乾燥塩化メチレン2mLに溶解し、撹拌するようにセットした。無水トリエチルアミン(5.90uL, 0.042mmol, 0.1eq)をシリンジで添加した後、Fmoc-PEG8-NHSエステル(0.383g, 0.504 mmol, 1.2eq)を乾燥塩化メチレン1mLに溶解した。混合物を室温で4時間かき混ぜた後、溶媒を蒸発させ、淡黄色のシロップを残した。残留物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(10%MeOH/DCM)で精製し、表題化合物を淡黄色のシロップ(0.188g, 40%)として得た。
【0098】
tert-ブチルN2-(1-(9H-フルオレン-9-イル)-3-オキソ-2,7,10,13,16,19,22,25,28-ノナオキサ-4-アザヘントリアコンタン-31-オイル)-N6-(3-(4-ヨードフェニル)プロパンチオイル)-L-リシナートの合成:
【化42】
【0099】
tert-ブチルN2-(1-(9H-フルオレン-9-イル)-3-チオキソ-2,7,10-トリオキサ-4-アザトリデカン-13-オイル)-N6-(3-(4-ヨードフェニル)プロパンチオイル)-L-リシナート(0.188g, 0.168mmol)を乾燥塩化メチレン(5mL)中の10%ピペリジン溶液に溶解した。混合物を室温で4時間かき混ぜた後、溶媒を除去し、淡黄色の粉末を残した。残留物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(5%MeOH/DCM)で精製し、淡黄色のシロップ(0.133g, 88%)を得た。
【0100】
tert-ブチルN2-((S)-10-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-2,2-ジメチル-4,11-ジオキソ-3,15,18,21,24,27,30,33,36-ノナオキサ-5,12-ジアザノナトリアコンタン-39-オイル)-N6-(3-(4-ヨードフェニル)プロパンチオイル)-L-リシナートの合成:
【化43】
【0101】
乾燥窒素雰囲気下、炎乾燥フラスコ中で、tert-ブチルN2-(1-(9H-フルオレン-9-イル)-3-オキソ-2,7,10,13,16,19,22,25,28-ノナオキサ-4-アザヘントリアコンタン-31-オイル)-N6-(3-(4-ヨードフェニル)プロパンチオイル)-L-リシナート(0.133g, 0.147mmol, 1eq)を乾燥塩化メチレン3mLに溶解した。攪拌溶液に、乾燥トリエチルアミン(20.50μL, 0.147mmol, 1eq)を添加した後、Boc-Lys(Boc)-OSu(71.71mg, 0.161mmol, 1.1eq)の乾燥塩化メチレン3mL中の溶液を添加した。混合物を室温で4時間かき混ぜた後、溶媒を減圧下除去し、黄色の固形物を残した。残留物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(5%MeOH/DCM)で精製し、黄色のシロップ(0.139g, 70%)を得た。
【0102】
tert-ブチルN2-((S)-10-アミノ-2,2-ジメチル-4,11-ジオキソ-3,15,18,21,24,27,30,33,36-ノナオキサ-5,12-ジアザノナトリアコンタン-39-オイル)-N6-(3-(4-ヨードフェニル)プロパンチオイル)-L-リシナートの合成:
【化44】
【0103】
tert-ブチルN2-((S)-10-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-2,2-ジメチル-4,11-ジオキソ-3,15,18,21,24,27,30,33,36-ノナオキサ-5,12-ジアザノナトリアコンタン-39-オイル)-N6-(3-(4-ヨードフェニル)プロパンチオイル)-L-リシナート(0.139g, 0.103mmol)を乾燥塩化メチレン5mL中のピペリジン(10%)溶液で処理した。混合物を室温で4時間かき混ぜた後、溶媒を減圧下除去し、淡黄色の粉末を残した。残留物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(5%MeOH/DCM)で精製し、淡黄色のシロップ(0.093g, 80%)を得た。
【0104】
N6-(3-(4-ヨードフェニル)プロパンチオイル)-N2-(17-オキソ-21-((3aR,4R,6aS)-2-オキソヘキサヒドロ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール-4-イル)-4,7,10,13-テトラオキサ-16-アザヘンイコサノイル)-L-リジンの合成:
【化45】
【0105】
(S)-1-カルボキシ-5-(3-(4-ヨードフェニル)プロパンチオアミド)ペンタン-1-アミニウムトリフルオロアセテート塩(0.100g, 0.187mmol, 1eq)をDMF(ジメチルホルムアミド)1mLに溶解し、トリエチルアミン(52.20μL, 0.374mmol, 2eq)を添加した。トリエチルアンモニウムトリフルオロアセテートが沈殿し始めると、炭酸カリウム緩衝液(pH=8)溶液を滴下して、均質な溶液を形成した。続いて、NHS-PEG4-ビオチン(0.121g, 0.205mmol, 1.1eq)をDMF 1mLに溶解し、それを溶液に添加し、混合物を8時間かき混ぜた。脱イオン水(2mL)および塩化メチレン(5mL)を添加し、有機相を水(3x5mL)で洗浄し、DMFを除去した。有機相を蒸発させ、無色の粉末状の残留物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(5%MeOH/DCM)で精製し、灰白色の粉末(0.100g, 60%)を得た。
【0106】
当業者であれば、本明細書に記載されている本発明の具体的な実施形態に対する多くの等価物を認識するか、日常的な実験を行うだけで確認することができるでしょう。本発明のいずれかの概念または要素が便宜上別個に示されている場合、必要に応じてそのような別個に示された概念または要素の組み合わせも本発明に包含されることが理解される。そのような等価物は、特許請求の範囲に包含されることが意図されている。
【0107】
本明細書中で引用されている特許および文献の内容は、その全内容が参照により包含される。
【国際調査報告】