IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ プログレッシブ ニューロ アイエヌシーの特許一覧

特表2022-507489脈管系閉塞物除去装置、システム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】脈管系閉塞物除去装置、システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/22 20060101AFI20220111BHJP
【FI】
A61B17/22 528
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021526465
(86)(22)【出願日】2019-11-13
(85)【翻訳文提出日】2021-07-09
(86)【国際出願番号】 US2019061137
(87)【国際公開番号】W WO2020102318
(87)【国際公開日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】62/767,852
(32)【優先日】2018-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/572,150
(32)【優先日】2019-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521207081
【氏名又は名称】プログレッシブ ニューロ アイエヌシー
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【弁理士】
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】フォルマー, ブレット エレン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160EE22
4C160MM36
(57)【要約】
閉塞物除去装置、システム及び/又は方法のいくつかの実施形態において、拡張可能部材は、ガイドワイヤにスライド可能に連結されるように構成される。拡張可能部材は、拡張状態から収縮状態に切り替えられるとき、即ち、脈管系からステントリーバー及び閉塞物を除去するようにガイドワイヤを脈管系から取り外すとき、ステントリーバーにより捕獲された閉塞物の少なくとも一部を取り囲むように構成される。第1のロック部材は、前記拡張可能部材の基部に位置する。第1のロック部材は、ガイドワイヤ、ステントリーバー又はガイドカテーテルの内面における第2のロック部材に係合することで、前記拡張可能部材が脈管系内において配置されるときに、前記拡張可能部材を前記ガイドワイヤ、前記ステントリーバー又は前記ガイドカテーテルの内面に連結するように構成される。
【選択図】図2E
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脈管系内に挿入されるように構成されるガイドカテーテルと、
前記ガイドカテーテル内に挿入されるとともに前記脈管系内の閉塞物に近接して設けられるように構成される、遠位端を有するガイドワイヤと、
前記ガイドワイヤの遠位端に設けられ、前記脈管系内の前記閉塞物に係合するように構成されるステントリーバーと、
前記ガイドワイヤにスライド可能に連結され、収縮状態と拡張状態の間で切り替えられるように構成される拡張可能部材であって、前記脈管系から前記ステントリーバー及び前記閉塞物を除去するように前記脈管系から前記ガイドワイヤを取り外す際に、前記拡張状態から前記収縮状態に切り替えられることにより、前記ステントリーバーと前記閉塞物との少なくとも一部を取り囲むように構成される拡張可能部材と、
前記拡張可能部材の基部における第1のロック部材であって、前記ガイドワイヤ、前記ステントリーバー、又は前記ガイドカテーテルの内面における第2のロック部材に係合することにより、前記拡張可能部材を前記ガイドワイヤ、前記ステントリーバー又は前記ガイドカテーテルの内面に連結するように構成される第1のロック部材と、を備える閉塞物除去システム。
【請求項2】
前記第2のロック部材は、前記ガイドカテーテルの遠位端又はその付近における、前記ガイドカテーテルの内面に位置する、請求項1に記載の閉塞物除去システム。
【請求項3】
前記第1のロック部材は、前記脈管系から前記ステントリーバー及び前記閉塞物を除去するように前記ガイドワイヤを前記脈管系から取り外す際に、前記第2のロック部材から離脱するように構成される、請求項2に記載の閉塞物除去システム。
【請求項4】
前記第2のロック部材は、前記ステントリーバーの近位端又は前記ガイドワイヤの前記ステントリーバーの近位端に近い部分に取り付けられる、請求項1に記載の閉塞物除去システム。
【請求項5】
前記第1及び第2のロック部材は、スナップフィットコネクタを含む、請求項1に記載の閉塞物除去システム。
【請求項6】
前記第1及び第2のロック部材は、協同的なねじ式コネクタを含む、請求項1に記載の閉塞物除去システム。
【請求項7】
前記第1及び第2のロック部材は、磁気コネクタを含む、請求項1に記載の閉塞物除去システム。
【請求項8】
前記第1のロック部材が前記第2のロック部材に係合するまで、前記拡張可能部材を前記ガイドワイヤに沿ってスライドさせるように構成されるマイクロカテーテルを更に備える、請求項1に記載の閉塞物除去システム。
【請求項9】
前記拡張可能部材は、第1の構造形態で挿入されてから、前記脈管系から前記ステントリーバー及び前記閉塞物を除去するように前記ガイドワイヤを前記脈管系から取り外す際に、摩擦力により反転されることで、反転された場合に前記ステントリーバーと前記閉塞物との少なくとも一部を取り囲むように構成される、請求項1に記載の閉塞物除去システム。
【請求項10】
ガイドワイヤにスライド可能に連結され、且つ収縮状態と拡張状態の間で切り替えられるように構成される拡張可能部材であって、前記脈管系から前記ステントリーバー及び前記閉塞物を除去するように前記脈管系から前記ガイドワイヤを取り外す際に、前記拡張状態から前記収縮状態に切り替えられることにより、ステントリーバーと閉塞物との少なくとも一部を取り囲むように構成される拡張可能部材と、
前記拡張可能部材の基部における第1のロック部材であって、前記ガイドワイヤ、前記ステントリーバー又はガイドカテーテルの内面における第2のロック部材に係合することにより、前記拡張可能部材を前記ガイドワイヤ、前記ステントリーバー又は前記ガイドカテーテルの内面に連結するように構成される第1のロック部材と、を含む閉塞物除去装置。
【請求項11】
前記第1及び第2のロック部材は、スナップフィットコネクタを含む、請求項10に記載の閉塞物除去装置。
【請求項12】
前記第1及び第2のロック部材は、協同的なねじ式コネクタを含む、請求項10に記載の閉塞物除去装置。
【請求項13】
前記第1及び第2のロック部材は、磁気コネクタを含む、請求項10に記載の閉塞物除去装置。
【請求項14】
前記拡張可能部材は、第1の構造形態で挿入されてから、前記脈管系から前記ステントリーバー及び前記閉塞物を除去するように前記ガイドワイヤを前記脈管系から取り外す際に、摩擦力により反転されることで、前記拡張可能部材が反転された場合に前記ステントリーバーと前記閉塞物との少なくとも一部を取り囲むように構成される、請求項10に記載の閉塞物除去システム。
【請求項15】
ガイドカテーテルを脈管系内に挿入する工程と、
前記ガイドカテーテルを通してガイドワイヤを延在させることにより、前記ガイドワイヤの遠位端を前記脈管系内の前記閉塞物の近くに設置する工程と、
前記脈管系内の前記閉塞物の少なくとも一部を前記ガイドワイヤの遠位端に設けられるステントリーバーに係合させる工程と、
拡張可能部材の基部における第1のロック部材が前記ガイドワイヤ、前記ステントリーバー又は前記ガイドカテーテルの内面における第2のロック部材に係合するまで、前記ガイドワイヤに沿って前記拡張可能部材をスライドさせることによって、前記拡張可能部材を前記ガイドワイヤ、前記ステントリーバー又は前記ガイドカテーテルの内面に連結する工程であって、前記拡張可能部材は、収縮状態と拡張状態の間で切り替えられるように構成される工程と、
前記脈管系から前記ステントリーバー及び前記閉塞物を除去するように、前記脈管系から前記ガイドワイヤを取り外す工程であって、前記拡張可能部材は、前記脈管系から前記ステントリーバー及び前記閉塞物を除去するように前記脈管系から前記ガイドワイヤを取り外す際に、前記拡張状態から前記収縮状態に切り替えられるにつれて、前記ステントリーバー及び前記閉塞物の少なくとも一部を取り囲むように構成される工程と、を含む、脈管系から閉塞物を除去する方法。
【請求項16】
前記第2のロック部材は、前記ガイドカテーテルの遠位端又はその付近における前記ガイドカテーテルの内面に位置し、且つ、前記脈管系から前記ステントリーバー及び前記閉塞物を除去するように前記脈管系から前記ガイドワイヤを取り外す際に、前記第1のロック部材は前記第2のロック部材から離脱する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2のロック部材は、前記ステントリーバーの近位端又は前記ガイドワイヤの前記ステントリーバーの近位端に近い部分に取り付けられる、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のロック部材及び前記第2のロック部材は、スナップフィットコネクタ、協同的なねじ式コネクタ、又は磁気コネクタを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記拡張可能部材は、マイクロカテーテルによって前記ガイドワイヤに沿ってスライドされる、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記拡張可能部材は、第1の構造形態で挿入されてから、前記脈管系から前記ステントリーバー及び前記閉塞物を除去するように前記ガイドワイヤを前記脈管系から取り外す際に、摩擦力により反転されることで、反転された場合に前記ステントリーバーと前記閉塞物との少なくとも一部を取り囲むように構成される、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本願は、2018年11月15日に提出された発明の名称が「APPARATUS, SYSTEM AND METHOD FOR VASCULATURE OBSTRUCTION REMOVAL」の米国仮出願第62/767,852号の権利を主張し、その内容の全てが参照によって本願に組み込まれる。本願は、更に、2019年9月16日に提出された発明の名称が「APPARATUS, SYSTEM AND METHOD FOR VASCULATURE OBSTRUCTION REMOVAL」の米国非仮出願第16/572,150号の権利を主張し、その内容の全てが参照によって本願に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、全体的に医療装置に関し、より具体的には、血管閉塞物除去用医療装置に関する。
【背景技術】
【0003】
閉塞物除去システム/装置は、閉塞物を除去システムの部材に置いて操作することができる。いくつかの場合に、閉塞物がずれる可能性がある。閉塞物のずれにより潜在的な合併症(例えば、脳卒中又は心臓発作)のリスクが顕著に増加する。従って、閉塞物を身体から除去するために、それを確実に固定することが望まれている。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、閉塞物除去システムを開示する。1つ又は複数の実施形態において、閉塞物除去システムは、脈管系に挿入されるように構成されるガイドカテーテルと、該ガイドカテーテルに挿入されるように構成されるとともに前記脈管系内の閉塞物付近に設けられる、遠位端を有するガイドワイヤと、を備える。ステントリーバーは、前記ガイドワイヤの遠位端に設けられ、前記脈管系内の前記閉塞物に結合するように構成される。拡張可能部材は、前記ガイドワイヤにスライド可能に連結され、収縮状態と拡張状態の間で切り替えられるように構成される。前記拡張可能部材は、前記拡張状態から前記収縮状態に切り替えられる際に、即ち、前記脈管系から前記ガイドワイヤを取り外して前記脈管系からステントリーバー及び閉塞物を除去する際に、前記ステントリーバー及び前記閉塞物の少なくとも一部を取り囲むように構成される。前記拡張可能部材の基部に、第1のロック部材が設けられている。前記ガイドワイヤ、前記ステントリーバー又は前記ガイドカテーテルの内面に、第2のロック部材が設けられている。前記第1のロック部材は、前記第2のロック部材に係合するように構成されており、これにより、前記拡張可能部材を前記脈管系中に配置するときに、前記拡張可能部材を前記ガイドワイヤ、前記ステントリーバー又は前記ガイドカテーテルの内面に連結する。
【0005】
より基本的には、本発明は、閉塞物除去装置を開示する。1つ又は複数の実施例において、閉塞物除去装置は、ガイドワイヤにスライド可能に連結されるように構成される拡張可能部材を備える。該拡張可能部材は、拡張状態と収縮状態の間で切り替えることができるように構成される。さらに、該拡張可能部材は、拡張状態から収縮状態に切り替えられる際に、即ち、前記脈管系からステントリーバー及び閉塞物を除去するように脈管系から前記ガイドワイヤを取り外す際に、前記ステントリーバー及び前記閉塞物の少なくとも一部を取り囲むように構成される。前記拡張可能部材の基部に、第1のロック部材が設けられる。前記ガイドワイヤ、前記ステントリーバー又は前記ガイドカテーテルの内面に第2のロック部材が設けられる。第1のロック部材は、第2のロック部材に係合するように構成され、これにより、前記拡張可能部材を前記脈管系中に配置するときに前記拡張可能部材を前記ガイドワイヤ、前記ステントリーバー又は前記ガイドカテーテルの内面に連結する。
【0006】
本発明は、さらに、脈管系閉塞物除去方法を開示する。1つ又は複数の実施形態において、該方法は、
ガイドカテーテルを脈管系内に挿入する工程と、
ガイドワイヤの遠位端を前記脈管系内の前記閉塞物付近に置くように、前記ガイドカテーテルを通してガイドワイヤを延在させる工程と、
前記脈管系内の前記閉塞物の少なくとも一部を、前記ガイドワイヤの遠位端に設けられるステントリーバーに係合させる工程と、
収縮状態と拡張状態の間で切り替えられるように構成される拡張可能部材の基部における第1のロック部材が前記ガイドワイヤ、前記ステントリーバー又は前記ガイドカテーテルの内面における第2のロック部材に係合するまで、前記拡張可能部材を前記ガイドワイヤに沿ってスライドさせ、これにより前記拡張可能部材を前記ガイドワイヤ、前記ステントリーバー又は前記ガイドカテーテルの内面に連結する工程と、
前記脈管系から前記ステントリーバー及び前記閉塞物を除去するように、前記脈管系から前記ガイドワイヤを取り外す工程と、を含み、
前記拡張可能部材は、前記脈管系から前記ステントリーバー及び前記閉塞物を除去するように前記脈管系から前記ガイドワイヤを取り外す際に、前記拡張状態から前記収縮状態に切り替えられるにつれて、前記ステントリーバー及び前記閉塞物の少なくとも一部を取り囲むように構成される。
【0007】
以上の本発明の概要は、単に発明を実施するための形態及び図面において十分に説明される本発明の対象に対する紹介として提供された。以上の本発明の概要は、本発明が成立するのに必要な特徴の説明として考えるべきではなく、且つ特許請求の範囲を決定するために使用されるべきではない。また、上記の本発明の概要及び以下の発明を実施するための形態は、いずれも単に例示的かつ説明的なものに過ぎず、必ずしも本発明の保護対象を制限するわけではないと理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
以下、添付の図面を参照しながら本発明を詳しく説明する。明細書及び図面における異なる例において使用される同一の参照符号は、類似又は同一の構成を示す。以下の詳細な説明及び図面において本開示の様々な実施形態又は実施例(「例」)が開示されている。図面は、必ずしも原寸に比例して作成されているわけではない。一般的には、特許請求の範囲において特に規定されない限り、任意の順序で開示されるプロセスの操作を実行することができる。
【0009】
図1A】本発明の1つ又は複数の実施形態による、脈管系に配置された閉塞物除去システムのガイドカテーテルの断面側面図を示す。
【0010】
図1B】本開示の1つ又は複数の実施形態による、ガイドカテーテルを通して配置される閉塞物除去システムの拡張可能部材の断面側面図を示す。
【0011】
図1C】本開示の1つ又は複数の実施形態による、基部部材が1つ又は複数のガイドストッパーに到達するまでガイドカテーテルを通して配置された、閉塞物除去システムの拡張可能部材の断面側面図を示し、該拡張可能部材は、デリバリワイヤ/チューブによってガイドカテーテルを通して押されている。
【0012】
図1D】本開示の1つ又は複数の実施形態による、デリバリワイヤ/チューブが除去された後の、基部部材が1つ又は複数のガイドストッパーに到達するまでガイドカテーテルを通して配置された、閉塞物除去システムの拡張可能部材の断面側面図を示す。
【0013】
図1E】本発明の1つ又は複数の実施形態による、ガイドカテーテルを通して配置された閉塞物除去システムのステントリーバーの断面側面図を示し、該ステントリーバーは、マイクロカテーテルを使用してガイドカテーテルを通して供給されるガイドワイヤに取り付けられている。
【0014】
図1F】本発明の1つ又は複数の実施形態による、ガイドカテーテルを通して配置された閉塞物除去システムのステントリーバーの断面側面図を示し、ガイドワイヤに取り付けられた該ステントリーバーは、マイクロカテーテルを使用してガイドカテーテル及び拡張可能部材を通して供給された。
【0015】
図1G】本発明の1つ又は複数の実施形態による、脈管系内に配置された閉塞物除去システムのステントリーバーの断面側面図を示し、マイクロカテーテルを引き戻して該ステントリーバーを抜き出すことによって、該ステントリーバーが脈管系内の閉塞物に係合することが可能になる。
【0016】
図1H】本発明の1つ又は複数の実施形態による、脈管系から閉塞物を除去するようにガイドカテーテルを通して引き戻されている閉塞物除去システムのステントリーバーの断面側面図を示す。
【0017】
図1I】本発明の1つ又は複数の実施形態による、脈管系から閉塞物を除去するようにガイドカテーテルを通して引き戻されている閉塞物除去システムのステントリーバーの断面側面図を示す。
【0018】
図1J】本開示の1つ又は複数の実施形態による、ステントリーバーとともにガイドカテーテルを通して引き戻されている閉塞物除去システムの拡張可能部材の断面側面図を示し、該拡張可能部材がガイドカテーテル内に引き込まれるにつれて、該拡張可能部材は収縮状態に切り替えられて閉塞物の少なくとも一部を取り囲む。
【0019】
図1K】本開示の1つ又は複数の実施形態によるガイドカテーテルの断面端面図を示し、該ガイドカテーテルは、該ガイドカテーテル内に挿入されたマイクロカテーテル及び該マイクロカテーテル内に挿入されたガイドワイヤを有する。
【0020】
図1L】本開示の1つ又は複数の実施形態による、内面にガイドストッパーが取り付けられたガイドカテーテルの断面端面図を示す。
【0021】
図2A】本発明の1つ又は複数の実施形態による、脈管系内に配置された閉塞物除去システムのガイドカテーテルの断面側面図を示す。
【0022】
図2B】本発明の1つ又は複数の実施形態による、ガイドカテーテルを通して配置される閉塞物除去システムのステントリーバーの断面側面図を示し、該ステントリーバーは、マイクロカテーテルを使用してガイドカテーテルを通して供給されたガイドワイヤに取り付けられている。
【0023】
図2C】本発明の1つ又は複数の実施形態による、脈管系内に配置された閉塞物除去システムのステントリーバーの断面側面図を示し、マイクロカテーテルを引き戻してステントリーバーを抜き出すことにより、該ステントリーバーが脈管系内の閉塞物に係合することが可能になる。
【0024】
図2D】本開示の1つ又は複数の実施形態による、ガイドカテーテルを通して配置される閉塞物除去システムの拡張可能部材の断面側面図を示し、該拡張可能部材は、ガイドワイヤにスライド可能に連結され、且つマイクロカテーテルによりガイドカテーテルを通して押されている。
【0025】
図2E】本開示の1つ又は複数の実施形態による、ガイドカテーテルを通して押された後の、脈管系内に配置された閉塞物除去システムの拡張可能部材の断面側面図を示し、該拡張可能部材の基部における第1のロック部材は、ガイドワイヤ及び/又はステントリーバーにおける第2のロック部材に係合している。
【0026】
図2F】本開示の1つ又は複数の実施形態による、脈管系から閉塞物を除去するようにガイドカテーテルを通して引き戻されている閉塞物除去システムのステントリーバーの断面側面図を示し、該ステントリーバーがガイドカテーテルに向かって引かれる及び/又はガイドカテーテル内に引き込まれるにつれて、拡張可能部材が反転される。
【0027】
図2G】本開示の1つ又は複数の実施形態による、脈管系から閉塞物を除去するようにガイドカテーテルを通して引き戻されている閉塞物除去システムのステントリーバーの断面側面図を示し、閉塞物の少なくとも一部は、反転された拡張可能部材によって取り囲まれている。
【0028】
図2H】本開示の1つ又は複数の実施形態による、ステントリーバーとともにガイドカテーテルを通して引き戻されている閉塞物除去システムの拡張可能部材の断面側面図を示し、該拡張可能部材は、ガイドカテーテル内に引き込まれるにつれて、収縮状態に切り替えられて閉塞物の少なくとも一部を取り囲む。
【0029】
図2I】本発明の1つ又は複数の実施形態による、脈管系内に配置された閉塞物除去システムのステントリーバーの断面側面図を示し、第2のロック部材は、該ステントリーバーから一定の距離離れるようにガイドワイヤ上に設置されている。
【0030】
図3A】本開示の1つ又は複数の実施形態による、ガイドカテーテルを通して配置されるためにガイドワイヤに載置される直前の拡張可能部材を示す。
【0031】
図3B】本開示の1つ又は複数の実施形態による、ガイドカテーテルを通して配置されるためにガイドワイヤに載置されている拡張可能部材を示す。
【0032】
図3C】本開示の1つ又は複数の実施形態による、ガイドカテーテルを通して配置されるためにガイドワイヤに載置された拡張可能部材を示し、該拡張可能部材は、マイクロカテーテルによりガイドワイヤに沿って押される。
【0033】
図3D】本開示の1つ又は複数の実施形態による、ガイドカテーテルを通して配置されるためにガイドワイヤに載置された拡張可能部材を示し、該拡張可能部材はマイクロカテーテルによりガイドワイヤに沿って押されている。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付の図面に示されている、本発明に開示される対象を詳しく参照する。図1A図9を全体的に参照しながら、閉塞物除去システムを説明し、具体的には、該閉塞物除去システムは、閉塞物の除去に関するリスクを低減するために、脈管系内において拡張可能部材を選択的に配置するように構成されている。該拡張可能部材は、閉塞物がステントリーバーからずれて潜在的により危険な領域に移動する(例えば、その結果として、完全な閉塞を引き起こすか、重要な脈管系の一部を閉塞することなどになる)ことを防止するために用いられる。この点について、医者は、閉塞物によりリスクが発生しやすくなるか否かを判断した上で、前記拡張可能部材を選択的に配置することができる。なお、医者は、必要に応じて閉塞物(例えば、血栓)から離れた様々な位置に前記拡張可能部材を配置してもよい。
【0035】
いくつかの実施形態において、閉塞物除去システムは、ガイドカテーテルと、ガイドワイヤと、拡張可能部材と、第1のロック部材と、第2のロック部材とを備える。前記第1のロック部材は、前記拡張可能部材の基部に取り付けられてもよく、これにより拡張可能部材の移動にしたがって第1のロック部材が移動する。前記第1のロック部材は、さらに、前記第2のロック部材に係合するように配置されてもよい。この点について、前記拡張可能部材は、前記第1のロック部材によって前記第2のロック部材に固定してもよい。
【0036】
前記拡張可能部材は、ガイドワイヤ及び/又はマイクロカテーテルによりガイドカテーテル内に挿入され、且つ脈管系内の閉塞物付近に置かれても良い。前記ガイドワイヤ及び/又はマイクロカテーテルは、さらに、前記第1のロック部材を前記第2のロック部材に係合させるように構成されてもよい。
【0037】
前記拡張可能部材は、1つ又は複数の姿勢(例えば、収縮状態と拡張状態)の間で切り替えられるように構成されてよい。前記拡張状態下では、前記拡張可能部材に、前記ステントリーバー及び/又は前記閉塞物のうちの少なくとも一者の一部を取り囲ませることができる。前記収縮状態下では、前記拡張可能部材は、前記ガイドカテーテル及び/又はマイクロカテーテルを通して挿入・除去することに適する。この点について、前記拡張可能部材が前記ステントリーバー及び/又は前記閉塞物の少なくとも一部を取り囲んだ後に押し潰し/収縮状態になった場合、前記拡張可能部材及び前記ステントリーバーは、前記ガイドカテーテル及び/又は前記マイクロカテーテルを通して引き戻されることができる。
【0038】
ステントリーバー又は閉塞物の一部を拡張可能部材により取り囲む利点について、断面積の縮小、血管壁での摩擦の低減、ガイドカテーテルの開口に引っ掛かる可能性の低減、マイクロカテーテルの開口に引っ掛かる可能性の低減、及び閉塞物がずれる可能性の低減が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
前記拡張可能部材は、任意の適宜な手段で1つ又は複数の姿勢(例えば、収縮状態と押し潰し姿勢)の間で切り替えられるように配置され、前記手段は、内部応力、摩擦、材料特性、拡張可能部材に取り付けられるワイヤ、血管壁の一部を掴む/血管壁の一部に接触するためのフック、又は前記第1のロック部材と前記第2のロック部材の間の合わせ面を含むが、これらに限定されない。
【0040】
いくつかの実施形態において、第1のロック部材は、デリバリシステムが脈管系から取り外されると、第2のロック部材から離脱するように配置されてもよい。この点について、第1のロック部材の第2のロック部材からの離脱は、脈管系からステントリーバー及び閉塞物を除去するために用いられる。第1のロック部材と第2のロック部材との離脱能力により、ガイドワイヤ、ステントリーバー、拡張可能部材、ガイドカテーテル及び/又はマイクロカテーテルの再使用は可能になる。第1のロック部材及び第2のロック部材は、任意の適宜な手段で係合してもよく、前記手段として、ガイドストッパー、スナップフィットコネクタ、協同的なねじ式コネクタ、磁気コネクタなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
いくつかの実施形態において、第2のロック部材は、いくつかの位置に取り付けられてもよく、このような位置について、ステントリーバー、ガイドワイヤ又はガイドカテーテルの内面が挙げられるが、これらに限定されない。この点について、第1のロック部材が第2のロック部材に係合した後、第1のロック部材及び第2のロック部材は、ステントリーバー、ガイドワイヤ又はガイドカテーテルに対して固定される。
【0042】
なお、第1のロック部材と第2のロック部材は、脈管系から閉塞物を除去する期間中の様々な時点で係合するように構成されてもよいと理解される。例えば、第1のロック部材と第2のロック部材は、ステントリーバーが閉塞物に係合する前又はその後に係合してもよい。上記列挙した係合順序は、本発明を限定することを意図していない。
【0043】
図1A図1Kは、閉塞物除去システム100の1つ又は複数の実施形態を示す。図1Aに示されるように、閉塞物除去システム100は、脈管系を通して閉塞物108に近い位置に挿入されるように構成されるガイドカテーテル106を備える。閉塞物除去システム100はガイドストッパー104を備えてもよく、該ガイドストッパー104は、ガイドカテーテルの遠位端又はその付近(例えば、ガイドカテーテルの開口付近)にガイドカテーテル106の内面に取り付けられる(例えば、装着される)又は形成される。
【0044】
図1Bに示されるように、閉塞物除去システム100は、拡張可能部材110を更に備える。収縮状態下では、拡張可能部材110は、ガイドカテーテルを通して挿入されてガイドカテーテル106の遠位側開口から出るように構成される。拡張可能部材110が収縮状態である場合、拡張可能部材は、ガイドストッパー104を通すことに適してもよい。
【0045】
図1Cには、ガイドカテーテル106の遠位側開口外に配置された拡張可能部材110が更に示され、該拡張可能部材110に取り付けられた基部部材112は、ガイドストッパー104に、押し付けられるか、合わせるか、又は他の方式で係合する。デリバリツール120(例えば、デリバリワイヤ又はデリバリチューブ)は、ガイドカテーテル106を通して拡張可能部材110を押すために用いられる。いくつかの実施形態において、デリバリツール120は、端部に装着された支持部材121を含んでもよく、該支持部材121は、拡張可能部材110がガイドカテーテル106を通して押される際に拡張可能部材110を支持するように構成される。図1Dには、拡張状態に切り替えられた拡張可能部材110が更に示されている。その後に、脈管系から前記デリバリツール120を取り外してもよい。
【0046】
なお、ガイドカテーテル106の内側部分にガイドストッパー104を使用することにより、医者がガイドカテーテル106及び/又はデリバリツール120の一部を移動することで拡張可能部材110を閉塞物108から適切な距離離れた位置に選択的に設置することを可能にさせることに適してもよい。ガイドカテーテル106及び拡張可能部材110を設置する場合、医者は、脈管系の幾何学的形状、閉塞物の大きさ、血圧、血流方向又は脈管系の組織強度などを考慮可能である。例えば、拡張可能部材110を閉塞物位置の近くに配置することは望ましくない(その理由として、例えば、複雑な脈管系の構造のため)が、依然として拡張可能部材110の使用が望ましい可能性はある(例えば、閉塞物108がステントリーバーから分離する可能性を低減することを目的とする場合)。この例において、拡張可能部材110は、閉塞物108から離れて配置されてもよく、且つ、依然として閉塞物のずれによる合併症を減少しうるという利点を持っている。
【0047】
ここで、図1Eを参照し、閉塞物除去システム100は、ガイドカテーテル106を通して挿入されるように構成されるステントリーバー118を更に備えてもよい。例えば、ステントリーバー118は、ガイドワイヤ116の遠位端/その付近に形成、又はガイドワイヤ116の遠位端に連結してもよく、該ガイドワイヤ116は、ガイドカテーテル106を通して挿入されるように構成される。いくつかの実施形態において、ステントリーバー118は、マイクロカテーテル114(例えば、任意の適宜なマイクロカテーテル又は管)内に収容されてもよい。該マイクロカテーテル114は、ステントリーバー118を収容するとともにステントリーバー118がガイドカテーテル106内で拡張することを防止するために用いられる。これによって1つ又は複数の利点を付与することができ、例えば、ステントリーバー118とガイドカテーテル106の間の摩擦を軽減し、ステントリーバー118を基部部材112及び/又はガイドカテーテル106の遠位側開口を通して挿入することを可能にさせ、ステントリーバー118が拡張可能部材110に早まって係合することを防止することができるといった利点が挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
図1Fには、基部部材112、拡張可能部材110及びガイドカテーテル106の遠位側開口を通して挿入されたステントリーバー118、マイクロカテーテル114及びガイドワイヤ116が示されている。ステントリーバー118は、ガイドワイヤ116の移動によってステントリーバー118を移動するように、ガイドワイヤ116に取り付けられている。
【0049】
図1Gには、既にマイクロカテーテル114の遠位端の外側に配置されており、且つ少なくとも部分的に閉塞物108に係合した後のステントリーバー118が示されている。なお、閉塞物108をステントリーバー118に係合するための方法は、1つ又は複数存在し得る。例えば、ステントリーバー118を収容するマイクロカテーテル114は、閉塞物108を通して/閉塞物108の近くに配置されてもよい。その後に、マイクロカテーテル114は引き戻されてもよく、これによってステントリーバー118を拡張させるとともに閉塞物108に係合させることが可能になる。
【0050】
図1H及び図1Iには、拡張可能部材110に向かってステントリーバー118(及び閉塞物108)を引き戻しているガイドワイヤ116が示されている。拡張可能部材110は、ステントリーバー118及び閉塞物108がガイドカテーテル106内に引き込まれる時に、閉塞物108及び/又はステントリーバー118の少なくとも一部を取り囲むことができるように、拡張状態で構成されてもよい。ガイドワイヤ116を引き戻して脈管系から取り外すにつれて、拡張可能部材110は、拡張状態から収縮/押し潰し状態に切り替えられてもよく、これにより拡張可能部材110は、少なくとも部分的に閉塞物108を取り囲んでしっかり掴み、閉塞物108を脈管系から安全に除去することができる。
【0051】
図1Jには、ガイドカテーテル106に引き込まれた押し潰し姿勢の拡張可能部材110が示されている。いくつかの実施形態において、基部部材112は、ガイドストッパー104から離脱するように構成されてもよい。図1Jに示されるように、ステントリーバー118、閉塞物108及び拡張可能部材110が付いているガイドワイヤ116は、マイクロカテーテル114を通して引き戻されてもよい。或いは、ステントリーバー118、閉塞物108及び拡張可能部材110が付いているガイドワイヤ116は、直接にガイドカテーテル106を通して引き戻されてもよい。
【0052】
図1Kには、ガイドワイヤ116がマイクロカテーテル114及びガイドカテーテル106を通して挿入された閉塞物除去システムの断面端面図を示し、図1Lには、内面にガイドストッパー104(例えば、1つ又は複数の突起又はリング)が取り付けられたガイドカテーテル106の断面端面図を示す。以上説明したガイドストッパー104は、本発明を限定することを意図しておらず、単に基部部材に係合するための方法/手段の例を提供する。ガイドストッパー104は、拡張可能部材110に取り付けられた基部部材112に係合するように構成されてもよい(例えば、ガイドストッパー104がガイドカテーテル106の断面領域の一部を占めることにより、ガイドストッパー104を上記のように構成する。)。また、ガイドストッパーは、放射性色素の注射を可能にするために、占めるガイドカテーテル106の断面積が最小となるように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、ガイドストッパー104は、更に、拡張可能部材110に合わせて拡張可能部材110をガイドカテーテル106の遠位端の位置に一時的にロックするように配置されてもよい。
【0053】
図2A~2Iには、閉塞物除去システム100の1つ又は複数の別の実施形態を示す。図2Aに示されるように、ガイドカテーテル106は、脈管系を通して閉塞物108に近い位置まで挿入されるように構成される。図2Bに示されるように、ステントリーバー118は、ガイドカテーテル106を通して挿入されてガイドカテーテル106の遠位端から伸び出し、これによりステントリーバー118を閉塞物108に近い位置に設置する。いくつかの実施形態において、ステントリーバー118は、少なくとも部分的にマイクロカテーテル114に収容されてもよい。ステントリーバー118は、ガイドワイヤ116の移動によってステントリーバー118を移動するように、ガイドワイヤ116の遠位端に取り付けられている。
【0054】
図2Cには、既にマイクロカテーテル114の遠位端外側に配置され、且つ少なくとも部分的に閉塞物108に係合した後のステントリーバー118が示されている。図2Cにおいて、マイクロカテーテル114は、既にガイドカテーテル106を通して引き戻された。ロック部材202は、ステントリーバー118の基部に近い位置に設置されており、前記位置について、例えば、ステントリーバー118の基部、ステントリーバーの基部付近におけるガイドワイヤ116、又は両者の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。図2Dに示されるように、他のロック部材204は、拡張可能部材110の基部に設置される。
【0055】
図2Dには、ガイドカテーテル106を通して脈管系内に押し込まれた拡張可能部材110が示されている。拡張可能部材110は、マイクロカテーテル114によってガイドカテーテル106を通してガイドワイヤ116に沿ってスライドすることができる。拡張可能部材110は、ガイドワイヤ116にスライド可能に連結されてもよい(即ち、拡張可能部材110は、ガイドワイヤ116に沿ってスライドするように構成される。)。マイクロカテーテル114は、ロック部材204がロック部材202に係合する(例えば、合わせる)まで、ガイドワイヤ116に沿って拡張可能部材110をスライドさせるように構成されてもよい。
【0056】
拡張可能部材110は、第1の構造形態でガイドカテーテル106を通して挿入され、この第1の構造形態によって、拡張可能部材がガイドカテーテル106を通して挿入される時に、拡張可能部材110がマイクロカテーテル114に収納されることが可能になる。この点について、拡張可能部材110は、マイクロカテーテル114が引き戻された前に、第1の構造形態から拡張しないことが可能となる。或いは、拡張可能部材110の第1の構造形態によって、拡張可能部材110がマイクロカテーテル114の遠位部分を取り囲むことが可能となる。この場合、拡張可能部材110がガイドカテーテル106に収納されなくなった際に、拡張可能部材110は、外側へ拡張することができる。
【0057】
図2Eに示されるように、拡張可能部材110をステントリーバー118及び/又はステントリーバー118付近におけるガイドワイヤの一部に固定するためのカプラ200を形成するように、ロック部材204をロック部材202に係合する(例えば、合わせる)。この点について、ステントリーバー118及び拡張可能部材110は、ガイドワイヤ116の移動によって一緒に移動することができる。また、ガイドワイヤ116を引き戻すことにより、閉塞物108をガイドカテーテル106に向かって引く、及び/又はガイドカテーテル106内に引き込むことができる。
【0058】
図2Eに示されるように、マイクロカテーテル114が既にガイドカテーテル106内に引き戻された。いくつかの実施形態において、マイクロカテーテル114は、ロック部材204に近い位置に保持されてもよい。他の実施形態において、ロック部材204がロック部材202に係合した後、マイクロカテーテル114は、ガイドカテーテル106内に引き戻されてもよい。他の実施形態において、マイクロカテーテル114は、脈管系から引き出されてもよい。
【0059】
図2Fに示されるように、イドワイヤ116により、ガイドカテーテル106の遠位側開口に向かってステントリーバー118、閉塞物108及び拡張可能部材110の一部を引き戻している。拡張可能部材110の一部が引き戻されるにつれて、拡張可能部材は、第1の構造形態から第2の構造形態に反転される。拡張可能部材の反転は、拡張可能部材110と血管壁102の間の摩擦力によって発生可能である。拡張可能部材110が第1の構造形態から第2の構造形態に反転される際に、拡張可能部材110のロック部材204に近い内側部分が移動するとともに、拡張可能部材110の血管壁102に近い外側部分は静止のままで保持してもよい(又は内側部分よりも小さい速度で移動してもよい。)。
【0060】
拡張可能部材110は、第1の構造形態から第2の構造形態に切り替えられた後、閉塞物108及び/又はステントリーバー118の少なくとも一部を取り囲むように構成される。図2Gには、既に第1の構造形態から第2の構造形態に反転されており、且つステントリーバー118及び/又は閉塞物108の少なくとも一部を取り囲んだ後の拡張可能部材110が示されている。拡張可能部材110により閉塞物108を取り囲むことによって、除去過程中の閉塞物108のずれを防止することができる。
【0061】
図2Hには、少なくとも部分的にガイドカテーテル106内に引き戻された拡張可能部材110、閉塞物108及びステントリーバー118が示されている。いくつかの実施形態、例えば図2Hに示される実施形態において、拡張可能部材110、ステントリーバー118及び閉塞物108が付いているガイドワイヤ116は、除去過程中に更にマイクロカテーテル114内に引き戻されてもよい。或いは、拡張可能部材110、ステントリーバー118及び閉塞物108が付いているガイドワイヤ116は、直接にガイドカテーテル106を通して引き戻されてもよい。
【0062】
図2Iには、ロック部材202がステントリーバー118から一定の距離離れてガイドワイヤ116に設置される場合の閉塞物除去システム100の一実施形態を示す。このような構造形態は、拡張可能部材110、ロック部材204及び/又はガイドカテーテル106の配置が患者の脈管系の構造によって制限される場合に有利である。この点について、医者は、1組のガイドワイヤ及びステントを持ってもよく、該1組のガイドワイヤは、ステントから様々な長さ(例えば、25mm、50mm、75mm、100mmなど)で収納される受け部材を備える。前記1組のガイドワイヤによって、医者が患者の脈管系の構造又は閉塞物の寸法などの基準に基づいて患者に適するガイドワイヤを選択することが可能となる。
【0063】
図3A図3Dには、図2A図2Iを参照して説明した拡張可能部材110をガイドカテーテル106に挿入し、且つガイドカテーテル106を通して配置することを可能にする操作方式が示されている。例えば、図3A及び3Bには、ガイドカテーテル106を通して配置されるために拡張可能部材110をガイドワイヤ116に載置していることが示されている。次に、図3C及び3Dには、マイクロカテーテル114によってガイドワイヤ116に沿って拡張可能部材110を押していることが示されている。このように、拡張可能部材110は、上記の通りに図2D及び2Eを参照して説明したように、ガイドカテーテル106を通して脈管系102内に供給され、且つステントリーバー118に近い位置に、及び/又は、ステントリーバー118に接触するように設置されることができる。
【0064】
ここで開示される閉塞物除去システム100の実施形態を全体的に参照すれば、拡張可能部材110は、任意数量の方式で、第1の構造形態と第2の構造形態の間又は収縮状態と拡張状態の間で切り替えられるように構成されてもよく、前記方式として、例えば、抜き出す(例えば、ガイドカテーテル106を通してマイクロカテーテル114を引き戻すか又は延伸する)こと、拡張可能部材110に取り付けられたロック部材(例えば、ワイヤ、フックなど)を離脱すること、形状記憶合金(例えば、ニチノール)を使用することなどが挙げられるが、これらに限定されない。拡張可能部材が拡張状態である場合、該拡張可能部材は、脈管系の断面又は血管壁102の大部分を占めることができると想定できる。
【0065】
いくつかの実施形態において、拡張可能部材110、閉塞物108及びステントリーバー118は、ガイドカテーテル106内に引き戻されて脈管系から除去される。いくつかの実施形態において、拡張可能部材110、閉塞物108及びステントリーバー118は、さらにマイクロカテーテル114内に引き戻されてもよい。拡張可能部材110は、ずれを防止するために閉塞物108の少なくとも一部を取り囲むことができ、そして閉塞物108をガイドカテーテル106及び/又はマイクロカテーテル114内に圧縮する(圧縮方式として、例えば、引張、緊締、圧着などが挙げられる。)ことにも寄与することができる。
【0066】
いくつかの実施形態において、拡張可能部材110は、1つ又は複数の特徴を更に含んでもよく、該特徴として、フックが挙げられるが、これに限定されない。拡張可能部材110が拡張状態である場合、前記フックは、血管壁に取り付けられてもよいし、又は血管壁に摩擦接触してもよく、拡張可能部材110を除去する前に少なくとも部分的に閉塞物108を取り囲んでいる時、前記フックは、さらに、閉塞物108の一部を掴んでも良い。
【0067】
拡張可能部材110が閉塞物108及び/又はステントリーバー118の少なく一部を取り囲むことにより、複数の機能を果たすことができ、前記機能として、例えば、ステントリーバー118が(例えば、血管壁102又はガイドカテーテル106の開口に)引っ掛かる可能性を低減すること、ガイドカテーテル106及び/又はマイクロカテーテル114を通して除去するために閉塞物108の輪郭を縮小すること、及び/又はステントリーバー118からのずれを防止するために閉塞物108を固定することが挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
いくつかの実施形態において、拡張可能部材110は、ワイヤメッシュを含んでもよい。このようなワイヤメッシュは、可撓性材料(例えば、ニチノール、コバルトクロム、ポリマーメッシュなど)で製造されたワイヤを含んでもよく、前記ワイヤ(例えば16~288本又はそれ以上の本数のワイヤ)は、一定の直径(例えば0.0007インチ~0.0050インチ)を有し、且つ、閉塞物108及び/又はステントリーバー118に係合することに適する一定の材料特性(例えば、強度、血液との摩擦係数、塑性変形耐性など)を有する。さらに、該ワイヤメッシュは、様々なワイヤ群(例えば、より大きな直径を有する支持ワイヤ、血管壁に係合するためのワイヤ、閉塞物又はステントリーバーの一部に係合するためのワイヤ、放射線不透過性又はX線不透過性のワイヤなど)を含んでもよい。
【0069】
任意数量の本発明に開示される素子は、非侵襲的画像化技術(例えば、X線、CTスキャンなど)によって結像することに適合してもよい。例えば、ガイドカテーテル106、ガイドワイヤ116、マイクロカテーテル114、拡張可能部材110、ステントリーバー118、ガイドストッパー104、基部部材112、ロック部材204、ロック部材202及び/又は任意の他の部材は、人の体内に挿入するのに適する放射線不透過性又はX線不透過性の材料(例えば、チタン、タングステン、硫酸バリウム又は酸化ジルコニウム)を含んでもよい。
【0070】
なお、閉塞物除去システム100における任意数量の部材は、任意の適切な手段で取り付けられもよく、前記手段として、例えば、溶接、接着、機械的締結、締り嵌めなどが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、基部部材112又はロック部材204は、上記のような手段で拡張可能部材110に取り付けられてもよい。代替的に又は追加的に、2つ又はそれ以上の部材は、共通構造(例えば、共通金型又は共通プリント品)の一部であってもよい。
【0071】
いくつかの実施形態において、拡張可能部材110は、マイクロカテーテル114に一時的に取り付けられる。例えば、拡張可能部材110は、ロック部材204がロック部材202に係合した後、又は基部部材112が1つ又は複数のガイドストッパー104に係合した後、マイクロカテーテル114から分離するように構成されてもよい。
【0072】
ロック部材202、204及び/又は基部部材112とガイドストッパー104は、選択的に係合・離脱するように設置されてよい。選択的に係合・離脱する能力により利点を提供することができると想定できる。例えば、選択的に離脱する能力により、1つ又は複数の部材(例えば、拡張可能部材110、マイクロカテーテル114、ガイドカテーテル106など)の再使用を可能にすることができる。別の例において、ガイドカテーテル106を通して部材を挿入・除去する場合に、係合・離脱する能力により追加の機能(例えば、同時にガイドカテーテル106を通して移動する部材が少なくなること)を提供することができる。
【0073】
閉塞物移除システム100における1つ又は複数の装置は、複数の順序で配置されても良いと想定される。順序を決定する要因は、例えば、脈管系の特性(例えば、脈管系の寸法、脈管系の幾何学的形状、脈管系の分岐、脈管系の壁強度など)、血圧、血流方向、操作持続時間(即ち、安全性を考慮した上で、患者に対する操作時間を減少する必要があるか否か)、閉塞物の大きさ又は閉塞物除去装置の構造形態が挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
図1A図1Kを全体的に参照して、脈管系閉塞物除去方法は、
患者の脈管系を通してガイドカテーテル106を閉塞物108に近い位置に配置する工程であって、該ガイドカテーテル106は、その遠位端の内面上に1つ又は複数のガイドストッパー104を備える工程と、
ガイドカテーテル106を通して拡張可能部材110を挿入し、(デリバリツール120を利用して)拡張可能部材110をガイドカテーテル106の遠位端に押し、これにより拡張可能部材110に取り付けられた基部部材112がガイドストッパー104に係合する工程と、
ガイドワイヤ116に取り付けられたステントリーバー118をマイクロカテーテル114に挿入し、マイクロカテーテル114を使用してガイドカテーテル106を通してステントリーバー118を供給する工程と、
ガイドカテーテル106、ガイドストッパー104及び拡張可能部材110を通してステントリーバー118及びマイクロカテーテル114を閉塞物108までに配置する工程と、
マイクロカテーテル114を引き戻してステントリーバー118を抜き出すことにより、閉塞物108をステントリーバー118に係合させる工程と、
ガイドワイヤ116を引き戻す(例えば、引く)ことによりステントリーバー118及び閉塞物108を引き戻す工程であって、拡張可能部材110は、閉塞物108及び/又はステントリーバー118の少なくとも一部を取り囲み、且つ、ステントリーバー118及び閉塞物108が付いているガイドワイヤ116がガイドカテーテル106を通して引かれて脈管系から除去されるにつれて、拡張状態から収縮状態に切り替えられる工程と、を含んでもよいが、これらの工程に限定されない。
【0075】
図2A図2Iを全体的に参照して、脈管系閉塞物除去方法は、
患者の脈管系を通してガイドカテーテル106を閉塞物108に近い位置に配置する工程と、
ガイドカテーテル106を通して、マイクロカテーテル114におけるステントリーバー118をガイドカテーテル106の遠位端の外における閉塞物108に近い位置に配置する工程と、
閉塞物108を貫通する/取り囲むようにマイクロカテーテル114及びステントリーバー118を推し進める工程と、
マイクロカテーテル114を脈管系から引き出してステントリーバー118を抜き出すことによって、ステントリーバー118を閉塞物108に係合させる工程と、
拡張可能部材110をガイドワイヤ116にスライドする工程と、
マイクロカテーテル114によってガイドカテーテル106を通してガイドワイヤ116に沿って拡張可能部材110をスライドして、拡張可能部材110の基部におけるロック部材204が、ガイドワイヤ116、ステントリーバー118又はガイドカテーテル106の内面におけるロック部材202に係合するまで拡張可能部材110を推し進め、これにより拡張可能部材110をガイドワイヤ116、ステントリーバー118又はガイドカテーテル106の内面に連結する工程と、
脈管系からステントリーバー118及び閉塞物108を除去するように脈管系からガイドワイヤ116を除去し、これにより、脈管系からステントリーバー118及び閉塞物108を除去するように脈管系からガイドワイヤ116を取り外す際に、拡張可能部材110が反転され、且つ拡張状態から収縮状態に切り替えられるにつれて、拡張可能部材110がステントリーバー118及び/又は閉塞物108の少なくとも一部を取り囲む工程と、を含んでも良いが、これらの工程に限定されない。
【0076】
なお、ここで開示された方法の実施形態は、ここで記載された工程のうちの1つ又は複数を含んでもよい。また、これらの工程は、任意の所望の順序で行われてもよく、且つ、いくつかの実施形態において、2つ又はそれ以上の工程は、互いに同時に行われてもよい。ここで開示される2つ又はそれ以上の工程は、単一の工程に組み合わせられてもよく、且つ、いくつかの実施形態において、1つ又は複数の工程は、2つ又はそれ以上のサブ工程として実行されてもよい。さらに、ここで開示された1つ又は複数の工程に加えて、又はその代わりに、他の工程又はサブ工程を行ってもよい。
【0077】
なお、本開示の用語の使用は、本発明を限定することを意図しないと理解される。例えば、ここで使用された「閉塞物」とは、任意の血管閉塞物を指すことが可能であり、例えば血栓、プラーク(例えば、脂肪、コレステロールなど)、内部構造/生長、異物などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
以上で、添付の図面に示される実施例を参照して本発明の技術を説明したが、特許請求の範囲に記載の本発明の技術範囲から逸脱しない限り、同等物を使用して代替案とすることができる。ここで示されて説明された構成要素は、本発明の実施例を実現するために使用できる装置及び構成要素の例に過ぎず、本発明の技術範囲から逸脱しない限り、他の装置及び構成要素により代替されてもよい。なお、特許請求の範囲に特に明記しない限り、ここで提供された任意の寸法、程度及び/又は数値範囲は、非限定的な例として理解すべきである。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図1J
図1K
図1L
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図3A
図3B
図3C
図3D
【国際調査報告】