IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ツビリング・バッラリーニ・イタリア・エッセ・エッルレ・エッレの特許一覧

特表2022-507530食品調理容器および、そのそれぞれの改良された熱警告伝達装置
<>
  • 特表-食品調理容器および、そのそれぞれの改良された熱警告伝達装置 図1
  • 特表-食品調理容器および、そのそれぞれの改良された熱警告伝達装置 図2
  • 特表-食品調理容器および、そのそれぞれの改良された熱警告伝達装置 図3
  • 特表-食品調理容器および、そのそれぞれの改良された熱警告伝達装置 図4
  • 特表-食品調理容器および、そのそれぞれの改良された熱警告伝達装置 図5A
  • 特表-食品調理容器および、そのそれぞれの改良された熱警告伝達装置 図5B
  • 特表-食品調理容器および、そのそれぞれの改良された熱警告伝達装置 図6A
  • 特表-食品調理容器および、そのそれぞれの改良された熱警告伝達装置 図6B
  • 特表-食品調理容器および、そのそれぞれの改良された熱警告伝達装置 図6C
  • 特表-食品調理容器および、そのそれぞれの改良された熱警告伝達装置 図7
  • 特表-食品調理容器および、そのそれぞれの改良された熱警告伝達装置 図8
  • 特表-食品調理容器および、そのそれぞれの改良された熱警告伝達装置 図9
  • 特表-食品調理容器および、そのそれぞれの改良された熱警告伝達装置 図10
  • 特表-食品調理容器および、そのそれぞれの改良された熱警告伝達装置 図11
  • 特表-食品調理容器および、そのそれぞれの改良された熱警告伝達装置 図12
  • 特表-食品調理容器および、そのそれぞれの改良された熱警告伝達装置 図13
  • 特表-食品調理容器および、そのそれぞれの改良された熱警告伝達装置 図14
  • 特表-食品調理容器および、そのそれぞれの改良された熱警告伝達装置 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】食品調理容器および、そのそれぞれの改良された熱警告伝達装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/10 20060101AFI20220111BHJP
   A47J 45/10 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
A47J37/10
A47J45/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021526555
(86)(22)【出願日】2019-09-23
(85)【翻訳文提出日】2021-06-10
(86)【国際出願番号】 IB2019058039
(87)【国際公開番号】W WO2020099952
(87)【国際公開日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】102018000010408
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521136105
【氏名又は名称】ツビリング・バッラリーニ・イタリア・エッセ・エッルレ・エッレ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェロン,フランチェスコ
【テーマコード(参考)】
4B059
【Fターム(参考)】
4B059AA03
4B059BC12
4B059CA03
4B059CA11
4B059DA02
(57)【要約】
食品調理容器は、金属体と、金属固定要素を介して金属体の一部に拘束された少なくとも1つのハンドルと、熱伝導を提供するように金属体の一部と接触して配置された少なくとも1つの金属フレームガードリングと、互いに異なる熱膨張係数を有する第1の金属材料および第2の金属材料から形成された少なくとも1つのバイメタルシートを具備する備える少なくとも1つの熱警告伝達装置と、を備える。バイメタルシートは、熱伝導特性が提供される調理容器の構成要素と接触して配置され、調理容器が熱くなることに関連する漸進的な機械的運動によって所定の加熱量の達成を警告伝達するために予め設定される。フレームガードリングには、1つ以上の貫通孔が備えられ、バイメタルシートは、その少なくとも1つの表示部が特定の温度値で貫通孔を通して少なくとも部分的に視認可能であるような形状および寸法にされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品調理容器(10)であって、
-底壁(14)および少なくとも1つの側壁(16)を順に備える金属体(12)であって、前記側壁(16)が前記底壁(14)から延在して、調理されるために食品が配列される調理容器(10)の内部区画(18)を画定する、金属体(12)と;
-金属固定要素(22)によって金属体(12)の一部に拘束された少なくとも1つのハンドル(20)と;
-前記金属固定要素(22)に位置するハンドル(20)の端部(26)の周りに配列された、実質的に環状の形状を有する少なくとも1つの金属フレームガードリング(28)であって、前記金属体(12)と前記金属フレームガードリング(28)との間の熱伝導を可能にするように、金属体(12)の一部と接触して配置される、少なくとも1つの金属フレームガードリング(28)と;
-少なくとも1つのバイメタルシート(30)を備える少なくとも1つの熱警告伝達装置と、
を備え、
バイメタルシート(30)が、熱伝導特性を有する調理容器(10)の1つ以上の構成要素(22;24;28)と少なくとも部分的に接触して配置され、熱警告伝達装置が、調理容器(10)の加熱に関連する前記バイメタルシート(30)の漸進的な機械的運動により、調理容器(10)の事前設定された加熱量の達成を警告伝達するように配列され、金属フレームガードリング(28)には、1つ以上の貫通孔、スロット、または窓(32)が備えられ、調理容器(10)が、前記バイメタルシート(30)が互いに溶接された第1の金属材料の第1のストリップ(30A)および第2の金属材料の第2のストリップ(30B)からなり、前記第1の金属材料および前記第2の金属材料が異なる熱膨張係数を有し、かつ前記バイメタルシート(30)が、前記バイメタルシート(30)の少なくとも1つの表示部(34、38)が特定の温度値で、前記貫通孔、スロット、または窓(32)を通して少なくとも部分的に視認可能であるような形状および寸法にされることを特徴とする、容器(10)。
【請求項2】
バイメタルシート(30)が、開放された、または実質的にアーチ形のリング形状を有することを特徴とする、請求項1に記載の調理容器(10)。
【請求項3】
第1の金属材料の第1のストリップ(30A)が、第2の金属材料の第2のストリップ(30B)の熱膨張係数よりも大きい熱膨張係数を有し、第1の金属材料の前記第1のストリップ(30A)が、開放リングの外面に配置され、それにより、それぞれの表示部(34)が備えられた前記開放リングの開放端が、温度が上昇するにつれて互いに近づく傾向があり、それによって前記貫通孔、スロット、または窓(32)を遮ることを特徴とする、請求項2に記載の調理容器(10)。
【請求項4】
バイメタルシート(30)の少なくとも表示部(34)が、第1の所定の色、好ましくは赤色で着色され、第1の所定の色は前記バイメタルシート(30)の残りの部分が着色される色とは異なり、前記第1の所定の色が、前記所定の加熱量に達すると、前記貫通孔、スロット、または窓(32)を通して少なくとも部分的に視認可能であり、かつハンドル(20)の端部(26)が、第2の所定の色、好ましくは緑色で着色され、前記第1の所定の色とは異なり、前記第2の所定の色が、周囲温度条件下で、すなわち前記表示部(34)が前記貫通孔、スロット、または窓(32)を遮らない場合に、前記貫通孔、スロット、または窓(32)を通して少なくとも部分的に視認可能であることを特徴とする、請求項3に記載の調理容器(10)。
【請求項5】
第1の金属材料の第1のストリップ(30A)が、第2の金属材料の第2のストリップ(30B)の熱膨張係数よりも大きい熱膨張係数を有し、第1の金属材料の前記第1のストリップ(30A)が、開放リングの内面に配置され、それにより、それぞれ表示部(34)が備えられた前記開放リングの開放端が、温度が上昇するにつれて離れるように移動する傾向があり、したがって、前記貫通孔、スロット、または窓(32)が開くことを特徴とする、請求項2に記載の調理容器(10)。
【請求項6】
バイメタルシート(30)の少なくとも表示部(34)が、第2の所定の色、好ましくは緑色で着色され、第2の所定の色は前記バイメタルシート(30)の残りの部分が着色される色とは異なり、前記第2の所定の色が、周囲温度条件下で貫通孔、スロット、または窓(32)を通して少なくとも部分的に視認可能であり、かつ熱警告伝達装置が、前記貫通孔、スロット、または窓(32)に配置された少なくとも1つのプレート(36)を備え、前記プレート(36)が、第1の所定の色、好ましくは赤色で着色され、第1の所定の色は前記第2の所定の色とは異なり、前記第1の所定の色が、前記所定の加熱量に達すると、すなわち前記表示部(34)が前記貫通孔、スロット、または窓(32)を遮らない場合に、前記貫通孔、スロット、または窓(32)を通して少なくとも部分的に視認可能であることを特徴とする、請求項5に記載の調理容器(10)。
【請求項7】
バイメタルシート(30)の表示部(34)が、いかなる特定の色も有さず、それにより、周囲温度条件下で、前記バイメタルシート(30)の第2のストリップ(30B)を形成する第2の金属材料の自然色のみが、貫通孔、スロット、または窓(36)を通して視認可能であり、かつ熱警告伝達装置が、前記貫通孔、スロット、または窓(32)に位置する少なくとも1つのプレート(36)を備え、前記プレート(36)は、第1の所定の色、好ましくは赤色で着色され、第1の所定の色は前記自然色とは異なり、前記第1の所定の色が、前記所定の加熱量に達すると、すなわち前記表示部(34)が前記貫通孔、スロット、または窓(32)を遮らない場合に、前記貫通孔、スロット、または窓(32)を通して少なくとも部分的に視認可能であることを特徴とする、請求項5に記載の調理容器(10)。
【請求項8】
互いに整合された2つ以上の貫通孔、スロット、または窓(32)を備え、それにより、温度が上昇するにつれて、前記着色表示部(34)が視認可能である貫通孔、スロット、または窓(32)の数も増加し、したがって前記貫通孔、スロット、または窓(32)の配列および幾何学的形状が、調理容器(10)の温度の漸進的な上昇に関する情報を提供することを可能にすることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の調理容器(10)。
【請求項9】
バイメタルシート(30)が、少なくとも前記金属固定要素(22)と接触して配置されるとともに前記バイメタルシート(30)のための動き増幅ループとして動作する、細長い実質的にU字形の内側部分(40)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の調理容器(10)。
【請求項10】
第1の金属材料の熱膨張係数と第2の金属材料の熱膨張係数との間の比が、少なくとも1.4:1であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の調理容器(10)。
【請求項11】
第1の金属材料および第2の金属材料が、それぞれアルミニウムおよび鋼であることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の調理容器(10)。
【請求項12】
第1の金属材料の第1のストリップ(30A)が、第2の金属材料の第2のストリップ(30B)の厚さよりも大きい厚さを有することを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の調理容器(10)。
【請求項13】
良好な熱伝導特性を特徴とする調理容器(10)の前記構成要素(22;28)が、以下の構成要素である、
-金属フレームガードリング(28);
-金属固定要素(22);
-ハンドル(20)を前記金属固定要素(22)に締結するねじ(24)
のうちの1つ以上を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の調理容器(10):。
【請求項14】
バイメタルシート(30)の表示部(34)が、それぞれ隆起部(38)を備え、各隆起部(38)は、前記所定の加熱量に達すると持ち上げられてそれぞれの貫通孔、スロット、または窓(32)を通して少なくとも部分的に視認可能であるように配列されることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の調理容器(10)。
【請求項15】
前記隆起部(38)の表面が、調理容器(10)の高温熱状態を表示するために、所定の色、好ましくは赤色で着色されることを特徴とする、請求項14に記載の調理容器(10)。
【請求項16】
前記隆起部(38)の各々が、それぞれの表示部(34)において、引き抜きプロセスによって得られることを特徴とする、請求項14または15に記載の調理容器(10)。
【請求項17】
前記隆起部(38)の各々が、追加された要素を前記表示部(34)に適用することによって得られ、各追加された要素が、それぞれの隆起部(38)を形成することを特徴とする、請求項14または15に記載の調理容器(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、食品調理容器に関し、特に、食品調理容器用の改良された熱警告伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食品調理容器の技術分野では、正しい調理を提供し、かつ調理プロセスを監視して、供給する熱量を調整することを可能にするために、容器自体が達する熱状態について、例えば平鍋などの食品調理容器のユーザに通知するためのシステムおよび装置が知られている。ガスまたは電気によって供給される熱は、調理容器を所望の温度にするために、通常、使用開始時に高くなるが、調理の品質を損なうことになる調理容器の過熱をしないように、その量は所望の温度に達すると減少すべきである。平鍋は、通常、それらのそれぞれの熱状態の制御が最も重要な調理容器であり、そのようなタイプの台所用器具は、液体内容物によって減衰されない高温でのその使用のために熱制御を必要とする。
【0003】
最も使用されている熱警告伝達システムは、特定の温度に達すると色が変化し、したがって視覚情報を提供する顔料によって提供される色彩変化を参照する。容器自体の内面に配置された非固着性コーティングに組み込まれた顔料を介して、調理容器の内部に直接配置されるサーモクロミックシステムが存在する。例えば180℃などの所定の温度で色の変化が発生すると予想される場合、この所定の温度に達するとすぐに色が変化し、これにより、ユーザは、自身の要件に従って調理容器に供給される熱出力を調整することができる。
【0004】
サーモクロミックシステムは、2つの主な制限を特徴とする:
-顔料は、最高調理温度に耐性があるべきであり、そのピークは、300℃に達する可能性がある。高温に耐性がある(無機)顔料の色の変化は、非常にわずかであり、理解が困難である。調理容器の底部のある程度広いゾーンで作動される比較システムは、そのような色の変化を識別するために使用される;
-変色領域が配置される調理容器の底部は、通常、調理される食品によって覆われ、色の変化の視野を妨げるか、または少なくとも色の変化の視野を制限する。
【0005】
これらは、サーモクロミック顔料を使用しながら、上記の制限を克服することを目的とする熱警告伝達システムが実装されてきた理由である。これらの熱警告伝達システムでは、サーモクロミック顔料は、調理容器のすぐ周縁に配置された特定の構成部品をコーティングする塗料に配置される。例えば、調理容器が平鍋である場合、サーモクロミック顔料は、平鍋の縁部に最も近いハンドルの金属部分に配置される。
【0006】
しかしながら、これらの熱警告伝達システムを備えた調理容器では、サーモクロミック顔料を組み込んだ構成部品の温度上昇は、調理底部で起こる温度上昇に対して一定の時間遅れの後に発生する。これは、熱源により近い調理底部から検討中の構成部品に熱が伝達されるのに必要な時間のために生じる。例えば、調理底部は、180℃の温度であってもよく、一方、サーモクロミック顔料を組み込む構成部品は、おそらく60℃を超えない温度である。したがって、60℃の温度で色を変化させる顔料を使用して、調理底部が180℃の温度に達したことを警告伝達する。
【0007】
低温で色を変化させる顔料を使用する利点は、色の差が、例えば緑色から赤色まで非常に明確に定義されることである。しかしながら、そのような利点は、200℃を超える温度で長時間の調理に供された場合に失活し、それらの初期状態に戻らない傾向があるそのような(有機)顔料の熱抵抗の制限によって部分的に中和される。
【0008】
調理容器の底部の金属厚さの内部に組み込まれた熱電対の使用に基づいて、より洗練された熱警告伝達システムも存在する。熱電対によって評価された温度は、最終的に、一般に調理容器のハンドルの端部に配置された電池式電子装置によって読み取られ、警告伝達される。
【0009】
熱電対ベースの熱警告伝達システムは、少なくとも2つの主な制限を特徴とする:
-それらは、熱電対をその中に配置するために調理容器の底部の複雑な半径方向穿孔操作を必要とする;
-その性質上、および電池の存在のために、温度を読み取って警告伝達するために使用される電子装置は、水および食器洗い機の温度に耐えられず、いずれにしても、調理台上でしばしば発生するように、偶発的に高温にさらされることさえない。
【0010】
また、熱電対ベースの熱警告伝達システムは、それらが取り外し可能である必要があるため、高価であり、実用的ではない。
【0011】
最終的に、調理容器用の熱警告伝達システムは、特定の構成部品の漸進的な機械的運動に基づいて存在する。この運動は、調理容器の所与の加熱量に達すると得られる。この構成部品は、例えば文献韓国公開実用新案第2004-0072742号明細書および韓国公開実用新案第2004-0072743号明細書に記載されているように、異なる熱膨張係数を特徴とする2つの金属を含むバイメタルシートからなる。
【0012】
文献韓国公開実用新案第2004-0072742号明細書および韓国公開実用新案第2004-0072743号明細書による熱警告伝達システムでは、それらのそれぞれのバイメタルシートは、熱インジケータに似た特定の装置の運動および/または回転を制御する。これは、それらがかなり複雑で信頼できる機構がほとんどないことを意味する。請求項1の前文による食品を調理するための容器に適用される、さらなる熱警告伝達システムは、文献英国特許出願公開第2429285号明細書に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】韓国公開実用新案第2004-0072742号公報
【特許文献2】韓国公開実用新案第2004-0072743号公報
【特許文献3】英国特許出願公開第2429285号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明の目的は、極めて簡単で、費用効果が高く、かつ特に機能的な方法で従来技術の上述の欠点を解決することができる、食品調理容器用の改良された熱警告伝達装置を提供することである。
【0015】
詳細には、本発明の目的は、従来技術による装置よりも熱的に安定で信頼性の高い、食品調理容器用の改良された熱警告伝達装置を提供することである。
【0016】
本発明の別の目的は、従来技術による装置よりも構造的に簡単な、食品調理容器用の改良された熱警告伝達装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によるこれらの目的および他の目的は、食品を調理するための容器および請求項1に記載のそれぞれの改良された熱警告伝達装置を実装することによって実現される。
【0018】
本発明のさらなる特徴は、本開示の不可欠な部分である従属請求項によって強調される。
【0019】
本発明による食品を調理するための容器用の改良された熱警告伝達装置の特徴および利点は、以下の説明からより明らかになり、これは、説明のための非限定的な目的のために提供され、添付の概略図を参照する:
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明による改良された熱警告伝達装置を提供することができる食品調理容器の上面図である。
図2】本発明による改良された熱警告伝達装置の実施形態の断面図である。
図3図2の改良された熱警告伝達装置の動作原理を示す概略図である。
図4図2の改良された熱警告伝達装置の詳細の拡大図である。
図5A】食品調理容器に適用される本発明による改良された熱警告伝達装置の異なる実施形態を示す図である。
図5B】食品調理容器に適用される本発明による改良された熱警告伝達装置の異なる実施形態を示す図である。
図6A】食品調理容器に適用される本発明による改良された熱警告伝達装置の異なる実施形態を示す図である。
図6B】食品調理容器に適用される本発明による改良された熱警告伝達装置の異なる実施形態を示す図である。
図6C】食品調理容器に適用される本発明による改良された熱警告伝達装置の異なる実施形態を示す図である。
図7】食品調理容器に適用される本発明による改良された熱警告伝達装置の異なる実施形態を示す図である。
図8】本発明による改良された熱警告伝達装置の実施形態の可能な動作構成を示す図である。
図9】本発明による改良された熱警告伝達装置の別の実施形態の可能な動作構成を示す図である。
図10図9の改良された熱警告伝達装置の詳細の拡大図である。
図11】本発明による改良された熱警告伝達装置のさらなる実施形態を示す図である。
図12】本発明による改良された熱警告伝達装置のさらなる実施形態を示す図である。
図13】本発明による改良された熱警告伝達装置のさらなる実施形態を示す図である。
図14図12に示す熱警告伝達装置の拡大図である。
図15図13に示す熱警告伝達装置の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面を参照すると、本発明による食品調理容器および、それぞれの改良された熱警告伝達装置が示されている。食品調理容器は、全体として参照番号10によって識別され、説明の目的のためだけに平鍋の形態で示されている。
【0022】
調理容器10は、底壁14と、そのような底壁14から延在する少なくとも1つの側壁16とを順に具備する金属体12を備える。図に示す実施形態では、調理容器10は、実質的に円形の底壁14を備えた従来の平鍋である。平鍋は、底壁14から、より具体的には、底壁14の円形縁部からのみ延在する1つの側壁16を備える。いずれの場合でも、調理容器10はまた、複数の側壁16を備えてもよく、例えば、調理容器10は、四辺形形状を特徴とする底壁14を有してもよい。調理容器10の形状に関係なく、側壁16は、従来の本質的に既知の方法で底壁14から延在し、調理されるために食品が配置される調理容器10の内部区画18を画定する。
【0023】
調理容器10はまた、好ましくは非金属材料で作製された、少なくとも1つのハンドル20も備える。ハンドル20は、金属固定要素22を介して、典型的には側壁16からなる金属体12の一部に拘束される。次いで、ハンドル20は、例えばねじ24などの既知のシステムによって金属固定要素22に拘束されることができる。
【0024】
実質的に環状の形状を有する少なくとも1つの金属フレームガードリング28は、金属固定要素22においてハンドル20の端部26の周りに配列される。金属フレームガードリング28は、金属体12と金属フレームガードリング28自体との間の熱伝導を可能にするように、典型的には側壁16からなる金属体12の一部と接触して配置される。
【0025】
少なくとも1つの熱警告伝達装置は、金属フレームガードリング28の内部に適用され、互いに溶接された第1の金属材料の第1のストリップ30Aおよび第2の金属材料の第2のストリップ30Bからなる少なくとも1つのバイメタルシート30を備え、第1の金属材料および第2の金属材料は、異なる熱膨張係数を特徴とする。熱警告伝達装置は、図3に概略的に示されるように、調理容器10自体の温度上昇に関連するバイメタルシート30の漸進的な機械的運動によって、調理容器10の所定の加熱量の達成を示すように予め設定される。
【0026】
第1の金属材料および第2の金属材料は、例えば、それぞれ0.000024℃-1に等しい線熱膨張係数を有する純アルミニウム、および約0.000012℃-1(アルミニウムの熱膨張係数の約半分)に等しい線熱膨張係数を有するクロムステンレス鋼からなってもよい。これらの材料は、バイメタルシート30を形成する第1の金属材料および第2の金属材料が上述したものとは異なる材料であってもよいという点で、説明のためにのみ言及される。好ましくは、第1の金属材料の熱膨張係数と第2の金属材料の熱膨張係数との間の比は、著しい運動を引き起こすために少なくとも1.4:1である。
【0027】
適切に成形されたバイメタルシート30は、加熱されると変形する傾向があり、伸張が最も少ない、または、言い換えれば線熱膨張係数がより小さいことを特徴とする金属材料の周りで「曲がる」傾向がある。したがって、図3の概略図に示すように、バイメタルシート30が実質的に開放リングまたは「C」のような形状である必要があり、温度が上昇するにつれて矢印Fで示す方向に伸張する傾向がある。その結果、周囲温度条件下でバイメタルシート30のC字形開放端が所与の距離Lにある場合、それぞれの表示部34が導出されるそのような開放端は、温度が上昇するにつれて互いに近づく傾向があり、したがって、距離Lが徐々に減少する。
【0028】
バイメタルシート30は、例えば、ハンドル20を金属固定要素22に拘束するために使用される金属フレームガードリング28、金属固定要素22、および/またはねじ24などの良好な熱伝導特性を特徴とする調理容器10の1つ以上の構成部品と少なくとも部分的に接触して配置される。好ましくは、調理容器10の熱は、金属フレームガードリング28のみとの接触を介してバイメタルシート30に伝達される。しかしながら、金属フレームガードリング28および金属固定要素22の両方は、調理容器10からバイメタルシート30への熱の伝達をさらに保証するために、そのようなバイメタルシート30のそれぞれの部分に接触して配置される。
【0029】
前記構成を、熱状態を警告伝達するのに適したものにするために、図5A図5B図6A図6B図6C、および図7の実施形態に示すように、金属フレームガードリング28には、1つ以上の貫通孔、スロット、または窓32が設けられる。バイメタルシート30は、そのようなバイメタルシート30の少なくとも1つの表示部34が特定の温度値で貫通孔、スロット、または窓32(例えば、それらを遮ることによって)を通して少なくとも部分的に視認可能であるような形状および寸法にされる。以下でよりよく特定されるように、この特定の温度値は、調理容器10の実際の実施形態に応じて、そのような調理容器10の温度の上昇を示す所定の加熱量と一致するか、または周囲温度と一致するかのいずれかである。
【0030】
所定の加熱量、または言い換えれば調理容器10の所与の温度上昇の達成をより良好に表示するために、バイメタルシート30の少なくとも表示部34は、第1の所定の色、好ましくは赤色で着色され、前記バイメタルシート30の残りの部分が着色される色とは異なる。このようにして、調理容器10が前記所定の加熱量に達するかまたはそれを超えるときはいつでも、ユーザは、赤色になる貫通孔、スロット、または窓32を見ることによって、この熱状態について直ちに通知を受けることができる。
【0031】
加えて、ハンドル20の端部26を第2の所定の色、好ましくは緑色で、第1の所定の色とは異なる色で着色するための対策が取られてもよい。あるいは、熱警告伝達装置は、貫通孔、スロット、または窓32に配置された、少なくとも1つのプレート36を備えてもよい。プレート36はまた、第2の所定の色、好ましくは緑色で着色され、バイメタルシート30の少なくとも表示部34が着色される第1の所定の色とは異なる。したがって、図8に示す動作モードを参照すると、以下の情報をユーザに提供することができる:
-周囲温度条件下または低温条件下で、ハンドル20またはプレート36の端部26の緑色は、貫通孔、スロット、または窓32を通して視認可能である。
-周囲温度または高温状態よりも高い所定の加熱量に達すると、貫通孔、スロット、または窓32は、表示部34によって遮られ、言い換えれば、バイメタルシート30の表示部34の第1の所定の色(赤色)は、そのような貫通孔、スロット、または窓32を通して少なくとも部分的に視認可能である。
【0032】
互いに整列された2つ以上の貫通孔、スロット、または窓32を備える図5A図5B図6A図6B図6C、および図7の実施形態では、そのような貫通孔、スロット、または窓32の配列および幾何学的形状は、調理容器10の温度の漸進的な上昇に関する情報を提供することを可能にする。実際、温度が上昇するにつれて、バイメタルシート30の赤色に着色された表示部34が視認可能な貫通孔、スロット、または窓32の数も増加する。言い換えれば、調理容器10の温度は、貫通孔、スロット、または窓32のより多くの表面が赤色に着色されるほど高くなる。
【0033】
バイメタルシート30の寸法および貫通孔、スロット、または窓32の位置は、ほとんどの食品を調理するのに適した調理容器10の所定の加熱量に達すると赤色の熱警告伝達が起こるように適切に設計される。この所定の加熱量は、典型的には150℃より高い。
【0034】
図4は、開放リングまたはCリングの形状を有するバイメタルシート30を概略的に示し、第1の金属材料の第1のストリップ30Aは、第2の金属材料の第2のストリップ30Bの熱膨張係数よりも大きい熱膨張係数を有する。加えて、第1の金属材料の第1のストリップ30Aは、開放リングの外面に配置される。バイメタルシートを構成する第1の金属材料および第2の金属材料の厚さは、バイメタルシート30自体の、より大きな運動を得るために比較的薄い。好ましくは、第1の金属材料の第1のストリップ30Aは、第2の金属材料の第2のストリップ30Bの厚さよりも大きい厚さを有する。例えば、前述の金属材料の場合、第1のアルミニウムストリップ30Aは、0.2mm~0.3mmの範囲の厚さを有してもよく、第2の鋼ストリップ30Bは、0.1mm~0.15mmの範囲の厚さを有してもよい。
【0035】
例えば、両方の金属材料が異なる熱膨張係数を有する鋼からなる場合など、異なる性質の金属材料の場合、そのような金属材料の厚さは、適切に相互に較正され、例えば約0.2mmなどに全体の厚さが減少しても大きな運動をもたらすことができる。
【0036】
図8は、ハンドル20の断面の左側に、周囲温度でのバイメタルシート30の構成を示し、プレート36は、貫通孔、スロット、または窓32を通して視認可能である。ハンドル20のセクションの右側は、所定の加熱量に達したときのバイメタルシート30の構成を逆に示しており、表示部34は、バイメタルシート30自体を構成するリングの閉鎖運動の結果として貫通孔、スロット、または窓32を通して視認可能である。
【0037】
明らかに、バイメタルシート30は、図4に示される位置に対して反転される金属材料によって実装されてもよい。実際のところ、図9および図10は、開放リングまたはCリングの形状を有するバイメタルシート30を概略的に示しており、第1の金属材料の第1のストリップ30Aは、依然として第2の金属材料の第2のストリップ30Bの熱膨張係数よりも大きい熱膨張係数を有する。しかしながら、第1の金属材料の第1のストリップ30Aは、ここでは開放リングの内面に配置される。この場合、リングは、熱くなることによって膨張する。言い換えれば、C字形バイメタルシート30の開放端が周囲温度条件下で所与の距離Lにある場合、そのとき、そのような開放端は、温度が上昇するにつれて互いから離れるように移動する傾向があり、したがって距離Lが徐々に増加する。この動作構成によれば、バイメタルシート30は、温度が上昇するにつれて、それ自体の表示部34を貫通孔、スロット、または窓32から徐々に外れる。
【0038】
したがって、この動作構成によれば、所定の加熱量の達成を警告伝達するためには、プレート36またはハンドル20の端部26を第1の所定の色、好ましくは赤色で着色すれば十分である。バイメタルシート30の表示部34は、第2の所定の色、好ましくは緑色で逆に着色される。この場合、周囲温度条件下で貫通孔、スロット、または窓32を通して少なくとも部分的に視認可能なのは、バイメタルシート30の表示部34の第2の所定の色(緑色)である。あるいは、バイメタルシート30の表示部34は、周囲温度条件下で、そのようなバイメタルシート30の第2のストリップ30Bを形成する第2の金属材料の自然色(プレート36の第1の所定の色とは明らかに異なる)のみが貫通孔、スロット、または窓36を通して視認可能であるように、特定の色を全く有していなくてもよい。
【0039】
したがって、バイメタルシート30が熱効果のために膨張するときはいつでも、貫通孔、スロット、または窓32を通して少なくとも部分的に視認可能であるのは、その下のプレート36の第1の所定の色(赤色)である。バイメタルシート30のこの動作構成が図9に示されており、周囲温度におけるバイメタルシート30の構成がハンドル20の区画の右側に示され(バイメタルシート30の表示部34の第2の所定の色が視認可能である)、一方、所定の加熱量に達したときのバイメタルシート30の構成がハンドル20の区画の左側に示され(プレート36の第1の所定の色が視認可能である)、バイメタルシート30自体を構成するリングの開放運動を示している。
【0040】
所与の熱状態を警告伝達するためにバイメタルシート30が変形することを利用する代替的な方法が図11から図13に示される。これらの実施形態では、バイメタルシート30の表示部34には、所定の加熱量に達するとそれぞれの貫通孔、スロット、または窓32を通して上昇するように予め設定されたそれぞれの隆起部38が備えられている。言い換えれば、調理容器10の高温条件では、隆起部38が出て、金属フレームガードリング28に穿孔された貫通孔、スロット、または窓32を通して少なくとも部分的に視認可能である。逆に、これらの隆起部38は、周囲温度条件下で、またはいずれの場合も前記所定の加熱量よりも低い温度の存在下では隠されたままである。
【0041】
したがって、バイメタルシート30のこの動作構成では、所定の加熱量の達成は、金属フレームガードリング28上に作製された貫通孔、スロット、または窓32から出る隆起部38によって警告伝達される。隆起部38の表面は、調理容器10の高温熱状態を表示するために、所定の色、好ましくは赤色で好都合に着色されてもよい。図11および図12は、一方では周囲温度構成(隠された隆起部38)を示し、他方では所定の加熱量(それらのそれぞれの貫通孔、スロット、または窓32を通して突出する隆起部38)に達したときの構成を示す。
【0042】
図14および図15に示されるように、バイメタルシート30のあらゆる隆起部38は、それぞれの表示部34において、引き抜きプロセスによって、または単にそれぞれの隆起部38を構成する追加された要素をあらゆる表示部34上に適用することによって、のいずれかで得ることができる。
【0043】
図12に示す実施形態では、バイメタルシート30は、実質的にアーチ形状を特徴とする。逆に、図13に示す実施形態では、バイメタルシート30には、少なくとも金属固定要素22と接触して配置され、バイメタルシート30のための動き増幅ループとして動作する内側の細長い実質的にU字形の部分40が備えられる。この内側部分40は、バイメタルシート30自体の縮小された寸法と比較して、バイメタルシート30が実質的な運動を有することを可能にする。加えて、図13に示すように、図12のバイメタルシート30は、金属フレームガードリング28および金属固定要素22の両方と、さらにハンドル20を金属固定要素22に拘束するねじ24と同時に接触させることができる。
【0044】
上述したバイメタルシート30の実施形態にかかわらず、バイメタルシートに基づく熱警告伝達装置が物理的に可逆的であることは強調する価値がある。その結果、調理容器10が冷えるたびに、バイメタルシート30は、典型的には、周囲温度に対して指定されたそれ自体の初期条件に戻り、再び使用する準備が整う。
【0045】
したがって、本発明による食品を調理するための容器用の熱警告伝達装置は、先に強調された目的を達成し、具体的には以下の利点を提供することが実証された:
-バイメタルシートの運動は、本質的に機械的な運動であり、繰り返し性、信頼性、および安定性を提供する;
-サーモクロミック顔料または電子回路などの変更可能な要素がない;
-(赤色、緑色の)警告伝達塗料が使用される場合、それらは、高温安定性塗料から選択することができる;
-熱警告伝達装置は、製造が簡単で容易な要素を備え、その寸法の縮小によりコスト管理が容易になる;
-バイメタルシートを形成する金属材料ストリップの材料/厚さの組み合わせを変更させることによって、多かれ少なかれ迅速な応答のために熱警告伝達装置をプログラムすることが可能である。
-漸進的な温度表示を提供することができる。
【0046】
このようにして考案された本発明による食品を調理するための容器用の熱警告伝達装置は、いずれの場合も多数の修正および変形の影響を許容し、すべて同じ発明概念内にあり;また、すべての詳細は、技術的に等価な要素で置き換えることができる。実際には、使用される材料、ならびに形状および寸法は、技術的要件に応じていかなるものであってもよい。
【0047】
したがって、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲に記載されているものである。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】