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特表2022-507537炎症を有する患者における有害事象を管理するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】炎症を有する患者における有害事象を管理するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/14 20150101AFI20220111BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220111BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20220111BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20220111BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220111BHJP
   A61P 7/04 20060101ALI20220111BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20220111BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20220111BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20220111BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20220111BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20220111BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20220111BHJP
   A61P 7/02 20060101ALI20220111BHJP
   A61P 1/08 20060101ALI20220111BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
A61K35/14 Z
A61P29/00
A61P17/02
A61P31/00
A61P35/00
A61P7/04
A61P37/06
A61P1/16
A61P11/00
A61P7/00
A61P13/12
A61P19/08
A61P7/02
A61P1/08
A61P9/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021526570
(86)(22)【出願日】2019-11-14
(85)【翻訳文提出日】2021-07-12
(86)【国際出願番号】 US2019061565
(87)【国際公開番号】W WO2020102602
(87)【国際公開日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】62/768,667
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507318956
【氏名又は名称】ヘマネクスト インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】ダナム アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】吉田 達郎
(72)【発明者】
【氏名】ソウェミモ-コーカー サミュエル オー
【テーマコード(参考)】
4C087
【Fターム(参考)】
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB34
4C087CA21
4C087DA03
4C087DA10
4C087MA66
4C087NA06
4C087ZA07
4C087ZA36
4C087ZA51
4C087ZA53
4C087ZA54
4C087ZA55
4C087ZA59
4C087ZA75
4C087ZA81
4C087ZA89
4C087ZA96
4C087ZB08
4C087ZB11
4C087ZB26
4C087ZB31
(57)【要約】
炎症の予防および回復のための方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保存中に20%以下の酸素飽和度を有する保存された酸素低減血液で必要な患者を処置する方法であって、必要な前記患者は炎症を有する、前記方法。
【請求項2】
前記酸素低減血液中の二酸化炭素を低減することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記炎症は、外傷、感染、がん、凝固障害、または自己免疫に起因する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記患者は、さらに発熱を有するか、または発熱を発症するリスクがある、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記患者は、増加したC反応性タンパク質(CRP)レベルを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記患者は、発熱を有さない患者と比較して、IL-6、IL-8、IL-10、および顆粒細胞コロニー刺激因子(G-CSF)からなる群から選択される1つまたは複数の炎症メディエーターのレベルが増加している、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記患者は、発熱を有さない患者と比較して、CCL5およびCXCL10からなる群から選択される1つまたは複数の炎症メディエーターのレベルが低下している、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記患者は、肝臓損傷、肺損傷、脾臓損傷、腎臓損傷、骨損傷、またはそれらの組み合わせを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記処置は、従来通りに保存された血液で処置された患者と比較して、前記患者におけるトロンボスポンジンへの赤血球の接着を低減する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
必要な鎌状赤血球患者における輸血を改善する方法であって、保存された酸素低減血液を鎌状赤血球症を有する患者に提供することを含み、前記酸素低減血液は保存中に20%以下の酸素飽和度を有する、前記方法。
【請求項11】
前記改善は、指炎(手足症候群)の発生数を、従来通りに保存された血液を受けている患者と比較して少なくとも10%低減することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記改善は、疼痛クリーゼの数を、従来通りに保存された血液で処置されることと比較して少なくとも10%低減することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記改善は、疲労、易刺激性、眩暈、呼吸困難、薄い皮膚色、黄疸、成長遅延、および思春期遅延からなる群から選択される貧血による合併症を低減することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記改善は、感染症の発生を低減することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記改善は、脾臓損傷を低減することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記改善は、脳卒中を低減または予防することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
必要な患者における血管閉塞エピソードの数を減少させる方法であって、必要な患者に保存された酸素低減血液を提供することを含み、前記酸素低減血液は保存中に20%以下の酸素飽和度を有し、前記血管閉塞エピソードを減少させることは、内皮細胞への赤血球の接着を減少させることを含む、方法。
【請求項18】
前記酸素低減血液中の二酸化炭素を低減することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
必要な前記患者は、鎌状赤血球症、炎症、または鎌状赤血球症および炎症を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
必要な患者における内皮細胞への赤血球の接着を減少させる方法であって、鎌状赤血球症を有する患者に保存された酸素低減血液を提供することを含み、前記酸素低減血液は保存中に20%以下の酸素飽和度を有する、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年11月16日に出願された米国仮特許出願第62/768,667号の優先権を主張する。
【0002】
政府の権利
本発明は、国立心肺血液研究所(National Heart,Lung,and Blood Institute)によって授与されたR44HL132172の下で米国政府の支援を受けてなされたものである。政府は本発明において一定の権利を有する。
【0003】
発明の分野
本開示は、炎症、鎌状赤血球症、外傷、および出血性ショックの処置に関する。
【背景技術】
【0004】
遺伝性赤血球障害の一群である鎌状赤血球症(SCD:Sickle cell disease)は、世界中で数百万人が罹患している。約100,000人の米国人がSCDに罹患していると推定されている。
【0005】
鎌状赤血球症は、鎌状赤血球貧血(HbSS)、鎌状赤血球ヘモグロビンC病(HbSC)、ヘモグロビンS-ベータサラセミア((HbSβ0およびHbβ+サラセミア)、ヘモグロビン-SD病(HbSD)、ヘモグロビン-SE病(HbSE)、およびヘモグロビン-SOアラブ病(HbSO)の6つのタイプに分けられる。最も重篤な形態であるHbSSは、2つの鎌状赤血球遺伝子の遺伝を特徴とする。HbSCでは、単一の鎌状赤血球遺伝子が一方の親から遺伝し、ヘモグロビンCに対する異常遺伝子が他方の親から遺伝する。HbSCは、この疾患のより軽度の形態である。HbSベータサラセミアを有する人々は、1つの鎌状遺伝子およびベータサラセミアに対する遺伝子を受け継ぐ。HbSベータサラセミアは、ベータサラセミアOおよびベータサラセミア+にさらに分けられ、ベータサラセミアOは、これら2つのうちのより重篤な形態である。HbSD、HbSE、およびHbSOは、稀なタイプの鎌状赤血球症である。これらの稀なタイプにおいては、鎌状赤血球遺伝子および異常な型のヘモグロビン(D、E、またはO)由来の1つの遺伝子が遺伝している。
【0006】
SCDの最も一般的な合併症のいくつかは、血管閉塞を含む。研究により、鎌状RBC(SS-RBC)が内皮との接着性相互作用によって血管閉塞エピソードを引き起こすことが示されている。血管閉塞エピソードは、人によってさまざまな程度の疼痛を引き起こす。この疼痛は突然始まり、任意の期間持続し得る。加えて患者は、インフルエンザ、髄膜炎、および肝炎を含む感染症を経験する可能性がより高い。加えて患者は、手足症候群、眼疾患、急性胸部症候群、および脳卒中を経験し得る。さらに、研究により、鎌状赤血球症が炎症反応を促進することが示されている。非特許文献1を参照されたい。生涯にわたって、SCDは患者の脳、眼、心臓、肺、肝臓、脾臓、腎臓、皮膚、関節、および骨に害を及ぼし得る。
【0007】
鎌状赤血球症の処置としては、輸血、骨髄移植、幹細胞移植、およびクリーゼの疼痛エピソードの数を減少させるための投薬(例、ヒドロキシ尿素)が挙げられる。
【0008】
2010年には、HIV、結核、およびマラリアを合わせた死亡数(380万人)を超える510万人が傷害によって死亡した。非特許文献2(「ノートン(Norton)2013」)(その全体がここに引用により援用される)を参照されたい。傷害には、意図的でない傷害(例、道路交通事故、転倒、および火傷)および意図的な傷害(例、自傷、対人暴力、戦争、および紛争)が含まれる。非特許文献2(ノートン2013)を参照されたい。傷害による死亡数は、世界中で1990年から2010年の間に24%増加し、米国では2000年から2010年の間に23%増加した。非特許文献2(ノートン2013)を参照されたい。加えて、すべての外傷死の少なくとも20%は生存可能な傷害の結果であり、したがって最適なケアで予防可能である。非特許文献3(その全体がここに引用により援用される)。この予防可能な死亡のパーセンテージは、死亡につながる回避可能な合併症に対する治療法を開発することを必須にする。
【0009】
貫通創(例、銃撃または刺傷)および鈍的外傷(例、転倒または自動車事故)は、出血性外傷の主な原因である。結果として生じるショックは、大量出血による組織への不十分な酸素供給の状態であり、酸素負債、嫌気性代謝、および血漿乳酸レベルの上昇を引き起こす。循環および酸素送達を回復させることによってショックを回復させることができないと、永久的な組織損傷、多臓器不全、および死亡につながり得る。
【0010】
出血性外傷およびショックの臨床的後遺症には、外傷の数時間以内の失血による死亡、ならびに外傷および大量輸血による罹患から24時間以降の死亡が含まれる。このような罹患としては、急性外傷性凝固障害または炎症による肺、腎臓、肝臓を含む多臓器不全、および輸血関連免疫調節による感染症/敗血症が挙げられ、どちらの罹患率も、輸血された血液製剤が低品質になること、および輸血されたpRBCの体積が増すことによって高くなる。
【0011】
出血性ショックを処置するためのアプローチの1つは、蘇生のためのクリスタロイドの使用である。しかし、クリスタロイドの使用は、外傷誘導性凝固障害を引き起こすことによって、罹患率および死亡率の増加をもたらす。少なくともこの理由のために、出血性外傷によって引き起こされるショックを回復させるために血液成分を早期投与することが推奨される。濃厚赤血球(pRBC:Packed red blood cells)を出血性外傷患者に輸血して、失われた血液量を回復させ、患者における酸素運搬能力を回復させ、組織における嫌気性代謝から酸化的代謝を回復させる。しかし、pRBCの使用は、抗原ミスマッチ、病原体感染、循環過負荷、およびエクスビボ保存中のpRBCの分解を含む問題のリスクを伴わないわけではない。
【0012】
従来通りに保存されたとき、保存された血液は、特に溶血、ヘモグロビン分解、ならびにATPおよび2,3-DPG濃度低減を含む種々の保存病変に関連する定常的な劣化を受ける。患者に輸血したとき、保存中の定常的な劣化の影響は、たとえば24時間インビボ回収率の低減などとして現れる。24時間回収率の低減に起因するヘマトクリットの急速な減少は、重篤なときには遅発性溶血性輸血反応(DHTR:delayed hemolytic transfusion reaction)をもたらし得る。たとえば全身性炎症反応症候群(SIRS:systemic inflammatory response syndrome)、輸血関連急性肺傷害(TRALI:transfusion related acute lung injury)、および輸血関連免疫調節(TRIM:transfusion related immunomodulation)などのその他の合併症は、保存血液の輸血に関連するが、根底にある原因の同定は不明なままである。
【0013】
現在の6週間の期限内に輸血されたときでさえ、保存されたRBCは、品質の低下(例、除去されたRBC画分の増加、酸素交換能力の低下、変形能の低減)および毒性の増加を示す傾向があり、これはしばしば、輸血治療の臨床的後遺症として現れる。文献中の多数の増加する数の論文がこの見解を支持している。非特許文献4、非特許文献5、非特許文献6、非特許文献7、非特許文献8、非特許文献9、非特許文献10、非特許文献11、非特許文献12、非特許文献13、非特許文献14、非特許文献15、非特許文献16、非特許文献17、非特許文献18、非特許文献19、非特許文献20、非特許文献21(その全体がここに引用により援用される)を参照されたい。広範なインビトロ研究は、従来の保存中のRBCの分解(保存病変)を明確に示している。多数の新たに出現したメタボロミクス研究は、分子レベルでの保存病変の進行を示している。非特許文献22、非特許文献23、非特許文献24、非特許文献25、非特許文献26、非特許文献27、非特許文献28(その全体がここに引用により援用される)を参照されたい。この分解を低減または防止して、輸血の効力を高め(輸血直後の末梢組織へのより多くのO2送達)、炎症、鎌状赤血球症、または出血性外傷による死亡率を低減させる必要がある。
【0014】
酸化的損傷は、従来通りに保存された血液における多くのRBC保存病変およびそれらの下流の結果を引き起こす。したがって、RBC保存病変を減少させるために、酸化的ストレスの程度を減少させる方法が必要とされる。保存病変を最小限にして輸血予後を改善することを目的として、いくつかのアプローチが開発されてきた。アプローチには、添加剤溶液(たとえば、ハマサキ(Hamasaki)らの特許文献1およびササカワ(Sasakawa)らの特許文献2、ヘス(Hess)らの特許文献3など)、凍結保存(セルブレンニコフ(Serebrennikov)の特許文献4、非特許文献29、および非特許文献30を参照されたい)(その全体がここに引用により援用される)が含まれる。
【0015】
血液の品質改善およびその有用性の拡大に成功したことが証明されているアプローチの1つは、酸素の枯渇および嫌気性条件下での保存によるものである。酸素枯渇条件下で血液を保存する利点の中には、ATPおよび2,3-DPGのレベルの改善、ならびに溶血の低減がある。ビテンスキー(Bitensky)らの特許文献5、ビテンスキーらの特許文献6、およびビテンスキーの特許文献7(その全体がここに引用により援用される)は、酸素枯渇条件下での赤血球の保存に向けられたものである。ビテンスキーらの特許文献8は、血液保存添加剤溶液に向けられたものである(その全体がここに引用により援用される)。ビテンスキーらの特許文献6(‘396特許)(その全体がここに引用により援用される)は、酸素不透過性の外層、酸素透過性の赤血球(RBC)適合性内層を含み、かつ内層と外層との間に配置された酸素スクラバーを有する、血液保存用の嫌気性保存バッグを開示している。
【0016】
酸素枯渇条件下での血液の保存は、従来の条件下で保存された血液と比較して微粒子レベルの減少、変形能の損失の減少、脂質およびタンパク質酸化の減少、ならびにより高い輸血後生存率をももたらし得る。非特許文献31および非特許文献32(その全体がここに引用により援用される)を参照されたい。嫌気的に保存されたRBCは、自己輸血後のより高い24時間インビボ回収率、より高い2,3-DPGおよびATPレベル、より低い溶血、ならびに代謝経路の有益なリモデリングをさらに提供する。非特許文献33および非特許文献34(その全体がここに引用により援用される)を参照されたい。
【0017】
本開示において、本発明者らは、酸素低減(OR:oxygen reduced)または酸素および二酸化炭素低減(OCR:oxygen and carbon dioxide reduced)の赤血球が、トロンボスポンジンへの接着を低減することによって、SCD患者における血管閉塞を低減し得ることを実証する。加えて本発明者らは、ORおよびOCR赤血球が、従来通りに保存された血液と比較して、SCD患者由来の血漿の存在下での溶血を低減したことを実証する。
【0018】
本開示において、本発明者らは、ヒト血液を使用して以前に実証されたとおり、ラット由来のORまたはOCR血液が、従来通りに保存された血液と比較して、保存中のATPおよび2,3-DPGの改善を提供することを実証する。したがって、ORまたはOCRラットRBCは、同様の微粒子の減少、変形能の改善、脂質およびタンパク質酸化の減少、ならびにより高い輸血後生存率を有すると予想される。
【0019】
ここで本発明者らは、ラットにおけるORおよびOCR血液が、出血性外傷を処置するために輸血されたときに臨床予後における驚くべき改善を提供することを初めて実証する。ラット出血性ショック蘇生モデルを使用して、本発明者らは、ORまたはOCR RBCが従来通りに保存された血液よりも器官損傷の低減を提供することを示す。加えて、ORまたはOCR RBCは、より少量のpRBCを使用したショック状態の回復を提供する。最後に、ORまたはOCR RBCは、出血性ショックを処置するために輸血されたときに、同じ保存期間の従来通りに保存されたpRBCと比較して、より迅速に血行動態を安定化した。
【0020】
ORおよびOCR RBCは、従来通りに保存された血液よりも死亡率および罹患率を低減させるための、失血をもたらす外傷の処置のための改善された方法を提供する。ORおよびOCR RBCは、肺および肝臓損傷のマーカーのレベル低減を含む、臓器不全の低減を提供する。ORおよびOCR RBCはさらに、血行動態機能を回復および安定化するために必要な血液量の減少を提供する。したがって、ORおよびOCR RBCは、出血性外傷を処置するときの輸血治療に必要とされるRBCの体積の減少を提供し得る。ORおよびOCRの品質改善は、保存されたRBCが酸素を送達する能力に対する以前に実証された改善に加えて、外傷に関連する器官損傷、罹患率、および死亡率の予想外の低減も提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】米国特許第4,769,318号
【特許文献2】米国特許第4,880,786号
【特許文献3】米国特許第6,447,987号
【特許文献4】米国特許第6,413,713号
【特許文献5】米国特許第5,624,794号
【特許文献6】米国特許第6,162,396号
【特許文献7】米国特許第5,476,764号
【特許文献8】米国特許第5,789,151号
【非特許文献】
【0022】
【非特許文献1】プラット(Plat),O.,「炎症性疾患としての鎌状赤血球貧血(Sickle cell anemia as an inflammatory disease)」、ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション(J.Clin.Invest.),106(3):337-338(2000)
【非特許文献2】ノートン(Norton)ら,「世界的健康傷害(Global Health Injuries)」,The NEJM,368:1723-30(2013)
【非特許文献3】フォックス(Fox)ら,「重篤な傷害患者の出血性ショックの治験に対するより早期のエンドポイントが必要である(Earlier Endpoints are Required for Hemorrhagic Shock Trials Among Severely Injured Patients)。」,ショック(Shock),47:567-73(2017)
【非特許文献4】ジムリング(Zimring),「赤血球保存病変の評価において考慮すべき確立要因および理論的要因(Established and theoretical factors to consider in assessing the red cell storage lesion)」,ブラッド(Blood),125:2185-90(2015)
【非特許文献5】チュー(Zhu)ら,「赤血球からのアデノシン-5’-三リン酸放出障害は、赤血球の内皮細胞への接着を促進する:輸血後の低酸素血症のメカニズム(Impaired adenosine-5’-triphosphate release from red blood cells promotes their adhesion to endothelial cells:a mechanism of hypoxemia after transfusion)」,クリティカル・ケア・メディシン(Critical care medicine),39:2478-86(2011)
【非特許文献6】ワインバーグ(Weinberg)ら,「外傷患者における赤血球年齢および輸血関連病理の相乗作用(Red blood cell age and potentiation of transfusion-related pathology in trauma patients)」,トランスフュージョン(Transfusion),51:867-73(2011)
【非特許文献7】スピネラ(Spinella)ら,「血液製剤の保存期間は重篤な患者の予後に影響するか?(Does the storage duration of blood products affect outcomes in critically ill patients?)」,トランスフュージョン(Transfusion)51:1644-50(2011)
【非特許文献8】ローバック(Roback)ら,「不十分な酸化窒素バイオアベイラビリティ:赤血球輸血の有害作用を説明する仮説(Insufficient nitric oxide bioavailability:a hypothesis to explain adverse effects of red blood cell transfusion)」,トランスフュージョン(Transfusion),51:859-66(2011)
【非特許文献9】レイノルズ(Reynolds)ら,「輸血の問題点:異常なS-ニトロシル化の役割(The transfusion problem:role of aberrant S-nitrosylation)」,トランスフュージョン(Transfusion)51:852-8(2011)
【非特許文献10】キム-シャピロ(Kim-Shapiro)ら,「保存病変:赤血球崩壊の役割(Storage lesion:role of red blood cell breakdown)」,トランスフュージョン(Transfusion),51:844-51(2011)
【非特許文献11】ジ(Jy)ら,「輸血合併症の潜在的メディエーターとしての保存赤血球中の微粒子(Microparticles in stored red blood cells as potential mediators of transfusion complications)」,トランスフュージョン(Transfusion),51:886-93(2011)
【非特許文献12】ホッド(Hod)ら,「より古い保存赤血球によるヒトボランティアの輸血は血管外溶血および非トランスフェリン結合鉄の循環を生じる(Transfusion of human volunteers with older,stored red blood cells produces extravascular hemolysis and circulating non-transferrin-bound iron)」,ブラッド(Blood),118:6675-82(2011)
【非特許文献13】フレーゲル(Flegel)ら,「赤血球の保存延長は有害か?(Does prolonged storage of red blood cells cause harm?)」,ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ヘマトロジー(British journal of haematology)165:3-16(2014)
【非特許文献14】レドリン(Redlin)ら,「赤血球の保存期間は小児心臓手術におけるさまざまな臨床予後に関連する(Red blood cell storage duration is associated with various clinical outcomes in pediatric cardiac surgery)」、トランスフュージョン・メディシン・アンド・ヘモセラピー(Transfusion medicine and hemotherapy):ドイツ輸血医学および免疫血液学学会機関誌(offizielles Organ der Deutschen Gesellschaft fur Transfusionsmedizin und Immunhamatologie)41:146-51(2014)
【非特許文献15】ロジャーズ(Rogers)ら,「赤血球輸血の保存期間およびクロストリジウム・ディフィシル感染:個人内比較(Storage duration of red blood cell transfusion and Clostridium difficile infection:a within person comparison)」,PLoS One 9:e89332(2014)
【非特許文献16】スピネラら,「保存赤血球の特性:免疫および血管反応性の理解(Properties of stored red blood cells:understanding immune and vascular reactivity)」,トランスフュージョン(Transfusion)51:894-900(2011)
【非特許文献17】ブラウン(Brown)ら,「赤血球ユニット保存の長さおよび心臓手術後のせん妄のリスク(Length of red cell unit storage and risk for delirium after cardiac surgery)」,アネセシア・アンド・アナルゲシア(Anesth Analg),119:242-50(2014)
【非特許文献18】ワン(Wang)ら,「より古い保存血液の輸血は、肺炎の存在および重篤性に依存してイヌの予後を悪化させる(Transfusion of older stored blood worsens outcomes in canines depending on the presence and severity of pneumonia)」,トランスフュージョン(Transfusion),54:1712-24(2014)
【非特許文献19】リウ(Liu)ら,「より古い保存赤血球によるより速いNOスカベンジのメカニズム(Mechanism of faster NO scavenging by older stored red blood cells)」,レドックス・バイオロジー(Redox biology),2:211-9(2014)
【非特許文献20】プレスティア(Prestia)ら,「保存血液の輸血は、マウスにおけるグラム陰性病原体に対する生体防御を損なう(Transfusion of stored blood impairs host defense against Gram-negative pathogens in mice)」,トランスフュージョン(Transfusion)54:2842-51(2014)
【非特許文献21】D’アレッサンドロ(Alessandro)ら,「生化学およびオミクス技術から収集した赤血球保存病変の最新情報(An update on red blood cell storage lesions,as gleaned through biochemistry and omics technologies)」,トランスフュージョン(Transfusion),55:205-19(2015)
【非特許文献22】ローバックら,「AS-1 RBC保存のメタボロミクス(Metabolomics of AS-1 RBCs Storage)」、トランスフュージョン・メディシン・レビュー(Transfusion medicine reviews)(2014)
【非特許文献23】D’アレッサンドロら,「ルーチン保存後のAS-5RBC上清のメタボロミクス(Metabolomics of AS-5RBCs supernatants following routine storage)」,ボックス・サンギニス(Vox sanguinis)(2014)
【非特許文献24】D’アレッサンドロら,「添加剤溶液-3における赤血球(RBC)ユニットのルーチン保存:RBCメタボロームの包括的調査(Routine storage of red blood cell(RBC)units in additive solution-3:a comprehensive investigation of the RBC metabolome)」,トランスフュージョン(Transfusion)55:1155-68(2015)
【非特許文献25】D’アレッサンドロら,「添加剤溶液-7における赤血球保存はエネルギーおよび酸化還元代謝を保存する:メタボロミクスのアプローチ(Red blood cell storage in additive solution-7 preserves energy and redox metabolism:a metabolomics approach)」,トランスフュージョン(Transfusion)(2015)
【非特許文献26】ウィザー(Wither)ら,「赤血球のルーチン保存中の機能性アミノ酸残基におけるヘモグロビン酸化(Hemoglobin oxidation at functional amino acid residues during routine storage of red blood cells)」,トランスフュージョン(Transfusion)(2015)
【非特許文献27】D’アレッサンドロら,「添加剤溶液-3中で保存した赤血球におけるクエン酸代謝(Citrate metabolism in red blood cells stored in additive solution-3)」,トランスフュージョン(Transfusion)(2016)
【非特許文献28】D’アレッサンドロら,「赤血球保存病変のオミクスマーカーおよび代謝連鎖(Omics markers of the red cell storage lesion and metabolic linkage)」、ブラッド・トランスフュージョン(Blood Transfus)、15:137-44(2017)
【非特許文献29】チャプリン(Chaplin)ら,「輸血のための血液細胞(Blood Cells for Transfusion)」,ブラッド(Blood),59:1118-20(1982)
【非特許文献30】バレリ(Valeri)ら,「添加剤溶液(AS-1、AS-3、またはAS-5)中で4度Cにて42日間保存してから生化学的に改変し、凍結し、融解し、洗浄し、塩化ナトリウムおよびグルコース溶液中で4度Cにて24時間保存したヒトRBCの生存率、機能、および溶血(The survival,function,and hemolysis of human RBCs stored at 4 degrees C in additive solution (AS-1,AS-3,or AS-5) for 42 days and then biochemically modified,frozen,thawed,washed,and stored at 4 degrees C in sodium chloride and glucose solution for 24 hours)」,トランスフュージョン(Transfusion),40:1341-5(2000)
【非特許文献31】ヨシダ(Yoshida)ら,「赤血球の嫌気性保存に対する添加剤溶液pHおよび代謝活性化の影響(The effects of additive solution pH and metabolic rejuvenation on anaerobic storage of red cells)」,トランスフュージョン(Transfusion)48:2096-2105(2008)
【非特許文献32】ヨシダ,T.ら,「赤血球の嫌気性保存中の微粒子生成の減少(Reduction of microparticle generation during anaerobic storage of red blood cells)」,トランスフュージョン(Transfusion),52,83A(2012)
【非特許文献33】ライス(Reisz)ら,「グリセルアルデヒド3-ホスフェートデヒドロゲナーゼの酸化的修飾は保存赤血球の代謝リプログラミングを制御する(Oxidative modifications of glyceraldehyde 3-phosphate dehydrogenase regulate metabolic reprogramming of stored red blood cells)」,ブラッド(Blood),128:e32-42(2016)
【非特許文献34】ヨシダら,「嫌気性条件下での赤血球の保存延長(Extended storage of red blood cells under anaerobic conditions)」,ボックス・サンギニス(Vox sanguinis)92:22-31(2007)
【発明の概要】
【0023】
本開示は、保存中に20%以下の酸素飽和度を有する保存された酸素低減血液で必要な患者を処置する方法を提供し、かつ含み、必要な患者は炎症を有する。
【0024】
本開示は、鎌状赤血球症を有する患者に保存された酸素低減血液を提供することを含む、必要な鎌状赤血球患者における輸血を改善する方法を提供し、かつ含み、酸素低減血液は保存中に20%以下の酸素飽和度を有する。
【0025】
本開示は、保存された酸素低減血液を必要な患者に提供することを含む、必要な患者における血管閉塞エピソードの数を減少させる方法を提供し、かつ含み、酸素低減血液は保存中に20%以下の酸素飽和度を有し、血管閉塞エピソードを減少させることは、内皮細胞への赤血球の接着を減少させることを含む。
【0026】
本開示は、鎌状赤血球症を有する患者に保存された酸素低減血液を提供することを含む、必要な患者において内皮細胞への赤血球の接着を減少させる方法を提供し、かつ含み、酸素低減血液は、保存中に20%以下の酸素飽和度を有する。
【0027】
本開示は、添付の図面を参照して提供される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本開示による例示的な実施形態の結果を示すグラフであり、従来通りに保存されたRBC(未処理;対照)、偽対照(SC:sham control)、酸素低減RBC(N2;OR)、ならびに酸素および二酸化炭素低減RBC(CO2;OCR)におけるATPレベルを比較している。
図2】本開示による例示的な実施形態の結果を示すグラフであり、従来通りに保存されたRBC(未処理;対照)、偽対照(SC)、酸素低減RBC(N2;OR)、ならびに酸素および二酸化炭素低減RBC(CO2;OCR)の2,3-DPGレベルを比較している。
図3】本開示による例示的な実施形態の結果を示すグラフであり、動物に輸血された対照、偽、OR-RBC、およびOCR-RBCのパーセント回収率の比較を示している。
図4A】本開示による例示的な実施形態の結果を示すグラフであり、1週間保存した対照、OR-RBC、およびOCR-RBCで蘇生させた動物におけるヘマトクリットパーセントの比較を示している。BL(ベースライン(baseline))は、ショック条件下にない動物を特定する。ショックは、出血性ショック下の動物を特定する。早期Rは、10分の蘇生期間を特定する。後期Rは、60分の蘇生期間を特定する。
図4B】本開示による例示的な実施形態の結果を示すグラフであり、3週間保存した対照、OR-RBC、およびOCR-RBCで蘇生させた動物におけるヘマトクリットパーセントの比較を示している。BL(ベースライン)は、ショック条件下にない動物を特定する。ショックは、出血性ショック下の動物を特定する。早期Rは、10分の蘇生期間を特定する。後期Rは、60分の蘇生期間を特定する。
図5A】本開示による例示的な実施形態の結果を示すグラフであり、1週間保存した対照、OR-RBC、およびOCR-RBCで蘇生させた動物における平均動脈圧(MAP:mean arterial pressure)の比較を提供している。BL(ベースライン)は、ショック条件下にない動物を特定する。ショックは、出血性ショック下の動物を特定する。早期Rは、10分の蘇生期間を特定する。後期Rは、60分の蘇生期間を特定する。
図5B】本開示による例示的な実施形態の結果を示すグラフであり、3週間保存した対照、OR-RBC、およびOCR-RBCで蘇生させた動物における平均動脈圧(MAP)の比較を提供している。BL(ベースライン)は、ショック条件下にない動物を特定する。ショックは、出血性ショック下の動物を特定する。早期Rは、10分の蘇生期間を特定する。後期Rは、60分の蘇生期間を特定する。
図6A】本開示による例示的な実施形態の結果を示すグラフであり、10、20、30、45、および60分後の蘇生中に動物に提供された血液量パーセントの比較を提供している。1週間保存した対照、OR-RBC、およびOCR-RBCを比較している。
図6B】本開示による例示的な実施形態の結果を示すグラフであり、10、20、30、45、および60分後の蘇生中に動物に提供された血液量パーセントの比較を提供している。3週間保存した対照、OR-RBC、およびOCR-RBCを比較している。
図7A】本開示による例示的な実施形態の結果を示すグラフであり、1週間保存した対照、OR-RBC、およびOCR-RBCで蘇生させた動物における乳酸の量の比較を提供している。BL(ベースライン)は、ショック条件下にない動物を特定する。ショックは、出血性ショック下の動物を特定する。早期Rは、10分の蘇生期間を特定する。後期Rは、60分の蘇生期間を特定する。
図7B】本開示による例示的な実施形態の結果を示すグラフであり、3週間保存した対照、OR-RBC、およびOCR-RBCで蘇生させた動物における乳酸の量の比較を提供している。BL(ベースライン)は、ショック条件下にない動物を特定する。ショックは、出血性ショック下の動物を特定する。早期Rは、10分の蘇生期間を特定する。後期Rは、60分の蘇生期間を特定する。
図8A】本開示による例示的な実施形態の結果を示すグラフであり、1週間保存した対照、OR-RBC、およびOCR-RBCで蘇生させた動物におけるグルコースの量の比較を提供している。BL(ベースライン)は、ショック条件下にない動物を特定する。ショックは、出血性ショック下の動物を特定する。早期Rは、10分の蘇生期間を特定する。後期Rは、60分の蘇生期間を特定する。
図8B】本開示による例示的な実施形態の結果を示すグラフであり、3週間保存した対照、OR-RBC、およびOCR-RBCで蘇生させた動物におけるグルコースの量の比較を提供している。BL(ベースライン)は、ショック条件下にない動物を特定する。ショックは、出血性ショック下の動物を特定する。早期Rは、10分の蘇生期間を特定する。後期Rは、60分の蘇生期間を特定する。
図9A】本開示による例示的な実施形態の結果を示すグラフであり、1週間保存した対照、OR-RBC、およびOCR-RBCで蘇生させた動物におけるASTの量の比較を提供している。
図9B】本開示による例示的な実施形態の結果を示すグラフであり、3週間保存した対照、OR-RBC、およびOCR-RBCで蘇生させた動物におけるASTの量の比較を提供している。
図10A】本開示による例示的な実施形態の結果を示すグラフであり、1週間保存した対照、OR-RBC、およびOCR-RBCで蘇生させた動物におけるALTの量の比較を提供している。
図10B】本開示による例示的な実施形態の結果を示すグラフであり、3週間保存した対照、OR-RBC、およびOCR-RBCで蘇生させた動物におけるALTの量の比較を提供している。
図11A】本開示による例示的な実施形態の結果を示すグラフであり、1週間保存した対照、OR-RBC、およびOCR-RBCで蘇生させた動物における血清クレアチニンの量の比較を提供している。
図11B】本開示による例示的な実施形態の結果を示すグラフであり、3週間保存した対照、OR-RBC、およびOCR-RBCで蘇生させた動物における血清クレアチニンの量の比較を提供している。
図12A】本開示による例示的な実施形態の結果を示すグラフであり、1週間保存した対照、OR-RBC、およびOCR-RBCで蘇生させた動物における血中尿素窒素(BUN:blood urea nitrogen)の量の比較を提供している。
図12B】本開示による例示的な実施形態の結果を示すグラフであり、3週間保存した対照、OR-RBC、およびOCR-RBCで蘇生させた動物における血中尿素窒素(BUN)の量の比較を提供している。
図13A】本開示による例示的な実施形態の結果を示すグラフであり、1週間保存した対照、OR-RBC、およびOCR-RBCで蘇生させた動物の肝臓におけるCXCL1の量の比較を提供している。
図13B】本開示による例示的な実施形態の結果を示すグラフであり、3週間保存した対照、OR-RBC、およびOCR-RBCで蘇生させた動物の肝臓におけるCXCL1の量の比較を提供している。
図14A】本開示による例示的な実施形態の結果を示すグラフであり、1週間保存した対照、OR-RBC、およびOCR-RBCで蘇生させた動物の脾臓におけるCXCL1の量の比較を提供している。
図14B】本開示による例示的な実施形態の結果を示すグラフであり、3週間保存した対照、OR-RBC、およびOCR-RBCで蘇生させた動物の脾臓におけるCXCL1の量の比較を提供している。
図15A】本開示による例示的な実施形態の結果を示すグラフであり、1週間保存した対照、OR-RBC、およびOCR-RBCで蘇生させた動物の肺におけるCXCL1の量の比較を提供している。
図15B】本開示による例示的な実施形態の結果を示すグラフであり、3週間保存した対照、OR-RBC、およびOCR-RBCで蘇生させた動物の肺におけるCXCL1の量の比較を提供している。
図16A】本開示による例示的な実施形態の結果を示すグラフであり、1週間保存した対照、OR-RBC、およびOCR-RBCで蘇生させた動物における尿中好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(u-NGAL:urinary neutrophil gelatinase-associated lipocalin)の量の比較を提供している。
図16B】本開示による例示的な実施形態の結果を示すグラフであり、3週間保存した対照、OR-RBC、およびOCR-RBCで蘇生させた動物における尿中好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(u-NGAL)の量の比較を提供している。
図17A】本開示による例示的な実施形態の結果を示すグラフであり、1週間保存した対照、OR-RBC、およびOCR-RBCで蘇生させた動物におけるCD45+好中球のパーセンテージの比較を提供している。
図17B】本開示による例示的な実施形態の結果を示すグラフであり、3週間保存した対照、OR-RBC、およびOCR-RBCで蘇生させた動物におけるCD45+好中球のパーセンテージの比較を提供している。
図18A】本開示による例示的な実施形態の結果を示すグラフであり、1週間保存した対照、OR-RBC、およびOCR-RBCで蘇生させた動物におけるIL-6の量の比較を提供している。
図18B】本開示による例示的な実施形態の結果を示すグラフであり、3週間保存した対照、OR-RBC、およびOCR-RBCで蘇生させた動物におけるIL-6の量の比較を提供している。
図19A】本開示による例示的な実施形態の結果を示すグラフであり、トロンボスポンジンへの赤血球の接着の比較を提供している。
図19B】本開示による例示的な実施形態の結果を示すグラフであり、トロンボスポンジンへの赤血球の接着の比較を提供している。
図19C】本開示による例示的な実施形態の結果を示すグラフであり、トロンボスポンジンへの赤血球の接着の比較を提供している。
図20A】本開示による例示的な実施形態の結果を示すグラフであり、従来通りに保存された赤血球または酸素低減して保存された赤血球の間の、トロンボスポンジンへの赤血球の接着の比較を提供している。
図20B】本開示による例示的な実施形態の結果を示すグラフであり、従来通りに保存された赤血球または酸素低減して保存された赤血球の間の、トロンボスポンジンへの赤血球の接着の比較を提供している。
図20C】本開示による例示的な実施形態の結果を示すグラフであり、従来通りに保存された赤血球または酸素低減して保存された赤血球の間の、トロンボスポンジンへの赤血球の接着の比較を提供している。
図21】本開示による例示的な実施形態の結果を示す図であって、健常な鎌状赤血球血漿と共にインキュベートされた、従来通りに保存された赤血球、酸素低減して保存された赤血球、ならびに酸素および二酸化炭素低減して保存された赤血球における溶血の比較を提供している。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本明細書に記載される実施例は、本開示のいくつかの実施形態を例示するが、いかなる様式でも本開示の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0030】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を出血性患者に提供することを提供し、かつ含む。加えてこの方法は、保存前および保存中に15~20%の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を出血性患者に提供することを提供する。加えてこの方法は、保存前および保存中に10~15%の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を出血性患者に提供することを提供する。加えてこの方法は、保存前および保存中に5~10%の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を出血性患者に提供することを提供する。加えてこの方法は、保存前および保存中に3~5%の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を出血性患者に提供することを提供する。
【0031】
加えてこの方法は、出血性ショックを有する人への輸血のために、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を提供することを提供する。加えてこの方法は、出血性外傷を有する人への輸血のために、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を提供することを提供する。保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を、手術による外傷のリスクが増加した患者に輸血することを含む方法も含まれる。20%以下の初期酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を提供する方法は、10%以下の初期酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を提供することを含む。20%以下の初期酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を提供する方法は、5%以下の初期酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を提供することをさらに含む。20%以下の初期酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を提供する方法は、3%以下の初期酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を提供することをさらに含む。
【0032】
本開示の方法は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、または少なくとも6週間の保存期間に対する保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する、外傷の処置のための酸素低減保存血液を提供することを提供し、かつ含む。加えてこの方法は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、または少なくとも6週間の保存期間後に15%以下の酸素飽和度を有する、外傷の処置のための酸素低減保存血液を提供することを提供する。加えてこの方法は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、または少なくとも6週間の保存期間後に10%以下の酸素飽和度を有する、外傷の処置のための酸素低減保存血液を提供することを提供する。この方法はさらに、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、または少なくとも6週間の保存期間後に5%以下の酸素飽和度を有する、外傷の処置のための酸素低減保存血液を提供することを提供する。この方法はさらに、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、または少なくとも6週間の保存期間後に3%以下の酸素飽和度を有する、外傷の処置のための酸素低減保存血液を提供することを提供する。加えてこの方法は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、または少なくとも6週間の保存期間後に3~5%の酸素飽和度を有する、外傷の処置のための酸素低減保存血液を提供することを提供する。加えてこの方法は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、または少なくとも6週間の保存期間後に5~10%の酸素飽和度を有する、外傷の処置のための酸素低減保存血液を提供することを提供する。加えてこの方法は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、または少なくとも6週間の保存期間後に10~15%の酸素飽和度を有する、外傷の処置のための酸素低減保存血液を提供することを提供する。加えてこの方法は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、または少なくとも6週間の保存期間後に15~20%の酸素飽和度を有する、外傷の処置のための酸素低減保存血液を提供することを提供する。
【0033】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を外傷患者に提供することを提供し、かつ含む。一態様では、外傷患者は頭部外傷、貫通創、鈍器外傷、転倒による傷害、または自動車事故による傷害を患う。別の態様では、外傷患者は出血性外傷患者である。さらに別の態様では、外傷患者は手術、貫通創、鈍器外傷、転倒による傷害、または自動車事故による傷害による出血性外傷患者である。
【0034】
本開示の一態様では、外傷患者または出血性外傷患者は、ORおよびOCR保存血液を必要とする対象である。本開示の態様では、外傷患者は、輸血治療として1ユニット以上の血液を必要とする出血性外傷患者である。本開示の態様では、外傷患者は、輸血治療として2ユニット以上の血液を必要とする出血性外傷患者である。本開示の態様では、外傷患者は、輸血治療として3ユニット以上の血液を必要とする出血性外傷患者である。
【0035】
本開示の一態様では、外傷患者は出血性ショックの患者である。一態様では、外傷患者は頭部外傷、貫通創、鈍器外傷、転倒による傷害、または自動車事故による傷害による出血性ショック状態にある。本開示の態様では、出血性外傷患者は、クラスI出血を有する患者である。別の態様では、出血性外傷患者は、クラスII出血を有する患者である。別の態様では、出血性外傷患者は、クラスIII出血を有する患者である。別の態様では、出血性外傷患者は、クラスIV出血を有する患者である。本開示の一態様では、出血性外傷患者は、血液量の最大15%を失う。別の態様では、出血性外傷患者は、血液量の15~30%を失う。別の態様では、出血性外傷患者は、血液量の30~40%を失う。さらに、出血性外傷患者は、40%を超える血液量を失う。
【0036】
本開示は、平均動脈圧の低下、ヘマトクリットの低下、乳酸の増加、グルコースの増加、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)の増加、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の増加、尿中好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(u-NGAL)の増加、血清クレアチニンの増加、および血中尿素窒素の増加からなる群から選択される1つまたは複数の徴候を示す、ORまたはOCR RBCによる輸血治療が必要な患者を提供し、かつ含む。本開示の一態様では、ORまたはOCR RBCによる輸血治療が必要な患者は、平均動脈圧が低下した出血性外傷患者である。本開示は、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)の増加およびアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の増加を示す、ORまたはOCR RBCによる輸血治療が必要な患者を提供し、かつ含む。本開示は、平均動脈圧の低下および乳酸の増加を示す、ORまたはOCR RBCによる輸血治療が必要な患者を提供し、かつ含む。本開示は、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)の増加、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の増加、および血中尿素窒素の増加を示す、ORまたはOCR RBCによる輸血治療が必要な患者を提供し、かつ含む。本開示は、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)の増加、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の増加、血清クレアチニンの増加、および血中尿素窒素の増加を示す、ORまたはOCR RBCによる輸血治療が必要な患者を提供し、かつ含む。本開示は、乳酸の増加およびグルコースの増加を示す、ORまたはOCR RBCによる輸血治療が必要な患者を提供し、かつ含む。本開示は、尿中好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(u-NGAL)の増加、血清クレアチニンの増加、および血中尿素窒素の増加を示す、ORまたはOCR RBCによる輸血治療が必要な患者を提供し、かつ含む。
【0037】
別の態様では、ORまたはOCR RBCによる輸血治療が必要な患者は、ヘマトクリットが減少した出血性外傷患者である。別の態様では、ORまたはOCR RBCによる輸血治療が必要な患者は、乳酸が増加した出血性外傷患者である。さらに別の態様では、ORまたはOCR RBCによる輸血治療が必要な患者は、グルコースが増加した出血性外傷患者である。さらなる態様では、出血性外傷患者は、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)が増加している。別の態様では、ORまたはOCR RBCによる輸血治療が必要な患者は、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)が増加した出血性外傷患者である。別の態様では、ORまたはOCR RBCによる輸血治療が必要な患者は、尿中好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(u-NGAL)が増加した出血性外傷患者である。別の態様では、ORまたはOCR RBCによる輸血治療が必要な患者は、血清クレアチニンが増加した出血性外傷患者である。別の態様では、ORまたはOCR RBCによる輸血治療が必要な患者は、血中尿素窒素が増加した出血性外傷患者である。
【0038】
本開示の一態様では、必要な患者の輸血治療で使用するためのORおよびOCR保存血液は、20%以下の初期酸素飽和度を有する。別の態様では、ORおよびOCR保存血液は、10%以下の初期酸素飽和度を有する。別の態様では、ORおよびOCR保存血液は、5%以下の初期酸素飽和度を有する。別の態様では、ORおよびOCR保存血液は、3%以下の初期酸素飽和度を有する。
【0039】
本開示の一態様では、必要な患者の輸血治療で使用するためのOCR保存血液は、10~40mmHgの初期pCO2(37℃)を有する。別の態様では、OCR保存血液は10~30mmHgの初期pCO2を有する。別の態様では、OCR保存血液は10~20mmHgの初期pCO2を有する。別の態様では、OCR保存血液は10~15mmHgの初期pCO2を有する。さらに別の態様では、OCR保存血液は10mmHg未満の初期pCO2を有する。
【0040】
本開示の一態様では、必要な患者の輸血治療で使用するためのORおよびOCR保存血液は、20%以下の初期酸素飽和度を有し、2日未満保存される。一態様では、ORおよびOCR保存血液は20%以下の初期酸素飽和度を有し、7日未満保存される。別の態様では、20%以下の初期酸素飽和度を有するORおよびOCR保存血液は、14日未満保存される。別の態様では、酸素低減保存血液は20%以下の初期酸素飽和度を有し、21日未満保存される。別の態様では、必要な患者の輸血治療で使用するための酸素低減保存血液は、20%以下の初期酸素飽和度を有し、28日未満保存される。別の態様では、酸素低減保存血液は20%以下の初期酸素飽和度を有し、35日未満保存される。別の態様では、酸素低減保存血液は20%以下の初期酸素飽和度を有し、42日未満保存される。別の態様では、酸素低減保存血液は20%以下の初期酸素飽和度を有し、45日未満保存される。本開示の一態様では、ORおよびOCR保存血液は、保存中に20%以下の酸素飽和度を有する。
【0041】
必要な患者の輸血治療に使用するために好適な血液は、抗凝固剤を有する酸素低減保存血液を含む。本開示の一態様では、酸素低減保存血液を生成するために酸素低減赤血球が最大3週間保存される。別の態様では、酸素低減保存血液は通常、添加剤溶液をさらに含む。本開示による好適な添加剤溶液としては、AS-1、AS-3(Nutricel(登録商標))、AS-5、SAGM、PAGG-SM、PAGG-GM、MAP、AS-7、ESOL-5、EAS61、OFAS1、OFAS3、およびこれらの組み合わせが挙げられる。一態様では、添加剤溶液は成分分離時に添加される。一態様では、添加剤溶液はAS-1である。別の態様では、添加剤溶液はAS-3である。他の態様では、添加剤溶液はSAGMである。
【0042】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を外傷患者に提供することを含む、輸血治療が必要な出血性外傷患者の平均動脈圧(MAP)を増加させることを提供し、かつ含む。一態様では、平均動脈圧は20~60%増加する。別の態様では、平均動脈圧は30~60%増加する。別の態様では、ORまたはOCR血液の輸血治療を受けている外傷患者の平均動脈圧は30~50%増加する。さらに別の態様では、平均動脈圧は30~60%増加する。さらなる態様では、ORまたはOCR血液の輸血治療を受けている外傷患者の平均動脈圧は、30~40%増加する。一態様では、平均動脈圧は、従来通りに保存された血液を輸血された患者の平均動脈圧よりも少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、または90%増加する。
【0043】
本開示の一態様では、ORまたはOCR血液の輸血治療を受けている患者の平均動脈圧は、少なくとも1.5倍増加する。別の態様では、ORまたはOCR血液の輸血治療を受けている外傷患者の平均動脈圧は、少なくとも2倍増加する。さらなる態様では、ORまたはOCR血液の輸血治療を受けている患者の平均動脈圧は、1~2倍増加する。本開示の一態様では、ORまたはOCR血液の輸血治療を受けている外傷患者の平均動脈圧は、少なくとも10mmHg、少なくとも20mmHg、少なくとも30mmHg、少なくとも40mmHg、少なくとも50mmHg、または少なくとも60mmHg増加する。別の態様では、ORまたはOCR血液の輸血治療を受けている外傷患者の平均動脈圧は、20~50mmHg増加する。さらなる態様では、ORまたはOCR血液の輸血治療を受けている患者の平均動脈圧は、30~50mmHg増加する。
【0044】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を外傷患者に提供することを含む、輸血治療が必要な外傷患者の平均動脈圧を70~110mmHgに増加させることを提供し、かつ含む。別の態様では、ORまたはOCR血液の輸血治療を受けている外傷患者の平均動脈圧は、少なくとも70mmHgまで増加する。別の態様では、ORまたはOCR血液の輸血治療を受けている外傷患者の平均動脈圧は、少なくとも80mmHgまで増加する。さらに別の態様では、平均動脈圧は少なくとも90mmHgまで増加する。さらなる態様では、平均動脈圧は少なくとも100mmHgまで増加する。本開示の一態様では、必要な対象における平均動脈圧は、輸血後少なくとも1時間は70~110mmHgのままである。別の態様では、平均動脈圧は、輸血後少なくとも2時間は70~110mmHgのままである。さらに別の態様では、平均動脈圧は、輸血後少なくとも3時間は70~105mmHgのままである。別の態様では、平均動脈圧は、輸血後少なくとも4時間は70~110mmHgのままである。別の態様では、平均動脈圧は、輸血後少なくとも5時間は70~110mmHgのままである。
【0045】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を外傷患者に提供することを含む、輸血治療が必要な外傷患者における平均動脈圧を従来通りの保存血液を輸血された患者の平均動脈圧よりも速い速度で増加させることを提供し、かつ含む。一態様では、ORまたはOCR血液を輸血された患者の平均動脈圧は、従来通りに保存された血液と比較して半分の時間で正常な生理学的パラメータ内に回復する。
【0046】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を外傷患者に提供することを含む、輸血治療が必要な出血性外傷患者の輸血に必要な保存血液の量を低減することを提供し、かつ含む。一態様では、輸血に必要なOR保存血液の量は、必要な従来通りの保存血液の量よりも10~90%少ない。別の態様では、輸血に必要なOR保存血液の量は、必要な従来通りの保存血液の量よりも10~30%少ない。別の態様では、輸血に必要なOR保存血液の量は、必要な従来通りの保存血液の量よりも20~50%少ない。別の態様では、輸血に必要なOR保存血液の量は、必要な従来通りの保存血液の量よりも20~80%少ない。別の態様では、輸血に必要なOR保存血液の量は、必要な従来通りの保存血液の量よりも30~80%少ない。さらに別の態様では、輸血に必要なOR保存血液の量は、必要な従来通りの保存血液の量よりも40~85%少ない。さらなる態様では、輸血に必要なOR保存血液の量は、必要な従来通りの保存血液の量よりも50~90%少ない。
【0047】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を外傷患者に提供することを含む、輸血治療が必要な出血性外傷患者の輸血に必要な保存血液の量を少なくとも10%低減することを提供し、かつ含む。一態様では、輸血に必要なOR保存血液の量は、必要な従来通りの保存血液の量よりも少なくとも20%少ない。別の態様では、輸血に必要なOR保存血液の量は、必要な従来通りの保存血液の量よりも少なくとも30%少ない。別の態様では、輸血に必要なOR保存血液の量は、必要な従来通りの保存血液の量よりも少なくとも40%少ない。別の態様では、輸血に必要なOR保存血液の量は、必要な従来通りの保存血液の量よりも少なくとも50%少ない。さらに別の態様では、輸血に必要なOR保存血液の量は、必要な従来通りの保存血液の量よりも少なくとも60%少ない。別の態様では、輸血に必要なOR保存血液の量は、必要な従来通りの保存血液の量よりも少なくとも70%少ない。さらなる態様では、輸血に必要なOR保存血液の量は、必要な従来通りの保存血液の量よりも約10~20%、約20~30%、約30~40%、約40~50%、約50~60%、約60~70%、約70~80%、約80~90%、または約90~95%少ない。別の態様では、輸血治療が必要な患者の輸血に必要なOR保存血液の量は、必要な従来通りの保存血液の量よりも10~20%、20~30%、30~40%、40~50%、50~60%、60~70%、70~80%、80~90%、または90~95%少ない。
【0048】
乳酸クリアランスは、出血性ショックからの蘇生に対するバイオマーカーである。ハシュミ(Hashmi)ら,「老年期外傷患者の死亡率の予測因子:系統的再評価およびメタ分析(Predictors of mortality in geriatric trauma patients:a systematic review and meta-analysis)」,ジャーナル・オブ・トラウマ・アンド・アキュート・ケア・サージェリー(The journal of trauma and acute care surgery),76:894-901(2014);レニエ(Regnier)ら,「外傷患者における血中乳酸および乳酸クリアランスの予後的重要性(Prognostic significance of blood lactate and lactate clearance in trauma patients)」,麻酔学(Anesthesiology),117:1276-88(2012);およびチャン(Zhang)ら,「乳酸クリアランスは重症患者のあらゆる原因による死亡率の予測に対する有用なバイオマーカーである:系統的再評価およびメタ分析(Lactate clearance is a useful biomarker for the prediction of all-cause mortality in critically ill patients:a systematic review and meta-analysis)」,クリティカル・ケア・メディシン(Critical care medicine),42:2118-25(2014)(「チャン2014」)(その全体がここに引用により援用される)を参照されたい。乳酸クリアランスの臨床値は、敗血症性ショックを有する患者および明らかな循環性ショックを有さない重篤な患者の予後を予測するのに有用である。乳酸の上昇は、有害な臨床予後の指標であり、その迅速なクリアランスは、異種ICUまたはED患者集団における予後の改善と普遍的に関連する。チャン2014を参照されたい。従来のRBCと比較して、OR-RBCで蘇生された動物における乳酸レベルが減少することは、OR RBCによる蘇生が患者の臨床予後を有意に改善し得るという概念を支持する。図7Aおよび図7Bを参照されたい。
【0049】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減(OR)保存血液を患者に提供することを含む、輸血治療が必要な患者の乳酸レベルを低減することを提供し、かつ含む。一態様では、乳酸レベルは10~90%低減する。一態様では、OR保存血液による輸血は、輸血治療が必要な患者の乳酸レベルを10~50%低減する。別の態様では、OR保存血液による輸血は、輸血治療が必要な患者の乳酸レベルを20~40%低減する。別の態様では、OR保存血液による輸血は、輸血治療が必要な患者の乳酸レベルを50~90%低減する。さらに別の態様では、OR保存血液による輸血は、輸血治療が必要な患者の乳酸レベルを60~90%低減する。別の態様では、OR保存血液による輸血は、輸血治療が必要な患者の乳酸レベルを10~20%、20~30%、30~40%、40~50%、50~60%、60~70%、70~80%、または80~90%低減する。別の態様では、OR保存血液による輸血は、輸血治療が必要な外傷患者の乳酸レベルを少なくとも10%低減する。別の態様では、OR保存血液による輸血は、輸血治療が必要な患者の乳酸レベルを少なくとも20%低減する。さらなる態様では、OR保存血液による輸血は、輸血治療が必要な患者の乳酸レベルを少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%低減する。
【0050】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を患者に提供することを含む、輸血治療が必要な患者の上昇した乳酸レベルを約0.5~約2.5mmol/Lに低減することを提供し、かつ含む。一態様では、輸血治療が必要な患者の乳酸レベルは、約0.9~約2mmol/Lに低減される。一態様では、輸血治療が必要な患者の乳酸レベルは、約0.9~約1.7mmol/Lに低減される。別の態様では、輸血治療が必要な患者の乳酸レベルは、約1.4~約2.4mmol/Lに低減される。別の態様では、輸血治療が必要な外傷患者の乳酸レベルは、約1.7~約2.5mmol/Lに低減される。さらに別の態様では、輸血治療が必要な外傷患者の乳酸レベルは、約2.5mmol/L未満に低減される。さらなる態様では、輸血治療が必要な外傷患者の乳酸レベルは、約2.0mmol/L未満に低減される。別の態様では、輸血治療が必要な外傷患者の乳酸レベルは、約1.5mmol/L未満に低減される。別の態様では、輸血治療が必要な外傷患者の乳酸レベルは、約1.0mmol/L未満に低減される。さらに別の態様では、輸血治療が必要な外傷患者の乳酸レベルは、約0.5~約1.0mmol/Lに低減される。
【0051】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を外傷患者に提供することを含む、輸血治療が必要な外傷患者の上昇した乳酸レベルを0.5~2.5mmol/Lに低減することを提供し、かつ含む。一態様では、輸血治療が必要な患者の乳酸レベルは、0.9~2mmol/Lに低減される。一態様では、輸血治療が必要な外傷患者の乳酸レベルは、0.9~1.7mmol/Lに低減される。別の態様では、輸血治療が必要な外傷患者の乳酸レベルは、1.4~2.4mmol/Lに低減される。別の態様では、輸血治療が必要な外傷患者の乳酸レベルは、1.7~2.5mmol/Lに低減される。別の態様では、輸血治療が必要な外傷患者の乳酸レベルは、0.5~1mmol/Lに低減される。
【0052】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を外傷患者に提供することを含む、輸血治療が必要な出血性外傷患者の上昇した乳酸レベルを4mmol/L未満に低減することを提供し、かつ含む。一態様では、輸血治療が必要な外傷患者の乳酸レベルは、3mmol/L未満に低減される。さらに別の態様では、輸血治療が必要な外傷患者の乳酸レベルは、2.5mmol/L未満に低減される。別の態様では、患者の乳酸レベルは2.3mmol/L未満に低減される。別の態様では、輸血治療が必要な外傷患者の乳酸レベルは、2mmol/L未満に低減される。別の態様では、輸血治療が必要な外傷患者の乳酸レベルは、2mmol/L未満に低減される。別の態様では、輸血治療が必要な外傷患者の乳酸レベルは、1.5mmol/L未満に低減される。別の態様では、輸血治療が必要な外傷患者の乳酸レベルは、1mmol/L未満に低減される。
【0053】
血糖値も、いくつかの疾患パターン、特に外傷患者の予後に対する予測因子であることが知られている。外傷患者は、他の重篤な患者よりも高血糖のために予後不良になりやすい。クロイツィガー(Kreutziger)ら,「入院時の血糖が複数の外傷患者の出血性ショックを予測した(Admission blood glucose predicted hemorrhagic shock in multiple trauma patients)」、インジュリー(Injury)、46:15-20(2015)(その全体がここに引用により援用される)を参照されたい。早期高血糖と外傷患者との関係を評価する研究では、3つの可能なカットオフ、すなわちグルコース≧110mg/dL、グルコース≧150mg/dL、およびグルコース≧200mg/dLにて早期高血糖が検査された。レアード(Laird)ら,「外傷患者の死亡率に対する早期高血糖の関係(Relationship of early hyperglycemia to mortality in trauma patients)」,ジャーナル・オブ・トラウマ(J Trauma),56:1058-62(2004)(その全体がここに引用により援用される)を参照されたい。≧200mg/dLのグルコースレベルは、傷害特性とは無関係に、外傷患者における有意に高い感染および死亡率と関連する。このことは、≧110mg/dLまたは≧150mg/dLのカットオフでは当てはまらなかった。従来のRBCと比較して、OR-RBCおよびOCR-RBCで蘇生された動物におけるグルコースレベルが減少することは、OR-RBCでの蘇生が患者の臨床予後を有意に改善し得るという概念を支持するものである。図8Aおよび図8Bを参照されたい。
【0054】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減(OR)保存血液を外傷患者に提供することを含む、輸血治療が必要な外傷患者のグルコースを低減することを提供し、かつ含む。一態様では、グルコースは、従来の条件下で保存された血液の輸血と比較して10~90%低減される。一態様では、OR保存血液による輸血は、従来の条件下で保存された血液の輸血と比較して、グルコースを10~50%低減する。別の態様では、OR保存血液による輸血は、従来の条件下で保存された血液の輸血と比較して、グルコースを20~40%低減する。別の態様では、OR保存血液による輸血は、従来の条件下で保存された血液の輸血と比較して、グルコースを50~90%低減する。さらに別の態様では、OR保存血液による輸血は、グルコースを60~90%低減する。別の態様では、OR保存血液による輸血は、従来の条件下で保存された血液の輸血と比較して、グルコースを10~20%、20~30%、30~40%、40~50%、50~60%、60~70%、70~80%、または80~90%低減する。別の態様では、OR保存血液による輸血は、従来の条件下で保存された血液の輸血と比較して、グルコースを少なくとも10%低減する。別の態様では、OR保存血液による輸血は、グルコースを少なくとも20%低減する。さらなる態様では、OR保存血液による輸血は、グルコースを少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%低減する。
【0055】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を外傷患者に提供することを含む、輸血治療が必要な外傷患者のグルコースレベルを約70~約120mg/dLに低減することを提供し、かつ含む。一態様では、ORまたはOCR血液による輸血治療後の患者のグルコースは、約70~約110mg/dLである。別の態様では、ORまたはOCR血液による輸血治療後の患者のグルコースは、約70~約100mg/dLである。別の態様では、ORまたはOCR血液による輸血治療後の外傷患者のグルコースは、約90~約120mg/dLである。別の態様では、ORまたはOCR血液による輸血治療後の外傷患者のグルコースは、約90~約100mg/dLである。
【0056】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を外傷患者に提供することを含む、輸血治療が必要な外傷患者のグルコースレベルを70~120mg/dLに低減することを提供し、かつ含む。一態様では、ORまたはOCR血液による輸血治療後の患者のグルコースは、70~110mg/dLである。別の態様では、患者のグルコースは70~100mg/dLである。別の態様では、患者のグルコースは90~120mg/dLである。別の態様では、ORまたはOCR血液による輸血治療後の患者のグルコースは、90~100mg/dLである。
【0057】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を外傷患者に提供することを含む、輸血治療が必要な外傷患者のグルコースレベルを120mg/dL未満に低減することを提供し、かつ含む。さらなる態様では、ORまたはOCR血液による輸血治療後の患者のグルコースは、110mmol/L未満である。さらに別の態様では、ORまたはOCR血液による輸血治療後の患者のグルコースは、100mg/dL未満である。別の態様では、ORまたはOCR血液による輸血治療後の患者のグルコースは、200mg/dL未満である。別の態様では、ORまたはOCR血液による輸血治療後の患者のグルコースは、90mg/dL未満である。別の態様では、ORまたはOCR血液による輸血治療後の患者のグルコースは、80mg/dL未満である。
【0058】
本開示の一態様では、患者は、既存の状態または基礎状態に基づき、輸血治療による合併症のリスクが増している。一態様では、患者は、糖尿病、虚血性心疾患、外傷または感染によってもたらされる全身性炎症症候群、外傷または感染によってもたらされる多臓器不全、煙吸入、感染による全身性炎症などの慢性肺閉塞性疾患、凝固障害、および自己免疫疾患からなる群から選択される既存の状態または基礎状態を有する。別の態様では、患者は、糖尿病、虚血性心疾患、外傷または感染によってもたらされる全身性炎症症候群、外傷または感染によってもたらされる多臓器不全、煙吸入、および感染による全身性炎症などの慢性肺閉塞性疾患、凝固障害、および自己免疫疾患からなる群から選択される1つまたは複数の既存の状態または基礎状態を有する。別の態様では、患者は、糖尿病、虚血性心疾患、外傷または感染によってもたらされる全身性炎症症候群、外傷または感染によってもたらされる多臓器不全、煙吸入、感染による全身性炎症などの慢性肺閉塞性疾患、凝固障害、および自己免疫疾患からなる群から選択される2つ以上の既存の状態または基礎状態を有する。別の態様では、患者は、糖尿病、虚血性心疾患、外傷または感染によってもたらされる全身性炎症症候群、外傷または感染によってもたらされる多臓器不全、煙吸入、感染による全身性炎症などの慢性肺閉塞性疾患、凝固障害、および自己免疫疾患からなる群から選択される3つ以上の既存の状態または基礎状態を有する。
【0059】
出血性ショックの際に、患者は、肝臓の損傷もしくは不全、腎臓の損傷もしくは不全、肺の損傷もしくは不全、またはそれらの組み合わせを含む有害事象を経験する。本開示は、肝臓の損傷もしくは不全、腎臓の損傷もしくは不全、または肺の損傷もしくは不全からなる群から選択される1つ以上の有害事象を示す、ORまたはOCR RBCによる輸血治療が必要な患者を提供し、かつ含む。本開示は、肝臓の損傷もしくは不全、腎臓の損傷もしくは不全、または肺の損傷もしくは不全からなる群から選択される2つ以上の有害事象を示す、必要な患者を提供し、かつ含む。
【0060】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を、輸血治療が必要な外傷患者に提供することを含む、外傷患者における有害事象を低減することを提供し、かつ含む。一態様では、ORまたはOCR血液による輸血治療後の有害事象は、少なくとも5%低減される。別の態様では、ORまたはOCR血液による輸血治療後の有害事象は、少なくとも10%低減される。別の態様では、ORまたはOCR血液による輸血治療後の有害事象は、少なくとも20%低減される。別の態様では、ORまたはOCR血液による輸血治療後の有害事象は、少なくとも30%低減される。別の態様では、ORまたはOCR血液による輸血治療後の有害事象は、少なくとも40%低減される。別の態様では、ORまたはOCR血液による輸血治療後の有害事象は、少なくとも50%低減される。別の態様では、ORまたはOCR血液による輸血治療後の有害事象は、少なくとも60%低減される。別の態様では、有害事象は少なくとも70%低減される。別の態様では、ORまたはOCR血液による輸血治療後の有害事象は、少なくとも80%低減される。別の態様では、有害事象は少なくとも90%低減される。さらなる態様では、ORまたはOCR血液による輸血治療後の有害事象は、1~10%、10~20%、20~30%、30~40%、40~50%、50~60%、60~70%、70~80%、80~90%、または90~95%低減される。一態様では、ORまたはOCR血液による輸血治療後の有害事象は、肝臓の傷害または損傷である。別の態様では、有害事象は肺の傷害または損傷である。さらに別の態様では、有害事象は腎臓の傷害または損傷である。さらなる態様では、有害事象は肝臓傷害、肺傷害、腎臓傷害、またはそれらの組み合わせである。
【0061】
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)およびアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)を含むがこれらに限定されない肝臓酵素のレベルの上昇は、何らかの形態の肝臓の損傷、ショック、または傷害を意味する。本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を外傷患者に提供することを含む、外傷患者の肝臓酵素の上昇したレベルを低減することを提供し、かつ含む。
【0062】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を外傷患者に提供することを含む、輸血治療が必要な外傷患者のASTレベルを低減することを提供し、かつ含む。一態様では、ASTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のASTレベルと比較して少なくとも5%低減される。別の態様では、ASTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のASTレベルと比較して少なくとも10%低減される。別の態様では、ASTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のASTレベルと比較して少なくとも20%低減される。別の態様では、ASTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のASTレベルと比較して少なくとも30%低減される。別の態様では、ASTレベルは少なくとも40%低減される。別の態様では、ASTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のASTレベルと比較して少なくとも50%低減される。別の態様では、ASTレベルは少なくとも60%低減される。別の態様では、ASTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のASTレベルと比較して少なくとも70%低減される。さらに別の態様では、ASTレベルは少なくとも80%低減される。さらなる態様では、ASTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のASTレベルと比較して少なくとも90%低減される。さらなる態様では、ASTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のASTレベルと比較して1~10%、10~20%、20~30%、30~40%、40~50%、50~60%、60~70%、70~80%、80~90%、または90~95%低減される。
【0063】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を外傷患者に提供することを含む、輸血治療が必要な外傷患者のASTレベルを1.5~10倍低減することを提供し、かつ含む。一態様では、ASTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のASTレベルと比較して2~3倍低減される。別の態様では、ASTレベルは3~4倍低減される。別の態様では、ASTレベルは4~10倍低減される。別の態様では、ASTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のASTレベルと比較して6~9倍低減される。さらなる態様では、ASTレベルは、2~5倍低減される。別の態様では、ASTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のASTレベルと比較して10~50倍低減される。
【0064】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を外傷患者に提供することを含む、輸血治療が必要な外傷患者のASTレベルを少なくとも1.5倍低減することを提供し、かつ含む。一態様では、ASTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のASTレベルと比較して少なくとも2倍低減される。別の態様では、ASTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のASTレベルと比較して少なくとも3倍低減される。別の態様では、ASTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のASTレベルと比較して少なくとも4倍低減される。別の態様では、ASTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のASTレベルと比較して少なくとも5倍低減される。さらなる態様では、ASTレベルは少なくとも6倍低減される。別の態様では、ASTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のASTレベルと比較して少なくとも7倍低減される。別の態様では、ASTレベルは少なくとも8倍低減される。別の態様では、ASTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のASTレベルと比較して少なくとも9倍低減される。別の態様では、ASTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のASTレベルと比較して少なくとも10倍低減される。さらなる態様では、ASTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のASTレベルと比較して少なくとも50倍低減される。
【0065】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を外傷患者に提供することを含む、輸血治療が必要な外傷患者のALTレベルを低減することを提供し、かつ含む。一態様では、ALTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のALTレベルと比較して少なくとも5%低減される。別の態様では、ALTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のALTレベルと比較して少なくとも10%低減される。別の態様では、ALTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のALTレベルと比較して少なくとも20%低減される。別の態様では、ALTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のALTレベルと比較して少なくとも30%低減される。別の態様では、ALTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のAS ALT Tレベルと比較して少なくとも40%低減される。別の態様では、ALTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のALTレベルと比較して少なくとも50%低減される。別の態様では、ALTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のALTレベルと比較して少なくとも60%低減される。別の態様では、ALTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のALTレベルと比較して少なくとも70%低減される。さらに別の態様では、ALTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のALTレベルと比較して少なくとも80%低減される。さらなる態様では、ALTレベルは少なくとも90%低減される。さらなる態様では、ALTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のALTレベルと比較して、1~10%、10~20%、20~30%、30~40%、40~50%、50~60%、60~70%、70~80%、80~90%、または90~95%低減される。
【0066】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を外傷患者に提供することを含む、輸血治療が必要な外傷患者のALTレベルを1.5~10倍低減することを提供し、かつ含む。一態様では、ALTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のALTレベルと比較して2~3倍低減される。別の態様では、ALTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のALTレベルと比較して3~4倍低減される。別の態様では、ALTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のALTレベルと比較して4~10倍低減される。別の態様では、ALTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のALTレベルと比較して6~9倍低減される。さらなる態様では、ALTレベルは2~5倍低減される。別の態様では、ALTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のALTレベルと比較して10~50倍低減される。
【0067】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を外傷患者に提供することを含む、輸血治療が必要な外傷患者のALTレベルを少なくとも1.5倍低減することを提供し、かつ含む。一態様では、ALTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のALTレベルと比較して少なくとも2倍低減される。別の態様では、ALTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のALTレベルと比較して少なくとも3倍低減される。別の態様では、ALTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のALTレベルと比較して少なくとも4倍低減される。別の態様では、ALTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のALTレベルと比較して少なくとも5倍低減される。さらなる態様では、ALTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のALTレベルと比較して少なくとも6倍低減される。別の態様では、ALTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のALTレベルと比較して少なくとも7倍低減される。別の態様では、ALTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のALTレベルと比較して少なくとも8倍低減される。別の態様では、ALTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のALTレベルと比較して少なくとも9倍低減される。別の態様では、ALTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のALTレベルと比較して少なくとも10倍低減される。さらなる態様では、ALTレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のALTレベルと比較して少なくとも50倍低減される。
【0068】
出血性外傷の際およびその後の腎機能のマーカーとしては、尿中好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(u-NGAL)、血清クレアチニン、および血中尿素窒素(BUN)が挙げられる。ツリープラサーツク(Treeprasertsuk)ら,「尿中好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン:AKI易発性状態の入院硬変患者における急性腎臓傷害(AKI)に対する診断および予後マーカー(Urine neutrophil gelatinase-associated lipocalin:a diagnostic and prognostic marker for acute kidney injury(AKI)in hospitalized cirrhotic patients with AKI-prone conditions)」,BMCガストロエンテロロジー(BMC Gastroenterol)15:140(2015)(その全体がここに引用により援用される)を参照されたい。げっ歯類からヒトまでの範囲のいくつかの種からのAKIモデルにおいて行われた150を超える個別の研究において報告された遺伝子発現分析は、NGAL遺伝子が、虚血または腎毒性傷害の直後の腎臓において最も劇的にアップレギュレートされる遺伝子の1つであることを一貫して明らかにした。シッチア(Ciccia)ら,「小児急性腎臓傷害:有病率、影響、および管理の課題(Pediatric acute kidney injury:prevalence,impact and management challenges)」,インターナショナル・ジャーナル・オブ・ネフロロジー・アンド・レノバスキュラー・ディジーズ(Int J Nephrol Renovasc Dis),10:77-84(2017)(その全体がここに引用により援用される)を参照されたい。同様に、血清クレアチニンレベルは、年齢、人種、および身体サイズに依存して変動し得るが、クレアチニンレベルの上昇は腎臓損傷を示す。女性では1.2を超えるクレアチニンレベル、男性では1.4を超えるクレアチニンレベルが、腎臓損傷の初期徴候であり得る。血中尿素窒素(BUN)の増加は、腎疾患または腎不全、ならびに鬱血性心不全、ショック、および消化管の出血に関連して見られる。BUNレベルが100mg/dLより高いとき、それは重度の腎臓損傷を示す。BUNレベルの低下も懸念される事項であり、体液過剰、外傷、手術、オピオイド、栄養不良、およびタンパク質同化ステロイドの使用を示し得る。パガナ(Pagana),「モスビー看護のための診断・検査マニュアル(Mosby’s Manual of Diagnostic and Laboratory Tests)」,セントルイス・モスビー社(St.Louis Mosby,Inc.)(1998)、およびゴーダ(Gowda)ら,「腎機能試験のマーカー(Markers of renal function tests)」,ノース・アメリカン・ジャーナル・オブ・メディカル・サイエンス(N Am J Med Sci.)2(4):170-173(2010)(その全体がここに引用により援用される)を参照されたい。本開示によって提供されるとおり、従来のRBCと比較したときの、OR-RBCおよびOCR-RBCで蘇生させた動物におけるu-NGAL(図16Aおよび図16B)、血清クレアチニン(図11Aおよび図11B)、およびBUN(図12Aおよび図12B)レベルの減少は、OR-RBCでの蘇生が患者の臨床予後を有意に改善し得ることを示すものである。
【0069】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を患者に提供することを含む、輸血治療が必要な患者の尿中好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(u-NGAL)レベルを低減することを提供し、かつ含む。一態様では、u-NGALレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のu-NGALレベルと比較して少なくとも5%低減される。別の態様では、u-NGALレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のu-NGALレベルと比較して少なくとも10%低減される。別の態様では、u-NGALレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のu-NGALレベルと比較して少なくとも20%低減される。別の態様では、u-NGALレベルは少なくとも30%低減される。別の態様では、u-NGALレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のu-NGALレベルと比較して少なくとも40%低減される。別の態様では、u-NGALレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のu-NGALレベルと比較して少なくとも50%低減される。別の態様では、u-NGALレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のu-NGALレベルと比較して少なくとも60%低減される。別の態様では、u-NGALレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のu-NGALレベルと比較して少なくとも70%低減される。さらに別の態様では、u-NGALレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のu-NGALレベルと比較して少なくとも80%低減される。さらなる態様では、u-NGALレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のu-NGALレベルと比較して少なくとも90%低減される。さらなる態様では、u-NGALレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のu-NGALレベルと比較して、1~10%、10~20%、20~30%、30~40%、40~50%、50~60%、60~70%、70~80%、80~90%、または90~95%低減される。
【0070】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を1.5~10倍患者に提供することを含む、輸血治療が必要な患者の尿中好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(u-NGAL)レベルを低減することを提供し、かつ含む。一態様では、u-NGALレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のu-NGALレベルと比較して、2~3倍低減される。別の態様では、u-NGALレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のu-NGALレベルと比較して3~4倍低減される。別の態様では、u-NGALレベルは、4~10倍低減される。別の態様では、u-NGALレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のu-NGALレベルと比較して6~9倍低減される。さらなる態様では、u-NGALレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のu-NGALレベルと比較して、2~5倍低減される。別の態様では、u-NGALレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のu-NGALレベルと比較して10~50倍低減される。
【0071】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を少なくとも1.5倍患者に提供することを含む、輸血治療が必要な患者の尿中好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(u-NGAL)レベルを低減することを提供し、かつ含む。一態様では、u-NGALレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のu-NGALレベルと比較して少なくとも2倍低減される。別の態様では、u-NGALレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のu-NGALレベルと比較して少なくとも3倍低減される。別の態様では、u-NGALレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のu-NGALレベルと比較して少なくとも4倍低減される。別の態様では、u-NGALレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のu-NGALレベルと比較して少なくとも5倍低減される。さらなる態様では、u-NGALレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のu-NGALレベルと比較して少なくとも6倍低減される。別の態様では、u-NGALレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のu-NGALレベルと比較して少なくとも7倍低減される。別の態様では、u-NGALレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のu-NGALレベルと比較して少なくとも8倍低減される。別の態様では、u-NGALレベルは少なくとも9倍低減される。別の態様では、u-NGALレベルは少なくとも10倍低減される。さらなる態様では、u-NGALレベルは少なくとも50倍低減される。
【0072】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を患者に提供することを含む、輸血治療が必要な患者の血清クレアチニンレベルを低減することを提供し、かつ含む。一態様では、血清クレアチニンレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者の血清クレアチニンレベルと比較して少なくとも5%低減される。別の態様では、血清クレアチニンレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者の血清クレアチニンレベルと比較して少なくとも10%低減される。別の態様では、血清クレアチニンレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者の血清クレアチニンレベルと比較して少なくとも20%低減される。別の態様では、血清クレアチニンレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者の血清クレアチニンレベルと比較して少なくとも30%低減される。別の態様では、血清クレアチニンレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者の血清クレアチニンレベルと比較して少なくとも40%低減される。別の態様では、血清クレアチニンレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者の血清クレアチニンレベルと比較して少なくとも50%低減される。別の態様では、血清クレアチニンレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者の血清クレアチニンレベルと比較して少なくとも60%低減される。別の態様では、血清クレアチニンレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者の血清クレアチニンレベルと比較して少なくとも70%低減される。さらに別の態様では、血清クレアチニンレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者の血清クレアチニンレベルと比較して少なくとも80%低減される。さらなる態様では、血清クレアチニンレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者の血清クレアチニンレベルと比較して少なくとも90%低減される。さらなる態様では、血清クレアチニンレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者の血清クレアチニンレベルと比較して、1~10%、10~20%、20~30%、30~40%、40~50%、50~60%、60~70%、70~80%、80~90%、または90~95%低減される。
【0073】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を患者に提供することを含む、輸血治療が必要な患者の血清クレアチニンレベルを1.5~10倍低減することを提供し、かつ含む。一態様では、血清クレアチニンレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者の血清クレアチニンレベルと比較して2~3倍低減される。別の態様では、血清クレアチニンレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者の血清クレアチニンレベルと比較して3~4倍低減される。別の態様では、血清クレアチニンレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者の血清クレアチニンレベルと比較して4~10倍低減される。別の態様では、血清クレアチニンレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者の血清クレアチニンレベルと比較して6~9倍低減される。さらなる態様では、血清クレアチニンレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者の血清クレアチニンレベルと比較して2~5倍低減される。別の態様では、血清クレアチニンレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者の血清クレアチニンレベルと比較して10~50倍低減される。
【0074】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を患者に提供することを含む、輸血治療が必要な患者の血清クレアチニンレベルを少なくとも1.5倍低減することを提供し、かつ含む。一態様では、血清クレアチニンレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者の血清クレアチニンレベルと比較して少なくとも2倍低減される。別の態様では、血清クレアチニンレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のASTレベルと比較して少なくとも3倍低減される。別の態様では、血清クレアチニンレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者の血清クレアチニンレベルと比較して少なくとも4倍低減される。別の態様では、血清クレアチニンレベルは少なくとも5倍低減される。さらなる態様では、血清クレアチニンレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者の血清クレアチニンレベルと比較して少なくとも6倍低減される。別の態様では、血清クレアチニンレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者の血清クレアチニンレベルと比較して少なくとも7倍低減される。別の態様では、血清クレアチニンレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者の血清クレアチニンレベルと比較して少なくとも8倍低減される。別の態様では、血清クレアチニンレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者の血清クレアチニンレベルと比較して少なくとも9倍低減される。別の態様では、血清クレアチニンレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者の血清クレアチニンレベルと比較して少なくとも10倍低減される。
【0075】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を患者に提供することを含む、輸血治療が必要な患者の血清クレアチニンレベルを0.5~1.5mg/dLに低減することを提供し、かつ含む。一態様では、血清クレアチニンレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者の血清クレアチニンレベルに対して0.5~1mg/dLに低減される。一態様では、血清クレアチニンレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者の血清クレアチニンレベルに対して0.8~1mg/dLに低減される。別の態様では、血清クレアチニンレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者の血清クレアチニンレベルに対して0.7~1.5mg/dLに低減される。
【0076】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を患者に提供することを含む、輸血治療が必要な患者の血清クレアチニンレベルを1.5mg/dL未満に低減することを提供し、かつ含む。一態様では、血清クレアチニンレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者の血清クレアチニンレベルに対して1.4mg/dL未満に低減される。一態様では、血清クレアチニンレベルは1mg/dL未満に低減される。別の態様では、血清クレアチニンレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者の血清クレアチニンレベルに対して0.8mg/dL未満に低減される。
【0077】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を輸血治療が必要な患者に提供することを含む、患者のBUNレベルを低減することを提供し、かつ含む。一態様では、BUNレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のBUNレベルと比較して少なくとも5%低減される。別の態様では、BUNレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のBUNレベルと比較して少なくとも10%低減される。別の態様では、BUNレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のBUNレベルと比較して少なくとも20%低減される。別の態様では、BUNレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のBUNレベルと比較して少なくとも30%低減される。別の態様では、BUNレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のBUNレベルと比較して少なくとも40%低減される。別の態様では、BUNレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のBUNレベルと比較して少なくとも50%低減される。別の態様では、BUNレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のBUNレベルと比較して少なくとも60%低減される。別の態様では、BUNレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のBUNレベルと比較して少なくとも70%低減される。さらに別の態様では、BUNレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のBUNレベルと比較して少なくとも80%低減される。さらなる態様では、BUNレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のBUNレベルと比較して少なくとも90%低減される。さらなる態様では、BUNレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のBUNレベルと比較して、1~10%、10~20%、20~30%、30~40%、40~50%、50~60%、60~70%、70~80%、80~90%、または90~95%低減される。
【0078】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を患者に提供することを含む、患者のBUNレベルを1.5~10倍低減することを提供し、かつ含む。一態様では、BUNレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のBUNレベルと比較して2~3倍低減される。別の態様では、BUNレベルは3~4倍低減される。別の態様では、BUNレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のBUNレベルと比較して4~10倍低減される。別の態様では、BUNレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のBUNレベルと比較して6~9倍低減される。さらなる態様では、BUNレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のBUNレベルと比較して2~5倍低減される。別の態様では、BUNレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のBUNレベルと比較して10~100倍低減される。
【0079】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を輸血治療が必要な患者に提供することを含む、患者のBUNレベルを少なくとも1.5倍低減することを提供し、かつ含む。一態様では、BUNレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のBUNレベルと比較して少なくとも2倍低減される。別の態様では、BUNレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のBUNレベルと比較して少なくとも3倍低減される。別の態様では、BUNレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のBUNレベルと比較して少なくとも4倍低減される。別の態様では、BUNレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のBUNレベルと比較して少なくとも5倍低減される。さらなる態様では、BUNレベルは少なくとも6倍低減される。別の態様では、BUNレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のBUNレベルと比較して少なくとも7倍低減される。別の態様では、BUNレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のBUNレベルと比較して少なくとも8倍低減される。別の態様では、BUNレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のBUNレベルと比較して少なくとも9倍低減される。別の態様では、BUNレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のBUNレベルと比較して少なくとも10倍低減される。
【0080】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を患者に提供することを含む、患者のCD45+好中球のパーセンテージを低減することを提供し、かつ含む。一態様では、CD45+好中球のパーセンテージは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCD45+好中球レベルと比較して少なくとも5%低減される。別の態様では、CD45+好中球のパーセンテージは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCD45+好中球レベルと比較して少なくとも10%低減される。別の態様では、CD45+好中球のパーセンテージは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCD45+好中球レベルと比較して少なくとも20%低減される。別の態様では、CD45+好中球のパーセンテージは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCD45+好中球レベルと比較して少なくとも30%低減される。別の態様では、CD45+好中球のパーセンテージは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCD45+好中球レベルと比較して少なくとも40%低減される。別の態様では、CD45+好中球のパーセンテージは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCD45+好中球レベルと比較して少なくとも50%低減される。別の態様では、CD45+好中球のパーセンテージは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCD45+好中球レベルと比較して少なくとも60%低減される。別の態様では、CD45+好中球のパーセンテージは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCD45+好中球レベルと比較して少なくとも70%低減される。さらに別の態様では、CD45+好中球のパーセンテージは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCD45+好中球レベルと比較して少なくとも80%低減される。さらなる態様では、CD45+好中球のパーセンテージは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCD45+好中球レベルと比較して少なくとも90%低減される。さらなる態様では、CD45+好中球のパーセンテージは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCD45+好中球レベルと比較して、1~10%、10~20%、20~30%、30~40%、40~50%、50~60%、60~70%、70~80%、80~90%、または90~95%低減される。
【0081】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を患者に提供することを含む、輸血治療が必要な患者のCD45+好中球のパーセンテージを1.5~10倍低減することを提供し、かつ含む。一態様では、CD45+好中球のパーセンテージは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCD45+好中球レベルと比較して2~3倍低減される。別の態様では、CD45+好中球のパーセンテージは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCD45+好中球レベルと比較して3~4倍低減される。別の態様では、CD45+好中球のパーセンテージは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCD45+好中球レベルと比較して4~10倍低減される。別の態様では、CD45+好中球のパーセンテージは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCD45+好中球レベルと比較して6~9倍低減される。さらなる態様では、CD45+好中球のパーセンテージは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCD45+好中球レベルと比較して2~5倍低減される。別の態様では、CD45+好中球のパーセンテージは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCD45+好中球レベルと比較して10~50倍低減される。
【0082】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を外傷患者に提供することを含む、輸血治療が必要な外傷患者のCD45+好中球のパーセンテージを少なくとも1.5倍低減することを提供し、かつ含む。一態様では、CD45+好中球のパーセンテージは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCD45+好中球レベルと比較して少なくとも2倍低減される。別の態様では、CD45+好中球のパーセンテージは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCD45+好中球レベルと比較して少なくとも3倍低減される。別の態様では、CD45+好中球のパーセンテージは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCD45+好中球レベルと比較して少なくとも4倍低減される。別の態様では、CD45+好中球のパーセンテージは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCD45+好中球レベルと比較して少なくとも5倍低減される。さらなる態様では、CD45+好中球のパーセンテージは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCD45+好中球レベルと比較して少なくとも6倍低減される。別の態様では、CD45+好中球のパーセンテージは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCD45+好中球レベルと比較して少なくとも7倍低減される。別の態様では、CD45+好中球のパーセンテージは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCD45+好中球レベルと比較して少なくとも8倍低減される。別の態様では、CD45+好中球のパーセンテージは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCD45+好中球レベルと比較して少なくとも9倍低減される。別の態様では、CD45+好中球のパーセンテージは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCD45+好中球レベルと比較して少なくとも10倍低減される。
【0083】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を患者に提供することを含む、輸血治療が必要な患者のCXCL1レベルを低減することを提供し、かつ含む。一態様では、CXCL1レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL1レベルと比較して少なくとも5%低減される。別の態様では、CXCL1レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL1レベルと比較して少なくとも10%低減される。別の態様では、CXCL1レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL1レベルと比較して少なくとも20%低減される。別の態様では、CXCL1レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL1レベルと比較して少なくとも30%低減される。別の態様では、CXCL1レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL1レベルと比較して少なくとも40%低減される。別の態様では、CXCL1レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL1レベルと比較して少なくとも50%低減される。別の態様では、CXCL1レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL1レベルと比較して少なくとも60%低減される。別の態様では、CXCL1レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL1レベルと比較して少なくとも70%低減される。さらに別の態様では、CXCL1レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL1レベルと比較して少なくとも80%低減される。さらなる態様では、CXCL1レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL1レベルと比較して少なくとも90%低減される。さらなる態様では、CXCL1レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL1レベルと比較して、1~10%、10~20%、20~30%、30~40%、40~50%、50~60%、60~70%、70~80%、80~90%、または90~95%低減される。
【0084】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を患者に提供することを含む、患者のCXCL1レベルを1.5~10倍低減することを提供し、かつ含む。一態様では、CXCL1レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL1レベルと比較して2~3倍低減される。別の態様では、CXCL1レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL1レベルと比較して3~4倍低減される。別の態様では、CXCL1レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL1レベルと比較して4~10倍低減される。別の態様では、CXCL1レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL1レベルと比較して6~9倍低減される。さらなる態様では、CXCL1レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL1レベルと比較して2~5倍低減される。別の態様では、CXCL1レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL1レベルと比較して10~100倍低減される。
【0085】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を患者に提供することを含む、患者のCXCL1レベルを少なくとも1.5倍低減することを提供し、かつ含む。一態様では、CXCL1レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL1レベルと比較して少なくとも2倍低減される。別の態様では、CXCL1レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL1レベルと比較して少なくとも3倍低減される。別の態様では、CXCL1レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL1レベルと比較して少なくとも4倍低減される。別の態様では、CXCL1レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL1レベルと比較して少なくとも5倍低減される。さらなる態様では、CXCL1レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL1レベルと比較して少なくとも6倍低減される。別の態様では、CXCL1レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL1レベルと比較して少なくとも7倍低減される。別の態様では、CXCL1レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL1レベルと比較して少なくとも8倍低減される。別の態様では、CXCL1レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL1レベルと比較して少なくとも9倍低減される。別の態様では、CXCL1レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL1レベルと比較して少なくとも10倍低減される。
【0086】
試験の感度によって制限されるが、健常な患者は通常、5×10-12グラム/リットル(ピクトグラム/リットルまたはpg/L)未満のIL-6レベルを有する。本開示において、必要な患者は、少なくとも5pg/LのIL-6レベルを有する。別の態様では、患者は少なくとも10pg/L、20pg/L、40pg/L、60pg/L、80pg/L、100pg/L、または150pg/LのIL-6レベルを有する。さらに別の態様では、必要な患者は10~50pg/L、50~100mg/L、100~200mg/L、または10~200mg/LのIL-6レベルを有する。本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を患者に提供することを含む、輸血治療が必要な患者のIL-6レベルを低減することを提供し、かつ含む。一態様では、IL-6レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-6レベルと比較して少なくとも5%低減される。別の態様では、IL-6レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-6レベルと比較して少なくとも10%低減される。別の態様では、IL-6レベルは少なくとも20%低減される。別の態様では、IL-6レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-6レベルと比較して少なくとも30%低減される。別の態様では、IL-6レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-6レベルと比較して少なくとも40%低減される。別の態様では、IL-6レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-6レベルと比較して少なくとも50%低減される。別の態様では、IL-6レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-6レベルと比較して少なくとも60%低減される。別の態様では、IL-6レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-6レベルと比較して少なくとも70%低減される。さらに別の態様では、IL-6レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-6レベルと比較して少なくとも80%低減される。さらなる態様では、IL-6レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-6レベルと比較して少なくとも90%低減される。さらなる態様では、IL-6レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-6レベルと比較して、1~10%、10~20%、20~30%、30~40%、40~50%、50~60%、60~70%、70~80%、80~90%、または90~95%低減される。
【0087】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を患者に提供することを含む、患者のIL-6レベルを1.5~10倍低減することを提供し、かつ含む。一態様では、IL-6レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-6レベルと比較して2~3倍低減される。別の態様では、IL-6レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-6レベルと比較して3~4倍低減される。別の態様では、IL-6レベルは4~10倍低減される。別の態様では、IL-6レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-6レベルと比較して6~9倍低減される。さらなる態様では、IL-6レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-6レベルと比較して2~5倍低減される。別の態様では、IL-6レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-6レベルと比較して10~100倍低減される。
【0088】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を輸血治療が必要な患者に提供することを含む、患者のIL-6レベルを少なくとも1.5倍低減することを提供し、かつ含む。一態様では、IL-6レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-6レベルと比較して少なくとも2倍低減される。別の態様では、IL-6レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-6レベルと比較して少なくとも3倍低減される。別の態様では、IL-6レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-6レベルと比較して少なくとも4倍低減される。別の態様では、IL-6レベルは少なくとも5倍低減される。さらなる態様では、IL-6レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-6レベルと比較して少なくとも6倍低減される。別の態様では、IL-6レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-6レベルと比較して少なくとも7倍低減される。別の態様では、IL-6レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-6レベルと比較して少なくとも8倍低減される。別の態様では、IL-6レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-6レベルと比較して少なくとも9倍低減される。別の態様では、IL-6レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-6レベルと比較して少なくとも10倍低減される。
【0089】
本開示の一態様では、必要な患者とは敗血症を有する患者である。
【0090】
本開示の一態様では、必要な患者とは炎症を有する患者である。別の態様では、患者は全身性炎症を有する。別の態様では、患者は慢性炎症を有する。別の態様では、患者は急性炎症を有する。
【0091】
本開示の一態様では、炎症を有する患者は、鎌状赤血球症を有する患者である。さらなる態様では、鎌状赤血球症を有する患者は、鎌状赤血球貧血を有する。別の態様では、鎌状赤血球症を有する患者は、鎌状赤血球クリーゼを有する。さらに別の態様では、患者はヘモグロビンSS、ヘモグロビンSC、ヘモグロビンSB+ベータサラセミア、ヘモグロビンSB(ベータ-0)サラセミア、ヘモグロビンSD、ヘモグロビンSE、およびヘモグロビンSOからなる群から選択されるタイプの鎌状赤血球症を有する。
【0092】
本開示は、予め保存された酸素低減血液を鎌状赤血球症を有する患者に提供することを包む、必要な鎌状赤血球患者における血管閉塞エピソードを予防するかまたはその数を減少させる方法を提供し、この酸素低減血液は、保存中に20%以下の酸素飽和度を有する。一態様では、血管閉塞エピソードは、従来通りに保存された血液を受けている鎌状赤血球患者と比較して少なくとも10%減少する。別の態様では、血管閉塞エピソードの数は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、または50週間の期間にわたって少なくとも10%減少する。
【0093】
本開示は、必要な鎌状赤血球患者においてトロンボスポンジンを発現する内皮細胞への赤血球の接着を減少させることを提供する。加えて本開示は、必要な患者において血管細胞接着分子-1(VCAM-1:Vascular Cell Adhesion Molecule-1)を発現する内皮細胞への赤血球の接着を減少させることを提供する。さらに本開示は、必要な患者においてラミニンを発現する内皮細胞への赤血球の接着を減少させることを提供する。一態様では、接着は、従来通りに保存された血液の接着と比較して少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、または90%減少する。別の態様では、接着は、従来通りに保存された血液の接着と比較して10~20%、20~30%、30~40%、40~50%、50~60%、60~70%、70~80%、または80~90%減少する。
【0094】
本開示は、鎌状赤血球症を有する患者に予め保存された酸素低減血液を提供することを含む、必要な鎌状赤血球患者における輸血を改善する方法を提供し、酸素低減血液は保存中に20%以下の酸素飽和度を有する。一態様では、患者は指炎(手足症候群)を有する。別の態様では、本開示の方法は、指炎の発生を低減することを提供する。別の態様では、指炎の発生は、従来通りに保存されたRBCの輸血を受けている患者と比較して少なくとも10、20、30、40、50、60、70、または80%減少する。別の態様では、本開示は、従来通りに保存されたRBCで処置された患者と比較して、患者における疼痛クリーゼの数を低減することを提供する。さらに別の態様では、本開示は、疲労、易刺激性、眩暈、呼吸困難、薄い皮膚色、黄疸、成長遅延、および思春期遅延からなる群から選択される貧血の合併症を低減することを提供する。別の態様では、本開示は、感染症の低減を提供する。さらに別の態様では、本開示は、感染症の予防を提供する。さらなる態様では、本開示は、脾臓損傷の低減を提供する。一態様では、脾臓損傷は脾臓血球貯留である。別の態様では、脾臓損傷は脾臓腫大である。さらなる態様では、本開示は、脳卒中を低減または予防することを提供する。
【0095】
本開示の一態様では、必要な患者とは発熱を有する患者である。別の態様では、必要な患者は少なくとも38℃の発熱を有する。別の態様では、必要な患者は約39、40、41、または42℃の発熱を有する。別の態様では、患者は38~42℃の発熱を有する。別の態様では、必要な患者は発熱を有し、発熱を有さない患者と比較してc反応性タンパク質(CRP:c-reactive protein)レベルが増加している。別の態様では、発熱を有する患者は、発熱を有さない患者と比較して、IL-6、IL-8、IL-10、および顆粒細胞コロニー刺激因子(G-CSF:granulocyte-colony stimulating factor)からなる群から選択される1つまたは複数の炎症メディエーターのレベルが増加している。別の態様では、発熱を有する患者は、発熱を有さない患者と比較して、CCL-5およびCXCL-10からなる群から選択される1つまたは複数の炎症メディエーターのレベルが低下している。
【0096】
本開示の一態様では、必要な患者とは発熱のリスクがある患者である。別の態様では、患者は38~42℃の発熱を有する。別の態様では、発熱のリスクがある、必要な患者は、健常な人と比較してc反応性タンパク質(CRP)レベルが増加している。別の態様では、必要な患者は、健常な人と比較して、IL-6、IL-8、IL-10、および顆粒細胞コロニー刺激因子(G-CSF)からなる群から選択される1つまたは複数の炎症メディエーターのレベルが増加している。別の態様では、必要な患者は、健常な患者と比較して、CCL-5およびCXCL-10からなる群から選択される1つまたは複数の炎症メディエーターのレベルが低下している。
【0097】
試験の感度によって制限されるが、健常な患者は通常3mg/L未満のCRPレベルを有する。一態様では、必要な患者は少なくとも3mg/LのCRPレベルを有する。別の態様では、患者は少なくとも4mg/L、5mg/L、6mg/L、7mg/L、8mg/L、9mg/L、または10mg/LのCRPレベルを有する。さらに別の態様では、必要な患者は3~5mg/L、3~10mg/L、5~10mg/L、または3~8mg/LのCRPレベルを有する。
【0098】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を患者に提供することを含む、輸血治療が必要な患者のCRPレベルを減少させることを提供し、かつ含む。一態様では、CRPレベルは、健常な人の正常レベルまで回復する。一態様では、CRPレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCRPレベルと比較して少なくとも5%減少する。別の態様では、CRPレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCRPレベルと比較して少なくとも10%減少する。別の態様では、CRPレベルは少なくとも20%減少する。別の態様では、CRPレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCRPレベルと比較して少なくとも30%減少する。別の態様では、CRPレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCRPレベルと比較して少なくとも40%減少する。別の態様では、CRPレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCRPレベルと比較して少なくとも50%減少する。別の態様では、CRPレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCRPレベルと比較して少なくとも60%減少する。別の態様では、CRPレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCRPレベルと比較して少なくとも70%減少する。さらに別の態様では、CRPレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCRPレベルと比較して少なくとも80%減少する。さらなる態様では、CRPレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCRPレベルと比較して少なくとも90%減少する。さらなる態様では、CRPレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCRPレベルと比較して、1~10%、10~20%、20~30%、30~40%、40~50%、50~60%、60~70%、70~80%、80~90%、または90~95%減少する。
【0099】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を患者に提供することを含む、必要な患者のCRPレベルを1.5~10倍減少させることを提供し、かつ含む。一態様では、CRPレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCRPレベルと比較して2~3倍低減される。別の態様では、CRPレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCRPレベルと比較して3~4倍減少する。別の態様では、CRPレベルは4~10倍減少する。別の態様では、CRPレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCRPレベルと比較して6~9倍減少する。さらなる態様では、CRPレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCRPレベルと比較して2~5倍減少する。別の態様では、CRPレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCRPレベルと比較して10~100倍減少する。
【0100】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を輸血治療が必要な患者に提供することを含む、必要な患者のCRPレベルを少なくとも1.5倍減少させることを提供し、かつ含む。一態様では、CRPレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCRPレベルと比較して少なくとも2倍減少する。別の態様では、CRPレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCRPレベルと比較して少なくとも3倍減少する。別の態様では、CRPレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCRPレベルと比較して少なくとも4倍減少する。別の態様では、CRPレベルは少なくとも5倍減少する。さらなる態様では、CRPレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCRPレベルと比較して少なくとも6倍減少する。別の態様では、CRPレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCRPレベルと比較して少なくとも7倍減少する。別の態様では、CRPレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCRPレベルと比較して少なくとも8倍減少する。別の態様では、CRPレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCRPレベルと比較して少なくとも9倍減少する。別の態様では、CRPレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCRPレベルと比較して少なくとも10倍減少する。
【0101】
試験の感度によって制限されるが、健常な患者は通常40ピコグラム/リットル(pg/L)未満のIL-8レベルを有する。ある態様では、必要な患者は少なくとも40pg/LのIL-8レベルを有する。別の態様では、患者は少なくとも50pg/L、5pg/L、6pg/L、7pg/L、8pg/L、9pg/L、または10pg/LのIL-8レベルを有する。さらに別の態様では、必要な患者は30~50pg/L、40~100pg/L、50~100pg/L、または60~200pg/LのCRPレベルを有する。
【0102】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を患者に提供することを含む、輸血治療が必要な患者のIL-8レベルを低減することを提供し、かつ含む。一態様では、IL-8レベルは、健常な人の正常レベルまで回復する。一態様では、IL-8レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-8レベルと比較して少なくとも5%低減される。別の態様では、IL-8レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-8レベルと比較して少なくとも10%低減される。別の態様では、IL-8レベルは少なくとも20%低減される。別の態様では、IL-8レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-8レベルと比較して少なくとも30%低減される。別の態様では、IL-8レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-8レベルと比較して少なくとも40%低減される。別の態様では、IL-8レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-8レベルと比較して少なくとも50%低減される。別の態様では、IL-8レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-8レベルと比較して少なくとも60%低減される。別の態様では、IL-8レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-8レベルと比較して少なくとも70%低減される。さらに別の態様では、IL-8レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-8レベルと比較して少なくとも80%低減される。さらなる態様では、IL-8レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-8レベルと比較して少なくとも90%低減される。さらなる態様では、IL-8レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-8レベルと比較して、1~10%、10~20%、20~30%、30~40%、40~50%、50~60%、60~70%、70~80%、80~90%、または90~95%低減される。
【0103】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を患者に提供することを含む、必要な患者のIL-8レベルを1.5~10倍低減することを提供し、かつ含む。一態様では、IL-8レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-8レベルと比較して2~3倍低減される。別の態様では、IL-8レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-8レベルと比較して3~4倍低減される。別の態様では、IL-8レベルは4~10倍低減される。別の態様では、IL-8レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-8レベルと比較して6~9倍低減される。さらなる態様では、IL-8レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-8レベルと比較して2~5倍低減される。別の態様では、IL-8レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-8レベルと比較して10~100倍低減される。
【0104】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を輸血治療が必要な患者に提供することを含む、必要な患者のIL-8レベルを少なくとも1.5倍低減することを提供し、かつ含む。一態様では、IL-8レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-8レベルと比較して少なくとも2倍低減される。別の態様では、IL-8レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-8レベルと比較して少なくとも3倍低減される。別の態様では、IL-8レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-8レベルと比較して少なくとも4倍低減される。別の態様では、IL-8レベルは少なくとも5倍低減される。さらなる態様では、IL-8レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-8レベルと比較して少なくとも6倍低減される。別の態様では、IL-8レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-8レベルと比較して少なくとも7倍低減される。別の態様では、IL-8レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-8レベルと比較して少なくとも8倍低減される。別の態様では、IL-8レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-8レベルと比較して少なくとも9倍低減される。別の態様では、IL-8レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-8レベルと比較して少なくとも10倍低減される。
【0105】
健常な人は、約20pg/L未満のIL-10レベルを有する。クレイナー(Kleiner),Gら,「健常な対象の血清中のサイトカインレベル(Cytokine Levels in the Serum of Healthy Subjects)」メディエーターズ・オブ・インフラメーション(Mediators of Inflammation),1-6(2013)を参照されたい。本開示において、必要な患者は、少なくとも15pg/LのIL-10レベルを有する。別の態様では、患者は少なくとも20pg/L、40pg/L、50pg/L、60pg/L、80pg/L、100pg/L、または150pg/LのIL-10レベルを有する。さらに別の態様では、必要な患者は20~50pg/L、50~100mg/L、100~200mg/L、または15~200mg/LのIL-10レベルを有する。
【0106】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を患者に提供することを含む、輸血治療が必要な患者のIL-10レベルを低減することを提供し、かつ含む。一態様では、IL-10レベルは、健常な人の正常レベルまで回復する。一態様では、IL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-10レベルと比較して少なくとも5%低減される。別の態様では、IL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-10レベルと比較して少なくとも10%低減される。別の態様では、IL-10レベルは少なくとも20%低減される。別の態様では、IL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-10レベルと比較して少なくとも30%低減される。別の態様では、IL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-10レベルと比較して少なくとも40%低減される。別の態様では、IL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-10レベルと比較して少なくとも50%低減される。別の態様では、IL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-10レベルと比較して少なくとも60%低減される。別の態様では、IL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-10レベルと比較して少なくとも70%低減される。さらに別の態様では、IL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-10レベルと比較して少なくとも80%低減される。さらなる態様では、IL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-10レベルと比較して少なくとも90%低減される。さらなる態様では、IL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-10レベルと比較して、1~10%、10~20%、20~30%、30~40%、40~50%、50~60%、60~70%、70~80%、80~90%、または90~95%低減される。
【0107】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を患者に提供することを含む、必要な患者のIL-10レベルを1.5~10倍低減することを提供し、かつ含む。一態様では、IL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-10レベルと比較して2~3倍低減される。別の態様では、IL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-10レベルと比較して3~4倍低減される。別の態様では、IL-10レベルは4~10倍低減される。別の態様では、IL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-10レベルと比較して6~9倍低減される。さらなる態様では、IL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-10レベルと比較して2~5倍低減される。別の態様では、IL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-10レベルと比較して10~100倍低減される。
【0108】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を輸血治療が必要な患者に提供することを含む、必要な患者のIL-10レベルを少なくとも1.5倍低減することを提供し、かつ含む。一態様では、IL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-10レベルと比較して少なくとも2倍低減される。別の態様では、IL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-10レベルと比較して少なくとも3倍低減される。別の態様では、IL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-10レベルと比較して少なくとも4倍低減される。別の態様では、IL-10レベルは少なくとも5倍低減される。さらなる態様では、IL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-10レベルと比較して少なくとも6倍低減される。別の態様では、IL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-10レベルと比較して少なくとも7倍低減される。別の態様では、IL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-10レベルと比較して少なくとも8倍低減される。別の態様では、IL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-10レベルと比較して少なくとも9倍低減される。別の態様では、IL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のIL-10レベルと比較して少なくとも10倍低減される。
【0109】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を患者に提供することを含む、輸血治療が必要な患者のG-CSFレベルを低減することを提供し、かつ含む。一態様では、G-CSFレベルは、健常な人の正常レベルまで回復する。一態様では、G-CSFレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のG-CSFレベルと比較して少なくとも5%低減される。別の態様では、G-CSFレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のG-CSFレベルと比較して少なくとも10%低減される。別の態様では、G-CSFレベルは少なくとも20%低減される。別の態様では、G-CSFレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のG-CSFレベルと比較して少なくとも30%低減される。別の態様では、G-CSFレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のG-CSFレベルと比較して少なくとも40%低減される。別の態様では、G-CSFレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のG-CSFレベルと比較して少なくとも50%低減される。別の態様では、G-CSFレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のG-CSFレベルと比較して少なくとも60%低減される。別の態様では、G-CSFレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のG-CSFレベルと比較して少なくとも70%低減される。さらに別の態様では、G-CSFレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のG-CSFレベルと比較して少なくとも80%低減される。さらなる態様では、G-CSFレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のG-CSFレベルと比較して少なくとも90%低減される。さらなる態様では、G-CSFレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のG-CSFレベルと比較して、1~10%、10~20%、20~30%、30~40%、40~50%、50~60%、60~70%、70~80%、80~90%、または90~95%低減される。
【0110】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を患者に提供することを含む、患者のG-CSFレベルを1.5~10倍低減することを提供し、かつ含む。一態様では、G-CSFレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のG-CSFレベルと比較して2~3倍低減される。別の態様では、G-CSFレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のG-CSFレベルと比較して3~4倍低減される。別の態様では、G-CSFレベルは4~10倍低減される。別の態様では、G-CSFレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のG-CSFレベルと比較して6~9倍低減される。さらなる態様では、G-CSFレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のG-CSFレベルと比較して2~5倍低減される。別の態様では、G-CSFレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のG-CSFレベルと比較して10~100倍低減される。
【0111】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減保存血液を輸血治療が必要な患者に提供することを含む、必要な患者のG-CSFレベルを少なくとも1.5倍低減することを提供し、かつ含む。一態様では、G-CSFレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のG-CSFレベルと比較して少なくとも2倍低減される。別の態様では、G-CSFレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のG-CSFレベルと比較して少なくとも3倍低減される。別の態様では、G-CSFレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のG-CSFレベルと比較して少なくとも4倍低減される。別の態様では、G-CSFレベルは少なくとも5倍低減される。さらなる態様では、G-CSFレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のG-CSFレベルと比較して少なくとも6倍低減される。別の態様では、G-CSFレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のG-CSFレベルと比較して少なくとも7倍低減される。別の態様では、G-CSFレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のG-CSFレベルと比較して少なくとも8倍低減される。別の態様では、G-CSFレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のG-CSFレベルと比較して少なくとも9倍低減される。別の態様では、G-CSFレベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のG-CSFレベルと比較して少なくとも10倍低減される。
【0112】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素増加保存血液を患者に提供することを含む、輸血治療が必要な患者においてCCL-5レベルを増加させることを提供し、かつ含む。一態様では、CCL-5レベルは、健常な人の正常レベルまで回復する。一態様では、CCL-5レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCCL-5レベルと比較して少なくとも5%増加する。別の態様では、CCL-5レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCCL-5レベルと比較して少なくとも10%増加する。別の態様では、CCL-5レベルは少なくとも20%増加する。別の態様では、CCL-5レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCCL-5レベルと比較して少なくとも30%増加する。別の態様では、CCL-5レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCCL-5レベルと比較して少なくとも40%増加する。別の態様では、CCL-5レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCCL-5レベルと比較して少なくとも50%増加する。別の態様では、CCL-5レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCCL-5レベルと比較して少なくとも60%増加する。別の態様では、CCL-5レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCCL-5レベルと比較して少なくとも70%増加する。さらに別の態様では、CCL-5レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCCL-5レベルと比較して少なくとも80%増加する。さらなる態様では、CCL-5レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCCL-5レベルと比較して少なくとも90%増加する。さらなる態様では、CCL-5レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCCL-5レベルと比較して、1~10%、10~20%、20~30%、30~40%、40~50%、50~60%、60~70%、70~80%、80~90%、または90~95%増加する。
【0113】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素増加保存血液を患者に提供することを含む、必要な患者のCCL-5レベルを1.5~10倍増加させることを提供し、かつ含む。一態様では、CCL-5レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCCL-5レベルと比較して2~3倍低減される。別の態様では、CCL-5レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCCL-5レベルと比較して3~4倍増加する。別の態様では、CCL-5レベルは4~10倍増加する。別の態様では、CCL-5レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCCL-5レベルと比較して6~9倍増加する。さらなる態様では、CCL-5レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCCL-5レベルと比較して2~5倍増加する。別の態様では、CCL-5レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCCL-5レベルと比較して10~100倍増加する。
【0114】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素増加保存血液を輸血治療が必要な患者に提供することを含む、必要な患者のCCL-5レベルを少なくとも1.5倍増加させることを提供し、かつ含む。一態様では、CCL-5レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCCL-5レベルと比較して少なくとも2倍増加する。別の態様では、CCL-5レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCCL-5レベルと比較して少なくとも3倍増加する。別の態様では、CCL-5レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCCL-5レベルと比較して少なくとも4倍増加する。別の態様では、CCL-5レベルは少なくとも5倍増加する。さらなる態様では、CCL-5レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCCL-5レベルと比較して少なくとも6倍増加する。別の態様では、CCL-5レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCCL-5レベルと比較して少なくとも7倍増加する。別の態様では、CCL-5レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCCL-5レベルと比較して少なくとも8倍増加する。別の態様では、CCL-5レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCCL-5レベルと比較して少なくとも9倍増加する。別の態様では、CCL-5レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCCL-5レベルと比較して少なくとも10倍増加する。
【0115】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素増加保存血液を患者に提供することを含む、輸血治療が必要な患者においてCXCL-10レベルを増加させることを提供し、かつ含む。一態様では、CXCL-10レベルは、健常な人の正常レベルまで回復する。一態様では、CXCL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL-10レベルと比較して少なくとも5%増加する。別の態様では、CXCL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL-10レベルと比較して少なくとも10%増加する。別の態様では、CXCL-10レベルは少なくとも20%増加する。別の態様では、CXCL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL-10レベルと比較して少なくとも30%増加する。別の態様では、CXCL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL-10レベルと比較して少なくとも40%増加する。別の態様では、CXCL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL-10レベルと比較して少なくとも50%増加する。別の態様では、CXCL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL-10レベルと比較して少なくとも60%増加する。別の態様では、CXCL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL-10レベルと比較して少なくとも70%増加する。さらに別の態様では、CXCL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL-10レベルと比較して少なくとも80%増加する。さらなる態様では、CXCL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL-10レベルと比較して少なくとも90%増加する。さらなる態様では、CXCL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL-10レベルと比較して、1~10%、10~20%、20~30%、30~40%、40~50%、50~60%、60~70%、70~80%、80~90%、または90~95%増加する。
【0116】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素増加保存血液を患者に提供することを含む、必要な患者のCXCL-10レベルを1.5~10倍増加させることを提供し、かつ含む。一態様では、CXCL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL-10レベルと比較して2~3倍低減される。別の態様では、CXCL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL-10レベルと比較して3~4倍増加する。別の態様では、CXCL-10レベルは4~10倍増加する。別の態様では、CXCL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL-10レベルと比較して6~9倍増加する。さらなる態様では、CXCL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL-10レベルと比較して2~5倍増加する。別の態様では、CXCL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL-10レベルと比較して10~100倍増加する。
【0117】
本開示の方法は、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素増加保存血液を輸血治療が必要な患者に提供することを含む、必要な患者のCXCL-10レベルを少なくとも1.5倍増加させることを提供し、かつ含む。一態様では、CXCL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL-10レベルと比較して少なくとも2倍増加する。別の態様では、CXCL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL-10レベルと比較して少なくとも3倍増加する。別の態様では、CXCL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL-10レベルと比較して少なくとも4倍増加する。別の態様では、CXCL-10レベルは少なくとも5倍増加する。さらなる態様では、CXCL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL-10レベルと比較して少なくとも6倍増加する。別の態様では、CXCL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL-10レベルと比較して少なくとも7倍増加する。別の態様では、CXCL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL-10レベルと比較して少なくとも8倍増加する。別の態様では、CXCL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL-10レベルと比較して少なくとも9倍増加する。別の態様では、CXCL-10レベルは、従来通りに保存された血液を輸血された患者のCXCL-10レベルと比較して少なくとも10倍増加する。
【0118】
本明細書中で使用されるときの「より高い」、「より大きい」、または「増加した」という用語は、酸素低減して嫌気的に保存された血液の測定値が、他の点では同等に処理された従来通りに保存された血液の測定値と比較したときに、各比較測定条件について少なくとも2のサンプルサイズによって少なくとも1標準偏差大きいことを意味する。
【0119】
本明細書中で使用されるときの「低減する」、「低減した」、「より低い」、「減少した」、または「より少ない」という用語は、酸素低減して嫌気的に保存された血液の測定値が、他の点では同等に処理された正常酸素圧または高酸素の従来通りに保存された血液RBCの測定値と比較したときに、各比較測定条件について少なくとも5のサンプルサイズによって少なくとも1標準偏差低いことを意味する。
【0120】
本明細書中で使用されるときの「約」という用語は、±10%を示す。
【0121】
本明細書中で使用されるときの「未満」という用語は、より少量および0より大きい量を示す。
【0122】
「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語、およびそれらの活用形は、「含むが限定されない」を意味する。
【0123】
「からなる(consisting of)」という用語は、「含んで限定される」を意味する。
【0124】
「から本質的になる」という用語は、組成物、方法、または構造が追加の成分、工程、および/または部分を含み得るが、その追加の成分、工程、および/または部分が特許請求される組成物、方法、または構造の基本および新規の特徴を実質的に変更しない場合に限られることを意味する。
【0125】
本明細書中で使用されるときの単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が別様を明らかに示さない限り、複数の言及を含む。たとえば、「化合物(a compound)」または「少なくとも1つの化合物(at least one compound)」という用語は、その混合物を含む複数の化合物を含み得る。
【0126】
本明細書中で使用されるときの「血液」という用語は、全血、白血球除去RBC、血小板除去RBC、ならびに白血球および血小板除去RBCを示す。血液という用語はさらに、濃厚赤血球、血小板除去濃厚赤血球、白血球除去濃厚赤血球、ならびに白血球および血小板除去濃厚赤血球を含む。血液の温度は、収集プロセスの段階に依存して変化してもよく、最初に収集の時間および時点では正常体温の37℃であるが、血液が患者の身体を離れるとすぐに約30℃まで急速に低下し、さらにその後、未処理のときには約6時間で室温まで低下し、最終的に約4℃~6℃にて冷蔵される。インビボのヒト赤血球は動的状態にある。赤血球はヘモグロビンを含有し、これは身体全体に酸素を運び、血液に赤い色を与える鉄含有タンパク質である。赤血球から構成される血液量のパーセンテージは、ヘマトクリットと呼ばれる。本明細書中で使用されるとき、別様に限定されない限り、RBCは濃厚赤血球(pRBC)も含む。濃厚赤血球は、当該技術分野において一般的に公知である遠心分離技術を用いて全血から調製される。本明細書中で使用されるとき、別様に示されない限り、pRBCのヘマトクリットは約70%である。本明細書中で使用されるとき、酸素低減保存RBCは、酸素および二酸化炭素が低減された保存RBCを含み得る。本明細書中で使用されるとき、酸素低減(OR)血液は、酸素および二酸化炭素(OCR)低減血液を含み得る。
【0127】
本明細書中で使用されるときの「患者」および「対象」という用語は、輸血を必要とする人または動物を意味するために交換可能に使用される。
【0128】
本明細書中で使用されるときの「外傷」という用語は、失血、出血性外傷を含む。
【0129】
本明細書中で使用されるときの「出血性ショック」という用語は、循環血液量および/または酸素運搬能力の損失によってもたらされるショックである。出血性ショックは、特に失血、内出血(例、消化管出血)または外出血、および外傷(例、貫通性外傷または鈍的外傷)に関連する任意の状態から生じる。
【0130】
本明細書中で使用されるときの「有害事象」という用語は、出血性外傷患者における出血性ショックから生じる事象を含む。
【0131】
本明細書中で使用されるときの「傷害」、「損傷」、および「不全」という用語は、適切に機能しないか、または疾患もしくは傷害を有さない人もしくは動物において期待される通りに機能しない器官を示す。
【0132】
本明細書中で使用されるとき、「1ユニット」の血液とは、抗凝固剤を含む約450~500mlである。好適な抗凝固剤としては、クエン酸リン酸デキストロース溶液(CPD:Citrate Phosphate Dextrose Solution)、クエン酸リン酸デキストロースアデニン(CPDA1:citrate phosphate dextrose adenine)、酸クエン酸デキストロース(ACD:Acid Citrate Dextrose)、および抗凝固剤クエン酸デキストロース溶液溶液A(ACD-A:Anticoagulant Citrate Dextrose Solution Solution A)が挙げられる。
【0133】
本出願全体を通して、本開示のさまざまな態様は、範囲形式で提示されることがある。範囲形式での説明は、単に便宜および簡潔さのためのものであり、本開示の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈されるべきではないことが理解されるべきである。したがって、範囲の記載は、その範囲内のすべての可能な部分範囲および個々の数値を具体的に開示したものとみなされるべきである。たとえば、「1~6」などの範囲の記載は、その範囲内のたとえば「1~3」、「1~4」、「1~5」、「2~4」、「2~6」、「3~6」などの部分範囲、ならびに個々の数、たとえば1、2、3、4、5、および6などを具体的に開示したものとみなされるべきである。このことは、範囲の広さにかかわらず当てはまる。
【0134】
本明細書において数値範囲が示されるときは常に、示された範囲内の任意の引用される数(分数または整数)が含まれることを意味する。第1の指示数と第2の指示数との「範囲/間の範囲」、および第1の指示数「から」第2の指示数「までの範囲/の範囲」という語句は、本明細書中で交換可能に使用され、第1および第2の指示数ならびにそれらの間のすべての分数および整数を含むことを意味する。
【0135】
本明細書中で使用されるときの「方法」という用語は、20%以下の初期酸素飽和度を有し、かつ少なくとも2日間保存された酸素低減保存血液を輸血が必要なヒト患者に提供することを含むがこれに限定されない、所与のタスクを達成するための方式、手段、技術、および手順を示す。
【0136】
本開示は、以下の実施形態を提供する。
実施形態1。必要な対象における低平均動脈圧を処置するための方法であり、出血性外傷から生じる低平均動脈圧を有する対象に、保存された酸素低減血液を提供することを含み、前記酸素低減血液は20%以下の初期酸素飽和度を有し、かつ保存期間中に20%以下の酸素飽和度にて維持される。
実施形態2。必要な前記対象における前記平均動脈圧は、前記提供後に従来通りに保存された血液を受けている患者と比較して増加する、実施形態1に記載の方法。
実施形態3。前記出血性外傷は、手術、貫通創、鈍器外傷、転倒による傷害、および自動車事故による傷害からなる群から選択される、実施形態1または2に記載の方法。
実施形態4。必要な前記対象における前記平均動脈圧の増加は、前記保存された酸素低減血液を受けていない対象における平均動脈圧の増加速度よりも速い速度である、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法。
実施形態5。必要な前記対象における前記平均動脈圧は、従来通りに保存された血液を輸血された患者の平均動脈圧と比較して、前記提供後に少なくとも20%増加する、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
実施形態6。前記対象における前記平均動脈圧は、前記提供後少なくとも1時間にわたって前記少なくとも20%増加したままである、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。
実施形態7。前記血液は、酸素低減および二酸化炭素低減された保存血液である、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。
実施形態8。必要な外傷患者における輸血に必要な血液の量を低減するための方法であり、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減血液を提供することを含む。
実施形態9。前記血液は、酸素低減および二酸化炭素低減された保存血液である、実施形態8に記載の方法。
実施形態10。必要な外傷患者における出血性ショックを低減するための方法であり、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減血液を提供することを含み、前記外傷患者は前記提供前に0.5~2.5mmol/Lの乳酸レベルを含み、前記出血性ショックは回復される。
実施形態11。前記血液は、酸素低減および二酸化炭素低減された保存血液である、実施形態10に記載の方法。
実施形態12。輸血治療が必要な外傷患者における肝臓傷害を低減する方法であり、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減血液を提供することを含む。
実施形態13。前記外傷患者は、前記提供後に改善されたアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)レベル、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベル、またはそれらの組み合わせを有する、実施形態9に記載の方法。
実施形態14。前記血液は、酸素低減および二酸化炭素低減された保存血液である、実施形態13に記載の方法。
実施形態15。輸血治療が必要な外傷患者における腎不全を低減する方法であり、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減血液を提供することを含む。
実施形態16。前記外傷患者は、好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)、血清クレアチニン、血中尿素窒素(BUN)、またはそれらの組み合わせから選択される改善されたレベルを有する、実施形態15に記載の方法。
実施形態17。前記血液は、酸素低減および二酸化炭素低減された保存血液である、実施形態15または16に記載の方法。
実施形態18。輸血治療が必要な外傷患者における肺傷害を低減する方法であり、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減血液を提供することを含む。
実施形態19。前記血液は、酸素低減および二酸化炭素低減された保存血液である、実施形態18に記載の方法。
実施形態20。必要な外傷患者における乳酸を低減する方法であり、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減血液を提供することを含む。
実施形態21。前記血液は、酸素低減および二酸化炭素低減された保存血液である、実施形態20に記載の方法。
実施形態22。必要な外傷患者におけるアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)を低減する方法であり、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減血液を提供することを含む。
実施形態23。必要な外傷患者におけるアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)を低減する方法であり、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減血液を提供することを含む。
実施形態24。必要な外傷患者における血中尿素窒素(BUN)レベルを低減する方法であり、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減血液を提供することを含む。
実施形態25。必要な外傷患者における好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)を低減する方法であり、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減血液を提供することを含む。
実施形態26。必要な外傷患者における血清クレアチニンを低減する方法であり、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減血液を提供することを含む。
実施形態27。前記血液は、酸素低減および二酸化炭素低減された保存血液である、実施形態22~26のいずれか1つに記載の方法。
実施形態28。低平均動脈圧の治療的適用のために、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減血液を製造するためのドナー血液の使用。
実施形態29。出血性外傷患者における有害事象を低減する治療的適用のために、保存前および保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減血液を製造するためのドナー血液の使用であり、前記有害事象は肝臓傷害、肺不全、腎不全、および心不全を含む群から選択される。
実施形態30。前記製造は、酸素および二酸化炭素低減血液を含む、実施形態28または29に記載の使用。
実施形態31。保存中に20%以下の酸素飽和度を有する保存された酸素低減血液で必要な患者を処置する方法であり、必要な前記患者は炎症を有する。
実施形態32。前記炎症は慢性または急性である、実施形態31に記載の方法。
実施形態33。前記炎症は全身性である、実施形態31に記載の方法。
実施形態34。前記炎症は、外傷、感染、がん、凝固障害、または自己免疫に起因する、実施形態31~33のいずれか1つに記載の方法。
実施形態35。前記患者は、さらに発熱を有するか、または発熱を発症するリスクがある、実施形態31~34のいずれか1つに記載の方法。
実施形態36。前記発熱は少なくとも38℃である、実施形態35に記載の方法。
実施形態37。前記患者は、増加したC反応性タンパク質(CRP)レベルを有する、実施形態31~36のいずれか1つに記載の方法。
実施形態38。前記患者は、少なくとも2.0mg/LのCRPレベルを有する、実施形態37に記載の方法。
実施形態39。前記患者は、少なくとも3.0mg/LのCRPレベルを有する、実施形態38に記載の方法。
実施形態40。前記患者は、3.0~10mg/LのCRPレベルを有する、実施形態37~39のいずれか1つに記載の方法。
実施形態41。前記患者は、発熱を有さない患者と比較して、IL-6、IL-8、IL-10、および顆粒細胞コロニー刺激因子(G-CSF)からなる群から選択される1つまたは複数の炎症メディエーターのレベルが増加している、実施形態31~40のいずれか1つに記載の方法。
実施形態42。前記患者は、少なくとも5pg/mLのIL-6レベルを有する、実施形態41に記載の方法。
実施形態43。前記患者は、少なくとも29pg/mLのIL-8レベルを有する、実施形態41に記載の方法。
実施形態44。前記患者は、少なくとも15pg/mLのIL-10レベルを有する、実施形態41に記載の方法。
実施形態45。前記患者は、少なくとも35pg/mLのG-CSFレベルを有する、実施形態41に記載の方法。
実施形態46。前記患者は、発熱を有さない患者と比較して、CCL5およびCXCL10からなる群から選択される1つまたは複数の炎症メディエーターのレベルが低下している、実施形態31~45のいずれか1つに記載の方法。
実施形態47。前記患者は、少なくとも380pg/mLのCCL5レベルを有する、実施形態46に記載の方法。
実施形態48。前記患者は、少なくとも270pg/mLのCXCL10レベルを有する、実施形態46に記載の方法。
実施形態49。前記患者は肝臓損傷を有する、実施形態31~48のいずれか1つに記載の方法。
実施形態50。前記患者は肺損傷を有する、実施形態31~49のいずれか1つに記載の方法。
実施形態51。前記患者は脾臓損傷を有する、実施形態31~50のいずれか1つに記載の方法。
実施形態52。前記患者は腎臓損傷を有する、実施形態31~51のいずれか1つに記載の方法。
実施形態53。前記患者は骨損傷を有する、実施形態31~52のいずれか1つに記載の方法。
実施形態54。前記処置は、従来通りに保存された血液で処置された患者と比較して、前記患者におけるトロンボスポンジンへの赤血球の接着を低減する、実施形態31~53のいずれか1つに記載の方法。
実施形態55。前記トロンボスポンジンは少なくとも10%低減される、実施形態54に記載の方法。
実施形態56。前記保存された酸素低減血液は、酸素および二酸化炭素低減血液である、実施形態31~55のいずれか1つに記載の方法。
実施形態57。必要な鎌状赤血球患者における輸血を改善する方法であり、保存された酸素低減血液を鎌状赤血球症を有する患者に提供することを含み、前記酸素低減血液は保存中に20%以下の酸素飽和度を有する。
実施形態58。前記鎌状赤血球症は鎌状赤血球貧血である、実施形態57に記載の方法。
実施形態59。前記鎌状赤血球症は鎌状赤血球クリーゼである、実施形態57に記載の方法。
実施形態60。前記鎌状赤血球症は、ヘモグロビンSS(HbSS)、ヘモグロビンSC(HbSC)、ヘモグロビンSベータサラセミア+(HbSB+)、ヘモグロビンS(ベータ-0)サラセミア(HbSB)、ヘモグロビンSD(HbSD)、ヘモグロビンSE(HbSE)、およびヘモグロビンSO(HbSO)からなる群から選択される、実施形態57に記載の方法。
実施形態61。前記改善は、指炎(手足症候群)の発生数を、従来通りに保存された血液を受けている患者と比較して少なくとも10%低減することを含む、実施形態57~60のいずれか1つに記載の方法。
実施形態62。前記改善は、疼痛クリーゼの数を、従来通りに保存された血液で処置されることと比較して少なくとも10%低減することを含む、実施形態57~61のいずれか1つに記載の方法。
実施形態63。前記改善は、疲労、易刺激性、眩暈、呼吸困難、薄い皮膚色、黄疸、成長遅延、および思春期遅延からなる群から選択される貧血による合併症を低減することを含む、実施形態57~62のいずれか1つに記載の方法。
実施形態64。前記改善は、感染症の発生を低減することを含む、実施形態57~63のいずれか1つに記載の方法。
実施形態65。前記改善は、脾臓損傷を低減することを含む、実施形態57~64のいずれか1つに記載の方法。
実施形態66。前記脾臓損傷は脾臓血球貯留である、実施形態65に記載の方法。
実施形態67。前記脾臓損傷は脾臓腫大である、実施形態65に記載の方法。
実施形態68。前記改善は、脳卒中を低減または予防することを含む、実施形態57~67のいずれか1つに記載の方法。
実施形態69。前記予め保存された酸素低減血液は、前記輸血後に従来通りに保存された血液と比較してより高い24時間回収率を有する、実施形態57~68のいずれか1つに記載の方法。
実施形態70。前記予め保存された酸素低減血液は、従来通りに保存された血液と比較して増加した変形能を有する、実施形態57~69のいずれか1つに記載の方法。
実施形態71。前記酸素低減血液は、従来通りに保存された血液と比較して、鎌状赤血球血漿の存在下にあるときに増加した変形能を有する、実施形態57~70のいずれか1つに記載の方法。
実施形態72。前記酸素低減血液中の二酸化炭素を低減することをさらに含む、実施形態57~71のいずれか1つに記載の方法。
実施形態73。必要な患者における血管閉塞エピソードの数を減少させる方法であり、必要な患者に保存された酸素低減血液を提供することを含み、前記酸素低減血液は保存中に20%以下の酸素飽和度を有し、前記血管閉塞エピソードを減少させることは、内皮細胞への赤血球の接着を減少させることを含む。
実施形態74。必要な前記患者は鎌状赤血球症を有する、実施形態73に記載の方法。
実施形態75。必要な前記患者は炎症を有する、実施形態73または74に記載の方法。
実施形態76。前記赤血球の接着を減少させることは、トロンボスポンジンを発現する内皮細胞に対するものである、実施形態73~75のいずれか1つに記載の方法。
実施形態77。前記赤血球の接着を減少させることは、血管細胞接着分子-1(VCAM-1)を発現する内皮細胞に対するものである、実施形態73~76のいずれか1つに記載の方法。
実施形態78。前記赤血球の接着を減少させることは、ラミニンを発現する内皮細胞に対するものである、実施形態73~77のいずれか1つに記載の方法。
実施形態79。前記接着は、従来通りに保存された血液と比較して少なくとも10%減少する、実施形態76~78のいずれか1つに記載の方法。
実施形態80。前記接着は、従来通りに保存された血液と比較して少なくとも20%減少する、実施形態76~79のいずれか1つに記載の方法。
実施形態81。前記接着は10~50%減少する、実施形態76~80のいずれか1つに記載の方法。
実施形態82。前記鎌状赤血球症は鎌状赤血球貧血である、実施形態73~81のいずれか1つに記載の方法。
実施形態83。前記鎌状赤血球症は鎌状赤血球クリーゼである、実施形態73~81のいずれか1つに記載の方法。
実施形態84。前記鎌状赤血球症は、ヘモグロビンSS(HbSS)、ヘモグロビンSC(HbSC)、ヘモグロビンSベータサラセミア+(HbSB+)、ヘモグロビンS(ベータ-0)サラセミア(HbSB)、ヘモグロビンSD(HbSD)、ヘモグロビンSE(HbSE)、およびヘモグロビンSO(HbSO)からなる群から選択される、実施形態73~83のいずれか1つに記載の方法。
実施形態85。前記酸素低減血液中の二酸化炭素を低減することをさらに含む、実施形態73~83のいずれか1つに記載の方法。
実施形態86。必要な患者における内皮細胞への赤血球の接着を減少させる方法であり、鎌状赤血球症を有する患者に保存された酸素低減血液を提供することを含み、前記酸素低減血液は保存中に20%以下の酸素飽和度を有する。
実施形態87。鎌状赤血球症の処置に使用するための、保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減血液。
実施形態88。前記血液は酸素および二酸化炭素低減血液である、実施形態87に記載の酸素低減血液。
実施形態89。炎症の処置に使用するための、保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減血液。
実施形態90。前記血液は酸素および二酸化炭素低減血液である、実施形態89に記載の酸素低減血液。
実施形態91。血管閉塞エピソードの処置に使用するための20%以下の酸素飽和度を含む保存された酸素低減血液であり、前記処置は、必要な患者における血管閉塞エピソードの数を減少させ、前記血管閉塞エピソードを減少させることは、内皮細胞への赤血球の接着を減少させることを含む。
実施形態92。前記血液は酸素および二酸化炭素低減保存血液である、実施形態91に記載の保存された酸素低減血液。
実施形態93。必要な患者における炎症の処置のための、保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減血液の使用。
実施形態94。必要な患者における鎌状赤血球の処置のための、保存中に20%以下の酸素飽和度を有する酸素低減血液の使用。
実施形態95。前記血液は酸素および二酸化炭素低減血液である、実施形態94に記載の酸素低減血液の使用。
実施形態96。実質的に示され記載された酸素低減血液の使用。
実施形態97。実質的に示され記載された酸素および二酸化炭素低減血液の使用。
実施形態98。保存中に20%以下の酸素飽和度を有する保存された酸素低減血液を含む酸素不透過性血液保存バッグと、フィルターと、ドリップチャンバーとを含むキット。
実施形態99。輸血前に保存された酸素低減血液にガスを添加するためのデバイスをさらに含む、実施形態98に記載のキット。
実施形態100。前記保存された酸素低減血液を必要な患者に輸血するためのチューブをさらに含む、実施形態98または99に記載のキット。
実施形態101。必要な患者における鎌状赤血球症または炎症の処置のための、実施形態98~100のいずれか1つに記載のキットの使用。
【0137】
特定の実施形態を参照して本開示を説明したが、本開示の範囲から逸脱することなくさまざまな変更が行われてもよく、その要素を等価物で置き換えてもよいことが当業者には理解されよう。加えて、本開示の範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を本開示の教示に適合させるために多くの修正が行われてもよい。
【0138】
したがって、本開示は、本開示を実施するために企図された最良の形態として開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、本開示は、添付の請求項の範囲および思想に含まれるすべての実施形態を含むことが意図される。
〔実施例〕
【実施例1】
【0139】
血液の収集およびサンプル調製
合計12~14匹のラットから赤血球の各プールをCP2D抗凝固剤中に収集する。プールした血液を新生児白血球除去フィルターを用いて白血球除去し、成分を分離し、RBCをAS-3添加剤溶液中に保存する。合計2つのRBCプールを収集する。各プールを次の4通りに分割する。未処理対照(C)、偽対照(SC)、酸素低減(OR)、ならびに酸素および二酸化炭素低減(OCR)である。C、SC、OR、およびOCRユニットに対して、80mLのPVC血液輸送バッグに移すことによってRBCサブユニットを処理し、最終RBC産物をガス交換プロセスによって作製する。Cを除くRBCバッグに、滅菌フィルターを通して100%N2(ORに対して)または95%N2/5%CO2(OCRに対して)または空気(SC)を充填し、長辺を2~3RPMで穏やかに回転させる(Cを除く)。ORおよびOCRユニットについては、10分後にフィルターを通してガスを除去し、その後のガス交換プロセスのために新鮮なガスを導入する。ABL-90コオキシメータ(ラジオメータ・コペンハーゲン(Radiometer Copenhagen))によって測定されるときに5~10%の目標%SO2が達成されるまで、このプロセスを5~8回繰り返す。SCユニットをガス交換なしで60分間回転させる。ORおよびOCRユニットはN2充填キャニスター中で嫌気的に保存され、一方でCおよびSCユニットは周囲空気中で保存される。すべてのユニットを4℃で3週間保存し、0または1、7、14、21、および28日目にサンプリングする。2つのプールを調製して保存した。
【0140】
0、1、7、14、21、および28日目に、ATP、2,3-DPG、および溶血分析を行う。図1に示すように、ATPレベルは、従来通りに保存された血液(対照)と比較して、21日目のOR血液、ならびに7、14、21、および28日目のOCR血液においてより高い。加えてOR血液は、対照と比較して2、7、および14日目により高いレベルの2.3-DPGを有する。加えてOCR血液は、対照と比較して2、7、および14日目により高いレベルの2,3-DPGを示す。図2を参照されたい。
【実施例2】
【0141】
酸素低減血液の回収率
3週間保存した少量(200μL未満)の対照、OR、およびOCR血液をテクネチウム-99mで標識する。動物に標識RBC(200uL未満)を輸血し、輸血24時間後に生存する輸血RBCの割合を推定するために、循環放射能を24時間まで定期的に測定する。図3に示すように、RBCを3週間保存したとき、対照RBCと比較して有意に多くのOR-RBCおよびOCR-RBCが回収される。
【実施例3】
【0142】
出血性ショック蘇生のラットモデル
血液の収集およびサンプル調製。合計12~14匹のラットから赤血球の各プールをCP2D抗凝固剤中に収集する。プールした血液を新生児白血球除去フィルターを用いて白血球除去し、成分を分離し、RBCをAS-3添加剤溶液中に保存する。合計6つのRBCプールを収集する。従来の保存(対照)のために2つのプールを調製する。2つのプールから酸素を枯渇させ(酸素低減;OR)、残りの2つの血液プールから酸素および二酸化炭素を枯渇させる(酸素および二酸化炭素低減;OCR)。低減させる4つのプールの各々は、RBCを600mLのPVC血液輸送バッグに移すことによって処理し、最終RBC産物をガス交換プロセスによって作製する。RBCバッグに、滅菌フィルターを通して100%N2(ORに対して)または95%N2/5%CO2(OCRに対して)を充填し、長辺を60~90RPMで穏やかに回転させる。10分後にフィルターを通してガスを除去し、その後のガス交換プロセスのために新鮮なガスを導入する。ABL-90コオキシメータ(ラジオメータ・コペンハーゲン(Radiometer Copenhagen))によって測定されるときに5~10%の目標%SO2が達成されるまで、このプロセスを5~8回繰り返す。ORおよびOCR血液をN2充填キャニスター中で嫌気的に保存する。
【0143】
研究は、体重150~200グラム(g)のスプラーグドーリーラット(チャールズ・リバー・ラボラトリーズ(Charles River Laboratories)、ボストン(Boston)、MA)において行われる。簡単に説明すると、40mg/kgのペントバルビタールナトリウムを腹腔内投与することによって、動物を麻酔する。動物を加熱パッド上に仰臥位で配置して、深部体温を37Cに維持する。動物を次のとおりに準備する。(i)左頸静脈および左大腿動脈カテーテル留置、(ii)気管切開(ポリエチレン-90チューブ)、ならびに(iii)右頸動脈を通じた左心室(LV:left ventricle)コンダクタンスカテーテル導入。部屋の空気を使用して、1分当り50~70呼吸の呼吸速度および10~15cmH2Oのピーク吸気圧にて動物を機械的に呼吸させる(TOPO人工呼吸器、ケント・サイエンティフィック(Kent Scientific)、トリントン(Torrington)、CT)。器具使用の後、人工呼吸器に接続された気化器を使用して揮発性麻酔(1.5%/volイソフルラン、ドレーゲルヴェルク(Dragerwerk)AG、リューベック(Laubeck)、独国)を投与する。つま先をつまんで麻酔の深さを継続的に確認し、必要に応じて動物の不快感を防ぐためにイソフルランを0.1%/vol増加させた。
【0144】
10分以内に大腿動脈カテーテルを介して動物の血液量(blood volume)の50%(BV;体重の推定7%)を抜き取ることによって、麻酔した動物を出血させ、動物を血液量減少性ショック状態にする。この血液量減少性ショック状態を30分間維持する。60分間の蘇生期間中に平均動脈圧(MAP)がベースラインの90%で安定するまで、大腿動脈を介して300マイクロリットル毎分(μL/分)の予め保存したRBCを輸血することによって、蘇生を実施する。この期間中の10、20、30、45、および60分に、大腿動脈カテーテル(パワーラブ(PowerLab)、ADインスツルメンツ(Instruments)、コロラドスプリングス(Colorado Springs)、CO)からMAPおよび心拍数(HR:heart rate)を得る。60分後に、ヘパリン処置毛細管チューブの遠心分離によってヘマトクリット(Hct:hematocrit)を測定する。ABL90コオキシメータ(ラジオメータ・コペンハーゲン(Radiometer,Copenhagen))によって、ヘモグロビン(Hb:Hemoglobin)、乳酸、グルコース、K+、Na+、pH、動脈血ガスを定める。心機能および全身の値の指標(MAP、HR、Hct、Hb、および血液ガス)を、ベースライン(BL)、ショック中、ならびに蘇生後10(早期R)、20、30、45、および60分(後期R)においてモニタする。実験終了時に動物を安楽死させる。
【実施例4】
【0145】
出血性ショックのラットモデルにおけるヘマトクリット分析
血液量減少性ショックが誘発された後、ヘマトクリット(Hct)は約30~40%低減される。1週間保存された従来の血液、OR血液、またはOCR血液を提供することによって、ヘマトクリットを正常レベルに回復させることができる。図4Aを参照されたい。しかし図4Bに示すように、蘇生の10分後(早期R)に、1週間保存されたOR血液は対照およびOCR血液と比較して増加したヘマトクリットパーセントを示す。OR血液のヘマトクリットパーセントは、蘇生の60分後(後期R)にも対照と比較して改善されたままである。
【実施例5】
【0146】
酸素低減血液による平均動脈圧の変化
大腿動脈カテーテル(パワーラブ(PowerLab)、ADインスツルメンツ(Instruments)、コロラドスプリングス(Colorado Springs)、CO)から平均動脈圧(MAP)を得る。図5Aに示すように、ベースラインMAPは80~110mmHgである。MAPは出血性ショック中に20~60mmHgに低減される。1週間保存したORおよびOCR血液による動物の蘇生は、MAPをそれぞれ約80mmHgおよび90mmHgに増加させる。図5Bに示すように、OR血液による蘇生は、10分後に対照と比較してMAPを正常範囲に回復させることができる。対照およびOCR保存血液は、蘇生の60分後にMAPを正常範囲に回復させることができる。従来通りに保存されたRBC(対照)によって蘇生および血行動態の保存を行うために必要とされる血液量は、必要とされるORおよびOCR RBCよりも多かった。図6Aおよび図6Bを参照されたい。
【実施例6】
【0147】
出血性ショックに対する代謝反応
動物における出血性ショックは、乳酸レベルを約2mmol/Lから約8~14mmol/Lに増加させる。1週間保存したORおよびOCR RBCによる蘇生は、蘇生のわずか10分後に乳酸レベルを正常レベル近くまで低減させる。図7Aを参照されたい。対照血液で蘇生させた動物の乳酸レベルは、出血性ショックの動物の乳酸レベルと同様である。対照、OR、およびOCR RBCで60分間処置した動物は、同様の乳酸レベルを示す。図7Bに示すように、3週間保存したOR RBCも、蘇生の10分後に対照と比較して乳酸レベルを低減することができる。しかし、蘇生の80分後に、OCR RBCは乳酸レベルを正常範囲に回復させた。対照およびOR RBCは乳酸レベルを低減することができたが、1~3mmol/Lの正常範囲までは低減できなかった。グルコースレベルの分析は、約160mg/dL~約240mg/dLのグルコースの正常範囲が、出血性ショック下の動物においては約320~約510mg/dLの範囲に増加することを示す。図8Aおよび図8Bを参照されたい。1週間保存したORおよびOCR RBCはどちらも、蘇生の10分後に対照と比較してグルコースレベルを減少させる。3つのサンプルはすべて、蘇生の60分後にグルコースレベルを正常範囲に回復させた。図8Bに示すように、3週間保存したORおよびOCR RBCも、蘇生の10分後に対照と比較してグルコースレベルを低下させることができる。1週間保存したRBCとは異なり、ORおよびOCR RBCのみがグルコースを正常範囲内に回復させることができた。したがって、ORおよびOCR RBCでは、対照RBCと比較して乳酸レベルおよびグルコースレベルの両方がより速く低減される。
【実施例7】
【0148】
生体器官傷害および炎症
出血性ショックおよび蘇生を経験した後の器官傷害および炎症について、動物を分析する。肝臓酵素レベルの上昇は、何らかの形態の肝臓の損傷または傷害を表すものである。アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)およびアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルを分析して、肝臓損傷を判定した。1週間(図9Aおよび図10A)および3週間(図9Bおよび図10B)にわたって予め保存したORおよびOCR RBCによる蘇生は、同じ期間保存した対照RBCと比較してASTおよびALTレベルを低減させた。血清クレアチニンおよび血中尿素窒素(BUN)レベルを分析して、腎機能を判定した。1週間保存したORおよびOCR RBCは、血清クレアチニンレベルを対照RBCと比較して30%より大きく低減させた(図11A)。3週間の保存後、対照、ORおよびOCR RBCで処置した動物の血清クレアチニンレベルは重なり合う(図11B)。BUNレベルは、1週間保存したOCR RBCで処置した動物において対照と比較して30%より大きく減少する(図12A)。BUNレベルは、3週間保存したOR RBCで処置した動物においても対照と比較して30%より大きく減少した(図12B)。全体的に、生体器官機能は、対照RBCと比較してORおよびOCR RBCによって保存された。
【0149】
インビボ研究の完了時に動物から肝臓、脾臓、および肺を切除し、CXCL1、尿中好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(u-NGAL)、IL-6、および好中球を含む種々の炎症因子について分析する。CXCL1は、1週間または3週間保存したORおよびOCR RBCで処置した動物において、同じ期間保存した対照と比較して低減される(図13A図13B図14A図14B、および図15A図15B)。図16Aおよび図16Bに示すように、u-NGALは、1週間または3週間保存したORまたはOCR RBCで処置した動物の腎臓において、同等の時間保存した対照RBCと比較して低減される(図16)。図17および図18に示すように、CD45+好中球を有する動物から切除された肺のパーセンテージおよびIL-6のレベルは、同じ期間保存された対照RBCと比較して、ORおよびOCR RBCにおいて有意に減少する。これらの結果は、ORおよびOCR RBCで処置した動物における器官傷害および炎症が、対照RBCで処置した動物と比較して減少することを示す。
【実施例8】
【0150】
トロンボスポンジン接着アッセイ
トロンボスポンジンは、鎌状赤血球症における疾患重症度の重要なバイオマーカーである。鎌状赤血球症における血管閉塞クリーゼ(エピソード)の際に、循環トロンボスポンジンのレベルは、血管内皮への鎌状赤血球の接着の対応する増加と共に有意に増加する。従来通りに保存されたRBCおよび酸素低減RBCを比較して、内皮細胞への接着の差異を判定する。簡単に説明すると、2ユニットのO陽性全血をクエン酸-リン酸-デキストロース(CPD)/SAGM中にプールする。各ユニットを白血球除去フィルターで室温で濾過する。白血球除去全血(LR-WB:leuko-reduced whole blood)を2リットルの採血バッグに移す。次いで、プールされたLR-WBを500mlの等しいアリコート(ユニットAおよびユニットB)に分け、処理して濃厚赤血球および血漿にする。血漿を取り除き、-70℃で保存する。ユニットA中の濃厚RBC(pRBC)をSAGMに再懸濁し、ユニットB中のpRBCをPAGGSMに再懸濁する。ヘマネクスト酸素低減システム(Hemanext Oxygen Reduction System)を使用して、ユニットB中のpRBCを室温で3時間脱酸素化する。ユニットを4℃で42日間保存する。各ユニットからサンプルを抽出し、分析して、正常血漿または鎌状赤血球症患者由来の血漿におけるプレインキュベーション後の全血球計算値(CBC:complete blood count)、ガスパネル分析、およびマイクロチップ上のトロンボスポンジンへの接着を判定する。0日目に収集したサンプルを、0.4%ウシ血清アルブミン(BSA:bovine serum albumin)、正常血漿(AA)、定常状態の鎌状赤血球患者由来の血漿(SS)、またはクリーゼの鎌状赤血球患者由来の血漿と共にインキュベートする。次いで、インキュベートしたサンプルを接着アッセイマイクロチップと共にインキュベートする。酸素低減RBCおよび従来通りに保存されたRBCの接着に対する異なる剪断応力の影響を判定するために、細胞を0.5~5ダイン/cm2の増加する剪断応力に供する。図19に示すように、システムは安定しており、剪断応力の変化に応答する。剪断応力が増加するにつれて、トロンボスポンジンマトリックスに接着する細胞の数が徐々に減少する。これらの結果は、トロンボスポンジンに対するRBCの接着強度をさらに実証するものである。
【0151】
トロンボスポンジン接着に対するRBC保存条件の影響を試験するために、0、21、および42日目に収集したサンプルを、0.5ダイン/cm2図20A)、2.0ダイン/cm2図20B)、または5.0ダイン/cm2図20C)の剪断応力に供する。図20に示すように、酸素低減赤血球は、従来通りに保存された赤血球と比較してトロンボスポンジンに対する接着性が有意に低い。
【実施例9】
【0152】
酸素低減RBCおよび対照RBCの溶血
溶血に対する鎌状赤血球血漿の影響を判定するために、交換輸血後28日を超えている2人の鎌状赤血球症患者(TF)および1人の健常な患者(HT)から20mLのサンプルを収集する。サンプルを15mLの遠心分離チューブに分配し、室温で1500×gで15分間遠心分離する(ブレーキなし)。次いで、各15mLチューブからの多血小板血漿(PRP:Platelet rich plasma)を新しい15mLチューブに移し、室温で1500×gで15分間遠心分離する(ブレーキなし)。清潔な使い捨てバルブピペットを使用して、PRPを各遠心分離チューブから15mLプールチューブに移す。オートクレーブして予め標識した1.5mLチューブに、乏血小板血漿(PPP:platelet poor plasma)を1mLずつ分注する。使用するまでPPPを-40℃で保存する。2つのTFサンプルに再懸濁したRBCによって、フロー接着を行う。より高いベースライン接着を支持するTF PPPサンプル(TF006)を選択する(図21)。
【0153】
3セットのpRBC、すなわち従来通りに保存されたもの(A)、二酸化炭素枯渇および40%酸素のもの(B)、ならびに二酸化炭素および酸素枯渇のもの(C)を調製し、保存する。保存の1日目および21日目に各セットからアリコートを収集する。サンプルを15mL遠心分離チューブに移し、1500×gで15分間遠心分離する。上清を廃棄し、RBCペレットを再構成する。A、B、およびCからの80マイクロリットルの濃縮され洗浄されたRBCを、鎌状赤血球血漿(SS)および健常血漿(HT)からの40マイクロリットルの調製PPPに再懸濁し、ニューテーター(4RPM)上で37Cで2時間および24時間インキュベートする。溶血パーセントは、従来通りに保存されたRBCと比較して、二酸化炭素および酸素枯渇RBCにおいて減少する。
【実施例10】
【0154】
変形能に対する鎌状血漿の影響
3RBCユニットをプールし、白血球除去(LR)し、グループA(対照)およびグループB(酸素低減)に等分する。グループBのRBCは、約5%のSOおよび約8mmHgのCO2を含むように処理される。グループAおよびBのRBCを42℃で42日間保存する。グループAおよびBの両方からのRBCのアリコートを、37℃で(1)健常ドナー血漿と共に3時間、(2)健常ドナー血漿と共に12時間、(2)鎌状赤血球ドナー血漿と共に3時間、および(4)鎌状赤血球ドナー血漿と共に12時間インキュベートする。グループAおよびグループBからの一致したサンプルを、微小血管分析チップ上で並べて分析する。変形能は、出口バルク流として測定される。変形能は、健常血漿と共にインキュベートした対照RBCと比較して、鎌状赤血球血漿と共にインキュベートした酸素低減RBCにおいて増加する。この変形能の増加は、3時間および12時間のインキュベーション後に観察される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A
図17B
図18A
図18B
図19A
図19B
図19C
図20A
図20B
図20C
図21
【国際調査報告】