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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】上空波システムにおける変速
(51)【国際特許分類】
   H04L 1/00 20060101AFI20220111BHJP
   H04L 27/00 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
H04L1/00 E
H04L27/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021526631
(86)(22)【出願日】2019-11-14
(85)【翻訳文提出日】2021-07-07
(86)【国際出願番号】 US2019070008
(87)【国際公開番号】W WO2020102825
(87)【国際公開日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】62/767,179
(32)【優先日】2018-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517203682
【氏名又は名称】スカイウェイブ・ネットワークス・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100119781
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 彰吾
(72)【発明者】
【氏名】バビック,ケビン・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ビシュロフ,テリー・リー
【テーマコード(参考)】
5K014
【Fターム(参考)】
5K014AA01
5K014BA01
5K014BA05
5K014FA02
5K014FA11
(57)【要約】
オプションの性能を達成するために変調と等化とがシフトされる変速技術が開発された。一形態では、それぞれが復調器およびメッセージの復号器に関連づけられた2つ以上の等化器が、使用中の変調の複雑さを、チャネルスループットを向上するために増すことができるか、または受信器エラー特性を改善するために低減するべきかを判定する。品質メトリックは、どの等化器-復調器-復号器が最初に有効なメッセージを検知するように設定されているかということに基づき得る。この技術に対して、パケットエラー率および信号対雑音比などの他の要因が考慮に入れられ得る。金融取引システムでは、メッセージ消去は、メッセージごとに許容されるビットまたはシンボルの補正の数を、選択された復号方式にとって可能な最大値未満に制限することにより、誤ったメッセージよりも有利である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信システムにおいて、別の変調モードに変更するとシステム便益(benefit)がもたらされる可能性があると指示するインジケータを受信するステップであって、
前記通信システムが2つ以上の復調器-等化器ユニットを含む、インジケータを受信するステップと、
前記復調器-等化器ユニットのうちの少なくとも1つを前記別の変調モードにシフトするステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記インジケータが信号対雑音比(SNR)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記インジケータがパケットエラー率(PER)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記インジケータが前記通信システムの財務成績(performance)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記インジケータが収穫逓減遅延時間限界(diminishing returns delay time limit)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記インジケータがシステム遅延利益を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記インジケータが最小遅延時間限界を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記インジケータが符号間干渉(ISI)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記別の変調モードがより高度な複雑(complexity)さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記システム便益がより高いチャネルスループットを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記シフトするステップが、前記より高度な複雑さを伴う前記別の変調モードにシフトアップするステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記別の変調モードがより低度な複雑さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記システム便益がより優れたエラー性能を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記シフトするステップが、前記より低度な複雑さを伴う前記別の変調モードにシフトダウンするステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
残りの復調器-等化器ユニットをシフトする前に、前記復調器-等化器ユニットのうちの前記1つを用いて前記別の変調モードを調査するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記通信システムを通じて金融商品取引命令を送るステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項17】
1つのメッセージ当たりのエラー訂正の数を、選択された復号化方式にとって可能な最大値未満に制限するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記シフトするステップが、前記復調器-等化器ユニットにおける等化器処理時間を変更するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記等化器処理時間を変更する前記ステップが前記等化器処理時間を短縮するステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記等化器処理時間を変更する前記ステップが前記等化器処理時間を増加させるステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記復調器-等化器ユニットが、第1の復調器-等化器ユニット、第2の復調器-等化器ユニット、および第3の復調器-等化器ユニットを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の復調器-等化器ユニットが、その他の復調器-等化器ユニットよりも短い等化器処理時間を伴う等化器を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の復調器-等化器ユニットのパケットエラー率が最小限度未満であると判定するステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
遠隔の送信器ステーションにおける変調器に、前記別の変調モードに変更するように命令するステップをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第2の復調器-等化器ユニットおよび前記第3の復調器-等化器ユニットを前記別の変調モードに変更するステップをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第2の復調器-等化器ユニットの等化器処理時間を、前記第1の復調器-等化器ユニットの前記短い等化器処理時間に変更するステップをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第3の復調器-等化器ユニットが、その他の復調器-等化器ユニットよりも長い等化器処理時間を伴う第3の等化器を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記第3の復調器-等化器ユニットのパケットエラー率が最小限度未満であると判定するステップをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記第1の復調器-等化器ユニットおよび前記第2の復調器-等化器ユニットを前記別の変調モードに変更するステップをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第2の復調器-等化器ユニットの等化器処理時間を、前記第3の復調器-等化器ユニットの前記長い等化器処理時間に変更するステップをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
通信システムを通じて金融商品取引命令を送るステップと、
1つのメッセージ当たりのエラー訂正の数を、選択された復号化方式にとって可能な最大値未満に制限するステップと、
を含む方法。
【請求項32】
前記通信システムが2つ以上の復調器-等化器ユニットを含む、請求項1から31のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項33】
前記復調器-等化器ユニットのうちの少なくとも1つを前記別の変調モードにシフトするステップをさらに含む、請求項1から32のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項34】
前記インジケータが信号対雑音比(SNR)を含む、請求項1から33のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項35】
前記インジケータがパケットエラー率(PER)を含む、請求項1から34のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項36】
前記インジケータが前記通信システムの財務成績を含む、請求項1から35のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項37】
前記インジケータが収穫逓減遅延時間限界を含む、請求項1から36のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項38】
前記インジケータがシステム遅延利益を含む、請求項1から37のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項39】
前記インジケータが最小遅延時間限界を含む、請求項1から38のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項40】
前記インジケータが符号間干渉(ISI)を含む、請求項1から39のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項41】
前記別の変調モードがより高度な複雑さを有する、請求項1から40のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項42】
前記システム便益がより高いチャネルスループットを含む、請求項1から41のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項43】
前記シフトするステップが、前記より高度な複雑さを伴う前記別の変調モードにシフトアップするステップを含む、請求項1から42のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項44】
前記別の変調モードがより低度な複雑さを有する、請求項1から43のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項45】
前記システム便益がより優れたエラー性能を含む、請求項1から44のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項46】
前記シフトするステップが、前記より低度な複雑さを伴う前記別の変調モードにシフトダウンするステップを含む、請求項1から45のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項47】
残りの復調器-等化器ユニットをシフトする前に、前記復調器-等化器ユニットのうちの前記1つを用いて前記別の変調モードを調査するステップをさらに含む、請求項1から46のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項48】
前記通信システムを通じて金融商品取引命令を送るステップをさらに含む、請求項1から47のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項49】
1つのメッセージ当たりのエラー訂正の数を、選択された復号化方式にとって可能な最大値未満に制限するステップをさらに含む、請求項1から48のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項50】
前記シフトするステップが前記復調器-等化器ユニットにおける等化器処理時間を変更するステップを含む、請求項1から49のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項51】
前記等化器処理時間を変更する前記ステップが前記等化器処理時間を短縮するステップを含む、請求項1から50のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項52】
前記等化器処理時間を変更する前記ステップが前記等化器処理時間を増加させるステップを含む、請求項1から51のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項53】
前記復調器-等化器ユニットが、第1の復調器-等化器ユニット、第2の復調器-等化器ユニット、および第3の復調器-等化器ユニットを含む、請求項1から52のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項54】
前記第1の復調器-等化器ユニットが、その他の復調器-等化器ユニットよりも短い等化器処理時間を伴う等化器を有する、請求項1から53のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項55】
前記第1の復調器-等化器ユニットのパケットエラー率が最小限度未満であると判定するステップをさらに含む、請求項1から54のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項56】
遠隔送信器ステーションにおける変調器に、前記別の変調モードに変更するように命令するステップをさらに含む、請求項1から55のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項57】
前記第2の復調器-等化器ユニットおよび前記第3の復調器-等化器ユニットを前記別の変調モードに変更するステップをさらに含む、請求項1から56のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項58】
前記第2の復調器-等化器ユニットの等化器処理時間を、前記第1の復調器-等化器ユニットの前記短い等化器処理時間に変更するステップをさらに含む、請求項1から57のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項59】
前記第3の復調器-等化器ユニットが、その他の復調器-等化器ユニットよりも長い等化器処理時間を伴う第3の等化器を有する、請求項1から58のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項60】
前記第3の復調器-等化器ユニットのパケットエラー率が最小限度未満であると判定するステップをさらに含む、請求項1から59のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項61】
前記第1の復調器-等化器ユニットおよび前記第2の復調器-等化器ユニットを前記別の変調モードに変更するステップをさらに含む、請求項1から60のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項62】
前記第2の復調器-等化器ユニットの等化器処理時間を、前記第3の復調器-等化器ユニットの前記長い等化器処理時間に変更するステップをさらに含む、請求項1から61のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によって本明細書に組み込まれる、2018年11月14日出願の米国特許仮出願第62/767,179号の利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的なオーバージエア(OTA)無線送信は、大洋などの長距離にわたって送信されるとき、重大なレイテンシが生じることがある。さらに、これらの送信チャネルは、かなりノイズが多いことがあり、結果としてエラー訂正の必要性が増大する。ほとんどの長距離通信システムの高周波(HF)無線通信チャネルは、任意の時間において利用可能な割り当てられた無線帯域幅およびチャネル容量によって制限される。金融の高頻度取引用途では、HF無線チャネルを使用するとき、この帯域幅の制限によって金融指示の受信に遅延が生じることがあり、結果として経済的不利益になり得る。
【0003】
したがって、この分野における改善が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明の一実施例は、例えば、上空波システムにおける変速(gear shifting)に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
オプションの性能を達成するために変調モードと等化とがシフトされる独特な変速技術が開発された。一形態では、それぞれが復調器およびメッセージ復号器に関連づけられた3つ以上の等化器が、使用中の変調の複雑さを、チャネルスループットを向上するために増すことができるか、または受信器エラー特性を改善するために低減するべきかを判定する。品質メトリックは、どの等化器-復調器-復号器が最初に有効なメッセージを検知するように設定されているかということに基づき得る。現在の指定された等化器に先立って、より短期間の等化器が、十分な数のエラーなしパケットを検知するとき、変調の複雑さが増すことがある。より長期間の等化器が、現在の指定された等化器と比較して、より多くのエラーなしパケットを検知するとき、変調の複雑さが低下する。この技術に対して、パケットエラー率および信号対雑音比などの他の要因が考慮に入れられ得る。金融取引システムでは、メッセージ消去は、メッセージごとに許容されるビットまたはシンボルの補正の数を、選択された復号方式にとって可能な最大値未満に制限することにより、エラーメッセージよりも有利である。
【0006】
本明細書で説明されかつ図示されるシステムおよび技術は、複数の独特かつ独創的な態様に関するものである。これらの独特な態様のすべてではなくいくつかが、以下で概説される。
【0007】
態様1は、一般に、通信システムにおいて別の変調モードに変更するとシステム便益がもたらされる可能性があると指示するインジケータを受信するステップを含む方法に関するものである。
【0008】
態様2は、一般に、通信システムが2つ以上の復調器-等化器ユニットを含む態様1に記載の方法に関するものである。
態様3は、一般に、復調器-等化器ユニットのうちの少なくとも1つを別の変調モードにシフトするステップを含む、態様1または2に記載の方法に関するものである。
【0009】
態様4は、一般に、インジケータが信号対雑音比(SNR)を含む、態様1から3のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
態様5は、一般に、インジケータがパケットエラー率(PER)を含む、態様1から4のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
【0010】
態様6は、一般に、インジケータが通信システムの財務成績を含む、態様1から5のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
態様7は、一般に、インジケータが収穫逓減の遅延期限を含む、態様1から6のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
【0011】
態様8は、一般に、インジケータがシステム遅延利益を含む、態様1から7のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
態様9は、一般に、インジケータが最小遅延期限を含む、態様1から8のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
【0012】
態様10は、一般に、インジケータがシンボル間干渉(ISI)を含む、態様1から9のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
態様11は、一般に、別の変調モードがより高度な複雑さを有する、態様1から10のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
【0013】
態様12は、一般に、システム便益がより大きいチャネルスループットを含む、態様1から11のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
態様13は、一般に、シフトするステップが、より高度な複雑さを有する別の変調モードへとシフトアップするステップを含む、態様1から12のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
【0014】
態様14は、一般に、別の変調モードがより低度な複雑さを有する、態様1から13のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
態様15は、一般に、システム便益がより優れたエラー性能を含む、態様1から14のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
【0015】
態様16は、一般に、シフトするステップが、より低度な複雑さを有する別の変調モードへとシフトダウンするステップを含む、態様1から15のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
【0016】
態様17は、一般に、残りの復調器-等化器ユニットをシフトする前に、復調器-等化器ユニットのうちの1つを用いて別の変調モードを調査するステップを含む、態様1から16のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
【0017】
態様18は、一般に、通信システムを通じて金融商品取引命令を送るステップを含む、態様1から17のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
態様19は、一般に、1つのメッセージ当たりのエラー訂正の数を、選択された復号方式にとって可能な最大値未満に制限するステップを含む、態様1から18のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
【0018】
態様20は、一般に、シフトするステップが復調器-等化器ユニットにおいて等化器の処理時間を変更するステップを含む、態様1から19のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
【0019】
態様21は、一般に、等化器の処理時間を変更するステップが等化器の処理時間を短縮するステップを含む、態様1から20のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
態様22は、一般に、等化器の処理時間を変更するステップが等化器の処理時間を増加させるステップを含む、態様1から21のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
【0020】
態様23は、一般に、復調器-等化器ユニットが、第1の復調器-等化器ユニット、第2の復調器-等化器ユニット、および第3の復調器-等化器ユニットを含む、態様1から22のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
【0021】
態様24は、一般に、第1の復調器-等化器ユニットが、その他の復調器-等化器ユニットよりも短い等化器処理時間を伴う等化器を有する、態様1から23のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
【0022】
態様25は、一般に、第1の復調器-等化器ユニットのパケットエラー率が最小限度未満であると判定するステップを含む、態様1から24のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
【0023】
態様26は、一般に、遠隔送信器ステーションにおいて、変調器に、別の変調モードに変更するように命令するステップを含む、態様1から25のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
【0024】
態様27は、一般に、第2の復調器-等化器ユニットおよび第3の復調器-等化器ユニットを別の変調モードに変更するステップを含む、態様1から26のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
【0025】
態様28は、一般に、第2の復調器-等化器ユニットの等化器処理時間を、第1の復調器-等化器ユニットの短い等化器処理時間に変更するステップを含む、態様1から27のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
【0026】
態様29は、一般に、第3の復調器-等化器ユニットが、その他の復調器-等化器ユニットよりも長い等化器処理時間を伴う第3の等化器を有する、態様1から28のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
【0027】
態様30は、一般に、第3の復調器-等化器ユニットのパケットエラー率が最小限度未満であると判定するステップを含む、態様1から29のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
【0028】
態様31は、一般に、第1の復調器-等化器ユニットおよび第2の復調器-等化器ユニットを別の変調モードに変更するステップを含む、態様1から30のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
【0029】
態様32は、一般に、第2の復調器-等化器ユニットの等化器処理時間を、第3の復調器-等化器の長い等化器処理時間に変更するステップを含む、態様1から31のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
【0030】
態様33は、一般に、態様1から32のいずれか1つに記載の方法を実施するためのシステムに関するものである。
本発明のさらなる形態、目的、特徴、態様、便益、利益、および実施形態は、本明細書とともに提供される、発明を実施するための形態および図面から明らかになるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】一例による通信システムの線図である。
図2】別の例による通信システムの線図である。
図3図2通信システムの一変形形態の側面図である。
図4図2通信システムのさらなる詳細を示す線図である。
図5】さらなる例による通信システムの線図である。
図6】システム遅延モデルの線図である。
図7】予想収益率と比較した遅延利益のグラフである。
図8】変調モード情報の表である。
図9】最短の経路が最大のエネルギを有するメッセージ経路プロファイルのグラフである。
図10】最短の経路ならエネルギがより小さくなるメッセージ経路プロファイルのグラフである。
図11】復調器-等化器システムの線図である。
図12】変速の遅延環境の図である。
図13】変速技術の流れ図である。
図14】変速技術において使用される変数の表である。
図15】シフトアップ技術の流れ図である。
図16】シフトダウン技術の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
次に、本発明の原理の理解を容易にするために、図面に示された実施形態が参照され、これを説明するために特定の言語が使用される。それにもかかわらず、それによって本発明の範囲を限定することが意図されているわけではないことが理解されよう。説明された実施形態のあらゆる改変形態およびさらなる修正形態、ならびに本明細書で説明されたような本発明の原理のそれ以上の用途は、本発明に関する当業者なら普通に考えつくように企図されている。本発明の一実施形態が極めて詳細に示されるが、本発明に関連しないいくつかの特徴は、明瞭さのために示されないこともあり得ることが当業者には明らかであろう。
【0033】
以下の説明における参照数字は、様々な構成要素が最初に示されたとき、読者が図面を迅速に識別するのを支援するように構成されている。詳細には、要素が最初に出現する図面は、一般的には対応する参照番号における最上位の数字によって指示される。たとえば、「100」番台の参照数字によって識別される要素は図1に出現する可能性が高く、「200」番台の参照数字によって識別される要素は図2に出現する可能性が高い、といった具合である。
【0034】
図1は、一例による通信システム100の汎用バージョンを示すものである。示されるように、通信システム100は情報源105および情報宛先110を含む。情報源105および情報宛先110は、1つまたは複数の通信チャネル115を通じて互いと動作可能に通信する。これらの通信チャネル115を通じた通信は、一方向型通信および/または双方向型通信であり得る。図示の例では、情報源105と情報宛先110の間の通信チャネル115は、1次通信チャネル120およびバックエンド通信チャネル125を含む。他の例では、通信システム100は、通信チャネル115を1つだけ、または通信チャネル115を2つよりも多く含むことができる。
【0035】
以下でより詳細に説明されるように、通信システム100は、複数の状況において使用され得、特に情報源105および情報宛先110が互いから物理的遠隔に配置されている状況において使用され得る。通信システム100は、たとえば個人用、商用、医療用、軍事用、および/または政治目的に使用され得る。説明のために、通信システム100は、金融取引システムの用途について記述されるが、軍事指令の発行および遠隔医療処置の実施などの他の用途向けに適合され得ることを認識されたい。この例では、情報源105および情報宛先110は、一般に、遠隔に設けられた株/商品の取引所および/または金融機関(それら取引所で取引する)の、コンピュータシステムの位置を表すものである。これらの取引所は、ほんの数例を挙げても、ニューヨーク証券取引所(NYSE)、NASDAQ株式市場、東京証券取引所(TYO)、上海証券取引所、香港証券取引所、ユーロネクスト、ロンドン証券取引所、深セン証券取引所、トロント証券取引所、ボンベイ証券取引所、シカゴ商業取引所(CME)、シカゴ商品取引所(CBOT)、およびニューヨーク商品取引所(NYMEX)を含む。
【0036】
図1に示されるように、情報源105および情報宛先110は距離(D)130だけ物理的に離れている。たとえば、情報源105および情報宛先110によって表される各取引所は、山脈、大陸、さらには大洋などによって分離され得る。この物理的距離130により、情報源105の位置と情報宛先110の位置の間の通信において遅延またはレイテンシが生じる。必ずというわけではないが通常は、距離130が長ければ長いほど、所与の通信チャネル115に関するレイテンシも長くなる。ほとんどの場合、これらの取引所の間の距離130が、直接見通し線通信の妨げになり、通信エラーのリスクが増すばかりでなく、レイテンシがさらに増加する。たとえば、情報宛先110は、情報源105の電波地平線を通り越して配置されることがある。取引ならびに他の活動に対して、時間および通信精度は非常に重要である。いかなる遅延によっても取引業者は損をする可能性があり、同様に、あらゆる通信エラーが損失をもたらす可能性がある。通信エラーは低減され得るが、通常は、より高いレイテンシおよび/またはより高い帯域幅要件といった代償を払ってのことである。ほとんどの通信チャネル115の帯域幅は、ある程度まで制限されている。レイテンシおよび帯域幅の性能は、通信チャネル115の構成およびタイプに依拠して変化する可能性がある。
【0037】
見られるように、1次通信チャネル120は1次チャネルレイテンシ(ΔT)135および1次チャネル帯域幅(B)140を有する。バックエンドチャネルレイテンシ1451次通信チャネル120はバックエンドチャネルレイテンシ(ΔT)145およびバックエンドチャネル帯域幅(B)150を有する。図1の通信チャネル115は、同一のレイテンシおよび帯域幅の特性、または他の特性ばかりでなく、異なるレイテンシおよび/もしくは帯域幅を有することができる。一例では、1次通信チャネル120の1次チャネルレイテンシ135はバックエンド通信チャネル125のバックエンドチャネルレイテンシ145よりも低く、1次通信チャネル120の1次チャネル帯域幅140はバックエンド通信チャネル125のバックエンドチャネル帯域幅150よりも狭い。この例のいくつかの変形形態では、1次通信チャネル120はワイヤレス通信チャネル(たとえば無線)であり、バックエンド通信チャネル125は有線タイプ通信チャネル(たとえば光ファイバケーブル)である。特定の一形態では、1次通信チャネル120は上空波通信技術を使用し、バックエンド通信チャネル125は光ファイバケーブルなどの非上空波経路を含む。他の例では、1次通信チャネル120およびバックエンド通信チャネル125は、同一タイプの通信方式用の別々の通信チャネル115を表す。たとえば、1次通信チャネル120およびバックエンド通信チャネル125は、異なる周波数帯域を有するワイヤレス通信チャネルを表し、一例では両方の通信チャネル115が高周波(HF)無線を利用して上空波伝搬によって通信する。1次通信チャネル120およびバックエンド通信チャネル125は、異なる周波数を有することにより、異なるレイテンシ、帯域幅、および/または通信エラー率を有することができる。たとえば、1つの状況では、1次通信チャネル120はバックエンド通信チャネル125よりもノイズが多いが、バックエンド通信チャネル125よりも低いレイテンシを有し得る。
【0038】
通信システム100のHF無線通信チャネル115は、任意の所与の時間において利用可能な割り当てられた無線帯域幅およびチャネル容量によって制限され得る。金融の高頻度取引用途においてHF無線通信チャネル115を使用するとき、メッセージの数および/または送信速度が増大すると通信システム100の潜在的利益が増大する。
【0039】
図2は、本明細書で説明された独特な技術によってデータを転送するように構成された、図1の通信システム100の特定の例である通信システム200を示すものである。図2の通信システム200は、図1の通信システム100と同様に、情報源105と、情報宛先110と、1次通信チャネル120およびバックエンド通信チャネル125を含む通信チャネル115と、を含む。具体的には、図2の通信システム200は、低レイテンシかつ低帯域幅の通信リンク204によってデータを転送するように構成されている。一形態では、低レイテンシかつ低帯域幅の通信リンク204は高周波無線チャネル(HF無線)206を含む。図2の通信システム200は、高レイテンシかつ高帯域幅の通信リンク208を通じて個別のデータによってデータを転送するようにさらに構成されている。低レイテンシかつ低帯域幅の通信リンク204および高レイテンシかつ高帯域幅の通信リンク208が、送信ステーション214における第1の通信ノード212と受信ステーション218における第2の通信ノード216の間に個別の接続をもたらす。低レイテンシかつ低帯域幅の通信リンク204は、送信アンテナ228と受信アンテナ232の間の上空波伝搬によって自由空間を通り抜ける電磁波224を使用してデータを送信するように構成されてよい。電磁波224は、第1の通信ノード212における送信器によって生成され、送信ライン236に沿って送信アンテナ228まで通される。送信アンテナ228によって放射された電磁波224は、大気220のイオン化された部分に遭遇する可能性がある。次いで、この放射された電磁エネルギは、大気220のイオン化された部分によって屈折され、電磁波224は地面256の方へ方向転換する。電磁波224は、送信ライン240によって第2の通信ノード216に結合された受信アンテナ232によって受信され得る。図2に示されるように、送信する通信ノードは、電磁エネルギを搬送するための1つまたは複数の送信ライン236を必要とすることなく、上空波伝搬を使用して、電磁エネルギを地球表面256の長距離にわたって送信する。
【0040】
データは、高レイテンシかつ高帯域幅の通信リンク208を使用して、送信ステーション214と受信ステーション218の間でも送信され得る。図2に示されるように、高レイテンシかつ高帯域幅の通信リンク208は、大洋または他の水域の下またはその中を通ることを含めて地面256を通過する送信ライン244を使用して実施され得る。図2に示されるように、高レイテンシかつ高帯域幅の通信リンク208は1つまたは複数の中継器252を含み得る。図2は送信ライン244に沿った4つの中継器252を示すが、任意の適切な数の中継器252が使用されてよい。送信ライン244には中継器252がなくてもよい。図2は、第1の通信ノード212から第2の通信ノード216に情報を送信する、低レイテンシかつ低帯域幅の通信リンク204を示すが、送信されるデータは、両方向において、低レイテンシかつ低帯域幅の通信リンク204と、高レイテンシかつ高帯域幅の通信リンク208と、を通り得る。
【0041】
示されるように、通信システム200は第1の通信ノード212に対する接続264を有するクライアント260をさらに含む。クライアント260は、接続264を通じて第1の通信ノード212に命令を送信するように構成されている。図示の例では、接続264は、マイクロ波ネットワークなどのワイヤレス接続266を含む。第1の通信ノード212において、命令は、低レイテンシかつ低帯域幅の通信リンク204もしくは高レイテンシかつ高帯域幅の通信リンク208のいずれかまたは両方によって、第2の通信ノード216に送信するように準備される。示されるように、第2の通信ノード216は接続272によって命令プロセッサ268に接続されている。接続272はマイクロ波または他のタイプのワイヤレス接続のようなワイヤレス接続266を含み得ることを認識されたい。クライアント260は、距離を超えて指示を送信することを望む何らかの企業、グループ、個人、および/またはエンティティでよい。命令プロセッサ268は、それらの命令を受信するかまたはそれらの命令に対して行動する、何らかの企業、グループ、個人、および/またはエンティティでよい。いくつかの実施形態では、第1の通信ノード212から直接送信されるデータをクライアント260が送信してよく、または第2の通信ノード216が命令プロセッサ268に直接接続されてもよいので、接続264および接続272は不要になり得る。通信システム200は、所望の、あらゆる種類の、低レイテンシのデータ送信のために使用され得る。一例として、クライアント260は遠隔で作業する医者または外科医でよく、一方、命令プロセッサ268は患者に対して作用するロボット機器でよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、クライアント260は金融商品の取引業者でよく、命令プロセッサ268は株式取引所でよい。取引業者は、特定の時間において、ある特定の証券または債券を買うかまたは売るように、株式取引所に命令を与えることを望む可能性がある。その代わりに、またはそれに加えて、命令は、ニュースならびに/あるいは取引業者および/または報道機関もしくは政府などのサードパーティ組織によって提供された他の情報の形式である。取引業者は第1の通信ノード212に命令を送信してよく、第1の通信ノード212は、送信アンテナ228、受信アンテナ232を使用し、および/または送信ライン244によって、命令および/またはニュースを第2の通信ノード216に送信する。次いで、株式取引所は、命令および/またはニュースを受信すると、取引業者が望む処置を処理することができる。
【0043】
通信システム200は、コンマ何秒で取引を実行するように、取引戦略がコンピュータ上で実行される高頻度取引に有効であり得る。高頻度取引では、ほんの数ミリ秒の遅延によって取引業者が数百万ドルの損失を被る可能性があり、したがって、売買命令の送信速度は、送信されるデータの精度と同様に重要である。いくつかの実施形態では、取引業者は、取引を実行するために、取引の実行を望む時間よりも前に、高レイテンシかつ高帯域幅の通信リンク208を使用して、株式取引所の近くにある第2の通信ノード216に事前設定の売買命令または条件を送信してよい。これらの命令または条件は、大量のデータの送信を必要とすることがあり、高レイテンシかつ高帯域幅の通信リンク208を使用して、より正確に配送されてよい。また、取引の実行が望まれる時間よりも前に命令または条件が一度に送信される場合、高レイテンシかつ高帯域幅の通信リンク208のより高いレイテンシが許容され得る。
【0044】
命令の最終的な実行は、命令が記憶されている通信システム200に、取引業者が起動データを送信することによって達成され得る。その代わりに、またはそれに加えて、起動データは、ニュースならびに/または取引業者および/もしくは個別のサードパーティ組織によって与えられた他の情報を含み得る。起動データが受信されると取引命令が株式取引所に送信され、取引が実行される。送信される起動データは、一般に、命令よりもデータ量がはるかに少なく、したがって、起動データは、低レイテンシかつ低帯域幅の通信リンク204を通じて送信されてよい。第2の通信ノード216において起動データが受信されると、特定の取引のための命令が株式取引所に送信される。高レイテンシかつ高帯域幅の通信リンク208ではなく、低レイテンシかつ低帯域幅の通信リンク204を通じて起動データを送信すると、所望の取引が可能な限り迅速に実行され得、この取引業者に、同じ金融商品を取引する他方当事者に優る時間利益を与える。
【0045】
図2に示された構成が図3にさらに示されており、図3では、第1の通信ノード212および第2の通信ノード216が、地球表面256のかなりの部分によって分離され、互いから地理的に遠く離れている。地球表面のこの部分は、1つまたは複数の大陸、大洋、山脈、および/または他の地理的領域を含み得る。たとえば、図2が及ぶ距離は、1つの大陸、複数の大陸、大洋等をカバーし得るものである。一例では、第1の通信ノード212はアメリカ合衆国のイリノイ州シカゴにあり、第2の通信ノード216は英国のイングランドのロンドンにある。別の例では、第1の通信ノード212はニューヨーク州のニューヨーク市にあり、第2の通信ノード216はカリフォルニア州のロサンゼルスにあり、どちらも北米にある。示されるように、送信アンテナ228および受信アンテナ232は電波地平線よりも長い距離だけ離れていて見通し線通信は不可能である。代わりに、低レイテンシかつ低帯域幅の通信リンク204の電磁波224が送信アンテナ228と受信アンテナ232の間で複数回スキップされる上空波通信技術が使用される。満足すべきレイテンシおよび帯域幅をもたらし得る任意の適切な距離、通信ノード、および通信リンクの組合せが構想される。
【0046】
図2は、上空波伝搬によって電磁エネルギが長距離を渡り得ることを示すものである。低レイテンシかつ低帯域幅の通信リンク204は、上空波伝搬を使用して、電磁波224を地面256の方へ屈折させるほど十分にイオン化された大気の部分220の中へ電磁波224を送信する。次いで、電磁波224は地面256によって反射されて高層大気220のイオン化された部分へ戻され、ここで再び地面256の方へ屈折され得る。したがって、電磁エネルギは繰り返し「スキップ」し得、低レイテンシかつ低帯域幅の信号電磁波224は、非上空波伝搬によってカバーされ得る距離よりもかなり長い距離をカバーすることができる。
【0047】
図4は、図2の通信システム200の特定の実装形態を示すものである。見られるように、図4の送信ステーション214における第1の通信ノード212は、変調器405、無線送信器410、および光ファイバ送信器415を含む。変調器405は、前述の可変メッセージ長技術(以下でさらに説明される)を使用してメッセージおよび/または他の情報を変調するように構成された他の電子機器、ソフトウェア、および/またはファームウェアとともに、1つまたは複数のプロセッサおよび記憶装置を含む。無線送信器410は、送信アンテナ228によってHF無線チャネル206を通じて受信ステーション218にメッセージおよび/または他のデータを送信するように、変調器405に対して動作可能に接続されている。表現された例では、無線送信器410は、1次通信チャネル120を通じてメッセージおよび/または他のデータを送信する。光ファイバ送信器415は、変調器405と、バックエンド通信チャネル125の少なくとも一部分を形成する光ファイバケーブル420と、に対して動作可能に接続されている。光ファイバ送信器415は、無線送信器410によって送信される1つまたは複数のメッセージ表および/またはメッセージの複製などの他の情報を、バックエンド通信チャネル125を通じて第2の通信ノード216に送信するように構成されている。
【0048】
図4の第2の通信ノード216は、復調器425、無線受信器430、および光ファイバ受信器435を含む。復調器425は、前述の技術(以下でさらに説明される)を使用して第1の通信ノード212からのメッセージおよび/または他の情報を復調するように構成された他の電子機器、ソフトウェア、および/またはファームウェアとともに、1つまたは複数のプロセッサおよび記憶装置を含む。無線受信器430は、受信アンテナ232によって第1の通信ノード212からメッセージおよび/または他のデータを受信するように、復調器425に対して動作可能に接続されている。図示の例では、無線受信器430も、1次通信チャネル120を通じてメッセージおよび/または他のデータを受信する。光ファイバ受信器435は、復調器425および光ファイバケーブル420に対して動作可能に接続されている。光ファイバ受信器435は、第1の通信ノード212の光ファイバ送信器415から、メッセージ表および/または変調器405からのメッセージの複製などの他の情報を受信するように構成されている。
【0049】
図4の通信システム200は、単方向通信または双方向通信を促進し得ることを認識されたい。たとえば、変調器405は変調復調器(モデム)として作用するように構成され得、復調器425も同様にモデムになり得る。ある特定の変形形態のHF無線送信器410は、無線トランシーバとして作用するように、ワイヤレス通信を受信するように構成され得る。同様に、HF無線受信器430は無線トランシーバにもなり得る。光ファイバ送信器415および光ファイバ受信器435は、どちらも、双方向通信を促進するように、光ファイバトランシーバになり得る。
【0050】
図5は、本明細書で説明された変速技術を実施することができる、図1の通信システム100の別の変形形態を示すものである。見られるように、図5の通信システム500は、図2図3、および図4の通信システム200と同様に構築されており、通信システム200と共通して複数の構成要素を共用する。たとえば、通信システム500は、以前に説明されたタイプの送信ステーション214において送信アンテナ228を有する、変調器405および無線送信器410を含む。その上に、通信システム500は、前述の種類の受信ステーション218において、復調器425と、受信アンテナ232を有する無線受信器430とを含む。しかしながら、見られるように、光ファイバ送信器415、光ファイバケーブル420、および光ファイバ受信器435は、すべての通信が無線になるように、より詳細にはHF無線チャネル206による上空波通信によって無線になるように、排除されている。一変形形態では、通信システム500は、低レイテンシかつ低帯域幅の通信リンク204の形式の単一の通信チャネル115を含み、これが1次通信チャネル120を形成する。別の変形形態では、無線送信器410と無線受信器430の間の無線通信は、2つ以上のHF通信チャネル115によって、1つが1次通信チャネル120を形成し、他のものがバックエンド通信チャネル125を形成するように行われる。1つのバージョンでは、1次通信チャネル120およびバックエンド通信チャネル125は、一般に同一のデータ帯域幅および/またはレイテンシを有することができ、他のバージョンでは、1次通信チャネル120およびバックエンド通信チャネル125は異なるデータ帯域幅および/またはレイテンシを有することができる。図示の例における変調器405は、高速送信器データネットワーク505によってクライアント260に接続されている。復調器425は高速受信器データネットワーク510によって命令プロセッサ268に接続されている。一形態では、高速送信器データネットワーク505および高速受信器データネットワーク510は高速データネットワークである。
【0051】
図6は、1つまたは複数の競業者ネットワーク605とともに、図2図3、および図4に示された通信システム200用のシステム遅延モデル600を示すものである。競業者ネットワーク605は、1つまたは複数の高速の光ファイバーネットワークを含むが、競業者ネットワーク605は、他のタイプの高レイテンシのネットワークを含むこともできる。類似のシステム遅延モデル600が図5の通信システム500に適応し得ることを認識されたい。明瞭さならびに簡潔さのために、システム遅延モデル600およびそれに続く方法は、図2の通信システム200を参照しながら説明されるが、システム遅延モデル600および方法は、図5の通信システム500向けにも使用され得ることを認識されたい。その上に、システム遅延モデル600およびそれに続く方法は、単一の図2の通信システム200を参照しながら説明されるが、これらの方法およびモデルシステムは、複数の通信システム200を扱うように適合され得ることを認識されたい。同様に、システム遅延モデル600およびそれに続く方法は、単一の図6の競業者ネットワーク605を参照しながら説明されるが、これらの方法およびモデルシステムは、複数の競業者ネットワーク605を扱うように適合され得ることを認識されたい。もう一度、通信システム200において等化器または用具を切り換えるこの方法は、金融商品の取引(たとえば株の売買)の実施を用いて説明されるが、この技術は、遠隔に配置されたサーバファームのロードバランシングなどの他の環境において使用するように適合され得ることを認識されたい。
【0052】
図6において、システム遅延モデル600における様々な時間測定ポイントまたは期間は、数が続く文字「T」によって識別される。たとえば、時間測定ポイントT0は、メッセージ、命令、指令および/または他のデータが、情報源105においてクライアント260によって送られる時間を表す。別の例として、図6における時間測定ポイントTC(または競業者向けの到着時)は、メッセージが、情報源105おけるクライアント260から競業者ネットワーク605を通じて情報宛先110に届くまでの送信時間または移動時間を表す。金融取引については、図6のシステム遅延モデル600におけるTCは取引ネットワークにおける到着時である。このTC時間は、正確には分からないことがあるが、TC時間は、既知のファイバサービスを基に、および/または競業者ネットワーク605を使用して機関の取引手口を観測するなどの他のやり方で、推定され得る。
【0053】
図2の通信システム200の観点から、時間T9は、メッセージが、情報源105から、HF無線チャネル206(すなわち低レイテンシかつ低帯域幅の通信リンク204)を通じて、受信ステーション218から転送するように復調してパッケージ化される復調器425まで伝わるのにかかる時間を表す。期間T16は、メッセージが、情報源105から、光ファイバケーブル420(すなわち高レイテンシかつ高帯域幅の通信リンク208)を通じて、受信ステーション218から転送するように復調してパッケージ化される復調器425まで伝わるのにかかる時間を表す。図2の通信システム200に関して、オーバージエア無線(OTA)の経路またはHF無線チャネル206と光ファイバケーブル420のファイバ経路の間の遅延利益は、ポイントT16とT9の間の差(すなわちT16-T9)である。時間測定ポイントT10は、パッケージ化されたメッセージが復調器425から接続272まで出力されるかまたは通信される時間を意味する。全体的な通信システム200に関して、図6の時間測定ポイントT12は、クライアント260から競業者ネットワーク605を通じて情報宛先110にメッセージが届くまでにかかる送信時間または移動時間を表す。図2の通信システム200の光ファイバケーブル420を通じての送信時間T16は、競業者の到着時TCに対して、時々遅れたり先行したりすることがある。しかしながら、競業者ネットワーク605を通じての送信時間は、上空波通信を使用するHF無線チャネル206と比較したとき、通常は遅れる(すなわち、より遅い)はずである。光ファイバケーブルに対するHF無線チャネル206のOTA飛行時間型利益のために、取引センタ間の非常に高速のファイバ経路を購入するに必要性が低減される。
【0054】
競業者ネットワーク605と図2の通信システム200の間の使用可能な取引の有効な利益は、TC-T12である。十分な変速戦略を金融的に実行可能にするために、受信ステーション218における復調器425は、チャネル状態を変更することに適切に適合するために、少数のこれらの時間を知り、かつ/または推定する必要がある。受信ステーション218が知る必要のある時間パラメータの1つは、少なくともT16-TCの時間差である。繰り返しになるが、競業者向けの到着時TCは、正確には知られない可能性があるが、TCは、競業者の取引歴史などの1つまたは複数の要因を監視するかまたは検討することによって推定され得る。図2の通信システム200のオペレータは、通常は、光ファイバケーブル420にわたる移動時間T16を高い精度で測定するかまたは判定することができるべきである。別のパラメータは、T10-T12または復調器425の出力と図6の情報宛先110に対応する金融取引システムへのメッセージ入力の間の時間である。このT10-T12の時間パラメータは、図2の通信システム200の稼働中に測定され得る。
【0055】
もう1つのパラメータは、受信ステーション218の内部の処理時間に関し、より詳細には、この時間パラメータはモデムまたは復調器425の内部の処理に関するものである。時間パラメータT16-T10(またはT9-T10)は、一般に、モデムまたは復調器425の内部の、等化、エラー補正、およびメッセージ復号化のための処理時間を表す。時間パラメータT16-T10minmum(すなわちT16-T10min)は、有利な取引のために、競業者ネットワーク605と図2の通信システム200の間の遅延利益(TC-T12)を、必要な最小限の遅延利益よりも大きくするように設定された最小限の目標である。時間パラメータT16-T10maximum(T16-T10max)は、厳密には収益性に関する最大値ではないが、その図の通信システム200が、システムの間の遅延利益TC-T12に関して、より複雑な変調方式を復号化するために復調器425またはモデムにおけるより長い遅延を許容することができる収穫逓減のポイントに到達したことを指示するものである。
【0056】
図2の通信システム200の取引の収益性には、採用されている取引戦略に加えて複数の技術的要因が作用する。図2の通信システム200と競業者ネットワーク605の間の遅延時間は、高速の金融取引中などの収益性に影響を与えることを認められたい。競業者ネットワーク605に対する図2の通信システム200の時間利益がより大きければ、特に複数の金融取引にわたって集約されたとき、より大きい潜在的利益をもたらす。金融取引(たとえば株取引または商品取引)が行われる取引ネットワークには、ほぼ取引が処理されるときの程度の、ある特定の量の処理ジッタがある。競業者ネットワーク605と通信システム200の間のタイミング利益(TC-T12)が取引システムのジッタに対して小さい場合には、T12でメッセージが最初に到着したときでさえ、ポイントTCからのメッセージが、ポイントのT12のからのものよりも、わずかに早く実行される可能性があるため、利益の値が低下する。
【0057】
正確に受信されたメッセージの数などのメッセージエラーも収益性に影響を及ぼすことがある。時には、メッセージが適切に復号化され得ず、かつ/または、エラー訂正技術が時間利益ウィンドウの範囲内で(またはいつまでも)確実にメッセージを補正することができない。これは、送信されたメッセージが受信ステーション218において削除され、かつ/または適切に復号化されない、メッセージ消去をもたらす。メッセージ消去は、図2の通信システム200または他の通信システム100(たとえば図5の通信システム500)を使用するHF無線チャネル206の収益性に悪影響を及ぼす可能性があることを認められたい。取引システムに配信される、誤ったメッセージの数は、クライアントの収益性にさらに影響を及ぼし、結果として通信システム200の潜在的採算性に影響を及ぼす。これらの誤ったメッセージが生じるのは、復調器425が、無線ノイズおよび/またはメッセージフィルデータなどのメッセージではないものを有効なメッセージとして不正確に復号化するときである。
【0058】
全体として、タイミング利益およびシステム性能は、図2の通信システム200の経済的価値に影響する。収益性に影響を与える要因のうちのいくつかには、たとえばタイミング利益(TC-T12)、送信されるメッセージの数、およびメッセージエラー率がある。これらの要因は互いに相殺する可能性がある。たとえば、システムのタイミング利益(TC-T12)が減少するのにつれて、成功したメッセージの価値が低下する可能性がある。この影響は取引システムのジッタによって悪化する。
【0059】
図7のグラフ700からすると収穫逓減の概念も当てはまり、絶対利益が増加するのにつれて、時間利益単位当たりの価値の増加が縮小する。グラフ700の予想収益ライン705によって示されるように、(たとえば平均の)統計的予測から、図2の通信システム200のタイミング利益(TC-T12)が収益性をもたらす最小限の遅延利益ポイント710がある。とりわけ、最小限の遅延利益ポイント710は、金融取引システムのジッタの原因となる許容マージンまたは安全マージンをもたらす。しかしながら、収穫逓減ポイント715もあり、このポイントでは、図2の通信システム200が競業者ネットワーク605よりも高速であっても、予想収益に対する効果は最小限しかないか、全くないことさえある。最小限の遅延利益ポイント710と収穫逓減ポイント715の間に、通信システム100が収益性を保証するために正常に動作するべき目標範囲720がある。
【0060】
タイミング利益に加えて、通信システム100の送信性能が通信システム100の経済的価値に影響を及ぼす。単純に、図2の通信システム200によってより多くのメッセージが配信されると、潜在的利益がより大きくなる。無線および他の送信は完全ではない。受信ステーション218において復号化されたメッセージは、正確なもの、削除されるもの、またはエラー(すなわちフォールスポジティブメッセージ)であり得る。各メッセージタイプは期待値を有し、誤ったメッセージは負の期待値(損失)を有する。削除されるメッセージは、中性の値(損益なし)または実行する必要があったにもかかわらず見逃された取引または機会による損失を表す値のいずれかを有し得る。この関係は、次の式1によって表され得る。
【0061】
EV=NSucc×E(Succ)-NErased×E(Erased)-NError×E(Error) (式1)
ここで、
EV=システムの予想収益値、
Succ=首尾よく受信されたメッセージの数、
E(Succ)=好結果のメッセージ当たりの期待値、
Erased=メッセージが正確に復号化されなかったために削除されるメッセージの数、
E(Erased)=削除されるメッセージ当たりの期待値、
Errorは不正確な復号化による誤ったメッセージの数、
E(Error)=誤ったメッセージ当たりの期待値、である。
【0062】
通信システム100は、通常動作中に、首尾よく受信されるメッセージの数(NSucc)を、削除されるメッセージの数(NErased)および誤ったメッセージの数(NError)よりもはるかに大きく保つことを目標とする。これによって、通信システム100の制御ヒューリスティクスは、首尾よく受信されるメッセージの数および通信システム100のタイミング利益に的を絞ることができる。
【0063】
図2の通信システム200の領域のうち、タイミング利益、メッセージ削除、およびメッセージエラー問題に対処するように設計または構成されている領域は、受信ステーション218における復調器425である。たとえば、メッセージ長、変調技術、エラー符号化のオーバヘッド/技術および等化器遅延(T10-T9)は、とりわけ復調器425の出力に対する上空波通信システム200による時間遅延(T10-T0)に影響を及ぼす。
【0064】
この例のメッセージ長は、説明の簡素化を支援するために一定であるが、実際にはメッセージ長は、チャネル容量または他の要因に基づいて変化し得る。受信ステーション218において、変調および符号化は、所与のシンボルレートの無線チャネルの能力を一緒に決定するので、協力関係にあると考えられる。図8において、表1(800)は、通信システム200に関するメッセージ、変調、および符号化の組合せの一例を示すものである。他の動作モードもサポートされるが、表1(800)は説明に役立つ実例を提供するものである。
【0065】
表1(800)における1秒当たりのパケット805の列を見れば、通信システム200の可能なメッセージ容量は、選択されたモードに応じて変化し得ることが認められ得る。より高性能のモードが常に使用され得るわけではないのは、無線チャネルの種々の性質によるものである。考えられるいくつかの有力な無線障害には経路損失が含まれ、損失の大きいチャネルはチャネル容量が低下する。HF無線チャネル206はまた、電波経路にノイズを直接導入する。過剰損失と、より大きい無線チャネルノイズとの両方によって、信号対雑音比が低下する。デジタルシステムについては、多くの場合、受信された1ビット当たりのエネルギをノイズ密度で割った商(Eb/No)が検討される。
【0066】
HF無線チャネル206には、損失挙動が変化することに加えて、大気を通る多数の電波伝搬路、周波数依存ひずみ、およびドップラシフトのために大量のシンボル間干渉がある。通信システム200は、ノイズ関連の影響を抑制するために、1ビット当たりのエネルギとノイズ密度の比(Eb/No)を高めるように、変調の複雑さを低減することがある。受信ステーション218は、シンボル間干渉の原因となる無線チャネルの非線形性を抑制するために、1つまたは複数の等化器を使用する。しかしながら、等化器は受信した信号に遅延を付加することが分かった。等化器の処理時間(すなわち等化器期間)が長すぎると、上空波通信システム200の遅延利益(TC-T12)が最小の遅延利益ポイント710(TMIN)未満になり得、上空波通信システム200を使用することの有益性が損なわれることになる。そのような場合には、通信システム200の受信ステーション218は、遅延がより短い短期間の等化器を使用し、より頑健な(しかしスループットも低い)動作モードを用いる。言い換えれば、図2の通信システム200は、HF無線チャネル206が変化するとき動作モード間で変速する。
【0067】
一例では、上空波通信システム200は、複数のパラメータを制御するモデム適合システムを含む。これらのパラメータは、たとえば変調フォーマット、エラー訂正技術/オーバヘッド、メッセージサイズ、OTAデータ収集期間、および等化のための基準点の選択を含む。OTAデータ収集期間は、メッセージ直列化時間と、マルチパスエネルギのうちのいくらか(または大部分)を収集するための時間との、両方を含む。等化パラメータのための基準点の選択は、最大の電力を有する信号が受信された最初の信号ではない可能性があるときに使用される(たとえば図10を参照されたい)。
【0068】
図8において、表1(800)は、図2の上空波通信システム200で使用される変調オプション、メッセージ長オプションおよび順方向エラー訂正(FEC)オプションの例示のセットを示すものである。以下でより詳細に説明されるように、表1(800)によって表されたデータは、変速方法の間に上空波通信システム200によって使用される。見られるように、表1(800)は、通信システム200がHF無線チャネル206を通じて通信するとき使用するべき動作の特定のモード815を識別する1つまたは複数のモード識別子810を含む。図示の例ではモード識別子810は数の形式であるが、他の例では、モード815を識別するために他のタイプのシンボルが使用され得る。とりわけ、図示の例の各モード815は、特定の変調方法820、FEC方式825、巡回冗長検査(CRC)830方式、ユーザペイロードサイズ835、総計のペイロードサイズ840、符号化ビットサイズ845、ペイロードシンボル850、パケット長855、およびデータレート860を有する。表1(800)に示される変調方法820は直交振幅変調(QAM)のみを含むが、変調/復調技術の他のタイプおよび/または組合せは、わずかな例を挙げても、振幅変調(AM)、周波数変調(FM)、および位相変調(PM)技術などの変調/復調技術の他のタイプおよび/または組合せが使用され得ることを認められたい。
【0069】
見られるように、モード815は、一般に、1秒当たりのパケット805またはデータレート860に基づいて編制されるかまたは分類される。言い換えれば、モード識別子810のより大きい数を有するモード815は、より高位のQAMコンスタレーションを有する。図示の例では、モード815は、より速いデータレート860を有するものと比較して、より遅いデータレート860(または1秒当たりのパケット805)を有するものは、モード識別子810の数が小さい。モード識別子810に関する正確なモード数は、他の例ではひっくり返されるかまたは反転され得ることを認められたい。モード815が、データレート860を高めてより高位の変調方式に推移していくと、ノイズ余裕度が低下し、シンボル間干渉(ISI)の不感域が縮小して、エラーのリスクが増大する。以下でより詳細に説明されるように、上空波通信システム200は、金融的および/また性能的に最適な通信方式を実現するために、これらのモード815の間を検査して移行する。
【0070】
他の例では他のメッセージ長および符号化方式が使用され得る。1シンボル当たりのビット数を増加するとメッセージ移動時間を短縮することを認識されたい。1シンボル当たりのビット数を増加すると、結果として、与えられるメッセージの数が増加し、上空波通信システム200のシステムタイミング利益または遅延利益(TC-T12)も増加する。通信システム200は、1つのメッセージ当たりの(時間利益による)潜在的により大きい値および所与の期間におけるより多くのメッセージといった、これら2つの長所を用いて、可能な限り高速で動作するように設計される。しかしながら、上空波通信システム200の速度は、通信システム200の期待値(REV)が減少し始めるポイントまでメッセージ信頼性が劣化するところまでに制限される。
【0071】
図9は、短い送信経路905、中間の移行経路910、および長い送信経路915に沿った信号電力を示すグラフ900を含み、ここで最大のエネルギを有するのは短い送信経路905である。図9のグラフ900が示す減少する単調関数では、遅延プロファイルは、主エネルギローブよりもエコーにおいてエネルギがより小さくなる傾向がある。これは、生じることはあるが常に生じるとは限らない。図9は、短い送信経路1005、中間の移行経路1010、および長い送信経路1015に沿った信号電力を示すグラフ1000を含み、ここで最大のエネルギを有するのは中間の移行経路1010である。図10のグラフ1000のこのシナリオでは、ピーク信号電力はいくつかの初期の信号電力の後に到来する。受信ステーション218には、(1)第1のエネルギピークに基づく等化を試行するべきか、または(2)遅れて来る、より大きいエネルギピークを待って使用するべきか、といった問題が生じる。通信システム200は、動作中に、これらのオプションを両方とも考慮に入れる。
【0072】
図11には、HF無線チャネル206などの低レイテンシかつ低帯域幅の通信リンク204からのデータストリーム1105を等価して復号化するために1つまたは複数の作動状態の間を切り換えるように構成された復調器-等化器システム1100の一例が示されている。一例では、データストリーム1105は、上空波伝搬によってHF無線チャネル206を通じて受信された1つまたは複数の信号を含む。1つのバージョンにおける情報宛先110は、図2図3図4図5、および図6の通信システム100に見いだされる復調器425の中へ全面的または部分的に組み込まれるが、復調器-等化器システム1100は、他の通信システム100の中に組み込まれ得ることを認識されたい。復調器-等化器システム1100は着信データストリーム1105を処理するように復調器425上で動作すると説明されることになるが、復調器425は、双方向通信を促進するために変調復調器(モデム)に組み込まれ得ることを認識されたい。復調器-等化器システム1100は、復調器425または汎用コンピュータ上のハードウェア、ファームウェア、および/またはソフトウェアとして構成され得る。1つのバージョンでは、復調器-等化器システム1100は、復調器425のプロセッサおよび記憶装置によって動作するソフトウェアの形式である。別のバージョンでは、復調器-等化器システム1100は電子機器を使用して実施される。
【0073】
見られるように、復調器-等化器システム1100は、データストリーム1105を分析して復号化するように構成された2つ以上の復調器-等化器ユニット1110と、復調器-等化器ユニット1110の動作を制御するコントローラ1115と、復調器-等化器ユニット1110によって復号化されたメッセージを検証して選択するように構成されたメッセージ検証-選択ユニット1120と、を含む。示されるように、復調器-等化器ユニット1110は、データストリーム1105とメッセージ検証-選択ユニット1120との間に、動作可能な状態で配置されている。とりわけ、復調器-等化器ユニット1110はデータストリーム1105を等化し、復号化して、正確なメッセージが復号化されていれば(またはいなければ)、このメッセージをメッセージ検証-選択ユニット1120に供給するように構成されている。復調器-等化器システム1100は、図示の例では3つの復調器-等化器ユニット1110を有するが、他の例では2つ、または3つよりも多くの復調器-等化器ユニット1110を有することができる。復調器-等化器ユニット1110は、表現された例では、第1の復調器-等化器ユニット1125、第2の復調器-等化器ユニット1130、および第3の復調器-等化器ユニット1135を含む。たとえば、これらの3つの復調器-等化器ユニット1110は、一形態では、それぞれが、図9および図10に示された対応するメッセージ経路信号のメッセージを復号化するように割り当てられ得、または構成され得る。例として、チャネルが図9に類似しているとき、一形態の第1の復調器-等化器ユニット1125は、最も早く到着した信号905および信号910の一部のみを等化して復号化するように構成されている。この例では、第2の復調器-等化器ユニット1130は、信号905に加えて、信号910のすべてのエネルギを取り込むのに十分な時間にわたってチャネルを、等化するように構成されており、第3の復調器-等化器ユニット1135は、信号905、信号910、および信号915を等化して復号化するように構成されている。図10における第2の例として、第1の等化器は、信号1005のエネルギのすべてを取り込んでよく、信号1010のエネルギは取り込まないかまたはいくらかを取り込んでよく、第2の等化器は信号1010のエネルギを取り込んでよく、第3の等化器は、信号1010および信号1015のエネルギを取り込んでよく、または信号1005、信号110、および信号1015の各々のエネルギを取り込んでもよい。復調器-等化器ユニット1110は、1つの事例では電気的ハードウェアの個々の部品であるが、他の事例では、プロセッサおよび/またはコンピュータ上で実行される個別のソフトウェア処理である。復調器-等化器ユニット1110の各々が、等化器(EQ)1140および復調器(Demod)1145を含む。図9に表現されているように、第1の復調器-等化器ユニット1125は、第1の短期間の等化器(EQ1)1150と、第1の等化器1150に対して動作可能に接続された第1の復調器(Demod-1)1155と、を含む。第2の復調器-等化器ユニット1130は、第2の中間等化器(EQ2)1160および第2の等化器1160に対して動作可能に接続された第2の復調器(Demod-2)1165を含み、第3の復調器-等化器ユニット1135は、第3の長期間の等化器(EQ3)1170、および第3の等化器1170に対して動作可能に接続された第3の復調器(Demod-3)1175を含む。
【0074】
復調器-等化器システム1100は、復調器-等化器ユニット1110にとってモード変更が必要なときを判定するように構成されている。図示の例では、3つの動作中の復調器1145は同一の割り当てられた変調および符号化方式を使用するが、それぞれの復調器-等化器ユニット1110が異なる期間の等化器1140を使用する。一般に、データストリーム1105からのメッセージを復号化するための第1の復調器-等化器ユニット1110は、復調器-等化器ユニット1110用のシステム出力1180によって、情報宛先110における金融取引システムまたは他のシステムにメッセージを発送する。1つのバージョンでは、復調器-等化器システム1100は、誤ったメッセージの生成よりもメッセージの削除を支持することによってフォールスポジティブを抑制するようにバイアスをかけられている。一例では、復調器-等化器ユニット1110の復調器1145は、誤ったメッセージを生成する可能性よりもメッセージを削除する可能性を高くするエラー訂正方式を使用する。メッセージを削除する可能性を高くするこの挙動は、1つの事例ではビット数を制限することによって達成され、復調器1145における順方向エラー訂正(FEC)方式は、FEC方式が潜在的に補正することができるビットの最大数未満に訂正することができる。
【0075】
復調器-等化器システム1100は、車両の変速機に類似して、1次通信チャネル120の状態ならびに他の問題に依拠して、異なる等化器および/または復号化方式の間で変速する。たとえば、時刻および/または太陽の活動時間とともに他の状況に依拠して、HF無線チャネル206向けに様々なチャネル周波数がより適切であり得る。第2の復調器-等化器ユニット1130は、第1の短期間の等化器1150と第3の長期間の等化器1170の中間の等化器時間を有することにより、通常は、目標範囲720(図7)の範囲内の時間遅延を有するメッセージを復号化するように使用される主要な復調器-等化器ユニット1110になるように構成される。第1の復調器-等化器ユニット1125および1次チャネルレイテンシ135は、現在の条件下では別の等化器および/または復調器の設定がより適切かどうかを検査するかまたは調査して確かめるように設計されている。たとえば、第2の復調器-等化器ユニット1130における計算が完了する前に、第1の復調器-等化器ユニット1125が有効なメッセージを持続的に供給するとき、主要なメッセージ復号器(すなわち第2の復調器-等化器ユニット1130)は、第1の短期間の等化器1150のより短い等化器シンボル長へと時間において進む。この状況では、通信チャネル115は、より良性またはより優れたものになる。言い換えれば、メッセージがより速く復号化され得るように、第2の復調器-等化器ユニット1130の動作パラメータが、より短いシンボル長または深度を有する第1の短期間の等化器1150を有する第1の復調器-等化器ユニット1125の動作パラメータへとシフトアップされる。主要な第2の復調器-等化器ユニット1130にとってメッセージ用の短い送信経路1005を正確に復号化するのが困難であるとき、特定のHF無線チャネル206は無線通信にあまり好ましくないと考えられる。このとき、第2の復調器-等化器ユニット1130は、第3の長期間の等化器1170を有する第3の復調器-等化器ユニット1135の動作パラメータへとシフトダウンされる。
【0076】
引き続き図11を参照して、コントローラ1115は、復調器-等化器ユニット1110の動作を制御するために、復調器-等化器ユニット1110の等化器1140および復調器1145に構成データを供給するように、復調器-等化器ユニット1110に対して動作可能に接続されている。コントローラ1115は、たとえば、それぞれの第1の等化器1150のシンボル深度を設定するように構成されている。コントローラ1115は、メッセージ検証-選択ユニット1120から選択データを受信するために、メッセージ検証-選択ユニット1120に対して、動作可能にさらに接続される。とりわけ、選択データは、復調器-等化器ユニット1110において各等化器の設定から検知されたメッセージの数を含む。コントローラ1115は、さらに有するコントローラ入力1185において、システム遅延モデル600の残りから内部情報ならびに測定値および推定値を受信する。たとえば、コントローラ1115は、コントローラ入力1185を通じて、信号対雑音比(SNR)、パケットエラー率(PER)、および/または高レイテンシかつ高帯域幅の通信リンク208とHF無線チャネル206との間の時間遅延(図6におけるT16-T9)の推定値を試験することができる。コントローラ1115は、通信システム200にとって必要な遅延および時間利益(TC-T12)の性能要件を使用して、3つの復調器-等化器ユニット1110向けの構成データを設定する。コントローラ1115は、1次通信チャネル120および/またはバックエンド通信チャネル125を通じて、送信ステーション214における送信コントローラに、望まれる現在の動作モードを設定するように通信する。たとえば、コントローラ1115は、送信ステーション214に対して、エラー訂正方式と、光ファイバケーブル420を通じて使用するべきHF無線チャネル206と、を通信することができる。
【0077】
図7に関して以前に言及されたように、時間利益は最適範囲または目標範囲720を有する。たとえば、最小限の予想収益で(すなわち非常に小さい遅延利益で)多数のメッセージを持つことはあまり意味がない。この状況が生じるのは、変調が複雑であるにもかかわらず、チャネルひずみを補正するために非常に長い期間の等化器が必要な場合である。同様に、通信システム200におけるメッセージ障害はゼロに近くても遅延利益が収穫逓減ポイント715に到達している場合には、動作モードは最適状態に及ばない。
【0078】
復調器-等化器システム1100のコントローラ1115は、これらの関心事ならびに他の関心事のバランスをとるために、遅延範囲ウィンドウすなわち目標範囲720を設定し、次いで、図12の線図1200によって示されるように、目標範囲720内にとどまることを条件として、首尾よく受信されるメッセージの数を最大化することを目ざす。示されるように、線図1200は競業者データ到着時(TC)1205およびシステムデータ到着時1210を示す。見られるように、競業者データ到着時1205と1次通信チャネル120の間の時間差によってシステム遅延利益1215が生じる。復調器-等化器システム1100のコントローラ1115は、システムデータ到着時1210を、最低でも、最小限の遅延利益ポイント710と収穫逓減ポイント715の間に保つように、より望ましくは目標範囲720内に保つように、試行する。両方向矢印1220によって指示されるように、ビット/シンボルを調節するとシステム遅延利益1215が変化する。たとえば、ビット/シンボルを減少すると、一般に、メッセージを等化して復号化するのに必要な時間が長くなってシステム遅延利益1215が減少し、また1シンボル当たりのビット数を増加すると、一般にこの時間が短くなり、それによってシステムデータ到着時1210が増加する。図12において、両方向矢印1225は等化器期間を指示する。一般に、等化器ウィンドウの期間がより長くなれればメッセージに対する等化時間が増加し、結果としてシステム遅延利益1215が減少し、また等化ウィンドウがより短くなればメッセージ処理時間が短くなり、それによってシステム遅延利益1215が増加する。
【0079】
図13は、図6における通信システム200の、図2の復調器-等化器システム1100によって使用される全体的な変速技術を示す流れ図1300である。繰り返しになるが、金融取引の理想的状態では、通信システム200は可能な限り高速でメッセージを送信するべきであるが、メッセージがあまりにも高速で送信されると、PERが、有用な情報が送信されないポイントまで増加してしまう。一旦、システムデータ到着時(T12)1210(図12)が収穫逓減ポイント715に近づくと、あらゆる所与の時間期間において取引を増加させるための金融的刺激がある。これを達成するために、通信システム200は、一般に、より高速の符号化を使用して、同一の通信チャネル115を通じてより多くのメッセージを送信し、より少数のシンボルで同一のビット数が使用される。たとえば図8の表1(800)を見ると、モード4の16-QAM方式とモード9の512-QAM方式は同数のユーザペイロードビット(すなわち64ビット)を有する。しかしながら、512-QAMのモード815は10のペイロードシンボル850のみを必要とし、1.3ミリ秒のパケット長855を有する。対照的に、モード4の16-QAM方式は25のペイロードシンボル850を必要とし、パケット長855は3.1ミリ秒と長くなる。モード4とモード9を理論的レベルで比較すると、モード9を使用すれば、同一の期間内に実行される金融取引の数を2倍より大きくすることができる。
【0080】
それにもかかわらず、1シンボル当たりでより多くのビットを送信するとき、メッセージ頑健性のトレードオフがある。図12の両方向矢印1220によって表現されるように、1シンボル当たりのビット数が減少すると、メッセージ長またはパケット長855がより長くなるがメッセージはより頑健になり、ノイズが大きい通信路115によって送信されるときなどのエラーのリスクが低減する。この、より長いメッセージ長および結果としてのより長いメッセージ時間は、システム遅延利益1215が最小限の遅延利益ポイント710より大きい限り、許容され得ることもある。たとえば、システムデータ到着時1210が収穫逓減ポイント715に近いかまたはこれを超過するとき、モード4のより遅い16-QAM方式へのシフトダウンが正当化され得る。これらの、より頑健で、1シンボル当たりのビット数がより多いメッセージは、一般的にはシンボル間干渉(ISI)が小さい。ISIレベルが低いメッセージは、通常、等化器1140によって、同一のPERを達成するためにより短い処理時間を必要とされる。そのため、頑健な下位のモードを使用することによって失われるシステム遅延利益1215のうちの少なくともいくらかが、よりより短い等化器処理時間によって相殺され得る。
【0081】
反対に、1シンボル当たりのビット数が増加すると、メッセージのパケット長855は、メッセージの頑健性を犠牲にして、より短く、より高速になる。結果として生じる、頑健性は低いがより高速のメッセージは、HF無線チャネル206が全体的に静かでノイズが大きくないときには許容され得る。たとえば、復調器-等化器システム1100は、チャネル状態が静かなとき、またはシステムデータ到着時1210が最小限の遅延利益ポイント710に近いかもしくは未満のときには、変調-復調モード6(64-QAM)からモード7(128-QAM)に切り換えるかまたはシフトしてよい。復調器モードにおけるこのシフトアップは、システムデータ到着時1210が収穫逓減ポイント715から遠く離れているときにも、予想利益率を増加させるために生じ得る。これらの、頑健性が低く、1シンボル当たりのビット数が多いメッセージは、一般的には、より高いSNRを必要とするばかりでなくISIレベルの影響を受けやすい。ISIレベルの低下は、通常、等化器1140におけるより長い等化器処理時間によって対処され得る。この議論から、システムデータ到着時(T12)1210、メッセージ成功、削除されるメッセージ、およびメッセージエラーならびに通信システム200の予想利益率に関して、変調方法820(またはモード815)と等化器処理の間にトレードオフがあることを認識されたい。本明細書で説明された道具すなわち変調等化器シフト技術は、これらの要因ならびに他の要因を考慮に入れ、それに応じて、常に変化する状況の下でシステム収益性を高めるために変調復調モードおよび等化器処理時間を調節するものである。
【0082】
図8の表1(800)に関して以前に言及されたように、図2通信システム200は、送信ステーション214および受信ステーション218における記憶装置の中に、一般的には変調方法820に基づいて分類された種々の動作モード815のリストを維持している。より高位の変調方法820によってもたらされるより高いデータレート860と、より高位の変調方法820に関連したノイズおよびエラーのより大きいリスクとの間にトレードオフがある。表1(800)のより高位のモード識別子810におけるより頑健なFEC方式825は、少なくとも増加したエラーを補償するために使用され得る一方で、一般的には、結果として、復号化ステージにおいてシステム遅延利益(TC-T12)1215が少なくとも部分的に減少する、より大きいオーバヘッドを必要とする。一例において通信モデルを簡素化するために、データレート860が全体的に影響を受けないように、それぞれの1秒当たりのパケット805において同一のFEC方式およびCRC方式が使用される。この場合、変調方法820および/または無線周波数もしくはHF無線チャネル206は、モード815が切り換えられるとき調節されるパラメータである。別の例では、FEC方式825およびCRC方式830は、モード識別子810によって識別されたモード815の各々に対して変化する(または変化しない)ことが可能である。これらの追加の変数はモデルに複雑さを加え、結果として通信システム200の性能を改善する。理解に役立つように、一般に同一のFEC方式およびCRC方式を有するモードを参照しながらこれらの技術が説明されるが、他の例では、より複雑な変数FEC/CRC法が使用され得ることを認識されたい。
【0083】
図9図10、および図12において表現されるように、ここでも、メッセージを受信するとき等化器1140が使用する等化器処理時間の長さに基づくトレードオフがある。可能なとき、より短い等化器ウィンドウが、図9の短い転送経路905または図10の短い転送経路1005に沿って受信されたメッセージの復調を試行するように設計されている。図12に示されるように、より短期間の等化器によってシステム遅延利益(TC-T12)1215が増大する。しかしながら、図10のより低いエネルギの短い送信経路1005によって示されるように、より短い経路信号には、等化器1150と復調器1155の第1の対によって検知されるほど十分な電力がない可能性がある。その場合、より大きい電力の中間移行経路1010を通るメッセージを、エコーから、またはすべての3つの経路と組み合わせて検知するために、第2の等化器1160さらには第3の等化器1170向けに、より長い等化器ウィンドウが必要とされ得る。等化器処理ウィンドウがより長ければISIの量が減少する傾向があり、結果としてメッセージ削除やメッセージエラーのリスクが低減する。しかしながら、等化器処理ウィンドウがより長くなるとシステム遅延利益(TC-T12)1215に悪影響が及ぶ。図12の両方向矢印1225によって示されるように、等化器ウィンドウがより短ければシステム遅延利益(TC-T12)1215が増加し、等化器ウィンドウがより長ければシステム遅延利益1215が減少する。図13の流れ図1300によって示される変速方法は、最適な送信および/または財務成績のために、システムデータ到着時(T12)1210を目標範囲720内に保つように、復調器-等化器ユニット1110を様々なモード識別子810および等化器ウィンドウの間で切り換えるかまたはシフトする。
【0084】
ステージ1305におけるコントローラ1115は、システムデータ到着時(T12)1210を目標範囲720内に保つために、システム遅延モデル600(図6)における、PER、SNR、予期された取引代金、システム遅延利益(TC-T12)1215などの様々な性能係数またはパラメータを監視する。一例におけるシフトが、3つの一般的なシナリオまたはカテゴリの下で検討される。第1のシナリオが生じるのは、HF無線チャネル206上に1つの主通信経路(図9の905)があってISIがほとんどないときである。この第1のシナリオでは、どの変調方法820を使用するかについての決定的要因はHF無線チャネル206の信号対雑音比(SNR)である。SNRが改善している(すなわちHF無線チャネル206がより静かになりつつある)場合には、コントローラ1115は、モード815のシフトアップ(たとえば図8においてモード6の64-QAMからモード7の128-QAMに切り換えること)が妥当なオプションであるかどうかを確かめるために、試験または調査を実施することを考慮に入れてよい。他方では、HF無線チャネル206のノイズが大きくなってSNRが劣化しつつあるとき、コントローラ1115は、モード815のシフトダウン(たとえばモード5の32-QAMからモード4の16-QAMに切り換えること)が妥当なオプションであるかどうかを確かめるために、調査を実施することを考慮に入れてよい。
【0085】
第2のシナリオでは、変調方法820のすべて(たとえば図8のモード4~9)にとってSNRは十分であるかまたは許容できるものであるが、ISIレベルは高い。等化器1140の等化器処理ウィンドウを拡張すると、増加したISIの補償を支援するはずであることが認められるべきである。図12の両方向矢印1225からすると、等化器処理ウィンドウの長さは、統計的な収益性を達成するように、理論上は、システム遅延利益1215が最小限の遅延利益ポイント710をわずかに超えるところ(さらには等しくなるところ)まで増大され得る。以前に言及したように、平均の競業者データ到着時1205が判定され得るが、正確なリアルタイムの競業者入荷データを得るのは困難であろう。図2の通信システム200のバックエンド通信チャネル125上の競業者ネットワーク605と光ファイバケーブル420は、類似の送信時間を有するはずであることが予期されよう。
【0086】
そのようなシナリオの下では、バックエンド通信チャネル125上の光ファイバケーブル420における送信速度また送信時間(図6のT16-T0)が、競業者ネットワーク605上の競業者データ到着時(TC)1205の一般的な代用または代替として使用され得る。ネットワークオペレータは、通信システム200に関する送信時間ポイントT9をリアルタイム方式で正確に判定し得ることを認識されたい。その上に、T12に関するより正確な推定値を提供するために、計算を修正するように、通信システム200に委託するときに、接続272を通じての送信時間(T12-T10)が正確に判定され得る。一実施形態では、復調器425の入力端における、高レイテンシかつ高帯域幅の通信リンク208の光ファイバケーブル420(T16)と、低レイテンシかつ低帯域幅の通信リンク204の上空波HF無線チャネル206(T9)との間の時間利益(TADV)(T16-T9)が、競業者データ到着時(TC)1205に対して全般的に対応する試験目的のための限度として使用される。時間利益(TADV)は、場合によっては、これらの調査または試験の限度に関するバッファとしての作用に対応するように、さらにいくつかの要因または割合によって修正され得る。別の例では、HF無線チャネル206が光ファイバケーブル420よりも遅い場合には、メッセージはより高速のバックエンド通信チャネル125に沿って送信されるため、一般的には計算する必要がないので、時間利益(TADV)は修正されない。他の例では、調査するために他の時間ポイント制限が使用され得る。
【0087】
すべてのモードについて十分なSNRがあるもののISIが大きい第2のシナリオでは、等化器処理ウィンドウの拡張が可能であって、結果として生じる時間利益(TADV)が最小限の遅延利益ポイント710(TMIN)よりも大きければ、シフトアップ調査がオプションになる。他方では、時間利益(TADV)が最小限の遅延利益ポイント710(TMIN)以下であることという条件を守りながら等化器処理ウィンドウが上限まで拡大されるときには、通信システム200の金融生産能力を保つためにシフトダウンが行われるべきである。シフトダウンは必要に応じていつでも行われるべきである。対照的に、シフトアップは、よりいっそう推測の問題であり、常に進むべき正しい道であるとは限らない。言い換えれば、復調器-等化器システム1100が、シフトダウンのための現在の状況は動作可能でなく変更する必要があると知らせることができるので、シフトダウンはシフトアップよりも安全であるのに対して、シフトアップは、変調レベルを上げればメッセージのスループットも増加するであろうという予測に基づくものある。そのため、シフトアップが目的通りに機能することを確認するための試験または調査がシフトアップに先行する。必須ではないが、調査はシフトダウン中にも実施され得る。第3のシナリオは、第1のシナリオおよび第2のシナリオの何らかの組合せである。この第3のシナリオでは、ISIとSNRの両方が通信システム200の動作モードをある程度まで制限する。
【0088】
パラメータが、ステージ1310において新規の等化器処理のウィンドウサイズおよび/またはモードへのシフトが望ましいかまたは必要であることを指示するとき、コントローラ1115は、ステージ1315において、復調器-等化器ユニット1110を介して、新規の等化器の時間ウィンドウおよび/またはモード815を使用するシフトの可能性の試験または調査を実施する。正常動作条件の下では、第1の復調器-等化器ユニット1125、第2の復調器-等化器ユニット1130、および第3の復調器-等化器ユニット1135は同時に動作する。以前に言及されたように、メッセージ検証-選択ユニット1120は、復調器-等化器ユニット1110によって復号化された第1のメッセージを処理し、かつ選択する。名目上の(nominal)場合には、ほとんどのメッセージが最初に第2の復調器-等化器ユニット1130によって復号化されるべきである。必ずというわけではないが一般的には、第1の復調器-等化器ユニット1125または第3の復調器-等化器ユニット1135が、通常は等化器の処理時間および/または復調モードの面では外側の動作限界で動作しているため、コントローラ1115は、調査には第1の復調器-等化器ユニット1125または第3の復調器-等化器ユニット1135を使用する。換言すれば、第1の等化器1150および第3の等化器1170は、必ずしも第2の復調器-等化器ユニット1130に設けられた限度下で動作するわけではないエッジケースとして、復調器-等化器システム1100の動作能力を判定するように使用される。
【0089】
一般的には、第2の復調器-等化器ユニット1130は、「時間利益(TADV)は、最小限の遅延利益ポイント710(TMIN)以上であって、時間利益(TADV)は、収穫逓減ポイント715の限界(TDIM)以下であること(すなわちTMIN≦TADV≦TDIM)」という条件下で動作する。言い換えれば、第2の復調器-等化器ユニット1130は目標範囲720内で動作するように意図されている。第1の復調器-等化器ユニット1125の第1の等化器1150用の等化器ウィンドウを、時間利益(TADV)が収穫逓減ポイント715の限界(TDIM)よりも大きくなる(すなわちTADV>TDIM)ように移動させることには、現在の遅延の拡散が現在の動作モードの要求を下回ったとき復調器-等化器システム1100がシフトアップし得ること以外には、特定のペナルティはない。第3の復調器-等化器ユニット1135の第3の等化器1170に、最小限の遅延利益ポイント710(TMIN)が時間利益(TADV)よりも大きくなる(すなわちTMIN>TADV)限度を超えさせることは、第3の復調器-等化器ユニット1135からの復号データの到着が収益率の高い動作のためには遅すぎることを意味するはずである。
【0090】
以前に言及したように、第1の復調器-等化器ユニット1125の第1の等化器1150は最短の等化器処理ウィンドウを有し、第3の復調器-等化器ユニット1135は最長の等化器処理時間を有する。コントローラ1115は、メッセージ検証-選択ユニット1120を通じて、第1の復調器-等化器ユニット1125が他の復調器-等化器ユニット1110よりも先にすべてまたは大部分のメッセージを復号化していると判定したときには、ステージ1315において、シフトアップが実行可能なオプションであるかどうかを判定するための調査を開始することになる。第3の等化器1170の第3の等化器1170は、より頑健な変調方法820へのシフトダウンが必要なときを判定するように使用される。
【0091】
コントローラ1115は、シフトアップが望ましい状況のときには、調査を実施するために第1の復調器-等化器ユニット1125の第1の短期間の等化器1150を使用することになる。通常、シフトアップ調査が生じるのは、HF無線チャネル206の状況がより良性になっていくときである。他方では、主要な第2の復調器-等化器ユニット1130にとってメッセージ用の短い送信経路1005を正確に復号化するのが困難であるとき、特定のHF無線チャネル206は無線通信にあまり好ましくない(たとえばノイズが大きくなる)と考えられる。シフトダウンが望ましいかまたは必要とされる状況のとき、第2の復調器-等化器ユニット1130は、第3の復調器-等化器ユニット1135を用いて調査または試験を実施して、性能および/または金融の要件を満たすより低位の変調方法820はどれかを確かめる。
【0092】
ステージ1320の調査処理中に、サンプルまたは調査メッセージを送信する複数の試みが試行される。通常の金融メッセージは、調査中にも引き続き送信され得る。コントローラ1115は、メッセージ検証-選択ユニット1120を通じて、調査中に使用される等化器または復調器の設定が許容できるものであるかどうかを判定する。たとえば、コントローラ1115は、調査に使用されたメッセージのサンプルのPERに依拠して、調査試験の成功/失敗を判定することができる。ステージ1320における調査が失敗であると判明した場合には、コントローラ1115はステージ1305に戻ってサイクルを再開する。他方では、調査が成功したときには、コントローラ1115は、ステージ1325において、第2の復調器-等化器ユニット1130の設定を調査設定に切り換え、調査する復調器-等化器ユニット1110(すなわち第1の復調器-等化器ユニット1125または第3の復調器-等化器ユニット1135)に関する設定は、対応して、外側の性能限界を監視するように変更される。たとえば、第2の復調器-等化器ユニット1130の動作パラメータは、第1の復調器-等化器ユニット1125の動作パラメータへとシフトアップされる。第2の復調器-等化器ユニット1130も、第3の復調器-等化器ユニット1135の動作パラメータへとシフトダウンされ得る。一旦シフトが生じると、コントローラ1115はステージ1305に戻って処理を再開する。
【0093】
図14が含む表2(1400)は、コントローラ1115が図13図15、および図16に示されたシフト技術を実施するとき使用する変数のいくつかの例を示すものである。コントローラ1115において、これらの技術を使用して、他の変数も考慮に入れて処理され得ることを認められたい。表2(1400)に規定された可変範囲およびタイプはほんの数例であり、これらの範囲およびタイプは他の例では異なり得るものである。その上に、これらのシフト技術を実施するときには変数の他の組合せが考慮に入れられ得る。
【0094】
繰り返しになるが、あらゆる所与の期間において取引を増加させるための金融的刺激がある。これを達成するために、より高速の符号化に切り換えるように、通信システム200によってシフトアップが使用される。たとえば図8の表1(800)を見ると、通信システム200がモード6の64-QAM方式からモード7の128-QAM方式に切り換えるとき、通信システム200はシフトアップを実施する。このシフトアップが生じると1秒当たりのパケット805およびデータレート860が増加し、結果として通信システム200の収益性が向上し得る。
【0095】
図13のシフト技術の一例が図15の流れ図1500に示されている。詳細には、流れ図1500は、復調器-等化器システム1100のコントローラ1115ならびに他の構成要素がシフトアップイベント中に実施する行動を示すものである。コントローラ1115は、複数のイベントまたは状況に基づいてシフトアップ処理を開始することができる。たとえば、コントローラ1115は、システム出力1180または復調器-等化器ユニット1110のうちのいくつかから測定されたパケットエラー率(PER)がパケットエラー率の最小値などの下限値を下回ったとき(PER<PERMIN)には、シフトアップ処理を開始することができる。以前に示唆されたように、PERが収穫逓減のポイントに到達する可能性があり、このポイントにおいてPERをさらに減少させることは、金融的に有益でないか、または全体的なシステム性能の観点から有益である。通常、PERの減少はシステム遅延利益1215の犠牲を伴う。その代わりに、またはそれに加えて、信号対雑音比(SNR)が上昇傾向にあるとき、および/またはコントローラ1115が使用するチャネル推定器またはモデルがシステム遅延利益(TC-T12)1215の減少を指示しているときには、シフトアップが開始されてよい。単独で、または他の要因と組み合わせて考慮に入れられ得る別の要因は、第1の復調器-等化器ユニット1125が、T16-T9(TADV)で測定されるような時間利益を収穫逓減の時間またはポイント715(TDIM)よりも大きくする(すなわち、TADV>TDIMが、最大許容誤差レート(PERMAX)よりもかなり小さいPERを有する(すなわちPER<<PERMAX)であるように、遅延時間を使用することである。換言すれば、通信システム200が、現在の復調および等化器設定の下でエラーがないかまたは非常に少ないという点においてあまりにも優れているときには、常にシフトアップが試験される。
【0096】
上記の状況のうちの1つまたは複数(および/または他の状況)が生じたとき、コントローラ1115はシフトアップ処理を開始する。ステージ1505において、コントローラ1115は、送信ステーション214に、特定のシフトアップ時間(TSHIFT)において、または特定の時間範囲内で、シフトアップを開始するように命令する。送信ステーション214と受信ステーション218の両方が、どの変調モードを使用するか調整するように、図8の表1(800)に類似のデータを維持する。この変調情報は、周期的に、および/または必要に応じて、更新され得る。命令は、HF無線チャネル206のような1次通信チャネル120および/または光ファイバケーブル420などのバックエンド通信チャネル125を通じて送信され得る。コントローラ1115は、ステージ1510において、モード815を次に高位の変調方法820(すなわち現在のモードの1つ上の変調モード)に設定する。たとえば、初期のモードがモード4(16-QAM)であれば、コントローラ1115は、第1の復調器1155を、図8の表1(800)におけるモード5(32-QAM)を使用して復調するように設定することになる。短期間の第1の等化器1150用の等化器処理ウィンドウは、ウィンドウまたは時間利益(TADV)が、新規のモード(モードN+1)に関する最小限の遅延利益ポイント710(TMIN)と同一になるように設定される。送信ステーション214における変調器405は、ステージ1515において、新規のモードの変調を使用して、プローブ信号の数(NPROBE)を、HF無線チャネル206を通じて、1調査期間(TPROBEミリ秒)ごとのレートで変調して送信する。以前の例に戻って、調査メッセージまたは信号は、変調器405によってモード5(32-QAM)を使用して変調され、送信ステーション214は、HF無線チャネル206を通じて、30ミリ秒だけ間隔をおいて配置された10のプローブを送信する。
【0097】
ステージ1520において、PERが最大限度以上である(PER≧PERMAX)という点において第1の復調器1155の調査が不成功の場合には、コントローラ1115は、次いで、ステージ1525において、調査が試行または試みの限界の回数(NTRIES)を超過したかどうかを判定する。超過していなければ、コントローラ1115は、ステージ1515において、送信ステーション214における変調器405および無線送信器410に、調査および新規の値の送信を継続するように命令する。復調器-等化器システム1100が試行限界の規定数(NTRIES)の後にも成功していないときには、次いで、ステージ1530においてシフトアップが放棄される。他方では、ステージ1520において第1の復調器1155がプローブを首尾よく受信した場合(すなわちPER<PERMIN)には、コントローラ1115は、ステージ1535において、送信ステーション214における変調器405に、新規のモードに変更するように命令する。以前の例では、変調器405は、ステージ1535において、モード5(32-QAM)による変調メッセージにシフトされる。
【0098】
一旦、このシフトアップが生じると、第2の復調器-等化器ユニット1130および第3の復調器-等化器ユニット1135は、もはや着信データストリーム1105を復号化し得ないはずであることを認識されたい。第1の復調器1155がステージ1540において一旦メッセージを受信すると、第2の復調器1165および第3の復調器1175は、ステージ1545において、第1の復調器1155の新規の変調器モードに設定される。以前の例に戻って、第2の復調器1165および第3の復調器1175は、このときモード5(32-QAM)によってメッセージを復調するようにシフトアップされる。ステージ1545において、第2の等化器1160用の等化器処理時間ウィンドウも、第1の等化器1150によって調査中に使用される新規の等化器処理時間ウィンドウ(またはTADV)に設定される。この変更により、第2の復調器-等化器ユニット1130は、再び、メッセージ検証-選択ユニット1120にメッセージを供給する名目上の復号化設定になる。言い換えれば、復号化メッセージのすべてまたは大部分は、このとき、第2の復調器-等化器ユニット1130によって最初に復号化されてからメッセージ検証-選択ユニット1120に送信されるべきである。
【0099】
ステージ1550において、第1の等化器1150は、時間利益(TADV)を改善するとともに別のシフトアップ機会を探すために、等化器処理時間ウィンドウを短縮する通常の役割を想定する。ステージ1550において、第3の等化器1170の等化器処理時間は、ほぼエラーのない受信のために必要な等化の量を試験するかまたは判定するために、増加するかまたはより長くなることを許容される。図15の流れ図1500のこの処理は、追加のシフトアップ機会を求めて再び継続する。
【0100】
一般に、シフトダウンが生じるのは、復調器-等化器システム1100が、平均して、最小限の遅延利益ポイント710までに十分なメッセージを首尾よく復号化し得ないときである。チャネルノイズおよび他の誤差原因により、復調器-等化器システム1100は、現在のモード815を使用して時間内にメッセージを復号化することを阻害される可能性がある。たとえば図8の表1(800)を見ると、通信システム200がモード6の64-QAM方式からモード5の32-QAM方式に切り換えるとき、通信システム200はシフトダウンを実施する。
【0101】
図13のシフト技術の一例が図16の流れ図1600に示されている。詳細には、流れ図1600は、復調器-等化器システム1100のコントローラ1115ならびに他の構成要素がシフトダウン処理中に実施する行動を示すものである。コントローラ1115は、複数のイベントまたは状況に基づいてシフトダウン処理を開始することができる。たとえば、シフトダウンは、以下の状況のうちの1つまたは複数に他の状況を加えたものに基づいて決定され得る。たとえば、測定されたPERが最大のパケットエラー率限界(PERMAX)よりも大きいとき、シフトダウンが生じるべきである。測定されたSNRが復調器-等化器システム1100に関して減少傾向にあるときにも、シフトダウンが生じ得る。遅延拡散が(したがってISIも)増加しているとチャネル推定が指示するとき、シフトダウンがさらに起こり得る。パケットエラー率限界(PERMAX)を下回るのは第3の復調器-等化器ユニット1135のPERのみであって、第3の等化器1170が、時間利益(TADV)を第3の復調器-等化器ユニット1135の最小限の遅延利益ポイント710(TMIN)以下にするように設定されている場合には、シフトダウンが望ましい。
【0102】
上記の状況のうちの1つまたは複数(および/または他の状況)が生じたとき、コントローラ1115はシフトダウン処理を開始する。ステージ1605において、コントローラ1115は、送信ステーション214に、特定のシフトアップ時間(TSHIFT)において、または特定の時間範囲内で、シフトダウンを開始するように命令する。送信ステーション214と受信ステーション218の両方が、どの変調モードを使用するか調整するように、図8の表1(800)に類似のデータを維持する。この変調情報は、周期的に、および/または必要に応じて、更新され得る。命令は、HF無線チャネル206のような1次通信チャネル120および/または光ファイバケーブル420などのバックエンド通信チャネル125を通じて送信され得る。コントローラ1115は、ステージ1610において、モード815を次に低位の変調方法820(すなわち現在のモードの1つ下の変調モード)に設定する。たとえば、初期のモードがモード6(64-QAM)であれば、コントローラ1115は、第3の復調器1175を、図8の表1(800)におけるモード5(32-QAM)を使用して復調するように設定することになる。長期間の第3の等化器1170用の等化器処理ウィンドウは、ウィンドウまたは時間利益(TADV)が、新規のより低位のモード(モードN-1)に関する最小限の遅延利益ポイント710(TMIN)と同一になるように設定される。送信ステーション214における変調器405は、ステージ1615において、新規のモードの変調を使用して、プローブ信号の数(NPROBE)を、HF無線チャネル206を通じて、1調査期間(TPROBEミリ秒)ごとのレートで変調して送信する。以前の例に戻って、調査メッセージまたは信号は、変調器405によってモード5(32-QAM)を使用して変調され、送信ステーション214は、HF無線チャネル206を通じて、30ミリ秒だけ間隔をおいて配置された10のプローブを送信する。
【0103】
ステージ1620において、PERが最小限度未満である(PER<PERMIN)という点で調査が不成功であれば、次いで、コントローラ1115は、ステージ1625において、第3の復調器1175をさらに低位の復調モード(たとえばモード4、16-QAM)へとシフトダウンする。コントローラ1115は、ステージ1615において、送信ステーション214における変調器405および無線送信器410に、調査を継続し、新規の値を送信するように命令する。ステージ1620において第3の復調器1175がプローブを首尾よく受信したとき(すなわちPER≧PERMIN)には、コントローラ1115は、ステージ1630において、送信ステーション214における変調器405に、新規のより低位のモードに変更するように命令する。以前の例では、第1の調査試験において成功していれば、変調器405は、ステージ1535において、モード5(32-QAM)による変調メッセージにシフトされる。
【0104】
一旦、このシフトダウンが生じると、第1の復調器-等化器ユニット1125および第2の復調器-等化器ユニット1130は、もはや着信データストリーム1105を復号化し得ないはずであることを認識されたい。第3の復調器1175がステージ1635において一旦メッセージを受信すると、第1の復調器1155および第2の復調器1165は、ステージ1640において、第3の復調器1175の新規の変調器モードに設定される。以前の例に戻って、第1の復調器1155および第2の復調器1165は、このときモード5(32-QAM)によってメッセージを復調するようにシフトダウンされる。ステージ1640において、第2の等化器1160用の等化器処理時間ウィンドウも、第3の等化器1170によって調査中に使用される新規の等化器処理時間ウィンドウ(またはTADV)に設定される。この変更により、第2の復調器-等化器ユニット1130は、再び、メッセージ検証-選択ユニット1120にメッセージを供給する名目上の復号化設定になる。言い換えれば、復号化メッセージのすべてまたは大部分は、このとき、第2の復調器-等化器ユニット1130によって最初に復号化されてからメッセージ検証-選択ユニット1120に送信されるべきである。
【0105】
ステージ1645において、第3の等化器1170は、PERを改善するとともに別のシフトダウン機会を探すために、等化器処理時間ウィンドウを拡張する通常の役割を想定する。ステージ1550において、第3の等化器1170の等化器処理時間は、ほぼエラーのない受信のために必要な等化の量を試験するかまたは判定するために、増加するかまたはより長くなることを許容される。対照的に、第1の復調器-等化器ユニット1125は、シフトアップする機会の探求を継続する。図16の流れ図1600のこの処理は、追加のシフトアップ機会を求めて再び継続する。
用語集
特許請求の範囲および明細書において使用される言語は、以下で明示的に定義されるもの以外は、平易な通常の意味のみを有するものとする。これらの定義における語は、平易な通常の意味をのみを有する。そのような平易な通常の意味は、ウェブスターの辞書およびランダムハウス辞書の最新刊からのすべての矛盾しない辞書の定義を含むものである。本明細書および特許請求の範囲で使用されるように、以下の定義はこれらの用語および以下で識別されるこれらの通常の変形に当てはまる。
【0106】
「アンテナ」または「アンテナシステム」は、一般に、電力を電磁放射に変換する、任意の適切な構成の電気デバイスまたは一連のデバイスを指す。そのような放射は、電磁スペクトラムに沿って、任意の周波数において、垂直、水平、または環状のいずれかに偏波する。円偏波を用いて送信するアンテナは右旋または左旋の偏波を有し得る。電波の場合には、アンテナは、極低周波(ELF)から極高周波(EHF)までの電磁スペクトラムに沿った周波数範囲で送信し得る。電波を送信するように設計されたアンテナまたはアンテナシステムは、(大抵の場合送信ラインを通じて)受信器または送信器に対して電気的に接続された金属導体(要素)の機構を備え得る。送信器によってアンテナを通じて強制された電子の振動電流がアンテナ素子のまわりに振動磁界を生成し得、また電子の電荷が素子に沿った振動電界を生成する。これらの時変磁界および時変電界は、動く横電磁界波形としてアンテナから離れて空間に放射される。反対に、受信中に、入来電磁波の振動電界および振動磁界により、アンテナ素子における電子は、力がかかって前後に動き、アンテナにおける振動電流を生成する。次いで、これらの電流が受信器によって検知され、デジタルまたはアナログの信号またはデータを回復するように処理され得る。アンテナは、電波を、すべての水平方向において実質的に均等に(全方向性アンテナ)、または特定の方向において選択的に(指向性アンテナまたは高利得アンテナ)送受信するように設計され得る。後者の事例では、アンテナは追加の要素または表面も含み得、これらは、送信器または受信器に対する何らかの物理的電気的接続を有してよく、または有しなくてもよい。たとえば、寄生素子、放物面反射器またはホーン、および他のそのような無加圧の要素が、電波をビームまたは他の所望の放射パターンへと導く。したがって、アンテナは、これらの様々な表面または要素を配置することによって指向性または「利得」の増加または減少を示す。高利得アンテナは、放射される電磁エネルギの実質的に大部分を、垂直、水平、またはこれらの任意の組合せであり得る所定方向へ導くように構成され得る。アンテナは、電離圏などの大気の上層に向けて電磁エネルギを集中させるために、地面に対して垂直角度(すなわち「取り出し角)の特定の範囲内で電磁エネルギを放射するようにも構成され得る。電磁エネルギを特定の周波数で送信し、高層大気に向けて特定の角度で導くことにより、1日のうちの特定の時間における特定のスキップ距離が達成され得る。アンテナの他の例は、電気エネルギを電磁スペクトラムの可視光線または不可視光線の部分の電磁エネルギのパルスに変換する発光体およびセンサを含む。例は、遠赤外線から超紫外線までの電磁スペクトラムに沿った周波数範囲の電磁エネルギを生成するように構成された発光ダイオード、レーザ等を含む。
【0107】
「バックエンド通信チャネル」、「2次通信チャネル」、すなわち「2次チャネル」は、一般に、情報を転送するための主要な選択肢である通信経路を指す。必ずというわけではないが一般的には、2次チャネルには、レイテンシまたは帯域幅などの1つまたは複数の特性があるため、1次チャネルに対してあまり望ましくない。たとえば、2次チャネルは、1次チャネルと比較してより低いデータレートおよび/またはより低いレイテンシを有し得る。1次チャネルは、情報の転送を、一方向のみ、いずれかの方向を交互に、または両方向を同時に、サポートし得る。2次チャネルは、たとえば有線形式の通信および無線形式の通信を含むことができる。
【0108】
「帯域」または「周波数帯域幅」は、一般に上限周波数および下限周波数によって定義される連続した周波数の範囲を指す。したがって、周波数帯域幅は、一般的には帯域の上限周波数と下限周波数の間の差を表すヘルツ(サイクル/秒)の数として表現され、上限周波数自体および下限周波数自体は含んでもまたは含まなくてもよい。したがって、「帯域」は、所与の領域に関する所与の周波数帯域幅によって定義され、一般に合意された用語で示され得る。たとえば、米国における「20メートル帯域」は、14MHz~14.35MHzの周波数範囲を割り当てられており、したがって0.35MHzすなわち350kHzの周波数帯域幅を定義するものである。別の例では、国際電気通信連合(ITU)は、「UHF帯」として300MHz~3GHzの周波数範囲を指定している。
【0109】
「チェックサム」は、一般に、デジタルデータの送信中および/または記憶中に導入された可能性があるエラーを検知するために、このデジタルデータのブロックから導出されたデータを指す。一般的にはチェックサムデータのサイズは比較的小さい。チェックサム自体は、大抵の場合データの完全性を検証するために使用されるが、チェックサムは、一般的にはデータの確実性を検証するためには当てにならない。データ入力からチェックサムを生成する手順または処理は、チェックサム機能またはチェックサムアルゴリズムと呼ばれる。優れたチェックサムアルゴリズムは、使用事例に依拠して、データ入力の小さい変化に対してさえ、通常はかなり異なる値を出力するはずである。データ入力に対して計算されたチェックサムが以前に計算されたチェックサムの記憶された値と一致したときには、データの偶発的変化はなかった確率および/またはデータは破損していない確率が高い。いくつかのチェックサムアルゴリズム技術は、パリティバイト、合計の補数、および位置依存性アルゴリズムを含む。チェックデジットおよびパリティビットは、通常はデータの小ブロックに対して適切な、チェックサムの特殊なケースである。いくつかのエラー訂正コードは、通常のエラーを検知するばかりでなく、エラー訂正コードが場合によっては元データの回復をさらに支援する特別なチェックサムに基づくものある。
【0110】
「指令」または「指令データ」は、一般に、マシンを、単独または組合せで、1つまたは複数の処置をさせるように制御する、1つまたは複数の指示、命令、アルゴリズム、またはルールを指す。指令は、任意の適切なやり方で記憶されてよく、転送されてよく、送信されてよく、または処理されてよい。たとえば、指令は、記憶装置に記憶されてよく、または任意の適切な媒体を通過する任意の適切な周波数の電磁放射として、通信ネットワークを通じて送信されてもよい。
【0111】
「通信リンク」は、一般に2つ以上の通信するエンティティ間の接続を指し、通信するエンティティ間の通信チャネルは含んでもまたは含まなくてもよい。通信するエンティティ間の通信は、任意の適切な手段によって生じ得る。たとえば、接続は、実際の物理リンク、電気的接続、電磁気リンク、論理リンク、または通信を促進するその他の適切なリンクとして実施され得る。実際の物理リンクの場合には、通信は、1つの要素の別の要素に対する物的移動によって互いに対して応答するように構成された通信リンクにおける複数の構成要素によって生じ得る。電気的接続の場合には、通信リンクは、通信リンクを形成するように電気的に接続された複数の導電体から成り得る。電磁気リンクの場合には、接続の要素は、任意の適切な周波数において電磁エネルギを送信するかまたは受信することによって実施され、したがって通信を電磁波として通し得る。これらの電磁波は、光ファイバなどの物理的媒体、自由空間、またはこれらの任意の組合せを通過してよく、または通過しなくてもよい。電磁波は、電磁スペクトラムにおけるあらゆる周波数を含む任意の適切な周波数において通され得る。論理リンクの場合には、通信リンクは、受信ステーションにおける送信ステーションなどの、送り側と受け側の間の概念的なリンクでよい。論理リンクは、物理的リンク、電気的リンク、電磁気リンク、または他のタイプの通信リンクの任意の組合せを含み得る。
【0112】
「通信ノード」は、一般に、通信リンクに沿った、物理的もしくは論理的な接続ポイント、再配信ポイント、またはエンドポイントを指す。物理的ネットワークノードは、一般に、通信リンクに対して物理的、論理的、または電磁的に取り付けられた、または結合された、能動電子デバイスと称される。物理的ノードは、通信リンクを通じて情報を送信すること、受信すること、または発送することができる。通信ノードは、コンピュータ、プロセッサ、送信器、受信器、中継器、および/もしくは送信ラインまたは任意のこれらの組合せを含んでよく、または含まなくてもよい。
【0113】
「コンピュータ」は、一般に、任意数の入力値または変数から結果を計算するように構成された任意のコンピューティングデバイスを指す。コンピュータは、入力または出力を処理する計算を実施するためのプロセッサを含み得る。コンピュータは、プロセッサによって処理される値または以前の処理の結果を記憶するための記憶装置を含み得る。コンピュータは、値を受信したりまたは送信したりするために、多様な入力デバイスおよび出力デバイスから入力および出力を受け取るようにも構成され得る。そのようなデバイスは、他のコンピュータ、キーボード、マウス、表示装置、プリンタ、産業用機器、ならびにすべてのタイプおよびサイズのシステムまたは機械類を含む。たとえば、コンピュータは、要求に応じて様々なネットワーク通信を実施するように、ネットワークインターフェースを制御することができる。コンピュータは、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータなどの単一の物理的コンピューティングデバイスでよく、またはネットワーク化されたクラスタにおいて1つのデバイスとして動作するサーバのグループなどの同一タイプの複数のデバイスから成るものでよく、または通信ネットワークによってともに連結されて1つのコンピュータとして動作する種々のコンピューティングデバイスの異種混合の組合せでもよい。コンピュータは、1つもしくは複数の物理的プロセッサまたは他のコンピューティングデバイスもしくはコンピューティング回路を含み得、任意の適切なタイプの記憶装置も含み得る。コンピュータは、未知数または変動数の物理的プロセッサ、および記憶装置またはメモリデバイスを有する仮想コンピュータプラットフォームでもよい。したがって、コンピュータは、1つの地理的位置に物理的に配置されてよく、または、いくつかの広く散らばった位置にわたって物理的に展開され、複数のプロセッサが通信ネットワークによってともに連結されて単一のコンピュータとして動作する。「コンピュータ」と、コンピュータまたはコンピューティングデバイスの中の「プロセッサ」との概念は、開示されたシステムの一部として計算または比較を行うように働く任意のそのようなプロセッサまたはコンピューティングデバイスも包含する。閾値比較、ルール比較、計算等に関連した、コンピュータにおいて生じる処理動作は、たとえば、個別のサーバ、個別のプロセッサを有する同一のサーバ、または上記で説明されたような未知数の物理的プロセッサを有する仮想のコンピュータ環境において生じ得る。
【0114】
「コントローラ」は、一般に、別の機械デバイスまたは電子デバイスの挙動を制御するように構成された機械デバイスまたは電子デバイスを指す。コントローラは、制御対象のデバイスによって受信されかつ解釈され得てそのデバイスがなすべき作用を指示するための信号または他の電気的インパルスを供給するように構成された「制御回路」を含み得る。
【0115】
「臨界角」は、一般に、地球の中心まで延在する垂直線に対する、特定の周波数の電磁波が上空波伝搬を使用して地面に戻ることができる最大の角度を指す。
「臨界周波数」は、一般に、所与の電離圏の状況下で上空波伝搬を使用して垂直に送信されたとき、地面に戻される最高の周波数を指す。
【0116】
「巡回冗長検査」すなわち「CRC」は、一般に、デジタルデータにおけるエラーを検知するためのエラー検知コードまたはエラー検知技術を指す。たとえば、CRCは、一般に、デジタルネットワークおよび/または記憶デバイスにおいて、未加工データに対する偶発的変化を検知するように使用される。CRCは2進除算に基づくものであり、多項式コードチェックサムと称されることもある。CRCでは、データのブロックは、データのブロックの内容の多項式除算の余りに基づく短い検査値を用いて符号化されるか、またはこの検査値を付加される。回復または復号化の間に計算が繰り返される。検査値が一致しないとき、データ変質に対して訂正処置が取られ得る。CRCは、エラー訂正を助長するためにさらに使用され得る。検査値すなわちデータ検証値は、情報を追加することなくメッセージを拡大するので冗長である。CRCは、バイナリハードウェアで実施するのが簡易であり、数学的に分析することも簡単であって、ノイズが大きい伝送チャネルに起因する通常のエラーの検知が得意である。検査値が固定長であることを所与として、検査値を生成する関数はハッシュ関数として使用されることがある。
【0117】
「データ帯域幅」は、一般に、通信システムにおける論理的通信経路または物理的通信経路の最大のスループットを指す。データ帯域幅は、1秒につき転送されるデータの単位で表現され得る転送速度である。デジタル通信ネットワークでは、転送されるデータの単位はビットであり、したがって、デジタル通信ネットワークの最大のスループットは、一般に「ビット/秒」で表現される。拡張によって、所与のデジタル通信ネットワークのデータ帯域幅を表すために「キロビット/秒」すなわち「Kbit/秒」、「メガビット/秒」すなわち「Mbit/秒」、および「ギガビット/秒」すなわち「Gbit/秒」という用語も使用され得る。データネットワークは、それらのデータ帯域幅性能特性に応じて、「ピークビットレート」、「平均ビットレート」、「最大の持続ビットレート」、「情報速度」、または「物理レイヤの有効ビットレート」などの特定のメトリックによって評価され得る。たとえば、帯域幅試験は、コンピュータネットワークの最大のスループットを測定する。これを使用する理由は、ハートレーの法則によれば物理的通信リンクの最大データ転送速度はその周波数帯域幅(Hz)に比例するためである。データ帯域幅は、特定の通信ネットワークの最大転送速度によっても特徴づけられ得る。たとえば、「低データ帯域幅」は、一般に、最大のデータ転送速度が約1,000,000単位のデータ/秒以下の通信ネットワークを指す。たとえば、デジタル通信ネットワークではデータの単位はビットある。したがって、低データ帯域幅のデジタル通信ネットワークは、約1,000,000ビット/秒(1Mbit/秒)以下の最大転送速度のネットワークである。「高データ帯域幅」は、一般に、最大のデータ転送速度が約1,000,000単位のデータ/秒を上回る通信ネットワークを指す。たとえば、高データ帯域幅を有するデジタル通信ネットワークは、約1,000,000ビット/秒(1Mbit/秒)を上回る最大転送速度のデジタル通信ネットワークである。
【0118】
「復調」は、一般に、搬送波から、一次情報を担持している信号を抽出する処理を指す。
「復調器」または「検波器」は、一般に、波形の1つまたは複数の特性に基づいて、受信された変調波形から一次情報を抽出する、電子回路および/またはコンピュータなどのデバイスを指す。たとえば、波形のこれらの特性は、振幅、周波数、位相、および高調波歪ならびに他の特性を含むことができる。復調器は、被変調搬送波を受信した後に、復調または検波の処理によって元の変調信号を回復する。1つまたは複数の変調器が、1つまたは複数の復調器と一体化され得て、変調復調器(モデム)を形成する。そのため、復調器という用語は、モデムの内部で復調する1つまたは複数の部品、構成要素、および/またはソフトウェアをさらに指し得る。
【0119】
「シフトダウン」は、一般に、通信システムを、それほど複雑でない変調方式に変更することを指す。
「電磁石放射」は、一般に電磁波によって放射されるエネルギを指す。電磁放射は他のタイプのエネルギから生成され、壊されるとき他のタイプに変換される。電磁放射は、放射源から離れて移動するとき、このエネルギを(真空中の)光の速度で搬送する。電磁放射は運動量と角運動量の両方を搬送する。これらの特性は、すべて、電磁放射が放射源から離れる方向に進行するときに相互作用する対象に与えられ得る。電磁放射は、1つの媒体から別の媒体に進むとき速度が変化する。1つの媒体から次の媒体に移行するとき、放射されたエネルギのいくらかまたはすべてが新規媒体の物理的性質によって反射され得、残りのエネルギが新規媒体の中へ移行する。これは、電磁放射が進むときに出会う媒体間のすべての接合において生じる。光子は電磁相互作用の量子であり、電磁放射のすべての形態の原成分である。電磁放射は、周波数が高くなると波動よりもむしろ粒子らしく振舞うので、量子としての光の性質は高周波数においてより明らかになる。
【0120】
「電磁スペクトラム」は、一般に、電磁放射のすべての可能な周波数の範囲を指す。
「電磁波」は、一般に、個別の電気成分および磁気成分を有する波形を指す。電磁波の電気成分および磁気成分は位相において振動し、常に90度の角度だけ分離されている。放射源から放射された電磁波は、媒体または真空を通過することができる電磁放射をもたらす。電磁波は、それだけではないが、電波、可視光線および不可視光線、X線、ならびにγ線を含む電磁スペクトラムの中の任意の周波数で振動する波形を含む。
【0121】
「等化器」は、一般に特定の目的向けのシステムの周波数応答(振幅および位相対周波数)を変更する電子的および/またはソフトウェアベースのフィルタを指す。等化器は、一般的には、いくつかの周波数成分を増幅して他の周波数成分を減衰させる振幅応答により、周波数に対して連続的に変化するより複雑な周波数応答を実現するものである。等化器は、時間において一定の応答を有してよく、または自動的かつ連続的に調節されてもよい。しかしながら、等化器の周波数応答は、必ずというわけではないが通常、通信チャネルなどのいくつかの外部物理的媒体に整合し、したがって調節可能である。
【0122】
「エラー訂正コード」すなわち「ECC」は、一般に、一連の数または他のデータを、残りの数またはデータに基づき、ある特定の制約の範囲内で、導入された何らかのエラーを検知して補正することができるように表現するためのデータおよび/またはアルゴリズムを指す。ECCは、一般的には、信頼性が低い通信チャネルおよび/またはノイズが大きい通信チャネル上のデータのエラーを制御するために使用される。たとえば、送信側は、冗長なECCの形式でメッセージを符号化する。ECCには、ブロックコードおよび畳み込みコードの2つの主要なカテゴリがある。ECCコードのいくつかの非限定的な例は、ANコード、BCHコード、バーガーコード、恒量コード、畳み込みコード、巡回冗長検査(CRC)コード、エキスパンダコード、グループコード、ゴレイコード、ゴッパコード、アダマールコード、ハーゲルバーガーコード、ハミングコード、ラテン方格ベースコード、辞書式コード、ロングコード、低密度パリティチェックコード(すなわちギャラガーコード)、LTコード、ポーラコード、ラプタコード、リードソロモンエラー訂正コード、リードミュラーコード、繰返し積算コード、繰返しコード(たとえば三重モジュール冗長コード)、脊柱コード、レートレスコード、非線形コード、トルネードコード、近最適抹消訂正コード、ターボコード、およびウォルシュアダマールコードを含む。
【0123】
「光ファイバ通信」は、一般に、電磁エネルギのパルスを1つの場所から別の場所へ光ファイバを通じて送信することによってデータを送信する方法を指す。送信されるエネルギは、データを搬送するように変調され得る電磁気搬送波を形成してよい。データを送信するために光ファイバケーブルを使用する光ファイバ通信ラインは、高いデータ帯域幅を有するように構成され得る。たとえば、光ファイバ通信ラインは、約15Tbit/秒、約25Tbit/秒、約100Tbit/秒、約1Pbit/秒以上の高いデータ帯域幅を有し得る。光ファイバケーブルの1つの区分からの電磁エネルギを電気信号に変換するために、光電子中継器が光ファイバ通信ラインに沿って使用され得る。中継器は、受信した信号の強度を高めてから、光ファイバケーブルの別の区分に沿った電磁エネルギとして、電気信号を再送信することができる。
【0124】
「金融商品」は、一般に、任意の種類の売買可能な資産を指す。一般的な例は、それだけではないが、現金、エンティティにおける利権の所有権の証拠、または現金もしくは別の金融商品を受け取るかもしくは引き渡すための契約上の権利を含む。特定の例は、社債、証券(たとえば商業手形および短期国債)、株、貸付金、供託金、譲渡性預金、債券先物または債券先物に関するオプション、短期金利先物、自社株購入権、株式先物、通貨先物、利率交換、金利キャップおよびフロア、金利オプション、金利先渡取引、自社株購入権、外国為替オプション、外国為替スワップ、通貨スワップ、またはあらゆる種類の金融派生商品を含む。
【0125】
「順方向エラー訂正」すなわちFECは、一般に、信頼性が低い通信チャネルまたはノイズが大きい通信チャネルにわたるデータ送信におけるエラーを制御するために使用される技術を指す。必ずというわけではないが一般的には、送信側は、エラー訂正コード(ECC)を使用することにより、冗長なやり方でメッセージを符号化する。この冗長性により、受信器は、メッセージのいかなる場所にも生じ得る限られた数のエラーを検知することができ、大抵の場合、これらのエラーは再送信なしで訂正され得る。FECは、受信器に、データの再送信を要求するためのリバースチャネルを必要とすることなくエラーを訂正する能力を与える。しかしながら、一般的には、より高い順方向チャネル帯域幅が必要とされる。FECは、片方向通信リンクなどの、再送信が高くつくかまたは不可能な状況において、複数の受信器に対してマルチキャストで送信するときに使用され得る。FECは、一般にモデムにおいて使用される。大容量記憶デバイスには、変質データの回復を可能にするために、FEC情報も追加され得る。FECコードには、一般に、ブロックコードおよび畳み込みコードの2つのタイプのカテゴリがある。FECブロックコードは、ビットの固定サイズのブロック(もしくはパケット)または固定サイズのシンボルに対して作用する。ブロックコードのいくつかの非限定的な例は、リードソロモンコード、ゴレイコード、BCHコード、多次元パリティコード、およびハミングコードを含む。一般的なブロックコードは、通常、すべての入力信号および出力信号についてそれが1ビットまたはゼロビットに対応するかどうかが硬判定される硬判定アルゴリズムを使用して復号化される。畳み込みFECコードは、任意長のビットストリームまたはシンボルストリームに対して作用する。畳み込みコードは、一般的には、(離散化された)アナログ信号を処理して硬判定復号化よりもはるかに高いエラー訂正性能を可能にする、ビタビアルゴリズム、MAPアルゴリズムまたはBCJRアルゴリズムのような軟判定アルゴリズムを使用して復号化される。畳み込みFECコードは、ほとんどの場合、ビタビアルゴリズムを用いて軟復号化されるが、他のアルゴリズムも使用され得る。ビタビ復号化は、畳み込みコードの増加した拘束長を伴って漸近的に最適な復号化効率を可能にするが、複雑さが指数関数的に増すという犠牲を伴う。終端となる畳み込みコードは、入力データのブロックを符号化するという点でブロックコードでもあるが、畳み込みコードのブロックサイズは一般に任意であるのに対し、ブロックコードは、代数的な特徴によって規定された固定サイズを有する。畳み込みコードの終端のタイプは、テイルバイティングおよびビットフラッシングを含む。FEC技術のいくつかの他の非限定的な例は、ターボ符号化、低密度パリティチェック(LDPC)、インタリービング、および局所復号化を含む。(すべてではないが)多くのFEC符号器はビットエラー率(BER)信号も生成することができ、この信号は、アナログの受信電子機器を微調整するためのフィードバックとして使用され得る。
【0126】
「地上」は、むしろ電気的/電磁気的な意味で使用され、一般に、土地と、大洋、湖、および川などの水体とを含む地球表面を指す。
「地上波伝搬」は、一般に、1つまたは複数の電磁波が、地面に沿って進むように地面と大気の境界を通って導かれる送信方法を指す。電磁波は、半導電性の地球表面と相互作用することによって伝搬する。本質的には、電磁波は、地面の曲率に従うように、表面にはりつく。必ずというわけではないが一般的には、電磁波は、低周波の電波によって形成される地上波または表面波の形式である。
【0127】
「識別子」は、一般に、独特なものまたは独特なクラスのもの、のいずれかを識別する名称を指す(すなわち識別情報にラベルを付ける)ものであり、「オブジェクト」またはクラスは、概念、物理オブジェクト(またはそのクラス)または物理的実体(またはそのクラス)であり得る。省略形「ID」は、大抵の場合、識別情報、識別(識別する処理)、または識別子(すなわち識別のインスタンス)を指す。識別子は、単語、番号、文字、シンボル、形状、色、音響、またはそれらの任意の組合せを含んでよく、または含まなくてもよい。単語、番号、文字、またはシンボルは、符号化システム(ここにおいて、文字、数字、単語、またはシンボルは、概念またはより長い識別子を表す)に準拠してよく、または簡単に任意でもよい。識別子は、符号化システムに準拠するときには、大抵の場合コードまたはIDコードと称される。いかなる符号化方式にも準拠しない識別子は、何らかの他の状況において何かを識別すること以上を意味することなく任意に割り当てられるため、任意IDといわれることが多い。
【0128】
「シンボル間干渉」すなわち「ISI」は、一般に、1つのシンボルが後続のシンボルに干渉する、信号のひずみの形態を指す。必ずというわけではないが一般的には、ISIは、前シンボルが通信の信頼度を低下させるノイズと類似の影響を及ぼすので、望ましくない現象である。たとえば、あるパルスが、割り当てられた時間間隔を過ぎて拡張すると、近隣のパルスと干渉する。ISIは、必ずというわけではないが通常は、多重伝搬によって、および/または通信チャネルに固有の線形もしくは非線形の周波数応答のために連続したシンボルが互いにぼけることによって、生じる。
【0129】
「電離圏」は、一般に、高濃度のイオンおよび自由電子を含有して電波を反射することができる地球大気圏の層を指す。電離圏は、熱圏ならびに中間圏および外気圏の一部を含む。電離圏は、地球表面の約40~1,000km(約25~約600マイル)上に広がる。電離圏は、(太陽黒点などの太陽活動を含む複数の要因に依拠して)高度、密度、および厚さがかなり変化する複数の層を含む。
【0130】
「ジッタ」は、一般に、送信されたメッセージの受信における可変遅延を指す。たとえば、メッセージが様々な間隔で入力端に到達するときにジッタが生じ、結果として、メッセージの受信器は、可変時間を待ってからでないと、データスロットをメッセージ転送のために使用することができない。
【0131】
「レイテンシ」は、一般に、システムにおける原因と効果の間の時間間隔を指す。レイテンシは、物理的に、何らかの物理的相互作用がシステムの全体にわたって伝搬し得る速度が制限されていることの結果である。レイテンシは、物理的に、何らかの物理的相互作用が伝搬し得る速度が制限されていることの結果である。効果がシステムを通って伝搬し得る速度は、常に光速以下である。したがって、原因と効果の間にいくらかの距離を含むすべての物理的システムには、ある種のレイテンシが生じるはずである。たとえば、通信リンクまたは通信ネットワークでは、レイテンシは、一般にデータが1つのポイントから別のポイントまで通るのにかかる最小時間を指す。通信ネットワークに関するレイテンシはまた、エネルギが1つのポイントからネットワークに沿って別のポイントまで移動するのにかかる時間と特徴づけられ得る。特定の伝搬路を辿る電磁エネルギの伝搬に起因する遅延に関して、レイテンシは以下のように分類され得る。
【0132】
「低レイテンシ」は、一般に、真空において所与の伝搬路を進む光にとって必要な時間よりも10%長い伝搬時間以下の期間を指す。式で表すと、低レイテンシは次式で定義され、
【0133】
【数1】
【0134】
ここで、
d=距離(マイル)
c=真空中の光の速度(186,000マイル/秒)
k=1.1のスカラ定数
である。
【0135】
たとえば、光は、真空中を約0.1344秒で40,225km(25,000マイル)進むことができる。したがって、この40,225km(25,000マイル)の伝搬路にわたってデータを搬送する「低レイテンシ」の通信リンクは、データの少なくともいくらかの部分を約0.14784秒以下で通し得るはずである。
【0136】
「高レイテンシ」は、一般に、真空において所与の伝搬路を進む光にとって必要な時間よりも10%超長い期間を指す。式で表すと、高レイテンシは次式で定義され、
【0137】
【数2】
【0138】
ここで、
d=距離(マイル)
c=真空中の光の速度(186,000マイル/秒)
k=1.1のスカラ定数
である。
【0139】
たとえば、光は、真空中を約0.04301秒で12,872km(8,000マイル)進むことができる。したがって、この送信経路にわたってデータを搬送する「高レイテンシ」の通信リンクは、データの少なくともいくらかの部分を約0.04731秒以上で通し得るはずである。
【0140】
ネットワークの「高」レイテンシおよび「低」レイテンシは、データ帯域幅とは無関係であり得る。必ずというわけではないが、いくつかの「高」レイテンシネットワークは「低」レイテンシネットワークよりも高い転送速度を有し得る。いくつかの「低」レイテンシネットワークは、「高」レイテンシネットワークの帯域幅を上回るデータ帯域幅を有し得る。
【0141】
「最高使用周波数(MUF)」は、一般に、上空波伝搬を使用して地面に戻される最も高い周波数を指す。
「記憶装置」は、一般に、データまたは情報を保存するように構成された任意の記憶システムまたは記憶デバイスを指す。各記憶装置は、ほんの数例を挙げると、1つまたは複数のタイプのソリッドステート電子メモリ、磁気記憶装置、または光学的記憶装置を含み得る。非限定的な例として、各記憶装置は、ソリッドステート電子的ランダムアクセスメモリ(RAM)、(先入れ先出し(FIFO)品種または後入れ先出し(LIFO)品種などの)順次アクセス可能メモリ(SAM)、プログラム可能読取り専用メモリ(PROM)、電子的プログラム可能読取り専用メモリ(EPROM)、もしくは電気的消去可能プログラム可能読取り専用メモリ(EEPROM)、(DVDまたはCD ROMなどの)光ディスク記憶装置、磁気的に符号化されたハードディスク、フロッピディスク、テープ、もしくはカートリッジ媒体、またはこれらの記憶装置タイプの任意の組合せを含み得る。また、各記憶装置は、不揮発性でよく、揮発性でよく、または揮発性品種および不揮発性品種のハイブリッド結合でもよい。
【0142】
「メッセージ」は、一般に、情報源によって、受け側または受け側のグループによって消費されるように意図された、通信の不連続単位を指す。
「モデム」すなわち「変調復調器」は、一般に、変調器および復調器などによって信号の変復調の機能を実施する電子回路および/またはコンピュータなどのデバイスを指す。
【0143】
一般に、「変調」は、一般的には送信される情報を含有している個別の信号を使用して、ある信号の1つまたは複数の特性を変更する処理を指す。変調は、2つの時変信号の特性を融合させて、両方の入力信号を組み合わせた第3の出力信号を生成することと考えられ得る。変調は、電磁エネルギを使用してデジタルビットストリームまたは(連続的に変化する)アナログ信号を送信する場合などのデータを運搬する過程において有効である。アナログ変調は、たとえば音声信号またはテレビ信号といったアナログベースバンド(または低域通過)信号を、たとえば制限された無線周波数帯またはケーブルテレビネットワークチャネルを通じて、異なる周波数におけるアナログ帯域通過チャネルによって、転送し得る。デジタル変調は、たとえば(帯域通過フィルタによって周波数範囲が300~3400Hzに制限された)公衆交換電話ネットワークまたは制限された無線周波数帯によって、アナログ通信チャネルを通じて、デジタルビットストリームを転送し得る。アナログ変調およびデジタル変調によって助長される周波数分割多重(FDM)では、いくつかの低域通過情報信号が、同一の共用される物理的媒体によって、別々の搬送波周波数を使用して同時に転送される。「ライン符号化」としても知られているデジタルベースバンド変調は、一般的にはシリアルバスまたは有線ローカルエリアネットワークなどのフィルタなしの銅線であるベースバンドチャネルによってデジタルビットストリームを転送することができる。パルス変調は、たとえば広帯域ベースバンドチャネルにわたる電話といった狭帯域アナログ信号を、または方式のうちのいくつかでは、別のデジタル伝送システムにわたるビットストリームとして、転送し得る。本明細書で使用されるように、アナログ変調技術は、それだけではないが、1.振幅変調(AM)(搬送波信号の振幅が変調信号の瞬時振幅によって変化する)、2.搬送波を用いる両側波帯変調(DSB-WC)(AMラジオの放送帯域で使用される)、3.両側波帯抑圧搬送波送信(DSB-SC)、4.両側波帯低減搬送波送信(DSB-SC)、5.搬送波を用いる単側波帯変調(SSB-WC)、6.単側波帯変調抑圧搬送波変調(SSB-WC)、7.残留側波帯変調(VSB、またはVSB-AM)、8.直交振幅変調(QAM)、9.周波数変調(FM)(搬送波信号の周波数が変調信号の瞬時振幅によって変化する)、10.位相変調(PM)(搬送波信号の位相シフトが変調信号の瞬時振幅によって変化する)、11.転置変調(TM)(波形屈曲が修正され、結果として、変調処理において各4分の1サイクルが転置された信号をもたらす)を、単独で、または組み合わせて含み得る。デジタル変調では、アナログ搬送波信号が離散的信号によって変調され得る。デジタル変調方法はデジタル/アナログ変換と見なされ得、対応する復調または検波はアナログ/デジタル変換と見なされ得る。搬送波信号における変化は、有限数Mの代替シンボル(変調アルファベット)から選択される。本明細書で使用されるように、デジタル変調技術は、それだけではないが、1.M=2のシンボルを使用するバイナリPSK(BPSK)、2.M=4シンボルを使用する直角位相PSK(QPSK)、3.M=8のシンボルを使用する8PSK、4.M=16のシンボルを使用する16PSK、5.差動PSK(DPSK)、6.差動QPSK(DQPSK)、7.オフセットQPSK(OQPSK)、8.π/4-QPSK、9.音声周波数シフトキーイング(AFSK)、10.多重周波数シフトキーイング(M-ary FSKすなわちMFSK)11.デュアルトーン多重周波数(DTMF)、12.振幅シフトキーイング(ASK)、13.最も一般的なASK形式であるオンオフキーイング(OOK)、14.たとえば8VSBといったM-ary残留側波帯変調、15.PSKとASKの組合せである直交振幅変調(QAM)、16.PSKとASKの組合せであるQAMのような極性変調、17.最小シフトキーイング(MSK)、18.ガウス型最小シフトキーイング(GMSK)、19.連続相周波数シフトキーイング(CPFSK)、20.直交周波数分割多重化(OFDM)変調、21.適応変調およびビットローディングを含む離散的マルチトーン(DMT)、22.ウェーブレット変調、23.格子変調としても知られている格子符号化変調(TCM)、24.直接シーケンススペクトラム拡散(DSSS)、25.IEEE 802.15.4aのCSS用途の擬似確率的符号化によるチャープスペクトル拡散(CSS)、26.周波数ホッピングスペクトル拡散方式(FHSS)がチャネル解放のための特別な方式に適合すること、のうち単独または組合せのいずれかで使用される任意のものを含み得る。
【0144】
「変調器」は、一般に、搬送波信号と呼ばれる周期的波形の1つまたは複数の特性を、一般的には送信される情報を含有している変調信号を用いて変更する電子回路および/またはコンピュータなどのデバイスを指す。たとえば、波形のこれらの特性は、振幅、周波数、位相、および高調波歪ならびに他の特性を含むことができる。非限定的な例によって、変調器は、送信されるメッセージの電気信号に応じて高周波数の電磁気情報搬送波のパラメータを制御することができる。1つまたは複数の変調器が、1つまたは複数の復調器と一体化され得て、変調復調器(モデム)を形成する。そのため、変調器という用語は、モデムの内部で変調器として機能する1つまたは複数の部品、構成要素、および/またはソフトウェアをさらに指し得る。
【0145】
「ネットワーク」または「コンピュータネットワーク」は、一般に、コンピュータがデータをやり取りすることを可能にする電気通信ネットワークを指す。コンピュータは、データをデータグラムまたはパケットの集合に変換することにより、データ接続に沿って互いにデータを渡すことができる。コンピュータとネットワークの間の接続は、ケーブル、光ファイバを使用して、または無線ネットワークデバイス用などの電磁伝送によって、確立され得る。ネットワークに結合されたコンピュータは「ノード」または「ホスト」と称され得、データを発信してよく、ブロードキャストしてよく、ルーティングしてよく、またはネットワークから受け取ってもよい。ノードは、パーソナルコンピュータ、電話、およびサーバ、ならびにネットワークにわたるデータの流れを維持するように動作する、「ネットワークデバイス」と称される特化されたコンピュータなどのあらゆるコンピューティングデバイスを含むことができる。2つのノードは、互いに直接接続されているか否かにかかわらず、情報を交換することができるならば「ともにネットワーク接続されている」と見なされ得る。ネットワークは、ネットワーク接続の数および用途を定義するあらゆる適切なネットワークトポロジを有し得る。ネットワークトポロジは任意の適切な形式でよく、2地点間、バス、スター、リング、メッシュ、またはツリーを含み得る。ネットワークは、仮想であり、他のネットワークを使用するかまたは他のネットワークの「最上位にある」1つまたは複数の層として構成されているオーバレイネットワークでよい。
【0146】
「非上空波伝搬」は、一般に、電離圏からの電磁波の反射によって情報が送信されることはない、有線および/または無線のすべての形式の送信を指す。
「光ファイバ」は、一般に、電磁エネルギがコンジットの長軸を通過するときに進む実質的に透明な媒体を含む細長いコンジットを有する電磁導波路を指す。電磁放射は、コンジットを通過するとき、電磁放射の全内部反射によってコンジットの内部に保たれ得る。全内部反射は、一般に、コアよりも低い屈折率を有する第2の実質的に透明なクラッド材によって囲まれた実質的に透明なコアを含む光ファイバを使用して達成される。
【0147】
「最適使用周波数」は、一般に、上空波伝搬を通じて最も調和した通信経路をもたらす周波数を指す。最適使用周波数は、電離圏の状態および時刻などの複数の要因に依拠して経時的に変化し得る。電離圏のF2層を使用する送信については、動作周波数は一般にMUFのおよそ85%であり、E層については、最適使用周波数は一般にMUFに近いものになる。
【0148】
「パケットエラー率」すなわち「PER」は、一般に、デジタル伝送において不正確に受信されたデータパケットの数を受信されたパケットの総数によって割った商を指す。一般に、少なくとも1つのビットが誤っていれば、パケットは不正確であると宣言される。
【0149】
「偏波」は、一般に、放射された電磁エネルギ波の電界(「E面」)の地球表面に対する配向を指し、放射アンテナの物理構造および配向によって決定される。偏波は、アンテナの指向性とは別々に考えられ得る。したがって、簡単な直線のワイヤアンテナは、実質的に垂直に取り付けられたときには1つの偏波を有し得、実質的に水平に取り付けられたときには別の偏波を有し得る。横波として、電波の磁界は電界に対して直角であるが、慣例によって、アンテナの「偏波」については電界の方向を指すと理解されている。反射は、一般に偏波に影響を及ぼす。電波に関して、重要な反射器の1つには、波形の偏波を変化させ得る電離圏がある。したがって、電離圏による反射によって受信される信号(上空波)については、安定した偏波を期待することはできない。見通し線通信または地上波伝搬については、水平または垂直に偏波された送信は、一般に、受信位置においてほぼ同じ偏波状態のままである。
【0150】
「1次通信チャネル」すなわち「1次チャネル」は、一般に、情報を転送するための第1の選択肢である通信経路を指す。必ずというわけではないが一般的には、1次通信チャネルは、他の通信チャネルのものよりも望ましいレイテンシまたは帯域幅などの1つまたは複数の特性を有する。たとえば、1次通信チャネルは、共通のインターフェースを共用するすべてのチャネルのうちで最高のデータレートを有し得る。1次通信チャネルは、情報の転送を、一方向のみ、いずれかの方向を交互に、または両方向を同時に、サポートし得る。2次通信チャネルは、たとえば有線形式の通信および無線形式の通信を含むことができる。
【0151】
「プロセッサ」は、一般に、入力を処理して出力を生成するように構成されているかまたはプログラムされて単一のユニットとして動作するように構成された1つまたは複数の電子部品を指す。あるいは、プロセッサは、複数の構成要素の形態のときには、他の構成要素に対して遠隔に配置された1つまたは複数の構成要素を有し得る。各プロセッサの1つまたは複数の構成要素は、デジタル回路、アナログ回路、または両方を定義する電子的多様性であり得る。一例では、各プロセッサは、従来の集積回路マイクロプロセッサ機構である。「プロセッサ」の概念は、単一の物理的論理回路または回路のパッケージに限定されず、場合により、多くの物理的位置における複数のコンピュータの内部に、またはそれらにわたって、含有されている、1つまたは複数のそのような回路または回路のパッケージを含む。仮想のコンピュータ環境では、未知数の物理的プロセッサが積極的にデータを処理してよく、この未知数は自動的に経時変化しても差し支えない。「プロセッサ」の概念は、閾値比較、ルール比較、計算を行うように、あるいはデータにルールを適用して論理的な結果(たとえば「真」または「偽」)をもたらす論理演算を実施するように、構成されているかまたはプログラムされているデバイスを含む。処理作業は、個別のサーバ上の複数の単一プロセッサにおいて、個別のプロセッサを有する単一のサーバにおける複数のプロセッサ上で、または個別のコンピューティングデバイスの中にあって互いから物理的に遠く離れた複数のプロセッサ上で、生じ得る。
【0152】
「擬似ランダムバイナリシーケンス」すなわち「PRBS」は、一般に、決定性アルゴリズムを用いて生成された、真のランダムシーケンスに類似の統計的挙動を示す、予測困難なバイナリシーケンスを指す。
【0153】
「無線」は、一般に、3kHz~300GHzの範囲を占める周波数における電磁放射を指す。
「電波地平線」は、一般に、アンテナからの直射線が地面に接するポイントの位置を指す。電波地平線は次式によって近似され得、
【0154】
【数3】
【0155】
ここで、
d=電波地平線(マイル)
=送信アンテナ高さ(フィート)
=受信アンテナ高さ(フィート)
である。
【0156】
「受信する」は、一般に、転送された、通信された、運搬された、中継された、急送された、または発送されたものを受け取ることを指す。この概念は、何かが送信エンティティから到着するのをリッスンする行動または待つ行動を含んでもまたは含まなくてもよい。たとえば、送信は、送信側に関する知見なしで受信され得る。同様に、送信は、受信側に関する知見の有無にかかわらず可能である。「受信する」ことは、それだけではないが、電磁スペクトラムのあらゆる適切な周波数において電磁エネルギを取り込むかまたは取得する行為を含み得る。受信は、電磁放射を感知することによって起こり得る。電磁放射を感知することは、ワイヤまたは光ファイバなどの媒体を通って移動するエネルギ波またはこの媒体からのエネルギ波を検知することを包含し得る。受信することは、信号、データグラム、パケット等の様々なタイプのアナログデータまたはバイナリデータを定義し得るデジタル信号を受信することを含む。
【0157】
「受信ステーション」は、一般に、受信デバイス、または電磁エネルギを受信するように構成された複数のデバイスを有する場所設備、を指す。受信ステーションは、特定の送信エンティティから、または送信を受信する前に送信エンティティが識別可能かどうかに関係なく任意の送信エンティティから、受信するように構成され得る。
【0158】
「遠隔」は、一般に、2つのものの間の、何らかの物理的、論理的、または他の分離を指す。分離は、数千、数百万キロメートルもしくは数千、数百万マイルなどの比較的大きいもの、または数ナノメートルもしくは100万分の数インチなどの小さいものであり得る。互いに「遠隔の」2つのものは、論理的または物理的に結合され得、または接続され得る。
【0159】
「衛星通信」または「衛星伝搬」は、一般に、1つまたは複数の電磁気信号が人工衛星に送信され、次に、この人工衛星によって、別の人工衛星またはステーションへと、反射され、かつ/または再送信されることを指す。
【0160】
「信号対雑音比」すなわち「SNR」または「S/N比」は、一般に、希望信号のレベルをバックグラウンドノイズのレベルと比較する測度を指す。SNRは信号電力とノイズ電力の比として計算され、多くの場合デシベルで表される。1:1よりも高い(0dBを超える)SNRは、ノイズよりも信号が大きいことを指示する。
【0161】
「サイズ」は、一般に、あるものの広がり、その全体寸法または大きさ、大きさの程度、を指す。物理的オブジェクトについては、サイズは、「大きい」または「より大きい」、「高い」または「より高い」、「低い」または「より低い」、「小さい」または「より小さい」等の相対語を説明するために使用され得る。物理的オブジェクトのサイズは、特定の幅、長さ、高さ、距離、体積等の任意の適切な単位で表される固定単位で示されてもよい。データ転送については、サイズは、論理単位または物理単位として扱われるデータ、アドレス指定されるデータ、送信されるデータ、受信されるデータ、または処理されるデータの相対的な量または定量を指示するために使用され得る。サイズは、データ収集、データセット、データファイル、または他のそのような論理単位において、データ量に関連して使用され得る。たとえば、データ収集またはデータファイルは、35メガバイトの「サイズ」を有するものと特徴づけられ得、または、通信リンクは、1秒当たり1000ビットの「サイズ」のデータ帯域幅を有するものと特徴づけられ得る。
【0162】
「スキップ距離」は、一般に、送信器から、電波が上空波伝搬から地面に戻り得るところまでの、最小距離を指す。換言すれば、スキップ距離は、上空波伝搬の臨界角において生じる最小距離である。
【0163】
「跳躍帯」すなわち「不感地帯」は、一般に、地上波伝搬からの地上波が完全に消散する位置と、先頭の上空波が上空波伝搬を利用して戻る位置との間の領域を指す。跳躍帯では、所与の送信に関する信号を受信することができない。
【0164】
「上空波伝搬」は、一般に、アンテナから放射された1つまたは複数の電磁波が電離圏から屈折されて地面に戻る送信方法を指す。上空波伝搬は対流圏散乱送信をさらに含む。一形態では、跳躍方法は、電離圏から屈折された電波が地面で反射されて電離圏まで戻されるところで使用され得る。このスキッピングは2回以上生じることがある。
【0165】
「ソフトウェア無線」すなわち「SDR」は、一般に、慣例的にハードウェアで実施されている構成要素が、代わりにコンピュータおよび/または組込みシステム上のソフトウェアによって実施される無線通信システムを指す。現在SDRとして実施されているハードウェアには、ほんの数例を挙げると、ミキサ、フィルタ、増幅器、変調器/復調器、検波器、および等化器がある。
【0166】
「直接波伝搬」または「見通し線伝搬」と称されることもある「空間波伝搬」は、一般に、互いに見えるアンテナの間で1つまたは複数の電磁波が送信される送信方法を指す。この送信は、直接波および/または地面で反射される空間波によって生じ得るものである。一般に、アンテナ高および地面の曲率は、空間波伝搬の伝送距離に対する制限因子である。直接見通し線の実際の電波地平線は、回折効果のために可視の見通し線すなわち幾何学的見通し線よりも長く、すなわち電波地平線は幾何学的見通し線よりも約4/5長い。
【0167】
「スペクトル拡散」は、一般に、送信される信号の一部を複数の周波数にわたって送ることを含む送信方法を指す。様々な周波数上で信号の一部を送ることにより、複数の周波数にわたる送信が同時に生じ得る。この例では、受信器は、送信された信号を再構築するために、すべての周波数を同時にリッスンしなければならない。この送信はまた、信号を「ホップする」ことによって複数の周波数にわたって広がり得る。信号ホッピングのシナリオは、第1の周波数でいくらかの期間にわたって信号を送信し、この信号を第2の周波数で第2の期間にわたって送信するように切り換わり、その後、第3の周波数で第3の期間にわたって送信するように切り換わることなどを含む。受信器および送信器は、周波数を一緒に切り換えるために同期する必要がある。周波数を「ホッピング」するこの処理は、経時変化する(たとえば1時間ごと、24時間ごと等)周波数ホッピングパターンで実施され得る。
【0168】
「成層圏」は、一般に、対流圏から地球表面の上の約40~56km(約25~35マイル)まで広がる地球大気圏の層を指す。
「シンボル」は、一般に、通信チャネルの、一定期間にわたって存続する波形、状態または有意状態を指す。シンボルは、デジタルベースバンド伝送についてはパルスの形式でよく、モデムを使用する通過帯域伝送ではトーンの形式でよい。送信器または他のデバイスが1つまたは複数のチャネル上にシンボルを配置し、受信器は、送信されたデータを再構成するためにシンボルのシーケンスを検知する。場合によっては、シンボルとデータの小単位の間に直接対応があってよい。たとえば、各シンボルは1つまたはいくつかのビットを符号化することができる。データは、シンボル間の遷移および/またはいくつかのシンボルのシーケンスによっても表され得る。
【0169】
「トランシーバ」は、一般に、共通の回路類および/または単一の箱体を共有する送信器と受信器の両方を含むデバイスを指す。トランシーバは、必ずというわけではないが一般的には、アナログ無線信号および/またはデジタル無線信号などの電子信号を送受信するように設計されている。
【0170】
「転送速度」は、一般に、あるものが1つの物理的位置または論理的位置から別の位置まで移動される速さを指す。通信リンクまたは通信ネットワークの場合には、転送速度は、リンクまたはネットワークにわたるデータ転送の速さであると特徴づけられ得る。そのような転送速度は、「ビット/秒」で表され得、データ転送を実行するために使用される所与のネットワークまたは通信リンクの最大のデータ帯域幅によって制限され得る。
【0171】
「送信ライン」は、一般に、通常は自由空間を通して電磁エネルギを放射することなく、1つの位置から別の位置まで電磁エネルギを搬送するように設計された専用の物理構造または一連の構造を指す。送信ラインは、電磁エネルギが送信ラインにおける構造体を通過するときに発生するレイテンシおよび電力損失を最小化しながら、1つの位置から別の位置まで電磁エネルギを保ったまま転送するように動作する。電波の通信において使用される得る送信ラインの例は、平行2線、同軸ケーブル、マイクロストリップ、ストリップライン、ツイストペア、星形カッド、レッヘル線、様々なタイプの導波路、または簡単な単一ワイヤラインを含む。光ファイバなどの他のタイプの送信ラインは、可視光線または不可視光線などのより高い周波数の電磁放射を搬送するために使用され得る。
【0172】
「送信経路」すなわち「伝搬路」は、一般に、電磁エネルギが空間または媒体を通過するために採用する経路を指す。これは送信ラインを通る送信を含むことができる。この場合、送信経路は、送信ラインによって定義され、送信ラインを辿り、送信ラインに含有され、送信ラインを通過し、または送信ラインを全体的に含む。送信経路すなわち伝搬路は、送信ラインによって定義される必要はない。伝搬路すなわち送信経路は、上空波伝搬、地上波伝搬、見通し線伝搬、または他の形式の伝搬などで自由空間または大気を通って進む電磁エネルギによって定義され得る。その場合、送信経路は、電磁エネルギが送信器から受信器まで移動するときに通る、送信されるエネルギの方向におけるあらゆるスキップ、バウンス、散乱、または他の変形形態を含む、任意の経路であると特徴づけられ得る。
【0173】
「送信ステーション」は、一般に、送信デバイス、または電磁エネルギを送信するように構成された複数のデバイスを有する場所もしくは設備を指す。送信ステーションは、特定の受信エンティティ、送信を受信するように構成された任意のエンティティ、またはこれらの任意の組合せに対して送信するように構成され得る。
【0174】
「送信時間」は、一般に、通信ネットワークにおけるメッセージ送信の開始から終了までの時間を指す。デジタルメッセージの場合には、送信時間は、メッセージの先頭ビットから最後のビットまでが送信ノードを通り過ぎる時間である。デジタルパケットについては、パケット送信時間はパケット長およびビットレートから得ることができる。送信時間は、先頭ビットが送信器から受信器まで移動するのにかかる時間を指す伝搬遅延と混同してはならない。
【0175】
「送信する」は、一般に、何かを転送する、通信する、運搬する、中継する、発送する、または転送することを指す。この概念は、送信エンティティから受信エンティティまで何かを運搬する行為を含んでもまたは含まなくてもよい。たとえば、送信は、送信側に関する知見なしで受信され得る。同様に、送信は、受信側に関する知見の有無にかかわらず可能である。「送信する」ことは、それだけではないが、電磁スペクトラムのあらゆる適切な周波数において電磁エネルギを送るかまたはブロードキャストする行為を含み得る。送信は、データグラム、パケット等の様々なタイプのバイナリデータを定義し得るデジタル信号を含み得る。送信はアナログ信号も含み得る。
【0176】
「起動データ」は、一般に、実行するべき1つまたは複数の指令を識別する起動情報を含むデータを指す。起動データおよび指令データは、単一の送信において一緒に生じてよく、または単一通信リンクもしくは多重通信リンクに沿って個別に送信されてもよい。
【0177】
「対流圏」は、一般に、地球大気圏の最下部分を指す。対流圏は、地球の表面から上方に、中緯度地方では約17.7km(11マイル)まで、熱帯地方では19.3km(12マイル)まで、冬の極地では約6.9km(4.3マイル)まで及ぶ。
【0178】
「対流圏散乱送信」は、一般に、電波などの1つまたは複数の電磁波が対流圏向けである上空波伝搬の形態を指す。原因は確かでないが、電波の少量のエネルギが受信アンテナに向けて前方へ散乱される。激しいフェージング問題のために、一般的には多様性(たとえば空間、周波数、および/または角度の多様性)受信技術が使用される。
【0179】
「シフトアップ」は、一般に、通信システムを、より複雑な変調方式に変更することを指す。
「導波路」は、一般に、電磁スペクトラムに沿った任意の周波数において生じる電磁波などの電波を導くように構成された送信ラインを指す。例は、超低周波から超高周波までの電磁スペクトラムに沿った範囲のより低い周波数の電磁放射を転送するように構成された導電材料または絶縁材料の任意の機構を含む。他の特定の例は、高周波光を導く光ファイバまたは高周波電波(特にマイクロ波)を搬送するように使用される中空の導電性金属管を含む。
【0180】
発明の詳細な説明および/または特許請求の範囲において使用される単数形である「ある(a)」、「ある(an)」、「その(the)」等は、明示的に別様に論じられた場合を除き、複数形を含むことに留意されたい。たとえば、明細書および/または特許請求の範囲が「あるデバイス(a device)」または「そのデバイス(the device)」を参照する場合には、そのようなデバイスのうちの1つまたは複数を含む。
【0181】
本明細書では、「上へ」、「下へ」、「上部の」、「下部の」、「横方向の」、「長手方向の」、「放射状の」、「円周方向の」、「水平の」、「垂直の」などの方向を示す用語は、単に読者の便宜のために、図示された実施形態の読者の理解を支援するように使用されるものであり、これらの方向を示す用語の使用は、説明され、図示され、かつ/または特許請求された特徴を、特定の方向および/または配向に限定することを意図するものではないことに留意されたい。
【0182】
本発明が、図面および前述の説明に示されて詳細に説明されてきたが、これらの特質は例証をなすものであって限定するものではないと考えられるべきであり、望ましい実施形態のみが示されて説明されてきたこと、また以下の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神の範囲内のすべての変更形態、等価物、および修正形態は、保護されるように望まれていることが理解される。本明細書において引用されたすべての刊行物、特許、および特許出願は、あたかも個々の刊行物、特許、または特許出願が、特に、また個々に、その全体が参照によって本明細書に組み込まれ、かつ明らかにされるように指示されているかのように、参照によって本明細書に組み込まれる。
【符号の説明】
【0183】
100 通信システム
105 情報源
110 情報宛先
115 通信チャネル
120 1次通信チャネル
125 バックエンド通信チャネル
130 距離
135 1次チャネルレイテンシ
140 1次チャネル帯域幅
145 バックエンドチャネルレイテンシ
150 バックエンドチャネル帯域幅
200 通信システム
204 低レイテンシかつ低帯域幅の通信リンク
206 HF無線チャネル
208 高レイテンシかつ高帯域幅の通信リンク
212 第1の通信ノード
214 送信ステーション
216 第2の通信ノード
218 受信ステーション
220 大気
224 電磁波
228 送信アンテナ
232 受信アンテナ
236 送信ライン
240 送信ライン
244 送信ライン
252 中継器
256 地面
840 総計のペイロードサイズ
260 クライアント
264 接続
266 ワイヤレス接続
268 命令プロセッサ
272 接続
405 変調器
410 無線送信器
415 光ファイバ送信器
420 光ファイバケーブル
425 復調器
430 無線受信器
435 光ファイバ受信器
500 通信システム
505 高速送信器データネットワーク
510 高速受信器データネットワーク
600 システム遅延モデル
605 競業者ネットワーク
700 グラフ
705 期待収益ライン
710 最小限の遅延利益ポイント
715 収穫逓減ポイント
720 目標範囲
800 表1
805 1秒当たりのパケット
810 モード識別子
815 モード
820 変調方法
825 FEC方式
830 CRC方式
835 ユーザペイロードサイズ
1185 コントローラ入力
845 符号化ビットサイズ
850 ペイロードシンボル
855 パケット長
860 データレート
900 グラフ
905 短い送信経路
910 中間移行経路
915 長い送信経路
1000 グラフ
1005 短い送信経路
1010 中間移行経路
1015 長い送信経路
1100 復調器-等化器システム
1105 データストリーム
1110 復調器-等化器ユニット
1115 コントローラ
1120 メッセージ検証-選択ユニット
1125 第1の復調器-等化器ユニット
1130 第2の復調器-等化器ユニット
1135 第3の復調器-等化器ユニット
1140 等化器
1145 復調器
1150 第1の等化器
1155 第1の復調器
1160 第2の等化器
1165 第2の復調器
1170 第3の等化器
1175 第3の復調器
1180 システム出力
1200 線図
1205 競業者データ到着時
1210 システムデータ到着時
1215 システム遅延利益
1220 両方向矢印
1225 両方向矢印
1300 流れ図
1305 ステージ
1310 ステージ
1315 ステージ
1320 ステージ
1325 ステージ
1400 表2
1500 流れ図
1505 ステージ
1510 ステージ
1515 ステージ
1520 ステージ
1525 ステージ
1530 ステージ
1535 ステージ
1540 ステージ
1545 ステージ
1550 ステージ
1600 流れ図
1605 ステージ
1610 ステージ
1615 ステージ
1620 ステージ
1625 ステージ
1630 ステージ
1635 ステージ
1640 ステージ
1645 ステージ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】