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特表2022-5075692次チャネルを使用する低レイテンシのチャネル等化
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】2次チャネルを使用する低レイテンシのチャネル等化
(51)【国際特許分類】
   H04L 25/03 20060101AFI20220111BHJP
   H04L 1/14 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
H04L25/03 C
H04L1/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021526633
(86)(22)【出願日】2019-11-14
(85)【翻訳文提出日】2021-07-07
(86)【国際出願番号】 US2019070007
(87)【国際公開番号】W WO2020102824
(87)【国際公開日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】62/767,216
(32)【優先日】2018-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517203682
【氏名又は名称】スカイウェイブ・ネットワークス・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100119781
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 彰吾
(72)【発明者】
【氏名】バビック,ケビン・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ビシュロフ,テリー・リー
(72)【発明者】
【氏名】バン・ビック,ダニー
【テーマコード(参考)】
5K014
5K029
【Fターム(参考)】
5K014DA01
5K029AA03
5K029CC04
5K029DD12
5K029DD23
5K029HH05
(57)【要約】
低レイテンシかつ低帯域幅のワイヤレス通信チャネル環境向けの等化方法が開発されている。この方法では、低レイテンシかつ低帯域幅のワイヤレス通信チャネルを通じて送信されたメッセージ(または関連情報)の正確なコピー、ほぼ正確なコピー、または何らかの複写も、光ファイバネットワークなどのバックエンド通信チャネルを通じて送られる。等化は、一般に、元々受信されたメッセージを、バックエンドチャネルを通じて送られたコピーと比較することによって実施される。1次ワイヤレスチャネルとバックエンドチャネルの間の時間遅延を補償するために、オリジナルメッセージに追加のチャネル遅延を組み込むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次通信チャネルを通じて信号を受信するステップと、
バックエンド通信チャネルを通じて少なくとも前記信号の代表的なコピーを受信するステップと、
前記信号を前記代表的なコピーと比較することによって、第1の等化器を用いて前記1次通信チャネルを等化するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記等化するステップの間、ある遅延だけ前記信号を遅延させることによって前記等化器の最良の性能を確立するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1次通信チャネルが高周波無線チャネルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1次通信チャネルが低帯域幅で低レイテンシの通信リンクを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記バックエンド通信チャネルが光ファイバネットワークを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記代表的なコピーが前記信号の正確なコピーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記代表的なコピーが前記信号の特性情報を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記1次通信チャネルのタイミング性能を判定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記タイミング性能が最小時間遅延を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも前記1次チャネルの性質に基づいて前記最小時間遅延を判定するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記1次チャネルの性質が良性のときには、より高度な変調フォーマットに変更するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
金融市場のジッタ(jitter)に基づいて前記最小時間遅延を判定するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記金融市場が高頻度取引システムを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の等化器を用いて第2の等化器を収束させるステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の等化器が前記第1の等化器と同一である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の等化器が少なくとも前記タイミング性能を満たすのに応答して前記収束が生じる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記信号のさらなる遅延がないことに応答して前記収束が生じる、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の等化器のタップ値および前記第2の等化器のタップ値を収束させるステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の等化器の前記タップ値および前記第2の等化器の前記タップ値を組み合わせてメトリック(metric)を生成するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記メトリックに基づいて変調および符号化の方法を選択するステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記メトリックに基づいて前記変調および符号化の方法に索引を付けるステップをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
フィードフォワード遅延ステージ(delay stages)を除去する効果を評価することによって前記第1の等化器に関する時間領域を縮小するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
1次通信チャネルを通じて信号を受信するステップと、
バックエンド通信チャネルを通じて少なくとも前記信号の代表的なコピーを受信するステップと、
フィードフォワード遅延ステージを除去する効果を評価することによって等化器に関する時間領域を縮小するステップと、
を含む方法。
【請求項24】
バックエンド通信チャネルを通じて少なくとも前記信号の代表的なコピーを受信するステップをさらに含む、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項25】
前記信号を前記代表的なコピーと比較することによって、第1の等化器を用いて前記1次通信チャネルを等化するステップをさらに含む、請求項1から24のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項26】
前記等化するステップの間、ある遅延だけ前記信号を遅延させることによって前記等化器の最良の性能を確立するステップをさらに含む、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項27】
前記1次通信チャネルが高周波無線チャネルを含む、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項28】
前記1次通信チャネルが低帯域幅で低レイテンシの通信リンクを含む、請求項1から27のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項29】
前記バックエンド通信チャネルが光ファイバネットワークを含む、請求項1から28のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項30】
前記代表的なコピーが前記信号の正確なコピーを含む、請求項1から29のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項31】
前記代表的なコピーが前記信号の特性情報を含む、請求項1から30のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項32】
前記1次通信チャネルのタイミング性能を判定するステップをさらに含む、請求項1から31のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項33】
前記タイミング性能が最小時間遅延を含む、請求項1から32のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項34】
少なくとも前記1次チャネルの性質に基づいて前記最小時間遅延を判定するステップをさらに含む、請求項1から33のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項35】
前記1次チャネルの性質が良性のときには、より高度な変調フォーマットに変更するステップをさらに含む、請求項1から34のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項36】
金融市場のジッタに基づいて前記最小時間遅延を判定するステップをさらに含む、請求項1から35のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項37】
前記金融市場が高頻度取引システムを含む、請求項1から36のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項38】
前記第1の等化器を用いて第2の等化器を収束させるステップをさらに含む、請求項1から37のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項39】
前記第2の等化器が前記第1の等化器と同一である、請求項1から38のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項40】
前記第2の等化器が少なくとも前記タイミング性能を満たすのに応答して前記収束が生じる、請求項1から39のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項41】
前記信号のさらなる遅延がないことに応答して前記収束が生じる、請求項1から40のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項42】
前記第1の等化器のタップ値および前記第2の等化器のタップ値を収束させるステップをさらに含む、請求項1から41のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項43】
前記第1の等化器の前記タップ値および前記第2の等化器の前記タップ値を組み合わせてメトリックを生成するステップをさらに含む、請求項1から42のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項44】
前記メトリックに基づいて変調および符号化の方法を選択するステップをさらに含む、請求項1から43のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項45】
前記メトリックに基づいて前記変調および符号化の方法に索引を付けるステップをさらに含む、請求項1から44のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【請求項46】
フィードフォワード遅延ステージを除去する効果を評価することによって前記第1の等化器に関する時間領域を縮小するステップをさらに含む、請求項1から45のいずれか一項に記載の方法またはシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によって本明細書に組み込まれる、2018年11月14日出願の米国特許仮出願第62/767,216号の利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的なオーバージエア(OTA)無線送信は、大洋などの長距離にわたって送信されるとき、重大なレイテンシが生じることがある。さらに、これらの送信チャネルは、かなりノイズが多いことがあり、結果としてエラー訂正の必要性が増大する。ほとんどの長距離通信システムの高周波(HF)無線通信チャネルは、任意の時間において利用可能な割り当てられた無線帯域幅およびチャネル容量によって制限される。金融の高頻度取引用途では、HF無線チャネルを使用するとき、この帯域幅の制限によって金融指示の受信に遅延が生じることがあり、結果として経済的不利益になり得る。これらの命令を含んでいる無線信号の等化は、困難で時間もかかる可能性がある。
【0003】
したがって、この分野における改善が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明の一実施例は、例えば、2次チャネルを使用する低レイテンシのチャネル等化に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
低レイテンシかつ低帯域幅のワイヤレス通信チャネル環境に対してワイヤレス通信チャネルまたは他のチャネルを等化するための独特な方法が開発されている。
ワイヤレスチャネルは、エコー、周波数選択、(ドップラによる)周波数シフトおよび遅延拡散を含む種々の障害を導入し、その各々によって信号を正確に受信する信頼性が低下することになる。これらの影響を抑制するために、多くのデジタル通信システムは、無線チャネルが誘発する障害の望ましくない影響を緩和するように、ある種の等化器を使用する。これらの解決策は、時間歪みおよび/または周波数歪みを補正しようとする等化フィルタの形をとる。そのようなフィルタは、実際はアナログまたはデジタルでよい。通常の技術は、パイロットトーンを送ること、パイロットシンボルを送ること、およびブラインド等化を使用することを含む。これらの各々が、他のものと組み合わせて使用されてよく、またはそのまま使用されてもよい。上記の技術および関連技術を使用することは、等化と称されることが多い。デジタル復調器におけるRFチャネル等化器の目的は、データをより確実に(すなわち、より低いシンボルエラー率で)復号化し得るように、チャネル歪みおよびエコーによって生じるシンボル間干渉(ISI)を低減することである。
【0006】
これら3つの技術のすべてが、低レイテンシかつ低帯域幅の上空波無線システムには最適ではないことが分かっている。これらのシステムの低レイテンシは、遠く離れた海外の金融市場間の高速金融取引で特に役立つが、低帯域幅であるため、メッセージデータは貴重である(at a premium)。パイロットトーンまたはパイロットシンボルを送ることによる等化は、送信データに追加されるオーバヘッドを適合させるために価値のある無線リソースを消費してしまう。ブラインド等化では、等化アルゴリズムに対する入力としての誤差推定をもたらすために、送信されるデータおよびシンボルの性質の一般知識が使用される。たとえば、4相位相シフトキーイング(QPSK)システムでは、各シンボルは、シンボル時間の中心の間中、変調コンスタレーションにおける4つの特定のポイントのうちの1つにおいて理想的であると考えられる。低エラー率の環境では、各判定は、一般的には数パーセント以下のエラーで、正確である可能性が高い。したがって、独立した参照信号が信号に付加されないときさえ、変調コンスタレーションにおいて送信信号が特定数の値に制限されているため、受信されたデータから送信信号が推測され得る。ブラインド等化の課題は収束時間である。ブラインド等化の収束時間は、多くの無線チャネルで使用するには、十分に速いものではないであろう。
【0007】
本明細書で説明される等化技術は、光ファイバネットワークなどのバックエンド通信チャネルを通じて、送信メッセージ(または関連情報)の正確なコピー、ほぼ正確なコピー、または何らかの複写を送ることによって、前述の、これら種々の等化方法の欠点に対処するものである。等化は、一般に、元々受信されたメッセージを、バックエンドチャネルを通じて送られたコピーと比較することによって実施される。1次チャネルとバックエンドチャネルの間の時間遅延を補償するために、オリジナルメッセージに追加のチャネル遅延を組み込むことができる。
【0008】
一例では、HF無線チャネルを通じて送信される波形の複製または代表的なコピーを、光ファイバ通信システムなどの2次通信チャネルすなわちバックエンド通信チャネルを通じて送信することによって高周波(HF)無線チャネルを等化する方法が使用され、この方法では、最良の等化器性能を確立するために、受信されたHF信号がさらに遅延され得る。同一の第2の等化器が収束し得るのは、HF受信信号に、さらなる遅延がないとき、または組み合わされたシステムが必要なタイミング性能を満たす範囲内の遅延しかないときである。2つの等化器の収束したタップ値の間の差が組み合わされて、HF無線チャネルに対して使用される所望の変調および符号化の方法を選択するための表へのインデックスとして使用されるメトリックを生成する。収束したタップ値は、HF無線チャネルに対して使用される所望の変調および符号化の方法を選択するための表へのインデックスとしてさらに使用され得る。HFチャネルとバックエンドチャネルの間の許容できる遅延は、高頻度取引システムのタイミング制約に基づいて決定される。HF無線チャネルの許容できる追加の遅延は、より高度な変調フォーマットおよび結果としてのより短い直列化遅延をサポートする良性のチャネルを有するHF無線チャネルの性質によって部分的に決定される。別の例は、フィードフォワード遅延ステージを除去する効果を評価することによって時間領域等化器の遅延を短縮するための技術に関するものである。さらなる例は、より短い遅延のHF無線チャネル上の通信能力は消費しないオーバヘッド信号伝達、リンク制御、警報レポート、構成制御および/または他のシステム管理機能のために、より遅い2次チャネルを使用するための方法に関するものである。
【0009】
本明細書で説明されかつ図示されるシステムおよび技術は、複数の独特かつ独創的な態様に関するものである。これらの独特な態様のすべてではなくいくつかが、以下で概説される。
【0010】
態様1は、一般に、1次通信チャネルを通じて信号を受信するステップを含む方法に関するものである。
態様2は、一般に、バックエンド通信チャネルを通じて少なくとも信号の代表的なコピーを受信するステップを含む、態様1に記載の方法に関するものである。
【0011】
態様3は、一般に、信号を代表的なコピーと比較することによって、第1の等化器を用いて1次通信チャネルを等化するステップを含む、態様1または2に記載の方法に関するものである。
【0012】
態様4は、一般に、等化するステップの間、ある遅延だけ信号を遅延させることによって等化器の最良の性能を確立するステップを含む、態様1から3のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
【0013】
態様5は、一般に、1次通信チャネルが高周波無線チャネルを含む、態様1から4のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
態様6は、一般に、1次通信チャネルが低帯域幅で低レイテンシの通信リンクを含む、態様1から5のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
【0014】
態様7は、一般に、バックエンド通信チャネルが光ファイバネットワークを含む、態様1から6のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
態様8は、一般に、代表的なコピーが信号の正確なコピーを含む、態様1から7のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
【0015】
態様9は、一般に、代表的なコピーが信号の特性情報を含む、態様1から8のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
態様10は、一般に、1次通信チャネルのタイミング性能を判定するステップを含む、態様1から9のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
【0016】
態様11は、一般に、タイミング性能が最小時間遅延を含む、態様1から10のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
態様12は、一般に、少なくとも1次チャネルの性質に基づいて最小時間遅延を判定するステップを含む、態様1から11のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
【0017】
態様13は、一般に、1次チャネルの性質が良性のときには、より高度な変調フォーマットに変更するステップを含む、態様1から12のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
【0018】
態様14は、一般に、金融市場のジッタに基づいて最小時間遅延を判定するステップを含む、態様1から13のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
態様15は、一般に、金融市場が高頻度取引システムを含む、態様1から14のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
【0019】
態様16は、一般に、第1の等化器を用いて第2の等化器を収束させるステップを含む、態様1から15のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
態様17は、一般に、第2の等化器が第1の等化器と同一である、態様1から16のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
【0020】
態様18は、一般に、第2の等化器が少なくともタイミング性能を満たすのに応答して収束が生じる、態様1から17のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
態様19は、一般に、信号のさらなる遅延がないことに応答して収束が生じる、態様1から18のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
【0021】
態様20は、一般に、第1の等化器のタップ値および第2の等化器のタップ値を収束させるステップを含む、態様1から19のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
態様21は、一般に、第1の等化器のタップ値および第2の等化器のタップ値を組み合わせてメトリックを生成するステップを含む、態様1から20のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
【0022】
態様22は、一般に、メトリックに基づいて変調および符号化の方法を選択するステップを含む、態様1から21のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
態様23は、一般に、メトリックに基づいて変調および符号化の方法に索引を付けるステップを含む、態様1から22のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
【0023】
態様24は、一般に、フィードフォワード遅延ステージを除去する効果を評価することによって第1の等化器に関する時間領域を縮小するステップを含む、態様1から23のいずれか1つに記載の方法に関するものである。
【0024】
態様25は、一般に、態様1から24のいずれか1つに記載の方法を実施するためのシステムに関するものである。
本発明のさらなる形態、目的、特徴、態様、便益、利益、および実施形態は、本明細書とともに提供される、発明を実施するための形態および図面から明らかになるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】一例による通信システムの線図である。
図2】別の例による通信システムの線図である。
図3図2の通信システムの一変形形態の側面図である。
図4図2の通信システムのさらなる詳細を示す線図である。
図5】バックエンドチャネルの相対遅延によって推定される等化障害の表である。
図6】シンボルレートにスケーリングされた国際電気通信連合(ITU)の高周波プロファイルの表である。
図7】予想収益率と比較した遅延利益のグラフである。
図8】金融取引の遅延環境の図である。
図9】信号等化システムのブロック図である。
図10】等化器性能に基づいて変調および符号化(MODCOD)を選択するための方法を示す流れ図である。
図11】等化器のブロック図である。
図12】MODCODを選択する方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明の原理の理解を容易にするために、図面に示された実施形態が参照され、これを説明するために特定の言語が使用される。それにもかかわらず、それによって本発明の範囲を限定することが意図されているわけではないことが理解されよう。説明された実施形態のあらゆる改変形態およびさらなる修正形態、ならびに本明細書で説明されたような本発明の原理のそれ以上の用途は、本発明に関する当業者なら普通に考えつくように企図されている。本発明の一実施形態が極めて詳細に示されるが、本発明に関連しないいくつかの特徴は、明瞭さのために示されないこともあり得ることが当業者には明らかであろう。
【0027】
以下の説明における参照数字は、様々な構成要素が最初に示されたとき、読者が図面を迅速に識別するのを支援するように構成されている。詳細には、要素が最初に出現する図面は、一般的には対応する参照番号における最上位の数字によって指示される。たとえば、「100」番台の参照数字によって識別される要素は図1に出現する可能性が高く、「200」番台の参照数字によって識別される要素は図2に出現する可能性が高い、といった具合である。
【0028】
図1は、一例による通信システム100の汎用バージョンを示すものである。示されるように、通信システム100は情報源105および情報宛先110を含む。情報源105および情報宛先110は、1つまたは複数の通信チャネル115を通じて互いと動作可能に通信する。これらの通信チャネル115を通じた通信は、一方向型通信および/または双方向型通信であり得る。図示の例では、情報源105と情報宛先110の間の通信チャネル115は、1次通信チャネル120およびバックエンド通信チャネル125を含む。他の例では、通信システム100は、通信チャネル115を1つだけ、または通信チャネル115を2つよりも多く含むことができる。
【0029】
以下でより詳細に説明されるように、通信システム100は、複数の状況において使用され得、特に情報源105および情報宛先110が互いから物理的遠隔に配置されている状況において使用され得る。通信システム100は、たとえば個人用、商用、医療用、軍事用、および/または政治目的に使用され得る。説明のために、通信システム100は、金融取引システムの用途について記述されるが、軍事指令の発行および遠隔医療処置の実施などの他の用途向けに適合され得ることを認識されたい。この例では、情報源105および情報宛先110は、一般に、遠隔に設けられた株/商品の取引所および/または金融機関(それら取引所で取引する)の、コンピュータシステムの位置を表すものである。これらの取引所は、ほんの数例を挙げても、ニューヨーク証券取引所(NYSE)、NASDAQ株式市場、東京証券取引所(TYO)、上海証券取引所、香港証券取引所、ユーロネクスト、ロンドン証券取引所、深セン証券取引所、トロント証券取引所、ボンベイ証券取引所、シカゴ商業取引所(CME)、シカゴ商品取引所(CBOT)、およびニューヨーク商品取引所(NYMEX)を含む。
【0030】
図1に示されるように、情報源105および情報宛先110は距離(D)130だけ物理的に離れている。たとえば、情報源105および情報宛先110によって表される各取引所は、山脈、大陸、さらには大洋などによって分離され得る。この物理的距離130により、情報源105の位置と情報宛先110の位置の間の通信において遅延またはレイテンシが生じる。必ずというわけではないが通常は、距離130が長ければ長いほど、所与の通信チャネル115に関するレイテンシも長くなる。ほとんどの場合、これらの取引所の間の距離130が、直接見通し線通信の妨げになり、通信エラーのリスクが増すばかりでなく、レイテンシがさらに増加する。たとえば、情報宛先110は、情報源105の電波地平線を通り越して配置されることがある。取引ならびに他の活動に対して、時間および通信精度は非常に重要である。いかなる遅延によっても取引業者は損をする可能性があり、同様に、あらゆる通信エラーが損失をもたらす可能性がある。通信エラーは低減され得るが、通常は、より高いレイテンシおよび/またはより高い帯域幅要件といった代償を払ってのことである。ほとんどの通信チャネル115の帯域幅は、ある程度まで制限されている。レイテンシおよび帯域幅の性能は、通信チャネル115の構成およびタイプに依拠して変化する可能性がある。
【0031】
見られるように、1次通信チャネル120は1次チャネルレイテンシ(ΔTP)135および1次チャネル帯域幅(B)140を有する。バックエンドチャネルレイテンシ1451次通信チャネル120はバックエンドチャネルレイテンシ(ΔTB)145およびバックエンドチャネル帯域幅(B)150を有する。図1の通信チャネル115は、同一のレイテンシおよび帯域幅の特性、または他の特性ばかりでなく、異なるレイテンシおよび/もしくは帯域幅を有することができる。一例では、1次通信チャネル120の1次チャネルレイテンシ135はバックエンド通信チャネル125のバックエンドチャネルレイテンシ145よりも低く、1次通信チャネル120の1次チャネル帯域幅140はバックエンド通信チャネル125のバックエンドチャネル帯域幅150よりも狭い。この例のいくつかの変形形態では、1次通信チャネル120はワイヤレス通信チャネル(たとえば無線)であり、バックエンド通信チャネル125は有線タイプ通信チャネル(たとえば光ファイバケーブル)である。特定の一形態では、1次通信チャネル120は上空波通信技術を使用し、バックエンド通信チャネル125は光ファイバケーブルなどの非上空波経路を含む。他の例では、1次通信チャネル120およびバックエンド通信チャネル125は、同一タイプの通信方式用の別々の通信チャネル115を表す。たとえば、1次通信チャネル120およびバックエンド通信チャネル125は、異なる周波数帯域を有するワイヤレス通信チャネルを表し、一例では両方の通信チャネル115が高周波(HF)無線を利用して上空波伝搬によって通信する。1次通信チャネル120およびバックエンド通信チャネル125は、異なる周波数を有することにより、異なるレイテンシ、帯域幅、および/または通信エラー率を有することができる。たとえば、1つの状況では、1次通信チャネル120はバックエンド通信チャネル125よりもノイズが多いが、バックエンド通信チャネル125よりも低いレイテンシを有し得る。
【0032】
通信システム100のHF無線通信チャネル115は、任意の所与の時間において利用可能な割り当てられた無線帯域幅およびチャネル容量によって制限され得る。金融の高頻度取引用途においてHF無線通信チャネル115を使用するとき、メッセージの数および/または送信速度が増大すると通信システム100の潜在的利益が増大する。以下でさらに説明されるように、帯域幅が制限されたワイヤレス通信チャネル115を通じて送られるメッセージのレイテンシを短縮するための独特な方法が開発されている。この技術では、レイテンシが短縮されることに加えてオーバヘッドが低減されるため、単位時間当たりでより多くの取引が通信され得、かつ/または実行され得る。
【0033】
図2は、本明細書で説明された独特な技術によってデータを転送するように構成された、図1の通信システム100の特定の例である通信システム200を示すものである。図2の通信システム200は、図1の通信システム100と同様に、情報源105と、情報宛先110と、1次通信チャネル120およびバックエンド通信チャネル125を含む通信チャネル115と、を含む。具体的には、図2の通信システム200は、低レイテンシかつ低帯域幅の通信リンク204によってデータを転送するように構成されている。一形態では、低レイテンシかつ低帯域幅の通信リンク204は高周波無線チャネル(HF無線)206を含む。図2の通信システム200は、高レイテンシかつ高帯域幅の通信リンク208を通じて個別のデータによってデータを転送するようにさらに構成されている。低レイテンシかつ低帯域幅の通信リンク204および高レイテンシかつ高帯域幅の通信リンク208が、送信ステーション214における第1の通信ノード212と受信ステーション218における第2の通信ノード216の間に個別の接続をもたらす。低レイテンシかつ低帯域幅の通信リンク204は、送信アンテナ228と受信アンテナ232の間の上空波伝搬によって自由空間を通り抜ける電磁波224を使用してデータを送信するように構成されてよい。電磁波224は、第1の通信ノード212における送信器によって生成され、送信ライン236に沿って送信アンテナ228まで通される。送信アンテナ228によって放射された電磁波224は、大気220のイオン化された部分に遭遇する可能性がある。次いで、この放射された電磁エネルギは、大気220のイオン化された部分によって屈折され、電磁波224は地面256の方へ方向転換する。電磁波224は、送信ライン240によって第2の通信ノード216に結合された受信アンテナ232によって受信され得る。図2に示されるように、送信する通信ノードは、電磁エネルギを搬送するための1つまたは複数の送信ライン236を必要とすることなく、上空波伝搬を使用して、電磁エネルギを地球表面256の長距離にわたって送信する。
【0034】
データは、高レイテンシかつ高帯域幅の通信リンク208を使用して、送信ステーション214と受信ステーション218の間でも送信され得る。図2に示されるように、高レイテンシかつ高帯域幅の通信リンク208は、大洋または他の水域の下またはその中を通ることを含めて地面256を通過する送信ライン244を使用して実施され得る。図2に示されるように、高レイテンシかつ高帯域幅の通信リンク208は1つまたは複数の中継器252を含み得る。図2は送信ライン244に沿った4つの中継器252を示すが、任意の適切な数の中継器252が使用されてよい。送信ライン244には中継器252がなくてもよい。図2は、第1の通信ノード212から第2の通信ノード216に情報を送信する、低レイテンシかつ低帯域幅の通信リンク204を示すが、送信されるデータは、両方向において、低レイテンシかつ低帯域幅の通信リンク204と、高レイテンシかつ高帯域幅の通信リンク208と、を通り得る。
【0035】
示されるように、通信システム200は第1の通信ノード212に対する接続264を有するクライアント260をさらに含む。クライアント260は、接続264を通じて第1の通信ノード212に命令を送信するように構成されている。図示の例では、接続264は、マイクロ波ネットワークなどのワイヤレス接続266を含む。第1の通信ノード212において、命令は、低レイテンシかつ低帯域幅の通信リンク204もしくは高レイテンシかつ高帯域幅の通信リンク208のいずれかまたは両方によって、第2の通信ノード216に送信するように準備される。示されるように、第2の通信ノード216は接続272によって命令プロセッサ268に接続されている。接続272はマイクロ波または他のタイプのワイヤレス接続のようなワイヤレス接続266を含み得ることを認識されたい。クライアント260は、ある距離にわたって命令を送信することを望む何らかの企業、グループ、個人、および/またはエンティティでよい。命令プロセッサ268は、それらの命令を受信するかまたはそれらの命令に対して行動する、何らかの企業、グループ、個人、および/またはエンティティでよい。いくつかの実施形態では、第1の通信ノード212から直接送信されるデータをクライアント260が送信してよく、または第2の通信ノード216が命令プロセッサ268に直接接続されてもよいので、接続264および接続272は不要になり得る。通信システム200は、所望の、あらゆる種類の、低レイテンシのデータ送信のために使用され得る。一例として、クライアント260は遠隔で作業する医者または外科医でよく、一方、命令プロセッサ268は患者に対して作用するロボット機器でよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、クライアント260は金融商品の取引業者でよく、命令プロセッサ268は株式取引所でよい。取引業者は、特定の時間において、ある特定の証券または債券を買うかまたは売るように、株式取引所に命令を与えることを望む可能性がある。その代わりに、またはそれに加えて、命令は、ニュースならびに/あるいは取引業者および/または報道機関もしくは政府などのサードパーティ組織によって提供された他の情報の形式である。取引業者は第1の通信ノード212に命令を送信してよく、第1の通信ノード212は、送信アンテナ228、受信アンテナ232を使用し、および/または送信ライン244によって、命令および/またはニュースを第2の通信ノード216に送信する。次いで、株式取引所は、命令および/またはニュースを受信すると、取引業者が望む処置を処理することができる。
【0037】
通信システム200は、コンマ何秒で取引を実行するように、取引戦略がコンピュータ上で実行される高頻度取引に有効であり得る。高頻度取引では、ほんの数ミリ秒の遅延によって取引業者が数百万ドルの損失を被る可能性があり、したがって、売買命令の送信速度は、送信されるデータの精度と同様に重要である。いくつかの実施形態では、取引業者は、取引を実行するために、取引の実行を望む時間よりも前に、高レイテンシかつ高帯域幅の通信リンク208を使用して、株式取引所の近くにある第2の通信ノード216に事前設定の売買命令または条件を送信してよい。これらの命令または条件は、大量のデータの送信を必要とすることがあり、高レイテンシかつ高帯域幅の通信リンク208を使用して、より正確に配送されてよい。また、取引の実行が望まれる時間よりも前に命令または条件が一度に送信される場合、高レイテンシかつ高帯域幅の通信リンク208のより高いレイテンシが許容され得る。
【0038】
命令の最終的な実行は、命令が記憶されている通信システム200に、取引業者が起動データを送信することによって達成され得る。その代わりに、またはそれに加えて、起動データは、ニュースならびに/または取引業者および/もしくは個別のサードパーティ組織によって与えられた他の情報を含み得る。起動データが受信されると取引命令が株式取引所に送信され、取引が実行される。送信される起動データは、一般に、命令よりもデータ量がはるかに少なく、したがって、起動データは、低レイテンシかつ低帯域幅の通信リンク204を通じて送信されてよい。第2の通信ノード216において起動データが受信されると、特定の取引のための命令が株式取引所に送信される。高レイテンシかつ高帯域幅の通信リンク208ではなく、低レイテンシかつ低帯域幅の通信リンク204を通じて起動データを送信すると、所望の取引が可能な限り迅速に実行され得、この取引業者に、同じ金融商品を取引する他方当事者に優る時間利益を与える。
【0039】
図2に示された構成が図3にさらに示されており、図3では、第1の通信ノード212および第2の通信ノード216が、地球表面256のかなりの部分によって分離され、互いから地理的に遠く離れている。地球表面のこの部分は、1つまたは複数の大陸、大洋、山脈、および/または他の地理的領域を含み得る。たとえば、図2が及ぶ距離は、1つの大陸、複数の大陸、大洋等をカバーし得るものである。一例では、第1の通信ノード212はアメリカ合衆国のイリノイ州シカゴにあり、第2の通信ノード216は英国のイングランドのロンドンにある。別の例では、第1の通信ノード212はニューヨーク州のニューヨーク市にあり、第2の通信ノード216はカリフォルニア州のロサンゼルスにあり、どちらも北米にある。示されるように、送信アンテナ228および受信アンテナ232は電波地平線よりも長い距離だけ離れていて見通し線通信は不可能である。代わりに、低レイテンシかつ低帯域幅の通信リンク204の電磁波224が送信アンテナ228と受信アンテナ232の間で複数回スキップされる上空波通信技術が使用される。満足すべきレイテンシおよび帯域幅をもたらし得る任意の適切な距離、通信ノード、および通信リンクの組合せが構想される。
【0040】
図2は、上空波伝搬によって電磁エネルギが長距離を渡り得ることを示すものである。低レイテンシかつ低帯域幅の通信リンク204は、上空波伝搬を使用して、電磁波224を地面256の方へ屈折させるほど十分にイオン化された大気の部分220の中へ電磁波224を送信する。次いで、電磁波224は地面256によって反射されて高層大気220のイオン化された部分へ戻され、ここで再び地面256の方へ屈折され得る。したがって、電磁エネルギは繰り返し「スキップ」し得、電磁波224は、非上空波伝搬によってカバーされ得る距離よりもかなり長い距離をカバーすることができる。
【0041】
図4は、図2の通信システム200の特定の実装形態を示すものである。見られるように、図4の送信ステーション214における第1の通信ノード212は、変調器405、無線送信器410、および光ファイバ送信器415を含む。変調器405は、前述の可変メッセージ長技術(以下でさらに説明される)を使用してメッセージおよび/または他の情報を変調するように構成された他の電子機器、ソフトウェア、および/またはファームウェアとともに、1つまたは複数のプロセッサおよび記憶装置を含む。無線送信器410は、送信アンテナ228によってHF無線チャネル206を通じて受信ステーション218にメッセージおよび/または他のデータを送信するように、変調器405に対して動作可能に接続されている。表現された例では、無線送信器410は、1次通信チャネル120を通じてメッセージおよび/または他のデータを送信する。光ファイバ送信器415は、変調器405と、バックエンド通信チャネル125の少なくとも一部分を形成する光ファイバケーブル420と、に対して動作可能に接続されている。光ファイバ送信器415は、無線送信器410によって送信される1つまたは複数のメッセージ表および/またはメッセージの複製などの他の情報を、バックエンド通信チャネル125を通じて第2の通信ノード216に送信するように構成されている。
【0042】
図4の第2の通信ノード216は、復調器425、無線受信器430、および光ファイバ受信器435を含む。復調器425は、前述の技術(以下でさらに説明される)を使用して第1の通信ノード212からのメッセージおよび/または他の情報を復調するように構成された他の電子機器、ソフトウェア、および/またはファームウェアとともに、1つまたは複数のプロセッサおよび記憶装置を含む。無線受信器430は、受信アンテナ232によって第1の通信ノード212からメッセージおよび/または他のデータを受信するように、復調器425に対して動作可能に接続されている。図示の例では、無線受信器430も、1次通信チャネル120を通じてメッセージおよび/または他のデータを受信する。光ファイバ受信器435は、復調器425および光ファイバケーブル420に対して動作可能に接続されている。光ファイバ受信器435は、等化を促進するために、第1の通信ノード212の光ファイバ送信器415から、メッセージ表および/または変調器405からのメッセージの複製などの他の情報を受信するように構成されている。光ファイバ送信器415と、光ファイバケーブル420と、光ファイバ受信器435とが、相互に、光ファイバネットワーク440を少なくとも部分的に形成する。
【0043】
図4の通信システム200は、単方向通信または双方向通信を促進し得ることを認識されたい。たとえば、変調器405は変調復調器(モデム)として作用するように構成され得、復調器425も同様にモデムになり得る。ある特定の変形形態のHF無線送信器410は、無線トランシーバとして作用するように、ワイヤレス通信を受信するように構成され得る。同様に、HF無線受信器430は無線トランシーバにもなり得る。光ファイバ送信器415および光ファイバ受信器435は、どちらも、双方向通信を促進するように、光ファイバトランシーバになり得る。
【0044】
前述のように、送信ステーション214と受信ステーション218の間の1次通信チャネル120に沿って送信されたメッセージはいくらかのレイテンシを経験し、バックエンド通信チャネル125に沿って送信されたメッセージも同様にレイテンシを経験する。低レイテンシかつ低帯域幅の通信リンク204は高レイテンシかつ高帯域幅の通信リンク208よりも低いレイテンシを有し、このため、両方の通信チャネル115に沿って同時に送信された同一のメッセージの受信の際に遅延が生じる。一例としての図4からすると、HF無線チャネル206は復調器425の入力において測定される無線チャネルレイテンシ(THF)445を有し、光ファイバネットワーク440は、復調器425の入力において測定される2次チャネルすなわちバックエンドチャネルのレイテンシ(TSA)450を有する。HF無線チャネル206と光ファイバネットワーク440の間のレイテンシの差は、無線レイテンシ利益(ΔT)の形である。
【0045】
本明細書で説明された等化方法を用いて、HF無線チャネル206からのデータの(ほぼ)正確なレプリカが、光ファイバネットワーク440を通じて受信ステーション218の復調器425に送信される。2次通信チャネルすなわちバックエンド通信チャネル125上で送られた情報が、先立って1次通信チャネル120から受信された波形データと比較される。差(すなわちチャネルで誘起された誤差値)は、受信データを復号化する前に1次チャネル障害を低減するように作用する等化器アルゴリズムに対する入力として使用される。バックエンド通信チャネル125の光ファイバネットワーク440を通じてデータコピーを送信することにより、1次通信チャネル120のHF無線チャネル206上の帯域幅が節約される。
【0046】
この2次チャネルすなわちバックエンドチャネルのコピーデータは、たとえば未処理のユーザデータを含み、それによって、復調器425は、送信ステーション214の変調器405によって使用される符号化方法の知見を使用して、受信ステーション218においてそれらをローカルで再現することにより、どの波形が送信されたのか立証することができる。この2次チャネルデータは、変調および他のベースバンドまたは送信の処理の後にチャネルにわたって送られた波形データも含むことができる。変調された音声信号または変調された低い中間周波数信号のデジタル化されたバージョンは、この2次チャネルデータ用に使用され得る。2次チャネルデータは、無線送信器410から送信された信号のサンプルバージョンをさらに含み得る。この情報のサブセット、他の関連したタイプの情報、および/またはこの情報の任意の組合せは、等化を促進するように光ファイバネットワーク440通じて送信され得ることを認識されたい。
【0047】
現在の条件下の無線送信器410では波形が歪みを含むはずであるため、理想的には、無線送信器410の送信アンテナ228から送信された正確な波形が、バックエンド通信チャネル125を通じて送信するべきメッセージの最も有用なコピーであろう。図4に示された例では、送信ステーション214は、変調器405に対して動作可能に接続されたローカル受信器アンテナ460を有するローカル無線受信器455を含む。とりわけ、無線チャネルレイテンシ445は、無線送信器410から送信されたデータの波形を受信するように設計されている。次いで、等化を促進するように、波形のこのコピーが光ファイバネットワーク440を通じて受信ステーション218の復調器425に送信される。ローカル無線受信器455は、変調器405、無線送信器410、および/または送信アンテナ228を制御するため、および/または維持管理するために、無線送信器410からの送信を監視することなどの他の目的に使用され得る。ローカル無線受信器455で受信された送信は、受信ステーション218の復調器425に送信されるときにはレイテンシが増加しているはずであることを認識されたい。その上に、ローカル無線受信器455およびローカル受信器アンテナ460が2次チャネルデータに対して望ましくない歪みを追加する可能性がある。別の例では、変調器405および/または2次チャネルレイテンシ450は、無線送信器410および送信アンテナ228の歪みをモデル化することができる。バージョンの1つでは、変調器405が、変調されたメッセージを修正してこれらの歪みを組み込み、この修正されたメッセージが光ファイバネットワーク440を通じて復調器425に送信される。別のバージョンでは、変調器405が、光ファイバネットワーク440を通じて復調器425に未加工データを送信し、復調器425が、モデル化を実施して、送信されたメッセージ波形をシミュレートする。このモデル化手法は、2次チャネルデータを送るときのレイテンシを短縮することを認識されたい。
【0048】
図示の例では、2次移送機構は光ファイバネットワーク440であるが、他の例では、バックエンド通信チャネル125として、それだけではないが、デジタル加入者ループ、同軸ケーブル、パッシブ光ネットワーク、および/またはマイクロ波無線の組合せを含む他のネットワークが使用され得る。いずれかまたはすべてが、通信システム200の構成および性質を変化させことなく高速ファイバ移送と組み合わされ得る。
【0049】
繰り返しになるが光ファイバネットワーク440はHF無線チャネル206よりも遅延が大きいが、事実上エラーはなく、復調器425におけるHF無線チャネル等化器の性能を最適化するために、送信されたHF信号のイメージをもたらすのに適切であるばかりでなく、すべての非リアルタイム通信にも適切である。受信ステーション218では、この完璧な遠端の送信情報により、HF無線チャネル206が静止している場合には完璧に近い等化が可能になるはずであるが、一般的にはHF無線チャネル206は静止していないので、いくらかのシンボル間(ISI)が残る可能性がある。1次通信チャネル120のHF無線信号の期限間近にバックエンド通信チャネル125からメッセージコピーが到着したときには、復調器425におけるチャネル適合または等化は非常に優れたものになる可能性が高いが、光ファイバネットワーク440からのメッセージコピーがひどく遅れる(すなわちΔTが大きい)場合には、チャネル等化は恐らく低品質になる。
【0050】
ワイヤレスシステムでは、チャネル状況が変化したときの変調技術の変更、ネットワーク性能の監視、新規符号化方式の送信、および/または暗号化方式の変更などの種々の機能を実施するために、エンドツーエンドの双方向信号伝達が必要となることがある。このタイプのデータトラフィックの信号伝達は、双方向バックエンド通信チャネル125を使用することにより、1次通信チャネル120を使用することなく達成され得る。しかしながら、この技術を用いる等化のためには、一方向の2次通信チャネルすなわちバックエンド通信チャネル125が適切である。
【0051】
等化器システムに関して、等化器の出力は、理想的にはいくらかのノイズを付加された(適切な送信および受信フィルタリングの後の)送信データシンボルD(n)と同一である。等化器出力データD”(n)は、信号上のノイズに、適応等化器によって補正されない何らかのチャネル歪みが加わることによって、理想から変化するはずである。等化器のエラーがもたらすシンボル間干渉(ISI)で、特定の情報シンボルが経時的に広がって近隣のデータシンボルと干渉する。判定デバイスは、送信された最も確率の高いシンボルを選択する。エラー信号は、等化器出力D”(n)、ならびにD”(n)と訓練シーケンスなどの既知の参照信号、メッセージストリームの中へ周期的に埋め込まれたパイロットシンボル、および/または判定出力D’(n)のうちの1つまたは複数との間の差から生成され得る。
【0052】
通信システム200によって使用される等化方法は、パイロットシンボル、パイロットトーン、またはチャンネル推定をサポートするように使用される他の先験的な信号に関連する失われたチャネル容量を無視する。その代わりに、この方法は、復調器425のチャネル等化器に関するタップ値を計算する際に使用するように送信される正確な情報を送るために、バックエンド通信チャネル125を直接使用する。それにもかかわらず、ある特定の変形形態では、等化をさらに促進するようにパイロットトーンおよび/またはシンボルが時たま使用され得ることを認識されたい。
【0053】
図5の表1(500)を参照して、国際電気通信連合(ITU)の擾乱状態のHF無線チャネルにわたる50ミリ秒(ミリ秒)の遅延は、シミュレートされた方法と比較して、システム性能にいくらかの劣化をもたすことが先立って認められている。大西洋横断送信の事例では、光ファイバネットワーク440とHF無線チャネル206の間の無線レイテンシまたは遅延利益(ΔT)は、約10~15ミリ秒など、50ミリ秒よりもかなり短いと予期される。さらに、そのような事例におけるHF無線チャネル206は、通常は中程度または静穏状態であるため、(ITUによって定義されたような)擾乱状態になるのはまれであると予期される。
【0054】
図5の表1(500)における50ミリ秒の例示的遅延において、約10-2のエラーフロアを有するリンクを考えると、送信データ情報には、コヒーレンス時間と比較して5%(50ミリ秒/1000ミリ秒)の遅延がある。中程度のチャネルについては、表1(500)は、2.5%のリンク遅延および3・10-3への改善を示す。静穏状態のチャネルについては、エラーフロアに達しておらず(すなわち0.5%の遅延)、品位低下は適度(すなわち30dBのSNRにおける約1dB)である。この事例では、HF無線チャネル206の変化する時間が、バックエンド通信チャネル125のエンドツーエンド遅延と比較して比較的長いので、2次チャネル等化技術によって、遅延した送信信号を使用してHF無線チャネル206を首尾よく等化することができる。
【0055】
等化器におけるフィードフォワードタップおよびフィードバックタップは、遅延耐性のあるシステムにおいて、チャネルの時間遅延拡散の大部分を取り込むために使用され得る。通信チャネル115は、一般的には二乗平均平方根(RMS)遅延拡散によって特徴づけられる。RMS遅延拡散は、一般的には、反射波のエネルギに比例して重み付けされた、標準偏差または二乗平均平方根として定義される。超高性能の等化器は、このRMS値に似た遅延を導入する傾向があり、訂正するべき遅延拡散がいくつかの標準偏差に対して設定される場合には、より長期間になりがちである。しかしながら、高頻度取引用途については、等化による長い遅延は許容できない。
【0056】
この長い等化遅延に対処するために使用され得るいくつかの技術がある。1つの技術では、1次通信チャネル120とバックエンド通信チャネル125の間の時間遅延差(ΔT)が通信システム200によって測定され、等化器性能に対するこの遅延の影響が判定される。別の技術では、等化器の遅延は、チャネル状況に応じて、通信システム200の性能が、最小時間遅延利益(TREQ)および最大の有効な時間遅延利益(TMAX)を条件としてメッセージスループットを最適化するように変更される。別の技術を使用すると、等化器の内部タップ値を使用してHF無線チャネル206の性能が推定され、チャネル状況に応じて等化遅延が切り詰められる。さらなる技術では、2つの通信チャネル115の間の時間遅延差(ΔT)の影響を緩和するために予測等化戦略が使用される。これらの手法の組合せが使用され得ることを認められたい。
【0057】
以前に言及したように、シンボル間干渉(ISI)は等化器が直面している課題である。前シンボルからの遅延エネルギならびに現在のシンボルからのエネルギが、あらゆるシンボルの主要なエネルギの到着に先行する可能性があり、それによってISIが生じる。許容できるエラー率に到達して、過去のシンボルからのエネルギのみを現在のシンボルから差し引くことができる場合には、等化器遅延は、恐らく約1シンボルまたは数シンボルと非常に小さいものである必要がある。実際には、10kHzのHF通信システム200上で動作するときには遅延利益(ΔT)は数シンボル時間になるはずであるため、HF無線の遅延利益(ΔT)は、主信号の前縁に先立つISIのうちのいくらかを除去するためにいくらかの遅延を許容することができる。一実装形態では、8,000シンボル/秒の10kHzのチャネルが使用される。チャネル挙動は、これらの値を使用して、図6の表2(600)に示されるようなシンボルの表現でスケーリングされ得る。
【0058】
表2(600)に見られるように、チャネル遅延拡散は長いが、ドップラ拡散はシンボル時間の点から見て比較的遅い。実際的な言い方をするなら、等化器において全体の遅延拡散を取り込むと、擾乱状態のチャネルには1ミリ秒~数ミリ秒の遅延をもたらすことになる。2次チャネル等化方法および通信システム200は、パケットエラー率(PER)と遅延要求の両方を満たすように等化器を切り詰めるために、通信システム200の全体的な遅延性能に対する等化器における遅延の影響を考慮に入れる。
【0059】
図2の通信システム200の取引の収益性には、採用されている取引戦略に加えて複数の技術的要因が作用する。図2の通信システム200と競業者の取引の間の遅延時間は、高速の金融取引中などの収益性に影響を与えることを認められたい。競業者ネットワークに対する図2の通信システム200の時間利益がより大きければ、特に複数の金融取引にわたって集約されたとき、より大きい潜在的利益をもたらす。金融取引(たとえば株取引または商品取引)が行われる取引ネットワークには、ほぼ取引が処理されるときの程度の、ある特定の量の処理ジッタがある。競業者ネットワークと通信システム200の間のタイミング利益が、取引システムのジッタと比較して小さい場合には、図2の通信システム200からのメッセージが最初に到着したときさえ、競業者ネットワークからのメッセージが図2の通信システム200からものよりもほんの少し先に実行されてしまう可能性があるため、利益の値が低下する。
【0060】
正確に受信されたメッセージの数などのメッセージエラーも収益性に影響を及ぼすことがある。時には、メッセージが適切に復号化され得ず、かつ/または、エラー訂正技術が時間利益ウィンドウの範囲内で(またはいつまでも)確実にメッセージを補正することができない。これは、送信されたメッセージが受信ステーション218において削除され、かつ/または適切に復号化されない、メッセージ消去をもたらす。メッセージ消去は、図2の通信システム200または他の通信システム100を使用するHF無線チャネル206の収益性に悪影響を及ぼす可能性があることを認められたい。取引システムに配信される、誤ったメッセージの数は、クライアントの収益性にさらに影響を及ぼし、結果として通信システム200の潜在的採算性に影響を及ぼす。これらの誤ったメッセージが生じるのは、復調器425が、無線ノイズおよび/またはメッセージフィルデータなどのメッセージではないものを有効なメッセージとして不正確に復号化するときである。
【0061】
全体として、タイミング利益およびシステム性能は、図2の通信システム200の経済的価値に影響する。収益性に影響を与える要因のうちのいくつかには、たとえば1つまたは複数の競業者ネットワークに対するタイミング利益、送信されるメッセージの数、およびメッセージエラー率がある。これらの要因は互いに相殺する可能性がある。たとえば、競業者に対するシステムのタイミング利益が減少するのにつれて、成功したメッセージの価値が低下する可能性がある。この影響は取引システムのジッタによって悪化する。
【0062】
図7のグラフ700からすると収穫逓減の概念も当てはまり、絶対利益が増加するのにつれて、時間利益単位当たりの価値の増加が縮小する。すなわち、一般的には、特定の効果または利益がより大きくなるのにつれて報酬が直線状に拡大することはなく、最大のポイントまたは収穫逓減ポイントがもたらされる。高頻度取引の場合には、競業者がアクションにそれ以上速く応答することができないので、値のこの減少が通常はより高速であり、よりひどい損害を被ったとき、取引所の取引システムにジッタがあるとき、および/または他の要因によって、取引に関与しようとする当事者はより少なくなる。この状況が、図7のグラフ700によって図解で示されている。
【0063】
グラフ700の予想収益ライン705によって示されるように、(たとえば平均の)統計的予測から、図2の通信システム200の競業者ネットワークに対するタイミング利益が収益性をもたらす最小遅延時間利益限界(TMIN)710がある。とりわけ、最小遅延時間利益限界710は、金融取引システムのジッタの原因となる許容マージンまたは安全マージンをもたらす。しかしながら、収穫逓減ポイントすなわち最大遅延時間利益限界(TMAX)715もあり、このポイントでは、図2の通信システム200が競業者よりも高速であっても、予想収益に対する効果は最小限しかないか、または全くないことさえある。最小遅延時間利益限界710と最大遅延時間利益限界715の間に、通信システム100が収益性を保証するために正常に動作するべき目標範囲720がある。
【0064】
タイミング利益に加えて、通信システム100の送信性能が通信システム100の経済的価値に影響を及ぼす。単純に、図2の通信システム200によってより多くのメッセージが配信されると、潜在的利益がより大きくなる。無線および他の送信は完全ではない。受信ステーション218において復号化されたメッセージは、正確なもの、削除されるもの、またはエラー(すなわちフォールスポジティブメッセージ)であり得る。各メッセージタイプは期待値を有し、誤ったメッセージは負の期待値(損失)を有する。削除されるメッセージは、中性の値(損益なし)または実行する必要があったにもかかわらず見逃された取引または機会による損失を表す値のいずれかを有し得る。
【0065】
低位の変調および符号化(MODCOD)方式はエラー率を低減することはできるが、競業者ネットワークに対する時間利益を犠牲にしてのことである。低位のMODCOD方式は、パケット長を増大するオーバヘッドを必要とし、結果として遅延利益が減少し、メッセージスループットが低下する。本明細書で論じられた技術では、より高度なメッセージスループットをもたらす高位のMODCODをサポートするためには、いくらかの時間利益が犠牲になる。
【0066】
図7に関して以前に言及されたように、時間利益は最適範囲または目標範囲720を有する。たとえば、最小限の予想収益で(すなわち非常に小さい遅延利益で)多数のメッセージを持つことはあまり意味がない。この状況が生じるのは、変調が複雑であるにもかかわらず、チャネルひずみを補正するために非常に長い期間の等化器が必要な場合である。同様に、通信システム200におけるメッセージ障害はゼロに近くても遅延利益が最大遅延時間利益限界715に到達している場合には、動作モードは最適状態に及ばない。
【0067】
等化器1100のユニット1115は、これらの関心事ならびに他の関心事のバランスをとるために、遅延範囲ウィンドウすなわち目標範囲720を設定し、次いで、図12の線図800によって示されるように、目標範囲720内にとどまることを条件として、首尾よく受信されるメッセージの数を最大化することを目ざす。示されるように、線図800は競業者データ到着時(TC)805およびシステムデータ到着時810を示す。見られるように、競業者データ到着時805と1次通信チャネル120の間の時間差によってシステム遅延利益815が生じる。最低でも、等化器1100のユニット1115は、システムデータ到着時810を、最小遅延時間利益限界(TMIN)710と収穫逓減ポイントまたは最大遅延時間利益限界(TMAX)715の間に、より望ましくは目標範囲720内に保つように努める。両方向矢印820によって指示されるように、ビット/シンボルを調節するとシステム遅延利益815が変化する。たとえば、ビット/シンボルを減少すると、一般に、メッセージを等化して復号化するのに必要な時間が長くなってシステム遅延利益815が減少し、また1シンボル当たりのビット数を増加すると、一般にこの時間が短くなり、それによってシステムデータ到着時810が増加する。図12において、両方向矢印825は等化器期間を指示する。一般に、等化器ウィンドウの期間がより長くなれればメッセージに対する等化時間が増加し、結果としてシステム遅延利益815が減少し、また等化ウィンドウがより短くなればメッセージ処理時間が短くなり、それによってシステム遅延利益815が増加する。
【0068】
復調器425は、2次チャネル等化技術を用いて、等化器特性と、図4に示されるように光ファイバネットワーク440または他のバックエンド通信チャネル125を通じて送られた送信データを含む参照信号とを使用することにより、図8に示されるように、最小遅延時間利益限界710と最大遅延時間利益限界715の範囲内に等化器の性能を最適化する。この方法の構成では、少なくとも2つの可能性のある性能の問題が考慮に入れられる。第1に、1次通信チャネル120とバックエンド通信チャネル125の間の時間遅延差(ΔT)によって、等化器が理想的な内部タップの重みづけから逸脱する可能性がある。第2に、等化器は、ある期間にわたって広がった受信信号を補償する必要もある。より擾乱の激しい無線チャネルには長期の等化器が必要であり、そのためにシステム遅延が増す。
【0069】
最初に、2次チャネルすなわちバックエンドチャネルの等化方法の一態様が、図9および図10を参照しながら説明される。この技術は、通常、受信ステーション218において、プロセッサ、メモリ復調器425ならびに/または他のコンピュータシステムによって実施されるが、他のところで、または他のシステムによっても実施され得る。この方法は、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはこれらのいくつかの組合せによって実施され得る。説明のために、この方法は、復調器425上の等化器ソフトウェアによって実施されるものと記述される。この例では、個別のソフトウェアすなわち仮想等化器が、復調器425上で個別のソフトウェア処理として実行される。この技術は、電子的実施形態すなわちハードウェアの実施形態によって実施され得ることを認識されたい。
【0070】
図9は、この方法を実施するように構成された信号等化システム900の一例のブロック図を示すものである。示されるように、信号等化システム900は送信ステーション214の送信フィルタ905を含む。送信ステーション214の無線送信器410は、時変チャネル910に沿ってHF無線信号を送信する。見られるように、時変チャネル910はノイズ915を経験する。図示の例では、時変チャネル910はHF無線チャネル206を形成する。無線受信器430において、受信フィルタ920が信号を受信する。繰り返しになるが、図示の例では、等化器の機能はソフトウェアの形式で復調器425に組み込まれている。示されるように、復調器425は、サンプリング回路925、チャネル遅延ユニット930、および参照等化器すなわち第1の適応等化器935を含む。チャネル遅延ユニット930は、1次通信チャネル120とバックエンド通信チャネル125の間の時間遅延差(ΔT)を少なくとも部分的に補償するために、等化器の発散を低減するように、HF無線信号を遅延させる。適応等化器935は、少なくともエラー信号940に基づいて適合する。エラー信号940は、バックエンド通信チャネル125の光ファイバネットワーク440を通じて参照信号945として受信されたメッセージコピーに少なくとも部分的に基づくものである。参照等化器935の出力は、等化判定のために第1の判定デバイス950に送られる。
【0071】
以前に言及したように、1次通信チャネル120とバックエンド通信チャネル125の間の時間遅延差(ΔT)によって、等化器が理想的な内部タップの重みづけから逸脱する可能性がある。次に、図10に示される流れ図1000を参照しながら、等化器性能に基づいて変調および符号化(MODCOM)を選択する方法または技術が説明される。通信システム200の性能を最適化するために、受信ステーション218の復調器425は、参照等化器を生成することによって等化器性能に生じるあらゆる影響を推定する。この例では、参照等化器は、復調器425上で動作する(たとえば図9の信号等化システム900の形式の)ソフトウェアタイプの等化器すなわちシミュレートされた等化器であるが、他のタイプの等化器も使用され得る。
【0072】
以下でより詳細に説明されるように、復調器425は、後に、参照等化器と同一の、第2の等しい等化器955を生成する。参照等化器は、図7および図8で明らかにされた最小のタイミング要件(TMINまたはTREQ)には関係なく、最適な等化器特性を判定するように使用される。見られるように、システム100はコントローラ960および第2の判定デバイス965をさらに含む。コントローラ960は、一般にシステム900の動作を制御する。示されるように、コントローラは、参照等化器935、チャネル遅延ユニット930、および等しい等化器955に対して動作可能に結合されている。第2の判定デバイス965は、等しい等化器955に対して動作可能に結合されており、システム900に出力(D*(n))を供給するように構成されている。
【0073】
HF無線チャネル206からのHF無線信号メッセージのタイミングが光ファイバネットワーク440からのコピーメッセージのタイミングと一致するように、HF無線チャネル206からのHF無線信号が、参照等化器935を用いて減速されるかまたは遅らされる。次いで、HF無線チャネル206の特性が、実際の等化処理を促進することができる参照等化器935に基づいてモデル化され得、または判定され得る。一対の同じ等化器955は、少なくとも最小遅延時間利益限界(TMIN)710を満たすかまたは上回る最適な等化器特性には可能性として及ばない、その特性を用いて、リアルタイム受信信号を処理するように使用される。たとえば、参照等化器935は、HF無線信号がどの程度まで遅延するか、また遅延およびISIの要求を満たすために参照等化器タップをどれくらい切り詰めることができるかを判定するように使用され得る。
【0074】
参照等化器935を生成するために、復調器425は、ステージ1005において、無線チャネルレイテンシ(THF)445および2次チャネルすなわちバックエンドチャネルのレイテンシ(TTP)450(図4)を測定するかまたは推定する。復調器425は、これらの測定および/または推定に基づいて、HF無線チャネル206のレイテンシと光ファイバネットワーク440のレイテンシの間の差を、無線送信時間利益の形式で計算する。ステージ1010において、参照等化器935は、図7および図8に示された最小遅延時間利益限界710(TMINまたはTREQ)のタイミング要求を満たさないように構成される。言い換えれば、参照等化器935は、高い平均収益率を一貫してもたらすために、競業者ネットワークと比較して一般に遅すぎるように設計される。しかしながら、参照等化器935は、比較のための、受信ステーション218にとって等化上限が既知である最良の事例として働く。この技術の手法により、信号等化システム900の挙動が、バックエンド通信チャネル125およびHF無線チャネル206からの完全情報を使用して、遅延制約なしで(すなわち、あたかもΔT遅延が重要でないかのように)最適化され得る。このように、復調器425は、HF無線チャネルの挙動の、最良ではなくともより優れたイメージに達する。ビットエラー率(BER)、パッケージエラー率(PER)、または他のデータ品質の測定は、適正動作を確認するために、理想的な参照等化器935上で行われてよい。
【0075】
図9からすると、ステージ1015におけるチャネル遅延ユニット930からのHF無線チャネルの遅延によって、等しい等化器955に対するHFチャネルの遅延が縮小する。等化器がより大きいISIを経験する可能性があるものの、HFチャネル遅延は最小遅延時間利益限界(TMIN)710のタイミング要求を満たすかまたは上回るように短縮され、その結果、通信システム200は全般的に目標範囲720内で動作する。ステージ1020において、参照適応等化器935は、光ファイバネットワーク440からの複製されたメッセージデータと、チャネル遅延ユニット930によって遅延されたHF無線信号とを使用して収束される。ステージ1025において、コントローラ960は、HFチャネルの状態を判定し、チャネルの状態に対して最適のMODCODを判定する。ステージ1028において、使用するべき最適のMODCODが現在のものではない場合には、コントローラ960は、遠端変調器405に、MODCODを変更するように信号で伝え、図10の処理はステージ1010に戻る。ステージ1028において、現在の(または新規の)MODCODが最適であると認められた場合には、コントローラ960は、ステージ1035において、一対の等化器955向けのタップパラメータをロードし、一対の等化器955はこれらを使用してリアルタイムデータを復号化する。一対の等しい等化器955によって使用される第2のタップパラメータ(図9の#2タップパラメータ)は、時間遅延要件を満たすように切り詰められた参照等化器935からの第1のタップパラメータ(#1タップパラメータ)の切り詰められたセットである。
【0076】
いかなる適応システムも、性能を測定する方法を必要とする。図9の信号等化システム900では、エラー信号940の平均の大きさおよび他の特性の測定値が観測される。これは総合的性能のグロス測定であるが、エラー信号940は、信号等化システム900の内部動作に対する具体的な洞察をもたすわけではない。拡張手法は、メッセージスループットおよび遅延性能の観点よりも優れているシンボルエラー率の観点から準最適な解決策を判定するために、タップ(複素)値を個々に評価して信号等化システム900の挙動のより深い理解に達するものである。
【0077】
変調および符号化(MODCOD)方式を選択するために、信号等化システム900は、ステージ1025において、等化器内部のタップ重みづけに基づくメトリックを使用する。切り詰められたリアルタイム等化器955において省略されたタップ重みづけを検査することによってあらゆる残留ISIを推定するために、参照等化器935のタップの値が使用され得る。別の実施形態では、準最適なタップ設定に基づいて残留ISIを測定するために、リアルタイム等化器955の遅延バージョンが使用される。図11に示されるように、低減されたISIを有する等化器出力1120を生成するために、各タップ1110において、受信信号1105の選択された(またはすべての)遅延値を有する遅延ラインの等化器1100に複素タップ重み(振幅および位相)が掛けられ、ユニット1115において合計される。上記で論じられた例において遅延制約を受ける等化器1100の性能を推定するために、それぞれの等化器の大きさのRMS合計が1になるように、一旦正規化された等化器タップ値の大きさのRMS値が使用される。このメトリックは、ステージ1030において、通信システム200におけるサポートMODCODを含有している表へのポインタとして働く。一例では、信号等化システム900は、ステージ1025からの推定されたISIおよびSNRに基づいてMODCOD方式を選択する。この目的のために、様々な他の可能なメトリックが適する。
【0078】
再び図11を参照して、等化器1100のいくつかのタップ1110は前向きであり、いくつかは後向きである。後向きタップ1110は遅延をもたらさないが、前向きタップ1110を適用するには、等化器出力1120より前に遅延ラインを使用する必要がある。システム遅延を最小化するやり方の1つには、通信システム200における前向きタップ1110の数を減少するものがある。
【0079】
前向きタップ1110の数を減少することによって遅延を最小化するための技術の1つが、図12の流れ図1200によって示されている。ステージ1205において、等化器1100におけるすべてのタップ1110が、タップ重みづけの2乗の合計が1になるように正規化される。等化器1100または他のシステムは、ステージ1210において、除去されるフィードフォワードタップ1110の大きさの2乗を差し引くことによってメトリックを生成する。この値はステージ1205によって1未満になる。ステージ1215において、通信システム200は、使用中の現在のMODCODまたは図10のステージ1030用に識別されたものをベースとして始めて使用するべきMODCODを選択するために、表に索引を付けるのに、このメトリックを使用する。MODCODを選択した後に、収束した参照等化器935のタップ重みづけは、遅延要求を満たすやり方で切り詰められる。
用語集
特許請求の範囲および明細書において使用される言語は、以下で明示的に定義されるもの以外は、平易な通常の意味のみを有するものとする。これらの定義における語は、平易な通常の意味をのみを有する。そのような平易な通常の意味は、ウェブスターの辞書およびランダムハウス辞書の最新刊からのすべての矛盾しない辞書の定義を含むものである。本明細書および特許請求の範囲で使用されるように、以下の定義はこれらの用語および以下で識別されるこれらの通常の変形に当てはまる。
【0080】
「アンテナ」または「アンテナシステム」は、一般に、電力を電磁放射に変換する、任意の適切な構成の電気デバイスまたは一連のデバイスを指す。そのような放射は、電磁スペクトラムに沿って、任意の周波数において、垂直、水平、または環状のいずれかに偏波する。円偏波を用いて送信するアンテナは右旋または左旋の偏波を有し得る。電波の場合には、アンテナは、極低周波(ELF)から極高周波(EHF)までの電磁スペクトラムに沿った周波数範囲で送信し得る。電波を送信するように設計されたアンテナまたはアンテナシステムは、(大抵の場合送信ラインを通じて)受信器または送信器に対して電気的に接続された金属導体(要素)の機構を備え得る。送信器によってアンテナを通じて強制された電子の振動電流がアンテナ素子のまわりに振動磁界を生成し得、また電子の電荷が素子に沿った振動電界を生成する。これらの時変磁界および時変電界は、動く横電磁界波形としてアンテナから離れて空間に放射される。反対に、受信中に、入来電磁波の振動電界および振動磁界により、アンテナ素子における電子は、力がかかって前後に動き、アンテナにおける振動電流を生成する。次いで、これらの電流が受信器によって検知され、デジタルまたはアナログの信号またはデータを回復するように処理され得る。アンテナは、電波を、すべての水平方向において実質的に均等に(全方向性アンテナ)、または特定の方向において選択的に(指向性アンテナまたは高利得アンテナ)送受信するように設計され得る。後者の事例では、アンテナは追加の要素または表面も含み得、これらは、送信器または受信器に対する何らかの物理的電気的接続を有してよく、または有しなくてもよい。たとえば、寄生素子、放物面反射器またはホーン、および他のそのような無加圧の要素が、電波をビームまたは他の所望の放射パターンへと導く。したがって、アンテナは、これらの様々な表面または要素を配置することによって指向性または「利得」の増加または減少を示す。高利得アンテナは、放射される電磁エネルギの実質的に大部分を、垂直、水平、またはこれらの任意の組合せであり得る所定方向へ導くように構成され得る。アンテナは、電離圏などの大気の上層に向けて電磁エネルギを集中させるために、地面に対して垂直角度(すなわち「取り出し角)の特定の範囲内で電磁エネルギを放射するようにも構成され得る。電磁エネルギを特定の周波数で送信し、高層大気に向けて特定の角度で導くことにより、1日のうちの特定の時間における特定のスキップ距離が達成され得る。アンテナの他の例は、電気エネルギを電磁スペクトラムの可視光線または不可視光線の部分の電磁エネルギのパルスに変換する発光体およびセンサを含む。例は、遠赤外線から超紫外線までの電磁スペクトラムに沿った周波数範囲の電磁エネルギを生成するように構成された発光ダイオード、レーザ等を含む。
【0081】
「バックエンド通信チャネル」、「2次通信チャネル」、すなわち「2次チャネル」は、一般に、情報を転送するための主要な選択肢である通信経路を指す。必ずというわけではないが一般的には、2次チャネルには、レイテンシまたは帯域幅などの1つまたは複数の特性があるため、1次チャネルに対してあまり望ましくない。たとえば、2次チャネルは、1次チャネルと比較してより低いデータレートおよび/またはより低いレイテンシを有し得る。1次チャネルは、情報の転送を、一方向のみ、いずれかの方向を交互に、または両方向を同時に、サポートし得る。2次チャネルは、たとえば有線形式の通信および無線形式の通信を含むことができる。
【0082】
「帯域」または「周波数帯域幅」は、一般に上限周波数および下限周波数によって定義される連続した周波数の範囲を指す。したがって、周波数帯域幅は、一般的には帯域の上限周波数と下限周波数の間の差を表すヘルツ(サイクル/秒)の数として表現され、上限周波数自体および下限周波数自体は含んでもまたは含まなくてもよい。したがって、「帯域」は、所与の領域に関する所与の周波数帯域幅によって定義され、一般に合意された用語で示され得る。たとえば、米国における「20メートル帯域」は、14MHz~14.35MHzの周波数範囲を割り当てられており、したがって0.35MHzすなわち350kHzの周波数帯域幅を定義するものである。別の例では、国際電気通信連合(ITU)は、「UHF帯」として300MHz~3GHzの周波数範囲を指定している。
【0083】
「チェックサム」は、一般に、デジタルデータの送信中および/または記憶中に導入された可能性があるエラーを検知するために、このデジタルデータのブロックから導出されたデータを指す。一般的にはチェックサムデータのサイズは比較的小さい。チェックサム自体は、大抵の場合データの完全性を検証するために使用されるが、チェックサムは、一般的にはデータの確実性を検証するためには当てにならない。データ入力からチェックサムを生成する手順または処理は、チェックサム機能またはチェックサムアルゴリズムと呼ばれる。優れたチェックサムアルゴリズムは、使用事例に依拠して、データ入力の小さい変化に対してさえ、通常はかなり異なる値を出力するはずである。データ入力に対して計算されたチェックサムが以前に計算されたチェックサムの記憶された値と一致したときには、データの偶発的変化はなかった確率および/またはデータは破損していない確率が高い。いくつかのチェックサムアルゴリズム技術は、パリティバイト、合計の補数、および位置依存性アルゴリズムを含む。チェックデジットおよびパリティビットは、通常はデータの小ブロックに対して適切な、チェックサムの特殊なケースである。いくつかのエラー訂正コードは、通常のエラーを検知するばかりでなく、エラー訂正コードが場合によっては元データの回復をさらに支援する特別なチェックサムに基づくものある。
【0084】
「指令」または「指令データ」は、一般に、マシンを、単独または組合せで、1つまたは複数の処置をさせるように制御する、1つまたは複数の指示、命令、アルゴリズム、またはルールを指す。指令は、任意の適切なやり方で記憶されてよく、転送されてよく、送信されてよく、または処理されてよい。たとえば、指令は、記憶装置に記憶されてよく、または任意の適切な媒体を通過する任意の適切な周波数の電磁放射として、通信ネットワークを通じて送信されてもよい。
【0085】
「通信リンク」は、一般に2つ以上の通信するエンティティ間の接続を指し、通信するエンティティ間の通信チャネルは含んでもまたは含まなくてもよい。通信するエンティティ間の通信は、任意の適切な手段によって生じ得る。たとえば、接続は、実際の物理リンク、電気的接続、電磁気リンク、論理リンク、または通信を促進するその他の適切なリンクとして実施され得る。実際の物理リンクの場合には、通信は、1つの要素の別の要素に対する物的移動によって互いに対して応答するように構成された通信リンクにおける複数の構成要素によって生じ得る。電気的接続の場合には、通信リンクは、通信リンクを形成するように電気的に接続された複数の導電体から成り得る。電磁気リンクの場合には、接続の要素は、任意の適切な周波数において電磁エネルギを送信するかまたは受信することによって実施され、したがって通信を電磁波として通し得る。これらの電磁波は、光ファイバなどの物理的媒体、自由空間、またはこれらの任意の組合せを通過してよく、または通過しなくてもよい。電磁波は、電磁スペクトラムにおけるあらゆる周波数を含む任意の適切な周波数において通され得る。論理リンクの場合には、通信リンクは、受信ステーションにおける送信ステーションなどの、送り側と受け側の間の概念的なリンクでよい。論理リンクは、物理的リンク、電気的リンク、電磁気リンク、または他のタイプの通信リンクの任意の組合せを含み得る。
【0086】
「通信ノード」は、一般に、通信リンクに沿った、物理的もしくは論理的な接続ポイント、再配信ポイント、またはエンドポイントを指す。物理的ネットワークノードは、一般に、通信リンクに対して物理的、論理的、または電磁的に取り付けられた、または結合された、能動電子デバイスと称される。物理的ノードは、通信リンクを通じて情報を送信すること、受信すること、または発送することができる。通信ノードは、コンピュータ、プロセッサ、送信器、受信器、中継器、および/もしくは送信ラインまたは任意のこれらの組合せを含んでよく、または含まなくてもよい。
【0087】
「コンピュータ」は、一般に、任意数の入力値または変数から結果を計算するように構成された任意のコンピューティングデバイスを指す。コンピュータは、入力または出力を処理する計算を実施するためのプロセッサを含み得る。コンピュータは、プロセッサによって処理される値または以前の処理の結果を記憶するための記憶装置を含み得る。コンピュータは、値を受信したりまたは送信したりするために、多様な入力デバイスおよび出力デバイスから入力および出力を受け取るようにも構成され得る。そのようなデバイスは、他のコンピュータ、キーボード、マウス、表示装置、プリンタ、産業用機器、ならびにすべてのタイプおよびサイズのシステムまたは機械類を含む。たとえば、コンピュータは、要求に応じて様々なネットワーク通信を実施するように、ネットワークインターフェースを制御することができる。コンピュータは、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータなどの単一の物理的コンピューティングデバイスでよく、またはネットワーク化されたクラスタにおいて1つのデバイスとして動作するサーバのグループなどの同一タイプの複数のデバイスから成るものでよく、または通信ネットワークによってともに連結されて1つのコンピュータとして動作する種々のコンピューティングデバイスの異種混合の組合せでもよい。コンピュータは、1つもしくは複数の物理的プロセッサまたは他のコンピューティングデバイスもしくはコンピューティング回路を含み得、任意の適切なタイプの記憶装置も含み得る。コンピュータは、未知数または変動数の物理的プロセッサ、および記憶装置またはメモリデバイスを有する仮想コンピュータプラットフォームでもよい。したがって、コンピュータは、1つの地理的位置に物理的に配置されてよく、または、いくつかの広く散らばった位置にわたって物理的に展開され、複数のプロセッサが通信ネットワークによってともに連結されて単一のコンピュータとして動作する。「コンピュータ」と、コンピュータまたはコンピューティングデバイスの中の「プロセッサ」との概念は、開示されたシステムの一部として計算または比較を行うように働く任意のそのようなプロセッサまたはコンピューティングデバイスも包含する。閾値比較、ルール比較、計算等に関連した、コンピュータにおいて生じる処理動作は、たとえば、個別のサーバ、個別のプロセッサを有する同一のサーバ、または上記で説明されたような未知数の物理的プロセッサを有する仮想のコンピュータ環境において生じ得る。
【0088】
「臨界角」は、一般に、地球の中心まで延在する垂直線に対する、特定の周波数の電磁波が上空波伝搬を使用して地面に戻ることができる最大の角度を指す。
「臨界周波数」は、一般に、所与の電離圏の状況下で上空波伝搬を使用して垂直に送信されたとき、地面に戻される最高の周波数を指す。
【0089】
「巡回冗長検査」すなわち「CRC」は、一般に、デジタルデータにおけるエラーを検知するためのエラー検知コードまたはエラー検知技術を指す。たとえば、CRCは、一般に、デジタルネットワークおよび/または記憶デバイスにおいて、未加工データに対する偶発的変化を検知するように使用される。CRCは2進除算に基づくものであり、多項式コードチェックサムと称されることもある。CRCでは、データのブロックは、データのブロックの内容の多項式除算の余りに基づく短い検査値を用いて符号化されるか、またはこの検査値を付加される。回復または復号化の間に計算が繰り返される。検査値が一致しないとき、データ変質に対して訂正処置が取られ得る。CRCは、エラー訂正を助長するためにさらに使用され得る。検査値すなわちデータ検証値は、情報を追加することなくメッセージを拡大するので冗長である。CRCは、バイナリハードウェアで実施するのが簡易であり、数学的に分析することも簡単であって、ノイズが大きい伝送チャネルに起因する通常のエラーの検知が得意である。検査値が固定長であることを所与として、検査値を生成する関数はハッシュ関数として使用されることがある。
【0090】
「データ帯域幅」は、一般に、通信システムにおける論理的通信経路または物理的通信経路の最大のスループットを指す。データ帯域幅は、1秒につき転送されるデータの単位で表現され得る転送速度である。デジタル通信ネットワークでは、転送されるデータの単位はビットであり、したがって、デジタル通信ネットワークの最大のスループットは、一般に「ビット/秒」で表現される。拡張によって、所与のデジタル通信ネットワークのデータ帯域幅を表すために「キロビット/秒」すなわち「Kbit/秒」、「メガビット/秒」すなわち「Mbit/秒」、および「ギガビット/秒」すなわち「Gbit/秒」という用語も使用され得る。データネットワークは、それらのデータ帯域幅性能特性に応じて、「ピークビットレート」、「平均ビットレート」、「最大の持続ビットレート」、「情報速度」、または「物理レイヤの有効ビットレート」などの特定のメトリックによって評価され得る。たとえば、帯域幅試験は、コンピュータネットワークの最大のスループットを測定する。これを使用する理由は、ハートレーの法則によれば物理的通信リンクの最大データ転送速度はその周波数帯域幅(Hz)に比例するためである。データ帯域幅は、特定の通信ネットワークの最大転送速度によっても特徴づけられ得る。たとえば、「低データ帯域幅」は、一般に、最大のデータ転送速度が約1,000,000単位のデータ/秒以下の通信ネットワークを指す。たとえば、デジタル通信ネットワークではデータの単位はビットある。したがって、低データ帯域幅のデジタル通信ネットワークは、約1,000,000ビット/秒(1Mbit/秒)以下の最大転送速度のネットワークである。「高データ帯域幅」は、一般に、最大のデータ転送速度が約1,000,000単位のデータ/秒を上回る通信ネットワークを指す。たとえば、高データ帯域幅を有するデジタル通信ネットワークは、約1,000,000ビット/秒(1Mbit/秒)を上回る最大転送速度のデジタル通信ネットワークである。
【0091】
「復調」は、一般に、搬送波から、一次情報を担持している信号を抽出する処理を指す。
「復調器」または「検波器」は、一般に、波形の1つまたは複数の特性に基づいて、受信された変調波形から一次情報を抽出する、電子回路および/またはコンピュータなどのデバイスを指す。たとえば、波形のこれらの特性は、振幅、周波数、位相、および高調波歪ならびに他の特性を含むことができる。復調器は、被変調搬送波を受信した後に、復調または検波の処理によって元の変調信号を回復する。1つまたは複数の変調器が、1つまたは複数の復調器と一体化され得て、変調復調器(モデム)を形成する。そのため、復調器という用語は、モデムの内部で復調する1つまたは複数の部品、構成要素、および/またはソフトウェアをさらに指し得る。
【0092】
「シフトダウン」は、一般に、通信システムを、それほど複雑でない変調方式に変更することを指す。
「電磁石放射」は、一般に電磁波によって放射されるエネルギを指す。電磁放射は他のタイプのエネルギから生成され、壊されるとき他のタイプに変換される。電磁放射は、放射源から離れて移動するとき、このエネルギを(真空中の)光の速度で搬送する。電磁放射は運動量と角運動量の両方を搬送する。これらの特性は、すべて、電磁放射が放射源から離れる方向に進行するときに相互作用する対象に与えられ得る。電磁放射は、1つの媒体から別の媒体に進むとき速度が変化する。1つの媒体から次の媒体に移行するとき、放射されたエネルギのいくらかまたはすべてが新規媒体の物理的性質によって反射され得、残りのエネルギが新規媒体の中へ移行する。これは、電磁放射が進むときに出会う媒体間のすべての接合において生じる。光子は電磁相互作用の量子であり、電磁放射のすべての形態の原成分である。電磁放射は、周波数が高くなると波動よりもむしろ粒子らしく振舞うので、量子としての光の性質は高周波数においてより明らかになる。
【0093】
「電磁スペクトラム」は、一般に、電磁放射のすべての可能な周波数の範囲を指す。
「電磁波」は、一般に、個別の電気成分および磁気成分を有する波形を指す。電磁波の電気成分および磁気成分は位相において振動し、常に90度の角度だけ分離されている。放射源から放射された電磁波は、媒体または真空を通過することができる電磁放射をもたらす。電磁波は、それだけではないが、電波、可視光線および不可視光線、X線、ならびにγ線を含む電磁スペクトラムの中の任意の周波数で振動する波形を含む。
【0094】
「等化器」は、一般に特定の目的向けのシステムの周波数応答(振幅および位相対周波数)を変更する電子的および/またはソフトウェアベースのフィルタを指す。等化器は、一般的には、いくつかの周波数成分を増幅して他の周波数成分を減衰させる振幅応答により、周波数に対して連続的に変化するより複雑な周波数応答を実現するものである。等化器は、時間において一定の応答を有してよく、または自動的かつ連続的に調節されてもよい。しかしながら、等化器の周波数応答は、必ずというわけではないが通常、通信チャネルなどのいくつかの外部物理的媒体に整合し、したがって調節可能である。
【0095】
「エラー訂正コード」すなわち「ECC」は、一般に、一連の数または他のデータを、残りの数またはデータに基づき、ある特定の制約の範囲内で、導入された何らかのエラーを検知して補正することができるように表現するためのデータおよび/またはアルゴリズムを指す。ECCは、一般的には、信頼性が低い通信チャネルおよび/またはノイズが大きい通信チャネル上のデータのエラーを制御するために使用される。たとえば、送信側は、冗長なECCの形式でメッセージを符号化する。ECCには、ブロックコードおよび畳み込みコードの2つの主要なカテゴリがある。ECCコードのいくつかの非限定的な例は、ANコード、BCHコード、バーガーコード、恒量コード、畳み込みコード、巡回冗長検査(CRC)コード、エキスパンダコード、グループコード、ゴレイコード、ゴッパコード、アダマールコード、ハーゲルバーガーコード、ハミングコード、ラテン方格ベースコード、辞書式コード、ロングコード、低密度パリティチェックコード(すなわちギャラガーコード)、LTコード、ポーラコード、ラプタコード、リードソロモンエラー訂正コード、リードミュラーコード、繰返し積算コード、繰返しコード(たとえば三重モジュール冗長コード)、脊柱コード、レートレスコード、非線形コード、トルネードコード、近最適抹消訂正コード、ターボコード、およびウォルシュアダマールコードを含む。
【0096】
「光ファイバ通信」は、一般に、電磁エネルギのパルスを1つの場所から別の場所へ光ファイバを通じて送信することによってデータを送信する方法を指す。送信されるエネルギは、データを搬送するように変調され得る電磁気搬送波を形成してよい。データを送信するために光ファイバケーブルを使用する光ファイバ通信ラインは、高いデータ帯域幅を有するように構成され得る。たとえば、光ファイバ通信ラインは、約15Tbit/秒、約25Tbit/秒、約100Tbit/秒、約1Pbit/秒以上の高いデータ帯域幅を有し得る。光ファイバケーブルの1つの区分からの電磁エネルギを電気信号に変換するために、光電子中継器が光ファイバ通信ラインに沿って使用され得る。中継器は、受信した信号の強度を高めてから、光ファイバケーブルの別の区分に沿った電磁エネルギとして、電気信号を再送信することができる。
【0097】
「金融商品」は、一般に、任意の種類の売買可能な資産を指す。一般的な例は、それだけではないが、現金、エンティティにおける利権の所有権の証拠、または現金もしくは別の金融商品を受け取るかもしくは引き渡すための契約上の権利を含む。特定の例は、社債、証券(たとえば商業手形および短期国債)、株、貸付金、供託金、譲渡性預金、債券先物または債券先物に関するオプション、短期金利先物、自社株購入権、株式先物、通貨先物、利率交換、金利キャップおよびフロア、金利オプション、金利先渡取引、自社株購入権、外国為替オプション、外国為替スワップ、通貨スワップ、またはあらゆる種類の金融派生商品を含む。
【0098】
「順方向エラー訂正」すなわちFECは、一般に、信頼性が低い通信チャネルまたはノイズが大きい通信チャネルにわたるデータ送信におけるエラーを制御するために使用される技術を指す。必ずというわけではないが一般的には、送信側は、エラー訂正コード(ECC)を使用することにより、冗長なやり方でメッセージを符号化する。この冗長性により、受信器は、メッセージのいかなる場所にも生じ得る限られた数のエラーを検知することができ、大抵の場合、これらのエラーは再送信なしで訂正され得る。FECは、受信器に、データの再送信を要求するためのリバースチャネルを必要とすることなくエラーを訂正する能力を与える。しかしながら、一般的には、より高い順方向チャネル帯域幅が必要とされる。FECは、片方向通信リンクなどの、再送信が高くつくかまたは不可能な状況において、複数の受信器に対してマルチキャストで送信するときに使用され得る。FECは、一般にモデムにおいて使用される。大容量記憶デバイスには、変質データの回復を可能にするために、FEC情報も追加され得る。FECコードには、一般に、ブロックコードおよび畳み込みコードの2つのタイプのカテゴリがある。FECブロックコードは、ビットの固定サイズのブロック(もしくはパケット)または固定サイズのシンボルに対して作用する。ブロックコードのいくつかの非限定的な例は、リードソロモンコード、ゴレイコード、BCHコード、多次元パリティコード、およびハミングコードを含む。一般的なブロックコードは、通常、すべての入力信号および出力信号についてそれが1ビットまたはゼロビットに対応するかどうかが硬判定される硬判定アルゴリズムを使用して復号化される。畳み込みFECコードは、任意長のビットストリームまたはシンボルストリームに対して作用する。畳み込みコードは、一般的には、(離散化された)アナログ信号を処理して硬判定復号化よりもはるかに高いエラー訂正性能を可能にする、ビタビアルゴリズム、MAPアルゴリズムまたはBCJRアルゴリズムのような軟判定アルゴリズムを使用して復号化される。畳み込みFECコードは、ほとんどの場合、ビタビアルゴリズムを用いて軟復号化されるが、他のアルゴリズムも使用され得る。ビタビ復号化は、畳み込みコードの増加した拘束長を伴って漸近的に最適な復号化効率を可能にするが、複雑さが指数関数的に増すという犠牲を伴う。終端となる畳み込みコードは、入力データのブロックを符号化するという点でブロックコードでもあるが、畳み込みコードのブロックサイズは一般に任意であるのに対し、ブロックコードは、代数的な特徴によって規定された固定サイズを有する。畳み込みコードの終端のタイプは、テイルバイティングおよびビットフラッシングを含む。FEC技術のいくつかの他の非限定的な例は、ターボ符号化、低密度パリティチェック(LDPC)、インタリービング、および局所復号化を含む。(すべてではないが)多くのFEC符号器はビットエラー率(BER)信号も生成することができ、この信号は、アナログの受信電子機器を微調整するためのフィードバックとして使用され得る。
【0099】
「地上」は、むしろ電気的/電磁気的な意味で使用され、一般に、土地と、大洋、湖、および川などの水体とを含む地球表面を指す。
「地上波伝搬」は、一般に、1つまたは複数の電磁波が、地面に沿って進むように地面と大気の境界を通って導かれる送信方法を指す。電磁波は、半導電性の地球表面と相互作用することによって伝搬する。本質的には、電磁波は、地面の曲率に従うように、表面にはりつく。必ずというわけではないが一般的には、電磁波は、低周波の電波によって形成される地上波または表面波の形式である。
【0100】
「識別子」は、一般に、独特なものまたは独特なクラスのもの、のいずれかを識別する名称を指す(すなわち識別情報にラベルを付ける)ものであり、「オブジェクト」またはクラスは、概念、物理オブジェクト(またはそのクラス)または物理的実体(またはそのクラス)であり得る。省略形「ID」は、大抵の場合、識別情報、識別(識別する処理)、または識別子(すなわち識別のインスタンス)を指す。識別子は、単語、番号、文字、シンボル、形状、色、音響、またはそれらの任意の組合せを含んでよく、または含まなくてもよい。単語、番号、文字、またはシンボルは、符号化システム(ここにおいて、文字、数字、単語、またはシンボルは、概念またはより長い識別子を表す)に準拠してよく、または簡単に任意でもよい。識別子は、符号化システムに準拠するときには、大抵の場合コードまたはIDコードと称される。いかなる符号化方式にも準拠しない識別子は、何らかの他の状況において何かを識別すること以上を意味することなく任意に割り当てられるため、任意IDといわれることが多い。
【0101】
「シンボル間干渉」すなわち「ISI」は、一般に、1つのシンボルが後続のシンボルに干渉する、信号のひずみの形態を指す。必ずというわけではないが一般的には、ISIは、前シンボルが通信の信頼度を低下させるノイズと類似の影響を及ぼすので、望ましくない現象である。たとえば、あるパルスが、割り当てられた時間間隔を過ぎて拡張すると、近隣のパルスと干渉する。ISIは、必ずというわけではないが通常は、多重伝搬によって、および/または通信チャネルに固有の線形もしくは非線形の周波数応答のために連続したシンボルが互いにぼけることによって、生じる。
【0102】
「電離圏」は、一般に、高濃度のイオンおよび自由電子を含有して電波を反射することができる地球大気圏の層を指す。電離圏は、熱圏ならびに中間圏および外気圏の一部を含む。電離圏は、地球表面の約40~1,000km(約25~約600マイル)上に広がる。電離圏は、(太陽黒点などの太陽活動を含む複数の要因に依拠して)高度、密度、および厚さがかなり変化する複数の層を含む。
【0103】
「ジッタ」は、一般に、送信されたメッセージの受信における可変遅延を指す。たとえば、メッセージが様々な間隔で入力端に到達するときにジッタが生じ、結果として、メッセージの受信器は、可変時間を待ってからでないと、データスロットをメッセージ転送のために使用することができない。
【0104】
「レイテンシ」は、一般に、システムにおける原因と効果の間の時間間隔を指す。レイテンシは、物理的に、何らかの物理的相互作用がシステムの全体にわたって伝搬し得る速度が制限されていることの結果である。レイテンシは、物理的に、何らかの物理的相互作用が伝搬し得る速度が制限されていることの結果である。効果がシステムを通って伝搬し得る速度は、常に光速以下である。したがって、原因と効果の間にいくらかの距離を含むすべての物理的システムには、ある種のレイテンシが生じるはずである。たとえば、通信リンクまたは通信ネットワークでは、レイテンシは、一般にデータが1つのポイントから別のポイントまで通るのにかかる最小時間を指す。通信ネットワークに関するレイテンシはまた、エネルギが1つのポイントからネットワークに沿って別のポイントまで移動するのにかかる時間と特徴づけられ得る。特定の伝搬路を辿る電磁エネルギの伝搬に起因する遅延に関して、レイテンシは以下のように分類され得る。
【0105】
「低レイテンシ」は、一般に、真空において所与の伝搬路を進む光にとって必要な時間よりも10%長い伝搬時間以下の期間を指す。式で表すと、低レイテンシは次式で定義され、
【0106】
【数1】
【0107】
ここで、
d=距離(マイル)
c=真空中の光の速度(186,000マイル/秒)
k=1.1のスカラ定数
である。
【0108】
たとえば、光は、真空中を約0.1344秒で40,225km(25,000マイル)進むことができる。したがって、この40,225km(25,000マイル)の伝搬路にわたってデータを搬送する「低レイテンシ」の通信リンクは、データの少なくともいくらかの部分を約0.14784秒以下で通し得るはずである。
【0109】
「高レイテンシ」は、一般に、真空において所与の伝搬路を進む光にとって必要な時間よりも10%超長い期間を指す。式で表すと、高レイテンシは次式で定義され、
【0110】
【数2】
【0111】
ここで、
d=距離(マイル)
c=真空中の光の速度(186,000マイル/秒)
k=1.1のスカラ定数
である。
【0112】
たとえば、光は、真空中を約0.04301秒で12,872km(8,000マイル)進むことができる。したがって、この送信経路にわたってデータを搬送する「高レイテンシ」の通信リンクは、データの少なくともいくらかの部分を約0.04731秒以上で通し得るはずである。
【0113】
ネットワークの「高」レイテンシおよび「低」レイテンシは、データ帯域幅とは無関係であり得る。必ずというわけではないが、いくつかの「高」レイテンシネットワークは「低」レイテンシネットワークよりも高い転送速度を有し得る。いくつかの「低」レイテンシネットワークは、「高」レイテンシネットワークの帯域幅を上回るデータ帯域幅を有し得る。
【0114】
「最高使用周波数(MUF)」は、一般に、上空波伝搬を使用して地面に戻される最も高い周波数を指す。
「記憶装置」は、一般に、データまたは情報を保存するように構成された任意の記憶システムまたは記憶デバイスを指す。各記憶装置は、ほんの数例を挙げると、1つまたは複数のタイプのソリッドステート電子メモリ、磁気記憶装置、または光学的記憶装置を含み得る。非限定的な例として、各記憶装置は、ソリッドステート電子的ランダムアクセスメモリ(RAM)、(先入れ先出し(FIFO)品種または後入れ先出し(LIFO)品種などの)順次アクセス可能メモリ(SAM)、プログラム可能読取り専用メモリ(PROM)、電子的プログラム可能読取り専用メモリ(EPROM)、もしくは電気的消去可能プログラム可能読取り専用メモリ(EEPROM)、(DVDまたはCD ROMなどの)光ディスク記憶装置、磁気的に符号化されたハードディスク、フロッピディスク、テープ、もしくはカートリッジ媒体、またはこれらの記憶装置タイプの任意の組合せを含み得る。また、各記憶装置は、不揮発性でよく、揮発性でよく、または揮発性品種および不揮発性品種のハイブリッド結合でもよい。
【0115】
「メッセージ」は、一般に、情報源によって、受け側または受け側のグループによって消費されるように意図された、通信の不連続単位を指す。
「モデム」すなわち「変調復調器」は、一般に、変調器および復調器などによって信号の変復調の機能を実施する電子回路および/またはコンピュータなどのデバイスを指す。
【0116】
「変調」は、一般に、一般的には送信される情報を含有している変調信号を用いて搬送波信号と呼ばれる周期波形の1つまたは複数の特性を変化させる処理を指す。
「変調器」は、一般に、搬送波信号と呼ばれる周期的波形の1つまたは複数の特性を、一般的には送信される情報を含有している変調信号を用いて変更する電子回路および/またはコンピュータなどのデバイスを指す。たとえば、波形のこれらの特性は、振幅、周波数、位相、および高調波歪ならびに他の特性を含むことができる。非限定的な例によって、変調器は、送信されるメッセージの電気信号に応じて高周波数の電磁気情報搬送波のパラメータを制御することができる。1つまたは複数の変調器が、1つまたは複数の復調器と一体化され得て、変調復調器(モデム)を形成する。そのため、変調器という用語は、モデムの内部で変調器として機能する1つまたは複数の部品、構成要素、および/またはソフトウェアをさらに指し得る。
【0117】
「非上空波伝搬」は、一般に、電離圏からの電磁波の反射によって情報が送信されることはない、有線および/または無線のすべての形式の送信を指す。
「光ファイバ」は、一般に、電磁エネルギがコンジットの長軸を通過するときに進む実質的に透明な媒体を含む細長いコンジットを有する電磁導波路を指す。電磁放射は、コンジットを通過するとき、電磁放射の全内部反射によってコンジットの内部に保たれ得る。全内部反射は、一般に、コアよりも低い屈折率を有する第2の実質的に透明なクラッド材によって囲まれた実質的に透明なコアを含む光ファイバを使用して達成される。
【0118】
「最適使用周波数」は、一般に、上空波伝搬を通じて最も調和した通信経路をもたらす周波数を指す。最適使用周波数は、電離圏の状態および時刻などの複数の要因に依拠して経時的に変化し得る。電離圏のF2層を使用する送信については、動作周波数は一般にMUFのおよそ85%であり、E層については、最適使用周波数は一般にMUFに近いものになる。
【0119】
「パケットエラー率」すなわち「PER」は、一般に、デジタル伝送において不正確に受信されたデータパケットの数を受信されたパケットの総数によって割った商を指す。一般に、少なくとも1つのビットが誤っていれば、パケットは不正確であると宣言される。
【0120】
「偏波」は、一般に、放射された電磁エネルギ波の電界(「E面」)の地球表面に対する配向を指し、放射アンテナの物理構造および配向によって決定される。偏波は、アンテナの指向性とは別々に考えられ得る。したがって、簡単な直線のワイヤアンテナは、実質的に垂直に取り付けられたときには1つの偏波を有し得、実質的に水平に取り付けられたときには別の偏波を有し得る。横波として、電波の磁界は電界に対して直角であるが、慣例によって、アンテナの「偏波」については電界の方向を指すと理解されている。反射は、一般に偏波に影響を及ぼす。電波に関して、重要な反射器の1つには、波形の偏波を変化させ得る電離圏がある。したがって、電離圏による反射によって受信される信号(上空波)については、安定した偏波を期待することはできない。見通し線通信または地上波伝搬については、水平または垂直に偏波された送信は、一般に、受信位置においてほぼ同じ偏波状態のままである。
【0121】
「1次通信チャネル」すなわち「1次チャネル」は、一般に、情報を転送するための第1の選択肢である通信経路を指す。必ずというわけではないが一般的には、1次通信チャネルは、他の通信チャネルのものよりも望ましいレイテンシまたは帯域幅などの1つまたは複数の特性を有する。たとえば、1次通信チャネルは、共通のインターフェースを共用するすべてのチャネルのうちで最高のデータレートを有し得る。1次通信チャネルは、情報の転送を、一方向のみ、いずれかの方向を交互に、または両方向を同時に、サポートし得る。2次通信チャネルは、たとえば有線形式の通信および無線形式の通信を含むことができる。
【0122】
「プロセッサ」は、一般に、入力を処理して出力を生成するように構成されているかまたはプログラムされて単一のユニットとして動作するように構成された1つまたは複数の電子部品を指す。あるいは、プロセッサは、複数の構成要素の形態のときには、他の構成要素に対して遠隔に配置された1つまたは複数の構成要素を有し得る。各プロセッサの1つまたは複数の構成要素は、デジタル回路、アナログ回路、または両方を定義する電子的多様性であり得る。一例では、各プロセッサは、従来の集積回路マイクロプロセッサ機構である。「プロセッサ」の概念は、単一の物理的論理回路または回路のパッケージに限定されず、場合により、多くの物理的位置における複数のコンピュータの内部に、またはそれらにわたって、含有されている、1つまたは複数のそのような回路または回路のパッケージを含む。仮想のコンピュータ環境では、未知数の物理的プロセッサが積極的にデータを処理してよく、この未知数は自動的に経時変化しても差し支えない。「プロセッサ」の概念は、閾値比較、ルール比較、計算を行うように、あるいはデータにルールを適用して論理的な結果(たとえば「真」または「偽」)をもたらす論理演算を実施するように、構成されているかまたはプログラムされているデバイスを含む。処理作業は、個別のサーバ上の複数の単一プロセッサにおいて、個別のプロセッサを有する単一のサーバにおける複数のプロセッサ上で、または個別のコンピューティングデバイスの中にあって互いから物理的に遠く離れた複数のプロセッサ上で、生じ得る。
【0123】
「4相位相シフトキーイング」すなわち「QPSK」は、一般に搬送波の位相を変化させることによって搬送波上でデジタル情報を送信する方法を指す。QPSKでは4つの異なる相変化が定義され、各相変化が2ビットの送信を表す。
【0124】
「無線」は、一般に、3kHz~300GHzの範囲を占める周波数における電磁放射を指す。
「電波地平線」は、一般に、アンテナからの直射線が地面に接するポイントの位置を指す。電波地平線は次式によって近似され得、
【0125】
【数3】
【0126】
ここで、
d=電波地平線(マイル)
=送信アンテナ高さ(フィート)
=受信アンテナ高さ(フィート)
である。
【0127】
「受信する」は、一般に、転送された、通信された、運搬された、中継された、急送された、または発送されたものを受け取ることを指す。この概念は、何かが送信エンティティから到着するのをリッスンする行動または待つ行動を含んでもまたは含まなくてもよい。たとえば、送信は、送信側に関する知見なしで受信され得る。同様に、送信は、受信側に関する知見の有無にかかわらず可能である。「受信する」ことは、それだけではないが、電磁スペクトラムのあらゆる適切な周波数において電磁エネルギを取り込むかまたは取得する行為を含み得る。受信は、電磁放射を感知することによって起こり得る。電磁放射を感知することは、ワイヤまたは光ファイバなどの媒体を通って移動するエネルギ波またはこの媒体からのエネルギ波を検知することを包含し得る。受信することは、信号、データグラム、パケット等の様々なタイプのアナログデータまたはバイナリデータを定義し得るデジタル信号を受信することを含む。
【0128】
「受信ステーション」は、一般に、受信デバイス、または電磁エネルギを受信するように構成された複数のデバイスを有する場所設備、を指す。受信ステーションは、特定の送信エンティティから、または送信を受信する前に送信エンティティが識別可能かどうかに関係なく任意の送信エンティティから、受信するように構成され得る。
【0129】
「遠隔」は、一般に、2つのものの間の、何らかの物理的、論理的、または他の分離を指す。分離は、数千、数百万キロメートルもしくは数千、数百万マイルなどの比較的大きいもの、または数ナノメートルもしくは100万分の数インチなどの小さいものであり得る。互いに「遠隔の」2つのものは、論理的または物理的に結合され得、または接続され得る。
【0130】
「衛星通信」または「衛星伝搬」は、一般に、1つまたは複数の電磁気信号が人工衛星に送信され、次に、この人工衛星によって、別の人工衛星またはステーションへと、反射され、かつ/または再送信されることを指す。
【0131】
「信号対雑音比」すなわち「SNR」または「S/N比」は、一般に、希望信号のレベルをバックグラウンドノイズのレベルと比較する測度を指す。SNRは信号電力とノイズ電力の比として計算され、多くの場合デシベルで表される。1:1よりも高い(0dBを超える)SNRは、ノイズよりも信号が大きいことを指示する。
【0132】
「サイズ」は、一般に、あるものの広がり、その全体寸法または大きさ、大きさの程度、を指す。物理的オブジェクトについては、サイズは、「大きい」または「より大きい」、「高い」または「より高い」、「低い」または「より低い」、「小さい」または「より小さい」等の相対語を説明するために使用され得る。物理的オブジェクトのサイズは、特定の幅、長さ、高さ、距離、体積等の任意の適切な単位で表される固定単位で示されてもよい。データ転送については、サイズは、論理単位または物理単位として扱われるデータ、アドレス指定されるデータ、送信されるデータ、受信されるデータ、または処理されるデータの相対的な量または定量を指示するために使用され得る。サイズは、データ収集、データセット、データファイル、または他のそのような論理単位において、データ量に関連して使用され得る。たとえば、データ収集またはデータファイルは、35メガバイトの「サイズ」を有するものと特徴づけられ得、または、通信リンクは、1秒当たり1000ビットの「サイズ」のデータ帯域幅を有するものと特徴づけられ得る。
【0133】
「スキップ距離」は、一般に、送信器から、電波が上空波伝搬から地面に戻り得るところまでの、最小距離を指す。換言すれば、スキップ距離は、上空波伝搬の臨界角において生じる最小距離である。
【0134】
「跳躍帯」すなわち「不感地帯」は、一般に、地上波伝搬からの地上波が完全に消散する位置と、先頭の上空波が上空波伝搬を利用して戻る位置との間の領域を指す。跳躍帯では、所与の送信に関する信号を受信することができない。
【0135】
「上空波伝搬」は、一般に、アンテナから放射された1つまたは複数の電磁波が電離圏から屈折されて地面に戻る送信方法を指す。上空波伝搬は対流圏散乱送信をさらに含む。一形態では、跳躍方法は、電離圏から屈折された電波が地面で反射されて電離圏まで戻されるところで使用され得る。このスキッピングは2回以上生じることがある。
【0136】
「ソフトウェア無線」すなわち「SDR」は、一般に、慣例的にハードウェアで実施されている構成要素が、代わりにコンピュータおよび/または組込みシステム上のソフトウェアによって実施される無線通信システムを指す。現在SDRとして実施されているハードウェアには、ほんの数例を挙げると、ミキサ、フィルタ、増幅器、変調器/復調器、検波器、および等化器がある。
【0137】
「直接波伝搬」または「見通し線伝搬」と称されることもある「空間波伝搬」は、一般に、互いに見えるアンテナの間で1つまたは複数の電磁波が送信される送信方法を指す。この送信は、直接波および/または地面で反射される空間波によって生じ得るものである。一般に、アンテナ高および地面の曲率は、空間波伝搬の伝送距離に対する制限因子である。直接見通し線の実際の電波地平線は、回折効果のために可視の見通し線すなわち幾何学的見通し線よりも長く、すなわち電波地平線は幾何学的見通し線よりも約4/5長い。
【0138】
「スペクトル拡散」は、一般に、送信される信号の一部を複数の周波数にわたって送ることを含む送信方法を指す。様々な周波数上で信号の一部を送ることにより、複数の周波数にわたる送信が同時に生じ得る。この例では、受信器は、送信された信号を再構築するために、すべての周波数を同時にリッスンしなければならない。この送信はまた、信号を「ホップする」ことによって複数の周波数にわたって広がり得る。信号ホッピングのシナリオは、第1の周波数でいくらかの期間にわたって信号を送信し、この信号を第2の周波数で第2の期間にわたって送信するように切り換わり、その後、第3の周波数で第3の期間にわたって送信するように切り換わることなどを含む。受信器および送信器は、周波数を一緒に切り換えるために同期する必要がある。周波数を「ホッピング」するこの処理は、経時変化する(たとえば1時間ごと、24時間ごと等)周波数ホッピングパターンで実施され得る。
【0139】
「成層圏」は、一般に、対流圏から地球表面の上の約40~56km(約25~35マイル)まで広がる地球大気圏の層を指す。
「シンボル」は、一般に、通信チャネルの、一定期間にわたって存続する波形、状態または有意状態を指す。シンボルは、デジタルベースバンド伝送についてはパルスの形式でよく、モデムを使用する通過帯域伝送ではトーンの形式でよい。送信器または他のデバイスが1つまたは複数のチャネル上にシンボルを配置し、受信器は、送信されたデータを再構成するためにシンボルのシーケンスを検知する。場合によっては、シンボルとデータの小単位の間に直接対応があってよい。たとえば、各シンボルは1つまたはいくつかのビットを符号化することができる。データは、シンボル間の遷移および/またはいくつかのシンボルのシーケンスによっても表され得る。
【0140】
「トランシーバ」は、一般に、共通の回路類および/または単一の箱体を共有する送信器と受信器の両方を含むデバイスを指す。トランシーバは、必ずというわけではないが一般的には、アナログ無線信号および/またはデジタル無線信号などの電子信号を送受信するように設計されている。
【0141】
「転送速度」は、一般に、あるものが1つの物理的位置または論理的位置から別の位置まで移動される速さを指す。通信リンクまたは通信ネットワークの場合には、転送速度は、リンクまたはネットワークにわたるデータ転送の速さであると特徴づけられ得る。そのような転送速度は、「ビット/秒」で表され得、データ転送を実行するために使用される所与のネットワークまたは通信リンクの最大のデータ帯域幅によって制限され得る。
【0142】
「送信ライン」は、一般に、通常は自由空間を通して電磁エネルギを放射することなく、1つの位置から別の位置まで電磁エネルギを搬送するように設計された専用の物理構造または一連の構造を指す。送信ラインは、電磁エネルギが送信ラインにおける構造体を通過するときに発生するレイテンシおよび電力損失を最小化しながら、1つの位置から別の位置まで電磁エネルギを保ったまま転送するように動作する。電波の通信において使用される得る送信ラインの例は、平行2線、同軸ケーブル、マイクロストリップ、ストリップライン、ツイストペア、星形カッド、レッヘル線、様々なタイプの導波路、または簡単な単一ワイヤラインを含む。光ファイバなどの他のタイプの送信ラインは、可視光線または不可視光線などのより高い周波数の電磁放射を搬送するために使用され得る。
【0143】
「送信経路」すなわち「伝搬路」は、一般に、電磁エネルギが空間または媒体を通過するために採用する経路を指す。これは送信ラインを通る送信を含むことができる。この場合、送信経路は、送信ラインによって定義され、送信ラインを辿り、送信ラインに含有され、送信ラインを通過し、または送信ラインを全体的に含む。送信経路すなわち伝搬路は、送信ラインによって定義される必要はない。伝搬路すなわち送信経路は、上空波伝搬、地上波伝搬、見通し線伝搬、または他の形式の伝搬などで自由空間または大気を通って進む電磁エネルギによって定義され得る。その場合、送信経路は、電磁エネルギが送信器から受信器まで移動するときに通る、送信されるエネルギの方向におけるあらゆるスキップ、バウンス、散乱、または他の変形形態を含む、任意の経路であると特徴づけられ得る。
【0144】
「送信ステーション」は、一般に、送信デバイス、または電磁エネルギを送信するように構成された複数のデバイスを有する場所もしくは設備を指す。送信ステーションは、特定の受信エンティティ、送信を受信するように構成された任意のエンティティ、またはこれらの任意の組合せに対して送信するように構成され得る。
【0145】
「送信時間」は、一般に、通信ネットワークにおけるメッセージ送信の開始から終了までの時間を指す。デジタルメッセージの場合には、送信時間は、メッセージの先頭ビットから最後のビットまでが送信ノードを通り過ぎる時間である。デジタルパケットについては、パケット送信時間はパケット長およびビットレートから得ることができる。送信時間は、先頭ビットが送信器から受信器まで移動するのにかかる時間を指す伝搬遅延と混同してはならない。
【0146】
「送信する」は、一般に、何かを転送する、通信する、運搬する、中継する、発送する、または転送することを指す。この概念は、送信エンティティから受信エンティティまで何かを運搬する行為を含んでもまたは含まなくてもよい。たとえば、送信は、送信側に関する知見なしで受信され得る。同様に、送信は、受信側に関する知見の有無にかかわらず可能である。「送信する」ことは、それだけではないが、電磁スペクトラムのあらゆる適切な周波数において電磁エネルギを送るかまたはブロードキャストする行為を含み得る。送信は、データグラム、パケット等の様々なタイプのバイナリデータを定義し得るデジタル信号を含み得る。送信はアナログ信号も含み得る。
【0147】
「起動データ」は、一般に、実行するべき1つまたは複数の指令を識別する起動情報を含むデータを指す。起動データおよび指令データは、単一の送信において一緒に生じてよく、または単一通信リンクもしくは多重通信リンクに沿って個別に送信されてもよい。
【0148】
「対流圏」は、一般に、地球大気圏の最下部分を指す。対流圏は、地球の表面から上方に、中緯度地方では約17.7km(11マイル)まで、熱帯地方では19.3km(12マイル)まで、冬の極地では約6.9km(4.3マイル)まで及ぶ。
【0149】
「対流圏散乱送信」は、一般に、電波などの1つまたは複数の電磁波が対流圏向けである上空波伝搬の形態を指す。原因は確かでないが、電波の少量のエネルギが受信アンテナに向けて前方へ散乱される。激しいフェージング問題のために、一般的には多様性(たとえば空間、周波数、および/または角度の多様性)受信技術が使用される。
【0150】
「シフトアップ」は、一般に、通信システムを、より複雑な変調方式に変更することを指す。
「導波路」は、一般に、電磁スペクトラムに沿った任意の周波数において生じる電磁波などの電波を導くように構成された送信ラインを指す。例は、超低周波から超高周波までの電磁スペクトラムに沿った範囲のより低い周波数の電磁放射を転送するように構成された導電材料または絶縁材料の任意の機構を含む。他の特定の例は、高周波光を導く光ファイバまたは高周波電波(特にマイクロ波)を搬送するように使用される中空の導電性金属管を含む。
【0151】
説明および/または特許請求の範囲において使用される単数形である「ある(a)」、「ある(an)」、「その(the)」等は、明示的に別様に論じられた場合を除き、複数形を含むことに留意されたい。たとえば、明細書および/または特許請求の範囲が「あるデバイス(a device)」または「そのデバイス(the device)」を参照する場合には、そのようなデバイスのうちの1つまたは複数を含む。
【0152】
本明細書では、「上へ」、「下へ」、「上部の」、「下部の」、「横方向の」、「長手方向の」、「放射状の」、「円周方向の」、「水平の」、「垂直の」などの方向を示す用語は、単に読者の便宜のために、図示された実施形態の読者の理解を支援するように使用されるものであり、これらの方向を示す用語の使用は、説明され、図示され、かつ/または特許請求された特徴を、特定の方向および/または配向に限定することを意図するものではないことに留意されたい。
【0153】
本発明が、図面および前述の説明に示されて詳細に説明されてきたが、これらの特質は例証をなすものであって限定するものではないと考えられるべきであり、望ましい実施形態のみが示されて説明されてきたこと、また以下の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神の範囲内のすべての変更形態、等価物、および修正形態は、保護されるように望まれていることが理解される。本明細書において引用されたすべての刊行物、特許、および特許出願は、あたかも個々の刊行物、特許、または特許出願が、特に、また個々に、その全体が参照によって本明細書に組み込まれ、かつ明らかにされるように指示されているかのように、参照によって本明細書に組み込まれる。
【符号の説明】
【0154】
100 通信システム
105 情報源
110 情報宛先
115 通信チャネル
120 1次通信チャネル
125 バックエンド通信チャネル
130 距離
135 1次チャネルレイテンシ
140 1次チャネル帯域幅
145 バックエンドチャネルレイテンシ
150 バックエンドチャネル帯域幅
200 通信システム
204 低レイテンシかつ低帯域幅の通信リンク
206 HF無線チャネル
208 高レイテンシかつ高帯域幅の通信リンク
212 第1の通信ノード
214 送信ステーション
216 第2の通信ノード
218 受信ステーション
220 大気
224 電磁波
228 送信アンテナ
232 受信アンテナ
236 送信ライン
240 送信ライン
244 送信ライン
252 中継器
256 地面
260 クライアント
264 接続
266 ワイヤレス接続
268 命令プロセッサ
272 接続
405 変調器
410 無線送信器
415 光ファイバ送信器
420 光ファイバケーブル
425 復調器
430 無線受信器
435 光ファイバ受信器
440 光ファイバネットワーク
445 無線チャネルレイテンシ
450 2次チャネルレイテンシ
455 ローカル無線受信器
460 ローカル受信器アンテナ
500 表1
600 表2
700 グラフ
705 期待収益ライン
710 最小遅延時間利益限界
715 最大遅延時間利益限界
720 目標範囲
800 線図
805 競業者データ到着時
810 システムデータ到着時
815 システム遅延利益
820 両方向矢印
825 両方向矢印
900 信号等化システム
905 送信フィルタ
910 時変チャネル
915 ノイズ
920 受信フィルタ
925 サンプリング回路
930 チャネル遅延ユニット
935 第1の適応等化器
940 エラー信号
945 参照信号
950 第1の判定デバイス
955 第2の適応等化器
960 コントローラ
965 第2の判定デバイス
1000 流れ図
1005 ステージ
1010 ステージ
1015 ステージ
1020 ステージ
1025 ステージ
1028 ステージ
1030 ステージ
1035 ステージ
1100 等化器
1105 受信信号
1110 タップ
1115 ユニット
1120 等化器出力
1200 流れ図
1205 ステージ
1210 ステージ
1215 ステージ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】