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特表2022-507608基板の上に第1および第2の層を堆積するシステム、こうしたシステムに使われる堆積ユニット、こうしたシステムに使われるレーザ処理ユニットおよび基板の上に第1および第2の層を堆積する方法
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  • 特表-基板の上に第1および第2の層を堆積するシステム、こうしたシステムに使われる堆積ユニット、こうしたシステムに使われるレーザ処理ユニットおよび基板の上に第1および第2の層を堆積する方法 図1
  • 特表-基板の上に第1および第2の層を堆積するシステム、こうしたシステムに使われる堆積ユニット、こうしたシステムに使われるレーザ処理ユニットおよび基板の上に第1および第2の層を堆積する方法 図2
  • 特表-基板の上に第1および第2の層を堆積するシステム、こうしたシステムに使われる堆積ユニット、こうしたシステムに使われるレーザ処理ユニットおよび基板の上に第1および第2の層を堆積する方法 図3
  • 特表-基板の上に第1および第2の層を堆積するシステム、こうしたシステムに使われる堆積ユニット、こうしたシステムに使われるレーザ処理ユニットおよび基板の上に第1および第2の層を堆積する方法 図4a
  • 特表-基板の上に第1および第2の層を堆積するシステム、こうしたシステムに使われる堆積ユニット、こうしたシステムに使われるレーザ処理ユニットおよび基板の上に第1および第2の層を堆積する方法 図4b
  • 特表-基板の上に第1および第2の層を堆積するシステム、こうしたシステムに使われる堆積ユニット、こうしたシステムに使われるレーザ処理ユニットおよび基板の上に第1および第2の層を堆積する方法 図5
  • 特表-基板の上に第1および第2の層を堆積するシステム、こうしたシステムに使われる堆積ユニット、こうしたシステムに使われるレーザ処理ユニットおよび基板の上に第1および第2の層を堆積する方法 図6
  • 特表-基板の上に第1および第2の層を堆積するシステム、こうしたシステムに使われる堆積ユニット、こうしたシステムに使われるレーザ処理ユニットおよび基板の上に第1および第2の層を堆積する方法 図7a
  • 特表-基板の上に第1および第2の層を堆積するシステム、こうしたシステムに使われる堆積ユニット、こうしたシステムに使われるレーザ処理ユニットおよび基板の上に第1および第2の層を堆積する方法 図7b
  • 特表-基板の上に第1および第2の層を堆積するシステム、こうしたシステムに使われる堆積ユニット、こうしたシステムに使われるレーザ処理ユニットおよび基板の上に第1および第2の層を堆積する方法 図8
  • 特表-基板の上に第1および第2の層を堆積するシステム、こうしたシステムに使われる堆積ユニット、こうしたシステムに使われるレーザ処理ユニットおよび基板の上に第1および第2の層を堆積する方法 図9
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】基板の上に第1および第2の層を堆積するシステム、こうしたシステムに使われる堆積ユニット、こうしたシステムに使われるレーザ処理ユニットおよび基板の上に第1および第2の層を堆積する方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/54 20060101AFI20220111BHJP
   C23C 14/56 20060101ALI20220111BHJP
   B05B 3/02 20060101ALI20220111BHJP
   B05B 13/02 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
C23C16/54
C23C14/56 A
B05B3/02 B
B05B13/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021526726
(86)(22)【出願日】2019-10-31
(85)【翻訳文提出日】2021-07-12
(86)【国際出願番号】 NL2019050716
(87)【国際公開番号】W WO2020101481
(87)【国際公開日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】2021997
(32)【優先日】2018-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521208343
【氏名又は名称】イノフレックス テクノロジーズ ビー. ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】ラガルド、ケビン ヨハネス ヘンドリクス
【テーマコード(参考)】
4F033
4F035
4K029
4K030
【Fターム(参考)】
4F033PA11
4F033PB02
4F035AA03
4F035CA02
4F035CA04
4F035CB13
4F035CB16
4F035CC01
4F035CD08
4K029AA09
4K029AA25
4K029AA27
4K029BA11
4K029BB02
4K029CA05
4K029DC13
4K029DC39
4K029JA05
4K029KA01
4K030BA21
4K030BA35
4K030BB12
4K030CA02
4K030CA06
4K030CA17
4K030EA06
4K030GA02
4K030GA14
4K030HA03
4K030KA08
4K030LA16
(57)【要約】
【解決手段】柔軟な帯状またはシート状の基板の上に第1の層を堆積し、第1の層の上に第2の層を堆積するシステムは、第1の層を堆積する第1の堆積ユニットと、搬送デバイスと、第1の堆積ユニットの下流に、第1の層の上に第2の層を堆積する第2の堆積ユニットと、基板を巻き付けられた状態に保つ巻き付けデバイスと、を備える。第1の堆積ユニットは、第1の中心線と、第1の径方向外面と、を有する第1の支持ボディを備える。第1の径方向外面は、第1の中心線に関して回転対称である。搬送デバイスは、第1の中心線と平行に延びる。第2の堆積ユニットは、第2の中心線と第2の径方向外面とを有する第2の支持ボディを備える。第2の中心線は、第1の中心線と一致する。第2の径方向外面は、第2の中心線に関して回転対称である。搬送デバイスは、第1の径方向外面および第2の径方向外面に沿って基板を搬送方向に搬送する。基板は、第1の径方向外面および第2の径方向外面の少なくとも一部に巻き付けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟な帯状またはシート状の基板の上に第1の層を堆積し、前記第1の層の上に第2の層を堆積するシステムであって、
前記第1の層を堆積する第1の堆積ユニットと、
搬送デバイスと、
前記第1の堆積ユニットの下流に、前記第1の層の上に前記第2の層を堆積する第2の堆積ユニットと、
前記基板を巻き付けられた状態に保つ巻き付けデバイスと、を備え、
前記第1の堆積ユニットは、第1の中心線と、第1の径方向外面と、を有する第1の支持ボディを備え、
前記第1の径方向外面は、前記第1の中心線に関して回転対称であり、
前記搬送デバイスは、前記第1の中心線と平行に延び、
前記第2の堆積ユニットは、第2の中心線と、第2の径方向外面と、を有する第2の支持ボディを備え、
前記第2の中心線は、前記第1の中心線と一致し、
前記第2の径方向外面は、前記第2の中心線に関して回転対称であり、
前記搬送デバイスは、前記第1の径方向外面および前記第2の径方向外面に沿って前記基板を搬送方向に搬送し、
前記基板は、前記第1の径方向外面および前記第2の径方向外面の少なくとも一部に巻き付けられることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記第1の堆積ユニットおよび/または前記第2の堆積ユニットは、空間的原子層堆積(S-ALD)タイプ、化学蒸着(CVD)タイプ、スパッタタイプまたはスプレーコーティングタイプの堆積ユニットであることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の堆積ユニットと前記第2の堆積ユニットとは異なるタイプの堆積ユニットであることを特徴とする請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の堆積ユニットおよび/または前記第2の堆積ユニットは、前記基板の外面上に減圧を発生させる真空デバイスを備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の堆積ユニットおよび/または前記第2の堆積ユニットは、空間的原子層堆積(S-ALD)タイプの堆積ユニットであり、
前記S-ALDタイプの堆積ユニットに対応する支持ボディは、円柱であり、中心線を有し、径方向外面上に弓状または円状の堆積面を備え、
前記S-ALDタイプの堆積ユニットは、前記堆積面にプリカーサガスを供給するガス供給デバイスと、前記支持ボディを中心線周りに回転駆動する第1の駆動デバイスと、を備え、
前記支持ボディは、前記支持ボディの周囲に巻き付けられた基板の内面にプリカーサガスを供給するように構成され、
前記基板の上または前記基板の付近での前記プリカーサガスの化学反応により、前記基板の内面の上に層が堆積されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の堆積ユニットおよび/または前記第2の堆積ユニットは、スプレーコーティングタイプの堆積ユニットであり、
前記スプレーコーティングタイプの堆積ユニットは、前記支持ボディの中心線と一致する中心線を有するスプレーボディを備え、
前記スプレーボディは、前記支持ボディの周囲に巻き付けられた基板の内面にスプレー材料をスプレーするスプレーノズルを備え、
前記基板の内面の上に前記スプレー材料の層が堆積することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
前記スプレーコーティングタイプの堆積ユニットは、前記スプレーボディを中心線周りに回転駆動する第2の駆動デバイスを備えることを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1の支持ボディおよび/または前記第2の支持ボディは、リング状またはディスク状の支持ボディであることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
前記第1の支持ボディおよび/または前記第2の支持ボディの径方向外面に、ガスが径方向外側に向けて通る開口が与えられ、
前記第1の支持ボディおよび/または前記第2の支持ボディの周囲に巻き付けられた基板の内面と、対応する前記第1の支持ボディおよび/または前記第2の支持ボディとの間にガス層が生成されることを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記搬送デバイスは、前記基板を搬送中に前記基板を平坦な状態から巻き付けられた状態に変形させる第1の変形デバイスを、前記第1の堆積ユニットの上流側に備えることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の変形デバイスは、2つの直交する方向にカーブした第1のガイド面を備えた第1のガイドボディを備え、
前記第1のガイドボディは、前記基板を前記第1のガイド面に沿ってガイドし、前記基板を搬送中に前記基板を平坦な状態から巻き付けられた状態に変形させることを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記搬送デバイスは、前記基板を搬送中に前記基板を平坦な状態から巻き付けられた状態に変形させる第2の変形デバイスを、前記第2の堆積ユニットの下流側に備えることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
前記第2の変形デバイスは、2つの直交する方向にカーブした第2のガイド面を備えた第2のガイドボディを備え、
前記第2のガイドボディは、前記基板を前記第2のガイド面に沿ってガイドし、前記基板を搬送中に前記基板を巻き付けられた状態から平坦な状態に変形させることを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記搬送デバイスは、前記基板のロールを支持し前記基板を巻き出す巻き出しボディを、前記第1の堆積ユニットの上流側に備えることを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載のシステム。
【請求項15】
前記搬送デバイスは、前記基板を支持し前記基板をロールから巻き取る巻き取りボディを、前記第2の堆積ユニットの下流側に備えることを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載のシステム。
【請求項16】
前記搬送デバイスは、前記巻き取りボディを回転駆動する第3の駆動デバイスを備えることを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記搬送デバイスは、
巻き付けられた状態の前記基板の外面に、前記基板を支持する柔軟な無限支持ベルトと、
前記第1の堆積ユニットの上流側に、第1の循環ボディと、
前記第2の堆積ユニットの下流側に、第2の循環ボディと、
前記基板が堆積する領域を前記支持ベルトが前記基板とともに前記搬送方向に動くように前記支持ベルトを駆動する第4の駆動デバイスと、を備え、
前記第1の循環ボディおよび前記第1の循環ボディの周囲に前記支持ベルトが巻き付けられることを特徴とする請求項1から16のいずれかに記載のシステム。
【請求項18】
前記巻き付けデバイスは、前記第1の支持ボディおよび前記第2の支持ボディの外側に2つの延長ガイドメンバを備え、
前記2つの延長ガイドメンバは、前記搬送方向に平行かつ互いに平行に延び、対向する縦方向端部上で前記支持ベルトをガイドすることを特徴とする請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記巻き付けデバイスは、前記第1の支持ボディおよび前記第2の支持ボディの外側に2つの延長巻き付けメンバを備え、
前記2つの延長巻き付けメンバは、前記搬送方向に平行かつ互いに平行に延び、縦方向端部付近で前記支持ベルトを巻き付けることを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
少なくとも1つのさらなる層を堆積する少なくとも1つのさらなる堆積ユニットを備え、
前記さらなる堆積ユニットの各々は、前記第1の中心線および前記第2の中心線と一致する中心線を有するさらなる支持ボディを備え、
前記さらなる堆積ユニットの各々は、前記第1の堆積ユニットのタイプ、前記第2の堆積ユニットのタイプまたはさらなるタイプの堆積ユニットであることを特徴とする請求項1から19のいずれかに記載のシステム。
【請求項21】
前記基板、前記第1の層および/または前記第2の層を少なくとも1つのレーザビームで処理するレーザ処理ユニットを備え、
前記レーザ処理ユニットは、第3の中心線と、第3の径方向外面と、を有する第3の支持ボディを備え、
前記第3の中心線は、前記第1の中心線と一致し、
前記第3の径方向外面は、前記第3の中心線に関して回転対称であることを特徴とする請求項1から20のいずれかに記載のシステム。
【請求項22】
請求項1から21のいずれかに記載のシステムにおける第1の堆積ユニットまたは第2の堆積ユニットとして使われる堆積ユニット。
【請求項23】
請求項21に記載のシステムに使われるレーザ処理ユニット。
【請求項24】
請求項1から21のいずれか記載のシステムを用いて、柔軟な帯状またはシート状の基板の上に第1の層を堆積し、前記第1の層の上に第2の層を堆積する方法であって、
-搬送デバイスを用いて、前記第1の支持ボディおよび前記第2の支持ボディの径方向外面に沿って基板を搬送方向に搬送するステップと、
-巻き付けデバイスを用いて、前記基板を巻き付けられた状態に保つステップと、
-第1の堆積ユニットを用いて、巻き付けられた状態の前記基板の上に前記第1の層を堆積するステップと、
-第2の堆積ユニットを用いて、前記第1の層の上に前記第2の層を堆積するステップと、を備えることを特徴とする方法。
【請求項25】
レーザ処理ユニットを用いて、前記基板、前記第1の層および/または前記第2の層を少なくとも1つのレーザビームで処理するステップを備えることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柔軟な帯状またはシート状の基板の上に第1の層を堆積し、第1の層の上に第2の層を堆積するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許出願公開第2557198A1は、帯状の基板の上に原子層を堆積するための複数のデバイスを開示する。この公報の図の11bの変形例に関する短い説明は、堆積ヘッドが与えられ、回転軸周りに回転可能なドラムに関する。これ以上詳しくは述べないが、基板はある方法でドラムの径方向で最大となる部分の周りに巻き付けられる。図の11bに示される断面で、基板が巻き付けられる部分の長さは基板の幅に等しい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の目的は、基板(例えば太陽電池の基板)の上に少なくとも2つの層を効率的に堆積することのできるシステムを与えることにある。この目的のために、第1の態様では、本発明は請求項1に係るシステムを与える。このようなシステムは、少なくとも2つの層を、効率的かつ自動的に(望むなら連続的に)基板の上に堆積させることに向く。特にこの発明は、厚さが1μm以上2μm未満の基板(例えば、柔軟なガラス、アルミニウム、プラスティックなどの基板)での使用を目的とする。さらにこの場合、基板と少なくとも2つの堆積層とを(永久的に)接着させる必要がない。従って基板は、必ずしも最終製品の一部を構成しなくてもよい。例えば最終製品は、厚さが数ナノメートルの膜であってもよい。
【0004】
実際に使用される支持ボディのサイズは、断面(すなわち、搬送方向に直交する方向で)で見たとき、基板のサイズ(より具体的には、帯状の基板の場合は基板の幅)に適合するように設計されてよい。搬送方向から見たときの堆積ユニットの長さ(より具体的には、堆積ユニットのサイズ)は、大半がシステムの容量で決まる。本発明係るシステムでは、使用される支持ボディの直径は、典型的には0.25メートル以上2.5メートル以下であってよい。一方、使用される堆積ユニットの長さは、互いに同じでもよく、互いに異なっていてもよく、典型的には0.25メートル以上4メートル以下であってよい。
【0005】
システムが単一の堆積ユニットを備える場合も、本発明(または少なくとも以下で説明する実施の形態)には利点がある。この場合、システムは、柔軟な帯状またはシート状の基板の上に1つの層を堆積するためのシステムである。このシステムは、層を堆積するための堆積ユニットを備える。この堆積ユニットは、中心線と、径方向外面(この径方向外面は、中心線に対して回転可能である)と、を有する支持ボディを備える。このシステムは、支持ボディの径方向外面に沿って基板を輸送方向(この輸送方向は、支持ボディの中心線と平行に延びる)に輸送するための輸送デバイスと、基板を輸送方向に輸送中に前記基板を巻き付けられた状態に保つ巻き付けデバイスと、をさらに備える。基板は、少なくとも部分的に(好ましくは、支持ボディの大部分または半分以上にわたって)、支持ボディの周囲に巻き付けられる。
【0006】
本発明は、特に空間的原子層堆積(S-ALD)タイプ、化学蒸着(CVD)タイプ、スパッタタイプまたはスプレーコーティングタイプの堆積ユニットを用いた実施の形態に向く。これらのタイプに関連するプロセス(特に原子層などの層を基板上に堆積することのできるプロセス)は、当業者には既知である。本発明では、基板上に連続的に層を堆積させるのに、同じまたは異なる堆積プロセスを使う。従って、異なる層(例えば、太陽電池、ディスプレイ、柔軟な電子部品(薄膜電子部品)など)で使われる層を堆積することができる。この場合、基板は、比較的大きくてよく、例えば大型ディスプレイ(映画で使われる6×10メートルのディスプレイなど)を形成するように処理されてよい。さらに本発明には、第1の層および第2の層を堆積するときに、堆積の合間に基板を変形させる必要がないという利点がある。これにより、基板上の機械的負荷が抑制される。さらに、システムを比較的シンプルなデザインにすることができる。
【0007】
第1の堆積ユニットのタイプと第2の堆積ユニットのタイプとが互いに異なっている場合、本発明の利点は特に顕著である。この場合、第1の堆積ユニットのタイプおよび第2の堆積ユニットのタイプは、それぞれ第1の層および第2の層に関する要求条件(例えば、組成、厚さ、構造など)を満足するように選ぶことができる。各堆積ユニットがモジュラーデザインを有する場合、比較的容易にデザインを変更することができる。その結果、基板の上に所望の層を堆積するときに、システムを柔軟に使用することができる。
【0008】
一方、本システムのアプリケーションによっては、第1の堆積ユニットのタイプと第2の堆積ユニットのタイプとが同じだと有利である。一般に、本システムは、2つ以上の堆積ユニットを備えてもよい。この場合、中心線が互いに共通する3つ以上の異なるタイプの堆積ユニットがあってもよい。
【0009】
本発明は、特に1つ以上の空間的原子層堆積(S-ALD)タイプの堆積ユニットを使うと有利である。この場合、関連する支持ボディは、円柱形で、中心線を有し、径方向外面に弓形または円形の堆積面を備える。この場合、S-ALDタイプの堆積ユニットは、堆積面にプリカーサガスを供給するためのガス供給デバイスと、支持ボディを中心軸周りに回転駆動するための第1の駆動ドライブと、をさらに備える。支持ボディは、基板の内面上に(または少なくとも基板の内面の近辺に)層を堆積(これは、基板の内面上での(または少なくとも基板の内面の近辺での堆積である)プリカーサガスの化学反応による)するために、堆積面を通して、支持ボディの周りに巻き付けられた基板の内面にプリカーサガスを供給するように構成される。このようなS-ALDプロセスは当業者に既知であり、例えば欧州特許出願公開第2557198号に開示されている。従って、さらに詳細な説明はここでは不要である。S-ALDプロセスは、次にようなプロセスとして簡潔に説明することができる。すなわち、プリカーサガスが基板に円柱状に与えられ、当該プリカーサガスの原子が基板に付着する。続いて反応ガスが基板に与えられ、プリカーサガスと化学反応する。これにより、原子層が基板の上に堆積する。前述の化学反応が基板以外の場所で起きるの防ぐために、あるいは望ましくない(または寄生的な)堆積を防ぐために、それぞれのガス供給の合間にガスが基板から吸い出される。
【0010】
巻き付けられた状態の基板上での望まれない堆積を防ぐために、および堆積面と基板の内面との物理的接触を防ぐために、例えばスパッタリング、真空蒸着およびスプレーコーティングの間に、前述のS-ALDタイプの(あるいはその他のタイプの)堆積ユニットは、真空デバイスを備えると有利である。こうした真空デバイスは、基板の外面上で減圧を発生させる。こうした減圧は、基板の内面から径方向外側に向く押力を発生させることに使うことができる。これにより、基板と堆積ボディの径方向外面との間に発生した減圧に起因して、基板上で径方向内側に向く押力が相殺される。前述の径方向外側に向く押力は、基板を径方向外面(より具体的には、各支持ボディの堆積面)から若干の距離だけ外側に動かすことに使われてもよい。この場合、基板は円柱形を保つ。堆積面と基板との物理的接触は、堆積プロセスの妨害となり、基板または基板上に堆積した層を損傷する可能性がある。
【0011】
代替的には、第2の堆積ユニットを備えないシステムで使用する場合にも、前述の方法は有用である。この場合の実施の形態は、柔軟な帯状またはシート状の基板の上に層を堆積するシステムを含む。このシステムは、層を堆積する堆積ユニット(例えば、S-ALDタイプなどの堆積ユニット)を備える。この堆積ユニットは、中心線と、径方向外面と、を有する支持ボディを備える。径方向外面は、中心線に関して回転対称である。このシステムは、搬送デバイスと、巻き付けデバイスと、をさらに備える。搬送デバイスは、支持ボディの径方向外面に沿って、基板を搬送方向(これは、支持ボディの中心線と平行に延びる)に搬送する。巻き付けデバイスは、基板を、巻き付けられた状態に保つ。基板は、少なくとも部分的に(好ましくは、支持ボディの大部分または半分以上にわたって)支持ボディの周囲に巻き付けられる。堆積ユニットは、基板の外面上で減圧を発生させる真空デバイスを備える。
【0012】
第1の堆積ユニットおよび第2の堆積ユニットが空間的原子層堆積(S-ALD)タイプの堆積ユニットであると、特に有用である。このようなシステムは、例えばCIGSタイプの太陽電池の製造(より具体的には、Zn(O、S)層(いわゆるバッファ層)およびZnO:Al層(いわゆるウィンドウ層)の連続的な堆積)に使うと有用である。
【0013】
代替的には、少なくとも1つのS-ALDタイプの堆積ユニットの使用の組み合わせにおいて、本発明の範囲内で、第1の堆積ユニットおよび/または第2の堆積ユニットは、スプレーコーティングタイプの堆積ユニットであってもよい。スプレーコーティングタイプの堆積ユニットは、中心線(支持ボディの中心線と一致する)を有するスプレーボディを備える。このスプレーボディは、堆積されるスプレー材料を、支持ボディの周囲に巻き付けられた基板の内側にスプレーするスプレーノズルを備える。これにより、基板の内面の上にスプレー材料の層が堆積する。前述の本発明に係るシステムの、CIGSタイプの太陽電池製造のアプリケーションの例では、スプレーコーティングタイプの堆積ユニットは、CIGSタイプの太陽電池に使われるCIGS層を堆積するのに使われると有利である。
【0014】
スプレーコーティングタイプの堆積ユニットが、スプレーボディを当該スプレーボディの中心軸周りに回転駆動するための第2の駆動デバイスを備えると、当該スプレーコーティングタイプの堆積ユニットを用いて堆積される層の厚さの均一性が改善される。
【0015】
さらなる可能な実施の形態では、第1の支持ボディおよび/または第2の支持ボディは、リング状またはディスク状の支持ボディである。一般にリング状またはディスク状の支持ボディが使われるとき、堆積ユニットは、2つ以上の支持ボディを備えてもよい。
【0016】
支持ボディ(の径方向外面)と基板の内面との接触を防ぐために、第1の支持ボディおよび/または第2の支持ボディの径方向外面に、ガスが径方向外側に向けて通るための開口が与えられるとさらに有利である。これにより、第1の支持ボディおよび/または第2の支持ボディの周囲に巻き付けられた基板の内面と、対応する第1の支持ボディおよび/または第2の支持ボディとの間にガス層が生成される。このような接触により、基板または基板の上流側に堆積する層が損傷する。
【0017】
特に大型の製品の製造を目的とする場合、搬送デバイスが、上流側に第1の変形デバイスを備え、および/または、下流側に第2の変形デバイスを備えるとさらに有利である。第1の変形デバイスは、基板を搬送中に、当該基板を平坦な状態から巻き付けられた状態に変形させる。第2の変形デバイスは、基板を搬送中に、当該基板を巻き付けられた状態から平坦な状態に変形させる。これらの変形デバイスは、2つの直交する方向にカーブしたガイド面を備えるとさらに有利である。ガイド面は、基板を当該ガイド面に沿ってガイドし、基板を搬送中に基板を平坦な状態から巻き付けられた状態に(または、巻き付けられた状態から平坦な状態に)変形させる。
【0018】
代替的には、第2の堆積ユニットを備えないシステムで使用する場合にも、前述の方法は有用である。この場合の実施の形態は、柔軟な帯状またはシート状の基板の上に層を堆積するシステムを含む。このシステムは、層を堆積する堆積ユニット(例えば、S-ALDタイプなどの堆積ユニット)を備える。この堆積ユニットは、中心線と、径方向外面と、を有する支持ボディを備える。径方向外面は、中心線に関して回転対称である。このシステムは、搬送デバイスと、巻き付けデバイスと、をさらに備える。搬送デバイスは、支持ボディの径方向外面に沿って、基板を搬送方向(これは、支持ボディの中心線と平行に延びる)に搬送する。巻き付けデバイスは、基板を、巻き付けられた状態に保つ。基板は、少なくとも部分的に(好ましくは、支持ボディの大部分または半分以上にわたって)支持ボディの周囲に巻き付けられる。ある実施の形態では、搬送デバイスは、基板を搬送中に、当該基板を平坦な状態から巻き付けられた状態に変形させる第1の変形デバイスを、堆積ユニットの上流側に備える。別の実施の形態では、搬送デバイスは、基板を搬送中に、当該基板を巻き付けられた状態から平坦な状態に変形させる第2の変形デバイスを、堆積ユニットの下流側に備える。
【0019】
大型の製品に対しては、搬送デバイスが、第1の堆積ユニットの上流側に巻き出しボディを備え、および/または、第2の堆積ユニットの下流側に巻き取りボディを備えると有用である。巻き出しボディは、基板のロールを支持し、基板を巻き出す。巻き取りボディは、基板を支持し基板をロールから巻き取る。この場合、巻き取りボディを回転駆動するための第3の駆動ドライブを用いて、基板の搬送方向への搬送のための駆動力または少なくとも支持力が与えられると有利である。
【0020】
特に限られた機械的負荷しか掛けることのできない壊れやすい基板を使う場合、システムは以下のように構成されると有利である。すなわち、搬送デバイスは、巻き付けられた状態の基板の外面に当該基板を支持する柔軟な無限支持ベルトと、第1の堆積ユニットの上流側に第1の循環ボディと、第2の堆積ユニットの下流側に第2の循環ボディと、第4の駆動デバイスと、を備える。第4の駆動デバイスは、基板が堆積する領域を、支持ベルトが当該基板とともに搬送方向に動くように支持ベルトを駆動する。第1の循環ボディおよび第1の循環ボディの周囲に、支持ベルトが巻き付けられる。このような支持ベルトを使うことにより、巻き付けられた状態の基板の寸法安定性が改善され、基板の内面と支持ボディの径方向外面との距離が一定に保たれる。
【0021】
代替的には、第2の堆積ユニットを備えないシステムで使用する場合にも、前述の方法は有用である。この場合の実施の形態は、柔軟な帯状またはシート状の基板の上に層を堆積するシステムを含む。このシステムは、層を堆積する堆積ユニット(例えば、S-ALDタイプなどの堆積ユニット)を備える。この堆積ユニットは、中心線と、径方向外面と、を有する支持ボディを備える。径方向外面は、中心線に関して回転対称である。このシステムは、搬送デバイスと、巻き付けデバイスと、をさらに備える。搬送デバイスは、支持ボディの径方向外面に沿って、基板を搬送方向(これは、支持ボディの中心線と平行に延びる)に搬送する。巻き付けデバイスは、基板を巻き付けられた状態に保つ。基板は、少なくとも部分的に(好ましくは、支持ボディの大部分または半分以上にわたって)支持ボディの周囲に巻き付けられる。搬送デバイスは、巻き付けられた状態の基板の外面に当該基板を支持する柔軟な無限支持ベルトと、第1の堆積ユニットの上流側に第1の循環ボディと、第2の堆積ユニットの下流側に第2の循環ボディと、第4の駆動デバイスと、を備える。第4の駆動デバイスは、基板が堆積する領域を、支持ベルトが当該基板とともに搬送方向に動くように支持ベルトを駆動する。第1の循環ボディおよび第1の循環ボディの周囲に、支持ベルトが巻き付けられる。
【0022】
実用的な実施の形態では、巻き付けデバイスは、第1の支持ボディおよび第2の支持ボディの外側に2つの延長ガイドメンバを備える。2つの延長ガイドメンバは、搬送方向に平行かつ互いに平行に延び、対向する縦方向端部上で支持ベルトをガイドする。この目的のために、支持ボディは、例えば、これらの縦方向端部上に厚み部分を備える。これにより、支持ベルトとガイドメンバとの共同が促進される。
【0023】
さらなる実用的な実施の形態では、巻き付けデバイスは、第1の支持ボディおよび第2の支持ボディの外側に2つの延長巻き付けメンバを備える。2つの延長巻き付けメンバは、搬送方向に平行かつ互いに平行に延び、縦方向端部付近で支持ベルトを巻き付ける。
【0024】
すでに説明したように、システムは2つ以上の堆積ユニットを備えるように構成することができる。この場合、ある実施の形態のシステムは、少なくとも1つのさらなる層を堆積する少なくとも1つのさらなる堆積ユニットを備える。さらなる堆積ユニットの各々は、第1の中心線および第2の中心線と一致する中心線を有するさらなる支持ボディを備える。さらなる堆積ユニットの各々は、第1の堆積ユニットのタイプ、第2の堆積ユニットのタイプまたはさらなるタイプの堆積ユニットである。
【0025】
これまで説明した堆積ユニットに対し、層を堆積するのではなく、そのような層および/または基板を処理するように構成されたユニットを含むシステムも有用である。この意味では、さらなる実施の形態のシステムは、基板、第1の層および/または第2の層を少なくとも1つのレーザビームで処理するためのレーザ処理ユニットを備える。レーザ処理ユニットは、第3の中心線と、第3の径方向外面と、を有する第3の支持ボディを備える。第3の中心線は、第1の中心線と一致する。第3の径方向外面は、第3の中心線に関して回転対称である。この場合、例えばレーザスクライビング加工タイプのレーザ処理ユニットは非常に有用である。この場合レーザビームによる処理は、第1の層、第2の層および/または基板から局所的な材料を除去するように、または材料の特性に影響を与えるように構成される。この目的のために、レーザ処理ユニットは、少なくとも1つのレーザヘッドを備える。このレーザヘッドは、第3の支持ボディの径方向外面の内側に与えられる。
【0026】
このようなレーザ処理ユニットは、堆積ユニットを備えないシステムに使われてもよい。この場合の実施の形態は、柔軟な帯状またはシート状の基板および/または基板の上に堆積された少なくとも1つの層をレーザビームで処理するシステムを含む。このシステムは、基板および/または基板の上に堆積された少なくとも1つの層をレーザビームで処理するためのレーザ処理ユニットを備える。このレーザ処理ユニットは、中心線と、径方向外面と、を有する支持ボディを備える。径方向外面は、中心線に関して回転対称である。このシステムは、搬送デバイスと、巻き付けデバイスと、をさらに備える。搬送デバイスは、支持ボディの径方向外面に沿って、基板を搬送方向(これは、支持ボディの中心線と平行に延びる)に搬送する。巻き付けデバイスは、基板を巻き付けられた状態に保つ。基板は、少なくとも部分的に(好ましくは、支持ボディの大部分または半分以上にわたって)支持ボディの周囲に巻き付けられる。
【0027】
本発明はまた、前述のシステムにおける第1の堆積ユニットまたは第2の堆積ユニットとして使われる堆積ユニットに関する。本発明はまた、前述のシステムに使われるレーザ処理ユニットに関する。
【0028】
さらなる態様では、本発明はまた、前述の本発明に係るシステムを用いて、柔軟な帯状またはシート状の基板の上に第1の層を堆積し、第1の層の上に第2の層を堆積する方法に関する。この方法は、
-搬送デバイスを用いて、第1の支持ボディおよび第2の支持ボディの径方向外面に沿って基板を搬送方向に搬送するステップと、
-巻き付けデバイスを用いて、基板を巻き付けられた状態に保つステップと、
-第1の堆積ユニットを用いて、巻き付けられた状態の基板の上に第1の層を堆積するステップと、
-第2の堆積ユニットを用いて、第1の層の上に第2の層を堆積するステップと、を備える。このような方法の利点は、本発明に関する前述の説明に基づけば、当業者には明らかだろう。
【0029】
システムがレーザ処理ユニットを備える場合、本方法は、このレーザ処理ユニットを用いて、基板、第1の層および/または第2の層を少なくとも1つのレーザビームで処理するステップ(例えば、いわゆるレーザスクライビング加工するステップ)を備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
以下、図面を用いて本発明を詳細に説明する。
図1】本発明に係るシステムの概観を示す等角図である。
図2図1のシステムの4つの連続する堆積ユニットを示す図である。
図3】S-ALDタイプの堆積ユニットの位置におけるシステムの断面図である。
図4図4aおよび図4bは、それぞれ本システムの第1のガイドボディの等角図および前面図である。
図5】S-ALDタイプの第1の堆積ユニットを示す図である。
図6】S-ALDタイプの堆積ユニットの位置におけるシステムの模式的な断面図である。
図7a】本システムの一部を構成するスパッタタイプの堆積ユニットの分解立体図である。
図7b図7aの堆積ユニットの詳細な長さ方向の断面図である。
図8】本システムの一部を構成するスプレーコーティングタイプの堆積ユニットを示す図である。
図9】基板上の4つの層の構造を示す側面図である。
図10】レーザスクライビング加工タイプのレーザ処理ユニットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、本発明に係る、柔軟な帯状またはシート状の基板の上に第1の層を堆積し、第1の層の上に第2の層を堆積するシステム1を示す。システム1は、上流側3に、巻き出しローラー(図示せず)を備える。この巻き出しローラーから、帯状の基板2が巻き出される。システム1は、下流側4に、巻き取りローラー(図示せず)を備える。この巻き取りローラーに、帯状の基板2が巻き取られる。帯状の基板2の上には、システム1により複数の層が堆積されている(その方法については、後でより詳細に述べる)。この巻き取りローラーは回転駆動される。これにより、帯状の基板2は、搬送方向5に移動する。
【0032】
システム1は、フレーム6と、(以下、搬送方向5に見たとき、順に)第1のガイドボディ7(図4aおよび4bにも示される)と、真空チェンバ(真空チューブ8として構成される)と、第2のガイドボディ9と、を備える。システム1は、真空チューブ8の内部に、(以下、搬送方向5に見たとき、順に)それぞれ長手方向の位置X、XI、XIIおよびXIIIに、堆積ユニット10、11、12および13を備える(図2参照)。特にこの例では、これらの堆積ユニットのそれぞれの長さは2.8メートルである。堆積ユニット10、11、12および13については、後でより詳しく説明する。付言すれば、これらの堆積ユニットの各々は、(他の堆積ユニットとともにではなく)別々に使用されてもよい。
【0033】
図4aおよび4bに、第1のガイドボディ7を示す。第1のガイドボディは、2つの直交する方向にカーブした第1のガイド面21を備える。その曲率は、第1のガイド面21が、当該第1のガイド面21の上流側(当該第1のガイド面21の横方向端部22)における水平な方向から、当該第1のガイド面21の下流側(横方向端部22の反対側に位置する、当該第1のガイド面21の横方向端部23)における少なくとも実質的に円形の鉛直断面まで変化するようなものである。前述の円形は、上部に狭いスリット24を有する。狭いスリット24があることにより、横方向端部23の長さ(以下、横方向端部23の弧長と呼ぶ)は、この長さが前述の円形を定める限り、当該円形の曲率半径rの2π倍より少なくとも短い、または半径rの仮想円の理論的な全周より短い。一方、横方向端部23の弧長は、好ましくは前述の理論的な全周の0.75倍より長く、より好ましくは前述の理論的な全周の0.9倍より長い。横方向端部23の弧長は、横方向端部22の長さよりある程度短い。
【0034】
第1のガイドボディ7は、例えば可塑変形された金属板で作られてよく、枠組25によって支えられる。枠組25は、プレートボディ26によって支えられる。プレートボディ26は、フレーム6に取り付けられ、第1のガイドボディ7および第2のガイドボディ9の下で部分的に延び、真空チューブ8の下で完全に延びている。
【0035】
第2のガイドボディ9は、第1のガイドボディ7と同じデザインで形成されるが、仮想的な垂直ミラープレートに関して鏡像関係にある。この仮想的な垂直ミラープレートは、搬送方向5に対して垂直方向に延びており、堆積ユニット11と12との間に位置する。
【0036】
システム1は、第1のガイドボディ7の上流側で、プレートボディ26のレベルより下に、偏向ローラー31をさらに備える。同様にシステム1は、第2のガイドボディ9の下流側で、プレートボディ26のレベルより下に、第2の偏向ローラー32をさらに備える。偏向ローラー31、32は、フレーム6にそれぞれ軸33、34の周りに回転可能に接続される。軸33、34は、水平方向を向き、搬送方向5に対して垂直方向を向く。偏向ローラー31、32は、サーボモーターなどの駆動手段(図示せず)を用いて、回転駆動される。
【0037】
柔軟な無限支持ベルト35(例えば、プラスティックまたはラバーで作られてよい)が、2つの偏向ローラー31、32の周りに巻き付けられる。支持ベルト35の底部(これは、偏向ローラー31、32の下側の間を延びる)で、支持ベルト35は水平方向に平坦に延びる。頂部(これは、偏向ローラー31、32の上側で延びる)で、支持ベルト35は、第1のガイドボディ7および第2のガイドボディ9のガイド面21の上でガイドされる。その結果、第1のガイド面21の長さ方向に沿って搬送方向5に見たとき、支持ベルト35の頂部は、第1のガイドボディ7の横方向端部22での水平方向から始まり、第1のガイドボディ7の横方向端部23におけるいわゆる巻かれ方向に至る。偏向ローラー34の推進により、支持ベルト35が搬送方向5に移動する間、支持ベルト35が第2のガイドボディ9の少なくとも実質的に円形の横方向端部23’(ここで、第2のガイドボディ9の第2のガイド面21’の曲面が形成される)に到着する瞬間まで、支持ベルト35は巻き付けられた状態を保つ。これにより支持ベルト35は、第2のガイドボディ9の横方向端部22’上で、再び水平方向を向く。水平形状から円柱形状に(あるいはその逆に)変化させるために、第1のガイドボディ7および第2のガイドボディ9の代わりに、縦方向端部37a、37bで、支持ベルト35に厚み部分38a、38bが与えられてもよい。これについては、後で図6を参照して説明する。あるいは支持ベルト35にローラーボディ(これはガイドレール49a、48bとして、ガイド内部を延びる)が与えられてもよい。
【0038】
支持ベルト35の幅は、横方向端部23の弧長より長い。これにより支持ベルト35は、2つの対向する縦方向側面で、スリット24を通って延びる。このとき、支持ベルト35の対向する縦方向端部37a、37bは上を向く。真空チューブ8の内部で支持ベルト35は、前述の縦方向端部において、2つの延長ガイドロッド36a、36b(これらは、互いに平行に、搬送方向5に延びる)のそれぞれの周囲に巻き付けられる。
【0039】
2つの対向する縦方向端部37a、37bで、支持ベルト35は、厚み部分38a、38bを与えられる(図6)。これらの厚み部分は、例えば支持ベルト35を縦方向端部37a、37bで局所的に厚くすることにより形成されてもよい。代替的に、支持ベルト35の縦方向端部37a、37bは、支持ベルト35の長さ全体にわたって延びるチェンバを与えられてもよい。このチェンバの中に、レースやコードなどの厚みメンバが埋め込まれる。厚み部分38a、38bは、第1のガイドボディ7の上流側で、ガイドレール49a、49b内をガイドされる。図3に示されるように、これらのガイドされる49a、49bは、真空チューブ8の内側に取り付けられ、堆積ユニット10-13(これは真空チューブ8内に配置される)の上を、真空チューブ8の長さ全体に沿って延びる。
【0040】
前述の堆積ユニット12、13は、空間的原子層堆積(S-ALD)タイプの堆積ユニットである。原子層を基板の上に堆積することを可能とするS-ALDプロセスは、当業者に既知であり、とくに前述の欧州特許出願公開第2557198A1に開示されている。従ってS-ALDプロセスについての詳細な説明は、ここでは不要である。
【0041】
図3、5および6を参照すると、S-ALDタイプの各堆積ユニット12、13は、円柱堆積ボディ41を備えることが分かる。円柱堆積ボディ41の径方向外側には、図6の断面で見て、円形の堆積面42を与えられる。
【0042】
図6の例では、堆積面42は、5つの堆積面ユニット44を備える。これらの堆積面ユニット44は、共同して堆積面全体を形成し、4つのガス供給ユニット45a-45dと、4つのガス排出ユニット46a-46dと、を交互に備える。ガス供給ユニット45a-45dおよびガス排出ユニット46a-46dの各々は、堆積面42内にスロット型の穴43を備える。以下に説明するように、これらのスロット型の穴43を通して、ガスが供給または排出される。これらのガス排出ユニット46a-46dおよびガス排出ユニット46a-46dのための穴43は、一定の間隔を置いた列の形で与えられる。これらの各列は、堆積ボディ41の名が全体にわたって延びる。
【0043】
詳細は以下でも説明するが、堆積ボディ41が軸回りを矢印52の向きに回転する間、S-ALDプロセスの原理に従い、基板2(巻き付けられた状態にある)の内側に、ガス供給ユニット45aの開口を通して、いわゆるプリカーサガスが供給される。その後、ガス排出ユニット46aが余ったプリカーサガス(すなわち、基板2に付着しなかったプリカーサガス)を吸い出す。ガス供給ユニット45cの位置で、基板2の内側に、開口を通して反応ガスが供給される。反応ガスは、基板に付着したプリカーサガスと反応する。この反応により、基板2の内側に層が形成される。反応ガスは、ガス排出ユニット46cを通して吸い出される。ガス供給ユニット45aと隣接するガス排出ユニット46aとの組み合わせと、ガス供給ユニット45cと隣接するガス排出ユニット46cとの組み合わせと、の間に、ガス供給ユニット45bと隣接するガス排出ユニット46bとの組み合わせまたはガス供給ユニット45dと隣接するガス排出ユニット46dとの組み合わせが与えられる。ガス供給ユニット45bおよび45dを通して、基板2の内側に不活性ガスが与えられる。この不活性ガスは、ガス排出ユニット46bおよび46dを通して、再び吸い出される。この場合不活性ガスの機能は、プリカーサガスと反応ガスとを分離することにある。
【0044】
堆積ユニット13と同様に、堆積ユニット12は、先頭側に、少なくとも実質的にはディスク状の静止支持ボディ51を備える。これらの静止支持ボディ51は、対応する堆積ボディ41に同心状に接続される。静止支持ボディ51は、基板2またはS-ALDタイプの堆積ユニット12、13の堆積ボディ41を支持する役割をする。この支持は、直接されてもよいし、支持ボディ51と基板2との間のガスベアリングを介してされてもよい。
【0045】
この場合、堆積ボディ41は、駆動手段(図示せず)を用いて、支持ボディ51に対して、矢印52の向きに軸47周りに回転可能である。この駆動手段は、支持ボディ51の片方または両方の内部に与えられる。支持ボディ51は、上部に連結部品53が与えられる。この連結部品53の上側で、4つのライン54が終端する。従って、全体として、各ユニット12または13あたり8つのライン54がある。これらのライン54の各々は、各堆積面ユニット44のガス供給ユニット45a-45dの1つ、または、ガス排出ユニット46aまたは46a-46dの1つに、連通可能に接続される。この目的のために、堆積ボディ41に対向するそれぞれの側面上で、支持ボディ51の中にリング状のチェンバを使うことができる。使用中、ガス供給ライン48aまたはガス排出ライン48b(まとめて符号48が付される)が、穴43の出口の位置に接続される。これにより、対応するガス供給ユニット45a-45dにプリカーサガス、反応ガスまたは不活性ガスが供給される、または、対応するガス排出ユニット46a-46dを通してプリカーサガス、反応ガスまたは不活性ガスのいずれかが排出される。
【0046】
システム1の使用中、連結部品53は、基板2の縦方向端部39a、39bの間およびガイドロッド36a、39bの間で延びる。前述のガス供給ライン48aおよびガス排出ライン48bは、真空チューブ8の壁に沿って、当該真空チューブ8の上側で延びる(図3)。S-ALDタイプの各堆積ユニット12、13の2つの連結部品53の間で、堆積ユニット12、13は、閉鎖ボディ55を与えられる。閉鎖ボディ55は、堆積ユニット12、13の堆積ボディ41の各軸の長さ全体にわたって延びる。閉鎖ボディ55は、基板2の縦方向端部39a、39bの間に位置し、堆積面42の基板2で覆われていない部分を閉鎖する。閉鎖ボディ55は、スプリング56を用いて、所望の径方向位置に保持される。スプリング56の一方の端は真空チューブ8の内側に接続され、他方の端は閉鎖ボディ55に接続される。閉鎖ボディ55に力が加えられると(例えば閉鎖ボディ55の両側に圧力差があると、閉鎖ボディ55は所望の径方向位置から離れた位置に動こうとする)、スプリング56はこの力に対して反作用を加え、閉鎖ボディ55を所望の径方向位置に戻そうとする、または所望の径方向位置に保持する。
【0047】
図8の堆積ユニット11は、スプレーコーティングタイプの堆積ユニットである。堆積ユニット11は、2つの対向する側に、静止支持ボディ61を備える。静止支持ボディ61は、静止支持ボディ51と同じデザインで形成される。堆積ユニット11の2つの静止支持ボディ61と間に、チューブ部品63が同心状に延びる。チューブ部品63の外面上に、スプレーノズル62が与えられる。チューブ部品63の直径は、支持ボディ61の直径の概ね3分の1である。支持ボディ61の連結部品64で終端してライン66(図1)に接続されるライン65を通して、基板2の内側に(すなわち、基板2上の堆積層に)スプレーするための液体を、スプレーノズル62に供給することができる。この場合、チューブ部品63を、支持ボディ61に対して、回転軸周りに回転可能とすることもできる。これにより基板2の上の層の堆積を、より均一な厚さの分布とすることができる。支持ボディ61の外面上には、ブローノズル67が与えられる。ブローノズル67には、使用中、支持ボディ61と基板2との間にガスベアリングが与えられてもよい。ブローノズル67には、特定ライン65、66を通して、ガスが与えられてもよい。ブローノズル67のようなブローノズルが、支持ボディ51、支持ボディ71(これらについては、既に詳しく説明した)あるいは対応する堆積ユニット10に使用しても有用であることはいうまでもない。
【0048】
さらに、減圧されたおよび/または特定のガス組成を持つ空間では、スプレーコーティングプロセスが有用である。この目的のために、支持ボディ61の互いに対向する面上に、ガスノズル68が与えられる。このガスノズル68は、ライン65およびライン66に接続される。
【0049】
図7aおよび7bの堆積ユニット10は、スパッタタイプのものである。この堆積ユニット10の軸の端部には、ディスク状の静止支持ボディ71が備えられる。デザインおよび機能に関し、静止支持ボディ71は、支持ボディ51または61に類似する静止支持ボディ71の間にチューブ部品72が延びる。チューブ部品72は、静止支持ボディ71に固定的に接続される。チューブ部品72の内側に、マグネット73が与えられる。使用中、マグネット73は、チューブ部品72の軸の周りを回転する。このような回転するマグネットの利用は国際特許出願公開第2011/068263A1に開示されているので、より詳細な説明はここでは不要である。
【0050】
代替的な実施の形態では、堆積ユニットはディスク75を備えず、ガスの供給および排出は支持ボディ71を通して行われる。
【0051】
堆積ユニット10(スパッタタイプ、より具体的にはマグネトロンスパッタタイプ)には、複数(例えば5つ)の複合ディスク75が与えられる。複合ディスク75は、チューブ部品72に等間隔かつ同心状に接続される。すべての複合ディスク75は、2つのディスクボディ76、77を備える。ディスクボディ76、77は互いに向き合って配置され、互いの間にダクト78を形成する。ダクト78は、チューブ部品72から枝分かれして延び、ディスク75の円周部で終端する。これらの出口によって、外側に基板2および支持ベルト35のためのガスベアリングが形成されてもよい。
【0052】
ディスク75の間で、チューブ部品の周囲にターゲットチューブ79が与えられる。ターゲットチューブ79は、スパッタリングを用いて基板2の上に堆積される材料で作られる。スパッタリングプロセス(当業者に既知である)の間、スパッタリングガスがイオン化される。ガスイオンは負に帯電したターゲットチューブ79およびマグネット73によって引きつけられる。その結果、ターゲットチューブ79はボンバード処理され、材料がターゲットチューブ79から叩き出される。続いて材料が基板2の上に堆積される。
【0053】
チューブ部品72の内部には、冷却液のためのダクト(例えばダクト91)が与えられる。この液体は、ライン91を通してダクト91に与えられ、ライン93を通してダクト92から除去される。前述のガスベアリングのためのガスが、ライン94、95を通して与えられてもよい。ディスクボディ76、77の各々には、対応するディスク75の外側にリング96が与えられる。リング96の内部には、真空開口97が与えられる。このようにして、ディスク75の間の空間に、減圧された領域を形成することができる。真空開口97は、ライン98、99に連通可能に接続される。前述のリング96の外側には、スパッタリングガス開口100がある。スパッタリングガス開口100は、ライン101、102に連通可能に接続される。使用中、アルゴンなどのスパッタリングガスが、スパッタリングガス開口100に供給される。
【0054】
システム1の使用時、基板2は、巻き出しローラーから支持ベルト35の上側に送られる。基板2は、システム1に沿って搬送方向に搬送される間、支持ベルト35の形状に従う。これは、基板2が、断面で見たときに、真空チューブ8の中でも少なくとも部分的には円状の形を取ることを意味する。この場合、基板2は、支持ベルト35の内側に沿う。このことは、図6に明確に示される。帯状の基板2の幅は、支持ベルト35の幅より若干狭い。より具体的には、帯状の基板2の幅は、横方向端部23の弧長とほぼ等しい。
【0055】
4つの堆積ユニット10-13の各々について、4つの圧力ライン75が真空チューブ8に接続される。圧力ライン75を用いることにより、真空チューブ8の中に(より具体的には、基板2および支持ベルト35の外側に)減圧を発生させることができる。このようにして基板2に力を加えることができる。これにより、基板2の望ましくない変形および/または基板2の内部と堆積ユニット10-13との物理的接触を防止するために、基板2上の内側における吸引力または押力に抗することができる。支持ベルト35は、基板2の寸法安定性にも寄与する。
【0056】
基板2が搬送方向5に搬送され、4つの堆積ユニット10-13が機能する間、基板2の上に4つの層が連続的に堆積してもよい。より具体的には、システム1は、これらの4つの層をCIGSベースの太陽電池(これ自体は当業者に既知である)に利用する可能性(図9)を与える。この場合、スパッタ堆積ユニット10は、最初に厚さが100nm以上1mm以下(望ましくは100μm以上2mm以下)のガラス基板の上に、厚さが500-1500nmのモリブデン層81を堆積するために使われる。この基板は柔軟であるため、上記の平坦状態から巻き付けられた状態への変形に従うことができる。続けて、スプレーコーティング堆積ユニット11を用いることにより、厚さが1000nm以上3000nm以下のCIGS層を堆積することができる。その後、S-ALD堆積ユニット12および13を用いることにより、厚さが20nm以上100nm以下のZn(O、S)層83および厚さが50nm以上150nm以下のZnO:Al層84を連続的に堆積することができる。当業者には既知であるように、太陽電池では、層81-84はそれぞれ、背面電極、吸収層、バッファ層、ウィンドウ層として機能する。
【0057】
図9における線82’、83’および84’の傾きは、それぞれ層81、82、83および84がシステム1によって(より具体的には、堆積ユニット10、11、12および13の位置で)形成される速度の基準となる。基板が堆積ユニット10、11、12および13に沿って送られる速度は、各堆積ユニット10、11、12および13で等しい。さらにシステム1を段階的に動作させることもできる。この場合基板は、堆積ユニットに沿って段階的に(すなわち、一定でない速度(プロセス中に0m/秒となることも含む)で)送られる。堆積ユニット10、11、12および13の位置で堆積される各層81、82、83および84の厚さに影響する目的で、堆積ユニット10、11、12および13は長さが異なっていてもよい。
【0058】
500μm未満といった限られた厚さの帯状の基板(フィルム/フォイル状の基板を含む)の例を用いて、本発明を説明した。しかし、個別のシート状の基板(例えば、長さが30cm以上200cm以下、幅が30cm以上200cm以下の基板)を使ってもよいことが理解されるべきである。このような基板は、例えば帯状のキャリアの上に置かれてもよい。このときシート状の基板は、互いに厳密に隣接するまたは若干重なり合う。システムは、シートごとに別々の巻き付けデバイスを備えてもよい。これによりシートは、平坦状から円柱状に変形する。このような変形は、底面に配置されたキャリアの変形では生じない。
【0059】
上記では、システム1の一部として様々な堆積ユニット10、11、12および13およびその変形例を説明した。この場合、すべての堆積ユニット10、11、12および13は、1つずつ連続的に構成された。しかし、様々な堆積ユニット10、11、12および13を個別に使ってもよい。例えば、基板に1つの層のみを堆積する、1つの堆積ユニットに1つまたは2つだけの堆積ユニットを組み合わせる、同じタイプの複数の堆積ユニットを使う、といった具合である。
【0060】
さらに、堆積ユニット10、11、12および13のに関し、基板2の縦方向端部の間に突出する部品(例えば、連結部品53、64)を持たない形態の様々なデザインが考えられる。これにより、各堆積ユニットの周囲全体にわたって(すなわち360度以上にわたって)基板が巻き付けられる可能性が示される。これにより、基板の縦方向端部は互いに隣接するまたはある程度重なり合う。この場合、前述の突出する部品(例えば、連結部品53、64)を用いて行われたガスの供給および排出は、基板2の円柱部分の端部(例えば、図1に示されるV字型の領域(の頂点))を用いて行われる。こうした円柱部分の端部は、各堆積ユニット(またはその組み合わせ)の上流側または下流側にある、前述の基板2の縦方向端部によって定義される。このような形態は、特に長さの短いシステムで有用である。
【0061】
図10は、レーザ処理ユニット103(より具体的には、レーザスクライビング加工用のレーザ処理ユニット)を示す。特にこのようなレーザ処理ユニット103は、太陽電池の製造に有利に使われるが、これに限られない。レーザ処理ユニット103は、システム1の延長として形成することができ、例えば堆積ユニット13の下流側にまたは直接隣り合うように与えることができる。レーザ処理ユニット103は、2つの対向する側面に静止支持ボディ120を備える。静止支持ボディ120のデザインは、支持ボディ51のデザインと同じである。S-ALDタイプの各堆積ユニット12、13の堆積ボディ41とまったく同様に、静止支持ボディ120は、基板2を支持するために機能する。この支持は、直接されてもよいし、静止支持ボディ120の間のガスベアリングを介してされてもよい。静止支持ボディ120の外面上にある円周溝114で終端する終端ラインは、溝114にガスを供給するためのライン110に連通可能に接続される。レーザ処理ユニット103は、静止支持ボディ120の間に、ディスク状の処理ボディ106をさらに備える。処理ボディ106は、複数(例えば6つ)のレーザヘッド107を与えられる。これらのレーザヘッド107は、同じ径方向位置に間隔を置いて配置される。ディスク状の処理ボディ106は、チューブ108の軸104周りに回転可能である。さらにディスク状の処理ボディ106は、駆動手段(図示せず)を用いて、チューブ108に対して並進方向に前後に(矢印105で示される向きに)運動可能である。この駆動手段は、支持ボディ120とチューブ108のいずれかまたは両方の内部に与えられる。ディスク状の処理ボディ106(レーザヘッド107は、これに取り付けられる)は、並進および回転運動を用いることにより、基板のパターンに従うことができる。この場合、搬送方向(矢印105で示される向き)に運ばれる基板の速度が考慮される。基板は、6つのレーザヘッド107を用いて、6つのパーツに分割される。このとき6つのレーザヘッド107の各々は、例えば同じ動きをすることができる。レーザ処理プロセスは、減圧および/または基板(すなわち、支持ボディ120の間)の内面上の特定のガス組成から利益を受けることができる。この目的のために、支持ボディ120の互いに対向する面に、ライン111に連通可能に接続されたガスノズル109が与えられる。ライン112は、チューブ部品108に接続され、冷却液を輸送するために機能する。ディスク状のボディ108には、レーザに電力を供給するための柔軟なケーブル113が与えられる。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7a
図7b
図8
図9
図10
【国際調査報告】