(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】飲料分配用の粒子膜を備える中空ニードル
(51)【国際特許分類】
B67D 1/04 20060101AFI20220111BHJP
【FI】
B67D1/04 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021526768
(86)(22)【出願日】2019-11-20
(85)【翻訳文提出日】2021-07-15
(86)【国際出願番号】 US2019062398
(87)【国際公開番号】W WO2020106831
(87)【国際公開日】2020-05-28
(32)【優先日】2018-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512300506
【氏名又は名称】コラヴァン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ライダー,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】スウィージー,アンドリュー エス.
【テーマコード(参考)】
3E082
【Fターム(参考)】
3E082AA04
3E082BB05
3E082CC01
3E082DD01
3E082FF05
(57)【要約】
ワインボトル(700)のコルクなどのクロージャ(730)を有する容器にアクセスするためのニードル(200)。ニードル(200)は、サイズの閾値を上回るサイズの物質のルーメンの先端部から基端部への通過を阻止するための膜(211)を有し得る1つ又は複数のルーメンを含む。膜は、ニードルがコルクから引き出された後に、コルクを再び密閉できるようにする上で役立つこと、ルーメンに通じる開口部の閉塞(コルクによるか他の物質によるかにかかわらず)を阻止する上で役立つこと、及び/又は、異物(例えばバルブの開閉を妨げるコルク粒子)がディスペンサの1つ又は複数の部分の動作を妨げないようにする上で役立つことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料を分配するためのニードルであって、
先端部から前記先端部の反対側の基端部まで延在するルーメンを有する管を含む、ニードルであり、前記先端部及び前記管が、ワインボトルのコルクを通じて、前記先端部が前記コルクの一方の側に位置決めされ、前記基端部が前記コルクの前記一方の側とは反対側に位置決めされて挿入されるようにされ、前記管が、前記ルーメンと前記管の外部の領域との間の流体連通を提供する前記先端部の先端開口部と、前記管の前記先端開口部と前記基端部との間の前記ルーメンに位置決めされた膜とを有し、前記膜が、前記ルーメンの前記先端開口部から前記基端部まで流体が通過でき、かつサイズの閾値を上回るサイズの物質の通過を阻止するように構成される、ニードル。
【請求項2】
前記膜が、前記先端開口部に位置する、請求項1に記載のニードル。
【請求項3】
前記膜が、前記先端開口部から離れた場所の前記ルーメン内に位置する、請求項1に記載のニードル。
【請求項4】
前記サイズの閾値が、100ミクロンである、請求項1に記載のニードル。
【請求項5】
前記膜が、前記管の外壁の1組の穿孔として形成される、請求項1に記載のニードル。
【請求項6】
前記膜が、前記管の前記ルーメンに挿入された多孔質材料によって形成される、請求項1に記載のニードル。
【請求項7】
前記ルーメンが、前記膜が位置する場所では、D形断面を有する、請求項1に記載のニードル。
【請求項8】
前記膜が、前記ルーメンに位置し、前記サイズの前記閾値を上回るサイズの物質が前記膜と前記先端開口部との間の前記ルーメンにおいて収集されるように構成される、請求項1に記載のニードル。
【請求項9】
前記ルーメンの前記基端部から前記先端開口部への流体の流れが前記膜と前記先端開口部との間の前記ルーメン内の物質を前記先端開口部から排出するように、前記膜、先端開口部及びルーメンが構成される、請求項8に記載のニードル。
【請求項10】
前記ニードルが、前記コルクを通じて挿入され、前記コルクから取り出された後に、前記コルクが前記ワインボトルを再び密閉できるようにされる、請求項1に記載のニードル。
【請求項11】
前記管が飲料管であり、前記ルーメンが飲料ルーメンであり、前記先端開口部が飲料開口部である、請求項1に記載のニードルであって、ガス管であって、前記ガス管の基端部から前記ガス管の先端部のガス開口部へと加圧ガスを供給するように構成されたガスルーメンを有するガス管をさらに含む、ニードル。
【請求項12】
前記ガスルーメンが、前記サイズの前記閾値を上回るサイズの物質の前記ガス開口部から前記ガス管の前記基端部への通過を阻止するためのガス膜を含む、請求項11に記載のニードル。
【請求項13】
前記飲料ルーメンが、第1の平坦面に第1の断面サイズ及び第1のD形断面を有し、前記ガスルーメンが、第2の平坦面に第2の断面サイズ及び第2のD形断面を有し、前記第2の断面サイズが、前記第1の断面サイズより小さなものであり、第1のルーメン及び第2のルーメンの各々が、前記ガス管及び前記飲料管の前記基端部から前記先端部まで延在し、前記第1の平坦面と前記第2の平坦面が互いに接触した状態で互いに取り付けられる、請求項11に記載のニードル。
【請求項14】
前記飲料管及びガス管の前記基端部に取り付けられたハブをさらに含む、請求項11に記載のニードルであって、前記ハブが、前記飲料ルーメン及びガスルーメンを飲料ディスペンサに接続し、前記飲料ルーメン及びガスルーメンの少なくとも1つを前記飲料ディスペンサの一部分と流体連通する状態に置くように構成される、ニードル。
【請求項15】
前記飲料管及びガス管の前記先端部に尖った端部をさらに含む、請求項11に記載のニードル。
【請求項16】
前記飲料管及びガス管が、ワインボトルのコルクを通じて前記尖った端部を挿入することによって、前記ワインボトルの前記コルクを貫通するように構築及び構成される、請求項15に記載のニードル。
【請求項17】
前記飲料管及びガス管は、第1の平坦面及び第2の平坦面に垂直な長軸を有する断面形状を定義し、前記飲料管及びガス管は、前記断面形状の最大寸法に沿って延在し、前記断面形状は、前記飲料管及びガス管の長さ方向に垂直な平面から見られる断面形状である、請求項11に記載のニードル。
【請求項18】
前記飲料及びガス開口部が、前記飲料管及びガス管の長さ方向に細長く延在する、請求項11に記載のニードル。
【請求項19】
前記飲料及びガス管の前記基端部に取り付けられたハブをさらに含む、請求項11に記載のニードルであって、前記ハブが、前記飲料ルーメン及び前記ガスルーメンの長さ方向に垂直な方向において互いに離れるように延在するフォワードタブ及びリヤタブを備えるボディを有する、ニードル。
【請求項20】
前記フォワードタブが、前記リヤタブより長い、請求項19に記載のニードル。
【請求項21】
前記ボディが、前記ボディの基端部の開口部を有し、前記開口部が、前記ガスルーメンと流体連通する、請求項19に記載のニードル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
この出願は、米国特許法第119条(e)の下で、2018年11月21日に出願された“NEEDLE WITH PARTICLE CONTROL FOR BEVERAGE DISPENSING”と称する米国仮特許出願第62/770268号への優先権を主張し、同特許は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
この発明は、概して、例えば、ワインボトルからのワインの分配など、容器内からの流体の分配又は他の抽出に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
発明の概要
本発明の態様による1つ又は複数の実施形態は、ユーザが、クロージャを取り出すことなく、コルク、プラグ、エラストマー隔壁又は他のクロージャによって密閉された容器内からワインなどの飲料を引き出すか又は抽出できるようにする。いくつかの事例では、そのような容器からの液体の取り出しは、1回又は複数回実行することができるが、それにもかかわらず、容器の密閉を維持するため、各飲料抽出の間及び抽出後、クロージャをその場所にとどめることができる。したがって、飲料は、ボトルから何度も分配することができ、各抽出の合間に長期間、飲料品質にほとんど又は全く影響を及ぼすことなく、保管することができる。いくつかの実施形態では、飲料と反応する空気などのガスは、容器内からの飲料の抽出の間又は抽出後のいずれかに、容器にほとんど又は全く導入されないようにすることができる。例えば、ニードルは、加圧ガスを容器に導入すること及びワイン又は他の飲料液体を容器外へ導くことを行うために、コルク又は他のクロージャを通じて挿入することができる。分配が完了した後、ニードルは、コルクから引き出すことができ、それにより、ニードルが貫通したエリアが再び密閉される。したがって、いくつかの実施形態では、ユーザは、コルクを取り出すことも又はコルクに損傷を与えることもなく、また、空気又は他の潜在的に損傷を与えるガス若しくは液体をボトルに入れることもなく、ワインボトルからワインを引き出すことができる。
【0004】
本発明者は、いくつかの事例では、挿入及び/又は引き出しの間にニードルがコルクに損傷を与え、この損傷が、コルクの再度密閉を妨げる、ニードルを詰まらせる及び/又はディスペンサの動作を妨げる恐れがあることを見出した。例えば、ニードルは、その先端部に開口部を有し得、開口部は、ニードルの内部ルーメンとニードルの外側のエリアとの間の流体連通を提供し、例えば、飲料は開口部に入り、したがって、飲料はルーメンを通過して分配され得る。そのような開口部は、比較的大きなサイズで構成することができ、その結果、開口部を通じる流れが妨げられることはない。しかし、より大きなサイズの開口部の問題は、ニードルがコルクを通過する際、挿入時又は引き出し時にかかわらず、コルクの一部分が開口部によって切り取られるか又は取り除かれる恐れがあることである。米国特許出願公開第20140103065号は、この問題の解決法を提供しており、コルクへの損傷を最小化するように開口部を成形することが含まれる。しかし、これらの調整でさえ、コルクへの損傷の回避に成功していない。
【0005】
いくつかの実施形態では、容器内の飲料にアクセスするためのニードルは、ニードルの先端部の開口部とニードルの基端部との間のルーメンに膜を含む。膜は、異なる機能を実行することができ、ニードルがコルクを通過する際にコルクへの損傷を防ぐ上で役立てることを含む。(「コルク」という用語は、本明細書では、容器開口部のクロージャを指すために使用されるが、本発明の態様は、天然コルク物質を含まないエラストマークロージャを含む、任意の適切なタイプのクロージャを使用できることを理解すべきである。)例として、一実施形態では、ニードルの開口部は、ニードル壁に比較的小さな穴又は穿孔を提供することによって形成することができる。小さな穴又は穿孔は、ニードルの内部ルーメンに飲料が流れるようにすると同時に、コルクへの損傷を防ぐ上で且つルーメンへの他の比較的小さな粒子の侵入を阻止する上で役立つ膜をルーメンに形成するために、適切な開口部を提供するように構成することができる。他の実施形態では、膜は、ニードル壁とは別に形成することができ、例えば、ニードルのルーメンに挿入されるポーラスプラグ又は他の要素を含み得る。膜は、飲料流入開口部又は開口部の上流のルーメンに位置決めすることができる。開口部から離れて位置決めされる場合でさえ、例えば、膜はルーメンへのコルク片の侵入を防ぎ、開口部からコルク片を押し出し、コルクへの損傷を阻止できることを理由に、膜は、開口部によって生じるコルクへの損傷を阻止する上で役立てることができる。
【0006】
本発明の一態様では、容器内の飲料にアクセスするためのニードルは、先端部から先端部の反対側の基端部まで延在するルーメンを有する管を含む。先端部及び管は、先端部がコルクの一方の側に位置決めされ、基端部がコルクの反対側に位置決めされるように、ワインボトルコルクを通じて挿入されるようにされる。管は、ルーメンと管の外部のエリア(例えば、ワインボトルの内部空間)との間の流体連通を提供する先端部の先端開口部と、管の先端開口部と基端部との間のルーメンに位置決めされた膜とを有し得る。膜は、ルーメンの先端開口部から基端部まで流体が通過でき、かつサイズの閾値を上回るサイズの物質の通過を阻止するように構成することができる。例えば、膜は、コルクを通じてニードルが挿入される間に放出されたコルク又は他のクロージャ粒子の通過を防ぐ上で役立てることができる。いくつかの事例では、ニードルは、ニードルがコルクを通じて挿入され、コルクから取り出された後に、ワインボトルコルクを再び密閉できるようにさせることができる。
【0007】
いくつかの実施形態では、膜は、先端開口部に及び/又は先端開口部から離れた場所(例えば、先端開口部よりもニードルの基端部の方に近い所)のルーメン内に位置し得る。先端開口部の近位のルーメン内に膜が位置する構成では、膜は、サイズの閾値(100ミクロンなど)を上回るサイズの物質が膜と先端開口部との間のルーメンにおいて収集されるように構成することができる。これにより、物質は、ルーメン内の基端部から先端部への加圧ガスの流れによって先端開口部から排出することができる。いくつかの事例では、膜は、管の外壁の1組の穿孔として及び/又は管のルーメンに挿入された多孔質材料(多孔質金属体など)によって形成することができる。いくつかの実施形態では、ルーメンは、膜が位置する場所では、D形断面を有する。
【0008】
いくつかの実施形態では、ニードルは、2つのルーメンを有し得、一方は飲料用で、他方はガス用である。例えば、ニードルは、ニードルの先端部の飲料開口部を備える飲料ルーメンを有する飲料管と、ガス管の基端部からガス管の先端部のガス開口部に加圧ガスを供給するように構成されたガスルーメンを有するガス管とを有し得る。いくつかの事例では、飲料及びガス開口部は、飲料及びガス管の長さに沿った方向に細長く延在する。いくつかの事例では、飲料ルーメンは、上記で論じられるような飲料膜を有し得、ガスルーメンは、サイズの閾値を上回るサイズの物質のガス開口部からガス管の基端部への通過を阻止するためのガス膜を有し得る。例示的な一実施形態では、飲料ルーメンは、第1の断面サイズ及び第1のD形断面を有し、第1の平坦面を備え、ガスルーメンは、第2の断面サイズ及び第2のD形断面を有し、第2の平坦面を備える。第2の断面サイズは、第1の断面サイズより小さなものであり得、ガス及び飲料管は、第1の平坦面と第2の平坦面が互いに接触した状態で互いに取り付けることができる。飲料及びガス管の基端部にはハブを取り付けることができ、ハブは、飲料及びガスルーメンを飲料ディスペンサに接続し、飲料及びガスルーメンの少なくとも1つを飲料ディスペンサの一部分と流体連通状態に置くように構成される。飲料及びガス管の先端部では、尖った端部を提供することができ、したがって、例えば、飲料及びガス管は、コルクを通じて尖った端部を挿入することによって、ワインボトルのコルクを貫通するように構築及び構成される。飲料及びガス管は、長軸を有する断面形状(飲料及びガス管の長さに垂直な平面において見られる)を定義することができ、長軸は、第1及び第2の平坦面に垂直であり、断面形状の最大寸法に沿って延在する。ハブは、管の基端部に取り付けることができ、ハブは、飲料及びガスルーメンの長さに垂直な方向に互いに離れるように延在するフォワード及びリヤタブを備えるボディを有する。フォワードタブは、リヤタブより長いものであり得、ボディは、ルーメンと流体連通しているボディの基端部の開口部を有し得る。
【0009】
デバイスの様々な例示的な実施形態については、以下でさらに描写し、説明する。
【0010】
図面の簡単な説明
本発明の態様は、様々な実施形態及び図を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】飲料容器のクロージャを通じてニードルを導入する準備としての飲料抽出デバイスの断面側面図を示す。
【
図2】
図1の実施形態における、ニードルがクロージャを通過した状態を示す。
【
図3】
図1の実施形態における、ガスを容器に導入している状況を示す。
【
図4】
図1の実施形態における、容器から飲料を分配している状況を示す。
【
図5】例示的な実施形態におけるニードルの斜視図を示し、ニードル壁の穿孔によって形成された膜を有する。
【
図6】別の例示的な実施形態におけるニードルの斜視図を示し、膜は、ニードルの先端開口部のニードルルーメンに位置決めされた多孔質要素によって形成される。
【
図7】別の例示的な実施形態の斜視図を示し、ニードルは2つの管を含み、各管はガス及び飲料を流すためのルーメンを有する。
【
図12】
図7のニードルの第1のルーメンの第1の開口部の拡大図を示す。
【
図13】
図7のニードルの第2のルーメンの第2の開口部の拡大図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
本発明の態様は、例示的な実施形態を参照して以下で説明するが、本発明の態様は、説明される特定の実施形態を考慮して狭義に解釈してはならないことを理解すべきである。したがって、本発明の態様は、本明細書で説明される実施形態に限定されない。また、本発明の様々な態様は、単独で使用すること及び/又は互いに適した任意の組合せで使用することができ、したがって、様々な実施形態は、任意の特定の1つ又は複数の特徴の組合せを必要とすると解釈すべきではないことも理解すべきである。代わりに、説明される実施形態の1つ又は複数の特徴は、他の実施形態の他の任意の適切な特徴と組み合わせることができる。
【0013】
図1~4は、本発明の1つ又は複数の態様を組み込むことができる(例えば、以下でさらに説明される特徴を有するニードルと共に使用することができる)飲料抽出デバイス1の一実施形態の概略図を示す。この例示的なシステム1は、加圧ガス源100(圧縮ガスシリンダなど)が取り付けられたボディ3を含み、加圧ガス源100は、圧力下(例えば、シリンダから分配される際は、2600psi以下)でレギュレータ600にガスを提供する。この構成では、シリンダ100は、ねじ込み式接続によってボディ3及びレギュレータ600に固着されるが、ガスシリンダをシリンダレシーバと係合するための機構に関するそれらの教示に対して、以下で説明されるもの及び/又は米国特許第4,867,209号、米国特許第5,020,395号及び米国特許第5,163,909号で説明されるもの(参照により本明細書に組み込まれる)など、他の構成も可能である。レギュレータ600は、詳細を省略して概略的に示されているが、プリセット又は可変流出口圧力へのガス圧力の調節が可能な様々な市販の又は他の単段若しくは多段圧力レギュレータのいずれかであり得る。レギュレータ600の主な機能は、例えば、容器700の内側で確立された圧力が所望のレベルを超えないような、容器700(ワインボトルなど)への供給に適した圧力及びフローレートのガスを提供することである。しかし、レギュレータの使用は、必須ではなく、省略することができる。いくつかの事例では、オリフィス又は他のフローリストリクタを使用して、ガス源から提供されるガスの圧力及び/又はフローレートを調整することができるか、あるいは、圧力及び/又はフローレートの面で制御されない方法で容器700にガスを提供することができる。
【0014】
この実施形態では、ボディ3は、レギュレータ600からのガスの流れを制御するように操作可能なバルブ300も含む。バルブ300は、単一の動作ボタンを含む三方トグルバルブであり得、ニードル200を介する容器700への加圧ガスの導入及び容器700からの飲料710(ワインなど)の抽出を選択的に行うように機能する。そのようなバルブ300の操作に関する詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,225,959号で提供されている。当然ながら、加圧ガス及び飲料の流れを制御するための他のバルブ構成も可能である。例えば、三方バルブ300を1対のオン/オフバルブと交換することができ、一方は、容器700へのガスの導入を制御するためのものであり、他方は、容器700からの飲料の流れを制御するためのものである。各バルブは、それ自体のアクチュエータを有し得、それにより、ユーザは、個別に行うか又は同時に行うかにかかわらず、バルブの開閉を選択的に行うことができる。他の構成では、バルブ300は、制御回路によって自動的に制御することができ、例えば、バルブ300は、電気信号に応答して開閉を行うソレノイド操作バルブを含み得る。要するに、容器へのガスの導入及び容器700からの飲料の取り出しを行うためのレギュレータ600及びバルブ300又は他の機構の操作に関する詳細は、必ずしも本発明の態様に対する制限とは限らず、適するように変更することができる。
【0015】
ガスを容器700に導入し、飲料を抽出するため、ボディ3に取り付けられたニードル200は、容器700の開口部を密閉するコルク又は他のクロージャ730を通じて挿入される。ニードル構成に関する詳細については、以下でさらに詳細に論じる。ニードル200は、異なる方法で、コルク又は他のクロージャ730に挿入することができるが、この実施形態では、システム1は、1対のチャネル21を有するベース2を含み、1対のチャネル21は、ボディ3のそれぞれのレール31を受け入れ、レール31の動きを誘導する。したがって、容器クロージャ730に対するボディ3及び取り付けられたニードル200の動きは、ベース2によって誘導することができ、例えば、ボディ3は、ニードル200をクロージャ730内外に動かすためにベース2に対して垂直的に滑動させることができる。それに加えて、ニードル200の動きは、ニードルガイド202によって案内することができ、ニードルガイド202は、ベース2に取り付けられ、クロージャ730の真上に位置決めされる。ベース2に対するボディ3の動きを案内するための他の構成も可能であり、ベース2上の1つ又は複数のレールを提供し、ボディ3のチャネル又は他のレシーバと係合させること、ボディ又はベース上の細長いスロット、チャネル又は溝を提供し、ボディ又はベースの他方の対応するフィーチャ(例えば、タブ)と係合させ、滑動運動を可能にすること、ボディとベースを共に接続し、ニードルをクロージャに挿入するためのボディの動きを可能にするリンク機構などが挙げられる。
【0016】
いくつかの実施形態では、ベース2は、容器700に対して適所に固定することも、別の方法で保持することもできる(例えば、容器700と係合するクランプアーム、スリーブ、ストラップ又は他のデバイスによって行われる)。クランプ構成は、デバイス1をワインボトルの首部又は他の容器700に一時的に又は解放可能に固着するために使用することができる。容器700に対するベース2の動きを抑制することにより、そのような構成は、クロージャ730を貫通する際又はクロージャ730から引き出される際に、容器700に対するニードル200の運動を誘導する上で役立てることができる。あるいは、デバイス1を容器700と係合するクランプはデバイス1と容器700を一緒にしっかりと保持することができるため、デバイス1をつかんで操作することによって、容器700を操作することができる。
【0017】
クロージャ730を通じてニードル200を挿入するため、ユーザは、ベース2と容器700を互いに対して少なくともある程度静止した状態を維持しながら、ボディ3を下向きに押し付けることができる。ニードル200は、ベース2に対するボディ3の誘導運動(例えば、レール31及びチャネル21による)によって、少なくとも部分的にその運動が誘導されて、クロージャ730を通過する。
図2に示されるように、ニードル200を適切に挿入すると、ニードルの先端部の1つ又は複数のニードル開口部220は、クロージャ730の下方及び容器700の閉鎖空間内に位置決めすることができる。次いで、例えば、クロージャ730の近くに飲料710が流れ、かつ、容器700内の空気又は他のガス720がクロージャから離れて流れるように、容器700を傾けることができる。次いで、
図3に示されるように、バルブ300を作動し、シリンダ100からバルブ300を通じて、そして、開口部220を介してニードル200を出て容器700にガスが流れるようにすることによって、加圧ガス120を容器700に導入することができる。あるいは、加圧ガス120は、容器を傾ける前に容器700に導入することができる(それに続いて、容器が傾けられ、飲料が分配される)。その後、
図4に示されるように、バルブ300を操作して、加圧ガスの流れを停止し(又は、デュアルルーメンニードルの事例では、そのまま続ける)、ニードル200内に飲料710が流れるようにし、バルブ300から分配する。したがって、飲料は、ボディ3の導管を通じて流すことができ、この実施形態では、ボディ3は、ニードル200、ボディ3内の通路及びバルブ300を含む。当然ながら、飲料の流れを導くためのボディ3の導管の他の構成も可能であり、導管は、互いに流体的に結合された、ニードル200、ボディ3内の1つ又は複数の管、パイプ又は他の通路、分配噴出口などの1つ又は複数の部品を含み得る。
【0018】
本発明の態様によれば、飲料にアクセスするため及び容器から飲料を分配するために使用されるニードルは、ニードルの先端部の開口部とニードルの基端部との間のルーメンに膜を含み得る。膜は、例えば、ニードルの内部ルーメンに通じる開口部への粒子又は他の物質の侵入を防ぐ上で役立てることによって、コルク又は他の容器クロージャへのコアリング、スカイビング又は他の損傷を防ぐ上で役立つように機能することができる。
図5は、ニードル200の例示的な一実施形態を示し、ニードル200の先端部の開口部204とニードル200の基端部との間のルーメンに膜211を含む。この実施形態では、ニードル200は、管の基端部から先端部まで延在する単一のルーメンを有する管を含む。先端部では、ニードル200は、コルク又は他の容器クロージャを通じてニードル200を挿入しやすくするように構成された尖った端部212を有し得る。基端部では、この実施形態におけるニードル200は、ボディ61を有するハブ206を含む。ハブ206は、分配デバイス1と係合するように(例えば、
図1~4のデバイス1のボディ3にニードル200を機械的に接続するように、並びに、ガス源及びボディ3の分配口にニードル200のルーメンを流体的に結合するように)構成される。この実施形態では、ハブボディ61は、ハブ206をボディ3の対応するポートとねじ込み式且つ密閉式で係合できるようにする基端部のねじ部分を含む。したがって、この実施形態では、ニードル200の単一のルーメンは、加圧ガスを容器に供給し、かつ分配のために容器700から飲料の流れを導くように機能する。これは、ニードル200を介する容器へのガスの供給と、ニードル200を介する飲料の分配を交互に行うことによって行われる。他の構成では、ニードル200は、ガスの流れと飲料の流れの両方を取り扱うというよりむしろ、容器へのガスの供給のみ又は容器からの飲料の供給のみを行うように機能し得る。
【0019】
この実施形態では、膜211は、ニードル管の壁に穿孔するか又は別の方法で比較的小さな開口部を形成することによって形成され、その結果、穿孔は、チューブルーメンからのガスの流出及び/又はチューブルーメンへの飲料の流入を可能にする開口部204を形成する。各穿孔は、0.15mm以下のサイズを有し得(例えば、各々が丸い穴として形成される)、開口部204が約0.5~2.5mm2の総開口面積を有するように構成することができる。当然ながら、要望があれば、開口部204に対して異なる総開口面積を採用できることや、2つ以上の開口部204を提供できることが理解されよう。複数の穿孔によって開口部204を形成することは、ニードル挿入/引き出しの間のコルクへの損傷を回避する上で役立つのみならず、ニードル200の強度を高めることもできる。例えば、挿入及び/又は引き出しの間に、例えば、最大で5lb(22N)又はそれ以上の力の比較的大きな力がニードル200にかかる場合がある。管壁の多数の穿孔によって開口部204を形成することにより、同じ総開口面積を有する単一の穴として形成された開口部204を有するニードル200と比べて、ニードル200は、開口部204近くのエリアにおける屈曲又は破損に対する耐性を高めることができる。これは、より小さな外径及び/又は比較的薄い壁厚を有するニードルで役立てることができる。ニードルを引き出した後にコルクを再び密閉できるようにニードル200が構成される事例では、ニードル200は、16~22ゲージ(すなわち、1.65mm~0.91mmの外形寸法)を有し得、いくつかの実施形態では、最適なニードルゲージは、17~20ゲージ(すなわち、1.47mm~1.07mmの外形寸法)である。そのような比較的小さなニードル200は、ニードルルーメンの断面積を増大させるため延いては液体流の抵抗を低減するため、薄い壁厚を有し得る。ニードル200の外壁に1組の穿孔として膜211を形成することは、少なくとも開口部204の周りのエリアにおけるニードル200の屈曲又は破損を阻止する上で役立てることができる。
【0020】
他の実施形態では、膜211は、ニードル外壁に穿孔を形成する以外の他の方法で提供することができる。例えば、
図6は、ニードル200のルーメンに挿入される(例えば、ニードル200の基端部に挿入され、ルーメンを通じて、ニードル200の先端部の開口部204まで下向きに押し下げられる)多孔質材料のプラグとして膜211が提供される構成を示す。膜211は、管状メッシュ生地(例えば、網目状のステンレス鋼線から作られている円筒状メッシュ)の断片、非圧縮性若しくは弾力性を持つスポンジ様材料(例えば、スポンジ様材料を通じて液体が流れるようにする細孔を有するプラスチック製、金属製若しくは他の材料から作られているもの)の断片又は他の構成であり得る。膜211は、膜211が開口部204のすぐ上流側にあるように開口部204に位置決めすること、膜211が開口部204において露出するように開口部204に位置決めすること、又は、膜211が開口部204を部分的に塞ぐように開口部204に位置決めすることができる。いかなる事例でも、膜211は、膜211の上流のルーメンのエリアへのコルク又は他の物質の侵入を阻止する上で役立てることができる。例えば、膜211が開口部204において露出されないように膜211が位置決めされた場合でさえ、膜211は、ニードル200のルーメンへのコルク又は他の粒子の侵入を阻止することができる。これは、コルクを損傷すること及び/又はコルク若しくは他の粒子でニードル200ルーメンを詰まらせることなく、コルクを通じるニードル200の動きを支援することができる。膜211は、溶接、接着剤又は他の締結部によって、適所に固定することも、摩擦又は締まり嵌めによって開口部204に位置決めすることもできる。膜211は、飲料又は他の流体が流れる必要のある長さを伸長することも、流れに対する比較的薄い障壁(例えば、単層の金網によって提供されるようなもの)を提供することもできる。
【0021】
ニードルのルーメンへのコルク又は他の粒子の通過を阻止することに加えて、膜211は、サイズの閾値を上回る(例えば、膜211の細孔若しくはメッシュサイズより大きなサイズを有する)物質が開口部204及び/又は膜211と先端開口部204との間のルーメンにおいて収集されるように構成することができる。これにより、デバイスは、例えば、収集された物質をルーメン及び開口部204から押し出す加圧ガスの流れをニードル200のルーメンに誘導することによって、開口部204及び/又はルーメンから物質を排出することができる。したがって、粒子又は他の物質が開口部204及び/又はルーメンに詰まっている場合は、それらの粒子は、排出のために、開口部204に比較的近い所に位置決めすることができる。
【0022】
上記で論じられるように、飲料抽出デバイス1は、第1及び第2のルーメンを有するニードルを含み得、例えば、一方のルーメンは、飲料を流すためのものであり、他方のルーメンは、ガスを流すためのものである。抽出デバイス1は、
図1~4では、
図5及び6のもののような単一のルーメンを有するニードル200と連通する単一の導管又は流路を有するものとして示されているが、デバイス1は、ニードル200との流体連通のための2つの別個の導管(すなわち、一方の導管又は流路は、ニードルへのガス供給のためのものであり、他方は、ニードルから飲料を受け取るためのものである)を有し得ることを理解すべきである。単一のバルブを使用してガス及び飲料導管の各々を通じる流れを制御すること、2つのバルブを使用すること(各々は、対応するガス若しくは飲料導管用である)、又は、単一のバルブを使用して一方の導管のみの流れを制御すること(例えば、単一のバルブは、ニードルへのガスの流れのみを制御するか若しくはニードルからの飲料の流れのみを制御する)が可能である。また、ニードル200は、2つのルーメンを有し得、各々は、ガスの流れ又は飲料の流れをそれぞれ導く。例えば、ニードル200は、容器から飲料を導くための第1のルーメンと、容器にガスを供給するための第2のルーメンとを有し得る。バルブは、容器内部を加圧するために、第2のルーメンに結合されたガス導管内のガスの流れを制御することができ、それに応答して、飲料は、第1のルーメンを介して容器から流出することができる。第1のルーメン内の飲料の流れは、容器へのガス流入を停止することによって、停止することも減速することもできる。
【0023】
図7~13は、本発明の1つ又は複数の態様を組み込むニードルを示す。この例示的な実施形態では、ニードル200は、第1の管201及び第2の管203を含む。第1の管201及び第2の管203は、基端部から先端部まで延在し、それぞれが、その先端部に、第1の開口部204及び第2の開口部205を有する。この実施形態では、第1の管201は、第1の開口部204で受け取られた飲料液体の流れを第1の管201を通じて抽出デバイス1の分配口に運ぶように構成される。第2の管203は、例えば、ガスを供給してボトルの内部を加圧するために、ガス源(ガスシリンダ100など)から第2の開口部205に加圧ガスの流れを運ぶように構成される。第1の管201は液体の流れを運ぶように構成されるため、第1の管201は、ガスの流れを運ぶ第2の管203より大きな断面積(断面は、ニードル200の長さに垂直な平面において取られる)を有し得る。第1の管201のルーメンのより大きな断面積は、液体流の抵抗を低減する上で役立てることができ、したがって、より小さな断面積を有するルーメンと比べてより高い流量をサポートする上で役立てることができる。しかし、第1の管201と第2の管203が異なる断面積又は他のサイズを有することは必須ではない。
【0024】
この例示的な実施形態では、
図11により明確に示されるように、第1及び第2の開口部204、205は、各々が、それぞれの開口部204、205に位置決めされた対応する膜211を有する。この実施形態では、膜211は、開口部204、205の内側において各開口部204、205を塞ぐか又は覆うように位置決めされたメッシュ層として構成される。メッシュ層は、適所に溶接するか、接着するか又は別の方法で固定することができる。当然ながら、上記で論じられるように、他の構成も可能であり、例えば、2つの管の各ルーメンにメッシュプラグを挿入すること、管壁に穿孔することによって開口部を形成することなどが可能である。また、両方の開口部204、205が対応する膜211を有することは必須ではない。代わりに、開口部204、205のうちの一方のみが膜211を有し、他方の開口部は膜211を有さないことも可能である。
【0025】
この例示的な実施形態では、本発明の態様によれば、ニードルは、第1及び第2の管201、203の基端部に取り付けられたハブ206を含む。ハブ206は、第1及び第2の管201、203のルーメンを抽出デバイス1の対応するフローチャネル又は導管に接続すること又は別の方法で結合することを容易にするように構成することができる。例えば、この事例のハブ206は、ガスポート62を有するボディ61を含み、ガスポート62は、ボディ61を通じて延在し、第2の管203のルーメンと流体連通する。ガスポート62は、ガス源を第2の管203のルーメンと流体的に接続するために、抽出デバイス1の対応するポート又は他の構造と結合するように構成することができる。この実施形態では、ハブ206は、ガスポート62の近位に位置決めされた第1のガスケット63と、ガスポート62の遠位に位置決めされた第2のガスケット64とを含む。この構成により、ハブ206は、デバイス1の円筒形状の受け取り開口部又は穴の中に受け入れることができ、その結果、第1及び第2のガスケット63、64は、受け取り穴の対応する部分と密閉係合することができる。その結果、ガスポート62は、ガス源に流体的に結合する受け取り穴内の空間と流体的に結合することができる。当然ながら、ガスポート62をガス源に流体的に結合するための他の構成も可能であり、例えば、ハブ206が抽出デバイス1によって受け入れられると対応するポート又は他の開口部と密閉係合するガスポート62の開口部の周りに位置決めされたOリング又は他のガスケット、ハブ206とデバイス1とのねじ込み式接続などが挙げられる。
【0026】
この実施形態では、ハブ206は、第1及び第2のタブ65、66も含み、第1及び第2のタブ65、66は、第1及び第2の管201、203の長さに垂直な方向又は横方向に互いに離れるように延在する。これらのタブ65、66は、ハブ206がデバイス1に係合されると、抽出デバイス1の対応するスロット又は他の開口部と係合することができ、例えば、ニードル200の長さに平行な軸の周りでのデバイス1に対するニードル200の回転又はニードル200の他の動き(ニードルの長さに沿った方向におけるもの)を阻止する上で役立てることができる。したがって、タブ65、66は、少なくとも1つの可動域においてハブ206延いてはニードル200をデバイス1にロックするように機能する上で役立つバイオネットタイプの係合フィーチャを提供することができる。この例示的な実施形態では、第1のタブ65は、第2のタブ66より長い。この特徴は、ニードル200がデバイス1と係合すると、ハブ206がデバイス1に対して特定の方法で位置決めされることを保証する上で役立てることができる。例えば、デバイス1の受け取り穴は、第1及び第2のタブ65、66をそれぞれ受け入れて係合する第1及び第2のスロットを含み得る。第1のスロットは第2のスロットより長いものであり得、その結果、第1のタブ65が第1のスロットに入った状態でのみハブ206が受け入れられる。スロットとのタブ65、66の係合は、デバイス1に対するハブ206の回転を阻止する上で役立てることができる。この実施形態では、第2のタブ66は第1のタブ65より広く、この特徴もまた、デバイス1に対するハブ206の適切な向きを保証する上で役立てるために活用することができる。
【0027】
この例示的な実施形態では、ハブ206は、ボディ61の基端部の開口部67も含み、開口部67は、第1の管201のルーメンと流体連通する。ボディ61及び開口部67は、デバイス1の分配口と第1の管201の流体結合を容易にするように構成することができる。例えば、デバイス1は、デバイス1の受け取り穴の中に受け入れられるハブ206にかぶせて嵌合するように構成されたキャップ又は他の構造を含み得る。キャップは、第1及び第2のタブ65、66と同様のタブを含み得、タブは、受け取り穴のスロットの中に受け入れ、例えば、バイオネット接続を介して、キャップを捻ることによってキャップを適所にロックすることができる。これにより、キャップをハブ206にかぶせてロックすることができ、ニードル200をデバイス1の適所に固着することができる。また、キャップの係合は、キャップの分配口をハブ206の開口部67と流体的に結合することもできる。例えば、キャップ内の管の端部は、ハブ206と密閉係合するために開口部67内に嵌合することができ、したがって、第1の管201を出た飲料は、キャップの分配口に移動する。この実施形態では、ボディ61は、ノッチ68を含み、ノッチ68は、開口部67(例えば、管)と係合する分配口導管の一部分が、ニードル200の長さに対して横方向にハブ206から離れるように延在できるようにする。これは、キャップの全高を低減する上で役立てることができるが、これは必須の特徴ではない。
【0028】
ニードル200の別の特徴は、ニードル200がハブ206によってのみ支持される一方で、コルクを通じて第1及び第2の管201、203の先端部を挿入することによってワインボトルのコルク(又は飲料容器の他のクロージャ)を貫通させるために、ハブ206が第1及び第2の管201、203を支持するように構築及び構成されることである。したがって、ハブ206は、デバイス1と係合することができ、第1及び第2の管201、203は、デバイス1から離れるように延在し、容器内部にアクセスするためにコルク又は他のクロージャを通じて第1及び第2の管201、203を挿入できるように適切に支持することができる。上記で論じられるように、ニードル200の先端部をコルク又は他のクロージャに通すことにより、第1及び第2の管201、203は、第1及び第2の開口部204、205を介して容器内部と流体連通可能な状態に置かれる。
図5、6、12、13に示されるように、コルク又は他のクロージャを貫通させる支援をするため、第1及び第2の管201、203の先端部に単一の尖った端部を提供することができる。
【0029】
本発明の別の態様によれば、
図11に見られるように、ニードル200は、ニードル200の互いの対向側に、第1及び第2の開口部204、205を含む。この位置決めは、飲料液体が第1の開口部204内に受け入れられて第1の管201を移動する際に、第2の開口部205を出たガスが第1の開口部204に移動することを防ぐ上で役立てることができる。また、
図12及び13に見られるように、第1の開口部204は、第2の開口部205より大きく、例えば、より大きな断面積又は長さを有する。より大きなサイズの第1の開口部204は、第1の管201への液体流入の抵抗を低減する上で及び/又はより小さな開口部を詰まらせる可能性がある飲料の粒子に対応する上で役立てることができる。より小さなサイズの第2の開口部205は、例えば、コルク又は他のクロージャを貫通する際、第2の管203へのコルク粒子又は他の物質の通過を阻止する上で役立てることができる。また、
図12及び13に見られるように、第1及び第2の開口部204、205は、第1及び第2の管201、203の長さに沿った方向に細長く延在させることができる。この構成は、開口部204、205の総面積を比較的大きな総サイズに維持する上で役立つ一方で、ニードル200がクロージャを通過する際に、開口部204、205がコルク又は他のクロージャの一部分を切り取るか又は別の方法で取り除く可能性を低減する上で役立てることができる。第1の開口部204は、約3.3mmの長さC及び約0.64mmの幅Dを有し得、第2の開口部205は、約1.6mmの長さE及び約0.31mmの幅Fを有し得る。ニードル先端は、約6.5mmの長さGを有し得る。開口部204、205は単一の開口部によって形成されるものとして示されているが、開口部204、205(特に開口部205)は、多数の穴(例えば、直径0.15mm以下を有する)によって形成することができ、多数の穴は合わせて、単一の穴の開口部204、205とおよそ同じ総面積を有する。これにより、開口部204、205のいずれかへのコルク又は他の粒子の侵入をさらに防ぐことを助けることができる。
【0030】
本発明の別の態様によれば、
図11に見られるように、第1及び第2の管は、各々が、それぞれのD形断面を有し、それぞれの平坦面を備え、第1及び第2の管は、第1の平坦面と第2の平坦面が互いに接触した状態で互いに取り付けられる。この実施形態では、第1の管201は、第2の管の断面積より大きな断面積を有するが、上記で論じられるように、いくつかの事例では、断面積が同じであっても、第2の管の方がより大きな断面積を有してもよい。以下でさらに論じられるように、第1及び第2の管201、203のこの構成は、ニードル200が引き出される際にコルクの再度密閉を支援するような方法で、コルク又は他のクロージャを貫通させる支援をすることができる。その代替として又はそれに加えて、この構成は、ニードル200の断面寸法全体を適切に小さく維持する上で役立てながら、第1及び第2の管201、203に適切に大きな断面積を提供することができる。また、この構成は、比較的ロバストなスパイン又は支持部分をニードル200に提供することもでき、第1及び第2の管201、203の平坦部分は、屈曲に対する許容可能な耐性をニードル200に提供するように接合される。
【0031】
本発明の別の態様によれば、第1及び第2の管は共に、短軸(長軸に垂直な)よりも長軸に沿って大きな断面形状を定義する。本発明者は、全体的に円形断面形状を有するニードルがコルク又は他のクロージャに損傷を与え、それにより、円形が閾値直径に達した場合、コルクの再度密閉が難しくなり得ることを見出した。しかし、ニードルは、閾値直径より大きな長軸に沿った寸法を有する断面形状を有することができ、それにもかかわらず、断面形状が長軸寸法より適切に小さな短軸に沿った寸法を有する場合は、コルクの適切な再度密閉を行えることを本発明者は見出した。すなわち、通常であればコルクを再び密閉することができない円形断面ニードルの直径よりも実際に大きな断面の長寸法を有し、コルクを再び密閉することができるニードルを構築することができる。この例示的な実施形態では、ニードル200は、短軸208(長軸207に垂直な)に沿った寸法より大きな長軸207に沿った長寸法を有する。いくつかの事例では、円形ニードルはコルクを再び密閉できないほどコルクに損傷を与えるのに対して、長寸法は、円形断面ニードルのものより大きいが、それにもかかわらず、貫通後にコルクを再び密閉することができる。この実施形態では、長軸207は、第1及び第2の管201、203のD形断面の平坦部分に垂直であり、第1及び第2の管201、203の断面を対称線に沿って二等分する。短軸208は、長軸207に垂直であり、第1の管201が短軸208に平行な方向において最大寸法を有する所(短寸法)に位置する。長軸207に沿ったニードル200の寸法に対する短軸208に沿ったニードル200の寸法の比率は、1.25:1又はそれ以上(例えば、2:1、3:1又は4:1)であり得る。
【0032】
本発明の別の態様によれば、第1及び第2の管201、203の第1及び第2の開口部204、205は、長軸207に対して50~90度の角度で(例えば、60~70度の角度で)構成されたそれぞれの線209を中心とするか又はそれぞれの線209上に位置することができる。
図11に見られるように、第1及び第2の開口部204、205は、それぞれの線209上に構成することができ、それぞれの線209は、互いに平行であり、約0.7mmの距離Bだけ離隔しており、長軸207に対して約67度の角度Aの所に延在する。図から分かるように、これらの線209では、ニードル200の反対側にそれぞれ開口部204又は205を置くことができる。長軸207に沿ったニードル200の長寸法から離れるような第1及び第2の開口部204、205のこの位置決めは、ニードル200がコルクを通過する際に開口部204、205によるコルク又は他のクロージャのコアリング又は切り取りを防ぐ上で役立てることができる。すなわち、ニードル200に対するコルクの力は、長寸法の所(すなわち、長軸207が第1及び第2の管201、203の外面と交差する所)で最大となる傾向にあるが、その理由は、この線に沿ってニードル200が最大寸法を有するためである。ニードル断面の最大寸法から離れるような開口部204、205の位置決めにより、開口部204、205に対するコルクの力が小さくなる傾向にあり、ニードル200が貫通している間にコルクが開口部204、205に押し込まれる可能性を低減する上で役立つ。これは、コルク粒子で開口部204、205を詰まらせるのを防ぐ上で役立てることができるのみならず、コルクへの損傷を防ぎ、ニードル200が引き出される際に再度密閉を支援する上で役立てることもできる。また、この実施形態では、線209は、第1及び第2のタブ65、66がハブボディ61から離れるように延在する方向と同じ方向に延在することにも留意すべきである。これにより、タブ65、66が延在する方向に開口部204、205を位置決めすることができる。
【0033】
壁の平滑な外面を有するニードル200、ペンシルポイント又はフーバーポイントは、ワインボトルのコルク又は他のクロージャを貫通させるのに効果的であり得る一方で、飲料抽出の間にガス又は流体の出入りを防ぐためにコルクで効果的に密閉する。その上、そのようなニードルは、ニードルを引き出した後でコルクを再び密閉できるようにすることができ、それにより、数か月又は数年の間、飲料風味の異常な変化をもたらすことなく、容器及び残留飲料を保管することができる(分配の間、不活性又は適切な非反応性若しくは低反応性ガスが容器内に注入される際など)。複数のニードルゲージを機能させることができるが、好ましいニードルゲージ(例えば、ニードル断面の長軸に沿った寸法に相当する)は、16~22ゲージ(すなわち、1.65mm~0.91mmの外形寸法)の範囲であり、いくつかの実施形態では、最適なニードルゲージは、17~20ゲージ(すなわち、1.47mm~1.07mmの外形寸法)の範囲である。これらのニードルゲージは、最小の容器内圧力で最適な流体の流れを提供しながら、挿入と抽出を繰り返した後でさえ、許容できる程度に低いレベルのコルク損傷で済ますことができる。さらに、そのようなニードルは、ワインボトル及び他の容器に一般的に見られるアルミ箔カバー又は他の包装紙を貫通させるために使用することもできる。したがって、ニードルは、アルミ箔カバー又は他の要素のみならず、クロージャをも貫通することができ、それにより、飲料抽出の前にアルミ箔又は他の包装紙を取り除く必要がなくなる。他のニードルプロファイル及びゲージもシステムで使用することができる。いくつかの構成では、ニードルは、取り出した後にコルクを再び密閉できるように構成する必要はない。代わりに、ニードルは、大き過ぎてコルクを再び密閉することができないような開口部をコルクに形成することができる。他の構成では、ニードルは、コルク又は他のクロージャを突き刺すのに適したものにする必要はない。例えば、ニードルは、単にコルクの貫通には大き過ぎる直径を有し得、例えば、5~10mm又はそれ以上の直径を有し得る。代わりに、そのようなニードルは、飲料容器の開口部に置かれたストッパ又は他の構成の適切な開口部を通じて延伸することができるか、又は、単に容器の開口部にそれ自体を位置決めすることができる。
【0034】
上記の実施形態では、容器クロージャに対するニードルの挿入/取り出しを行うために、ユーザがベース2に対して直線状にボディ3を移動するが、手動又は動力駆動機構を使用して、クロージャに対してニードルを動かすことができる。例えば、レール31が歯ラックを含み得る一方で、ベース2は動力ピニオンギアを含み得、動力ピニオンギアはラックと係合し、ベース2に対してボディ3を移動するように機能する。ピニオンは、ユーザが操作するハンドル、モータ又は他の適切な構成を動力源とし得る。別の実施形態では、ニードルは、空気圧又は油圧ピストン/シリンダによって動かすことができ、例えば、空気圧又は油圧ピストン/シリンダは、ガスシリンダ100又は他の供給源からの圧力を動力源とする。また、ボディ3及び/又はニードル200は、ベース2及びクランプ4に対して移動可能である必要はない。代わりに、ボディ3及び/又はニードル200は、クランプに対して固定することができ、例えば、コルクを通じてニードルを挿入し、次いで、クランプ4を容器の首部と係合させることができる。
【0035】
様々な実施形態では、正しく機能するように複数のニードル長さを調整することができるが、一般的には、標準のワインボトルコルクを通過させるには、約1.5インチの最小ニードル長さが必要とされることが分かっている。9インチもの長さのニードルを採用することもできるが、いくつかの実施形態に対して、最適な長さの範囲は、2~2.6インチであることが分かっている。(ニードルの長さは、クロージャを貫通するように及び/又はクロージャ中を移動する際の誘導のためにニードルガイドに接触するように動作可能なニードルの長さである)。ニードルは、任意の標準の接続具(NPT、RPT、Leur、クイック接続又は標準ねじ)を通じて直接バルブに流体的に接続し得るか、又は、その代替として、軟性又は剛性の管などの介在要素を通じてバルブに接続することができる。2つ以上のニードルが使用される際は、ニードルの長さは、同じものであっても、異なるものであってもよく、0.25インチ~10インチまで様々であってもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、容器から飲料を抽出するために、適切なガス圧力が容器に導入される。例えば、いくつかのワインボトルでは、コルクでの漏れ又はコルクの突出のリスクなしで、約40~50psiの最大圧力をボトルに導入できることが分かっているが、約15~30psiの圧力がうまく機能することが分かっている。これらの圧力は、コルクが抜けることも、コルクの脇から液体又はガスが漏れ出ることもなく、ボトル開口部における最も弱いコルクとボトルとの密閉によく耐えられるものであり、比較的速い飲料抽出を提供する。いくつかの実施形態に対して、ワイン抽出の間の容器内の下限圧力は、約0~20psiであることが分かっている。すなわち、ボトルからの飲料の適切な高速抽出を提供するには、約0~20psiのボトル内圧力が必要であることが分かっている。一例では、ワインボトル内の初期圧力を確立するために30psiの圧力が使用され、内部圧力が約15~20psiに降下しても高速ワイン抽出が体験された。
【0037】
加圧ガス源は、様々な非反応性ガスのいずれかで満たされた様々な調節式又は非調節式の加圧ガス容器のいずれかであり得る。好ましい実施形態では、ガスシリンダは、約2000~3000psiの初期圧力のガスを含む。この圧力は、いくつかのワインボトルの内容物の完全な抽出に対して、単一の比較的小さな圧縮ガスシリンダ(例えば、約3インチの長さ及び0.75インチの直径)の使用を可能にすることが分かっている。長期の保管期間にわたって複数のガスのテストに成功しており、好ましくは、使用されるガスは、ワインなどの容器内の飲料と反応しないものであり、飲料酸化又は他の損傷を保護するように機能することができる。適切なガスは、窒素、二酸化炭素、アルゴン、ヘリウム、ネオンなどを含む。また、ガスの混合物も可能である。例えば、アルゴンと別のより軽いガスの混合物は、アルゴンでワイン又は他の飲料を覆う一方で、より軽いガスは、ボトル内のボリュームを占有し、恐らくはガスのコスト全体を低減することができる。
【0038】
例示的な実施形態を参照して本発明の態様を示し、説明してきたが、当業者であれば、添付の特許請求の範囲に含まれる本発明の範囲から逸脱することなく、形態及び詳細の様々な変更を行い得ることが理解されよう。
【0039】
また、本明細書で使用される表現及び用語は、説明を目的とするものであり、制限するものと見なすべきではない。本明細書における「含む(「including」、「comprising」)」又は「有する(having)」、「内包する(containing)」、「伴う(involving)」及びそれらの変形形態の使用は、それ以降にリストされるアイテム及びそれらの均等物並びに追加のアイテムを包含することが意図される。
【国際調査報告】